2011年11月7日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成23年11月7日(月)15:00~
場所
厚生労働省専用第23会議室
出席者
出席委員(13名):五十音順 敬省略
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 清水秀行、 宗林 さおり、
手島玲子、○永井良三、 野田光彦、 林邦彦、
古川漸、 増井徹、 松木則夫、 ◎松井陽、
山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(8名):五十音順 敬省略
佐藤 雄一郎、 鈴木邦彦、 千葉勉、 成冨博章、
西澤 理、 檜山行雄、 村田美穂、 本橋伸高
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 清水秀行、 宗林 さおり、
手島玲子、○永井良三、 野田光彦、 林邦彦、
古川漸、 増井徹、 松木則夫、 ◎松井陽、
山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(8名):五十音順 敬省略
佐藤 雄一郎、 鈴木邦彦、 千葉勉、 成冨博章、
西澤 理、 檜山行雄、 村田美穂、 本橋伸高
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、佐藤雄一郎委員、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、檜山委員、村田委員、本橋委員より御欠席との御連絡をいただいております。
現在のところ、当部会委員数21名のうち、増井委員は遅れて来られるという御連絡をいただいております。現在のところ、12名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
本日のその他事項に関しましては、独立行政法人国立循環器病研究センターの山本先生、独立行政法人国立成育医療研究センターの中村先生を参考人としてお呼びしております。
それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。エムラクリームについては、本品目は皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。モディオダールについては、本品目は持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。
3ページを御覧ください。ルネスタについては、本品目は不眠症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページのボナロンについては、本品目は骨粗鬆症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページのベセルナクリームについては、本品目は日光角化症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページのリバロについては、本品目は高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページのパキシルCR錠については、本品目はうつ病・うつ状態を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページのロナセンについては、本品目は統合失調症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について御報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「エムラクリーム」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題2「モディオダール」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題3「ルネスタ」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員でございます。
議題4「ボナロン」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員でございます。
議題5「ベセルナクリーム」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員でございます。
議題6「リバロ」については、退室委員は野田委員でございます。議決に参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題7「パキシル」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員、松木委員でございます。
議題8「ロナセン」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員、山田委員でございます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。本日は、審議事項は8議題、報告事項が4議題、その他事項が1議題となっています。本日は参考人の先生に来ていただいている、その他事項から行います。
それでは、その他事項について、参考人の山本先生及び中村先生より御説明をお願いいたします。山本先生、お願いします。
○山本参考人 国立循環器病研究センターの山本でございます。その他事項議題1、資料13「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」資料に基づいて説明をさせていただきます。
資料13の3ページを御覧ください。プロプラノロール塩酸塩の小児不整脈の適応追加の要望についての御説明となります。要望者は、日本小児循環器学会です。検討会議では、小児不整脈は、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当すること。また、国内外の小児科の代表的教科書等におきまして、本剤の使用が推奨されており、欧米においても標準的治療に位置付けられていることから、医療上の必要性は高いと判断しております。
34ページを御覧ください。「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項を御覧ください。本薬は、小児不整脈の適応で、英国にて承認されております。また、国内外のガイドラインにその有用性が示されております。また、英国の添付文書、海外ガイドライン及び海外の代表的教科書に、小児不整脈に対する用法・用量が記載されております。その用量は、国内のガイドライン及び標準的教科書に記載されている用量と大きな差はありませんでした。
また、国内からも症例報告が多数報告されておりますが、そちらでもほぼ同様の用量で、本薬が小児不整脈に対して使用され、有効性及び安全性が確認されていることが示されております。以上のことより、検討会議では、本要望に対する有効性及び安全性が医学薬学上公知であると判断しております。
なお、効能・効果については、同じく34ページの「8.効能・効果及び用法・用量等の記載の妥当性について」の「(1)効能・効果について」の項を御覧ください。本薬は、頻脈性不整脈に対して使用されているのに対して、要望では、小児における不整脈ということで記載されております。このままでは徐脈性の不整脈にも使用できるという解釈が可能になりますので、適切ではないということで、成人の不整脈の適応に合わせまして、新生児、乳児、幼児及び小児における「期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防」とすることが適切と判断されました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。続きまして、中村参考人、お願いします。
○中村参考人 同じ資料の43ページを御覧ください。メナテトレノンの新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対する予防の効能・効果の追加に係る要望について御説明いたします。要望者は、日本未熟児新生児学会です。同じページの下の「2.要望内容における医療上の必要性について」は、新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症は、致死的又は後遺症を残すことが多いことから、生命に重大な影響がある疾患に該当すること、一方で、現時点で新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症に対する予防を効能・効果とする薬剤は国内に存在しないことから、検討会議では医療上の必要性は高いと判断されました。
60ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項を御覧ください。新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防に対するビタミンK投与については、小児薬物療法の標準的教科書において、その有用性について記載されていると共に、海外のガイドラインにおいても推奨されております。
また、海外の無作為化比較試験や大規模調査等において、本剤の有効性について一定のエビデンスが示されています。国内においても、使用実態調査等において、ビタミンK2の製剤である本剤は、広く投与されていることが示されていると共に、現在まで安全性上の問題は特に報告されておりません。以上を踏まえまして、検討会議では、本剤の新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
61ページの「(2)用法・用量について」を御覧ください。本剤の用法・用量は、現在、本邦において広く普及しており、有効性及び安全性が確認されている投与方法である、通常出生後、哺乳が確立したことを確めてから、1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を経口投与する。その後、2回目として、生後1週間又は産科退院時のいずれか早い時期、3回目として、生後1か月時に、それぞれ1回1mLを経口投与すると設定することが妥当と判断されました。
なお、要望された用法・用量は、「1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を出生後3か月までに、週1回経口投与をしても良い」というものですが、この使用法については、国内外において、コンセンサスが得られているとまでは言いがたいものの、母乳栄養の状況等からビタミンK欠乏が想定される一部症例では、出生後1か月を超えて投与を継続することが必要となる可能性が否定できないため、そのような症例については生後3か月まで、週1回投与を考慮するなど、適切に対応する必要がある旨、添付文書において注意を喚起するべきと判断されました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、前半部分の山本参考人の御説明に関しまして、御質疑がある方はいらっしゃいますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、後半部分の中村参考人の御説明に関してはいかがでしょうか。御異議はありませんか。よろしいですか。
それでは、その他事項については御確認いただいたものといたします。両参考人、どうもありがとうございました。
それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1-1、1-2「医薬品エムラクリームの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤は、アミド型局所麻酔薬であるリドカイン及びプロピトカインを等量ずつ配合した共融混合物を用いることにより、局所麻酔薬の皮膚透過性を高めたクリーム剤です。本邦において、リドカインを有効成分とする製剤は、1994年10月に貼付剤が、「静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」を効能・効果として、1997年7月に噴霧剤が、「表面麻酔」を効能・効果として承認されており、プロピトカイン塩酸塩を有効成分とする製剤は、1974年8月に歯科用注射剤が、「歯科・口腔外科領域の手術・処置における浸潤、伝達麻酔」を効能・効果として承認されております。また、海外において、本剤は2011年6月現在、米国、欧州等、世界72か国において承認されております。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されている9名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
本剤の有効性について、審査報告書26ページ、表11を御覧ください。太田母斑、扁平母斑、単純性血管腫又は毛細血管拡張症に対する皮膚レーザー照射療法を受ける患者を対象とした国内第III相試験において、本剤を10平方センチメートル当たり1g、最大10gまで、顔面又は体躯のレーザー照射部位に密封法により60分間塗布した時、レーザー照射部位の疼痛VASは、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。
本剤の安全性について、審査報告書の31ページの表15を御覧ください。国内外の臨床試験において、適用部位局所の有害事象として血腫、紅斑、蒼白等が認められましたが、ほとんどの事象は軽度又は中等度で一過性であり、大きな問題は認められませんでした。全身性の有害事象について、審査報告書の31ページの「2)全身性の有害事象について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験において、因果関係が否定されていない有害事象として、2例以上報告された事象はありませんでした。しかしながら、海外製造販売後の安全性情報において、重篤な有害事象として、メトヘモグロビン血症、過量投与、痙攣、チアノーゼ、意識消失等が報告されております。また、米国では、局所麻酔薬の外用剤について、美容目的で自己投与による広範囲に大量塗布したことによる死亡例が報告されたことを受け、2009年1月に、不適切な使用による重篤な副作用の発現リスクに関する注意喚起がなされております。したがって、不適切な使用による過量投与等を回避するため、本剤の途布量及び途布時間について、適切な上限を規定する必要があると判断し、国内臨床試験の成績に基づき、用法・用量を設定しております。審査報告書の32ページの表16を御覧ください。小児では、メトヘモグロビン還元酵素活性が低いと報告されており、重篤なメトヘモグロビン血症は6歳以下の小児で多く認められております。特に1歳未満の小児では、過量投与のみならず、適正使用量投与でも多く認められていることから、添付文書において、1歳未満の小児では重篤なメトヘモグロビン血症が多く報告されている旨、注意喚起をいたしております。また、苺状血管腫、単純性血管腫等に対する皮膚レーザー照射療法は、主に小児において実施されていること、海外において本剤の用法・用量は、成人と小児で異なること等を踏まえ、本剤の小児に対する開発を早期に着手するよう申請者に指示する予定です。なお、投与部位局所における有害事象、メトヘモグロビン血症、中毒症状等については、製造販売後調査においてさらに検討する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議をいただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体リドカイン及びプロピトカイン、並びに製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○清水委員 この薬剤の小児への適応について、改めて試験を促しているようですが、実際これが上市されれば、小児に使われるケースというのはかなり多く想定されます。そのことを考えると、小児の使用については、外用剤というと、その分量がどうしても大まかな感じになってしまうのですが、10平方センチメートル当たり1gが、どのくらいの量なのかがきちんと分かるような情報提供をきちんとしていただく指導をお願いすると共に、添付文書に記載できるかどうかは判断が必要だと思うのですが、英国の添付文書には、小児の用量の表が作られているので、それを参考として掲載するのか、あるいは添付文書への記載が適切でなければ、他の資材等を通して情報提供をすること等については、どのようにお考えでしょうか。
○機構 御意見ありがとうございます。そのことにつきましては、我々も懸念を持っておりまして、小児に対する使用の注意喚起や海外で推奨されている用法・用量については、情報提供すべきと考えております。
添付文書に、今承認されていない用法・用量を記載することは非常に難しいと思いますが、申請者に適正使用ガイドを作っていただきまして、そちらの方で小児についてどのようなリスクがあるのか、海外における用法・用量がどうなっているのかなども含めて説明していただくようにお願いしております。
○松井部会長 清水委員、いかがですか。よろしいですか。
○清水委員 その方向で進めていただきたいと思います。
○松井部会長 重要な御指摘だったと思います。ほかにいかがですか。
○宗林委員 こういった時に使われるのかどうかも分からないまま聞いておりますが、最近、美容整形外科を中心に、アイラインの色を針で入れるというものが大変流行っています。アートメイクと言われているようです。その時に、麻酔のクリームを「目の縁に塗って」という表現がよくあるのですが、この添付文書を見ると、「目に入らないように注意すること」というようには記載されているのですが、本当に「目に入らない」だけの記載で大丈夫なのでしょうか。目の直上のアイラインを入れる所にも塗っていて、危害の情報としては、かなり腫れ上がっている方がいらっしゃるようなので、例えば目の回り等、目に入らなくても、目の本当の直近の所には使わない方が良いという記載の方が良いと思います。医師の資格を持たない人が針を指すということは医師法違反になってきますが、エステでもそのような危害がある程度出てきていますので、少し考慮していただけないでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 御指摘ありがとうございます。やはり、目の所につきましては、これは毒性試験の成績や添付文書を踏まえて注意喚起をさせていただいている内容で、特に目に入れてしまうと危ないということで、目の回りの所に使用することもリスクは高くなりますし、避けていただくことが適切だとは思います。しかし、目の周囲に使用しないこととまですることはなかなか難しく、対応できるとすれば、やはり、目に入らないようにするということでしか、注意喚起の方法はないのではないかと思っているのですが。
○松井部会長 何か追加がありますか。
○機構 補足させていただきます。本剤の効能・効果は皮膚レーザー照射療法時ということで、レーザーを照射する際の疼痛緩和になりますので、いわゆる、アートメイクはレーザーというよりは、むしろ色素を植えていくような形ではないかと認識しているのですが、まず、効能・効果の範囲からは外れてしまうというのが1点あると思います。
ただ、御指摘のように、一方ではいわゆる適応外の使用として、そういった使用が想定されてしまうということはあると思うのですが、今説明させていただきましたように、目に対してはかなり重篤で、持続性の刺激性が認められていますので、目の付近に使用することは、もちろん避けていただくことが望ましいのではないかと思っています。
一方で、美容形成の領域に関しましては、レーザー照射療法が、保険では適用されていないのですが、レーザー照射するような美容の領域というのがありますので、例えば、脱毛、しみ、しわといったものに関しては、本剤が使用される可能性というのは、むしろ否定できないのではないかと思っております。ただ、そういった使用に関しましても、海外で問題になっている多くのものが、投与量に依存的に起こっているものではないかと考えておりますので、まずここに記載させていただいている用法・用量をきちんと遵守してもらうことが重要ではないかと思っています。
使用の範囲につきましては、先ほど説明させていただきましたように、本剤に関しては適正使用を促すような資材を作成するように申請者に指示させていただいております。その中で、適応外の使用を行わないようにという形の注意喚起はさせていただく予定と考えております。
○松井部会長 いかがですか。
○宗林委員 このアートメイクというのは、少し失敗すると、今度色を抜かなければいけないので、それにレーザーを使います。一度で上手くいく人はレーザーは使わないのですが、微調整する場合は、レーザーで色を抜くという治療を行う方もかなり多くいらっしゃいます。ですから、本剤は確かにレーザーの時に使用するということですが、実際には極めて近い関係にあるということです。目の回りを腫らしている方がいらっしゃいます。化粧品では、目の回りに使うという表現を用いて上限量を設定していますので、同様な表現で目のまわりについては、特に注意を促していただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 ありがとうございました。御指摘を踏まえまして、適正使用の際に目の回りの使用に関しても、少し注意喚起をさせていただくような対応をとらせていただきたいと思います。
○松井部会長 是非、お願いします。ほかにいかがですか。
○佐藤(田)委員 用法・用量について教えていただきたいと思います。添付文書(案)の7ページ辺りに出ているのですが、先ほどから塗布する用量が難しいということをおっしゃっているので、これが妥当な線なので出てきたのでしょうが、7ページに「1回あたりの塗布量は10gまで」とあり、こちらはチューブから出てきて10gというのが大体分かれば良いのですが、「塗布時間は120分を超えないこと」との記載があります。その下の囲みの中に、塗って、それから除去をして、レーザー照射をするとありますが、この「120分」というのは何を意味しているのでしょうか。恐らく、局所麻酔の薬ですから、当然、吸収性があるものだと思います。表面だけが痛いだけではなく、その下にも神経が分布されているわけです。3ページに血漿中のリドカイン濃度の移行、プロピトカイン濃度の移行が示されていますが、恐らく、ARGを行ってそこの皮膚の辺りの組織移行を見ていただいたデータは、その上は小さくて拡大しないと見えないのですが、そこに表されているのでしょうか。塗ってから拭きなさいと言うけれども、既に拭いた時点では効果があるので拭いて除去をして、取るのです。すると、その時以降に組織移行がT1/2でどのくらいなのかが分かれば、簡単で結構ですのでお示しください。
○機構 御指摘ありがとうございます。先ほど御指摘いただきました薬物動態につきましては、2時間塗布した時のデータを示させていただいております。こちらにつきましては、Cmaxが大体2時間ぐらいということで、除去をするとすぐに血中濃度が落ち始めるということが分かっています。およそ6時間後ぐらいまでは入り続けるのですが、除去した時点がCmax付近となり、それ以降は落ちていくような薬物動態を示します。120分というのは、薬物動態を国内臨床試験の中で検討し、安全性を確認した最大時間ということで、120分と設定させていただいております。一方60分というのは、有効性が認められるのに60分ぐらいかかるので、60分間は塗布しておかなければならないというところで設定しております。説明になっておりますでしょうか。
○松井部会長 塗布してから120分ですか。
○機構 そうです。塗布してから120分間です。
○佐藤(田)委員 施術までに塗ってから、60分待つということですか。
○機構 そのとおりです。
○佐藤(田)委員 その時点で拭くというか、除去をする。そして行っている最中、残りの60分の間はその範囲の中で効果があるということですね。
○機構 そうですね。大体2時間ぐらいは効果が持つということは分かっておりますので、その間に施術をしていただくという形になると思います。
○佐藤(田)委員 少し間の説明を入れていただかないと、分かりにくいと思います。「120分を超えないこと」というのはまた塗らなければ効果が無いのか、その間は塗っていてはいけないという意味なのか、少し難しいと思いました。
○機構 塗布時間が120分を超えないということだったのですけれども。
○佐藤(田)委員 このような表現で表すのかもしれませんが、実際、使うとするともう少し分かりやすく表現していただくとよろしいかと思います。ありがとうございました。
○機構 そうですね。もう少し丁寧な形で説明できるようにしていきたいと思います。
○加藤委員 製剤と薬物動態について伺いたいと思います。この薬物は、レーザー照射をその後行うということをすべて前提としているのですが、一つは製剤の安定性ということで、実際にレーザー治療に使われる波長の光を当てた場合、あるいはその強度、あるいは少し強度を超えた場合などにおける安定性ですが、例えば、何らかのほかの化学的な反応を起こして、ラジカル等ができ、ほかの物質ができる可能性もあるのだろうかと疑問に思いました。
薬物動態に関しても、実際にレーザーを当てることにより、例えば血管拡張が局所的に起こった時、少し吸収が変わってくる可能性もあるかと思うのですが、見たところでは、その後にレーザーを当てた場合に製剤の安定性と薬物動態のデータは無いような感じがするのですが、それについてはいかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。御指摘の点につきましては、我々も懸念をして、何度か申請者とやり取りをしたのですが、なかなか芳しいデータが得られてはいないというところです。ですから、国内外の臨床試験や海外の安全性情報から、新たな問題が認められていないか等、そういったところから読み取ることになるのかと思います。
結果的には、国内臨床試験の時には、本剤塗布後にレーザー照射をしておりますが、新たな事象は認められておりませんし、特に問題となることは起こっておりませんので、特段の問題は無いのではないかと思っております。
○松木委員 こちらも、いつも問題になっている配合剤ということなので、単剤よりメリットがあるのかということで、ヒトに対して効果があるかというのは確認ですが、例えば、7ページの表1はピンプリック法に対しては効果があるのですが、それ以外に配合するメリットがきちんと示されている箇所はどこにあるのでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。先ほど御指摘いただきましたように、配合するメリットがどこにあるのかということですが、一つは皮膚の透過性を高めるということで、皮膚の濃度を調べた動物のデータがございます。
○松木委員 動態は良いのですが、それが実際に鎮痛効果として現れているデータは、どこにあるのだろうかと思ったのですが。
○機構 ヒトでは先ほど御指摘いただきました箇所になるのですが、審査報告書の7ページに記載させていただいております。ピンプリップ法を用いた無痛回数や皮下穿刺時の疼痛VASにおいて、同じ濃度の5%のリドカイン、又は5%のプロピトカインを含有するクリーム剤よりも、本剤の方が有効性が高かったというところから、配合の意義はあると考えております。
○松木委員 実際のレーザーに対する痛みではなく、ピンプリック法で類推しているということですね。
○機構 はい。
○松木委員 良いのですが、もし動態で説明がついてしまうのであれば、恐らく2倍か3倍塗れば終わりではないかと思ってしまいます。これは両方ともナトリウムチャネルに対して効くので、薬理学的に配合するメリットというのは余り感じられないので、それでも既存の濃度と比べたら良いということから、認めるという方向になるのですか。
○機構 この薬剤につきましては、むしろ、リドカインを例えば倍量にすることでは得られない物理学的な理由がありまして、審査報告書の7ページの図1に記載させていただいておりますように、共融混合物と言いまして、それぞれリドカインとプロピトカインの配合比を変えて、ちょうど1対1にすると固相ではなくて液相、液体の状態になります。そうすることによって、製剤化する際に乳化剤の濃度を高めたり等をしなくても皮膚の透過性が高められるといったところに配合の理由がございます。
ですから、こういった物理学的な特性を維持するために、二つの異なる成分を必要としており、その異なる成分を入れることによって皮膚の透過性が高くなるということがヒトでも、動物でもそうなのですが、ヒトではピンプリック法で、局所麻酔薬の効果が高くなっていることが確認されております。皮膚透過性につきましても、透過性が共融混合物を用いることによって高くなることが確認されておりますので、むしろ配合剤というよりも、配合した共融混合物で一つの物性を保つための成分と考えております。
海外では5%エムラクリームと言われていますが、その5%というのは実は共融混合物としての5%であって、共融混合物とすることによって一つの成分特性を生み出すことができる製剤であると考えております。
○松井部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。
○松木委員 よく理解できました。
○松井部会長 ほかに御質疑はいかがですか。
○手島委員 審査報告書の17ページに、薬剤の局所刺激性試験が行われていて、軽度の刺激性があると記載がありますが、感作性試験は行われていますか。特に問題にならないということですか。
○松井部会長 感作をするかということですか。
○機構 皮膚感作性試験自体は、このクリームについては行われておりません。しかし、海外の各単剤のデータを見ますと、感作性ということは知られておりませんので、そちらの方の懸念は少ないのではないかと思っております。
○松井部会長 いかがですか。ほかに御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事例議題2、資料2「医薬品モディオダール錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるモダフィニルは2007年1月にナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気の効能・効果で承認されており、今回の申請効能・効果である持続陽圧呼吸(以下、CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気については、20□年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が示されたとして承認事項一部変更申請が行われました。なお、海外においては、2011年4月現在、今回の申請効能・効果である睡眠時無呼吸症候群に関連する効能・効果は、米国等7か国で承認されております。
本申請の専門委員としましては、資料15に記載されております5名の委員を指名しております。
審査内容について説明させていただきます。
まず、有効性についてです。審査報告書10ページの上の表を御覧ください。CPAP治療中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者(以下、OSAS)を対象とした国内臨床試験において、エップワース眠気尺度合計スコア(ESSスコア)は、プラセボ群で-2.44、本剤200mg群で-6.61であり、本剤群においてプラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。同じページの下の表を御覧ください。副次評価項目である覚醒維持検査、これは脳波測定により客観的に眠気を評価するものですが、その平均睡眠潜時の変化量はプラセボ群で0.37分の短縮、本剤群で2.83分の延長であり、本剤群においてプラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。
本剤の安全性について、審査報告書17ページの表を御覧ください。OSAS患者においては高血圧を合併していることが多いと想定されますが、国内臨床試験においては、本剤群では高血圧を合併している患者で心血管系有害事象の発現率が高い傾向にありました。また、審査報告書18ページの表を御覧ください。海外臨床試験においても同様に、心血管異常の既往歴又は合併症を有する患者での心血管系有害事象の発現率は、既往歴又は合併症の無い患者と比較して高い傾向にありました。1.8の添付文書(案)の1ページを御覧ください。本剤につきましては、添付文書上の「慎重投与」の項におきまして既に高血圧患者に対する注意喚起がなされていますが、先ほど御説明させていただいたような状況を踏まえ、「重要な基本的注意」の項の(4)の3)において、OSAS患者においては高血圧・心血管系疾患を合併していることが多いので合併症の状態を定期的に観察するよう、さらに注意喚起をすることといたしました。なお、心血管系有害事象の発現状況につきましては、製造販売後調査において、引き続き検討する予定としております。
続きまして、審査報告書の25ページの下から26ページにかけてを御覧ください。本剤は、欧州においてナルコレプシー以外の適応が削除となりました経緯がありますので、その点に関して説明させていただきます。
欧州における審査の主な論点は3点あります。1点目は、ナルコレプシー以外における本剤の有効性について、臨床的に意味のある結果が確立していないとの指摘です。この点について機構は、日本人OSAS患者を対象とした臨床試験におきましては、エップワース合計スコアの改善が海外臨床試験よりも大きく、本剤投与により正常範囲である10点未満となっていることから、臨床的に意味のある改善効果が認められているものと判断しております。2点目は、心血管系の障害、精神障害、皮膚障害及び過敏症のリスクがあること、3点目は依存及び乱用のリスクがあり、適応外使用がされているとの指摘です。これらの点について機構は、本邦におきましては欧米と異なり、CPAP治療を保険診療により行う場合には月1回の外来受診が義務付けられており、その中で心血管系への合併症への影響やその他の安全性に関しましては定期的な確認が可能であると考えられることから、その点を考慮しまして、添付文書上における注意喚起に加えて、医師及び患者向けの資材において適切な注意喚起及び情報提供を行い、適正使用の推進を図ることで本剤のリスクを最小化できるものと考え、申請者に以下のような対応を指示しました。審査報告書の30ページと添付文書(案)の1ページを合わせて御覧いただけますでしょうか。本剤のベネフィットがリスクを上回るためには、先ほど申しましたように、本剤の適正使用が重要と考えるため、添付文書上の効能・効果に関連する使用上の注意の項において、3か月以上CPAP療法等の気道閉塞が適切に実施されているにも関わらず、日中の眠気が残存する患者を投与対象とすることを明記すると共に、他の睡眠関連疾患との鑑別診断を行うこと、又、眠気につきましては、患者の主観的な評価による訴えだけでなく、反復睡眠潜時試験等の客観的な評価も行った上で本剤の投与の要否を判断するように、注意喚起を行っております。なお、これらの患者選択に当たっては、OSASを中心に診療している呼吸器科等だけでなく、睡眠を専門としている医療機関との連携が必須であると考えることから、連携が取れる医療機関においてのみ処方が可能となるよう、現在のナルコレプシーを対象とした納入管理と同様のシステムを用いまして適正使用を図ることと予定しております。また、OSAS患者では、生活指導等により原因疾患が改善した場合には日中の眠気も改善することが期待されることから、添付文書上の重要な基本的注意の項において、本剤投与中も生活改善を指導すると共に投与継続の要否については定期的に検討し、漫然と投与しないよう注意喚起を図っております。
以上の審査を踏まえ、本剤のCPAP療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する日中の過度の眠気に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は5年10か月とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会へは報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 当初ナルコレプシーについては認可されて使われているので、最終的にCPAPを使っていても昼間の眠気のある人に使うことは、ナルコレプシーと同じような機序であるのかどうか、若しくは、それが同じに近いのでこれを選んできたのだと思いますが、そうすると、ナルコレプシーの時は、個人差があると思いますが、この薬がどのぐらいの期間で、平均的に治癒し、投与しなくて済むことになるのでしょうか。というのは、恐らくCPAPを行っていてもCPAPだけの効果では効いていないので、それが残り、治すにはかなり長期に使う可能性があるのではないでしょうか。
次の質問に入りますが、そのようなことにもかかわらず、文書だけで見てもかなりいろいろな危険性のあるside effectが多いですね。例えば、精神科でCPAPを使って治療しているかというと、そうではなく、耳鼻科であったり循環器科であったり、かなりの範囲の所で割と一般的に使われるようになってきています。先ほど、最後に、それについては、教育を行ってから使うとおっしゃいましたが、最初の基盤では、どのくらいの目安で治ると考え、投与を始めるのかということと、先ほどのside effectが起こることをどのように防ぐように見計らうのかという教育、又、普及の際に投与する医師にどのように考えてもらう必要があるのか等、かなり広い範囲に問題がありそうな薬に思えますが、いかがでしょうか。
○松井部会長 いかがですか、今二つの質問が出されました。
○機構 御指摘ありがとうございます。まず、一番初めに御指摘いただきました、ナルコレプシーとこのOSASによって発現する眠気の機序についてですが、ナルコレプシーの方はオレキシン神経が変性している不可逆的な疾患になります。睡眠時無呼吸の方で眠気が生じる機序は、基本的には夜間の睡眠で、どうしても呼吸が浅くなっていたりなどで眠気が取れない、しっかりと睡眠が取れていないことがあって昼間に眠気が出てきてしまうことがありますので、その二つの疾患の眠気の機序は別と考えていただいた方が良いと思います。
次の質問では、どれぐらいの投与期間が必要かという話です。ナルコレプシーは御説明したように器質的なものになりますので、かなり長期間にわたって投与されるのですが、この睡眠時無呼吸の場合には、先生がおっしゃったように患者によって違うところもありますが、ただ疾患がCPAPによってある程度抑えられている等、患者自身が、例えば肥満が軽減して呼吸の気道が通りやすくなるなど、そのような辺りで改善することは予測されますので、余り長々と使っていただくよりは、定期的にその必要性を勘案していただき、薬を飲まなくても昼間は大丈夫そうという話があれば、服用をせずに様子を見ていただくようなことを想定してはおります。
最後ですが、副作用をどのように現場に周知徹底していくかという御質問でした。審査の中でも、欧州等の状況等もありますので、そこがかなり重要な論点だと思っております。適正使用の資材案などは当然作っていただくのですが、この薬は、心血管系のリスクや皮膚障害のリスクなど、適正使用に関する内容をドクターにきちんと理解していただいたことを申請者に一度確認していただくことと、それから、先ほども御説明させていただきましたが、いわゆる睡眠時無呼吸を診ていらっしゃる先生は呼吸器や耳鼻科の先生が多いと考えますので、その先生方と、睡眠そのものを診ているような医療機関との連携はかなり重要になってくると思いますので、その連携も申請者がきちんと確認して、適正使用ができると判断された医療機関でのみ処方できるような体制を整えることを考えております。今、既承認のナルコレプシーでも、そのように適正使用に協力できると確認ができた医療機関にのみ納入することを行っております。対象がかなり広がるので実際に使う現場の先生方にとっては、連携をいちいち確認されなければいけないことは御面倒をお掛けすることにはなると思いますが、安全性を第一に考えまして、そこは徹底していきたいと考えております。
○永井部会長代理 要するに、これはOSASの治療薬ではなくて、眠気を取る一種の覚醒剤のような薬だという理解でよろしいですか。
○機構 はい。OSASそのものを治すものではないこともありますので、今、効能・効果に関連する使用上の注意で、気道閉塞に対する効果は無いこと等、あとは、今説明させていただいたようなことを適正使用資材の中にも記載していただき、まず一義的にはCPAPできちんとOSASを治療していただくことが重要だということの情報提供を行うことが大事とは考えております。
○永井部会長代理 そうしますと、薬の投与あるいは管理について、今までリタリン等はいろいろと問題がありましたけれども、そうした薬と同じような扱いにする必要はないのでしょうか。それから、使用上の注意で「重篤な不整脈」とだけ記載がありますが、もう少し詳しく、どのような不整脈あるいは心不全でも、恐らく交感神経系の刺激作用があるのではないかと思うのですが、心血管障害に対する注意をかなり厳格に記載しておく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。1点目の、リタリン等の扱いに準じる必要が無いかということですが、今までナルコレプシーに対して先ほど説明させていただいたような流通管理等をかけておりまして、製造販売後調査等でも依存、乱用等の状況は注意していますが、今のところはそういった問題は認められていません。それから、この薬は、第一種の向精神薬に指定されておりまして、これまで薬局等の管理については厳格にしていただくように規定しておりまして、特段大きな問題は起こってはいないので、現時点では新たな対応が必要であるとは思っておりません。ただ、これがOSASに適用が拡大するので、今までナルコレプシーという割と限られた領域で扱ってきましたので、その辺は今後の状況を注視しながら必要な対応を取っていきたいと考えております。
○松井部会長 不整脈については、いかがですか。
○機構 2点目の、心血管系に対する注意喚起ですが、今先生から御指摘があったのは、禁忌の所に重篤な不整脈が記載されているということでしょうか。
○永井部会長代理 それ以外にも、虚血であったり、心筋症であったり、そういう方の場合にはかなり注意が必要だと思うのですが。
○機構 今、禁忌の所は、重篤な不整脈のある患者となっているのですが、慎重投与の箇所で、心障害又は既往歴のある患者、高血圧の患者とありまして、そのほか今御指摘にあったような他の心障害に対して、禁忌に書けるまでのエビデンスが現在無い状況でございますので、もう一度市販後の状況等を調べまして、注意喚起の必要が無いか再度検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか、よろしいですか。
○永井部会長代理 はい。
○清水委員 適正使用、安全使用に質問が集中するところですが、今回呼吸器、耳鼻科の先生に適用が広がることで、これまで精神科、眠気を専門にしてこられた先生方ではない先生方に使われることは、かなり慎重に対応することは大事だと思います。睡眠専門の医療機関との連携については、添付文書の中には、どうして入れなかったのですか。添付文書の中に入っていますか。
○機構 連携までは書いていないのですが、添付文書(案)の1ページの効能・効果に関連する使用上の注意の2.の(1)に、「眠気の原因となる他の疾患との鑑別診断を行った上で」と「日中の過度の眠気については反復睡眠潜時試験等の客観的検査で」と書いております。これは基本的に睡眠の専門の医療機関でなければできないので、直接的な文字として「連携」とは書いていないのですが、実際問題としてはそのような所で行っていただくことになるのかと思っております。
○清水委員 生物学的な製剤などで、主たる適用の領域と違う大きな副作用が出る時に連携をする、あるいは事前にそのような医師との契約をするような場合には、添付文書の中に明確に書かれている事例が結構多く出ていると思うので、そこのところは分かりやすく、今おっしゃられたように間接的にそのようなことになるのだろうとは思いますが、今までナルコレプシーを診ていた先生方ではない先生方がお使いになることを勘案すると、やはり明確に書いておくことが大事ではないかということが1点です。
それからもう一つですが、適用患者数の見込みの数字等は出ているのでしょうか。
○機構 患者数についてですが、少しお時間をいただけますか。すみません。
○清水委員 即答できなければ良いのですが、事前にきちんと予想される総枠を押さえておくことは大事だと思います。そうすると、その数字と大きくずれている時には、もしかしたら何か変ということを捕まえられるかもしれないので、事前の予測はかなり大事ではないかと思いますので、その辺も御指導いただければと思います。
○機構 その辺りは申請者に確認しております。すぐに手元に出てこないのですが、数字としては持っております。御指摘ありがとうございます。先ほども御指摘いただいた連携の話も、添付文書上にどのように記載できるのか、もう少し検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○松井部会長 重要な点だと思いますので、お願いします。ほかにいかがですか。
○加藤委員 薬効薬理についてです。審査資料には書いていないのですが、資料の添付文書(案)の4ページの薬効薬理の項目を拝見しますと、「ラットにおいて側坐核からのドパミン遊離作用が認められており」という記述があるのですが、常識的に考えて、側坐核でのドパミン遊離がある物質というのは、大体が依存性があると考えられることが多いのですが、この薬物の依存性についてはどのようなデータが得られているのでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。ナルコレプシーの審査の時にその点も併せて審査しておりまして、動物実験では弱いながらも依存性が認められております。それもありまして、第一種向精神薬に指定されている経緯もございます。ヒトでは、少なくとも臨床試験や製造販売後調査では該当するような事象は認められていないことにはなっております。
○加藤委員 そうすると、先ほどの清水委員の御指摘等もかかわってくるのですが、この薬物を誰がどこで処方するのかを考えた時に、例えば、耳鼻科に行って、もうどうしても眠いのでたまらないので出してくださいと言うと、耳鼻科の人がこのままだと処方できてしまうのかもしれないと思いました。例えば、依存形成性がある場合にそれで出してしまう状況があるのは、やはり何か少し歯止めをつけておいた方が良いのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
○機構 ありがとうございます。それにつきましても、先ほどの清水先生の御指摘も踏まえまして、添付文書での連携の話など、その辺りをきちんと記載することによって適正使用を推進することが重要になってくると思います。さらに、耳鼻科等で出されてしまうことがないのかという御指摘につきましては、適正使用ができると確認できた医療機関等のみで処方できるように申請者が確認をするという作業が入りますので、恐らく卸レベルでフィードバックが掛かり、登録されていないような先生から出た場合には、そこに情報提供に行くという体制は整えております。いずれにつきましても、適正使用のところはもう少し検討させていただければと思います。
○松井部会長 より直接的な記載が必要であるということですね。
○機構 はい。ありがとうございました。
○松井部会長 ほかには、ございますか。
○永井部会長代理 報告書を読んでみますと、1センテンスがものすごく長いです。9ページには18行にわたって1センテンスがあり、26ページには14行にわたっています。これは読み解くのが非常に難しいので、なるべく短かく分けて論旨をまとめていただけるとありがたいと思います。
○機構 申し訳ございません。以降、気をつけるようにいたします。
○松井部会長 ほかにございませんか。十分論議がなされたと思いますけれども、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3-1、3-2「医薬品ルネスタ錠1mg、同錠2mg及び同錠3mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるエスゾピクロンは、本邦で既に承認されている非ベンゾジアゼピン系睡眠薬で、ラセミ体であるゾピクロンの光学活性体であり、ゾピクロンの薬効はそのほとんどがS体であるエスゾピクロンが担うと考えられております。海外では□□年□月から臨床試験が開始され、2004年12月に米国において承認されております。本邦においては□□年□月から臨床試験が開始され、今般、不眠症に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。
本申請の専門委員としましては、資料15に記載されております7名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性について、審査報告書63ページの表を御覧ください。本申請は、ブリッジング・コンセプトに基づき開発が行われており、海外で実施された第II相試験をブリッジング対象として国内で第II/III相試験が実施されました。国内第II/III相試験の主要評価項目である主観的睡眠潜時及び国内外臨床試験における主要評価項目である客観的睡眠潜時において、国内外臨床試験共に本剤2及び3mgのプラセボに対する優越性が示されており、用量反応関係も国内外で類似していると考えられたことから、海外臨床試験成績を外挿することは可能と判断いたしました。
次に、安全性についてです。審査報告書73ページ、上の表を御覧ください。ゾピクロンに特有の有害事象として、味覚異常として表現される苦味がありますが、本剤においても国内外臨床試験において味覚異常が多く認められております。これらは主に投与初期に認められ、多くが軽度の事象であり、投与継続により消失することを考慮すると、臨床上大きな問題にはならないと判断しております。また、審査報告書74ページ、上及び中ほどの表を御覧ください。本剤投与により、神経系障害及び精神障害に関連する有害事象が認められておりますが、ほとんどが軽度又は中等度であることを踏まえ、適切な注意喚起を行うことにより臨床上大きな問題とはならないと考えておりますが、少数例の患者で意識障害に関連する有害事象が認められていること、又、本剤はゾピクロンの光学活性体であることを踏まえ、添付文書上においては、ゾピクロン製剤と同様、意識障害に関する注意喚起を行うことが適切と判断しております。
本剤の用法・用量について、審査報告書80ページの表を御覧ください。有害事象については、特に味覚異常が本剤3mgで多く認められる傾向にあるため、本剤の通常用量としては2mgとすることが適切と判断しましたが、一方で、本剤2mgについては中途覚醒時間及び中途覚醒回数に対する一貫した有効性が示されず、3mgについては一貫した有効性が示されたことから、2mgで効果不十分な場合には3mgに増量可能とすることが適切と判断いたしました。さらに、高齢者における用法・用量について、審査報告書67ページ、上の表を御覧ください。高齢の不眠症患者を対象とした国内臨床試験において、プラセボ群は設定していないものの、本剤1及び2mgにより睡眠潜時の短縮が認められています。また、同ページ中ほどの表を御覧ください。高齢の不眠症患者を対象とした海外臨床試験においては、主観的な睡眠潜時について本剤1及び2mgのプラセボに対する優越性が示され、中途覚醒時間及び中途覚醒回数、総睡眠時間については、2mgでより高い改善が認められています。なお、安全性については、1mgよりも2mgで有害事象が多く認められています。これらの試験成績を踏まえ、高齢者における通常用量は1mgとし、1mgで効果不十分な場合には2mgに増量可能とすることが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤の不眠症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 相互作用についてお伺いしたいと思います。不眠症が適用となるので、単剤でただ不眠症ということでこれが出されるのならば、もしかすると余り問題無いかもしれませんが、今、我が国の中でうつ病の患者が大変増えておりまして、うつ病の患者の初発の訴えのほとんどが「眠れない」ということから始まることから、どうしても抗うつ薬と一緒に投与される可能性もあるのではないかと思います。いろいろなものと一緒に投与される可能性もあります。審査報告書の48ページに、SSRI、パロキセチンについては、影響が無いだろうと書いてあるのですが、最近かなり普通のうつの状態でも、SSRI、SNRIなどからの処方がかなり増えていて、従来の三環系抗うつ薬の処方が少なくなっていると言われていますが、そのようなオーソドックスな三環系の抗うつ薬との相互作用等はないのでしょうか。
○機構 先生から御指摘いただいたのは、審査報告書の48ページでパロキセチンとの相互作用が検討されている所だと思います。御指摘のように、今回この薬自身で検討された抗うつ薬については、パロキセチンのみとなっております。ほかの薬剤については、直接的な検討をしておりませんので明確にお答えすることはできないのですが、ゾピクロン製剤は既にラセミ体のものが承認されておりまして、もう20年以上前の承認ですので、その中で問題となっているようなものについては、網羅されていると思うのですが、そこで特にほかの抗うつ薬について注意喚起がなされるような問題は起こっていないものと認識しております。恐らくこれについても、代謝の経路などを考えますと、そこまで臨床的に問題になるものは無いと考えているのですが、今後市販後に得られる情報等をよく注意して見ていきながら、注意喚起の必要性については適宜検討していきたいと考えております。
○松井部会長 当然のことながら、三環系の抗うつ剤も含むというお答えと考えてよろしいですか。
○機構 そうですね。そのようになります。
○松井部会長 よろしいですか。
○佐藤(田)委員 回答は調べるということですか。検討するということですか。
○機構 ゾピクロン、ラセミ体の方で特段問題となっていることは報告されておりませんので、恐らく、S体にした時も問題は起こらないと判断しておりますので、今の段階で注意喚起までは必要ないとは思っているのですが、この薬が市販されてからどのような使い方をされているのかについても注意しながら、注意喚起の必要性については今後も検討していきたいと思っております。
○松井部会長 市販後の調査で検討したいということですか。よろしいですか。
○佐藤(田)委員 うつの状態の時に不眠から入ってくるので、その症例数がかなりあると思われるので、その点についてもよく考えておいていただきたいと思いました。
○機構 はい、ありがとうございます。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。
○松木委員 これもラセミ体を分割したものなので、分割するメリットがあるのかと思って見ていたのですが、R-エナンチオマーは特にベンゾジアゼピン受容体に強く作用するわけでもなく、これを抜いたからといって毒性が減っているわけでもありません。ほかのものも綺麗に2分の1で説明がついてしまいます。でも、たまたまこの臨床試験で10mgと比べて3mgの方が良さそうだということで、それで認めるということなのですか。このようなことを行っていたら、きりがないような気がします。作る方も、後で分割していると再度その手間がかかるので、生産コストも高いと思います。余りこの全体的なメリットが感じられないのですが、いかがでしょう。
○機構 常に、ラセミ体のものが単体になると出てくる議論ではあるのですが、これはそもそものゾピクロン自身の承認が今から20年以上前で、その時に行われた臨床試験の評価項目等も全般改善度とかなり大まかな評価になっていて、プラセボとの厳密な比較が行われていない中での用量設定になっています。今回、現時点の科学的水準に基づいて、患者による睡眠潜時、中途覚醒などに加えて、PSGによる客観的な評価もあり、その中で2mgという用量が決まってきたところがあります。アモバン等がゾピクロンのラセミ体になりますが、通常用量が7.5mgなので単純に半分にしますと3.75mgになります。実際、今回きちんと臨床試験を行ってみると、2mgでも有効だと分かったところです。エスゾピクロン自体に対する曝露という相対的な観点からは、今回の臨床試験によって少なくても有効であることが分かったので、患者に対するメリットはあると思っています。それから、これはゾピクロン自身との直接比較を行っていないので分からないのですが、先ほど先生から御指摘いただきましたように、R体はほとんどベンゾジアゼピンの結合部位に付かないのですが、R体にも苦味はあることが知られております。そうすると、投与量として少なくなるため、苦味の低減も、もしかすると期待できるのかもしれないということはございます。
○松井部会長 いかがですか。余りハッピーではないようですが。
○松木委員 科学的には上手く説明がつかないのですが、臨床試験で少し用量を減らすことができたから、という理解でよろしいのでしょうか。
○機構 はい。
○松木委員 分かりました。
○清水委員 副作用の味覚障害のところですけれども、苦味と味覚障害はこのデータでは明確に分かれているのですか。
○機構 臨床試験で上がってきた副作用を集計するのに使っている辞書がありまして、その中で「苦味」という言葉がすべて「味覚異常」に収束してしまうような集計方法になっているので、恐らく、実際のカルテ等まで戻れば「苦い」という患者からの訴えがあったようなことを確認できると思いますが、どうしてもそのような集計になってしまうのです。要は、重なっている可能性があるということです。
○清水委員 先行品のラセミ体のものでも苦味が強いのがこの薬剤の特徴で、それによって処方が伸びない面もあり、ドクターによっては、その苦味があることを使って処方を出している背景もあるようです。味覚障害という文言にしてしまうと、患者のQOLの関係を云々されてしまうことが結構あろうかと思うので、ここの情報提供、添付文書上は36.3%という数字が載っているのは桁違いに大きな事象になってしまうので、この情報提供は慎重にされたらよろしいかと思います。よろしくお願いいたします。
○機構 御指摘ありがとうございました。味覚異常と苦味がもし区別できるのであれば、そこは情報提供資材で上手く区別して、できるようにしたいと思います。
○山田委員 審査報告書17~19ページ辺りを見ますと、動態では動物による種差が非常に大きいことが分かります。ラットでは性差が非常に大きいのに対して、マウスやイヌでは、ほとんど性差が無い感じですが、ヒトでは動態に性差はあるのでしょうか。これがまず1点です。
○機構 ヒトでは大きな性差は認められていません。
○山田委員 分かりました。それから、用量の問題で、2mgだと中途覚醒に効かないので用量を上げるというような話がありましたが、一般的にベンゾジアゼピン系の眠剤では入眠時障害にはショートアクティングで、中途覚醒や早朝覚醒のような場合には、用量を上げるのではなく、薬効時間の長いロングアクティングなものに変えるのが一般的かと思いますが、この薬剤の場合には用量を上げることによって両方共に効かせるということですか。ベンゾジアゼピンの使い方と少し混乱を来すような感じを受けましたが、その点はいかがでしょうか。
○機構 基本的には、ベンゾジアゼピンのショートアクティング、ロングアクティングの使い方と変わらないと考えておりまして、用量を上げると必然的に血中濃度も上がりますので、当然その分、有効性も期待できるだろうという考え方に基づいています。そこで、この薬が患者の状態に合っているので、もう少しだけ増やそうと考える先生の場合、使い続けることもあると思います。寝入り端よりは朝方起きてしまうことの方が問題という患者であれば、当然ロングアクティングのものを使っていただくことになると思います。ゾピクロンも同様だと思いますが、既存の製剤と特に違った使い方をしていただくことは想定はしておりません。
○山田委員 安易に用量を上げると副作用が多くなるという懸念がありましたので、確認させていただきました。
それから、もう1点あります。この薬剤の審査と離れてしまうかもしれませんが、ラセミ体のアモバンの用量が7.5mgなどに比べて、こちらは2mgであり、先ほども3分の1以下ということでしたが、科学的な説明が非常にしにくいアモバンとどちらがおかしいのかは分かりませんが、そのようなことに対して、今後どのような対応をされるのでしょうか。
○松井部会長 そのようなことに対してというのは、どういったことでしょうか。
○山田委員 用量が3分の1以下だということは、アモバンの用量が高過ぎるのか、あるいはこの薬剤がベンゾジアゼピン系以外の作用を持っていて用量が低くなっているのか等、いろいろなことが考えられると思いますが、科学的にR体とS体で、光学異性体を分けたことで用量に3倍も差があるということは、なかなか説明がしにくいのではないかと思うのですが。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 先ほども少し申し上げたのですが、アモバン自身の承認がもう今から20年以上前で、このような言い方が良いかどうかは分かりませんが、科学的な評価がきちんとできていたかというと、当然それは年月と共に進歩していきますのでなかなか難しいところです。その当時の評価としては、7.5mgが通常用量として適していたという評価がなされていたとは思っております。今回この薬、エスゾピクロンで、患者の主観的な睡眠潜時や客観的な脳波での評価等で行い、プラセボに対して統計学的な検討をきちんと行った結果、2mgでもきちんと効いていることが分かりましたので、そのような評価項目の違い等で差が出てきたと考えています。エスゾピクロンが同じ量入っていれば、恐らく有効性は同じなのだろうと考えてはいるのですが、そこはきちんとhead-to-headで検討した結果が無いので分からないことになってしまいます。
○山田委員 もう少し、よろしいですか。今の御説明ですと、アモバンは少しオーバードーズかもしれないというようにも聞こえるのですが、そのようなことが分かった時点で、アモバンについて何かなされるのでしょうか。その点だけお願いいたします。
○機構 現時点でアモバンに関して、もう1回、用量再設定を検討するような必要性は無いと考えております。
○山田委員 分かりました。
○松井部会長 その理由は何ですか。
○機構 そこは、アモバンでも現時点で安全性の観点から特段の問題が無いことから、あえてさらに低用量の開発を求めるところまでは必要無いと考えておりますけれども、是非こういったエスゾピクロンの用量など科学的な水準に基づいて検討していただきたいと思いますが、何ぶん20年市販されているものですので、なかなかそこは難しいこともあるのではないかと思います。
○松井部会長 そのようなことで、よろしいですか。ほかにはいかがですか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ボナロン点滴静注バッグ900μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるアレンドロン酸ナトリウム水和物は、ビスホスホネート系薬剤であり、本邦においては、1997年に「悪性腫瘍による高カルシウム血症」を効能・効果として注射剤が承認され、その後、「骨粗鬆症」を効能・効果として2001年に1日1回投与の錠剤、2006年に1週間に1回投与の錠剤も承認されました。
骨粗鬆症治療において、ビスホスホネート系薬剤は、国内外を問わず第一選択薬とされていますが、錠剤では吸収抑制や食道等の上部消化管における副作用回避の観点から、朝食の30分以上前に服用する必要があり、また、服用後少なくとも30分は横にならない等の服用上の制約があるため、コンプライアンスを長期間良好に維持することが困難と考えられております。以上の背景から、錠剤を服用できない患者への投与を可能にし、又、錠剤よりも投与間隔が長い注射剤の開発が行われました。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書16ページの表6を御覧ください。国内の第III相実薬対照試験において、主要評価項目である投与52週後の腰椎骨密度変化率について、対照薬とされた1週間に1回投与の錠剤(35mg錠)に対する非劣性が検証されました。また、骨代謝マーカーの推移についても、17ページの図2のとおり、35mg錠と同様の推移を示しました。
安全性については、23~29ページの(3)安全性についての項に示しましたように、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、食道癌等について評価し、許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、38ページの(5)製造販売後調査の計画についての項に示しましたように、観察期間52週間、調査予定症例数2,500例の「長期使用についての特定使用成績調査」及び観察期間3年間、調査予定症例数500例の骨折抑制効果を検討するための特定使用成績調査が予定されています。
以上のとおり、機構での審査の結果、「骨粗鬆症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新用量医薬品及び剤形追加に係る医薬品であることから、再審査期間は4年が適当であると判断しております。製剤は、劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○清水委員 この薬剤について患者に持たせるようなカードや手帳等は何かお考えですか。あるいはメーカーとの間で討議しているようなことはございますか。
○機構 はい、現在作成中です。
○清水委員 具体的には、どのようなものを作っていらっしゃいますか。お聞きしたのは、ビスホスホネートについては歯科の先生がお薬手帳をかなり重要視してくださって、治療の際にお薬手帳で確認をするのですが、注射薬ですので、お薬手帳に載りにくいと思うのです。定期的にこの施療を受ける患者については、お薬手帳に何とか工夫をして載せる方向を考えるというのも一つの手だとは思うのですが、それが難しければカード等を患者に持たせるという方法もあるかと思い、お聞きしたところです。
○機構 お手元に見本があると思うのですが、ボナロン点滴静注の表示部分が赤い枠のシールになっていて剥がれるようになっておりまして、これを手帳に貼っていただくということで、記載する手間を省いて、はっきり投与された製剤が分かるような形で工夫されております。
○松井部会長 よろしいですか。
○清水委員 ありがとうございました。
○松井部会長 工夫されているということですね。
○清水委員 利用できるように情報提供をお願いいたします。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ベセルナクリーム5%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
日光角化症は、慢性的な紫外線の曝露により生じた有棘細胞癌が表皮内に限局した病態であり、好発部位は慢性的な日光露出部である顔面及び頭部であり、顔面と頭部を合わせて約80%を占めます。国内の有病率については、疫学調査の結果から、年間罹患率は10万人当たり100~120人と推定され、年齢構成は70歳代以上が67.5%と年齢と共に増加する傾向があります。日光角化症は、どの病変がいつ真皮内浸潤を起こすか予測が不可能であり、一旦真皮内に侵入すれば、転移を生じる危険性があるため、早期の段階で確実で再発の少ない適切な治療法の選択が求められています。
日光角化症に対する治療法としては、病変の除去が確実に行える外科切除が第一選択とされていますが、病変が多発性で広範囲に及ぶものや基礎疾患により全身状態が芳しくない等、外科切除が困難な場合は、凍結療法や5-FU軟膏が選択されています。
イミキモド(以下「本薬」)は、インターフェロンアルファーをはじめとする各種サイトカインの産生を促進し、免疫応答を賦活化することにより、細胞傷害作用、腫瘍細胞におけるアポトーシスの促進作用を有するイミダゾキノリン誘導体です。現在、本邦において、本薬は「尖圭コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)」の効能・効果で承認を取得していますが、今般、申請者は日光角化症の治療において、本薬は既存の治療薬とは異なる作用機序を有することから、日光角化症の治療における選択肢の一つになり得ると考え、臨床試験を実施し、今般の承認申請に至りました。
海外では、本薬は日光角化症に対し、2004年3月に米国、2006年11月に欧州でそれぞれ承認され、2011年9月現在、海外48か国で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
続いて審査概要の説明をさせていただきます。本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内で実施された臨床試験1試験の成績が提出されています。本試験では顔面又は禿頭部に病変を有する患者を対象に、基剤群、本薬週2回塗布群、本薬週3回塗布群の3群が設定され、報告書10ページの図1に示した試験デザインで実施されました。
有効性に関してですが、報告書11ページの表4を御覧ください。主要評価項目である、「経過観察終了時(8週時)の塗布部位における日光角化症病変の完全消失率」について、用量反応関係が統計学的に有意に認められ、週3回群及び週2回群の完全消失率は基剤群に比べて有意に高く、週3回群の完全消失率は週2回群に比べて有意に高い結果が得られたことから、本薬の週3回塗布における有効性は示されたと考えました。
続きまして、安全性に関してですが、報告書12ページの表5及び報告書16ページの表11を御覧ください。
表5に示したとおり、本試験における有害事象は、その大部分が塗布部位に関連する局所の事象でした。そのうち表11に示したように、週3回群では週2回群と比べて、程度が重度である有害事象の発現率が高い傾向等も認められましたが、そのほとんどが経過観察期で処置を行うことなく回復していたことを考慮すると、週3回塗布における本薬の安全性は許容可能と考えました。ただし、塗布部位局所で発現する有害事象の程度・状態に応じ、本薬の塗布継続について医師等に相談するよう、添付文書で注意喚起することが適切と考えました。
以上、機構での審査の結果、顔面又は禿頭部の日光角化症に対する本薬の有効性は認められ、安全性については適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本薬は既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○清水委員 先行する適応症ともかかわってしまうのですが、除去する時の石鹸の有用性というのは絶対条件なのかどうかが、審査報告書から読み取れなかったので教えていただきたいのですが。
○機構 審査報告書の中では石鹸での除去に関する条件は言及しておりませんが、日光角化症に関しまして、本薬塗布状態で日中の日光への曝露を受けた場合には、光線過敏などの影響も出る可能性もありますので、就寝前に塗布して、起床後に洗浄するというのは徹底され、臨床試験の中でも石鹸を用いて除去するという形で対応されています。そのような状況下、塗布部位の有害事象は出てきてはおりますが、それ以外では特段目立ったような事象は出ていないということを考えますと、現状は、石鹸での除去に関する対応の方法について恐らく大きな問題は無いのではないかと考えています。
○清水委員 石鹸を省いてしまった時、何か危惧されるべきことというのは起きそうなのですか。
○機構 石鹸を使わなかった場合については、我々も確認していないので、そこまでは現状の情報としては把握しておりません。
○松井部会長 清水委員、「石鹸を用いて」との記載はあるけれども、これでは足りないという意味ですか。
○清水委員 石鹸は、どうしても使わなければならないものなのでしょうか。石鹸を抜きに水又はお湯での洗い流しでは、副作用が増えてしまうというデータがあるのかどうかを確認したいと思います。
○機構 現状は把握できていないところはあるので、申請者にも確認してみたいと思いますし、製造販売後調査の中でも、そのようなところをどのような形で実際の患者で対応されているのか、情報収集できるようにした方が良いのかと思いますので、申請者の方に検討していただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにありませんでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、加藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。野田委員におかれましては、議題6の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
── 野田委員退室 ──
○松井部会長 議題6について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題6、資料6「医薬品リバロ錠4mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より御説明いたします。
資料6のタブ「劇薬指定除外概要」を御覧ください。「リバロ錠4mg」は1錠中にピタバスタチンカルシウムを4mg含有する錠剤でございます。本成分は、高コレステロール血症治療薬として、通常1日1~2mgを最大4mgの用法・用量で承認されております。現在、1mg錠と2mg錠の二つの規格が製造販売されております。本成分につきましては、平成15年の「リバロ錠1mg」、そして「リバロ錠2mg」の承認に伴い、薬事法施行規則において、原体及びその製剤は劇薬に指定されております。ただ、ただし書におきまして、1錠中にピタバスタチンとして2mg以下を含有するものについては劇薬から除外しています。
劇薬への該当性についてですが、今般、興和株式会社より、既に承認されている最大用量に基づいて、医薬品製造販売承認申請がなされたリバロ錠4mgは、1錠中にピタバスタチンカルシウムとして4mgを含有する錠剤であり、現在の規定では劇薬に該当いたします。一方、既承認品の毒性試験データによれば、原薬での概略の致死量はkg当たり50~100mgであり、原薬4mgは概略の致死量を十分下回る用量です。したがいまして、リバロ錠4mgを劇薬の指定から除外することが適当であると考えられます。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。御質疑はございませんでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、「毒薬又は劇薬の指定は不要」としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、毒薬又は劇薬の指定は不要とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。野田委員に入室していただいてください。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 それでは、議題7に移ります。議題7について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題7、資料7「医薬品パキシルCR錠25mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より御説明いたします。
緑のタブ「劇薬への該当性に関する資料」を御覧ください。本剤の有効成分であるパロキセチンは2000年9月にパキシル錠10mg、同20mgが承認されたことに伴いまして、薬事法施行規則において、3.に示しました新旧対照表の「(旧)」に示した下表のとおり、原体及びその製剤は毒薬に指定されております。ただし書におきまして、20mg以下を含有するものを除くとされ、結果、今の既存の製剤は毒薬からは除外され、劇薬に指定されております。次のページの劇薬の指定で劇薬に指定されています。
今回の徐放化製剤につきましては、1日1回投与であるなど、既存製剤と用法は同じですが、消化器症状の副作用の軽減を開発コンセプトとして徐放化を行い、有効成分の含有量を増やしたため、現行の規定をそのまま本徐放性製剤25mgが3.の「(旧)」のところで読みますと、毒薬に該当することになります。しかしながら、本徐放性製剤25mgは、既承認の20mgよりAUCが上回っていないということを確認しておりますので、毒性が既存のものに比べて強いものとは認められず、既承認同様の劇薬に指定することが適切であり、3.の下線部を追加して徐放性製剤を毒薬から解除して劇薬に指定することが適当かと考えております。つきましては、本徐放性製剤25mgを劇薬に指定することにつきまして、御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。とくにございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、「劇薬に指定を可」としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、劇薬に指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「医薬品ロナセン錠2mg、同錠4mg、同錠8mg及び同散2%の再審査期間延長の可否について」事務局より御説明いたします。
まず再審査期間の延長に係る制度について簡単に御説明いたします。お手元の1枚目の諮問書におきまして、薬事法第14条の4第2項とあります。厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認める時には薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、調査期間をその製造販売承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができるという規定がございます。この規定を受けまして、平成12年に「医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直しについて」という通知が発出されました。この通知の中で、「小児の用量設定等のための臨床試験(治験又は市販後臨床試験)を計画する場合にあっては、再審査期間中に行う特別調査等及び臨床試験を勘案し、再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長する」とされています。
資料の品目の概要から簡単に説明いたします。本剤の申請者は大日本住友製薬株式会社です。対象品目はロナセン錠2mg、4mg、8mg、同散2%です。一般名はブロナンセリン、効能・効果は統合失調症です。現在の用法・用量は、記載のとおりです。本剤の承認日につきましては、平成20年1月25日、再審査期間は8年に指定されております。
次に資料の「例数設定根拠」の1ページ、「小児開発の必要性」を御覧ください。この統合失調症は、思春期~青年期に発病し、多種多様な精神状態を有する疾患であり、本剤の使用成績調査におきましても、10歳代での使用が確認されております。現在日本では、小児適応がある統合失調症の薬剤は無く、適正使用の推進の観点から、小児の用量設定の必要性は認められます。
3ページを御覧ください。そこで本剤の承認取得者におきまして、小児の用法・用量を設定するための治験が計画されました。□年□月に既に治験届は提出され、20□年□月から被検者を登録する予定となっております。ただし、小児の統合失調症患者は非常に少ないということもあり、検証試験は20□年□月まで、長期投与試験は20□年□月までの期間が必要であるとされております。そのため、再審査期間を当初より2年間延長することが適当ではないかと考えております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。小児の治験を行うために、2年間の延長ということです。特段の御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、再審査期間の2年延長を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、再審査期間の2年延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
以上で審議事項は終了です。報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料9「医薬品ル・エストロジェル0.06%の製造販売承認事項一部変更承認について」機構より報告いたします。
まず資料9を御覧ください。本剤は、エストラジオールを有効成分とする外用ゲル剤であり、「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)」の効能・効果で既に承認されております。
今般、既承認の用法・用量で投与がなされ、有効性が認められた患者に、既承認の用法・用量の半量を投与する臨床試験の結果に基づきまして、効果の持続性が評価され、治療中に半量に減量する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認しても差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料10「医薬品メトピロンカプセル250mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、メチラポンを有効成分とする経口製剤であり、現在は「下垂体ACTH分泌予備能の測定」の効能・効果で承認されております。
本剤につきましては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、クッシング症候群に対する公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられまして、平成23年4月27日に開催されました本部会におきます事前評価を踏まえまして、ノバルティスファーマ株式会社から、効能・効果及び用法・用量を変更するための製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料11-1、11-2「医療用医薬品の再審査結果について(ランジオロール塩酸塩)、(カンデサルタン シレキセチル)」報告いたします。
これらは、いずれも医薬品再審査の確認等結果通知でございます。
資料11-1です。一般的名称はランジオロール塩酸塩、販売名は注射用オノアクト50のものです。
資料11-2です。一般的名称はカンデサルタン シレキセチル、販売名はブロプレス錠のものです。
これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判断したものです。
以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○宗林委員 1点だけ伺わせてください。資料9のエストラジオールですが、用量を変更して低用量でも良いということで追加なのですが、もしそうであれば、低用量から使うという形になるのでしょうか。いろいろな副作用が結構あると思いますが、こちらは低用量から使う形になるのでしょうか。
○機構 このものにつきましては、前回、1回1.8g/dayを承認した際、エストラジオールの血中濃度がやや高目である傾向があり、海外の大規模臨床試験等により、ホルモン補充療法については必要最小量を最短期間することが望ましいという勧告を受けていることもありまして、低用量の検討をすることといたしました。低用量の検討に当たっては、低用量から開始するという選択肢もあったのですが、国内II相試験の結果を見て、低用量の1.25g/dayで有効性が認められないという結果が得られております。そのため、高用量から開始して低用量に漸減していく開発コンセプトの下に開発がなされたものです。更年期障害の症状等につきましては、初期に治療する際に高用量が必要という文献報告等もありまして、高用量から開始して、効果が認められた場合は徐々に減らしていき、治療を中止する方向に持っていくというコンセプトの下に今回試験が提出され、有効性、安全性が認められましたので、承認して差し支えないという判断に至っております。
○宗林委員 そのような使い方をどこかに記載しなくても良いのでしょうか。先生に委ねるということなのでしょうか。
○機構 使い方については、用法・用量に塗り方等が記載されていると思うのですが。
○宗林委員 今のお話ですと、低用量からのスタートではないということです。高用量で効果があったものに対して漸減していくというようなお話ですね。記載があるのですか。
○機構 用法・用量上では「なお、症状に応じて、適宜減量する」という記載があり、エストロゲン製剤については患者個々人の治療効果の固体差は非常に大きいので、患者の状態と症状の程度等を勘案した上で、減量していただくということになろうかと思います。
○松井部会長 よろしいですか。減量ができるということです。ほかに御質問はございますか。
○加藤委員 ランジオロール塩酸塩注射用オノアクトについて確認したいと思います。最近の本部会で、CT撮影時の頻脈の是正を適応としたランジオロール製剤を審査したと思うのですが、同じランジオール製剤であるオノアクトの再審査確認とどのような関連を持ってくるのかを教えていただきたいと思います。
○機構 機構よりお答えいたします。先生がおっしゃった最近承認されたものにつきましては、こちらとは情報収集の対象が異なりますので、別々の情報収集をして、別々の審査をしているというのが現状です。
○加藤委員 記憶が曖昧なのですが、CT撮影時用のというので承認されたものも、やはり注射用オノアクト50という製剤名でしたでしょうか。
○機構 用量も変わっていますので、コアベータという名前になっております。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。以上の報告事項については御確認いただいたものとしてよろしいでしょうか。それでは、報告事項議題4です。事務局より御説明ください。
○事務局 報告事項議題4、資料12「ワルファリンカリウムの安全対策のための用法・用量の変更について」審査管理課より説明させていただきます。
ワルファリンカリウムは、国内では1962年から販売が開始されまして、経口抗凝固薬として使用されております。近年の治療法の進歩に伴いまして、承認当時の用法・用量から現状の使用方法が乖離しており、特に初回投与量については、承認当時の用量が現在使われている量の3倍~8倍程度となっていることが判明しております。現行の添付文書どおりに使いますと、過量投与による出血等の発現が懸念されます。
昨年2月に用法・用量に関連する使用上の注意を改訂し、血液凝固能検査に基づき、投与量を決定することや、初回投与量はできる限り少量とすることが望ましい旨の注意喚起を行ったところです。今般、使用実態のアンケート調査が提出されましたが、改めて現状では初回用量及び維持用量とも、概ね1mg~5mgの範囲で投与されていることが明らかになりまして、一般社団法人日本血栓止血学会により、用法・用量変更に係る要望書が提出されました。安全性をより向上させるために、用法・用量及び関連する使用上の注意について、現状の使用方法に合わせて変更することが適切と判断いたしました。以上です。
○松井部会長 御質問はありませんでしょうか。初回の投与量から少なくするということです。特にございませんか。それでは、この議題4についても御確認をいただいたものといたします。
本日の議題は以上なのですが、何か御発言、特にありませんでしょうか。それでは、事務局から報告はございますか。
○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、12月2日(金)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうも皆様御苦労さまでした。ありがとうございました。
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、佐藤雄一郎委員、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、檜山委員、村田委員、本橋委員より御欠席との御連絡をいただいております。
現在のところ、当部会委員数21名のうち、増井委員は遅れて来られるという御連絡をいただいております。現在のところ、12名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
本日のその他事項に関しましては、独立行政法人国立循環器病研究センターの山本先生、独立行政法人国立成育医療研究センターの中村先生を参考人としてお呼びしております。
それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。エムラクリームについては、本品目は皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。モディオダールについては、本品目は持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目は無しとしております。
3ページを御覧ください。ルネスタについては、本品目は不眠症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページのボナロンについては、本品目は骨粗鬆症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページのベセルナクリームについては、本品目は日光角化症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページのリバロについては、本品目は高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページのパキシルCR錠については、本品目はうつ病・うつ状態を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページのロナセンについては、本品目は統合失調症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について御報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「エムラクリーム」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題2「モディオダール」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題3「ルネスタ」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員でございます。
議題4「ボナロン」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、永井委員でございます。
議題5「ベセルナクリーム」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員でございます。
議題6「リバロ」については、退室委員は野田委員でございます。議決に参加しない委員は永井委員、松木委員でございます。
議題7「パキシル」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員、松木委員でございます。
議題8「ロナセン」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、野田委員、山田委員でございます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。本日は、審議事項は8議題、報告事項が4議題、その他事項が1議題となっています。本日は参考人の先生に来ていただいている、その他事項から行います。
それでは、その他事項について、参考人の山本先生及び中村先生より御説明をお願いいたします。山本先生、お願いします。
○山本参考人 国立循環器病研究センターの山本でございます。その他事項議題1、資料13「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」資料に基づいて説明をさせていただきます。
資料13の3ページを御覧ください。プロプラノロール塩酸塩の小児不整脈の適応追加の要望についての御説明となります。要望者は、日本小児循環器学会です。検討会議では、小児不整脈は、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当すること。また、国内外の小児科の代表的教科書等におきまして、本剤の使用が推奨されており、欧米においても標準的治療に位置付けられていることから、医療上の必要性は高いと判断しております。
34ページを御覧ください。「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項を御覧ください。本薬は、小児不整脈の適応で、英国にて承認されております。また、国内外のガイドラインにその有用性が示されております。また、英国の添付文書、海外ガイドライン及び海外の代表的教科書に、小児不整脈に対する用法・用量が記載されております。その用量は、国内のガイドライン及び標準的教科書に記載されている用量と大きな差はありませんでした。
また、国内からも症例報告が多数報告されておりますが、そちらでもほぼ同様の用量で、本薬が小児不整脈に対して使用され、有効性及び安全性が確認されていることが示されております。以上のことより、検討会議では、本要望に対する有効性及び安全性が医学薬学上公知であると判断しております。
なお、効能・効果については、同じく34ページの「8.効能・効果及び用法・用量等の記載の妥当性について」の「(1)効能・効果について」の項を御覧ください。本薬は、頻脈性不整脈に対して使用されているのに対して、要望では、小児における不整脈ということで記載されております。このままでは徐脈性の不整脈にも使用できるという解釈が可能になりますので、適切ではないということで、成人の不整脈の適応に合わせまして、新生児、乳児、幼児及び小児における「期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防」とすることが適切と判断されました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。続きまして、中村参考人、お願いします。
○中村参考人 同じ資料の43ページを御覧ください。メナテトレノンの新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対する予防の効能・効果の追加に係る要望について御説明いたします。要望者は、日本未熟児新生児学会です。同じページの下の「2.要望内容における医療上の必要性について」は、新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症は、致死的又は後遺症を残すことが多いことから、生命に重大な影響がある疾患に該当すること、一方で、現時点で新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症に対する予防を効能・効果とする薬剤は国内に存在しないことから、検討会議では医療上の必要性は高いと判断されました。
60ページの「(3)要望内容に係る公知申請の妥当性について」の項を御覧ください。新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防に対するビタミンK投与については、小児薬物療法の標準的教科書において、その有用性について記載されていると共に、海外のガイドラインにおいても推奨されております。
また、海外の無作為化比較試験や大規模調査等において、本剤の有効性について一定のエビデンスが示されています。国内においても、使用実態調査等において、ビタミンK2の製剤である本剤は、広く投与されていることが示されていると共に、現在まで安全性上の問題は特に報告されておりません。以上を踏まえまして、検討会議では、本剤の新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。
61ページの「(2)用法・用量について」を御覧ください。本剤の用法・用量は、現在、本邦において広く普及しており、有効性及び安全性が確認されている投与方法である、通常出生後、哺乳が確立したことを確めてから、1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を経口投与する。その後、2回目として、生後1週間又は産科退院時のいずれか早い時期、3回目として、生後1か月時に、それぞれ1回1mLを経口投与すると設定することが妥当と判断されました。
なお、要望された用法・用量は、「1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を出生後3か月までに、週1回経口投与をしても良い」というものですが、この使用法については、国内外において、コンセンサスが得られているとまでは言いがたいものの、母乳栄養の状況等からビタミンK欠乏が想定される一部症例では、出生後1か月を超えて投与を継続することが必要となる可能性が否定できないため、そのような症例については生後3か月まで、週1回投与を考慮するなど、適切に対応する必要がある旨、添付文書において注意を喚起するべきと判断されました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、前半部分の山本参考人の御説明に関しまして、御質疑がある方はいらっしゃいますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、後半部分の中村参考人の御説明に関してはいかがでしょうか。御異議はありませんか。よろしいですか。
それでは、その他事項については御確認いただいたものといたします。両参考人、どうもありがとうございました。
それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1-1、1-2「医薬品エムラクリームの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤は、アミド型局所麻酔薬であるリドカイン及びプロピトカインを等量ずつ配合した共融混合物を用いることにより、局所麻酔薬の皮膚透過性を高めたクリーム剤です。本邦において、リドカインを有効成分とする製剤は、1994年10月に貼付剤が、「静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」を効能・効果として、1997年7月に噴霧剤が、「表面麻酔」を効能・効果として承認されており、プロピトカイン塩酸塩を有効成分とする製剤は、1974年8月に歯科用注射剤が、「歯科・口腔外科領域の手術・処置における浸潤、伝達麻酔」を効能・効果として承認されております。また、海外において、本剤は2011年6月現在、米国、欧州等、世界72か国において承認されております。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されている9名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
本剤の有効性について、審査報告書26ページ、表11を御覧ください。太田母斑、扁平母斑、単純性血管腫又は毛細血管拡張症に対する皮膚レーザー照射療法を受ける患者を対象とした国内第III相試験において、本剤を10平方センチメートル当たり1g、最大10gまで、顔面又は体躯のレーザー照射部位に密封法により60分間塗布した時、レーザー照射部位の疼痛VASは、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。
本剤の安全性について、審査報告書の31ページの表15を御覧ください。国内外の臨床試験において、適用部位局所の有害事象として血腫、紅斑、蒼白等が認められましたが、ほとんどの事象は軽度又は中等度で一過性であり、大きな問題は認められませんでした。全身性の有害事象について、審査報告書の31ページの「2)全身性の有害事象について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験において、因果関係が否定されていない有害事象として、2例以上報告された事象はありませんでした。しかしながら、海外製造販売後の安全性情報において、重篤な有害事象として、メトヘモグロビン血症、過量投与、痙攣、チアノーゼ、意識消失等が報告されております。また、米国では、局所麻酔薬の外用剤について、美容目的で自己投与による広範囲に大量塗布したことによる死亡例が報告されたことを受け、2009年1月に、不適切な使用による重篤な副作用の発現リスクに関する注意喚起がなされております。したがって、不適切な使用による過量投与等を回避するため、本剤の途布量及び途布時間について、適切な上限を規定する必要があると判断し、国内臨床試験の成績に基づき、用法・用量を設定しております。審査報告書の32ページの表16を御覧ください。小児では、メトヘモグロビン還元酵素活性が低いと報告されており、重篤なメトヘモグロビン血症は6歳以下の小児で多く認められております。特に1歳未満の小児では、過量投与のみならず、適正使用量投与でも多く認められていることから、添付文書において、1歳未満の小児では重篤なメトヘモグロビン血症が多く報告されている旨、注意喚起をいたしております。また、苺状血管腫、単純性血管腫等に対する皮膚レーザー照射療法は、主に小児において実施されていること、海外において本剤の用法・用量は、成人と小児で異なること等を踏まえ、本剤の小児に対する開発を早期に着手するよう申請者に指示する予定です。なお、投与部位局所における有害事象、メトヘモグロビン血症、中毒症状等については、製造販売後調査においてさらに検討する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議をいただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体リドカイン及びプロピトカイン、並びに製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○清水委員 この薬剤の小児への適応について、改めて試験を促しているようですが、実際これが上市されれば、小児に使われるケースというのはかなり多く想定されます。そのことを考えると、小児の使用については、外用剤というと、その分量がどうしても大まかな感じになってしまうのですが、10平方センチメートル当たり1gが、どのくらいの量なのかがきちんと分かるような情報提供をきちんとしていただく指導をお願いすると共に、添付文書に記載できるかどうかは判断が必要だと思うのですが、英国の添付文書には、小児の用量の表が作られているので、それを参考として掲載するのか、あるいは添付文書への記載が適切でなければ、他の資材等を通して情報提供をすること等については、どのようにお考えでしょうか。
○機構 御意見ありがとうございます。そのことにつきましては、我々も懸念を持っておりまして、小児に対する使用の注意喚起や海外で推奨されている用法・用量については、情報提供すべきと考えております。
添付文書に、今承認されていない用法・用量を記載することは非常に難しいと思いますが、申請者に適正使用ガイドを作っていただきまして、そちらの方で小児についてどのようなリスクがあるのか、海外における用法・用量がどうなっているのかなども含めて説明していただくようにお願いしております。
○松井部会長 清水委員、いかがですか。よろしいですか。
○清水委員 その方向で進めていただきたいと思います。
○松井部会長 重要な御指摘だったと思います。ほかにいかがですか。
○宗林委員 こういった時に使われるのかどうかも分からないまま聞いておりますが、最近、美容整形外科を中心に、アイラインの色を針で入れるというものが大変流行っています。アートメイクと言われているようです。その時に、麻酔のクリームを「目の縁に塗って」という表現がよくあるのですが、この添付文書を見ると、「目に入らないように注意すること」というようには記載されているのですが、本当に「目に入らない」だけの記載で大丈夫なのでしょうか。目の直上のアイラインを入れる所にも塗っていて、危害の情報としては、かなり腫れ上がっている方がいらっしゃるようなので、例えば目の回り等、目に入らなくても、目の本当の直近の所には使わない方が良いという記載の方が良いと思います。医師の資格を持たない人が針を指すということは医師法違反になってきますが、エステでもそのような危害がある程度出てきていますので、少し考慮していただけないでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 御指摘ありがとうございます。やはり、目の所につきましては、これは毒性試験の成績や添付文書を踏まえて注意喚起をさせていただいている内容で、特に目に入れてしまうと危ないということで、目の回りの所に使用することもリスクは高くなりますし、避けていただくことが適切だとは思います。しかし、目の周囲に使用しないこととまですることはなかなか難しく、対応できるとすれば、やはり、目に入らないようにするということでしか、注意喚起の方法はないのではないかと思っているのですが。
○松井部会長 何か追加がありますか。
○機構 補足させていただきます。本剤の効能・効果は皮膚レーザー照射療法時ということで、レーザーを照射する際の疼痛緩和になりますので、いわゆる、アートメイクはレーザーというよりは、むしろ色素を植えていくような形ではないかと認識しているのですが、まず、効能・効果の範囲からは外れてしまうというのが1点あると思います。
ただ、御指摘のように、一方ではいわゆる適応外の使用として、そういった使用が想定されてしまうということはあると思うのですが、今説明させていただきましたように、目に対してはかなり重篤で、持続性の刺激性が認められていますので、目の付近に使用することは、もちろん避けていただくことが望ましいのではないかと思っています。
一方で、美容形成の領域に関しましては、レーザー照射療法が、保険では適用されていないのですが、レーザー照射するような美容の領域というのがありますので、例えば、脱毛、しみ、しわといったものに関しては、本剤が使用される可能性というのは、むしろ否定できないのではないかと思っております。ただ、そういった使用に関しましても、海外で問題になっている多くのものが、投与量に依存的に起こっているものではないかと考えておりますので、まずここに記載させていただいている用法・用量をきちんと遵守してもらうことが重要ではないかと思っています。
使用の範囲につきましては、先ほど説明させていただきましたように、本剤に関しては適正使用を促すような資材を作成するように申請者に指示させていただいております。その中で、適応外の使用を行わないようにという形の注意喚起はさせていただく予定と考えております。
○松井部会長 いかがですか。
○宗林委員 このアートメイクというのは、少し失敗すると、今度色を抜かなければいけないので、それにレーザーを使います。一度で上手くいく人はレーザーは使わないのですが、微調整する場合は、レーザーで色を抜くという治療を行う方もかなり多くいらっしゃいます。ですから、本剤は確かにレーザーの時に使用するということですが、実際には極めて近い関係にあるということです。目の回りを腫らしている方がいらっしゃいます。化粧品では、目の回りに使うという表現を用いて上限量を設定していますので、同様な表現で目のまわりについては、特に注意を促していただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 ありがとうございました。御指摘を踏まえまして、適正使用の際に目の回りの使用に関しても、少し注意喚起をさせていただくような対応をとらせていただきたいと思います。
○松井部会長 是非、お願いします。ほかにいかがですか。
○佐藤(田)委員 用法・用量について教えていただきたいと思います。添付文書(案)の7ページ辺りに出ているのですが、先ほどから塗布する用量が難しいということをおっしゃっているので、これが妥当な線なので出てきたのでしょうが、7ページに「1回あたりの塗布量は10gまで」とあり、こちらはチューブから出てきて10gというのが大体分かれば良いのですが、「塗布時間は120分を超えないこと」との記載があります。その下の囲みの中に、塗って、それから除去をして、レーザー照射をするとありますが、この「120分」というのは何を意味しているのでしょうか。恐らく、局所麻酔の薬ですから、当然、吸収性があるものだと思います。表面だけが痛いだけではなく、その下にも神経が分布されているわけです。3ページに血漿中のリドカイン濃度の移行、プロピトカイン濃度の移行が示されていますが、恐らく、ARGを行ってそこの皮膚の辺りの組織移行を見ていただいたデータは、その上は小さくて拡大しないと見えないのですが、そこに表されているのでしょうか。塗ってから拭きなさいと言うけれども、既に拭いた時点では効果があるので拭いて除去をして、取るのです。すると、その時以降に組織移行がT1/2でどのくらいなのかが分かれば、簡単で結構ですのでお示しください。
○機構 御指摘ありがとうございます。先ほど御指摘いただきました薬物動態につきましては、2時間塗布した時のデータを示させていただいております。こちらにつきましては、Cmaxが大体2時間ぐらいということで、除去をするとすぐに血中濃度が落ち始めるということが分かっています。およそ6時間後ぐらいまでは入り続けるのですが、除去した時点がCmax付近となり、それ以降は落ちていくような薬物動態を示します。120分というのは、薬物動態を国内臨床試験の中で検討し、安全性を確認した最大時間ということで、120分と設定させていただいております。一方60分というのは、有効性が認められるのに60分ぐらいかかるので、60分間は塗布しておかなければならないというところで設定しております。説明になっておりますでしょうか。
○松井部会長 塗布してから120分ですか。
○機構 そうです。塗布してから120分間です。
○佐藤(田)委員 施術までに塗ってから、60分待つということですか。
○機構 そのとおりです。
○佐藤(田)委員 その時点で拭くというか、除去をする。そして行っている最中、残りの60分の間はその範囲の中で効果があるということですね。
○機構 そうですね。大体2時間ぐらいは効果が持つということは分かっておりますので、その間に施術をしていただくという形になると思います。
○佐藤(田)委員 少し間の説明を入れていただかないと、分かりにくいと思います。「120分を超えないこと」というのはまた塗らなければ効果が無いのか、その間は塗っていてはいけないという意味なのか、少し難しいと思いました。
○機構 塗布時間が120分を超えないということだったのですけれども。
○佐藤(田)委員 このような表現で表すのかもしれませんが、実際、使うとするともう少し分かりやすく表現していただくとよろしいかと思います。ありがとうございました。
○機構 そうですね。もう少し丁寧な形で説明できるようにしていきたいと思います。
○加藤委員 製剤と薬物動態について伺いたいと思います。この薬物は、レーザー照射をその後行うということをすべて前提としているのですが、一つは製剤の安定性ということで、実際にレーザー治療に使われる波長の光を当てた場合、あるいはその強度、あるいは少し強度を超えた場合などにおける安定性ですが、例えば、何らかのほかの化学的な反応を起こして、ラジカル等ができ、ほかの物質ができる可能性もあるのだろうかと疑問に思いました。
薬物動態に関しても、実際にレーザーを当てることにより、例えば血管拡張が局所的に起こった時、少し吸収が変わってくる可能性もあるかと思うのですが、見たところでは、その後にレーザーを当てた場合に製剤の安定性と薬物動態のデータは無いような感じがするのですが、それについてはいかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。御指摘の点につきましては、我々も懸念をして、何度か申請者とやり取りをしたのですが、なかなか芳しいデータが得られてはいないというところです。ですから、国内外の臨床試験や海外の安全性情報から、新たな問題が認められていないか等、そういったところから読み取ることになるのかと思います。
結果的には、国内臨床試験の時には、本剤塗布後にレーザー照射をしておりますが、新たな事象は認められておりませんし、特に問題となることは起こっておりませんので、特段の問題は無いのではないかと思っております。
○松木委員 こちらも、いつも問題になっている配合剤ということなので、単剤よりメリットがあるのかということで、ヒトに対して効果があるかというのは確認ですが、例えば、7ページの表1はピンプリック法に対しては効果があるのですが、それ以外に配合するメリットがきちんと示されている箇所はどこにあるのでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。先ほど御指摘いただきましたように、配合するメリットがどこにあるのかということですが、一つは皮膚の透過性を高めるということで、皮膚の濃度を調べた動物のデータがございます。
○松木委員 動態は良いのですが、それが実際に鎮痛効果として現れているデータは、どこにあるのだろうかと思ったのですが。
○機構 ヒトでは先ほど御指摘いただきました箇所になるのですが、審査報告書の7ページに記載させていただいております。ピンプリップ法を用いた無痛回数や皮下穿刺時の疼痛VASにおいて、同じ濃度の5%のリドカイン、又は5%のプロピトカインを含有するクリーム剤よりも、本剤の方が有効性が高かったというところから、配合の意義はあると考えております。
○松木委員 実際のレーザーに対する痛みではなく、ピンプリック法で類推しているということですね。
○機構 はい。
○松木委員 良いのですが、もし動態で説明がついてしまうのであれば、恐らく2倍か3倍塗れば終わりではないかと思ってしまいます。これは両方ともナトリウムチャネルに対して効くので、薬理学的に配合するメリットというのは余り感じられないので、それでも既存の濃度と比べたら良いということから、認めるという方向になるのですか。
○機構 この薬剤につきましては、むしろ、リドカインを例えば倍量にすることでは得られない物理学的な理由がありまして、審査報告書の7ページの図1に記載させていただいておりますように、共融混合物と言いまして、それぞれリドカインとプロピトカインの配合比を変えて、ちょうど1対1にすると固相ではなくて液相、液体の状態になります。そうすることによって、製剤化する際に乳化剤の濃度を高めたり等をしなくても皮膚の透過性が高められるといったところに配合の理由がございます。
ですから、こういった物理学的な特性を維持するために、二つの異なる成分を必要としており、その異なる成分を入れることによって皮膚の透過性が高くなるということがヒトでも、動物でもそうなのですが、ヒトではピンプリック法で、局所麻酔薬の効果が高くなっていることが確認されております。皮膚透過性につきましても、透過性が共融混合物を用いることによって高くなることが確認されておりますので、むしろ配合剤というよりも、配合した共融混合物で一つの物性を保つための成分と考えております。
海外では5%エムラクリームと言われていますが、その5%というのは実は共融混合物としての5%であって、共融混合物とすることによって一つの成分特性を生み出すことができる製剤であると考えております。
○松井部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。
○松木委員 よく理解できました。
○松井部会長 ほかに御質疑はいかがですか。
○手島委員 審査報告書の17ページに、薬剤の局所刺激性試験が行われていて、軽度の刺激性があると記載がありますが、感作性試験は行われていますか。特に問題にならないということですか。
○松井部会長 感作をするかということですか。
○機構 皮膚感作性試験自体は、このクリームについては行われておりません。しかし、海外の各単剤のデータを見ますと、感作性ということは知られておりませんので、そちらの方の懸念は少ないのではないかと思っております。
○松井部会長 いかがですか。ほかに御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事例議題2、資料2「医薬品モディオダール錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるモダフィニルは2007年1月にナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気の効能・効果で承認されており、今回の申請効能・効果である持続陽圧呼吸(以下、CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気については、20□年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が示されたとして承認事項一部変更申請が行われました。なお、海外においては、2011年4月現在、今回の申請効能・効果である睡眠時無呼吸症候群に関連する効能・効果は、米国等7か国で承認されております。
本申請の専門委員としましては、資料15に記載されております5名の委員を指名しております。
審査内容について説明させていただきます。
まず、有効性についてです。審査報告書10ページの上の表を御覧ください。CPAP治療中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者(以下、OSAS)を対象とした国内臨床試験において、エップワース眠気尺度合計スコア(ESSスコア)は、プラセボ群で-2.44、本剤200mg群で-6.61であり、本剤群においてプラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。同じページの下の表を御覧ください。副次評価項目である覚醒維持検査、これは脳波測定により客観的に眠気を評価するものですが、その平均睡眠潜時の変化量はプラセボ群で0.37分の短縮、本剤群で2.83分の延長であり、本剤群においてプラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められました。
本剤の安全性について、審査報告書17ページの表を御覧ください。OSAS患者においては高血圧を合併していることが多いと想定されますが、国内臨床試験においては、本剤群では高血圧を合併している患者で心血管系有害事象の発現率が高い傾向にありました。また、審査報告書18ページの表を御覧ください。海外臨床試験においても同様に、心血管異常の既往歴又は合併症を有する患者での心血管系有害事象の発現率は、既往歴又は合併症の無い患者と比較して高い傾向にありました。1.8の添付文書(案)の1ページを御覧ください。本剤につきましては、添付文書上の「慎重投与」の項におきまして既に高血圧患者に対する注意喚起がなされていますが、先ほど御説明させていただいたような状況を踏まえ、「重要な基本的注意」の項の(4)の3)において、OSAS患者においては高血圧・心血管系疾患を合併していることが多いので合併症の状態を定期的に観察するよう、さらに注意喚起をすることといたしました。なお、心血管系有害事象の発現状況につきましては、製造販売後調査において、引き続き検討する予定としております。
続きまして、審査報告書の25ページの下から26ページにかけてを御覧ください。本剤は、欧州においてナルコレプシー以外の適応が削除となりました経緯がありますので、その点に関して説明させていただきます。
欧州における審査の主な論点は3点あります。1点目は、ナルコレプシー以外における本剤の有効性について、臨床的に意味のある結果が確立していないとの指摘です。この点について機構は、日本人OSAS患者を対象とした臨床試験におきましては、エップワース合計スコアの改善が海外臨床試験よりも大きく、本剤投与により正常範囲である10点未満となっていることから、臨床的に意味のある改善効果が認められているものと判断しております。2点目は、心血管系の障害、精神障害、皮膚障害及び過敏症のリスクがあること、3点目は依存及び乱用のリスクがあり、適応外使用がされているとの指摘です。これらの点について機構は、本邦におきましては欧米と異なり、CPAP治療を保険診療により行う場合には月1回の外来受診が義務付けられており、その中で心血管系への合併症への影響やその他の安全性に関しましては定期的な確認が可能であると考えられることから、その点を考慮しまして、添付文書上における注意喚起に加えて、医師及び患者向けの資材において適切な注意喚起及び情報提供を行い、適正使用の推進を図ることで本剤のリスクを最小化できるものと考え、申請者に以下のような対応を指示しました。審査報告書の30ページと添付文書(案)の1ページを合わせて御覧いただけますでしょうか。本剤のベネフィットがリスクを上回るためには、先ほど申しましたように、本剤の適正使用が重要と考えるため、添付文書上の効能・効果に関連する使用上の注意の項において、3か月以上CPAP療法等の気道閉塞が適切に実施されているにも関わらず、日中の眠気が残存する患者を投与対象とすることを明記すると共に、他の睡眠関連疾患との鑑別診断を行うこと、又、眠気につきましては、患者の主観的な評価による訴えだけでなく、反復睡眠潜時試験等の客観的な評価も行った上で本剤の投与の要否を判断するように、注意喚起を行っております。なお、これらの患者選択に当たっては、OSASを中心に診療している呼吸器科等だけでなく、睡眠を専門としている医療機関との連携が必須であると考えることから、連携が取れる医療機関においてのみ処方が可能となるよう、現在のナルコレプシーを対象とした納入管理と同様のシステムを用いまして適正使用を図ることと予定しております。また、OSAS患者では、生活指導等により原因疾患が改善した場合には日中の眠気も改善することが期待されることから、添付文書上の重要な基本的注意の項において、本剤投与中も生活改善を指導すると共に投与継続の要否については定期的に検討し、漫然と投与しないよう注意喚起を図っております。
以上の審査を踏まえ、本剤のCPAP療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する日中の過度の眠気に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は5年10か月とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会へは報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 当初ナルコレプシーについては認可されて使われているので、最終的にCPAPを使っていても昼間の眠気のある人に使うことは、ナルコレプシーと同じような機序であるのかどうか、若しくは、それが同じに近いのでこれを選んできたのだと思いますが、そうすると、ナルコレプシーの時は、個人差があると思いますが、この薬がどのぐらいの期間で、平均的に治癒し、投与しなくて済むことになるのでしょうか。というのは、恐らくCPAPを行っていてもCPAPだけの効果では効いていないので、それが残り、治すにはかなり長期に使う可能性があるのではないでしょうか。
次の質問に入りますが、そのようなことにもかかわらず、文書だけで見てもかなりいろいろな危険性のあるside effectが多いですね。例えば、精神科でCPAPを使って治療しているかというと、そうではなく、耳鼻科であったり循環器科であったり、かなりの範囲の所で割と一般的に使われるようになってきています。先ほど、最後に、それについては、教育を行ってから使うとおっしゃいましたが、最初の基盤では、どのくらいの目安で治ると考え、投与を始めるのかということと、先ほどのside effectが起こることをどのように防ぐように見計らうのかという教育、又、普及の際に投与する医師にどのように考えてもらう必要があるのか等、かなり広い範囲に問題がありそうな薬に思えますが、いかがでしょうか。
○松井部会長 いかがですか、今二つの質問が出されました。
○機構 御指摘ありがとうございます。まず、一番初めに御指摘いただきました、ナルコレプシーとこのOSASによって発現する眠気の機序についてですが、ナルコレプシーの方はオレキシン神経が変性している不可逆的な疾患になります。睡眠時無呼吸の方で眠気が生じる機序は、基本的には夜間の睡眠で、どうしても呼吸が浅くなっていたりなどで眠気が取れない、しっかりと睡眠が取れていないことがあって昼間に眠気が出てきてしまうことがありますので、その二つの疾患の眠気の機序は別と考えていただいた方が良いと思います。
次の質問では、どれぐらいの投与期間が必要かという話です。ナルコレプシーは御説明したように器質的なものになりますので、かなり長期間にわたって投与されるのですが、この睡眠時無呼吸の場合には、先生がおっしゃったように患者によって違うところもありますが、ただ疾患がCPAPによってある程度抑えられている等、患者自身が、例えば肥満が軽減して呼吸の気道が通りやすくなるなど、そのような辺りで改善することは予測されますので、余り長々と使っていただくよりは、定期的にその必要性を勘案していただき、薬を飲まなくても昼間は大丈夫そうという話があれば、服用をせずに様子を見ていただくようなことを想定してはおります。
最後ですが、副作用をどのように現場に周知徹底していくかという御質問でした。審査の中でも、欧州等の状況等もありますので、そこがかなり重要な論点だと思っております。適正使用の資材案などは当然作っていただくのですが、この薬は、心血管系のリスクや皮膚障害のリスクなど、適正使用に関する内容をドクターにきちんと理解していただいたことを申請者に一度確認していただくことと、それから、先ほども御説明させていただきましたが、いわゆる睡眠時無呼吸を診ていらっしゃる先生は呼吸器や耳鼻科の先生が多いと考えますので、その先生方と、睡眠そのものを診ているような医療機関との連携はかなり重要になってくると思いますので、その連携も申請者がきちんと確認して、適正使用ができると判断された医療機関でのみ処方できるような体制を整えることを考えております。今、既承認のナルコレプシーでも、そのように適正使用に協力できると確認ができた医療機関にのみ納入することを行っております。対象がかなり広がるので実際に使う現場の先生方にとっては、連携をいちいち確認されなければいけないことは御面倒をお掛けすることにはなると思いますが、安全性を第一に考えまして、そこは徹底していきたいと考えております。
○永井部会長代理 要するに、これはOSASの治療薬ではなくて、眠気を取る一種の覚醒剤のような薬だという理解でよろしいですか。
○機構 はい。OSASそのものを治すものではないこともありますので、今、効能・効果に関連する使用上の注意で、気道閉塞に対する効果は無いこと等、あとは、今説明させていただいたようなことを適正使用資材の中にも記載していただき、まず一義的にはCPAPできちんとOSASを治療していただくことが重要だということの情報提供を行うことが大事とは考えております。
○永井部会長代理 そうしますと、薬の投与あるいは管理について、今までリタリン等はいろいろと問題がありましたけれども、そうした薬と同じような扱いにする必要はないのでしょうか。それから、使用上の注意で「重篤な不整脈」とだけ記載がありますが、もう少し詳しく、どのような不整脈あるいは心不全でも、恐らく交感神経系の刺激作用があるのではないかと思うのですが、心血管障害に対する注意をかなり厳格に記載しておく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。1点目の、リタリン等の扱いに準じる必要が無いかということですが、今までナルコレプシーに対して先ほど説明させていただいたような流通管理等をかけておりまして、製造販売後調査等でも依存、乱用等の状況は注意していますが、今のところはそういった問題は認められていません。それから、この薬は、第一種の向精神薬に指定されておりまして、これまで薬局等の管理については厳格にしていただくように規定しておりまして、特段大きな問題は起こってはいないので、現時点では新たな対応が必要であるとは思っておりません。ただ、これがOSASに適用が拡大するので、今までナルコレプシーという割と限られた領域で扱ってきましたので、その辺は今後の状況を注視しながら必要な対応を取っていきたいと考えております。
○松井部会長 不整脈については、いかがですか。
○機構 2点目の、心血管系に対する注意喚起ですが、今先生から御指摘があったのは、禁忌の所に重篤な不整脈が記載されているということでしょうか。
○永井部会長代理 それ以外にも、虚血であったり、心筋症であったり、そういう方の場合にはかなり注意が必要だと思うのですが。
○機構 今、禁忌の所は、重篤な不整脈のある患者となっているのですが、慎重投与の箇所で、心障害又は既往歴のある患者、高血圧の患者とありまして、そのほか今御指摘にあったような他の心障害に対して、禁忌に書けるまでのエビデンスが現在無い状況でございますので、もう一度市販後の状況等を調べまして、注意喚起の必要が無いか再度検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか、よろしいですか。
○永井部会長代理 はい。
○清水委員 適正使用、安全使用に質問が集中するところですが、今回呼吸器、耳鼻科の先生に適用が広がることで、これまで精神科、眠気を専門にしてこられた先生方ではない先生方に使われることは、かなり慎重に対応することは大事だと思います。睡眠専門の医療機関との連携については、添付文書の中には、どうして入れなかったのですか。添付文書の中に入っていますか。
○機構 連携までは書いていないのですが、添付文書(案)の1ページの効能・効果に関連する使用上の注意の2.の(1)に、「眠気の原因となる他の疾患との鑑別診断を行った上で」と「日中の過度の眠気については反復睡眠潜時試験等の客観的検査で」と書いております。これは基本的に睡眠の専門の医療機関でなければできないので、直接的な文字として「連携」とは書いていないのですが、実際問題としてはそのような所で行っていただくことになるのかと思っております。
○清水委員 生物学的な製剤などで、主たる適用の領域と違う大きな副作用が出る時に連携をする、あるいは事前にそのような医師との契約をするような場合には、添付文書の中に明確に書かれている事例が結構多く出ていると思うので、そこのところは分かりやすく、今おっしゃられたように間接的にそのようなことになるのだろうとは思いますが、今までナルコレプシーを診ていた先生方ではない先生方がお使いになることを勘案すると、やはり明確に書いておくことが大事ではないかということが1点です。
それからもう一つですが、適用患者数の見込みの数字等は出ているのでしょうか。
○機構 患者数についてですが、少しお時間をいただけますか。すみません。
○清水委員 即答できなければ良いのですが、事前にきちんと予想される総枠を押さえておくことは大事だと思います。そうすると、その数字と大きくずれている時には、もしかしたら何か変ということを捕まえられるかもしれないので、事前の予測はかなり大事ではないかと思いますので、その辺も御指導いただければと思います。
○機構 その辺りは申請者に確認しております。すぐに手元に出てこないのですが、数字としては持っております。御指摘ありがとうございます。先ほども御指摘いただいた連携の話も、添付文書上にどのように記載できるのか、もう少し検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○松井部会長 重要な点だと思いますので、お願いします。ほかにいかがですか。
○加藤委員 薬効薬理についてです。審査資料には書いていないのですが、資料の添付文書(案)の4ページの薬効薬理の項目を拝見しますと、「ラットにおいて側坐核からのドパミン遊離作用が認められており」という記述があるのですが、常識的に考えて、側坐核でのドパミン遊離がある物質というのは、大体が依存性があると考えられることが多いのですが、この薬物の依存性についてはどのようなデータが得られているのでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。ナルコレプシーの審査の時にその点も併せて審査しておりまして、動物実験では弱いながらも依存性が認められております。それもありまして、第一種向精神薬に指定されている経緯もございます。ヒトでは、少なくとも臨床試験や製造販売後調査では該当するような事象は認められていないことにはなっております。
○加藤委員 そうすると、先ほどの清水委員の御指摘等もかかわってくるのですが、この薬物を誰がどこで処方するのかを考えた時に、例えば、耳鼻科に行って、もうどうしても眠いのでたまらないので出してくださいと言うと、耳鼻科の人がこのままだと処方できてしまうのかもしれないと思いました。例えば、依存形成性がある場合にそれで出してしまう状況があるのは、やはり何か少し歯止めをつけておいた方が良いのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
○機構 ありがとうございます。それにつきましても、先ほどの清水先生の御指摘も踏まえまして、添付文書での連携の話など、その辺りをきちんと記載することによって適正使用を推進することが重要になってくると思います。さらに、耳鼻科等で出されてしまうことがないのかという御指摘につきましては、適正使用ができると確認できた医療機関等のみで処方できるように申請者が確認をするという作業が入りますので、恐らく卸レベルでフィードバックが掛かり、登録されていないような先生から出た場合には、そこに情報提供に行くという体制は整えております。いずれにつきましても、適正使用のところはもう少し検討させていただければと思います。
○松井部会長 より直接的な記載が必要であるということですね。
○機構 はい。ありがとうございました。
○松井部会長 ほかには、ございますか。
○永井部会長代理 報告書を読んでみますと、1センテンスがものすごく長いです。9ページには18行にわたって1センテンスがあり、26ページには14行にわたっています。これは読み解くのが非常に難しいので、なるべく短かく分けて論旨をまとめていただけるとありがたいと思います。
○機構 申し訳ございません。以降、気をつけるようにいたします。
○松井部会長 ほかにございませんか。十分論議がなされたと思いますけれども、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3-1、3-2「医薬品ルネスタ錠1mg、同錠2mg及び同錠3mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるエスゾピクロンは、本邦で既に承認されている非ベンゾジアゼピン系睡眠薬で、ラセミ体であるゾピクロンの光学活性体であり、ゾピクロンの薬効はそのほとんどがS体であるエスゾピクロンが担うと考えられております。海外では□□年□月から臨床試験が開始され、2004年12月に米国において承認されております。本邦においては□□年□月から臨床試験が開始され、今般、不眠症に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。
本申請の専門委員としましては、資料15に記載されております7名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性について、審査報告書63ページの表を御覧ください。本申請は、ブリッジング・コンセプトに基づき開発が行われており、海外で実施された第II相試験をブリッジング対象として国内で第II/III相試験が実施されました。国内第II/III相試験の主要評価項目である主観的睡眠潜時及び国内外臨床試験における主要評価項目である客観的睡眠潜時において、国内外臨床試験共に本剤2及び3mgのプラセボに対する優越性が示されており、用量反応関係も国内外で類似していると考えられたことから、海外臨床試験成績を外挿することは可能と判断いたしました。
次に、安全性についてです。審査報告書73ページ、上の表を御覧ください。ゾピクロンに特有の有害事象として、味覚異常として表現される苦味がありますが、本剤においても国内外臨床試験において味覚異常が多く認められております。これらは主に投与初期に認められ、多くが軽度の事象であり、投与継続により消失することを考慮すると、臨床上大きな問題にはならないと判断しております。また、審査報告書74ページ、上及び中ほどの表を御覧ください。本剤投与により、神経系障害及び精神障害に関連する有害事象が認められておりますが、ほとんどが軽度又は中等度であることを踏まえ、適切な注意喚起を行うことにより臨床上大きな問題とはならないと考えておりますが、少数例の患者で意識障害に関連する有害事象が認められていること、又、本剤はゾピクロンの光学活性体であることを踏まえ、添付文書上においては、ゾピクロン製剤と同様、意識障害に関する注意喚起を行うことが適切と判断しております。
本剤の用法・用量について、審査報告書80ページの表を御覧ください。有害事象については、特に味覚異常が本剤3mgで多く認められる傾向にあるため、本剤の通常用量としては2mgとすることが適切と判断しましたが、一方で、本剤2mgについては中途覚醒時間及び中途覚醒回数に対する一貫した有効性が示されず、3mgについては一貫した有効性が示されたことから、2mgで効果不十分な場合には3mgに増量可能とすることが適切と判断いたしました。さらに、高齢者における用法・用量について、審査報告書67ページ、上の表を御覧ください。高齢の不眠症患者を対象とした国内臨床試験において、プラセボ群は設定していないものの、本剤1及び2mgにより睡眠潜時の短縮が認められています。また、同ページ中ほどの表を御覧ください。高齢の不眠症患者を対象とした海外臨床試験においては、主観的な睡眠潜時について本剤1及び2mgのプラセボに対する優越性が示され、中途覚醒時間及び中途覚醒回数、総睡眠時間については、2mgでより高い改善が認められています。なお、安全性については、1mgよりも2mgで有害事象が多く認められています。これらの試験成績を踏まえ、高齢者における通常用量は1mgとし、1mgで効果不十分な場合には2mgに増量可能とすることが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤の不眠症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 相互作用についてお伺いしたいと思います。不眠症が適用となるので、単剤でただ不眠症ということでこれが出されるのならば、もしかすると余り問題無いかもしれませんが、今、我が国の中でうつ病の患者が大変増えておりまして、うつ病の患者の初発の訴えのほとんどが「眠れない」ということから始まることから、どうしても抗うつ薬と一緒に投与される可能性もあるのではないかと思います。いろいろなものと一緒に投与される可能性もあります。審査報告書の48ページに、SSRI、パロキセチンについては、影響が無いだろうと書いてあるのですが、最近かなり普通のうつの状態でも、SSRI、SNRIなどからの処方がかなり増えていて、従来の三環系抗うつ薬の処方が少なくなっていると言われていますが、そのようなオーソドックスな三環系の抗うつ薬との相互作用等はないのでしょうか。
○機構 先生から御指摘いただいたのは、審査報告書の48ページでパロキセチンとの相互作用が検討されている所だと思います。御指摘のように、今回この薬自身で検討された抗うつ薬については、パロキセチンのみとなっております。ほかの薬剤については、直接的な検討をしておりませんので明確にお答えすることはできないのですが、ゾピクロン製剤は既にラセミ体のものが承認されておりまして、もう20年以上前の承認ですので、その中で問題となっているようなものについては、網羅されていると思うのですが、そこで特にほかの抗うつ薬について注意喚起がなされるような問題は起こっていないものと認識しております。恐らくこれについても、代謝の経路などを考えますと、そこまで臨床的に問題になるものは無いと考えているのですが、今後市販後に得られる情報等をよく注意して見ていきながら、注意喚起の必要性については適宜検討していきたいと考えております。
○松井部会長 当然のことながら、三環系の抗うつ剤も含むというお答えと考えてよろしいですか。
○機構 そうですね。そのようになります。
○松井部会長 よろしいですか。
○佐藤(田)委員 回答は調べるということですか。検討するということですか。
○機構 ゾピクロン、ラセミ体の方で特段問題となっていることは報告されておりませんので、恐らく、S体にした時も問題は起こらないと判断しておりますので、今の段階で注意喚起までは必要ないとは思っているのですが、この薬が市販されてからどのような使い方をされているのかについても注意しながら、注意喚起の必要性については今後も検討していきたいと思っております。
○松井部会長 市販後の調査で検討したいということですか。よろしいですか。
○佐藤(田)委員 うつの状態の時に不眠から入ってくるので、その症例数がかなりあると思われるので、その点についてもよく考えておいていただきたいと思いました。
○機構 はい、ありがとうございます。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。
○松木委員 これもラセミ体を分割したものなので、分割するメリットがあるのかと思って見ていたのですが、R-エナンチオマーは特にベンゾジアゼピン受容体に強く作用するわけでもなく、これを抜いたからといって毒性が減っているわけでもありません。ほかのものも綺麗に2分の1で説明がついてしまいます。でも、たまたまこの臨床試験で10mgと比べて3mgの方が良さそうだということで、それで認めるということなのですか。このようなことを行っていたら、きりがないような気がします。作る方も、後で分割していると再度その手間がかかるので、生産コストも高いと思います。余りこの全体的なメリットが感じられないのですが、いかがでしょう。
○機構 常に、ラセミ体のものが単体になると出てくる議論ではあるのですが、これはそもそものゾピクロン自身の承認が今から20年以上前で、その時に行われた臨床試験の評価項目等も全般改善度とかなり大まかな評価になっていて、プラセボとの厳密な比較が行われていない中での用量設定になっています。今回、現時点の科学的水準に基づいて、患者による睡眠潜時、中途覚醒などに加えて、PSGによる客観的な評価もあり、その中で2mgという用量が決まってきたところがあります。アモバン等がゾピクロンのラセミ体になりますが、通常用量が7.5mgなので単純に半分にしますと3.75mgになります。実際、今回きちんと臨床試験を行ってみると、2mgでも有効だと分かったところです。エスゾピクロン自体に対する曝露という相対的な観点からは、今回の臨床試験によって少なくても有効であることが分かったので、患者に対するメリットはあると思っています。それから、これはゾピクロン自身との直接比較を行っていないので分からないのですが、先ほど先生から御指摘いただきましたように、R体はほとんどベンゾジアゼピンの結合部位に付かないのですが、R体にも苦味はあることが知られております。そうすると、投与量として少なくなるため、苦味の低減も、もしかすると期待できるのかもしれないということはございます。
○松井部会長 いかがですか。余りハッピーではないようですが。
○松木委員 科学的には上手く説明がつかないのですが、臨床試験で少し用量を減らすことができたから、という理解でよろしいのでしょうか。
○機構 はい。
○松木委員 分かりました。
○清水委員 副作用の味覚障害のところですけれども、苦味と味覚障害はこのデータでは明確に分かれているのですか。
○機構 臨床試験で上がってきた副作用を集計するのに使っている辞書がありまして、その中で「苦味」という言葉がすべて「味覚異常」に収束してしまうような集計方法になっているので、恐らく、実際のカルテ等まで戻れば「苦い」という患者からの訴えがあったようなことを確認できると思いますが、どうしてもそのような集計になってしまうのです。要は、重なっている可能性があるということです。
○清水委員 先行品のラセミ体のものでも苦味が強いのがこの薬剤の特徴で、それによって処方が伸びない面もあり、ドクターによっては、その苦味があることを使って処方を出している背景もあるようです。味覚障害という文言にしてしまうと、患者のQOLの関係を云々されてしまうことが結構あろうかと思うので、ここの情報提供、添付文書上は36.3%という数字が載っているのは桁違いに大きな事象になってしまうので、この情報提供は慎重にされたらよろしいかと思います。よろしくお願いいたします。
○機構 御指摘ありがとうございました。味覚異常と苦味がもし区別できるのであれば、そこは情報提供資材で上手く区別して、できるようにしたいと思います。
○山田委員 審査報告書17~19ページ辺りを見ますと、動態では動物による種差が非常に大きいことが分かります。ラットでは性差が非常に大きいのに対して、マウスやイヌでは、ほとんど性差が無い感じですが、ヒトでは動態に性差はあるのでしょうか。これがまず1点です。
○機構 ヒトでは大きな性差は認められていません。
○山田委員 分かりました。それから、用量の問題で、2mgだと中途覚醒に効かないので用量を上げるというような話がありましたが、一般的にベンゾジアゼピン系の眠剤では入眠時障害にはショートアクティングで、中途覚醒や早朝覚醒のような場合には、用量を上げるのではなく、薬効時間の長いロングアクティングなものに変えるのが一般的かと思いますが、この薬剤の場合には用量を上げることによって両方共に効かせるということですか。ベンゾジアゼピンの使い方と少し混乱を来すような感じを受けましたが、その点はいかがでしょうか。
○機構 基本的には、ベンゾジアゼピンのショートアクティング、ロングアクティングの使い方と変わらないと考えておりまして、用量を上げると必然的に血中濃度も上がりますので、当然その分、有効性も期待できるだろうという考え方に基づいています。そこで、この薬が患者の状態に合っているので、もう少しだけ増やそうと考える先生の場合、使い続けることもあると思います。寝入り端よりは朝方起きてしまうことの方が問題という患者であれば、当然ロングアクティングのものを使っていただくことになると思います。ゾピクロンも同様だと思いますが、既存の製剤と特に違った使い方をしていただくことは想定はしておりません。
○山田委員 安易に用量を上げると副作用が多くなるという懸念がありましたので、確認させていただきました。
それから、もう1点あります。この薬剤の審査と離れてしまうかもしれませんが、ラセミ体のアモバンの用量が7.5mgなどに比べて、こちらは2mgであり、先ほども3分の1以下ということでしたが、科学的な説明が非常にしにくいアモバンとどちらがおかしいのかは分かりませんが、そのようなことに対して、今後どのような対応をされるのでしょうか。
○松井部会長 そのようなことに対してというのは、どういったことでしょうか。
○山田委員 用量が3分の1以下だということは、アモバンの用量が高過ぎるのか、あるいはこの薬剤がベンゾジアゼピン系以外の作用を持っていて用量が低くなっているのか等、いろいろなことが考えられると思いますが、科学的にR体とS体で、光学異性体を分けたことで用量に3倍も差があるということは、なかなか説明がしにくいのではないかと思うのですが。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 先ほども少し申し上げたのですが、アモバン自身の承認がもう今から20年以上前で、このような言い方が良いかどうかは分かりませんが、科学的な評価がきちんとできていたかというと、当然それは年月と共に進歩していきますのでなかなか難しいところです。その当時の評価としては、7.5mgが通常用量として適していたという評価がなされていたとは思っております。今回この薬、エスゾピクロンで、患者の主観的な睡眠潜時や客観的な脳波での評価等で行い、プラセボに対して統計学的な検討をきちんと行った結果、2mgでもきちんと効いていることが分かりましたので、そのような評価項目の違い等で差が出てきたと考えています。エスゾピクロンが同じ量入っていれば、恐らく有効性は同じなのだろうと考えてはいるのですが、そこはきちんとhead-to-headで検討した結果が無いので分からないことになってしまいます。
○山田委員 もう少し、よろしいですか。今の御説明ですと、アモバンは少しオーバードーズかもしれないというようにも聞こえるのですが、そのようなことが分かった時点で、アモバンについて何かなされるのでしょうか。その点だけお願いいたします。
○機構 現時点でアモバンに関して、もう1回、用量再設定を検討するような必要性は無いと考えております。
○山田委員 分かりました。
○松井部会長 その理由は何ですか。
○機構 そこは、アモバンでも現時点で安全性の観点から特段の問題が無いことから、あえてさらに低用量の開発を求めるところまでは必要無いと考えておりますけれども、是非こういったエスゾピクロンの用量など科学的な水準に基づいて検討していただきたいと思いますが、何ぶん20年市販されているものですので、なかなかそこは難しいこともあるのではないかと思います。
○松井部会長 そのようなことで、よろしいですか。ほかにはいかがですか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ボナロン点滴静注バッグ900μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるアレンドロン酸ナトリウム水和物は、ビスホスホネート系薬剤であり、本邦においては、1997年に「悪性腫瘍による高カルシウム血症」を効能・効果として注射剤が承認され、その後、「骨粗鬆症」を効能・効果として2001年に1日1回投与の錠剤、2006年に1週間に1回投与の錠剤も承認されました。
骨粗鬆症治療において、ビスホスホネート系薬剤は、国内外を問わず第一選択薬とされていますが、錠剤では吸収抑制や食道等の上部消化管における副作用回避の観点から、朝食の30分以上前に服用する必要があり、また、服用後少なくとも30分は横にならない等の服用上の制約があるため、コンプライアンスを長期間良好に維持することが困難と考えられております。以上の背景から、錠剤を服用できない患者への投与を可能にし、又、錠剤よりも投与間隔が長い注射剤の開発が行われました。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書16ページの表6を御覧ください。国内の第III相実薬対照試験において、主要評価項目である投与52週後の腰椎骨密度変化率について、対照薬とされた1週間に1回投与の錠剤(35mg錠)に対する非劣性が検証されました。また、骨代謝マーカーの推移についても、17ページの図2のとおり、35mg錠と同様の推移を示しました。
安全性については、23~29ページの(3)安全性についての項に示しましたように、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、食道癌等について評価し、許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、38ページの(5)製造販売後調査の計画についての項に示しましたように、観察期間52週間、調査予定症例数2,500例の「長期使用についての特定使用成績調査」及び観察期間3年間、調査予定症例数500例の骨折抑制効果を検討するための特定使用成績調査が予定されています。
以上のとおり、機構での審査の結果、「骨粗鬆症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新用量医薬品及び剤形追加に係る医薬品であることから、再審査期間は4年が適当であると判断しております。製剤は、劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○清水委員 この薬剤について患者に持たせるようなカードや手帳等は何かお考えですか。あるいはメーカーとの間で討議しているようなことはございますか。
○機構 はい、現在作成中です。
○清水委員 具体的には、どのようなものを作っていらっしゃいますか。お聞きしたのは、ビスホスホネートについては歯科の先生がお薬手帳をかなり重要視してくださって、治療の際にお薬手帳で確認をするのですが、注射薬ですので、お薬手帳に載りにくいと思うのです。定期的にこの施療を受ける患者については、お薬手帳に何とか工夫をして載せる方向を考えるというのも一つの手だとは思うのですが、それが難しければカード等を患者に持たせるという方法もあるかと思い、お聞きしたところです。
○機構 お手元に見本があると思うのですが、ボナロン点滴静注の表示部分が赤い枠のシールになっていて剥がれるようになっておりまして、これを手帳に貼っていただくということで、記載する手間を省いて、はっきり投与された製剤が分かるような形で工夫されております。
○松井部会長 よろしいですか。
○清水委員 ありがとうございました。
○松井部会長 工夫されているということですね。
○清水委員 利用できるように情報提供をお願いいたします。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ベセルナクリーム5%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
日光角化症は、慢性的な紫外線の曝露により生じた有棘細胞癌が表皮内に限局した病態であり、好発部位は慢性的な日光露出部である顔面及び頭部であり、顔面と頭部を合わせて約80%を占めます。国内の有病率については、疫学調査の結果から、年間罹患率は10万人当たり100~120人と推定され、年齢構成は70歳代以上が67.5%と年齢と共に増加する傾向があります。日光角化症は、どの病変がいつ真皮内浸潤を起こすか予測が不可能であり、一旦真皮内に侵入すれば、転移を生じる危険性があるため、早期の段階で確実で再発の少ない適切な治療法の選択が求められています。
日光角化症に対する治療法としては、病変の除去が確実に行える外科切除が第一選択とされていますが、病変が多発性で広範囲に及ぶものや基礎疾患により全身状態が芳しくない等、外科切除が困難な場合は、凍結療法や5-FU軟膏が選択されています。
イミキモド(以下「本薬」)は、インターフェロンアルファーをはじめとする各種サイトカインの産生を促進し、免疫応答を賦活化することにより、細胞傷害作用、腫瘍細胞におけるアポトーシスの促進作用を有するイミダゾキノリン誘導体です。現在、本邦において、本薬は「尖圭コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)」の効能・効果で承認を取得していますが、今般、申請者は日光角化症の治療において、本薬は既存の治療薬とは異なる作用機序を有することから、日光角化症の治療における選択肢の一つになり得ると考え、臨床試験を実施し、今般の承認申請に至りました。
海外では、本薬は日光角化症に対し、2004年3月に米国、2006年11月に欧州でそれぞれ承認され、2011年9月現在、海外48か国で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
続いて審査概要の説明をさせていただきます。本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内で実施された臨床試験1試験の成績が提出されています。本試験では顔面又は禿頭部に病変を有する患者を対象に、基剤群、本薬週2回塗布群、本薬週3回塗布群の3群が設定され、報告書10ページの図1に示した試験デザインで実施されました。
有効性に関してですが、報告書11ページの表4を御覧ください。主要評価項目である、「経過観察終了時(8週時)の塗布部位における日光角化症病変の完全消失率」について、用量反応関係が統計学的に有意に認められ、週3回群及び週2回群の完全消失率は基剤群に比べて有意に高く、週3回群の完全消失率は週2回群に比べて有意に高い結果が得られたことから、本薬の週3回塗布における有効性は示されたと考えました。
続きまして、安全性に関してですが、報告書12ページの表5及び報告書16ページの表11を御覧ください。
表5に示したとおり、本試験における有害事象は、その大部分が塗布部位に関連する局所の事象でした。そのうち表11に示したように、週3回群では週2回群と比べて、程度が重度である有害事象の発現率が高い傾向等も認められましたが、そのほとんどが経過観察期で処置を行うことなく回復していたことを考慮すると、週3回塗布における本薬の安全性は許容可能と考えました。ただし、塗布部位局所で発現する有害事象の程度・状態に応じ、本薬の塗布継続について医師等に相談するよう、添付文書で注意喚起することが適切と考えました。
以上、機構での審査の結果、顔面又は禿頭部の日光角化症に対する本薬の有効性は認められ、安全性については適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本薬は既承認の効能・効果とは異質の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○清水委員 先行する適応症ともかかわってしまうのですが、除去する時の石鹸の有用性というのは絶対条件なのかどうかが、審査報告書から読み取れなかったので教えていただきたいのですが。
○機構 審査報告書の中では石鹸での除去に関する条件は言及しておりませんが、日光角化症に関しまして、本薬塗布状態で日中の日光への曝露を受けた場合には、光線過敏などの影響も出る可能性もありますので、就寝前に塗布して、起床後に洗浄するというのは徹底され、臨床試験の中でも石鹸を用いて除去するという形で対応されています。そのような状況下、塗布部位の有害事象は出てきてはおりますが、それ以外では特段目立ったような事象は出ていないということを考えますと、現状は、石鹸での除去に関する対応の方法について恐らく大きな問題は無いのではないかと考えています。
○清水委員 石鹸を省いてしまった時、何か危惧されるべきことというのは起きそうなのですか。
○機構 石鹸を使わなかった場合については、我々も確認していないので、そこまでは現状の情報としては把握しておりません。
○松井部会長 清水委員、「石鹸を用いて」との記載はあるけれども、これでは足りないという意味ですか。
○清水委員 石鹸は、どうしても使わなければならないものなのでしょうか。石鹸を抜きに水又はお湯での洗い流しでは、副作用が増えてしまうというデータがあるのかどうかを確認したいと思います。
○機構 現状は把握できていないところはあるので、申請者にも確認してみたいと思いますし、製造販売後調査の中でも、そのようなところをどのような形で実際の患者で対応されているのか、情報収集できるようにした方が良いのかと思いますので、申請者の方に検討していただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにありませんでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、加藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。野田委員におかれましては、議題6の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
── 野田委員退室 ──
○松井部会長 議題6について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題6、資料6「医薬品リバロ錠4mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より御説明いたします。
資料6のタブ「劇薬指定除外概要」を御覧ください。「リバロ錠4mg」は1錠中にピタバスタチンカルシウムを4mg含有する錠剤でございます。本成分は、高コレステロール血症治療薬として、通常1日1~2mgを最大4mgの用法・用量で承認されております。現在、1mg錠と2mg錠の二つの規格が製造販売されております。本成分につきましては、平成15年の「リバロ錠1mg」、そして「リバロ錠2mg」の承認に伴い、薬事法施行規則において、原体及びその製剤は劇薬に指定されております。ただ、ただし書におきまして、1錠中にピタバスタチンとして2mg以下を含有するものについては劇薬から除外しています。
劇薬への該当性についてですが、今般、興和株式会社より、既に承認されている最大用量に基づいて、医薬品製造販売承認申請がなされたリバロ錠4mgは、1錠中にピタバスタチンカルシウムとして4mgを含有する錠剤であり、現在の規定では劇薬に該当いたします。一方、既承認品の毒性試験データによれば、原薬での概略の致死量はkg当たり50~100mgであり、原薬4mgは概略の致死量を十分下回る用量です。したがいまして、リバロ錠4mgを劇薬の指定から除外することが適当であると考えられます。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。御質疑はございませんでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、「毒薬又は劇薬の指定は不要」としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、毒薬又は劇薬の指定は不要とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。野田委員に入室していただいてください。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 それでは、議題7に移ります。議題7について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題7、資料7「医薬品パキシルCR錠25mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より御説明いたします。
緑のタブ「劇薬への該当性に関する資料」を御覧ください。本剤の有効成分であるパロキセチンは2000年9月にパキシル錠10mg、同20mgが承認されたことに伴いまして、薬事法施行規則において、3.に示しました新旧対照表の「(旧)」に示した下表のとおり、原体及びその製剤は毒薬に指定されております。ただし書におきまして、20mg以下を含有するものを除くとされ、結果、今の既存の製剤は毒薬からは除外され、劇薬に指定されております。次のページの劇薬の指定で劇薬に指定されています。
今回の徐放化製剤につきましては、1日1回投与であるなど、既存製剤と用法は同じですが、消化器症状の副作用の軽減を開発コンセプトとして徐放化を行い、有効成分の含有量を増やしたため、現行の規定をそのまま本徐放性製剤25mgが3.の「(旧)」のところで読みますと、毒薬に該当することになります。しかしながら、本徐放性製剤25mgは、既承認の20mgよりAUCが上回っていないということを確認しておりますので、毒性が既存のものに比べて強いものとは認められず、既承認同様の劇薬に指定することが適切であり、3.の下線部を追加して徐放性製剤を毒薬から解除して劇薬に指定することが適当かと考えております。つきましては、本徐放性製剤25mgを劇薬に指定することにつきまして、御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。とくにございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、「劇薬に指定を可」としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、劇薬に指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題8、資料8「医薬品ロナセン錠2mg、同錠4mg、同錠8mg及び同散2%の再審査期間延長の可否について」事務局より御説明いたします。
まず再審査期間の延長に係る制度について簡単に御説明いたします。お手元の1枚目の諮問書におきまして、薬事法第14条の4第2項とあります。厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認める時には薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、調査期間をその製造販売承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができるという規定がございます。この規定を受けまして、平成12年に「医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直しについて」という通知が発出されました。この通知の中で、「小児の用量設定等のための臨床試験(治験又は市販後臨床試験)を計画する場合にあっては、再審査期間中に行う特別調査等及び臨床試験を勘案し、再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長する」とされています。
資料の品目の概要から簡単に説明いたします。本剤の申請者は大日本住友製薬株式会社です。対象品目はロナセン錠2mg、4mg、8mg、同散2%です。一般名はブロナンセリン、効能・効果は統合失調症です。現在の用法・用量は、記載のとおりです。本剤の承認日につきましては、平成20年1月25日、再審査期間は8年に指定されております。
次に資料の「例数設定根拠」の1ページ、「小児開発の必要性」を御覧ください。この統合失調症は、思春期~青年期に発病し、多種多様な精神状態を有する疾患であり、本剤の使用成績調査におきましても、10歳代での使用が確認されております。現在日本では、小児適応がある統合失調症の薬剤は無く、適正使用の推進の観点から、小児の用量設定の必要性は認められます。
3ページを御覧ください。そこで本剤の承認取得者におきまして、小児の用法・用量を設定するための治験が計画されました。□年□月に既に治験届は提出され、20□年□月から被検者を登録する予定となっております。ただし、小児の統合失調症患者は非常に少ないということもあり、検証試験は20□年□月まで、長期投与試験は20□年□月までの期間が必要であるとされております。そのため、再審査期間を当初より2年間延長することが適当ではないかと考えております。
以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。小児の治験を行うために、2年間の延長ということです。特段の御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、永井委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、再審査期間の2年延長を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、再審査期間の2年延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
以上で審議事項は終了です。報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料9「医薬品ル・エストロジェル0.06%の製造販売承認事項一部変更承認について」機構より報告いたします。
まず資料9を御覧ください。本剤は、エストラジオールを有効成分とする外用ゲル剤であり、「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)」の効能・効果で既に承認されております。
今般、既承認の用法・用量で投与がなされ、有効性が認められた患者に、既承認の用法・用量の半量を投与する臨床試験の結果に基づきまして、効果の持続性が評価され、治療中に半量に減量する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認しても差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料10「医薬品メトピロンカプセル250mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、メチラポンを有効成分とする経口製剤であり、現在は「下垂体ACTH分泌予備能の測定」の効能・効果で承認されております。
本剤につきましては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、クッシング症候群に対する公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられまして、平成23年4月27日に開催されました本部会におきます事前評価を踏まえまして、ノバルティスファーマ株式会社から、効能・効果及び用法・用量を変更するための製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料11-1、11-2「医療用医薬品の再審査結果について(ランジオロール塩酸塩)、(カンデサルタン シレキセチル)」報告いたします。
これらは、いずれも医薬品再審査の確認等結果通知でございます。
資料11-1です。一般的名称はランジオロール塩酸塩、販売名は注射用オノアクト50のものです。
資料11-2です。一般的名称はカンデサルタン シレキセチル、販売名はブロプレス錠のものです。
これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判断したものです。
以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○宗林委員 1点だけ伺わせてください。資料9のエストラジオールですが、用量を変更して低用量でも良いということで追加なのですが、もしそうであれば、低用量から使うという形になるのでしょうか。いろいろな副作用が結構あると思いますが、こちらは低用量から使う形になるのでしょうか。
○機構 このものにつきましては、前回、1回1.8g/dayを承認した際、エストラジオールの血中濃度がやや高目である傾向があり、海外の大規模臨床試験等により、ホルモン補充療法については必要最小量を最短期間することが望ましいという勧告を受けていることもありまして、低用量の検討をすることといたしました。低用量の検討に当たっては、低用量から開始するという選択肢もあったのですが、国内II相試験の結果を見て、低用量の1.25g/dayで有効性が認められないという結果が得られております。そのため、高用量から開始して低用量に漸減していく開発コンセプトの下に開発がなされたものです。更年期障害の症状等につきましては、初期に治療する際に高用量が必要という文献報告等もありまして、高用量から開始して、効果が認められた場合は徐々に減らしていき、治療を中止する方向に持っていくというコンセプトの下に今回試験が提出され、有効性、安全性が認められましたので、承認して差し支えないという判断に至っております。
○宗林委員 そのような使い方をどこかに記載しなくても良いのでしょうか。先生に委ねるということなのでしょうか。
○機構 使い方については、用法・用量に塗り方等が記載されていると思うのですが。
○宗林委員 今のお話ですと、低用量からのスタートではないということです。高用量で効果があったものに対して漸減していくというようなお話ですね。記載があるのですか。
○機構 用法・用量上では「なお、症状に応じて、適宜減量する」という記載があり、エストロゲン製剤については患者個々人の治療効果の固体差は非常に大きいので、患者の状態と症状の程度等を勘案した上で、減量していただくということになろうかと思います。
○松井部会長 よろしいですか。減量ができるということです。ほかに御質問はございますか。
○加藤委員 ランジオロール塩酸塩注射用オノアクトについて確認したいと思います。最近の本部会で、CT撮影時の頻脈の是正を適応としたランジオロール製剤を審査したと思うのですが、同じランジオール製剤であるオノアクトの再審査確認とどのような関連を持ってくるのかを教えていただきたいと思います。
○機構 機構よりお答えいたします。先生がおっしゃった最近承認されたものにつきましては、こちらとは情報収集の対象が異なりますので、別々の情報収集をして、別々の審査をしているというのが現状です。
○加藤委員 記憶が曖昧なのですが、CT撮影時用のというので承認されたものも、やはり注射用オノアクト50という製剤名でしたでしょうか。
○機構 用量も変わっていますので、コアベータという名前になっております。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。以上の報告事項については御確認いただいたものとしてよろしいでしょうか。それでは、報告事項議題4です。事務局より御説明ください。
○事務局 報告事項議題4、資料12「ワルファリンカリウムの安全対策のための用法・用量の変更について」審査管理課より説明させていただきます。
ワルファリンカリウムは、国内では1962年から販売が開始されまして、経口抗凝固薬として使用されております。近年の治療法の進歩に伴いまして、承認当時の用法・用量から現状の使用方法が乖離しており、特に初回投与量については、承認当時の用量が現在使われている量の3倍~8倍程度となっていることが判明しております。現行の添付文書どおりに使いますと、過量投与による出血等の発現が懸念されます。
昨年2月に用法・用量に関連する使用上の注意を改訂し、血液凝固能検査に基づき、投与量を決定することや、初回投与量はできる限り少量とすることが望ましい旨の注意喚起を行ったところです。今般、使用実態のアンケート調査が提出されましたが、改めて現状では初回用量及び維持用量とも、概ね1mg~5mgの範囲で投与されていることが明らかになりまして、一般社団法人日本血栓止血学会により、用法・用量変更に係る要望書が提出されました。安全性をより向上させるために、用法・用量及び関連する使用上の注意について、現状の使用方法に合わせて変更することが適切と判断いたしました。以上です。
○松井部会長 御質問はありませんでしょうか。初回の投与量から少なくするということです。特にございませんか。それでは、この議題4についても御確認をいただいたものといたします。
本日の議題は以上なのですが、何か御発言、特にありませんでしょうか。それでは、事務局から報告はございますか。
○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、12月2日(金)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうも皆様御苦労さまでした。ありがとうございました。
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)