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2011年8月26日 独立行政法人評価委員会労働部会(第70回)議事録

○日時

平成23年8月26日(金)13:00~16:45


○場所

経済産業省別館1014会議室


○出席者

   今村部会長、宮本部会長代理、加藤委員、松尾委員、川端委員、本寺委員


○議事

(以下、議事録)
 
?高齢・障害者雇用支援機構

○今村部会長
 それではただいまから、「第70回独立行政法人評価委員会労働部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、高田委員、伊丹委員、中野委員が欠席となっております。
 それでは、初めに事務局から本日の議事についてご説明願います。

○政策評価官室長補佐 
 本日の議事についてですが、まず、高齢・障害者雇用支援機構、雇用・能力開発機構、さらに勤労者退職金共済機構につきまして、それぞれ平成22年度の業務実績に関する総合評価及び財務諸表の承認に関する意見につきまして、また、高齢・障害者雇用支援機構につきましては、業務の移管に伴います中期目標・中期計画及び業務方法書の変更について、それから、雇用・能力開発機構につきましては、長期の借入金及び債券の発行、償還計画にかかる変更の報告、それから、役員の給与規定の改正及び重要な財産の処分について、最後に、勤労者退職金共済機構につきましては、同じく業務の移管に伴う中期目標、中期計画及び業務方法書の変更と役員の退職にかかる業績勘案率の算定につきまして、ご審議いただく予定となっております。以上になります。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、高齢・障害者雇用支援機構について審議をいたします。財務諸表に関する意見について、加藤委員からご説明お願いいたします。

○加藤委員 
 それでは、財務諸表の適正性等についての意見を申し上げます。高齢・障害者雇用支援機構の平成22年度の法人全体の財務数値は、総資産が10億円単位で約していますが、総資産が約380億円強、負債合計が約270億円強、純資産の合計が約110億円弱という形になっております。総資産の約380億円強の内訳としましたら、現金及び預金、それと金銭の信託を合計しますと、約270億円ほどになりまして、それ以外は、土地などの有形固定資産が約100億円強ございます。そういった内訳になってございます。また、負債総額約270億円強の内訳としましたら、法令に基づく引当金等であります納付金関係業務引当金が約160億円弱が計上されておりまして、それ以外に運営費交付金債務及び預り補助金などのこの合計が約80億円強という内訳になってございます。
 経常費用の合計が約500億円強で、経常収益の合計が約400億円強。その結果、経常損失が約100億円弱発生しております。臨時利益としまして、納付金関係業務引当金の戻入れが100億円計上されました結果、当期純利益は約400万円強という結果になっております。
 この財務諸表全般につきまして、特に私が必要と考えました個別の会計処理について、質疑応答を行い、なおかつ、勘定分析あるいは1年前の財務数値との比較分析などを行いまして、その妥当性を確認させていただきました。会計監査人の監査の結果も、財務諸表が適正に表示している旨の意見表明がなされておりまして、会計監査人は、有限責任監査法人トーマツですが、その会計監査人が実施しました監査の方法及び概要に関しまして、同監査法人から機構に提出がなされておりますマネジメントレターも拝見いたしましたが、特にそこの中に、重要な指摘事項等がないということも確認しております。
 以上から判断いたしまして、私は、高齢・障害者雇用支援機構の平成22年度の財務諸表が適正に作成されてまして、申請どおり承認することが適当であると考えます。
 併せて簡単なコメントを申し上げます。高齢・障害者雇用支援機構の障害者雇用納付金勘定におきまして、障害者雇用納付金収入の減少傾向が継続しております。その関係で、納付金関係、業務引当金の取り崩しも継続していると。したがいまして、引き続き障害者雇用納付金の徴収に尽力していただくとともに、業務効率化等を図っていただきまして、総コストの削減にご努力いただきたいと考えます。
 また細かいことですが、金融商品の時価等の注記開示につきまして、当然、会計監査人である監査法人のチェックも受けて、正しく開示は当然なされておりますが、保有する国債等の金融商品に関する経過利息にも留意して、国民にとって一層わかりやすい注記情報の開示の仕方を、次回の決算におきまして、今後工夫ないしは検討いただければいいかなと、より印象がよくなるかなという点をコメント申し上げます。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。
 では、いまご報告をいただきました高障機構の財務諸表について、ご意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、平成22年度の財務諸表に関する意見としては、資料1-1の案のとおり、修正意見はないようですので、これをとりまとめて厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)

○今村部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に、高障機構の総合評価について審議いたします。起草委員を代表して、宮本部会長代理からご報告をお願いいたします。
 なお、報告時間はおおむね10分程度でお願いいたします。

○宮本部会長代理
 それでは、高齢・障害者雇用支援機構の平成22年度の第2期中期目標の3年度の業務実績評価概要を申し上げます。
 まず1頁で全般の評価ですが、平成22年度は、事業の見直し・改善に積極的に取り組み、地域障害者職業センター管理事務の集約化等の組織体制の見直し、業務運営の効率化、経費節減等に努めたほか、厳しい経済情勢の対応策を機動的に実施したことなどによりまして、業務実績は年度計画にある数値目標を、すべての項目において上回るなど、着実に実績を上げています。
 このように、平成22年度は適切に業務を実施したと評価できますが、今後の課題としましては、以下の2点に留意しながら業務を実施していく必要があります。
 1点目ですが、65歳希望者全員継続雇用の推進、70歳まで働ける企業の普及促進等、政府の高年齢者雇用の目標達成に寄与すべく、さらに啓発効果を高める必要があること。また、障害者も高齢化するため、高齢者雇用支援と連携した取組を検討する必要があること。それから2番目は、精神障害者、発達障害者など他の就労支援機関では、対応が困難な障害者の就業ニーズに積極的に応えるため、職業リハビリテーションに関する助言・援助等の更なる充実により、医療・教育・福祉等の関係機関とのネットワーク形成を一層強化することが必要であるということです。
 具体的な評価内容に入りたいと思います。2頁をご覧ください。まず、「業務運営の効率化に関する措置について」ですが、地域障害者職業センターの管理事務の集約化など、管理業務の効率化を図るとともに、一般管理費・業務経費について目標を上回る予算の節減を進め、併せて予算執行の節約等、極めて高い努力が認められ、また、給付金・助成金の平均処理時間の大幅な短縮など、いずれも目標を大きく上回っており、高く評価できます。
 次に、?「関係者のニーズ等の把握や雇用情報等の提供等について」ですが、外部評価を積極的に活用した業績評価システム、2元構造のコンプライアンス体制やリスク管理委員会の設置などによる内部統制の構築に積極的に取り組んでいることが評価できます。
 また、高年齢者や障害者の雇用情報などの提供に当たっては、ホームページの内容の充実や利便性の向上などにより、情報提供の工夫、また高年齢者と障害者が働きやすい職場づくりのためのチェックポイントを盛り込んだ企業向けパンフレットの作成など、高年齢者及び障害者雇用支援業務の相乗的効果を発揮した取組が評価できます。
 次は?の「高年齢者等雇用支援業務について」ですが、第1パラグラフは省略します。第2パラグラフの事業主に対する相談業務につきましては、65歳までの希望者全員継続雇用の推進、「70歳まで働ける企業」の普及・促進に重点的に取り組んだ結果、目標を上回る相談・援助の実施や課題改善効果等が認められたということが評価できます。第3パラグラフですが、実践的手法の開発・提供については、「70歳雇用実現プロジェクト会議」を設置し、2011年提言を取りまとめ、今後広く普及活動を展開していく取組などが評価できます。今後は、障害者も高齢化する中で、高齢者雇用支援との連携など新しい視野からの取組に期待します。第4パラグラフから次の3頁にかけてですが、高年齢者雇用に関する啓発広報につきましては、定期刊行誌「エルダー」について、専門性が高い内容の書籍にもかかわらず、読者からの評価は高く、ホームページでの誌上公開といった工夫がされていることなどが評価できます。今後は、販路の拡大や配布場所の見直しなど、更なる活用に向けた取組を期待したいと思います。
 次は?「障害者雇用支援業務について」ですが、第1パラグラフの地域障害者職業センター業務につきましては、他の就労支援機関では、対応が困難な精神障害者、発達障害者などに対する個々の障害者の支援ニーズに対応した個別指導方式での支援、厳しい雇用情勢に対応した就職実現特別対策に重点的に取り組み、12指標すべてで平成21年度実績を上回り、うち10指標で過去最高の実績となったことは、障害者支援における多大な貢献であると言え、高く評価できます。
 第2パラグラフですが、職業リハビリテーションの専門的な人材の育成につきましては、地域の関係機関がより効果的な職業リハビリテーションを実施できるよう、ノウハウを活かした助言・援助、研修などを積極的に実施したほか、助言・援助等を受けた関係機関に対する有用度アンケートの結果が目標を上回ったことが評価できます。今後、精神障害者、発達障害者など他の就労支援機関では、対応が困難な障害者の就業支援について、職業リハビリテーションに関する助言・援助等の更なる充実によって、医療・教育・福祉等の関係機関とのネットワーク形成を一層強化することを期待します。
 第3パラグラフですが、職業リハビリテーションに関する調査・研究につきましては、ニーズを踏まえたテーマについて実施し、すべてのテーマについて、上位2段階の評価を得たことが評価できます。
 第4パラグラフですが、障害者職業能力開発校の運営につきましては、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者の積極的な受入れ拡大などを実施し、職業訓練上特別な支援を必要とする障害者の割合が目標を上回ったほか、厳しい雇用情勢の中でも、修了者の就職率などすべての目標を達成するとともに、職業訓練上特別な支援を必要とする障害者に対する先駆的な指導技法の開発、普及について大きな成果を上げたことが評価できます。
 第5パラグラフから次の4頁にかけてですが、納付金関係業務につきましては、企業が厳しい経営環境にある中で、目標を超えて99.8%という高水準の収納率を達成したこと、また、新しく制度の対象となった中小企業事業主に対し、理解促進を図るための計画的な個別訪問などの取組についても評価できます。
 第6パラグラフは省略いたしまして、第7パラグラフの障害者雇用に関する相談・援助につきましては、障害者の雇用アドバイザーの相談件数や、事業主などの課題改善効果について、目標を大きく上回っており評価できます。また、就労支援機器の貸出しも利用率が目標を上回り、利用者の満足度も高く、有効な取組として、障害者雇用支援に貢献していると評価できます。
 第8パラグラフですが、障害者の雇用に関する実践的手法の開発・提供につきましては、障害者雇用を進める上での重要な活動であり、各種成果物は利用者アンケートの結果を見ても非常に高い評価となっており、注目に値します。また、関係機関主催のセミナーなどを活用した普及活動やホームページを利用した情報提供など、さまざまな機会を捉えた積極的普及についても評価できます。今後の更なる普及の取組への工夫を期待したいと思います。
 第9パラグラフですが、障害者雇用に関する啓発事業につきましては、障害者ワークフェアにおいて、アビリンピック種目の技能体験コーナーの新設など、その内容に新たな工夫がなされ、来場者のアンケート調査結果でも、障害者雇用問題の理解度が目標を大きく上回ったこと、また、定期刊行誌の「働く広場」についても、公開座談会を設けてPR活動を行うなど、普及活動へ努力したことが評価できます。
 第10パラグラフですが、全国障害者技能競技大会(アビリンピック)については、障害者の雇用・就業の動向、近年における選手の参加状況などを勘案した競技種目の見直しや競技会場の運営面の工夫など、新たな取組を行ったほか、来場者のアンケートでも理解度・満足度ともに目標を大きく上回っており、特に満足度については、過去最高の結果であったことが評価できます。今後は、障害者の職業能力についての社会の認識がさらに深まるようアプローチの工夫を期待したいと思います。
 (3)の「財務内容の改善等について」ですが、予算執行については、中期目標期間の平成22年度としての節減目標を、一般管理費及び業務経費とも達成しました。
 最後に、(4)の「その他業務運営に関する措置について」ですが、5頁をご覧ください。?と?に関しましては省略します。5頁の下の?「組織体制・人件費管理について」ですが、まず、給与水準のラスパイレス指数は107.3と、前年度から4.9ポイントの減少、地域・学歴勘案の指数は、前年度から1.4ポイント減少して、100.0となったことが評価できます。また、これに向け、地域手当や職務手当を国よりおおむね低く設定したことや、国の本府省業務調整手当に類似するものを設けずに給与水準の抑制を図るなど、給与構造改革に取り組んでいることは評価できます。今後も、引き続き給与水準の適正化に向けた努力を行うことが期待されます。
 また、総人件費については、平成22年度末に、基準年度である平成17年度の給与、報酬等支給総額と比べて8.7%に相当する額を削減しており、評価できます。
 次に7頁の?「事業費の冗費の点検について」ですが、厚生労働省からの「独立行政法人、認可法人、特別民間法人の冗費の節減について(要請)」に基づき、すべての事務・事業について、無駄削減・業務効率化に向けた職員の意識改革及び効率化等に関する取組を行ったことが評価できます。業務経費につきましては、行政刷新会議による事業仕分け等を踏まえた高齢期雇用就業支援コーナーの廃止など、地方委託業務の見直しなどにより、予算上前年度比24.5%の削減が図られ、事業実施の契約については、地域障害者職業センターの賃借料の引下げ、公用車の小型化への車種変更に努めるなど、20%の経費削減が図られており、評価できます。
 ?「契約について」は、平成22年度の少額随契を除く随意契約は、前年度比、件数ベースで50.9%の減、金額ベースで86.8%の減と、いずれも大幅な減少となっております。
 なお、政・独委2次意見において、法人個別の意見を受けた各都道府県の雇用開発協会等の委託業務については、厚生労働大臣の指示を受け、平成22年度からの契約から、一般競争入札(最低価格落札方式)を実施するとともに、一部地域においては、年度途中から機構が直接実施を前倒しして行い、平成23年度においては、その経験を踏まえて、委託方式の廃止と機構による全国的な直接実施への移行を図り、更なる業務の効率化、効果的な実施に努めています。
 8頁の?「内部統制について」は、理事長の指示の下、コンプライアンスを担当する総務部とコンプライアンスに関する厳正な監査をする監査室による2元構造のコンプライアンス体制で、内部監査を実施しているほか、平成22年度は、新たにコンプライアンス基本方針や推進計画の策定、職員研修の実施、リスク管理規程の制定やリスク管理委員会の設置など、管理体制の整備に取り組み、内部統制の更なる向上を図ったことが評価できます。
 ?「事務・事業の見直し等について」は、行政刷新会議事業仕分けや厚生労働省省内事業仕分けの結果などを踏まえ、指摘を踏まえた見直しを着実に実施していることは評価できます。ただし、見直しによって、利用者サービスが低下することがないよう取り組むことを期待します。
 ?と?に関しましては、省略したいと思います。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。では、ただいまご報告いただきました総合評価書(案)につきましてご意見がありましたらお願いいたします。特にないですか。

○本寺委員
 単純な質問で申し訳ないのですが、ラスパイレス指数の比較で、こちらの機構が事務職員の93.8%が大卒水準だという話があって。逆にいうと、国の場合、そういう大卒の構成率はどのぐらいなのかというのはわかるのですかね。

○宮本部会長代理
 これは厚生労働省のほうからお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それは業績とかでも勘案したバージョンでということですか。

○本寺委員
 はい。

○政策評価官室長補佐
 勘案していたか、国を100とした場合にという比較で出していると思います。

○本寺委員
 たぶんこれは、国を100とした場合の比較ということで、それに対してちょっと高めになっているのは大卒の比率が多いからだというのがこの根拠ですよね。ということは、単純にいうと国の使用というのが、大卒の方が例えば5割5割、例えば8割2割とか、何かそういう構造になっているので、それに対して高いのであればこれは合理的な理由かなという気がするのですが。そうでなくて、比率構成以外の理由で高くなっているとしたら、これはあれだなと思ったので。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 国の構成比は、平成23年4月に人事院のほうから公表されている国家公務員給与の概要という資料によりますと、大卒の割合は51.6%ということでございます。それと比較いたしまして、私どもの機構の事務職が93.8%ということでこういう格差が生じている要素の1つになっている可能性があるのではないかと考えているところでございます。

○本寺委員
 わかりました。

○今村部会長 
 93.8%というのはかなり高いですね。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 カウンセラーというのは、どうしてもそういう専門的な心理学であるとか、いろいろな教育を得た方でないとなかなか。それが採用要件にもなってございますので、そういうこともございまして非常に大卒率が高くなっているということでございます。

○今村部会長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 先ほどの加藤委員の説明のところと関係するのですけれども、5頁の財務状況についてというところで、「納付金関係業務引当金戻入」という言葉があるのですが、これはどこの勘定から戻し入れをしたのか。つまり元の勘定がどのくらいあるかというのがちょっと見えないので、ちょっとその辺、もう少し視野を広げて教えていただければということと、それから、これは是非勉強させていただきたいのですけれども、「運営費交付金債務の収益化について、期間進行基準を採用し」とありますよね。その下に。結果的に441万円の利益が発生したというふうに書いてあるのですが、いずれも「収益」と「利益」というふうに言葉が使ってあるのですけれども、この辺はこの収益化によって441万円の利益が発生したという因果関係になるのか、ちょっとその辺をもう少しわかりやすく教えていただければという、ただそれだけなのです。

○加藤委員
 まず機構さんから説明してください。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 収益化基準の件でございますが、これにつきましては、どうしてこの441万円の利益が出たかという部分なのですが、簡単に申し上げれば光熱水料、電気料等について、年度初めに大体このぐらいかかりますというような予定を立てまして、実際にはそれより安く済みましたと。その最初の予定と決算というか、結果との関係の差額が441万円ということです。それが期間進行基準を採用した収益になったということでございます。
 それから先ほどの障害者の関係の納付金関係の件ですが、勘定で申し上げますと、障害者雇用納付金勘定でございます。これにつきましては、実際歳入の面と歳出の面がございます。いままで歳入につきましてはさまざま触れていますが、徴収率が99%まできているということでございまして、税金並というか、それ以上のパーセンテージで歳入を受け入れているということでございます。
 実際、そこでその赤字が結果的に出る原因なのですが、赤字が出ることにつきましては、先ほど加藤委員のほうから財務諸表のご意見をいただいた内訳にもございましたが、いわゆる戻入の関係がございますので、引当金できれいにしているということで問題はないのですが、実際、どうして歳入が入ってくるかと申しますと、いわゆる法定雇用率を守っていない会社がお金を拠出するのが歳入部分でございます。これは、障害者雇用が進めば進むほど歳入が少なくなってくるということになります。それについて、逆に守っているところにつきましては、助成金の類で歳出をしていきます。これは、4、5年とか、そのときどきによって違うのですが、大体5年程度の間に法定雇用率まで見直してやっているのですが、実際、いまの1.8%程度を守る会社が増えてきたために、歳入部分が徐々に総額として少なくなってきている。守っている会社が多いので、歳出として出てくるのが多くなったということで、歳入と歳出の差が大体100億円弱ということで、これを引当金で解消したということでございます。

○今村部会長
 ありがとうございます。

○加藤委員
 若干補足しますと、納付金の戻し入れということでご質問ありましたね。私の理解がもし違っていれば補足説明をお願いします。もともと負債勘定で法令に基づく引当金等としまして、納付金関係業務引当金、これは平成22年度の財務諸表上は約158億円弱で計上されております。これは戻し入れを約100億円行った結果、この158億円の残高がまだ残っていますと、こういう理解でよろしいかと思います。つまり1年前の状態では、前回の決算という意味では、平成21年度では100億円プラスされた状態で引当金が存在していまして、それを取り崩し、今回行いましたと。こういう理解でよろしいですね。これは納付金勘定に基づいて利益が発生した場合には、それに見合う額として引当金計上を毎期行っている。それで引当金が積み上がっていって、逆にマイナスが発生した場合には、そこから取り崩しを行う。それで帳尻を合わせる。帳尻を合わせるという言葉が適切かどうかちょっとわかりませんが、そこで戻し入れを行う。まさに今回の平成22年の決算では、経常損失が約100億円弱生じてしまっていますので、それを補うべく引当金の戻し入れを行っている。こういう理解でよろしいですね。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 はい。

○今村部会長 
 ありがとうございました。

○加藤委員
 私から1点。言葉尻だけのマターかもしれませんが、たしか内部統制のところで、8頁の所の記載で、第2パラグラフのところですね。「また、理事長の指示の下」と。この下3行目のところです。「内部監査を実施している」と。先ほど、私が拝見したときに「内部監査」という言葉と、その上の行の「監査室による」という関係がちょっとぴんとこなかったのです。機構さんにお尋ねしたいのですけれども、実態としたら内部監査室という位置づけのほかに監査室というものは何かおありだったのですか。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 監査室という部署がございまして、そちらのほうで実務的な内部監査を実施しております。それとは別に、独立して監事がいらっしゃって、監事監査をなさっている。監査室で主として内部監査をしているということでございます。

○加藤委員
 わかりました。ということは、ここでいう独立した監査室がいわゆる内部監査を行うポジションだと、そういうふうに理解すればよろしいわけですね。わかりました。そうであればクリアです。ありがとうございます。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。それでは特に修正意見がないようですので、平成22年の業務実績評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。最後に小林理事長からコメントをいただきます。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 当機構の平成22年度の業務実績につきまして、本年8月2日に個別評価をいただき、本日は総合評価をいただきまして大変ありがとうございました。委員の先生方から頂戴しましたご意見及びこの総合評価書において示されましたさまざまな課題を踏まえまして、高齢者あるいは障害者の雇用の一層の推進、拡大を図るべく、そしてまた、中期計画の目標達成というものに向けまして、業務の更なる改善、事業運営の一層の効率化といったものに努めてまいりたいと思います。引き続きご指導をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○今村部会長
 ありがとうございました。では、現在までの意見、報告を踏まえまして、個別評定の修正・確定を行いたいと思います。大体5分ほどの間に評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。よろしいですか。
(評定用紙記入中)

○今村部会長
 それでは特に委員の皆様、修正がないようですので、これをもって高齢・障害者雇用支援機構の平成22年度業務実績評価に関する意見の取りまとめといたします。評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更されたり、コメントが修正、追加等された場合はこれらを反映した評価シートとさせていただきます。これら修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただき、場合によっては個別に各委員にご意見を賜ることとさせていただきます。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。
 それでは次の審議のために、職業能力開発局総務課調査官、雇用・能力開発機構企画部長等が審議に加わりますので、少々お待ちください。
 それでは続きまして、中期目標・中期計画の変更案について審議をいたします。まず事務局から中期目標・中期計画の変更の流れについて説明をしてください。その後、変更案について所管課から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今般、雇用・能力開発機構の廃止に伴い、能力開発業務につきましては高齢・障害者雇用支援機構へ、また勤労者財産形成促進業務につきましては、勤労者退職金共済機構のほうへ、本年10月1日になりますが、移管されることとなっております。本日は、移管先となっております2法人につきまして、中期目標の変更案をご審議いただくことになっております。
 それでは中期目標・中期計画の変更につきまして、簡単ですがご説明をしたいと思います。中期目標につきましては、独法の通則法になりますが、第29条の第1項において、主務大臣が定め、厚生労働大臣になりますが、これを法人に指示することになっております。さらに策定と、今回のように変更を行う場合につきましては、この通則法の第29条第3項におきまして、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないと規定をされております。また、法人においてはこの指示を受け、中期計画を作成し、大臣が認可するということになっており、同じく策定と、今回のように変更を行う場合については通則法第30条第3項において、中期目標と同様にあらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないことになっております。したがいまして、本来であれば、まず中期目標が策定された後に、法人のほうから中期計画の変更の認可申請がなされるという流れになっており、これをご審議いただくことになるのですが、その都度お集まりいただくこともなかなか難しいということがございまして、中期目標と中期計画を今回併せましてご審議をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

○今村部会長
 続いて、所管課から説明をお願いいたします。

○職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長
 高齢者雇用対策課長の辻田です。よろしくお願いします。先ほど話がございましたように、雇用・能力開発機構については本年9月30日をもっての廃止となります。そして能開機構が担ってきた職業能力開発業務等を、いまご審議いただいております高齢・障害者雇用支援機構から名称が変更になって、高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管をされる形になっております。これに伴い、現在高齢・障害者雇用支援機構の中期目標に、職業能力開発業務等を追加して、これを高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標として本年10月1日から施行するということです。また、先ほどご説明ありましたように、中期計画についても、これと同様に変更いたしますが、これについても一括してご説明させていただき、ご意見をいただきたいと思います。時間の制約もございますので、変更の概要については、この職業能力開発業務を所管しております職業能力開発局からご説明いただくということで、お願いします。

○職業能力開発局総務課調査官
 職業能力開発局総務課の調査官をしております原口と申します、よろしくお願いいたします。それでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標及び中期計画につきまして、ただいまご説明ありましたが、変更点を中心にご説明申し上げます。
 ただいま辻田課長よりご説明がありましたとおり、中期計画は、中期目標の変更案を前提に、同じ変更点につきまして案を作成しておりますので、双方を1つにまとめました。お手元の資料の1-3-?、こちらの横のポンチ絵がついていますが、高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標・中期計画(案)によりご説明させていただきます。
 まず、いちばん上の箱ですが、中期目標・中期計画の考え方です。独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴い、同機構が担っておりました職業能力開発業務は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構から名称変更する高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管されることから、現行の高障機構の中期目標・中期計画、期間は平成20年4月から平成25年3月31日までとなっておりますが、そちらの目標及び計画のほうに、現行の雇用・能力開発機構の中期目標・中期計画を入れ込む形で、今回改正させていただきたいと考えております。
 次に、下の箱になりますが、中期目標・中期計画の内容(変更部分のみ)の1ですが、中期目標の「前文」に、職業訓練の重要性・必要性、国・雇用支援機構・都道府県の役割、成長が見込まれる分野の人材育成等国の戦略目標等を追加しております。具体的には、お手元の資料1-3-?をお開きください。1頁から3頁にかけて、ただいま申し上げた職業訓練の重要性・必要性と成長が見込まれる分野の人材育成の必要性について、また3頁の最後から4頁にかけて、国・雇用支援機構、都道府県の役割について追加しております。
 また、職業訓練に係る戦略目標としては、雇用支援機構の職業訓練施設における訓練対象者の離職者・学卒者・企業の在職者ごとに、資料1-3-?の5頁中段から6頁にかけて、各々の目標及び指標を定めております。離職者訓練と学卒者訓練については、就職率を80%以上、90%以上と定め、企業の在職者訓練については受講者及び企業に対するアンケート調査で役立った旨の評価80%以上ということにしております。これらの指標については平成23年度厚生労働省における自己評価の実施に関する計画がありまして、そちらに盛り込まれた指標を活用しております。
 次に、先ほどの資料1-3-?に戻り、2の業務運営の効率化に関しては、資料1-3-?の6頁の最後の部分、高齢・障害者雇用支援機構の中期目標、真ん中のところですが、「本部機能については、第2期中期目標期間中に東京本部を幕張本部に集約することについて検討し、結論を得ること」になっているところです。今般、本部機能については平成24年4月に幕張に集約することとなりましたので、時期を確定させたところです。
 また7頁に記載されている職業能力開発業務に係る経費、具体的には一般管理費や業務経費ですが、こちらの節減率については、今般、雇用・能力開発機構と統合されるに当たり、現行の高齢・障害者雇用支援機構に使われております率と同じものを使うということで考えておりますが、財務省のほうから引き続き高い節減率を使うべきではないかということを指摘されており、現在協議を行っているところです。大変恐縮ですが、協議の結果次第では変更することがございますので、あらかじめご承知おきいただければと思います。
 また戻りまして、資料1-3-?の3の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上の部分。新旧対照表、先ほどの3つ並んでいる資料ですが、10頁に、雇用支援機構において実施する主たる業務として、これまで能開機構が実施してきた(1)職業能力開発促進センター等及び職業能力開発総合大学校の設置及び運営の実施等に関する事項と、今般恒久化された求職者支援法中に規定された業務として、(2)求職者支援制度に係る職業訓練の認定業務等に関する事項を追加しております。
 まず、職業能力開発センター及び職業能力開発総合大学校の設置及び運営の実施等に関する事項のうち、?から?の項目を追加しております。その中で、?離職者を対象とする職業訓練の実施に関する事項については、新旧対照表で10頁の最後から11頁にかけて書いてあります。?の高度技能者の養成のための学卒者を対象とする職業訓練に関する事項については、同じく新旧対照表で11頁の最後から12頁の中段に、?の在職者を対象とする職業訓練の実施に関する事項も同じく新旧対照表では12頁中段から13頁、?事業主等との連携支援に関する事項については新旧対照表の16頁、?職業訓練指導員の養成に関する事項については同じく新旧対照表の17頁中段に、?訓練コースの開発等に関する事項については新旧対照表では17頁の最後に、?職業能力開発分野の国際連携・協力の推進に関する事項については新旧対照表で18頁上段に記載しております。ただいま申し上げました?の職業能力開発分野の国際連携・協力の推進に関する事項については、従来、雇用・能力開発機構で実施していた業務ですが、現行の雇用・能力開発機構の中期目標の中に明示されておりませんでしたので、今般、大切な引き続きを行うべき業務ということで再度明確化したものです。いま申し上げました?から?の業務については、現行の雇用・能力開発機構において実施してまいりました施策で、現行の能開機構の中期目標を追加している形となっております。
 戻りまして、新規に追加した事項についてご説明申し上げます。(1)の?効果的な職業訓練の実施に関する事項については、今回の雇用・能力開発機構法を廃止する法律、また、その基となりました平成20年12月の閣議決定において、能開機構本部のガバナンスがしっかり行われるように、公労使からの運営委員会を設置することとか、地域における職業訓練のニーズを労使や地域の関係者からしっかり把握することとされ、その点については法律に規定し、新たな業務となりますので、新旧対照表では10頁中段の(1)?アに追加で記載しております。
 ?の公共職業能力開発施設等に関する事項ですが、今回の能開機構の廃止に当たり、施設関係についていろいろ多方面に議論いただき、整理した事項について3点ございます。新旧対照表では、18頁中段のアからウが該当する点です。第1点目は、雇用・能力開発機構法を廃止する法律において、平成25年度までの間、法定化された条件により職業能力開発促進センター、いわゆるポリテクセンターと、あと職業能力開発大学校、(ポリテクカレッジ)等については譲渡を希望する都道府県に対しては移管を進めることが規定されております。その点について、新規で業務として追加しています。2点目ですが、雇用・能力開発機構法を廃止する法律を審議する際において、国会等において附帯決議として附帯された内容です。機構の職業訓練部門の業務の取組として、新規に追加しております。3点目、ウのところですが、厚生労働省内の事業仕分けにおいて、雇用・能力開発機構の見直しとして職業能力開発総合大学校については、これまでの職業訓練指導員の養成を行ってきた4年間の長期課程というものがありますが、そちらの課程は平成26年度で廃止することとなり、現在の神奈川県にあります相模原校を廃止し、東京の小平校に平成24年度までに集約することが決定されました。このため24年度までに小平校に集約を進めるとともに、長期課程に変わり、ハイレベル訓練を新設して、職業訓練指導員のスキルアップ等を重点化することを行う必要が生じてまいりました。それらの準備を行うということで、その準備がこの中期目標期間中に生じるということですので、新規で追加しました。
 (2)の求職者支援制度に係る職業訓練の認定業務等に関する事項については、新旧対照表では19頁の中段になります。雇用保険を受給できない求職者の方々に対して職業訓練を実施するとともに、職業訓練を受けることを容易にするための給付金を支給するなどを通じ、その方々の就職の支援をすることを目的とする職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律が先般成立いたしました。求職者支援制度が恒久化された中において、求職者が受講する職業訓練を認定することが必要となるわけですが、認定業務については的確な実施や、必要な指導等を行うことができる組織として、ノウハウを有するということで雇用・能力開発機構が実施をすることとなりました。つきましては、これらの業務を新法人でも行うことになりますので、追加したものです。
なお、新旧対照表の右端に雇用・能力開発機構の中期目標を記載しておりますが、ご覧いただく中でお気づきになられたかもしれませんが、一部網掛けをした部分があります。これは雇用・能力開発機構を廃止し、新法人に移管する場合に、国や勤労者退職金共済機構など別の組織にこれまでの業務を移管する場合や、これまで行っていた業務自体を廃止することになっております。11頁上段から19頁にかけて網掛けが多くございます。例えば、機構で実施していた委託訓練については都道府県に完全移管することになったことや、「私のしごと館」は国へ承継されることになりました。また、労働者の職業能力開発を促進するための助成金等については、国の労働局に移管されることになりました。また、高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管されない業務もありますので、今般、中期目標や中期計画には、そこの網掛けの部分の業務については記載できないものという形で、可能な限りわかりやすく網掛けしたものです。
 資料1-3-?のいちばん最後の4の財務内容の改善に関する事項の部分で、雇用促進住宅業務、求職者や被災者へ配慮しつつ、平成33年度までの譲渡・廃止等を追加しております。新旧対照表では20頁です。ここでの変更点については、まず?の部分について、これまでリーマンショックが発生したときに講じた対策として、解雇等に伴い住居を失った求職者の方々が入居の対象になりましたが、それに加えて、今般の東日本大震災の被災者を対象者に加えたこと。?ですが、雇用促進住宅の剰余金については、雇用・能力開発機構廃止後国庫納付する、返納することになりますので、新規に追加したものです。以上が、中期目標についての説明です。
 中期計画ですが、冒頭申し上げましたとおり、中期計画・中期目標の策定と同様、高齢・障害者雇用支援機構の中期計画の中に、現行の雇用・能力開発機構の中期計画を盛り込む形になります。中期計画は、中期目標同様の案を前提に、同じ変更点について案を作成しておりますので、基本的に同一の内容となっております。
 資料1-3-?の左側に、高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標、中段に高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標を受けた形の中期計画、右側に雇用・能力開発機構の中期計画を並べた新旧対照表を作成しております。
 中身としては25頁の第3「予算、収支計画及び資金計画」の中の1「予算」、2「収支計画」、3「資金計画」で規定すべきところですが、資料1-3-?の24頁以降に別紙が添付されております。そのうち別紙-1-2「運営費交付金の算定ルール」のいちばん下にあります人件費・一般管理費・業務経費の3つの係数のところに、(P)というのを3つ付けておりますが、こちらのほうが先ほど申し上げましたとおり財務省と協議中ですので、高齢・障害者雇用支援機構の同じ率を用いるとなった場合を想定して、別紙1から別紙2、別紙3は作成しております。財務省の協議いかんでは数字が変わることをご理解いただきたいと思います。高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標・中期計画の主たるものについて、簡単な説明でございましたが、以上です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 それ以外に法人などからの説明はありますでしょうか。ないですか。それでは、ご質問等ありましたらお願いいたします。

○加藤委員
 資料1-3-?を見ているのですが、7頁です。先ほどのご説明によりますと、経費の節減率については財務省と調整中ということをお聞きしましたが、具体的には、例えば7頁のいちばん左の枠のところで、真ん中辺りで下線が引いてある箇所で、「年度平均で3%(P)程度の額を節減する」と。ずっと下にいきまして、いちばん下の行、「年度平均で総額1.9%」と。これについて調整中という理解をすればよいのでしょうか。

○職業能力開発局総務課調査官
 ご指摘のとおり、この数字について財務省と協議中ということです。

○加藤委員
 わかりました。参考までに教えていただければと思うのですが、過年度で、例えばこの2、3年ぐらいでいいと思うのですが、どのくらいの節減率の推移だったのか教えていただけますでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 節減率はここ5年間全体で、30%程度と記憶しています。節減率の目標が-17.8というような目標でございました。結局、ほとんど最小値まできているのですが、それが30%程度の節減ということです。ですから単年度だったら大体5、6%程度と。

○加藤委員
 各平均すると、各年度を。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 単純に割算すれば、それが出てくる。

○加藤委員
 平均5、6%。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 はい。

○加藤委員
 その平均5、6%に比べて、いま調整中ということなのでしょうけれども、この3%とか1.9%という数字に違和感というのはないのでしょうか。数字だけ見て、素朴にそう思ったのですが。

○高齢・障害者雇用支援機構経理部長
 捉え方だと思います。いわゆる、既に30%程度の節減の努力をしたあとの塊に対しての話だと私は思っています。塊の頂点が変わらずに3%減が入ってくれば、それは当然低いハードルだと思いますが、努力後の3%減ですので、3%減は意味があるものと考えます。

○加藤委員
 この場でお聞きしていいのかどうかわからないのですが、どういうふうに調整がいまされているかというのはお聞きできるのでしょうか。どういう内容で調整中ということか。

○職業能力開発局総務課調査官
 現行ですね。先ほどご説明ありましたけれども、雇用・能力開発機構につきましては相当きつい節減率がかけられております。今般、第2期で、おおむね2期が終わっていないところでございますが、相当予算のリストラであるとか、人件費のリストラは今回きつくやりました。今回の統合に当たりまして、高齢・障害者雇用支援機構と同じ組織になるものですから、何とか同じ率にならないかということをお願いしているところです。ただ、財務省のほうといたしましては財務省の立場もございますので、いままで以上の縮減率、もしくはそれに近い縮減率をやるべきではないのかという指摘を受けております。ただ、業務が回らなくなるとか、そういうことが発生しますと、それは財務省のほうとしても困るということがございますので、そこのところの数字をいまお互い調整しているところでございます。

○加藤委員
 はい。

○松尾委員
 文言のことで教えていただきたいのですが、資料1-3-?のところの中期目標の「前文」のところに、「成長が見込まれる分野の人材育成」があって、新旧対照表の中には、例えば「産業の基盤を支える人材を育成する」とかいう言葉があって、若干この文言の統一というか、これはどことどこが対応して、どういう内容になっているのかというのがわかりにくいのですが、この辺のところをちょっと説明していただければと思います。

○職業能力開発局総務課調査官
 それではご説明申し上げます。まず、成長が見込まれる分野の人材育成につきましては、資料1-3-?の1頁目、前文のところの中段に下線が引いてございます。その中の中段の5行目のところ、後ろのほうで、「さらに、今後、成長が見込まれる分野において、その担い手となる人材の育成が求められることに加え」というところに、既存のものづくりのみならず、成長戦略その他諸々に対してすることができる人材を育成できるようにするということを、そこに書き込んでおります。

○今村部会長
 それと基盤、別の表現があるというご指摘です。その整合性については。

○松尾委員
 これは新旧対照表の5頁、3の?ですか、「産業の基盤を支える人材を育成するため」の後に、「技術革新に対応できる高度な知識と技術」等々という、いくつか言葉が出てくるので。この辺の、前文のところはいいのですが、それに対応した具体的な戦略目標のところの説明といいますか、それが若干わかりにくいなと感じたのですが。

○職業能力開発局総務課調査官
 そこの点につきましてはちょっと工夫ができるかどうか検討いたしますが、新成長戦略等、新分野の技術であるか、そういうものにつきまして、すぐさま身につけて対応できる方というのはやはり学卒とかそういう方が中心だと考えております。一応、いまのところ5頁の3の?のところが、職業能力開発大学校等というところで、学生向けの訓練を行っているところでございますので、まずそちらのほうに入れてという整理をしていたところでございます。もうちょっと工夫できるかどうか検討したいと思います。

○松尾委員
 具体的に、この中期目標の下に中期計画があると思うのですが、その中に具体的に入れ込んでいただくと、もうちょっとわかりやすいかなと思います。

○今村部会長
 いまの件に関しては、5頁の?や?に書いてある産業の基盤というのは、いまの話ですと、成長の基盤を支える産業というふうに受け取れるのですが、そういう意味ではないのですか。

○職業能力開発局総務課調査官
 現在におきましても、まず現在のその産業を支えるという人材を供給するという観点から、学生さんに向けて教育訓練していると。

○今村部会長
 でも学生さんというのは新卒ですよね。

○職業能力開発局総務課調査官
 新卒、学生ですね、学生さんに対してやっていると。

○今村部会長
 つまり、この文章だと、私はむしろ中途採用とか、要するに離職者も含めてそういう引き続き産業の、だから新しい成長ではなくて、引き続きその成長を支えるような意味での産業の基盤なのかなと理解しました。いまのご説明だと、これからの新成長戦略との関わりで、新卒者への教育が必要だということになると、その成長を支える、新しい成長をする産業の基盤というように読めてしまったので、そういうふうに。

○職業能力開発局総務課調査官
 すみません、舌足らずの説明で大変申し訳ございません。いま部会長がおっしゃるとおり、?のところは従来の産業を支える人材といたしまして、学卒者にやっているものでございます。いま委員からご指摘のありました新成長分野のところをどこかに書き込むとするならば、そこの辺りがいちばん適切かなと思いましたものですから、そこに書き込むことがよろしいのかなと思いまして、発言しました。そこの調整は計画のほうに書くという形でよろしゅうございますか。

○今村部会長
 よろしいですか。

○松尾委員
 はい。

○今村部会長
 ほかにはいかがですか。

○宮本部会長代理
 基本的なことを教えていただきたいのですが、今回1つの機構になるということで、高齢と障害と求職者雇用支援と、3つのセクターが一緒になったわけです。実際に、高齢と障害はいままでも同一機構の中でやっていたわけですが、それぞれ専門分野としてかなり独立性が高いということなのか。あるいは同じ機構になったことで相互に何らかの形で連携なり、法律的な雇用支援のための取組が可能なのか、その辺りは具体的にはどういう形で計画を立てていらっしゃるのでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 今回、私ども高齢・障害者雇用支援機構に移管をする能開機構の業務につきましては、私どもの本来やっております業務とある程度独立性があると思っております。ただ、折角同じ法人に一体化して業務を一緒に行うということになりますので、例えばこれから一緒にそれぞれのお互いの業務を勉強しながら、また理解し合いながら相乗効果といいますか、統合のシナジー効果をどう発揮できるのか検討し、実施していきたいと思っております。例えばですが、障害者の関係でしたら、私ども高障機構で障害者のリハビリテーションや職業能力開発を従来からやっておりますし、能開機構では、一般の職業能力開発の極めて優れたノウハウをお持ちでございますので、そのようなところからでもいろいろ検討を重ねていきたいと考えております。
 いまの中期目標・中期計画では、この10月に向けて能開機構の中期目標・中期計画をまずは機械的に盛り込んで、それから私どもの組織、お互いにいろいろなノウハウ等も結集しながら、ご指摘の点については検討し、実施していきたいと考えております。

○宮本部会長代理
 そうしますと、シナジー効果に関しては、動き出してから具体的に計画を立てていくという段階で、当面ですけれど、合体するわけですから何らかの形で効率化ということをしなければならないということでやっているわけですが、いま、その効率化というのはどこで図るという計画なのでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 まず、わかりやすいところで申し上げますと、業務移管を受けて、2つの機構の組織も一体化するわけでございます。例えばその中で、特に管理系の部署である総務、企画、経理といったところにつきましては一定の統合効果ということで、その定員の削減等も行うことにしております。
 それからいろいろな経費面の削減等についても、細かい点を詰めて、実施していきたいと考えております。あとはその業務面につきましては、先ほど申し上げたように、これから検討、指示していきたいと思っております。

○宮本部会長代理
 わかりました。

○今村部会長
 いまのシナジー効果の件ですが、コストの面とか重複する業務とかそういう発想ではなくて、例えば、従来からの高障機構さんですと、発達障害者のための就業支援ということを随分とやっていらして。それと、旧能開機構でやっていた若者のための自立支援みたいなものとは、かなり関係が深かったのではないかなと思うのですね。そういう持っているコンピタンスみたいなものをうまく組み合わせて、より高度なサービスにするという質の部分のシナジー効果というのも当然あると思うのです。そういうものが、この中期目標・中期計画の中には現時点ではあまり組み込めないのかもしれませんけれども、特に、若者の部分に関してはほとんどグレーで、落ちてしまっているという感じです。逆に、高障機構の持っている似たものが活かせないというような印象も受けるのですが、その辺は、誤解なのでしょうか。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 ご指摘の部分、特に発達障害のある方や精神障害のある方に対するいろいろな支援をやっております。これは私どもの業績評価のときに、本年8月2日にもいろいろご指摘をいただいたところですが、例えば地域の福祉や就労支援機関、地域若者サポートステーション等含めまして、そうした機関との連携というのを、課題と考えております。それから能開機構でも、職業訓練の対象者としては学卒の方をはじめ、若い年齢層の方も多々いらっしゃると思います。その中には、当然、なかなか訓練についていけない、ひょっとしたらそれはいろいろな精神面とか、あるいは何か精神的な面で不安や別なハンディを背負っていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。そういうところは、まさに先生ご指摘のとおり、私どもの持っているノウハウで、またその訓練という中では、能開機構のこれまで培ってこられたノウハウが活きるところだと思っておりますので、質的な相乗効果というのも十分留意しながら、今後連携できるようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。

○今村部会長
 是非よろしくお願いいたします。それ以外にいかがでしょうか。特に、修正という形でのご意見は。どうぞ。

○職業能力開発局総務課調査官
 先ほどご指摘いただきました成長が見込まれる分野の人材育成等のところでございます。お手持ちの資料1-3-?の17頁の?のところ辺りに、先ほどは施設ごとに離職者対策にポリテクセンターであるとか、学生向けのポリテクカレッジ等につきまして書いておりました。ここのところで、訓練コースの開発、訓練コースについてのことを書いてございまして、また環境・エネルギーなどの新しい分野の訓練カリキュラムの開発を進めることというのを、ここにも記載してございます。どこの施設でやるかというところにまで全て書き込みますと整理がなかなか難しゅうございますので、こちらのところにより明確に書き込んだ形で整理させていただければありがたいと考えますが、それでよろしいですか。

○松尾委員
 私も先ほどお聞きしようと思ったのですが、そうすると、この資料1-3-?の成長が見込まれる分野の人材育成等が、ここの3のところの国民に対するサービスの提供のところの?に対応するということですね。

○職業能力開発局総務課調査官
 はい。そこのところで、そういう人材が育成されるようなコースを開発する。

○松尾委員
 細かいことなのですが、さっきの資料1-3-?の先ほど説明していただいた17頁の?の下のところで、いま国の成長戦略はライフイノベーションとグリーンイノベーションなので、ここの「環境・エネルギー分野」とあるのですが、ここにね。医療とかライフとかという言葉を入れていただいておくといいかなと。たぶん国の成長戦略の中でそういうのが入っているので。

○職業能力開発局総務課調査官
 検討いたしますが、医療等について、その職業訓練というのがなかなか。いま、ものづくりの、要するに能開機構におきましてはものづくりというものがメインでございますので、ちょっとそこのところは馴染まないのではないかと思いまして。環境の太陽光パネルのものであるとかそういうことを念頭におきまして、環境・エネルギーと書き込んだところでございます。

○松尾委員
 いろいろ混ざってますけど。

○職業能力開発局総務課調査官
 ものづくりに特化している、その訓練施設でございますので、そこのところをちょっとものづくりという観点からというのはなかなか難しいかなと思いまして、こんな形に。

○今村部会長
 旧能開機構の枠組みを維持しつつということになりますから、その表現に関しては若干の制約があるということでございますけれども、委員のご指摘のように、医療等についても当然成長分野であることは間違いないので、全体で将来的にはそういうことも含めて人材育成ということで検討できればということで、お願いしたいと思います。修正に関しては特に文章としての指摘はなかったと思いますので、それでは本部会としては、本件については異存はないということで、厚生労働大臣にお伝えすることで、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 所管課法人においては、今後の手続きを進めていただきたいと思います。では、どうぞ。

○政策評価官室長補佐
 ご説明ありましたが、調整中の部分がまだあるという話でしたので、その点については所管課で調整いただいて、終わり次第、事務局から部会長のほうにご相談をさせていただき、内容によって委員の皆様に改めてご報告するという形をとるか、もしくはご意見を伺うという形をとるかということで、対応をまた改めて考えたいと思っておりますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

○今村部会長
 調整中ということで、いまの点も含めまして、本日審議を行った中期目標・中期計画の変更(案)に今後修正が入った場合につきましては、事務局から私に連絡を入れていただき、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。次に、業務方法書の変更(案)についてです。法人から説明をお願いいたします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 ご説明申し上げます。私どもの業務につきましては、それぞれ業務方法書に規定されているわけでございます。今回の変更ですが、お手元資料1-4-???となっておりますが、?がその変更の概要、?が新旧対照表、?が全文でございます。この趣旨ですが、1-4-?にございますように、これも先ほどの中期目標・中期計画と同様に、雇用・能力開発機構から職業能力開発業務の移管を受けることなどにより、所要の整備を行うものです。
 具体的な変更の内容ですが、同じく1-4-?の第2.をご覧ください。まず1の(1)ですが、これは法人の名称の変更ということで、業務方法書のタイトルの変更等です。これについては1-4-?のすぐ下に、続けて1-4-?新旧対照表がございますが、そちらでは1頁、第1条です。また1-4-?、第2.の1の(2)は雇用・能力開発機構からの業務移管に関するところです。?の職業能力開発促進センター等の設置及び運営業務、また暫定業務として、?ですが、雇用促進住宅の譲渡または廃止等に関する業務、?として、事業主その他のものの行う職業訓練の援助業務、これらが移管することになっており、これらの業務について業務方法書には、1-4-?の対照表ですが、第13条、3、4頁にかいてございます。
 また、雇用促進住宅の関係については、附則の第5条、第6条ということで、10頁に記載しているところです。さらに1-4-?の第2.の2ですが、新たに施行される求職者支援法に基づく職業訓練の認定業務を業務方法書の第14条に追加するということです。1-4-?新旧対照表では5頁になります。
 以上、申し上げた点が主な変更点ですが、法令の名称が変更になったり、機構法の条文番号のずれ等がありました関係で、それぞれ該当する部分の文言を修正したところです。この業務方法書の変更については、今年10月1日に施行したいと考えております。なお、1-4-?の全文の資料ですが、こちらは時間の関係で本日はご説明を割愛させていただきたいと存じます。説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ではご質問等ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
 それでは、本部会としては、本件については異存はないということを厚生労働大臣にお伝えすることで、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 では所管課においては厚生労働大臣の認可に向けて手続きを進めていただきたいと思います。また、今後この案から更なる変更が必要となった場合には、事務局から私に連絡を入れてもらい、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うことを決めることとさせていただきますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

 ○今村部会長
 ありがとうございます。それでは高障機構の議題は以上となります。法人所管課が退室しますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入れ替え)

?雇用・能力開発機構

○今村部会長
 それでは次に雇用・能力開発機構について審議をいたします。まず、審議に先立ち、機構より説明があるということですのでよろしくお願いいたします。

○雇用・能力開発機構経理部次長
 それでは昨日の朝日新聞の夕刊に掲載されました記事につきまして、この場をお借りしましてご報告をさせていただきます。当機構の関西創業サポートセンターにおきまして、平成21年度分の業者等への支払関係の経理書類を誤って廃棄したことについて報道されたところでございます。このセンターは、職業能力開発総合大学校の一部門で、起業を目指す方や新分野への進出を目指す中小企業に対して、職業能力開発の面での支援を目的として、平成16年4月に設置し、平成22年3月に廃止した施設でございます。
 書類を誤って廃棄した経緯ですが、当機構の業務の見直しを行う中で、センターは平成22年3月末をもって廃止をしたところです。センターにおける経費の執行は2月末をもって終了しており、事務補助員、これは派遣職員ですが、経理関係書類の整理を行っていたところ、不要書類の廃棄を行っていた別の事務補助員が誤って3月26日にシュレッダーで書類を裁断・破棄したことが判明したものです。保存すべき書類が裁断・破棄されたことは、文書管理規程に違反していることなどから、センター長ら上司2名を訓告処分としたところでございます。センターにおける経費の執行は既に2月末をもって終了しており、職業能力開発総合大学校への経理報告がすべて終わっていることから、平成21年度の決算処理や業者等への支払には一切影響はありませんでした。しかしながら、本来保存すべき書類について破棄してしまったことは許されるものではなく、4月早々の全国所長等会議において、この事案を踏まえて文書管理を徹底するよう管理職に対して注意を喚起しております。
 今後は、このような事態を招かないよう努めてまいる所存でございます。以上でございます。 

○今村部会長 
 それでは財務諸表に関する意見について加藤委員からご説明をお願いいたします。

○加藤委員
 財務諸表の適正性等について意見を申し上げます。雇用・能力開発機構の平成22年度の法人全体の財務数値は、総資産額が約1兆4,800億円となっており、負債合計が約9,000億円。その結果、純資産額が約5,800億円という数字になっております。資産の内訳としては、資産総額1兆4,800億円のうち、約8,000億円が財形融資等の貸付金残高、これはもちろん貸倒引当金が控除されたネットの残高ということです。残り約5,700億円が土地等の有形固定資産になっております。因みに土地は残高が2,800億円で有形固定資産がそれを含みまして約5,700億円ということです。
 なお、貸倒引当金の計上基準、これは貸付金等の残高が資産総額に占める割合がかなり大きいものですから、貸倒引当金の計上基準、あるいは計上の方法等について詳細にヒアリングをしましたが、財務諸表の中の重要な会計方針のところで貸倒引当金の計上基準が載っておりますが、そこには一般債権については貸倒実績率によって、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、これは相手先ごとに個別にという意味ですが、検討し、回収不能の見込額を計算して計上していると書かれています。実際に、そのとおり決算作業がなされているかどうかヒアリングあるいはその他の方法によって確認をしてございます。
 経常費用の合計は1,270億円強となっておりまして、経常収益の合計は1,400億円弱と。ネットとしまして、経常利益が約119億円という結果になっております。
 さらに東日本大震災等による災害損失等によって、臨時損失が約12億円弱発生しています関係で、結果、当期純利益が約107億円という財務数値です。これらの財務諸表の各数値全般につきまして、特に私が必要と考える個別の会計処理、貸倒引当金の計算など、あるいは資産に重要な含み損がないかどうかという観点からも質疑を行いまして、なおかつ勘定分析あるいは平成21年度の数値との財務数値の比較等、比較分析等を行って、財務数値全般の妥当性を確認させていただきました。
 会計監査人であります有限責任あずさ監査法人が実施しております監査の方法、あるいは概要に関しましても、同監査法人から機構に提出がなされております監査実施の説明書、あるいはマネジメントレターにおいて、特に重要な指摘事項がないということも確認しております。会計監査人の監査の結果は、財務諸表が適正に標示されている旨の意見表明がなされています。以上から判断させていただきまして、私は雇用・能力開発機構の平成22年度の財務諸表は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると、このように考えます。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。では、ただいま報告いただきました雇用・能力開発機構の財務諸表についてご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、平成22年度の財務諸表に対する意見としては資料2-1のとおりで修正意見はないようですので、これを取りまとめ厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。次に、雇用・能力開発機構の総合評価について審議をいたします。起草委員を代表して宮本部会長代理から報告をお願いいたします。

○宮本部会長代理
 それでは、雇用・能力開発機構の平成22年度業務実績の評価結果(案)をご説明いたします。
1頁でまず、全般の評価です。1の(2)ですが、平成22年度は第2期中期目標期間の4年度目ということで、中期目標・中期計画の着実な達成に向け、業務を効率的かつ効果的に実施し、併せて利用者へのサービスの向上を一層進めていくことが求められたところです。主なものを見ますと、業務運営の効率的・効果的実施については、業務の廃止等に伴う組織の見直しの実施、各種職員研修の実施による業務執行能力の向上に努めるなど、着実に取組を進めております。また、機構業務の中心である職業能力開発業務のほか、雇用開発業務等につきましても、概ね目標を上回る評価や実績を上げているといったところから、全般としては適切に業務を実施してきたと評価しております。
 一方で、今後の業務運営にあたり留意すべき事項として、委員からの意見が多かった事項を中心に4点を挙げております。
1点目は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構への職業能力開発業務の移管後も、引き続き地域産業のニーズに対応した高いレベルの職業訓練を行うとともに、震災対策にも的確に対応した職業訓練を実施すべきというものです。
 2点目は、職業訓練指導員に対する訓練についても、質の高い訓練を、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構への業務移管後も引き続き実施すべきだというものです。
 3点目は「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」等に基づく保有資産の見直しを着実に進めるべきというものです。
 4点目はラスパイレス指数が依然まだ高いことを踏まえて、給与水準の適切性の検証を引き続き進めていくというものです。
 2頁で、具体的な評価内容についてポイントを申し上げます。まず、業務運営の効率化についてですが、組織・人員体制については、雇用開発業務の一部廃止に伴う組織の見直しを行うとともに、各種職員研修による業務執行能力の向上に努めており評価できます。
 経費の削減については、一般管理費や業務費、人件費について目標を大幅に上回る取組を進めており高く評価できます。一方でラスパイレス指数については104.4ポイントとなっており、引き続き給与水準の適切性の検証を進めることが期待されます。
 3頁(2)の、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上についてですが、まず、業務改善の取組としては、学識経験者等の外部有識者からなる「外部評価委員会」における業績評価を実施し、その結果を踏まえ、理事会で「自己評価」を決定する仕組みを導入しているなど評価できます。
 ?の雇用開発業務についてですが、事業主等への相談等の業務については、アンケートによる満足度調査は、90%以上の者から「役に立った」等の評価を得ています。また、アンケートの調査結果を業務の質の向上に反映させるなど評価できます。
 助成金の支給等の業務につきましては、説明会終了後のアンケート調査において、目標を上回る90.3%の者から評価を得ています。また、不正受給防止対策の取組については、平成22年度に支給決定した助成金の不正受給を1件に留めており評価できます。
 4頁?の職業能力開発業務についてですが、効果的な業務の実施については、地域の労働市場の動向や人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定等に努めるとともに、PDCAサイクルによる訓練コースの不断の見直しを行っております。
 また昨年度、当委員会で指摘した都道府県や民間教育訓練機関に対するノウハウの提供については評価できます。
 離職者訓練については、就職支援の強化を行い、依然として厳しい雇用情勢の中で、施設内訓練の就職率が82.6%と過去最高となるなど評価できます。
 5頁で高度技能者の養成訓練についてですが、大学卒業者等の就職環境が厳しい中で、就職率が目標を上回るとともに、共同研究等において実用化につながる質の高い研究を行う等高く評価できます。
 在職者訓練につきましては、受講者と事業主の双方から目標を上回る高い評価を得ているほか、職場での訓練の適用状況の確認を通じた訓練コースの評価・改善等を行っている等評価できます。
 若年者の就業支援については日本版のデュアルシステムに取り組み、就職率を前年度に比べて増加させ、高い就職率を達成するとともに、キャリア・コンサルティングについて、アンケート調査において高い評価を得ており評価できます。
 事業主との連携につきましては、事業主の求めに応じた職業訓練指導員の派遣による職業訓練や施設設備の貸与を実施したほか、「緊急雇用対策講習」の実施により、政府の雇用対策に迅速に対応しています。
 6頁、職業能力開発に係る助成金の支給等につきましては、説明会終了時のアンケート調査の実施や、技能者育成資金の回収業務についての目標を達成しており評価できます。
 指導員養成、訓練コースの開発等につきましては、技能習得の指導ができるだけでなく、キャリア・コンサルティング、就職支援等に対応できる幅広い能力を有する人材を養成するため関連の講座訓練を実施し、高い就職率となっているとともに、指導員の就職への意欲の醸成・強化に努めるなど評価できます。
 7頁の?で、勤労者の財産形成促進事業につきましては、計画に沿って制度の周知・広報に努めるとともに、適正な貸付金利の設定を行う等の取組を着実に実施していると評価できます。
 ?の「その他」に関しましては、東日本大震災の発生に際して、被難者に対する雇用促進住宅の一時的貸与を行うなど、積極的な対応を行っており評価できます。
 次に(3)、財務内容の改善等についてですが、中期計画に基づく予算の範囲内での執行を行うとともに、一般管理費の一部について期間進行基準を採用しているほか、財務諸表注記事項について充実を図るなど、決算情報等の充実を図っており評価できます。
 8頁(4)の、その他業務運営に関する措置に関しましては「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に盛り込まれた措置については概ね予定どおり取り組んでいます。
 (5)の、評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委評価の視点等への対応についてですが、まず、財務状況について、当期総利益は業務収益が財務費用や業務費用を上回ったことによるものであり、業務運営に問題等があるものではないと認められます。又、財形勘定における繰越欠損金についても着実に解消が進んでいると認められます。
 ?の保有資産の管理・運用につきましては、職員宿舎、雇用促進住宅については着実に処分等を進めていると評価できます。
 9頁?、組織体制・人件費管理についてですが、国を上回る俸給月額の引き下げや給与上昇スピードの抑制に取り組んでおりますが、国に比べて給与水準がやや高いため、給与水準の適切性の検証を引き続き進めていくことが必要です。
 ?の事業費の冗費の削減についてですが、事務用消耗品等の一括購入の推進等により経費節減に努めていると評価できます。
 ?、契約についてですが、平成22年4月に策定した随意契約等の見直し計画に基づき取組を行い、競争性のない随意契約を減少させるとともに、一者応札・応募についても改善するなど評価できます。
 10頁?の内部統制についてですが、全国所長会議の概要を全職員に電子メールで周知し、法人のミッションを役職員に周知徹底するとともに、PDCAサイクルによるリスクの洗出しを行い、また、モニタリングとして「業務統計データ集」等の作成等によって進捗管理を行うなどの取組を行っており評価できます。
 11頁?の事業内容の見直し等についてですが、行政刷新会議事業仕分けや厚生労働省内の事業仕分け等に基づく見直しについては着実に推進しており評価できます。
 ?、法人の監事との連携状況についてですが、当委員会では評価の実施にあたり、「平成22年度業務実績評価別添資料」により内部統制に係る監事監査の実施状況、理事長と監事の連携状況について法人から報告を受け、これを踏まえて評価を行いました。
 ?、国民からの意見募集についてですが、平成23年7月7日から8月5日までの間、法人の業務実績報告書等による国民からの意見募集を行ったところ、意見は寄せられませんでした。以上でございます。

○今村部会長
 ありがとうございました。では、ただいまご報告いただいた総合評価書(案)についてご意見等ありましたらお願いします。先ほど来、出ていることなのですが、この機構の場合ラスパイレスが高いことについて特に説明がなかったように思いますが、これは若干気になることですけれども、これはなぜ104なのか、簡単にご説明いただけますか。

○雇用・能力開発機構理事長
 8月2日に実績のご説明をしたときもお示ししたのですが。ラスパイレスというのは、いろいろな切り口で指数が計算されますが、いまの104.4でしたか、これは国家公務員と私どもの職員の年齢別構成による比較だけでいくと104.4。これはうちの場合、9割近くが大卒。国家公務員の場合の大卒の比率は52%ぐらいなので、やはり賃金の比較は日本の場合、学歴を入れないといけない。だから、年齢と学歴を入れるとラスパイレス指数100.8の程度まで、ほぼニアリーイコールになる。けれども、総務省をはじめラスパイレスの管理をなさるのは年齢だけでおやりになるから、公式的には104.4でいくということです。
 もう1つは、うちの場合、例えば指導員や事務職員などもそうですが、全国的に人事配置をすると、単身赴任手当や住居手当などがついて回ります。その展開の比率が、国家公務員よりもちょっと多いものですから、そういう手当が若干加味してくる、それがラスパイレスを引き上げる要因になっている。そのような事情でして、現状でいくと、学歴・年齢を構成に入れるとほぼ100であると言える。それが事実です。ただ、先ほど言いましたように、年齢構成だけで公式的に横並びにすると104.4になってしまいます。なおかつ、これから賃金合理化でいろいろ努力はいたしますが、実質はほぼ終着点に近づいているものだと、思っていただくとよろしいのではないかと思います。

○川端委員
 ここは学歴勘案の数字を入れておいたらいかがですか。

○今村部会長
 これは評価官室へのお願いなのですけれども、各機構によって書き振りが違いますね。例えば、あるところは年齢勘案、学歴勘案いろいろすべて入れたり、いまのご発言だと年齢勘案が唯一の公式的なラスパイレスだという了解があるとか、これは各機構によって認識が違うようです。これは評価官室で統一を取られることがまず前提ではないかと思います。例えば、ここの場合でももし入れるのであれば、最低でも学歴勘案であれば100になるというようなことを付け加えることが必要かと思います。

○川端委員
 そうすると、これ公表されたときに納得性が高まると思うんです。

○政策評価官室長補佐
 お手元の平成22年度の業務実績評価別添資料で、「評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点への対応状況説明資料」があって、こちらの14頁にラスパイレス指数の話が出ています。基本的には対国家公務員との比較の数字を、こちらの評価書にもきちんと話として入れ込むということになると思いますので、今後他の法人も含めて、その書き振りについてはきちんと統一をした上で、分かりやすく表現していきたいと、うちのほうでも調整をしていきたいと思います。

○今村部会長
 逆に質問なのですが、いま川端委員からも提案がありましたように、括弧書きで学歴勘案ではいくつ、という数字を入れておくという提案なのですが、それは我々としては配慮するということでよろしいのでしょうか。機構のほうでは、学歴勘案のラスパイレスの数字はお持ちでしょうか。

○雇用・能力開発機構総務部長
 ただいま評価官室から説明があった資料の14頁に、年齢だけの指数ですと104.4ですけれども、学歴勘案で100.8ということで記載してあります。

○今村部会長
 どこに入れればよろしいでしょうか。

○川端委員
 これは評価委員会の評価結果ですから、104.4ポイントのあとに括弧を入れて、学歴勘案100.8と入れておけば分かりやすいですね。

○今村部会長
 宮本先生いかがでしょうか。

○宮本部会長代理
 学歴勘案だけでよろしいと思います。

○今村部会長
では括弧書きで学歴勘案ラスパイレス100.8というような表現を入れさせていただくということです。

○雇用・能力開発機構理事長
 もう1つこれに106.4というのがあるので非常にとまどうと思うのですが、学歴換算をし、地域換算をすると106.4になります。この地域というのは、国家公務員の場合、地域は例えば宮城県に固定的にいる人です。うちの場合は全国をローテーションするものですから、東京というか本部と同じ賃金表を用います。そういうことによって、国家公務員の場合はその地域のやや低いものになるので、106.4となる。これもうちの場合はローテーションをやりますので、地域のそればかりをやると当たらなくなってしまう。だから私どもは、願わくば学歴年齢換算をしていただくと、ほぼイコールになるというご理解をお願いしたいと思います。

○今村部会長
 では、一応原案としては、括弧書きで学歴勘案100.8という数字を入れることにさせていただきたいです。なお、以前からラスパイレスの標記方法については、懸案となっておりますので、ぜひ評価官室のほうで書き振りの調整というか、統一化を提案いただければと思います。今後の課題としてお願いいたします。
 他には何かありますでしょうか。それ以外に修正意見がないようですので、今の方針で書き換えをさせていただくということで、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。修正箇所については、先ほど申し上げたように学歴勘案100.8を入れるということです。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。ではそのようにさせていただきます。
 最後に丸山理事長からコメントをいただきます。お願いいたします。

○雇用・能力開発機構理事長
 ただいま私どもの平成22年度業績についての総合評価をいただきまして、まことにありがとうございました。ご講評のとおり、10月1日をもちまして、当雇用・能力開発機構は廃止されますので、本日いただきました評価が雇用・能力開発機構としてお受けする最後の評価になります。私が理事長に就任して3年半になるのですが、しばしばこの委員会に出席させていただきまして、毎回委員の皆様から貴重なご指導やご指摘をいただきまして、お陰様で中期計画あるいは各年度計画の遂行において、一定の成果を挙げさせていただいたことを、心から感謝申し上げたいと思います。
 ご講評のとおり、当機構に対する非常に厳しい批判があったわけでありますが、職員はそうした批判を前向きに受けとめて、国の雇用のセーフティネットの一端を担っているという使命感を持って、誠実に業務の改善、業績の向上に努めてくれました。職員諸君は高障機構及び勤退機構の採用選考を経て、採用内定をいただいていまして、10月以降は、その両機構に分かれて引き続き所定の業務を推進して参ります。
 したがって、先ほど宮本先生から留意事項というご指摘をいただきましたが、私どもの持っているノウハウ等が、確実に次の新しい体制へ引き継がれてまいりますので、この前の会議でも申し上げましたが、どうぞご心配なく。今後も継続してやっていきたいと思います。どうか今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。それでは現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評価の修正・確定を行いたいと思います。5分程度の間に評価用紙の確認や修正をお願いいたします。
(評価シート記入中)

○今村部会長
 ではよろしいでしょうか。それではこれをもって、雇用・能力開発機構の平成22年度業務実績評価に関する意見の取りまとめといたします。先ほどと同じく、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更されたり、コメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シートとさせていただきます。これら修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただき、場合によっては個別に各委員にご意見を賜ることとさせていただきます。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。次に、長期借入金及び債券発行実績に関して報告をいただきます。まず事務局から説明をしてください。続いて所管課から報告をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料2-3の127頁にありますけれども、本部会における雇用・能力開発機構の長期借入金等に係る意見の取扱いについて、まとめたものが掲載されていますので、そちらもご覧いただきたいと思います。
 具体的には、年度を通じた長期借入金計画及び債券発行計画については、部会の了承事項になっておりまして、この計画に基づく長期借入金または債券発行の個別の認可については、部会長の一任となっております。その後に部会で事後に報告をしていただくという流れになっています。
 今回、平成23年度計画については、3月の部会で既にご了解をいただいていまして、ご了解をいただいた内容で、既に協議を終えて認可を行っている状況です。
 本日は、この年度計画に基づいて、平成23年6月の長期借入金の実績及び債券の発行実績のご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○労働基準局勤労者生活課長補佐
 勤労者生活課でございます。雇用・能力開発機構が実施しております長期借入金の借入れ、それから債券発行につきましてご説明します。雇用・能力開発機構におきまして実施しております、財形融資の貸付資金の調達に係る平成23年度の年度計画については、3月10日に開催された当委員会において、ご了承いただいたところです。その後関係機関との協議を終え、ご了承いただいた内容で認可を行っております。この年度計画に基づく平成23年6月期の長期借入金実績、それから債券発行実績についてご報告申し上げます。
 資料は資料2-3という一枚紙です。平成23年度第1回目となります第1四半期の資金調達結果です。毎年度6、9、12、3月の年4回、財形融資のために資金調達を行っています。第1四半期においては、6月に長期借入金により192億円、債券により292億円を調達しています。当初の認可を行うにあたっては、あらかじめ年度計画額の限度内であることを、当時の井原部会長にご確認いただいています。
 借入れ条件は資料のとおりですが、長期借入金については償還期間が1年、金利は6月1日時点の短期プライムレートの業態平均、1.572%となっています。債券については償還期間が5年、金利が6月の5年利付き国債と同一利率となっていまして、0.4%ということで確定しています。
 真ん中に参考としまして表がついていますが、これは平成23年度の本計画と、うち第1四半期までの実績です。年度計画額、年度の枠と思っていただければと思いますが、長期借入金では971億円、債券については1,097億円となっていまして、いずれもこの範囲内に収まっています。平成23年度長期借入金及び債券発行の実績報告については以上です。よろしくお願いします。

○今村部会長
 では、ご質問がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは雇用・能力開発機構の長期借入金及び債券発行実績について当部会として報告を承ったということにしたいと思います。
 次に役員給与規程の改正についてです。法人から説明をお願いします。

○雇用・能力開発機構総務部長
 役員給与規程の改正について、ご説明いたします。資料は2-4-?をご覧ください。役員の期末手当、勤勉手当の支給割合の改正です。国家公務員の指定職の期末手当、勤勉手当の改正内容に準拠した内容となっております。
 具体的には、期末手当の6月期の支給割合ですけれども、100分の65から100分の62.5に引き下げています。それから勤勉手当ですが、勤勉手当の総額にかかる割合ですけれども、100分の75から100分の77.5に引き上げています。このような内容です。
 なお、当機構は何度も申し上げているとおり9月末に廃止ということでございますので、この6月期の期末・勤勉手当が最後の支給となりました。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。それでは質問等ありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。それでは役員給与規程の改正について、当部会として了承してよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。ではそのようにいたします。
 それでは次の議題ですが、重要な財産の処分についての審議に移ります。まず事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは初めに重要な財産の処分についてご説明いたします。不要財産以外の重要な財産を譲渡しようとするときは、独立行政法人の通則法第48条第1項の規定により、厚生労働大臣の認可が必要とされております。さらに同条の第2項において、厚生労働大臣が重要な財産の処分の認可をしようとするときは、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないということになっていて、今回委員の皆様の意見を伺うというものになります。
 詳細については、この後法人から説明をいただきますので、よろしくお願いします。また、当該資料の取扱いについては、契約の締結まで非公開となっていますので、委員の皆様方におかれましても、資料の取扱いについてご留意いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。

○今村部会長
 それでは処分を行う予定の財産について、法人より説明をお願いいたします。

○雇用・能力開発機構経理部次長
 雇用・能力開発機構の重要な財産の処分について説明させていただきます。今回処分いたしますのは、旧大阪地域職業訓練センターの建物です。資料は2-5です。
 「雇用・能力開発機構の廃止について」の閣議決定において、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に業務を移管するに際しては、業務及び施設の一層のスリム化を図ることとされたことを踏まえまして、地域職業訓練センターの設置及び運営については、厚生労働省の譲渡に係る基本方針により、平成22年度末をもって廃止し、当該施設が所在する地方自治体に移管するとされたことから、地方自治体と譲渡に関する協議を進めてきたところです。
 今般、厚生労働省において、譲渡等に係る基本方針の改定が示され、当該施設が所在する地方公共団体に譲り受けの意向がない場合の対応として、地方公共団体からの申し出により、地方公共団体に譲り受けの意向がある場合の譲渡と同じ条件で、職業能力開発局長が認めた地方公共団体に準じた法人もしくは団体等に譲渡することが可能となったところです。
 旧大阪地域職業訓練センターの建物につきましては、厚生労働省の譲渡方針に従い、大阪府及び大阪市と譲渡に関する協議を続けてきたところ、大阪府と大阪市から、社団法人おおさか人材雇用開発人権センターへの譲渡の申し出があり、当該法人への譲渡は厚生労働省の方針に従ったものであることから、当該法人へ譲渡により処分することとしたものです。
 なお、これらの施設の譲渡方法等につきましては、建物の鑑定評価額から建物の解体撤去に要する費用を控除した額により譲渡することとされ、解体撤去費が鑑定評価額を上回る場合には、無償で譲渡することができることとされています。
 鑑定評価額につきましては、不動産鑑定士2者の平均額としておりますが、読み上げることは差し控えさせていただきます。重要な財産の処分についての説明は以上です。よろしくお願いします。

○今村部会長
 それではご質問等ありましたら、お願いします。

○加藤委員
 2頁のところの不動産鑑定評価額で、2者間で、割合にすると差が大きいように見えるのですが、これは何か不動産鑑定士の認識の前提の違いとか、そういうのがもしあったら教えてください。
 もう1点、取り壊し費用1億3,650万とありますが、これは不動産鑑定評価書の中に謳われている金額であるのか、あるいはそうではなくて、簿価相当額及び別途見積もりを業者から取り寄せた合計額で記載されているのか。以上2点教えてください。

○雇用・能力開発機構経理部次長
 取り壊し費用ですが、これについては別途業者から見積もりを取った金額でございます。1点目のご質問の、どうして評価額が違うのかということですが、私どもとしては、民間の精通業者(不動産鑑定士)に対して、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に基づいて適正な売却価額を算定するよう依頼しておりまして、その結果として今回このような、若干開きがありますが鑑定評価が出たということです。

○加藤委員
 特記事項のようなものは、不動産鑑定評価書には、何もないという理解でよろしいですか。

○雇用・能力開発機構企画部長
 それは特に書いておりませんで、評価方法としては原価法を採ったということです。

○加藤委員
 わかりました。

○今村部会長
 他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本評価委員会としては、本件については異存がないということを、厚生労働大臣にお伝えしたいと思います。法人におかれましては、厚生労働大臣の認可を受けた後は、手続きを進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは雇用・能力開発機構の議題は以上となります。法人・所管課が退出しますので、皆様しばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入れ替え)

?勤労者退職金共済機構関係

○今村部会長
 次に、勤労者退職金共済機構について審議をいたします。最初に財務諸表に関する意見について審議に入ります。加藤委員からご説明をお願いいたします。

○加藤委員
 財務諸表の適正性等について意見を申し上げます。勤労者退職金共済機構の平成22年度の法人全体の財務数値については、総資産額が約4兆4,900億円強となっていまして、負債総額は約4兆6,400億円です。その結果、純資産の額がマイナスです。マイナスというのは負債が資産よりも大きくなっていたという意味で、純資産額はマイナスの1,490億円ほどという結果になっています。
 総資産額、いま申し上げました金額約4兆4,900億円強の内訳は、そのほとんどが金銭信託とか有価証券あるいは預金、投資有価証券といった内容になっていて、これらの金融商品についての時価開示が適切に行われているかという観点についてもチェックをいたしました。国民から見て、含み損益が大体どうなっているのかということは関心があろうかと思いますので、その観点でチェックした結果、金融商品の時価開示なども注記事項、あるいは附属明細書で適切に行われているということも確認しています。
 経常費用は約5,980億円ほどで、経常収益は約5,680億円で、その結果、経常損失として約300億円ほどが計上されています。それ以外に臨時利益として116億円ほどが計上されていますが、この臨時利益の内容は、投資有価証券買却による利益ということで表示がなされています。これはポートフォリオ組替えによるものだとお聞きしています。その結果、当期純損失が183億円ほどとなっています。
 勤労者退職金共済機構に対して、これらの財務数値の内容及び各勘定科目の増減分析あるいは勘定分析等を行い、質疑等を行って、その妥当性をチェックさせていただいています。
 独立監査人の監査の結果は、有限責任あずさ監査法人ですが、財務諸表が適正に表示している旨の意見表明がなされています。また、同監査法人が実施しました監査の方法及び概要に関して、同監査法人から機構に提出がなされている監査結果の報告書あるいは参考資料等において、特に重要な指摘事項などがないということも確認しました。
 以上から判断させていただいて、私は、勤労者退職金共済機構の平成22年度の財務諸表は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると考えます。
 なお、併せて簡単にコメントを付け加えさせていただきますと、累積欠損の額が約1,500億円弱ありますので、今後も引き続き運用収益の確保とか運用経費の一層の効率化に努めていただいて、累積欠損の解消に尽力していただきたいと考えています。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました勤退機構の財務諸表についてご意見等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、平成22年度の財務諸表に対する意見としては、資料3-1のとおり、修正意見はないようですので、これを取りまとめ厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に、勤退機構の総合評価について審議いたします。起草委員を代表して、私から報告させていただきます。
 資料3-2の、「独立行政法人勤労者退職金共済機構の平成22年度の業務実績の評価結果(案)」をご覧ください。1の(2)ですが、平成22年度業務実績全般の評価です。機構は中小企業者の相互扶助の精神に基づいて、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする中小企業退職金共済制度の運営主体として設立されたものであることから、その設置目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が「確実な退職金支給」及び「退職金制度への着実な加入」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心となります。
 平成22年度の業務実績については、全体としては機構の目的である「確実な退職金支給」及び「退職金制度への着実な加入」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、以下の点に留意する必要があります。
 3頁、?制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるためには、累積欠損金を解消することが重要であり、引き続き、累積欠損金解消計画を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが重要です。?加入促進についてです。制度の安定的な運営のため、第2期中期計画の達成に向けて、平成23年度以降もさらに効果的な取組が求められます。特に加入者が目標に達しなかった建退共事業につきましては、確実な加入に向けてより一層の努力が求められます。?中退共事業における退職金未請求、特定業種退職金共済事業における共済手帳への長期未更新に対しては、引き続き被共済者への直接の要請等を実施することにより、より一層の縮減を図ることが求められます。?管理部門のスリム化や、各共済事業それぞれの資産を区別して、管理することなどを前提とした効率的かつ柔軟な資産運用体制の構築など、更なる効率化に努めることが求められます。
 2の具体的な評価内容に入らせていただきます。(1)業務運営の効率化に関する措置についてです。?効率的な業務実施体制の確立につきましては、「業務・システム最適化計画」に基づき、平成22年の10月から新システムを稼働させまして、業務効率の向上や経費削減につながったことは大きな成果であり、評価できます。?中期計画の定期的な進行管理につきましては、業務推進委員会や加入促進対策委員会を定期的に開催し、業務の進捗状況の把握、検証を行っているとともに、評価結果、年度計画の進行状況を職員一人ひとりに周知させることの努力が見られるなど、中期計画の進行管理は着実な成果を上げていると認められます。また、東日本大震災への臨時対応も迅速に行われております。4頁の?内部統制の強化については、理事会、幹部会及びコンプライアンス推進委員会において、「独立行政法人勤労者退職金共済機構コンプライアンス基本方針」を策定し、ホームページに掲載したほか、監事が理事長によるマネジメントの実施状況の把握を行うなど、努力、改善の跡が見られることは評価できます。?業務運営の効率化に伴う経費節減です。超過勤務管理などの努力がされており、人件費は13.7%削減と、目標を上回る経費の削減がなされている点や、運営費交付金の廃止に着実に対応している点は評価できます。また、随意契約の見直しについては、システム最適化の実施により、競争入札への移行を実現し、ほぼ随意契約のない状態になっている点は評価できます。
 (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。?の確実な退職金支給のための取組につきましては、まず、中退共事業における退職金未請求に対する取組として、「加入通知書」や「加入状況のおしらせ」などの発行により、被共済者の意識を高める取組を行った結果として、未請求率を着実に改善している点については評価できます。また、これまでに累積した退職金未請求者に対する取組についても、退職後5年以上を経過した未請求者のいる対象事業所に対しまして、未請求者の住所等の情報提供を依頼し、入手した情報に基づき、被共済者に対して請求手続きを要請するなど、地道な努力が認められます。
 建退共事業における共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組については、加入通知書の発行による長期未更新の発生防止や既加入者に対する長期未更新調査による長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、着実に成果に結び付いていると認められます。共済証紙の適正な貼付に向けた取組につきましては、加入履行証明書発行の際に、共済手帳及び共済証紙の受払簿を厳確に審査すること等を通じまして、就労日数に応じた共済証紙の適正な貼付をするよう、共済契約者に対して指導を徹底すること等により、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額が大幅に減少した点は評価できます。
 清退共事業及び林退共事業についてです。建退共事業と同様の取組を進める等、対策の強化を行っている点は評価できます。今後は、それぞれの業界の特性や機構の実施体制等を勘案しつつ、成果を把握し、その結果を今後の対策へと反映させるなど、引き続き目標の達成に向けての努力を期待いたします。
 5頁の?サービスの向上についてです。システム最適化により、清退共事業及び林退共事業においても、退職金給付に係る処理日数を30日以内にできたことや、東日本大震災に関して各種手続きを簡素化するなど、加入者の利便性向上のため迅速に対応したことは評価できます。?加入促進対策の効果的実施については、加入者の目標達成率が、中退共事業108.8%、清退共事業104.0%、林退共事業104.8%となり、この結果、機構全体としても加入目標を上回ったことは評価できます。一方、建退共事業につきましては、東日本大震災等の影響もありまして、98.0%と加入実績が目標に達しなかったところです。今後は、各事業の特性に応じて効果的な加入促進対策を行うことを期待いたします。
 6頁の(3)財務内容の改善等についてです。?累積欠損金の処理です。中退共事業におきましては平成21年度末時点の1,957億円が、22年度末時点では2,058億円に、林退共事業におきましては平成21年度末が14.01億円が22年度末時点では14.09億円に増加しております。資産運用の環境悪化によるものとはいえ、確実な退職金支給に大きな影響を及ぼす問題であることから、引き続き、累積欠損金解消計画を踏まえ、資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。?健全な資産運用等についてです。委託運用において、為替の円高進行と東日本大震災による景気の先行きを巡る不確実性の高まり等により、市場が低迷し、林退共事業を除いて、各共済事業とも金銭信託評価損を計上し、清退共事業を除いて、各共済事業とも当期総損失を計上したものの、運用のパフォーマンスにつきましては、ベンチマークと同等のパフォーマンスが達成されたと認められます。(4)その他業務運営に関する措置については、中期計画期間半ばにおいて、松戸宿舎について、23年3月末に現物による国庫納付を行い、越谷宿舎についても現物による国庫納付に向け、厚生労働大臣あて認可申請を行っており、着実に取組を行っている点は評価できます。
 7頁の(5)評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点への対応等について、?財務状況についてです。結果として、林退共事業を除いて、各共済事業とも、金銭信託評価損を計上し、清退共事業を除きまして、各共済事業とも当期総損失を計上しております。その他は2の(3)で評価したとおりです。?保有資産の管理・運用等についてです。2の(4)で評価したとおりです。?組織体制・人件費管理についてです。平成22年度における給与水準の検証について、対国家公務員指数は、年齢・地域勘案で98.9、年齢・地域・学歴勘案で100.3、類似の業務を行っている民間業種である保険・金融業との比較では88.5となっており、適切な水準と評価できます。また、一般管理費及び退職金共済事業経費については、平成22年度予算に対し、7.6%削減し、人件費については、削減目標平成17年度費5%削減を大きく上回る平成17年度比13.7%削減を達成しており、評価できます。
 8頁の?事業費の冗費の点検についてです。執行計画額に対して支出実績額が9.5%の削減となっているなど、冗費の削減について適切に取り組んでいるものと評価できます。また、「平成22年度の庁費及び旅費の類に関する支出状況」から、事務経費等の駆け込み執行はないものと認められます。?契約についてです。「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に実施するとともに、システム最適化の実施により、競争入札への移行を実現し、真にやむを得ないもの以外は随意契約のない点は評価できます。そのほかは、2の(1)?で評価しているとおりです。?内部統制についてです。これは2の(1)?で評価したほか、退職金共済業務を取り扱う法人特有のリスクといたしまして、?なりすまし等による退職金の詐取や、?市場の変動に伴う運用リスク等が考えられます。これについては、それぞれ9頁にありますとおり、a 対応マニュアルを作成の上チェック項目を複数設けて、複数の者によるチェックを行う、b 基本ポートフォリオ等の構築等について外部の専門家の助言を受けるほか、資産運用の実績について、外部の専門家に評価を受ける等の対応が、取られており評価できます。?事務事業の見直し等についてです。「独立行政法人の事務・事業の見直し基本方針」や行政刷新会議事業仕分けでの判定結果を受けまして、各種の取組を確実に行っていると認められます。また、東日本大震災による被災加入者に対しまして、特例措置を実施し、退職金請求をはじめとして各種手続きや添付書類の簡素化、掛金納付の猶予等を実施いたしまして、迅速に対応した点は評価できます。?法人の監事との連携状況についてです。当委員会では、評価の実施に当たり、監事の監査報告書の提出並びに監事監査の実施状況及び業務運営上の検討点についての説明を受け、評価を行っております。?国民からの意見募集についてです。当委員会では、評価の実施に当たり、平成23年7月7日から同年8月5日までの間、法人の業務報告書等に対する国民からの意見募集を行いましたが、意見は寄せられませんでした。以上が勤労者退職金共済機構の平成22年度の評価概要です。
 ただいま報告いたしました評価結果(案)についてご意見等がありましたらお願いいたします。

○川端委員
 評価用紙というのはどれでしょうか。

○今村部会長
 すみません。川端委員のところに、個別の評価記入書が入っていないのですが、ほかの委員の皆様、ご自分の記入されたものがありますでしょうか。あとで付けていただいて、対応いたします。

○加藤委員
 記載の仕方だけのテーマですが、6頁の累積欠損金の内容についてです。5行目に平成22年度末時点で2,058億円とあり、これは確かに中退共事業における平成22年度末時点での欠損金の額です。ちなみに、林退共事業においての平成22年度末時点の欠損金は、14.09億円という形で紹介されていますが、できれば機構全体の額を記載していただいたほうが、より明確に国民に伝わると思います。たしか、機構全体の累積欠損金は約1,490億円ほどですが、その中で中退共事業の欠損の額は2,058億円ということで、プラスのところもあるのです。プラスのところは建設業退職金共済事業だと理解しておりますが、プラス約571億円でよろしいですか。

○勤労者退職金共済機構理事長
 いや、建退共はちょっと減っています。

○加藤委員
 数字は後ほど精査していただくことにして、ここのプラスのところを加えて、全体でのイメージは約1,500億円ほどの欠損という形で記載したほうが、より明確に伝わるという趣旨でお願いしたいと思います。

○今村部会長
 決算書の財務諸表の中では、全体では「△1,489億円」ですね。

○加藤委員
 まず、ここの数値を示して、中にはプラスになっている勘定もあって、それは建退共であることを示したほうが、よりストレートに伝わるかなと。と言いますのは、6頁の記載を拝見して、欠損の額は約2,000億円あるのだという印象を持ってしまったので、そうなってはいけないかなということです。

○今村部会長
 確かにこの機構は特殊で、4つの勘定を持っていまして、それが一応独立性を持ってやっているのですが、欠損金があるところは問題ですから、それを何とか解消しようということが目標に入っているわけで、そのようなことに対して答えているということです。ですから、余剰がある分には別にいいだろうという形で書いていたのですが、おっしゃるとおり、欠損金だけを合計すると、機構全体としての評価はよりネガティブな評価になってしまうことになりますので、確かにそれはご指摘のとおりだと思います。これまでそのような発想で書いてこなかったのですが、確かにご指摘のとおりのところがあります。機構全体の信用性、安全性ということになったら、確かにそうです。

○加藤委員
 2,000億円の累積損失と1,500億円の累積損失とでは、イメージがだいぶ違ってくると思うのです。例えば4行目の「累積欠損金の処理については」という所で、機構全体では約1,500億円、次に中退共はいくらで、林退共はいくら、建退共はいくら、機構全体ではネットでいくら、その中の中退共と林退共について、こういう記載がなされると。

○今村部会長
 仮に書くとしたら、平成22年度末時点では2,058億円、括弧をして機構全体としては、のような形になりますか。他の2事業の余剰があるので、機構全体としては1,500億円ということを括弧書きにするぐらいの書き方が必要かもしれないということですか。

○加藤委員
 そうです。例えば累積欠損金の処理については、累積欠損金の所で括弧書きで、機構全体ではいくらというのを入れて括弧を閉じてしまえば、他にも勘定があると。

○今村部会長
 累積欠損金というのは、どこの累積欠損金のことですか。

○加藤委員
 4行目の最初の「累積欠損金の処理については」という所です。

○今村部会長
 わかりました。

○加藤委員
 まずはそれで全体のイメージがつかめますので、誤解はないかなと。

○今村部会長
 これは、機構のほうではこのような数字の出し方はできるでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい、結構ではないかと思います。いま出しておりますのは、いわゆる機構4勘定すべて区分経理がなされておりますので、基本的に資金融通が禁止されていることから、全体額を記載していないわけですが、先ほどご提案があったように、累積欠損金のあとで、機構全体として約1,500億円といった注記という形で金額を表記することについては、問題ないものと思っております。

○今村部会長
 細かいところはお任せして、そのような方向で括弧書きで入れていただくということでいかがでしょうか。

○本寺委員
 累積欠損金がある所に包括しているのですが、剰余金のある所を含めて全体でといった表現にしたほうがいいかなという気がします。2つの会計は剰余金があって、2つに欠損金が出ていて、トータルすると1,500億円ということなので、そのほうが趣旨が伝わるかなという気がいたします。

○今村部会長
 建退共、清退共の剰余金を除くと、機構全体としては1,500億円の累積欠損金という注記書きをするということで、できるだけコンパクトに分かりやすくという方向でやらせていただくことにいたします。そのほか何かあればお願いいたします。特になければ、いまの点に関しては、先ほど言ったように括弧書きで建退共、清退共の余剰金を差し引くと、機構全体では1,500億円、正確な数字は後で出しますが、そのようなことを注記するということでよろしいですか。そのように修正した上で、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字・脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。最後に、額賀理事長からコメントをいただきます。

○勤労者退職金共済機構理事長
 理事長の額賀でございます。平成22年度の業務実績についてご審議賜り、機構の中で見られた改善点について高く評価をいただきましたこと、心から御礼申し上げたいと思います。1月に理事長に就任いたしまして、それまで民間で働いていた目で機構の中を見てきたわけですが、機構の職員は与えられた目標に向かって大変真摯に取り組んでおります。今回高い評価を賜りましたものについては、そうした職員の努力が評価された面がありまして、私としても大変嬉しく、ありがたく思っているところです。もっともこれで十分というわけではありません。先ほどご指摘いただいた点を踏まえて、私どもはこれからも努力を続けたいと思いますので、どうかよろしくご指導をお願いしたいと思います。簡単ですが、私からのお礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。現在までの意見、報告等を踏まえて、個別評価の修正、確定を行いたいと思います。これまでと同様、5分ほどで評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。

○今村部会長
 これをもちまして、勤労者退職金共済機構の平成22年度業務実績評価に関する意見のとりまとめとさせていただきます。評価書には評価結果の別添として評価シートが添付されておりますが、本日評価の確定を行ったことにより、「S」から「D」の評定が変更された場合、またコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シートを添付いたします。修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。また、場合によっては、各委員に個別に意見を承ることもあると思いますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。次の審議のために、雇用・能力開発機構の長尾勤労者財産形成部長が審議に加わりますので、少々お待ちください。
 続きまして、中期目標・中期計画の変更について審議いたします。中期目標・中期計画の変更の流れについては、高齢・障害者雇用支援機構の審議の際に事務局より説明したとおりです。変更(案)について、所管課から説明をお願いいたします。

○労働基準局勤労者生活課長
 勤労者生活課長の木原です。中期目標・中期計画の変更について、説明いたします。独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴い、これまで能開機構が実施していた勤労者財産形成促進事業と雇用促進融資の回収の業務の2つの事業について、10月1日から独立行政法人勤労者退職金共済機構が承継、実施することとなります。そこで、厚生労働大臣が定める中期目標においても、資料3-3-?の2「変更の内容」の(1)(2)にあるように、移管される財産形成促進事業と雇用促進融資事業についての項目を追加することが必要となります。なお、財産形成促進事業は、いわゆる財形貯蓄を行っている勤労者が、持家を取得する場合などに要する費用についての融資(財形持家融資)の業務が中心となります。また、雇用促進融資は、事業主が福利厚生施設を設置整備する場合に要する費用を融資していたものですが、現在は新規の融資は行っておらず、過去の融資の回収業務だけです。
 2の(1)(2)のような追加と合わせて、中期目標では(3)の移管される財形事業と、勤退機構が現在実施している退職金共済事業との連携についても記載しております。移管による効果を発揮させようという趣旨です。この中期目標の変更を受けて、独立行政法人が定める中期計画についても変更を行う必要がありますが、現在の中期目標の変更(案)を前提に、勤退機構が中期計画の変更(案)を作成しております。3-3-?の裏面にある(1)(2)の移管される事業についての項目の追加と、(3)の退職金共済事業と財形事業との連携といったことに加えて、(4)以降の予算、収支計画、資金計画、借入金の関係などといった内容についても、移管される事業に関して追加修正が行われております。資料としては、いま概要について説明した3-3-?の他、3-3-?として新旧対照表を出しております。左側の2つの枠が現在の勤退機構の中期目標と中期計画で、右側の2つの枠が変更(案)の中期目標と中期計画という作りです。資料3-3-?は、中期目標・中期計画それぞれの溶込み版で、改正部分に下線を引いております。
 3-3-?の新旧の資料を用いて、中期目標の変更(案)と中期計画の変更(案)について一括して説明いたします。まず、下の業務運営の効率化に関する事項ですが、2頁の右から2枠目は「中期目標の変更(案)」で、下線を引いてあります。ここでは勤労者退職金共済機構の業務について効率化を図るべきということを書いております。ここは内容というよりも、文章の修正という意味合いの所です。これに関連して、いちばん右の「中期計画の変更(案)」では、3頁の?退職金共済事業及び財産形成促進事業の広報業務の連携などにより、効率化を図るとしております。3頁の下の「内部統制の強化」については、移管された業務について言葉として追加するというものです。4頁の中ほどから始まる国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項については、5頁中ほどの財産形成促進事業について大幅に追加しております。この部分もそうですが、移管される事業についての追加に関しては、現在の雇用・能力開発機構の中期目標・中期計画に記載されている内容を、勤労者退職金共済機構の中期目標・中期計画の中に移動させることを基本として作っております。
 ただし、一部見直しも加えておりまして、例えば、6頁の財産形成促進事業の周知に関する部分です。現在の雇用・能力開発機構の中期目標では、能開機構の都道府県にあるセンターで事業主を集めて説明会を開催する機会があるので、その際に財形についても説明をし、アンケートを行い、アンケートによって内容を理解したという評価が80%得られることを目標としておりますが、今後は都道府県において説明会を行えなくなります。そこで、(2)の?のまた書きにあるように、財産形成促進事業に関するホームページのアクセス件数について、毎年度14万件以上を目指すことという周知に関する新たな目標を設定しております。
 なお、この14万件というのは、過去3年間のホームページのアクセス件数の平均を踏まえたものです。財形については持家に関する融資の他に、教育に関する融資もあるのですが、教育融資は9月末で廃止されます。これまでの財形関係のホームページのアクセス件数のうち、7~8%は教育融資が占めておりましたので、その教育融資が廃止されれば、その分の減少が見込まれるなどの減少要因はあるにせよ、従来のアクセス件数を維持しようという目標となっております。
 7頁の?は、融資の利用促進を図るため、中小企業に対する情報提供の充実を図ることを目標として掲げておりますが、これは今回新たに設けた目標です。これを受けて、右側の中期計画の案では、退職金共済事業における共済契約者への情報提供や各種会議等の機会を捉え、財産形成促進事業の周知を合わせて行うことにより、中小企業に対する情報提供の充実を図ることとしております。移管による両事業の連携効果を発揮しようというものです。
 7頁の下からは、財務内容の改善に関する事項です。具体的には8頁、9頁に大きく下線を引いておりますが、?の財産形成促進事業、?の雇用促進融資事業については、中期目標・中期計画ともに現在の能開機構の目標・計画から移してきているものです。なお、8頁の財産形成促進事業のところで、「財形融資業務については、中期目標期間の最終年度までに累積欠損の解消を目指す」とあります。財形では、過去において融資における調達金利と貸出金利との関係で逆ざやが生じており、累積欠損金があります。この累積欠損金については、中期目標期間の最終年度である平成24年度中の解消が見込まれております。
 その他として、10頁の(2)に退職金共済事業と財産形成促進事業の連携についてという項目を特に起こしております。中期目標では退職金共済事業と財産形成促進事業について、事務の効率化を図りつつ両事業の利用を促進するため、普及促進における両事業の連携を図ることを目標として掲げており、これを受けて中期計画では広報媒体を相互に活用する他、両事業の関係機関等に対し、連携して制度の周知等を実施するなど、効率的な広報活動を行うこととしております。以下、中期計画では予算や借入金の関係で追加や修正が行われておりまして、別表についても同様に、移管された追加事業に関する追加修正が行われております。これは平成23年度、24年度の内容を盛り込んだものです。なお、今回の中期目標・中期計画の変更については、すべて雇用・能力開発機構の廃止に伴う事業の承継を反映したもので、現在、勤労者退職金共済機構が行っている退職金共済制度に関わる変更はありません。中期目標・中期計画の変更についての説明は以上です。

○今村部会長
 必要があれば、法人からも説明をいただければと思いますが、よろしいですか。特になければ、ご意見をいただきたいと思います。

○本寺委員
 3つほど質問があります。事業の移管に合わせて、何人ぐらい人は来るのかというのが1点目です。それから、これは今までやっている業務内容とは違う性格だと思うのですが、前の機構のときに宮本委員から質問があったように、何らかの統合シナジーというか、いままで機構がやっていた10ある処理プロセスとうまく合致させることで、こういう工夫、改善ができるというのがあれば、教えていただきたいというのが2点目です。3点目は、財形の事業で累積欠損があるということですが、財形貯蓄というのは給料天引きでお金を貯めていくもので、それでなぜ欠損が出るのか不思議に思ったのです。その欠損とは何なのか、教えていただきたいと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私からは最初の2点についてお答えいたします。まず、何人来るかということですが、財形業務及び雇用促進融資業務を行っている22人が私どものほうに来るということで、採用を予定しております。また、業務内容の変化あるいは統合効果については、先ほどの中期目標あるいは中期計画等にあったように、広報、周知業務の連携を図っていくことがいちばんだろうと思っております。財形業務が私ども機構に移るということについては、いわゆる中小企業等に対する財形業務の普及促進を強化することがねらいの1つであったと承知しておりますので、まず、私どもの会員企業等に毎年送付しているような広報資料等の中で、財形業務のPR等についても触れていくことを検討していくことや、私どもが持っている相談コーナーあるいは各業務支部等々に、財形業務の広報リーフレット等を置かせていただく形で、私どもの共済契約者等に対して、財形業務を合わせていろいろな場でPRしていくことを考えております。また、逆に財形加入者に対しても、ある面では中退共制度についてのPRもお願いできればと思っております。いずれにしても、10月以降は同一の組織になりますので、お互いに相談、工夫しながらこういった統合効果をできる限り発揮していきたいと考えているところです。

○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長
 累積欠損の発生の理由と、その解消の取組について簡単に説明いたします。昭和62年度から平成10年度までの間、勤労者に貸し付ける貸付金利は1年ごとの変動金利でした。一方、資金調達は10年の固定債券であったことから、平成3年のバブル崩壊以降の急激な金利低下局面で逆ざやが発生したこと、また、住宅貸付金利の官民逆転が続いたことによって、繰上げ償還が増加したこと、このようなことから利息収入の減少や逆ざやが年々拡大し、平成15年には417億円となりました。このため平成11年度に制度改正として、債券の調達は5年ということで、貸付も5年固定の貸付金利とし、欠損解消のためにスプレッドを少しかけることにより、現在累積欠損が年々減少しつつありまして、平成24年度には解消がほぼ確実という状況となっております。

○今村部会長
 本寺委員が言われたシナジー効果に関して、連携を強化すると書いてあったので、もしかしたらとちょっと期待したのですが、これは健康福祉機構にしても、高障機構と能開機構にしても、発想がトップダウン、上から目線かと思います。もしかしたら、これはシナジーとしては中小企業の勤労者自身が、財産形成と退職金の積立といったライフデザインというか、そのような意味での一種の教育と言いますか、意識を持ってもらうためのいいチャンスではないかなと思って、そういう書き方があるのかなと期待したのですが、連携を強化してパンフレットをうまく作るなどという話でした。本来、受益者は加入者であり、これは単なる希望ですが、そのような発想でシナジー効果を活かしていただければと思いますし、そういった議論を是非お願いしたいと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 今後業務を進めていく中で、そこはいろいろ頭の中に入れてやっていきたいと思っております。

○宮本部会長代理
 いまのことに関わって、たしか財産形成はこの間、この間というのは10年ぐらいだったでしょうか、伸びていなかったですね。たぶん伸びていなかったと思うのです。なぜ伸びないかに関してはいろいろと分析もあったのですが、その分析は必ずしもはっきりしているかどうかというところがあるので、全体として非常に低利になっている中で、財産形成のこの制度が魅力のあるものであるかどうかという問題があると思うのです。そういったことを含めて今回引き継がれるということで、退職金共済事業の対象になる方にとって、この財産形成が魅力があるものかどうかについてはやや疑問があるのですが、その辺りはどのようにお考えですか。

○労働基準局勤労者生活課長
 財形貯蓄については、勤労者の自助努力を事業主と国とが支援し、財産形成を図っていこうということですが、給料から天引きでお金が貯まっていくので、言ってみれば知らぬ間にお金が貯まっていくわけで、勤労者の資産形成という観点では有効な仕組みであると考えております。今回の統合によって、新たに中小企業に対する財形制度についての周知の間口が広がるわけですが、これまで財形については大企業が中心ではなかったか、中小企業の利用が少ないのではないかと言われておりました。そのような意味においても、特に中小企業に対して、退職金共済制度に加入しているという福利厚生の観点からも一定の取組をしている中小企業を中心に財形のPRができ、雇用されている勤労者にとっても、新たに財形貯蓄を開始できるというメリットも出てくると思っております。

○宮本部会長代理
 そのような前向きなと言いますか、新しい効果が期待されるのであれば、機構改革というのは重要なことですから、是非、目標と計画の中に積極的に入れていただくのがいいと思います。

○勤労者退職金共済機構理事長
 財産形成と言いますか、貯蓄の増強運動の一環として歴史的に見ると、財形貯蓄というものが始められたという経緯があるわけです。それはマクロ的に見て、戦後長い間資金不足の時代が続いて、ご存じのことと思いますが、資金不足に対応するために、国家的な目標で貯蓄をしましょうという運動が始められ、その一環として財形貯蓄というものが進められたという面があるのです。先生方のお話等を踏まえて改めて考えてみると、マクロ的な貯蓄の不足に備えるという視点よりは、これから不安定になりがちな勤労者の生活の安定に資するという、まさに勤労者の財産形成をどのように安定的に進めるかという視点で考えてみると、退職金制度も財形貯蓄制度も非常に有意義な、共通の基盤を持つものだということが私どもとしても理解できるところなのです。先ほどの部会長や部会長代理のお話も踏まえて、とりわけ、私どもが対象としている中小企業で働く勤労者の方々の財産形成に資するような中身の充実を図れないかということを、私ども機構としても1つの課題として考えながら、今後この財形貯蓄を推進していきたいと思います。

○今村部会長
 是非、そのようにお願いしたいと思います。それでは、本部会としては本件については異存はないということを厚生労働大臣にお伝えするということで、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 それでは所管課、法人においては、今後の手続を進めていただきたいと思います。また、本日審議を行った中期目標・中期計画の変更(案)に今後修正が入った場合には、事務局から私に連絡を入れてもらい、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めることとしておりますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。次に、業務方法書の変更(案)について法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 資料3-4に???とありますが、独立行政法人勤労者退職金共済機構業務方法書の一部改正について、説明いたします。?の概要と?の新旧対照表を合わせて説明したいと思いますが、今回の改正の契機としては、先ほどの中期目標・中期計画の変更と同様、勤労者財産形成促進業務等について、独立行政法人勤労者退職金共済機構が承継することとなったための当機構の業務方法書についての改正です。改正の内容として1から3まで書いてありますが、1として、勤労者財産形成促進業務の移管に伴う規定の整備を行うということで、勤退機構の業務に財産形成促進業務が追加されることに伴い、勤退機構の業務運営の基本方針の中の業務の中身、あるいは業務の目的等について所要の改正を行うということです。
 第1として、財形持家転貸融資の転貸貸付の実施に伴い、貸付の要件と必要な規定の整備を行っております。こちらは第7条から第9条関係ですが、基本的には旧能開機構の業務方法書を参考にして書いたものです。第2として、勤退機構が承継する暫定業務の実施に伴う規定の整備です。1つ目は附則の第9条ですが、廃止法によって財形教育融資が廃止されるわけですが、廃止前に旧能開機構に申込みがなされていたもの等に係る暫定的な業務の実施に伴い、必要な規定の整備を行うということです。2つ目として、能開機構から財形業務と合わせて雇用促進融資に係る債権の管理及び回収業務が移管されるので、その実施に伴って必要な規定の整備を行うというのが附則第10条関係です。第3として、その他、所要の規定の整備を行っております。改正の時期については、業務が移管される平成23年10月1日の施行を予定しているところです。

○今村部会長
 概略の説明をしていただきましたが、ご質問等があればお願いいたします。ないようですので、本部会としては本件に異存はないということを厚生労働大臣にお伝えするということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 それでは、所管課においては厚生労働大臣の認可に向け、手続を進めてください。また、今後この案からさらなる変更が必要となった場合には、事務局から私に連絡を入れてもらい、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。

○政策評価官室長補佐
 雇用・能力開発機構の長尾部長が退席されますので、少々お待ちください。

○今村部会長
 次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。まず、事務局から試算結果について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 資料3-5をご覧ください。勤労者退職金共済機構の理事長から独立行政法人評価委員会委員長宛に、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がありました。独立行政法人の役員の退職金については、青い資料集の137頁にも掲載されておりますが、平成15年12月19日の閣議決定により、「在職期間に応じて算出した額に、0.0から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額」となっております。このため、法人からの依頼を受け、事務局では当評価委員会で定めている「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、業績勘案率を試算いたしましたので、まずその結果を説明してから、委員の皆様に試算結果についてご審議をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、今回ご審議いただいたものを評価委員会の決定としまして、総務省の政・独委に通知いたします。同委員会で意見があれば、改めてこの部会で再度ご審議いただくことになります。意見がない場合については、部会長にご報告し、最終決定となりますので、ご承知おきいただければと思います。
 それでは、資料3-5の具体的な説明に入ります。今回退職した役員は1名で、在職期間は、平成15年10月1日から平成22年12月31日までの約7年3か月です。業績勘案率の算定ですが、先ほど紹介した当評価委員会で定めた方法に従い、計算を進めることになります。まず、役員が在職していた期間のそれぞれの法人による年度ごとの評価を数値化することから入るのですが、対象の理事長については第1期中期目標期間と、平成20年度から平成22年度までのそれぞれの年度の評価結果を、皆様に付けていただいている「S」から「D」の評定で、「S」を2.0、「A」が1.5、「B」を1.0、「C」を0.5、「D」を0.0として、その平均を取ります。平均が1.5から2.0の場合は1.5と置き換え、0.51から1.49は1.0に置き換え、さらに0.0から0.5は0.5に置き換えます。
 今回の場合は2の(1)のように、それぞれの年度の平均値は平成22年度が1.38、平成21年度は1.28、平成20年度は1.19、第1期中期目標期間は1.31ということで平均値が出されております。それぞれ具体的に対応する率が入っていますが、それを置き換えると、すべて1.0という試算になります。2の(3)の計算式のとおり、これに在任期間中に対応する率を乗じますと、1.0という結果となります。さらに、今回の対象者については、目的積立金は特に積んでおらず、また職責事項についても、機構のほうからは申請は特になしということで、最終的な事務局案としては「1.0」という数字を出しております。

○今村部会長
 続きまして、この退職役員の在任期間中の担当職務等について、法人から簡単に説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 樋爪理事長の担当職務としては理事長ですので、機構全体の業務を掌理し、中期目標あるいは中期計画に基づき、事業運営を図ってきたものです。なお、健康上の理由から、昨年一杯をもって退職されました。

○今村部会長
 ご質問等があればお願いいたします。特になければ、申請のあった業績勘案率については原案のとおり、1.0と決定してよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定した業績勘案率については政・独委に通知し、意見の有無の確認を行います。政・独委から意見がない旨当委員会に通知された後は、この「1.0」を当委員会の最終決定として勤労者退職金共済機構理事長に通知することといたします。次に、不要財産の国庫納付についての審議に入ります。法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 資料3-6の「独立行政法人勤労者退職金共済機構の不要財産の国庫納付について」に基づき、説明いたします。資料を1枚めくると、当法人より厚生労働大臣宛の不要財産の譲渡収入による国庫納付における認可申請書が付いております。本年7月12日付で出したものですが、通則法第46条の2の第2項及び附則第3条の規定により、政府出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入からの国庫納付を行うことについて認可申請をしたものです。右側の別添を基に簡単に説明いたしますと、不要財産の内容は、川越に持っております土地で、従前、宿舎として使用していたものを、宿舎廃止後に売却したものです。不要財産と認められる理由は次に付けておりますが、本年2月1日付の厚生労働省通達のとおりです。
 不要財産の価格は、取得時は平成15年10月の独法承継時で、1億2,600万円余、譲渡時の評価額も同様です。なお、譲渡収入は平成15年以降、土地等の下落がかなり進んだこともあって、譲渡時点において6,970万円となっております。譲渡に要した費用は(1)にあるように、不動産鑑定費用及び売却支援業務に係る媒介手数料を合わせて185万円余ですので、先ほどの譲渡収入から譲渡に要した費用を除した額の6,780万円余について国庫に納付したいということで認可申請したところです。なお、この土地については昭和42年、当時の労働省からの補助金によって支出されたものでして、当時は1,100万円余の補助金により購入したものです。平成21年2月、一般競争入札により譲渡したものです。
 なお、譲渡した時期から国庫納付の時期まで若干時間がかかっておりますが、いわゆる売却代金について、これまでは国庫納付する根拠あるいは手続等の規定がなかったために機構が保有していたわけですが、平成22年に独法通則法が改正され、独法の資産のうち、不要財産であって政府からの出資に係るもの、出資又は支出に係るものについては主務大臣の認可を受けて国庫に納付するという規定が設けられ、併せて同法の附則により、その改正法施行前に行った財産処分であっても、不要財産の譲渡に相当するものとして主務大臣が定める場合にはこの規定を適用するといった改正がなされたところです。
 次頁に入りまして、平成23年2月1日付の厚生労働大臣から理事長宛の通知「独立行政法人勤労者退職金共済機構が独立行政法人通則法の一部を改正する法律施行前に行った財産の譲渡について」により、改正法附則第3条に基づき、政府出資等に係る不要財産の譲渡に相当するため、平成21年3月19日に譲渡した埼玉県川越市の土地は不要財産であるとの指定を本年2月1日に受けましたので、これに基づいて今回国庫納付についての認可申請を行ったものです。

○今村部会長
 ただいま説明のあった譲渡方針、処分方法等についてご質問があればお願いいたします。

○加藤委員
 譲渡収入額は6,970万円とありますが、不動産鑑定評価額はこれに近かったという理解でよろしいですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 一般競争入札で売却したわけですが、その際の不動産鑑定評価額は6,900万円だったと思います。それを上回る入札価格がありましたので、売却したものです。

○加藤委員
 結構です。

○今村部会長
 その他何かあればお願いいたします。ないようですので、川越職員宿舎の譲渡代金を国庫納付することについて了承したいと思います。今後の手続の過程で内容に変更があった場合の取扱いについては、私が事務局と調整して決めさせていただくという形でご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。勤退機構の審議案件は以上です。本日の議事は以上となります。なお、本日ご審議いただいた総合評価と財務諸表についての意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定第3条の規定に基づき、当部会の決定は評価委員会の決定となります。また、政・独委への通知、公表の手続が行われることになります。事務局から、今後の予定等連絡事項について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定についてご連絡いたします。まず、本日ご審議いただいた法人の総合評価書については、事務手続を進めさせていただきまして、後日、委員の皆様に確定版を郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、来週の8月31日午後2時より、専用第21会議室(17階)において総会が開催されますので、出席されるメンバーの皆様におかれましては、ご出席をよろしくお願いいたします。以上です。

○今村部会長
 本日は長時間にわたりご審議いただきまして、ありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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