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2011年11月21日 第56回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部

○日時

平成23年11月21日(月)
13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、犬飼米男、大山忠一、日下部治、新谷信幸、瀬戸実、谷口元、角田透、冨高裕子、中田三郎、中村聡子、三浦武男、三柴丈典

事務局

宮野甚一 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
椎葉茂樹 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)

○議題

(1)「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に起因して生じた事態に対応するための電離放射線障害防止規則の特例に関する省令を廃止する等の省令案要綱」について(諮問)
(2)その他

○議事

○分科会長 みなさん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第
56回の労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、浅井委員、
小野委員、土橋委員、小畑委員、古市委員、縄野委員、高橋委員が欠席されて
います。今回から新たに参加していただきました新谷委員、ひと言ご挨拶をお
願いします。

○新谷委員 この度、委員を交代いたしまして、連合本部から委員として参加
させていただきます新谷と申します。よろしくお願いいたします。

○分科会長 それから大山委員も今回からご出席いただいています。よろしく
お願いします。

○大山委員 大山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○分科会長 それでは、議事に移ります。本日の議題は、電離放射線障害防止
規則の特例に関する省令案の廃止についての要綱の諮問及び除染作業等に従事
する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会の検討状況についての報告
の2点となっています。
 電離放射線障害防止規則の特例省令につきましては前回、10月24日の本分
科会におきまして、新たに緊急作業に従事する方については被ばく限度を
100mSvに引き下げるという案についてご了承いただき、11月1日に改正省令
が公布・施工されたところです。
 本日も特例省令についてご審議いただきますけれども、その理由は原子力災
害対策本部政府・東京電力統合対策室において示された「福島第一原発原子力
発電所・事故の収束に向けた道筋 当面のロードマップ」において、原子炉が
安定的な冷温停止状態を達成するための工程であるステップ2が年内に終了す
る予定となっており、その終了時に併せて特例省令についても検討が必要とい
うものです。
 厚生労働省において、冷温停止後の労働者の被ばく線量について関係機関と
も調整して検討した結果、一定の経過措置を設けた上で、特例省令については
廃止する案が示されました。本改正省令案要綱については、本日11月21日付
で厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問がなされ、同日に労働政策審議会会
長から同分科会において検討することとされました。本日は本省令案要綱につ
いてご議論をいただきたいと存じます。事務局からその内容につきまして説明
していただいたあと、議論に移りたいと思いますのでよろしくお願いします。

○計画課長 それでは私のほうから、お手元にお配りした資料に基づきまして
省令案についてご説明させていただきます。資料1で、省令の諮問要綱を付け
させていただいいますが、その後ろのほうに参考資料1という形で説明のため
のペーパーをご用意させていただいておりますので、そちらのほうで説明させ
ていただきたいと思います。
 趣旨につきましては、いま分科会長のほうよりご説明いただいたとおりです。
今回の改正内容ですが、現在、特例省令という形で、特にやむを得ない緊急の
場合で厚生労働大臣が定めた場合は、通常時の緊急作業の被ばくの限度が
100mSvのところを250mSvにしておりますが、この特例省令を廃止するとい
うものです。2の改正内容の(1)の下の※のところに現在、250mSvが認められ
ております特にやむを得ない場合としまして、大臣が告示として示しているも
のが掲げられておりますが、要するに原子炉施設等の冷却機能、あるいは放射
線物質の放出を抑制する機能などにトラブルが生じた場合に、それを復旧する
ための作業につきましては、現在250mSvという特例が残っておりますが、こ
のトラブル対応の部分につきましては、先ほど分科会長よりご説明しました冷
温停止状態という形でステップ2が終わりますと、そういうトラブルが想定さ
れないという事態になりますので、その作業についての250mSvというものが
必要なくなるということですので、それを廃止するという考え方です。
 ただ、この特例省令を廃止しますと、電離則の本則に戻りまして、通常の放
射線業務につきましては年間50mSv、5年で100mSvの基準、あるいは電離則
におきます緊急作業に当たるような事象が生じた場合については100mSvの基
準が適用になりますが、いずれにしましても基準上は、100mSvを既に被ばく
をされている方については追加的な被ばくが認められないという形になります
ので、そういう方々というのは福島第一原発から退去していただかなければな
らなくなるわけですね。現在、延べで百数十名の方が100mSvを超えているわ
けですが、その中には非常に重要な作業をされている方々がいらっしゃいまし
て、そういう方々がステップ2終了をもって福島第一原発を退去することでい
いのかということにつきまして、関係省庁、あるいは東京電力と調整させてい
ただいた結果、一定の、そこについては特例的な経過措置を設けなければなら
ないという形になりまして、今回、その特例的な経過措置についてもこの廃止
省令の附則のほうで措置をさせていただいています。
 具体的には、その(2)を見ていただければと思いますが、要するに福島第一原
発で緊急作業に従事された方のうちで既に100mSvを超えた方々、この方々は
何もしなければ福島第一原発から出ていただかなければならない方々ですが、
そういう方々の中で、下線の3行目ですが、原子炉施設の冷却機能の維持等の
作業に欠くことのできない高度の専門的な知識及び経験を有することで後任者
を容易に得ることができない方々につきましては、期間を区切って、具体的に
は平成24年4月30日までの間は250mSvとするということです。すなわち、
この方々は従来の250mSvの上限をそのまま維持しますので、平たく言えば、
廃止と同時に福島第一原発を去らなくていいという形になります。何故かと言
うと、その方々については特に専門的なお仕事をされていまして後任者が見つ
からないということですので、その方々がいないと、福島第一原発の冷温停止
状態を安定的に推移させることは困難という形になりますので、そういう方々
につきましては特例的な形で残すということです。
 具体的に、どういう作業かということにつきましては、そこの(※1)を見て
いただければと思いますけども、そこの1、2にありますとおり、冷却機能、
あるいは放出抑制機能を維持するための作業に従事しておられる方々というこ
とで、(※2)にありますとおり、現在、想定されているのは東京電力の社員約
50名という方々でして、こういう方々については引き続き福島第一原発に残っ
て作業に従事していただくという形になります。ただ、あくまでそれは、本来
であれば追加的な被ばくをしてはいけない方々ですので、それは当然、追加的
な被ばくを極力抑えていただく必要がありますので、その辺りにつきましては
私どもとしまして十分、一人ひとりの追加的な線量の推移なども把握した上で、
追加的な被ばくが極力小さくなるようにウォッチと言いますか、チェックして
いきたいと思っています。いずれにしましても、そういうことで極力、追加的
な被ばくを抑えていただいた上で4月30日までの間は従事していただくという
形になります。
 なお、ご質問があろうかと思いますので、ここで説明させていただきますが、
4月30日までの間という意味ですが、これらの50名の方々は大きく分けて2
つのグループがあります。1つは、今回新たにこの福島第一原発に導入しました、
例えば冷却装置みたいなものを新たに持ち込みましたけど、そういうようなも
のの設置、運営等に従事していた方々がいらっしゃいます。こういう方々につ
いてはまさに設置当時からずっとやっておられたということですけども、その
方々については代替的な知識を持った人間を育成、養成すれば交替することが
できますけども、いままでのところは緊急対応という中でなかなかそこまでは
手が回っていなかった部分がありますので、こういうグループにつきましては
半年ぐらいあるわけですので、4月30日までの間にその知見なりノウハウを、
交替する人たちに移していただいて、その後交替していくという形で1つ、考
えています。
 もう1つは、例えば原子炉の施設の当直長とか副当直長と言われるような、
まさに現場の最高責任者といわれる方々。原子炉というのは本当に一つひとつ
がオーダーメイドでして、同じ型のものがどこかにあるというものではありま
せんので、その原子炉の癖とかいろんな装置、配線、配管、そういうことにつ
いて熟知していて、どういう状況がきても即座に対応できるような、そういう
高度な知見を持った方々、もっと言いますと、ご自身の判断で原子炉を停止す
ることができるような権限を与えられているような、そういう方々については、
これはもうその方が数十年にわたって、その原子炉の世話をされてきたことに
よって得られた知見でして、この部分についてはなかなかすぐに一定期間に誰
かに替わるようなノウハウを与えるのは難しゅうございます。ただ、そうは言
っても、いつまでもということではありませんが、少なくとも半年という形の
スパンの中で交替要員を育成することはなかなか難しゅうございますので、こ
ういう方々につきましては、福島第一原発の中に重要な機能を持っております
免震重要棟という棟がございますが、その2階部分を改築しましてクリーニン
グをしまして、要はそこの線量を極度に落として、要はそこにいる限りにおい
て追加的被ばくがないという状態まで半年かけて持っていった上で、その方々
については半年後はそこに移っていただいて、そこで福島原発ではありますけ
ども放射線の被ばくが極度に低いわけですから、福島第一原発であって福島第
一原発ではないと言いますか、いわゆる普通の作業としてそこにいらっしゃる
わけで、電離則の適用もありませんので、その方々については追加的な被ばく
がない形で勤務を当分の間は従事していただく形になります。いずれにしまし
ても、そういう2つのグループの方々の対応をしますのに、東電とぎりぎりと
詰めさせていただきましたけれども、やはり4月30日まではかかるということ
ですので、そういう間の経過措置を置かしていただいているところです。
 3の施工日の関係ですが、この施工日というのはステップ2の終了日という形
になりますけれども、これは年内にもという意向が細野大臣のほうより示され
ておりますけども、具体的な期日は決まっていません。ですので、その決まっ
た段階でこれを施工するという形で、今回は施工日が決まっていない状態です
が諮問をさせていただいているところです。
 もう1枚おめくりいただいて、ステップ2終了日にどういう状況になるかと
いうことですが、現状はこの真ん中の欄の11月1日からという部分が動いてい
るわけですが、ステップ2終了日以降につきましては、基本的には電離則の本
則であります4条、7条の形でやっていただきます。具体的には、通常の作業に
つきましては、通常の被ばく限度であります電離則7条に基づきます年50、5
年100の基準でやっていただきますが、先ほどもご説明しましたとおり、電離
則7条に基づきます緊急作業に該当するような作業がありますので、具体的に
は原子炉冷却、放射性物質抑制設備の機能の維持のための作業に従事されてい
る方々につきましては、これは電離則7条に基づきまして、100mSvの限度で
業務を実施していただく形になります。加えまして、1番下の段ですが、いま申
し上げました方、具体的には東京電力の社員約50名の方ですが、こういう方々
につきましては特例省令の廃止省令の経過措置の中におきまして、平成24年4
月30日までに限りまして、250mSvの基準を残させていただくというものです。
以上でございます。

○分科会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に
対して、ご質問があったらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○谷口委員 まず今回、福島第一の状況を踏まえまして安定的な冷温停止状態、
これを達成するステップ2の終了時に特例省令を改正すると。特例省令を廃止
していくという今回の改正につきましては理解をするところです。その上で、
いま計画課長からご説明いただいた4月30日とした理由について2つあるとい
うことで、新たな冷却装置等のその運営に従事されている方については6か月
以内にほぼ、教育による代替が可能であるということと、それから当直長等責
任者の方については、これは替えられる方がなかなかいらっしゃらないという
ことなので、線量が下がる免震棟の中で引き続き従事していただくという説明
がありましたので、その点についても理解をするところです。この4月30日の
期限につきましては、基本的に年内にステップ2が終了することが前提という
ことですので、このステップ2が、そういうことがあってはなりませんけれど
も、万が一終了しなかった場合にはこの4月30日の考え方についてはどう考え
るのか、そういう点について質問、確認をさせていただきたいと思います。

○分科会長 はい、どうぞ、高崎課長。

○計画課長 先ほど言いました、その交替要員の養成及び免震重要棟2階部分
の改築につきましては、ステップ2の終了の前後にかかわらず、いまから約半
年間でできる形でいまセットしておりますので、そのステップ2の終了が年明
けになったとしても4月30日という考え方を変えるということにはなりません。
ただ、4月30日よりもあとになってしまうと、これは大変なことになりますけ
れども、基本的にそういうことは想定しておりません。現在、政府は、当初1
月と言っておりましたステップ2につきまして、年内にもという形で動いてお
りますので、そうでないとすれば、仮にそのステップ2の時期が若干のズレが
生じたとしても、この4月30日という、半年をかけて交替要員の育成と改築を
するというスケジュールには変更はありませんので、引き続きこの4月30日で
行くということです。もっと言いますと、年内にステップ2が終わらなくて年
明けに、そんなことはあってはならないと思いますが仮になったとしても、4月
30日については変更しないということです。

○分科会長 谷口委員、よろしいですか。

○谷口委員 はい、ありがとうございます。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。はい、犬飼委員。

○犬飼委員 いま、課長から説明がありましたように、250mSvの適用を外す
というのは代替要員の確保と後任者の育成というのが、ここがいちばんのポイ
ントになると思うんですね。それで、5月下旬に厚生労働省から原子力安全・保
安院に対して、特殊行動技能者の養成で申し入れをされたと思うんですけれど
も、その後の進捗状況と申しますか、その辺と、今回のその後任者育成という
辺りの関係を教えていただきたいということと、現段階で、その5月に養成な
さってからどれぐらいスキルアップされているか、どんな段階に、例えば、も
うちょっとやれば交替要員にできる要員が育成されているんだとか、それに関
してちょっと教えていただきたいということです。
 それから、後任を育成するということになると、東電と関連会社もそうなん
ですけれども、大変な労力といいますか、これ、かかると思うんですけれども、
これらに対してやっぱり、国として積極的に支援しないと、能力開発と言いま
すか、スキルアップについて十分に進まないのではないかと思っておりますの
で、これについてどのようなお考えがあるかということをお聞きしたいと思い
ます。
 それから、単純なことなのですが、素人考えから言いますと、原子炉のその
当直長が、除染を行った免震棟で作業すると。私らのイメージからしますと、
計器が一杯並んでいる前に見えて、その計器をいろいろ判断しながら、おそら
く当直長の方が、異常な値を示したときに即座に、そのマニュアルもそうなの
ですけれども、課長の言い方からおっしゃると、マニュアル以上に原子炉と付
き合ってきたと言いますか、いろんなノウハウを知っているということですか
ら、果たしてそれが離れた免震棟のところで、計器類のことも含めて、潤沢に
そういうことができるかどうかというのが、素人考えでは非常に不安なのです
が、それについても、もし何かありましたらお答え願いたいと。

○分科会長 高崎課長。お願いします。

○計画課長 いま、犬飼委員からご指摘がありました技術者、技能者等の育成
の関係ですが、これにつきましては、夏に厚生労働大臣より経済産業省に申し
入れをしたということですが、その後、現に東電の中の柏崎の原発のほうから
作業員が来たりとか、ほかの電力会社から来たりとか、そういうような形で、
まさに応援というような形で入ってきていただいている部分もあります。もう1
つ、そのエネ庁が中心になりまして、その放射線の線量などを測定するような、
管理するような方々については大量に必要になるというようなことで、そうい
う方々の養成というようなことについても、業界団体と行政がタイアップする
形で実施してきておりまして、いま手元にちょっと数字がありませんけれども、
それなりの人数で養成等をしてきているところです。
 そういう意味では、まさに特例省令の考え方にもありますけれども、専門的
な知識が必要な作業であっても、そういうような形で、いわば後任者を、容易
に持ってこられるような方についてはもう散々手を尽くして、やり尽くしてい
るという状態です。現にもう福島第一原発には延べ2万人以上の方々が緊急作
業に入っておられますから、それはもう本当に当初いた方々ではなくて、いろ
んなところからそういう形で、交替要員という形で作業に従事していただいて
いるということです。
 行政としての支援ですけど、先ほど言いましたとおり、経産省の資源エネル
ギー庁のほうで主体的にやっていただいておりまして、私どもとしてもそれに
ついて、例えば私どもの施設等で協力できることがあればいくらでもしますよ、
というようなことで申し出はしていますけれども、いままでのところは経産省
サイドのほうで基本的にやっていただいているということです。厚生労働省と
しましても、必要があれば、今後ともご協力していくスタンスで臨んでいると
いうことはそのとおりですので、いまのところはそういう形で、業所管の官庁
のほうで責任を持って、その辺りの要員確保についての努力はしていただいて
いるというところです。
 他方で、今回お願いしておりますとおり、容易に後任を見つけられない方々
の関係ですが、この方々については、そういうことで対応するのですが、これ
はもう本当に数か月にわたって、私どもと経産省、資源エネルギー庁ともぎり
ぎりの調整をしてきました。要は、緊急作業を今後も引き続き、あるいは冷温
停止状態を安定的に推移されるために必要な要員が片方いますと。他方、我々
の立場からすると、緊急事態でない限りにおいては特例省令は認められないと。
追加的な被ばくは駄目ですよという中にあってぎりぎり調整した結果が先ほど
の、なかなか直ぐには代替者が見つからないような方々については免震重要棟
のほうでということですが、当然そこは免震重要棟と言っても福島第一原発の
中で、原子炉建屋とは別の建物になりますけれども、そんなに大きく離れてい
るところというわけではありませんし、その辺りの何て言うのでしょう、メー
ターとかのそのモニター状態がどうなっているかというのは私もそこまで詳し
くありませんが、そういうようなことも含めてぎりぎりと調整していただいた
結果、免震重要棟のほうにいれば、その方が持っている知見などのいろんなも
のについてはきちっと発揮していただいて、最終的に冷温停止状態を安定的に
維持することができるということの一応、東電のほうからもそういう回答もい
ただいていますし、資源エネルギー庁内保安院のほうからもそういう形でセッ
トされているものですので、私どもとしてはそういう形で、当直長の方が勤務
していただくという形態で、冷温停止状態の安定的な運用が確保できるものだ
という理解で今回、措置をしているということです。

○分科会長 よろしいですか。どうもありがとうございました。ほかにはいか
がでしょうか。冨高委員。

○冨高委員 1点、確認させていただきたいのですけれども、先ほど参考資料1
の2枚目でご説明いただきましたように、いま100mSvを超えていらっしゃる
方が162名いらっしゃるということで、今回の特例省令廃止省令の施行直後は、
この50名の方を除いた、東電以外の労働者27名を含むこの約110人の方が、
この経過措置の対象外になるということで、既に100mSvを超えていますから、
今回、その緊急作業に従事した期間を含む5年間、放射線業務に従事できなく
なるということの理解でよいかどうかというのを、まず確認したいと思います。

○分科会長 どうでしょうか。

○計画課長 そういう方々につきましては、緊急作業時の線量と、通常作業に
戻ったときの年50、5年100mSvという基準との通算という考え方については、
この分科会でもご説明していただいたとおりですので、そういう意味からしま
すと、100mSvを超えるということですと、もうその瞬間に5年100mSvを超
えておりますので、追加的な被ばくは認められませんので、放射線業務に就く
ことはできないという考え方はそのとおりです。

○冨高委員 すみません、追加で質問なのですけれども、そうしますと、これ
からこの施行後5年間にわたって、これまで実施してきたその原発関連の作業
ができなくなるということだと思いますけれども、先ほどもご説明いただいた
ように、いまかかわっていらっしゃる方というのは相当程度のその高度な知識
とか、専門知識とか、経験とかを持っていらっしゃる労働者ということですの
で、そうなると、その方たちが職を失ってしまうケースも考えられるのではな
いかと懸念されるわけですけれども、国として、その雇用対策を含めて、いま
どのようにお考えなのかということを少しお伺いしたいと思います。

○分科会長 どうぞ。

○計画課長 そういう方々が、被ばく線量との関係で不利益な取り扱いを受け
るとか、最悪の事態は、その職を失うようなことがないようにとの形で、これ
は既に私どものほうから東京電力、あるいは東京電力を介しまして協力会社の
ほうに対して、そういうことはあってはならない、そういうことがないように
という形で要請は既にしているところです。ということが1つと、あと、やは
り100mSvを超えるような被ばくをされる方というのは、これは相当程度、事
故的なものを除いて、専門的な知識を持っておられるような方々ですので、現
に東京電力、あるいは協力会社の中でも重層下請構造になっていますけれども、
一次下請、あるいは二次下請という、比較的大手の企業の社員の方々ですので、
私どもとしましてはそういう要請を踏まえて、それなりの規模の会社ですので、
事業場内配置転換、例えばですが、事務的なお仕事に転換していただければ被
ばくしなくて勤務することが可能ですので、そういうような形で対応していた
だけているものだと思いますし、今後ともそういうことで対応していただくこ
とをお願いしたいと思っています。いまのところ、それについて特段の問題的
な事案が生じたということを聞いておりませんので、それについては引き続き、
そういう場合の対応、フォローも含めましてきちっと対応していきたいと考え
ています。

○分科会長 よろしいですか。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 いまの答弁でよくわかったのですが、やはり100mSvを超えた
方々というのはおそらく3月11日以降、あとは水素爆発が起こったあとですね、
多分、原発の収束に向けて献身的にお取り組みをされた方々だと思います。特
にその東電以外の方が27名おられるわけで、いまの話だと一次下請、二次下請
を含めて大手だろうということだったのですが、この27名なので、この方々が
事後的に、結果として雇用が守れないということにならないように事前に、た
った27名なので、どういうふうにされるのかというのを、やっぱりあれだけ献
身的にやられた方が今回のこの改正によって、専門職の方々だと思うので、仕
事に就けなくなるということはあってはならないと思いますので、そこはきめ
細かくフォローしていただきたいと思います。

○分科会長 はい、よろしいですか。

○計画課長 いまの新谷委員からのご指摘、ごもっともだと思いますので、会
社のほうを通じまして少し確認したいと思います。

○分科会長 ほかにはございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それで
は、「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に起因して生じた事態に対応するため
の電離放射線障害防止規則の特例に関する省令を廃止する等の省令案要綱」に
ついて、当分科会として妥当と認めるということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。それでは当分科会として妥当と答申いた
します。事務局においては手続きをよろしくお願いいたします。
 次に2点目の議題に入りたいと思います。労働者の放射線障害防止対策につ
いては電離放射線障害防止規則がありますが、同規則は施設内を対象としてい
ます。来年以降、作業が本格化する屋外での除染作業、あるいは廃棄物の処理
等については適用が困難です。現在、厚生労働省では、屋外での除染作業等に
おける労働者の電離放射線障害防止について検討しています。こちらについて
は、次回の当分科会でご審議いただく予定ですが、現在の検討状況についてご
説明をさせていただきたいと思いますので、事務局からお願いします。

○計画課長 2つ目の案件ですが、いわゆる除染作業における労働者の健康障害
を防止するための法的な規制が現状はないという状況におきまして、大臣の発
言によれば、第2電離則的なものを制定すべき準備をしているということで、
いま分科会長よりご説明がありましたとおり、次回の分科会でご審議をいただ
きたいと思っておりますが、年末はいつもそうなのですが、安衛部は非常に政
省令案件が多ございまして、12月にも2回ほど開催いただかなければならない
と思いますが、非常にタイトになりますので、今日は少し時間的な余裕があり
ましたので、次回の第2電離則的な規制の関係についての事前のご説明をさせ
ていただくという趣旨です。
 お手元に資料2をご用意させていただいておりますので、それに基づきまし
て簡単にご説明させていただきます。そこに「平成二十三年三月十一日に発生
した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性
物質により環境の汚染への対処に関する特別措置法」という長い法律の名前が
あります。短くしまして「放射線物質汚染対処特措法」と言いますが、議員立
法で8月26日に成立をして、一部の部分につきまして8月30日付で施行して
おります。中身につきましては、まさに今回の福島第一原発の事故に伴いまし
て放出された放射線によって汚染された廃棄物、あるいは土壌等について処理
をしたり、除染をしたりするための法的なスキームです。具体的な中身は「制
度」というところで見ていただきたいのですが、まず環境大臣が基本方針を示
すという形となっており、基本方針が11月11日付で示されております。例え
ば除染で言えば、1mSv以上の地域について除染というような大方針がこの中で
定められています。具体的な、作業に伴ういろいろな規制、基準につきまして
は、「基準の設定」の下にありますように設定することになっておりますが、こ
れはまだでございまして、来年1月1日に基準が設定され施行されるというス
ケジュールになっています。この基準がいわば環境大臣の下に作られますが、
そこの中には、いわゆるその業務に従事する労働者の健康障害を防止するよう
な細かな規制は入っておりませんで、そちらのほうは、労働安全衛生法上の規
則において対処することが政府によって決まっています。それを今回作ろうと
いうことです。本体の作業全体の基準が1月1日施行ですので、我々の規則も
それに合わせて制定しなければならないということです。
 現状ではどういう対応をしているかというのは2頁です。8月26日に法律が
制定されましたが、いま言ったとおり、基準については当然専門的な方々の知
見を活用した検討が必要で、直ちに作れないというような状況がありましたの
で、それまでの間、低被ばくの地域からであろうとは思いますが、除染作業が
進むということが想定されておりましたので、何もないというわけにはいかな
いということで、それまでの間は法的な位置づけではなくて、いわゆる行政指
導ベースで対応しようという形で作られたのが、ガイドラインと通達です。ま
ず、8月26日に政府の原子力災害対策本部で、市町村による除染実施ガイドラ
インが作られました。除染につきまして、基本的には市町村が発注して行うと
いうことで、事業者は市町村に限られていますので、このガイドラインによっ
て縛る形になります。このガイドラインにおいては、年間の被ばくが1~20mSv
の地域、比較的低被ばくの地域からやっていくという形で始められています。
線量が高い場所の作業は、専門業者に依頼して行う、要するに専門業者及びそ
こで雇われている労働者にきちんと管理させて行わせるという考え方がとられ
ています。
 具体的な線量管理の内容につきましては、ガイドラインを受けまして、厚生
労働省で9月9日付で行政通達を出しておりまして、そのガイドラインを補完
するという形で対策を打っています。具体的には1から7にありますとおり、
線量については1日ごとに記録した上で保存しなさいですとか、飲食・喫煙は
させないとか、教育をきちんとやるとか、健康診断を実施するというようなこ
とを、この通達に基づき現在指導しているということですが、いわば、このガ
イドラインや行政通達が、来年1月1日からは、特措法に基づく基準と安衛法
に基づく規則という形の、法的な担保されたものとして実施されていくという
流れです。
 3頁です。私どもが現在検討しております、除染作業等に従事する労働者の放
射線障害防止対策については、そこにあるような方々にご参集していただいた
上で、有識者による検討会を実施しています。中身はいま申し上げたようなこ
とです。スケジュールについては、いままさに検討会を開催しているわけです
が、今日、このあとも、この結果を踏まえまして、労働政策審議会に諮問する
と同時に、放射線審議会にもお諮りしなければなりません。文部省の放射線審
議会に対しても諮問をした上で公布し、来年の1月1日から施行するというス
ケジュールで考えています。
 主な検討事項を次の頁にまとめています。そこにありますとおり、被ばく線
量の管理、被ばく低減のための措置、汚染拡大防止、内部被ばく防止措置、労
働者教育、健康管理措置、働働衛生管理体制について、検討を広範にいただい
ているところでございまして、これらについて特に法的な手当てが必要な部分
については、新たな規則、省令で措置をするというように考えておりますし、
そこには盛り込まれない部分ですとか、あるいは法令だけですとわかりにくい
ですので、実際に作業に関連する方々が、よりわかりやすいものとして、そう
いう法令事項を含めたガイドラインを作りまして、情報を適確に提供していき
たいと考えています。
 次に5頁です。いくつかの検討項目がありますが、その中でいちばん核にな
るのが被ばく線量の管理の考え方です。そこにある絵が前回の検討会で私ども
から考え方をお示した資料です。縦軸が空間線量ということで、左下の欄に0.23
μSv/h、24時間換算で、年1mSvとありますが、ここから上の地域を除染する
という考え方を政府は取っておりますので、この上においてこの作業が発生す
るという形になります。横軸は頻度で、作業頻度が多くなればなるほど被ばく
量が多くなるという考え方になっております。3つのエリアに分けていますが、
(A)の部分ですが、縦軸の左の欄の真ん中に2.5μSv/h、週40時間、52週間換
算で5mSvと書いてありますが、これ以上の作業ですと、状態として週40時間、
52週働きますと、1年間で5mSv以上被ばくする地域ということになります。
5mSvというのは、ご案内のとおり、現行の電離則において管理区域の設定基準
ですが、これより上の線量があるエリアにつきましては、現在の電離則の施設
内の管理区域の考え方と同じように、個人ごとに線量を管理させることを義務
付けたいと考えています。具体的には線量計によって外部被ばくを測定し、内
部被ばくが危惧されるような作業については、内部被ばくの測定を義務付けて
いきたいと考えています。この(A)というエリアにつきましては、概ね計画的避
難区域及び警戒区域の内側になる見込みです。いわば計画的避難区域なり警戒
区域の内部において、廃棄物処理や除染の作業に従事されている労働者につい
ては、現行の電離則の管理区域内と同じように、個人ごとの線量管理を義務付
けると考えています。
 それ以下の関係につきましては、個人的な線量管理が必要とするまでのもの
ではないと考えております。ただ、実際の作業というのは(A)のエリアと(B)のエ
リアどちらかでしかやらないということではなくて、行ったり来たりなどいろ
いろなことがありますので、それよりも低いエリアについて何も線量管理をし
ないと、その方々が通算してどのぐらいの線量被ばくをされているかというこ
とが捕捉できませんので、そういうことがないように、それ以下の空間線量の
エリアであっても作業頻度が多いケース、具体的には1年間の被ばく線量が概
ね1-5mSv、(B)という部分ですが、この部分につきましても同じく線量管理を
していただくのですが、(A)のエリアよりは被ばく量が全然低いですので、簡易
な方法でもいいということで、具体的には代表者による測定、空間線量からの
評価ということで、個人ごとに線量計を用いなくてもいいということで措置す
るというように考えています。そうすることによって、(A)と(B)との間を行き来
するような方についても、おおよその被ばく線量を把握できるようにする。た
だ、(B)についてはすべての人に個人ごとにやるというところまでは、負担等の
こともありますので、簡易な線量管理でよしとしようということです。
 最後に、空間線量が2.5μSv以下でかつ頻度が年数十回程度の方々は、右の
青枠の欄ですが、ボランティアの方、住民の方で自宅を洗浄したりする方、あ
るいは自分の農地をきれいにする方、あるいは自営業の方々、あるいは自分の
工場を除染するような方々については、実効線量が年1mSvを十分下回ります
ので、ここにつきましては、線量管理は不要としたいと考えています。逆を言
いますと、労働者でない方々というのは青のところに封じ込めることによって、
健康障害を防止するという形で担保していこうという考え方です。赤の部分に
つきまして、今回省令の中で規定をしたいと思っておりますし、先ほど言いま
した、ガイドラインはこの全体像を示すということで、関係者の方々に物事を
わかりやすくお示ししたいと考えています。
 最後になりますが、被ばくの限度につきましては、注の3ですが、現行のICRP
の職業性被ばく限度ですと年50mSv、5年で100mSvを適用したいと考えてい
ます。
 では、どういうエリアがそこに該当するかということですが、6頁ですが、こ
の地図の色が付いているところが1mSv超えの部分で、このエリアが除染対象
ということになります。国土の6%というような話もあるようですが、非常に広
大なエリアです。(A)の区域については2.5以上ということですので、7頁の赤
とオレンジ色のエリア、概ね計画的避難区域と警戒区域ということになります。
ですので、この赤とオレンジ色のエリアについては個人的な線量管理を義務づ
ける。青いエリア全域については、簡易な方法でも可とすると。あまりにも広
過ぎるので、このすべてのエリアについて個人の管理を始めますと大変な話に
なりますので、ただ、それについて何もやらないということではいけないだろ
うということで、(A)と(B)という取組を組み合わせることで、広大なエリアの除
染作業についての労働者の健康障害防止を担保していきたいという考え方で、
これに基づく省令案につきまして、次回お諮りしたいと考えています。以上で
す。

○分科会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に対して質問
等ございましたらお願いします。

○新谷委員 福島の事故からの復旧・復興に向けて除染という作業は非常に重
要に今後なってくると思います。この地域の方々が安心して暮らせるためには、
是非除染をしなければいけない、重要な取組だと思っております。法律にあり
ますように、国がきちっと責任を果たしていただく、自治体と連携して取り組
んでいただくというためにも、こういった規則、ルールが重要な役割を持つと
思っております。
 ただ、この作業はきちっとコントロールされた、管理された中で行われなけ
ればいけないと思っておりまして、除染作業をするに当たって、先ほどご説明
あったような管理区分の区分けであるとか、個人の線量管理等々、きちっとす
るためのルールを作っていただきたいと思います。
 そのときに、非常に広範な範囲での作業になりますので、例えば7頁の赤の
区域ですと、20km圏内を超えて30km圏外の地域でも除染作業をするという
ことになろうかと思います。
 私ども連合も、福島第一原発の作業に当たっておられる方について、Jビレッ
ジの見学をさせていただいて、中に入る際には関門といいますか、出てくると
きもチェックゲートとして通っていただいて、被ばく線量の管理や、もちろん
定期的な内部被ばくの管理ということで、ホールボディーカウンターで受診を
していただくという体制ができていると思います。第一原発の中に入る方々に
ついては、Jビレッジがチェックのための場所になっているのですが、赤い印の
部分で、2.5μSv以上ということで、年間換算で50mSv以下ということになっ
ているのですが、個人の線量管理の中で、内部被ばくの測定というのが5頁に
書かれているのですが、内部被ばくの測定というのは、ホールボディーカウン
ターでしかチェックできないと思いますけれども、あの台数も当初は足りない
と言われていて、広範な地域の中で、具体的には内部被ばくの測定というのは
どういう形で管理をされるのかというのを教えていただきたいと思います。
 もう1つは、年間50mSv以下、職業性被ばくの限度内ということなのですが、
電離則の範囲ですと、個人線量管理については晩発性障害が出るということで、
長期にわたってデータベースの管理をするということで、いま政府のほうで進
められていると思うのですが、今回のこの除染作業の個人線量管理の義務付け
(A)という方々は、今後の長期的なデータベース管理の中ではどういう扱いにな
っていくのかも教えていただきたいと思います。
 もう1つは要望なのですが、これは1月に向けて検討されているということ
ですが、いま説明いただいただけでも、5頁に区分(A)などとあるのですが、た
ぶん縦書き、横書きの文章になると、非常にわかりにくいものになってくると
思いますので、作業される方々はもちろんそうですし、専門業者としての事業
者の方々にわかりやすい内容とするように、その辺の資料の準備等も併せて進
めていただきたいと思います。以上です。

○労働衛生課長 内部被ばくの測定方法についてのご質問がありましたが、ま
ず内部被ばくにつきましては、実際のところ、こういった現場にはホールボデ
ィカウンターがないところですが、いろいろな専門家にお聞きしたところ、粉
じんの発生の度合い、土壌の放射線濃度に応じまして、例えば鼻の穴の中でス
メア検査というのがありまして、これである程度、どれだけ内部被ばくがあっ
たかがわかるようでございまして、こういったものを組み合わせて実施するこ
とにしております。これはいま検討会の中でご議論いただいています。これに
よりまして、ホールボディカウンターを使ってやるまでもない、それと同じよ
うな精度でできるということです。
 それから、長期データベースの話ですが、以前の審議会の中でご議論いただ
きましたが、第一原発の中で作業される方につきましては、長期的なデータベ
ースを構築いたしまして、健康管理等のサービスをしていくということですが、
今回の除染作業に従事する方々は、線量が原発作業に比べたらはるかに低いと
いうことで、現在のところ、この長期的データベースの中に入れるということ
は、いまのところ考えていません。
 それから、わかりやすいマニュアルですが、この規則の制定と同時に、教育
のマニュアルやパンフレットを作りまして、できるだけわかりやすく、こうい
った作業に従事する方が本当に即座にわかるようなものを作っていきたいとい
うことで、きちんとさせていただきたいと考えています。

○新谷委員 除染する区域が警戒区域の内側になる見込みとなっていまして、
これは福島原発の周辺地域も含むということなのでしょうか。いま、線量が低
いというお話だったのですが、原発に近づけば近づくほど線量が高いはずだと
思うのですが、この辺はどの区域までお考えになっているのですか。

○計画課長 まさに先ほどの地図でいいますと、青以上の所が除染の対象区域
という形になります。唯一の例外は、福島第一原発の中でございまして、ここ
は東京電力が責任をもって除染するということになっておりますので、その外
のエリアということになります。当然近づけば近づくほど汚染は高くなるとい
うのはそのとおりでございますが、他方、時間的経緯、要するに半減期の問題
ですとか、放出はものすごく減ってきていますので、その意味からしますと、
福島原発の中の特定のエリアはものすごく高いエリアがあろうかと思いますが、
警戒区域内、あるいは計画的避難区域内であっても、非常にスポット的に高い
というようなことについては対応は必要だと思いますが、(A)に入ったとたんに
ものすごい被ばくをするというような、そういうイメージではないというのが
専門家の先生方のご意見でございまして、そういう意味で課長が申し上げたと
いうことです。
 ただ、いずれにしても、除染というのは、必要な生活圏でかつ比較的除染し
やすいところから進んでいくという形になると思います。どこかの段階で非常
に高被ばくのような事態が出るとか、状況が変われば、そこでまた新しい対策
を打てばいいわけですので、とりあえずは、これから年明けに本格化するであ
ろう範囲内の、廃棄物の処理ですとか除染作業であれば、いま言ったようなこ
とで対応していけば大丈夫ではないかというのが専門家の先生方のご意見で、
とりあえずはそれでやらさせていただいて、あとは状況を見ながら判断してい
きたいということだろうと思います。

○角田委員 6頁、7頁で、地表1mの高さでの空間線量の資料があるわけです
が、これは時間経過とともに変わるというご説明もありました。それから、雨
がいちばん影響するのでしょうけれども、雨が地表に落ち、地表に落ちたもの
は水の流れに従って集まっていくのですが、よどんでしまうところは一般的に
高濃度となることが想定されています。これは一度測定を実施していますが、
その後もまた測定すると理解してよろしいのでしょうか。

○労働衛生課長 作業の前に何カ所か測定をいたしまして、計画を作って入っ
ていくということで、作業の前にはあらかじめもう一度測定をするということ
です。

○計画課長 当然除染ですので、効果も測定しなければならないということで、
作業のあとにも測定するという形です。

○角田委員 それから、除染の作業についてのご説明が、業として除染等を行
う労働者を対象とするということになっていますが、業として除染に従事する
ということとは関係なく、高濃度の汚染の可能性のある地域に除染以外の業務
で立ち入るということが、私のイメージとしては森林等の林業の業務を想定し
ているのですが、そういう方々については、いまのところ配慮はないというこ
とになってしまうのでしょうか。

○計画課長 先ほどの絵にありましたとおり、基本的にはいまのガイドライン
上もそうですし、新たな基準もそうですが、高い被ばくが想定されるような作
業については専門業者にしかやらせないのです。専門業者にしかやらせないか
らには、きちんと事業者責任において、労働者の線量管理についても責任を持
った体制をとれる、そういうところでやっていただくということですので、森
林の作業につきましても、いわゆる一人親方的な人には作業させない。こうい
う方々がもし作業するというのであれば、どこかに雇っていただくなり、労働
組合的なものとして、きちんと作って、そこで安全衛生法に基づいた規制の中
で、きちんと働いていただくことのみを認めていくという形で、先ほど言いま
した特措法上の基準に位置付けていただいて。要するにまさに新谷委員も言わ
れましたが、きちんとした線量管理の下にやっていただくということである以
上は、そういうことが期待できないような人たちにはやっていただかないとい
うことで、きちんと手当てしていかないと、そういう人たちが平気でやられる
ということでは、各自その人たちには安衛法の適用はないわけですので、そこ
ら辺についてはそういう形で役割分担をするということで、いま政府の中で調
整をさせていただいています。

○角田委員 5頁の(A)に当たる範囲ですが、作業の頻度は低いけれども、空間
線量が高い領域、ここでは(A)に当たる場合ですが、それなりの管理がなされる
ことになると理解できます。さて、担当は環境省と思いますが、地域によって
は立ち入り禁止となるのでしょうが、一般の方がやや頻繁にキノコ狩りに行く
とか、山菜を採りに行くとかそういうこともあるかと思いますが、(立ち入り禁
止と云うようなことは)厚生労働省の担当ではないとは思いますが、一般の方
が立ち入る可能性があると思うのですが。

○計画課長 そこにも書いてありますとおり、現状の線量におきましては、(A)
のエリアというのは、計画的避難区域及び警戒区域の区域内ですので、それは
人が入れないということです。

○角田委員 そういうこと(人が入れないということ)でよろしいということ
ですか。

○計画課長 たぶんそこの線量が低くなることによってだんだん小さくなって
いくのだと思いますが、そこのエリアは基本的に人が入れないという形で今後
いくということ。そうであれば人が立ち入らないわけですから、問題ないと思
います。

○角田委員 わかりました。ありがとうございました。

○分科会長 ほかにはありませんか。よろしいでしょうか。次回もありますの
で、またご議論いただければと思います。それでは、今日の報告と諮問につき
ましては、終了いたします。事務局から連絡事項をお願いします。

○高崎計画課長 次回の日程につきましては、追って連絡させていただきます
が、先ほど言いましたとおり、案件が盛りだくさんで、誠に年末お忙しい折に
恐縮でございますが、12月中に2回ほどお時間をいただくという形になると思
います。次回は先ほど言いましたとおり、除染等に関する省令案についてのご
審議と、もう1つぐらい案件のご審議をお願いすることになろうかと思います。
以上です。

○分科会長 それでは、本日の分科会は終了いたします。議事録の署名ですが、
労働者代表は犬飼委員に、使用者代表は大山委員にお願いします。それでは、
本日はお忙しい中ありがとうございました。これで終了いたします。


(了)

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