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2010年12月7日 第5回目安制度のあり方に関する全員協議会 議事録

労働基準局労働条件政策課賃金時間室

○日時

平成22年12月7日(火)
10:00~11:30


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

公益委員

今野会長、勝委員、武石委員、中窪委員、野寺委員

労働者委員

石黒委員、北田委員、田村委員、團野委員

使用者委員

池田委員、小林委員、高橋委員、横山委員、吉岡委員

事務局

森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長、藤永主任中央賃金指導官、
伊津野副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議事

○今野会長
 ただ今から、第5回目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、藤村委員、木住野委員、萩原委員、山崎委員が御欠席でございます。
 この全員協議会は、かなり長い間中断しておりました。したがって、本日は目安制度のあり方全般についてのフリーディスカッションをしていただきたいと思っています。事務局に資料を作成していただいておりますので、まず、事務局から資料を説明していただいてから議論に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○本多賃金時間室長
 賃金時間室長の本多でございます。本日は資料1、資料2及び参考資料の3つをお配りしております。
 まず、資料1は目安制度のあり方に関する全員協議会の再開に伴う目安制度のあり方に関する検討の進め方について(案)でございます。第1回、第2回の際に、検討の進め方については御議論いただきましたが、中断を挟んでいますので、改めて進め方について御議論いただきたいと思っております。
 平成7年4月28日の目安制度のあり方に関する全員協議会報告におきまして、目安制度のあり方につきましては、今後、おおむね5年度ごとに見直しを行うことが適当、ランク区分の見直しにつきましては5年ごとに行うこととされております。前回は、平成16年12月に報告が取りまとめられました。
 これを踏まえて、平成21年2月25日の第27回の中央最低賃金審議会におきまして、できる限り目安制度の改善を図るという観点から、目安制度のあり方に関する全員協議会の設置が了承されました。その後、同日に第1回、また同年の3月に第2回がそれぞれ開催され、検討事項の審議が行われまして、そこで表示方法及びランク区分の見直しを含むランク区分のあり方、また、賃金改定状況調査等参考資料のあり方が検討事項とされまして、4月、6月とこれらの検討事項について御審議をいただいたところでございます。
 以上の経緯を踏まえまして、本日の第5回以降につきましては、次のように進めてはいかがかと考えております。検討すべき事項の1つ目として、目安制度のあり方全般等について、2つ目として、20指標によるランク区分の見直し(振分け)について、3つ目として、賃金改定状況調査等参考資料のあり方について、4つ目として、最低賃金と生活保護との乖離解消方法等について、5つ目として、その他、以上でございます。
 また、検討期間につきましては、平成22年度中の取りまとめを目指したいと考えております。検討の進め方の詳細でございますが、資料2を御覧ください。本日、第5回目安制度のあり方に関する全員協議会におきましては、目安制度のあり方全般等について及び検討事項及び今後の進め方(案)を御議論いただきたいと思っております。
 次回以降につきましては、第6回を平成22年12月27日に予定しております。この第6回におきましては、ランク区分の見直しの案をお示ししたいと思っております。
 また、賃金改定状況調査等参考資料のあり方(案)と生活保護と最低賃金との乖離解消方法等についても議題としてはどうかと思っております。
 年が明けまして平成23年1月14日の第7回ですが、第6回でお示しした案を踏まえまして、ランク区分の見直しの決定について並びに第6回に引き続き賃金改定状況調査等参考資料のあり方の見直しについて及び生活保護と最低賃金との乖離解消方法等について御議論いただければと思います。
 1月26日の第8回、2月10日の第9回の2回で、目安制度のあり方に関する全員協議会報告の取りまとめをお願いできればと思っております。
 資料1、2につきましては以上でございますが、参考として、第1回から第4回までの主な御意見をまとめたものをお配りしております。
 こちらで御意見をいただいた中で、事務局から資料を提出する約束をさせていただいたものもございますので、次回の第6回以降、それぞれに対応した議題を扱う際に事務局から改めて資料を提出させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

○今野会長
 ありがとうございました。それでは、先ほども言いましたように、目安制度のあり方全般について御議論いただければと思っています。
 この中断の間、大分環境や条件も変わりましたので、それも踏まえていろいろ御意見はあると思いますので、今日は最初にざっくばらんに議論をしていこうと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、何でも結構ですのでいかがでしょうか。

○田村委員
 会長の方から目安制度のあり方全般について先に議論するという話ですけれども、実は5年ごとのランクの見直しというか、ABCDランクの中で入替えがあるのかどうかも含めて、実は2年前にやらなければいけなかったのですが、政局の問題とか法改正の問題がありましたので、この間、中断したことはやむを得ない事情かなと思っています。それが必要かどうかをまず先にやってから根本的なところを議論しないと、根本的な議論はひょっとするとこの2月にまとまるかどうか難しい。けれども、2年前にやるべきランクの振分けをしていませんので、5年ごとの見直しということですから、これから5年後なのか、2年遅れだからこれから3年後にするのかということも含めて、その辺はここで統一的な見解をまとめながら次回の目安制度のあり方に関する全員協議会というか、つまり何年後の話なんですけれども、この辺についても全員協議会の中で整理しておく必要があると思います。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。

○池田委員
 平成22年度は非常に大きな目安額でしたので、各地域で大幅な最低賃金の引上げがされたわけですけれども、私が危惧しますのは、基本的に今回の目安に対しては、2020年までに実質2%、名目3%の経済成長を前提とした最低賃金全国最低800円、全国平均1,000円ということが合意されたということで、諮問時に大臣が来られて最低賃金の引上げを前提にしっかり議論してくれというような雰囲気の中で、今年の審議会は始まったような感じを受けております。
 特に経営者側としても、今回は東京におきましても、近年すごく大きな引上げ幅になったものですから、今までは東京では最低賃金が引き上がっても大丈夫だろうという雰囲気があったのですが、直近の問題として、最低賃金が上がったことで賃金を上げせざるを得ない企業が増えてまいりまして、実質的には人員の合理化などの調整をするわけですが、配分できる部分は決まっておりますので、決められた中でどう配分するかということになってくるわけですけれども、基本的に最低800円、平均1,000円が強調されておりますから、また来年も東京は最低賃金が引き上がるということが目に見えています。
 東京としても、正直言ってなぜ東京がAランクでプライスリーダーにならなければいけないのかという観点から、この前提が重しになっておりまして、政治的判断の流れとこの目安審議のどちらに比重を置かれていくのかというところについて、もう一度経営者側としても目安の審議がある程度重点を置かれていのるだということを確認したいと思います。
 現在の審議会は政治主導の雰囲気が非常に色濃く出ておりますので、本来の労使の意見交換が本当にできているとは言いにくい面も非常に出てきている昨今の目安の審議ではないかと思っておりますので、その辺をもう一度ここで論議していただいてスタートされることが私どもとしても重要なことではないかと思っております。

○今野会長
 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

○高橋委員
 目安制度のあり方に関する全員協議会の再開に当たりまして、まず今年の審議をもう一度振り返る必要があるのではないかと思っているところであります。
 御承知のとおり、私ども使側は、地方に対して今回の目安を示すということについては最後まで反対をさせていただいた。その結果として、今回、各地でまとまった結果を見ましても、全47の地方最低賃金審議会のうち、実に38の地域で使側は反対という審議結果になったわけです。
 このような目安が答申されたということをどう考えるかというのをもう一度みんなで議論してみたいと思っています。そういうような目安を出し続けるのであるのならば、これは審議会方式の根幹を揺るがしかねない、今回の結果というのは私としましては大変重く受け止めておるところであります。
 これは労側の委員の方にも是非御意見を伺いたいと思うんですが、もちろん労使とも考え方、主張は異なりますけれども、これまで積み重ねた審議というのはお互いに不満もありながらも、最後は公益見解を出すことについては反対をしないというところ、すなわち最終的には賃金は労使が話し合って、完全満足ではないにしても合意に至るということの積み重ねをしてきたのがこの目安制度の基本ではないか。それが今回非常に揺るがされたということだと思います。
 もし、今後とも今年のような審議をするならば、目安制度そのものが本当に必要なのかということになりかねないと思っておりまして、最低賃金はやはり労使が話し合って合意をしていくということの重要性を我々は強調したいと思っていますが、三者構成について労側の委員の御見解も是非お伺いしたいと思っております。

○今野会長
 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

○石黒委員
 今回の目安を振り返るという中で、大幅な最低賃金の引上げの中にはもちろん、雇用戦略対話合意というものもあったわけですが、最低賃金法の改正も含めて、生活保護との整合性をとらなければいけないという法律が出てきた背景も少し使側の委員には考えていただきたいなと思っています。
 日本の今の最低賃金法の改正の背景には、最低賃金が低過ぎて2,000時間働いても生活できないという状況を放置することはできないという理念があったものだと理解しております。
 もちろん、それらの背景も含めて、雇用戦略対話合意で「最低800円」という目標が出てきたということなので、政治主導と言われれば政治主導なのかもしれません。しかし、昔の最低賃金というのは、要はお小遣い程度というか、最低賃金で生計を担う必要性がなかった時代から始まっていますが、その後、様々な事情の変化も含めて、世の中が変わってきたということで、最低賃金を引き上げなければならないという前提についてもう少し議論を深めていかないと、政治主導だからできないとかということは違うのではないか。
 最低賃金の考え方というものを、根本的に最低賃金法が改正されたことも含めて御理解いただいた上で審議してきたと自分は思っていたのですが、政治主導だということや、最低800円が表面に出たらできないとかということだと、最低賃金というものが昔とは変わってきた位置づけになったんだということも含めて少し御検討いただければと思っています。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。

○勝委員
 今回、再開されるということで、資料2によりますと2月まで5回ということでかなり限られた回数になっているということだと思うのですが、先ほど田村委員が言われたように、この全員協議会で何を議論するのかということを公労使の三者でコンセンサスを得るということが重要なのではないかと思っています。
 そもそも論に入ってしまうと、これはかなり見解の相違というのが労使双方にあると考えていますので、今回の目安の全員協議会の再開においては、何にフォーカスをするのかということをきちんと合意するということが必要なのではないかと思います。
 もちろん、双方から御意見がありましたように、今年度の目安についてはいろいろな意見がございましたし、目安自体も合意するのは非常に大変だったという現状がありますので、そもそも論というよりも、現在の法律の枠組みの中でどのように改善するのかというマイナーチェンジにするのか、あるいはもっと大きな視点で目安制度そのものを考えるのか、これについても今回合意する必要があるのだと思います。
 私が個人的に考えるに、やはりそもそも論に入ってしまうと非常に大きな隔たりがあるというようなことは感じております。ただ、毎年毎年目安審議を行っていくということで、何を信頼して、何をベースに目安を考えるのかというところの中のそもそもの部分の制度的な部分を今回は考えるべきなのだろうと思っています。そうすると、先ほど田村委員が言われたように、何が問題であって、どこに一番プライオリティーを置くべきかということを考えていかないと、合理的な議論の進め方にはならないのかなと考えておりますので、是非その辺も今日明確にしていただければと思います。

○田村委員
 石黒さんが言ったのと同じようなことなのですが、毎年目安を出すということは私どもとしては必要だと考えています。そうでないと地方最低賃金審議会の限られた回数の中での審議というのは進まないだろうと思っていますので、そういった意味では目安を出すことに意義があると思っています。
 そのときに私どもが示しているのは、Yという結果を求めるときに、A×Xとか、要は去年の金額に第4表を中心とした変数をかけてきたというのが過去の30年の経過でありまして、今まではかけるXがどうだという議論をしてきたのですが、ここ数年はもともとのAというか、去年の金額そのもの、あるいはそこにかけるべき絶対値が正しかったのかどうかという議論を是非していきたいと思っています。

○今野会長
 他にいかがですか。

○池田委員
 現実を申し上げれば最低賃金が全国平均1,000円という社会を将来国家目標としてあるというときに、本当に時給が平均1,000円の社会になったら日本の賃金全体がどういう形になるのか。実際にハンバーグがいくらにならなければ平均1000円にできないですとか、タクシーがいくらにならなければ時給1000円が払えないのかという経済の側面もあると思うんです。そちらの方の目標もある程度、我々は成長率実質2%、名目3%を追っかけているわけですけれども、逆にこういう経済状態にならなければそういうものは払えないんだという経営者側の経済実態の賃金のあり方に対する考え方があるのではないかと思っています。その辺りがほとんど検証されずに、最低賃金を最低800円にしろという要請があるわけです。
 実際の賃金アップにしてもそれぞれの会社において労使が話し合って、賃上げを決めているわけですね。これはそれぞれの会社の経営実態に応じてその年にやっているわけですから、これはこれで非常に合理的な労使の関係だと思っています。最低賃金というのは法律で一番下を固定されるわけですから、それによっては日本経済全体がそこまで上がってくれないと、賃金を上げられる状況にないわけです。そのあたりの実際的なモデルも作っていかないと、それに対して目安制度が追っかけているような状態にこれからなってくるのだと思っていますが、そのために中央最低賃金審議会というのはどうあるべきなのかということを別の角度から考えていただかないと、本当にこれから細かい問題が出てくるのかと思うんですけれども、その問題に対応できないのではないかという感じがします。

○今野会長
 どうぞ。

○小林委員
 先ほど、そもそも論という話がありましたけれども、そもそも最低賃金を決定する決定基準というのが法律で定められる部分があるわけです。労働者の生計費、労働者の賃金及び事業の支払能力という部分があるわけです。そして前回の法改正で生活保護の乖離解消というのが加わったわけです。法律に定められていることでそこまではわかるわけです。
 ところが、先ほど高橋委員からもお話がありましたけれども、昨年の雇用戦略対話、一昨年の円卓会議からも引き続いてありますけれども、最低賃金を引き上げるという流れの中で、本当はその3要素プラス生活保護との乖離解消という部分で話し合わなければならないものが他の要因で引きずられているのは事実だと思います。
 一昨年のリーマンショックのときも含めて、経済状況というのは非常に厳しいわけです。その中、今年の雇用戦略対話の合意されている中ではいろんな各種の要件があったわけです。経済成長の話、中小企業の生産性の向上及び中小企業支援という話もあった。それがほとんど無視されて金額ベースで引きずられたというのは事実であるわけです。前回の審議会の中でも最後に目安の決定の段階でも、使用者側は全員反対したわけです。その中でも公益委員と労働側の委員とで公益見解というのが出ていって、やはり地方でも大混乱というわけではないですけれども、地方最低賃金審議会が中央最低賃金審議会と同じような状況になって終わった。これがこのままでいいのかというのを議論する必要があると思います。
 一方、もう一つは、私もかなり事務局の方には申し上げてきましたが、目安制度のあり方に関する全員協議会の再開を早くやってくれということでお話はしていた。
 地域の違いというのは歴然とあるわけです。20指標で調べても、順位というわけではないですけれども、いろんな角度での地域の差があって総合的に20の指標を平均化した上で、ランクを過去に決めてきているわけです。この地域の違いというのは今後もあるのだと思います。その上で、その中には生計費の違い、賃金の違いや、企業の支払能力の違いがあるわけです。
 ここ数年、企業の支払能力という側面での見方がほとんどなされていないために、最低賃金が引き上げられてきている状況というのに企業は疲弊していって、各地方の審議会の委員からもこれはおかしいぞと、何なんだという意見がありました。まだ若干余力があって雇用の維持もできているし、最低賃金への対応というのはしている部分はあるんだと思いますが、これからは本当に基本の普通の正規、非正規という言われ方をよく言いますが、正規の方々の給与も最低賃金の引上げによって賃金全体が上がってくる部分もあるわけです。上が押さえられる状況というのは出てくるのかもしれないですけれども、そちらにも最低賃金はかなり影響の比重がかなり大きくなってきている部分はあると思います。そうすると、雇用の維持がこのままできるのかどうかという部分というのが本当に真剣に考えなければならないので、来年以降の目安の議論というのもどうあるべきかというのはもう少し考える必要があるのかなというのが感想です。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。よろしいですか。

○高橋委員
 やはりそもそも論を議論しないと目安制度は成り立たないと思っています。
 とりわけ、テクニカルな話かもしれませんけれども、今年の審議では、ABCDランクの目安が一律10円でした。そうだとしたら、なぜランク分けしているのかという話になる。もともと地域の経済の実態を踏まえるから各地の地方最低賃金審議会で具体的な金額の議論をしていますが、一律とはどういうことですか。まさにこれは目安制度のあり方の根幹に関わるものだと思っています。
 これまでは地域の経済実態を踏まえたランク分けをし、その経済状況を踏まえながらランクごとに目安を示してきたということと、今年の目安審議は全く違う目安を出されたわけですね。その結果、先ほど小林委員が言ったように私も同じ感想を持っていますけれども、各地の地方最低賃金審議会は大変な状況になった。これはまさにあり方そのものが問われていると言わざるを得ないと思いますし、またこれは中央最低賃金審議会委員が言うべき話ではないのかもしれませんけれども、目安が出された後の地方最低賃金審議会の審議では、例えば目安が10円だとしたら10円からスタートして、どれだけ目安額に積み上げるかという審議に終始するんです。
 今回も2円、3円と積み上がって、本来でしたら目安だったら当然目安プラスマイナスαがあってしかるべきだと思います。もちろん、正規分布である必要はないのですが、それが恐らく望ましい目安だと個人的には思っています。結果、仕上がりがプラスマイナスαが出てくる。そうでなくて、一方的にプラスαしかない。地方最低賃金審議会の審議も非常におかしくなっていて、それも含めて目安制度のあり方を考える必要があるのではないと思っております。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。

○團野委員
 目安審議の場と雇用戦略対話の場は明確に切り分けられているはずで、雇用戦略対話の中での一定の合意をした経過と、それを踏まえた上での審議をしてほしいという諮問、それを踏まえた議論を今年度の目安審議でやってきたものだと思っています。
 ですから、雇用戦略対話の合意と目安の審議というのは明確に切り分けられてやられてきたんだと私は受け止めしております。その中で、水準の目安のありようそのものについては様々な意見があると思うのですが、これは労使の意見は全く異なる部分だろうと思います。しかし、基本は公労使の三者で議論していくというスタイルは継続していかなければいけないと思っていまして、そもそも論がどこまで踏み込んで議論するのかわかりませんけれども、三者構成審議の中できちっと議論が行われてやっていくんだということを確認し、今後もその審議をしていくという方向を追求していくしかないのではないかなと思っております。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。

○勝委員
 先ほどそもそも論と言ったわけですけれども、先ほど使用者側からお話があったように、法改正によって3要素プラス生活保護という新しいものが加わって、それをベースにして考える。ただ、今年あるいは去年の目安審議においては、様々な問題があったということが使用者側の提言されたことだと思うのですが、特に支払能力の部分があまり勘案されていなかったのではないか。
 今年あるいは去年、特に去年ですけれども、非常に大きなショックが日本経済にのしかかってきた。そういう中で従来のような形での目安というのはなかなか示せないというのはそのとおりで、そうしますと、今年は去年を検証する。つまり、法律の枠組み内でそういった水準に決まったけれども、どこが問題だったのか。
 例えば支払能力についてどういったデータをベースにしてどのように判断したのか。生産性の向上というものについてはどのように判断したのか。あるいは地域の差をどのように考慮したのか。個人的には地域の格差というのはあってしかるべきだと思っています。
 そもそも論と先ほど申し上げたのは、そこの部分は非常に重要なのですが、恐らく今回、目安制度のあり方に関する全員協議会というところで我々に求められているのは、そういった今お話ししたようなことを含めて、法律は既に枠組みを定めているわけで、法律の枠組みの中でどのように最低賃金の目安を決めるのかという部分でまだまだ弱い部分はたくさんあるわけです。そこをあぶり出して、弱い部分を改善していくということになるのかなと思っています。以上です。

○今野会長
 他にいかがですか。

○池田委員
 私は個人的には最低賃金の作り方が二重構造になっているような感じがしてしようがないのです。従来の最低賃金審議会で決めてきた最低賃金の引上げ分と、先ほど申し上げた政治主導で上積みする分と二重構造になってしまっているような感じがしているのです。
 本来であれば、最低賃金審議会というのは先ほど申し上げたような3要素プラス生活保護がありますが、最低賃金をどこまで引き上げるべきかという基本論にある目安があって、あとは政治主導の中で政治は体制が変われば変わるのかもしれませんけれども、両方とも最低賃金を引き上げろと言っているのですから、そこの政治的配慮によって上積みする部分というのを二重構造になっているような感じがしてしようがないので、この二重構造を明確にして欲しいと思います。
 この二重構造が不明確のまま十把一からげで審議しているとなると、政治主導の引上げ部分に対する理由づけをしているような感じがして仕方がありません。政治主導の部分は一般の人にはわかりづらいわけです。そのため、我々使用者側委員は、お前たち審議会で最低賃金の引上げばかりやっているのかと見られてしまうので、政治主導と審議会がどういう形に分かれているのかというところを明確にして欲しいと思います。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。

○高橋委員
 法律上の3要素に基づいて目安を決定するということでしたら、それはそのとおりでございます。もちろん、3要素を勘案する際には生活保護も当然考えますけれども、その3要素をベースに目安の制度を今後もつくっていきましょうということであれば、我々は大賛成で、是非そういう形で目安制度を今後とも維持していただきたいと思います。

○今野会長
 他にありますか。どうでしょうか。
 具体的に全員協議会で何を検討するかということについても含めて御意見をいただいておりますので、それを考えながら今後の進め方を考えたいのですが、特に使用者側の委員の方々がおっしゃるそもそも論というときにいろんなことをおっしゃられている。
 例えば今の目安の決め方の構造を考えると、一番下に法律というのがあって、ここは3要素でやりなさいとされている。その上に実際に目安を決めるための、例えば20指標でランク分けしなさいとか、賃金改定状況調査を参考にしなさいとか、最低賃金と生活保護の乖離というのはこうやって計算しなさいとか、一種のプラットホームが用意されています。その上で実際に目安の決定を我々はやっている。
 その決定をするときの進め方についてという議題を3番目に議論するわけですけれども、今おっしゃられたのは、最初のベースの法律に関連するのか、プラットホームに関連するのか、一番上の目安の決定プロセスにも関わる問題なのか、ごちゃごちゃに色々なものが入ってしまっているという感じがする。例えば高橋委員が言われた地方最低賃金審議会で目安額プラスαの議論になってしまうということは、私が言った3段階目の問題ではないのです。法律でもない。進め方の問題なんです。
 ですから、そもそも論というときに、もしここでの議論の検討事項になるとすると、どういうことをおっしゃられているのかということをもう一度整理しなければいけないかなと思います。
 聞いていると、プラットホームをいじりたいのか、そうでもなくて進め方をいじりたいのか、あるいは法律までは言うつもりはないでしょうねとかといういろんな御意見が出てくるので、その辺を少し整理しないと今後の検討事項としてピックアップするかどうかが整理できないかなとは思っております。

○高橋委員
 非常に我々のメッセージはシンプルだと思っていまして、法律があって3要素が規定されていて、それに基づく目安を出すのであれば、一律10円はあるはずがないですねということです。

○今野会長
 それは目安決定のプロセスの問題でしょうね。つまり、プラットホームの問題でもないですね。目安決定のプロセスのときに、その都度の政策的な意思決定をお互いに相談をし合いながらしているわけです。そのときの問題ですね。
 例えば全ランクが一律というのはおかしいということですけれども、別に昔は全部そうやっていたわけですね。よろしいですか。

○高橋委員
 先生の整理で言うところのプラットホームについては、テクニカルな問題も含めてそれはこういった目安制度のあり方に関する全員協議会の場で5年に一度見直しをしていくということが本来筋だと思います。
 別に今、長年積み重なったプラットホームを一切変えてはならないということではないですし、例えば20指標にしても、過去の目安制度のあり方に関する全員協議会でも議論があったように、決して完璧な20指標であるわけではないですから、どういう形でやっていいのかというプラットホームについては絶えず不断の見直しが必要だろうと思っております。したがいまして、法律についてとやかく言っているわけでもないし、基本的なプラットホームについては改善をしていきましょうということだと思うんです。
 大事なことは、そうしたプラットホームが無視とは言いませんけれども、近年では、従前使われていたプラットホームとは関係ない要素が非常に重視されて目安ができ上がってきてしまっているということではないかと思います。

○今野会長
 そうすると、目安制度のあり方に関する全員協議会の従来の流れからすると、プラットホームを議論しましょうというのが今までの合意でやってきたわけですね。そうすると、もし、先ほど私が言った言葉で言うと、目安決定のプロセスのあり方まで考えろというと、従来とは違う領域の検討課題も含まれてくる。その増えた検討課題もこの目安制度のあり方に関する全員協議会の場で検討しろということになる。御意見として最低賃金決定についての色々な問題がありますと提示されても、その問題について今後どうするかは別の問題です。目安制度のあり方に関する全員協議会での議論ではそういう御意見があったとしてもこれまでのとおり、プラットホームについて議論を集中させていただきますという整理の仕方でいいのかどうかということなんです。

○小林委員
 先ほどの話ももう一度整理すると、今野会長がおっしゃったように、法律があった上でプラットホームというのを考える。それは20指標に基づくランクがあったり、賃金改定調査があったりというようなデータに基づくわけです。生活保護との乖離解消とのためにという前提が法律にうたわれていて、生活保護と最低賃金の比較する金額をどう決めるのかというのがプラットホームでデータなわけですね。しかし、賃金改定調査の第4表というデータで見ていくと、決して全国一律ではなかったのに最低賃金の引上げ目安が一律になってしまったわけです。
 データを重視してやっていただけるのだったら大いに結構なお話で、決めたプラットホームのデータのあり方が若干時代で変わってくるのであればその修正というのも当然必要なのですが、最終的なプラットホームを決めておきながら決定の仕方というのが今年はおかしかったということですね。
 これは先ほど團野委員がおっしゃいましたけれども、公労使の三者構成というのはまさに必要だとおっしゃるのであれば、データに基づき議論した上で決定して合意がなされてという形のプロセスというのは是非とも守っていきたいと思いますし、三者構成を今後も続けましょうというのであれば、データに基づいての結果なのに、ぽんと雇用戦略対話のような話が出てきて、使用者側委員が納得できないと言っても受け入れられないのだったら何なんですかという話を言っているわけですね。

○今野会長
 公益としては、例えば今おっしゃられたのは、特にランクごとに同額にしたということを重要な例示としておっしゃられたと思うのですが、例えば賃金改定状況調査がランクによって数字は異なるということをすごく意識して重要だと思いつつ同額に出すという意思決定はあり得るわけで、言っている意味はわかりますか。

○高橋委員
 わかります。

○今野会長
 つまり、プラットホームの上での政策決定プロセスとして、いろんな要素を勘案しますので、公益としては賃金改定状況調査の結果をすごく重視をしながら結果として同額で出すということもあるし、違う金額を出すということもあるということで、同額で出したイコール賃金改定状況調査を無視と言われると、我々としては心外です。それは違いますと言いたい。そういう点では賃金改定状況調査も重視していると思っています。

○高橋委員
 それについては理解しています。例えば生活保護との乖離解消を見ていただいてもおわかりのとおり、法律で定められてその乖離解消をめぐっては、乖離解消をしても次の年度にまた乖離が拡大するという問題はあるとしても、それは別にいたしまして、今年の審議でも乖離解消を早期に実現するべきという方針で使用者側も望んでいましたし、これについてはそんなに大きな議論にはなっていないんです。
 ちゃんとした法律に基づいてこうしましょうということについて我々は異議を申し上げているわけではなく、一律といいますかむしろ今年の審議はC、Dランクの引上げありきという審議だったではありませんか。そこまで言うのは私は大人げないと思いますけれども、今年の目安が全国一律だというのが問題ではないというのを言われるのであえて申し上げます。C、Dランクの引上げありきのような、要するに従前我々が大事にしてきたものとは全然違う、データに基づくものでもなく、最低賃金の引上げありきで審議した目安だったらどういう意味があるんですかということを言っているわけです。

○今野会長
 高橋委員がおっしゃられていることは、私が言っていた3段階目の目安決定プロセスが三者構成で議論するというルールは決まっていますけれども、例えばランクごとは必ず差を付けなければいけないとか、差を付けてはいけないとか、雇用戦略対話のような議論は無視していいとか、無視しないとか、そういう意味のプラットホームをつくれという御意見なんですよね。

○高橋委員
 そうではないです。せっかく積み上げてきたものをオーバーライドするようなものが入ってきていると言っているのです。

○今野会長
 それは先ほど私が言ったプラットホームというのは決して無視はしていませんと言いましたが、それは結果的にただ結果がオーバーライドしているように見えますけれども、それはたまたまそう見えるだけだというのが我々の意見です。いずれにしても、使用者側がおっしゃられていることは、私が言った目安決定プロセスの中の決め方について、我々は毎年毎年の状況で柔軟にやってきたことの一部をフィックスしろ、そこも新たなプラットホームにしろというふうに聞こえるんです。したがって、全員協議会で議論のテーマにしろというふうに聞こえます。
 私は議題を整理しなければいけないので単純な例を挙げます。目安プラスαの議論はしていけないというプラットホームをつくるとします。そうすると、その年々で柔軟にそれぞれの現場が決めているやり方を変えることになる。ですから、今までやってきたプラットホームプラス新たなプラットホームをつくるということになるし、使用者側の方たちが言っている例示はそういう目安決定のプロセスのあり方をどこか構造化したいという御提案のように聞こえるのですがそういう理解で良いですか。
 議題や検討事項として取り上げるかどうか考える上で、少なくとも従来のプラットホームについて検討事項にするということは御異論ないように聞こえるんですけれども、それプラスαということですね。

○小林委員
 従来のプラットホームについては、内容、データの見直しをしなければならないとは思います。
 もう一つ、プラットホームに加わるとするのであれば、雇用戦略対話というのがあると思うのですが、経済成長率と中小企業の生産性の向上が入るように、雇用戦略対話の合意の部分でもデータを使っているわけです。

○今野会長
 物価上昇率なども入るでしょう。

○小林委員
 前提条件である経済成長が名目3%、実質2%ということで1%のインフレがあるわけです。インフレになるというのであれば当然ながらそこの部分というのを見た上で判断いただくということは必要だと思いますし、目標は目標で掲げている部分というのはあると思うのですが、それは前提条件があっての目標だという上でのしっかりしたデータに基づく議論であればいいと思います。

○團野委員
 目安制度そのものを採用してというか、スタートしたのは32年ぐらい前です。長年現状のプラットホームをベースにしながらいろいろ改善を加えてここまできたと思うんですけれども、過去を振り返ると、労働者側としての思いからすると、我々の主張からするとはるかにかけ離れて低い水準しか引き上げてこられなかった。それが例えばAからDランクまで相当な違いが生じた。それは地域性に応じたというふうに使用者側の委員からは言われるんだろうと思うのですが、それにしても生活できる最低賃金という水準から考えると極めてかけ離れていると思うのです。
 ですから、過去ずっとさかのぼると我々は不満だった。ここ数年の経過からいうと、とてもではないけれども、こんな引上げは使用側としては想定をしなかった。違うパワーが働いたとおっしゃっていますけれども、確かにそういう側面があったということは事実だろうと思うのですが、それはそれで違うステージでそういう合意があった。この中央最低賃金審議会の審議の中では、それはそれとして審議の中では切り分けていただかないと、確かに影響があったことは事実ですし、それはそういうことも全くありませんということを言うつもりはないですけれども、それを全部一緒にして、ではこれから目安のありようとしてどんなことを協議していくべきかと議論するとすれば、とてもではないけれども、これはまとまりきらないと言わざるを得ないんです。
 ですから、そこは少し三者構成審議を基本として今後も考えていく。プラットホームもこれからも工夫を加えていかなければいけない。ここを最大尊重してやっていくのだということで基本確認しつつ、その上での意見交換をするということをしていただかないと、私も抑えて聞いていますけれども、基本指標を労働者側として言い出したらぶつかるだけの話ですから、そのような議論の進め方で是非お願いできないかなと思っております。

○池田委員
 大分、先生に御理解いただいたと思ったんですけれども、もう一度言わせていただきたい。先ほど私が申し上げたのは、将来ともに2020年までの最低800円、平均1,000円というのが目標値として審議会として本当に考えるんですかということです。平均1,000円ということは、企業経営で原則的にあり得ないんです。無理なんです。インポッシブルなんです。全国平均が1000円になるのであれば、東京では1,400から1,500円になるんですかと聞きたい。
 今年最低賃金を引き上げても中小企業の生産性の向上になっていないんです。企業は最低賃金の引上げ分だけ人件費が上がってしまって、実情は苦しいです。それが最終的に2020年で全国平均1,000円にするというとどういう世界になるのかを考えてもらいたいと思います。本当に全国平均で1000円を目指すのであれば、審議会としてもそういう世界を想定してみなければいけないのではないかと思います。最低賃金が全国平均1,000円になったら東京の最低賃金は1,500円くらいになると思います。実際にこれは可能だと考えているのですか。「最低賃金を全国平均1000円に引き上げるには経済がどれだけ好況になって、皆さんの実際の賃金もこれだけ上がらなければ無理なんですよ。」ということも審議会として報告を出していかないと、我々の主張を入れてもらうことにならないのではないかと思うんです。
 会長のおっしゃるプラットホームは大事なことで、そこが二重構造というか、審議会としてはここまでしか引き上げません、というのが1つの目安で、あとは政治的配慮によって目標としてこういうものはあるんですかという2つのものを出すことも必要になってくるかもしれません。
 最低賃金を引き上げるには、あくまで経済成長をここまでして、実態賃金がここまで上がっていないとできない世界ですよということを、審議会としても想定して目安を出していただかないと、本当に経営者の方は想定できないです。2020年に最低賃金が全国平均1,000円になったら、中小企業はどうやっていくんですということは直近の問題として経営者の方々は真剣に考え始めています。

○團野委員
 中央最低審議会で全国最低800円、平均1,000円を決めたわけでは全くないし、ここで再議論する必要は全くないと思います。ここは当年度いくら引き上げるべきか、水準をどう考えるべきかという議論をする場だと理解していますので、是非そのような切り分けをお願いしたいなと思っています。
 労働生産性にしても、これは主張がいろいろあるわけです。何の生産性をおっしゃっているのか。例えば付加価値総額を従業員数で割れば1人当たりの付加価値額が出るわけですけれども、従業員数を少なくすれば1人当たりは増えるかもしれない。しかし、今までやってきたのはそういう生産性の上げ方だったのではないかと思うんです。
 ところが、製造業はそういうふうな手法は相当行き渡っていますけれども、付加価値総額を上げる、いろんな構造課題についてチャレンジして変えていくということは果たしてどこまでこれまでやってこられたのか。生産性と言われても、我々の受け止めと使用者側の受け止めというのは、その対応を見ると違うものがあるわけです。日本経済のあり様についてどう考えるかについては、やはりそこを考えていかなければいけないと思うんです。
 言い出すときりがないのでその辺でやめておきますけれども、最初にかえれば、中央最低賃金審議会の審議とは別の場で最低賃金を全国最低800円、全国平均1,000円にするという目標を前提付きで確認されている。それは一方あるということも踏まえつつ、今年はどうすべきかという問題について中央最低賃金審議会の中で議論をしてきた。審議会の役割はそこにあるんだろうと思っていますので、雇用戦略対話はこの場に持ち込んで議論をすべきではないのではないかと思います。

○今野会長
 ここは全員協議会ですから、中央最低賃金審議会ではなく、目安制度のあり方について全員で協議して考えましょうという場です。私の言葉で言うと、一種のルール化できるところはプラットホームになるのですが、その辺はベースとしてお互いにどういうものをつくっていったらいいでしょうかということですね。
 そのときに、従来の方式からプラスαで何か必要かどうかということは、まず議論に入る前の何を検討課題にするのかというときの重要なポイントだということです。雇用戦略対話についても、もし目安制度のあり方においてルール化にするという観点から見て、どう扱うかについて労使、我々を含めて一定のルール化をしてしまうというつもりであれば、検討課題として取り上げる。そうではなくて、それはその都度の状況の中で総合的な勘案をしながら目安を決めていくときの1つの重要なファクターである。そこは、その時々の状況を考えながら総合的にやっていくのだということだと、これはルール化から外れますので、そうすると、今回の全員協議会の検討課題からは外れる。というような仕分けを私はしなければいけないということなんです。よろしいですか。そういう観点から皆さんの御意見を私は聞いているとお考えいただければと思います。

○團野委員
 ですから、そういう意味で雇用戦略対話についてはルール化から外すべきではないかということです。それをどうしてもこの場で議論しろと言われるのであれば、ルール化の中に入れてください。あまりそこを入れてプラットホームに入れてどうするかということをやってみてもまとまる可能性は薄いですし、そのことは事実として確認しなければいけないけれども、それはこの中のルールとはまた別の問題として念頭に入れつつ、中央最低賃金審議会の審議の中でどう議論すべきかという切り分けをした方がいいし、そうあるべきではないでしょうかということを言っているんです。

○今野会長
 今の雇用戦略対話については1つの例示ですので、他にもいろいろ御意見があったので、そういう観点から整理をしなければいけないかなと思います。結果的に最後の落ちどころは、検討事項から外す、つまり、ここでやると大変混乱すると思いますので検討事項から外すという意思決定もあるし、徹底的にここで混乱するという意思決定もあるわけですね。それを含めて検討するということになると思います。
 では、もう大分、実質何を検討事項にするのかという議論に入ってきてしまっているので、一応今日の2つ目の議題なのですが、目安制度のあり方に関する検討事項と今後の進め方についてということが次の議題なんですが、これを一度事務局からお話しいただいて、それからもう一度議論したいと思います。では、お願いします。

○本多賃金時間室長
 資料のNo.2をもう一度御覧ください。冒頭で御説明をいたしましたけれども、これは事務局の案でございますが、今回、第5回目で目安制度のあり方全般等についての議論をいたしまして、その後第6回、第7回、特にこれは議題を分けていないのですが、この2回を使ってランク区分の見直し、参考資料のあり方、生活保護と最低賃金との乖離解消方法等について、この3つを御議論いただきたいと思っております。
 No.1の方で検討すべき事項についてということで、その他という項目も挙げておりました。この項目については目安制度のあり方に関する全員協議会での御議論で、また何か新たに付け加えていただくことがあれば付け加えていただいて、それを踏まえてNo.2の方のスケジュールも変えていくことになるのかなと思います。
 例えば第6回、第7回、3つずつ同じものを挙げておりますけれども、これをもう少し整理するとか、そういった進め方も可能かと思います。
 そして、これもあくまで予定ですが、第8回、第9回の2回ぐらい時間をかけてこの協議会の報告の取りまとめをしていただければと思っております。以上です。

○今野会長
 ありがとうございました。今までの議論をお聞きしていると、こういう整理が可能かどうかということを労使委員の双方に御相談したいのです。
 まず第1点は、今、事務局が挙げた3点です。私が言ったプラットホームについては検討しなければいけないということは合意いただけるのではないかと思っていますが、問題はその次のプラスαをどうするかということです。
 本日は労使双方から御意見をいただいたので、このプラスαの部分については事務局でもう一度整理していただいて、それを踏まえて検討事項として上がるものがあれば、次回でも出していただいて、もう一度検討事項とするかどうかを議論していただくというのがいいかなと思います。
 このままやっていても、同じ主張を角度を変えていろいろ発言される可能性が高いので、そんな形で整理してから次に前に進んだ方がいいかなと思います。
 今後の進め方ですが、先ほど事務局の出した3つの議題は着々とやっていくということになるわけです。そして、他に何を検討事項にするかはもう一度考えて、もし検討事項があるとすればここに出していただいて、それでもう一度議論していただいて検討するかどうかを決めるという2段階に進めればいいかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

○石黒委員
 単純な疑問です。議題の3つというのはランクの見直しと賃金改定調査等参考資料と生活保護との乖離解消の3つですね。

○今野会長
 そうです。

○石黒委員
 事務局から検討事項として4つ挙がっていますが、検討すべきものの全般というところは除いた3つが議題という理解でいいんですか。

○今野会長
 資料1の検討すべき事項の一番上と一番下をとった3つということです。
 今、私は2つの内容の提案をしましたので、1つ目の件についてはよろしいですか。

○田村委員
 1つ目の件の20指標ですけれども、今までは5年ごとの区切りでやっていましたけれども、今回は7年の区切りの指標が出てくるということなんですか。

○本多賃金時間室長
 その点についても、この全員協議会で御議論いただければと思っているのですが、一応事務局といたしましては、ランクについては5年ごとの見直しとなっておりましたので、今用意している資料は現時点からさかのぼって5年間のデータを使っているということになるかと思います。ただ、指標によってはもともと毎年の調査でないものもありますので、少しばらつきはございます。

○今野会長
 今、田村委員がおっしゃられたのは、この検討課題を今度は具体的に進める進め方というお話ですね。そこについては、またいろいろ御議論があると思いますけれども、議題の3つの事項についてとりあえずは着々とやるということでよろしいですかというのが1番目の提案だったんです。私が先ほど整理したような進め方でよろしいでしょうか。

○中窪委員
 資料についていいですか。

○今野会長
 どうぞ。

○中窪委員
 目安についてですが、法改正があってから目安額の改定を3回行いました。法改正前とは変わった部分もありますので、色々と試行錯誤的な部分もあったと思うんです。それについては最低賃金決定要覧に昨年の分がありますけれども、答申そのものを資料として出していただいた方が、今年の分も含めて入れていただければ議論するときにいいのではないかと思います。決して適切であるとかないとか、個々の決定について、目安について議論する趣旨ではなくて、決め方についてこういうことをやってきたんだという確認の意味でお願いしたいと思います。

○高橋委員
 審議のために是非お出しいただきたい資料の要請があります。それは生活保護との乖離解消に関わるところです。これについては、もうこの場にいらっしゃる皆さんは同じ思いだと思いますけれども、毎年毎年、乖離が変動するということです。これについて、この全員協議会でどういうふうにしていったらいいのかというのは大きなテーマになると思います。
 過去2年分の要因分析していただいたものを単純に足しただけなので、それは正確なのかどうなのか分からないのですが、実に住宅扶助の実績の変化による影響額が2年連続の合計で10円を上回る県が47のうち9県もある。それは乖離解消がない県も入れてです。これほどまでに変動するのはなぜなのかということについて、47都道府県を調べていただくのは大変だと思いますので、とりわけ変化額、変化の金額が大きい県、1~2県に絞っていただいて結構ですから、どうしてこんなに大きく変動するのかについて、是非分析をお出しいただきたいという要請です。

○今野会長
 ありがとうございます。私の先ほどの整理で御同意いただいたとすると、この3つのテーマについては次回以降着々とやっていくことになりますので、今、高橋委員からおっしゃられたような御意見とか御希望はこの場で言っていただくと、次回以降事務局に対応していただきますので、おっしゃってください。

○池田委員
 先ほどと重なるかもしれませんが、議題3点の他に今回の各指針の中で、特に鳥取の商工会議所などは地方最低賃金審議会の答申に対して異議申し立てをしたということも出ております。
 中小企業の生産性がマイナス傾向にありますので、生産性の向上が置き去りされたままの最低賃金が引き上げられた状態になっております。平成22年度の最低賃金の引上げについては、雇用戦略対話の合意の1つである中小企業の生産性向上が前提となっておりますので、今回の審議の中にも検証の結果を目安の審議の重要な要素にしていただいたということを主張したいと思います。

○今野会長
 それは、中小企業の生産性に関する資料を出せということですか。

○池田委員
 はい。目安の審議の要素にすべきではないかという意見です。

○田村委員
 まだまとめてはいないんですけれども、私どもとしては、標準生計費との関係、生活できる賃金なり労働に対する対価というところを求めていきたいと思いますので、改めてそれは事務局の方にお願いして事前に相談したいと思います。

○今野会長
 他にいかがですか。よろしいですか。では、私が先ほど言ったような形で今後進めさせていただくということにさせていただきます。
 それでは、今日、かなり早いですけれども、この辺で終わりにさせていただきます。事務局から何かありますか。

○本多賃金時間室長
 特段ございません。

○今野会長
 特にないですか。それでは、今日は終わりたいと思います。
 次回の日程ですが、12月27日の午後1時から開催です。場所については、また事務局から連絡してもらいます。今日の最後、議事録署名ですが、北田委員と池田委員にお願いいたします。
 それでは、今日は終わります。ありがとうございました。


(了)
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