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2011年12月9日 第5回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成23年12月9日
10:00~


○場所

労働基準局第1・2会議室


○議事

○椎葉労働衛生課長 本日はご多忙の中、委員の皆様方にはご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより「第5回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」を開催させていただきます。
 出席者ですが、本日は大迫委員が欠席です。杉浦委員はのちほど来られると思いますので、本日は8名の委員にご参集いただくことになります。また、本日もオブザーバーとして、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課の廣木課長と水・大気環境局土壌環境課の永浜補佐にご出席いただいております。
 前回、第4回の検討会後の11月28日に、本検討会報告書を公表させていただいたところです。この報告書については、委員の皆様方に限られた時間の中で活発にご議論いただき、また、検討会の合間にも多数のご意見をいただきました。本当にありがとうございました。その中で取りまとめられたものでして、委員の皆様方には心より感謝申し上げたいと思います。
 現在、厚生労働省においては、この報告書を基に、除染作業等に従事する労働者に対する放射線障害防止対策を定めた新たな省令を制定し、来年1月1日付で施行すべく、12日までパブリックコメントを募集しているところです。その上で、本日の検討会においては、新たな省令に加え、事業者が実施すべきことが望ましい事項を定めました「ガイドライン(案)」と「教育テキスト(案)」についてご議論をいただきたいと思います。
 それでは、今後の議事進行は森座長によろしくお願いします。
○森座長 本日はガイドライン(案)とテキスト(案)の2つの議題があります。先ほど事務局と打ち合わせをしましたが、最大で3回の検討会、できれば2回でこれらの案をまとめていきたいということです。本日は全体を見ながら、それぞれの大きな論点について議論をして、細かいところについてはそれぞれ持ち帰っていただいた上で、後日コメントをいただき、それらを盛り込んだものを来週の第6回検討会で議論する形で進めていきたいと思います。本日は、大枠のところで方向性を見出しながら、最後に細かいところを詰めていくという形でやっていきたいと思っています。2つの議題がありますので、前半にガイドライン、後半に教育テキストを議論することになりますが、ある程度時間を区切りながらやっていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をさせていただきます。まず表紙をめくりますと1頁に資料1として「開催要綱」があります。3頁に「報告書の概要」、7頁から報告書が添付されています。ずっと続きまして、41頁から今回のご議論の対象となる「ガイドライン」、67頁に、原子力災害対策本部から提出していただいた簡易濃度測定方法の資料、77頁に補足資料があります。別綴じになっていますが、資料6ということで、教育テキスト(案)ということになっております。資料は以上です。
○森座長 資料の不足等はありませんか。よろしければ、早速資料4のガイドライン(案)の議論に入ります。ガイドライン(案)は、検討会の報告書を基に作成されているということですので、報告書と同じ内容のところについては、大きな問題がなければ議論を省略して、その中でも気づいたことがあれば、あとでお寄せいただくことにしたいと思います。
 新たなポイント、すなわち今回報告書とガイドラインを比較した場合に、新たな記載事項となっているところは、事務局から大きく4点あると聞いております。1点目は、第5の「汚染拡大防止措置のための措置の中の汚染検査」という部分です。頁としては48頁です。2点目は、第8の「安全衛生管理体制」です。頁としては54頁です。3点目と4点目は、先ほど追加資料もありました「粉じん濃度測定」や「土壌等の濃度測定」についてです。
 そういった意味で、最初に2点をまとめて議論し、その後で測定関係についてまとめて議論をするという形の分け方にしたいと思います。まず、第1点目の「汚染検査」の関係と第2点目の「安全衛生管理体制」について事務局からご説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 まず41頁のガイドラインです。構成だけご紹介させていただきます。41頁に第1に「趣旨」がありまして、第2に「適用」ということになっております。これは、さまざまな用語の定義や、そもそもどのレベルでガイドラインが適用されるのかということを記載しております。この辺りについては、基本的に変わっておりません。第3からが本体部分になりまして、被ばく線量管理の対象と被ばく線量管理の方法ということです。ここは報告書どおりです。
 45頁が第4「被ばく低減のための措置」ということで、1番の事前調査、2番の作業計画、3番の作業指揮者、4番の作業着手届、5番の診察となっておりまして、この中で先ほど座長からご指摘がありましたように、46頁の(6)のところで「汚染検査場所の設置基準」を新たに記載しております。47頁の5の「医師による診察」の部分も新設になっております。48頁の第5の「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置」ということで、1番が粉じんの発散の抑制、2番が容器です。3番が汚染検査の実施ということですが、ここも第4回の議論以降に相当記載を充実しております。第6が「労働者に対する教育」です。これについては、基本的にあまり変わっていません。第7が「健康管理のための措置」、第8が「安全衛生管理体制等」、ここは全く新しい書きおろしになっておりますので、あとでご議論いただきたいと思います。
 論点だけに戻ると、46頁の「汚染検査場所の設置基準」については、検討会の議論では、業務を請け負った場所、あるいはその近辺に汚染のスクリーニングの場所を設け、そこでスクリーニングをしてきれいになって出ていただくという比較的大雑把な議論をしておりました。しかし、検討会の後に発注側の方々と議論する中で、それぞれの事業者がそれぞれ汚染検査場所を設けるというのは非常に現実的ではないということ、バックグウランドが高過ぎて測れないのではないかという議論がありました。また、汚染があった場合にそれを除去するための設備、簡単に言うと水が要るわけですので、そんなに簡単にたくさん設けることができないということです。実際は、集約的な汚染検査場、例えば発注機関が設ける、あるいは非常に大きな元方であれば、自ら請け負った工事全体を担当するような汚染検査場所を設ける必要があるのではないかというご議論がありまして、そういった記載をイに付け加えています。
 ウには、放射線審議会でもご指摘があったのですが、除染をしなければいけないと、除染によって出た汚染水をどうするかという議論が出てきています。
 47頁の5番にもかかるのですが、ここでトラブルがあった人、例えば洗ってもどうしても汚染が落ちないような人や怪我をしているような人であるとか、あるいは汚染物をもう飲み込んでしまったような場合とか、こういった場合には、医師の診察を受けるというのが従来の電離則にありましたので、それを付け加えた形になっております。
 48頁の汚染検査の実施方法ということですが、汚染限度については検討会でもご議論いただきましたが、40Bq/cm2というものを使うということですが、退出者の汚染検査については、おそらく汚れていれば洗う、もしくは服を脱ぐということです。持ち出し物品については、現実問題としてどうするのだという議論が相当発注側からありました。まずいくつか論点としては、検査する必要があるのか、ないのかということがまず1点あります。アに書いていますが、例えばほかの作業場所でもう使うことがわかっている場合にはいちいち検査する必要はないのではないかということがありました。これは、当然飛散防止措置をすれば、例えばAという作業場所で使ったスコップを別のBという作業場所で使っても汚染管理上は問題がありませんので、それは検査が要らないでしょう。仮に限度を超えた場合だとしても、ほかのいろいろな、例えば除去施設に持っていく場合もありますし、あるいはそもそも捨ててしまうような場合もあるわけで、そういった場合については当然持ち出しを認めるべきだと。
 3つ目は車の問題です。これをどうするのかということです。特にいちばん汚れるのはタイヤなのですが、ここをきれいにサーベイして除染しても、別のところを走っていればまた汚れてしまいますので意味がないのではないかと。しかしながら、荷台などの部分はきれいにすべきではないかという形でまとめてあります。1つ論点として残っているのは、廃棄物を運んでいった車が廃棄物を下ろしたあとどうするか。荷台が当然汚れているのですが、どこかで洗うのか、またスクリーニングの場所へ戻ってくるのか。いまのところ、我々としては、一旦スクリーニング場所まで帰ってきてもらって洗うしかないと思っているのですが、そういった点についてもご議論いただく必要があろうかと思います。
 54頁の安全衛生管理体制については、一般的に放射線の汚染検査や放射線の機器の取扱い、線量被ばくの積算については、普通の原子力施設であれば、いわゆる放射線管理者がいて、そういった方が担当されているという実態があります。労働安全衛生法の体系の中にはこういった職種がありませんが、実際には必要だということで、放射線管理者を選任するということをガイドライン上には位置付けております。
 ただ、労働安全衛生法上は、衛生管理者がおり、そういった方が基本的には衛生に関する技術的事項を管理することになっていますので、一義的には衛生管理者の管理の下で放射線管理者は仕事をするという発想にしています。衛生管理者は、50人以上の事業場にだけ義務付けられている制度ですので、小さいところはどうするのかという問題もあります。これは、安全衛生責任者に同じ職務をやらせるのかということですが、知識、経験的にできるのかどうかという問題があります。
 2番目に元方事業者の実施する事項があります。これも当然、下請けの労働者というか複数の会社で行う可能性が非常に高い実態の中で、それぞれの会社がバラバラに被ばく管理などをするというのは現実的にないということです。これは元方に一定の責任を担っていただく必要があると考えていまして、安全衛生の統括をする責任者を元方に置いていただく。関係請負人においては、安全衛生管理の職務を行う者を同じように選任していただいて、こういったそれぞれの責任者同士で連絡調整を行うことが必要ではないかと。また、安全衛生に関する協議会を定期的に行って協議を行うことが必要ではないかと。
 特に論点としては、まず新しく除染作業に従事する方に特別教育を実施しなければいけませんので、それを一義的には元方の主導でやっていただく必要がある。また、事前調査、作業計画も各事業者がバラバラに作るというのは現実的ではありませんので、これも元方主導で1つにまとめて作っていただくと。先ほど説明しました汚染検査場所も、どういうふうに設置するのか、あるいは誰が検査するのかというところについて協議する必要がある。労働災害が発生した場合についても、元方の一元的な管理の下で対応する必要がありますので、そういったことについても協議をして、一定の同意事項を得ておくことが必要であると考えております。作業計画については、一義的には元方が作るとは考えておりますが、場合によっては、例えば保管だけの作業計画とか運搬だけの作業計画の可能性がありますので、そういった場合にはちゃんと元方が指導・援助すると。
 5番目がいちばん重要な事項です。被ばく管理ですが、小さい会社もかなり入ってくると思いますので、それぞれの会社に被ばく管理を任せるというのは現実的ではないということもありますので、そこは元方の責任の下で一元的に線量管理をする必要があるのではないかということで、それを盛り込んでいます。説明は以上です。
○森座長 それでは、46頁の汚染検査場所の設置基準についてご議論いただこうと思います。これに関しては、アに書いてあることが報告書の中に盛り込まれている原則でありますが、それが現実的ではないことがあるので、もう少し広い範囲や発注者が対応するというか選択肢を設けて、その場合にはそれぞれの近傍の汚染検査場所を設置することについて事業者ごとには設定しなくてもいいというような表現だと思いますが、これについて何かご意見ありますか。もっと可能性を広げたほうがいいとか、そのようなことも含めて何かありましたらお願いします。
○古田委員 どういうところで作業をやっているかというのがかなりポイントになると思うのですが、立ち入り制限がかかっているところであれば、あまりこの辺は気にしなくても集約してやるというのはいいと思うのです。例えば市街地や密集地で人が住んでおられるところの中でするときに、そこを勝手にどんどん行き来するのはどうかと思うのです。だから、場所に応じた、立ち入り禁止で、周りに人が住んでいないときにはこれより緩くしてもかまわないのではないかと思いますし、場合によっては、市街地であれば、こういった形で移動するときには飛散しないような、そういった措置が取られていればいいと思いますので、その辺が読めるようになっていればやりやすいかと思います。
○森座長 つまり、全体が管理区域の中であれば境界線での対応でもいいといった話ですよね。
○古田委員 例えば広い街全体が立ち入り制限をかけられているような場所であれば、広いエリア、1箇所でもかまわないと思うのですけど。
○森座長 先ほどの48頁、49頁の持ち出しに関するところで、その間一定レベルであれば、養生をして持ち出さないといけない、ということとも関連してきますが、現実的に人が住んでいるところで、全く管理されない状態で物が行き来しているということを防ぐにはどうしたらいいかという、そういうご指摘ですね。
○古田委員 そこだけが気になるということです。
○安井中央労働衛生専門官 仮に住民の方がおられなくても汚染物を撒き散らすのは必ずしもよくないと思いますので、作業場所を離れたあとは養生をしていただく必要があると思いますので、それは書いたほうがいいと。
○古田委員 汚染物であれば、セシウム単独ではもう動かないと思っております。例えば土に付いて動くということですから、土も飛散しないような形の養生がされていれば十分かと思うのですけれども。
○森座長 そのようなエリアにあるときはきちんと養生をするということを加えるということですね。ほかにいかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 若干懸念しておりますのは、古田委員もおっしゃったように、立ち入り禁止エリアの場合は、発注金額が大きくしっかりした元方になってくると思うのですが、空間線量率がさほど高くないところ、例えば市町村の発注で非常に発注金額が小さいような場合、独自の汚染検査場の設置は現実的ではないと思われます。そういうときに、例えば発注者である市町村が準備するとか、何らかの手当がないとかなり難しいという気がしたのですが。
○森座長 いまのお話からいけば、基本的に発注者管理もOKだけれども、移動中に市街地を通ったり、いろいろ撒き散らす危険性があるときには、きちんと養生しなさいという、それを条件として付けましょうという理解でよろしいですか。
○古田委員 例えばイに書いてある文言でしたら、これは市街地でも適用できますよね。ただし、立ち入り制限区域のときは、どちらかと言うと、多少緩くてもいいのではないかという気がしますけれども。
○安井中央労働衛生専門官 立ち入り制限区域でもやはり、例えばトラックからドバドバと汚染物が落ちることはよく聞くわけで、それは当然やるということです。
○森座長 いまの部分はほかにいかがですか。
○松村委員 離れた場所に除染場所がある、検査場所がある場合に、ここに「車両で移動する等」と書いてありますが、これはほぼ自動車で移動することになると思っていいのですか。
○安井中央労働衛生専門官 車内をビニールか何かで養生したような状態で、そのままタイベックを着たままで乗っていただいて、そのままドアを閉めてずっと運んで、除染検査場で服を脱ぐ方法が現実的な対応ではないかと我々としては考えています。
○松村委員 それでしたら市街地を移動しても許されるかという気がしますけれども。
○森座長 この点はよろしいですか。
                 (異議なし)
○森座長 続いて、47頁の「医師による診察等」が加わっていますが、これは何かあればきちんと医師の診察を受けさせなさいということなので特に議論はないと思いますが、よろしいですか。
○杉浦委員 まず、イのところですが、「誤って」というのがどの辺かということで、電離則のほうですと、放射線審議会でも若干、従来から、2007年勧告の取入れのところで有意な摂取があった場合ということで、今回の場合は、通常の作業をしていればある程度の吸入があるということで、誤っての解釈が現場で混乱しないようにということ。通常、作業で多少入る分でいちいち全員健康診断をしてしまうのは、ここの書き振りというよりも、運用のところできちんと業者が困らないようにしてくださいというのが1点。ウのところで、前回私が13,000ではなくて40Bqでというふうに申し上げたのですが、ここだけ読むと1cmのところは40で汚れていると。13,000というのは、言葉はあれですが、ベロンと全体が汚れていて、GMサーベイメーターの20cm2全部を捉えたときに13,000になるということですから、こういうスポット上にあったときも40を超えていたら医師の診察かということになりますので、40Bq/cm2が、例えば8頁のいちばん下のところ、汚染限度に、ちゃんと40Bqがそうだと書かれているので、これを初出のところといいますか、ここで言っている40がこの意味だよということをどこかでいちばん先に読めるようにしていただければと思います。最後は国語の問題ですけれども、「創傷」は、逆が普通ではないですか。
○安井中央労働衛生専門官 はい、そうです。「創傷」です。
○杉浦委員 以上です。
○森座長 ウのところは書き振りの話なので統一するということでいいと思うのですが、イのところの「誤って」というところをもう少し定義をという話だったら、杉浦委員から何か、例えばこんな表現とか、こんな注釈が必要ではないかという具体的な提案があればお願いします。
○杉浦委員 そこが大変難しいのですが、例えばマスクをとりましたと。ここにどろが付いていますと。こうやって脱ぐと、こうやってこうやった行為が誤ったのか、やってはいけないよということは言うわけですよね。その辺の程度問題だと思うのですよね。むしろ厚労省側から通常の手順と違った、誤って飲み込むとか、そういうことの標準でやっていただければ。放射線は1粒というか、原子のレベルで測定されてしまう。化学物質ですと、ある程度濃度がいかないと、量がないと測定にかからないというところがあると思うのですが。
○森座長 どちらにしても、アクシデントがあって大量に吸ったとか、ある特定の行為があって吸ったとか。
○杉浦委員 そういうふうに運用するということをどこかで解説なりでしていただければと思うのですけれども。
○森座長 いままでの管理にプラスして、医師の診察ということなので、そのような意味が分かるようにお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○古田委員 例えば内部被ばくの場合の記録レベル、管理上記録するレベルはいま大体1mSv、あるいは2mSv、それぐらいで原子力安全技術センターのマニュアルで記載されています。先般例えば鼻スミアをして、それを10,000cpmで測った場合にたしか0.3mSvぐらいですので、その辺を基準にして、それを超えたような内部被ばくが確認された場合は医師の診察を受けるとか、何か具体的にはそれぐらいのイメージかと思うのです。その辺で決めておかないと、どんな低い場合でも医師の診察が必要なのですかという形になり兼ねませんので、そのような基準をマニュアルかどこかに書いていただけるといいかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○森座長 そこを具体化していくということで。
○安井中央労働衛生専門官 吸入はそれでいいかもしれないですが、経口の場合はかなり難しいですね。どれだけ飲み込んだというのはわからない。
○古田委員 土を食べることはあまりないと思う。
○森座長 どのような行為をしたときに、そのような場合に当たるのかを書くしかないと思います。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○松村委員 47頁の40Bq/cm2というのは、体表面の濃度ですか。報告書の11頁にあるのは除染の基準だと思うのですが、装具の汚染限度が40Bq/cm2というふうに書いてあるのですね。人間の体表面は2m2はないのですが、1m2以上あります。たぶん手や足のいちばん高濃度に汚染されているところがこうかもしれないのですが、体表面全部として掛け算しますと、40万Bq以上になるのです。作業着ですと2m2はあると思うのですね。そうすると80万Bq/ボディになるんですよね。
○森座長 全体がということでは。
○松村委員 全体というふうに考えるとですね。この基準は一般的なのですか。
○杉浦委員 大体100cm2ぐらいでというのが測定単位ぐらいになっています。
○松村委員 そうでしょうね。1cm2測るというのは難しいですよね。バラつきがあるでしょうから。でもそうすると40の100倍ですから4,000Bqということですか。
○杉浦委員 そのぐらいのものが。ですから通常の管理された状態だとそこが限度ですよね。
○松村委員 そうすると、もし衣服の全部が2m2使っているとすると、やはり80万Bqになりますよね。
○杉浦委員 はい、それはそうなりますけれども。
○松村委員 それでいいわけですか。
○杉浦委員 そうすると、GMで測ると13,000cpmに相当すると思いますが、どこを測ってもらっても超えると思いますので、診察が必要になるという方向に回っていくものと思いますが。
○森座長 それより高い状態を想定しているので、結局全身の場合と局部の場合という話は、あまり関係ないのでは。
○安井中央労働衛生専門官 ここで特に記載しているのは、洗っても落ちないという、かなり特殊な状態を想定しています。もしくは洗うこともできないということなのですが、通常は洗えば落ちますので、これは一般の人間の手には負えないという意味で指定をしていることになります。
○松村委員 そうすると、報告書の11頁の装具の汚染とは全然別の話で。
○安井中央労働衛生専門官 あれは汚染検査ですので、それを超えているものは捨てるなり洗えばいいと。洗ってもだめな場合はお医者さんに連れていきなさいということ、もしくは洗えない場合です。
○松村委員 かなり高い基準のような印象がするのですが。
○安井中央労働衛生専門官 非常に高いです。
○森座長 一方で、お医者さんと言われても、お医者さんもこういう被ばくをしている人をどう受け入れるかということは、原発のときにも非常に微妙な問題も抱えていたので、この辺の話は別の話として、受入れ側の話は少し進めていかないといけないというような問題意識を持っています。医師の診察の項はこれで終わります。
 続いて48頁、ガイドラインの8頁の下のところの3「汚染検査の実施」というところです。(1)(2)は基本的には同じような内容なのですが、(3)の「持ち出し物品の汚染検査」というところで、アとイに関しては、基本的には養生すれば超えているような場合も含めて、次に使うものについては持ち出すことができるというような書き振りになっていますが、まずアとイについてはいかがですか。
○古田委員 この考えは通常の、例えば汚染物や放射性物質の輸送で、管理区域から管理区域へ運搬するときには容器に入れるなり、飛散防止とか、そういうことをして実際にやられています。だから、そういう意味では考えは妥当だと思います。ただ、それを完全に持ち出してこれ以上使わないよと。一般のところに持ち出して、もうそういうエリアで再利用しないよ、普通のところで使うよというときには、やはりこの考えはおかしいので、このときにはきれいに除染してもらうことになると思います。
○森座長 原則はいちばん最初に書いているように、汚染状況を検査することが基本的にあって、例外的にという話なので、たぶんいま古田委員がおっしゃったような内容になっているのだと思います。よろしいですか。
                 (異議なし)
○森座長 続いて、ウの車両の問題が現実的にはどうなのかという話になるわけです。いまありましたように、タイヤは仕方がないと。それ以外に荷台等については、基本的にはきちんと除染をする必要があると。ただ、廃棄物を運んだ場合には、管理をしている区域より外に行ってそこで荷物を下ろしてというような場合があるので、そこで除染ができない場合も結構あるのではないか。この場合には、養生して持ち帰って除染できるところできちんと除染をしましょうという趣旨だと理解していますが、これについてご意見ありますか。
○安井中央労働衛生専門官 環境省にお伺いしたいのですが、市町村ごとに仮置き場を設けることになっているのですが、そういった所には水道は普通ないのですよね。
○永浜補佐 お答えします。市町村ごとの仮置き場で、できれば仮置き場で土壌を下ろしたあとに、ここで書いてありますような洗浄ができればいいと考えております。法律上の基準として義務付けをしていないのですが、そういうことができないかということに関しては検討しています。だから、もしそういうことが可能であれば、その場所で洗っていただければ、その事業者に関しては、そのあと車両に関してはほかの場所で使えるということになろうかと思いますので、そうできればと考えております。たぶん、ここは廃棄物も同様ですよね。
○森座長 そういう意味では、できるだけ設備を設けることが前提だけど、どうしてもできない場合には、例外的にこういう方法にしましょうという書き振りでいいということですね。よろしいですか。
○古田委員 よく市街地で工事をやっているときには、大抵ダンプのタイヤとか、そういうものを洗うなり掃除されて出ていると思うのですが、皆さんが住んでおられるところを、土をタイヤからボタボタ落としながらというのはやはり好ましくないので、何らかの形でボタボタ落ちない程度は措置していただきたいと思うのですけれども。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。ここで申し上げているのは、汚染検査の必要がないということで、要するにそのサーベイを超えているから、下げるまで出ていくのを許さないというのではないということにしています。洗うのは洗うように書きたいと思います。
○森座長 では、いまの2点よろしいですか。
                 (異議なし)
○森座長 続いて、54頁、ガイドラインでは14頁の「安全衛生管理体制」にいきたいと思います。ここで大きな論点は、1の安全衛生管理体制のところで、事業者が放射線管理者を選任する。その人間は衛生管理者の管理の下にということであります。まず衛生管理者というのは、作業場ごとに50人以上の労働者がいないと衛生管理者がそもそも選任されていないので、これをどういうふうに読むのかということです。また放射線管理者を選任するといっても、放射線管理者が知識が何もなくては放射線管理者の役割を果たさないので、そのような人間を置く必要があると思います。それを具体的にどうするのかということが課題かと思いますが、この点についていかがですか。併せて確認しておきたいのですが、除染等の事業者というのは、大体事業場規模としてどのぐらいの人数がいると考えているのですか。
○安井中央労働衛生専門官 厚労省は発注官庁ではないのではっきりしたことはお答えできませんが、聞いている限りでは、大きなところから小さいところまであると思います。特に市町村発注の場合はかなり小さいのではないかと聞いています。
○永浜補佐 市町村発注でいきますと、いちばん小さい範囲が村なのですが、村単位で、おそらく基本的に村全体でというのではなくて、集落単位の発注になりますと、それこそ数人、多くて十数名程度というものから、大きい市にいきますと数百人程度というふうな除染が考えられるのかなと。建設会社のおおまかな試算ではあるのですが、例えば警戒区域、計画避難区域の中で行われる国直轄の除染でいくと、最大1日に万の人が入ったりするのかもしれないというような話は聞こえてきています。そういう状況です。
○森座長 わかりました。そうすると、小さいところから大きなところまであるということですね。この点いかがですか。
○杉浦委員 人の管理をするということだけではなく、除染事業をすること自体に、土壌がどれだけ汚れているのかとか、放射線を測る人は必ずいないといけないと思うのですが、いま、そうやって土木の関係の方が請け負うみたいなことだと、放射線のことをもちろん知らないので、たぶんそういうような所に外注といいますか、雇入れというか、そういうことになって、事業者が、衛生管理者はたぶん本職でないとだめだと思うのですが、その放射線管理者という人は外注みたいなのでいいのかとか、組織の選任というのですか、その辺のところをはっきりすれば、そういう担当の人を委託みたいな形で読めるようにすれば、この問題はそんなに大きくないのかと。
○森座長 そういう意味で衛生管理者とか、小さいところでは安全衛生推進者がいますので、それは事業者に専属の者で事業者の責任の一部を技術的に代行していることになります。そういった人間の管理の下に外部のそういった知識を持った人を放射線管理者として入れれば、この体制ができるのではないかということですね。
○杉浦委員 現実的かと思います。
○安井中央労働衛生専門官 空間線量の測定とか、仕事を請け負わせるのはもちろん可能だと思っておりますが、ここで書いているのは事業場内での専任です。
○杉浦委員 労働安全衛生法上専任でないと好ましくないのですか。
○安井中央労働衛生専門官 例えば被ばく管理の記録の管理とか、そういうものを外注するというのは、安衛法の概念的には厳しいと思っておりまして、嘱託みたいな形で雇うというのはあると思うのですが、外に請け負わせるというのは、内部管理部門はかなり厳しいかなとは思います。
○森座長 そうすると、そもそもこういったことができる人が内部に養成しなければならない、一方現実的にはそういう者がいないなら外部の資源を使うしかない、その話はどちらが現実的かという話ですよね。
○杉浦委員 昨日の福島の新聞のどこかにも、除染作業を自衛隊がいまやっているけれども、実際に業者を発注するとなかなかそういうのがいなくてと。あまりこういうところで細かく縛ってしまうと、除染事業自体が進まないのかと若干心配に思っているところです。管理は非常に大事なことだと思うのですが、うまく読めないのですか。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるように、汚染検査をする人間や空間線量を測定するような人間は、ある意味請負人に出してしまえば、それでいいと思います。あとはいわゆるコアの部分の、例えば健康診断であるとか、被ばくの線量の限度を超えているかどうか確認する者というところだけだと思います。衛生管理者が勉強してできるようになるのがベストだと思うのですが、それができない場合にはおっしゃるように嘱託とかが認められるようにしていくべきなのかもしれません。検討させていただきます。
○森座長 その場合、ここで想定する放射線管理者の教育を、現実的にできる場所があるのですか。
○安井中央労働衛生専門官 環境省といま協議をさせていただいておりまして、何らかの放射線管理ができる人材の養成が必要ではないかということは言っております。現実問題として、例えば東京電力のほうでは独自に養成されていますので、そういったノウハウをお借りするとか、あるいはアイソトープの関係では取扱主任者がおられますので、そういった資格者を活用するとか、そこは今後検討させていただきます。
○森座長 もう一点、いまの話からすると衛生管理者がそういった追加の勉強をして、放射線管理者の役割を果たすということも基本的にはありと考えているということですか。
○安井中央労働衛生専門官 我々はそれがいちばん望ましいと考えております。
○森座長 それで足りない技術的なものは外部の資源を使いましょうと、そういう全体的なイメージということですか。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。
○森座長 教育資源さえあれば、そういった体制でできそうだということです。
 続いて、元方事業者の実施ということで、元方事業者、建設業や造船業の特定元方に近いような全体的な責任をこの除染では一応持ってもらおうということなのですが、その中でも特に被ばく状況の一元管理については、個々の事業者で管理させるというのは、データの散逸や管理の徹底が不十分な事態などが出てくる可能性があるので、これは元方の一元管理にしましょうというところは少し踏み込んだ部分だと思います。2番は全体的にいかがですか。確実な管理をすると、先ほどの除染等事業者が小さなところまで含まれることになると、ある程度元方責任を強化して、元方事業者に管理上の役割を果たしていただかないといけないというのはもう皆さん了解事項だと思いますが、放射線管理に関しては、通常の管理よりさらに一段きちんとした管理が必要だということで、こういう書き振りでよろしいですか。
                 (異議なし)
○森座長 ここはよろしいということで、1つ目の汚染検査に関することと安全衛生管理体制の部分については、これで議論が出つくしたことにしたいと思います。
○名古屋委員 50頁のところで、前からそうなのですが、気になっているのは「サージカルマスク」と書いてありますが、国家検定を付けなくていいのかと。
○松村委員 いいのです。
○名古屋委員 それはいいの。
○松村委員 サージカルマスクに対しては国家検定はありません。
○名古屋委員 サージカルマスクはいいのですか。
○松村委員 法律用語がないのですよね。だから慣用的な用語です。
○名古屋委員 もう少し簡易的なものにいってしまっても大丈夫なのかなと。
○松村委員 という意味です、ここでは明らかに。だから、マスクがなくてもいいぐらいの場所があるということです。
○金子委員 54頁の安全衛生管理体制のところですが、1で出てくる衛生管理者と2の(1)で出てくる安全衛生統括者は同じことなのか、それとも別なのかということをお伺いしたいです。衛生管理者とは法律上でこういう者という規定があるものなのかどうか、素人にはわからないのでご説明していただけるとありがたいです。
○森座長 これは、下は元方事業者が全体を統括するという意味で、その中にたくさん事業者があるというイメージの中で、全体を統括する人を安全衛生統括者と呼んでいて、さらに事業者ごとに衛生管理者がいるということです。衛生管理者は、基本的に国家試験もあり、第一種と第二種があります。この場合、おそらく第一種の資格者を想定しているのかと思いますが、50人以上の事業場においては、基本的に選任が義務付けられているものです。よろしいですか。
○金子委員 先ほど、環境省から数名ぐらいでも受ける場合があるという趣旨の説明があったのですが、それとの問題はないのですか。
○森座長 もちろんありますが、50人未満の場合には、安全衛生推進者という人間を置きなさいと。ただ、安全衛生推進者自体には資格試験がないので、指揮レベルという意味では少し不安定になることがありますが、現実的にそれしかないということです。
○小林委員 関連して、先ほど衛生管理者の方に勉強していただくことがいちばんいいということだったのですが、それは自主的に勉強すればいいということであって、特に確認する手段はないのですか。
○森座長 知識レベルでとかですね。これはどうなのですか。
○安井中央労働衛生専門官 これも先ほど申し上げたように、そもそも教育をどのようにしようか検討しているところですので、ある程度のカリキュラム等々定めることができれば、修了証を出すのは可能かもしれませんが、それも含めて現在検討中です。
○小林委員 あともう一点確認として、49頁の車両のところで、例えば車両でも、移動する時には自走しないでトラックに乗せて運ぶようなものもあります。常識的に考えればわかるのですが、その車両は自走しないで移動するわけですから、その場合はきちんとタイヤなどの検査をしたあとトラックに乗せるということですね。
○森座長 荷物みたいに。
○安井中央労働衛生専門官 本当に持ち出す場合はそうですね。別の作業場所に運ぶ場合には検査は要らないと思うのですが、通常の作業に今後使いますという場合は、完全にきれいにしていただく必要があります。
○森座長 よろしいでしょうか。続きまして、「粉じん濃度の測定及び土壌等の濃度測定について」の議論にいきたいと思います。まず、土壌等の測定については、資料5-1、資料5-2が、原子力対策本部とJAEAから提出されております。これについてはJAEAの中山委員からご説明をいただければと思います。
○中山委員 それでは資料5-1についてご説明を申し上げます。この検討会の中で議論されてきましたように、ある程度放射線の被ばくがある場合には、一定の放射線防護の装備をしなくてはいけない。その放射能の強さはどの程度かということの基準を決めなければいけないのですが、いちばんわかりやすいのは、この文書の中にも書いてあるのですが、放射能濃度(Bq)で決めるのがよろしいのですが、必ずしも除染現場で濃度をきちんと把握できない場合がある。もちろん、土なら土を持って帰って、どこかの測定器で測って、その結果を受けてということはできるのですが、やはり除染現場に求められるのは、迅速性というか、適切に計画どおり進めなくてはいけなくて、いちいち濃度を測っているというのは現実的ではないので、ある程度大まかに濃度がわかるような推定方法があれば、それに基づいて作業を進めることはできるのではないかと。その方法が求められていると判断しましたので、計算コードを用いた推定方法の1例をお示しすることにしました。
 1頁目の下に「方法」と書いてあります。除去物というのは、容器に入れるものですから、除去物をあらかじめ容量がわかっている袋などに収納して、その重量を測定する。濃度ではなくて、その場で線量を測る。その線量から濃度をおおよそ推定できないかということです。当然ながら、測るときにはバックグラウンド等が非常に高いと誤差の原因になりますので、放射線量率の測定は建物内、遮へいの設置など、測定する袋以外の放射線の少ない環境で行う。そうした上で、測定した放射線量と重量とから放射能をどう評価するかを考えました。
 容器は、サンプルとして測るための容器はいろいろ考えられるのですが、今日お持ちした資料では小さいのと大きいのと2つの例を示しました。1つはプラスチック容器で、その道の専門の方がおっしゃる丸型V式容器という直径13cm、高さが数センチのプラスチック容器です。もう1つは土のう袋、典型的な土のう袋は32cm×56cmらしいのですが、そういったものに入れて測った場合に、線量率からどの程度のベクレル数が把握できるかということをコンピューターで計算しました。
 その例が、次の頁から書いてあります。もともとカラーでしたが、白黒で非常に見えにくいのですが。一つひとつのグラフで、横軸が容器表面で測った放射線量率です。縦軸が、それに相当する放射線の濃度という形で示しました。線は2本あって、若干薄い、上側にあるのがCs137、下側の濃いのがCs134です。当然ながら、物理的に減衰しますので、時間的に変わっていきますから、いつの時点の計算結果かということを示さなくてはいけない。それがグラフの上に、平成24年1月段階ではこうだと、4月段階ではこうだと、3カ月ごととし、3年間、平成27年1月までそれぞれ示してあります。線量率と放射能濃度は比例関係にあるという結果が表れています。ちなみにCs137は半減期が30年ですから、この3年間ではそんなに変わらないのですが、Cs134は半減期が2年間ですので、徐々に減っていき、これら2本の線のうち、時間が経つにつれてCs137の線は低くなっていくというのが表れています。
 4頁目の左上の図までが、先ほど申し上げた小さなプラスチック容器にサンプルを取って測った場合の例です。4頁目の真ん中から6頁の最後までのグラフが、土のう袋に入れて、その表面で測った場合の例です。このグラフは測定値を見て、10μSv/hであれば、グラフを辿って、ベクレル数としてはおよそこれぐらいだろうということを判断する。測定あるいは計算の誤差も当然ありますから、あまり精度を求めることはできませんが、先ほどの1万Bq/kgや50万Bq/kg、それを明らかに超えているか、あるいは明らかに下回っているかという判断は、このグラフでできると思いますし、こういうものを手元に置いておけば、すぐに判断できるという意味では、こうしたいくつもの計算例を示しておけば、現場では大変有用ではないかということで、用意をさせていただきました。こういう計算は、コンピューターが計算すればいくらでも出てきますし、ここではグラフで示してありますが、数字で一覧表でお示しすることもできます。大事と思うのは、7頁以降の「備考」に書きました。実際の現場ではこんないろいろな条件の設定などは不要かもしれませんが、計算をするのに当たって、気を付けた点を7頁以降に書きました。
 1つ目は、放射線量率から放射能濃度に換算するのですが、いくつか影響のある因子がありますので、その吟味をしておいたということです。
 (1)密度が同じ物質の組成の影響ということで、放射線の遮へい能力というのは、物質の密度が大変効いてきますので、密度が同じだと、ほとんど遮へい能力は同じだと思うのですが、それは水でもコンクリートでもほとんど変わらないということを、この図で示しています。いくつもの線が重なっているので、大変見にくくて申し訳ありません。除染現場で考えられるようなものに関しては、密度が同じであればほとんど変わらないということです。
 8頁の(2)は、密度を変えた場合の計算結果を示しています。密度が高いほど遮へい能力は高いです。密度0.25の場合と3の場合を計算してみましたが、線の開きは2倍程度だということです。除染現場で発生する廃棄物の密度というのは厳密に測ることはできませんが、0.25という低い値から3までカバーしていれば、この計算結果が使えるのではないかと考えました。前の計算は、密度3で計算していると思います。密度が高いほど、遮へい能力が高いので、ベクレル数を低く見積もってしまうので、保守性を担保出来ているということだと思います。
 9頁の(3)は、容器容積や形状の影響です。先ほど、小さな容器の代表としてプラスチック容器、少し大きめの容器として土のう袋の例を示したのですが、実際の計算というのは、この表にあるように、5種類の容器を想定して、全部計算しました。
 表なので、数字をいちいち追わなければいけないので、若干見にくいかもしれません。容器が大きいものとしては土のう袋、200Lドラム缶、さらに大きいものになるとフレコン、この3種類です。小さなものとしては、V5プラスチック容器、2Lのポリビン、こういうものに対して計算しました。この表の右側の数字を見ますと、小さい容器と大きい容器で、2.4倍程度の差ですので、違う容器に入れると、この程度の誤差は発生するということです。
 こういうふうに、いくつかの測定に際して、誤差が生ずる原因をいくつか吟味しておきました。先ほど示した線が非常に精度がいいというわけではない、こういった誤差があるということを承知の上で、利用することができるということだと思います。
 先ほどはグラフで見て取るということを申し上げましたが、資料5-2は数値で計算する場合には、掛け算や割算でできることを示した簡単なマニュアルで、ここに係数Xというのが出てきて、その係数Xが、79頁の表1の「測定日に応じた係数X」という表の一覧になっています。これが先ほどのグラフの傾きで、グラフから読み取ってもいいし、こうやって計算で出してもいいということです。
 こういうグラフなり、あるいは簡単な計算式を現場に持ち込んでおけば、おおよそのBq数を把握できるということでいいのですが、これは報告書に載せるのかもしれませんが、あくまでも計算によって、定量的なバックグラウンドが示せますよということを数頁の紙は示しているのであって、実際、これをどう使うかというのは、また少し文書を継ぎ足さなければいけないかと思います。それはおおよそ1万Bqとか50万Bqを超えるか、超えないかというのは判断できるのですが、例えば、明らかに低いとか、逆に明らかに高いというのは難しいかもしれませんが、明らかに低いというところまで、こういったものでいちいちチェックしたことにしなければいけないのかというわけでもないだろうと思うので、こういうものを使わなければいけない、使ったことを示せということにはしないほうがいいかなと思うのです。この計算結果の参考の仕方というか、使い方というか、そういったことで委員の先生からもしご意見があれば、いただいたほうがいいかなと思います。細かい点かもしれませんが、お願いします。
○森座長 ありがとうございます。ある程度の測定はできるが、精度とかいろいろな問題もあるから、どう使うかということが課題として残るということです。もう1点、「粉じん濃度の測定について」という論点があります。これは事務局からご説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 56頁です。これにつきましては、前回、前々回にご議論をいただきまして、いわゆる10mg/m3を超えるかどうかというのを判定しなければいけない。ここも先ほどの濃度測定と同じで、真の意味の正しい値が必ずしも要るわけではなくて、10mgを超えるかどうかが判断できればいいという程度の測定をどこまでするのかという議論です。
 基本的な考え方としては、今までいただいた情報によりますと、10mgを超える作業というのは、かなり限定されているようです。例えば、土壌のはぎ取りとか、除草、アスファルト・コンクリート表面研磨、袋詰め、解体作業と比較的限定されるということでしたので、そういった作業をやらないのであれば、そもそも要らないし、やるのであればそういった作業についてまずやればいいという限定をかけるということです。それから、これはアスベストでもやっているのですが、いちいち測るのは手間がかかるというときは、これは10mgを超えるとみなして法令を適用するのであれば、わざわざ測る必要はないということを謳っております。
 その上で測るということになった場合に、できるだけ簡易な測定をするということです。これにつきましては、名古屋先生からもご提案をいただきましたが、相対濃度指示方法ということで、デジタル粉じん計と粉じん濃度が測定できる機械を並行に設置して、その測定結果で質量濃度換算係数を求めた上で、その濃度換算係数を使って、デジタル粉じん計で2、3分測ればいいのではないかというものを提案しております。これはただ検討会が終わったあとに、例えばデジタル粉じん計は大きな粒径に対しては感度が低いのではないかというご批判があったのと、質量濃度換算係数自体も、例えば土のときと腐葉土のときでは同じなわけがないとか、そういったご批判がございました。
 これは直接測定方法とは関係ないのですが、我々が被ばく線量の評価に使うベクレルからシーベルトの換算係数が、5μmを前提にしている。今回、全粉じんを測るということですが、それは果たして保守的なのか、危険側なのかということのご議論がありました。その3点が積み残しになっておりましたので、今日ご議論をいただければということです。以上です。
○森座長 先に「土壌等の濃度測定について」を議論したいと思います、こういった簡易的な線量率測定の結果放射能に換算する方法の利用についてご意見をいただければと思います。
○杉浦委員 75頁のところに表がありまして、密度3ということで、大きめに見ていらっしゃいますが、V5の容器で2kgちょっと、土のう袋で140kgになりますか。
○中山委員 土のうの場合は135kgです。
○杉浦委員 そうなるということを考えると、68頁の左の上、2kgあるということは、容器の中に100万Bqあるわけですね。たぶんこれはNaIのシンチレーション検出器サーベイメーターだと、検出限界は30μSv/hなので測れない。土のうについても、同じように測れないレベルになりますので、1つの考え方としては、事故当初のスクリーニングレベルでGMで振り切った10万cpmですから、30μSv/hを超えたら、もう50万Bq/kgとして扱うか、もしくは、50万Bq/kgの土壌が予想されるような区域では、全体がものすごい高線量なので、一般に作業をするときには、管理されている通常の所でも20μSv/hが、常時立ち入る場所の基準になっていますので、それなりに測定できる電離箱サーベイメーターなりを用意して、線量管理をきっちりしろという、たぶん2つの行く道があって、後者の場合は、この換算式はNaIで計算しているので使えないということなので、別途、こういう換算係数を計算していただかなければいけないということになるかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 先ほどGM計数管をcpmということになると、cpmからの換算ですか。
○杉浦委員 それは全然違う話です。事故当初に、振り切れるところで、もうそれ以上測れないので、GMで汚染検査をするしかないので、振り切ったところで動かしましょうということですから、50万Bq/kg以下になるけれども、それは50万Bq/kgを超えているものとして全部扱いましょうと運用上するか、50万Bq/kgをきっちりやりたいのだったら、測れる測定器を持ってこなければ駄目ですよ、どちらでいきますかという話です。GMは例だけですので、すみません。
○安井中央労働衛生専門官 具体的には、どのサーベイメーターを使って測られたのですか。計算上でそういうことをやったのですか。
○古田委員 サーベイメーターということであればNaIはなくて、電離箱サーベイメーターを使えば測れるということでいいですよね。
○杉浦委員 測るようにするのだと、この換算係数はまた別に計算しないと。
○古田委員 これは、換算係数は直す必要はあるのですか。
○安井中央労働衛生専門官 換算係数はそのまま使っていいのですが、これはたぶん表面で計算していると思いますので。
○杉浦委員 全部でなくても、一応検証はやります。こんな1インチで測っているものと、こんな500ccだか750ccで見ているわけだから、一緒に即座にできるとは。古田さんのほうが詳しいのかもしれないけれども、私は即座には同じ換算係数でいけるとは思わないですけれども。
○森座長 かなり技術的な細かい話になっていますが、どちらに振れるかどうかはわからない部分を決めるには精度が十分ではないですが、明らかに高いとか、明らかに低いということを評価するには、これは十分使えるという。
○杉浦委員 そうそう。ですから、振り切ったら、50万を超えているものとしてという運用にするのならいいかもしれませんが、よくよく考えると、そんな30μをこんなちょびっと取ってきた、140kgがちょびっとかどうかわかりませんが、そこにブワーッとあるときに、ふと入って行って、普通に作業をしていいのかという問題もあるような高線量の所だから、そこはもう少し気を付けたほうがいいのかなという気もします。ですから、測るのはどうでもいいのですが、そこの仕分けで、もともと作業者を入れる所はどうしますかみたいな所につながる話だなと考えました。
○森座長 迅速性という意味では、有利な方法だけどということなので、これはどう使うかということですね。
○安井中央労働衛生専門官 実態論としては、取った土壌は当然運び出さなければいけないので、容器に入れなければいけないのです。その作業は絶対に発生しますし、入れ終わったものをどういうふうに管理するかというときに、濃度がわからないと管理基準の適用もできないということなのです。ですから、測るという発想で作られているとは思います。
 ただ、振り切ってしまうということになると、それは困ったことになります。ちなみにどれぐらいで振り切るのですか。
○杉浦委員 30μSv/hです。
○安井中央労働衛生専門官 全然駄目ですね。
○古田委員 こちらのほうで、例えばこの例ですと、10μSv/hでここに書いてある放射能濃度ということですので、Cs134、Cs137、合計すると、例えばV5の容器ですと、大体9万Bqぐらい。9万Bqで、10μSv/h。ですから、その3倍まではV5の容器ですと何とか測れるという理解でよろしいかと思うのですが。ちょっと厳しいのですが。
○安井中央労働衛生専門官 30万Bq/kgぐらいは測れるということですか。
○古田委員 そうですね。30万弱。それぐらいは何とかいくということで、それ以上の精度が要らなければ、このV5の容器を使って10万Bq/kgを超えているかどうかという程度の判断には使えるかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 あともう1つお聞きしたいのですが、V5より小さい容器というのは使えないのですか。そうすれば、30μSv/hで、50万Bq/kgを測れるかもしれないですね。
○中山委員 試料のグラム数を減らすとか、そういう意味ですか。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね。そうすると、当然表面線量率も落ちてきますから。
○中山委員 容器が同じでも、グラム数を減らせばいいのですね。
○安井中央労働衛生専門官 そういうのができるのですか。
○中山委員 はい。できますよ。
○杉浦委員 U8を使ってしまうのがいちばん楽かもしれないですね。
○中山委員 U8という規定の容器があるんです。
○金子委員 実際の試料を少なくすると、代表性というか、均一性の問題が出てくる。
○安井中央労働衛生専門官 中途半端に入れるのはあまりよくないと思います。そういう意味では容器を小さくしたほうがよいかと。
○杉浦委員 ただ、小さくすると、そういう土壌がある所で、こんな小さいものが測れるかという話に今度なってしまいますね。全体の雰囲気のところも、バックも考えなければいけなくて、そうすると、やはり土のう袋ぐらいバカンと大きいものでどうだって判断しないと、かえって駄目かもしれないですね。
○中山委員 測定器の測定部の面積と、相手の面積の話です。
○安井中央労働衛生専門官 少なくとも、サーベイメーターの大きさはないといけないですよね。
○杉浦委員 たぶん足りないと思いますけれども。
○森座長 そういう意味では、逆に十分低いですよという方法には使えるのですよね。
○杉浦委員 もちろん、使えます。
○森座長 それ以上の測定は要りませんよという話には。
○金子委員 質問ですが、ここで密度は3.0ということで見積もっていますが、実際に土の場合、たぶんこれの半分ぐらいになります。その場合、過小に評価してしまう可能性がないのか心配です。1.5と3で比べた場合はどうですか。
○安井中央労働衛生専門官 3のほうが保守側なんですよね。
○金子委員 保守側と見ていいですね。
○中山委員 高いと遮へい性が増すので、同じベクレル数でも、ベクレル数を低く見積ることになります。
○金子委員 実際に低く出てしまうということですよね。
○中山委員 出てしまいます。
○金子委員 そうすると、1万を基準にすると実際には1万を超えてしまう。
○杉浦委員 低く出るので、ベクレルに戻すと大きくなるのです。
○金子委員 そうですか。その点は、大丈夫ですか。
○杉浦委員 大丈夫です。
○永浜補佐 濃度の測定でとりあえず重要になってくるのは、土壌の除染をする際に、特に田んぼの除染の際、田んぼの1枚1枚を濃度の測定をし出すと、非常に時間がかかるということで、簡易の濃度測定をお願いしたという状況があります。いまのところの基準でいきますと、田んぼは5,000Bq/kg以上か以下かで除染措置が違ってきております。5,000Bq/kg以上であればはぎ取りで、それ以下であればはぎ取り以外の措置ということになっています。そういう意味では、どれだけ大きいか、どれぐらい小さいか、大まかなものがわかるのであれば、いまご提案をいただいているものは十分有用なのかなという気はしております。
 田んぼとかで福島県内に行きますと、少なくとも数万haはありますので、1枚1haない田んぼが大体なので、そうすると、最低1万枚以上の田んぼがあると。1万件も濃度を測定すると、たぶんきりがないということで、こういう測定をさせていただくと非常に助かると考えております。
○森座長 そういう意味では、たぶん技術的ないろいろな課題はあるけれども、こういう場合においては、この簡易測定でいいという表現をどこかに入れるということでどうでしょうか。
○杉浦委員 この全体を否定してしまったような意見を言ったようでしたら申し訳ないのですが、全然そんなことはなくて、粉じんのマスクが要るだとか、ホールボディが要るかと言っているときに検討したときのように、50万Bq/kgというのは本当に最大の最大ぐらいのところなので、そういったところは少しできないけれども、本当に99%はこれはカバーできる方法だとは思います。そういうちょっと外れて、高い所だから、安全を守るという観点で少しどう考えたらいいかということで、これだけではカバーできませんという意見です。
○森座長 この使い方を具体的に次に議論しましょうか。
○安井中央労働衛生専門官 30μSv/hしか測れない中で、例えば、放射能が30万Bq/kgぐらいですから、それを超えたら諦めると使うことはできると思います。それは安全側ですから、それは書けると思います。それはもう少し検討させていただきます。
 あとお伺いしたいことが、これはいま土になっているのですが、例えばこれが腐葉土になったときにも使えるのですか。
○中山委員 それこそ密度の差ですから。
○安井中央労働衛生専門官 密度の差だけで、例えば木の表面をはぎ取ったものを袋に詰め込んでも使えるということですか。
○中山委員 使えます。
○安井中央労働衛生専門官 密度の問題だけで、保守側になる。密度3で計算することで保守側の評価が出るだけで、どんなものでも測れると。コンクリートでもいいし、要するにそのケースに入ればすべてのものが測れる。
○中山委員 ケースに入れば。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○森座長 これに関しては時間もありませんので、次回までにこれをどう使うかというところを提案していただいて、最後に確定するということにさせていただきたいと思います。もう1点は、「高濃度粉じん作業に該当するかの判断方法」の部分の「相対濃度指示方法」の部分です。これは名古屋委員にお願いします。
○名古屋委員 ちょっと誤解があって、言葉が足りないかなと思うのは、(2)除染作業とあります。「主要の換算係数を求めること」と書いてありますが、その次にできたら「ただし、この測定時の作業にのみ使用できる換算係数です」と書いてくれればいいのです。そうすると、その作業しか当然使えないのです。なぜかと言うと、吸入性粉じんで測定しても、作業場での浮遊粉じんの粒度分布が違うと、質量濃度変換係数のK値が違うのです。インハラブルは粒度分布範囲が大きいから、当然K値はそこしか使えないのです。ですから、その作業場で使うK値なのですよという形で書いておかないと、除染の対象土壌が腐葉土とか赤土とか違うとK値も違ってくると考えられます。
 相対濃度計は、粗大粉じんがセンサ部分に入り込まないように分粒装置のようなものが粉じん採取口に付いているのを、一般の方はそれを分粒装置と間違えている部分があって、あれは決して吸入性粉じんを採取するため取り付けられた分粒装置ではなくて、粗大粉じんの取り込みを防止するために付いているだけと理解してください。「ただし、この測定時の作業にのみ使用できる換算係数です」と書いておけば、作業場が違えば、当然K値も違うし、森林の中でも作業状況や作業婦場所によって森林濃度は違います。当然、その作業だけしか使えないということにする。それでも管理はできるわけですから、それで管理されたほうがいいと思います。
○松村委員 追加で伺いたいのですが、いま名古屋先生がおっしゃったとおりなのですが、結局、K値を求める手順というのは、平行測定でオープンフェースの濾紙で、同じ速度で空気を吸引して、それで質量濃度を測るわけです。その質量がデジタルカウンターで測ったら何カウントになるかという係数を出すわけです。質量濃度というのは、フィルターの重さの増量なので、現場ではすぐは出ないのです。ですから、相対濃度計で、田んぼなら田んぼ1枚のあちこちを測って、そのカウント数の大小はそこで記録をすればいいのですが、それが最終的に何mg/m3かという数値になるのは、平行測定で粉じんを捕集した濾紙を試験室に持って帰って、重さの増量を測って、K値を出してからでないと換算できない。ですから、タイムラグができます。
○安井中央労働衛生専門官 これはいまの松村委員のご指摘とも絡むのですが、そういう意味では事前に標準的K値を決めておかないと、その場では測れないということにはなってしまう。
○松村委員 そうですね。だから、作業を類型化して、落葉の処理だとか、灰の処理だとか、土壌の処理だとか、枯れ草がある所とか、いくつか類型化したデータが出ていれば参考になると思いますが、現場では、相対的に分布の幅があるからとか、あるいはかなり均一化とか、そういう状況はわかりますが、絶対値はちょっとわからない。
○名古屋委員 だから、いまは作業が始まっていませんからK値は、当然出せません。作業が始まり、K値に関するデータが沢山集まってきたときに、もしかしたら作業とある程度の土壌の条件がわかれば、ある程度の範囲の中で、K値を提案できかもしれませんということです。これはこれからやってみないとわからないことですから。我々が例えば除染作業時の測定をしても、作業によって随分違うし、大きな粒子は短時間にスッと落ちてしまいますから、ほとんど吸入性粉じんに近いものが浮いていて、影響してくるということはわかっているのです。しかし、それはそのK値を与えてしまったときに、過少評価をしてしまったらまずいねと。やはりそこは実態調査が出てきて、いろいろなことがわかってきてから初めて出来る話であって、わからないところからK値を事前に提案するのは難しいと思います。厚生労働省も、作業環境の吸入性粉じんのK値については、10年以上も調査を行い集めたデータで初めてK値を決めているわけです。そうするとましてや今回は、インハラブルでものすごく粒径のばらつきの多い範囲を扱っているので、そこは無理だと思います。
○森座長 そういう意味で、高濃度粉じんかどうかというところを分けることが目的なので、そのデータがかなり蓄積されてくれば、もう少し具体的なことができることになります。
○名古屋委員 ある程度安全をかけたK値の提案ができる。要するに、集められたK値を統計処理例えば累積度数分布を考えて分布に載ってきたときに、その50%に相当する値でK値を設定するのか、あるいは75%に設定するのかということで、設定をすることはできるのです。ただし、いま何もないデータの中で、ある程度目安というのはできないと思います。
○松村委員 例えば、農作業で稲の刈取りのときを例にした、そういうデータがどこかにあれば、ある程度枯れ草などに対しては適用できるかもしれません。土壌を扱う作業とか、高分性粉じんについてはかなりデータがあるので、探してみる努力をする価値はあるかもしれません。
○名古屋委員 溶接のような比較的小さな粒子でもやはり風向きとか、環境条件によって違うので、だから必ず粉じん作業場では作業毎にK値を求めなさいとしているのは、これは普通の考え方で、それも吸入性粉じんの場合でましてや大きなインハラブル粒子の場合粒径依存性が高いものが加わってくるので決められないとしたほうが。
○森座長 そうしたら、当面の間は平行測定を作業ごとに実施することを前提に、データが集まってきて、安全サイドに立った何らかの換算係数を作っていくということで。
○名古屋委員 安全係数をかけて、パイを大きくするという形のほうがいいのではないでしょうか。
○森座長 そのようなことができるので、それをできるだけ早くできるといいですねという趣旨の内容になると思います。
○安井中央労働衛生専門官 そうなると、もちろん大きな会社、あるいは委託してやるのは、要するに同じ作業を比較的繰り返し行うような事業場であれば、そういうこともできるでしょうが、今日やって今日でおしまいと場合はなかなかできないので、そういった場合は、例えばここに書いてあるような、定性的な土壌のはぎ取りとかは高いのですよという前提でやってくださいという視点にせざるを得ないですね。
○森座長 測定できない場合はですね。
○小林委員 粉じんに関しては、サンプル数は少ないですが、同じ表土除去でも、ある所では0.8mg/m3だったのに対して、別の所では18 mg/m3になるようなこともあります。LD5で相対濃度を測る場合でも、粉じんの粒径が同じであれば標準的なK値を示すといったこともできるのですが、農作業の場合、やってみた感じでは、なかなか作業ごとに統一的なK値を示すことは難しいと思います。その場合、作業後にK値を求めて粉じん濃度を示せたとしても、事前にマスクを選択するときの情報としては使えません。感覚的には、この間名古屋先生もおっしゃって、我々も体験したのですが、回りが白くなるような状態であれば、明らかに10mgを超えているといえ、また、そのような状態でなければ、10mg以下だというのも感覚的にはわかるのですが、そこを表現できないのが苦しいところです。
○名古屋委員 相対濃度(cpm)で、100cpmを超えれば、それは少し高いねと。1,000を超えたら、当然問題ですが、そこのところの感覚はあるのですが、ただそれはあくまでも作業環境の吸入性粉じんの話であって、そこをインハラブルのときに、それは100cpmが大きいのがどうかというのは、まだこれから始まることではないかなと。いますぐにはできない。
○安井中央労働衛生専門官 極めて保守的にこの数字というのをcpmで出すというのはできますか。極めて保守的でいいのですが。
○松村委員 小林先生の所のデータがあるわけですが、実測できればね。
○安井中央労働衛生専門官 cpmで極めて保守的な数字を載せて、これを超えたときはもう基本的に高濃度粉じんとして措置してくださいと。もちろん測っていただいて結構ですという感じにしないと、規制の実行上としては難しいかなと。
○杉浦委員 これは別添1のところでいま考えているのは、あくまで放射線の内部被ばくの線量として要るか、要らないかという話をしているのですが、そんな白い所だったら、その前にマスクしろという別な粉じんのほうの規制が先にくるので、そちらでOKという話にはならないのですか。
○安井中央労働衛生専門官 マスクはそうだと思うのですが、それ以外に服の基準もあります。あと内部被ばく測定をするかどうか、スクリーニングするかどうかというところに全部はねてきます。
○杉浦委員 了解しました。
○名古屋委員 やはり100は超えると大きいですよね。そこはまた考えてみますけれども。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。
○名古屋委員 cpmは1つの基準になるかもしれない。
○安井中央労働衛生専門官 極めて保守的でやるしかないのかなと。
○松村委員 マスクで対応するとすれば、測らない場合には95%以上のフィルターの使用を義務付けるとか。
○安井中央労働衛生専門官 もちろん、自発的にすべてをいちばん保守的なものに揃えていただければ、それでいいのですが。
○松村委員 でも、そう大した苦痛ではないですよね。捕集効率が95%のマスクを使うというのは。
○名古屋委員 粒度分布を測ってみて、どのぐらい大きいのがあるかなと。意外と大きいのはそんなにないような気はするのですよ。吸入性粉じんプラスアルファぐらいかなと思っているので、そうすると、作業現場のK値は使えるかもしれない。また次回に、考えさせてください。
○安井中央労働衛生専門官 K値はさておき、とりあえずcpmだけを示すしかないと思います。
○名古屋委員 そうです。全くそういうことです。
○森座長 測定がちゃんとできるところはいいけれども、できない所のために何らかの保守的な数字を1個用意しましょうということで、次回以降に準備をすることにしましょう。
○安井中央労働衛生専門官 それとベクレル、シーベルト換算係数の話はどうなるかです。この5μmで設定されているICRPのベクレルとシーベルトの換算係数が、すべての総粉じん値を測ったときの保守側なのか、そうではないのかというのはどうでしょうか。
○杉浦委員 小さければ、非安全側です。マイクロ以下のものが主流であれば、小さいもののほうが線量は大きくなります。
○安井中央労働衛生専門官 そうすると、大きなものを含んでいるので、大丈夫だろうと。
○杉浦委員 その辺はどういう分布になっているかによりますが。
○安井中央労働衛生専門官 分布にはよりますけれども、一般的にはということです。
○古田委員 ICRPのほうでは、作業者に対してバラバラでは困るということで、すべて統一して基準を設けています。公衆の場合は、1μmで計算している場合もあります。
○森座長 それではこの場では決められない宿題も2つ残りましたが、とりあえずこのガイドラインについては、今日の議論はここまでとしまして、もう1つの大きなテーマである、教育テキストのほうにいきたいと思います。順番に章ごとになっておりますので、1つずつ章ごとに10分ぐらいかけながら、確認をしていくという流れになると思います。第1章の「電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理」について事務局より説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 3頁に目次がありますので、全体の構成をご説明させていただきます。1章から4章までありますが、これは特別教育として義務付けられる科目に準じて並べられているものです。第1章は「電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理」についてで、一般的な放射線の影響に関するものと、被ばく限度と被ばく線量の測定、それから、被ばく線量測定の結果とその確認と記録などです。第2章は「除染等作業の方法に関する知識」です。これはいろいろありますが、作業の方法と順序、放射線測定の方法、外部放射線による線量当量率の監視の方法、汚染防止、汚染の状態の検査と除去、保護具、異常事態の発生した場合の措置です。第3章は、機械とその取扱いです。これはそれぞれの作業によって違います。機械というのは、機械・器具・その他の設備ですから、器具も入るので、いわゆるスコップも入ります。そういったものをどう使っていくのかを書く。第4章は関係法令です。特別教育としては、このあと、実技も義務付けることにしています。第1章から4章までそれぞれを1時間ずつで、実技を1.5時間としています。ただ、2章と3章につきましては、除染だけなのか、除去土壌も含むのか、廃棄物もやるのかによって時間は延びていくことになろうと思います。除去土壌だけで最もシンプルなものでやろうとすれば、5時間半として義務付ける予定にしています。
 まず、第1章を簡単にご説明させていただきます。あとで座長からご指摘があると思いますが、今日お配りしましたので読んでいる時間もないと思いますので、あとで細かなコメントは全部いただくということさせていただき、今日はごく大雑把な議論をさせていただきたいと思います。
 1「電離放射線の種類及び性質」で、これはごく一般的に使われているものです。5頁は放射能と放射線の違い、放射線の種類、これも一般的なものです。それから、放射線の減衰の話。7頁に、単位の話、ベクレルとシーベルトの違いです。8頁は生体影響で、これもいろいろなところで使われている一般的なものです。ここでは確率的影響と確定的影響について記載しています。ここまではごく一般的なものです。
 10頁に被ばく限度と被ばく線量測定があります。被ばく限度はICRPのものですので新しいものはないですが、例えば、我々でこだわって書いているのは、いちばん下にありますように、電離則における管理区域において放射線業務を行ったものと合算してくださいという記載があります。11頁は線量測定です。これは、個人線量計でやりますということ。それから、ガイドラインに出てきますが、スクリーニングをする場合とそうでない場合がありますので、12頁にスクリーニングのやり方を、これはガイドラインからそのままコピーしたものを記載しています。
 13頁は簡易測定で、これは代表者測定あるいは空間線量からの評価です。これはもう少し記載を充実して、空間線量からの評価はどうやってやるかを書きたいと考えています。13頁の3は、ガイドラインにもありますが、いわゆる除染を業としない事業者、自営業者、住民、ボランティアについての扱いです。基本的に1mSv/年を超えない範囲でやっていただきたいということが書いてあります。これは一応、労働者用のテキストとして使うのですが、幅広く使われることを想定していますので、こういった記載を入れています。
 14頁は、「被ばく線量測定の結果の確認及び記録」で、これはガイドラインどおりですが、3月・1年・5年ごとの合計をきちんとすることと、それを労働者にお渡しすること。それから、労働者が退職する場合や会社を閉じてしまうような場合に、線量の記録をちゃんと然るべきところに引き渡すこと、労働者に渡すこと、そういったことが書いてあります。以上です。
○森座長 先ほどもありましたが、来週火曜日が第2回の委員会で、おそらく締切りは月曜日中ぐらいでよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 午前中までにお願いします。
○森座長 月曜日の午前中までに。すみません、週末仕事になりますが、細かい点はご指摘いただくということです。今日は、このような章立ての中で、こういった項目も盛り込んだほうがいいではないかというレベルでの議論をいただければと思います。いかがでしょうか。第1章について、いまご説明いただきましたけれども。
○松村委員 11頁、12頁の、スクリーニングの中のマスクの使用後の測定についてです。これは、それを使っていた人がどれだけ吸ったかの推計、インディケーターとしてという古田委員の趣旨です。私は、例えばこれが10人の人が作業していて、1人だけ非常にマスクのカウント数が少なかったら、その人はたくさん吸っていたかもしれないという、そういうインディケーターになると思うのです。マスクの着け方、これは最近非常に問題が多くて、全面型面体でも50%以上漏れていたということがいくらもあるわけです。マスクの着け方が悪いと、逆にマスクの表面の放射能量が低いという結果になり得る。そういう解釈もあります。だから、これは衛生管理者がそういう見方をして欲しいという気がします。
○安井中央労働衛生専門官 テキストにそういったことを書いたほうがいいということでしょうか。かなり高度ですね。
○松村委員 カウント数の特に少ない人は装着方法について注意しろと書いたほうがいいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 明らかに1人だけ低いという場合ですね。
○松村委員 そうです。
○森座長 装着方法については98頁に注意事項が書いてあるので、そちらを引用するような感じでテキスト内はできるのかなと思います。ほかに、いかがでしょうか。かなり基本的な知識の部分なのです。よろしいですか。それでは、大きなところも含めてご指摘があれば月曜日の午前中までにお願いしたいと思います。
 続きまして、第2章の「除染等作業の方法に関する知識」です。ここはガイドラインとかなり関連もするところです。ここについてご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 第2章をご説明いたします。まず、15頁「作業の方法と順序」です。これはガイドライン上、事前調査、作業計画を定めることになっていますので、その部分の記載を基本的に全部コピーしています。16頁は「飲食・喫煙が可能な休憩場所の設置基準」で、これもガイドラインに載っていますけれども、実際問題としては非常に大きな問題になりますので、詳しく書いています。5番が「汚染検査場所の設置基準」で、これも今日ご議論いただいたものを基本的にそのままコピーしていますので、ガイドラインを修正すればそれに合わせて修正させていただきます。17頁は作業指揮者です。これも基本的にガイドラインどおりです。作業着手届の提出、医師による診察、この辺りも全部そのままです。今日のガイドラインの関係で受けたご指摘を踏まえて、それを反映する形にしたいと思います。
 2番、3番、4番は、それぞれの業務の留意点で、2番が除染の場合、3番が土壌の収集等、4番が汚染廃棄物の収集等の業務留意点です。これは冒頭に書いてありますように、環境省で作成しているガイドラインからそのままコピーした部分がほとんどです。その上で、例えば除染の関係をご説明しますと、まず18頁で、除染とはそもそもどういうものか、どういうことが考えられるかがおおまかに書いてあります。19頁に留意点、これは一般公衆も含めてですけれども、飛散・流出防止、汚染の特徴に応じた適切な方法を選ぶ、ほかのものと混ぜない、除去土壌をできるだけ小さくするなどです。そういった一般原則があった上で、20頁にありますように、具体的な流れとして、まず準備で何をして、事前測定をして、除染が終わったあとでこういう作業をして、最後にまた測定しますという流れが書いてあります。
 あとは、例えば21頁は除去土壌の収集、22頁は汚染廃棄物の収集について、同じような記載となっています。
 23頁は放射線測定の方法です。空間線量率の測定方法、これは事前調査で行うことになっていますので、これはガイドラインに書いてあるものをできるだけ図示しています。例えば1,000m2を超えた場合で不整形があった場合にどこを測ればいいのかとか、そういったことをできるだけ図面で示しています。それから、空間線量のばらつきが多い場合には時間平均をする必要がありますので、その式を入れています。25頁の被ばく線量の測定につきましては、基本的にはフィルムバッジ(FB)、APDということなので、それを書いています。内部被ばくの場合には、ホールボディカウンタが原則であるということ。あまり詳しいことは書いてありませんが、それに触れています。27頁は、内部被ばくを測るかどうかのスクリーニングの話です。これは2回目で全く重なっていますが、もう1回出てきています。
 28頁が、先ほどご議論いただきました、「高濃度粉じん作業の有無の判定方法」です。これも今のところは全部そのままコピーしていますので、ご指摘のあった点を反映して直したいと考えています。29頁につきましては、先ほどご議論いただきました濃度の関係ですので、簡易測定の部分もテキストに盛り込みたいと考えています。30頁は一般的な外部放射線による線量当量率の測定で、原子力発電所等と違いましてモニタリング・ポストがありませんので、実態的には警報付き個人線量計しか依りどころはないことになります。
 汚染防止の措置につきましては、まず外部放射線の被ばく低減の一般原則です。31頁には内部被ばくの抑制で、これはガイドラインにありますように、発じんの抑制と容器の使用、飲食・喫煙の制限です。それから、怪我した場合の措置を書いています。33頁は汚染検査の関係です。退出する方法、物品の汚染検査、これらにつきましてガイドラインどおりにしています。汚染の測定方法は絵でしか示していませんが、GM計数管を使って測ってくださいと、おおまかにしか書いていない状態です。
 9番が保護具です。まず、マスクの関係は、95%、80%とありますが、どういう区分でやるのかということと、マスクの絵、35頁にマスクの着用方法についての留意点を入れています。36頁に服の関係とその注意点があります。絵で、一応、Tシャツ、短パンは駄目ですと入れています。
 37頁は、異常な事態が発生した措置で、これは一般的な原子力のものから取ってきましたので、これが除染で適当なのかはご議論いただきたいと思います。基本的に、洗った上で、汚れがひどいときはくるんだ上で救急車に、という形になります。以上です。
○森座長 ありがとうございます。ガイドラインの表現を少し柔らかくして示された内容になっています。先ほどと同じような大括りでも結構ですけれども、全体的にご意見があればお願いいたします。
○古田委員 ちょっと戻ってしまうのですが、放射線のところです。放射線の防護についての記述が少ないような気がするのです。例えば、被ばくには内部被ばく、外部被ばくがあるよとか、そういうことを放射線のところで言った上で各論に入っていかないと、一般の方では分かりにくいのではないかという気がしました。それから、測定のところですが、測定器の取扱い方法のようなものは要らないのかなと思います。例えば、先ほどありました、測定レンジですね、高いところはここまでしか測れないとか、そのような記述とか、構成がちゃんとされているかなどをチェックするとか、そのような取扱いのことが要るかなと思います。それから、34頁の「汚染の測定方法」のいちばん上の行ですが、「GM計数管を用いて、1cm2当たりのカウント数(cpm)」、ちょっとこれは記述が。
○安井中央労働衛生専門官 これは間違いです、すみません。
○古田委員 間違っておりますので、よろしくお願いします。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○松村委員 34頁のマスクのところに、サージカルマスクが一緒に描いてあるのですけれど、この絵は外していただいたほうがいいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 どれになりますか。
○松村委員 下の、使い捨て式マスクと取替え式マスクは防じんマスクだからいいのですけれども、これはちゃんと検定合格証が付いた写真を入れて欲しいのです。
○安井中央労働衛生専門官 検定合格証ですね。
○松村委員 それから、サージカルマスクの絵が一緒に描いてあるのですけれども、これはちょっとまずいです。
○安井中央労働衛生専門官 サージカルは国家検定を外します。
○松村委員 検定合格証の付いた写真をちゃんと入れてください。これではよく分からないから。
○安井中央労働衛生専門官 考えます。
○森座長 先ほども議論があったのですけれど、マスクの正しい着用方法で、フィットチェックのような、適切な装着の確認についての項目があったほうがいいですよね。
○松村委員 そうですね、はい。
○森座長 35頁から36頁にかけて。
○松村委員 はい、そうですね。
○森座長 そのほか、いかがでしょうか。
○金子委員 37頁の「異常な事態が発生した場合における応急の措置の方法」についてです。一般の人が怪我をしたときに、この文章では非常に心配してしまうと思うので、表現を何か工夫していただけないでしょうか。高線量の所に適用する場合に限るとか。そうではないと自分の人家の周りを除染する人も、これを参考に事故の対応をすることになるので、事故が起きて怪我をしたときに119番に電話をして際に、どう説明してよいか困る事態になるのではないかと思います。この内容のままでは。何とかならならいでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これは大前提として、そもそも救急車を呼ばなければいけないような怪我を前提としているので、もちろんこれは簡単な切り傷などは前提にしていないのですが。
○金子委員 作業では、いろいろと道具を使うので、結構大きな事故が起きる可能性があります。
○安井中央労働衛生専門官 それはあります。
○金子委員 事故が起きたときに、除染作業を行っていた一般の人がこれを見ると、どうしたらいいのか不安になると思います。本当に高線量の場所では被ばくを心配しなければいけないこともあると思います。線量の高い所での事故と低い所の事故とでは対応に違いがあると思います。実際事故はどこでも起きるので。
○安井中央労働衛生専門官 表面汚染密度40Bq/cm2は意外に簡単に超えます。10,000Bq/kgぐらいのものを扱ってしまうと、ベタッと触るともう駄目です。ですから、必ずしも線量が低いからといって、汚染が小さいとは限らないのです。
○金子委員 危険があるのなら、このガイドラインにどういうところに相談したらいいかを書いてないと、実際の事故が発生した場合を考えると現場でどうしたらいいか迷うと思うのです。
○森座長 もう少し情報が欲しいということですか。
○金子委員 何か欲しいですね。
○安井中央労働衛生専門官 例えば、洗ってサーベイしたら40Bqを切っていればもう大丈夫ですよという感じでしょうか。それとも、緊急連絡先でしょうか。それはテキストに書き込むのは不可能ですけれども。
○森座長 皆さんに検討いただくことの前提になるべきことですが、誰が教育をして受け手がどうなのかによって、ガイドラインのレベルでは議論して正しいことが書いてあっても、それを理解してもらうためには、もうちょっとこういった情報を書き込んだほうがいいようなこと、そういう追加事項は当然出てくると思います。これは、実際、どういう方が作業者に教育することを想定されているのですか。
○安井中央労働衛生専門官 いわゆる作業指揮者レベルの方がこれを使って労働者に教育するというのを想定しています。
○森座長 そうすると、作業指揮者の方への教育は、これを読んでやってくださいということですか。
○安井中央労働衛生専門官 本来であれば、もう少し高いレベルの教育をすべきなのですけれど、現時点では間に合っていません。
○森座長 なるほど。
○安井中央労働衛生専門官 それは、おいおい検討しますが、現時点ではこれです。
○森座長 すると、作業指揮者というレベルの方がこれを読んで教育をするということを前提に、内容として十分なのか十分ではないのか、もう少しこういう情報がないと、または噛み砕いて説明しないといけないのではないかということも含めて、月曜日までのご指摘をいただきたいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 この10の点ですが、具体的にはどういったように直せばいいのですか。どういう方向性で直せばいいのか教えていただければ。
○金子委員 現場で事故が起きた場合を考えますと、事故が起きたときに、その人がどう判断したらいいのかということです。先ほどのサーベイメーターを常に携帯していて測って、その値が低ければもうよしとすることになるのでしょうか。事故に対しての措置をどう判断したらいいのかがほしいのです。
○椎葉労働衛生課長 このマニュアルの10では応急措置、要するに救命というか手当が大事だと。括弧して「状況により、サーベイメーターにより」と、小さい字で書いてある。あくまでもそういう応急措置のほうが大事だと。
○森座長 一般的な応急措置の流れの話に、プラス、汚染されている場合にどうしようという、2つの要素があるということをもう少し分かりやすく書いて欲しいということですね。
○金子委員 そのとおりです。一般的な怪我の措置が大事ですよということが書いてあって、それで、除染の作業においては被ばくしている可能性もあるので、こういう点についてもきっちり調べてくださいということが書いてあるといいと思います。
○松村委員 よく分からないのですが、怪我によって被ばくが増大するということはあまり考えられないような気がするのです。ですから、むしろ屋外ですから、怪我をして傷のところに泥が付いたりしたら、別の、破傷風とかですね、そういう危険のほうが多いのではないかという気がします。
○金子委員 ですから、一般的な怪我の対応を基本的に行ってくださいと書いてある。これは当然なことですが、このマニュアルを読んだ人は、マニュアルの中に特に書かれていると、放射能によって体に何か危害があると思い込んでしまう。
○森座長 まあ、そうですね。
○金子委員 まずそれから入ってしまうので。
○森座長 今回、そもそも扱う物の放射線量がそんなに高くないことが前提なので、そういう話なのですけれど、そうではない場合はやはり問題なのです。
○古田委員 傷口から放射性物質が体内に入って内部被ばくするという可能性はゼロではないのですけれども、そのためには、何ベクレル体内に入るかというような問題になります。そういうことを考えると、前にちょっとお話したかもしれないのですけれど、例えば10,000Bq/kgでは1g付いても10Bqですよね。ということでは、ゴミとか泥を基本的に落とすぐらいをすれば内部被ばくはほとんど無視できるぐらいのレベルだと思います。あまり放射能にこだわらず一般的な泥とかゴミを落としてくださいということをきちんと書いてあれば十分なような気がします。それとか、そのエリアから出るときにはきちんと、汚染を拡大させないようにサーベイをするとか、その辺は当たり前だと思いますけれども。基本的には怪我の手当を優先すべきだと考えます。
○森座長 では、その辺りを少しここに。
○高崎計画課長 少し、大袈裟ですね。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね。杉浦委員、何かご指摘などありますか。最低限書いておかなければいけないものとか。
○杉浦委員 あとでメールします。
○森座長 それでは、時間のこともありますので、次に行きたいと思います。第3章「土壌の汚染等の業務に係る作業に関する機械等の構造及び取扱いの方法に関する知識」について説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 これはかなり具体的に作業の内容が書いてありまして、環境省が作成したガイドラインを抜粋したものになっています。実は厚生労働省のオリジナル部分はほとんどありません。そのため、説明は簡単にさせていただきたいと思います。作業の方法として3種類挙げています。除染等、土壌の収集等、汚染物の収集等で、それぞれについて書いています。
 まず、38頁の除染から始まっています。39頁に1として、まず、建物・工作物です。ここは、屋根や雨樋いなどが出てきます。それぞれの飛散防止措置や、土壌の発生量の抑制、土壌等の取扱いといったことが出ています。さらに、外壁、庭の除染。それから、柵・塀のことがあります。56頁から道路になります。同じように括弧書きで、例えば59頁は道路脇や側溝。62頁に舗装面の除染。65頁に未舗装の道路の除染となっています。
 68頁に3「土壌の除染等の措置」とありまして、70頁に校庭・園庭・公園。73頁に農用地。76頁に4「草木の除染等の措置」とありまして、77頁に芝地、79頁に街路樹、81頁が森林です。84頁からは5「機器や道具の取扱い」になっています。
 85頁からが除去土壌の収集・運搬、保管で、86頁に1「除染土壌の収集・運搬」で、飛散防止措置や遮へいがあります。90頁に2「汚染土壌の保管」です。92頁に3「機器や道具類の取扱い」があります。
 93頁以降は廃棄物について、廃棄物の収集・運搬、保管です。別の部局が作っているので平仄が取れていませんが、最初に1でフローがありまして、次に運搬車両、97頁に容器、98頁に遮へい、100頁からは保管の方法で、囲いの関係、掲示の関係などです。105頁にはまた、機器や道具の取扱いです。
○森座長 環境省にちょっと確認ですが、環境省として何か別のテキストのようなものを作って、どこかで教育するということは想定されているのですか。
○永浜補佐 委託でやるときに、委託の作業者自身が除去土壌について何も知らないと、さすがにその作業の安全の観点や、被ばくなどの観点からよろしくないと考えていまして、そういう観点からの研修はやる予定にしています。
○森座長 それとここでやろうとしている対象者は重複する可能性はあるのですか。
○永浜補佐 そこはおそらく一部重複という形になるのかなという気がしています。そこはよく調整を取っていきたいと考えています。
○安井中央労働衛生専門官 今のところ、環境省とお話しているのは、年度内に7,000人は何とかやろうと。伝達研修の5人を掛けると35,000人、そういう大雑把な目標に向かってですね、各省庁で分担してやっていこうということにしています。できるだけ、例えば講師の乗り入れをするとか、一体的な講習ができるように話し合いはしています。ただ、我々はどうしても作業の安全に特化した教育になりますので、ある程度以上深く突っ込んだ作業の内容については講習できないという制限がありますので、そこは別途、補講していただくなり、別の講習をしていただくなりということにはなろうと思います。
○森座長 そういうことを前提に、この作業の部分になるのですけれども、何かございますでしょうか。
○中山委員 細部にわたることで、1つだけ気になっていたのです。「毎時0.23を下回る所の除染は行いません」という記述が繰り返し出てくるのですけれど、行いませんということを作業指揮者が作業者へ教育する、そういうことですか。
○安井中央労働衛生専門官 具体的には、例えばどの辺に書いてありますか。
○中山委員 最初は100頁の「建物など工作物の除染等の措置」、右下の数字で言うと40頁です。上から2つ目の■の後半、※で「行いません」と。そういう記述が毎回出てくるのですけれども。
○安井中央労働衛生専門官 これは、環境省に答えていただきたいです。
○永浜補佐 うちのガイドラインにこういうふうに書いているものなので、それを引用されているので頻繁に出てくるということだと思います。
○中山委員 そう思うのですけれど、厚生労働省として教育のテキストにこういうことを書くのかなと思ったものですから。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおりです。これは安全とは関係ありませんので、削除する方向で検討させていただきます。
○中山委員 以上です。
○古田委員 洗浄の場合ですね、化学薬品とか洗剤とか、そういったものは使われないのですか。もし使うようであったら、それに対する安全配慮とか、厚生労働省のほうで何か言わなくてもいいのかなというのがちょっと気になりました。それが1点です。それから、排水を回収すると書いてあるのですけれども、普通だと、例えば上流側から除染していって側溝などはいちばん最後にすれば十分かなと、側溝の除染を最後にする。何かその手順をうまくやれば、排水をできるだけ回収しろという文言があるので、ちょっとここも作業のやり方で順番をうまく調整すればですね、側溝とかその辺を最後に除染するように作業を組み立てれば、そこまで、水の回収までは要らないのかなと思うのですけれども。これは小さな業者さんですと、かなり難しいかなと思いました。以上です。
○森座長 最後ところは、環境省のガイドラインの中身のようですので、どこまでテキストの話として議論できるのかと。
○安井中央労働衛生専門官 今のところ洗浄で化学物質を使うのは一般的な洗剤と聞いていますが、有害なものをもし使うのであれば、それは必要な措置は取りたいと思います。そういった情報をいただければ。
○永浜補佐 はい。基本的には一般的な洗剤程度で、除染用の特殊な洗剤を使うということは今のところ想定していませんので、そこは大丈夫かと考えています。もう1つは、上流側から下流側にかけてとか、高い所から低い所へというのは、ここに出てこない部分には書いています。また、排水の回収も全量回収ではなくて、排水に含まれる除去土壌をできるだけ漉し取るようなイメージなのです。そういう土壌を極力回収していただいて、水に関しては極力大量の水で薄めて流していただくというような書き方になっています。そこは厚労省のテキストの書きぶりに関しては、また調整を取ってやっていきたいと思います。
○古田委員 側溝の出口の所に簡単な不織布というか、フィルター的なものを。
○永浜補佐 置いていただければ。
○古田委員 それぐらいでいいという、そういうイメージですか。
○永浜補佐 そういうイメージですね、はい。
○森座長 ありがとうございます。テキスト案は、今日我々の手元に届いたばかりですので、まだまだご指摘があるかもしれません。ここで全部の議論はもちろんできませんし、時間もきまして、先ほど電気もバッと消えてしまいました。今日はとりあえず最後まで行けましたので、全体像を掴んでいただいたと思います。そのことを前提に、先ほどのガイドラインも併せて、来週の月曜日午前中までに追加のご指摘をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 お昼までにお願いします。我々の作業時間が若干必要ですので。
○森座長 では、12時までにご指摘はいたただいて、それを盛り込んだものを翌日の火曜日の検討会に出していただいて、もう1回確認をしていくことで次回は進めたいと思います。是非ご協力いただきたいと思います。本日は議論はここまでということで終えたいと思います。
 最後に、今後の予定について事務局からご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 次回はご案内のとおり、13日の18時から20時まで開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○椎葉労働衛生課長 以上で第5回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。週末に恐縮ですが、月曜日の午前中までによろしくお願いいたします。


(了)

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