ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第4回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録




2011年1月21日 第4回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成23年11月21日
15:30~


○場所

労働基準局第1・2会議室


○議事

○毛利調査官 本日は、大変お忙しい中ご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから「第4回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会」を開催いたします。本日は、報告書の案を事務局から示させていただき、それについて議論をいただきたいと考えております。
 出席者のご紹介ですが、今回は専門家9名全員の方にご参集いただいております。オブザーバーとして、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課の廣木課長に出席をいただいております。また、遅れておられるようですが、水・大気環境局土壌環境課の永浜課長補佐にも出席いただく予定です。
 それでは、中身に入りたいと思いますが、撮影はここまでとさせていただきます。今後の議事進行は森座長にお願いします。
○森座長 本日も座長の役目を果たさせていただきますが、当初の予定どおり、今回は4回目の最後ということで、報告書の一定の取りまとめまで目処をつけなければいけません。そのような理解で、是非円滑な議事進行にご協力いただければと思っております。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をします。1枚目が次第、1頁が資料1、3頁が資料2、7頁が資料3、37頁が資料4-1、41頁が資料4-2、51頁が資料4-3、57頁が資料4-4、59頁が資料4-5、61頁が資料4-6となっております。
○森座長 資料の不足は特にありませんか。なければ、本日の議題に入ります。まず、事務局から前回の検討会の概要についてご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 3頁、資料2をご覧ください。最初に「対策の骨子案」、資料3から資料4-6についてご議論いただいており、具体的には資料4についてご議論があったということです。詳細は省略します。
 同じく、資料2,3「被ばく低減の措置」、資料4-6「労働者教育、健康管理、安全衛生管理体制」についてご議論いただきました。詳細についてはあとでお読みいただいて、修正、ご意見等があればお寄せいただきたいと思います。
○森座長 ただ今ありましたように、時間を節約したいと思いますので、何かお気づきの点があれば、後程ご指摘いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは議事に入ります。今回は、資料3の検討会の報告書について事務局から項目ごとに説明いただいて、項目ごとに議論を進めていただくわけですが、毎回最初のところで議論が沸騰して、最後のほうは駆け足になってしまいます。今日はある程度時間を区切りながら、早く終われば前に戻ってくるつもりで議事を進めたいと思いますので、是非ご協力いただければと思います。事務局より報告書の項目1の「趣旨」と、2の「被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法」についてご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 10頁をご覧ください。対策に盛り込むべき内容の趣旨ですが、第1パラグラフに書いてあるのは、3月11日に発生した原子力発電所の事故により放出された放射性物質の除染作業について特措法が制定され、それに基づく除染が行われるという中で、除染作業に従事する労働者の放射線障害を防止するために必要な防護措置を実施するということです。「この対策は、事業者が除染等作業に労働者を従事させる際、放射線障害防止のために必要となる、被ばく管理などについて定めるものであり、規制として法令に定める事項のみならず、ガイドラインとして、促進的に取り組む事項も含まれる。この対策は、除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止を目的とするものであるが、同時に住民、ボランティア等に対しても活用できることを意図している。最後に、この対策は限られた情報に基づき、限られた時間で検討を行ったものであり、今後新たな情報や知見を引き続き収集し、必要があれば見直しを行うべきものである」ということです。これについては、第1回で検討会の方向性のところでご説明したものをもう一度文章に書いたものです。
 第2の「被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法」です。基本原則としては、「労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努める」ということで、これは前回と変わっておりません。前回と変わったところだけピックアップしてご説明します。(注)ですが、土壌の汚染あるいは廃棄物の下限濃度を1万Bq/kgと置いております。これについては、電離放射線障害防止規則、あるいはほかの関係の放射線防護法令で定められているセシウム134と137に関する放射性物質としての下限値を採用したということです。
 次に(注)がありますが、「電離則と新規則の適用の考え方について」です。これについては23頁に別添1を付けております。ご案内のとおり、現状で電離放射線障害防止規則という規則があり、今回これに新しい規則を付けるわけですので、双方の適用対象をどのように分けるのかというところの概念整理を行っておきたいという趣旨で書いております。基本的な考え方として、電離則は計画被ばく状況、つまり線源が管理されている状態で、基本的に除染実施区域外の通常の地域を想定しています。この前提に基づいて、管理されている線源を中心に管理区域を設定して、その範囲内で放射線管理を実施するというのが電離則の考えです。
 一方、土壌の除染等の作業が実施される現存被ばく状況は、線源が管理できない状態、散らばっている状況です。具体的には除染実施区域内を想定していますが、計画被ばく状況のように管理区域の概念を使うのは困難である。ある線源からドーナツのように管理区域を設けて、その中で作業する。あるいはそこから放射性物質を放出させないという封じ込めはなかなか難しいということで、このため新しい規則を制定して、現存被ばく状況における除染等の業務、除去土壌の収集、廃棄物の処理等の業務を行う場合に取るべき措置を規定することとしたものです。この論理構成から、新規則の適用範囲は基本的に除染実施区域内、具体的には年間1mSvを超える区域以内に限定されるという整理をします。逆に言えば、新規則が適用されない範囲は計画被ばく状況であるということで、電離則を適用していくといった整理をしております。
 11頁に戻ります。(注2)は汚染廃棄物、除去土壌の濃度下限値ということで、これは高濃度粉じんのところですので、間違ったものを引いております。あとで訂正させていただきます。次にアですが、作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/h、これは週40時間52週換算で5mSv/年を超える区域において労働者を除染業務に就かせる場合に、外部被ばく線量の測定は個人線量計による測定、内部被ばく測定は作業内容及び取り扱う土壌等の放射性物質の濃度に応じた測定です。
 ここで空間線量率の測定についてかなりご議論がありましたので、25頁の別添3で事務局の案を示しております。平均空間線量率の測定の目的としては、事業者が土壌等の除染等の業務、あるいは除去土壌の収集、運搬、処理の業務、汚染された廃棄物の処理の業務に労働者を就かせる際に、作業場所の平均空間線量が2.5μSv/hを超えるかどうかを測定して、実施する線量管理の内容を判断するために実施するということです。これを踏まえて、当然作業の前にあらかじめ測定する必要があること、測定は自らの事業者が測るよりも、可能であればより第三者的な立場である専門の測定業者に委託して実施することが望ましいこと、労働者の被ばくの実態は多様ですので、それが反映できる結果が得られるような測定をすべきこと、測定及び測定結果の算定が煩瑣ではないことということで、こういったものを踏まえて測定の方法を提案しております。共通事項としては、空間線量率の測定の高さは地表から1メートルです。測定器については、作業環境測定基準で既に測定器の規定がありますので、それを使うということです。具体的な測定の仕方は、空間線量率のばらつきが少ないときとそうでないときと分けております。ばらつきが少ない、割に均質であることが見込まれる場合については、最も簡易なやり方として、国などの除染計画作成のための空間線量率測定が行われる予定であり、その測定が作業場所近傍で実施されている場合は、その結果を作業場所の平均空間線量とすることができる、自ら測定をしなくてもいいということがあります。そういった別の数字が得られない場合については測定を行うわけですが、測定を行う場合はおおむね1,000m2を測定単位として、区域の四隅と対角線の交点の計5点の空間線量率を測定し、その平均値を平均空間線量率とする。作業場所が不整形な場合は、測定単位の区域の外周に等間隔に4点の測定点を取って、その対角線の交点と合わせて5点を測定する。作業範囲が1,000m2を超える場合は、おおむね1,000m2ごとに同様に5点の測定を実施して、測定点すべての空間線量率の平均値を取るということです。
 空間線量率のばらつきが大きいと見込まれる場合については、上記の測定(A測定)で平均値の算定を行った上で、より高い所で作業することが見込まれますので、一定時間作業が予定されている場所の近傍で空間線量率が高いと見込まれる地点における空間線量率を測定する。測定点については、1,000m2当たり数点あればよいと考えております。あとは時間加重平均を取るわけですが、その前の前提として、最も被ばく線量が多いと見込まれる代表的個人の動きを想定して計算する。また、同一場所での作業が複数日にわたる場合は、最も被ばく線量が大きい作業を実施している日を想定して算定するということです。次の頁に式がありますが、これは単純にある特定の地点における労働時間とそうでない労働時間を時間加重平均で平均を出そうという非常に単純な計算式です。
 11頁に戻ります。イの部分は前回と変わっておりませんが、作業場所の平均空間線量が2.5μSv/h以下であり、なおかつ0.23μSv/hを上回る地域については、個人線量計による外部被ばく測定が望ましいが、ほかの簡易な方法でも認めるということです。(2)については、除染等事業者以外の事業者は、作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/h以下で、0.23μSv/hを超える区域においてのみ基本的に行い、高線量の区域で行わないことと、年間数十回(数十日)の範囲内で除染処理業務に労働者を就かせるということです。自営業者、住民、ボランティアについても同様とすることが望ましいと記載しております。
 今回は注書きをだいぶ追加しております。実際に事業をされている原子力災害対策本部や環境省といろいろ協議をする中で記載を追加しております。まず、2.5μSv/hを超える所では、除染等事業者以外の方には除染作業をさせないということでしたが、住民や自営業者については、自らの事業所あるいは農地といった所が2.5μSv/hを超えていれば、そこでは除染作業してもよいということです。もう1つ、ボランティアの関係ですが、特に問題となるのは、例えば東京のように遠距離から人をお呼びする場合については、いわゆるICRPの計画被ばく状況における一般公衆被ばくの限度は1mSv/年であることに留意をすべきだということです。ボランティアの組織者は、1mSv/年を超える被ばくを伴う作業にボランティアを募集する場合は、ボランティアに対して事業者と同等の措置を実施する必要があることに留意すべきであるという書きぶりになっております。
 (3)ですが、内部被ばくの方法については以下の方法を実施するということで、これも前回お示ししましたが、「高濃度粉じん」「高濃度土壌」とは一体何なのかということです。(注1)ですが、「高濃度粉じん作業及び高濃度土壌の下限値の考え方について」ということで、別添2です。本来、粉じん測定は非常に煩瑣なものですので、本来的には高濃度粉じん作業はこういう作業であると、作業名で示すことを考えていたわけですが、現時点では残念ながら十分な粉じん濃度測定のデータがないということで、一旦数字で示さざるを得ない状況ではあります。しかし、今後作業における粉じん濃度の測定等の蓄積により、高濃度粉じん作業を定性的な作業の内容で示す方向で検討していきたいということです。
 詳しい内容は24頁です。「高濃度粉じん作業及び高濃度土壌の下限値について」ですが、この2つの条件が複合した状態で作業者に作業を行わせる場合に、必要となる内部被ばく測定、あるいは防じんマスクの種類、保護具の種類の選択と管理の内容を判断するために必要ということです。基本的な考え方としては、高濃度粉じん作業及び高濃度土壌に応じて想定される内部被ばくに対して、十分な防護措置が講じられる必要がある。防護措置の評価としては、粉じんの吸引の割合等を保守的に評価した上で、内部被ばくによる預託線量が年間1mSvを十分に下回ることを1つの目標とするということです。
 高濃度粉じん作業及び高濃度土壌の考え方ですが、粉じんに含まれる放射性物質による内部被ばくの保守的な簡易試算結果によると、50万Bq/kgの濃度の放射性物質を含む土壌が、作業によって空気中粉じん濃度の時間加重平均の上限10mg/m3の濃度の粉じんとなって、それを100%吸引するとした上で、その場に週40時間52週間ずっといるという極めて保守的な仮定で行った場合でも、内部被ばくによる預託線量は0.153mSv/年であるということです。仮に局所的に出現する濃度範囲の限界では30mg/m3であったとしても0.458mSv/年、可能性のある最高限度である100mg/m3であったとしても1.526mSv/年で、呼吸用保護具による防護係数は10程度を想定すれば、1mSv/年を十分に下回ることは可能であるということです。この試算結果により、高濃度土壌の上限値を50万Bq/kgとするとした上で、空気中粉じん濃度の時間加重平均の最も高いレベル、現実的に可能性のある最も高いレベルとして、10mg/m3を高濃度粉じん作業の下限値としております。
 具体的に言うと、50万Bq/kgというのは、計画的避難区域・警戒区域以外の地域でもほとんど確認されていない濃度です。また、農地あるいは廃棄物処分場での実測値、後ろに参考資料も付いておりますが、通常μg/m3単位の濃度で1mg/m3を超えることも稀です。しかも紛じん作業の前には散水等の発じん抑制措置を実施することを考えると、10mg/m3というのはかなり高い濃度であるということで、そういった2つの組合せを超える場合については考えていくということです。
 12頁に戻ります。(3)ですが、こういった高濃度粉じん、高濃度土壌を両方とも兼ね備えている作業については、現状の電離則どおりに3カ月に1回の内部被ばく測定を行うということです。それ以外のケースについては、例えば左下もしくは右上ですが、これはスクリーニングをするということです。
 スクリーニングの考え方については、31頁の別添6をご参照ください。内部被ばく測定の実施基準です。先ほどずっとご説明してきたとおりのことが縷々書いてありますが、下から5行目にスクリーニングのことが書いてあります。下の表の右上もしくは左下の状況については、1日ごとに作業終了時にスクリーニングを実施して、限度を超えたことがあった場合には内部被ばくを測定するということです。スクリーニングのやり方は鼻スミアテスト、これは鼻の中に綿棒のようなものを入れ、放射性物質をこすり取って、それをGM計数管で計測するという簡易なスクリーニングのやり方ですが、これのスクリーニング基準を10,000cpm、評価すれば預託線量としては0.3mSv相当になりますが、それを採用するということです。これを超えた場合は内部被ばく測定を行うことになります。
 右下ですが、作業としても高濃度粉じん作業ではなく、なおかつ扱う土壌も50万Bq/kg以下である場合については、保守的に試算を行っても内部被ばくは0.153mSv/年にしかならない、要するにマスクを全く着けなくても0.153mSv/年しかないということですので、基本的にスミアテストは突発的に、例えばすぐそばで建物が崩壊したとか、強い風が吹いて粉じんが巻き上がったとか、そういった突発的に高い濃度の粉じんに曝露されたと事業者が認める場合に実施すれば足りると考えております。
 12頁に戻ります。「高濃度粉じんの判定の方法」です。(注2)ですが、高濃度粉じん作業のスクリーニングというのは、高濃度粉じんの下限値を超える粉じん濃度が発生しているかどうかを判定するものですので、濃度が下限値を下回ることが明らかである場合は行う必要がなく、相当程度の粉じんが見込まれる作業、例えば土壌のはぎ取り、アスファルト・コンクリートの表面研削・はつり、除草作業、除去土壌等の袋詰め、建築物・工作物の解体等について測定すれば足りるとしております。
 より詳しいことは27頁、別添4です。「判定の方法」ですが、先ほど申し上げたように一定の作業に限って行えばいいということと、行う場合は個人サンプラー、作業者に装着させるサンプラーですが、そういったものを用いるか、それが難しい場合には作業者の近傍で粉じん作業中に原則としてデジタル粉じん計、リアルタイムで粉じんを計れる簡易な粉じん計が市販されておりますので、それを基本的にはそれらを使用する。そこで10分間の継続した時間で測定を行うということです。また、粉じん濃度の測定の対象粒径等については、ここに書いてあるようなセッティングをした上で行えばいいということで、10分間の時間平均をもって判定をするということです。
 12頁に戻ります。(注3)ですが、土壌等除染対象物の放射性物質の濃度測定については、先ほど申し上げたように50万Bq/kgを超える土壌等は計画的避難区域・警戒区域以外の地域ではほとんど発見されていないことから、2.5μSv/h以下の地域といった避難区域以外の区域においては、土壌の表面線量率あるいは普通のcpmから土壌の表面密度をBq/cm2で換算して、それにより濃度が下限値を下回ることを推計する簡易な方法を考えているということです。
 これについては、28頁の別添5があります。これも「目的」にありますように基準値で、この基準値は2つあって、1万Bq/kgという規制を掲げるかどうかという基準値と、先ほどの高濃度である50万Bq/kgの2つの値を超えているかどうかがわかればいいということですので、それほど精密な測定をする必要は必ずしもないということです。簡易な測定方法ということで提案しておりますが、一般的に空間線量率の測定をまず行っていただく。そのときにB測定として高い空気線量率が見込まれる箇所を測定しますので、GM計数管を使ってその場所の、例えば1cmの高さの放射線量(cpm)を測定し、これは換算法がありますので、その測定値から土壌の面線源としての表面線量率密度に換算することが可能です。
 あとは先生方にもご協力いただきたいと思いますが、土壌におけるセシウムの分布は深さ5cmで97%といった数字も出ているようですので、簡単な近似を行った上でそれを濃度に直すことができないかを検討しております。これは非常にラフな数字になりますので、非常に保守的な推定にしかならないと思います。微妙な数字が出たときには当然きちんとした測定をする程度にしかならないと思いますが、いずれにしても測っておいて、それで明らかに20万Bq/kgしか出ないということであれば、わざわざきちんとしたサンプリングをする必要はないということです。サンプリングのやり方ですが、除染対象となる土壌等のうち最も高い所、基本的に安全側に評価する必要がありますので、いちばん高い所を選んでサンプリングするということです。サンプリング数としては、1,000m2当たりに数点ぐらいで十分だということです。
 やり方としては、実際に除去する土壌に応じたサンプリングということですので、除染効果の把握よりも若干簡単なものでいいということで、例えば農地は5cmしか削らないということですので、5cmのサンプリング、森林については除染のやり方はさまざまで、どこまでやるのかは現場によると思いますが、いずれにせよ樹木の葉や表皮、落葉・落枝を除去する計画があれば、除去する対象のものを測る。腐葉土については深さ3cm程度ということです。生活圏については、既にある程度線量が高くなりそうな所は知見がありますので、雨水が集まる所及びその出口、植物及びその根本、雨水・泥・土がたまりやすい所、微粒子が付着しやすい構造の近傍にある汚染、汚泥等除去対象物といった所を2、3点サンプリングした上で測ることを想定しております。以上が(3)までです。
 3「被ばく線量限度」ですが、これについては前回と変わっておりませんので、ICRPの職業限度ということです。また、前回ご指摘いただいたように、眼の水晶体、皮膚の等価線量限度については設けないということですので、時間がなくて書いておりませんが、注書きで限度を設けない理由を、β線被ばくの線量は基本的にγ線被ばくの10分の1なので、わざわざ測定する必要はないといった理由になると思いますが、それを記載したいと考えております。
 線量の被ばくの測定結果の記録ですが、これは前回の数字を入れてはいなかったのですが、いろいろ検討したところ、電離則と同じ規定としております。例えば、30年間保存ではありますが、当該記録を5年間保存した後であれば指定機関に引き渡すことができる、あるいは男性の被ばくについては3カ月ごと、1年ごと、5年ごとの合計を集計する、妊娠可能な女性については1カ月ごと、3カ月ごと、1年ごとということで、電離則並びの規定をしたいと考えております。以上です。
○森座長 私から2点あります。報告書の構成の中で、11頁の注2はここから削除するという理解でいいのですか。引用が間違っていたからとおっしゃっていたので。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。もう1つ作ろうと思っていたのですが、作らなかったので、削除します、申し訳ございません。
○森座長 もう1点は、高濃度粉じん作業の定義に関しては、データがないので今回は数字で示したと。今後データが出てくれば、という説明をされていましたが、今回の報告書についてはデータで示して、もし作業についての実測値が出てきたら、ガイドライン等の中身においては、作業で示すことがあり得るという理解でよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 この検討会の報告書はたぶん間に合わないと思いますので、この形で。ただ、ガイドラインは年内に策定すれば間に合いますので、情報等があれば、ガイドラインの中では、もし可能であれば作業で列記できればと考えております。
○森座長 それでは、趣旨と第2の部分について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。
○金子委員 お聞きしたいのは、11頁の(2)の「除染等事業者以外の事業者は」で、「2.5μSv/h以下で労働者を就かせる」の箇所です。10頁に土壌等の除染及び除染事業者の定義があり、その中に0.23μSv/hを超える地域が除染事業の対象になると書かれています。 (2)でも同じことを行いますが、この場合の事業者と除染等事業者とはどういう区別があるのかというのが質問です。
 ここでは特に住民及びボランティアを対象に考えているという説明でしたので、あえてここに「事業者」という言葉を入れないで、「作業場所」以下の文章を、「超える地域において、住民及びボランティアが作業する場合には、年間数十回の範囲で除染業務に当たることが望ましい」とかに変えていただいたほうがいいと思います。
○森座長 ただ今のは、除染等事業者以外の事業者とは何かという質問で、実態があればそれを明確に表現し、それがないならその部分はいらないのではないかというご質問だと思いますが、いかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 実態としては、ある製造業の工場があって、その工場の庭先をやることもありますので、業として除染を請け負ったりしないけれど、除染の作業を行うという、いわゆる労働法上の労働者がおりますので、それに対する規定を考えております。
○森座長 その意味でそのような事業者を想定するために、どうしてもこの記述がほしいということなのだろうと思います。
○金子委員 ただ、その部分はわかったのですが、自営業者がこの数十日の範囲でしか労働に就けなくなると困ります。労働については、当初は年間20mSvを超えないようにすればよいと理解していました。それが年間1mSvとなると非常に大きな違いです。実際、自宅の周囲等を除染したい人の中には、年間1mSvを超えるぐらいのところでも長時間の作業をしたい方もいらっしゃると思います。年間1mSvになったときに、この縛りは少し厳しいと思うので、適用は住民及びボランティアに絞っていただけたらと思います。
○安井中央労働衛生専門官 自営業と言っても、八百屋さんみたいな事業をしているものもありますし、農業従事者なども自営業になると思いますが、こういった方も自らの農地を除染するのみの作業であれば、年間数十日間以上の作業量が必要だという認識はあまりしていないのが実態です。我々がなぜこういう規定を置こうとしているかというと、線量管理が十分に行われていない状況で高い被ばくが行われてはよろしくないということですので、やってはいけないということではなくて、年間1mSvを超えるような仕事をするのであれば、自営業者であればどこかの企業にちゃんと雇われる形でやっていただくとか、そういった管理された形で実施していただきたいという趣旨です。
○森座長 そういう意味では、規則で縛れない部分なので、おそらくガイドラインで、しかも前回の議論のように「望ましい」という言葉で、その辺りを少し幅広く取っているという趣旨なのだろうと思います。
○金子委員 そうですね、言葉で言うと、「望ましい」という言葉を加えて「労働者を就かせることが望ましい」と変えることはできますか。
○森座長 上の前文の部分も「望ましい」とできないかということですか。
○安井中央労働衛生専門官 これはガイドラインの書きぶりですが、基本的に我々の考え方としては、1mSv/年以上の被ばくというのは業として行うような世界に入っていきますので、線量管理が必要だというスタンスに立っております。それを超えるような作業であれば基本的に雇用される形にしてもらいたいということでは、そこは「望ましい」というよりは、規則と表裏一体ですので、やや強い表現を使っております。
○森座長 これを超える場合、そのようなケースであっても、事業者としてちゃんと管理をしてやってください、という趣旨なので、自営業者や農業について別の管理レベルにはできないのかと。
○金子委員 よくわかりますが、これまでもお話していますように、森林組合等全体の規定の事業者の縛りはかなり厳しいものがあって、そういう中で森林組合等の事業者がこれだけの規則をしっかり守っていくのは、かなり厳しいことだと思います。
○安井中央労働衛生専門官 森林組合も、きちんとした雇用形態を作っているような森林組合もあれば、本当に単なる事業共同組合の形になっているような、いわゆる一人親方の集合の場合もあろうと思います。我々としては前者、きちんとした雇用管理ができるような森林組合であれば全く問題ないわけですが、一人親方の集合となると、自らの森林を自ら管理するのは困難ですので、そういったところについてはきちんとした雇用の関係の中でやっていただけないかなというのが我々の考え方です。やるなと言っているわけではなくて、きちんと線量管理ができる状態でやってくださいということです。
○森座長 雇用関係がなければ、どちらかというとボランティアと同じになってしまうわけですね。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね、雇用関係がないということであれば、線量管理をすることが困難になりますので、そういった場合は年間1mSvを超えないようにしたほうがいいのではないかと。超えるようであれば、きちんとした事業体系の中でやっていただいたほうがいいのではないかということです。
○森座長 どのように解釈して運用をするかということだと思いますが、よろしいですか。それをガイドラインで具体的に示すときに、どのようなカテゴリーにするかということだと思います。
○安井中央労働衛生専門官 実態を教えていただければ、検討させていただきます。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○松村委員 用語のことです。私がいちばん最初に41頁からの資料の中で発じん量の最大予測値という意味で「保守的な計算をした」という用語を使って、それが最終案の中にも残っておりますが、「保守的な」というのは科学的な言葉ではなくて、意味が曖昧ですので、最大予測値や最高予測値はこのぐらいという表現に訂正をしていただきたいと思います。そのほうが、間違いなくわかりやすいと思います。それは同じように50万Bq/kgという限度の推定においても、その時点で考えられる最大値の予測値ということで使っておりますので、最大予測値又は最高予測値というほうが適当ではないかと思います。
 もう1つ、作業中の粉じん濃度の測定に簡易な測定法としてデジタル粉じん計を使用するということがありますが、デジタル粉じん計は光の散乱強度で粉じん量を測るのですが、粉じんの種類によって散乱の特性が違うので、換算係数が必要なのです。普通はK値と言っていますが、こういう作業に対しては、既存値はないのではないかと思うので、それは新たに求める手順が必要になるかなという気がします。
 また、発じん量の高濃度粉じん作業の下限を10mg/m3にするというのはいいのですが、10mg/m3というのは、作業環境測定の結果の値なので、1つの作業場の中のいくつかの点の測定値の幾何平均値として出てきた値なのです。B測定ではなくてA測定の結果なのです。ですから、そういう意味で1つの作業の平均値なのです。除染作業の対象場所で1点でもこの値が出たら高濃度粉じんだと考えるのは、それのほうが安全側ですが、数値の性質が違うので注意が必要かなという気がします。
○森座長 定義については、そちらのほうが言葉は正確なので、それでよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 先生からいただいたご指摘、今日も41頁に資料が付いていますが、これはB測定の出現率を使ったような理解だったのですが、違っていますか。
○松村委員 41頁に2つグラフがあります。1つはA測定の結果で、他の1つはB測定です。B測定は発散源のすぐそばで測っており、最大が50~100mg/m3となっておりますので、最高の粉じん濃度が出現する可能性があるものとして100mg/m3という値にしました。
○安井中央労働衛生専門官 42頁に100mg/m3、30mg/m3、10mg/m3という数字があります。これもA測定から取っているということですか。
○松村委員 いいえ、100mg/m3と30mg/m3はスポット的な1点の値、10m/m3gは単位区域の平均値に該当します。
○安井中央労働衛生専門官 ここではこの表現を使っていまして、100mg/m3、30mg/m3、10mg/m3のところを想定しておりますので、そういう意味ではB測定近似ではないかと。42頁の下から2つ目のパラグラフの数字を全部使っていますので、これは個人サンプリングですから、Bに近いという理解でよろしいのですね。
○松村委員 可能性のある最高濃度としてというのは、B測定、即ち発生源で測って100mg/m3が最大値と予測されるということです。時間加重平均として1つの区域の中の何点かを測って、幾何平均を出した値の最高区分が10mg/m3という意味です。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。いずれにしても、この記述に合わせた形で評価をさせていただきます。
○森座長 最初の保守的云々はよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 保守的云々については、もう少し科学的な表現にさせていただきます。
○森座長 2番目のデジタル粉じん計のK値については、あとで少し説明をいただいて整理するという方針でいいですか。
○松村委員 そうですね。
○小林委員 27頁ですね。
○名古屋委員 測定対象の粉じんは、インハラブルを測定すべきと書いてあります。インハラブル質量濃度計と相対濃度計を作業者近傍で、粉じん作業中に併行測定を行い、質量濃度変換係数を求めておけば、作業時の濃度測定は出来ると思います。ただし、粒径の大きいインハラブルを対象に質量濃度変換係数を求めるので、粒径依存性のある相対濃度は測定場所ごとに異なるので、測定を行っているときの作業にだけ使用できることを何か書いておかないと、デジタル粉じん計の相対濃度のcpmだけで簡単に使えないことをきちんと書かなければいけないと思います。
○安井中央労働衛生専門官 確かに、並行に設置してと既に書いてありますので、私の説明が飛ばされているだけで、そういった換算を事前にやるか、できれば何らかの換算表みたいなものを事前に示せればよいと思います。
○名古屋委員 質量濃度変換係数は、作業内容、作業場所の状態により大きく変動するので、必ず測定時の除染作業の時だけの使用とし、相当数の質量濃度変換係数のデータが集まってきたら、それを内容別、作業別などに分けて検討し、ある程度の範囲で与えられるかを慎重に考察してから、作業内容によっては質量濃度変換係数を与えられる作業があったら与えるという方が良いと思います。先ほどの松村先生のお話のように、乾式ですとかなり飛びますが、除染の場合は必ず水をかけます。そうすると、飛ぶ粒子はそんなに大きくないので、そんなに高い濃度は出てこないと思いますので、ある程度の質量濃度変換係数のデータが集まった時点で質量濃度変換係数を与えるかどうかの選択をし、与えることが出来たら作業管理は楽になるかなと思います。
○安井中央労働衛生専門官 これはデータを引き続き収集して、換算係数を示すという手もありますし、作業名を何とかの粉じん作業というように示せれば、そのようにしたいと考えております。
○松村委員 作業環境測定士がやれば、併行測定の手順は自動的にわかる部分が多いと思うのですが。
○杉浦委員 10頁の下から5行目の線量の測定のところで、「被ばく実効線量を測定する」と書いてありますが、外部被ばくの場合には実効線量を測定できませんので、ここは単に「被ばく線量を」と言うほうが正しいかと思います。外部被ばくについては、個人線量計で1cm線量を測るのですが、測定法は別に定めているので問題ないと思います。
 また、12~13頁で被ばく線量限度を定めておりますが、アについても被ばく限度は実効線量で5年間で100mSv、イも同様に「実効線量で」という言葉が必要だと思います。
 12頁の(3)の表の注とその下の注の対応が、どうもよく合っていないような気がします。いまの説明の注1~3の2と3が要らなくて、注1が随分長くて3つぐらい書いてあって、注4が注2になって、注5が注3になると、対応がつくのかなと思いますので、ご確認いただければと思います。
○森座長 いまの点も具体的な記述に関してのご指摘ですが、いかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 修正させていただきます。
○古田委員 10頁ですが、基本原則のところで「できるだけ少なくするように努める」と書いてあるのですが、これは「合理的な」とかそういう言葉を入れたほうが、ICRPなどで言っているものと整合が取れるのではないかと思います。これは過剰装備をどんどん推奨しているように取られるので、その辺りをお願いしたいと思います。
 別添4の粉じんの測定法ですが、ここも簡便に書いていただけないかと。例えば、いちばん下の面速19cmというのはこれでなければいけないのかとか、何か範囲で示すか、何かの規格に合ったものとか、少し簡便な方法がいいのかなと思います。
 28頁のGM管を使って1万とか50万Bq/kgを推定する方法が書いてあるのですが、これは除染する前の状態でセシウムの深度分布がないと、GM計数管等でいくつと、β線の吸収といったものがかなり効くと思いますので、この辺りはGM計数管よりも線量率で示したほうが、よりちゃんとした数字が出るのではないかと思うのですが、技術的には何か検討されているのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これは環境省といろいろ打合せをする中でこういう簡易の測定があるのではないかという話が出てきて、おっしゃるように線量率を使う手もあると。ただ、いずれにしても我々はそれを濃度に換算し直す必要があるので、濃度ということであればベクレルからやったほうが、ある程度正確なのではないかという議論をしていますが、これについてはまだ引き続きご意見をいただいて、何らかの簡易な測定ができないかということです。
○古田委員 具体的に計算シミュレーションをやって、いろいろな深度分布、付着状況を検討して、これでできるということを検討されたものではないのですか。
○安井中央労働衛生専門官 まだそこまではできていません。ただ、一定の推計をやられた実績はあるみたいなので、どのような推計であったのかを教えていただいてやりたいと思います。全く例がないわけではなくて、いくつかの試算は行われているようです。
○古田委員 ただ、GM計数管はβ線を測定するものですから、表面汚染で表面にきれいに付いていればいいのですが、土壌のようにある程度潜り込んでいるものがある場合には、潜込みの度合によって検出する計数が全然変わりますので、この辺りは検討されたほうがいいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 それはGMよりも線量率のほうがいいということですか。
○古田委員 線量のほうが、直感的には測定しやすいかなという気がします。もう少し議論されたほうがいいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 これはいずれにせよ面線量率などの換算をどうするかとか、いわゆる換算の部分がいろいろあると思いますので、そもそも現実的にできるかどうかも含めて、今後いろいろ検討したいと思います。
○古田委員 現時点でこれをそのまま使うということではないですね。
○安井中央労働衛生専門官 「別途検討」と書いてあるとおりで、まだこの時点でこうしますということをお示しするレベルには達していないということです。
○中山委員 いまごろになって基本的な確認ですが、12頁の下に書いてある被ばく線量限度、例えば5年で100mSvで1年で50mSvといった数字なのですが、これは除染に関して現在の電離則と同じ数字です。除染作業で想定されるのは、雇用者が同じでも、作業者があるときは原発のサイト内で働くし、あるときは除染作業に従事するというのは十分想定されるのです。その場合には、23頁の別添1で計画被ばく状況と現存被ばく状況とその適用範囲ときちんと分かれていますので、そこは管理もきちんと分けてすればいいし、できることになっていると思います。そこで単純な質問ですが、両方で被ばくしても上限は50mSv/年ですね。その確認が1つです。
 もう1つは、9月初めの厚生労働省の通達に除染に対して20mSv/年という数字が出ていますが、それも同じように考えてよろしいかどうかです。
○安井中央労働衛生専門官 2つ質問があると思いますが、1つは計画被ばく状況と現存被ばく状況で、被ばくを別々に管理するかということですが、これについては職業被ばくの限度内なので、合算すべきではないかと私は考えます。
○中山委員 合わせて50mSv/年以下ですよね。
○安井中央労働衛生専門官 もう1つは、20mSv/年については、ガイドラインの守備範囲自体が1~20mSv/年の空間線量のエリアに限定されていて、今回はもっと高い所まで踏み込んだガイドラインになりますので、自ずから数字は違うということです。
○大迫委員 10頁の下の注書きで、前回も少しご質問した件です。この業務の範囲に関して、0.23μSv/hという除染実施区域ということになるのですが、「ここの地域における」というところの意味合いも含めて、(a)で土壌等の除染、これはその地域で行われる作業ですから理解できます。(b)の除去土壌と(c)の事故由来放射性物質の汚染廃棄物の件ですが、(b)に関しては収集・運搬とか持っていく先の保管・処分はほぼ実施区域と重なると思うのですが、実施区域外での業務がもし考えられるのであれば、その係数はどうするのか。つまり、除染作業に伴って出てきた除去土壌という形でかけるのか、あるいはエリアの何か厳密な指定をするのか。(c)の汚染廃棄物については、除染実施区域外の処理施設に運んでいくとか、焼却施設や埋立処分場が地域内で0.23μSv/h以上の所がある市町村で6、7割はそういう所なのだけれど、そこから集まってくる廃棄物を焼却しているのは実は実施区域ではないという場所に立地しているということは通常考えられるわけで、そういう意味では(c)が0.23μSv/h以下であっても1万Bq/kgを超える可能性があるのではないかと思います。
 そういう意味で、計画被ばく、現存被ばくという2つの場合分けでやったときに、こういうオープンな場で除染措置を行うことと、ある場所で保管や焼却も含めた処分を行うということは、計画被ばく、現存被ばくと0.23μSv/hということのエリアとを一致させるという考え方とは少し違うのではないかと思っています。施設の管理とか場所の管理は、そもそもやるのであれば計画被ばくという考え方もあり得るだろうし、(b)と(c)は0.23μSv/hで線を切ることと意味合いが違うのではないかということを1点申し上げたいと思います。
 収集・運搬に関してですが、いろいろと場所が移動したり物を積み込む作業から運ぶ途中の作業といったところに、こういう作業場所の平均空間線量率に関する、測定も含めて、いまは除染措置を念頭に作ってあるので、収集・運搬における作業者の被ばく管理がいまのこの状況で実行できるかということは、少し心配なところがあります。この2点をお願いします。
○森座長 これは定義に関わるところで、ここでずれてしまうと、報告書全体についてカバーされない労働者が出るとか、そういうことがありうると思いますので、この点については時間を取ってご説明いただければと思います。
○安井中央労働衛生専門官 2点ご質問があったと思いますが、1点目は廃棄物処理施設等の施設が新規則なのか電離則なのかという議論だと思います。おっしゃるとおり、年間1mSv以上の地域であったからといって、その中における廃棄物処理施設のようなものについては電離則が馴染むという実態はあろうかと思います。それは線源が管理された状態でほとんどあって、もちろん外部からの線量も若干あると思いますが、線量管理上最も重要となるのは管理された線源であるという状態はあろうと思います。いま現在我々が検討している中では、0.23μSv/hで完全にビシッと切って、それより内側に入っているものは絶対に電離則を適用しないという頑なな態度ではなくて、そういった地域の中に入っていても、実態の対応としてより計画被ばくに近い施設については、電離則が適用できる方向でいま検討しております。
 2点目の収集・運搬の被ばく管理ですが、1mSv/年以上の地域における収集・運搬にはもちろん被ばく管理を行うということで、問題はその外ということになろうかと思いますが、現状は核燃料物質の輸送はたくさん行われており、それは国交省の規則、炉規法の体系下である核燃料物質等車両運搬規則で、車両の表面被ばく線量を押さえる中で住民あるいは労働者の被ばくを担保してきたという経緯がありますので、それとの整合性を考えると、基本的には車両の規格のほうで押さえるべきではないのかというのがいまの我々の考え方です。
○大迫委員 1点意見だけ申し上げたいと思いますが、いま廃棄物処理施設は計画被ばくに近い概念で電離則を適用するということで、私も特に強く反対するわけではないのですが、一方集収・運搬の作業をする方は、普通の運転手をやっている人たちも含めてたくさんおられるわけです。そういう方々が、積み込む物も毎回違うときに、本当に計画被ばくみたいな考え方が適用できるのかというところもあります。ですから、廃棄物処理施設一連の流れを通じて計画被ばく、現存被ばくみたいな考え方も多種多様になるかと思うのですが、そういうややこしさで整理するのが難しければ、廃棄物関係あるいは除去土壌の処分もそうですが、こういった形の施設関係も逆に新規則の中で計画被ばくの考え方も盛り込んだ上で、一括して考えたほうが、使う側はわかりやすいという意見だけ申し上げておきます。
○森座長 もともとの報告書の作りに関わってくる話ですが。
○安井中央労働衛生専門官 電離則との切分けという観点もありますので、また検討させていただきたいと思います。
○森座長 それでは、また時間があれば、最初のところに戻ってくることにして、次に進みます。第3「被ばく低減のための措置」と第4の「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置」について、事務局からご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 14頁の第3「被ばく低減のための措置」からご説明します。まず、事前調査の項目については、注意書きだけを追加していまして、平均空間線量率の測定方法、土壌のサンプリングの方法、濃度測定の方法ということで、すでにご説明しておりますので省略いたします。
 2番です。(1)(2)(3)(4)とありますが、問題なるのは(4)「飲食・喫煙が可能な休憩場所」とは何か、汚染検査場所をどこに置くのかについて、整理しています。具体的には別添7の32頁です。この考えとしては、まず事業者がどこで労働者に飲食・喫煙をさせることができるのかを示す必要があるということで、基本的な考え方としては、飲食・喫煙場所における放射性物質の吸入・経口摂取による内部被ばくが十分に低いことが担保されている必要があるということです。
 休憩所の設置の基準としては、まず検討すべきものとして、吸入摂取・経口摂取の2種類があるので、それぞれを検討しています。まず吸入摂取については、試算ですが、例えば10万Bq/kgの放射性物質の濃度を含む土壌を、10mg/m3の濃度の粉じんを100%吸入すると仮定して、これを週40時間、52週としても、0.031mSv/年と非常に低いということですので、ここは仮に10万Bq/kgと置いておりますが、事前の測定により高い土壌汚染がないことが担保されれば、作業により粉じんが収まれば、吸入摂取による内部被ばくはかなり低く抑えることができると考えられます。
 いつ収まるのかという議論ですが、まず、作業による粉じんというのは、粉じんの大きさによってスピードが違いまして、100μmぐらいあれば1秒間に30cmぐらい沈下するらしいのですが、10μmになると1秒間に3mmしか沈下しないということです。ただ、20分間待てば、簡単に計算すれば10μmの粒子でも3.6m低下いたしますので、粉じんが3.6m以上吹き上がることは考えられないということを考えますと、じっとしていれば収まると考えられます。
 それから風の影響がありまして、強風が吹いていれば、あっという間に粉じんは吹き飛ばされますので問題はないのですが、ほとんど無風に近い状態がいちばん困るわけです。非常に保守的に、風速を0.2m/secという微風に設定しても、20分間でおおよそ240m移動してしまいますので、作業場所の単位で考えますと、100m×100mの1,000m2ですので、20分間待てば、よほどの無風状態でない限りは粉じんの影響はなくなるだろうということになります。
 経口摂取については、これも極めて雑駁な試算ですが、1万Bq/kgの濃度の土壌を1年間で10gずつ100回摂取したと仮定しても0.19mSv/年ということで、これも高濃度土壌の近傍でない限り、基本的にはそれほど心配するレベルには達しないということです。
 これを踏まえて、どういったものが考えられるかというと、まず飲食・喫煙場所というのは、いちばんいいのは車内など、外気が入ってこない環境がいちばんいいということです。それが確保できない、例えば森林作業などの場合には、「以下の要件を満たす場所で飲食・喫煙」ということで、まず近傍に高濃度の土壌がない。作業は一遍に終了しないと意味がありませんので、休憩は一斉に取る。作業終了後20分間は待つ。可能であれば風上に移動する。どうしても移動できない場合は、少なくとも風下には行かないで、むしろじっとしていたほうがいいということです。
 それから、飲食・喫煙を行う前に、身体、衣服の汚染検査が必要で、特に手で触れるところなどで、汚れているものをそのまま飲み込んでしまっては困りますので、汚染検査を行って、簡単なサーベイでいいと思いますが、手袋を脱いだり、手を洗ったりして、きれいになってからやっていただきます。
 あと、こういったことがどうしてもできない、作業中に水分補給をしないと熱中症予防等でやむを得ないような場合が一定程度想定されますが、それも真にやむを得ない場合に限った上で、まず作業場所の風上に移動していただいた上で、手袋を脱ぐなどの汚染防止措置を行った上でやっていただきたいということです。
 続いて、別添8の34頁で、汚染検査の関係です。汚染検査所を、どこにどう置けばいいのかという考え方です。まず基本的な考え方として、労働者保護の観点から考えると汚染検査というのは、作業員の身体汚染を防止する、ちゃんと服を着ていたかどうかも含めて確認する必要があります。汚染された身体あるいは物品により、ほかの作業員に2次汚染を発生させないために行うということです。一般公衆を考えてみれば、それを家に持って帰らないということも含めてですが、我々としてはそういう考え方だということです。
 したがって、持出し物品については、保護具などによる防護措置を実施していない労働者が触らないということが明らかな場合は、基本的に汚染検査を実施しないでいいと。具体的には、例えばAという作業所で使っていたスコップを、Bという作業所に持って行くようなときに、いちいちその汚染検査を行う必要はないということです。
 それから、汚染検査所の場所の設置の基準として、基本的には除染事業者が除染作業を請け負った場所というのは、事業者の管理の行き届く範囲ですので、そこは1つ境界を設ける場所になるわけですが、1つの事業者が複数の場所で除染作業を請け負った場合で、それらの複数の作業場所から汚染検査所の間に、防護されていない人間が触らない、立ち入らないということが担保されている場合は、複数の作業場を一遍に担当するような集約的な汚染検査所を設けることは差し支えないということです。もしくは、複数の除染業者が連合を組んで、複数の事業者がやるたくさんの作業場所を一括で汚染検査するというのも、差し支えないということです。
 物品の汚染検査に当たっての留意事項としては、先ほど申し上げましたとおり、まず汚染されている場所から汚染されている場所に運ぶときに、いちいち検査をする必要はないということです。それから、車両について、タイヤなど地面に直接触れる部分をその場で一生懸命汚染検査でサーベイしても、そこを走ったあとにまた汚れますので、そういった所の汚染検査をする必要はないです。ただし、もちろん荷台や運転席といった2次汚染を起こすような場所については、当然きちんとするといった対応が必要であろうと考えてございます。
 14頁に戻ります。(5)については前回から特段変更はありません。それから、3の作業指揮者の内容についても、(1)(2)について変更していません。
 (4)ですが、先ほどの着手届の提出ということですが、これについては「どういった単位で提出するのか」というご質問がありました。これは基本的に、発注単位で提出するのが原則ですが、例えば10億円の巨大な事業があって、それを一遍の届出で出されても困りますので、基本的には作業場所単位ごとに出していただきたいということです。ただ、見ていただきますとわかりますように、作業件名、作業場所、作業の実施期間のように、単純な事実関係だけを書くものでして、監督する、審査をするというものではなくて、単に労働基準監督署が受理をして、監督署はその情報に基づいて必要な監督・指導を行うという趣旨ですので、監督署の審査で時間がかかるといったことは、現時点では想定していません。
 第4「汚染拡大防止」です。これについても、あまり大きく変更したところはありませんが、まず(2)の「容器を用いる」というところですが、これについては環境省令で容器の基準について定めがありますので、土壌の運搬あるいは廃棄物の運搬というところと整合性を取りながら、検討していきたいと思っています。2の(2)で汚染検査所がありますが、これについては先ほどご説明したとおりです。汚染限度については、1万3,000cpmという数字を使わせていただきたいと考えています。(4)についても同様ということです。説明は以上です。
○森座長 先ほどあったことと同じなのですが、32頁にまた「保守的な」という言葉が使われているので、それを訂正いただきたいと思います。それと、説明の中で1,000m2を100×100と言われましたが、正方形にすると一辺31~32m程度なので、その点の訂正をお願いいたします。いまご説明があった3、4についてご意見のある方はお願いいたします。
○松村委員 飲食・喫煙のときには当然マスクを外すわけです。例えばランチタイムというのは、40分から50分、あるいは1時間ぐらいはマスクを外していると思いますが、その間はマスクが汚れないように保管してもらわないと、マスクの内側に放射性の微粒子が降ってきて、付いているような状態になると、非常に問題です。その折に使い捨てをすればいいのですが、1日使うというような取決めだと、外してまた使うということなので、マスクの保管について、呼吸保護具については特に気をつけていただきたいと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○杉浦委員 16頁です。2カ所ほど表面汚染限度が出ていますが、限度の定め方としては、40Bq/cm2として、それはcpmにすると1万3,000cpm相当であるということですが、決め方としてはBq/cm2だけを決めてはいかがでしょうか。
○森座長 または、という表現でなくてもよいと。
○杉浦委員 はい。cpmは測定条件によって変わってきますし、測定器によっても変わりますので。
○森座長 事務局、どうですか。
○安井中央労働衛生専門官 実務の世界ではcpmで定めてもらいたいという声が高いのですが。
○杉浦委員 その読み換えをきちんと横に書いていただきたい。限度が1万3,000cpmだといわれると、それを放射線の側の人はいいと言わないかもしれないということです。
○森座長 基準の数字としては、cpmでは多少ぶれる可能性があるのではないかとの指摘ですね。
○杉浦委員 はい。それは現場の運用としては1万3,000cpmを使っていただいて構わないのですが。
○安井中央労働衛生専門官 わかりました。いずれにしても、40Bq/cm2を正として、それを実効上どうするかという中で1万3,000cpmという数字が出てくるという位置づけにさせていただきます。
○杉浦委員 それは問題ないと思います。
○金子委員 32頁の飲食・喫煙の設置基準についてです。当初私は、非常に高濃度の場所、例えば2.5μSv/hみたいな所に限って、こういう基準を設けることになるのかと思っていました。0.23μSv/h以上の除染箇所も該当するとなるとかなり広範囲になります。そういうところで厳しい基準が作られるのは安全面ではよいことですが、非常に懸念しているのは、今回初めて野外作業における基準ができるので、他の基準も、これを作ったことによって、すべてこれに習って作る可能性が高いことです。
 そうなってくると、それほど高くないと言っては語弊があるかもしれませんが、2.5μSv/h以下、0.23μSv/h以上ぐらいの、比較的高くない所においても、一旦このような厳しい基準ができると、ほかの労働においても、この基準を参考に基準を作ることになります。ここで1回決めてしまうと波及効果が非常に大きいので、できれば、ここにある設置基準については、2.5μSv/hを超える地域においては、という基準に変えたほうがいいと思います。
 細かいことを言えば、この中で「車に戻ってから喫煙をする」という箇所は、煙草を吸わない人が一緒いる車内を、喫煙の指定場所にするという考え方自体が、非常におかしいと思いました。
○森座長 前半の部分は大きな話ですが。
○安井中央労働衛生専門官 確認させていただきますが、いまの話は飲食・喫煙のことですよね。
○金子委員 はい。
○安井中央労働衛生専門官 あと実態をお伺いしたいのですが、例えば20分間じっとしているのは、そんな難しいという現実があるということでしょうか。
○金子委員 あります。
○安井中央労働衛生専門官 20分間待っていることができない。
○金子委員 全体を止めてしまうということで、例えば水を補給するのに、1人が水を飲みたいために20分待つとか、現実の作業で考えると、かなりやりづらいです。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおり水につきましては、33頁のいちばん下に特別扱いを書いておりまして、これは作業中でもやむを得ないということですが、風上に行っていただいてということは考えています。ただ、お弁当を食べるということになれば、常識的には1時間ぐらいは休憩するのではないかと思いますので、それは20分間待つというのは、それほど不合理ではないかなと思うのですが。
○金子委員 一斉に休むことはできると思います。
○安井中央労働衛生専門官 水については、おっしゃるとおり困難があると思います。特に夏の暑いときは。
○金子委員 この中でどこかに一言、例えば「高線量地域においては」というようなことで、付け加えていただけるとよいと思います。今回の検討会の中で非常によかったのは、我々は内部被ばくを非常に心配していたのですが、内部被ばく自体がさほど大きくないということがわかったことです。内部被ばくが少ないにもかかわらず、厳しい基準を、特に低線量地域においても設けてしまうと、そのことが今後非常に足かせになる心配がありますので、何かもう少し表現を工夫していただきたいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 区分するとなると線量ではなくて濃度だと思いますので、高粉じん、低粉じん、高濃度、低濃度の世界で区分けすることはできるのですが、区分けをするためにまた測らなければいけないということになります。
○古田委員 例えば散水をしっかりして、粉じんが発生しないような措置が施されていれば、こんなに20分も待たなくてもいいとか、そういったアプローチはないでしょうか。例えばこのぐらいの粉じんであれば目に見えるのでしょうか。10mg/m3ぐらいが目に見えないようであれば困るのですが。
○松村委員 見える場合もありますが、呼吸器に刺激を感じる場合もある程度です。
○金子委員 砂塵が舞って、視界が遮られるぐらいになると思います。
○名古屋委員 目に見えるものは大きな粉じんで、私たちが被ばくする量とは全然関係ないのです。目に見える粉じんの粒径と、私たちの体に入ってくる粉じんの粒径は全然違っていて、逆に見えない粉じんが怖いのです。だから、きちんと測らないといけないと思います。
 それから、付着水分量というのは、大体10%あれば飛ばないのです。だから、ここに書いてある「散水」というのはやめてほしいと思うのですが、「噴霧」にしてほしいのです。散水すると水がばら撒かれて、逆にその水によって汚染が広がってしまう可能性があります。だから、本来は散水ではなく噴霧がいちばんいいのです。付着水分量が10%あれば粉じんは飛ばないし、大きな粒子は小さな粒子にぶつかって小さな粒子を飛散させるので、そういうことを考えると、散水ではなくて噴霧にして、少しきちんと撒いてもらって、握って手を放したときに土石の形が崩れなければもう粉じんは飛ばないということはわかっています。安衛法の中では湿潤状態というのはそこに該当します。10mg/m3というのはよほど高い濃度だと思います。だから、松村先生のデータは乾式の削岩機で採っていますので、高濃度になっていますが、噴霧した状態であれば、粉じんは普通はそんなには飛ばないと思います。
○森座長 一つお聞きしたいことがあるのですが、もともとこの報告書というのは、ガイドラインと法規制の両方をカバーしていて、最終的に行政の判断で、どこまでを義務規定にするかを考えられるという流れですね。
 金子委員のお話とも関係するのですが、今のお話は作業全体にかかる規制とするか、一定のレベル以上の場合のみ義務にしてそれ以外については、少し緩和的な話のガイドラインにするのかということですが、後者であればうまく対応できるように思ったのですが。○安井中央労働衛生専門官 保守的に考えますと、低い線量の地域でも、10万、20万Bq/kgぐらいの高濃度の土壌はあるのです。それを経口摂取したり、吸い込めば駄目だという話はあるはあるのです。
 おっしゃるように、まず経口摂取については、手袋を取るなりして手を洗うと。そしてサーベイすれば大丈夫でしょうから、あとは粉じんだけになってくるのですが、そうなると、まさに扱う土壌あるいは腐葉土でもいいのですが、腐葉土の濃度と粉じん濃度というものが、どうしても科学的には1つの基準になってきて、緩和をするとなると、そういったものを測った上で緩和するということになってしまうのです。ですから、いま考えましたのは、名古屋先生がおっしゃったように、湿潤状態であればよしとするとか、それはあるかもしれません。
○金子委員 例えば「湿潤な場合には」という言葉を入れていただけると、よいと思います。
○森座長 それは検討事項ですね。ほかにいかがでしょうか。
○小林委員 粉じんについては、17、18日に、土をできるだけ乾かした状態で測定を行うため移動屋根を有する圃場でで表土除去作業時を行いました。その結果総粉じんは土のう詰めで16.7 mg/m3、砕土作業で18.8mg/m3を記録ました。しかし、隣接する普通の水分状態の圃場では、同じ作業で0.1から0.8mg/m3という値で、これまで私たちが測定したデータと同様な数値となっていました。mg/m3ということで、極端な乾燥条件では、10mg/m3を超える高濃度の状態になることもありますが、通常の水分では10mg/m3を大きく下回ると思われます。
 名古屋先生がおっしゃったように、発じん量が16、18 mg/m3ということになると、畑の場合であれば一面が、黄色くなるような状態です。それに対して通常の水分では、ほこりがほとんど見えないような状態になっています。
 それから、1点粉じんのことで言うと、デジタル粉じん計LD-5と平行してオープンフェイスのホルダーを用い秒速19cmで吸ってみました。そうすると、まだ測定点数は少ないのですが、両者の値がなかなかパラレルになるというわけにはいきませんでした。室内や、炭鉱などの閉鎖された所と違いまして、オープンスペースでの作業となり風の影響などを受け、なかなかそこのところが一致しません。
○大迫委員 16頁の「除去土壌等の一時保管」のところの記述の「汚染拡大防止」の(3)についてです。細かいことになるかと思いますが、この一時的な保管というのは、現場で除染したあとに保管するという場合と、それを集めてきて、コミュニティ単位で保管するケースの2ケースぐらいがあると思います。ここに囲いの記載があって、囲いというのは、少し大きめの置場なら敷地境界なのか、むしろそこの中に積んである所で、ある程度作業を考えながら、例えば2.5μSv/hを超えるようなエリアとして、管理をできるだけ効率的にやるという意味で、少し囲いを限定して考えていけばいいのか。この事務局側で書いた部分の意味合いを教えていただきたいと思います。この辺は環境省令というか、環境省令に基づくガイドラインかもしれませんが、モニタリングとも関係するところもありますので、そこを説明していただいた上で、環境省といろいろと協議していただければと思います。
○安井中央労働衛生専門官 この部分については、いわゆる環境省がいっている現場保管と仮置きの両方に適用できるものとして考えていまして、特に柵と申しましても、ちゃんとした鉄製の柵を設けるといった話ではなくて、極端な話、カラーコーンか何かで、立ち入り禁止であることを明示すればいいという解釈でやろうとはしております。逆にいうと、全周を囲ったりするとか、そこまで厳しく義務づける必要はないのかなと。要するに、我々は立入禁止措置という措置でやろうとしておりますので、人間が立ち入りそうな所にカラーコーンあるいはトラロープか何かで、明確にわかるようにすればいいのかなというのが、いまの我々の解釈です。
○森座長 残り30分になりましたので、次に進みたいと思います。最後に、第5の「労働者教育の内容」、第6の「健康管理のための措置」、第7の「安全衛生管理体制等」について、事務局からご説明をお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 17頁の第5の「労働者教育」です。これについては、前回ご説明をいたしまして、1については作業指揮者、ある程度のレベルのある方、第2が労働者に対する特別な教育ということで、これについては3つに分けます。まずは除染の方、除去土壌の収集、運搬、処分の方、廃棄物の処理ということで、3つに大きく分けてやればいいと。ですから、自分の作業だけが取りあえずわかっていればいいという形で小分けにしたいと考えているところです。
 それから、次に18頁の3番。18頁は第4の16頁からの続きになっていることが判明いたしました。
○森座長 そうしましたら、第4の続きから先にいきましょう。
○安井中央労働衛生専門官 大変申し訳ございません。論点としましては、3の「身体汚染、内部汚染の防止」ということで、(1)「マスク」、(2)「服装」となっています。まずマスクについて、35頁の別添9をご覧ください。これについては、マスクについても粉じん濃度と土壌の組合せに応じた防じんマスクの防護係数は必要だと考えておりまして、一定のレベル分けは必要だろうという考えです。その中で内部被ばくで1mSv/年を超えないような、十分に下回るような防護係数を決定していきたいということです。
 高濃度粉じん、10mg/m3かつ高濃度土壌50万Bq/kgの状態にあっては、漏れを考えても、実質的に防護係数10程度を期待できる、捕集効率95%以上の粉じんマスクがあれば十分だと。それ以外の状況については、捕集効率80%以上、防護係数でラフに申しますと3程度のもので、1mSv/年というのは、十分に確保できるということです。ただ、こういったことについては、当然適切な装着が前提ですので、防じんマスクの装着に関する教育は必要不可欠であるということです。
 この表の右下ですが、土壌の濃度も低く、なおかつ粉じんも低いという場合、言ってみれば普通の庭先で除染をされている状況においては、非常に保守的といって恐縮ですが、安全性に余裕をもって計算しましても、内部被ばくは0.153mSv/年と極めて低い数字が出てきます。これはもちろん週40時間52週をずっと続けた場合ですので、実態論としては、この1桁、2桁は下になるわけですが、基本的には放射線被ばくの観点からは要らないと。ただし、土壌等を扱う場合については、実はほかの粉じんに関する、いわゆるじん肺を防止するための規則が我々にはございますので、じん肺予防の観点から、もちろん必要なものはしていただくということになります。ですので、例えば有機物というか、鉱物性粉じんでないものについては、基本的にはじん肺にはほぼならないというのは知見としてありますので、そういったもののみ扱う方というのは、基本的にサージカルマスクでいいのではないかというものを考えております。また、仮に土壌を若干扱うにしても、それほどもうもうたる粉じんがない限りは、基本的に吸い込むということは考えられないわけで、先ほど散水のこともございましたが、噴霧をしていただいた上で作業をするものについては、防じんマスクは要らないのではないかという考えです。
 次が別添10で、保護衣の選択基準です。これについても、一定のレベル分けは当然必要であろうという考え方です。まず、高濃度土壌50万Bq/kgを取り扱う場合は、汚染拡大を防止するために、まずゴム手袋が要るのではないかということです。それから、高濃度粉じん作業かつ高濃度土壌作業を行う場合には、かなり高濃度のものがもうもうと舞うという形になりますので、通常の服であると下着の中等々に入ってくるということです。こういうときには全身化学防護服、一般的にタイベックと言われていますが、密閉型タイベックスーツというものを着ていただく必要があるのではないかということです。それから、除染作業は水をかなり使いますので、普通の靴であれば中に浸透してくるわけですので、ゴム長靴は常に必要だという観点で、その観点からみると、こういった区分になります。高濃度粉じんであって、高濃度土壌の場合には、タイベックスーツの上にゴム手袋、高濃度土壌でも粉じんが低いものについては、タイベックまでは要らないのではないか。高濃度土壌以外のものについては高濃度粉じんであっても、特にそれで身体汚染が発生するということはないので、タイベックスーツなどは要らないのではないか。このような区分で現在は考えております。これが積残しの部分です。
 次は19頁です。(5)だけを入れておりまして、「除染等の作業の発注者は、教育を受けた作業指揮者及び労働者が業務の遂行上十分な人数雇用されていることを確認した上で発注を行うことが望ましい」ということで、これは発注要件というか、仕様書あるいは何らかの入札に係る条件というところで、こういったものを入れていただけないかということを環境省、もしくは原子力災害対策本部、発注側にお願いしているところでして、これは現在協議を行っているところです。
 続いて第6の「健康管理の措置」です。これは前回杉浦委員がご欠席であったということを踏まえまして、実は議論が進んでおりませんで、今回である程度方向性を出していただきたいところで、(1)(2)があります。(1)については、現状の電離放射線健診を雇入時、あるいはその後6カ月以内に定期に行うという、現状の電離則並びの規定で、(2)も電離則並びの規定ですが、5mSv/年を超えない場合は、基本的に問診以外はやらないというものです。
 (3)は、いま折衷案的に両方とも書いてしまっているのですが、電離則による省略を行う場合は、一般健診を年2回やるというような記載になっていまして、実際に(2)(3)を両立するのは必ずしも適切ではないと思うのですが、そういった状況になっております。これはどちらかと言えば、(1)(2)オンリーにするか、(3)だけにするか、どちらかの割切りしかないというのが実情ですので、そういった観点でどうするのかということをご議論いただきたいと思います。
 あと健康診断につきましては、ICRPの2007年勧告を取り入れるときに、電離則も含めて十分な検討が必要だとは思っておりますが、現時点で先食いするように、特別に新たな医学的な検討を行う時間というのは、正直ないということですので、いまできることとしては、電離則に並べるか、全く落とすしかないのですが、全く落とすのはかなり難しい状況にあるということです。
 21頁の「安全衛生管理体制」てす。これについては、新たな規則に特段規定する事項はないとは思うのですが、現状の労働安全衛生法第3章で様々な規定がありますので、これをガイドライン上は明確に記載して、除染作業を行う方の安全管理をきちんとできるようにしたい。また、重層下請けですが、これは環境省から話を伺ったところによると、再委託まで、つまり1次下請けまでしか認めないというご説明でして、だいぶ安心したところですが、さはさりながら、やはり元方にきちんとやっていただく必要はありますので、これは法律による義務ではないわけで、ガイドライン上何らかの元方の責任について記載したいと。あとリスクアセスメントの実施等、自主的な活動についても、ガイドライン上謳いたいと考えております。説明は以上です。
○森座長 おそらく19頁のいちばん上はアが抜けているので、これにはおそらくほかの項目と同じで、「電離放射線の生態に与える影響及び被ばく線量管理の方法に関する知識」というのが入るのですね。その上で、先に18頁にある「身体・内部汚染の防止」ということで、マトリックスを作って、必要な保護具に関しての分類をしている部分について、議論をして、その上で残りの内容にいきたいと思います。いかがでしょうか。
○金子委員 長靴を付けるということで、先ほどの説明で除染作業自体は散水されるのが基本であるという旨の説明が書いてありましたが、森林の場合は、通常は湿潤なので、散水しません。それから、実際の作業に当たる人は長靴はあまり履かずに、地下足袋というものを履いておりまして、この辺は表現を工夫していただければありがたいと思います。
○森座長 地下足袋のほうが水の浸透性があるのですか。
○金子委員 浸透性は然程ないですが、底はゴムなので。ただ上のほうは布製になっております。
○安井中央労働衛生専門官 普通の現場で地下足袋は認めていないと思うのですが、浸透性があるかどうかとか、あろうかと思います。その方が靴を脱いたあとのサーベイで引っ掛かってしまう可能性が出てくるのではないか。そのときに一生懸命洗ったり、そういう作業が発生する可能性があるのではないかという懸念があります。
○古田委員 水の付いている所を歩いたり、そういうときのために長靴を履くのであって、湿っているような所を歩くのであれば、歩くところだけ防水処置がされていればいいと思うのです。水が浸みて中に入ってきて、汚染が広がることを防止したいのですよね。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。
○古田委員 それができていれば、地下足袋でもいいような気はします。
○安井中央労働衛生専門官 雨が降ったり、水溜りとか、いろいろ考えられるので。
○松村委員 私は靴については、泥がいちばん付くところですので、履いているときに浸みてくるということももちろんですが、除染について、長靴だと水でサッと流せばほとんど泥が取れてしまいますが、そうではない靴だと、放射能のある泥が付いたまま保管されて、家に持って帰られるかもしれないと心配なのです。
○金子委員 履いたものは持ち帰らずに、車までにするとかして、ほかの道具もそうだと思うのですが、撤底して管理していただければと。実際に土を触るのは靴だけではないですから、この部分だけあまり強調しなくてもよろしいのかなと思います。
○森座長 性能要件に近いような感じで、こういう状態の長靴ならよいと記述してはどうかということですね。
○金子委員 そうしていただけたらよいです。
○安井中央労働衛生専門官 もちろんガイドラインですので、長靴でなければならないということではないと、もちろん定性的に書こうとは思いますが、先ほど松村先生がおっしゃいましたように、除染のしやすさということを考えないと、使い捨てみたいなことにもなりかねないということがあります。
 私は別の分野で、造園業の方に安全靴を履いていただこうとして、大変苦労した経験がございますが、いまはほとんどの方が履かれているという実態がありますので、考え方を若干変えていただくというのもあるのかなとも思いますが、そこはまた検討させていただきたいと思います。
○森座長 ほかにはいかがでしょうか。
○古田委員 18頁と36頁に同じ表が出ているのですが、高濃度粉じんで高濃度土壌を扱うところで、長袖の衣服とタイベックスーツ、これは長袖の服を着た上にタイベックスーツを着るということだと思うのですが、18頁には長袖の衣服が抜けています。
 あと、これはどちらでもいいと読めてしまわないか心配です。長袖の衣服の上にタイベックスーツを着てくださいという趣旨ですよね。
○安井中央労働衛生専門官 そういう趣旨ですので、間違いのないように書かせていただきます。
○松村委員 石綿作業についても、防護服をどのように着るか、それをどのように管理するかという問題があったのですが、長袖の上にタイベックスーツを着るというのは、相当蒸れるというか、季節にもよりますが、大変なことなのです。タイベックスーツは一般に密閉服と言われるのですが、粒子が全然中に入らないわけではなくて、口元、袖口、いろいろなところから体の動きにつれて空気が出入りします。そうすると、長袖の下着が汚れないかというと、全く汚れないことでもないのです。もちろん汚れは低減されますが。
 ですから、タイベックスーツを使い捨てにするということを考えれば、下着は気候によって、長袖を着ていても着ていなくても、被ばくの状態はそんなに変わらないのではないかという気がします。アメリカの人に聞いたら、夏にタイベックスーツを着た下は紙のアンダーウェアを着ていて、そのまま全部捨ててしまうということでした。
○古田委員 我々の通常の現場での作業では、長袖のつなぎ服を着て、その上にタイベックスーツを着ます。タイベックスーツは紙ですので破れることもありますから、そのすぐ下が肌だとまずいということで、長袖のそういった作業服は着るようにしています。
○松村委員 その長袖の服は、除染をして、繰り返し使っていられるのですよね。
○古田委員 うちの管理区域専用の作業服ですので、洗濯をして使います。
○松村委員 長袖の衣服を普通の作業者が下に着ると、その管理は家庭で洗濯することになるのかなという気がするのです。その辺はなかなかクリアにしにくいところだと思います。
○古田委員 完全に付かないようにするのは難しいと思うのですが、ほかのところでは長袖の衣服で認めていますので、高濃度の粉じん作業では、高いものが付かないように、きちんと手当したということがポイントだと思うのです。
○名古屋委員 タイベックスーツの場合は、確かに試験でやると少しは漏れるのですが、それは通風を入れて漏れているので、普通作業をしているときは10%漏れるわけではないですから、大丈夫ではないですか。
○松村委員 中の濃度を測ると、相当漏れているのです。
○名古屋委員 それはタイベックではなくて、中国製のタイベックではないですか。
○松村委員 そんなことはないです。
○名古屋委員 アスベストのときにその議論は終わっていて、たぶん大丈夫だと思っています。
○森座長 いずれにしても、もう少しわかりやすくなるようにお願いしたいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 汚染検査はしますので、最終的にはタイベックを脱いだあとでサーベイをして、そこで引っ掛かれば、その服はその場で洗うなり何なりしないと持ち出せなくなりますから、その過程で汚染限度を超えるようなものを家庭に持って帰ることは基本的にないことは担保したいと考えております。
 また、東電福島第一原発でも、聞いたところですと、暑いときでも長袖を着ているようですので、それはまさに古田先生のおっしゃるように、物理的に引っ掛けて破れる可能性があるということですので、そこはできるだけ同じようにしたいと考えております。
○森座長 それでは、残りの5、6、7について、いかがでしょうか。
○小林委員 1つ前の話題かもしれないのですが、除染をするときに、粉じんを防ぐ意味でマスクの着用があり具体的な選択法が示されています。一方、使用する機械のほうでも、例えばトラクターにキャビンを付けるというのも現場での対策としてあります。そのような除染作業に使用する機械については作業マニュアルで規定して、例えば「作業はキャビン付きのもので行うこと」ということを記すのであって、こちらでは使う機械についてまでは、特に記述しないのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね。現時点でハードウェアの規制をできるほどの知見はございませんので、そこは規則の中でもガイドラインの中でも、こういう車両を使いなさいということを書くのは難しいと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○松村委員 5の教育のところに、いま書かれている中に入っているかわからないのですが、例えば(2)の「作業の方法の決定及び労働者の配置」に、使用する装備品の種類と取扱いも入ってきてもいいのかなという気がいたします。
 それから、2の「労働者に対する特別の教育」の中に、ウに「除染等の作業で使用する装置、機器」があるのですが、「及び装備品」というようなことで、防護関係のマスク、衣服の関係のことも入れていただけたらいいかなと思います。
○森座長 おそらく保護具関係についても含まれているつもりなのでしょうが、今の書き方では入っているかどうかわかりにくいということですね。
○松村委員 そうです。
○安井中央労働衛生専門官 条文上のいろいろな読み方もございますので、その辺は読めるように検討させていただきます。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○杉浦委員 先ほどの説明のときに、私が前回欠席でということであったので、第6の健康管理のところですが、(1)(2)は、私がお願いしたようなことが含まれていて、この程度で現状の2007年勧告の取入状況の審理から考えて、これで妥当ではないかと思います。
 (3)で、これが並列してというようなご説明があったのですが、放射線の特別健康診断を省略してよいという根っこには、一般健康診断を行うということですので、これは省略をする場合には健康診断を実施するということは、当然だろうと思います。ただ、事業としてやられるときに、この健康診断をここにわざわざ書かなくてもやることになっているのではないかという疑問も、一方であるので、ここにわざわざ書く必要がありますかということで、(1)(2)(3)の実態として動くのは、それでそうかなと思うところです。
○森座長 いまのところで、書くか書かないかで、6カ月に1回か、1年に1回かが変わるということのようなことな
のです。
○杉浦委員 いわゆる有害業務に就くときにということで、6カ月に1回というのがありませんでしたか。
○安井中央労働衛生専門官 有害業務は、基本的に有害ではあるのですが、特殊健康診断を義務づけるまででもないという、中間的なもので、例えば高温遮熱などをやっていますので、年2回やりつつ特殊健診というのは、法律上のカテゴリーにはないのです。そういう状態になっていますので、これはどちらか選択ということにはなろうかと思います。
○森座長 少し心配しているのは、(1)(2)(3)が全部あると、「(2)による省略を行う場合はもう1回健康診断が必要」となります。そうすると、5mSv/年以下の人たちがどちらを行うかという選択になりますが、事業者の立場からするとどちらがコストがかかるかで決めることになるのではないかと思います。そうなると(2)での血液検査の方が(3)よりもコストがかからないとすると、結果的に5mSv/年未満の人も、高線量被ばくを前提とした検査である白血球数、赤血球数等の検査を積極的にしてきましょうということなってしまいます。本来あるべき方向と逆になる心配があるので、むしろ(3)を抜いてしまって、年に1回は確実に一般健康診断をやることでカバーすることがいいのではないでしょうか。5mSv/年以上の人に関しては、通常の電離則の健診をやりなさい、それ未満の方については血液検査を省略して、確認をやりなさいというのが、いちばん素直な方法かなと思ったのですが、どうですか。そういうことでよろしいですか。
○安井中央労働衛生専門官 そのようにさせていただきます。
○杉浦委員 別件なのですが、ここの本来の議論とは外れるのかもしれませんが、17頁の「作業指揮者に対する教育」の4に「病院の搬送等の方法」という項目があります。私の本来業務である緊急被ばく医療のことで、これは除染作業の一般労働事故を意図しているのか、そこで作業をしているのだから汚染しているだろうという、汚染傷病者扱いの緊急被ばく医療を念頭に置かれているのか。もし緊急被ばく医療のほうだとすると、山の中からそういう方が発生して、患者の搬送をするという体制は、いま全く考えておりませんので、そういう体制であるとすれば、私どものほうでまた検討もしなければいけないので、これはどういう位置づけでしょうか。ここで書くことと、いまの検討とは関係ないのですが、教えていただければと思います。
○安井中央労働衛生専門官 我々の意図は、おっしゃるように後者のほうでございまして、通常の怪我をした場合の搬送ということです。ただ、通常の怪我と申しましても、例えば何かをしているときに車両牽引機に轢かれたりすることもあり得るわけです。そうすると、外傷部は汚染されている状態が想定されます。そういったときに、どうやってどこに運ぶのかというところが受入病院も含めて、非常に問題になってくるのかという懸念がございまして、これは放射線審議会でご説明したときに、検討すべきだというご指摘があったこともあり入れています。是非この点につきましても、杉浦先生のご知見をいただければと思います。
○杉浦委員 怪我の方を出すときに、その人をサーベイしたかどうかとか、いま原発でまさしく起こっているような流れの問題も、医療機関が受け入れる受け入れないというのに出てくるので、ここは丁寧に記述しないといけないと思います。
○安井中央労働衛生専門官 原発よりも泥にまみれる可能性がありまして、汚染という意味では、より重度になる可能性はあるかと思います。
○杉浦委員 具体の内容につきましては、また別途本来業務のほうで検討させていただきます。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。皆さんの発言はすべて拾わせていただいたつもりですので、これで現時点では議論が出尽くしたということにさせていただきたいと思います。今後、本日の議論に基づいて報告書を修正した上で、その後どのようになるかも含めて、今後の流れについて、事務局にご説明いただきたいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 現時点で考えておりますのは、報告書はできれば今回で最後にさせていただきまして、若干の修正がありましたのと、まさに古田先生にご指摘いただきましたように、技術的にもっと検討すべきという点もございますので、修正については座長一任ということにさせていただきたいと思います。ただ、実態論としては、電子メール等で改定分はご覧いただきたいと思います。
 ただ、今後につきましては、いろいろなデータを収集しまして、例えばガイドラインを今後作っていく作業がありますし、教育のテキストを作る作業もありますので、この検討会がこれで終わるということではなくて、また12月の然るべき時期にお集まりいただいて、例えばガイドラインの内容についてチェックしていただくとか、テキストの内容をチェックしていただくという形で、引き続き検討をお願いできないかなと思っているところです。
○森座長 報告書については1度事務局で修正いただいて、その後1度皆さんに確認していただき、いただいたご意見をどのように反映するかについては、座長に一任させていただくと。それ以外について、さらにガイドラインや教育のテキストなど、具体的なものに進んでいく中で、もう一度またお集まりいただくということで、進めていくということですが、皆さん、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○森座長 ご了解いただきましたので、今後、そのような流れで是非円滑に進めていければと思っております。最後に安全衛生部長からご挨拶をいただきます。
○宮野安全衛生部長 一区切りということで、一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。この検討会、去る10月21日に第1回を開きまして、ちょうど1カ月で4回の会合を開いております。今日いただいたご意見も含めて、報告書のほうは取りまとめさせていただきたいと考えておりますが、いずれにしても非常なハードスケジュールの中、委員の先生方には精力的にご議論いただきましたことについて、改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。
 いよいよ20km圏内での除染のモデル事業も始まりまして、この除染従事労働者の放射線の防護策というのは、喫緊の課題になっております。本日いただいたご意見も含めて、まとめさせていただく報告書を基にして、厚生労働省といたしましても、新たな規則の制定あるいはガイドラインの策定作業に入りまして、1月1日に施行したいと考えております。
 また、いま安井のほうからもありましたとおり、最初にこの検討会を開催しましたときには、報告書の作成までお願いをしたいと考えておりましたが、しかしながら、ご議論いただく中で、ガイドラインに記載する具体的、技術的な事項、あるいは事業者あるいは労働者のための教育テキストの内容等、先生方から引き続きご意見をいただかなければならない事項は、まだまだ山積をしております。
 そのため、この点については方向転換させていただきまして、引き続きガイドライン、テキストの内容についても、先生方のご助言を是非いただきたいと考えておりますので、引き続きご協力をよろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、とりあえず報告書としては、一区切りがついたということで、委員の先生方のこれまでのご協力に御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○毛利調査官 最後になりましたが、森先生にはこれまで4回にわたりまして、座長として見事におまとめいただきまして、厚く御礼を申し上げる次第です。以上をもちまして、第4回の専門家検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第4回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

ページの先頭へ戻る