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2011年3月2日 第7回 麻しん対策推進会議 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年3月2日(水)15:29~17:03


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議事

○梅澤課長補佐 定刻になりましたので、これより第7回「麻しん対策推進会議」を開会いたします。本日は、御多用のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、荊尾委員、金城委員、佐藤恭信委員、石井委員、玉城委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、岡部委員、蒲生委員、櫻山委員からは遅れるとの御連絡をいただいております。
 それでは、開会に当たりまして、外山健康局長よりあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山でございます。
 委員の皆様には、本会議の第7回目の開催に当たりまして、御多用にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろより、麻しんを含む感染症対策の推進につきまして御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 さて、麻しん対策につきましては、平成19年に策定されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成24年度までに国内から麻しんの排除を達成することを目標に、平成20年に麻しん対策推進会議を設置いたしまして、その対策を進めておるところでございます。本年度は、その対策が開始されてから3年目に当たりまして、中間年に当たる年でございます。麻しん排除の達成に向けては、目標であります予防接種率95%を達成する必要がございますけれども、併せて我が国におきます麻しん患者の発生数が減少していることを踏まえまして、麻しんの検査、診断を正確に実施していただくことが重要であることから、地方衛生研究所において遺伝子検査を実施していただくよう通知したところでございます。
 本日は、これまでの麻しん対策について御評価いただくとともに、今後どのような取組みをすべきかにつきまして、皆様の御意見をいただき、検討してまいりたいと考えております。
本会議におきましては、我が国の麻しん排除に向け、各委員の皆様から活発な御意見をいただきますことを期待いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○梅澤課長補佐 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力方よろしくお願いいたします。
 それでは、以後の議事進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座長、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 皆さんこんにちは。ただいまより、本日の議事を進めさせていただきます。
事務局から資料の確認をお願いいたします。
○梅澤課長補佐 資料の確認をさせていただきます。
 まず、第7回麻しん対策推進会議の座席表、議事次第、委員名簿。
 資料1-1「麻しんの発生状況」。
 資料1-2「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発生状況について」。
 資料2-1「平成22年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期~第4期)の実施状況の調査結果について(中間評価)」。
 資料2-2「流行予測調査」。
 資料3-1「麻しんの検査診断について」。
 資料3-2「地方衛生研究所における麻疹検査実績調査」。
 資料3-3「感染症法に基づく医師の届出基準(改正案)」。
 資料4「麻しん排除計画中間評価研究報告」。
 資料5「平成23年度以降の取組について(案)」。
 資料6「麻しん排除の基準に関する国際的な状況について」。
 「麻しん排除計画 中間評価」として、研究報告書を参考に付けさせていただいております。
 併せて、麻しんの発生状況について「-現代なら守れる-」という表題になってございますが、パンフレットの写しを御用意させていただいております。
 また、感染症研究所でまとめていただいている『病原微生物検出情報』を付けさせていただいております。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。資料はよろしゅうございましょうか。
 それでは、最初の議題であります「(1)麻しん等の発生状況について」に関しまして、国立感染症研究所感染症情報センターの島田先生から御説明をいただきます。よろしくお願いします。
○島田先生 よろしくお願いいたします。国立感染症研究所の麻しん対策技術支援チームの島田と申します。
 では早速、ごらんの項目について、発生状況を御報告いたします。
(PP)
 まず、1999~2007年までの定点当たりの患者報告数の推移です。
2001年には医療機関への受診患者数は約30万人と推定されていました。このように流行の規模が大きいときには、年間約20例の死亡例が報告されていました。近年でも、死亡例は決してゼロではありません。
(PP)
 さて2005年、日本を含むWHOの西太平洋地域の加盟国では、2012年までに麻しん排除を達成させることを決議しました。
 ところで、なぜ麻しんは排除すべき感染症なのでしょうか。それは感染力が非常に強く、麻しんに対する免疫を持たない場合には100%発症し、日本を含めた先進諸国でも1,000人に1人が重い合併症である脳炎を発症し、同じく全体の1,000人に1人が死亡するという決してみんなが軽く済む病気ではないからです。
このため、日本でも2007年、2012年までの麻しん排除を正式に国の目標としました。そりにより、より正確な患者の情報の把握を目的に、麻しんは定点報告疾患から全数報告疾患となったわけです。
(PP)
 2008年以降の州別報告数の推移です。
(PP)
 このように2008年には1万1,000人を超える報告数がありましたが、2010年には96%減の450人となりました。
また、麻しん脳炎について述べますと、2008年には9例の報告があり、すべてが成人症例でした。中には永続的な後遺症を残した症例も複数ありました。
2009年には麻しん脳炎の症例はありませんでしたが、2010年には1例成人例が報告されています。
(PP)
 ここで2009年以降の都道府県別の人口100万単位の麻しん報告数の発生率をお示しします。
 少しラインがずれておりますが、麻しん排除の目安の1つとして、100万人当たり1例未満の発生率というものがありますが、2009年にはこれが達成できた都道府県は5つでした。
 2010年には、更に10道県が達成しております。ところが、日本全体としては3.5と、まだ高い値を示しています。
(PP)
 次に年齢別の報告数の推移です。
 2008年は10代の患者さんが約40%を占める状態でしたが、2009年、2010年は5歳未満の症例が約40%を占めています。
(PP)
 この中で目にとまるのは、青いもので示しています接種歴のある症例です。このうちの約60%をこれらの症例が占めておりますが、果たしてこの症例は本当に麻しんなのでしょうか。
(PP)
先ほどの青い部分の報告例の内訳はこのような感じですが、結論から申しますと、麻しんという診断が妥当かどうか、届出の内容からは判断できない状況です。具体的には、IgM抗体価では診断が難しい接種後28日以内の症例が含まれていたり、抗体価やその推移がわからない、または検体の採取日などの時期がわからないためです。
 ワクチン効果を正しく評価するためにも、今後はますます検査診断の結果が重要で、更に検体採取の時期も把握できる必要があると考えます。
(PP)
 その検査診断の割合ですが、年々増加傾向にはあります。しかし、毎年これらの検査診断例の約9割がIgM抗体価のみの検査診断です。また、昨年は検査が陰性であっても、臨床診断としての届出基準、つまり発熱、発疹、カタル症状の3つを満たすために報告された症例が、この臨床診断例の中の13%を示していました。どのように麻しんと診断するのか、また否定するのか、その考え方を示していくことも重要と考えます。
(PP)
 さてここからは、海外で感染したと推定された輸入例について御報告いたします。
(PP)
 この表では、輸入例と輸入例から感染したとされた関連症例をまとめて輸入例としておりますので、この項目は輸入例及びその関連症例と御理解ください。
 さて、ごらんになられますように、年々輸入例が占める割合は増加しております。また、輸入例と確実に診断するためには遺伝子学的な検査が必要なわけですが、それが昨年は約50%で実施されております。
 年齢については、幅は毎年同様の値を示しておりますが、年齢の中央値に関しては少々ばらつきが見られます。全体の麻しん患者の後発年齢の傾向が似ている2009年、2010年だけを見てみますと、年齢中央値は2009年が1.5歳、2010年が11歳と、麻しんワクチンの接種機会を待っていた年齢群に多い傾向があると推察されます。
(PP)
 2010年には輸入例を発端とした集団発生も報告されました。それはお正月休暇をまたいで、2011年にもそのような報告が続いているわけですが、2011年5週までに限って申しますと、36例中15例、42%が輸入例とその関連症例でした。
(PP)
これらの内訳を少し見ますと、年齢の中央値が6歳ということで、この発生の中心がこの年齢の未接種者だったということがわかりました。
 国内外で自らが感染しないよう、またはほかの人を感染させないように、麻しんに対する免疫を獲得しておくことが、これらのリスクへの対応だと考えます。
(PP)
 最後に、月別の麻しんウイルス分離・検出報告数の推移です。
 2006~2008年には、国内例から検出された株のほとんどはD5でした。2010年には、より積極的に、特に渡航歴のある症例に対してウイルス学的検査が行われるようになったために、このことが遺伝子型別の報告数にも反映されているようです。
(PP)
 まとめです。麻しん患者の年間累積報告数は、2008年に比べて著しく減少し450例でありましたが、100万人当たりの発生数はまだ一応大きく上回る3.5であります。今後は麻しんの確実な検査診断がますます重要になっており、同時に検査結果の妥当性を検討する根拠となる発病日や検体採取日の把握も重要性が増している状況です。
(PP)
 今後の課題としては、これまでと同様ですが、感受性者対策、確実な麻しんの診断、血液対策につながる疫学的調査の徹底が挙げられますが、いまだに麻しん排除計画のことを知らない医療関係者や麻しん排除というのは一部の研究者や医師らが研究のために掲げている目標だととらえる方々もおられるのが現実です。そのために麻しん排除への社会的な機運の醸成がこれらの課題を超えるためにも、重要な課題の1つと思われます。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、SSPEの発生状況に関しまして、国立感染症研究所感染症情報センターの多田先生からお願いいたします。
○多田先生 では、こちらで説明させていただきます。国立感染症研究所感染症情報センターの多田と申します。先に話させていただきました島田と一緒に、感染症発生動向調査を担当しております。
過去の会議におきましても、畑委員から、麻しん対策が推進され、麻しん排除、そして根絶に至り、SSPE青空の会の解散が願いであり、待たれるというお話があったかと思います。本日は、その亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発生状況について御報告させていただきます。
(PP)
SSPE、亜急性硬化性全脳炎は、麻しんに罹患してから数年の潜伏期間の後に発症し、数か月から数年、すなわち亜急性に神経症状が進行する疾患です。遅発性ウイルス感染症の1つとされています。
1歳未満に麻しんに罹患した場合に発症することが多く、その発症率は麻しん罹患者数万人に1人とされ、治療法は確立されておらず、難病の1つに挙げられています。
亜急性に神経症状が進行する中で、通常発病後数年で死に至る疾患です。
麻しんに罹患しなければ、SSPEにはなりません。
(PP)
感染症法の対象疾患である麻しんは、麻しん発生のなくなることを確認するため、それまでの定点医療機関把握から、2008年に全数把握疾患となりましたが、SSPEは感染症法の麻しんとしては報告されません。
SSPEの発生数を把握する方法は何かないかということから、特定疾患治療研究事業の対象疾患であることを知り、この事業からの把握を試みました。特定疾患治療研究事業は、昭和47年に発足した難病患者の医療費助成制度です。SSPEを含む難病56疾患を対象とするもので、SSPEは1998年度から対象となりました。ほとんどの患者さんが助成を受けていらっしゃるのではないかと考えられましたことで、この受給者証交付件数から患者数が把握可能ではないか、また研究事業として収集されている患者さんごとの臨床調査票のデータから、経過なども把握できるのではないかと考えられました。
調査票のデータ電子入力は、認定業務の効率化などを行うことを目的として、都道府県が行うものです。ただし必須ではなく、入力がされないと受給が受けられないというものではありません。
(PP)
 年ごとの特定疾患医療受給者証の交付件数を示しています。色分けになっている下の部分は都道府県で、調査票のデータ入力がなされている件数です。
 これはこの制度の下で、受給を受けている患者数を示します。1年ごとの更新なので、新規の数ではありません。約100例のSSPE患者さんが毎年交付を受けていらっしゃいます。残念ながら、入力は50%程度です。
 なお、実は当初把握し切れていなかったのですが、他の補助を受けている場合には、この事業の申請はされていない場合があります。小児慢性特定疾患の対象として受給を受けているSSPEの数を調べてみたら、それは対象外なんですが、こちらの対象者が年間約20例いらっしゃることもわかりました。
(PP)
 入力されたデータから、SSPE発病年齢を見ますと、1~33歳で、10歳が最も多く、平均は12歳でした。
(PP)
 麻しん罹患年齢とワクチン接種歴という情報は、新規申請時の毎年の更新申請時用のものとは別の調査票のみで得られるデータです。新規のものが15例分しかなかったので、そのデータとなります。
 麻しん罹患年齢は、0歳が4例、1歳が4例で、1歳以下が多かったです。
 麻しん罹患からSSPE発病までの期間を見ますと、3~6年、平均10.5年でした。
 また、ワクチン接種歴は「なし」が10例、「あり」が2例、「記載なし」が3例でした。「あり」の2例は、1例は接種年齢の記載がなく、もう一例は接種と麻しん発症の両方ともが11か月と記載というデータでした。
(PP)
 2008年度に交付を受けた52例の方の都道府県です。
沖縄県が13例、北海道が8例と多かったです。地域差があるかもしれないことが示唆されました。
(PP)
同じく2008年度に交付を受けた患者さんの年齢を示したものです。
20代の方が多く、10~30代がほとんどで、40歳以上はわずかです。恐らくは、そのほかに小児慢性特定疾患の受給を受けている20例の方たちは、左側の2つのバーの中に入られる方だと思われます。
(PP)
 SSPEの症状を見たものです。
 知的退行、言語障害、四肢運動麻痺、歩行障害といった症状は90%以上の方に認められた症状です。摂食障害、嚥下障害、尿または便失禁、筋緊張亢進も81%以上と高い頻度で見られます。昏睡または半昏睡の方も40%以上いらっしゃいます。
(PP)
 52人の方々の状況を発病後年数に分けてみました。
 在宅療養されている方が発病後5~9年では60%、10年以上では70%以上です。
 また、全面介助の必要な方がほとんどで、気管切開されている方が半数以上いらっしゃいます。
(PP)
 結果のまとめです。
 SSPE患者数は特定疾患治療研究事業及び小児慢性特定疾患事業の助成を受けていらっしゃる方々の人数として120人前後でした。SSPEの発病年齢は平均12歳、麻しん罹患からSSPE発病までは平均10.5年です。患者さんの年齢は20代が多く、40歳以上はわずかとなります。多くの患者さんが知的退行、運動障害、言語障害、摂食障害や嚥下障害などの症状を有しながら、全面介助が必要な状況で在宅療養されています。
(PP)
 最後に、今後の課題です。
 麻しん排除達成の最終ゴールとも言えるSSPE新規発症者数ゼロの確認を可能とするため、SSPE患者数の把握を目的に、特定疾患治療研究事業受給者数とデータ集計を行いました。受給者件数は小児慢性特定疾患事業。対象者を加えても、SSPE患者数を正確に反映するものではなく、また、毎年の新規発症者数の把握もできないことがわかりました。
一方で、個人票データから得られる情報は今回お示ししなかったんですが、治療情報とか経過なども含まれています。このデータの解析は診療や家族支援のために非常に有用な情報であると考えられます。
今後是非解決すべき課題として、SSPE患者の新規発症者数、また療養されている患者数を把握すること、発症後の症状、治療、生活状況などを把握できる一貫したサーベイランスの実施が必要と言えます。
 私の報告は以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。はしかの発生状況とSSPEの発生状況につきまして、島田先生と多田先生から御説明をいただきましたけれども、何か御意見、御質問がございましたらいただけますか。
 畑委員、どうぞ。
○畑委員 SSPE青空の会の畑でございます。今日はSSPEの状況について御報告いただきまして、ありがとうございました。我々家族会に入ってくる状況も、ここ2年ぐらいで1人ぐらいの新患者からのアクセスで、数が減ってきているということは実感しております。お陰様で麻しんが大分抑えられて、そういう傾向にあるかなということで、より一層、今後の推進をよろしくお願いしたいと思います。
 今日のデータで非常に気になったのは、輸入例が増えているというお話がありました。先ほど、SSPEの患者数で沖縄が突出しているデータがありましたが、我々が把握しているのは、15人ほど患者さんはいらっしゃいます。そのうちの10人は1990~1991年に麻しんにかかった人たちです。どうもこのときの状況を見ると、同じ麻しんにかかっても、全国と比べて沖縄だけ特別にSSPEの発症率が高い状況があります。
その原因というのは、ある先生の仮説なんですけれども、株が海外からの輸入で起きているのではないか。沖縄だけ国内の株とは違うものがやって来ているのではないかということです。何を言いたいかといいますと、輸入例からの麻しんはSSPEを発症しやすい可能性があるという疑いを我々は持っています。
ということで、今後は輸入例を抑えるために、修学旅行に対しては予防接種ができるようになっていますが、渡航者全員に対して100%予防接種をしていただくような動きはできないものかということをお願いしたいと思います。そうすることによって、将来またSSPEが1人でも出るということをより防げるのではないかと期待しております。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ほかに畑委員に対する御意見、またはそのほかでも結構ですが、ございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。
 それでは、先に進めさせていただきます。2番目の議題「麻しん風しん予防接種の実施状況」につきまして、事務局からお願いいたします。
○梅澤課長補佐 それでは、資料2-1「平成22年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期~第4期)の実施状況の調査結果について(中間評価)」でございます。
 1、2ページ目は目次でございますので、飛ばさせていただきます。
3ページ目は、平成22年度4~12月までの9か月間のそれぞれ2期、3期、4期の麻しんの接種率でございます。2期は70.9%、3期は68.9%、4期は58.8%という接種率でございます。
 4ページ目でございます。先ほど申し上げたのが12月末までの数字でございますが、これは9月末までの数字ということでとりまとめさせていただいたものでございます。
 5ページ目は、それぞれ都道府県別に上位接種率の高い5つの都道府県、接種率の低い5つの都道府県を色分けにして、青いものが上位、黄色いものが下位ということで、それぞれ左側が12月末時点、右側が9月末時点でお示しをさせていただいております。
 6ページ目でございます。左側は平成22年9月末時点と12月末時点の比較をさせていただいたものでございます。9月末時点から12月末時点と比べまして、全国で2期では12.6%、3期では7.8%、4期では9.5%という形で伸びておるということでございます。
 また右側は、平成21年12月末時点と平成22年12月との比較でございます。平成21年と比べますと、平成22年では全国として、2期では3.6%増、3期では3.1%増、4期では2.2%増という形になってございます。網かけの部分が上位5つの都道府県でございます。
 7~9ページは、それぞれ2期、3期、4期の平成22年12月末時点の接種対象者数、MRワクチンの接種者数、麻しん単抗原ワクチンの接種者数、それらを使って出しました接種率をそれぞれ都道府県別に記載させていただいております。これは接種率の高い順から都道府県を順番に並べさせていただいているものでございます。
 7ページ目が2期の数字を入れさせていただいております。
 8ページ目が3期の数字を入れさせていただいております。
 9ページ目が4期の数字を入れさせていただいております。
 10~12ページは、先ほど御説明したのが12月末時点の数字でございますが、9月末時点ではどうだったのかということで、同様に2期、3期、4期ということでお示しをさせていただいております。
 13ページ目は、人口50万人以上の地方自治法で指定されている指定都市を抜き出して、接種率を記載させていただいたものでございます。全国平均70.9%に対しまして、指定都市では66.6%という数字になってございます。これが2期の数字でございます。
 14ページ目は、3期の数字を記載させていただいております。全国平均68.9%に対しまして、指定都市では63.9%になっているというものでございます。
 15ページ目は、4期の数字を記載させていただいております。全国平均58.8%に対しまして、指定都市では50.2%になっているということでございます。
 16ページ目は、人口30万人以上の地方自治法で指定されている中核市をピックアップさせていただいております。第2期で申しますと、全国平均70.9%でございますが、中核市では69.0%という数字でございます。
 17ページ目は、第3期を記載させていただいております。全国平均68.9%に対しまして、中核市は65.8%。
 18ページ目は、第4期を記載させていただいております。全国平均58.8%に対しまして、中核市は57.5%という数字になってございます。
 19ページ目は、人口20万人以上の市でございます。地方自治法で言われる特例市という市でございます。これにつきましては、まず第2期で全国平均70.9%に対しまして、72.3%という数字になってございます。
 20ページ目は、第3期で全国平均68.9%に対しまして、特例市ですと70.0%。
 21ページ目は、第4期で全国平均58.8%に対しまして、特例市ですと59.2%という数字になってございます。
 22ページ目は、特別区を抜き出して書かせていただいております。第2期で全国平均70.9%に対しまして、特別区では67.5%。
 23ページ目は、第3期で全国平均68.9%に対しまして、特別区では60.5%。
 24ページ目は、第4期で全国平均58.8%に対しまして、特別区では42.7%という数字になってございます。
 25、26ページは、平成22年度4月1日~9月30日までと、4月1日~12月31日までの接種率につきまして、日本地図で表したものでございます。それぞれ青いところが接種率が低い都道府県で、色が赤くなるほどにつれて接種率が高くなるという表し方をさせていただいております。
 25ページ目の上から、第2期、第3期、26ページに第4期という形で記載させていただいております。
 27ページ目は、平成21年度、2009年の1年間のそれぞれ1期、2期、3期、4期の接種率を付けさせていただいております。2009~2010年3月31日までの1年間では、第1期は93.6%、第2期は92.3%、第3期は85.9%、第4期は77.0%という接種率となってございます。
 以上でございます。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 では引き続きまして、抗体保有率について、感染研の多屋先生からお願いいたします。
○多屋先生 国立感染症研究所感染症情報センターの多屋です。よろしくお願いいたします。
 今日の私の発表は、IASRというのがお手元にあるかと思うんですけれども、そのIASRの6ページからあるグラフを少しカラーで大きくごらんいただこうと思って、スライドをつくってまいっております。
 この事業は、全国の都道府県と都道府県の衛生研究所、そして国立感染症研究所が協力している厚生労働省の事業です。もう30年近くこの事業は続いておりまして、麻しんについてはほぼ毎年国の抗体保有率というのが調査されております。
 麻しんについては、6ページの右側の真ん中にあります都道府県が、この事業に協力をして、抗体価が測定されております。
 まず、図1です。こちらのスライドでいきますとピンク色が単抗原ワクチンを接種された方、オレンジが麻しん風しん混合ワクチンを接種された方、青色が2回の接種を受けた方なんですけれども、ちょうど今年2010年は12、13歳が3期、17、18歳が4期ですが、今年を含めてあと2年間あります。ですから、ちょうど今年、来年と、このピンクが多いところは、2回目の接種を待っている年齢層ということになります。ですので、2期、3期、4期というのが終わっていまきすと、2回接種を受けた人がどんどん多くなっていくということがあります。
(PP)
 もう一つ、WHOは麻しん排除に向けての監視の方法として、国民の抗体保有率というものを掲げています。95%以上の方が抗体を持っていることというのが挙げられているんですが、世界中でこのように国家事業として抗体保有率が測定されているところは、恐らく日本以外ないと思います。
 毎年、国としてこのような事業を行っているものですから、抗体保有率ということから排除に向けた進捗状況を監視していくことができるんですけれども、多くの国々はこの調査はなされていないので、2回の予防接種率がそれぞれ95%以上になれば抗体保有率が95%以上になるだろうということから、予防接種率の評価で行われているところも多いです。
 このグラフでごらんいただきたいのは、こういう調査が行われますと、ワクチンの効果というのが如実に現れてきます。ちょうど3期は12、13歳ですけれども、2010年夏から秋の採血ですので、ちょうどこの辺りの方が3月31日までに受けてくだされば、全く麻しんの抗体を持っていない人がなくなるはず。PA抗体なので緑色のラインができれば95のところになってほしいところですが、2006年から2期が始まっていまして、ちょうど2期のところについては、初年度はこの斜めのところになっているんですが、受けた方が大体8割くらいでしたので、その次からは比較的多くの95%に近い方が麻しんのPA抗体を128以上で持っているということがわかります。
 ですので、今年3期のところがちょうど右上がりのライン、4期がちょうどこのラインですので、今年、そして来年、最後の年と、3期、4期をきちんと受けてくだされば、すべてこの緑のラインが95%以上のところに近づき、そして抗体を全く持っていない人がいなくなってしまうだろうということをこの事業から監視しているというものになります。
 ですので、2期、3期、4期の効果は非常に高く、ワクチンの効果がこういったところから現れてきております。
(PP)
 それを2006年の2回接種導入後からの4年間を示したものですが、2006年に第2期が始まっておりまして、2008年から3期、4期が始まっているんですが、3期、4期が始まるまでは、ちょうど10代あるいは20代のところの抗体価が低い状況だったんですが、そこが3期、4期と受けてくださることによって、比較的高い抗体を持った人の割合が増えているというのが、この事業からわかってきます。
できれば、一番上の95%以上のところにすべて到達してくれることが目標なんですが、やはり2回目の接種を待っている世代についてのみ、○を付けているところですが、ここにまだ達していないということがこの事業の結果からわかります。
(PP)
 赤線の幾何平均抗体価の平均は、やはり2回目の接種を受けていない年齢層は、幾何平均抗体価が低い状況になっています。
(PP)
 これはワクチンを1回だけ受けた人ですが、これまでも言われていたように、1回だけの接種ですと、水色の人というのは残念ながら抗体がつかなかった人、いわゆるプライマリー・ワクチンフェイラーの人なんですが、すべての年齢層に残念ながら1回だと免疫を獲得できなかった方がいらっしゃいます。
そして1回の接種の後、10年ぐらい経ってくると黄色が多くなってくるんですが、抗体価が下がってきているという人がいらっしゃいます。そこで2回の接種を受けていただくことによって、こちらはn数が少ないので、1人いるとこのように目立ってしまいますけれども、できればピンク以上の抗体価を持っていてほしい。
(PP)
 そして、麻しんワクチンを日本で今、受けなければどうかというのがこのグラフです。
 麻しんワクチンを受けなければ、0~4歳のお子さんだと、約8割の方がまだ麻しんにかからずにいることができている。5~9歳、10代でも、2割ぐらいはワクチンを1回も打たなくてもかからずに周りの人が受けてくれることで守ってもらえているんですが、20代、30代になってくると非常に少なくなってきて、ごくわずか残っているんですが、日本に住んでいる状況だと、ワクチンを1回も受けなければ、必ずいつかどこかでかかってしまうという、今のところそういう現状にあります。
 以上が抗体保有率の結果です。こういったことも含めて、麻しん排除に向けて監視を進めていければと思います。ありがとうございました。
○加藤座長 どうもありがとうございました。予防接種の実施状況と抗体保有状況につきましてお話しいただきましたが、何か御意見、御質問がございましたらいただきます。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、3番目の議事でございます。「麻しんの検査診断について」につきまして、事務局からお願いいたします。
○永井課長補佐 資料3-1をごらんください。
 先ほど、資料1-1に基づきまして、島田先生からも御発言がございましたけれども、2008~2010年までを見ていましても、臨床診断例が占める割合というものは年々低くはなってきておりますが、一方でIgM抗体価のみでの検査診断で診断されている例が多いという現状がございます。
この辺につきまして、第6回麻しん対策推進会議で御議論をいただきまして、検査診断も充実するべきではないかという御発言をいただきましたので、私どもといたしましては、平成22年11月11日付で「麻しんの検査診断について」ということで、都道府県等に通知を発出しております。その通知の本文が資料3-1でございます。
 趣旨といたしましては、麻しんと診断された患者の検体を可能な限り確保し、遺伝子検査を推進すべきということでございますので、今後は地方衛生研究所及び保健所等が連携しまして、麻しん患者の発症早期の検体を可能な限り確保し、遺伝子検査を実施するとともに、管内の医療機関に感染症法に基づく麻しん患者の発生届と併せて、患者の検体の提出を依頼するようにお願いしたところでございます。
 2ページ目は別添でございまして、医療機関向けのリーフレットでございます。麻しんの検査診断のためにPCR検査が有用ですので、保健所を通じて検体を御提出してくださいという御案内でございます。
 また、資料3-3につきましては、麻しんの発生届について改正案をお示ししておりますけれども、これは後ほどの議論の中で御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、地衛研における麻しんの検査実績につきまして、感染研の駒瀬先生からお願いいたします。
○駒瀬先生 こちらの方から失礼いたします。お手元の資料3-2をごらんください。
 今、永井課長補佐から話がありましたように、国の方では感染早期の検体を集めて、PCRというのをしております。ただ一方、臨床診断も多いんですが、検査機関によるIgM検査というのがかなりシェアを占めておりまして、地方衛生研究所には今までなかなかスムーズに行かなかったということがありました。昨年11月の通知もあるんですが、昨年3月に情報センターの方からリーフレットという形で、その内容をお示しするとともに、全国500か所余りの保健所に運搬用の試薬、培地等を送らせていただきました。
 そういったことで、実際地衛研に搬送される検体数がどのように届いたかというのを調べたのが資料3-2であります。調べた方法は、今年の2月に地衛研77か所にアンケートを送らせていただきまして、それを集計したものです。
 最初のグラフを見ていただきたいのですが、赤いカラムが2010年のもの、青いカラムが2009年のものです。送られた症例数にして2009年は232例だったのですが、2010年は523例。今、症例の中で咽頭拭い液、血液、尿を一応送れる限り送ってくださいということで、複数の検体が行くようになっているんですが、そちらの方も2009年は407だったのですが、1127と、約2倍~2倍半2010年では地衛研で実施された検査数が増えていることがわかります。
 地衛研で実施されている検査の実態なのですが、私たち国の方で進めているPCRが最も高く、もう一つはウイルス分離。これは強くは進めていないのですが、ウイルスの診断の1つのゴールデンスタンダードですから、非常に手間がかかる試験ですが、地衛研ではよくやってくださっております。IgM検査も一部の地衛研ではやってくださっていますし、IgGは、ペア形成等は限っていないので、実際どれだけ効果があるかわかりませんが、このくらいの頻度でやってくださっております。
 PCRを主体としてお願いしておりますが、その中の検体の種類を次のスライドに示しております。
 一番多いのは咽頭拭い液、血液、尿の順番になっておりますが、尿が割と最近多く送られてきているようです。簡単な調査ですが、2010年は2009年よりも搬送の環境が少し整ってきた。昨年の通知によってこれが増強されることを期待しております。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。ただいま麻しんの検査診断と地衛研における実績について御説明いただきましたが、何か御意見、御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 続きまして、次の議題でございます。「麻しん排除に向けた今後の取組について」に移ります。麻しんの対策につきましては、先ほど局長がお話しになられたとおりでございます。まず、これまでの取組状況の評価ということで、麻しん排除計画中間評価の研究報告につきまして、感染研の砂川先生からお願いいたします。
○砂川先生 感染研の感染症情報センターの砂川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 我々の方では、今回の麻しん排除計画のちょうど2010年が中間年に当たるということがありますので、麻しん排除計画そのものを1つプロジェクトとして評価をして、その中間評価を出していく。その中で今後の後半期に向けました麻しん対策の改善ということにつなげていきたいと思いまして、このような活動を研究として実施いたしました。この研究の母体は、岡部先生の厚生労働科学研究費であります。
 我々は通常このような排除計画というか、保健衛生に関するような計画がプロジェクトとして出されるという場合に、ODAなどでは中間評価を定期的に行うということがありますので、できるだけ客観的な立場でこれをプロジェクトとして評価していこうと思ったものであります。
 資料4には、そのサマリーの部分だけを載せておりまして、実際、麻しん排除計画中間評価は、今のところ40ページほどの冊子としてまとめつつありますので、これは研究班に報告した後、できるだけ早く公開できればと思っております。
 さて、今回のプロジェクトの評価ですけれども、実際にいろいろデータを集めてまいりますと、もともとのスタートというものがプロジェクトとしての厳密な指標が設定されていたものではないということなどもわかってまいりましたので、麻しん排除に向けた取組みを3つに大別いたしました。
 1つ目は予防接種の徹底。これは感受性者対策ということになります。
 2つ目はサーベイランス強化。
 3つ目は発生時対応強化。これはアウトブレークなどが起こったときの対応強化ということになります。
 そして、啓発というものももう一つの柱と考えることもできるわけでありまけれども、それぞれの3つの中に啓発、意識向上という部分も入れまして、実施、評価をしたかどうか、意識向上、啓発というところについて、それぞれ評価を試みたところです。
 非常に詳細な情報について分析というか、これを見ていきましたので、この中にはその一部のみを出しております。例えば予防接種の徹底の実施の部分の中で、接種率や免疫保有率というものが1つの指標ということになります。
また、評価の実施の中では、フィードバックの有無とか回数などが評価の実施の中の指標ということになるわけであります。それぞれの予防接種の特定の中で、接種率は先ほど来話がありますように上昇しているという状況がありますが、まだ第1期、第2期ともに90%以上には達しましたが、95%以上には達していないという状況があります。
免疫保有率につきましても、PAで16倍以上。これはカットオフレベルとしての要請値ということで、できれば120倍以上欲しいところではありますが、これにつきましては平成21年度で1歳代が73%ということになっておりますが、それ以降の代では95%以上に達しているという状況などがあります。ということで、感受性者対策が進行しているという状況があります。
 サーベイランスの強化の部分につきましても、指標を幾つか設定いたしました。実施の中で患者報告数であるとか、国の会議への情報共有であるとか、WHOへの報告の頻度であるとか、評価の実施、サーベイランスの評価などを行ったかどうか。意識向上としては、都道府県レベルでの病気への分類の誤りの有無であるとか、そういったものを評価の対象として見てまいりました。評価できる部分としましては、先ほど来話が出ておりますように、患者報告数が非常に減少していったということです。平成22年まで考えますと、96%減っていると。これは非常に大きな成果であるだろうと思われます。
 検査の部分につきましても、サーベイランス強化の中の1つの柱ですので、これも見てまいったということで、今、検査診断というものが1つのポイントになってくるということでありますけれども、都道府県レベルでの検査体制の構築というものにつきまして、平成20年では72.3%のそのような体制の構築があるとか、意識向上などについても取組みがなされている。しかしながら、なかなか評価が難しい部分もあるというところです。
 発生時対応についても、同様に集団発生の対応数であるとか、保健所のそういった対応に対する数であるとか、そういったものを評価しようと試みておりますが、集団発生の定義などがなかなか難しいという部分がありますので、これも評価が難しい部分があります。
 そういうことで、こういったデータの評価に加えまして、自治体を回りながら、自治体の関係者にいろいろ情報や彼らが直面している困難なこと、よかった点などについて聞きましたり、関係機関についても情報収集を行うということで、促進要因、阻害要因というものなどを列挙しながら、提言と教訓をまとめていったということになります。
 ということで、下のスライドに移ります。
 結論を簡単にまとめますと、麻しん排除計画が開始して2年ほどが経過いたしまして、患者報告数は非常に減ったという状況があります。
 予防接種率につきまして、第1期、第2期とも90%台に達して維持されておりますが、まだいずれの期も目標である95%以上を国全体では達成しているところまではいっておりません。ただ、これは10年前までは、自治体によっては非常に低いところもあったりしましたので、必ずしもネガティブな意味だけではなくて、もっと頑張っていこうというところかと思います。
 サーベイランスの強化の部分につきましては、全数サーベイランスの開始や検査確定率向上などの一定の効果が確認できるものの、サーベイランスのシステムとしての評価は未実施でありまして、今後必要であるということです。
 発生時対応の強化につきましては、現時点ではまだ達成度を確認できる段階に至っておりません。
 予防接種の徹底、サーベイランスの強化、発生時対応強化、これらを3本柱という認識でおりますけれども、このいずれも自治体による取組みの違いや差というものが年々大きくなってきているのではないかという印象が今回の調査の中から得られたものです。総じて、今回厳密な意味での事業を管理されたプロジェクトになっていなかったということがひとつ問題でありますので、各自治体において既存の対応の中でできることを最大限やってきたのではないかというところでの、そういった状況の違いというのが出てきているのではないかということで、以下の提言をまとめております。これらは厚生労働省や文部科学省、都道府県、市町村、国立感染症研究所などに対する提言になっております。
 我が国における麻しん排除の定義の明確化と関係者との合意。排除の定義の明確化が必要であるということ。
 接種率95%以上に向けた各期のさらなる取組みの強化。特に未接種者の把握と未接種者にターゲットを絞った個別勧奨が必要ではないかと思います。
 教育関係、文部科学省関係につきまして、学校入学時の接種証明書提出の導入などの積極的な検討によって、就学前の接種率上昇につなげることができないか。
 全例検査診断化へのサーベイランス届出定義の変更。
 積極的疫学調査徹底のための法的根拠を明確化することへの検討。
 麻しん排除に対する国レベルのキャンペーン戦略の策定と実施。
 この辺りが必要なことではないかということでまとめております。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見がございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 続きまして、平成23年度以降の取組みにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○永井課長補佐 ただいま砂川先生から、中間評価ということで、今年度は麻しん対策のちょうど中間年に当たりますので、その評価を研究班の報告ということで御発言いただいたとおりでございます。
 また、来年度以降で、今後2年間をかけて麻しん排除に向けて、さらなる取組みを進めたいと考えておりますので、資料5に基づきまして、幾つかの論点を整理しております。これを踏まえて、また先生方にさらなる御議論をいただければと思っております。
 まず1点目は、麻しんワクチン接種率の向上でございます。第6回の推進会議でも御議論いただきましたけれども、未接種者を確実に把握し、積極的な勧奨を行うために関係者が担う役割についてということで、行政の取組み、学校との連携、更に医療従事者との連携について。
 啓発については、第6回でも、定期接種の対象者や養育者に対する効果的な広報の在り方についてということで御議論をいただきました。
 現在、第6回推進会議以降の取組みとして、来年度以降の中学1年生、高校3年生に対するリーフレットの作成を進めているということがございます。これにつきましては、文部科学省の有賀専門官から御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 それでは、有賀専門官、よろしくお願いします。
○有賀専門官 文部科学省の有賀です。ただいま永井補佐から御紹介がありました中学1年生、高校3年生に対するリーフレットの件ですけれども、リーフレットにつきましては、20年度以降、毎年度作成して、中学1年生、高校3年生全員に配付をしておりましたが、23年度用については、より中高生の目を引くものということで、人気ドラマとのタイアップを図って、新しいデザインを考えました。
 お手元の資料の中にナンバーが付いていないものですけれども、このようなカラーの資料がございまして「-現代なら守れる-」ということで、4枚になっておりますが、実際は中1向け、高3向けの表裏両面で刷ったものをそれぞれ全員に配付されるように、ただいま準備をしているところでございます。こちらにつきましては、昨日文部科学省の方からもプレスリリースをお出ししておりまして、4月以降、全国の中1、高3の全員に対して配付するということで発表しております。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 永井補佐、続けてどうぞ。
○永井課長補佐 ありがとうございました。さらなる取組みについてということで、御議論いただきたい点を2点お示ししておりますけれども、これ以外についても幅広く御議論いただければと思います。
 1点目は、自治体、医療従事者等、関係者の一層の取組みを促す方法についてどう考えるか。
 2点目は、予防接種の接種率を向上させるため、更にどのような取組みができるか。例えば学校との連携により、入学時等に予防接種済証や母子手帳を確認する等についてということで御議論いただければと思います。
 続きまして、サーベイランスの強化としまして、前回の会議の資料ということで、論点として患者の把握と病原体サーベイランス(検体の確保と検査診断)という論点もお示ししたところでございます。
 また、麻しん患者発生時の対応といたしまして、積極的疫学調査の実施についてということで論点をお示しいたしました。
 前回の推進会議以降の取組みとしましては、先ほど資料3-1に基づきまして御説明いたしましたように、麻しん患者の検体を確保し、遺伝子検査を実施するよう通知しているということでございます。
 さらなる取組みについてということで、こちらの資料にはお示ししておりませんけれども、先ほど飛ばしました資料3-3について御説明を差し上げたいと思います。
 資料3-3につきましては、感染症法に基づく医師の届出基準の改正案ということで、事務局からお示ししているものでございます。
 まずこれは、医師及び指定医療機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準ということで通知をしているものでございますけれども、麻しんについての改正案の御説明をさせていただきます。
 まず、今の麻しんの届出基準につきましては、1~3番までに定義や臨床症状をお示ししておりますが、そちらについては特に変更はございません。
 届出に必要な病原体診断といたしまして、現行は分離・同定による病原体の検出ですとか、検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出というものにつきましては、検査材料といたしまして、咽頭拭い液、血液、髄液のいずれかのものということでお示しをしているところでございます。ただ、私どもから通知をいたしました検体の中には、咽頭拭い液や血液のほかに尿という検体でもということでお示ししておりますので、新たな改正案ということで、髄液の後に尿を追加させていただきたいということでございます。
2ページ目は、現行の発生届を右にお示ししておりまして、改正案ということで左にお示ししております。この趣旨といたしましては、まず発熱と発疹がいつ出現したのか。現行では、発症年月日は明示されておりますけれども、発熱と発疹がいつ現れたのかということをきちんと把握したいということで、改正をしたいと考えております。
 また、検査診断が今、充実していることから、それぞれの病原体診断につきまして、検体の採取日とその結果について詳細に記載していただきたいと思いまして、改正案をお示ししております。
 また、輸入例が増加しているということでございまして、感染地域が国外であった場合、現在は詳細な地域をお示ししていただくようにお願いしているところでございますが、併せて渡航期間についても届出をいただく際に御記入いただきたいと考えております。
 資料5に戻ります。さらなる取組みについてということで、3点こちらでお示ししております。
 1点目は、IgM検査及び遺伝子検査の結果を踏まえた麻しんの診断について、より明確でわかりやすいガイドラインが必要ではないか。
 2点目は、麻しん排除の達成に当たっては、優れたサーベイランス体制が前提とされており、国際的な基準に適合したサーベイランスの実施が必要ではないかというところでございます。
 サーベイランスの実施という観点からも、資料3-3に御提案をさせていただきましたように、より発生届を受理していただく段階できちんと把握をしたいと考えております。
 3点目は、麻しん排除の基準についてでございます。麻しんに関する特定感染症予防指針の策定時におきましては、1年間当たり人口100万人当たり1例未満の患者発生ということでお示ししているところでございますが、国際的に患者数だけでなく、より質の高いサーベイランス体制に基づく新排除の基準が提唱されてきておりますので、このような国際的な状況も踏まえて、我が国の麻しん排除の基準に関する考え方を検討していくべきではないかということでお示ししておりますので、この点以外にもかかわらず、幅広く御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいまのいろいろな御提案を含めまして、今後の2年間で麻しん対策の推進を図るための方策等につきまして、積極的な御意見をいただきたいと存じます。委員の方々いかがでしょうか。
 今後の対策につきまして、あと2年。衛藤先生、何か御意見いただけますか。
○衛藤委員 輸入例が問題になっているようですが、それに対しては何か具体的な方策というのは検討しなくてよいのかということをお聞きしたいです。
○加藤座長 輸入例について先ほど来お話に出ておりますけれども、衛藤委員の意見は輸入例について。
○衛藤委員 それを防ぐ具体的な方策。
○加藤座血要 どうぞ。
○林課長補佐 今の時点でのとらえ方を御説明させていただいた上で御議論をいただければと思いますけれども、輸入例が入ってくるのを防ぐということと、輸入例が入ってきたときに拡散するのを防ぐということの両面があると思います。
 麻しんの患者をたくさん発生させないためには、予防接種率を上げることで仮に輸入例が入ってきても、それを拡散していかない、流行につながらないということが最も重要なことでありますので、その目的で予防接種の推進をきちんとやっていくということが重要であろうかと思います。
 輸入例が問題になってきているというのも、全体の麻しんの発症が減っていく中で、総体的に数が目立ってきているという面があろうかと思いますので、輸入例そのものが増えてきているというとらえ方は現時点ではしておりませんが、そういったことをやっていった上で、更に輸入例そのものの持ち込みを防ぐということは、そもそもどのように可能なのかということもあろうかと思いますので、全体を見据えながら対策をしていく必要があると思っております。
 あと、前回御議論をいただきましたけれども、高校2年生で修学旅行に行かれる方について、これは麻しんの少ない国に行かれる方もいらっしゃいますし、麻しんの多い国に行かれる方もいらっしゃいますが、持ち出さない、持ち込まないという両方の意味を込めて、そういった方々には定期接種をして行っていただけるような取組みを来年度は行いたいと考えております。
○加藤座長 関連して何かございますか。
 竹田委員、どうぞ。
○竹田委員 輸入例があるということは喜ばしいことではありませんけれども、これまで排除を達成してきた国の経過を見ますと、排除に近づくと輸入例が顕在化してくるということがはっきりしていますので、輸入例が増えてきているということは、ある意味我々の活動がうまくいっているということの指標にもなると思います。
○加藤座長 ありがとうございます。この点についてはよろしいですか。
 それでは、ほかの点でも結構です。小澤委員、何か御意見ございましたらお願いいたします。
○小澤委員 特にないです。
○加藤座長 それでは、櫻山委員ありますか。
○櫻山委員 特にないです。
○加藤座長 順番で失礼します。
 佐藤委員、何かございますか。
○佐藤委員 今の件とはまた別なんですけれども、行政の取組みということで、今回もお示ししていただいたんですが、接種率を3か月の区切りごとに集計していただいていますが、できればタイムリーに自治体の方にフィードバックいただいて、フィードバックの機会が多いほど、やはり意識づけにもなると思いますので、要望といいますか、お願いであります。
○加藤座長 事務局、可能ですか。
○林課長補佐 できるだけそのように努めたいと思います。もう少しフィードバックするまでの期間を短くするということで、できるだけ努力をしていきたいと思います。
○加藤座長 竹田委員、何かございますか。
○竹田委員 患者数が非常に減っていますけれども、減ってくるということと反比例して、国民の方、医療機関の方のやらなければならないという意識が反比例して減っていくと思いますので、ワクチン接種をするということが一番の柱ですので、そこを機会のあるごとに啓発していくことが重要だと思っています。
○加藤座長 畑委員、どうぞ。
○畑委員 生活者というか、予防接種を受ける立場の人に対する啓蒙という意味で、例として予防接種済証を見せるだとか、そういうことを挙げていただいていますけれども、何らかのイベントがあるとき、入学だとか、先ほど海外の問題も出て、海外渡航時だとか、そういう何か新しい行動をするときに何らかの証明を見せるというか、ある種の反強制力を持たせるような仕組みというのをやっていただければ、生活者としても予防接種を受けておかないとまずいんだなという認識が広まると思います。
その辺はもう一歩踏み込んだ予防接種を受けなくては生活者上困ってくるんだと。むしろ学校に入るため、海外に行くためには困るんだと。そのような状況がつくり出せれば、もっと予防接種の向上が図れるのではないかと思っています。そういう点での検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○加藤座長 この入学時の予防接種の接種済証であるとか、母子手帳の確認ということは、文科省としてはいかかでしょうか。
○有賀専門官 小学校の入学に当たっては、就学時健診ということをやっておりまして、その際には、これまでの予防接種の接種歴であるとかをお聞きすることになっております。
 すべての都道府県、市町村というわけではないんですけれども、実際に接種済証であるとか、母子手帳で確認しているという都道府県、自治体もあるように聞いておりますので、そういうやり方をとっていないところに対しては、例えばそういう手法について紹介するなどして、より確実に接種歴を確認して、接種者に対する接種勧奨をしていけるように、こちらから自治体に対して情報提供をしていくということは、今後も進めてまいりたいと考えております。
○加藤座長 ありがとうございます。この入学時の件については、衛藤委員、何か御意見ございますか。
○衛藤委員 今、有賀専門官からお話がありましたように、就学時の健康診断の健康診断票にどのような予防接種を受けているか、いないかということがわかるようになっておりますが、それは入学する小学校の校長あてに送らせるという、仕組みの上ではそれがあるんですが、余り活用はできないという現状があります。
 もう一つ別なこととしては、国際的な特別支援教育に関する条約の批准というのに向けて、現在就学時の就学相談というのがございまして、その基本は、今後普通の学校に行くという方が主であり、特別支援学校等に行くことを前提にしないという方向に行く可能性があるので、現在自治体によっても就学相談自体をしていないところも出てきておりますので、その就学時の健康診断の情報に依拠するという方策は、今後どうなるか。どうなるかという意味は、それに余り頼れなくなる可能性がないかということを考えなくてはいけないということも多いです。
 入学時に予防接種済証を提出する根拠は、かなり法的な面とかを詰めないといけないと思います。義務教育というのは、保護者が初等教育を受けさせる義務があるわけですから、そのときになぜそれが必要なのかということは、かなり国民に理解が得られるような論拠といいますか、それをやはり積み上げていかなければいけないと感じます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 この件について、何かほかの委員の方々、御意見ございませんか。保坂委員、いかがでしょうか。
○保坂委員 今の衛藤委員がおっしゃった就学時の特別支援学級に行くとか、行かないとかの相談というのと、いわゆる就学時健診という有賀専門官が言ったのは別なことで、就学時健診は必ずやることになっています。特別支援学級に行く、行かないとかいうことではなくて、全体的に身体的にどうかということも含めて、眼科もありますね。ですから、特別支援学級の今の委員の御心配は、余り当たらないように思います。
○加藤座長 よろしいですか。
○衛藤委員 それに関しては、また十分に調べてまいりたいと思いますけれども、就学相談をしないところでは、就学時の健康診断を参考にしようとして使う必要はないので、就学時の健康診断をしない場合というのはあり得るのではないかと思うんです。
○有賀専門官 一応、学校保健安全法上は、特別支援学校に行くかどうかということのために就学時健診をやるとはなっていないので、今のところ就学前に行うということだけの規定ですので、特別支援学校に行くのがそれほど余り普通ではなくなったとしても、就学時健診がすぐなくなるということには、すぐにはつながらないとは思います。とりあえず、法律の規定上にはそういったものが直接には書かれてございません。
○加藤座長 この件はよろしいでしょうか。論点がちょっと外れたような気もします。
 福田委員、何かございますか。
○福田委員 これまで高い接種率を達成できたところを見ると、やはり予防接種台帳をうまく活用している。整備をした上で、更にデータベース化して、未接種者をピンポイントで選び出して、個別通知を徹底しているというところ。例えば福井県などもそうなんですが、やはり予防接種台帳というのは必須ではないかと思いますので、もう少し強い指導を持って予防接種台帳を整備していくことを徹底するべきではないかと思います。
 これまでの会議でも、都市部のところからの報告だと、やはり人口が多いところはいろいろ整備するのに費用がかかるとか、人手がかかるという報告もあったかと思いますので、もしそうであれば、その辺の手当をしていかないと、これ以上の接種率向上は求められないのではないかという気がします。
○加藤座長 ありがとうございました。台帳がないからだというのは、事務局としてはとらえられますか。例えば前回横浜市などは、人口の移動が激し過ぎるのでとてもできませんという保健所長の意見がこの会で出ましたけれども、台帳ができていないところはどのくらいか。しかもそこの場合、やはりパーセントが低いかどうかということはわかりますか。
○林課長補佐 記録は残しておくことにはなっておるわけですけれども、その残し方にはいろんな形式があるわけでございまして、きちんと名寄せをして、名前ごとの形で残しているような場合と、いいか悪いかは別にして、予診票に近い形のものを閉じていくという場合があろうかと思いますので、記録はすべての市町村にあるということが前提になっておりますが、どのような残し方をしているかということについては、データを持ち合わせておりません。
○加藤座長 ありがとうございます。この件についてはよろしいでしょうか。
 この件で、保坂委員どうぞ。
○保坂委員 結局、市町村ごとに台帳をつくるという方式にしていると、転出入の多いところは、本当にそこの自治体で一生懸命やろうと思っても、外から来た人の今までの分を持っていないと、台帳としての意味がない。それから、その人たちが出ていくときに、転出先にきちんとそれを届けるという仕組みがないと意味かないということがあって、麻しんのことだけではなくて、もっと全国的に統一したもので、台帳が住民票の移動とともに移るようなものをつくっていくことを考えないといけないというか、余り効率がよくないと思っております。
○加藤座長 ありがとうございました。
 それ以外のことで、保坂委員ありますか。よろしいですか。
○保坂委員 私の知識不足なのかもしれませんけれども、4期の話をするときに「高校3年生」という言葉だけが出てきますね。高校3年生の年齢の子は高校に行っていない子もいっぱいいると思うんです。専門学校に行っている子とか、全然学校には行っていないでお仕事をされている方とか。そういう方に対しては、今は余り何かしていないのでしょうか。
○加藤座長 これは当初から議論になっていたところですけれども、事務局から答えてください。年齢ではなく、高3ということで広まっているということに対する御質問です。
○林課長補佐 私どもとしては、高校3年生相当ということで、通常高校に進まれた場合に、高校3年生ということも重要でありますが、当然それに限らないということは当初から意識をして、周知をさせていただいているつもりでございます。
○加藤座長 「相当」というところが「相当」であるということでございます。よろしいでしょうか。
○保坂委員 やはりこれだけ全体にはしかが少なくなってきて、かつ接種者の数をきちんと増やしていきたいという最後のところに来ているときは、その年齢の方に個別通知を出さないと、全然情報が行っていない人がかなりの割合でいらっしゃるわけですので、特に4期については個別通知を出すようにということを自治体に向けて言っていただけたらと思います。
○加藤座長 ありがとうございました。そういう御意見でございます。
 ほかに全体に渡りまして、何か御意見ございますか。よろしいですか。
 いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。ただいまの御意見を踏まえまして、厚生労働省を始め、関係の皆様方には、麻しん対策への一層の協力をお願いいたしたいと考えます。
 それでは、次の議題に進みます。「麻しん排除の基準に関する国際的な状況について」に関しまして、国立感染症研究所の竹田先生から御説明をいただきます。
○竹田委員 資料を使って説明させていただきます。「麻しん排除の基準に関する国際的状況について わが国における麻しん排除基準案の作成に向けて」という内容でお話しをさせていただきます。
 麻しん排除は、我が国だけが目指している目標ではありません。世界各国が協調して実施している計画であります。そこで計画性を持って対応していくために、WHO、WHOの各地域事務局が指標あるいは目標値というものを設定して、活動を実施しております。
 資料6の表紙の下の地図ですけれども、目標年としまして、各地域でいつまでにという目標が設定されています。私たち西太平洋地域では、御存じのように2012年が排除の目標年に掲げられております。
 2ページは、世界における麻しんによる推定死亡者数のスライドであります。
 2000年のデータ並びに2007年のデータで各地域のものを示しています。すべての地域において、大幅にはしかによる死亡者数が減っております。
 赤く示した南東アジア地域だけその減少率が低い状況にありますが、これはインドでの対策が余り進んでいないのが影響しています。西太平洋地域では、2000年に2万5,000人だったのが、2007年の時点で推定7,000名の死亡と減少しております。
 何度か報告がありましたけれども、我が国の麻しん患者報告数は劇的に減少して、2010年は450例になっております。
 3ページ、西太平洋地域事務局におきましては、2007年に決議が出されまして、主に以下の5点。
麻しん排除のための国家的計画を策定して強化すること。
 予防接種拡大計画への強化にはしか対策を役立てること。
 全ての子どもに2回のワクチン接種機会を与えることによって、人口の95%に免疫をつけること。
 サーベイランスや実験室診断を確立・強化すること。
 並びに予防接種率や疾病発生率などのデータ報告の強化・質の向上をするということが2003年に決議されております。
 それにしたがいまして、2004年西太平洋地域事務局が排除へ向けた運用上の定義や指標の暫定基準をつくっております。
 主に3点で、輸入症例を除いて、人口100万人当たりに1例未満の目標を達成すること。
 質の高いサーベイランスを実施すること。
 全ての地域、全ての世代において95%の免疫保有を持たせることということが1つの目標、指標として出されています。
 2010年時点でのWHOの考え方について示したポンチ絵であります。
 黄色い部分の麻しん排除がどういうことかということですけれども、これは12か月以上にわたり、その地域の流行株による麻しんの伝播がないこと。それを示すためには、質の高いサーベイランスによってそれが証明されること。並びにサーベイランスが十分に質の高いものであることが証明されること。
そして、その質の高いことを証明するために4つの柱がありまして、左から、症例報告率、実験室検査による確認、麻しんウイルスの検出、調査の適切さという4本柱によって質を証明しなさいということを言っています。
真ん中の2つ、実験室検査による確認、麻しんウイルスの検出に関しては、精度管理が十分なされた検査機関で行うこととあります。そして、我々がよく使います指標の人口100万人当たり確定症例が1例未満、並びに2回の麻しんワクチン接種率が95%以上というものは、排除が達成されているであろうということを示唆する指標値として用いなさいと述べております。
 4ページの下の段ですけれども、4本柱についてもう少し説明させていただきます。サーベイランスの質を示すためのWHOがうたっている基準であります。
 左から、症例報告率というのは、国レベル並びに80%以上の我が国である都道府県において、年間10万人人口当たり2例以上の麻しんを疑ったけれども、検査したら麻しんではなかったという程度の広いサーベイランスが行われているということ。
 実験室検査による確認については、80%以上の麻しん疑い症例において実験室検査が実施されていること。
 麻しんウイルスの検出に関しては、流行の80%以上で麻しんウイルスの検出のための検査がなされること。
 調査の適切さという点において、すべての麻しん疑い症例のうちの80%以上で症例の届け出後48時間以内に適切な調査が開始されていることとうたっております。
 5ページは、これまで国家として排除を宣言しております国が、現在のこのような基準にどの程度合致しているかということを示したものであります。
赤い部分は達成されたであろうということ。
ピンクの部分は、完全ではないけれども、一部達成されているであろうということ。
 青い部分は、その項目については未達成であるということ。
 白く「記載なし」というところは、現在私どもの方では判断できないものです。
 結論から言いますと、2007年に韓国は排除宣言をしておりますけれども、韓国はかなり努力して、すべての項目をほぼ達成しておりますが、必ずしもすべての国がすべての基準を満たしているわけではありません。大事なことは、その表で言えば、一番下の地域性の流行株がもはやないということ。これが達成できれば一応排除ということになります。
 5ページの下の段に、2010年10月14日に西太平洋地域事務局が再度決議を出しております。これは国によってはほぼ排除に近い状況にありますので、1)各国毎の麻しん排除検証の仕組みを整備することが急務であるということを言っております。
 このような国際的な要請の中で、我が国の現在のシステムでどう対応していくのかということを議論して考えていく時期にあると思います。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいま竹田先生から御説明いただきましたが、国際的な状況につきまして、委員から何か御意見、御質問がございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。
 先ほど来出ておりますけれども、日本におきまして100万人に対する数値ではなく、新たな検討が必要であるということでございましたが、岡部委員、何かこういう件について追加発言がございましたらお願いいたします。
○岡部委員 はしかと思われる、あるいははしかと確認した例について検査診断を行えば、それは例えば100万人に何人というのが出てくると思うんですが、もう一つ、WHOの方の基準で非常に難しいのは、除外をした、つまり疑ったけれども、はしかではなかった。それだけちゃんと検査をしているんだというのが求められるんですが、それがなかなか日本では、むしろ最初から厳密に選んだものだけ検査をするので除外例が少ないとか、そういう矛盾が出てくる可能性がある。それが竹田先生の方で今、私たちと一緒にどういうふうな仕組みで、WHOとはちょっとスタンスが違う可能性が出てくる定義をつくっていかなくてはいけないだろうという議論になっています。
それを我々だけでディスカッションするだけではなくて、やはりそれはいずれWHOの会議や何かにも、日本のスタンスとしてきちんと話していく必要があろうと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。国際的な状況を踏まえて、日本においても排除の基準について検討をしていかなければいけないということであろうと思いますので、岡部先生、竹田先生、今後ともどうぞよろしく御検討のほどお願い申し上げます。
 全体を通じまして、各委員から御意見がございましたらいただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
 畑委員、どうぞ。
○畑委員 素人の立場から確認というか、質問ですけれども、こういう新しい排除に対する基準といいますか、評価の仕方というのは国際的なものができたとしたら、変わるということでしょうか。今までは予防接種率を95%達成していれば排除できるだろうという論理だったわけです。逆に、95%の予防接種率は達成していなくても、こういう数値がちゃんとクリアーできていれば排除したと言うということでよろしいんでしょうか。
○加藤座長 それを含めて、今後検討していただくことになるんですが、竹田先生何かコメント在りますか。
○竹田委員 恐らくWHOの考え方としては、95%の2回ワクチン接種をしなければ達成できないだろうということだと思います。だから、ワクチン接種率が低いのに達成できたということはあり得ないだろうという考え方だと思います。
○加藤座長 前提が95%接種。
 ほかにいかがでしょうか。御意見ございませんか。岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 私たちが見ていた10年前ぐらいのはしかと状況が変わってきているだろうと思うんです。それははしかについてどのぐらいのものがあるかということを把握して、だんだん狭めていくということから、専門家と言われる人だったり、はしかに非常に興味のある人は、今の段階は理解されていると思うんですが、もう日本の場合は、一つひとつを丁寧にきちんと本当にはしかなのか、そうではないのかという、従来目で見てわかるよということと大分意識を変えていかなくてはいけないだろうと思います。それはむしろ医療関係者の責任だろうと思いますが、そういう意識づけをやっていかなくてはいけないというのが大きい1つの宿題になっていると思います。
 我々はステージとしては、一つひとつ丁寧にやっていくという段階にすでに入ってきているだろうと思います。
 それから、今後多分症例数は少なくなってくるだろうと思うんですが、その中で一方で影の形で出てくる、これは前回もちょっと申し上げましたが、例えばポリオの場合も根絶状態が続いていますが、残念ながらワクチンによる不幸な麻痺例というものがあるので、今後そういう副作用をどういうふうになくしていくか、少なくしていくかというのは、更に研究と努力を続けていく必要がありますが、仮に事故例があったときに、それをきちんと調査して、それなりの説明をして、その方は大変お気の毒ではあるけれども、やはり全体としてこのはしかという病気を、国として、社会として減らしていくという姿勢をきちんと持っていく必要があろうと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、最近もはしかのワクチンによる副反応例について裁判などもあったわけですが、そこをきちんと科学的な根拠を持って議論をするということをし続けていく必要が我々もあるだろうと思いますし、行政の方も是非お願いしたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 本日は各委員からいろいろ貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本日のとりまとめでございますが、先ほど局長からもお話がございましたとおり、平成20年度より麻しん対策の推進を図るための措置を講じてまいりましたが、今年度がそのちょうど中間の年に当たります。本日のこの会議では、中間評価ということで、感染研より御報告をいただいたところでございます。
 また、今後2年間におきまして麻しん対策を更に推進することによりまして、平成24年度までに麻しんの排除が達成できますように、引き続き関係各位の取組みを期待いたしたいと存じます。本日はどうもありがとうございました。
 事務局から何かございましたら、よろしくお願いします。
○梅澤課長補佐 次回の会議でございますけれども、詳細につきましては、後日委員の先生方にお知らせをしたいと思います。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、第7回「麻しん対策推進会議」を終了させていただきます。


(紹介先)
厚生労働省健康局結核感染症課
TEL:03-5253-1111(内線2383)
担当 予防接種係


(了)

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