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2011年9月14日 第91回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年9月14日(水)
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館12階 専用第12会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

平成23年9月14日 第91回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

・日時
平成23年9月14日(水)10時00分~12時00分

・場所
厚生労働省専用第12会議室(12階)

・出席者
【公益代表委員】
 荒木委員、岩村委員、権丈委員、田島委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】
 島田委員、新谷委員、?松委員、中島委員、宮本委員、安永委員

【使用者代表委員】
 池田委員、伊丹委員、伊藤委員、田中委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員

【事務局】
 金子労働基準局長、渡延審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、
青山労働条件政策課調査官

・議題
 1 有期労働契約について
 2 その他

○岩村分科会長 おはようございます。
 定刻となりましたので、ただいまから第91回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日は労働者代表の工藤委員が御欠席ということでございます。
 また、議事に入ります前に、事務局に異動がございました。そこで、定足数と併せまして事務局から報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○青山調査官 7月29日付で人事異動がありました。渡延審議官の後任の熊谷でございます。
○熊谷審議官 熊谷でございます。よろしくお願いいたします。
○青山調査官 続けて定足数について御報告いたします。
 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、本日はいずれの数も上回っております。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
 なお、局長の金子は公務で遅れておりますことをお詫びさせていただきます。準備次第参るかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題はお手元の議事次第にございますように、「有期労働契約について」ということでございます。この分科会では、昨年10月から有期労働契約の在り方につきまして、検討を始めて、各論点について一通りの検討を終了したというところでございます。そこで、7月21日のこの分科会で「議論の中間的な整理」につきまして、御議論をちょうだいしました。その後私の方で整理・調整をさせていただきまして、今年の8月3日にこの分科会における「議論の中間的な整理」をとりまとめまして、公表をしたところでございます。委員の皆様方におかれましては、この間御協力をいただき、大変ありがとうございました。
 今後でございますが、更に有期労働契約についての議論を年末に向けて深めてまいりたいと考えております。
 今日は、今後のスケジュールの案ということで、資料の1でお示ししておりますけれども、大くくりのスケジュール感というものを持ちながら、皆様と御相談をさせていただきつつ、進めてまいりたいと考えております。引き続きよろしくお願いをいたします。
 それでは、本日は平成23年有期労働契約実態調査の結果について、事務局から説明をいただいて、その内容についての質問等をちょうだいしたいと存じます。
 それでは実態調査の結果につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○田中労働条件政策課長 それでは、資料ナンバー2、3、4についてまとめて御説明をさせていただきます。資料ナンバー2は今回の事業所に対する調査の報告書概要でございます。それから、資料ナンバー3は個人調査の概要でございます。資料4につきましては、資料2、3については同様の調査を平成21年に行っており、その内容については既に昨年10月来何回かに分けて概要をこの分科会で御報告申し上げたところですけれども、今回新たな調査が出てきたということで、前回とほぼパラレルな形で質問事項などを設定しておりますので、一部変えているところがありますけれども比較対照できます。参考のために資料4につきましては、まず、事業所調査の各統計表の総数の部分だけでございますけれども、21年、23年の比較を付けさせていただいております。
それから、その後に個人調査についても同じように付けさせていただき、最後に、個人調査については後で御説明いたしますけれども、就業形態別の取り方が前回と今回とでは比率が異なっておりまして、就業形態別の両者の比較というのを細かく見ていくことも必要ですので、就業形態ごとに21年と23年を比較した表も、これも全部ではないんですけれども、主なものについて比較表を付けさせていただいたというのが、資料4でございます。
したがいまして、これから資料2と資料3について御説明を申し上げてまいりますけれども、資料4をお手元に置いていただいて、21年との比較を参照しながらごらんいただきたいと思います。必要に応じて両者触れながら御説明させていただくことになると思います。よろしくお願いいたします。
それでは、資料ナンバー2の「事業所調査」について御説明いたします。
まず、調査の概要が4ページから書いてあります。調査の範囲につきましては地域的範囲、全国なんですけれども、岩手県、宮城県、福島県、東日本大震災の被災地にある事業所については今回外しております。それから、属性は基本的に各産業にわたるようにしておりまして、事業所規模5人以上の民営事業所を対象としております。約10,000事業所を選定させていただいております。調査事項については後ほど統計結果をごらんいただきたいというふうに思います。
それから調査の時点は7月1日時点でございます。調査につきましては、実態調査票を郵送して回収するという形にいたしました。調査対象数が10,252件、回答数が5,777件でございます。標本の設計のところですけれども、16大産業に属する事業所規模5人以上の民営事業所ということにいたしまして、母集団数が164万事業所になりました。これは平成18年の事業所・企業統計調査事業所名簿からの無作為抽出でございます。参考までに右側にその母集団の業種別、それから規模別の数、母集団に復元したときの数というものを記載させていただいております。こうした母集団で統計表を作成させていただいているということでございますので、御参照いただきたいと思います。
主な用語の説明等は前回と同じでございますので、省略させていただきます。
7ページですけれども、前回と今回の調査の比較をしております。21年調査は同じく21年7月1日でございます。リーマンショック後の状況で調査をしたと。今回は御承知のとおり東日本大震災後の調査をしたと。調査方式は先ほど申し上げたとおり、前回と同じです。調査対象につきましては、今回は岩手県、宮城県、福島県の事業所を対象除外としております。それから、事業所規模5人以上の一番下のラインのところの取り方なんですけれども、今回は5人以上で常用労働者数が5人未満の事業所は集計対象に含めております。常用労働者が5人未満でも、非常用を含めて5人以上であれば、集計対象に含めております。
それから、調査項目につきましては、「震災の影響のため」という選択肢を事業所の雇止めの理由のところに追加しておりますのと、記入者負担の軽減の観点から幾つかの問いを前回から比べて減らしているということの修正を行っております。
以上が概要の説明です。
それでは、統計表の内容について説明をさせていただきます。資料2と、先ほどの資料4の1ページから平成21と平成23年の比較をしており、ご覧いただきたいと思います。
1ページ目は、事業所ごとにどのような種類の労働者を雇用しているかということでございます。正社員、正社員以外で、正社員以外の中身については無期の労働者、有期の労働者というふうに分けています。それから、常用労働者以外の雇用、派遣労働者の雇用、請負労働者などの受け入れ状況といったことを事業所単位で調べているものでございます。前回とほぼ同様の割合の数が出ております。
第2表でございます。第2表につきましては、常用労働者全体を100%といたしまして、正社員、正社員以外の労働契約期間の定めのない労働者と有期契約労働者の比率でございます。これは有期契約労働者が21.5%ということになっております。前回が22.2%ということですので、ほかの項目も含めてほぼ同様の比率が出てきております。
それから、第3表でございます。これは職務タイプ別でございます。この調査独自に?~?の「正社員同様職務型」から「軽易職務型」まで定義をして、事業所に回答をいただいております。これは複数回答でございますので、合計は100%になりません。?の正社員同様職務型が約4割強、?の軽易職務型も5割弱ということですが、?、?については低い比率になっております。この構造自体はほとんど前回と変わっておりません。
それから、第4表になります。これは有期労働者の労働者数のベースでこの4分類をした場合の比率でございます。正社員同様型が2割強です。それから軽易職務型が約5割です。不明の比率が変動していることから、前回と少し違っておりますけれども、全体の構造、構成についてはほとんど変化はございません。
それから、第5表ですけれども、各事業所が人事労務管理上最も重要と考えている職務タイプは何か聞いたものです。したがって単一回答になりますけれども、これも正社員同様型が約4割、軽易職務型が約4割ということで、これもほぼ変わりがございません。
それから第6表でございます。比較表、資料4の方は2ページに入ります。第6表については「有期契約労働者を雇用している理由」でございます。理由については一番高いところが一番左の「業務量の中長期的な変動に対応するため」ということになっております。その次が真ん中辺りの「人件費を低く抑えるため」ということ、その次が左の方に戻りまして、左から2番目「業務量の急激な変動に際して雇用調整ができるようにするため」でございます。その次が3つほど右に行きまして「経験等を有する高齢者の活用のため」ということです。こうした大きな活用理由の順序については、複数回答ですけれども、変更がございません。
第7表になります。「有期契約労働者を雇用できなくなった場合の影響と理由」であります。理由は最大2つまでを答えていただいております。有期労働者を雇用できなくなった場合、「事業が成り立たない」とお答えになった事業所が8割でございます。資料4の2ページの上から2つ目の表を見ていただきますと、平成23年で「事業が成り立たない」とした事業所が8割で、前回が5割強ということで、この点については事業が成り立たないとする事業所が増えております。事業が成り立たないという理由をここで見ていただきますと、一番多いのは真ん中辺りの「人件費コストが増大するから」ということでございまして、今回の調査でいきますと約半数ということです。その次に、約4割弱ですけれども、一番左の「業務が季節・景気等により変動するので、正社員だけでは対応できないから」ということ、その次が、人件費の右側ですけれども「有期契約で働いている労働者が多く、必要な労働者数を確保できなくなるから」ということでございます。前回と比べてこの回答の順番は2番目以降少し変動があるという状況です。それから、「事業が成り立たない」が増えた関係で、「深刻な影響があるが事業運営上対応が可能」という比率、「あまり影響はない」という比率については下がっております。
次に第8表でございます。希望する継続雇用期間、これは事業所側が希望する継続雇用期間でございます。一番多いのは右から2番目「出来る限り長く」ということで、約4割を占めて、圧倒的に多い状況でございまして、これは前回と変わっておりません。
それから第9表です。1回当たりの労働契約の契約期間についてでございます。これについては職務タイプごとに最も労働者数の多い契約期間を答えてもらったお答えの集計でございまして、有期契約労働者を雇用している事業所のうちでの1回当たりの契約期間については真ん中辺り、「6か月超~1年以内」というところが約6割ということになっています。前回も54.2%でございまして、最も多かった部分でございます。資料4でいきますと、2ページの一番下の比較表になります。
それから第10表です。今度は契約更新回数の上限を設けているかどうかと、設けている場合の上限回数です。まず、設けていると答えた事業主が1割強、前回が資料4の3ページの冒頭の表でございますが、9.7%でございましたので、若干数としては増えておりますが、約1割の事業主が更新回数の上限を設けているということでございます。設けている場合の上限回数は前回も今回もそうなのですが、「3~5回」というのが約3分の2を占めております。
次に第11表でございます。実際の契約更新の回数について調べたものです。これにつきましては「3~5回」というところが36.9%ということで最も多くなっています。前回も39.5%、約4割弱ということで、ほぼ同様の数字になっております。
それから第12表、先ほどは回数の上限でしたが、この表は勤続年数の上限を定めているかどうか、定めているとすればどのぐらいかというものでございます。設けているという事業所が1割強、前回の8.5%から少し増えていますが、回数制限と同様約1割の事業所が設けているということ、それから設けている場合の上限年数ですけれども、「3年超~5年以内」が約半数ということでございます。前回も約半数強でございますので、ここも余り変化がないということでございます。
それから第13表でございます。実際の勤続年数につきましては、「3年超~5年以内」が3割強ということでございます。この部分は、前回、平成21年は資料4の3ページの真ん中辺りでございますが、「1年超~3年以内」が28.7%、「3年超~5年以内」は28.1%ということで、ほぼ同数でありましたが、今回は少し「3年超~5年以内」が増え、「1年超~3年以内」が割合としては減っているという傾向が出ております。
第14表でございます。クーリング期間の有無というところでございます。クーリング期間というのは、有期雇用契約終了後、一定の期間を置いて再度雇用することにしている場合、クーリング期間を置いているということになります。このクーリング期間を置いている事業所の割合が、前回も今回も約3%前後と非常に少ない比率になっています。少ない中での内訳ですので数が変動しやすいことになると思いますけれども、今回の調査でいきますと、平均的なクーリング期間は「3ヶ月~6ヶ月以内」のところが3分の1ほどの回答になっております。前回とは大分回答の中身が変わっておりますが、これはクーリング期間を置いているという事業所数自体が少ないために数字が変動しやすいという面もあると思っておりますので、その点留意して見ていただきたいと思います。
第15表以降は契約締結時の契約期間など、さまざまなものの明示の状況について調べている表が幾つか続きます。
まず15表は、契約締結時の契約期間に関する明示の有無でございます。「明示している」という事業所が95%を超えています。前回との比較は資料4の3ページの下から2つ目の15の表です。前回は91.7%でございまして、かなり上昇しております。その際の具体的な明示の方法でございます。口頭、書面、電子メール、その他と分けておりますが、その中で伸びておりますのが書面の交付でございます。これも95%を超えており、前年の92.9%と比べまして、増えています。
第16表に参りますと、契約締結時の更新の有無であります。契約更新の有無の明示の状況については約88%、比較表を見ていただきまして3ページの一番下の表、前回は約83%でございましたので、少々上昇しております。明示の方法については書面の交付がここでも圧倒的に多く、約9割ということでございます。これも若干前回と比べて上昇しております。
第17表に参ります。資料4は4ページ目に入ります。17表は契約締結時の更新の判断基準でございます。この判断基準を明示している事業所は約75%です。前回6割強からかなり上昇しております。方法につきましては、今度は書面の交付の比率を見ていただきますと、勿論圧倒的に書面の交付が多いんですけれども、前回の8割強から今回は7割台に減少しております。15、16表の明示の部分とは逆の動きをしているということでございます。
次に18表でございます。「契約の更新形態」でございます。契約の更新時にどのような形で更新をしているかを事業主側から見たものでございます。選択肢は「自動的に更新している」というもの、それから「契約書は交わしているが、期間満了後に締結するなど、形式的なものである」という選択肢、それから「更新の都度、労働者の署名または記名押印を求めているが、詳しい説明は行っていない」という選択肢、その次の右側が一番丁寧な選択肢なんですけれども、「更新の都度契約期間等について詳しく説明を行った上で、労働者の署名または記名押印を求めている」というものでございます。この選択肢で調査しまして、約6割の事業所の方が一番右の一番丁寧な選択肢で契約更新を行っているというふうに答えております。前回の結果がこの部分は5割強でございますので、丁寧な手続で更新をされる事業所が増えているという数字になっております。
第19表でございます。「就業規則の適用状況」です。正社員と同じ就業規則が適用されるのか、別規則が適用されるのか、そもそも就業規則は存在しないのか、その3つの選択肢でございます。今回見ますと、別規則が適用される有期契約労働者が増えているという数字です。「就業規則が存在しない」などの部分については、前回から減っております。
20表と21表は「3年を超える有期契約労働者の有無」の状況でございます。まず20表につきましては高度専門の3年を超える有期契約労働者の存在でございます。事業所数としては6%の事業所が3年を超える契約で、高度で専門的な知識を有する労働者を雇用しています。資料4の4ページ、下から2つ目の20番目の表ですが、前回平成21年のここの部分は3.3%でございまして、3年を超える高度専門の労働者がいるとする事業所の割合が増えております。「3年1か月~3年6か月」、「5年」の区分が多くなっています。平均の契約月数で見ますと53.6月、前回52.1月ですので、ほぼ変わっていないというふうに言えると思います。
21表は同じく3年を超える有期契約労働者ですが、60歳以上ということで、3年を超える契約が結ばれている者がいる事業所の割合でございます。今回の調査では前回が5%に比し、約2割とかなり増えてきているという状況でございます。最も長い契約期間の区分で見ますと、前回同様「5年」が最も多くなっています。平均の契約期間月数が53.4月ということであります。前回は48.9月ですので、少し伸びてきているというような状況でございます。
22表につきましては、「契約期間の途中での退職申出の有無」でございます。契約期間の途中で退職申出があったとする事業所の割合は前回とほとんど変わっていません。資料4では5ページに入っております。その労働者に対する損害賠償の請求の有無について、求めたことがあるという事業所が前回と同様、ほとんどないという状況でございます。
次に23表でございます。23表では、契約期間の途中での退職申出の中で、契約期間の最初からどの程度の時期に申し出があったかというところを取っております。一番多い区分が契約期間の始めから1か月を超えて6か月以内、2番目に多いのが6か月を超えて1年以内ということでございまして、大体それぞれ4割と2割強ということでございます。これは前回とほとんど変わっておりません。
24表は、残業の有無についてでございます。有期契約労働者が残業することがあるかどうかでございます。残業することがあると答えた事業主が約3分の2でございます。資料4の5ページ上から3番目の表にあります。平均残業時間を見ますと、「週10時間以内」の比率は下がり、「週10時間超30時間以内」の比率が上がっております。少し残業時間が長くなってきているような傾向も見られます。
それから25表に入ります。今度は異動・転勤についてでございます。有期契約労働者が異動・転勤をすることがあるとする事業主が約3割となり、前回の約2割よりも増えております。この中でどういう範囲で異動するのかと聞いた項目については、異動の範囲について幾つかの設問を取っておりますが、今回多かったのは、左から3つ目でございますが、「事業所内の異動のみだが、異動先の制限はない」とする事業所が最も多い。前回は「ブロック内など、地域の制限がある」という事業所が多かったんですけれども、答えの傾向に変化がございます。
それから26表でございます。今度は「昇進の有無」です。有期契約労働者が昇進することがあるかどうかですけれども、これは約2割の事業所で「昇進することがある」ということで、前回とほぼ変わっておりません。それから昇進のレベルなんですけれども、これも一般従業員に近い管理職層としての係長・主任などまで昇進するというところが約7割といったところで、大部分を占めております。
それから27表でございます。「正社員と比較した基本給の水準」でございます。27表の下に「職務タイプごとに該当する労働者について」ということで書かれておりますけれども、最も仕事が似たような正規社員と比較してもらっております。その結果ですけれども、基本給の水準で最も多いのが「6割以上8割未満」ということで約3割ということでございます。その次に多いのが「8割以上10割未満」ということで、2割強ということで、この傾向は変わっておりません。
28表が「退職金、賞与、諸手当」ということでございます。資料4では6ページに入ります。退職金については1割、賞与5割ということで傾向は変わりません。それ以外の諸手当ということになりますと、通勤手当の比率が若干上がっております。あとは若干下がっているものもありますけれども傾向値としては余り変わっていないようになっております。
それから29表でございます。「正社員と比較した退職金の水準」であります。まず、退職金があると答えた事業所が先ほどの表で1割ということでございましたので、その中での比率となりますけれども、「同額程度」というところと「2割未満」というところが比較的多いという状況です。今回は「2割以上4割未満」のところも少し増えてきております。
それから30表の「教育訓練機会」の部分でございます。教育訓練機会については、傾向としては左から2番目の「正社員とほぼ同じ教育訓練機会が与えられている」と、左から3番目の「正社員と比較して少ないが、業務に必要な教育訓練機会は正社員とほぼ同じ」というところが大体4分の1ずつということになっております。
次に31表でございますが、「福利厚生」です。有期契約労働者に福利厚生があるとする事業所は約9割ということで、これは非常に高い割合になっています。内訳を見ますと福利厚生の適用比率というのはまちまちでございまして、高いのは「慶弔見舞金」あるいは「食堂・休憩室・更衣室の利用」といったところが高くなっております。
32表でございます。正社員転換制度でございます。転換制度があるとする事業主が半数を超えています。前回は46.5%でございます。ただし、転換実績の方を見ますと、「転換実績がある程度ある」という事業主の割合が下がり、「転換実績は少ない」という事業主の割合がわずかに下がり、逆に「転換実績はない」とする事業主の割合が増えております。転換制度はつくったけれどもなかなか実績が出ていないというような状況の事業所が増えている傾向が見られます。
33表ですが、「正社員転換を実施する上での支障」があるかどうかということで、最も多いのは「支障はない」とする約35%であります。支障があるとする中で最も多いのは「正社員としてのポストが少ない」が約2割、「正社員に転換するには能力が不足している」がこれに続きます。この回答の傾向は前回と変わっておりません。ただ、「特に支障はない」とする事業主が前回51.3%であったのに対し、今回34.7%というふうになっております。
次は34表でございます。過去2年間の「雇止めの有無」でございます。過去2年間というふうに聞いたのは、リーマンショックの影響ではない時期にどういう雇止めがあったかということを聞くという趣旨で過去2年間ということにさせていただいております。前回は過去3年間で聞いておりますので、比較の際には注意をいただきたいと思っております。「雇止めを行ったことがない」とする事業所が65%でございました。資料4では7ページに入っております。7ページの一番上の表で前回が約7割、「雇止めを行ったことがない」とする事業主は5ポイントほど減っております。
この理由について複数回答を求めております。最も大きい理由については「業務量減少のため」ということ、その次に「労働者の勤務態度不良のため」、その次が「あらかじめ更新しないと契約していたため」ということでございます。それぞれ資料4の7ページの一番上の表に前回との比較をしております。一番多かった「業務量減少のため」のところは前回4割強が3割強に減っておりますが、構造的には変わっていないということでございます。
35表に移ります。「雇止めに対する考え方」でございます。この点につきましては、ちょうど真ん中ぐらいの選択肢で「雇止めはあるかもしれないが、やむを得ない場合に限って行う」という事業所が約半数を占めておりまして、この傾向は前回と変わっておりません。
36表で、「雇止めに先立つ手続の種類」でございます。これは複数回答でございますので、書面で伝えたり口頭で伝えたりという両方をしている事業所は両方をマークする可能性があります。100%以内には収まっておりません。これを見ますと、書面で伝えたと回答した事業所が4割強、口頭で伝えたと回答した事業所が約5割ということになっております。この数字につきましては資料4の7ページ下から2番目の表で見ますと、書面で伝えたとする事業主は38.2%から増えております。口頭で伝えたとする事業主は59.0%から減っております。通告日数ですけれども、30日以上前に通告したという事業主は前回91.1%だったのが95%を超えているという状況でございます。
次37表です。「中途解雇・雇止め時の退職金の支給の有無」でございますけれども、これについては約4分の3の事業主が「いずれの場合も支給していない」という傾向でございまして、これは前回と変わっておりません。
それから38表「雇止めの際のトラブル」でございますが、これについて22年4月~平成23年6月のトラブルの有無をお聞きしました。「トラブルになったことがある」と回答した事業主の比率は、前回、今回とも数%と非常に低い状況でございます。こういう低い中で複数回答を求めておりますので、そういった状況に留意しつつ中身を見ますと、一番高いのが「雇止めの理由について納得してもらえなかったため」という回答でございます。前回多かったのは、資料4の8ページを見ていただきますと一番上の表真ん中辺りの「更新後の労働条件について納得してもらえなかったため」ということで、39.8%でございます。今回一番多かった「雇止めの理由について納得してもらえなかったため」というのは17%にとどまっておりまして、ここは少し数字の動きがございます。
事業所調査最後の39表でございます。今後、有期労働契約者をどう活用していくかということでございますが、これは「現状を維持する」というところが6割、それから「一層積極的に活用していきたい」ということが1割、今後は縮小するが3%台ということで、これは前回と傾向が変わっておりません。
以上が事業所調査になります。
次に、個人調査について御説明いたします。
個人調査につきましても基本的に前回と同様の調査の方法でございます。調査方法を見ていただきますと、インターネット調査でございます。委託先の会社のインターネットのモニターのアクセスパネルから15歳以上の有期契約労働者を抽出しましたけれども、今回につきましては抽出方法を、?にありますように、平成22年の労働力調査の雇用形態別の性・年齢階級の結果を基に、パート、アルバイト、派遣社員など就業形態の比率と回答者の属性の比率ができる限り合うように抽出をしていったということが今回の特性でございます。
前回こういう抽出の調整をしないでインターネット調査にかけましたところ、派遣労働者が非常に多く出てきてしまって、全体の労働市場の就業形態の構成を反映していないのではないかということで御意見をいただきまして、今回の調査ではそこの点、全体の労働市場の就業形態の構造比率というものを反映するように調査をかけたということでございます。
その結果として、2ページのところでございますが、一番下の参考表がございます。22年労働力調査の就業形態別、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託というところでこのトータルのところ見ていただきますと、パートが837、アルバイトが340等々の比率になっています。この比率に近づくように調査票が上がってくるようにインターネット通信調査をかけまして、結果として上がってきた数字がその上の【?本調査の有効回答者数】の表ですけれども、パート2308、アルバイト1067、派遣390、契約社員・嘱託1355等となっております。
次に3ページを飛ばしまして4ページでございます。前回と今回の違いでございます。事業所調査と同様に各年の7月1日現在での調査でございます。インターネット調査ですが、調査会社が異なります。インターネット調査用アクセスパネルから15歳以上の有期契約労働者を抽出。今回は注にありますように雇用者数の分布に配慮した配信数にしました。有効回答数は5000強ということでございます。調査項目はほぼ同じですが、雇止めを経験した方に対する問いとして、震災の影響があったかどうかということを選択肢に追加しております。
それから、労働力調査の項目には前回の実態調査になかったアルバイトという項目がありまして、これについて今回就業形態の区分に加えております。実は期間工という区分も後で出てくるんですけれども、期間工というのが労働力調査の中で区分として出てきませんので、ここについては調整をかけずに通信調査をしました。結果として期間工の標本が50少々ということになりまして、少し少なめに出てきておりますので、期間工の部分を見るときには標本数が少ないということを留意しつつご覧いただきたいと存じます。
それでは、第1表から御説明をいたします。
第1表につきましては「有期契約労働者のタイプ別・就業形態別の年齢構成」でございます。特にこれからは職務タイプ別というよりも就業形態別を中心に御説明をさせていただきたいと思います。就業形態別で見ますと、まずそれぞれの回答数を見ていただきますと、契約社員が1,039、期間工が51、嘱託社員が265、パートについては短期間のパートとその他のパートということで、フルタイムでパートと呼ばれている人については分けて取っています。それからアルバイト、派遣労働者、その他ということで、このような数字になっております。それで、契約社員を見ますと、年齢については60~64が14.9%とやや多いんですけれども、各年齢層にそれなりに存在するというような状況になっております。期間工については30~34歳がピークです。嘱託社員につきましては60~64歳が最も多いという状況です。それから、短時間パートは55~59歳が最も多い17.4%ですが、その次のピークが40~44歳層ということになります。それから、その他のパートについても55~59歳層が最も多いのですが、次のピークは45~49歳層ということになります。アルバイトについては20~24歳ということ、派遣労働者についてはピークは30~34歳ということで、年齢的な特徴はこのようにはっきりしているということが言えます。
それから第2表ですが、これは資料4の後ろの方で経年比較をしておりますので、後ほど説明いたします。
第3表、第4表についても後ほど御説明いたします。
それから、就業形態でございます。第5表を見ていただきますと、上に契約社員等々の就業形態を並べておりまして、左に産業・規模・職務タイプというふうに分けております。まず産業のところを見ていただきますと、回答数が少ないところは飛ばしますけれども、建設業については契約社員が3割ということで一番多い。
製造業につきましては契約社員が約4分の1ということでございます。その次に多いのは各形態に分かれておりますけれども18%前後で短時間パート、その他パート、派遣労働者といったものです。
それから情報通信業につきましては契約社員が3割、派遣労働者が4分の1というところが目立ちます。
運輸業、郵便業につきましては契約社員が4分の1、それから短時間のパート、アルバイトもそれぞれ4分の1ということです。
卸・小売業になりますと、短時間及びその他のパート、アルバイトが中心になります。
金融・保険業については短時間、その他のパートが3割、2割ということで両者で全体の半分を占めておりまして、その次に多いのが左端の契約社員の2割ということになりました。
それから一つ飛ばして学術研究に関しましては、契約社員が約3割ということで最も多くなっておりまして、その次に多いのがアルバイトでございます。
次の宿泊業につきましてはアルバイトが一番多いということです。
それから生活関連サービス業・娯楽業もアルバイトが一番多い。
教育、学習支援業は契約社員が最も多い。
医療、福祉につきましては短時間とその他のパートで約半数以上を占めます。こういった傾向が見られます。
職務タイプで見てみますと、正社員同様職務型、高度技能活用型につきましては契約社員が最も多い。別職務・同水準型、軽易職務型につきましては短時間パート等が最も多いということになります。
次の第6表につきましても後ほど経年比較をいたします。
それから第7-1表ですけれども、ここからはまた契約期間の明示などの手続のことについて、労働者の側から見た回答がまとめられております。労働契約の契約期間の明示の状況は第7-1表でございまして、「明示された」というところが97.7%でございます。資料4の方の9ページの一番下の表でございますが、「明示された」という比率は前回が95.4%でしたので、ほぼ同数と言っていいかと思います。
手段でございますけれども、「書面で明示された」という方が前回の90.6%から94.6%にふえ、「口頭で明示された」とする方が8.6%から4.9%ということで、下がっております。これは単一回答なので、明示された方の中では書面で明示された方の比率がふえていると言えます。
それから第7-2表ですけれども、資料4では10ページの方に参りますが、更新の有無が「明示された」とする比率が88.3%、前回の87.2%とほとんど変わっておりません。そのときに書面で明示された比率が前回が78.3%であったのが85.4%に増え、口頭の明示が20.3%から13.5%に減りということでございますので、これも明示された中では書面で明示された方の比率がふえているということです。
それから第7-3表、更新の判断基準の明示の有無でございます。69.9%の方が明示を受けてございます。資料4の10ページ、2番目の表になりますが、前回62.0%だったのが7ポイントほど増えているということでございます。これにつきましても書面での明示がややふえているのに対し、口頭での明示がやや減っているという関係が見て取れます。
それから第8表に移ります。これは契約更新について労働者が事業主から受けた説明の状況について答えていただいております。選択肢は上にありますとおり、「原則として更新しない旨の説明」、次に「期間満了時に更新の可否を判断する旨の説明」、3番目が「特別の事情がなければ自動的に更新する旨の説明」、4番目が「期間満了後は正社員として採用する旨の説明」、その他を飛ばして「特に説明はない」、こういう選択肢でございます。
一番多いのが、「特別事情なければ自動更新する」旨の説明が約4割ということでございます。前回はここの部分は3割強の答えでございました。その次に多いのが「期間満了時に更新の可否を判断する旨の説明」これが33.9%、全体の3割でございまして、これは前回とほぼ同様でございます。「特に説明はない」というものにつきましては前回が28.1%でございましたが、今回は16.6%ということで、説明はされる事業主が増えているような数字になっております。
それから第9表でございますけれども、「更新回数の上限」でございます。契約更新回数の上限については、上限があると答えた労働者が3.5%でございます。前回4.4%でございましたので、この点につきましては若干減っているということになります。回数の内訳については後で経年比較で見ていただきます。
第10表「勤続年数の上限」についても、上限があるとする方が6.4%ということで、前回よりも若干減っております。資料4では10ページの下から3番目の表でございます。中身については後ほど見ていただきます。
それから第11表「契約更新の回数」につきましては、全体を見ますと「6~10回」のところがピークになっている就業形態が多いというふうに見て取れます。これは現在の契約更新回数の状況でございます。期間工はサンプル数が少ないのですが、1回というのが一番多くなっております。
それから第12表につきましては「現在の勤務先での勤続年数」ということでございます。「1年超~3年以内」が最も多くなっておりますけれども、就業形態ごとに勤続年数に少しばらつきがございます。これも後ほど経年比較で見ていただくということです。
それから第13表「職務タイプ」につきましては、この表については説明を省略させていただきます。
14-1表以降は正社員との比較ということでございます。有期契約労働者から見た正社員との比較ですので、中には労働者からの主観による部分も結構ありますので、そういう点留意しながらご覧いただきたいというふうに思います。
まず「有期契約労働者が残業することがある」とする労働者の方が47.7%でございます。前回が資料4の11ページ、上から3番目の57.7%でございましたので、若干減っているということでございます。それから平均残業時間が、10時間以内が増え、10時間超20時間以内が減りということでございますので、この労働者の回答からすると残業が減っている方向に読み取れます。
あと14-2表は正社員との複雑な比較なので、説明は省略します。
それから15-1表に参ります。異動・転勤することがあるかどうかでございます。異動・転勤することがある比率が16.7%、これは前回とほぼ同様でございます。異動の範囲でございますが、「ブロック内など地域の限定がある」というところが一番多いということでございまして、前回も「ブロック内など地域の限定がある」ところにマークをする方が最も多かったということです。この点については、事業所調査では今回は事業所内の異動のところが最も多かったんですけれども、個人調査では傾向は変わらず「ブロック内など地域の限定がある」ということで、これが一番多くなっております。
15-2表は正社員との比較の組み合わせですので説明は省略します。
あと、昇進の状況が16-1表、資料4では12ページに入ります。まず有期労働者の昇進状況で、昇進することがあるとする労働者は14.9%、ないとする労働者が69.5%ということで、この比率は大きな変動がございません。資料4の12ページの一番上の表でございます。それから正社員との昇進状況の比較についてはこれも説明を省略します。
それから17表については「正社員と比較した基本給の水準」でございます。これも正社員と比べてかなり低いという数が51.5%と最も多くなっております。
18表「退職金の水準」については、退職金があるとする労働者が16.1%ということでございまして、これは前回と比べますと、前回が10.2%でしたので、あるとする労働者が少し増えております。水準については、正社員よりも少ないとする労働者が30.2%なんですが、一番多いのが、退職金の有無または水準がわからないとする方です。前回この選択肢がなかったんですけれども、なかった状況で答えてもらうと、正社員に比べて少ないとする方が75.9%出てきておりましたので、わからないというふうに選択肢を入れたことによってより正確な数字が出てきたのかなというふうには思っております。
それから19表「賞与の水準」につきましても、賞与があるとする労働者が約3割というところは変わりません。資料4の12ページの下から2つ目です。約3割です。それで、正社員に比べて少ないとする比率は今回65.7%でした。前回は85.6%でしたが、これも水準がわからないとする選択肢がなかったものですから、今回は水準がわからないとする選択肢を入れまして、26.9%の方がわからないと答えております。
それから20-1表でございます。諸手当の状況で、諸手当があるとする労働者は約6割ということでございます。最も高いのが通勤手当の97.1%。前回も94.7%と非常に高かったわけです。ほかの精勤、役職、家族、住宅、その他を見ますと、前回よりは少しずつ手当をもらっている方の比率が下がっているという状況は数字から見て取れます。
20-2表は有期契約労働者個人から見た正社員の諸手当の状況ということですが、説明は省略をします。
それから、21-1表「正社員と比較した福利厚生状況」でございますが、事業所側はかなり高い割合で8割以上福利厚生があるとしていましたけれども、労働者から見ると半数強の方が福利厚生があるというふうにお答えになっております。最も大きいのは食堂・休憩室というところ、それから社内行事参加、法定外健康診断、慶弔見舞金辺りが、5割まではいきませんけれども比較的高い水準になっております。
それから21-2表、「正社員の福利厚生状況」。これも説明は省略させていただきます。
それから22表「教育訓練機会」の部分ですけれども、これについては「教育訓練機会はない」とする労働者が約4割ということになっております。これは前回とほぼ変わっておりません。
それから23表「正社員転換制度」でありますけれども、「正社員転換制度がある」とする労働者の割合が23%、ないとする労働者の割合が50.5%。この比率も前回とほぼ変わっておりません。わからないという方も約4分の1いらっしゃいます。
それから24-1表「現在の仕事に対する満足度」、24-2表「満足している理由」、24-3表「不満の理由」については後ほど見ていただきます。25表、26表も後ほどです。
27表にまいります。27表は現在の勤務先以前に就労していた状況を職務タイプ別に見て、現在の職務タイプとクロスさせているというものでございます。これが資料4では14ページの一番下ということになります。これは総数で見ていますので、就業形態のクロスで見ていただきますと、上が、今より前の就業形態でございます。それから左の就業形態は現在の就業形態になっているんですけれども、例えば契約社員のところを横の列で見ますと、現在の契約社員の方は上で見ますと、契約社員から契約社員になっている方が55.0%でございます。同じように期間工から期間工になっている方が25.0%ということで、総当たり表のちょうど斜めの線ですね。55%から一つずつ右下に下りていく線がそれぞれの分野で一番高くなっておりまして、同じ就業形態から同じ就業形態に移行することがそれぞれの形態では一番多いというふうに見えます。ただし期間工は例外です。その次にそれぞれどこから来ているのかということを見ますと、契約社員で見ますと、契約社員の次に多いのが、アルバイトでございます。その次が派遣労働者ということで、契約社員から来る方が多いんですけれども、それ以外から見るとアルバイトや派遣労働者から契約社員になっていると。それから期間工の方は、派遣労働者が来る割合が一番高くなっています。ただ、これはサンプルが少ないので留意していただきたい。それから嘱託につきましては契約社員から来る割合が比較的高いということでございます。それから短時間のパートにつきましてはアルバイトから来る割合が多く、その他のパートについては短時間のパートかアルバイトからやってくる場合が多い。それからアルバイトにつきましては派遣労働者からやってくる場合と、ちょっと下がりますけれどもその次に契約社員からやってくる場合が多い。派遣労働者につきましては派遣労働者からが71%と圧倒的なんですけれども、その次に多いのがアルバイトからというふうな状況になっております。これは有期から有期にという移動です。
それから次の表ですけれども、これは以前無期での契約をしたことがあるという方が今どのような就業形態になっているかということでございます。無期から有期の各就業形態に移る場合、その無期での就業形態というのは「正社員」であったというのが圧倒的に多いということで、「正社員」で縦の列を見ますと、各所で8割をほとんど超えております。アルバイトの部分以外は8割を超えています。
それでは、それ以外で無期で今の形態に行ったという状況を見ますと、契約社員の場合は横に見ていきますと、無期のアルバイトから契約社員になったというもの、期間工でも無期のアルバイトから契約社員、嘱託も無期のアルバイトから契約社員というのが一番多いということです。それから短時間のパートの方は無期の短時間パートから今の有期のパートに移っている方が一番多い。その他のパートは、比率が同じなんですけれども、無期のその他のパートとか無期のアルバイトからその他のパートに移っている方が多い。それからアルバイトについては無期のアルバイトから今の有期のアルバイトに移っている方が多い。派遣についても無期のアルバイトから今の有期の派遣に移っている方が多いということでございます。
総じて有期契約労働者がついていた前回の無期の雇用形態としては正社員が圧倒的に多いんですけれども、その次の比率はアルバイトが合計すると2割弱であるということが言えます。ただ、パートを2つ足してしまいますとアルバイトに匹敵するようなものになっておりますので、そういう見方もできるかなというふうに思います。
それから28-1表でございますけれども、「現在の勤務先以前で途中に退職を申し出た経験」ということでございます。今、有期契約労働者である方が以前有期労働契約で働いていた場合に、その途中で退職を申し出たことがあるかということでございまして、45.1%の方が申し出たことがあるというふうにしております。退職を申し出た時期ですけれども、時期については前回もそうだったのですが、それほど特徴的な時期はございません。まんべんなくおやめになっているということでございます。
それから、28-2表、損害賠償の状況ですけれども、求められたことがあるという方は1.0%でございます。前回、資料4の15ページの上から3番目ですけれども4.0%でしたので、数字的には非常に低い状況は変わっておりません。
それから29表「解雇・雇止めの経験」については後ほど見ていただきます。
それから30表「雇止めの理由」につきましては、前回の調査が解雇・雇止めの経験のある方について聞きました。今回は雇止めの経験のある方ということで取らせていただいております。その結果、15ページの下の2表を比べていただきたいと思いますけれども、今回は雇止めの経験がある方に雇止めの理由を聞いたということでありますが、これは複数回答なんですけれども、「契約期間の満了」を理由とするというところが51.0%ということで高くなっております。それ以外でいきますと、前回との比較はなかなかできないんですけれども、「景気要因などによる業務量の減少」ということが32%、その次に多いのが「経営状況の悪化」ということと、「担当していた業務・職務の打ち切り・終了」といったところになっております。
それから「雇止め時に取られた手続」が31表です。これも前回は解雇・雇止めの経験ある者というところで取っていましたので、単純に比較はできませんけれども、「書面で伝えられた」という方が40.4%。前回であれば14.9%でございました。資料4は16ページの方に入っております。それから、口頭で伝えられたという方が今回60.8%でございまして、前回は56.0ということで約6割、ここはそれほど変わっておりません。
それから32表「雇止め時の退職金」ですけれども、「支給されていない」とする方が90.2%でございます。これも解雇・雇止めを含めている前回とは少し違いますけれども、前回は「支給されていない」方が76.7%でございますので、雇止めだけで見ると支給されていない方の比率が非常に高いというふうに出ております。
それから33表ですけれども、「雇止めをめぐるトラブル」でございます。「トラブルになったことがある」とする方。これも前回は解雇・雇止めの経験で見ました。今回は雇止めの経験で見ましたのでこれも単純に比較できませんけれども、トラブルになったことがあると、約2割の方が答えております。トラブルの内容としては選択肢の中で、複数回答をしていただいておりますけれども、「雇止めの理由が納得できなかった」ということが54.9%で最も多い状況でございまして、その次はほとんどそれぞれ同じということになっております。
それから「トラブルに対する対応」につきましては34表であります。これにつきましては「個人で会社の上司等と話し合った」というのが最も多くなっております。前回も最も多かったんですけれども今回は半数を超えるほどの数字になっております。
それから35表「雇止め以外の事項における使用者とのトラブル」で何がありましたかということで、トラブルがあったとする方が10.4%ということであります。これも解雇・雇止めということで前回聞いたときが25.3%でしたけれども、雇止めということで聞きますと10.4%になりました。それから雇止め以外のトラブルの内容につきまして聞きますと、最も多いのが「賃金等の労働条件に係る認識の相違」というところが最も多くなっております。
次に資料4の18ページに行きます。これは先ほど申し上げましたように21年調査と23年調査の就業形態の比率が異なる、21年調査は派遣労働者が多く出過ぎており、今回の調査は実際の労働市場の就業形態の構成比に合わせたものですから、総数の比較がなかなかできないということで、契約社員など就業形態別に主な項目について前回と今回について動きはないかということを確認するために、18ページ以下の表をつくりました。大きく変わってないところが多いとは思いますので、その点御確認をいただければよろしいかと思っておりますけれども、おおむねの傾向をご覧いただきたいと思います。
「1回当たりの契約期間」ですけれども、派遣労働者以外の部分は「6ヶ月超~1年以内」のところが多くなっております。派遣労働者については「2ヶ月超~3ヶ月以内」のところがピークになっておりまして、これは前回と変わっておりません。
それから「年間収入」につきましては、細かいので見にくいのですけれども、契約社員の平成21年を見てみますと「200万円超~300万円」が30.5%、「100万円超~200万円以下」が29.9%ということです。今回はこの部分が数字としては逆転しておりまして、100万超~200万が33%、200万~300万が26%ということになっています。若干収入が減っている傾向が見られるということでございます。
あとは、期間工でみますと100万~200万がピーク、嘱託社員でみますと、これも若干100万~200万が今回増えているんですけれども、おおむね100万~300万のラインがピークになっております。それから短時間のパートタイマーにつきましては50万~100万円以下のところが6割程度でピークになります。その他のパートタイマーにつきましては100万~200万円のところが5割程度ということでピークになっております。アルバイトは今回初めてですけれども50万から100万のところがピークです。派遣労働者につきましては前回21年が200万~300万のところがピークでして、これも契約社員と同様に若干の違いなんですけれども、100万~200万円のところが今回のピークになっております。
次に、19ページの上の表になりますけれども、「主な収入源」について。契約社員、期間工、嘱託社員につきましてはみずからの勤務先1か所からの賃金収入であるという方が約5割を占めております。それから短時間のパートにつきましては約5割が家族の収入が主な収入源だと。その他のパートタイマーにつきましても、今回は「家族の収入」という方が自らの1か所の収入という方を上回っています。前回はその他のパートにつきましては「勤務先1カ所からの賃金収入」というところが上回っておりましたけれども、これはもしかするとアルバイトという選択肢がなかったためにその他のパートにアルバイトが入っていた結果かもしれません。これは前回のアルバイトの数字がわかりませんのでそういう検証はできませんけれども、前回調査の「その他のパート」についてはフルタイムのアルバイトが入っていた可能性はあります。
それから派遣労働者につきましては「勤務先1カ所からの賃金収入」というのがピークになっておりますが、契約社員のところと派遣労働者のところ、あるいは嘱託社員のところをそれぞれ縦に見ていただきますと、「勤務先1カ所の賃金収入」だという方の比率は少しずつ下がっておりまして、「家族の収入」で支えられている方が少しずつ上がっている傾向は見られます。
それから4番目の「勤務先事業所における正社員との比較」でございますけれども、契約社員の場合は、これはこの調査で分けたタイプ別ですけれども正社員同様職務型が約4割ということで、前回5割でしたけれども基本的な構造は変わっていないとは思います。ただ、契約社員の中にも軽易職務型が前回より若干増えております。それから期間工は正社員同様職務型がピーク、嘱託社員につきましても正社員同様型がピークになっております。短時間とその他のパートについては軽易職務、アルバイトについても軽易職務、それから派遣労働者については軽易職務がやや多いんですけれども正社員同様職務型も3割ほどいらっしゃるということでございます。ですので、正社員同様と軽易職務のところで少しずつ比率の変化は見られますけれども、どういうふうにとらえていいかというのはこれから検討しないといけないと思います。
それから「有期労働者になることを選んだ理由」というのが20ページの上の表でございます。これを経年で見ますと、契約社員につきましては最も多いのが「正社員として働き口がなかったから」ということでございまして、前回が47.7%、今回が43.6%でございます。その次に多いのが左から3番目の「仕事の内容、責任の程度が自分の希望にあっていたから」ということで、前回が3割程度で今回が4割弱ということになっています。
期間工についても同じ傾向で「正社員として働き口がなかったから」と「仕事の内容、責任の程度が自分に合っていたから」が多いということでございます。
嘱託職員についても同様の傾向が見られますが、パートにつきましては一番多いのが左から2番目の「勤務時間、日数が短く自分の希望にあっていたから」が7割ということで、前回の6割を超えてかなり増えております。
それからその他のパートにつきましては短時間パートよりも、「仕事の内容、責任の程度があっていたから」というところの回答がやや増えている状況です。
それからアルバイトは今回初めてですけれども、「仕事の内容、責任の程度が自分にあっていたから」ということがピークでありました。
派遣労働者につきましては「仕事の内容、責任の程度が自分にあっていたから」というところが今回はピークになっています。前回の34.7%から今回の42.8%にふえております。一方で「正社員として働き口がなかったから」というところも4割程度で高い比率を示しております。
それから、その次の表ですけれども「現在の勤務先での勤務年数」です。これについてはピークとしては「1年超~3年以内」とするところが各就業形態を通じて多くなっておりますけれども、アルバイトにつきましては「6か月以内」がピークになっており、派遣労働者につきましては前回が「1年超~3年以内」の32.6%がピークになっておりましたが、今回は「6か月以内」のところの35.6%がピークになっておりまして、短い方が少し上回るような形で出てきております。
それから、21ページに移ります。「今後も現在の勤務先で働きたいか」ということでございます。契約社員につきましては「引き続き現在の職場で有期労働者として」働きたいという方が約半数いらっしゃいます。そのほかの選択肢を見てみますと、「現在の職場で正社員として」というのが約2割、「別の会社で正社員として」というのが15%程度ということでございます。
嘱託社員について見ますと、「引き続き現在の職場で有期労働者として」が6割、「現在の職場で正社員として」というのは2割弱ということです。
短時間パート、その他のパート、アルバイトは圧倒的に現在の職場で有期労働者として働きたいという方が多い。
それから派遣労働者につきましては、「引き続き現在の職場で有期労働者として」働きたいとする比率は、ほかの就業形態と比べて比較的低い状況になっておりまして、その代わり高いのは「別の会社で正社員として」働きたいということで、この希望にマークをされた方が約2割弱いらっしゃいました。これは前回と今回変わっておりません。
それから次の8のところですけれども「更新回数に上限がある場合の上限回数」。上限がある比率は先ほど御説明しましたけれども、上限がある場合の上限の回数です。契約社員につきましては今回は3回がピークになって約4分の1でございます。前回は2回の部分がピークになっておりまして、上限回数が若干増えてきているかなという評価でしょうか。
それから嘱託社員についても、前回は4回のところが34.9%でピークだったのですが、今回は5回のところが25.9%ということでピークになっております。
それから短時間のパートにつきましてはピークが2つあって、1回というところと5回というところがそれぞれ4分の1ずつございます。前回のピークは2回と5回でしたので、若干の変化がございました。
その他のパートにつきましては1回のところが前回のピークでございましたが、今回は2回のところに移っております。
アルバイトは今回が初めてで1回が一番多いということになりました。
派遣労働者につきましては、3回が前回ピークでしたけれども今回は4回がピークということでございます。
ただ、もともとその上限を設定するところの比率が低いものですから、これぐらいの動きというのは調査ごとの動きとしてどこまでとらえていいかということは問題があると思います。
それから22ページの「勤続年数の上限がある場合の上限」ですけれども、契約社員の場合につきましては「1年超~3年以内」、「3年超~5年以内」というのが約4割、3割ということでこの状況は変わっておりません。
期間工については「1年超~3年以内」が6割あるいは7割。
嘱託社員については「3年超~5年以内」が最も多いということで、前回が41.5%でしたけれども、今回は嘱託社員の上限の場合は7割が「3年超~5年以内」に入ってきております。
短時間パートが「1年超~3年以内」が主になっておりまして、その他のパートにつきましても「1年超~3年以内」から「3年超~5年以内」に上がってきております。
それから派遣労働者については「1年超~3年以内」ということになっている。これは法律的な制約もあると思います。
それから、今の就業形態に満足しているかということでございますが、満足度は比較的不満よりも高い傾向にございますけれども、明らかに逆転しているのは派遣労働者の今年度の数字でございまして、平成23年度45.4%となっております。不満がそれに対して54.6%ということでございます。
それから「満足している理由」についてでございますが、契約社員につきましては満足理由が、「時間、日数が自分に合っている」、それから「職場の人間関係がよい」といったところでございます。嘱託、パート、アルバイトを見ましてもその辺りが非常に高くなっております。
それから「不満である理由」でございます。これについてはどのタイプを見ても一番高いのが右の「頑張ってもステップアップが見込めないから」ということで4割~5割弱のところでこういう不満がございます。そのほかで見ますと「賃金水準が正社員に比べて低いから」というふうに答えている部分、あるいは「いつ解雇・雇止めされるかわからないから」という部分があります。前年との比較で見ますと、契約社員で「いつ解雇・雇止めされるかわからないから」というところは42%から37.5%、期間工はサンプルの問題がありますけれども38.1%から64%、嘱託社員が33.6%から23.8%、短時間パートについては20.9%から28.5%、その他パートについては29.2%から27.3%、派遣労働者については52.4%から48.8%といったようなところになっております。
それから「正社員と比べた基本給の水準」ですけれども、「わからない」という方も比較的多いのですけれども、それ以外で見ますと「正社員と比べてかなり低い」というところが各就業形態を通じてマークが一番多くなっております。その傾向は経年では変わっておりません。
「正社員転換制度の有無」であります。契約社員につきましては、あるとする契約社員の方が前回34.9%あったのが24.8%ということで、ないとする比率の方がふえております。あと減っているのはパートタイマーの短時間のところですけれども、派遣のところも減っておりまして、傾向値としては、正社員転換制度に対して本当に認識があるのかというと微妙なところがあるわけですけれども、正社員転換制度があるとする方の比率が下がっているということです。
それから「現在の労働契約でもっとも改善してほしいと思う点」ですけれども、前回と今回で比較的動いているのは一番左の「正社員として雇用してほしい」というところと、そこから右に3つ目の「賃金等の労働条件を改善してほしい」というところでございます。「正社員として雇用してほしい」比率は比較的下がっている傾向が見られます。それから「賃金等の労働条件を改善してほしい」は、比較的上がっている傾向に見えます。
それから最後になりますけれども「解雇・雇止めの経験」についてです。過去2年間の「解雇・雇止めの経験」ですけれども、契約社員、期間工それぞれ見ていきますとわずかずつですけれどもそれぞれのところで上がってきております。上がってきているということは総計で見てもそうなんですけれども、各区分で見ても経験としてはあると答える方が多くなっているという状況がございます。
少々長くなりましたけれども、以上でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました今回の調査の結果とその分析につきまして、御意見あるいは御質問などがありましたらお願いしたいと思います。
○岩村分科会長 では権丈委員。
○権丈委員 確認でございますが、個人調査の結果において、今回新たにアルバイトを分類したということですが、この中には学生アルバイトが入っているのかどうかを教えて下さい。以前より低所得の者が増えた理由として、学生が入ったことによる影響もあるかと思います。
 今回は、アンケート調査に在学中かどうかを問う項目がありますので、学生アルバイトが入っているのであれば、学生を除いた集計も出していただければありがたいと思います。
 以上でございます。
○岩村分科会長 では、事務局の方いかがでしょうか。
○田中労働条件政策課長 この御説明した集計では学生アルバイトも入っております。学生を除いて集計ができると思いますので検討をしてみます。
○岩村分科会長 そのほかいかがでございましょうか。
 では、安永委員どうぞ。
○安永委員 ありがとうございます。
 今回個人に対する調査については、前回と同様インターネットのモニターにより、ということでございますが、これは携帯電話などからも回答はできるものとなっておりますでしょうか。そこを教えていただきたいと思います。
○澁谷課長補佐 確認して後ほど御報告したいと思います。
○岩村分科会長 安永委員、続けてどうぞ。
○安永委員 質問の趣旨ですが、実は私どもが有期労働者の皆さんと対話会などを開きますと、年間収入とのかかわりなどもあるかもしれませんが、家にインターネット環境がない、併せて専有できるインターネット環境がないということなども含めて、多数ありまして、「情報提供などは携帯電話などから見られるようにしてほしい」「労働相談なども携帯電話からできるようにしてほしい」というような御要望をたくさんいただきますので、今後の調査に当たっては、広く精緻な数値を取るためにはそういう配慮も必要かと思いますので、御質問をさせていただきました。
○岩村分科会長 ありがとうございます。そのほかいかがでございますか。
 新谷委員どうぞ。
○新谷委員 詳細に御説明いただきましてありがとうございます。21年度の調査については前の有期研の際に行われた調査でありますし、この審議会が始まる前に既に公表されていた内容でありますので、十分分析をして審議会に臨むことができました。しかし、今日お示しをいただいた調査データについては今日この場で初めて見るデータでございますので、何分詳細な分析がまだできていないという前提で発言をしたいと思います。
 まず一つ教えていただきたいのは、この事業所調査と個人調査の見方についてです。事業所調査については先ほどもありましたようにサンプリングをして、データの復元を行っているということで、サンプル数を見ていくと、法人の数が中小企業が多いということもあって、中小企業の方にかなりバイアスがかかっています。
 その一方で個人調査については、労働力調査の方から実際の労働者数のサンプリングをし直して配票しているということですから、実際の対比をするときに、一方は事業所での数、一方では労働者の数ということなので、直接比較しにくくなっています。そこで、今日いただいている資料の2の5ページのところに、平成18年度の事業所・企業統計調査の事業所規模に基づいてサンプルフレームを構成したことが記されておりますが、右下に出ている事業所数に対応する労働者数を教えていただきたいと思います。それがわかりますとこのデータの性格がわかって、ある程度個人調査と事業所調査の対比ができるのかがわかります。
 その上で何点かありまして、例えば事業所調査と個人調査で勤続年数の上限の取り扱いについて、事業所での回答と個人での回答でギャップがあるところ、例えば、手当の支払いの状況、賞与や福利厚生の扱いについても、全般的に個人調査の方は低く出ており、これらについて、どう見たらいいのか。それは多分有期契約労働者に対して、そういう制度があると会社は思っていても、労働者個人への情報の伝達が低いのではないかな、ということも推測されるわけですが、その辺について教えていただきたいと思います。
 最後にもう一点、先ほどの労働条件政策課長の御説明の個人調査の中に、前職が無期契約の方の状況のクロス集計の報告があった中で、無期のアルバイトという御説明がありましたが、どういう概念か教えていただきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 では事務局の方お願いいたします。
○田中労働条件政策課長 個人調査と事業所調査、確かに御指摘の通り制度的なところの部分でギャップがあるように感じます。先ほど御指摘になった諸手当のところもそうですが、もう一点、正社員転換制度についての理解も違うという部分があります。勿論正社員の給料なんかわからないというのは、そういう情報提供の在り方はどうあるべきかというところが、基本的な問題としてあるのでしょうけれども、それ以外の制度的な状況で有期労働者に当然知っておいてもらいたいような社内の制度でありますとか、いろいろな情報について伝わっていない部分、それが少し調査結果に反映しているような感じもいたします。ギャップ自体はそういうふうに理解をできる部分があるというふうに感じます。
 それから、先ほどの無期から有期への転換の部分でほぼ8割以上のところが無期と言えば正社員というところなんですけれども、それ以外の契約形態でも少しずつ無期というのが出てきております。アルバイトがその中でも一番大きく十数%あり、先ほど御説明したようにパートについてもそれぞれの区分ごとに分けると少ないんですけれども、合わせると十数%ということになっています。ここら辺は個人の調査ですし、前回の契約について調査をしたということですので、契約期間に関する情報が前回の契約期間においては労働者に十分伝わっていなかった部分もあるかもしれません。正確に契約書を見て比較したわけでございませんので、そういう点は御留意いただきたいと思います。
 いずれにせよ、圧倒的に無期である場合正社員からの移行だということが私の説明の趣旨でございまして、その他についてはデータ上特徴的なことを付随的に御説明させていただいたというところでございます。ただ、もし無期、有期で就業形態別である程度意味のある違いがその表から読み取れるということであれば、逆にお教えいただきたい部分もございまして、その点はよろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 よろしいでしょうか、新谷委員。
そのほかいかがでございましょうか。
では、輪島委員どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
まず、全体に押しなべて、前回の調査と今回の調査でほぼ同じ傾向というふうにとらえていいのではないかと感じています。
それから2点目は、前回の調査は労働側からも御指摘がありましたように派遣のデータが非常に多かったわけですが、今回の個人調査については非常に労働市場の現状を映した結果なのではないかなというふうに思っています。
その点で1点だけ、全体を把握するためにこういう理解で間違いがないかということだけお伺いをしたいのです。個人調査の2ページ目の「標本割付及び回収状況」と1ページ目の「有期労働契約者の属性」のところからざくっと見ると、男性については割と15~34歳の若いところの人たちが多くて、パート、アルバイトというような職種の分類と55~64歳のところで嘱託、つまり高齢者雇用のところの人たちがチャンピオンとして2つの山があるというような理解でいいのかどうか。それから、女性については25~34歳のところはやはり派遣の就労形態というところなのかもしれませんが、全体としては35~64歳層のパート、アルバイトというようなイメージですね、数字がそこにチャンピオンといいますか、多くのものがあってそこでの回答をしている方の方が多いというような傾向で見ていいかどうかということだけお伺いしたいのですが。
○岩村分科会長 では事務局の方いかがでしょうか。
○田中労働条件政策課長 今、私が時間をかけて御説明した中のほとんどの部分は、細かな動きはあるんですけれども、構造としては変わってない部分が多かったかなというふうに思います。ただ、明らかに気付くのは、更新の明示とか、更新期間の明示、あるいは契約期間の明示、この辺の明示の手続については前回よりも、押しなべて見るとかなり上がっている部分があって、その中で例外はありますけれども、書面で明示するようになってきている状況が事業主調査と個人調査双方から見えている。原因は明らかではありませんが、リーマンショックの後のいろんな状況も踏まえて書面の明示などが増えたのかもわかりませんし、その中のごく一部は行政の指導の効果があるのかもしれませんけれども、そういった状況で増えているというのは明らかにわかったような気がします。
 それから、その次は少し評価が入るのでまだ私の個人的考えという部分もあるんですけれども、リーマンショックの直後に行った前回調査と異なり、今回の調査は、平時の状況を調べてみようという視点もあったんですけれども、雇止めの頻度と言いいますか、経験といったような数字はそれほど変わらないか少し上がっているような傾向に見えます。
 これをどう解釈するかはもう少しよく全体を見てみないといけませんけれども、そういう状況はその他の項目を見て同様の傾向があるのではないかなというふうに思っております。ただし、もう少し分析をしないと確たることは言えないのかなというふうにも思っております。
 それから2点目の男女の傾向でございます。勿論男女の有期の就業形態の傾向というのは明らかに違いまして、やはりパートにつきましては女性が多く、それも30歳層以降が多いというような状況、派遣については男女ともに若い方が多い。それから嘱託につきましては、やはり60歳以上でそういう呼び名で働かれている方が多いんですけれども、嘱託の方は年齢的にその年齢層だけでなくて比較的ばらついていますので、嘱託という呼称が、単に男性の定年後の再雇用の場面で使われているだけではなくて、もう少し広く使われている傾向があるのかなというふうに思います。契約社員については、先ほど業種別にも見ていただきましたけれども、業種毎に契約社員の意味が違う可能性もありますので、業種別の実態などももう少し加味しながら分析する必要があると思っております。
 全体としては男女の傾向値がかなり違うということと、それぞれの就業形態に応じた特徴というのもありますので、それを十分踏まえながら分析していく必要があると思っております。
○岩村分科会長 輪島委員どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
御指摘の、私も初めて見たので何とも言いようがないのですけれども、手続のところのタイミングの違いなのか何かがずれているので、事業所側の方と労働者側のギャップがあるなというようなのは、それについては私も同じようなことを感じました。
ただ、前職がほぼ無期といいますが正社員で、そこで労働条件を今、有期で働いていれば賃金が比較的安いかなと。個人調査の方でですね。というのは、前職の自分の経験から引っ張ってくれば何となくそうなので、現在のところの正社員と比べて安いか高いかというのは、実際には聞いて自分と比較しないとわからないので、そこは回答をどう読むのかというのはさすがに難しいなという感想を持ちました。
 以上です。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 ありがとうございます。
 今、輪島委員から標本の割付の話も出ましたし、今後の分析に当たって十分御留意はされると思うんですけれども、やはり前回の調査時点の調査内容のサンプルの割付と今回とかなり派遣労働者のウェートが変わってきています。ですから前回調査との比較において、その変化率を見るときにこの標本の変化を十分踏まえた分析をしていただきたいと思っています。
 そうは言いながらも、標本の変化の中でも変わらないところが幾つかあって、例えば第8表の「契約更新について受けた説明」というところでいくと、特別の事情がなければ自動的に更新するという回答が42%で一番高く出ており、こういった実態から見ると、更新を重ねて長期に雇用するということが前提になっている雇用形態にあるのではないかと推察されるということであります。
 また、不満についても中に出ておりますけれども、「頑張ってもステップアップが見込めない」といったものが一番高く、この辺も相変わらず不満としてあるのではないかと思います。
 それと、今回平均年収の分布がかなり下の方に移動している、全体的に年収が低下しているというふうに読み取れるわけでありまして、これは標本の変化によるものなのか、この2年間で本当に賃金が下がってしまったのかわかりませんけれども、やはり絶対値としても賃金の水準がかなり低いというのがこの実態の中から読み取れるのではないかと思っております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 もう残された時間が余りないのですが、事務局の方でまたお願いします。
○田中労働条件政策課長 先ほどの安永委員の個人調査の回答の手段ですけれども、今回はパソコンからのみ回答できるような形で調査をしたということでございます。
○岩村分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかになければ今日のところの質疑はここまでということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、今回の調査結果については今後の審議の参考にしていただきたいと思います。また、いくつか御要望などありましたし、まだ分析の深まってないところもあろうかと思いますので、その辺は事務局と相談しながら対応させていただきたいというふうに思います。
最後に事務局の方から何かございますでしょうか。お願いいたします。
○青山調査官 次回の労働条件分科会の日程につきましては調整の上、委員の皆様にお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
それでは、本日の分科会はこれで終了したいと存じます。
なお、議事録の署名でございますが、労働者代表委員につきましては宮本委員にお願いします。それから使用者代表委員につきましては田中委員にお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。
 本日はどうもお忙しいところありがとうございました。


(了)

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