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2011年5月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年5月30日(月)


○場所

厚生労働省 専用第12会議室


○出席者

出席委員(17名):五十音順 敬省略

 新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、  奥 田 真 弘、  菊 池   嘉、

 清 田    浩、 黒 木 由美子、 佐 藤 俊 哉、  清 水 秀 行、

 田 村 友 秀、○土 屋 友 房、  中 島 恵 美、  濱 口   功、

 半 田   誠、  前 崎 繁 文、  増 井   徹、  山 口 照 英、

◎吉 田 茂 昭

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名):五十音順 敬省略

 大 槻 マミ太郎、 鈴 木 邦 彦、 櫻 井 敬 子、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、大槻委員、櫻井委員、鈴木委員、山本委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 現在のところ、当部会委員数21名のうち17名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
 それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~16をあらかじめお送りしています。このほか、資料17「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料18「専門委員リスト」、資料19「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料19「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
 資料19の1ページ目を御覧ください。
 タルセバです。本品目は、「治癒切除不能な膵癌」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページは、ロタリックスです。本品目は、「ロタウイルスによる胃腸炎の予防」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページは、アレロックです。本品目は、「アレルギー性鼻炎等」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 4ページは、ゾリンザです。本品目は、「皮膚T細胞性リンパ腫」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 5ページは、ガーダシルです。本品目は、「ヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型感染に起因する子宮頸癌尖圭コンジローマの予防等」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 6ページは、オンブレスです。本品目は、「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 7ページは、ヒュミラです。本品目は、「既存治療で効果不十分な多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 8ページは、キュビシンです。本品目は、「MRSA」を適応菌種としており、抗MRSA剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 9ページは、ジスロマックです。本品目は、「肺炎」を効能・効果とするマクロライド系抗菌剤であり、同様の効能・効果を有し、同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 10ページは、ドルナーゼアルファ(遺伝子組換え)です。本品目は、「嚢胞性線維症における肺機能の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 11ページは、トラベクテジンです。本品目は、「染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍」を予定効能・効果としています。同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている医薬品、あるいは開発中の医薬品が存在しないことから、競合品目はなしとしています。
 12ページは、スニチニブリンゴ酸塩です。本品目は、「根治切除不能な膵内分泌腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1「タルセバ」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は田村委員です。
 議題2、議題13(資料13-2)「ロタリックス」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は奥田委員です。
 議題3「アレロック」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題4「ゾリンザ」については、退室委員は黒木委員、田村委員です。議決に参加しない委員は奥田委員です。
 議題5、議題13(資料13-2)「ガーダシル」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は奥田委員です。
 議題6「オンブレス」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題7「ヒュミラ」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は田村委員、前崎委員です。
 議題8「キュビシン」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は奥田委員、前崎委員です。
 議題9「ジスロマック」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は前崎委員です。
 議題10「ドルナーゼアルファ(遺伝子組換え)」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は田村委員です。
 議題11「トラベクテジン」については、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題12「スニチニブリンゴ酸塩」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は前崎委員です。以上です。
○吉田部会長 本日は、審議事項は13議題、報告事項が4議題となっています。また、議題13(資料13-1、13-2)は、それぞれ関連する議題2、議題5と合わせて審議することといたします。また、報告事項議題2「ジスロマック錠250mg」については、審議事項議題9「ジスロマック点滴静注用500mg」の審議の際に、併せて報告してもらうことといたします。
 それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品タルセバ錠25mg及び同錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるエルロチニブ塩酸塩は、上皮増殖因子受容体の一つであるEGFRのチロシンキナーゼ阻害剤です。本剤は、EGFRのリン酸化を抑制することにより、その下流の細胞内シグナル伝達を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられており、非小細胞肺癌の薬剤として、平成19年10月に国内で承認されました。
 今般、本剤は、治癒切除不能な膵癌に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。
 本剤は、審査報告書の4ページに記載していますように、平成22年12月時点において、膵癌を適応として海外では76の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料18にございますとおり、8名の委員です。
 以下、治癒切除不能な膵癌に対する本剤の承認審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された第III相試験と、国内で実施された第II相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書19ページ上から1行目以降に示しますように、切除不能な局所進行又は転移性膵癌患者を対象とした海外第III相試験の結果、本剤とゲムシタビンの併用投与により、ゲムシタビン単独投与と比較して統計学的に有意な延命効果が示されました。ただし、その効果の大きさは生存期間中央値で約2週間でありました。
 安全性については、審査報告書20ページ下から13行目以降に示しますように、海外第III相試験及び国内第II相試験で認められた主な有害事象は、本剤又はゲムシタビン単独投与で認められる事象であり、安全性プロファイルは本剤とゲムシタビンの併用投与時で変わるものではないと判断しております。
 しかしながら、発現率について、特に間質性肺疾患については、外国人では3.5%に対して、日本人では8.5%であったこと、等から、本剤の安全性には明らかな民族差が認められていると判断しております。
 専門協議においては、審査報告書46ページ下から7行目以降に示しますように、機構の判断を支持する専門委員の意見に加えて、一部の専門委員からは、本剤投与によるベネフィットは、2週間弱のわずかな延命効果であるにもかかわらず、日本人患者では致命的になる可能性のある間質性肺疾患を発現するリスクが高いため、膵癌患者において本剤の臨床的意義は乏しい、等の意見も出されております。
 しかしながら、審査報告書29ページ上から1行目以降、及び46ページ上から13行目以降に示しますように、膵癌は治療選択肢が限られ、かつ予後が極めて不良であること、及びその膵癌に対して、本剤とゲムシタビンの併用投与により、2週間弱ではあるものの、延命効果が認められたことを考慮し、製造販売後の日常診療下においても極めて厳重な安全監視対策を実施することで安全性を確保していく場合には、日本人膵癌患者においても、本剤とゲムシタビンの併用投与に一定の臨床的意義は認められると判断いたしました。ただし、審査報告書34ページ上から14行目以降、及び52ページ下から12行目以降に示しますように、当該安全監視対策下における使用全例を対象とする製造販売後調査を実施することにより安全性情報を迅速に収集する必要があると考え、これを承認条件として設定することが適切であると判断いたしております。
 以上のような審査の結果、機構は、「治癒切除不能な膵癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本承認申請は、新効能医薬品、及び新用量医薬品に該当することから、再審査期間は平成27年10月18日までの残余期間とすることが適当であると判断いたしました。
 治癒切除不能な膵癌に対する本剤の承認の可否等について、御審議の程、よろしくお願いいたします。
 なお、事前に部会委員から御質問をいただきましたので、説明をさせていただきます。
 まず、佐藤委員から、「遠隔転移例と比較して局所進行例では、本薬の効果の大きさが小さい可能性がある旨が記載されているが、安全性に関して遠隔転移例と局所進行例別の結果が不明である。安全性の結果によっては、EUと同様に局所進行について適応から外すことも考えられることから、結果を知りたい」との御質問をいただきました。
 本薬投与時に特に注意を要すると考える有害事象である間質性肺疾患について、局所進行例と遠隔転移例をそれぞれ別々に確認した結果、海外第III相試験で本薬が投与された群では、10例で間質性肺疾患を発現し、この内訳は、局所進行4.6%(3/65例)、遠隔転移3.2%(7/217例)でした。また、国内第II相試験では、9例で間質性肺疾患を発現し、この内訳は、局所進行6.25%(1/16例)、遠隔転移8.89%(8/90例)でした。したがって、極めて限られた有害事象の情報ではありますが、機構は、両者の安全性に特段の差異は認められていないと、判断しております。
 機構は、海外第III相試験では、局所進行例を含めた膵癌患者に対して延命効果が示されており、局所進行例と遠隔転移例との間に大きな差異は認められていないこと、及び遠隔転移の有無が本薬の効果予測因子として結論することは困難なことも踏まえると、局所進行例を適応から除外しないことが適切であると判断しております。ただし、局所進行例において効果の大きさが小さい可能性があることについては、資材を用いて医療現場に情報提供する必要があると考えており、申請者には指示しております。
 もう一つ、佐藤委員から、「局所進行例と遠隔転移例の結果と同様に、サブグループ解析の結果では、PS0又は1とPS2を比較して、予後の悪いPS2の方がハザード比が小さく、より有効な結果が認められている。この結果について、説明は可能か」との御質問をいただきました。
 PS0又は1とPS2のハザード比を比較し、PS2でハザード比が小さかったことを説明する理由は、明らかになっていません。
 一方で、PSについては、間質性肺疾患のリスク因子の一つであると考えられており、国内第II相試験ではPS0又は1の患者のみが組み入れられたことを踏まえ、PS2の膵癌患者に対しては、本薬の投与は推奨されないと判断しております。
 PSについては安全性の観点から、適切な投与対象について、資材も含めて正確に情報提供したいと考えております。
 次に、清水委員から、「日本人膵癌患者に本薬とゲムシタビンを併用投与するための条件については、例えば、効能・効果に関連する使用上の注意の項に、明確に添付文書に記載すべきと考えるが、どのように判断しているか」との御質問をいただきました。
 審査報告書30ページ及び46ページに記載しました、3つの「日本人膵癌患者に本薬とゲムシタビンを併用投与するための条件」の内容については、効能・効果に関連する使用上の注意の項ではございませんが、効能・効果に関連する使用上の注意の項よりも上位に位置付けられる警告に記載して、注意喚起を行っているところでございます。また、資材も用いて、適正使用の周知徹底がなされるよう、申請者に指示していますが、効能・効果に関連する使用上の注意の項等に追記すべき内容がございましたら、御意見をいただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
 また、清水委員から、「製造販売後の安全監視対策について、申請者は関連学会との協力を謳っているが、具体的にはどのような枠組みを作るのか」との御質問をいただきました。
 申請者は、日本膵癌学会、日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会、日本呼吸器学会、日本医学放射線学会に対して協力を依頼し、各関連学会のホームページに適正使用及び安全対策に必要な情報を掲載することを説明しております。また、医師要件及び施設要件の遵守、本剤の処方前に医師がE-learning受講及び修了する必要性、特定使用成績への協力、間質性肺疾患の検査・診断・処方等において呼吸科医/放射線診断医と連携すること、等についても各学会に周知徹底を協力依頼し、安全監視対策を実施することを説明しております。
 加えて、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会に対しては、治療確認シート(膵癌用)の運用の協力依頼を行い、適正使用及び安全対策を周知徹底することを、申請者は説明しております。
 これらの対応につきましては、先に承認された非小細胞肺癌の時とほぼ同じ対応でありますが、今回、新たに追加されるものとしては、膵癌の専門医により本剤が使用されることから、間質性肺疾患に対する安全対策として、日本呼吸器学会及び日本医学放射線学会に協力や連携を依頼する内容になります。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。まず、今の機構の回答について訂正、あるいは追加質問はございますか。清水先生、何かありますか。
○清水委員 御回答ありがとうございました。内容的には、警告の欄にも「患者さんの承諾を取ること」と記載されているのですが、3条件がまとめて提示された方が分かりやすいと思い、そのように質問させていただきました。きちんと遵守していただけるような情報提供の形と、添付文書の分かりやすさが担保されていることが大事だと理解しています。
 今、2点目の質問中に、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会に対しての治療確認シートの話が出てきたので、1点質問を追加させていただきます。審査報告書36ページの薬局に対する安全対策についてですが、現行の適応も治療確認シートが発行されるスキームが作られているところです。今回、適応拡大に伴って、別の膵癌患者さん用の治療確認シートを作ることになろうかと思います。今回の膵癌の適応は、前の適応と用量が異なるところも大きなチェックポイントに上がってくると思います。ですから、膵癌の患者さん用の治療確認シートについては、従前の確認シートに加えて用量の確認をきちんと行うべき旨が記載されておりません。そういったことも記載するべきだと思います。
 もう1点あります。確認シートのスキームは理解しているつもりなのですが、確認シートで薬局、薬剤師に何を期待しているのかが私にはよく分かりません。というのは、シートが無くても、お薬は調剤して渡すことになるので、確認シートの活用の中、申請者は、薬剤師に何をきちんとチェックしていただきたいと考えているのか、もう一度教えていただきたいと思います。
○機構 今の御質問について機構よりお答えいたします。薬局で確認シートをお持ちでない患者さんが処方せんを持って来られた時、どの医療機関から処方せんが出ているのかといった情報も含め、薬局から中外製薬株式会社に連絡をしていただき、中外製薬の医薬情報担当者が先生のところへ行って、全例調査の調査依頼や適正使用に関する情報提供を行い、確実に全例を把握できるようなシステムで薬局にお願いしていく形になります。
○吉田部会長 よろしいですか。
○清水委員 中外製薬株式会社への連絡ですが、基本的には確認シートを活用した上、きちんと医師に疑義照会を行うようなことが望まれていると理解していますが、そのようなことも含めて考えるということでよろしいですか。
○機構 中外製薬株式会社と契約されていない医療機関からの処方は、全例調査の契約をお願いする話と、本剤を適正に使用できる医師による処方かどうかを確認する形を取らせていただいています。
○吉田部会長 使用できる施設を限ろうとしているのですね。そういったことから、確認シートを使いたいということだと思います。ほかにございますか。佐藤先生、よろしいでしょうか。
○佐藤委員 先ほどの遠隔転移例と局所進行例についてお伺いします。統計的に有意な生存の効果が見られたといっても、ごくわずかになります。専門委員や機構もそう判断されています。そうすると、そもそも遠隔転移と局所進行で生存期間の中央値が2か月半ぐらい違い、局所進行の場合はゲムシタビン単独でも予後が良い患者さんになります。そのため、もしリスク・ベネフィットバランスのギリギリのところで承認だとすれば、局所進行例では安全性が低く、リスク・ベネフィットバランスは保たれていないことになると思います。先ほどの話では、特段安全性に局所進行と遠隔転移で違いが認められないということですが、治療効果を考えると局所進行例はどのような御判断になるのですか。
○機構 機構よりお答えします。局所進行例については、EUでは、リスク・ベネフィットバランスの観点から否定的な判断がされていることも事実ですが、機構としては、サブグループ解析のハザード比の結果から、局所進行例と遠隔転移例との間で統計学的に結論付けられるような結果は得られておらず、また、両者を含む集団でOSの延長が検証されていることから、局所進行例を効能から除外する必要はないという判断をさせていただいております。
○吉田部会長 局所進行例と遠隔転移例がバランス良く振り分けられていたら良いわけですね。そちらを調べてもらいたいと思います。
○機構 元々、層別因子になっていました。
○吉田部会長 層別因子になっていたのであれば、それで分かると思います。ほかにございますか。本薬が海外に比べ、日本人に間質性肺炎等の肺への毒性が強いのではないかと言われています。田村先生、肺癌で沢山使用経験がおありになると思うのですが、そのような傾向があると一般に理解されているのですか。
○田村委員 一般というのは、どのような意味ですか。
○吉田部会長 「先生方の中では」という意味です。共通の理解になっているということですか。
○田村委員 そのように理解しております。
○吉田部会長 ということは、肺癌に対して、そのような理解になっているので、専門家の立場としては膵癌もそのような対応にしてほしいということですか。
○田村委員 はい。
○吉田部会長 部会の意見として伝えておいてください。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題2、議題13(資料13-1)に移ります。
 議題2、議題13(資料13-1)について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ロタリックス内用液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、審議事項議題13、資料13-1「生物学的製剤基準の一部改正について」機構より説明いたします。
 本剤は、弱毒化されたG1P[8]型のヒトロタウイルスを有効成分とする経口生ワクチンであり、「ロタウイルス胃腸炎の予防」を効能・効果として申請されました。
 ロタウイルスは乳幼児の重症急性胃腸炎の主な原因とされ、ロタウイルス胃腸炎は、本邦の5歳未満の入院を要する急性胃腸炎の約6割を占めるとの報告もあります。また、同じく5歳未満の乳幼児においてロタウイルス胃腸炎の年間入院者数は7万8,000人と見積もられるとの報告もあります。ロタウイルス胃腸炎に対する抗ウイルス療法等はなく、対症療法として補液療法が行われております。
 本剤は、2004年にメキシコで最初に承認された後、2006年に欧州、2008年に米国で承認され、2011年5月現在、今般申請された液剤は世界84か国で承認されており、本申請に含まれておりませんが凍結乾燥製剤も116か国で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料18にお示しした8名の委員です。
 審査の概略について、まず臨床試験成績を中心に御説明します。
 有効性について、国内及び海外の臨床試験でロタウイルス胃腸炎の発症予防効果が評価されております。審査報告書30ページ、表4-13を御覧ください。重症度を問わないすべてのロタウイルス胃腸炎の発症予防効果及び重症ロタウイルス胃腸炎に対する発症予防効果が認められております。また、審査報告書34ページに記載しておりますように、海外臨床試験では、入院を要するロタウイルス胃腸炎の予防効果が認められております。
 安全性について、国内臨床試験の結果を審査報告書21ページ、表4-3、22ページ表4-4に記載しております。プラセボ群とワクチン接種群で大きな差異はなく、忍容可能と考えております。
 過去に米国や欧州で承認されていた別のロタウイルスワクチンが、接種後の腸重積症発症増加により市場撤退した経緯があります。審査報告書38~40ページに記載しておりますように、本ワクチンは、60,000例規模の海外臨床試験(Rota-023試験)では腸重積症増加は認められませんでしたが、メキシコで実施された約108万人を対象とした製造販売後調査の中間報告において、1回目接種後に腸重積症の発症リスクが接種10万例あたり2.6~3.8例とやや増加することが示唆されております。機構は、本ワクチン接種による重症ロタウイルス胃腸炎の予防や、ロタウイルス胃腸炎による入院の抑制が期待できることを考慮し、忍容可能と考え、専門協議でも支持されております。審査報告書52ページに記載したとおり、製造販売後には、本剤接種者における腸重積症の発現状況を把握することを目的とし、10,000例を対象とした特定使用成績調査が実施されることになっております。また、腸重積症を示唆する症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に保護者に知らせることを添付文書の重要な基本的注意に記載しており、保護者向け情報提供資材においても接種後の注意事項とされています。
 また、製造販売後の使用成績調査としては、腸重積症に伴う典型症状及び血便を重点調査項目とし、1,500例を対象に1回目、2回目それぞれ本剤接種後の安全性情報が収集される予定であり、使用実態下で同時接種されるワクチン等についても情報収集されることになっております。さらに、定期接種ワクチンDPTと同時接種した際の免疫原性及び安全性を検討する製造販売後臨床試験が実施されることになっております。
 最後に、品質関連事項について、審査報告書14~15ページに記載しておりますように、本ワクチンには、ブタサーコウイルス1型が混入していることが2010年3月に判明しました。その後の検討により、ブタサーコウイルス1型は製造に用いるVero細胞の培養に用いたブタトリプシンから混入したと推測されております。ブタサーコウイルス1型は豚肉を食べたり、養豚場での糞粒子吸入によりヒトへの暴露が報告されているウイルスですが、ブタやヒトでの病原性は知られておらず、国内外の臨床試験や海外使用経験において、ブタサーコウイルスに起因する安全性上の問題は認められず、海外でも本ワクチンの販売が継続されているところです。以上から、機構は、ブタサーコウイルスにより安全性上問題が生じる可能性は非常に低く、本ワクチン接種のベネフィットを考慮し、承認して差し支えないと考えております。ブタサーコウイルス混入への今後の対応策を事前に濱口委員から御質問いただいておりますが、現在、製造に新たに用いるトリプシンは、病原体の不活化処理としてガンマ線照射及び低pH処理が実施され、各種ウイルス否定試験が実施されています。さらに、審査報告書53ページに記載しておりますように、申請者がトリプシンを受け入れる際にはブタサーコウイルス否定試験を実施することとしています。
 現在、製造に使用するブタトリプシンについてはブタサーコウイルス否定試験が実施されており、ブタサーコウイルスを含まないマスターセルバンクに由来する製剤の開発にも着手したと申請者から報告されています。
 以上の機構における審査の結果、本ワクチンはロタウイルス胃腸炎の予防を効能・効果として、承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とし、劇薬及び生物由来製品に該当すると判断いたしました。本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準の医薬品各条に、資料13-1にお示しした本剤の基準が追加されます。本剤の承認の可否と併せて御審議のほど、お願いいたします。
 なお、事前に佐藤委員から御質問をいただいておりますので、回答いたします。
 国内臨床試験では凍結乾燥製剤が用いられたが、市販製剤は液剤であることについて、国内で使用経験の無い液剤を承認することに問題はないか、との御質問をいただいております。これについて、対面助言では、原則的には液剤で国内臨床試験を実施する必要があると指摘しておりましたが、国内臨床試験開始時には世界的に液剤への統一が未決定だったこと等から、凍結乾燥製剤が用いられました。
 凍結乾燥製剤を用いた国内臨床試験開始後、海外臨床試験において、両製剤を接種後の免疫応答、ウイルス排出率、安全性は同様との成績が得られました。また、欧米と日本の臨床試験成績では、凍結乾燥製剤接種後のロタウイルス胃腸炎の予防効果に特段の差異は認められず、問題となる民族差があるとまでは言えないことから、海外臨床試験から剤形変更の影響を検討可能と判断しております。
 また、両製剤とも溶液状態で経口投与され、腸管での免疫誘導が目的であって血液等への直接的な吸収により薬効が期待されるものではないこと、胃酸の影響に対し、制酸剤の変更が大きな影響を及ぼさないことも確認されていることを踏まえ、剤形変更の影響を確認する国内臨床試験の実施を改めて求める必要はないと判断しました。なお、製造販売後には、定期接種ワクチンと同時接種した際の影響を確認する臨床試験において、液剤接種後の免疫応答が確認されることになっています。
 次に、庵原委員からいくつか御質問をいただいております。本ワクチンが1価生ワクチンであるにもかかわらず2回接種することについて、1回接種後から2回接種2週間後までの重症ロタウイルス胃腸炎予防効果は、海外で実施されたRota-023試験では54%と低く、有効性を十分に担保するためには2回接種が必要と考えております。
 本ワクチン接種後の血清IgG抗体の上昇について、海外臨床試験ではIgG抗体の上昇は認められましたが、本ワクチン接種時期には母体由来の移行抗体が存在するため、免疫原性の評価が難しくなることから、血清抗IgA抗体が免疫原性の評価指標として選択されております。なお、申請者が用いている抗IgA抗体陽転のカットオフ値の設定について、発症予防効果の観点で設定されたものではなく、抗体の上昇した被験者を区別するために、検出感度や定量限界を考慮して設定された技術的なカットオフ値です。
 本ワクチンが、ワクチン株と異なるG2P[4]にも有効性を示すメカニズムについての御質問ですが、G血清型を規定するVP7たんぱくやP遺伝型を規定するVP4たんぱくには交叉性の中和エピトープが存在すること、VP6などのウイルス粒子を構成する他のたんぱく質など、血清型間で良く保存されているたんぱく質が防御抗原として機能することから、ワクチン株と異なる血清型や遺伝子型のロタウイルスにも有効性を示すとされております。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。今の事務局からの説明について、佐藤先生、庵原先生、何かございますか。
○佐藤委員 申請は液剤で、臨床試験では凍結乾燥製剤ということがよく分かりました。すると、今後、同種のものが既に市販されているものは、海外の非劣性試験や同等性試験をもって、国内での使用実績が無いまま承認申請されることも許容されるのでしょうか。
○機構 変更の程度などにより、ケースバイケースになるところがありますが、今回のように品質等の面からも製剤間の同等性は説明できるということと、それに加えて特に問題となる民族などがデータをもって無いと示すことが可能な場合、そのような海外臨床試験成績を利用した検討も否定するものではないと思っております。加えて、今回の場合は、経口投与される生ワクチンということも考慮し、このような判断をしました。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○吉田部会長 庵原先生、どうぞ。
○庵原委員 説明、どうもありがとうございました。一番気になっていることは、このワクチンの遺伝子型は、G1P[8]で1価のワクチンであるのに、ほかのGタイプやPタイプまで、なぜ幅広く効くのかということです。今後ロタウイルスは、御存じのように動物とヒトとの自然界でリソーティングし、絶えず新しいタイプが出てくることが予測されています。ワクチンが普及するにつれ、それがより進むということも予測されています。そうした時、新しく出たタイプにこのワクチンがどれだけ効くのかという情報は、絶えず流し続ける必要があると思います。その辺の御指導をメーカーにお願いできればと思います。いかがでしょうか。
○機構 現状では、今回G1、G2、G3、G4、G9型がヒトで主に流行しているワクチン株で、それらに対する有効性は認められています。効能・効果としてはロタウイルス胃腸炎の予防にしておりますが、「効能・効果に関連する接種上の注意」では、臨床試験で有効性が認められた型を記載し、情報提供を行っていると考えております。今後新たな情報が得られた場合には、適宜情報提供をしていきたいと思います。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○山口委員 今回の生ワクチンについて、先程の庵原先生の御質問に関連するような質問です。免疫不全の方に様々な検討をしていただいておりますが、例えば接種児童の周りに免疫不全患者がいた時にはシェディングされます。シェディング期間との関係で、注意喚起をされるとのことですが、どのような注意喚起をされるのか教えていただけますか。
○機構 添付文書(案)の「接種上の注意」に、一般的な注意事項ですが、免疫機能に異常がある疾患を有する者、免疫抑制を来たす治療を受けている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者という形で、接種要注意者として注意喚起しております。
 ワクチン株ウイルスの排出については、審査報告書38ページに記載していますが、双子を対象として一方に本剤を接種し、他方にプラセボ接種をしたという場合、プラセボ群を接種した被験者の18.8%で糞便検体中にロタウイルス抗原が検出され、水平感染したと考えられる報告がなされております。このウイルス排出については、添付文書のその他の注意の(1)に記載しており、ウイルス排出の情報を提供しております。
 先ほど言及した双子を対象とした臨床試験成績についても、臨床成績の(6)に情報提供しています。
○山口委員 シェディングが11日間ぐらい続くということは、その辺を目処に接触を避けるという理解でよろしいですか。
○機構 11日間というのは平均値ですが、明確に何日という規定はありません。ロタウイルスの水平感染等々が考えられることから、その間の手洗い等は十分にするということを注意喚起しております。
○生物系審査第二部長 補足いたします。製造販売情報等で世界中でかなりのドーズが使われていますが、現時点で家族に免疫不全者がいる場合、特にリスクが高いという情報は上がっておりません。添付文書上の現状の記載はしておりましたが、被接種者の保護者向けの情報提供資材を作成しておりますので、その中でそのような情報を盛り込むことも併せて検討させていただきたいと思います。
○濱口委員 先ほど御説明いただいたブタサーコウイルスの混入についてですが、品質管理上、外来のウイルスは基本的に生ウイルスワクチンの場合、否定される必要があると思います。今回のように、あらかじめ入っていることが分かった上で承認するということは、かなりハードルを下げることを意味していると肝に銘じておくべきだと考えております。とは言っても、既にマスターシードのところから混入しているので、どうしようもありません。こちらをカットするにしても、原因が分かっているのであれば、新しく混入していないワクチンをいつまでに作り、作った際にはこちらにすぐに入れるように、きちんと申し合わせておくべきだと考えております。
○吉田部会長 その点は、いかがですか。
○機構 ブタサーコウイルスが混入していない製剤の開発については、既に着手されているということで、臨床試験実施の必要性等々、具体的に申請に至るスケジュールは、まだ明確に示されておりませんが、申請者に確認の上、早急に開発するように伝えていきたいと思います。
○吉田部会長 まだ、その見込みはないのですか。
○機構 いつまでに申請するのかまでは、正確に聞いておりません。現在、品質に関する検討などを始めているところだそうです。
○吉田部会長 品質に関する検討を行い、さらに、再度臨床をみなければいけないのですか。
○機構 今回、申請者がどのような変更をするのか、まだ正確には分かっていないのですが、かなり上流の変更となりますので、臨床試験の必要性については正確な情報を得てから判断したいと思います。
○吉田部会長 なるべく軽微に替えてほしいですね。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認及び生物学的基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認及び生物学的製剤基準の改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品アレロック顆粒0.5%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるオロパタジン塩酸塩は、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有する抗アレルギー薬であり、本邦においては、本薬の錠剤(アレロック錠2.5及び5)及び口腔内崩壊錠(アレロックOD錠2.5及び5)が、アレルギー性鼻炎、皮膚疾患に伴うそう痒等を効能・効果として、成人及び7歳以上の小児に対して、いずれも「1回5?を1日2回」の用法・用量で既に承認されております。
 顆粒剤である本剤は、7歳未満の小児においても適用可能な剤形として開発され、今般、2~6歳の小児に対する用法・用量として、「1回2.5?を1日2回」を取得するための承認申請がなされたものです。
 本申請の専門委員としては、資料18に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について簡単に説明させていただきます。
 審査報告書、6ページを御覧ください。2~6歳の年少小児を対象とした本剤の用法・用量は、「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス」(平成12年12月15日 医薬審第1334号)を参考に、成人及び7歳以上の年長小児と類似の血中濃度を示す用量において、年少小児においても同様の有効性が期待できるとの考え方に基づき、主に薬物動態の観点から設定されております。その結果、6ページの表3及びその下の図A、Bに示しておりますように、2~6歳の小児に対して、成人及び年長小児における承認用量である1回5?の半量の2.5mgを投与した場合に、成人及び年長小児に1回5?を投与した場合とほぼ同範囲の血中濃度が得られることが示唆されております。
 次に、8ページの下段、(3)第III相小児アレルギー性疾患患児を対象とした長期投与試験(G0804試験)の項を御覧ください。主な臨床試験として、7~12歳のアレルギー性鼻炎患児48例及びアトピー性皮膚炎患児55例を対象に、2~6歳に対しては1回あたり本薬2.5?を1日2回、7~12歳に対しては1回あたり5?を1日2回、12週間投与する非盲検非対照試験が実施されております。有効性の結果については、アトピー性皮膚炎に関しては、9ページの上から9~19行目、アレルギー性鼻炎に関しては、20行目以降に記載しておりますように、年少小児と年長小児で比較した場合、少数例での比較ではありますが、年少小児において有効性が劣る傾向はみられませんでした。また、2~6歳における成績を、前回の申請時に7歳以上の小児を対象として実施された二重盲検試験の成績と比較した場合にも、大きく異なる傾向は認められなかったことなども踏まえ、2~6歳の患児においては、1回2.5?の1日2回投与により、本剤の有効性が期待できるものと機構は判断いたしました。
 次に、12ページ最終行以降の(3)安全性についての項を御覧ください。13ページの表5に小児における臨床試験成績を統合して、2~6歳及び7~16歳の年齢層別に有害事象の発現状況を比較した結果を示しておりますが、年齢層により安全性プロファイルが異なる傾向はみられておりません。また、表5の下に記載しておりますように、2~6歳の各年齢別での有害事象の発現率にも大きな相違はなく、低年齢で特徴的な事象等もみられておりません。
 これらの結果より、機構は、年少小児における本剤の安全性について現時点では特段の問題はないと判断しておりますが、臨床試験で検討された症例数は限られているため、製造販売後調査において、使用実態下における小児での安全性を引き続き検討する必要があると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は、4年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほど、お願いいたします。
 なお、部会に先立ち、清水委員より、「臨床試験時、顆粒剤をそのまま服用することが困難な患児についてはどのような処置をしたのか。」との御質問をいただいております。臨床試験では、顆粒剤をそのまま服用することが困難な患児については、最初に水を口に含ませておき、スプーンにて本剤を口に入れて投与するよう各試験実施施設に対し指導されておりました。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。口に水を含ませておくという飲ませ方は、プロトコールで決まっていたのですか。つまり、そのような飲ませ方の指示は、あらかじめ決められていたということでしょうか。
○機構 プロトコール上、特に飲ませづらい時の方法は決まっていなかったようですが、試験実施施設から問い合わせがあった場合には、そのような形で企業が対応していたということです。
○吉田部会長 そういうことだそうです。
○清水委員 御承知のように、本薬は原薬の苦味が結構強いと思います。製剤的には工夫されたものだろうと思いますが、申請書には製剤的なことの記載が特段ありませんでした。恐らく小さな子は、口の中に入れると噛んでしまうことがあると思います。噛んでしまうと、苦味が出てくる可能性もあります。そのような情報があれば、有用な情報かと思ったので伺いました。
○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本義題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題4に移ります。黒木委員、田村委員におかれましては議題4の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
── 黒木委員、田村委員退室 ──
○吉田部会長 議題4について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ゾリンザカプセル100mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 ヒストン脱アセチル化酵素、以下、HDACと省略させていただきますが、HDACは、ヒストンや転写因子等のタンパク質のリジン残基からアセチル基を取り除く反応を触媒する酵素です。HDACによるヒストンの脱アセチル化は、クロマチン構造を凝集させ、遺伝子の転写を抑制すると考えられています。
 本剤の有効成分であるボリノスタットは、HDAC活性の阻害を介してヒストン等のアセチル化を増加させ、その結果、クロマチン構造を弛緩させること等で転写を活性化し、がん抑制遺伝子等の遺伝子発現を調節することにより、分化誘導、細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制する、と推測されています。
 皮膚T細胞性リンパ腫は、国内での有病者数が約1,000人の希少疾病であり、当該希少疾病に対しては、疾患に伴う皮膚病変等の消失又は改善が治療目的の一つとされており、ステロイド外用剤、紫外線照射療法、放射線治療等が行われております。しかしながら、当該希少疾病に対する標準的な全身化学療法は確立しておりません。
 今般、本剤は、「皮膚T細胞性リンパ腫」に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。
 なお、本剤は、平成22年5月に、開催されました当医薬品第二部会で希少疾病用医薬品の指定の可否が審議され、指定されております。また、本剤は、平成22年4月に開催されました第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を踏まえて、平成22年5月に厚生労働大臣から申請者に対して、本剤の皮膚T細胞性リンパ腫に対する開発要請がなされています。
 本剤は、審査報告書の4ページに記載しているように、平成23年2月時点において、海外では20の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料18にございますとおり、9名の委員です。
 以下、本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。
 今回の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された二つの第II相試験と、本邦で実施された第I相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書45ページ上から17行目以降、及び73ページ上から13行目以降に示しますように、前治療として全身療法が施行されたStageIIB以上の皮膚T細胞性リンバ腫患者において、皮膚病変に奏効が得られたことから、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、忍容可能と判断いたしました。
 ただし、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書47ページ下から3行目以降、及び73ページ下から16行目以降に示しますように、血栓塞栓症、血小板減少症/血小板数減少、貧血、糖代謝異常、消化管障害及び腎機能障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しておりますが、本剤の日本人における検討症例は限られており、審査報告書59ページ下から12行目以降、及び77ページ本文の下から19行目以降に示しますように、製造販売後には、本剤を使用するすべての症例を対象とした全例調査により安全性情報を迅速に収集し、情報提供等を行う必要があると考え、これを承認条件として設定することが適切であると判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構は、「皮膚T細胞性リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適当であり、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。御審議のほど、お願いいたします。
 なお、事前に清水委員から、「添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の(1)、『臨床成績の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと』について、記載されている臨床成績の項の内容で、熟知したと言えるのか。」との御質問をいただきましたので、説明をさせていただきます。
 審査報告書の52ページ下から16行目、及び75ページ上から7行目に記載しましたように、添付文書の「臨床成績」の項で少なくとも提供する必要があると機構が判断した情報は、国内外の臨床試験において対象とされた、すなわち、本剤を推奨することができる皮膚T細胞性リンパ腫患者の病期、前治療歴及び病型の内容です。病期については、StageIIB以上の患者が対象とされたこと、前治療歴については、全身療法の前治療歴を有する患者が対象とされたこと、病型については、結果的に、CTCLの菌状息肉症及びセザリー症候群のみが組入れられたことを記載しております。更に追記すべき内容等がございましたら、御意見いただけると幸いです。よろしくお願い申し上げます。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。まず清水先生、今の説明でいかがですか。
○清水委員 ほかの検討事項の中でも、同じような質問を1件させていただいことがあるのですが、昨今の添付文書の書きぶりの中で、臨床成績のデータをよく読んで参考にして使うようにという記載が以前に比べて増えたと思います。そのこと自体は意味のあることだと思うのですが、臨床成績の中でのポイントは、やはりきちんと明記することが必要な場合もあると感じたので、そのような質問をさせていただきました。要は、きちんと添付文書の用法・用量、効能・効果の注意事項の中に、この記載があることの意味がきちんと伝わるということです。そのことが担保できるような書き方にしていただきたいという意味で質問させていただきました。
○吉田部会長 対応してもらえるということですか。
○機構 御指摘、どうもありがとうございました。記載方法については、伝えたい情報が正確に伝えられているかどうかについて、再度検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 具体的なことが、分かりましたらお知らせください。ほかにございますか。こちらは、オーファンとは関係なく承認という意味ですね。条件の付いていない一般的な承認でいくということですね。
○機構 機構よりお答えします。製造販売後に全例調査を実施することを条件とさせていただいておりますが、臨床試験等の実施は求めていません。
○吉田部会長 課していませんし、これで承認されたら、目標の100例に向かって症例を集積し、市販後調査の結果を開示するということですね。
○機構 製造販売後調査の結果につきましては、実施中であっても適切に現場に情報提供できるように適宜、調査結果を取りまとめていくよう、申請者に指示しています。
○吉田部会長 とにかく病気の方の数がそれほど多くないので、その辺の安全性情報や有効性情報の取り方が、かなり難しいと思いますが、よろしくお願いします。
○新井委員 HDACに対する特異性は、ある程度調べておられると思うのですが、ほかのものに対する阻害効果や作用というのは、すごくシンプルな構造式です。これで、どうしてそれだけ特異性が出るのか、やや不思議です。副作用がいくつかある中、本当にHDAC阻害が原因なのかどうかは、どの辺まで調べられているのでしょうか。
○機構 御質問ありがとうございます。本剤の作用機序に関しては、まだはっきり分かっていないところが多く、添付文書の作用機序の欄には、本剤の詳細な作用機序は分かっていないという記載をさせていただいております。そのような状況ではありますが、現時点では、本剤がHDAC阻害作用を有するということは、提出された申請資料からも明らかになっています。しかしながら、そのHDAC阻害作用が抗腫瘍効果を持つかどうかについては、提出された申請資料からは明確には示されていません。現状では、本剤の有するHDAC阻害作用が抗腫瘍効果を持つかどうかについては、今後も検討を継続するよう、申請者に指示しております。
○半田委員 確認ですが、元々の申請は、再発あるいは難治性の皮膚T細胞性のリンパ腫です。今回こちらが新規の薬剤ということもあり、病気が非常に希少であるということから、適応を拡大されたということですが、これは一般的な手法なのでしょうか。エビデンスからすると、レベルとしてはもちろん低く、希少疾病になります。ただ、元々セカンドラインの治療ということで、対象を拡大するということですが、新規の薬剤で今までこれ以外に標準的になっている疾患が無いということもあり、これだけを拡大して本当に良いのでしょうかということが1点です。
 もう1点は、皮膚T細胞性リンパ腫と言いまして、セザリーや菌状息肉症等もあるのですが、かなり広範囲にわたり特に多いものは、Adult T-cellリンパ腫、あるいは、白血病の皮膚に有意な疾患が非常に多いのですが、この辺はとても曖昧なところです。本当に、このような形で承認してよろしいのでしょうか。確認なのですが、もう一度お聞きしたいと思います。
○機構 審査報告書にも記載させていただいたとおり本邦におきましては、皮フT細胞性リンパ腫を効能・効果として承認されている薬剤が無いという状況も考慮し、御指摘のとおり、臨床試験では全身療法後に増悪した患者を対象として試験は実施されているのですが、その情報を正確に情報提供した上で、効能・効果としては皮フT細胞性リンパ腫と設定することが適切であると判断しております。また、皮フT細胞性リンパ腫の病型についてですが、審査報告書の54ページに記載させていただいておりますが、Compassionate use programにおいて、表にあるような病型の患者さんに投与されたデータが得られていることも踏まえ、効能・効果を皮フT細胞性リンパ腫と設定することが適切であると判断しております。
○吉田部会長 よろしいですか。審査報告書にも記載がありますが、未承認薬問題等への要望も、このような動きを少しサポートしたということでもあるようです。適応薬が無い疾患群ということで、かなり急いで取りまとめて、この疾患に対してだけ申請を出したいということのようです。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。黒木委員と田村委員は、入室をお願いします。
             ── 黒木委員、田村委員入室 ──        
○吉田部会長 それでは、議題5、議題13(資料13-2)に移ります。議題5、議題13(資料13-2)について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ガーダシル水性懸濁筋注及び同水性懸濁筋注シリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、審議事項議題13、資料13-2「生物学的製剤基準の一部改正について」機構より説明いたします。
 本剤は、酵母細胞内で発現プラスミドにより、ヒトパピローマウイルス6、11、16、18型それぞれの主要カプシドL1たんぱく質を産生し、それぞれを再構築した四つのHPV型ウイルス様粒子を有効成分とするワクチンです。
 ヒトパピローマウイルス、以下HPVの感染は、子宮頸癌や尖圭コンジローマの主な原因とされ、HPV16型と18型は子宮頸癌、また、HPV6型と11型は尖圭コンジローマから検出される主要なヒトパピローマウイルスであることが報告されています。
 本剤は2006年に米国で承認され、2010年11月時点で、欧州を含む130か国以上で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料18にお示しした8名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。
 審査報告書33ページ、表4-16に記載したとおり、海外臨床試験の013試験では、HPV6、11、16、18型に関連する子宮頸部病変として、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)グレード1、2、3、子宮頸部上皮内腺癌(AIS)及び子宮頸癌を併せた複合指標に対する予防効果が認められております。また、審査報告書35ページ、表4-18に示しますように、海外で実施された015試験において、HPV16及び18型に関連する子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)グレード2以上の子宮頸部病変に対する予防効果が認められております。
 次に、性器周辺部の病変については、審査報告書42~43ページに記載しております。外陰上皮内腫瘍(VIN)と膣上皮内腫瘍(VaIN)の発症数は少ないですが、審査報告書42ページの表4-21のとおり、主要な海外臨床試験である013及び015試験において外陰上皮内腫瘍(VIN)グレード2/3、膣上皮内腫瘍(VaIN)グレード2/3はプラセボ群のみで発症が認められており、審査報告書46ページ、表4-25の4年間のフォローアップでも、プラセボ群のみで発症が認められています。また、007、013及び015試験を併合解析した結果でも、予防効果が認められています。以上より、外陰上皮内腫瘍(VIN)と膣上皮内腫瘍(VaIN)に対する有効性は認められると判断しております。HPV6型と11型に関連する尖圭コンジローマについても、海外臨床試験で予防効果が認められております。
 国内臨床試験においては、HPV6、11、16、18型ヒトパピローマウイルスの持続感染の予防効果が検討され、審査報告書44ページ、表4-23に記載しましたように、海外臨床試験と同程度であったことから、本邦でも発症予防効果は期待できると考えております。
 安全性について、国内臨床試験の結果を審査報告書26ページ、表4-6に載せております。注射部位反応は、アジュバントのみを接種したプラセボ群よりもワクチン接種群で若干多いですが、局所の重篤な副反応は認められておらず、注射部位以外の有害事象はプラセボ群と大きな差異はなく、忍容可能と考えております。ただし、49~50ページに記載のとおり、本剤接種後の失神が海外で報告されていることから、接種後は被接種者を30分間座った状態で、経過観察することを添付文書に記載すると共に、被接種者及び医療関係者に注意喚起することとしております。
 製造販売後の検討について、審査報告書67~68ページに記載したとおり、使用成績調査としては、9歳以上の1,000例を対象に本剤3回接種後、それぞれの安全性情報が収集される予定になっております。また、16~26歳の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)グレード2以上の子宮頸部病変の発症を4年間にわたって検討する製造販売後臨床試験が1,000例を対象に実施されることになっております。
 なお、本剤の臨床試験実施に関して、審査報告書36ページ(下から5行目)から37ページに記載しておりますように、臨床試験におけるGCP不適合症例の発生やラベルの取り違え等が認められています。これらに関して、本申請での評価に重大な影響を与えることはないと判断したこと、また、先ほど述べた製造販売後臨床試験において子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)グレード2以上の子宮頸部病変の発症を検討することについても、専門協議で支持を得ているところです。また、審査報告書65~66ページに記載したように、同様の事象が再発しないよう申請者の臨床試験実施体制の整備を指示し、改善の方向性が示されております。
 以上の機構における審査の結果、本剤はヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型の感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変、外陰上皮内腫瘍(VIN)、膣上皮内腫瘍(VaIN)、尖圭コンジローマの予防を効能・効果として、承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とし、劇薬に該当すると判断いたしました。本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準の医薬品各条に、資料13-2にお示しした本剤の基準が追加されます。本剤の承認の可否と併せて御議論いただければと思います。御審議のほど、お願いいたします。
 なお、委員の先生方から事前にいただいた御質問に回答いたします。
 まず、清水委員から、製造販売後臨床試験の位置付けについて御質問いただきましたが、国内外の臨床試験成績から本剤の発症予防効果及び安全性が確認されており、製造販売後臨床試験を承認条件とまでする必要はないと判断いたしました。
 また、庵原委員からもいくつか御質問をいただいております。
 2009年10月に承認された類薬のサーバリックスと抗体価の測定法は同じか、また互換性について御質問いただきましたが、臨床試験における抗体価の測定方法は異なり、換算方法は確認されておりません。
 長期の抗体価の持続及び感染予防抗体価についての御質問ですが、本剤の発症予防効果と接種後の血清抗体価との関係については、現時点では確立しておらず、本剤の有効性は、組織病変又は子宮頸癌の予防効果により評価いたしました。
 抗体価の持続については、海外臨床試験で接種60か月後まで血清抗体価が測定されており、接種24か月後にはピークの約6~13分の1に低下しておりますが、それ以降は大きな低下は認められておりません。なお、長期の発症予防効果は4年まで確認されております。
 また、27ページの表4-7及び28ページの表4-8の結果からは、本剤の接種1年後の抗体価は25%まで低下しており、ほかのタンパク抗原ワクチンの抗体価の半減期が2~3年であるのに比べ、抗体価の半減期が短い理由について御質問いただいております。抗体価は、抗原たん白質の性質に加え、アジュバントや抗原量にも影響されますので、本剤では接種後1年で抗体価が25%まで低下した理由は不明ですが、先ほど御説明したように、24か月以降は顕著な抗体価の低下は認められておりません。
 最後に、本剤の接種間隔を0、2、6か月ではなくサーバリックス同様0、1、6か月で接種した場合の免疫応答については、免疫応答に低下は認められませんが、有効性が検討された臨床試験では、規定された0、2、6か月の接種時期の前後3週以内に8割以上の接種が行われていたため、用法・用量には0、2、6か月を接種スケジュールとして設定しております。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。庵原先生、回答はこれでよろしいでしょうか。
○庵原委員 ありがとうございました。このガーダシルの抗体の減衰についてですが、本邦が開発した他のワクチンであれば、通常半減期は2年ぐらいで減っていきます。ですが、これはものすごく半減期が速いですね。先ほどの御説明であれば、アジュバントやその辺が関係しているということですが、これだけ速いと追加接種する必要があるのかが問題になってくると思います。添付文書には、初回接種のデータしか出ていないのですが、その辺りをどう考えたら良いのでしょうか。その辺の今後の方針等をお聞きしたいと思います。 
○機構 追加接種につきましては、海外臨床試験成績も含めて実績が無いということで、データを記載することは現時点では難しい状況です。初回接種後の有効性の持続期間に関しては、先ほど申し上げたとおり、現時点で4年間は確認されています。海外におきましては、さらに10年程度、今後有効性の持続について追跡していくことも計画されていますので、その結果も踏まえながら、追加接種の必要性を検討していくということです。必要があれば、どのように追加接種していくかを検討していくことになると思います。
○吉田部会長 日本だけ独自の対応をするということは、今の時代では無理だと思うのですが、市販後に得られたデータをきちんと解析し、追加接種の可能性についても引き続き検討していただきたいということを部会の意見として製造元に伝えていただければと思います。清水先生は、何かございますか。
○清水委員 審査報告書の36~37ページ、あるいは65ページに記載されている内容というのは、すべての医薬品で挙がってくるわけではありません。そういった事前の資料の不備は、きちんと最終的に保管しておくべきだと思います。そのような意味で、市販後臨床を今回行ってもらうので、制度として承認条件にするのが難しいのであれば、無理に主張するつもりは毛頭ございません。資料が事前に不十分であったものは、後追いでも良いので最終的にきちんとしたものにするといった今後の姿勢が大切であると感じたので、そのように質問をさせていただきました。
○吉田部会長 機構の方から何かありますか。
○生物系審査第二部長 現時点で本剤の有効性、安全性を否定するものではないという状況で、先ほどの説明にもございましたように、日本でのHPVのカバー率が違うなど諸般の条件があったことと、試験の状態が良くなかったことで、数値としての確認を求めるという位置付けでしたので、今回は承認条件にする必要はないと判断しております。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかに、御意見はございますか。安全性に関して、例えば失神発作やギラン・バレー症候群については因果関係が分かっていなくても報告するという立場で挙げられたのだと思いますが、本薬の投与と免疫形成とか何か因果関係でも伺わせるようなことがあるのでしょうか。
○機構 失神に関しては、迷走神経反射が原因とも言われておりまして、比較的若い女性に接種するもので、失神が増えているかも知れないのですが、本剤は接種直後に出るものなので、その因果関係は否定できないところではありますが、ほかのワクチンでも本剤ほどではなくても、失神は認められるものですから、特に本剤ではやや多いということで、しっかり情報提供をしていこうと考えているところです。その他のギラン・バレー症候群等の副反応につきましても、本剤接種後数週間程度で発症している者もございますので、因果関係を完全に否定することは難しいものがございます。しかし、本剤接種後にギラン・バレー症候群等が特に増えていて、ほかのワクチンよりも多いということも現時点では報告されておりませんので、現時点の対応としては、添付文書においてそういったものが報告されているということを記載しております。
○吉田部会長 特段特徴的だとか、そのような因果関係は特に強く示唆するものではないという情報ですね。
○機構 はい。失神につきましては、接種後30分程度は座って様子を見るということを添付文書を始め、情報提供していこうと考えております。
○吉田部会長 分かりました。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認及び生物学的製剤基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
 御意義が無いようですので、承認及び生物学的製剤基準の改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題6に移ります。議題6について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品オンブレス吸入用カプセル150μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤は、新規の長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるインダカテロールマレイン酸塩を有効成分とする吸入用気管支拡張剤であり、今般、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に係る効能・効果で申請がなされたものです。
 海外において、本剤は、2009年11月にEUで承認されて以降、2011年1月現在、COPDに係る適応で50か国以上で承認されています。なお、米国では2008年12月に承認申請され、現在審査中です。
 本邦においては、長時間作用性の吸入用気管支拡張剤として、本剤と同様のLABAであるサルメテロール、長時間作用性抗コリン薬であるチオトロピウム、また、サルメテロールと吸入ステロイドとの配合剤が、COPDに係る効能・効果で既に承認されています。
 本申請の専門委員としては、資料18に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、簡単に説明いたします。
 審査報告書、37ページの(2)国際共同第III相試験、B1302試験の項を御覧ください。本申請における検証試験として、日本人及び外国人COPD患者347名を対象に、本剤150μg、300μg又はプラセボを1日1回吸入投与した際の有効性及び安全性を比較する無作為化二重盲験並行群間比較試験が実施されております。
 まず、試験全体の成績について説明いたします。37ページ中段の表5に示していますように、主要評価項目である投与12週後のトラフFEV1のプラセボ群との群間差は、本剤150μg群では0.17L、本剤300μg群では0.20Lであり、いずれの投与群においてもプラセボ群と比較して有意な差が認められています。
 続きまして、本試験に組み入れられた日本人患者152名の成績について説明いたします。38ページ下段の表7に示していますように、投与12週後のトラフFEV1のブラセボ群との群間差は、本剤150μg群では0.20L、本剤300μg群では0.23Lであり、先ほどの試験全体の成績と類似した結果が認められております。これらの成績より、機構は、日本人COPD患者における本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
 次に、審査報告書の46ページ(2)用法・用量についての項を御覧ください。47ページの表15に示しておりますB1302試験のトラフFEV1等に関するCOPD重症度別の部分集団解析結果に基づき、特にCOPD重症度が「重症以上」の集団において300μgの改善効果は150μgよりも大きかったとして、申請時における本剤の用法・用量は、通常用量を1日1回150μgとした上で、「なお、症状に応じて1日1回300μgに増量することができる。」とされていました。しかしながら、機構は、主要評価項目であるトラフFEV1について、B1302試験においては300μg群の改善効果が150μg群を上回っており、特に重症以上の部分集団において用量間差が大きくなる傾向を認めるものの、両用量間の差異は大きなものではなく、その臨床的意義は明らかとは言えないと考えております。さらに、48ページの表16に示していますように、海外併合データにおけるトラフFEV1のCOPD重症度別の部分集団解析において、解析間で一貫性が認められていないこと、また、トラフFEV1以外の指標についてもB1302試験及び海外併合データの部分集団解析結果に一貫した傾向が認められていないことを踏まえると、現時点で得られているデータからは、300μg投与により150μgを上回るベネフィットが示されたと結論付けることは困難と考え、本邦での承認用量は、150μgの1用量のみとすることが適切であると判断いたしました。
 次に、52ページ下段、(3)安全性についての項を御覧ください。海外併合データにおける主な有害事象の発現状況を53ページの表19にまとめておりますが、本剤の有害事象発現率に用量依存性はみられず、プラセボ及び類薬との比較においても大きな違いは認められていません。
 次に、本剤の薬理作用を踏まえ、特にβ刺激作用に関連する有害事象の発現状況を中心に、類薬との比較を含め検討を行いました。その結果、53ページの下から2行目、1.の項に示しておりますように、心血管系・脳血管系有害事象については、一部の試験において、重篤な事象の発現率がプラセボ群等の対照群に比べて高い傾向が認められているものの、大規模併合データに基づき検討した場合には、55ページの表20のとおり、本剤の発現事象数は類薬及びプラセボと大きな違いはなく、用量依存性も認められていないことから、本剤投与により重篤な心血管系・脳血管系有害事象の発現リスクが高まる可能性は低いと判断しております。しかしながら、薬理作用を踏まえると、LABA投与による心血管系・脳血管系有害事象の潜在的リスクは否定できないと考えられることから、今後も製造販売後調査において慎重に情報収集していく必要があると考えております。
 また、本剤の主な適用対象は高齢者と想定され、日本人高齢者には比較的低体重の患者も多いと想定されることから、55ページの中段、2.の項に示しておりますように、年齢及び体重別での全有害事象及びβ刺激作用に関連する有害事象の発現状況についても検討いたしました。海外併合データにおける年齢別の有害事象発現率については、56ページ上段の表21に、体重別の有害事象発現率については、中段の表22にそれぞれ示しておりますとおり、本剤の安全性に年齢及び体重による明らかな影響は認められませんでした。しかしながら、臨床試験で検討された、特に75歳以上の高齢者、50kg未満等の低体重患者の症例数は限られていることから、これらの患者層における安全性については、製造販売後調査の中で慎重に確認する必要があると考えております。
 次に、56ページ下段、2)咳嗽についての項を御覧ください。57ページの4~5行目に示していますように、本剤吸入直後の咳嗽の発現は、類薬に比べて高い傾向が認められております。同じページの21~25行目に記載しておりますように、申請者の検討から、本剤吸入後の咳嗽は忍容性や有効性には影響を及ぼさないことが示唆されており、現時点で大きな問題とはならないと考えておりますが、この点についても、製造販売後調査の中で引き続き情報収集する必要があると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は8年、また、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。
 薬事分科会では報告を予定しています。
 御審議のほど、お願いいたします。
 なお、部会に先立ち、清水委員より、2点御質問をいただいております。1点目は、「添付文書、用法・用量に関連する使用上の注意(2)、一定時間帯の幅はどの程度が許容されるのか。吸入できなかった場合、その日の吸入は行わない事の設定根拠にも関連するが、いかがか。」との御質問でございます。申請者は、1回の吸入で24時間気管支拡張効果が持続するため、毎日一定の時間に投与されることが望ましいが、実際の生活においては全く同じ時間に投与することは難しいことから、時間帯と表現していると説明しております。また、時間帯の幅を具体的に示せる科学的根拠は持ち合わせていないが、日本人が含まれる臨床試験においては、本剤は1日1回、朝8時~11時の間に吸入することとされており、時間帯の幅は3時間程度であれば経験的に許容できると考える、との説明がありました。
 清水委員からの御質問の2点目は、「適用上の注意、患者への正しい使用法の説明については医師とともに薬剤師からも適切な情報提供を行う必要があると考えるがどうか。」との御質問でございますが、御指摘のとおり、本剤の正しい吸入方法については、医師以外にも薬剤師からの十分な説明が必要であると考えられることから、申請者は、病院及び薬局に対し医薬情報担当者より適切な情報提供をする旨説明しております。また、申請者は、添付文書の適用上の注意における記載につきましても改訂を検討しており、類薬の状況も踏まえ適切に改訂されるよう取り計らいたいと考えております。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。まず、事前質問をされました清水先生、いかがですか。
○清水委員 御説明ありがとうございました。今の回答で十分です。
○吉田部会長 例えば今の回答で、「一定の吸入時間帯とは」ということをどこかに書いておく必要はないのですか。
○機構 3時間程度であれば許容できるというところを医療現場に周知させる対応として、資材等を用いた方法も含めて検討させていただきたいと思っております。
○吉田部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.4mLの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、並びに医薬品ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるアダリムマブ(遺伝子組換え)は、ヒトの腫瘍壊死因子α(TNFα)に対し高い親和性と選択性を有するIgG1サブクラスのヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。
 本邦において、本薬の40mg製剤は、関節リウマチ(2008年4月承認)、乾癬(2010年1月承認)、クローン病及び強直性脊椎炎(2010年10月承認)に係る効能・効果で承認されていますが、今般の申請は、「多関節に活動性を有する若年性突発性関節炎」(以下JIAと申します。)に係る効能・効果及び用法・用量を追加すること、並びに、JIAの用法・用量のため、新たに本薬の20mg製剤を追加するというものです。
 海外においては、2010年6月現在、多関節に活動性を有するJIAに係る適応で米国等、50か国で承認されています。
 本申請の専門委員としては、資料18に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について簡単に説明させていただきます。
 審査報告書、12ページ中段、「(2)海外第III相試験」の項を御覧ください。多関節に活動性を有するJIA患者171例を対象に、本剤の有効性、安全性及び薬物動態を評価するプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。12ページ中ほどの「本試験は、」の段落でございますが、本試験は四つの期間に分けられています。まず、すべての症例に対し、1.非盲検導入期において本剤を体表面積当たりの用量で投与したのち、薬効の指標の一つであるACR Pedi 30を達成した症例が、2.の二重盲検期(DB期)に組み込まれ、プラセボ群と本剤群における期間中の疾患の再燃率の違いにより、本剤の有効性を評価することとされました。また、本試験での用量は、成人関節リウマチ患者と同様の血清中本薬濃度が得られるよう、当初、体表面積当たりの2週間に1回ごとの投与量が設定され、試験期間の1.から二重盲検期後の継続期である3.まで実施されました。その後の継続期の4.では、薬物動態データを用いた解析に基づき、体重30kg未満の場合には20mg、体重30kg以上の場合には40mgを2週間に1回の投与に変更されました。
 試験成績でございますが、13ページの表4に示しておりますように、主要評価項目である2.の二重盲検期(DB期)におけるメトトレキサート(審査報告書ではMTXと表記しています。)非併用例での疾患再燃率は、プラセボ群71.4%に対し、本剤群では43.3%であり、本剤群では再燃率の有意な低下が認められています。また、副次的評価項目の一つであるACR Pedi 30反応率の1.の非盲検導入期における推移は表5のとおりとなっており、MTX併用例においても、MTX非併用例においても、高い改善率が認められています。なお、ACR Pedi 30反応率は、8ページの脚注に示しておりますように、患者の疾患活動性評価等の6項目のうち、3項目以上で30%以上の改善が認められ、かつ30%以上の悪化が1項目以内を達成した症例の割合を表しています。
 日本人患者における成績については、11ページの上段、「(1)国内第III相試験」の項を御覧ください。本邦では患者数が少ないため、MTX等の既存治療に治療抵抗性又は忍容性不良を示し、多関節に活動性を有するJIA患者25例を対象とした非盲検非対照試験が実施され、海外試験の固定用量期の用法・用量と同様に、体重に応じて、本剤20mg又は40mgを2週間に1回皮下投与した際の有効性及び安全性が検討されています。その結果、主要評価項目である投与16週時のACR Pedi 30反応率はMTX併用例において90.0%(18/20例)、MTX非併用例において100%(5/5例)との成績が得られています。以上より、海外試験成績も勘案した上で、機構は多関節に活動性を有するJIAに対する本剤の有効性は示されたものと判断しております。
 次に、24ページの下段からの「(3)安全性について」の項を御説明します。25ページ中段の表21により、JIA又は関節リウマチを対象とした本剤の国内外の臨床試験で認められた重要な有害事象を比較して示しています。また、26ページの表23により、本剤の海外市販後における適応症別の重要な有害事象の発現状況を示しています。26ページ中段の段落からでございますが、機構は、これらのデータから、現時点では、JIA患児における本剤の安全性プロファイルは、他の既承認疾患と大きく異なる傾向は示唆されていないと考えております。しかしながら、国内外におけるJIA患児に対する本剤の使用経験は非常に限られていること、また、臓器や免疫機能が未発達な小児においては、感染症等の有害事象の発現傾向等が異なる可能性も否定できないと考えられることから、製造販売後には投与症例全例を対象とする使用成績調査を実施し、JIA患児における安全性プロファイルをさらに把握できるよう、情報を集積する必要があると考えております。
 以上の審査を踏まえ、承認条件として、31ページのとおり、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」を付した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。少しお戻りいただき、29ページの末尾でございますが、本申請に係る再審査期間は、本薬40mg製剤の関節リウマチに係る再審査期間が平成28年4月までであることから、40mg製剤及び20mg製剤いずれも、この残余期間とすることが適当と判断しております。また、新たに追加される20mg製剤は、40mg製剤と同様、劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。
 薬事分科会には報告を予定しております。以上です。
 御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○庵原委員 2点確認したいことがあります。1点目は、メトトレキサートと併用すると血中濃度が上がるのですが、そのメカニズムは分かっているのでしょうか。反対に、メトトレキサートの方では、血中濃度は上がらないのでしょうか。
 2点目は、27ページの「(5)本剤の使用医師について」の部分になります。一番最後の行に、「教育研修会を日本小児リウマチ学会の協力を得て開催する予定であることを説明した。」という言葉が出ています。日本小児リウマチ学会は、県別の会員数にものすごくばらつきがある学会です。すると、日本中のすべての都道府県に、この薬が行き渡ることが考えにくいのですが、その点に関してメーカー側はどう考えているのでしょうか。可能ならば、免疫と感染症すべてを扱っている日本小児感染症学会を加えていただくのはいかがでしょうか。
○機構 御質問の1点目についてお答えします。本剤とメトトレキサートと併用した場合、本剤の濃度が上がる場合があることが分かっておりますが、メカニズムに関しては不明となっております。一方、本剤とメトトレキサートを併用した場合、メトトレキサートの濃度が上がるというデータは得られておりません。
○庵原委員 現実的に血中濃度は上がっています。メトトレキサートを併用した時の血中濃度が上がるメカニズムについては、分からないということですね。
○機構 2点目の学会の県別の会員数に偏りがあるとの御指摘ですが、学会に不参加並びに医師要件を満たされていない医師向けに、2月もしくは3月にwebセミナーの実施を検討しているという申請者からの回答がありますので、学会に参加されていない医師にもきちんと対応できるような状況にする予定であると聞いております。
○庵原委員 小児感染症学会は、なぜ考慮に入れていないのかという質問なのですが。
○機構 部会から御意見があったことを申請者に伝えて、小児感染症学会との連携について検討を依頼したいと思います。
○庵原委員 小児感染症学会には、免疫を行っている方が沢山会員として入っています。ですから、小児リウマチ学会だけに特化するのは何か問題があるのではないかというのが1点です。
 もう1点は、研修を行う場合に、日本では各地で行う予定を立てているのでしょうか。若しくは、ある時に決まった形で研修される予定なのでしょうか。一か所のみでやられると、全国津々浦々まで広がらないという問題があります。研修予定については、できれば各地域に分散した形の研修を検討していただければと思います。
○機構 御意見がありましたことは、申請者に伝えます。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかに、御意見はございますか。
○菊池委員 今のことに関連して、希少の病気も含め、PMDAや厚生労働省はe-learningを積極的に行うなどの方針は今後あるのでしょうか。
○審査管理課長 現在、リスクマネジメントのプログラムのようなものを一般的にどうするのか、承認条件や市販後調査も含めて、もう少し体系的にできないかということで取りまとめておりまして、今パブリック・コメントを集めております。その中の意見も踏まえ、e-learningも含め、リスクマネジメントのリスク最小化の考え方の体系化の中で位置付けていきたいと考えております。
○吉田部会長 ほかに、よろしいですか。海外の第III相試験のデザインは、かなり複雑ですが、佐藤先生、何かコメントはございますか。
○佐藤委員 特にありません。
○吉田部会長 結局、かなり小さい数の比較になってしまっているようですが、MTX非併用例での再燃率がこれだけ違うという結果ですが、MTX併用群だったら差が無かったのでしょうか。分かりますか。
○機構 海外第III相試験のデータですが、MTXを併用した場合の二重盲検期におけるプラセボ群の再燃率は64.9%、本剤群では36.3%で、Pの値は0.015です。
○吉田部会長 どちらも効いているということですね。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、田村委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題8に移ります。議題8について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品キュビシン静注用350mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 ダプトマイシン(以下、本薬)は、米国Eli Lilly and Co.(以下、Lilly社)によって発見され、米国Cubist Pharmaceuticals,Inc.(以下、Cubist社)により開発された新規環状リポペプチド系抗生物質です。本薬は、ほかの抗菌薬と異なる作用機序を有し、細胞膜に結合して膜電位の脱分極を引き起こし、蛋白質、DNA及びRNAの合成を速やかに阻害することにより細胞融解を引き起こすことなく細菌を死滅させるとされており、グラム陽性菌に対して抗菌活性を示します。
 キュビシン静注用350mg(以下、本剤)は、当初、19□年代~19□年代にLilly社により海外及び本邦で開発が行われていました。しかしながら、海外第I相試験で本剤4mg/kg1日2回投与により筋骨格系の有害事象がみられたことから安全性を懸念し、本剤の開発は一旦中止されました。その後、19□年にCubist社がLilly社から本剤を導入し、用法を1日1回投与に変更した結果、非臨床及び臨床試験で有効性及び安全性が確認できたことから、本剤の開発が継続され、米国において2003年9月に「グラム陽性菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症」を効能・効果として承認を取得しております。
 一方、本邦では、薬剤耐性菌に対する懸念から、グラム陽性菌全般ではなく、MRSAに限定した臨床開発がなされ、今般の申請に至っております。
 なお、2011年2月時点において、米国、EUを含む71か国で承認を取得しております。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料18にありますとおり、11名の委員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書82~85ページに記載していますように、実施された国内第III相試験の成績に基づき、本剤の皮膚・軟部組織感染症に対する有効性は期待できると判断しました。また、敗血症及び右心系感染性心内膜炎については、国内第III相試験において十分な症例数が収集できなかったことから、海外第III相試験の成績を参考に評価した結果、有効性は期待できると判断しました。
 また、安全性については、審査報告書86~98ページに記載していますように、これまでに実施した国内外の臨床試験成績を基に評価を行った結果、特に、筋障害、神経系障害、アナフィラキシー等の重篤なアレルギー症状の発現状況には注意する必要があり、製造販売後に注意深く情報収集を行う必要があると判断しました。また、日本人患者に対する本剤6mg/kg投与時、42日を超える長期投与時及び日本人腎機能障害患者における安全性の情報は不足していることから、これらの安全性情報についても、製造販売後に収集する必要があると判断しました。
 機構は、以上のような審査を行った結果、本剤の申請効能・効果に対する有効性は認められ、また安全性は忍容可能と判断しました。
 また、投与方法として30分間点滴静注内投与に加えて2分間静注内投与が申請されておりましたが、日本人を対象とした2分間静脈内投与の薬物動態のデータは得られていないことから、国内第III相試験で検討された30分間点滴静注内投与のみとすることが適切であると判断いたしました。
 したがって、審査報告書の2ページの効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断しました。また、本剤は、新しい作用機序を有しておりますので、本剤の感受性推移については製造販売後に十分な注意、情報提供が必要であることから、承認条件を付与することといたしました。
 なお、本剤の再審査期間は、8年、原体及び製剤はいずれも劇薬及び毒薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほど、お願いいたします。
 また、前崎委員より、事前に3点御質問をいただいております。
 1点目は、「有効性の評価に関して、我が国における敗血症の実施症例数が4例と極めて限られている。現在、我が国ではVCMも含め4剤の薬剤が既にMRSAによる敗血症の治療薬として承認され、臨床現場では広く用いられている。そのことからも本薬が直ちにMRSA敗血症の治療薬として必要である緊急性には乏しいと思われる。そのため、MRSA敗血症の有効性を判断するには、対照薬との比較を行うか、あるいは少なくともより多くの症例における有効性の確認が必要と思われる。あるいは、他の薬剤がMRSA敗血症の適応を承認された時の症例数と比較し、その程度の症例数は必要ではないか。」との御質問をいただいております。
 2点目は、「心内膜炎の有効性に関しては、我が国では薬物乱用者による右心系心内膜炎より、むしろ弁膜症や人工弁による左心系心内膜炎が多い。そのため、我が国での第III相試験では1例も検討されていない状況で、海外試験からその有効性を判断することに問題はないか。さらに適応症で感染性心内膜炎があり、使用上の注意には左心系心内膜炎には有効性は認められていないとされ、臨床医は果たして感染性心内膜炎に有効か否か判断できない。少なくとも我が国では優位である左心系心内膜炎の有効性を限られた症例でも良いが、確認した後に判断すべきではないか。」との御意見をいただいております。
 3点目は、「使用上の注意に関して本剤を肺炎に使用しないことが記載されているが、MRSA以外の原因菌による市中肺炎の治療に誤って使用されるより、本剤はMRSA肺炎には有効性は確認されていない点を明確にすべきと思われる。そのため、市中肺炎に加えてMRSA肺炎にも使用しないことを追記すべきと思われる。」との御意見をいただいております。
 1点目についてですが、確かに先生の御指摘のとおり、既に抗MRSA薬として敗血症に対して使用可能な薬剤が承認されている現状にあり、そのような状況では比較試験を実施し、有効性について確認することが望ましいと考えております。その一方で、MRSAが起炎菌である敗血症の症例数の確保が非常に困難であることから、抗菌薬評価ガイドラインにおいては、敗血症の適応症を取得するには、必要最低症例として5例の評価がなされていることとされており、既承認の薬剤については、このガイドラインを参考に、症例数が集積されております。
 先生からの御指摘を踏まえて、今後の開発については、より多くの症例数を確保できるよう、試験デザイン等についても検討していきたいと思います。
 2点目についてですが、抗菌薬評価ガイドラインにおいては、感染性心内膜炎の適応症を取得するに際して、右心系又は左心系のいずれに限らず、必要最小症例として1例の評価がなされることとされております。しかしながら、今回の第III相試験において、感染性心内膜炎の症例は1例も入っていないことから、海外臨床試験成績が活用できるかということを、感受性、薬物動態、医療実態などの観点から確認し、海外臨床試験が活用できるとの判断に至りました。
 したがって、審査においては、MRSAを起炎菌とする感染性心内膜炎の国内症例数の確保が非常に困難であること、海外試験では右心系感染性心内膜炎に対して4/8例の効果が認められていることから、右心系感染性心内膜炎に対しては効果が期待できると考えました。なお、適応症については、従来の抗MRSA薬と同様に感染性心内膜炎とし、効能・効果に関連する使用上の注意にて左心系感染性心内膜炎に対する有効性は認められていないことを情報提供することで、適応症に含めることも不可能ではないと考えました。この点について、専門協議において、委員に御意見を賜り、機構の意見については支持されております。
 3点目については、確かにMRSAによる肺炎に対しても臨床試験は実施されておらず、有効性は確認されておりませんので、その旨を注意喚起したいと思います。御指摘ありがとうございました。
 また、清水委員より、事前に2点御質問をいただいております。
 1点目は、「審査報告書15ページ、本剤投与時の調製方法についての機構からの指摘事項が、添付文書案に反映されていないのではないか(時間の記載について)。」との御質問をいただいております。
 2点目は、「添付文書案に包装単位の記載が抜けている。」との御指摘をいただきました。
 1点目についてですが、審査の中で、溶解には約12~16分要し、約10分の静置に加え、数分間ゆっくり回すことが完全に溶解するために必要とされています。当初申請者に提示された添付文書の内容では、「必要に応じてゆっくりとバイアルを回す」とされていましたが、バイアルを回すことは必須であることから、添付文書の3ページの適用上の注意においてその旨を具体的に記載することを指示し、適切な対応がなされております。「溶解するまで約10分間静置する」、「数分間ゆっくりとバイアルを回す」、「完全に溶解したことを確認する」といったことになります。
 なお、バイアルを回す具体的な時間については記載をしておりませんが、今回の調製に必要なのは、完全に溶解していることを確認することですので、具体的なバイアルを回す時間について情報提供するよりは、完全に溶解したことを確認し、使用するとの注意喚起することで対応可能と考えております。
 2点目の包装単位の記載が抜けていることについては、御指摘のとおりでして、申請者に確認したところ、包装形態としては、1バイアル350mgを10バイアルとして包装とのことです。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。前崎先生から3点御指摘いただきました。大変良い御指摘だと思うのですが、いかがでしょうか。
○前崎委員 丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。抗MRSA薬は、日本でもかなり使用制限があり、適正使用を試みられています。しかし、肺炎などに使われると適正使用を守っていないことになってしまいます。限られた適応症なので、今のところは良いと思いますが、その辺りの情報はきちんと現場に出していただきたいと思います。
 もう1点あります。心内膜炎の例は、1例もありません。日本の場合、ほとんど左心系のことになります。そうすると、臨床の先生は左心系には有効性が無いと記載しているけれども、適応症には「心内膜炎」とあり、本当に心内膜炎に効くのか疑問に思ってしまいます。その辺りは、添付文書あるいは資材できちんと説明していただかなければ、現場では分からないと思います。是非、よろしくお願いします。
○吉田部会長 肺炎に関することも、左心系、右心系に関することも、データが無いことに関して、正直に添付書類に記載するということは、今まで行わなかったので抵抗があるのですか。
○機構 御指摘のとおりだと思います。肺炎についても、MRSAの肺炎に対して使わず、要はほかの抗MRSA薬では肺炎の適応を有している薬剤もありますので、誤って使用されないことは大切だと思います。その点について、添付文書及びほかの資材で十分注意喚起したいと思います。
 心内膜炎に対する左心系と右心系ですが、審査の中でもいろいろと検討しまして、今回、右心系に対しては海外で4/8例有効性が期待されておりますが、左心系については有効性が期待できない、0例という成績が得られております。その点についても、添付文書以外の情報提供資材等も含めて、十分に情報提供したいと考えております。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。先生がおっしゃった有効性評価の際に、敗血症の症例数をもう少しきちんとするという対応も、よろしくお願いします。清水先生にも、いくつか御指摘をいただきましたが、いかがでしょうか。
○清水委員 この薬剤が、調製に少し手間がかかる薬剤だということをきちんと情報提供する必要があると思います。今、注射薬の調製にも薬剤師が関わることが多くなってきておりますが、病棟等で看護師に調製をお願いする施設もあると思います。非常に忙しい時間の中で作業していることが多いと考えられるので、十分に静置する時間を取るという情報提供をきちんとしていただく必要があります。
○吉田部会長 ほかの先生方、御意見はいかがでしょうか。
○新井委員 バクテリアの膜に穴を開ける新しいタイプの抗生物質だと書いてあります。文書の中でグラム陽性菌と陰性菌との差は、細胞壁のことで違いが説明できるだろうということですが、ヒトの細胞膜に穴を開けない理由は何か説明されているのでしょうか。毒性が出ないから、穴を開けないということでしょうか。
○機構 確かに御指摘のとおり、グラム陽性菌の膜電位の脱分極を引き起こすということですが、審査報告書の17ページの2.で、菌細胞膜とヒトの培養細胞との結合性に関する検討ということで、ヒトの培養細胞との結合についても検討しております。その結果、ヒトの細胞膜への結合は極めて弱いことが考察されておりますので、ヒトの細胞膜への影響は低いのではないかということです。
○新井委員 もう1点ございます。膜に結合して脱分極を引き起こし、タンパク質、DNA、RNAの合成を速やかに阻害するという説明ですが、余りにもいい加減だと思います。バクテリアなので、脱分極を起こしたら、まずATP合成できなくなり、それがすべてタンパク質あるいはDNA、RNAの合成を阻害するのです。土屋先生の方が詳しいのではないかと思いますが、この表現は余りにも雑だと思います。いかがでしょうか。
○機構 確かに御指摘のとおり、作用機序に対する検討は、同じく17ページに記載されております。細胞膜にどのように入り、細胞に障害を与えるかということを考察されている部分はあるのですが、DNA、RNA、タンパク質の合成が阻害されるということについては、もう少し適切な作用機序を情報提供するようにしたいと思います。
○奥田委員 開発の経緯ですが、アメリカで開発を一旦中断した理由に、筋肉毒性が見られたそうです。投与方法は、4mg1日2回ということでしたが、それを1日1回とすると開発が継続できたと説明されていました。1日2回を1回にしたことで、PK/PDに基づいて説明できるような仕組みなのでしょうか。あるいは今回の承認の1日投与量が6mgということで、減らしたことが原因なのでしょうか。その辺りについては、どうお考えですか。
○機構 この点につきましては、当初、海外では1日2回という投与方法で検討されており、有害事象が発現してしまったのですが、非臨床の毒性試験で骨格筋の有害事象がどのような状況で発現するかという暴露量の観点から、考察・試験を行っております。その結果、骨格筋障害が1日総投与量に関連するということが示唆され、1日投与量が同じであれば、分割投与の方が骨格筋への影響が強くなったということを示唆するデータが得られております。それを踏まえて、投与方法1日1回として、AUC、1日暴露を下げて開発が持続され、臨床試験が行われたと理解しております。
○奥田委員 毒性に関しては、Cmax/MICではありません。
○機構 骨格筋障害に関しては、1日AUCが高いほど発現頻度が高いというデータが得られております。
○吉田部会長 どちらも静注ですか。
○機構 静注です。
○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、奥田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題9に移ります。議題9について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題9、資料9「医薬品ジスロマック点滴静注用500mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構から説明いたします。
 なお、報告品目である「ジスロマック錠250mg」についても、同一の試験成績を基に申請されていることから、併せて説明いたします。
 本剤の有効成分であるアジスロマイシン(AZM)はマクロライド系抗菌薬であり、インフルエンザ菌及びモラクセラ・カタラーリスなどの定型菌、並びにマイコプラズマ及びレジオネラなどの非定型菌に対して抗菌活性を有しています。本邦では、既に、AZM製剤として錠剤、ドライシロップ製剤、細粒剤及びカプセル剤が各種細菌感染症等を適応として承認されています。
 感染症の治療では、感染症、合併症あるいは加齢などにより消化管機能が低下している患者、薬剤服用が困難な患者、全身状態を早期に安定化する必要がある症状の重い患者では、消化管を介することなく直接血中から各組織へ移行する注射用抗菌薬による治療が必要となります。このような患者のうち、定型菌による感染症には、ペニシリン系、セフェム系抗菌薬などの多数の注射用抗菌薬が既に使用可能ですが、非定型菌による感染症に対する注射用抗菌薬の選択肢は少ないのが現状です。このような背景から、申請者は、市中肺炎及び□□□□□□□□の治療に対するAZM注射剤の必要性は高いと判断し、AZM注射剤を開発したと説明しています。
 なお、海外では、市中肺炎並びに骨盤内炎症性疾患に対する治療薬として開発され、1997年1月に米国で承認されたのを初めとして、2011年2月までに、54の国又は地域で承認されています。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料18にありますとおり、4名の委員を指名し、御意見を賜りました。
 機構における審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきます。
 成人については、審査報告書50ページに記載していますように、市中肺炎を対象に実施した国内外の臨床試験成績に基づき、本剤の市中肺炎に対する有効性は期待できると判断しました。ただし、国内症例数が限られていること、及び主な原因菌である肺炎球菌及び肺炎マイコプラズマについては、国内外で耐性菌の発現状況が異なることから、本剤の有効性については、AZM耐性菌の発現状況も含めて製造販売後に引き続き情報収集を行う必要があると判断しました。
 また、審査報告書55ページに記載していますように、安全性について、これまでに実施した国内外の臨床試験成績を基に評価を行った結果、本剤はAZM経口剤とその安全性プロファイルに大きな違いはないと考えられました。ただし、下痢などの消化器系の有害事象の発現頻度が比較的高いこと、国内第I相試験では注射部位疼痛が認められたことから、これら事象については、適切な注意喚起を行うと共に、製造販売後に引き続き情報収集を行う必要があると判断しました。
 機構は、以上のような審査を行った結果、肺炎に対する本剤の有効性は認められ、また安全性は忍容可能と判断しました。また、AZM注射剤から経口剤へ切替えた場合には、レジオネラ肺炎に対する有効性が期待できることから、AZM注射剤に合わせてAZM錠剤の適応菌種としてレジオネラ・ニューモフィラを追加することは可能と判断しました。ただし、適応症については、今回肺炎と肺膿瘍が申請されましたが、専門協議での議論も踏まえて、臨床試験で症例が認められなかった肺膿瘍に対する本剤の有効性は必ずしも明確になったとは言い難く、AZM注射剤の効能・効果としては肺炎のみとすることが適切であると判断し、審査報告書の3ページの用法・用量にて承認して差し支えないと判断しました。
 なお、ジスロマック点滴静注用500mgの再審査期間は、6年、原体及び製剤はいずれも劇薬及び毒薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
 なお、清水委員より御質問をいただいております。
 「臨床試験での用法・用量は、スイッチ療法としての用法・用量である点は欧米と同じであるにもかかわらず、承認の用法・用量が欧米と異なるのはなぜか。(より長期の点滴製剤の使用を考慮している点)」との御質問をいただきました。
 この点につきましては、臨床試験における、注射剤の投与期間は2~5日間と設定されていました。
 欧米では当該試験の設定に基づき投与期間が用法・用量で規定されていますが、本邦では、投与期間については、用法・用量に関連する使用上の注意において記載することが適当であると判断しました。その理由について、御説明します。
 これまで、抗菌薬の用法・用量については、安全性上の問題など特段の懸念がない限り、投与期間を用法・用量では規定せず、用法・用量に関連する使用上の注意の項において「疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」としておりました。
 今回も同様の考えで審査を行いましたが、欧米では投与期間が設定されていることもあり、審査で慎重に検討を行い、専門委員にも御意見を伺っております。
 審査報告書87ページにも記載しておりますように、1.本剤については、臨床現場ではより長期に投与される状況も想定されること、また、2.5日間を超えて投与した場合の安全性について確認したところ、特段懸念すべき事象は認められないと考えられることから、患者の状態に応じて5日間を超えて投与することは可能であると判断しました。
 ただし、専門委員の意見も踏まえて、5日間を超える投与経験は十分ではないことから、用法・用量に関連する使用上の注意の項にて、注意喚起すること、併せて、本剤の臨床試験における投与期間の設定についても、適切に情報提供を行うこととしました。
 続きまして、前崎委員より3点の御質問をいただいております。
 1点目は、「適応菌種に関して、レジオネラ菌がレジオネラ・ニューモフィラとなっており、確かに臨床試験の対象はすべてレジオネラ・ニューモフィラであり、他のレジオネラ属に対しては有効性が確認できていないことは理解できますが、ではクラミジア属に関しては、クラミジア・ニューモニエとクラミジア・シッタッシの両者の有効性が確認されているのでしょうか。クラミジアに関してはクラミジア属となっており、レジオネラに関してもレジオネラ属が適当と考えます。レジオネラをニューモフィラに限定するのであれば、クラミジアもニューモニエに限定すべきではないでしょうか。」との御質問をいただきました。
 2点目は、「適応菌種に関しては、本剤に感性のある肺炎球菌となっておりますが、我が国の肺炎の原因菌である肺炎球菌は約80%が本剤も含めたマクロライド耐性菌であることは疫学的に証明されております。しかも肺炎球菌は肺炎の原因菌として最も頻度の高い菌であり、そのような状況で適応症が肺炎とされることに矛盾は無いのでしょうか。実際には第III相試験の結果からも試験管内では耐性の肺炎球菌による肺炎に対しても本剤は高い有効性が確認されており、本剤に感性の肺炎球菌と適応菌種を限定することには問題は無いでしょうか。むしろ、肺炎球菌のみで、感性か耐性かは臨床効果には余り影響がないと考えます。」との御指摘をいただきました。
 3点目は、「スイッチ療法に関しては、本剤に関しては既に臨床の現場では、250mgの錠剤よりもむしろ2g製剤が一般的に使用されております。今回の用法・用量に関連する使用上の注意では250mgの錠剤のみの用法・用量となっているため、臨床現場では2g製剤を使用する危険性があると考えます。2g製剤の使用に関しては有効性及び安全性が確認されていないことを正確に伝えるべきではないでしょうか。」との御指摘をいただきました。
 1点目について、機構としましては、レジオネラ属のうち臨床試験で原因菌として分離された菌種はL.pneumophilaのみでした。なお、米国でも適応菌種として挙げられているのは、L.pneumophilaのみとなっています。
 一方、C.psittaciは、国内第III相試験では分離されませんでしたが、海外臨床試験では、少数例ながらC.psittaciによる肺炎と診断された症例が組み入れられており、いずれも有効でした。なお、海外の非定型肺炎を対象にした複数の臨床研究においてもC.psittaciが原因菌である肺炎患者が組み入れられており、いずれも有効であるとの報告があることを確認しております。
 以上のことから、クラミジアについては、C.pneumophila及びC.psittaciに対する有効性が期待できると判断し、クラミジア属として適応菌種を設定いたしました。
 2点目について、機構としましては、御指摘のように、国内臨床試験において分類された肺炎球菌のうち、その多くがアジスロマイシンに対するMICが2μg/mL以上の耐性菌であったものの、それら症例においては高い有効性が確認されました。機構としては、肺炎を対象とした臨床試験全体として一定の有効性が確認できたことも踏まえ、肺炎を適応症に含めることは可能であると判断しました。
 なお、臨床試験では耐性の肺炎球菌に対しても本剤の有効性が示唆されたものの、耐性の肺炎球菌に対する本剤の有効性については、検討された症例が限られていると考えます。そのため、適応菌種としては、「アジスロマイシンに感性の肺炎球菌」と記載することが適切と判断しました。ただし、耐性菌に対する有効性の結果については、添付文書の臨床成績の項においてその詳細を記載し、臨床現場に適切に情報提供するように申請者に指示することとしました。
 3点目について、機構としましては、御指摘の点は重要だと考えますので、適切に情報提供するように申請者に指示したいと思います。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。まず前崎先生、いろいろと御指摘いただきましたが、いかがでしょうか。
○前崎委員 レジオネラに関しては、よく分かりました。ただ、肺炎球菌に関しては、こちらは感性の肺炎球菌が適応菌種となっているので、薬剤感受性の結果、耐性だということが分かれば、この薬を変えると判断すべきなのでしょうか。実際臨床的には効くので、変える必要はないと思いますが、このような記載があるのでお伺いします。
○機構 先生御指摘のとおり、そこの部分は非常に悩ましいところで、審査の中でも専門委員の先生から同様の御指摘を受けておりました。いろいろ考えて、結局繰り返しになりますが、エビデンスとして乏しいので、積極的に耐性菌にも有効であるということを推奨するほどのエビデンスが十分に得られていないということを重視しまして、難しいところでしたが適応菌種としては感性のということにしました。ただ、耐性菌に対しても、わずかながら有効なエビデンスがあるので、それをどう情報提供して、適正使用につなげていくのかというところで、今は臨床成績の項に書くということですが、先生からも再度御指摘いただきましたので、もう一度、より一歩進んだ形で情報提供できないかどうかを検討してみたいと思います。もし何か御提案等があればお願いいたします。
○前崎委員 例えば、ペニシリン耐性肺炎球菌であるPRSPに対して適応症がある薬があります。そのため、耐性菌を適応菌種として持っている薬剤もありますが、マクロライド耐性菌に対して実際に臨床上、有効ということになると、耐性菌も適応菌種になってしまうということも考えられます。例えば、将来的に有効性が確認されれば、そのようなことにもなりかねません。今後のこともありますが、将来的に肺炎の耐性菌の症例に本当に効くと分かった時、そこに耐性菌も適応菌種として入れるかどうかについては、考えるべきところではないとか思います。非常に難しいと思いますが、是非お願いします。
 もう1点は、2g製剤についてです。250mgの錠剤よりも、2g製剤の方がバイオアベイラビリティも良く、臨床効果も高いということで、臨床の現場ではほとんど2g製剤に変わってきています。それなのに、なぜ再度250mg製剤を使わなくてはいけないのか疑問を抱くと思います。実際の臨床の場では、スイッチ療法の時は、2g製剤を使った方が良いのではないかと考えてしまいます。確かに証拠が無いことは分かりますが、証拠が無いので現時点では使えないということをきちんと言っておかなければ混乱してしまうと思います。
○機構 申請者の方に指示したいと思います。
○吉田部会長 要するに、将来2gの方向性を検討してみたらというsuggestionと、もう1点は、ファイザー株式会社がどのような対応をするのかということですね。日本だけでは対応できないと思いますが、耐性菌という方向性を将来適応症に組み込んでいく方針なのかどうか、一度聞いてみていただけますか。それでよろしいですか。清水先生は、いかがでしょうか。
○清水委員 今の説明で理解はしましたが、昨今の添付文書を見ていると、用法・用量に関する注意事項の項というのは非常に都合よく使われていて、記載内容が非常に多くなっている傾向が見られます。ですので、用法・用量として決めるべきものは、きちんと決める必要があると思います。基本的に、適正使用がきちんと行われるための情報提供として、どこに記載するのが最も適切なのかをよく検討していただきたいと思います。
○吉田部会長 先生御指摘のスイッチ療法の5日間の話ですが、初めて錠剤と注射剤とを併用していくという方法で、しかもある程度日数を決めるということは、普通抗がん剤のプロトコールであれば、プロトコールAですね。ところが、今まで抗菌剤や抗生物質は、有効な場合できるだけ短い期間で離脱するという使い方が推奨されてます。すると、できるだけ短ければ短い方が良いという今までの考え方と、プロトコール治療のようなスイッチ療法がどのように共生していくのか、私自身としても大変疑問です。前崎先生、臨床の現場ではどうなのでしょうか。
○前崎委員 欧米と日本では、医療経済の違いがかなりあります。恐らく日本の場合、早く退院させるためにスイッチをするという状況は、それほど生じないと思います。肺炎の患者さんが来れば、1~2週間は入院させて治療することになります。そうすると、点滴のお薬でも1~2週間使うことになると思うので、この点は、欧米と同じようにはならないと思います。
○吉田部会長 日にちを設定しておくことも、なかなか難しいと思います。例えば、5日間です。
○前崎委員 そうですね。3日ぐらいでスイッチして経口薬に変えるということは、日本の医療では現実的にないと思います。
○吉田部会長 スイッチ療法そのものの有用性や有効性などの評価も、市販後に、是非調べていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○機構 分かりました。ありがとうございます。
○吉田部会長 ほかにございますか。黒木先生、どうぞ。
○黒木委員 過量投与の項について、確認不足かもしれませんが教えてください。過量投与により聴力障害を起こす可能性があるということで、詳しくは2-5の臨床に関する概括評価の103ページにもありますが、この聴力障害について可逆性であったかどうかといった点を確認したいと思います。さらに、用量が500mg以上という記載がありましたが、ドーズが分かれば教えてください。
 また、半減期が長いということで、難治性になる可能性はあるのでしょうか。分かっていれば教えてください。
○機構 少しお待ちください。大変申し訳ございません。手元に十分な資料がありませんので、調べた後、後ほど説明させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか
○清田委員 アジスロマイシンの場合、以前2g製剤の時に、アメリカのデータだけで日本で淋菌感染症の適応を取っています。ところが、アメリカの淋菌の感受性と日本の淋菌の感受性は、日本の方が耐性率が高く、実際エビデンスが無いのに承認してしまった後、日本の現場でアジスロマイシンが使われて、淋菌に効かなくて困っているということがありました。
 もう1点あります。アジスロマイシンの場合は、ブレークポイントがはっきりしておりません。一応、8g以上だと耐性とMICで行われているような感じがアメリカのCDCなどで見られます。先ほどから、耐性菌や感受性菌という表現をなさっていますが、定義としてMICでは、どのくらいが感受性菌とされているのでしょうか。これだけを見ますと、肺炎球菌の場合のレンジが128までありますので、肺炎球菌は適応菌種から外すべきではないかと思います。はっきり適応菌種を絞って承認すべきだと思います。日本の株のデータなのかどうかも含めて、教えていただければと思います。
○機構 今回、国内の臨床試験の成績については、添付文書の12ページに臨床成績として、肺炎球菌についてMICの菌種が検出され、それぞれ臨床効果がいくつであったのかということは、参考として記載しています。MICで患者さんの線引きといいますか、区別といいますか、そういったところを考慮すべきかどうかということが、先生の御指摘ということでよろしいですか。
○清田委員 一つは、限られた臨床試験で有効性があったため、それを国内のすべての肺炎に使用して良いのかということです。是非、臨床効果ではなく、国内の臨床分離株でお願いします。細菌の臨床分離株のMICのレンジが、相当広いと思います。簡単に適応菌種として肺炎球菌を通して良いのかというのが私の意見です。つまり、限られた臨床試験で有効であったので、こちらの適応菌種に入れるといったことは、論理的な根拠になっているのでしょうか。もっと多くの株のデータで、適応菌種を検討すべきではないかというのが私の意見です。臨床の現場では非常に困っています。そちらを御考慮いただきたいということです。
○機構 確かに御指摘のように、国内の肺炎球菌については、その多くが耐性菌です。今回、その耐性の肺炎球菌で得られた情報が限られているので、適応菌種として肺炎球菌を含めるかどうかというのは、慎重に判断いたしました。最終的には、海外の比較臨床試験も含めて評価し、それ以外の菌種も含めて評価した場合、肺炎としては適応症を与えられるということで、肺炎球菌を適応から外すほどのネガティブな結果が出ていれば適応として与えないという判断もあり得たと思います。しかし、耐性菌のほとんどが有効例であったという事実を重く見て、承認としては適応菌種として含めますが、先ほど来御指摘いただいておりますように、引き続き製造販売後については肺炎球菌の調査をします。調査で得られた分離株の耐性の度合いと、各投与された症例での有効か無効かという情報を引き続き収集しまして、ある一定の症例が集まった段階で再度見直しを行い、本当にそれが適切であったかどうかということは見直していこうと考えています。
○清田委員 とても微妙な答弁をなさっていますが、海外の感受性のパターンはそのまま日本には反映できません。それが、まず一つです。日本のデータでしか論じてはいけないということです。つまり、海外で承認されているから、日本でも承認するという安易な発想はやめるべきだと私は思います。感受性のパターンは、日本と海外では違います。海外のデータばかりが、ブリッジング試験というわけにはいきません。きちんとしたデータを出さないのであれば、承認しない方が良いのではないかというのが私の意見です。今後調査を重ねれば良いという先ほどの御答弁ですが、使えば使うほど耐性菌は増えます。そのため、ここで認めてしまった適応菌種について、後でやめるという議論はなかなかできません。適応菌種は慎重に決めるべきだと思います。
○吉田部会長 先生のおっしゃることは、よく分かりますが、事務局側も、恐らく答えきれないと思います。審査の仕方を変えたりというような、とても大きな話になってしまいます。例えば、耐性菌の場合は必ず流行りや動きがあり、常に新しいものができます。要するに変数です。そうすると、先生のおっしゃるように、日本の状況の中で臨床試験を行って確かめたものしか認めないというのは、理屈としては分かりますが、それを行った10年前と5年前と3年前とでは、結果がまた違うことになってしまったり、なかなか難しいのが現実だろうと思います。
○清田委員 立場としては理解しますが、論法としてはそのような感じです。ですから、そこら辺は意見としてだけでも、聞いていただければと思いますが、淋菌にはとにかく困っています。そこも御理解いただければと思います。認めてしまうと、責任も出てきます。
○吉田部会長 けれども、日本の中で特に問題となっているような耐性菌や今話題に上がっているようなものに関しては、例えば既に適応が認められている薬剤メーカーの抗生物質や抗菌剤であっても、ある特定のターゲットに関するデータを調べてほしい、あるいは学会の方でそのようなことを定期的に明らかにしてほしいという少し産学を合わせたような取組みとして、厚生労働省が仲介するのはいかがでしょうか。審査の方法まで変えるとなると大変です。そのため、審査を行いながら、様々なup datedな情報提供の形を片方で作っていくというような対応していただければと思います。
○機構 御指摘ありがとうございました。国内外の耐性菌の分布の違いは、今後も、抗菌薬の審査をしていく上で非常に重要だと思っていますので、先生の御指摘を踏まえまして、引き続き慎重に審査するようにしていきたいと思っています。また、部会長から御指摘いただきましたように、果たして、この薬に限らず全体としてどうあるべきかというのは、専門の先生方とコミュニケーションする機会もありますので、そのような場を通して引き続き検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○中島委員 スイッチできる薬剤ということで、医療経済的には良いことだと思います。500mgの用量で静注されるカプセルですか、それでも同じ用量でスイッチする時には、バイオアベイラビリティ等を考えなければいけないと思います。それも考慮した上のスイッチの用量なのかどうかを教えていただけますか。
○吉田部会長 スイッチ療法の理論的根拠ですね。
○機構 スイッチ療法については、特に理論的根拠はありません。元々、概念として出てきたのは欧米での医療経済的な観点から、いかに入院期間を短縮するかということでした。そのために、注射剤から経口剤へ切り替えることができれば良いのではないかということが言われ始め、様々な研究が行われてきたのが発端になっています。今回もスイッチ療法で臨床試験はありますが、理論的根拠は無く、単に臨床医が判断して、2~3日ぐらい注射剤を投与し、症状が改善した場合に、経口剤に切り替えられる設定をしていたというだけであって、それを海外の試験ですが、比較対照薬と比較試験をした場合に同等の有効性が得られたので、本剤についてもスイッチ、医師の一定の判断により注射剤から切り替えることでも有効性が担保できるということを示されたということにすぎません。
○吉田部会長 よろしいですか。結局、バイオアベイラビリティをきちんと調べたわけではなく、臨床的に引き続いて行った方法で比較試験を行ったら、スイッチした時と、しない時とが変わらなかったので、臨床的にはスイッチ療法として使いたいということのようです。
○中島委員 抗菌剤の場合は、使用のマキシマムを考えなければいけないと思います。できましたら、そのような方面もしっかり審査していただきたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございました。そのような観点でも審査していきたいと思います。
○吉田部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項の議題2についても御確認いただいたものといたします。
 それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「ドルナーゼアルファ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
 医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、この報告書に沿って希少疾病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について御説明申し上げます。
 本剤の予定される効能・効果は、嚢胞性線維症における肺機能の改善です。申請者は、中外製薬株式会社です。まず、対象患者数について説明します。平成11年及び平成16年に実施した全国疫学調査の結果によれば、患者数はそれぞれ15名と13名であり、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たすものと判断しております。
 次に、医療上の必要性について御説明します。嚢胞性線維症は、イオンと水の輸送を調節しているCFTR遺伝子の変異により、全身の上皮膜細胞の外分泌機能が障害される遺伝性疾患です。平均余命は30歳を超えず、ほとんどの患者が呼吸不全や呼吸器感染症で死亡するとされております。本剤は、嚢胞性線維症患者の粘稠性の高い粘液・痰に含まれるDNAを分解する作用を有しています。現在、本疾患に対する根治療法はなく、本剤の有効性及び安全性が確認できれば、医療上の必要性はあるものと判断しております。
 最後に、開発の可能性についてですが、国内での患者数が極めて少ないことから、十分な臨床試験成績の集積は困難な状況ですが、海外において米国、EU等を含む約70か国で承認されていることなどから、開発の可能性はあると判断しております。対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。以上です。
 御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。最後の開発の可能性ですが、海外ではデータが多いので、そちらと協力することによってという意味が入っているのでしょうか。
○事務局 遺伝性疾患の病気ですが、日本人には極めて少なく、白人では確率が多いという疾患です。そのためもあって、海外では臨床試験が実施されておりまして、そういったものを活用することによって本剤の有効性、安全性の評価が可能であろうと判断しております。
○吉田部会長 日本で希少薬として指定しても、それなりのデータは出そうだということです。ほかに、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題11に移ります。議題11について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題11、資料11「トラベクテジンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
 引き続き、上から二つ目の医薬品医療機器総合機構からの評価報告書に沿って、3点の基準を御説明します。
 本薬の名称はトラベクテジン、申請者名は大鵬薬品工業株式会社、対象疾病は染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍となっております。つまり、悪性軟部腫瘍の中でも染色体転座を伴うものに限定するという趣旨です。対象患者数は、平成20年の患者調査から悪性軟部腫瘍の患者数で国内5,000人程度と推定されています。また、このうち染色体転座を伴うものは全体の約25%と推定されておりまして、こちらから推測される患者数は約1,250人ということで、基準を満たすと判断しております。
 次に、医療上の必要性ですが、悪性軟部腫瘍に関する治療については現在の中心は外科的切除ということで、ドキソルビシン塩酸塩あるいはイホスファミドを用いて、術前・術後補助化学療法を行う、あるいは再発の方に対して延命、緩和を目的として化学療法を行うことがありますが、治療効果は限定的であるということです。したがいまして、悪性軟部腫瘍を対象とした薬剤の医療上の必要性は高いと判断しています。
 開発の可能性ですが、順番が前後しますが3ページの6行目に、悪性軟部腫瘍のうち主たるものとして脂肪肉腫及び平滑筋肉腫患者を対象としまして、本剤の二つの投与法を比較したランダム化第II相試験が実施されています。そこで、本剤の中の二つの投与法について比較をして有意差が出たということですが、この無増悪期間を他の治療薬のヒストリカルデータと比較するなどから、本剤の有効性についても示唆されているということ、過去に行われた第II相試験の結果とも一致しているということで、欧州においては本剤がこのデータを基に承認されています。
 開発の可能性は2ページの下から7行目に戻りますが、悪性軟部腫瘍の中でも染色体転座を伴うものについて、Compassionate use programのデータをレトロスペクティブに解析を行った結果ですが、高い奏効率が示されたというデータがあるということで、悪性軟部腫瘍の中でも染色体転座を伴うものに対して、特に高い有効性が示唆されているという結果がありまして、現在、欧州において染色体転座を伴う方を対象とした本剤の第III相試験、ドキソルビシン又はイホスファミドに対する優越性の検証を行う試験を実施中です。本邦においても、現在、悪性軟部腫瘍患者を対象とした第I相試験が実施中で、また染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍の方を対象とした第II相試験の実施が予定されています。以上のようなことから、本剤の開発の可能性は高いと判断し、本剤は希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと判断しています。以上です。
 御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。転座を伴うような腫瘍だけに効く理屈は、まだ分からないのですね。
○事務局 はい。
○吉田部会長 ただ、レトロで見てみると、かなりそのような箇所に特異的に効いているということから、今注目されているようです。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本義題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題12に移ります。議題12について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題12、資料12「スニチニブリンゴ酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
 引き続きまして、資料12も機構からの評価報告書に沿って御説明します。ファイザー株式会社から申請のありましたスニチニブリンゴ酸塩、対象疾病は根治切除不能な膵内分泌腫瘍です。
 対象患者数は、全国の実態調査で膵内分泌腫瘍の有効患者数約2,800人程度と考えられておりまして、遠隔転移を有する者はこのうち21.0%ということから、推定される患者数は約600人ということで、指定の基準を満たすと判断しております。
 医療上の必要性も、膵内分泌腫瘍について外科的切除は第一選択とされておりまして、化学療法としてはストレプトゾシンを用いた治療法がありますが、国内では未承認ということで、新たな治療法の開発が望まれている状況です。
 開発の可能性ですが、海外において切除不能な局所進行又は転移性の膵内分泌腫瘍患者を対象とした、本剤単独投与のプラセボ対照二重盲検第III相試験が実施されております。主要評価項目の無増悪生存期間において、プラセボ群5.5か月に対して本剤群11.4か月という有意な結果が得られたということで、早期終了されております。また、このデータをもちまして、EUでも承認をされています。国内でも現在、第II相試験が実施中で、これらのことから本剤の開発の可能性が高いと判断しまして、本剤は希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと判断しております。以上です。
 御審議のほど、お願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。第III相試験のRCTで即有効中止になっており、有効性が確認されているということです。御意見は、ございませんか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料14「医薬品スプリセル錠20mg及び同錠50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」機構より報告いたします。
 スプリセル錠20mg及び同50mgは、Bcr-Ablチロシンキナーゼ活性等を阻害することにより、白血病細胞の増殖を抑制すると考えられている経口の抗悪性腫瘍剤であり、現在は「イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」の効能・効果で承認されております。
 今般、ブリストル・マイヤーズ株式会社から、「慢性骨髄性白血病」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、既承認の効能・効果において承認条件として実施中の全例調査と同様の調査を実施することを今回の承認条件として付した上で、スプリセル錠20mg及び同50mgを承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題2の「医薬品ジスロマック錠250mg」については、審議事項議題9の中で説明申し上げましたので省略いたします。
 報告事項議題3、資料15「医薬品注射用ノボセブン1.2mg、注射用ノボセブン4.8mg、ノボセブンHI静注用1mg、同HI静注用2mg、同HI静注用5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」機構より報告いたします。
 本剤は、遺伝子組換え活性型血液凝固第7因子製剤であり、現在は「血液凝固第8因子又は第9因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病及び後天性血友病患者の出血抑制」及び「先天性第7因子欠乏症患者における出血傾向の抑制」の効能・効果で承認されております。
 今般、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年10月25日に開催された医薬品第二部会における事前評価を踏まえて、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社から、「グランツマン血小板無力症患者の出血傾向の抑制」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料15に記載いたしました効能・効果及び用法・用量にて、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題4、資料16「医療用医薬品の再審査結果について」機構より報告いたします。
 一般的名称はエピナスチン塩酸塩、販売名はアレジオンドライシロップ1%のものです。この品目について、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要性のないカテゴリー1と判定したものです。以上です。
○吉田部会長 報告事項について、委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○半田委員 資料15のノボセブンの添付文書について質問があります。情報からすると、非常に希少な病態ですね。グランツマンの先天性の血小板無力症の特に血小板輸血が効かない状況下での止血剤として使用するのですが、非常に希少な病態です。ノボセブンは通常、血友病のインヒビターの患者さんに使われます。添付文書3ページの(1)~(3)の臨床成績には、血友病患者の外国の臨床試験も参考として記載されていますね。4ページの先天性の第VII因子欠乏症患者は、先天的に第VII因子が無い患者さんですので、この血液製剤が適応になるわけですが、これに関しては臨床データとして文献の8)が付いています。その後に参考として、「適応外・緊急使用プログラム」と記載がありますが、一番よく使われている例で、出血が止まらない場合に止血剤として緊急使用することとなっています。オフラベルですが、こちらのようにきちんと記載されています。今般のグランツマンの患者さんへの適応に関する臨床成績については、記載されておりません。これを是非記載していただきたいと思います。できれば、文献と一緒に参考の情報も情報提供として入れてください。
 もう1点は、今指摘しました適応外の使用プログラムというのがありますが、参考文献として特に記載はされておりませんが、今このオフラベルの使い方が非常に多くなっています。もちろん、これは保険適用外ですので、臨床としては自己負担で使っているわけです。添付文書の中にこのようなものが入って良いのかどうかをお聞きしたいと思います。以上です。
○機構 回答します。御質問が2点ありました。1点目の添付文書の臨床試験の項でグランツマンの成績も記載すべきではないかという御指摘についてですが、今回は臨床試験は実施されておらず、対象となるのは公表文献や市販後調査のデータになると思いますが、効能・効果に記載されている公表文献や市販後調査のデータについては、効能・効果に記載されている抗体を有することが確認された症例が少なかったということもありまして、臨床成績として記載しておりませんでした。しかし、先ほど、非常に希少な疾患であっても、臨床現場に情報提供をすることは重要であるという御指摘があったことを踏まえ、グランツマンの記載の追記を企業に指導するようにしたいと考えています。具体的にどのような記載で、どのような情報提供が可能なのかについては、機構と申請者の間で検討させていただきたいと考えております。それが1点目です。
 2点目は、添付文書の先天性第VII因子欠乏症の臨床成績の項に、適応外の記載をするのは不適切ではないかという御指摘だったと思います。まず、この適応外・緊急使用プログラムについてですが、先天性第VII因子欠乏症を含め、ほかに代替治療法が無い緊急時の出血などに本剤が使用されたデータを集めたものです。現在の添付文書の記載においては、そのうちの先天性第VII因子欠乏症のデータのみをまとめたものですので、そのことが明確になるように記載を修正するよう対応したいと思います。今の書きぶりですと、適応外使用を推奨してしまうような表現になっているかもしれませんので、そちらは修正するようにしたいと考えております。
○半田委員 一例報告でも良いので、使い方を記載していただくことは非常に大切だと思います。
○吉田部会長 グランツマンは、公知申請ですね。
○機構 はい。
○吉田部会長 公知で添付文書に載せられるようなデータが無いのは、おかしいと思いますが。
○機構 海外においては長年使われており、国内では非常に少ないですが有効例が報告されています。
○吉田部会長 ですから、それは申請資料を探せば良いことになります。
○機構 分かりました。今後は市販後調査も実施し、全例で見ていくことにしています。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、6月13日(月)午前10時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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