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9月21日 「第4回 東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」議事録

○日時

平成23年9月21日(水)
10:00~


○場所

厚生労働省専用12会議室


○議事

○田原中央じん肺診査医 本日は大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。時間になりましたので、ただいまより第4回「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を開催させていただきます。今回は、参集者7名のうち草間委員が欠席されています。6名の先生方にお越しいただいています。カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 ここからの議事進行につきましては相澤座長にお願いいたします。
○相澤座長 皆さんおはようございます。大変お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。最終回になると思いますけれども、円滑な議事の進行をよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○田原中央じん肺審査医 お手元の資料についてです。まず、表紙があります。次の頁、今回の資料は、報告書(案)ということで、通しで1頁から7頁まで文章があります。8、9頁が表になっていまして、10頁目が(参考)です。11頁からが参考資料で、参考資料1が第3回検討会議での主な意見です。13頁から、参考資料2「緊急作業従事者の被ばく線量について」です。これは9月15日に東電から出てきたもので、3月から7月までの間に緊急作業に従事し始めた作業者の方々に関する被ばく線量の分布です。参考資料3として「参照条文」となっています。最後が、17、18頁、両面の資料です。以上です。
○相澤座長 資料について過不足はございませんでしょうか。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、資料について事務局から説明をお願いいたします。
○田原中央じん肺診査医 資料は、報告書(案)ということで長くなりますので、最初のほうからご説明します。通しの2頁です。1「検討の背景」、次の頁の前半の2「基本的な方針」まで、まず読ませていただきます。
 1「検討の背景」です。平成23年3月11日に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故の事態収束に向け、多くの労働者が緊急作業に従事している。事態収束に向けた作業が長期化している中、緊急作業に従事する労働者においては、通常の放射線業務とは異なる環境下で緊急性の高い作業に従事していることにより心身の長期的な健康に不安を感じることや、放射線への被ばくにより中長期的に健康障害の発生リスクが高まることが懸念されていることから、これらの労働者に対して長期的な健康管理を行うことが必要となっている。
 また、原子力災害対策本部においては、平成23年5月17日に「原子力被災者への対応に関する当面の取組指針」を取りまとめ、本取組方針においては、安全や環境に及ぼす影響や作業環境に配慮しながら、一刻も早い事態収束に取り組むこととされた。特に、作業員の長期的な健康管理のため、「緊急作業に従事した全ての作業員の、離職後を含めて長期的に被ばく線量等を追跡できるデータベースを構築し、長期的な健康管理を行うこと」等が示された。
 こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、平成23年6月に「東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を設置し、?データベースを構築するに当たって必要な項目、?健康診断等、離職後も含めた長期的な健康管理の在り方等について検討を行った。本報告書は、東電福島第一原発作業員の長期健康管理の在り方について取りまとめたものである。
 引き続き、2「基本的な方針」です。緊急作業に従事した労働者が、離職後も含め、自らの健康状態を経年的に把握し、必要な健康相談や保健指導等を受け、適切な健康管理を行うことができるよう、データベースは、被ばく線量以外にも健康状態に関する情報等を登録できるとともに、労働者本人が自らの情報を参照できる仕組みとする。
 また、緊急作業に従事した労働者の長期的な健康管理を行うためには、緊急作業に従事したことによる健康への不安を抱えていること、被ばく線量の増加に応じて健康障害の発生リスクが高まることから、一定の被ばく線量を超えた労働者に対しては、原則事業者が被ばく線量に応じた検査等を実施することが適当である。
 さらに、離職後についても、適切に健康管理が行われるよう、国が離職者を対象とした健康相談窓口を設置するとともに医師又は保健師による保健指導の機会を提供し、一定の被ばく線量を超えた労働者に対しては、被ばく線量に応じた検査等を実施することが適当であるとしています。具体的な話の前にということです。
○相澤座長 報告書は長いので、ここで区切りまして、いままでのところで何かご意見ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、後でまた、お気付きの点は元に戻って検討させていただきます。
 では、3「データベースの構築」から説明をお願いします。
○田原中央じん肺診査医 データベースの構築は、続きの3頁から4頁の下のほうまでとなっています。途中で表の話が出てきます。3「データベースの構築」(1)データベースの項目。データベースにおいて管理する情報については、今後の長期的な健康管理に活用するため、下記アからオまでとする。
 ア、個人識別情報、ID番号等です。イ、緊急作業従事前、従事中及び従事後の被ばく線量及び従事中の作業内容についての情報です。ウ、健康診断結果等の情報、いわゆる検査結果です。エ、健康相談、保健指導等の情報。オ、その他健康管理に必要な項目、例えば、生活習慣等の情報としています。
 また、上記のうち、以下の情報については、事業者から提出を求めることとする。ア、個人識別情報。イ、被ばく線量及び作業内容。特に緊急作業又は放射線業務に従事している間の事業者が把握している内容です。ウ、放射線業務に従事する労働者の特殊健康診断結果、緊急作業又は放射線業務に従事している間に受診した一般健康診断及び臨時健康診断等の結果。これは、電離放射線障害防止規則の健康診断や、その間の一般的な定期健康診断や、今回の事故でいいますと、福島労働局が1か月ごとのサイクルで指示している健診がありますので、そういうものをしている間の健診結果です。ここまでは事業者から求めるということです。
 次です。なお、必要に応じ、財団法人放射線影響協会の被ばく線量登録管理制度及び放射線管理手帳制度に係る労働者の情報についても、労働者の同意を得て活用できるようにすることが望ましいとしています。
 次の段落です。データベースの項目については表1のとおりとするが、適宜見直しを行えるものとする。また、同項目には、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のように法令に基づき定期的に実施される項目と、任意で実施される項目の両者が含まれており、労働者が任意に受けた検査結果等については、労働者の同意を得て提出を受け、それをもとに管理することができるようにする。
 このデータベースで管理される情報は、将来、一定の条件のもとに疫学調査等に活用される場合も想定しており、その場合については、適切な調査計画に基づき実施されるべきであるとしています。
 ここで一旦、8、9頁の表1をご参照ください。これは、第2回、第3回で取り上げさせていただいたデータベースの項目です。大体こういうイメージで作るというものの表です。
 では4頁に移ります。
○鈴木委員 これは、いちばん最後に言ったほうがいいのかもしれませんが。ここにずっと書いていった中で、労働者の同意を得て活用できるようにすべきであるという文がありますが、これを具体的にどのような仕組みで同意を取っていくかに関して、何か1つ言及しておかないといけないのではないか。特に、この制度が始まる段階で同意を取っておかないと、後から追跡して同意を取るのは非常に難しくなるので、その辺の何か言及が必要ではないかと思います。
○田原中央じん肺診査医 ちょっとそこは、次のところまで関係してくると思いますので、一旦、4頁に戻らせていただきます。(2)データの参照、ここまで読ませていただきます。
 緊急作業に従事した労働者本人が被ばく線量を含めた自らの健康情報を参照することが出来ることとする。また、個人情報の保護の観点から労働者本人が窓口で参照することとし、全国各地から緊急作業に従事している労働者がいること等を踏まえ、労働者の利便性を考慮し、一定数の窓口を全国に設置することとする。
 その際、全ての緊急作業に従事した労働者に対しては、健康管理の実施やデータベースの参照に当たっての本人確認が円滑かつ適切に行われるよう、登録証を交付する。さらに、被ばく線量に応じた検査等を実施する労働者に対し、検査結果や過去の被ばく線量等を容易に確認できる手帳の交付を行う。なお、主治医や事業者等がデータベースで管理される情報を活用する場合には、労働者を通じて提供するというものにしています。
 ちょっとここについて補足させていただきます。いままでのグランドデザイン等では、登録証もしくは手帳のようなものという書き方をしていたのですが、そこを具体的にしています。データが登録されましたという登録証というのは全員にまずは配ります。線量が高い方にはさらに手帳も追加して、検査結果等も書き込めるようにしますという、そういう二段階の運用にしています。鈴木委員がいま言われたような同意は、こういう登録証ですとか手帳とか、それらの手続の中で組み込むような話ではないかと思います。
○鈴木委員 (3)として、同意の取得というような1項目を入れておくと。例えば、手帳の交付時期に同意を取るとかのような形に、明示的に書いておくと忘れないのではないかと思います。それは任せます。
○田原中央じん肺診査医 3は以上です。すみません、議論が始まってしまいまして。
○相澤座長 いま、鈴木委員の大事な指摘がありました。特に、疫学的な調査をする場合に本人の同意が必要だと思いますので、それを取ることについての記載をこの報告書に入れるということで、よろしいでしょうか。
○鈴木委員 はい。
○相澤座長 ほかにはございませんでしょうか。
○今村委員 4頁の(1)の2段落目で、「データベースの項目について」と始まるところに、「労働者が任意に受けた検査の結果等については」とありますが、ここは、確認なのですが、労働者の方が健康診断ということではなくて、例えば医療を受ける機会は長期的にはいろいろあって、医療機関で得られた検査のデータをイメージしているということでよろしいのでしょうか。
○田原中央じん肺診査医 事務局の考えとしては、任意であれ、検査結果であればというイメージで、書き方としてはそのようにしておりますが。委員の方々のご意見があれば。
○今村委員 当然、高齢になってくればいろいろな形で、健診ということではなくて、医療機関を受診していろいろな検査を受けるわけで、そのときに、恐らく労働者の方が、自分が病院で受けた健診結果をもらう場合もあるのですけれども、カルテに貼ってしまって、それで終わりということもあるわけで、こういう仕組みの中で、きちんとどこでも、自分が受けた検査の結果を自分がもらって、こういう登録でずっと管理しているということを、運用上きちんと周知しておかないと、そういうものは抜けてしまうのではないかと思ったものですから、改めてここを触れさせていただきました。
○安井中央労働衛生専門官 この検査は、事務局のイメージとしましては、医療による検査というよりも、例えば人間ドックのように法定項目以外の健診を受けられた場合を想定しています。
○田原中央じん肺診査医 いちばん最初はそうだった。ただ、項目としてそういうものが相当するものがあって、ご本人が提出したいものがあるということであれば。
○安井中央労働衛生専門官 そうです。後ろの、データベースの項目の中に合致するような検査を、もし任意に提出されたいということであれば、もちろん拒むものではないのですけれども、ただ、この項目自体が、もともと人間ドックなどそういった健診項目を基に作っています。
○今村委員 要するに、健康管理ということは、健康であり続ければいちばんいいのですけれど、放射線被害で、例えば、健康障害を起こす可能性があるわけですね。
○安井中央労働衛生専門官 はい。
○今村委員 放射線障害で病気になるかどうかは別として、段々、離職して高齢になってくれば、いろいろな疾病を受けて医療機関を受ける機会が増えてくるわけです。いわゆる健診のデータは登録するけれども、任意に医療機関を受けたときに、病院でいろいろな検査をするわけですね。医療の検査は抜けてしまいましたといったら本来的な意味がなくなってしまうので、そこはきちんと、ご本人がよくそれを分かっていて病院からデータをもらって、ここに登録できるということを周知しておく必要があるのではないか、そういう意味合いで、ちょっとここはこだわって申し上げているのです。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるように、任意の検査結果を国に登録するという制度は作っていますので、そこは、ご本人が登録されたいという希望があればそれを受け付けられるようにはしたい。
○今村委員 そういうことはできるのですね。
○安井中央労働衛生専門官 はい。
○今村委員 そこはきちんとご本人に、病院でのデータも分かる、登録できることを周知しておかないと意味がなくなってしまうので、その運用上そこはきちんとしていただきたい。
○田原中央じん肺診査医 例えば、イメージとしては、ご自分で受けたそういう検査は、例えば人間ドックだったり、かかりつけのところで受けた検査結果だったりというものが含まれますということを入れるということですね。
○今村委員 そうです。
○田原中央じん肺診査医 そういうことを入れるということですね。
○相澤座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、次の4に進みましょう。
○田原中央じん肺診査医 4頁目の下から3行目からです。4「離職後も含めた長期的な健康管理の在り方」。(1)基本的な考え方です。緊急作業従事者においては、電離放射線障害防止規則(以下「電離則」といいます。)に基づく放射線業務従事者の1年間の被ばく限度である50mSvを超えて被ばくした労働者、さらには、電離則に基づく緊急作業時における従来の被ばく限度である100mSvを超えて被ばくした労働者がいることから、被ばく線量の増加に伴う健康障害の発生が懸念される。このため、現時点での医学的な見解を踏まえ、被ばく線量に応じた検査等の実施が必要である。なお、事故発生後早期から緊急作業に従事していたことに伴う安定ヨウ素剤の使用等についても留意すべきである。
 また、通常の放射線業務とは異なる環境下で、緊急性の高い作業に従事したこと自体により、労働者が心身の長期的な健康に不安を感じることが想定されるため、現に事業者に雇用されていない者等、事業者による通常の健康管理が行われない者全てに対して、被ばくした線量にかかわらず、国が健康相談窓口を設けるとともに医師又は保健師による保健指導の機会を提供する。
 なお、緊急作業時の企業に継続して雇用されている労働者及び緊急作業又は放射線業務に従事している労働者に対する被ばく線量に応じた検査等は原則事業者が実施すべきであるが、中小企業において放射線業務に従事しなくなった者、放射線業務を行わない企業に転職した者等については、事業者が通常の健康管理を行い、国が被ばく線量に応じた検査等の機会を提供することが適当である。
 (2)具体的な健康管理の項目です。ア、緊急作業における被ばく線量にかかわらず対象とするもの。?通常の放射線業務とは異なる環境下で緊急性の高い作業に従事したことによる精神面への影響に対するケアを含めた通常の健康管理を事業場において行う。なお、離職者及び放射線業務を行わない企業へ転職した者を対象に、国が健康相談窓口を設けるとともに、医師又は保健師による保健指導の機会を提供することとしています。?国又はその他適切な実施主体が実施する健康管理に関する取組。これは「線量にかかわらず」とありますが、緊急作業従事者の一部を対象とするものも含むとしています。これについて、案内を行い、参加者を募る。なお、これらの取組が調査研究に該当する場合、倫理面にも配慮し、適切な手続を経た上で、その趣旨等について対象者に十分に周知することが必要である。
 イ、上記アに加えまして、緊急作業における実効線量が50mSvを超えた者を対象とするものとして、?年1回、一般的な健康診断項目に加え、眼の検査を受診できる機会を設ける。?眼の検査として、細隙灯顕微鏡による検査を実施する。また、当該検査を実施する各地の施設の間で標準化された方法により、水晶体の写真を撮影することが望ましい。ここをちょっと補足させていただきますと、前回のご議論を踏まえまして、1つは、調査研究を含めた取組の整理という点、これがアです。イで、眼の検査につきましては、写真も撮影しておいたほうがよかろうというご意見があるので付け加えています。戻ります。
 ウです。上記ア及びイに加え、緊急作業における実効線量が100mSvを超えた者を対象とするもの。?年1回、甲状腺の検査及びがん検診(胃、大腸、肺)を受診できる機会を設ける。?甲状腺の検査として、採血による甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離トリヨードサイロニン(freeT3)及び遊離サイロキシン(freeT4)の検査を実施する。また、これらの検査の結果及び被ばく線量等から医師が必要と認めた場合には、頚部超音波検査を実施する。?胃がん検診として、胃エックス線透視検査又は胃内視鏡検査を実施する。?大腸がん検診として、便潜血検査を実施する。?肺がん検診として、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診を実施する。?上記?から?に定めるほか、1年以内に1回、白血球数及び白血球百分率の検査を実施することが望ましい。なお、当該検査は、現に放射線業務に従事している労働者については、電離則に基づく健康診断に含まれる。その他の労働者等については、一般定期健康診断等の健康診断において実施する採血による赤血球数及び血色素量の検査と併せて実施することが適当である。
 (3)定期的な見直し。健康管理の実施事項等については、医学的知見の進歩や、検査手法の変化が想定されることから、3年後をめどに見直しを行う。例えば、放射線被ばくと各種のがんの発症との関係については不明な点も多く、上記(2)のウに示したがん検診については、一般的に男性に対するがん検診として手法が確立しているものとしている。したがって今後の医学的知見の進歩等により対象疾病及び検査項目等を見直す必要があるとしています。
 ちょっと補足させていただきますと、前回のご議論を踏まえて、いままでのグランドデザインとか第3回の資料から書き加えているところをご紹介します。まず1つ目は、5頁の真ん中の辺り、(1)です。「なお、緊急作業時の企業に」というところについては、いままでよりも詳しい記載としています。これは、一般的な例えば健康診断や今回追加するような検査など、そういったものをどこがやるかに関する具体的な記載です。基本的には、緊急作業に従事しているところに、そのまま雇われているような方については、その事業者がやるべき。転職した場合の考え方としては、転職した先でも放射線の業務をするのであれば、そこの事業者が原則になる。全然、放射線業務と関係がない仕事に就いているのであれば、もともと定期健康診断は事業者がやるのですけれども、その上乗せの部分については、国が機会を提供するという考え方が基本となっています。ただ、若干、例外的な扱いになるのは、中小企業という扱いにしています。ここを書かせていただいている背景としては、後で出てくるがん検診等の費用のことなどを考えますと、線量が高くなった場合に、例えば、放射線業務がしばらくできないといったようなときに、放射線業務から外れる、しかも、そういう眼の検査や場合によってはがん検診等をやろうという話になる。その場合に、中小企業ですと、特に雇用の維持で問題になることも含めて考えまして、中小企業等については国が援助する余地を設けることを書いています。まずここが1点目です。
 具体的な項目につきましては、イの?は先ほど申し上げました、水晶体の写真を加えています。ウの?につきましても、第3回の時点では、TSH、freeT3、freeT4の検査と記載していましたが、第3回のご議論を踏まえて、必要に応じて超音波検査を追加する旨の記載をしています。また、?白血球の数及び百分率の扱いについて、これも第3回でのご議論を踏まえて追記しています。これにつきましては、定期健康診断等で赤血球の検査をする機会に追加するということです。あと、電離則の健康診断ではもともと白血球がありますので、それ以外の方については、定期健康診断で赤血球を採るときに一緒にやることが適当であるという記載を加えています。
 (3)定期的な見直しにつきましても、見直しの具体例として段落を2つ加えています。これは例えばの例ですので、ほかのことも含めて見直しの対象になるという意味ですが、例を加えています。以上です。
○相澤座長 ありがとうございます。いかがですか。
○今村委員 (3)の定期的な見直しで2つ質問があります。いちばん最後の今後3年ごとの医学的な知見の進歩で、疾病と検査項目等を見直すという記載がありますが、例えばいまの国では男性は胃、大腸、肺をがん検診として法律に位置づけられていますが、これは将来的にどうなるかはわかりませんが、PSAみたいなものが位置づけられれば、その時点で表の1には新たな追加として、その時点で追加されるような形になるのかどうか。
 もう1点は、検査手法そのものが見直されることも可能性としてはあって、今回放射線被ばくが問題になっている方に対して、がん検診で医療被ばくを与えるような検診を行っている。胃がん検診については、内視鏡が国の方向性に変わった場合には、検査手法そのものも見直されることがあるとすれば、ここに疾病と検査項目と検査方法という文言にしておいたほうがいいのではないかなと個人的には思いましたが、いかがでしょうか。検査項目が追加になったとき、表の1に加わることはできるのでしょうか。
○田原中央じん肺審査医 「3年後をめどに」と書いてあるところの念頭に置いているのは、そういう状況の変化に応じて、こういうメニューやデータベースの項目等を調整するというイメージで書いています。
○今村委員 表の1はいまはこうなっているけれども、これは自由に何か追加できるものなのか、この委員会で表の1というのはこれで確定して、こういう形でフォーマットができるのかというのがよくわからなかったので、今後追加され得る、どんどん加えていくことができるような仕組みになっているかどうかです。
○田原中央じん肺審査医 それに関連しては、4頁のデータベースの項目の上から4行目にもあります。
○今村委員 なるほど。適宜見直し。わかりました。ありがとうございます。失礼しました。
○田原中央じん肺審査医 おそらく、これでずっと未来永劫ということはあり得ないであろうということで、何かの折りに項目の追加なりはあり得ると、そういうことを織り込んで、現時点ではまずこれで構築するというイメージです。
 2つ目に関しては、ここでは「検査項目」と書きましたが、「検査項目及び方法」とか、そういう書き方のほうがよろしいかという意味ですね。
○今村委員 はい。
○祖父江委員 いまのがん検診のことに絡んで、項目としては適宜見直すということでいいのかもしれませんが、ここに書いてある項目に関しての結果をどの程度のところまで入れるのか。スクリーニング段階での異常だけなのか、精密検査をした結果、がんであったかどうかのところまで収めるのか、調べて収集するのかのところはどのように区切られますか。
○田原中央じん肺審査医 3頁の下の段落ですが、まず情報のうち、事業者経由で提出を求めるものを設定しています。ここに関しては、個人の識別情報や緊急作業に従事している間の健康診断は事業者経由で出してもらう話をしていますが、それ以外で4頁の先ほど今村先生のお話にも出た、任意で受けた検査とか法定の検査は、そういう括りがあります。データベースへの登録ということでいきますと、法定の健康診断の項目かつ、そういう作業をやっているときは事業者経由で自動的に提出される。それ以外のことについては、基本的に何らかの形で同意を得て任意ということになりますので、いまのがん検診等の結果も、基本的にはご本人の同意なしでいきなり登録されることは、ここでは想定していない。ですので、鈴木先生が言われたように、どこかの段階で同意を取るときがありますので、その段階で、このメニューに載っている検査と次に受診したときの結果等も含めて、あれでしたら入れられるようにするとか、そういう同意を得ておくことになるのかなと思います。
○祖父江委員 ということは、あくまでご本人から得た情報をデータベースに収録するということであって、データベース管理側から医療機関に問合せすることはないということですか。
○田原中央じん肺審査医 そこは実際の運用上の問題になりますが、同意というものの中に契約した所なり医療機関等に関しては、問合せしていいという同意の取り方もあり得る話だと思います。一旦、何でもかんでも紙に落としてもう1回打ち直すのがいいとは限りませんので、それは実際の運用の所の同意の取り方次第で、医療機関とのやり取りというのは可能かなと。
○祖父江委員 できれば、このがん検診というのはスクリーニング段階の異常なしだけではなくて、最終的にがんだったか、どうかという判断まで収集できたらいいと思います。
○田原中央じん肺審査医 先ほど今村先生がおっしゃった診療で受けた検査の登録にも絡むと思いますが、先ほどの同意とかでもそういうことできるようにということです。
○明石委員 データベースで結果を今後線量といろいろで比較していく上で、検査結果だけというのではあまり意味がなくて、祖父江先生ご指摘のように診断名とか、ある程度そこまで入れていかないと、検査項目でこういう検査をしましたという項目ばかり積み上げられてもあまり意味がない。できる限り診断名というか確定診断というか、そこまで入れられるようにしないと、本当のデータベースの意味にはなりにくいかなと思います。運用でも構いませんが、是非入れていただけるような何か方策をお願いしたいと思います。
○児玉委員 いまの点は私も大変気になっていて、前回の検討会のときに含めることはできないかということを申し上げました。そのときの議論の1つは既往歴という項目があって、そこにかなり反映されるのではないかということだったのですが、100%反映されるわけでもないのであれば、いまご意見も出ている診断名もデータベースに入れるような努力が必要だと、改めてお願いを申し上げます。
○田原中央じん肺審査医 資料の通しの9頁をご覧いただきたいと思います。左側の上から4番目に、いま児玉先生が言われた既往歴があります。ここに、何歳のときにこういう病気にかかったとかが書ける。その10個ぐらい下に「医師の診断・意見」という欄を入れています。ここは、前回グランドデザインのときから加えているところの1つですが、これも第3回のご議論を踏まえて入れた1つで、もともと医師の診断・意見というのは定期健康診断の個人表にありまして、労働安全衛生法の世界では、医師の診断や意見というと、「異常なし」「要精密検査」「要治療」「通常勤務でよい」「勤務上配慮が必要」とか、もともとはそういう意見でなっています。ただ、ここは先ほどの運用上のところもありますが、労働安全衛生法の健康診断上の診断・意見に相当するものを入れることと、実際の普通の医学的な診断を入れられるようにするのは、システムを作る上での運用上で対応可能かなと思っていますので、それが両方入力できるような枠を作ることで対応できるかなと考えています。
○鈴木労災補償部長 いまの件ですが、国が実施するのは離職後のこういう項目についてとなると、精密検査までは面倒を見ない、実施主体にならないので、自動的に登録というのは難しいと思います。そうなると、同意を得て任意ということですが、同意を取る手続とか説明はもちろん大事ですが、それだけではなくて継続的に健康相談に対応するとか、信頼関係ができないと同意も得にくいと思いますので、そういったことも十分にどう運用していくのかを含めて、マニュアルづくりというか運用に気をつけなければいけないとは思っています。
○今村委員 これは、労働安全衛生法の中での議論なので、そういう枠組みがどうしてもあって、非常に難しいところもあるだろうと思いますが、この問題はある意味で労働安全衛生法だけではなくて、国としてとても大きな責任がある話があるわけですね。高齢者医療確保法という全く別の法律では、特定健診という健診を行ったらレセプト情報と突合できる仕組みになっていて、そのときには別に本人の同意を取って健診情報を突合しますということにはなっていないわけですよね。つまり、非常に機微に触れる最も個人情報として大事な医療情報ですから、それを勝手に本人の同意もなく何か調べることは難しいとは思いますが、「健康管理のために長期的にあなたの健康をずっと見ていきますよ」という同意が得られれば、本来的にはレセプトの情報でもうまく活用すれば、そういうところで付け合わせて診断名等が、その方の個人の情報として管理できるのではないかなという思いはあります。ただ、先ほどから労働安全衛生法という法の枠組みでこれを議論しているので、それは難しいという話なのかもしれませんが、事業主健診のデータも特定健診部分は、特定健診の側に渡すという法律的な位置づけになっているわけですよね。その情報は自動的にレセプトと突合するようになっているので、直接ではないけれども間接的にはつながっている話ですよね。その辺を少し厚生労働省全体としてどう活用するかについては、本当は踏み込んで議論していただくといいなとは思っています。そこまでは難しいですか。
○鈴木委員 最終的にこれを疫学的に解析するといった場合のエンドポイントで、がんの罹患とか、これを労働者の個人の登録だけに頼るというのはまずあり得ないだろうと思います。ですから、少なくともがん罹患とか、個人の機微に触れるような診断名を調査するというのは、研究ベースとして別個に同意を取る形で直接集めに行かないと、同じ水準でデータが集まってこないのではないかと思います。私は、とりあえず普通に登録するというようなもので情報を集めきろうという立場には立たないほうがいいのではないかという、皆さんと違う意見を持っています。
○田原中央じん肺審査医 第3回のときにも、標準メニューとして行政が示すメニューという意味での健康診断ですと、検査の実施及びデータの登録という話と、調査研究的な側面でさらにという話の整理というのが出たと思います。資料でいきますと、通しの11頁の参考資料の1をご覧いただければと思います。いま鈴木先生がおっしゃったように、おそらくこの標準メニューの枠組みで将来の研究のものをすべて網羅するというのは、現実的ではないと思います。あくまで第1目的は、ご当人たちの健康管理へのフィードバックするようなデータの蓄積をするというのが一義的ですので、それとは別の枠組みとして調査的な位置づけで、然るべきところが然るべき研究計画に基づいて行う。それはそれでありという位置づけで書いています。
 例えば、参考資料1の(2)です。第3回で出た話ですと、眼の検査が取り上げられました。眼の検査として、こちらの標準のメニューは50mSv超えの方に細隙灯の検査をやった。これは、全国どこに行ってもそれなりに対応できるようにということを念頭に置いて、オーソドックスなものということでそういうメニューにしています。前回お越しいただいた平塚先生等がご紹介いただいたと思いますが、新しい定量的に評価できる機械も出ている。ただ、全国にそこまで出回っているわけではないというお話があったと思いますが、そういうものを使って評価をしたい。細隙灯だけではなくて評価をすることをやって、より低い線量も含めて、白内障の影響がどうなっているのかを見たいという研究が想定されるようなものだと思っています。そういうことであれば、それはそれとして研究計画があって、こういうデータベースに載っている方に案内をするなり、参加を募るなりでやるとか、データをそういう形で使う。それはそれとして、この標準メニューとは別個にやろうと思えば可能であるという旨で書いています。
○鈴木労災補償部長 先ほどは、日常業務的なものとしての対象者との信頼関係の話をしましたが、それはそれでこういった作業をされた方のメリットとして、自分で提出すれば経年的に積み重なって、他の医療機関を受診するときなどでも初診の段階で、非常に時系列的に担当医が理解できるというメリットもあります。ただ鈴木委員が言われたように、純粋に疫学的な見知からもそうですし、労災補償部としてそういった作業者の健康影響をどう評価するかという立場からも均質なというか、一定のプロトコルに則った調査研究が必要になってくると思いますので、その機会には調査研究の目的、意義などを十分にご理解いただいた上で、毎年やるのは難しいと思いますが何年かに1回やって、それでデータを補完していくことになるのではないかと思っています。そういうことで、いかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 あと、いろいろご指摘のありました健診結果等の情報の収集ということで、もう一度若干詳しくご説明します。
 3頁に事業者から提出を求める現在検討しているのは、電離放射線障害防止規則を改正して、義務的に徴収をしようと考えている項目が、下にア、イ、ウと並んでいるものです。健康診断に関する部分については、法定の特殊健診、指示をした健診、一般健診は法令で義務づけられているということですので、それを報告いただく予定にしています。それ以外、特に今回はがん検診等を行った場合は、労働安全衛生法に基づく指針、これは事業者が実施することが望ましいことを定める指針で義務ではないですが、その中でがん検診を行った場合には労働者の同意を得た上で、国に報告することを謳う予定にしています。
 もう1つは、離職した場合で国が直接実施する場合は、医療機関との関係になりますが、その医療機関から労働者の同意を得た上で、情報を入手するような仕組みを構築したいと考えています。
 いままで申し上げた3つ以外に全く別な健診を行う場合があると思いますが、それについては残念ながら完全に任意で収集する形になると思います。
○明石委員 先ほど部長が言われたように、信頼関係は非常に重要なことで、結局健診を受けるご本人と国と事業者側が協力しないと、データベースはできていかない。4頁で「労働者が任意に受けた検査の結果等については、労働者の同意を得て提出を受け」と書いてありますが、もちろんこれは必要最低限のことですが、このほかにも診断を受ける方々の意思でというか、その方々の協力を得て自ら提出していただけるような文章とは言わなくても、そういう協力をしていただきたいというような感じを含めておかないと。任意の提出というと「ください」というよりも、ご本人もこのデータベースに協力していただけるというようなことがどこかで反映できる文章があれば、よりいいのかなと感じています。
○安井中央労働衛生専門官 毎年、がん検診を勧奨はしようと思っています。それは、事業場において放射線業務に従事されている場合は事業者を経由し、離職されている場合は直接ですが、そういう受診勧奨を出す中で国が負担するようながん検診以外の項目を受けた場合でも登録してほしいと書くのか、ご協力していただきたいと書くのは可能だと思います。
○明石委員 そのほうが提出してくださいというよりも、同意を得てというよりもご本人からも積極的に協力してもらう意思があったほうがいいかなと思います。
○相澤座長 文章は考えていただいて。
○田原中央じん肺審査医 表現をということですね。
○祖父江委員 いま受診勧奨という話が出ましたが、6頁のトップに「案内を行い、参加者を募る」と書いてありますね。案内というのは、おそらく年1回の受診に対しての郵送での受診勧奨だと思いますが、離職後ですと長期にわたると住所の移動もありますし、そうなった場合に、住民票で照会をして移動先の住所を調べて、さらにそこに受診勧奨をするのかということも予め考えておかないといけないと思いますし、そういうことに関して予め全体像を対象者に説明し、それに関して全体の同意を得る仕事をしたほうがいいように思います。信頼関係を構築しながら、その度ごとに同意を取るやり方もあるかとは思いますが、最初に全体像を説明して同意を得ておくほうが、いろいろなことを後出しじゃんけんのように付け加えていくよりも、対象者にとってもわかりやすいと思います。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおり、まずはデータベースに登録する社員に登録証というのを全員に郵送しようと思っており、そのときに全体像というか、こういうデータベースがあって、どういう趣旨でどういうことができますということは書きたいなと考えています。登録証は全員事業場を経由せず個人の住所に送ろうといまのところ考えていますので、そこで既に住所がわからない方もおられるかもしれませんが、ある程度のフォローアップはやらせていただきたいと思っています。
 50mSvを超えている方については、手帳を発行できる仕組みも考えていますので、それについても該当する方には別の通知をお出しして、事業者がやっていただく場合と離職した場合は国が機会を提供しますということも含めた通知はさせていただきたいと思っています。
○祖父江委員 例えば住所を移動された場合に、市町村役場に住民票照会をして移動先の住所を問い合わせることを想定されますか。
○安井中央労働衛生専門官 何らかのフォローアップは必要だと考えており、住所がわからなくなってしまう状態は当然望ましくないというか、あってはならないことだと思います。それは、何らかのフォローアップの方法を考えています。
○祖父江委員 そういうことをする際に、市町村側、住民票照会を受けた側としては、ご本人が同意していますということがあると答えやすいというか、移動先の住所を調べることに対して答えやすいのですが、そのことに関して、予め対象者から同意を得ておくことがやりやすいのではないかと思います。
○安井中央労働衛生専門官 それも検討させていただきます。
○鈴木委員 いまのに関連して4頁の(3)で同意の取得というような項を作ってはどうかと言ったのですが、結局そこの中で包括同意できる項目と、あとから追加的にもう1回同意を取らないといけないことをある程度整理しておいて、いちばん最初に登録をするときに、包括同意できる項目というのを対象の方に明示して同意してもらうのが必要だと思います。そうしないと、運用する側としてもこれが一応同意を取れている問題である。例えば住所を追跡するとか、罹患情報みたいなものまでそこに入れるかどうかは、かなり機微な問題になってくるので、私はそれはもう一度研究計画で取り直すのかなとも思いますが、その辺を少し整理してもらうといいのかなと思います。一般の公的なデータベースとの結合の同意という形までだと、まだ包括でできますか。
○祖父江委員 同意というのはやることを具体的に記述して、これをやりますよ。OKですかという確認を取ることだと思いますが、包括というよりはきちんと個々の行為を列記してということだと思います。
○今村委員 先ほど、個人の方に通知をするというお話でしたが、それは東電からもらった住所みたいなものを前提にして送るのですか。
○安井中央労働衛生専門官 ご説明した3頁に個人識別情報と書いていますが、ここで住所とかを入手、事業者から報告をいただく。建前上は、それぞれ雇用されている事業者からいただきます。実際的には、元請事業者からいただくとか東京電力を経由するとか、いろいろなやり方があると思いますが、いずれにしても事業者から個人の情報をいただいて、その住所に郵送する形を考えています。
○今村委員 ここで議論するお話ではないかもしれませんが、参考資料2でいつも東電からこの情報が、これだけの被ばくされた労働者がいることを前提にして議論していますが、私も詳しい情報はわかりませんが、メディアによると相当当初に被ばくした方たちを捕捉できていない方が多数いる。現状働いている方たちは、被ばくについて非常に注意して働いておられるので、このデータを見てもそんなに高線量の方はいらっしゃらないですが、発災直後は相当被ばくした方たちがいて、それを捕捉できない方たちが多数漏れているとすると、そういう方たちに対する対応はこの仕組みの中で、こういうことをしているのだという情報提供ですよね。つまり、会社にいる方はまだ説明できるけれども、もともと被ばくして現場を離れてしまって、全く自分も言ってこられないような方たちが将来被ばくのために障害を起こしたという話になると、いろいろな問題が起きてくるのかなと思ったものですから、その辺に何かお考えがあるかどうかを教えてください。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおり、当初の被ばく管理というのは十分ではなかった面がありまして、連絡先不明者がある程度出ています。いま現在はゼロにはなってなく、65人おられます。ただ、逆に申しますと65人以外の方は連絡先がわかっていて、内部被ばくの測定もできていますので、そこで連絡先は確保しています。ですので、65人をいかにゼロにしていくかという議論は残っていますが、1万8,000人ちょっとの中の99パーセントまでは、把握できている状態にはなっています。
○相澤座長 ほかにはいかがですか。健康管理が目的ですから、調査はまた改めて厚生科研から獲得して、ある一定の時期になってやることも考えられるのではないかと思いますが、今回のデータベースの項目についてはよろしいですか。診断名を医師の診断・意見に入れられるような形。
○田原中央じん肺審査医 診断・意見のところに安衛法的な話と、一般の医療的な意味での診断というのが両方対応できるようにという話。
○相澤座長 それから甲状腺の機能の検査がありますが、ヨード剤を飲んでいるか飲んでいないかということも情報として入れておいたほうがいいのではないかと思いますが。
○田原中央じん肺審査医 作業の情報か検査の情報のどちらに入れるかというのはありますが、いずれかにそういうのが記録できるようにという形で。
○相澤座長 よろしいですか。最後の5のデータベースの管理のところをお願いします。
○田原中央じん肺審査医 通しの7頁の5「データベースの管理、健康診断等の事務を行う主体」は、長期的に適切な健康管理を行うため、労働者の被ばく線量のみならず、健康情報等が継続的かつ長期的にデータベースに反映される仕組みとし、離職前に係る情報は事業者から提出を求めるとともに、離職後の健康診断結果等については可能な限り労働者の負担が少ないように情報がデータベースに反映されることが必要である。
 このため、データベースの管理、被ばく線量に応じた検査等の事務を行う主体としては、継続的かつ長期的に業務を遂行することが可能であり、データの照会に対応できる一定数の窓口を全国に保有し、被ばく線量に応じた検査等を実施する機関と密接に連携できることが必要である。このためこれらの条件を兼ね備えた機関に行わせることが適当である。
 なお、被ばく線量に応じた検査等の実施機関を選定する際には、検査水準等を担保するため、地域の医療体制の実態に併せ、適切な機関を選定することが望ましい、としております。
 グランドデザインのときに全国の窓口がありましたけれど、そういう話が少し出ましたが、そこを具体的に書いた内容です。
○相澤座長 5について、ご意見がありましたらお願いいたします。
○今村委員 一定数の窓口とは具体的にどのくらいのイメージで考えておられますか。
○田原中央じん肺審査医 事務局としては、例えば各都道府県に1つ以上というのがあります。そこら辺が1つの目安にはなると思いますが、全部本当に47都道府県に津々浦々いるかというと、九州とかで全部いるかというと、これはもしかするとご議論あるかもしれません。ただ、全国的にそれなりに各都道府県にあるというぐらいをまず目安にしているということはあります。
○今村委員 例えば九州に1か所と言われると、福岡にあって、鹿児島の労働者の離職した方が自分のデータを登録してもらうのに、これはそこへ行くという話ですよね。
○田原中央じん肺審査医 さっきの九州でいくとですか。
○今村委員 一例を挙げるとして、そのデータを離職後には自分が健康診断をどこかで受けたり、医療を受けたときのデータを登録してくださいというように持っていく先はその窓口にもっていくというイメージになるのですね。
○田原中央じん肺審査医 いまのところはそうです。
○今村委員 そうですよね。そうなるとあまり広いエリアに1か所というのは、いわゆる労働者の方にとってみると非常に不利益というか、不便をかけることになるので、やはり1県に1つぐらいは最低ないとまずいのではないかなと思って、お伺いしました。
○宮野安全衛生部長 正にいま今村委員のおっしゃったとおりだと思っています。それで理想は、47都道府県にすべてある1つの機関で全部出先をもっているというのが理想なのですが、必ずしもそういう形になるかどうかわかりません。ただ、そういう場合でも、例えば、少なくとも厚生労働省としては、47都道府県に労働局がありますし、こちらが実施主体と考えている所が、その県に窓口がないような所であれば労働局に行ってもらえれば、そういう手続きは全部するというようなことは可能ですので、いずれにしても実際に、この対象者の方の利便を考えたような仕組みにはしたいと思っています。
○相澤座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 5に限らず、1から振り返っていただいて、何かお気づきの点がありましたらお願いします。
○田原中央じん肺審査医 もし意見が出なかったら、いままで出たのを順繰りにおさらいをさせていただき、そのあとで見ていただければと思いますが。
○相澤座長 よろしければ、おさらいを。
○田原中央じん肺審査医 では、報告書の直接の中身に関わるところを中心におさらいをさせていただきます。通しの4頁目の8行目で「労働者が任意に受けた検査の結果等については」のところは、中身としてはこういうことですけれど、その表現ぶり、明石先生がおっしゃったお話が1つと、検査の結果ということは診療のことも含まれるということの意味の確認があったと思います。まず、ここの文章の表現を見直すということだと思います。
 同じ頁の(2)の中に入れるか(3)として立てるか。データを登録された方への同意の取得に関することを書き加える。例えば検査結果の登録の方法や、転居時の連絡先の照会とか、あとは調査研究におけるデータの取扱いといったことが同意のところで出た具体的な内容だと思います。そういうものを挙げて、こういうものの同意を取ることを書き加えるということだったと理解しております。(2)に書きくわえるか(3)として立てるかは、文章の構成で。
 あと7頁目の(3)定期的な見直しのところで、「対象疾病及び検査項目等」と書いてありますけれども、ここに「検査方法」ということ、対象疾病及び項目と書いていますが、そのまま項目を方法に置き換えてしまっても意味としては通じるのかなと思われたのですが、もしよろしければこの「検査項目等」を、「検査方法等」に書き換えるということでよろしいですか。
○明石委員 方法と項目ではなくて、「検査内容」です。
○田原中央じん肺審査医 「検査内容」ですね、これが7頁目です。
 8、9頁目のデータベースの項目として、作業の情報、もしくは検査の情報のどちらかにヨード剤の使用状況を記入できる欄を設定するということです。
 あとこれはここの表そのものを書き換える話ではないのですが、9頁目の医師の診断・意見のところは、労働安全性法の健康診断の分類の話と、一般的な医学的な診断名の話の両方が対応できるようにするというお話だと思います。中身に関わるご指摘としては、そういう形で反映させればと思ったのですが。
○鈴木委員 さっき始まる前に言ったのですが、「生物学的スコアリング」という言葉がちょっとわかりづらいので、参考の補足のところにでも、もっと具体的に書いてもらったほうがいいと思います。これはこの名前で皆さん共通の認識を得るとは考えられません。
○相澤座長 8頁ですね。
○鈴木委員 はい、2ポツのいちばん右下です。
○田原中央じん肺審査医 そうすると考え方としては、これの名前自体を、例えば染色体異常の所見みたいな、そういう書き方にしてしまうというのがひとつあります。
○鈴木委員 はい。何個カウントで何個異常というような、何の異常が何個というような分母と分子両方を書くのと、着目していた異常の種類を書かないと、これは意味がないのだろうと思います。
○明石委員 多分ここは生物学的線量評価に、鈴木先生がご指摘のように、染色体の具体的な内容をというのがこのスコアリングだと思うので、それをきちんと書いてもらうようにすればいいと思います。
○田原中央じん肺審査医 名前自体を染色体異常の状態みたいな。
○明石委員 ここに「生物学的線量評価」と書いてあるのは、線量評価には何と何がシーベルトと書いてあり、スコアリングのところには千個数えて染色体異常の筆であるリングがいくつで、ダイーセントリクッスがいくつかあったと、そういうことを意味しているのだろうと思いますので、ここは確認をしてもう一度きちんと書いてもらうほうがいいと思います。
○鈴木委員 あとはおそらく安定型に着目したか、不安定型かで、だからもっと細かい話をそこに書き込めばいいのだろうと思います。
○田原中央じん肺審査医 ここについては、明石先生の代理で来られた富永先生が直接的に挙げられたアイディアのところですので、意味としてはいまおっしゃったことで、その意味でいいですねということで、適切なラベリングに換えると。実際中身としては変更がなくて、このタイトルをちょっと考え直すということですね。
○明石委員 すみません中断して。多分ここの線量評価の右のカラム自体が、線量をどうやって、何を根拠に評価したのかという書き方で、例えば実効線量が書いてあり、また内部被ばく線量がどのくらいあって、外部被ばく線量がどのくらいであり、どうやって線量評価をしたのか、計測値も出せと書いてああります。、生物線量のところも多分同じパターンで書かれていると思うので、ここは再度私も確認して、またご連絡いたします。
○田原中央じん肺審査医 ここの作業・被ばく線量情報のところの書きぶり、中身というのでしょうか、項目の立て方について再度確認をするということですね。
○相澤座長 これが最終になると思いますので、よろしくお願いします。よろしいですか。
○祖父江委員 この健診の項目の中に、年齢のことをあまり考えていないみたいですけれども、がん検診というのはそんなに若い人にやってもらうのもしょうがなくて、男性で言えば50歳以上ぐらいのところが適切だと思うのですが、予防指針では40歳以上のところもありますけれども。作業員の方々はそんなに年を召されていない、若い人もかなりおられますよね。
○安井中央労働衛生専門官 はい、そう思います。
○祖父江委員 そういう方に一律にがん検診するのも、ちょっとどうなのかなという気はしました。
○田原中央じん肺審査医 実際に検査の運用のところで、例えば一応、標準メニューとしてはこういうものを設定して、ただ実際お勧めするとか、実際受けるときにはそういう年齢とか、ほかのいろいろな個人的な要因もあると思いますので、年齢等を考慮して運用のところではそういうことも留意して進めるなり、やるというのをどこかに一言書き加えたほうがよろしいですか。
○祖父江委員 そのほうがいいのではないですか。線量が高いから、何か一律がん検診というわけでもないような気がしますけれど。
○鈴木委員 書くとしたら6頁ですね。
○田原中央じん肺審査医 逆に、若くても、いや、私は気になるから受けたいという人が多分いると思います。
○祖父江委員 それはちゃんと説明をして理解をした上で受けるのであれば、それはそれでいいのでしょうけれど。
○椎葉労働衛生課長 入れるとすると40歳以上ですか。
○祖父江委員 まあ40歳ですかね。国の指針からいくと満40歳ですかね。そうですね、胃がん、大腸がん、肺がんであれば40歳ということで。
○田原中央じん肺審査医 おそらく先ほどの検査の内容が、今回はこの項目を設定しますということではありますけれど、今後もしかしたら入れ替わりとか追加とかがあるかもしれません。それで例えばの話ですけれど、前立腺のことが加わったとすると、前立腺になるともっと年齢が高いとか、そういう話になって、個々の項目をわーっとやるよりも、そういう検査の特性とかに応じて、年齢を考慮するというのを包括的に一言述べておいたほうがいいかもしれません。
○祖父江委員 そのほうが柔軟にいけるかもしれません。
○田原中央じん肺審査医 機会を設けること自体は、若い人はやりたいということは排除はしないと。その旨の記載を、例えば100mSvの?で白血球のお話等をしていますが、?で実際の検査の実施に当たっては、そういう年齢等も考慮に入れるというようなことを一言入れると、そのような形の文言を入れさせていただこうかと思います。
○相澤座長 いかがでしょうか、ほかにはありませんか。
○明石委員 いまデータベースの項目をよく見ていたら、実際に作業に当たった方の放射線のことは、いっぱい書かれているのですが、その他の職業歴というところがないのですが、それは必要はないのでしょうか。例えば労働災害などの場合に何か疾病が出たときに、その放射線以外の重金属とか、有機溶剤とかそういう作業に当たっていたか、いなかったのかというのは、煙草とかアルコールとかと同じように関係してくるような気がするので、そういう項目を、私がちょっと見落としているのかもしれないのですが、どこかにあるのでしょうか。
○田原中央じん肺審査医 直接的に対応そのものずばりのものは、この中にはないです。
○明石委員 職業歴というか、そのほかに先ほど言いました有機溶剤とか重金属とかそのようなものをどこかに書くところがあったほうがいいような気もするのですが、何か考えてあることはありますか。
○田原中央じん肺審査医 入れるとすると、例えば健康診断のときの既往歴とかを調べるときに、職業歴を調べるという形で入れるという方法があります。あとはすごく細かい話で恐縮ですが、一般の定期的健康診断の記録をするための紙の様式があるのですが、その中にはほかの、例えば特殊健康診断の有機溶剤とか、そういうものを受けるのに該当するかどうか、一応書く欄がもともとあります。それはただ現在それに該当するかどうかということではありますけれど。書くとすると健康診断等のデータのところに職業歴というか、作業歴みたいな欄をひとつ加えるというのがいちばん。
○安井中央労働衛生専門官 実態的に健康診断の結果などは義務づけで取るところもあるのですが、過去の職業歴を取れるかというとそれは難しいところがありますので、書くとすれば8頁の3番に保健指導情報がありますので、当然、保健指導は一般のみならず特殊健診の結果も踏まえて事業場が実施するということになっていますので、そこで例えば有機溶剤業務経験とか、そういうものがあればこの中に入れていくのかなというのがいちばん現実的かと思います。
○田原中央じん肺審査医 データベースの枠として、実際取り寄せるのは。
○安井中央労働衛生専門官 項目としては、例えば難しいかなと思います。
○田原中央じん肺審査医 事業者から取る中にそれを含めさせるということは難しいという意味。
○安井中央労働衛生専門官 任意で取るというのも非常に難しいと思いますけれど。この精度のは趣旨がもともと被ばくの管理なので、それ以外の部分まで取るとなると、制度の性格全体に関わることになります。保健指導という形で、実際に各事業場で幅広い情報に基づいて行われる中に入れるのがいいかという気がします。
○相澤座長 どこかに入れていただくと。
○田原中央じん肺審査医 情報が何らかの形でそういうのが得られたときに、どこかに書けるようにしておくということですね。そうすると3番の健康相談の辺りか、どこかにそういうように。
○明石委員 わかるように書いてほしいと思います。
○田原中央じん肺審査医 はい。
○相澤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。大変熱心にご議論をいただきまして、一応これを報告書(案)ということにさせていただきたいと思います。また今日もいろいろご指摘いただきましたので、必要な修正を行った上で基本的にはこの報告書(案)として、最終的な報告書としたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○相澤座長 ありがとうございます。
 また文章について修正等あるかと思いますけれども、座長にお任せいただくということでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○相澤座長 ありがとうございます。
○宮野安全衛生部長 座長、いずれにしても一回私どもでまた案を作りまして、座長にご相談をして、委員の先生方にももう一回見ていただいて、修正がきっちりできているかどうかを見ていただいて、それで取りまとめとさせていただければと思いますが。会議としては、お忙しい先生方にもう一回集まっていただくのは恐縮ですので。
○相澤座長 そのほか、事務局からありますか。
○田原中央じん肺審査医 では先ほど部長からもお話がありましたように、この検討会は、実際にお集まりいただいてという形では今回で終了とさせていただきたいと思います。その最後に、安全衛生部長のほうより挨拶があります。
○宮野安全衛生部長 お集りいただく検討会の会合としては最後ですので、一言ご挨拶をさせていただきます。私自身は第3回から参加をさせていただきましたけれども、委員の皆さま方には今日で第4回の会合を6月27日の第1回会合から大変精力的にご議論をいただきまして、今日も貴重なご意見をたくさんいただきまして報告書の形が今日のご意見を踏まえて、粗々基本的には大体まとまってきたかというようなところになったと思っております。いずれにしてもこの検討会でお願いをしております、東電福島第1原発作業員の長期的な健康管理の問題、これはこれから20、30年、あるいはそれ以上フォローしていかなければならない大変重要な問題であるというように考えております。いずれにしても、これから具体的なデータベースの作成、あるいはデータベースの中に具体的な様々なデータを入力していく作業等々を精力的に厚生労働省としてやっていかなければならないと思っております。今日のご議論でもありましたとおり、まだまだおそらく実際のデータベースの運用、あるいは作業員の方の相談等々の中で、いろいろ試行錯誤、我々としても考えなければならないような課題が出てくる、おそらく、たくさん出てくるのではないかと思っています。そのような中で、また委員の皆さまには、引き続きいろいろな形でご指導をいただく機会もあるのではないかと思っておりますので、是非引き続きこの件について、ご指導をよろしくお願いいたしたいと思っております。
 いずれにいたしましても、4回の会合、精力的なご議論をいただきまして、大変ありがとうございました。最後のご挨拶とさせていただきます。
○相澤座長 どうもありがとうございました。それでは本検討会はこれで終了いたします。皆さま方、ご協力ありがとうございました。


(了)

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