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- 第169回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録
第169回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録
日時
平成23年12月27日
場所
厚生労働省共用第9会議室
出席者
委員
大橋委員、柴田委員、橋本委員 (公益代表)
新谷委員、石黒委員、宮本委員 (労働者代表)
高橋委員、秋山委員、小林委員 (使用者代表)
事務局
田畑需給調整事業課長、三上派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官
大橋委員、柴田委員、橋本委員 (公益代表)
新谷委員、石黒委員、宮本委員 (労働者代表)
高橋委員、秋山委員、小林委員 (使用者代表)
事務局
田畑需給調整事業課長、三上派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官
議題
1.専門的な知識等を必要とする業務について(公開)
2.一般労働者派遣事業の許可について
3.有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について
2.一般労働者派遣事業の許可について
3.有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について
議事
- 議事内容
- ○大橋部会長 定刻になりましたので、ただいまより「第169回労働政策審議会労働力需給制度部会」を開催いたします。なお、高橋委員は少し遅れて到着されるということです。
本日は最初に公開で「専門的な知識等を必要とする業務について」をご審議いただき、その後「一般労働者・派遣事業の許可の諮問」「有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問」にかかわる審議を行います。許可の審査につきましては資産の状況等個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼすおそれがある場合」に該当するため非公開とさせていただきます。傍聴されている方は、許可の審査が始まる前にご退席いただくことになりますので予めご了承ください。
議事に入ります。最初の議題は「専門的な知識等を必要とする業務について」です。前回の部会で使用者代表の委員からご発言があったとおり、東日本大震災の影響で緊急的なニーズが高まっている一般廃棄物処理施設、下水道、水道施設、非破壊検査において必要な設備の運転、点検又は整備の業務をいわゆる専門26業務に含めることについて検討を行っていきたいと思います。これらの業務について関係団体からのヒアリング結果等を踏まえ、議論の素材を事務局で整理していただいていますのでご説明をお願いいたします。
○草野補佐 資料に基づいて説明させていただきます。本日は資料1から7、参考資料1から4をお配りしています。不足等あれば事務局にお申し出ください。
資料1をご覧ください。まず、いわゆる専門26業務の制度の中身でございます。ご案内のとおり、労働者派遣法におきましては業務によって派遣先が同一の業務に派遣を受け入れる期間に制限を設けています。一方、下に書いてありますが、政令26業務については例外的に期間制限を行わない、こういう取扱いとしているところでございます。
2頁をご覧ください。政令で定める26業務を整理したペーパーでございます。この26業務につきましては、労働者派遣法の規定により、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」又は「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」となっています。そして、具体的には、政令で業務を定めるということになっています。政令で具体的に定めているものが下に挙げている26業務ということになっています。
資料2をご覧ください。先ほど部会長からも説明がございましたが、部会からのご指示に基づき関係団体からのヒアリングを行って、事務局で検討対象となっている業務について整理したものであります。まず、「一般廃棄物処理施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」です。業務の概要につきましては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に規定する一般廃棄物処理施設、具体的にはごみ処理施設、し尿処理施設、最終処分場における廃棄物の処理に必要な設備の運転等の業務です。
具体的な設備ですが、ごみ処理設備の燃焼設備・排ガス処理設備、し尿処理施設・最終処分場の生物処理設備・凝集沈殿処理設備等の設備が該当します。具体的なものを次頁以降に挙げていますので、ご参照いただければと思います。例えば燃焼設備であれば、供給されたごみを乾燥・燃焼させる設備、排ガス処理設備であれば排ガス中の有害ガス成分を薬剤やろ過等で処理する設備、生物処理設備であれば微生物を利用して窒素化合物等を除去する設備ということです。
専門性等ですが、ごみ処理施設では燃焼に使用する空気の温度、排ガス温度、焼却炉に入れるごみの量といったものを把握し、適正な範囲に保つ必要があり、これには専門的な知識・技術・経験が必要となります。それから、し尿処理施設・最終処分場では微生物処理ですので、微生物に対する専門的な知識等が必要です。法令上、一般廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準が定められています。また、ダイオキシン類対策特別措置法等によって、ダイオキシン等の排出物質に対する規制がされています。こうした法令を遵守して、的確に維持管理するための専門的な知識等が必要となります。また、地方自治体との委託契約の中で、経験を有する者による維持管理を求められることも多いということです。
緊急性ということで、東日本大震災によって生じたがれき等を速やかに処理していくため、被災地においてニーズが高まっています。また、がれき等の増加や施設の不足等の影響で、被災地では処理能力が不足し、被災地以外を活用した広域処理が必要とされていて、そういう所の処理の増加が見込まれています。こういう点から、緊急性があるのではないかということです。
次頁以降は具体的な設備のイメージをまとめていますので、ご参照いただければと思います。
資料3をご覧ください。「下水道において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」です。業務の概要としては、下水道法に規定する下水道における下水の排除又は処理に必要な設備の運転、点検又は整備の業務であり、除害施設における設備も含むというものです。
具体的には水処理設備、燃焼炉設備、汚泥処理設備等の設備があります。より具体的なものは次頁にございます。水処理設備であれば、物理的作用や生物的作用などによって汚水の浄化を図る設備、燃焼炉設備であれば、脱水ケーキを補助燃料とともに焼却する設備と、こういったものが対象ということです。
この業務に係る専門性等ということですが、下水処理場では主に活性汚泥を用いて汚水の浄化を行います。このため、業務の遂行のためには、微生物に対する専門的な知識・技術・経験が必要になります。また、下水道法の規定により、下水道から河川等に放流される放流水の水質は一定の基準に適合しなければなりません。このため、業務の遂行のためには、生物・化学に関する専門的な知識・技術・経験が必要になります。それから、下水道法の規定によって、処理施設等の維持管理は一定の要件を満たす者でなければ実施できないとされており、専門的な知識・技術・経験が必要であると考えられるということです。
緊急性ですが、東日本大震災により施設や設備等が破壊・故障し、仮設備や応急復旧した設備など、通常の運転・点検・整備とは異なる運転等を求められています。そういう中で、業務量は増大し、ニーズが高まっているということです。
次頁に対象となる設備のイメージを具体的にまとめていますので、ご参照いただければと思います。
続いて資料4をご覧ください。「水道施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」です。業務の概要ですが、水道法に規定する水道施設における水の供給に必要な設備の運転、点検又は整備の業務です。具体的には沈砂池、着水井、沈殿池、ろ過設備、消毒設備等の設備の運転、点検又は整備の業務ということでございます。
例えば沈殿池であれば懸濁物質や、いわゆるフロックといったものを沈殿分離し、後続のろ過設備にかかる負担を軽減する設備、ろ過設備であれば水を浸透通過させて懸濁物を除去する設備ということであり、こういったものが対象になるということです。
専門性等についてです。水道によって供給される水は、水道法の規定によって、水質基準、例えば有害物質を含まない、異常な酸性・アルカリ性を呈しないということが定められていて、基準に適合した水を供給することができているかどうかの判断には、専門的な知識、技術、経験が必要となります。浄水処理を行うために、凝集剤、それからPH値を調べるためのアルカリ剤、塩素、脱臭のための活性炭などさまざまな薬品を扱っていて、水質や量によって薬品の量や種類を決める必要があり、業務の遂行のためには専門的な知識・技術・経験が必要となります。
緊急性ですが、東日本大震災によって施設や設備等が破壊・故障し、仮設備や応急復旧した設備を用いて、通常の運転・点検・整備とは異なる運転等が求められているので業務量が増える、ニーズが増加しているのではないかということです。
次頁は具体的な設備のイメージをまとめていますので、ご参照いただければと思います。
資料5は非破壊検査の関係です。非破壊検査について、概要は次の頁にまとめておりますが、設備などを用い、構造物や設備などを破壊せずに傷の有無等を調べて、規格への適合状況を判断する検査であります。業務の概要ですが、非破壊検査に必要な設備の運転、点検又は整備の業務です。下にございますように一体的に行われる業務も含まれます。具体的には磁粉探傷装置、エックス線検査設備、浸透探傷検査設備等の設備の運転、点検又は整備の業務となります。磁粉探傷装置というのは、磁粉磁気を活用して傷を調べる設備、エックス線検査設備はエックス線を利用して物体に触れることなく検査する設備、浸透探傷検査設備は浸透性のよい検査液を用いて、表面の割れやきずなどを検出するための設備であり、これらの設備が対象になります。
専門性ですが、非破壊検査はそういった設備を用いて対象である構造物、設備等を破壊せずにきずや劣化状況等を調べて、対象物の規格などへの適合状況を判断する検査です。このため、業務の遂行のためには、物理や放射線など、専門的な知識・技術・経験が必要となります。また、専門的な知識・技術・経験を必要とするために、非破壊検査に従事する方のほとんどは非破壊試験技術者資格などを所有しているということです。
緊急性ですが、東日本大震災からの復興のために、鉄道や道路などの補修・復旧に際する検査、それから建築物一般のダメージ調査のための検査などについて需要が増大しています。また、東日本大震災の影響で全国の社会インフラの老朽化や耐震性、建築物の維持管理等の観点から、全国的に非破壊検査の需要の増大が見込まれるという緊急性があるということです。
資料6をご覧ください。今回の検討対象になっているもののうち、一般廃棄物処理施設、下水道、水道施設、こういったものの多くは地方自治体が処理や管理の責任を負っており、実際、こういった施設の多くは地方自治体が設置しているところです。自治体が設置した施設について、業務を受注する場合が多いわけですけれども、そういう場合の労働契約のイメージについて、関係団体からのヒアリングに沿ってイメージ化したものがこの資料6です。※のところに書いていますけれども、自治体との契約というのは原則単年度契約、最長でも3年契約となることが多いため、1年ごとに受注業者が変わっていくということが多いということです。
左側の場合、受注会社が変わっていくわけですけれども、受注会社が変わるたびに労働者はそれぞれ有期労働契約を結ばなければならないため、同一の施設で働き続けることが難しく、雇用が不安定になる恐れがある場合があるとのことです。右側が労働者派遣の場合ですが、受注会社が変わっても派遣元が新しい受注会社と契約を結ぶことによって、労働者が同一の施設で働き続けることができ、雇用の安定に資することが可能なのではないかと、こういったことが実態としてあるというお話が、関係団体のヒアリングの中でございました。
最後に資料7をご覧ください。これは労働者数、派遣労働者数について粗い推計をしたものです。平成22年の国勢調査、関係団体による調査等に基づき粗く推計したところですと、一般廃棄物処理業ですと労働者数が約2万8,600人、派遣労働者数が約700人でした。水道業は下水道業、上水道業が入っていますけれども、労働者数が約11万700人、派遣労働者数が約1,700人でした。非破壊検査は労働者数が約1万1,700人、派遣労働者数が約300人ということです。これは先に申し上げましたが、一定の前提を置いた粗い推計でして、対象設備の運転、点検又は整備の業務に従事する者以外も含まれていますが、粗い推計をするとこういった形になるのではないかというものです。
参考資料として、参考1から4をお配りしていますので、こちらはご参考に供していただきたいと思います。説明は以上です。
○大橋部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関してご質問やご意見等がありましたらお願いいたします。
○新谷委員 具体的な審議に入る前に、この政令で定めた専門26業務については、2009年にまとめられた需給部会の建議の中で、労働者代表委員からの意見として申し上げ、また、先の臨時国会での派遣法の審議においても附帯決議に記されたように、法案成立後、速やかに抜本的な見直しの検討を開始することが求められています。
やはり、この問題は派遣法の審議と非常にからむと思います。12月9日に臨時国会が閉じられましたが、あのときの派遣法の扱いが継続審議と新聞には出ておりましたが、次の通常国会においては、どういう扱いになるのかまず教えてほしいと思います。
○田畑課長 ただいま新谷委員からご質問がありました労働者派遣法、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」ですが、第174回国会に提出されたのち、継続審議として取り扱われていたところですが、第179回国会の衆議院厚生労働委員会において、民主党、自民党、公明党、三党による修正案が提出され、政府案とともに法案質疑が行われています。
厚生労働委員会の質疑終了後、討論・採決が行われ、その結果三党修正案及び修正部分を除く政府案が賛成多数により可決されています。しかしながら、衆議院本会議での採決までには至らず、国会会期末処理により閉会中審査、すなわち継続審議とされているところです。次期第180回の通常国会になろうかと思いますが、そこでこの法案について国会でご議論をいただきまして、早期の成立をしていただきたいということを政府としては考えております。
○大橋部会長 ということだそうです。
○新谷委員 わかりました。次期通常国会では、修正案がまた審議されることになるのでしょうか。
○田畑課長 継続審議となる対象としては、政府案について継続審議ということでして、修正案については継続はされていないというように承知をしています。もし、修正をということであれば再度、また国会にご提出をいただく手続が必要になると衆議院の事務局からは伺っています。
○新谷委員 わかりました。私どもとしては1日も早い派遣法の成立を求めていますので、政府としても早期成立に向けて全力を挙げていただきたいとお願い申し上げます。
その上で、いまご説明いただいた4つの業務について、質問させていただきます。現在、政令で26業務を定めていて、この業務の中でいくと、4つの業務に近いものは15号だと思われますが、この部会で審議の結果、専門業務として扱うことが妥当だと判断された場合、今後の手続はどうなるのか、教えていただきたいと思います。
○草野補佐 今日のご議論次第だと思いますが、仮に含めるということであれば、政令を改正する必要がありますので、15号に含めるというのは1つの案だと思いますが、法令的に整理を行って、諮問・答申などをいただいた上で政令を改正する、こういったことになろうかと思います。
○三上企画官 付け加えさせていただきます。もう少し正確に申しますと、今日ご議論いただいて4つの業務を含めるかどうかをお決めいただいた上で、もしご了承いただけた場合には具体的な政令の改正手続作業に入ります。その目途がついた段階で、取りまとめ案をもう1度部会の方にお諮りしてご審議いただくという段取りを考えています。
○新谷委員 1999年(平成11年)の改正で労働者派遣が原則自由化された際、期間制限が適用されない業務を26業務に限定しました。以来、12年間、この形で来ています。今日説明いただいた4つの業務を、今ある26業務の中で解釈すると、多分近いのはこの15号あたりだと思います。ところが、この26業務に27番目、28番目と、4つの業務を新たに追加していくのであれば、私どもとしては否定的に捉えます。先ほど申し上げたように、派遣法の改正がまず先になされ、その後に26業務のあり方について本格的な見直しを行うべきであり、26業務を増やすという扱いであれば、派遣法の改正後であるべきだということをまず申し上げておきます。
今回提案されている業務は、非常に専門性が高く、東日本大震災におけるがれきの処理等において緊急性が高い業務だということで提起があったわけです。伺った範囲では、非常に専門性の高い業務であるということは理解しました。ただ、26業務を政令で定める業務とするかどうかの判断は、今日いただいている資料の参考4にあるとおり、派遣法第40条の2に政令で定める業務の前提として、労働者の職業生活の全期間にわたる能力の有効な発揮、その雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるもの、「損なわない業務」として認められるかどうかが基準となります。このような観点で、専門性を持つ業務であるか、又は特別の雇用管理を行う業務であると認められた場合に、政令で定めるという仕組みになっています。ですから、今回、私どもとしては専門性の部分については承知していますが、従来の雇用慣行を損なわないかどうかについて、非常に注目して判断したいと思っています。
また、資料6において、直接雇用の場合と労働者派遣の場合が左と右で示されています。今回出されている業務は、発注元が自治体で、1年ごとの競争入札でかつ次年度も同じ会社が受注できるかわからないので、直接雇用の有期労働契約が一般的である。派遣であれば派遣元との関係で、常時雇用する労働者を派遣しているケースが多いというように書かれています。これはヒアリングによる結果なのか、一般的にこうなのか、どこの企業でもこのように派遣元との関係で、派遣労働者の方々が常時雇用されているのか、もしわかれば教えていただきたいと思います。以上です。
○三上企画官 3点でよろしいでしょうか。
○新谷委員 はい。
○三上企画官 まず1点目、今回の派遣法改正後、速やかに抜本的な26業務の見直しの議論を開始すべき、という新谷委員からのご指摘がございました。この件につきましてはまさに新谷委員がご指摘のとおりでして、今回の見直しは東日本大震災で被災した施設その他に対応するための緊急的なものであります。長妻元大臣が国会で答弁しておりますとおり、今回の派遣法改正が終了し次第、いわゆる専門26業務について抜本的な見直しをさせていただきたいと思っています。なお、改正派遣法案につきましても、国会でのご議論ということで、政府としていろいろ申し上げることが難しい分野でございますが、政府としては提出後速やかにご議論いただいて、速やかな成立を望んでいるというスタンスでございます。
2点目、専門性が高いということで提案している4業種について、法第40条の2第1項第1号の解釈を変えるものではないのかという、ご質問ですが、これは新谷委員のおっしゃるとおりでして、今回我々のほうでご説明させていただきました専門性というのは、第40条の第1項第1号にあります「能力の有効な発揮及び雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわない」ような専門性が認められるのではないかということで、ご提案させていただいているという趣旨です。したがいまして、新谷委員のご指摘のとおり、これまでの法律の趣旨及び政令の趣旨全般、趣旨の解釈というものを変更するものではございません。
最後の資料6の関係ですが、この実態につきましては関係業界からのヒアリングでございます。右側の形は大体各社で取られているのですが、1つ付け加えておきますと、会社の中で全員が派遣労働者ということではなくて、需要変動の生じる部分、入札によって変動の生じる部分の必要最小限のところ、これを派遣労働者で行っているとのことです。
それから、派遣元の常時雇用の労働者かというご質問がございましたが、これはやはり専門性が高いということと、就業先の地域におられる労働者の方がほとんどだということで、こちらはほぼ常時雇用、いわゆる登録型派遣でない形態というように確認しております。以上です。
○石黒委員 いまのところに関連するのですが、資料7、粗い推計なのであまり大きな意味がないかもしれませんが、現状の派遣労働者数はざっと見ると3,000人弱ぐらいということになっています。この派遣労働者数は、今回、政令を変えて専門26業務の1つとして扱かった場合、増えると考えるべきなのか、それとも変わらないのか。もともと、派遣労働者として現状雇用しているので、あまり変わらないと理解していますが、どのように想定しているのか、確認させていただきたいと思います。
○三上企画官 こちらのほうは先ほども申し上げましたとおり、いちばん最初の資料、皆さんもうご存じなので説明は省略しますが、3年までは自由化業務として派遣を行ってもいいということで、既に入っておられる方々がほとんどと聞いています。そういう意味においてこの数字が爆発的に増加する、ないしは常用代替が進むというようなことは考えにくいというように考えています。
○石黒委員 基本的には、これ以上に派遣労働者に移行するということがないと理解しました。それが前提であれば、爆発的にということだけでなく、常用代替が進まぬよう、きちんと注視していくことが必要ではないかと思います。
○三上企画官 先ほども申し上げましたが、全体の中では非常に専門性が高いということで、やはり各会社においても直接雇用の部分と派遣とをきっちり分けて考えていかなければいけない部分があるとのことで、どんどん、派遣化を進める意思はないとのことです。それから、プラントの稼働その他についても、責任者については自社雇用を要求している自治体が数多くあります。その部分について侵食すると今度は受注ができないという実態があるそうですので、現在ご提案させていただいた中ではそういう問題は起こらないものと考えておりますが、いま石黒委員からご指摘のあったように常用代替に置き換わっていくということは、法第40条の2の趣旨に反しますので、その辺は我々も注視してまいりたいと考えています。
○柴田委員 ご存じだったら教えていただきたいことは、雇用の安定という意味では労働契約を結んでいる先というのがとても大切になってくると思います。しかし、資料6の右の図の派遣元は具体的にはどのような会社がやっているのかという事がわかったら教えていただきたいと思っています。どういうことかというと、例えば専門にこういった労働者を派遣している所なのかそうではない所なのか、もう1つは震災関係で言うと暴力団が派遣をしていたという話があったので、新規参入でこういう派遣、素行の悪いというか、雇用の安定を覆すような派遣元が出てくることがあるとちょっといけないかなというのがあります。そこら辺の見通し等も含めて教えていただければと思います。
○草野補佐 関係団体から聞いたところでは、特定労働者派遣の場合がほとんどということです。したがって、常時雇用される労働者を派遣する場合が多いということなので、そういう点で言うと安定しているということであろうかと思います。ヒアリング結果によれば、今既にやられているものであり、特定労働者派遣で専門性があるものであるということですので、そういう観点で言えば、雇用が安定しているところで派遣が行われていると言えるのではないかと考えています。
○田畑課長 暴力団のご指摘がありました。そもそもこういった業務、一般廃棄物処理にしても水道、下水道にしても、自治体との契約で行われているものが大多数を占めるということで、当然、入札要件の中で、昨今暴力団の排除条項などを入れているものも多いかと思います。そういった観点からも、暴力団が新規参入という可能性は極めて低いと考えております。ただ、いずれにしても、派遣ということで行っている業務が適正に行われているかどうかということは、我々としてもきっちりチェックを引続き続けてまいりたいと考えています。
○三上企画官 もう1つ付け加えて申し上げて申し訳ありません。もともと、欠格事由の中に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」により処罰を受けた者というものが入っており、その点は我々も厳しくチェックしていきたいと思います。
○柴田委員 私が懸念したのは、役所と契約するのはA社やB社やC社で、A社が派遣元から派遣を受け入れたときにもちろん考えているかもしれませんけれども、役所が契約をするのはA社なので、いわゆるA社の外部委託の派遣元まで見るかどうかというのがわからないと、A社が安い所から派遣を受けたりすることがひょっとして排除できるかなと。そうすると、派遣元を審査する私たちのほうは、もう少しやらないといけないのではないか、少し責任を感じつつ聞きました。
○三上企画官 許可の審査に際して、その点について厚生労働省として心して審査してまいりたいと思います。
○柴田委員 ありがとうございます。
○宮本委員 インフラ整備やがれき処理というのは、かなり長期にわたって行われることだと思います。そういう中で一般廃棄物処理、水道業、非破壊検査は別にしましてそれぞれ専門性が高いと強調されておられます。新たに放射性物質を扱うということでもあります。そうなりますと、労働者の安全衛生の問題や技術的なこと、かなり専門性が高くなるということだと思うのですが、そういった部分の教育機関というのは業界にあるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。また、派遣元事業者がそういった教育を担うのかということについて、ちょっとよくわかりませんので、お聞かせいただきたいという点が1点です。
それから、設備の運転・点検・整備ということでありますけれども、「等」という言葉が書いてあります。関連業務みたいな形でそういう施設に持ち込んでくる運転の業務、それから現地のがれきを積み上げてという、関連業務の拡大の懸念が出てくるということになると建設業務にかかわってくるということもあります。そういった事がないとは思いますが、担保というか、ないのだという確認を求めたいと思います。
○三上企画官 1点目、教育機関とおっしゃられましたが、このときの教育機関というのは。
○宮本委員 業界でそういった教育機関等があるのかどうか、あるいは公的な所を活用しているのかどうか。その点がちょっとわかりませんので。
○三上企画官 教育機関という形ではまだ、突発的に放射線の問題が生じました関係でないと承知しています。この件については当方の安全衛生部で放射線の取扱いについて、放射性物質の除染その他について、安全衛生法上の基準を通達しているということでございます。
これはこの問題だけにかかわらず、一般的な派遣業でも出てきている問題でございます。この件については派遣法の中で安全衛生法をひいており、その中に該当するということで、基本的には派遣元がこの辺をしっかりと教育する義務を負っていると認識しております。この問題につきましては、今回ご議論いただいているものだけでなく、きっちり指導してまいりたいと考えています。
2点目の建設業とのかね合いでございます。各資料を見ていただくとわかるとは思いますが、今回追加する業務については運転、点検、整備の業務に限定しております。しかも、各法律で規定しています一般廃棄物その他の対象物に限定し、その処理に必要な設備の運転、点検、整備に限定するということがまず大前提です。
まず、そもそも論として、今回東日本大震災に伴う業務の追加ですので、あくまでも派遣法の考え方を変えないということで、法律で規定されております建設業に該当する業務については、ここに拡大するということは毛頭考えておりません。それに基づきまして、現在こういう書き方をしているということでございます。ここから我々が解釈を拡大するということは全く考えておりませんし、もしそのような範囲の拡大を各事業所において行った場合には、これはまた厳正に指導してまいりたいと考えています。以上です。
○新谷委員 3点ほど、細かくなりますが中身を確認させてください。先ほど、資料6で自治体から受注するイメージの説明がありました。これは、自治体が持っている設備、ごみの焼却場や下水処理場を想定しているのだと思います。こういう種類のプラントで民間所有のプラントの運転業務を、官民の契約ではなく、民民の契約で受注された場合は、どういう取扱いになるのでしょうか。
2点め、国や地方自治体が持っているこのようなプラント、今日出ているのは社会インフラにかかわる業務ですが、国や地方自治体がここに出ているような業務以外でプラントを持っていないのか。例えば、水力発電設備というようなものが仮に地方公共団体で持っていて、それが民間にまた業務委託されたときに、その業務はどういう取扱いになるのかを教えていただきたいと思います。
3点め、ごみの焼却施設だと最近どこの併設でもよく見うけられますが、余熱を利用した発電設備が併設されていたりとか、最終処理場ですとメタンガスの再利用の設備が併設されていたりします。こういった付帯設備の運転に関わる業務に従事する労働者についてはどういう取扱いになるのか、この3つを教えていただければと思います。
○三上企画官 まず1点目と2点目を併せてご説明させていただきます。今回の業務につきましては、一般廃棄物処理その他3つの業務につきましては、基本的に自治体が法律上、自ら処理責任を負うとされている業務ということであります。そういった業務を今回対象とすることで考えています。
その中で、いま新谷委員からご指摘のありました地方自治体が直接行っているかプラント業務ですと、発電施設での業務などがございます。「プラント」ということでは正しいのかよくわからないのですが、市営地下鉄など、ああいうものもあることはあります。
ただ、これらにつきましては、逆に言うと自治体が自主的判断、どちらかというと民に近い立場で行っているもので、発電の義務を自治体が負っているものではありません。地下鉄、バスなどもそうです。そういったところになりますと、その業務を自治体として税金で賄ったり、上水道ですと料金の徴収等を行っておりますが、それでも、自治体の責務としてサービスを行うというような性格が非常に薄れてまいりますので、そういった意味で業務としての性格がかなり違うのかなと思います。
特に、先ほどご指摘いただいた発電プラントなどですと、自治体でも採算性が持たなくなって、撤退を始めて、電力会社に施設を売ったりしているところが多くなってきています。撤退の自由度が非常にあるというように考えておりますので、そこのところは今回の施設とそういった発電施設等とは性格が違うものと考えております。そういった意味で、処理責任を直接住民に対して負って行っているというものが、現在、我々が検討対象としている施設と認識しています。
もう1点ご指摘がありました。付随設備と申しますか、一体の設備の中で付いているものでございます。これについての取扱いですが、現在のシステムの中で一貫の流れで処理しています。メタンガスの売却の部分、契約の関係のところは設備の運転ではないので入ってこないと認識しています。それを流し出すところまでが一体の設備なので、ここだけを取り出すということは非常に難しいかと。そういうことで対象に含ませるという判断でございます。
例えば余熱を全く別の設備に送り込んで、これで発電を行っているという場合についてはもちろん対象にならない。発電設備単体で動かしているものについては対象にならないようにしたいと考えています。以上です。
○大橋部会長 よろしいですか。新谷委員から、国会で改正法が成立してから考えたらどうかというのが1つネックになっていますが。
○新谷委員 私が申し上げたのは、26の業務を増やすという論議であれば、派遣法が成立したあとに、本格的論議の中で対応すべきですが、現在の26の業務という枠組みの中で運用するのであれば検討に値するのではないかということを申し上げたわけです。
○大橋部会長 わかりました。
○新谷委員 いずれにしても、この26業務のあり様については、先ほど申し上げたように、前回まとめた需給部会の建議・諮問答申の中にも、私どもから「抜本的な見直しを行うべきだ」と申し上げておりますし、この前の衆議院の厚労委員会での採決においても「速やかに見直し・検討を行うべき」という附帯決議が付けられています。いずれにしても、この26業務のあり様というのは見直しをする時期に来ているのではないかと思います。
その上で発言させてください。26業務のあり方については改めて議論が必要ですが、今回ご説明いただいた業務については、震災の関連、復旧復興にからみ、緊急性が必要だということであります。また、これも冒頭に申し上げたように、派遣法第40条の2における基本的枠組みとの関係で、能力発揮なり雇用の安定といった雇用慣行を損なわない業務ということと、派遣労働者の方々の活躍の場をどのように広げていくかのバランスの問題だと思います。
本日、提案された4業種については、派遣元との関係において常用雇用の形態の割合が多く、専門性の高い労働者の方々を中心とした業務であるということ、常用代替がなかなか起こりにくく、雇用の安定に資するということから、26業務の解釈に影響を与えないという前提であれば、これについて検討することを容認したいと思います。
○大橋部会長 その他、いかがでしょうか。よろしいですか。(了承)○大橋部会長 それでは、次のようにさせていただきます。本日の議論を踏まえ、事務局のほうで法令的な観点等から整理していただき、取りまとめの案を作成していただきたいと思います。取りまとめ案の準備ができましたら、本部会で議論をいただきたいと存じますのでよろしくお願いいたします。
次に一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。冒頭に申し上げましたように、傍聴されている方につきましてはここでご退席いただきますようお願い申し上げます。(傍聴者退席)
○大橋部会長 連絡事項はありませんか。
○草野補佐 次回の部会の日時は1月27日(金)14時から、場所は後日、事務局から連絡いたします。以上、よろしくお願いいたします。
○大橋部会長 以上をもちまして、第169回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は使用者代表高橋委員、労働者代表新谷委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。