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2011年11月17日 第3回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の議事録
障害保健福祉部障害福祉課
日時
場所
出席者
委員(五十音順)
茨木教授野沢論説委員
平野准教授
岡田障害保健福祉部長
中島企画課長
土生障害福祉課長
福田精神・障害保健課長
内山地域移行・障害児支援室長
蛭田自立支援給付専門官
社団法人日本精神科病院協会
一般社団法人日本発達障害ネットワーク
社団法人日本自閉症協会
社団法人日本重症児福祉協会
全国児童発達支援協議会
社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会
財団法人全日本ろうあ連盟
社会福祉法人日本盲人会連合
特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会
全国自立生活センター協議会
特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会
特定非営利活動法人日本脳外傷友の会
議題
議事
○蛭田自立支援給付専門官 定刻となりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第3回)」を開催いたします。
御出席いただきました団体、アドバイザーの皆様におかれましては、御多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
議事に先立ちまして、まず、本検討チームのアドバイザーの方を五十音順で紹介させていただきます。
明治学院大学教授、茨木尚子さんです。
慶応義塾大学教授、駒村康平さんです。なお、本日は所用のため、御欠席との連絡を承っております。
毎日新聞論説委員の野沢和弘さんです。
日本社会事業大学准教授の平野方紹さんです。
なお、事務方の構成員の紹介は省略させていただきます。
また、津田政務官は公務により欠席させていただきます。岡田障害保健福祉部会長は、国会用務のため、遅れて出席させていただきます。
それでは、報道カメラマンの方は御退室願います。
(報道カメラマン退室)
○蛭田自立支援給付専門官 また、本日は、ヒアリングを行うため、関係団体の方々にもお越しいただいておりますので、御紹介させていただきます。
社団法人日本精神科病院協会様。
一般社団法人日本発達障害ネットワーク様。
社団法人日本自閉症協会様。
社団法人日本重症児福祉協会様。
全国児童発達支援協議会様。
社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会様。
なお、本日のヒアリングは2つのグループに分けて実施します。11時から12時の後半の関係団体の方々は、後ほど紹介させていただきます。
本検討チームの議事は公開のため、本検討チームにおける審議内容は、皆様に御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに掲載させていただく予定となっております。あらかじめ御了解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、御出席の皆様から御意見を賜りたいと思います。時間も限られておりますので、1団体5分程度でお願いいたします。終了近くなりましたら、事務局よりメモで合図させていただきます。
それぞれのグループごとにすべての団体からの発表が終了いたしましたら、アドバイザーの方々からの質問の時間帯を設けていますので、前半終了の11時目途まで御在席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、まず、社団法人日本精神科病院協会様、御意見をいただきます。資料は1ページです。どうぞよろしくお願いします。
○社団法人日本精神科病院協会(千葉) 日本精神科病院協会の常務理事の千葉です。
それでは、私の方から要望事項を申し上げます。資料の3ページの図から始めさせていただきます。
ここにありますように、精神障害者の地域福祉サービスは、ほかの2障害に比べましてひどく整備が遅れており、昭和62年にやっとその門戸が開かれて、平成17年の自立支援法で他の2障害と一本化されております。これらの20年の間に、精神障害者の地域福祉サービスはほとんどが民間病院の手によって整備を行われてきているという実情にあります。このため、それまでの福祉的対応がすべて精神科病院に押しつけられて担わされていたことから、精神科病院の中には、現在も、多くの福祉的な対応が適切と思われる障害者が入院継続をしている状況にあります。
次のページは平成11年に行われました患者調査ですが、「受け入れ条件が整えば退院できる」とされた7万人余の方々がいると言われています。このときの受け入れ条件というのはどうだったかということを言えば、回答には、医療的な対応を基盤とした福祉施設や介護施設などを想定したものも多く入っていたかと思います。よって、それらに合致できる障害福祉サービスがないことで入院が継続されて、地域移行が困難なため、病院の中で高齢化しているということが6ページの図でわかるかと思います。
7~8ページは、精神医療、特に入院医療は適正化をされなければなりませんけれども、それには、これまでほかに方策がなく入院処遇をしてきた介護的な対象や、福祉的な対応が主となる人々を退院させねばなりません。それには地域にそれらを受け入れるサービスが存在しなくてはならないと、かねてから意見具申を申し上げているところでございます。
9、10の図は、やや見にくいかと思いますが、精神障害者はほかの障害と比べて大きな違いがあります。それは、その特性に合致することが大切な要件であるのに配慮をされずに、現在のままあります。その特性とは「固定しない障害」ということでありまして、どの障害程度でも医療を基盤として必要としているということにあります。
11の図をごらんいただければと思いますが、旧法(精神保健福祉法)においてありました生活訓練施設、いわゆる援護寮ですが、これは、地域生活を支える基幹的なセンターとして、危機介入がレスパイトケア、相談等の多様な機能を持つ施設形態として進化させて、利用しなくてはならないと考えております。それらが法定化されることを要望する新法までの間、それらの事業を行えるサービスを付加して、現在の旧法からの移行が進むようにすることが大切であると考えております。
12の図をごらんいただければと思います。これまで、生活能力障害の軽度の人たちは何とか現在のサービス体系へと移行させてまいりました。現在の精神科病院の中で、その層は入院数としてかなり少なくなっております。問題は、更に重度の生活能力障害の人々の地域生活施設でありまして、こちらの方が母数としては格段に多いわけでございます。これらの人々に対応できるのは、現在の類型の中ではケアホームが一番近いものであろうと思いますが、現状のケアホームはこういった精神疾患をベースとして障害者が利用するには貧弱すぎる状況にあります。より高度で専門的な支援を行える機能を持たなければ対応ができません。退院促進、地域移行を進めて、再燃・再発を防ぎ、再入院に至らないような支援・援助を行うには、看護専門職をはじめとするさまざまな付加機能を必要としております。これらの機能を果たす人的な資源についての必要な報酬、人件費として安定して賄えるものの設定を求めたいと思います。
現在の精神科病院の中には、これまでの政策の誤りのためにそういった福祉的な対応の方々があります。この方々の地域移行を進め、政策の誤りを是正するためにも、その辺の改定及び改革を期待しているところでございます。
振り返りまして、最初のページの要望事項に8つの項目を主なものとしてまとめさせていただきました。細かいことはたくさんございますけれども、まずここの部分だけはというような肝要な部分にまとめております。先ほど申し上げました旧法における生活訓練施設を、宿泊型自立訓練を基盤とする生活支援の事業が展開できるものとしていくための障害報酬を設定していただきたいと思います。
また、ケアホームの生活支援員の位置づけが大変あいまいで、非常にわかりづらい。また、それらの業務内容がよくわからないというのがあります。そういったことをもっと明確にしていただいて、また、入所者が日中、ケアホームにいない場合は、その人数を除外した生活支援配置を算定するような形にしなければ、その方々の人件費は賄えないというようなことが起こっているので、改めていただきたいと思います。
宿泊型自立訓練施設及びケアホームに看護専門職の配置加算を新設し、看護職の配置が現実的に可能となるようにしていただきたいと思います。
また、グループホーム・ケアホームに入居する精神障害者について、「精神疾患管理加算」を新設し、世話人が病状管理・指導、あるいは服薬の援助といったようなことや、医療連携支援を行う体制を評価していただきたいと思います。
サービス管理者は、現在のところ、その業務兼務ができないわけですけれども、世話人あるいは生活支援員と業務兼務ができるものとしていただきたいと思います。
これはどの団体からも出ていますが、福祉専門職配置加算は実際に雇用できる人件費とはなっておりません。それらのところを増額していただきたい。
また、宿泊型自立訓練の報酬が低額であることから、増額をお願いしたいと思います。
最後に、非常に煩雑な事務手続が障害報酬にはつきまとっております。これらの業務を簡素化するか、もしくは事務職を雇用できるような設定をしていただきたいと思います。
以上、8項目につきまして、日本精神科病院協会で要望として挙げさせていただきました。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本発達障害ネットワーク様、よろしくお願いします。資料は16ページです。
○一般社団法人日本発達障害ネットワーク(加藤) 一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局長の加藤と申します。本来、理事長が出席すべきですが、事務局の私からお伝えさせていただきます。
障害福祉サービスには福祉・介護の人材の確保が必要でございますが、発達障害者の支援に関しましても、質の高いサービスを安定的に提供するために、良質な人材の確保を推進するとともに、障害特性へのきめこまやかな配慮や医療的なケアなど、対応できるべく障害福祉サービスの質の向上を図っていただくよう、お願い申し上げたいと思います。
障害程度区分や報酬単価につきまして、発達障害者の場合は就労支援にかかわるサービスの需要が高いと思われます。また、障害程度区分は0~2程度になる人が非常に多いため、報酬単価が低く、事業所の運営にも影響します。事業所の運営面に影響が出ないような報酬単価の設定などが必要になるかと思われますので、御検討をお願いします。
発達障害に限らず知的障害においても、現行の障害程度区分の調査項目では適切な支援の区分が出ないということがありますので、単価の見直しをするだけでは不十分であろうと思われます。障害ごとの適切な支援の必要度を測る尺度が必要かと思われます。
就労継続支援事業の報酬単価につきましては、ほかの事業と比較しても非常に安いというところがありますので、基本的な単価自体の引き上げも考えるべきだと考えております。
発達障害の人の支援に関しましては高い専門性が必要でありますので、専門性の高い職員の配置に高い加算をつけていただくことをお願いしたく思います。
障害児通所支援に関連しまして、通所児童が少なく採算がとれなくなる事業所が出ないように、障害福祉サービス事業との一体的な運営を認めるなど、身近な地域で通所サービスを受けられる仕組みづくりを期待します。
また、乳幼児期は発達が著しい時期でありますので、先ほどから繰り返しておりますとおり、高い専門性をもって支援する必要があると思われます。それにかかわりまして、職員配置以上に専門職に関する配置に見合った報酬上の評価をお願いしたく思います。
その他としましては、放課後のデイサービスとの関連で、学校と事業所間の送迎の加算をお認めいただくように御検討いただければと思います。
簡単ではございますが、詳細はペーパーをごらんいただければと思います。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
次に、社団法人日本自閉症協会様、よろしくお願いいたします。資料は21ページです。
○社団法人日本自閉症協会(山浦) 日本自閉症協会常務理事の山浦でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、24年度障害福祉サービス等の報酬改定に関しまして要望をと考えております。皆様御存じのとおり、自閉症の人たちは、ここに記載がございますように、知的障害の有無や在宅、施設入所にかかわらず、いまだ悲惨な状況に置かれている人も多く、行動障害が大変なために、施設支援だけではなく地域サービスの利用さえ拒まれてしまうような実情もございます。一方で、福祉障害者の全体の動きといたしまして、地域生活移行の流れという大きな流れもございます。そういった意味で自閉症者施設の存続自体が危ぶまれております。ここにあえて自閉症者施設としておりますのは、法的には知的障害者入所施設のことでございますが、そういった施設サービスの部分において危ぶまれていることについて認識した上で、私は5点ほど要望したいと思います。
1点は、このサービスを受けるための基本となるところが障害程度区分の認定にあるわけでございます。これは、どういった物差しが一番いいのか、自閉症の大変さが必ずしも適切に評価されていない部分があるという認識でございまして、それに伴って今回の報酬単価が設定されるのではないかということで、そこをひとつ、今後の障害程度区分の認定の際に最適なところをよろしくお願いしたいと思います。
2点目といたしましては、行動障害や反社会的な行動のある自閉症の人(知的障害の有無にかかわらず)として、居住支援としての本人の主体的かつ個人的な生活を保障しながら、一定の保障的対応のできる建物設備と、手厚い療育支援を行うための人員配置がなされた住宅サービスが必要である。これはいわゆるケアホームと入所施設の中間的な存在といいますか、特に医療と福祉というところでも中間施設のようなことではございます。施設のハードの問題ではございませんで、あくまでも既存のハードの中で、そういった報酬の中で設定できる制度を切に願っているわけでございます。
3点目は、自閉症の人たちを現実的に支援できる拠点としては、自閉症者施設を標榜し専門性を有すると認められる入所施設に、 地域支援や人材育成等の諸機能を付加して、自閉症総合支援センター(仮称)、そういった部分のところをしていただきたい。これは、例えば障害者の全体のことで言われるのかもわかりませんが、親亡き後の障害者についてどういうふうにカバーするか。確かに地域移行という大きなファクターはあるわけですけれども、それらを、Iターン、Jターンとは言いませんけれども、自閉症のような障害者の皆さんのところでそういう代わりが必要ではないかということで、是非、制度化等をお願いしたいと思っております。
4、5につきましては、先ほど来出ております職員報酬の抜本的な改善をということでございます。私どもは法人として、そんな機関がなくて科学された提供はできませんが、5にございますように、既存の福祉・介護人材処遇改善事業というのが補助事業とされておりますが、これは24年の3月をもって終了するわけでございます。ここでも、既に金額的には国からの賃金保全がされておりますので、この額以上に具体的な改善を求めたいということでお願いしております。
以上、簡単ではございますが、最後に、私どもといたしましても数字的な科学された部分をまた申し上げていきたいと思いますので、今後とも、こういった場を是非ともお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、社団法人日本重症児福祉協会様、よろしくお願いいたします。資料は22ページになります。
○社団法人日本重症児福祉協会(末光) 常務理事の末光です。
まず、「障害者自立支援法及び児童福祉法の一部改正」の基本的枠組み案では、重症心身障害者の特性に御配慮いただきましたことに対し感謝を申し上げます。
このたびの障害福祉サービス等の報酬改定に当たって、4項目に整理して要望させていただきます。
まず、1の、新体系への移行に当たり、重症心身障害児施設が障害者サービス(療養介護)を一体的に実施する場合の経過措置では、現在の障害児入所支援給付費を十分に配慮した設定でお願いいたします。
具体的には、2に挙げましたように、療養介護の報酬単価は、現在、定員が増えると段階的に下がる逓減制になっておりますが、以下の理由から、重症心身障害児施設については一律の単価設定を是非ともしていただくよう、お願いします。
その理由ですが、1)として、重症心身障害児者施設では、個別対応重視の療育が行われております。食事の介助、姿勢の変換や移動介助、排泄介助など、全面的に介助を必要とする利用者がほとんどを占めているため、人手が手厚く必要であり、支出のほとんどを人件費が占めております。規模の大小に変わりなく1人当たりの人手と人件費はほぼ一定しており、小規模化することによるスケールメリットがありません。
2)気管切開、人工呼吸器、経管栄養などを必要とする、超重症児・準超重症児者を中心に日常的な医療面での依存度が高く、病状が不安定で、悪化しやすい利用者が多い状態に対して、緊急検査、例えばレントゲン検査、血液検査などを含む医療体制が必要不可欠です。そのための設備や人員配置のためには、一定の規模が必要となります。例えば40人以下でも、80人以上の規模でも検査技師が1人は必要です。今回、ここでは福祉面の報酬が検討されているわけですが、医療と一体的に福祉面の支援を提供している重症心身障害児施設では、肢体不自由児施設と同じように、医療も含めたサービスの質を確保するには必ずしも小規模であることが望ましいとは言えません。
3)現在の公法人立重症児施設(122施設)の1施設当たりの平均定員数は約100人です。現在の定員区分の81人以上のところが55施設と約半数を占めておりますし、そこでの入所者は全入所者の7割を占めております。約50人規模が大多数を占める知的障害や身体障害の人たちの障害者支援施設とは大きく異なっております。このように児童施設から障害者サービスへと移行すると、現実的な問題として、多くの施設が現在の障害児入所給付費よりもかなりの減額となってしまうため、現状の支援レベルの維持が困難となることが心配されております。 次に、地域移行と在宅支援を支える重症心身障害児通園並びに短期入所についてであります。まず、3の重症心身障害児通園事業の移行先となる「児童発達支援と放課後等デイサービス、生活介護等の多機能型」の報酬単価設定においては、次の点への配慮をお願いします。
1)気管切開、人工呼吸器、経管栄養などを必要とする超重症児・準超重症児者の受け入れ希望者が増えております。小規模であっても看護師の配置が可能となり、安心できる体制下で受け入れられる報酬単価設定をお願いします。
2)重症心身障害者の健康状態は不安定であり、通園欠席率は他の障害に比較して高いことが知られております。超重症児・準超重症児の利用者が多い大都市圏の重症心身障害児通園では、平均して約30%の欠席率、つまり出席率は70%前後です。日額給付の際には、このことを考慮した報酬単価設定をお願いします。
医療型短期入所サービス費の点では、人工呼吸管理を必要とする超重症児・準超重症児者の積極的な受け入れが可能となるような配慮をお願いします。
近年、在宅で人工呼吸管理を必要とする超重症児・準超重症児者が急増しておりますし、その人たちの短期入所の希望も当然のこととして多くなっております。公法人立重症児施設だけでも年間12万日以上であり、国立を加えますと延べ20万日に達しております。重症児通園と短期入所なしの在宅生活は考えられません。急の、そして一時的な短期入所の受け入れには大きなリスクを伴います。看護体制の強化は不可欠です。ところが、現実には看護師の確保は容易ではありません。やむなく10:1以下の看護体制の重症心身障害児施設でも、何とか無理をしながら、超重症児・準超重症児者等を張りつめた雰囲気の中で受け入れているのが現状です。短期入所を安心・安全に受けることができる看護配置を何とか確保できるように、報酬面での配慮をお願いします。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、全国児童発達支援協議会様、よろしくお願いいたします。資料は23ページです。
○全国児童発達支援協議会(宮田) 副会長の宮田でございます。よろしくお願いいたします。
我々の対象事業として、障害児通所支援に示しました4事業と、障害児相談支援事業についてお願いしたいと思います。
最初に1番と2番、共通です。今回、一元化が図られて非常に喜んでいるわけですけれども、センターと事業、医療型と福祉型で、いまだ職員配置基準等が一律になっておりません。どんな障害のある子どもも、身近な場所で適切な発達支援を受けられるという一元化の目標に沿いまして、特に保育士、児童指導員の配置基準を一律にしていただき、専門職の配置に関しては加算措置を講じていただきたいと思います。加えて、設備基準並びに給食の提供、送迎、事務管理部分に関して、適正に評価していただきたいと思います。
3番目です。難聴と知的障害の通園施設が同敷地内にあるようなところでは、福祉型の児童発達支援センターが統合されて定員が増加いたします。そうなりますと、事務費等の減額が予測されますので、この点について御考慮願いたいと思います。
4番目です。肢体不自由児通園施設は、医療型の児童発達支援センターになることになっていますが、肢体不自由児通園施設は入所施設の「通園部」を原型としておりまして、職員配置基準が非常にあいまいで、かつ報酬も通園加算のままとなっていて、事務に関する報酬は算定されておりません。これから児童発達支援センターとなって、さまざまな障害を持った子どもさんを受け入れていく場合、このままではやっていけませんので、通園部としてではなく「独立した施設」としての事務費を考えていただきたいと思います。
5番目です。今、児童デイサービスでサービスを受けておられる子どもさんのうち、学齢児童は放課後等デイサービスの対象になります。これが、今までの児童デイサービスのローマ数字2型、いわゆる学齢期を中心とした児童デイサービスの単価になりますと、今までローマ数字1型でやってこられた児童デイサービスはやっていけなくなります。この点について考えていただきたい。
6番です。放課後等児童デイサービスを単独でやろうとしているローマ数字2型の児童デイサービスに関しては、現在の単価を下回ることなく単価設定をしていただきたいと思います。
7番目の保育所等訪問支援事業は、施設に通わなくても障害のある子どもが地域で育てられるという、非常に重要な事業であると思います。その点を御考慮いただいて、必要経費、例えば移動時間、車両等の取得と維持費などを配慮していただきたいと思います。
通所支援の送迎に関しては、家庭から施設というところを原則とされているのですけれども、今後、子どもたちの重度化、保護者の就労を支えていくためには、例えば「学校から施設」というような送迎の起点を考えていただかなければならないかと思っておりますので、その点、御考慮いただきたいと思います。
「障害者自立支援対策臨時特例交付金」によって、「福祉・介護人材の処遇改善事業助成金」「経営安定化加算」などが行われておりまして、職員の処遇改善・安定化に寄与しています。この点を継続していただくとともに、職員の専門性の向上とキャリアアップを義務化させていくというような方策を講じていただきたいと思います。
最後に、障害児相談支援事業ですが、障害児のケアマネジメントが大きく進展することが期待されておりますが、サービス等利用計画の客観性、公平性を担保するために専門職員の配置が必要となります。この点を確保できる、障害児支援利用援助及び継続障害児支援利用援助の単価設定をお願いしたいと思います。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
次に、社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会様より、よろしくお願いいたします。資料は24ページになります。
○社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会(石橋) 全国肢体不自由児・者父母の会連合会の理事を務めております石橋と申します。会長に代わりまして、説明させていただきたいと思います。
私どもの資料は少し膨大なものです。実は平成21年度の改定の資料をもとにして作成しておりますので、少し要約しながらお話をさせていただきたいと思います。
私たちの子どもたちはサービス・支援策を利用する側でありまして、施設の運営とそこで働く職員の方々の安定が何よりなわけでございます。そういうことをまずベースにしながら報酬改定をしていただきたいと思います。
日々利用することが、現在、原則になっておりまして、そのことについては賛成いたしますが、そのために、日常の体調管理がだんだん厳しくなっておりまして、少々無理してでも施設のことを思えばという気持ちが働きまして、日中活動に出ているという実情でございます。それは、日々定員にしたところの一つの弊害かと思いますが、そこを手当できるような報酬改定もお願いしたい。
特に、大都会であっても、利用者数が運営する上において基準ぎりぎりのところで開設してスタートしていきましたところに、先ほど言いましたように、体調管理が厳しくなってくる会員さんがおられるところは、お休みになる日数がぎりぎりを超えると、その作業所を維持するのにいろいろな苦労を重ねている。この単価を、単純な報酬単価の引上げではなく、そういう大都会のかたまりの多いところと少ないところに配慮したような報酬改定の方法もあるのではなかろうかと思っております。
短期入所は、私たち介助者、親にとってはレスパイトとしてどうしても必要な制度ですが、やはり単価が安いということで事業所が受けにくくなっている。なぜ受けにくくなっているかというのは、満室であることの裏返しに、新しい方を採らないという思いが施設側にあります。というのは、また新しい方を受け入れるとなるとそれなりの手当をしなければならない。強いて言えば人数が不足しているのではないかと思います。単価とともに必要な人員が配置できるように、是非、御考慮をお願いしたいと思います。
他の団体でもありましたが、事業メニューを積み上げて運営していきますと、事務量がとても一人の方では負いきれなくなりまして、余分に人を雇うことになりますと、今度は事業所が運営できにくくなるという実情があることも御配慮願いたい。
それから、在宅からケアホームに行く、ケアホームから日中活動の場に行く場合、送迎という手段で行くのですが、そこに看護職の方が配置できない。何かがあった場合、運転手が対応をするというわけにもいきませんし、普通の介助員が対応をするわけにもいきません。そういうことの配慮も、ケアホームから日中活動の場へ行くときの単価報酬を、ある意味では新たに設定していただきたいと思います。
一つ忘れておりましたが、地域相談支援のところは、基幹型とか、これからずっとそこで個別支援計画が立てられていくわけですから、相当な報酬単価に設定していただきたいと思います。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 ありがとうございました。
それでは、これまでの御発言に対しまして、御質問等あれば、お願いいたします。
○野沢論説委員 幾つか御質問させていただきたいのですけれども、日本発達障害ネットワークの方にですが、今、特別支援学校はどこへ行っても生徒があふれています。いろいろな方に聞くと、いろいろな理由で特別支援学校に発達障害の生徒さんが殺到しているというのですが、発達障害の方の数が純増しているのではないか。アメリカでも盛んに言われていて、いろいろな疫学調査をしていて、かなり増えていると。6割は社会的な要因だけれども、4割は説明がつかないという話も聞きました。最近では、韓国で疫学調査をしたら、38人に1人の発現率というか、出生率というか、相当自然増があるのではないかと言われていますが、JDDNETとしてのその辺の認識というか、考え方を聞きたい。
もう一つは、就労移行のところで、「専門性のある職員の配置がなされていないケースが多い」とありますが、ここで言う「専門性」というのは何なのでしょうか。就労移行も実際に就労させられていない、苦戦しているというのはよく聞きます。ただ、最近、一般の会社の事業所などに行くと、自閉症とか発達障害の方が割とよく働いているのが見えて、必ずしもそれが就労移行を通して来ていない。にもかかわらず、会社ではそれなりにやっている。では、就労移行支援事業所の専門性というのは、一体どの辺を考えられているのかというのをちょっとお聞きしたいです。
○一般社団法人日本発達障害ネットワーク(加藤) まず、最初の方ですけれども、日本における疫学調査というのはデータとしてはありませんので、何とも言い難い部分はありますが、多く自然増という形で言われているのは事実かなと思います。ただ、それが本当に自然増なのかどうかというところは、申し訳ございませんが、JDDNETとしまして明確な回答を持っておりません。ただ、現段階を考えますと、周りが、おっしゃっているような状況なのだろうなというふうにもとらえております。
2点目に関しましては、実はJDDNETは各団体が構成しておりまして、御指摘の部分は構成団体から上がってきたもので、私は事務局長ですので、今、明確な回答をお伝えすることはできませんので、改めて調査しましてお伝えさせていただければと思います。申し訳ございません。
○野沢論説委員 それと、自閉症協会の方に聞きたいのですけれども、要望事項の2番目、行動障害や反社会的行動のある方への住居サービスで、「ケアホームと入所施設との中間的存在」とあります。ケアホームと入所施設というのは概念では全然違うものだと思っているのですが、中間的というのは、何をとらえて中間的と見ているのでしょうか。あくまでもずっとそこで暮らすということをイメージされているのですか。それとも、そこで療育なり治療なりをして元の地域に戻す、という意味での施設を考えているのでしょうか。
○社団法人日本自閉症協会(山浦) 2番目のところの中間施設につきましては、1つには最終的には移行するのですけれども、移行の段階でその途中の機能を担うというようなイメージです。一気に移行していけばいいのですけれども、自閉症の方々は、特性として環境の変化に相当厳しい部分がございます。そういった面もありますし、また一方では、言われた前者、後者というときに、そこで住まいとするのかといえば、野沢先生が言われた前者の方です。ケアホームのような個の生活を保障する一方で入所施設のように支援の人手を厚くできるような仕組みを考えています。北欧で最近実践されているユニット式の集合住宅などがこれに近く、施設でもない、いわば第3の選択肢といったところです。なおかつ、移行をスムーズにするための、逆に言えば、一時、地域移行をして、かつ施設系のところに帰れる状態もある。あくまでどこに中心があるのかというと、障害者本人の暮らしが中心にあり、ライフスタイルの流れの中にそれを求めたいというところがあります。
○野沢論説委員 今、各地のケアホームで、自閉症の方に特化したような支援の内容とか、家の構造とかを考えて試みられていて、それでかなり成果を上げているということも聞いていますが、それではまずいのですか。そういうものを進めていくのではなくて、やはり中間的なものが必要だとお考えなのですか。
○社団法人日本自閉症協会(山浦) そうです。ハード面とソフト面が必要です。
○野沢論説委員 これは、例えばイギリスの自閉症協会が運営していた「ヘイズ」みたいなものを意識されているのでしょうか。
○社団法人日本自閉症協会(山浦) イギリスの状況、その「ヘイズ」というのを私はちょっと存じてなくて申し訳ございませんが、機能の面でということで御理解をいただければと思います。要するに報酬というそもそもが統制経済です。統制経済の中で、こういう移行というファクターがあったときに、それに違った意味でのフォローが必要になってくると考えているわけです。移行先ありきというのは確かにわかりますけれども、先ほども申し上げましたように、施設サービスがあった上でというところにものを置いたときに、段階的といいますか、施設そのものが一元化されていく中で、そういう機能でカバーしてしまわなくてはいけない現実があるのではないか。そのフォローの意味と同時に新たな選択肢を提示する必要を大きく訴え出るところなのです。
○野沢論説委員 わかりました。
もう一つだけいいですか。宮田さんにちょっと教えてほしいのですけれども、児童デイサービスです。前の報酬改定のときはすごく下げられて、みんな大変だということになって、少し上がって、各地を見ても利用者はどんどん増えていますね。あのぐらいの単価設定だから、あのぐらいの処遇内容というか、人員配置ということでやっているのでしょうけれども、もしも財政的な制約抜きに考えて、ローマ数字2型の児童デイサービスをもっと理想的ないいものにしようとしたときの意義とか、どういうことができるのか、どういうことをするべきなのかというのが、もしお考えがあったら教えてほしいと思います。
○全国児童発達支援協議会(宮田) 今回、ローマ数字2型は放課後等デイサービスに移行するわけですけれども、放課後等デイサービスが設定された経緯としては、放課後の活動場所の確保、および、放課後を利用した療育的な支援のために、20年度の障害児支援の見直し検討会の中で提起されたものが具現化したものだと思っています。ローマ数字2型のデイサービスは、1時間だけを訓練的にやるようなところとか、グループでソーシャルスキルトレーニングをやっていたり、活動の場を提供していたりというところのさまざまな形態があります。この点について我々の協議会としても、ある程度統一していく必要があるのではないかと考えています。しかし、放課後等デイサービスが設定された意義は非常に大きくて、学校教育の中でなかなか地域へ移行していけるベースをつくってもらえない。加えて、親御さんの就労の部分も加味されるのかもしれませんけれども、そういったところでは、ここに最低、今のローマ数字2型の単価を残しておいていただきたいし、もし可能であれば、専門職加算とかそういったものが設定されると、もっといいことができるのではないかなというふうに思います。
○野沢論説委員 ありがとうございました。
○蛭田自立支援給付専門官 茨木先生、お願いします。
○茨木教授 精神科病院協会さんに質問ですが、おもて表紙の8つの要望の2番目の「ケアホームの生活支援員を日中支援の要員として位置づけ」と。この辺りの説明をもう少し詳しく聞きたいということが1点です。前回の団体のヒアリングのときには、ケアホーム・グループホームはむしろ外部から、今、暫定的に認められています訪問系のサービスがもっと継続的に使えるようにという形で、組み合わせで支援が受けられる仕組みというものが複数の団体から要望として出てきたのですけれども、それとの関係も含めて、精神科病院協会さんで考えるケアホームの支援ということで、もう少し具体的に説明をいただければと思います。
○社団法人日本精神科病院協会(千葉) ありがとうございます。その辺のところが多分、ほかの2障害との大きな違いになるのではないかと思いますけれども、我々がケアホームに期待しているものは、生活能力障害が重度な方々を対象として見れるものということになります。そうしますと、24時間の見守り看護・管理が必要ということになるわけで、それに対しまして、日中活動支援を行うということはホームにずっといる場合として想定をしています。程度が軽ければ、自立訓練であったりデイケアといった治療的なものに通所することによって、さまざまなサービスを組み合わせることができるかと思いますけれども、多くの場合は、ケアホームの中で生活支援を受けることが想定されているので、生活支援員が、どのような役割を果たすのかということを明確にしていただきたいということが1点です。
それと、デイサービスや自立訓練日中型等、あるいは、就労はなかなか考えにくいのかもしれませんけれども、就労訓練といったものに行っている間、ホームは日中、その人たちの人数が少なくなる。にもかかわらず生活支援員は障害程度区分に応じて配置されている。極端なことを言えば、10人のケアホームで10人、ほかのサービスに出ている間は、その方々は何もすることがなくホームにいる。ということは、一方で、加算も取れないことによって、その人たちを雇用していくことが非常に難しいという問題が生じる。その両側のことからこの要望事項になっています。
○蛭田自立支援給付専門官 平野先生、お願いします。
○平野准教授 何点かございます。1点目は、精神科病院協会さんにお願いですけれども、項目の6番目に福祉専門職配置と。社会復帰施設はPSWの方が比較的多く配置されていると思いますけれども、それに更に加えるというのは、何か新たな機能を強化するとかそういう意味があるのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○社団法人日本精神科病院協会(千葉) 当方で旧法における専門職の配置の状況を調べて、それと、その他の障害、知的障害等と比べた場合、スタッフの85%程度が専門職でした。一方で、通勤寮とかそういったところにおきましては、10%ぐらいの福祉専門職の方が多かったということで、現状では、移行するとその方々を雇うことができない。要は、全く無資格のほかの方々に入れかえをしないと成り立たない。今までいたPSWにしろ看護師にしろ、一旦病院の方に引き揚げている状態が起こっているわけです。資源としては非常によくないというふうに思っていますし、また、精神障害の特性からすれば、やはりそういうところが必要でこれだけ増やしてきたものであるから、その配置がちゃんとできるように、どこの協会、団体でも要望が出ているように、残念ながら、現在の福祉専門職加算で福祉専門職は雇えないです、どこかと兼務しない限りは。そういうことになっているので、ちゃんと人件費が出るようにして配置をさせていただきたい。そういう要望になっています。
○平野准教授 次は、肢体不自由児父母の会にお伺いしたいのですけれども、先ほど、レスパイトケアも含めて家族支援という部分が非常に重要だという話がありました。きのうのニュースで、埼玉県で障害を持ったお子さんを親が虐待してお子さんが亡くなったというケースがありましたけれども、家族支援ということを考えたときに、今のレスパイト以外にサポートすべき部分とか、この辺を考えなければならないとか、そういった部分というのはありますでしょうか、報酬という面で。
○社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会(石橋) ありがとうございます。まず、学齢前ですと、親が速やかに子どもの障害の受容をできることが、一つの家族支援になろうかと思います。そこの部分の相談する場所が、私が住んでいる川崎においても、これまでは福祉事務所が相当機能していたのですが、相談、相談ということになりますと、外部に全部相談機能を移しておりますと、そこへ行くこと自体がなかなかできない。今までの福祉事務所の職員はアウトリーチに、外に出て相談を受けていただいていたわけです。肢体不自由児の子どもを持つ親にとって、そういう相談所であろうが福祉事務所であろうが、行きにくくなっておりますから、外に出てくれる相談事業というのは、小さな子どもを抱えている親にとっては非常に支えになるのではないかなと思います。
それから、だんだん大きくなって者になりますと、今の法体系の中では、短期入所を利用しながら、親も元気に、子どもも元気にというふうになるのですが、先ほども言いましたように、対応すべき数が限定されておりますし、職員の方も慣れている人ということになると、ある一定のところの人でぐるぐる回っているというのは全国どこでもそうではないかなというふうに思います。数が足りないのもさることながら、いろんな方を受け入れるべき人数が不足しているのではないかなということで聞きますと、単価が安いということでなかなか踏み出せないんだというのが事業所の実情のようでございます。以上ですが、よろしいでしょうか。
○平野准教授 ありがとうございました。
最後に1点、重症心身の方にお願いしたいのですけれども、私もかつて現場にいたときに、卑俗な表現ですが、重症心身の中でも「動く重心」という強度行動障害の方がたくさんいるわけです。それが実際としても行き場がなくて、重心で預かっているという実態もあると思いますけれども、そういった点で今の報酬上の問題というのはありますでしょうか。
○社団法人日本重症児福祉協会(末光) おっしゃっていただいたように、歴史的には、昭和42年に重症心身障害児施設ができたときに、いわゆる法の谷間にある人はできるだけ救おうということで、本来の重症心身障害児、寝たきりの方々だけではなく、当時は25%ぐらい、先生がおっしゃる動く重症児と言われる方々をお受けしてきたいきさつがあります。その後、御承知のように知的障害施設等で受け入れていただく方も増えましたし、発達障害、自閉症関係の整備も少し進んできたということで、現在は十数%ぐらいに減っております。そのような中で、行動障害が強いからだけではなく、我々重症心身障害児者施設は医療機関でございますので、やはり医療ニードのある強度行動障害については、ある程度役割を果さなければいけないのではないかという考え方を持っております。そういう意味で昨年の診療報酬改定の中では、医療ニードのある強度行動障害についての加算をしていただいております。
この部分につきまして我々がやや複雑な思いを持っておりますのは、しかるべきところで受け入れていただけるようになれば移行をお願いしたい。そういう努力を各施設ともやってはおりますけれども、医療ニードのある強度行動障害については、一定の役割を今後も果し続けなければいけないのではないかと思っております。ただ、これもまだまだ我々は十分整理はできておりません。何よりも、先ほど来申し上げましたように、優先順位から言いますと、超重症児・準超重症児の方々の受け皿あるいは地域支援が優先しますので、そちらを我々としては優先的に要望させていただいているということでございます。よろしくお願いします。
○平野准教授 ありがとうございました。
○蛭田自立支援給付専門官 そのほか、御質問はございませんでしょうか。茨木先生、どうぞ。
○茨木教授 全国児童発達支援協議会の宮田先生に質問ですけれども、相談支援のところで、10番目に「サービス利用計画の客観性、公平性を担保するために専任職員の配置が必要」と書かれています。同じ法人内で相談支援をするということは、この客観性、公平性というところで課題があるのではないかなということで、骨格提言のときにもいろいろと議論をしたところですけれども、その辺りをもう少し具体的に、どういう専門職員をどう配置をしたら客観性、公平性が保てるとお考えになっているか、お聞かせいただけますか。
○全国児童発達支援協議会(宮田) 障害児者地域療育等支援事業の時代から、基本的にケアマネジメントに関しては、施設や行政から独立した形で設定していくというのが大原則だと思います。ただ、障害児相談支援事業が準備期間が非常に短くスタートするということで、当面の間は我々児童発達支援センターが受け持つ部分が非常に大きくなるだろうということがあります。これは受け入れて、できるだけ頑張っていきたいとは思っているわけですけれども、ただ、現場の実際にいつも支援している職員がそこに当たるというのは、全く手前勝手なケアマネジメントをしてしまう危険性があるわけで、そういった意味では、最低限、現場の支援の業務から外れた職員の確保をさせていただいて、できるだけ客観性を担保した上で活動させなければならないのではないか。将来的には、もともとの大義ですので、できるだけ外へ出していくという作業が必要なのではないかと思っています。
○蛭田自立支援給付専門官 土生課長、お願いします。
○土生障害福祉課長 今の御質問とも関連して、宮田先生に伺いたいのですが、ケアマネジメント、特に障害児を担当される方をどのように育てていくのか、制度的な問題もさることながら、どういうふうに資質の向上を図っていくかというのがこれから極めて重要になると思います。障害児の分野というのは、私が言うのも釈迦に説法ですが、医療、教育、生活支援、あるいは就労、多種多様な分野が重なっていて、それをすべて一人の方が専門的にコーディネートするというのは、逆に言うと非常に難しいのではないかというふうに思っております。そういう意味では、本当の意味でのコーディネーター的なところからスタートして、人をどんなふうにつくっていくのかということがあると思いますけれども、相談支援に当たる方の教育、研修、あるいは養成といったことについて、少し報酬から離れますが、御提案がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○全国児童発達支援協議会(宮田) 障害児相談支援事業は、横のネットワークが大原則になる成人の相談支援事業と違い、乳幼児期から学齢期、そして成人期という、縦のライフステージに沿ったネットワークも非常に重要になってきます。加えて、本人の支援以前に、親御さん、家族の支援というところが入ってくるのと、障害の確定前から相談支援が開始されなければならないという、成人の相談支援事業と異なる部分を持っていると思います。この部門を育てていくというのはなかなか難しいわけですけれども、現場経験をしっかり積んだ上で、そこにコーディネーターとしての資質を持てるような研修を、我々児童発達支援協議会も、私がかかわらせていただいている障害者相談支援事業全国連絡協議会としても、今後、検討していきたいというふうに考えております。
○蛭田自立支援給付専門官 その他、御質問はございませんでしょうか。
ありがとうございました。以上をもちまして、前半のヒアリングを終了させていただきたいと思います。
関係団体の方につきましては、後半のヒアリングについても、引き続き、在席して他団体のヒアリングを傍聴することも可能ですし、お帰りいただいても結構でございます。
ここで、5分間の休憩を入れさせていただきたいと思います。開始時刻は11時10分でお願いいたします。
(休憩)
(再開)
○蛭田自立支援給付専門官 それでは、本日の後半のヒアリング関係団体の方々を御紹介させていただきます。
財団法人全日本ろうあ連盟様。
社会福祉法人日本盲人会連合様。
特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会様。
全国自立生活センター協議会様。
特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会様。
特定非営利活動法人日本脳外傷友の会様。
なお、社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会様は、本日、所用により御欠席と連絡を承っております。資料のみ御提出になっていますので、最後に資料を添付させていただいております。
それでは、1団体5分程度でよろしくお願いします。グループごとにすべての団体の発表が終わりましたら、アドバイザーの方々の質問が終わるまで、12時目途まで御在席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
まず、財団法人全日本ろうあ連盟様より御意見をいただきます。よろしくお願いいたします。資料は28ページです。
○財団法人全日本ろうあ連盟(松本) おはようございます。全日本ろうあ連盟理事の松本と申します。
連盟としましては、資料に意見を書いておりまして、9つ項目がございますが、時間の関係もありますので、中からピックアップをしてご説明したいと思います。
まず、3点申し上げます。
1点目は、基本的な考え方になりますが、私どもは、障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会がまとめた総合福祉法の「骨格提言」に沿って考えていただきたいと考えております。
2点目は、先日改定された障害者基本法の中で、「言語(手話を含む)その他の意思疎通の手段の選択の機会を確保」することが基本理念に入りました。つまり、手話は聴覚障害者の基本的権利である。このような考え方から、聴覚障害者の自己選択・自己決定を保障するためにコミュニケーション保障が必要である。したがいまして、福祉サービスを活用するためには、コミュニケーション支援加算が必要であるということです。
例えば資料の5番目になりますが、グループホーム・ケアホームに入っているろう重複障害者に対しては、土曜、日曜、夜間等に、手話をはじめさまざまなコミュニケーション手段の専門性を有する職員が、生活支援や相談・助言を行っています。そのため、日中活動に適用されている「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」をグループホーム・ケアホームにも適用してください。手話またはコミュニケーション方法がわからない場合、利用者に対する適切な支援ができません。ですから、加算をお願いしたいと思います。
もう1点は盲ろう者への支援です。この方々とのコミュニケーションは非常に大切です。きちんとコミュニケーション支援をしないと、本人の自己選択・自己決定はできません。また、豊かな生活もできません。しかし、他の業務に追われて、盲ろう者に対する支援がなかなか行き届きませんので、そのような方々の支援も含めて、盲ろう者支援員の加配などの支援体制の整備をお願いします。
グループホーム・ケアホームは多分同じと思いますが、手話のできるヘルパーの派遣を認めていただきたい。例えば、病院に行こうと思ったときにヘルパーは使えません。本人がコミュニケーションできず、情報もないため、暴れてしまった例がありました。このような問題があって、診察を受けられなかったという報告がありました。このような状況が起こらないためには、手話のできるヘルパーに病院に同行していただいて、手話のみだけでなく、その人の生活の状態を知っている人による適切な支援が必要です。
続きまして、7番です。グループホーム・ケアホームは、以前、いろいろと問題が起きました。火災で亡くなられたというような事件もありました。私どもの場合は聞こえません。火災報知機をつけても音ではわかりません。ですから、目で見てわかるような設備を要望します。
ろう重複障害者の方々も高齢化が進んでおります。家族も高齢となっています。身体的にも機能が落ちています。病院に行く、また、入院するということも増えています。今まででしたら、家族に付き添い、見守りをお願いしていましたが、今はそれもできない状況ですので、どうしても職員が代わりをしなければならないという問題があります。手話のできるホームヘルパーをつけて見守りをしていただくか、もう一つは、職員の体制を厚くして、通院あるいは入院時の支援ができる体制を考えていただきたいと思います。
最後になりますが、施設から地域への移行に当たって、聴覚障害者が安心して地域生活を送るためには、要望書に記載されたような制度の充実が必要だと思います。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
引き続きまして、社会福祉法人日本盲人会連合様、よろしくお願いいたします。資料は31ページになります。
○社会福祉法人日本盲人会連合(鈴木) 社会福祉法人日本盲人会連合の理事であり、情報部の部長をしております鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
日本盲人会連合からは、今回の報酬改定に当たって1点、お願いをしたいというふうに考えております。それは、10月より実施されております同行援護の報酬単価の一律化でございます。現在、同行援護に関しましては、報酬単価のところが身体介護ありとなしの2つに分かれておりますが、本来、同行援護事業者が行う業務は大きく3つございまして、その1つは、私ども視覚に障害がある者に対して、言葉によるさまざまな場面での情報提供を行うということでございます。2つ目は、移動中のいわゆる実質的な移動支援でございます。3つ目は、他の障害を併せ持った場合などに適用される食事や排泄などの支援ということですけれども、最初の2項目に関しては、非常に専門性の高い技術であると考えております。研修時間も従来の20時間から、合わせた形での32時間ということで、従業者の資質は向上してきているわけですが、更に、従業者の質が上がった分、報酬も上げていかないことには、現在、特に同行援護に関する従業者が非常に少なくなってきています。それは、ほかの業務、いわゆる介護保険のホームヘルパーなどの単価と比較すると非常に低いために、そういった問題が出てきているという実情がございます。
聴覚障害者の方の行動援護の場合、その介護のありなしにかかわらず、同じ報酬単価、特に1時間以下30分以上の報酬単価を見たときに、402単位ということでございます。同じ区分に合わせることが同等かなと考えておりますのと、現在、自立支援給付に位置づけられております通院等介助を、同行援護に合わせた形での実施をしていただくことがいいかなと思っております。
この10月から同行援護になったわけですけれども、同行援護事業所への移行が、調べたところによると、移動支援事業所からの移行については15%程度であると調査で出てきております。移行が増えていない実情は、従来の移動支援事業が市町村事業で単位が高かったところから、1時間当たりの197単位になったというところが原因しているものと考えられます。したがって、この報酬単価を一律に402単位(これは例ですけれども)、こういった形で合わせていくことで従業者の確保もできるのではないかと考えているところでございます。そういった意味からこの報酬改定に当たっては、同行援護の単価を、身体介護ありなしにかかわらず一律にしていただきたいと考えているところでございます。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会様、よろしくお願いします。資料は32ページです。
○特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会(門屋) 私どもの会は、初めてこの機会を与えられましたことをまずお礼を申し上げたいと思います。私どもの会は、総合福祉部会の中でも相談の部分でお話し申し上げておりましたが、相談の領域は、あそこに書かれていることに向かってと言った方がいいでしょうか、そういう方向性に、今後とも今回の改正法が運用されていくように望んでおります。そのことを最初に申し上げて、私どもの希望を32ページに沿って申し上げたいと思います。
私どもは、相談支援事業が大切であるということについて多方面から要望されていることが多かったわけでありますけれども、これほど地域間格差が大きくなった領域はなかっただろうというふうに思っております。一番の原因は、報酬の部分が極めて不確実な状況がこの5年間続いてきたことが、一番大きかったというふうに認識しております。その意味で大変期待をしているということが、私どもの協会全員の意見であります。現在は、委託によって行われる相談支援事業の部分と、サービス利用計画という形の給付費によって成り立っているわけですが、現実には、制度設計のときにおおむね5万人ぐらいを想定したのでしょうか。しかし、現実は数千人で終わっていることから言えば、かなりここに大きな問題が発生したと考えています。
相談支援専門員について、ここに4項目掲げてありますが、一番上の相談支援専門員の確保や定着に関しましても、実は4万人を超える講習を受けた方々がいるにもかかわらず、五千数百人しか仕事をしていない。こういう現実も、私どもからすると、定着がかなり悪いということを考えておりまして、これも経済的な背景が大きかったなというふうに考えております。
そういう意味からいきますと、平成24年度からのサービス利用計画の対象者の大幅な拡大は、大変歓迎するところであります。一定の質を確保しつつ相談支援の提供体制の量的な拡大を図ることは、私どもの課題であると思っておりますし、これができるような体制をつくっていただきたいと思っています。相談支援の担い手である相談支援専門員が、将来、展望を持って職場で働き続けられる。先ほどの前段の部分でもお話がありましたが、中立、公平を保つということからいくと、独立が保たれるような条件は必要だろうということを考えております。
2番目の計画相談支援・障害児相談支援の報酬設定ですけれども、これは2点あります。サービス利用支援業務に報酬単価の増額がなければ、相談というのは、前段の部分でも幾つかの団体からお話があったように思いますが、基本的には、サービス利用計画の対象になるか、ならないかという段階から相談が始まるわけで、ここについては実は評価されないわけです。そういう意味で言えば、サービス利用計画の報酬をもって相談支援専門員の活動が担保されるとすれば、ここに手厚く報酬を考えていただかなければいけないだろうと考えています。
2点目は、継続サービス、いわゆるモニタリングの部分であります。ケアマネジメントの手法が実質的にできるようになるためには、サービス利用計画もさることながら、モニタリングの部分をきちっと評価していただくことが必要であろうと考えております。
3番目の地域相談支援の報酬設定でありますが、相談というのは自立支援法の中の問題だけではありませんで、非常に多岐にわたる法的な領域を考えなければいけません。具体的に言えば、生活保護であったり、司法であったり、教育であったり、挙げればきりがない、人間の生活全般のことであります。そのことから言いますと、地域移行の支援は、かなり多面的な課題を解決することが必要になってくる方々ということになりますので、ここに適正な報酬水準を確保されたいというふうに考えております。
2番目に、地域移行支援における障害福祉サービス等の体験利用の制度化につきましても、これは大事であろうと思っています。先ほど、中間施設的なものの考え方もありましたけれども、やはり地域社会の中にそういうものを定着させていくことが必要であろう。 最後の4番目になりますが、従来からの「一般的な相談支援」が委託という形で行われていますが、委託のできない地域がたくさんあるという現状にかんがみて、一般的相談、ないしは今回の改正では「基本相談」という言葉も使われていますけれども、これらについての評価を何らかの形でお願いをしたいというのが私どもの意見であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、全国自立生活センター協議会様、よろしくお願いいたします。資料は36ページになります。
○全国自立生活センター協議会(中西) 全国自立生活センター協議会の中西です。
私の方は表と文書と用意しましたので、両方を見ながら説明をいたします。
1点目として、重度訪問介護の報酬単価というのが、一般の身体介助の半分以下の水準という低い水準でやってきているという点です。都道府県の指定を受けているにもかかわらず、報酬単価が低くて採算がとれないという理由から、重度訪問介護のサービスを提供していない事業所が地方都市部においても非常に多い。実質的にサービスを支給されても、これを使える事業所がないということで、重度障害者が利用できないでその時間を使い残しているというような状況があります。
また、重度訪問介護のサービスを提供している事業所は、報酬単価が低いために人材がなかなか集まりません。8万円の広告を打っても2、3人しか集まらないという状況がいまだに続いておりまして、やはりここのところを変えていかなければ、よい人材が集まっていかない。それから、今、働いている人たちもどんどん辞めていく。労働環境の悪化のために離職率が高くなって、更に人材確保が難しくなるという状況が続いています。この状況がスパイラル現象として、結局、障害者の利用者からは「よい介助者が集まらない」という不満として上がってきている状況です。
ヘルパー側にすれば、過重労働があって、これ以上この仕事を続けると腰を痛めるし、将来展望としても、長く続けても給料体系が上がっていかないという報酬設定をせざるを得ない事業所の事情もあり、この不安定さから何とか脱したいという意味では、報酬単価水準をもっと上げて、介助者がきちんと見つかる方策を考えていただきたいという点です。
2点目として、重度訪問介護という職種は、8時間以上連続して提供する長時間のサービスを想定してつくられた制度だということです。しかし、市町村の中には、この低い単価設定を利用して、これをこま切れにして使う。身体介護の代わりに重度訪問介護を使うというような実態が出てきています。重度訪問介護を実質的に悪用するような市町村をなくすための方策としては、1~2時間の短時間の介助についての報酬単価を上げて、彼らが身体介護を使うように仕向けていく方法が必要だと思います。
また、短時間の介助を依頼される事業所についても、実質的には2時間ぐらいの介助で行ってくれる人を探すのは難しいし、採算がとれない状況です。交通費を含めて事業所の負担になっていますから、短時間介助については事業所の採算悪化につながる状況にもなっているということでは、報酬単価をできるだけ身体介護に近づけるようにして、この運営の危機を乗り越えていく方策をつくっていただきたいという点です。
3点目としては、来年4月より医療的ケアの制度化がなされます。医療的ケアについては、個別の実務経験を経ていかないと実際には使い物にならないという意味では、専門的な介助の経験を積んだヘルパーと組んで研修をさせていくことが必要です。そうなると、2人体制で1人分の報酬しかもらえないということで、研修コストが非常に膨らんでいくという問題があります。これを避けるためには、重度の医療的ケアが提供する単価を上げていくしかありません。
医療的ケアを長期にわたって続けていく人は非常に優秀な介助者が多いですし、それを長期にわたって抱えていくことは利用者にとってよいケアを提供できる根本だと思います。医療的ケアをやる人たちは、本当に1分、2分でも目を離すと呼吸が止まってしまうという状況を迎えますので、気を許せない介助です。また、外出の際などはもっと気を使いますので、外出も自由にできるような医療的ケアのできる介助者の確保に御協力をしていただきたいと思います。
4点目は、現場の実態に即した報酬体系をつくってほしいということです。事業所は事業を継続するため、収支がマイナスにならないような報酬に見合った賃金設定などをして運営しております。今回の経営実態調査でも、黒字という判断が重度訪問介護は出たようですけれども、実質的には報酬単価の設定基準や報酬引下げの根拠に黒字ということが使われています。実際多くの経営努力をする中で、事業所は、低賃金の労働を背景にこういうふうな経営実態が出てくる。我々が努力すればするほど報酬単価が下がっていくというやり方ではなく、障害者の生活を保障するサービスだということを考えて、本当に健全な介助者が育っていくような報酬体系をつくっていただきたい。そういう意味では、前段で申し上げた報酬の単価アップというのは必要なことだと思います。
次に、幅広い介助人材の確保という点です。介助者を募集しても、訓練した人たちの10分の1ぐらいしか継続して介助に入ってもらえません。そういう意味では、定着して働いてくれた人たちは、熟練度に応じて昇給するようなシステムを取り入れていく以外に定着させていく方法がないわけです。新人の介助者だと1時間かかる仕事も、ベテランなら30分で終わる。そういうベテランになった人たちを多く抱えていきたいにもかかわらず、熟練度に応じて募集体系を上げるシステムには今の報酬体系ではならないということです。 現在、厚労省が進めている政策の中では、介護福祉士の受験資格を取るのに500時間以上の研修を義務づけられているなど、入り口が非常に狭くなる方向に向かっています。我々は大勢の人を集めてトレーニングして、有能な人たちを長期間にわたって雇っていけるように、まず間口は広くとる。間口で500時間を義務づけていく方向では、やはり資格優先、そして人材的には窓口が狭くていい人が集まらないということになりますから、窓口は広くとれるように、資格を最初から要求せず、まずそこでやりながら、適性を持った人たちを我々が発掘できるようなシステム。そして、その人たちが定着していくような実務経験に基づいた給料体系がとれるような、我々が望むようなシステムをつくれる体制をつくってほしい。働く側にとっても給料が上がっていくという、希望の持てるシステムとして重度訪問介護が定着していくことを望んでおります。
ありがとうございました。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
引き続きまして、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会様、よろしくお願いします。資料は39ページでございます。
○特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会(伊澤) よろしくお願いします。精神障害の方々のまちでの暮らしの支援をしている団体、その事業者の集まりという、支援協議会「あみ」でございます。
今回の報酬改定に関しましては、特に歴史や経過の中で精神障害者の方々に対しては医療処遇偏重でずっと来ている。それを地域生活支援あるいは社会支援に大きく切りかえていく、そのシフト変換を舵として切っていくためにとても大事なものではないか。つまり、地域生活支援の活動をより活性化させていく、そういう方向性を強く打ち出す必要性があるのではないか。そのためには、福祉支援を行っている地域の拠点的事業所が、より豊かに実践が維持、継続、発展させられる、そういう施策の方向性を強く望んでおります。そんな思いを込めまして、4つの要素からお話をさせていただこうと思っております。
1つ目は、住まいの場に関して、居住支援についてです。現行の制度自体が30人を想定した基準報酬の算定方式を起用しているということで、基本的には4~6人程度の小規模なグループホーム・ケアホームを志向していただきたいということを基本にしながら、その中で特に共同生活介護、ケアホームについては、入居者の交代、入れかわりがあったり、あるいは障害程度区分の変更等によって報酬が変動するというふうなことが起きております。特に小規模の事業所にとってその影響は大きいということになりまして、規模の大きさに配慮された報酬体系を構築していただきたいということをお伝え申し上げます。
加算に関しましては、「入院時支援特別加算」「長期入院時支援特別加算」等とございますが、入院時において支援が継続されていくことを前提に、居室の確保、退院に向けた円滑な支援が行われるように報酬を改めていただきたい。例えばの話ですけれども、入院した場合の請求を、入院時から90日間は基本単価の80%を保障するとか、そういうふうな形で、現行の加算を期間の延長とともに内容の見改めをお願いしたいと思っています。
日中の支援、あるいは土日等の日中支援加算に関しましては、通所サービスの利用とかかわりなく、あらかじめホームの中において日中支援が計画されている場合などにおいては、加算対象とするべきではないだろうかという意見でございます。この加算の対象は日中活動を休んだ3日目からとなっておりますが、1日目から対象とすべきではないか。例えば、疾患等によって通所サービスを休む場合などは、むしろ初日の支援の利用はほかの日に比べて多いという実情もございます。
夜間の体制に関しましては、支援体制加算、あるいは防災に対しての加算がございますけれども、その額が非常に低額であることで、現場では、夜間体制を組む上での体制整備に関しては、かなり持ち出しというふうな実情があります。ボランティア体制で夜間をしのいでいるという実情もございます。加算額の大幅な増額が必要ではないかということです。
それから、日常的に夜間支援を必要とはしないけれども、応急対応型の出動といいましょうか、世話人が駆けつけることも時として発生しております。そういう場合に適切な支援体制が整っていれば、あるいはそれが実践として行われていることが確認されれば、それは加算対象にしていただきたいということでございます。
次に、食事提供にかかわる部分です。実は精神障害の方々は、ケアホームは食事提供はほとんど完璧に行っていると思いますが、グループホームに関しましては、比較的活動性が高い方々については、町中の普通のお惣菜屋さんとか、食材を確保していくような行動をある種促しながらその方の自立度を上げていく、そういう支援を行っています。それは計画の中に唱えられてもいまして、つまり、食事提供を前提としていないグループホームが結構数が増えてきているということでございます。逆に、食事提供を安定的な栄養確保という観点から継続して行っているホームも当然ございます。そうなりますと、支援の濃度が異なりまして、食事提供をしているホームにとってみれば、例えば水光熱費の負担や食材の確保に関する労力も含めまして、さまざま持ち出しがございます。そういう意味では食事提供にかかわる部分については、それを行っているホームについては加算というふうな目線も注いでいただけるとありがたいと思っております。
グループホーム・ケアホームから在宅へ移行という積極的な退居支援を行う場合には、運営上は常に空室を生じるというリスクを抱えることになります。それから、大変残念な事柄ですけれども、入居者が自室でお亡くなりになるケースも、精神障害の方は長年にわたる療養生活においてバイタル機能がかなり落ちている方がいらっしゃって、突然に心停止でお亡くなりになるなどという例が散見されます。そういった場合も含めまして、空室を引き続き確保していくための保障といいましょうか、そういったことについていろいろと考案していただきたいというふうに思っております。
おおきな二点目として日中活動の場に関しましては、小規模な事業所においては、複雑かつ報奨的な加算制度の活用は非常に困難な実態もありまして、基本報酬の全体的な底上げを基本として行っていただきたいと思っております。
日中サービスが終了した時間帯から夕方・夜間にかけて、あるいは土・日・休日などのいわゆるサービス時間以外で、保健衛生・福祉的な支援サービスがアウトリーチのような形で行われている場合も多々あります。その辺について評価をしていただく、そういう目線をいただけないかというふうなことでございます。
日中活動では、欠席時対応にかかわる加算について、請求の日数制限を廃して、通所の不安定な利用者に対する支援についても積極的な評価を行っていただきたいと思います。
就労継続支援のB型に関しましては、重度の方、あるいは一般就労が困難な状態の人から一般就労を希求する人まで、幅広く利用されている実情がございます。そのため、手厚い支援体制をとることが極めて肝要。特に精神の方の場合は、そこを「居場所」としてくつろぎや交流の場として活用されている例も多いので、そこも視野に入れながら、体制の整備を織り込んでいくべきではないかというふうに強く思っております。
時間の関係でちょっとはしょりますが、おおきな三点目は相談支援事業についてです。先ほど来からお話がありますが、サービス利用計画作成に当たっては、アセスメント、プラン作成、モニタリング、担当者会議、ケア会議、いろいろなレベルでの協議調整が必要です。業務内容は多岐にわたり、相当な時間を要しています。現行の手当は余りにも低廉ではないか。少なくとも倍以上の水準を前提とした報酬額に抜本的に改めるべきではないか、というふうに思っています。同時に、新たに導入される地域移行、地域定着にかかわる給付に関しましても、十分な実施体制を確保し得る水準となることを強く求めていきたいと思います。
最後に、処遇改善助成事業については、ほかの団体の方もおっしゃっていました。基金の積増しで対応してきた経緯がございます。今年度で終了という方向性もあるようですが、これを期間延長していくとともに、自立支援の給付の中にこれを組み込んでいくという視点が大事ではないかと思います。
更に申し上げれば、地域生活支援事業にかかわる部分については欠落していたという経過もございますので、ここも視野に入れながら、この処遇改善については取組みをお願いしたいというふうに思っている次第です。
以上です。
○蛭田自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人日本脳外傷友の会様、よろしくお願いいたします。資料は43ページでございます。
○特定非営利活動法人日本脳外傷友の会(東川) 日本脳外傷友の会でございます。
要約した資料を43ページに付けましたが、一番大事なことを落としてしまったなという思いがあります。いわゆる高次脳機能障害という谷間の障害ということで活動をしてまいりましたが、2009年に私どもの会で調査をいたしましたら、ほとんどの方が事業所を使っていない。使えるサービスがないという回答が約60%だったわけです。そこの部分が、うちの障害にとっては最も大事な要素ではないかと思っておりますが、それを書き落としてしまったなという思いがあります。かろうじて、親たちが立ち上げた作業所等が、今、全国に14くらいできておりますが、その作業所の中で元気にやっております札幌の場合と豊橋の場合について、利用者負担、報酬の単価について、詳しい資料を後ろのページに付けさせていただきました。
それから、医療と密接な関係のある中途障害で、交通事故あるいは脳血管障害、低酸素脳症などは中途で発症する障害ですから、医療機関の更生施設を使っている者が多くおります。更生施設の利用状況、問題点について資料を付けさせていただきました。
まず、利用者負担についてですが、札幌の作業所の具体例でお話をさせていただきます。「コロポックルレディース」という女性の作業所と男性が使っている作業所とありますが、特に問題点は、前年度まで元気に働いていた人が障害になって、サービスを利用しなければならなくなる。そうすると、前年度の所得に応じて負担が生じてくる。ところが、現在では所得がないというわけで、そこの矛盾です。サービスを利用したくても、利用すれば負担率が上がってしまう、収入がないのに支払いをしなければならない。ですから、なるべく利用を抑えるという形になります。これは日払い制の大きな問題点になるかと思います。ですから、利用する者にとっても難しいし、運営している作業所としても決まった人数の確保が難しい。でも、職員にはきちんと給料を払わなければならないというわけで、大きな矛盾がそこに生じてくるわけです。
2番目に書いてありますのは、夫が障害のために働けなくなり、妻が働いているケースでも自己負担が発生する。今、申し上げたように利用回数を少なくせざるを得ない。働いている奥さんにとっては大きな負担になるわけです。仕事も結局、面倒を見なければならなくなるからフルタイムで働けなくなる。そうすると、御自分の収入も減ってしまうという矛盾があります。ですから、リハビリしていただいて夫にも仕事をさせたいと思っても、なかなかそれが思うようにまかせない。職場復帰等がうまくいっていないという問題点があるかと思います。
45ページにまいります。これは豊橋にあります「笑い太鼓」という、やはり家族会が頑張って立ち上げて、今はNPO法人になっておりますが、そこからもたらされた資料です。真ん中辺に書いてありますが、定員20人を確保して、7.5人:1の割合で計算すると、必要な人員は2.7人となる。しかし、実際にはサービス管理者、事務員とかも雇わなければならない。そうなりますと、ますます稼働日数を多くしなければならない。ところが、高次脳機能障害は気分にムラもありますし、体調も管理が難しいので、20日以上利用してくれる人が少なくなる。そうしますと、職員の年収も減らさなければならなくなって、きちんとした職員を雇えない。非常勤の職員を雇わざるを得ない。職員が安定して障害について理解をし、専門性を高めてケアをするという体制をとりにくいということがそこに書いてございます。事業所の運営がなかなか難しいということになります。頑張って家族が支えて、賛助会員とか、バザーをやって、かろうじてどうにか切り抜けて事業を拡大している作業所でございます。
47ページにいきます。更生施設の利用についてどんな問題があるかということですが、「施設サービス費の自己負担・食費等の実費負担を軽減してほしい。稼働年齢層で家計中心である人が脳外傷になり、復職や社会復帰のために更生施設を利用しているが、所得が前年度で計算される(さっきと同じ問題です)。他の施設と違い、社会生活をしていた方をまた社会で生活しやすくする通過型のリハビリ施設として利用されている場合が多い。全国的には長期的施設になっているところもあるので、1年以内は食費等の実費のみの負担で対応が必要だと思う」という意見が書いてありますが、そのとおりだと思います。
ちょっと時間がないので飛ばしますが、○3のところです。精神及び身体障害者手帳の取得可能時期を早めてほしい、医療から障害福祉への連続的支援を可能にしてほしい。これは報酬単価とは直接関係ないように思われることですが、受傷後6か月しないと精神の手帳は下りない。脳卒中の場合は3か月で下りるけれども、身体障害の手帳も現実的には6か月過ぎないと下りない。その空白期間に福祉サービスを受けることができなくなります。リハビリ的にも、社会に出ていく上でも困難を来しますし、見守りが必要な非常に重い高次脳機能障害になった方は、結局、家族が対応しなければならなくなって、福祉サービスが利用できないわけですから、大きな問題だと思います。
それから、先ほどからいろいろな障害の方で言われております移動支援について、加算があれば、高次脳機能障害者の作業所等の利用が増えると思いますが、それが高次脳機能障害にとっては利用できませんから、やれているところもあるのですが、リハビリ、作業所等、ほとんどのところが加算はついておりませんので、加算をつけていただけるとサービス利用が増えるのではないかと思っております。
以上でございます。
○蛭田自立支援給付専門官 ありがとうございました。
それでは、これまでの御発言に対しまして、御質問等あれば、お願いいたします。野沢先生、お願いします。
○野沢論説委員 いろいろ聞きたいのですけれども、余り時間がないようなので、2点だけお伺いしたいと思います。相談支援の門屋さんですが、経営基盤が長期的に安定できるようにと。私は相談支援の重要性をよく理解しているという前提でお伺いしたいのですけれども、福祉職の年収を比べてみると、相談支援の平均年収は400万をちょっと超えるぐらいですかね。ヘルパーとか、ケアホーム・グループホームの世話人になると200万円台になる。その数字だけを比べると、相談支援というのはまだいいのではないかというふうに見られがちだと思いますが、これに対してどういうふうに説明をしていったらいいのか、というのを一つお伺いしたいと思います。
もう一つは、相談支援の評価というのはすごく難しいと思っていて、サービスを提供している事業所がやって、自分のところのいい利用者を囲い込んでしまうことにもなりかねないし、本当にいい活動をするとものすごくよくなりますね。この辺の評価を単価にどういうふうに反映できるのかというのは、何かアイデアはないかと思っているのですけれども、継続というのは私もすごく重要だと思っていて、最初のどういうサービスが必要なのか決めるのも重要ですけれども、サービスを受けて利用者はどんどん変わっていきます。ニーズでどんどん変化していって、変化していくニーズに、きちんとまた合ったサービスの提供を考えていくことが、むしろそちらの方が重要ではないかなぐらいに思っているのですけれども、そのときに、ただ単純に適当にやっていればものすごく楽な仕事になって単価が得られる。でも、ちゃんとやっていくと相当な手間暇がかかる。その仕事内容の評価をどうやって単価に反映させられるのか、そのアイデアがあれば教えていただきたいと思います。
○特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会(門屋) ありがとうございます。報酬について、賃金というか、給与に関してですが、これは、400万と200万を比較されるのがそもそも間違いであろうというふうに基本的には思います。200万が低いことは明らかです。相談支援の領域でも現実には格差があります。格差があるがゆえに、指定相談支援事業者が兼務をしているわけです。サービス事業を行わなければ相談支援事業は行えないという実態から考えると、明らかに、ごく当たり前の報酬をやはり考えていくべきであろう。当たり前というのはどういうことかというと、それ相応の学歴あるいは経験を加味した上での社会的な標準報酬を考えられるべきであると、基本的には思っています。ただ、この領域の中では、別に考えなければいけない要素があることについてはわかりますので、それはこれから、勉強したいというか、検討させていただきたいというふうに思っています。
2点目の部分は、まさに何のために計画を立てるのかというと、生活支援のために計画を立てる。それは、本人たちの満足度を高める、生活の質を高めることのために相談支援は本来あるべきと思います。ただ、現在は、例えば介護保険を申し上げて介護保険から怒られるかもしれませんけれども、計画を立てることが合目的化してしまう、あるいはモニタリングの結果を示すことが合目的化してしまうことになれば、私どもが申し上げているように、本人を入れたケア会議とか、調整会議とかいうことを行いながら、中立・公平も保ちながら本人のためになることを考えていくということ、この一連の仕掛けをつくっていかないといけないわけです。その業務を明らかにやり続けるということだと思います。
もう1点は、今回、基幹相談支援センターというものが出てきましたが、これがどの程度市町村に任せてつくられるのかということは、かなりの課題であります。今までも言われていた自立支援協議会があるわけでして、そこは個別から全体という形で基本になっているところです。ここに相談支援部会なり、個別支援部会と言っているところもありますが、要するに個々のサービス利用計画を立てたものがここに集まってきて、ここで相談支援専門員が相互に議論し合いながら、評価し合いながらいくという場所をつくらなければいけないというふうに思っています。そういう現実的な実体のある業務を自立支援協議会の中につくらなければ、自立支援協議会が形骸化しているということも言われますし、現実にはできていないところもあるわけです。必要性を相談支援と絡めるということが、私どもとしては強く主張したいというふうに実は思っています。報酬と関係がなかった部分なものですから、先ほどは申し上げませんでしたけれども、体制をきちっとしなければ、おっしゃるように質は担保できないということになります。
○野沢論説委員 もう一つ、全国精神障害者地域生活支援協議会「あみ」の方に、先ほど精神科病院協会のヒアリングでは、ケアホームに看護専門職配置加算とか、世話人に病状管理、医療連携加算をつけるべきだというのがありました。これについてどうお考えなのかということと、病院から地域への移行が重度の人はなかなか難しいのは、医療や看護を基盤とした地域の福祉資源が少ないからだという主張がありましたけれども、これはどうお考えなのかというのを教えてください。
○特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会(伊澤) ありがとうございます。ホームの現場にいわゆる医療目線を持った方が入りながら、御本人の病状管理もしながらという、そこは支援として必要な要素という感じがしております。先ほど申し上げましたように、精神障害者の方々には精神疾患のみならず、体全体の健康を保持するという視点はとても大事です。
ただ、そこで注意しなければならないのは、いわゆるメディカルモデルとソーシャルモデルといいましょうか、支援の視点が少々違いもあったりして、管理的なモデルになりがちな医療モデルに対して、私たち福祉サービス事業の担い手は利用者の自由度を高めながら、その方の自立を促進するという福祉的な社会生活支援モデルです。その異なる支援モデルののかみ合わせといいましょうか、そこは十分に実践の場で議論をしたり、何をどこまで双方がやるというところを突き合わせてみないといけない、ということが肝心だと思っております。
もう一つ、基盤整備の問題に関しましては、現状で申し上げると、少し前の数字なので直近は少し変化している可能性もありますが、実は精神科入院医療体制を保持するがために大変多くのお金が国家財政として使われている。精神の方々への医療保健福祉サービスの全体の内97%が医療に使われている。その多くが入院医療に手当されており、福祉の支援サービスはたった3%、500億でしかない。医療については1兆8,800億という数字があるわけですが、この歴然たる差、配分構成がすごくよくないということです。だから、これをシフトさせていく。医療を縮めてというのは、当然、病床削減も含めて、入院医療体制を縮減していくことを織り込みながらですけれども、そこは同時に医療の質も同時に担保することを併せ持つような、他の診療科目と同様の医療への評価も取り付けながら、規模として縮減を求め、同時に地域の生活支援体制を充実させていく。そういう意味では退院も促進し、また医療のマンパワーも脱病院し地域生活支援型に切りかえていく。そこで基盤をつくり上げていくことが大事かなと思っております。また併せて、今後は先の総合福祉部会の提言にあった「地域生活基盤整備10カ年戦略」の確実な実施が必要だと思います。
○野沢論説委員 ありがとうございます。
○蛭田自立支援給付専門官 茨木先生、お願いします。
○茨木教授 JILの中西さんに質問です。前回のときも、来年から医療的ケアをスタートなので、報酬についての具体的な希望は出てきたわけですけれども、今回も研修に時間と経費がかかるということです。前回は「さくら会」の方から、30%、3割増は最低ラインだという話が出てきたのですが、実際どのくらい算定したらこれがきちんとできるという見込みをお持ちなのか。具体的な点があればしていただきたいというのが一点です。
それから、日本脳外傷友の会の方に質問です。前年度の収入が自己負担にかかってくるという問題は、リハビリの日数が医療的なところで短くなっているので、1年以内に福祉的な支援が地域で必要になる人が出るというのはよくわかるのですが、11か所の作業所に、受傷後どのくらいの期間で利用される方が中心に多くなっているのか、もし数字的にわかったら教えていただきたいと思います。その2点です。
○特定非営利活動法人日本脳外傷友の会(東川) 今はちょっとわかりません。全部の調査をしておりませんので、調べてみます。
○茨木教授 もし11か所でわかれば、教えていただきたいと思います。
○特定非営利活動法人日本脳外傷友の会(東川) はい。
○全国自立生活センター協議会(中西) 単価の問題については、実際こういう医療ケアのできる人たちを継続的に雇用するために、30%から40%の報酬アップを必要としています。その件については実態調査をされたと思いますけれども、従事者の数が非常に少ないことに加えて、かなりできる介助者というか、それをきちんとやり抜くだけの体力、気力、能力を持っている人を集めないといけないので、我々としては40%ぐらいの試算をしております。よろしくお願いします。
○蛭田自立支援給付専門官 平野先生、どうぞ。
○平野准教授 時間もありませんので、2つだけお願いしたいと思います。先に質問だけ話させていただきますが、1つ目は、ろうあ連盟さんの28ページ目の2のところです。相談支援事業所が安定して運営できるということですけれども、聴覚障害の方の場合、かなり働いていらっしゃる方もいらっしゃいますが、聞こえる方の中に聞こえない方がポツンといて、なかなかコミュニケーションがとれないために不適応を起こしたり、離職せざるを得ない。そういうことを考えると、むしろ相談支援事業のところでコミュニケーションをきちっととれるような支援をつくるとか、そういうところの必要性はないのかということを思うのですけれども、その辺がどうなのかというのが一つです。
2つ目は、47ページの脳外傷のところですけれども、先ほどの説明の中で「移動支援があれば」ということがありました。全体を見ると、施設とか事業所の関係ですが、高次脳機能障害で失行とか失認の場合、生活面での支援とか、生活面でのサポートの必要性はないのか。そこをちょっとお伺いしたいと思います。
○財団法人全日本ろうあ連盟(松本) 質問の意味をつかめていなかったら、おわびいたしますが、私どもが出した要望、意見としては、これまでは聴覚障害者を対象とした施設を続けてきたけれども、自立支援法の考え方によって3障害対応をしなければならない方針になった。私どもは、これまでのような聴覚障害者対応だけということは難しくなった。幅広くサービスをしなければならないということで、私どもの実績があって初めて、市町村から相談支援事業の委託を受けるという流れで、聴覚障害者だけではなく、知的・精神の方々にも対応するという施設が幾つかあり、現在、例えば利用契約者ごとに1万幾らかの金額なのですが、ところが、入院などのサービス利用がなかったり、モニタリングができなかったり、このような計画が作成できないケースが増えています。その辺りを考えていただきたいということで傘下団体からの要望が来て、まとめてお伝えしたところです。
手話によるコミュニケーションの問題ですけれども、意見の4番ですが、手話通訳士の資格を持っている者を相談支援所に設置してほしいという意見もあります。これは例えば、ほかの小さな町で、もともと聴覚障害者を対象とした福祉サービスではなく、知的障害者の施設として運営されていた。地域の中の聴覚障害者がほかの社会資源がないということで、その施設を使いたいといって来ることになった。しかし、そこの施設に手話通訳がいない。手話のできる人がいないので、手話通訳士の資格をもつ方に応募して、入ってもらっている。ところが、その手話通訳士の本来の仕事ができないという現状が起こっていた。経営面からいうと、手話通訳士の予算の裏打ちがないために、手話通訳士に雑務等々をしてもらわざるを得ない面があり、それによって、本来の手話通訳士としての業務ができないということがあったので、社会福祉士のような立場に手話通訳士を入れてほしいということです。
○特定非営利活動法人日本脳外傷友の会(東川) 平野先生の御質問ですが、失認・失行とか、生活の支援が必要な人たちは非常にたくさんいるはずです。ですけれども、私どもの調査では、たしか生活支援を受けている人は0.3%ぐらいだったと思います。外傷性脳損傷では介護支援サービスが使えませんから、その方は多分、脳血管障害による高次脳機能障害で介護支援サービスを受けている方ではないかなと思います。日常的には若年でも生活支援が必要な人がたくさんおりますので、それを今後、どうやって援助していくかというのは大きな課題になっています。
○蛭田自立支援給付専門官 その他、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
では、御意見がないようですので、ありがとうございました。以上をもちまして、本日の後半のヒアリングを終了させていただきます。
次回の検討チームの予定は、11月22日(火曜日)10時から12時まで、厚生労働省の19階専用23会議室におきまして、平成24年度報酬改定についての各論を予定しております。
本日は、お忙しい中、長時間にわたり、どうもありがとうございました。それでは、これをもちまして、「第3回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」を閉会いたします。(了)