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2011年12月7日 第81回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成23年12月7日(水) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 厚生労働省専用第12会議室


○議題

・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 ただいまから「第81回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、本日は野川委員が欠席です。
 それでは議事に移らせていただきます。最初に雇用保険制度について、事務局から資料1から5についてご説明をいただきます。
○吉村雇用保険課長補佐 それでは、事務局のほうから資料1から資料5までご説明をさせていただきます。資料1をご覧ください。資料1は「暫定措置に係る論点について」で、2頁に個別延長給付についてという形で整理しています。個別延長給付の要件につきましては、従来からご説明していますとおり、倒産・解雇等、あるいは雇止めで離職された方で就職が困難な方のうち、45歳未満であるということ、あるいは雇用情勢が悪い地域に住んでおられる方、あるいは再就職のために計画的な支援を行っていく必要性を安定所長が認めた方の3つの要件のいずれかに該当する方が、個別延長給付の対象になるということです。
 そのうち、安定所長が認めた方の具体的な内容が下の箱のほうに記述してあります。[1]安定した就業の経験が少なく、離転職を繰り返しておられるような方、[2]職種などを転換する必要があり、職業に就くことに時間を要するような方、[3]熱心かつ誠実に求職活動を行っており、かつ、ハローワーク所長の職業指導を受けなければ、職業選択を行うことが非常に困難であるという方につきまして、再就職のために計画的な支援を行う必要があるということで、個別延長給付の対象としています。
 3頁に具体的に個別延長給付の受給者に対するハローワークの支援というのはどのようなものがあるのかということを簡単に整理しています。当初ハローワークで作成していた再就職支援計画というもので、例えば経歴の棚卸しですとか、受けていただいたほうがよいセミナーなどの選定などを行っておりますが、なかなか所定給付の日数内に就職がうまくいかないという場合については、再就職支援計画の見直しを行い、さらに支援を積極化して、個別延長給付に入るとともに、支援を積極化して就職につなげようということでやっております。
 4頁、個別延長給付を受けておられる方の就職状況を整理したものです。個別延長給付を受給した方のうち、就職した方がどのぐらいの時期で就職していたかを調査したところ、受給者の約23%は、個別延長給付の受給期間中に就職をしていたという状況です。
 5頁、個別延長給付の「インターバル」についてです。先ほども申し上げたとおり、個別延長給付はそもそも倒産・解雇、あるいは雇止めの方が対象になっており、再就職を準備する余裕はない状況で離職されていたということもあり、現行としてはインターバルは特に設けられていないという状況です。
 続きまして7頁をご覧ください。7頁は受講手当の現状ということで、受講手当を受けておられる方の人数を、失業手当をもらっておられる方の人数で割ったところ、その割合が右から2番目の欄です。平成21年度から受講手当は「500円」から「700円」に引き上げていますが、受講手当を受けておられる方の割合は、500円から700円に引き上げた以降も、さほど変化がないという状況です。
 8頁は、公共職業訓練における教科書代等の分布状況ということで、公共職業訓練で実際にかかっている教科書代等について調査をしたところ、6カ月以内コースの教科書代を見てみますと、約9割以上が1.5万円以内の教科書代となっているという状況です。
 続きまして資料2をご覧ください。こちらでは保険料率のシミュレーションを再度させていただいています。1頁をご覧ください。総括という形で、今回はケースAとケースBの2つのケースをご用意しています。ケースAが前回お示ししたものと同じように、受給者実人員が平成24年度要求ベースで推移した場合ということで、具体的にいいますと、約81万人で推移した場合です。ケースBは23年度の状況を踏まえ、受給者実人員が67万人で推移した場合をシミュレーションしたものです。また、それぞれのケースにつきまして、国庫負担が原則に復帰した場合と、現行のように55%の場合、また保険料率については、平成24年度以降、1.2、1.1、1.0の3パターンを用意しております。
 まずケースAの国庫負担が原則に戻った場合ですが、平成24年度の保険料率を1.2にした場合ですが、この場合につきましては28年度まで保険料率が変わらずに、積立金残高は4.0兆円になると試算しています。仮に1.0%に保険料率を下げた場合、この場合は平成26年度から弾力条項が発動できないということで、1.4%に保険料率が戻りまして、28年度末では4.3兆円になると試算をしています。
 ケースAで国庫負担が現行のまま推移した場合ですが、平成24年度で保険料率を1.2%にした場合につきましては、平成27年度から弾力条項が発動できずに、保険料率が1.4%に戻りまして、積立金残高が3.5兆円になると試算をしています。仮に平成24年度から保険料率を1.0%にした場合につきましては、平成26年度から弾力条項が発動できなくなり、平成28年度末で積立金残高は3.2兆円になると試算をしています。
 ケースBですが、国庫負担が本則に戻った場合につきましては、平成24年度の保険料率を1.2%にした場合については、28年度末まで同じ料率で推移をしまして、28年度末の積立金残高は6.1兆円、仮に24年度の保険料率を1.0%にした場合につきましては、28年度末の積立金残高が4.6兆円になると試算をしています。仮に国庫負担が現行のまま推移した場合につきましては、保険料率を24年度は1.2%とした場合、1.0%にした場合、どちらの場合でも28年度まで同じ料率で推移をしまして、1.2%の場合につきましては、積立金残高が5.2兆円、1.0%の場合につきましては、積立金が約3.7兆円と試算をしています。2頁以降はそれぞれのシミュレーションの具体的な試算の内容ですので、説明は省略します。
 資料2の14頁をご覧ください。これは前回の部会でもお示しをしたものですが、これまでの雇用保険の保険料率の推移を示したものです。平成22年度、23年度におきましては、弾力条項を発動しまして、保険料率が1.2%となっています。
 15頁、16頁は前回もお示ししましたが、雇用保険の保険料率弾力条項がありまして、弾力倍率が2倍以上になると、失業等給付に係る保険料率につきましては、0.4%下げることができるということがありますが、22年度の決算を見ますと、2倍を上回っておりますので、平成24年度におきましては、保険料率を1,000分の10まで下げることは可能となっています。
 17頁をご覧ください。失業等給付に係る保険料率の推移です。14頁でもお示ししましたが、それをグラフにしたものです。基本料率が法律で定まっている保険料率ですが、その上下0.4の範囲で保険料率が変えられるという状況で、平成23年度におきましては、基本料率が1,000分の16ですが、弾力条項を発動いたしまして、実際の保険料率は1.2%になっているという状況です。ただ、平成24年度につきましては、法律を改正しまして、基本料率が1.4%に下がるということになっておりますので、弾力条項を発動した場合に、保険料率として定められる下限が1.0%になっています。18頁以降につきましては、前回お示ししたシミュレーションを再度参考のためにつけているものですので、説明は省略させていただきます。
 資料3、現下の雇用失業情勢と雇用調整助成金の支給状況です。1頁ですが、完全失業率と有効求人倍率の動向です。平成23年10月の完全失業率は4.5%という形で、前月比0.4ポイント上昇しております。一方で有効求人倍率は0.67倍ということで横ばいです。現在の雇用情勢は一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあると認識をしています。
 2頁、非正規労働者の雇止め等の状況です。直近の11月の数字を見ますと、雇止め数が2,335人ということで、1月前の10月よりも増加の傾向が見られます。
 3頁は雇用調整助成金等の支給決定状況です。雇用調整助成金につきましては、23年10月におきましては、支給金額が187億円ということで、前月よりも落ちています。平成23年度の支給総額は現在のところ1696億円という状況です。
 続きまして資料4です。資料4はこれまでこの部会においてこれまで出された主な意見についてという資料です。これにつきましては、今年度この雇用保険部会において、委員の皆様からいただきました意見を事務局のほうで整理をしたものです。
 1頁です。I.平成23年度末までの暫定措置です。まず[1]個別延長給付についてです。個別延長給付については、計画的に支援を行うことが必要であると安定所長が認めた場合につきましては、濫給防止のためにインターバル期間を置くなどの工夫が必要ではないかというような意見をいただいています。[2]の受講手当ですが、教材費が賄えなくなるような状況にならない限りは、日額を200円引き上げている暫定措置を終了することも視野に入れるべきではないかというご意見をいただいています。
 (2)今後の暫定措置の取扱いについてです。個別延長給付などの暫定措置は生活保障に大きく役立っている。震災の影響もあり、雇用失業情勢が回復するまでは、当分の間継続すべきではないかとのご意見をいただいております。
 II.継続検討とされている論点です。(1)の基本手当の水準ですが、基本手当の水準は、平成15年改正時に苦渋の決断で引き下げたものであり、積立金が回復している現状においては、以前の水準に戻すことも検討すべきではないかというご意見、あるいは制度改正により、被保険者の範囲が拡大していることもあり、積立金の影響は慎重に考えるべきではないか。求職者支援制度もスタートしたばかりであり、労働施策全般として、セーフティネットの拡充をどのように図っていくのかという観点から議論すべきではないかというご意見をいただいております。
 (2)マルチジョブホルダーについては、1つ目のご意見として、育児・介護等により、掛け持ちで仕事をせざるを得ない方々に対するセーフティネットが未整備である。適用について検討すべきではないかというご意見。それから、実態が十分把握できていないことや、保険料の負担割合・徴収方法など、技術的、実務的課題も多いため、少し時間をかけて中長期的に議論をしていくべきではないかというご意見をいただいております。
 (3)の高年齢雇用継続給付についてですが、まず1つ目のご意見としては、実態として広く定着し活用されており、是非とも現行制度を継続又は拡充していただきたい。併せて国庫負担のほうも復活してもらいたいというご意見。あるいは年金の支給開始年齢を引き上げていったことを、継続給付で引き受けている状況にあるが、この制度がなくなっても、65歳まで働ける社会が理想であり、将来的にはそのあり方を再検討すべきではないかというご意見をいただいております。
 (4)の65歳以降への対処について、1つ目の意見として、希望者全員の65歳までの雇用が確保されていない現状では、時期尚早。雇用保険の適用対象とすると、65歳以上の方も社会の担い手として活用することにより、年金支給開始年齢のさらなる引き上げにつながりかねないため、現行制度は維持すべきではないかというご意見。あるいは65歳以上の方々を労働政策の中でどう位置付けていくかは大きな問題であり、現在は現行の枠組を維持すべきではないかというご意見をいただいております。
 (5)の教育訓練給付につきましては、1つ目のご意見として、非正規労働者がより活用できるように、方策を検討すべきではないかというご意見。あるいは指定講座につきまして、本来の目的に合致するものに絞るべきではないかというご意見をいただいております。
 III.財政運営についてです。(1)失業等給付に係る財政運営ですが、1つ目のご意見として、保険料率については弾力条項を発動して引き下げるべきであるというご意見。あるいは国庫負担につきましては、暫定措置を廃止し、本則に戻すべきであるというご意見をいただいております。
 (2)の雇用保険二事業に係る財政運営についてですが、1つ目のご意見として、先行き不透明であるため、引き続き雇用調整助成金に係る柔軟な対応をすべきではないか。2つ目のご意見として、雇用調整助成金は雇用維持に役立っているが、安定資金の状況が厳しいことを鑑みると、現在の要件緩和は見直していくことを考えるべきではないかというご意見、3つ目のご意見として、雇用調整助成金は、雇用を守るという意味で非常に意味があるので、国庫負担も含めた財政措置を検討すべきではないかというご意見。最後に雇用安定資金に残高がないと、機動的な対応が困難であるので、収入には限界がある以上、支出を徹底的に抑えていくしかないのではないかというご意見をいただいています。
 続きまして、資料5をご覧ください。雇用保険制度について(たたき台)です。これにつきましては、これまでいただいたご意見を踏まえまして、事務局のほうで、たたき台という形で整理をさせていただいているものです。
 1.平成23年度末までの暫定措置についてです。検討の方向性としては、非正規労働者に対するセーフティネット機能を強化するため、平成23年度末までの暫定措置として、個別延長給付を創設したり、雇止め等により離職した方の給付日数の充実等の措置を講じているところですが、足元の雇用失業情勢は、一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にありまして、また急激な円高の進行、あるいはその高止まりですとか、海外経済を取り巻く不透明感等が日本経済に悪影響を与えるおそれがあることを踏まえて、基本的にはこれらの暫定措置を延長すべきと考えるがどうか、という形にさせていただいております。ただし、その際にはこれらの暫定措置の効果や、求職活動実態等を踏まえつつ、必要な見直しは行うべきと考えるがどうか、という形で整理をさせていただいております。
 2.高年齢雇用継続給付についてです。こちらにつきましては、検討の方向性としまして、雇用確保措置の義務年齢が平成25年度には65歳まで引き上げられることになるが、実態として労使間で広く定着し、高年齢者雇用の促進に重要な役割を果たしている現状を踏まえ、当面の間は存置することとし、今後の高齢者雇用の動向に注視して、改めて再検証すべきと考えるがどうか、という形で整理をさせていただいております。
 3.財政運営についてです。まず失業等給付に係る国庫負担についてです。検討の方向性といたしましては、国庫負担が平成19年度から本則の55%とされているという状況、あるいは失業につきましては、政府の経済対策・雇用対策と関連が深く、政府もその責任を担うべきであるから、雇用保険法附則第15条の「できる限り速やかに、安定的な財源を確保した上で暫定措置を廃止するものとする」という規定に基づく措置を講ずるべきと考えるがどうかという形で整理をさせていただいております。
 [2]雇用保険料率についてですが、検討の方向性としまして、23年の法改正によって、平成24年度以降、14/1,000に基本料率は引き下げられているという状況。平成24年度の失業等給付に係る雇用保険料率については、現下の雇用情勢は、依然として厳しい状況にあるものの、失業等給付の収支の見通しや積立金の状況を勘案し、弾力条項の発動によって、現行の1.2%から、さらに引き下げるべきと考えるがどうかという形で整理をさせていただいています。
 (2)雇用保険二事業に係る財政運営についてです。検討の方向性の1つ目として、雇用保険二事業については、2年間に限り雇用調整助成金等の支給に要する場合に用途を限定して、失業等給付の積立金からの借入れを可能にする暫定措置を実施しており、平成22年度の決算後においては、雇用安定資金残高は、3,895億円となったところであるが、平成23年度末では1,602億円、平成24年度末では201億円との見込みとなっている。
 2つ目の○ですが、現下の雇用失業情勢が依然として厳しく、円高の影響等による雇用失業情勢の悪化懸念が依然残っている状況を勘案し、雇用調整助成金の支出が急激に増大する懸念に備えた財源確保のため、借入れに係る暫定措置を延長すべきと考えるかどうかという形で整理をさせていただいています。
 3つ目の○ですが、なお、雇用保険二事業については、PDCAサイクルによる目標管理の徹底に努めてきたところであるが、現在の雇用安定資金残高も踏まえれば、今後更なる効率化・重点化により不要不急な事業の廃止を行う等、これまで以上に厳しい見直しを行うことが必要と考えるがどうか、という形で整理をさせていただいております。
 3頁目、4.その他継続検討とされている論点についてです。(1)基本手当の水準についてです。検討の方向性として、基本手当の水準については、充実を図るべきとの意見がある一方、近年の制度改正の影響等を慎重に見極めるべきとの意見があること等も踏まえ、引き続き、今後のあり方を検討していくべきではないか、という形で整理をさせていただいております。
 (2)のマルチジョブホルダー、65歳以上への対処及び教育訓練給付についてです。検討の方向性として、今後の雇用失業情勢や社会経済情勢等を勘案しつつ、今後は、中長期的な観点から議論していくべきではないか、という形で整理をさせていただいております。事務局からの資料の説明は以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関して、何かご質問、ご意見がありましたら、お願いします。
○亀崎委員 いま事務局より、資料5の雇用保険制度についてのたたき台の提案がありました。これまでの主な意見の中でも出されていますが、平成23年度末の暫定措置について、暫定措置の創設時である2009年3月と現在2011年10月の雇用失業情勢を比較したときには、完全失業率は4.8から4.5ということで改善はしつつも、まだまだ4%代半ばで高止りしています。また、有効求人倍率も0.52倍から0.67倍と持ち直しつつも、全国的にはまだ1倍を切るというのが現状になっています。したがって、労働者の生活を取り巻く環境は、依然として厳しいと言えるわけで、個別延長給付などの暫定措置は、雇用失業情勢が回復するまでの当分の間は継続すべきであることを重ねて強調しておきたいと思います。
○清家部会長 わかりました。
○坪田委員 質問があります。1つは、個別延長給付受給者の就職状況ですが。
○清家部会長 資料のどれになりますか。
○坪田委員 資料1の4頁にありますが、第79回の資料によると平成21年度の初回受給者が55万人ほどいますが、実際に就職できているのは24万人となっています。この政策目的が、再就職のための支援にも関わらず、残りの31万人の方の就職状況がどうなっているのか。これは把握できるのか、あるいは把握できる仕組になっているのか、なっていないのかそこが1つです。
 もう1つは、受講手当についてです。教科書代は、平均すると9割以上が1.5万円以内となっていますが、受講手当の現状から平成22年度の受講手当の受給者の給付平均を計算しますと、1人あたり約16万円ぐらいになります。受講により増加する費用を補助するという目的で、この受講手当は支給されているのですが、交通費なども別途支給されているわけですし、これはどのように受講手当を理解したらいいのかを説明願いたいと思います。
○清家部会長 事務局からお答えいただけますか。
○吉村雇用保険課長補佐 1点目の資料1の4頁の部分ですが、この調査は今回は雇用保険のデータを特別集計という形で、通常の業務統計として取れるものではないものを別途個別に集計したものです。平成21年度に雇用保険の受給資格決定をされた方が、平成23年7月現在でどのような状態にあるかを調査したものです。坪田委員からご指摘がありましたとおり、24万人の方が就職をされているという状況です。一方で、個別延長給付の受給資格決定をされた方で、この24万人に入っていない方は、逆に言うとまだ平成23年7月末現在では就職をしておられない状況にあるということです。
 それから、教科書代と受講手当の現状ですが、1人あたりの1日の受講手当は、公共職業訓練を受ける場合について500円なのですが、平成21年度から700円に引き上げられている状況です。ただ、これについては、もちろん教科書代等の実費を負担する目的で設けられているものですが、現実的に訓練のコースが大体平均すると3カ月の訓練コースを受けられている方が多いのですが、長いものですと6カ月あるいは最長では2年のコースもあるという現状です。ただ、受講手当が1日訓練に通う日当たりで支給されるという制度に現状はなっておりまして、その結果長いコースを受けられている方については、1万5,000円、2万円という金額を大きく超えるような受講手当を受給されている方も発生している状況にあります。
○清家部会長 坪田委員、いかがですか。
○坪田委員 個別延長給付受給後に就職が決まった人は、受給者から必ず報告があるのですか。あるいは、必ずハローワークに申し出なければいけないような義務づけはされているのですか。
○佐藤雇用保険課長補佐 こちらの資料ですが、先ほど特別集計と申し上げましたが、追える範囲で取っている調査ですので、中には就職されておられない方もいらっしゃるでしょうし、就職されている方もいらっしゃるという現状です。ですので、55万人から24万人を差し引いた方の中には、就職されておられない方のほうが多いとは思いますが、中にはハローワークで追えない方もいらっしゃいますので、その辺りは私どもで把握できる範囲でデータとして出したものです。
○坪田委員 受給者の就職状況はできるだけ把握する仕組にしなければいけないのではないかと思います。それから教科書代のことですが、6カ月で9割が1.5万円なのに、全体の支出平均額が16万円になってしまうのも、理解が困難な話なので、そこもやはり詳しく調べてみるべきだと思います。
○清家部会長 本来は、就職を支援するために、個別延長給付をしているのだから、就職したかしないかをきちんと押さえてもらわないと困るのではないかという趣旨ですか。
○坪田委員 求職者支援制度もあるわけですから、やはり最後は就職につながっていかなければいけないわけです。ただ支給しておいて、あとは知りませんというのは、どうなのかなと思います。
○清家部会長 その辺りは、事務局いかがでしょうか。個別延長給付は、就職を支援する目的で設けられたものなので、就職したかどうかについて把握が完全にできていないのはどうしてかという趣旨だと思います。
○鶴谷雇用保険課長補佐 個別延長給付の対象になる方で、ハローワークで就職支援を積極的にさせていただいた方で、ハローワークで職業紹介をさせていただいた方については、就職したかどうかの状況は必ず追っかけはするのですが、統計として取りまとめているものではなく、今回は特別集計として出させていただいたものです。ですので、全くお追っかけをしていないわけではなくて、必ずハローワークで紹介したものについては、就職の状況は把握しているものです。
○遠藤委員 前回、暫定措置について政策効果を見てみたいので、いくつかの資料をお願いしたところ、本日出していただきまして、どうもありがとうございます。意見を言う前に、いくつかお尋ねをさせていただければと思います。資料の読み方ですが、資料1の3頁を拝見しますと、いちばん下の※の付いたところに書いてある文言を拾っていきますと、「所定給付日数内は受給者本人が主体的に求職活動を行っていたが」と書いてあります。裏読みをすると、主体的に求職活動を行っている方については、ハローワークがつくる再就職支援計画がないと読んでよいのかどうかが1つ目です。
 2つ目は、4頁です。ただいま、特別集計というお話がありました。この24万人のうち、再就職支援計画の策定を伴うような形で求職活動をした方が、どのぐらいの割合いるのでしょうか。
3つ目は、この暫定措置が2009年度から行われるにあたって、その実績でも結構ですし、予算でも結構ですが、この暫定措置分はトータルでどのぐらいの支出増になっているのか、データ上取れているのであれば、教えてください。
○鶴谷雇用保険課長補佐 1点目の、個別延長給付受給者の支援で、3頁の資料にかかるところの質問かと思いますが、主体的に求職活動を行っていたがというところについても、全くご自分だけで活動をされているのではなくて、本人の求職活動にあたっていちばんいい方策をどうすればいいかという意味で、ハローワークの支援が必要になってまいります。ですので、最初の段階から再就職支援計画なりを作成させていただいて、ハローワークの支援をしているものです。
○吉村雇用保険課長補佐 2点目の計画を策定している方がどれぐらいおられるかですが、何度か説明していますとおり、個別延長給付の対象になる方は3類型あります。45歳未満の方、厳しい地域に住んでおられる方、あるいはハローワーク所長が個別に計画的に支援を行う必要があると認めた方の3類型があります。そのうち、大まかな数字ではありますが、ハローワーク所長が個別に認定をするような方が28.4%おられるということで、この方については計画を必ず作る形になっています。それ以外の方については、計画策定は特に義務づけはされていませんが、具体的にその計画をそのうち何人まで作っているかは、個別に集計をしていませんので、データとして示すことが現段階ではできない状況です。
 3つ目の個別延長給付を実施することで、どれぐらい予算が増えているのかですが、手元に具体的な数字はありませんが、仮に2011年度に個別延長給付を実施した場合には、給付費ベースで140億円ほど支出が出るのではないかと推計をしていますので、平成21、22、23年度で同じほどの受給者がおられたかどうかは確認を。
○小澤雇用保険課調査官 すみません、数字が一部誤っていました。140億円というのは国庫負担ベースですので、給付費ベースですとおよそ1,000億円です。これまでの集計実績からいきますと、平成22年度が36万1,679人、平成21年度は55万2,676人ですので、実際の予算額の数字は改めて次回お示しする形でよければ、確認させていただきたいと思います。
○清家部会長 遠藤委員、いかがですか。3点目は、次回までに調べて報告いただきたいと思います。そのほか2点については、よろしいですか。
○遠藤委員 はい。そのうえで、意見を申し述べさせていただければと思います。まず、暫定措置を延長するかどうかですが、厳しい雇用情勢下、ご指摘のとおりかと思っています。労働市場に対して、安心感を与えるような、メッセージが必要であることもわかります。ただ、だからといって、複数年度でなければいけないのか、必ずしもそうでないと思っていますので、今後の議論においては、単年度の延長も選択肢としてはあり得るのではないかと思います。
 2つ目は、今日いただいた資料で、個別延長給付についてのインターバルは、現段階ではないというお話でした。もちろん、所定給付をもらう場合において、インターバルがないことは、保険原理を前提にすれば、十分理解できるわけです。ただし、暫定措置としての個別延長給付を考えた場合には、同一人物が複数回受給するのであれば、何らかの給付制限を伴うような形の対応も考えられ得るのではないかということを、前回から申し上げています。その場合、給付制限が法技術的に継続延長の中で、可能なのかどうかは、自分でも、なかなか難しい部分があるかとは思います。
 3つ目は、先ほど坪田委員からお話がありましたが、今回の暫定措置の中でも、やはり必要な見直しを行っていくべきだと考えています。そのうちの1つが受講手当であり、これは、前回申し上げましたとおり、教科書代を賄うという目的に特化するような形で、必要な見直しを行うべきだと考えています。以上です。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○新谷委員 資料4と5に関連しますが、高年齢雇用継続給付について申し上げたいと思います。資料5の1頁の2に書かれている表現の問題で、検討の方向性として、最初に雇用確保措置の義務年齢が平成25年度には65歳に引き上げられることになるがと書かれているのですが、私どもの認識としては義務年齢が65歳になるというよりも、平成25年、2013年から、いま支給されています報酬比例部分の支給開始年齢が1歳繰り上がることによって、まさしく雇用と年金の接続の間に空白期間が生じることの問題のほうが非常に大きいと捉えていますので、ここの認識が少し違うのではないかと思います。表現上の問題ですが、ここについて、再考していただきたいと思います。
 中身の問題について、改めて申し上げたいと思います。いま申し上げたように、2013年から老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられます。多くの企業で定年が60歳までとなっていますので、支給開始年齢の61歳との間に空白期間が生じてしまうことが、社会的にも不安要因になるのではないかと思います。日本は、超高齢社会となっていますので、やはり超高齢社会を社会保障の面でも支えられる側ではなく、支え続ける側でいることが求められている。そのためには、希望すれば働くということが実現する社会を実現しなければいけないと思っています。
 高齢法の施行状況を見てみますと、平成23年度の調査では、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合が半分もいっていない、47.9%となっています。年金の接続を法的にどうするかという問題は、別途、職業安定分科会の雇用対策基本問題部会で検討されていますので、法的な仕組みについてはそちらで検討していただくとして、やはり、ここでは公的給付であります高年齢雇用継続給付について、是非、現状の活用の実態からみて、これについては維持・拡大を図るべきではないかと思っています。前回も、労働側として意見を申し上げた際に、使用者側の委員もこれについては維持・拡大を図るべきだという意見を発言され、労使ともに、ここの部分は維持・拡大を図るべきだという意見を申し上げていると思います。まとめの方向として、当面は存置するが、改めて再検証するとされています。再検証というのは、プラスのほうに検証するのか、マイナスのほうに検証するのかわからないところがありますが、少なくとも保険料を負担している労使がこれについて維持・拡大をすべきであると申し上げていますので、ここの「まとめ」については少し方向が違うのではないかという感じがします。
 清家先生のご専門の分野ですが、本来であれば高齢者の賃金については、健全な労働市場が形成されて、仕事の対価に相応しい賃金が支払われるべきであると考えています。残念ながら、いまは高齢者の継続雇用なり再雇用の実態からみますと、一律に賃金を何割か引き下げて、それで継続雇用をするという実態にあるわけです。その中で、やはり公的給付が継続雇用に対する大きなインセンティブとして機能していますので、是非この拡充をしていただきたいと思っています。併せて、私どもとしては、平成19年になくなった国庫負担(8分の1)を、この超高齢社会を乗り切るにあたっての国としての責任を示す意味からも、お願いをしているところですので、これも検討いただきたいと思います。
 もう1点は、論点の中には書かれていませんが、高齢者の雇用の問題で1点申し上げておきたいと思います。
 2013年以降、年金と雇用の接続に空白期間が生じることは、労働者にとっても社会にとっても不安要因となるわけです。希望者全員の雇用確保を別途法律的な枠組をつくるべきだと思います。それでも、やはりうまく雇用が継続できない方が出てくると思います。これは、本人の体調の問題もあると思いますし、高齢期ということもありまして、家族の介護の問題で雇用が継続できない方々が出てくると思います。そういった方々が、全く年金が出ないという、収入の道が途絶えてしまうことになりますと、本当に社会の不安要因となりますので、ここはやはり保険原理から言えば、長年保険料を積み立ててこられた方々ですので、ここについてのセーフティネットの強化を考える必要があるのではないかと思います。これは、高年齢雇用継続給付の問題とは別に、やはり失業給付の部分で、何らかの措置を検討していくべきではないかと思いますので、資料4でこれまで出された主な意見には入っていませんが、高齢者のセーフティネットのあり方を雇用保険制度の中でも是非検討するべきだと考えています。以上です。
○清家部会長 ほかにありますか。
○井上委員 資料5の1頁の3の財政運営についての(1)の[1]失業等給付に係る国庫負担についての意見を申し上げたいと思います。失業等給付に係る国庫負担率に関して、現行の負担率はあくまでも暫定的、一時的なものであり、雇用に対する国の責任を明確にする意味でも、本則に戻して健全な制度運営につなげていくことが当然であると理解をしています。この国庫負担率は、可及的速やかに本則である4分の1に戻すべきだと思いますし、厚生労働省にはその実現を目指して、来年度の予算編成に向けた財務当局との折衝で最大限努力をしていただきたいということを、改めて申し上げたいと思います。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○古川委員 いまの井上委員の発言に関連して、確認したいことが1点あります。資料5の1から2頁に、雇用保険法の附則第15条が書いてありまして、できるだけ速やかに、安定的な財源を確保したうえで暫定措置を廃止するものとするとあります。これに基づいて、同法13条の暫定措置4分の1×55%を廃止したとすると、求職者支援法に関わる国庫負担率についても、本則の2分の1に戻ると理解してよろしいのでしょうか。
○吉村雇用保険課長補佐 そのように考えて結構だと思っています。
○新谷委員 いまの財政の問題で、この読み方なのですが、現行の雇用保険法附則の第15条に、できるだけ速やかに安定的な財源を確保した上で、その規定に基づく措置を講ずるべきと書かれてあります。たぶん、安定的な財源を確保した上でというのは、いま論議をされつつあります消費税の取扱いになろうかと思います。要するに、この読み方というのは、消費税が増税されるまでは何もしないということを認めてしまうのでしょうか。どのように読むのかを教えていただきたいと思います。
 もう1つは、社会保障と税の一体改革の論議が政府・与党の中で進められている中で、先日、民主党の調査会の報告が出ましたが、現役の労働者への給付については、どこを読んでも、雇用保険の国庫負担の本則(4分の1)戻しというのはどこにも出ていなかったと思います。要するに、今後の社会保障制度改革全体の中で、いま政府与党としてここの部分は本当に組み込まれているのかどうかを確認させていただきたいと思います。
○清家部会長 では、安定的財源の確保の点について、事務局からお答えいただけますでしょうか。
○吉村雇用保険課長補佐 まず、法律に掲げられています安定的な財源を確保したうえでという文言ですが、これについては必ずしも消費税に限られているものではなく、何らかの安定的財源が確保できた場合についてはという意味であると解釈しています。また、税と社会保障の一体改革との関連ですが、税と社会保障の一体改革の成案が既に出されていますが、その中でも雇用保険については、この暫定措置について書かれている法の趣旨を踏まえてという形で、一定程度は一体改革の中で盛り込まれています。ただ、消費税を今後どうするかという議論はありますが、仮に消費税を上げるということで一定の財源が確保されたとしても、それと同時に、それが実現されたからといって、すぐに雇用保険の暫定的な国庫負担の部分について戻るということまでは、何も決まっていない状況です。
○新谷委員 これは厚生労働省として、財政当局と折衝していただくことになろうかと思います。先ほど古川委員も申し上げたように、雇用保険の国庫負担とともに求職者支援法の財源の全額を一般会計で賄っていただくことがセットですので、是非そこは2つとも落ちないように全面的に主張を展開していただきたいと思います。これは、お願いを申し上げておきたいと思います。
○山本委員 平成24年度の失業等給付に係る雇用保険料率についてですが、資料4でこれまで出された意見についてもありますし、今回のたたき台でも2頁で雇用保険料率について最後の○の2つ目で、現行の1.2%からさらに引き下げるべきと考えるかどうかがありますので、意見を申し上げたいと思います。
 雇用保険の保険料率について、弾力条項の考え方については、積立金の適正化という意味では、非常に柔軟で合理的な考え方、進め方だと思っています。これまでもその考え方に沿って運用されてきていると理解をしていますので、来年度についても引き続き弾力条項について発動することが自然ではないかと思っています。平成19年度以降についても、基本的には下限料率まで引き下げていることを踏まえると、来年度も下限料率1,000分の10まで引き下げていいのではないかという意見を伝えておきます。以上です。
○小林委員 労側の皆さんがいろいろ言われたので、ちょっと混乱していますが、順番にお話をさせていただきます。個別延長給付についてですが、今もかなり厳しい経済状況も続いていると認識しています。この間、ある経営者の方とお話しましたら、震災以降も我が国でいろいろと災害が起きているのと同様に、タイでの水害の影響もかなりありますし、ここのところの円高がかなり厳しく、生産の回復状況も6、7割程度というような厳しい状況と伺っています。私どもは、景況調査を毎月やっているのですが、やはり厳しい状況が続いていることもあり、全体的に個別延長給付だけでなく、雇用保険のいろいろな制度の中で、これからの経済影響もじっくり考える必要があるのかなと感じています。
 一方、全体的なお話を申し上げますと、雇用保険料の負担、それから社会保険料、厚生年金だけでなく医療保険料、これは健康保険組合と協会けんぽ等がありますが、協会けんぽの料率がかなり上がっているということで、企業における福利厚生の部分の経費がかなり負担増というのが、毎年ジャブのようにどんどん打ちつけられて厳しいという意見が出ています。できれば、雇用保険料の引き下げをしていただきたい。この場では関係ないですが、医療費等の社会保障関係の経費の引き下げも十分考えていただきたいという意見が多く、企業側にとっても雇用維持のためにかなり苦しい状況にあると伺っています。
 その中で、いま出ました保険料率のお話をさせていただければ、ここにいくつか案があります。1.2%、1.1%、1.0%で、パターンA、パターンBの、これも国の国庫補助の割合の違いによっても出ていますが、できればパターンBのいちばん低い1.0%を検討の中心に据えていただきたいと思います。失業等給付の積立金が4兆円あるということで、財務当局にとってみると埋蔵金のように見られていると思います。これは保険制度ですから、いざ緊急事態のために積み立てているもので、またリーマンショックのようなことがもう一度起こっては困るのですが、それに備えてというのが1つあろうかと思います。とはいえ、いまの積立金もある程度あるというような状況を考えますと、労使双方で負担する保険料も少し引き下げていただくような形での検討をお願いしたいと思います。
 それから、失業等給付ではなく、個別延長給付というような形でのお話が最初のほうにあるわけですが、これについてもいまの経済状況が厳しいことを考えると、経済状況が回復するまでと考えると、やはり厳しい地域もありますので、延長の検討も1つ考えるべきかなと感じています。もう1つ、高年齢雇用継続給付については、これも年金の問題などいろいろあると思いますが、現在のところ高齢者雇用の促進に大きく寄与している制度という認識をもっています。できるなら、高年齢雇用継続給付についても継続というようなことで検討いただければと思います。新谷委員からもお話がありましたが、前回の会議で遠藤委員から国庫の負担も平成19年から制度が改正されましたが、高齢者雇用が継続雇用という形になるのか、いま別の部会で検討されていますが、その中で重要な支援策として、国庫の再投入も是非検討いただき、財政当局等へ訴えていただければと思っています。
○清家部会長 ほかにご質問、ご意見はございますか。
○亀崎委員 財政運営についてのところで、雇用保険二事業に係る財政運営ですが、いまもお話がありました震災復興の問題、あるいは円高の影響についても、まだまだ先行きが不透明な部分があるというのが現状ですので、したがって必要に応じた柔軟な対応を引き続き担保するということで、失業給付の積立金からの借入にかかわる暫定措置は、雇用情勢、失業情勢が回復するまでの当分の間は継続するべきではないかと考えますので、意見として申し上げておきます。
○新谷委員 保険制度でありますので、収入と支出の関係で、保険原理をどう考えるかということとも関連するわけです。いま保険料の部分について、引下げをするかしないかということが論点として挙がっているのですが、積立金の残高の水準を一体どのように見るのかということも重要なポイントだと思っておりまして、平成22年度末で5.5兆円あるわけです。ですから、この残高の水準が、例えば単年度の支出が大体2兆円強でありますので、それとの関係で、どう収入と支出の設計をするのかということです。
 先ほどから、保険料を引き下げるという論議が出ておりますが、私どもとしては、収入の部分を引下げるのであれば支出の部分の改善もセットで考えていただきたい、これは保険の原理からいえば当然だと思っております。
 現在の水準というのは、前回から申し上げておりますように、平成13年、平成15年の雇用保険法改正によって、苦渋の決断で引き下げたものが今日に至っているわけで、もちろんその間の雇用情勢の変化によって、積立金の残高は推移してきたわけですが、少なくとも平成22年度末においては5.5兆円という巨額な積立金の残高になっているわけで、今回保険料の引下げを検討するのであれば、給付の改善について是非検討いただきたいと思います。
 中でも給付率の問題です。この給付率の問題について、従前の60%から現行の50%に引下げをされておりますし、また日数についても、これは特定受給資格者という別の枠ができていますが、非自発的な離職に伴う方々の給付日数のあり方というのは、検討する必要があるのではないかと思います。それは、もちろんいまやられている個別延長給付をいつまでやるのかという絡みもあるかと思いますが、是非支出の改善は検討いただきたいと思います。
 それに関連してですが、先ほどの資料2の財政の収支計算のところの改めて確認と、申し上げておきたいことがあります。今後の保険料の収支の見通しを考えるに当たって、重要な指標がいくつか入っております。資料2の1頁に総括表があって、前回前提となる条件を示してほしいということで、今回出されてきた中で、ケースAとケースBで、それぞれのいちばん上のところで、保険料率が1.2%で推移したときの積立金の残高が、ケースAですと4兆円、ケースBですと6.1兆円と、2兆円違ってくるということなのですが、その前提の違いは何かと見たときに、受給者の実人員の取り方が違うというのが、見て取れます。
 ケースAですと平成23年度は93万人の受給者が発生して、以降は81万人で推移しています。それに対してケースBですと、67万人ということで、現在の水準に近い形で推移するとシミュレーションしていると思います。
 前回申し上げたように、予算を要求するときに堅めに数字を上げて、財務当局と折衝して予算を取ってくるというのはよくわかるのですが、実際に決算を締めてみたら1兆円以上の乖離が出てくるということになると、今後の制度設計で、正確なデータと違うのではないかと思うのです。今回出ている数字も、ケースAですと、平成23年度に93万人も受給者実人員が出るという前提で、以降は81万人で固定してしまうというのが、堅めではいいのですが、本当にこのような状況が、シミュレーションの数字として相応しいのかどうか。これに基づいて制度設計してしまうと、どんどん残高が貯まってしまって、どうするのだということになりかねませんので、その考え方、93万人を出した根拠、81万人でずっと5年間推移するという考え方について、改めて教えていただきたいと思います。
○吉村雇用保険課長補佐 ケースAのシミュレーションの考え方ですが、新谷委員もおっしゃったとおり、平成23年度につきましては、平成23年度の補正予算を踏まえた要求をしている額としまして、93万人の受給者実人員を予算として積んでいるところですので、その人数を平成23年度については掲げさせていただいているということです。
 平成24年度につきましては、今後財務との調整はございますが、当初予算においては、81万人の方が受給するのではないかという試算をいたしておりまして、それを基に、平成25年度以降については全く予想が付きませんが、そういった形で、同じ実人員のまま推移した場合については、どうなるかという形で、ある意味では固めのケースとして計算をさせていただいております。なお、平成23年度につきましては、東日本大震災があったことを踏まえて、補正予算において当初予算よりも、さらに10万人ほど実人員を多めに取っているところです。また、平成24年度につきましては、81万人という形で、いま概算要求しておりますが、そこにつきましては財務当局との調整において、少し下がる可能性もございますが、本日の段階での状況としましては、81万人で要求させていただいておりますので、それをベースに、ある意味では高めの実人員という形で見ていただければと思っております。
 ただ、それだけでは新谷委員がおっしゃるとおり、現実を踏まえていないということもございますので、今回につきましては、ケースBという形で、平成23年度、これまでの受給者実人員の平均を採ってみますと、約67万人でしたので、約67万人で、そのまま平成24年度以降も推移した場合についてはどうなるかというケースもお示しいたしまして、この両面を見ていただいた上で、保険料率について、今後どうあるべきかをご議論していただければと思っております。
○新谷委員 ジレンマだと思うのです。相手があることで、財政当局との関係で数字を出すという部分と、本当に制度設計としてどうあるべきかというのが一方ではあるということでありまして、あまり堅めにやってしまうと、さっきの収入と支出との関係で、かなりお互い抑制的に制度設計せざるを得ない。それが結果として残高がこんなにたくさん貯まってしまうということにもなりかねないというジレンマがあるのですが、あるべき姿というのをどこかで線を引かないと、本当に相応しい保険原理に基づく収入と支出の関係が作りづらいのではないかという懸念がありますので、改めて申し上げておきたいと思います。
○遠藤委員 たたき台の2頁の(2)ですが、雇用保険二事業に係る財政運営について、いくつか意見を申し上げさせていただきたいと存じます。二事業の最大の支出項目であります雇用調整助成金についてです。前回も申し上げておりますが、リーマンショック直後に行われました要件緩和、あるいは助成率の引上げ、こういった対応につきましては、段階的に出口戦略を考えるべきだということを繰り返し申し上げたく思っております。
 2つ目、二事業のあり方についてです。3つ目の○のところに書いてあることに尽きるわけですが、やはり収支の健全化を図るということであるので、裏返せば借入金を返す、計画的に返済していくというイメージも十分に持ちながら、不要不急な事業の廃止を行うなど、厳しい見直しを徹底するという形で、書きぶりを是非変えていただきたく思っているところです。
 3つ目です。さらなる借入れについてです。今回は事務局側のご提案ということですから、この件を議論することについては反対するものではございません。しかしながら、延長するのかどうかということについては、慎重にならざるを得ないと申し上げておきたいと思います。なぜなら、戻るようで恐縮ですが、二事業の抜本的な見直しを図るという機能が十分に果たし得なくなるのではないか、その危惧が大変強いということです。この危惧を解消できるような形のものを是非求めてまいりたい。
 併せて、延長ということですが、もう次はないのだという形も、労働市場に対するメッセージとして出していただくことでないと、また次もあるのかという形で受け止められてしまうことになり、これも大変危惧されるところでございます。この辺の懸念も解消いただけるようなお答えをいただければと思っているところです。
 3頁のその他継続検討とされている論点の中にある基本手当の水準についてです。両論併記の書きぶりを踏まえて、今後のあり方を検討していくべきではないかということですから、この方向で考えさせていただきたいということです。
 使用者側の意見としましては、近年の制度改正の影響はございます。さらには、このトーンの中で読むということになるのかもしれませんけれども、先行き不透明な現下の厳しい雇用情勢といったものも十分に勘案しながらという用語も必要ではないかと思っているところですので、ご検討賜ればということです。
○清家部会長 いまの遠藤委員のご意見の中で、何か事務局からお答えいただく部分はございますか。よろしいですか。では、そのようなご意見をご要望としては最終報告の中に反映してほしいということですね。
○遠藤委員 はい、お願いします。
○清家部会長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。
○新谷委員 いま遠藤委員がご発言になられたところで、引き続き今後の検討としていくべきではないかという、たたき台が出ているのですが、ここは先ほど私どもが申し上げたとおり、今回の論議はこれで終わってしまうのかということについては、異論がございます。遠藤委員が先ほどおっしゃったように、今後の水準のあり方について何らかの方向性を示していただかないと、毎回この形で、1回は検討してみるけれども、今後の継続課題ということでは、いかがなものかと思っています。
 これは本当に収支の計算ではないのですが、いまは積立金の残高が5.5兆円貯まっていて、また1年経ったときにこれがまた積み上がってしまって、6兆円とかになったときに、もう3年分の給付が賄えるぐらいに貯まってしまいましたというのが、今後先ほどのシミュレーションの繰り返しですと、あり得ると思うのです。もちろん、現下の円高で、どれだけ雇用情勢が悪化するかという懸念はありますけれども、本当に積立金の残高と収入と支出の関係というのは、きちんと考えておかないといけないと思っていますし、私どもとしては、平成15年に下げた給付水準をもう一度元に戻していただくという論議も、是非組み込んでいただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。
○小林委員 いまの保険料の話ですが、雇用保険はまさに保険としてしっかりとした形をつけ、持続可能な形の財政状況も担保しつつ、なおかつ、先ほども申し上げましたけれども、料率を下げてほしい。これは企業負担だけではなくて、労働者の方々にとってみても、収入のうちの何パーセントという保険料が負担になるわけですから、その辺も見据えて、収入と支出のバランスというのをもう一度しっかりと、この年末だけでやるのではなくて、じっくりと引き続き検討していただきたいというのがお願いです。
 でも、当面の措置として、厳しい経済状況があるということで、引下げについて、事務局で説明していませんでしたが、今回提出されている資料の中で、資料7の行政刷新会議のほうの提案で、これも何を言っているのかがかわからないところもあるのですが、この資料の取りまとめの提言のところにありますが、雇用保険積立金について、「平成23年度末見込みで約4兆円の水準となっており、雇用保険制度の持続可能性に配慮しつつ、受益者負担の軽減の観点から、雇用保険料の一定の引下げを含む負担と受益の関係の見直しを検討すること」とされています。これは当たっていることだと思います。
 雇用保険制度全体、経済情勢の変化にもよりますので、政府としてもしっかりと経済対策を打っていただいて、将来の我が国の持続可能な、企業が存続できるような形、また雇用が維持できる仕組みを作り上げていただきたい。経済対策というのは、まず大前提だと思いますが、経済状況というのは世界の影響も受けるわけですから、それを見据えた積立金のあるべき額、どのぐらいの量が必要なのか。失業者に対する失業給付がどのくらい必要なのか、それを作るための財政です。これを、国、労働者、企業の三者がそれぞれ負担する構造というのは、私は本当は3分の1ずつが相応しいと思うのです。そういう保険制度のあり方を是非ともご検討いただきたいというのが1点です。
 もう1つ雇用保険二事業についての話がありました。この「雇用保険」という名前が付いた保険料収入なのですが、これは実際には保険ではないわけです。企業の事業主の負担において、なおかつその雇用維持のための安定の事業と、能力開発のための事業というものを行っているわけです。
 資料5の2頁の(2)で、3つのたたき台のご提案がされていますが、まさに状況はいちばん上のとおり、厳しい状況にあります。2番目にくるのは、私はいちばん下のものだと思います。いま雇調金が出て、赤字の状況になっているわけです。失業等給付から借り入れているわけで、これはこの財政を捉えてみると支出過剰の状況になってしまっているわけです。収入はもう決まっているところ、料率で出てくるので、まず支出の部分を抑えることが大前提です。財政の健全化と、借入金の借入れている部分を速やかに返すことが、大前提に取られるべきで、身の丈に合った事業の展開を行うというのが、本来の姿だと思います。
 それで、また緊急の事態、雇調金というのは、確かに今回のリーマンショックのとき、震災の際にも有効に機能したものとして評価されているわけですから、そういう事態が出たら何らかの措置を取るということなのですが、借入れを前提にした延長というのは、私はどうなのかなと思っております。いまの財政は確かに厳しいのですが、当面第三の大きな波がくるのかどうかわかりませんが、現状においては、第一に考えなければならないのは、財政の健全化と借入れの速やかな返済ということで、そこに焦点を当てて、いち早く返すという姿を取るべきではないかというのが、個人的に感じているところです。
○新谷委員 いま小林委員からご発言がありましたが、私どもとしても保険料のあり方については、先ほど山本委員が申し上げたとおり、弾力措置を発動した上で、下限の料率までは下げるべきだと思っております。
 また、いまご発言のあった二事業の意義なり、中でも雇調金が果たしてきた雇用安定の機能なり、その際にリーマンショックのときの緊急対応として、積立金から借入れをしたということも、十分にそれは理解しております。おっしゃったように、この中身自体、返済に向けた中身の見直しなり、健全化なりというのは、当然進めていくべきだと思っております。
 その一方で、私どもの思いとしては、本来事業主に負担いただいている二事業の部分も、労使の積立ての部分から貸出しをするという状況にあるのであれば、積立金の残高が5.5兆円もあるのであれば、もちろん保険料も下げるのだけれども、給付についてもこういう改善をしたというところの論議があって然るべきではないかというのが、私どもの真意でございますので、是非そこはご理解をいただきたいと思っています。
○清家部会長 ほかにいかがでしょうか。
○吉村雇用保険課長補佐 遠藤委員からご指摘のありました個別延長給付の支給状況ですが、すぐにデータを持って来られなくて申し訳ありませんでした。平成21年度におきましては、1,365億円、平成22年度は954億円の支出をしています。平成23年度についてはまだ途中段階でありますが、平成22年度と比較した場合には、軒並み支給が落ちている状況でございますので、平成22年度の954億円というのは、今後特段の事情がない限りは、上回ることはないのではないかと思っております。
○清家部会長 今日はもう1つ「その他」という議題がありますので、雇用保険制度については引き続きご議論をいただくということで、「その他」について、事務局からご説明をお願いいたします。
○吉村雇用保険課長補佐 「その他」といことで、資料6、資料7、資料8について、簡単にご説明させていただきます。
 まず資料6「広域延長給付の支給状況」についてです。1頁、広域延長給付につきましては、9月の雇用保険部会でもお話をしましたとおり、震災で甚大な被害を受けました被災3県の沿岸地域を中心としまして、既存の制度であります広域延長給付というものを発動させていただき、そういった地域に住まわれておられる方につきまして、給付の日数を90日延長することができるという措置を、既存の制度を活用しまして講じていたところですが、10月段階の実績が出ましたので、それについてご報告させていただきます。受給された実人員は、被災3県を中心としまして、全国で1,543名の方が受給をされている状況です。
 資料7「行政刷新会議『提言型政策仕分け』評価結果について」です。これについては小林委員からも若干触れていただきましたが、本年11月23日に行政刷新会議で提言型政策仕分けというものが行われまして、雇用全体についても仕分けの対象となりましたので、その結果についてご報告させていただきます。
 まず雇用について、大きく3つの論点が仕分けにおいて議論されました。1つは雇用政策の効果検証、2つ目は雇用の問題、問題の要因と解決策について、3つ目は雇用保険の現状と今後のあり方というものです。
 仕分けの結果として、とりまとめられた評価結果の提言ですが、雇用に関する施策の効果検証を定量的に実施して、予算に厳しく反映させる、あるいは能力開発とハローワークの連携強化を改善すべき、構造的な雇用に関する課題については制度的な面での改革も取り組むべきである。この部会に大きくかかわる雇用保険については、小林委員からもご指摘がありましたとおり、雇用保険の積立金については4兆円の水準が平成23年度末に見込まれる状況でして、「雇用保険制度の持続可能性に配慮しつつ、受益者負担の軽減の観点から、保険料の引下げを含む、負担と受益の関係の見直しを検討すべき」ということが提言をされている状況です。
 資料8で、雇用保険二事業について簡単にご説明させていただきます。資料が大部ですので、本当に簡単なご説明となります。雇用保険につきましては、PDCAサイクルを行っておりまして、目標設定をして評価、評価の結果を見直しにつなげるという形で実施しておりますので、その状況について簡単にご説明させていただきます。
 1頁の「雇用保険二事業について」です。二事業では、失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資する雇用対策を実施しまして、失業等給付の給付減を目指すというのが、最大の目的です。
 実際にやっている事業は大きく2つございまして、雇用安定事業、能力開発事業があります。雇用安定事業ですと、例えば雇用調整助成金、就職困難者の雇入助成がごさいます。[2]の能力開発事業としては、例えば公共職業訓練の実施、能力評価というようなものをやっているところです。
 2頁です。これも何度か部会でもお示ししておりますが、二事業の収支状況です。平成24年度の要求ベースで、収入が5,493億円、安定資金残高が201億円になってしまうということで、厳しい状況です。
 3頁で、「雇用保険二事業の目標管理サイクル」です。PDCAサイクルをどのように回しているかをイメージ図として示しております。目標設定、実際に事業を実施し、評価、その評価を見直しにつなげるという流れを示しているものです。4頁は、実際にどのように評価をしているのかの状況です。事業の執行率と政策効果という2つの軸で評価をしておりまして、両方目標が達成できているものについては、評価A、政策効果は十分だけれども執行率が低いものはB、目標が達成できていないものについてはC、Dという形で整理をしておりまして、C、Dについては目標が達成できなかったということで、事業の廃止または見直しを図っていくということで、今後反映していくことになっております。
 6頁は平成22年度の二事業の評価を受けて、平成24年度の概算要求にどのように反映させているのかです。例えば評価がAであった事業は67本ありまして、要求額は1,558億円で、対前年度比で削減をしております。評価結果がBのものは17本、Cは20本、Dは6本、それ以外にすでに見直しをしていたものが9本、すでに廃止をしているものが31本という状況です。
 7頁以下については、個別の事業の予算への反映状況を整理したものですので、説明は省略させていただきます。27頁以降については、個別の事業の評価結果の一覧と、33頁以降に個別事業の評価を個別に記載しているものですので、説明は省略させていただきます。事務局からは以上です。
○清家部会長 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見はございますでしょうか。
○小林委員 どうもわからないのが資料7の行政刷新会議の提言型政策仕分けです。新聞報道等で行われたのはわかっているのですが、ここに書いてあるとりまとめで、当たっている部分も当たっていない部分もあるのかなと思います。
 ここで、「これまでの雇用対策については、その効果が十分に発揮されておらず、その検証も不十分であった」というような書き方をしているのですが、一昨年から労働政策審議会では政策評価という形で、評価部会も作り、各分科会ごとに目標値を設定し、数値的な目標と定性的な形の分析を行う形を取っているわけです。労働対策については、ある意味で検証はしている。不十分な部分はあるのかもしれませんが、そういう形で私どもは捉えております。
 それから、その対策の効果が十分に発揮されておらずというより、ここ数年は経済的な影響が大きいわけです。リーマンショック以降、震災など、本当に労働対策自体、十分かどうかわかりませんが、一生懸命やっていただいていると思いますし、適時それに合わせた形のいろいろな対策を取っていただいていると感謝申し上げているところなのですが、この辺の仕分けの状況というのは、十分に議論されたのか。
 この中に皆様方の評価の結果というのが一通り出ているのですが、その辺の状況について、このペーパー1枚だけではわからないものですから、もう少しわかるところがあれば教えていただきたいと思います。
○清家部会長 検証が不十分というとき、何をもって十分というかという考え方の問題もあるかと思います。さらにコストを掛ければ、もっと検証できるでしょうから、もし、そういうことであれば、もっとコストを掛けなければいけないわけで、そういったコスト、パフォーマンスのバランスとの見合いなども考えてどこまで行うべきかということもあると思います。これについて事務局からお答えいただけますか。
○森山局長 当日私が説明をして、いろいろなご質問にも答えたわけですが、たしかこれが1時間と少しでしたので、昨年までは個別事業につきましていろいろな数字で行ったのですが、今回は雇用ということで非常に大きなものでしたので、中の議論が十分にできたのかなというのは思っております。
 その中で、特に指摘されましたのは、私どもは人材銀行というのがあるのですが、いろいろな事業の中からそれを取り上げられまして、最近の雇用の厳しい状況もございますので、就職率の目標値を出しているのですが、それを達成していないと。そういうことが何年か続いております。そういうことを出されまして、なかなか目標値に達していないということで、不十分でないのかということで、個別的にそれを上げられて、議論がされました。それについて、私どもは最近の雇用情勢等の厳しさ等をご説明したのですが、表現的にはこういうことになったということです。
 それから、全般的に二事業につきましても、いま小林委員がおっしゃっていましたように、労働政策審議会でも検討部会を設けている、それから、こういう形で二事業についてもいろいろなA、B、C、Dということで、PDCAサイクルでやっているということをご説明したわけでございますが、私どもの説明が不十分だったのかもしれませんが、評価としましては、そういう議論があった上でも、こういう評価であったということです。私どもは、こういうことでございますので、一定程度、引き続きこの評価につきましては、またこういう場、労働政策審議会の評価部会等々でも、具体的にさせていただきたいと思っております。
 それから、ハローワークと能力開発事業の連携というところも、求職者支援制度をご説明いたしまして、しっかりと能力開発、安定行政というのではなくて、これは結果的には就職につなげていくわけですから、能力開発、職業紹介を含めたハローワークを一体として、もう少し連携を強くしてくれという意見が議論の中でございました。
 総じて言いますと、雇用ということであまりにも大きすぎまして、十分に議論できたのかなというのは思っているところです。しかし、こういう結果でございますので、しっかりと受け止めてまたやっていかなければならないと思っております。
○小林委員 先ほども少し取り上げた雇用保険の部分については、持続可能性に配慮するというのは、確かにそのとおりだと思いますし、この部会で捉えるのであれば、この提言の下の4行というのは、重く受け止めて、今後も検討していただければなと思います。料率、給付のあり方等も考えていく必要があるのかなとは思いました。
○新谷委員 資料6で広域延長給付の支給状況を示していただきました。中でも被災3県の状況が報告されたわけでありまして、10月半ばに支給期間が満了する方々に対して、90日延長して、その最初のデータが上がってきたわけでありまして、やはり被災地での厳しさというのは、この数字にも出ているのではないかと思います。
 いま森山局長からの答弁にありましたように、能力開発事業とハローワークの連携強化が重要だと思っていまして、特に被災地ではこれから復興事業が高まってくる中で、いままでお持ちではなかったスキルを、どういうようにマッチングさせて就職につなげていくかということがあると思うのです。これは90日延長ということですので、残された期間はかなり厳しいわけですが、ハローワークとして良質な求人の開拓をするとともに、能力開発との連携を取っていただく。10月1日から求職者支援制度の施行に伴って、都道府県労働局の中に能力開発の部隊が現場に常駐するようになっていると思いますが、あの辺のマンパワーもかなり使いながら、うまくマッチングをしていただきたいと思います。
 年の瀬を迎えて、被災された方々がご家族で希望ある新年を迎えるためにも、就職を実現するというのは、是非強力に展開をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
○岩村委員 まず行政刷新会議の関係ですが、たまたま私も呼ばれていたものですから、少し話を聞いていまして、専門家の方もいらっしゃるのですが、どちらかというと非専門家の方が多い感じを受けて、その中で1時間ちょっとぐらいのところで、こういう大きな問題について施策を議論するという枠組みについては、本当にそれでいいのかなという感じを非常に強く持ちました。
例えばこの取りまとめの中では、雇用対策については、「毎年度すべての施策の効果検証を定量的に実施し、予算に厳格に反映させること」というとりまとめになっていて、これが本当に適切かという疑問は、非常に強く持ちます。もともと雇用対策というのは、例えば就職困難などを背景にしながら行われているので、当然のことながら、定量的にだけ計測するというのは非常に問題が多いのに、こういうとりまとめになっているということには、その妥当性に疑問を持ちますし、積立金のところは、労使双方ご意見がありますが、雇用保険の仕組みが持っている、特に積立金の役割について、十分に理解されているのかというのが、この表現は非常に気になるところです。そういう点でも、私としては非常に疑問のあるところかと思います。
 もう1つは、私が出ていたときなのですが、たぶん中身からすると雇用の問題を議論していたときだと思うのですが、それについての話だと思いますが、某政治家と、厚生労働省と非常にかかわりの近い某政治家が裏で聞いていて、事務局の答えが、「審議会のご意見を聞いて」というように、審議会に逃げ込むと、非常に怪しからんと。「怪しからん」というのは私自身の表現なので、当日そういう表現をしたことはないということはお断りしておきますが、その趣旨のような発言があって、ほかの審議会と、特に労働政策審議会と性格が違うということが、どうも理解されていないということについて、そこは非常に懸念を持ちました。
 これは労働政策審議会のほうの本審でも、取り上げるべきことなのかもしれませんが、事務局におかれても、特に関係の深い政治家の方には、十分労働政策審議会というものが持っている役割というのをご説明いただく必要があるかなと思いました。特に、一定の法律事項については、労働政策審議会の意見を聞くということが法律上も明記されているので、その点もひょっとするとご存じでないのではないかという気もいたしましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、求職者支援制度の話も少し出たりしていましたが、とりわけ今日名前の出てきた広域延長給付のところでも名前が上がっている、岩手県、宮城県、福島県などは、是非、地方の労働局の情報も積極的に吸い上げていただいて、事務局でも、より効果的な対策を実施できるようにしていただければと思います。たまたま私の聞いた話では、例えば求職者支援制度で提供している訓練が地元のいまのニーズとの間で、ミスマッチの部分があるという情報も聞いていますので、そういった情報も入手されているとは思いますが、活用されて、できるだけ被災地域において、求職者支援制度その他のものが有効に活用されて、何とか被災地の雇用に結び付くような形で事業展開が行われるようにご配慮いただければと思います。
○清家部会長 ほかにはよろしゅうございますか。本日は以上で終了いたします。次回は本日までの議論を踏まえまして、事務局に報告書の素案を準備していただくこととし、それを基に議論を進めてまいりたいと思います。なお、本日の署名委員は雇用主代表は小林委員、労働者代表は新谷委員にお願いいたします。委員の皆様には、お忙しい中どうもありがとうございました。次回以降の日程につきましては、事務局から改めて各委員にご連絡させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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