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2011年10月13日 第44回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成23年10月13日(木) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室(合同庁舎5号館 12階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○議事

○大橋部会長 ただいまから「第44回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。本日の欠席者ですが、公益代表の森戸委員、労働者代表の照屋委員、使用者代表の橋本委員ですが、橋本委員の代理出席として社団法人日本経済団体連合会労働政策本部遠藤和夫様にご出席していただいております。
 まず、事務局から配付資料のご確認をお願いいたします。
○野田高齢者雇用対策調査官 お手元の資料を確認させていただきます。最初に、表紙の議事次第にありますとおり、本日は配付資料1から6までを配っています。
 資料1は、平成23年「高年齢者の雇用状況」集計結果という、プレスリリースの公表用の表紙が付いた資料です。資料2は、「今後の高齢者雇用の検討課題について」です。資料3は、「参考資料」とだけ表紙に書いてあるもので、データをまとめたものです。後で、資料2の説明のときに使わせていただきます。資料4は横置きの「関係資料」、パワーポイントの資料です。資料5は1枚ですが、これは両面になっています。第43回雇用対策基本問題部会、前回部会における主な意見を紹介させていただいたものです。資料6は1枚の縦置きの紙で、「平成24年度予算概算要求の主要事項(抄)」です。一応、事務局でもきちんと配付しておりますが、もし欠けている資料などがありましたらお申し出いただければと思います。
○大橋部会長 よろしいでしょうか。それでは、議事に入ります。前回の部会では、「今後の高齢者雇用対策について」のうち、希望者全員の65歳までの雇用確保についてご議論をいただきました。今回は、前回の続きとしまして、「年齢にかかわりなく働ける環境の整備」のテーマについてご議論いただきたいと思いますが、その前に、今年度の「高年齢者雇用状況報告」の結果が先日発表されましたので、その内容についても事務局からご報告していただければと思います。
 まず、昨日公表されました、平成23年6月1日時点の「高年齢者雇用状況報告」について、事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○上田高齢者雇用事業室長 私からご説明させていただきます。昨日プレス発表させていただいたのですが、平成23年度の高齢者の雇用状況報告、この取りまとめができましたので、これについてご説明させていただきます。ご存じのとおり、この高年齢者雇用状況報告は、いま現在、従業員31人以上の企業を対象にして取っておりまして、実は、平成18年からこういう形で集計等を行っているのですけれども、その当時は51人以上の企業を対象にしてやっておりました。平成21年度から31人以上の企業を対象にしておりまして、資料の中身も、5年間比べるもの、そういった経緯を見るものについては、51人以上の当時からの形で計上させていただいています。それと併せて、3年間の31人以上、平成21年度からのものとしています。ちょっと見づらくなっている所はあるのですが、そういう形で資料を作らせていただいています。今回、31人以上の企業は約15万1,000社を対象にしておりまして、平成23年度に報告があった企業は、13万8,000社です。大体カバー率は91.1%という状況です。
 それでは、中身のほうに入らせていただきます。四角の枠内に大きなポイントとして3つ用意させていただいています。1点目は、高年齢者雇用確保措置の実施状況、法律で義務になっている点で、どういう状況になっているかをまとめています。2点目は、直近で取り組んでいること。それから、さらに今後の生涯現役社会を見据えて取り組んでいること。こういったことについて企業の状況を整理させていただいています。3点目に、いま現在の定年到達者の継続雇用の状況などを最後にまとめさせていただいています。以上の構成で取りまとめを行い資料の集計を行っています。
 まず1番の、高年齢者雇用確保実施状況です。細かい点も含めてご説明させていただきます。資料の3頁をご覧ください。今回、この確保措置の実施状況については、95.7%で、前年に比べて0.9ポイントの減少になっています。この下のグラフを見ていただきますと、青い線で、少し下がっている形になっています。いままでで初めて全体としては下がっているのですが、この下がっている原因について少し触れさせていただきます。前回の高齢法の改正のときに経過措置として設けている点が2点ありまして、1つは、義務年齢の段階的引上げです。段階的に年齢の引上げを行っていますので、いま現在平成23年度においては64歳が義務年齢ですが、平成25年において65歳になることになっています。ここの部分が効いているわけではないのですが、2点目として、もう1つ、継続雇用制度の対象者に係る基準の設定に対し、労使協議が不調に終わった場合の特例を設けていまして、301人以上の大企業においては平成21年3月31日、300人以下の中小企業については平成23年3月31日までという経過措置を設けていました。今回、平成23年3月31日で中小企業の経過措置部分が切れたことにより、若干の中小企業が法令違反に入ってきたこともありまして、今回のようにパーセンテージが減っているものです。平成22年度の経過措置対象企業社数を把握している限りでは12,326社ありまして、そのうち8,924社は労使協定が締結されたと解釈しています。したがって、締結されなかった3,402社がありまして、これが今回の未実施に入ってきたものです。そのようなことから、今回若干下がっている傾向が出ていますが、全体としては、この確保措置の取組については、基本的に取組が下降したとは見られないと思っています。
 同じように、大企業が平成21年3月31日で経過措置が切れたとき、このグラフで見ていただきますと、ちょうどいちばん上の点線の薄い所ですけれども、平成20年を見ていただくと、ここがやはり少し下がっているカーブがあります。同じように、大企業の経過措置が切れたときも1.2ポイント下がっている形になっていまして、こういう現象が経過措置が切れるとともに起こったものです。
 続きまして4頁です。確保措置の上限年齢は、現在64歳になっておりまして、どのぐらいの企業が64歳でやっているかといいますと、いちばん下のグラフにあります9.2%、12,202社です。ここは法律違反になっていませんで、90.8%となっており、ほとんどの所は65歳を見据えた形で何らかの措置を取っていることが言えるかと思います。
 5頁は、雇用確保措置の内訳です。継続雇用制度、定年引上げ、定年の延長、こういったものが義務化されているのですけれども、どういう割合で採られているかです。見ていただくとわかりますように、82.6%が継続雇用制度の導入を行っています。この表で1つ注意しておかなければいけない点は、下のグラフで、大企業で定年にかかわる引上げや定年の廃止などを行った所は6.3%しかなくて、非常に少ない状況になっているということです。それから、(5)の下のほうですが、ここは継続雇用制度の内訳です。どういう形で導入されているかといいますと、継続雇用制度の中には希望者全員をやっている所と基準を設けてやっている所がありまして、その割合が43.2%と56.8%となっています。これも見ると、やはり大企業は、基本的には基準を設けながらやっている所が78.4%ありますので、多くなっていることが言えると思っています。
 次に6頁です。ここは希望者全員が65歳以上まで働ける企業等について調査したものです。希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は今回47.9%、前年に比べて1.7ポイントの増加です。その前も1.6ポイントでしたので、同じような形で推移はしています。力を入れていろいろと取組を行っていますが、なかなか伸びておらず、特に大企業のほうが0.1ポイントの上昇に留まっていまして、なかなか進んでいないところです。大企業の取組が非常に低調になっていることの理由には、やはり法律事項になっていないという点が1つ挙げられると思うのですが、その点ともう1つ、制度の入れ替えのため、制度改正をいろいろとやっていかなければなりません。この委員会の中でも議論になりましたように、当然、賃金体系であるとか、高齢者の雇用の職域の拡大であるとか、そういったことを行っていく必要があるために、なかなか大企業の取組が遅れているのではないかと考えています。
 次に、70歳まで働ける企業の状況です。これは17.6%、0.5ポイントの上昇です。前回がもう少し高くポイントが上がっていましたが、今回は上がり幅が少なかったところです。70歳という言葉に相当抵抗があることを耳にするのですけれども、生涯現役社会を目指していく厚生労働省としましても、1つの目標数値として70歳を挙げています。生涯現役社会を実現するために70歳までということを1つの目標にして、こういう形で取っているのですが、なかなか取組が思うように進んでいない、伸び悩みをしている状況にあると思っています。
 7頁は、過去1年間の定年到達者の動向です。今回、43万5,000人、去年が46万人いましたので、ざっと3.2万人ちょっと減っている形になりますが、この人たちがどのような形で定年後を迎えていったのかと言いますと、いちばん上の「全体」のところを見ていただくとわかるのですが、73.6%が継続雇用、継続雇用を希望しない者が24.6%、最後に、基準非該当になっている人たちが1.8%となっています。当然、継続雇用制度を希望しない者の中には、雇用を希望しない者のほかに転職を希望している者も入っておりますし、さらには、いろいろと危惧されています、基準があるために自ら手を挙げられないで希望しない中に入っていった人たちが含まれていることはあるのだろうと思われています。
 それから、継続雇用制度を導入している企業の中で、継続制度を希望者全員としている所の割合が次の真ん中の表です。82.3%ありまして、この横に、ちょっと見にくいのですけれども、0.3%非該当になっているものがあります。これは先ほど、中小企業等の中でご説明しましたように、制度の導入は4月1日なりにしているのだけれども、実際にその前の年に辞めた人たちが出ているので、若干非該当の人たちがここで出ています。それから、継続雇用制度の基準がある所ですが、ここでは、やはり継続制度に入った人たちが69.5%で、制度がある所に比べれば少し少ない状況になっています。希望しなかった者が増えて、27.9%という状況になっています。
 最後に8頁です。義務化後の高年齢者の雇用の動向で、平成17年当時105万人ぐらいいた者が、高齢法の改正によって義務化されて、いま現在、230万人になっています。したがって、125万人、倍以上の人たちの雇用の労働が進んでいることは、このグラフを見ていただくとわかるのではないかと思います。
 その後、いろいろと精緻な数値表があるのですが、いま話をしたものを企業別に細かく分析してあります。1点だけ、表の説明概要の中に入っていないものとしますと、12頁の表7です。これは、都道府県別の実施状況、雇用確保措置の状況、65歳希望者全員の状況、70歳まで働ける企業の割合を書いています。県ごとに特徴があるかと言いますと、雇用確保措置については、ほとんどの所が90%を超えていまして、唯一、沖縄だけが取組が進んでいない状況です。あとの所は同じような形で、多少の推移はありますが90%以上の導入割合となっています。
 65歳まで希望者全員が働ける企業の割合について見ていきますと、いちばん良い所は岐阜県の6割がありますが、50%以上になっている所が26県あります。悪い所は断トツで東京が38.2%となっていまして、その次に大阪、福岡という状況があります。大都市において遅れているかというと、一概には言えなくて、例えば愛知だとか埼玉などは50%を超えていますので、大きい所には大企業が集まっていてなかなか進んでいないのではないかということは、ちょっと推測しにくい状況になっている結果があります。当然、個々の指導の取組方の違いも出ていると思いますが、そういったことで、あまりはっきりとした結果は出ていません。70歳に至りましては千葉県がいちばん企業割合が高くて、取組の中で相当努力をしてくれたのではないかと思っています。ここは、20%を超えている所が13県あります。簡単ではございますが以上でご説明を終わらせていただきます。
○大橋部会長 ありがとうございました。ただいまご説明のありました、高年齢者雇用状況報告の内容につきましてご意見、ご質問等がございましたらご発言ください。
○新谷委員 いま、高年齢者雇用状況の集計をされたというご報告をいただきまして、この取組についてはご労苦を多としたいのですが、お聞きしたいのは、これは31人以上の企業を対象にしている、企業数が13万8,000社の統計データということですが、日本の民間企業の労働者数に占める、31人以上と30人以下の区分で考えたときに、30人以下の労働者の数は一体どれぐらいいて、今回のこの調査の対象になっている方々との対比でいくと、どれぐらいの割合で今回はこの補捉をしているのかをまずお聞きしたいと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 常用労働者数でお答えいたします。全体で言いますと、約3,600万人になります。ご質問のございました30人以上の規模、つまり今回カバーしているのは、約2,800万人。ですから、約8割をカバーしているというになります。ということは、30人未満の企業で働いている方は約800万人、約2割という数字になります。
○大橋部会長 では、よろしいですか。
○新谷委員 ありがとうございます。実は、今後の論議をするに当たって、どうも我々はこの31人以上の調査をベースにいままで考えてはきたのですけれども、その中で、3つの雇用確保措置のいずれも措置ができていないという割合が、最初の3頁に出ていた、雇用確保措置を講じている95.7%を差し引いた残り4.3%だなと見ていたわけであります。ところが、この調査は、そもそもの捕捉率が民間企業のうちの8割しか捕捉していなくて、残りの2割の、まさしく中小零細企業で働いておられる労働者の方々の統計が取れていないということでありますので、少なくともこの調査は31人以上の規模に限る、残りの2割についてはデータがないという状況の中で、今後の高齢者雇用のあり方については考えなければいけない。だから、これをすべて日本の民間企業の実態であるという前提にすると、どうもミスリードしてしまうのではないかという危惧があります。労働行政の取組もそうでありますが、31人以上については、できていない所は個別指導するということになると思うのですけれども、同時に、30人以下の企業に対する取組、これは非常に数が多くて、たぶん百数十万社もあると思うのですが、本当に労働行政でそこがカバーできるのかという危惧もあって、これは今後の高齢者雇用のあり方を検討するに当たっても、一つ、考えるポイントではないかと思っております。以上です。
○樋口委員 いま、31人以上が8割ということですが、データベースは何でしょうか。
○辻田高齢者雇用対策課長 総務省の平成21年の経済センサスです。
○樋口委員 経済センサスの常用労働者ですか、正規労働者ですか。
○辻田高齢者雇用対策課長 常用労働者の正規労働者数です。
○樋口委員 では、80%も30人以上が占めているということですか。
○辻田高齢者雇用対策課長 そうですね。3,600万人のうちの2,800万人ということです。
○樋口委員 そうですか。よろしいですか。
○大橋部会長 はい、どうぞ。
○樋口委員 逆に今度、31人以上の企業の、これは企業ベースですね、事業所ベースではなくて、その何パーセントが回答していますか。いま、12万3,887社の回答率は。
○桃井高齢者雇用事業室長補佐 30人以上の企業で見ますと、30人未満が全企業の92%ということになりますので、30人以上の企業は全体の8.4%しかございません。
○樋口委員 いやいや。30人以上の企業の中で、これに答える義務があるわけですけれども、答えていない所がどれだけあるかという質問です。回答率です。
○桃井高齢者雇用事業室長補佐 回収率9割以上にはなっております。経済センサスと雇用状況報告で、企業の規模が30人と31人という1名の違いと年度の違いはありますけれども、全体の回収率で見ますと、約90%となります。
○上田高齢者雇用事業室長 今回調査票を出している数は15万9,000社あり、そのうちの14万3,000社から回収しています。これはちょっと、30人以下も入ってしまいますので、回収率とすると90.3%です。
○樋口委員 はい、わかりました。
○大橋部会長 その他いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。前回、議論ができなかった、年齢にかかわりなく働ける環境の整備につきまして、資料の関連する部分を再度、簡単に事務局からご説明いただきたいと思います。また、前回のご議論の中で何点かご質問等のあった部分についてもご説明ください。よろしくお願いします。
○野田高齢者雇用対策調査官 それでは、資料2から6までを続けて説明させていただきます。まず資料2と、資料2で適宜参照していただきます資料3の「参考資料」をご覧ください。資料2の4頁「年齢にかかわりなく働ける環境の整備」から説明させていただきます。
 最初に制度の説明、次に現状の説明、そして課題という順番になっています。最初に、労働者の募集・採用における年齢制限の禁止があります。これについては、若干の補足が参考資料の38頁にあります。背景としましては、従来は募集及び採用における年齢制限の緩和は努力義務とされていたのですが、依然として年齢制限を行う求人が相当数あったと、高齢者や年長フリーター等の応募の機会が閉ざされている状況がありました。雇用対策法第10条を改正しまして、平成19年10月1日から募集・採用における年齢制限が原則として禁止されたところです。
 「原則として」と申しますのは、そこに例外の事由が認められているからです。具体的には、6類型設けられています。1つは、定年年齢を上限として、その上限未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。つまり、期間の定めのない方を募集するときに、60歳定年の会社でそれより年齢が下の方ということで募集するような場合です。2つ目は、労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合。例えば労働基準法ですと、深夜業、午後10時から翌朝5時までは18歳未満の方は働いてはいけないこととされています。そのような業務がある場合に、18歳未満の方と年齢制限を掛けるといった場合です。
 3つ目は、長期勤続によるキャリア形成を図ることから、若年者の方を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合です。4つ目は、技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定して、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合です。5つ目は、芸術・芸能の分野における表現の真実性の要請がある場合です。若い方の役を募集するときは、これ以上の年齢だと困るというものです。6つ目は、60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる方について、そういう方に限定して募集・採用する場合です。
 その下に小さい字で書いてありますが、公共職業安定所を利用する場合だけでなく、民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集する場合や、事業主の方が直接募集・採用する場合も含めて、広く適用されるものです。安定所では、求人を受理する場合に問題があると思いましたら、その人が説明や資料提出を求めたり、違法の疑いがある場合には指導等を行って、指導に従っていただけない場合は求人不受理とするようなことを行っています。以上が、募集・採用における年齢制限の禁止の説明です。
 次に、資料2の4頁に戻ります。シルバー人材センターについてです。シルバー人材センターにおいては、これは高齢法に根拠があるのですが、定年退職者その他の高年齢者の希望に応じて、臨時的かつ短期的又は軽易な就業の機会を確保して提供することとしています。参考資料の40頁をご覧ください。シルバー人材センター事業の概要があります。事業の内容が左側に枠で囲ってありますが、目的としては定年退職後等に、臨時的かつ短期的又は軽易な就業を希望する高年齢者に対して、地域の日常生活に密着した仕事を提供して、もって高年齢者の就業機会の増大を図り、活力ある地域、社会作りに寄与する目的です。
 仕組みについては丁寧に説明させていただきます。会員は、概ね60歳以上の健康で就業に意欲のある高年齢者の方々です。事業内容は、センターが家庭や事業所、官公庁から地域社会に密着した臨時的かつ短期的な仕事等を有償で請け負い、これを希望する会員に提供するというものです。「臨時的かつ短期的」については、厚労省で労働者の1週間当たりの平均的な労働時間に比して相当程度短いこと、具体的には、概ね1週間に20時間を超えないことを示して指導しています。
 また仕事についても、地域で働く方々の雇用を侵食したり、あるいは労働条件の低下につながらないようにという指導を行っており、そのように運営されているところです。「仕事等を有償で請け負い」という所で、請負いになりますので、業務の完成に対して報酬が支払われるということで、例えば仕事、具体的には清掃や除草とありますが、例えばここの除草1件につきいくらという総価の契約で請負って、そしてこれを希望する会員に公平に提供するということでやっています。この契約に当たりましても、地域における類似の仕事の対価に比べて、著しく低くならないようにという指導をしていて、そのように運営されています。そのように請負の契約が成立したあと、会員の方々が働いて、その働いた実績に応じて一定の報酬(配分金)を受けることになります。
 具体的な仕事の例は多岐にわたりまして、清掃、除草、公園管理、自転車置き場の管理、宛て名書き、植木の剪定、障子・襖張り、観光案内、福祉・家事援助サービス等といった仕事をやっています。臨時的かつ短期的又は軽易な就業として、そういう仕事をやっているところです。
 最近の事業の拡充としては、教育、子育て、介護、環境といった分野で、シルバー人材センターが地方公共団体の協力や支援を得まして、企画、提案した事業を行い、またそれを国が支援するというような取組も行っているところです。基本的なデータが載せられていますが、団体数は、全国で1,298、約1,300です。会員数は79万人。契約件数は346万件です。契約の金額は、3,066億円。就業の延人員は、7,041万人日となっています。会員の方々の月平均の就業日数は9.1日です。シルバーの仕事は請負いの仕事ですので簡単には言えないのですが、先ほど申しましたとおり1週間、概ね20時間を超えないということでやっていますので、月に9.1日ですと、9日か10日、長くて10日として、1週間のうち5日ですから2週間ですので、多くても40時間程度なのかなと思います。月平均の配分金収入が、これも単純に割った数ですが、3万4,973円というようなところです。実態はいろいろと多岐にわたると思うのですが、大きな数字で説明しますと、このような状況です。
 41頁の図表58は事業の実績の推移を述べています。団体数は、現在は1,300です。平成15年度の1,866をピークに少しずつ減っています。会員は、先ほど申しました78万6,906人です。昨年度が79万人ですので今年度は若干減っているところです。1団体当たりの会員数は、今は606人です。平成15年以降先ほど申しましたように団体が減っていますので、1団体当たりの会員数は少しずつ増えているところです。
 契約件数は、先ほど346万件と説明しました。平成15年度に300万件を超えてから、今は346万件です。就業実人員も、平成15年度以降少しずつ増えています。契約金額は、平成15年度に3億を超えまして、一番高かったのが平成17、18年度の辺りですが、今も3,066億円の契約金額となっているところです。1人当たりの契約金額は、実人員で契約金額を割ったものですが、契約金額が一番多かった平成17、18年度が高くなっています。
 図表59は、シルバー人材センターにおける一般労働者派遣事業の実施状況についてです。平成22年度は、1,345団体中、派遣事業を実施しているのが607団体、実施団体を団体数で割った実施率は45%。派遣労働登録会員数は1万3,511人、実際に就業をした実人員の方は8,742人、就業率は64.7%というような状況になっています。
 資料2に戻ります。高年齢者等職業安定対策基本方針です。これは、政府として基本方針を定めて、65歳未満の高齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項を定めつつ、施策の促進を図るというものです。関係資料の32頁をご覧ください。基本方針は、高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項以外にも、事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項、事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項、高年齢者等の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項を定めています。
 高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項の所をご覧ください。希望者全員が65歳まで働ける企業(65歳以上定年企業等)の割合を平成22年度末を目途に50%という目標を掲げているところです。この点については、先ほどの資料1の説明でありましたとおり、平成23年6月1日現在では47.9%でした。また、65歳を超えて「70歳まで働ける企業」の割合を平成22年度末を目途に20%とするという目標も掲げていたところです。ここは増え続けてはいるのですが、資料1の説明であったとおり、17.6%となったところです。
 資料2に戻ります。そのような目標を掲げつつ、厚労省としましては、70歳まで働ける制度等の導入について、地域の取組の気運の醸成を図る「70歳まで働ける企業」創出事業などを実施しています。また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の普及、「70歳まで働ける企業」の普及を図ることを目的として、定年引上げ等奨励金を支給しています。奨励金について、参考資料の37頁をご覧ください。定年引上げ等奨励金の中身は(イ)(ロ)(ハ)で構成されていまして、(イ)は中小企業定年引上げ等奨励金です。これは、65歳以上の定年の引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする65歳以上までの継続雇用制度の導入等に取り組む事業主に対し、その実施した措置、企業規模に応じて奨励金を支給するものです。(ロ)は高年齢者職域拡大等助成金で、高年齢者の職域、具体的に働ける仕事などを拡大して、雇用管理制度の構築に取り組む事業主の方々に対して、こちらは費用の助成で、その取組に要した費用の3分の1に相当する額を支給するという制度です。
 (ハ)が高年齢者雇用確保充実奨励金で、事業主団体が傘下の企業を対象に、高年齢者雇用確保措置の導入や、その他高年齢者の雇用環境の整備を目的として、セミナーや専門家による個別相談などの事業を行う場合に、その事業に要した費用と、事業の成果に応じた額を支給するという制度です。この奨励金は今年度限りです。これは、行う意義がなくなったということではなくて、今は事業主団体が行ったときにその費用等に応じて出すという仕組みなのですが、後で説明しますように、厚労省で事業主団体に委託をして、例えば傘下の企業の方々に個別相談を行っていただくとか、セミナーを行っていただくというような事業を新規で予算要求中という事情もありますので、今年度限りの予定となっています。
 資料2に戻ります。今まで説明したのが、年齢にかかわりなく働ける環境の整備についての具体的な主要な制度について説明させていただきました。次は、再就職の支援に係る制度についてです。労働者の募集・採用における年齢制限の禁止、これは先ほど説明させていただきました。それから、高齢法に基づく制度がいくつかありますので、説明をさせていただきます。参考資料の38頁をご覧ください。下段に「再就職援助措置の状況」というタイトルが付いています。具体的には、援助措置が3つあります。1つは、法第15条に基づく再就職援助措置です。これは、事業主の方が雇用されている高年齢者の方々が解雇、自己の責任に帰すべき理由によるものを除く解雇、継続制度の基準に該当しなかったということで離職される場合、それから経過措置で定年で離職される場合について、離職される高年齢者の方が再就職を希望するときは、求人の開拓その他、再就職の援助に関して必要な措置を講ずるよう努めなければならないという規定があります。
 次に多数離職の届出です。これは、今説明しました再就職援助措置の対象となる方々で離職する方が1ヶ月間に5人以上出る場合は、離職の1ヶ月前までに公共職業安定所長に届出をすることとされています。届出を受けて、公共職業安定所はその再就職の支援に動くということです。いちばん下の3つ目が求職活動支援書です。これは、解雇等により離職することとなっている高年齢者の方が希望するときは、その円滑な再就職を促進するために、高年齢者の方々がその会社でどのような職務の経歴を積んできたか、職業能力その他、再就職に資するような事項と、事業主の方が講ずる再就職援助措置を書面にして作成して、その高年齢者に交付してくださいと。高年齢者の方は、それをもって次の再就職先にアピールするという制度です。
 参考資料の39頁をご覧ください。今説明しました制度の実績、データにがあります。求職活動支援書等の発行枚数等は支援書がどれだけ出たかという数字です。平成22年6月1日現在の数字で、定年、継続雇用の種類又は解雇による45歳以上65歳未満の離職者数の方が、48万5,954人。うち、求職活動支援書を作成した離職者の方が、2万462人です。解雇等による45歳以上65歳未満の離職者数は、1万4,638人となっていますので、ちょっと下回っています。これは、事業主の方に報告を求めた数を計上したらこうなったということで、考えられるのは、解雇等でなくても支援書を作ってはいけないということではないので、離職されるその他の方に求職活動支援書を作られたのが計上されているのではないかと思います。
 また、求職活動支援書に係りましては、ジョブ・カードを作成するということでもいいとされていますので、そのジョブ・カードの取得者数についても出しています。高齢者向け、職務の経験が長い方向けのジョブ・カードを取得された方は、平成21年度の実績で1,242です。図表57が、高年齢者多数離職届出状況報告です。これは、先ほど申しましたように、1ヶ月に5人以上離職される方がおられるときに、届けを出していただくものです。平成22年度は、2,341件ありました。その届出の中にあった離職予定者数の合計は、3万1,841人。そのうち、2万8,419人の方が再就職希望、既に再就職の予定があるという方は7,626人おられました。
 資料2に戻ります。5頁をご覧ください。再就職の支援の制度に係る助成金についての説明です。参考資料の37頁をご覧ください。1つ目は、試行雇用奨励金(中高年トライアル雇用奨励金)です。これは、常用雇用への移行を前提としまして、中高年齢者の方を試行的に受け入れて雇用する事業主の方について、奨励金を1人あたり月額4万円、最長で3ヶ月間支給するものです。
 2つ目が、特定求職者雇用開発助成金です。これは、高齢者、障害者など就職困難な方や、65歳以上の方をハローワークを通じて継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金の相当額の一部の助成を行うものです。3つ目が、高年齢者等共同就業機会創出助成金で、高年齢者等の方々が共同して新たに法人を設立して、高年齢者の方を雇い入れるような取組を行った場合に、経費の一部を助成するというものですが、平成23年6月末をもって廃止されて、平成23年7月以降は経過措置で実施されているところです。
 資料2の5頁に戻ります。年齢にかかわりなく働ける環境の整備について、65歳より先の雇用の取組状況です。70歳まで働ける企業の割合は、平成23年6月1日時点で17.6%です。参考資料13頁をご覧ください。70歳まで働ける企業、希望者全員が65歳まで働ける企業、雇用確保措置の実施割合のグラフで70歳まで働ける企業は17.6%となっているところです。これは、制度を導入している会社に着目して集計したものですが、上の図表21をご覧ください。これは、希望者全員でない、基準を設定してその該当者を雇用していますという企業で、基準非該当者が0人、定年到達者が1人でもいた企業についてまとめたものです。基準該当者を継続雇用する制度を導入している企業が6万2,090社で、定年到達者がいなかった企業が2万923社、定年到達者がいた企業が4万1,167社です。継続雇用を希望する方がいなかった企業というのも4,846社あるのですが、継続雇用を希望する方がいた企業3万6,321社について見ますと、そのうち3万3,739社については、その希望者全員を継続雇用しているということです。
 資料2に戻ります。65歳より先の雇用の取組状況、65歳より先の雇用確保措置を実施・検討していない企業についてです。先ほど資料1でも説明があったのですが、参考資料の20頁をご覧ください。図表36です。65歳より先の雇用確保措置を実施・検討しない理由ですが、これは企業の方々に65歳より先の雇用確保措置を実施・検討しない理由を複数回答で答えていただいたものです。「65歳までの対応で精一杯であり、65歳から先の雇用は差し迫った課題ではないと考えるから」というのが、最も多いです。次に多いのは、下から3つ目で、「個々の従業員の体力や能力に差があり、一律に雇用・処遇するのは難しいから」と。次が30.5%の、「65歳以降の労働者は健康・体力面での不安が増すから」というような理由です。
 これは、企業側にお伺いした調査なのですが、高年齢者に着目すると、ニーズが多様化している事情があります。資料2の5頁にデータが紹介してありますが、それは参考資料の29頁、図表53と54です。53は、定年・退職後の就業形態の希望を聞いたもので、(注)の所にありますように、55歳当時の雇用者の方で定年退職後も雇用を希望していた方を対象に聞いています。それを見ますと、正社員を希望する方が44.2%と多いのですが、パートやアルバイトなど、正社員以外の働き方を希望する方の割合は高くなっているところです。
 図表54は、これは定年・退職後の勤務形態の希望と状況ということで、同じような内容なのですが、短時間・短日の勤務を希望される方が多くなっています。このように雇用就業形態や労働時間等のニーズの多様化が見て取れるところです。
 資料2に戻ります。シルバー人材センターの現状については、先ほど説明しましたので、省略させていただきます。続いては、再就職の支援に係る状況です。参考資料の6頁をご覧ください。完全失業率の推移というグラフが出ています。年齢計と年齢別で線が分かれていて見づらいのですが、赤い年齢計の線を見ますと、2010年(平成22年)では5.1%でしたが、60~64歳では5.7%となって、全体よりも高い数字になっています。また、下の図表8、年齢階級別完全失業者数で、自発的失業者と非自発的失業者に分けた集計がされていますが、非自発的失業者137万人のうち、45歳から64歳までを足すと66万人になりまして、全体で約48%、非自発的失業者の多くを45歳から64歳の方が占めています。失業期間別完全失業者数のうち失業期間が1年以上の所に着目してみますと、全体では36.2%ですが、45~54歳は36.5%、55~64歳は38.1%となっていまして、高年齢者の雇用失業情勢は厳しいことが見て取れます。
 では、なぜ企業は高年齢者の方々の中途採用を行わなかったのかという点について、企業の方にお伺いした調査があります。参考資料の24頁をご覧ください。55歳以上の労働者を中途採用しなかった理由が下に出ていますが、最も多かったのは希望する職務能力上の要件を満たしていなかったから、次いで体力・健康面に不安があったからというような回答が多く見られます。参考資料26頁の図表48に高齢者の方々に聞いた結果があります。多いのは、適当な仕事が見つからなかったから、健康上の理由といった回答です。
 資料2の5頁をご覧ください。先ほど説明しました年齢不問求人については、平成22年8月現在で87.52%が年齢不問求人、それ以外は先ほど説明しました例外事由のいずれかに該当する求人という結果になっています。
 先ほど申しました平成19年の改正なのですが、その前後の求人倍率で見ますと、平成18年は年齢計が1.02倍、55~59歳が0.48倍、60~64歳が0.63倍となっています。平成20年では、年齢計が0.84倍、55~59歳が0.68倍、60~64歳が0.70倍となっており、全体と高齢の方々の求人倍率の差が縮まっているところです。次に就職率があるのですが、これは参考資料の9頁を参照ください。平成18年では年齢計が30.1%、55~59歳が27.5%、60~64歳が24.4%という数字だったのですが、平成20年では年齢計が27.7%、55~59歳が26.8%、60~64歳が22.7%となっています。いちばん下にある薄茶色の線が65歳以上、その上にある水色の線が60~64歳ということです。年齢計が濃い青で上にあるのですが、グラフを見ると結構差が大きかったのですが、少しずつ縮まって、特に60~64歳はだんだん年齢計に近づいています。
 資料2の6頁に戻ります。以上が、年齢にかかわりなく働ける環境の整備に係る制度と現状の説明です。検討課題としては、「高年齢者の雇用促進策について」、特に「高年齢者の職業能力開発及び健康管理の推進のあり方等について」、そして「多様な雇用・就業機会の確保について」、「シルバー人材センターを通じた就業機会の確保のあり方等について」、そして「前回高齢法改正後の状況を踏まえたさらなる事業主による再就職促進のための取組について」です。これは、前回高齢法改正のときに、求職活動支援書の制度が設けられましたので、その後の状況を踏まえたさらなる事業主による再就職促進のための取組を、課題として挙げさせていただきました。参考で研究会報告の関連部分が掲載されていますが、この説明は割愛させていただきます。
 続きまして、資料4の関係資料をご覧ください。これは、前回の部会の際にいただいたご指摘等に関する資料です。最初が、一律定年制を定めている企業における高年齢者雇用確保措置の内訳です。一律定年制を定めている企業のうち、勤務延長制度、再雇用制度のどちらか又は両方の制度がある企業の割合を調べたもので、再雇用制度のみが68.5%、勤務延長制度のみが11.5%、両制度併用が11.3%、制度がない企業が8.7%です。これは厚生労働省で行っています就労条件総合調査(平成22年1月1日現在)です。この調査での定義ですが、勤務延長制度は、定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に達した者を退職させることなく引き続き雇用する制度。そして再雇用制度は、定年年齢に到達した方を一旦退職させたあと、再び雇用する制度です。
 1点補足させていただきますと、文字とおり一律定年制を定めている企業における確保措置の内訳でして、制度がない企業というのは、いわゆる未実施企業とは異なります。この集計表のつくり方は、例えば定年が64歳あるいは65歳と、定めている企業も母数として加えて分類して計上しています。法定義務年齢を達成したから、あとは勤務延長も再雇用もないよという場合は、ここの8.7%のほうに計上されています。
 次は、業種別、産業別について、いろいろデータがないかというご指摘をいただきました。集計したものが、次の2頁です。希望者全員が65歳まで働ける企業の状況は、先ほど資料1でも説明がありました。表の見方ですが、報告したすべての企業は、13万8,429社です。そのうち、希望者全員が65歳まで働ける企業が6万6,240社で、その内訳が「定年の定めなし」「65歳以上定年」「希望者全員65歳以上継続雇用」に分かれます。そこの横に書いてあるパーセントは、6万6,240社、希望者全員が65歳まで働ける企業を100とした場合の割合です。
 その次が、希望者全員が65歳まで働ける制度を導入していない企業で、7万2,189社です。この内訳としましては、基準該当者65歳以上継続雇用した会社は、5万3,987社、法定の義務年齢64歳を上限年齢としている所が1万2,202社、未実施が6,000社です。希望者全員が65歳まで働ける企業が全体では47.9%で、産業別に見ますと若干数字がばらけていて、低い所では20%台、高い所では50%台後半という分布になっています。
 続いて、継続雇用に係る基準に該当しない方の状況です。これは、資料1の末尾に定年到達者の状況があります。企業数の合計が13万8,429社で、定年到達者が43万4,831人です。これは例えば、65歳定年で到達という方も含めています。60歳から63歳で定年で、要は継続雇用制度を設けている所で、定年到達者を分けて集計しており、基準該当者の継続雇用制度により確保措置を講じている企業は、6万2,090社あって、そのうちの定年到達者数が27万5,224人、定年による離職者数が7万6,839人、希望した方が19万8,385人、継続雇用された方が19万1,414人、そして基準に該当しなかったということで離職された方が6,971人という数字が出ています。これを産業別に集計したのが、この資料4の3頁です。継続雇用を希望しなかったが、基準に該当しなかったことによる離職者は、全体では3.5%になっています。産業別で見ますと、低い所は1%台、高い所では5%を超えている所もあり、そのように分布しています。
 次の、高年齢雇用継続給付についての資料は、担当課に説明をしていただきます。
○吉村雇用保険課長補佐 資料4の4頁、雇用保険における高齢者の取扱いについて、若干説明を補足いたします。真ん中の箱の「現行の適用について」ですが、雇用保険制度においては65歳に達した日以後に雇用されている方については法の適用除外ということになっております。ただし、引き続き同じ事業主に継続して65歳以上も雇用されている場合については、高年齢継続被保険者という形で、例外的に被保険者となっていただけるという制度になっております。高年齢継続被保険者については、保険料はいただいていないというところです。
 下の箱に移って、高齢者の給付はどうなっているかというところです。最初のマルは一般の被保険者、つまり60歳から65歳の高齢者ですが、こういった方が離職された場合については被保険者期間に応じて90日から240日の給付が受けられるということになっております。一方、65歳以上で継続して被保険者になっておられる方については、高年齢求職者給付金という形で、50日分あるいは30日分の給付が受けられることになっております。いちばん下のマルについては、前回も説明しました高年齢雇用継続給付の概要です。
 資料5頁です。65歳以上の継続被保険者が離職された場合に支給されます高年齢求職者給付金の支給状況ですが、平成22年度においては14万7,000人の方が受給をしており、支給金額としては309億円という状況です。
 資料6頁、高年齢雇用継続給付の支給状況は、前回お出ししたものと同じものですので、説明は省略します。
 資料7頁、高年齢雇用継続給付の支給状況ですが、前回の基本問題部会で平均支給額がどのぐらいか、あるいは最低・最高額はどのぐらいかというお話がありましたので、データをとってまいりました。平成22年度においては、高年齢雇用継続給付の1人当たりの平均給付額は大体2万4,000円ほどで、最高・最低額を見ると、最高額が4万1,339円で最低額が1,865円になっております。いちばん下の表ですが、55~59歳の方と60~64歳の方で、どのぐらい賃金の変動率があるのかについて、資料をとってまいりました。平成22年で見ると、55~59歳の方と60~64歳の方で、大体75%に賃金が低下しているという状況です。
 資料8頁、高年齢雇用継続給付について、散布状況がわかるようなものはないかというお話が前回の基本問題部会でありました。業務統計をとってまいりますと、月2万5,000円から3万5,000円の間で高年齢雇用継続給付を受けられている方がいちばん多い状況です。雇用保険関係については以上です。
○野田高齢者雇用対策調査官 続きまして、私から資料5を説明します。前回の部会において、委員の皆様からいただいた主な意見を事務局でまとめた資料です。意見は希望者全員の65歳までの雇用確保について集中しております。最初に高年齢者雇用対策についていただいた意見としては、少なくとも公的年金の支給開始年齢までは雇用の場を確保することが必要であり、それが社会的な要請ではないかという趣旨の意見がありました。2つ目に、雇用政策については企業の現場の実態と整合的でなければならないことから、一律的な対応ではなくて、個別企業労使の自主的な取組を尊重した枠組みを担保していくことが求められるという意見もいただきました。3つ目は、公的年金の支給開始年齢の引上げに伴う対応は、企業の努力により雇用を確保して解決するというだけではなくて、社会全体で取り組むべき課題であるという趣旨の意見です。最後は、2013年以降、60歳で定年を迎えたが、何の収入もないという方が発生することが考えられるので、何らかの措置が必要ではないかという意見です。
 次にまとめたのは、法定定年年齢の引上げについていただいた意見です。最初は、労働者のニーズは多様であり、直ちに定年を65歳に引き上げるのは時期尚早であるという意見です。3つ目は、65歳定年制のあり方については、引き続き検討が必要であるという意見です。4つ目は、定年は年齢を理由に機械的に辞めてもらう制度であるから、年金の支給年齢と一致しているというのが自然な考え方であると。他方で、定年までの雇用は硬直的に考える必要はなく、労働条件の調整は定年以前に柔軟にしてもいいのではないかという意見です。
 3番目にまとめたのは、希望者全員の継続雇用の確保についての意見です。最初の意見は、現在60歳定年の企業が8割あって、その60歳定年後、無収入になる可能性があることから、7割は経済的な理由で就業しているということもあるので、65歳までの希望者全員の雇用確保措置が大原則ではないかという意見です。次は、継続雇用を希望される方が確実に雇用されるためには、人選基準、選定基準は設定すべきではないという意見です。3つ目は、雇用確保措置の3つの選択肢と基準制度は、労使自治の観点からも妥当であるという意見です。4つ目は、健康状態の悪化といったやむを得ない事情で、就労困難となるケースも出てくるので、雇用と福祉の両面から検討が必要ではないかという意見です。企業年金の制度の柔軟化も必要だという意見です。
 雇用確保措置の実効性の確保については、社会的な制裁として企業名の公表がどの程度実効性を伴うのかという意見、高齢法を民事的効力を持った法律にするべきではないかという意見、就労を希望する方を企業内だけで雇用するのは厳しいので、子会社や他社であっても雇用確保措置を講じたとみなすべきであるという意見です。
 次は、高年者雇用と若年者雇用との関係で、若年者雇用について3つ意見をいただきました。1つは若者と高齢者の雇用の問題は質が違う、高齢者と一緒に論ずるべきではないという意見です。2つ目は高齢者の雇用のみ優先・優遇することになれば、新卒者をはじめとした若年者雇用に大きな影響を及ぼして、経済活力の低下をもたらすおそれがあるという懸念の意見です。3つ目は基準の廃止など、一律的な規制強化は、若年者の雇用への悪影響が懸念されるという意見です。その他として、先ほど説明にもありました高年齢雇用継続給付について、雇用保険部会で堅持・拡充を議論してほしいという意見をいただきました。
 最後に、資料6についてです。これは平成24年度の予算概算要求の紹介です。厚生労働省全体で若者・女性・高齢者・障害者の就労促進による「全員参加型社会」の実現ということで、1,052億円という枠の要求ですが、いままで申しました高齢者雇用にかかる話としては、「高齢者の就労促進(「生涯現役社会」の実現)」ということで、希望者全員の65歳までの雇用確保を一部新規で要求。一部新規とは、先ほど説明しましたように、事業主団体を通じた傘下の企業への周知等の支援を新しい内容でと考えておりますので、一部新規ということです。次の「70歳まで働ける企業」の積極的普及は、先ほど説明しましたような奨励金の予算です。3つ目の高齢者が地域で働ける場合や社会を支える活動ができる場の拡大ということで、これはシルバー人材センターの活用、具体的には高年齢者に職場講習などを実施していただいて、地域での雇用につなげていくような、就業機会の確保を支援していくという事業の予算です。長くなって大変恐縮ですが、資料2から資料6まで説明させていただきました。
○大橋部会長 大変盛りだくさんの資料、前回出されました宿題、前回の議論のまとめという形になっておりました。「年齢にかかわりなく働ける環境の整備」について、ご意見・ご質問等がありましたらご発言ください。いかがでしょうか。
○野村委員 ご丁寧な説明をいただきまして、ありがとうございました。私のほうからは、6頁の(3)「検討課題」、ここは項目が列記されておりますが、ここの中で2点ほど意見なり、また若干質問も入るかと思いますが、よろしくお願いします。
 1点目は「高年齢者の雇用促進策」の1つですが、高年齢者の職業能力開発及び健康管理の推進のあり方について、若干意見を述べさせていただきたいと思います。日本社会は少子高齢化、また人口減少社会を迎えている中で、今後、高齢者が持つ高度に蓄積をされた技術・技能、蓄積、ノウハウ、こういうものを最大限に活用し、また若年層にそういう知識・技能等を継承・伝承していくことが必要だと考えております。そのためには、高齢者の働く職場環境、労働時間であるとか労働安全衛生を含めた労働環境の整備を図っていくことが、大変重要であると認識をしております。今後より多くの高齢者が職場で活躍できるように、働きやすい環境整備を進めるために、政労使が連携を図りつつ、それぞれがその役割をしっかり積極的に果たしていくことが必要であると考えております。併せて、職場における労使協議等々、高齢期における多様な働き方のメニューが用意されることが必要ですし、そのためには政府はそれに対する助成なり、また税制優遇措置などを講じて、こういう職場なり、また労使で取り組む活動について、積極的な支援を是非お願いしたいと思っております。
 もう1点は、シルバー人材センターについて、ちょっとお聞きしたいと思います。この検討課題の中でも、シルバー人材センターを通じた就業機会の確保のあり方が出ており、資料40頁に会員という形で、人数なり団体数が出ておりますが、そもそもシルバー人材センターの会員は労働者という扱いなのかどうか。この辺はどういう整理がされているのか、まず前提として確認をしておきたいと思います。この中では、シルバー人材センターを通じて就業機会を確保していくということが出ているわけですが、これもシルバー人材センター事業概要、資料40頁を見ますと、月平均の就業日数が9.1日、月平均の配分金、報酬ということでしょうけれども、おおむね3万5,000円ということです。先ほどの説明の中でも、週当たりの労働時間は20時間に抑えられているということでもありますし、これを考えると、定年退職後の就業機会の確保の事業として、本来これがシルバー人材センターのいまの制度のままで成り立つのかどうか。
 はっきり言いまして、これだけの配分金の収入ということでは、当然、定年後の生活を維持していくのは難しいだろうと思います。これもデータが出ておりましたが、定年後の退職後に働くというのは、経済的な理由は70%ということですので、ここではシルバー人材センターを通じて就業機会の確保を図っていくということです。ということであれば、シルバー人材センターの仕事の内容、とりわけ賃金、報酬という形になるかどうか、それは労働者かどうかというのが1つ大前提にあるのでしょうけれども、そういうところをちゃんと整理をした上で、このシルバー人材センターを活用する、それを通じた就業機会の確保のあり方を整理すべきではないかと考えています。まずはシルバー人材センターの会員というのは労働者なのか否かも含めて、その辺の位置づけ・整理をどのようにされているのか、教えていただきたいと思います。以上です。
○上田高齢者雇用事業室長 お答えします。シルバー人材センターの会員は労働者の扱いかということになれば、労働者の扱いということでは整理しておりません。したがって、先ほどの説明の中にもありましたように、賃金という形で受け取っているのではなくて、本人たちはあくまでも配分金で受け取っているという形になります。ただ、ここがいろいろ問題点があるのだと思うのですが、実態としてそういったことがどうなのかということについては、ちょっと問題はあるのかなというところはあると思いますが、いまの位置づけはそういう形でやっております。基本的に就業を通じた生きがい対策ということでやっているところです。
○野村委員 従来シルバー人材センターはそういう形で就業の機会、ある意味ではこれは高齢者定年退職後の方がやりがい、生きがい、また地域に対する貢献、そういう部分に重点を置いて仕事というものを提供してきたのだろうと思います。ただ、いま議論しているのは、定年になって、そのあとの生活をどのように維持していくのか、そのために就業機会を確保する、本来ここで議論しているポイントはそこにあるのだと思います。ということになりますと、いまの説明ですと会員は労働者ではないと。そして、賃金ではない、配分金だということです。だから、現状、月3万5,000円程度を配分金ということになっているのでしょうけれども、ということになりますと、これは実態としては先ほども話したとおり、定年後、経済的理由で70%の人たちが仕事を求めているわけですから、それは全く合致をしないのではないかと思います。したがって、シルバー人材センターを通じた就業機会の確保のあり方というのは、もう少し整理をすべきではないかと思います。以上です。
○樋口委員 私も関連ということです。その前に事務局に、十分に説明してほしいとは思いますが、小一時間説明があったので、もう少し要領よく、もし必要であれば前もって資料を配付しておけば、それに目を通してくるようにということで済むのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
 その上で、シルバー人材センターですが、野村さんの質問と重複するところが多々あります。いまの説明のように、労働者というよりも雇用関係にないというのが正確であって、労働者ではあるというように思います。したがって、労働法が適用されないということから、例えば最賃法についても適用されてこないということで、いまのお話ですと月平均の配分金収入が3万5,000円弱、そして月平均の就業日数が9.1日ということは、1日平均4,000円弱ということになっています。週20時間というので、わかりませんが1日5時間働くとしても800円を切るということで、平均で最低賃金すれすれか、あるいはそれを下回っている可能性があるのではないかと。であるとすると、ここのところをどのように、公的にやっているところがそういった最賃法以下の雇用といいますか、条件で働くということ。なおかつ、これは配分金ですから、一部はセンターのほうに入るお金があるはずですよね。という形で、そこからお金をもらってやっているというような、このシステムをどう考えたらいいのかと。これは前からも議論になっていたところだと思いますが、どう検討していったらいいのかということについて、まず時間単位に換算するといくらぐらいになっているのだというのを教えていただければと思います。
○宮本委員 関連なので発言させていただきます。シルバー人材に関して、少し調べようと思いました。といいますのは、この資料をいただいて見ている限り、実態はこうですよということ以上に何一つ物語っていない。何を検討したらいいのかさえよくわからないということで、シルバー人材に関して、いくつか自治体などで報告書が出ているのを見ると、ほとんど問題意識なしに実態が表で出ているだけということですね。ところが、いま現場はハローワークで仕事を見つけられない。シルバーというよりも、もっと若い人たちがシルバー人材にまで殺到していると。それで仕事がないというような問題が、まず1点あります。つまり、シルバー人材センターに求められているものは、ここに書かれている、あるいはいままでやってきたこととだいぶずれているのではないかということが1つあります。
 もう1つ申し上げると、いまこういう地域の単純な仕事に関しては、シルバーだけでなく、若い人たちで仕事を持てない、あるいは単純な仕事からトレーニングの必要な人たちにとっては、地域のこういうタイプの仕事がトレーニングの場になり、かつお金を得る最初のステップになっているという実態です。そういう点で言いますと、シルバー人材センターのほうが大変な力があって、若年者のトレーニングをやろうと思って、こういう種類の仕事を地域で見つけようとすると、シルバー人材と全部かち合っていると。そのときに、シルバー人材は、先ほどもお話が出たように最低賃金か、それを下回るところでやっているわけですね。ある意味、合法とされてやっている。若年者のトレーニングに関しては、最低賃金を下回ることはできないということで、最低賃金を払うか、そうでなければトレーニングだということで無償になるわけなのです。ゼロか700円かという選択肢しかないということで、年齢にかかわりなく仕事に就くということが非常に困難になって、かつトレーニングが必要な人たちがかなり地域の中にいるという実態からしますと、この種の事業の整理が必要ではないかと思っております。
○上田高齢者雇用事業室長 多岐にわたりいろいろご意見をいただいたのですが、全部は答えられるかどうかわからないのですが、まずいちばん初めの最賃の関係です。いちばん初めにお話したとおり、労働者の扱いをしていません。賃金としていませんので、最低賃金法にかかるものではないのですが、そういうことがあってはいけないと思っていまして、最低賃金に引っかからないような、それ以上の形でやれという全体的な指導は行っております。当然シルバー人材センターの舵取りというものが各地域ごとにできているもので、国が決めているものではありません。シルバー人材センターは社団法人になっていて、地域ごとにそれぞれ独自の団体です。しかしながら、公益的にいろいろやっている観点から、国としてみればそういったところが逸脱しないような形での細かい指示は、あらゆる面でしております。最賃の話も、そういうところで下回らないようにしなさいということを言っております。
 一方で、若者と言っていた仕事の関係ですが、通達等の中でシルバー人材センターで取り扱う仕事の範囲の留意点を挙げて、労働者の雇用、または就業の場を侵食したり、労働条件等の低下を引き起こしたりするおそれがある仕事については、入っていかないようにという指導などはしております。さらに、具体的に去年、事業仕分け等があって、民業圧迫の話もいろいろ出てきたところです。そういった中でのことも受けて、さらに民間業者との十分な協議を行い、棲み分けみたいなものも徹底して行うべきだという指導をいま行っているところです。具体的にいうと、基本的に民間と競業するような契約があるとき、入札であるとか、受注にほかの所が手を挙げているとき等については、シルバー人材センターにおいては辞退しなさいという指導等は国から行っているところです。ただ、初めにお話しましたように、実態としてすべてができているかということになると、指示は国からはしていますが、いまのところ苦情が来ているわけではないのですが、もう少し把握する必要があるのかなというところです。
○遠藤代理(橋本委員代理) 年齢にかかわりなく働ける環境の整備に関して、施策の進め方の基本的な考え方について、1点だけ申し上げます。先ほど労働側からご意見がありまして、方向性としては全く一緒です。意欲と能力のある高齢者が、より一層活躍いただくことは大変重要なことですし、何ら否定するものではありません。ただ、年齢にかかわりなくということになりますと、高齢になればなるほど、高齢者の方々の個別、あるいは個別ニーズは強まる傾向にあるわけです。したがって、その状況を十分見極めて、それに対応できるような仕組みを作っていくということになりますと、法律等で一律に縛るということではなくて、まさに個々の企業内の自主的な取組を支援していく、あるいは後押ししていくといった方向性が必要だと考えているところです。以上です。
○縄倉委員 まさしくいま経団連さんが言っておりましたとおり、高齢者の個別のニーズが高まるというのは事実だとは思います。検討課題の3番目に該当すると思うのですが、そういう意味では高齢者の再就職に当たって、これまでの蓄積されてきたノウハウをどのように活かしていくのかであるとか、個別のニーズでどのように対応していくのかというのは課題ではあると思います。したがって、キャリア・コンサルティング体制を充実させるなど、公的機関としてのバックアップも必要だと思いますし、同時に企業側に対してもそういったことに取り組んでいただきたいというのは要望としてあります。とりわけ採用に当たって、職歴、知識、技能、経験といったものを中心に判断する。体力的なものはもちろん加味されるとは思うのですが、ただ単に高齢者だから駄目だとか、そういった差別的な取扱いがあってはならないのだと思っております。
 もう1つ、資料にもありますが、現行の高齢法の中では、解雇等によって離職する者で再就職を希望する者に対しては、再就職の援助措置をしなさいというのが努力規定としてありますが、これは是非、義務化してほしいということと、併せてハローワーク等による必要な支援措置も検討していただきたいという要望を述べたいと思います。以上です。
○新谷委員 資料2の6頁の検討課題で、先ほど話題になったシルバー人材センターについて、2つ目のマルの「多様な雇用・就業機会の確保について」というタイトルの下にポツが1つしかなくて、それは多様な雇用・多様な就業機会の確保は、シルバー人材センターを通じて成し遂げるのだというように見えるわけです。先ほどもシルバー人材センターの会員は雇用関係にはない、労働者ではないという話がありましたので、この辺の組立てが非常に違和感を感じるところです。
 先ほどもシルバー人材センターはよくわからないという話がある中で、概算要求の資料6を見ると、シルバー人材センターが出てきて、125億円という金額が出ているわけです。指定法人の在り方についてはまた次回やるということで聞いておりますが、いまシルバー人材センターに厚生労働省からお金がいくら流れているのかをお聞かせいただきたいのです。それは先ほどの行政のあり方として、週20時間を超えないように指導しているとか、請負の価格が市価より安くならないように指導しているとか、行政指導を非常に強めて、だけどそこにもお金は流していく。シルバー人材センター連合会の幹部の方は、たぶん厚生労働省のOBの方が天下っている。こういう構造の中で、シルバー人材センターがあったのではないかという構図も見え隠れしかねないところもあって、いまいったいお金がどのように流れていって、いくらぐらいここに行っているのかを、まず教えていただきたいと思っています。
○大橋部会長 資料が出ますか。
○上田高齢者雇用事業室長 おおまかに言うと、資料6の中にある125億円の中のうち、シルバー人材センターの予算として確保しているのは91億円です。この91億円は、1,300余あるシルバー人材センターに対する補助金ということで、地方とともに出しているものです。全体として行っているのは91億円で、大雑把に見て全国シルバー人材センター事業協会(全シ協)に行っているのは8,000万円。各47都道府県に連合があって、そのシルバー連合がいろいろ取りまとめを行っているのですが、そこに行っているお金が大体1県900万円ぐらいです。ですから、全体で5億円弱ということになると思いますが、それ以外のお金はすべてシルバー人材センターの各センターにお配りしているという状況です。
 残りのお金については、ここは議論のところでいろいろあるのですが、シルバー人材センターだけではなくて、あくまでもシルバー人材センターは多様な就業機会の確保ということで、就業機会を確保していくということでやっているのですが、当然65歳以上、定年退職後も雇用を求めている人たちはいらっしゃいます。そういう人たちの雇用を結び付けるための事業というので、残りの委託費みたいな形で30数億、120億円から90億円を引いた残りの額、こういったものに予算の確保ということで努めているところです。
○新谷委員 大体わかりました。いずれにしても次回以降、ここの指定法人のところはまた別途、検討の機会があると思いますので、そのときに意見を申し上げたいと思います。ただ、今日いただいている資料2の6頁の先ほど言いました検討課題の所に、「多様な雇用・就業機会の確保」という見出しの中に、「シルバー人材センターを通じた」という決め打ちで1項目しかなくて、しかも、シルバー人材センターで扱う仕事は雇用ではないと言われているのに、何でここには1項目しかないのだろうという非常に単純な疑問もありますので、もう少し検討の幅を論点として広げるべきではないかと思います。
 その上で、もう1点、質問させていただきます。少し辛口な質問が続いておりますが、資料3の37頁です。ここに高年齢者雇用に関する助成金という項目があって、これは希望者全員が65歳まで働ける企業の普及に向けて、行政として助成金の制度が作られていると思うのです。これを拝見したときに、(イ)(ロ)(ハ)とあって、(イ)と(ハ)なのですが、中小企業等が3つの雇用確保措置を導入した際に助成金を払うというように読めるのです。中小企業の数は非常にたくさんあると思うのですが、助成金をもらえるのに、平成22年の実績が5,256件しかないという数字になっているのです。これは、ここに3行で書いてある「この3つの措置の導入又は」と「これらの措置とあわせて」と、要件が違うのかもしれませんが、あまりにも桁違いに少ないのではないか。下のトライアル雇用とか特定求職者のように、ある要件を満たさないと駄目だということではなくて、ここの部分は義務とされている3つの措置をやったら助成金を出すというところなので、かなりカバー率が高いはずなのに、何でこんなに少ないのだろうというのが1つ疑問の点です。
 もう1つは、(ハ)の所です。(ハ)は「高齢者雇用確保充実奨励金」というので、セミナーをされたということで、1件100万円。予算はかなり金額をとってあったのではないかと思うのですが、これは平成22年度限りでやめて、来年度以降は団体委託方式に切り替えるというご説明を先ほどいただいたわけです。これは雇用保険二事業が財源だと思うのですが、お金があるからこんな制度を作ってみましたが、やってみたらこれだけしか実績が上がらなくて駄目でしたというような感じにしか見えないのです。だから、フィージビリティスタディといいますか、実現可能性なり、ニーズなりというところを雇用保険二事業で要求をされて、助成金の制度を作られるときに、どのように見てこういう制度を作られたのか、その辺がわかれば教えてほしいと思います。以上です。
○辻田高齢者雇用対策課長 まず(イ)のほうをお答えします。先ほどの義務化されたところに助成金をというのはちょっとということ等、いろいろおっしゃったのですが、基本的にはこれは希望者全員を対象とする65歳以上までの継続雇用制度の導入ですので、まだ義務化されていなくて、私どもは希望者全員を周知しお願いしているのですが、義務を超えて基本的に65歳以上までお願いをするといった企業に対して、特に中小の場合は賃金制度を変えたり、職場改善をしたり、費用の負担も大変だったりということもあって、実施させていただいている制度だとご理解いただければと思います。ただ、利用件数が少ないというのは、いろいろな見方があると思いますが、私どもとしてはこういった制度の改善と合わせて、奨励金も十分活用してやっていただくということで、引き続き周知とか啓発とか、いろいろ取組をしていきたいと思っております。
○上田高齢者雇用事業室長 いまので補足なのですが、基本的に定年引上げ等奨励金は70歳の継続雇用を目指している、将来的な生涯現役社会を目指してやっているもので、ほとんどが継続雇用制度70歳までとか、そういうところに重点を置いて作ってきているというのが、いままでの考え方です。法律的になっているところについては、今後見直しをしていかなければいけませんし、当然義務になるところを助成することはありませんので、それについての見直しは早急に行っていく予定にしていますし、今年度と来年度では要求の内容はちょっと変わっています。中身がちょっと変わってきているということだけはご承知置き願いたいと思います。
 助成金の作り方なのですが、基本的にはそういったニーズとか、企業からの要望といったことを聞きながらやっていくのですが、確かにいまご指摘いただいた中にあります職域拡大の部分、もう1つ充実確保奨励金ですが、これは執行率が思うように伸びていなくて、いろいろ周知活動を行っているのですが、去年のような形の1件とかそういうことではないのですが、今年度の状況を見ていても、あまり大きく伸びていないという状況です。助成金の設立に当たっては、もっと私どものほうもいろいろ情報等をとりながら、要望を聞いて考えていかなければいけないのだろうと思います。
○桃井高齢者雇用事業室長補佐 高年齢者の雇用確保充実奨励金について、1点補足をさせていただきます。平成22年度から新規にできた助成金で、事業を進めて半年経過してから支払われるものですので、初年度である平成22年度について1件という実績にとどまってしまって、支給は今年度に若干ずれ込んでいる面もあることを補足させていただきます。
○芳野委員 支援という視点で1点述べさせていただきたいと思いますが、60歳以降というのは、もちろん個人差も大きいと考えておりますが、体力や健康面での対応が非常に重要であると考えております。このことを踏まえて、視力・聴力などの身体能力に対応した作業環境の改善、安全衛生対策、高齢者の職業能力開発施策を充実させるとともに、肉体的負担が軽度な仕事への受け皿作りに向けて、労使の取組に対する支援を充実させていくべきではないかと考えております。以上です。
○荻野委員 使用者側もあまり話さないというのも何かと思いますので、全般的に一言、申し述べさせていただきます。まず、高年齢者の雇用促進策ということで、職業能力開発及び健康管理の推進のあり方等について、労働者代表委員からいろいろとご発言がありまして、誠にそのとおりだろうと思います。これらについては、一人でも多くの高年齢者が元気で生き生きと働けるように、労使でしっかり取り組んでいかなければならないと思いますし、現に取り組まれているところではないかと思っております。職場環境の改善については、年齢に関係なく、就業条件の改善という意味で取り組んでいかなければならない事項であるとも思っております。
 一方で、教育訓練は当然ながら人材投資という側面を持ちますし、就業環境の改善はもちろん直接の投資になりますので、投資である以上はやはり経営の必要と生産性の向上というものとセットでなければならないということも、これは申し上げるまでもないかと思います。特に高年齢者の職業能力開発については、投資をしたあとの回収期間が短いということもありまして、なかなか使用者側にインセンティブが働きにくい構造になるということは、ご理解いただけるものかと思います。もちろん使用者としても取り組んでいくわけですが、これについては政労使三者で取り組む中で、特に政府の役割が若年層以上に大きくなってくるのではないかと考えているところです。
 健康管理については、これは申し上げるまでもなく、一人ひとりご本人の意識と取組が決定的に重要になってまいりますので、これについては労使で取り組む中で、ご本人の意識がいかに高まるかということを重要な観点として、労使で検討を進めていくものではないかと考えております。
 多様な雇用就業機会の確保についてですが、シルバー人材センターについて、いま大変にいろいろご議論がありました。これについては、まさに多様な機会を確保することによって、一人でも多くの方が職、あるいは就労の場を見つけることができるようにしていくことが大事だと思います。その1つの選択肢として、シルバー人材センターを必ずしも否定するものではないとは思っております。加えて、いま労働者代表委員からもありましたが、多様な雇用・就業機会の確保について、具体例がシルバー人材センターだけというのは、若干不満は残るわけです。特に使用者としては、人材ビジネス等を積極的に活用し、有効に機能するようなものを是非お考えいただければと考えているところです。
 なお、前回、高齢法改正後の状況を踏まえたさらなる事業主による再就職促進のための取組ということで、これについても労使双方での取組が重要ではないかと思うところです。1点、先ほど再就職支援措置の努力義務を義務化することが望まれるのではないかというような、労働者代表のご意見がありました。これについては、再就職支援については大変重要なことだと考えておりますが、一方でこれがまた当然ながらコストを伴うわけで、義務化された再就職支援を行うがために、当然そういう場面は経営としても非常に厳しい局面においてなされますので、それによって解雇の人数が増えてしまったということになってしまっては、どちらがいいかちょっと分からないというところもあります。それは雇用をなるべく維持しつつ経営をしっかり立て直していくという範囲の中で、どういったことをやるのかという労使の協議の中で、適当な結論を得るべきものであって、法的な義務とするのはちょっと無理があるのではないか。やはり努力義務にとどめるのが適当ではないかと考えておりますので、その旨、申し上げておきたいと思います。長くなりましたが、以上です。
○鎌田委員 検討課題の中の「多様な雇用・就業機会の確保」ということで、先ほど来シルバー人材センターだけに限定するのはおかしいではないかというご議論があったと思います。実は特に高齢者については、長年の職業経験から優れたキャリアと経験、技能をお持ちの方が多いと思うのです。そういう方たちが雇用という形態ではなくて、自営、あるいは企業を起こして働くという道も当然考えられます。資料3の37頁のいちばん下の「高年齢者等共同就業機会創出助成金」は、その性格を見ると、高齢者が共同して法人を設立して、事業開始をするための経費の助成を図るようなお金になるのですが、これは今年度で廃止になっていますよね。つまり、そういう道はなくしましょうということですよね。これはそれにいろいろな背景があるのだと思うのですが、これにこだわるわけではなくて、やはり高年齢者が自分の長年の職業経験で培ったキャリアとか技能を起業、それから自営という形で働けるようなチャンス、選択肢ということも、ひとつ考えてほしいと思っています。
○大橋部会長 今日は資料の説明に少し時間がかかりまして、もう少し議論する時間があったらと思いますが、それはまた次回に十分議論していただくことにして、本日はこれで終了したいと思います。次回の部会では、指定法人の在り方について検討するとともに、事務局のほうからいままでの経緯の説明、議論等を踏まえて、論点を整理していただき、さらに具体的な議論を行いたいと思います。次回は、10月25日(火)15時から、合同庁舎5号館18階の厚生労働省専用第22会議室で開催いたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。本日の署名委員は、縄倉委員および荻野委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課
(TEL)03-5253-1111(内線5815)

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