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2011年8月16日 独立行政法人評価委員会労働部会(第69回)議事録

○日時

平成23年8月16日(火)13:00~16:30


○場所

専用第23会議室


○出席者

   今村部会長、宮本部会長代理、加藤委員、松尾委員、伊丹委員、川端委員


○議事

(以下、議事録)
 
○今村部会長
 ただいまより、第69回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 本日は高田委員、中野委員、本寺委員が欠席となっています。それでは、はじめに事務局から本日の議事について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日の議事についてですが、労働者健康福祉機構、労働政策研究・研修機構につきまして、それぞれ平成22年度の業務実績に関する総合評価及び財務諸表の承認に係る意見について、加えまして、労働者健康福祉機構につきましては、役員の退職に係る業績勘案について、長期借入金に係る報告、また重要な財産の処分についてご審議いただく予定となっています。さらに、労働政策研究・研修機構につきましては、暫定評価及び見直し当初案についてご審議いただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

○今村部会長
 それでは、初めに労働者健康福祉機構について審議いたします。まず最初に、財務諸表に関する意見について審議に入ります。加藤委員からご説明をお願いします。

○加藤委員
 労働者健康福祉機構の財務諸表の適正性につきまして意見を申し上げます。労働者健康福祉機構に対し、財務諸表全般について、特に私が必要と考える個別の会計処理などについて質疑を行い、その妥当性を確認させていただきました。
 総資産が4,614億円です。総負債が3,060億円です。純資産が1,555億円という内訳になっています。さらに、総資産額の内訳を申し上げますと、預金等の流動資産が1,610億円ございます。預金が580億円ほど、それ以外に医業の未収金が430億円、有価証券が577億円ほどございます。固定資産は約3,000億円ほどあり、ほとんどが建物ないしは土地で占められているという構成になっております。総負債の3,060億円のうち、ほとんどというか、大きな金額が退職給付引当金、2,130億円という構成でございます。
 損益計算書上の数字について概略説明しますと、経常収益が約3,048億円ほど、経常費用が3,032億円ほどとなっており、臨時損失が固定資産除売却損などで約2億円ほど計上されています。その結果、当期利益は、14億5千万円ほどとなっています。これが財務内容の概要です。
 この財務内容につきまして、私から労働者健康福祉機構に対し、各勘定科目の増減の説明あるいは勘定分析、さらには注記事項の内容の確認、会計方針の確認、そして附属明細書の記載内容についての質疑応答などの手続きを行わせていただきました。また、会計監査人であります有限責任あずさ監査法人が実施しました監査の方法、及び概要に関し、同監査法人から労働者健康福祉機構に対してご提出がなされております「監査の実施報告書」の内容を検討しております。あずさ監査法人の「監査実施報告書」において、監査の過程で「内部統制が適切に運用されているということを確認している」と、その旨の記述があることも私が確認しております。また、東日本大震災での被災を受けた建物などにつきましても、実態に即した会計処理が適切になされているという確認も行っております。
 会計監査人の監査の結果は、「財務諸表が適正に表示している」旨の意見の表明がなされています。以上から判断させていただき、私は労働者健康福祉機構の平成22年度の財務諸表は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると考えます。
 併せて若干のコメントを付け加えさせていただきます。労働者健康福祉機構の平成22年度におきましては、経費等の削減努力によって、独法化以来初めての当期利益約14億円を計上しています。他方、累積欠損金が約350億円ほどになっており、平成28年度までに累積繰越欠損金の解消を目指すことが目標とされています。
 具体的には、患者数の確保ですとか、有料室の効率的運用、あるいは医療諸費の削減、業務経費の削減、給与カーブのフラット化などによる経費の削減といったことが、繰越欠損金の解消に向けた取組として実施が予定されていると伺っています。引続き、医療の推進に支障のない範囲で効率的な運営、経費の削減にご努力いただきたいと考えています。
 また、大変細かいことですけれども、財務諸表の附属明細書の中に貸付金等に対する貸倒引当金の明細がございます。医業未収金の貸倒引当金の計上について、さらに債務者の属性に応じた債権分類ルールの一層の精緻化に向けた検討なども行ってはどうか。さらにわかりやすい財務諸表になるというように私は認識していますので、この点だけ最後にコメントを付け加えさせていただきます。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。ただいま報告をいただきました労働者健康福祉機構の財務諸表について、ご意見等ありましたらお願いします。これに関しては、配付されている資料は1-1だけですね。いかがでしょうか。加藤委員のご説明でよろしいでしょうか。
(了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。それでは、平成22年度の財務諸表に関する意見としては資料1-1の案のとおりで、修正意見はないようですのでこれを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますがよろしいでしょうか。
(了承)

○今村部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に労働者健康福祉機構の総合評価について審議いたします。起草委員を代表し、松尾委員からご報告をお願いします。なお、報告時間は概ね10分程度でお願いします。

○松尾委員
 ご報告申し上げます。資料1-2をご覧になりながらお聞きいただければと思います。
 まず、1頁目をご覧ください。1.のところ、(1)、評価の視点、これが第2期中期目標期間2年度目である平成22年度の業務実績の評価を行うということを明確にしております。また、この評価をするに当たって基づいた視点、あるいは評価基準といったものをここに書かせていただいています。
 (2)は平成22年度業務実績全般の評価です。この第1段落目では、中期目標で定められております、労働者健康福祉機構に求められる業務の内容等について一応定義をし、第2段落目の「平成22年度の業務運営に関しては」というところから業務実績全般の評価を書かせていただいています。
 ここから次の頁の2.のちょっと前までが全般的な評価となります。ここでは労災病院事業における急性期に対応した高度・専門的医療の提供、あるいは地域医療支援、あるいは労災疾病の研究事業等で着実に成果を上げていることに加え、さらに国内のみならず、アジア諸国に対するこういった活動の普及指導により、国際貢献といった積極的な取組が認められることを記載させていただいています。
 また、産業保健推進センター事業では、産業医等に対する専門的な研修・相談等の積極的な取組等により、実績が過去最高になっていることを評価させていただいています。
 未払賃金立替払事業の支払処理の迅速化にも言及しておりますし、平成23年3月には東日本大震災が起こりましたが、発生直後から被災地への医療チームの派遣など、地域貢献にも非常に尽力していただいているということを書かせていただいています。
 業務運営の効率化、あるいは収支改善に向けた取組については2頁目のいちばん最初の段落から書かせていただいています。全般的には本部のガバナンスにより、医療機器の購入、コンサルタントの活用等による調達コストの削減、あるいは給与カーブの見直し等を行う一方で、平成22年度に診療報酬改定が行われましたけれども、これに対する的確な対応、上位施設基準の取得、あるいは平均在院日数の短縮、救急対応の充実等々により医業収入が確保されており、独法化後、初めて当期利益を確保したということを評価しております。
 これら取組全般につきましては、機構の設立目的に沿い、適正に業務運営が行われているということであります。平成22年度の計画に対しては、着実にその目標を達成したものと評価させていただいています。今後もさらに積極的な取組を期待したいということでございます。個別項目につきましては、以下ご説明をいたしますが、その評価結果については別紙が配られているかと思います。これは集計票になります。併せてご覧いただければと思います。
 具体的な個別の評価内容について、全部を説明いたしますと10分ではとても足りませんので、かい摘まんで申し上げたいと思います。この評価につきましては2頁目から6頁目まで、2.のところで書かせていただいています。まず、2頁の(1)のところですが、業務運営の効率化につきましては、ここに記載してありますとおり、「中期計画に沿って着実な成果を上げたと言える」というように書いてございます。
 また、財務内容の改善その他、業務運営に関する重要事項等の項については6頁の上のほう、(3)というところがございます。これは先ほど財務のところでもご報告がありましたように、平成22年度の損益で労災病院が13億円の当期利益を確保したということで、その繰越欠損金解消に向けて取り組んでいるということも、頁は飛んでいますがここに書いております。
 3頁に戻っていただきまして、「労災疾病等に係る研究開発の推進等」ということでございます。これにつきましては、労災病院の特徴を活かした研究開発・普及を進めておられるのですが、特にアスベスト関連疾患、粉じん等による呼吸器疾患に関する診断、その治療法については、アジア諸国にも十分貢献し、注目されています。国内、国外ともに貢献をしているということを高く評価しています。
 今後、患者がさらに増加することが予測されているわけですが、一層高度な研究開発を進めておられるということで、より一層積極的な取組を期待したいと記載しています。
 さらに、こういったアスベスト、粉じんだけでなく、生活習慣病やうつ病といった病気も非常に大きな問題になっています。治療と就業の両立支援にかかわるプロジェクトに取り組んでいることが評価できると記載させていただいています。
 いちばん下、?の勤労者医療の中核的役割の推進、特に勤労者医療の地域支援の推進を4頁に書いています。4頁のイをご覧ください。これにつきましては、地域の医療機関に対してニーズ調査を行い、その結果を踏まえてさまざまな方法で取り組んだ結果、具体的な実績が上がっています。患者紹介率・逆紹介率、あるいは症例検討会・講習会の参加人数等々、すべて目標を達成しているということです。また、特筆すべきこととして、地域医療支援病院についても新たに2施設の承認を獲得するなど、着実にその成果を上げているということでございます。東日本大震災への対応は先ほど申し上げたとおりでございます。
 5頁の?、「産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供推進」についてということでございます。産業保健推進センターでは、産業医等の産業保健関係者に対する実践的で、かつ専門的な研修・相談の充実、あるいは産業保健関係情報の提供・普及に取り組んでいます。また、その回数、あるいは相談件数、ホームページへのアクセス件数については、予め設定した目標を大幅に上回る過去最高の実績を確保しているということです。さらに、ここでも東日本大震災の対応として被災労働者、あるいはその家族等、被災者等からの電話相談窓口を開設するなど、社会的なニーズにも応えているということで高く評価できるということが記載されています。
 なお、メンタルヘルス関係については社会的なニーズがかなり爆発的に増加しているということですので、この方面の取組を一層強化していただくことを期待することを書かせていただいています。
 6頁をご覧ください。これは評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等が示されています。これに対する対応についてということで6頁から書かせていただいています。
 7頁?、アのところ、「実物資産」というところですけれども、昨年度の当委員会において、既に廃止した北海道と広島の両リハビリテーション作業所については未だ売却処分に至っていない等のことは、「早期に処分を完了させることを期待する」といったことを指摘した点については一応対処されているということですが、「未だ売却に至っていない恵那荘等については関係自治体の買受勧奨、あるいは不動産媒介業者あっせん等、今後種々の工夫を凝らしながら早期の売却を期待する」というように書かせていただいています。
 同じ頁のいちばん下、?のところですが、「組織体制・人件費管理について」ということです。前年度のラスパイレス指数と比べて、事務・技術職については0.3ポイント上昇しております。その理由として、平成22年度人事院勧告により、国は年間約1.5%引下げとなる期末勤勉手当月数の削減、あるいは俸給月額の引下げ等、給与改定を実施したことに対して、機構では平成22年度に期末勤勉手当の支給月数を国と同様に引き下げて、給与カーブのフラット化を目的とした改定を実施されています。ただ、給与カーブのフラット化については、経過措置等により現給保障を実施したためにこのような結果になったものと分析をさせていただきました。
 1段落目の真ん中にありますが、病院の看護師は、平成22年度から国立高度専門医療研究センターが独法化したということで、比較対象である国の年間給与額は全年齢層において大幅に下がったことも要因と考えられます。病院医師のラスパイレス指数は逆に0.2ポイント下がっています。これは管理職員に対する職務手当の支給対象者の割合が若干下がったことによる、というように分析をしております。いずれの職種も、国と比べて給与水準が高くなっていますが、給与体系における年功的要素が強いということがあります。平成22年度に給与カーブのフラット化を目的とした給与改定を実施していますが、一層の適正化を期待したいというように書かせていただいています。
 8頁のイのところ、「総人件費改革の進捗状況」については、平成17年度の1,017億円から1,072億円、5.4%増となっています。これは政策的にはアスベスト対策と、それから医師、看護師の必要な体制を確保するためのものであり、この人件費の増加はやむを得ないものであると思われます。逆に今後、安定的なミッションの達成、あるいは病院経営を安定化させるためには、医療職の人材の確保をより積極的に行っていって、ミッションの達成と経営の健全化を両立させることが望ましいというように書かせていただいています。
 9頁をご覧ください。最後のところ、「内部統制」です。これにつきましては、バランススコアカードによるPDCAサイクル・マネジメントを実施しておられます。また、モニタリングについても上半期、下半期と評価を実施しています。また、機構本部における経営改善推進会議、あるいは施設別病院協議において理事長自ら、積極的な助言指導等を個々に行っているという点も評価できるところでございます。
 なお、この前、ご意見をいただきましたBSCの作成については、リスクマネジメントの観点からの評価にも今後十分留意いただきたいということを書かせていただいています。駆け足になりましたが以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。なお、法人から、平成22年度の業績評価に関して補足説明がありましたらお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長
 補足説明の機会を与えていただき、どうもありがとうございます。当機構に対する16の評価項目の中で「行政機関等への貢献」という項目があります。この項目について、若干の補足説明をさせていただきたいと思います。
 先日、7月28日の評価委員会において、労災認定にかかわる意見書件数が全国でどれほどあって、労災病院がその中でどの程度の割合を占めているかというご質問がありました。これについてご説明したいと思います。
 労災認定にかかわる意見書の依頼件数ですが、平成21年度では全国で5万2,212件でした。この中で労災病院への依頼件数は3,292件です。割合にすると、労災病院が全体の6.3%を占めております。
 さらに、労災認定にかかわる意見書だけでは判断が難しいケースがございまして、この場合は労災にかかわる鑑別診断を求められる場合があります。例えば、労働中にめまいを起こして倒れてけがをした。肩とか膝とか、外傷部については治ゆと判断されるケース、その後外傷部に強い痛みが残って、めまいも持続しているという事案ですと非常に難しいということになります。このような事案では、単一の診療科だけでは労災認定にかかわる診断が非常に難しい。めまいに関しては耳鼻科、あるいは神経内科、脳神経外科などが関与してきますし、外傷部の強い痛み、持続性疼痛に関しては麻酔科、整形外科、皮膚科、リハビリテーション科、さらには精神科などの連携が必要となってきます。
 このような鑑別診断の依頼件数は、平成21年度で全国で531件ございました。この中で労災病院への依頼件数が105件、割合にすると労災病院が全体の19.8%、約20%を占めている状況であります。
 ちなみに、全国の「労災指定医療機関」と言われる医療機関が3万強ありますので、全国の労災指定医療機関と比較しますと労災病院数の割合は約0.1%ということになります。すなわち、意見書作成については、労災指定医療機関の約60倍の働きをしている。それから、鑑別診断についてはさらに多くの働きをしているということが言えると思います。
 次に、労災意見書等の作成期間の短縮に向けて、事務補助要員の確保を行っているかというご質問がありましたので、これについてご説明いたします。医師の業務軽減を図るために事務補助要員の確保を進めております。具体的には、平成20年度では労災病院の中で14施設、合計108名でした。平成21年度では28施設に増えて、合計182名でした。平成22年度ではさらに30施設という数字で、合計278名の事務補助要員の確保を進めております。そして診断書等の作成補助、各種台帳入力業務、学会等資料作成補助がこれら事務補助要員によって行われています。このような体制で医師の業務軽減につながっていますので、今後も引続き、事務補助要員の確保を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、今回の震災における医療チーム派遣に伴う、病院の収益面へのインパクトはいかほどかというご質問がございました。これにつきまして簡単にご説明いたします。3月11日の震災発生より6月13日までの間、医師54名を26病院より被災地へ派遣しております。医師の実働延日数が260日となります。この派遣に伴う運営費交付金による病院収入への補てんはありませんで、26病院全体で医師のみで試算をしますと約9,000万円の収入を逸失していることになります。また、これに加えて、医療チーム派遣にかかわる旅費、あるいは医薬品等の経費もございます。
 なお、平成23年度の話で恐縮ですが、5月29日から東電福島第一原発における作業員の健康管理対応として、福島第一原発に全国の労災病院の医師を継続的に派遣しており、これは現在も続いております。補足説明は以上です。ありがとうございます。

○今村部会長
 では、ただいまご報告いただきました総合評価(案)について、ご意見等がございましたら、お願いいたします。細かな字句等修正でも構いませんので、どうぞ。

○川端委員
 大変な努力をされていることはわかるのですが、7頁と8頁に関して?のところのラスパイレスなんですが、年功的傾向の強い給料体系となっている説明があるのです。医師が107.3、看護師が109.8というのは、ほかの独法と比べると圧倒的に高いのですよね。大体もう100に近づきつつあるというのが一般的でしてね。それで8頁の真ん中少し、イの上のところ、「一層の給与水準の適正化を期待する」はちょっと弱いのではないかという気がするのですが、もう少しほかの独法、元々その給料が高いのはいけないというのではないのですが、独法の性格、立場というものを考えたときに、これはかなり問題があると思いますので、もう少し強めた表現にしていただければと思うのですが、いかがでしょうか。


 


 

○今村部会長
 松尾先生、もし何かありましたら。いまのは8頁の上から。

○川端委員
 イの項目の2行目上の最後のほうですね。「一層の給与水準の適正化を期待する」という。

○今村部会長
 すぐ上ですね。イ 総人件費改革の進捗状況のすぐ上の文ですね。

○松尾委員
 私も医師の立場でどうするかというのは悩んだところなのですが、まず、給与水準を医療職と、その他の職種と全部一緒にしていいのかという議論が前にもあり、ここの給与水準の適正化を期待する、一層の適正化を期待するということの中には、そういった意味も込めた上での記述であると考えています。ただし、給与水準を適正化するときには、先ほどちょっと理事長もおっしゃいましたが、医療職を補佐するようなそういった職種もかなり増やして、医療職は過重労働になっていますから、そこのところをしっかり見ていただかないとモチベーションが下がって、却って業績を落とすようなことになりかねないということです。一言で書いてあるのですが、そういう意味では少し説明を加えたほうがいいのかもしれません。

○川端委員
 医師が107.3、看護師が109.8。ほかの独法では大体高くても102とか、100前後に急速に落としているのですよね。だから、先生たちお医者さんは頑張っているから、それは社会的にいけないかと、または、お医者さん給料落としていけないかって、そんなことはないんで。独法の立場というとこから見れば、これはやはりちょっと国民の納得の得にくい部分であるのではないかと思います。だから、それをどうこうせよと言うより、少なくてももう少し強めの表現でね。

○今村部会長
 この点に関して、独法から何か数字の上での説明補足等もしありましたら、いかがでしょう。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 行政のほうから事実関係だけ申し上げますと、国立病院機構との比較で申し上げますと、医師は国立病院機構よりラスパイレスが低くて、看護師のほうは国立病院機構より高いという事実関係でございます。

○川端委員
 低いのですか。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 低いです、医師は国立病院機構より低くなっております。

○川端委員
 では、どうして、ラスパイレスが大体そこは100になるわけでしょう。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 医師につきましては、むしろ松尾先生に補足していただいたほうがいいと思うのですけれど、急激に医師不足の中で民間の給与が動いたということと、元々国直営だったものを外に出して、国直営の病院に適用されているのがハンセン病療養所のもう2つか3つの病院しか残っておらなくて、国の医師の給与というのはそのハンセン病療養所の医師の俸給表ということになっていて、それと比較しているという問題もございます。私からどうしたらいいということを行政のほうに申し上げることはできないのですけれども、事実関係からだけ言えば、そういうことでございます。私どもは国立病院機構と比較してどのように考えるかということで、普段はものを考えているというところでございます。

○川端委員
 それでは、どこかに参考として国立病院機構はいくらで書いていると入れておけば、これを公開されますよね、そうすると国民から、納得性が出るのではないかという気がするのです。

○今村部会長
 労災管理課長、その国立病院機構の対公務員指数、ラスパイレスはどのぐらいですか、参考までにもし数字があれば。

○労働者健康福祉機構職員部長
 国立病院機構のほうは医師が110.9になっています。看護師のほうは98.3となっています。

○川端委員
 98、そうですか。では、アの経営水準の状況のところの、国と比べて給与水準が高くなっているというところの後に、括弧書きか、あるいは「なお」でもいいのですが、国立病院機構はこうだよということを書いといていただければ、そうすると国民が見たときに、そんな違和感を感じない。だけど、看護師さんがちょっときついですね。

○今村部会長
 これについて何か説明はございますか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 看護師のほうは、先ほどもありましたように中高年齢層について従来から年功部分が高いということがあり、それについて機構としても問題意識を感じており、昨年7月にその部分について最高5%の削減を行ったところです。まだまだこれで十分とは言い切れないのですけれども、そういう問題意識のもとでやってきているという状況でございます。

○今村部会長
 看護師に関しては若年層の給与水準は十分低いというか、それほど高くはないけれども、中高年層に関して看護師さんは賃金カーブがちょっと急過ぎてということでしたね。

○労働者健康福祉機構職員部長
 右肩上がりの体系になっております。昨年7月の改定のときには、若い層が国立病院機構等と比較して若干低い水準にありましたので、それを底上げをするとともに、中高年齢層の年功部分はかなり削減をするという見直しを行っております。

○今村部会長
 いかがでしょうか。川端委員、もし、何かこう書いたらいいだろうというご提案がありましたら。

○川端委員
 ですから、先ほどの国立病院機構をどこかに参考に入れておけば、それでもう十分だろうと思うのですけれどね。

○今村部会長
 医師に関してはそうですね。
 看護師に関してはいかがでしょうか。、「給与カーブのフラット化を目的とした給与改定を実施したものの」と8頁の2行目以降書いてございますが、これは看護師に関しても該当する記述ということですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 はい。

○今村部会長
 先生、「ものの」という後で「給与カーブのフラット化については経過措置による現給保障を実施したためと考えられる」とありますので、どうなんでしょうね、川端委員。ここ、フラット化がまだ途中という意味に受け取れるように書けばよろしいのでしょうか。

○川端委員
 いや、というよりも、フラット化、そういうプロセスの中にあるのでしょうが、これが「一層の給与水準の適正化」と言ったときに、この107というのがいきなりぽんと唐突に出れば、これは誰が見てもびっくりするから、だから、例えば「病院医師107.3」、そのぐらいに書くとして、あるいはどこかにそこに括弧して、参考までに国立病院機構はこうとか、「なお」とか、そういうものをちょっと参考として入れておけば、そしたら、それはそうだろう、お医者さん高くていいじゃないかという気にはなるのですけれどね。この数字が一人歩きしたら、ちょっと辛いですね。

○今村部会長
 これ、看護師さんの年齢構成の比較みたいなの、出ますかね。

○労働者健康福祉機構職員部長
 国立病院との比較でしょうか。

○今村部会長
 そうですね。たぶん比較は国立病院との比較が適正だと思います。

○労働者健康福祉機構職員部長
 平均年齢は出ているのですけれども、年齢構成はいま手元にはありません。

○今村部会長
 これは、全くの修正なしの平均値のラスパイレスですか。年齢構成修正済みとか、そういった若干の修正手法はあるかと思います、学歴とか、それから居住地、勤務地ですか、3種類ぐらいあったかと思いますが。

○労働者健康福祉機構職員部長
 はい。先ほど申し上げましたのは、看護師の年齢勘案でして、私どもが109.8ですが、国立病院は98.3です。他に地域勘案と、学歴勘案というものがございますが、地域勘案ですと、国立病院が98.4で、私どもは109.5です。学歴勘案ですと、国立病院が97.3で、私どもは108.8と、若干縮まる部分もあるのですけれども、開きはあります。

○今村部会長
 確認ですが、この看護師109.8という、本文中にある数字は、これは年齢勘案のラスパイレスということですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 そうです。

○川端委員 
 いや、ラスパイレスは元々そういうの入っている、本来は。

○今村部会長
 もちろんそうですけど、つまり賃金カーブの修正効果があまり表われないということなのですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 先ほどからお話しておりますが、昨年7月に行った給与改定では、私どもが現給保障しておりますので、賃金カーブの修正効果がでておりません。一方で国のほうは既に下がっておりますので、ラスパイレスが高い状況になっております。今後現給保障をしている者が徐々に少なくなってまいりますので、ラスパイレスは下がってくるということになろうかと思います。

○今村部会長
 いかがでしょうか、川端委員。川端委員のご提案は、比較の基準を明記して入れるべきだというご提案です。

○伊丹委員
 確認ですが、そうすると目標はラスパイレス指数としては、目標としてどの程度の数値を目指して、いまその途中だというふうに理解したらよろしいでしょうか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 あくまでもこのラスパイレスは国との比較なんですけれども、先ほどもお話がありましたように、従来は国立病院もこの国の中に入っておりましたけれども、そこから国立病院が抜けて、ナショナルセンターが抜けて、いま国のほうは対象数としては少なくなっております。一方で、施設数の多い国立病院が別になっておりますので、1つの指標としては国立病院もあるかと思います。それと、当機構の状況も勘案して、検討していかなければならないと考えています。

○川端委員
 元々あれなのですね、基本は独法は100にしなさいと。医師の場合は特殊事情があるから、だからここで国立病院機構のほうを参考に入れておけば、それはそれで、ある程度納得できるということになるのではないかと思うのですけどね。そうしないと、普通の人が見たときわからないから、これオープンになったときに、この100は一体何事だということになってしまう。

○今村部会長
 先ほどから川端委員がご指摘されている、8頁のイのすぐ上ですね、「一層の給与水準の適正化を期待する」というのが、ラスパイレスを100にすると読めるかどうかということになるかと思いますが。
 先ほどから川端委員は、ここのところをもう少し強く書くようにというご指摘だった。

○川端委員
 いや、そのときは国立病院機構のラスパイレスを知らなかったものですからね。だから、もちろんこの表現は看護師さんについても当たりますから、これはこれで、仮にこのままにしたとしても、どこかに国立病院機構の、ただ看護師さんの関係ですと難しいですけど、入れておくと、それなりに納得できる。そうでないと、107、例えばこの当委員会が107というのを承認したのか みたいなことになりかねないのでね。これはちょっとまずいなと。どういう言い方がいいのか難しいですね。

○松尾委員
 これ、事務と技術職員は一緒に書いてあるのですが、大体、事務・技術職員って一緒なのですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 元々のラスパイレスの区分けがそういう区分けになっているものですから、こちらから出しているデータも一緒のもので出しております。

○今村部会長
 そこの4行のところには、随分国と比べて給与水準が高くなっているのはということで、低年齢層の平均給与は国を下回っているけれども、中高年層の平均給与額は国を上回って、年功的傾向の強い給与体系となっていることが大きな要因であると。年功的要因に対して、給与カーブのフラット化を目的とした給与改定を実施したところであるがと、受けているわけですね。さらに、一層の給与水準の適正化を期待するというところが、少し弱いかどうかということですね。ここ、ちょっと手を加える必要があるかどうかが1つのポイントかと思いますが。

○松尾委員
 例えば、22年なのですが、23年というのはどの程度のこの是正が期待されるのですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 いまのところ予想では、23年度は事務・技術職員だと101.3ぐらいになるのではないかと考えております。医師の場合は106.4ぐらい、看護師の場合は109.1ぐらいになり、これも年々下がってくるという予測を立てております。

○今村部会長
 質問ですけれども、年功要素が高いということは、中高年層が退職していくにしたがって看護師に関してはかなり急激なラスパイレスの改善が期待できるかと思うのですが、その割には、いまおっしゃった109.1というのは意外に効果が少ないかなという印象があるのですが、その辺の今後中期的な見通しというのはいかがなのでしょうか。つまり、賃金カーブはこのままであって、高いところが退職していけばかなり急速に改善するという見込みが立って然るべきかと思うのですが。

○労働者健康福祉機構職員部長
 かなりの大人数が中高年齢層でやめて、新人が入ってくれば別なのですが、なかなかそういう状況にはなっておりません。大体若い層が3年ぐらいでかなりやめていくというような傾向もありますので、中高年齢層がまとまってやめるというような状況にはなっておりません。したがってなかなか急激に変わるという事態は難しいのではないかと思います。

○川端委員
 ですから7頁の「給与水準が高くなっている」というところの後ろに、なお、国立病院機構は医師いくら、看護師いくらとか、正直に括弧書きでも書いて、それで。事実ですからね、書いて。そして8頁のほうでは、一層の給与水準の適正化とやれば、うまくつながると思うのですけどね。

○今村部会長
 ほかの委員の方、いかがですか、いまの記述について。

○川端委員
 もう正直に書くと。そうすると医師はそんなに批判こないけど、看護師さんはもうちょっとちゃんとやりなさいよという意見は出てくると思いますね。

○今村部会長
 いままでの議論をまとめますと、7頁の下から5行目のところ、事務・技術職ももちろん含めて国立病院機構の比較する数字を括弧の中に入れると。入れていただいて、では原文8頁の、イ 総人件費改革の進捗状況のすぐ上のところは現状のままで、一層の給与水準の適正化を期待するということで、よろしいでしょうか。では、そこの記述はそういうことで引き取らせていただいてよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 ほかに何かご意見がありましたら、どうぞ。
 それでは、それ以降、修正意見がないようですので、平成22年度の業務実績の評価結果として法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。
なお、このあと、修正事項について一応確認させていただきます。もう一度念のためですが、7頁の下から5行目、「事務・技術職102.0、病院医師107.3、病院看護師109.8」のところに、それぞれ括弧書きで、記述方法については事務局と相談してお任せいただきたいと思いますが、国立病院機構の比較水準のラスパイレスを入れて、はっきりと明示するということ。そして8頁のイのすぐ上のところも、一層の給与水準の適正のところはこのままということで、確認させていただきます。
なお、このあと誤字脱字、事実誤認などに関する修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 お願いいたします。それでは最後に、名川理事長からコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長
 コメントではございませんが、一言御礼申し上げたいと思います。平成22年度業務実績につきましてご審議、ご審査、ご評価いただきまして誠にありがとうございます。その中で、大変貴重なご意見、それからご示唆をいただいたことに対しても心から御礼申し上げたいと思います。そういったご意見を基に今後さらに効率化を図るなど、全役職員、一丸となって頑張ってまいりたいと思います。これからもご指導をよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございます。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。
 では、現在までのご報告等を踏まえて、個別評定や評定理由の修正確定を行いたいと思います。修正に当たり、事務局から補足説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 修正方法等につきましてご説明をさせていただきます。まず、修正ですが、赤鉛筆でお願いいたします。評定理由の修正加筆もできますので、よろしくお願いします。また、修正をされた場合に修正箇所がわかりますように、付箋を付していただけますようお願いいたします。机上の個別項目に関する評価結果については、現時点でいただいている評定につきまして、Sを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点という形で点数化して、平均したものとなっております。なお、委員名欄については、ご自分のお名前のみしかわからないようになっており、その他の委員の評定結果欄は空欄となっておりますので、ご了承いただきますようお願いいたします。また、修正に当たり、これまでの個別評価にかかる資料をご覧になりたいという場合には、事務局に用意がありますので、お申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。続きまして、5分ほどの間に評定記入用紙の確認と、修正のほうをよろしくお願いいたします。以上です。

○今村部会長
 よろしくお願いいたします。5分ほどお待ちいたします。
(評定用紙記入中)

○今村部会長
 これをもって労働者健康福祉機構の平成22年度業務実績評価に関する意見をとりまとめいたします。先ほどと同じく、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更されたり、コメントが修正追加等された場合は、これらを反映された評価シートといたします。これら修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただき、場合によっては個別に各委員にご意見を賜ることとさせていただきます。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは次に、役員の退職に係る業務勘案率についての審議に入ります。まずは事務局から試算結果について説明をしてください。

○政策評価官室長補佐
 それでは、労働者健康福祉機構の理事長から独立行政法人評価委員会委員長宛てに、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がございました。独立行政法人の役員の退職金については、お手元の青い資料集の137頁ですが、平成15年12月19日の閣議決定において、在職期間に応じて算出した額に、0.0から2.0までの範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額となっており、評価委員会でこの業績勘案率についてご審議、決定していただくことになっております。
 今回、独立行政法人の役員の退職金にかかる業務勘案率の決定方法について、138頁に基づき事務局で業績の勘案率を試算しておりますので、まずこの結果についてご説明をして、続いて委員の皆様にご審議をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、ご審議いただいた後に、委員会として決定した数字につきましては、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会に通知をして、同委員会から意見があれば、また当部会で改めてご審議をいただくことになります。意見がない場合においては、部会長にご報告をして、最終決定いただく流れになっておりますので、ご了知おきください。
 具体的に、資料の1-3に沿ってご説明をさせていただきます。今回、退職された役員の方は1名、在職期間が平成19年4月1日から平成23年3月31日まで丸4年となっております。業績勘案率の算定については、先ほどご紹介した評価委員会として定められた方法に従って、具体的な計算を行います。まず 最初に、役員の方が在職されていた期間のそれぞれの法人の年度評価をもとに数値化していきます。今回対象の理事については、平成19年度から平成22年度までの年度評価の評価結果について、委員の皆様につけていただいておりますSからDの評価を、Sを2.0、Aを1.5、Bを1.0、Cを0.5、Dを0.0として、平均値をとります。この平均値について、1.50~2.0の場合は1.5と置き替え、0.51~1.49の場合は1.0と置き替え、さらに0.0~0.50の場合は0.5に置き替えることになっております。この3つのパターンがあります、今回の具体的な話になりますと、2の(1)をご覧いただくと、22年度の平均値が、例えば1.53となっております。こちらは1.5、その他の平成19年度から21年度について、それぞれ平均値が1.47、1.33、1.31となっておりますので、対応する率として1.0という数字になっております。
 これに、在任期間中に対応する率を掛けて、2の(3)の具体的な計算式になります。こちらで1.125という形に数字が出てきます。今回のケースについては(4)(5)にありますが、目的積立金を特に積んでいない、さらに(5)になりますが、職責事項についても、機構から特に申請はなかったことになりますので、最終的には事務局として(6)1.0としている状況でございます。以上です。

○今村部会長
 続いて、説明のありました退職役員について、在任期間中の理事の担当職務等について法人から簡単に説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長補佐
 理事長補佐兼総務部長の小山です。矢野直敏理事の担当職務についてご説明いたします。在職期間は平成19年4月1日から23年3月31日までの4年間です。この間、職員部、賃金援護部、営繕部を指揮監督しております。具体的には健康保険組合の保険料の労使折半を実施する、あるいは未払賃金立替払事業における支払日数の短縮化、労災リハビリテーション作業所の段階的な廃止、労災病院の施設整備の推進など、極めて重要な職務を果たしたということでございます。以上です。

○今村部会長
 ご質問等ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、申請のあった業績勘案率については原案のとおり、1.0と決定することでよろしいでしょうか。
(承認)

○今村部会長
 どうもありがとうございます。なお、先ほど事務局から説明がありましたとおり、決定した業績勘案率について政・独委に通知し、意見の有無の確認を行います。政・独委から意見のない旨、当委員会に通知された後は、この1.0を当委員会の最終決定として、労働者健康福祉機構理事長に通知することといたします。
 次に、長期借入金計画の実績の報告をいただきます。まず事務局から説明し、続いて法人から説明をお願いいたします。

○政策統括官室長補佐
 資料1-4に移りたいと思います。こちらの後ろに、参考ということで労働部会、第8回のときの了承事項のペーパーが付いておりますが、ご参考にしていただければと思います。本部会における労働者健康福祉機構及び雇用・能力開発機構の長期借入金の計画等に係る意見のとり扱いについて、まとめたものです。
 まず、年度を通じて債券の発行及び長期の借入金計画についてはあらかじめ部会の了承をいただくこととしておりますが、当該計画に基づく債券発行または長期借入金の個別の認可については部会長一任としており、直近の部会において事後に報告をさせていただくことになっております。これに則り、平成22年度の長期の借入金計画については、既に昨年2月に了承されております。さらに、続きまして平成23年度の長期借入金計画につきましては、本年3月にご了解をいただいているということで、本日はこの計画に基づく平成23年3月と、あと5月の長期借入金の実績についてご報告をいただきたいと思います。以上です。

○今村部会長
 法人から、まず実績の報告をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長の鮫島でございます。資料の1-4により、当機構の長期借入金の実績についてご説明を申し上げます。平成22年度の第4四半期分、平成23年3月の借入実績についてです。この借入についてはこれまでもご説明申し上げているとおり、当機構が独法化する以前の労働福祉事業団が行っていた労働安全衛生融資、この制度については資金的な問題により労働災害の防止措置を十分に果たせない中小企業に対して事業者が行う労働災害防止の基盤、職場環境を整備するための資金を融資するものでしたが、既に制度自体は廃止されております。現在は、残存する貸付債権の管理・回収業務と、財政投融資資金からの借入資金の償還業務を行っております。この融資のための原資として、財政投融資資金から借入れておりました資金の償還のために必要な資金について、民間金融機関から長期借入れを行うものです。
 この長期借入れを行う理由については、平成6年まで借入れておりました財政投融資資金の償還の期間が15年、一方労働安全衛生融資を行った中小事業主からの償還の期間が最長20年のため財政投融資資金への償還と、中小事業主への貸付債権の回収との間にタイムラグが生じることによる財政投融資資金の償還金の不足金に当てるために民間金融機関から資金の借入れを行うこととしているものです。平成22年度の長期借入金計画に関しては、先ほどのご説明のように、平成22年2月10日の第57回労働部会において既にご説明申し上げ、償還計画のご了承をいただいているところです。
 平成23年3月の借入実績については資料の上のほう、項目の1に記載しているとおりです。平成22年3月借入金の償還に伴う民間からの借換額9億983万5,000円となっております。この結果、項目の2に記載のとおり、平成22年度の長期借入金の実績については、表の右側のほうですが、30億1,538万4,000円です。これにより償還計画のご承認をいただいた33億1,327万7,000円の範囲内で対応できましたことをご報告いたします。
 次に、平成23年5月の借入実績についてご説明いたします。お手元の資料の裏面です。平成23年度の長期借入計画に関しては下のほうですが項目4に記載しているとおりです。平成23年3月10日の第65回労働部会において、年度計画の、全体について表の右側のとおり、27億3,134万9,000円で、既にご説明申し上げ、ご了承をいただいているところです。長期借入金の借入については、民間借入金の償還時期に合わせ、5月、9月及び3月の3回を計画しております。23年5月の借入実績については上のほう、項目の3に記載しているとおりです。平成22年5月借入金の償還に伴います民間からの借換額として3億8,403万9,000円借入を行っているところです。これにより、項目の4に記載しているとおり、既にご承認をいただいております平成23年度計画の範囲内で借入れを行っておりますことを、併せてご報告いたします。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ご質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは平成23年3月及び平成23年5月の長期借入金については当部会として、報告を承ったということにしたいと思います。
(承認)

○今村部会長
 次の議題ですが、重要な財産の処分についての審議に移ります。まずは、事務局からの説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 資料1-5に移りたいと思います。重要な財産の処分についてご説明をさせていただきます。不要財産以外の重要な財産を譲渡しようとするときには、独立行政法人通則法第48条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣の認可が必要とされ、同条第2項において厚生労働大臣が重要な財産の処分の認可をしようとするときは、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないこととされております。
 今回は、この規定に基づき、委員のご意見を伺うものとなります。なお、詳細については引き続き法人からご説明をさせていただきますので、よろしくお願いします。また、当該議事について、机上配付の資料にありますが、処分予定の不動産の鑑定評価額については一般競争の入札公告前ということで、現時点においては非公開とさせていただいております。したがいまして、委員の皆様におかれましては資料の取扱いについてご留意をいただくとともに、本日の審議の中で評価額自体を、そのものを発言いただくことについてはお控えいただきますようにお願いいたします。以上です。

○今村部会長
 処分を行う予定の財産について、法人より説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構経理部長
 それでは資料1-5により、機構の重要な財産処分について説明させていただきます。ご審議いただく案件については2件です。資料としては別添1、別添2のとおりです。九州労災病院門司メディカルセンター職員宿舎と、秋田労災病院駐車場用地の処分です。機構の第2期中期目標については、財産の項の欄に、業務の効率化に関する事項といたしまして、4.保有資産の見直しが記述されているところです。本件については、その目標及び中期計画に沿って行った見直し結果として、新たにご報告する案件です。両労災病院の当該資産については、当機構におきます保有資産の利用実態調査を実施した上で検討した結果となっています。
 別添資料をご覧ください。まず、別添1、九州労災病院門司メディカルセンター職員宿舎について説明させていただきます。土地については381.34?、建物は332.01?で、1棟6戸分の物件です。裏面ですが、いちばん下に処分理由と記載があります。本宿舎については建物の老朽化が著しく、調査時において入居者がないこと、今後も利用計画がないこと、固定資産税等の維持管理費も継続的に要するというようなことから、処分をすることで決定したものです。
 続いて別添2の秋田労災病院駐車場用地について説明させていただきます。土地について9,111.88?の物件です。同様に裏面ですが、4の処分の理由に記載のとおり、本駐車場用地については平成4年の病院の増改築による外来駐車場不足解消のために購入したものですが、その後の外来患者数の減少により、今後も利用計画がないこと、固定資産税等維持管理費も継続的に要するというようなことから、処分する決定としたものです。
 両物件の鑑定評価額について、九州労災病院門司メディカルセンター職員宿舎は、土地の更地価格と建物の価格を各々算出し、建物が老朽化しているため、当該解体費用を土地の更地価格から差し引いた価格となっています。また、秋田労災病院駐車場用地については建物はありませんので、土地の更地価格となっています。なお、鑑定評価額については契約の関係から非公開とさせていただいております。また、当該財産の売却収入については、中期計画にも記載していますように、医療の提供を確実に実施するため労災病院の増改築費用等への有効活用に努めることとしているところです。以上、2件の重要な財産処分に係る案件です。ご審議方、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ご質問等ありましたら、お願いいたします。

○伊丹委員
 ちょっと細かい質問ですが、九州労災病院門司メディカルセンターの職員宿舎の建物は老朽化が著しいということなのですが、いつ頃造られたか、何年何月に造られたものですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 昭和52年3月築ということでございます。ですから34年ほど経過しているというものでございます。

○伊丹委員
 大体鉄筋コンクリートの建屋については、その償却年数にも反映されているわけですが、昭和52年というと結構微妙な古さでして、もっと長く使えてもいいのではないかだとか議論があるので、本来的には処分することはもう決定された事項なので問題ないのですが、漠然と老朽化が著しいというところについては、いろいろ評価が分かれる可能性もあるので、念のため何年に造られた建物だということは記載して、なぜ老朽化が著しくなったのかというところもしっかり答えられるように本来しておくべきだと思います。これは処分の問題とは関係ないのですが、気になる点でありましたのでコメントさせていただきました。

○労働者健康福祉機構経理部長
 ありがとうございました。その点については今後きちっと処分理由についてご説明するようにしたいと思います。先ほども少しご説明いたしましたけれども、保有資産の利用実態調査というのを毎年実施してます。ですから、その調査時において入居者がいない、希望者がいれば当然老朽化したものについてそれをきちんと改修工事をやるのですが、改修工事についても相当な金額を要するということですので、その希望者がいるいないということを主体に、この件については今回処分すると決定したということです。ですから、当然希望者がいれば、改修費用を出してでも今後も継続して使用する方針でやっていこうということです。保有資産見直し関係については、毎年必ず実態調査をやりながら判断をしているということでございます。以上です。

○今村部会長
 ということは、この文章の中で、今後も使用するには高額な改修費用を生ずるということと、さらに今後の利用計画及び維持管理費等を極めて慎重に検討した結果というところに、いまの部長の説明が書いてあるという解釈でよろしいでしょうか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 はい。

○今村部会長
 いかがでしょうか。

○伊丹委員
 この件については文章を変える必要はないと思いますが、長く使えるようにどう維持メンテしてきたのかとか、あるいはここに及んで高額の修繕が必要になるということ自体がマネジメントの不足だという理解をしておかないと、世の中すべての建物が老朽化して、使う人がいないから壊さざるを得ないとか、再利用できないというロジックにつながるので、そういう意味では、ここの表現というのは企業の中でもまま議論になるところであります。あまり安易に使うといけないのかなという思いで、申し上げた次第です。

○労働者健康福祉機構経理部長
 ご指摘のとおりだと思います。安易に判断しているということでないことだけ、ご理解いただければと思います。よろしくお願いします。

○今村部会長
それ以外にご意見はございますか。

○加藤委員
 質問だけなのですが、九州労災病院門司メディカルセンターの案件で、この解体費用は見積りは何かとられていらっしゃるのでしょうかということと、あと不動産鑑定評価額について、特に特記事項は、両物件ともに特になかったということで、理解してよろしいのでしょうか。以上2点、お願いいたします。

○労働者健康福祉機構経理部長
 まず、鑑定についてですが、これについては1社ですが不動産鑑定をお願いして、適正に評価されたものです。特記事項は、特にございません。

○加藤委員
 解体費用につきましては簿価がそのままこの金額になっていらっしゃるのか、簿価プラス修繕費の見込ですとか、そういったご契約になっていらっしゃるのか。あるいは修繕費が多額にかかる場合には見積等、それをとられているのかどうか、そこら辺を教えてください。

○労働者健康福祉機構経理部長
 解体費用でございますけれども、これについても鑑定の中で評価された額ということでございます。

○加藤委員
 不動産鑑定士さんの作成された不動産鑑定評価額の中に記載されていると、そういう理解でよろしいですか。

○労働者健康福祉機構経理部長
 そうです。

○加藤委員
 はい、わかりました。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、本評価委員会としては本件について異存はないということを厚生労働大臣にお伝えいたします。法人におかれましては、厚生労働大臣の認可を受けた後は手続を進めていただきたいと思います。それでは、労働者健康福祉機構の審議案件は、以上です。
 ここで法人所管課の入替えを行いますので、皆様しばらくお待ちください。

○政策評価官室長補佐
 それでは5分ほど休憩をいただき、25分から始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(法人及び法人所管課入れ替え)

○今村部会長
 それではよろしいですか。では、次に「労働政策研究・研修機構」について審議いたします。財務諸表に関する意見について、加藤委員からご説明をお願いいたします。

○加藤委員 
 財務諸表の適正性等につきまして、意見を申し上げます。労働政策研究・研修機構に関しまして、財務諸表全般について、特に私が必要と考える個別の会計処理につきまして質疑を行い、その妥当性を確認させていただきました。
 まず、財務内容の概要を簡単に説明いたします。貸借対照表上で総資産額が約85億円、その内訳は、預金等の流動資産が約22億円、建物・土地等の固定資産が63億円、負債総額は約20億円、その主なものは流動負債に計上されております運営費交付金債務15億円となっております。純資産額は65億円。損益計算書につきましては、経常収益が23億9,000万円ほど、それに対して経常費用が23億7,000万円、臨時損失が固定資産除却損が約800万円計上されておりまして、これは、霞ヶ関事務所の撤去、除却損失とお聞きしております。従いまして、当期利益が1,300万円強という結果になっています。
 これらにつきまして、具体的に各勘定科目の増減の分析ですとか、あるいは勘定分析、各勘定科目の具体的内容についてのヒアリング、そして重要な会計方針につきまして確認をヒアリングでさせていただいております。さらに、注記の内容ですとか、付属明細書の記載の内容・方法等につきましてチェックをさせていただきました。
 なお、労働政策研究・研修機構の保有しておりました霞ヶ関事務所につきましても、昨年度の事業仕分け等の指摘等を踏まえて、平成22年度中に解約、退去がなされておりまして、それにつきましても実態に即した適切な会計処理がなされていると確認しております。
 平成22年度の当期利益が先ほど申し上げましたとおり約1,300万円となっておりまして、平成21年度の数字は600万円ということで、増益になっておりますが、これは主に一般競争入札の積極的な取組みなどの業務の効率化による経費の削減が要因になっていると認識することができます。
 また、内部統制の整備・運用状況につきましては、会計監査人である有限責任あずさ監査法人から、機構に対して、特に問題ない旨の説明があったということを、私が機構から伺っております。会計監査人であります有限責任あずさ監査法人の会計監査の結果は、財務諸表は適正に表示している旨の意見表明がなされております。
 以上から判断させていただきまして、私は労働政策研究・研修機構の平成22年度の財務諸表が適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると考えます。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。では、ただいまご報告いただきました労働政策研究・研修機構の財務諸表について、ご意見等がございましたらお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、平成22年度の財務諸表に関する意見としては、資料2-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これをとりまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)

○今村部会長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 では、次に労働政策研究・研修機構の総合評価について審議いたします。起草委員を代表して、川端委員からご報告をお願いいたします。なお、報告時間は、概ね10分程度でお願いいたします。

○川端委員
 資料2-2にJILPTの評価結果の案がございますのでご覧ください。まず、全体の報告の起草の案を、ポイントについて読み上げながらご説明させていただきます。
 最初の平成22年度業績評価について、総論部分の評価の視点の(1)の部分は省略いたしまして、(2)からです。機構の第2期中期目標は、厚労省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層包括的かつ効率的に実施する観点から、労働政策研究事業の重点化等を実施することとした。このため、機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するものになったかという視点が中心になります。
 評価結果全体を通しての講評ですが、以上のような視点から評価を行った結果、1頁下の3行目辺りから、平成22年度の業務実績については、中期目標・中期計画に沿った取組みが行われ、中期計画に掲げられた目標値の達成、利用者からの高い有益度及び満足度が確保されており、適正な業務運営が行われていると評価できる。
 2頁に移りまして、今後も、機構に課せられた使命を高いレベルで効率的に達成していくため、それぞれの業務のバランスを考慮しながら重点化を進め、業務間の連携を密にして業務運営を行っていくことが望ましい。
 2「具体的な評価内容」です。まず、中期目標・中期計画に沿った具体的な事業ごとの評価の概要を説明した後、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」をはじめとする関連閣議決定等に沿った項目ごとの評価について、ポイントを絞って読み上げながらご説明いたします。
 (1)「業務運営の効率化について」。さまざまな取組みの結果、平成23年度予算において、一般管理費、業務経費、人件費のいずれについても節減するとともに、中期計画における削減の目標値を達成しており、評価できる。
 (2)「国民向けサービス、その他業務の質の向上について」。?業務全般に関する措置について。経営会議において、毎月の業務実績報告や四半期ごとの内部評価を実施するとともに、総務省政・独委からの指摘事項についても適切に対応がなされている。外部有識者からなる総合評価諮問会議においても、年度計画の事前評価及び業務実績の事後評価を受けているほか、国民からの意見を募集し、各部門の業務改善に役立てている。これらの取組みによって、適切な事業進行管理等、質の高い業務運営が行われていると評価できる。
 ?労働政策研究。行政や国民各層のニーズに対応し、かつ政策立案に繋がるようなタイムリーなテーマを扱っており、また、喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する「緊急調査」を新設し、7テーマの調査を実施したことは高く評価できる。これらの取組みの結果、労働政策審議会をはじめ、首相官邸の雇用戦略対話等、他府省においても多くの成果物が利用されており、研究の質・量両面での労働政策の立案等に大いに寄与しているものとして評価できる。厚生労働省との連携については、同省各局の幹部と理事長をはじめとする機構役員等との意見交換の場である「ハイレベル会合」を開催するとともに、緊急調査の実施に合わせて、理事長と厚生労働省政策統括官との定期協議を新たに設けるなど、密接かつ十分な連携が図られており、評価できる。
 研究の実施体制については、任期付き研究員の育成や、研究員の業績評価制度の運用等、研究水準の向上のための取組みを実施した結果、研究員1人当たりの研究実績数は、4年連続で第1期中期目標期間平均の水準を上回り、外部評価においても中期計画の目標値を上回る評価を得るなど質・量ともに高い成果を上げている。
 ?労働行政担当職員その他の関係者に対する研修。研修コースの新設・科目の見直しによる研修内容の充実や、研究員の研修講師への参加やイブニングセッションの開催により、研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることは評価できる。
 次に?労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理。各種統計データについては、白書・審議会等での引用件数が中期計画の数値目標を大きく上回るなど、幅広く活用されている。今後も、高度成長下にあるアジア諸国やBRICsなどの情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理のあり方を工夫していくことを期待する。
 ?研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣。中期計画どおりに実施されており、労働政策研究や労働政策の推進に資するようになったことは評価できる。その一方、当委員会において、海外の研究者等との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引続き対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等のあり方について、対応していく必要がある。
 ?労働政策研究等の成果の普及・政策提言。労働政策フォーラムの開催等、さまざまな手段を通じて効果的に行われており、利用者の評価も高く、中期計画に掲げた目標以上の成果を上げており、評価できる。今後は、成果の普及等がさらに幅広い国民を対象に行われるよう、工夫がなされることを期待する。
 次に(3)「財務内容の改善等及び人事に関する計画について」。予算執行等については、一般競争入札等の積極的な導入等を推進するとともに、霞ヶ関事務所を廃止するなど、効率化に向けた取組みを積極的に実施し、中期計画における予算の削減目標を達成しており、評価できる。人事に関しては、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実現する一方、優秀な人材の確保・育成に向けた取組みを推進し、研究の質の確保を図っていることは評価できる。なお、人員の抑制が継続される中で、引続き職員の士気を維持し、活力を高めるための工夫をすることが望ましい。
 (4)「関連閣議決定及び評価の視点等への対応について」。最初の?を省略させていただいて、?保有資産の管理・運用等について、6頁の途中数行目からです。労働大学校の宿泊施設について、平成22年の政・独委意見において、利用率が低調である旨指摘を受けたところですが、これを踏まえ、労働行政職員以外を対象とした研修や東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活動のための宿泊への活用などの取組みを行っている点は評価できる。また、霞ヶ関事務所を平成22年12月限りで廃止したことは評価できる。
 それから、次の金融資産、知的財産等は省略させていただきまして、?人件費管理。給与水準は、国家公務員を100とした場合の機構職員の給与水準について、年齢差、地域差、学歴差を調整した後の指数が、事務職員については102.5、研究職員については98.0となっており、事務職員の俸給・手当の引下げ等の取組みにより、前年度と比べて改善がみられた。事務職員については、平成23年度には概ね100となるよう改善を図ることとしており、職員のモラル低下を来さぬようマネジメントに留意しつつ、目標実現に向けた努力を期待する。また、国と異なる諸手当については、平成22年4月より、国と同様の仕組みに見直したことは評価できる。法定外福利費についても、一部経過措置として存続させていた退職準備援助事業に係る経費を含め、互助会への支出を平成22年度限りで廃止したことは評価できる。
 次に?契約について。100万円を超えるすべての契約案件について、契約担当部門以外の部門による内部審査を実施している。さらに、随意契約案件及び一者応札・一者応募となった案件については、契約担当部門以外から構成される随意契約等審査委員会による内部審査を実施し、結果を公開している。また、「随意契約等見直し計画」の進捗状況については、競争性のない随意契約が目標の18件に対し平成22年度のフォローアップベースでは17件となっており、すでに目標を達成していることは評価できる。
 ?内部統制について。機構の中期目標・中期計画、年度計画においては、機構のミッションを達成するための事務・事業と、当該事務・事業の性質等に応じた適切なアウトプット・アウトカム指標及びこれらを達成するための計画が、当該事務・事業単位で具体的かつ明確に規定されております。
 また、役員・幹部職員をメンバーとする経営会議を毎月開催し、年度計画などの重要方針その他の諸課題についての共通認識の醸成を図るとともに、監事も会議に出席し、機構の業務運営の状況を把握することで、監事・会計監査人との連携体制も適切に構築されており、統制環境は、適切に整備されていると評価できる。
 リスクの識別・評価・対応については、経営会議、監査機関、外部評価機関、コンプライアンス委員会・内部通報調査委員会、随意契約審査委員会といった各種スキームを整備し対応している。
 モニタリングについては、先述の経営会議における業績評価や、監事監査等の独立的評価等により、モニタリング体制が整備され、適切に機能していると評価します。そのあとは、少し省略します。
 ?中期目標期間終了時の見直しを前提にした取組みについて。一般管理費、業務経費、人件費については、それぞれ中期目標に掲げられている数値目標を既に達成し、事務・事業に係る各種目標についても、その達成に向け着実に取組みが進められている等、中期目標期間終了年度を見据えた主体的な取組みは評価できる。その一方、当委員会において、高成長下にあるアジア諸国、BRICsなども含めた情報収集や、海外の研究者等との連携の強化、幅広い層の国民を対象とした成果の普及に向けてのさらなる努力を求める意見などがあったことから、次期の中期目標等の検討に当たっては、これらの意見に留意されることを期待する。
 次、?と?を省略して、?基本方針等を踏まえた事務・事業の見直し等。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス等の廃止については平成22年度中に措置済みであり、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局で実施可能な研修についても平成23年4月から都道府県労働局に移管するなど、基本方針を踏まえた適切な対応を行っています。労働大学校の国への移管については、独法制度改革の内容等も踏まえつつ、今後具体的な対応を検討することとされており、当委員会としても、引き続きその検討状況や検討結果について注視しております。
 評価結果は、以上のとおりです。

○今村部会長
 ありがとうございます。ただいまご報告いただきました総合評価書(案)について、ご意見等がありましたらよろしくお願いします。特にないでしょうか、よろしいでしょうか。
(了承)

○今村部会長 
 それでは、修正意見がないようですので、平成22年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。
 なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。では、そのようにさせていただきます。
 では、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定や評定理由の修正・確定を行いたいと思います。先ほどと同様、5分間で評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。
(各委員記入)

○伊丹委員
 7頁から8頁の「随意契約等見直し計画の進捗状況」についてです。前にも少し申し上げたことがあるのですが、競争入札を増やしていく中で、競争入札の弊害もあると思います。そういったところをきちんと評価して、改めて契約のあり方を常に議論していくべきだと思います。一度方向性を決めたから、これでいいのだということではなくて、そのあとの「リスクの識別・評価・対応」とか、内部統制等も活用しながら、アウトソーシングしていくことなり、競争入札を増やしていくことの意味について、毎年評価することは必要だと思います。
 計画を目標どおりに達成したことについて評価できるということは問題ないのですが、今申し上げたことを付け加えられないだろうかという思いがあります。いかがでしょうか。

○今村部会長
 ご指摘の箇所は7頁の?「随意契約の適正化等について」で、とりわけ、その段落の4の?のいちばん最後で、「競争性の確保に向けた適切な対応がなされており、評価できる」という箇所について、これだけでいいのかというご指摘です。競争入札による功罪の「罪」の面もあるのではないかというご指摘です。

○伊丹委員
 そういうのは、やってみると気づくことが結構あるので、そういうことを毎年評価しながらやっていくべきだと思うのです。中期的には目標を作って実行していくことはいいのですが、常にローリングしながら、その目標の意味は何なのかということを、やってみてわかったところも反映しながら確認する必要があると思います。そういった類のことを甘く聞こえてはいけないのですが、入れておくべきではないかという気がしています。

○川端委員
 当面は随意契約が多すぎて、とにかく競争入札にしなさいと。大体、限界にきはじめているような、もう一歩踏み込んだ検討が必要で、それがどこの辺りかというところを文案を残すという趣旨ですか。

○伊丹委員
 そうです。
 「なお、競争入札については弊害もあるので、契約のあり方についてはその都度具体的に」ですか。

○川端委員
 競争入札に馴染まない案件も。馴染むかどうかは、よく検討が必要という感じですかね。

○伊丹委員
 そうですね。全然違う話になってしまうように聞こえるかもしれませんが、毎年契約更改することによって業者が変わったりすると、その中で、よくわかった方がいなくなってしまうことも含めて、一見安くなっても、仕事の質が下がるケースもあるのです。契約するときには、そういうことのないように期待して、競争させるのですが、結果としてそういうことが出てくるケースは2年、3年経つうちに見えてくる場合もあるので、そういう意味では、中期的な目標を作ってやっているとはいえ、おかしいということになれば、これは契約の仕方を変えてもいいわけです。そういう意味で、随意契約を競争入札に変えることだけが是だというようなやり方というのは、いかがなものかという気がしたので、常にそういうことは検討しながら競争入札を増やしているのだ、目標を達成しているのだというトーンを入れておくべきではないかと思います。

○今村部会長
 手元に資料がないのですが、?)の「随意契約等見直し計画」の進捗状況に、「競争性のない随意契約が」という記述がありまして、おっしゃるとおりで、ひたすら競争性の実現みたいなことが趣旨になっていますが、おっしゃるような質的な側面についても言及したほうがいいのではないかと。

○伊丹委員
 契約の適正化ということをすべきだというのが正しいのであって、何でもかんでも競争入札にすればいいというものでもないし、それを逆手に取って、もうやる必要はないのだと思ってもらっても困るので、そこは難しいのですが。

○今村部会長
 そうすると、キーワードは「契約の適正化」というものを入れるということですね。

○伊丹委員
 言葉になっているかわからないのですが、「なお、契約については今後も、その業務に対応した適正化を期待したい」です。少し抽象的になりすぎてよくないですが。

○今村部会長
 川端委員、何か提案はあるでしょうか。

○川端委員
 長々と書けばその趣旨は出てくるのですが、あまり長々書くのも。要するに競争入札の弊害ですよね。
 結構、競争入札にしすぎて弊害が生じ始めているのです。いまおっしゃった、「なお、契約については、今後も業務に対応した適正化を期待したい」という趣旨はわかりますかね。これはすべてを包括したような言い方だから。

○伊丹委員
 そうですね。そうすると。何か事務局でいい案があれば。

○今村部会長
 念のために確認ですが、(4)の「関連閣議決定及び評価の視点への対応について」ということですから、これは指摘事項として原文があるわけです。これは政・独委でしたか閣議でしたか。それへの回答という形に一応なっていることなので。

○伊丹委員
 そうなれば、もう見直す必要はないのでしょうか。

○今村部会長
 これは何頁でしたか。

○政策評価官室長補佐
 まず、360頁の辺りに契約の関係で、これは総務省の行政管理局から、契約の見直しについてということで、平成22年5月26日付けで事務連絡という形で出ているものがあります。

○今村部会長
 これに対する回答というか、毎年これについて確認をするという文書ですね。

○政策評価官室長補佐
 そうです。そのほか、358頁に平成21年11月に「契約状況の点検・見直しについて」ということで、こちらは閣議決定になります。内容は重複するような部分もあるのですが、指摘、点検、見直しについてということで、契約状況の見直しを行うに当たっての観点、具体的な点検の対象なども記載されております。

○今村部会長
 ざっと一通り目を通しますと、真に競争性が確保されているかどうかの一辺倒の書きぶりですね。

○川端委員
 そうですね。だから、そればかりでは駄目だということを書くかどうかになりますよね。

○今村部会長
 それは見解として、必要であれば入れるべきではないかと思いますが、文章として、適正な契約の維持というのでしょうか。

○伊丹委員
 一般競争入札も、1年で変えるのではなく複数年にするとか、いろいろなやり方があるはずなので、そういうのも含めて、形として競争入札が増えたことがいいことではなくて、常に緊張感をもった双方向の権利義務関係を明確にした契約になっていくことが大事なので、随意か競争かで言えば、広義には随意も競争の中に入ってくるとは思うのですが、そういう意味で実態のフォローというか、そういうことがきちんと行われながら、評価されないといけないと思ういます。当面の中期の閣議決定された目標期間に対しては、確かに評価できるということでいいのかもしれませんが。

○今村部会長
 例えばこういう趣旨ということですね、競争性の確保も重要だけれども、適正な契約の維持についても、今後注視していく必要がある、というようなことをコメントとして付け加えるという形でよろしいでしょうか。

○伊丹委員
 そうですね。競争入札が真に効率的な契約になっているか。

○川端委員
 JILPTのほうでは、ご意見はいかがですか。まだまだ進めなければいけないという部分はあろうかと思いますが、競争入札によってやりにくくなった、弊害が生じたということはございませんか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 前回の評価のときにも、若干そのお話をさせていただきましたが、例えば清掃で、単価は安くなったけれども、あまりきれいにならないとか、そういった問題が生じているのも事実です。ですから、委員の皆様方のご意見は、そういうこともあろうかなということでうかがわさせていただいておりました。

○川端委員
 そうですね。何か入れますかね、内閣に対する答えなのだけれども、委員会としての意見と。

○伊丹委員
 契約が業務の効率化。何のための競争入札かというと、質を上げたい、額を減らしたい、そういう成果を期待しての競争入札だと思うので、その競争入札の目的にかなっているのかどうか。そういうことをよく確認していくべき、フォローしていくべきということだと思います。

○今村部会長
 その場合は、効率ですか、それとも適切でしょうか。先ほどの清掃の例でいきますと、質的な部分ということになりますね。金額としては下がるのだけれども、サービスの質としても劣るものが入ってきてしまったと。

○伊丹委員
 いちばん最初に総論のところで、川端先生もおっしゃっていましたが、効果的かつ効率的な運営を目指してという上での、効率性を求めて効果的ではないことも含めて、適正な契約なのかどうかを慎重に見極めていく必要があると。
○加藤委員
 全く同じことの繰り返しかもしれませんが、契約内容の適切かつ効率的な遂行、これが実態に近いのかなという感じがするのです。つまり両方ということだと思うのです。それを前提にしたと、そういうニュアンスかなと私は受け止めました。

○今村部会長
 それは最後に入れるということですか。

○加藤委員
 そこまではあれですが、先ほどおっしゃっていました8頁のいちばん上の段落で、尚書きで入れるか、いま私が申し上げた、「契約内容の適切かつ効率的な遂行を前提にしながらも」というニュアンスで、最初に入れてしまうか、そこはいろいろ考え方があると思うのですが。

○今村部会長
 いずれも、1文、2文とも、「評価できる」と結んでいますから、この中に入れるのは書きにくいかと思いますが。

○加藤委員
 はい。

○今村部会長
 2つ目の提案は、7、8頁目の?「随意契約等見直し計画等の進捗状況」の中に、「計画の適切かつ効率的遂行を前提に」という文章をどこかに入れるというご提案です。さらっと入れるとしたら、「適切に取り組んでおり」の前に、「計画の適切かつ効率的遂行を目的として、適切に取り組んでおり」という方向があります。それだと中期にならないですか。

○伊丹委員
 評価できる、ただし。

○今村部会長
 ただしですね。川端委員、いかがでしょうか。いまのは?のすぐ上のところに、「計画の効果的かつ効率的遂行を」という文章で、何か入れようということですが。

○伊丹委員
 「評価できる」のあとに、「ただし」ということで加えるのはいかがでしょうか。
 直截的に言えば、「なお、契約方法の特質を踏まえ、引き続き契約の効率的かつ適切な遂行を期待したい」と。

○今村部会長
 いまの原案は契約内容の何ですか。

○伊丹委員
 「ただし、今後も契約方法の功罪を踏まえ、契約の効率的かつ適切な遂行を期待したい」と。

○今村部会長
 読み上げます。「なお、契約方法の功罪を踏まえ、今後も契約の効果的かつ効率的遂行を期待したい」という文章ですね。

○伊丹委員
 「契約内容」ではなくて「契約方法」ですかね。

○今村部会長
 「契約方法の功罪を踏まえ、今後も契約の効果的かつ効率的遂行を期待したい」ですね。いかがでしょうか。

○宮本部会長代理
 伺いますが、JILPTがこの一文を入れるということになると、先ほどの労福機構なども同じことが言えるのですよね。そういう意味では、ここだけなぜ強調するかという問題が。

○伊丹委員
 私は前回に質問をして、お答えをいただいて、そのことに全く触れずにきたので。労福機構でも同じ問題はあったのですが。例えば労福機構ではリスクマネジメントについてあまり触れていないのですが、こちらでは触れられているように、各機構ごとに、もともとの評価の立て方の違いかもしれませんが、確かに入札のところはどこも一緒なので、同じでもいいところもあると思います。
 そういう観点で言えば、全部共通する一方で、ほかのところも全部入れない中では、ここだけあえて入れる必要はないということで、カットしていただいても結構です。次回の目標のときに、そのことを全体に触れていただければいいと思うので、特段この研修機構だけ述べる必要もないので、原案のままでも結構だと思います。

○加藤委員
 質疑応答の中で、実際にそういう事案が紹介されましたので、それを受けてというニュアンスで表せればいいのではないかと思います。

○今村部会長
 この機構で、そういう問題は確かに質疑応答の中で出てきましたので。

○加藤委員
 具体的に、質疑応答でそういう事案がありましたということを、直接的な言い方ではないにしても、何かニュアンスとして出せれば、ほかの機構には謳っていなくても、ここの機構では書いたということの理由付けはできるような気がするのです。私も内容的には必要なことだと思います。

○川端委員
 例えば「なお、今後とも契約方法の特質を踏まえた適切かつ効率的な契約が行われることを期待する」ではどうでしょうか。

○伊丹委員
 何の意味かと言われて、わからない方もいらっしゃるかもしれませんが、「特質」ということでわかるのではないかと思います。

○今村部会長
 もう一回言いますが、「なお、今後とも契約方法の特質を踏まえた適切かつ効率的な契約が行われることを期待する」ということです。 議事録では、ここでも残っていますし。いかがでしょうか。細かい修正があれば、私にお任せいただくとして、この文面で?の上に入れさせていただくということで、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 先ほどと同じく、評価の確定を行ったことによって、SからDの評定が変更されたり、コメントが修正、追加等をされた場合は、これらを反映した評価シートとさせていただきます。これら修正が必要になった場合の対応につきましては私にご一任いただき、場合によっては個別に各委員に意見を賜ることとさせていただきます。
 次に労働政策研究・研修機構の暫定評価についての審議に入ります。まず、事務局から「暫定評価」及び「組織・業務全般の見直し当初案」について、説明をしていただきます。

○政策評価官室長補佐
 まず「暫定評価」について、簡単にご説明させていただきます。暫定評価については、評価結果を次期中期目標の策定等へ反映させるという観点から、中期目標の期間の最終年度において、暫定評価を行うこととされております。
 具体的な流れは、暫定評価に当たって、各法人からのヒアリングを実施し、まず中期目標期間に係る1次評価を行います。その評価を行った上で、総会において暫定評価を決定します。
 つきましては、これまでの各年度の業務実績の評価等を基にしまして、起草委員の先生に暫定評価結果案を作成していただきましたので、ご審議のほう、よろしくお願いいたします。なお、今回のご審議を踏まえ、31日に開催される総会において、暫定評価結果を決定するという流れになりますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、組織・業務全般の見直しについてのご説明です。こちらについては、独立行政法人の通則法第35条において、「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとすること」とされております。その検討に際し、評価委員の意見を聴かなければならないと規定されております。具体的には、平成15年8月1日の閣議決定に基づいて進めていくという流れになります。
 本日ご審議いただいたあと、いただいたご意見を取りまとめ、31日の総会で改めてご意見を伺うという流れになります。総会で見直し当初案を決定したあとの流れですが、青い資料集の156頁に流れ図が記載されております。予算の概算要求の提出までに、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会に当初案を提出することとなっております。
 そのあとの動きは、総務省から勧告の方向性ということで、12月ぐらいに「勧告の方向性」が出されまして、それを踏まえた見直し案を総務省に提出するという流れになっております。この「見直し案」についても、「見直し当初案」と同じように、本部会においてご審議をいただきます。その上で、総会において取りまとめるという流れになっております。
 総務省における議論を経て、具体的には決定されるという手続きになっております。これを踏まえて、次期中期目標案を作成する流れになっておりますので、ご承知おきいただければと思います。以上です。

○今村部会長
 続いて、法人より中期目標期間の業務実績について、15分ほど説明いただきまして、次に起草委員から10分程度、暫定評価案についてご説明いただき、最後に質疑応答を10分程度という流れにしたいと思います。法人より、中期目標期間の業務実績についてご説明をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 お手元の資料3-1の?に説明資料をご用意しております。中期目標期間中の業務実績、過去4年分です。2頁に、私ども機構の事業について、機構法において、労働政策研究、研修、情報収集・整理、研究者等の招へい・派遣、成果の普及・政策提言と、列挙されている事業、それと私どもの事業運営の管理関係について、数値目標と、その結果を取りまとめたものになっています。細かく見ていきますと、?と番号がありますが、その最後に黒字で入れている数字が目標数字です。赤字が実績になっています。ざっと見ていただきますとおわかりのとおり、数値目標を上回る成果を上げて、すべて目標を達成しています。
 3頁以下で、各個別シートごとの実績を取りまとめています。評価シート3「労働政策研究の種類及び実施体制」です。評価シートは平成19年度から平成22年度まで評価を記載しまして、「暫定評価」という形で、上のほうに評価を記載しています。暫定評価は平成19年度から平成22年度の4年分の平均値となっています。
評価シート3ですが、プロジェクト研究は平成19年度と平成20年度は7テーマ、平成21年度以降は、平成19年12月の独立行政法人整理合理化計画で、研究の重点化を図るという指摘をいただきましたので、平成21年度以降は6テーマで実施させていただいております。そのほか、課題研究、平成22年度から緊急調査も導入して、調査研究を実施しております。いずれも、厚生労働省のニーズ、意見を的確に踏まえ、調査研究を実施してきました。そういったこともありまして、研究成果についても、毎年引用件数が増加しています。
 4頁の評価シート4「厚生労働省との連携等」です。政策研究の質を高めるため、厚生労働省との認識の共有化を図るということで、いわゆるハイレベル会合のほか、私ども機構の理事長、厚生労働省の労働政策の総合調整担当である統括官との定期的な場を設けているほか、政策担当者との勉強会など、実務レベルでも頻繁な意見交換を実施しております。
 5頁の評価シート5「労働政策研究の成果の取りまとめ及び評価」です。取りまとめた研究成果については、必ずピアレビューを行うということです。その上で、内部評価、外部評価を適切に実施、厳格に実施してきています。成果の取りまとめ件数については、そこにありますとおりの数字です。研究員1人当たりでは、1期が1.47ですが、その1期を上回る状況になっております。
 6頁の評価シート6「達成すべき具体的な目標」です。これについては、そこにあるとおり、外部評価で3分の2以上の高い評価を得るということになっております。有識者アンケートにおいても、3分の2以上の方から、「有益である」との評価を受けるということになっております。そのほか、厚生労働省の担当部局からの評価については、労働政策の企画立案、あるいはその実施への貢献等について有益であるとの評価について、プロジェクト研究では80%、課題研究では90%以上の評価を受けるということになっております。これも記載のとおりで、いずれも数値目標を達成できています。いちばん上の数値ですが、特に外部評価については、毎年「優秀である」という割合が、年々増加を見ている状況です。
 7頁の評価シート7「優秀な研究者の確保と研究水準の向上」です。任期付研究員の採用について、平成21年度3名、平成23年度2名の採用をしております。そのほか、外部研究員等の研究参加、あるいは関連専門誌等への論文掲載についても努めてきておりまして、件数は記載のとおりです。研究員の業務実績の水準について、質・量とも維持・向上に努めたところです。
 8頁の評価シート14「労働関係事務担当職員等に対する研修」についてです。毎年約80コース、3,300人程度を対象に実施させていただいております。研修に当たり、私どもは研修と研究を両輪としていることがあります。研究員の方に研修に参加していただく、あるいはイブニングセッションで、調査研究のうち、研修生の関心が高そうなものを研究員が解説をして、みんなで討議を行うという、課外のワークショップも行いながら、研修と研究の融合を図ってきたところです。研修生の方から「有益であった」と評価する有意義度の割合についても、目標値の85%を大きく上回る97ないしは98%の高い数値となっています。また、記載はありませんが、研修終了後、一定期間後の研修の効果の測定についても、現在試行的に取組みを始めたところです。
 9頁の評価シート8「国内・海外労働事情の収集・整理について」です。そこに記載があるとおり、白書等への引用件数の目標値が100件ですが、それを大きく上回る成果を上げています。すべて目標を達成しています。
 10頁の評価シート9「各種統計データ・図書資料の収集・整理」です。こちらも、ホームページの統計情報のページビュー数は、平成19年度の62万件から平成22年度は90万件まで伸びていまして、成果が幅広く活用されている状況にあります。
 評価シート10「研究者等の海外からの招へい・海外派遣」についてです。年間の招へいについては、延べ2人以下、派遣は4人以下ということが、計画で定める目標値となっております。平成19年度、平成20年度については、当初の計画では4人以下、派遣は8人以下となっていますが、平成19年度に見直しがありまして、平成21年度以降は、招へい2人、派遣4人以下となっております。いずれも下に数字があるとおり、招へいは1名、派遣は計画に定められた人数以下ということで、機構で実施しているプロジェクト研究に資する研究員を派遣、招へいするなど、適切に派遣、招へいの実施をさせていただいており、当機構のプロジェクト研究の推進に十分に役に立っております。
 12頁の評価シート11「労働政策研究等の成果の普及」です。ニュースレター、メールマガジンの読者アンケートにおいても、90数%といった高い評価を得ております。メールマガジンの読者数についても、平成19年度は2万5,000人ちょっとですが、平成22年度は2万8,000人強となるなど、毎年伸びてきている状況です。ホームページのページビュー数についても、平成22年度は4528万件となるなど、大きく増加してきておりまして、国民各層のニーズに合った情報提供ができたものと考えております。
 13頁の評価シート12「政策論議の場の提供」についてです。毎年労使の実務家を始めとする、国民各層における政策論議の活性化を図るため、労働政策フォーラムを実施しております。年度計画が6回ですが、毎年7回開催してきております。また、「有益である」という評価も、目標値が80%ですが、それを大きく超える90%台ということで、高い評価を受けております。
 評価シート13「労働教育講座事業の実施」についてです。総合講座、専門講座を合わせると、概ね500名程度を対象に実施させていただいております。すべての年度で、総合講座、専門講座のいずれにおいても、有益度が85%以上になるなど、高い評価を受けております。
 評価シート1「業務運営の効率化」についてです。こちらも創意工夫を凝らしながら、節減に取り組んでおりまして、一般管理費は15.01%、業務経費は36.69%、人件費は17.8%といった削減率になっていまして、一般管理費、業務経費、人件費のすべてにおいて、目標を達成できております。
 評価シート2「業績評価制度の運用」についてです。これについては、外部評価も取り入れつつ、オープンな評価制度を適切に運用して、評価結果を適切にフィードバックすることで業務改善を図ってきているところです。こうした取組みがありまして、機構に対する事業活動全般の評価についても、「有益である」との評価を94~95%の方からいただいているところです。
 評価シート15「予算、収支計画及び資金計画」、その他業務運営に関する重要事項についてです。平成21年度から一般管理費の一部について、期間進行管理基準を採用し、業務の効率化が見える化を図っております。そういったこともありまして、平成21年度から、損益がプラスになっておりますが、当期利益を上げることができております。また、その他の業務運営に関する重要事項として、内部統制、土地・建物の有効活用にも努めてきたところです。
 評価シート16「人事に関する計画」です。こちらについては、人員の抑制を図りつつ、俸給の抑制、管理職の賞与の削減などを行い、ラスパイレス指数についても、低下を図ってきているところです。
 評価シート17「施設・設備に関する計画」です。私どもの施設はかなり老朽化していますが、一般競争入札等を実施することにより、経費の大幅な節減を図りつつ、計画どおりに実施してきたところです。以上、簡単ではございますが、私ども労働政策研究・研修機構の第2期4年分の業務実績の説明とさせていただきます。

○今村部会長
 続いて、労働政策研究・研修機構の起草委員を代表して、川端委員から10分ほどご説明をお願いいたします。

○川端委員
 資料3-1-?で、JILPTの暫定評価結果(案)です。独立行政法人JILPTの中期目標期間の業務実績の暫定評価結果について、まず中期目標期間の業績評価について総論的に説明したあと、具体的な評価内容について、ポイントを押さえた形でご説明いたします。
 (1)「評価の視点」です。4行目ぐらいで、機構の第2期中期目標は、厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層効果的かつ効率的に実施する観点から、労働政策研究事業の重点化等を実施することとした。このため機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するものになったか。この視点が中心になります。
 評価結果全体を通じての講評です。2頁の真ん中辺りの「これらを踏まえると」のところで、こうした視点から評価を行った結果、平成19年度から平成22年度までの4年間の機構の業務実績については、中期目標・中期計画における数値目標を上回る業務運営の効率化を実現するとともに、中期目標・中期計画における数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を上げ、労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に大きく寄与しているものと言えることから、高く評価できる。
 3頁です。2「具体的な評価内容」です。まず、(1)「業務運営の効率化について」です。業務運営の効率化のためのさまざまな取組みの結果、平成23年度予算において、一般管理費、業務経費、人件費のすべてについて、中期計画における削減の目標値を達成し、特に業務経費については、目標値である平成18年度予算比△25%減を大幅に上回る36.7%の削減を達成したことは評価できる。
 (2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について」です。まず、?「労働政策研究」に関しては、中期目標に定められた中長期的な労働政策の課題に対応する6つのテーマに沿って実施するプロジェクト研究と、厚生労働省からの要請に基づき実施する課題研究につき、平成19年度から平成22年度までに合計121テーマを実施するとともに、平成22年度からは喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する「緊急調査」を新設し、積極的に実施している。研究テーマについては、機構役員等と厚生労働省政策統括官等とで意見交換を行う場である「ハイレベル会合」や労使懇談会等を通じて得た、厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を踏まえて選定し、また、研究の実施過程においても、厚生労働省と意見交換を行うなど、厚生労働省や労使関係者と連携を図りながら、各研究を適切に推進している。
 研究成果の取りまとめに当たっては、内部研究者によるピアレビュー、内部評価、外部評価等の研究評価制度を整備し、重層的かつ厳格な研究評価を行うなど、研究水準の向上のための取組みを適切に実施しており、こうした取組みの結果、研究員1人当たりの研究成果の取りまとめ件数や外部評価において高い評価を受けた研究成果の割合、審議会・研究会、白書等での研究成果の引用件数は、中期目標・中期計画における数値目標や第1期における実績を上回っている。
 このように、厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を十分に踏まえながら、労働政策の立案等に資する労働政策研究を機動的に実施した結果、質・量ともに中期目標・中期計画の数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を上げるとともに、その研究成果が労働政策の立案等に幅広く活用されていることは、高く評価できる。
 4頁です。なお、機構においては、研究評価をさらに的確に実施するため、平成22年度から研究課題別の事前・中間・事後における新たな評価制度を試行的に導入したところであり、当委員会としては、試行実施の結果を踏まえ、研究のさらなる効率的・効果的な推進に資する評価制度が構築されることを期待する。
 ?「労働行政担当職員その他の関係者に対する研修」です。毎年度約3,300人の研修生に対し、80コース程度の研修を実施しているが、研修コースの新設・科目の見直し等による研修内容の充実や、研究員の研修講師への参画やイブニングセッションの開催等により、研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることは評価できる。なお、機構においては、平成21年度の業務実績に係る当委員会における指摘を踏まえ、研修終了後、一定期間経過した時点における実際の業務運営での研修効果の測定を平成22年度から試行的に実施しているところであるが、今後、試行結果を踏まえ、研修実施後における実際の職場での研修効果測定のための適切な仕組みが構築されることを期待する。
 ?「労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理」です。厚生労働省からの要請を踏まえるとともに、政策研究の基盤を整備するため、国内外の労働情勢・労働政策に関する情報の収集・整理をアンケート調査やヒアリング調査等を有機的に組み合わせて、効果的・機動的に実施した結果、白書、審議会等での引用件数が、平成19年度から平成22年度までのすべての年度で、中期計画・年度計画の数値目標を上回るなど、高い成果を上げており、評価できる。今後においても、高成長下にあるアジア諸国やBRICsなども含めた情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理のあり方を工夫し、政策立案や他の研究機関の研究等に貢献していくことを期待する。
 ?「研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣」です。研究者等の招へい・派遣については、労働政策研究との関連をより重視して対象者を厳選した結果、いずれの年度についても、中期計画・年度計画に沿って適切に実施されている。また、これらの事業については、すべての年度の招へいした研究者等が、機構のプロジェクト研究の推進に大きく貢献するなど、機構内外の研究活動に貢献し、機構の研究目的に沿った成果を上げており、評価できる。
 その一方、当委員会において、機構が行う労働政策研究等に資する観点から、海外の研究者等との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引き続き対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等が機構の目的にとって、より有効なものとして行われるよう、そのあり方について工夫していく必要がある。
 ?「労働政策研究の成果の普及・政策提言」です。ホームページ、メールマガジン、労働政策フォーラムの開催等、さまざまな手段を通じて効果的かつ効率的に行われており、利用者の評価も高く、中期目標・中期計画に掲げた目標以上の成果を上げており、評価できる。今後においても、成果の普及等がさらに幅広い国民を対象に行われるよう、工夫がなされることを期待する。
 (3)「財務内容の改善等及び人事に関する計画について」です。予算の執行等については、省エネ対策の推進、業務効率化等による経費の節減、役職員給与の見直し等の取組みを行った結果、平成23年度においては、平成18年度と比較して、運営費交付金全体で22%の削減を実施するなどの、中期目標・中期計画等を踏まえ、適正な取組みがなされていることは評価できる。人事に関しては、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実現する一方、優秀な人材の確保・育成に向けた取組みを推進し、研究の質の確保を図っていることは評価できる。なお、人員の抑制が継続される中で、引き続き職員の士気を維持し、活力を高めるための工夫をすることが望まれる。
 6頁です。(4)「総務省政策評価・独立行政法人委員会による個別の指摘について」です。同委員会の個別の指摘に対する対応については、平成22年度政・独委意見における労働大学校の宿泊施設の利用率が低調であるとの指摘を踏まえ、労働大学校の宿泊施設の有効活用を図るため、労働行政担当職員以外を対象とした研修や東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活動のための宿泊への活用など、労働大学校の宿泊施設等の利用率向上に向けた具体的な取組みを行うなど、適切に対応していると評価できる。
 (5)「基本方針等を踏まえた事務・事業の見直し等」です。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス、高校生への就職関係副読本及び労働関係図書・論文表彰の賞金については、平成22年度中に廃止するとともに、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局で実施可能な研修を平成23年4月から都道府県労働局に移管し、規模の縮減を図るなど、基本方針等を踏まえ、事務・事業の見直し等を適切に実施しており、評価できる。なお、労働大学校の国への移管については、独法制度改革の内容等を踏まえつつ、今後、具体的な対応を検討することとされていることから、当委員会としても、引き続きその検討状況や検討結果について注視している。暫定評価結果は以上です。

○今村部会長
 ただいまご説明いただきました、法人よりの中期目標期間の業務実績の報告についてのご質問、また川端委員からの暫定評価結果についてのご意見等がありましたら、お願いいたします。
 よろしいでしょうか。修正意見がないようですので、8月31日の総会で、私から委員会へ報告したいと思います。なお、このあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
 次に労働政策研究・研修機構の「組織・業務全般の見直し当初案」についての審議に入ります。担当課よりご説明をお願いいたします。

○労政担当参事官
 労政担当参事官です。それでは労働政策研究・研修機構の見直し当初案について説明します。資料3-2-?として、詳細な資料を用意しておりますが、時間の制約上、見直し当初案のポイントをまとめたパワーポイント資料の資料3-2-?に沿って説明します。まず1頁、若干繰り返しになりますが、「中期目標の達成状況等の概要」について1枚紙でまとめております。
 まず1「労働政策に係る調査研究等の実施」です。主な取組内容として、そこに掲げられているように、第1期からプロジェクト研究については、9あったものを7、さらに閣議決定を踏まえて6に絞り込んでいます。緊急調査の新設で、昨年度より短期間で厚生労働省の調査ニーズを把握して、原則3カ月以内で結果を出す緊急調査を実施しております。?は、機構の幹部と厚労省の幹部によるハイレベル会合の開催など、厚労省との連携の強化を図っています。これを受けて、主な成果として右側で、外部評価において優秀以上の評価を受けた研究成果の割合は、そこに3分の2以上ということで中期目標を書いていますが、95.5%でこれを上回る数値を出しています。調査研究成果の活用件数は、行政機関等での活用が284件、新聞・雑誌等での活用が555件ということで、いずれも第1期の平均値よりも上回っております。
 2「労働行政担当職員研修の実施」です。これは調査研究の成果を研修に活かすということで、具体的にはハローワークあるいは監督署の職員対象の研修について、ニーズを踏まえて研修コースの新設あるいは研修内容の見直しを図ってきました。主な成果としては、そこに掲げられた数字のコースを設定して、3,300名強の研修生に対する研修を実施しました。また研修後のアンケートでは有意義とする者が98%ということで、中期目標で定めた目標の85%を大きく上回っております。
 3「業務運営の効率化」です。業務運営の効率化については、業務の重点化あるいは効率化あるいは部課の統廃合、管理部門の合理化、こういったところにより経費、人員の削減を行っております。右側に主な成果を掲げておりますが、平成18年度に比べて一般管理費で15%以上、業務経費については25%以上、人件費については14%以上、人員については19人ということで、削減の割合あるいは人数が示されておりますが、いずれもその左側にあるように上回る数字です。
 こういうことで大幅な経費、人件費の削減という中期目標の要請を満たす一方、調査研究あるいはその研修の質の向上を図ることにより、労働政策の企画立案や実施に大きく貢献をしてきました。2頁はその推移のグラフということで、第2期目の取組みについて示したものです。
 続いて3頁、平成24年度から始まる次期中期目標期間に向けた具体的な見直しに係る当初案の内容についての説明です。まず、事務・事業の見直しのうち、「労働政策に係る調査研究等の実施」です。(1)として「労働政策の企画・立案に貢献する調査研究の推進」です。?は、戦略的かつ効果的な調査研究の推進ということで、いくつかの取組みによりこれらの効果的な取組みにしていきたいということです。まず、第1に新成長戦略(雇用・人材戦略)、あるいは雇用政策基本方針等の労働政策に関わる基本方針の実現に資するプロジェクト研究のテーマ設定により、厚労省のニーズ等を踏まえた戦略的な調査研究を重点的に実施することにしております。
 次の矢印は、研究部門を横断したプロジェクトチームの設置ということです。非正規の雇用問題等々ですが、こういうところはプロジェクトチームで横断的に取り組むことにより、効果が発揮できるということで、こういうものに取り組んでいきたいというものです。次の矢印は、昨年度から取り組んでいる「緊急調査」を次期の中期目標では明確に位置づけて、本格的に実施していきたいというものです。その次の矢印は、海外の主要国、これは欧米先進国が中心でしたが、これからは高い経済成長下にあるアジア諸国に関する情報収集・調査の強化、こういうことをやっていきたいということです。
 続いて?は、厚労省の政策担当部門との連携の強化です。ここについては、これまでも機構の役員と厚労省の各局幹部とのハイレベル会合の開催、今年度からは機構理事長と厚生労働省の政策部門のトップである政策統括官との定期協議の場を設けてきました。さらに次期の中期目標の期間においては、研究テーマごとに厚労省側の研究担当者を明確化にするということで、登録制を新たに導入して、研究テーマの決定段階、研究の実施過程、そして報告書の作成、その後の活用に至るまで厚労省と十分な意見交換を確保する仕組みを構築していきたいと思っております。
 ?は、外部評価制度の見直しによる調査研究の評価体制の強化です。従来、研究の成果物について事後評価を行ってきましたが、今後は研究テーマごとに研究内容等について、事前・中間・事後の3段階において評価を行うということで、外部評価制度を見直していきたいと考えております。
 4頁、(2)は「政策提言・情報発信機能の強化」です。まず、政策提言機能の強化ですが、これまでも個別の研究報告書等において、個々の研究成果に基づく政策への示唆というか、インプリケーション、こういうところを行ってきましたが、今後はその政策提言機能を強化することで、労働政策研究全般について踏まえた「政策提言レポート」、仮称ですが、新たに作成して、厚労省に提示するとともに、機構のホームページなどで公表することでいきたいということです。こういうことで先ほど申し述べた政策担当部門との連携の強化ということで、研究と政策とのブリッジ機能を強化していきたいということです。
 ?の情報発信機能の強化は、従来から取り組んでいる労働政策フォーラムの活性化あるいはホームページ、メルマガ、ニュースレターなどの多様な媒体を有機的に連携させた積極的な情報発信を引き続き推進するとともに、マスメディアへの積極的なPR、わかりやすい公表資料について新たに取り組んでいきたいと思っております。そういうことで戦略的かつ積極的な情報発信をしてまいりたいと思っております。
 労働政策研究・研修機構の大きなミッションである労働行政担当職員に対する研修の実施については、中央・地方での研修の役割分担を見直しております。労働局で実施できるものにおいては、労働局で実施することとし、中央段階でやるものについて、労働大学校で研修を実施することで、重点化をしてまいります。新たな行政ニーズに対応した研修コースへの対応もしてまいります。
 研修効果を適切に把握するための新たな評価制度の導入ということで、研修効果の把握のために 従来より研修生による修了後の評価を行ってきましたが、一部今年度から試行的に取り組んではおりますが、研修修了後の一定期間経過後に、研修生の上司により研修が有効であったかどうかを評価してもらう、そういう評価制度を新たに導入してまいりたいと思います。
 続いて最後の5頁、?「組織・運営の見直しに係る当初案の概要」です。まず、1「内部統制の強化・効率的な業務運営・組織体制整備の推進」です。(1)は、効率的な組織・人員体制の整備で、事務・事業の見直しを先ほど行うということで、対応するということですが、組織においても効率的・効果的な体制を組むということで、管理・研究支援・成果普及部門、こういうところの体制の見直しを図ってまいりたいと思っております。
 (2)は、内部統制の強化です。引き続き経営会議等々を通じた理事長のリーダーシップのもとに、的確な業務運営に当たっていただくとともに、内部統制方針の作成あるいはその理事長直轄のコンプライアンス推進者の設置などにより、内部統制を強化してまいりたいと思っております。
 (3)は、業務運営の効率化等による経費節減の推進で、?は、一般競争入札のさらなる拡大あるいはその業務運営の効率化による経費節減についても継続して実施してまいりたいと思います。?は、出版物等の成果物の販売促進等による自己収入の拡大で、自己収入の拡大についても努めてまいりたいと思います。そこに※で書いてありますが、閣議決定を踏まえて、キャリアマトリックス、論文表彰の賞金、あるいは霞ヶ関事務所の廃止、こういうことについてはすでに昨年度に廃止済みです。
 2「労働大学校の国への移管」です。これは労働大学校を国に移管し、調査研究を中心とした組織へとスリム化を図るということです。ただ国への移管後においても、機構が実施する調査研究と労働大学校で実施する研修との相乗効果を維持するための取組みについては、引き続き推進してまいりたいと思っております。説明は以上です。

○今村部会長
 ただいまご説明いただいた「組織・業務全般の見直し当初案」について、ご質問等がありましたらお願いします。

○加藤委員
 5頁の1の(3)の?、この「自己収入を拡大」については期待したいですが、どの程度の拡大を図る案があるのか。あるいは具体的に販売促進等についてアクションプランがあるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。

○労政担当参事官室室長補佐
 自己収入の拡大については、まず、主な取組みとしては労働教育講座の受講料を若干引き上げさせていただき、あとは研究報告書などいくつかの出版物を出しておりますので、そういうものの販売促進。例えば、インターネットを通じて販売促進をさらに進めるなど、そういうことにより自己収入の拡大に努めていきたいと思っています。目標については、平成22年12月に閣議決定がなされ、その平成22年度の自己収入額と比較して、平成28年度末、次期第3期の最終年度になるわけですが、そこまでに10%程度の引き上げを図る計画を立てることを現時点では検討しております。

○加藤委員
 わかりました。

○宮本部会長代理
 3頁目の?に外部評価制度の見直しが書かれていて、これまでも事後評価をなさってきたわけですが、今度は事前・中間・事後とそれぞれするという計画ですね。いままでやってきた事後評価は、どういう形で担当した研究者たちが使っていたのか。それから今度、事前・中間までやるということは、いい面はもちろんあるわけですが、相当程度評価に当初から縛られる面もたぶんあるだろうと思います。自由度が全くないという懸念もありますが、これはどういう形で事前・中間の評価を使うのか、その辺りのことを伺えればと思います。

○労政担当参事官室室長補佐
 いままでやった事後評価についてどのように使ってきたかですが、1つは機構の研究成果の有効度を測定する意味で使っていたということ。あとは研究員個々については、自身が行った研究についてその成果を評価を踏まえて、さらに次の研究において自分の研究を見直していくことで使っていました。それから新しい評価制度においては、事前・中間を入れていくわけですが、1つご懸念の点で、事前からあまり縛りすぎるとどうなのかということがありますが、その辺は我々も若干危惧しているところではあり、あくまでもあまりきゅうきゅうに締めすぎて、研究員の問題意識、自主性を阻害しないようにしつつ、ただ、いまPDCAサイクルできちんと評価していくことが時代の流れですので、事前の段階でも政策への有効度など、そういう観点からあまり縛りすぎない範囲で見ていきたいと考えております。

○伊丹委員
 4頁の「政策提言・情報発信機能の強化」の?について、これは非常に前向きでいい話のようにも聞こえるのですが、立場性とか、労働政策に関しては非常に評価が分かれますので、政策立案についてはかなり細かな配慮が必要だと思います。日常的に厚労省のいろいろな委託研究等に関わっている中で、政策提言の仕方を間違えると中立性のようなものが評価されなくなり、かえって機構自体の存在感を失ってしまうリスクがあるのではないかという気もするのですが。この辺はどのようなご議論があったのか、お聞かせいただきたいと思います。

○労政担当参事官室室長補佐
 政策提言レポートのお話ですが、これをやることの意義は先ほど参事官からもご説明のとおり、いままでの個々の研究報告書、労働政策フォーラムの中で個別のテーマごとの政策的インプリケーションというものは機構から出してきたところですが、労働政策全体を俯瞰した形できちんと政策提言できていたかという観点でいくと、若干不十分だろうということで、こういうものを第3期に当たっては重点的に取り組んでいこうということで、この辺はJILPTと厚労省で話し合った上、こういうものを乗せることになっています。いまおっしゃったとおり、労働政策の企画立案については、労働政策審議会という審議会があり、そこで慎重なご検討をいただいた上で、政策立案をしていく特殊性があるので、もちろん政策提言をしていただくに当たって、その辺の議論の流れなど、そういうものについては厚労省と日頃JILPTとの間でいろいろ意見交換をしているので、そういう流れを見て、ある意味予期しないような影響を与えたりしないように、その辺は十分気をつけてやっていただくことが必要かなと思っています。

○伊丹委員
 それに関連して同じ箇所ですが、「政策提言レポート」(仮称)を新たに作成し、厚労省に提示するとともに、機構のホームページなどで公表と書いてありますが、政策というのは厚労省と機構との間が利害関係者なのでしょうか。要するにいちばん重要なのは、政策を受ける国民、市民だと思いますが、それはここのホームページなどで公表という所に含まれていると解釈してよろしいでしょうか。つまり広く一般にこれは政策の対象となる人に対して、行うのが政策提言ではないかと私は個人的に考えますが、その辺のブリッジ機能と書いてありますが、これは機構の政策上やむを得ないと思いますが。そこまで含めたホームページ、公表なのかなと読みましたが、いかがでしょうか。そういう議論はあったのでしょうか。

○労政担当参事官室室長補佐
 そうですね、まず、機構の目的として政策研究機関ですから、政策を立案する厚生労働省に対して、政策立案に当たっての資料、あるいは政策提言していくことが役割なのですが、もう1つ重要な役割として、国民に労働政策に関するいろいろな情報を提供して、政策議論の活性化を図っていくことがありますので、そういうことも含めて国民に対して幅広くホームページで公表することも、対応の1つとして盛り込んでおります。

○伊丹委員
 例えば政権が変わったときに、政策提言が影響を受けるということはあるものなのか。機構として独立性を持って首尾一貫した主張をしていくつもりなのか、どういうスタンスになるのでしょうか。

○労政担当参事官室室長補佐
 基本的にはJILPTの特色としては、国からも一定の独立性を保った政策研究機関ということで、労使のご参画もいただいて運営しているということで、政権が変わったからといって、直接そのことを受けて主張が変わるなどということはないものと認識しております。

○松尾委員
 いまのに関連して3頁、これを読むと若干誤解されやすいかなと思うのは、例えば、(1)の?の1つ目のポツ、厚労省のニーズ等を踏まえた戦略的な調査研究を重点的に実施。3つ目のポツ、四半期ごとに厚労省の調査ニーズを把握し云々。?の厚労省の問題意識を踏まえた調査研究を一層推進する。先ほどのものと関連して、若干誤解を受けやすいかなと思うのです。このように厚労省のニーズに基づくなどと。例えば、いちばん上の「厚労省のニーズ等を踏まえた」という所は、例えば、「我が国の労働政策のニーズ等を踏まえた」などと、そのように具体的な省庁の言うままになって動いている組織という印象をこれだと受けやすいので、その辺を若干配慮したほうがいいのではないかと思います。国民から見たときには、若干わかりにくいかなと思います。いちばん下の「厚労省の問題意識を踏まえた」というのは、これはどのような問題意識なのだと、非常にわかりにくいという気がします。この辺は書き方を工夫したほうがいいのかなと思います。

○労政担当参事官
 ご指摘の点はもっともなところで、別に厚労省のニーズというわけではなくて、おっしゃるとおり我が国の労働政策のニーズですので、その辺は表現ぶりを工夫してみたいと思います。

○今村部会長
 ということは、これは表現を少し工夫してということでよろしいのですか。

○伊丹委員
 そういう意味で意見ではありますが、いろいろな意味でニーズに則って研究・調査することは、非常に機構の存在する意義として大事だと思うのですが、政策提言となった途端に、どういう機構なのかがよくわからないところがあるので、これもいろいろな受け止め方が出てくるのではないかという懸念を持ちます。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 これは法律上も私ども機構法上に、政策提言を出すというのも1つ主要な業務として規定されています。具体的にこうしろ、ああしろというよりは、課題をえぐってこういう問題点があるではないかといったような、まだ具体的に中身を固めたわけではないですが、その辺から始めていくのかなと。まさに新しいお話ですので、ご指摘のような点も踏まえながら、少し手探り、少し考えながら作業をさせていただくのかなと考えております。

○川端委員
 今度、労働大学校は国に、元へ戻ると。労働政策の研究について各省はそれぞれ政策研究所を持っていますね。ここだけどうして独立行政法人なのか。もともと外部の特殊法人だったから、そういう形にしたのかもしれませんが。本来、直轄の研究所にしてしまえば、いまの問題は全部御破算になって、まさに政策のために実質研究所であるという。外に置いておくメリット、デメリットをお聞かせいただきたいのですが。

○労政担当参事官室室長補佐
 先ほども申し上げましたが、労働政策の特徴として、公労使三者構成の労働政策審議会において、政策の案をご審議いただいた上で、厚労省の案として出していく仕組みがあり、JILPT、公的な政策研究機関の役割としては、その労働政策審議会等の議論に資するような資料を提供するというようなことがあります。公労使三者構成の審議会において、国直轄の研究機関がその資料を提供するという話になると、どうしても国がやりたい方向で調査結果の内容を出してくるのではないかという疑念を持たれやすくなってしまい、そういう観点からJILPTの起こりから見てもそうなのですが、国直轄だったことは一度もなく、終始、国から一定の独立性を保った公的機関という形で、調査研究をやってもらっています。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 私どもが、独立行政法人という形態を取っているのは、先ほどご説明がありましたとおり、やはり公労使という基盤を十分踏まえてということで、国に置くことはできないということで、いまのような形態を取っているということです。ですから、いま独立行政法人の見直しで国にいったほうがいいのではないかなど、いろいろなご議論がありましたが、厚生労働省の省内の整理合理化委員会のときもいろいろそういうお話もありましたが、やはり公労使の中で中立的な立場を取るという形で、独立行政法人にさせていただいているということで、ご説明をさせていただいておりますし、また理解をいただいたと考えております。

○今村部会長
 いまの話は資料3-2-?の5頁の補足説明の所ですか。そこに具体的な記述があるかと思いますが。「労使の利害調整を特色とする労働政策については、ILO条約を踏まえ、公労使三者構成の」という所です。それ以外にいかがでしょうか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 先ほどから「政策提言レポート」についていろいろご意見が出ましたので、私どもの中でどのように考えてきたかということだけを少しご紹介いたします。いままでは私どもは政策研究を目標にしておりますが、いちばんの目標は政策の企画・立案にとって必要な基礎的なデータを提供するということでやってまいりました。したがって、いままで出しております研究報告をご覧いただくと、結論としては政策としてこのような政策目標を持つべきである、どのような政策手段を採用すべきであるということはほとんど結論では指示しておらず、その中から自然に汲み取っていただくという形にしております。そしてそのようなものとして政策の企画立案には、かなり有益な役割を果たしているという評価を得てきました。
 しかし、さはさりながら政策研究という目的を一段と進めていくということになり、役所との間でプロジェクト研究のテーマの立案、それのブレークダウン、さらに現実の政策、行政に必要な緊急調査などをやり、さらに役所との間の研究会、そういう交流が深まってくると、特定のテーマについての政策の効果の評定、具体的な政策目標、政策手段の選択についてもう一段と議論が深まらないかということが出てきて、それでいままでの研究報告などを踏まえて、この事実を基にしたら政策についてどのようなことが言えるのかをもう一歩進めて、結果を出したらどうかということになり、出てきたのがこの「政策提言レポート」です。したがって私どもの機構から研究報告をやり、役所に対してこういうことをやったほうがいい、世間に対してこういうことをやるべきだなど、そういうことを言うのではなく、いままでのプロジェクト研究の中で行われた個々のテーマを、役所との連携を深めながら、この点についてどうかということになったときに、いや、これについてはこういう政策提言があり得ますと。こういうことを出すつもりなのです。
 例えば、いま私どもでやっている大きな研究の1つに、シングルマザーの研究があります。これは今後、少子高齢化で人口が減少していくことになったときに、高齢者、女性がもう少し労働力として参入されないと、どうしても労働力需要に応えられないという問題もありますが、その中でシングルマザーという研究がなされていませんので、私どもでかなり大々的にやっております。その中で出てきた1つの結論は、シングルマザーは正社員になることを必ずしも欲していないという結果が出ているのです。これは事実から見てもいままで世間の人が思っていた事実とは、とても違う大きなファクトファインディングなのです。役所の政策もシングルマザーにはやはり正社員としての雇用を提供するというのが、いちばん重要な政策だというのでやってこられましたが、これだけでは十分でない、あるいはこれだけが合わないというのか、そういう事実が出てきているのです。しかしこれは事実だけなので、これをどのように政策に結びつけていくか、いままでの政策でいいのか、どうするのかは、一段と議論が必要なのです。そういうことを今後一歩進んで、緊急調査あるいはこのプロジェクトチームのブレークダウンとしてやっていって、研究要請に応えていこうというのが、この提言なのです。ですから世の中の新聞を見ており、こういう政策が欠けているから、明日これをやれなど、そういうことを言うつもりではないわけです。ですから政策研究としての一段の深化という意味で、私どもは受け止めております。

○今村部会長
 ありがとうございます。私も日本とヨーロッパの子育て支援とワークライフバランスについて調べておりますけれど、ここで敢えてその議論については踏み込まないことにいたしますが、要するに功罪と言いますか、メリット、デメリットはいろいろあって、そういうものを政策の選択肢について細かく具体的に実証研究を基に材料を提供されていくと考えてよろしいでしょうか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 はい。

○今村部会長
 ありがとうございます。それ以外にはいかがでしょうか。これは念のためのいままでの議論の確認ですが、伊丹委員からもありました5頁の(3)の?「一般競争入札のさらなる拡大」に関しては、契約方法の特質を踏まえて、適切かつ効率的な運用を行うということで、背景にそういう解釈があるということでよろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特に修正というご意見は出なかったと思います。1つ「厚労省のニーズ」というところですが、これはどういたしましょうか。例えば厚労省の政策ニーズ、あるいは国民の政策ニーズなどいろいろ文言があるかと思いますが。

○労政担当参事官室室長補佐
 例えば、「労働政策に係るニーズを踏まえた」。3頁の?の1つ目のポツ、「厚労省のニーズ等を踏まえた」を「労働政策におけるニーズ等を踏まえた」、「労働政策の企画立案におけるニーズを踏まえた」などという書き方かなと思いましたが。また?の「厚労省の問題意識を踏まえた」というのは、「労働政策の課題等を踏まえた」などという書きぶりであれば、ご指摘に応じた書きぶりになるのかなと思いますが。

○今村部会長
 もともと目標としては、厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層効果的かつ効率的に行うという、もともとの視点がありますから、それに基づきながら文言を修正させていただくということで、いまの方向で大体ご理解いただければと思いますが、いかがでしょうか。これについては事務局と調整して、最終的なものを8月31日の総会で、私から委員会に報告したいと思います。なおそのほかの誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(了承)

○今村部会長
 それでは本日の審議は以上でございますが、山口理事長からコメントをお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構理事長
 本日は委員の先生方、お忙しいところ長時間にわたりまして、私ども機構の平成22年度の業務実績の総合評価、第2期中期計画の暫定評価、さらに見直し当初案についてのご審議をいただき、大変ありがとうございました。独立行政法人については、まだかなり厳しい環境が続くと思われますが、本日いただいたご意見を踏まえつつ、労働分野のほとんど唯一の研究機関として、役職員一同、ご指摘を踏まえながら、今後とも一層の努力を続けてまいりたいと思います。今後とも先生方のご指導を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、お礼の言葉とさせていただきます。どうも本日はありがとうございました。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。それでは本日の議事は以上で終了でございます。なお本日ご審議いただいた総合評価と財務諸表についての意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また政・独委への通知、公表の手続が行われることになります。「暫定評価」、「組織・業務全般の見直し当初案」については、8月31日の総会で私から委員会に報告いたします。それでは事務局から今後の予定等連絡事項についてご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは次回の開催についてご案内いたします。次回は8月26日(金)、13時から、経済産業省別館1014会議室です。開催案内については、すでに通知させていただいております。以上でございます。

○今村部会長
 それでは本日は長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。



(了)
<照会先>

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