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2011年8月1日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第55回)議事録

○日時

平成23年8月1日(月)15:00~17:15


○場所

専用第14会議室


○出席者

   田村部会長 岩渕委員 金倉委員 酒井委員 清水委員 田宮委員 中村委員 馬場委員 政安委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 定刻になりましたので、ただいまから「第55回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、武見委員がご欠席です。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおり、医薬基盤研究所の平成22年度業務実績に関する個別評価、不要財産の処分についての意見聴取を行います。議事に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 7月29日付けで事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。政策評価官の田原です。室長補佐の今泉です。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、医薬基盤研究所の個別評価に入ります。最初に、山西理事長からご挨拶と、平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○医薬基盤研究所理事長
 医薬基盤研究所の山西です。どうぞ、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、この研究所についての議論をいただき、誠にありがとうございます。医薬基盤研究所は第2期に入りまして、本年は第2期の1年目ということで、新しい研究も着実に進行しています。我々研究所の重点項目は、3つあります。これは、いずれも厚生労働行政に重要な研究項目に絞って、3つにいたしました。1つは、次世代ワクチンの研究。2つ目は、iPS細胞を用いた安全性評価による創薬応用の研究。3つ目は、難病治療のための研究といった3つの分野に重点化しまして、あまり大きい研究所ではありませんが、基盤研として第1期と同じように、小さいけれどもピカッと光るという研究所を目指して研究を行いつつあります。
 平成22年度の主な成果を、簡単にご紹介します。産学官連携功労者表彰の中の、日本学術会議会長賞を受賞しましたトキシコゲノミクスのプロジェクトですが、この毒性評価に関してデータベースを公開しました。主要製薬企業全13社と共同で進めた研究の成果を一般に公開することができまして、多くの研究者からもご活用いただいているところです。このことは、この基盤研の存在意義という意味からも、大きな成果につながったと思います。
 2つ目、バイオインフォマティクスのプロジェクトにおいては、創薬ターゲットの絞り込みを支援する統合データウェアハウス「Target Mine」を開発し、公開しました。このTarget Mineによる複数の候補遺伝子またはタンパク質から、創薬に関するものを客観的に絞り込む手法などが可能になり、基盤研としましても、例えば、C型肝炎ウイルスや難治性の呼吸器疾患などの実験データの解析に活用しているところです。これを公開しましたので、民間企業もこのTarget Mineを活用しまして、研究を進めていると聞き及んでいます。
 さらに、薬用植物資源研究センターにおいては、千葉大学と企業の鹿島建設(株)と共同で研究を進めた結果、ウラルカンゾウというものがあるのですが、これの水耕栽培のシステムの構築に成功しました。これは、各種マスコミにも取り上げられました。ウラルカンゾウは、多くの漢方薬に使われているにも関わらず、ほとんどは中国からの輸入に依存していまして、実用化がなされれば、本当に画期的な成果につながると期待しています。それ以外にも、たくさんの成果が出ていますが、詳しくはまたあとから説明いたします。
 これらの研究をさらに進めるために、独法評価委員会において、委員の皆さんから積極的なご助言、ご支援、ご協力をいただければと思っています。審議のほど、どうぞよろしくお願いします。

○田村部会長
 ありがとうございました。これからの進め方ですが、医薬基盤研究所の個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を行ってまいりたいと思います。まずグループ1は、「全体的事項関係」です。これは、評価項目の1から4に該当しますが、これについての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明10分、委員の評定と質疑15分の合計25分で行わせていただきます。それでは、法人からの説明をよろしくお願いします。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 それでは、医薬基盤研究所の平成22年度業務実績について、ご報告をさせていただきます。資料1-1をご覧ください。平成22年度業務実績評価シートです。主要な内容については、説明の資料として、資料1-5のパワーポイントの資料を用意していますので、こちらの資料により説明をさせていただきます。なお資料が大部なため、ところどころ割愛しながら説明したいと思います。
 資料1-5の冒頭、「目次」と書かれた頁をご覧ください。業務実績報告は5つのグループに分かれています。まず、医薬基盤研究所の事業体系図、次に業務運営に関する全般的事項でありますPart1、自ら実施する研究である「基盤的技術研究」、「生物資源研究」についてのPart2、外部の研究機関に対する支援を実施している「研究開発振興」についてのPart3、財務・業務運営についてのPart4の5つです。
 1頁の事業体系図について説明いたします。まず、基盤研のミッションについてです。基盤研は、大学などの基礎研究と企業の新薬開発などの間を結ぶ橋渡し研究を推進することをミッションとしています。この橋渡し研究を実施するにあたっては、複数の製品で活用できる共通の基盤的技術の開発を目指しており、安全性を確保しながら、難病患者さんなどの切実なご要望にお応えし、画期的な創薬などに向けた基盤的研究を実施しています。
 創薬などをめぐる現状と課題としては、他の産業分野とは全く異なっていまして、新薬開発には20年間の期間と巨額の投資が必要です。しかも、成功率は0.003%と極めて低いことが挙げられます。このように、創薬は最先端の知識と技術の結晶であり、先進国にしか実現できません。このような現状に鑑み、創薬に特化した公的研究機関としての医薬基盤研究所の存在意義があるわけです。このため基盤研では、中段に掲げています3つの業務、基盤的技術研究業務、生物資源研究業務、研究開発振興業務を実施するとともに、これらの業務を適切に運営するための組織・予算に関する事項を事業体系図に載せています。
 Part1の説明に移ります。3頁をご覧ください。Part1は、大きく分けて2つの事項からなっています。1.「戦略的な事業の展開」の項について説明します。このうち、評価項目1、「社会的なニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた戦略的事業展開」などの項については、4頁をご覧ください。本項の自己評定は「S」としています。これは、研究成果の公表、普及について、講演会やシンポジウム、一般公開、査読付き論文数、特許出願数のいずれも中期計画における目標を大幅に上回る成果を達成したこと。また、国の政策課題の解決と、製薬産業などの活性化を図るための基盤的技術研究を3事業へ重点化するとともに、生物資源研究の難病・疾患支援研究などへの研究分野の重点化を図ったほか、外部評価で相対的に評価が高かったプロジェクトについて、研究資金の追加交付を実施するなど、効率的な組織の再編を推進したこと。さらに、基盤的技術研究で得られた成果を広く社会に還元するとともに、製薬産業、バイオベンチャーなどにおける創薬研究を支援するため、世界最大規模の高品質毒性統合データベース(Open TG-GATEs)を開発し、公開をしましたほか、創薬ターゲット候補の絞り込みを支援する世界でも類を見ない統合データウェアハウス(Target Mine)を開発し、公開したことなど、中期計画を大幅に上回る成果を達成したことによるものです。
 5頁及び6頁をご覧ください。平成22年度には、スーパー特区の最大課題であります次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクトと、ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築について、研究の推進に取り組んだところです。
 7頁をご覧ください。研究業務の外部評価の実施については、業務運営全般についての提言を行う観点、研究所が自ら行う研究評価の観点、他の研究機関に対する資金配分機関としての評価の観点から、各種委員会などを設置し、それぞれのお立場から評価をいただいています。
 8頁をご覧ください。第2期中期計画の初年度であります平成22年度においては、基盤的技術研究の分野において、第1期中期計画期間で役割を終えた人工リンパ節の開発プロジェクトを改編し、新たにワクチン効果を高めるための免疫増強剤を開発するアジュバント開発プロジェクトを設置し、研究体制の充実を図っています。
 9頁をご覧ください。生物資源研究の分野においては、第1期中期計画期間で役割を終えました遺伝子バンクを改編し、新たに難病研究資源バンクを開始しています。
 10頁では、所内における研究情報の交換・共有を促進するため、各プロジェクトの研究成果の発表会などを実施し、研究連携に役立てています。所内の共同研究の例については、11頁をご覧ください。年々、所内共同研究が活発化されていまして、平成22年度は17件と、前年に比べて大幅に増加をしています。
 13頁をご覧ください。平成22年度には、研究成果を広く社会に還元し、製薬企業、バイオベンチャーなどの創薬研究を支援するため、官民共同プロジェクト「トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト」が作成しました約8億件の世界最大規模の毒性データベース、Open TG-GATEsを、当研究所のホームページ上に公開しています。このデータベースを用いることによって、遺伝子発現データ及び病理所見などのフェノタイプのデータを総合に関連付けて閲覧することが可能となります。 なお、今回公開しましたデータベースは、3月から連携で実施したトキシコゲノミクス研究についての成果で、平成22年6月、内閣府から日本学術会議会長賞が授与されています。
 また14頁では、製薬企業、バイオベンチャーなどに対して創薬ターゲット候補の絞り込みを支援する、世界でも類を見ない統合データウェアハウス、Target Mineを開発し、当研究所のホームページ上に公開しています。この統合データウェアハウスは、世界の主要な16のライフサイエンス関連データベースを統合することにより、既存の公共ツールでは行うことのできないタンパク質立体構造や、医薬品関係データ、転写因子とその作用遺伝子の関係などの情報の統合的検索を可能としています。
 16頁をご覧ください。一般公開・講演会の開催について、大阪本所の一般公開では、過去最高の958名の方が来場されており、大阪北部バイオクラスターの中核機関である当研究所のイベントとして定着しています。
 17頁をご覧ください。論文投稿・学会、シンポジウム等での発表、特許出願状況については、査読付論文は中期計画を大きく上回る135報、うち、論文の質の高さを表すインパクトファクター2以上の論文86報、学会発表425回、特許出願16件となっています。
 18頁をご覧ください。特許権の実用化を推進するため、ハトムギ新品種「北のはと」について、農協などの協力の下、10.2ヘクタールの生産栽培を実施し、過去最大となる24tの収穫をあげています。また、「北のはと」エキス配合の薬用化粧品が、本年4月から販売されています。
 次に評価項目2、「外部との交流と共同研究の推進?」などの項についてです。19頁をご覧ください。本項の自己評定は「S」としています。これは研究交流について、連携大学院の推進や研究分野の重点化、若手研究者の積極的な採用など、研究環境の整備を行ったこと。また、東日本大震災による被害を受けられた他の研究機関に対する社会的貢献として、生物資源バンク事業においては、細胞などの生物資源の無料保護預かりを実施したほか、ファンディング事業である基礎研究推進事業においても、委託研究費の繰越しを積極的に進めたこと。さらに、産学官共同研究の進捗における特筆すべき成果として、薬用植物資源研究センターにおいて産学官の連携を積極的に進め、閉鎖型植物工場において使用する画期的な水耕栽培システムの確立に成功するなど、目覚しい成果が上がっており、中期計画を大幅に上回って業務が進捗したことによるものです。
 20頁では、平成22年度の産学官共同研究の進捗における特筆すべき成果の報告となっています。昨年度は、産学官連携によるトキシコゲノミクス研究による成果として、内閣府から日本学術会議会長賞をいただきましたが、本年もそれに匹敵する成果が薬用植物研究分野において上がっています。薬用植物については、生物多様性条約の締結や、資源ナショナリズムの台頭により、従来大陸から容易に輸入できた薬用植物が輸入できにくくなっています。このため、漢方処方の7割程度に配合されていますウラルカンゾウについて、安価に国内製造できるようにするべく、当研究所の薬用植物資源研究センターでは、養液栽培のための装置、手法の開発に取り組んでいます。具体的には、当研究所の有する薬用植物の優良系統であるウラルカンゾウ苗と薬用植物の高度な組織培養技術を活用することにより、鹿島建設株式会社、千葉大学との間で産学官連携を積極的に進め、生薬原料としての品質を満たすウラルカンゾウを短期間に養液培養するという画期的な基盤的技術の確立に成功しました。これにより、閉鎖型植物工場において使用できる画期的な水耕栽培システムが確立したことになります。
 21頁は、全国の主要産学官の研究組織が参画して、免疫増強剤でありますアジュバントの研究開発を検討する次世代アジュバント研究会を、基盤研が中心となり設立しています。
 24頁をご覧ください。東日本大震災により被害を受けられた他の研究機関に対する社会的貢献として、バンク事業においては細胞などの生物資源の無料保護預かりを実施したほか、ファンディング事業においても委託研究費の繰越しを積極的に進めています。
 27頁をご覧ください。国の政策課題の解決を図るため、研究分野の重点化を図っています。基盤的技術研究については、次世代ワクチンの研究開発、医薬品等の毒性評価系構築に向けた基盤的研究、難病治療等に対する基盤的研究の3分野に重点化をしています。また生物資源研究については、難病・疾患資源研究などに組織の再編などを行っています。
 次に評価項目3、「コンプライアンス、倫理の保持等」の項についてです。28頁をご覧ください。本項の自己評定は「A」としています。これは、研究開発型の独立行政法人として、適切な事業運営を図るため、「コンプライアンス・マニュアル」、「役職員行動規範」、「研究者行動規範」などの策定、周知徹底を図るなど、研究活動に関連する不正行為の防止に取り組んだこと。「業務改善目安箱」の設置、人事評価の活動などを通じて、業務改善、無駄削減についての取組を積極的に進めており、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。
 次に評価項目4、「外部有識者による評価の実施・反映」などの項についてです。30頁をご覧ください。本項の自己評定は「A」としています。これは、学識経験者、難病患者団体代表者、医薬品健康被害代表者、契約企業代表者などから構成される「医薬基盤研究所運営評議会」を公開で開催し、前年度の業務実績、決算、平成22年度計画などについて審議をいただいたほか、第1期中期計画の研究成果などに基づき、研究プロジェクトの開発等について議論をいただき、国の政策課題の解決と製薬企業等の活性化を図るため、第2期中期計画の研究テーマを重点化するなど、業務の効率化、公平性、透明性の確保を行ったこと。また研究成果の外部評価を行うため、外部の有識者より構成される基盤的研究等外部評価委員会において、専門性の高い外部評価を実施し、ホームページ上で公表したこと。さらに、内部監査、外部監査結果のホームページでの公開や情報公開、研究費の適正使用に関する照会などに対して適切に対応できる体制の維持向上を行っており、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。Part1については、以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートに評定等の記入をお願いします。併せて質問等がありましたら、適宜発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○田宮委員
 パワーポイント資料の15頁にありました『サイエンス』の掲載に興味をもちまして、具体的にもう少し伺いたいと思います。『サイエンス』はやはりすばらしい雑誌ですが、どのようなことでどのように紹介されたのかを教えていただけますか。

○医薬基盤研究所理事長
 『サイエンス』の特集号に基盤研が紹介されまして、もちろん基盤研の内容はどういうことをしているかを喋りました。それから、先ほど説明がありました3つの大きなプロジェクト及び薬用植物等の成果を上げたものについて、英文で2頁にわたって紹介させていただきました。これは、インタビューに答えるという方式で紹介させていただきました。

○田宮委員
 特集というのは、何の特集だったのですか。

○医薬基盤研究所理事長
 これは大阪地区の特集だったのですが、それを『サイエンス』に載せるとサイエンスが言ってきまして、例えば大阪大学や国立循環器病研究センターなどを掲載した、大阪の特集号でした。

○田宮委員
 わかりました。ありがとうございました。

○田村部会長
 ほかにはいかがでしょうか。

○金倉委員
 27頁の3重点分野に絞り込んだという所で、次世代ワクチンと毒性等評価系構築に向けた幹細胞基盤研究と難治性疾患治療等の基盤研究となっていますが、この幹細胞基盤研究というのはiPSを主として指すのでしょうか。それとも、もっと広い幹細胞を指すのでしょうか。

○医薬基盤研究所理事長
 主として、iPSですね。我々は、そのiPSをどうするかということは、もちろん山中先生がされているので、もっと応用面でそういうファクターを使って分化させて、例えば既存するiPSからあるファクターを使って肝臓細胞に分化させると。それで、本当に肝臓細胞になっているかどうかをチェックして、それがこの毒性評価につながるかどうかを研究しているというところで、主にiPSです。

○金倉委員
 それは分化させてということになると、さまざまな幹細胞に分化させて評価をするということですか。

○医薬基盤研究所理事長
 肝臓細胞です。

○金倉委員
 肝臓細胞とは、へパトサイトですか。

○医薬基盤研究所理事長
 1例として、ヘパトサイトです。これから血液などもやっていきますが、まずはヘパトサイトに分化することができたということで、それが論文になっています。

○馬場委員
 具体的ないろいろなプロジェクトの成果が出てきて、また公開されたということで、大変評価をしているところです。特に、基盤研の毒性分野への貢献は非常に重要なものがあると思います。いままでのトキシコゲノミクスあるいはTarget Mineが公開されて、非常に評価も高いということですが、例えば今後の重点領域の2番の毒性評価系をさらに構築していくものとの、これまでの成果とリンクさせて、あるいはこれまでの成果をより伸ばしていくような計画はお持ちなのでしょうか。

○医薬基盤研究所理事長
 もちろんあります。先ほど肝臓細胞への分化という話をしましたが、我々はトキシコゲノミクスのデータベースがありますので、将来はこういう細胞を使ってどのような遺伝子の変動があるのかというのを見ていって、これはヒトの細胞ですから、それが肝臓だけではなくて、それ以外のものも分化できればやっていきたいと思っています。いまのところ、肝臓細胞が主な成果です。

○馬場委員
 もう1点は、製薬産業界の特に毒性に対する評価系の構築は非常に要望が強いと思うのですが、先ほど委員会等でいろいろ産業界の意見を汲み上げてと記載されていたのですが、製薬業界のこのトキシコの系統に対する期待度は大きいものがあると思うのですが、やはり共同で進んでいるという考えでいいのですか。

○医薬基盤研究所理事長
 私の知っている限りで、大きい所はこのデータベースを持って帰って、自分の所でも解析されているのですね。比較的大きくない所は、うちの研究所と一緒になって解析を進めていると聞いています。どのぐらい進んでいるか、なかなか製薬メーカーがオープンにしませんので、ただ有用であるということは聞こえてくるのですが、どれだけということはオープンにしていただけないことが残念です。

○田村部会長
 ほかにはいかがでしょうか。

○酒井委員
 29頁のパワーポイントで、コンプライアンスや倫理の保持のことがいわれています。この中で?の研究者の行動規範ということでいろいろ書かれているのですが、これを皆様方としては研究者1人ひとりに、この規範をしっかり守るために、どのような取組というか活動があるのでしょうか。2つ目は、先ほど運営評議会の話がありましたが、それを公開で行われているという公開の意味合なのですが、どういうことが公開、要は議事録が出されるとか、具体的にどういうことなのでしょうか。
 3つ目は、その下のホームページアクセスがすばらしい数を示しているのですが、昨年の12月に増えていますね。これは、何か特別な要因があったのでしょうか。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 まず1つ目のコンプライアンスについて、研究者行動規範の関係ですが、私どもの研究者に対して全員にメールでこのようなものができましたと。今回初めてできましたので、その周知をさせていただいています。また今年度からは、しっかりと教育訓練という形で、その内容については教えていこうと思っています。一般的な基準を作ったときの教育訓練の形ではやってはいますが、恒常的な形でやっていく必要があると思っています。
 2つ目の運営評議会については、この会議と同じで、どなたが来ていただいても結構ですということで、完全にオープンな形で公開していまして、ホームページ上で来ていただくことについても公募で行っています。また、私どもは大阪の辺ぴな所にあるものですから、公開するときには東京に参りまして、皆さんの便利がいいようにして、どなたでも意見を述べていただける形にしてやっています。
 3つ目のホームページのアクセス件数についてですが、12月についてはトップページの改修を行っていまして、ユーザーサイドから見たときに使いやすいようにメニュー改修、バナー、デザイン等のリニューアルを行っていまして、それの効果が上がったのではないかと考えています。

○清水委員
 1点目はお願いなのですが、説明いただく内容がたくさんあることもよくわかるのですが、ちょっと早口過ぎて、特に私は専門的なことはよくわからないので、こちらでお聞きして理解しようと思っていたら、ますます理解できなくなるような状況もありますので、もう少し落ち着いてお話いただければと思います。
 質問をさせていただきたいのですが、17頁に特許の出願のことが載っています。平成22年度に関しては16件出願したということで、これは評価できる事項だと思います。財務のほうの質問でもさせていただいているのですが、政・独委のほうの見るべきポイントとしても、やはり費用対効果の面について、かなり厳しい見方をすべきであるというようなコメントも出ています。出願料や維持にかかるコストを収入が大幅に下回っているわけで、その辺りのことを今後どうしていかれるのかをお伺いしたいと思います。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 知財の関係については、私どもでは職務発明委員会を常設していまして、費用対効果も含めてこちらで評価、検討を行う形にしています。特許出願を行うかどうかも含めて、こちらで議論をしています。費用対効果の検討に際しては、他社に特許を取られた場合に発生する研究への影響及び費用的なリスクに対する予防、並びに国外への知財の流出を防ぐという防御的な観点から、出願費用や維持費用のみでなく、これらの防御的な観点からも検討、評価を行っています。
 また特許出願については、多くの案件について厚生労働省のTLOの制度がありますので、私どもはこちらの制度を活用しています。私どもは、共同研究を行っているケースが非常に多いのですが、そのような場合には共同研究先の企業の方々に特許の諸費用の負担をお願いしています。今後も、その辺りの費用対効果なども含めて、しっかりと職務発明委員会などで議論をしていきたいと思っています。

○清水委員
 いろいろとそのようなお答えをいただいているのだと思うのですが、これまで50件出願したもののうち5件が保有数であるとか、先ほどの費用対効果の実質的な数字なども、資料としては残っているわけですね。見えない効果などについても、従来から取っておられるということでよろしいですか。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 はい、そうです。

○清水委員
 そういったことも一度見せていただきたいと思います。しかし、今後どうするかという問題もありますよね。ずっとそれを維持していくのかというようなこともあるかと思うのですが、それをどのように検討していくのですか。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 職務発明委員会の中で、いまご指摘を受けたような内容についても議論をいただくようなことになろうかと思います。基本的に発明の内容については、私どもは橋渡し研究をやっていますから、まさに契約メーカーさんにとって役に立つような研究をしていこうというようなことで、そこには原則として特許で固めていく必要があるのかなとは思っています。その辺りも含めて、今後議論を進めていきたいと思っています。

○清水委員
 その会議は、年に何回ぐらいあるのですか。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 定期的にやっているものではなくて、イレギュラーでやっています。発明が上がってきたときに開催をしています。

○清水委員
 それは、保有することについての見直しも含まれるはずだと思うのですが、新規だけではなくて、どうなのですか。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 基本的に保有することについては、保有していく方向でいままでは活動していました。ただ、いまご指摘をいただきましたので、そのような点についても今後考えていきたいと思います。

○清水委員
 それは、是非よろしくお願いします。もう1点教えていただきたいのですが、19頁の?にいろいろな施設があるということで、外部利用を推進されているという報告なのですが、有料のものと霊長類センターは外部利用収入がないとありますが、これはどのように区別されているのですか。利用収入のある、なしは。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 すみません、少々お時間を頂戴したいと思います。

○清水委員 
 では結構です。

○田村部会長
 では、後ほどお教えください。ほかにはよろしいですか。それでは、次にグループ2に移ります。グループ2は、「基盤的研究・生物資源研究関係」で、評価項目の5から10が該当します。これについての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明は25分、委員の評定と質疑15分の合計40分ということで進めてまいりたいと思います。それでは、法人からの説明をお願いします。できるだけわかりやすくお願いします。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 Part2は、基盤的技術研究と生物資源研究のご報告となっています。32頁をご覧ください。基盤的技術研究・生物資源研究とも3つの項目からなっています。
 まず、基盤的技術研究の評価項目5、(1)「次世代ワクチンの研究開発」の項についてですが、33頁をご覧ください。本項自己評定は「A」としています。これは、新型インフルエンザなどへの対応や、ワクチン・ラグの解消など、国の政策課題の解決のため「橋渡し研究」として、全144種類のA型インフルエンザライブラリーを用いて、次世代インフルエンザ用の種ウイルスを作製、保存する全く新しい方法論を確立しましたこと。インフルエンザ不活化全粒子ワクチンの経鼻ワクチンとしての評価、B-1細胞とT細胞の活性化に関する研究を行い、これらが鼻粘膜免疫アジュバントに必要な条件となっていることを解明したこと。産学官で連携した「次世代アジュバント研究会」の発足。アラムの自然免疫メカニズムの解明によるアジュバントの安全性の向上に寄与する研究の推進など、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。
 34頁をご覧ください。ここから37頁までが感染制御プロジェクトの研究成果です。このプロジェクトでは、34頁~35頁にお示ししているとおり、新興・再興感染症に対処するため、次世代ワクチンの開発に繋がる基盤研究を実施しており、予測できない新型インフルエンザの流行に即応できるワクチンなどの開発を目指しています。
 36頁では、北大の喜田教授らが公開している、全144種類のA型インフルエンザライブラリーがありまして、ここからH1-H15型の合計16株を取り出して、十分な増殖能を得られるかについて検討しています。その結果、全ての供試株について、18回培養細胞に継代させることにより、十分な増殖能を得るウイルスに変化することが確認されていまして、ワクチン用の種ウイルスとなり得ることが示唆されています。
 37頁では、粘膜アジュバント、免疫増強剤のことですが、これとの併用でしか交叉防御効果を示さないスプリットワクチンと、アジュバントが不要な不活化全粒子ワクチンの経鼻接種法を比較しております。その結果、不活化全粒子ワクチンの経鼻接種による抗ウイルス、抗防御効果を確認しています。
 38頁からは、免疫応答制御プロジェクトの研究成果となっています。このプロジェクトでは、自然抗体産生を増強するアジュバントの開発を目指しています。
 39頁では、B-1細胞を活性化するアジュバントのスクリーニング系として、B-1細胞の精製と試験管内での培養方法を検討しています。その結果、B-1細胞に経鼻ワクチンアジュバントである、poly(I:C)を加えると、IgM産生量の増加が確認されました。この系を用いてワクチンメーカー提供の候補物質13種類について評価を行い、うち3種類にIgM産生増強効果が見出されております。現在、特許出願準備中です。
 40頁からは、アジュバント開発プロジェクトの成果になっています。このプロジェクトでは、自然免疫を始めとする科学的エビデンスに基づいて、高い有効性と安全性を兼ね備えた新規アジュバントの開発を目指しています。
 41頁では、アラムがマクロファージを活性化し、好中球の遊走と細胞死を誘導し、細胞由来DNAを主成分とする網状物質を放出させることを明らかにしたことを報告しています。また、DNAがアラムのアジュバント効果、特にIgEの産生に重要で、アラムによるプロスタグランジンE2の産生機構と、アジュバント効果(Th2)への関与を明らかにしたことも報告しています。
 次に、評価項目6、(2)「医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究」の項についてです。42頁をご覧ください。本項の自己評定は「S」としています。これは、ES細胞、iPS細胞などの各種幹細胞の分化誘導系を利用し、医薬品等の毒性等評価系を構築するための「橋渡し研究」として、iPS細胞由来肝細胞を効率よく分化誘導する極めて画期的な独自技術の開発。マウスiPS細胞を用いた血液細胞の分化誘導を可能とする画期的な独自技術の開発。ヒト間葉系幹細胞の無血清培養条件の開発などの研究を推進し、中期計画を大幅に上回る数多くの画期的な成果を達成しています。
 また、世界最大規模、8億件の高品質の毒性データベースであるOpen TG-GATEsの公開や、そのデータベースとインフォマティクス技術を駆使して、9種類の安全性バイオマーカー候補を抽出するなど、中期計画を大幅に上回る画期的な成果を達成したことなどによるものです。なお、トキシコゲノミクス研究の成果については、平成22年6月、内閣府から、日本学術会議会長賞を授与されています。
 44頁は、幹細胞制御プロジェクトの成果になっています。このプロジェクトでは、幹細胞の分化誘導系を利用した生薬開発を目指し、非臨床での毒性評価に用いる、遺伝子導入技術の開発と、その応用研究などを実施しています。なお、このプロジェクトは、画期的な遺伝子導入発現機能技術の開発に関して、この分野で最も権威のある賞である、日本DDS学会永井賞を受賞しています。
 44頁は、ヒトiPS細胞及びヒトEPS細胞に対して、遺伝子導入効率を高めました改変型アデノウイルスベクターを用いて、肝臓発生に重要な3つの遺伝子、SOX17、HEX、HNF4αを順次導入することにより、薬物代謝酵素、薬物抱合酵素、薬物トランスポーターなどを発現する肝臓の細胞を分化誘導効率、8割以上という高効率で誘導することに成功しています。また、このヒトiPS細胞及びヒトES細胞由来の肝臓の細胞について、世界でトップレベルの薬物代謝活性を有した人工細胞であることが判明しています。具体的には、各種薬物による酵素誘導や代謝による毒性などの表現型も示し、薬物代謝活性のレベルは、ヒト初代培養肝細胞と匹敵するほどで、実際のin vitro薬物毒性スクリーニング系に応用できる可能性が強く示唆されています。現在、特許出願中です。この研究成果は、前述の日本DDS学会永井賞のほか、バイオフォーラム優秀発表者賞、幹細胞研究会優秀演題賞をそれぞれ受賞しています。
 45頁は、このヒトiPS細胞及びヒトES細胞由来の肝臓細胞が、肝毒性を呈する薬物に対して、正常に応答するかを確認しており、ヒト初代培養肝細胞と同様に、肝毒性を呈する薬物によって、細胞毒性を示すことを確認しています。このことも、細胞が実際のin vitro薬物毒性スクリーニング系に応用できる可能性が強く示唆されています。この研究成果については、前述の賞をそれぞれ受賞しています。
 46頁では、ヒトiPS細胞に対して、遺伝子導入効率を高めた改変型アデノウイルスベクターを用いて、HoxB4遺伝子を導入することにより、造血幹細胞、血液前駆細胞を含む未熟な血液細胞を効率よく分化誘導することに成功しています。これは、未だ作製されておりませんヒューマナイズドマウス、ヒト血液細胞を有したマウスですが、この作製に向けて大きな前進となり得る成果となっています。この研究成果は、日本薬学会近畿支部総会・大会奨励賞を受賞しております。
 47頁から、培養資源研究室の成果となっています。培養資源研究室は、この後ご説明いたします生物資源研究分野の1分野でもありますが、高度な細胞培養技術を有しているため、スーパー特区研究でありますヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築の分担研究を実施しておりまして、その研究成果を関連する本項でご報告するものです。このプロジェクトでは、薬物の有効性、毒性の評価系構築研究に資する細胞の培養環境の整備を目指した各種研究開発を実施しています。47頁では、既知の組成よりなる、ヒト間葉系幹細胞の無血清培地の開発に世界で初めて成功しています。
 48頁では、無フィーダー・無血清培養下で、成人皮膚繊維芽細胞よりヒトiPS細胞作製に成功しています。その際、細胞へのシアル酸の取り込みが認められておらず、世界初の報告となっています。この手法を用いることにより、新規有効性、毒性評価系において、正確にタンパクや糖鎖解析を行う培養環境が整備されたことになります。
 50頁からは、トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクトの研究成果になっています。
 51頁をご覧ください。このプロジェクトでは、主要製薬企業が全て参加している産学官共同研究事業として、医薬品安全性予測向上のための毒性学的ゲノム研究や、レギュラトリーサイエンスへの展開などに関する研究を進めています。このプロジェクトの成果については、先ほどからご紹介しているとおり、日本学術会議会長賞を受賞しています。さらに、平成22年度には、研究成果を広く社会に還元し、製薬企業、バイオベンチャーなどの創薬研究を支援するため、本プロジェクトが作成したOpen TG-GATEsを基盤研のホームページ上に公開したことは、先ほどご報告したとおりです。
 52頁をご覧ください。本プロジェクトでは、安全性バイオマーカーの探索に当たり、?~?までのカテゴリーに分けて研究を進めています。
 53頁では、平成22年度の業績をまとめています。平成22年度には、カテゴリー?の非臨床安全性バイオマーカー候補9種類、カテゴリー?の非臨床レベルでの応用が期待される安全性バイオマーカー6種類の特定に成功しています。詳細については、54頁をご覧ください。現在、特許出願中です。なお、この研究内容は、日本トキシコロジー学会田邊賞を受賞しています。
 次に評価項目7、(3)「難病治療等に関する基盤的研究」の項についてです。55頁をご覧ください。本項の自己評定は「S」としています。これは、難病などの分子病態解析と画期的診断法、治療法の開発に資するための「橋渡し研究」として、製薬企業4社などと共同して、世界でトップレベルの大規模プロテオーム解析を行い、SRM/MRM法を用いて従来の方法では微量すぎて検出不可能であるアルツハイマー病のサロゲードマーカー候補ペプチドの血液中での検出、定量に成功したこと。創薬ターゲット候補の絞り込みを支援する世界でも類を見ないシステムである「Target Mine」を開発、公開するとともに、当該システムを使用したC型肝炎ウイルスのターゲット候補遺伝子の絞り込みに成功いたしました。独自の抗体プロテオミクス技術により、同定した新規乳癌関連タンパク質、EphA10が、難治性のトリプルネガティブ乳癌に高頻度に発現していることを見出し、抗EphA10細胞外ドメインモノクローナル抗体の作成を試み、有望なクローンを得ることに成功したこと。腫瘍壊死とレセプターとの複合構造と活性化様式を世界に先駆けて明らかにし、TNF変異体ライブラリを作成。その中から、TNFR2指向性アゴニストとして有望なTNF変異体の取得に成功したこと。多発性硬化症に対して、抗IL-6抗体の効果があることを明らかにしたこと。現在、有効なバイオマーカーのない潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患のバイオマーカーとして、LRGという物質が有望であることを明らかにしたことなどの研究を積極的に推進して、中期計画を大幅に上回る数多くの画期的な研究成果を達成したことによるものです。
 56頁からは、プロテオームリサーチプロジェクトの成果となっています。このプロジェクトでは、製薬企業4社、大学、ナショナルセンター等と共同して、世界のトップレベルの大規模プロテオーム解析を行い、新しい治療法、病態、病気等を診断可能とする新規の難治性疾患関連タンパク質などの探索を進めています。
 57頁では、ヒト髄液中に確認されている、アルツハイマー病の新規バイオマーカー候補のペプチドを、よりサンプル採取の容易な血液中で検出できないかを検討しています。
 58頁では、大腸癌組織でのリン酸化プロテオーム解析を行い、創薬ターゲットとなるリン酸化酵素の絞り込みに応用できることを明らかにしています。
 59頁では、大腸癌組織膜タンパク質のプロテオーム解析を行い、大腸癌の新しい腫瘍マーカーの絞り込みに応用できることを明らかにしています。
 61頁からが、代謝疾患関連タンパク探索プロジェクトの成果になっています。このプロジェクトでは、糖・脂質代謝のシグナル伝達機構を解明して、新たな創薬の基盤技術の構築を目指して研究を進めています。
 62頁では、神経変性の悪化に関わる因子であるタンパク質リン酸化酵素SIK2のシグナル伝達機構を詳細に解析しています。また、SIK2の遺伝子を破壊したモデルマウスを用いて、脳梗塞後の神経変性における、SIK2阻害の重要性を証明しています。
 64頁からは、バイオインフォマティクスプロジェクトの研究成果となっています。このプロジェクトでは、疾患の分子機構の解明と新規の医薬品標的候補タンパク質の同定を目指して、バイオインフォマティクスの手法を用いたタンパク質の構造・機能や相互作用の予測・研究を進めています。
 65頁をご覧ください。本プロジェクトでは、既にPart1でご報告したとおり、平成22年度にはアカデミア、製薬企業、バイオベンチャーなどに対して、創薬ターゲット候補に絞り込む支援をするTarget Mineを開発し、当研究所のホームページ上に公開しています。このTarget Mineを用いて、複数の候補遺伝子、または候補物質から、任意の関連性、例えば特定の機能や疾患との関連性などですが、この関連性を有する遺伝子、またはタンパク質を客観的に絞り込む手法を開発しています。さらに、この手法をC型肝炎ウイルスHCVの新規ターゲット候補の同定解析に適用し、HCVの複製や放出にかかわる宿主側のタンパク質を同定することにより、これまで世界に知られていなかったターゲット候補遺伝子の絞り込みを行い、実験的な検証に成功するという画期的な成果を上げています。現在、特許出願中です。
 67頁からは、バイオ創薬プロジェクトの研究成果です。このプロジェクトでは、ファージ表面提示法という独自の創薬基盤技術を駆使して、疾患関連タンパク質の有効活用のための基盤技術の開発の研究を実施しています。この中で、抗体プロテオミクス技術の開発については、日本DDS学会永井賞を受賞しています。
 68頁では、乳癌細胞、特に難治性のトリプルネガティブ乳癌細胞に高頻度に共発現する、EphA10とリガンド分子EphrinA3/A4/A5が相互作用することで、増殖を促進している可能性を見出し、EphA10細胞外ドメインに対する抗体が乳癌細胞の増殖阻害活性を発揮することを明らかにしています。現在、特許出願中です。この研究内容については、日本がん転移学会ほかからさまざまな賞を受賞しています。
 69頁では、自己免疫疾患などの難病に対する新規治療法とDDSの確立を目的に、TNFのシグナルをレセプターサブタイプ特異的に阻害、または活性化し得る新規バイオ医薬品の開発を試みています。これまでの研究成果から、TNFR2の選択的な活性化が可能であれば、自己免疫疾患に対する治療戦略になり得ることが判明しておりますので、TNF変異体ライブラリの構築を図っています。
 70頁では、構築したTNF変異体ライブラリを用いて、TNFR1、および2の活性評価を実施し、TNFR2指向性アゴニストとして有望なTNF変異体の取得に世界で初めて成功しています。この研究成果については、国際サイトカイン学会2010 Milstein Awardを受賞しています。
 71頁からは、免液シグナルプロジェクトの研究成果となっています。このプロジェクトでは、サイトカインシグナル伝達制御因子SOCSという分子を用いた抗癌剤、難病治療薬等の開発に繋がる基盤研究を実施しています。
 72頁では、アデノウイルスベクターを用いて、SOCS-3を悪性胸膜中皮腫へ導入することにより、肺癌細胞の増殖が抑制されることを明らかにしています。
 73頁では、有効な活動性マーカーのない潰瘍性大腸炎の患者血清中において、LRG濃度は活動期で高値を示し、疾患活動性と強く相関することを明らかにしています。本件については、ヒトELISA Kitの開発を目指して、今月より東京医科歯科大学、大阪大学ほか、10施設と臨床試験を開始する予定となっています。
 74頁では、難治性の子宮内膜癌細胞の増殖をin vitro,in vivoで抑制する癌特異的膜タンパク質の発見をしています。
 75頁をご覧ください。生物資源研究事業の概要をお示ししています。76頁~93頁までは、生物資源研究のうち、評価項目8、(1)「難病・疾患資源研究」の項についてです。
 76頁をご覧ください。本項の自己評定は「A」としています。これは、培養細胞の収集数、細胞バンクの供給数、疾患モデル動物の開発数は、いずれも目標を上回る成果を達成していること。また、難病試料の収集については、10疾患80試料の収集の目標に対し、7疾患184試料の収集となっているものの、収集試料数では目標を大幅に上回って達成しており、総合的には目標を上回る成果を達成していると考えられること。難病研究資源の提供を行うための諸規定の整備を行い、安全な情報管理、保管、公開システムの構築を行ったこと。ヒトiPS細胞を資源化する上で、必要不可欠となる技術であるヒト幹細胞の未分化マーカー発現測定法を開発したこと。ヒト組織の生きたままの再生可能な永久保存法の開発に成功したことなど、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。
 78頁からは、難病研究資源バンクの成果です。
 79頁では、疾患関連バイオリソースのネットワークの整備を行っています。
 80頁では、難病資源の収集実績を記載しています。
 81頁からは、培養資源研究室、細胞バンクの研究成果となっています。
 81頁は、培養資源研究室の概要を記載しており、ヒト疾患由来である細胞資源の収集・資源化、培養供給、品質管理、情報管理を実施しています。
 82頁では、新規細胞資源の収集・資源化実績を記載しています。平成22年度末現在で、寄託細胞数は61株、資源化細胞数は70株で、年次目標数を大きく上回る成果を上げています。
 83頁は、汚染検査、ウイルス検査の実施状況などに関するものです。
 84頁は、培養細胞の提供実績をご報告しています。
 85頁は、マイコプラズマ汚染検査などの受託サービスや、東日本大震災対応としての細胞保護預かりなどに関するご報告です。
 86頁は、国際的にも問題視されている疾患研究用細胞のクロスコンタミネーション対応に関するご報告です。基盤研では、受託検査体制の整備や世界の細胞バンクに登録されている細胞のデータベースを整備し、検索サイトを公開しているほか、国際連携によるガイドライン策定に参画するなど、国内外の研究機関に対し幅広い支援を実施しています。
 87頁では、基盤的技術研究分野でご報告したスーパー特区研究である「ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築」の分担研究関係のご報告をしています。ヒトiPS細胞資源化の上で必要な技術であるヒト幹細胞の未分化マーカー発現測定法を開発しています。この方法は、免疫染色による定量的解析を可能とする世界初の技術で、フローサイトメトリーよりも正確性がかなり向上しています。
 89頁からは、疾患モデル小動物研究室の成果です。
 90頁では、実験小動物研究室における事業の紹介をしています。
 91頁では、小動物資源の収集、供給実績を報告しています。
 93頁では、ヒト組織の再生可能な永久保存法の開発に成功するという画期的な成果をご報告しています。
 次に評価項目9、(2)「薬用植物」の項についてです。94頁をご覧ください。この頁から103頁までが薬用植物資源研究センターの成果です。本項の自己評定を「S」としています。これは、薬用植物の保存、特許出願、新規活性化合物化学構造の解明、薬用植物の育成について、いずれも中期計画を大幅に上回る成果を達成したこと。また、我が国唯一のナショナルレファレンスセンターとして、薬用植物の収集、保存、維持、供給、品質管理に加え、それらに必要な技術や評価の研究を行い、学会、産業界などからも高く評価されていること。特に、多数の漢方製剤に用いられるウラルカンゾウに関しては、産学官連携により閉鎖型植物工場において使用する水耕栽培システムを開発したほか、高グリチルリチン含有の優良系統の育成と大量増殖法の確立に成功するなど、中期計画を大幅に上回る画期的な成果を達成したことによるものです。
 96頁をご覧ください。薬用植物資源研究センターは、薬用植物に関する我が国唯一のナショナルレファレンスセンターとして、各種事業を実施しています。同センターでは、数々の研究成果に対して、日本生薬学会学術貢献賞を受賞しています。
 97頁は、試料の収集状況についてのご報告です。
 98頁は、Part1でもご報告しましたが、「北のはと」の栽培実績についてのご報告です。
 99頁は、WHO指定、6大熱帯病の1つであるリーシュマニア症に対する治療薬の開発研究についてのご報告です。この研究は、南米など熱帯地方に広く分布する感染症であるリーシュマニア症に対し、創薬資源を分布域の植物に求めることで、安価で副作用の少ない治療薬の提供を目指すものです。平成22年度は、ソロモン産植物のスクリーニングですとか、ペルー産生薬に含まれる活性化合物の構造決定を実施しています。
 100頁は、閉鎖型植物工場での生産に適した有用植物、セリバオウレンの開発研究を推進していまして、ベルベリン生合性の鍵酵素遺伝子の導入を実施したところ、栽培19カ月において、導入遺伝子の発現量やベルベリン含量が増大することを確認しています。さらに、養液栽培を行ったセリバオウレンについては、日本産の市場品と同様の性状、TLC展開パターンを示しており、含有量も高く、養液栽培により、効率的に高品質なセリバオウレンを栽培できる可能性が示唆されています。
 101頁は、既にPart1でご報告した薬用植物閉鎖型植物工場での栽培研究に関するご報告です。薬用植物資源研究センターでは、生物多様性条約の締結や、資源ナショナリズムの対等に対処するために、漢方処方の7割程度に配合されるウラルカンゾウについて、安価に国内で生産できるようにするべく研究開発を進めています。具体的には、本センターに有する薬用植物の優良系統であるウラルカンゾウ苗と、薬用植物の高度な栽培培養技術を活用することにより、このような成果を為し遂げたということです。
 102頁は、薬用植物資源のより高度な活用を目指して、c-DNAライブラリーの構築をしているご報告です。
 評価項目10、(3)「霊長類」の項についてです。104頁をご覧ください。ここから113頁までが霊長類医科学研究センターの成果となっています。自己評価は「A」となっています。これは、我が国唯一の医学実験用霊長類センターとして、医科学研究用霊長類リソースの開発、収集、維持、品質管理、供給及びそれらに必要な技術や評価に関する研究を行い、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。
 105頁をご覧ください。霊長類医科学研究センターは、先ほどご紹介をしたようなことで研究を実施しています。
 107頁では、高品質カニクイザルの繁殖、育成、品質管理、供給を実施しておりまして、国際的にも貴重なSPF個体の生産推移などのデータについて示しています。
 108頁では、サルに移植可能な多能性幹細胞に関する研究として、雌のカニクイザルを用いて、単為発生胚胞の樹立、及び性状解析を行いました。その結果、雌性ゲノムを持つES細胞の樹立に成功しています。マウス以外では初めての成果です。これにより、完全に同一個体からES細胞とiPS細胞を樹立することが初めて可能となっています。
 109頁では、これまでに樹立したカニクイザル急性心筋梗塞モデルを用いて、新規診断バイオマーカーとしての可能性をみましたテネイシンCのイメージングを行いました。その結果、SPECTイメージングにおいて、血流の途絶えた虚血部位にテネインシCを画像化することに成功しています。世界初の発見です。
 110頁は、霊長類を用いたBSE発症リスク評価に関する研究の報告となっています。まず、カニクイザルよりも一般的なウシ海綿状脳症株継代接種により、再現性の高い早期BSE発症系モデルを確立しています。また、L型BSE株接種においては、早期発症が認められたMRI画像でも、著しい脳室拡大と脳萎縮が認められています。両株を用いたサルCJD感染モデルにおいて、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)ですが、及びsCJD病態解明の有用性が示唆されていまして、早期診断系確立および治療研究に非常に有用なモデルであると考えられています。
 111頁では、Traffic Jam仮設に基づいて、弧発性アルツハイマー病の病態機序の解明を実施しています。その結果、軸索輸送機能の低下が神経伝達物質の輸送を著しく停滞させ、アルツハイマー病変である神経突起の腫大化変性を招くことが明らかになりました。また、このことから、軸索輸送機能の低下がアミロイドベーターの毒性によらず、神経伝達機能を障害し、弧発性アルツハイマー病の直接的要因となる可能性が示唆されています。
 112頁では、妊娠カニクイザルを用いた風疹ワクチン胎児感染の検討を行っています。
 113頁では、カニクイザルを用いたサル免疫不全ウイルスの感受性評価を実施しています。Part2については、以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いします。併せて、質問等ありましたら、適宜ご発言いただきたいと思います。

○金倉委員
 だんだん早くなるのは致し方ほどコンテンツが豊富で、なかなか付いていくのも大変かもわかりません。まず、アジュバントについてお聞きしたいのですけれども、これは世界の中の日本の基盤研でのアジュバント研究の位置づけというのは、どういう状況なのかを教えていただきたいと思います。

○医薬基盤研究所理事長
 お答えしますけれども、ご存じのように、アジュバントというのは、日本は実際に1つしかなかったのですけれども、最近非常にいろいろな種類のアジュバントが開発されつつあります。ほとんど製薬メーカー等で開発されている。そのうちのいくつかは、基盤研とは言わないのですけれども、実は新しいアジュバント開発のためのプロジェクトを1年前から立ち上げまして、プロジェクトリーダーを募集して、公募して選びました。彼が随分アジュバントにかかわるいままでの成績を持っていますので、それが基盤研に来ましたので、基盤研も含めた共同研究でアジュバントの研究がいくつか開発されつつあります。少なくとも、日本の国内では、いちばんサイエンスも開発も進んでいると思います。そのため、研究会を作りますと、非常に多くの製薬メーカーから興味を示してこの協議会に入ってこられたというのが事実です。

○金倉委員
 それから、iPSからの肝細胞の毒性で多大な成果を上げられたということなのですが、これは正常肝細胞との異同というか、毒性試験では、やはりほぼ性状を反映していると考えてよろしいでしょうか。

○医薬基盤研究所理事長
 これは、これから評価する必要があると思うのです。このiPS細胞から肝臓細胞になったのは、本当に肝臓そのものであるかどうかという評価をする必要がありますけれども、マーカーはほとんど肝臓細胞のマーカーです。それともう1つ、人の肝臓細胞を培養して、前は毒性評価を実はやっていたんです。けれども、この肝臓細胞というのは、一定ではありません。もう1つは、入手することが非常に困難です。ということで、データがブレますので、メソッドが確立した上の話ですけれども、このiPS細胞を使うと、もっときちんとしたデータが出ると期待しています。

○金倉委員
 評価項目7を聞いていまして、大変すばらしい研究成果で、自己評価は「S」になっていて良いと思ったのですが、調べる順番が違ったりとか、スライドと違うので、ちょっとわかりにくかったなというのがあるので、もう少し整理して発表していただいたほうが助かったという印象です。

○田村部会長
 以後、よろしくお願いします。

○馬場委員
 最初に、例えば60頁の基盤研究の中からバイオマーカーの候補をいくつか抽出されてきているということで、その前の52頁にも、いわゆる非臨床がありますけれども、非臨床のレベルのバイオマーカーはそれはそれとして、実際、大腸癌とか、人を対象とした候補に関してこういうのが出てきた場合に、候補に終わらずに、これをいわゆる臨床的な診断試料のマーカーとして普遍化するという、そういった、例えば今後こういうのが出てきた、これをいろいろな医療機関等で、これの妥当性なり普遍化を進めていくという試みは考えておられるのですか。

○医薬基盤研究所理事長
 もちろん、考えておりまして、その一部は製薬メーカー等と共同でやって、これは治験に持っていってやる必要があります。ご存じのように、バイオマーカーは山ほど見つかるのです。そのうち、使えるのは本当の一部だと思うので、1つひとつ検証する必要があるのです。そのうち少なくとも1つは、治験まで試薬メーカー等と研究を進めて、持っていこうとしているところです。

○馬場委員
 是非、そういったことを書かれたほうが、自己評価書としては、非常にわかりやすいです。
 それともう1点、106頁の先ほどあった霊長類の医科学研究センターのミッションのお話です。ご承知のように、我が国でも各大学とか、理研もそうですけれども、霊長類の研究というのは、非常にやりにくくなっていますし、やはり片方はどうしても必要になってくると。それで、かなりいろいろなことをやっていられるのですが、例えば、この霊長類医科学研究センターというのは、我が国の各大学の霊長類の実験施設とか、そういったところの中核になって、1つのネットワークを作るというのは、そういう体制はまだできていなくて、今後どうするか、もし、その辺のことが何かあったら聞きたいのですけれども。

○医薬基盤研究所
 現実には、日本の霊長類の医科学研究によってされますけれども、毎年1回公募して、各大学の先生が我々のところでやっています。逆に、自分の施設にデータを持ち帰ってやる先生もいます。我々のところで、特に大学等々が多いのですけれども、学位を取られる方も毎年数名は必ず我々の所にいます。そのような形で、ほとんどいまサルを使っているところは、まず一回は我々のところと一緒にやっているかと思いますが。

○馬場委員
 そういう実践的な文で書かれたほうが、理解しやすいと思うのですけど。

○田村部会長
 他には質問、コメント等はありますでしょうか。

○医薬基盤研究所理事長
 申し訳ないのですが、時間が限られていて、なかなかご理解いただくのが難しいかもしれませんので、いくらでもご質問していただいたら簡単にはお答えすると思いますけど、どうしても盛りだくさんのことを説明する必要がこの会はありますので、誠に申し訳ありません。

○馬場委員
 いま、理事長が言われたことに関連して、これだけそれぞれの基盤研究等で、学術誌を見ましても非常にいい成果を出していると思うのですけれども、例えばミッションから考えて、「橋渡し研究」であるとか、本当に応用できる基盤技術等の開発というミッションと照らして、それぞれのこの研究というのは、ちょっとなじまないよねとか、そういったところの評価をして、変えていくというシステムはあるのでしょうか。その場合に、当然、研究者個人の好みとか、ギャップが出てきたりすると思うのですが。

○医薬基盤研究所理事長
 そういうギャップは、私はないと思います。先ほど冒頭でご挨拶申し上げたように、厚生労働の研究上、必ず重要なものをピックアップしていまして、実は第1期は若干大分走っていたのですけれども、第2期は特に基盤研究は3つにまとめました。それと生物資源に関しては、難病のバンクということに特化して行うとしました。研究者はギャップなく、もちろん中で自由に研究できるのですけれども、この目的はクリアになっていると私は理解しています。しょっちゅう発表会を行って、私は全部出席していまして、聞かせていただいて、それに対してコメントもしていますので、そうなっていると思います。

○馬場委員
 ほかの委員会でいろいろな分野の先生方がおられますので、個々の学術研究、基盤研究のサイエンティフィックな面は、なかなか全部カバーできないと思うのですけれども、先ほど理事長が言われたように、本来のミッションから考えて、この研究はこういったところで貢献しているというのをまとめていただいたら理解しやすいかもわからないです。

○医薬基盤研究所理事長
 もう1つですけれども、実は製薬協とも定期的に会合を持って、そこからの要望をいただいて、それもこの研究の目標に反映してやっております。3カ月に1回ぐらいやっていると思いますけれども、我々の研究を紹介させていただいて、そこからコメントをいただいて、それにシフトできるような体制にはしております。もちろん、私も出席しておりますし、戦略企画部のグループも出席しております。

○田村部会長
 ほかに何かご意見、ご質問ありますでしょうか。

○酒井委員
 私も専門性が違うので、1つひとつのことはあれですけれども、ずっとこういった外部評価をさせていただいて、1期と随分違うなという印象を受けているのですね。確かに、おっしゃっているように、重点化していることとか、難病のところにというのが個々の成果はよくわからないのですけれども、ただ、最初に理事長がおっしゃった中に、決して大きな研究をやっているわけではないのだけれども、小粒で云々とおっしゃられた意味合いがどういうことなのか、今後のために教えていただけたらと思うのですが。

○医薬基盤研究所理事長
 なかなか難しいのですけれども、1つひとつの研究は大学等を含めて山ほどやっていますので、たくさんできると私は思います。1つは、フォーカスを当てた研究で一流になることを目指していまして、それを人数は少ないですけれども、キラッと光るというように挙げています。例えばスーパー特区も2つ取っていますけれども、これでもワクチンとiPSを使った毒性評価にフォーカスを当ててやっていまして、そこで研究を進めていく。人数は少ないですけれども、クリアな研究をしていくというのを目標にしてやっています。

○酒井委員
 そうすると、もっと大きいほうがいいのですか。それとも、いま非常に適正な規模で、成果を上げていると。

○医薬基盤研究所理事長
 たぶん、私は厚生労働行政上は、疫学も含めてもっといろいろな研究があっても然るべきだと思いますけれども、我々の守備範囲は、創薬というのが守備範囲ですから、いまのところはこのサイズでできると思っています。

○医薬基盤研究所総務部長
 先ほどPart1で、清水先生からお尋ねのあった件ですけれども、霊長類センターで33件、外部利用収入なしという部分ですが、これは当方のミスでして、また改めて持ち帰って数字は報告したいと思います。

○清水委員
 わかりました。いろいろな施設がありますから、外部利用の意味が違うのではと思っていたのですけれども、そういった位置づけも含めて、後で教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○田村部会長
 それでは、先ほどのグループに関するご質問、ご意見、ほかにありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次に進みたいと思います。次のグループ3は、「研究開発振興関係」で、評価項目11~13に該当します。これについての評価を行います。所要時間は法人からの説明15分、委員の評定と質疑15分の合計30分で進めてまいりたいと思います。
 それでは、法人からのご説明、よろしくお願いします。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 研究開発振興業務について、資料114からのPart3に沿って説明いたします。4つの事業を実施していますが、平成22年度は、これらの事業の進捗管理体制を強化しました。具体的には、プログラムディレクター、プログラムオフィサー制度を強化し、プログラムオフィサー6人を常勤配置しました。なお、プログラムディレクターは、国立循環器病研究センター名誉総長の北村総一郎先生にお願いしています。
 基礎研究推進事業についてですが、資料115です。この事業は、大学や国立試験研究機関等の創薬等研究プロジェクトを支援対象としています。左側に示しているように、外部評価委員会による厳正な評価及び常勤のプログラムオフィサーを有する強力な事務局機能を活用した丁寧な進捗管理と助言・指導を大きな特徴としており、実用化に向けた進捗管理・指導を行っています。成果の例としては、右側に示したように、京都大学山中教授のヒトiPS細胞樹立の成功や、国立循環器病センターの次世代型呼吸循環補助装置の製品化などがあります。また、本事業の成果を踏まえ、治験の段階に達した研究プロジェクトが7件あるという成果を得ています。
 数値目標について、資料116です。平成22年度の査読付論文総数は346件で、採択課題1件当たりは4.07件でした。論文の例としては、国立がん研究センターの「世界で最初の肝臓がん全ゲノム解析」や、京都大学の山中伸弥教授の「転写因子Glis1により安全なiPS細胞の高効率作成に成功」等があります。平成22年度終了課題20件について、実用化が見込まれる研究プロジェクトは8件で、40%となったことから、4割以上を確保するという目標を達成しております。
 さらに、平成17年の研究所設立以降、本事業で支援してきた合計128件の研究プロジェクトのうち、臨床試験の段階まで進んだ研究プロジェクトは合計7件であり、約18分の1という高い確率です。日本製薬工業協会のデータでは、医薬品候補化合物が医薬品として承認を取得するのは、約3万分の1であるというデータがあり、直接比較はできませんが、この18分の1というのは高い確率であると考えます。
 続いて、評価の視点と成果についてです。資料117は、適切な評価のあり方や研究費の配分への反映等についてのものです。医学、薬学、工学および知財等の専門家による外部評価、それを踏まえた常勤のプログラムオフィサー等による丁寧な進捗管理を行うとともに、その評価結果を適切に研究費配分等に反映させています。資料118は、本事業のスキームを図でお示ししたものです。
 次に、研究のニーズやテーマの選定に関して、資料119です。テーマについては、外部評価委員への調査表送付やホームページ上での意見募集により、広く意見募集を行い、厚生労働省と密接な連携を図りながら、政策的に重要なテーマの選定を行っています。
 次に、資料120です。案件の採択に関しては、外部評価委員会を活用した2段階評価により、質の高い研究プロジェクトの採択を行うとともに、府省共通研究開発システムを活用して、研究の重複等を排除しています。
 資料121から125は、平成22年度新規研究プロジェクトの一覧及び内訳を示しています。合計21プロジェクトあり、糖鎖、抗体医薬品、オミックス等の分野の画期的な研究を支援しています。
 資料126から130は、研究プロジェクトの進捗状況と成果を示しています。資料126では、4つの研究を例にとって、候補化合物の探索最適化から臨床研究の段階にあることをお示ししています。具体的には、資料127から130に研究内容と進捗状況をそれぞれお示ししています。
 資料131から132は、これまでの主な成果を紹介しています。先ほど説明したヒトiPS細胞や人工心肺装置のほか、自己免疫疾患に対する治療法の研究開発、多発性硬化症の診断キットの開発成功があります。資料132では、新規がん治療薬の研究開発として、抗PD-1抗体の研究や白血病治療の開発、世界初のPET・MRI一体型装置の開発や国際がんゲノムコンソーシアムへの参画等の成果を上げています。
 次に、評価の視点と成果の発信、使いやすい研究費のあり方についてです。資料133のとおり、研究プロジェクトの評価結果について、研究者本人への通知だけでなく、その概要をホームページ上で公開するとともに、研究の成果について発表会の開催や成果を取りまとめたパンフレットの配布、公開等により、研究成果の発信に努めています。また、研究費については、直接経費総額の20%未満の項目間流用を可能とし、5月末から研究費を早期に順次交付することで、利用しやすい研究資金の提供に努めています。
 資料134のとおり、研究費の繰越や適正使用に対する照会に迅速に対応するとともに、東日本大震災により深刻な被害が出た研究機関に対しては、資料136にお示しするとおり、繰越にかかる特例措置の事務連絡を震災の6日後に緊急発出し、研究の継続支援を可能な限り行ってきました。
 資料134に戻って、2点目の実地調査についてですが、資料135でお示ししているとおり、これは全体のおおむね3分の1に該当しますが、72カ所の研究委託先に実地調査を行って、研究費の適正使用を確認するとともに、研究現場からの要望を聴取するなどして、さらに利用しやすい研究費にするための参考としています。
 資料134の3点目のとおり、学会や講演会への出席等により、最新の知見を常に収集し、研究評価や進捗管理に活用しています。
 以上のことから、基礎研究推進事業については、プログラムディレクター、プログラムオフィサーによる丁寧な進捗管理や助言・指導及び外部評価委員会による厳正な2段階評価等を行ったことにより、実用化が見込まれる研究プロジェクトの割合が4割に達し、さらに治験の段階まで進んだ研究が7件に達したこと、また、研究費の繰越手続の簡素化や震災被害を受けた研究機関に対する研究費の繰越の特例措置など、研究費の柔軟かつ弾力的な交付を行ったほか、72カ所の委託研究先を実地調査し、研究費の適正使用の推進を図ったことから、「A」評価とさせていただいております。
 次に、希少疾病用医薬品等開発振興事業について、資料137です。この事業は、厚生労働大臣から指定を受けたオーファンドラッグ・オーファンデバイス、すなわち医療上の必要性は高いにもかかわらず、患者数が少ないため開発が滞るおそれがある医薬品や医療機器の研究開発を促進するため、指定を受けてから助成金交付申請のあった開発企業を対象として、助成金交付などを行うものです。平成22年度においては、15品目に対して約6.5億円の助成を行っております。
 資料138です。数値目標として、「年1回説明会を開催していること」としていますが、平成22年度においては4月に東京と大阪の2カ所でのみ、2回の説明会を開催しました。ちなみに、平成21年度は大阪でのみ1回、開催しております。
 資料139です。評価の視点、プログラムオフィサーの活用です。平成22年度においては、進捗状況の実地調査にプログラムオフィサーが同行するなど、助成金交付、進捗状況管理、開発企業に対する助言を適正に行いました。
 資料140です。進捗状況の管理と助成金の適正かつ効率的な交付については、申請書等の書類審査、ヒアリング、進捗状況の実地調査、経理関係の実地調査、随時の報告を求めることにより、適切に行いました。資料141に助成金総額と交付件数の推移を示しております。
 資料142です。評価の視点、適切な助言・指導の実施については、開発企業からの要請に基づき、適切に対応しました。試験研究に要した費用の額の認定です。この事業は、開発企業が税制上の優遇を受けるため、その費用を認定しているものです。開発企業からの求めにすべて応じ、平成22年度においては6品目を認定しました。
 資料143の上の評価の視点、交付手続の簡略化及び明確化です。資料に記載のあるとおり、適切に対応しております。評価の視点、意見・要望等を業務に反映しているかについては、説明会で出た要望、また説明会終了後に実施したアンケート調査の結果を踏まえ、手引やパンフレットの改訂に反映させております。
 資料145、事業の透明性の確保です。これについては、ホームページを活用し、開発企業が必要とする情報の公開を行っております。
 資料146、助成終了後の状況の把握です。これについては、助成終了後も開発企業と連絡を密にし、その状況等について把握し、ホームページに公開しています。
 資料147から149については、平成21・22年度に製造販売承認を取得した医薬品及び医療機器を紹介しています。
 以上のことから、希少疾病用医薬品等開発振興事業については、評価の視点について、すべて満たしていること、特に助成金の交付期間外においても、開発着手から製造販売承認に至るまで、開発企業からの相談に対し、手厚く指導・助言を行っていること、説明会は、平成22年度は東京、大阪でのみ2回開催したこと、さらに、これまでの成果の結晶として、製造販売承認の取得が4件得られ、とりわけ資料149にある我が国初の植え込み型補助人工心臓は多くの患者さんが待ちわびていたもので、直接国民の保健向上に寄与したのみならず、我が国初のシーズが日本国内で最初に実用化されたことに対して高く評価されていることから、自己評価を「A」評価としました。
 次に実用化研究支援事業及び承継事業について、資料151です。実用化研究支援事業について、ベンチャー企業の創薬等開発を支援しており、平成22年度は新規案件はなく、継続案件のみ、3社の研究に約3億円を交付しました。この事業は、財政投融資特別会計からの出資金を受け、平成16年度に開始したものですが、事業の成果により得られた収益の一部を納付していただく仕組みとなっており、事業開始当初は委託費の交付が先行するため、売上納付金が入るまでの間、繰越欠損金が増加することになり、平成22年度末で約60億円の繰越欠損金が計上されています。このため、平成21年度からは繰越欠損金の増加を抑えるため、新規募集を休止することとしました。なお、平成21年度には初めて売上納付金750万円を計上しましたが、平成22年度には売上納付金はありませんでした。しかし、今年度6月上旬に進捗状況報告会を実施したところ、昨年度から今年度にかけてライセンス契約等の成立により、収益が得られた、あるいは得られる見込みがあるプロジェクトが複数あることから、今後、当所への売上納付金が見込めるものと考えています。
 承継事業について簡単に説明しますと、出融資事業にかかる資金の回収業務です。本体の出融資事業は平成15年に廃止され、平成16年からは承継業務となり、平成17年度に当基盤研究所設立時にこれを引き継いだものです。承継事業のうち、出資事業については平成22年度末時点で約256億円の繰越欠損金が計上されていますが、これは当法人が承継したものです。出資事業により設立された研究開発法人は、現在2法人を残しています。平成22年度は、昨年に引き続き法人の実地調査を行い、現状を確認するとともに、事業化・収益化を図るように指導を実施いたしました。また、出資法人の研究成果報告書や収益予測等の提出を求め、その妥当性の評価を行うとともに、成果管理委員による面接評価を行いました。その結果、1社については特許使用許諾を受けた製薬会社が新薬開発を断念したことから、直ちに解散すべきとの評価が得られたところであり、今後、解散に向けた手続を行うこととしております。残りの1社については、収益が得られているところです。
 資料152は、実用化研究支援事業の流れを示しております。プロジェクト研究中及びプロジェクト終了後に、評価委員による評価を実施しております。終了後も、契約上は最低15年のフォローアップを行うこととなっており、毎年、進捗状況報告会に参加いただくなど、適切に評価を行っております。
 また、資料153に示すとおり、実用化研究支援事業は平成23年度から廃止されましたが、引き続き成果のフォローアップを行うこととされ、繰越欠損金の減少にかかる検討も行われているところです。
 資料154から157にかけて、各開発プロジェクトの進捗状況を図示しています。採択した19プロジェクトのうち、13プロジェクトが臨床試験の段階に進んでいます。いまだ承認が得られたものはありませんが、資料158に示すように、本年6月には欧州で承認申請を行った品目があったなど、承認申請が視野に入ってきた品目も認められます。承継事業については、資料159に示すとおりです。
 融資事業については、償還計画に沿った貸付金の回収を着実に実施しており、32件の融資のうち30件については回収が終了しており、平成22年度は残り2件について回収を行いました。この2件については、既に製品化がなされています。
 以上のことから、実用化研究支援事業等については、早期実用化に向けて、研究開発の進捗状況の把握、外部有識者の意見も踏まえた助言・指導を行った結果、事業者が収益を得たと当所で把握したもの、収益が見込まれるものが合わせて数件あることなどから、自己評価を「A」評価とさせていただきました。以上です。

○田村部会長
 委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。また、併せて質問等ありましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○清水委員
 勘定に計上されている金額等の関係がよくわからなくなってしまったのですが、150頁にある給付金徴収事業、これが平成22年度はゼロだとおっしゃったのですよね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 違います。評価項目13の研究開発振興の実用化研究支援事業の納付金がゼロだという説明です。わかりにくくて申し訳ありません。

○清水委員
 開発振興事業は、1億某かあったのでしたか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 納付金収入が1億5,000万円あります。

○清水委員
 1億5,000万円、こちらのものですね。質問をもう1つ、それに関連してなのですが、146頁で助成金を交付すると、そして、その成果の利用を促進するというご説明があったと思うのですが、実際、助成をして、その後の開発が成功している確率が高いというご説明だと思うのです。全体として助成が148品目で、これまで承認されたのは91開発中、合わせて116ということですね。残りは失敗したということですか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 残りは開発断念等に至ったということです。

○清水委員
 その辺の確率というのですか、目標としては、どういうタイムスパンで、どのぐらいの成功率を目指すというものは、何か法人として立てていらっしゃるのですか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 一般論で恐縮ですが、一般的に治験の段階に至ったとしても、承認申請が得られるのはその10分の1ぐらいになるということから、これらの148のうち91が承認され、25が開発中であるということは、決して低い数字ではないと承知しております。

○清水委員
 低い数字でないことは、私は素人ですが何となくわかるのですが、法人としてはどういう目標を考えておられるのですかということなのですけれども。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 法人としては、もちろんできるだけ多くの品目が承認されるように助成していきたいと考えておりますが、先ほど言いましたように、治験の段階に至っても10分の1の成功確率であるということから、全部というわけにはいかないだろうと理解しております。

○清水委員
 非常にタイムスパンが長いものだと思いますし、今後、廃止になる実用化研究も、長い間で見れば成功する確率があるというお話ですが、結局それが認められなくて、なくなってしまいますよね。ということであれば、こういったうまくいっている研究であっても、法人としてどの辺を目指すのか、どのぐらいのタイムスパンで何を目指していくのかというのがもう少しはっきり出ていてもいいのではないかと思うのですが。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 オーファンドラッグの開発支援については、おおむね治験に至った段階で助成をしておりますので、おおむね開発の後期3年間というのですか、最も川下の3年間を助成しておりますので、実用化研究支援事業と違って、開発のリスクはそれほど高くないと理解しております。

○清水委員
 ですから、リスクが少ないのであれば、本来100%に近い数字を目指すということになるのかなと思うのですが、そこがどのように方針として捉えていらっしゃるか、よくわからないですね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 ちょっと私の説明の仕方が悪いのかもしれませんが、最終段階、ヒトで臨床試験を行うわけですが、ヒトで臨床試験を行う段階まで行っても、医薬品の開発というのはなお不確定要素を残しておりまして、その成功確率は10分の1であるので、乱暴な言い方をしますと、かなり100%に近い数値が出ておりますので、これについて特に問題があるとは法人のほうでは考えておりません。

○清水委員
 ちょっとよくわからないです。

○医薬基盤研究所理事長
 ご質問の意味はよくわかるのですが、本当は100%でなかったらいけないと思うのですが、タイムスパンもありまして、この148分の116というのは、目標を上げていないのですが、100%に近いというように我々が受け止め方をして、希少疾病の場合には、いつでも100%を目標にすべきだというように思っていますけれども。

○清水委員
 100%ですね。

○医薬基盤研究所理事長
 はい。

○清水委員
 そうですね。

○医薬基盤研究所理事長
 治験にするのですから、そういうものを選んでいるはずですから、すべきなのです。途中でドロップがありますから、もちろん100%になるのはなかなか難しいのですが、目利きによって先ほど言いました10分の1ぐらいしかならないのをこれだけ上げているから、我々は満足しているということで、目標はやはり100%だとは思っています。

○清水委員
 そういう理解でよろしいのですね。

○医薬基盤研究所理事長
 はい。

○清水委員
 評価の視点などでも、成果の活用が促進されているかということなので、やはりアウトカムですよね。

○医薬基盤研究所理事長
 目標を低くして、例えば50%にするとか、それであればクリアは簡単だと思うのです。だけど、このぐらいの数だったら、我々は100%に近いと思って「A」評価としているところです。

○清水委員
 いまの確率が100%に近い、近似しているということですか。

○医薬基盤研究所理事長
 はい。

○清水委員
 ちょっと100%では。

○医薬基盤研究所理事長
 100%なら言うことないのですけれどもね。

○清水委員
 この業界のことをよくわかっていなくて、そういう発言を申し上げているのですが、ほかの事業がそういう見方をされて、存続が困難になっている状況がありますので、やはり成果としては説得力のあるものが必要なのだろうと理解しているわけで、そのように申し上げたわけです。

○田村部会長
 ほかに何かご質問、あるいはコメント等ありますか。

○馬場委員
 これは業績評価ということと直接関係ないのですが、基礎研究の推進はかなり良い成果を上げられて、チェック体制もきちんと整っていて、私などは非常に良い体制だと思うのですが、国の方針で平成23年度から移行しますね。私はよくわからないのですが、その場合、進行のものは、この体制は維持すると考えてよろしいのですね。プログラムオフィサーの関与とか、そういったものは完成年度までは続くと。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 継続については、引き続き行うようにと国のほうから言われておりますので、体制は維持したいと考えております。

○馬場委員
 国が平成23年度から公募されるものについて、例えばプロジェクトを進める体制ですね。プログラムオフィサーとか、基盤研がそこのところにかかわるということはないのですか。もう一切、これはこれからは関係ないということなのですか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 それについては、厚生労働省本省と相談し、事業の質を落とさないということで、当研究所のプログラムオフィサーを評価委員としてご活用いただいております。

○酒井委員
 プログラムオフィサーのことについて、ちょっと教えていただきたいのです。先ほど来のご説明を聞いていて、プログラムオフィサーの役割として、進捗管理等に効果を上げていると、おそらくそういう評価で聞かせていただいているのだろうと思うのです。もう少し一般的な言い方ではなくて、何か指標があってプログラムオフィサーの役割が、皆さんたちの研究所の役割として非常にいいのだという、根拠というとおかしいのですが、そういうものがおありになるか。それから、逆に開発機関のほうからしたときに、プログラムオフィサーをどう見ていらっしゃるかを調査されているかどうかということです。

○医薬基盤研究所理事長
 ということは、どういう方がプログラムオフィサーになっているかということが重要だと思うのですが、いまのプログラムオフィサーの方は、製薬メーカーで開発等に携わってこられて、実際にそういう方が半数ぐらいです。それから、基礎研究をやった人ももちろん入っていますし、ディレクターは臨床研究がよくわかる先生なので、こういう臨床基礎、それから製薬を実際開発された方。そういう方にプログラムオフィサーになっていただいて、実際の目で見ていただくと。サイエンスの面から、応用の面から見ていただくというような方を選んで、プログラムオフィサーになっていただいています。

○酒井委員
 そういうことが実際の先ほどから話題になっている、実用化へ向けて、かなり効果が出ているというように見ていいのでしょうか。それはプログラムオフィサーが選定されてから、例えば実用化に向けて、件数が上がったとか、そういうことはあるのですか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 特に研究者から評価されておりますのが、知財等についてのプログラムオフィサーの助言によって、円滑に企業との共同研究が進んだとか、そのようなことを伺っております。

○田村部会長
 ほかにはよろしいですか。次のグループ4は、「予算、収支計画、その他、運営業務関係」で、評価項目14から17についての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明10分、委員の評定と質疑15分の合計25分で進めてまいりたいと思います。それでは、法人からの説明をよろしくお願いいたします。

○医薬基盤研究所総務部長
 総務部長の渡部と申します。よろしくお願いいたします。説明は資料160頁からです。4項目あります。161頁、評価項目14、「機動的かつ効率的な業務運営」です。162頁ですが、トップマネジメントということで、理事長をトップとして、理事、監事、各部長、センター長等で構成する幹部会を毎月1回開催し、業務の状況把握、業務運営の重要課題について議論を行っております。また、理事長及び創薬研究部、難病資源研究部の各プロジェクトリーダーから構成するリーダー連絡会を開催し、研究所の運営、研究環境などに関する理事長の指導・助言に対する意見交換を行って、基盤研全体の業務運営に反映させております。また、各プロジェクト研究については、内部研究評価委員会、人事委員会などにおいて、内部評価を行い、さらに外部有識者で構成される運営評議会、基盤的研究等外部評価委員会、研究振興業務関連委員会などを定期的に開催しており、公正な判断、透明性の確保に努めているところです。
 163頁は全体の組織図です。第2期中期計画の実施に向けて、国の政策課題の解決と製薬産業の活性化を図ることに特化した研究分野を推進するため、上の部分の基盤的技術研究については、次世代ワクチンの研究開発、医薬品等の毒性評価系構築の基盤的研究、難病治療等の基盤的研究の3分野を重点化することとし、プロジェクトチームの再編・創設・廃止を実施しました。また、生物資源研究についても、難病・疾患資源研究分野の重点化を図るため、効率的な組織の再編等を行ったところです。
 164頁です。内部統制の強化ということで、理事長を最高責任者とし、監事、外部監査人、コンプライアンス委員会などの連携の下、全職員の法令等の遵守の推進を図っております。
 冒頭161頁に戻って、先ほど説明した中で、理事長のトップマネジメントによる迅速な業務運営、また平成22年度第2期中期計画において、研究テーマごとのプロジェクトの効率的な組織の再編、国家公務員再就職ポストの完全廃止により、中期目標を上回る成果を達成していることから、「A」評価としました。
 165頁、評価項目15、2.「業務運営の効率化に伴う経費節減等」についてです。166頁の一般管理費・事業費の節減目標ですが、平成22年度は第2期中期計画の初年度で、計画では最終年度(平成26年度)一般管理費について5年間で15%、また事業費についても5年間で6.2%削減することとしております。その中で、平成22年度予算に対しての決算実績ですが、一般管理費は23.6%削減、事業費は10.0%削減となり、大幅な経費節減となりました。その大きな要因としては、一般競争入札の拡大などによる調達コストの削減などによるものです。
 167頁、総人件費改革の取組み状況です。数値目標は、平成17年度基準額と比較して、平成22年度実績において5%以上の削減となっております。その平成22年度の実績ですが、人件費の支給総額は、基準年度である平成17年度と比較して13.4%の減少となっていることから、人件費の削減については大幅に進展しているところです。
 168頁の給与水準についてです。当研究所の研究職員の平均給与は92.2%、事務職員の平均給与は113.2%となっております。また、他法人と比較した場合は、研究職員で91.4%、事務職員で107.7%となっております。事務職員の平均給与ですが、対国家公務員での数値113.2%の要因について説明します。要因の1つ目として、人件費の効率化ということで、人件費を抑制するため、定型的な業務について非常勤職員を積極的に活用している関係で、管理職の割合が高くなっていること。2つ目として、医学・薬学、法律といった職務の専門性により、大卒者割合が高くなっていること。3つ目として、ほとんどの職員が国、いわゆる東京からの出向者であるため、異動保障である地域手当受給者割合が高いこと。このようなことからラスパイレス指数が高くなっております。しかしながら、当研究所としては、引き続き国家公務員の給与改正に準じた見直しを実施してまいる所存です。
 165頁に戻って、これまで説明したように、一般管理費、事業費、また人件費については、数値目標に対して、それぞれ上回る成果に達していることから、「A」評価としました。
 169頁、評価項目16、「財務内容の改善に関する事項」です。先ほど述べさせていただきましたが、平成22年度決算実績については、一般管理費・事業費とも、経費節減策が功を奏して、目標を大幅に達成しているところです。
 170頁です。運営費交付金以外の自己収入として、競争的研究資金、受託研究費、共同研究費などの獲得状況を表している一覧です。表のいちばん右、平成22年度実績ですが、平成21年度に対して全体として、件数も金額も増えており、件数で41件、金額で約1億5,000万円増加しました。
 171頁ですが、これは開発振興勘定にかかる未処分利益についてです。平成22年度の未処分利益は約2億6,000万円となっておりますが、これは希少疾病用医薬品と開発助成事業の企業の売上納付額から、当該事業にかかる経費を除いた額などに相当します。なお、この未処分利益については、平成23年度以降、積立金として計上する予定としております。また、平成22年度末、積立金はゼロです。なお、これら財務内容について、監事監査及び監査法人からは、監査報告書に適正に処理されているとの報告をいただいております。
 以上、財務内容の改善に関する事項については、いずれも中期目標を上回る成果を達成していることから、「A」評価としました。
 次に172頁、評価項目17、4「その他業務運営に関する重要事項」です。最初に、研修の実施です。国内外の専門家を招いてのセミナーの開催。各プロジェクトの当番制による「定例研究発表会」の開催、ほかの機関との共同セミナーに研究者を参加させるなどの研修の実施のほか、各種研修会、講習会を開催したことにより、所内の情報交換を深めるとともに、研究職員の連携がより一層大きく図られたところです。次に、人事評価制度の実施です。業務評価シート、人事評価マニュアルを策定、全職員に説明の上、本格実施をしました。評価結果については、平成22年12月の賞与に反映しました。
 173頁の職員の採用状況です。平成22年度においては、研究者5名について広く公募を行い、公正を期するため、内部職員による人事委員会を開催し、この5名を任期付研究員として採用しました。
 175頁のセキュリティの確保です。当研究所は、IDカードによる入退室の管理システムを導入しておりますので、新人職員へ指導するなど、周知徹底を図っております。また、RI区域、ES細胞室の入退室管理の強化も図っております。次に施設及び設備に関する事項ですが、霊長類医科学研究センター高度実験棟建設工事にかかる設計地質調査、測量調査等をそれぞれ行いました。
 以上のとおり、セミナーへの積極的参加、各プロジェクトの当番制による定例研究発表会の積極的な開催等、平成21年度実績より開催回数が上回っていること、また、無駄・削減等、職員一人ひとりに業務目標を出させております評価を作ったことによる人事評価の充実ということで、中期目標を上回る成果を達成していることから、「A」評価としました。簡単ではありますが、これで説明を終わらせていただきます。

○田村部会長
 委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質問等ありましたら、適宜ご発言をどうぞ。

○岩渕委員
 予算と決算がこんなに大きく違うというのは、先ほど若干の説明はありましたが、そんなもので済む話ではないと思いますので、もう少しきちんとやらないと、もともと予算の見込みが大幅に狂っていたのか、何かもう少しきちんとした説明がほしいということ。もう1点、東京から出向した人の給与水準について、異動保障というのは、全役所でやっているのでしょうか。その辺りはどうですか。

○医薬基盤研究所総務部長
 最初に、一般管理費15%目標に対して23.6%を達成したということと、事業費を6.2%削減するところ、もう既に10%削減したというところですが、実際として一般競争入札を導入して、例えばうちの本所でいえば、警備事業一式で2,400万円から1,300万円ということで、1,000万円削減できたということ。電気・空調・衛生設備の維持管理についても、約800万円ぐらい削減できた。それでは足りない、もっと余っているだろうということのご指摘なのですが、実は手前どもは外部資金を獲得しており、その中の間接経費を一部使わせてもらっているというのも事実です。ただ、この外部資金というのは、来年どうなるかという保障はありませんので、その辺りはとりあえず今、平成22年度は外部資金が多かったということで、そこから一部使わせてもらったということで、節減がうまくいったということです。

○岩渕委員
 ちょっとよくわからないのですが、それは。

○医薬基盤研究所総務部長
 厚生科学研究費補助金とか、外部から来る文部科学省の補助金とか、そういったものが外部資金に該当します。あと、外部から機器の使用とか、そういったものの収入も含めてです。

○岩渕委員
 その関連でもう1点、競争入札をしたら、それだけかなり削減したということは、いままで競争入札でものすごく甘い使い方をしていたということで、やり方。

○医薬基盤研究所総務部長
 いや、そういうわけではございません。たまたま何社か来たときに、1,000万円ほど落ちたということなので、それが次の年も同じようにまた下がるという保障はありません。

○岩渕委員
 常識では信じられない。

○医薬基盤研究所理事長
 先ほどの外部資金の話ですが、外部資金には間接経費という管理にかかわる経費が最大30%付いているのです。それがその年に非常に膨れるとか、全くないとか、これは1年間で使う必要があるので、これを一部使ったということで管理費は縮減できたということを説明させていただきます。

○清水委員
 間接費相当分は、法人の収益として上がりますよね。ですから、いまのはおかしいのではないですか。収益として上がるわけだから、経費はそのまま発生したままということになると思うのですよね。両立てになるような形になるので、それによって、経費の節減が図られるというのはおかしいですよね。収益は収益として受けるわけですから、経費のほうは経費として発生したままなのです。

○医薬基盤研究所総務部長
 基本的には外部資金の間接経費を全部使うということで。

○清水委員
 使うのはわかるのですが、その分だけ減りましたというのはわからないのです。発生しているものは同じなので、そういう説明はちょっとおかしいのではないかなと思うのです。それは、あとで財務のお話ができると思いますので、そこで。

○医薬基盤研究所総務部長
 はい。

○岩渕委員
 2点目、給与水準のことです。

○医薬基盤研究所総務部長
 給与水準に関しては、これはうちだけではなくて、東京からほかの独法に出向している職員はすべて異動保障ということで、まず1年目は、東京はいま18%の調整手当をもらっております。それが例えば地方に行きますと、1年間は18%保障になって、2年目は8割保障ということになります。3年目はゼロになると。そういったことで、うちの場合は東京からの出向者が多い関係で、地方採用で出向者でない、プロパーのそういったところがある独法に比べて、やはり1割程度は高くなるというのが実態です。

○岩渕委員
 それは国家公務員だけ。

○医薬基盤研究所総務部長
 そうです。私ども出向者は、みんな国家公務員から独法のほうに出向している出向職員です。

○清水委員
 いまの1年目は18%、2年目は8割とおっしゃったのは、18%の8割という意味ですか。

○医薬基盤研究所総務部長
 そうです。

○清水委員
 それに関連してなのですが、国家公務員の再就職ポストの完全廃止というお話がありましたが、ただ出向派遣はOKだということで、出向者を受け入れているという状況だと思うのです。それがラスパイレス指数の高い要因だということで、ご説明を受けています。御法人だけではなくて、ほかの厚生労働省関係の法人さんもそういう話をされているのですが、1つやはりそれは給与水準の話というよりも、人事異動の話として監事監査の結果でも指摘されているわけですね。業務の継続性と引継ぎの適正性というのが、果たしてうまくいっているのかと。
 法人は非公務員型ですよね。というのは、独自に給与体系、人事制度が構築できるはずであるのに、そういった長期的な改革を取り組むべきであるのに、どんどん、ころころ変わっていくということで、もう少し定着したような人事異動というのですか、人事制度を構築すべきなのではないかというのが、監事監査の結果にもあったと思います。全く同感なのです。いろいろ資質の向上とか、業務の引継ぎ、継続性とか言っておられるわりには、どんどん人が代わられてしまうということで、法人さんからすれば、それは自由が利かないのだというご説明になるのかもしれませんが、評価する側としては、あるいは国民の側からすれば、そういう説明ではやはり納得できないと思うのですよね。全部法人が決めていますという話にならないと思うのです。そこを何と説明するかということもありますし、やはり専門性・定着性というものをなるべく拡大していくような方向で、人事改革を考えていただきたいなというのが1点なのですが、それはいかがでしょうか。

○医薬基盤研究所総務部長
 特に私どもの人事は厚生労働省の各局の人事で決まっておりまして、いまの話は持ち帰らせていただいて伝えて、そういったことを含めて検討するということで、持ち帰らせていただきたいと存じます。

○清水委員
 ご検討をよろしくお願いします。もう1点、繰越欠損金の話を毎年させていただいているわけですが、承継勘定の実用化のところに繰越欠損金があるわけですよね。承継勘定のほうは、先ほど確認し漏れたのですが、出資と融資があるということで、出資法人はいま1法人残っているということですか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 いま2法人です。

○清水委員
 2法人残っていて、いま256億円のマイナスということなのですが、融資というのはそんな莫大な利益が出てくるわけがないので、2法人の手仕舞いは、いつごろの予測になるのですか。そうすると、たぶん繰越欠損金も確定しますよね。その辺の見通しはどういうことなのでしょうか。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 承継勘定については、平成35年まで継続するということですので、平成35年までの収益予測を立てております。

○清水委員
 それはいただいていませんよね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 提出しておりません。

○清水委員
 それはいただきたいのですが、その段階でも繰越欠損金250億円というのは消えませんよね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 これはこの1法人だけではありませんで、当時、出資事業として行ったすべての研究開発法人に出資しているものですので、1法人だけの収益でカバーできるものとは考えておりません。

○清水委員
 ほかの法人と一緒という話ではなくて、少なくとも御法人の場合の繰越欠損金という位置づけですよね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 はい。

○清水委員
 それはどのように処理するかは、これからの国との相談ということになるのですかね。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 そのように考えております。財務省の理財局とは、年間数度、報告や相談に行っているところです。

○清水委員
 ほぼ予想が固まっているということですので、それはいただけますね。よろしくお願いします。

○医薬基盤研究所研究振興部長
 はい。

○中村委員
 人事に関する事項で質問させてもらいます。研究職の中で任期付研究職が、人事委員会により中立・公正な選考ということで機能している点は評価できると思います。しかし、任期付研究職の割合が増えているということに関して、どういう形で理解したらいいのか、教えていただけませんか。この割合は意図的にしているのか、それともたまたまそうなっているのでしょうか。研究職の中での任期付研究職の割合ですが、いまは47名のうち20名が任期付きですね。これが正常、当たり前だと考えているのでしょうか。それとも何か事情があって、こうなっているのでしょうか。

○医薬基盤研究所総務部長
 これは我々の考えですが、基本的に研究員は任期付きにする、任期付きを採用するというのを建て前としております。国家公務員から移行された方もおられますので、これはパーマネントポジションでやると。それと生物資源系、特に業務系ですね、これはやはり任期付きから、いわゆるパーマネントポジションのほうがいいのではないかと私は思っております。それとともに、任期付研究員でも将来はテニュア化すべきだと、これは随分検討しているのです。ただ、1つだけ懸念がありますのは、ご存じのように仕分けがありまして、またいろいろな研究所との合併とかそういうのがありますので、ちょっと前からペンディングにしていますが、我々の幹部会のメンバーは、2期目はパーマネントポジションがいいのではないかというコンセンサスは得ております。

○中村委員
 わかりました。できればそれが望ましい。しかし、そのようにできない事情もある、という話ですね。

○田村部会長
 各委員の先生方、評定等の記入は終わりましたでしょうか。まだ終わっていない方もいらっしゃるかと思いますので、事務局のほうからその対応についてご説明いただけますか。

○政策評価官室長補佐(田鍋)
 記入が終わっていない委員の方がいらっしゃいましたら、評定記入用紙をお持ち帰りになって、ご記入していただいても結構です。また、事前に評定記入用紙の電子媒体版を送らせていただいていると思いますが、それを活用して、メールで返していただくということでも結構です。後日、提出いただきます場合には、これはちょっと期限が短くて恐縮なのですが、今月3日(水)までに事務局宛、提出していただけますようお願いいたします。併せて、資料等の郵送をご希望される委員の方がいらっしゃいましたら、事務局宛お申し出ください。以上です。

○田村部会長
 次の議題に移らせていただきます。医薬基盤研究所の不要財産の国庫納付について、まず事務局から説明していただいて、続いて法人からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐(田鍋)
 不要財産の国庫納付については、昨年11月27日に改正施行されております独立行政法人通則法の第8条第3項の規定に基づき、「不要財産とされたものについては処分しなければならない」とされております。この不要財産を国庫に納付、または譲渡し、譲渡代金を国庫に納付しようとする際には、同法第46条の2第1項または同条第2項の規定により、厚生労働大臣の認可が必要とされ、同条第5項で「認可しようとするときには、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」とされております。今回は、委員の方々に、そのためご意見を伺うものです。それでは、法人から具体的内容について、説明をお願いいたします。

○医薬基盤研究所総務部長
 資料2-1「不要財産の国庫納付について」の説明をさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、既にご承知のことと存じますが、昨年の暮、平成22年12月7日に閣議決定された独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針の中で、基盤研の政府出資金で開発振興勘定における投資有価証券、長期財政預金の約25億円の全額、また承継勘定における長期財政融資資金預託金及び投資有価証券の約48億円については、早急に返納額を確定した上で、一部を国庫納付することとされたところです。それを受けて、今回、主務大臣に認可申請する前に、ここにお集まりの委員の皆様方にご意見を伺うものです。
 裏面別添の「不要資産となった経緯」です。初めに(開発振興勘定)です。2の中ほどからですが、行政刷新会議においては、運用収益がなくても事業実施に支障がないとの指摘を受けて、売却益を含め約26億円については、不要資産として国庫納付すること。次に(承継勘定)ですが、2の2行目後ろから、行政刷新会議等において、承継事業を平成35年度末まで継続していくために必要な運用資金を除いた額を不要資産とするとされております。平成22年3月末現在の運用資金(約48億円)から、平成35年度末まで継続するために必要な経費を賄うことが可能な運用資金(約30億円)を除いた額、約19億円を国庫納付すること。その下の(研究振興勘定)ですが、1の1行目後ろから、財政投融資特別会計からの出資金による医薬品・医療機器実用化支援事業において、平成22年度委託契約を減額する変更契約を行ったことによる不用額(約4,500万円)を不要資産として国庫納付すること。以上がこの3勘定を国庫納付するという経緯です。
 表面に戻って、2の「国庫納付する資産」ですが、(1)の一般会計です。開発振興勘定で、現金と有価証券、この有価証券ですが、平成22年10月現在見込み額とさせていただいております。売却益を含めて、全額の26億920万3,715円としております。(2)の特別会計です。承継勘定で現金2,519万5,526円と有価証券、これも先ほど申しました平成22年10月現在見込み額です。売却益を含めて、18億9,637万5,100円。それと研究振興勘定の現金454万4,530円を合計して、19億2,611万5,156円を国庫納付することとしております。
 3の「根拠法等」と4の「その他」の説明は省略させていただき、その後ろに添付されている「認可申請(案)」ですが、現在、財務省と討議前のすり合わせを行っており、参考資料ということでご了承いただければと存じます。以上、簡単ではありますが、説明を終わらせていただきます。

○田村部会長
 ただいまのご説明について、質問等ありましたら頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

○岩渕委員
 運用資金、必要な経費を賄うためのというのは、国民の感覚からいくと、30億円というのは随分巨額だなという感じがするのですが、これはどうなのでしょうか。

○医薬基盤研究所総務部長
 これは昨年の国会で、28条予算で国会の承認を受けている30億円ということで、48億円から30億円を引いて18億円、売却益を含めて19億円というのは承認をもらっております。

○岩渕委員
 そういう意味ではなくて。

○医薬基盤研究所総務部長
 承継事業が終了するのが平成35年度末で、13年間に必要な経費として3億2,000万円を当方は考えております。そうすると、残り30億円が平均運用利回り0.88%と見込んで計算しますと、約30億円必要だということです。

○岩渕委員
 最終的には返す。

○医薬基盤研究所総務部長
 最終的には平成35年度末で特許が終了して、そこで事業が終了しますので、そのときには当然すべてお返しするということです。

○田村部会長
 ほかによろしいでしょうか。ただいまご説明のありました承認申請がなされた際には、当部会として了承するということで、よろしいですか。

(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。なお、今後の手続の過程で内容に変更があった場合については、事務局から私にご連絡を入れていただいて、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。本日の議事は以上となります。事務局から連絡事項等あれば、お願いしたいと思います。

○政策評価官室長補佐(田鍋)
 次回の開催については、8月12日(金)13時から、場所は省内の専用第21会議室を予定しております。議題については、?「医薬基盤研究所の総合評価」、?「国立健康栄養研究所の総合評価と最終評価」、?「労働安全衛生総合研究所の総合評価と最終評価」、?「その他」ということになっております。また、先ほどお話がありましたが、本日、部会終了後に医薬基盤研究所の財務諸表のヒアリングを予定しております。財務担当の委員の方におかれましては、大変恐縮ですが、引き続き会議室にお残りいただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

○田村部会長
 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)
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独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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