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2011年8月26日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第10回)議事録

○日時

平成23年8月26日(金)13:00~14:45


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

   永井部会長、猿田部会長代理、内山委員、祖父江委員、夏目委員、花井委員、本田委員、三好委員、和田委員


○議事

○永井部会長
 それでは定刻になりましたので、ただいまから第10回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。初めに事務局から本日の議事についての報告、説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日は議事次第のとおり、国立がん研究センター及び国立循環器病研究センターに関して、財務諸表に関する意見、総合評価、長期借入金に係る報告について審議をしていただきます。
 審議案件の進め方について、ご説明いたします。財務諸表に関する意見についてですが、担当委員である和田委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえてご審議いただきます。総合評価については、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただいた総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評定理由」案等について、ご審議いただきます。
 皆様にご記入いただきました評定記入用紙については、ご参照いただけるようお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議等を踏まえ、評定記入用紙を修正、確定していただく時間を設けさせていただきますのでよろしくお願いいたします。長期借入金に係る報告については、後ほどご説明いたします。以上です。

?国立がん研究センター

○永井部会長
 では、議事に入ります。まず総合評価書、財務諸表に関する意見につきましては、起草委員の方々には、お忙しい中、ご尽力いただきありがとうございます。
 初めに、財務諸表に関する意見についての審議です。財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。財務諸表について、和田委員からご説明をお願いいたします。

○和田委員
 お手元の財務諸表等につきまして、ヒアリングの結果を簡単にご説明いたします。この財務諸表については、新日本有限責任監査法人から監査結果の報告を受けております。また、それを受けて監事2名の方の監査報告書も入手いたしました。さらに、新日本有限責任監査法人から「監査結果説明書」を入手し、検討いたしました。その結果、監査は十分な時間を持って適切に行われており、その監査意見によって、本財務諸表は適正なものと思料いたしました。
 財政の内容ですが、事業費用が413億1,800万円。これに対して、事業収益は442億7,900万円。事業損益は29億6,100万円ですので、事業収支比率は107.17%と大変よい数字になっております。さらに、この事業損益29億6,100万円をセグメント別で見てみますと、研究事業が8億8,600万円のプラス。臨床研究事業が5億9,000万円のプラス。診療事業が22億4,600万円のプラスです。これに対して、教育研修事業が2億4,000万円。法人共通で5億7,300万円のマイナスということでこれをトータルして29億6,100万円の事業損益が計上されております。
 財政状態ですが、貸借対照表を拝見し、資産合計は1,241億4,300万円。これから負債を引き、純資産合計は972億6,900万円です。負債の内の長期借入金につきましては154億8,100万円となっております。その結果、純資産比率は78.35%。借入金比率は12.47%になっております。長期借入金で申し上げますと、期首残高が170億6,500万円で引き継いだのですが、平成22年度中に15億8,400万円の返済をし、平成22年度中には新規の借入はありませんので、期末の残高は154億8,100万円となっております。以上を総合するに、十分な経常収支比率を持って利益を上げ、なおかつ財政状態において、特に借入金において、過大でない大変健全な経営が行われたと判断いたしました。今後も医療設備の充実とか強化を図ると共に、収入の増加と費用節減の努力を行い、引き続き収支改善の成果が上げられることを期待したいと思います。そして、資料1-1のような意見書のほうに繋がっていくのに十分な財務諸表であると思料いたしました。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございました。ただいまのご説明にご質問、ご意見ございますか。いかがでしょうか。ご意見ございませんので、平成22年度の財務諸表に対する意見としましては、資料1-1の案のとおりで、修正意見はなしということで、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいですか。
(各委員了承)

○永井部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて国立がん研究センターの総合評価についての審議でございます。起草委員である猿田委員からご報告をお願いいたします。

○猿田部会長代理
 国立がん研究センターの平成22年度の評価結果につきまして、講評を述べさせていただきます。この評価に当たりましては、評定の結果とそれから各委員の評定コメント、3番目として平成23年7月20日の評価委員会でご議論いただきました内容を踏まえまして、平成22年度の業務実績について、中期目標に掲げた内容に照らして、総合評価書を取りまとめさせていただいております。
 全体の評価としては、1番目として平成22年4月1日、国立がんセンターから独立行政法人国立がん研究センターに移行し、新しい理事長の素晴らしいリーダーシップの下、職員の意識改革とともに、現場の裁量・権限の拡大を通じた業務運営の効率化と、収支改善に向けた取組みにより、5年計画の初年度において、中期目標に掲げた経営収支に係る目標を達成したことに加え、純利益25.8億円を計上するなど、特段の実績を上げたこと。
 2番目として研究・開発については、研究所の組織再編とともに、研究所と病院の研究の連携体制をしっかりとさせ、先端医療開発推進会議の設置、学際的研究支援室の設置等、トランスレーショナルリサーチを推進する体制を整備し、バイオバンクの充実に向けた取組みのほか、がんの原因解明や、発生進展のメカニズム、本態解明などの研究について、がん対策の推進に大きく貢献する顕著な成績を上げたこと。
 3番目として、医療の提供については、小児・若年成人発症肉腫に対する集学的治療や、頭頚部腫瘍などが適応対象である、先進医療の陽子線治療など国立がん研究センターなど限られた施設でのみ受けられる高度先駆的な医療を行ったこと。さらに緩和ケアチームの早期介入開始や、開発的医療として、合併症を有するがん患者に対応できるよう総合内科を創設して診療体制を強化したこと。
 4番目として、人材育成に関しては、診療方針の多角的検討会、最新の医療知識と技術の習得を再確認するNCC Universityや、臨床面での問題点を基礎研究者を含めてディスカッションするリサーチカンファレンス、がん告知コミュニケーション技術研修など、がん領域の医療及び研究の指導者を育成する専門的な研修を実施したこと。
 5番目として、医療の均てん化と情報の収集・発信については、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会を開催し連絡協議会の連携強化を図るとともに、院内がん登録全国集計の公表等の取組みを行っているほか、がん診療連携拠点病院等に対し、画像診断コンサルテーション、放射線治療品質管理・安全管理体制確立支援等を実施、特に病理診断コンサルテーションでは、目標を上回る利用があったこと。このほか「患者必携サポートセンター」を開設し、がん関連情報を収集し、患者・家族・国民に対し発信する取組みを行っていること。
 6番目として、国への政策提言に関して「国家戦略としてのがん研究シンポジウム」を開催し、関係省庁、報道関係者、患者団体の代表者、製薬企業等多方面にわたる参加者を得て、大規模ゲノム医学研究やがんワクチンに関する研究のあり方について提言を行ったこと。
 7番目として、東日本大震災に際し、医療支援チーム、放射能物質のスクリーニング支援チームを派遣するとともに、被災者のがん患者のための情報提供など、センターの使命に沿った積極的な取組みを行ったこと。このようなことを評価し、全体として国立がん研究センターの設立目的に沿って、適正に業務を実施したことを評価する内容としております。以上でございます。 

○永井部会長
 ありがとうございます。ただいまのご説明についてご質問・ご意見はいかがでしょうか。総合評価書の中で、国民からの意見募集があって、意見が寄せられたという記載がございます。これについて法人からご説明をお願いいたします。

○国立がん研究センター研究所長
 私から動物実験に関して意見が寄せられたことに関して説明させていただきます。まず当センターの動物実験は、平成18年に厚生労働省のほうで動物実験等の実施に関する基本指針を策定されましたが、それを踏まえて現在、動物実験規程の作成であるとか、動物実験委員会の設置、こういうものを設けています。それから、毎年度に動物実験従事者に対しては、その講習会を設けて動物愛護の考え方を周知徹底しており、この講習を受けた者だけが動物実験を受けられるということを徹底しています。
 また、当研究センターでは臨床研究事業、これも強力に推進する必要があるわけですが、それに当たっては、新しいシーズ開発において、その実施可能性を探求するための前臨床試験がどうしても必要になってきます。従って、この動物実験の重要性を十分に認識して、その役割を適切に果たしていくために、十分な施設・環境が整っていると考えます。もちろん、動物愛護の観点から、いわゆる動物の3Rということを徹底して、今後とも厳正な手続きの上で、動物実験に関しては遂行していきたいと認識しています。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。では、ご質問・ご意見をお願いいたします。和田委員にいつもセンターへの説明でお願いしているのですが、人件費管理のことでこれまでお話いただいたことを、少しご説明いただけますでしょうか。いわゆるミッションとそれから増えた部分、人件費に限りませんが。

○和田委員
 ご存じのとおり総人件費改革ということで、それに対して相応の対策を立て、そして実施をしていくということでございますが、診療事業を行う病院にありましては、必ずしも一括的に総人件費改革に従って、人件費を対前年比を下げていくということは、適切ではないといいますか、その総人件費改革の意図するところの人件費をできるだけ削減していくという努力は必要でございますが、一方でより良い診療、より良い事業をするためには、当然医師とか看護師であるとかいうところを増やさないといけませんので、そういう点では総人件費改革をそのまま当てはめるのではなくて、総人件費改革の意図するところに従って、どれだけ人件費の削減に努力をしたのか、そして、昨年とは違う、計画とは違うさらにより良い医療・事業をやっていくために人員が増えて、そして、それによって人件費がいくらいくら増加しました。そして、その人件費の増加はこういう収益によって賄われましたとか、あるいはこういう成果を上げましたというようなことを、今後もはっきりと国民に説明ができるような方法が求められているというふうに思います。また、評価もおおむね私だけというよりも、皆さんのご意見でそういう形で総人件費改革への対応の評価はしていきたいと、そのように考えているところでございます。

○永井部会長
 そういう分かりやすい記載が必要だということで、何もかも抑制ということではない、説明ができるようにしていただきたいということだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○猿田部会長代理
 いまの点、6つのナショナルセンター以外に、国立病院機構も同じなのですが、やはりそこだけは別に考えて、やはり医療の現場を考えたときに、先生方、医師の方、それから看護師の方々、そういったところが非常に業務上大切でございますので、どうしてもそこのところを一致してお願いしていくことが、私は非常に重要だろうと思います、よろしくお願いいたします。

○永井部会長
 ほかにご意見ございませんでしょうか。

○夏目委員
 総合評価結果の文章そのものは、いま見させていただいて非常に良く出来ているというか、非常に良くまとまっていると思います。文章についてとやかく言うつもりは全くないのですが、それぞれの評定結果のほうですが、若干私が甘いのかもしれませんが、「大いに」とか「大幅に」というSランクを、どういう場合に付けるかというところの議論になるのだろうと思うのです。自己評価がほとんどSというのも若干いかがなものかという感じも私個人的にはするのですが。結果が今度逆にすべてAということも、国立がんセンターのこの1年間の取組み、私自身はやはり相当頑張って「大幅に」、あるいは「大いに」という評価をしてもいい部分もあるのではないかと思いまして、私自身はSをいくつか付けさせていただいているのです。それはほかの先生方のご意見と最終的には過半数というか、皆様の意見でまとめればいいのだろうと思うのです。
 要するに全く想定外とか、全くということになると、もうそういうことをあまり意識されると、ほとんどSがなくなってしまうのではないかなと。それで法人の評価としていいのだろうか、ほかの独立行政法人の評価も一度見させていただいたと思うのですが、若干、どの法人もSが付いているところが多いのだろうと思うのです。したがって、少し私個人的に甘いと言われるかもしれませんが、国立がんセンターのこの1年間の取組みを総合的に見たときに、全くSがないという評価でいいのだろうかという、私の個人的な意見でございまして、最終的には皆さんのご意見に私は従いたいと思います。以上です。

○永井部会長
 いかがでしょうか。花井委員どうぞ。

○花井委員 
 私も評価する上で非常に悩ましいと思ったのは、志が高ければ高いほど絶対評価をすると、がんセンターはもともと志が高くて、もともと高い目標を掲げて、その高い目標をクリアしたらそれは計画どおりになるので、ここのルールでは「B評価」ということになるわけですね。ほかの独法と相対的な比較はしないということだったのですが、結構、簡単にクリアできる計画を立てて、それを結果的にはかなり上回れば、それはAなりSになるということになるので、そういう意味で言えば中期目標、計画、そして今回の達成というところを全体として評価するという部分は、先生方によっては、そういう評価もされたかと思うのですが、絶対評価をしてしまうと、志が高ければ高いほど損をするみたいな、そういうところも若干あるので、その辺をどう勘案するかということで、私としては、このがんセンターは極めて高い志を持ち、かつそれを高いレベルでクリアしているとは思うのですが、絶対評価と相対的なものというのを、ここで先生方の合意が得られるのであれば、私もそういう勘案ということは、あり得るのではないかというふうには思います。

○本田委員
 私も今日は全体の集計表を見せていただいて、私自身も先ほど夏目委員と同じように、少し甘いかなと思っている部分も、これ全体を見ると思ったのです。ただ、いま花井委員がおっしゃったように、志がもともと高いということと、目標がもともと高いということと、あと期待値というか、国立がんセンターにはここまでなってほしいという期待値が高いというのが、こういう形で現われているのかなと思って、他の独立法人と比較をすると、ちょっとオールAというのはどうなのかなと感じてしまうというのが、評価の仕方の大変難しいところで、その辺は評価委員の先生方にも、私としては逆にどうしたらいいのかと教えを請いたいぐらいだったのですが、その辺の見方というものを、これが公表された後でどういうふうに見られるのかを、ある程度勘案する必要があるのかなというのは少し感じました。

○祖父江委員
 いま各委員のおっしゃったとおりで、私もがんセンターというのはナショナルセンターの中でリーダー的な役割を果たしてこられましたし、この1年の活動を見ても非常にハイレベルなアチーブメントがあると思います。ですから、Sというふうに自己評価をされたのはそれなりの、先ほど志という言葉が出ていましたが、まさにそれが表現されているのではないかと思っていたのです。実は、大学法人の評価でも同じようなことが起こっていまして、大学法人の中で非常にバラつきがあって、最終的には、まあ、これは言い方があれなのですが、高く評価した人があとで何ていいますか、ちょっと言い方は悪いのですが得をしたというような、そういう総合評価になってしまったのです。ですから、この評価という問題について、評価される側と評価する側とで、もう少し事前にといいますか、引続きと言いますか、どういうものをどう評価するのかという議論を、もう少し深める必要があるかなと。そうしないと、こういう非常にアンバランスな結果が出て、これどうするかという議論に結果としてなってしまいますので、そこのところは、これはこれとして、今回若干の勘案をあとでまた各委員にやっていただくとしても、今後に向けた非常に大きな問題ではないかなというふうに思いました。

○三好委員
 この評価の問題で、先ほどの相対評価、絶対評価、2点ありました。そこの問題はなかなか難しい問題でして、例えば、がんセンターみたいにもともとハイレベルな所を、それを相対的によそと比較して高いから、目標も高いから、だからSですねというのは、これ論理が成り立たなくて、業績の評価にはならない。あくまでがんセンターの業績評価です。例えばSを付けることが、そこの業務の研究所のインセンティブになるというのは当然になるのですが、例えばSが毎年続くというのは、これ基本的にSではないのですよね。だからその辺はおっしゃるとおり、どういう基準でやるかというのを決めるのは、なかなか難しいとは思うのですが、いろいろな方がいろいろな評価で入って、相対的に結果としてこういう評価になったというのなら、それはそれで合理性があります。ただ、そうは言うものの、それ以外に付加してこういうことを評価するから、ちょっと勘案しましょうというのは、総合的なところではあるとは思うのですが、あまり相対的に全体的とか、もともと素晴らしいからSですねというのは、その組織の評価にはなり得ないのかなという気がします。

○永井部会長
 基本として最初に申し上げたのは、計画どおりがBであって、それを超えて非常にアチーブメントが高い場合にA、そして想定外がSということで、実は点数化しています。ですから幅がありまして、S、A、B、Cの点を付けた平均値を四捨五入していまして、がんセンターの場合、点数を拝見しますと、かなり高いほうで四捨五入で落ちているということで、A、B、Cという評価結果よりも、むしろこの点数でかなり高く評価されているなという感じはいたします。その辺をどう表現して、またお伝えしたらいいのかなという問題はあるかと思いますが、内山委員いかがでしょうか。

○内山委員
 やはり評価の考え方だと思います。私自身もナショナルセンターの中でがんセンターが極めてトップリーダーに近い、極めて優秀な成果を上げておられると思います。しかし、今回の評価は中期計画、中期目標に沿った上での年度計画の達成度ということで、いま部会長も言われたように、計画どおりでしたらBなのです。どんなに立派でも計画どおりでしたらBです。点数の内訳を見ますと、特に1番、臨床を志向した研究開発の推進、3番の重点的な研究開発の推進、これはほとんどSと言ってもいいAです。ですから、この点数が付いたから、私たちのがんセンターに対する評価が低いということではなくて、いまのご発言を伺っていても、とにかく、がんセンターに対する評価は極めて高い、そしてまた高い期待が普段からあると、逆にそういったことだと、私はこの結果を見て再認識しております。確かにこの1年間の活動は素晴らしいものです。先ほども発言がありましたが「大いに評価できる」、これはまだAなのです。地方国立大学法人の評価と比較しますと、すべてAというのも素晴らしい評価であると私自身、実は感嘆しております。

○永井部会長
最後のところは、もう機械的な平均値になってしまっていまして、1人どちらに付けたかということでSかAかというぐらいのところに、おありになるというふうにご理解いただきたいと思います。

○和田委員
 私は医療とか研究が専門ではないけれども、常識的な線でそれなりに評価を付けさせていただきましたが、財務に関わるようなところで言いますと、実はこのナショナルセンター6つだけでも、全部横並びで自分なりに集計を取っているのですね。それでそれぞれの法人の評価を勘案したわけなのですが、はっきり申し上げて、このがん研究センターは事業収支率ではいちばん、大変いいのですね。独立行政法人のほかを見てもこれだけの数値はなかなか上がってこないだろう。
 拝見しますと、それに対する収支改善、そしてその収支改善によって得た利益は、翌年度以降の設備とか何かに投資をしていくのだと、こういうことで、大変努力をされたところが見受けられますので、これにSを付けないと、他と比較されたときに困ってしまうなとか、数字ではっきり出てしまう部分は、なかなか難しいのかなと思うのですが、ただ、この独法の評価は、確かに中期目標、中期計画に対する年度評価というのは、達成度評価だというふうなお考えもあろうと思うので、絶対評価ではないのですが、困ったことに同じような6つのナショナルセンターが一斉に立ち上がったときに、その比較は、基本的にはその6つを比較してという考え方は入っていないのでしょうけれども、私はその辺のところでこの評価の仕方というのは、なかなか難しいなと考えておりましたので、この辺のところは、ほかの先生方にもご意見をいただきたいなと思っております。

○永井部会長
 いかがでしょうか。

○本田委員
 不勉強で恐縮なのですが、この結果が公表される際に、この評定を一般の人が見ると、やはりAとかSとかという、ここでの考え方が必ずしも分からないと思うのですが、そういうAとかSとかBの付け方の考え方みたいなことも、きちんと表記されて公表されることになっているのでしょうか。そうしないと、何か一般の患者・国民としては、横並びで見てしまうという現実もあるかと思うので、それが意味がわかるような公表の仕方もお願いしたいなと感じました。

○永井部会長
 事務局いかがでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 こちらの評定自体は、評定だけの一覧でホームページ上に出るというのではなくて、今回の実績評価書案をご審議いただいておりますが、こちらの成案の実績評価書と、またそれの別添資料という形で、細かく委員の皆様方のご意見、それぞれの法人側がどういう実績を上げて、それについて委員の皆様方がどういった感想を持ったかというご発言があって、全体の評価というのが出てきていますので、その点数だけがパッと出るという形で、それぞれの法人が並べられて出てるということではないのです。 

○夏目委員
 先ほど来話がありますように、国立がんセンター、日本一のがんについての研究開発・診療を担っていると、そういう使命を、高い志を帯びて業務に邁進されておるということで、目標自体が高いということは当然で、その高い目標に向けてさらに頑張っていただかなければいけないわけですが、この評価については、中期計画に対してどう達成しているかという達成度評価で、評価関係資料集にありますように、やはり判定基準は「中期計画を大幅に上回っている」がSで、「上回っている」のがAということで、そうすると、「上回っている」のはある程度分かるけれども、「大幅」というのは、どの辺までになると大幅になるのかという、ここが議論になるわけだろうと思うのです。
 私は医療だとか診療だとか研究だとか、そういう定性的な中身のことについて、それが大幅かどうかというのは専門外ですので、そこが大幅か普通より上回っているかというのは申し訳ないのですが、大幅かどうかの質の評価は専門の先生にお任せするにしても、和田先生からお話になった収支改善の目標は5年間で、たしか累積で収支均衡を目指しなさいということが、中期計画・中期目標になっているわけです。
 それで今回、1年目で107.何パーセントですか、大変な単年度収支黒字を出しておりますので、5年間の累積で収支とんとんにしろというのを、1年目で107.2を出した所を、これを「大幅に」と先ほどもちょっと議論がありましたが、「大幅に」という評価をしないと、では、どこまでいったら「大幅」という評価になっていくのかと、それは今度は病院事業というか、診療事業、医療事業を行っている独立行政法人の評価として、そこまで黒字を出さないと。だからSなんかもらう必要はないのだと理解してしまえば、それで治まってしまうのかも知れませんが、しかし、評価をする以上は、若干その辺を配慮というか考えないと、この「大幅」というところをどこまで見たらいいのか、どういうところのときに「大幅」ということで評価をしていくのか。少なくとも数字で現われているところについては、やはりきちんと見ていくべきではないかなと私自身は思います。

○永井部会長
 論文の実績も今回ハイインパクト・ジャーナルをどのくらい出したかということと、それぞれの論文がどのぐらい引用されたかという表が配布されていると思いますので、それをご覧いただければ、サイエンスに直接関わっていらっしゃらない方々でも、ご評価いただけるのではないかと思います。
 「大幅」というのが想定を超えていたかどうかというものもあるので、これは当事者でないとなかなか分かりづらいところもあるだろうとは思いますが、この辺りは嘉山先生どうでしょうか。経営というのは、このくらいはいけると思っていたのか、これは自分でも想定外だと思われているか。 

○国立がん研究センター理事長
 いや、想定外です。やはり大学と比べれば、お金はあるなというのは分かっていたのですが、国民がこれだけ窮乏している中で、コストをいかに削るかということを主にやったわけですから、これ以上、いま夏目先生にも和田先生にもおっしゃっていただけたのですが、来年以降、これ以上の黒字は出せないと思います。1年目でやれるだけやりましたので、来年からはかえって、また自然増で医療のほうがお金がかかってしまうと黒字が出ないかもしれないので、先生方も、もうディスカッションをされているのであれなのですが、一体どこまでやったらSなのかと、我々はガバナンス委員会に言われた内容をきちんとすべてやってきたつもりです。あとでまたコメントをする機会があるそうなのですが、その辺はよろしく、これは想定外です。

○永井部会長
 委員の先生方いかがでしょうか。

○和田委員
 私も第1期の国立大学法人の評価を最初から5年か6年ほどやりまして、最初から非常にそこの評価は大変だった。そこで問題になったのは中期目標、中期計画の達成度の評価だと。これをあまりにそこに重点を置き過ぎると、それでは中期目標、中期計画を高く掲げて、それに向かって頑張ろうといった所は、評価は低くなってしまうねというような話も何度か出ました。
 それからもう1つ、この評価が国民に対して公表をするのですが、国大法人の場合には個別にお話をお聞きしますと、やはりこの評価がその法人の努力の翌年度以降に対して1つのモチベーションといいますか、インセンティブを与える。一生懸命やったらそれなりの評価が得られるということが、法人の努力を一生懸命にやっていく原動力にもなるのだというようなお話も伺いまして、それがこの独立行政法人の評価関係資料のどこにそんなところが載っているかと言われると、なかなか困る部分もあるのですが、私はそのようなつもりで評価をいたしまして、そういう意味ではがんセンターの場合には、今年度の収支の改善、一般管理費も19%ぐらいですか、削減して。そして、こういう数字を上げて、ここでSがないと、たぶんSは通算して出てこないであろうというような、先のことまで考えますと、なかなか評価は難しいなと感じております。以上でございます。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。それではご意見をもう一度反映した形で修正をいただきまして、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知し、これを公表することにしたいと思います。最終的な具体的な修正文につきましては、座長にご一任いただければと思います。よろしいでしょうか。
                  (了承)

○永井部会長
 お手元の評価表に赤で記載するということですが、先に嘉山理事長からコメントをいただいて、そのあとに修正の時間をとりたいと思います。嘉山先生よろしくお願いいたします。

○国立がん研究センター理事長
 評価委員の先生方、本当に大変なお仕事だと思います。本当に感謝申し上げます。私は大学法人の評価委員を2年やりましたので、こんな厚いものを見て、どこをどう見たらいいのか。ただ、私自身はいま先生方のディスカッションの中にありましたような視点でやらせていただきました。数字ももちろん大事なのですが、実質がどうかということがいちばん大事で、例えば留学生が増えたといっても、本当に感謝して帰るような留学生をやっているのか、数字で合わせただけでは駄目なのです。実際のアクティビティが上がっているかどうかが、いちばんのエンドポイントになるわけです。
 がんセンターは先生方のお話のように、6つのNCのモデルにならなければいけませんので、これは1つお願いなのですが、いろいろなお考えはあると思いますが、全職員がこの1年間かかって全力で改革してきたこの評価を見ますので、それから先ほど本田先生からもございましたように、やはり国民は、こういう難しいディスカッションではなくて、単にAとかSとかだけを見て評価するようになりますので、国立がんセンターが努力をしているというのは、幸いなことに少し知られておりますので、これで国立がんセンターがほかのセンターと相対的ではないとは、評価はそれだけではないということはよく存じ上げていますが、これだけ見ますと、ほかのセンターとほとんど変わりがないということになりますので、何とかその辺も国民の目もありますので、ご勘案願いたいと思います。
 あと、研究のほうも永井先生が言ってくださったのですが、研究所が非常に頑張ってくれまして、去年の暮ぐらいからインパクトファクターが15点以上のものが増えてまいりました。50年前、田宮先生のときに出来たそのいぶきが出てまいりましたので、また来年これを越えられるかというとなかなか。かえって今度はBではなくてCになってしまったりして、トータルとすれば上がっているのにというのがありますので、その辺をご勘案願いたいと思います。
 あと、グローバルCOE、祖父江先生もお取りになったし私も取ったのですが、5年計画でやるわけですが、そのときに1年目、2年目、3年目といっても、やったときには認めていただけたら職員というか研究者も含めて、またモデルになろうと、日本を引っ張っていこうと。永井先生も東大病院をあれだけご改革されたのでお分かりだと思いますが、そのときの外部評価が、非常に職員のやる気を起こさせますので、どうかその辺もご勘案になって、評価をお願いしたいと思います。大変なお仕事だったと思いますが、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 
○永井部会長
 ありがとうございます。では、これまでの意見・報告を踏まえまして、個別評定の修正をなさりたい方は、ここで修正・確定の時間を設けさせていただきたいと思います。修正に当たりまして、事務局より留意事項のご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 修正につきましては赤鉛筆でお願いいたします。また、修正をした頁には付箋を貼ってください。また、机上配布しております個別項目に関する評価結果につきましては、現時点でいただいております評定をSを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点と点数化したものでございます。こちらにつきましては、委員各自にはご自身のお名前しかわからないようになっておりますので、修正する際にご参考としてください。以上でございます。

○永井部会長
 では、早速よろしくお願いいたします。Aというのは3.50から4.49の幅があるのですね。ですから同じAといっても実はかなり内容はさまざまになる。がんセンターの場合は4点台が非常に多いということは申し上げておきます。
(評定用紙記入中)

○永井部会長
 よろしいでしょうか。それではこれをもちまして、国立がん研究センターの平成22年度業務実績評価に関する提案の取りまとめといたします。各評価には評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことにより、当部会全体としてのSからDの評価及び評定理由が変更になった場合、あるいは各委員のコメントが修正追加された場合は、これらを反映して評価シートの集約版を変更し、添付することにいたします。集約版につきましては、変更の際は評定理由も併せて変更する必要が生じられますが、その文章につきましては、私にご一任いただきたいと思います。また、場合によっては各委員にご意見をさらに賜ることもあるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。以上をもちまして、がんセンターの評価を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○政策評価官室長補佐
 がんセンターで長期借入金の報告が1つ。

○永井部会長
 借入金の報告ですね、これは事務局からご説明をお願いいたします。 

○政策評価官室長補佐
 まず、年度を通じた長期借入金につきましては、部会の了解事項とし、当該計画に基づく個別の認可につきましては、部会長一任事項としております。また部会には事後報告をすることとなっております。平成23年度計画につきましては、本年4月に本部会のご了解をいただいておりまして、個別認可につきましても部会長の了承は得ております。本日は、これらの計画に基づく平成23年度長期借入金のご報告になります。それでは、法人のほうからご説明をお願いいたします。

○国立がん研究センター企画経営部長
 資料の1-3をご覧ください。平成23年度の借入金の実績でございますが、この表で2つ表がありますが、上のほうの表で今回の借入額についてのご報告です。まず施設整備につきましては1億2,900万円、それから医療機器整備で9億円となっております。いずれも全額、財政融資資金からの借入れです。借入時期につきましては6月30日です。また、これにつきましては、今年4月に当部会で了承をいただきました、下に掲げております借入金計画の範囲内の借入れとなっているところです。以上でございます。

○永井部会長
 いかがでしょうか。何かご意見がございますでしょうか。よろしいでしょうか。もしご意見がございませんでしたら、ただいまの報告を承ったということで当部会として了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 ありがとうございました。それではこれで終了させていただきます。どうもありがとうございます。再開は14時といたしまして、数分間休憩させていただきます。

(休憩・法人入れ替え)

?国立循環器病研究センター

○永井部会長
 それでは、ただいまから国立循環器病研究センターについての審議を始めさせていただきます。最初に、財務諸表につきまして和田委員からご説明をお願いいたします。

○和田委員
 それでは、お手元にございます国立循環器病研究センター財務諸表等がありますが、この財務諸表について拝見し、ヒアリングを含めて、その結果をご報告申し上げます。
 国立循環器病研究センターは、あずさ監査法人の監査を受け、そして幹事お二人の監査を受けて、いずれも適正である旨の監査報告書を受領しております。そして、外部監査人からは監査の実施の報告書も頂戴しておりましてそれを拝見いたしましたところ、十二分な監査が実施されていると認められました。そこで、本財務諸表は適正なものと判断をいたしまして、この中身を分析いたしました。
 国立循環器病研究センター全体の実績ですが、事業費用が233億9,500万円に対しまして事業収益は、244億7,000万円、差引き事業損益は10億7,400万円の利益になっております。したがいまして、事業収支比率は、104.59%となっております。そして、この事業損益、事業利益が10億7,400万円ですが、これをセグメント別に見てみますと研究事業が1億9,900万円、臨床研究事業が7,100万円、診療事業が11億7,600万円、教育研修事業が1,000万円の利益です。そして、情報発信事業が3億300万円の赤字になりまして、法人共通は7,800万円の赤字です。これをすべてトータルいたしまして、事業損益は10億7,400万円の利益となったわけです。十分な収支改善がそれぞれのセグメントにおいて行われたと判断されます。それから、貸借対照表を見まして、財政状態のほうを見ますと、資産合計が401億8,500万円に対しまして、債務が76億ぐらいありますので、純資産合計は324億4,600万円。したがいまして、純資産比率は80.74%、つまり資産のうち、純資産が80.74%、負債が20%弱という結果になっております。そして、負債のうちの長期借入金ですが、期首残高が21億4,900万円、当年度の減少高、返済額ですね、これが1億7,400万円、当期増加高、当期に借り入れた金額が1億1,900万円でございまして、期末残高が20億9,400万円、借入金の比率、資産に占める借入金の割合、資産合計に対する借入金の割合は5.21%と少なくなっております。以上、損益計算書は十分な事業収支比率をもって利益を計上し、なおかつ、財政状態につきましては、純資産比率が80.74%という大変健全な財務諸表になっているということを、ご報告申し上げます。以上でございます。

○永井部会長
 ありがとうございました。では、ただいまご報告いただきました財務諸表について、ご意見等ございましたら、ご発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。ご意見ございませんようですので、資料2-1の案のとおりということで、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいでしょうか。
                 (了承)
○永井部会長
 はい、ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 では続きまして、国立循環器病研究センターの総合評価についての審議でございます。起草委員である私のほうからご報告させていただきます。それでは、評価結果についての講評ですので、評価に当たりましては評定の結果、各委員の評定コメント、また、前回7月20日の議論の内容等踏まえまして、平成22年度の業務実績について、中期目標に掲げた内容に照らして総合評価書を取りまとめております。この前もお話いたしましたが、目標を計画どおり達成した場合にはB評価、それを超える場合にはA評価、さらに想定外と言えるほどの大きな目標を超えた場合にはS評価ということになっております。
 また、評価の点数を付けておりまして、Sが5点、A評価が4点、B評価が3点という点数化いたしまして最終的には四捨五入をして、評価案のS.A.B.C.Dになっているということでございます。全体の評価としましては、独法移行、初年度から積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組みによりまして、中期目標に掲げます経常収支に係る目標を達成されていらっしゃるということ。また、純利益15.7億円を計上するということで、特段の実績を上げられたということ。また、研究・開発につきましては、「研究開発基盤センター」の設置、バイオリソースセンターの設置、トランスレーショナルリサーチ推進のための研究者を支援する体制の構築等、適正かつ円滑に研究等を推進する体制整備が行われたと。そのほか、共同研究件数の増加、インパクトファクターの高い論文が出されているということ。その中でもペプチドの研究が高く評価されています。
 また、医療の提供につきましては、改正臓器移植法に伴う小児心臓移植への対応のための体制整備、植込型補助人工心臓の実施施設としての認定、重症心不全患者への全国レベルでの往診の実施、アジア初のハイブリッド手術室システムの整備等、高度先進医療に積極的に取り組んでこられたということ。人材育成につきましては、レジデントアワードを創設され、双方向評価の施行、専門施設との交換研修の実施、それに伴いまして循環器病専門看護領域における看護師のスキルアップを図るために、国立循環器病研究センター専門看護師の育成に努められたこと。情報発信につきましては、ネットワークの移行・構築を行うともに患者、家族、医療従事者向けの情報発信を積極的に行ってこられたこと。また、東日本大震災に際しましては、患者受入体制の整備、派遣チームを2チーム編成されて、直通電話を開設し、電話相談体制を整備する等、国の危機機器管理対応に非常に大きく貢献されたということ。以上の点を評価いたしまして、全体として、国立循環器病研究センターの設立目的に沿って、適切に業務を実施したということを評価する内容としております。以上でございます。
 ただいま、ご報告申し上げました総合評価書案につきまして、委員の皆様からご意見、ご質問等をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。1つ申し忘れましたが、総合評価書の中で国民からの意見募集について、意見が寄せられていたということを伺っておりますので、この点についてセンターからご説明をお願いいたします。

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
 当センターの業務実績報告書に対する意見の募集の結果は、動物実験に関する意見が寄せられたことに関してご説明いたします。国立循環器病研究センターでの動物実験は、平成18年に厚生労働省が定めた厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針を踏まえて、動物実験規程の作成、それから動物実験委員会の設置などを適切に対応しており、今後も動物愛護に配慮しつつ実施していきたいと考えています。
 なお、当センターの重要な役割であります臨床研究事業の推進に当たって、新たな臨床研究を行う前に、その実施の可能性を探求するために、前臨床試験であります動物実験を行うことは、極めて重要な意義を有しており、当センターがその役割を適切に果たしていくためにも、動物実験を行うことができる環境が整備された施設で、引き続き厳正な手続の中で動物実験を行っていくことは必要と考えております。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございました。では、ただいま、ご報告いたしました総合評価書案につきまして、委員の先生方からご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。先ほどの収支改善のことで、がんセンターの評価の際に議論が出たのですが、夏目委員いかがでしょうか。

○夏目委員
 ここも、このセンターも非常に初年度頑張って、収支改善も単年度黒字を初年度から出しておられる、そのための収益の増加と費用コストのダウンの努力、大変頑張ったと評価しております。それが大幅にというところまでいくかどうかは、これは皆さん、もうちょっと、みんな高いレベル、さらに、それを相当超えるというのがSですので、そこら辺までいくかどうかについては、いろいろな議論があるのではないかと思います。文書全体をいま見させていただいたのですが、非常によくできてまとめられていると思いますし、私は特にコメントすることは、今回はございません。

○永井部会長
 A評価といいましても、3.5から4.49までの幅があるということで、ご理解いただきたいのです。これがS.A.B.Cとなってしまいますと、何かあまり差がみえないようには思います。もし、よろしければまた後ほど、どの項目がどのくらいの点かということは、ご相談したいと思いますが、全体としては、非常に高い評価だったのではないかと思います。それから、前にもご説明いたしましたが、計画どおりがBで、つい、我々計画どおりでAと思いがちですが、実はこれはBが計画どおりということですので、その点も含めて、ご理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、委員の方々。

○猿田部会長代理
 SとAの境は、なかなか難しいということで、もちろんAというのはかなり高い評価です。それをどこまでSにするかというところが、先ほども議論があったのですが、ご理解いただきたいと思います。

○永井部会長
 あと自己評価で Sで委員の評価ではBという、ちょっとここが差があるように思いますが。医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項、これがあまりセンターの思いが伝わらなかったのかもしれませんが、委員の先生方いかがでしょうか。8番の項目ですが。

○国立循環器病研究センター理事長
 後ほどご説明したいと思いましたが、この8番の項目の医療の均てん化と情報・収集の発信についですが、正直申し上げまして舌足らずであったかなと思っております。1つは、医療の均てん化というのは、いまの情報社会の中で、ホモグラフトに対して新しい手法というものがほとんどなくなってきています。この中で補助人工心臓のトレーニングセンターを作りまして、大型動物の人工心臓の植込み、これをはじめとした、いろいろな今後植込型の医療機器というのは今後どんどん出てくるわけですが、そういうもののトレーニングセンターを作るということは、人材育成のところに書きましたが、私は高度な医療の均てん化に対して、将来に対する1つの大きなブレークスルーであるというふうに思っています。事実、このトレーニングセンターは、今後さらに発展させて、さまざまな医療機器の植込みのトレーニングセンターにして、日本中の関係ある方々がトレーニングしようとしておりますので、これはもう1つ、ここに書かなかったことでありますが、そういうことがございます。
 もう1つは、ホームページでありますが、やはり説明責任、あるいは一般の市民に対していかに啓発活動を行っていくかと。これは特に循環器病疾患については、予防という意味で啓発活動は大事だと思っております。ですから、これは独法化したセンターの最重要項目の1つとして私は認識しておりまして、これを良くしろということで、全面改定を平成22年度に行いました。細かいことは避けますが、民間のシンクサイトでウェブサイトクオリティー実施調査というのがあります。これは、循環器センターはAからEまで評価がありますが、国立循環器病研究センターは独法前はDでした。これが全面改定を行ってA評価になりました。これは、医療関係の独法の中でいちばん高いものでありますし、A評価はほかにないと思っています。ですから、このホームページについても、少し舌足らずであったかなと思いますが、ここについては、我々全力をこめてホームページの改定、今後の情報発信として大変必要なところですので、これに満足せず、継続的に発展させていきたいと思っています。

○猿田部会長代理
 いま、おっしゃられたことはどれも非常に大切なことです。それがいよいよスタートしたということですね。それから、その辺のところを、もうちょっとどうだったという評価を書いてくれると、もっとよかったのかなと思います。私たちにとって、いまおっしゃったことは、非常に大切なことです。大いにいいことだなと思っています。そういうところの評価のところが、少しくい違いがあるのかもしれません。

○永井部会長
 ほかに、和田委員どうぞ。

○和田委員
 個別評価11番ですね。効率化による収支改善、電子化の推進という項目で、収支改善について、少し財務のほうから申し上げますと、この循環器病研究センターは、6つのナショナルセンターの中でも今年度特殊なところがありまして、収益の増加、事業収益の増加というよりも事業費用を大変節約をいたしまして、これだけの利益を10億7,400万円の利益を上げたということでして、人件費についても計画を下回るという結果ですし、医薬品等につきましても、後発医薬品の使用とかで経費の節減に努めて、そしてその結果、もう1つ一般管理費ですね、これは17.0%節約をしたというようなことで、中期目標、中期計画の収支相償を、目標期間中で収支相償にするという計画を早くも上回って、これだけの利益を上げたということは、大変評価してもよろしいのかなと思います。

○国立循環器病研究センター理事長
 ありがとうございます。医療収益が減った原因、これは多々あると思いますが、1つは循環器病研究センターの病院を医療の中で、差別化、これは超急性期・超重症症例をなるべく扱って、ほかが扱えないものをうちで治療して、そしてその有効な治療手段を開発していくという方向に大きくシフトいたしました。そうした場合に、限られた人員とか設備の中で、あるいはそのための改修もたくさん行いましたので、そういう中で患者数とかですねは減少しました。一方、救急の数は、数年間で2,800ぐらいから3,300ぐらいに増えました。救急の数、あるいは手術回数は増えましたが、全体の収益になるような一般の患者さんをたくさん入院させることよりもということについては、むしろ重症例、救急例を重視しました結果、その点患者数については、トータルでは減少しましたなくなった。理由の大きな1つは、それだと思っています。これは、センターの方向性をシフトしていくときの、1つの結果として出たことだと思っていますので、私は、これはむしろポジティブに取っていいのではないかと思っています。

○永井部会長
 ほかにご意見いかがでしょうか。収支改善のところは、先ほどのがんセンターでも随分議論になりまして、このあたりを想定外の大幅なのか、まあまあ、ある程度やればできるところだったのかというと、センターとしては、かなり思ったよりも良かったという、ご判断だったというわけですね。

○国立循環器病研究センター理事長
 これは、その予定の収支の立て方にもよると思いますが、初年度はマイナスで計上しておりました。ですから、我々としては、医療収支ということに関してはかなり深刻に考えておりました。ただ、それよりもミッションを優先するべきだと考えておりましたので、赤字覚悟でスタートしたつもりです。それで、こういう結果をどうご評価いただくかは、委員の先生方にお願いすることになると思いますが、我々自身は、そう考えてやっておりました。

○永井部会長
 いかがでしょうか。実際には、特に経費の節減というのは、意識改革を伴わないとできないわけで、それは相当なご尽力をなさったということを、前にご報告いただきましたけど。

○国立循環器病研究センター理事長
 やはり、どんなにシステムがよくても、それぞれ担当する個人の意識改革がなければ、ものごとは進みませんので、やはり最大の独法にあたっての最大の改革のポイントは、意識改革だと思ってやってまいりました。

○永井部会長
 これからも経費は、いまの割合、あるいはもっとさらに改善できる、またもとに戻ってしまっては。

○国立循環器病研究センター理事長
 もとに戻ってはいけないと思いますが、ただかなり初年度想定以上の削減ができましたので、これと同じペースで来年できるかというと、それは多分難しいだろうと思います。ですから、これがまた、もとに戻らないような努力をすべきだと思います。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。もし、ご意見ございませんでしたら、この平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知し、これを公表したいと思います。また、字句、誤字脱字、事実誤認等、修正が必要な場合には事務局にお申し出の上、最終的な対応は部会長のほうに、ご一任いただきたいと思います。
 それでは、続きまして、理事長からコメントをお願いいたします。

○国立循環器病研究センター理事長
 もう既にお話させていただきましたが、評価委員の先生方におかれましては、膨大な量の資料を検討いただきまして、適正な評価をいただいたと思っております。その点について、改めて敬意を表したいと思いますし、またセンターについて良い評価を総合評価をいただいたということに対しては、大変、感謝を申し上げます。ただ、先ほど申し上げましたように、少し我々としては舌足らずであったかなという点がありましたので、先ほど1つ申し上げましたが、あえてあと2点ほど述べさせていただきたいと思います。
 これは、政策提言評価項目9に係わることでありますが、我々の出しました資料には植込型補助人工心臓、これを多くの署名活動等を通して、早期臨床使用にもっていったと書きましたが、この提言についてはPMDAに対する働きかけとか、あるいは学会を通していろいろな手法で重症心不全の患者さんのQOLを改善する、あるいは現在心不全の患者さんは移植をしなければ助からない、そういう患者さんでありますが、そういう患者さんに植込型の人工心臓を使えるように、唯一、これは積極的に働きかけまして平成22年の2月に唯一承認をされ、4月から保険償還ができるようになりました。現在の段階では、非常に慎重に使っておりますが、もう既に、センターでは植込型の人工心臓、5例やりまして、移植でしか助からない患者さんが自宅復帰をできるというところまで参りました。そういう意味で、この早期実用化に向けて積極的に働いた、この提言が大きく奏功したものと自負しております。
 もう1点、政策提言については、母体安全の提言というのを2010年度にもしておりますが、これは当センターは心臓疾患をもった母体からの出産、この件数は世界第3位であります。そういう中でいろいろな出産に伴うトラブルというものがいろいろなところで大きな事件になっておりますが、そういうものをいかに良くするかということで、うちが主体になりまして母体安全の提言ということをやっております。事実、これで集めてきた資料で、最近、新聞にも出ましたが、出産に合わせて亡くなった患者さん16人のうち、実は10人は適切な手段、あるいはシステムがあれば助かったと、助けることができたという結果を出しております。ですから、こういう母体に対する安全の提言というのは、おそらく出産医療企業に対して、今後非常に大きなインパクトをもっていくと思っておりますので、これについて少し書き足らなかったかなと思っておりますので、あえてご紹介申し上げます。あと、先日のご評価のときに、患者さんの外来での待ち時間はどうかというご質問を受けて即答できなかったと。正確な数字を把握しておりませんで、できなかったということがありますが、帰って調べますと、2008年に34分であったものが、2009年に13分、そして2010年には9分と、確実に減らしています。待ち時間1つをとっても、患者さんに対する、患者サイドに立った医療という視点では、例えばこの数字を見ても我々なりの努力をやってきて、その結果は出ていると思っています。十分なご評価はいただいておりますが、あえて、もう少し舌足らずの部分をご紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長
 どうもありがとうございました。では、現在までの意見、報告を踏まえまして個別評定を修正なさりたい方は、ここで評定記入用紙の修正確定を行っていただきたいと思います。5分程度でお願いいたします。
(評定用紙記入中)

○永井部会長
 それでは、これをもちまして国立循環器病研究センター平成22年度の業務実績評価に関する意見のとりまとめ等させていただきます。評価シートの集約版について修正が必要になった場合の対応につきましては、部会長にご一任いただければと思います。
 では次に、国立循環器病研究センターの平成22年度長期借入金に係る報告がございます。事務局から先ほど説明がありましたので、法人から説明をお願いしたいと思います。

○国立循環器病研究センター企画戦略室長
 それでは、ご説明いたします。資料2-3です。今回の借入額ですが、全額財政融資資金からの借入で、医療機器整備で1億1,991万円ということでございます。借入時期は3月31日ということでございます。これにつきましては、昨年3月に当部会でご了承いただきました借入金計画額3億円、3億円の範囲内での借入となっております。以上でございます。

○永井部会長
 ありがとうございます。何かご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ご意見ございませんでしたら、当部会として了承するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○永井部会長
 はい、ありがとうございます。では、本日の議事は以上です。本日、ご審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定ということになります。また、政・独委への通知、公表の手続が行われるということになります。事務局から今後の予定等連絡事項をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催についてご案内いたします。次回は、8月29日月曜日13:00からで、場所は省内12階の専用第15、16階会議室になります。また、本日ご審議いただきました法人の総合評価書につきましては、事務手続を進めさせていただきまして後日、委員の皆様方に確定版を郵送いたします。
 また、修正等をしていただきました評定記入用紙につきましては、本部会終了後に事務局にて回収いたしますので、机の上に置いたままお帰りください。以上でございます。

○永井部会長
 それでは、どうもありがとうございました。これで終了させていただきます。



(了)
<照会先>

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独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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