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2011年7月12日 独立行政法人評価委員会労働部会(第66回)議事録

○日時

平成23年7月12日(火)13:00~18:35


○場所

専用第15・16会議室


○出席者

   今村部会長、加藤委員、高田委員、伊丹委員、川端委員、中野委員、本寺委員


○議事

(以下、議事録)
 
○政策評価官
 定刻になりましたので、ただいまから第66回「厚生労働省独立行政法人評価委員会労働部会」を開催します。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。本日は、新しい任期の下での第1回の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長の選出をお願いします。それまでの間、政策評価官の篠原が議事の進行をさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず、委員の皆様方を紹介します。皆様方には、先に辞令を郵送しています。厚生労働省独立行政法人評価委員会委員又は臨時委員として、本年6月30日付で厚生労働大臣の任命が出ています。午前中に委員会の総会が開かれました。その場において、皆様方の労働部会への分属が正式に決定しています。
 五十音順に紹介しますので、お手元の資料1-1と配席表を合わせてご覧ください。留任の今村委員、新任の加藤委員、高田委員です。以上の3名の方が委員会の委員です。続きまして、臨時委員の先生方です。新任の伊丹委員、留任の川端委員、新任の中野委員、留任の本寺委員です。ほかに委員会の委員として、労働部会に松尾委員が新任で入っていただいています。宮本委員が留任をしていただいていますが、本日は欠席です。事務局を紹介します。室長補佐の安里です。
 議事に入ります。まず部会長の選出です。最初に選出の手続を説明しますので、お手元の資料集48頁をご覧ください。厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条の第3項に、部会を置くことができ、その部会に属する委員の互選によって部会長を選出するとなっています。したがって、ここにおられる委員の皆様方の互選により部会長を選ぶことになっています。いかがですか。

○本寺委員
 互選ですので、労働部会は今期以降も組織の見直し等がありますから、ご経験とご見識がある今村先生が長としてはいいのではないかと思うので、ご推薦させていただきます。

○政策評価官
 ただいま本寺委員から、今村委員を部会長にというご推薦がありましたが、いかがですか。
(異義なし)

○政策評価官
 ありがとうございました。今村委員に部会長をお願いします。以後の議事進行については今村委員にお願いします。よろしくお願いします。

○今村部会長
 改めて今村です。どうぞよろしくお願いします。前部会長の井原先生の下で、まさか先生の後任に私がここに座るとは考えもせずに、わりとマイペースでやらせていただきました。非常にいい雰囲気でこれまで独法の評価が進められたのではないかと思いますので、それを引き継ぎたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 早速議題に入ります。これから皆様方には、労働関係独立行政法人の評価をしていただくことになります。各法人の概要とその課題について、事務局から課題を中心に説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 お手元の資料1-3をご覧ください。1法人ずつ説明します。
 まず、1法人目。資料1-3の1頁目です。「労働者健康福祉機構」です。労福機構と略しています。こちらは労災病院などを運営している法人です。そのほか産業医の方への研修を実施したり、また未払賃金立替払事業ということで、事業場が倒産等により未払いとなった賃金等を、事業主に代わって労働者に支払う事業などを実施している法人です。
 「当面の課題とその取組」が2頁目にまとめて書いています。労福機構の当面の課題としていちばん大きいのは、昨年12月7日に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」において、「病院単位での国立病院・労災病院との診療連携の構築や国立病院・労災病院を含む地域の公的病院との再編等についても広く検討し、病院配置の再編等を含む総合的な検討について、厚生労働省として前倒しして早期に取りまとめる」とされています。独立行政法人が運営している国立病院との関係を、整理しようという動きが出ています。こちらは閣議決定に基づいた話です。
 また厚生労働省独自でも、昨年、独立行政法人や公益法人の整理合理化を進めるための委員会を独自に開催して、報告書を取りまとめています。その中でも、国立病院・労災病院等の在り方を考えようということが打ち出されています。これから1年を目途に結論を得ようというのが委員会の報告書にまとまっています。これを踏まえて、第1回を今年の4月20日から開催しています。これから検討を行っていく状況です。
 続いて、「勤労者退職金共済機構の概要」を説明します。資料の3頁です。こちらは、中小企業の退職金共済制度の運営を行っている法人です。業務の概要として柱が2本あります。1つは、「一般の中小企業退職金共済制度」です。業務概要の(1)に書かれていますが、中小企業の従業員を対象として、事業主の方が金融機関を通じて掛金を納付すると、退職したときに従業員の方に直接退職金が支払われる仕組みです。もう1つの柱は「特定業種退職金共済制度」です。厚労大臣が指定する特定の業種で、いま3業種指定しています。建設業、清酒製造業、林業です。こうした業界では期間雇用が中心になっていますので、1つひとつの企業を退職したときではなく、その業界から退職されたときに直接機構から退職金を支払うような仕組みをこの機構で運営しています。
 「当面の課題とその取組」を3頁の下のほうにまとめています。いちばん目には、確実な退職金支給のための取組が重要だということで、請求の漏れがないような周知等を行っています。また、加入していただかないことには共済制度が成り立ちませんので、加入促進対策の効果的な実施が課題です。3点目です。独立行政法人雇用・能力開発機構の概要は後ほど説明しますが、こちらの法人が今年10月1日に廃止されることになっています。この法人が持っていた勤労者財産形成促進業務が勤退機構に移管されることが決まっていますので、その円滑な移管を実施することが当面の課題となっています。
 3法人目、4頁です。「高齢・障害者雇用支援機構の概要」を説明します。高・障機構と略していますが、その名前のとおり、高齢者や障害者の雇用の支援を行っている機構です。「業務概要」は中ほどに4として書かれていますが、高年齢者等に関する雇用の機会を拡大した事業主に対する給付金の支給をしたり、相談援助業務をしたり、また障害者について障害者職業センターを設置運営していたり、障害者職業能力開発校の運営をしています。また、障害者について、雇用納付金関係の業務ということで、障害者の雇用率を満たしていない企業からの納付金の徴収や、関連する助成金の支給などをしています。
 こちらの法人の「当面の課題とその取組」は4頁の下半分に書いています。(1)として、先ほどの勤退機構と同じく、10月に雇用・能力開発機構から職業能力開発業務が移管されることになっています。そちらの円滑な移管を進めることが第1の課題となっています。
 (2)として、昨年まで地方において各都道府県ごとに委託をして、高齢者等に関する雇用関係業務や障害者雇用納付金関係業務について実施してきましたが、今年度から直接機構が実施するという整理になりましたので、直接やることについて、効果的・効率的な業務運営となるように留意しなければいけないというのが2点目の課題です。
 (3)として、障害者の雇用機会の拡大ということで、中小企業を特に中心として、障害者の雇用水準が低い事業主に対する相談・援助を充実する必要があったり、また精神障害者や発達障害者等については、特に重点的に個々人の特性を踏まえた対応を行わなければいけないというのが課題です。
 (4)は高齢者関係です。ご存じのとおり、人口減少と一層の高齢化が同時に進んでいますので、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を目指して、希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入や、70歳まで働ける企業の実現等に取り組んでいます。以上が高・障機構の課題です。
 「雇用・能力開発機構」です。6頁目です。こちらは、4月に雇用・能力開発機構を廃止する法案が成立して、10月1日をもって廃止することが決まっている法人です。廃止することが決まっていますが、昨年度まで事業を実施しているので、今年度は評価していただくことになります。
 事業の概要は、3本柱です。1本目のいちばん大きな柱は「職業能力開発に関する業務」です。公共職業訓練として、離職者に対する訓練や、高度技能者の養成のための職業訓練、在職者向けの訓練などを実施しています。「雇用開発に関する業務」として、雇用管理に関する相談等を行ったり、中小企業に対して雇用創出などのための助成金の支給をしたり、相談をしています。「勤労者の財産形成に関する業務等」として、持家取得資金や教育資金の融資などを行っています。
 課題として、5にまとめて書かれています。廃止することになりましたので、それぞれの業務を円滑に移管することが最大の課題です。1点目の職業訓練に関する業務については、先ほど紹介した高・障機構が名称が改まって、独立業政法人高齢・障害・求職者支援機構に移管することになっています。2点目の雇用管理助成金の支給金などに関する業務は、厚生労働省の支部局である都道府県労働局に移管されることになっています。3点目の勤労者財産形成持家融資等の財形業務については、独立行政法人の勤労者退職金共済機構に移管するとなっていますので、それぞれの円滑な移管が課題です。
 最後の法人です。8頁をご覧ください。こちらは今日評価をしていただく法人です。「労働政策研究・研修機構(JILPT)の概要」です。こちらは名前のとおり、内外の労働問題や労働政策について総合的な調査研究等を行う法人です。その成果を活用して、行政職員等に対する研修も行っています。
 「当面の課題とその取組」です。実は、このJILPTは今年度で第2期中期目標、中期計画期間が終了しますので、第3期に向けてどのような組織、業務運営にしていくかという検討を進めるのがいちばんの課題です。もう1点課題としては、労働大学校という行政職員向けの研修を行う大学校については、先ほども別の法人のところで出てきましたが、昨年度の12月7日の閣議決定の「独立行政法人の事務・事業の見直し基本方針」の中で、平成23年度以降に規模を縮減した上で国に移管することとされていますので、その閣議決定に沿って、所要の措置を講ずるべく関係府省と協議をして具体的な対応を決めていくことが課題となっています。掻い摘んでですが、以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に対し、何かご質問等ありますか。新任の委員の方もいらっしゃいますので、これが評価のスターティングポイントですので、どうぞご遠慮なく。
 皆さん質問を考えているようなので私のほうから質問です。資料6頁の雇用・能力開発機構からの移管の業務概要の4の(2)の中で、「雇用開発に関する業務」というのがあるのですが、下の移管のところを見ると、雇用管理助成金の支給等と書いてありまして、残りの雇用管理に関する相談等とか、中小企業の雇用創出というのはどこにいくのか見えないのですが、それについては何か付け足しの説明をいただけますか。

○政策評価官室長補佐
 基本的に「等」の中で含める形で考えているのですが、詳細についてはまた雇用・能力開発機構の説明のとき、もしくは高・障機構の評価のときにより詳細に説明させていただきます。

○今村部会長
 ありがとうございました。いかがですか。次の課題に移ります。次は議題(3)です。独立行政法人の実績評価を行っていただくわけですが、新任の委員の方もいらっしゃいますので、評価の流れや評価基準について事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 引き続き委員になっていただいている方にとりましては、例年と変わるものではありませんが、おさらい的に丁寧に説明します。資料集の55頁をお開きください。独立行政法人の評価の基準として、我々の親委員会である評価委員会で決定しているものです。評価の流れや基準の大まかなところを決めています。また、これを受けて労働部会としての細則も決めています。それは78頁目からになります。ざっと概要をつかんでいただきたいので、55頁を中心に説明させていただきます。
 これから独立行政法人の評価を行っていただきますが、評価は大きな柱として2種類あります。1つは毎年度の評価。もう1つは中期目標期間ごとの評価です。独立行政法人は、中期目標期間として3年から5年の期間を定めて、国から中期目標が提示され、それを受けて、独立行政法人のほうで中期的な計画を中期計画として立てて、大臣が認可をして、その中期計画にしたがって年度年度事業を進めていく形になっています。各年度ごとに中期計画と見比べて進捗状況がどうなのかというのを評価していただきます。また、中期目標期間が終わるときには、中期目標期間を通してどうだったのかという評価をしていただくことになります。
 まず年度ごとの評価の進め方です。56頁です。最初に上のほうに(2)と挙がっていますが、個別的な評価として、中期計画の中の全般をまとめてではなく、各事業単位ごとなどいくつか単位を分けて、それぞれについてS.A.B.C.Dの評価をしていただくことになっています。このS.A.B.C.Dという評価の判定の基準ですが、ここに書いてありますが、中期計画に概ね合致している場合はBです。いわゆる普通であればBだと。それを上回っていればA、大幅に上回ればSという判定基準になっています。また、それぞれS.A.B.C.Dを付けるに当たっては、その理由を付記していただく形になっていますので、できるだけそれを具体的に書いていただくというようなことです。
 個別的な評価をしていただいた上で、それらの評価を基に総合的に見るとどうなのかという総合的な評価をします。本日は、例えばJILPTと勤退機構の個別の評価ということで、まさにいま説明したS.A.B.C.Dを付ける作業をしていただいて、それを基に期間を空けて次に総合的な評価として、皆様が付けていただいたS.A.B.C.Dを基に総合的にどうなのかというような評価をします。
 同じようなことを中期目標期間についても行って、中期目標期間の評価を行う場合にも、個別的にどうなのかを見た上で総合的にどうかというような評価をします。なお、各事業年度ごとの評価については、この部会で決定したものが最終決定となります。中期目標期間についてはこの部会で決定したものを総会に持っていき、総会で審議して決定となります。
 また、中期目標期間が最終年度の場合には、通常と違った動きがあります。中期目標期間の評価を次期の中期目標の見直しに活かすために、中期目標期間の最終年度に該当する法人について暫定評価を行います。例えば、今年度ですとJILPTが今年度で終わりですので、今年度の評価と今年度までの中期目標期間を通じた評価を暫定的にしていただきます。
 また、暫定的な評価と並行して、国でもJILPTを来年度以降どういう形で見直そうかという組織業務の見直しの案を考えますので、今日の部会ではありませんが、次の総合評価を行う部会のときに、一緒に組織業務の見直しの当初案、厚生労働省としてはまずこういう案を粗々に考えていますと示しますので、それについてこれまでJILPTの評価をしていただいた皆様方からのご意見もいただいて、夏の段階で厚生労働省としての組織業務の見直し当初案をまとめます。それを関係省庁といろいろやり取りをして、年末に組織業務見直しの当初を抜いて組織業務見直し案を作ります。その際にもまた年末にお集まりいただいて、ご意見をいただくことをやります。暫定評価ですとか組織業務当初案については、部会だけの決定ではなく、両方とも総会に上げて、総会で審議をいただいて決定という形になっています。
 また、昨年度で中期目標期間が終了している法人については、暫定評価は終わっていますので、最終評価という形で、実際、中期目標期間の最終年度が終わったその年度の評価も加えて、最終的にどうだったかという最終評価を行います。労働部会については、今年度はJILPTの暫定評価があるだけで、最終評価が該当する法人はありません。
 事業年度ごとの評価も中期目標期間としての評価も両方ともまとまりましたら、総務省政策評価独立行政法人評価委員会、通称「政・独委」と呼んでいる委員会がありますので、そちらにも通知をして、総務省の親委員会のようなものですが、そちらで厚生労働省の評価委員会が決めた評価が適正かどうかをまた議論して、総務省の政・独委としてはこう考えますという意見が戻ってくる流れになっています。
 少しややこしいのですが、夏には、まず基本的に前年度の事業実績について個別の評価をして、そのあと総合的な評価をまとめると。中期目標期間については、暫定評価があって、それから最終評価があるという流れになっています。
 ざっと言うと、こうなのですが、いまのことを資料1-4-?としてもう少し具体的なイメージが各形でまとめていますので、お手数ですがそちらを見てください。「労働部会における個別評価項目に関する評価の進め方」というタイトルになっています。各法人の個別評価、これからまさに本日ですとJILPTや勤退機構に対して評価をしていただきますが、そちらについての具体的な進め方です。理事長から概要、重点的な事項について説明をしていただいて、そのあと評価項目全体をまとめてやるのではなく、4つほどのパートに分けて担当部長から説明。皆様の評価に資するように、法人のほうで自己評価という形で、自分たちとしてはこの項目についてはSです、Aですというような評定と理由を書いていただいていますので、そちらのご紹介をしていただきます。そのあと、質議、応答をしていただいて、それらを踏まえて「評定記入用紙」を各法人ごとにお配りしていますが、そちらのほうに先ほど言いましたS.A.B.C.Dの判定基準で基準を付けていただいて、どうしてその判定を行っているかという理由を書いていただく作業を行います。それを4つ程度のパートに分けていますので、パートが終わるごとに次にいって、法人が終われば入替えをする形になっています。
 特にこれらの作業で留意していただきたいのは、先ほど説明を省きましたが、資料集の78頁からの労働部会の評価の基準の細則の中にも書いていますが、具体的な評価を行うに当たっては何となくではもちませんので、具体的な業務実績や目標の達成度合を考えた上で、整合性があるより客観的な評価を行っていただきたいと思っています。部会としての評定理由の基になりますので、皆様のS.A.B.C.Dの理由もできるだけ具体的に書いていただければと思います。
 先ほど言いました政・独委ですが、毎年夏に各独立行政法人評価委員会の評価の結果についてああだった、こうだったという意見を言ってくるのですが、政・独委も政・独委としてどういう点を注視して見ますよというのをまとめて発表しています。資料集でいきますと110頁に「独立行政法人の業務実績に関する評価の視点」に政・独委としてはこういう点を注意して見ていきますというものが載っています。
 具体的には、111頁以降に細かいポイントが出てきます。政府方針に反していないか、財務状況について総利益や損失が出た場合には発生理由をきちんと明らかにして検証しているか。112頁以降に、保有資産の管理・運用はどうなっているか、人権費はどうなのか、内部統制、契約関係、関連法人との関係は適切なのかなどを見ますよという宣言を政・独委がしています。毎年度そういう観点を持った上で、またテーマを各年度ごとに決めて、政・独委は我々の評価の取りまとめを受けて、秋から年末にかけて政・独委の二次評価、二次意見として評価委員会に対して結果がバックされるという形になっています。
 ちなみに、昨年度はどういう二次意見がきたかというと、昨年度の政・独委のテーマは「保有資産」と「内部統制」でした。保有資産については、各法人がどういう資産を持っているか、その運用状況はどうなのかを調査してまとめた形になっています。来年度以降は、それが適切になっているかどうかきちんと評価してくださいという形になっています。内部統制についても、各評価委員会で内部統制がどの程度チェックされているかを政・独委で見て、好事例などを紹介する形で意見がバックされています。今年度は、内部統制についても、より一層充実した評価をしてくださいというポイントになっています。
 いま私が申し上げた今年度の政・独委の評価のポイントについては、資料集に載せています。116頁に「平成22年度業務実績評価の具体的な取組について」ということで、先ほどの評価の視点に加えて、こういう点を留意して見ていきますので今年の夏の評価はこの点を特によろしくお願いします、という形になっています。
 いま、まとめて申し上げましたが、そういったすべてのことを皆様に留意していただくのは不可能だと思っていますので、事務局として、今日の評価にも付けていますが、評価を行う法人の実績評価シートと別に別添資料として、政・独委がよく見ますと宣言している項目や、また長妻前大臣の時代に「きちんと事務に無駄がないか見直しなさい」というポイントを、いくつか評価委員会としてしっかり見てくださいと要請がありましたので、労働部会としてしっかり見ていただきたいものについて、ピックアップした別添資料を付ける取組を始めています。実績評価のシートを中心に法人からの説明がありますが、是非そちらの別添資料もご覧いただいて、政・独委が言っている視点や前長妻大臣から言われている視点をしっかりチェックをされているか、うまく動いているか、という観点で評価をしていただければと思います。
 もう1つ補足ですが、こういった形で大量の資料をご覧いただくことになるのですが、個別評価をしていただいた上で、総合評価という進み方になるのですが、総合評価に際して資料1-4-?の2頁をご覧ください。2として、総合評価を実際どういうふうにやるか解説です。個別評価でS.A.B.C.Dを付けていただいて、コメントを付けていただいたものを事務局で集計して、総合評価を確定させる形になります。総合評価を行う次の部会の際に、皆様のS.A.B.C.Dを点数化して、法人全体としての、労働部会としての個別評価の評定はSですとか、Aですとか、そういうものの暫定の案を作りますので、またその際に各委員の評定の並びも入れますので、それをご参照いただいて、もし変更が必要な場合には総合部会の次の評価のときに修正いただくことも可能となっています。
 また、総合的な評価は、各委員の皆様の個別評価に基づいた総合的な評価になるのですが、それを起草する担当の委員を決めさせていただいています。資料1-4-?として、一連の資料のいちばん最後の頁です。各委員の皆様には事前に説明があったと思いますが、このような形で担当を決めさせていただいています。担当の法人についての総合的な評価の起案の作業をお願いする形になります。具体的には、また事務局から個別に相談させていただきますのでよろしくお願いします。担当は、総合評価を起案する際の担当ですので、すべての法人について、評価としては労働部会としての評価に決まりますので、担当ではない法人についても評価をしていただくようにお願いします。
 担当ではない法人の個別評価の部会を欠席された場合の取扱いは、2頁目の3に書いてあります。(1)審議対象法人が起草担当である法人の場合。こちらは是非起草の作業をお願いしたいところがありますので、別途、個別にレクをさせていただいて、個別評価部会のようなことをレクで事細かに説明させていただきますので、それを基に評価をしていただければと思います。(2)の、もし自分の担当ではない法人の個別評価の部会に欠席された場合には、評価はしていただかなくてもかまわないという扱いにしています。資料等を事前に送らせていただいていますので、もし自宅で資料をご覧になって評価をしていただいた場合には、是非、事務局にお送りいただければと思います。欠席された部会の開催日から3日以内に連絡いただいて、提出いただけましたら、総合評価に反映させていただこうと思っていますので、よろしくお願いします。
 長くなりますが、最後に資料1-5と資料1-6を紹介させていただきます。資料1-5は、各法人にまず最初に自己評定を付けてもらっています。その自己評定と昨年度の評定結果の対比表です。例年S.A.B.C.DのBが基本であるということが、どうしてもBという言葉のイメージからか忘れがちで、高めになっているのではないかという指摘もいろいろありますので、並びを見ていただいて、水準としてどうなのかも参考にしていただければ、評価のばらつきが少なくなるかという考えで事務局で作成させていただいている資料です。同じ趣旨で作っているのが資料1-6です。資料1-6は過去3年間の評価結果をグラフ化したものです。参考にしていただければと思います。資料1-6は、他部会に属している法人も参考に付けさせていただいています。長くなりましたが事務局からは以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。事務局からの説明について、これから評価を行っていただくわけですが、かなり膨大な量の説明がありましたので、どうぞご遠慮なくご質問いただければと思います。いかがですか。資料が多いので大変かと思いますが、いかがですか。どうぞ遠慮なく。

○伊丹委員
 やりながらその都度聞かせていただくとありがたいと思います。

○今村部会長
 その都度、必要に応じて質問させていただくということでよろしいですか。これからその手順にしたがって、各法人の実績の評価を行っていただくようにお願いします。どうもありがとうございました。
 では「労働政策研究・研修機構」の個別評価に入ります。最初に山口理事長からご挨拶と平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事長
 ただいまご紹介をいただきました独立行政法人労働政策研究・研修機構の山口でございます。本年1月から前任の稲上理事長のあとを受けまして理事長を仰せ付かっております。評価委員会の委員の皆様方には、日ごろから業績の評価のみならず、機構の運営等に関しましていろいろお世話になっていることと存じますが、大変ありがとうございます。また、今回はこのような機会を設けていただきまして、機構としても大変感謝しております。
 本日は、私どもJILPTの平成22年度の業務実績について個別評価を行っていただくことになっております。昨年度は、私どもは第2期中期計画期間の4年目でした。今年度は組織及び業務運営の見直しの年でもありますので、8月には先ほど事務局からご紹介もございましたが、これまで4年間の業務実績の暫定評価や第3期に向けた当初の見直し案、第3期は来年度から始まるわけですが、この見直し案をご審議いただくということになっております。そういう意味で、私どもにとりまして今年は大変重要な年だと認識しております。
 昨年度は省内の事業仕分けや行政刷新会議における事業仕分けがありまして、さらに、それらを踏まえて「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」が12月に閣議決定されました。こうした見直しへの対応につきましては、後ほど個別評価シートの説明の中で総務部長のほうからご説明申し上げますが、私どものほうでこれまでその対応として行ってまいりましたことは、1つは昨年の12月で霞ヶ関事務所を廃止いたしました。それが1つです。2番目は総合情報職業データベース、いわゆるキャリアマトリックスと言われているものですが、これも平成23年3月で廃止いたしました。3番目は、これも先ほど事務局からご説明がございましたが、労働大学校につきまして国に移管するということになっております。これも、法律が通りましたらそれに基づきまして実施をするということですが、移管はすでに決定をされているわけです。
 こういうわけで私どもの機構は大変厳しい状況に置かれているわけですが、労働政策への企画・立案への貢献、政策提言といった、私ども機構に課されました使命といいますか、ミッションは今後とも十分に果たしてまいりたいと、そういうことで機構の存在意義を高めていかなければいけないと考えております。法人の責任者としましては、これまで以上に内部統制の充実・強化を図りながらこの課題に取り組んでまいりたい、このように考えております。
 そこで、平成22年度の業務実績の評価をしていただく前に、業務の概要について簡単にご説明申し上げたいと思います。「平成22年度業務実績説明資料」という資料がございますが、3頁に「独立行政法人労働政策研究・研修機構の事業体系図」というのが載っております。これをご覧ください。
 私どもの仕事といいますか、ミッションは、先ほど申し上げましたとおり労働政策の企画・立案及び効果的かつ効率的な推進への寄与と、こういうことです。そのため、内外の労働問題や労働政策について総合的な調査研究を行い、その成果を活用して労働行政職員に対して研修を行っております。2頁を開いていただきまして事業体系図の下に青地に白抜きで書いてあるのが私どもの機構の事業であり、ミッションです。そのために行っております事業の柱がそこから2つ下に黄色の地に黒で書いてあります4つの事柄、即ち、労働政策研究、情報の収集・整理、さらに下にまいりまして、労働政策研究に資する研究者等の招へい・派遣、成果の普及・政策提言、それに基づいた労働行政職員への研修と、こういうことになっております。つまり、私どもの事業は5つの柱から成り立っております。
 1枚めくっていただきますと4頁ですが、5つの柱の中身を詳しく、大体どのような業務を行っているのかということを整理しております。これをご参考にしていただければと思います。これらの事業はもちろんばらばらではなくて、一連の計画の中で有機的に関連させながら行っているわけです。平成22年度の業務実績ですが、予算・人員が削減ということになっております。こういう厳しい状況にありますが、役職員一同、業務のバランスを考えながら重点化を進めるということで努力してまいりました。特に事業仕分け等、事務・事業の見直しで、大変な時期でしたが、かなりよく仕事ができたのではないかと思っております。
 平成22年度につきまして、特徴的な取組を2つだけ紹介させていただきたいと思います。1つは、省内の事業仕分けでの指摘等を踏まえまして、喫緊の政策課題により機動的に対応するということを目的としまして、緊急調査という新しい枠組みを整備いたしました。これは労働政策の企画・立案に必要な調査ニーズを四半期ごとに把握するということをいたしまして、政策の企画・立案に必要な調査を時機を逸しないでタイムリーに、もうちょっと別の言葉で言えば短期間、原則は3カ月程度で実施をするというものです。平成22年度には、未就職卒業者に対する緊急調査をはじめとしまして7件の緊急調査を実施いたしました。政策研究機関としましてはプロジェクト研究のような、これが本来の研究の中心ですが、こういう中期・長期的な労働政策に関する課題と同時に、労働政策の立案に必要なこういう緊急の必要に応じた機動的な調査へも十分な対応、強化を図っていきたいと、こういうことです。
 もう1つは、平成22年度から平成23年度にかけまして、今後ある程度続いていく取組になるかと思いますが、震災への対応ということがあります。ご承知のように、3月11日に東日本大震災がありまして、日本の社会全体が非常に深刻な影響を受けております。私どもでもこれに対応してできる限りのことをしたいと考えまして、次のような取組を行っております。
 1つは、従来から持っております調査研究のノウハウ、ネットワークを活かした政策面での貢献ということです。震災発生以降、厚生労働省とも協議をいたしまして緊急に、有職者アンケートやモニター調査、事例収集等を組み合わせまして、震災による影響や企業等の対応などについて実態の把握を行っております。どういうことを具体的にやっているのかと言いますと、例えば、企業がこの震災に対してどのような対応をして企業の復興なり再建なりをしているのか、どういう被害・損害を受けたのか、こういうことを現地に出向きまして、これはなかなか、向こうへ行きますと歩き回るだけでも大変なのですが、そういうことを実地にやっております。この成果の一部は6月24日に公表しております。
 さらに、研究員個々人にも順番に提案をレポートとして出させまして、これもホームページ上で発表しております。その中にはいくつかの反響がありまして、ご意見をいただいているものもあります。
 2つ目は首都圏で就職活動を行う被災地の学生・生徒への支援ということで、就職活動で上京する学生等に、労働大学校の宿泊施設を無償で提供するということを4月からしております。その際は労働大学校の特徴を活かしまして、つまり研究とか研修の機能といいますか、そういう仕事もやっておりますので、併せて就職支援セミナーを学生向けに開催しております。この就職支援セミナーそのものは、学生の方にも大変好評をいただいております。 平成22年度の業務実績の概要ということで、ごくごく基本的な数値目標の達成状況について簡単にご説明を申し上げたいと思います。先ほど述べました新たな取組等の結果もありまして、平成22年度の業務実績につきましては、私どもは前年度を上回る成果を上げることができたと考えております。詳細につきましては、このあと総務部長から評価シートごとに個別に説明をさせていただきたいと思います。
 まず年度計画で設定した数値目標につきましては、すべて目標を達成することができました。これは4年連続で達成したことになります。特に労働政策研究につきましては、私どもの設置しております外部評価機関であります「総合評価諮問会議リサーチ・アドバイザー部会」というのがございますが、これでA以上の評価を受けた成果の割合が90.5%になりました。数値目標は3分の2以上でしたので、これはもちろんのことですが、昨年度の90%をさらに少し上回りまして、高い水準を維持することができました。
 外部評価でS、つまり、最優秀という評価を受けた研究成果が3件ありました。こうした高い評価も反映しまして、研究成果の行政等における引用状況なども見てみますと、平成22年度は611件で、前年度の540件をかなり上回っております。特に政策との結びつきが強い審議会・研究会等の引用につきましては153件になっております。これは前年度の3倍以上になっております。このようにリサーチ・アドバイザー部会で高い評価を頂戴しただけでなく、実際に労働政策の企画・立案に貢献できているということがここで表れているのではないかと思います。 成果の普及につきましても一定の努力をしておりまして、いずれも、前年よりもいい数字が出ております。そういうことで、政策研究等の成果の普及の評価シートにつきましては自己評価をSとさせていただいているということです。こういうことも、日ごろ皆様方から私どもの業務運営にいろいろご関心を持っていただき、ご意見をいただいておりますことの結果だと思っておりまして、大変感謝申し上げている次第でございます。詳しいことは後ほど説明資料に沿って総務部長から申し上げますが、私どもの取組につきまして忌憚のないご意見をいただければ幸いと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ありがとうございました。続きまして、評価の進め方です。労働政策研究・研修機構の個別評価については、評価シートの個別評価を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。これは、1枚めくっていただいて目次のところになるかと思います。説明1、2、3、4と書いてある、これでよろしいのでしょうか。まずグループ1「労働政策研究」及び「労働行政職員研修」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明が25分、委員の評定と質疑が20分の合計45分ということになっております。それでは法人から説明をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 労働政策研究・研修機構で総務部長をしております友藤と申します。よろしくお願いいたします。私から資料に沿いましてご説明をさせていただきます。お手元の資料2-1、説明資料をパワーポイントで作らせていただいている資料に基づきまして、基本的にご説明を申し上げたいと存じます。ただ、資料2-2というものがありますが、こちらが平成22年度の業務実績評価シートと大元はこちらになっておりますが、大部ですので、簡単にまとめましてわかりやすくしましたのが2-1ということです。それでは、資料2-1に沿いましてご説明をさせていただきます。お開けいただきまして、資料の6頁から7頁にかけまして、評価シート3「労働政策研究の種類及び実施体制」です。6頁の上のほうに「評価の視点」というのが書いてありますが、そういった観点での評価をしていただきますし、私ども、させていただいたということです。
 「労働政策研究の種類及び実施体制」ですが、私どもJILPTでは、平成22年度、6つのプロジェクト研究、これは5年間、中期的に取り組んでいくというものですが、平成22年度につきましてはプロジェクトの研究サブテーマという形で、これは長いものは2年ということもありますが、通常1、2年で実施していくというものですが、そういったテーマを22テーマ設定させていただいております。また課題研究という形で、これは1年のものになりますが、こういったテーマについて4テーマ設定させていただきまして研究を実施させていただいております。
 先ほど理事長からお話がありましたとおり、赤字で書いてありますが、平成22年度から「緊急調査」というものを新たに設けているということです。厚労省の調査ニーズを的確にとらまえまして、四半期ごとに把握いたしまして、時機を逸することなく短期間で仕上げるというものです。3カ月程度で結果を、2カ月から3カ月ぐらいで依頼のありました担当部署のほうに結果を提供するといったようなものを実施させていただいております。こういった緊急調査について7テーマほど実施させていただいたということです。
 これらの研究テーマの策定に当たりまして、私どもだけで決めさせていただくということではありません。左側にありますとおり、厚労省の短期・中期的な政策課題を踏まえたニーズといったもの、それから、私どもは労使の懇談会をそれぞれ別に開催しておりまして、労使のニーズあるいは意見も把握しながら。そういったものをハイレベル会合、これは、私ども役員、理事長をはじめとします役員等と、厚生労働省の政策統括官をはじめとします厚労省の幹部等で意見交換を行っておりまして、そうした場で十分すり合わせをしましてテーマを決定させていただいているということです。
 こうして実施しました調査研究の成果ですが、白書、あるいはさまざまな国の審議会への報告、あるいはその専門図書への引用といったような形で利用されておりまして、赤字で下のほうに書いてありますが、平成22年度は611件という形になっておりまして、前年の540件を大幅に上回りまして、過去最高を達成しているということです。中でも審議会・研究会での引用件数が、前年が54件でしたが、そこにございますとおり、過去最高の153件と3倍ぐらいになっているといったような状況になっております。労働政策審議会あるいは中央教育審議会、男女共同参画会議等々、そういった審議会あるいはその研究会でも活用されたということです。詳しくは9頁に、活用された審議会等を記載させていただいております。
 引用のほかに、私どもの研究員がさまざまな審議会あるいは研究会に参画するというものもあります。そうしたものを9頁の右側のほうに記載させていただいております。労働政策審議会をはじめ、そこにありますとおり、各省庁の審議会あるいはその研究会にも入りまして私どもの知見を披露させていただき、国の施策にお役に立たせていただいているということです。あるいは行政・政党・議員に対する情報提供、あるいは国の「新成長戦略の基本方針」といったようなヒアリングに呼ばれまして、ご説明をするといったようなこともさせていただいております。
 いま申し上げましたとおり、行政のニーズを的確につかまえまして、厚生労働省との密接な連携の下、テーマを策定しまして、柔軟な研究体制の下で研究ができたということがあります。また、先ほど申し上げましたとおり、活用状況も大幅に伸びたということで、611件ということで、過去最高の数字になったということがあります。
 そうしたことを踏まえましてこのシートにつきましては、7頁の上にありますとおり、自己評価はSという形にさせていただいております。

○今村部会長
 各委員の先生、資料2-5に評定記入用紙というのがございまして、ここに直接記入いただくようになっています。説明不足で申し訳ございませんが、これに直接記入できるようになっています。この場で記入していただけるということです。すみません、説明がなかったのですが、皆さんの綴込みの資料の中に資料2-5というのがありまして、ここに評定記入用紙というのがあります。個別にメモをとっていらっしゃる先生もいらしたので一応申し上げておきます。事務局のほうはよろしいですか。

○政策評価官室長補佐
 ありがとうございます。さらに補足いたしますと、こちらの記入いただく時間を最後にちょっと設けたいとは思っておりますが、間に合わない場合にはお持ち帰りいただいて書いたりすることも可能にはなっておりますが、説明を聞きながら思ったところを書き込んでいただくとちょうどよいかと。

○今村部会長
 この綴込みの資料の中に入っています。資料2の系列のところです。

○政策評価官室長補佐
 資料2-1のJILPTの大量の綴込み資料の中に。すみません、せっかくですのでもう1点補足なのですが。資料2-2の実績評価シートの中に、例えば4頁目などですと、4頁目の左のほうに「評価の視点」というのも書いてあります。これはこれまでの労働部会の中で、先ほど言いましたように、評価をするにはいろいろな課題を踏まえた評価ですとか、政・独委にチェックされるですとか、そういう点も含めてきちんと評価をしていきましょうということになっておりますが、それぞれの評価項目ごとに特にこういう点に留意して見たほうがいいのではないかということを、部会としてこれまでまとめてきたもので、それが「評価の視点」として、例えば4頁目ですと、いちばん左の四角のほうに載っております。このポンチ絵の評価シートのほうで、先ほど部長からの説明で、例えば6頁目の「評価シート3」の下のほうに「評価の視点」という形で括って出してもいただいておりますが、これは労働部会としてこういう点を評価していきましょうという、これまでの合意の中で作られたものですので、評価をする際のご参考にしていただければと思います。

○今村部会長
 どうもありがとうございました。事務局から説明がありましたように、一旦、質疑が終わったあと、記入時間がございますので、うまく活用していただければと思います。

○川端委員
 この記入したのは今日提出ですか、それとも。

○政策評価官室長補佐
 もし今日書き終わりましたら提出いただいて、もし今日間に合わない場合にはお持ち帰りいただいて、大体20日(水)までに事務局までファックスまたはメールでお送りいただければ。

○川端委員
 メールの原紙を送っていただけますか。

○政策評価官室長補佐
 はい。

○川端委員
 わかりました。

○今村部会長
 どうもすみません。中断して申し訳ありません。では、引き続きよろしくお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 それでは続けさせていただきます。10頁、11頁が評価シート4ですが、11頁をお開けいただきたいと存じます。「厚生労働省との連携」というのが1つの評価のシートになっております。私ども、厚生労働省との連携は、先ほど申し上げましたとおり、ハイレベル会合を中心としまして厚労省の意見を十分踏まえながら実施をさせていただいておりますが、赤字でその下に書いてありますとおり、緊急調査を実施するということもありまして、新規に理事長と厚生労働省の政策統括官等の定期協議の場というものを設けまして、私どもの調査研究あるいは業務運営について意見交換を行う場を新たに設けております。
 そのほか、厚生労働省の政策担当者に機構に来ていただきまして、近時の政策課題についてご説明をいただきまして、意見交換を行うといったような政策研究会、あるいは、私どもが研究報告書を出しまして、それを基に政策担当者と勉強をするといったような会合を11回開催させていただいているということです。当然研究の過程では、担当部局と研究員、調査員等の間でいろいろ意見交換をしながら研究を進めているということです。
 厚生労働省のほかに他の研究機関との連携ということで、海外の研究機関との連携ということで、そこにありますとおり、「日韓ワークショップ」といった形で個別労使紛争についての問題、「日中韓ワークショップ」ということで派遣労働者の問題について協議をするといったようなこともさせていただいております。それから「国際比較労働問題セミナー」ということで、喫緊の政策課題であります非正規雇用問題について、各国の研究者をお招きしましていろいろ国際比較をする、といったようなことで議論を実施させていただいているということです。私ども研究員が、そのほか外部機関との連携ということで、研究員が他の地方行政機関あるいは各種の機関からの研究会あるいは検討会への参加といったものも、そこに書いてありますとおり、86件、55件等々、実施をさせていただいているということです。
 厚生労働省との連携を一層強化し、研究テーマ、研究実施に行政ニーズを的確に反映させていただいているということがありますので、この評価シートの自己評価についてはAという形にさせていただいております。
 続きまして、評価シート5「労働政策研究の成果の取りまとめ及び評価」についてです。13頁にありますとおり、「成果の取りまとめ」ということです。これは報告書あるいはそのディスカッションペーパー、研究開発成果物等々の形で出来上がるわけですが、前年度の47件を上回る59件のものを公表させていただいております。研究員が第1期からに比べますと相当少なくなっているわけですが、研究員1人当たりの取りまとめ数につきましては、そこにありますとおり1.97件ということで、平成19年度からの数値を記載させていただいておりますが、過去最高という形になっております。
 それから研究の評価です。これは極めて厳正な評価を行うということで、そこにありますとおり、所内研究発表会という形でスケルトンの状態で発表していただくというほかに、レビュー、内部評価、外部評価と3段階の評価を行いまして、最終的に成果物にしていくという形にしてございます。外部評価につきましては、外部の専門家2名の方にその評価をお書きいただきます。これは「総合評価諮問会議リサーチ・アドバイザー部会」というところで、これは外部の専門家17名で構成されるわけですが、そこで審議をいただきまして、SからDの5段階で評価をしていただくという形になっております。評価項目も当然、趣旨・目的が明確か、あるいは研究成果・結果の水準がどうか、あるいは政策論議の活性化への貢献度といったようなものについては、しっかり見ていただくという形にしてございます。
 それから、左側にありますとおり、平成22年度から「研究テーマ別の評価の試行実施」というものも実施させていただいております。これは平成21年度に、前長妻大臣のほうから、評価についても事後だけではなく事前、中間といったものも実施していくべきではないかというお話もございまして、厚労省の研究会でそうした報告がまとまったということがありますので、研究課題別に、事前評価、中間評価、事後評価という形で実施をするということで、平成22年度においては試行的に実施をさせていただいているということです。第3期に入りましたら本格実施をしていきたいと、考えております。
 そうしたいま申し上げましたようなことを踏まえまして、評価シート5につきましてはA評価という形にさせていただいております。
 続きまして、評価シート6「達成すべき具体的な目標」です。15頁から16頁にかけてですが、16頁をお開けいただきたいと存じます。研究成果についての具体的な数値目標です。先ほど外部評価にかけさせていただくということでしたが、「外部評価の結果」です。そこにありますとおりSが、これは大変優秀ということですが、Sが3件、A(優秀)が16件という形になっております。数値目標としましては、3分の2以上Aを取るということが目標値ですが、そこにありますとおり、90.5ということで過去最高の水準になっております。
 それから「有識者アンケートの結果」。これは、労使を含めた外部の有識者にアンケートを出してお願いしているわけですが、そこでの結果におきましても、機構の調査研究成果について「有益である」と回答された方が97.5%ということで、前年96.8%ということですが、それを上回るといったような状況になっておりますし、もともとの数値目標としまして3分の2以上の方から「有益である」との評価を得るということでしたが、それを大きく上回っている高い評価を得ているということです。
 それから「行政評価の結果」。当然、政策研究ということですので、厚生労働省担当部局からの評価もいただいております。こちらにつきましても、「政策に役立っている」という評価が100%という形になっております。もともと数値目標としましては、プロジェクト研究に係るものは80%以上、課題研究については90%以上を確保するということでしたが、それを大きく上回っているというような状況になっております。「主な研究成果の概要」につきましては、17頁をご参考にしていただければと存じますが、基本方針とか計画とか、そういったものに利用されているということです。
 続きまして、評価シート7「優秀な研究者の確保と研究水準の向上」ということです。19頁にありますとおり、平成22年度、任期付研究員を2名採用させていただきました。応募者28名ということですが、そのうち2名を採用させていただいたということです。研究員につきましては特に育成が大切だということで、任期付研究員につきましては、そこにありますとおり、政策研究会あるいは成果勉強会に積極的に参加を促しまして、外部評価の対象となる研究成果の取りまとめを奨励いたしまして、所長をはじめとして、アドバイスをしながら評価を受けさせたということです。評価の結果はそこにありますとおり、3人全員の成果が優秀といったような評価をいただいたということです。着実に優秀な研究者を育てる下地が出来ている、と私どもは考えているところです。
 それから、「研究員の能力開発」ということで学会への加入を推奨しております。平成22年度は、前年に比べまして2学会ほど増えております42学会という形になっております。
 「研究員の業績評価制度」につきましても、外部の専門雑誌に投稿していただくことを推奨しようということで、そこにありますとおり、評価の項目としまして論文への掲載も最重要項目としまして実施をしているということです。平成22年度33件ということで、着実に上昇しているということです。
 こうした取組を鑑みまして、私ども、この評価シートにつきましてはA評価とさせていただいているところです。
 駆け足で恐縮ですが、21頁目です。こちらは「労働関係事務担当職員等に対する研修」ということです。私どもは研究と研修という2つの大きな事業を抱えているわけですが、研修につきましては、そこにありますとおり、政策ニーズを的確につかんで厚生労働省の要望に沿った形での実施をしていくということがあります。コースについても見直しをし、研修科目についても、適時、見直しをしていくというような形をとっております。また、教材についても、状況に応じまして順次改善をさせていただいているということです。
 コースの新設、新任労働基準監督官?研修を新たに設けたということですが、これは業務領域が労災関係にも拡大したということに伴う措置で、こうしたものも実施をさせていただいているということです。研修科目につきましても、困窮者への総合相談あるいは若年者対策ということが重要になってきておりますので、そうした科目を新設させていただいたということです。
 研修につきましては、実績ですが、下の段にありますとおり、79コース、3,386名に対して研修を実施させていただいております。研修生から「有意義であった」というお答えをいただいたのが98%ということです。年度計画としまして、これは中期目標でも同じ水準を示されておりますが、85%以上を取るというのが目標数値になっておりますが、それを13ポイント上回る高い水準となっております。現中期計画の期間では最高といったような数字を達成させていただくことができております。
 その高い数字を取れた一因としましても、右側にありますとおり、私ども、研修と研究を両方同時に実施しているということがあります。連携を図るということで、研究員が研修のほうに参画させていただいております。延べ91名の研究員が研修に参加させていただいております。併せまして「イブニングセッション」という形で、課外活動の時間を利用しまして研究成果の紹介とか討議を行ったりする場を設けております。特に現場が関心のある個別労使紛争とか有期契約労働者の雇用管理とか、そういった問題も取り扱いながらご紹介をし、討議をしたということです。回数につきましても、大幅に増加の21回という形になっております。そのほか、現場で使いますキャリアガイダンスのツールの講習会を開く等、実施をさせていただいたということです。そういったこともありまして、高い有意義度をいただいたと考えております。
 研修事業につきましては、理事長挨拶の中にもありましたとおり、基本方針が昨年末にありまして、国へ移管をするといったことがあります。そうしたものについても、厚労省と連携をしながら着実に進めているということです。
 もう1つの取組としまして、これは外部の総合評価諮問会議等でもご指摘いただいているのですが、研修効果について、研修生だけではなくて職場のほうの意見も聞くべきではないか、あるいは、時間を置いてから聞くべきではないかということもあります。そうした取組につきましても、平成22年度から試行的に実施させていただいているということです。
 以上のことを踏まえまして、自己評価としてはA評価を付けさせていただいているということです。以上、ざっとですが、ご説明を終わらせていただきます。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへ評定等の記入をお願いします。ご質問がありましたら、適宜ご発言ください。

○本寺委員
 まず最初の項目で、審議会・研究会で100件取り上げた研究成果が増えましたよね。これまで大体取り上げてきた件数は過去3年間ずっとフラットだったのに、この年度は急に100件も増えた。その成功要因は何なのかなというのが1つです。
 もう1つは、3番目の項目だと思いますが、研究実績。いままでは1.6件くらいだったのが1.9件と、0.3件増えた。これはうがった見方をすると、コツフラ(?)研究が増えたとか、そういうふうにも解釈できますが、この2点についてご説明いただけますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 審議会・研究会での引用件数が増えたのは、これも時期的なものがありまして、私どもの報告ものについてすぐに使われる場合もありますが、2年ないし3年置いてから活用されるといったこともままありまして、過去蓄積してきた取組、有期や派遣というものも一定期間報告書を出してきていますので、そうしたものが結実した成果だと思っています。
 2点目の1.97件に急に上がったということですが、今回、研究員の皆様方は仕分けがあったせいかもよくわかりませんが、非常に成果物をたくさん出していただけたということがあります。その成果物を出した結果、評価をしていただいたら高評価をいただいたということです。

○中野委員
 成果の取りまとめ及び評価のところで、研究員が1人1.97件の成果を出しておられる。大体、予算はどのくらいでやっていらっしゃるのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 予算はものにもよりまして、非常に大規模なアンケートをやりますと1,000万円、2,000万円かかるものがありますし、過去に行いましたアンケート調査をもう1回集計し直して取りますと、100万、200万単位の研究もあります。研究によって、かかる費用はまちまちになっています。私どもは、トータルとして経理部が中心となって理事長も入られる形で、年度の当初にどういった計画を立てられるのかを研究員各部門からヒアリングをして、全体を集計して予算規模が収まる形で実施をする方式をとっています。

○中野委員
 費用対効果はあると思いますが、研究は費用対効果をどう評価するかというのは難しいと思います。小さな研究でもすごく効果があるものもありますし、その辺の基準はどうしていらっしゃるのかなと思います。邪道な質問でしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 そういうのは気をつけながら実施をさせていただくのは当然で、どういう調査方法がいいかについては内部で所内検討会、先ほど申し上げました研究内容の発表をしていただき、予算の内容も含めて研究手法等々も踏まえて、こういう手法でいいのかどうかも議論しながら研究をしていただく体制をとっています。例えばサンプル数が多いのではないかとか、もう少しこういったサンプルも取ってみたほうがいいのではないかとか、そういった議論の中でベストの調査ができるように、費用対効果も考えながら取組をさせていただいています。ですから、費用対効果はどうだと直接答えが出ればベストではありますが、なかなかそこまではできませんので、そういった検討の場を設けまして、トップを中心とした検討の場を通じて、費用対効果を見ていく体制を整えています。

○労働政策研究・研修機構理事長
 ただいまの質問は、最近私どもをはじめとして、すべての研究機関に課せられた大きな問題です。私どもは、いま総務部長が申しましたように、年度、年度で研究計画を立てますので、そのときに研究の予算の審議を通じてコントロールを達成できるように、なるべく努力しています。しかしながら、その予算の経費を計算する際に、いまの積算の項目では建物の費用、光熱費の費用をすべてそこに割り当てるようになっています。会議室は、もちろんその研究会だけが使うわけではありませんが日割で計算して、とにかくやらなければいけない。いちばん肝心な研究そのものに使う直接経費みたいなものはわかりやすいし、計算しやすいです。それは、我々がいちばん具体的に審議をしまして、こんなに要らないのではないか、これはこの研究計画から見たら無駄ではないかというコントロールは厳しくやっています。ただ、委員がおっしゃったような全体のコスト・ベネフィットになりますと、建物の費用、管理費というものが一切入ってきますので、その辺のコスト・ベネフィットの額のコントロールをどうやったらいいのかなと。いわば間接費用を私どもも気にはしていますが、ちょっと頭の痛いところです。

○中野委員
 ありがとうございました。

○加藤委員
 資料21頁の左の下の表で、平成22年度が98.0%で3,386名と、すごい数字だなと率直に思いました。そもそも、年度の計画が85%以上と書いていまして、毎年はるかに上回った90%以上と。年度の計画が85%というのは違和感を感じたのですが、その乖離の合理的な説明と今後の方向性をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 85%は大変高いということですが、もともと年度計画について、独立行政法人というのは5年間の中期計画を策定しています。5年間の目標として、年間85%以上の有意義度を取る形で記載をしていまして、それがベースになっていますので各年85%以上という目標数値を置いています。98%は非常に高い数字で、これを取るのに現場の教官のほうは大変苦労されています。普通のことをやっても、なかなか研修生は喜ばないということがありますので、かなり高度な話の内容、現場の実務ですぐ役立つとか、普段気がつかない点を指摘をしないと、これだけの高い数値が取れない。昔は座学が中心で、いまは皆さんの意見を混ぜながら、こういう点があるのではないですかといった演習形式を入れていて、かなり高い目線からの指導をする形をとって、初めてこういった数字が取れています。
 教官も2年から3年いていただいて、引き継ぎについてもメモを細かく残されて、ここがポイントだという独自のノウハウを後輩に伝承していって、こうした高い数字が取れていると私どもは自負しています。そういうこともありますので、現実が90%以上を取れているので、だんだん目標を上げていったらどうですかと言われると、全体の取りまとめをしている総務としては不安を抱える。いまの現場がよく頑張っていますので、これだけの高い数字が取れているということです。
 今後の展開ですが、私どもは研究と研修の連携が図れて、非常に研修にもいい効果を及ぼすことができていると考えていますが、如何せん、これは行政刷新会議の仕分けで国に移管しなさいと。結局、国の職員に対して研修を行っている機関がほかにないということで、国の研修は本来は国でやるべきといった大きな政権の方針があって、国に移管ということになったということです。そういった状況も踏まえながら第3期に入るわけですが、どうしても暫定的な形にはなろうかと思いますが、円滑な移行を進めるとともに、現状でできるだけのことはしていくような方策を、第3期に向けて考えていきたいということです。その1つとして、研修の評価も単に研修生に聞くだけではなくて、実際研修から送り出す先の現場の意見というか評価も聞いて、研修に役立てていこうといったような新たな試みも、少し実施をさせていただくということです。

○川端委員
 研究活動ですが、大変成果を上げているのは見るとよくわかります。毎年こういう傾向が続いていて、2本近い実績を上げている。これは研究者の立場から見たら、どうなのだろうかという気がします。要するに、事業仕分け等々いろいろあって、非常に厳しい立場にあるとはいうものの、そういう中でどんどんこれだけのことをこなし、毎年成果を上げるためにやっていくとなると、場合によってはじっくりした研究が難しくなっているのではないか。あるいは、成果の出やすい研究を取り上げる傾向が出るのではないかという懸念がありますが、研究者の側面から見れば、これで大変モラルが高く得られているのか、疲れ気味になっているのか、研究者の管理という意味でも少し心配な面があります。これは今後も同じようにどんどん高度化、いまの流れの中で進められるのか、あるいはそこを少し見直そうということの考えはあるのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 大変難しいご質問で、確かにだんだん成果を上げていかないと評価が付かないということも多分にありますが、研究者のほうは当然ご自身の問題意識を持ちながらテーマをぶつけていくということがありますので、やらせられる形ですと良い研究ができないというのは私どもも十分承知しています。厚生労働省からの要請があっていろいろな研究をしていくわけですが、研究者としてこういうテーマのほうがいいよということはあります。そこは、研究者と厚生労働省と私どもJILPTで研究テーマを決める際に、かなりじっくり研究者の意見も踏まえてテーマ設定をしているということがありますので、委員ご指摘の点については、研究者としては自分の好きな研究ができている点も多々あると思いますので、なんとかやっていけるのではないかなと思っています。

○労働政策研究・研修機構理事長
 私も、かつては学校教師で研究者でしたから、研究員の仕事を見ていまして、委員がおっしゃったような心配は日頃からしています。いちばんきついのは毎年の外部評価でリサーチ・アドバイザー会議にかけまして、前年よりも良い成績で上がっていかなければいけないという基準が1つあります。今年は非常に高い評点で90.5%をいただいていますから、来年これをいただくことだけでも大変なことで、常識で考えたら不可能なのではないかと思います。こういう評価の方式は方式として、努力に対するインセンティブをかけるという意味ではいいですが、論理的に考えるとどこかで自爆することになるわけです。だって、100%以上の成績というのはないわけです。だから、これはどこの独立行政法人も研究部門を持っている所は、悩みの種だと思います。
 もう1つは、中期目標計画を5年で作らなければいけないということですが、研究テーマの立て方によっては対応できる面があります。例えば、私どもの中で非正規労働を大きなテーマにしていましたので、派遣労働者の研究をやってまいりましたが、初年度は派遣元の事業所を調査し、次の年は派遣先を調査し、3年目は派遣労働者そのものを調査したという計画を立てますと、大きなものですとそれで回ってまいりますから、かなりの部分は研究計画の立て方によって、うまく調整できる面があろうかと思います。しかし、評価というのは確かに事業業績の評価としては必要なことだと思いますが、現実にはなかなかきつい面があることはたしかです。それは、総務部長の毎日の悩みです。

○高田委員
 2点お伺いします。第1点は川端委員の研究の質問と関連していまして、非常に努力されていることはこの報告の中からも浮かび上がってきますが、以前はJILPTというのは研究者の交流の場として、若手の研究者の育成で実績を上げてきたと思います。そういう意味で、内部の研究者の育成に関しては現在も努力されて良い成果を上げられていると思いますが、予算の厳しい中でやられているのでこういう質問をするのは酷かもしれませんが、私もJILPTでいろいろ訓練を受けた学恩があるように思っています。そういうかつてのような活動をどういう形ではあれ、何か復活できるような企画とかお考えとかがありましたら伺いたいということです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 かつては、私ども労働政策研究・研修機構JILPTは、自主研究というものがありました。ただ、第1期から第2期に移行する過程で、かなり厳しく言われまして、結局、大きく舵を切りまして、自主研究を切るような形で政策研究に特化したということがあります。そういうこともありますので、先生ご指摘のとおり、かつては研究者をいろいろ集めまして自由な研究をさせていただいたということがありますが、そういった自主研究は難しいです。ただ、先ほどご覧いただいたような厚生労働省の政策に資するようなテーマごとで、いろいろテーマ設定しまして研究をしていますが、そういった研究の場に私ども内部の研究員だけでは研究者の数が足りませんので、当然外部の研究者にも一部参画をしていただくことがあります。そういう中で、交流を図っていくことは十分可能かと思っています。
 若手研究員の育成は非常に重要で、先ほどご説明しましたとおり、任期付研究員については細々ながら枠が空きましたら採用していますが、そのほか育成をする観点で臨時研究協力員という、研究員がいろいろ研究を進めてアンケート集計をする上で自由記載欄がありますが、そういう集計をするような形で、記載していただくようなデータの整理等でお手伝いいただく臨時職員を雇うような制度があります。そういうところで若手の方には参画をしていただきまして、少し機構の研究というのも勉強していただくといったような取組もしているということです。如何せん、最近の独立行政法人を取り巻く環境は非常に厳しくて、とにかく政策研究に特化して、重点的に国の施策に反映していかないとなかなか予算が付かない、人も付かないということもありますので、その中ででき得る限りのことをしていきたいと考えています。

○高田委員
 もう1つは、「政策論議の場の提供」とか「国内情報及び海外情報の収集・整理」に関係しますが。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 それは、これからご説明します。

○高田委員
 わかりました。

○伊丹委員
 いま総務部長のお話の中にも言及されたのですが、そもそもこの機構の存在意義にもかかわるわけですが、私も民間の1人として労働問題というのを日々いろいろ接する中で、労働政策にかかわる機構の成果物については、自らの企業なり身の周りの問題に照らし合わせて、いろいろ読んだりする場合も多いです。機構の評価をする上で、基本的には厚生労働省の政策をサポートしていくという使命はあると思いますが、だからこそより開かれて、研究者でないような方にも、よりわかるようなレポートや引用のされ方を意識した活動もあっていいのではないか。
 一部の専門家には高く評価されると思いますが、私どもの会社で機構の資料を読んでいるのは、少し変わっている人間という感じになってしまうというか、相当労働おたくではないですが、専門家でないとなかなか付いて行けない。いろいろな法案の審議のあり方が、どういう推移を経ていくのかということを知っている人間も少ないですし、そういう意味で厚生労働省の施策をサポートするためにも、大変難しい状況であえて申し上げているところもありますが、より国民のいろいろな人たちに理解される成果の発揮の仕方を、もう少し意識されてもいいのではないかと思うことがあります。この辺については、いままで何かご議論はあったのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 報告書自身は、専門家向けにも書かれていますので、数字が多いとか数式がたくさん並んでいるというのはありまして、読みづらいというのは確かにおっしゃるとおりです。1つは労使の皆様方を含め、国民に返していくということがありまして、今日お配りもしていますが、調査結果の報告書自身は非常に大部ですが、中身のエッセンスをまとめた概要を作成しまして、これは冊子にしていますがホームページに掲上するとか、私どもはメールマガジン、あるいはあとでまたご説明しますが、『ビジネス・レーバー・トレンド』といった月刊誌を発行していまして、その中で、報告書の中身を簡単に解説するような、一般の方にもわかりやすい形での提供をしているということです。ですから、どちらかというと報告書なり、雑誌のほうも『日本労働研究雑誌』という論文が載っていて非常に難しいものがありますが、『ビジネス・レーバー・トレンド』は一般の読者向けで、わかりやすい形で実施しています。
 これも、後ほどご説明しますが、フォーラムに労使の委員の方にも入っていただくなり、パネリストに参画していただきまして問題点をあぶり出す取組も少ししていて、報告書の中身をわかりやすくご提供するような試みはしています。それが成功しているかどうかというのは別の問題がありますが、そういうご提供をしているということです。

○伊丹委員
 いまの件の延長線上になりますが、「厚生労働省との連携等」で、外部機関との連携といったようなところや、国際比較労働問題セミナーにもちらっと書いてありますが、どちらかというとニュートラルな公的機関の方との交流だけではなくて、いまのフォーラムの話にもつながるとは思いますが、そういった所との連携というと政策立案にも出ての連携というのは何だということになるかもしれませんが、広い意味での意見を聴取したり対応したりといったものは、この中では評価されにくいものですか。要するに、民間との接点をもっと増やしていただいたほうがいいのではないかという気が時々しますから、そういったものが評価軸の中に入ることがあり得るのかどうかをお聞きしたかったのです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 労使との懇談という形は、1つは私どもの外部評価委員会がありまして、総合評価諮問会議に労使の代表者、日本経済団体連合会の理事、企業の相談役等々にも入っていただいていますし、組合のほうも連合の事務局長等に入っていただいている。そこで、私どもの団体の運営そのものについてもご意見をいただく。
 研究についてはいちばん最初に申し上げましたとおり、資料の7頁にもありますが赤字でサラサラと書いてあるので見逃しやすいかと思いますが、左側のJILPTの下に「労使懇談会等を通した労使のニーズや意見の把握」という形で、使用者の代表と労働者の代表とそれぞれ意見交換をしまして、私どもはこんな研究をやっていますと。今後の研究テーマとして、どういうのがよろしいのかといった意見の吸い上げ等もさせていただいている。そういった形でニーズをつかんでいます。そういった交流をしています。
 調査の中身も私どもは労働問題を扱っていますので、現場を知るという意味で組合の方、企業の方にモニターになっていただきまして、私どもは調査票を郵送して意見を聞く。ヒアリングをしに行くこともありますが、研究の調査の中身として労使の意見も聞くような試みもいろいろしています。そういったことを通じて、労使との接点を持たせていただいていると考えています。

○伊丹委員
 いわゆる労使あるいは労働問題と少し限定された調査になりがちなので、良い意味で広く世の中全体の問題を、同時に交わるものも解決しながらやっているような世の中だとすると、そういったところを本格的にいろいろな議論ができるような柔らかい場をもう少し作っていただくことで、より研究者がレベルアップする、あるいは良い政策の立案につながるような気もするので、そういった意味での交流を増やすこともあってもいいのではないかと思ったという意見です。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 今後、検討していきたいと思います。

○今村部会長
 よろしいですか、皆様のご記入状況は。先ほど説明がありましたように、後日に記入して送っていただくことも可能です。
 次にグループ2「労働事情・労働政策に関する情報収集」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑応答が15分の合計35分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 22、23頁の評価シート8「国内情報及び海外情報の収集・整理」です。まず、「国内労働事情の収集・整理」からご説明申し上げます。そこに赤字であるとおり、平成22年度は研究と同じですが「緊急調査」を設けまして、緊急の政策課題に対応するための新たな取組を実施しています。調査は、そこに記載があるとおりの件数の調査を実施しました。特に平成22年度末には東日本大震災の発生がありまして、緊急に有識者アンケートやモニター調査、事例収集を有機的に組み合わせまして、震災の影響や対応について実態把握をしたということがあります。先ほど理事長が申し上げましたとおり、現場にも直接行くということもありますし、平成23年度の取組になってしまいますが、節電等がありますので、各業界団体を回りまして、どういった取組をしているのかの情報収集もしています。
 こうしたものは25頁になりますが、先ほど若干触れましたが月1回発行している『ビジネス・レーバー・トレンド』という雑誌に掲載をしています。震災の影響と復興に向けた課題といったような特集を組みまして、今年の6月号で公表をしました。
 23頁の右側に記載があるとおり、成果の活用状況、白書、新聞・雑誌等への引用件数が145件と前年を大きく上回ったということで、中期計画でも毎年500件となっていますので、毎年100件ずつ割り振っているわけですが、数値目標、年度目標の100件以上を達成することができているということです。情報収集・整理の中身については、当然研究部門での基礎データとしても活用されていますし、厚労省をはじめとした各省の審議会・研究会、白書でも幅広く使用されているということです。細かい内訳は下に記載があるとおり、31件、114件、49件となっています。
 「海外情報の収集・整理」の関係については、主要国の「国別情報収集」と「課題別情報収集」を行っています。国別の情報収集はそこにありますとおり、英米独仏といった主要国、国際主要機関のILO、EC、OECDといったものに絞りまして、プロジェクト研究テーマとも関連する政策課題を重点に置きながら情報収集をしています。その結果は、ホームページでの情報提供が110件、『ビジネス・レーバー・トレンド』雑誌での情報提供が80件といった状況になっています。課題別情報収集という問題ごとの情報収集のほうは、数値目標としてそこにあるとおり、年間4テーマを実施することが目標値になっていますが、平成22年度は高度外国人材活用実態調査、労働者派遣制度の国際比較調査等の4本を実施しています。
 そのほか、「海外労働情報研究会」というものを4回ほど開催しています。これは、海外の研究者が日本に来られた際に、海外の労働事情を解説していただく。あるいは、海外に長期出張された早稲田大学の先生は、たまたまスウェーデンに1カ月ほどいらっしゃって保護雇用にお詳しいということで解説をしていただくということで、海外の情報も適宜勉強会を開いて情報収集をし、提供しています。
 海外情報を収集した成果ですが、新聞・雑誌での引用、マスコミ・行政官への説明件数は49件です。課題別情報収集は、政策立案の参考資料として29件が活用されたことになっています。「主な活用例」と書いていますが、失業扶助制度。雇用保険と生活保護の中間層を作るといったような議論が国内でもありましたが、それについて参考になるように、欧州主要先進国の失業扶助制度の情報も集めまして、労働政策審議会の安定分科会に資料として提出することもしています。
 こうした取組を踏まえて、自己評価はA評価としています。
 26、27頁は、「各種統計データ、図書資料等の収集整理」です。私どもは27頁にありますとおり、さまざまな形で統計データの収集・整理を行っています。具体的には?にあるとおり、労働関係の最新の各種統計データを継続的に収集していまして、「主要労働統計指標」、あるいは「最近の労働統計調査結果から」といったような形でまとめて、ホームページで提供をしている。そのほか?にあるとおり、OECD、ILO、各国の統計局からのデータ更新を行いまして、「データブック国際労働比較2011」という統計集を作って公表しています。そのほか?のとおり、労働統計加工指標。これは、労働白書などでかつて使われた有意な労働統計加工指標について、私どもは引き続いて指標を作成して、その成果を「ユースフル労働統計2011」で公表をしています。
 これらの評価は右側にあるとおり、ホームページでのアクセス件数が90万件を超える状況になっています。前年の74万件を大幅に上回る90万件を超える水準で、「データブック国際労働比較2011」「ユースフル労働統計2011」も、96.7%の方が有益という高い評価を得ています。
 先ほどの統計指標に戻りまして、昨今の新たなデータとして私どもはアンケート調査を実施していますが、個票データを研究者に提供する事業も実施しています。「データ・アーカイブ事業」を平成21年度から実施していますが、平成22年度中に10本のデータを公表しています。そのほかデータ収集・整理として、厚生労働省の要請を受けて、将来の労働力需給の推計についても私どもが担当していまして、そこにあるとおり研究会2回、作業部会1回を開催して、政府の「新成長戦略」の目標値を踏まえた2020年の産業別の就業者数等の推計も実施をしています。ほかに雇用創出・消失の指標の推計も、結果取りまとめをしています。
 成果は、先ほどホームページを通じた公表をしている。アクセス件数が90万件を超えることもありますし、審議会や各種白書での活用ということで、そこにあるとおり労働力需給の推計結果は、労働力人口の見通しに関する基礎データとして活用されるとなっています。行政官アンケートからしても、非常に優れているという高い評価をいただいています。
 左側にあるとおり、私ども研究機関として図書資料の収集・整理にも当たっていまして、蔵書は約16万冊ほどあります。平成22年度も2,720冊を新たに入れています。活用状況も、外部来館者数が約1,400名程度、貸出冊数も1,600冊程度になっています。前年よりやや数字は減少していますが、古い建物であるということで電動書架の改造工事等も行ったということもありまして、稼働日数が少なかったこともあります。そういった影響を除くと、310人と前年度を上回った数字がありますが、引き続き図書資料収集・整理も努めてまいりたいと考えています。
 こうした取組を踏まえて、ホームページのアクセス件数が前年を大幅に上回って90万件に達したことがありますので、そういったことを考慮して自己評価はAにしています。
 評価シート10は研究者、海外からの招へい・派遣です。招へいは2名以下、派遣は4名以下が数値目標になっています。普通では何人以上というのが通例の目標値だと承知していますが、以下となったのはかつての独立行政法人の整理合理化計画の中で、人数も極力縮減するようにといったような要請もありまして、それに基づいて何人以下という定め方になっています。
 そうした計画を踏まえて、招へいは平成22年度は1名ということで、ロンドン大学のキングスカレッジのハワード・ゴスペル教授にお越しいただきまして、「高齢者介護分野における職業訓練の日英比較研究」をしていただきました。「労働政策研究への反映」についてはそこに記載があるとおり、欧州における職業訓練制度の実態に関しての知見をいただいたということです。私どもは「新たな経済社会における能力開発・キャリア形成支援のあり方に関する研究」をテーマとしてプロジェクト研究を行っていましたので、そうした研究活動に大きく寄与をしています。そのほか、いろいろな情報提供をいただいたということで、私どもの調査研究に非常に大きく貢献をしていただいたと思っています。
 派遣4名については、1名は長期派遣ということで研究員1名をケンブリッジ大学に派遣をして、研究テーマは「職場のいじめ・嫌がらせ紛争と対策の日英比較」です。私どもで個別紛争の調査研究をしているので、それに行かせていただいたということです。そのほか、JICAの技術協力の関係で1名。学会があったということでスウェーデンにも研究員を1名派遣して、合計4名を派遣しました。
 「海外とのネットワーク」も重要ということで、OECD・LEEDの地域経済・雇用開発プログラムのパートナーシップ・クラブにも参加をして、情報収集に当たっています。そのほか、外国研究者の受入れも積極的に実施しています。滞在費は本人持ちですが、そこにあるような研究員の受入れをしています。そのほか、情報提供についても156件ほど提供しています。海外に積極的に情報発信することも必要ですので、Japan Labor Reviewなどで私どもの研究報告書のエッセンスを提供するようなこともして、海外にも情報提供をしています。
 そういったことを踏まえて、実績は前年と比較しても十分なものはあるわけですが、数値目標が何人以下と、なかなか曖昧ということもあります。5頁のとおり、過去3回評価を受けていますが、当評価委員会、労働部会での評価も踏まえて、この評価シートは自重気味ではありますが、自己評価はB評価にしています。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。では委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いいたします。質問等ありましたら適宜ご発言ください。

○加藤委員
 27頁の収集・整理のところです。ホームページのアクセス件数が90万件を超える数字になったと。これはすごい数字と思います。例えば一昨年はどうだったのかと参考までに教えていただき、22年度においてこの頁の左側に書いてあります各種データをホームページで提供し随時更新されたと。その他の?以下もホームページに公表されているとこういうことだと思いますが。これに伴うコストの発生もあるかと思いますが、この辺はどのくらいの追加コストをかけてされたのか。以上です。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 コストは何の関係のコストですか。


○加藤委員
 残業を相当程度やらなくてはいけなかったですとか、例えば。特にそういう追加コストが、いままでの固定費の増加というものが特になく、前年と変わらないコストの中でこれだけの工夫がなされたというイメージか、どちらですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 コストの関係は、これは評価シートの41頁で、これは予算を見ていただきたいと思います。私ども非常に業務経費については厳しく、先ほどの資料2-1のパワーポイントの資料で、一般管理費・業務経費については年々削減をして、21年度から22年度についてはほぼ同じ。23年度については、3,000万円ほど減少させている形になっております。業務経費についても21年度9億4,800万円だったのが8億5,400万円と。23年度、7億5,900万というような形で年々減らされる中で業務達成を図っている。いま指摘いただいた情報の収集・整理の関係でどのくらいの予算かは、全体では同じように減っております。特定の解析数字でいくらというのは分析はしておりませんが、全体としては同じような傾向で、予算は減る中で指標は伸ばしていくというのが、これはほかの事業も同じですが、全体を通じる傾向で、こういう形で私ども効率性を高めて実施をさせていただいているところです。
 20年度の統計データのアクセス件数ですが、61万件という形になっています。21年度が74万件、22年度が90万件という形で伸びてきているところです。

○川端委員
 研究者の招へい・派遣なのですが、外国からかなりの方が本人負担で来ているのは、研究のレベルの高さを証明していると思います。JILPTの研究者が、向こうの経費で外国の研究機関から派遣を要請されると。こちらが今回1名外国から呼んでますけれど、そういうようなケースはありますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 長期派遣という形ではないですが、海外での会議での要請については、何件かあります。

○川端委員
 海外の研究所から要請されて行くという。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 研究所というか、会議です。

○川端委員
 会議ですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 はい。国際会議とか、そういう場合に呼ばれていくことはありますが、研究機関で呼ばれることはありません。

○川端委員
 そういうのは研究のレベルは相当影響してくると思いますが、例えば、JILPTではなくても他の独法研究機関などで、外国から要請されて1年ぐらい向こうのお金で行って手伝いをする。そういうようなケースはあまりありませんか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 残念ながらいまのところ。私どもは、いろいろ独法成立時に法人そのものの存続もかなり問題になりまして、そのとき中堅どころの研究員がかなり抜けたこともありまして、いま若手の研究員が比較的に多い。来ていただいている方も研究所の所長を務められたとか、かなりご年配の方が来ています。今回は大学の教授の先生ですが、この方もけっこう年配の方で、前年はドイツの研究所の所長を終えた方が来られたのですが、ある程度成果を上げて実績を積んだ方でないと、私どもオファーがなかなか出せないというところもありますので、ある程度実績を私どもも研究員の方も積んで世界的に有名になれば、先生のご指摘のような形の無料で招へいというような形で、そういうのもあるというふうには思います。

○川端委員
 そういう人が増えれば、誰がどう言おうとレベルの高さを実証できるわけですが、是非そういう方法で頑張るようにお願いします。

○中野委員
 評価シート9についてですが、先ほどご指摘がありました90万件のアクセスがどこからアクセスされているのか。独立行政法人としての機能として、ホームページをオープンして、いままでとは違う領域から研究を期待されるように変化があるのか。その辺の地方行政まで関心をもたれるようなものなのか。単に成果が広がったというホームページを充実したゆえのなのか、その辺はどう把握しておられますか。それが1点。
 評価シート10のところで、自らの自己評価もBなのですという思いのところで、何か大変なのかなと伝わってきますが、その辺をもう少し言葉を加えていただくと理解がしやすいです。2点お願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 アクセス件数の関係は、アクセスログを解析すればどういうところか、大学であればACだとかそういうのがわかりますので、取ることは当然できます。現在のところはそういった分析まではさせていただいていません。一般的に私ども、統計のデータとか質問を受けますのは一般の方が多いです。企業の担当者とか、研究者の方とかいろいろいるのかとは思います。必要があればそういう分析もさせていただきたいと思います。
 招へいの関係の評価の関係は、いろいろ内部で協議し、私どもの外部の評価委員会に、総合評価諮問会議という私どもの評議会みたいなところに諮り、自己評価を確定させていただきますが、その時も委員の皆様方から評価は難しいという話を聞いて、ゼロがいいのか、それとも4名以下だったら4名まるまる取るのがいいのか、そこがよくわからない。これをどう評価していいのかと質問をいただきます。確かに難しい話だと。もともと評価の立て方が非常におかしいものですので、これをまた労働部会の委員の皆様方に評価していただいても同じような話だと思ったのが1つです。
 過去3回頑張って、私どもは非常によくやったと。与えられた枠の中で精一杯やるのがいいことだろうということで、私どものマンパワーの中でできるだけの人員を割いて、招へいしたり派遣してやっておりますが、如何せんずっとBで評価されたことを重く受け止めて、今回はそういった委員会の皆様のご意見も少し踏まえて少し評価を下げたというのが正直なところです。ですから第3期に当たりましては、この辺の目標数値ついては少し見直しをさせていただこうかと考えております。

○今村部会長
 それに関連して、言いにくいこともどうぞというような質問のされ方をしましたが、予算の制約というのは、いかがなものなのですか。海外とのネットワークの交流で仮に予算の制約があるとしたら、例えば厚生労働省としてOECDとかILOに派遣している人間がいたり、つまりもう少し幅広く大々的に活用できるチャンネルはないのかどうか。その辺についてはいかがですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 4人とか2人行かせる、あるいは来ていただくだけの予算がないことはありません。どちらかというと、厚労省のほうが予算が厳しいこともありますし、専門的知識が足りない、あるいは私どもの海外ネットづくりの観点から、研究に向いている者については国際会議がありますが、そういったものについては、私どものほうにも同行してほしいという形のオファーをいただくような形になっています。当然連携しながらそこは国際交流は少し厚労省のほうでも相談させていただいています。予算的に向こうからいただくよりは、私どものほうから予算を出して、自分たちで行かせていただいているという形になっています。

○今村部会長
 質問した意味は、国を代表する労働研究機関としてのレゾン・デートル(存在理由)を考えると、海外の情報を吸収したり、海外に情報を流すことはとても重要な機能だと思うのです。仮にこの程度の人数を派遣する予算はあるにしても、できればもっと増やして、かつてのような潤沢な国際交流が可能だと思います。それができないとしたら、何かもう少し知恵を絞ってやる方法はないかという質問です。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 私ども単独でやるといえば先生の指摘のとおり、厚労省のネットワークも活用しながら、どういう方策があるか少し検討してみたいと思います。私どもとしては、いろいろ過去の沿革がありまして、いろいろ国際交流については絞られているというのが現状です。先生の指摘を踏まえその辺は少し検討していきたいと思います。

○本寺委員
 評価シート8の海外情報の収集・整理です。この表記を見ますと、どちらかというと欧米が主体なのかなという気がしますが。実は民間は逆に労働市場のことでいくと、欧米よりはいまBRICsがどうなんだとか、そちらのほうが実は興味関心が高いのかなと気がしています。JILPTの位置づけが国としての政策と考えますと、それは確かに先進国なのかなとは思いますが、その点はどう考えますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 お答えさせていただきます。ご指摘のとおり、厚労省のニーズが英・米・独・仏というのは基本的に押さえておくということで、そこのニーズが高いことはあります。ご指摘のとおり、アジア圏等々、非常に重要だというのは非常に私どもも認識はあります。日中韓という形、あるいは日韓という形で、研究機関とタイアップしまして、研究をするといったような事業も進めておりますが、今後アジアの市場が広がることを踏まえますと、私どももその辺はやはり拡充していく必要があるだろうと、当然認識をさせていただいております。今後マンパワーの関係もありますが、第3期には少しそちらのほうに力を入れていければと考えておりまして、機構内でもいろいろそういった方面で検討させていただいているということです。

○伊丹委員
 大きな話ではないですが、「各種統計データ、図書資料等」の「図書資料等の収集・整理」のところで、よくわからなかったのですが。16万冊の図書を持っていると。その活用状況を見ると、いちばん下のほうに第1四半期だけで300名ぐらいですか。100日で300名というと、1日で3人ぐらいの利用というイメージなのですが、これはもう少し有効に活用する手立てとか、他の機構なりいろいろな図書館の利用頻度に比べてどうかなど、この辺は評価といいましょうか、問題意識はお持ちですか。あるいは電子化するとか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 図書館という言い方をしておりますが、資料センターという形になっております。一義的には図書資料の収集・整理というのは、研究者、調査員のための資料を集めて研究調査に役立てていくというのが第一の主眼です。せっかく私ども労働関係の唯一の政策研究機関ということでたくさんの資料があることもありますので、それを広く国民の皆さん方に開放しようという形で資料室を置いて提供させていただいています。
 図書館という看板を持つと、外部の図書館と相互利用という形で、お互い貸出しをすることができる形になっていまして、そういった外部への貸出しという形を通じて貸すと。なかなか私ども立地が練馬の上石神井という所で利便がよくないものですから、利用者の方が直接私どもの本部に来ていただくことはなかなか難しいと考えてますのでそういった形で提供させていただく。少し利用件数を伸ばしていければと考えております。いちばんは、周知広報を図っていくことで、ホームページでもやってます。各図書館にも利用案内を置くなどをして、少し存在そのものを知らないと利用になりませんので、そういった普及活動も今後さらに進めていきたいと考えております。

○中野委員
 電子化というのは、どの程度電子化されていますか、資料は。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 著作権処理上、著作権が存続しているものをそのまま電子化したとしても、公開に至るというのはこれは大変な問題をもっておりますので、いわゆる図書情報、書誌情報のレベルではデータベース化しております。そのデータベースの利用は年間16万アクセス。さらに当図書館に収まっております専門論文誌の中の掲載論文についてアブストラクトまで含めた論文情報のデータベースを出してますが、そのアクセスが年間4万件ほどあります。こうしたものも含めて電子的なアクセスを進め、その結果としての図書館の利用の拡大につながればと考えております。

○今村部会長
 いかがですか、よろしいですか。
 次にグループ3「研究等の成果の普及・政策提言」の項目について評価を行います。法人からの説明は20分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっております。それでは法人からの説明をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 評価シートの11、30頁、31頁、「労働政策研究等の成果の普及」です。数値目標としては、ニュースレターを月1回、メールマガジンを週2回発行とする。読者アンケートにおいて、有益度が80%。メールマガジンの読者数については、22年度末で2万4,500人以上とする。研究専門雑誌については、毎月1回発行するのが数値目標になっています。
 詳しくは、31頁のシートで説明したいと思います。私どもは成果普及の手法として、そこにありますとおり、メールマガジン、ホームページ、データベース、ニュースレターといったものを通じて、広く国民各層を対象に研究成果の普及に努めております。
 ホームページでは、右側にありますようにセキュリティ強化を図りながらコンテンツも充実させている。これは独立行政法人のWebサイトのユーザビリティ調査が、これは日経PB社でありましたが、その順位も21位と。使いやすさが21位に上がったと。104あるようですが、そのうちの21位というような状況になっております。
 コンテンツの充実については、次の32頁です。1つは成果物をPDFファイルで全文情報を掲載するような形にさせていただき、より研究報告書が見やすいようにという形にしております。お手元に配りました研究成果の概要集を作成しまして、毎年実施をした研究の中身が一目でわかるような形の取組をしております。そういったものを載せて公表させていただいております。
 「労働問題Q&A」といったようなものをホームページ上に載せておりまして、非常に中身がシンプルで見やすいと、わかりやすいということでこれもページビュー数でも前年度の月平均で2倍に増加している状況になっております。更新した情報がぱっとわかりやすいように、NEWといったようなマークを付与して、わかりやすくしているような取組をさせていただきました。ホームページのページビューについても、そこにあるように4,528万件で年々増加という状況になっております。
 31頁に戻り、ニュースレター。ホームページのほかにニュースレターの提供をしています。雑誌の名前でいいますと『ビジネス・レーバー・トレンド』という形です。これは調査研究と連携した形で特集テーマを設定し、研究成果をわかりやすい形で解説しているものです。そのほかに関連する内外の動向についての情報、事例報告を取材をし、企画して提供させていただく形です。
 読者アンケートにおいても目標8割、80%でしたが、大幅に上回る93%の有益度を得ているということです。非常に有益であることで、そこにありますように「日経テレコン21」から依頼を受けて有料でデータを提供しています。これは21年度からですが、22年度で7万2,000件強で収入も約60万円ほどあります。
 ?のメールマガジンですが、週2回発行しております。内外の労働関係情報を迅速に提供しております。読者数は2万8,000強で、目標値の2万4,000人を大幅に上回っています。読者アンケートにおいても「役立っている」という方が96%で、目標数値の80%を大幅に上回っている状況です。
 ?の『ビジネス・レーバー・トレンド』は一般の方向けで、?の研究専門雑誌、「日本労働研究雑誌」は専門家向けの雑誌です。レフリー制の研究専門雑誌で、これは研究テーマに沿って編集企画をしています。こちらのものについては、有識者アンケートにおいては、「有益」とする方が95.7%という形の高い評価を得ています。ちなみに、申し忘れましたが、メールマガジンについては、ポータルサイト「まぐまぐ」の読者数ランキングと比較をすれば、「行政・政治・地域」のジャンルでは1位です。もう少し幅広い「ニュース・情報源」のジャンルでいけば第3位という形で、かなり幅広に読まれている読者数を確保していると私どもは自負をしております。
 非常に読者数が増えたこともありますし、有益度も高いということで、Sという形で自己評価をさせていただいております。
 次に評価シート12「政策論議の場の提供」です。「労働政策フォーラムの開催」について、34頁です。労働に関する最近の重要テーマについての報告を行い、労使の実務家の方々等に参画していただき、国民各層における政策論議を活性化しようという取組です。年度計画としては6回ですが、22年度は7回開催しております。うち6回のフォーラムで90%以上の有益度を獲得しております。参加人数も1,944名と前年実績の1,260名を大幅に700人以上上回る形になり、大変大幅な増加になっております。
 下のほうに各回のテーマと参加人数、参加者のアンケートによる有益度を表にして載せております。なかでも喫緊の課題であります非正規雇用の問題については、国際比較という形で政策的知見の成果を披露するという観点から、こういった諸外国の問題についても取り組ませていただきました。これについては有益度は97.7%ということで、非常に高い評価を得たわけです。
 毎年、多数の参加者を得ることができており、参加人数も大幅に増えたと。開催内容、企画内容も工夫して、7回の平均として数値目標80%を上回る92.8%の方から高い評価をいただきましたので、自己評価としては、S評価という形にさせていただきました。
 次に評価シート13「労働教育講座事業の実施」、37頁です。私どもは広く労使の実務家の皆様方を対象に、教育講座の実施をしております。これは交付金を使うのではなく、対価を得ながら実施をしています。具体的には、総合講座、専門講座と2講座に分けて実施しております。「総合講座」では、431名の方の受講がありました。前年が404名で過去最高の数字を記録しております。受講生の満足度も91%で高い評価を得ています。「専門講座」については、労働法コース、人事管理・労働経済コース、それぞれ50名ずつとなっていまして、こちらのほうは総合講座のほうは座学で、広い教室で実施をしていきますが、専門講座のほうはゼミナール形式で実施をしておりまして、受講者の満足度は94.6%となっております。こちらのほうについても高い評価を得ています。
 私ども、運営委員会を設けまして、議論をして講座の内容を決める。あるいは受講者のアンケート結果を基に講義の改善も図って、受講生の満足度を高めるように努力をしています。総合講座の中で「フォローアップアンケート」と書いてますが、総合講座受講生を対象とし、講義で得た知見が具体的にどのように役立っているのかといったようなフォローアップの調査も実施をしています。「雇用契約書の改定の労務関連の業務を行う際の根拠の補完として使用している」など、実際の業務にも貢献している、実務にも貢献していることを確認されているということです。
 非常に広く労使の実務家にも役立っているということで、講義の内容を充実させながら実施していますので、自己評価Aという形で評価しております。以上でございます。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いします。質問等ありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 評価シート11で「成果の普及」ですが、少し細かい話になってしまいますが、ニュースレターのところで、日経テレコン21からの依頼を受けて、有料によるデータ提供を実施ということで、ここに書かれている金額が収入で上がっています。これはもともと計画に折り込まれていたものなのか、あるいは平成22年度で日経テレコンから突然ご依頼があって、臨時で収入が上がったものなのか。それによって今後の方針等も違ってくると思いますが、それも併せて伺うことができればと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 日経テレコンは、平成22年度からではなくて、平成21年度の途中からお話がありまして、データ提供するような形になっております。平成21年度は途中ということで、計画に入っていない形で実施をしておりましたが、平成22年度から、計画にそこまで細かくは記載をしておりませんが、趣旨の中にも入れながら、いくらになるかはわからないものですから、一応そういうことも念頭に置きながら事業運営をさせていただいております。

○加藤委員
 もう少し増えていくとか、そういう見込みはどうでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 アクセス件数は、平成21年度から平成22年度で増えたわけですが、これも波がありますので、労働問題に関心が高まれば当然検索件数が増えますが、景気がよくなればまた落ち込むこともあります。私どもとしては、なるべく有益なデータを提供させていただいて、アクセス件数が増えるように努力したいと考えております。

○高田委員
 労働教育講座に関して伺いたいのですが、労働教育は今後の政府全体の大きな課題になるのではないかと思うのです。先ほども非正規労働のことが取り上げられましたが、そういう雇用形態が多様化する中で、労働法の知識がしっかりしていないと、労働者の権利が侵害されるおそれが非常にある。そういう中で、労働教育をもっと広い基盤でどのようにやっていくかは、政府全体として取り組まなければいけない大きな問題だと思いますが、そういう中で、JILPTがやられている労働教育講座がどのように考えられているのかということは、厚労省とのやり取りの中でどのような議論がされているかを伺いたいと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 ありがとうございました。労働教育講座につきましては、私どもが実施しているものは中立的な立場で実施すると。いまのご時世、資格試験という形でテクニックに走った講座も多いわけです。あるいは実務家の目で見て、テクニック的にこうすればうまく解雇できますといった視点で、そういったテクニック的な視点のものが多いわけですが、これは文字どおり中立的に労働関係の理論について、あるいは法的な解釈について学んでいただいて、自分で考える力をつけていただく講座です。先生がご指摘のとおり、特に労働者にとって重要な知識、技能を身に付ける1つの手段であろうと私どもは思っておりまして、当機構としましては今後さらに続けていきたいと考えております。
 政府全体としては、自己収入を上げなさいというのが、先ほどから何度かお話がありましたが、昨年末に「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」が閣議決定されましたが、その中で各独法で自主財源を確保していきなさいということで、そういう方針が示されております。これが私どもの自己収入として大きなウエイトを占めておりますので、私どもとしてはさらにこれについて力を入れて、普及を図っていきたいと。平成23年度から少し値上げをして、受講生の方にはいままでよりは少しご負担をいただく形になっておりますが、ご負担いただいて、少し機構の収入を増やす形にしております。

○中野委員
 評価シート12なのですが、自己評価はSということで出しておられて、「政策論議の場の提供」ということで政策論議の活性化を図ったと。この活性化の後はどうなさったか。フォーラムの結果を厚労省との連携の中でどう活かしていかれたかについて、お尋ねしたいと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 活性化ですが、当然、私どもは研究成果を報告書にまとめて、厚労省にも成果として提供し、それが研究会・審議会で資料として活用されると。それとともに、政策貢献の形でそういった返し方もありますし、併せて一般国民に広くこういう問題点がありますという形でわかりやすく、フォーラムで提供すると。ですから、パート法の問題や育児休業法の問題、派遣の問題など国会でいろいろ議論されますが、そういったときに国民の皆様方に関心を持っていただいて、政府の意見聴取の場もありますし、報道を見て新聞に投稿することもありますし、そういったことで意見を表明をしていただくということで、政策論議を起こして、国民の方の知識を高めていただくことに役立っていると私どもは考えております。

○中野委員
 そうすると、割とトップダウン的な。私はこれを拝見して双方向のいい場だなと、国民と研究の高い壁とがここでマッチングして、それを政策に独立的な観点から流していただけるのかなと思って、それに期待をしたものですからお尋ねしたのです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 会場から質問の形でお受けするのですが、会場と対話してこのように進めていくところまでは、残念ながら現在のところ達していないということです。今後の課題として内部で議論をした際にはそういうことも必要ではないかという議論もありますが、何しろ費用もかかりますし、広い会場も必要になりますし、あるいはマンパワーの問題もありますので、今後の課題として検討したいと考えております。

○今村部会長
 その件に関して、以前私が質問したことがあることです。このフォーラムに政策立案者がどのぐらい参加しているのかという質問をした記憶があるのですが、どうなのでしょうか。政策議論が活性化したという言葉の背後に、実際に政策担当をする人たちがどのぐらい参画して議論が活性化されたのかという文脈があるかと思うのですが。

○労政担当参事官
 もちろんフォーラムの場合は、フォーラムをやることについては基本的に厚労省が担当になりますので、関係部局にすべて通知をして、ご関心のある担当部局というか、所管している所については参加をしていただくことになろうかと思います。ただ、先ほど部長がご説明されたように、このフォーラム自体は政策担当者のためというよりも、より広く労使関係の団体の方とか関係者の方といった方々に、どういう議論がいま労働問題として行われているのか、あるいは研究が活用されているのかについて、いろいろディスカッションする場に参加をしていただくということなので、少し違うと思うのですが。先生がおっしゃっているのは、政策の場により活用されるためということであれば、最近も実施しているのですが、JILPTのさまざまなテーマの研究成果について研究官に厚労省に来ていただいて、1つひとつの大きなテーマについて局長以下レクチャーする場を設けています。そういう意味で、共有する形にはなっております。

○今村部会長
 1つだけ、細かなことなのですが、32頁の資料の「ホームページ改善の取組」の中で、我々はホームページから資料を探しに行くときに、目的の資料にたどり着くかどうかという問題点があります。どのぐらい目的の資料にたどり着けるかという点で、検索機能というか、その辺りの充実はいかがでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 検索機能も、グーグル検索ができるような改善を図りまして、検索の精度が今回の改善により大幅にアップしたということです。

○今村部会長
 それは資料に書いていないのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 資料には入れておりません。

○今村部会長
 とても大切なことですが。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 それは平成21年度に実施しております。

○伊丹委員
 私もホームページでときどき検索することもあるのですが、ページビューの1件というのは何をもって1件なのか。かなりクリックしながらいろいろ探していくのですが、1人で1回で10件や20件やってしまう場合もあるような気もするのですが、この辺りのカウントの仕方がよくわからないのです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 それは1画面1ビューです。

○伊丹委員
 別の質問で、評価シート12の「政策議論の場の提供」について、先ほどフォローの話がありましたが、こういったものがビデオで録られて公開されるとか、テレビで放映されるとか、1回に300人とか200人が聞かれてそれで終わりだと、広く公開した議論になっていると評価するのはどうなのかなという気もするのですが、その辺りは何か工夫はあり得るのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 これは市場で再現する形で、『ビジネス・レーバー・トレンド』の中で再現しております。少し前までは、ビデオに録って、それをホームページ上でも見られる形にしておりましたが、予算の関係もありまして、それはいまはしていないということです。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。ご記入のほうはいかがでしょうか。
 それでは、グループ4「効率的な業務運営」の項目について評価を行います。法人からの説明25分、委員の評定と質疑20分の合計45分となっております。法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 評価シート1ですが、「業務運営の効率化」ということで、39頁、「省資源・省エネルギーの推進」が1つの課題になっております。光熱水料は、そこにありますとおり、昨年の夏は非常に猛暑であったということで、秋口まで非常に暑かったこともあり、1.9%増ですが、前年とほぼ同水準になっております。東日本大震災があって、節電の取組を強化するということがあり、震災以降の取組として、下に表になっておりますが、部分消灯の対象範囲を拡大する、執務室まで拡充すること、あるいは暖房・温水洗浄便器の使用中止等いろいろな節電に取り組んでおり、3月で見ると7.7%の削減を図るといった取組をしております。特に夏期の電力不足に対しては、政府目標が15%減ということですが、25%減の削減を実施する予定になっております。
 省資源・省エネルギーの推進としては、ペーパーレス化にも取り組んでおり、8年連続で用紙の節減については達成しているということです。
 業務運営の効率化で、もう1つ随意契約の見直しということがあります。チェック体制を強化するということで、競争の透明性・公平性を高めて経費節減を実行していくということですが、3段階の審査をしております。決裁過程、随意契約審査委員会、これは内部の審査委員会ですが、そのほか外部の有識者を入れる形で平成21年度途中から実施しておりますが、契約監視委員会を設け、1件1件契約について審議をいただいております。そこにありますとおり、すべての随意契約あるいはその企画競争・公募関係、一社応札・一社応募の案件すべてについて審査をしていただいております。
 「一般競争入札の積極的な導入等」ということで、いろいろな改善を図っております。そこにありますとおり、公告期間の延長ということで、10日間を12日間に延長する、あるいはホームページの新着情報への情報掲載、情報を広く知らしめることを実施しております。そのほか、随意契約審査委員会の審査対象の拡充も実施しております。これらの取組を通じて、そこにありますとおり一般競争入札等の比率が増化しており、平成22年度は一般競争入札の割合としては76.9%ということで、残っている随意契約の件数は21件となっております。この中には随意契約から直すのは難しい、例えば水道などは一社供給になりますので、こういうものは難しいということで、そういったものが残っているということです。
 40頁ですが、「総人件費改革の取組」です。囲み枠で点線で書いておりますが、中期計画として目標値が2つあり、対平成17年度と対18年度でそれぞれ目標値を設けております。対平成17年度で平成22年度までに人件費を5%以上削減するというのが1つ、対平成18年度と比較して平成23年度までに14%以上削減するという2本になっております。平成17年度の削減実績ですが、平成22年度までに16.2%を削減という形になっており、こちらは達成しております。対平成18年度の数値は17.8%で、平成23年度までの計画ですので、14%以上の削減は確実に達成できる状況にあると考えております。
 ラスパイレスですが、研究職については平成21年度から100を下回る形になっており、平成22年度は98%。事務職については平成21年度は102.7でしたが、0.2ポイント下がって102.5となっております。
 「役職員の給与制度の見直し」、ラスパイレスを下げるということで、いろいろな取組をこれまでに実施しております。平成16年度から平成18年度まで機構として独自の取組を実施しており、常勤役員の報酬月額については10%カット、事務職員の本俸については2%削減、これは平成16年から平成18年にかけての実施事項ですが、そのほか全職員の本俸を4.8%削減する、あるいは事務職員の定期昇給を抑制する形での改革を平成16年度から平成18年度にかけて実施しております。ただ、これについては1回やると後々まで残っていく措置ですので、それがいまでも生きて、ラスパイレスが低目に設定されているということです。
 加えて、「22年度に実施した新たな取組」として、職務手当の定額化、あるいは事務職の管理職の賞与の引下げ、部長級で10%、課長級で5%といった引下げを実施しております。そのほか管理職の事務職の給与については、平均1.6%の引下げを実施したということです。
 そのほか?にありますとおり、国と異なる諸手当がありましたので、政・独委、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の二次意見を受けて、平成21年度に見直しをしております。平成22年4月から実施したということで、1つは職務手当の定額化、あるいは勤勉手当の成績率を、国が4段階でしたので、3段階から4段階に変更しております。あるいは、深夜の超過勤務手当の割増率が、160%から150%に削減を図ったということです。また、法定外福利費についても、政・独委の意見を踏まえ、互助組織に対する支出を全廃しております。そのほか、再任用の嘱託の給与の引下げをしております。引き続きいろいろな努力を重ね、平成23年度については概ね100になるように改善を図っていきたいと考えております。人件費は以上です。
 41頁ですが、「一般管理費及び業務経費の削減」です。「中期目標・中期計画における数値目標」ですが、一般管理費は、平成18年度と比較して平成23年度において15%以上の削減が目標値になっております。業務経費は、平成18年度と比較して25%以上の削減となっております。一般管理費から見ますと、対平成18年度比で平成23年度は15.01%の削減となっております。業務経費については36.69%の削減という形で、目標数値についてはいずれも達成しているという状況になっております。
 続きまして、評価シート2「業績評価制度の運用」についてです。43頁です。業績評価制度が機能しているかということですが、「業績評価制度の運用」については、年度計画を基に各部門で「業務目標分担表」を作成し、各個人が目標を設定して、期首、期中、期末と3段階で人事評価を実施し、目標達成に向けて各個人努力していただく形になっております。
 業務全体の実績についても、組織ごとに業務実績報告をしていただく。経営会議等において毎月の業務実績報告をしていただき、業務の進捗状況についての情報の共有化、併せて問題があれば理事長、役員からの指示があります。それに加えて、業績評価規程に基づく内部評価ということで、四半期ごとに中間評価を実施しています。当然、年度計画の前には事前評価、年度が終わった6月には事後評価を実施しております。また、有識者による外部評価という形で評価を実施しておりますが、ここではわかりづらいので、14頁をお開きください。
 14頁ですが、年間の評価体制を記載しております。機構全体で、大体11月から研究テーマを含めて年度の計画を立てていきます。3月までに年度の計画を作り、厚労省に提出する。そこまでが事前評価です。その際、年度計画を作るにあたっては、1の?にありますとおり、リサーチ・アドバイザー部会や総合評価諮問会議、これは私どもの評議会のようなもので外部評価委員会ですが、そういった所のご審議をいただくという形で評価を受けます。年度の途中ですが、中間評価で経営会議で確認をしていきます。3にありますとおり、計画が取りまとまった段階で、1年が終わったら3の?にありますとおり経営会議で実績を報告して審議をし、6月と書いてありますが、総合評価諮問会議でのご意見を聞いた上で承認をいただいて、最終的には厚生労働省にお出しして、?にありますとおり7月、8月に労働部会での一次評価、12月の総務省の政・独委の評価を受けて事後評価が確定するという形で1年間動いております。
 先ほどの43頁に戻ります。そういった形で適切に評価を受けているということで、外部からの意見や評価結果を適切に各部門にフィードバックして業務改善を実施しております。大学校の施設の有効活用について、政・独委から平成21年度に二次意見ということで、宿泊施設の利用が少し低調ではないかというご意見をいただきました。これについては厚生労働省の職員研修、厚生部局の研修もありますので、そういった研修の際にも利用していただくということも実施しておりますが、そのほか今回震災関係で、被災学生に対して宿泊施設を提供するということも実施しております。そういった形での有効活用を図っているということで、外部からの意見、評価結果については有効に各部門にフィードバックし、業務改善に努めております。
 そのほか「外部からの意見の把握」として、右側ですが、事業全般の評価としては、有識者の意見ですが、95.1%の方から機構の事業活動全般について「有益である」というお話をいただいております。「業務運営改善のための取組」として、下にありますとおり業務改善委員会を設け、目安箱を設置する、あるいは課長クラスで委員会を設置して業務の改善に取り組んでおります。そのほか冗費の点検も、理事長をトップとするプロジェクトチームを作り、冗費の点検にも取り組んできております。
 以上の取組を踏まえ、自己評価、業績評価制度の運用については自己評価をAとしております。
 続きまして、44頁です。評価シート15「予算、収支計画及び資金計画」についてです。「予算の措置状況等」ですが、そこにありますとおり、予算の効率的な執行や人件費の給与水準の見直しの継続等に努めた結果、交付金債務は4億6,000万となっております。また、期間進行基準を採用している経費について、一般競争入札の積極的な導入に努めた結果、平成22年度における利益は約1,300万円となっております。そういった形で、予算については節約に努めている状況です。
 「その他業務運営に関する重要事項」として、内部統制の徹底、あるいは決算情報の公表の充実、土地・建物等の効率的な活用について実施をしております。先ほどご説明したとおりです。福利厚生費の見直しについても、先ほどご説明したとおり政・独委のご指摘を踏まえ、互助会については負担金をゼロにする、あるいは健康保険料について労使負担割合が使用者のほうが大きかったということがありますので、平成22年度から労使折半となるように見直しを図っております。
 以上の取組を踏まえ、評価シート15の自己評価についてはA評価としております。
 評価シート16「人事に関する計画」です。「優秀な人材の確保と育成」ということですが、47頁です。先ほどご説明しましたとおり、任期付研究員を2名採用しております。また、人員の抑制ということで、第2期末で115人にするという中期計画になっておりますが、管理部門の合理化によりさらに削減数を追加し、第2期の期末においては114人にするという形にしております。平成18年度が134人ですので、20名の削減ということで、対平成18年度比で15%の大幅な減となる予定です。
 「職員の専門的な資質の向上」ということで、これも先ほどご説明しましたとおり、研究員については「政策研究会」、あるいは「研究成果勉強会」への任期付研究員の参加を促したということがあります。任期付研究員について、外部評価の対象となる研究成果を執筆して、全員が評価を取ったと。この辺りも再掲です。また、学会への奨励等々も実施をしております。
 最後の○ですが、職員全体の専門性と意識の向上を図るために、業務研修への参加も積極的に奨励しており、部門別に必要な専門的知識や技術の習得を目的とした業務研修についても56件ほど実施しております。そのほか、コンプライアンス推進にかかる研修を2件実施しております。
 人事精に関する計画については、計画を上回る114名の定員にするということがありますので、自己評価はA評価としております。
 最後の評価シート17ですが、「施設・設備に関する計画」です。49頁です。「施設・設備の整備」ですが、私ども法人本部、大学校ともに、竣工後20年以上経過しているということで、施設・設備が老朽化しており、維持・管理の徹底が必要になっておりまして、改修も必要になっております。平成22年度は、法人本部においては電気設備の更新、大学校においては機械・電気設備の更新等を実施しております。予算が7,000万円強ということですが、契約金額としては一般競争入札の徹底により6,200万円程度となっており、4年連続で経費の大幅な節減を実現しております。
 これは計画どおり施設・設備の見直しをしているということで、評価についてはB評価としております。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへ評定等の記入をお願いします。質問等ありましたら適宜ご発言ください。

○加藤委員
 内部統制のことで、例えば監事の方あるいは会計監査人から、内部統制に関して直近で何か要改善事項みたいなものがもしあれば、その内容を教えていただきたいと思います。なければないで、そこまではコメントはないのだけれど、こういう工夫をするといいのではないですか、という軽いコメントも含めて、もしあれば教えてください。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 要改善事項はありませんが、注意していただきたい点は、私どもはアンケート等を実施しておりますので、個人のデータを非常にたくさん扱っているということで、個人情報の管理については徹底をしてほしいというお話を監事からいただいております。監査人からは、特段ご意見はいただいておりません。

○加藤委員
 その工夫は、どういう形で方向性を考えていらっしゃいますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 個人情報の管理について徹底を図るために、1つは個人情報についての研修を職員対象で、1回ですと漏れがありますので、2回に分ける形での実施をすることにしております。ただ、残念なことに、平成22年度は震災がありまして、実際には実施をするに至っておりませんので、平成23年度早々に実施をしたいと考えております。
 併せまして、パソコンにデータが入っておりますので、管理を徹底するということで、仮に落としても情報が開かないように、パスワードをかけるといったセキュリティの取組もしており、そういった形で情報管理の徹底に努めていきたいと考えております。

○中野委員
 関連として、業績評価制度と施設・設備に関する計画との関連で、先ほどから出ている宿泊施設というのは、年間どのぐらい維持費がかかるものなのでしょうか。無料で貸し出しているより、自己財源ということでは、何かお考えになっているのかというのが1点です。
 もう1点は、人事に関する計画もそうですし、業務運営の効率化もそうですが、研究費等で、「等」ですからどこがどれだけ入っているかわかりませんが、25%削減というと、研究意欲を削ぐことはなかろうかとか、1人の研究環境がどういう形で確保されて、研究の質の維持ということと、どういう配慮をして努力しておられるのかをお聞かせいただければと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 まず、宿泊施設の関係ですが、当然、宿泊施設は研修生のために用意している施設ですので、被災学生受入れにあたってはその費用を無料にするということですが、機構でその費用を負担するのか、厚労省で負担するのか、そこは話合いということで、基本的には厚労省にお出しいただこうかと考えています。私どもが出すことになれば、自主財源がありますので、先ほどありました労働教育講座で収益を上げているということがありますので、そういったものを当てていくことになろうと思います。

○中野委員
 より宿泊施設を独自財源に転化する計画みたいなものはあるのでしょうか。自主財源を拡大するために、外部にお貸しするということで研修会場の費用を賄うとか、その辺りのお考えはあるかどうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 一応、外部にもお貸しできるような貸出規定はあります。宿泊施設ではなくて、体育館などを貸出しできる規定はありますが、現地がもともと市街化調整区域で、周りが陸上自衛隊の施設とか税務署の研修施設とか、あまり一般の住民の方がいらっしゃらない所で、利便性が悪い所ということもありますので、解放はしているのですが、利用がないという状況です。また、厚生系の研修をやるときには、有料でお貸ししております。
 もう1点、業務経費が大幅に減って、研究者に負担がかかるのではないかというご指摘ですが、業務経費の大幅削減は、報告書の印刷物等について一般競争入札を導入していると。施設管理費も同じですが、施設管理についてもかなり一般競争入札を導入しているということで、そういった入札結果でお金が浮いているということです。先ほどから申し上げておりますとおり、研究にあたっては研究計画を立てて、研究者と理事長を初めとして役員幹部で協議しますが、その場で予算が足りないということはありませんので、研究には支障がないと考えております。

○川端委員
 人件費について、事務職のラスパイレスを今年度中に100にされるということで、これは是非実現していただきたいと思いますが、いま政府が国家公務員の給与を大幅削減しようとしております。これは実現するかどうかわかりませんが。あるいは、労働政策上適当かどうか、これはさておき、仮にいま言われているように、もし10%とか5%カットが実施された場合、ラスパイレスの視点から見ると追随されるわけですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 私どもは独立行政法人ですが、民間団体ということで、当然労使交渉をして決めていくことになります。閣議決定の中では、独立行政法人に対して10%人件費を削減するように要請するということも盛り込まれているようですので、公務員のほうで給与カットがあると、私どものほうにも同じような要請があるものと考えております。それを踏まえて、私どもとしては組合交渉しながら、検討した上で組合に提示をして実施を図っていくことになろうかと思っております。

○伊丹委員
 業務運営の効率化の一般競争入札について、競争入札自体はいい仕組みだと思いますが、毎年入札をかけて、結果として一社応募といったこともあるので、比率的には必ずしも77%が競争入札ではないというのはこの中でもわかりますが、競争入札による弊害は、私どもの実務の実感からすると結構あるのです。何年かパートナーとしていろいろやってもらわないと、知恵も出てこないというケースもあるわけです。ということで、必ずしも競争入札の比率を目標にしてしまうとよくないのではないかという気もするのですが、その辺りのご議論をお聞かせ願えればと思います。いままでだったら、もっと競争入札を増やせという話ばかりだったと思うのですが。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 実はいろいろと弊害がありまして、そこは仕様書も工夫しながら実施をしていきたいと考えております。確かに、安かろう悪かろうということも多分に出てくるということで、そこについては十分に意を払いながら、各省の仕様書等も参考にしつつ、複数年契約ということも視野に入れながら検討したいと考えております。

○労働政策研究・研修機構理事長
 いま委員からご質問をいただいたときに、笑ったりして失礼いたしました。あまりにも的を得た質問で、実際にそれで困っているところがありましたものですから。そういうことがまま起こりがちで、1つだけ例を上げますと、清掃を入札でやっております。毎年入札にしているのですが、だんだん質が悪くなってきて、今年などは臭いがひどくなって、職員から非常に苦情が出ているのです。入札が悪いというわけではありませんが、入札のやり方を少し考えなければいけないのではないかと思っております。そういうことが現に起きていたものですから、やり方を考えていきたいと思います。

○川端委員
 いまのと直接関係ないことなのですが、キャリアマトリックスが廃止されました。私は、あれは非常に優れたものだと思っていたのですが、職安とかいろいろな所に影響が出ていると思うのです。その辺りは何かお聞きになっていますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 廃止について、3月31日に廃止するということをホームページ上掲示をしましたら、廃止はおかしいというご意見も多々いただきました。ハローワークにおいて活用するための職業区分については、別のチェックシートなどの形での提供は引き続きしておりますが、データとして大々的にシステムを作って提供するのは、刷新会議のご意見もありましたので、提供しないことにさせていただきたいということです。ただ、ハローワークの中で使用する分には、何らかの方策がないか検討していきたいと考えておりますが、まだ検討途上ということで、仕分けの結果もありますので、そうした批判を招かないような形でどういうことができるのか検討していきたいと考えております。

○今村部会長
 それでは、以上ですべての項目の評価が終わりました。皆様、記入は終わりましたでしょうか。それも含めて、事務局からこのあとの取扱いについて説明してください。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料は大量ですが、送付を希望される場合には、この部会終了後に事務局にお声かけいただければと思います。また、評価の評定記入用紙ですが、こちらの記入が終わっていない場合には、部会が終わった後にお残りになって記入していただいても結構ですし、先ほど申し上げましたように、お持ち帰りになって、20日(水)まででしたら事務局にファックスで送っていただくか、電子媒体で記入したい場合には、お声かけいただきましたら、評定記入用紙の電子媒体を送付させていただきますので、併せて事務局にお申し付けいただければと思います。以上です。

○今村部会長
 それでは、次の議題に移ります。議題5「労働政策研究・研修機構の不要財産の国庫納付」について、まず事務局から説明し、続いて法人から説明してください。

○政策評価官室長補佐
 不要財産の国庫納付につきましては、独立行政法人通則法第8条第3項の規定で、不要財産とされたものについては処分しなければならないということが決まっております。不要財産を処分して国庫に納付をしたり、譲渡したり、譲渡して譲渡代金を国庫に納付するというようないろいろな処分の仕方がありますが、いずれの場合においても、独立行政法人通則法46条の2第1項又は同条第2項の規定により、厚生労働大臣が認可をする必要があるとしており、その認可にあたっては第46条の2第5項で、認可をするときにはあらかじめ評価委員会の意見を聞かなければいけないという形になっておりますので、今回、委員の皆様のご意見を伺うものです。
 独立行政法人の通則法は資料集にも載っており、評価委員会の意見を聞かなければいけないというのは、29頁に第46条の2の条文が載っております。事務局からは以上です。

○今村部会長
 それでは、法人から具体的内容について説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 私から、不要財産の国庫納付の件について説明させていただきます。資料3をご覧ください。資料は当機構から厚生労働大臣に宛てた不要財産の国庫納付の認可申請書の写しです。
 具体的に国庫納付にかかる不要財産の内容ですが、資料の1番をご覧ください。?として、一般勘定の現金及び預金のうち政府の出資金に該当する3億3,381万201円。?として、雇用勘定の現金及び預金のうち政府の出資金に該当する293万5,752円です。
 2番ですが、「不要財産と認められる理由」です。当該財産については、当機構の発足時において業務を確実に実施するために必要であったため、国から出資を受けたものです。先ほど事務局から説明がありましたが、独法の通則法の改正により、不要財産については国庫返納が可能となったことを踏まえ、平成22年度において機構で精査した結果、当該財産を返納した場合も資金繰りに影響はないということで、不要と判断したものです。
 3番ですが、不要財産の価格です。取得日が平成15年10月1日、申請日が平成23年6月27日ですが、両方とも金銭ですので、同額となっております。
 4番ですが、会計区分です。一般勘定現金及び預金につきましては、国の一般会計から金銭出資を受けたものです。雇用勘定は、労働保険特別会計の雇用勘定から金銭出資を受けたものです。
 5番は国庫納付の予定時期ですが、平成23年の8月を予定しております。以上です。

○今村部会長
 それでは、ただいまの説明についてご質問等がありましたらお願いします。

○本寺委員
 この不要財産というのは、単純にいくとこの機構が非常に経費削減をやってきたから、もう必要なくなってしまった国からもらっていたお金と考えていいものですか。これは一体何なのだろうと、そもそもの理解が、えっ、と思ったのですが。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 当法人は平成15年10月1日に発足したのですが、その際に新法人の運営が経費的に大丈夫なのかどうかということで、前身の日本労働研究機構から国の出資金を承継したものです。現在は運営費交付金ということで国からいただいておりますので、交付金で十分やっていけるという判断に立って、今回不要と判断したものです。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。それでは、労働政策研究・研修機構の政府出資金に係る不要財産の国庫納付について了承したいと思います。今後の手続の過程で内容に変更があった場合については、事務局から私に連絡を入れてもらい、委員の皆様へのご報告をするか、改めて意見を伺うか等を決めることとしたいのですが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○今村部会長
 ありがとうございます。次の法人の審議もありますので、労働政策研究・研修機構の評価はここまでといたします。

○政策評価官室長補佐
 次の議題に入る前に、法人及び法人所管課入替を行いますので、ここで10分ほど休憩を入れさせていただいて、開始時刻は16時50分としたいと思います。お時間になりましたらご着席いただきますようお願いいたします。
(法人及び所管課入替)

○今村部会長
 それでは、勤労者退職金共済機構の個別評価に入ります。最初に、額賀理事長からご挨拶と、平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構理事長
 理事長の額賀信です。よろしくお願いします。以下、座ってご説明させていただきます。ご了承ください。
 お手元の資料4-1、業務実績に関する説明資料に沿ってご説明したいと思います。資料4-1をご覧ください。表紙をめくっていただきますと、事業体系図が出てきます。私ども機構は、中小企業事業主の相互共済への仕組みと国の援助によりまして、手軽で、安全・確実な退職金制度を確立することを使命としています。1枚めくっていただきまして、数字で事業の概況を説明したいと思います。いちばん左側に、中退共、建退共、清退共、林退共と4事業本部が列挙されています。中退共が一般の中小企業、建退共以下は建設業、清酒製造業、林業という特定業種の退職金を取扱っています。この共済契約者数というのは、掛金をお支払いになっていただく事業主の数ですが、機構全体で55万6,000所あります。被共済者数は、退職金を受給される従業員の方々ですが、3月31日時点で606万人となっています。平成22年度中の掛金等の収入額は5,150億円、退職金等の支給額は4,468億円、期末資産残高は3月31日時点で4兆4,860億円となっています。大雑把な説明になりますが、私どもの約4兆5,000億円の資産を運用しまして、606万人の退職金受給者に対して、この退職金の支給を毎年実施している機構です。
 平成22年度について申し上げますと、この年は第2期中期計画が平成20年度から始まっていまして、3年目の年にあたります。また、運営費交付金が廃止された最初の年で、業務運営の効率化が一段と求められるようになっています。さらに、年度末の3月に大震災がありまして、市場の混乱から運用面で影響を受けたほか、震災への特別対応を実施しています。そういう年にどういうことをしたかを説明したいのですが、改めて前の頁に戻ってください。最初の頁で、私どもは将来にわたる確実な退職金給付と、退職金制度への着実な加入の2本柱を機構の課題として、事業を進めています。このうち、将来にわたる確実な退職金給付は内容が2つあります。1つは、先ほど申し上げましたが運用益をしっかり稼いで安定的に支払いの原資を確保する。もう1つは、被共済者、退職金受給者の方々への支払い漏れがないように、しっかり確実に支給をしていく、この2つが将来にわたる確実な退職金給付の基本的な内容です。
 「現状と課題」ですが、中退共、林退共には累積欠損金がありまして、財務内容の改善が課題となっています。平成22年度は、市場環境の悪化の影響を大きく受けまして、中退で101億円、林退で900万円の当期損失金を計上しまして、大変残念ながら累損は増加しました。もう1つの対応の、支払い漏れがないようにということですが、退職金未請求者及び長期未更新者に対する対応は、着実な進展をみています。少し具体的に申し上げますと、未請求者というのは、ここでは中退共の場合ですが、退職後2年経てもまだ退職金を請求されない方々の比率ですが、取組開始以前は2.8%前後をつけていましたが、それが昨年度は1.8%、平成22年度は1.6%と着実に減少をみています。また、特定業種の共済手帳更新者も着実に増加をみていまして、この面においては、相応の成果がみられたと判断しています。
 右側の「退職金制度への着実な加入」の点ですが、中小・零細企業にとって厳しい経営環境が続いていまして、また建設業、清酒製造業、林業当事者は、長期的に減少傾向にありますが、平成22年度については加入目標を超える実績、達成率が106.2%の成果を上げることができました。平成22年度は、加入者の絶対数、また達成率でも、第2期中期計画中のピークを記録することができています。
 下の段について併せて報告申し上げますが、これは適切な業務運営のための対応です。現状と課題に書いてある内容に沿って報告します。まず、業務運営の効率化です。一般管理費・退職金共済事業経費については、平成22年度予算額対比で7.6%の削減を実現することができました。人件費については、基準年となっている平成17年度対比で、同じく13.7%の削減を実現しています。また?の観点で申し上げますと、機械化、システム面でも大きな進捗がありました。具体的には、新システムが平成22年の10月より稼働を開始しています。実は、私は1月から理事長をやっていますので、この平成22年2月というのは、前理事長時代のプロジェクトが結実したものですが、機構としてその恩恵を大きく受けた形になりました。まず、システム管理業務の一元化が完了しています。また、オープンシステムとしたために、システムの維持管理業務に関連する業務について、これまでの随意契約から一般競争入札を実現することができました。さらに、清退共、林退共については、退職金支払期間の短縮にも寄与しています。
 次に?、一般的な随意契約の見直し、旅費、庁費における冗費の徹底的な検証を行っていまして、確実に旅費や庁費等における削減を実現しています。内部統制については、コンプライアンス基本方針を策定するとともに、公表いたしました。
 最後に、外部有識者の積極的な活用です。具体的には、参与会、資産運用評価委員会、あるいは契約監視会委員会等を適宜開催しまして、適切な事業運営の確保に努めました。私からの説明は以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。続いて評価の進め方ですが、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。まずグループ1、「効率的な業務実施体制の確立」から、「業務運営の効率化に伴なう経費節減」までの項目について、評価を行います。所要時間は、法人からの説明が20分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 勤労者退職金共済機構の総務部長をしています清川です。評価項目1「効率的な業務実施体制の確立」から説明いたします。まず、業務・システム最適化計画の円滑な実施体制の確立です。先ほど理事長からお話がありましたように、業務のシステムについては、平成20年4月から最適化に取り組みまして、平成22年10月までをフェーズ1として、いわゆるシステム面での見直し、改修を終了したところです。この実施にあたっては、表にありますように体制として、左側の緑の所が機構の内部の体制です。総務理事をCIOとして、最適化推進室及び各本部業務・システム関係で連携を取りながら、業務を進めたところです。併せて、右のオレンジの所が、外部の有識者の方のお力をお借りしたところです。CIO補佐官に各種の助言をお願いし、また最適化工程管理事業者に対し、工程管理をお願いし、それから実際の新システムの設計・開発事業者の方に、具体的なシステム開発・設計をお願いしたところです。
 このシステム最適化の第1フェーズとして実際に行ったことは、設計・開発事業者の所に書いてありますが、1つは現在ある中退共電算システムについて、マイグレーションによるオープン化を行ったということです。これは、従来のものは、いわゆるレガシーシステムになっていまして、開発事業者がそのシステムについての特許権等を有していますので、例えばシステムを改修したり、システムを運用するといった場合に、どうしてもそこに1社で随意契約をしてしまわなければいけないということで、いわゆる経費等がかかってきたところです。今回は、汎用製品によるオープン化を行ったことにより、調達の効率化あるいは透明化を図ることができました。
 それから、各事業本部ごとにシステムがバラバラにあったわけですが、その中での共通基盤、共通してやるところについて統一しまして、いわゆるスペックの有効活用を図ることができたところです。併せて、建設、清酒、林業という特退三事業についても、システムの統合を行いました。これにより、先ほど理事長から話がありましたように、退職金支払いまでの支給日数の削減等々、業務の効率化あるいはサービスの向上を図ったところです。
 続いて、資産運用業務、システム管理業務の一元化に向けた取組です。このシステム最適化に伴ないまして、平成22年10月から、それ以前は各事業本部それぞれに置かれていましたシステム部門を外に出して統一しまして、総務担当理事の下にシステム管理業務の一元的な実施体制を完了したところです。併せて、資産運用業務についても、その一元化を目指しまして、具体的に統合する業務内容の精査を行ったところです。これは、平成24年4月からの統合を目指し、現在細部について検討中です。また、清退共、林退共については、事業規模、加入者がかなり少なくなってきたこともありますので、事業の効率的実施の観点から、それぞれの事業本部は別としつつ、実際の業務の運営を行う組織については、一体化すべく現在業務の内容の精査を図っているところです。
 いちばん下の業務体制の整備ですが、これまで電話交換の業務と電話相談の業務、これは、第一義的な簡単な制度内容についての問合せへの対応ですが、この両方の業務を別々に外部へ委託していたところですが、これを統合して1社に合わせて委託を行いました。これにより、これまでは簡単な問合せであった場合に、代表電話から一度相談コーナーに回っていたものを、受けた電話で一度で問合せに答えることができるようになったと。また、個別、具体の相談については職員が答えざるを得ませんので、そのときはいままで2回電話を回していたものが、一度だけ回すことができるようになったという意味で、利用者の方へのサービスの向上を図ったということです。
 1枚めくっていただきまして、評価項目2です。「中期計画の定期的な進行管理」です。まず、この中期計画をしっかり進行管理していくという意味では職員の意識を向上させていくことが重要だろうと思っていまして、当委員会での評価結果等について、職員1人ひとりに確実にフィードバック等を行うことと併せて、2つ目のポツです。私どもは、毎年職員について人事評価を実施しているわけです。そのやり方としまして、(1)、(2)と書いてありますが、まず年度始めに各課室長が中期計画、年度計画に基づいて、その課室が行うべき目標管理表を作成し、それに基づいて各職員自らが行うべき業務についてその目標、あるいはウエイト、達成目標などを記入する。それに基づいて、年度の終わりに業績評価シートによって達成度の評価を管理職が行い、それに基づいて各従業員と面接、話し合いを行い、実際に当初の目的が達成できたかどうかディスカッションを行い評価をするというような仕組みをもっています。なお、この評価の結果については、勤勉手当などへ反映をしています。
 また、機構全体の進行管理としましては、ブルーの所に書いてありますが、四半期ごとの業務推進委員会、あるいは毎月の理事会等で、運用の基本方針、重要事項等についての決定、あるいはこれまでの業務内容についての検証を行っているところです。また、右側で各本部においても、加入促進について四半期に1回委員会を開催して、進行状況について審議する。あるいは、各本部内会議等を行っているところです。なお、定期的なということには当たらないわけですが、いちばん左下で東日本大震災後の対応ですが、直ちに役員・部長クラスの会議を開催し、理事長指揮の下に、まず支部、地方コーナー等の業務実施体制の確認を行い、共済契約者の被害状況の把握に努めることと併せて、特例措置の検討を迅速に行い、これは後ほど説明いたしますが、3月中に特例措置を決定しまして、共済契約者の方に対する周知を図ったところです。
 1枚めくっていただきまして、評価項目3「内部統制の強化」です。これについては、上段の所、いわゆるPDCAサイクルの下に、理事会等での決定事項を実際に実行に移し、チェックですが、業務推進委員会、あるいは外部の専門家で構成します資産運用評価委員会、あるいは契約監視委員会、監事監査等で評価・検証を行ったものについて、アクションで改善につなげていくというようなサイクルの下に、業務を実施しているところです。
 併せて下に「内部統制の強化に向けたさらなる取組」とありますが、従来より内部通報については公益通報者保護規定により、職員等からの相談、通報について連絡窓口を設けることと併せて、組織的にそれらの行為が行われていると、行われている行為についての通報などについては、顧問弁護士にも通報できるような体制を整えています。また、外部からいただいた意見、苦情等についても、速やかに各担当に回付しまして、きちんとした対応を取るよう努めているところです。併せて、平成22年度については、前年度設置しましたコンプライアンス推進委員会で議論しまして、「独立行政法人勤労者退職金共済機構のコンプライアンス基本方針」を策定したところです。この方針としては、やはり当機構は掛金を取扱う組織で、共済契約者の信頼関係を維持するためにも、何よりも法令に則って公平・公正な事務処理を行っていく、法令遵守が何よりも大事であるというようなことを内容とする業務方針を作成しまして、ホームページに掲載するとともに、全職員に周知、徹底を図ったところです。併せて監事について、内部統制の充実を図るため、監査法人とも相談、連携を取りながら、会計監査、業務監査を実施し、業務運営等の法令規定遵守等について、必要な監査を行ったところです。
 1枚めくっていただきまして、評価項目4「業務運営の効率化に伴う経費削減」です。一般管理費及び退職金共済事業経費あるいは人件費について、経費削減を目標に向かってきちんとやっていくことが、当機構のミッションの1つであろうと思っています。下の表を見ていただきますと、まず目標の1つとして、中期計画での数値目標として、運営費交付金を充当します一般管理費について、中期計画最終年度で平成19年度予算額に比べて、18%以上の削減を行いとなっています。これは、退職手当を除いた額ですが、平成21年度の段階で、もう既に17.5%の削減が実施されていたところです。なお平成22年度からは、事業仕分け等もありまして運営費交付金が廃止されたということで、そもそも運営費交付金についての目標はなくなった状態になっています。そのため、運営費交付金に限らず、予算額、決算額という全体の費用がどうなっているかを見たのが、真ん中の段です。平成22年度予算72億5,800万に比して、決算67億円ということで、7.6%予算から削減をしています。これは決算ベースで見ましても、平成21年度決算70億円について、平成22年度67億円ということで、4.3%減少しているところです。削減要因としては、契約状況の点検・見直しを行い、競争契約を拡大したこと。また人件費の削減等を実施したことによるものです。
 なお運営費交付金の廃止に伴います予算全体の姿について、説明したいと思います。41頁をご覧ください。緑の棒とオレンジの棒で、予算及び決算について平成20年度、平成21年度、平成22年度の数字を載せています。なお先ほどの数字よりも少し大きくなっていますのは、先ほどの数字は退職金を除いたものですので、先ほどの数字に退職金をオンしたものがここの数字になっていると考えていただければいいかと思います。平成21年度と平成22年度を比較していただければよろしいのではないかと思っています。平成21年度は、予算79億円、決算74億円となっていたわけですが、79億円のうち33億円は国からの運営費交付金という形で出ていまして、残りのオレンジの部分がいわゆる共済契約者の掛金の運用益からの繰入れという形で支弁されていたところです。
 平成22年度については、この運営費交付金が廃止されまして、その代わりにいちばん右側の15億円という基幹的業務に係る事務費補助が新たに設けられたところです。ただ国からの補助金については、このように減少してきたところですので、そのままでいきますと上の部分、掛金の運用益からの繰入れが増えてこざるを得ないということもありまして、平成22年度はかなり節約に努めまして、予算ベースで6億円、決算ベースでも平成21年度と比して5億円の縮減を図ったところです。
 元に戻っていただきまして、評価項目4の最後人件費の節減です。人件費については、平成17年度を基準額として毎年1%ずつ削減を実施していくということで、平成22年度は5年目ですので、5%以上の削減を行うという目標が設けられていますが、実際に平成22年度は13.7%ということで、目標を大きく超える額の削減の実施を果たしています。なお削減の要因として、そこに書いてありますように、超過勤務の削減の取組を実施しました。具体的には、毎月全職員の超勤状態を人事課で把握しまして、月45時間を超えている方がいる場合については、健康の維持という観点からも、各課室長にその課についての全体の事務の見直し等、あるいは業務配分の見直しについて指示することによって、超過勤務の削減を徹底したところです。
 それから平成18年度以降、定年退職者が多かった状況もありますが、併せていちばん下の○ですが、人事院勧告に倣いまして給与、賞与の引き下げをしたこともあります。なお給与水準について、いわゆるラスパイレス指数ですが、私どもの本部ビルがすべて東京にありますので、東京の国家公務員と比べますと、地域勘案指数で98.9ということで、100を下回っているところです。また、類似業務として、民間の保険業と比較をしますと、88.5ということで低く抑えられているということになっています。
 第1グループの最後として、評価項目5「随意契約の見直し」です。随意契約の適正化については、これまでも推進していまして、「随意契約見直し計画」に従いまして、見直しを実施しをしたところです。平成22年度、競争入札等に移行した随意契約として、電子複合機、コピーの賃貸借及び保守一式、あるいは退職金機構ビル及び当別館で使用する電気、私どもは電気については特別電気事業者と契約を結んでいるところです。また、保存文書の保管等々、15件について、これまで随意契約であったものを競争入札に変えています。
 また先ほどシステムの最適化の所で申し上げましたが、システムの最適化実施により、10月からこれまで随意契約だった、いわゆるインターネットの関連機器、あるいは電算機の借料、あるいは管理システム運用に係る業務契約、業務委託といったようなものについて、すべて競争入札等へ移行できたところです。なお数字的なことを申しますと、平成22年度の随意契約全体の金額が7億2,000万円となっています。これは、4月から9月まではシステム関連も随意契約であったので、これも含めて7億2,000万円だったわけです。このうち、システム関係が4億1,000万円ということで6割を占めていたわけですが、これをすべて一般競争入札に移すことができたということで、残るものは3億円強となっています。なお残りの3億円強のうち2億9,000万円は、実は郵便事業株式会社と料金後納郵便の契約を結んでいるもので、これは郵便法第2条に規定している、いわゆる信書、各個人への手紙といいますかお知らせを含んだものについては、第2条に規定する郵便事業者のみが扱うことができるということで、現在郵便事業株式会社は1つしかないということで、そこと随契を結んでいますが、それが残る3億円余りのうちの2億9,000万円ということで、大部分を占めていまして、ほとんど随意契約についてはこういった形で見直しが進んできたところです。
 青い所ですが、随意契約以外の契約も含めまして、競争性・透明性を確保していくということで、企画競争、公募を行う場合にも、競争性・透明性を確保する。また、「一者応札・一者応募」になっているものについても、契約監視委員会等のご指摘等も踏まえながら、改善方策に従い見直しを実施しています。例えば退職金共済契約関係書類の綴り等について、これまで穴の空き方がちょっと特殊だったので、1社からしか応じられないということでしたので、これは帳票を見直して汎用品でもそれをファイルで綴じることができるようにするといった、細部の部分の見直しも含めまして、できる限り一者応札ではなくて多くの方が入札に参加できるというような体制を心がけているところです。
 また監査においても、監事監査を四半期ごとに実施するほか、契約監視委員会を開催しまして、平成21年度、平成22年度の随意契約、あるいは「一者応札・一者応募」について点検、見直しをいただいたところです。これらについては、ホームページ等で公表しています。以上で説明を終わらせていただきます。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評定記入用紙へ評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 経費の削減など、かなり目標を上回りながら努力されているのだなという印象を全体的にもったのですが、例えば評価項目の1番の業務管理のシステム化で、汎用品を工夫なされて使おうということで、なるべくここでもコスト削減意識が強いのかなと伺いました。実際に、コストパフォーマンスがどのぐらい実現されて、業務効率化の結果、ほかの作業をだいぶできるようになりましたとか、ミスがかなり減りましたとか、それによるコストパフォーマンスの辺りの状況を詳しく教えていただきたいと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 まず業務システムの最適化により、1つの狙いとしていましたのは、いわゆる一般競争入札により、運営コスト、ランニングコストを削減することが目的でした。最適化実施前のシステム運用経費について、1年間平均で6億5,000万円かかっていたところですが、最適化実施以後は競争入札等も行った結果、4.2億円が年間の見込み、まだ半期だけですので今年1年間を考えますと、4.2億円運用経費がかかるという見込みです。そう意味で、概ね年間約2.3億円、3分の1強のランニングコストが削減できたと思っています。
 併せて今後システム改修というようなものが出てきた場合においても、先ほど申しましたように、オープン化によりすべて競争入札でできますので、システム改修に要する経費も同じシステムではないのですが、かなり低減することが見込まれるのではないかと思っています。
 一方サービスの向上等については、後ほど説明させていただきますが、これまでシステム化が進んでいなかった清酒製造業、林業部門のシステム化を今回行ったことにより、退職金を請求いただいてから支払うまでの日数を、39日から30日に削減することができました。なお業務関連の見直し効果ですが、これは私どもは最適化をフェーズ1とフェーズ2の2つの段階に分けて実施することとしていまして、フェーズ1で機械回りを昨年の9月までに実施できました。その後フェーズ2で業務面でのシステム改修、プログラム改修を実施していこうと思っていますので、このフェーズ2が完成したところで業務の効率化、効果が出てくるのではないかと見込んでいるところです。

○加藤委員
 もう1点、内部統制なのですが、監事の方の監査と監査法人の監査、その他各種委員会の監視の中で、内部統制に関して各関係者から、直近で、「よりこのように工夫すると強化できるのではないか」というコメントというとあれですが、やわらかいコメントも含めてどういうものが出てきているのか、それも教えてください。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 内部統制の委員会をやっていく中で議論になっていましたのは、私どもでどういったリスクが考えられてくるのかがいちばんだろうと。リスク対応という意味でいちばん大きいのは、金銭面を扱うということですので、そういった会計面でのチェックをきちんとしていくことが重要なのではないかと。これは先ほども申しましたように、共済契約者との信頼を保持していくという意味で、大事なことだろうと思っています。これまでも幸いなことに、私どもはそういった会計事故を起こしていないということもありますが、やはり複数でのチェック体制などについて、さらにきちんと点検、見直しを今年以降図っていく必要があるのかなというようなことを思っていますし、またそういった議論、ご指摘がなされているところです。

○高田委員
 評価項目2について自己評価をBとされていますが、理由はどういう点にあるのでしょうか。目標管理をされたり、それなりに努力されているように伺えるのですが。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私どもは自己評価をする場合の基準として、計画どおりやっていればBではないかと。それを超えて新たな取組を行うですとか、実質的に非常に意味のある、例えばシステムの最適化を完成するといったことが出てくればAなのではないかという観点から、自己評価をしています。そういう意味では、この中期計画の定期的な進行管理は非常に大事なことだと思っています。逆にある意味では、毎年きちんと実施してきているということでもありますので、計画どおりでということでBとさせていただいています。

○今村部会長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、次にグループ2「確実な退職金支給のための取組」について評価を行います。所用時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目6を見てください。まず「確実な退職金支給のための取組」で、一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組です。この取組の背景について、簡単に述べます。
 退職金は、退職した従業員から請求を受けて行うことになっております。法律上、時効は5年間とされておりますが、実質上は5年を過ぎてから請求があったとしても、私どもはこの時効を援用せずに支払うという取組を行っております。ただ平成19年の段階で、退職しても実際に請求されていない方がいるのではないかというご指摘を受けました。私どもの使命としては、やはり事業主に積み立てていただいた掛金を、確実に退職金としてお支払いすることが重要であろうと思っておりますので、ただ請求を待つということではなくて、私どもから積極的に働きかけています。いわゆる未請求をなくしていくことが必要ではないかということで、第二期中期計画である平成20年度から、本格的な取組を実施したところです。
 数値目標としては、請求権が発生した年度における退職者の数の中で、2年経ってまだ請求していない方の比率を、最終年度までに1%程度とすることという目標をいただいております。下の頁を見ていただきますと、未請求率の縮減として、未請求率の状況を書いております。上の段は各年度です。「脱退年度」とありますが、この表の見方は、平成15年度に退職された方について、平成17年度末までにまだ未請求であった方の割合です。例えば平成17年度は、3.0%であるという見方になってまいります。この取組を実施する前の平成17年度、18年度、19年度については3%、あるいはこれを少し切るところだったわけですが、平成20年度からは本格的に取り組み、平成20年度2.0%、21年度1.8%、22年度1.6%ということで、確実に縮減を果たしてきているところです。
 この縮減に当たり、私どもでは大きく2つの取組を考えております。1つは、今後退職する方について、新たな未請求退職金の発生を防止します。緑の所に書いてあります。そのためには、制度の加入周知を行うことが必要ではないかと。未請求であった方に請求いただいたときに、「どうして請求されなかったんですか」というご質問をしたところ、事業主が掛けていたので、自分がこういった制度に入っていたことを知らなかった、あるいは入社したときに聞いたかもしれないけれども、辞めるときには忘れていたというケースがかなりあって、それが未請求になるということです。
 やはりこの制度に入っていることを、従業員ご本人に知っていただくのが重要であろうと考えております。まず、新規加入の際に被共済者、入っていただいた方に対して加入通知書をお渡しします。また、あなたは私どもの制度に入って5年間納めていただいております、あるいは6年何カ月納めていただいておりますという加入実績、加入状況について毎年、各従業員にお知らせすることで、制度に入っていることを知っていただくという取組をしております。
 真ん中のマルです。私どもが進めていく上で、1つ難しいと思っていることがあります。契約しているのは事業主です。私どもは従業員について、氏名と生年月日は把握しているのですが、住所は入ってから出るまで相当変わりますので、ずっと追いかけてフォローするのは、やはり事業主にとってかなり手続的に大変だろうということです。住所を持っていないことが、実際に未請求になったときに私どもがアプローチする場合、いちばん難しい状況になっております。まずは退職後3カ月を経過して、まだ未請求の方がおられる場合は事業主にご連絡し、その退職者の住所をお聞きします。そして教えていただいた住所に対して、退職金をお支払いいたしますので、請求してくださいという要請についてのお願いをしています。従前は退職後6カ月経過したところでやっておりましたが、これをできるだけ早くということで、3カ月前に早めて実施したところです。
 いちばん下の計画外として、これまでは住所情報を得てから本人への請求要請を一度だけしていたわけですが、平成20年度脱退者については、1回目でまだ請求していただいていない方には、2回目の要請通知をしたところです。
 右側の橙色は、累積した未請求退職者に対する取組です。過去に遡り未請求だった方々、これは昭和34年の段階まで遡っておりますけれども、かなり人数が多いので、第二期中期計画中に計画的に少しずつやっていくことで、段階的・計画的に未請求者の住所を事業所からお聞きして、請求手続を要請しています。これは第二期中期計画の終わりまでに、すべて完了する予定です。
 その下の段は、「未請求者縮減のための周知の効果的な実施」です。個人情報ですので、ご了解を得られた事業所に限りますが、実際に自分が勤めていた会社が中退制度に入っていたかどうかがわかるように、その事業所の名前をホームページで検索できるようにしました。あるいは、いちばん下のマルにありますように、入職時ですと住所も変わって、管理あるいは事業主に住所変更のためにご連絡いただくのは大変です。退職されたときには、いわゆる退職届を事業主からご連絡いただくわけですが、退職時の被共済者の住所が把握できるように、平成23年度末に退職届の様式を変更して、退職時の住所を取るように決定いたしました。
 併せて調査・分析ということで、私どもは毎年調査を行っております。その中で加入通知書、加入状況のお知らせなどをどのようにやっていただいているかという通知方法などについて、項目を設けてお聞きするなど、今後の未請求対策に反映すべく、調査・分析を進めているところです。
 次の頁が、評価項目7、「確実な退職金支給のための取組」の特定業種退職金共済事業です。こちらも最初に制度の説明をさせていただきます。特定業種として建設業、清酒製造業、林業の3つが指定されているわけです。これらの事業は常用雇用の方でなく、期間を定めて雇用される方、例えば建設ですと建設現場で工事をやっている期間だけ雇用される方、清酒ですと杜氏で、1年の一定期間だけ雇用される方が非常に多い業種です。こういった方々については、例えば建設業ですと、働く会社がそのたびに変わっていきますので、退職のたびに退職金を受け取ったのでは細切れになって、額としてほとんど少なくなってしまいます。ここは業界全体として、会社が変わったとしてもその業界で働いている間のすべてを通算して、実際に引退されるときにまとめてお支払いするというような制度を、特定業種退職金共済事業として持っています。
 その場合の制度の運用方法としては、こういった手帳を個人一人ひとりに1冊お渡ししています。これに1日働いたら1日分、働いた日数分事業主に貼っていただきます。この手帳は会社が変わったら、また次の会社に持っていくということをしております。この手帳1冊で250日分、すなわち1年働いたら250日というように換算しておりますので、ちょうど1年働いて手帳が1冊満了したら、事業主を通じて私どものほうに送っていただき、私どものほうでデータ化します。そして2冊目の手帳、3冊目の手帳を新たに配付するという形で、この事業の運営を行っています。
 そのため、いわゆる退職したら支払う中退共制度とは違って、引退すると本人が決めたときに請求がくるわけですので、いわゆる未請求という概念はありません。逆にきちんと毎日働いていれば、この手帳の更新は1年に一度出てくるわけですが、例えば長い間出てこない、まだ働いているのに更新がないというのは、更新することを忘れているのではないか、あるいは、もう辞めたのに退職金の請求をしていないのではないかという可能性もあります。
 そこで、長期未更新者調査というものを行っております。建設ですと過去3年間に手帳更新をしていただいていない方については、前の更新があってから3年後に、前に更新した事業所を通じて、従業員の住所を調査・把握いたします。もし引退なされているのであれば退職金を請求してください、まだ更新していないのであれば、溜まったら更新してくださいというお願いをしているところです。平成22年は建退共の長期未更新、3年未更新の方3万1,048人にご連絡して、手帳更新をされたのが3,715人、退職金請求をされたのが1,842人でした。もちろん、その中にはまだ働いているけれども、途切れ途切れで働いているので、実は3年前からまだ1年分溜まっていないという方もかなりおられます。これらの方については、まだ働き続けている方もかなりおりますけれども、この3万1,000人の調査により、このような手帳更新、退職金請求をいただいたところです。
 なお、建退共では年3万人程度の調査を実施しておりますが、清退共、林退共は数が少ないので、1年間にかなりまとめてドッとやった年があります。こちらは累積として数を出しております。清退共ですと長期未更新者が7,339人に対して、退職金請求が3,999人、林退共ですと6,103人に対して退職金請求が3,091人ということで、きちんと退職金を支払うように努めています。
 なお、真ん中の清退共の欄の下の所に書いておりますように、清退共だけは実際に加入したときに、加入申込みの住所を書いていただいていたという経緯がありますので、そちらについては24カ月以上、退職金支払いを受ける権利があるか否かにかかわらず、すべての方について加入の古い方から住所の整理、データベース化を行い、現況調査を実施しております。
 次の頁です。ほかにも新たな長期未更新者の発生を防止するための対策として、まず加入通知書があります。平成22年度に新たに加入していただいた被共済者について、加入通知書を送りました。また、この手帳には被共済者の住所も記入していただくようになっております。こちらは1年に一度出てきますので、新規加入の際にデータベース化します。併せて、住所は画像データで取り込んでおりますので、建退共、清退共、林退共とも必要に応じ、住所を取り出せる状態にしております。真ん中にある長期未更新者を縮減するための対策としては、共済手帳の更新をいたします。1年に一度きちんと更新していただく、あるいは退職金の請求の手続を行うよう、いろいろな注意喚起を行う、共済契約者、事業主に対しても被共済者が退職したときには引退の意思を確認していただき、もし引退する場合には、退職金の請求をやるように指導してくださいという通知を行っております。
 いちばん下に、「建退共事業 共済証紙の適正な貼付に向けた取組」というのがあります。手帳制度ですので、私どもは証紙を金融機関で販売しています。それが手帳に貼られて1年間溜まったところで、貼られていることが私どもで確認することができるわけです。
 1頁前に遡ってください。評価項目7の上の頁の緑の所に、数値目標というのが下から3分1ぐらいの所に書いてあるかと思います。特退共事業の数値目標として、これまで過去にずっと売ってきた共済証紙の販売額と、更新により私どもが確認した額の累計については、当然一定のタイムラグがあります。市中に出回っている期間というのがあるわけですが、併せて証紙を買ったけれども、事業主が引出しに入れて貼られずに終わってしまった、手帳には貼られたけれども更新せずに、あるいは請求が出ずに漏れてしまっているといった差額みたいなものがあるので、その額をできる限り少なくしていくというのが目標の1つとしていただいております。この累計の差額を、前期・中期目標の終了時から130億円減少するというのを、目標として掲げています。
 この実施状況として、もう一度先ほどの頁に戻ってください。いちばん下に、「建退共事業 共済証紙の適正な貼付に向けた取組」というのがあります。2年間手帳更新の手続をしていない方について、手帳更新などの措置を取るよう要請することと併せて、私どもは加入履行証明書というものを事業者に対して発行いたします。それは建退共制度に加入しておりますと、公共事業の発注等の場合に、入札において加点されます。つまり有利になりますので、私どもに加入していることについての証明書を発行していただくように要請をします。その際、ただ証紙を買っているということではなくて、ちゃんと各労働者に手帳を渡しているかどうか、共済証紙についてもきちんと貼っているかどうかという受払簿を整備していただいているかどうかについても、厳格に審査していただいています。加入履行証明書を渡す際には、共済証紙の貼付をしっかりしていただいていることの確認をし、お願いを徹底しているところです。
 その他、各種説明会等において共済手帳及び共済証紙受払簿の普及といった取組を行った結果、平成22年末において共済証紙販売額と貼付販売額の差額が、1年間で60億円減少することができました。5年間の計画で130億円だったのですが、平成19年と20年の2年間で21億円しか減っていなかったので、これはかなり厳しいなと思っていました。しかし平成22年度には、1年間で60億円減少することができて、3年間合わせると81億円になるわけです。130億円の目標を1年に均すと26億円です。その目標達成に向けて、平成22年度は相当大きく差額の減少に結ぶことができたわけです。以上が評価項目6と7についての説明です。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙へ、評定等の記入をお願いいたします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○中野委員
 大変努力されていることを分かりやすく、よくご説明いただいたのですが、長期の未更新者の課題についてです。21頁に、雇用主にも徹底して知ってくれという記述がありますけれども、雇用主自体が中小企業だと、非常にそういうことに関心を持つ余裕がないこともあるのではないかと思うのです。あるいは期間的にしか、こういう契約を結ばないと。そういう事業主に対する講習と言いますか、徹底策みたいなものはどのようにお考えでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 特に建設業の場合、いわゆる重層的下請関係になっており、元請、下請、孫請というようになっております。孫請辺りになりますと、かなり小さくなってくるという実態があるのは、委員のご案内のとおりだと思っております。そういった建設工事全体の場合、発注を受ける元請事業所の方に、下請、孫請部分も含めて、すべての証紙を買っていただきます。買ったものについてはただ買うだけでなく、当然これは退職金の掛金として買っているのですから、下請あるいは孫請の会社にきちんと手渡していただき、それぞれの会社にきちんと指導してくださいというお願いをしております。
 お願いに当たっては、各県にある建設業協会等の業界団体、あるいは各専門の工事業者等の団体等を通じて、大手の方や中堅の方等へのお願いをしております。そこを通じて下請や孫請といった、かなり小さな部分の事業者にも私どもの制度をご利用いただいて、そこで働いている労働者もきちんと退職金を受け取ることができるような制度の運用を、お願いするということでやっていただいています。

○加藤委員
 評価項目7の長期未更新者調査の所です。共済証紙の販売額と確認額の差額が、5年間で130億円ということで、計算するとなるほどと、非常にわかりやすかったのです。同じようなイメージで、長期未更新者調査の結果の計画値に対する数値目標みたいなものがあるのであれば、説明をお聞きしたいというのが1点です。
 もう1点が、これはそもそも個人情報がたくさんコントロールされている状況だということが窺えます。そのコントロールの方法と言うのですか。つまり、情報漏洩などがあったら、もちろん大変なことになるわけです。例えばログ管理がどうだとか、パスワードはどういうように工夫されているかとか、そこら辺の情報も併せて教えていただければと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 未更新調査については、3年間更新のない方を各年度に実施していくということです。例えば平成22年度ですと、平成18年度の段階で更新していたのにまだ出てきていない方について、きっちり調査をするということですので、各年度の計画数を立てていくというのは、なかなか難しいです。そういった意味でそちらのほうは、数値目標はつくっていません。ただ私どもが調査する際には建退共、清退共、林退共も含めて一度お問合せをして、それで回答がなかった事業者については、再度電話等で調査をいたします。再度の電話調査により、かなりの部分がお答えいただけます。そういったものも含めて、確実にできる限り捕捉率は高めていきたいと思っております。そもそも母数自体が毎年計画できるものではないので、計画はつくっていないというのが実態です。
 もう1つの個人情報の関係ですけれども、私どもはこういった業務について、各都道府県にある事業主団体に委託をして、実際の加入あるいは支払いの手続をお願いしています。そういった委託の際には当然、各個人の情報は外部に漏洩すること等がないように、しっかりとお願いしています。

○勤労者退職金共済機構建退協事業本部建設事業部長
 本社と言いますか、本部の内部ではご多分に漏れず、情報セキュリティの取組を強化しております。今のところ、いわゆる個人情報の漏洩という意味合いでの不祥事もありませんので、引き続き頑張っていきたいと思っております。当然、外部に委託する場合の契約事項にも、セキュリティについては必ず盛り込まれておりますので、今のところは問題ないのではないかと自負しております。

○高田委員
 大変ご苦労されているというのがよく伝わってきました。評価項目7の共済証紙の貼付に関して、最初は130億円の目標を立てられたと伺いましたけれども、この130億円というのは、どういう根拠でつくられたのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 ある意味、かなりバッサリしたものです。平成19年度時点で、未貼付の確認額が1,258億円あったので、その1割である130億円を5年間で減少するということで、130億円という目標が設定されたわけです。

○今村部会長
 よろしいですか。それでは、次はグループ3です。サービスの向上から加入促進対策の効果的実施までの項目についての評価を行います。所要時間は法人からの説明が20分、委員の評定と質疑が15分の合計35分となっております。それでは法人からの説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目8、「サービスの向上」ということで、業務処理の簡素化・迅速化についてご説明いたします。次の頁の上のほうです。事務処理の改善ということで、平成22年度においても諸手続、事務処理等の再点検を行い、事務処理改善計画の作成、見直しを行いました。機構内事務処理に関しては申込書の様式変更、関係書類綴ファイルについての汎用品への変更、電話交換業務と電話相談業務の統合の実施などを行ったところです。また、加入者の行う手続として、業務・システム最適化計画化の実施に併せて、共済手帳更新の申請書などについて様式変更を行い、提出書類の軽減を図りました。
 その後、特に東日本大震災に関する手続の簡素化というのが赤い所にありますので、若干ご説明したいと思います。3月11日に東日本大震災が発生したわけですが、それに伴い、退職金共済手帳が流出してしまったとか、毀損したということがあろうかと思います。その再発行手続について非常に簡素化したということです。共済証紙をなくした場合は、再交付の特例を実施しております。また、ここには書いておりませんが、特例措置として納付期限の延長を行います。実際に被災して、退職金を毎月納めていくことが難しい利用者もおられると思います。そういった方については1年間、退職金納付を延長することができるわけですが、これも電話だけで構わないということにさせていただきます。併せて関係機関からの証明書などについても、一切不要という手続を取らせていただいております。退職金を請求する際にも通常、現住所を確認する書類等をいただいているわけですが、取れない場合は請求手続確認書という形で、外部からの証明書のようなものはなしで、退職金請求を行うことが可能とするような手続を実施しています。
 その他、「業務改善目安箱」に寄せられた提案を担当部署で検討して役職員に通知する、あるいは業務・システム最適化の実施に合わせて、建退、清退、林退と、これまで別々だった各種様式の共通化等を行っております。
 それから、処理期間の短縮です。中退共事業においては受付から実際に退職金を支払うまで25日以内ということで、この目標を維持しています。また、建退共事業においては30日以内、清退共、林退共においてはこれまで小規模であったためにシステム化が進まず、受付から支給まで39日間かかっていたわけです。今回、システムの最適化により、建設と同様に30日以内に支払うことができました。なお、中退が25日、特退が30日となっております。特退共の場合、各支部で受け付けて審査をして、それが本部に回ってきます。もう1つは、証紙ですので実際に貼られている枚数をカウントし直す作業も出てくるということで、中退よりは5日多くかかっています。この25日、特退では30日という目標を達成することが、平成22年度にはできました。
 評価項目9は「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」です。数値目標は、ホームページアクセス件数が10%以上増加しております。次の頁に「情報提供の充実」というのがあります。ここでも最初に書いておりますように、東日本大震災における被災者について先ほど申したような特例措置を、震災後1週間後の3月18日にホームページにアップし、事業主団体あるいは支部の方への周知を行いました。また、被災地では当然パソコン等を見るのは難しいだろうと思っておりますので、4月1日の段階で被災地のすべての事業所、全共済契約者宛に、罹災見舞い及び特例措置についての周知を郵送で行いましたし、フリーコールの設置等も実施したところです。こういった最新の情報を迅速に提供すべく努めました。
 また、下に書いておりますように、共済契約者からの照会・要望等について、すべてQ&A等に反映いたします。あるいは今回、中退共事業において制度の加入対象の拡大を行ったわけですが、これについての周知・広報に努めました。清退共、林退共においても被災者が、自分の勤めていた事業所がこの制度に加入しているかどうかという情報を把握できるよう、ホームページ上で公開したところです。併せて電話交換業務と電話相談業務の統合は、先に申したとおりです。
 下の所に「照会・要望等への適切な対応」というのがあります。ホームページ等へのご意見、ご質問等から問題解決についての参考になったかどうか、あるいはコーナー等での対応がよかったかどうかについてアンケートをしているところです。結果として「非常に役に立った」という者が多くを占めているわけです。ただ、少ないながらも「若干不満があった」というご回答も当然あります。それらについてはきちんと担当部署のほうに回付して、ご不満の声があったことについて周知し、改善方を指導しているところです。
 評価項目10は、「積極的な情報の収集及び活用」です。次の頁ですが、「情報の収集」として1つは、外部の参与会を設けて中退共、特退共それぞれに外部の有識者に集まって、いろいろなご意見をいただいております。要望については右側に書いてありますように、加入促進についてはやはり全国津々浦々やっていただけないか、適格退職年金からの移行について受託機関と可能な限り連携を図り、制度管理をお願いするということが言われております。また、退職金共済制度の実態調査を行い、中退共のホームページについての調査、利用状況の調査、従業員への中退共制度への加入について、どういった形で通知しているのか、加入状況を従業員に直接通知することがいいかどうかということについてお尋ねしております。
 なお、最後の質問に関しては、「事業主の了解を得た上であれば中退共から直接通知をしてもよい」というのが37.2%です。しかしながら、「直接中退共から従業員に通知するのは好ましくない」という方も28.4%おります。その理由を聞きますと、やはり従業員には契約者である事業主を通じて、きちんと情報提供すべきだとか、外部の制度は利用しているけれども、あくまでも会社の退職金であることを事業主として大事に考えているとか、一部30%ですが、退職金を当てにして辞めてしまうかもしれないということで、やはり直接加入状況の通知はどうかというご意見がありました。そこで現在のところは事業主に、各従業員に渡せるように、まとめて郵送するという形を採っているところです。統計資料等のホームページへの掲載も、もちろんしているところです。
 評価項目11は、「加入促進対策の効果的な実施」です。こちらは数値目標として中退共、建退共、清退共、林退共それぞれ目標が定まっています。次の頁ですが、加入目標数に対する加入実績がどうなっているのか、下の所を最初に申し上げます。中退共では40万3,600人の加入目標に対して、43万9,272人、達成率108.8%です。この43万人というのは、中退共制度における過去最高の加入数となっております。建退共は、2月までは目標に届くかと思っていたところですが、3月の大震災後、各地での新たな事業が若干止まりました。そういう意味で12万4,000人、加入達成率98%ということで、達成率100%を割っております。清退共は156人、林退共は2,412人ということで、どちらも目標を達成しています。機構全体として56万6,000人強、達成率106%となっております。
 上のほうに戻ってください。取り巻く環境はご案内のように、中小企業は非常に厳しい状況です。特に建設・清酒等は業界自体も非常に縮小と言いますか、公共事業が減少していたり、清酒の場合、日本酒離れという状況があったり、非常に厳しい状況です。
 そういった中で加入促進対策を進めているわけですが、中退共において今回、これだけ高い数字を上げることができたいちばんの要因は、中退共の星印のいちばん上に書いてありますように、いわゆる適格退職年金の廃止が平成14年度に決まり、それから10年間、すなわち平成24年3月末までに適格退職年金で溜まっている資金については、中退共制度あるいは確定拠出、確定給付の年金に資産を移管することができるという制度があります。この資産移管の制度の期限が今年度末までで、かなり迫ってきたということもありますので、まだ適格退職年金から移行されていない企業に対して、各地で説明会の開催を行うとか、個別企業訪問とありますように、過去に説明会に参加していただいたり、資料について要求のあった企業を確認したりして、まだ移行の済んでいない企業はこちらで個別に訪問して、移行についてのご説明をさせていただくという取組を、かなり強力に進めました。その結果、43万人の加入実績のうちの13万2,300人強が、適格退職年金からの移行の数字です。この13万2,000人というのは、昨年度の実績と比べて40%強、40.7%増加しており、適格退職年金からの移行に強力に取り組んだことが功を奏したかと思っております。
 建退共事業についてはダイレクトメール、あるいはマスメディアを活用した広報を実施し、目標達成に向けての努力をしたところですが、震災の影響等により、残念ながら少し届かなかったという状況です。
 清退共事業については、かなり新規に加入される方自体が少なくなってきているという状況です。昨年の当委員会においても、2年間続けて加入者が目標に達しなかった清退共事業については、その産業における事業活動の低迷等、業界固有の問題はあるものの、確実な加入強化、加入への働きかけにより、一層の努力が求められるというご指摘をいただいておりました。そこで平成22年度については、すでに入っておられる事業主に対して新たに労働者を雇用した場合は、必ずその方を加入させてくださいという文章をこれまで年1回でしたが、年2回送付することとしました。併せて過去2月、3月に加入実績のあった事業所には、電話で直接加入についての勧奨を行うような取組を行った結果、目標を達成することができました。
 林退共についてはいわゆるCO2対策の下、林業事業には国からの働きかけも相当強いということで、林業労働者育成のための緑の雇用対策事業と連携する、あるいは林野事業を行っている事業所の中で未加入事業所リストを策定して、そこに加入勧奨を行います。併せて未加入名簿を林野庁にお送りして、林野庁からも加入を要請いただくということなどを実施して、加入目標を達成することができました。以上、第3グループの説明を終わります。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙へ、評定等の記入をお願いいたします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 評価項目9の2頁のホームページのアクセス数で、平成22年度がすごい数字に増加していましたね。ちなみに、平成21年度との比較で見るとどうですか。特に平成23年3月の大震災の後は、アクセス件数がバーッと増えたと思うのです。そういう要因などを考慮した場合に、前年度と比べてどういうように変化しているのかというのを教えてください。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 前年度の平成21年度が26万6,369件となっており、平成21年度から22年度という前年度比較で言いますと、6.3%の増加となっております。3月の大震災以降、どのようになったかという数字は持っておりません。

○加藤委員
 そうしますと、やはりかなり工夫をなされて、大震災の影響による部分がどのぐらいかはわかりませんけれども、その要因を考慮したとしても。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 毎年少しずつ伸びているという状況だろうと思います。

○加藤委員
 例えば、具体的にどういうご努力をなされて工夫されているのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 1つは、先ほども未請求対策の中で申しましたように、自分が勤めていた、あるいは過去に勤めていた事業所が中退共制度に加入しているかどうかという情報を、ホームページにすべて載せるようにしたわけです。そのホームページへのアクセス件数が、入れてから総計で4万6,000件ぐらい出てきていることもあって、こういった形でホームページの中にある情報自体を、いろいろ充実させていくことに努めています。併せてQ&Aなどについてもわかりにくかった場合に、わかりにくかった所については少し手直しをしていくとか、わかりやすさについてもいろいろ工夫を重ねるということをしております。

○中野委員
 関連します。やはりホームページにアクセスする前に情報がないと、なかなかそこへ行き着かないこともあったりするのです。テレビ-CM動画というのを手掛けておられますが、これはかなり効果があったのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 テレビ-CMについては、金額的にかなり嵩むものです。ただ、現在はテレビ東京1社で、かなり安く広報していただいております。それを見てお問合せのある方もおられますので、一定の効果は上がっているのではないかと思っております。また、私どもの制度は事業主が入っていますので、テレビ等を通じた周知と併せて、関係の事業主団体からの働きかけ、あるいは私どもは社労士や公認会計士等、事業主と非常にかかわりの深い団体と委託契約を結んで、加入促進をお願いしておりますので、そういう方々からのアプローチも1つあるのではないかと思っております。

○中野委員
 「情報提供の充実」の中で、電話対応の業務体制が見直されたということがありますね。これには一遍電話をして非常に不愉快だと、二度とそこにアクセスする気はないということもあると思うのですけれども、それには何か努力されたというか、アイデアを出されてなさったのですか。それとも丁寧にということでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 ここはサービスのワンストップ化ということです。いままでは電話で簡単な制度の紹介について外部委託をしておりました。ただ、「私の退職金はいつになったら支払われますか」といった個人情報的な問題、あるいは複雑な問題については、さらに職員に電話を替わるという対応をしていたわけです。そうしますと最初の受付窓口で中身についてご説明して、「それでは」ということで一旦相談窓口に来て、さらにそれを職員にするという場合、3度同じ方がご説明されることになってまいります。そういったことでは加入者に申し訳ないということもあり、最初の第1段階と第2段階を統一することにより、1回少なくさせたことでサービスの迅速化と、電話対応業務の効率化と言っても、人員があまり少なくなっているわけではないのですが、この両方ができるような体制をつくったということです。

○今村部会長
 それに関連して、そういうサービスをしようという情報、きっかけというのはどこの組織からできてくるのでしょうか。そういう専門の組織があるのか、内部的に自然にそういうものが発生してくるのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長
 内部的です。

○今村部会長
 定期的にそういうものを拾おうという仕組みがあるのか、あるいは随時でしょうか。

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長
 いままでは代表電話等がありましたので、それをワンストップ化にしていこうということで、今回の効率化を図ったところです。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。次はグループ4、「財務内容の改善に関する事項」から、「積立金の処分に関する事項」までの項目について、評価を行います。法人からの説明が15分、委員の評定と質疑が10分、合計25分となっております。それでは法人からの説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目12、「財務内容の改善に関する事項」として、まず累積欠損金の処理についてご説明いたします。数値目標として年度ごとの解消額は、中退共180億円、林退共9,200万円というのが挙がっております。次の頁ですが、まず、この累積欠損金の性格についてです。私どもは退職金支払いに向けて、責任準備金というものを用意しています。すなわち、仮に現時点ですべての方が退職した場合に支払うべき金額として、責任を持って準備金を積んでおくわけです。現在、実際に保有している資産が責任準備金よりも少ない場合に、それを累積欠損金という形で認識しております。
 この表を見ていただきますと、中退共累積欠損金が独立行政法人への承継時に3,229億円あります。その要因としては、毎年何パーセントずつか積み立てた額に利回りを付けているわけですが、平成15年より前は退職金額を決める際に、その利回りの利率が法律で定まっていたということがありました。この法律で定まった利率が、例えば平成7年までが6.6%、平成8年からは4.5%、平成11年から3.0%と若干下がってきつつも、やはり実勢の市場金利と比べてかなり高い設定がなされておりましたので、いわゆる逆鞘状態になり、平成5年から15年の間にどんどん累積欠損金が積み上がってしまい、継承時には3,200億円受けていたということです。
 なお、平成14年度からは法律改正によりこの利率が政令で決定するということで、ある意味で機動的に決定するようになっております。利率自体も1.0%ということで、かなり市場金利に近づけていただいて、それに応じて累積欠損金をできる限り返していこうということで、目標が定まっております。
 この表とグラフは2つのものがありますので、若干見にくいかと思います。青い折れ線グラフが累積欠損金額の総計となっております。平成15年度から少しずつ下がってきて、平成18年度を機にまた上昇しています。棒グラフは各年度の解消額となっており、0から上のほうに伸びている部分が累積欠損金を解消できた額、逆に下のほうに行っているのが累積欠損金が増えてしまった額です。
 下の表を見ていただきますと、承継したときから一時期、非常に株式等の市場環境がよかったこともあり、3,200億円の累積欠損金はかなり減少してきていたのですけれども、平成19年にはいわゆるリーマンショック、平成20年にはサブプライム問題等が発生して、非常に市場環境が悪くなっていたということで、累積欠損金がまた大きくなってしまいました。昨年度は1,530億円解消できたわけですが、平成22年度はその反動があったということと、併せて3月11日の大震災以降の市場の不安定さを反映して、運用で得た利益が制度利回りに達することができなかったので、残念ながら平成22年度は累積欠損金が100億円強拡大してしまいました。下のほうの林退共においても同じです。累積欠損金については平成22年度に900万円の損失が出ましたので、下から2番目の欄にありますように、累積欠損金が14億900万円という形で膨らんでしまうという状況です。
 次の頁です。そういう意味では健全な資産運用が重要になってくるわけですけれども、私どもは資産運用について、外部の資産運用の専門家に評価をいただいております。その評価については下のほうの頁に書いておりますので、その概要についてご紹介いたします。
 まず評価に当たっては、資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうかを中心に評価することとしました。運用目標の達成状況としては、中退法及び関係政省令・告示に則った運用方法によって、また他の関係法令を遵守し、制度の安定的な運営又は健全性の向上に必要な運用収益の確保を達成するため、基本方針に定めた基本ポートフォリオに沿った資産配分を行っております。この基本ポートフォリオに定める資産配分割合の乖離許容幅に収まるよう、月次データ管理を行って維持しています。
 その次のマルは、いちばん基本というか肝です。収益の状況についてです。委託運用は全体で見ればベンチマーク、複合市場平均収益率とほぼ同等のパフォーマンスとなっています。自家運用については、長期・安定的な債権投資を行うという観点から、バイ・アンド・ホールドを原則として、例えば10年国債だったら10年間持切るという形を原則として、確実な資産運用を実施しているというご評価をいただいております。
 そして下から2つ目ですが、平成22年度は為替の円高進行と東日本大震災による景気の先行きを巡る不確実性の高まり等による市場の低迷により、林退共を除いて金銭信託の評価損を計上しました。また、清酒製造業を除いて当期総損失を計上して、建退共及び清退共においては中期的に安定的な運営を維持し得る収益の確保が必要であると。また、累積欠損金のある中退共及び林退共については、制度の健全性の向上に必要な収益の確保に、引き続き努力する必要があると考えられている、という外部の資産運用評価委員会の評価をいただいております。
 具体的なパフォーマンスについては、次の頁の表に従ってご説明したいと思います。私どもはそれぞれ別の共済者集団ですので、各事業においてすべて区分して経理するようにと言われております。資産運用もそれぞれの経理ごとに実施している中退共事業の給付経理について、期末運用資産残高、運用等収入、運用等費用はみんなそこにあるとおりです。いわゆる決算運用利回りは0.30%ということでプラスではありますが、制度運用利回りに必要な1.0%には達しませんでした。なお、委託運用部門について、いわゆる比較対象となる市場全般の状況であるベンチマークと比較いたしますと、時間加重収益率は1.77%、ベンチマークと比べて超過収益率は△の0.00%ということで、コンマいくつ負けました。委託運用ではマイナスが出ておりますが、自家運用で1.61%の収益を上げておりますので、全体として決算運用利回りは0.30%となっております。
 一方、右側の建退共事業の給付経理においては、決算運用利回り0.76%、委託運用の超過収益率0.23%、下のほうの特別給付経理が、運用利回り0.62%、超過収益0.27%です。
 清退共は、決算運用利回り0.62%、超過収益-0.04%です。清退共特別給付経理は自家運用のみ、債権の運用のみをやっておりまして1.09%です。
 林退共事業においては決算運用利回り1.02%、超過収益0.33%ということで、おおむねベンチマークと同様、あるいはそれを上回る収益が出ております。
 なお、各事業ごとに決算運用利回りが違うのは、それぞれ基本ポートフォリオにおいて債権と株式等の組入比率が違ってきているからです。例えば中退共においては債権が8割弱ですけれども、他の株式あるいは外国株式等を2割ぐらい持っていました。逆に建退共等においてはその比率が低いこともあり、その結果がそれぞれの決算運用利回りに反映されているということです。次の頁が平成21年度の運用実績に対する評価ですので、こちらの説明は割愛いたします。
 次に評価項目14、「その他の業務運営に関する事項」です。保有する資産の措置について、次の頁でご説明いたします。現在、私どもが事務所として使っている退職金機構ビルは、運用資産として保有して使用しているもので、この第二期中期計画中に移転の可能性等について検討を行うこととされております。平成22年3月の時点で、外部の有識者からなる検討会で、建物の耐用年数が経過した時点、いま築43年と、かなり古くなっております。耐用年数は50年ですので、あと7年か8年ぐらいは使って、その後、売却して移転することを検討して考えればいいのではないかというご報告をいただいていました。そこに「最近の情勢を踏まえて」と書いておりますが、いわゆる東日本大震災でビルの一部に損傷が出ていることもありますし、耐震機能があまり高くないビルですので、来訪者の安全性の確保、あるいは事業継続の必要性という観点から再度、移転・売却が合理的か否かについての検討を震災後に再開したところです。
 また、私どもは松戸と越谷に職員用の宿舎を持っていたわけです。下の参考にありますように、2つの宿舎もかなり古くなっているということもあり、中期計画でできるだけ早期に売却等の方向で検討するようにとあったわけです。入居者にはもう平成21年度に退去いただき、廃止して、松戸の宿舎については平成23年3月末に、現物によって国庫納付を行ったところです。越谷も松戸と同様に、国庫納付の認可申請を行ったわけですが、こちらは接道の関係で、国が納付を受けることについて、いま検討をしているということで、3月以降ペンディングになっているという状態です。
 次の評価項目15が、「予算、収支計画及び資金計画」です。次の頁は先ほど説明したものです。平成22年度においては運営費交付金が廃止されたこともあり、経費を見直してシステムの最適化、あるいは長期未請求・未更新対策に対する調達について、すべて競争入札とすることで経費の削減を図ります。あるいは四半期ごとに予算の執行状況を把握し、各事業への経費節減を指示するということもあり、決算額で5億円の縮減を実施できました。
 最後の評価項目16が、「職員の人事に関する計画」です。最後の頁を見てください。まずは職員の意識の向上です。最初の挨拶にもありましたように、理事長が本年1月に就任いたしました。課長級以上約50名の管理職がいるわけですけれども、おおむね30分、場合によっては1時間程度、個別に面談を実施して、業務上の問題点の把握と各課室の役割等の明確化、意識向上を図ったところです。
 また、研修については右側の欄にありますように、各階層それぞれに応じた研修を実施しています。なお、新任管理職研修等については、顧客へのサービス向上等に関する民間企業との意識の違い等について考えさせることもあり、民間企業の職員が参加しているセミナー等を積極的に活用し、そういった中で研修に励んでいただくということを意識的にやっているところです。
 最後に、職員の採用についてです。募集に当たってはこれまでの機構ホームページ、あるいはハローワークの募集に加えて、新たにUni Careerというシステムを利用して幅広い募集を行って、229名の応募がありました。また、これまでは学科試験と面接だけでやっていたのですけれども、昨年に引き続き、その間にグループディスカッションをはさみ、そこでそれぞれの人たちの考え方をじっくり聞く機会を設けて選考を行いました。そういうこともあって機構への動機づけがなされたということもあろうかと思いますが、13名の採用が内定しました。これらの方は辞退者が全く出ず、全員を採用することができました。なお、10月採用の5名については、過年度で卒業された方が欠員状態になっておりましたので、先に採用いたしました。したがって平成23年4月に8名、合わせて13名の採用ができたところです。以上で説明を終わります。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙へ、評定の記入をお願いいたします。質問等がありましたら、適宜お願いいたします。

○加藤委員
 資産の運用のアドバイス会社と言ったらいいですか、その委託先の選定のルールがあると思うのです。その手順やルール、社内の取決めについて教えてください。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 運用機関については、それぞれの運用を専門としている会社に委託しているわけです。その委託に当たってはリスクを軽減するという意味から、それぞれの運用委託会社のタイプと申しますか、いわゆるプル型とか、それぞれのタイプに応じて偏りのないようにやっていきます。しかも3年に一度ぐらい見直しを行い、マネストを実施して適切な会社を選んでいくことにしております。なお、それぞれの会社については実績評価、定性評価と定量評価を行います。3年間ぐらい見て実績が定量・定性共に悪いものについては減額、あるいは入替えを実施していきます。

○加藤委員
 もちろん、最終的には理事会で決定してということですよね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 理事長、理事あるいは担当者を中心として、毎月資産運用委員会を開催しております。その資産運用委員会において、毎月の資産運用実績を議論するのと併せて、委託会社の状況がどうなっているのかということについての評価も、そこで実際に議論をして行います。その決定・議論を踏まえて、最終的に理事会等で決定するという形になっております。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。それでは、以上ですべての項目の評価が終わりました。事務局からこの後の取扱いについての説明をしてください。

○政策評価官室長補佐
 JILPTの場合と同じ説明です。勤退機構の資料も送付を希望される場合には、事務局のほうにお声がけいただければと思います。また、この後会場に残って評定記入用紙への記入を続けていただくことも可能ですし、お持ち帰りになって20日の水曜までに事務局まで改めてご提出いただくという形でも結構です。メールでの評定記入用紙の送付を希望される場合は、またお声がけいただければと思います。

○今村部会長
 本日の議事は以上です。次回の開催等について、事務局から案内してください。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催について、資料1-7に一覧で載っております。次回は7月28日の木曜日、朝9時半からです。場所は厚生労働省内の専用第12会議室です。次々回は8月2日の火曜日の午後1時からです。同じく省内の会議室ですが、今度は専用第21会議室となっております。開催案内を机の上に置いておりますので、ご記入してテーブルに置いていただくか、7月15日の金曜日までに事務局宛に、メール又はファックスでご回答いただければと思います。

○今村部会長
 長時間にわたり、熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。どうもお疲れ様でした。



(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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