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2011年11月22日 第46回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成23年11月22日(火) 13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第18会議室(合同庁舎5号館 17階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○議事

○大橋部会長 ただいまから、第46回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。本日の欠席委員は、公益代表の森戸委員、労働者代表の山下委員、使用者委員の安田委員ですが、代理として株式会社高島屋人事部の中川様にご出席いただいております。本日、公益委員の猪熊委員は少し遅れられるということです。橋本委員、縄倉委員も少し遅れて来られるということです。
 議事に入ります。本日は、まず議題1にあるとおり、「高齢者雇用対策について」、ご議論をいただきたいと思います。そのあと、議題2の「指定法人の見直しについて」、ご議論をいただきたいと思います。
 それでは、「高齢者雇用対策について」、ご議論をいただきたいと思います。前回までの部会では、今後の高齢者雇用対策のうち、「希望者全員の65歳までの雇用確保について」ご議論をいただきました。本日は、前回までのご意見を踏まえつつ、再度、「希望者全員の65歳までの雇用確保について」ご議論いただき、そのあと生涯現役社会の実現に向けた環境の整備についてご議論いただければと思います。まずは、事務局からご説明をお願いいたします。
○野田高齢者雇用対策調査官 資料1について説明させていただきます。資料1「これまでの議論の整理」は、「希望者全員の65歳までの雇用確保について」と「生涯現役社会の実現に向けた環境の整備」に分けて、いままでご議論いただいた内容をまとめたものです。まず、「希望者全員の65歳までの雇用確保について」です。「希望者全員の65歳までの雇用確保について」は、前回に同様の資料を出しており、それに新たに意見を加えたものですので、新たに加えたところを中心に説明させていただきます。
 (1)「背景と現状」の説明は省略いたします。(2)「論点」ですが、「希望者全員が65歳まで働くことができるようにするための2013年度に向けた実現可能な措置について」の、1頁に出ているマル1とマル2は前回の資料にもお出ししたものです。2頁のマル3マル4マル5を付け加えました。「マル3現在の厳しい雇用環境下では、高年齢者雇用を増やせば、新卒者や若年者の雇用を減らすというのが自然な企業行動ではないか」という意見です。マル4は、それに対して「若年者と高齢者では労働力の質が異なるのではないか。逆に、高齢者雇用のプラス面にもっと目を向けるべきではないか」というご意見です。「マル5労使、行政それぞれが、高齢化や公的年金の支給開始年齢の引上げへの対応について努力すべきではないか。(使用者側は希望者全員の65歳までの雇用確保、労働者側は行政法規として制度導入義務を定めた現行法への理解、行政側は継続雇用制度の運用解釈、ということについてそれぞれ努力)」すべきではないかというご意見です。
 次の「法定定年年齢の65歳までの引上げについて」の意見ですが、マル1とマル2は前回もお出ししたものです。「マル3諸外国の制度に照らしても、法定定年年齢は公的年金支給開始年齢と合わせて引き上げるのが自然ではないか」という意見を付け加えました。
 次の「希望者全員の継続雇用の確保について」は、マル1は前回と同じです。マル2の後段、「スキル維持や健康確保といった労使間の共通の目標として活用されている面もあるのではないか」を加えました。「マル3基準については、労使協定で定めることになっているが、労働者の過半数代表と結ぶ場合もあるので、基準が必ずしも労使自治を担保するものではないのではないか」というご意見を今回加えました。マル4は前回と同じです。マル5マル6マル7を今回加えております。「マル5少なくとも同じ企業グループ内における雇用確保措置でないと、使用者としての責任を果たしているとは言えないのではないか」というご意見です。マル6は、労務提供できなくても希望すれば継続雇用の対象となるのか。不要不急の仕事を作ることになり、事業の正常な運営を妨げるのではないかというご意見です。「マル7定年到達時に労務提供できなければ、再雇用にならないというのは疑問。継続雇用時も在職中の解雇権濫用法理と同じように考えるべきではないか」というご意見です。
 「雇用確保措置が全ての企業で実施されるようにするための雇用確保措置の実効性の確保について」の、マル1は前回お出しした資料と同じものです。マル2マル3を加えました。「マル2雇用確保措置を講じていない場合は義務違反なので、企業名公表はありうると思うが、法律上、制度を導入する義務にとどまっているのに、私法上の効力を持たせることは、均衡を失するのではないか」というご意見です。「マル3私法上の効果を付与すると、制度導入義務を規定する高齢法の性格そのものを変えることにならないか」というご意見です。
 続きまして、2の「生涯現役社会の実現に向けた環境の整備」についてです。(1)「背景と現状」の説明は省略いたします。(2)「論点」の「生涯現役社会の実現のための環境整備について」です。「主な意見」として、「マル1高齢者の職業能力開発や健康管理の推進を行って高齢者の技能等を生かしていくとともに、若年者に伝承していくことが必要ではないか」というご意見です。「マル2企業が高齢者の職業能力開発は投資した分を回収できないのではないか。また、健康管理は本人の意識と取組が重要なのではないか」というご意見です。「マル3就業ニーズは多様になるが、キャリアコンサルティングの充実など公的バックアップとともに、企業も労働者が年齢にかかわりなく働けるよう、環境整備等に取り組むべきではないか」というご意見です。「マル4年齢が上がるにつれ就業ニーズは多様になるので、法律で一律に労働者が年齢にかかわりなく働けるような環境整備等の取組を位置づけるのではなく、個別企業での取組を支援すべきではないか」というご意見です。
 次の「事業主による再就職促進のための取組について」です。ここでいただいた主な意見は、「マル1高齢法では再就職援助措置が努力義務となっているが、義務化するなどの取組の強化が必要ではないか」というご意見です。「マル2再就職援助措置は多様でありコストを伴うので、一律の義務づけではなく、労使協議の中で雇用確保を図っていくべきではないか」というご意見です。
 次の「多様な雇用・就業機会の確保について」です。「主な意見」のマル1とマル2は再掲で、既に説明した部分ですので、省略します。「マル3多様な雇用・就業機会の確保はシルバー人材センターによるものだけではないのではないか」というご意見です。簡単ではありますが、資料1の説明は以上です。
○大橋部会長 事務局からのご説明にもありましたが、本日はまず「希望者全員の65歳までの雇用確保について」ご議論いただきたいと思います。ご意見・ご質問等があれば、ご発言ください。
○野村委員 「希望者全員の65歳までの雇用確保について」、意見を述べさせていただきます。今日は社会保障と税の一体改革等々で、消費税の引上げの時期、引上げの率、それと併せて公的年金の支給開始年齢の問題は、国民にとって最も関心のある、また生活に最もかかわる課題と受け止められていると思います。公的年金の支給開始年齢の引上げというのは、すべての人に適用されるものであり、また生活の安定、また維持のためには、この雇用と年金の接続は不可欠と認識しております。したがって、そのためには希望する者全員が65歳まで働き続けられるようにすることが必要であり、特に現行の3つの雇用確保措置の中の継続雇用制度について、労使協定による対象者の基準設定によるみなし措置については、高齢者の生活の維持・安定という観点からも廃止して、希望者全員を対象とする継続雇用にすべきだと考えております。以上です。
○市瀬委員 私のほうから再度申しますが、継続雇用制度については業種や職務内容によっては、高齢者の就業が著しく困難な職場があります。技術進歩が著しいIT産業では、新しい技術の習得が困難、職場での安全管理が重要な建設業、運輸業では、身体面での個人差が大きいなどといった声が上がっております。高齢者の雇用確保の取組は、業種や個々の企業実態に応じた形で対応できる、労使協定の枠組みが重要であると思います。継続雇用制度の基準の廃止といった一律的な規制強化には、私どもは反対いたします。高齢者のための新たな職域開発の企業負担の増大など、若年者の雇用に悪影響を生じる懸念もあります。これは先日、地方の商工会議所との監事会の会議の中でも強いご意見でありましたので、申し添えておきます。よろしくお願いいたします。
○縄倉委員 高年齢者の65歳までの希望者全員の雇用確保についての意見を述べさせていただきたいと思います。高年齢者雇用安定法は、現在、行政による指導の根拠法にとどまっているわけなのですが、その結果として高年齢者の雇用確保措置がいずれも講じられていない企業が4%あると、この部会の資料の中でも報告されております。しかし、この調査は31人規模以上の企業を対象としており、国内の全企業数の9割を超え、国内従業者数の約3割を占める29人以下の規模の企業について、どこまで雇用確保措置が講じられているのか調査も行われていないというのが実態です。
 高年齢者雇用安定法の行政による助言・指導・勧告だけでは実効性があるとは思えません。加えて、厚生労働省の研究会報告では、応じない企業の企業名を公表すべきというのも示されておりましたが、それは企業名の公表によって企業は社会的な制裁を受けたとしても、労働者個々人の救済にはつながらないと思いますので、労働側の意見としては、私法上の効果を規定する法整備も含めた労働者の救済が図られる措置を是非求めたいというところです。以上です。
○荻野委員 ただいまの労働者代表委員からのご発言について、いくつか意見を申し上げさせていただきたいと思います。最初に、野村委員から希望者全員ということで、基準制度、みなしを廃止すべきだというご意見がありまして、趣旨は大変よく理解するところです。ただ、翻って現状を見ますと、現行の規制においても、労働者の過半数代表者が合意しない場合においては、もう基準を設けることはできないという規制になっているかと思います。然るに、とりわけ組織率が高いと目されるような大規模企業を中心にして、まだ基準制度が存続している、あるいはその廃止を求める声が労働組合などから上がってきていないというケースが多々見られることを考えますと、先日も申し上げましたが、過半数代表者となると代表制の問題等もあろうかと思いますが、過半数労組との労働協約において、基準制度の存続を認めるというのは、実は実態にも合致しているのではないかと考えるところですので、これについていま少し議論をすべきところではないかと考えています。
 いま措置を講じていない企業に対する実効性の確保について、労働者代表委員からご意見がありましたが、これは先日も申し上げましたとおり、とりわけ定年後の再雇用という形をとっている企業においては、その制度が定年後の再雇用という制度の導入という措置も認められている中では、それが講じられないからといって、直ちに雇用関係にあるとするのは、やはり私的自治の原則を大幅に逸脱するものであって、かなり疑問ではないかと考えております。以上です。
○新谷委員 使用者側代表委員から、過半数代表を含めて大規模組合の話が出されて、そこから声が上がっていないという発言があったのですが、それはいかがなものかと思っております。私どもの組織は約700万人おりますが、その組織の中で、今回の高齢者雇用の枠組みについてどう考えるかということについて、職場での議論を踏まえ機関決定をした上で持ってきておりますので、いまの使用者側の意見は私どもの機関決定の仕組みがあたかも違うような発言に聞こえました。私どもとしては労働側の意見として、第9条第2項の廃止を求めるということで統一をしておりますので、そこは改めて申し上げておきたいと思っております。
 それと、いまお二方の使用者側委員から労使協定の話が出てきたのですが、過半数組合がある場合は過半数組合がその代表になるわけですが、過半数をとっている労働組合がない場合には、過半数代表者ということで、一定の手続の下にその代表者を決めることになると思うのです。例えば労働基準法の第36条の協定であるとか、第24条の賃金控除協定などという免罰効を与えられた協定について、労働基準法施行規則第6条の2で、手続が定められておりますので、その手続に従って過半数代表が選出されることになると思います。高齢法第9条第2項の過半数代表の選出手続について、いったいどのような運用になっているかというのを、改めて確認をさせていただきたいと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 お答えいたします。高齢法の労使協定にかかる手続については、平成12年に出されております指導の通達で示しております。関係の通達の留意事項としてお示しをして、各局のほうで指導するという形になっております。「労働者の過半数を代表する者とは、投票・挙手など、労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経て選任された者が該当すること」云々という形で、周知徹底を図っているところだということです。
○新谷委員 ここで言っている労使協定というのは、先ほど荻野委員も組織率の話をされていたと思いますが、確かに残念ながら、いま日本の労働組合の組織率は18.5%ということで、多くの職場で労働組合が組織されていない実態があります。これは私ども労働側としての運動が不足している部分も当然ありますが、実態は実態としてあるわけです。そのときに、この労使協定の協定当事者は、多くは過半数代表者、いま説明のあったような選出手続に従って選出された方がなっているはずなのですが、労働相談に来ている実態から申し上げますと、労基法の免罰効の協定ですら、誰が過半数代表であるかわからない。いまありましたように、誰を代表にするかを明らかにして、挙手または投票によって選出するという手続であるにもかかわらず、その手続はどうもうまく運用されていない可能性が強い。
 かつてJILPTが調査をしたときにも、この点がうまく運営されていないという実態にあり、いま使用者側委員がおっしゃっている労使協定という枠組みは、どうも法どおりの運営がされていない可能性があるというように私どもは懸念を持っております。そういった実態の中で、高齢法第9条第2項のように、免罰効をさらに超えて、ある一定の労働条件を形成するような権限を付与される。もちろんこれは私法上の効果はないと言われておりますが、この運営については非常に懸念を持っているということを申し上げておきたいと思います。
 もう1点、先ほどご発言があった再雇用については、事務局にお伺いしたいのですが、現行の高齢法の改正法が施行されたのは2006年4月だったと思います。その後、高齢者雇用をめぐって、私法上の争いがいくつか出ていると思います。改正された直後は、いくつか有名な裁判で高裁レベルまで行った事案があって、原告の労働者が負けた裁判例が多かったのです。最近は、どうも裁判の判決の流れが変わってきているように思いますし、また労働法学会の中でもそのような分析がされていると思います。
 事務局にお伺いしたいのは、定年60歳になったときの60歳以降の雇用の切替えの瞬間を、それは再雇用なのか継続雇用なのかをめぐる争いについての最近の裁判の動向について伺いたいのと、もう1つは多くの企業で60歳以降については有期雇用契約の場合が多く、1年契約で65歳までつないでいくというやり方がいちばん多いようです。有期になったときの契約更新拒絶に対する裁判の動向等々、この2つのフェーズでの裁判の実態がおわかりになれば教えていただきたいと思います。
○野田高齢者雇用対策調査官 事務局から説明させていただきます。まだ裁判の全部網羅で把握して、傾向とかいうものをここで申し上げるようなことはできないのですが、我々のほうでいま把握している判決について簡単に紹介させていただきます。まず、60歳定年後に継続雇用、再雇用になるかどうかという点についての判決で、1つ紹介させていただくのは東京大学出版会事件、平成22年8月26日、東京地裁の判決です。簡単に紹介させていただきますと、定年後の再雇用を希望した原告に対して、誠実義務及び職場規律に問題があり、再雇用者として通常勤務できる能力がないとして、再雇用を拒否した件について争った事案です。いろいろ事実関係を認定した上で、裁判所としては、再雇用を定めた基準の要件を満たす定年退職者が再雇用を希望したにもかかわらず、使用者が再雇用拒否の意思表示をした場合は、解雇権濫用法理の類推適用によって無効となるという判断を示された事案です。
 もう1つは津田電気計器事件です。こちらでは、継続雇用規定を社内で設けていて、使用者が継続雇用対象者の希望を確認した上で、再雇用の採否を決めて通知するとされていた事案です。これも裁判所がいろいろ事実関係を認定した上で、大阪高裁の平成23年3月25日の判決ですが、対象者の継続雇用希望の表明が継続雇用契約の申込みであって、査定の結果通知が不承諾・承諾に当たるとされた事例です。ここで言われていたのが裁判所は当該労働者が選定基準を満たす場合は、使用者には継続雇用を承諾する義務が課せられていると解すべきであると。そこで、これに反して使用者の方が不承諾とした場合には解雇権濫用法理を類推適用するのが適当という判断を示された事案です。他にもあるかもしれませんが、いま手元でご紹介するのはこの2つにしたいと思います。
 次の類型として、今度は定年で1回退職されて、再雇用制度の対象となった方のいわゆる雇止めの事案です。これも地裁レベルではありますが、我々のほうで調べて把握しましたので、簡単にご紹介したいと思います。1つが京都地裁の平成22年11月26日の判決です。これは会社で60歳の定年後64歳まで、1年ごとに雇用契約を更新するという就業規則を定めている場合に再雇用のとき雇止めをされた方の地位確認請求についての判断ですが、判決の中で原告、労働者は64歳に達するまで雇用が継続されるとの合理的期待があり、60歳定年まで期間の定めなく勤務してきたことを合わせ考えて、再雇用の実質は期間の定めのない雇用契約に類似するものとして、解雇権濫用法理の類推適用があるのが相当とした上で、原告の労働者の請求を認められたという事案です。
 次が福岡地裁で平成23年7月13日に出された事案です。これは組合と使用者で、特定の労働者について雇用期間を6カ月ごとの更新として、雇用継続は最大65歳の誕生日の前日までとする確認書を締結していた事案で、その間で1回、更新の実態があった、実績があったというものです。裁判所は、そういう実態と高年齢者雇用安定法の規定を合わせて考えて、少なくとも64歳に達するまで雇用が継続されるとの合理的期待があったというものができ、雇止めについて解雇権濫用法理が類推適用されると解されるという判断をして、当該雇止めに合理的な理由はあると認めなかった労働者の請求を認めた事案です。簡単ですが、以上です。
○中川代理(安田委員代理) 第9条の解釈について、いま一度確認をさせていただきたいと思います。この法律自体、私どもの理解としては企業に定年の定めがある者に対して、65歳までの雇用確保の措置を講ずることを義務づけているというものだと理解をしておりますので、個別の労働条件については、これはまた別のものであると認識をしています。ですので、継続雇用制度の中で、定年後、引き続いて雇用するといったことを除くと、先ほど新谷委員からもありましたとおり、有期契約で新たな雇用を結んでいるというケースが多いといった実態があります。そのときに、賃金、仕事の内容について、一切の労働条件面については労使双方の合意の中で決めているということが、まず前提だろうということで理解をしています。
 ということを踏まえますと、60歳以前の有期契約をしている労働者と取扱いは違ってはいけないだろうといったところがありますが、1つこれがその理解で正しいのかというところは確認したいと思います。そういった意味でも、弊社のような有期契約を多く使用している所については、60歳以降の雇用と60歳以前の有期契約の所に差があるということは、これはあまり適切ではないと考えておりますので、確認させていただきたいと思います。以上です。
○辻田高齢者雇用対策課長 60歳以前で有期で働いている方と、定年退職後、有期で再雇用される方の均衡の問題という話になるかもしれませんが、基本的には先ほど冒頭、委員がおっしゃいましたように、高年齢者雇用安定法においては、継続雇用の制度を各企業の方に導入していただくと、そういう義務を掛けているという制度です。その労働契約の中身等については、一般ルールといいますか、契約の原則の中で対応していただくということですから、それは各企業、労使の合意といった中で処理をしていただく問題ではないかと思います。
○鎌田委員 いま裁判例をご紹介いただき、それから使用者側の代表委員から、第9条の義務と個別の権利義務関係を分けて考えるべきではないかということから、ご質問があったと思います。判例についてはご紹介いただいたとおりですが、私の観点から、もう少し判例の解釈の仕方について意見を述べたいと思います。先ほどご紹介いただきましたように、最近になりまして東大出版会事件、これは地裁判決です。津田電気計器事件、これは1審と控訴審の2つの判決です。先ほど紹介いただきませんでしたが、日本ニューホランド事件、これは損害賠償事件なのですが、再雇用拒否をしたことを理由として、損害賠償請求したという事件です。これも1審と2審があります。それから、最近は日通岐阜運輸事件という岐阜地裁、平成23年7月14日の判決などがあります。
 おおむね次のようなことが論点となっているわけですが、第1に第9条第1項に定める継続雇用制度を義務づけておりますが、これがそのまま当事者間の権利義務関係、私法的な関係を規律するかどうかという点については、ほぼ裁判所で認めていない。つまり、私法的な効力はないというのが1つの流れではないかと思っております。
 ところが、問題はそれを受けて就業規則を定めているわけです。そこからなのですが、もちろん行政上の義務を受けて就業規則に定めているわけですが、それは先ほど来ご議論があるように、労使協定などで定めた基準を踏まえた、基準を含んだ就業規則を定めていることになるわけです。そうした場合に問題となるのは、事業主が基準に従って承諾を拒否した場合に、労働者の側が基準には合致しているはずなので、その不承諾は無効であるという裁判を行ったときに、いま言いましたようないくつかの裁判が起こされているということです。
 いま申しました津田電気計器事件、東大出版会事件、日本ニューホランド事件について、日本ニューホランド事件は損害賠償ですが、1つの傾向が読み取れると思っております。それは先ほど事務局からご説明いただいたことでもあるのですが、津田電気計器事件、高裁判決を例に挙げて言いますと、まず承諾するかしないかというのは、基本的に事業主の裁量、採否を決定するのは事業主の権限であるという考え方が、使用者側からは裁判の中で主張されているわけです。これに対して裁判所は、現行の継続雇用制度の下で行政上の義務が課せられて、それに基づいて就業規則で定めた継続雇用制度の下では、事業主は再雇用の採否を自由に決定できるわけではない、一定の制約があるのだという考え方を示しています。先ほどの事務局の紹介では承諾義務があるという表現をしておりましたが、希望者が継続雇用制度の選定基準を満たしていると裁判所で判断できる場合には、それはたとえ事業主が不採用・不承諾の通知をしても、解雇権濫用の法理の類推適用によって継続雇用契約が成立したという判断をしております。これは津田電気計器事件と東大出版会事件がそのような判断をしております。津田電気計器事件の1審は、ちょっとまた違った判断をしているのですが、結論は同じです。
 ということで、もう1つ、今度は再雇用契約の成立を否定した事件が日通岐阜運輸事件ですが、これは何で否定しているかと言いますと、再雇用契約に再雇用後の賃金や職務内容などの勤務条件が定まっていない、明確に就業規則で定めていなかった事案です。そうした場合については、再雇用の成立が否定されるという判断です。ですので、就業規則の解釈ですが、行政上の義務づけが行われて、それに基づいて就業規則を定めている場合には、事業主の再雇用の採否については、一定の制約を受けるということと、それについては解雇権濫用の法理の類推適用で行われます。もう1つは、再雇用後の契約内容がどのように決まるのかということが大きな論点になっているかと思います。
○新谷委員 最初に、使用者側の市瀬委員から、高齢者の職域拡大といいますか、職務の内容についてのご紹介がありましたので、これに関連して発言申し上げたいと思っております。これはご指摘いただいたように、加齢とともに肉体的な能力は、例えば視力や筋力の衰えが出てくるのは確かです。これはみんな出てくることなので、それに備えて高齢者の方々がきちんと仕事をしていただけるような環境であるとか、これまで培ってきたスキルを活かした新しい職域の開拓というのは、これまでも個別企業、労使で工夫されてやられてきたと思うのです。今回の法改正の論議の中では、そういった職域拡大に対して、使用者側も社会的な負担でとおっしゃっていますので、これは例えば使用者の皆さんで負担し合っている雇用保険二事業のお金で、いまでも高年齢者職域拡大等助成金のような仕組みがありますので、こういった助成金の仕組みをもう少し拡充する方向で論議をされたらどうかと、先ほどのご発言をお聞きしていて思った次第です。
 今日の論点ペーパーの中にも環境整備などが記述されていると思いますので、政府としてどういった支援ができるのかというのも論点で入れておいたらどうかと思います。高年齢者がこれまでと同じように企業にとっての貴重な戦力として働く場、まさしく居場所と出番がある場を作るというのは非常に重要な施策だと思いますので、これも今後の論点の中に入れておいていただきたいと思っています。以上です。
○橋本委員 誤解のないように私どもから申し上げたいのですが、いままでも労働側から再々指摘がありましたように、高齢者雇用を推進しようという、これの重要性ですね。これについては決して否定しようという考え方はありませんし、その意義は十分理解しているつもりです。ですから、企業としては本当に意欲と能力のある方、これについては是非、定年後も働き続けてほしいといった気持を持っているというのは偽らないところですので、ここのところは是非、誤解のないようにお願いしたいと思います。
 ただ、申し上げておきたいことは、いまもお話がありましたが、労働者は加齢により肉体的にも精神的にも、いろいろな個人差が出てまいります。ですから、こういう個々人の就業能力を踏まえた形での施策の展開が必要であると、こういうところを前々から主張してきているところです。そのためには、企業の現場、その実情を踏まえた柔軟な取組が必要だと、そういう余地が必要だということを主張してきているわけです。
 そうした点から、いままでの労使の関与の下で個々の企業の実情に即した対応が可能となる、いわゆる労使協定による基準の設定を廃止すると。これについては、やはり反対せざるを得ないと考えておりますし、いまの労使協定に基づく基準制度は維持すべきであるということを、再三にわたって、いままでも申し上げてきましたが、改めて申し上げておきたいと思います。
 もう1点、ちょっと別の観点から申し上げたいのは2つほどあります。労働市場全体を見据えた高齢者雇用の在り方というのも、ちょっと議論が足りないのではないかと思っております。1点目として、これは前にも申し上げておりますが、やはり若年者雇用への影響について、検討が必要ではないか。研究会の報告では、ヨーロッパにおける高齢者労働の早期引退促進政策が、若年層の失業率の解消に結び付かなかったと。こういう点をもって、若年者雇用への影響はないとしているわけですが、そもそもヨーロッパと我が国では、マクロの雇用政策、あるいは企業における人事労務管理の在り方そのものが異なっているわけで、この事実だけをもって、我が国において若年者雇用に影響がないとは必ずしも言い切れないのではないかと考えているところです。
 それから、前回、労働側のほうから高年齢者と若年者では労働力の質が違うのだと、こういった趣旨のご発言がありました。それはそのとおりだと思いますが、その一方で企業としてはやはり要員管理というのは全体のバランスを考えながらやっているわけで、その中で高齢者を雇い続けるというかと。要するに高齢者のボリュームがいままで以上に増えてくるということになれば、その分は新卒を中心とした新しい採用、新規の採用を減らすというのは、当然の企業行動ではないかと思っているわけです。もちろん、新規採用を抑制する要因は、マクロの経済変動とか、個々の企業自体の業績などに応じて変わってくると。いろいろな要因があると思っておりますが、高齢者雇用を必要以上にといいますか、強制されるといった形になるのであれば、やはり抑制の要因の1つにはなるのではないかと考えており、当然、若年者雇用への影響はあると思われます。
 2つ目として、雇用の受け皿の拡大に関することですが、今後、高齢労働者が増えてくることに伴って、そういった方々の持っておられる多様な就労ニーズ、この辺を満たしながら、技術とか技能を最大限に活かしていく。そういう上でも、同一企業、あるいは同一企業グループにこだわることなく、労働市場全体で適材適所のマッチングを図っていくという施策が必要なのではないか。そういった観点からも、雇用確保先を含めた労働市場の環境整備を行っていく必要があると思っております。また、高齢者を雇い入れた場合のインセンティブについても、十分検討していく必要があるのではないかと考えております。以上です。
○市瀬委員 私どもも、いま橋本委員が申されたように、企業の高齢者を受け入れることに関して反対しているとか、そういうことでは全然なくて、そのために雇用を促進するためには政府にもう少し頑張っていただいて、高齢者雇用に関する施策を一層充実することが必要であると考えております。例えば高年齢者雇用継続給付をはじめとする、先ほど新谷委員がおっしゃったようなことも含めた助成金の拡充、高齢者の雇用確保措置について、産業雇用安定センターや民間の職業紹介会社を通じた出向・移籍も、雇用確保の措置を講じたとして認めていただくこと。先進事例の周知、高年齢者の職業訓練の拡充、高齢者自身の創業の促進などに関して努めることで、多様な施策を実現していただく必要があると考えております。以上です。
○大橋部会長 いままでの議論の中で、政府の施策については政策当局にアイディアを出していただいて、頑張っていただくということかと思います。1つ、橋本委員も、その前の市瀬委員の議論の中でも、若者と高齢者との雇用の代替性のようなお話がありましたが、もうちょっとデータを見てみますと、これまでのところそれは結構あったかなという気がしますね。ところが、現在ちょうど戦後のベビーブーマーが62歳から64歳なのです。これは大体年に220万人ぐらいの人口です。そこがもう来年から65歳になって、どんどん抜けていくのです。それだと若い人は、年々120万人ぐらい入ってくるわけです。そうすると、220万人と120万人のこのギャップを、これから埋めていかなければいけないわけです。
 そういう意味では、先ほど橋本委員がご指摘されたような問題は、それほど深刻ではないのではないかというのと、もう1つ質の違いということをおっしゃいましたが、職種の違いも、つまり高齢者は現在、建設業とか製造に結構多いのです。ところが、サービス業、これからの介護、あるいはエネルギー、環境、新しい産業が勃興してきますと、これはどんどん若い人で補っていかなければいけない。そうすると、これからの日本を考えたときに大丈夫なのだろうかということが、非常に心配されるわけです。そういう点では、若者の雇用を奪ってしまうという議論は、もうこれからはむしろ高齢者をどうやって活用するのかということが、日本経済全体にとって非常に大きな問題になってくるのではないかと認識しております。ですから、解雇権濫用法理の問題と若年雇用に対する影響の問題は、この会議での大きなイシューでしたので、そういう点では2つの問題もある程度クリアできているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○荻野委員 大橋先生のおっしゃられるとおりであることを本当に期待するところです。ただ、これはいろいろな前提の置き方等によって結果は異なると思いますが、リクルートワークス研究所がわりと最近出した試算結果があり、レポートには樋口先生のインタビューも掲載されておりました。それによると、成り行きでいくと2020年時点で、我が国においては労働力人口の減少以上に職の減少のほうが進むと。したがって、若年はもとより、全体の失業率も上がるという試算がありましたので、あまり楽観視はできないのかと思っているということを申し上げておきたいと思います。
 もう1つ、戻って申し訳ないのですが、先ほど新谷委員からのご発言の中にありました。もちろん高年齢者ということに限らず、産業負荷の軽減、職場・就労環境の改善といったことは当然取り組んでいかなければなりませんし、労使で努力して取り組んでいるところであるとも思います。ただ、高年齢者について申し上げれば、市瀬委員からも申し上げましたが、定年制があって、定年までは当然これはお約束ですし、働く方も定年までは頑張ろうということで努力をし、企業もいろいろな負荷軽減のための投資なども行いながらやってきているところです。やはり労使で約束した定年まではということはあるわけで、定年前と定年後では、大きく違うとは決して申し上げませんが、若干の違いはあるのかなとも思ったところですので、それも一言申し上げておきたいと思ったところです。もちろん、ほかの使用者代表委員から繰り返し申し上げております高年齢者の活用について、長期に働き続けてきていただいた方について、なるべく能力を発揮していただける場をつくることができればいいなということについては総意であると思っておりますので、これは繰り返しですが、申し上げておきたいと思います。
○橋本委員 大橋先生のは先ほどおっしゃられたとおりだと思いますし、先ほど荻野委員からも話がありましたが、そのようになってほしいなと思っているのです。要するに現時点で、いますぐ先ほど言いました基準を外して変えなければ駄目なのかという問題だというように、私はそういうつもりで申し上げているわけです。いまの経済状況というか、雇用環境というか、これで絶対にいま若年者に影響がないとは、ここ何年か捉えてみれば当然あると考えています。個々の企業で、例えば来年から基準が撤廃されたとしたら、要員計画も立てるわけですが、立てたときに採用を抑えようと。1年延ばした人数だけは採用を抑えようと。そういう企業行動はすぐには出ると考えております。長期的には、先生がおっしゃったように、マクロ的にはそういうことも言えると思いますし、ゆくゆくずっとそういう状態が続くかどうかというのはちょっと別の問題ですが、そういう観点から言ったら、何でいますぐ変えなければ駄目なのだと、そういうことを申し上げたいということです。
○荻野委員 いまの橋本委員のご発言に付け加えさせていただきますと、経団連と東京経営者協会が毎年やっている人事労務に関するトップマネジメント調査があります。主な内容は、昇給等の集計です。今年は、この基準制度の廃止の採用行動に対する影響についても尋ねております。希望者全員65歳までの継続雇用が義務づけられた場合の対応としては、約4割の企業が「新卒の採用の減少で対応する」という回答をしています。
 この4割というのは、高年齢者雇用が増えた分すべてをそれだけ減らすかというとそうでもないでしょうし、実態として4割の企業ですから、多くの企業においては非正規労働の減少などで対応が可能だということだと思います。ただ、事実として4割程度の企業が新卒採用にも影響があると言っておりますので、それも参考までに申し上げておきます。
○樋口委員 誤解のないように申し上げておかなければいけないと思うのですが、いまの計算結果というのは、リクルートワークスがやっている調査結果であって、私が発言しているのではないのです。私は、別のコラムで発言しているのでそれは誤解のないようにしてください。
 その上で荻野さんが言った点というのは、確かに可能性としては否定することはできないわけです。要は労働力人口について、それが今後減少が見込まれる。ところがその一方において、産業の停滞、特に海外への進出・移行といったものが進展した場合に、それ以上に求人といいますか、労働需要のほうが減少する可能性だって否定することはできないだろうと思います。
 言うならば、縮小均衡というような状況が起こり得ないとは言えない状況になってきているわけで、その分政府にはしっかりと産業構造の転換であるとか、産業政策であるとか、海外との取組も含めて検討していかないと、思わぬことになっては取り返しがつきませんよ、というようなことを発言しているということで、それが起こると言っているわけではないということです。
○大橋部会長 政府の新成長戦略でも、60歳台前半層の労働力化率63%を目指すということですので、やはりそれを前提にして議論させていただきたいと思います。いろいろな可能性を前提にすると議論が集約しないので、それも目処に議論をさせていただきたいと思います。
○鎌田委員 マクロ的なお話はいまご議論いただいたとおりだと思います。紛争という観点から見ますと、労使の意見がそんなに隔たっているのかというのが、私の率直な感想です。仮に基準制度をなくした場合には、先ほど来ご意見がありますように、希望者を原則として再雇用するという行政上の義務が課せられて、それに基づいて就業規則の改定が行われるということですので、事業主は個別労働者との権利義務関係において、希望者を原則として再雇用することになります。
 しかしながら、希望すればすべて受け入れなければいけないのかということは、前々回議論したとおり、そうでもないと考えています。それは何かというと、先ほど来ご議論がありますように、意欲と能力を持った高年齢者が働くための環境整備をするという観点が法の趣旨であります。現実にさまざまな障害や病気などのために、継続雇用を希望はしているけれども、勤務することに耐えないというのは、解雇し得るような事由があるということになろうかと思います。そういう場合には不承諾ということも、趣旨から言うと合理性があるだろうと思っております。労使協定で定める基準と、そこでいう不承諾の裁量の範囲という、いま私は解雇し得るような要件と申しましたが、そういうことの範囲の問題ではないか。
 もし仮に基準制度を残したときには、そういう意味での紛争はなくなるかというと、先ほど来裁判例をご紹介いたしましたように関係なくて、結局解雇権濫用法理でいくのです。それなので、紛争という意味では、実態としてはそう変わってこないと考えていいのではないかと思います。そういったことから、この制度をどのように考えていくのか、原則と例外の辺りがポイントなのかと思っています。
○福田委員 私も前回申し上げたのですけれども、先ほど橋本委員が申し上げたのと一緒で、希望者と、働きたいという人とはだいぶ違うのだろうと思うのです。やはり、働く意欲のある人は雇用側としてもウエルカムというか、どうしても働いてもらいたいと思います。ただ、希望者が働くのかなというところがちょっと問題で、それが若年層に悪影響を与えてもいけないのかというのがすごく心配なところなのです。
○大橋部会長 基準制度で、実際どれぐらいの効果があるかというのが1つのデータとして、基準制度があって希望したけれども、採用されなかったというのは、これまでのデータで出ていて2%ぐらいでしたでしょうか。もう1つは、基準制度があると、離職する人が高いということだと思うのです。私は思うのですけれども、会社で有能な人が、当然会社は自分を受け入れてくれると思っているのだけれども、会社から「希望しなさい」と言ってきたときに、そういう感じでは不満だということで気分を害して応募しない人も結構いると思うのです。
 実際に早期退職優遇制度をやると、有能な人ほど先に出ていくことがあります。そういう観点からすると、基準制度で離職率が高いということの弊害も結構出てきているのかと思うのです。そういう意味では、基準制度を設ける企業側にとってのメリットとデメリットもあるのではないかと思うのです。
○樋口委員 いくつか確認させていただきたいのですけれども、本日新たに付け加わった論点整理のところで、例えば2頁の法定定年年齢65歳まで引上げのマル3が今回新たに付け加わったという説明をいただきました。このマル3の意味というのが理解できないのですが、「諸外国の制度に照らしても法定定年年齢」云々と書いてあるのですが、諸外国の制度でもこうなっていると。したがって、日本でもそうするのが自然ではないかと書いているように読めるのですが、果たして諸外国でもそうなっているのかという、まず事実関係としてどうなのか。最近では、法定定年年齢を設けている所は少なくなってきていると思いますが、どこを想定してこういうことが出てきたのか。前回私は欠席させていただいたので、たぶん前回出た意見なのかなと。
 同じことが、今度は基準を設けて云々で、この前のマルのほうに来るわけですが、諸外国では一体どうなっているのかということについて、例えば65歳まで年金支給開始年齢を引き上げたときには65歳までは雇用保障をしなさいというのが、諸外国でもそうなっているのか。ここのところ、ドイツとか各国とも67歳への年金支給開始年齢がほぼ決定したと思いますが、そういう動きがあるのかどうかを教えてください。
○辻田高齢者雇用対策課長 恐縮なのですが、マル3のご意見はここの委員会で出された意見を要約して書いているということです。これは、第1回のご議論の中でこういうご意見が出ております。前回の資料の中で漏らしていましたので、委員の方から「意見が漏れている」というご発言がありましたので、それを加えさせていただいたという経緯があります。
 いま先生がおっしゃいますように、諸外国の年金制度と雇用との接続の関係はどうなっているのかということについては、第1回の資料で出されていると思います。すべての国ではなくて、主要国ということでアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを調べさせていただいております。基本的にはすべて雇用と年金は接続されるような制度になっているということです。
 先生がいまおっしゃいましたドイツについては、現在は65歳から年金が支給開始になっていますが、2012年から2029年にかけて段階的に67歳に引き上がってくるということです。
 ドイツの雇用制度ですが、ドイツでは標準定年年齢が定められていて、現在は65歳未満の定年制を導入している企業については、標準定年年齢65歳とみなすという規定になっていて、年金と雇用が接続するような形になっております。今後この定年がどういう形になっていくのかということですが、現在は満65歳の標準定年年齢ですが、今後年金の引上げに合わせて67歳までその部分が引き上がっていく予定だと伺っております。
 フランスも同じように、現在年金の支給開始年齢が60歳ということで、段階的に62歳に引き上がっていく形になっております。フランスの制度では、満額年金を貰っていない方については、退職を強制することはできないという規制が掲げられております。この満額年金というのは、基本は40年加入という形になります。20歳から加入しますので、60歳が満額年金の受給開始年齢になりますので、60歳未満の方を、年齢を理由に退職を強制することはできないという規制がかかっております。
○樋口委員 私の理解では、標準定年年齢は法律によってやっているのではないのではないかと思います。法律によって逆に定年を認めている国というのは、今はすごく少なくなってきていると思います。むしろ、それは年齢差別禁止という視点から、EU指令も出ています。
 法律でこういうものをやっていくのが一般的にとられているのかということで疑問を持ったので質問させていただきました。いまの説明ですとほかの国でも、特にドイツとフランスにおいては、法律によって定年年齢を最低限何歳にしなさいとなっているという説明だったように思うのですが、果たしてそうなのでしょうか。
○辻田高齢者雇用対策課長 また別途調べさせていただかなければならないと思います。
○樋口委員 たぶん、法律によってはリンクしていないのではないかと思っているということですか。
○大橋部会長 だいぶ時間が来ましたけれども、特にこの会議の作業の中心テーマが、年金と雇用をつなぐというのがいちばんのテーマですので、いまのご意見はグローバル・スタンダードとして調べていただきたいと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 根拠法令等については、もうしばらく調査をさせていただいてからご報告させていただければと思います。
○宮本委員 1つだけ要求させていただきます。年金支給年齢と退職年齢のギャップがあった場合、それから先ほどから何度か出ていますけれども、使用者側からすると、意欲と能力がある人については雇い続けたいということでした。問題は、使用者側にとって意欲と能力がないとみなされた人の場合はどうなるのか。意欲と能力の判断はかなり微妙なところで、客観的基準がありませんので、それがないとみなされた場合には仕事に有り付けないことになると思われます。
 そういう点で海外の例の場合にもグレーの部分、つまり企業側からして雇い続けたいという人と、先ほどから出ていた病気・障害と明確にわかっている人の間にあるグレーの部分は結構多いと思います。この人たちが定年年齢と年金の支給年齢とのギャップがあった場合に、いろいろな形で問題が発生したときに何でカバーしているのかということがあるかと思います。
 日本のいまの現状では、それで食べられなくなれば生活保護という制度でしかカバーできないという形で、うまくマッチングできなくなってきたときに、別の所に影響が行くだろうということで、制度の整合性をどうやってとっていくのかということが重要だと思いますので、その辺りのこともお調べいただければと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 可能な限り調べさせていただきます。
○芳野委員 先ほど、使用者側から、再雇用先の企業の範囲についての発言があったかと思います。企業が再就職支援を行うために、産業雇用安定センターを活用すること自体は考えられることであると思います。しかし、それを雇用確保措置の対象とすることについては、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進という事業主の義務を満たしておらず、高年齢者雇用安定法の目的から逸脱しており、労側としては反対を表明いたします。
○新谷委員 関連して申し上げますが、先ほどから使用者側委員の発言が続いていて、公益の先生方も発言されていて、労働側が発言する機会がなくて、時間がない中で恐縮なのですけれども、いまの芳野委員の発言と同様なのですが、雇用の受け皿を、企業の中での雇用ということではなくて、労働市場全体で受けたらどうかというご発言がありましたが、これは非常に危険だと思っています。これは、契約の解除をして解雇したときに、それは社会的なセーフティネットで救ったらどうかという論議と同じだと思っています。それは、雇用保険を充実させたら救えるのではないか、ということにつながっていく可能性があると思っています。そこは、使用者としての使用者責任を十分果たしていただきたいと思います。
 出向とか移籍の話もあったのですが、出向はまだいいとしても、移籍は民法第625条第1項の規定により本人の同意がないとできない話ですので、出向と転籍を同じ次元で話をされるのはちょっと違うのではないかと、先ほどのご発言を聞いていて思いました。
 申し上げたい点はいくつかあったのですけれども、前回の最後にも申し上げたように、60歳以降の雇用確保のあり方について、いま我々は高年齢者雇用安定法の改正を中心に議論しているわけですが、先ほども中川代理が、社内にはずっと非正規で有期雇用で来られた方がいるとおっしゃったと思うのです。いま、これは期間の定めのない無期雇用の中で、定年を迎えて、その定年の後の雇用の確保をどうするかというのを中心的にやってきたわけです。
 前回私が申し上げたように、いままでずっと非正規とか有期で来られた方が60歳を迎える。60歳を迎えた方が、これから年金と雇用の接続を考えるときに、いわゆる非正規の方々の接続をどうするかということが検討の中で漏れているのではないかと思っています。正社員、定年という枠組みの中での再雇用、雇用継続という話と、もう一方のルートとしては、非正規で来られた方の、60歳以降の雇用をどうするかというところも、これは当然今回の施策の中では考えておかなければいけない重要な論点だと思っています。これは、必ず論議の中に入れてほしいと思っています。
○大橋部会長 セーフティネットの話とか、有期雇用の話になると、論点がかなり広がりますので、この会議の一応のフォーカスとして、それは外させていただきたいと思います。
○新谷委員 先ほど部会長が、雇用と年金の接続とおっしゃいました。雇用と年金の接続は、正社員で定年のある人だけではないわけです。非正規で来られた方も、当然年金受給権が発生いたしますので、その方々の雇用と年金の接続をどう考えるかというのは、ここでやらないと他で検討する部会はありません。それも、直接的な高年齢者雇用安定法の改正とは違う部分かもしれませんけれども、それが政策として抜けてしまうとアンバランスになるのではないかと考えておりますので、是非検討項目の中に入れていただきたいと思います。
○大橋部会長 私が言ったのは、基準制度にフォーカスしているということなので、そのようにご理解をいただきたいと思います。本日はもう1つ、生涯現役社会の実現に向けた環境の整備についてもご議論いただきたいと思っておりましたが、時間が迫ってきております。これについて特段のご意見があればご紹介いただきたいと思います。
○荻野委員 一つだけ申し上げさせていただきます。生涯現役社会の実現というのも大変重要な課題であると理解しております。一方で実態を見ますと、先日資料を事務局から出していただいたかと思いますが、60歳以降の継続雇用をしている人が半分に達していない企業も結構な割合であったように思います。そういう中で、高年齢者雇用をそういう企業も含めてどんどん拡充していくことをやっていかなければいけないわけです。その場合は、定年以前の人事管理の在り方みたいなものまで含めて、トータルで労使で知恵を出していくことが必要になるのかと考えております。生涯現役社会ということで一言だけ申し上げさせていただきます。
○樋口委員 1つ確認したいのですが、節を設けて2のところで「生涯現役社会の実現」となっています。この中身を見ると、65歳以降をどうするかと言っているのがメインになっているのかと思うのですが、そういう理解でよろしいのですか。
○辻田高齢者雇用対策課長 そうです、ここで申し上げているのは65歳までは継続雇用制度等を活用して延ばしていく。それ以降のものについては、どういう形で施策で延ばしていくのかということを念頭に置いております。
○樋口委員 そういう理解であれば、そういうふうにこの後は考えていきますが、生涯現役社会というのはそういうものなのかと。逆に、65歳以降はどうするのかという話もそうでしょうけれども、その前の現役のときからの話まで広がっていかないと、65歳以降の雇用条件はどうしますかとか、雇用確保をどうしますかという話だけではないのではないかと思ったので発言させていただきました。
○照屋委員 先ほど市瀬委員のほうからも、政府にもう少し頑張っていただくというご発言がありましたが、私も同感であります。関連的に発言させていただくとしたら、働くことを希望する者すべてが65歳までの雇用が今後確保された場合にあっても、家族看護等々で就労できないケースも出てくるし、あるいは体力・健康上の理由で本人が就業できない高齢者に対する社会的セーフティネットの構築については非常に重要だと考えております。
 具体的には、雇用保険の基本手当について、現在は定年退職者については最長150日支給されていることになっております。先ほどの理由等々で就労できないケースについては、是非特定受給資格者としての枠に入れていただけるような、雇用のセーフティネットを構築していただくことが非常に重要かと思いますので、今後是非雇用保険検討部会のほうでご検討いただけないかと提案させていただきます。
○大橋部会長 急がせてしまって申し訳ありませんが、またじっくり議論する時間もありますので、そのときにお願いいたします。議題2に移ります。指定法人の見直しについてです。全国シルバー人材センター事業協会について、報告(案)について事務局から説明をお願いいたします。
○上田高齢者雇用事業室長 時間も押しているので簡潔に説明させていただきます。「今後の全国シルバー人材センター事業協会の在り方について(案)」ということでまとめさせていただきました。前回のご議論でいただいたご意見と、私どものほうから資料として提出いたしましたものを加え、このような報告書の形にさせていただきました。
 1「シルバー人材センター事業について」ということで3つのマルを用意しておりますが、これについてご意見をいただいたと考えております。1つ目は、高齢法第40条において、国及び地方公共団体は、高齢者の職業生涯の充実、その他福祉の増進に資するために、このシルバー人材センターを具体的な施策の1つとして支援していくということです。したがって、そこのところを全国シルバー人材センターを会員としている全シ協が、シルバー事業の発展のため、シルバー人材センターの事業運営の監督・指導を実施することにより、発展していくものと考えられる。
 2つ目のところで問題点を提起しております。ここでご議論いただきました、民業を圧迫しているのではないかという問題。適切な配分金額の設定がなされているかという問題。こういう問題についての課題は残っています。さらに、民業を圧迫しているのではないかということについては、民間業者との棲み分けを図るよう指導を行っているところでありますが、会員に対する適切な配分金額の設定については、地域における類似の仕事の対価に比べ、著しく低くならないように配慮するよう通知しているところであるが、今後とも全シ協がこういう指導をしていく必要が望まれる。
 2番目については、「全シ協が行う業務について」記載しております。シルバー事業に関する普及啓発、シルバー人材センター相互の連絡調整、業務運営担当者の資質の向上のための研修の実施、こういうことを引き続き全シ協が行っていく必要がある。
 3番目は、「指定法人制度について」、どうして設けるのかということです。これは資料にお書きしましたように、シルバー事業を実施している各センターは、各都道府県知事の指定を受けた社団法人であり、その運営を国が直接指導していくことは非常に困難であり、したがって国等の行政機関が自ら行うよりも、シルバー事業の健全な発展を図るとともに、高年齢者の能力の積極的な活用を促進することにより、高年齢者の福祉の増進に資することを目的として設立された民間団体において行われることが、業務がより円滑かつ効率的に行われるために適当であり、引き続き指定法人制度を維持することは妥当である。
 4番目は、「全シ協を指定することについて」です。全シ協は、全国1,300余りのシルバー人材センターを会員として出来上がった社団法人で、特にこういう部分での公益性を持った法人です。事業の実施に必要な専門性を有していること、これまでの全国シルバー人材センターにおける統一性、継続性を持った事業実施のための研修や連絡調整、先ほども言った適正就業に関する指導実績等があり、最も指定法人として期待される役割を果たす法人であると考えられることから、全シ協を指定法人として位置づけることは妥当である。
 5番目は、「全シ協の今後の在り方について」まとめさせていただきました。1番目のマルは、全シ協の事業運営については、民間業者をはじめ、国民の理解を得ながら事業を発展させていくことが必要であり、事業の運営の更なる効率化を図っていくことも必要である。
 2番目のマルは、全シ協の中に有識者による検討の場を設け、ここでご意見をいただきました、会員・事業の拡大、安全適正就業、民間業者との棲み分け、価格の問題といったところについての議論を行いながら、全シ協の運営が一層効果的・効率的に行われることを期待したい。
 3番目のマルは、指定法人を議論するときに、残りの2つの事項を議論しろと言われている点があります。1つ目は、ここのいま言った選定理由、こういうことについての情報公開を求めていく。これについては透明性を確保する観点から公開していく必要がある。2つ目は、プロポーザル方式を含む参入要件の見直し及び新たな基準など「新ルール」の制定についてはということです。定期的な検証が必要ではあるものの、蓄積されたノウハウを最大限活用する観点からも、現行制度を維持することが必要であるということで整理させていただきました。以上です。
○大橋部会長 ただいまの、全国シルバー人材センター事業協会の報告(案)についてご意見、ご質問をお願いいたします。
○野村委員 5の全シ協の今後の在り方について若干の意見と質問をさせていただきます。1点目は、上のほうのマルの「国民の理解を得ながら」とありますが、とかくこの手の文章には、「国民の理解を得ながら」というフレーズがよく使われます。一般に国民がこの全シ協をどれぐらい認知しているのか、そういう国民に対して理解を得ながらということであれば、具体的に国民に理解を得るための施策なりPRみたいなものを実際にしているのかどうかを教えてください。
 また、「全シ協内に有識者等による検討の場を設け」ということですが、この検討の場はどういう位置づけになるのか、第三者委員会的な委員会なのかとも思いますが、その検討の場というのはどういう役割、どういう権限等を持つのかと思います。その辺もイメージがあれば教えてください。
 その検討の場でどういうことをするのかというと、会員・事業拡大、安全適正就業、民間事業者と乖離のない価格設定など云々ということを検討するということが書いてあります。本来であれば、全シ協内に常勤の役員なり職員も相当数いるのではないかと思います。会員・事業拡大だとか、安全適正就業だとか云々というのは、有識者の検討の場で議論するというよりも、本来はそこの常勤の役員なり職員がしっかり考えて、その施策を実行していくのが本来の姿ではないのかと思っています。
 とかくこういう第三者委員会的なものを設けて、何かそちらのほうでいろいろなものを決めてもらうというような風潮が強いのではないかということを考えています。そうは言っても、いずれにしてもこういう検討の場をつくるということであれば、本来の全シ協の役割がしっかり果たせるような内容をちゃんと示せるような、実効ある検討の場にしていただきたいと思っています。
 全体を読むと、スリム化、効率化、合理化という言葉が多く見られます。とかくいま流行している言葉かもしれませんが、本来、このスリム化、効率化、合理化というのは全シ協の活動・業務の目的ではないと思っていますので、全シ協の役割がしっかりと果たせるように、必要があればしっかりと予算等も付けていただいて、とにかくスリム化、効率化、合理化すればいいのだというような流れがあるのかもしれませんが、しっかりとした役割があるのであれば、そのことは自信を持って、誇りを持って訴えていただきたいと思っています。若干の質問もさせていただきましたので、わかる範囲でお答えいただければと思います。
○上田高齢者雇用事業室長 わかるところについて簡単にご説明させていただきます。1点目の、「民間業者をはじめ国民の理解を得」のところですが、ここはいつものフレーズと言われるとそれまでなのですが、基本的にシルバー人材センターの事業の中で、民業圧迫の話とか、民間との競合の話をされていますので、公明正大にいろいろ情報公開をしながら議論をしていった結果、もしくは落とした結果どういう方向でやっていくのか、どういう事業をやっていくのかということを公表することを頭に置きながら整理をしたものです。
 有識者による検討の場ですが、実は全シ協の役員会というのは社団法人でなっているものですから、役員の方たちがすべてシルバーの人たち、全シ協でいえば各シルバー人材センターの理事をやっている方が推薦されて持ち上がって全国から来ていることになっています。シルバー人材センターの外部者の方たちが入っているわけではありません。したがって、そういう人たちの外からの意見を取り入れながら、いろいろな所について検討していきながら発展していくことが望ましいのではないかということで考えております。先ほどご意見をいただきましたように、どういう所をやっていくのか、それから中身の問題についてはご意見をいただきながら定めをしていきたいと考えております。
○宮本委員 シルバー事業のこれからの可能性とか、期待といった辺りのことをどこで言えばいいのかということの判断がつきませんので、せっかくですので一言だけ発言させていただきます。シルバーが各地でやっている事業の内容というのは、民業を圧迫しない範囲の中でということですけれども、これだけ失業率の高い時代になると、非常にニーズの高い内容を持っているかと思います。
 シルバー事業に来る仕事の中で、ハード系と言っていいのか、体力を要する仕事とか、IT系の仕事というのは、シルバーの人たちには苦手な分野です。どこがその仕事を欲しがっているかというと、仕事に就けない、そして訓練の必要な若年層です。その若年層の訓練から雇用へつなげる支援活動の中で、シルバー事業の中で行われているような仕事が非常に有効であると言われています。シルバーの場合には事業化しているのに、若年層の場合にはそういうものがない。
 そういうタイプの仕事、例えば緑化とか清掃、あるいはコミュニティのイベント関係というものに、このシルバーと違う世代、つまり若年者であるとか、あるいは女性もそうかもしれませんが、一緒にやったときの効果はもっとあるということです。その種の試みが、コミュニティ再生にとっても非常に重要な効果が上がっているということが各地で言われています。
 そういう点で、今回のセンター事業協会の在り方案の中に、にわかには入らないかもしれませんけれども、3頁の下から2つ目のところには「組織や業務等についての不断の見直しを行い」とあります。ここは非常に重要なことで、民業を圧迫しないかどうかという検討よりも、長期的な広い視点で、絶えず見直しを行うようなことをこの協会にはやっていただきたいということからして、今後は従来のシルバー事業を、新たにコミュニティ再生と世代間の連帯とか交流ということと併せた可能性を検討していただきたいと思いますので発言させていただきました。
○大橋部会長 ほかにはよろしいでしょうか。本日、野村委員及び宮本委員からいただいたご意見は、事業協会はしっかりやりなさいというご発言だと解釈いたしました。全国シルバー人材センター事業協会の報告文(案)について了承することとさせていただき、これからお配りいたします報告文(案)で職業安定分科会に報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、事務局から職業安定分科会への報告文(案)をお配りください。
(報告文(案)配付)
○大橋部会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋部会長 それでは、そのように報告させていただきます。次に、財団法人港湾労働安定協会についてです。港湾労働安定協会については、港湾労働専門委員会において、制度の検討等を行ってきたところですが、本年11月15日に開催された第19回港湾労働専門委員会において、専門委員会における報告書は取りまとめられたということです。事務局から説明をお願いいたします。
○福士建設・港湾対策室長 港湾労働専門委員会は、鎌田座長の下で結論を得ましたので報告いたします。資料3の別紙をご覧ください。1番は、「指定法人制度の存続について」です。これについては、港湾運送事業は労働者派遣法で禁止業務とされているところですが、港湾運送事業者の常用雇用労働者を対象として労働者派遣が行えるように、港湾労働法において、港湾労働者の派遣事業が導入されているところであります。そういう中で、港湾における事業の活動の波動性、各港湾ごとの需給調整機能の必要性など、港湾運送事業における特殊性に鑑み、各港湾の実情をいちばんよく知っている、公正・中立な立場にある法人に実施させることが、効率的また効果的な業務運営が期待されるということで、引き続き港湾労働法における指定法人制度を維持することが必要である。
 2番は、「指定先選定理由の情報公開について」です。情報開示を進めて、行政と指定法人との関係についての透明性を確保する観点から、公開していく必要がある。
 3番は、「参入要件の見直し及び『新ルール』の制定について」です。定期的な検証が必要であるものの、港湾労働法が適用される港湾ごとに迅速・的確な需給調整ができる仕組みを維持する観点、及び蓄積されたノウハウを最大限活用する観点からも、現行ルールを継続することが妥当であるという結論です。
 以上のことを踏まえ、港湾労働法における指定法人としての港湾労働安定協会について検証してみますと、港湾労使による自主団体として発足した経緯があり、業務運営に当たっても、港湾労使による相互チェック機能が働いていること、さらに事業実施に必要なノウハウや、これまでの事業主や労働者に対する各種相談援助の実績、訓練や研修等による港湾労働者の安全の確保から、引き続き港湾労働安定協会を指定することが妥当である。
 指定法人である港湾労働安定協会については、指定法人としてより適切・的確に業務を実施するための内部管理体制のより一層の充実と、公務員OBである役職員の後任補充時における公募採用の継続的な実施を求めることという結論を得ました。以上報告を終わります。
○大橋部会長 ただいま説明のあった、港湾労働安定協会の報告についてご意見、ご質問をお願いいたします。
(特に発言なし)
○大橋部会長 ご意見、ご質問等がないようですので、港湾労働安定協会の報告について了承することとさせていただき、これからお配りいたします案で職業安定分科会に報告したいと思いますがよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、報告文(案)を配付してください。
(報告文(案)配付)
○大橋部会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。(異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。
 本日も、さまざまなご意見をいただきました。高齢者雇用対策については、それぞれのご意見がまだ多く残っている部分もありますが、ご意見の集約ができた部分もあるかと思います。次回の部会では、当部会としてのあるべき方向についての意見の取りまとめに向けて、さらに議論を行いたいと思います。そこで、事務局の方にはこれまでの議論を整理し、今後の対策の方向性についてのたたき台を作成していただき、それに基づいて議論を行いたいと思います。
 鎌田委員からも出されましたが、違いというのは事実上はそんなに大きくないと思うのですが、精神的な違いがあるのではないかと思います。その辺の調整を事務局のほうで是非よろしくお願いいたします。次回は12月14日(水)の13時から、合同庁舎5号館17階の厚生労働省専用第18会議室で開催いたします。本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。なお、本日の署名委員は野村委員及び橋本委員にお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 (TEL)03-5253-1111(内線5815)

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