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2011年8月12日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第56回)議事録

○日時

平成23年8月12日(金)13:00~14:45


○場所

専用第21会議室


○出席者

   田村部会長、武見部会長代理、田宮委員、清水委員、岩渕委員、政安委員、中村委員、酒井委員、金倉委員、馬場委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 定刻になりましたので、ただいまから第56回独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日ご欠席の委員はおられません。岩渕委員が少し遅れてお見えになるということです。
 それでは、本日の議事等につきまして、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 まず、本日の議事についてですが、平成22年度の財務諸表に関する意見及び業務実績に関する総合評価と、昨年度をもって中期目標期間を終了しております国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所の最終評価につきまして、法人ごとにご審議をいただきたいと思います。なお、国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所につきましては、昨年度すでに暫定評価を行っていただいていると思いますが、それを踏まえて法人から報告された業務実績を基に、起草委員の皆様にまとめていただきました最終結果報告書(案)についてご審議をいただくという流れになります。なお、この最終評価結果につきましては、年度の実績評価と異なりまして、当部会のあと総会が8月31日に予定されておりますが、総会においてご審議をいただいて確定をするという手続になりますので、念のためご承知置きいただきたいと思います。
 続きまして審議の順番ですが、まず財務諸表に関する意見についてご審議いただきます。そのあと各法人の財務諸表に関する意見については、財務担当委員からご発言をいただき、それを踏まえご審議いただくという流れになります。なお、国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所につきましては、中期目標期間終了時における積立金等の承認に係る手続きの関係上、既に持ち回りで承認をいただいていますので、今回はご審議いただく対象とはなりませんが、財務担当委員からご報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に平成22年度の業務実績についてですが、前回までの個別評価の結果に基づいて、起草委員に起草いただいた総合評価書案について、法人ごとにご審議をいただくということになります。なお、これまで皆様に記入いただきました評定記入用紙、評価シート及び各委員の評定結果の一欄表をお手元に置かせていただいています。後ほど本日の審議等を踏まえまして、評定を確定いただく時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日は以上のような流れでご審議いただくことになります。また、部会の途中で法人及び所管課の入れ替えをさせていただきますので、よろしくお願いします。

○田村部会長
 ありがとうございました。審議に入ります前に、医薬基盤研究所より委員の皆様へご報告したい事項があるとのことですので、説明をお願いします。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 法人よりご説明させていただきます。本日参考資料として配付いたしましたパワーポイントの原稿をご覧ください。8月1日に個別評価をご審議いただいたわけですが、そのときにはまだわからなかったのですが、1つ目のパワーポイントの関係ですが、その後、私どもに内閣府のほうから連絡が入りまして、産学官連携で行っている、世界初の「甘草(カンゾウ)の人工水耕栽培システム」の開発につきましては、第9回産学官連携功労者表彰選考会におきまして、厚生労働大臣賞の受賞候補として決定したというご連絡をいただきましたので、一言ご報告させていただきます。
 また、受賞の候補者となった件とは全く別ですが、現在北陸地方の自治体の市長の方がこのシステムについて非常にご関心を寄せていただいておりまして、企業の方々に対する説明会をセットしていただきました。その結果、すでにこのシステムについての商談が数社と進んでおりまして、実用化を目指した橋渡し研究の典型的な成果の例ではないかと思っております。評価項目2、評価項目9の関係になります。
 その次のパワーポイントですが、ハトムギ新品種「北のはと」でございます。こちらにつきましては、前回ご指摘をいただきましたところ、ハトムギ新品種などの化粧品のみというようなものは、本研究所が目指すところとは違うのではないかというご指摘をいただきまして、私どもの資料や説明が不足していまして、誠に申し訳ございませんでした。ハトムギ新品種「北のはと」の効能効果としましては、皮膚疾患ですとか、利尿作用、消炎、排膿といったような効能効果がありまして、98%以上は生薬原料として利用されております。代表的な例としましては、漢方薬である薏苡仁湯などで使われておりまして、残りのものについて新しい商品開発ということで、医薬部外品、薬用化粧品ですが、こちらのほうで使っているものはあるということです。薬用化粧品というのは化粧品ではなくて、医薬品よりは作用は緩和であるけれども、効能効果があるものとして、薬事法上医薬部外品というカテゴリーで承認がなされているものです。そのようなものとしての開発をしたということです。お詫びをさせていただくとともに訂正をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、何かご質問等ございますか。
 それでは議事のほうに移らせていただきます。まずは総合評価書、財務諸表に関する意見の取りまとめにつきましては、委員の皆様におかれましては、お忙しい中ご尽力いただきまして誠にありがとうございました。初めに医薬基盤研究所について審議をいたします。財務諸表に関する意見についてです。財務諸表につきましては、独立行政法人通則法第38条に基づきまして、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で厚生労働大臣が承認することとされております。それでは、財務諸表につきまして、担当の委員である清水委員、岩渕委員から「意見書(案)」の内容も含め、簡潔にご説明をお願いします。まず清水委員からお願いします。

○清水委員
 限られた時間ではありましたが、いろいろヒアリング等させていただく中で、資料1-1に示されている案、財務諸表を承認するということに対して、特に問題ないと思いますので、そのように申し上げたいと思います。
 加えまして、ヒアリングの過程等で気づきました点を何点か述べさせていただきます。当研究所はご存じのように、複数の勘定から成り立っております。当期の財務業績につきましては、開発振興勘定では納付金が発生したことにより黒字になっております。研究振興勘定は委託費が先行するために、4億円近くの損失が計上されております。承継勘定のほうでは、運用収入ということで2,000万程度の当期利益が出ておりまして、最終的に黒字となっております。問題は研究振興勘定と承継勘定のほうですが、これは毎年ご報告させていただいていますように、繰越欠損金があるということです。すでに実用化研究振興支援事業については、新規事業廃止ということが決められておりまして、繰越欠損金の拡大防止のための措置は取られております。また、承継事業についても、かなりプログラムオフィサー等の緊密な連携によって収益拡大が図られていると認識しておりますが、収益見通しにつきましては、平成35年度までの見込みをいただいていますが、損益見通し、あるいは繰越欠損金の解消見込みということについては、明確に見通しが立っておりません。事業の性質上難しいということではありますが、先だっての審議で、不要資産の国庫納付というようなことが議論されたわけですが、その場でも承継勘定、融資と法人2社に対する出資が残っているだけなのですが、それを維持する上でも数十億の資金によるというような報告を受けております。そういったことから、コスト意識を持って、こういったところについての損益見通しを明確にしていただきたいと思っております。これが1点目です。
 2点目は、財務諸表に関することとしまして、22年度におきまして、経費の配分が見直されております。配分と申しますのは、研究業務費と一般管理費との間の配分ということです。これは自由にしていいものではなくて、実態に応じて免責であるとか人材などを基準に配付すべきものですが、22年度においてそれが見直された結果、かなり区分が変わっております。今回の変更は、より実態に応じた正しい訂正ということで判断させていただきましたが、例えば科研費の間接費収入が多いことによって、一般管理費を多くするような操作というのは認められないものだと思いますので、今後とも毎期の決算書作成の時点では、少なくともこの配分基準が適正であるかということを十分確認していただきたいと思っております。
 3点目ですが、知的財産権につきましては、個別に出願するかどうかということも含めて、法人として決定されているということではありますが、すでに取得した部分につきましても、政・独委の方針等を見ましても、保有し続けていくことが適切なのかどうかということも見直すべきだとされております。そういった意味では、単に保有する件数であるとか、あるいは出願数ということではなくて、そういった職務発明委員会において議論されて、どういう理由で出願する、あるいはしないということが決められたのかというような判断も非常に重要なものとなってきますので、そこのところの手続きを十分整備していただきたいと思っています。
 最後ですが、毎年これもご報告させていただいていることですが、人件費の水準についていろいろご説明を受けております。当年度も事務・技術職員につきましては、昨年の水準を上回っているということで、その理由についてもご報告いただいております。端的に言いますと、この理由としましては、出向者が調査対象であるということです。また頻繁な異動があるということです。そもそもこの出向者の給与が公務員であるから高いという理由は本当はおかしい話でして、民間ですと出向先の給与が払われるべきなのです。それが民間ではないから、独立行政法人という特殊な法人ですから、もともとの公務員の給与体系がそのまま支払われるということです。これが非公務員型にとって妥当な説明なのかということは、はなはだ疑問であると私は思っております。また、給与水準というよりも、私がいちばん問題だと思っておりますのは、頻繁な人事異動です。これについては、毎年評価させていただく私ども、おそらく8年ぐらいやらせていただいていると思うのですが、大体2年に1回ぐらい皆さん顔ぶれが変わるわけでして、またそのお願いとか必ずしも引き継ぎ等が十分行われていない部分もあって、数字の計算誤り、今回は計算はなかったわけですが、そういったことがあるわけです。また、監事さんのご指摘にもそういったことがあります。十分な長期的な改革として必要な取組みがされないというようなことがあります。また、職員のほうからそういった声もあるように思います。そういったことから、私としては頻繁な異動は望ましくないと申し上げたわけですが、そこまでの表現にはなっていませんが、十分そういったことも踏まえて、人事方針を明確にしていただきたいと感じております。以上4点申し上げました。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、岩渕委員からお願いいたします。

○岩渕委員
 人事のことについて少し補足したいと思います。ラスパイレス指数が事務系で110を超えている理由はいろいろ伺いましたが、それが妥当とは思えません。役人の論理でそれが妥当だとおっしゃるのでしたら、さらに言えば人件費を節約するために、非常勤の職員を増やしている。ところが非常勤の職員はラスパイレスにカウントされないので、どうしてもラスパイレスが高くなっているのだという、おかしな屁理屈みたいなことをおっしゃっていたように記憶しています。そのようなことは大変に問題だと思います。アンケートにもたくさん出てきていますが、人事で特に事務系がころころ変わる。そのことによって継続性が図られないというような、さまざまな問題点があるようですが、特にこの基盤研はいろいろな所に場所が分散しているということもあって、事務方の役割というのが結構大きいはずなのです。ところがその事務方がころころ変わって、引継ぎも、どの程度できているのかと思うようなアンケート結果も出てきております。そういう点でいうと、本来、政府に準ずる組織であれば、労働政策あるいは雇用政策についても、ある程度国民に判を押されるような雇用政策をやってもらいたいと思うのです。非常勤の職員を増やして、人件費を削っている。現実に、職員のアンケートを見ると、この人が非常勤かどうかもわかりませんが、1人でも食っていけない水準だという声も出てきているということで、いろいろな面で雇用政策、あるいは労働条件に問題があると思います。そういうことからいっても、ただ単に帳尻を合わせればいいということで、非常勤をどんどん増やしていくということが、果たしていいことかどうか、もう1回考え直していただきたい。特にこの組織のようにいろいろな寄せ集めがあって、しかも言い方は難しいのですが、本省からの天下り出向のような人たちがどんどん変わるという中で言えば、プロパーの事務がほしいというような声も出ていましたが、そういったような人たちがいないと、話が繋がらないというわけの分からない組織になっていくという恐れが非常に強いということですので、ただ単に経費を節減するために非常勤を増やすなどという考えを直して、研究所の将来にとってあるいは国民のための研究成果を上げるにはどういう措置が必要なのかということをもう1回考え直していただきたいと思います。
 もう1つは、この間ヒアリングでご注意申し上げたのですが、組織の予算規模が大きいということ、それから、複雑な費用項目も抱えている。さまざまなことがあるので、それこそ財務的なコンプライアンス、経費の管理もきちんとやっていただきたいと申し上げましたが、その点は先刻承知でしょうけれども、今後とも心してやっていただきたいと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました医薬基盤研究所の財務諸表につきまして、ご意見等ございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。お二人の委員からコメントいただきましたが、平成22年度の財務諸表に対する意見としては、資料1-1の案のとおり、修正意見はないようですので、これを取りまとめて厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。なお、ただ今の両委員からコメントがありました内容については、今後ご配慮いただきたいと思います。
 次に、医薬基盤研究所の総合評価について審議いたします。審議につきましては、まず事務局より、総合評価書案について、概要の説明をいただきまして、その上で起草委員から今回の総合評価についてコメントをいただき、その後ご審議をいただければと思います。では、事務局から総合評価書案の概要説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐 
 それでは資料1-2をご覧ください。平成22年度における医薬基盤研究所の業務実績について概要をご説明させていただきます。当研究所は、医薬品等の開発に資する共通的技術の開発を行う基盤的技術研究、研究に必要な生物資源の供給及び研究開発を行う生物資源研究、研究の委託、資金の提供、成果の普及を実施する研究開発振興の3つの事業を行うことで、製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、最新の生命科学の成果や最先端の技術を活用した画期的な医薬品等の研究開発を促進することを目的としております。なお、本年度は当法人の第2期中期目標期間の初年度の達成度についての評価となります。
 「(2)平成22年度の業務実績全般の評価」に移ります。こちらには特筆すべき取り組み、実績などを記載しています。全体としましては、「研究所の目的である画期的な医薬品等の開発支援に資するものであり、適切に業務を実施したと評価できる」としております。
 その具体的な取り組みとしまして、戦略的事業展開・成果の普及については、研究分野の重点化を推進するとともに、外部評価等で相対的に評価が高かったプロジェクトについて、研究資金の追加交付を行ったり、あるいは製薬産業・バイオベンチャー等の創薬活動を支援するために、世界最大規模の高品質毒性統合データベースや、創薬ターゲット候補絞り込み用統合データウエアハウスを開発し、公開したこと、また、講演会やシンポジウム、一般公開、査読付論文数、特許出願数のいずれも中期計画における目標を大幅に上回る成果を達成したことは、大いに評価できるとしております。
 共同研究の推進・研究環境の整備につきましては、漢方処方で頻繁に用いられるウラルカンゾウを対象として、閉鎖型植物工場用の水耕栽培システムを開発するとともに、東日本大震災で被災した研究機関の生物資源について、無料保護預かりを実施したことなどが大いに評価できるとしております。
 また、研究成果としては、ヒトiPS細胞由来の肝細胞を高効率に分化誘導する独自技術を開発し、ヒト初代培養肝細胞に匹敵する世界でもトップレベルの薬物代謝活性を有する人工肝細胞を作成したこと、さらにマウスiPS細胞から造血幹細胞、血液前駆細胞を誘導する独自技術の開発に成功したこと、ヒト間葉系幹細胞用の無血清培地を開発したこと、大規模高品質のトキシゴゲノミクスデータベースを開発し、有用な毒性予測システムを確立したこと、また、当該データベースを用いて、ヒトへの臨床応用が可能なバイオマーカーの発見に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは、大いに評価できるとしております。
 難病治療等に関する基盤的研究の分野におきましては、アルツハイマー病のサロゲートマーカー候補ペプチドの血液中での検出定量に成功したこと、創薬ターゲット候補の絞り込みを支援する統合データウエアハウスを開発、公開するとともに、当該システムを使用して、C型肝炎ウイルスのターゲット候補遺伝子の絞り込みに成功したこと、その瘍壊死因子とそのレセプターとの複合構造と活性化の様式を明らかにし、TMF変異体の取得に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは、大いに評価できるとしております。さらに、薬用植物につきましては、ウラルカンゾウの水耕栽培システムの開発や、高グリチルリチン含有の優良系統の育成と大量増殖法の確立に成功したことなども大いに評価できるとしております。
 次に「2.具体的な評価内容」に移りますが、まず、戦略的な事業展開につきましては、社会的ニーズや厚生労働省の政策課題を踏まえ、研究分野を次世代ワクチン対策、医薬品等の毒性等評価系構築、難病対策の3つに重点化していること、外部研究評価を活用した研究費の配分など、戦略的な事業運営を行っていること、世界最大規模の高品質毒性統合データベースや、創薬ターゲット候補絞り込み用統合データウエアハウスを開発し、公開していること、査読付き論文発表数が中期計画を大きく上回り、質的にも高い水準にあること、また、特許出願数が中期計画の半分以上を既に達成していることなど、数値的にも内容的にも高く評価できるとしております。
 また、適切な事業運営に向けた取り組みとしまして、コンプライアンスマニュアルや役職員行動規範、研究者行動規範を新たに設けたこと、業務改善目安箱の設置や人事評価活用などを通じて、業務改善、無駄削減といった取り組みを進めていることは評価できるとし、さらに運営評議会を公開で開催するなど、外部有識者による評価の実施、反映や情報公開の促進についても評価できるとしております。
 次に個別的な事項ですが、先ほどの業務実績全般の評価においても触れておりますが、まず基盤的技術研究としまして、3つの研究について挙げております。1点目は、次世代ワクチンの研究開発で、次世代インフルエンザ用の種ウイルスを作製、保存する新たな方法論を確立したこと、より高いワクチン効果が期待できるインフルエンザ用不活化全粒子ワクチンについて、経鼻接種により抗ウイルス交叉防御効果を実証したこと、また、産官学の連携により「次世代アジュバント研究会」を発足したことなどが高く評価できるとしております。
 2点目は医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究につきましては、すでに述べたとおり、iPS細胞由来肝細胞を効率よく分化誘導する独自技術を開発したこと、ヒト間葉系幹細胞の無血清培地条件を開発したこと、さらに高品質毒性データベースであるトキシゴゲノミクスデータベースを開発、公開したこと、そのデータベースを用いて、ヒトへの臨床応用が可能な安全性バイオマーカーの発見に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは高く評価できるとしております。また、トキシゴゲノミクス研究においては、平成22年度において、産官学連携功労者表彰を受賞しており、特筆に値するとし、今後の展開に期待したいとしております。
 3点目は難病治療等に関する基盤的研究ですが、すでに上述しているように、創薬ターゲット候補の絞り込みを支援する、統合データウエアハウスを開発、公開したこと、瘍壊死因子とそのレセプターとの複合構造と活性化様式を明らかにし、TNF変異体の取得に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは高く評価できるとしております。
 次に生物資源研究についてですが、難病・疾病資源研究では、ヒトiPS細胞を資源化する上で必要となる「ヒト幹細胞の未分化マーカー発現測定法」を開発したこと、ヒト組織の再生可能な永久保存法の開発に成功したことなどは評価できるとしております。また、薬用植物についてはすでに述べたとおり、多数の漢方製剤に用いられているウラルカンゾウについて、水耕栽培システムを開発したこと、高グリチルリチン含有の優良系統の育成と、大量増殖法の確立に成功したことなど、高く評価できるとしております。さらに、霊長類については、カニクイザル急性心筋梗塞モデルにおいて、テネイシンCの画像化に成功したこと、同じくカニクイザルを用いたウイルスの影響評価を実施したことなどは評価できるとしております。
 続いて、研究開発振興について、創薬等の研究に深い経験と知識を有するプログラムディレクター、プログラムオフィサーによる進捗管理や指導を行ったことにあり、治験段階まで進んだ研究プロジェクトも7件あったこと、また希少疾病用医薬品等開発振興事業については、プログラムオフィサーを活用した指導・助言を行うことによって、製造販売承認申請を支援したこと、さらに実用化研究支援事業及び承継事業については、プログラムオフィサーを有効に活用し、各研究プロジェクトの進捗管理や実地調査等を実施して、収益の最大化を目指した活動を進めていることは評価できるとしております。
 また、「(2)業務運営の効率化に関する措置について」ですが、理事長のトップマネジメントによる迅速な方針決定の下に、適切な業務運営が行われ、プロジェクトチーム制による機動的な研究体制の確保、人員配置が行われたこと、国家公務員の再就職ポストをすべて廃止したことなどは評価できるとしております。また、経費の節減等につきましては、一般管理費、事業費とも目標を大幅に上回る実績を上げており、また、総人件費改革についても目標を大きく上回る削減を達成しており評価できるとまとめております。
 続いて「(3)財務内容の改善について」ですが、開発振興勘定において、2億5,900万円の総利益が計上されているほか、研究振興勘定では、委託費の支出が先行することによる損失が計上されていること、また、承継勘定におきましては、余裕金の運用収益によって、2,100万円の総利益が計上されているとしております。さらに、経費の節減につきましては、一般管理費、事業費ともに大幅な削減を行い、特に一般管理費については、入札や科学研究補助金の間接費相当額の自己収入を充当したことによる削減によって、削減幅が大きくなっているとした上で、全体として中期計画を上回る成果を達成していると評価しています。
 続きまして「(4)その他業務運営に関する措置について」ですが、各種セミナーや研究発表会の積極的な実施や、適正な人事配置などは評価できるものの、平成22年度においては、各品目の研究業務費と一般管理費が配分の見直しを行ったことにより、計上額に大幅な変更が見られたことから、実態に応じた適切な変更であっても、期間比較が困難となると指摘した上で、今後は各期における経費配分が適正な根拠に基づいているかにつき、確認する必要があるとしております。
 続いて、「(5)評価委員会が適正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」ですが、まず「?財務状況について」、特に2つの勘定において繰越欠損金の回収や、新規発生の抑制のための努力は行っているものの、損益の見通しが立てられていないことから、繰越欠損金の解消の見通しを立てるよう努力すべきとの指摘がなされております。
 続きまして、「?保有資産の管理・運用について」は、事務・事業の見直し基本方針において措置すべきとされたものについては手続きが進められており、それ以外にも関係する土地の一部を売却するなどの措置が行われております。また、金融資産の運用方法については特に問題ないとした上で、特許権については出願しないことによって被る機会費用等について、どのように考慮するかという点についても、法人としての一定の方針を明確にすべきとした上で、すでに所有している財産についても、許諾にならなかった理由を分析するとともに、費用等の観点からも、今後維持していくかにつき検討するべきと指摘しております。
 続いて「?組織体制・人件費管理」につきましては、まず総人件費について中期計画で定める削減率を大きく上回っており評価できるとした上で、またラスパイレス指数につきましては、研究職員で92.2%、事務職員で113.2%となっており、人件費抑制のため非常勤職員の活用も行っており、常勤職員数が少数であることから、指数の変動が大きくなる傾向にもあるとしております。今後は長期的な視野に立って、業務を継続的に適切に遂行していくためにも、出向者の受入れやプロパー職員の育成方針を明確にすべきという指摘がなされております。
 続いて「?事業費の冗費の点検」につきましては、様々な努力を行っており、一定の効果が得られたものと評価し、また「?契約」につきましても契約監視委員会の実施などにより、契約に関する審査が適正に実施されていると書いてあります。
 また、「?内部統制について」は、組織運営の重要事項やミッション及びリスクについて理事長から直接、職員へ伝達されるなど、風通しの良い環境が確保されていると認められるとし、今後はさらに理事長によるトップマネジメント、監事、内部監査及びコンプライアンス委員会等による連携を密にし、内部統制の強化を図っていくことが重要と指摘しています。
 さらに「?事務事業の見直し等について」ですが、事務・事業の見直し基本方針で講ずべきとされたもの、行政刷新会議事業仕分け等で指摘された事項については、着実な取組みが認められるとしております。また、公益法人等との関係においても、関連法人との透明性を確保し、事業を実施していると認められるとしております。
 最後に、「?法人の監事との連携状況」及び「?国民からの意見募集について」は、いずれも着実に実施していると認められると記しています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、起草委員からコメントをいただきたいと思います。起草委員を代表し、金倉委員からコメントをお願いいたします。

○金倉委員
 先ほども述べられましたように、医薬基盤研究所の本来の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究並びに研究開発振興ということでございまして、この3事業をやることによりまして、当該研究所が製薬企業、あるいは大学に有益、友好的であって、橋渡しができて将来的に有効な医薬品等の研究開発に資する、そういう視点から当該研究所は評価すべきだと考えます。全般的には計画に基づいた成果が得られていると評価すべきと思います。全般的には個別項目に対する評価結果を委員の皆さんの平均点を見てみますと、S評価が3つ、A評価が12個、B評価が2個ということですので、ほぼ計画どおりに進行していると評価していいのではないかと思います。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました総合評価案につきましてご意見等ございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

○清水委員
 2点お願いしたいことがございます。いずれも10頁の「?内部統制について」のところです。今回、アンケートを実施していただいて、かなり有用な結果が得られたと思っております。?の第4パラグラフのところで「組織全体としてのリスク対応やモニタリングが有効に機能していると認められる」と書いてあるのですが、アンケートそのものが真実を表しているかどうかというのは別ですが、特にリスク対応については、総合的に見ると有効に機能しているとは言えない状態だったと思います。ですので、少なくともここは「努めているが、一層努力が必要」というような書きぶりにすべきだと思いますし、もう1つ付け加えていただきたいのは、内部統制の1つの構成要素である情報と伝達というのがあるのですが、要するにコミュニケーションですよね。先ほども岩渕委員がおっしゃったように、職員間、特に研究、事務の間のコミュニケーションは一層図っていく必要があると思います。それが法人のミッションを有効に、効率的に達成していく上でも絶対必要なことだと思いますので、ここは努力していただきたいということで、コミュニケーションという言葉を付け加えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、?のヒューマンサイエンス振興財団との共同事業で、対価に見合った収益を確保したということが書いてありますが、さらにその後、バンク機能の一元化ということが課題として残っておりますので、それに向けて改革を推進していくべきだということを一言加えたほうがいいと思います。

○田村部会長
 ただいまいただいた意見につきましていかがでしょうか。それでは、いまいただいたご意見をこの中に書き込むということでよろしいですか。
(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。ご指摘については評価書に盛り込むこととさせていただきたいと思います。ほかにご意見ございますか。それでは、この評価書につきましては、ただいまご指摘いただきました10頁の?の内部統制のところに、組織全体としてのリスク対応やモニタリングが有効に機能していくと認められることについては、さらに努めていただくというような趣旨の表現にするということですね。あともう1点追加することとしましては、職員間のコミュニケーションを図るべくその旨を記載すると。もう1つ、?の事務事業の見直し等のところで、バンク事業の一元化の文言を加えさせていただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 それでは、22年度の業務実績の評価結果といたしましては、先ほどいただいた意見を加えることによって、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表させていただきたいと思います。なお、その後、誤字脱字あるいは事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に一任させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 それではそのようにさせていただきたいと思います。では、最後に法人の理事長からコメントをいただきたいと思います。

○医薬基盤研究所理事長
 本日はお忙しいところこの研究所につきましてご議論いただきまして誠にありがとうございます。この研究所は第2期に入りまして、研究部門、生物資源部門ともにさらにクリアにしてまいりました。その点に関しましても、委員の先生方の評価は極めて温かい評価をいただいたと思っておりまして、感謝しております。それ以外に先ほど随分コメントいただきましたけれども、コメントに関しましては、持ち帰りまして改良すべく努力して、また来年度に備えたいと思います。今後とも皆様の温かいご支援とご助言をお願いいたします。どうもありがとうございました。

○田村部会長
ありがとうございました。それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評価の修正をしたい方は、ここで修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。なお、修正に当たりまして、事務局から留意事項があるということですので、お願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 前回までにご記入いただいております評定記入用紙及び評価シートを机上に置かせていただいております。本日の報告によって、個別評価の修正が必要となった場合につきましては、赤鉛筆で修正をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、修正のある箇所につきましては、付せんを貼っていただきたいと思いますので、併せてよろしくお願いいたします。それから、机上配付しております個別項目に関する評価結果の集計表につきましては、現時点でいただいている評定を「S」が5点、「A」が4点、「B」が3点、「C」が2点、「D」が1点ということで点数化したものとなっております。なお、委員名のほうは空欄としておりまして、各自にはご自分のお名前のみしかわからないようになっております。最後に、作業に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたいという場合につきましては、事務局のほうで多少用意がありますので、お申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。では、適宜修正等をお願いいたしますが、修正に当たって質問事項等がありましたら頂戴したいと思います。よろしいでしょうか。それでは5分ほどお時間を取らせていただきますので、評価シートの確認や修正をお願いいたします。

○田宮委員
 すみません。この2頁に「瘍壊死因子」となっているのが何カ所か出てきていまして、これは「腫瘍」ではないかと思います。腫瘍の「腫」が抜けているところがありますので、確認いただいたほうがいいかと思いますが、たぶん誤字だけだと思いますが。

○田村部会長
 ご確認いただいて、よろしければそのように直させていただきますが。よろしいですね。それでは、そのように修正させていただきます。何カ所かあるのですね。

○田宮委員
 そうですね。2カ所見つけましたが。2頁と5頁です。

○田村部会長
 皆さん確定されたということでよろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、医品基盤研究所の平成22年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。各評価書に別添として、評価シートの集約版が添付されておりますが、本日、評価の確認・修正を行っていただいたことによりまして、当部会全体としての「S」ないし「B」の評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正あるいは追加等がされた場合には、これらを反映した評価シート集約版を添付するということにさせていただきます。評価シートの集約版につきましては、「S」ないし「B」の評定が変更の際には、委員会全体との評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文章については私のほうにご一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 場合によっては、個別に各委員にご意見を伺うということも場合によってはさせていただくこともあるかもしれません。その際にはまたよろしくお願いいたします。それでは、ここで法人の入れ替えを行いまして、5分後に再開させていただきます。どうもありがとうございました。
(法人・所管課入れ替え)

?国立健康・栄養研究所

○田村部会長
 それでは国立健康・栄養研究所の審議を行います。財務緒表に関する意見についてですが、国立健康・栄養研究所については冒頭に事務局からご説明がありましたとおり、中期目標期間終了時における積立金等の承認に係る手続きのため、既に持ち回りで承認とさせていただいておりますので、審議の対象とはなりませんけれども、財務担当委員からのご意見について、ご報告をいただきたいと思います。
 最初に清水委員からお願いいたします。

○清水委員
 資料2-1で既に6月27日付けで財務緒表に関しては、承認することが適当であるという意見を出させていただいております。財務ヒアリング、あるいは評価の過程で気づいた点を数点申し上げたいと思います。総合評価書にも書いているわけですが、いくつかその事務・事業の見直しということで、独法の見直し方針で指摘されていることについて、積極的に改革に取り組んでいただきたいというように考えております。これらは独法化後の初代の理事長の元で比較的、積極的に拡大したような事業も含まれていると思うのですが、評価の議論の過程でも特に法人の本来の使命に重点を置いた研究分野というものがもっと明確にすべきというようなお話もあったかと思いますけれども、そういったことで本来の使命に沿ったところの重点的な研究というものを進めていただくのがよいのではないかというように思っております。
 その点で、受託研究収入が当初から比べ減少傾向にあるということが少し気になるところで、額的な目標については掲げておられませんが、次期の中期目標期間において、半分以上外部から獲得することを目標とされているということではありますけれども、適切な目標を設定していただいて、外部資金の獲得に注力していただきたいというように考えております。
 その他、知的財産権について方針を明らかにすべきであるとか、あるいは人事計画について出向者の受入れ方針についても明確にすべきというようなことは評価の段階でも申し上げたとおりです。それについて総合評価書のほうにも記述していただいております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続いて岩渕委員からお願いいたします。

○岩渕委員
 特にありません。

○田村部会長
 ただいまご報告をいただきましたほかに、国立健康・栄養研究所の財務緒表について、ご質問等がありましたら頂戴したいと思います。よろしいですか。
 それでは平成22年度の財務緒表についての報告は以上とさせていただきます。委員からのコメント等については、法人において今後ご配慮をいただきたいと思います。ありがとうございました。
 次に国立健康・栄養研究所の総合評価について審議を行います。まず事務局より、総合評価書(案)の概要説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは資料2-2を説明いたします。本評価について、平成22年度における業務実績について評価を行うものであり、第2期中期目標期間の最終年度となっています。まず評価の視点ですが、当該研究所について、国の機関から独立行政法人となった経緯等を踏まえ、第2期中期目標においては、第1期中期目標に引き続き、弾力的・効果的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上によって、国民の求める成果を得ることが強く求められているところであります。
 続いて、「(2)平成22年度業務実績全般の評価」に移ります。こちらには特筆すべき取組み、実績が記載されています。当研究所については、メタボリックシンドロームの予防をはじめとする、健康課題に取り組んでおり、行政ミッション等の主要な課題において目標を達成し、国の健康づくり施策に必要な実績を挙げていると認められるとしております。
 特に第2期中期計画においては、3つの重点調査研究課題を設定し、目標達成に向け調査研究を着実に進め、その成果として、主に国際学術誌への原著論文の発表や、国民に向けた情報提供など、計画を上回る顕著な実績を上げていることは高く評価するとしております。また、シンポジウムの開催等による国際協力や、海外からの研究者の受け入れの推進、更にホームページやニュースレターを通じた情報発信、また新たな取組みとして、フェイスブック型のシステムを立ち上げたことなどについても評価するとしております。特に東日本大震災に際して、災害時の健康・栄養に関する科学的根拠を踏まえた情報をいち早く適切に発信するなど、我が国唯一の公的研究機関としての責任と役割を果たしたことは大いに評価できるとしております。
 また業務運営について、中期計画の達成に向けて、効率化・合理化が図られ、定型的な業務の外部委託などの取組みなどによって、効率化が着実に推進しているとしております。これらを踏まえ全体として、法人として適正に業務を実施したと評価する一方、今後の改善と効率化を期待するものとして、まず重点調査研究の1つである「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」について、普及活動の成果を検証する方策を取り入れること。また若手研究者による創造的・萌芽的研究について、予算の削減により実施が見送られたことから、今後の進め方についての工夫、再構築が求められること。更に栄養情報担当者認定制度について、社会的認知度を向上させ、国民に役立つ制度とすること。また、第三者機関の移管については、既存の資格取得者に不安や混乱が生じることのないよう、今後の展開と方針を明らかにすること、などを挙げています。
 続いて、「2.具体的な評価内容」に移ります。まず「(1)業務運営の効率会に関する措置について」、運営評議会や各種委員会の開催によって、情報の共有化に努めていること。また重点調査研究やプロジェクトに必要な人材の配置を行うとともに、民間企業、大学等からの研究者の受入などによる、組織の活性化や人材育成に努めていること。人事の適正化に努めていることなどは評価できる、とした上で、フレックスタイムの活用については今後も推進していくことを期待するとしております。更に各プログラム・プロジェクトごとに内部評価、外部評価を実施し、その結果を予算配分や、人員配置に反映させていることが評価できるとした上で、予算の補正や人的資源等への反映に関する具体的な実践例について示すべきとしています。
 続いて「(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」は、まず「?研究に関する事項について」、3つの重点調査研究についてのコメントが記載されており、まず「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」において、治療等に成果を上げている点は評価できるとし、今後は人間ドッグ受診者を対象とした大規模コホート研究の継続にも期待したいとしております。また、「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」においては、講演会の開催等により国民の健康の維持・増進に努めたことは評価できるとし、今後は専門職等の実態とニーズを把握し、現場での活用の方法論に関する研究の充実が期待されるとしております。更に「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」では、健康食品中の抗酸化物質量が、野菜果物からの摂取される量の範囲内にあることを示した点は高く評価できるとした上で、また国民の関心が高い健康食品については、今後迅速なホームページの更新や科学的根拠のあるわかりやすいデータ提供を期待したいとしています。また、重点調査研究以外の調査研究について、予算の削減によって、若手研究者による創造的研究の実施が見送られたことについて、今後組織として調査研究の進め方に工夫と再構築が望まれるとしております。
 一方、食育推進基本計画に資する調査研究については、政策に直結する研究実績を上げており、高齢者介護に関する調査研究事業等も計画に沿った実績を上げているとしております。また研究成果としては、インパクトファクターの高い原著論文の採択など、質量ともに計画を大幅に上回っており、高い研究レベルが評価できるとしております。研究成果を広く社会に還元する取組みについても各種講演会やセミナー、施設見学の受入など、中期目標を達成していると評価できるものの、今後は中高生を対象とする広報にも力を入れること、また講習会等へ参加した者の意見なども活用していくことが望まれるとしています。
 次に「?法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項について」は、健康増進法に基づく調査分析業務について、効率的かつ適切な実施に向けて努力しているとし、社会的・行政ニーズへの対応としては、関係団体や行政機関等との意見交換、協力支援等によりニーズの把握や業務への反映に努めており評価できるとしております。また、国際協力等については、シンポジウムの実施や、若手研究員の受け入れなど、概ね中期計画に沿った実績を挙げているとし、特にWHO指定協力研究センターの設置に向けての申請は認定に向けての準備が整ったものとして評価できるとしております。また栄養情報担当者認定制度については、第三者機関への移管については、既存の資格取得者に不安や混乱が生じることのないよう、今後の展開と方針を明らかにすべきとしています。
 更に「?情報発信の推進」については、ホームページ等により、研究成果や情報を発信し、国民の健康の維持・増進に寄与しているとし、新たな情報発信として、「えいこみ」を立ち上げたことは評価できるとしております。更に東日本大震災に際し、災害時の健康・栄養に関する科学的根拠を踏まえた情報を適切に発信するなど、我が国唯一の公的研究機関としての責任と役割を果たしたことは高く評価できるとしております。
 続いて「(3)財務内容の改善等について」、次期中期目標期間において、研究資金の半分以上を外部から獲得することが目標として掲げられているところですが、「自己収入の拡大」を目指すべきであり、過去の実績も踏まえた適切な目標額を設定した上で、外部資金獲得に向けた更なる努力を期待するとしております。また知的財産権の活用については、目標を下回っており、今後研究成果を社会に還元するためにも、明確な方針を立て、それに沿った活用に努めるべきとしています。なお、経費の節減については、目標が達成されており評価できるとされております。
 続いて「(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委への評価の視点等への対応について」。まず「?財務状況について」は、積立金2億5,200万円を国庫納付しています。また、ラスパイレス指数について研究職員については昨年を下回ったものの、事務・技術職員は4年連続で上昇しており、特に国からの出向者の受入れについては、人件費の水準にも大きく影響をするとのことから、「職員の人事の適正化に関する事項」等において説明することも検討すべきとしています。一方総人件費については、中期目標等の削減率を達成しており評価できるとしております。
 続いて冗費については、消耗品にかかる経費や旅費の削減を実施するとともに、公用車を売却するなど評価できるとしております。また契約については事前、事後のチェック機能が確立していること、契約のほとんどが一般競争入札となっていることなど、努力認められるとしております。
 更に内部統制については、理事長が組織にとって重要な情報やミッション及びリスクについて適切に把握、分析するとともに、各研究プログラムリーダーへも周知徹底している点は評価できるとし、公的研究費の不正使用防止及び利益相反に関しても実施体制の整備を進めており、更に法人の役職員に対して、倫理規定を遵守させ、また、研究面での倫理的配慮にも努めており評価できるとしています。
 最後に事務事業の見直し等については、栄養情報担当者制度の移管に向けて今後の展開と方針を明らかにすること。また特別用途食品にかかる表示許可試験の手数料や、収去食品等の分析業務の標準化などの検討、調整を進めること、更にアジア・西太平洋地域において、中心的な役割を担っていくことを期待するとしております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは起草委員からコメントを頂戴したいと思います。起草委員を代表して武見部会長代理からよろしくお願いいたします。

○武見部会長代理
 いま事務局からご報告いただいたとおりですけれども、委員の皆様の業務実績評価、そのコメントに基づいて今のような内容にまとめさせていただきました。この研究所は健康と栄養ということがミッションになるわけですけれども、国民の生活に非常に直結する、ある意味では国民にとってもわかりやすい研究になっている研究所でありますし、そこが特徴でもあると同時に研究の成果を示す意味では難しさでもあるような気がいたします。そういう中で、いま報告にありましたように、22年度については十分な実績を出したというように全体として評価をしました。
 課題として3点、先ほど報告がありましたことについて、ちょっとだけ補足をしたいと思います。この評価結果で2頁に3点の課題が挙がっていますけれども、1つ目のところで、食事摂取基準に関する普及啓発活動の評価をというようなことが出ましたけれども、これは結局食事摂取基準の策定に関わる研究を進めるということは、この研究所の最も重要なミッションだと思います。それはこの普及啓発活動でどのようなことが課題になっているかということを明らかにすることが次の研究所としてやらなければいけない課題に繋がるわけで、そういう意味でこの評価をしっかりしていただきたいという意味だと理解しております。
 2つ目のところの予算等の関係での研究内容の変更があったというようなことに関しての課題が挙がっています。これは先ほど清水委員からも受託研究費のこととか、財務の面からも出たようなことで、こうしたことは社会の情勢とか、いろいろな中で当然変更が起きてくると思いますが、そうしたときに組織としていかに柔軟な対応ができるか、そういうようなことについて今後更に検討をしていただきたいというような要望だと思います。
 NR制度については、大きな方針の中で今後特に多くの方が資格を取得されている、その方たちに混乱が生じないように十分配慮して第三者機関への移管を進めていただきたいと思っております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告をいただきました総合評価書(案)について、ご意見等がありましたら頂戴したいと思います、いかがでしょうか。

○清水委員
 修正と言いますか、ちょっと質問ですけれど、7頁の?で内部統制について先ほどもちょっとコメントをさせていただいたのですが、法人からの説明では、やはり整備運用がきちんとされているというご説明を受けるわけですが、それが実態はどうかということでアンケートを実施していただいたわけですが、残念ながらこの研究所に関してはほとんど返ってこなかったというのが実態だと思います。これはどういう理由で、そもそも出した人数が少なかったということですか。非常に残念に思っているのですが。

○政策評価官室長補佐
 基本的には他の法人と同じように配布させていただいている状況ではあるのですが、今回この法人からは返ってきた回答がちょっと少なかったと、単純に実態としてそうだったという話だけです。

○清水委員
 遅れてきたということではなく、返ってきていないということですか。

○政策評価官室長補佐
 そうです。

○清水委員
 ということは、調査方法を考えないといけないことになろうかと、次年度以降になると思うのですが、その辺の実態も少人数の研究所とは言え、やはり調べる必要はあると思います。

○政策評価官室長補佐
 了解しました。次年度以降、工夫してご相談をさせていただきたいと思います。

○田村部会長
 今後はこれについて事務局のほうでもご検討いただきたいと思います。
 ほかに何かありますか。
 それではこの評価書(案)については、修正意見がないようですので、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委にお伝えするとともに、これを公表させていただきたいと思います。なお、このあと、誤字、脱字、あるいは事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私のほうにご一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それではそのように取り扱いをさせていただきます。
 最後に法人の理事長よりコメントをいただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 評価委員の先生方におかれましては、平成22年度の財務緒表に関する報告及び業務実績について、お取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。平成22年度は第2期中期目標、中期計画の最終年度であることを鑑みまして、私どもは目標達成に向けて、誠心誠意努力を重ねておりました。その結果先ほどのご報告にありますとおり、概ね目標を達成したという評価だと考えております。しかしながら、本日のご審議報告などを通じて、一部におきましては改善する点があるというご指摘ですので、今後はそのような点をしっかり把握しまして、研究所の改善に努めたいと思います。私どもの研究所のミッションは国民の健康の保持増進、公衆衛生の向上、食の安全安心、そしてQOLの向上ということです。そのミッションを忘れないようにして、今後いま第3期中期目標、中期計画が始まっておりますので、国民の幸福を全うするような形で私どもの研究所、所員一同頑張りたいと思いますので、今後とも評価委員の先生方におかれましては、ご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは現在までの意見、報告等を踏まえ、個別評定を修正したい方は、ここで5分ほど修正確定の時間を設けさせていただきたいと思いますので、修正等が必要な場合について、あるいは確定等をお願いできればと思います。
 よろしいですか。それではこれをもちまして、国立健康・栄養研究所の、平成22年度業務実績評価、及び財務緒表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、先ほどと同様に評価シートの集約版について、修正の必要があった場合の対応については私に一任させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 国立健康・栄養研究所の最終評価の審議に移らせていただきます。まず事務局から最終結果報告書(案)の内容説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 資料2-3について、当法人の第2期中期目標期間である平成18年度から平成22年度の全体の業務実績について最終評価を行うものとなります。「(1)評価の視点」は割愛させていただきたいと思います。
 続いて「(2)中期目標期間の業務実績全般の評価」について、まず効率的な業務運営への取組として、研究組織を部室制からプログラム-プロジェクト制へと改編したこと。またシステム最適化を推進したことが挙げられております。また、具体的な研究の成果として、?運動・身体活動による生活習慣病予防、運動と食事指導の併用効果について、介入の効果と限界を明らかにし、コホート研究による長期的効果検討の研究に着手したこと、?ヒトを対象とした栄養素摂取状況と生体指標及び健康状態の関連を検討することなどにより「日本人の食事摂取基準」の策定に大きく寄与したこと、?国民健康・栄養調査のデータの再解析から、生活習慣と健康指標の関連データを提示し、「健康日本21」の評価・検討に寄与したこと、などが挙げられるとし、これらの応用研究の基礎研究として、?高脂肪食負荷に伴うインスリン抵抗性の分子メカニズムの解明や、?脂肪肝発症のメカニズムとそれを予防する食品成分を明らかにしたこと、また?糖尿病感受性遺伝子についての研究から、個々人の糖尿病予防についてテーラーメイド予防に繋がる成果が得られたこと、最後に?運動が筋肉での脂質の代謝を促し、肥満や糖尿病を防ぐメカニズムを解明したこと等を挙げ、これらの生活習慣病の予防と国民の健康増進に繋がる多くの成果を挙げたことが大いに評価できるとしております。
 続いて学術的成果等の発信について、1点目は査読付き論文の発表数が中期目標を大きく上回ったのをはじめ、学会発表数やインパクトファクターにおいても独立行政法人の研究機関として極めて高い水準を維持していること。また2点目として、ホームページでの健康食品のデータベース作成と公開により、管理栄養士や栄養士等の専門職だけでなく、国民にも広く情報提供を行ったことを挙げています。更に3点目、国民健康・栄養調査や食事摂取基準についての普及啓発活動、セミナーやオープンハウスなどの企画を通じた研究所の紹介、研究成果の普及・啓発を行ってきたことを高く評価するとまとめております。また国民健康・栄養調査の集計業務を的確かつ迅速に遂行したこと。国民にとって関心の高い「健康食品」を対象にした食品成分の有効性評価について、食品安全委員会から評価が必要であるとされた大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールを初めとする各種成分の安全性評価を行い、食の安全・安心に寄与したことは評価に値するとしております。
 次に具体的な評価内容について、まず業務運営の効率化に関するものとして、先ほどの組織の改編のほか、フレックスタイム制の導入による働きやすい職場環境づくりや、業務の確実な遂行に向けた公募による研究員の採用や、外部評価等の実施と処遇への反映などの取組みに加え、経費節減については、一般管理費、事業費ともに計画を達成する実績を挙げていることを評価するとしています。一方ラスパイレス指数については、今後引き下げに向けて一層の努力が必要であると指摘されています。
 また「(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について」は、「?研究に関する事項」として、3つの重点調査研究課題を説明した上で、いずれの課題についても中期計画に沿った実績を上げており、評価できる旨、記載されています。
 更に重点調査研究以外の調査研究においても、健康・栄養に関する幅広い分野において、若手研究者による創造的研究を実施し、研究者育成にも寄与していると認められるものの、平成22年度においては予算の削減によって実施が見送られたことから、今後の調査研究の進め方についての工夫や再構築が望まれるとしております。
 更に食育部門については、中期計画を概ね達成していると評価できるものの、各自治体における食育施策の実施状況の評価・モニタリングなど、更なる充実が求められると指摘されています。
 次に「?法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項について」、まず、法律に基づく業務については、中期計画で示された集計及び分析報告機関について厳守しているなどを挙げており、効率的かつ適切な業務の実施に向けて、改善に努めてきたという点は評価できるとまとめています。またニーズへの対応の関係については、行政機関や関係団体との意見交換など、ニーズの把握、研究業務への反映に努めていることを評価するとし、国際協力等についても研究ネットワークの構築や、国際シンポジウムの開催など、積極的な活動を展開してきたことは評価できるとした上で、知的財産権の獲得については、中期目標達成の観点から、今後一層の努力が必要であるとしています。
 また最後に栄養情報担当者については、省内事業仕分けの結果を踏まえ、第三者への移管について、資格既取得者に不安や混乱が生じないよう、今後の方針と展開を明らかにすべきであるとしております。
 続いて「?情報発信の推進」に関しては、ホームページのアクセス数などを挙げ、中期目標、中期計画を上回る成果を挙げたことについて評価できるとしています。今後も国民の安全・安心の観点から常に再審の情報を発信し続けることが望まれるとしております。
 更に「(3)財務内容の改善について」、全体としては中期計画を上回る削減が達成されたと記載しています。また、人事については、人事評価制度を導入したこと、任期付研究員制度を活用し、適切な人事配置を行ったことなどを挙げ、人事にかかる処置が適正に行われたことが評価できるとしております。
 最後のその他では、セキュリティー対策について挙げており、適切な対応が講じられていることを記載しています。以上になります。

○田村部会長
 ありがとうございました。
 続きまして、国立健康・栄養研究所の起草委員を代表して、武見部会長代理からご報告をお願いいたします。

○武見部会長代理
 いまご報告いただいたとおりになりますけれども、国の中立性とか公平性を求められる国の研究機関だという中で、いまのような第2期の中期目標に十分達する活動をしたというように全体としては評価しております。この研究所の特徴、先ほども申し上げましたけれども、国民に非常に身近な健康・栄養、食べるということですが、そういうものを扱う所なので、そうした健康づくり、あるいは栄養政策に直結するような政策づくりに繋がる研究をやっていただく、及び基礎研究をやっていくと、それを非常に小規模な研究所でありますけれども、確実な実績を上げてきてくださっていると考えます。
 また同時に健康増進を法律に基づく業務というのがあるのも特徴の1つかと思います。特に国民健康調査は日本が世界に冠たる戦後からずっと一貫した重要なデータ、それの責任をもった集計と活用になっていただいているということについても、この5年間しっかりそこの業務をやっていただいたことは大いに評価できるのではないかと思っています。そして日本の国際貢献という意味で特にアジア諸国においての国際協力、国際貢献をなさったという点も、いまご報告のあったとおりかと思っております。
 最後に、先ほど22年度のところでコメントすべきだったと思うのですが、この研究所にとっては3月11日の東日本大震災があったことは非常に大きなことだったと考えております。実際22年度の業務の中でその対応をしっかり科学的根拠に基づいて国民に情報提供をしてくださった、非常に迅速な対応を取ったということは十分評価されているわけですが、ある意味では1期から2期の、この10年間というのは、国民に食べ物が十分にあって、インフラが整備されて、そういう中で健康という問題をどうしていくかというような形だったと思います。そういう意味では一部の地域、一部の国民については、そこがすべて根本から崩れたような状況がいま起きているわけで、そういう意見で、これからのこの評価ということではないのですが、そうしたことを今後の国立健康・栄養研究所としての調査研究にどう取り込んでいくのか。あるいは国民に対して何を貢献してくれるのか、そういうことが問われるのではないかと思っております。そうした意味で、この5年間の実績を踏まえた、更なる発展と充実を期待したいというように思っています。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました業務実績の説明、最終評価書(案)について、ご意見等がありましたら頂戴したいと思います。

○中村委員
 1頁の括弧のところで、文言だけですけれども、5行目の「同研究所の設立目的に照らし、どの程度寄与するものであったか」とあるのですが、この「寄与する」というのが、どうも意味が取りづらいので、どの程度達成状況であったかとか、何かふさわしい文言に変えたほうがいいのではないかと思います。

○田村部会長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○武見部会長代理
 そのようにさせていただきます。

○田村部会長
 それでは、いまご指摘いただいたことについて、表現の修正をさせていただきたいと思います。
 ほかに何かありますか。

○清水委員
 5頁の(3)の財務内容の改善等についてのところですが、内容的には先ほどの年度の評価のところとダブルわけですが、中期目標には第4の財務内容の改善に関する事項のところで最初に「外部資金の獲得」というのが出てくるのです。また「自己収入」というのが出てきます。これは全く触れられていませんので、ここでの、最初に経費節減のところはいいとしても、その次辺りに、外部資金、受託研究も含めて、その資金がどの程度であったのかという評価をまずしないといけないと思うのです。いま数字を持ち合わせていませんが、第1期の中期計画の目標期間に対してどうであったかということを本来書くべきだろうと思います。努力をしたことは認めるけれども、少なくともここのところ22年度は減少傾向にあったということは年度評価で報告があったとおりですし、そこのところは何らかのコメントをしなければいけないと思います。「自己収入」についてもやはり同じような記述はすべきだと思いますので、そこを検討していただきたいと思います。
 同じところの、「人事に関する事項については」という、人事評価制度のところが入っているのですが、中期目標にはその人件費のことについては言及されているものの、人事制度については、間接的には関係あるにしても、少し唐突な気がいたします。そういう意味では3頁の(1)の「業務運営の効率化」のところで人件費云々が出てきますけれども、そこに入れるか、あるいは5頁のいちばん最後の「その他」というところに入れるかしないと、ちょっとここで直接財務内容改善等には結びつかないように思いますので、そこの場所を検討すべきだと思いますので、よろしくお願いします。

○田村部会長
 2点のご指摘がありましたけれども、この点について、ご意見をいただきたいと思います。まず財務内容の改善等の中で、外部評価、あるいは自己収入について触れる必要があるのではないかというご指摘ですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。ではそれについて触れる文言を加えるということでよろしいでしょうか。
 2点目は人事評価制度の導入について、この場所としては適切ではないのではないかと。もっと然るべき場所に移したほうがいいのではないかというご指摘ですが、これについてはいかがでしょうか。よろしいですか、特にご意見がなければ、いまのご提案の方向で記載する場所をより適切な場所に移させていただくということで対応させていただきたいと思います。
 ほかに何かご意見等いかがでしょうか。
 それではご指摘いただいた3点について、この評価書(案)について修正を加えさせていただくということにさせていただきます。そのほかについては修正意見はないようですので、先ほどの件を修正するということで、中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)としては、8月31日に開催される総会に、修正した上でご報告させていただきたいと思います。
 なおこのあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私のほうで対応させていただくということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。それではそのような形で取り扱いさせていただきます。
 最後に法人の理事長からコメントを頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 評価委員の先生方におかれましては私ども国立健康・栄養研究所の第2期中期目標期間の業務実績について、評価をいただきまして誠にありがとうございます。また様々な角度から的確なご指摘、ご指導をいただきまして誠にありがとうございます。私ども健康・栄養研究所は第2期中期目標、中期計画を達成するために特に研究分野において3つの重点研究を中心に、それから健康増進法に規定された3つの業務と言いますか、健康・栄養調査、食事摂取基準の策定、健康食品に対する表示許可、あるいは収去試験等々について業務を行ってまいりました。それらに関しましても、適切なご指導、コメントをいただきましてありがとうございます。
 もう既に第3期の中期目標、中期計画は始まっておりますが、いま頂戴いたしました貴重なコメント、適切なご指導をここに命じまして、第3期中期目標、中期計画を遂行していきたいと存じます。私ども研究所といたしましては、中期目標、中期計画というのが大前提ではございますが、身体活動、運動、それから栄養、食品というのをキーワードにしまして、国民の健康に奉仕するという大きなビジョン、しっかりしたビジョンの元に、社会の公器である。あるいは社会の公僕であるということを自覚いたしまして、国民の付託に応え、行政の施策に沿うよう、あるいはニーズに沿うよう、そのようなミッションを効果的に遂行したいと考えております。そして透明性のある適切な運営、効率的な運営を心がけまして、国民の信頼共感を受ける独法を今後ともつくり上げていきたいと考えております。
 評価委員の先生方におかれましては、今後とも私ども研究所のご指導、ご鞭撻を是非お願いしたいと考えております。本日は誠にご審議ありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。
 それではここで法人所管課の入れ替えを行います。

(法人・所管課入れ替え)

○田村部会長
 それでは労働安全衛生総合研究所について、審議をさせていただきたいと思います。労働安全衛生総合研究所の財務諸表につきまして、国立健康・栄養研究所と同様、持ち回りで承認されていますので、審議の対象とはなりませんが、財務担当委員からご意見等について、ご報告をいただきたいと思います。まず清水委員からお願いします。

○清水委員
 既に6月27日付で、財務諸表に関しては承認すべきという意見を出させていただいております。その過程で、いろいろヒアリングさせていただいたこと、あるいはヒアリング後に、書類でやり取りさせていただいた過程で気づいた点について、述べさせていただきたいと思います。
 1つは何度も他の研究所でも申し上げたことですが、効率化係数に関してです。数値の計算の出し方が、まだ徹底されていないという所が、今年もありました。実はヒアリングの後、何度も書類をいただいているのですが、全て違った数字で、ようやく今日になって正しい数字が出てきたというような状況です。
 これが、先ほど申しましたような引き継ぎの悪さということもあるのかなと思っているわけですが、是非そこのところは、次期中期計画目標期間においては改善していただきたいと思っています。
 同じことではありますが、頻繁な人事異動ということも、1つの原因かと思いますので、そこのところは人事に関する計画等で、適正な出向者の受入方針というものを打ち出していただきたいと考えています。
 それから当法人は、従来に増して外部資金の獲得ということで、まず実績が見られるわけですが、特にNEDOからの受託研究収入という、金額が大きいものが出てきています。これについて、これまでは単年度での収入というものが、そのまま収益化されるというケースが多かったわけですが、複数年度にわたった研究ということについて、どういう形で収益化していくのかということについて、1つ会計上の問題点があります。
 研究所の方針としては、そこで買った固定資産の精算等もありますので、最終年度で一括して精算し、収益化するという方針でおられます。これはこれで正しい処理ではありますが、本来であれば進行管理を適切にすることによって、毎期、業績があった分だけ、進行した分だけ、収益化するという方法もあります。
 今後、そういった研究が増えてきますと、適切な収益化によって業績判断ができるような形のほうが望ましいと思いますので、そういったことについてもご検討をお願いしたいと思います。
 その他、細かいことですが、研究施設の設備といったものについて、有償貸与による自己収入の拡大に対する努力というのをされていまして、これについては評価されるところですが、いかんせん結果としては、あまり数字としては上がらなかったという実態があります。
 かつて研究所を拝見させていただいたときに、研究機器の稼働率がどうなっているのでしょうという質問をさせていただいたことがあるのですが、そういったことも把握していただくのも1つの方法かなと思います。是非、有効活用をお願いしたいと思っています。
 それから知的財産権については、これまでの実績を下回り、ゼロになったということですが、そういった低調になった理由を調査していただくとともに、政・独委のほうからも指摘がありました費用対効果ということを分析していただくことによって、今後、法人としてどのように有効かつ効果的、効率的に活用するのかという方針を定めていただきたいと考えています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは続きまして、岩渕委員からもお願いします。

○岩渕委員
 先ほどから出ている、人事の出向がコロコロ変わるという問題ですが、これはいわば一研究所の問題ではもちろんないし、一厚生労働省の問題でもなくて、公務員制度全体の大きな問題として存在するので、いちいち法人に対して厳しいことを言うのは忍びないのですが、ただし、これはいろいろな所から声を上げていかないと、なかなか改善されないということもありますので、今度の親委員会ですか、そこでも是非、取り上げていただきたいとは思っています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま報告されていました他に、労働安全衛生総合研究所の財務諸表についてご質問等がありましたら、頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、平成22年度の財務諸表についての報告は、以上ということにさせていただきます。いまご指摘をいただいたコメントがありますが、よろしくご配慮いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは総合評価についての審議に移らせていただきたいと思います。最初に事務局から総合評価書(案)の概要説明についてお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは資料3-2をご覧ください。まず本評価については、独立行政法人労働安全衛生総合研究所における中期目標の最終年度である平成22年度の業務実績について、評価を行うものになります。
 「(1)評価の視点」は割愛させていただきます。続いて「(2)平成22年度の業務実績全般の評価」について、述べさせていただきます。まず総務部門の一元化や、一体的な調査研究の推進など、2つの研究所の統合の効果が発揮されていること。また、経費節減についても高い実績を残していることを評価するとしています。
 また、労働現場のニーズ把握のための取り組みによって、ニーズを明確にし、研究活動を効果的に実施するとともに、その成果を活かして、基準の制定・改定へ貢献していることを評価するとしています。また、学会発表等も数値目標を大きく上回るなど、質量ともに高い研究成果を上げていること。また、研究成果の普及・活用が図られていることを高く評価するとしています。
 さらに重要なミッションである労働災害の原因の調査等についても、労働基準監督署等から高い評価を受けており、その実績と貢献について、特に評価するものとしています。さらに研究振興への貢献や、若手研究者の受入、育成についても評価するとした上で、これらから全体として労働安全衛生に関する質の高い研究を実施するとともに、その成果も広く普及させるなど、研究所の目的である職場における労働者の安全及び健康の確保に資するものとして、評価できるとしています。
 続いて「2.具体的な評価内容」に移ります。まず「(1)業務運営の効率化」として、総務部門を一元化したことや、PDCAサイクルが効果的に機能していること、また、公平かつ適正な評価の実施に務めていることは、評価できるとし、さらに経費節減の関係では、光熱水料の大幅な節減や、競争的資金・受託研究の合計額が過去最高額となる一方、科研費の獲得高が減少しており、戦略の再考が必要であると指摘されています。
 続いて「(2)国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項について」は、労働現場のニーズ把握のために、多様な取組みが行われていること。また、行政ニーズの把握にも努め、業務へ反映していることは評価できるとしています。
 また、行政のニーズを踏まえた研究の実施や、その成果の社会への還元についても評価できるものの、熱中症等や大震災についての取組みなど、今後の対応に期待したいと記載しています。
 さらに統合のシナジー効果がわかる取組みのスキームが提示されたことや、社会的に重要な研究が、学際的研究として展開されていることは評価できるとしています。
 また、研究項目の重点化については、目標を大幅に上回る実績は評価できるものの、基盤的研究が労働安全衛生上において、基盤技術に関するものであること等に鑑み、基盤的研究とプロジェクト研究のバランスを考慮すべきとしています。
 また、研究評価についても、内部評価、外部評価と適切に実施されており、予算や人事にも反映していることを評価するとしています。さらに学会発表等の促進として、論文発表数は目標を大きく上回り、11人もの研究員が、関連学会において奨励賞を受賞していることも高く評価できるとしています。今後は特に原著論文が具体的な施策に反映されているかといった貢献度を、データとして整備していくことを期待するものとしています。
 また、研究成果情報の発信については、ホームページへのアクセス件数が大幅に増加したこと、各種報告など情報提供においても前年度を大きく上回る実績となっていることは、高く評価するとしています。
 また、知的財産の活用促進として、特許取得のための支援体制の整備などは評価できるとしたものの、特許実施料はゼロとなり、低調であったことから、その理由の調査や、知的財産全般の費用対効果の分析などにより、今後の有効かつ効果的な活用方針を策定する必要があるとしています。
 また、労働災害の原因の調査等の実施については、労働基準監督署などから高く評価されているとし、将来的には成果の公開についても検討すべきとしています。さらに研究の振興については、研究の方向の提案や、学術誌の発行などの貢献があり、特に学術誌については、外国からの論文投稿が過半数を占め、我が国の労働安全衛生研究の水準の高さを示していると記載しています。
 また、他の研究機関との共同研究を進めていること、若手研究員等の派遣・受入数が目標値の4倍以上となっていることなど、研究協力を積極的に推進しており、評価できるとしています。さらに厳正な研究倫理の審査や、コンプライアンス状況の把握など、公正で的確な業務の運営にも努めているとしています。
 次に「(3)財務内容の改善」に関してですが、大型プロジェクトの受託研究の獲得により、運営費交付金以外の収入が増加し、大幅な当期総利益を計上したことは評価できるとする一方、受託研究費の収益化の基準を適切に定め、その努力を研究所に還元することが望ましいと指摘しています。しかしながら競争的資金は昨年より減少していることから、資金獲得に向けた努力も必要と記載しています。
 続きまして、「(4)その他業務運営に関する事項について」は、人材活用について多様な取り組みを実施するとともに、常勤職員のスリム化を達成しつつ、業務の効率化にかかる施策を実施していることは、評価できるとしています。
 続いて「(5)評価委員会が厳正に評価する事項、及び政・独委の評価の視点等への対応について」は、財務状況として過年度に蓄積した積立金を国庫納付することや、事務・技術職員のラスパイレス指数が過去3年間上昇し続けていること等を踏まえ、長期的な視野での人事計画、出向者の受入方針を明確にする必要があると指摘しています。
 また、事業費における冗費については、一般競争入札による調達の徹底などにより、経費節減を実施していること。また、契約についても一般競争入札が進んでいること。さらに内部統制として、研究業務の評価の実施や、研究倫理及び利益相反の管理のための厳格な審査が実施されていることなどが記載されています。
 また、事務事業の見直しについては、受託研究収入の収益化等のルールを明確化すること。自己収入の拡大を目指す上で、外部資金の比率のみならず、過去の実績を踏まえた適切な目標額を設定する必要があるとしています。
 さらに研究施設・設備の有償貸与等による、自己収入の拡大に対する努力は評価できるとし、今後もPR等によって有効活用を推進していく必要があると指摘しています。以上になります。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、起草委員を代表して私から報告をさせていただきたいと思います。労働安全衛生総合研究所は平成18年4月に産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合して発足し、昨年度は中期目標期間の最終年度に当たります。平成22年度の評価は中期目標期間の最終年度の達成度を評価するということになるわけです。
 評価結果ですが、先ほどご説明いただいたとおり、総務部門の一元化、あるいは一体的な調査研究の推進、あるいは研究評価基準の統一等、統合効果を発揮され、そしてまた経費節減にも努められたという点については、素晴らしい実績ではなかったかと思っています。
 2点目ですが、労働現場や行政ニーズの把握に努めておられまして、それをもとにして、労働安全衛生に関する質の高い研究を実施したということについても、評価できるのではないかと思っていますし、さらにその成果や知見の普及に努め、また、国内外の基準制定や改定に貢献したこと。さらに労働災害の原因調査等の実施に当たり、高い実績を上げてきたこと等、研究所の目的である職場における労働者の安全及び健康の確保に資するものであり、高い水準で業務を実施したのではないかと評価しています。以上です。
 それでは、ただいま報告をいたしました総合評価書(案)について、ご意見等をいただければと思います。いかがでしょうか。

○清水委員
 7頁の?「内部統制について」という所があります。今回、先ほどの調査をしていただいたということがありますので、その結果を拝見しますと、やはり管理者と職員、あるいは研究職と事務職との間の、例えばリスクの洗い出しであるとか、コミュニケーションといったところが、今後もより努めていただきたいと感じるところです。
 したがいまして、より職員間のコミュニケーションに努めるべきことということは、一言入れるべきではないかと思いますので、ご検討をお願いします。

○田村部会長
 いかがでしょうか。いまご提案いただいた件について、よろしいでしょうか。
 それでは、この評価書(案)の中に、コミュニケーションについてさらに努めること、といったことについての文言を入れさせていただくことにしたいと思います。他にご意見等はありますか。
(異議なし)

○田村部会長
 それでは、ただいまいただいた意見を加えるということで、その他についての修正意見はないようですので、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委にお伝えするとともに、これを公表させていただきたいと思います。
 なお、この後の誤字脱字、あるいは事実誤認などによる修正が必要な場合の対応については、私にご一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございます。それでは、そのような取り扱いをさせていただきたいと思います。最後に法人の理事長より、コメントをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 理事長の前田です。本日は評価結果をいただきまして、まことにありがとうございました。評価というものは、評価を受ける我々も結構苦労したところでありますが、評価される先生方も、これは非常に大変な努力をされたのではなかろうかと想像しております。私どもも内部評価で、評価する側、される側、両方経験しておりますが、評価をするのも結構大変なことだと実感している次第であります。
 今回の評価では、我々としては比較的良い結果をいただいたと思っておりまして、それについては感謝を申し上げたいと思います。と言いつつ点数そのものには、あまりこだわりたくないとも思っております。言い換えますと、点取り虫的に、点を上げるための無益な努力をすることは避けたいと思っております。つまり、点数というのは単なる結果であって、それを高くするための、過程がいちばん重要であると考えているところであります。
  今回いただきましたいくつかのご指摘については、これから改善しなければならず、それについては努力してまいりたいと思いますので、今後ともご指導をよろしくお願いしまして、私の御挨拶といたします。ありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定を修正したい方は、ここで5分ほど評価シートの修正確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いします。
 それではこれをもちまして、労働安全衛生総合研究所の平成22年度業務実績評価、及び財務諸表に関する意見をとりまとめさせていただきたいと思います。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版については、修正の必要があった場合の対応については、恐れ入りますが私に一任させていただければと思います。よろしいでしょうか。よろしくお願いします。
 それでは次に労働安全衛生総合研究所の最終評価の審議に移らせていただきます。最初に事務局より、最終評価結果(案)の概要説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは資料3-3をご覧ください。本評価については、独立行政法人労働安全衛生総合研究所における中期目標期間の最終評価を行うものになります。1番の評価の視点は割愛させていただきます。
 2番の中期目標期間の業務実績全般の評価に移りたいと思います。全体としては、適正に業務を実施してきたと評価しています。まず業務運営の効率化については、2つの研究所の統合以降、調査研究業務の一体的推進が図られてきたこと。また、経費節減に関しては、一般管理費、業務経費、人件費、それぞれについて目標を上回る実績を上げていることを評価するとしています。
 また、研究業務の実施については、様々な機会を通じて、労働現場のニーズや行政ニーズを把握し、研究業務への反映を行うとともに、研究資源を重点的に投入することなどにより、高い研究成果を上げているとしています。さらに研究成果の普及活用については、関係法令等の改正や基準制定などにも活用され、行政ミッション型研究所としての貢献は高く評価できるとしています。
 また、労働災害の原因の調査等についても、迅速かつ的確に実施しており、報告についても各方面から高い評価を受けていること。また、今後の労働安全衛生の指針となる課題の策定や、シンポジウムの開催など、労働安全衛生分野の研究振興への貢献も、高く評価するとしています。
 以上により、平成18年の研究所の統合以来、一体的な業務運営体制の構築に積極的に取り組みつつ、業務運営の効率化を図るとともに、調査研究及び労働災害の原因調査等を適切に実施し、さらに我が国における今後の労働安全衛生研究の指針の策定を行うなど、行政ミッション型研究所として高い水準の実績と成果を上げているものと、高く評価しています。
 続きまして、具体的な評価内容について、業務運営の効率化に関するものとして、部の一元化や総務部の人員の削減、諸会議の設置や見直しなど、理事長のリーダーシップの下に、調査研究業務の一体的推進が的確に図られてきたこと。また、内部進行管理の充実については、統一基準によって、研究の事前・中間・事後評価等を行うとともに、研究の進行管理について、日常的にモニタリングを実施し、定期的に報告・検証を行っていること。さらに評価結果については、予算配分、人事等にも反映するなど、適切に機能していることを評価するとしています。
 経費の節減については、一般管理費、業務経費、人件費、いずれも目標を上回る実績を上げていること。大型の受託研究の獲得によって、競争的資金・受託研究費の合計が過去最高額を更新したことは高く評価できるとする一方、科研費の獲得高が減っていることから、戦略の練り直しが必要であるとの指摘がなされています。
 次に国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項については、労働安全衛生重点研究推進協議会を発足し、研究ニーズを収集するとともに、今後10年間の重点研究領域や優先課題をとりまとめたこと。また、シンポジウムや意見交換会の実施などによって、労働現場のニーズ把握に努めるとともに、行政ニーズの把握と業務への反映など、成果が認められるとし、今後も現場のニーズや、労働災害の発生状況、要因等の的確な把握、業務への反映の充実を期待するとしています。
 研究の実施については、行政ニーズ、社会的ニーズに対応した研究を新たに実施し、重点的に資金や研究要員を投入するなど、高い研究成果を上げていることを評価する一方、基盤的研究の位置づけについて、将来に向けての創造的、萌芽的研究としての戦略的バランスが示されることを期待するとし、今後の課題として、熱中症等へ取り組むこと、社会的関心の高い大震災について、的確な対応を行うことを期待するとしています。
 また、研究項目については重点化を図っているものの、将来的に必要となる研究を見据えた上で、ニーズ等の十分な検討が必要であること。研究評価については、全研究課題について内部評価を行うとともに、一部については外部専門家による評価を実施しており、研究の進行管理や、研究計画の見直しなどにも反映していることは評価できるとしています。
 さらに研究成果の普及・活用として、調査や研究で得られた科学的知見を、関係法令等の改正や、基準制定などに活用していること。また、学会発表、論文発表数が目標を上回っていることは評価できるとしています。さらにインターネットや学術誌を通じた情報発信によって、ホームページへのアクセス件数も増加傾向にあることも評価できるとしています。
 続いて、労働災害の原因の調査等については、迅速・的確に実施しており、その報告についても高い評価を受けており、本研究所独自の事業として実績及び貢献を高く評価するとしています。
 また、今後の労働安全衛生研究の指針となる、研究領域、課題の策定を行っている他、シンポジウムの開催や学術誌の発行等、研究の振興に貢献していることも高く評価するとしています。特に国際学術誌「Industrial Health」については、投稿論文数が年々増加するとともに、インパクトファクターも高い水準を維持するなど、その成果についても高く評価できるとしています。国内外から多くの若手研究者等を受け入れて研究指導を行うなど、労働安全衛生分野における研究協力の促進、若手研究者の育成への貢献は、高く評価できるとしています。
 また、今後は研究所としての研究展開の将来ビジョンに対応した、戦略的な研究協力のあり方についても検討した上で、他の研究機関等との共同研究の実施、連携の強化に積極的に取り組むことを期待するとしています。
 財務内容の改善、その他業務運営に関する事項として、運営費交付金以外の収入が増加傾向にあることは評価できるとした上で、今後もさらに積極的に外部研究資金の獲得額向上に取り組むことを期待すると記載しています。
 人事に関しては、多くの応募者から資質の高い人材を採用できるよう、データベースへの登録や、採用活動の早期開始などに努めていることを評価するとしています。
 最後に職員の昇任等については、3段階による公平かつ適正な評価を実施しており、人事管理にも反映していることは評価するとしています。以上になります。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、起草委員を代表して私からご報告申し上げます。この労働安全衛生総合研究所の評価のポイントとしては、統合効果を発揮して、業務運営の効率化をいかに進めてきたか。あるいは産業安全及び労働衛生に関する調査研究の充実に努め、業務の質の向上、あるいは成果の社会への還元をいかに果たしてきたか。これが評価のポイントになるのではないかと思うのですが、評価結果としては、業務運営の効率化に関しては、理事長のリーダーシップの下で、総務部及び研究企画部の一元化、あるいは研究体制の見直し、あるいは研究評価基準や個人業績評価基準等の統一等、研究管理システムを構築してきたことによって、調査研究業務の一体的推進を図ってきた。そしてまた、経費の節減に努めてきた。これは、いい成果を上げてきたことではないかと思っています。
 2点目の業務の質の向上に関しては、労働現場や行政ニーズの把握に努め、そして労働安全衛生に関する、それをもとに質の高い研究を進めて、その成果や知見の普及に努め、また、国内外の基準の制定や改定にも貢献したこと。さらに労働災害の原因調査等の実施に、高い実績を上げてきたこと等々、我が国の労働安全衛生に関する行政ミッション型研究所として、高い水準の実績と成果を上げているのではないかと評価していただきました。以上です。

○田村部会長
 それでは、ただいまご報告しました最終評価案について、ご意見等がありましたらちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。

(異議なし)

○田村部会長
 それでは、修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)として、8月31日に開催される総会に報告したいと思います。なお、この後、誤字、脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、そのような取扱いをさせていただきます。最後に法人の理事長よりコメントをいただければと思います。よろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 中期目標期間中の評価をいただきました。先ほどの平成22年度の評価のときに申し上げたことと、重複する内容のことも多いのですが、概ね良好な評価をいただいたと思っております。しかし、我々自身としては、決して満足できるレベルではないと考えております。
 いろいろご指摘いただいたことは当然ですし、ご指摘いただかなかった点でも、これで100%満足できるものではないということは多々ございます。そのような点を改善して、既に始まっておりますが、次の5ヶ年間の新中期目標期間中において、良い成果を出して、国民の安全と健康、命を守ることに積極的に貢献できるように、研究を推進していきたいと考えています。本日はどうもありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。本日の議事は以上です。本日ご審議いただいた総合評価と、財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、法令に基づき、政・独委への通知及び公表の手続が行われることになります。
 なお、最終評価書(案)については、冒頭に事務局からご説明がありましたが、当部会の後、総会においてご審議いただいた上、確定の運びとなります。
 それでは事務局より連絡事項などがありましたら、ちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは今後の予定などについて、ご連絡をさせていただきます。まず、本日ご審議いただいた法人の総合評価書については、事務的に手続を進めさせていただきまして、後日、委員の皆様には確定したものをお送りさせていただきます。
 また、国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所の最終評価書については、総会で決定され次第、お送りしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 また、総会についてですが、今月の8月31日(水)、午後2時から専用21会議室で予定していますので、正委員の方におかれましては、ご出席をよろしくお願いします。
 なお、総会におきましては、本日ご審議いただいた国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所の最終評価(案)について、当部会での審議内容を部会長よりご報告をいただいた上で、改めてご審議いただくという流れになっています。総会メンバーの皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いします。
 最後に次回の調査研究部会については、年度末の開催を予定しています。日程や議題については、また改めてご連絡を差し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。以上になります。

○田村部会長
 ありがとうございました。

○清水委員
 申し訳ありません。記憶の新しいうちにお聞きしておきたいと思うのですが、今回、試行的に内部統制に関するアンケートを実施していただきましたよね。その結果は結構有用だったと思いますが、私たちがなかなか伺い知れないような実態がよくわかったと思うのですが、調査方法としては、こういうのでいいのかどうかということは、また考えていかなければいけないと思うのですが、申し訳ないのですけれど、回答者数はわかっているのですか。何人出していただいたのかというのはわからないのですけれど、研究所それぞれで要するに何人出していただいたかというのを教えていただけないでしょうか。

○事務局
 配付数を確認して、また後日ご連絡させていただきたいと思います。

○清水委員
 発送数ですね。

○事務局
 はい、発送数です。いまは手元にありませんので、確認して委員の皆様にご報告いたします。

○清水委員
 また次年度するかどうかは検討しなければいけないと思うのですが、それをいつか年度末にでも、今回はあまり時間的に余裕がなかったものですから、もう少し早めにする必要もあると思いますので、また検討する機会を設けていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○武見部会長代理
 いまのことに関して、配付数の決め方等を含めて教えていただけると、いいかなと思います。

○事務局
 前回の部会で全研究員にお送りさせていただくということで、ご了解いただきましたので、3法人ともすべての研究職員に配布させていただいております。

○政策評価官室長補佐
 具体的な数については確認して、またご連絡させていただきたいと思います。

○田村部会長
 確認した上で委員の方にご連絡いただけますでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 了解しました。

○田村部会長
 あと、もう1点。先ほど提案された課題として、来年度以降のことについては少し事務局のほうでも練っていただいて、今度の調査研究部会でもまたご意見をいただくということで、進めていけたらどうかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日は以上ということにさせていただきます。長時間にわたりご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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