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2011年1月26日 第8回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録

労働基準局

○日時

平成23年1月26日(水)
時:10:00~11:20


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12F)


○出席者

公益委員

今野会長、勝委員、中窪委員、野寺委員、藤村委員

労働者委員

木住野委員、田村委員、團野委員、萩原委員

使用者委員

池田委員、小林委員、高橋委員、横山委員、吉岡委員

事務局

森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長、藤永主任中央賃金指導官、
伊津野副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議事

○今野会長
  時間になりましたので、第8回目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、石黒委員と吉岡委員が御欠席でございます。
  本日は、テーマとしては4つほど用意してございます。
  1番目は、新しい総合指数に基づいたランク振分け等、ランク区分の見直しについて、労使双方で御検討をいただいておりますので、その結果についてお話をいただいて、その上で審議をしたいと思っています。
  2番目は、参考資料のあり方について、前回に引き続いて、生産性の資料について御審議をいただきたいと思います。
  3番目は、今期の目安制度のあり方に関する全員協議会が1年以上中断したことを踏まえまして、次期のランク区分の見直し等について御審議をいただきたいと思います。
  最後に、今般の目安制度のあり方に関する全員協議会の報告書(案)について御審議をいただきたいと思います。
  まず、本日お配りしている資料の中で、総合指数に基づくランク振分けに関わるものについて説明していただいて、議論をしたいと思います。よろしくお願いします。

○亀井室長補佐
  賃金時間室長補佐の亀井でございます。おはようございます。私の方から、本日お配りしている資料のうち、まずはランク区分の見直しに係るものにつきまして、御説明いたします。
  ランク区分の見直しに係るものは、資料1と2でございます。いずれも前回と同じ内容でございますが、それぞれホチキス留めにしておりますので、分けて御覧いただければと思います。
  改めて確認いたしますと、1頁から始まる資料1が、新しいランク振分けの原則と、その別紙として、4通りある振分け案につきまして、それぞれ各案の総合指数ですとか、都道府県の順位の変動の比較を行ったものになっております。
9頁から始まる資料2において、新しいランク振分けの原則に照らしまして、4通りある案の特徴の比較を行ったものでございます。
  前回、御質問、御議論いただいた点を再度確認いたしますと、案3について分散度合が最も小さい等の御意見をいただいたところでございます。以上です。

○今野会長
  それでは、よろしくお願いします。ランク区分の見直しについては、御検討をいただいていると思いますので、御意見をいただけますか。

○池田委員
  私どもは、全国の商工会議所から意見集約を行った結果、案3が妥当であるという回答が最も多く寄せられておりますので、新しいランク振分けは、案3に従って行うべきであると考えております。

○今野会長
  ありがとうございました。他はいかがでしょうか。

○團野委員
  労働側として様々検討いたしました。案4がいいのではないかという意見も一部ございましたけれども、最終的には分散度合いが一番少ないということで、20指標の資料に基づいて、案3が一番妥当ではないかと考えております。

○今野会長
  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  御検討いただいた結果についてお話しいただきましたので、第3案で合意が得られたように思います。その方向で、報告書(案)の該当箇所を作成して、次回、改めて御確認をいただくということにさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野会長
  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
  続きまして、本日の2番目と3番目のテーマです。資料3と資料4で、労働生産性の推移と、次期の目安制度のあり方に関する全員協議会の検討時期についての説明をいただいて、議論をしたいと思います。
  それでは、よろしくお願いします。

○亀井室長補佐
  引き続き私の方から、資料3と資料4につきまして、併せて御説明をさせていただきたいと思います。
  まず、11頁目の資料3でございますけれども、こちらは「法人企業統計でみた労働生産性の推移(企業規模詳細)」ということで、前回お出しした生産性の推移の資料を、前回委員の皆様からいただきました、資本金の区分について、1,000万円未満についても区別して確認したいという御指摘を踏まえ、1億円未満の区分を1,000万円以上と1,000万円未満に区別して、製造業、非製造業それぞれデータをとりまして、グラフ化したものでございます。
  資本金1,000万円未満の区分について見ますと、製造業、非製造業ともに長期的には緩やかに下がっており、2008年から2009年にかけても前年と比べて下がっておるという傾向が見てとれるかと思います。
  なお、資料3につきましては、使用者側委員の皆様から、目安審議の参考資料として加えていただきたい旨の御意見をいただいております。
  続きまして、13頁目の資料4を御覧ください。
  資料4は「次期のランク区分の見直しについて」でございます。こちらの資料は、第5回の目安制度のあり方に関する全員協議会の御議論において、田村委員から、「1年間の中断があったことを踏まえて、次期の開催をどのようにするのか」という御指摘があったことを踏まえ、整理いたしました。
  1年間の中断によりまして、論点が2つあると表示しておるのですが、1つには、「おおむね5年ごとに見直しを行う」とされている目安制度のあり方全体をどうするかということと、2つには、きっかり5年ごとに見直しを行うとされているランクの振分けをどうするかということでございます。
  まず、ランク区分の振分けについて資料を御確認いただきます。資料中の1~4までございますが、平成7年以降に開催された目安制度のあり方に関する全員協議会の会期と取りまとめ時期をまとめたものでございます。
  1番目の第2段落の波線の部分を御覧いただきたいのですが、ランク区分につきましては、平成7年~平成11年までの目安に適用されております。
  2番目の4行目を御覧いただきたいのですが、次のランク区分の見直しは、平成12年~平成16年までの目安に適用されております。
  3番目の3行目を御覧いただきたいのですが、その次のランク区分の見直しにつきましては、平成17年~平成22年までの目安に適用されております。
  このように、ランク区分につきましては、過去の実績を見ましても、5年ごとに見直されたランクが適用されております。
  4番目の波線の部分でございますが、皆様の御了解をいただければ、平成23年からの目安審議に新たなランク区分が適用されるところで、次期のランク区分の見直しにつきましては、今般1年間の中断がございましたが、過去の実績に照らして5年ごとに行われてきたということで、次期ランク区分の見直しにつきましては、5年後の平成28年からの目安に適用することを意図して、次回御審議をいただくことが適当ではないかと考えております。
  一方、ランク制度のあり方全般でございますけれども、上に戻りまして「1.目安制度のあり方に関する全員協議会」の両括弧の部分に会期を示しております。この会期の部分について、1~4番を御覧いただきますと、必ずしも前回から5年経ったら開催しておるわけではございませんで、扱う課題の重さや種類に応じて、検討期間を確保するために前倒しで開催したり、取りまとめ時期が若干遅れたりすることによって、生じておるものでございます。
  したがいまして、次期の目安制度のあり方全体の見直しにつきましては、見直し時期は明記せずに、おおむね5年ごとという平成7年の目安制度のあり方に関する全員協議会報告のルールに沿ってまとめたいと考えております。
  資料5の「目安制度のあり方に関する全員協議会の報告(案)」を御覧いただけますでしょうか。頁で申し上げますと、19頁にペンディングとして「5.次期のランク区分の見直しについて」と記しております。
  事務局といたしましては、本日の御議論の結果も踏まえつつ、ランク区分の見直しについては、5年後の平成28年を目指して行うことを明記しまして、それ以外の見直しについては、特段言及しない。したがいまして、平成7年の全員協議会報告でまとめられた考え方に沿って、次期も行うと整理できればと考えております。以上でございます。

○今野会長
  ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○木住野委員
  今、資料の説明がございました「法人企業で見た労働生産性の推移」に関して、1つ意見を申し上げたいと思います。
  これは、前回の資料より規模の小さい企業の生産性の推移というものを示されたと理解しております。この統計的な事実というのは、ここに示されているとおりだと思います。しかし、なぜ中小零細企業で労働生産性が低いのかという見方に関して言いますと、これは様々な議論があるところだろうと思っております。
  特に私は、中小零細企業が多い産業別労働組合にいるものですから、中小零細企業における労働生産性の低さということの中に、実は色々な事実があるということを申し上げたいと思います。1つの例といいますか、直接にお示しすることが難しいんですが、一昨年独占禁止法が改正されまして、優越的地位の濫用ということが大きなポイントになりました。この事実は、やはり公正取引という問題を注目したときに、どうしても様々な事情があるわけです。そこで統計的な事実はこうなっているということではありますが、その事実の中身ということをどのように勘案していくのかという検討は是非必要なのではないかと思っておりまして、意見として申し上げたいと思います。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。
  今、おっしゃられた点については、統計的には事実だが、ここでの解釈については、色々な議論があり得るということです。ですから、資料として活用することについては問題ないということですね。

○高橋委員
  今、御意見が出ました資料3ですけれども、前回私どもがお願いして、今回、資本金1,000万未満のデータを出していただいて、大変感謝を申し上げたいと思います。
  その上で更にお願いなのですが、前回、中窪委員からも少し問題提起をしていただいたと思うのですが、必ずしも資本金の規模だけで、それが中小企業かどうかという議論もあろうかと思いますので、もし可能であるならば、また財務省と協議していただきたいと思うんですが、資本金のデータは参考資料として今後とも使うということに加えまして、例えば従業員規模300人未満の従業員規模で特別集計をして、同じように1人当たりの付加価値額の推移を出していただく。そうしたことを是非検討していただきたいということです。

○今野会長
  事務局はどうですか。

○本多賃金時間室長
  高橋委員からの御意向につきましては、まず法人企業統計において、技術的に従業員規模別の集計ができるのか。そして、統計の性格としてそれがなじむのかどうかということを、この統計を所管している財務省とも相談をしていきたいと思います。
  仮にできる場合には試みまして、その資料の取扱いについては、また今後委員の皆様とも御相談をさせていただきたいと思います。
  また、前回、中窪委員から御指摘をいただいた点なのですけれども、資本金規模については、最低資本金の規制等が入った関係もありまして、その影響がどうなっているか少し心配されるところなのですが、この資料3を御覧いただきますと、最低資本金規制については、以前は規制がなかったところに、1990年に株式会社1,000万という下限が決められまして、その後、2003年度に一部それが緩和され、2006年にまた撤廃をされています。その節目ごとでグラフの動きを見ますと、特にそこで目立ったギャップが生じていることはないかなと思っておりまして、1990年なり、2006年を挟んで、資本金規模が変わった企業は少なからずあったと思うんですが、1,000万未満と1,000万~1億という区切りで取る限りについては、それほど大きな影響は見られないと考えております。
  以上です。

○今野委員
  他にいかがでしょうか。

○池田委員
  今の統計につきましても、私どもも同じ意見であります。
  同時に、業種別にしましても、最低賃金で働いている業種というのは、ある程度限定されてくるんです。その辺のデータも出たらプラスして、お願いできればと思っております。
  もう一つ、過去の目安制度のあり方に関する全員協議会で報告されておりますけれども、目安が地方最低賃金審議会の審議を進めるに当たっての全国的なバランスに配慮するという観点から参考にされるべきものであり、地方最低賃金審議会の決定を拘束するものではないということでございますので、この総合指数の順位につきまして、ランク区分の見直しのための基礎データとしてのみ活用するということで、地方最低賃金審議会における具体的な金額の審議の際に、都道府県ごとの最低賃金額の順位を考慮するものではないということを、改めて報告書に書いていただきたいと思います。
  これは前回、私がお話ししましたが、正式に御提案になっていなかったようです。例えば前回、商工会議所の会議におきましても、昨年、ある県の商工会の地方最低賃金審議会の労働側委員からBランクのトップだと、Bランクのトップにふさわしい最低賃金であるべきだという主張が出ているそうです。ランクの中まで順位が付いていますので、必ずしもそのランクにこだわらず、CはCなんだというところをもう少し明確に報告書に記載していただけたらと思います。
  また、いつも東京都がトップです。沖縄県もいつも最下位ですけれども、地方最低賃金審議会においては労働側がランク区分の中の順位を主張するようでありますので、その辺を報告書に書いていただけないかということです。

○今野会長
  ランク分けをするということの基本的な考え方は、グループ化して、そのグループの中の県については、同様に我々は考えますというのがここの考えです。ですから、そうでなかったら、グルーピングなんかする必要はありません。
  ただ、今度それを地方最低賃金審議会の審議に持っていったときに、同じグループ内で順位が上か下かとか、それをどう考慮するかということについては、ここで言及するべき内容ではないと私は思っています。各地方最低賃金審議会が自主性を発揮して、どう議論するかは、極端にいえばご自由にやってくださいということなんです。
  そのため、グループ内のランクを考慮しないということも言う必要もないし、もちろん考慮せよということはここでは言えないので、今の池田委員の御意見は、できれば御意見としてお聞きをしておいて、報告書に書き込むことは非常に難しいと思います。また事務局とは相談させていただきますが、今のところそのように思っております。他にいかがでしょうか。

○高橋委員
  次期のランクの見直しに関連して、一言だけ申し上げます。別にそうしていただきたいということではなく、問題提起をしたいと思います。
  実は今回、20指標を使った新しいランク区分を従来どおりやりましたが、1つ気になるのは、企業経営の調査の5指標を見ますと、サービス業基本統計調査は、平成16年の結果を使っています。小売業と卸売業の商業統計調査を使ったものも、平成19年と平成16年を使っています。
  今年は御承知のように平成23年ですので、もちろん5年に1回の調査ということで、統計調査の実施の制約というのはあるんですが、なるべく直近の調査結果を基に20指標を用いて区分をすることが望ましいと思いますので、今後、こういった調査は、経済センサスという統計調査に衣替えをして実施するとも伺っていますので、そうした統計調査の集計結果がアベイラブルになる年に、なるべく20指標を用いたランク区分の見直しが行われることの方が望ましいのではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。

○今野委員
  今、おっしゃられた中で、なるべく最近のデータを用いたいというのは労使において合意していますね。それは原則ですので、あとは技術的な問題ですね。統計がいつ公表になるのか等については、もし統計の取り方の年次が変わるとか、あるいは先ほど高橋委員が言われた現在使用している統計が、新しい統計に統合されるので、20指標に使用する統計調査が新しい統計調査に変わっていくということがあったら、先ほどの直近が一番いいという原則に基づいて、その都度どうするかということを考えるのかなと私は思いますが、事務局は何かありますか。

○本多賃金時間室長
  情報提供ですけれども、今、言及されたサービス業基本調査を引き継ぐ経済センサスですが、実は今、経済センサスが実施されているのですが、それは事業所調査に相当する内容ということで、サービス業基本調査の売上高については、今やっているものでは、調査はされておりません。
  継承できるものとしては、平成24年に予定されている経済センサス活動調査というものがそれに該当します。ただし、公表時期については、平成24年2月の実施後、1年程度で公表するということで、まだ公表時期が明確になっていないということがございまして、恐らく平成25年~26年ぐらいにかけて結果が出るだろうということになります。

○今野会長
  ですから、改めてここで確認する必要もないんですが、なるべく直近のデータを用いるという原則さえ委員全員で共有しておけば、統計調査が変わったら、その都度対応を考えて、どうするかを決めるということでよろしいのではないでしょうか。
  他に御意見はございますか。

○田村委員
  今野会長の御意見でいいと思います。直近のデータを使いながら、20指標を作成しランク区分を決定するということで、そのことに関しては賛成したいと思います。
  このランク区分の見直しの関係は、先ほど御提案がございましたけれども、ランク区分の見直しは、この2年間は、例えば法の改正だとか、政権の交代だとか、政労使合意とか色々ありましたので、その辺を踏まえるのであれば、これから5年ということについては一定の理解をしたいと思います。この間、やはり雇用環境等、様々なものが変わってきておりますので、ランク制度全体の見直しについては、時期を失することなく、適宜前倒しでやる必要があるのではないかと思っておりますので、そこの御配慮は是非お願いしたいと思います。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  それでは、この統計資料は、こういう新しい形で参考資料とすることで御同意をいただけるということにさせていただいて、もう一つの、次期の目安制度のあり方に関する全員協議会の開催については、先ほど事務局から提案していただいた内容でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野会長
  では、そのようにさせていただきます。
  他にありませんか。

○小林委員
  今のお話を聞いていますと、資料3の資本金規模と、先ほど従業員規模というお話もありましたし、業種というのも池田委員がおっしゃっていましたが、できるものとできないものがあると思うんです。生産性の向上の推移、そして、資本金規模であったり、従業員規模であったり、業種が可能かどうかわからないですが、大分類の業種でも結構だと思うんですが、様々な角度から変動が見られるようなことができたら、ありがたいなと思います。

○今野会長
  先ほど高橋委員がおっしゃられた点については、事務局が回答いたしましたように、まず技術的に不可能だったらどうしようもありませんので、それをまず検討してもらって、それから考えさせていただくということでよかったかなと思っておりますが、よろしいですか。

○團野委員
  ここは自由に議論を行った方がいいのかなと思うんですけれども、先ほど木住野委員が言いましたように、統計としてのデータとしては尊重したいと思っています。
  ただ、労働側としての問題意識としては、90年代のバブル崩壊以降、企業行動というか、どういう対応をとってきたかという点についてであります。当然、我々としても、生産性向上には協力をして、収益をきちんと上げていこうということで、生産性向上運動には賛成をしてまいりましたし、そういう努力もしてまいったつもりであります。
  しかし一方で、労働生産性では、企業の付加価値額を上げていくかという努力というのは、努力によって上げるというやり方と、もう一つはコストを削減するというやり方の2つあるわけですね。ですから、特にこの10年間の中では、どちらかというと我々の見方から言わせていただければ、コスト削減に偏ったやり方によって生産性を上げる努力がされてきたのではないかと思っています。それがある意味では、今日の主要先進国の中で日本がデフレに陥っている主な要因の1つではないのかという受け止めをしております。
  したがって、従業員一人当たりの付加価値額の推移を企業の資本金区分で見る、あるいは従業員規模で見るということについては、結構だと思いますが、その間、従業員規模、資本金区分ごとに売上高がどうなったのか、その間、全体的にどのように推移をしていったのか。それも含めて見ていただかないと、一方的な見方の指標になってしまうのではないかと思います。したがって、そのような追加もできればお願いできないかと思います。

○今野会長
  まず、順番に確認させていただきます。
  資料3については、これを参考資料にするにはいいということで御同意をいただいたので、その後に、当面、従業員規模別をどうするかということです。これをどう扱うかということをここで議論する前に、従業員規模でデータが取れるかどうかわからないので、そこを確認してから先に行きたいと思うのですが、そのときに問題は、今度はこれをつくるスケジュールの問題もあります。事務局はいかがですか。

○本多賃金時間室長
  特別集計については、申請からそれなりの期間が必要になりますので、次回までにというのはとても無理ですし、まず可能性を探るのもちょっと難しいかなと思っております。また、今年の目安の議論に間に合うかどうかも、確認をしてみないとわからないところです。
  業種別につきましては、法人企業統計の中で従業員規模の集計は公表指標には全くないのですが、業種別については、指標によっては公表されているものもあります。この1人当たり付加価値額が公表データの中にあるかどうかは、確認をさせていただきたいと思います。

○今野会長
  いずれにしても、まず技術的に検討していただいて、それから検討させていただけますか。
  本日御確認いただくのは、資料3の内容は了承であるということで、よろしいですか。

(異議なし)

○今野会長
  それでは、最後のテーマですね。資料5になります。「目安制度のあり方に関する全員協議会報告(案)」について議論をしていただきたいと思います。
  では、説明をお願いします。

○亀井室長補佐
  引き続きまして、資料5の報告(案)について、御説明をさせていただきます。15頁目でございます。
  今回、報告(案)は分量がかなり多めになっておりますので、御説明の方法といたしましては、各段落のポイントをまず申し上げまして、その後、必要に応じて、具体的な書きぶりの御説明をいたしたいと考えております。
  それでは、本文の御説明に移ります。
  まず、中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関す全員協議会報告(案)ということで、柱書きの内容は毎回決まっておりまして、目安制度のあり方に関する全員協議会をいつ立ち上げたか、その後、何回検討を重ねたか。主にどのような議題を扱ったか、ということをまとめることとしております。
  時期、回数、議題は、御覧のとおりでございます。議題を4つ挙げておりますが、4として改定審議のあり方ということで、平成22年度の目安審議に係る御議論を4つ目の課題として取り上げたという扱いにさせていただきたいと存じます。
  続きまして、下記の部分でございます。
  まず「1 表示方法及びランク区分のあり方について」でございます。これはランク制度についての検討結果をまとめたものでございます。
  「(1)ランク設定のあり方について」ですけれども、段落が3つございます。第1段落は、ランク制度のあり方に係る皆様の御意見をまとめた内容としております。第2段落は、検討の結論でございまして、第3段落は、なお引き続き残された課題をまとめております。
  まず、第1段落でございます。ランク設定のあり方については、労働側委員の皆様から、ランク制度が採用された昭和53年から今日まで30年以上が経過する中で、制度の目的である全国的な整合性の確保にどのように寄与してきたのかという観点等からの検証と評価がなされるべきと記載しております。「等」としては、例えば全国的な整合性の確保という観点から、全国的な賃金の水準と地域別賃金の水準との整合性についても評価を行うべきとの御意見でありますとか、様々な御意見をいただいておりますので、「等」という形でまとめさせていただいております。
  後段の部分が使用者側委員の皆様からいただいておる御意見でございまして、長年労使が真摯な話し合いを基に積み上げてきた経緯を十分踏まえた上で、メリット・デメリットを十分洗い出しながら慎重に検討していくべきとの内容となっております。
  第2段落の結論でございますけれども、今般の検討では、この点につきまして十分議論を尽くすまでには至らなかったということを明記しております。しかしながら、ランク制度自体の意義につきましては、一定程度御理解をいただいたと承知しておりますので、そのようなこれまで果たしてきた役割等を踏まえまして、当面は現行の制度を維持という結論にしております。
  第3段落目で記載しているなお書きでございますけれども、このように議論を尽くすまでには至らなかったという認識に基づきまして、次回の目安制度のあり方の見直しの際に、踏まえるべき点をいくつか書いております。
  まず「今般の検討で議論が尽くされなかった点」と書いておりますが、この点につきましては、今回の目安制度のあり方に関する全員協議会報告の検討では、平成16年の報告で取りまとめられた際に、引き続き検討としておりましたいくつかの事項についても、必ずしも十分議論が行われなかったということから、今般の検討で議論が尽くされなかった点を引き続き検討すべきという問題意識で書いております。
  後半部分でございますけれども、かぎ括弧で生活保護関係の規定を引用しまして、最低賃金法改正法の施行を始めとする目安制度を取り巻く近年の状況の変化、これは近年の状況の変化のうち、ランク制度、目安制度に大きな影響を及ぼす生活保護の関係を例示しているものでございますが、そうした状況の変化を踏まえまして、次回、ランク設定のあり方を引き続き検討することが必要であるとまとめております。
  続きまして、「(2)表示方法について」でございます。こちらの表示方法は、目安をどのように表示するかという論点でございます。まず、結論の部分を御覧いただきたいと思います。16頁の(3)の1つ上の行でございます。
  結論としては、現行の表示方法を維持することが適当というものでございます。この理由でございますけれども、この表示方法は、ランク制度自体生活保護の乖離解消方法と緊密に結びついておるものでございますので、今回、ランク制度と乖離解消方法の見直しについては現行維持という結論であれば、この表示方法についても現行維持ということにさせていただきたいという内容でございます。
  続きまして、「(3)新しい総合指数に基づく各都道府県の各ランクへの振り分け」でございます。
  こちらは「イ」のところで、今回の最新の総合指数の全体的な動向を御説明しまして、頁の一番下の行の「ロ」のところで、そのような総合指数を踏まえて、どうランクを振り分けするかということをまとめております。
  まず「イ 総合指数の全体的な動向」でございます。
  段落が4つございますが、第1段落目では、ランク区分について、平成16年までどのような考え方で総合指数が算出されてきたかということをまとめたものでございます。
  第2段落におきまして、今回の見直しに当たっても、この平成16年までの方法を基本的に踏襲とした上で、第3段落のところで、今回行った見直しの内容を具体的に書いております。
  見直し内容は大きく2つございますけれども、1つ目には、企業経営に関する指標の一つである、一般飲食店の指標について「商工業実態基本調査」を止めまして「サービス業基本調査」に代えるという見直しでございます。
  もう一つ目の見直しでございますが、「別紙1のとおり」の後に続く部分でございます。従来は20指標の平均値を取った上で、東京都を100として指数を算出するというやり方をしておりましたが、今回から最大値となる都道府県を100として総合指数を算出するという形に改めております。
  この結果といたしまして、第4段落でございますが、新しい総合指数が平成16年と比較してどのような特徴があるかを記載しております。
  まず(イ)でございます。上記イ、最大値を取る都道府県を100とするという算出方法の見直しによりまして、東京都以外の各道府県が最大値となる4つの指標における指数の分散度合が縮小いたしました。これにより、個別の指標が大きく変動することで、総合指数まで大きく変動して、順位も大きく変動するといった影響を一定の範囲内に抑えられたと記しております。
  (ロ)は、総合指数の全体的な傾向でございます。今回の総合指数は前回と比べて、最小でも0.5、最大では5.0ポイント下降し、すべての道府県において、東京都との格差が拡大したということをまとめております。
  続きまして「ロ 新しい総合指数に基づく各都道府県の各ランクへの振り分け」でございます。
  17頁目にまたがりますが、ここに記しておる内容は、前回御検討いただきました資料に記したランク振り分けの原則をほぼそのまま転記したものでございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
  続きまして「2 賃金改定状況調査等参考資料のあり方について」でございます。大きく2点まとめております。
  (1)は、主に第3回、第4回で御議論いただきました賃金改定状況調査における調査対象事業所の選定の範囲をどうするかという御議論をまとめたものでございます。
  (2)は、前回御議論いただいた第4表の表示方法の見直しの検討結果をまとめたものでございます。
  まず、(1)の第1段落でございますけれども、調査対象事業所の範囲について、労働側委員の御意見としまして、賃金の低廉な労働者のほか、一般的な労働者の賃金改定状況を反映するよう、これは低廉な労働者の方々の賃金の水準を考える上では、低廉な部分だけに着目するのではなくて、一般的な水準を踏まえた上で、あるべき水準を議論すべきという御意見をいただきましたが、その御意見をまとめたものです。その観点からは、企業規模の範囲を少なくとも、30人以上100人未満にも範囲を拡大すべきであるとまとめております。
  後半が使用者側委員の皆様からいただいた御意見でございまして、まず、業種について、業種の範囲を見直す必要がある。この業種の見直しには、業界の範囲を追加したり、入れ替えたりといった中身もございますし、現在の改定状況調査の製造業対卸小売業対飲食サービス業等の比率についての見直しの御意見も含まれておると理解しております。その他、地域の実態を反映するよう、県庁所在都市と地方小都市との事業所の比率についても見直すべきではないかという御意見をいただいたとまとめております。
  続いての段落で、結論でございます。この調査対象事業所の範囲につきましても、今回議論を尽くすまでには至らなかったということで、しかしながら、短期間に調査結果の集計が求められる賃金改定状況調査の性格も考慮いたしまして、今回、当面は現行の方法を維持させていただきたいという結論にしております。
  なお書きでございますが、議論を尽くすまでには至らなかったという認識を踏まえまして、この調査対象事業所の選定についても、引き続き検討することが必要という申し送りをしております。
  (2)賃金改定状況調査結果の表示方法の見直しについてでございますが、これは前回御議論いただきました第4表に、男女別に加えて、一般・パートタイム労働者別についても表示することが適当という結論をまとめたものでございます。
  続きまして、18頁目の「3 生活保護と最低賃金との乖離解消方法について」でございます。この項目は、主に前回御議論いただきました乖離解消方法について取り上げたものです。
  第1段落は、この問題を取り扱うに至った経緯をまとめております。
  第2段落は、前回資料としてお出ししました住宅扶助の実績値の変動に係る分析の結果でございます。
  第3段落は、結論でございます。
  具体的な内容に入りますと、第1段落目としては、生活保護との乖離額が年々大きく変動し得るということから、平成21年度及び平成22年度の目安に関する公益委員見解におきましても、この問題について、別途対応を検討することが適当とされております。これを踏まえまして、第2段落でございます。この変動の原因として考えられる要因として、住宅事情の変化があり得るという説明をしたところでございます。
  第3段落でございますが、この点につきましても、具体的な乖離解消方法をどう見直すかというところまで、御議論を尽くすまでには至らなかったことから、当面は現行の乖離解消方法を維持するとともに、解消すべき生活保護との乖離額が年々変動し得るという問題については残されたままでございますので、この点について、引き続き対応を検討することが適当であるとまとめております。
  この「引き続き注視する」との記載ですが、大きな項目の「1 表示方法及びランク区分のあり方について」と「2 賃金改定状況調査等参考資料のあり方について」の結論部分では「次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には」と断った上で、引き続き検討としておるのですが、この生活保護との乖離解消方法に関しましては、必ずしも全員協議会の場に扱いを限定しないという認識の下で「次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には」という文言は入れておりません。
  続きまして「4 改定審議のあり方について」でございます。こちらについては、見出しを2つ設けておりまして、18頁目の(1)近年の改定審議のあり方についてにおいて、近年の目安の審議のあり方を要約するとともに、平成22年度の目安審議における各委員の御意見をまとめる形にしております。
  19頁の(2)におきましては、(1)における御意見の相違を踏まえまして、なおこういった点については見解が一致しているのではないかと考えられる点をまとめたものでございます。
  具体的な内容を御説明させていただきますが、まず(1)でございます。段落が3つございますけれども、第1段落につきましては、過去の答申等を基に、近年の目安の改定審議のあり方をまとめたものでございます。第2段落は使用者側委員の御意見をまとめたもので、第3段落は労働側委員の御意見をまとめたものでございます。
  第1段落でございます。近年の目安の改定審議におきましては、様々な事情が勘案されるわけですが、大きく区別すると、(1)、(2)、(3)という要素がある。(1)は法の原則でございます。括弧の中は法の原則の中身の説明で、最低賃金法第9条に定める地域別最低賃金の原則でございます。
  (2)は目安制度等でございます。第5回の御議論で、会長から「プラットホーム」という表現をしていただきましたけれども、目安制度のあり方に関する全員協議会等で積み上げてきた運用のルールを指します。この運用ルールの中では、括弧の中で中身を説明しておりますが、平成16年の目安制度のあり方に関する全員協議会報告として取りまとめられております目安制度のあり方について、その他、地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料、賃金改定状況調査を始めとする様々な資料でございます。3点目として、平成20年度以降の目安に関する公益委員見解において示されております生活保護と最低賃金との乖離解消方法などの考え方、これら目安制度と資料と生活保護に係る施策との整合性を図ることを総称して、「目安制度等」とまとめております。
  この2つを基にしまして、(3)時々の事情でございます。括弧の中を見ますと、最低賃金を取り巻く状況であったり、成長力底上げ戦略推進円卓会議における議論でありましたり、生活保護と最低賃金の乖離が年々大きく変動しておることであったり、雇用戦略対話合意であったりということを挙げております。
  この「時々の事情」の括弧の中の要素でございますが、近年の目安審議におきまして、目安に関する小委員会の審議に際して踏まえていただいたり、勘案していただいた事情をピックアップしたものでございます。こうした要素を踏まえた上で、諸般の事情を総合的に勘案して行われておるということでございますが、この「諸般の事情」と申しますのは、毎年の中央最低賃金審議会の公益委員見解の中で決まり文句として使われておる文言でございます。こうした要素を総合的に勘案いたしまして、公労使三者の真摯な話し合いを基に、目安制度の改定審議のあり方は形成されてきたということをまとめております。
  続きまして、第2段落でございます。しかしながら、平成22年度の目安の改定審議においては、必ずしもこのとおりではなかったのではないか、という見解をまとめたものでございます。
  まず、雇用戦略対話合意の中には、かぎ括弧で引用しておりますが「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」ということが最低賃金引上げに関する数値目標の前提として明記されております。その他、かぎ括弧で引用しておりますが「中小企業の生産性向上」や「中小企業に対する支援等」などがパッケージとして掲げられている。使用者側委員の御意見でございますが、このような御意見があったにもかかわらず、これらの部分を十分に踏まえることなく、数値目標の部分、該当箇所を引用しておりますが、全国最低800円、全国平均1,000円のみが重視された結果として、法の原則及び目安制度等を必ずしも十分に踏まえることなく、その1つの現れとしまして、例えば賃金改定状況調査結果の賃金上昇率がマイナスとなる中で、ランクごとの目安が一律10円となるなど、従来積み上げてきた改定審議のあり方が揺るがされたのではないかと、様々な御意見をこのようにまとめさせていただきました。
  次の段落でございますが、一方、労働側委員の御意見といたしまして、そもそも雇用戦略対話合意の扱いの検討については、目安制度のあり方に関する全員協議会における目安制度の見直しの検討とは切り分けて行うべきである旨、また、平成22年度の目安の改定審議におきましても、従来の改定審議のあり方と同様に、法の原則及び目安制度等と雇用戦略対話合意を含む時々の事情というのは、それぞれ十分踏まえられた審議がなされたと認識しているという御意見をいただきまして、このようにまとめさせていただきました。
  更に、賃金改定状況調査における第4表の賃金上昇率がマイナスとなった問題につきましては、そもそも目安の改定審議においては、賃金改定状況調査結果に偏重することなく、一般的な労働者の賃金水準に照らして、あるべき水準を議論することが望ましいという御意見をいただいておるところでございます。
  (2)でございますが、上記(1)のとおり、平成22年度の目安の改定審議をどう評価するかということについては、意見の一致に至っておりませんけれども、目安制度そのものは維持しつつ、今後の改定審議において、公労使三者が、その真摯な話し合いを通じて、法の原則及び目安制度等を基にするとともに、時々の事情も踏まえた上で、諸般の事情を総合的に勘案して行うという従来から積み上げてきたこのあり方自体の重要性については、改めて確認することが適当ではないかという合意を得るに至ったという書きぶりとしております。
  最後でございますが、ペンディングといたしまして「5.次期のランク区分の見直しについて」の項目でございますが、これは先ほどの資料4で御議論をいただきました、ランクの見直しについては5年後を目途に行うという内容を中心に盛り込ませていただきたいと考えております。
  以上でございます。

○今野会長
  ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をお願いいたします。

○池田委員
  先ほど申し上げたことをこのときに申し上げればよかったんですけれども、会長が御検討くださるということですので、再度ランクの中の数字は、地方最低賃金審議会における順位を考慮するものではないという旨を、再度何かの形で入れていただければ、大変いいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

○今野会長
  私の先ほどの発言は、ここに書き込むことはあまり適当ではないと思うけれども、一応事務局と相談してみますということですが、それでよろしいですね。

○池田委員
  よろしくお願いいたします。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。

○萩原委員
  1項の表示方法及びランク区分のあり方について、これは要望と確認という形でさせていただければと思います。
  まず(1)の部分で、私どもが主張させていただきました約30年間の目安の検証と評価の部分でございます。事務局の方からもお話があったとは思うんですが、もう一度確認をさせていただきます。
  これについては、やはり従来、労働側から主張させていただいておりますランク制度のあり方、ランク制度の例えばランク間乖離、あるいはランク内収れんに対して、どのような結果になっているかという検証が、これからも、今後も必要であるのではないかということも含まれるのかどうか。更に言えば、ランク別の目安額の出し方ですが、とりわけ時間額表示に移行した後は、なかなかランクごとの差が出てこないことも、前回の平成16年の全員協議会で課題として出されていると思います。そういったものも、次回について論議が引き続きなされるかどうかということを聞かせていただければと思います。こういったことが合意として含まれているかどうかということを確認させていただければということでございます。

○今野会長
  よろしいですか。
  では、事務局どうぞ。

○亀井室長補佐
  今、萩原委員から御指摘のあった御意見につきましては、実際、第2回、第3回の議論においても取り上げられておりますし、そうした議論も含め、議論を尽くすまでには至らなかったという認識でございますので、その点も含め、「引き続き検討」の中に含まれておると承知しております。

○今野会長
  よろしいですか。

○萩原委員
  結構です。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。

○横山委員
  単純な質問なんですけれども、18頁の(3)「時々の事情も踏まえた上で、諸般の事情を総合的に勘案して」とあるんですが「諸般の事情を総合的に勘案して」という「諸般の事情」の内容ですね。諸般の事情を総合的に勘案してというのは、いい言葉なんですが、使い方によっては様々な意味にもとれる言葉です。例えばこういうことをさせているんですよというのがあれば例示していただきたいと思います。もし慣用的に使っているからということであれば、「諸般の事情を総合的に勘案して行われており」というのは、時々の事情と重複した表現になるのではないかと思います。時々の事情も踏まえた上で、公労使三者の真摯な話し合いを基にということでも文意は伝わる感じがするんですが、いかがなものでしょうか。

○今野会長
  どうですか。

○本多賃金時間室長
  先ほどの説明にもありましたとおり、ここ数年の答申の公益委員見解の中で色々な個別の事情を挙げた上で、それらに特段の配慮をした上で、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところであるとございます。
  お手元の資料で、第6回の議論において、御参考として、近年の3年分の答申を付けさせていただきました。もしよろしければ、そちらを御覧いただければと思います。第6回の資料の、平成22年の答申であれば105頁からですが、今、申し上げた文言につきましては、107頁にございます。このドッチファイルの中に入っている、全員協議会でお配りしている資料でございます。
  各年、例えば平成22年度の目安審議では、平成16年の全員協議会報告を踏まえ、また、整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、雇用戦略対話を踏まえた調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところであると書いております。
  これと今回の報告(案)を見比べますと、時々の事情のところが、読み方によっては、より包括的に読めますので、それに重ねて諸般の事情を書くのは重複的と言えるかもしれませんし、これまでの言い方を変えると、変えたことについて何か別の事情を読み込まれる可能性もありますので、どちらも一長一短あるのかなと思っております。
  事務局の考えとしては、そういうことでございます。

○横山委員
  言われたことは、およそ理解はできるんですけれども、更に一言申し上げれば、最低賃金を取り巻く状況を、例えば平成21年の答申の際には、相当労働側も考えていただいたということで、かなり思い切った数字が出てきたということもありますので、確かに踏まえていただいたなとは思うんですが、昨年の問題で考えてみると、別の形で諸般の事情が総合的に勘案されたのではないかという妙な気持ちがします。特別これで違っているわけではございませんので、あとは公益委員の御意見で結構でございますが、一応こういう疑義を呈したということだけ、記録にでも残しておいていただければと思います。

○今野会長
  では、事務局と相談させてもらって、決めさせていただきます。

○萩原委員
  17頁「2賃金改定状況調査等参考資料のあり方について」の要望でございます。
  これは「賃金改定状況調査等参考資料」ということでありますので、これも労働側から最初の方に主張させていただきましたが、少しデータ的には生計費関連のデータがあまりないということのお返事はいただいていますが、是非とも、今後ともそういった生計費レベルのデータを調べるような御努力をお願いしたいということになっています。
  もう一つ、やはり我々は、これまでも引上げ額ではなく、水準ベースで論議をしていく、あるいは水準ベースで目安等を示していくべきではないかという考え方を持っておりますので、水準論議ができるような資料の追加等も是非お願いしたいということもありますので、もし可能であれば、そういった資料についての要望があった旨を少し入れていただければ、次の論議につながるのではないかと思います。以上でございます。

○今野会長
  ちょっと考えさせていただくということで、よろしいですかね。
  他にいかがでしょうか。

○高橋委員
  単純な質問なんですが、18頁の「諸般の事情」の上の方の(3)に「時々の事情」というのがあるんですが、その括弧内に、最初に「最低賃金を取り巻く状況」と書いてあるんですが、これは何を意味しているのかなという素朴な疑問です。

○亀井室長補佐
  この「最低賃金を取り巻く状況」という文言でございますが、平成19年の答申の小委員会の踏まえた要素として取り上げられているものをそのまま引っ張ってきたものでございますので、平成19年当時の経済情勢でありますとか、そういった状況であると承知しております。
  平成19年度答申が資料に組み込まれていないのですが、該当箇所を読み上げますと「平成19年の公益委員見解の中におきまして、目安小委員会は、本年の目安審議に当たっては、平成16年12月15日に中央最低賃金審議会において了承された全員協議会報告を踏まえ」と来まして、しばらく間が飛びまして「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配慮した調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で諸般の事情を総合的に勘案」という言い方をしておりまして、ここから引用したものでございます。

○高橋委員
  今一つ意味がよく分からないんですが、もし経済情勢等を含めたものであるならば、それは(2)目安制度のところで、様々な参考資料等も踏まえながら目安を決めるという中に含意として入っているような気もして、それと違う最低賃金を取り巻く状況、(2)には入らない最低賃金を取り巻く状況というのは何なのかなと、ちょっと分からなかったです。

○本多賃金時間室長
  補足をいたします。
  近年の目安の改定審議がどのように行われたかということを取りまとめた部分につきましては、過去の公益委員見解の中で、明示的にこういうものを踏まえたと言っているものを恣意的にではなく、拾ってきております。その結果、これだけ読むと少し分かりにくくなっているところがあるかもしれませんが、その時々の答申の中で、こういった事情を踏まえたと言っているものをとってきているということでございます。

○中窪委員
  私も18頁の(1)、(2)、(3)の文章がちょっと分かりにくい感じがしたんです。それは、先ほど御説明いただきました各年度の公益委員見解で、諸般の事情を総合的に勘案して使っているという御説明があったんですが、そこで言っているのは、様々な資料、統計等を基にしながら、結果的にこういう金額を出したという意味だと思うんです。
  それに対して、今回のまとめで出ていますのは、(1)というのは法の原則ですし、(2)というのは目安制度等ということは、非常にお役人的で意味が分からない。私としては、むしろ目安制度の趣旨と経緯とか、そういう感じのことではないかと思います。それから、(3)として時々の事情を踏まえた上で、諸般の事情を総合的に勘案してという、ここでの「諸般の事情」というのは、まさにこれこそが統計を中心とする様々な具体的な決定要素となるデータだという気がするんです。ですから、(1)、(2)、(3)というのは、むしろそれを審議する上での基本原則みたいなものがここで書かれている。まず、法の趣旨が原則であって、それから今までの目安制度の趣旨、目的があり、3番目として、その時々の様々な情勢があるということなので、何かこの(2)の目安制度等の中に資料が入っていること自体、変な感じがしたんですが、いかがでしょうか。
  ですから、そういう資料を用いるという経緯として(2)に入っているのはいいんですけれども、そういう目安制度の趣旨、目的からくる運用ルールのようなものを踏まえた上で、具体的な金額については、後ろの諸般の事情を総合的に勘案してということなので、むしろ後の方の「諸般の事情」というのが、重複しているような印象があると横山委員もおっしゃいましたが、私も分かりにくいなと思いましたので、ここをもう少し具体化して書いていただければいいのではないかという気がいたしました。

○今野会長
  どうでしょうか。(1)と(2)というのが仕組みで、(3)はその仕組みに入れる材料の話ですかね。材料は時々変わるということ。それに経済情勢という具体的な材料が入るとか、あるいは雇用戦略対話でもいいですけれども、そういう材料が入るという整理でしょうか。

○中窪委員
  材料は一番後ろの方なので、(3)はむしろその最低賃金に対する世の中の期待だとか、雇用戦略対話合意だとか、そういうものだと思います。

○今野会長
  (3)も一種の仕掛けで、そういうのを考慮しろという仕組みの問題で全部話しています。いずれにしても、読み方がみんな違うから、もう少し整理して、分かりやすくした方がいいですね。

○本多賃金時間室長
  分かりました。練り直しまして、また御相談をさせていただきたいと思います。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。

○萩原委員
  これは確認というか、教えていただきたいんですが、生活保護との乖離について、表題で「生活保護と最低賃金との乖離解消方法について」という書き方になっておりますが、今回の取りまとめは、あくまでも大きく変動するところに対する取扱いということで、一定のとりまとめをこのようにされたということになっていると思います。
  ただし、例えば、生活保護の基準額の出し方については、労使それぞれ意見がかなり違うところがありますので、こういったことは、また後の全員協議会等で論議をするという認識でよろしいのでしょうか。

○今野会長
  いかがですか。

○本多賃金時間室長
  そういった趣旨で報告を作成しております。

○今野会長
  よろしいですか。

○萩原委員
  はい。

○今野会長
  他にいかがでしょうか。

○高橋委員
  今の点なんですが、確かに小見出しを見ると「解消方法について」という小見出しなんですが、内容は解消方法についての記載があるわけではなく、異常値と思えるような変動部分については、引き続き検討していきますよというものであって、乖離解消方法がどうあるべきだとか、どうするとか、どう変えるとか、そういう内容ではないですね。
  乖離解消方法は、御存じのとおり、平成16年の全員協議会の報告書では、当然そういうことがなかったので触れていない。今回、法改正後、初めての目安制度のあり方に関する全員協議会の報告書ですね。そこで乖離解消方法についてということでは書くわけではないのではないかと思います。ですから、小見出しを少し変えた方が良いのではなかと思います。

○今野会長
  高橋さんの趣旨は、乖離解消ではなくて、生活保護と最低賃金の乖離のとらえ方についてという意見なんですかね。

○高橋委員
  内容と表題の関係に違和感がありますので、もう少し検討する余地があるのではないかと思います。

○今野会長
  もっと具体的にですか。

○高橋委員
  内容自体は異論がないのですが、具体的な解消方法については、言及をしているわけではありませんので、表題との違和感があります。

○今野会長
  この解消方法を広く考えると、乖離をどうやってとらえるかというのも、乖離解消方法だと考えると、そこに入っているということになる。乖離のとらえ方の1つの問題点として、住宅扶助が変動してしまうんだと広くとらえるとこうなるし、もっとテクニカルに考えると、乖離解消方法というと、乖離があったときは何年で解消するかとか、非常にテクニカルな問題をイメージすることもあります。

○横山委員
  「当面は維持する」というのは、一応結論なのではないのですか。

○今野会長
  このタイトルだけの話なんです。

○横山委員
  タイトルが「乖離解消方法について」でしょう。最後の段落の下から3行目「当面は現行の乖離解消方法を維持する」というのは、1つの結論でしょう。そのように理解していたんです。

○今野会長
  そういうことですね。ということは、これでいいということですね。ここは表題を変えると、中の文章も変えなければいけなくなると思うので、再度読んでいただいて、今のところ、暫定的にはこのままにしたいと思います。他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。
  それでは、今日はこの辺にいたします。また今日の議論を踏まえて、修文してもらったり、追加してもらったりしますので、そのときにまた議論をしていただければと思います。
  それでは、今日はこの辺で終わりにさせていただきたいと思いますが、何かありますか。

○池田委員
  毎度申し上げましたが、今までの議題とは別に、12月に発表された厚生労働省の委託調査、中小企業の最低賃金の円滑な実施のためのみずほ総合研究所のデータでありますけれども、低賃金労働者に対する大変いい資料になっております。その中でも82.3%の事業所が廃業を検討と出ておりますので、今後この資料も是非出していただいて、目安の参考資料にすべきだということを感じておりますので、よろしくお願いします。

○今野会長
  いいですか。何かありますか。

○本多賃金時間室長
  今の御意見についてですが、あの調査は単発の調査でございますので、次の目安に関する小委員会に資料として提出するかどうかは、また委員の皆様と相談の上、決めさせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

○池田委員
  はい。

○田村委員
  目安に関する小委員会の話がちょっと出ましたので、これもこの目安制度のあり方に関する全員協議会とは直接は関係ないんですけれども、これまで2年間政労使合意の関係、あるいは政権交代、法の改正等がありまして、要は、最低賃金改定額の10月1日発効に向けて、それぞれ地方の最低賃金審議会が進められてきたのが、近年は後ろにずれるという結果になってきています。今年はそういう要因はないと思っています。審議すべき議題はあると思いますが、そういった意味で、目安に関する小委員会等を円滑に進める意味でも、大臣の諮問の時期について、過去2年間ちょっと遅れてまいりましたので、今年は地域別最低賃金額の発効日が遅れることがないような対応を是非お願いしておきたいと思います。

○今野会長
  御意見ということですね。
  それでは、今日は終わりにさせていただきます。
  全員協議報告(案)を次回も議論いたしますが、できれば次回で取りまとめというスケジュールでいいんですか。

○本多賃金時間室長
  できればです。

○今野会長
  そのようなスケジュール感を持っておりますので、よろしくお願いします。
  次回の日程ですが、2月10日午前10時からです。場所は、ここの12階の専用第14会議室で行うことになります。また事務局から連絡があります。
  最後、事務局から何かありますか。

○亀井室長補佐
  次回報告を取りまとめることができた場合には、その後に本審を開きまして、報告書の報告、了承をいただくという手続が必要となります。次回以降、報告が取りまとめられる見込みが立った段階で、また御相談させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○今野会長
  最後に議事録署名ですが、今日は北田委員と横山委員にお願いをいたします。
  それでは、終わります。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係

03-5253-1111

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