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2011年8月10日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第8回)議事録
○日時
平成23年8月10日(水)10:00~15:45
○場所
厚生労働省専用第21会議室
○出席者
永井部会長、猿田部会長代理、内山委員、夏目委員、花井委員、和田委員
○議事
○永井部会長
定刻になりましたので、第8回「独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会」を始めさせていただきます。委員の皆様方にはお忙しい中、また お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。
本日は、祖父江委員、本田委員、三好委員の3名の方がご欠席です。
本日の議題はお手元の議事次第にありますが、国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センター、2つのセンターの個別評価を行っていただきます。
それでは、議事に入りますが、国立成育医療研究センターの個別評価から始めさせていただきます。最初に、加藤理事長からご挨拶、また、平成22年度における業務実績概要のご説明をお願いしています。
○国立成育医療研究センター理事長
理事長の加藤です。評価委員の先生におかれましては、本日大変ご多忙の時間をいただきまして、当センターの評価のためにご尽力いただきましたことを誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
国立成育医療研究センターは平成22年4月1日に、研究型独立法人として設置され現在に至っています。平成14年3月1日に国立大蔵病院と国立小児病院が統合されて、以来、受精、妊娠に始まり、胎児期、周産期、新生期、小児期、思春期を経て次世代を育成する成人期へと至るリプロダクションによってつながれます、ライフサイクルに生じる成育疾患に対する研究と医療を推進してきました。
当センターでは、この各々のライフサイクルの中で発生する成育疾患に対して、研究所ではその発生の因子、メカニズム、将来に向けた予防、治療への研究等を行って、病院ではチーム医療を基盤として、高度先駆的医療を駆使し、予防、治療に当たっています。すなわち、研究と診療は成育疾患克服の両輪と言えます。
一方、当センターは高度先駆的医療のみならず、小児救急医療、周産期医療にも力を注いでおりまして、地域医療にも十分に貢献しています。
簡略に独法後の当センターの「平成22年度の取組実績の概要」を述べさせていただきます。研究型の独法となったことを転機として、センターの理念を、「研究所と病院が一体となり、健全な次世代を育成するための研究と医療を推進すること」と定めて、研究所の部長を病院の医長に兼任させるとか、病院の医長を研究室の室長に兼任させるなどと、具体的に研究所と病院の一対化を図りました。
経営面では、国立ではなくなったことから、全職員の意識改革を行い、歳入・歳出の概念から企業概念、企業会計となること、独法化のメリットなどの啓発を、職員ヒアリング、イントラネット等を通じて行ってきました。非常勤理事3名のうち2名を企業経営者からお招きいたしまして、現在でも種々の指導をいただいています。
平成22年度の取組の事業体系は研究・開発、医療の提供、人材育成、情報発信が柱です。研究・開発では、研究所と病院をつないで臨床研究の企画、立案・実施及び支援を行う“臨床研究センター”を設置しました。産学官等との連携強化を目指し、産学連携の基盤整備、小児治験ネットワークの構築を課題としました。平成22年度には厚生労働省の補助事業である治験基盤整備事業において、唯一の採択施設となりました。
一方、重点的な研究・開発で当センターの最も重要な使命の1つは再生医療の確立で、ヒトES細胞3株を樹立しました。これは京都大学に引き続いて日本で2施設目となる画期的な成果です。
医療の提供では、高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供が課題です。当センターにおける高度先駆的な医療の提供の具体例として、小児肝移植の実施が挙げられます。平成22年度において37例が実施されて、年間症例数としては世界最多で、生存率は92%と全国平均をはるかに上回ります。この実績によって、平成22年度に施行された改正臓器移植法に伴い小児脳死移植施設に認定されて、既に小児脳死肝臓移植2例を成功させました。
さらに医療政策の一環として、当センターは周産期医療、小児救急医療体制において中核的な役割を提供しています。
人材の育成では、研究所と病院における人材交流を推進して、病院所属者が研究所で研究に従事する医師も多く、また大学、企業に所属し、当センター研究所に従事する者も多数存在します。なお、研究所から2名、病院から2名が国内の大学教授として招聘されています。
情報の発信に関しては、各種カンファレンス、セミナー、他機関などの講演などで標準的医療等の普及を行っています。また、成育医療に関連した患者、家族、国民向けの情報をメールマガジン等で発行しています。妊娠と薬情報センターでは、妊婦、授乳中の薬剤使用に関する情報の提供等を行っています。
以上、極めて簡略に平成22年度の取組み事業に関してご説明させていただきました。以後、細部の事項に関しては各々の担当者からご説明させていただきます。お時間をいただきましてありがとうございました。
○永井部会長
ありがとうございました。続いて評価の説明、進め方のご説明をさせていただきます。国立成育医療センターの個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきます。評価の指標としてS・A・B・Cとありますが、計画どおりであればB評価、中期計画を上回っていればA評価、想定外の要因を加味しており計画を大幅に上回っていればS評価となります。したがって、「B評価」と言うと少し印象が悪いかもしれませんが、Bというのが計画どおりでスタンダードな評価であることを初めにご了解いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、第1グループ、項目の1から2、研究・開発に関する事項、臨床を志向した研究・開発の推進、病院における研究・開発の推進、この項目の評価を行います。法人からの説明10分、質疑応答15分、合計25分の予定です。
では、法人から説明をお願いいたします。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
臨床研究センター長の藤本です。私からはグループ1の項目1と2について説明させていただきます。資料1-3の評価シートの2頁をご覧ください。資料1-5の評価シート説明資料の1頁から4頁も併せてご覧いただくと幸いです。
?「研究所と病院等、センター内の連携強化」です。平成22年度は研究所と病院の連携を強化するための仕組みづくりに力を入れました。ここに少し書いてありますが、教育研修部長の発案で、研究所の部長さんが昼休みに病棟のカンファレンスルームに出向いて、レジデントを対象に話をする。それを食事をしながら気楽に聞くという、いわゆる学会のランチョンセミナー形式のセミナーを不定期に開催していましたが、それが非常に好評でしたので、まずそれを定例化しようとか、それをきちんと推進するために共同研究の企画推進対策部会をつくって、共同研究全体を推進していくような体制をつくりました。その効果もありまして、評価シートの表にありますように、共同開催した会合の数や新規の共同研究の数が、平成21年度に比較して、増えたということです。
テーマの一覧に関しては、説明資料に詳しく記載していますので、ご参照いただきたいと思います。著明な増加ということではありませんが、研究者あるいは医師の意識が非常に高まり、内容的に濃いものになったと考えています。
評価シートの3頁の?「産官学等の連携強化」をご覧いただきたいと思います。説明資料では5頁並びに6頁から数枚の資料も併せてご覧いただきたいと思います。臨床研究センターは新築の「医療クラスター」を統合拠点として活動を開始しました。1.に「組織の概略」を書いていますが、臨床研究全般を推進支援する臨床研究推進室、企業治験や医師指導治験の企画、調整、支援を行う治験推進室、センター内外の医師、研究者や企業と連携して医療機器の開発と応用研究を行う医療機器開発室、細胞治療技術や臓器保存、臓器蘇生技術の開発と応用研究を行う先進医療開発室、大学や企業との共同研究を推進し、知的財産の確保と活用を図る知財産学連携室の5つの部屋から構成されています。活動については、後ほど概略を説明させていただきます。
3.の「治験推進の基盤整備」に移ります。先ほど理事長から紹介がありましたように、今年度は、厚生労働省の治験基盤整備事業の唯一の採択施設となりました。
実は、当センターには、以前より治験に対する取組が進んでおり、小児治験のノウハウが蓄積されていました。その結果、実は文部科学省と厚生労働省が共同で進めている“新たな治験活性化5カ年計画”において、平成19年までに既に中核病院の指定を受けていました。今回の治験基盤整備事業の採択施設となったことにより、その基盤がより一層強固なものになったと考えています。現在、国立病院機構の一部や各地のいわゆる小児病院など、小児専門医療施設を結んで小児治験ネットワークの構築を進めています。
説明資料の10頁をご覧ください。ここに、この事業の事業内容について簡単に書いています。中段の部分に書いてありますように、小児領域における適応外使用が多い、未承認の薬が多い」など、我が国で大変遅れています小児治験の状況を改善すべく全力で取り組んでいます。
4頁に移ります。?「研究・開発の企画及び評価体制の整備」です。ここでは、先ほど、共同研究企画推進対策部会については若干述べさせていただきましたので、省略します。後半の「インパクトファクターを含めた研究の評価」については、後ほど研究所長から報告させていただきます。
5頁に移ります。?「知的財産の管理強化及び活用推進」です。1.に記載していますように、知財・産学連携室が専任で担当する体制をつくりました。知財管理は、以前は事務部門のみが担当していましたので、まずはセンターが関与している特許出願の状況を明確にしました。その結果、全体像が見えてきたところが成果と言えるかどうか分かりませんが、実態です。
平成22年度は、知財・産学連携室を相談窓口として機能させました。その結果、以前よりも気楽に相談ができる体制になったと考えています。とはいえ、その特許については、新規性、市場性、法律の問題等専門家による目利きが大事と考えています。外部の専門家の選定は既に終わっていますので、今年9月から、まずは研究所の職員を対象としてヒアリングを行い、知財の掘起こしの作業を行う計画を持っています。
8頁に移ります。項目の2番目、「病院における研究・開発の推進」を説明します。?「臨床研究機能の強化」です。いろいろ書いてありますが、まず、忙しい診療の中で臨床研究を効率よく進めるためには、何と言っても、いかにして医師たちの負担を軽減し、医師たちが日常の業務の中で抱くクエスチョンを研究の形に仕上げ、それを実行するかが大事であると考えています。それを実現するために、臨床研究センター、研究所、病院、看護部並びに薬剤部が連携して臨床研究を推進、支援する体制を確立しました。
ここに書いてありますように、治験推進室にはPMDAなど規制当局で審査を経験した者、臨床研究に精通した医師、CRC等が結集しています。また、臨床研究推進室には、複数名のデータマネージャーがいます。これらのメンバーがチームとなり、研究支援を行いました。
「支援内容」としては、ここに書いていますのは、平成21年度より引き続いて2品目4件の医師主導治験の調整業務をしています。また、新たな医師主導治験2件を計画・立案の段階から支援しました。実は、この2件とも平成23年度になって採択されており、現在、研究計画を作成中という段階です。
説明資料の34頁をご覧ください。「臨床研究の推進・支援の状況」をここに示しています。右の表のいちばん右端の段ですが、支援内容は書いてありますが、結局、その研究計画の立案の段階から関与させていただいて、計画書の作成、倫理委員会への対応、実行に当たる時の実施支援を幅広く支援させていただくことが可能でした。その結果、左の棒グラフのように、平成22年度は大幅な支援の数を達成することができました。
29頁には、今度はデータマネージメントの状況を整理させていただきました。ここでは、施設内外の臨床研究のデータマネージメントをやらせていただいて、件数も、平成22年度は平成21年度に比べて、大幅に伸ばすことができました。
最後に9頁をご覧ください。?「倫理性・透明性の確保」を説明いたします。評価シートの9頁、説明資料の36頁、37頁をご覧ください。当センターでは、臨床研究等にかかる審査は倫理審査委員会で、治験にかかる審査はIRBで行っています。それらはともに定例化されて、平成22年度は倫理委員会14回、IRBを10回実施しました。倫理委員会には、実は予備審査委員会が3つあって、そこの審査を含めると、1件につき非常に時間と日をかけて慎重に審議をしていると、完成度の高い研究計画をつくっていることを心掛けています。また、臨床研究の倫理趣旨に従って、計画を申請する研究者には、倫理を含む研修の履行を義務づけています。センターが主催する研修セミナー、ちなみにこれは 平成22年度は3回行いました。あるいは外部のセミナーやeラーニング、受講の証明の確認を必ず行っており、受講が確認できるまで承認しないという強い方針で臨んでいます。
説明資料の37頁には、施設内への3回のセミナーへの参加者リストをお示ししていますが、常勤医師の70%が受講を終了している状況です。また、このセミナーには外部への参加者も募っていまして、他施設からも参加している状況が分かると思います。
最後に、「透明性の確保」については、審議結果の概要を速やかにホームページで公開しています。また、倫理委員会事務局が中心になって、説明文の中に問い合わせ先が書かれているか、研究結果の公表の方法などが書かれているか、同意を撤回した場合の手順が明確かなどを確認し、治験者の人権保護に努めている次第です。以上簡単ですが、説明を終わります。
○永井部会長
委員の方々からご質問、ご意見をいただきたいと思います。いかがですか。
○内山委員
非常に丁寧にご説明いただきまして、特に臨床を志向した研究・開発、病院における研究・開発、非常に素晴らしい成果を挙げておられると思っています。1つ聞かせて下さい。レジデントのためのセミナーを開いておられるということですが、忙しいレジデントが、どのぐらい出席されているのか、大体わかりますか。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
正確な数は把握していませんが、大体30~40人は集まっているという状況です。昼休みを利用して何か適当に摘まみながら聞くというスタイルが非常に好評を得ているということだと思うのです。
○内山委員
私どもの大学も研修医のためのセミナーを開催していますが、回数が進むに連れてだんだん参加人数が減ってきて苦労しているもので、何か工夫があるのかどうかと思いましてお聞きした次第です。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
もう1つは、実はこのセミナーは総合診療部のレジデントをまず対象にしていますが、その部長さんは高い意識を持っていらっしゃって、例えばレジデントが3年間いる間に、必ず論文を書くとか、学会発表するとかという形で、個別にかなり丁寧に指導されています。そういうことが実を結んできているのではないかと私は考えています。
○永井部会長
いまの受講状況に関してですが、37頁の先ほどの臨床研究に関する倫理の研修会ですが、70%は高いといえば高いのですが、これはやはり基本ですので、できるだけ高めるご努力は必要ではないかと思います。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
はい、100%になるように頑張りたいと思います。
○内山委員
これは3回とも内容は同じなのですね。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
1回目と2回目は倫理を中心としたセミナーで、内容は全く同じです。3回目は半日ほどかけ、5、6人の講師によるかなり幅広い倫理から臨床研究のノウハウというところまでをやっています。今日はご紹介しませんでしたが、3回目のセミナーと全く同じものを平成22年度は外に出まして、京都で行いました。それには関西地区の小児科医の先生たちが約100名程度参加をいただいたということで、そういう形でも活動を行っています。
○永井部会長
科研費等を申請するときに、こういう講習を受けていることを要件とすることはされてないのですか。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
それは基本的には、研究計画を出す場合には、計画の段階で資金が明確にならないとなかなか研究というか、倫理委員会への申請もできませんので、将来的にやるという形で新規の申請の場合は対応していると思います。継続の場合は当然、書くことが求められていますので、それはそのようにしていると思います。
○永井部会長
臨床研究ガイドラインには、こういう研究の講習を受けることという要件が書かれていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○夏目委員
極めて単純な質問かもしれませんが、私どもは数値目標、数値についてチェックすることも、評価に当たって大事なので、一応最初に確認したいのですが、中期計画をブレークダウンして、それぞれの年度計画を作られていると思うのですが、年度計画の際の数値目標は、あくまでも20%が中期計画の目標であれば、その5分の1の4%と、これは極めて単純にやっているということですね。
例えば5頁の「職務発明委員会における審査件数」が年度計画で4%増加することになっているのですが、7件を4%増加することはあり得ない。実際は8件にして14.3%ですが、年度計画では、左側にありますように、4%増加させるのは、20%を単純に5分の1にして4%にしたということで、これはこれ以降、全部年度計画は中期計画を単純に4分の1にして大体作っていると。その都度、年度ごとこれに力を入れようとか、ここは少し頑張らなくてはいけないから、早目に中期計画に対して少し進めるために中期計画の普通のテンポより2倍今年はやろうとか、そういうメリハリはつけないで、年度計画はとにかく単純に5分の1という作り方をしているということでよろしいのですか。
○国立成育医療研究センター理事長
これは結局、結果論が書かれているだけでして、いま委員がおっしゃったとおり、場合、場合によってはメリハリをつけてトレンド計画を考えなければいけない。ただ、5年計画を5で割った数、5%を5で割って1%、それをクリアすればその年は満足であるということでは決してありません。というのは、1例増えただけで10何パーセント増だということになりますので、場合、場合によってはメリハリをつけて、ただ単にパーセントだけをクリアするということではなく、また、もちろん、当然そこには数だけではなくて質も入ってくると思いますので、質と量と両面を考えた上で、今後2年目に向かって考えていくべきことではなかろうかと考えます。
○夏目委員
わかりました。
○猿田部会長代理
企業との共同研究の数はもっと増えるかと思ったのですが、それほどでもなかったということで、実際にいまセンターになってから、だいぶそういう点ではやりやすくなったと思うのですが、先の見通しとすればどうですか。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
1つは5頁にも書いてありますように、申請書といいますか、契約書の内容を見直しさせていただいて、双方に不利がないような形の契約書を作るように改訂しました。そういうところから始めたというのが状況です。実はどういう企業と話をすればいいかということで、積極的にいろいろなセミナーとか、いろいろ企業がお集まりになる会合がありますよね。そこに出かけていって積極的に名刺交換をするとか、そういう形でとにかく認知していただく活動をまず始めたというところです。
○国立成育医療研究センター理事長
企業がいろいろ参加してくださることはありがたいことですが、企業にだけ良いところを奪われてしまうということも中には見られるので、その辺のところを厳重にチェックして企業を取り込んでいくという方向で考えていきます。
○猿田部会長代理
知財権の確保とかその他のところに非常にポイントを下げていくのですか。
○国立成育医療研究センター理事長
はい。
○内山委員
アカデミズムに関して、今後、センターで育った研究者等もどんどん出てくると思いますが、そういった方たちの学位の保証、大学や研究所との交流、連携大学院構想等々、小児病院で連携大学院構想は難しいかもしれませんが、将来構想をお聞かせいただきたいと思います。
○国立成育医療研究センター理事長
委員ご指摘のとおり、研究を行っていましても成育医療センターの中では学位を取ることはできません。近ごろ特に若手の臨床科のほうですが、専門医を取っても学位がない。学位を取りたいという意思の人がかなり増えています。研究者のほうも同じです。
そこで、いま委員がご指摘のとおり、連携大学院構想は前からあります。例えば東京農業大学、医科歯科大学、昨年度からは三重大学医学部が入っていますが、それは各部単位で行っており、大学と大学との交渉はしておりません。現在進行中なのは、慶應義塾大学と聖マリアンナ医科大学でして、聖マリアンナ医科大学に関しては具体的に連携大学院の構想に入っています。慶應大学に関してはがんセンターがいま入っていますので、がんセンターの経過を見つつ、来年度から実際に実施していくと、こういう形で連携大学院の構想をつくり、成育医療センターで研究または医療をしている者たちの人材の育成を行っていきたいと考えています。
○永井部会長
先ほどの知財のことですが、そのあたりはセンター全体としてマネージメントする体制はできているのでしょうか。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
先ほど申しましたように、知財・産学連携室が中心になってそこは担当していくという形です。
○永井部会長
必ずそこを通して共同研究をするようになっているか。つまり、研究者と企業は意外と個人プレーで進んでしまうことがありますから。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
そうですね、そこも担当できればいいかと思います。
○国立成育医療研究センター研究所長
企業との共同研究に関しては、共同研究を審査する委員会があり、そこで企業と取り交わす契約書の内容のチェックもしていますので、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、フェアな立場で、より良い成果を求められる仕組みは一応つくっています。
○永井部会長
それが知財管理者と実際に研究を支援する現場の人たちで情報交換がされていませんと、どういう研究をより強化して支援するかというシステムがつくりにくいと思うのですが、これは大学などで非常によく経験するのですが。
○国立成育医療研究センター理事長
その件に関しては、私も気がついたのですが、研究者は素晴らしい研究をしているのだけれども、それは当人が意外と知財にあまり興味のない場合があります。したがって、今年度、先ほど臨床研究センター長からもお話をしましたが、やはり目利き役の方をどうしても必要としているという考えに至り、平成23年度から目利きの方をお願いして、本人は考えていないけれども、意外と知財になる可能性があって、それは企業が飛びつく可能性はあるのだけれども、ただ学会発表してしまうという症例がときたま見られるので、その辺のところを今年度少し重点的に見ていきたいのですが。
○永井部会長
そこは非常に大事だと思うのです。
○花井委員
小児治験ネットワークですが、小児治験は非常に重要で、これは日本でなかなか、もともと治験環境全体としても日本は遅れているわけですが、ましてや小児はということなので非常に重要だと思うのです。ネットワーク委員会の事務局を引き受けられたということですが、ここに参加されている施設の数とか、あとそういう施設は、治験環境はなかなか厳しいとは思うのですが、現状はどうですか、見通しとかは。
○国立成育医療研究センター理事長
協議会というものがあり、全国の以前の小児病院と言われている所とか、または母子総合医療センター、いくつかの大学、施設は29施設ありますが、そのうちの27施設がこのネットワークに参加するということで手を挙げています。現在27施設がネットワークを組もうというところがあります。
○花井委員
具体的に企業とかは結構、小児剤形とか、なかなか採算性が難しい分野だと思うのですが、見通しというか、進めていけそうな感じはあるのですか。
○国立成育医療研究センター理事長
いままでは、各病院ごとに企業が各医師に対して対応していったために、非常に希少疾患であるということから、企業があまり積極的になれなかったということと、企業がフォーカスをうまく捉えることができなかったという欠点があったと思いますので、今回、ネットワークをつくることにより窓口を1つにして、プロトコールも1つにできれば引き締まって、そこに企業が入り込めば、27施設1つ1つに入るのと同じシステムになりますということを事業として考えていくということです。
○永井部会長
先ほどお話の評価の「Sは想定外」ということですが、想定外とは何か、そういう事例はありますか。
○国立成育医療研究センター理事長
このSというのは、評価委員の先生と私どもとは感覚が異なるとは思いますが、総じて私どもは、Sは限定してつけているのですが、我々がここで研究をしていく段階で、最初のほうから評価を自分たちでしてきたものですから、どうしても自分が担当している所はSを付けたいということで、はっきり申し上げれば、質と量というところで、量というよりもむしろ質を取っていただくとお考えいただきたいと、よろしくお願いします。
○永井部会長
あまり最初にSが多いと、あと減っていくのがマイナス点にもなりかねないというところをちょっと頭に入れておいていただければと思います。
○内山委員
聞き逃したかもしれませんが、「治験推進室」というのは昨年度できたのですか、それとも前からあるのですか。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
以前は「治験管理室」という形で、要するに治験の管理を行うということですが、今回はそうではなくて、計画の段階から相談させていただいてという機能をより広げたという形とお考えいただければと思います。
○内山委員
そうすると、ここに書いてあるメンバーもかなり追加されたわけですね。
○国立成育医療研究センター臨床研究センター長
そうです。
○永井部会長
それでは、各委員におかれましては評価シートへのご記入をお願いしたいと思います。その間に第2グループ、項目3、研究・開発に関する事項、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進、こちらの評価に入りたいと思います。法人から説明10分、質疑応答15分、合計25分を予定しています。よろしいですか。それでは、説明をお願いします。
○国立成育医療研究センター研究所長
研究所長の名取と申します。2番目のパートについて説明をします。最初に理事長から研究所と病院または臨床研究センターが一体となり、健全な次世代を育成するための研究と医療の推進をどのように行っているかということで概略のお話をさせていただきましたが、11頁をご覧いただきたいと思います。11頁の(3)「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」の項について説明をします。
「重点的な研究・開発の推進」の考え方は、左の平成22年度計画のところに記載しているとおりですが、これについて1年間の結果について報告をします。
具体的には71頁をご覧いただきたいと思います。最初に2つの大きな成果について報告を申し上げたいと思います。当センターの研究戦略上の重要な柱の1つは、「再生医療研究」です。これは成育医療領域においては、難治と言われる疾患の治療法として、再生医療研究の結果をあてることに大きな期待が寄せられるからです。
平成22年度は、再生医療研究の根幹をなす大きな成果を挙げることができましたが、それは先ほども紹介がありましたようにヒトES細胞の樹立です。これは京都大学に次いで国内で2施設目ではありますが、実際の人への臨床応用を目指すという観点では、生物学的安全性の観点から、使用可能なヒトES細胞という点では我が国最初の樹立と考えています。この次のステップとしては、人への応用についてのインフォームドコンセントを得たES細胞の樹立という段階に進めてまいりたいと思います。
もう1つは、成人の病気だけではありませんで、子どもにとっても若年性リウマチなどの疾患、これも非常に治りにくく、なおかつ深刻であります関節の炎症を主体とした病気ですが、ここにおいてマイクロRNA140という物質が少ないということが、変形性関節症になるという結果を示すことができました。この論文は、昨年5月に発表されましたが、世界の中で最も注目される論文として2カ月間ランキングのトップの評価を得ることができています。現在、マイクロRNA140を増やす物質、これを見つけて、これを根拠に薬を作っていくというプロセスを製薬企業との共同研究として開始しています。
資料1-5の「評価シート説明資料」という分厚い資料がありますが、これの153頁以降をご覧いただきたいと思います。マスコミでもいくつか取り上げていただきましたが、159頁をご覧いただきたいと思います。当センターでの成果のうち159頁に、赤ちゃんの下痢の原因の1つにミルクアレルギーがあるという研究成果を、ここでは紹介しました。これは非常に実際の生活と密接した研究成果でして、その意味で国民の皆様に直接お役に立つ研究成果であったかと考えています。
先ほどのマイクロRNAの話等は、153頁に報道記事が載っています。160頁では、ES細胞についての新聞記事の掲載も紹介しました。
元に戻ります。評価シートの72頁をご覧いただきたいと思います。疾病に着目した研究の成果について報告します。当センターは、小児の希少疾患、難治性疾患の原因、解明、治療法の開発に力を入れています。その1つとして、「ライソゾーム病」という病気がありますが、これを専門に扱うセンターをセンター内につくり、現在可能な治療法であるところの酵素補充療法を行っています。
当センターでは現在、日本全体の2、3割、東日本エリアでは全部の患者の半数近い患者に相当する50人程度の患者の診療を行っています。ただ、ライソゾーム病もより良い医療を提供するためには、早期発見、早期治療が必要で、そのためにタンデムマス質量分析計を導入してのスクリーニング、これは生まれた直後からの早期発見を目指しているということですが、そういうものを行っています。また、発見したあとの新たな治療法の開発という点で、将来に向けての遺伝子を用いた治療、ES細胞による治療も視野に入れて病院、研究所の密接な協力を行っています。
また、未だ頻度が高いものですが、原因不明の疾患である川崎病についても、病院、研究所が共同してその原因究明に取り組んでいますが、これについては後ほど病院長から説明をします。
73頁をご覧いただきたいと思います。「成育疾患の実態把握」という観点から、平成15年から最初の出生コホート研究を私どもが行ってまいりました。現在1,504名の母体と1,550名の子どもがフォローアップされています。この子どもたちは平成22~23年の時期に大体6歳を迎える年代となり、いま現在アレルギー疾患の発生要因等の検討を中心としてコホート研究を継続しています。
また、次のコホートとしてかなり大きな数ですが、4,000組の母子を組み入れる予定、それの「成育母子コホート」を計画しており、平成22年度より組み入れを開始しています。
74頁をご覧いただきたいと思います。「高度先駆的な治療法の開発」の点からは、先天性免疫不全等の難治性疾患に対する遺伝子治療において、我が国における中心的役割を果たすべく仕事を行ってきています。先天性免疫不全の中で最も頻度の高いX連鎖の慢性肉芽腫症に対する遺伝子治療について、現在センター内の倫理審査を終了し、厚生労働省の審議を待っており、終了し、了解が得られたら着手をする予定でいます。
また「高度な医療を標準化する」という点については、難治性のネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療の医師主導型治験を開始しています。また、「胎児頻脈性不整脈に対する治療」という観点では、当センターが中心となったデータをベースに、高度医療として承認を平成22年度に得ることができています。
75頁をご覧いただきたいと思います。「医薬品及び医療機器開発の推進」としては、先に申し上げましたように、1つはマイクロRNA140を増加させる物質の探索、創薬に向けての製薬企業との共同研究があります。その他にもありますが、数値目標としての臨床研究および治験の実施件数は、平成21年度76件から平成22年は129件と、70%近い増加となりました。ただ、この中で薬剤の治験は、平成21年度の16件から4件増え20件の増加ということでして、臨床研究が49件増加したということです。これは先ほど藤本センター長からも話がありましたように、中期目標の意識の周知、研究の奨励ということで、特に病院勤務の医師の研究意識が高まったことが理由と考えています。
76頁をご覧いただきたいと思います。「医療の均てん化手法の開発の推進」に関する項ですが、ここでは私どもはeラーニングを用いる手法の開発を行いました。これの結果についても、後ほど病院長からお話をさせていただきたいと思います。
77頁が「情報発信手法の開発」、そして78頁、「科学的根拠に基づく政策提言の実施に資する研究の推進」として2つを挙げています。1つは6NCが共同してゲノム医学・再生医療分野のバイオリソースのバンク化を推進していますが、これは他の施設からも同じお話があったかと思います。私どものセンターとしては、疾患IPS細胞、ES細胞については、バンク機能を分担したいと、バンク機能を果たしていきたいと考えています。
79頁ですが、ここには当センターの行っている相談事業が書いてありますが、この中で妊娠と薬情報センターについて特にお話をしたいと思います。妊娠している方とか、授乳中のお母さんたちは、薬を飲むことに非常に神経質になり、また正しい知識が伝わらなかったり、不正確な理解のもとに、いままで世の中には不用な妊娠中絶があったこともまた否定できないお話かと理解しています。
6年前にスタートした「妊娠と薬情報センター」は、常にアップデートされた正確な情報をわかりやすく患者の主治医の先生に提供する、最近は直接のお話も多少開始していますが、そういったことによって薬に対する間違った不安を解消してもらうことに努めてきています。2010年は、電話の問い合わせ件数が月平均で約210~220件あり、そのうち90件は本来のシートに記入していただいてデータのやり取りを行った、ルートに乗った情報提供ということで回答を行っています。
また、こういう施設は地域性が重要です。医療においては日本全国に展開していく必要がありますので、拠点病院をいままで13カ所設定していますが、それも2カ所増やして15カ所として相談事業の均てん化に力を入れています。
また、病院に参加していただくだけでは駄目で、それらの施設を常に教育の継続性といいますか、それらの施設が常に新しい情報を持って相談に応じていただくために、研修会、フォーラム等の開催も1年に1~2回行って、施設のレベルアップの支援を行っています。
○永井部会長
それでは、ご質問をお願いします。いま研究業績の新聞報道の資料がありましたが、論文に関する資料は何かありますか。
○国立成育医療研究センター研究所長
失礼しました。71頁の最初に申し上げるところでしたが、和文・英文の原著論文発表数は、平成21年度は256件に対して平成22年度は271件、15件増、5.9%の増加となっています。
また、ここには記載していませんが、論文の質になるかどうかわかりませんが、掲載された雑誌のインパクトファクターに関しては、2009年で5以上の雑誌に掲載された論文が34編でして、2010年はそれが38編という結果になっています。
○永井部会長
先ほどマイクロRNAの論文、ファカルティブ・サウザン・メディスン、これはかなり1年間でも引用されましたか、参考のために教えていただきたいのですが。
○国立成育医療研究センター研究所長
最初の1年、掲載された年の最初の年で11回の引用でして、そのあとのはまだデータがありませんが、引用回数に関してはウエブ・オブ・サイエンスを使ってのアーティクルという括りで調べていますが、2009年の論文の被引用回数の合計は、最初の1年で82、2年目が478、3年目の現在まで284で、合計844回の被引用回数でして、2010年においては、アーティクルが167に対して最初の1年で110回と少し増えて、82~110です。今年1月から現在までで225回の引用回数となっています。
○永井部会長
やはり発表した年に10回以上引用されるのは、相当大きなインパクトのある仕事だと思います。それは、なかなかあることではないと思います。
○花井委員
これはどうしても気になる話なので確認したいのですが、79頁でご説明された「妊婦に対する医薬品の情報提供」ですが、妊娠中の医薬品とか、授乳中というのは結構あるのですが、出産時、具体的には子宮収縮剤に対する医療施設の正しい知識とお母さんの正しい知識と、このことに関しては結構、10年以上取り組んでいるのですが、母子健康手帳等にも少しずつは載せるようにはしているものの、お母さんを不安にならせないという言葉のもとで、これがなかなか消極的に進んでまいりまして、少し苦労しているということで、是非ここ、具体的に出産時にはいかがかということと、もし、そこについて難しいようで、今後是非、子宮収縮剤を正しく使えていない期間も病院もまだありますし、それに対して知識のないお母さんもたくさんおられて、是非ここは力を入れてやっていただきたいと思います。
○国立成育医療研究センター研究所長
この相談事業が基本的に患者が不安に感じて主治医の先生に相談して、その主治医の先生から私どものセンターに来る、または患者が直接お電話をされる、そういったルートですので、陣痛があって入院している方は、そのルートに現実問題としては乗らないということになります。おっしゃられているお話は私も非常によく理解できており、基本的にはこれは日本産科婦人科学会が一生懸命会員に対して、または日本産婦人科医会も一生懸命会員に対して何年も、ご承知かと思いますが、いろいろな形で教育をしてきていますが、現実に、例えば訴訟等の事件になったときに、十分な教育がまだなされてないではないかというお話が出てくるということも私も重々承知しています。
医療の均てん化といいますか、教育の継続といいますか、ここでの事業の中では、先ほど申し上げましたように、患者から直接のお問い合わせが原則なものですから、なかなか難しいのです。ただ、センターとしては、病院の医師が、例えば産婦人科学会のガイドラインの作成に参加する等々の努力はしてきているつもりですが、きっと 花井委員のご意見はもっと十分に、そんなものでは現在の問題は解決しないというご意見なのかと理解していますが、今回のこれとはちょっと枠組が違うということでご理解をいただきたいと思います。
○永井部会長
ほかにいかがですか。よろしいですか。そうしましたら評価シートへの記入をよろしくお願いします。
(評価シート記入中)
○永井部会長
よろしいですか。では、次に第3グループです。項目で言いますと、4~9にわたりますが、医療の提供に関する事項、人材育成に関する事項、医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項、国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項についての評価です。最初に、法人からご説明をお願いします。
○国立成育医療研究センター病院長
病院長の松井です。どうかよろしくお願いします。評価項目の4「医療の提供に関する事項」、12~13頁をご覧ください。「高度先駆的医療、標準化に資する医療の提供」のうち、?「高度先駆的な医療の提供」について、初めに申し上げたいのは臓器移植に関してです。臓器移植は移植外科のみならず内分泌・代謝科、腎臓科、消化器科、あるいは総合診療科、その他のチームプレーによって初めて成り立つものですが、胆汁うっ滞、先天性代謝異常、劇症肝不全等の患者について、平成22年度は先ほど理事長が申し上げたように37例の移植を行いました。この数字は、現在、日本の中で18歳未満の小児肝移植が年間約120例行われていますが、そのうちの30%を示すものです。
また、単に症例数が多いというだけではなく、その中には重症例の紹介を含んでいますので、この累積生存率92%という数字も、世界的にはシンシナティー、デンバー、ロンドンと並ぶ世界の一流施設として知られるに至りました。今後、肝細胞の移植、小腸移植についても認可を取りましたので、幅を広げていきたいと考えています。
循環器科においては先ほど研究所長が少し触れましたように、免疫グロブリンのγグロブリンによる不応例に対してインフリキシマブを投与するという治療法を始めています。
また、循環器科と心臓外科が共同でハイブリット手術を始めまして、ハイブリット手術と申しますのは、開胸の上でステントあるいはバルーンを大血管に入れて拡張する、形成するというものですが、効果を挙げています。
また、劇症型急性心筋炎に対しては、体外式心肺補助システムを15例に施行しました。この数字も日本で最多であるばかりでなく、予後の良好性を保っています。
その他の診療科における先進的な試みについては、評価シートの実績欄をご覧いただければ幸いです。
44頁です。?「医療の標準化を推進するための、最新の科学的根拠に基づいた医療の提供」です。レジデント向けに各診療科の講習会を年間で106回開催しました。各科ごとに具体的には、例えば神経内科においては、小児期発症のてんかん症候群、ディスキネージャ、運動異常症と申しまして、運動のぎこちなさ、その他を伴う異常症に対して、エビデンスに基づく薬物療法を施しました。
腫瘍科においては、情報発信ウェブサイトを発行し、「小児がん情報ステーション」を通じて知識の普及、情報の伝達を試みるとともに、人材育成ツールとしてeラーニングを行い、120名の参加を得ました。
また、感染症科においては、抗生剤を選択的に管理する。これは具体的には、例えば新入院の患者について、特に重症例にはこの抗生剤を選択するのだということを感染対策チームの許可制にすると。そして不必要な、あるいはエビデンスに基づかない抗生剤の使用を極力避けるという制度を設けました。
脳神経外科・神経科においては、小児の筋の痙縮に対して脊髄後根切断術、あるいはバクロフェン、これは一般名ギャバロンですが、この髄注、ボツリヌス毒素局所注入などを行いました。その他に乳児の頭蓋頸椎移行部の病変、例えばキアリ奇形という髄液の交通路の障害、頸椎の亜脱臼などに対して手術療法を行い、なおかつ良好な成績を残しています。
眼科においては重症の未熟児網膜症に対して、未熟児網膜症の治療としては光凝固が行きわたっていますが、それよりももっと重症なものに対して早期に硝子体を手術することを行っています。この手術ができるのは、日本でもわずか1、2名でして、全国的な患者の紹介、これは外国からの紹介もあります。
胎児診療科においては、双胎間輸血症候群、一卵性双胎の中に体重差、血液濃度に大きな差を生じて両方とも予後が悪いわけですが、この脈絡血管に対してレーザーでこれを凝固するという手術を行いました。これは先進医療にも取り入れられて、すでに年間に52例を行い、日本全体の40%を占めるに至っています。以上が評価項目4です。
次に評価項目5、16頁を開けてください。(2)「患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供」ですが、患者等参加型の医療を推進しました。その例として、医師による患者・家族への説明機会を十分に行う。例えば特に先天性心疾患などでは、手術説明機会を、待機例では2回以上行うといったきめ細かな対応をしたり、あるいは患者相談窓口、ここには患者相談専門職やメディカルソーシャルワーカー3名を置き、これを開く。あるいは患者満足度調査、意見箱を設置。この意見箱は、説明資料の97頁にありますが、平成22年8月から8カ月間に128件の意見箱に対する投書がありました。また、セカンドオピニオン外来を開設してきたところですが、前年度に比して29件から39件といったセカンドオピニオン、これは説明資料の38~41頁にありますので、ご参考になさってください。
次に「チーム医療の充実について」、17頁に記しました。当センターはもとより複数科、あるいは複数職種による診療が多いのが特徴です。その連携の一例として医師間、例えば診療部ごとの連携、あるいは専門診療部と総合診療部の連携、例えば脳腫瘍、脳神経カンファレンスは各22回行いましたし、腫瘍、胎児カンファレンス、口蓋列カンファレンスといったものも機能しています。また、医師と看護師、技師、事務職、チャイルドライフスペシャリストと申しまして、子どもに日常生活や遊びの仕方を教える診療支援士、あるいは保育士、院内学級があります。「そよ風分教室」というのがありますが、そこの教輸とのコミュニケーション、これも大いに図っているところです。
次に19頁をご覧ください。「入院時から地域ケアを見通した医療の提供」ですが、「医療連携室、あるいは入退院支援看護師を医療連携室に置き、退院支援チームを結成した結果、22件の退院支援に関与することができました。これは昨今の集中治療室(PICU)、新生児集中治療室(NICU)で、例えば呼吸管理を行って、それが長期化した患者をまずは一般病棟に、いずれは可能な者は在宅にと、そういう出口を確保したいわけですが、そこにつなぐ中間ケア病床を平成22年12月に8床開設し、その目的を果たしつつあります。
20頁を開けてください。「医療安全管理体制の充実」ですが、医療安全管理委員会によるインシデント・アクシデントの集計、分析を行いました。説明資料は42~51頁にありますが、1年間に2,248件のレポートがありました。このレポートの提出者は、88%が看護師、5%が医師でした。また、説明資料75頁にあります「医療安全研修会」を年に6回開きましたし、説明資料の76頁にあります「医療安全パトロール」を年に2回施行しました。また、説明資料52~74頁に写真がありますが、「医療安全ポケットマニュアル」を作り、これを職員が白衣のポケットに入れて随時携行するというように指示しました。「客観的指標を用いた医療の質の評価」は21頁に記しましたが、患者相談窓口、患者満足度調査、あるいは患者意見箱については、すでに申しましたのでここでは割愛します。
評価項目6が24頁にありますので、ご覧ください。「子どもの心の診療」としては、中央拠点病院として、全国拠点病院会議を2回開催し、また拠点病院への専門家派遣を2回行いました。また、この関連学会連絡会研修の事務局として、医師研修を企画しました。
一方、「周産期・小児医療における中心的な役割」について述べたいと思いますが、周産期医療、これは社会のニーズに基づいた医療と考えられるもので、周産期医療は年間分娩数が1,568件、うち7割がハイリスク分娩、250例の新生児がNICUに入院しました。小児医療においては、高度専門的医療のほかに、小児救急医療を24時間、365日開設して地域の医療にも貢献しています。その他の領域については、シート実績、25頁の欄をご覧ください。
27頁をご覧ください。評価項目7、「人材育成に関する事項」です。「リーダーとして活躍できる人材の育成」の証左として、病院所属で研究に従事する医師数、英文の論文の増加があります。また、病院から大学医学部の臨床系の教授として2名がすでに赴任しました。モデル的研修・講習の実施の例として、説明資料98頁にあります多職種に対する成育医療実習を国の内外から受け入れました。また、小児の蘇生をする訓練、いわゆるパルスの講習会を年に8回成育医療センターで開きました。
次に、30頁ですが、評価項目8、「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」です。「ネットワーク構築の推進」として、説明資料120頁にあります臨床研究セミナーを6回開きました。この他に成育医療懇話会・小児整形外科懇話会等を開催して、近隣の開業の医師をはじめとする参加者を得ています。
マニュアルをいくつか作成しました。その実例として説明資料の123頁にあります「口腔ケア」、これは特に重度心身障害児にとって重要なケアですし、また早期に小児リハビリテーション、これは説明資料の134頁にありますが、これを実施することにより側湾症との合併症を予防する試みをすでに行っています。
また、情報の収集発信については、メールマガジン(10号36記事)を発行し、ホームページ上で公開しました。また、ホームページの内容の充実ですが、小児がん情報として薬剤の情報7種類、また先天性心疾患の最新の治療法研究成果についての報告も含めました。年報、業績集の発行を行いました。また、業績は先ほど例がありましたが、速やかにプレスリリースして一般に知らせるということで、NHK、全国紙に対して説明資料153~160頁のような広報に努めました。
最後の評価項目ですが、33頁をお開きください。6NC共同で行うバイオバンク、あるいは高精度の医療情報とその追跡システムの構築を検討しています。
小児救急センターの事業に対する経営工学的研究として、小児ぜん息患者を例に取り、その治療の標準原価が適正なものであるかどうかの評価を行いました。また、我が国の小児患者、特に重症患者の看取りに関する問題点の研究を学会等を通じて行いました。
その他、我が国の医療政策に関する事項として、公衆衛生上の重大な危害への対応として、危機管理マニュアルを作成中で、この中でビジネス・コンティニュティ・プランの完成につなげていきたいと思っています。
「国際貢献」においては、病院部門で外国人の研究者を6名受け入れ、また見学者は123名に上りました。こうしたインバウンドの国際貢献に対して、アウトバウンドの国際貢献として、経済産業省のメディカルイノベーションにより外国人患者を受け入れるだけでなく、当院スタッフをエジプト等に手術指導のため肝移植の指導に派遣しています。外国人患者の受入れとしては、ロシア、中国、モンゴル、シンガポール、クウェート、エジプトなどから患者を受け入れています。
○永井部会長
ありがとうございました。それでは、ご質問お願いします。
○猿田部会長代理
項目ですと、4の所にあるのかもしれませんが、成育医療研究センターとして、いわゆる退院支援ですね、そのためにはどうしても周囲の地域の先生方との交流ということがあると思うのですが、実際に子どもさんの場合には、非常にそれが難しいと思うのです。例えば、高齢者の場合にはかなりそういったことがやられていますが、その辺りのところの、実際にどのくらい地域の先生方が参加してくれているのか、あるいは参加を認めているのか、どうでしょうか。
○国立成育医療研究センター病院長
例えば先ほど申し上げました成育医療懇話会などは、地域の開業医の先生の参加をいただいています。1回に30名から50名ぐらいの参加がありますし、そこには医師だけではなくて、そうした重症心身障害の施設の職員の方もお招きしています。また、一方で、最近得た情報によりますと、東京近辺よりは少し郊外で、実際には山形県なのですが、そういう所の重症心身障害の方のベットはまだ空床があるという情報を得て、しかし、皆さん遠方ですから、遠方に全部の方をというわけにはいきませんが、ご希望の方にはご紹介しております。以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。どうぞ。
○夏目委員
2つお願いします。1つは、評価シートの16頁の「患者等参加型医療の推進」、特に患者サービス向上の観点で、患者満足度調査、どこのセンターもどこの病院も非常に力を入れているところだと思うのですが、当センターにおいても実施するとともに そういうことで実施されているということはわかるのですが、どんな状況なのか、ほかのナショナルセンターから移行した独法関係の病院に比べて、レベルはいいのか悪いのか、いろいろどんな問題があるのか、もしそこら辺がわかればということが1点目です。
2点目は、評価シートの34頁で、未曾有の大惨劇である東日本大震災に対する対応ということで、これもいろいろなセンター、あるいは国病も含めまして相当の医師、看護師等を現地に派遣したり、いろいろとご苦労されているのですが、ここに書いてある事柄を読むと、情報提供を行ったということに力を入れたということのようですが、医師、看護師の現地派遣等は実際どうだったのか、要請がなかったのか、あるいは何か特別な事情があって行わなかったのか、その辺について何かあればと、その2点です。
○国立成育医療研究センター病院長
ご質問ありがとうございます。第1の、患者満足度調査につきましては、ここ数年にわたって継続しています。ただ、これは申し上げなければならないことは、私どもの病院は460名の入院病床につきまして、約300名が子どもの患者さんであります。約160名が大人と思春期の患者さんです。私どもがここ数年にわたって行ってきたのは、国立病院機構と同様の患者満足度調査を行ってきたのですが、それは大人対象のものであって、実際に行った調査も参加者は80名の内、女性がその内の75名、93.8%、しかも大人ですね、いちばん多いのが30歳から39歳ということでした。
1つには、そうした性別の偏りがあること。それから年齢の偏りがあって、しかも、最も多数を占める子どもの、あるいは間接的に親が入ったとしても、そういう人たちの意見が必ずしも反映されていないところに問題があったと思います。この点には私も気が付きまして、子どもの意見がより多く反映できるような患者満足度調査を、これは独自に作る、そういったことをしなければならない。また、できれば、ほかの小児病院にも参考になるようなものを作りたいと思います。1番目についてはそれでよろしいでしょうか。
○夏目委員
はい。
○国立成育医療研究センター病院長
2番目ですが、東日本大震災について私どもで何もしなかったというわけではありません。参考資料の171頁をご覧いただきます。ここに書かれてあるような、これは個々の各論的なことも書いてあるのですが、まず初めに、DMAT(ディーマット)と申しまして、発災直後に重症の患者さんが花巻空港から羽田空港に運ばれてくるということで、私どもは、専門病院として、まず、その患者さんを受け入れるために2回羽田空港に待機しました。そのほかに、ここに書かれてある中で特に強調したいのは、宮城県立子ども病院からの要請によりまして、産科の医師を1カ月間派遣しました。また、岩手県、宮城県、福島県、それぞれの県に関しましては、日本小児科学会の教授を通して、何ができるかということをつぶさに聞きまして、そして、それに対して医師、看護師を実際に一部派遣しましたし、また、要請がさらにあれば、特に岩手県ですが、派遣する用意もしておりました。したがって、何もしなかったというわけではありません。
○国立成育医療研究センター理事長
付け足しますと、実は、当センターの理事長として岩手県の知事と契約を結んでいまして、そして、待機をしていたところですが、結局、子どもたちは亡くなった方は亡くなってしまい、元気な方は元気だということで、要するにすぐに必要性がないということで要請がありませんでした。現在のところはどういうことかといいますと、それはよいので個別的に1人でもいいから定着したドクターを送っていただきたいという、こういう要請が強いということです。それから、松井院長がお話をしませんでしたが、震災が起きましてからすぐ、オムツであるとか医薬用品とか、ガーゼとか、そういった物を大量に現地へ郵送してあります。以上です。
○永井部会長
医療安全とか院内感染対策で、何かこう、目覚ましい成果があったというような数字はありますか。
○国立成育医療研究センター病院長
これは数字で表わすのは大変難しいことだと理解していますが。
○永井部会長
例えば院内感染などはどうですか。新規発生のMRSAとか、そういうのは割と数字で出せると思うのですが。
○国立成育医療研究センター病院長
それは、出すことは可能だと思いますが、MRSAにつきましては、やはり、著明な減少はありません。
○永井部会長
例えば新入院患者さんの何%に出現するかとか、そういう指標は見てらっしゃいますか。大体1.5%とか2%とか、私自身、東大ではNICU、PICUで随分管理体制で変動するのです、特に小児関係は数倍、年によって違ってきますので。
○国立成育医療研究センター病院長
ご質問ありがとうございます。その何%にMRSAがいるかという数字はいま持ち合わせていませんが、重要なことは、1つの病院の中のそうした数値の趨勢といいますか、推移であることと同時に、では国際的な比較に耐えるような、そういう指標がないかどうかということが大事だと思うのです。それにつきましては、中心静脈に入れたカテーテルの中で、1,000件あたりどれぐらいカテーテル肺血漿が発生するかという指標を取り入れています。それに対しては、アメリカ合衆国の基準に対しても遜色のないデータが得られています。同じことを、例えば膀胱留置カテーテルなどについても取り入れつつあります。
○国立成育医療研究センター理事長
院内感染につきまして、ちょっと付け加えさせていただきますと、意外とご理解いただけていないのが水疱瘡でして、これが発生して1回入ってきますと二次発生、三次発生ということが起きてきまして、病院の閉鎖ということが起きます。理事長としては非常に頭が痛いところですが、この院内感染対策防御室がかなり厳しくやっていますので、現在までのところ一次発生はあっても、二次発生は止められている状況です。
○内山委員
この点に関連して、いわゆる一般の勉強会等々は皆さんが出席していますが、医療安全研修会の出席が極めて悪く、特にドクターはほとんど出席していないようです。ドクターが出席するのは大事なことだと思うのですが、ある程度、強制的に出席をお願いする仕組みはないのでしょうか。
○国立成育医療研究センター病院長
そうですね。それは私も同様に、参加者が必ずしも十分でないということは自覚していますが、一応、どれぐらい出席したかということを、出席者には各自のネームプレートにシールを貼って、それを激励しているわけですが、出席しない、できない、診療でできないことも大いにあると思いますが、それに対しては何とも十分な手が必ずしも打ててないと思います。
○内山委員
必ずしも正しい方法かどうかわかりませんが、私どもは、科長である教授が出席していない場合は、別枠で公表して、院長が直接出席をお願いするようにしています。科長が出席しないとなかなか下がついてこないという状況もあります。講習会のタイトルを見ますと、かなり大切な内容ばかりですし、ドクターもぜひ出席してもらいたいという気がしております。
○国立成育医療研究センター病院長
ありがとうございます。
○内山委員
病院を挙げての1つの方向性が、このような講習会を通じて定まるのではないかという気もしているものですから。
○国立成育医療研究センター病院長
ありがとうございます。出席者の割合のことだけではありませんが、私どもがやって好評なのは、「ヒヤリハット劇場」といいまして、医師も看護師もそれぞれの患者役とか医師役とかそういう役割を与えて、そういう試みに対しては興味をもっているように思いますが、おっしゃる点はよくわかりますので、徹底したいと思います。
○永井部会長
よろしいでしょうか。では、大体時間になりましたのでご記入よろしくお願いします。
(評価シート記入中)
○永井部会長
それでは、次に、第4グループ、項目では10~14になります。効率的な業務運営に関する事項、法令遵守等内部統制の適切な構築、予算収支計画及び資金計画等、その他主務省令で定める業務運営に関する事項についての評価です。法人から説明10分でお願いします。よろしくお願いします。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
それでは、4グループ目、評価項目の10~14につきまして、一括しまして財務経理部長の小田島のほうからご説明させていただきます。
まず、「業務運営の効率化に関する目標を達成するための措置」というところです。評価シートは37頁をご覧いただきたいと思います。センターの使命である研究・医療等の充実を図るための事業計画策定、的確かつ迅速な意思決定を行うこと、ガバナンスの強化を目的とした組織体制を構築し運営をしてきました。理事会規程を整備しまして理事会を設置し、理事におきましては外部より病院・企業の経営・運営の経験、実績がある人材を採用しました。理事会の他に各部門の責任者等で構成する執行役員会議を設置しまして、理事会決定事項を各部門において適切に遂行できる体制を構築しました。また、理事長直属の企画戦略室を設置しまして、理事長の企画・立案等を具体的に実行に移してきました。一方で、監事による法人業務の適切な監査とともに、監査室を設置し専任の職員を配置しました。説明資料としましては178頁の組織図のほうをご覧いただきたいと思います。
総人件費につきましては、技能職の退職後非常勤職員への切替を行うこと、地域医療計画を踏まえました小児救急医療、周産期医療等への対応に伴う人材確保の他、医療サービスの質の向上、医療安全の確保及び患者の処遇の改善等にも留意しつつ、必要な人材の確保を行った結果、人件費は63億3,200万円ということになりまして、平成21年度の人件費と比較しますと、6億6,400万円の増となりました。引き続き人件費の削減には努力を図ってまいりますが、医療現場をめぐる昨今の厳しい状況の中で、患者目線に立った良質な医療を提供し、センターが求められる役割を着実に果たしていくためには、一定の人件費増は避けられないものと考えています。なお、人件費率につきましては、平成22年度実績は41.0%となりまして、年度計画41.9%に対し0.9%の減となっています。
続きまして、「効率化による収支改善」です。評価シート42頁、説明資料186頁をご覧いただきたいと思います。平成22年度の収支は、経常費用が189億5,500万円に対しまして、経常収益は201億7,300万円となりまして、経常利益12億1,800万円の黒字を達成しました。経常収支率におきましては106.4%となりまして、平成22年度計画における経常収支率101%を超える収支率を達成しました。説明資料187頁におきましては、6つの事業、いわゆるセグメントの費用、収益を示していますので、参考としていただきたいと思います。
次に説明資料189頁をご覧いただきたいと思います。主な改善事項と収益増におきましては、新たな施設基準の取得等で8億600万円、平成22年4月の診療報酬改定におきましては、その影響ですが、5億6,700万円、こちらを加味した13億7,400万円が大きく貢献したこととなっています。加えまして、手術件数の増、かなり診療報酬の高い手術件数も増えています。そういったことで収益増としまして3億8,000万円などとなっていまして、この収益増がかなり貢献したものであろうと分析をしています。平成22年度の計画、3億4,700万円に対しまして8億7,100万円の経営改善が結果として図られたということです。
一方、費用ですが、シート44、45頁です。「材料費の削減」では、医薬品、試薬、診療材料について6NCでの共同購入による購入単価の低減を図り、使用医薬品の集約を行い、平成22年度の材料費率は24.3%となっています。すべての契約医薬品における共同入札の割合は99.2%に達しています。「一般管理費の節減」では、委託費、修繕費、水道光熱費の費用削減を行い、平成21年度と比べまして21.1%の削減が達成できました。今後も15%以上を保持するため引き続き努力をしていくこととしています。
シート47頁、「収入の確保」です。医業未収金については、定期的な支払案内等の督促業務を精力的に行うとともに、新規発生を防止する取り組みも行っています。国の時代では、様々な規制でできなかったもの、例えば分娩入院患者を対象とした事前の預り金の制度を導入しました。また、患者の利便性も確保しましたクレジットカード、デビットカードの導入をはじめ、出産育児一時金の医療機関への直接支払制度の活用などを実施しました結果、医業未収金比率は0.05%の水準を維持することができました。さらに、評価シート49頁ですが、財務会計システム導入による月次決算を実施することによりまして、経営状況の的確な把握・分析を迅速に行い、問題点への対応が可能になりました。職員への経営に対する参加意識の向上も併せて図ったということです。
続きまして、53頁をご覧いただきたいと思います。「法令遵守等内部統制の適切な構築」についてということです。内部監査を担当します監査室を設置しまして、適切な業務が実施されているかを監査するための内部監査マニュアルを作成しました。資料集としましては194頁を併せてご覧いただきたいと思います。適切な内部牽制が働く体制の確保と維持に向け進めています。また、法令遵守の厳格化を目的としたコンプライアンス室を設置しまして、室長には外部の弁護士を選任しました。また、契約業務につきましては、1件の契約予定金額100万円を超える案件につきましては一般競争入札により契約業務を行い、随意契約による場合には外部の有識者を含めました契約審査委員会で審議を行い、契約の透明性・公平性の確保を図っています。
次に、評価シートの56頁をご覧ください。「予算、収支計算書及び資金計画」についてです。「自己収入の増加に関する事項」です。寄附及び受託研究等の競争的資金を受け入れるための経費ごとの担当部署を明確にしました。これら外部資金を適切に運用するための規程も整備しました。寄附、研究費等の獲得にはセンターを挙げ協力し努力をしてきました。
次に、評価シートの57頁、「資産及び負債の管理に関する事項」については、新たな長期借入は行わず、内部資金等の活用を行い、固定負債、いわゆる長期借入金の残額ですが、約定どおりの償還を行いました。したがいまして、残額を減少させ、平成22年度末の残高が、95億6,396万円ということになっています。また、剰余金の使途につきましては、11億7,800万円を計上したことから、将来の投資、借入金の償還に当てるための積立金ということにしています。
最後の評価項目の14項目です。「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」です。64頁をご覧いただきたいと思います。「人事システムの最適化」につきましては、組織目標を効率的かつ効果的に達成するための人事評価制度を導入しました。平成22年12月期の賞与の支給においては、一部管理職に対し評価結果の反映を実施しました。また、一般職員への導入準備として数回の説明会も開催しています。
また、国立病院機構との人事交流につきましては、異動が職員の不利益とならないよう、給与制度の基本となる部分については、国の制度を踏まえ国立病院機構と同じにすることによって円滑な交流に努めました。また、異動者の給与水準を維持するための現給補償制度の決定も行い、将来においても不利益が生じないよう規程の整備を行いました。また、国立大学法人との連携を図るために連携大学院制度の活用についても、現在進行形で検討を行っているところです。当センターにおきましては、女性の職員が極めて多い状況です。女性の働きやすい環境整備ということにつきましても、育児短時間勤務制度の拡充を図るなど、規程整備をする等、制度面の充実を行っています。職員数の資料ですが、230頁をご覧いただきたいと思います。さらに、医師の業務軽減策としまして、医療クラークの導入をするとともに、平成22年度の導入効果の検証を行いまして、平成23年度はさらに医療クラークの拡充を計画しています。
最後の「その他の事項」ですが、67頁をご覧いただきたいと思います。センターが抱える問題点等を幹部職員が直接意見を受け付ける旨の周知を行うとともに、役員によるすべての部署の職員を対象とした意見交換を実施しました。意見の重要性、緊急性などを区分化しまして、検討及び対応を行うこととしています。説明資料としましては239頁をご参考いただきたいということです。以上で私のほうの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○永井部会長
はい、ありがとうございました。それでは、ご質問お願いします。
○夏目委員
すみません、何点かお願いしたいと思います。まず、第1点目評価シートの37頁、「効率的な業務体制」で非常に重要な項目とされている総人件費改革、総人件費削減についての取り組みですが、この頁の中ごろぐらいに、「総人件費削減に向けた取り組み」ということで、2項目挙がっているのですが、大体、これはほかのセンターもみんな同じような取り組みですが、特に、「独法移行時の給与カーブの変更」ということをどのセンターもされていますが、ほかのセンターでは非常に経過措置が長い。要するになかなか削減が出てこないというような事例がみられたのですが、当センターでも、やはり移行措置、経過措置を当然設けていると思いますが、どのくらいの期間移行措置を計画しているのかということです。
2点目、「効率化による収支改善」、評価シートの42頁でありまして、ここで、「結果として、経常収支額は12億円もの黒字、経常収支率が106.4%」ということで、中期目標が5年間累計で100%以上という目標に対して、非常に良い成績ですが、これが定着化していくのか、それともこの平成22年度の特異事項なのか、診療報酬改定などが平成22年度行われたようですから、今後の診療報酬がどうなるかということにも、ある程度左右されるのかもしれませんが、もう106まできて、これから下がりますということになると、あまりよくないのではないかと思いまして、この経常収支率はある程度定着化していく見通しを立てているのかというのが2点目です。
3点目です。次の44頁の「材料費の節減」、これも中期目標で、「材料費率の抑制に努める」ということになっていて、結果24.3%ということですが、前年度の実績もなければ、年度計画の数値もないということで、24.3%を絶対評価しろと。抑制になっていくかどうかよくわからないのですが、これは24.3というのは抑制という目標に対してどうなのか。例えば前年度と比較してどうかとか、計画数値と比較してどうなのかとか、そういう何か比較するものがあるのかどうかということです。
最後に4点目、評価シートの53頁、これもほかのセンターでも同じように、「コンプライアンス室」を設けているという。そして、外部の弁護士の先生を選任しているということですが、これはほかのセンターにもみられるのですが、非常勤ではないかと思いますが、どういう位置付けなのか、企業は大体、顧問弁護士ということで何か問題があれば、その顧問弁護士の先生にリーガルチェック、リーガル的なアドバイスをいただくということが一般的ですが、あえて「コンプライアンス室」という室まで設けている以上、どういう位置付けでどういう役割にしているのか、非常勤ですと顧問弁護士とあまり違わなくなってしまうのではないかという感じがしますが、その辺をどういう活用をされているのか。以上です。
○国立成育医療研究センター総務部長
私、総務部長藤田です。それでは、いまの委員のご質問についてお答えします。まず、1点目の給与カーブの経過措置につきましては、多分NCは同じで、3年という期間を設けています。その次の経常収支が計画をクリアしているというところですが、当センターの説明資料の186頁から193頁の中身を分析しますと、確かに収益については当センターにおいて独法に入ってからです。病棟の再編成とか、総合周産期をとるためのいろいろな工事をやってきたため、一時入院患者、外来患者が減少する影響がありました。しかしながら、逆にここ数年の診療報酬改定、これに当センターの診療報酬改定の中では、病院の勤務医の負担軽減、産科、小児科など、当センターには右肩上がりのいい条件となっている。こういったところの重点配分で確かに救われたところもあります。それが5億6,000万円ぐらいの診療報酬改定において収益が上がったという内容もあります。また、診療報酬における上位の取得の基準。手術件数の増加、これが192頁のグラフになりますが、平成21年度、22年度では件数では、平成21年度が6,502件、平成22年度においては6588件、若干の増ですが、この中身が1万点以上の高額手術が2295件から2586件、かなり大幅の増があったという実績があります。こうしたことから入院患者又は外来患者の一人1日の診療点数が大幅に伸びているということを分析しています。ただ、これは収益のほうであって、費用のほうにも当然材料費が大幅にかかってきます。また独法に入りましても、労基法の世界に入りまして超過勤務、これをきちんと支払っていかないといけないということもあります。
今後の課題としまして、1人当たりの診療点数が高いといっても患者数は減少していると。これには、1つは3月の震災の影響又は福島原発等の風評被害等を受けて患者数も減少してきたこともありまして、こういったところから患者数の確保を早急に立ち上がらないといけない。それにはどうしているかというと、いま現在院長を中心として幹部職員が各診療科の診療部長などを、または医長を参加させてヒアリングを行っているところであります。これが2点目です。
すみません、コンプライアンスのほうを先に私のほうから説明させていただきます。当センターのコンプライアンスの弁護士は、従前の国の時代から倫理審査委員会とか治験審査委員会などで当センターの委員として、お世話いただいた弁護士に原則週1回独法後来ていただいています。このコンプライアンスの相談については、窓口は総務課で行っていますが、職員からのいろいろな相談の窓口というのは、当センターにおいて規程がありまして、例えばパワハラだとかセクハラの相談窓口、研究費使用管理に関する通報窓口、労働条件、職務環境、こういった苦情の窓口を各々設置しています。職員はその場所に相談に行くという流れを作っています。こういった内容については、コンプライアンスのほうに報告をして相談をするということにしていますが、またこういう規程に入らない、いろいろな相談が現実にあります。例えば退院拒否に関する患者、家族の対応とか、虐待に関する警察等への問い合わせの対応とか、こういったことはコンプライアンスのほうに即相談をするという規程を作っているところであります。コンプライアンスの活動も昨年度の実績が契約書とか、そういった軽微な業務以外の相談件数について約40件ほどございました。以上、コンプライアンスの実績です。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
夏目委員の3番目の質問です。「材料費率」のお話があったかと思いますが、資料の188頁をご覧いただきたいと思います。先生ご指摘の平成22年度計画におきましては、材料費率23.95%の目標に対し、若干ですが、0,3~0,4%ほど上がっているという状況です。この原因は、先ほど総務部長が申し上げたとおり、高額の手術、手術件数はかなり上がっていますので、手術件数におきましては参考資料の192頁をご覧いただければと思いますが、そこが主な引き上げた原因ではないかと考えていますが、この材料費率につきましても、どうでしょうか、高い水準ではないかというような当方の判断はいたしています。しかしながら、診療報酬の改定等もありますので、この辺は十分注視しまして、今後も計画に沿った材料費率を努力していくと考えています。以上です。
○永井部会長
この数字は法人化前は何%ぐらいだったでしょうか。もしわかれば。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
法人化前でしょうか。ちょっとお待ちください。
○永井部会長
実際そんなに高くないと思いますが、大学病院ですと、法人化前が42%か43%で、法人化後は37%ぐらいです。これは成人を含めての話ですので、決して小児の状況で24というのは高くないと思います。ただ、法人化後に改善したかどうかというのは、やはり問われると思います。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
ありがとうございます。いま永井先生がおっしゃったとおりですが、いわゆる国の時代の費率計算というのが、独法初年度の、費率計算とが適格かどうかというのが極めて難しいところです。したがいまして、法人以前の費率とどう比べるのかというところは、申し訳ありませんが、なかなか比較できないということでして、今年度平成23年度においての数値が出てきたところで、しっかりと評価していただきたいと考えています。
○永井部会長
ありがとうございます。あと、ありますか、どうぞ。
○和田委員
この「総人件費改革に対する対応」、努力はした旨の記載はありますが、それがどれだけの節約を今年度果たしたのか。それから、もう一方で事業、つまり病院事業の収益拡大のために、あるいはその医療の充実のために新たに人件費を増加させた。それで、プラスマイナスでこの6億6,400万円増えましたということをお示しいただきたいと思いますが。あるいは、どこかの資料にそれがあるのかもしれませんが、そうしませんとこの総人件費改革に対応する取り組みについて、それが実際にその成果をどれだけ挙げたかということが評価できませんので、お願いできたらと思います。
それから、「効率化による収支改善」ですが、まず今日いただいた資料1-1の2頁目の左のいちばん下、「損益計算における経常収支(率)」で、経常収益が12億1,800万円、経常収支率106.4%とありますが、これの経常収益は201億7,300万円で、ここに記載された12億1,800万円は経常収支差額の誤りです、12億というのは。経常収益は201億7,300万円誤りだと思います。それはそれとしまして、この業務実績の概要で診療事業の収益についてはわかりましたが、そのほか臨床研究事業とか情報発信事業でも経常事業損益がプラスになっていますので、これらはどういう理由で事業損益がプラスになったのか。医業のほうは大体わかりましたので、特に臨床研究事業で3億6,700万円の利益が出たということについてご説明をいただければと思います。
それから、コンプライアンス室の気になるところですが、室長を弁護士さんということにされましたが、室長さんの法人における地位は役員ではないと思いますが、職員なのか、雇用契約を結ばれたのか、顧問契約を結ばれたのか。そして、その組織上の地位が理事長さんの命によってその指揮下にあるのかないのか、その辺のところはどういうお立場で室長という職位をお決めになったのか教えていただきたいと思います。それから契約審査委員会ということで、契約業務内部統制について努力されていますが、「契約審査委員会」と「契約監視委員会」というのがありますが、53頁では契約審査委員会になっていますが、これはほかの独法さんがやっているような契約監視委員会とは違うのでしょうか。報告書を書いたりするのに、その辺をきちっと合わせないといけないものですから、ご回答いただきたいと思います。
○永井部会長
いかがでしょうか。
○国立成育医療研究センター総務部長
まず、1点目の評価シートの37頁の「総人件費の削減」の「技能職の退職後非常勤職員への切替」というところです。このケースは、救急をやっているものですから、運転手が退職しまして、そのあと救急搬送する運転業務をやっていただくということで非常勤で雇用しました。金額については500万円程度ということです。給与カーブのところについては、まだちょっと白紙です。総人件削減の給与カーブの効果としては、これは出ていません。
コンプライアンスのところですが、組織の図表でもあるように、コンプライアンスは理事長直轄としてのラインを引いています。178頁で見づらくて申し訳ありませんが、理事長ラインから企画戦略室長、理事長特任補佐室長、その下にコンプライアンス室長というふうに、当センターでは、そこに組織を置いてあります。週1回の勤務として顧問料として月額数万円を支払っているところです。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
続きまして、臨床研究事業での収益のお話だったかと思いますが、3億6,700万円という経常収支になっています。それがなぜプラスかというご質問だったかと記憶していますが独法初年度ということでして、費用については多少控え目な使い方をしていたというところも1つあろうかということです。また、収益につきましては、いわゆる治験事業とかそういったものの契約ということです。そういうところでよろしいでしょうか。
○和田委員
いま、費用を少な目に使ったということの案ですが、これは運営費を含むというか、交付金も入っている事業ですね。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
こちらの資料の8頁をご覧いただければと思います。ここの収益のところで、「運営費交付金収益」、これが12億6,700万円という収益。それと研究収益というものがあります。結果としまして収支で3億6,700万円という結果になったということです。
○和田委員
したがいまして、ここは費用を節約したのか。やるべきこと、計画に基づいて予算をお作りになったと思いますが、今年度はやらなかったことによる、その費用を少な目に使ったという解釈なのですが、それはいかがでしょうか。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
研究も収益も上がっていますので、要するに運営費交付金と合わせて、研究の収益は上がっているということです。
○国立成育医療研究センター病院長
よろしいでしょうか。ご質問が1つあったと思いますが、委員から、契約審査委員会と監視委員会の違いは何かという。私、契約審査委員長を務めていますので、お答えしたいと思いますが。契約審査委員会は、それぞれの契約につきまして、一般入札であれば、問題はより少ないと思いますが、随意契約の場合には、これを一般入札にできないものなのかどうか、あるいはその契約が正しく行われているかということを審査するものであって、1カ月に約1回くらいずつ 開かれています。それに対しまして、契約監視委員会は、そうした一連の流れが、例えば1年間通してみて正常に行われていったのかあるいは入札、あるいは契約が正しく行われていったかを後方視的に評価するためのものと理解しています。
○和田委員
契約監視委員会は、またここに記載と別にあると。
○国立成育医療研究センター病院長
はい、そうです。
○和田委員
実施されているということですね。
○国立成育医療研究センター病院長
はい。
○和田委員
わかりました。ありがとうございます。
○内山委員
会計システムを取り上げて、別に決算が出るという話にですが、その結果は各科にフィードバッグされているのですか。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
もちろん、先ほども申し上げましたとおり、理事会、執行役員会、これは毎月行っていますので、そのときに、しっかりと説明をいたしまして、それの下部組織である診療管理連絡会議、そういったところにしっかりとご説明をさせていただいています。
○内山委員
稼働率、在院日数、診療単価などいろいろ出てきましたが、参考までに入院の診療単価はどれくらいですか。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
資料の191頁の右上が(外来)、190頁の右上が(入院)の診療単価です。
○永井部会長
かなり高いですね。
○内山委員
そうですね。NICUの規模が大きいことや高額の手術が多いことが関係しているのかもしれません。
○国立成育医療研究センター総務部長
和田先生、恐れ入ります。先ほどの契約監視委員会の内容については、資料の別冊1-3の34頁に、平成23年に4月に設置されて平成22年度の随契の内容について報告しています。
○和田委員
はい、ありがとうございます。先ほどの収益のところですが、セグメントをわざわざお出しいただいているこの資料の187頁でも、はっきりわかりますが、臨床研究事業で、事業損益が3億6,700万円。この収益を見ると、研究収益が6億3,000万円、運営費交付金収益が12億6,700万円という1回、2回のわりで運営費交付金収益が入っています。ここで、3億6,700万円も利益が出ましたというのは、どう説明をされたらよろしいのでしょう。
○国立成育医療研究センター財務経理部長
いま、先生のご質問ですが、12億6,700万円の運営費交付金をいただいておりながら、それが結果として余っているというようなお話と伺っていますが、この費用のところをご覧いただきますと、運営費交付金の額を超えた費用を使っているというところをご覧いただければ、この研究による収益も合算した中で行っているというふうにご理解いただければ説明としてつくのではなかろうかと思いますが。
○和田委員
その辺りが国民の目から見て、本当にこの運営費交付金収益は適切な額だったのか、それをきちっと予算とか計画に基づいて使用したのか、そしてそれをどういうようにして経費を節約したのか、項目別にとか、何かの説明をいただかないと、このままだと何か運営費交付金をもらって、それほど経費がかからなかったというと、多分決算の利益剰余金のところにいって、これは目的積立金の経営努力によるものかという認定のところでもいろいろ意見が出てきてしまうというか、私としてはその辺、意見を付けにくいところなので、この利益がどうして出たのかと、出したのかということをあとで結構ですから、資料をいただければと思いますが。
○国立成育医療研究センター企画経営課長
企画経営課長の柳沢と申しますが、簡単にご説明させていただきます。当法人、他のNCもそうですが、運営費交付金は業務達成基準を用いていまして、基本的には、この運営費交付金を使って業務達成した部分は、すべて収益とさせていただくという形で、この12億6,700万円の部分に関しましては、実際に臨床研究収益として12億6,700万円の事業があって12億6,700万円の収益化をさせていただいたという形です。今回、3億6,700万円の収支差が出ている部分に関しましては、この研究収益は治験とか受託研究ですが、その部分の経費の獲得が6億3,100万円ありまして、その部分に関して費用との総トータルの差でこれだけ利益が出たというのが主な理由になります。
○和田委員
はい、そう理解しますが、そうしますと、この資料1-2、「事業実績の概要」の9頁、いちばん最後の頁ですが、平成22年度計画でしてきたのに対して、3億4,700万円に対して11億7,800万円利益が出ましたが、その中身はと。こうしたときに、上から2つ目の<臨床研究事業>のところは、1億4,400万円の利益で、これは成育研究開発費の減だと書かれていまして、こういうのと突き合わせていったときに、その収益のほうの増加分だということになるのかどうか、なかなか難しいのではないかと思いますが。
○国立成育医療研究センター企画経営課長
はい、委員からご指摘のとおり、「事業実績の概要」の8頁のほうは、年度実績に対するものでして、次の9頁は22年度計画に対して、どのような増減があったものかという形ですので、若干観点が違うものです。委員のほうから国病課を通じまして、年度計画に対する増減という形の資料要求を受けていますので、そこでまたご説明資料が提出されるという形で整理をしています。
○永井部会長
最後に、コンプライアンス室の室長さんが外部の方というのは大丈夫ですか。突発事態に対応はできますでしょうか。いろいろなことが起こると思いますが。
○国立成育医療研究センター理事長
外部ではありますが、必要に応じて必ず来ていただくことになっていまして、必要に応じて毎日来る場合もあります。
○永井部会長
はい、よろしいでしょうか。
○花井委員
女性の働きやすい環境ということで、ほかのNCに関しては、保育室のことが全部触れられているのですが、こちらはその辺はどうですか。
○国立成育医療研究センター理事長
職員の中から非常に希望が多いところでして、今後考える余地のあるところと考えています。
○永井部会長
よろしいですか。それでは、以上で評価を終わらせていただきますが、事務局から今後の取り扱いについてご連絡申します。
○政策評価官室長補佐
はい、それでは、評価につきましてお持ち帰りになられて評価をしていただく場合には、8月15日(月)までに事務局あてに、評定記入用紙をお送りいただきますようお願いします。こちらにつきましては、委員の方々が大変お忙しい中、恐縮ですが、締切りは厳守ということで、よろしくお願いします。以上です。
○永井部会長
以上で国立成育医療研究センターの評価を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(休憩・法人入れ替え)
○永井部会長
それでは時間になりましたので、国立国際医療研究センターの個別評価に入りたいと思います。最初に桐野理事長からご挨拶及び平成22年度におきます業務実績概要の説明をお願いします。
○国立国際医療研究センター理事長
国立国際医療研究センターの桐野です。平成22年度業務実績について概要の説明をします。以後座って説明します。
資料2-1、平成22年度業務実績の概要のパンフレットで説明します。1頁には、センターの概略を示す数値データが挙げられております。左側には当センターが定めております理念、いわゆるミッションステートメントが書いてあります。2頁の組織概要と書いてある図で説明します。国立国際医療研究センターは、769床のセンター病院、353床の国府台病院、15部の研究部からなる研究所、国際医療協力部、国立看護大学校と、それをサポートする事務組織によりなっています。職員総数約1,500名です。この中で研究所の右側に書いてあります国際臨床研究センターは、法人化後に新たに病院と研究所の間に設置をした臨床研究の推進及び支援のための組織で、疫学部門、医療情報部門、臨床研究支援部門があります。内部には、データマネージメントセンターであるJCRACを含んでおります。
臨床研究支援部門は先ほどの3つの部門の1つで、そこには治験管理室、臨床研究相談室、支援室、推進室。支援室は倫理委員会を担当、推進室は研究のモニタリングを担当しております。その他利益相反マネージメント室、知財管理室などを置いております。
その下のセンターの基本構造について申し上げます。国立国際医療研究センターは、1993年に総合病院を基礎に発足したナショナルセンターです。44の診療科に及ぶいわば死角のない高度で総合的な医療を実践する病院を基盤にしております。その上に国際医療協力と病院・研究所の連携による臨床研究・橋渡し研究を行うという機能を置き、それを基軸的な任務としております。その中でも特に感染症、糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患は、当センターの中心ミッションとなる疾患群であり、それぞれがACC(HIVエイズのセンター)、DCC(新興・再興感染症等の感染症のセンター)、糖尿病研究センター、肝炎・免疫研究センターというような、臨床と研究を一体化した部門のもとに、いま述べましたような機能を果たしております。つまりセンターが2頁の下の図のように三層構造をとっているのが大きな特徴です。
このような構造は最初から描かれたものではありません。1996年のHIVエイズ裁判の和解によってACCが作られることになり、2002年のSARSの勃発から新興・再興感染症の問題によりDCCが作られました。開発途上国における糖尿病の爆発的な増加が特に注目されてくるようになりましたのは2000年以降です。あるいは肝炎問題等の社会の変化に伴って出来上がってきたものです。いわば現在でも変化しつつあるナショナルセンターであると言うことができます。
当センターの運営について簡単に述べます。法人には理事会のもとに運営会議があり、2週間に1回、理事、監事の出席のもとに運営会議理事会を開催しています。運営方針案の策定のために毎週、病院幹部連絡会または病院部門長会議を開催。毎週診療事務連絡会議、各週で企画戦略室会議を開催し、全て理事長が出席しております。企画戦略室及び総長特任補佐等のスタッフが理事長をサポートしながら、理事会において全体の運営方針を決定することにしております。
次の3頁では、各部門についてごく簡単に説明いたします。研究所では、感染症あるいは糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患等を中心とする研究を行っております。例えば最近では、人種を越えて重要な2型糖尿病関連遺伝子の同定、あるいはウイルス肝炎治療の有効性の個人差を遺伝子レベルで解明するような研究結果を発表しております。海外拠点との共同研究による鳥インフルエンザの迅速診断キットの開発等も行っております。センター病院では、救命救急センターを開設し、救急車の搬送・搬入数が1万件を超える、都内でも最大規模の救急車受け入れ施設となっています。また、研修医やレジデントの教育施設としても国内でも最も人気のある施設の1つとして知られております。ACCは我が国のHIVエイズ治療・研究開発のトップ機関であり、DCCは特定感染症病棟を持っており、国家危機管理機関として機能しております。国府台病院は、現在肝炎・免疫研究センターを整備しつつあります。従来より児童精神科医療の機関として広く知られ、また、精神科救急の受け入れ病院としてもその役割を果たしています。
次の4頁ですが、国際医療協力部は、当センターの最初からの基軸的な中心ミッションの1つであり、国際機関やJICAと共に国際保健医療協力事業を推進するため、毎年100名を超えるスタッフを海外に派遣し、あるいは250名を超える研修生を海外から受け入れています。国立看護大学校では、高い臨床看護実践能力と看護研究能力を備えた看護師の育成を目指しております。国立国際医療研究センターは、今後、新しい診断法・治療法の開発研究の推進に向けて、ますますその力を発揮することが必要とされております。これからの疾病は、高齢者を中心とした生活習慣病の背景をもった患者さんの問題がますます重要となり、患者の特性に即した治療法の開発が求められることとなってきました。このような疾病の特徴から、当センターのような総合診療機能と急性期対応能力を有する病院での研究開発が重要になってきていると考えております。
国立国際医療研究センターは、変化してまいります国民の健康上の課題に対し、その機能を変化させてまいりました。これからは一層新しい診断法や、治療法の開発にも重点をおき、更にセンターの改革を進めていく必要があるだろうと考えています。具体的に何点か挙げると、運営交付金の中から、10億円を研究開発費にあて、その中でも特に国際的にトップレベルの成果を挙げることを目指す研究者を3~5年の任期を付して広く公募し、外部委員によって編成される選考委員会で選考し、これを「プロジェクト研究」と呼んで、このような研究を開始いたしました。選考された課題に対しては、若手のスタッフと研究費、スペースを提供することとし、毎年1~2件を選考して将来を期したいと考えております。
2番目に、センター内で既に実施している病院コホートによるバイオリソースの充実を図るとともに、6センター(6NC)を一致し合同で要望を出しました6NCバイオバンクをそれぞれのセンターで強化するとともに、共通プラットフォームの構築を目指して6NC中央バイオバンクの設置を目指します。共通プラットフォームというのは、試料と付随情報収集保管のシステムの標準化や、倫理起案の手続きの整備、データベース管理、あるいはバイオインフォーマテックスの研究等を含みます。そういう設置を目指しております。また、現在活動中のJCRACデータマネジメントセンターの機能を充実させていきたいと考えております。
3番目には、新薬の開発を目指して、できればファースト・イン・ヒューマン試験をも視野に入れた早期・探索的臨床試験の部門の開設を計画しております。総合診療能力があり、救命救急センターを有する国立国際医療研究センターは、探索的臨床試験の設備とスタッフを充実することさえ出来たならば、本来最もふさわしいナショナルセンターとなるのではないかと考えております。4番目には、近い将来、例えば糖尿病に対する再生医療等の新規の治療法を視野に入れた開発医療の部門を開設することも検討しております。
以上のように、目指すべき機能の充実のために、現在、人材の確保をはじめ様々な準備を行いつつあります。これからもその役割を果たして機能を向上し、変化していくべきセンターであると考えております。我々はその目標のために今後とも努力していく所存です。以上、ごく簡単に当センターについてご紹介しました。これから平成22年度の具体的な取組状況について担当者より説明します。以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。それでは個別評価に入る前に、評価の進め方について説明します。評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。評価の指標として計画通りであれば「B」評価、中期計画を上回っていれば「A」評価、想定外の要因を加味しており計画を大幅に上回っていれば「S」評価になります。計画どおり上手くいったのは「B」評価です。例え「B」がついてもがっかりしないようにしていただきたいと思います。
第1グループ、項目番号では1~3です。研究開発に関する事項についての評価を行いたいと思います。時間は法人からの説明は10分、委員の質疑応答が15分の合計25分となっておりますのでよろしくお願いいたします。説明を始めて下さい。お願いします。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
企画戦略室長の松本義幸です。私のほうから実績について説明します。お手元のA3横長の「業績実績評価シート」に基づいて説明します。まず始めに評価項目1について、資料2-3の4頁です。数値目標は、研究開発費等による研究所等と病院の共同研究を毎年10件以上という目標です。平成22年度は、12件実施しております。また、開発初期の臨床研究の外部機関等との共同研究数を毎年10件以上については、7件です。ただ、これは外部機関を非常に厳格に捉えており、民間企業等と大学ということです。他のNCとの共同研究が13件程ございますが、これは含まれないのではないかと考え含めておりません。そういう状況です。
先ほど総長が申し上げましたが、当センターの中心疾患であります糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患については、糖尿病研究センター、肝炎・免疫センターを設置しました。評価の視点に基づいて簡単に説明します。4頁の中ほどに臨床医学と基礎研究をつなぐ臨床家を育成するために「Physician scientist育成に向けた懇話会」を1回開催しています。また、臨床研究センターの研究支援部に室長3名を新たに任命するなど、大幅な体制強化を図りまして、相談、倫理的事項の整理、研究管理を行うための体制を整備いたしました。また、臨床研究には必須でありますデータマネジメント機能についても整備したところです。年度の計画としては、研究基盤の整備に着手することでおりましたが、年度計画を上回るような成果を上げたと考えております。
次に5頁の大学等との連携です。当センターの隣に早稲田大学があります。早稲田大学の理工学部と研究者同士の交流を始めとしてWANCOの会を作りました。既に4回、若手研究者の研究発表会あるいは現場見学会を開催しております。このWANCOの会を契機として、研究所の3つの研究部が早稲田大学と共同研究を始めました。また、WANCOの会から派生して医療化学懇談会が組織され、ここまで進むことは予定しておりませんでした。理化学研究所との間では、研究シーズに関する意見交換会を実施しております。
同じ頁の中ほど、研究の企画・評価です。外部専門家による事前評価委員会、中間・事後評価委員会を編成し、研究の事前評価・事後評価を行っております。評価については配点基準を示し、点数化して客観的評価を実施しております。5頁の下のほうに知財関係をまとめております。知財というのはなかなかこれまで弱かったこともありまして、センター内の知財管理体制の整備を進めてまいりました。特に下から3番目のところにありますが、外部リソースを活用した知財関連の相談体制を構築しました。数値目標については、未達成のところもありましたが、未達成の部分は先程説明したとおりであります。研究開発の推進に向けた基盤の充実、体制強化、大学等との連携等、中期目標を上回っているということで「A」と評価させていただきました。
次に評価項目2です。お手元の資料の8頁をお開きください。「病院における研究・開発の推進」です。数値目標のところで、治験の申請から症例登録までの期間が年度当初171日でしたが、年度末には110日となりました。年度の目標が110日ということで、これは達成しました。次に評価の視点に基づいて説明いたします。臨床研究基盤の整備ということで、評価項目1のところでも説明しましたが、国際臨床研究センターの体制強化を図ったこと、データマネジメント機能を整備したということが、当初計画を大幅に上回っていると考えております。また、8頁の中ほどの倫理審査委員会です。倫理審査委員会を定期的に開催しております。一般研究については8回、遺伝子解析を4回、計12回開催しました。それと臨時で1回開催しましたが、これは宗教上の理由がある方の治療に関するものです。この倫理審査会においては、患者・家族への説明文書と同意の取得について検討を加えまして、委員会の指摘事項を遵守することを条件に許可をする形にしております。
更にいちばん下のところで、職員の研究倫理向上のため申請に必須の資格として、臨床研究認定制度を新設いたしました。6回の認定講習会を開催し、858名が受講いたしました。この受講については、研究をしようという者は必ずこれを受講することを義務づけていまして、2回以上受講した者307名に対して認定を与えております。中期計画では、研究倫理の向上を図るということで、このような制度までは言及していませんが、この認定制度の新設ということで計画を大幅に上回ったと考えております。臨床研究、倫理委員会の審議内容等については、ホームページで公開しております。このように計画を大幅に上回っているということで「S」と評価しました。
次に評価項目3です。お手元の資料、これは結構分量があり、19頁から23頁まで広がっております。「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」です。数値目標は、論文誌への掲載論文数10%以上の増加を目標と掲げておりますが、Web of Scienceで検索いたしましたが、21年度は204編が22年度は252編で、24%の増となりました。また、臨床研究実施件数や治験実施件数の合計数の10%以上の増加を目標にしていますが、両者合わせまして214件が260件ということで、21%の増ということであり、中期計画を上回っているところです。
次に評価の視点について主なものをご説明いたします。19頁のいちばん下、論文被引用総数です。これもWeb of Scienceで調査しましたが、平成21年に4,062あったものが、平成22年は4,475、413増えております。最近10年間の平均増分が323ですので、平成21年から22年までの1年間は伸びが加速していると考えております。
次に20頁の感染症の部分です。いちばん上のところです。H5N1肺炎について包括的治療戦略、Comprehensive Therapy for human H5N1と省略しておりますが、それを開発いたしましてベトナムで治療を行って研究の展開を図ったところです。また、富山化学、第一三共株式会社等と産学共同プロジェクトを実施いたしまして、開発中の抗ウイルス剤を使っての研究を実施しました。もう少し詳しいものについては、21頁の下の欄にそれぞれ記載しております。
21頁のいちばん上のところです。ACCでは肝硬変を有するHIV感染者に対する自己骨髄輸注療法の第1例目を本年3月に実施しております。また、日本人に適した、逆転写酵素阻害薬を使用しない新しい治療法の開発のための臨床試験を開始しているところです。
同じ21頁の中ほど、合併症を有します2型糖尿病患者を対象として核医学を用いた無症候性虚血性心疾患の頻度の調査や、インスリン抗体を産生するようになった患者さんのインスリンの用法・用量の検討等を行っております。
同じ21頁のいちばん下です。C型慢性肝炎に対しますインターフェロン治療の効果の予測については、IL28Bという遺伝子のところへの変異により治療の効果が分かることがわかり、IL28BSNP測定を実際の患者さんで開始したところです。
次の頁で国際協力の部分です。22頁の中ほどから下です。途上国の保健動向の情報収集・分析を行い、ホームページに掲載いたしました。また、いちばん下の23頁のところにありますが、ベトナムのバクマイ病院との間で協定を締結するための必要な連携の在り方等を調査して、ネットワークの強化に努めているところです。
以上説明したように、数値目標が中期計画を上回り、戦略的かつ重点的な研究開発の推進に取り組んでいるということで、「A」と評価させていただきました。以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。
○猿田部会長代理
まず伺いたいのは、先生の所では非常に研究が進んでいますが、先ほど理事長からもお話がありましたファースト・イン・ヒューマンのことも考えているということになると、知財権をしっかり固めなければいけないと。いまは、専属の方はいないということで、顧問の形で人を雇っているのでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
専属といいますか、一応担当の部長が兼務してやっていますが、いろいろな相談については外部機関と顧問契約を結んで定期的に相談をして、これが知財として本当にものになるか判断する体制が整ったところです。あとは、センターの中にそういう委員会を設けまして、できるだけ発掘するということです。それから、知財に対する認識を研究者が深める必要があり、知財はこういうものだよということで、いろいろな仕組を含めまして、昨年の9月に研究者を対象にして講習会を開いて認識をもってもらった状況です。
○猿田部会長代理
どうしても日本の医学関係の研究者たちは、そこのところが弱いものですから、余程しっかり固める必要があるのではないかと思います。それからもう1つは、いま早稲田大学とかなり連携を結んでいますが、いずれは例えば早稲田大学ですと理工学博士という形になるのかもしれませんが、そのようなところまで大学との連携は考えていらっしゃるのでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
最終的には、当センターの総長と早稲田大学側の総長とで覚書を結び、大学院での講議なども考えて、連携を視野に入れてから進めたいと思います。
○猿田部会長代理
ナショナルセンターはほかにも、いまそういうことを考えていらっしゃるものですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
何度かセンター内で総長の間で話し合いをしまして、そういう方向で検討しています。
○猿田部会長代理
そうすると、研究者にも励みになりますね。
○永井部会長
ほかにはいかがでしょうか。臨床研究の申請項目数、課題数は増えているのですか。届け出が必要だと思いますが。それから、それに対して統計家の指導がどうなっているかですね。ある程度、統計家が初めから相談に乗らないと、データだけ集めても論文にならないということはあると思います。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
件数は、一応増えています。また、先ほど申し上げましたが、臨床研究支援部に統計の専門家は現在は専属ではおりませんが、近いうちに専属の者が着任することとなっており、相談をして研究のデザインをすることにしています。そうしないと、確かに部会長がおっしゃるように集めてもいいデータになりませんし、論文にもなりません。そういう観点から、あとで申し上げますが、初期臨床研修に必須科目として臨床研究と統計の重要性を教える講座を入れています。
○国立国際医療研究センター理事長
ちょっと補足しますが、いま説明があったように、研修医の頃から臨床研究のマインドを養うように、2週間ワンクールですべての研修医が少人数教育を受けられるコースをつくっていまして、2年ぐらい前からずっとやっています。それから統計家については、非常に残念ですが常勤の統計家が事情があってお辞めになって、次の統計家の先生を決めているのですが、まだアメリカでアポイントメントがありますので、その間 約1年間ぐらいの間ですが、ある大学から定期的に来ていただくということでお願いをしています。臨床研究については、臨床研究相談室を設けて、そこにPMDAを経験した医師が室長として常時おりまして、そのほか研究所のメンバーで臨床研究のプロトコールを倫理委員会に出す前にレビューをするシステムをつくっています。
○夏目委員
大学との連携のところで、早稲田大学理工学部との間の取組、会合等を開始されたという話なのですが、これは物理的に近かったことがきっかけで、何か人的なつながりや土壌みたいなものが事前にあったのか、単に近いから声を掛けたということなのですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
近いというのと、研究所の副所長が早稲田に知り合いがいて連携してみませんかというところから出発したのがきっかけであると思います。
○国立国際医療研究センター理事長
補足します。大学に生命理工という組織がありまして、そこには知っている先生が随分おいでになって、そういうことがアンダーグラウンドでずっとあった状態で、このような提携を結ぶことになったわけです。
○永井部会長
よろしいでしょうか。そうしましたら、評価の記入をお願いします。よろしければ、次の第2グループ、項目4~6、医療の提供に関する事項についての評価に進みたいと思います。10分で説明をお願いします。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
評価項目4「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」です。お手元の資料26頁をご覧ください。初めに数値目標ですが、HIV・エイズ患者に対して、薬剤耐性や薬剤血中濃度のモニターに基づいて、個々人の病態に即した医療を年間150例以上提供するという目標を立てていました。平成22年度には、375例提供することができました。これは目標を大幅に上回りました。
評価の視点に基づいて説明します。既に評価項目3で申し上げましたが、研究所と協力しつつ、H5N1に対する治療方法の開発や、慢性肝炎に対するインターフェロン治療、また血糖コントロールが不安定な患者に対しての連続血糖測定システムを活用したテーラーメイド治療を、35名の患者さんに実施しました。また、医療の標準化ということで、エビデンスに基づいた標準治療が可能となるように、当センターは昨年新棟になりましてフル電子カルテ化しました。これまでは、電子カルテで電子ジャーナルを見ることができませんでしたが、診療をしながら電子ジャーナルにアクセスしたいという要望がありまして、電子カルテシステム上から電子ジャーナルを参照できるシステムを実装しまして、診療を行っています。そのようなことから、中期目標を大幅に上回ったと考えていまして、評価は「S」とさせていただきました。
評価項目5は、「患者の視点に立った良質かつ安全な医療の提供」です。お手元の資料の32、33頁をご覧ください。まず、数値目標から説明させていただきます。セカンドオピニオンを年180件以上という目標について、241件ございました。また、医療安全研修会・感染症対策研修会を年3回以上行うことについては、医療安全についての研修会を3回、感染症対策の研修会を5回、計8回実施しました。また、医療安全マニュアルを年1回改訂するという目標ですが、これは「医療安全ポケットマニュアル」を新たに作成しまして、全職員に配布して携帯を義務づけたところです。数値目標は、計画を大幅に上回ったと考えています。
評価の視点についてです。33頁の上から2つ目です。当センターは、患者満足度調査を定期的に実施しています。その結果の分析結果については、それぞれの診療科にフィードバックしています。例えを挙げますと、受付から診療終了までの待ち時間の結果は各診療科によって違いますが、待ち時間を示しまして診療科ごとにそれぞれ改善をしていただいて短縮化を図っています。また、会計時の待ち時間短縮のために、会計が混雑する時間に職員の集中配置をする、あるいは自動支払機を導入することで短縮化を図っています。また、毎月1回患者サービス推進委員会を開いています。患者さんからのご意見を文書でいただいていますが、その意見について、どのように改善するかを検討します。その改善内容については、院内に掲示して、投書した方にわかるようにしていますし、職員に対してはセンター管理会議という副師長以上、診療科長以上の情報伝達の会議を月1回開いていまして、そこで示して周知を図り、改善に努めているところです。
下から2つ目の欄、チーム医療についてです。医師・看護師・コーディネーターナース等によるチーム医療ということで、HIV・エイズについては91%の患者さんにチーム医療を提供しました。また、糖尿病分野、肝炎とHIVの重複感染者の医療については、100%の患者さんに対して実施しました。34頁です。医療の安全と院内感染対策は、医療機関にとっては大変重要なものです。特に34頁の上から2つ目の医療安全についてですが、医療安全推進委員会を月1回開催していまして、それぞれ報告されたヒヤリ・ハット事例の対策を検討しています。結果については、センター管理会議で報告し、共有化しています。また、院内ホームページにヒヤリ・ハットNEWSを設けて、職員に伝達することにしています。その下の院内感染対策ですが、起因菌の検出や抗菌剤の使用状況、血液培養・カテーテル感染・コンタミネーション率などの院内サーベランスを行っています。この結果については、月1回開いています院内感染対策委員会で報告され、どのように対応するかを検討しています。また、週1回インフェクションコントロールチームという感染予防チームが病棟ラウンドを行っていまして、それを通じて問題のある所の改善を図っているところです。この感染対策についても、定期的にセンター管理会議で報告してもらい、周知を図っています。
34頁の最後です。医療の質の評価に必要な基礎データを取り出すために、電子カルテより情報を取り出せるように、データウェアハウスを整備しました。今後これを活用して、いろいろな診療の質の評価をしていこうと考えています。以上申し上げましたように、患者の療養環境向上に向けまして、患者の声を聞き、アメニティーの改善に取り組みながら、安全な医療の提供を実施しています。数値目標も大きく上回っていることから、評価は「S」とさせていただきました。
評価項目の6です。お手元の資料の36頁をご覧ください。「その他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供」です。数値目標ですが、総長から説明がありましたように、国府台病院で精神の診療を行っていますが、国府台地区で精神科救急病棟入院患者における重症身体合併症の割合を5%以上という目標を立て、より多くの身体合併症の患者さんを診ようと取り組んでいます。平成22年度は、年度平均で13%で、5%と比べても大きく上回っています。評価の視点についてですが、総長からも説明しましたように、昨年の9月に当センターは救命救急センターとして認可を受けました。そこにありますように、それ以後三次救急搬送が30~40%増えました。また、二次救急も30%増えました。救急搬送については、平成21年度が9,742件であったものが、1万873件ということで、大変救急搬送が急増しました。救急部の前には救急車が止まっていないことがほとんどないぐらいの状況です。
国際化に伴う必要な医療の提供です。当センターは国際疾病センターを持っていますが、渡航前の健診や赴任地におけるワクチンの接種が必要なことがありますので、ワクチンの接種等を行っています。渡航前の健診については2,561名、帰国後受けられた方が340名です。さらには、当初このような計画は入っていませんでしたが、昨年8月より黄熱病ワクチンの接種を実施するようになりました。これは、ちょっと計画にないことが入ってきました。このようなことから、計画を大きく上回っているということで、評価は「S」とさせていただきました。以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。ご質問はいかがでしょうか。
○猿田部会長代理
2、3質問させていただきます。どこの病院でも、1番は会計の待ち時間が長くなることが問題ですが、大体いまはどのぐらいの待ち時間になっていますか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
予約の方の山がありまして、大体30分ぐらいに最初の山、1時間ぐらい低い山がありまして、平均待ち時間はその間ぐらいになります。昨年の1月と今年の1月で比べていますが、36分が32分台ぐらいで、数分間縮まったことにはなっています。
○猿田部会長代理
患者さんからの投書箱のようなものを設けていると思うのですが、そこでいちばん多いのは時間のことですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
接遇の問題をよく言われることはありますが、待ち時間の問題についてもやはり待ち時間が長い、あるいは会計がもっと早くなると思ったがまだ待たされるというようなことがあります。件数については、会計については減りましたし、待ち時間についてもだいぶ減ってはきたと思います。ただ、0にするまで頑張らないといけないと思っています。
○猿田部会長代理
国立病院機構を見ていても、かなり各病院でその問題がいちばん大切なものですから。ありがとうございました。
○夏目委員
それに絡むのですが、いま会計の待ち時間のお話があったのですが、評価シートの27頁に診療での待ち時間が、たぶん5点法だと思うのですが、2.62から2.67と改善はされているものの、あまりよくないですね。これは、何か診療のための待ち時間の対策等は講じられているのでしょうか。椅子の整備などに留まっているのか、その辺りはいかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
各診療科に任せている部分がありますが、30分の中に3人予約を入れるとか、もう少し増やすなど、診療科によってちょっとばらつきがあったりします。そのところで、早く縮まる所、あるいは診療科によっては非常に長引くような患者さんもいたりしまして、なかなかすぐには思ったような改善が取れていないところがあります。
○永井部会長
それについては、私はいつも意見があるのですが、30分に3人いれると、その3人は自分が何番目かわからないので全員早く来てしまう可能性があるわけですね。3番目の人は、少なくとも30分待ってしまうと。でしたら、10分に1人ずつ入れられないのかということです。私は、東大でものすごく抵抗があったのですが、やってみたらやはりそのほうが平均待ち時間は減ったように思うのですが、それはできないでしょうか。ちょっとコンピューターのソフトの開発が必要になるのですが。
○国立国際医療研究センター理事長
ご指摘の問題については、私も内部では待ち時間の改善は非常に重要であるということで、常に言っています。1つは、現在外来棟を建設中で、外来アメニティーが悪化しているのですね。距離を歩いたりしないといけないのですが、外来棟が出来上がる時点までには改善しなければいけないことだと。改善できる点として、診察終了後に支払いまでの期間をかなり短縮することができまして、これについてはかなりよくなったと思います。
○猿田部会長代理
医療安全研修会や感染症に対する研修会を5、6回やっていますが、最後までずっと同じぐらい皆一生懸命出てくれますか。先ほどもあったのですが、だんだん人数が減っていってしまうことはないのですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
この管理の仕方をどうするかですね。ちょっと話が変わりますが、先ほどの認定講習会については、途中でのエスケープを許さないということをやっていますが、診療を抱えてやっているところがありまして、やはりそこができるかどうかがありますが、最後まで受講する工夫をしたいと思います。また、その研修会に参加できなかった人もいますので、それについてはDVDで空いたときにきちんと受講するように指導し、受講したかどうかについても把握するよう進めています。
○猿田部会長代理
ペナルティーなどは設けていないのですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
そういう意見もありますが、まずは受講させるということで、次のステップとしては、受講しない者については診療のIDを取り上げて電子カルテにアクセスできないようにするということも考えないといけないのかなと思います。まずは、受講させることの意識改革を図っているところです。
○猿田部会長代理
随分感染症を扱っていらっしゃいますから、そういった点では重要かと思います。
○花井委員
36頁の救急医療の件なのですが、これは全体で1万873件で、三次が100件、二次が1,000件となると、単純に考えると残りの9,700件は一次救急という理解でよろしいのでしょうか。例えば、この一次の部分が多過ぎると考えていらっしゃるのか、それを減らせばある程度不足をしている救命の部分が手厚くできるということがあるのかどうかと。もしあるのであれば、何らかの手立ては考えておられるのでしょうか。
それから、ちょっと細かい話なのですが、HIVの医療でいわゆる薬剤耐性と動態モニターを150件以上提供が327例となっていますが、これは単純に動態によって薬が増減しているパターンと、通常薬剤耐性は普通効かない人にはやると思うのですが、ジェノタイプか何かで耐性検査をしてレジュメを決めた患者さんの合算というイメージでよろしいのでしょうか。
○国立国際医療研究センターエイズ治療・開発研究センター長
HIVのほうを先にお答えします。病態に即したということで、その人のベストの治療効果が得られるように、適宜そういった検査を行っているというのが、数を合算しているところです。血中濃度等のモニターに関しては、我々はもともとある薬の血中濃度が非常にばらつくことを2004年に世界で初めて見つけていますが、そういったものをより日常診療に持ち込んでいる数字がここに表われています。
○永井部会長
いずれも数値目標を非常に大きく上回っていますが、これは意外だったというような想定外の部分は何かないでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
それは、評価項目の6の所でしょうか。
○永井部会長
具体的には。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
想定外という点においては、例えば評価項目6については、黄熱病のワクチン接種は当初計画していませんので、途中から入ってきまして、その体制を取るというようなこともいろいろありました。その点は、当初年度計画を立てるときはなかったことです。先ほど救急のところで、月100件と月1,000件で合わせて1,100件×12ということになります。
○花井委員
そうですか。比率からいうと、これは一次救急はどの程度になりますか。数字を見違えてしまって、申し訳ありません。二次と三次を足した数が、1万になるのですか。
○国立国際医療研究センター理事長
1万というのは、救急車の搬入数です。
○花井委員
搬入数ですよね。
○国立国際医療研究センター理事長
ウォークインもあります。夜中に歩いてみえる方もいます。ですから、1つは本当の意味の二次、三次救急プラスER的な機能を持っているのですね。ですから、それを少し重症のほうに重点をおきながら、ER的なものを少し制限するようなことはどうかというご意見は必ずもらいますが。
○花井委員
ちょっと数字を間違えたのですが、ER的な部分が非常に不足している中で、わりと軽い方が来られて、救急機能が阻害されることがあるかどうかをお聞きしたいのです。
○国立国際医療研究センター理事長
それは、確かにいまおっしゃったような方向が望ましいと思いますが、ウォークインでお出でになる方は、いまの制度の下では制限することはなかなかできませんので、お受けしているというのが実情だと思います。確かに、周辺に24時間やっている所はそんなにたくさんありませんので。答えになっていますか。
○花井委員
なっています。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、次の第3グループ、項目7~11、人材育成に関する事項、医療の均てん化と情報の収集、発信に関する事項、国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項を、合わせて10分で説明をお願いします。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
評価項目7です。お手元の資料の40頁をご覧ください。まず数値目標ですが、センター外の医療従事者向けの研修会等を毎年20回以上と掲げています。HIV・エイズについてが18回、新興・再興感染症が3回、糖尿病5回、精神疾患8回、肝炎3回ということで、37回の研修会をやっていまして、20回と比べて大幅に上回っています。評価の視点については、先ほど総長からも説明しましたが、当センターは初期研修医が105名、後期研修医が131名と多くを受け入れまして、実地での臨床、医学を学んでいただいています。初期研修については、昨年のマッチングでは市中病院でトップでした。特徴的なこととしましては、初期研修に疫学・医学統計基礎講座を設けています。また後期研修カリキュラムについては、研究所体験コースを設けまして、臨床研究に必要な素養の取得に取り組むようなカリキュラムを組んでいます。
また、世界的な保健医療人員を育成することも大事な役割で、後期研修プログラムとして、国際保健医療協力レジデント研修を行っていて、若手医師を対象とした海外留学制度を整備しています。このように、研究所、国際医療協力部と緊密な連携を取りまして、より研究や国際協力に関心を持つ若手医師を育成して、質の高い人材育成に取り組んでいるところです。目標も上回っていますし、これまでのいろいろな取組をやっているということで、評価は「S」とさせていただきました。
次に評価項目8「医療の均てん化と情報の収集・発信」です。数値目標は、お手元の資料の43頁をご覧ください。ホームページのアクセス数を年間1,000万PV以上と掲げましたが、平成22年度は1,299万と3割ほど伸びました。昨年8月に新棟開棟と併せて、ホームページを見やすくリニューアルしたほか、HIV・エイズや感染症、肝炎、糖尿病、児童精神の各分野でも、ホームページでの情報発信に取り組み、国民や医療従事者に対する情報提供を行っています。
評価の視点ですが、高度先駆的医療及び標準的医療の普及のために、ACCにおいては全国8ブロック、首都圏で4箇所で協議会を開いています。また、肝炎センターについては、全国56の拠点病院を集めまして、2回ほど協議会を開催しています。医療従事者向け研修会等も3回開催しています。国府台病院については、児童精神の地域連携会議等も開催しています。数値目標を上回ったということで、評価は「S」とさせていただきました。
評価項目9「国への政策提言その他」です。47、48頁をご覧ください。数値目標は、新感染症の発生に向けた訓練1回以上ということです。これについては、東京港検疫所主催のH5N1の発生対応訓練にも参加しましたし、センター自身で患者受け入れの訓練を行いました。それから、国際協力の関係で、途上国に技術協力のために、中期目標期間中に400人の専門家を派遣するという目標を立てていますが、平成22年度で112名と、既に目標の28%を達成しています。また、途上国からの研修生を中期目標期間内に800人以上を受け入れる目標を立てていますが、平成22年度で252名、既に全体としては31.5%を達成しました。数値目標については、中期計画を上回るペースで進んでいます。
評価の視点に沿って申し上げます。47頁をご覧ください。下から2つ目の欄、厚生労働省のエイズ動向委員会や薬事審議会に当センター職員が委員として出席しまして、専門的知識に基づき提言を行っています。また肝炎情報センターにおいては、インターフェロンの治療効果を判定する情報を全国の病院から取り集めまして、専門医が関与すれば入院治療でも外来治療でも差がないことを明らかにいたしました。入院だと大変で、なかなか治療に繋がらないということでしたので、外来治療で大丈夫だということを明らかにしまして、外来治療を勧める政策を提言しました。
それから、戸山地区の職員全体を対象とした災害訓練を実施しました。また、3月11日に発生いたしました東日本大震災に際しては、発生後数時間でDMATを派遣しました。その後、ニーズがだいぶ変わってまいりまして、第三次派遣より国際医療協力部を中心とした復興期における継続的な保健医療協力を実施してまいりました。活動拠点としては、東松島市の西側の鳴瀬地区を中心に活動しています。平成23年度になりましてもこの派遣をやっていまして、これまで53次隊、延べ250名を超える職員を派遣しています。また国府台からは、心のケアチームを派遣しまして、石巻市を中心として心の健康についての支援活動を行っています。
次に、国際協力です。JICAの要請を受けまして、ニュージーランド地震、インドネシア火山噴火の降灰対策、パキスタンの洪水等に緊急援助ということで派遣しています。また、国際保健医療に関する人材を養成するために、国際保健基礎講座を開催しました。延べ275名の方が受講されています。繰り返しになりますが、ベトナムのバクマイ病院と医療協力に関する合意書を締結しまして、ネットワークを広げています。東日本大震災に対する支援、あるいはニュージーランド地震等への海外の災害に対する支援は想定外のことでして、それもかなり大きな負担となりましたが、計画を大きく上回っているということで評価は「S」とさせていただきました。
評価項目10「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」です。主として、HIV・エイズです。評価の視点で申し上げますと、診療実績について入院患者数は、延べ7,754名、外来は延べ1万2,361名の方を診察しています。また、外部からの相談件数が2,832名です。エイズ診療の水準の向上に向けまして、エイズ拠点病院などへの研修等を実施しています。これについては、先ほど述べたとおりです。また患者教育用の小冊子を8,200ほど作りまして、配布しています。これは、なかなかわかりやすくて、お医者さん方も大変活用しているということです。また医療従事者が自己研修ができるようにということで、研修した内容をE-learningの形で公開する形で、これはいままでやっていませんでしたが、このような取組をしています。
また、全国8ブロックの拠点病院とネットワークを構築してお互いに支え合っていますし、人材の面では北陸の拠点病院であります石川県立病院が医師が足りないということで、医師を派遣して外来診療をサポートしました。東日本大震災においては、被災地の診療状況をサポートするために、迅速にホームページで特設コーナーを設けて情報提供を行いました。研修は研究計画を上回って実施していますし、東日本大震災等への対応等も含めまして、評価は「A」とさせていただきました。
評価項目11「看護に関する教育及び研究」です。お手元の資料53頁をご覧ください。数値目標ですが、オープンキャンパスや公開講座は毎年3回以上開催という目標を立てていますが、看護学部がオープンキャンパスを2回、これについては600人の参加を得られました。また、研究課程部のオープンキャンパスを3回、地元での公開講座を2回、併せて7回開きました。目標については、中期目標を上回っています。また少子化の時代、受験生の確保が非常に大きなところですが、このようなオープンキャンパスも受験生の獲得につながったかと思っています。
評価の視点で申し上げますと、研究課程部の中に長期履修制度を導入しまして、教育環境の充実を図りました。またオープンキャンパスについては、先ほど申し上げましたが、オープンキャンパスのほかに進学予備校の進路相談会への参加や、ホームページを充実させ、質の高い学生確保に努めています。そのような努力の甲斐あってか、定員100名のところに約5倍弱ぐらいの受験生があったということです。また、臨床看護研究の支援も非常に大事でして、臨床看護研究推進センターも設置しまして、臨床看護研究の指導を行っています。数値目標は中期計画を上回っていますし、それぞれのことを着実に実施しているということで、評価は「A」とさせていただきました。以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。
○和田委員
国際貢献や国際交流に関連して、当法人は海外の医療機関とどの程度、何件ぐらい提携を結んでいらっしゃるのでしょうか。ベトナムと新たに締結したという記載はあったのですが、そのほかを含めてどのぐらいあるのでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
提携は、バクマイ病院1件だけです。ただ、フィールドとして使っているのが、ベトナムでもバクマイ以外の所いくつかと、あとはタイ、あるいはカンボジア等と、提携まではいっていませんが、協力関係のある病院はございます。
○国立国際医療研究センター国際医療協力部長
国際協力部長をしております金井要と申します。いまのご質問なのですが、国際医療協力関係のセクションが25年の実績がありまして、当初はJICAのプロジェクトが中心に、海外の医療機関と行っていたのですが、バクマイ病院に関しても10何年以上の我々からの派遣実績があり、直接国際医療研究センターと提携を結びたいということで、MOUという協定書を3年前に結びまして、昨年契約をつくり直したところです。ほかの医療機関でも、こちらとまた結びたいというような話を育てつつあるところです。
○夏目委員
評価シートの40頁の人材育成に関する事項の数値目標の研修会の開催について、37回ということでほぼ2倍に近い開催回数なのですが、これの参加人員というか、受講人員もほぼ同じぐらいの倍率で伸びておられるのか。それから、海外留学制度の整備とあるのですが、まだ留学制度を利用して医師が海外留学に行っていることはないということなのですか。これからということですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
研修の目標のところで、一応回数は目標に掲げていますが、人数についてまでの目標何名というところまでは挙げていません。ただ、37回の内訳については、38、39頁にそれぞれ何名参加したということはあります。例えば糖尿病ですと、延べ5回で582名、肝炎ですと医師向けの研究会が82名、看護師向けが59名と、ちょっと足し合わせていませんが。
○夏目委員
回数にほぼ比例して、受講者数も増えていると理解していいのですか。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
具体的に比較の数が手元にありませんので、明確には言えませんが、研修回数にほぼ比例してまでとはいきませんが、受講者数も増えています。
○国立国際医療研究センター国際医療協力部長
留学に関しては、昨年度整備しまして、本年度これから1人留学に向かうことになっています。
○夏目委員
そうですか。
○猿田部会長代理
看護教育その他に非常に力を入れているということで、病院としては看護師さんはもう十分ということですか。
○国立国際医療センター総務部長
まだ足りないということになっていまして、毎年センター病院ですと100名前後確保しています。例年に比べて、今年は退職者が少ないということもありまして、努力はしているのですが、来年度の募集に関しては大変苦労しています。募集定員だけを何とかと思っても、なかなか難しい状況です。特に、センターは新しい機能を持つ病院になりましたし、新棟を建てましていろいろな機能が充実していますので、そのための看護師さんたちが必要だと思っていまして、例年よりはプラスアルファーの看護師を確保したいと思っています。
○猿田部会長代理
結局、先生の所は非常に技術を持った看護師さんが常勤されていて、今度は一方で給与の問題が出てくると思います。そこのギャップが、国からは抑え込むようなことを盛んに言ってきていて、一方では非常に技術を持った看護師さんですので。
○国立国際医療研究センター企画戦略室長
追加で申し上げますと、やはり看護師の確保はなかなか大変です。院内に看護師確保プロジェクトチームを設けまして、それぞれ何人獲得するかという目標を掲げまして、全国を行脚して、いま獲得に努力しているところです。
○永井部会長
看護教育に関して、例の特定看護師制度が少しずつ始まっています。まだ先の話にはなると思いますが、それに対する準備は何かされていらっしゃるのですか。
○国府台病院看護部長
国府台病院看護部長の木村です。特定看護師に関しては、チーム医療の推進の上でも、これから準備をしていかなければいけないと考えております。いま現在、両病院の中で特定看護師となる人材はいないのですが、今後やはり看護師の役割拡大として特定看護師という枠組みを組み込む場合、臨床現場で円滑な業務を行うためには、医師と指示との関係、医療行為の指示・命令系統も含め、業務・組織面で新たな環境を整える必要があり、いま両病院の看護部で話し合っているところです。総長や両病院長と相談し、いろいろ検討していく必要があると思います。
○永井部会長
これは、たぶん看護教育だけでは済まなくて、医師との協働で医学教育的な面もありますね。その辺りで、いざ立ち上げるとなると大変だと思いますので、早めに検討だけでもされていたほうがいいと思います。
○国府台病院看護部長
ありがとうございます。包括的指示や具体的指示など指揮命令系統の在り方、パスや標準化など業務面の整備をしなければいけないこを話し合っているところです。
○永井部会長
よろしいでしょうか。それでは、記載をよろしくお願いします。次は、第4グループにまいります。項目の12~16、効率的な業務運営に関する事項、法令遵守等内部統制の適切な構築、予算、収支計画及び資金計画等、その他主務省令で定める業務運営に関する事項です。10分で説明をお願いします。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
財務経理部長の長谷川でございます。評価項目12「効率的な業務運営体制」についてご説明申し上げます。お手元の評価シートの54、55頁に業務の実績を記載させていただいています。この実績につきましては、56頁評価の視点に基づきましてポイントを絞ってご説明を申し上げたいと思います。
まず、センターの企画立案・調整・分析機能の向上、人的・物的資源の有効活用、ガバナンスの強化、並びに、効果を発揮するための組織の再編といった視点に対しまして、センターの使命を果たすため、総務、人事、企画経営、財務経理の4部体制の組織を構築し、効率的・効果的運営を確保する体制を確保した点。2番目としまして、理事会、企画戦略室、コンプライアンス室、監査室を設置し、組織の活性化とガバナンスの強化を図りました。3番目としまして、国府台病院と看護大学校の事務の一部、具体的には財務・給与・調達の事務ですが、この一部を戸山地区に一元化いたしました。4番目は、DPC準備病院として適切に対応する観点で、医事室の強化を図りました。5番目としまして、昨年、救命救急センターの指定を受けまして、その充実・強化を図るため、看護部門の見直しを行うなど、数多くの取組を行いました。
次に、総人件費改革の取組です。まず、6名の技能職の退職後の補充については行わず、非常勤職員への切替え又は外部委託化を行いました。さらに、検査部門のブランチラボの一部導入により、3,580万円の効率化を行いました。平成22年度の総人件費は101.7億円で、これは平成21年度に比べて4.6%増になりました。増加は主に、新興・再興感染症、糖尿病、肝炎など、当センターの使命を着実に果たすための医師確保等の配置、これらの治験・臨床研究体制の強化を図るための増員によるもので、センターの使命を果たしつつ、昨年度は人事院勧告に準じた給与月額・業績手当の引き下げを行うなど、人件費改革にも取り組んでいます。今後とも、技能職の退職後補充、平均在院日数の短縮化、重症患者の受け入れ強化等、病院収益の改善に努めますとともに、研究・病院部門の人件費についても検討したいと考えています。
57頁です。高度先駆的医療の推進に対応する人材確保につきましては、先ほど申し上げました増員に加えまして、優秀な研究者を公募により25名採用しました。また、医療安全の推進につきましては、先ほどの説明にもありましたとおり、ヒヤリ・ハット事例の検証、また、全職員を対象とした医療安全研修会の実施、ポケットマニュアルの作成・携帯義務化などを通じまして、引き続き職員の意識の向上を図ってまいりたいと考えています。
58頁です。特命副医院長の設置です。これにつきましては、院内での位置づけ等を行うとともに、複数設置しました副医院長の役割、位置づけを明確化しました。評価項目12につきましては、いま申し上げましたとおり、数多くの改善に取り組みまして成果を上げていることから、自己評価は「A」とさせていただいています。
次に、評価項目13「効率化による収支改善・電子化の推進」です。評価シートの業務の実績は59頁から63頁です。64頁の評価の視点に沿いましてご説明申し上げたいと思います。
まず、数値目標の達成状況です。平成22年度の経常収支率は99.8%となり、年度計画で定めました96%を上回り、目標達成に向けて大きく進展したと考えています。2番目として、一般管理費です。委託費等の経費の縮減・見直しを図りまして、平成21年度に比べて1億1,000万円の削減、率にして14%の減で、6億7,400万円となりました。中期目標期間最終年度で15%節減の目標に向けて着実に進展しています。次に、医療未収金比率につきましては、0.122%で、平成21年度に比べまして、僅かではありますが0.006ポイント縮減し、中期目標に掲げる目標値を上回っています。
続きまして、評価の視点に沿った業績、業務の実績につきましてご説明申し上げます。当期純損失の評価です。これにつきましては、診療報酬の施設基準取得による診療点数の増加、あるいは委託費や経費のコスト縮減に努めまして、平成22年度の総収支計画のマイナス24億9,200万円から、マイナス7億5,000万円まで、17億4,200万円改善しました。これは、昨年は新中央棟の完成に伴う特別損失が多額となったためで、今後とも、診療報酬上の施設基準の新規取得や医療未収金の発生防止に努めるなど、医療収益の増加を図るとともに、共同入札の拡充、在庫管理の適正化、価格交渉等、医療費用の縮減に努めまして、経営改善を推進し、中期計画期間5年間で収支相償を目指したいと考えています。
次に65頁です。運営費交付金の執行についてです。執行率は92.7%です。残額としては6億1,500万円です。これについては翌年度に繰り越しています。具体的には、退職手当について、計画に対して退職者が少なかったため2億3,500万円、国際医療研究開発費につきまして、研究課題の未了によるため2億2,900万円、病棟解体撤去費用について、工事延期のため1億5,000万円、合計6億1,500万円を繰り越しました。
66頁です。給与水準の見直しについてです。職員給与の基本給につきましては、独法移行を機に民間や国立病院機構等との均衡等も考慮した上で、職員の職務内容と責任に応じた給与カーブとするなど、給与制度を見直しました。また、管理・監督的立場にある医長・室長以上の医師、研究員や、招へい型の任期付き職員への給与について、年俸制を導入しました。さらに、人事院勧告に基づきまして、俸給月額、業務手当の引き下げを行いました。なお、諸手当につきましては、民間医療機関等の給与実態、医師確保等を図るための手当と、経営努力のインセンティブを与える手当については、国や民間と同様であって適切なものを創設しました。
次に67頁です。材料費の抑制です。これにつきましては、まず、6センター共通の共同入札により、医薬品、検査試薬、医療材料について2,395万円の節減。また、センターが有する、センター病院と国府台の2つの病院による在宅医療機器の賃貸借、X線フィルムの共同入札を実施することにより、24万円の節減。国府台病院ではフィルムレス化の医用画像情報システムを導入することにより1,396万円の節減。制度的な対応ですが、落札者を契約価格交渉権者とする入札方法の変更による契約金額の抑制に取り組み、2,068万円の節減。SPDによる在庫管理の効率化、ないしは定数見直しによる在庫の縮減によりまして464万円の節減など、材料費の節減に取り組みました。
次に68頁です。医療未収金対策です。これにつきましては、新たにクレジットカードによる支払いの導入や、定期的な残高確認と支払案内による督促などを実施しました。今後とも、債権者ごとに回収計画を策定し回収に努めてまいりますとともに、貸倒懸念債権や破産更生債権等の特定を行いまして、その解消策・防止策の検討を進め、法的措置も検討してまいりたいと考えています。
診療報酬の請求の関係につきましては、毎月、外部のツールを活用しまして、レセプトの点検、制度管理調査を実施するとともに、毎月1回、レセプト担当者会議を開催しておりまして、問題点の改善、査定減、返戻内容の確認、防止策を検討、周知に努めています。
69頁です。電子化の推進です。これにつきましては、昨年、電子カルテの導入に併せまして、職員専用のホームページもリニューアルしました。機能の充実・利便性・操作性の向上を図りますとともに、紙媒体から電子媒体に情報伝達ツールを変更し、業務の効率化を図りました。この頁の最後の、財務会計システムです。これについては平成22年4月に導入しました。併せて、電子カルテ、物流システムと連携する経営分析システムを導入しまして、平成22年4月の独法移行当初から月次決算を実施しています。月次決算の結果につきましては、毎月の管理会議、運営会議、理事会など各種会議に報告しまして、幹部を始めとする全職員が経営状況を把握するために活用するとともに、これを基礎資料として経営の改善にも着手しました。
以上、数値目標について、特に、経常収支率が大きく上回ったこと、給与水準の見直し、材料費の抑制、未収金対策、さらに、独法開始当初から月次決算を導入して経営状況を把握して情報周知していること、経営改善に活用するなど、多くの取組、大きな成果を上げたことから、自己評価は「S」としました。
次に、評価項目14「法令遵守等内部統制の適切な構築」です。評価シートの業務の実績は70、71頁です。この評価の視点は72頁をご覧ください。まず、内部統制の関係です。内部統制に関する組織としまして、コンプライアンス室・監査室を設置しますとともに、監事による業務監査、外部監査人による会計監査との連携を図り、効率的・効果的な内部統制体制を構築しました。具体的に、コンプライアンスの推進としましては、法令違反行為に係る内部通報、職場環境に関する苦情相談等に適切に対応するため、職員等相談窓口センターを設置しました。また、内部監査につきましても、内部監査計画を策定し、諸規程に対する準拠性、業務運営の適正性、効率性、これらについて内部監査を実施しました。監事による業務監査については、監事に理事会、運営会議、契約審査委員会、医療機器整備委員会など、法人の運営に重要な会議にご出席いただき、また、重要書類の閲覧、担当役職員からのヒアリングなどにより実施しました。会計監査人による監査につきましても、会計処理の適正性、準拠性、財務報告等の信頼性などを確保すべく実施しました。
次に、評価シートの73頁です。契約事務の関係です。契約事務取扱細則に基づきまして、適正な契約業務を遂行するとともに、一般競争並びに随意契約に係る契約情報を公表基準に基づきまして公表しています。また、監事・外部有識者及び直接契約に関与しない職員で構成する契約審査委員会を設置し、審査・評価を行うとともに、平成22年12月に契約監視委員会を新たに設置しまして、競争性のない随意契約や一者応札・一者応募について、厳格な審査を行うとともに、審査委員会・監視委員会の2つを中心に大幅な強化を図りました。契約監視委員会におきましては、前回に競争性のない随意契約とした41件、また、前回に一者応札・一者応募となった29件、これらについて点検を実施しました。また、随意契約のフォローアップにつきましてもホームページに公表しています。この評価項目につきましては、各種委員会等を大幅に強化したなど適切な取組を行ったことから、自己評価は「A」とさせていただきました。
次に、評価項目15です。予算・収支計画から剰余金の使途までのご説明をさせていただきます。評価シートは75、76頁です。77頁の評価の視点に沿ってご説明申し上げます。この項目のポイントは、自己収入の増加の取組です。独法移行で受け入れが可能になりました寄附金につきまして、寄附金受入規程を制定し、外部資金の獲得を可能とする体制を構築しました。この体制整備に伴い、昨年度は57件、4,000万円の寄附金を受け入れました。次に、受託研究についても改善していまして、受託研究取扱規程を見直しまして、従来契約金額を前金払いとしていたものを、出来高払いに変更することにより、企業が委託しやすい制度設計となりました。これにより、対前年度51件、200万円の研究費が増加しています。また、国等の競争的研究費についても、積極的に申請することとしまして、昨年度は11億円獲得しました。ただし、大型研究費の減により金額では対前年度660万円の減少となっています。獲得した研究件数は26件増加しています。外部資金の獲得については、積極的に取り組み、成果を上げたと思っています。
次に、資産・負債の管理です。平成22年度における整備につきましては、自己資金を活用し、外部からの新たな借入は行っていません。固定負債については確実に返済し、債務残高を減少させました。なお、大型機器の投資に当たりましては、医療機器整備委員会におきまして個別の機器ごとに償還確実性の検証を行って機器の選定を進めています。
評価シート78頁をお開きください。短期借入金は平成22年度はありませんでした。重要な財産の譲渡又は担保に供する計画、これもその実績はありません。剰余金につきましては、平成22年度における利益剰余金は計上していません。
この評価項目15については、評価シートの79頁をお開きください。ここに「施設・設備に関する計画」が、その他の事項としてあります。施設・設備に関する計画も項目15に含めて評価いただくことで説明させていただきたいと思います。中期計画に掲げる施設・設備の計画的な進展について、戸山地区におきましては、平成22年度に新棟の1期工事が8月に完成しました。引き続き、11月に旧中央棟の解体に着手しています。国府台地区においても、肝炎・免疫研究センター及び病棟を引き続き施工中で、平成24年2月に完成予定となっています。この評価項目15につきましては、積極的な外部資金の獲得に成果を上げたことから、自己評価は「A」とさせていただいています。
評価項目16です。「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」についてご説明申し上げます。評価シート79頁から82頁に業務の実績を記載させていただいています。評価の視点に沿って、83頁からご説明させていただきたいと思います。まず、業績評価の導入につきましては、平成22年度から全ての職員に対して、職員の能力、適性、実績等を評価し、給与に反映することとともに、業務遂行意欲の向上を図るため、業績評価制度を導入・実施しました。
人事交流につきましては、優秀な人材を持続的に確保する観点から、国立病院機構等と転出者50名、転入者50名の人事交流を行いました。
次に、女性が働きやすい環境の整備につきましては、育児短時間勤務の導入や、育児休業の周知徹底、事業所内保育所の運営、看護職員等への二交替制勤務の導入に加えまして、バースデイ休暇を新たに設けるなど、各種の施策を講じています。
84頁をお開きください。医師とその他医療従事者の役割分担の見直しです。これにつきましては、看護師や検査技師によります採血の実施や、薬剤師による処方の患者への説明、診断書等の事務業務に係る医師事務作業補助員の配置など、医師が本来の役割に集中できる体制とすべく、役割分担を見直しました。具体的には、医師事務作業補助者を4名増員しまして、平成22年度は14名の配置としました。
人事に関する方針は、これは先ほどもありました、看護師、看護職員等確保対策です。これにつきましては、看護職員プロジェクトチームをセンター内に設置し、体制整備を図っています。具体的には、院内見学説明会等の実施や、業者主催の説明会への参加、リニューアルしたホームページによる広報活動といった看護職員の確保対策、また、新人ローテーション研修、職場不適応者への時機を得た配置替えなどの離職防止対策を講じています。
人事に関しては、先ほども申しましたが、優秀な人材を公募にて採用することで、任期付研究員14名を含む25名を採用しました。
救急医療や高度医療等への対応につきましては、医療の質、安全の向上の観点から、医師・救急救命士の増員を図っています。
その他、ミッションの達成に関する事項としまして、センターのミッションの達成に向けて企画戦略室会議を昨年10月から月2回開催しまして、種々の課題に対して、企画立案から進捗管理も含めて個別具体的に対応策の検討を行っています。また、職員の皆様に対して、定期的に月次決算、年度計画の進捗状況を管理会議で説明し、各種データについて計画との差や前月との差、稼働状況などを示して、わかりやすく問題点の把握とその共有ができるように努めています。さらに、先ほど申しましたホームページでいつでもどこでも閲覧できるよう、周知の工夫を図っています。
次に、職員からの提案を受け付ける取組も行っています。センターを発展させるよう有意義な意見を聴取するため、各事業所に提案箱を設置しています。有意義な意見については企画戦略室会議でその内容を報告し、具体的な対応策について検討し実施に移しています。
国民の皆様への広報、情報提供に関しましては、先ほどもありましたが、東日本大震災の医療面における長期的、組織的な災害支援を積極的にホームページ、センター内掲示板で情報提供に努めています。さらに、患者満足度調査の実施です。病院内に設置しています意見箱にいただきましたご意見、ご指摘を参考とさせていただきまして、アメニティーの向上や診療待ち時間の改善、接遇の向上等々、各種の業務改善に有効に取り入れさせていただいています。また、苦情等に対する改善事項については、院内の掲示板にその取組状況を貼り出し、患者様への周知・ご回答を併せて行っています。これら意見箱の設置による患者、家族の皆様からの意見・要望・苦情、提案箱の設置による職員からの意見、これらについては患者サービス推進委員会、企画戦略室会議で報告を受け、具体的な対応策の検討、見直しに取り組んでいます。
これら数多くの改善に取り組んでいまして、この評価項目について自己評定は「A」とさせていただきました。
以上が評価項目12から16までのご説明です。
○永井部会長
ありがとうございました。それでは、ご質問をお願いいたします。
○猿田部会長代理
最後のところで、いちばん難しいのが人事の評価制度です。これによると、課長以上あるいは一般職員にも始めたということですが、今年、特に一般の人たちにもやっていて、やり方が各棟で非常にばらばらなのです。実際にどう給与に活かすかという点では、具体的なしっかりしたものができ上がっているのでしょうか。
それからもう1つは、看護師の方々と医師に対してはどのようにやっているかです。
○国立国際医療研究センター総務部長
制度的には、給与、昇給等にも用いることでできています。いまのところ、一般の役職の評価だけで、年俸制はこれからになります。見ていて難しかったのは、やはり、特AからDまであるのですが、D評価の方々をどう育てていくかがいちばん難しかったかなと思っています。
○猿田部会長代理
それから、看護師と医師に対しては、これからやっていくのかどうか。
○国立国際医療研究センター総務部長
医師・看護師はもうやっております。それから、一応、年俸制の方についても、評価はいま出ております。あとは、こちらの評価委員会等の評価を受けまして、それを中に盛り込んだことで評価することになっています。あとは、やはり財源の問題もありまして、むやみやたらに評価がいいからと出すわけにもいきません。全体の中のバランスとして、評価の下の人から評価の良かった人へ金額が流れるようにやる方法が適正ではないかと思っています。
○夏目委員
すみません。3点ほどお願いします。第1点目は評価シートの56、57頁の重要な評価項目とされています総人件費改革についての取組です。書かれていることは大体わかるのですが、「今後の方針として」の最後のほうの「また」以下、「政府として研究開発法人の創設が検討されている」や「24年度以降の人件費の在り方に係る議論も踏まえ」と書いてあるのです。そういったことを注視しながら、さらなる検討が必要であると考えている。不勉強なのですが、研究開発法人の創設は、今回のナショナルセンターが独法に変わった話とは違って、何かまた考えている動きがあるということですか。あるいは、「平成24年度以降の人件費の在り方に係る議論も踏まえ」と書いてあるのは、何か特別な意味があるのかどうか。それが第1点目です。
第2点目は、61頁の建築コストの適正化、建築コストの削減で、これはどこの機関も独法化することによって相当のコスト削減に取り組んでいる事例が多いように思います。他のほうは、2割ぐらい下がりますとか、国立病院は国時代よりも5割ぐらい下がっていますといった話が出ています。そうした中で、61頁で、落札率99.54%という、新築工事、その他工事。これは落札率ですから、予定価格に対して実際にこれで落ちたのだろうと思うのですが、99.54%といったらほぼ予定価格どおりであり、競争を促しコストの削減を図ったことになるのかどうか。解体工事のほうは半分ぐらいになっているようですけれども、解体工事ですから、これはちょっと特殊だと思うのです。新築工事が99.54%というのはどう理解したらよいのか、これが2点目です。
3点目は、またコンプライアンス室の話です。今日の午前中もコンプライアンス室を設けているというのですが、どうも、位置づけや役割が必ずしも明確になっていない、何か作れと言われたから作っているような感じを、失礼な表現で恐縮ですが、そんな感じがしています。次の項目、70頁の2.「コンプライアンスの推進」があって、ここがいちばん大事だと思いますが、そこは職員等の相談窓口センターを設置したと。ここでは、せっかく作ったコンプライアンス室とどういう関係になるのか。コンプライアンス室の位置づけや役割が明確になっているのかどうか、その辺が3点目の質問です。以上3点、お願いします。
○国立国際医療研究センター総務部長
まず、1点目の人件費のお話です。平成24年度以降の人件費改革につきましては、現在、人件費の削減については、行革法とか平成18年の閣議決定等で、1%なり減らしていけということになっています。その中で、平成18年7月の閣議決定については、人件費改革の取組を平成23年度まで継続するというのが1つあります。これがどうなるのか、今後継続されるのかどうかも踏まえて、平成24年度は考えていこうと。ただ、もともとの行革法の人件費改革がありますので、それは厳正に対処していかなければならないと思っています。
それから、私の関係ですと、コンプライアンス室です。苦情相談として、公益者通報保護法の内部通報、セクハラ、研究員の不正、それらの相談窓口として各事業所ごとに作っています。研究費の通報、苦情相談等について、センター内に作った相談窓口ではやはり十分には話しにくいこともあるだろうということで、弁護士事務所をこの中に入れまして、直接弁護士事務所に通報・相談するシステムも作っています。あと、コンプライアンスの関係では、国から独法になりまして、法令的なところでいろいろなことが厳正に対処することが求められており、法令的な面で、職員の環境や、そういう面も含めて、このコンプライアンス室で監視していったらいいのではないかと思っています。
○夏目委員
他と同じように、コンプライアンス室室長は、弁護士の先生にお願いして、大体、非常勤で週1回程度の勤務というのは同じですか。
○国立国際医療研究センター総務部長
勤務というより、直接、弁護士事務所に通報できるシステムになっています。
○夏目委員
内部通報についてはね。コンプライアンス室、これは室長はいないのですか。
○国立国際医療研究センター総務部長
総長特任補佐を室長として兼務させています。
○夏目委員
その人は弁護士資格を持っているのではないのですか。
○国立国際医療研究センター総務部長
弁護士資格はありません。室長ということで、組織を作っています。
○夏目委員
室を作るのはいいのですけれども、いかに有効活用というか、機能させるかが非常に課題ですから、そこはよろしくお願いします。
建築コストは、99.54%というのはどういうことですか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
建築コストの関係です。いま現在あります保育所を仮に移設をしまして、その間に現在の保育所の所に新たに教育研修棟を建てて、その中に保育所を設置するといった全体の工事の中で、仮設保育所の工事を入札・契約しました。これは実は、東日本大震災の影響を受けまして、1回仮設の保育所の入札をしたのですが契約することができませんでした。これは2回目の入札で契約ができたものです。大震災によって、仮設の保育所など、ああいう調達類がもろに影響を受けたと思っています。
○永井部会長
私も、ハラスメント対応については。
○政策評価官室長補佐
先ほど、研究独法のお話があったのですが、こちらにつきましては、いま丁度、内閣府で議論が始まったばかりでありまして、研究独法といわれる中にNCも、全法人が入っていまして、その給与のあり方や予算を単年度から複数年度にするとか、そういった話がいま議論されているところです。議論がまとまればこの部会でもご紹介したいと考えています。
○永井部会長
ハラスメント対応ですけれども、何か起こって弁護士さんのところに行くのはいいですけれども、その前にどうやって予防するかとか教育するか、こじれる前にどうやって情報を集めるか、いろいろな活動があると思うのです。できたら、その辺も記載しておいていただいたほうがよかったと思います。何かございますでしょうか。
○和田委員
ばらばらで恐縮ですが、いくつかお尋ねしたいのです。夏目委員からのご質問ともだぶりますけれども、56頁の総人件費改革に対する取組はどうかということで、政・独委の評価の視点並びに厚労省の評価委評価の視点ともに、総人件費改革は進んでいるか、達成に向けた法人の取組を促すものとなっているか、こういう視点があります。そうしますと、ここに書かれていますように、人件費の削減額は努力して3,500万円だったということを記載してもよろしいのですか。それ以上の努力はなかったことになりますか。新たな糖尿病の病態解明や感染症対策等で強化を図ったことで人件費が増えました。だけど、総人件費改革で言われているような、節減に向けての努力は3,500万円しかなかったということでよろしいのかどうか。
それから、損益計算書を拝見しますと、5,383万円の計上損失が出ています。これをセグメント別で示したものがありまして、事業損益として出てきますけれども、財務諸表等の19頁でセグメント別に見ますと、研究事業が2,300万円のマイナス、臨床研究事業が1億3,500万円のプラス、診療事業が1億5,300万円のプラス、教育研修事業が4億6,500万円のマイナス。あとは、情報発信事業が1,300万円プラス、国際協力事業が1億500万円、国立看護大学校が1億2,400万円、それぞれ利益になっています。それで、トータルで5,300万円のマイナスということは、教育研修事業の4億6,500万円がいちばん大きく影響していると思います。この教育研修事業が4億6,500万円のマイナスになったことについて。運営費交付金17億7,600万円に対して、22億7,600万円の業務費を支出した、これはどういう立地上で運営費交付金をこれだけ超えるような支出にしたのかの説明をお聞きしたい。
さらに、損益計算書の3頁に戻りまして、固定資産除却損があります。上から3分の2ぐらいのところにいま申し上げた経常損失5,383万円がありますね。その下に臨時損失、その2行目に固定資産除却費というのが7億7,200万円ありますが、これは国から出資を受けた資産の除却のために7億7,200万円がドカンと平成22年度に。平成22年4月1日に出資を受けて、それがその年度のうちに除却費が7億7,200万円出るというのは、あまり株式会社などでは考えられないことなのです。これはどういうことであったのか。
もう1つは、財務諸表等の21頁を見ますと、この決算報告書では、施設整備費の予算額が154億3,000万円になっていますが、決算額では57億3,100万円です。これは収支計算と発生主義の計算とで固定資産の増減と必ずしも見合わないことはわかるのですが、公表される財務諸表だけを見ますと、150億の施設整備費の予算があって57億しか決算額がないのは、これはどういうことなのか。この財務諸表を見たときにちょっと疑問を感じますので、それらについてご説明をいただきたいと思います。
○国立国際医療研究センター総務部長
人件費の関係で、私から説明させていただきます。ご指摘のとおりシートの表現が大変まずかったのかもしれませんが、この3,000万円の位置づけにつきましては、技能職の退職後の不補充などでの3,500万円だけを記載しました。言われるように、いろいろ努力した部分もありまして、超過勤務手当について8,200万円などもやっておりまして、結果的に2.9億円、削減率としては2.73%の減となっています。人件費増としては7.8億円ありましたが、総人件費改革の基準値で比べますと、5億円弱、4億9,000万円で、4.65%増です。
○和田委員
つまり、2.9億円減らしたけれども、新規にどうしてもやらなければいけない、新たに起こした人件費が7.8億円あるから、差し引き、決算上は5億円の利益が出ましたということですか。
○国立国際医療研究センター総務部長
はい。そういうことです。
○和田委員
わかりました。
○永井部会長
他に、いかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
損益計算書の3頁の、臨時損失の固定資産の除却費につきましては、使用しないことになった医療機器の除却が800万円です。その下の、固定資産の除却費、資産のほうですけれども、昨年8月の中央棟開設に伴いまして、駐車場や使っていない管理棟を除却したものです。それと、もう1点。
○和田委員
除去をしたのは何なのですか。資産の帳簿価格なのですか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
帳簿価格です。駐車場として引き継いだ、管理棟として引き継いだもの。
○和田委員
引き継いだときには、それはもう除却することはわかっていなかったのですか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
そこは、最終的なところは確認いたしますが、一応、国から引き継いだ価格で、8月に中央棟が整備されて、整備される工事の中で、旧管理棟や旧来の駐車場を使用しないという判断に基づいて整備をした。それで、委員のご指摘のそれがわかった時期については確認させていただきたいと思います。
それと、財務諸表の決算報告の施設整備費の予算と決算の差異についてです。これのいちばん大きい施設整備費の予算としては、戸山地区では教育研修棟、新たにこれから建てようとしているもの。それと、国府台の地区では、外来管理新病棟、肝炎・免疫センターを、まさにいま工事がいま進捗しているところです。この整備費用として予算・計画を立てていたのですが、震災等の影響で工事が遅れているので、これを繰り越し、決算上は57億円となっています。
○和田委員
いま、契約をしていて工事中。これが完成すると96億円ぐらいのものができ上がるということでよろしいのですか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
いま工事が動いていますので、工事ができ次第、これが動いてくるということです。
○和田委員
そうしたら、差額の96億円についての内訳。予算債務の内訳。何棟がいくら、何棟がいくら、それはお出しいただけますか。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
ちょっと大雑把なものですので、154億円で計画し、57億円が実績として消化され、残として残っているものについて整理してご説明させていただきたいと思います。
○和田委員
わかりました。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
○国立国際医療研究センター理事長
人件費については、もう何度も議論されていると思います。他のセンターからも申し上げたかもしれませんが、1つは、総人件費、全ての人件費の1%削減をしますと、当然、病院が行うべき安全で良質な医療を維持することができずに、言ってみれば、収支相償の目標が叶えられない。収支相償の目標を、これも掲げている目標ですが、掲げようとすると人件費が増えてしまうので、Aの道を取っても問題があり、Bの道を取っても問題があるという、そういう指示がきているのは、ちょっと矛盾を感じます。その中で、より健全な選択となれば、当然、収支相償を目指して良質で安全な医療を行うことが健全な選択だと思います。国立大学法人の人件費の削減については、平成17年に入ったときの、スタート時点の総人件費見合いの雇用について減らしていくという、かなり合理的な計算をしています。あるいは、例えば、人件費率を上げないようにしなさいという合理的な目標もあると思うので、今後はそういうこともお考えいただければ大変ありがたいと思います。
○猿田部会長代理
各センターから同じことが出ています。
○和田委員
そのためにも、昨年新たに独法化されました、それに対して人件費改革への取組をした、その効果がこれだけです、それとは別に法人が自らこうしたいがために増えたものがいくら、それで差し引きでこう増えていますと。評価書のほうは、最終的にはどうなるかわかりませんけれども、私の原案としては、そのように書きたいのです。プラスとマイナスと引っくるめて、減らしたけれどもこういうプラスがあったから差し引きでいくら増えましたというのでよしとするには、少し乱暴かなと思います。大変だとは思うのですけれども。
○国立国際医療研究センター理事長
例えば、人員増によって病院部門の人件費が2.5億円増。それに対して、医療収入は16億円増で、その効果は明らかにあったと、一応、考えています。
○永井部会長
よろしいでしょうか。それでは、以上で評価は終了させていただきたいと思います。事務局から今後の扱いについての連絡をお願いします。
○政策評価官室長補佐
評価の記入につきまして、お持ち帰りになって記入される場合には8月15日の月曜日までに事務局まで評定記入書をご提出していただきたいと思います。なお、評定記入用紙の電子媒体版につきましては、今日送らせていただきます。以上です。
○永井部会長
どうもありがとうございました。ご苦労さまでした。
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