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2011年8月1日 独立行政法人評価委員会年金部会(第31回)議事録

○日時

平成23年8月1日(月)9:00~12:15


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

   山口部会長、川北部会長代理、竹原委員、安浪委員、安達委員、光多委員


○議事

(以下、議事録)
 
○政策評価官
 定刻になりましたので、ただいまから「第31回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会」を開催したいと思います。委員の皆様方におかれましてはお忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は大野委員が欠席、ほかの委員は出席ということでございます。
 私は7月29日付で政策評価官を拝命いたしました田原でございます、今後ともよろしくお願いいたします。
 本日は新しい任期の下での第1回会合ということになりますので、のちほど委員の皆様方に部会長をご選出いただくことになります。それまでの間、私が議事進行いたしますのでよろしくお願いいたします。
 最初に、委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。「委員名簿」が資料1-1にありますのでご参照いただければと思います。まず川北委員、竹原委員、安浪委員、山口委員、安達臨時委員、大野臨時委員は今日ご欠席、光多臨時委員です。皆様には先に辞令を郵送させていただきましたけれども、厚生労働省独立行政法人評価委員会委員又は臨時委員として、本年6月30日付で厚生労働省の任命が発令されております。よろしくお願いいたします。また、7月12日に開かれました委員会総会におきまして、皆様方の年金部会への分属が正式に決定しております。ご報告させていただきます。
議事に入りたいと思います。議事の(1)として、「部会長・部会長代理の選出」がございます。最初に部会長の選出をお願いしたいと思います。選出手続をご説明いたします。資料集の48頁、厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条第3項において「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」こととされています。「委員の皆様方の互選により選任する」となっていますが、いかがでしょうか。

○竹原委員
 互選ということですので、私から推薦したいのですが、当年金部会におきますこれまでのご経験、ご見識を踏まえまして、引き続き山口委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政策評価官
 ただいま、竹原委員から「山口委員を部会長に」というご推薦がございました。いかがでしょうか。
(異議なし)

○政策評価官
 ありがとうございます。それでは、山口委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行につきましては山口委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口部会長
 それでは、部会長を務めさせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に部会長代理を指名させていただきたいと思います。部会長代理は先ほどご紹介がありました、評価委員会令第5条の第5項において、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」というようになっています。したがって、私から指名をさせていただきたいのですけれども、資産処分及び資産運用に関するご見識の高い川北委員に本部会の部会長代理をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
(異議なし)

○山口部会長
 ありがとうございます。それでは、川北委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 議題に移ります。議題(2)、独立行政法人の実績評価を行っていただくわけですが、新任の委員の方もいらっしゃいますので評価の流れ、評価基準などについて、改めて事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

○政策評価官
 説明させていただきます。まず、当年金部会には3法人が属していますけれども、実際、個別評価及び総合評価を行うのは「年金積立金管理運用独立行政法人」「年金・健康保険福祉施設整理機構」の2法人になっています。農業者年金基金については、全体的な評価というのは農林水産省の評価委員会が行っており、厚生労働省と農林水産省が共管という部分について当部会でご議論いただき、厚生労働省の意見を集約し、農林水産省の評価委員会に文書で提出するという形になっています。
 それでは、個別評価についての評価の進め方について説明させていただきます。資料は資料1-3-?になります。まず、はじめに、各法人の理事長より年度の業務実績の概要について説明をしていただきます。そのあと、評価項目の全体をそれぞれ、大体3つから4つぐらいのパートに分け、法人から業務の実績と自己評価の説明をしていただきます。
 法人からの説明が終わりましたら、各委員には質疑をしていただくとともに、評定記入用紙に評価を記入していただきます。それぞれのパートで作業を繰り返して個別評価を行っていくという順序になっています。
 評価につきましては「評価の判定基準」というものがあり、資料の真ん中よりやや下に「判定基準」というものがございます。基本的にBが「中期計画に概ね合致している」ということであり、Aが「中期計画を上回っている」、Sが「大幅に上回っている」、Cが「やや下回っている」、Dが「下回っており、大幅な改善が必要」という評価になっています。こちらにつきましてはその上、点線で囲んでおります「評価の際の留意点」のところ、?に評定を記入する際には、必ず理由を付していただきたいということ、あと特にSとかDの評価をいただく場合は、大幅に上回った又は下回ったと判断した根拠を具体的に記載していただくようお願いします。
 また、評価につきましては、平成21年12月に前大臣から「独立行政法人評価委員会総会」において、「冗費や人件費といった部分について特に厳正に評価を行っていただきたい」という要請がございました。また、総務省に設置されております「政策評価・独立行政法人評価委員会」というものがありますけれども、こちらでそれぞれの省庁の委員会で評価したものについてのいわゆる二次評価を行っています。そこで毎年、「評価の視点」というものが出ております。重点的にそういったものを見ますよというものが「評価の視点」として出ています。
 こういったものを踏まえて評価をしていただく必要がございます。当年金部会におきましては、こうした事項に対する法人の実績について、「業務実績評価別添資料」に取りまとめています。また、この資料の記載について、チェックするポイントを資料1-3-?、「チェックポイント」としてお示ししていますのでご活用ください。
 法人の個別の評価が終わりましたら、各委員の評価を踏まえ、評価書(案)を起草委員に作成していただきます。起草委員につきましては、資料1-3-?に「起草委員(案)一覧」というものを提示しておりますのでよろしくお願いいたします。
 評価書(案)の作成につきましては、各法人の所管課室と起草委員との間で調整していただき、案文の作成を行っていただきます。起草委員において作成していただきました評価書(案)につきましては、8月19日(金)に総合評価の部会がありますので、そこで各委員にご審議いただくことになります。
 個別評価を欠席された場合の取扱いについてですけれども、起草担当の法人の評価を欠席された場合には当部会個別評価終了後、レクを行い評価をしていただきます。また、起草担当以外の法人の評価を欠席された場合には、原則評価は必要ございません。ただ、事前に配付しました資料等をもとに評価をしていただく場合には、評価結果を反映いたしますのでよろしくお願いいたします。
 続いて、資料1-4と1-5になります。こちらは各委員の評価の参考にということで、事務局で作っております資料でございます。評価1-4につきましては個別評価項目を全部並べているものでして、参考として右側に「昨年度の評価結果」というものを載せています。資料1-5につきましては、当部会以外の法人についても過去3年間、SからDの分布についてを集めたものをグラフにしたものです。評価結果と自己評価とを並べていますので、当然のことと言えば当然なのですが、自己評価に対して評価結果が若干落ちている状況になっています。ご参考にしていただければと考えています。事務局からは以上です。

○山口部会長
 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。それでは、いま、事務局より説明のあった手順で各法人の実績評価を行っていただくようにお願いいたします。
 次に、議題(3)に入りたいと思います。「農業者年金基金の平成22年度の業務実績」に係る意見を各委員の皆様からお伺いするに先立ち、所管課及び法人より説明をお願いいたします。

○年金局企業年金国民年金基金課長補佐
 年金局企業年金国民年金基金課長補佐です、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、評価をお願いいたしますが、まず私から説明させていただきます。農業者年金基金の資料につきましては、お手元の資料番号2-1から2-5をご用意しておりますので、ご確認をお願いしたいと思います。
 独立行政法人農業者年金基金は農林水産省が主管の法人となっています。業務の一部、旧制度の給付金に関する部分に関しては厚生労働省との共管という形になっているところでございます。したがって、この業務実績の評価につきましては農林水産省の評価委員会で行っていただくということになりますが、その際、農林水産省の評価委員会が厚生労働省の評価委員会の意見を聴取する仕組みになっています。
 以下、資料についてご説明申し上げます。まず、資料2-1をご覧いただきたいと思います。農林水産省の独立行政法人評価委員会の委員長から当省の委員長宛て、意見聴取について公文の依頼をいただいているものです。本日はこれに基づき、審議をお願いすることになっています。
 資料2-2はのちほど説明させていただくことにして、資料2-3をご覧いただきたいと思います。「独立行政法人農業者年金基金に係る所管等について」という資料、1.に「所管」とございます。一般的な業務運営に関する事項や新制度に係る事項につきましては、先ほど申し上げたように農林水産省の所管となっています。
 厚生労働省と農林水産省の共管になっておりますのは、この1.の「所管」の?、「旧制度の給付に係る業務に関する事項」に限定された形となっているところです。したがって、厚生労働省の評価委員会の役割ですが、2.にあります「業務方法書の認可」、あるいは「中期目標の制定等」については共管ということですので、所管部分についてそれぞれ厚生労働省と農林水産省が評価委員会に意見を聴取する形となっています。
 一方、「また」にございますが、今回議題となっています毎年度の実績の評価に関する事項については、基本的には農林水産省の評価委員会に意見を聞くということであります。農林水産省の評価委員会が意見を申し述べていただくに当たり、共管の部分に関し、厚生労働省の評価委員会の意見を聴取するという形になっています。
 次に、具体的な評価方法についてご説明申し上げます。同じく資料2-3の7頁をご覧いただきたいと思います。ここに「業務の実績に関する評価の基準」という資料をお付けしています。この評価基準そのものは農林水産省の評価委員会が策定したものです。それに従い、評価をお願いするということになっています。
 以下、具体的な点についてですが、「1 評価の基本的考え方」の(2)、「各事業年度の事業実績は」とあります。これにつきましては、中期計画の各項目について実績評価を行うということでして、具体的には12頁をご覧いただきたいと思います。12頁、「別紙」と書いてある資料ですが、中期計画に属する各項目の評価の考え方が記載されています。大項目、中項目、小項目と分かれています。中項目、左の数字で申し上げますと、1、2、3という番号になっておりますところに書いてあるものですが、この中項目を評価単位として中項目の評価をしていただく。その中項目の評価を踏まえて大項目を評価していただき、最終的には大項目の評価を踏まえて全体の評価をしていただく。いわゆる、3段階の評価になっております。
 具体的な評価方法ですが、それぞれ同じような形になっていますので中項目の評価方法で説明をさせていただきたいと思います。7頁に戻りまして下のほう、2、「各事業年度の実績評価の方法」とあります。その(1)、「中項目の評価方法」をご覧いただきたいと思います。中項目の評価については、小項目の評価を積み上げて評価をお願いするという形になっています。その達成度合がaとされた小項目は2点、bとされたものは1点、これが基準となっています。それから、cとされたものが0点ということでございます。積み上げた数字を基準にし、それを2倍した数を基準として3段階で行うという形になっています。
 8頁の頭にかけてですが、各小項目の評価の合計数値の割合、例えば基準となる数値の90%以上であればA、50%以上90%未満であればB、50%未満であればCという評価基準になっています。
 ちなみにその下、なお書きにありますが、A評価のうち、特に良いというものはS評価ということができることになっています。また、C評価のうち、要因を分析しまして必要に応じD評価もできることになっているところでございます。評価方法については以上です。
 最後に資料2-2をご覧いただきたいと思います。資料の訂正をお願いしたいと思います、申し訳ありません。この資料の左側に「厚生労働省」の欄がありますが、8月1日、今日のところに年金部会の開催、「21年度の業務実績」とありますのは「平成22年度」の誤りでございます。
 それから、「農林水産省」の欄ですが、○の2つ目の「財務諸表検討会」の「議題」のところに「20年度決算」とあります。これは「22年度決算」の誤りでございます。また、7月22日、PT開催、「議題」のところに「21年度業務実績」とありますが、これは「22年度」の誤りでございます。
 あと、もう1点、「日付」の8月28日、農業分科会開催とありますが、これは「8月18日」の誤りでございます。
 ここに農林水産省と厚生労働省の関係が書いてありまして、農林水産省の評価委員会というのは先ほど、ちょっと訂正させていただきましたが8月18日に「農業分科会開催」とあります。この日に独立行政法人評価委員会が開催されると伺っています。それに基づき、当省の評価委員会のほうから意見の提出をお願いしたいということで、本日「年金部会」の開催をお願いしたところです。どうぞよろしくお願いいたします。私からの説明は以上ですが、続きまして法人から説明を申し上げます。

○農業者年金基金理事
 農業者年金基金、理事の光内です。よろしくお願いいたします。
 該当項目につきまして私のほうからご説明申し上げます。お手元の資料2-5、「平成22年度業務実績の自己評価シート」に基づきをご説明いたします。
 まず、5頁をご覧ください。5頁の中段、「業務運営の効率化」という項目があります。それに則って、以下項目があります。まず(1)、「申出書等の見直し」、今年度は見直しをしておりませんので該当なしということでございます。
 次に「電子情報提供システムの利用促進等」、我々の持っている市町村、農協、2,700程度の受託機関があります。我々が提供しています「電子情報提供システム」を導入したのが平成14年ですけれども、まだ一部に利用できていない所があり、その利用促進を図っています。
 受託機関総数の中では確実に利用されてきていますけれども、利用した結果、アクセス件数がどれぐらいあったかを評価の指標にしています。右の段、「事業報告書の記述」のところ、アクセス件数が平成22年度が62万8,000件となりました。平成21年度の32万5,000件に対し、93.2%増加、前年度を上回ったということで、達成状況193.2%のa評価とさせていただきました。
 5頁のいちばん下の段、「電算システムの改善・整備の検討等」ということであります。私どもが持っていますいまの電算システムは大変古く、基金が開設した40年前からその時の物を手直ししながら使っているということで、もう時流に合わなくなっております。基本的には紙媒体のシステムでして、これを何とか電子情報、いわゆるオンラインのベースに乗せたいということで、一昨年から縷々検討しておりました。実は昨年度、電算システムの新しい開発をしようということで意思決定し、昨年度はその準備期間としてさまざまな調査、一部入札等を行い、システムの開発に着手いたしました。
 達成状況としては、電算システムの改善・整備の検討及び開発について被保険者等のサービスの向上、事務処理の迅速化、効率化を一層推進するため、現行業務処理方式の改善及びその結果を踏まえた電算システムの機能改善に向けて取り組みを開始したということで、電算システムの改善スケジュールを作成しました。また、一部業務受託機関から要望の多かった被保険者、あるいは受給権者の市町村単位の数の表示機能、それも別途追加をして開発しました。ということで、達成項目はaとさせていただいています。
 6頁のWebなのですが、「実務者用マニュアルの見直し」につきましては平成22年度は検討しておりませんので、該当なしということにさせていただきます。
 続きまして10頁のいちばん下の段、「業務運営能力の向上等」というところ、我々農業者年金基金の研修ということですが、初任者研修の実施ということです。私どもは農林水産省、厚生労働省、財務省からの出向者が主体となっております。総人数は77名なのですが、2年ないし3年に一度の転勤がありますので結構入れ替わりが多い職場です。
 今年度は新しく赴任された19名の職員に対し、赴任した直後に研修を実施しております。「研修の理解度」という点でテストを行い、点数が80点以上の者の割合ということですが、94.7%の者が80点以上を確保しています。一応、達成状況としては、概ね理解が得られた者の割合は94.7%でありましたのでaということにさせていただきます。
 11頁のいちばん下をお開きください。今度は基金の職員ではなく、業務受託機関の担当者に対する研修です。業務受託機関は全国の市町村の農業委員会の事務局、全国のJA、合わせて2,500ぐらいあります。その職員も人事異動で頻繁に替わり、新しく就任された職員に対する研修ということも私どもの役割になっています。
 12頁、右の段をご説明させていただきますと、まずアのところ、都道府県段階の業務受託機関の実務担当者及び総合指導員を対象として以下にある研修を行いました。これは平成22年4月に実施、参加対象者は174名です。同じく中段ですけれども、3月に開催いたしました研修は参加者が110名でした。
 イのところ、6月に都道府県段階の業務受託機関で、新たに農業者年金を担当することになった方々を対象として以下に述べるような研修を行いました。このときにもテストを行っており、概ね理解が得られた者の割合は93.8%でした。
 10月と11月、全国を6つのブロックに分けて都道府県段階の業務受託機関の担当者を対象として実施しています。これは6ブロックに分けて我々から出向いていって各地区で行うわけです。その中で以下にあるようなことを研修しました。13頁に移っていただきまして、対象者、参加者が144名です。その方々のうち、理解が得られた方の割合は91.9%であったということから、この項目についてもaという評価をさせていただきました。
 13頁の中段、「市町村段階における業務受託機関担当者に対する研修」、各都道府県で市町村の担当者を集めて集合研修を行っています。その集合研修に私ども年金基金としても、講師として出張して説明をさせていただきます。各都道府県から派遣依頼があり、13頁の中段の中ほど、派遣依頼の件数が129件、派遣の件数が129件、派遣の人数が167名でした。したがって、要請どおり対応しましたので対応割合は100%、評価としてはaとさせていただきました。
 14頁のいちばん上の段、「評価・点検の実施」「加入者の代表者等の意見の反映」ということですが、私どもは運営評議会を年2回開催するように定められており、昨年度も年2回開催いたしました。したがって、加入者の代表者の意見の反映につきましても評価はaとさせていただきたいと思います。
 その次、中ほどなのですが、「業務受託機関の事務処理の適正化等」「考査指導の実施と結果の反映」ということですが、考査はすべての受託機関に対して2年に一度程度の割合で実施する計画をしています。平成22年度は計画をした24道府県の業務受託機関を対象に考査指導を実施しています。計画が24道府県、実施が24道府県でしたので達成割合が100%、評価項目はaとさせていただきたいと思います。
 15頁のいちばん下の段、「申出書等の迅速な処理」ということで、標準処理期間内での処理を目標にしています。昨年度、提出のあった申出書等に係る標準処理期間内の処理割合、これを8月と2月、年2回を調査対象期間として計測をさせてもらっています。8月の処理の段階で98.2%でした。2月の処理分が97.8%です。調査2回の平均処理が97.9%でしたので、「97%以上」を達成できましたので、これについても評価をaとさせていただきたいと思います。
 続きまして16頁、「申出書等の返戻割合の減少」、返戻件数が減少する指導の実施によって返戻割合を減少させるということです。昨年度の結果ですけれども、審査の段階で申出書の不備がわかった場合にはそれを返送して、正しく補正をしていただくということをしています。ただ、残念ながら、この割合が平成21年度の7.0%から22年度になって7.6%、0.6%ですが返戻割合が増えてしまいました。結果として0.6%上昇したということでbと評価をさせていただいています。
 ただ、一言付け加えますと毎年の受付件数、旧法の老齢年金の裁定に係るものなのですが、裁定件数が年々減ってきています。平成21年度が6,072件、22年度は4,212件と減っていまして、これは1つの受託機関にとっては数年に一度しか発生しないということもあり、そのことを完璧に処理するのが若干困難になっているということであろうと思います。したがって、この指標の作り方ですけれども、毎年これを減らしていくということはやや困難になってきたかなと思っています。もちろん指導を継続して、返戻割合のないようにしていくのが本意でありますけれども、若干ここの点、毎年毎年良くしていくというのはちょっと難しくなってきているというのが現状です。
 最後、16頁の真ん中ですけれども、「申出書等の処理状況の公表等」です。処理された申出書の処理状況を公表して、期間内に処理できるように指導するということになっています。処理された申出書等の処理状況の調査結果については、平成22年8月分の結果を22年9月30日に、また平成23年2月分の結果は23年4月6日にそれぞれホームページで公表しております。「年2回公表する」ということに対して年2回公表いたしましたので、結果はaとさせていただきたいと思います。以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いします。

○安達委員
 私の聞き違えかもしれませんが、受託機関が2,700と2,500と200の数字の違いがあったように思いますが、どちらですか。11頁と5頁の説明のときに、2,500と2,700と、どちらの数字が正しいのですか。

○農業者年金基金企画調整室長
 8頁の右?をご覧いただきたいのですが、平成21年度の数字で申し上げますと、これは21年度の業務委託費の分析をしている部分なのですが、農業委員会が県内の約1,722、農業協同組合が725でございます。

○安達委員
 2,500ということなのか。

○農業者年金基金企画調整室長
 合わせて。

○安達委員
 約2,500と。

○農業者年金基金企画調整室長
 合わせてということです。

○安達委員
 わかりました。
 農業者年金につきまして、かなり多くの受託機関の指導やいろいろな研修などが行われております。その結果どれぐらい効果がありましたか。新規の農業者年金の加入者とか、我々が現場で受け止めている年金に対する感覚というのは、非常に遠いものになっていまして、農業者そのものが農業者年金で何とか私たちもやろうというような気持ちで全然盛り上がってないわけですね。市町村の担当者なども、そういう意味では、研修には参加するけれども、そのあとは何もこない。意欲がわいて、積極的に進めるというようなことがやられていないと思うのですが、その辺についてはどのような評価をされていますか。

○農業者年金基金理事
 本来、新規加入の状況につきましては、この部会の対象項目ではないと思いますが、概略をご説明します。平成14年に旧法から新法に切り替わりまして、旧法は強制加入であったのに対して、新法では任意加入となりました。任意加入ですから、加入しても加入しなくてもいいわけですが、旧年金の破綻ということがありました関係で、年金に対する一般のイメージは、不信感が強かった時代が非常に長うございました。平成14年から新規の加入の推進を我々は一生懸命進めてまいりましたが、なかなか遅々として進まず、結論として今年の6月にようやく10万人を突破しました。旧法の現在の受給者は52万人程度なのですが、新法がスタートしたときに、切り替わっていただいた方が7万人ぐらいだったのですが、それから毎年少しずつ着実に増えていまして、年間で4,000人程度の新規加入があるという状況で、今年の6月に加入者が10万人を達成いたしました。いま委員のおっしゃったように、受託機関はたくさんございますから、地域によっても相当格差はございます。地域を挙げて非常に熱心に取り組んでいただける地域と、そうでない地域と、かなり格差があるのは事実で、それは我々年金基金として非常に大きな問題意識を持っています。したがって、すべての地域がいきなり熱心にやってくれるというのは理想ですけれども、そこまで達成するためには、市町村の担当の職員の方、農業委員の方、皆様の協力が必要ですので、それをできる範囲で一生懸命やっているというのが現状です。少しずつ熱意が上がっているのではないかなと理解しています。

○安達委員
 私たちがここでいま評価できる項目ではないと思いますが、以前の農業者年金で、80%のペイオフをしているわけですよね。これに農業者が非常に大きな不信感を持ってしまった。これは基金さんの責任でも何でもないわけですが、そういう運用の仕方の中で、非常に膨大な経費がかかっていた。その経費が結局20%の部分にまで該当してきたというわけですよね。あのときに、年金を運用していくのに、膨大な経費をかけていて、その経費も農業者年金を掛けた農家の方々に全部負担がきて、100%の返還にはならなかった。銀行や一般金融機関がペイオフをやれば株主や経営者が責任を取られて、どこかで法的な処罰がされるわけですけれども、謝罪も何もなくて、そういうようなことが運用されてきたということで、非常に怒りと不信があったのだと思います。そういう意味で、いま年金を運用されている立場では大変だと思いますが、もう一度年金の制度をしっかり見直して、経費をかけないで、農業者が1円でも多くの年金を受給できるような仕組みを考えるべきではないのかなと思うわけです。過去の反省を踏まえて、今回私たちがこの項目で評価をする立場ではないと思いますが、過去の年金の運用からして、私がこのような感情をもっているということを発言させていただきます。

○安浪委員
 お聞きしたいことが2点あります。いま研修をいくつか実施されたというお話があるのですが、業務運営の効率化という中での項目になっているのですが、先ほど安達委員も言われたように、研修の効果というのは実際成果として表われてくるのか、それはわからないと思います。研修をやっただけでは出てこないと思うのです。どのような形で結びついたかがわかるまで、研修をやっただけで「a」になってしまうというところに関する問題。
 もう1つは15頁で、「申出等の迅速な処理」とありますね。例えば標準処理期間が加入申出書なら60日以内とか、カラ期間該当申出書なら60日以内とあるのですが、これだけのスピード化の時代で、60日間というのは、ちょっと長過ぎるのではないか。実際実務がどの程度かかるのかわかりませんが、60日間以内という基準はハードルが低すぎるという感じがするなら誰でもできるのではないかという感じもするのですが、これを98%守っているということを評価ポイントとすることについてはいかがかと思うのですが。

○農業者年金基金企画調整室長
 事務局ですがそれまで私どもは研修の効果の把握をアンケートでやっていたのです。それを3年ほど前の厚生労働省の部会でご指摘いただきまして、違う方法でやらなければならないということなので、テストで効果を把握してやるという方法に改めたのです。いま研修の効果の把握というのは、例えば10頁から11頁にかけて、初任者の研修、12頁の真ん中のイが都道府県段階の業務受託機関の新任になった方々の研修なのですけれども、概ね理解が図られたということを把握する方法として、テストを導入しまして、80%以上を取った方が、90%以上のときにaという評価をいただくというように改善をしてきているということです。ここの評価委員会でもご指摘をいただいて、農水省の評価委員会のほうに指摘されて、それを踏まえて改善をしてきているということです。

○安浪委員
 そうすると、テストの点数が。

○農業者年金基金企画調整室長
 80%以上を。

○安浪委員
 80点以上。

○農業者年金基金企画調整室長
 前はアンケートでやっていたのですが、アンケートでは効果が測れないというご指摘を受けまして、テストに改めたという経緯です。

○安浪委員
 私が申し上げているのは、業務にどのような成果が上がったかということなので、テストを受けて合格をされた方が実際の仕事でどれだけの業務運営の効率化に役立ったかという視点からの評価はどうでしょうかということです。

○農業者年金基金理事
 いまの委員のご指摘に対しましては、研修の目的なのですが、先ほど少しご説明しましたように、各市町村の農業委員会の事務局の方、各JAの担当の方は結構頻繁に替わります。もちろんこの農業者年金を長年担当いただいた方々は業務のいろいろなことに対して大変習熟されているわけですが、そういう方々が残念ながら2年ないし3年程度の周期で替わっていってしまう。また、近年市町村の合併やJAもかなり組織が合併しましたので、かなり担当の方の体制が手薄になっているということがありますので、できる限り多くの方々に研修を受けていただいて、農業者年金の実務を詳しく知っていただきたいということでやっております。それをやった場合とやらない場合とどのぐらい違いがあるのかということは、いまここで証明することはできないわけですけれども、もし研修をやらなければ、誰もわかる人間がいないという状況になりつつありますので、我々ができる範囲はここまでですけれども、やっていることの意義は当然あるというように思っております。
 それから、もう1つ、標準処理期間が60日というのはあまりにも長いのではないかというご指摘ですけれども、おっしゃるとおり、本来であれば、ほとんどの処理は大体1月以内で終わっています。ですが、現実には、旧農業者年金の裁定であるとか、あるいは新しい年金に加入・申込みをする際に、1枚の加入申込書だけではなくて、農業経営の状況、保有する農地の状況など、そういったものをすべて立証書類を添付して、申し込んでいただくということになっております。1つの申出書に対して添付される書類が5項目か6項目ございます。それを市町村段階、JAの窓口で全部確認をして、それで我々のほうへ送ってくる。全部紙でやっていますので、紙の郵送の時間、一部証明が欠落している部分などがございまして、結構受託機関にとっても手間暇のかかるものとなっております。したがって、60日としていますが、現実にはもっと早く処理しているわけですけれども、処理の短縮を図るために、紙だけではなくて、オンラインでもっとスムーズにできないかということで、いま新しい開発に着手しています。ご指摘のように、60日というのをいつまでもやっていたくないなというのは我々も同じように感じています。

○安浪委員
 評価はaで変えないということですか。

○農業者年金基金理事
 はい、60日のルールはこれもこの評価委員会で定められたルールですので、それに則っているということです。

○農業者年金基金企画調整室長
 定められたというか私どもが定めたものですが、それ自体は農水省の評価委員会の中では、認められているということです。

○安達委員
 年金の特殊性なのでしょうけれども、農地と関連づけて農地の管理をすべてこれに付随させてやりますので、非常に時間と経費がかかる仕組みになっているのです。そういう意味では、農地と農業者というのは一体でなければならないという考え方を変えていかなければ、もっと身軽な運用ができないのだと思います。このような意味で、是非改善していただきたい。

○農業者年金基金理事
 おっしゃるとおり新しい年金制度では、農地の保有とは切り離して、農業に従事する方は誰でも加入できるということになっていますから切り離していますが、どうしても旧法の裁定あるいは給付に関しては、それが条件になっていますので、法律を変えていただかないとそれができないというような状況です。

○安達委員
 もう変えるべきときだと思います。旧年金のほうでもらっている受給者というのは、非常に高齢者ですので、そのような意味では農地で縛り付けておいて、2,500もの受託機関を維持しなければならないというところに矛盾があると思います。あれをなくしてしまいますと受託機関は各県で何個か、100件、200件で済むのではないかと思います。10分の1になるわけです。そうすると経費も10分の1になるわけですから、その辺は制度の問題ですから、基金の皆さんのあれではありませんが、農林省として是非その辺を考えてもらう必要があるのではないかと思います。

○光多委員
 そもそも基金の業務の目的は何なのかよくわからないのですが、いろいろなことをやっておられるのですが、例えば農業者の方々が年金に可能な限りたくさん入って、その資金をきちんと運用していくということだと私は思うのです。そうすると、前から申し上げているのですが、加入者数なのですが、そもそもマーケットがどのくらいあるのか、皆さん方が目指す加入者数というのはどのくらいなのかというのは、やはり企業であれば、そこがないと企業経営というのは何もできないはずですよね。それが前年度に比べて何%だったかという話だけで評価されるのは、これはこの部会の評価対象ではないのかもしれませんが、どうもそこがわからなくて、逆に言うと、昨年に比べて60%弱の達成率だと。先ほどご質問がありましたが、この理由が「運動の立ち上げが遅れたのだ」と。そうすると逆に言うと研修の効果がなかったのではないかと。60%というのは、これについてはかなりきちんと分析をして、その理由を明らかにしていただくことが必要なのではないかと思います。
 繰り返しますが、マーケットがどのくらいで、基金は何を目標としているのか。いまお話をお伺いすると、地方自治体の方々の研修とか、言ってみればアウトプットレベルでの仕事がメインであって、アウトカムの結果については、その時次第みたいなそういう感じも受けるのですが、そこのところの根っこがよくわからない。例えば自治体の方々が、もし2、3年で替わられるとすれば、この辺のところについてずっと継続的におやりになる民間に委託するとか、根本的なことをお考えになったらいかがでしょうか。

○農業者年金基金理事
 いまの委員のご質問に対してお答えいたします。もちろん農林水産省のほうの評価項目では、新しい新規年金事業の達成ということでそちらをメインにやっております。農業者年金のいまの新制度に関して、それを普及するというのが最大使命だと思っています。
 マーケットがどのくらいあるかというご質問ですが、おおよそ推定で、加入の可能な方というのは30万人ぐらいかなというように捉えています。ただ、これは農業を営んでいる方で、第1号被保険者という方でないと、この制度に入れませんので、いまの農家は大多数が兼業農家、即ち第2号被保険者、あるいは第3号被保険者という方々が大部分です。専業で農業を営んでいる、しかも個人経営という方々を対象としていますので、その方々がご夫婦、息子さんたちも含めて、推定で30万人ぐらいなのではなかろうかと理解しています。その方々全員が加入してくだされば、国民年金プラス2階建の農業者年金ということで、大変いいことでありますし、それを目指しているわけですが、旧制度は強制加入だったということに対して、新制度が任意加入になりました。そうすると、月額2万円の保険料、国民年金で1万5,100円、この農業者年金で2万円という年金保険料を払えばいいことはわかっていても、なかなかそこまで踏ん切りがつかないというのが状況です。
 1年間の目標を現在6,000名と、1年間で新しく入ってくださる方が6,000名ということで、3カ年計画でトライしています。6,000名という人数が多いのか少ないのかということに関して言えば、リーマンショックの前に、いちばん多かった年が4,200名でございました。それからすると、それ以降、農業経営の環境も少しずつ厳しい状況になっていますので、いま現在3,500名程度で推移しています。過去の経営に比べれば少なくはないですが、理想はやはりもっと多くの方に加入していただきたいということで、縷々取り組んでいるというのが現状です。その推進力というのは、受託機関、市町村、JAの方々、農業委員の方々にお願いをしてやっているわけですが、先ほど安達委員からご指摘があったように、地域で非常に熱心な所とそうではない所があります。その格差を解消するのが、いまの我々の目標でございます。

○農業者年金基金企画調整室長
 いろいろ研修をやっていて非効率のように見えますけれども、新制度というのは年間136億ぐらいの保険料収入があるのですが、私ども基金の人件費、建物の借料費や事務費、これらの業務受託機関にお支払いしている業務受託手数料は合わせて16億ぐらいになりますので、大体保険料の収入相当に対して10%程度の経費でやっています。民間の企業と比べたときに、生命保険会社でも、私が知っている限りではライフネット生命というのが保険料の中から23%を経費に当てているというのを聞いたことがあるのですが、そういう意味では保険料収入に対して、10%程度の経費でこの事務をやっておりますので、そういう点ではコスト的には非常に安く運用していると思っています。

○光多委員 
 コストはいいのですが、私が申し上げたのは、基金のミッションが何なのか。メインのインディックス。

○農業者年金基金理事
 ミッションの最大なものは、新年金の100%の普及といいますか、より多くの方に利用していただくことです。

○光多委員
 そこが昨年度はうまくいかなかったということですね。

○農業者年金基金理事
 昨年度はうまくいかなかったというよりも、実はそれまでの目標は、年間で4,000名ぐらいの目標でした。その目標値を引き上げたのです。いまの伊藤理事長の考えで、30万人近い方々がいらっしゃって、そのうち20万人の方はまだ未加入なのだと。その未加入の方を1人でもなくすということからすると、本当は全員加入。1年間の目標は何人かというのは、議論が分かれるところですが、なるべく高い目標でトライするのだということで、6,000名まで引き上げたのです。その結果、達成率は落ちた。

○光多委員 
 でも、やはり企業でいくと、いくら高めであっても、目標を立てたからには、それは絶対ですよ。これはこの部会の評価項目ではないのかもしれませんが、それが達成できなかったら、ちゃんと分析をして、根本的にどうするかということを。

○農業者年金基金理事
 それはもちろんさまざまな方法で取り組もうということでやっているつもりです。

○安達委員
 受託機関は、長年にわたって農業者年金を担当していればいいのですが、首長によっては2年か3年でどんどん他の部署に異動されて、新しい人が入ってくる。だからいくら研修をやっても、ノウハウの積上げがなっていない所が多いわけです。そういう意味では、研修をやっても残らない財産になってしまうのではないかという。

○光多委員 
 だからそういう構造的なことだったら、構造からお考えになったらいかがですか。

○安達委員
 その辺は。

○農業者年金基金企画調整室長
 でも、農業委員とかそういう方に頼るほかないですよね。

○安達委員
 制度の上ではそこに頼るしかないわけですから、そういう意味で、やはりもう一度制度を見直すということも必要だと思います。

○川北部会長代理
 多少細かい点になるのと、先ほど安浪委員が言われた質問とも関係するのですが、1つは5頁にアクセス件数が93%増えたと書いてあります。あるのですが、すごい延びなのですが、逆に言うと前年度が少な過ぎたのかなという気もします。細かい点になるのですが、その理由のようなものがあれば教えていただきたいのですが。
 もう1点は、電子情報提供システムを作られたと書いてあります。あるのですが、作ったことでa評価になっているのですが、このシステム目標が何なのか、先ほど申出書の迅速な処理ということで、いま2カ月かかっているのがをこれにこのシステムよって短かくなるのかどうか。先ほどそのようなことを少しお答えになったと思うのですが、そのことを確認したいと思います。

○農業者年金基金理事
 電子情報提供システムといいますのは、いわゆる受託機関のほうで、自分の所の担当の受給者、あるいは被保険者の状況がパソコンの画面で見えるというものです。例えば受給者の方が相談に訪れたというときに、従来は紙のリストから引っ張り出して、それを見つけて説明をするということをやっておりました。それではあまりにも時代遅れだということで、パソコンの画面から直接ホストにつなぐことができる電子情報提供システムを開発をして、提供したのが数年前です。すべての受託機関がすぐに入れてネットワークをつないでいただいているかどうかということに関していうと、各市町村とかJAによっては、個人情報の管理ということで、極めて厳しいセキュリティを要求している所があって、担当者がつなぎたいと思っても、現実として、外部との接続がまかりならんという所が非常に多うございます。どうあるべきかということとは別に現実としてなかなか進んでいかないというのが実態です。それでも、やはり接続していただいている所は、我々も啓蒙をしますし、すごく仕事が楽になりますよ、間違えなくなりますよということでやっていますので、割合いが年々上がっています。1回接続をしますと、大変便利ですから、必ず使うようになります。必ずパソコンで我々のホストに接続をして、現在の状況を確認をして処理をするということになっています。したがって、利用率も利用件数も上がっています。
 次に、次期をどうするか。次期システムを開発したいということで、着手をしました。いま、入札の意見招請中ですが、現在は情報提供システムで画面を見て、その次の処理は手作業で受託機関が紙に書くと。これが非常に難しい。紙の処理もたくさんありますし、それをプリントするのは大変難しい。したがって、次期で考えているシステムは、画面に入力をすると、それが自動的に紙にフルプリントされて出来上がってくる。あとはご印鑑をいただくだけという処理をしたいと思っています。なおかつ、受託機関でインプットした情報は直ちに基金のほうに情報としてダイレクトにつながります。そうすることによってタイムラグ、先ほど60日という処理はナンセンスなのですが、即日処理といいますか、それが可能になるようなことを目指しています。それによって、加入者の方、あるいは受給者の方との情報のタイムラグをなくして、年金の支払いなどによるアンマッチをなくすということを最大の目的にしています。処理が楽になれば、受託機関の方々も年金事業に対する抵抗が減ってくると思いますので、加入推進にも必ず直結するのではないかなと思っております。時期的には今年度入札を掛けまして、来年度中にシステムを完成させるということで、そういう目的で進んでいます。

○山口部会長
 よろしいですか。それでは、農業者年金基金の平成22年度業務実績に関して、農林水産省の独立行政法人評価委員会に提出をする意見につきましては、本日のご議論を踏まえまして、私と農業者年金基金担当起草委員である安達委員、さらに事務局と相談をして、案をまとめまして、書面で皆様にお諮りをして、最終的には私のほうにご一任をいただきたいと考えておりますが、そのような取扱いでよろしいですか。
(異議なし)

○山口部会長 
 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。なお、厚生労働省の評価委員会令、同運営規程などにより、各事業年度の実績評価に関する事項につきましては、部会の議決が評価委員会の議決となります。以上です。
 それでは、このあとは独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価に移りたいと思います。法人及び法人所管課の入れ替えを行います。どうもありがとうございました。
(法人及び所管課入れ替え)

○山口部会長
 それでは年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価に入ります。
 最初に理事長からご挨拶と平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 理事長の水島でございます。ご指導いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、平成22年度のご評価を本日、いただくわけですが、当機構の位置づけがかなり変わってきておりますので、現状等についてご説明を申し上げ、ご理解をいただきたいと考えております。ご存じのとおり平成17年にこの機構が設立されていますが、この役割は5年間で福祉施設等、約300を譲渡、廃止することでした。これにつきましては当初の予定どおり、昨年9月までにすべて完了しています。本日は、この福祉施設等の譲渡に関しまして平成22年度の実績と5年間の実績を総括的にご報告申し上げたいと思います。
 これらの福祉施設の譲渡完了に伴いまして、昨年10月1日に本来、私どもの機構は解散をする予定でした。しかしながら昨年8月、当機構に関する法律が改正されまして、存続期間が2年間延長されています。この改正により、新たな役割として厚生労働省から譲渡を含む対応を指示された社会保険病院について対処をすることと、地域医療を損なうことなく62病院でしたが、管理・運営を行うこととされています。これに基づき、中期目標が改訂されまして、本年3月に評価の視点が示されたところです。私どもとしましては、これらの要請に基づきまして、平成22年度中には対応を指示された3病院について譲渡等を完了させています。等と申しますのは、譲渡によらなかったものもあるということです。これはのちほど説明をします。
 また、厚生団、全社連、これらは委託先団体ですが、ここに58の病院を経営委託することになっていますが、そのいわゆる財務調査及び不動産調査を3月までにすべて完了させました。これによりまして、これらの病院の今後の可能性につきまして、私どもとして一定の評価を厚生労働省に対しお示ししたということです。さらに平成17年以降、社会保険病院等の整備はずっと止まっていました。そのために赤字病院、老朽化病院についてはかなり整備が遅れてきているという現状を踏まえまして、私どもとして最低限、対応すべきと判断されます病院について当機構の負担により整備を行ってまいりました。さらに東日本大震災で宮城県にある3病院が被災をしました。これに対して対応をしたところです。
 このような状況の中で、約2カ月弱前の本年6月に再度、当機構法の改正が行われました。当機構を3年以内に社会保険病院等を直接経営する地域医療機能推進機構に改組することが決定された経緯にあります。
 申し上げてまいりましたとおり、当機構を巡る環境は目まぐるしく変化してきております。担うべき役割も当初の譲渡から病院の管理・運営に重点が置かれてきまして、大きく変わってきています。私どもとしましては、新たな役割を担う機構として認められたということはいささかの自負は持っておりますが、一方で当機構は先ほど申し上げましたとおり、施設譲渡を行う5年間の時限組織として、金融、不動産、建設会社の主としてOBを直接採用しました。それら及び出向者で構成されている民間人中心の組織です。OBを中心と言いますのは、5年間で終わったときに仕事がなくなりますので、それでもいいように対応してきたわけです。そういうような組織ですので、変化した役割には可能な限り対応してきています。我々として考えられることはきちんとやってきていると思っていますが、期待される役割を十分に担える組織になっているかというと、そういう組織体制には現状なっていません。
 当機構は今後、3年以内に社会保険病院等の将来を担う機構になっていくわけですけれども、その組織体制等につきましては関係者の英知を集めた検討が必要だと認識しています。そういう意味で、次のステップに向かう過渡的な状態に当機構はあると認識しておりまして、この点につきまして先生方のご理解を是非、お願い申し上げる次第です。この1年弱、病院等の将来についていろいろな問題があるという認識をしています。これを解決することは非常に難しい面もたくさんあると認識していますが、この点について、英知を集めて早急に対処方針を決定していかなければならないと考えている次第です。
 最後になりましたが、先生方には大変お世話になりました。ご指導をいただいて、また激励を頂戴してまいりました。心から感謝をいたしております。御礼を申し上げて冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○山口部会長
 ありがとうございました。ただいま、水島理事長のほうからお話がありましたとおり、当RFOは極めて特殊な経過をたどっておりまして、通常の法人と同様の評価方法ではなかなか適切な評価ができないのではないかと事前説明を受けた際に考えた次第です。具体的に申し上げれば、RFOの本来の役割は5年間で福祉施設を売却するということでした。社会保険病院等につきましては、平成22年度については昨年8月のRFOの法改正によりまして、2年間の延長が決まった一方で、具体的な受け皿組織が決まらない状況の中で対応してきたということ、そういうことから福祉施設の売却と病院への対応といったようなことを分けて評価を行うことが必要ではないかと考えています。さらにこの病院への対応に関して評価の視点が出ましたのが年度末の3月といったこともありましたので、この年度評価につきましては主に福祉施設の売却を中心に評価をするといったことが適切ではないかと考えまして、ちょっと資料を事前にお願いして作っていただいております。資料の3-4の評定を記入していただく用紙ですが、これについてはいま、申し上げたように施設の売却と病院への対応との形で分けて記載していただく形のものを作っていただいています。配布していただければありがたいです。
 これにつきまして、全項目ではなく、4つぐらいあったかと思いますが、一部の項目について例えば、項番第3のところなどに「各施設の経営状況等の把握、機構の業務内容に関する地方公共団体への説明」のところは「年金福祉施設等(病院を除く)に関すること」と「社会保険病院等に関すること」で分けて、それぞれ書いて、それぞれ統一評価をして、それらを平均と言いますか、合算する形で全体を書くようなことができるような様式にしています。そして、特にその年度評価に当たりましては、前者の福祉施設の売却のところを中心に重みを付けて総合評価をしてはどうかと考えているところですが、各委員におかれましてはこのような形でこの評定の記入方法を変更することについてご了解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安達委員
 改訂版のこれでやるということですね。

○山口部会長
 そうです。

○安達委員
 特に異議はありません。
(異議なし)

○山口部会長
 よろしいですか。それでは、それで進めさせていただきたいと思います。資料3-4は差し替えをお願いします。
 それでは、この評価の進め方です。年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を3つのグループに分けまして、グループごとに評価を行っていきたいと思います。
 まず第1グループですが、項目1~3、「組織・運営関係」です。これについて評価を行いたいと思います。各グループとも同じようなことなのですが、法人から大体15分ぐらいでこの第1グループについて説明をしていただきまして、委員から質問、あるいはそれに答える形で質疑・応答をしていただくのも15分ぐらいを考えて、合計30分ぐらいを想定しています。委員の皆様にはその説明を聞いていただき、あるいは質疑・応答をしていただく中でこの評定をしていただくという、非常に忙しい形で恐縮なのですが、1グループ、30分見当で3グループのような大まかな時間配分で進めて行きたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、法人から第1グループ、項目1~3の「組織・運営関係」についてご説明をお願いします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 それでは資料3-2、業務実績評価シートに基づき、説明をさせていただきます。私は総務部長代理の小林と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 資料の3頁ですが、評価シートの(1)、「効率的な業務運営体制の確立」については3点を踏まえて対応しています。まず1点目ですが、300の福祉施設の譲渡が完了し、平成22年10月以降、譲渡業務は厚生労働省から指示された病院の譲渡に限られることから、入札業務を担当していた業務推進部を廃止しました。また、中期目標の改正により、新たに行うこととされた病院の経営状況の把握等の業務に的確に対応するため調査部を新設しました。また、それらの組織改編に加えまして、出向者・直接採用者の業務内容の見直し、職員の再配置等を行うことにより、職員数を平成22年3月末の33名から平成23年3月末は30名へと削減しました。
 4頁の(1)「外部委託の活用について」ですが、平成22年度の新規外部委託業務については3点ありました。まず、1点目ですが、平成22年3月期の委託先公益法人作成の62の病院の財務諸表等を元に統一した基準の下で、当機構の資産を含めた実態ベースの合算貸借対照表等を作成する財務調査を行い、これを委託しました。2番目では、国から出資された病院等の建物の表題登記の委託をしています。それから3番目では、終身利用型老人ホーム、いわゆる介護付老人ホームの譲渡につきまして、入札参加検討者に対して開示する不動産の状況や経営状況、入居契約の内容に関する調査等のアドバイザリー業務、それから売却業務の委託を行いました。
 (2)「施設の運営委託について」は、?にありますとおり、病院を除く福祉施設等について300施設全ての譲渡が完了したことに伴いまして、119の委託契約を全て解除しています。この結果、?にありますとおり、現在の運営委託先は病院の運営団体のみで、【具体的委託先】に掲げております6法人のみとなっています。
 5頁、「評価の視点」ですが、2段目に数値目標の第1点目が示されています。平成21年度末現在の常勤役職員数を39名以下とする数値目標については、平成22年度末の常勤役職員数は31名となっており、数値目標を大幅に上回っています。
 いちばん下の段、「内部統制」の関係です。上の・ですが、内部統制に関しましては外部の会計監査人による監査、監事による監査のほか、監事及び内部統制担当顧問に幹部会等の定例会議への出席を必須とし、業務遂行の適正性に関し、逐次、意見をいただく体制を取っています。
 6頁のいちばん上の○ですが、「業務改善の取組」に関してです。これにつきましては、機構設立当初から、全職員が参加する毎朝の業務打合会におきまして、様々な問題点等について全員で議論し、理事長により、方針決定がなされています。また、業務の重要な方針については、毎月の幹部会・役員会を経た上で決定する仕組みとなっており、これらにより日々発生する問題に迅速かつ適切に対応する体制を確保しています。
 2つ目の○ですが、「国民のニーズとずれている事務・事業や継続する必要性の乏しい事業の見直しについて」です。平成22年度は病院等の所有権保存登記業務について、法務省のオンラインシステムを利用すれば外部委託費をかけずに対応が可能であったことから、これを外部委託を行わずに職員自らが行ったところです。
 いちばん下の段で、「関連公益法人」の関係です。当機構は公益法人等に対する補助金の交付及び特定の業務の独占的な委託は行っていません。また、当機構には関連法人は存在しないことから、この項目については該当なしと考えています。
 5頁に戻りまして、以上のような取組み、評価を踏まえ、300の福祉施設の売却を完了させ、存続期限の2年延長に伴い、当機構の業務が病院関連にシフトした環境の変化、組織の過渡的な状況を踏まえ、機動的に組織の見直しを行い、効率的な業務運営体制を構築したことから、自己評価はSとさせていただきました。
 7頁の評価シート(2)です。「業務管理の充実」です。(1)の?「財務データの充実」ですが、委託先公益法人が作成する財務諸表については次の3つの点について課題がありました。まず1点目ですが、統一された基準により作成をされていないこと。2点目は、当然のことではございますが、当機構保有資産は委託先公益法人の所有ではないため、通常の病院として評価する場合には当機構が保有する資産分を加える必要があるということ。それから3点目は、土地建物は公益法人のバランスシートでは簿価で、当機構の場合には販売用不動産として時価計上されていると、このような状況でした。病院の受け皿組織を検討する場合には統一的な基準により、各病院について当機構保有資産も加味した財務諸表を作成する必要がありましたため、厚生労働省の指示に基づき、当機構において財務調査を実施し、データベース化を図ったところです。
 続きまして?番の「不動産データの充実について」です。国から当機構に出資された病院等の建物につきまして表題登記と所有権保存登記を実施し、データベース化すると共に、病院保有不動産についても財務調査に伴って把握できたことから、併せて登記情報を取得し、データベース化しました。また、これらの登記情報を基に不動産調査を実施しまして、物件の確認、不動産支障の把握、利用状況等を把握し、その結果をデータベース化したところです。これによりまして、不動産支障の解消・遊休資産の利活用等について着実に検討に着手する体制が整ったところです。
 (2)番の「業務の進捗管理について」は、評価シート(1)で説明した会議による管理に加えまして?番のシステムによる管理として、計画管理、実績管理等の各業務に対応したデータベースを構築することにより対応しています。
 (3)番の「事業リスクの把握・管理について」?ですが、これまで施設譲渡に伴いまして様々な事業リスクが発生する蓋然性があると当機構では認識をしており、対応してまいりました。すでに年金福祉施設等については300施設の譲渡が完了し約1年が経過しようとしていますが、特に問題は発生していないことから当機構としては適切に対処したと評価しています。
 ?番ですが、委託先公益法人の費用負担による病院の整備については、委託契約に基づき、当機構の承認を得た上でこれを行うとされていましたが、委託先公益法人の組織上の問題からルールを逸脱する取扱が発生しました。これに対して、当機構といたしましては厚生労働省と連携をし、事態の報告を求めると共に、公益法人側の承認手続の見直しを求めたところです。
 ?番ですが、機構を通じて優先譲渡・随意契約等ができるという偽情報に関しましては関係当局への情報提供を行った結果、偽情報による被害の発生の抑止に努めたところです。
 8頁の評価の視点です。2段目に数値目標の2点目が掲げられています。5年間で全ての施設を売却すること。そのため平成22年度の年度計画に対する売却施設の達成率を100%とすること、また指定された病院の譲渡を中期目標期間内に実施するという数値目標につきましては、全福祉施設の売却が完了したことから平成22年度の年度計画、18施設に対する決算ベースの達成率は100%となりました。また、平成23年2月に厚生労働省より指定されました岡谷塩嶺病院については平成22年度中に譲渡を完了しました。以上の取組みを踏まえ、自己評価をSとさせていただいています。
 続きまして9頁の評価シート(3)「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。(1)人件費を除く一般管理費については、経費の節減を図りまして、平成17年度との対比で33%、平成21年度の決算額との比較では10%の節減を実現しました。また、(2)業務経費ですが、予算121億円に対して実績は49億円に留まり、予算比72億円の減となっています。このうち約25億円については当機構が業務委託費、解体費の節減により、これを節減したものですが、46億円につきましては病院の施設整備費が計画の策定、設計業務及び入札準備に留まり、支出が翌年度以降になったことによるものです。
 10頁の上の段のなお書きの部分で、東日本大震災による被災病院の復旧費用に備えるため、平成22年度の節減分も含めまして現行中期計画予算の範囲内で全額を平成23年度予算に計上しました。これに伴い、中期計画予算の見直しも視野に入れて今年度に行う国庫納付を留保したところです。
 (3)役員、職員の給与についてですが、これについては俸給月額の改定及び賞与の支給割合の減額改定等を行うこと等により、国家公務員の給与構造改革に準じた給与の見直しを行っています。
 下段の評価の視点の2段目の数値目標の3点目ですが、平成23年度末の一般管理費の額を平成17年度対比で10%以上削減する数値目標に関しましては、平成22年度は対平成17年度比で33%を削減しました。
 下から2段目の冗費の削減についてですが、資料3-3の15頁をご覧下さい。これにつきましてはサテライトオフィスの賃貸料の引き下げで約400万円、警備業務の廃止によりまして約300万円、その他、書類保管料の2割削減を実施しています。
 続きまして資料3-2の11頁で、総人件費改革についてですが、平成21年度末までに平成17年度に比べて4%以上の人員の削減を行うことにつきましては、評価シート(1)で説明したとおり、平成22年度末の常勤役職員数を31名としたところです。上から3段目の給与水準につきましては、国の給与改正に準じた給与等の見直しを行った結果、地域・学歴勘案の対国家公務員指数で100を下回ったところです。その下、諸手当については国と異なる手当は設けていません。また更にその下ですが、当機構における法定外福利費は健康診断費用のみです。
 契約方式については、一般競争入札における公告期間、予定価格の作成・省略の規定は会計規程に明確に定めていると共に、基準額は全て国と同額のものとなっています。また、恣意的な運用が可能となる随意契約条項は設定していません。
 12頁で、契約事務に関する審査体制についてですが、契約に関する決裁については、担当部、総務部の経理担当で審査を行った上で監事にも全件回付を行い厳正に審査を行っています。また毎月の契約状況をホームページで公表すると共に、四半期ごとに契約事案を役員会に報告し再審査を行う体制を確保し、厳正な対応を取っています。
 契約監視委員会ですが、平成22年度の委員会からは特段の指摘事項はなかったところです。
 10頁に戻りまして、自己評価ですが、以上の取組み、評価を踏まえまして、自己評価はSとさせていただきました。
 私からの説明は以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。各委員の皆様方、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。いまのご説明に質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。

○安浪委員
 病院に関して統一基準の財務諸表の作成とか、財務調査とか、不動産データのデータベース化をされたということですね。当初、病院については自立可能な病院と、自立はできないけれど地域にとっては必要な病院と、それ以外といった区分けをしていくという目標があったと思います。いまデータベース化された資料は、そこから結構重要なデータを引き出せると思うのです。それを将来、厚労省と共有していくことが必要だと思うのです。そのデータをどのような形で活用されていこうとしているのかについて、お聞きしたいと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 自力で生きていける病院かどうかということの基準ですが、私どもの資産であるRFO資産については、いままで各団体のバランスシートには計上されていなかったものを計上し、その償却額を費用として計上するということを、財務調査において行っております。したがって、RFO資産も含めた病院全体について、将来、自力で建て替えることが可能であるかどうかというところを、1つの判断基準として提示いたしております。
 その結果、いまの収益力では自ら現在の病院を建て替えることは難しかろうと思われる病院が、約30病院あります。今後、公費が投入されない中で自力で生きていかなければならないということを考えますと、自ら生きて行けない病院については、やはり譲渡して行くべきであろうと私どもは認識しております。いま厚労省にお示ししている資料は、将来に向けてどの病院を新たな機構で公的病院として維持していくのか、その過程でどういう病院は譲渡していくのかということを判断する材料としてご提示しているということです。

○安浪委員
 難しい病院が30ですか。いま60ありますよね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 58です。

○安浪委員
 それを3つの区分けにすると、いま難しい病院が30とおっしゃいましたが、自立できそうな病院は何個ぐらいでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 残りの病院ということですから28です。それら28病院の利益で、30病院をどこまで救えるかということが、次の議論になります。30病院のうち、おそらく10病院ぐらいを救えるだろうと思います。残る約20病院については、現在の経営状況を改善できる具体的なプログラムができて、それを確実にチェックできるということであれば、議論の余地があると思いますが、このまま改善されることがないまま、それらの病院を抱えて行くと、全体を維持することが困難になる懸念があるという状況だと認識しております。

○安浪委員
 そうしますと、自立できそうな病院が28あって、残りの30の中の10については救えるだろうと。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 相互の助け合いが機能すればですが。

○安浪委員
 残り20については、いまの決算状況だと難しいという区分ですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 それが現状の結論です。これを厚生労働省にお示しして、その上で譲渡対象病院を選定するという作業にこれから入ると思います。

○竹原委員
 3頁です。新しく調査部を新設されたということですが、この調査部の業務内容と、調査部には現状で5名ということで、この5名の方々のバックグラウンドについて、ご説明をお願いいたします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 調査部の部長をしておりますのは、法律事務所の出身ですが、もともとは銀行にいました。それから金融機関から出向で来ている人が2名、医療コンサルから来ている人が1名、直接採用の庶務担当者が1名です。
 調査部の目的は、業者委託により実施している財務調査の結果をとりまとめるとともに進捗状況等を管理することが1つ目です。診療科別収支のモデルを完成させるというのが2つ目です。また、これから機構の役割になっていくと思いますが、RFO資産の償却をしていませんので、貸借対照表あるいは損益計算書について、RFO資産を組み入れた形でやり直す必要があるわけです。決算については、これから各病院を指導していかなければいけないと思っています。これを具体的に指導していくということを調査部にやらせようかと思っており、一応その準備を進めております。
 やや追加的なお話ですが、国有財産の償却、RFO資産の償却を費用として認めるか認めないかというのは、剰余金に関連してまいります。今は剰余金が数百億円あることになっておりますが、償却を費用として認めた場合は赤字になってしまいます。そうしますと剰余金がないということになります。この問題は非常に難しい問題で、委託をやめたときにその残余は返してもらわなくてはいけないわけです。しかし残余というのは一体何であるのかというところが、正確に定義されなければいけないという問題があります。
 一方、現場では何が起こっているかと言いますと、剰余金はいずれ取り上げられてしまうだろうから、先に使ってしまおうという動きに当然なるわけです。RFO資産の償却は費用として認めるということを決めていかないと、キャッシュが流出してしまうという問題があります。ですから、できるだけ早く方針を出さないといけないと思っています。そういう意味で決算をどのようにやらせるのかということは、早急に結論を出して示達をし、その方向を決めていかなければいけない。これはまさに病院経営そのもののテーマで、果たして我々がそこに対してどこまで責任を持っていくのかということについて、組織上の問題はあります。いずれにしても、我々としてはこういう問題があるということを問題提起するために、調査を行い、次の組織のテーマを決めている、というようにご認識いただきたいと思います。

○山口部会長
 ほかにご質問等はありますか。

○光多委員
 大変情勢が変化する中でご苦労様です。確認します。いまの病院について、厚労省から出資を受けるわけですね。その出資金額については減価償却、いまの病院の簿価で出資されるのか、厚労省サイド鑑定評価を行って出資額を決めるのか、又はRFOのほうで評価されて、実態としてはこのくらいの減価償却の不足があるのでこのくらいですよという形で物申されて、議論をして行われるのですか。その出資額の決め方はどうされるのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 出資額については、資産評価委員会で決まります。この委員会で出資価格は不動産鑑定評価をベースに決定されますが、鑑定評価は譲渡を前提としており、ゴーイングコンサーンではないのです。病院事業の継続を基準としておらず譲渡を基準としての鑑定です。私どもは譲渡が目的ですから簿価を譲渡価格で受けているわけです。それと病院に今あるものをどう評価するかというのは、全く別の議論です。今は譲渡を前提とした価格で出資されて、私どももそれで評価しているわけです。譲渡前提で再度、不動産調査を行い鑑定を取り直すわけです。その際、建物に関する再調達原価の算出と土地に関する時価評価が行われるわけです。償却費用を算出する前提としては、再調達原価を使って償却額を算出しているのです。ですから私どもの帳簿価格と、これから各委託先団体が行うことになるであろう決算の数字は、必ずしも一致しません。

○光多委員
 譲渡する場合も収益還元的な評価、病院として譲渡するのではなくて、今おっしゃったような形で施設として。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 いや、病院として譲渡します。

○光多委員
 病院としてやるとすれば、今おっしゃった再調達価格のほうから減価償却をやるというのは、1つの考え方としてはあるのかもしれませんが、基本的にはやはり収益還元でやらないと。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。私どもの簿価は譲渡価格です。要するに収益還元で評価しています。財務調査上、法人にいくら費用として認めるかということについては、再調達原価をベースにしてやっています。ですから、それがイコールではないということです。

○光多委員
 しかし、これはもうこれで一応決まったと言いますか、こういう形で行われたわけですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 当機構の簿価、当機構に出資される価格については譲渡前提の価格であるということは、もう決まっています。これは62病院全部で900億円ぐらいですか。そのくらいの価格で出資されて、それでそれぞれの病院の価格が個々にいくらというのが決まって出資されています。譲渡資産ですから、私どもは期末に再評価しています。

○光多委員
 再調達価格にしてから償却額を差し引いた形で出資を受けられるとすると。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 いや、違います。

○光多委員
 そうではない。償却する前ですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 その前です。それとこれとは全く別です。

○光多委員
 そうすると、直ちに資本勘定には赤字が出るわけですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。RFO資産を入れて決算を行ったら赤字になります。いままで剰余金はプラスだと思っていたわけです。それをどう処理するかという議論の基をつくっているというように、私どもは判断しています。

○光多委員
 身ぎれいにして来ていただいたほうがいいわけですよね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 身ぎれいと言いますと。赤字をですか。

○光多委員
 病院のほうですね。厚労省だから。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 赤字にしたほうがいいと思います。そうしないと現金を戻さないといけなくなると思うのです。我々は「剰余金があるから、そのお金を返して下さい。」と言うことになると思うのです。いまですと1,000億円前後の剰余金が出ています。その1,000億円を現金で返してくださいということで、国に返すことになります。なぜ剰余金が出ているかというと、我々は国有財産、RFO資産を費用として減価償却していないから、その分がプラスになっていると考えているわけです。ですからそれを取り上げてしまったら、病院の今後の経営は立ち行かなくなるだろうと、我々は懸念しているわけです。この問題を決着させないと、いま病院がやっている、お金を使ってしまおうというビヘイビアが止まらないのです。それを何とか早く決めなければならないということを、いま我々は言っているということです。

○社会保険病院等対策室長補佐
 1点補足をさせていただきます。先ほどの光多委員のご質問ですが、社会保険病院、厚生年金病院は平成20年10月1日付でもう出資してされており、その時点での資産評価委員会の評価額としては出資済みですので、そこだけは補足させていただきます。

○山口部会長
 それでは次に第2グループ、項目4から8の施設売却関係についての評価を行いたいと思います。先ほどと同様に、法人からの説明を15分ぐらいでお願いして、委員の評定と質疑ということで15分、合計30分の中で進めていきたいと思います。それでは法人のほうから説明をお願いいたします。

○年金・健康保健福祉施設整理機構総務部長代理
 それでは第2グループ、施設売却関係についてご説明いたします。資料3-2、13頁を開いてください。評価シート(4)、「各施設の経営状況の把握について」です。まず病院については評価シート(2)でご説明したとおり、財務調査、不動産調査を実施しております。また、終身利用型老人ホームについては、譲渡後も入居者の終身利用権が適切に保護されるよう、入居契約の内容及び経営状況を詳細に把握し、情報開示を行った上で譲渡しております。そのほか、病院を除く福祉施設については、これまで実施した事業調査、不動産調査の結果を計画管理データベースに集約し、買受希望者に提供してマーケティング活動を行うとともに、建物耐震診断・土壌汚染の調査の実施が必要と考えられる施設については、全件の調査を実施し、結果を開示して譲渡を行ってきたところです。
 2「地方公共団体への説明について」です。?の社会保険病院等については、平成23年2月で譲渡指示が出された岡谷塩嶺病院においては、買受者である岡谷市との協議は当然のことながら、長野県に対しても連絡の上、譲渡契約を締結しているところです。一般競争入札により譲渡を行った浜松病院については、静岡県・浜松市の意見を徴した上で譲渡条件を決めるとともに、入札スケジュール等について調整の上、入札を実施しております。今後、譲渡指示が出された病院については、地方公共団体との協議を行った上で、譲渡条件等を決めていくという形を取っていくこととしております。
 ?の社会保険病院等を除く福祉施設については、すべての地方公共団体に対して面談の上、意向を確認するとともに、原則として地方公共団体のトップに対して理事長が直接面談をすることにより、支援策の要請を行っているところです。その結果、固定資産税の減免等の支援策を得たものを含めて70施設について、地方公共団体の支援をいただいております。なお、固定資産税等の減免等の支援策を得た53施設のうち、46施設については地方公共団体の意向に沿った用途となっているところです。
 14頁に進んでください。自己評価についてです。病院については譲渡条件等において地方公共団体に対し、協議を行った上で譲渡を行うとともに、福祉施設は全施設について地方公共団体の意向を確認し、2割を超える施設が自治体の支援をいただきながら全件譲渡を完了させたということで、この項目の自己評価についてはS評価とさせていただいております。
 15頁に進んでください。評価シート(5)、「年金福祉施設等の譲渡又は廃止」です。まず?の社会保険病院等を除く福祉施設等については、平成22年度の売却額は決算ベースで491億円となり、計画比プラス75億円となりました。厳しい経済環境の中でも多様な買受需要の開拓を行った結果、売却原価に対してプラス190億円(162.8%)出資価格に対してプラス44億円(109.9%)となっております。その結果、売却額の合計は2,185億円となり、売却原価比ではプラス1,026億円(188.5%)出資価格対比でプラス184億円(109.2%)となり、当機構が目標としてきた時価を上回り売却すること、出資価格を毀損しないことという2つの目標を、いずれも達成することができました。
 16頁に進んでください。特別会計の清算についてです。107の特別会計の清算が完了しており、すでに158億円の清算剰余金を収受するとともに、公益法人の解散については94法人のうち44法人が解散済み、又は解散予定となっております。
 (3)「譲渡条件について」です。平成22年度に譲渡した福祉施設のうち、老人ホームについては現行機能の5年維持に加えて、引渡時の入居条件を1年間維持する契約を付加したところです。また、終身利用型老人ホームについて、入居者が入居時に締結した入居契約の内容を落札者が引き継ぐことを条件とすることにより、入居者の終身利用権を担保するとともに、料金水準を1年間維持することを譲渡条件といたしました。
 (4)「譲渡価格について」です。機構の意思を入札価格に反映させるため、平成18年度から最低売却価格の開示を行うとともに、価格の決定に当たっては、理事長がすべての譲渡施設を実地調査した上で決定を行っております。
 17頁に進んでください。(7)「従業員の雇用への配慮」です。事業継続を志向したマーケティングを行ってきた結果、譲渡時に事業を行っていた258施設のうち192施設(74%)において事業が継続されるとともに、買受者に対して雇用への配慮を強く要請した結果、72%において雇用が継続されたところです。
 下の段の?は社会保険病院等についてです。まず、岡谷塩嶺病院については、岡谷市が市立岡谷病院との経営統合に着手しており、岡谷病院に病院機能を集約させるという計画が策定されたことから、塩嶺病院は外来診療が廃止されるとともに、病床数が出資時の259床から53床に減床されています。本年2月、岡谷市において平成28年度に新病院を開設する旨の計画が策定されたことから、同市から厚生労働省に対して譲渡要望があり、これを受けて譲渡指示が出たところです。塩嶺病院については借地上の施設であるとともに、岡谷市に運営委託をしていることから、随意契約により譲渡が可能となっています。新病院建設計画を着実に推進したいとする岡谷市の意向に配慮し、平成23年3月31日で同病院の譲渡を完了させました。
 その下は社会保険小倉記念病院についてです。昨年12月に新病院が開設されたことにより、当機構の保有する資産を使わずに病院運営をすることが可能となったことから、厚生労働省より「地域医療に配慮する観点から、経営委託先である平成紫川会が今後も民間病院として同病院の運営を継続できるように配慮しつつ、委託契約を解除する方法で協議を行うこと。」との指示が出されたところです。これに基づき、平成23年3月31日付で委託契約解除に係る事前の通知を行い、平成24年3月31日をもって、小倉記念病院の委託契約を解除することとしました。
 18頁に進んでください。社会保険浜松病院については、売却対象物件である移転用地において、平成22年9月に農地転用許可等の取得が完了したため、平成22年9月30日付で引渡しを完了させました。
 下段の「評価の視点」に移ります。2段目の数値目標の4点目、福祉施設の譲渡に当たっては、総額で売却原価比100%以上の価格で譲渡する、という数値目標に対して、売却額の合計は2,185億円となり、売却原価比プラス1,173億円(190%)となっており、これを達成しております。以上のような取組み・評価を踏まえ、この項目の自己評価をSとさせていただいております。
 続いて21頁の評価シート(6)、「年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全」です。まず、(1)の「運営に当たっての基本方針」です。社会保険病院等については冒頭の理事長からの説明にもありましたとおり、平成14年度以降、保険料財源による整備が行われておらず、一部の病院については財政状況の問題から、必要な機能維持整備が行われていないという状況にありました。当機構としては地域医療への配慮ということで、一定のルールのもと、当機構負担による施設整備を実施したところです。また、福祉施設等に関しては、毎年度の実績報告を徴求し、それに基づき民間ベースの決算への引き直しを行い、経営改善後の期待キャッシュフローを策定し、事業価値の向上に向けて自助努力を促すとともに、不動産支障を解消することにより、不動産価値の向上を図ってまいりました。
 (2)「施設の管理について」です。財務状況等から必要な機能維持整備が行われていない一部の病院の熱源機器の更新、空調設備の更新等について、当機構の費用負担による整備を実施しております。その内容ですが、まず平成21年度に選定した16の病院について、平成22年9月末までに、総額25億円の整備工事を実施したところです。また、?にありますように、当機構の存続期間が2年延長されたことに伴い、19病院を対象に整備計画を策定するとともに、建物の耐震性に問題がある6病院について、厚生労働省の示した方針に基づき、耐震診断及び耐震補強設計に着手し、総額66億円の整備計画を策定いたしました。また、東日本大震災により大きな被害を受けた仙台市内所在の病院については、当座の病院機能の復旧、患者・職員に対する安全性の確保といった観点から、当機構の費用負担により、直ちに復旧工事に着手したところです。
 (4)は「平成22年度に追加された病院の経営状況、資産状況の把握について」です。評価シート(2)でご説明した財務調査、不動産調査に加えて、実績の?にありますように、財務諸表や職員数といった既存データにより、病院の診療科別収支を簡易に計算できるモデルを策定しました。23頁が自己評価ですが、以上のようなさまざまな取組みを踏まえて、S評価とさせていただいております。
 続いて24頁に進んでください。評価シート(7)「買受需要の把握及び開拓」(3)です。厳しい経済環境下、平成22年度に残った譲渡対象物件は前年度に不成立になった民間ベースでは有効活用が難しく、採算の厳しい大規模施設や、地方に点在する小型の宿舎等の物件でした。これらが混在する中、マーケティングは非常に苦戦を強いられました。私どもとしては、当初の設置期限である平成22年9月末までに全施設全物件の譲渡を完了させるために、自治体との粘り強い折衝による連携強化を図るとともに、現況の建物の有効活用を図るべく、民間の発想を最大限に活かした企画提案型の買受者開拓等、当機構が持つノウハウのすべてを結集し、文字どおり総力戦を展開したところです。その結果、全物件の譲渡を完了させるとともに、平均入札参加者数を平成21年度の3.0者から5.2者へと伸ばし、高い競争状態をつくることができました。この項目の自己評価につきましては、厳しい経済環境下においても全件譲渡を完了させ、総力戦のマーケティングにより高い競争状態をつくることができたことから、S評価とさせていただいております。
 26頁の評価シート(8)へ進んでください。「情報の提供について」実績欄(2)の?ですが、平成22年8月に300の福祉施設等の譲渡が完了したことから、譲渡実績や売却業務において当機構が注力した点を総括して記者発表を行うとともに、資料をホームページ上で公表しております。また、所有権移転登記が完了したことを確認した上で、平成23年1月に福祉施設等300施設の全件について、入札日、施設名、落札者名、売却額、予定価格、鑑定価格、出資価格、事業収支(赤字・廃止)についての記者発表をするとともに、これをホームページ上で公表しております。
 また?にありますように、当機構で実施した公的資産の売却に係るノウハウを整理し、必要に応じて配布可能な体制を整備したところです。平成22年度は、国や独立行政法人等により施設の譲渡手法に関し計15件の照会があり、原則、面談によりきめ細かな情報提供を行っています。
 27頁の自己評価に進んでください。300の福祉施設等の入札参加者数を除く個別のデータを全件開示するという、私どもが知る限りにおいては初めての取組みを行ったこと等により、この項目の自己評価をSとさせていただいております。第2グループについて、私からの説明は以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は評価シートへの記入をお願いします。また、ただいまのご説明に対して質問等がありましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。

○川北部会長代理
 21頁に、「病院に関して当機構の費用負担によって整備を実施した」と書かれているのですが、これは当初の予算には計上されていたのでしょうか。それとも独自に状況を見て判断されたということですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 前提をご説明しますと、全社連の病院については、それぞれの病院に剰余金があり、赤字の病院は、自らでは整備ができないという状態に陥っていたわけです。また、平成14年に保険料財源による整備が止まり、平成17年以降は整備が一切行われないということになっていたために、老朽化が著しい病院が出てまいりました。そういった病院を私どもも実際にいくつか調査した結果、安全上極めて問題が多い所については、私どもは福祉施設において出資価格を上回って譲渡をするという目標を達成しましたので、出資価格を上回った範囲内において病院の整備を実施することを決め、厚生労働省とも協議をし、ご承認をいただいた上で実施しているということです。

○川北部会長代理
 こういう活動は、これからも引き続きやられていくのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい。

○川北部会長代理
 そのときの方策みたいなものは、当該年度やられたことの延長線上にあると考えていいのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 今年度については、東日本大震災が発生したことから、国庫納付を留保しています。結果、現在当機構に残っているキャッシュは200数十億円になっていると思います。これから病院等を譲渡すると、300億円ぐらいのキャッシュが残ります。これを一体どうするかというのが、1つのポイントだと思います。国庫納付するのか、こういう病院のために使って行くのか、一定のルールの中でどこまで承認されていくかということが明確にされないとならないと思います。赤字で旧耐震の所は何もできていませんから、私どもは順次、赤字病院の施設整備と耐震の整備をやっています。この次に何をするかというのは、来年度のテーマになってくると思っています。

○竹原委員
 22頁です。診療科別収支の計算モデルを新たに作成されたということですが、これに関係して2点お伺いしたいと思います。1点目は、このモデルを使っても収支の改善が図られない病院は、将来的に清算の対象になってくるのですか。もう1点は、最初の質問とも関係します。地域医療の確保というのもRFOに課された1つの使命かと思うのです。そういった地域医療への影響について、何らかの取組みがなされているのか。例えばこういったモデルでこの病院が清算された場合に、どのぐらい影響が出るのかといったところについて、何か分析されているようでしたら、その取組みを教えていただきたいと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 現在、このモデルを58病院全体に適用しているところです。診療科別モデルについてはストップウォッチで計測するような作業をやれば、本来は全部できるわけです。このモデルの特色は、いま公表されているデータがあれば追加的な作業をしなくても、一定の方向が出るところまで作ったということです。赤字の原因が公的病院として診療科別にいわゆる地域医療を確保するためには、どうしてもやめられないものであるとすれば、その病院についてどう対処していくかというのは、まさに地方公共団体との協議になるだろうと思います。ですから地域医療の中でこの病院をどういう位置づけにしていくかということの基礎データとして、これを使っていくことになると思います。しかし、まだ開示できる状態にはなっておりません。

○竹原委員
 ありがとうございます。

○安浪委員
 私から2点お聞きしたいことがあります。1つは問題というのではないのですが、財務諸表を前期と比較した中で気が付いたことがあります。案件の売却代金が、長期未収金として載っています。これは広島市と柏市への売却で、延納申請書が出ております。当法人のルール上も、一応弾力化に配慮しなさいという計画に基づいて売却されたのですが、不動産を売買した場合は売却代金を全部いただいてから登記を移すことが、普通の取引としてやられているのです。当独立行政法人の場合は登記も認められて移転されたけれども、代金だけが未収になっていると。今のところは予定どおりお金が入っているのですが、万が一その市の財政が急に悪化したとか何か起こったときには、もう移転していますから代金だけが取れないというリスクが残ってしまいます。現状では広島市と柏市がそういう状況になろうとは思われないので、よろしいとされたと思うのですが、それについての理事長のお考えを。
 もう1つは累計売却が2,185億円で、売却原価に対して利益が1,026億円出ています。販売不動産の評価減は資本剰余金のマイナスで計上されて、利益では計上されていないので、資本剰余金のマイナスとされた金額は累計で1,008億円になるということで、売却益にほぼ見合うのです。ということは、政府からほぼ出資価格で物件を譲渡されて、その売却累計額が2,185億円、ほぼ2,000億円近くを国庫納付されているので、それはそれでよしとしていいのではないかと思うのです。
 私がなぜこういうことを申し上げるかと言いますと、やはり損益計算書に計上されない費用というのは。損益計算書の利益というのは、やはり1つの大事なメルクマールです。設備投資をしたり、従業員の給与を上げたりする指標にもなりますし、赤字になればリストラをやらなければいけないということになります。そういう意味で損益計算書の利益というのは本来、民間会計基準では計上すべきで、そこのところが立っていないのです。監査法人にも確認してもらい、一応会計ルール上は問題ないということではあるのですが、そこら辺についてのご意見をお聞きできたらと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 まず長期未収金に関しては、地方公共団体への配慮が求められる一方、地方公共団体も一般競争入札に参加しなければならないということで、優先譲渡というルールはありませんでした。したがって国会での議論の過程、その後の厚生労働省あるいは社会保険庁の議論の中で、地方公共団体に対して一定のメリットを与えるとすれば、支払条件ぐらいしかないということになったというように理解しております。地方公共団体の場合、もちろん担保を取るということはあり得るわけですが。

○安浪委員
 もちろん所有権が移されても、担保は取っておられませんよ。乙の担保権の設定はされていないのでしょ。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 担保権の設定は行っておりません。地方公共団体のデフォルトがあり得ることを、議論の前提とするかということだと思うのです。私は、民間のときにはデフォルトになることを前提として処理しておりました。しかし、この仕事において前提とするかどうかについては、前提としないということで処理して認めてきたということです。
 それから減資ができると言いますか、資本勘定のマイナスになって損益計算書に反映されない、再評価の際の評価損については、民間的に考えれば、私もおかしいと思います。ですから運営上、約180何億円ですか、200億円弱の出資価格を上回って譲渡しているわけです。出資価格を上回ることを譲渡の前提として、我々の目標として運営してきたのです。
 ただ、これは私どものルールに限らないと認識しており、他にもこのようなルールが適用されている所もあると認識しております。そもそも「この施設に関しては時価を上回って売りなさい」というのが、私どもがこの仕事に就いたときに言われたことです。そこで時価というのは何ですかという議論になって、それは譲渡直近の不動産鑑定価格というのが合意だったのです。その合意に従って決算の処理が行われているのです。私どもが企業体で、どの価格を基準にするのかということでは、当機構は仕入価格についての決定権を持っていないのです。

○安浪委員
 ただ、厚労省から出資されたときの出資価格については、お互いに合意しているわけですよね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 資産評価委員会で決定された価格で出資価格が決定されます。

○安浪委員
 やはりそれはお互いに合意して、全くでたらめに作った価格ではなくて、ある程度お互いに納得できる価格で出資されたということではないのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 出資価格というのは、我々が来る前に決まっています。もし私どもが民間企業、不動産ファンドだったとしたら、引き受けるときに価額を決めます。そこに決定権がないのです。

○安浪委員
 こちらには決定権が全くなかったということですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 当機構にその決定権はありません。我々は資産評価委員会が決定した価格で引き受けるわけです。どこを原価とするか、評価の基準とするかというのは、もう1回売る前に鑑定させてくださいと。ただ、約2,000億円を出資価格としているのは、約6,000億円あったものが約2,000億円になっているわけですから、約4,000億円が償却されているわけです。ただ、国民感情としては理解できるので、引き受けた額よりも高く売るように努力したということです。
 そこは責任の所在をどこが請け負って、私たちは仕事をしているかということです。我々は第一義的に、時価を上回るという責任を請け負ったということです。さらにより役に立つのは、出資価格はすでに決められた額だけれども、出資価格を上回る価格で売るよう努力してきました。しかし、そもそも経済原則に合っていないものを売っているわけですから、実際に評価をしてみたら半分になります。国からは、基本的に収益価格では出資されておらず、不動産と建物の価格で出資されている。しかし我々が売るのは民間の経済価値で売るのですから、それは全然違ったものになるのです。

○安浪委員
 私は当初、出資価格というのはもう少し市場ベースの価格で評価されて引き受けられたのかなという気がしていたのです。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 各県ごとに不動産鑑定を行っており、統一的な鑑定手法ではありません。そこに関してどうあるべきかという議論はありますが、そこをいくら詰めてみてもしようがない。ですから我々が第一義的に責任を持っているところは、スタートのポイントはどこかといったら、やはり時価ということで計算しているわけです。

○安浪委員
 出資価格比で184億円プラスということが、いちばん実態に近いのかなと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そのとおりです。我々が努力した結果はそこにあるわけです。

○光多委員
 これは実務的な話なので、部長代理にお伺いしたいと思います。我々は評価書で1個1個書かなければいけません。「年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全」という項目があります。これでいくと23頁ですが、病院を除く年金福祉施設については、この年度では例えば前に売ったもののフォローアップとか、そういう話になるのでしょうか。病院のほうはきちんとやっているというのは分かりますが、我々のところは2つ書かなければいけないものですから、病院を除く年金福祉施設について、この年度の運営及び資産価値の保全として、どういうことをおやりになったのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 21頁の「資産価値の保全」の項目は、すべて病院についてです。「資産の管理」の??の項目には一部、病院以外のものが入っております。それから、(1)の上のほうのポツの2つ目と3つ目です。これらについては病院を除く年金福祉施設等です。

○光多委員
 いままでに譲渡処分したもので、ぶり返しみたいな形でいろいろ起こってきて、その処理を行ったということはないですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 訴訟が起きたことはありますが、買い戻した例はありません。

○光多委員
 部会長、そうするとこの辺は実態に即して。一応評価シートがあるものですから。

○山口部会長
 全体として病院と病院以外に分けてやっているのですが、メンテナンスの部分について言えば、いま部長代理からご説明があったように、どちらかと言えば病院のほうのウエイトのほうが高かったと考えて。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。病院のほうです。

○山口部会長
 この項目に関してはそういう判断をしていただきたいと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 病院だけでご判断いただいて結構です。

○山口部会長
 そのほうが適切であろうというのが実態だということですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。

○山口部会長
 よろしいでしょうか。それでは最後に第3グループ、項目9から14の決算関係についての評価を行いたいと思います。所要時間は法人からの説明が15分、委員の評定と質疑が15分、合計30分ということで、第3グループについて法人からの説明をお願いいたします。

○年金・健康保険福祉施設整理機構総務部長代理
 それでは、第3グループ、決算関係についてご説明させていただきます。資料3-2、28頁をお開きください。項目の9番目、「予算、収支計画及び資金計画について」です。まず、資料3-5として配付させていただいております財務諸表等により決算報告をさせていただいています。資料3-5の最後の2頁ですが、外部の監査人からもこの決算については適正である旨の意見をいただいているところです。
 決算の実績についてご説明を申し上げます。28頁の「自己評価」と書いてあるところの下ですが、平成22年度は235億円の総利益となっており、予算対比で237億円上回っております。これについては、施設の譲渡収入が実績496億円ということで、予算対比で80億円を上回っていること、また、清算剰余金が予算対比で59億円上回っていること、さらに、経費の節減を図ったことにより、この235億円を確保しているところです。第4と第5、短期借入金、重要な財産の譲渡については、業務の実績欄に記載のとおりです。
 第6、剰余金についてですが、ここに書いてあるとおり、私どもは剰余金については翌年度に必要な運営経費を留保するという形で、法令に基づいた算定方法で国庫納付を行っており、適切に対応しているところです。なお、平成22年度に係る国庫納付金については、東日本大震災により被災した病院の災害復旧費用の所要額が不明であるため、中期計画の見直しも視野に入れまして、これを留保しているところです。この項目の自己評価についてはSとさせていただいています。
 続きまして、29頁、評価シートの(10)にお進みください。項目の10番目、「人事に関する計画」です。人事評価については、譲渡専門職員について、民間に準じ成果主義に基づく実績評価を徹底しています。評価シート(1)でもご説明しましたが、平成22年度は、9月末までに病院を除く福祉施設の譲渡を完了させたこと、また、法改正により当機構の存続期限が2年延長され、10月以降の業務が厚生労働省から指示のあった病院の譲渡及び病院の管理運営へとシフトしたこと、それから、中期目標の改正により病院の経営状況・資産状況の把握等の業務に取り組むこととされたことなど、当機構を取り巻く環境の大きな変化や組織としての過渡的な状況を踏まえて、機動的に組織の見直しを行った結果、常勤役職員数を平成21年度末の34名から22年度末で31名に縮減したことから、自己評価をSとさせていただいています。
 30頁にお進みください。評価シートの(11)、「国庫納付金に関する事項」です。平成21年度に係る国庫納付金については、法令の規定に基づき、予算対比376億円プラスの892億円を国庫に納付したところです。また、先ほどご説明したとおり、22年度に係る国庫納付金については、東日本大震災により被害を被った病院の災害復旧費の所要額が不明なため、中期目標予算の見直しも視野に入れて、これを留保しているところでございます。評価の視点に移りまして、数値目標の5点目です。予算額比100%以上の国庫納付金を納付するという数値目標については、21年度に係る国庫納付金として予算額を376億円上回る892億円を納付したことから、自己評価をAとさせていただいています。
 31頁にお進みください。項目の12番目、「譲渡業務諮問委員会に関する事項」です。平成22年度は、8月までに福祉施設の譲渡を完了させたことから、計3回の開催となっていますが、福祉施設の譲渡の完了に伴い2名の委員が退任され、新たに病院経営に関する知見をお持ちの2名の委員にご就任をいただいているところです。諮問委員会では活発な議論が行われ、機構の業務に反映させていただいているところです。このことから、自己評価はAとさせていただいています。
 32頁にお進みください。個人情報の保護に関する事項です。「個人情報の保護に関する事項について」は、平成19年度に法務文書課を設置し、適切な対応に努めており、これまでのところ個人情報保護に関し対処すべき問題は発生していないところでございます。こうしたことから、この項目についての自己評価はAとさせていただいています。
 33頁にお進みください。項目の14番目、最後の項目ですが、「終身利用型老人ホームの譲渡に関する事項」です。終身利用型老人ホームについては、平成22年1月に社会保険庁の解体に伴い国から出資を受けたところでございます。この施設には110名を超える高齢者が終身利用契約を結んで入居されていることから、この終身利用権をいかに保護していくかが最大の問題でございました。私どもとしましては、入居者が入居時に締結した契約内容を入札参加検討者にすべて開示をしまして、この内容を承継することを条件として入札を実施いたしました。そのほか、管理費等の料金水準を1年間維持すること、また、未償却の入居時に支払われた入居一時金について、入居者への返還義務を付した上で譲渡先に承継することにより、この終身利用権の問題をクリアしてまいりました。また、譲渡に際しては、入居者、ご家族の方の不安を少しでも解消するべく、出資後も節目節目に説明会を開催しまして、当機構の方針等について詳細に説明を行い、譲渡先への契約内容の引継ぎについて必要な同意をいただいた上で、平成22年9月末に譲渡を完了することができました。
 自己評価についてですが、入居者の終身利用権の保護に最大限配慮した譲渡を行うとともに、入居者にご理解をいただけるよう丁寧に説明を行い譲渡を完了させたことから、自己評価をSとさせていただいています。第3グループにつきまして、私からの説明は以上でございます。

○山口部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへの評定の記入をお願いします。また、質問等ございましたら、適宜ご質問、ご発言をいただきたいと思います。

○安浪委員
 終身利用型老人ホームは、実績としては1件なのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 1件です。

○安浪委員
 1件しかなかったのですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい。

○安浪委員
 1件だけうまくいってSだと言われても。ほかが残っているとかいうのではなくて。
 もう1つ、人事に関して専門職について成果主義評価を行ったということですが、これはS評価とされている。成果主義評価のどういうところがS評価と考えられておられるのかを、お聞きしたいと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 成果主義評価に関しては、かなりドラスティックな差を付けて毎年の賞与に反映させております。

○安浪委員
 賞与に反映されたということですか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 はい、それが1つです。それから、給与に関しては下げる、あるいは、正職員で採用していた者を臨時職員にするということも、かなり激しくやっています。一方で、成果を出した人にはきちんと払っています。
 それから、終身利用型老人ホームについてS評価というのは、実は、ここにいる小林君と山路君が中心となって取り組んでくれたのですが、彼らの思い入れを反映して私はSでいいと言ったわけです。終身利用型老人ホームについては、国が老人に対して一生面倒を見ますと約束したのです。それを、ルールを変えて、もうやめたと国が言ったわけです。実は、私どもは、終身利用型老人ホームに関しては国が設置したのだから国で売るべき、ということをずっと言ってきたのです。そもそも我々が約束したのではないのだから、我々に出資されても売れませんと。しかし、社会保険庁は売れなかったのです。終身利用型老人ホームは約5億円で売っているのですが、入居しているそれぞれの人たちが3,000万円ほどの入居保証金を支払って入居しているわけです。その3,000万円は実は全部償却されつつあったのですが、償却期限を延ばし、買受者に再預託するなど、非常に大変だったということを認めてくださいというのが、この自己評価の趣旨です。

○安浪委員
 わかりました。

○光多委員
 いまの繰返しになるかもしれませんが、今回、病院というものを引き受けられて、これからいろいろやっていかれるわけですが、例えばいまの年金健康保険施設については、参議院の決議で、地域の雇用を可能な限り保全したままで処分していくという、非常にいろいろなしがらみがあったわけです。今度の病院については何がしがらみなのか、その中でどうやっていかれるのかということなのです。いただいたペーパーを見ると、地域の医療体制を損なうことがないようにということは書いてあるのですが、これはやはり条件になるのでしょうか。もしそうだとすれば、先ほどの採算に合わないものは処分するという話はこれとは合わないかもしれない。地域の医療体制を損なわないというのは、これからどういう形でRFOの中でおやりになるのか。これが第1点です。
 それから、施設の管理について適切な維持管理を行っていくと。いま、新しく来たものについて、かなりいろいろな形で損益バランスや不動産データの収集についてやられたというのは、これは理解できます。これから、いまの社会保険何とか会というところに委託をしていくわけですよね。そうすると、実際の施設の適切な維持管理というときに、施設によって給与体系はばらばらだと思うのです。それから、これはよくある話ですが、特に公立病院については間接経費が非常に高いという構造的な問題がありますよね。そういうところまで機構としては手を突っ込んでといいますか、そこまで含めてやるのか。それぞれの病院の給与体系とか、雇用体系がどういう形になっているのかとか、もう少しコストが安い形にするのかとか、実際の委託先の見直しとか、その辺まで突っ込んでおやりになるのか。それとも、そこはいま運営している委託先にある程度の形で意見を申されながらやっていかれるのか。この2点をお伺いしたいのですが。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 譲渡に関して、地域医療に対する配慮というのは具体的にどういうことかというご質問だと理解してよろしいですか。

○光多委員
 何か条件があるのか。今度は雇用はないわけですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 雇用は、現状ありません。

○光多委員
 雇用の条件はない。そうすると、地域医療の貢献が1つの条件なのでしょうか。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 基本的には、二次医療圏の中でそれぞれ病院の役割は決まっています。いま担っている役割があるわけです。そういうものをどう今後も引き継いでいくのかは、まさに行政との話合いです。行政との話合いで、この病院は譲渡した場合に最低限こういうことをやってほしいというのか、どういう病院になってほしいと考える。例えば浜松病院の場合は、浜松市より急性期中心でなくてもよいという議論になったわけです。この病院を売るわけですが、この病院をどういう病院にしてほしいかというのは、行政と話合いをして、こういう形のものを行政は条件にしますといいますか、やってほしい内容ですということを開示し、これに対応できる人が入札に参加してください、ということになります。その地域においてどういう病院になってほしいのかということを行政と話合いをして決めていくというのが、すべての原点です。そのときに条件をどういうものにするのかというのは、これは施設の譲渡と異なりまして、やはりこういうところを担ってほしいという要望はあるわけです。そういう適切な買受人になるような条件というのは一体何かということは、やはりそれも詰めていかなければいけません。ですから、すべて個別です。

○光多委員
 例えばこの評価項目でいくと、地方公共団体への説明という項目があるのですが、これは説明ではなくて、これからは地方公共団体との協議が非常に重要な柱になっていくわけですかね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 例えば浜松病院のときにどうしたかといいますと、委員会を作りまして、譲渡条件をそこで決めていったのです。委員会には浜松市や静岡県や医師会長、商工会議所の会頭、医大の学長という方に入っていただき、どういう病院にしたいかというイメージを具体的に作り、それでは譲渡条件をこうしましょうということを決めて、それで参加者を募る。具体的な名前は出しませんが、こういうところが入札に参加してきますが、入札してもよろしいですね、というところまで決めて行くのです。

○光多委員
 それは、処分する前ですよね。これからの病院経営の話ですよね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。

○光多委員
 そうすると、いまとりあえず簿価でもらったのですが、1個1個についてずっとこれから地域の。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 そうです。おっしゃるとおり、我々の目的というのはそもそも高く売るということが目的ですが、病院の譲渡に関しては高く売るということではなくなるでしょう。地域医療を守りつつ、できるだけ高く売るにはどうすればいいのか、ということになるのではないでしょうか。ですから、いくらの価格で売りました、これだけで売りました、出資よりもいくらプラスになりましたというようなことは評価基準にはならないと私は思います。

○光多委員
 わかりました。2番の、どの辺までデューデリジェンスをおやりになるのかですね。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 これは基本的にまだこれからの問題です。私ども機構は、最長で3年後には、地域医療機能推進機構へ改組、衣替えになりますが、それまでの間はRFOのままなのです。この間に我々がどういう役割を担っていくかについては、まだこれからの問題です。私どもにいまおっしゃったようなことにすべて関与して決めていくというような能力があるとは、実は私は思っていません。冒頭に申し上げましたとおり、こういうことを考えていく上では、まさに厚生労働省が中心になって検討していくということがポイントになるのだろうと思います。その中でどういう役割を担い得るのかというのは、どういう人質(じんしつ)の人がいるのかということにもかかわりますし、いま、当機構にはそういう人質(じんしつ)の人がいないのです。先ほど人員を31名にしましたと申し上げましたが、人員については今後も削減してまいります。必要な人材を採用するために、人の入れ替えを行うことも機動的にできる体制を箱として作る必要がある。その中身をどう入れるかというのは、これはやはり厚生労働省がお考えになって、その指示に従ってやるというのが基本だと私は思っています。

○安達委員
 今度RFOが全く新しい業務内容を遂行していくという形になるのだと思います。これまでの実績を踏まえて新たな業務をやるに当たって、まず1つは、運営をしていくのに、いままでの医療機関では独立採算でやってきているわけでしょうが、この状態をそのままやっていけるのかということが、いまご覧になってどういう状況なのか。議員立法によるポイントによりますと、第6、財源措置の特例ということで、政府は特別な財政支援はしないと明記をされているわけです。こういう中で、いまの医療機関が完全に維持できるのか。例えば平成17年から設備の修理や更新もやっていない。そのような状況の中で、2万人の職員を抱えてやっていけるのかという見通しについて、まずお聞きしたいと思います。特に地域の医療機関というのは、地域にとっては非常に大事な命の綱だと思うのです。そういう意味で、きちんとやれる体制をスタートする前に打合せをして、きちんとやるべきだと思います。この辺の見通しについてお聞きしたいと思います。

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
 私がどういう役割を担うかということについても、全くわからない中、私がお答えするのは適任ではないのではないかと内心思っていますので、若干、口ごもらざるを得ません。どこまで責任を持ったお答えができるかという問題があります。
 ただ、地域医療機能推進機構が立ちゆくようにするために、絶対にクリアしておかなければいけないところがいくつかあると思うのです。最低限、いまばらばらになっているキャッシュは集中しなければならないとか、退職金の規定は一緒にしなければならないとか、給与水準は一緒にしなければならないとか、最低限やらなければいけないことがあることと、それから、やはり売らなければいけないところはあるでしょう。それらを、地域医療機能推進機構に改組する前にきちんとやるということが必要だと思います。私の立場で、ここまでということを申し上げることが適切かどうかということはあるのではないかと思います。ただ、私の頭の中にはいくつか考えがあり、それをやればできるのではないかと思います。病院はちゃんとやっていかれるであろうと。自分で生きていくのだということで、職員も含めて皆さんが一定の認識と目的を共有していけば、できるのではないかと思います。
 もう1点は、地域においてそれぞれの病院がきちんと生きていかれるようにしなければならないということについては、それは当然です。どの病院についても、廃止ということは全く考えていないのだろうと思います。ただ、譲渡したときに地域医療を損なわないかということについては、少なくとも自治体と十分に協議をし、自治体が、その医療圏においてこういう機能さえあれば大丈夫だと認識していることを前提に譲渡していくということになると思います。したがいまして、ご懸念に関しては、ないように最大限の努力をしていくということしかないのではないでしょうか。ただ、私が申し上げるのは適切ではないと思います。

○山口部会長
 よろしいでしょうか。以上ですべての項目の評価が終わりました。事務局から、このあとの取扱いについてご説明いただきたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 資料について郵送を希望される場合には、部会終了後に事務局までお申し付けください。また、評価の記入がまだ終わっていらっしゃらない委員の方がいらっしゃいましたら、評価記入用紙をお持ち帰りになって記入していただくということも可能です。また、本日、評定記入用紙の電子媒体をメールで各委員に送付させていただきたいと思いますので、そちらを活用していただくということも可能です。お持ち帰りになる場合には、8月5日(金)までに事務局までご提出いただくようにお願いします。以上でございます。

○山口部会長
 それでは、次の議題に移ります。年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律について、所管課より説明をお願いします。

○年金局上席管理官
 お手元の資料3-6ですが、本年6月に成立した独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律について、ご説明申し上げたいと思います。この法律ですが、社会保険病院等につきまして、地域医療に貢献しつつ安定的な経営が行えるよう、これらの病院等の運営を行い、かつ、地域における医療等の重要な担い手としての役割を果たす組織を作るということで、RFOを改組して、新しく独立行政法人地域医療機能推進機構にするという法律です。
 裏面に法律の概要を書いております。まず趣旨ですが、RFOについては法律上平成24年9月末が設置期限ということで、これまで年金福祉施設等の売却を行ってきた法人ですが、今回の法律においては、地域における医療の重要な担い手である社会保険病院等について、引き続き地域医療に貢献することができるように、この新しい機構に改組をするという法律でして、法律の名称も新しくしているわけです。
 この新しい機構の目的ですが、いわゆる医療法に言う5事業、それからリハビリテーションといった地域において必要とされる医療、それから介護を提供する機能確保を図って、公衆衛生の向上、住民福祉の増進に寄与していくということを目的としているということでございます。業務の範囲ですが、新しい機構においては、病院等の運営を行っていくことを主たる業務とするということです。
 合わせまして、病院等の譲渡ということで、新しい機構は地域において必要とされる医療等を提供する機能が確保される病院については、所在する自治体のご意見も聴いた上で譲渡ができるというようにしております。また、こうした場合において、譲渡するまでの間においてその運営を譲渡先の法人へ委託することができる、というようなことも盛り込まれています。
 それから、財源措置の特例ということで、政府は新機構に対し災害時等の緊急時に厚生労働大臣の求めに応じて必要な措置をとる場合を除いて交付金を投入しないといったことになっています。
 それから7番、その他ですが、法人の役員、任期、施設別財務諸表の作成といった所要の法人についての規定を設けているというところです。あと8番の附則、施行期日ですが、一定の準備期間が必要だということでして、本年6月24日が公布日ですが、公布日から起算をして3年を超えない日を政令で定めるということで、そこから施行ということになっています。
 8の2の(2)の「その他」のところをご覧ください。厚生年金病院については、これまで地方自治体や民間への譲渡が進められることが求められたとの経緯もありまして、RFOが新機構へ改組されるまでの間、RFOは厚生労働大臣が定める厚生年金病院について譲渡の推進に努める旨の規定が置かれているところでございます。(2)ですが、地域において必要とされる医療及び介護を提供する機能の確保を図るために、その者が引き続き運営を図ることが適当であるということで、そういう委託者について、厚生労働大臣が定めるものに限り、この法律の施行後もなおその者に運営が委託できるということになっております。そうした病院について、さらに譲渡後も地域において必要とされる医療・介護の機能が確保されるものについては、当該委託の相手方に譲渡することができるというような規定も置かれているところでございます。以上が法律の概要でして、先ほど来話がございますように、国とRFOがよく意思疎通を図り、協力をして、この法律の趣旨に沿って、しっかり施行していきたいと考えているところでございます。

○山口部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見、ご質問等がございましたら、お願いします。

○安達委員
 病院の経営を維持し続けるというような規定がありながら、譲渡の規定を入れるというのは、私はどうも納得がいかないのです。譲渡の必要はないと思います。機構がきちんとこの医療機関を経営して運営していけるとすれば、そういう条項は入れなくてもいいのではないかと思うのですが、この辺は、どういうわけでわざわざ項目を入れているのですか。

○年金局上席管理官
 先ほど来議論になっていますが、今回の法案については、地域における必要な医療を確保していくということで、5事業をはじめ地域医療にしっかり貢献していくということでございます。そういう趣旨に則りつつ、他方、もともとこれらの社会保険病院等については、年金保険料、健康保険料等が投入されて設立・整備をされてきたということもありますので、そういう地域医療に支障を与えないというところを確保しながら、譲渡できるものについては譲渡をしていくという、非常に難しい要請ですが、合わせてそういう要請も受けているということでして、両にらみでしっかり運営を図っていきたいということでございます。

○安達委員
 悪い見方をして申し訳ありませんが、RFOに、病院が経営維持できないのにお任せをする、やってみなさいと言っているようにしか私には見えないのです。いままでは国家財政、社会保険などを投資して維持してきた病院を、RFO独自で、その病院の収支でやりなさいと、国の財政は一切入れませんというような条件を付してやる、ただし、やれないところが出てきた場合には、ここは売ってもいいよ、というような見方しかできないのです。切捨てができるというような項目にしか見えないのです。大変悪い見方なのですが、そんな感じがして、これから引き受けるRFOが大変な重荷を背負うのではないのかなという感じがするのです。お国のほうでは、もう最初から、この病院はこのままでは運営できない、だからRFOに経営を渡しておいて、やれなくなったらそこは売ってもいいというような条項を入れたのではないか。病院の新設は認めない、売るのは認めると。これを見ていますと、どうもそんな危惧の念があるので、質問させていただきました。

○年金局上席管理官
 繰返しになりますが、譲渡に当たっても地域医療が確保されるということが前提ですし、先ほどありましたように個別個別ですが、地元自治体としっかりお話させていただきまして、ご理解が得られるように進めていくということが前提です。ご指摘もしっかり受け止めて、今年度以降、RFOは改組されるまでの間はその準備に当たっていくというような要請もあるわけでして、今回は平成22年度の評価ということですが、今後に当たってはこうした準備業務も絡んでくるということでして、ご指摘もしっかり受け止めて、国としてもRFOと手を携えて、しっかりやっていきたいと思っております。よろしくお願いします。

○山口部会長
 評価官室への質問なのですが、法律が公布されて、施行されることになって、新しい法人ができるまでの間は、当年金部会で所管する感じになるのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 そうです。いまのところ、地域医療推進機構という病院の管理運営ということが主になる法人が今後できることになると思うのですが、それができた際には、いわゆるいまの年金部会のままでいいかどうか、厚生労働省でいうと、NC部会とか国病部会という病院の運営を専門に扱っている部会がありますので、そちらに移すほうがいいのかというような話は出てくるとは思いますが、いまのRFOの評価に関しては、まだ年金部会のままで行っていただきたいと考えています。

○山口部会長
 ほかに、ご質問等はよろしいでしょうか。それでは、本日の議事は以上となります。次回の開催等について、事務局からご案内をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回は8月5日(金)の13時からです。場所は省内の専用第21会議室を予定しています。議題は、年金積立金管理運用独立行政法人の個別評価等となっています。

○山口部会長
 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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