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2011年8月18日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第9回)議事録

○日時

平成23年8月18日(木)14:00~15:30


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

   永井部会長、猿田部会長代理、内山委員、祖父江委員、本田委員、三好委員、和田委員


○議事

○永井部会長
 それでは時間になりましたので、第9回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を始めます。委員の先生方におかれましては、お忙しい中、お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は夏目委員、花井委員が欠席です。本田委員も欠席ですか。

○政策評価官室長補佐
 本田委員は、20分遅れます。

○永井部会長
 それでは、最初に本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは説明します。本日は議事次第にあります国立精神・神経医療研究センター、及び国立長寿医療研究センターに関して、平成22年度の財務諸表に関する意見と総合評価につきまして審議していただきます。
 審議案件の進め方について説明します。財務諸表に関する意見については、財務担当委員である和田委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえてご審議いただきます。総合評価については、個別評価の結果に基づき、起草委員において起草した総合評価書案、及び別紙になる評価シートの委員会としての評定理由等についてご審議していただきます。また、皆様にご記入いただいた評定記入用紙については、ご参照いただけるようお手元に置かせていただいています。後ほど本日の審議等を踏まえ、評定記入用紙を確定していただく時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いします。事務局からは以上です。

○永井部会長
 では議事に入りますが、まずは総合評価書、財務諸表に関する意見について、起草委員の方々には、お忙しい中、ご尽力いただきありがとうございます。
 初めに国立精神・神経医療研究センターの審議ですが、財務諸表に関する意見について審議を始めます。財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。
 それでは、財務諸表について、和田委員から説明をお願いします。

○和田委員
 それでは、国立精神・神経医療研究センターの財務諸表等について、ヒアリングの結果をご報告します。
 ご提出いただいた財務諸表を分析した結果、財務諸表についての意見ですが、新日本有限責任監査法人の監査を受けましたが、適切に監査は実施されていたと判断いたしました。その結果、同監査法人の財務諸表等が、適正に表示している旨の意見、そして、利益の処分に関する書類で、利益処分額として記載されている独立行政法人通則法第44条第3項による承認を受けようとする金額については、法令に適合しており、適当なものと思料いたしました。
 財務諸表の中身ですが、事業費用が117億3,000万円。事業収益は117億400万円。差引事業損益は2,600万円のマイナスになっています。したがって、事業収支比率は99.78%です。これを計画表と比較すると、事業費用は8,500万円増加。これに対して事業収益は3億5,600万円の増加ですので、事業損益は対計画よりも2億7,100万円増加しています。
 また、事業損益の2,600万円の赤字をセグメント別に説明しているところがありますが、それを見ますと、研究事業が6,000万円の黒字、臨床研究事業が6億1,300万円の黒字、診療事業が4億700万円の赤字になっています。教育研修事業1,300万円の黒字、情報発信事業が4,400万円の赤字、法人共通は2億6,200万円の赤字です。これらセグメント別の損益を合計すると、先ほど申し上げた法人全体の事業損益が2,600万円のマイナスになっています。
 中期計画で目標にしている収支相償という点から見ると、まだ2,600万円の赤字ですが、計画を上回って、その努力の跡は十分に認められると判断いたしました。
 財政状態ですが、貸借対照表にある資産合計が441億5,200万円、純資産合計、つまり、資産合計から負債を引いた純資産合計は374億9,400万円となっています。長期借入金は30億7,800万円です。したがって、純資産比率は84.92%という、財務的にも安定した数値を示していると思います。また、借入金比率は6.97%。これも財政的には心配のないところです。また、長期借入金については、期首残高が31億3,100万円でしたが、当期5,200万円の返済があって、当期の増加借入れはありません。したがって、期末残高が30億7,800万円となっています。以上、財務を分析して、特に財務諸表については問題はないと思います。以上です。

○永井部会長
 ただいまの説明に、何か意見、追加等はございますか。よろしければ、平成22年の財務諸表に対する意見は、資料1-1の案のとおりということで、修正意見はありませんので、これを取りまとめて厚生労働大臣に提出したいと思います。それでは、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。
 続きまして、国立精神・神経医療研究センターの総合評価についての審議です。起草委員の祖父江委員から説明をお願いします。

○祖父江委員
 それでは、国立精神・神経医療研究センターの平成22年度の評価結果について、講評を述べさせていただきます。講評に当たりましては、評定の結果と各委員からの評定のコメント、それから前回、8月4日にご議論いただいた内容などを踏まえて、平成22年度の業務実績について、中期目標に掲げられた内容に照らして、総合評価としてまとめたものです。
 全体の評価としては、今後への期待も含めて6点ほど講評させていただきます。第1点は、今年度は独法移行後初年度に当たるわけですが、非常に積極的な業務運営の効率化が図られています。いまも触れられたとおりですが、収支改善に向けた取組が行われていまして、年度計画に掲げられています経常収支比率を上回る成果を上げていることが、非常に大きな評価になると思います。具体的に申しますと、計画では97.4%の経常収支比率でしたが、実績としては99.8%ということで、2.4%の改善を見たことは高く評価したいと思います。もう1つは、前年度比で一般管理費が15.4%節減できたことも、非常に高く評価できるのではないかと思います。
 2番目は、研究開発についてです。研究所と病院を有機的につなぐ組織として、トランスレーショナル・メディカルセンター(TMC)を設置されたことは、非常に重要であると思います。さらに、臨床研究支援体制の充実と、臨床研究等の、病院と研究所が共同研究を今後進めていくための5つの専門疾病センターを配置して、組織的かつ横断的な連携を図ろうとされていることは非常に重要で、特に精神・神経疾患の臨床と研究の推進に向けた今後の大きな基盤を形成するものであると思われます。さらに、CBTセンターあるいはIBICはこれから作られるということですが、この設立に向けた準備を始めておられることも非常に重要だと考えます。ただ、TMCの今後に向けたインフラの実質化が、さらに期待されるところかと思います。
 医療の提供に関しては、ミトコンドリア病の遺伝子診断、光トポグラフィを用いたうつ病、うつ状態の鑑別診断の実施、あるいはパーキンソン病患者への血中の薬物動態モニターを行う高度な先進的治療の実施、さらには統合失調症患者においてもコンピュータを用いた認知機能改善プログラムを実施したこと。新たに、登録医療機関制度を開始して、地域連携リストを作成されたこと。実際には、これはまだオンゴーイングだと思いますが、作成に着手されたこと。もう1つは、医療観察病棟について、多職種チームで構成される会議を182回といわれていますが、全例実施されたこと、さらには家族会においてもさまざまな取組がなされたことは評価できるのではないかと思います。
 次の人材育成については、TMCにおいて臨床研究研修制度を創設したこと。それから、臨床研究に関する教育のプロモーションを図るために、e-learningポータルサイトである「CRT web」の開発を行い、充実を図ったこと。さらに、連携大学院等のキャリアパスの整備に努めたことなどが評価されるものと考えます。情報発信については、重症心身障害、筋ジスあるいは医療観察法における指定入院医療機関等のネットワークを構築されて、高度先駆的医療、標準的医療の普及を図られたこと。もう1つは、自殺予防総合対策センターについても高い評価ができるのではないかと思いますし、メディアカンファレンスも情報発信の点から重要ではないかと考えます。
 最後に、東日本大震災に対しては、メンタル情報サイトをいち早くホームページ上で立ち上げられまして、心のケアに関する支援を行うことと現地への専門家の派遣など、非常に迅速で適切な対応を行われたということです。以上のようなことを評価しまして、全体としては国立精神・神経医療研究センターの設立目的に沿って、適正に業務を実施されたと評価できるのではないかと思います。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございました。国民からの意見募集の際に、動物の取扱いに関する意見が寄せられたと伺っていますが、それについて法人からの説明をお願いします。

○国立精神・神経医療研究センター理事長
 理事長の樋口でございます。私どものセンターの業務実績報告書に対する意見募集の結果、動物実験に関する意見が寄せられていることに関して説明をさせていただきます。当センターにおいては動物実験に関しては、平成18年に厚生労働省が定めた厚生労働省の所管する実施機関における動物実験の実施に関する基本指針が定められました。これを踏まえて、動物実験規程の作成、動物実験委員会の設置など、この基本指針に定められているところのいくつかの仕組み、あるいは指針規程等を作成しまして、それに基づいて適切に対応してきています。今後も、動物愛護に配慮しつつ動物実験を実施してまいりたいと考えています。
 なお、私どものセンターだけではありませんが、こういった臨床研究事業を推進していくに当たりましては、新たに臨床研究を行う前には、直接人を対象とした試験をすることは、倫理的に非常に大きな問題がありますので、前臨床研究である動物実験は重要な意味をもっていることを認識しています。今後、私どものセンターがこういった臨床研究事業を推進していくうえでは、動物実験を行うことは非常に重要ですが、先ほど述べましたように、動物愛護に配慮しつつ、指針に基づいた動物実験を今後とも進めてまいりたいと思っています。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただいた総合評価書(案)について、ご意見をいただければと思います。

○猿田部会長代理
 いまの動物の件ですが、実際には直接邪魔されたというようなことは、先生の所ではありませんか。

○国立精神・神経医療研究センター理事長
 これは、武田センター長から少しお話いただきましょう。

○国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター長
 私どもの非臨床試験の現状を申し述べたいと思います。いま総長が申し上げましたように、規約を踏まえまして実験を遂行しています。その結果については、ホームページ等を用いて、できる限り公表する方向で行っています。また、コンプライアンスの観点からも、将来はこういった施設をヒューマンサイエンス振興財団に登録していく準備も進めています。そうした結果を踏まえて、特に皆様からご心配をいただくような事件が起きたとか、心配するような事象があったことは、いまのところございません。

○永井部会長
 ほかにいかがでしょうか。8頁に、総人件費改革の進捗という項がありまして、現在人件費管理が非常に厳しく指導されているところですが、実際には研究開発あるいは人材育成に関して、国際的なレベルに到達する、あるいはそれを超えていくためには、人件費を抑制すればいいというわけではないという内容になっています。この辺り、祖父江委員、何か追加でご発言はありませんでしょうか。

○祖父江委員
 これは、いま先生がおっしゃったとおりで、やはりそこのバランスを上手に取っていくことが大事だと思います。人件費削減と研究、診療の開発、プロモーションというのは、必ずしも相容れないわけではありませんが、そこはやはり部署・部署、テーマ・テーマ、プロジェクト・プロジェクトによって切り分けていく必要があるのではないかと考えています。具体的な例はいちいち言いませんが、ここはどうしてもやらなければいけない所は重点的に行う必要があるということで、メリハリを付けていくことが重要だと思います。

○永井部会長
 あとは、説明ができるかどうかでしょうか。和田委員、何かこの辺りのご意見はありませんか。人件費管理の今後のあり方について、どのセンターにも共通した問題ではありますが。

○和田委員
 総人件費改革というのは、独立行政法人も全体で取り組まなければいけない問題ですので、それについてはしっかり取り組んで、それぞれの独立行政法人が取り組んだ結果、どれだけの節約をしたのか。一方、新たな研究をする、より高度な医療を提供するために人件費の増加があるというのは、これはまた別の次元で、これこれのためにこれこれの人件費増加があったと。その人件費増加については、どれだけの成果を上げたか。例えば、診療報酬でそれを十分に賄ったというような、総人件費改革に対する各法人の取組状況、成果をはっきり示すと同時に、それ以上のことをすることによって人件費が増加したということを、国民に十分説明できるような体制をお取りいただきたいと思います。節減したのと増加したのが一緒になって差引きでいくら増加しましたと言われると、国民の間でも評価が非常に難しくなると思いますので、そこは是非、決算期末だけではなくて、日常からその辺りの数値をしっかり把握して、決算書、あるいは事業報告書の上で明らかにできるようにしていただけたらよろしいのではないかと考えました。

○永井部会長
 ありがとうございます。そういうことで、人件費管理、改革はなかなか難しいところではありますし、一律にただ数字を合わせればいいということではないのだと思いますので、これからもよろしくお願いします。

○猿田部会長代理
 いまの問題で、ナショナル研究センターにしても、国立病院機構にしても、病院を抱えている所は、先生方に辞めないようにしてもらいたい、あるいは看護師の方にできるだけ来てもらいたいと。そこがいちばん重要な点で、それを常に民間のほかの病院との比較でやっているわけですね。その辺りのことが、本当に国民にわかっていただけるのかどうか。実際に私どもが担当してみると、本当に民間の病院に比べて、先生方は非常に忙しいのですが、我慢してやっている面があるわけです。ですから、そういったところをよくわかっていただかないと。実は国立病院機構の矢崎先生とも随分話したのですが、なかなかそこが国として理解してもらえないと。その辺りのことは、国民の方々に理解してもらいたいところだと思いますので、うまく国としてもやってもらいたいと思います。

○永井部会長 
 そのほか、何かご意見、ご発言はありませんか。よろしいでしょうか。そうすると、修正意見がないようですので、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと考えています。今後、誤字脱字、事実誤認等で修正が必要な場合には、私にご一任いただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)

○永井部会長
 それでは、そのようにさせていただきます。樋口理事長からコメントをお願いします。

○国立精神・神経医療研究センター理事長
 本日は私どものセンターの評価のために、このようにお時間をお作りいただきましたことに心から感謝を申し上げます。ただいま評価結果の概要を伺いまして、貴重なコメントの数々を頂戴いたしました。これを持ち帰りまして、この評価結果及び貴重なコメントを、私どものセンター職員全員で共有をいたしまして、今後の年度計画あるいは中期計画の中にこれを反映させていきたいと思っております。
 私たちは、ナショナルセンターの独法化を迎える時点で、他の研究開発独法と異なる特徴、言い換えますと病院と研究所を合わせ持っている研究開発独法ということになるかと思いますが、そういった特徴をいかにして生かすかを考えてまいりました。その点については、ナショナルセンターの独法化に当たっての有識者会議からのご指摘も、予めいただいてきたところです。それは、研究所と病院が連携する、あるいは一体となって、まだ病因が解明されていない多くの難病、根治的な治療法がまだ確立されていない多くの精神・神経疾患、筋疾患を対象にして、その解明、治療のための方法を確立すること、あるいは、全国にいろいろと情報を提供していけるだけのモデル医療といったものを作り上げていくというようなことが、私たちの使命であると。それは、中期目標の中にもミッションとして示されているところです。
 そういう意味で、この1年間はそのための基盤づくりに私たちは力を注いでまいったつもりです。それは、先ほど祖父江委員からもお話が出ましたように、トランスレーショナル・メディカルセンターを立ち上げることであったり、専門疾病センターというようなセンター内センターを創設するといったものが代表的な取組でした。今回の評価をいただきまして、これら研究所と病院の有機的な連携のシステムを構築すること、そして臨床研究のための基盤整備をすることに対して高くご評価をいただきましたことで私たちは大変勇気づけられる思いです。
 それと同時に、今後これらのシステムを使ってその成果を具体的に示していくことが評価委員の先生方からも期待され、これに応えるべく私どもセンター職員一丸となって今後も努力しなければならないと、気持ちを新たにしたところです。今後とも評価委員の皆様のご指導をいただきながら、国民のためのナショナルセンターの使命を果たすべく努力をしてまいりたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○永井部会長
 ありがとうございました。では、現在までの意見等を踏まえまして、個別評定を修正されたい方は、ここで評定記入用紙の修正・確定の時間を少し取らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。修正に当たりましては、事務局から留意事項がありますので、説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 個別評定を修正する場合の留意点ですが、赤鉛筆でお願いします。また、事務局が見落とすといけませんので、修正のある頁に付箋を貼ってください。また、机上配布しています「個別項目に関する評価結果」については、現時点でいただいている評定を「S=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1点」と点数化したもので一覧にしています。委員各自は、ご自身のお名前しかわからないようになっていますので、こちらについてもご参考にしていただければと思います。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、5分ほど時間を取らせていただきますので、評定記入用紙の確認、修正をお願いしたいと思います。
(評定用紙記入中)

○永井部会長
 よろしいでしょうか。大体5分ほど経ちましたが、さらに記載の必要のある場合には、休憩時間にお願いしたいと思います。それでは、これをもちまして国立精神・神経研究センターの平成22年度業務実績評価に関する意見の取りまとめとしたいと思います。各評価書には、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評定記入用紙の確認、修正を行っていただいたことにより、当部会全体としてのS~Dの評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正、追加された場合は、これらを反映して評価シート集約版を変更し、添付させていただくことにします。
 評価シートの集約版について、S~Dの評定が変更になる等の際には、委員会全体としての評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられますので、その文章については、部会長にご一任いただきたいと存じます。場合によっては、個別に各委員にご意見を伺うことも必要かもしれませんが、その節にはよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局において評定記入用紙を集めさせていただきます。また、法人の入れ替えを行いますので、しばらく休憩を取らせていただきまして、50分に再開としたいと思います。その間に、もしさらに記入、変更の必要のある委員におかれましては、その旨お申し出いただければと思います。それでは、どうもありがとうございました。

(休憩・法人入れ替え)

○永井部会長
 それでは次に、国立長寿医療研究センターについての審議をお願いいたします。財務諸表について、和田委員からご説明をお願いいたします。

○和田委員
 それでは、国立長寿医療研究センターの財務諸表について、ご説明申し上げます。法人から提出いただいた財務諸表は、有限責任あずさ監査法人の適正なる旨の監査報告書、監事からの正確である旨の監査報告書をいただいております。有限責任あずさ監査法人からは、監査の方法の概要及び結果に関する説明書を併せていただいておりまして、これを拝見した結果、外部監査人の監査も適切に行われていると思料いたします。
 それから、財務諸表ですが、まず、損益計算書を拝見しまして、全体の実績を見ますと、事業費用が76億2,400万円、事業収益が74億7,100万円、差引事業損益が、1億5,200万円のマイナスです。事業収支比率は、97.99%になっています。これを計画と比較しますと、事業費用は、5億5,400万円少なくなっていますが、事業収益も4億5,900万円減少しています。その結果、事業損益は、9,500万円改善をしたのですが、先ほど申し上げたように、平成22年度においては、1億5,200万円の赤字になっています。
 これをセグメント別に見ますと、研究事業が3,900万円のマイナス、臨床研究事業が5,100万円のプラス、診療事業が1億6,000万円のマイナス、教育研修事業が100万円、情報発信事業が300万円、それぞれマイナスです。これら各事業セグメント別の損益を通算して、法人全体としては1億5,200万円のマイナスです。
 貸借対照表の財政状態を見ますと、資産合計が141億5,900万円、純資産合計が100億9,200万円、長期借入金が8億5,400万円です。資産合計に占める純資産比率は、71.28%、借入金の比率は6.03%で、特に財政上の心配はないものと思料いたしました。
 長期借入金の状況ですが、期首残高は9億3,200万円、このうち、当期減少額は7,800万円、当期増加額は0。したがって、期末残高は、8億5,400万円の残高で、必ずしも借入金が多額であるという理解はしませんでした。以上、財務諸表についてのご説明です。

○永井部会長
 ありがとうございました。ただいまの財務諸表のご説明に、何かご意見、ご質問はございますか。よろしいですか。もし、ご意見がないようでしたら、平成22年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の案のとおりで、修正意見はなしで、これを厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。ご異議ございませんでしたら、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、総合評価についての審議をお願いいたします。起草委員である祖父江委員からご報告をお願いします。

○祖父江委員
 それでは、国立長寿医療研究センターの平成22年度の評価結果について、講評を簡単にまとめて述べさせていただきます。
 この評価に当たっては、第1に評定の結果、各委員からの評定のコメント、前回8月4日に行われた議論の内容等を踏まえて、さらに中期目標に掲げられた内容に照らし合わせて、平成22年度の業務実績を総合評価しております。
 全体の評価としては、6点ほどまとめさせていただきますが、今後の期待も含めてお聞きいただけたらと思います。まず、第1点は、法人移行後、今年は初年度でしたが、業務運営の効率化と収支改善に向けた非常に積極的な取組が行われていて、年度計画に掲げられた経常収支比率を上回る成果が上がっています。具体的に申しますと、97%の計画であったものが、実質98%で、1%ですが改善を見たということは評価されるものと考えます。さらに、一般管理費削減についても、前年度比で32%の節減を見たということで、これが長期借入等の面にもよい影響を及ぼしていると考え、重要なポイントであると考えます。
 第2点目の研究・開発については、認知症先進開発医療センター、もの忘れセンター、さらに歯科口腔先進医療開発センターを設置されたことが、非常に高く評価されると考えます。この中でも、特にもの忘れセンターは、認知症の診療研究という点で、我が国のプロトタイプとして今後の役割が非常に期待されるところです。認知症、あるいは骨粗鬆症の発症のメカニズムに着目した画期的な治療薬及び診断法の開発、あるいは地域住民を対象とした、「老化に関する長期縦断疫学研究」、さらには歯髄再生医療の臨床研究に向けた取組を行ったことを非常に高く評価したいと思います。もう1つ今後に向けた研究開発については、独自の開発治験、あるいは臨床研究の推進に向けて、インフラをさらに整備されることが今後期待されるところです。
 次に、医療の提供という点については、認知症早期診断法の開発、あるいは骨粗鬆症、骨折の早期診断法の開発等を通じて、高齢者に特有な疾患の予防、診断、治療という、高度先進、あるいは先駆的医療の提供を行ったことは評価されるべきだと思いますし、産学官共同研究による、歯科用光干渉断層画像診断器の製品化を目指した開発を行っていることも、非常に重要なポイントではないかと思います。
 人材の育成についてですが、日常的にいろいろな取組がなされていまして、若手研究者の研究発表会の開催、全職員に対する高齢者医療に関する特別講習会の実施、あるいは専門的な看護師の養成のための認定看護師課程研修、老人看護専門看護師への受験促進などを行ったことは重要な点ではないかと思います。さらに、今後人材の育成、あるいは交流という意味を含め、PMDA、あるいは大学、特に国立大学法人との人事交流がより一層盛んになることを期待したいところです。
 次に、情報発信についてですが、認知症患者の地域支援等に携わる医師を対象として、認知症サポート医養成研修会を開催されたことは、非常に重要な点だと思います。センターのある地域においても、知多地域、あるいはその周辺の地域の整形外科、あるいは精神医療、あるいは看護、介護等に関する懇話会、強化会議等を開催され、地域への情報発信を行ったことも重要な点ではないかと思います。ただ、今後に向けて、さらに一般の国民、市民へのアピールを強化していただくことが期待されます。このセンターの目的、あるいは何が行われているかという内容について、一層、一般へのアピールをお願いできるといいのではと考えます。
 最後に、東日本大震災に際して、非常に早い時期から災害医療班を岩手県釜石市に派遣されたことは、非常に重要だと思います。もう1つ、非常に重要な点は、計画停電等により、これはALSの患者さん等だと思いますが、人工呼吸器が使用できなくなった患者さんのお宅に、センターが開発されたバックアップ電源装置の貸出しを行ったことは非常に高く評価されているところです。これらを通じて、国の危機管理にも大きく貢献した点は重要であると思います。簡単にまとめましたが、以上のような評価を通して、全体として国立長寿医療研究センターの設立目的に沿って、適正に業務を実施されたのではないかという評価です。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見、追加等はございますでしょうか。先ほど精神・神経センターの場合に、人件費管理のことで意見がありまして、これは各センターに共通のことですので、和田委員から人件費のあり方について、もう一度長寿医療研究センターの先生方にご説明いただけますか。

○和田委員
 総人件費改革は、国全体としての考え方であり、全ての独立行政法人が総人件費改革に向かって努力しているところです。したがいまして、総人件費改革の中で示されているようなことについては、各法人ともそれぞれ真摯に取り組んでいただいて、同時にもっと新たな事業を行う、あるいはより一層よい事業活動を行うために、新たに人件費が増加してくるということもあろうかと思います。それをも含めていけないという話ではないと思います。
 まず、総人件費改革に示されているような事案については、どれだけのどういう努力をして、それをいくら削減をするか、あるいは何%削減させたか。それとは別に新たな事業展開、あるいはよりよい事業展開のために、人件費がこれだけ増加した、差引きで人件費は全体としてはこれだけ増えたけれども、中身はこうであるというところをはっきりと数値を把握して、それを国民に示せるようにしていただきたい。
 総人件費改革には取り組みましたけれども、法人としては新たな、あるいはより高度の事業をしたいがために、増加もしました。その結果、差引きでいくらですというだけ、差引額だけで増減を示されたのでは、総人件費改革に対する努力の成果が見えないことになりますので、そこのところをできるだけ説得力のある形で、これは期末に作ろうと思ってもなかなか大変だと思いますが、それぞれの改革ごとで押えていく。裏付けもしっかり作った上で、いま申し上げたような減少のための努力をして、どれだけ少なくしたのか、そして新たなものとして、どれだけを増加せしめたのか。増加した分については、こういう成果をと。例えば診療事業であれば、それによってどれだけの診療収入、人件費の増加を上回る医療収入を上げたというようなことをしっかり説明する必要があるのではないかと思います。
 また、評価をする方も、そこがわからないで評価しては困りますので、いろいろ尋ねたりする。今回のこちらの評価書では、そこはある程度説明できていると思いますけれども、今後その点についても十分ご留意いただけたらと思います。

○永井部会長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。総人件費改革は必要ではありますけれども、一律に適用することは必ずしも方針どおりというわけではないのだと。ただ、わかりやすく説明いただくということが非常に重要で、和田委員のお話にもありましたように、ここは改革して、これだけ押さえる。必要な分については、こういう計算であるということをわかりやすく表現していただくことが重要であるということです。

○祖父江委員
 先ほどもちょっと申し上げましたが、いま和田先生のお話のとおりだと思うのですけれども、大学でも総人件費改革はやっていますが、やはり、総人件費改革は総人件費改革としてきちんとやる必要があると思うのですけれども、やはりそこに課せられた、国民が納得するミッション、これだけのことをやれるという説明がきちんとできる場合には、やはりそこは食い込む可能性もあると私は理解しています。いま、和田先生がおっしゃったことと同じだと思いますが、私もそういう考えです。

○永井部会長
 よろしいでしょうか。委員の先生方から、何かご発言、ご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。もし、修正意見がないようでしたら、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、この評価書を公表したいと考えていますので、よろしくお願いします。
 では、ここで理事長からコメントをいただいて、その後に評価書の修正等を進めたいと思います。では、大島先生、よろしくお願いします。

○国立長寿医療研究センター理事長
 まず最初に、永井部会長をはじめ、委員の先生方には、本当に多大な労力と時間を使って評価いただき、まことにありがとうございました。こんなにたくさんのエネルギーを使うことを考えますと、改めてナショナルセンターの存在意義、存在価値が一体どういうことなのかを改めて認識させていただき、これからナショナルセンターとしての国立長寿医療研究センターの運営に取りかかっていかなければいけないという気持ちを、新たにしているところです。
 私、ヒアリングのときに欠席をしてしまい、本当に申し訳ございませんでしたが、研究所長、病院長をはじめ、私どものスタッフ全員を挙げて、きちんと評価に対応できたのだろうと誇りに思っています。自分の身内を褒めるのは老化の始まりのようで、忸怩たるものが多少ありますが、そういう意味では、きちんと私どもも対応できたのだろうと思っています。
 評価については、基本方針としては、私たち、とにかくできるだけあるがままにきちんと評価をしようというつもりで、自己評価についてはしてきたつもりでいます。しかし、結果を見てみますと、やはり何と言っても、自己評価というのは甘くなりやすいということをつくづくと感じさせられた次第です。その背景を考えてみますと、1つは、評価基準に対する考え方や、あるいは評価の結果どうなるのだということをいろいろ考えて、では邪心がなかったかというと、全く邪心がなかったわけではなく、そういったところが甘さに繋がったのではということ。あるいは、私たちが非常に力を入れてきたところがやはりあって、力を入れてきたところについては、成果や結果はもちろんですけれども、そのことよりも、力を入れてきた過程に力点が行きがちなところがあり、そのようなことが甘さに繋がったのではと反省しているところです。次回以降については、今回の評価で、ある意味、基準が明快にわかったということで、今回の評価の基準を基に、次回の自己評価については、きちんとやっていきたいと思っています。
 委員のご意見を全部見させていただいて、私としては、全体として本当に高く評価されているということで、ある部分非常にほっともし感激もしているところです。不足分、不十分な点についてももちろんご指摘がありまして、これも勝手な思い込みかもわかりませんが、独法後1年目という、国立という組織からの非常に大きな変革の時期で、そこに対する配慮をしていただいたのかと。不足分、不十分な点については、お叱りを受けるというよりは、激励とか応援していただく立場でご意見をいただいている感じがして、これも非常にありがたいことです。このご意見の反映、あるいは評価の反映は、職員一同に示して、次のエネルギーに間違いなく転換できると考えています。
 独法後1年が経過してみて、私の感想を少し述べたいと思います。前回の評価委員会のときにも意見を求められて言いましたけれども、山に例えて言うと、大体三合目ぐらいではないかということを話させていただきました。私たち、管理をする側からいけば、私どもセンターのミッション、あるいは中期計画、中期目標をどう達成していくかと。そのための研究環境をどのように整えて、そして持っている人材の能力をどこまで発揮させることができるかが私どもの最も大きな使命であり、役割であろうと考えてきました。そのためには、能力ある人材を、いかに能力を発揮させることができるかにかかっているとずっと考えています。極端なことを言うと、全ては人にあると考えてきました。
 しかし、国立の時代の財産は、必ずしもプラスの財産ばかりではなく非常に大きなマイナス財産も同時に背負っていて、マイナス財産をいかに切り捨てながら、独立行政法人というプラスの組織形態の中で人材を活かしきっていくのかを考えなければならないわけです。まだ数年続くかと思いますが、職員の意識改革が最も大きな課題だろうと考えています。しかも、状況が変われば、人は必ず変化するはずだという信念のようなもののもとに、脱落者を絶対に出さないようにして、かつ成果を上げると。これは、ある意味では非常に虫のいい話ですが、基本的な方針は、脱落者を出さないようにして成果を上げると。革命をやるわけではないので、ソフトランディングでこれができないかというのが私たちの重い課題です。しかしこれは、時に二律背反、トレードオフで、非常に大きなジレンマにぶつからざるを得ないことです。現実にこの1年間で部長職の降格人事も行っていますし、事務職においては、客観的に見ると辞めさせてしまったということになるのかもしれませんが、どうしても新しい組織形態の中で、就業を続けることが極めて困難になってしまったという状況になった方も何人かみえまして、これも我々の指導力不足ということを思いながら、忸怩たる思いがあります。
 最後は泣き言のような話になりましたけれども、そのような環境の中で、これから人材をどのように育成し、意識変革をしていくかがしばらく続くということも、どこか頭の片隅に置いていただければと思います。本当に、ありがとうございました。

○永井部会長
 ありがとうございました。先ほど、ちょっと不手際で、ご意見を1つお伺いするのを忘れてしまったのですが、7月7日から8月5日までの間、業務報告書に対する国民からの意見募集を行ったところ、動物の取扱いについての意見があったと伺っています。それについて、説明をお願いします。

○国立長寿医療研究センター(理事)研究所長
 ただいまの、業務実績報告書に対するパブリックコメントに寄せられたことに対する回答、説明です。当研究所長の鈴木ですが、設明させていただきます。
 これは、実験動物に関する意見で、私ども国立長寿医療研究センターとしては、実験動物は平成18年に厚生労働省が定めている、厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針がありますけれども、これを踏まえ、動物実験規程の作成、動物実験委員会の設置等、関連することは適切に対応していまして、今後も動物愛護に配慮しつつ、実施してまいりたいと考えています。
 また、私ども研究センターの重要な役割である、臨床研究事業の推進に当たっては、やはり新たな臨床研究を行う前に、その実施、可能性を前臨床研究である動物実験に当てはめることは必須の課題でして、極めて重要な意義を持っています。したがいまして、当研究センターがその役割を適切に果たしていくためにも、動物実験を行うことは必須ですけれども、これが最適な環境下で、整備された施設において引き続き厳正な手続きの中で、行っていきたいと考えております。また、私ども、今年度中に、新しく実験動物棟が出来上がる予定です。そこにおいても、このような動物実験が遺漏なく行われるよう最大の配慮をしていきたいと思っていますので、是非、ご理解のほどをお願いしたいと思っています。以上です。

○永井部会長
 ありがとうございます。特に、何か具体的な事件が起こったということではないのでしょうか。

○国立長寿医療研究センター(理事)研究所長
 そういうことは、現在までございません。

○永井部会長
 ありがとうございます。それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定の修正をなさりたい方は、ここで評定記入用紙の修正、確認の時間を設けさせていただきますので、5分ほどで作業をしていただけますでしょうか。
(評定用紙記入中)

○永井部会長
 それでは、これをもちまして、国立長寿医療研究センターの平成22年度業務実績評価に関する意見の取りまとめといたします。先ほどと同様、評価シートの集約版について修正が必要な場合には、座長にご一任いただきたいと思います。
 それでは、本日の議事は以上です。本日ご審議いただいた総合評価と財務諸表についてのご意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づいて、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、政・独委への通知、公表の手続きが行われることとなります。
 事務局から、今後の予定等のご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催についてご案内します。次回は、8月26日金曜日13時から、場所は省内12階の専用第14会議室になります。審議案件については、国立がん研究センターと、国立循環器病研究センターの、財務諸表についてと総合評価についてです。なお、評定記入用紙については、この後、部会終了後事務局で集めますので、机の上に置いたままお帰りください。以上です。

○永井部会長
 それでは、これで終了します。どうも、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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