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2011年9月26日 第2回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録

○日時

平成23年9月26日(月)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館827会議室 (経済産業省別館8階)


○出席者

〈委員:五十音順、敬称略〉

相澤好治、市川佳子、高橋信雄、田極春美、谷口元、三柴丈典

事務局

宮野甚一 (安全衛生部長)
田中正晴 (安全課長)
中山理 (石綿対策室長)
園部昌嗣 (計画課課長補佐)

○議題

(1)中央労働災害防止協会からのヒアリング
(2)建設業労働災害防止協会からのヒアリング

○議事

○相澤座長 それでは定刻になりましたので、第2回労働災害防止団体改革専門委員会を開催させていただきます。前回の審議のとおり、本日は各災防団体からヒアリングを行うことになっておりますが、ヒアリング事項等を勘案いたしますと、一回の委員会では時間的に厳しいことが予想されるため、ヒアリングは二回に分けて行うことといたします。本日は、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会に対して実施いたします。次回の28日には、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会、鉱業労働災害防止協会に対して実施いたします。それでは、ヒアリングの実施方法について事務局からご説明をお願いいたします。

○石綿対策室長 各災防団体に対するヒアリング項目につきましては、前回の委員会でご審議いただきました、労働災害防止計画に即応した業務の中で特に重点としている事項とその進捗状況、そして事業効果、また組織運営上の課題と対策、本部の支部に対するガバナンス、会費収入の使途、理事会の経営関与となっています。業種別団体については以上に加えまして、労働災害防止規程の法令水準と比較して、特に上回った規定を設けて取り組んでいる事項や、新たに労働災害防止規程を追加・変更する際の仕組みとなっております。
これらのヒアリング項目について、あらかじめ各団体から回答を求めるなどして作成したのが、お手元の資料となっております。資料1につきましては、ヒアリング事項に即して取りまとめた「ヒアリングシート」、資料2につきましては、各災防団体の各種事業が労働災害防止にどの程度寄与しているかについて、各団体が調査した結果です。
本日はまず、事務局より資料の説明を行い、その後各委員の方から団体に対してヒアリングをお願いしたいと思います。ヒアリングの時間は各30分を予定しております。はじめに中央労働災害防止協会、次に建設業労働災害防止協会の順で行っていきたいと思います。
本日ご出席いただいているのは、中央労働災害防止協会の関澤理事長、西本専務、井上総務部長、山内経理部長です。建設業労働災害防止協会につきましては松本理事、伊藤事務局長、堀内総務部長、高橋技術管理部長となっております。事務局からの説明は以上です。

○相澤座長 ただいまの事務局からの説明に対しまして、何かご質問はございますか。それでは、無いようですのではじめたいと思います。事務局から中央労働災害防止協会についてのご説明をお願いいたします。

○石綿対策室長 それでは資料1「中央労働災害防止協会のヒアリングシート」に基づいて、ご説明申し上げます。
2頁の1.労働災害防止計画に即応した業務です。これは第11次の労働災害防止計画、平成25年度までの計画ですが、その中で特に重点とする事項としまして3点挙げられております。第1にリスクアセスメント(危険性又は有害性等の調査)及びその結果に基づく措置の促進。続いて化学物質における労働災害防止対策。メンタルヘルス対策の推進となっております。この中のリスクアセスメントに関する事業の内容ですが、リスクアセスメントに関する研修会を、計画は211回のところを70回開催しております。計画で7,955人参加を見込んでいるところ、現時点は参加者が2,324人となっております。事業場への出張研修の開催ですが、計画は85回のところを24回開催しております。マネジメントシステム等の構築のためのサービスの実施は、計画は25回のところを4回となっております。いずれも8月31日現在の状況となっております。化学物質に関する研修会の開催、MSDSの関係、作業環境測定の関係も同様に計画に基づき、そこに記載してある回数を実施しています。
3.理事の数ですが、現在理事は107名おられまして100名を超える形になっています。現在の数を必要とする理由ですが、当協会は全国的な事業主の団体等を会員とする組織であり、会員である事業主団体にも積極的に労働災害防止活動に取り組んでもらうことが安全衛生水準の向上に不可欠であるということで、この人数を理事としています。104名が非常勤で無給という形になっています。
4.理事会についてです。昨年度の理事会の開催実績です。理事会は昨年の5月に開催され、常任理事会が本年の平成23年3月に開催されています。常任理事会は12名の理事で構成されています。審議の内容ですが、各年度の事業計画と収支改善、コンプライアンス関係が審議内容となっています。事業計画としましては、今年度が産業安全運動100年に当たるということで、その記念事業の推進について説明をし、了承を得るというような審議をしております。
3頁の5.サービスの向上の取組です。会員及び利用者の評価や要望を取り入れる仕組みです。これにつきましては、会員との意見交換会を業種別に製造業、サービス業、小売業について3回開催し、事業にその要望を反映させることとしております。また、総会・理事会等において事業計画等について意見を聞いて、事業に反映させることとしています。また、本部に安全衛生相談コーナーを設置しまして、そこに寄せられた要望等を事業に反映させることとしています。また、研修会、安全衛生診断を実施した際にはアンケートを行いまして、顧客の満足度や要望を把握して、事業に反映させることとしています。また、定期刊行物にもはがきを差し込みまして、それによる要望把握にも努めているという状況です。下の欄の平成22年度の実績です。安全衛生相談コーナーには1,126件の意見等が寄せられています。また、はがきの要望につきましては、1,604件が寄せられている状況です。
6.支部の関係です。まず支部の運営主体ですが、これにつきましては都道府県労働基準協会、労働基準協会連合会又はこれらに準ずる労働災害防止の業務を主として行う団体ということで、各都道府県単位で47支部に存在しています。この支部の運営に対する本部のチェック体制と実績ですが、支部における事務手続き等に関しましては、規程を定めておりまして、これに従いまして事務処理や会計処理が行われているという状況です。また、本部では、支部における支払決議書等の各写しが添付された精算報告書の提出を受けておりまして、本部においてこれらの内容を個別に確認した上で、支払い額を決定するという体制をとっています。一番最後ですが、支部に理事は存在しないということです。
4頁です。会費の関係です。会費の使途の内訳ですが、会員会費と賛助会員会費共に、この協会の場合は他の収入と合算して経理をしている関係で、その内訳はわからない状態となっておりまして、会費の使途を特定することはできないという記載に共になっています。また、一番下の逆三角印の支部運営費の財源ですが、ここも事業費だけが計上されておりまして、その財源としましては、本部事業収入と会費収入が充てられています。人件費と管理費につきましては、共に計上されていないところです。
続いて資料2です。賛助会員へのアンケート調査結果等です。7頁に調査方法の記載があります。賛助会員のうち、日本国内に所在する4,920事業場を対象として、今年の8月9日から29日の間に実施しております。回収件数1,781件、回収率36.2%となっております。
8頁です。調査結果の概要です。(1)産業分布を見ていただきますと、製造業が約6割、サービス業が続いて15.3%、建設業が12.3%といったような構成となっております。規模につきましては(2)にありますように、一番多いのが「100~299人」、続いて「300~499人」となっています。会員歴につきましては8頁から9頁ですが、21年から30年の会員が32.0%でもっとも多く、続いて5年以下の18.4%がこれに次いでいるという状況です。
10頁ですが、労働災害の発生状況です。これを年千人率、つまり労働者千人当たりの年間労働災害発生率で見ていくと、表3にあるのですが、概ね会員歴の長い事業場の方が低い傾向にあるということが見て取れます。
続いて14頁の(7)です。3年以内に利用した中災防事業とその有用度ですが、いちばん下にありますように、図書・用品等の購入や購読が一番多くなっておりまして、次いで中災防が発信する安全衛生情報の利用。これは中災防のWEB等で公開されている統計情報等がこれに当たるのですが、こういったものの利用が多いという状況です。
続いて15頁です。利用したサービスについての有用度をアンケートしたところ、「大変役に立っている」「役に立っている」という答えが最も多かったのが「図書・用品等の購入や購読」で97.1%、次いで「各種講座」が96.6%ということで、サービスを利用いただいているものにつきましては、かなり有用度が高い状況であると言っていいかと思います。
16頁ですが、賛助会員になったことによる効果です。この中で一番多いのが、図10の一番上ですが「職場の安全衛生活動が活性化した」、次いで「職場の安全衛生水準の向上や快適化が図られた」、それから「社内全体の安全衛生意識が向上した」ということで、機運の醸成等が図られたというようなものが多いと思います。ちなみに実際に労働災害の減少又は少ない状態を維持したというのは、上から4つ目の24.3%というレベルにとどまっています。
17頁です。今後利用したい中災防事業です。ここでも一番多いのが図書・用品等の購入や購読、中災防が発信する安全衛生情報の利用という形になっています。事務局からの説明は以上としたいと思います。

○相澤座長 ありがとうございました。本日はお忙しいところご出席いただいております中災防の方々、どうもありがとうございます。ヒアリングに入る前に、関澤理事長からご発言を求められておりますので、よろしくお願いいたします。

○関澤理事長(中災防) 理事長の関澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。発言の時間を与えていただきましてどうもありがとうございます。お手元のレジメに沿ってご説明申し上げます。
私は3カ月ほど前に、民間企業から中災防に参りました。私の来る前の月には常務理事も民間から来ております。私の目で見ました中災防の実情と今後の方向について、率直に二、三申し述べさせていただきたいと思います。
まず第1は、中災防は企業の発展を支える組織であると、改めて私は感じた次第です。言うまでもありませんが、民間企業、とりわけ私がおりました製造業におきましては、安全衛生管理というのは、生産、収益に勝る経営の最重要課題です。企業発展の原動力ですし、企業経営の大前提でもあります。そして労働災害防止のためには、事業主の自主的な取組と国の行政指導とが車の両輪となって進められることが必要だということは申すまでもありません。個々の事業主の取組は、時として財政的・人材的あるいは情報入手の困難さ等々から限界があります。
また、メンタルヘルス問題、あるいは高齢者・若年労働者の事故・災害の多発、5万種類とも6万種類とも言われる労働現場で取り扱う化学物質による被害、企業の海外進出に伴う安全衛生管理の強化の必要性等々、こういった新たな課題も次々と発生しているわけです。
こうした課題に立ち向かう企業の自主的な安全衛生管理の取組を促すために、中災防という労働災害防止団体が、その持てるノウハウと知識を提供して支援するということは大変効果的です。とりわけ事業場の99.6%、使用者数の90%以上を占める300人未満の中小企業事業場に強力な手をさしのべ、底上げを図るということは、わが国の安全衛生水準の向上のために必要不可欠です。私ども中災防が一丸となって、今後徹底して取り組んでまいりたいと考えております。
第2に、事業運営の基本方針についてです。中災防は、経営の自立化を目指して格段の努力を傾けると同時に、国との連携を徹底的に重視していかなければならないと考えております。
中災防はこれまでも、経営体としての自立を追求してまいりましたが、平成23年度以降、中災防に対する国費投入の一層の削減が見込まれていることから、徹底した経営改善を図っていくこととしています。そのために、平成23年度を初年度としまして、平成26年度に収支均衡を目指す収支改善中期計画を策定し、実施に取り組んでおりますが、ご案内のような昨今のわが国経済情勢や、民間企業の置かれている環境、あるいは中災防が取り組んでいる事業の性格等々を踏まえて考えますと、その達成は決して容易ではないと、率直に申せざるを得ないと思います。
私はもちろん先頭に立って困難に立ち向かうとともに、全職員が目標を共有化し「自主事業収入の増加、すなわち商品・サービスの売上げの拡大、そのための積極的営業活動の推進」それが第1点。第2点は「経費の削減と業務の効率化・重点化」これに一丸となって取り組んでまいりたいと、このように思っております。特に本年8%を超えます大幅な賃金カットを実施したばかりでございますので、組織の活力、職員のモラール維持の観点から、当面は思い切ってこの営業拡大に比重をかけて、業務各面の見直しに協会一丸となって全力を傾けているところです。
また、東日本大震災の復旧・復興に当たりましては、それを最優先の課題として取り組んでまいる所存でございます。具体的には東北サービスセンターに相談支援窓口を設けまして、関係各方面に中災防としてお役に立てますことを示したリーフレットを作成・配付しております。また、工場の復旧に際しての安全衛生面のアドバイスや震災地のアスベスト濃度調査の実施、震災復旧業務に携わる方々に対する安全衛生教育、安全衛生対策等の情報提供などに最大限の努力を傾けていく所存でございます。
第3にガバナンス、コンプライアンスの取組です。平成18年に国税税務調査を受けたのを機に、まず私どもの内部の体制をしっかりするということで、監査法人による監査の実施、理事長直属のコンプライアンス室の設置、経理事務の適正化を図るための経理規程の改正、経理担当者・管理者に対する研修を実施することなどによりまして、ガバナンスの向上を図っております。
また、近年の急激な経営環境の変化に対応するため、日常業務の処理に係る重要事項につきましては、理事長をはじめとした常勤役員、2名の監事を加えまして、毎月2回開催されております経営会議において附議、決定しなければならないことにいたしました。近年ではガバナンスやコンプライアンス問題は起きておりません。
以上、理事長としまして、中災防の実情と今後の決意の一端を申し述べました。私ども中災防は、今後とも営業面の強化・拡大、徹底した無駄の排除と経営資源の重点化、効率化を推し進めまして、自立経営を目指して努力を傾けてまいります。しかしながら、率直に申しまして、企業にとって常套手段である例えば、広告宣伝費をはじめとする営業上の手段もほとんどない中災防にとりまして、民間と全く異なる戦略・手法で民間企業と伍して国の施策を実現していくという、非常に難しい立場にあることはご理解いただきたいと思います。同時に私どもの使命は、広くわが国全体の安全衛生水準の向上に寄与することでありますが、事業の中には「安全衛生診断」のように公益性はあるものの収益性が乏しいもの、あるいは時間をかけて調査を行うことによって結果が得られるものなど、単に収益性だけでは片付けられない事業が多く含まれているのも事実でございます。また、中小企業の方々に少しでも安価でご利用いただく商品にするなどの配慮も、是非とも必要であります。私どもは中災防のためにではなく、わが国の安全衛生水準向上のために、国との連携や国からの財政的支援は必要であると、このように考えております。今後とも中災防は企業で働く人たちが健康で安心して働けますよう、最新の情報、最高水準の技術力、そして高度の専門性を駆使して、全力で企業の取組を支援してまいりたいと考えておりますので、特段のご理解を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。

○相澤座長 どうもありがとうございました。これからの運営の決意と方針を述べていただきました。それでは、30分ほど用意していますので、委員から質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○高橋委員 ご報告ありがとうございました。経団連推薦委員の高橋です。ただいま事務局と理事長のご報告を聞かせていただきましたが、私も第1回で申し上げましたとおり、中災防がこれまでに産業界に対して果たした役割は、大変大きいものがあると思います。特に中小企業対策ですね。そのような中で、今後のあり方を見直すということなのですが、いまの話の中で2点ほどお聞きしたいことがあります。1つ目は、自主事業の展開ということで、営業拡大がこれからの大事な命題であるとお話いただきました。この営業拡大は、確かに自主事業としてやっていくには大事なことなのですが、いままでどのようなことをやられていたのかということと、これからどのようなことを計画されているかですね。
もう1つは、最後に国の直接支援が必要な部分があるという話だったと思います。これは、確かに自主事業でやれてコストパフォーマンスがいい部分と、そうではない部分があると思います。具体的には、どのように国からの支援が必要であるか、検討した経過があれば教えていただきたいと思います。

○関澤理事長 まず、最初の質問ですが、営業拡大で自主事業を伸ばすために、今までどういうことをやって、今後どのようにしようとしているかです。いままでやってまいりましたことは、これまでもいろいろな所で出ていますが、それぞれの事業を徹底的に増やし、伸ばしていくという努力は、私としては非常に大事なことであると思っています。今後、これをどのように広げていくかですが、5点ほどあります。
1つ目は、今ある事業、これはゼロ災から始まって、メンタルヘルス、その他ありますが、今ある事業でやはり伸びるものを伸ばすと、ここに経営資源を重点的に配分しながら、ウエイトを置きながら、伸びるものを伸ばすと。
2つ目は、新しい商品、事業を生み出すと。このキーは、ソリューション型事業にもっていくということです。例えば、これはまだ検討中ですが、いまの日本の製造業はどんどん海外に出ていっています。こういった中で、やはり安全衛生問題はいろいろ起こっているのが実情です。そういった意味で、海外に出ていく日本企業に対するアドバイスサービスができないかどうか。あるいは、今ある事業、これは今まで個々に部門ごとにメンタルヘルスならメンタルヘルス、ゼロ災ならゼロ災、MSならMSを一生懸命やってきたわけですが、そういったものをパッケージ化することによってさらに増やし、事業を伸ばすことができないだろうか。あるいは、中小企業に入ってはいるのですが、まだまだ中小企業は大変な数がありますので、中小企業への入り方を今、他の業界団体等も参考にしながら、研究を始めているところです。
3つ目は、新しい顧客の開拓です。これは、先ほど中小企業に対してはまだ十分入り込めていないと申し上げましたが、もう1つ私どもが非常に気にしているのは、サービス産業です。サービス産業では、最近非常に安全衛生問題というのは、大きなウエイトを占めてきていると聞いています。そういった意味で、サービス産業にいままで十分手が伸びていなかった所を、新たに見ていきたいと思っています。
4つ目は、PRの全面的見直しです。これまでも、もちろんPRはやってきましたが、いい事業をすればマスコミが取り上げてくれるという考えでやってきたわけです。これからは、やはり積極的に働き掛けていくと。いいことを広めるためには、やはり世の中に広まらないと駄目です。したがって、そういう積極的なPRを心掛けたいと。ただし、民間企業では年間何千億もかけたり、100番目の企業でもこれはある雑誌に出ていますが、100億円ぐらい広告宣伝費があります。中災防は、当然そういうやり方はできないわけですので、むしろそうではなくて、中災防の優位性を生かしたPR、即ち全国の労働基準協会、あるいは会員である各業種団体をうまく生かしてPRができないか。あるいは、中身の良さをプレスに働き掛けていく方法もやるべきではないかと思っています。
5つ目は、トップセールスを含めて、今、中災防は一人ひとりが営業マンであるということを、中災防内に徹底しておりまして、営業マン意識をもって働き掛けていくと。これは、トップセールスから礼状の書き方まで、これまでの中災防でやってきた良いところは残して、直すべきところは徹底して直していくということで、取り組んでいきたいと考えています。ただし、民間企業と異なりまして、国の施策を実現するという公共的な使命を十分認識して事業活動を進めるために、変革したり効果を上げるためには、ある程度の時間がかかります。また、民間企業は収益の上がる分野には、部分的にでもどんどん出てまいりますので、こういうところとの競争になるわけです。したがって、こういった面でも事業を伸ばすのは容易ではありませんが、私どもとしては知恵と工夫の限りを尽して、全力を上げて取り組んでいきたいと思っています。

○西本専務理事(中災防) 専務理事の西本です。国からの支援ですが、現在でも中災防は委託事業又は補助金という形で国費が投入されています。特に一番の課題ですが、今もお話がありましたように、中小企業の安全性水準を向上することが、極めて重要な課題であろうと思っています。現在でも、中小企業の方にセミナーなどを利用しやすくするための料金の割引き等がありますが、こういったものを引き続き継続していただくようなこと。それから、大きな課題であります化学物質の管理についても、新しい化学物質が世の中にどんどん登場してきていますし、こういったものの有害性といいますか、こういったものを評価して対策につなげるような事業なども、引き続き進めていかなければならないのではないかとも思っています。
また、私どもは補助金という形で国から国費をいただいているところですが、これは中小企業の方々がより安い値段で我々の商品を利用していただくという形で、人件費補助などもなされているわけです。こういった観点からも、引き続き支援をいただければ、大変ありがたいと思っております。

○高橋委員 どうもありがとうございました。ただ今お聞きした中の特に海外進出の問題や、ソリューション事業ですね、これはマーケットとも言える顧客の課題を把握することに意を用いていただけたらと思います。

○相澤座長 他にはいかがでしょうか。

○市川委員 二点ほど質問させていただきます。私も、この中災防が果してきた役割は、非常に大きいものがあると思います。この度、このような検討会で更に良い組織になっていくことにつながれば、すばらしいのではないかと思っています。
一つ目は少し細かい点ですが、資料2の19頁のアンケート調査の自由記入のいちばん下のほうに、「中災防で実施している各種活動研修等は、ほとんどが、労働基準協会と内容的に同じであり、両方の団体に所属する意味が見えにくい」とあります。労働基準協会は各県の支部を担っておられるのだろうと思うのですが、中災防の支部の具体的な活動を、もう少し教えていただければと思います。なぜこのような話になるかというと、もしかすると地方の会員の方は、中災防の事業と基準協会の事業と混同されているかもしれない。その辺りのことを少し教えていただきたいと思います。財政的な面も含めて、支部のあり様について、具体的に教えていただければと思います。
それから、先ほど理事長のお話の中で、東日本大震災への取組についてのご報告がありました。このような非常時で、なおかつ安全衛生の問題が非常に重要な問題になっているような時にあって、一番知見があって、役割を果たしていただけるのが中災防ではないかと考えるわけです。相当いろいろ取組もされていると思いますが、非常に乱暴なことを申し上げれば、ある程度他の事業は少しストップしてでも、ここに集中しなければいけないというような局面もあるのではないかと思うわけです。公益性のある団体なわけですから、そういった意味での事業計画等々の柔軟度が、どの程度あるのかお聞きしたい。選択と集中が非常に重要ではないかと思っていますので、その辺りをお聞きしたいと思います。

○井上総務部長(中災防) 総務部長の井上です。私から、支部の関係についてご説明をさせていただきたいと思います。
中災防の支部については、定款上支部を置くという位置付けがなされていまして、いわば中災防の内部組織の支部として支部を置いていると。その支部の実際の担い手は、各都道府県の労働基準協会等にやっていただいています。先ほど説明のありました資料1の4頁をご覧ください。ここに、支部運営費の財源とありまして、表の中の財源という部分で、本部事業収入と会費収入を財源としまして、例えば平成22年度で申しますと、2,000万円余を活動経費として支部に交付しています。実際に、その支部で行っている業務については、各都道府県の領域における、中災防の事業に関する問い合わせへの対応や広報、さらには中災防が国から受託する委託事業で全国的な展開を図るものについて、支部で活動をしているということです。
また、こうした支部の活動についての事務処理、あるいは経理処理については、関係の規程を作成していまして、その規程に基づいて処理するようにしています。以上です。

○西本専務理事 要は支部というのは、都道府県の労働基準協会の中で中災防に関する一部の特定の業務を行う部分が、支部の業務ということで理解していただければ、わかりやすいのではないかと考えています。いま総務部長が言いましたように、中災防に対する問い合わせであるとか、中災防関係の広報事業を支部業務として、基準協会の中で支部という形で実施しているということです。
それから、市川先生からお話のアンケートのところで、都道府県の労働基準協会が実施している業務と中災防が実施している業務が重複しているのではないかというお話ですが、たぶん、この部分は法定の教育であります職長教育か、あるいは安全管理者の選任時教育のいずれかではないかと思っています。私どもが実施している自主事業の大半は、法令に基づく教育ではありませんで、あくまで事業上の安全衛生水準を向上するために、どういう方法がいいのかということを教えるセミナーで、これは法令で定められているものではありません。大半はそういうものです。ただ、確かに一部重複している部分はあるのですが、基本的には、私どもと都道府県の労働基準協会とでは、一応、事業の業務分担はできていると考えています。都道府県の労働基準協会が中心に実施しているのは、このほか、いわゆる法定の技能講習や危険有害業務に対する特別な教育がメインであるというのが現状です。

○関澤理事長 引き続いて、大震災の関係を申し上げたいと思います。東北の大震災は、まさに国家の危機ともいえる大課題ですので、これは中災防として、最初から最優先課題で取り組もうということを内部でも議論しています。しかしながら、そのためにどういう状況にあるかというのは、時々刻々情報を得ないといけないということで、徹底して今、情報を取るようにしています。それから、市川委員がおっしゃったように、中災防の知見、役割をいまこそ生かすべきであるというのも、全く同感です。そういったことで、私どもが何かお役に立てないかということを、これは国の施策に協力して、国とよく相談しながら、でき得ることは何なのかを徹底的に内部で議論して、一応リーフレットにして、今お配りしているところです。そして、この柔軟な対応については、私が今言っていますのは、採算を度外視してもこれは優先だと。ただし、できることとできないことがあるだろうと思っていますので、これはよく一つひとつの案件を吟味しながら、国ともご相談しながら進めていきたいと考えています。
蛇足かもしれませんが、これは市川委員のおっしゃった意味と全く同じなのですが、中災防という名前を掲げているからには、こういった中で、何らかのお役に立つということを前向きに捉えて努力しなければいけないと思っています。私は民間企業にいた立場で申しますと、こういうときにしっかり役割を果たすことが、やはり中災防の将来にとってPRという意味ではないのですが、やはり中災防がどういう団体かを世の中に広く知っていただく意味でも、極めて大事なことではないかと思っています。これは、国ともよく相談させていただきながら、一歩一歩進めていきたいと思っています。

○相澤座長 他にはいかがでしょうか。

○谷口委員 労働側の谷口です。今日は、ご丁寧なご説明をいただき、ありがとうございます。何点か教えていただきたいのですが、まず中災防の目的というのは、やはり事業者においての労働災害の減少だと私は思っています。そういう意味では、組織としての目標は、労災がいかに減少するかというところに、きちんと目標を置くべきではないかと思っています。資料や説明をお伺いしていますと、乱暴な言い方ですが、例えば講習会を何回実施するかが目標で、それに対する進捗力が何%だというような、手段の進捗状況の目標管理はきちんと実施されているのですが、最終的な労災の件数の削減というところの目標対進捗という意味での視点が、これは難しいことは重々理解していますが、そこがやや薄いのではないかと。失礼ながら申し上げさせていただきますと、そのように感じました。もし、その点についてお考えがあればお伺いをしたいと思います。
それから、中小の事業者への取組が重要であるというのは、正にそのとおりだと思っています。ある意味、大企業は安全衛生担当者にしっかりした人がいらして、そこに対してその人は何らかの形で中災防にアクセスができて、必要な情報を自分で引っ張り出せれば、何らかの活動ができると思うのですね。ですので、そういうことができない中小への取組が非常に重要であるということは、十分認識をしています。ただ、中小は構成比が極めて多くて、なかなかごく一部の所にしか手が届かないのが現状だと思います。現在、どの程度中小への取組ができているのか。あるいは、今後それをどう拡大をしていこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
最後に、理事長挨拶の中にもありましたが、今後は売上拡大のために営業拡大をしていくことは極めて重要だと認識しています。一方で、やはり国費が投入されている団体としては、経費の削減も重要であると思っています。先ほど、経費の削減計画がなかなか難しいという説明がありましたが、今後売上拡大路線でいく、しかし一方で収支改善のためには経費も削っていかなければいけない。どうやって経費を削減していくかという計画があれば、伺いたいと思います。

○関澤理事長 私からポイントだけ説明して、そのあと必要なことは補足していただきます。まず、目標と手段の関係ですが、労災を減らすことが目標ではないのか、どんどん回数を増やすことが目標ではないはずだとおっしゃるのは、そのとおりです。私どもも、それは最終的には労働災害、健康安全レベルの向上、これは私の挨拶の中でも申し上げましたが、わが国全体を引き上げていくことが大事であるということは、これが私どもの目標です。しかしながら、然はさりながら、それに到達する手段も一方で大事ですし、ご案内のように、中災防は平成26年度で補助金収入ゼロにして収支均衡にするという中期計画を立てて、今それが実は相当な課題になっています。そういった意味で、目標の回数やどこまで事業を伸ばせるかを一生懸命全組織に言っているわけで、そういったこともありまして、こういうデータが表に出てくるというのは、ややそちらにウエイトが掛かっていることをご理解いただきたいと思います。ただ、おっしゃるとおり、私どもとして、最終的には労働災害の防止と安全衛生水準の向上が我々の目的ですので、そこは決して間違わないように進めていきたいと思っています。
二点目の中小企業対策ですが、私どもの会員、賛助会員は4,900社あります。この間、私は関西の中小企業を対象とした、こういった事業をやっている所に行ってまいりました。比べますと、圧倒的に少ないのが事実です。したがって、今、中小企業に徹底的に手を差し伸べていこうではないかということを言いまして、そのために、どういう手段があるのかを検討を始めた段階です。難しいのは、大企業は先ほどおっしゃったように、完全に安全衛生担当窓口がしっかりしていまして、そこに言えば全部に行きわたるわけですね。子会社にも、孫会社にも行きわたるというようなところがあるわけですが、中小企業というとものすごい数があるうえに、例えば2、3人の事業所をどうするかと。ここに、いちいち人が出張旅費を掛けて行って勧誘するわけにいきません。では、インターネットで流せばみんな来てくれるかというと、そう簡単には来てくれないと。したがって、ここに極めて難しい課題があるものだと思っています。しかしながら、この中小企業が伸びない限り、日本の安全衛生水準の向上は図れないと考えていまして、この方法を私どもは今、一生懸命研究しているところです。関西でやっている団体の情報も、今、一生懸命学びながら、研究をしていこうという努力をしているところです。
三点目は、営業拡大ばかりでなく、経費削減をなぜしないのか、それこそ大事ではないかというお話ですが、誠にごもっともです。私どもも、そう思っています。したがって、こういった面でいまは無駄の排除、あるいは重点的な資金、人の重点投入と、効率性を求めていくことに力を注いでいます。なぜ、さらに合理化しないのかですが、まずは営業拡大に力を入れたいと思っています。それは、先ほどの挨拶の中でも申しましたが、当面は思い切ってそちらにシフトしたいと申し上げているわけです。なぜならば、三点理由があります。
一つは、ご案内のように、本年8%以上の大幅な賃金カットを実施したばかりです。そういう中で、職員、組合のモラール上も同じカットを続けていくことは、とても今の段階では活力という面から、極めて経営上問題が出てくると私自身判断しています。
二つ目は、合理化というのは、どういう時にきちんとできるのかです。合理化実現というのは、実をいうと、組合を含めて大半の人たちがそういう覚悟をしっかり決めるということがあって、初めて進むわけです。私も企業時代、合理化、合理化を続けてまいりましたが、皆が本気になっていこうという意志統一ができた時に初めて、スムーズな合理化が進んでいくと考えていただいて間違いはないだろうと、私は思っています。そうでないと、これは合理化できないということではないのですが、大変なロスが起こって、却って遅くなると考えています。
三つ目は、中災防というのは民間企業と違いまして、子会社や関連会社による受け皿はございません。また、退職金の大幅積増しによる退職勧奨も、中災防では不可能です。こういう中で早急に人員調整を含む合理化を進めていくのは、実は非常に難しいことは是非ご理解いただきたいと思います。しかし、谷口委員がご指摘のように、私どもはこの営業拡大と経費の削減、ひいては、それが営業拡大できない場合には、やはりそちらに入っていかなければいけないという覚悟は持っています。以上です。

○西本専務理事 谷口先生からのお話の中で、中小企業対策ですが、現在中災防でも中小企業への取組は実施しているところです。例えば、第11次災防計画の中でも重点となっています、リスクアセスメントの普及定着事業といったものも、私どもはセミナーもやっていますが、やはり中小の方々に、どう取り組めばいいのかを理解していただかないといけないと。ですから、中小企業向けの個々の具体的な作業ごとのリスクアセスメントは、こうやっていけばいいのですよといったような雑誌を作ってみたり、あるいはインターネットで公開してみたりといったようなこともやっています。それから、国からの事業の中で、中小企業の集団を捉えて、大体年間60集団ぐらいあるのですが、これを3カ年で安全衛生水準の向上を図っていくという事業を、私どもが受託して実施しているところです。実際その効果を見てみますと、3年後には労働災害の発生率が、30%以上下がったといったような実績もあります。
先ほど、国からの支援というところで、中小企業対策を是非お願いしたいということを申し上げましたが、割引だけでなくて、やはり中小企業の方々に利用して、しかも効果のあるような施策を国からもお願いしたいと思いますし、また私どもも自主的に、中小企業の安全衛生水準の向上につながるような、個々の事業を展開していきたいと思っています。

○田極委員 いろいろとご説明をありがとうございました。中災防が、非常に重要な役割を果たしてきたこと、そしていま非常に大きな課題を抱えていらっしゃること、震災対応や収益改善計画の目標達成が非常に難しくなっている状態は、よくわかりました。この中で、いくつか質問があるのですが、手短に申し上げたいと思います。
資料1の2頁ですが、3.理事数のところです。現在の理事数を必要とする理由ですが、「会員である事業主団体にも積極的に労働災害防止活動に取り組んでもらうことが安全衛生水準の向上に不可欠であることから、この104名を含め現在の理事数にしている」という理由になっています。そもそも、この団体に会員として入る時点で、労災防止活動に積極的に取り組んでもらうということで入っていただくわけですから、これがそもそも104名を理事としている理由に当たるのかどうかが、ちょっとわかりにくいです。
逆を申してしまえば、積極的に取り組んでもらうためには、理事になっていただかないと取り組んでいただけないとも読めてしまうところが、理由として書かれている。あまり理由になっていないのかなと思います。そもそも104名いらっしゃるというのが、社会常識から考えてどうなのかなというところがあります。理事というのは、そもそも事務や業務管理についての執行機関ですから、104名もいらっしゃると、理事会の運営が負担になってしまって形骸化してしまうのではないかという危惧を抱きます。この辺りがどうなっているのかが気になります。
また理事会ですが、実際理事会が1回、常任理事会が1回しか開かれていなくて、審議内容も拝見していくと、了承をしているという場になっているように受け取れます。収支改善計画もなかなか難しいという説明でしたが、こういった非常に重要な局面において、理事会がきちんと機能しているのかどうかが、お話を聞いていて疑問に感じました。また、あとからの説明の中で、経営会議を別途設けられたというのがありましたが、この経営会議と理事会の関係もどうなっているのかといった、ガバナンスの面でわからないところがありましたので、この辺りを教えていただきたいと思います。
実際、収支改善計画や震災対応について、どの場で議論がされたのかが資料からはわからなかったので、その辺りを教えていただけたらと思います。

○関澤理事長 まず、理事を100数名置いている理由ですが、会員として入りたい段階で、もちろん各地方の組織もそういった安全衛生に取り組みたいと思っている人が会員になるというのは、そのとおりだろうと思います。しかしながら、理事というのは世の中一般的なことで恐縮ですが、やはりそれなりの自らの責任、情報について収集して、年に1回の理事会しかありませんが、やはり日頃の理事の社会的責任もあるわけです。そういった意味では、しっかりコミュニケーションをして、常時気を配って、そして中災防の意向をきちんと踏まえたうえで、各会員企業にいろいろ伝達するというような役割が、理事だと非常に強くなるのだろうと私は思っています。
理事会の運営が形骸化するのではないかという点についても、確かに100何名いると理事会の運営が非常に難しいです。全体で考えていただきたいのですが、中災防のみならず、特殊法人は同じような考え方だろうと思います。総会、理事会というのは、物理的な問題もありますが、いまは年に1回です。常任理事会も、年に1回です。そういったこともありまして、先ほど申し上げました経営会議は、月に2回実施しています。これは、監事も含めてここできちんと業務執行を決議していくことにしようということで、実施しています。そのほかに、有識者10数名からなる参与会議を持っています。これは、年2回開催することにしているわけです。この年2回開催のほかにも、参与の方々には、相談していい事は個別に相談する機会も実は設けているわけです。そういった事から、私どもとしては、今の体制で常にこういうガバナンスは見直していく必要があろうと思いますが、現時点ではこれでいいのではないかと思っています。

○西本専務理事 田極先生からお話がありました、東日本大震災対策をどう組織として決定したのかですが、平成23年度の私どもの事業計画の中にも、第1章のところで、東日本大震災に対して私どもで対応していくということが明示されています。具体的には、その時点では何をやるというところまでは具体化はできませんでしたが、そこはいま理事長が申したような経営会議の中で、具体的にこうしていこう、ああしていこうということで、先ほど申しましたように、東北のサービスセンターに相談窓口を作って、そこで対応していくといったものを決定したという経緯です。

○三柴委員 お尋ねしたいのは1点だけで、これまでのお話しの中にも既にお答えはあると思うのですが、国側としてどういう方向性を打ち出せれば、組織としての希望やモラールを維持増進できるとお考えか、という点です。ご意見を伺っている限り、一定額の補助金や事業への有形、無形の協力と、自主事業関係では、自由な事業環境の許容ということなのかな、とは思いますが、その点について、改めてお聞かせいただけませんでしょうか。
それから関連して、これは意見として申し上げます。1つは、内部の知識が伝統として蓄積されているということなのですが、それは他の組織に対して優位性があるものなのかどうか。また、それが整理されているのか。それは、人なのか、紙なのか、電子なのか、そういう所の整理がされているのかをご確認いただければと思います。そうすると、あくまで手続きか手段にとどまるにせよ、例えば調査事例の件数や質などで、客観的な活動の実績を示せるのではないかな、とも感じました。
それから、企業の内部領域への進出による情報の蓄積についてですが、そういったところでこれまでどの程度の経験がおありなのかなと。もしありましたら、整理しておいていただければと思います。組織というものは、通常、事業上の機密などもあって、簡単に外部の方を中には入れないと思うのですが、そこにこれまでの出張研修や診断などの活動の中で、どういう障害があって、そこをどう克服されていったのかというようなことは、極めて優位性の高い貴重な情報だと思いますので、今後も整理していただければと思います。
最後に、組織のあり方として、現在は中央協会と個々の協会とで、独立別個ということになっていると思います。ここが、今までのように独立を前提とした連携関係でいいのか、それとも、もう少し踏み込んだ関係が必要なのかについても、何かご意見を整理されることがあってもいいのかなと思いました。すみません、1点目だけご回答をいただけますでしょうか。

○西本専務理事 国に何を望むという部分は、冒頭理事長の挨拶の中でも申しましたように、やはり労働災害の防止は、国と私ども災防団体が車の両輪で進まないといけませんし、災防団体法の中でも国との連携を図りなさい、あるいは、国からの一定の支援というような事も明示されています。具体的には、個々の色々な課題に対して、その時々の状況を捉えながら国からの支援をいただく必要があるのではないかなと思っています。先ほど私が申したような中小企業対策や、新しい課題が生じたときに、より未然にそれを防ぐための方策の検討など、いろいろな課題はあろうかと思います。具体的に「これとこれ」ということを明示することは難しいとは思いますが、そこは状況を踏まえて、国として何をするべきなのか、あるいは、私どもとして何をするべきなのかを個々に捉えながら、対応していく話ではないかと考えています。

○相澤座長 時間が超過して申し訳ないのですが、よろしいでしょうか。大変熱心な質疑をいただきまして、ありがとうございました。それでは、中央労働災害防止協会のヒアリングは、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(ヒアリング対象団体入替え)


○石綿対策室長 それでは、続きまして建設業労働災害防止協会の説明者の方、着席をお願いします。

○相澤座長 準備、よろしいでしょうか。今日はお忙しいところ、ありがとうございます。これから建設業労働災害防止協会のヒアリングを開催させていただきます。事務局から建設業労働災害防止協会について、ご説明をお願いいたします。

○石綿対策室長 ご説明申し上げます。資料3をご用意願います。「ヒアリングシート」ですが、27頁の1.労働災害防止計画に即応した業務について、特に重点とする事項として(1)リスクアセスメント普及促進、(2)建設業労働安全衛生マネジメントシステム、通称コスモスの展開、(3)安全衛生意識の高揚と安全衛生管理ノウハウ等の共有化、(4)建設業における労働災害防止のための調査研究・開発、(5)東日本大震災に係る復旧工事安全衛生確保支援事業という形になっています。
(1)のリスクアセスメントの関係に関しては、そこに挙げていますように総合工事業者のためのリスクアセスメント研修、職長のためのリスクアセスメント教育、職長・安全衛生責任者教育といったものを、それぞれ11回、19回、135回という回数で実施しているところです。(3)の安全衛生意識の高揚とノウハウ等の共有化については、来月の6日、7日に広島市において、第48回全国建災防大会を実施することを予定しています。この中で実施するシンポジウムにおいては、今後、本格化が見込まれる復興工事における災害の防止対策をテーマとしているところです。(4)の調査研究の関係については、「安全衛生経費標準リスト」等の実用性の検証を行っているところです。(5)の東日本大震災関係については、岩手、宮城、福島の3県において支援センターを7月以降に順次開設し、新規参入者教育等を実施しているところです。これについては8月末現在で巡回指導を延べ59現場、安全衛生相談を延べ14件、新規参入者教育を延べ52事業場実施しているところです。
28頁に移って、2.労働災害防止規程の法令水準との比較ですが、法令水準を上回っている項目としては6点あり、具体的には(1)が危険予知活動(KYK)の実施に係る規定、(2)がリスクアセスメントに関する自主教育の規定、(3)が安全帯取付設備関係の規定など、業種に特有の問題を、法令水準を上回る形の規定を設けることでカバーしている状況があります。規程を追加・変更する際の仕組みですが、これについては「施策検討委員会」において諮問を行った後で、最終的には総代会、そして厚労大臣の認可を受ける形をとって変更する仕組みになっています。
3.理事(理事数)ですが、現在、73名いらっしゃるところです。これについては建設業に携わる関係者が一体となり、かつ、全国斉一的に活動の展開が図られる観点から必要であることを述べています。
4.理事会ですが、理事会の開催実績は昨年度、平成22年5月に常任理事会・理事会を開催し、9月に常任理事会を開催、そして3月のものについては震災のため中止という状況になっています。また審議の内容については、事業計画等の承認、収支改善についての検討、コンプライアンスについてということです。
29頁で、5.サービスの向上の取組については、全国大会参加者に対してアンケートを実施し、昨年度は1,899件の回収ができました。
6.支部ですが、支部の運営主体として都道府県建設業協会が47都道府県にあります。この支部の運営に対するチェック体制については、各種技能講習の実施に関して本部監査を毎年実施しています。平成22年度に事務局長が交替した支部が5支部ありますが、北海道、秋田、山形、東京、山梨に対して実施しているところです。支部に理事、監事、総会が存在する理由ですが、支部は、本部と同様の組織要件を備えた組織として、地元会員による運営が行われる必要があり、このために適正な事業を実施する等の観点から、会員の中から理事を任命し、総会においてその運営について諮問し、会員の同意に基づいて支部活動を展開しているという説明です。
30頁で会費の使途の関係ですが、会費収入については本部経費としての使用はゼロで、すべて支部の運営費として交付して使用されているところです。逆に賛助会員会費については、すべて本部経費として計上されている状況です。支部運営費の財源は、ここにありますように事業費収入については支部事業収入から充てていて、人件費・管理費については会費収入と支部事業収入を充てている状況です。
資料4の「会員へのアンケート調査結果」については、時間が押していますので簡単に説明申し上げます。2.会員として取り組んだ事項については、マル1安全パトロールへの参加、マル2教育・研修の受講、マル3作業主任者等技能講習の受講といったものがウエイトとしては高くなっています。
3.会員となった以降の効果ですが、マル1安全衛生活動の活性化、マル2安全衛生水準の向上、マル3職場のリスクの減少、マル4労働災害の減少、ゼロまたは少ない状態の持続と続いていて、パーセンテージとしては右にある数値となっています。
33頁で4.建災防の事業で活用したことのある事業と評価ですが、一番多いのがマル5の建災防発行のテキストの活用です。続いてマル4の安全指導者による現場指導等、その次にマル2の支部安全大会に参加となっています。実際に役に立ったかについては、一番いちばん下にまとめがあり、テキストの活用、支部安全大会に参加、建災防の安全衛生用品の活用といったものが高い評価を得ているところです。事務局からの説明は以上とさせていただきます。

○相澤座長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から、ご質問をお願いいたします。

○市川委員 今日はお忙しいところ、ありがとうございます。建設業界と言いますと重層構造の仕組みだということは、よく知られているわけですし、建設業界における労働災害の件数あるいは死亡者数も、どちらかと言えば下の2次、3次というところの方々が多いのではないかと推察します。建災防の取組の中で建災防の会員というのは企業か、団体なのでしょうね。その中で構造的に下のほうの企業の方々に対するアプローチを、どのようになさっているのかというのが1点です。
もう1つ、建設業は、一人親方という形式で働いている方が多いのではないかと思いますし、そういう方々は特別に加入していなければ労災の適用もないわけですが、数としては無視できない。いわゆる雇われて労災でカバーされている労働者に匹敵するのかどうか正確にはわかりませんが、無視できない数の方々がいらっしゃると思います。建設業界全体の安全といった点について、どのようなことを考えておられるのか。あるいは建災防という組織であれば、私の考えでは、そういうところに手が届くような活動でないと、なかなか役割を果たせないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。お伺いしたいと思います。

○高橋技術管理部長(建災防) 第1に会員の内容と言いますか構成ですが、1号会員と2号会員という分け方をしていて、1号会員は企業並びに実際の現場は有期事業なので、その現場も加入できるということにしています。2号会員は、先ほどお話があったように建設業は重層下請になっていて、元請があり下請があり、またその下の請がありということになっています。さらに専門に例えば型枠だけをする会社、足場だけをする会社というふうに、ゼネコンでも1次、2次があるように、その下にまた専門がございますので、各企業で入っていただくことを第一前提にしているのですが、小さな企業については団体で入っていただいています。ですから、平成23年3月で調べたところでは5万2,000人程度が1号会員で、2号会員の団体が約600に近い591ございます。その構成の会社が32万2,527、約32万社ございます。そのような二重の会員になっていただいているのが現状で、悩みは小さい企業に対するアプローチになろうかと思います。

○三柴委員 1点だけお伺いします。建設業界での災害事例等の収集と分析ということを、継続して行ってきた実績があるかどうか、この点だけお伺いします。

○高橋技術管理部長 これは継続してやっております。そういうものを「安全衛生年鑑」とか、場合によって緊急を要するものについては、「建設の安全」というものを出しています。そういうのに掲載するなどさまざまな工夫をして、展開させていただいています

○相澤座長 よろしいですか。他にはいかがでしょうか。

○田極委員 いろいろ詳しくご説明いただきまして、ありがとうございます。いくつか質問があるのですが、資料の30頁で財務のところです。会費収入は支部の経費としてほとんど使われている。本部の経費については賛助会員からの会費で成り立っているというのが出ています。その前の29頁に戻ると、支部の運営に対する本部のチェック体制と実績というのが下から2つ目の枠にあります。その説明のところで、支部が行う内部監査の実施結果を踏まえて本部が監査するということが書かれています。本部のほうではあまり経費を使っていなくて、支部がほとんど費用を使っている構造になっているというのが、この資料を拝見するとわかります。そもそも支部というのが法人ではなく自分たちで監査をしてということですが、これは内部監査の面から言って適正なのかどうかというところが気になります。普通、本部が支部に行って、経費伝票などをチェックして監査するというのが通常行われているところだと思いますが、こういった取組はされているかどうかというところを伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

○堀内総務部長(建災防) 総務部の堀内と申します。ここのところの書き方が、6.支部ということですので、最初の方の前段に書いたのが実は技能講習に係る監査の話を載せてある部分です。経理の部分ということではなくて支部が実施する各種技能講習があり、これについて、当然、適正にできているかどうか確認する必要がありますので、ここは年間計画として担当部がやりますが、ここは少ない人数で、年間に5支部ぐらいを中心にやっています。ここは当然、労働局からの監査もありますし、そういう意味での労働局と部内で行う監査を、教育関係の技能講習の実績について見させていただいているということです。
あと支部に理事、監事、総会が存在する理由というのが、たぶんお尋ねのことだと思います。そこに書いてあるとおりなのですが、建災防の設立当初から考えていくと、建設業協会という母体の中で建災防が設立されたわけです。その中で、それまで独自に活動していたというところに支部機能を持たせたわけで、当然、法人格は本部一本と、これは団体法によって決まりましたし、そのまま経理を本部がすべて見るわけにいきませんので、当然、そこにおいては本部と同様の組織を持たせて監事を置き、支部でも必ず総会を行わせるようにして、その中で経理面のチェックを行わせ、その額を本部に報告していただき、それを本部一体で経理計上しているという形です。ですから監査のために現実に支部に行くということは、まだこれまでありませんが、経理の面で照会があった場合には、総務で経理指導という形で出向く形をとっています。

○田極委員 本部が現場に行って、いろいろ監査するというガバナンスの面から言うと非常に重要なことだと思いますが、そういった事は、今後、強化しようというお考えはあるのでしょうか。

○堀内総務部長 これまで現実に昭和39年からきて、ある意味で否という回答がありませんので、このままでいいかどうか分かりませんけれども、本部としては、支部という形で本来は機能していないわけですが、そこの部分でそれなりの方が支部長という形で、その方を中心に理事が任命され、監事の方もそれなりの方が任命されているということであれば、そこは持場、持場のセクションの話だとして信用して対応していきたいと考えています。必要に応じて私どもに付いている公認会計士からも、部分的には抽出してやっても構わないでしょうという意見はいただいていますが、現在のところ、そういう計画は持っていないということです。

○相澤座長 他には、いかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 ご報告、ありがとうございました。建災防につきましては建設業という特殊な業種で、しかも統轄管理体制の中で仕事をするという大変さがある中でいろいろな管理手法とか活動のあり方を提言されてきたと思います。それで質問ですが、中災防の話を先ほど聞きましたけれども、いわゆる災害防止活動や、そのための手法、取り組み等については、製造業とかなり重なる部分があると思います。その点に関して、例えば中災防と建災防の関係というのは、何か有機的に連携する部分があるとか、あるいは全く独立であるとか、そういう現状についてお聞きしたいと思います。もう一つ、その関係をもうちょっと濃くしてもよろしいのではないかという気もするのですが、その辺についてもご意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

○伊藤事務局長(建災防) 建災防も中災防の会員であるわけで、一体となって労働災害防止に取り組むということは当然のことですけれども、今、ご指摘のありましたとおり、建設業特有の危険性というものにどういうふうに対処するか。特に死亡災害にあっては、かつて4割以上は建設業が占めていた。いまは3割程度まで落ちてはきていますけれども、非常に問題があって、その特殊性というのは屋外作業であるとか重層下請構造であるとか、いろいろな業種が混在して作業していることがあるわけで、特別な配慮が必要であり、そういう中で統轄管理をいかに行うか。統轄管理は、一般製造業で言っている安全管理では賄いきれないというか、カバーしきれない部分があります。統轄管理をやる中で製造業の管理はできるでしょうが、その逆は成り立たないとなってきますので、建設業特有の危険性なり問題点に着目した者が、餅は餅屋でやるべきであろうということを考えています。
先ほど市川委員からお話がありましたとおり、特に災害に遭っているのは中小建設業者と専門工事業者、それから木造建築業者ということになります。この辺がいちばんの問題だということで平成6年から厚生労働省とタイアップして、それまで1億円程度だったものが、一挙に10億円程度の委託費をいただき、実際に事故に遭っている方々の安全衛生水準を引き上げるという活動を展開したわけです。それにより約10年間、100億円注ぎ込んだ結果、トータルで5,000人ぐらい死亡者が減少したということがあり、それによって労災保険給付が2,500億円ぐらい浮いたという勘定になっています。100億円の投資で2,500億円が浮いたということで、さらにそういうことを国とタイアップすることにより、今回の東日本もそうですけれども、国と一体となって安全衛生水準の向上を図っていくということで取り組んでいます。

○高橋委員 ありがとうございます。

○相澤座長 他には、いかがですか。市川委員、どうぞ。

○市川委員 先ほど会員の構成等々についてお聞きしたのですが、会員企業とそれ以外の所で、労災の千人率等々の違いみたいなものがわかるような調査は、されておられますか。

○松本理事(建災防) 毎年、前々年度になるのですが、私どもの会員がどの程度死亡災害があるのかという調べをしています。平成22年度に調べたものについては、我々の会員で小さい所が、先ほどおっしゃったように災害を起こしているということですので、起こした会社が会員になっているかどうかを調べました。平成21年がいちばん新しいのですが、大体、そのときに亡くなったのが全体で371名ございます。事業者というか実際に亡くなった方は下請がほとんどですが、60件あって全体の16.2%でした。その企業が会員でなく、ただ、元請は入っていますよということがあります。それが97あり、これが全体の26.1%を占めています。ですから実際に起こした人が我々の会員、ないしはその元請が会員であるというのを合計すると、42%というのが我々の会員の占める割合です。これは毎年、同じような状況です。ただ、たくさんの会員に入っていただくのが我々の務めと考えていますので、会員が多くなればなるほど災害率が増えるではないか、という指摘もあるのですが、それは我々と一緒に労働災害の防止に取り組んでいくという本来の目的に適っていますので、それには努力しています。

○相澤座長 いかがでしょうか。他にはございますか。田極委員、どうぞ。

○田極委員 ガバナンスの面でお伺いしたいところがあります。28頁で理事会の機能が書かれていますが、具体的に教えていただきたいと思います。かなり支部の方が積極的に中心になってやっていらっしゃるのが、先ほどからのご説明でもありました。一方で、国と一体となって事業を推進していく必要性があるというご説明もありました。その中で、こういう事業計画を立てるときにはどういう手順でされるのか。例えば支部から、こういった事業をやっていく必要があるという提案があって、本部で支部の意見をまとめて計画を作り、理事会で承認する流れになっているのか。あるいは本部が中心になって事業計画を策定し、理事会で承認を得る手続になっているのか。そのあたりを具体的に教えていただけたらと思います。

○堀内総務部長 初めに事業の中身については担当する各部が、毎年、いろいろと調査を行い、各都道府県支部には事務局長を置いていますので、全国の事務局長会議を年に2回開催する中、本部の方針という中で、支部からの要望等も取りまとめて事業計画に反映していくことはしています。個々の部分についてはまたあると思いますが、その前に理事会の持ち方として、ここに書いていませんけれども、理事会をやる前には必ず正副会長会をやります。建災防は正副会長が10名ほどいますから、まず事務局からいろいろな事業計画等のご相談をした中で、この事案についてその時の常任理事会にかけ、理事会にかけ、最終的には各支部からの代表による総代会にかけます。定数がありますので多い所は何百人という形になりますが、その中で総意が得られないと事業計画自体が承認されません。ですから理事会で承認を得ても総代会で承認が得られなければ、すべて計画のやり直しというシステムを取っています。
その他、先ほど中災防でもありましたが、参与会というのを年に2回開催しています。参与というのを任命していて、その方に業績の評価委員になっていただきます。その参与の皆様は学識経験者、組合の方で、当然、同じような構成でやっていますが、そこに建災防の事業を報告する中、事業の反映の仕方についてとか、また次年度における事業計画はこうあるべきではないかというのもいただいています。それらを総合して最終的に、いま言った理事会にかけていく方式を取っています。

○相澤座長 いかがでしょうか。谷口委員、どうぞ。

○谷口委員 連合の谷口でございます。ご説明ありがとうございます。二つございます。一つは、アンケートの結果として33頁に事業と評価を掲載していただいていますが、これを拝見すると、概ね「役に立った」と答えている会員が多いように見受けられます。ただ、一方で「どちらでもない」という評価の事業もあり、かつ、その率が結構高いという事業もあると見受けられます。例えばマル7の専門工事支援事業については、約半数の会員が「どちらでもない」という評価をしていて、「どちらでもない」というのはかなり厳しい評価だと私は受け止めています。こうした評価を今後の事業の見直しに、どのように反映する予定はあるのか。あるいはそういう見直しを常に行っているのかという点について、お伺いしたいというのが一点目です。
もう一つは、労働災害が起きている現場というのは、もちろん建設業の場合は非常に階層もある。あるいは作業員の方の職種も細分化されていて非常に多いと思いますが、実際に労災が起きている現場、あるいは作業員というのは、ある程度絞り込みができるのではないかと、これは勝手な推測ですが、もしできるとすれば、こうした事業もある程度ターゲットを絞った所の会員にやるといった工夫をしないと、すべての事業について、のべつまくなし、みんなにやるというのは効率がよくないのではないかと思っています。そうしたターゲットの絞り込みという考え方はできるのかどうか、この二つをお伺いできればと思います。

○高橋技術管理部長 お答えいたします。確かに部分的には「どちらでもない」という所があり、一つは建設業の特徴として、例えば専門工事業者は職種が違うと、その対応も全然違うということもあると思います。したがって、それにピッタリ合った対応をしていかなければいけないという難しさがあるかと思います。その辺のところは我々も乗り越えていかなければいけない部分ではないかと思います。これは2番目のご質問のターゲットを絞るという、ここに恐らくいくのではないかと思いますが、できるだけその職種に合った対応をということで、きめ細かな対応を、これから考えていかなければいけないと考えています。
なお、ここで、特にマル7のところなどが「どちらでもない」というのが非常に多かったわけですが、これは逆に質問する相手が専門工事業者ですので、自分のところと関係ないところは「どちらでもない」となったというふうにも考えられます。したがって、このアンケート自体も、そういったターゲットをきちっと絞らないと、正確なデータが出てこないということもあろうかと思います。そういうことで今後、建設業の特徴をそういう意味で活かしながら、これを踏まえて事業を展開していきたいと思います。

○相澤座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○松本理事 委員がご指摘のとおり、実はアンケートを取りましたときに失敗したなと思ったのは、私どもの会員はほとんどが専門工事業者ではないのです。ゼネコンが多いものですから大変に大失敗だなという気はしました。そのほかに全国大会でもアンケートを取っていて、約5,000名のうち約2,000名の回答は頂戴しています。熱心な方が見えるものですから、それについては比較的理解をいただいていると思います。
死亡災害のターゲットを絞れるかということで、なかなか業種は難しいのですが、実は現場に入って1週間以内に事故に遭う方たちが相当いて、365であれば371のときですか、初日に80人ぐらい亡くなって、1週間程度でまた80人ぐらいです。中には「わからない」というのもあるのですが、その短い期間に死亡災害に遭っているので、実際には会社の内部でこれから行く現場を勉強してくださいとか、ないしは現場に入ってからもう1回、現場のルールを勉強する。それを送り出しと言うのですが、そういう送り出し教育、それから入場時教育の徹底がいちばん大事かなと今は考えて、話が飛びますが、実際に東日本でも新規入場、雇入れのところの重点施策が大事かなと考えて、今、実施しているところです。

○相澤座長 予定時間が過ぎましたので、よろしければこれでヒアリングを終了したいと思います。本日は建設業労働災害防止協会の皆様方、ありがとうございました。


             (建設業労働災害防止協会退室)


○相澤座長 今、ヒアリングが終了したわけですが、いくつか問題点が浮き上がってきたのではないかと思います。委員の皆様方にヒアリングをしていただいた感想等をお伺いしたいと思いますが、まずガバナンスという面で、理事、理事会について人数が多いことが指摘されていましたけれども、これについていかがでしょうか。田極委員が聞いておられましたけれども、いかがですか。

○田極委員 やはり説明を伺っても、人数が多いことの理由にはなっていないのかなという印象を受けました。また中災防のほうですが、理事会が形骸化しやすいところを改め、経営会議を設けて柔軟に対応しようということで、平成23年度は対応されているようですが、だからといって理事会の理事数がこのままでいいかというと、それは改める必要があるのではないかという印象を受けました。

○相澤座長 ちょっと人数が多くて、形骸化しているところがあったようですけれども、そこについて何かございますか。市川委員、どうぞ。

○市川委員 私も同じような印象を持ちましたが、役割がはっきりしない。理事ということであると、私は労働組合の立場ですが、労働組合も執行機関と意思決定機関というふうにいろいろあるわけですが、理事を執行機関とするならば人数が多すぎるのではないか。中災防の場合は経営会議というのができたようですが、機動的な決断ができないのではないかと思います。ただ、会員である事業主団体の方に幅広く理事になっていただきたいという気持はわかります。それは労働組合でいくと組合員が全部集まって大会となる。あるいは支部の代表者を全部集める。これは役割が違うのです。そこをもう少しはっきりさせて、107名必要だということであれば、逆に言うと、この107名の方に何をやっていただくのか。組合でいくと、ある単位を代表して来た人には義務もかかるわけです。この決定を組合員に全部知らせなさいとか、このことに全員で取り組みなさいなどと、それをやってもらうために大勢集めるわけです。ここでも107名必要だということであれば、その方たちを介して例えば各団体のニーズを上げてきてくださいとか、各団体の労災の発生率が下がったことをちゃんと報告させるとか、そういうふうにするなら意味があるのですが、ただ名前だけ集めると、少し中途半端なのかなという感じはいたしました。労働組合と比べて失礼かもしれませんけれども。

○相澤座長 他にはご意見、いかがでしょうか。名誉職だけではあれですから、ちゃんと責任を持ってもらうということも大事だと思います。そんなことでしょうか。よろしいですか。それでは次に、サービス向上の取組ということでもヒアリングしていただきましたけれども、これについてはいかがでしょうか。谷口委員が聞かれていますね。

○谷口委員 会員からのニーズを汲み上げなければいけない、というご認識はお持ちのようですが、両団体に質問を申し上げましたけれども、本来の目標達成に向けた手段を選択するための会員ニーズの汲み上げというのが、きちっとリンクしていないのかなという気がいたしました。目標を達成するために手段を選ぶ、そのために、いま現場のニーズは何なのかというのをもっときめ細かく聴いて、それを事業の改善に結び付けていかないと、やっていらっしゃることが、あまり意味がないようなことになってしまわないかと懸念しました。

○相澤座長 これについては、他の委員の方々、いかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 先ほども申し上げたのですが、顧客のニーズを把握するということが一番大事だと思います。そして、どうやって把握するかということですね。おそらく内部でもいろいろお考えだと思いますが、今までに、せっかく要望しても、それが実現できなかったという話を結構聞いています。例えば講師派遣を依頼してみたらその条件が見合わなかったとか、せっかく研修を受けようと思っても、ある地域まで行かないと受けられないということです。そうなると受講料よりも宿泊出張費が高くなることがあります。だったらまとめて出張という形態でやってもらえないかとか、そういうことを多少聞いています。そういうニーズと対応をうまくマッチさせて、やっていけるようになるといいと思います。
具体的にお話ししますと、いろいろな大企業がありますけれども、そこには必ず下請もいますし関連企業がいっぱいあります。そういう所から各本社にどんな質問や指導のお願いが来ているか調べてみると良いと思います。そういうものを肩代りしてあげることは大切な役割だと思います。あるいは、例えば中小の中では難しいと言いましたが、そういう所で好事例があったら、それを業種団体や地域の事業者団体に広め、より具体的な対策の普及に努めるとか、そういう工夫の余地はまだまだあると思います。そういうことを、各団体とも検討していただけたら良いのではないかと考えます。

○相澤座長 ほかに、いかがでしょうか。

○市川委員 労働組合と比べてばかりで申し訳ないですが、労働組合でも中小あるいは零細の所の労働者に手を延ばすということは、いろいろな意味で非常に難しいわけです。組合を作ることも非常に難しいし、組合があっても、小さい所まで手が届くサービスを全国組合がすることは非常に難しいです。そういう意味で、中小の事業場に安全衛生の取組をきちんとやってもらおうということであれば、中央にある組織が頑張っても限界があるわけです。直接はできない。先ほど?橋委員もおっしゃいましたが、セミナーを実施しても中小の所は旅費をかけてなかなか行けないこともあって難しい。組合でいくと地方に手足がないと、なかなか中小零細に手が届かないということもありますので、支部のあり方を少し検討されたらどうか。
もう一つは、高橋委員もおっしゃっていた、企業の系列の関係で下に下ろしていくという方法は組合でもあります。この地域でやるという話と大きな企業の下に関連でやる、二通りの方法で中小零細に手を延ばしていくという方法は労働組合もやっています。そういう意味で、中小事業場のニーズを汲み上げて、サービスするのは組合でも非常に難しいのは十分理解していますが、どうやったら手が届くのかということを工夫して、是非、お願いをしたいなと思います。

○相澤座長 よろしいでしょうか。支部の話にいきましたけれども、支部の関係、本部との関係についてもご議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。田極委員、どうぞ。

○田極委員 この二つの団体が対照的だと思ったのは、本部がしっかりしていて、支部が組織としてわかりにくい。それから支部がしっかりしていて、本部のガバナンスが効いていないところがあったように感じました。支部で一生懸命やっていて信用されているので、支部の報告を受けて本部は対応していますというお話だったのですが、国費が入っている以上、説明責任というのは問われますし、そのあたりの透明性を図る必要がありますので、本部で支部の内部監査ができるように、ガバナンスをしっかり強化できるようなところが必要ではないかと思いました。

○相澤座長 歴史的なところもあるようですけれども、きちっと本部が目を光らせるということが必要だということですね。ほかにはいかがでしょうか。それでは財政の関係について、いかがでしょうか。これも田極委員から聞いていただきましたけれども。

○田極委員 一つは、中災防は財政面が非常に厳しいということで、収支改善計画を立てているけれども、目標までの道筋がまだ具体化できていないようなお話でしたので、そのあたりを、どう収支改善に向けて取り組んでいくのか明確にする必要があるのかなと感じました。二つ目の建災防ですが、こちらも業務の内部監査というお話もありましたけれども、経費について、きちんと明確にして透明性を高めていく必要があると思いますので、このあたり、きちんとしていただきたいというところがあります。
前に戻って中災防で言うと、支出の面で内訳がわからないというのが資料の4頁にありました。使途内訳がわからないというのは問題だと思いますし、ましてや財政が、いま非常に厳しい中では、何にどのくらい使っているのかというのは、まずはっきりさせるべきではないかということを、今日のお話を聞いて感じたところです。

○相澤座長 他には、いかがでしょうか。財政問題はなかなか厳しいということですが。

○谷口委員 中災防の方は私も同じ事を感じましたが、経費の削減イコール人件費のカットということだけに、やや目が向きすぎているような気がします。もっともっと小さなものの積上げによる経費削減ができるはずなので、事業一つひとつの洗い直しをきちっとすることを考えていると思いますが、そこもきちっとやっていただければと感じました。

○相澤座長 管理費とか切り詰めるところがあると思います。ほかにはいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 不案内の部分があるのですが、中災防の3頁の6.の支部の運営の中で2つ目の欄です。ここに精算報告書の提出を受けて、平成22年度についてもこれに基づいて支払いを行ったとあります。このまま読むと、いわゆる出来高払いで、予算があって、それについて執行して最後に締めるという、こういうサイクルではないように見受けられます。これは、できればきちんと予算があって、執行し、それから出来高でなくて、ある程度の枠で改善効果を見て次を決めることが大事だと思います。この点についてはまた後で確認していただければと思います。

○相澤座長 この部分は事務局で確認をしていただいて、出来高払いなのか、ちゃんと予算を計上しているのかどうかというところのチェックをお願いします。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もう一つ、アンケート調査を今回、やっていただいていますけれども、団体の事業を利用した会員事業場からは、高い割合で「役に立った」という評価を得ている状況がわかったわけです。一部、事業によっては低い評価もありましたけれども、こういったアンケート調査の結果から何か感想がありましたら、お願いしたいと思います。市川委員、どうぞ。

○市川委員 質問したかったのですが、時間がありませんでした。建災防のアンケートの32頁です。アンケートそのものではないのですが、答えた企業の会員歴が10年以上という所がほとんどなのです。これは、そもそも全体の構成で会員歴が長いところが多いのか、たまたまこのアンケートに答えてきたところがそうなのか。何が言いたいかというと、新規の会員をどんどん入れていないのかということです。10年以上のベテラン選手というか、そういう所ばかりの団体なのかという印象を持ったので、後ほど調べていただければと思います。

○相澤座長 確かに古いのばかりだと、あまり健全ではないということがありますね。新しい所も入ってこないと困るということで、これはチェックをしていただけますか。田極委員、どうぞ。

○田極委員 中災防のアンケートの10頁で、休業を伴う労働災害年千人率というのがありますが、これは1,701件が回答企業数ですので全数が回答していない。1,301社しか回答していないようなのですが、そのあたりが、では何で無回答だったのか気になるところです。16頁に賛助会員になったことによる効果というのがあり、これも1,781社でまとめているのですが、むしろこういったところは賛助会員になってすぐの所と、そうではない所と分けて分析してもよかったのかなと、そういった感想めいたことですが気になったところです。

○相澤座長 これはエビデンスを求めるという姿勢ですけど、会員でない人と比べないと、あまり意味がないのかなという感じもしますし、もうちょっと詳しく、いまご指摘があったようなまとめ方も必要かなと思いますので、よろしくお願いします。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ほかに全般にわたりまして委員の皆様方から感想がありましたら、お願いいたします。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 今日、特に中災防の関澤理事長の話を聞いていまして、民間から来られていろいろな改革をしようとしている姿勢がうかがえたのですが、説明の中で国と相談してとか、国と連携してという言い方が多く出てきました。その国と中災防の間には、人事や財務、それから事業運営の中でどういう関わりがあるのかというのが、よく理解できません。国の指導を受けているというのは理解していますが、これらについてわかりましたら、どなたかにご説明していただきたいのですが。

○石綿対策室長 その点につきましては、災防団体法というので法律に基づく団体という形になっていますので、そういう意味では国が法律を作り、労働災害防止という法目的を達成する手段として、この法律を設立しているという形になっています。そういうことからすると、ある種、連携というものが当然に予定されている団体というのは、おかしくないのかなというふうには思います。

○相澤座長 事業を主にということですね。人事とか、そういうこと。

○高橋委員 そうですね。全部、国の指導下にあるのかどうか。

○安全衛生部長 簡単に申し上げれば、今日もお手元に配付していますけれども、第1回目の資料の参考資料の中で、いま言及がありました法律がございます。労働災害団体防止法の中に、それぞれの団体について、例えば決算経理面や業務面等々については、国としてこういう形で監査するということは、法律上、きっちり決まっています。これはある意味、法律に基づく法人ですので、経理面あるいは人事面等々で適正に運営されているか、国としてチェックすることで法律上の規定があると。それに加えて業務面ということになると、これも法律上の規定がありますけれども、それぞれの団体が行う事業について、国は一定の範囲内で補助金を出すことができる。これは国の財政状況等々も含めて、あるいはそれぞれの団体が行う活動の中で、特に国として財政的な支援を行う必要があるものについて支援をしているものです。
更にそれに加えて、事業の委託という形で、これは本来、国が行うべき事業ですけれども、直接はなかなか難しいので、むしろこうしたノウハウを持っている災害防止団体に、お願いする形で実施している委託事業というのもあります。そして当然ながら、業務を実施するに当たっては相談しながら、というのは、例えば今回の大震災で言えば、国もいろいろな形で震災後の災害防止対策というのは実施していますけれども、国の監督署だけでできない部分というのは当然ありますから、それをこうした団体にご協力をお願いする。団体の事業として、例えばこういったものができないだろうか、それについては国からもこうした財政的な支援をする。あるいは国が例えば補正予算なら補正予算で事業を取って、これをやって実施してくれないだろうかという形で行う。事業そのものは、いま申し上げたような形で、その時々の状況の中で、まさに相談しながらやって実施している部分もあります。ざっと申し上げるとそんな形かなと思っています。

○高橋委員 概ね理解できました。

○相澤座長 他には、いかがでしょうか。無いようでしたら、本日はこのあたりで終了させていただきます。
本日の議事録署名を谷口委員、高橋委員によろしくお願いいたします。また明後日、28日にお集まりいただき、ほかの災防団体に対してヒアリングを行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局から連絡事項をお願いいたします。

○石綿対策室長 次回のヒアリングにつきましては、明後日、28日の水曜日、10時から、同じこの建物の9階、1つ上のフロアになりますが、そこの944会議室で行いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○相澤座長 それではこれで終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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