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9月12日 「第3回産業保健への支援の在り方に関する検討会」議事録

○日時

平成23年9月12日(月)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省労働基準局第1・2会議室


○議事

○古田職業性疾病分析官 定刻になりましたので、始めさせていただきます。本日は大変お忙しい中、ご参集いただきましてありがとうございます。ただいまより、第3回産業保健への支援の在り方に関する検討会を開催します。本日は、土肥委員がご欠席との連絡をいただいています。道明委員についてはご連絡いただいていないのですが、間もなくお見えになるのではないかと思っています。事務局に異動がありました。労働衛生課長が交替していますので、ご挨拶申し上げます。
○椎葉労働衛生課長 労働衛生課長の椎葉です。去る7月29日付で、労働衛生課長に就任させていただきました。思い出すと、昭和63年に採用になり、いちばん最初に配属された課が労働衛生課です。そのとき手がけていたのがTHP対策という、正に職場の健康増進保持対策です。それと同時に、50人未満の小規模事業場対策について、郡市医師会に労働衛生相談員を手がけたことがあります。そのときに予算資料などを作成した記憶があります。今後ともよろしくお願いします。
○古田職業性疾病分析官 事務局の担当者にも異動がありましたので紹介します。主任中央労働衛生専門官の柳川です。中央労働衛生専門官の木内です。
 配付資料の確認をさせていただきます。道明委員がいまお見えになりました。今日お配りしている資料ですが、まず議事次第があり、資料1が3頁からずっと続いています。資料2は15頁、16頁です。資料3が17頁、18頁です。参考資料として、平成22年労働安全衛生基本調査のプレス発表資料が19頁から44頁までです。そのほかに、日本労働組合総連合会から1枚ものが配られています。産業保健への支援体制(現在)という図が1枚配ってあります。この絵は、第1回のときに配付させていただいた資料と同じものです。本日お配りした資料は以上です。ご確認いただきたいと思います。このあとの議事進行については、相澤座長にお願いします。よろしくお願いします。
○相澤座長 皆さん、こんにちは。お暑い中どうもありがとうございます。本日の議事に入らせていただきます。まず、事務局から配付資料の説明をお願いします。
○古田職業性疾病分析官 私から資料の説明をさせていただきます。資料1は3頁からです。資料1は、前回のご議論を踏まえて、前回の論点ごとにどういったご意見があって、それを取りまとめるとどうなるかということです。論点ごとにまとめていますので、まとめのところのみ読み上げさせていただきます。
 最初に3頁の四角の上に「産業保健支援体制全般について」というテーマでご検討いただきました。そのまとめが4頁です。読み上げさせていただきます。4頁の点線の四角の中です。1つ目の○、小規模事業場の産業保健活動の支援は強化すべきであるが、支援の範囲や内容について精査が必要である。なお、安全衛生の確保は事業者の責務であることから、支援に関する事業者の認識を高めるとともに、事業者に一定の負担を求めることも必要である。2つ目の○、中規模事業場(50人以上100人未満)の産業保健の意識が低く、これらの事業場の産業保健水準向上のための支援等も必要である。3つ目の○、産業保健への支援の充実のため、地域の産業保健活動の把握、調査、評価を行うことが必要である。
 5頁のテーマ、産業保健推進センターについてのまとめが6頁の点線の枠内です。産業保健推進センター。1つ目の○、産業保健推進センターによる小規模事業場に対する作業環境管理、作業管理の支援を強化すべきである。その際、地産保の産業医と連携を行い、情報は地産保の産業医に集約されるべきである。2つ目の○、産業保健推進センターにおける貸し出し教材の確保・充実を図ることが必要である。
 7頁、地域産業保健センターについてです。まとめが8頁の四角の中です。1つ目の○、地産保において、メンタルヘルスの新たな制度(ストレス症状を有する労働者に対する面接指導)に対応できるようにするため、メンタルヘルスに対応できる産業医の確保等の体制整備をする必要がある。また、保健師は非常に重要な役割をもっており、もっと活用すべきである。2つ目の○、地産保のサービスは、どこの地域でも均一のサービスが受けられるべきである。その上で、地域特性に応じたサービスが実施できるようにすることが望ましい。3つ目の○、地産保事業は現在都道府県単位であるが、最も効果的な事業実施(契約)単位について検討が必要である。
 9頁、メンタルヘルス対策支援センターについてです。まとめは10頁です。1つ目の○、メンタルヘルス対策の支援に当たっては、メンタルセンターと地産保の緊密な連携が必要である。なお、メンタルセンター業務のうち、小規模事業場への支援は、地産保が担うのが合理的である。2つ目の○、メンタルセンターの支援において、労務管理に関することは重要である。3つ目の○、研修や専門的相談の実施機関は、地域の事情に応じて、都道府県や地域ごとに決めるのがよい。
 11頁、支援事業の在り方についてです。まとめは12頁です。1つ目の○、支援事業は、将来的には、行政のバックアップの下、都道府県の単位でコントロールする機能があり、その下に、さまざまな機能が有機的に結合しながらサービスが提供できることが必要である。この場合、地域で労働衛生活動を展開している機関も含め連携するのがよい。2つ目の○、サービス主体や実施単位については、事業場規模とサービス内容を縦横の軸にしたマトリックスにして検討するとよい。3つ目の○、小規模事業場に対しては、支援内容で分けず、すべてを総合的に支援する必要がある。
 13頁「地域の支援事業の総合調整の必要性」です。まとめが14頁です。1つ目の○、総合調整して進行管理や調査、評価などを、行政が加わった形で責任を持って行う組織、機能が必要である。2つ目の○、総合調整には、行政の推進活動に対する各機関の方向性という大きな枠組みでの調整と、日常的な個別の事業者に対する指導の中での調整という小さな枠組みでの調整の二つがあり、これらを整理することが必要である。3つ目の○、調整の機能については、行政が事業者団体等と連携をとった上で、具体的な実務は、地域組織がありコーディネーター機能が有するところが担うのがよい。なお、民間事業者が提供するサービスとの調整も必要である。
 以上、資料1の説明です。前回、こういったそれぞれのテーマについてご意見をいただき、このようにまとめさせていただきました。
 続いて資料2です。この検討会もそろそろ報告に向けてという流れになってこようかと思います。資料2は報告書骨子としています。このような項目で考えていけばどうかということで、項目のみを挙げています。大きく言うと、1番目に「はじめに」ということで、2番目「労働衛生の現状と課題」、3番目「産業保健への支援の現状と課題」、4番目の「支援の在り方」、最後に5として「おわりに」ということで、こういった骨子ということで紹介させていただきます。
 資料3は、前回検討するに当たって、事業場の労働衛生管理について、その衛生管理体制、あるいは事業者はどのような取組をしないといけないのかということを、事業場の規模と実施体制や実施事項を縦横の軸にして表にするとわかりやすいのではないかというご意見をいただきましたので作成したものです。上半分は、労働安全衛生法令上の衛生管理体制を示しています。規模ごとに総括安全衛生管理者や産業医、衛生管理者、点線でメンタルヘルスの指針に基づくスタッフ等も書いています。下半分は、健康管理、環境管理、作業管理、労働衛生教育、計画といったそれぞれのことについて事業者でどのような取組がなされるのかという取組事項がかなり大雑把ですが、まとめられています。こういった事項がそれぞれの管理、3管理と言っていますが、こういった内容があるということです。メンタルヘルスの指針の中で出てくることをそれぞれの取組の最後に少し書いています。資料3は以上です。
 参考資料ということで、19頁からです。平成22年の労働安全衛生基本調査の概況です。この調査は、事業場で労働安全衛生の取組がどのようになされているかということについての基本的な調査で、5年に1回行っている調査で、昨年行われて、9月1日に公表されたものです。内容について簡単にご紹介します。
 20頁に1「調査の目的」という部分があります。この調査は、事業所が行っている労働安全衛生管理、労働災害防止活動及び安全衛生教育の実施状況の実態。そこで働く労働者の労働災害防止等に対する意識を把握し、今後の安全衛生行政を推進するための基礎資料とすることを目的とするというものです。真ん中の2の(3)は、調査の範囲、対象ですが、事業所があります。常用労働者10人以上を雇用する民営事業所のうちから抽出した1万2千事業所が調査対象です。そのほかに、その事業所に所属する労働者にも調査を行っているのが(4)です。調査の時期は、平成22年10月31日現在のものです。
 21頁の中程の7です。「調査対象数、有効回答数及び有効回答率」です。いちばん右にありますように、事業所調査では回答率が70.4%、労働者調査は60.8%です。
 結果は22頁からです。22頁に表が載っています。ポイントのみご説明しますと、衛生管理者を選任している事業所の割合は86%。前回が80.4%。産業医を選任している事業所の割合が87%。前回は75%。安全衛生委員会を設置している割合が84.7%。前回は76%です。事業所規模50人未満の事業所において安全衛生推進者又は衛生推進者を選任している事業所の割合は43%。前回は23.3%ということで、いずれも5年前の調査よりは数値が上がっている結果になっています。
 24頁は「産業医に関する事項」です。上から2行目ですが、産業医が実際に関与した業務がある事業所の割合が95.9%ということで、関与した業務の内容では、「健康診断結果に基づく事後措置、再発防止措置の指導」が73.5%。前回は74.2%。前より若干低いですが、そういった状況になっているということです。健康診断に関することや健康相談といったものが多いということです。
 25頁のいちばん上にありますように、産業医を選任していない事業所もありまして、産業医を選任していない理由として、「産業医の委託費用の負担の余裕がない」というのが25%。「選任する義務があることを知らなかった」のが24.9%というふうに、いずれも4分の1程度の回答となっています。その他が50%ぐらいありました。
 29頁の中程から下です。(3)「一般定期健康診断実施に関する事項」ということで、過去1年間に一般定期健康診断を実施した事業所の割合は88.3%。前回は78.5%。実施後の措置の内容で「健康診断結果の労働者への通知」が95.5%。前回は96%でもっとも多く、次いで「有所見者における健康診断の結果についての医師等からの意見聴取」が40.6%。前回は39%という状況になっています。
 31頁の(5)「長時間労働者に関する事項」ということで、長時間労働者に対する医師による面接指導制度を知っている事業所の割合は50.6%。100人以上規模の事業所では8割を超えている状況です。「1か月あたり100時間を超える労働者がいた」事業所の割合は6%となっているということです。
 33頁の中程の文章になります。面接指導を実施した事業所のうち、面接指導等を踏まえての事後措置を実施した事業場の割合は87.2%。前回は70.8%となっています。どういう措置をしたかは、「労働時間の短縮」が最も多く69.8%になっています。
 34頁は「メンタルヘルスに関する事項」です。メンタルヘルス上の理由により、連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は5.9%。前回は2.6%で、増えているということです。退職した労働者は2.8%。いずれかの方がいる事業所の割合は7.3%となっているということです。
 平成22年労働安全衛生基本調査の概況は以上です。資料説明は以上です。
○相澤座長 どうもありがとうございました。のちほど資料1と2についてはご議論をいただきますけれども、いまご説明いただきました資料の内容について、何かご質問がありましたらお願いしたいと思います。
○堀江委員 堀江委員 平成22年労働安全衛生基本調査の概況について、産業医の選任率が87.0%ということで、前回から11.6%改善しているようです。5年毎に行われているこの調査で、一気に10%以上の改善があったのは初めてであると思います。今回、新規の調査項目として「産業医を選任していない理由」を尋ねていますので、この新しい項目が影響して、事業所の回答者が産業医を選任しているという選択肢に、つい丸を付けてしまったということもあり得るのかなと思っているところです。そこで、産業医の選任については選任届がありますので、できましたら労働基準監督署の側から把握した数値をお示しいただけないでしょうか。
○古田職業性疾病分析官 いま手元には数値がありませんので。
○堀江委員 はい、結構です。できればこの5年間で劇的に改善したというのが、そちら側の数字にも現れていれば、このとおり解釈してもいいのかなと思っております。
○古田職業性疾病分析官 それでは次回、届けの仕組みも含めて、説明させていただきたいと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。それでは次回、よろしくお願いします。
 ほかにはいかがでしょうか。
○武田委員 資料1の12頁のまとめに、○が3つあり、いちばん下に「小規模事業場に対しては、支援内容で分けず、すべてを総合的に支援する必要がある」と書かれているのですが。例えば6頁の、産業保健推進センターのところによると、作業環境管理、作業管理の支援を強化して、産業保健推進センターでやるとなっています。窓口は一緒で、バラバラで対応するということですか。
○古田職業性疾病分析官 この2つの項目は少し違うのではないかということですか。
○武田委員 はい。
○古田職業性疾病分析官 表現は少し違っております。出た意見を概ねそのとおり書いているということです。
○武田委員 そういうことですか。
○古田職業性疾病分析官 この資料は一応、前回出た意見を整理したということなので、どっちかに、がちっと無理矢理1つにしてしまったというものではあります。
○武田委員 では、報告書のときにはまた変わった意見になるということですね。
○古田職業性疾病分析官 そうです。
○武田委員 ありがとうございました。
○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは議題の1を資料1に沿って順次、ご意見を承っていきたいと思います。資料1の3頁から、論点整理で、1番の「産業保健支援体制全般について」ですが、小規模事業場が多いということで、その支援を強化すべきではないか。あるいは地域の産業保健活動、産業医の活動について、より詳細に把握し、支援かつ対策に反映するため定期的な調査による評価を実施すべきではないか、というご意見が出ています。その下に、前回参加された委員のご意見がありまして、4頁がそのまとめです。前回、欠席された先生もおられますので、新たに指摘されたい内容についてもお願いしたいと思います。
○堀江委員 いちばん総論的な部分、かつ重要なところが最初に書いてあるということだと思います。ここでは、今後の産業保健活動の支援の在り方について、小規模事業場の支援は、本来、強化されるべきであるということを書くべきだと思うのですが、この部分をまとめた記載のところでは、「小規模事業場は支援すべきであるが、内容は精査する必要がある」と、どちらかというとその逆のニュアンスを受けかねない表現になっています。最初の1行目に素晴らしいことが書いてありますので、「小規模事業場の産業保健活動の支援を強化すべきである」で1回止められたらどうかと思います。
○相澤座長 ここに「。」を付けて。
○堀江委員 はい。そのようがよいと思います。
 それともう1つ、第1回の委員会のときに、市川委員からご指摘があったと思うのですが、小規模事業場と同様に非正規労働者についても労働法令の枠組みから抜け落ちやすいことから、支援を強化すべきであると思います。特に、労働安全衛生法についてそういうことがよく聞かれますので、もしこの場所が適当であれば、ここに同様にお書きいただくのがよいと思いました。
 それともう1つ、第1回のときにたしか市川委員からご指摘があったと思うのですが、同様に非正規労働者についても法令の枠組みから抜け落ちやすいと。特に労働安全衛生法についてそういうことはよく聞かれますので、もしこの場所が適当であれば、ここに同様にお書きいただくのはどうかと思いました。
○市川委員 本日資料をお付けしていますが、これは各都道府県に設置しております地方連合会に対しアンケートを行い、地方連合会から出された意見を大括りにした資料です。これまでの検討会で何らかの形で議論・検討されてきた課題も多いのですが、検討会資料4頁のまとめのいちばん下の○の「産業保健活動の把握、調査、評価」に関して、私どもの資料の4ポツの最初のところで記載の通り、それぞれのセンターでのさまざまな取組事例を集めながら、小規模事業場への効果的な活動は何かということを検証し、その事例を共有し、それぞれの地域センターのよりよい活動に繋げていくという、地域活動事例の総括・検証が必要だという意見が出されていたので、そういう観点を全体の在り方のところに入れていただきたいと考えます。
 それと先ほど堀江先生がおっしゃったように、地方連合会からいちばん多く出されていた意見が、今回提出した資料下半分の「機能」の1ポツのところで、中小事業場・零細企業への重点的取組や、非正規労働者に対する取組強化であり、これらの意見も反映していただければと思います。私も堀江先生と一緒で、この4頁のまとめの、支援を強化するべきであるが違うよといった書き方に関し、同じ感想をもちました。以上です。
○相澤座長 ありがとうございます。また主な意見というのがそれぞれ出てきたところで、ご意見をいただくと思いますけれど、最初のまとめの「○」については文章を修正していただきたいと思います。それから非正規労働者、それを入れるということですね。
○今村委員 まとめのほうでよろしいですか。4頁のまとめの1つ目の○の「小規模事業場の事業者に一定の負担を求める」という記載は、具体的にはどんなことを考えて書かれたのですか。議論の中で何か出ましたか。
○古田職業性疾病分析官 議論では出ています。具体的にどうのということではないことと、今年度、省内事業仕分けの関係もあり、少し地域産業保健事業の中で、特定の場合ですが、一定の負担を求めるというようなことでやっております。
○今村委員 結局、先ほどの調査でもそうですが、経営的なものが非常に厳しくて、産業保健に対する費用を事業者が出せないという実態が、これは多分企業の規模に関わらず全般としてあるのでしょうけれども、やはり小規規模事業場のほうがそういう影響は大きいのだろうという中で、理屈から言えば事業者の責任だというのはわかるのですが、それを突き詰めていくと結局何もできないという、産業保健活動の推進につながりにくいのかなというところがあるので、具体的に最終的に報告書に書くときには、ぼんやりした書き方だと多分委員の中でも賛成・反対が出るのかなと、ちょっと思ったので、そこは少し考えていただければということです。
 それから先ほど市川委員からお話があった、いまの取組の好事例みたいな話というのは、きちんとした形で外に向かって出ていないからいけないのでしょうけれど、1年に1回いま産業保健推進全国会議というのを医師会と厚生労働省労働者健康福祉機構、産業医学振興財団で地産保の事例であるとか、あるいは推進センターの取組を、各都道府県やいろいろな地域での取組を実例としてまとめています。そういったものだけでは多分不十分だということであろうかとは思うのですが、全くないわけではないものなので、そういうものをどう取り上げていただくのかということも必要かと思います。
○相澤座長 大事な情報をいただき、ありがとうございました。これが内容の精査が必要であるという、情報がそういうところにもあるということですので、この辺も文章の書きぶりを変えていただくということでよろしいでしょうか。
○藤森委員 今回の地産保事業も、メンタルの2回目は一部をもらうというような事業にはなっているのですが、例えば実際問題あれはほとんどの事業所はもらっていないと思います。2回目ははっきり言って相談を受け付けないということで、お金はほとんどもらうシステムは使っていない。面倒くさいし、はっきり言ってお金がややこしくなるから。だから形的にはそうですが、ほとんど機能をしていないと思うのです。
 もう1つは、いま今村委員がおっしゃったみたいに、50人以上、以下にも係る事業所の義務はあるのですが、それはある意味、大企業等の経済的な、もしくは有害業務的なものの負担の押し付けと言ったら何ですけれど、そういうような面もありますので、大企業等のCSR的な面があって、こういうものの小規模事業場に対する支援をすることはある意味当然的なものです。だからこの書き方でいくと、一定の負担を求めることも必要であるが、の「が」が最初にきて、最後にくるとこれが結論になってしまうので、「あるが」、やはりその労働者の方の産業保健を担保するには支援をもう少し積極的にしなければならないということになるのが筋ではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
○武田委員 前段はいいと思うのです、事業者の責任でやるべきだと。でも、とっかかりとか、やはり最初はやりにくいとかで、負担をなるべく低くしてやっていただくのはいいと思います。ただ、継続的にずっといつまでもそれを続けるのは事業者責任からするとどの程度が適当かは別として、やはりまずいのではないかと思います。
 あるいはそのサービスの内容によって、本来であれば民間の事業者がやっているような活動の部分で競合するような部分もあるわけですから、こういう制度を知っていて使えるところだけがただでやって、ほかは民間の健診機関とかに頼んでやっているというような不合理もあるので、無制限にずっと無料というのはやはりまずいのではないかと、そう思います。
○藤森委員 いま武田先生が言われた、わかっているところだけ使っていて、他のところは民間の企業を使っておられるということなのですが、実際はこの地産保事業があるということを知らないのがほとんどで、それがあることを知っているのは大企業の支店等が知っているから、その支店のほう、お前のところは50人以下だからそこの周りの地産保事業を使えと、こういうように大企業が言っているのが現実で、中小・零細はほとんどそのようなことがあることさえも知らないし、そのような時間的な、経済的なというか、時間が切羽詰まって、そういうところまで精神的な余裕もないというのが現実だと思うのです。だからそのような余裕があり、それをただ単にお金が、「いやいや……かな」ではなくて、そのようなことが、必死になって、大将が自分が夜寝る間も惜しんで働かないと企業は潰れる、だからこそ、そのようないろいろな問題が出てきているという面もたしかにあると。だからおっしゃるみたいに、このまま無尽蔵にそんなんという、無尽蔵というような、それを当てにしている事業もあるかもしれませんが、そういうことも考えられない、必死になってやらないと食えないというのもあって、そのために労働者にいろいろな問題が起こっているというのも、そういう事業所も多々あると、そこはご理解願いたいと思います。
○道明委員 ここの最後のポツですが、地域の産業保健活動の把握ということですけれども、都道府県単位というのは当然ですけれども、同じ都道県でも、私は岡山県ですが、県北と県南の……がある水島工業地帯は全然違うわけです。だからそういうきめの細かい地域の、というのをしてもらいたいということです。より詳細と言いますか、よりきめ細かい。ただ単に都道府県別というのではなくて、もう少しきめ細かいのをやってほしいと思っています。
○相澤座長 ありがとうございました。いかがでしょうか、1については大分ご議論をいただきましたけれども。
○堀江委員 ただいま議論を伺っていますと、大規模事業場と小規模事業場とを比較した話題が出ています。確かに労働安全衛生法の規定は、事業場の規模で分けられています。しかし、企業の経営は連結決算ベースのいわゆる企業グループで競争しているわけで、本来、大きな経営体があるのに、事業場規模は小さいという所は多いと思います。私は以前、大規模事業場の産業医をしていたことがありますけれど、構内の請負企業に対しては労働安全衛生法の第29条に基づいて法令順守を指導する責任を果たすよう留意していました。事業者責任とは異なりますが、指導者責任があるので、親企業が構内の協力会社に対して、いつも目を光らせて法律を守らせるという機能を発揮していたつもりです。同様に、小規模事業場が大きな経営形態の中に存在する場合は、事業者と言いますか、できれば企業グループ、連結決算ベースで一体となってやっている法人組織のトップに対してその傘下の小規模事業場の指導責任を問えるような仕組みというのを作れば、多くの小規模事業場に網を掛けられるのではないかと思っております。そういったことがもし可能であれば検討していただきたいと思っております。
○武田委員 事業所単位で労働安全衛生法は成り立っているので、大規模事業者が構内下請け会社に対してどれだけ責任を負えるかはなかなか難しいのではないかと思います。元方責任とか、あるいは請負とか、仕組みがあるようなところでは既に法律もあるし、やり方も決まっているのですが、単に構内にいるだけで資本関係もあまりない会社に対して安全衛生活動をどれぐらい強制できるのか。きちんとした指導とか、安全上の配慮とかをした上で、それぞれの事業者の判断の部分もあるわけで、ほかの元請責任とか、請負とかと同じようにできるかどうか、なかなか難しい部分があるかと思います。
○相澤座長 堀江先生が言われた中には大企業の中の小規模事業場というのもある。いろいろな形があるのでしょう。
○堀江委員 1つの同じ会社の中の小規模事業場であれば、本来、事業者として1つであるわけですから、大企業の責任として法定事項は確実に実施しなければいけないはずです。しかし、現在の仕組みだと地産保をそういうところが利用できるようになっているのですね。
○相澤座長 はい。
○堀江委員 それは本来の支援事業の趣旨とは異なっていて、おかしいと思うのです。ある意味、問題点だと思いますので、そこは企業責任の範囲できちんとやってもらいたいと思います。
○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。よろしければ2のほうに移らさせていただきます。
 5頁「主な支援事業の今後のあり方について」の、産業保健推進センターについて、小規模事業場への支援を強化すべきではないかというご意見。また教育に使用する貸し出し教材の確保・充実を図ることが必要ではないかという意見があったと。このようなテーマでご議論をいただき、6頁のまとめで、小規模事業場に対する作業環境管理、作業管理の支援を強化すべきであると。その際、地産保の産業医と連携を行い、情報は地産保の産業医に集約されるべきである。それと、産業保健推進センターにおける貸し出し教材の確保・充実を図ることが必要である。このことについていかがでしょうか、ご意見がありましたらお願いいたします。
○今村委員 2つ目の○についてはおそらくここに参加の委員の方どなたもご異論はないかと思います。前から多くの意見が出ています。1つ目の、小規模事業場では、こういう地産保の産業医というのは作業環境管理、作業管理の支援は難しいことがあるので、これはこれでありだと思うのですが、問題はその推進センターの集約ということを前提にしてこの議論をすると、国の、閣議決定したままで推進センターを集約していったときに、本当にこういうことができるのかという現実的な問題があるので、ここに書き込むことと、実際に可能性というのですか、そういうことについてもう少し議論をしたほうがよろしいのではないかと思います。支援の県、つまり連絡事務所しかない県はこれからどんどん増えるわけです。そこでこういう作業環境管理、作業管理、その地域の支援をどのようにしていくのか、厚労省の方としては、この辺はどういう考えでいらっしゃいますか。
○古田職業性疾病分析官 第1回目のときに労働者健康福祉機構のほうからご説明いただいて、今年度から閣議決定に基づいて6カ所、推進センターがなくなり、連絡事務所となって、しかし従来どおり、できるだけサービスを落とさない、業務は後退させないようにということで取り組んでいただいているという状況です。まだその結果は1年間過ぎていないので出ていないのですが、例えば研修業務、相談業務、それから以前から小規模事業場に出向いて行くことはそんなになかったと思うのですが、そういう意味では少し新しい面もあるかと思うので、どの程度できるかその辺の精査は必要かと思っております。どんどんできるという訳ではないと思います。
○今村委員 第1回で私ども日本医師会側の推進センターがなくなった県と、それを支援している県のヒアリングを行った結果についてご報告申し上げて、推進センターはなくなってもきちんとした連携を取りながらカバーできているところと、やはりなくなったことによって混乱が起こっているという意見があったところもありますので、そこはもちろん最終的に細かいところは1年待たないとわからないという、いまのご説明はそのとおりだと思いますけれど、現状として混乱が起こっているということは、一部ではあろうかと思いますけれど、あるわけですね。そういった中でこういう記載をしていくわけですので、先ほどからも地域性という話がありますが、一律にやろうとすると非常にいろいろな混乱が起こるので、こういう取組をする場合についても、いきなり全国でということではなくて、ある程度モデル的に何かをやる方法もあるのではないかというように思っております。そのことについてのご検討もお願いしたいと思います。
○藤森委員 小規模事業場の支援のうちの作業環境管理、作業管理に関してですが、いま皆さんおっしゃっているみたいに、それらは推進センターにマンパワーがそんなに、たくさん小規模事業場へ出向いてどこでもということはないと思いますので、そうではなくて、いわゆる地産保などで産業医が行って、作業環境管理、作業管理とやったけれども、これは専門的な相談をしたいと。そういうときに推進センターのお力を、より専門的な相談業務としてお力をお借し願うというような意味合いで、多分これがあったのではないかということで、私も1回目に発言したような記憶があります。だから、ただ単に推進センターが直接行ってどんどんと支援をするのではなくて、産業医が地産保事業の一環の、より専門的な相談という、ポツの2つ目にも書いてあるのですが、そのような意味合いのほうで捉えていただければ。推進センターはそのような情報の貸し出し、DVDの貸し出し、研修、もう1つはより専門的な相談と、そういうところで特化していただければどうでしょうか、と考えるところです。
○相澤座長 地産保の産業医との連携、専門的な知識で相談にのるような形ということです。いかがでしょうか、よろしいですか。
○堀江委員 6頁の「まとめ」に、「地産保の産業医と連携を行い」と書いてあるのですが、これは地産保に登録している医師のことを指しているのか、それとも、もっと進んだ考え方で、すべての小規模事業場に担当の産業医を置くとか、そのような話ですか。そうであったらいいなと思いながら、拝見しておりました。それとも、これは登録医のことですか。
○古田職業性疾病分析官 そうです。地産保でご活動いただいている産業医のことです。
○__ 誤解を生じましたか。
○堀江委員 私は、本来であれば、もっと進めて、地域ごとに担当制を導入してはどうかと思っています。各郡市区医師会には、認定産業医である登録医がどんどん増えていますので、その人たちに、この地域は誰先生といった要領で担当するエリアを取りあえず決めることができる人数に達していると思うのです。そのすべての事業所から相談がくるかこないかは別にして、誰が担当かということを決めておけば、制度として発展すると思います。地域の医師会で認定産業医としての担当医を決めることは多分できると思いますので、ある地域の事業場で何らかの事例が発生したときに、担当の産業医が労働基準監督署の人たちと連携して対処するというような活動を推進できると思います。誰が担当なのかわかるような仕組みが考えられているのであれば素晴らしいなあと思って読んでおりました。
○相澤座長 これは是非。
○堀江委員 もう1つ別件でよろしいですか。資料3の17頁です。現行の法令適用を規模別にまとめた図を書いていただいたものと思います。非常にわかりやすくてありがたいと思いました。その中で、細かいことですが、下のほうに「作業管理・環境管理」となっているのは、是非とも「作業環境管理」と「作業管理」をきちんと分けて記してほしいなと思います。いままでずっと管理が5つあるとか、5つの柱があるとか言っていたのに、ここは4つになっていますので、分けてほしいと思います。また、1行目と3行目は「作業環境管理」、2行目が「作業管理」になっているようですけれど、図では「環境管理」となっています。こういう図を書くときには文言が統一されているほうがいいと思いますので、「環境管理」と省略せずに、「作業環境管理」としていただければありがたいと思います。同様に、「衛生管理体制」は「労働衛生管理体制」としていただければありがたいと思いました。
○相澤座長 これは是非、モデルになりますからね。誤解されると困ると。
○__ あっちこっちで引用される可能性があります。
○堀江委員 さらに、もう1ついいですか。もし可能であれば「作業環境管理」の中に、労働安全衛生法の第1条の条文にある「快適な作業環境の形成の促進」という項目を入れておいてもらいたいと思います。「健康管理」には「健康の保持増進」が入っていますが、これらの2つは基軸になると思いますので、それを落とさないで書いておいてほしいと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。そうしますと2については、一応ご意見をいただきましたので、よろしいでしょうか。
 それでは次に7頁の2の(2)、地産保のメンタルヘルスの新しい枠組みに十分対応できるように体制の強化を図るべきではないか。地域産保の重点事業のほか、地域特性に応じた事業を行いやすくすべきではないか、というご議論をいただき、それをまとめたものが8頁です。地域産保において、メンタルヘルスの新しい制度に対応できるようにするため、メンタルヘルスに対応できる産業医の確保等の体制整備をする必要がある。また、保健師さんは非常に重要な役割を持っており、もっと活用すべきである。それから、地産保のサービスはどこの地域でも均一のサービスが受けられるべきである。その上で地域特性に応じたサービスが実施できるようにすることが望ましい。3番目が、地産保事業は現在都道府県単位であるけれども、最も効率的な事業実施単位について検討が必要である、ということです。大事なところですので、ご意見をいただければと思いますがいかがでしょうか。
○今村委員 まず1つ目の○の、これはこのとおりですけれども、メンタルヘルスに対応できる産業医、この「対応」というのは具体的にどこまでの対応を考えておられるのでしょうか。資料3で、先ほど堀江委員からもあったマトリックスとか表ですが、ほかの取組というのは企業の規模別にやることとか、いろいろな関与をしている人はみんな違っているわけですよね。けれども、メンタルは大事だからということもあるのでしょうけれども、企業規模を問わずすべて同じようにここは書かれていて、本来労働者から見るとどの規模の事業場に勤めているかではなく、同じサービスが一律に受けられるのがたぶん望ましいという意味では、このメンタルヘルスについてはこれでいいだろうとは思いますが、実際に地産保に登録している先生からすると、「対応」と言われたときにどの程度の対応を考えればいいのかという具体的なことです。つまり研修会を実施して、そういう研修を受けた先生たちが配備されていればいいですよということであれば、我々も対応はどんどん積極的にやるわけですよね。けれども実際上、先ほどの報告にもありましたがメンタルにかなり問題があって、1か月以上の休職をして職場復帰するみたいな細かい話、かなり専門的な話になると、そこまでは難しいですよという先生もたくさん出てくるので、その辺をどこまで書き込むか。そこをあとで教えてください。
 もう1つは、外部機関のお話の検討会のときに保健師の役割は大きいと私は申し上げて、けれども、そういう方を常勤で雇用できるような形にはいまの企業ではなっていないですよね。だから、これは活用すべきであるというのは郡市医師会が雇用しなさいと言っているのか、そうではなくて予算をきちんと確保すべきだということなのか、意味がよくわからなかったのです。
○古田職業性疾病分析官 2点目は、いまご検討いただいているのは地産保とか推進センターとかメンタル対策支援センター。要するに、国の事業の在り方の話ですので、その事業の中で保健師をもっと活用できるような仕組みというか、予算的な措置も込めてという意味に私は受け取りました。
○今村委員 ……も考えていただいているという理解でよろしいですか。
○古田職業性疾病分析官 是非ご活用いただきたいのですが、いまでも保健師はできるようになっています。
○今村委員 実際上は、現実的には難しいですよね。常時雇用する。1点目のほうは。
○古田職業性疾病分析官 基本的に、どの産業医もきちんと勉強されていますのでできるとは思いますが。
○今村委員 なぜ、この辺りはというと、いまのお話にあったように基本的にはできるという範囲であれば、そもそも外部機関とかのああいう話は出てこないわけです。あれは、いまの現状の産業医では、なかなか対応できないことを前提にしてそういうお話を出されているので、いったいどの程度の対応をということをここに考えられているかということです。
○古田職業性疾病分析官 いまは適切なご返答ができかねますので、次回までに整理します。
○今村委員 よろしくお願いします。
○武田委員 長時間の面接制度も地産保でやるとなっていますが、実際あまり使っていないからこなせているのだろうと思いますが、今度はこの制度が本当に成立して、やろうと思うと、とてもではないけれどもいまの地産保では回らないと思う。では、それに合わせて体制だけを整えるかといっても、また使わないで空振りで終わってしまう可能性もあるので、確かに法改正を考えていらっしゃるのでしょうけれども、それを前広に準備するようなことはやめて、実際の利用実態に合わせて整備していくようなことも考えていただかないと、過剰に投資したけれども使われない可能性があるので、是非実情に応じた体制をとっていただければと思います。
○堀江委員 メンタルヘルスの新たな制度というのは、まだこれから作られていこうとしている制度ですよね。どういうものになるかもまだはっきりわかっていない状態なので、曖昧なものを仮定した上で議論はできないと思います。昨年の労働政策審議会の建議の内容を拝見しますと、一定の問診票を使って把握したストレス症状を有する労働者には、事業者に申し出をさせて、医師が面接指導する。労働安全衛生法第66条の8にある長時間労働者に対する医師による面接指導と同じような仕組みが想定されているようです。しかし、実際に現場でそれを動かそうとしても、たぶん重症な人ほど申し出をする活力もないと思いますので、有効に活用されにくいのではないかという点を懸念します。
 もう1つは、さきほどの平成22年度の労働安全衛生基本調査報告によれば、平成17年11月に法改正した長時間労働者の面接指導の仕組みを知らない事業場が半分もありました。ほぼ6年前に法改正した制度を半分知らない現状で、新しい制度を3番目の柱として立てるのは非常に困難ではないかと懸念しています。産業医として感じますが、現在の健康診断と長時間労働者の面接指導という2つの制度について、仮に、違う医師が担当したら相互の連携の問題が生じますし、情報の記録媒体も別になって統合されませんので、混乱します。それが3つになるとはとても考えられないのです。ですから、もう少しシンプルな制度にしてメンタルヘルス対策を検討し直していただけないかなと思っています。そうすることによって、産業保健の支援体制ももっとシンプルにできるのではないかと思います。
 例えば、健康診断を実施する機関と産業医は別の医師であることが多いですが、必ず医師は1回問診をするわけですから、問診した健康診断機関の医師が「この人は産業医との面接をすべきだ」と考えたら、医師が産業医に対して「この人は産業医の面接をしてください」というフラグを立てて面接に回すのでは、いかがでしょうか。いずれにしろ、事業場の健康管理を担当している産業医を中心に労働者の健康情報が集約されて、産業医のところで真実の情報がすべて把握されるような仕組みを作るべきではないかと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。このメンタルヘルスの新しい仕組みに対するご意見ですが、これにも関係しますので承って。何かご意見はありますか。
○藤森委員 地産保事業ですが、ここにメンタルヘルスに対して対応できる産業医をもう少し確保すべきだと書いてありますが、我々が地産保事業として小規模に行きますと、個別訪問に行って、お宅で何かメンタル的に問題がありますかという話を事業場の事業主と話をしたり皆さんと話したとしても、実際メンタルの相談はほとんど出てきません。その理由は、小規模で自分はメンタルでうつ病なのよとお話になりますと、はっきり言えばすぐクビになります。だから、我々が個別訪問で各事業所へ行って回っても、そういう話は出てこずに、出てくるところと言えば相談窓口。一般的なところをやるとポツポツと出てきます。
 例えば、大きな市の催し物があって、そこで予め市の広告の媒体で医師会がこんな相談事業をやって、産業医のメンタル相談もやっていますよというと、ある程度来ます。それと同じように、そういう催し物は常にありませんので、夜間に一定の場所で次は第3何曜日という感じで、昼間は仕事ですのでウィークデーの定期的に、ある場所で、できたら大きな駅の近くで、堺で実際にやっています。そうすると、労働者が相談に現れます。そういうことをしないと、小規模の方の相談というのはまず出てこないと思います。小規模で個別に行っても難しい。ただそれには皆さんに周知をするのが時間かかりますし、皆さんのご協力を得なければいけないのですが、それをすると出てくるというのが実感的にわかってきていますので、何らそういう方法を、周知していただきたいというか。それで、ただ単に個別に事業所へ行ったから、メンタルの資質を持っている産業医がきちんと役に立つか。必ずしも、そうではありません。そこの実態を知っていただきたいというところです。
○今村委員 最後のいちばん下の○ですが、地産保事業の実施の単位は前に郡市区単位で347の契約をしていて、地域差もあるし、同じ県内で1つに取りまとめたほうがいいということもありましたし、いろいろな原因があって都道府県単位になったのですが、地域性によって都道府県単位で実施したほうがいい場合と、そうでない場合がある。藤森委員が大阪から来られている。私の東京だと、東京の特別区をいくつか集めて1つの監督署でやっている人口150万人ぐらいあって事業場がものすごく多いところと、地方の県の人口数十万人のところとの事業実施の在り方があるものですから、ここにも書いてあることは非常に大事なことなので、もう少し具体的にここを書き込んでいただく。例えば、政令指定都市するか、特別区などは、そういった単位で契約ができるようにしていただく。ですから東京だと、先ほどの堀江委員の、シンプルではなくて逆に複雑な方向になりますが、県単位の実施と、そういうことが国の委託事業でできるのかどうかはわかりませんが、現場としては、できれば大きな所は元に戻していただきたいという声があることを、この場で改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。ほかにはご意見はありませんか。よろしいですか。また元に戻っても結構ですが、一応進めます。
 9頁からの(3)のメンタルヘルス対策支援センター、これはメンタルセンターと略していますが、地域により医師会との連携が不十分な場合もあり、計画的に連携を図る必要があるのではないか。地産保で活躍する医師と保健師へのメンタルヘルス研修を強化することが必要ではないかということでご議論をいただいていて、まとめが10頁です。メンタルヘルス対策の支援に当たっては、メンタルセンターと地産保の緊密な連携が必要である。なお、メンタルセンターの業務のうち、小規模事業場への支援は地産保が担うのが合理的である。メンタルセンターの支援において、労務管理に関することは重要である。研修や専門的相談の実施機関は、地域の事情に応じて都道府県や地域ごとに決めるのがよいとまとめられています。いかがですか。
○市川委員 10頁のいちばん最初の○は、8頁の最初の○と関係しますか。先ほどの議論では、地産保においてメンタルヘルスに対応できる産業医の確保等の体制整備をする必要があるとあり、10頁では「メンタルセンターと地産保の緊密な連携が必要である。なお、メンタルセンター業務のうち、小規模事業場への支援は地産保が担うのが合理的である」と記載があります。この2つの関係は、地産保においては人材を確保する、こちらの最初の○は、地産保に産業医の確保等の体制整備をするといったときに、メンタルセンターが体制整備に向けた支援、教育、場合によっては人材を派遣することとつながっていると見ていいのでしょうか。この頁を跨がった2つの○の関連性をお聞きしたいです。
○古田職業性疾病分析官 参考資料の1回目にお配りしているものですが、いま地域産業保健センターでやっているメンタルヘルス関係の相談と、右上のメンタルヘルス対策支援センターで行っている事業の内容は少し違っていて、地産保でやっているのはどちらかというと事業主からの相談もあったり、本人からの相談もあったりすると思いますが、そういう方々への相談対応的なものが中心になろうかと思います。
 それから、メンタルヘルス対策支援センターでは、事業場としてどう対策を進めていけばいいのか。例えば計画をどう立てればいいか、体制をどう作ればいいか。管理監督者への教育も入っていますが、そういった支援というか集団的な支援をやっていることが、前提は違っていますが、地産保でもいまメンタルセンターがやっているような事業の支援がほしいという依頼もあるようですので、その場合は地産保が行うなり、あるいは地産保でできないかもしれないので、それは地産保を通じてメンタル対策支援センターが支援をするとか、そういう関係になってくるかと思います。的確にご説明できていませんが、小規模事業場については地産保が、この事業場にメンタルヘルス関係についてどういう相談があり、どういう支援がなされるかというのを地産保がすべて集約して承知している体制がいいのではないかと。8頁は、地産保独自の体制の話を言っているので、そういう面では違うことを言っています。全然関係ないことはないのですが、8頁は地産保自体の主体的な実施体制の向上のための話です。
 10頁は、小規模事業場に対してメンタルヘルス関係について、いろいろな支援や相談に乗る場合に地産保が担うというか、全部ができない場合はメンタル対策支援センターでつなぐことがいいのではないかというようなことを言っています。
○市川委員 メンタルヘルスセンターの事業内容の内、小規模事業場に係る部分を、地産保に移すということですか。
○古田職業性疾病分析官 たぶん、丸ごとすぐに移せるわけではないと思うので、地産保が関わるというか。いまだと、この図でいくと全く関わっていない。これでは、まずいのではないかということです。前回そんなご意見があったので、その関わり方は、地産保で能力のあるところは、全部うちでやれますというところはそれでもいいと思いますし、そうでないところは地産保を通じてメンタル対策支援センターが支援する。地産保は、それをきちんと承知しているとか、そんなイメージかなと思っています。だから、地産保とメンタル対策支援センターとの間できちんと連携を取った上で、50人未満の事業場に支援がなされるのがよいということかと思います。
○藤森委員 医師会として、地産保事業については50人未満というのが前提ですから、そこで事業場に行きますとメンタルとか定期健診以降の健康指導とかいろいろあるわけですが、それをずっとやっていると、ただ単に相談業務以外に大将から、「うち、こんなんおるんやけど、どないしよう」であるという、どういうシステムにしたい。それの相談は全般的50人未満受けますね。できるところはアドバイスされる。これが我々の地産保事業的なもともとあって、そこへ平成21年からメンタルヘルス支援体制というのが出てきて、推進センターと一緒ではないかということで出てくると、そこは50人以上ではなくて人数は関係なしに、全部。ただ、そこは労働者の直接相談は原則しませんよということで、事業場へ行って……指導しましょう、こういう体制にしたらどうですかという。また、中の就業規則を作ったりとか、休んだときにこうしましょうというアドバイスもされる。
 そうすると、大阪でメンタル支援センターはどのぐらいやっているかといいますと、事業場へ行ってやった事業は110ぐらいあります。平成22年度だと思います。そのうち、50人未満は5つぐらいで、あまり50人未満はないです。おそらく50人未満といえど上のほう、多いところだと思いますが、残りはほとんど50人以上のところにそういうアドバイスに行っておられる。その辺のところは一部オーバーラップして、50人という、地産保ではありながら、何でもどうぞ。こちらは人数関係なしに、個別の相談は駄目よと多少いびつなものがあって、我々とすれば、あまりその辺のところを言って、これは推進センター、これは地産保というよりも、ある程度50人に分ける、それは別にしても、ある程度小規模もしくは産業医のおられない中規模でもいいかもしれませんが、そこに行ったときにメンタルに関して相談は個人的なもの。事業主に対するアドバイスはこうしましょう。体制に対して、こういうシステムを作ってくださいよということをアドバイスできる人は産業医にしたらいいです。できなければ推進センターと連携を取って、誰かよこしてよなり、そこに行かせるからお願いねとか、そういう連携はどうなのかなと。しかし、マンパワーとして地産保のほうが、医師会で持っていますので、推進センターがいちいちそこに行くというのは難しいかなと。しかし、実際に産業医以外に保健師や社労士が行っておられるのはちょくちょく聞きます。そういうのが現実かなと思います。
○市川委員 別の点について質問です。2つ目の○で、メンタルセンターの支援において労務管理に関する指導が重要であるというのは、どういう意味でおっしゃっていますか。既に意見は出ていますが、労務管理と一言で表現されると非常に幅が広く、例えば長時間労働をどうするとか、もう少し具体的に書いてはどうでしょうか。下の○で専門的相談との記載がありますが、就業規則等の整備がなされずに困っている事業場もあります。メンタルセンターの支援において、社会保険労務士等による労務管理に関する支援は重要であるというご意見が出たことは記憶にありますが、これはメンタルセンターが労務管理についても支援するということですか。
○古田職業性疾病分析官 メンタルヘルス対策の支援に関してということがもちろん前提にはなりますが。
○藤森委員 たぶん、そこで出たのはメンタルですから、長期の休暇を要する。そうすると、一方でははっきり言って、……2年間続けて休んだら、あなたはクビよということをおっしゃったら、2年間が経って、なんとか3か月は我慢して出るから、あとはまた休ませてくれるというようなところがあります。これは、はっきり言って公的な機関ですが、そういうところも含めて、そうすると私はこれは長期にかかると聞いているけれども、またクビになるのだろうかとか、そういうのは相談する人にとって非常に問題になって、給料はどのくらいくれるのかという話があって、メンタルでなかなか休めない。だから、それはこういうところに来ますよ。このぐらい休んだらクビだけれども、ここまでだったらいけますから、しっかりそこまで休んでねとか、休養してねとか、給料はこのぐらい出ますよと、休むに休めないところが実際の労働者の問題があって。
○市川委員 そこはよく理解できるところです。私は、誰がそういう労働者の相談に乗るのかという点が労働組合として重要と考えているわけで、それは労働法上のさまざまな権利等を理解した上でアドバイスしていただく必要があります。藤森委員がおっしゃるのは全くそのとおりで、そのことには一切異論ないですしやらなければいけないのですが、その相談を誰が担うのかということです。弁護士とか労働問題に精通した人がいるならよいのですが、そうでない方だけで判断されると怖い部分があります。労務管理が重要だということはとてもよくわかりますが、労働組合としては労働法に精通した専門家がいることが前提であることが重要です。
 別の検討会で申し上げましたが、労務費をこれだけ安くできますといった広告がたくさんあるわけです。残業代を払わなくて済む会社ばかりとは言いませんが、そういう心配があるものですから、労務管理に関することが重要であることに反対するわけではありませんが、慎重な対応が必要ではないかという懸念を持っていることを意見として申し上げておきたいのです。
○藤森委員 ……私が言ったわけではないのです。第2回目の発言の内容だと思いましたが、私も実際にやっていると労働者にとって、給料の問題とかクビの問題とか非常に切実な問題があるので、委員の先生がおっしゃった内容も市川先生がおっしゃるみたいに、もう少しシャキッとした意見を言えるところにやってもらわないとという、もちろんそれもそうです。ただ、そこまで議論が煮詰まらずに、そういう人も入っていただいていかがですかという話でここは止まったと思います。
○市川委員 私は、この検討会で労働組合としてそういう懸念を持っているということを表明しておきたいのです。すべての現場で、すべて適用できるという現実問題はいろいろあるでしょうけれども、そういう懸念を持っていることは表明しておきたいというだけなので。
○堀江委員 ここに関しての議論を伺っていますと、メンタルヘルス対策支援センターと地産保との関係が、6月の第1回の委員会のときからわからなかったのですが、いまでもまだよくわからないので、たぶんこれは分け方に無理があるとしか思えないのです。50人以下の事業場ということで、これは明確に地産保と推進と分けたのはいいのですが、メンタルヘルスという横軸というか縦軸というか違う軸で切っているところがわかりにくいのです。しかも健康面を心身で分けること自体、多くの医療関係者は賛成しないと思います。どの事例がメンタルヘルスに関連していてどの事例が違うといったことは言えないのではないでしょうか。そこを無理矢理分けて、メンタルヘルスだけ違う事業にするのはどだい無理だと思います。ですから、そこを分けるのは諦めてもらって、私はようやく馴染んできた推進センターと地産保の分け方だけに戻した方がよいのではないでしょうか。そして、推進センターはいままでも産業医などが相談できる場所でした。地産保は、さきほど述べたようにエリアごとに担当する認定産業医が配置できればいちばんいいですが、そこには登録医としての認定産業医を持った医師がいるわけですから、事業者や労働者からの相談を受ける活動はもちろん、職場の健康管理等を担当する医師からの相談も受ける場所としても活動してはどうでしょうか。また、社会保険労務士の中で労使からの立場のバランスのいい方とか、労働基準監督官をやった経験のある方とか、場合によっては弁護士といった方に無料で相談できる場所、医師が不得意なこれらの分野の相談ができる場所にもなっていただけたらありがたいと思います。いずれのセンターも産業医の人たちにもアドバイスをしていただけるという絵のほうがわかりやすいような気がしますが、どうでしょうか。全基連には労務相談窓口がありますし、労働時間の短縮に関するアドバイザーが配置されていたりします。労働基準に関することや雇用に関すること、こういった問題は健康と密接に絡んでいますので、医師がこれらを相談する場所がなかなかないのは、現場の悩みです。そこを解決してくれるセンターとして機能していただけるのであれば医師の側が使いたいなと思います。これは50人以上だろうが以下だろうが、医師が相談する場所として、メンタルヘルス関連の事例が取っかかりになりながら、労務管理とか労働基準といったことを相談できる場所を国の政策として整備していただければありがたいと思いました。
○相澤座長 もう少し考えていただいて、これはもう存在しているので、いかにこれを活かすかということしかないですが、ほかにご意見はありますか。
○武田委員 産業医の話が出ましたが、事業者としても就業上に関わる問題、メンタルについては、そういった方が相談できるような場所は大事だろうなと思います。きちんと専門的なことをサポートできるような人がいれば、そういう方にお願いしたいと思っています。
○相澤座長 よろしいですか。労務管理についてはいまご懸念がありましたので、少し注意して書いていただきたいと思います。
 よろしければ11頁の(4)の支援事業の在り方ということで、将来的には上記の支援事業を「研修事業」と「支援事業」に分けてなどにより整理統合してはどうかということでご検討いただきまして、12頁にまとめがあります。支援事業は、将来的には行政のバックアップの下、都道府県単位でコントロールする機能があり、その下にさまざまな機能が有機的に結合しながらサービスが提供できることが必要である。この場合、地域労働衛生活動を展開していく機関も含め連携するとよい。サービス主体や実施単位については、事業場規模とサービス内容を縦横の軸にしたマトリックスにして検討する。小規模事業場に対しては支援内容で分けず、すべてを総合的に支援する必要があるというご意見をまとめています。これについては、いかがですか。
○武田委員 行政のバックアップと14頁の総合調整する機能というのは、同じことを指していると思っていいのでしょうか。
○古田職業性疾病分析官 かぶってきていると思います。前回、お話の中で両方に書いています。
○藤森委員 ○の下から2番目で、総合調整する機能として三つの機関だけでなく、いろいろな機関も連携してということで、労災病院の位置づけや連携についてもということが1回目か2回目に出たと思います。我々も地産保事業をやっていて、どういう結論が出たかというのがいちばん最初の総体的な部分で問題があるという話がありましたが、労災病院というのは診察、診療、病気の治療の面と労災に関して1つの事業というか、そういうセンターも持っていますので、そういうところと一体化したパイロットスタディはどうかというのが最初に今村委員から出たことがあるように思います。その方向性や有用な方法を見極めるというか試みる一環として、労災もしくは推進センターも含めて、そこで実際に支援事業をやるような医師会等のそういうところと、すべてが合同というか協力体制を組んで、市、県の協力も得て、行政の上の指導の下にというか、パイロットスタディとか、そういうものでやることはいかがなものでしょうかということです。
○相澤座長 まとめでは、いちばん上の○ということですね。有機的に3つの事業がありますので、これをまとめるような形で行ったほうがいいということだと思いますが、研修費用は国は独法……。
○今村委員 独法も含めて武田先生からお話のあったいまのところは、支援事業の在り方の次の総合調整のところにも関わってきて、私もそういう理解でいますが、有機的な連携というのは別にこの会だけではなくて、すべての中でずっと言われ続けていて、キーワードですが「連携」という言葉を使った瞬間に、それはうまくいっていないから大事だという話になるので、具体的にどういうイメージでお考え。次の話に入ってしまうのかもしれませんが、何か会合を持って、その会で関係している団体にいろいろな意見を聞いて調整していくというのをイメージで考えておられるのでしょうか。こういう総合調整というのは、どこか団体が1つ総合調整機能を持つ。そこが事務局みたいなことになって、関係している挙げられている団体に来てもらって議論する場を持つイメージですか。
○古田職業性疾病分析官 それがたぶん1点ですね。
○椎葉労働衛生課長 おそらく顔を見合わせて、1つの議題にどういう観点で取り組むかというのを明らかにする上でも、会議というのはいちばん最初にやるべきものではないかと考えています。
○今村委員 よく介護関係の話で、介護の関係者が集まって事例を挙げて、このケースはどういう取組をしたらいいかみたいなディスカッションを多くの人がすることをよくやっていますが、そんなイメージで、これも総合調整みたいなことをしていくという理解でよろしいですか。
○武田委員 14頁の2つ目の○の2つ目の機能のほうではないかと。個別の事業者、指導の中でやる小さな枠組みの調整です。
○今村委員 このタイプですね。全体の大きな枠組みがもう1つあって。
○武田委員 それは行政の運営方針みたいなものを伝えて、それに従ってやってもらうとか、年度方針に従ってやるといった機能です。
○今村委員 わかりました。何か、かぶっている話かなと。
○相澤座長 13頁のいまの総合調整の必要性で、そういった機能が必要ではないかという話で、14頁のまとめの最初が、「総合調整して進行管理や調査、評価などを、行政が加わった形で責任を持って行う組織、機能が必要である」。それから、いまのお話で、「総合調整には、行政の推進活動に対する各機関の方向性という大きな枠組みでの調整と、日常的な個別の事業者に対する指導の中での調整という小さな枠組みでの調整の二つがあり、これらは整理することが必要である」。「調整の機能については、行政が事業者団体等と連携をとった上で、具体的な実務は、地域組織がありコーディネーター機能を有するところが担うのがよい。なお、民間事業者が提供するサービスとの調整も必要である」ということですので、まとめてご議論をいただければと思います。
○道明委員 現在の推進センターは、運営会議でそれこそ連合からも来られていますし、医師会長やいろいろな人も来られています。総合的なことをやっていますよね。先ほど言ったことは、そういうことをもう少し広げるという意味ですか。
○相澤座長 地産保との連携もありますから。
○道明委員 地産保でも、もちろん運営会議をやっていますから、そういうものを広げるということですね。
○市川委員 これは将来的に産業保健をどうしていくのかという話だと思いますが、「調整が必要である」と記載があります。その通りだと思います。この図が段階を踏んででもいいですし、将来的にこういう調整機関を置いて、あるいは12頁の図でいくと、連携した形はどういう姿になり得るのか図で具体的にイメージをしないと、日本語だけで書かれているだけでは文句の付けようがない感じがします。先ほど言われたような連携は難しいと思いますが、いまあるものをあるべき姿として持っていきたい。でも、いきなりはいかないから徐々にこうやっていくのか、たぶん二段階ぐらいの絵になってくるのではないかと思いますが、段階的な絵が見えるとわかりやすいと思います。
○椎葉労働衛生課長 そういうような図を次回用意します。
○堀江委員 その図を書くということで具体的になってくると思いますが、産業保健推進センターは一方では閣議決定があるので、縮減されていくというのは予測しておかなければいけない事実だと思います。しかし、一方で都道府県単位を越えて何かの枠組みを作るというのは絶対に無理があって、労働局ですら都道府県を越えると管轄が違うわけですから、その境界線は越えられないと思います。ということは、その2つの条件から考えてくると、推進センターという言葉はもう使ってはいけないのでしょうから、違う名前のセンターを都道府県ごとに置いてもらわないといけないと思います。産業保健支援センターとか。支援の在り方委員会として産業保健支援センターを各都道府県に1カ所置いて、推進センターがあるところは推進センターが参画する。連絡事務所があるところは連絡事務所が参画する。地産保、地域の医師会、全基連、中災防など、現場から見て労働衛生の行政を周辺で支えている団体は、たくさんあります。ところが、労働者側にも事業者側にも小規模事業場を中心に認知されていない。また、政策も行き届かないということが繰り返し言われています。ですから、それが大きな連携によって、きちんとした支援を行って各団体のネットワークでそれを広めていく機能を持たせた支援の委員会というか、センターを都道府県ごとに作ってもらうのがよいのではないかと思います。その中で、50人以上というのは産業医が必要なわけですから、それを選任していただけるように都道府県の医師会が認定産業医のデータベースを構築して、それを使って、産業医が選任されていない事業場にはきちんと選任をしないと罰則が適用されますよと指導する。その罰は両罰規定で、法人が刑事罰を受けますよ、行政処分とか社会的責任の問題にも発展しますよということをよく徹底して言っていただく。また、その一方で50人未満の所には地産保もあるし、医師会側として領域を決めて、すべての労働者に誰がお宅の地域の担当の産業医かがわかるようにして、少なくとも労働衛生という分野において、きちんとした支援の体制を作る意気込みで総合調整をやってほしいなと思います。ですからメンタルヘルス関連の事例だけはこうするとか、こちらの相談はあちらに行けとかいうことはなるべく避けてほしいなと思います。
○今村委員 堀江委員のおっしゃったことの大部分は賛成ですが、センターを作ることについては、たぶん先生もそういう機能が大事ということでおっしゃったと思いますが、いまですら推進センターや何々センターが多すぎて重複しているから事業仕分けだと言っているところに、新たにまた屋上屋を重ねるように作ると全く全体がわからなくなるので、堀江委員のおっしゃった機能をとにかくどこかがきちんと都道府県単位で担えるように考えていただくことを改めて申し上げたいと思います。
 推進センターは国の閣議で決まっているとは言いつつも、この先どうしていくのか。ただ数と予算だけを減らしていいという話でもなくて、今後新しいことを考えていくと、これは集約された形で残るわけですよね。そのときに、どういう仕事をしていくのかとの兼ね合いも出てくるので、そこは絵を描くときによく整理をして書いていただきたい。できれば縮減というのは見直してほしいとは思います。
○市川委員 今日お持ちしした資料に地方連合会からの意見で出ているのは、3ポツに記載があるように、1つに統合してしまうということです。センターもメンタルヘルスも地産保もといくつもあるため、重複感があると。いま堀江先生がおっしゃったのは、この3つを統合するいうイメージに聞こえたのですが、たぶん先生はそうではなくて、この3つの機能を包含したような組織が1個あって、1つのまとまったセンターが産業保健全体の責任を持って、50人未満に対しどう対応するかというのはその1つの中の部門で実施するなどと言った書き方もできるのではないかと。将来的な姿として。だから、いくつもセンターがあるからダブリ感があるので、産業保健を担う核のようなものが都道府県に1カ所ある。そこに災防団体とか、他の関係機関も連携しつつ、産業保健の在り方の計画、地域ごとの計画を立てるなどの運用をしていくということも考えられるのではないかと思います。
○相澤座長 最終的には、こういう形が望ましいですね。ありがとうございます。市川委員からの意見はよろしいですか。大体網羅されて。
○市川委員 今回の論点で、もう1点だけ付け加えると、いちばん下の広報活動の強化で、これまで皆さんのご意見もありましたが、あまり活動内容を事業主に知られていないのではないかと思います。本当に零細の、こういったサービスを必要としている事業主の皆さんに、サービスの内容が知られていないという問題意識で、いろいろな場を利用してもっと宣伝、広報したほうがいいのではないかという意見が多くの県から共通して出ていますので、これを報告書の中に取り入れてもらいたいと考えます。
○相澤座長 大変大事なことをご指摘いただきまして、ありがとうございました。最後の14頁と12頁については貴重なご意見をいただきましたので、ほかに何かありましたらお願いしたいと思います。よろしければ15頁にいきます。全体的に言い残したところとかがないようでしたら、資料1については次回の報告書(案)に反映していただくことにしたいと思います。骨子案が資料2にありまして、先ほどご説明がありました15、16頁の骨子ですが、堀江委員からご意見を。
○堀江委員 15頁の2の労働衛生の現状と課題に、いまは何も書かれていませんが、小規模事業場に多くの課題があることと、非正規労働者についても課題があるといったようなことを項目として出していただけないかなと思います。16頁には、小規模事業場の支援の在り方ということで意識された点がありますが、現状の課題にそれがあるからこそ地産保が必要で、また特別な措置が必要だという流れになってくると思いますので、まず課題のところで小規模事業場を出しておかないといけないと思いますから、項目でわかるようにしておいていただきたいというのが1点です。
 もう1点は、16頁の3改め4の支援の在り方の中の(1)と(2)が総論になると思いますが、直前で議論した3センターの統合的な機能を持った都道府県単位での連携の場を是非確保することを書いてほしい。それは書ければいいなと思っていますし、繰り返しですが小規模事業場についても、あるいは非正規労働者についても誰が担当の産業医になり得るのかがわかるようなレジストリー、登録みたいなものは作ろうと思えばできると思います。既に医師会も8万2,000人の認定産業医がいて、大都市部においては事業場が見つからない人が出てきて、医師としての教育研修が先に行ってしまって、てぐすねを引いて待っている状態ですから、小規模事業場に展開するだけのマンパワーは備えつつありますので、そういった方々がきちんと網羅的に手配される。結果として、すべての労働者に対して産業保健のサービスが供給できる体制を作るのだという方向性でまとめていただくと、非常にわかりやすいのではないかなと思いました。以上です。
○相澤座長 事務局から説明していただくのは。
○古田職業性疾病分析官 一応、今日を含めて3回、ご熱心にご議論いただいてきて、そろそろまとめの時期と考えて、こういうものを出しています。ここにいまは項目だけで何も書いていないのですが、資料1のまとめのような内容を今日の議論も踏まえて整理して、報告書骨子案に埋めていくイメージで考えています。
○今村委員 「はじめに」の(2)の検討会の趣旨ですが、私も最初の会のときにあまり気がつかなかったのですが、最初に配られた会の開催の趣旨というのは推進センターとメンタルヘルス対策支援センターの今後の在り方を議論するということで、この検討会を開催する。実際上は地産保の話も随分出ているので、最初の会の開催のときのものとは違った形で、この趣旨についても少し書き換えていただくとありがたいなと思っています。
○古田職業性疾病分析官 趣旨を変えるというのではなくて、地産保の議論もしたというふうな。
○今村委員 なぜ、こうなってしまったのかなというのがよくわからないのですが、これは推進センターとメンタルしか書いていないのです。何らかの形でわかるように。
○椎葉労働衛生課長 開催要綱と委員名簿は必ず資料に置くので変えようがないのですが、議論の中身で地産保のことも当然出てくるので、それについてはきちんとまとめてやるというのが我々事務局のスタンスですので、そこはご懸念はないかと思っています。
○今村委員 何か背景があって、こうなってしまったのかなと危惧してしまうので、きちんと中身に書いていただければ結構です。
○相澤座長 では事務局にまとめていただきますが、最後ですので会の前に送っていただいて、先ほどの図を含めて最後にきちんとまとめたいと思いますので、よろしくお願いします。骨子案についてはよろしいですか。ありがとうございました。
○武田委員 骨子案とは外れてしまうので最後まで待っていたのですが、17頁の表で、労働衛生管理で堀江先生が3管理の話をされていたのですが、いちばん下に労働衛生教育というのがあって、ここだけ管理が付いていないのです。「労働衛生」という文言も付いていて、健康管理は本来であれば下と同じように書くのであれば、「労働の場の健康管理」とかと付けなければいけないのだろうなと思いますが付いていない。そういったことも考えて、ここは「労働衛生」というのを取って「教育管理」という形にしていただければいいなと思っている。教育といっても実際教育をやるだけではなくて、どう教育を進めていくかとか、主任者みたいな有資格者をどう整えていくかとか、教育する指導者をどう養成していくかとかのマネジメント的なことも必要なので、ここだけ労働衛生教育と止めてしまわないで、ここは教育管理として、もう少し労働衛生教育もきちんとやるという姿勢を示してほしいなと思っています。
○道明委員 4管理になりますね。
○武田委員 一番上が総括管理なので、5管理になります。
○古田職業性疾病分析官 一応、この資料はご検討いただく参考のための、頭の整理のための資料ということでお配りしたので。
○武田委員 せっかくだから、報告書の後ろに参考資料を付けていただければ。
○椎葉労働衛生課長 いろいろ安衛法の体系なども見ながら、きちんと再整理して提示させていただきます。
○武田委員 もともと3管理と2つの項目を決めたのは、衛生管理者の職務を昭和の時代に作ったときに、この管理の枠組みが出てきているので、もう見直してもいい時期ではないかなと思います。
○相澤座長 全般的にわたって、何かご意見がありませんでしたら、本日はこれで終わりたいと思います。次回の予定について事務局からご説明をお願いします。
○古田職業性疾病分析官 次回は9月26日(月)17時からを予定しています。場所については、追ってご連絡申し上げます。
○相澤座長 時間が遅いですが、よろしくお願いします。
 それでは、「第3回産業保健への支援の在り方に関する検討会」を終了します。どうもありがとうございました。


(了)

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