2011年6月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成23年6月1日(水)15:00~
場所
厚生労働省専用第23会議室
出席者
出席委員(15名):五十音順 敬省略
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 清水秀行、
宗林 さおり、 手島玲子、○永井良三、 野田光彦、
林邦彦、 檜山行雄、 増井徹、 ◎松井陽、
松木則夫、 本橋伸高、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名):五十音順 敬省略
鈴木邦彦、 千葉勉、 成冨博章、 西澤理、
古川漸、 村田美穂
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
成田昌稔 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
赤川治郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
加藤総夫、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 清水秀行、
宗林 さおり、 手島玲子、○永井良三、 野田光彦、
林邦彦、 檜山行雄、 増井徹、 ◎松井陽、
松木則夫、 本橋伸高、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名):五十音順 敬省略
鈴木邦彦、 千葉勉、 成冨博章、 西澤理、
古川漸、 村田美穂
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
成田昌稔 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
内海英雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
三宅真二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
赤川治郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、古川委員、村田委員より御欠席との御連絡をいただいております。
永井委員におかれましては、まもなくお見えになられると思います。
現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。
このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
また、当日配付資料として資料1-2「審査報告書の正誤表」を配付しています。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。ベタニスですが、本品目は過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。ホストインですが、本品目はてんかん重積状態等を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。コアベータですが、本品目はコンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善を効能・効果としております。同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている医薬品又は開発中の医薬品は存在しないことから、競合品目はなしとされております。
4ページを御覧ください。ラミクタールですが、本品目は双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。トラゼンタですが、本品目は2型糖尿病を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し、同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。リカルボン、ボノテオですが、本品目は骨粗鬆症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページを御覧ください。ガバペンですが、本品目は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し、小児に対する適応を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8~9ページを御覧ください。ペガシス、コペガスですが、本品目はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページを御覧ください。ジトリペンタートカル、アエントリペンタートですが、本品目は超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染の軽減を効能・効果としております。同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている医薬品又は開発中の医薬品は存在しないことから、競合品目はなしとしております。
11ページを御覧ください。ルフィナミドですが、本品目はLennox-Gastaut症候群(4歳以上)における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。
それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「ベタニス」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、本橋委員です。
議題2「ホストイン」ですが、退室委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。
議題3「コアベータ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員です。
議題4「ラミクタール」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員、松木委員、本橋委員、山田委員です。
議題5「トラゼンタ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、野田委員、山田委員です。
議題6「リカルボン、ボノテオ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、本橋委員です。
議題7「ガバペン」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、松木委員、本橋委員です。
議題8「ペガシス、コペガス」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、林委員です。
議題9「ジトリペンタートカル、アエントリペンタート」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題10「ルフィナミド」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、松木委員、本橋委員です。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項は10議題、報告事項が3議題となっています。
それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ベタニス錠25mg及び同錠50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
まず、審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるミラベグロンは、アステラス製薬株式会社が創製した、選択的β3アドレナリン受容体作動薬であり、β3アドレナリン受容体を介した膀胱平滑筋の弛緩作用によって頻尿、尿意切迫感及び切迫性尿失禁等の過活動膀胱(以下、「OAB」)の症状を改善すると考えられています。
本剤は、2011年6月現在、海外のいずれの国及び地域でも承認されていませんが、臨床開発状況として、米国、欧州諸国(イギリス、ドイツ、フランス等)では第III相試験及び長期投与試験が終了し、アジア諸国(韓国、中国、台湾等)においては第III相試験を実施中です。
今般、過活動膀胱患者を対象として実施された国内臨床試験成績及び海外臨床試験成績に基づき新有効成分含有医薬品として承認申請がなされたものです。
本剤の審査に関しまして、専門委員として、資料15に記載されております委員が指名されました。
本剤の臨床試験成績に関する審査の概略について、説明させていただきます。
有効性について、審査報告書62~63ページを御覧ください。
国内第II相試験(CL-045試験)は、無作為化二重盲検並行群間比較試験として、プラセボを対照とし、本剤25mg、50mg及び100mgの12週間投与における有効性及び用量反応性の確認を目的に実施されました。その結果、63ページの上の表に示されているとおり、主要評価項目である平均排尿回数の変化量に関して、すべての本剤群において、プラセボ群と比較して改善が認められ、本剤の各用量群とプラセボ群との間に有意差が認められました。本試験成績及び海外臨床試験成績も参考に50mgが国内第III相試験の用量として選択されました。
次に審査報告書64ページを御覧ください。国内第III相試験(CL-048試験)は、無作為化二重盲検並行群間比較試験として、プラセボを対照、トルテロジン4mgを参照群として、本剤50mgの12週間投与における有効性が検討されました。その結果、65ページの上の表に示されているとおり、主要評価項目である平均排尿回数の変化量は、プラセボ群-0.86、本剤50mg群-1.67であり、本剤50mg群はプラセボ群と比較し有意な改善が認められました。また同65ページの中央の表に示されているとおり、副次評価項目とされた平均尿意切迫感回数、平均尿失禁回数及び平均切迫性尿失禁回数のいずれの変化量に関しても、本剤50mg群においてプラセボ群と比較して有意な改善が認められました。また、参照群とされたトルテロジン4mgと本剤50mg群の間で有効性について大きく異なる傾向は示唆されませんでした。なお、67ページの下の表に示されているとおり、国内長期投与試験(CL-051試験)において、本剤50mg群の長期投与時の有効性は減弱しない結果が示されました。
以上の国内臨床試験の結果から、機構は、本剤50mgのOABに対する有効性は検証され、日本人OAB患者に対する本剤50mg群の有効性は期待できるものと判断しました。
安全性について、審査報告書66ページの上の表を御覧ください。国内第III相試験(CL-048試験)の治療期の主な有害事象の発現率は、プラセボ群77.0%(292/379例)、本剤50mg群74.1%(281/379例)、トルテロジン群81.3%(305/375例)と、本剤50mg群の発現率はプラセボ群及びトルテロジン群と同程度でした。本剤50mg群で発現率が10%以上であった有害事象は、血中ブドウ糖増加(19.5%)、尿沈渣異常(14.2%)、鼻咽頭炎(13.2%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(12.9%)等でした。これらの事象はプラセボ群でも同程度の発現率を示しており、本剤投与例とプラセボ群の間で差は認められませんでした。また、84ページに記載されておりますように、国内で実施された第II相試験、第III相試験及び長期投与試験の3試験(CL-045、CL-048及びCL-051試験)において、本剤群で発現した重篤な有害事象は全15例でしたが、本剤の臨床用量で認められた治験薬との関連性が否定できない重篤な有害事象は、本剤25mg群の脳出血のみでした。また、欧州第III相試験(CL-046試験)及び米国第III相試験(CL-047試験)における重篤な有害事象の発現状況を踏まえても、特定の重篤な有害事象が発現する傾向は認められませんでした。以上の臨床試験における有害事象の発現状況から、本剤により特定の有害事象が特に高く発現する傾向は認められず、長期投与により懸念される有害事象も特段認められていないことから、本剤の忍容性は認められると考えています。
ただし、本剤の非臨床試験及び海外臨床試験から示唆される、心血管系への影響、眼に対する影響、腫瘍の発現、生殖器への影響等のリスクには特に注意すべきと考え、それらのリスクに関する注意喚起及び製造販売後調査の内容について、泌尿器専門委員のみならず、循環器、眼科、毒性、薬物動態の各分野の専門委員も招聘した専門協議において慎重に議論しました。審査報告書100ページの心血管系へのリスクについての項を御覧ください。QT延長及び催不整脈リスクについては、非臨床試験成績、海外QT/QTc評価試験の結果を踏まえ、審査報告書101ページ21行目から箇条書きで記載しておりますとおり、抗不整脈薬を投与中の患者を含むQT延長症候群患者、重度の徐脈等の不整脈、急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者、低カリウム血症のある患者を慎重投与とすること、重要な基本的注意の項に心電図検査の対象となる患者について明記した上で注意喚起することとしました。また、QT延長及び催不整脈以外の心血管系リスクについては、審査報告書102ページの5行目以降に記載しておりますとおり、重篤な心疾患を有する患者を禁忌とし、カテコールアミン製剤の併用注意としました。次に、103ページの眼に対する影響の項を御覧ください。海外試験で、緑内障の発現が認められたことを踏まえ、緑内障患者を慎重投与とし、緑内障患者に本剤を投与する場合は、定期的な眼科的診察を行うこととしました。腫瘍発現については、製造販売後調査において、国内外の研究報告等の情報を今後も引き続き情報収集する必要があると判断し、製造販売後調査において情報収集することとなりました。次に、審査報告書104~105ページの非臨床試験成績から考えられる本剤のリスクの項を御覧ください。非臨床試験で認められた生殖器への影響について、「警告」の項において、非臨床試験で見られた生殖器に関する所見を記載すると共に、生殖期年齢の患者への投与は避けるべき旨明確に記載し注意喚起することとしました。また、胎児及び出生児への影響については、妊婦及び妊娠している可能性のある婦人を禁忌とし、使用上の注意の項にも注意喚起することとしました。さらに、本剤の乳汁中分泌について、授乳婦を禁忌とし、使用上の注意の項にも注意喚起することとしました。
効能・効果について、審査報告書94ページの(4)効能・効果についての項を御覧ください。国内第III相試験であるCL-048試験において、本剤50mgは、平均排尿回数、尿意切迫感回数、及び切迫性尿失禁回数いずれにおいても有効性を示す結果が得られたことから、本剤の効能・効果を「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」とすることは妥当と判断しました。
用法・用量について、審査報告書94ページの(5)用法・用量についての項を御覧ください。申請時用法・用量は、1日最高投与量として100mgが設定されていましたが、96ページの上から3行目以降に記載しておりますとおり、臨床試験成績から本剤を100mgに増量する臨床的意義は示されておらず、増量効果が明確でない一方でリスクが増大しうる可能性がある100mgを増量時の用量として設定することは妥当でないと判断し、申請者に再検討を求めたところ、申請者は本剤の用法・用量から100mgを削除する旨回答しました。この判断は専門協議でも全委員に支持されたことから、本剤の用法・用量について「通常、成人にはミラベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。」とすることは妥当と判断しました。
108ページの製造販売後についての項を御覧ください。本剤の安全性に関するリスクにつきましての製造販売後の対応として、申請者より、目標症例数10,000例、観察期間12週、調査期間を3年間とする製造販売後調査計画の骨子案が提出されていますが、現在、製造販売後の安全性監視計画、及び安全性の課題に対する行動計画について、再度詳細に検討するよう申請者に求めているところです。また、承認後の安全性に関する情報収集と有害事象発現に対する適切な対応を求めると共に、適正使用に係る注意喚起や安全性情報の医療現場への情報提供についても検討していく予定です。なお、107ページの本剤と抗コリン薬との併用に関しては、製造販売後臨床試験を実施する予定であり、当該製造販売後臨床試験計画の詳細について今後検討する予定です。
以上のような検討を行った結果、本剤の安全性に関する注意喚起を徹底すると共に、製造販売後の安全性対策を適切に講じることで、本剤を「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが妥当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
なお、本日資料1-2として正誤表をお配りさせていただきましたが、審査報告書2ページ、94ページ及び106ページに記載いたしました、効能・効果につきましては、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁」と記載されていますが、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」と修正させていただきます。申し訳ございませんでした。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○山田委員 添付文書(案)についてお伺いしますが、この薬剤と従来使われている抗コリン剤とを比較して、尿閉に関する危険性が少ないことは証明されていないということが、94ページの審査報告書に記載されています。一方、従来の抗コリン剤の添付文書には、尿閉に関する注意喚起が沢山記載されていますが、このβ3化合物の添付文書(案)には、尿閉に関する注意喚起が全く無いようです。これで、良いのでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。抗コリン薬の場合、作用的にと申しますか、尿閉や下部に尿路疾患を有する患者さんに対する尿閉のリスクがありますので、添付文書に注意喚起をさせていただいております。前立腺肥大症を伴う患者さんへの投与及び尿閉のリスクを有するような患者さんへの投与について、明確なデータではありませんが、臨床試験として実施された尿流動態試験の結果、余り尿流動態に影響を与えないという結果が得られており、β3の膀胱平滑筋弛緩作用ということを考えても、尿閉のリスクは抗コリン薬に比べて低いと判断しております。それを踏まえて、添付文書の記載整備をしておりますが、尿閉のリスクについては許容できるものと考えております。
○松井部会長 添付文書には、余り表示させていないということですか。
○機構 ただし、限られた症例数の中での検討ですので、今後、市販後臨床試験や市販後の製造販売後調査を通して、そちらのリスクについても検討していければと考えております。
○松井部会長 山田委員、いかがでしょうか。
○山田委員 94ページに、機構としては、そのようなことが証明されていないと判断するといったような記載があったので少し気になりました。引き続き検討するということであれば、それでも良いと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木委員 示されたデータと直接関係しないのですが、アドレナリンのβ3となると、どうしても脂肪代謝や脂質代謝、肥満の関与を考えますが、特に肥満ではβ3受容体のアレルが存在していることがあります。この場合のβ3受容体に対しては、レスポンダー、ノンレスポンダーがいるということ、あるいはこれが何らかの理由で肥満の方に誤用される、又は乱用されるといった懸念はありますか。
○機構 機構より答えさせていただきます。β3については、御指摘があったとおり脂質代謝、糖代謝に関与することが知られており、本薬についても、欧州において抗肥満薬として開発されていたという過去があります。その結果、β3のアレルや遺伝的な検討はまだなされていないのですが、安全性の観点から申しますと、特段、糖代謝、脂質代謝による低血糖等のリスクは、無いのではないかと思います。血糖の推移及びHbA1cの推移についても、コントロール不良の糖尿病患者を対象として、欧州で行われた探索的な試験において、特段HbA1c及び空腹時血糖についての影響は認められないという結果が得られております。β3で知られている抗肥満作用、糖代謝に対する影響、脂質代謝に対する影響について、試験成績からはリスクとして認められていないということになろうかと思います。
○松井部会長 今の御質問には、肥満との関係は明らかではないのかという内容も含まれていたと思います。そのような御質問もありましたね。よろしいでしょうか。
○松木委員 今の説明で納得できました。抗肥満作用が余り見られないということであれば良いのですが、何らかの理由による肥満の方の誤用等は、余り懸念しなくても良いということでしょうか。
○機構 抗肥満作用については、「明確に認められていない」という過去の検討結果もあります。糖代謝及び脂質代謝に対する影響については、今後も調査の中で確認できればと考えております。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。
○宗林委員 こちらは失禁を伴わずにも、頻尿等、切迫性のものの感触がある方には使えるということになっていると思います。そうすると、ベースが11回だった排尿が減るということになりますが、実際に高齢の女性などの頻尿感や先ほど800万人強と書いてありましたが、非常に沢山の方にその症状があると思います。実際は、どのぐらいで本剤を投与するのでしょうか。というのは、高齢で頻尿になって、夜中も起きてトイレへ行く方などは、重篤な心疾患とまではいかなくても、心肥大が少しあったり、登ると苦しいなどという方も増えてくると思います。そういった意味で、安全性と有効性の中で、これがどのような場面で、どのように有効に活用されるのか、少し教えていただけないでしょうか。
○機構 本剤の投与対象としては、過活動膀胱の患者さんを対象としており、過活動膀胱については尿意切迫感を必須とする症状の症候群です。一般的にそのような排尿に対する問題を抱えていらっしゃる尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁等の症状を有する方に対して使用される薬剤であると考えております。今のところ過活動膀胱に対する治療薬として抗コリン薬がありますが、抗コリン薬の場合は、どうしても薬理作用の面から口渇、便秘などがかなりの頻度で起きて、過活動膀胱患者さんが服用を継続できない何割かの患者さんは、継続できない状況にあるということです。本剤については、β3という新規の作用機序を有する薬剤で、抗コリン薬に比べると口渇、便秘などの有害事象が少ないという結果が試験成績でも得られております。
そのような投与対象について、このものの心血管系へのリスクをどう考えるかということかと思いますが、抗コリン薬についても心血管系に対するリスクは有しており、頻脈等の有害事象も認められております。このものについては、QT延長作用等も認められておりますが、適切な患者さんに投与することで安全性は確保されるものと考えております。現時点において製造販売後にどのような患者さんを対象として販売していくかということも含めた、安全性対策の計画のプランを検討している段階です。一般的な過活動膀胱患者さんに投与される薬ではありますが、何分、新規作用機序を有するというところで、慎重に今後の販売を通して、安全性情報を鋭敏にピックアップできるような計画として、承認後は販売計画も含め、製造販売後調査をいたしてまいりたいと思っています。
○宗林委員 例えば、「頻尿で困る」と言って内科に行っても貰えるのか、それとも、「10回ですか」、「12回ですか」と確認して、きちんと管理された上で投与されるのかということも、少し気になります。
それから、添付文書(案)の3ページに、有害事象発現率が93.6%とありますが、これだけ有害事象が出るのですか。
○機構 有害事象については、プラセボ群が設定されており、プラセボ群の結果と比較して特段高い値であるとは考えておりません。出ている有害事象の内容も、まだ限られた成績ではあるのですが、特に重篤な有害事象は、まだ認められていないと考えております。
○機構 あと、何回以上排尿を感じたらというのは、試験では24時間当たりに平均排尿回数が8回以上ある患者を対象にしておりますので、一応その辺が目安になるかとは思います。QOLの改善薬ですので、その人のQuality of lifeの質を上げるという意味で、患者の状態によって、もう少し少なくても治療が必要になるとか、そのようなところは先生と御相談してということになるかと思っております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ホストイン静注750mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるホスフェニトインナトリウム水和物は、フェニトインのプロドラッグであり、生体内で加水分解されてフェニトインとなり、薬理作用を発揮すると考えられ、既承認のフェニトインナトリウム注射剤と比較して原薬の水溶性が高く、生理食塩水等により溶解した場合にpH8程度の溶液となることから、注射部位での組織傷害性を軽減すると考えられています。海外では1996年8月に米国で承認されて以来、2011年1月現在、米国及び英国等24の国又は地域で承認されています。本邦においては、2008年8月より臨床試験が開始され、今般、てんかん重積状態、脳外科手術又は意識障害時のてんかん発作の発現抑制に対する有効性及び安全性が確認され、フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法における海外での試験成績を踏まえ有効性及び安全性は示されていると考えられたことから製造販売承認申請が行われました。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております7名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書33ページの表を御覧ください。国内第III相試験において、有効性評価項目であるてんかん重積状態等のてんかん発作治療例における本剤初回投与日前後、本剤投与前後2日間のてんかん発作頻度の変化において、発作消失は、それぞれ48.0%(12/25例)、38.5%(10/26例)でした。また、審査報告書の42ページの下から12行目を御覧ください。脳外科手術又は意識障害時のてんかん発作の発現抑制に用いられた21例のうち、初回投与前7日間にてんかん発作の発現が認められなかった症例が15例で、初回投与前にてんかん発作が発現した6例では、4例で発作消失、2例で発作回数の減少が認められています。
次に、安全性についてですが、審査報告書53ページの上の表を御覧ください。国内外臨床試験における本剤又はフェニトインナトリウム注射剤での有害事象では、国内臨床試験の評価例数が少数であり十分な検討はできていないものの、海外臨床試験での成績を踏まえると、本剤ではそう痒症が多く、フェニトインナトリウム注射剤では注射部位有害事象が多く認められていますが、そのほかに認められた事象は本剤とフェニトインナトリウム注射剤でほぼ同様でした。また、審査報告書54ページの下の表を御覧ください。国内外臨床試験における17歳未満の小児及び17歳以上の成人で区分した時の有害事象の発現状況を比較しており、国内臨床試験で検討された症例数は少数例ですが、海外臨床試験成績も踏まえると、小児と成人で大きな差異はないと考えております。また、審査報告書55ページの表を御覧ください。国内外臨床試験における小児の年齢別の有害事象の発現状況は、国内外共に神経系障害が多く認められていますが、各年齢区分での発現状況に国内外で大きな差異はないと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤のてんかん重積状態、脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制及びフェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、清水委員より事前に御質問をいただいておりますので、御説明させていただきます。添付文書の適用上の注意の調整方法において、種々の輸液に対し希釈した時の安定性を例示しておりますが、その希釈の倍数について、現在提示している5又は30倍の意図するところについて御質問がありました。本剤はフェニトインのプロドラッグであり、従来のフェニトインでは取扱い上の注意の項において他剤との配合はできないと記載されていることを踏まえ、本剤においては希釈時の安定性を記載させていただきました。実際の臨床現場では、製剤を原液のまま使用した場合には容量が少ないことから、ある程度希釈する必要があると考えられ、臨床試験では約4倍に希釈して投与されていることから、ほぼ同様の希釈濃度である5倍に希釈した時の安定性について検討されたものです。なお、5倍希釈時の投与量、投与速度等については、医師向けの教育資材等で提示させていただいております。また、30倍希釈時の安定性試験については、より過酷な希釈条件でも安定であったことを説明するために試験が実施されており、その結果を記載させていただきました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。清水委員、今の希釈についての説明は、よろしかったでしょうか。
○清水委員 今の説明で理解はできたのですが、調製方法の中に安定性として30倍でも安定であったということを書く位置について、5倍の方は実際に臨床試験も4倍で行われており、5倍の安定性を調製方法の中に記載することは妥当であると思います。しかし、苛酷試験で行った30倍のデータをそこに記載すると、30倍の希釈で使うこともあるのかと思われてしまいます。実際に重積発作の時に使うので、余り量を増やすと速やかに投与できません。そのような使い方は、あり得ないとは思いますが、少し記載する位置を検討していただいた方が良いかもしれないと思い、質問をさせていただきましたが、今の回答で理解いたしました。
○佐藤(田)委員 使用方法というか、適用によって違ってくると思いますが、この薬剤の使い方が一次的な代替療法ということで、重積てんかんを抑えるというところですが、見方とすると、こちらは頓用的に使うものなのでしょうか。例えば、1週間ぐらい使うものなのか、それとも1回、2回で済むものなのか、基本的なことを教えてください。
○機構 機構より説明させていただきます。本剤の使用としては、最大で1週間程度が想定されるということです。例えば、てんかん患者におけるオペをされるという場合などに、一時的に薬で維持するような感じです。経口投与が可能になりましたら、経口投与に切り替えていただくということを前提にしておりますので、最大でもそのぐらいと考えております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本義題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品コアベータ静注用12.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるランジオロール塩酸塩は、小野薬品工業株式会社により開発された短時間作用型β1遮断薬であり、心臓の交感神経系におけるカテコールアミンの作用に拮抗することにより心拍数を低下させます。本邦では有効成分が本剤と同じくランジオロール塩酸塩である「注射用オノアクト50」が、手術時、及び手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置に使用される薬剤として既に承認されております。
一方、海外では、ランジオロール塩酸塩の発売、承認取得、承認申請のいずれについても行われておりません。
本申請における申請時効能・効果は、「コンピューター断層撮影による冠動脈造影における冠動脈描出能の改善」(以下、コンピューター断層撮影による冠道脈造影を冠動脈CTと略します)です。冠動脈CTでは、撮像時の心拍数が高いと冠動脈狭窄の程度が診断可能な画像を得にくくなるため、本剤は、良好な冠動脈CT画像を得るために一時的に心拍数を低減させる必要がある場合に使用する薬剤として開発され、ランジオロール塩酸塩の充填量が「注射用オノアクト50」より少ない製剤が、異なる販売名で申請されました。
本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料15に記載されております委員が指名されました。
審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
本剤の臨床試験では、虚血性心疾患が疑われ冠動脈CTを施行される患者を対象として、本剤を1分間で静脈内投与した後の冠動脈描出能が評価されました。対象患者の検査室入室時の心拍数の組入れ基準は、1分間当たり70回以上90回以下とされました。審査報告書17ページ、表2を御覧ください。前期第II相試験では、本剤0.125、0.25及び0.5mg/kgの3用量が検討されました。冠動脈描出能は1~3の3段階で評価されました。そのうち、2と3が冠動脈狭窄の程度が診断可能な冠動脈描出能であったことを示します。ここには、解析単位として、セグメント毎、冠動脈毎、症例毎にそれぞれ集計された結果を示してあります。症例毎の集計で、冠動脈狭窄の程度が診断可能な冠動脈描出能であると評価された描出能2と3症例の割合は、3用量で同程度で、0.125mg/kgより高い用量での本薬の投与は冠動脈描出能の改善に寄与しないと考えられました。
そこで、後期第II相試験では、本剤の用量として0.125mg/kgとさらに低用量の0.06mg/kgが設定されました。審査報告書20ページ、表3を御覧ください。一番左の解析単位が症例毎と記載されておりますカラムにありますように、冠動脈描出能2と3と評価された症例の割合は、0.06mg/kg群及び0.125mg/kg群は共にプラセボ群より高く、さらに、0.125mg/kg群は0.06mg/kg群を上回りました。なお、後期第II相試験では、冠動脈狭窄検査のゴールドスタンダードである冠動脈造影も実施され、本剤は、冠動脈CTにおける陰性的中率に影響を与えないことが示されました。
これらの第II相試験の結果を踏まえ、第III相試験では、本剤0.125mg/kgを1分間で静脈内投与した後の冠動脈描出能をプラセボと比較する二重盲検試験が実施されました。審査報告書24ページ、表5を御覧ください。主要評価項目とされた症例ごとの冠動脈狭窄の程度が診断可能な症例の割合は、プラセボ群38.2%(42/110例)本剤群68.2%(75/110例)であり、プラセボ群と本剤群の間に有意差が認められました。有害事象の発現割合は、審査報告書25ページに記載してありますように、本剤群9.3%(23/129例)、プラセボ群3.1%(4/127例)でしたが、重篤な有害事象は認められませんでした。また、薬理作用に起因すると考えられる有害事象としては、軽度の血圧低下がプラセボ群、本剤群で各1例認められましたが、いずれも無処置で発現2分後及び1分後に消失しており、その他、β1遮断薬で懸念される過度の血圧低下や徐脈は認められませんでした。
以上の臨床試験成績から、冠動脈CT撮像前に心拍数が高い患者に本剤を投与することにより、冠動脈狭窄の程度が診断可能な症例割合を増加させることが示されたことから、より侵襲的な冠動脈造影検査が必要となる患者を減らすことが期待でき、冠動脈CTの前処置に用いる薬剤として臨床現場に提供する意義はあるものと判断いたしました。
審査報告書40ページを御覧ください。効能・効果では、本剤の投与対象が心拍数の高い患者であることを明確に規定すべきと判断し、「コンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善」が妥当と判断いたしました。また、用法・用量は、前期第II相試験及び後期第II相試験成績より設定された第III相試験の用法・用量と同じ「ランジオロール塩酸塩として、1回0.125mg/kgを1分間で静脈内投与する。」とすることが妥当と判断いたしました。
なお、本剤の半減期は4分と短く、冠動脈CTの検査終了後に作用が遷延しにくいため、検査施行に必要な時間のみ心拍数を減少させるという利点があると考えられますが、静脈内投与する薬剤であり、本薬の薬理作用に起因した血圧低下や徐脈が急に起こり得ること、冠動脈CT中は検査室内に患者のみとなることを踏まえると、リスク管理は重要と考え、検査中も心拍数を注意深く観察する必要があること、本剤投与前や撮像後の血圧も確認する必要があることなどを具体的に注意喚起することが適切と判断いたしました。
製造販売後の調査計画等については、審査報告書37ページを御覧ください。使用実態下では様々な背景を有する患者に使用され得ることから、主に使用実態下での安全性を確認する目標症例数3,000例の製造販売後調査が実施される予定です。肝・腎機能障害患者等の特別な背景を有する症例における安全性に関しても、可能な限り検討される予定であり、造影剤及び添付文書上併用に注意すべき薬剤との薬物相互作用についても重点調査事項とされています。また、β1遮断薬である本剤において慎重投与とされている気管支喘息の患者に投与された場合の安全性の情報も収集することが重要と判断しております。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤の再審査期間は4年とすることが適当であり、製剤は劇薬に該当すると判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、加藤委員より、事前に質問をいただいておりますので、御説明いたします。資料1.8添付文書(案)3.相互作用の併用注意の項のコリンエステラーゼ阻害剤の「臨床症状・措置方法」及び「機序・危険因子」について、β1受容体遮断による徐脈は、迷走神経から遊離されるアセチルコリンの優位性がさらに高まることに起因しており、コリンエステラーゼ阻害剤は、本製剤の代謝を阻害すること以上に、コリン濃度を高めることによって副交感神経機能をさらに亢進し、より高度の徐脈及び低血圧を誘発すると考えられるので、現在の添付文書(案)の記述は不十分・不適切ではないか、との御指摘をいただきました。まず、この注意喚起が行われた背景といたしましては、本剤はエステラーゼにより代謝されるため、コリンエステラーゼ阻害剤の併用により本剤の代謝が阻害されることにより、併用時の本薬の曝露量が臨床試験で安全性が示された本薬の曝露を上回ることを懸念して行われているものであり、既に承認されております「注射用オノアクト」における注意喚起と同様のものでございます。加藤委員の御指摘の点につきましては、ほかのβ遮断薬と同様、本剤においても注意喚起していないところでございます。したがいまして、ほかのβ遮断薬をはじめとする多くの薬剤との整合性も加味する必要もございますので、本日の時点で、御指摘の注意喚起を本剤で記載しますとは、お約束できませんが、コリンエステラーゼ阻害剤の投与それ自体が徐脈や低血圧を起こすおそれがあることを本剤の添付文書上で併せて情報提供できる記載にできるかどうか、安全部などの関連部署とも協議して検討したいと思います。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。ただ今の加藤委員の御指摘に対する答えは、いかがでしょうか。
○加藤委員 質問したことに関しては、今のお答えで納得したのですが、既にオノアクトは臨床でかなり使われている薬です。オノアクトにも全く同じようなことが記載されているという御説明なのですが、オノアクト以外の1.7の10ページの丸石製薬株式会社から出ているブレビブロックは、エスモロール製剤であり、類似成分製剤と考えて良いと思います。相互作用などを見てみると、書いてあることはかなり違います。例えば、こちらの相互作用にはコリンエステラーゼのことが全く記載されておりませんが、そのような食い違いはどこで生じているのでしょうか。お伺いしたいことは、1.7の11ページのブレビブロックの相互作用の中身が、先ほどのオノアクト若しくは今回のエスモロール製剤、コアベータと内容的に違っているのはどうしてなのかということです。
○機構 まず、βブロッカーという作用機序は類似のものなのですが、この注意喚起の背景が、オノアクトとコアベータに関してはエステラーゼで阻害されるので、コリンエステラーゼ阻害剤と併用することによって、そのエステラーゼの働きが抑えられて、本剤の血中濃度が上がることの懸念に起因した注意喚起なので、恐らくそこは作用機序が同じような薬であっても、そういった代謝経路の違い、化合物のプロファイルによって、若干内容が変わってきているというところだと思います。
○加藤委員 では、オノアクトとブレビブロックは、どうして相互作用に関する記載が違うのですか。
○機構 今把握している情報で十分なお答えができるのか分からないのですが、一般的に相互作用の項にどういった薬剤を記載するのかというのは、もちろん類薬の状況も確認する必要が当然あるのですが、その薬の開発の中で相互作用試験を行ったり、臨床試験の中から何か懸念されている事象が見られたり、そういったことで懸念されることが検討されるのが、まず一義的にあってということなので、そうしたところが十分に検討できなかった部分について、未知の部分については、反映されていないところがあるのかもしれません。
○機構 補足させていただきます。この2剤はエスモロールとランジオロールということで、先生御指摘の「同種同効品」の6ページと10ページを見ていただければ分かりますように、構造等も違いまして、必ずしも同じような影響を受けるというわけではございません。
ランジオロールの方の注意喚起については、コリンエステラーゼ阻害薬によるコリン変動ではなくて、ランジオロールがエステラーゼで分解されることに起因しておりまして、その点について、エスモロールに対する影響が若干違うのかと考えております。もしかすると、エスモロールについては検討が足りないのかもしれませんが、そこについては現状データが無いところですので、今後エスモロールの方についても同じような懸念があるということであれば、今後の安全上の対策が必要になると思います。
○松井部会長 エスモロールについての十分なお答えがされていないようですが、コアベータについては、議決に進んでよろしいでしょうか。その点について、分かることを何らかの形で次に報告していただくことはできますか。
○機構 エスモロールでの安全対策の件につきまして、医薬品第一部会で議論するかどうかについては、検討いたします。
○松井部会長 検討するということでございます。ほかに、御意見等はございますか。こちらは、極めて限られた臨床の現場で使われる薬剤だと理解しております。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ラミクタール錠25mg及び同錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるラモトリギンは、2008年10月に他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作及びLennox-Gastaut症候群における全般発作に対する抗てんかん薬との併用療法の効能・効果で承認されています。今回の申請効能・効果である「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」については、20□年□月より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が示されたとして製造販売承認事項一部変更申請が行われました。なお、海外では2011年2月現在、84の国又は地域で双極性障害に関連する効能・効果で承認されています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書13ページの図及び表を御覧ください。国内第II/III相試験においては、双極性障害の気分エピソードの再発・再燃に対し、治療を行う必要があると判断した場合には試験を中止することとされており、主要評価項目であるFASでの第2期開始から試験を中止・脱落するまでの期間の中央値は、プラセボ群で67.5日、本剤群で169.0日であり、本剤群ではプラセボ群と比較して中止・脱落までの期間を延長し、その分布に統計学的な有意差が認められました。
次に、安全性についてですが、審査報告書21ページの表を御覧ください。本剤の投与により重篤な皮膚障害が発現することが知られており、リスク因子として本剤投与開始時の初期用量及び漸増量が高すぎる場合やバルプロ酸との併用が考えられております。双極性障害においてもてんかん患者と同様の用法・用量で国内臨床試験を実施した結果、皮膚障害に関連する有害事象のほとんどが投与開始8週までに認められておりますが、スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症(TEN)は認められなかったこと、認められた事象の多くは軽度~中等度であったことから、てんかん患者における発現状況を上回るものではないと考えております。なお、本剤の投与に際しては、てんかんと同様に本剤の用法・用量を遵守することが重要と考えますので、てんかん患者における対応と同じく、双極性障害患者においても、投与初期にはスターターパック等の投与管理ツールを用いることで適正使用を推進する予定としております。
また、審査報告書23ページの上から8行目を御覧ください。添付文書において、抗てんかん薬の服用により自殺リスクが上昇することを既に注意喚起しているところですが、双極性障害患者を対象とした国内臨床試験で、自殺関連有害事象が10例に認められ、2例では因果関係が否定されていないこと、双極性障害患者では自殺リスクが高いことが知られていることを踏まえ、添付文書(案)の重要な基本的注意の項で新たに注意喚起を行うと共に、製造販売後調査においても自殺関連有害事象の発現を調査することとしております。
以上の審査を踏まえ、本剤の双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品及び新用量医薬品であり、再審査期間はてんかんの併用療法に係る効能・効果を承認した際の期間(8年間)の残余期間である平成28年10月15日までとすることが適当と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、事前に本橋委員より2点、加藤委員より1点質問をいただいております。本橋委員及び加藤委員からは、審査報告書8~9ページにございます、本薬の作用機序についてです。扁桃核キンドリングモデルはてんかんのモデルであり、本薬の作用機序と関連付けるのは困難ではないかとの意見をいただいておりますが、双極性障害については、動物モデルが確立しておらず、本剤の作用機序についても明確にはなっていません。ただし、キンドリング動物では反復刺激により発作反応が進行的に増強し、この症状が双極性障害患者で見られる気分交代の加速パターンに類似しているとの報告もあることを踏まえると、本剤の作用機序を考えるモデルの一つと考えることは可能と考えております。
また、本橋委員からの2点目の質問についてですが、本剤は双極性障害の気分エピソードの再発・再燃抑制を効果・効果としていますが、本剤の治療開始時期をいつにすることが適切かとの質問です。本剤の急性期症状に対する有効性は示されておらず、効能・効果に関連する使用上の注意の項で、「双極性障害の気分エピソードの急性期症状に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない」と記載し注意喚起しています。双極性障害の急性期症状に対する治療を行った上で、急性期症状が改善した後に、本剤を投与することとなると思いますが、具体的な投与開始時期については、医師により判断いただくことが必要と考えており、医師向けの資材において、ガイドラインを参考に、維持療法開始を考慮する場合について記載させていただいております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。本橋委員のキンドリングモデル、動物モデルに関する御質問については、いかがでしょうか。
○本橋委員 キンドリングモデルというのは、センシタイゼーションのモデルであり双極性障害に直接結び付くものではないので、余りこれを大きく取り上げない方が良いと思いました。例えば、アメリカの添付文書では、そういった記載はありませんし、日本でも記載しない方が良いと思います。むしろグルタミン酸に対する影響やナトリウムチャンネルの阻害作用といったものがメインになると思います。
もう1点ですが、こういった病気には急性期があり、少なくとも急性期の終わりぐらいから、このような薬を入れなければ、次の予防には繋がらないと思います。急性期には効かないと強調するのはよく分かるのですが、実際に使う場合は急性期の終わりぐらいから使わざるを得ないというのが、臨床家としての印象です。
○松井部会長 担当医がその判断をするということです。
○本橋委員 これは、任せていくしかないと思います。
○松井部会長 ほかに、委員の先生方から御質疑をお願いします。
○手島委員 本剤の気になる点は、皮膚障害の有害事象があることです。21ページの表の中で、皮膚障害のスティーブンス・ジョンソンのような中毒性の皮疹は国内の臨床の中では見つからなかったということですが、発疹に関連する有害事象は出てきているということもありますので、市販後調査の中でも皮膚障害については十分に調査をしていただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○加藤委員 私も、本橋委員と同じ点を事前に指摘させていただいたのですが、本橋委員がおっしゃったことに私も全く同感です。動物モデルとしてキンドリングは、双極性障害の適切なモデルとは、まだ確定していません。今、本橋委員から、それを添付文書に書くのはいかがかということで御指摘がありましたが、私も添付文書に書いてあることが気になっていました。添付文書(案)の9ページの「薬効薬理」の下線の引いてあるところは、今回新たに付け加えるところであるということですが、「抗痙攣作用」の(4)に、「なお、本モデルは双極性障害における気分交代加速の動物モデルともなる可能性が考えられる」と、新しい記述を加えるという案が出ているわけですが、新しい記述を加えるだけの動物のエビデンスがあるとは考えられにくいのではないかと思います。わざわざ抗痙攣作用のところで、これを加えることは混乱を招くだけであり、適切に新規に加えるべき文章ではないと考えますが、いかがでしょうか。
○機構 今いただきましたコメントを踏まえまして、削除する方向で対応したいと思います。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員、松木委員、本橋委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品トラゼンタ錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤は、リナグリプチンを有効成分とする経口の糖尿病治療薬であり、食事摂取により消化管から血中に分泌されるGLP-1の不活化酵素であるDPP-4を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を維持し、血糖降下作用を示すとされています。国内では、本剤と同じ作用機序の三つの薬剤が既に承認されています。
2011年3月現在、本剤は海外において承認されておらず、欧米等において審査中である旨を審査報告(1)に記載しましたが、先月、米国で承認されております。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書55ページを御覧ください。国内第III相試験において、主要評価項目とされた前期12週間の二重盲検治療期終了時及び後期14週間の二重盲検治療期終了時におけるベースラインからのHbA1c変化量は、表10に示しましたように、本剤5mg及び本剤10mg群ではいずれもプラセボ群に対して有意に改善しました。また、後期14週間の二重盲検治療期終了時におけるベースラインからのHbA1c変化量について、本剤5mg及び本剤10mg群ではボグリボース群に対して有意に改善しました。さらに、本剤が52週間にわたり投与された群におけるHbA1c変化量の推移については、56ページの図1に示しましたとおり、効果の持続が認められました。
安全性については、70~81ページに示しましたように、低血糖、過敏症反応、皮膚及び皮下組織障害、膵炎を含む胃腸障害、心血管系リスク等について評価し、許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、96、97ページに示しましたように、観察期間3年間、調査予定症例数3,000例の長期使用に関する特定使用成績調査が実施され、先ほど説明しました事象等について情報収集される予定です。なお、現在実施中の日本人を含む三つの国際共同治験は、本剤の安全性を検討する上で重要な試験であると考えることから、その最終成績を確認する必要があると考え、それらの試験の成績が得られ次第、当該成績を速やかに提出すると共に、適切に医療現場に情報提供することを指示事項としました。
以上のとおり、機構での審査の結果、「2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る。)」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断しております。原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。特にございませんか。よろしいでしょうか。
特段、御意見がないということでした。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。議題6について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品リカルボン錠50mg及びボノテオ錠50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤は、ビスホスホネート系薬剤であるミノドロン酸水和物を有効成分として含有する製剤であり、本邦において、1回1mg、1日1回連日投与製剤であるリカルボン錠1mg及びボノテオ錠1mgが骨粗鬆症を効能・効果として2009年1月に承認されています。ビスホスホネート系薬剤は、消化管に対し刺激作用を有することから、十分量の水と共に服用し、服用後30分は横にならないこととされており、このような服用時の煩わしさから服薬コンプライアンスが低くなることが知られています。今般、服薬回数を減らすことにより、服薬コンプライアンスを維持すること等を目的に本剤が開発され、1回50mg、4週に1回投与における有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請がなされました。2011年3月現在、海外においては、本剤を含めてミノドロン酸水和物を有効成分とする医薬品は開発されておらず、また、いずれの国においても承認されていません。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書18ページを御覧ください。表4及び図1に示しましたように、日本人退行期骨粗鬆症患者を対象とした第II/III相骨密度試験において、1回50mg4週1回投与の1回1mg連日投与に対する腰椎平均骨密度変化率について非劣性が検証されました。
安全性については、28~33ページに記載した「(3)安全性について」の項を御覧ください。胃腸障害、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、血中カルシウムの減少等について個別に評価した結果、大きな問題はみられていないことから、本剤の安全性は許容可能と判断しています。
製造販売後調査については、審査報告書42、43ページ「(5)製造販売後調査について」の項を御覧ください。既承認の1mg錠において実施中の製造販売後調査の調査予定症例数3,000例に50mg錠のみを使用した症例2,000例を加えて5,000例に変更し、顎骨壊死、心房細動、非定型の大腿骨骨折、筋及び骨格系の疼痛、食道癌、血中カルシウム減少の発現状況、男性患者における安全性及び有効性等について情報収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、骨粗鬆症を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤の再審査期間は既承認の1mg錠に付与された再審査期間に合致するよう平成29年1月20日までとすることが適切であり、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
本剤につきまして、清水委員、加藤委員より御質問をいただいております。
本剤の用法・用量に関して服薬コンプライアンス等も加味して月1回投与とすることはできないかとの御意見です。この点につきましては、審査報告書34~35ページに記載しておりますが、第II/III相骨密度試験においては、月1回ではなく4週に1回で投与がなされていたこと、4週に1回とした場合であったとしても利便性や治療継続に大きな影響を及ぼすとは考えられないことから、専門協議においても議論した上で、用法を4週に1回と記載することが適切と考えました。なお、薬剤包装に服薬日を記載する欄を設けることや患者向け資材の作成などにより必要な注意喚起を行うよう指導しております。以上です。
1点、お配りしている製剤サンプルについて補足させていただきます。ボノテオ錠の製剤サンプルをお配りしているのですが、パッケージにおきまして、「1か月に1回、1錠飲むお薬です」という記載になっておりますが、申請者の方で準備が間に合わなかったということで、別途紙で印刷物をお配りしておりますが、最終的には、「4週に1回、1錠飲むお薬です」とされる予定です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。清水委員、加藤委員より、月1回投与にしてはどうかという御意見がありましたが、いかがでしょうか。
○加藤委員 お答えの趣旨は理解します。そのように試験を行っていたので4週ということですね。実際に読んでみると、4週で許容日数が±7日と書いてあり、ある程度の範囲内でも同じような結果が得られているというような場合、この薬剤の開発の経緯はコンプライアンスを上げるということにあり、月1回間歇投与製剤を開発したということなので、それによってコンプライアンスが上がるという意図があったと思うのですが、実際にこちらの適応対象となるような年輩の方などが4週の設定であると、毎月毎月ずれていき、大変なのではないかと思いました。非常に素人的な感想でございます。
○松井部会長 清水委員はいかがですか。
○清水委員 私も加藤先生と同じように、この審査報告書を読んで検討させていただいたところなのですが、4週ごとに飲む方が科学的で等間隔に飲むというスキームになるのですが、月がずれて、月初に飲んで、月末に飲んで、次第にずれが生じ、1年間は4週で割ると13回ということになってきますので、かえってその方が飲む間隔が分かりづらいと思います。もちろん、そのシートの中に次回はいつ服用だということを記載する工夫をするという御説明だったのですが、毎月いつ飲むのかが決まっていた方が、かえって飲みやすいのではないかと思いました。したがって、1か月に一遍という服薬も認めてもらえるような方法を考えられないかということで、質問させていただきました。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 用法・用量に記載する用語として、基本的にエビデンスに基づいたものを書くべきだと考えております。実際の現場の使われ方については、先生方のおっしゃるようなことは我々も分かっているつもりで、例えば4週に一遍とするにしても、月1回にするにしても、当然カレンダー上、ずれは出てくるわけで、実際医療現場では曜日で受診されるケースも多いと思います。それは医療機関により、主治医のスケジュールによって、受診間隔はまちまちだろうと思います。ですから、我々は臨床試験に基づいて記載するべきというスタンスで書かせていただきましたが、それでも来院日が祭日に当たったり、現実に様々なことが起こるのは当然であって、その辺の多少のずれというのは、現場で判断していただいて使っていただくしかないのかと思います。添付文書には、基本的に臨床試験で得られた成績に基づいて書いていただこうと考えております。
○佐藤(田)委員 原点に戻った質問をさせていただきたいのですが、服用回数が減るというのは、毎日1回飲まなくても済むということで、煩雑さを減らすことはできるのですが、例えば、この薬について1回飲むことによって、血中で組織移行を起こした際は、1か月間そこの組織に分布したままなのでしょうか。全身に回るものなのか、それとも抗菌薬などのように感染症のあるところに回るものなのでしょうか。安全性についても、心臓の機能にも様々な問題が出たと記載されています。血中に停滞しているのか、骨の近辺に回っているのか、こちらの性質上の違いはどこにあるのでしょうか。
飲んでから4週後ということなので、強い有害事象が出てきた時、1日1回であれば服用を中止することができますが、今回の方法であると、そのようなことはできません。基本のところで結構ですので、教えて欲しいと思います。
○機構 機構よりお答えいたします。本剤に関しては、血中をずっと漂っているということではなく、骨に移行してしまい、Cmaxは高いのですが、その後の消失に関しては大きな差は無いということになっていますので、1か月間効果が持続するのは、骨に移行した量に依存してというところになるかと思います。
○佐藤(田)委員 良い意味からすると、骨の辺りでは、side effect以外は起こりにくいのでしょうか。血中を回っていると、ほかの臓器でも有害事象が起こる可能性はありますが、骨に選択的に回ると、ほかの臓器等への有害事象は少ないかもしれないという考えなのですが。
○機構 第II/III相試験においては、本剤1mgの連日投与製剤が比較対照群として置かれておりまして、その群と有害事象とを比較しますと、さほど変わらないということですので、先生のおっしゃるような点は、期待される部分ではあるのですが、そこが見えているような結果にはなっていないというところかと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木委員 私も今の点が非常に気になったのですが、4週に1回、この50mgを一度に投与した時に、かなり破骨細胞を壊してしまいますが、1か月ぐらい経つと元に戻るということなのでしょうか。あるいは、蓄積等をしてずっと効いているのでしょうか。例えば、歯科治療による副作用の発現の危険率は、投与直後と4週近く経った時とでは変わってくると思います。その辺の作用機序が気になります。
○機構 ビスホスホネート剤自体が骨に蓄積して、1か月間にわたって定常的に骨吸収を抑制していくものと思われます。
○松木委員 その場合の蓄積の度合いというのは、人による違いはそれほど考慮しなくても良いということですか。蓄積し過ぎて困るということは、余りないのですか。
○機構 ヒトではどのくらい骨に蓄積するのかというデータはないのですが、1年間第II/III相試験で投与しておりまして、特段1mg連日投与と大きな違いはありませんので、個々の患者によっては若干違いがあるかもしれませんが、大きな問題になるような状況ではないと考えております。
○佐藤(田)委員 今の質問に対する答えから出てくるのですが、骨組織に沈着しているということは、14Cを使って1日ずつ飲むような薬との比較データがあった上でおっしゃっているのでしょうか。亡くなった方の体から骨を採って調べているわけでもなく、患者さんの組織の一部をバイオプシー検査で調べていることもないと思うのですが、エックス線か何かの解析を行っているのですか。何かトレースをしていかないと分かりにくいのではないかと思います。血中であれば、測ることは可能かもしれませんが、そのようなデータは分かった上での御回答なのでしょうか。
○機構 骨への蓄積の部分に関しては、非臨床試験の結果からお話させていただいております。ヒトにおける14Cを使ったトレースという試験に関して、本剤においては行われておりません。
○佐藤(田)委員 動物ですか。
○機構 はい。動物では行われています。
○松井部会長 いかがでしょうか。今、佐藤委員がおっしゃられたことのほかに、骨代謝マーカーの検討は参考にならないのですか。50mg製剤を投与した時に、どのような影響があるのかということですが。
○機構 第II/III相試験においては、骨代謝マーカーについても、副次評価項目ではありますが測定しておりまして、審査報告書の19ページに記載させていただいております。
ただ、1か月ごとの短期的な状況というものではなく、1年間経った後の骨代謝マーカーを御提示させていただいておりますので、1年経った時点で、骨代謝マーカーにおいても1mg製剤と50mg製剤で、大きな差は認められていないという結果になっております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。
○宗林委員 本薬は、医師から1回ずつ処方されるのでしょうか。4週に1回ということで、毎回1回ずつ出されることを想定されているものなのでしょうか。
○機構 本剤に関しましては、基本的に1錠出されるのではないかと思われます。ただ、初回の来院の際には、本剤は少し変わった服薬方法になっておりまして、朝起きてすぐに絶食下で飲んでいただき、その後30分間起きていていただくということになっておりますので、来院時に飲んでいただくことができないので、1錠出されるか、次回来院前にもう1回飲んでいただく分まで出されるかのどちらかではないかと予想しております。
○松井部会長 3ページに記載がございますが、50mgを月1回、起床時に十分量の水を飲み、服用後は少なくとも30分は横にならないこととなっています。これは、一仕事ですね。
○野田委員 急に気になったのですが、長期処方の制約についてはどうなるのでしょうか。なお、実際には、私どもは長期処方が解除された後、3か月分ぐらいまで出すことがあると思います。
○機構 我々が「1回に何日分処方できます」と答える立場かどうかは微妙ですし、保険診療上の関係ということなので、この場で我々が答えるのは控えたいと思いますが、新薬であれば、最初の1年間は14日分までしか出せないということになりますが、こういう1回投与の場合は1回単位で判断されると理解していますが、最終的にどうなるかはこの場ではお答えいたしかねます。
○松井部会長 ほかに有効性、安全性につきまして、特に御質疑はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構から概要を説明してください。○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ガバペンシロップ5%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、並びに医薬品ガバペン錠200mg、同錠300mg及び同錠400mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるガバペンチンは、γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、本邦では2006年7月に他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果で、成人の用法・用量が承認されています。今回の申請では、小児てんかん患者を対象に臨床試験を実施し、有効性及び安全性が示されたとして製造販売承認申請が行われました。なお、海外では2011年1月現在、89の国又は地域でてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する他の抗てんかん薬の併用療法に関する効能・効果が承認されており、そのうち61の国又は地域において小児の用法・用量が承認されています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております6名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書10ページ下から5行目を御覧ください。小児てんかん患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目であるMITT集団でのてんかん部分発作のResponse Ratio(以下、「R Ratio」と略します。)の平均値は-0.158、95%信頼区間は-0.221~-0.096でした。本試験ではプラセボ群を設定しておりませんが、R Ratioの95%信頼区間の上限値は、小児てんかん患者を対象としてプラセボ群を設定した海外第III相試験のプラセボ群のR Ratioの調整平均値である-0.072を下回っていたことから、日本人小児てんかん患者での本剤の有効性は示されたものと判断しております。
次に、安全性についてですが、審査報告書16ページの表を御覧ください。小児と成人における本剤の有害事象発現状況を比較していますが、第III相試験及び長期投与試験で認められた主な有害事象は、小児及び成人のいずれにおいても傾眠及び感染症に関連する事象でした。また第III相試験においては、小児において鼻咽頭炎及びインフルエンザの発現率が成人よりも高い傾向にありましたが、鼻咽頭炎については、ほとんど因果関係が否定されています。また、インフルエンザについても、いずれも因果関係は否定されており、試験実施時期のインフルエンザの流行状況が異なったためと考えられたことから、小児において問題となる特異的な有害事象は認められてなかったものと考えております。
また、審査報告書21ページの上及び下の表を御覧ください。国内第III相試験における本剤の維持用量は、薬物動態に関する検討結果から、3~4歳で40mg/kg、5~12歳で25~35mg/kg、13~15歳で1,200~1,800mg/kgと設定されていますが、国内第III相試験では有効性に年齢による差異は認められなかったこと、安全性についても3~4歳で著しく発現率が高い事象は認められていないことから、当該維持用量を設定することに大きな問題はないと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤の他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法における小児の用量追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請はガバペンシロップについては新用量医薬品及び剤形追加に係る医薬品、ガバペン錠については新用量医薬品であり、再審査期間は4年間、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製剤及び特別生物由来製剤のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、事前に加藤委員より質問をいただいておりますので、御説明させていただきます。加藤委員からは、本剤とプレガバリンは海外でてんかんと慢性疼痛に対する効能を取得しているが、本邦では本剤はてんかん、プレガバリンは疼痛効果のみであることから、なぜ本邦でのみこのような違いがあるのか、また今後適応拡大されていく予定があるのかとの質問でした。申請者に確認させていただきましたところ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□とのことでした。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。加藤委員、御質問の点については、いかがでしょうか。
○加藤委員 よく、どうして日本ではガバペンチンは神経障害性疼痛などの慢性痛に使えないのですかと聞かれるのですが、こちらの質問に簡単に答えるには何と言ったら良いのかということも教えてください。
○事務局 審査管理課からお答えさせていただきます。開発方針は、企業の経営等々に大きく影響するので、類推するしかないところもありますが、例えばアメリカを見ますと、慢性疼痛では帯状疱疹後の神経痛ということで、疼痛分野でもごく一部にしか効能がありません。カナダにおいては、日本のようにてんかんだけしかないという状況です。
ですので、こちらから類推すると、国々で様々な承認時期や環境の違いがあって、ばらばらにはなっていますが、基本的には□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えています。
その上で、少しこの薬剤ではなくプレガバリンの話になるのですが、プレガバリンについては□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□だと聞いております。こちらとしましては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えています。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問はございますか。
○佐藤(田)委員 基本的なことを教えていただきたいのですが、3ページを見ますと、効果としてどのような時に使うのかということは、他の抗てんかん薬で十分な効果が見られないところ、残っているところの部分発作を併用していくということで、これで脳波がどうにかなるというものではなさそうです。すると、この薬自体は、薬剤の分類からするとどのようなものに当たるのでしょうかというのが1点。
2点目は、両方の併用療法によって、通常の抗てんかん薬に効果があるとすると、この患者さんが子供の時期から継続して起こっていた場合、成人になるまで飲み続けるのかについてです。服用を止めてみなければ、部分発作が治まっているかどうかは分からないと思います。脳波でチェックするのか、判定は分かりませんが、その2点について教えてください。まず、薬の分類としては、どのようなものに属するのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。抗てんかん薬に関しては、非常に複雑で様々な作用機序を持っている薬剤で、既に承認されているものがあります。これらを組合せながら使用されているというのが現状であり、実際には一つの抗てんかん薬だけで本当に効くのかということを試しながら使っていただいている状況です。まず抗てんかん薬を1種類使っていただいた上で、その効果が無ければ次の抗てんかん薬を上乗せしたりと、切り替えながら使っていただくというのが現状だと考えています。
この薬に関しては臨床試験の中で、既存の抗てんかん薬で十分な治療効果が認められていないような患者さんを対象に臨床試験を行いました。そのことから、この薬をさらに上乗せすることで、今のところ有効性が見られたという試験結果となっています。ですので効能・効果に関しては、このように書かせていただいて対応しているところになります。
○佐藤(田)委員 ということは、抗てんかん薬の種類の一つであるということでよろしいですか。
○機構 はい。それは問題無いと考えています。
○松井部会長 2点目の質問はいかがでしょうか。
○機構 2点目は、期間に関してですか。
○佐藤(田)委員 はい。例えば、小児から投与できる用量によって増やしていくと記載されておりますが、効果があったとすれば、続けていくと思います。恐らく、病状によると思うのですが、そこで効果が無いという状況が長く続き、長期にわたって治療が行われるのではないかと思うのですが、目測として成人になるまで飲み続けていくのでしょうか。
それから、部分発作が治まっているのかどうかは、薬を止めてみなければ分かりませんね。こちらについては、全体的の投与量から、どのようにお考えなのか教えてください。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。治療ストラテジーとしてというか、その考え方ですが、やはりてんかんは一度起こすと致命的なところもありますので、なかなか薬を切るということは難しいと考えられています。この薬を上乗せして有効であった場合、薬を切るということはなかなか難しいと思うのですが、他の抗てんかん薬に関しては、そういった場合にはコントロールを行っていくこともあると思います。
実際に薬がどのようにコントロールされているのか、現場の感覚をここで御説明するのは難しいのですが、実際のところ、この薬の有効性で、上乗せ的効果が見られた場合には、そのままある程度継続されていくものだろうと考えられます。
○松井部会長 私は、小児神経学の専門ではありませんが、小児科専門医として佐藤委員にお答えするとすれば、必ずしも完全に切らなければ効果が分からないということではないと思います。発作の回数、程度が軽くなってきている、あるいは間遠になってきているかということでも、判定ができると思います。しかし、おっしゃられたように、なかなか治りにくい発作であることは事実です。
ほかに御質疑はいかがですか。
○清水委員 製剤の安定性についてですが、これは摂氏2~8℃に保管する薬剤ですが、1日3回服用する薬剤です。小児、ちょうど学童の子たちに服用が認められているシロップ剤ですが、お昼の服用を考えると、摂氏2~8℃に担保しておくのは難しいと思いますが、そこら辺の安定性、許容の範囲のデータは、何か出ているのでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。この薬に関しては、室温で置いた場合、12時間は十分担保できることが確認されており、患者への教育資材においても、服用の間隔は1日3回ですので、8時間前後になります。血中濃度を維持する意味でも、12時間を超えない程度で飲んでいただきたいということをきちんと書かせていただいております。実際に飲むタイミングとしては少し工夫していただいて、8時間ということであれば、例えば朝飲んでいただいて、家に帰った時に子供さんに飲ませられるということです。若しくは、夕方飲ませながら、夜寝る前にもう一回飲ませるということで、コントロールできると考えています。
○清水委員 もう1点、同じく品質についてですか、添付文書(案)の「9.適用上の注意」の中に、開封後90日以内に使用することという記載があるとのことですが、90日の根拠になるデータは、どこかに提示されているのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。資料「2.3.P製剤」の「2.3.P.8」の3ページを御覧ください。ずっとこのページを各単元で切っておりますので、かなり後ろになりますが、ページの振り方が各セクションになります。この中の「4)多回使用時の安定性試験」に、90日間多回使用した時の安定性を評価したということで、この時の結果で特に大きな問題はなかったという結果が出ておりまして、90日の安定性は担保されるということで記載させていただきました。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、野田委員、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品ペガシス皮下注90μg及びコペガス錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
C型代償性肝硬変は、C型肝炎ウイルスの持続感染によるC型慢性肝炎の経過の中で肝組織の繊維化が進展して肝機能が低下した状態を指し、最終的に肝不全・肝細胞癌に至る重篤な転帰を辿る疾患です。C型代償性肝硬変に対する治療としては、C型肝炎ウイルスの駆除を目的としたインターフェロン療法と肝機能異常の改善を目的とした肝庇護療法が行われていますが、インターフェロン療法については、日本人C型慢性肝炎患者の約7割を占めるC型肝炎ウイルスのGenotype1かつ高ウイルス量の肝硬変患者に対して承認されている製剤はありません。
ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)は、メトキシポリエチレングリコールを結合したインターフェロン製剤であり、インターフェロンの循環血中における持続時間の延長により、少ない投与頻度で治療が可能な修飾型のインターフェロン製剤です。また、リバビリンは、抗ウイルス活性を示すプリンヌクレオシド類似体であり、インターフェロン製剤との併用によりウイルス駆除効果を向上させることが確認されています。
ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)とリバビリンの併用療法は、Genotype1かつ高ウイルス量、若しくはインターフェロン単独療法で無効又は再燃したC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を効能・効果として既に2007年に承認を取得していますが、今般、申請者は、C型代償性肝硬変患者を対象に本併用療法による臨床試験を実施し、承認申請に至りました。
なお、海外では、本併用療法はC型代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎に対して適応を有しており、2002年6月に欧州、2002年12月に米国でそれぞれ承認されたのをはじめ、2011年3月現在110か国以上で承認されています。
また、本申請品目は、優先審査品目に指定されております。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本併用療法の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
臨床試験成績としては、二つの国内試験の成績が提出されています。
有効性に関してですが、審査報告書8ページの表4を御覧ください。
すべてのウイルスタイプ及びウイルス量のC型代償性肝硬変患者を対象に、ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)90μg又は180μgを週1回皮下投与、リバビリンを体重に応じて600~1,000mg連日経口投与で併用し、48週間投与した国内第II/III相試験において、主要評価項目である投与終了後24週時のC型肝炎ウイルスの持続陰性化率は、それぞれ27.3%及び23.3%であり、抗ウイルス療法を実施しない観察群に対し、90μg群及び180μg群のいずれにおいても有意差が認められたことから、本併用療法の有効性は示されていると判断しました。
安全性に関してですが、審査報告書15~16ページの表12及び表13、並びに審査報告書17ページの表15を御覧ください。
表12及び表13には、国内第II/III相試験及び国内第III相一般臨床試験において認められた主な有害事象を、表15には、これらの有害事象をC型慢性肝炎患者を対象に実施した国内臨床試験における発現頻度と比較して示しています。C型代償性肝硬変患者ではC型慢性肝炎患者に比べて発現率の高い有害事象も認められていますが、C型慢性肝炎に対する本併用療法適用時に既知の事象であり、これらについて重篤な事象は認められませんでした。また、投与期間の長期化に伴って発現率が上昇するような有害事象は認められませんでした。
また、本併用療法の用法・用量について検討を行った結果、有効性については、審査報告書8ページの表4に示すとおり、ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)の90μg群及び180μg群の有効性に大きな差異は認められず、審査報告書14ページ表10に示した部分集団解析においても、180μgの方が有用と考えられる患者集団は見出せなかったこと、また、安全性については、審査報告書18ページ表16に示すように、180μg群の方が、両剤の減量、休薬に至った患者が多く認められることから、当初申請されていた180μgではなく、90μgとすることが適切であると考えました。なお、リバビリンの用量については、国内臨床試験と同様に、C型慢性肝炎における既承認の用法・用量と同一とすることが適切と考えました。
以上、機構での審査の結果、C型代償性肝硬変に対する本併用療法の有効性は認められ、安全性についてはC型慢性肝炎に対する本併用療法適用時以上に慎重な観察と用量調整を行うことで許容可能と考えられたことから、適切な注意喚起を行った上で承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本併用療法は、C型代償性肝硬変に対する効能・効果及び用法・用量を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、清水委員から、事前に、添付文書(案)の重要な基本的注意の(3)項に記載されている、定期的な血液検査の実施に関して、既承認のC型慢性肝炎における血液検査の実施状況について、御質問をいただいておりました。この点について、申請者に確認したところ、申請者は、血液学的検査の頻度について医療機関に周知しているものの、検査頻度の遵守状況の確認を目的とした情報収集は行っていないとのことでした。機構は、C型肝硬変に対する適用の拡大に際し、血液学的検査の実施頻度について、改めて資材等で分かりやすく情報提供を行うと共に、製造販売後調査において、使用実態下における検査の遵守状況に関する情報収集を行うよう指導したいと考えます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。質問に対する答えについて、清水委員いかがでしょうか。
○清水委員 特に説明の後段でありましたように、今回、市販後調査においてデータを取得することは、非常に有用なことだと思います。よろしくお願いします。
○松井部会長 ほかに、委員の先生方から、御質問等はございますか。確認ですが、ペガシスの皮下注射とリバビリンのコペガスとワンセットということですね。
○機構 はい。併用療法の結果、有効性が示されているということです。
○松井部会長 いかがでしょうか。清水委員以外に、御質問あるいは御指摘、ございませんか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤(田)委員 事前に質問し、既に答えは伺っているのですが、ペグが付くことによって、DDSの効果で、インターフェロン自体の単身での状況の頃と比べ、かなり効果が出てきているということは分かっていますが、ペグについてのside effectは無いのかという質問をしましたら、形としてこのような構造になってしまった場合は、ペグ自体の副作用の有無と投与する前にアレルギーの有無についての質問をし、お答えいただいているとのことでした。そのことから、ペグの効果が、より良くなったのだと思います。以前のインターフェロンだけではないということが分かりましたので、追加させていただきます。
○松井部会長 ほかに、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題9に移ります。議題9について、機構から概要を説明してください。○機構 審議事項議題9、資料9「医薬品ジトリペンタートカル静注1,000mg及びアエントリペンタート静注1,055mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
超ウラン元素とは、天然に存在する元素の中で最も原子番号の大きいウランよりも原子番号が大きい元素の総称であり、原子炉などで人工的に生成されます。超ウラン元素の中でも、プルトニウム、アメリシウム及びキュリウムは工業及び研究分野で比較的よく利用されており、原子力発電所の使用済み燃料にも多く含まれているため、放射線事故等における汚染原因として注意が必要な核種です。
超ウラン元素の体内動態は摂取経路によって異なりますが、吸入摂取して肺胞に到達した場合、その大部分が肺胞内に留まり、肺胞壁から緩徐に吸収され血中に移行し、最終的には主に骨や肝臓などの臓器に取り込まれます。超ウラン元素の多くは主としてα線を放出するため、体内に取り込まれた場合、内部被曝により組織の周囲の細胞を傷害し、長期的には発がんリスクが上昇すると考えられています。そのため、血液循環中にある超ウラン元素を迅速に体外に排泄させ、内部被曝線量を低減する薬剤の開発が望まれています。
ペンテト酸カルシウム三ナトリウム(以下、「Ca-DTPA」)及びペンテト酸亜鉛三ナトリウム(以下、「Zn-DTPA」)は、その内部に有するカルシウム又は亜鉛と超ウラン元素等の重金属を置換して、化学的により安定な金属錯体を形成するキレート剤です。超ウラン元素とDTPAの錯体は水溶性であり、速やかに尿中へ排泄されるため、Ca-DTPA又はZn-DTPAの投与により、体内の超ウラン元素の体外排泄が促進されると考えられています。
Ca-DTPA及びZn-DTPAは、世界保健機関により、放射線事故等に備え備蓄すべき薬剤としてリストアップされており、本邦でも2008年10月に、原子力安全委員会による報告書「緊急被ばく医療のあり方について」に、超ウラン元素による体内汚染に対する薬剤として追記されました。2009年8月には、日本医学放射線学会及び日本核医学会より「医療上の必要性が高い未承認の医薬品又は適応の開発の要望に関する意見募集について」に基づき、厚生労働省に放射性物質による体内汚染の除去剤の早期承認に関する要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受けて、2010年5月に申請者に対しCa-DTPA及びZn-DTPAの開発要請が行われております。
以上の状況を踏まえ、申請者は、米国におけるCa-DTPA及びZn-DTPA製剤承認時の審査資料等を基に、両製剤の超ウラン元素による体内汚染除去剤としての品質、有効性及び安全性に係る根拠資料をまとめ、今般の承認申請に至りました。
Ca-DTPA及びZn-DTPAはドイツにおいて40年以上販売されており、欧州統合によるドイツ医薬品法令の改正に伴い、Ca-DTPA製剤は2005年4月、Zn-DTPA製剤は2003年11月に欧州販売承認を取得しています。また、米国では2004年8月に承認されています。
なお、本申請については、保健衛生上特に審査及び調査を迅速に進める必要性が高いと判断され、厚生労働省から迅速処理に係る通知が発出されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示します専門委員が指名されております。
機構は、本申請の効能・効果に対し、有効性及び安全性を評価するための臨床試験を行うことは事実上不可能であることから、Ca-DTPA及びZn-DTPAの使用経験等に関する公表論文等の資料を基に審査を行うこととしました。また、災害時に緊急的に使用される可能性がある本品目の特殊性を考慮し、申請時の投与経路である静脈内投与に加えて吸入投与時の有効性及び安全性も含めて検討することとしました。以下、本品目の有効性及び安全性について、説明させていただきます。
有効性に関してですが、審査報告書35ページの表5及び表6、並びに審査報告書41ページの(2)有効性についての項を御覧ください。
表5及び表6には、米国内でのCa-DTPA及びZn-DTPAの42年間の使用実績における685例のデータ(以下、「REACデータ」)のうち、有効性の評価対象とした18例におけるCa-DTPA又はZn-DTPA投与前後の尿中放射能の比率を示しています。当該情報、並びに各公表論文を踏まえ、各放射性核種に対するCa-DTPA及びZn-DTPAの有効性を投与経路ごとに検討した結果、Ca-DTPA又はZn-DTPA投与後に放射能の尿中排泄量が増加していることから、超ウラン元素(Pu、Am、Cm)による体内汚染の軽減に関するCa-DTPA及びZn-DTPAの有効性は期待できると判断いたしました。
安全性に関してですが、審査報告書の43~46ページを御覧ください。
提出された資料から得られる安全性情報は限られており、十分な検討は困難と考えますが、REACデータにおいて重篤な有害事象として報告されている呼吸窮迫、アナフィラキシー反応、Ca-DTPA投与による亜鉛欠乏の可能性、Zn-DTPA投与による低カルシウム血症又は心血管系へ影響を及ぼす可能性、並びにCa-DTPA又はZn-DTPA投与による腎障害の可能性について特に注意喚起が必要であると考えました。これらの適切な注意喚起及び情報提供に基づいて使用する限り、安全性に関しては許容可能と考えました。
以上のような機構での審査の結果、Ca-DTPA及びZn-DTPAの有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
本薬は新有効成分含有医薬品に該当することから再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。
なお、本薬の国内での臨床使用経験はなく、海外においても非常に限られていることから、本薬が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施する旨の承認条件を付すことが適切であると判断いたしました。御審議のほど、お願いいたします。
なお、加藤委員から、添付文書の「その他の注意」における排泄物の取扱いに関連して、現在の本邦の状況を踏まえ、審査報告書40ページに記載されている被曝医療専門施設以外でも本剤が使用される可能性があるのかどうか、あるのであれば、その他の注意で記載されている排泄物の処理に関して適切な体制が整っていない医療機関での使用も想定されるので、添付文書の前段に明記した方が良いのではないか、との御質問をいただいております。また、同様に清水委員から、排泄物の取扱いに関する具体的な情報提供が必要と考えるが、検討されているのか、との御質問をいただいております。
この点に関しまして、具体的な情報提供については、本剤を使用した治療に関する資材の中で、放射線汚染に関する項を設けて、医療従事者及び清掃業者、介護者等、その他関係者の被曝を防ぐための注意事項を具体的に記載し、現場に情報提供する予定であります。また、添付文書における記載につきましては、昨年承認された放射性セシウム除去剤のラディオガルダーゼでも同様にその他の注意の項で排泄物の処理に関して記載し、具体的な内容は資材を用いて情報提供する手段をとっているため、本剤についても同様の対応をとることが適切かと考えております。なお、本薬の効能の対象であるPu、Am及びCmはα崩壊を起こす粒子ですので、排泄物からの放射能の検出はγ線源であるCsに比べると非常に低いレベルとなります。したがって、排泄物からの放射線外部被曝の懸念は大きくはなく、内部被曝の原因とならないように取り扱うことが重要と考えます。その点からも、ラディオガルダーゼの場合と同様に取扱うことで問題は無いと判断しています。
また、加藤委員から、もう1点、審査報告書10ページの表3でDTPAはIII価の鉄に対しても高いキレート安定度定数を示しているが、臨床使用時に鉄欠乏が生じる可能性はないのか、との御質問をいただいております。この点に関しましては、理論的には鉄をキレートし排泄させる可能性が考えられますが、提出されているデータからは鉄欠乏に関連する事象は認められていないこと、また、ヘム鉄等の状態で大量に体内に貯蔵されていることから、通常の食事を摂っている限り、鉄への影響については臨床上大きな問題にはならないと考えています。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。加藤委員と清水委員から御質問が出ておりますが、まず加藤委員、今の回答はいかがでしょうか。
○加藤委員 ただいまの御説明で納得しました。
○松井部会長 続いて、清水委員はいかがですか。
○清水委員 先ほどの説明でよろしいと思います。
○松井部会長 ほかに、御質疑はございますでしょうか。
○佐藤(田)委員 先ほどの清水委員からの御質問にあったかもしれませんが、もう既に備蓄されているということですね。これは特殊な所で備蓄する薬剤なのでしょうか。
○審査管理課長 実際には、原子炉の事故の直後の作業員の方くらいしか想定されないのではないかと思っております。
○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。
○宗林委員 事情は分かりましたが、これが実際に使われる時は、差し迫った状況で、差し迫った範囲の所で、限定的に備蓄されたり使用されるものという位置付けですね。
○審査管理課長 はい。実際にはそうだと思います。例えば、プルトニウムか否かが分かる所で、コントロールして投与し、使っていただくことになると思いますので、そういう所だと思います。プルトニウムを計るというのは、中々技術的に難しいのではないかと思います。α線としては計れますが、核種を確認することは少し難しいと思います。
○宗林委員 カルシウムのキレート剤と亜鉛の両方があり、カルシウムが第一選択と明確に書かれているように思えますが、この辺はいかがでしょうか。
○機構 機構より御説明します。カルシウムと亜鉛のDTPA製剤の選択に関しては、審査報告書の51ページの4)に記載しております。カルシウムとDTPAのキレート安定度定数の方が低いということもありまして、その置換、有効性の効果の大きさは、Ca-DTPAの方が高いのではないかということが言われております。実際、ガイドライン等でもそのように、第一選択とすべきではないかと言及されております。
ただ、それぞれの製剤にそれぞれのメリット、デメリットがございますので、実際に使用される際には、現場での患者さんの状況、汚染状況等を踏まえて、医療現場で判断されるべきだと考えております。
○宗林委員 この亜鉛のキレート剤がどの場面で使われるのか、私もざっくりとしか読めなかったのですが、有効性、特徴があって亜鉛を選択するという場面は、この中ではどんなことを指しているのか、少し教えていただけますか。
○機構 機構より御説明します。Zn-DTPA製剤の方につきましては、カルシウムに比べますと、若干有効性は劣る傾向にはありますが、一方、Ca-DTPA製剤につきましては、安全性の観点で問題もあり、体内の亜鉛を排泄していくということで、亜鉛欠乏に至る可能性があります。
また、先ほども申し上げましたが、実際にそういった観点でそれぞれCa-DTPA製剤とZn-DTPA製剤に特徴がございます。Ca-DTPA製剤ですと非臨床毒性試験で、催奇形性が認められていますので、妊婦さんへの使用については原則禁忌という形で設定しており、そのような意味では、やはりZn-DTPAの製剤についても必要性があると考えております。
○松井部会長 亜鉛が欠乏するような場合、それを補充することによって効果があると考えてよろしいですか。
○機構 機構より御説明します。Ca-DTPA製剤を投与することで亜鉛が欠乏することはよく知られておりますので、実際に亜鉛を補充する必要があるだろうと考えられております。
実際に添付文書においても、ジトリペンタートカル静注の方の添付文書の重要な基本的注意の(2)の所に、「亜鉛等の金属欠乏をおこすことがあるため、血中濃度の推移を注意深くモニタリングし、必要に応じて亜鉛等の補充を考慮すること」と注意喚起しております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意義が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「ルフィナミドを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
医薬品医療機器総合機構が事前評価をとりまとめておりますので、この報告書に沿って、希少疾病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、この3点について御説明申し上げます。
本剤の予定される効能・効果はLennox-Gastaut症候群(4歳以上)における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法です。申請者はエーザイ株式会社です。
まず、対象患者数について説明します。小児慢性特定疾患治療研究事業に登録されました患者は、2007年までの累計で461人と報告されています。また、平成11年に岡山県で実施された調査結果から、本邦における推定患者数を推定したところ、約3,600人とされました。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定要件でございます5万人未満を満たすものと判断しております。
次に医療上の必要性について御説明します。Lennox-Gastaut症候群は小児期に発症する脳波・臨床症候群と位置付けられる重篤なてんかん症候群の一つであり、13~27年の追跡調査での死亡率が17%と報告されるなど、長期予後が極めて不良な疾患です。
治療法としましては、本邦においてもラモトリギンなどの薬物療法が行われておりますが、こういった既存薬では十分に発作が抑制されない患者が存在すると考えられること、他剤無効例に関して本剤が奏功したとの報告が認められることなどから、本剤の有効性及び安全性が確認できれば、この分野における医療上の必要性はあるものと判断しております。
最後に、本剤の開発の可能性についてですが、本邦において20□年□月より臨床試験を実施中です。このことから開発の可能性はあると判断しております。
以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。おっしゃられていたので繰り返す必要はないと思いますが、Lennox-Gastaut症候群は発作がなかなかコントロールできないことのほかに、発作を起こす度に発達の遅れがどんどん目立っていくという大変重篤な年齢依存性のある、三つの難治性のてんかんのうちの一つです。
いかがでしょうか。御意見は、ございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。
なお、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料11「医薬品デパケン錠100、同錠200、同細粒20%、同細粒40%、同R錠100、同R錠200及び同シロップ5%の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、脳内のGABA神経系の伝達に促進的に作用するバルプロ酸ナトリウムを有効成分とし、「各種てんかん及びてんかんに伴う性格行動障害の治療」、「躁病及び躁うつ病の躁状態の治療」の効能・効果で承認されております。
本剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年10月29日に開催された本部会における事前評価結果を踏まえて、協和発酵キリン株式会社から、「片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料12「医薬品セレニカR顆粒40%、同R錠200mg及び同R錠400mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、議題1で報告いたしましたデパケン錠等の製剤と同様、バルプロ酸ナトリウムを有効成分とする製剤であり、デパケン錠等と同様に先発医薬品として「各種てんかん及びてんかんに伴う性格行動障害の治療」、「躁病及び躁うつ病の躁状態の治療」の効能・効果で承認されております。
デパケン錠等における、公知申請の該当性に係る報告書及び本部会における事前評価を踏まえ、興和株式会社より、デパケン錠等と同様、「片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。
○事務局 報告事項議題3、資料13「優先審査指定品目の審査結果について(ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL、同皮下注用100μg/0.5mL、同皮下注用150μg/0.5mL及びレベトールカプセル200mg)」について報告いたします。
申請者MSD株式会社より、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を申請効能として申請が行われ、本年5月16日をもちまして優先審査品目の指定を行っています。なお、本日、類薬について御審議をいただいておりますが、この優先審査指定の時点におきましては、既存薬としては無かったということになっています。
適応疾病の重篤性ですが、C型代償性肝硬変ですので、生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断しています。また、医療上の有用性について、既存の治療法はインターフェロンβ製剤、インターフェロンα製剤等がありますが、C型代償性肝硬変の中でも一部についてのみ効能・効果とされていたということ、それから、臨床試験の結果からHCV-RNAの陰性化率を見ましても、本剤の有効性が高いということが期待されるということ、それから、本剤については週1回皮下投与ですので、既存製剤、連日投与のものに比べて肉体的・精神的な患者負担の軽減が期待されるということです。以上から医療上の有用性に該当するという判断をいたしまして、本併用療法を優先審査品目として指定しております。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。特にございませんか。
それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告事項はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、7月29日(金)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、今日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。
(了)
本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、古川委員、村田委員より御欠席との御連絡をいただいております。
永井委員におかれましては、まもなくお見えになられると思います。
現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。
このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
また、当日配付資料として資料1-2「審査報告書の正誤表」を配付しています。
続きまして、本日の審議事項に関する資料16「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。ベタニスですが、本品目は過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。ホストインですが、本品目はてんかん重積状態等を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。コアベータですが、本品目はコンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善を効能・効果としております。同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている医薬品又は開発中の医薬品は存在しないことから、競合品目はなしとされております。
4ページを御覧ください。ラミクタールですが、本品目は双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。トラゼンタですが、本品目は2型糖尿病を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し、同様の位置付けにある薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。リカルボン、ボノテオですが、本品目は骨粗鬆症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページを御覧ください。ガバペンですが、本品目は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果としており、同様の効能・効果を有し、小児に対する適応を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8~9ページを御覧ください。ペガシス、コペガスですが、本品目はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページを御覧ください。ジトリペンタートカル、アエントリペンタートですが、本品目は超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染の軽減を効能・効果としております。同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている医薬品又は開発中の医薬品は存在しないことから、競合品目はなしとしております。
11ページを御覧ください。ルフィナミドですが、本品目はLennox-Gastaut症候群(4歳以上)における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。
それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
議題1「ベタニス」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、本橋委員です。
議題2「ホストイン」ですが、退室委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。
議題3「コアベータ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員です。
議題4「ラミクタール」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員、松木委員、本橋委員、山田委員です。
議題5「トラゼンタ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、野田委員、山田委員です。
議題6「リカルボン、ボノテオ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、本橋委員です。
議題7「ガバペン」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、松木委員、本橋委員です。
議題8「ペガシス、コペガス」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、林委員です。
議題9「ジトリペンタートカル、アエントリペンタート」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
議題10「ルフィナミド」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、松木委員、本橋委員です。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項は10議題、報告事項が3議題となっています。
それでは、議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ベタニス錠25mg及び同錠50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
まず、審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるミラベグロンは、アステラス製薬株式会社が創製した、選択的β3アドレナリン受容体作動薬であり、β3アドレナリン受容体を介した膀胱平滑筋の弛緩作用によって頻尿、尿意切迫感及び切迫性尿失禁等の過活動膀胱(以下、「OAB」)の症状を改善すると考えられています。
本剤は、2011年6月現在、海外のいずれの国及び地域でも承認されていませんが、臨床開発状況として、米国、欧州諸国(イギリス、ドイツ、フランス等)では第III相試験及び長期投与試験が終了し、アジア諸国(韓国、中国、台湾等)においては第III相試験を実施中です。
今般、過活動膀胱患者を対象として実施された国内臨床試験成績及び海外臨床試験成績に基づき新有効成分含有医薬品として承認申請がなされたものです。
本剤の審査に関しまして、専門委員として、資料15に記載されております委員が指名されました。
本剤の臨床試験成績に関する審査の概略について、説明させていただきます。
有効性について、審査報告書62~63ページを御覧ください。
国内第II相試験(CL-045試験)は、無作為化二重盲検並行群間比較試験として、プラセボを対照とし、本剤25mg、50mg及び100mgの12週間投与における有効性及び用量反応性の確認を目的に実施されました。その結果、63ページの上の表に示されているとおり、主要評価項目である平均排尿回数の変化量に関して、すべての本剤群において、プラセボ群と比較して改善が認められ、本剤の各用量群とプラセボ群との間に有意差が認められました。本試験成績及び海外臨床試験成績も参考に50mgが国内第III相試験の用量として選択されました。
次に審査報告書64ページを御覧ください。国内第III相試験(CL-048試験)は、無作為化二重盲検並行群間比較試験として、プラセボを対照、トルテロジン4mgを参照群として、本剤50mgの12週間投与における有効性が検討されました。その結果、65ページの上の表に示されているとおり、主要評価項目である平均排尿回数の変化量は、プラセボ群-0.86、本剤50mg群-1.67であり、本剤50mg群はプラセボ群と比較し有意な改善が認められました。また同65ページの中央の表に示されているとおり、副次評価項目とされた平均尿意切迫感回数、平均尿失禁回数及び平均切迫性尿失禁回数のいずれの変化量に関しても、本剤50mg群においてプラセボ群と比較して有意な改善が認められました。また、参照群とされたトルテロジン4mgと本剤50mg群の間で有効性について大きく異なる傾向は示唆されませんでした。なお、67ページの下の表に示されているとおり、国内長期投与試験(CL-051試験)において、本剤50mg群の長期投与時の有効性は減弱しない結果が示されました。
以上の国内臨床試験の結果から、機構は、本剤50mgのOABに対する有効性は検証され、日本人OAB患者に対する本剤50mg群の有効性は期待できるものと判断しました。
安全性について、審査報告書66ページの上の表を御覧ください。国内第III相試験(CL-048試験)の治療期の主な有害事象の発現率は、プラセボ群77.0%(292/379例)、本剤50mg群74.1%(281/379例)、トルテロジン群81.3%(305/375例)と、本剤50mg群の発現率はプラセボ群及びトルテロジン群と同程度でした。本剤50mg群で発現率が10%以上であった有害事象は、血中ブドウ糖増加(19.5%)、尿沈渣異常(14.2%)、鼻咽頭炎(13.2%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(12.9%)等でした。これらの事象はプラセボ群でも同程度の発現率を示しており、本剤投与例とプラセボ群の間で差は認められませんでした。また、84ページに記載されておりますように、国内で実施された第II相試験、第III相試験及び長期投与試験の3試験(CL-045、CL-048及びCL-051試験)において、本剤群で発現した重篤な有害事象は全15例でしたが、本剤の臨床用量で認められた治験薬との関連性が否定できない重篤な有害事象は、本剤25mg群の脳出血のみでした。また、欧州第III相試験(CL-046試験)及び米国第III相試験(CL-047試験)における重篤な有害事象の発現状況を踏まえても、特定の重篤な有害事象が発現する傾向は認められませんでした。以上の臨床試験における有害事象の発現状況から、本剤により特定の有害事象が特に高く発現する傾向は認められず、長期投与により懸念される有害事象も特段認められていないことから、本剤の忍容性は認められると考えています。
ただし、本剤の非臨床試験及び海外臨床試験から示唆される、心血管系への影響、眼に対する影響、腫瘍の発現、生殖器への影響等のリスクには特に注意すべきと考え、それらのリスクに関する注意喚起及び製造販売後調査の内容について、泌尿器専門委員のみならず、循環器、眼科、毒性、薬物動態の各分野の専門委員も招聘した専門協議において慎重に議論しました。審査報告書100ページの心血管系へのリスクについての項を御覧ください。QT延長及び催不整脈リスクについては、非臨床試験成績、海外QT/QTc評価試験の結果を踏まえ、審査報告書101ページ21行目から箇条書きで記載しておりますとおり、抗不整脈薬を投与中の患者を含むQT延長症候群患者、重度の徐脈等の不整脈、急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者、低カリウム血症のある患者を慎重投与とすること、重要な基本的注意の項に心電図検査の対象となる患者について明記した上で注意喚起することとしました。また、QT延長及び催不整脈以外の心血管系リスクについては、審査報告書102ページの5行目以降に記載しておりますとおり、重篤な心疾患を有する患者を禁忌とし、カテコールアミン製剤の併用注意としました。次に、103ページの眼に対する影響の項を御覧ください。海外試験で、緑内障の発現が認められたことを踏まえ、緑内障患者を慎重投与とし、緑内障患者に本剤を投与する場合は、定期的な眼科的診察を行うこととしました。腫瘍発現については、製造販売後調査において、国内外の研究報告等の情報を今後も引き続き情報収集する必要があると判断し、製造販売後調査において情報収集することとなりました。次に、審査報告書104~105ページの非臨床試験成績から考えられる本剤のリスクの項を御覧ください。非臨床試験で認められた生殖器への影響について、「警告」の項において、非臨床試験で見られた生殖器に関する所見を記載すると共に、生殖期年齢の患者への投与は避けるべき旨明確に記載し注意喚起することとしました。また、胎児及び出生児への影響については、妊婦及び妊娠している可能性のある婦人を禁忌とし、使用上の注意の項にも注意喚起することとしました。さらに、本剤の乳汁中分泌について、授乳婦を禁忌とし、使用上の注意の項にも注意喚起することとしました。
効能・効果について、審査報告書94ページの(4)効能・効果についての項を御覧ください。国内第III相試験であるCL-048試験において、本剤50mgは、平均排尿回数、尿意切迫感回数、及び切迫性尿失禁回数いずれにおいても有効性を示す結果が得られたことから、本剤の効能・効果を「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」とすることは妥当と判断しました。
用法・用量について、審査報告書94ページの(5)用法・用量についての項を御覧ください。申請時用法・用量は、1日最高投与量として100mgが設定されていましたが、96ページの上から3行目以降に記載しておりますとおり、臨床試験成績から本剤を100mgに増量する臨床的意義は示されておらず、増量効果が明確でない一方でリスクが増大しうる可能性がある100mgを増量時の用量として設定することは妥当でないと判断し、申請者に再検討を求めたところ、申請者は本剤の用法・用量から100mgを削除する旨回答しました。この判断は専門協議でも全委員に支持されたことから、本剤の用法・用量について「通常、成人にはミラベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。」とすることは妥当と判断しました。
108ページの製造販売後についての項を御覧ください。本剤の安全性に関するリスクにつきましての製造販売後の対応として、申請者より、目標症例数10,000例、観察期間12週、調査期間を3年間とする製造販売後調査計画の骨子案が提出されていますが、現在、製造販売後の安全性監視計画、及び安全性の課題に対する行動計画について、再度詳細に検討するよう申請者に求めているところです。また、承認後の安全性に関する情報収集と有害事象発現に対する適切な対応を求めると共に、適正使用に係る注意喚起や安全性情報の医療現場への情報提供についても検討していく予定です。なお、107ページの本剤と抗コリン薬との併用に関しては、製造販売後臨床試験を実施する予定であり、当該製造販売後臨床試験計画の詳細について今後検討する予定です。
以上のような検討を行った結果、本剤の安全性に関する注意喚起を徹底すると共に、製造販売後の安全性対策を適切に講じることで、本剤を「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが妥当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
なお、本日資料1-2として正誤表をお配りさせていただきましたが、審査報告書2ページ、94ページ及び106ページに記載いたしました、効能・効果につきましては、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁」と記載されていますが、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」と修正させていただきます。申し訳ございませんでした。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○山田委員 添付文書(案)についてお伺いしますが、この薬剤と従来使われている抗コリン剤とを比較して、尿閉に関する危険性が少ないことは証明されていないということが、94ページの審査報告書に記載されています。一方、従来の抗コリン剤の添付文書には、尿閉に関する注意喚起が沢山記載されていますが、このβ3化合物の添付文書(案)には、尿閉に関する注意喚起が全く無いようです。これで、良いのでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。抗コリン薬の場合、作用的にと申しますか、尿閉や下部に尿路疾患を有する患者さんに対する尿閉のリスクがありますので、添付文書に注意喚起をさせていただいております。前立腺肥大症を伴う患者さんへの投与及び尿閉のリスクを有するような患者さんへの投与について、明確なデータではありませんが、臨床試験として実施された尿流動態試験の結果、余り尿流動態に影響を与えないという結果が得られており、β3の膀胱平滑筋弛緩作用ということを考えても、尿閉のリスクは抗コリン薬に比べて低いと判断しております。それを踏まえて、添付文書の記載整備をしておりますが、尿閉のリスクについては許容できるものと考えております。
○松井部会長 添付文書には、余り表示させていないということですか。
○機構 ただし、限られた症例数の中での検討ですので、今後、市販後臨床試験や市販後の製造販売後調査を通して、そちらのリスクについても検討していければと考えております。
○松井部会長 山田委員、いかがでしょうか。
○山田委員 94ページに、機構としては、そのようなことが証明されていないと判断するといったような記載があったので少し気になりました。引き続き検討するということであれば、それでも良いと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木委員 示されたデータと直接関係しないのですが、アドレナリンのβ3となると、どうしても脂肪代謝や脂質代謝、肥満の関与を考えますが、特に肥満ではβ3受容体のアレルが存在していることがあります。この場合のβ3受容体に対しては、レスポンダー、ノンレスポンダーがいるということ、あるいはこれが何らかの理由で肥満の方に誤用される、又は乱用されるといった懸念はありますか。
○機構 機構より答えさせていただきます。β3については、御指摘があったとおり脂質代謝、糖代謝に関与することが知られており、本薬についても、欧州において抗肥満薬として開発されていたという過去があります。その結果、β3のアレルや遺伝的な検討はまだなされていないのですが、安全性の観点から申しますと、特段、糖代謝、脂質代謝による低血糖等のリスクは、無いのではないかと思います。血糖の推移及びHbA1cの推移についても、コントロール不良の糖尿病患者を対象として、欧州で行われた探索的な試験において、特段HbA1c及び空腹時血糖についての影響は認められないという結果が得られております。β3で知られている抗肥満作用、糖代謝に対する影響、脂質代謝に対する影響について、試験成績からはリスクとして認められていないということになろうかと思います。
○松井部会長 今の御質問には、肥満との関係は明らかではないのかという内容も含まれていたと思います。そのような御質問もありましたね。よろしいでしょうか。
○松木委員 今の説明で納得できました。抗肥満作用が余り見られないということであれば良いのですが、何らかの理由による肥満の方の誤用等は、余り懸念しなくても良いということでしょうか。
○機構 抗肥満作用については、「明確に認められていない」という過去の検討結果もあります。糖代謝及び脂質代謝に対する影響については、今後も調査の中で確認できればと考えております。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。
○宗林委員 こちらは失禁を伴わずにも、頻尿等、切迫性のものの感触がある方には使えるということになっていると思います。そうすると、ベースが11回だった排尿が減るということになりますが、実際に高齢の女性などの頻尿感や先ほど800万人強と書いてありましたが、非常に沢山の方にその症状があると思います。実際は、どのぐらいで本剤を投与するのでしょうか。というのは、高齢で頻尿になって、夜中も起きてトイレへ行く方などは、重篤な心疾患とまではいかなくても、心肥大が少しあったり、登ると苦しいなどという方も増えてくると思います。そういった意味で、安全性と有効性の中で、これがどのような場面で、どのように有効に活用されるのか、少し教えていただけないでしょうか。
○機構 本剤の投与対象としては、過活動膀胱の患者さんを対象としており、過活動膀胱については尿意切迫感を必須とする症状の症候群です。一般的にそのような排尿に対する問題を抱えていらっしゃる尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁等の症状を有する方に対して使用される薬剤であると考えております。今のところ過活動膀胱に対する治療薬として抗コリン薬がありますが、抗コリン薬の場合は、どうしても薬理作用の面から口渇、便秘などがかなりの頻度で起きて、過活動膀胱患者さんが服用を継続できない何割かの患者さんは、継続できない状況にあるということです。本剤については、β3という新規の作用機序を有する薬剤で、抗コリン薬に比べると口渇、便秘などの有害事象が少ないという結果が試験成績でも得られております。
そのような投与対象について、このものの心血管系へのリスクをどう考えるかということかと思いますが、抗コリン薬についても心血管系に対するリスクは有しており、頻脈等の有害事象も認められております。このものについては、QT延長作用等も認められておりますが、適切な患者さんに投与することで安全性は確保されるものと考えております。現時点において製造販売後にどのような患者さんを対象として販売していくかということも含めた、安全性対策の計画のプランを検討している段階です。一般的な過活動膀胱患者さんに投与される薬ではありますが、何分、新規作用機序を有するというところで、慎重に今後の販売を通して、安全性情報を鋭敏にピックアップできるような計画として、承認後は販売計画も含め、製造販売後調査をいたしてまいりたいと思っています。
○宗林委員 例えば、「頻尿で困る」と言って内科に行っても貰えるのか、それとも、「10回ですか」、「12回ですか」と確認して、きちんと管理された上で投与されるのかということも、少し気になります。
それから、添付文書(案)の3ページに、有害事象発現率が93.6%とありますが、これだけ有害事象が出るのですか。
○機構 有害事象については、プラセボ群が設定されており、プラセボ群の結果と比較して特段高い値であるとは考えておりません。出ている有害事象の内容も、まだ限られた成績ではあるのですが、特に重篤な有害事象は、まだ認められていないと考えております。
○機構 あと、何回以上排尿を感じたらというのは、試験では24時間当たりに平均排尿回数が8回以上ある患者を対象にしておりますので、一応その辺が目安になるかとは思います。QOLの改善薬ですので、その人のQuality of lifeの質を上げるという意味で、患者の状態によって、もう少し少なくても治療が必要になるとか、そのようなところは先生と御相談してということになるかと思っております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ホストイン静注750mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるホスフェニトインナトリウム水和物は、フェニトインのプロドラッグであり、生体内で加水分解されてフェニトインとなり、薬理作用を発揮すると考えられ、既承認のフェニトインナトリウム注射剤と比較して原薬の水溶性が高く、生理食塩水等により溶解した場合にpH8程度の溶液となることから、注射部位での組織傷害性を軽減すると考えられています。海外では1996年8月に米国で承認されて以来、2011年1月現在、米国及び英国等24の国又は地域で承認されています。本邦においては、2008年8月より臨床試験が開始され、今般、てんかん重積状態、脳外科手術又は意識障害時のてんかん発作の発現抑制に対する有効性及び安全性が確認され、フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法における海外での試験成績を踏まえ有効性及び安全性は示されていると考えられたことから製造販売承認申請が行われました。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております7名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書33ページの表を御覧ください。国内第III相試験において、有効性評価項目であるてんかん重積状態等のてんかん発作治療例における本剤初回投与日前後、本剤投与前後2日間のてんかん発作頻度の変化において、発作消失は、それぞれ48.0%(12/25例)、38.5%(10/26例)でした。また、審査報告書の42ページの下から12行目を御覧ください。脳外科手術又は意識障害時のてんかん発作の発現抑制に用いられた21例のうち、初回投与前7日間にてんかん発作の発現が認められなかった症例が15例で、初回投与前にてんかん発作が発現した6例では、4例で発作消失、2例で発作回数の減少が認められています。
次に、安全性についてですが、審査報告書53ページの上の表を御覧ください。国内外臨床試験における本剤又はフェニトインナトリウム注射剤での有害事象では、国内臨床試験の評価例数が少数であり十分な検討はできていないものの、海外臨床試験での成績を踏まえると、本剤ではそう痒症が多く、フェニトインナトリウム注射剤では注射部位有害事象が多く認められていますが、そのほかに認められた事象は本剤とフェニトインナトリウム注射剤でほぼ同様でした。また、審査報告書54ページの下の表を御覧ください。国内外臨床試験における17歳未満の小児及び17歳以上の成人で区分した時の有害事象の発現状況を比較しており、国内臨床試験で検討された症例数は少数例ですが、海外臨床試験成績も踏まえると、小児と成人で大きな差異はないと考えております。また、審査報告書55ページの表を御覧ください。国内外臨床試験における小児の年齢別の有害事象の発現状況は、国内外共に神経系障害が多く認められていますが、各年齢区分での発現状況に国内外で大きな差異はないと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤のてんかん重積状態、脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制及びフェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、清水委員より事前に御質問をいただいておりますので、御説明させていただきます。添付文書の適用上の注意の調整方法において、種々の輸液に対し希釈した時の安定性を例示しておりますが、その希釈の倍数について、現在提示している5又は30倍の意図するところについて御質問がありました。本剤はフェニトインのプロドラッグであり、従来のフェニトインでは取扱い上の注意の項において他剤との配合はできないと記載されていることを踏まえ、本剤においては希釈時の安定性を記載させていただきました。実際の臨床現場では、製剤を原液のまま使用した場合には容量が少ないことから、ある程度希釈する必要があると考えられ、臨床試験では約4倍に希釈して投与されていることから、ほぼ同様の希釈濃度である5倍に希釈した時の安定性について検討されたものです。なお、5倍希釈時の投与量、投与速度等については、医師向けの教育資材等で提示させていただいております。また、30倍希釈時の安定性試験については、より過酷な希釈条件でも安定であったことを説明するために試験が実施されており、その結果を記載させていただきました。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。清水委員、今の希釈についての説明は、よろしかったでしょうか。
○清水委員 今の説明で理解はできたのですが、調製方法の中に安定性として30倍でも安定であったということを書く位置について、5倍の方は実際に臨床試験も4倍で行われており、5倍の安定性を調製方法の中に記載することは妥当であると思います。しかし、苛酷試験で行った30倍のデータをそこに記載すると、30倍の希釈で使うこともあるのかと思われてしまいます。実際に重積発作の時に使うので、余り量を増やすと速やかに投与できません。そのような使い方は、あり得ないとは思いますが、少し記載する位置を検討していただいた方が良いかもしれないと思い、質問をさせていただきましたが、今の回答で理解いたしました。
○佐藤(田)委員 使用方法というか、適用によって違ってくると思いますが、この薬剤の使い方が一次的な代替療法ということで、重積てんかんを抑えるというところですが、見方とすると、こちらは頓用的に使うものなのでしょうか。例えば、1週間ぐらい使うものなのか、それとも1回、2回で済むものなのか、基本的なことを教えてください。
○機構 機構より説明させていただきます。本剤の使用としては、最大で1週間程度が想定されるということです。例えば、てんかん患者におけるオペをされるという場合などに、一時的に薬で維持するような感じです。経口投与が可能になりましたら、経口投与に切り替えていただくということを前提にしておりますので、最大でもそのぐらいと考えております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本義題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品コアベータ静注用12.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるランジオロール塩酸塩は、小野薬品工業株式会社により開発された短時間作用型β1遮断薬であり、心臓の交感神経系におけるカテコールアミンの作用に拮抗することにより心拍数を低下させます。本邦では有効成分が本剤と同じくランジオロール塩酸塩である「注射用オノアクト50」が、手術時、及び手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置に使用される薬剤として既に承認されております。
一方、海外では、ランジオロール塩酸塩の発売、承認取得、承認申請のいずれについても行われておりません。
本申請における申請時効能・効果は、「コンピューター断層撮影による冠動脈造影における冠動脈描出能の改善」(以下、コンピューター断層撮影による冠道脈造影を冠動脈CTと略します)です。冠動脈CTでは、撮像時の心拍数が高いと冠動脈狭窄の程度が診断可能な画像を得にくくなるため、本剤は、良好な冠動脈CT画像を得るために一時的に心拍数を低減させる必要がある場合に使用する薬剤として開発され、ランジオロール塩酸塩の充填量が「注射用オノアクト50」より少ない製剤が、異なる販売名で申請されました。
本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料15に記載されております委員が指名されました。
審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
本剤の臨床試験では、虚血性心疾患が疑われ冠動脈CTを施行される患者を対象として、本剤を1分間で静脈内投与した後の冠動脈描出能が評価されました。対象患者の検査室入室時の心拍数の組入れ基準は、1分間当たり70回以上90回以下とされました。審査報告書17ページ、表2を御覧ください。前期第II相試験では、本剤0.125、0.25及び0.5mg/kgの3用量が検討されました。冠動脈描出能は1~3の3段階で評価されました。そのうち、2と3が冠動脈狭窄の程度が診断可能な冠動脈描出能であったことを示します。ここには、解析単位として、セグメント毎、冠動脈毎、症例毎にそれぞれ集計された結果を示してあります。症例毎の集計で、冠動脈狭窄の程度が診断可能な冠動脈描出能であると評価された描出能2と3症例の割合は、3用量で同程度で、0.125mg/kgより高い用量での本薬の投与は冠動脈描出能の改善に寄与しないと考えられました。
そこで、後期第II相試験では、本剤の用量として0.125mg/kgとさらに低用量の0.06mg/kgが設定されました。審査報告書20ページ、表3を御覧ください。一番左の解析単位が症例毎と記載されておりますカラムにありますように、冠動脈描出能2と3と評価された症例の割合は、0.06mg/kg群及び0.125mg/kg群は共にプラセボ群より高く、さらに、0.125mg/kg群は0.06mg/kg群を上回りました。なお、後期第II相試験では、冠動脈狭窄検査のゴールドスタンダードである冠動脈造影も実施され、本剤は、冠動脈CTにおける陰性的中率に影響を与えないことが示されました。
これらの第II相試験の結果を踏まえ、第III相試験では、本剤0.125mg/kgを1分間で静脈内投与した後の冠動脈描出能をプラセボと比較する二重盲検試験が実施されました。審査報告書24ページ、表5を御覧ください。主要評価項目とされた症例ごとの冠動脈狭窄の程度が診断可能な症例の割合は、プラセボ群38.2%(42/110例)本剤群68.2%(75/110例)であり、プラセボ群と本剤群の間に有意差が認められました。有害事象の発現割合は、審査報告書25ページに記載してありますように、本剤群9.3%(23/129例)、プラセボ群3.1%(4/127例)でしたが、重篤な有害事象は認められませんでした。また、薬理作用に起因すると考えられる有害事象としては、軽度の血圧低下がプラセボ群、本剤群で各1例認められましたが、いずれも無処置で発現2分後及び1分後に消失しており、その他、β1遮断薬で懸念される過度の血圧低下や徐脈は認められませんでした。
以上の臨床試験成績から、冠動脈CT撮像前に心拍数が高い患者に本剤を投与することにより、冠動脈狭窄の程度が診断可能な症例割合を増加させることが示されたことから、より侵襲的な冠動脈造影検査が必要となる患者を減らすことが期待でき、冠動脈CTの前処置に用いる薬剤として臨床現場に提供する意義はあるものと判断いたしました。
審査報告書40ページを御覧ください。効能・効果では、本剤の投与対象が心拍数の高い患者であることを明確に規定すべきと判断し、「コンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善」が妥当と判断いたしました。また、用法・用量は、前期第II相試験及び後期第II相試験成績より設定された第III相試験の用法・用量と同じ「ランジオロール塩酸塩として、1回0.125mg/kgを1分間で静脈内投与する。」とすることが妥当と判断いたしました。
なお、本剤の半減期は4分と短く、冠動脈CTの検査終了後に作用が遷延しにくいため、検査施行に必要な時間のみ心拍数を減少させるという利点があると考えられますが、静脈内投与する薬剤であり、本薬の薬理作用に起因した血圧低下や徐脈が急に起こり得ること、冠動脈CT中は検査室内に患者のみとなることを踏まえると、リスク管理は重要と考え、検査中も心拍数を注意深く観察する必要があること、本剤投与前や撮像後の血圧も確認する必要があることなどを具体的に注意喚起することが適切と判断いたしました。
製造販売後の調査計画等については、審査報告書37ページを御覧ください。使用実態下では様々な背景を有する患者に使用され得ることから、主に使用実態下での安全性を確認する目標症例数3,000例の製造販売後調査が実施される予定です。肝・腎機能障害患者等の特別な背景を有する症例における安全性に関しても、可能な限り検討される予定であり、造影剤及び添付文書上併用に注意すべき薬剤との薬物相互作用についても重点調査事項とされています。また、β1遮断薬である本剤において慎重投与とされている気管支喘息の患者に投与された場合の安全性の情報も収集することが重要と判断しております。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤の再審査期間は4年とすることが適当であり、製剤は劇薬に該当すると判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、加藤委員より、事前に質問をいただいておりますので、御説明いたします。資料1.8添付文書(案)3.相互作用の併用注意の項のコリンエステラーゼ阻害剤の「臨床症状・措置方法」及び「機序・危険因子」について、β1受容体遮断による徐脈は、迷走神経から遊離されるアセチルコリンの優位性がさらに高まることに起因しており、コリンエステラーゼ阻害剤は、本製剤の代謝を阻害すること以上に、コリン濃度を高めることによって副交感神経機能をさらに亢進し、より高度の徐脈及び低血圧を誘発すると考えられるので、現在の添付文書(案)の記述は不十分・不適切ではないか、との御指摘をいただきました。まず、この注意喚起が行われた背景といたしましては、本剤はエステラーゼにより代謝されるため、コリンエステラーゼ阻害剤の併用により本剤の代謝が阻害されることにより、併用時の本薬の曝露量が臨床試験で安全性が示された本薬の曝露を上回ることを懸念して行われているものであり、既に承認されております「注射用オノアクト」における注意喚起と同様のものでございます。加藤委員の御指摘の点につきましては、ほかのβ遮断薬と同様、本剤においても注意喚起していないところでございます。したがいまして、ほかのβ遮断薬をはじめとする多くの薬剤との整合性も加味する必要もございますので、本日の時点で、御指摘の注意喚起を本剤で記載しますとは、お約束できませんが、コリンエステラーゼ阻害剤の投与それ自体が徐脈や低血圧を起こすおそれがあることを本剤の添付文書上で併せて情報提供できる記載にできるかどうか、安全部などの関連部署とも協議して検討したいと思います。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。ただ今の加藤委員の御指摘に対する答えは、いかがでしょうか。
○加藤委員 質問したことに関しては、今のお答えで納得したのですが、既にオノアクトは臨床でかなり使われている薬です。オノアクトにも全く同じようなことが記載されているという御説明なのですが、オノアクト以外の1.7の10ページの丸石製薬株式会社から出ているブレビブロックは、エスモロール製剤であり、類似成分製剤と考えて良いと思います。相互作用などを見てみると、書いてあることはかなり違います。例えば、こちらの相互作用にはコリンエステラーゼのことが全く記載されておりませんが、そのような食い違いはどこで生じているのでしょうか。お伺いしたいことは、1.7の11ページのブレビブロックの相互作用の中身が、先ほどのオノアクト若しくは今回のエスモロール製剤、コアベータと内容的に違っているのはどうしてなのかということです。
○機構 まず、βブロッカーという作用機序は類似のものなのですが、この注意喚起の背景が、オノアクトとコアベータに関してはエステラーゼで阻害されるので、コリンエステラーゼ阻害剤と併用することによって、そのエステラーゼの働きが抑えられて、本剤の血中濃度が上がることの懸念に起因した注意喚起なので、恐らくそこは作用機序が同じような薬であっても、そういった代謝経路の違い、化合物のプロファイルによって、若干内容が変わってきているというところだと思います。
○加藤委員 では、オノアクトとブレビブロックは、どうして相互作用に関する記載が違うのですか。
○機構 今把握している情報で十分なお答えができるのか分からないのですが、一般的に相互作用の項にどういった薬剤を記載するのかというのは、もちろん類薬の状況も確認する必要が当然あるのですが、その薬の開発の中で相互作用試験を行ったり、臨床試験の中から何か懸念されている事象が見られたり、そういったことで懸念されることが検討されるのが、まず一義的にあってということなので、そうしたところが十分に検討できなかった部分について、未知の部分については、反映されていないところがあるのかもしれません。
○機構 補足させていただきます。この2剤はエスモロールとランジオロールということで、先生御指摘の「同種同効品」の6ページと10ページを見ていただければ分かりますように、構造等も違いまして、必ずしも同じような影響を受けるというわけではございません。
ランジオロールの方の注意喚起については、コリンエステラーゼ阻害薬によるコリン変動ではなくて、ランジオロールがエステラーゼで分解されることに起因しておりまして、その点について、エスモロールに対する影響が若干違うのかと考えております。もしかすると、エスモロールについては検討が足りないのかもしれませんが、そこについては現状データが無いところですので、今後エスモロールの方についても同じような懸念があるということであれば、今後の安全上の対策が必要になると思います。
○松井部会長 エスモロールについての十分なお答えがされていないようですが、コアベータについては、議決に進んでよろしいでしょうか。その点について、分かることを何らかの形で次に報告していただくことはできますか。
○機構 エスモロールでの安全対策の件につきまして、医薬品第一部会で議論するかどうかについては、検討いたします。
○松井部会長 検討するということでございます。ほかに、御意見等はございますか。こちらは、極めて限られた臨床の現場で使われる薬剤だと理解しております。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ラミクタール錠25mg及び同錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるラモトリギンは、2008年10月に他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作及びLennox-Gastaut症候群における全般発作に対する抗てんかん薬との併用療法の効能・効果で承認されています。今回の申請効能・効果である「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」については、20□年□月より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が示されたとして製造販売承認事項一部変更申請が行われました。なお、海外では2011年2月現在、84の国又は地域で双極性障害に関連する効能・効果で承認されています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書13ページの図及び表を御覧ください。国内第II/III相試験においては、双極性障害の気分エピソードの再発・再燃に対し、治療を行う必要があると判断した場合には試験を中止することとされており、主要評価項目であるFASでの第2期開始から試験を中止・脱落するまでの期間の中央値は、プラセボ群で67.5日、本剤群で169.0日であり、本剤群ではプラセボ群と比較して中止・脱落までの期間を延長し、その分布に統計学的な有意差が認められました。
次に、安全性についてですが、審査報告書21ページの表を御覧ください。本剤の投与により重篤な皮膚障害が発現することが知られており、リスク因子として本剤投与開始時の初期用量及び漸増量が高すぎる場合やバルプロ酸との併用が考えられております。双極性障害においてもてんかん患者と同様の用法・用量で国内臨床試験を実施した結果、皮膚障害に関連する有害事象のほとんどが投与開始8週までに認められておりますが、スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症(TEN)は認められなかったこと、認められた事象の多くは軽度~中等度であったことから、てんかん患者における発現状況を上回るものではないと考えております。なお、本剤の投与に際しては、てんかんと同様に本剤の用法・用量を遵守することが重要と考えますので、てんかん患者における対応と同じく、双極性障害患者においても、投与初期にはスターターパック等の投与管理ツールを用いることで適正使用を推進する予定としております。
また、審査報告書23ページの上から8行目を御覧ください。添付文書において、抗てんかん薬の服用により自殺リスクが上昇することを既に注意喚起しているところですが、双極性障害患者を対象とした国内臨床試験で、自殺関連有害事象が10例に認められ、2例では因果関係が否定されていないこと、双極性障害患者では自殺リスクが高いことが知られていることを踏まえ、添付文書(案)の重要な基本的注意の項で新たに注意喚起を行うと共に、製造販売後調査においても自殺関連有害事象の発現を調査することとしております。
以上の審査を踏まえ、本剤の双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品及び新用量医薬品であり、再審査期間はてんかんの併用療法に係る効能・効果を承認した際の期間(8年間)の残余期間である平成28年10月15日までとすることが適当と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、事前に本橋委員より2点、加藤委員より1点質問をいただいております。本橋委員及び加藤委員からは、審査報告書8~9ページにございます、本薬の作用機序についてです。扁桃核キンドリングモデルはてんかんのモデルであり、本薬の作用機序と関連付けるのは困難ではないかとの意見をいただいておりますが、双極性障害については、動物モデルが確立しておらず、本剤の作用機序についても明確にはなっていません。ただし、キンドリング動物では反復刺激により発作反応が進行的に増強し、この症状が双極性障害患者で見られる気分交代の加速パターンに類似しているとの報告もあることを踏まえると、本剤の作用機序を考えるモデルの一つと考えることは可能と考えております。
また、本橋委員からの2点目の質問についてですが、本剤は双極性障害の気分エピソードの再発・再燃抑制を効果・効果としていますが、本剤の治療開始時期をいつにすることが適切かとの質問です。本剤の急性期症状に対する有効性は示されておらず、効能・効果に関連する使用上の注意の項で、「双極性障害の気分エピソードの急性期症状に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない」と記載し注意喚起しています。双極性障害の急性期症状に対する治療を行った上で、急性期症状が改善した後に、本剤を投与することとなると思いますが、具体的な投与開始時期については、医師により判断いただくことが必要と考えており、医師向けの資材において、ガイドラインを参考に、維持療法開始を考慮する場合について記載させていただいております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。本橋委員のキンドリングモデル、動物モデルに関する御質問については、いかがでしょうか。
○本橋委員 キンドリングモデルというのは、センシタイゼーションのモデルであり双極性障害に直接結び付くものではないので、余りこれを大きく取り上げない方が良いと思いました。例えば、アメリカの添付文書では、そういった記載はありませんし、日本でも記載しない方が良いと思います。むしろグルタミン酸に対する影響やナトリウムチャンネルの阻害作用といったものがメインになると思います。
もう1点ですが、こういった病気には急性期があり、少なくとも急性期の終わりぐらいから、このような薬を入れなければ、次の予防には繋がらないと思います。急性期には効かないと強調するのはよく分かるのですが、実際に使う場合は急性期の終わりぐらいから使わざるを得ないというのが、臨床家としての印象です。
○松井部会長 担当医がその判断をするということです。
○本橋委員 これは、任せていくしかないと思います。
○松井部会長 ほかに、委員の先生方から御質疑をお願いします。
○手島委員 本剤の気になる点は、皮膚障害の有害事象があることです。21ページの表の中で、皮膚障害のスティーブンス・ジョンソンのような中毒性の皮疹は国内の臨床の中では見つからなかったということですが、発疹に関連する有害事象は出てきているということもありますので、市販後調査の中でも皮膚障害については十分に調査をしていただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○加藤委員 私も、本橋委員と同じ点を事前に指摘させていただいたのですが、本橋委員がおっしゃったことに私も全く同感です。動物モデルとしてキンドリングは、双極性障害の適切なモデルとは、まだ確定していません。今、本橋委員から、それを添付文書に書くのはいかがかということで御指摘がありましたが、私も添付文書に書いてあることが気になっていました。添付文書(案)の9ページの「薬効薬理」の下線の引いてあるところは、今回新たに付け加えるところであるということですが、「抗痙攣作用」の(4)に、「なお、本モデルは双極性障害における気分交代加速の動物モデルともなる可能性が考えられる」と、新しい記述を加えるという案が出ているわけですが、新しい記述を加えるだけの動物のエビデンスがあるとは考えられにくいのではないかと思います。わざわざ抗痙攣作用のところで、これを加えることは混乱を招くだけであり、適切に新規に加えるべき文章ではないと考えますが、いかがでしょうか。
○機構 今いただきましたコメントを踏まえまして、削除する方向で対応したいと思います。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、野田委員、林委員、松木委員、本橋委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品トラゼンタ錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤は、リナグリプチンを有効成分とする経口の糖尿病治療薬であり、食事摂取により消化管から血中に分泌されるGLP-1の不活化酵素であるDPP-4を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を維持し、血糖降下作用を示すとされています。国内では、本剤と同じ作用機序の三つの薬剤が既に承認されています。
2011年3月現在、本剤は海外において承認されておらず、欧米等において審査中である旨を審査報告(1)に記載しましたが、先月、米国で承認されております。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書55ページを御覧ください。国内第III相試験において、主要評価項目とされた前期12週間の二重盲検治療期終了時及び後期14週間の二重盲検治療期終了時におけるベースラインからのHbA1c変化量は、表10に示しましたように、本剤5mg及び本剤10mg群ではいずれもプラセボ群に対して有意に改善しました。また、後期14週間の二重盲検治療期終了時におけるベースラインからのHbA1c変化量について、本剤5mg及び本剤10mg群ではボグリボース群に対して有意に改善しました。さらに、本剤が52週間にわたり投与された群におけるHbA1c変化量の推移については、56ページの図1に示しましたとおり、効果の持続が認められました。
安全性については、70~81ページに示しましたように、低血糖、過敏症反応、皮膚及び皮下組織障害、膵炎を含む胃腸障害、心血管系リスク等について評価し、許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、96、97ページに示しましたように、観察期間3年間、調査予定症例数3,000例の長期使用に関する特定使用成績調査が実施され、先ほど説明しました事象等について情報収集される予定です。なお、現在実施中の日本人を含む三つの国際共同治験は、本剤の安全性を検討する上で重要な試験であると考えることから、その最終成績を確認する必要があると考え、それらの試験の成績が得られ次第、当該成績を速やかに提出すると共に、適切に医療現場に情報提供することを指示事項としました。
以上のとおり、機構での審査の結果、「2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る。)」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断しております。原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。特にございませんか。よろしいでしょうか。
特段、御意見がないということでした。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。議題6について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品リカルボン錠50mg及びボノテオ錠50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
本剤は、ビスホスホネート系薬剤であるミノドロン酸水和物を有効成分として含有する製剤であり、本邦において、1回1mg、1日1回連日投与製剤であるリカルボン錠1mg及びボノテオ錠1mgが骨粗鬆症を効能・効果として2009年1月に承認されています。ビスホスホネート系薬剤は、消化管に対し刺激作用を有することから、十分量の水と共に服用し、服用後30分は横にならないこととされており、このような服用時の煩わしさから服薬コンプライアンスが低くなることが知られています。今般、服薬回数を減らすことにより、服薬コンプライアンスを維持すること等を目的に本剤が開発され、1回50mg、4週に1回投与における有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請がなされました。2011年3月現在、海外においては、本剤を含めてミノドロン酸水和物を有効成分とする医薬品は開発されておらず、また、いずれの国においても承認されていません。
本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書18ページを御覧ください。表4及び図1に示しましたように、日本人退行期骨粗鬆症患者を対象とした第II/III相骨密度試験において、1回50mg4週1回投与の1回1mg連日投与に対する腰椎平均骨密度変化率について非劣性が検証されました。
安全性については、28~33ページに記載した「(3)安全性について」の項を御覧ください。胃腸障害、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、心房細動、非定型の大腿骨骨折、血中カルシウムの減少等について個別に評価した結果、大きな問題はみられていないことから、本剤の安全性は許容可能と判断しています。
製造販売後調査については、審査報告書42、43ページ「(5)製造販売後調査について」の項を御覧ください。既承認の1mg錠において実施中の製造販売後調査の調査予定症例数3,000例に50mg錠のみを使用した症例2,000例を加えて5,000例に変更し、顎骨壊死、心房細動、非定型の大腿骨骨折、筋及び骨格系の疼痛、食道癌、血中カルシウム減少の発現状況、男性患者における安全性及び有効性等について情報収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、骨粗鬆症を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤の再審査期間は既承認の1mg錠に付与された再審査期間に合致するよう平成29年1月20日までとすることが適切であり、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
本剤につきまして、清水委員、加藤委員より御質問をいただいております。
本剤の用法・用量に関して服薬コンプライアンス等も加味して月1回投与とすることはできないかとの御意見です。この点につきましては、審査報告書34~35ページに記載しておりますが、第II/III相骨密度試験においては、月1回ではなく4週に1回で投与がなされていたこと、4週に1回とした場合であったとしても利便性や治療継続に大きな影響を及ぼすとは考えられないことから、専門協議においても議論した上で、用法を4週に1回と記載することが適切と考えました。なお、薬剤包装に服薬日を記載する欄を設けることや患者向け資材の作成などにより必要な注意喚起を行うよう指導しております。以上です。
1点、お配りしている製剤サンプルについて補足させていただきます。ボノテオ錠の製剤サンプルをお配りしているのですが、パッケージにおきまして、「1か月に1回、1錠飲むお薬です」という記載になっておりますが、申請者の方で準備が間に合わなかったということで、別途紙で印刷物をお配りしておりますが、最終的には、「4週に1回、1錠飲むお薬です」とされる予定です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。清水委員、加藤委員より、月1回投与にしてはどうかという御意見がありましたが、いかがでしょうか。
○加藤委員 お答えの趣旨は理解します。そのように試験を行っていたので4週ということですね。実際に読んでみると、4週で許容日数が±7日と書いてあり、ある程度の範囲内でも同じような結果が得られているというような場合、この薬剤の開発の経緯はコンプライアンスを上げるということにあり、月1回間歇投与製剤を開発したということなので、それによってコンプライアンスが上がるという意図があったと思うのですが、実際にこちらの適応対象となるような年輩の方などが4週の設定であると、毎月毎月ずれていき、大変なのではないかと思いました。非常に素人的な感想でございます。
○松井部会長 清水委員はいかがですか。
○清水委員 私も加藤先生と同じように、この審査報告書を読んで検討させていただいたところなのですが、4週ごとに飲む方が科学的で等間隔に飲むというスキームになるのですが、月がずれて、月初に飲んで、月末に飲んで、次第にずれが生じ、1年間は4週で割ると13回ということになってきますので、かえってその方が飲む間隔が分かりづらいと思います。もちろん、そのシートの中に次回はいつ服用だということを記載する工夫をするという御説明だったのですが、毎月いつ飲むのかが決まっていた方が、かえって飲みやすいのではないかと思いました。したがって、1か月に一遍という服薬も認めてもらえるような方法を考えられないかということで、質問させていただきました。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 用法・用量に記載する用語として、基本的にエビデンスに基づいたものを書くべきだと考えております。実際の現場の使われ方については、先生方のおっしゃるようなことは我々も分かっているつもりで、例えば4週に一遍とするにしても、月1回にするにしても、当然カレンダー上、ずれは出てくるわけで、実際医療現場では曜日で受診されるケースも多いと思います。それは医療機関により、主治医のスケジュールによって、受診間隔はまちまちだろうと思います。ですから、我々は臨床試験に基づいて記載するべきというスタンスで書かせていただきましたが、それでも来院日が祭日に当たったり、現実に様々なことが起こるのは当然であって、その辺の多少のずれというのは、現場で判断していただいて使っていただくしかないのかと思います。添付文書には、基本的に臨床試験で得られた成績に基づいて書いていただこうと考えております。
○佐藤(田)委員 原点に戻った質問をさせていただきたいのですが、服用回数が減るというのは、毎日1回飲まなくても済むということで、煩雑さを減らすことはできるのですが、例えば、この薬について1回飲むことによって、血中で組織移行を起こした際は、1か月間そこの組織に分布したままなのでしょうか。全身に回るものなのか、それとも抗菌薬などのように感染症のあるところに回るものなのでしょうか。安全性についても、心臓の機能にも様々な問題が出たと記載されています。血中に停滞しているのか、骨の近辺に回っているのか、こちらの性質上の違いはどこにあるのでしょうか。
飲んでから4週後ということなので、強い有害事象が出てきた時、1日1回であれば服用を中止することができますが、今回の方法であると、そのようなことはできません。基本のところで結構ですので、教えて欲しいと思います。
○機構 機構よりお答えいたします。本剤に関しては、血中をずっと漂っているということではなく、骨に移行してしまい、Cmaxは高いのですが、その後の消失に関しては大きな差は無いということになっていますので、1か月間効果が持続するのは、骨に移行した量に依存してというところになるかと思います。
○佐藤(田)委員 良い意味からすると、骨の辺りでは、side effect以外は起こりにくいのでしょうか。血中を回っていると、ほかの臓器でも有害事象が起こる可能性はありますが、骨に選択的に回ると、ほかの臓器等への有害事象は少ないかもしれないという考えなのですが。
○機構 第II/III相試験においては、本剤1mgの連日投与製剤が比較対照群として置かれておりまして、その群と有害事象とを比較しますと、さほど変わらないということですので、先生のおっしゃるような点は、期待される部分ではあるのですが、そこが見えているような結果にはなっていないというところかと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木委員 私も今の点が非常に気になったのですが、4週に1回、この50mgを一度に投与した時に、かなり破骨細胞を壊してしまいますが、1か月ぐらい経つと元に戻るということなのでしょうか。あるいは、蓄積等をしてずっと効いているのでしょうか。例えば、歯科治療による副作用の発現の危険率は、投与直後と4週近く経った時とでは変わってくると思います。その辺の作用機序が気になります。
○機構 ビスホスホネート剤自体が骨に蓄積して、1か月間にわたって定常的に骨吸収を抑制していくものと思われます。
○松木委員 その場合の蓄積の度合いというのは、人による違いはそれほど考慮しなくても良いということですか。蓄積し過ぎて困るということは、余りないのですか。
○機構 ヒトではどのくらい骨に蓄積するのかというデータはないのですが、1年間第II/III相試験で投与しておりまして、特段1mg連日投与と大きな違いはありませんので、個々の患者によっては若干違いがあるかもしれませんが、大きな問題になるような状況ではないと考えております。
○佐藤(田)委員 今の質問に対する答えから出てくるのですが、骨組織に沈着しているということは、14Cを使って1日ずつ飲むような薬との比較データがあった上でおっしゃっているのでしょうか。亡くなった方の体から骨を採って調べているわけでもなく、患者さんの組織の一部をバイオプシー検査で調べていることもないと思うのですが、エックス線か何かの解析を行っているのですか。何かトレースをしていかないと分かりにくいのではないかと思います。血中であれば、測ることは可能かもしれませんが、そのようなデータは分かった上での御回答なのでしょうか。
○機構 骨への蓄積の部分に関しては、非臨床試験の結果からお話させていただいております。ヒトにおける14Cを使ったトレースという試験に関して、本剤においては行われておりません。
○佐藤(田)委員 動物ですか。
○機構 はい。動物では行われています。
○松井部会長 いかがでしょうか。今、佐藤委員がおっしゃられたことのほかに、骨代謝マーカーの検討は参考にならないのですか。50mg製剤を投与した時に、どのような影響があるのかということですが。
○機構 第II/III相試験においては、骨代謝マーカーについても、副次評価項目ではありますが測定しておりまして、審査報告書の19ページに記載させていただいております。
ただ、1か月ごとの短期的な状況というものではなく、1年間経った後の骨代謝マーカーを御提示させていただいておりますので、1年経った時点で、骨代謝マーカーにおいても1mg製剤と50mg製剤で、大きな差は認められていないという結果になっております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。
○宗林委員 本薬は、医師から1回ずつ処方されるのでしょうか。4週に1回ということで、毎回1回ずつ出されることを想定されているものなのでしょうか。
○機構 本剤に関しましては、基本的に1錠出されるのではないかと思われます。ただ、初回の来院の際には、本剤は少し変わった服薬方法になっておりまして、朝起きてすぐに絶食下で飲んでいただき、その後30分間起きていていただくということになっておりますので、来院時に飲んでいただくことができないので、1錠出されるか、次回来院前にもう1回飲んでいただく分まで出されるかのどちらかではないかと予想しております。
○松井部会長 3ページに記載がございますが、50mgを月1回、起床時に十分量の水を飲み、服用後は少なくとも30分は横にならないこととなっています。これは、一仕事ですね。
○野田委員 急に気になったのですが、長期処方の制約についてはどうなるのでしょうか。なお、実際には、私どもは長期処方が解除された後、3か月分ぐらいまで出すことがあると思います。
○機構 我々が「1回に何日分処方できます」と答える立場かどうかは微妙ですし、保険診療上の関係ということなので、この場で我々が答えるのは控えたいと思いますが、新薬であれば、最初の1年間は14日分までしか出せないということになりますが、こういう1回投与の場合は1回単位で判断されると理解していますが、最終的にどうなるかはこの場ではお答えいたしかねます。
○松井部会長 ほかに有効性、安全性につきまして、特に御質疑はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、加藤委員、永井委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構から概要を説明してください。○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ガバペンシロップ5%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、並びに医薬品ガバペン錠200mg、同錠300mg及び同錠400mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるガバペンチンは、γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、本邦では2006年7月に他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果で、成人の用法・用量が承認されています。今回の申請では、小児てんかん患者を対象に臨床試験を実施し、有効性及び安全性が示されたとして製造販売承認申請が行われました。なお、海外では2011年1月現在、89の国又は地域でてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する他の抗てんかん薬の併用療法に関する効能・効果が承認されており、そのうち61の国又は地域において小児の用法・用量が承認されています。
本申請の専門委員としては、資料15に記載されております6名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
まず、有効性についてですが、審査報告書10ページ下から5行目を御覧ください。小児てんかん患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目であるMITT集団でのてんかん部分発作のResponse Ratio(以下、「R Ratio」と略します。)の平均値は-0.158、95%信頼区間は-0.221~-0.096でした。本試験ではプラセボ群を設定しておりませんが、R Ratioの95%信頼区間の上限値は、小児てんかん患者を対象としてプラセボ群を設定した海外第III相試験のプラセボ群のR Ratioの調整平均値である-0.072を下回っていたことから、日本人小児てんかん患者での本剤の有効性は示されたものと判断しております。
次に、安全性についてですが、審査報告書16ページの表を御覧ください。小児と成人における本剤の有害事象発現状況を比較していますが、第III相試験及び長期投与試験で認められた主な有害事象は、小児及び成人のいずれにおいても傾眠及び感染症に関連する事象でした。また第III相試験においては、小児において鼻咽頭炎及びインフルエンザの発現率が成人よりも高い傾向にありましたが、鼻咽頭炎については、ほとんど因果関係が否定されています。また、インフルエンザについても、いずれも因果関係は否定されており、試験実施時期のインフルエンザの流行状況が異なったためと考えられたことから、小児において問題となる特異的な有害事象は認められてなかったものと考えております。
また、審査報告書21ページの上及び下の表を御覧ください。国内第III相試験における本剤の維持用量は、薬物動態に関する検討結果から、3~4歳で40mg/kg、5~12歳で25~35mg/kg、13~15歳で1,200~1,800mg/kgと設定されていますが、国内第III相試験では有効性に年齢による差異は認められなかったこと、安全性についても3~4歳で著しく発現率が高い事象は認められていないことから、当該維持用量を設定することに大きな問題はないと考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤の他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法における小児の用量追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請はガバペンシロップについては新用量医薬品及び剤形追加に係る医薬品、ガバペン錠については新用量医薬品であり、再審査期間は4年間、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製剤及び特別生物由来製剤のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、事前に加藤委員より質問をいただいておりますので、御説明させていただきます。加藤委員からは、本剤とプレガバリンは海外でてんかんと慢性疼痛に対する効能を取得しているが、本邦では本剤はてんかん、プレガバリンは疼痛効果のみであることから、なぜ本邦でのみこのような違いがあるのか、また今後適応拡大されていく予定があるのかとの質問でした。申請者に確認させていただきましたところ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□とのことでした。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。加藤委員、御質問の点については、いかがでしょうか。
○加藤委員 よく、どうして日本ではガバペンチンは神経障害性疼痛などの慢性痛に使えないのですかと聞かれるのですが、こちらの質問に簡単に答えるには何と言ったら良いのかということも教えてください。
○事務局 審査管理課からお答えさせていただきます。開発方針は、企業の経営等々に大きく影響するので、類推するしかないところもありますが、例えばアメリカを見ますと、慢性疼痛では帯状疱疹後の神経痛ということで、疼痛分野でもごく一部にしか効能がありません。カナダにおいては、日本のようにてんかんだけしかないという状況です。
ですので、こちらから類推すると、国々で様々な承認時期や環境の違いがあって、ばらばらにはなっていますが、基本的には□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えています。
その上で、少しこの薬剤ではなくプレガバリンの話になるのですが、プレガバリンについては□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□だと聞いております。こちらとしましては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えています。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問はございますか。
○佐藤(田)委員 基本的なことを教えていただきたいのですが、3ページを見ますと、効果としてどのような時に使うのかということは、他の抗てんかん薬で十分な効果が見られないところ、残っているところの部分発作を併用していくということで、これで脳波がどうにかなるというものではなさそうです。すると、この薬自体は、薬剤の分類からするとどのようなものに当たるのでしょうかというのが1点。
2点目は、両方の併用療法によって、通常の抗てんかん薬に効果があるとすると、この患者さんが子供の時期から継続して起こっていた場合、成人になるまで飲み続けるのかについてです。服用を止めてみなければ、部分発作が治まっているかどうかは分からないと思います。脳波でチェックするのか、判定は分かりませんが、その2点について教えてください。まず、薬の分類としては、どのようなものに属するのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。抗てんかん薬に関しては、非常に複雑で様々な作用機序を持っている薬剤で、既に承認されているものがあります。これらを組合せながら使用されているというのが現状であり、実際には一つの抗てんかん薬だけで本当に効くのかということを試しながら使っていただいている状況です。まず抗てんかん薬を1種類使っていただいた上で、その効果が無ければ次の抗てんかん薬を上乗せしたりと、切り替えながら使っていただくというのが現状だと考えています。
この薬に関しては臨床試験の中で、既存の抗てんかん薬で十分な治療効果が認められていないような患者さんを対象に臨床試験を行いました。そのことから、この薬をさらに上乗せすることで、今のところ有効性が見られたという試験結果となっています。ですので効能・効果に関しては、このように書かせていただいて対応しているところになります。
○佐藤(田)委員 ということは、抗てんかん薬の種類の一つであるということでよろしいですか。
○機構 はい。それは問題無いと考えています。
○松井部会長 2点目の質問はいかがでしょうか。
○機構 2点目は、期間に関してですか。
○佐藤(田)委員 はい。例えば、小児から投与できる用量によって増やしていくと記載されておりますが、効果があったとすれば、続けていくと思います。恐らく、病状によると思うのですが、そこで効果が無いという状況が長く続き、長期にわたって治療が行われるのではないかと思うのですが、目測として成人になるまで飲み続けていくのでしょうか。
それから、部分発作が治まっているのかどうかは、薬を止めてみなければ分かりませんね。こちらについては、全体的の投与量から、どのようにお考えなのか教えてください。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。治療ストラテジーとしてというか、その考え方ですが、やはりてんかんは一度起こすと致命的なところもありますので、なかなか薬を切るということは難しいと考えられています。この薬を上乗せして有効であった場合、薬を切るということはなかなか難しいと思うのですが、他の抗てんかん薬に関しては、そういった場合にはコントロールを行っていくこともあると思います。
実際に薬がどのようにコントロールされているのか、現場の感覚をここで御説明するのは難しいのですが、実際のところ、この薬の有効性で、上乗せ的効果が見られた場合には、そのままある程度継続されていくものだろうと考えられます。
○松井部会長 私は、小児神経学の専門ではありませんが、小児科専門医として佐藤委員にお答えするとすれば、必ずしも完全に切らなければ効果が分からないということではないと思います。発作の回数、程度が軽くなってきている、あるいは間遠になってきているかということでも、判定ができると思います。しかし、おっしゃられたように、なかなか治りにくい発作であることは事実です。
ほかに御質疑はいかがですか。
○清水委員 製剤の安定性についてですが、これは摂氏2~8℃に保管する薬剤ですが、1日3回服用する薬剤です。小児、ちょうど学童の子たちに服用が認められているシロップ剤ですが、お昼の服用を考えると、摂氏2~8℃に担保しておくのは難しいと思いますが、そこら辺の安定性、許容の範囲のデータは、何か出ているのでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。この薬に関しては、室温で置いた場合、12時間は十分担保できることが確認されており、患者への教育資材においても、服用の間隔は1日3回ですので、8時間前後になります。血中濃度を維持する意味でも、12時間を超えない程度で飲んでいただきたいということをきちんと書かせていただいております。実際に飲むタイミングとしては少し工夫していただいて、8時間ということであれば、例えば朝飲んでいただいて、家に帰った時に子供さんに飲ませられるということです。若しくは、夕方飲ませながら、夜寝る前にもう一回飲ませるということで、コントロールできると考えています。
○清水委員 もう1点、同じく品質についてですか、添付文書(案)の「9.適用上の注意」の中に、開封後90日以内に使用することという記載があるとのことですが、90日の根拠になるデータは、どこかに提示されているのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。資料「2.3.P製剤」の「2.3.P.8」の3ページを御覧ください。ずっとこのページを各単元で切っておりますので、かなり後ろになりますが、ページの振り方が各セクションになります。この中の「4)多回使用時の安定性試験」に、90日間多回使用した時の安定性を評価したということで、この時の結果で特に大きな問題はなかったという結果が出ておりまして、90日の安定性は担保されるということで記載させていただきました。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、野田委員、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8について、機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品ペガシス皮下注90μg及びコペガス錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
C型代償性肝硬変は、C型肝炎ウイルスの持続感染によるC型慢性肝炎の経過の中で肝組織の繊維化が進展して肝機能が低下した状態を指し、最終的に肝不全・肝細胞癌に至る重篤な転帰を辿る疾患です。C型代償性肝硬変に対する治療としては、C型肝炎ウイルスの駆除を目的としたインターフェロン療法と肝機能異常の改善を目的とした肝庇護療法が行われていますが、インターフェロン療法については、日本人C型慢性肝炎患者の約7割を占めるC型肝炎ウイルスのGenotype1かつ高ウイルス量の肝硬変患者に対して承認されている製剤はありません。
ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)は、メトキシポリエチレングリコールを結合したインターフェロン製剤であり、インターフェロンの循環血中における持続時間の延長により、少ない投与頻度で治療が可能な修飾型のインターフェロン製剤です。また、リバビリンは、抗ウイルス活性を示すプリンヌクレオシド類似体であり、インターフェロン製剤との併用によりウイルス駆除効果を向上させることが確認されています。
ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)とリバビリンの併用療法は、Genotype1かつ高ウイルス量、若しくはインターフェロン単独療法で無効又は再燃したC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を効能・効果として既に2007年に承認を取得していますが、今般、申請者は、C型代償性肝硬変患者を対象に本併用療法による臨床試験を実施し、承認申請に至りました。
なお、海外では、本併用療法はC型代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎に対して適応を有しており、2002年6月に欧州、2002年12月に米国でそれぞれ承認されたのをはじめ、2011年3月現在110か国以上で承認されています。
また、本申請品目は、優先審査品目に指定されております。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員を指名いたしました。
以下、本併用療法の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
臨床試験成績としては、二つの国内試験の成績が提出されています。
有効性に関してですが、審査報告書8ページの表4を御覧ください。
すべてのウイルスタイプ及びウイルス量のC型代償性肝硬変患者を対象に、ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)90μg又は180μgを週1回皮下投与、リバビリンを体重に応じて600~1,000mg連日経口投与で併用し、48週間投与した国内第II/III相試験において、主要評価項目である投与終了後24週時のC型肝炎ウイルスの持続陰性化率は、それぞれ27.3%及び23.3%であり、抗ウイルス療法を実施しない観察群に対し、90μg群及び180μg群のいずれにおいても有意差が認められたことから、本併用療法の有効性は示されていると判断しました。
安全性に関してですが、審査報告書15~16ページの表12及び表13、並びに審査報告書17ページの表15を御覧ください。
表12及び表13には、国内第II/III相試験及び国内第III相一般臨床試験において認められた主な有害事象を、表15には、これらの有害事象をC型慢性肝炎患者を対象に実施した国内臨床試験における発現頻度と比較して示しています。C型代償性肝硬変患者ではC型慢性肝炎患者に比べて発現率の高い有害事象も認められていますが、C型慢性肝炎に対する本併用療法適用時に既知の事象であり、これらについて重篤な事象は認められませんでした。また、投与期間の長期化に伴って発現率が上昇するような有害事象は認められませんでした。
また、本併用療法の用法・用量について検討を行った結果、有効性については、審査報告書8ページの表4に示すとおり、ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)の90μg群及び180μg群の有効性に大きな差異は認められず、審査報告書14ページ表10に示した部分集団解析においても、180μgの方が有用と考えられる患者集団は見出せなかったこと、また、安全性については、審査報告書18ページ表16に示すように、180μg群の方が、両剤の減量、休薬に至った患者が多く認められることから、当初申請されていた180μgではなく、90μgとすることが適切であると考えました。なお、リバビリンの用量については、国内臨床試験と同様に、C型慢性肝炎における既承認の用法・用量と同一とすることが適切と考えました。
以上、機構での審査の結果、C型代償性肝硬変に対する本併用療法の有効性は認められ、安全性についてはC型慢性肝炎に対する本併用療法適用時以上に慎重な観察と用量調整を行うことで許容可能と考えられたことから、適切な注意喚起を行った上で承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
なお、本併用療法は、C型代償性肝硬変に対する効能・効果及び用法・用量を追加する新効能・新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、お願いいたします。
なお、清水委員から、事前に、添付文書(案)の重要な基本的注意の(3)項に記載されている、定期的な血液検査の実施に関して、既承認のC型慢性肝炎における血液検査の実施状況について、御質問をいただいておりました。この点について、申請者に確認したところ、申請者は、血液学的検査の頻度について医療機関に周知しているものの、検査頻度の遵守状況の確認を目的とした情報収集は行っていないとのことでした。機構は、C型肝硬変に対する適用の拡大に際し、血液学的検査の実施頻度について、改めて資材等で分かりやすく情報提供を行うと共に、製造販売後調査において、使用実態下における検査の遵守状況に関する情報収集を行うよう指導したいと考えます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。質問に対する答えについて、清水委員いかがでしょうか。
○清水委員 特に説明の後段でありましたように、今回、市販後調査においてデータを取得することは、非常に有用なことだと思います。よろしくお願いします。
○松井部会長 ほかに、委員の先生方から、御質問等はございますか。確認ですが、ペガシスの皮下注射とリバビリンのコペガスとワンセットということですね。
○機構 はい。併用療法の結果、有効性が示されているということです。
○松井部会長 いかがでしょうか。清水委員以外に、御質問あるいは御指摘、ございませんか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤(田)委員 事前に質問し、既に答えは伺っているのですが、ペグが付くことによって、DDSの効果で、インターフェロン自体の単身での状況の頃と比べ、かなり効果が出てきているということは分かっていますが、ペグについてのside effectは無いのかという質問をしましたら、形としてこのような構造になってしまった場合は、ペグ自体の副作用の有無と投与する前にアレルギーの有無についての質問をし、お答えいただいているとのことでした。そのことから、ペグの効果が、より良くなったのだと思います。以前のインターフェロンだけではないということが分かりましたので、追加させていただきます。
○松井部会長 ほかに、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
なお、永井委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題9に移ります。議題9について、機構から概要を説明してください。○機構 審議事項議題9、資料9「医薬品ジトリペンタートカル静注1,000mg及びアエントリペンタート静注1,055mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
超ウラン元素とは、天然に存在する元素の中で最も原子番号の大きいウランよりも原子番号が大きい元素の総称であり、原子炉などで人工的に生成されます。超ウラン元素の中でも、プルトニウム、アメリシウム及びキュリウムは工業及び研究分野で比較的よく利用されており、原子力発電所の使用済み燃料にも多く含まれているため、放射線事故等における汚染原因として注意が必要な核種です。
超ウラン元素の体内動態は摂取経路によって異なりますが、吸入摂取して肺胞に到達した場合、その大部分が肺胞内に留まり、肺胞壁から緩徐に吸収され血中に移行し、最終的には主に骨や肝臓などの臓器に取り込まれます。超ウラン元素の多くは主としてα線を放出するため、体内に取り込まれた場合、内部被曝により組織の周囲の細胞を傷害し、長期的には発がんリスクが上昇すると考えられています。そのため、血液循環中にある超ウラン元素を迅速に体外に排泄させ、内部被曝線量を低減する薬剤の開発が望まれています。
ペンテト酸カルシウム三ナトリウム(以下、「Ca-DTPA」)及びペンテト酸亜鉛三ナトリウム(以下、「Zn-DTPA」)は、その内部に有するカルシウム又は亜鉛と超ウラン元素等の重金属を置換して、化学的により安定な金属錯体を形成するキレート剤です。超ウラン元素とDTPAの錯体は水溶性であり、速やかに尿中へ排泄されるため、Ca-DTPA又はZn-DTPAの投与により、体内の超ウラン元素の体外排泄が促進されると考えられています。
Ca-DTPA及びZn-DTPAは、世界保健機関により、放射線事故等に備え備蓄すべき薬剤としてリストアップされており、本邦でも2008年10月に、原子力安全委員会による報告書「緊急被ばく医療のあり方について」に、超ウラン元素による体内汚染に対する薬剤として追記されました。2009年8月には、日本医学放射線学会及び日本核医学会より「医療上の必要性が高い未承認の医薬品又は適応の開発の要望に関する意見募集について」に基づき、厚生労働省に放射性物質による体内汚染の除去剤の早期承認に関する要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受けて、2010年5月に申請者に対しCa-DTPA及びZn-DTPAの開発要請が行われております。
以上の状況を踏まえ、申請者は、米国におけるCa-DTPA及びZn-DTPA製剤承認時の審査資料等を基に、両製剤の超ウラン元素による体内汚染除去剤としての品質、有効性及び安全性に係る根拠資料をまとめ、今般の承認申請に至りました。
Ca-DTPA及びZn-DTPAはドイツにおいて40年以上販売されており、欧州統合によるドイツ医薬品法令の改正に伴い、Ca-DTPA製剤は2005年4月、Zn-DTPA製剤は2003年11月に欧州販売承認を取得しています。また、米国では2004年8月に承認されています。
なお、本申請については、保健衛生上特に審査及び調査を迅速に進める必要性が高いと判断され、厚生労働省から迅速処理に係る通知が発出されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示します専門委員が指名されております。
機構は、本申請の効能・効果に対し、有効性及び安全性を評価するための臨床試験を行うことは事実上不可能であることから、Ca-DTPA及びZn-DTPAの使用経験等に関する公表論文等の資料を基に審査を行うこととしました。また、災害時に緊急的に使用される可能性がある本品目の特殊性を考慮し、申請時の投与経路である静脈内投与に加えて吸入投与時の有効性及び安全性も含めて検討することとしました。以下、本品目の有効性及び安全性について、説明させていただきます。
有効性に関してですが、審査報告書35ページの表5及び表6、並びに審査報告書41ページの(2)有効性についての項を御覧ください。
表5及び表6には、米国内でのCa-DTPA及びZn-DTPAの42年間の使用実績における685例のデータ(以下、「REACデータ」)のうち、有効性の評価対象とした18例におけるCa-DTPA又はZn-DTPA投与前後の尿中放射能の比率を示しています。当該情報、並びに各公表論文を踏まえ、各放射性核種に対するCa-DTPA及びZn-DTPAの有効性を投与経路ごとに検討した結果、Ca-DTPA又はZn-DTPA投与後に放射能の尿中排泄量が増加していることから、超ウラン元素(Pu、Am、Cm)による体内汚染の軽減に関するCa-DTPA及びZn-DTPAの有効性は期待できると判断いたしました。
安全性に関してですが、審査報告書の43~46ページを御覧ください。
提出された資料から得られる安全性情報は限られており、十分な検討は困難と考えますが、REACデータにおいて重篤な有害事象として報告されている呼吸窮迫、アナフィラキシー反応、Ca-DTPA投与による亜鉛欠乏の可能性、Zn-DTPA投与による低カルシウム血症又は心血管系へ影響を及ぼす可能性、並びにCa-DTPA又はZn-DTPA投与による腎障害の可能性について特に注意喚起が必要であると考えました。これらの適切な注意喚起及び情報提供に基づいて使用する限り、安全性に関しては許容可能と考えました。
以上のような機構での審査の結果、Ca-DTPA及びZn-DTPAの有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
本薬は新有効成分含有医薬品に該当することから再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。
なお、本薬の国内での臨床使用経験はなく、海外においても非常に限られていることから、本薬が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施する旨の承認条件を付すことが適切であると判断いたしました。御審議のほど、お願いいたします。
なお、加藤委員から、添付文書の「その他の注意」における排泄物の取扱いに関連して、現在の本邦の状況を踏まえ、審査報告書40ページに記載されている被曝医療専門施設以外でも本剤が使用される可能性があるのかどうか、あるのであれば、その他の注意で記載されている排泄物の処理に関して適切な体制が整っていない医療機関での使用も想定されるので、添付文書の前段に明記した方が良いのではないか、との御質問をいただいております。また、同様に清水委員から、排泄物の取扱いに関する具体的な情報提供が必要と考えるが、検討されているのか、との御質問をいただいております。
この点に関しまして、具体的な情報提供については、本剤を使用した治療に関する資材の中で、放射線汚染に関する項を設けて、医療従事者及び清掃業者、介護者等、その他関係者の被曝を防ぐための注意事項を具体的に記載し、現場に情報提供する予定であります。また、添付文書における記載につきましては、昨年承認された放射性セシウム除去剤のラディオガルダーゼでも同様にその他の注意の項で排泄物の処理に関して記載し、具体的な内容は資材を用いて情報提供する手段をとっているため、本剤についても同様の対応をとることが適切かと考えております。なお、本薬の効能の対象であるPu、Am及びCmはα崩壊を起こす粒子ですので、排泄物からの放射能の検出はγ線源であるCsに比べると非常に低いレベルとなります。したがって、排泄物からの放射線外部被曝の懸念は大きくはなく、内部被曝の原因とならないように取り扱うことが重要と考えます。その点からも、ラディオガルダーゼの場合と同様に取扱うことで問題は無いと判断しています。
また、加藤委員から、もう1点、審査報告書10ページの表3でDTPAはIII価の鉄に対しても高いキレート安定度定数を示しているが、臨床使用時に鉄欠乏が生じる可能性はないのか、との御質問をいただいております。この点に関しましては、理論的には鉄をキレートし排泄させる可能性が考えられますが、提出されているデータからは鉄欠乏に関連する事象は認められていないこと、また、ヘム鉄等の状態で大量に体内に貯蔵されていることから、通常の食事を摂っている限り、鉄への影響については臨床上大きな問題にはならないと考えています。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。加藤委員と清水委員から御質問が出ておりますが、まず加藤委員、今の回答はいかがでしょうか。
○加藤委員 ただいまの御説明で納得しました。
○松井部会長 続いて、清水委員はいかがですか。
○清水委員 先ほどの説明でよろしいと思います。
○松井部会長 ほかに、御質疑はございますでしょうか。
○佐藤(田)委員 先ほどの清水委員からの御質問にあったかもしれませんが、もう既に備蓄されているということですね。これは特殊な所で備蓄する薬剤なのでしょうか。
○審査管理課長 実際には、原子炉の事故の直後の作業員の方くらいしか想定されないのではないかと思っております。
○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。
○宗林委員 事情は分かりましたが、これが実際に使われる時は、差し迫った状況で、差し迫った範囲の所で、限定的に備蓄されたり使用されるものという位置付けですね。
○審査管理課長 はい。実際にはそうだと思います。例えば、プルトニウムか否かが分かる所で、コントロールして投与し、使っていただくことになると思いますので、そういう所だと思います。プルトニウムを計るというのは、中々技術的に難しいのではないかと思います。α線としては計れますが、核種を確認することは少し難しいと思います。
○宗林委員 カルシウムのキレート剤と亜鉛の両方があり、カルシウムが第一選択と明確に書かれているように思えますが、この辺はいかがでしょうか。
○機構 機構より御説明します。カルシウムと亜鉛のDTPA製剤の選択に関しては、審査報告書の51ページの4)に記載しております。カルシウムとDTPAのキレート安定度定数の方が低いということもありまして、その置換、有効性の効果の大きさは、Ca-DTPAの方が高いのではないかということが言われております。実際、ガイドライン等でもそのように、第一選択とすべきではないかと言及されております。
ただ、それぞれの製剤にそれぞれのメリット、デメリットがございますので、実際に使用される際には、現場での患者さんの状況、汚染状況等を踏まえて、医療現場で判断されるべきだと考えております。
○宗林委員 この亜鉛のキレート剤がどの場面で使われるのか、私もざっくりとしか読めなかったのですが、有効性、特徴があって亜鉛を選択するという場面は、この中ではどんなことを指しているのか、少し教えていただけますか。
○機構 機構より御説明します。Zn-DTPA製剤の方につきましては、カルシウムに比べますと、若干有効性は劣る傾向にはありますが、一方、Ca-DTPA製剤につきましては、安全性の観点で問題もあり、体内の亜鉛を排泄していくということで、亜鉛欠乏に至る可能性があります。
また、先ほども申し上げましたが、実際にそういった観点でそれぞれCa-DTPA製剤とZn-DTPA製剤に特徴がございます。Ca-DTPA製剤ですと非臨床毒性試験で、催奇形性が認められていますので、妊婦さんへの使用については原則禁忌という形で設定しており、そのような意味では、やはりZn-DTPAの製剤についても必要性があると考えております。
○松井部会長 亜鉛が欠乏するような場合、それを補充することによって効果があると考えてよろしいですか。
○機構 機構より御説明します。Ca-DTPA製剤を投与することで亜鉛が欠乏することはよく知られておりますので、実際に亜鉛を補充する必要があるだろうと考えられております。
実際に添付文書においても、ジトリペンタートカル静注の方の添付文書の重要な基本的注意の(2)の所に、「亜鉛等の金属欠乏をおこすことがあるため、血中濃度の推移を注意深くモニタリングし、必要に応じて亜鉛等の補充を考慮すること」と注意喚起しております。
○松井部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御意義が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題10、資料10「ルフィナミドを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
医薬品医療機器総合機構が事前評価をとりまとめておりますので、この報告書に沿って、希少疾病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、この3点について御説明申し上げます。
本剤の予定される効能・効果はLennox-Gastaut症候群(4歳以上)における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法です。申請者はエーザイ株式会社です。
まず、対象患者数について説明します。小児慢性特定疾患治療研究事業に登録されました患者は、2007年までの累計で461人と報告されています。また、平成11年に岡山県で実施された調査結果から、本邦における推定患者数を推定したところ、約3,600人とされました。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定要件でございます5万人未満を満たすものと判断しております。
次に医療上の必要性について御説明します。Lennox-Gastaut症候群は小児期に発症する脳波・臨床症候群と位置付けられる重篤なてんかん症候群の一つであり、13~27年の追跡調査での死亡率が17%と報告されるなど、長期予後が極めて不良な疾患です。
治療法としましては、本邦においてもラモトリギンなどの薬物療法が行われておりますが、こういった既存薬では十分に発作が抑制されない患者が存在すると考えられること、他剤無効例に関して本剤が奏功したとの報告が認められることなどから、本剤の有効性及び安全性が確認できれば、この分野における医療上の必要性はあるものと判断しております。
最後に、本剤の開発の可能性についてですが、本邦において20□年□月より臨床試験を実施中です。このことから開発の可能性はあると判断しております。
以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。以上です。
御審議のほど、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。おっしゃられていたので繰り返す必要はないと思いますが、Lennox-Gastaut症候群は発作がなかなかコントロールできないことのほかに、発作を起こす度に発達の遅れがどんどん目立っていくという大変重篤な年齢依存性のある、三つの難治性のてんかんのうちの一つです。
いかがでしょうか。御意見は、ございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。
なお、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料11「医薬品デパケン錠100、同錠200、同細粒20%、同細粒40%、同R錠100、同R錠200及び同シロップ5%の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、脳内のGABA神経系の伝達に促進的に作用するバルプロ酸ナトリウムを有効成分とし、「各種てんかん及びてんかんに伴う性格行動障害の治療」、「躁病及び躁うつ病の躁状態の治療」の効能・効果で承認されております。
本剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年10月29日に開催された本部会における事前評価結果を踏まえて、協和発酵キリン株式会社から、「片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料12「医薬品セレニカR顆粒40%、同R錠200mg及び同R錠400mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
本剤は、議題1で報告いたしましたデパケン錠等の製剤と同様、バルプロ酸ナトリウムを有効成分とする製剤であり、デパケン錠等と同様に先発医薬品として「各種てんかん及びてんかんに伴う性格行動障害の治療」、「躁病及び躁うつ病の躁状態の治療」の効能・効果で承認されております。
デパケン錠等における、公知申請の該当性に係る報告書及び本部会における事前評価を踏まえ、興和株式会社より、デパケン錠等と同様、「片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。
○事務局 報告事項議題3、資料13「優先審査指定品目の審査結果について(ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL、同皮下注用100μg/0.5mL、同皮下注用150μg/0.5mL及びレベトールカプセル200mg)」について報告いたします。
申請者MSD株式会社より、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を申請効能として申請が行われ、本年5月16日をもちまして優先審査品目の指定を行っています。なお、本日、類薬について御審議をいただいておりますが、この優先審査指定の時点におきましては、既存薬としては無かったということになっています。
適応疾病の重篤性ですが、C型代償性肝硬変ですので、生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断しています。また、医療上の有用性について、既存の治療法はインターフェロンβ製剤、インターフェロンα製剤等がありますが、C型代償性肝硬変の中でも一部についてのみ効能・効果とされていたということ、それから、臨床試験の結果からHCV-RNAの陰性化率を見ましても、本剤の有効性が高いということが期待されるということ、それから、本剤については週1回皮下投与ですので、既存製剤、連日投与のものに比べて肉体的・精神的な患者負担の軽減が期待されるということです。以上から医療上の有用性に該当するという判断をいたしまして、本併用療法を優先審査品目として指定しております。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。特にございませんか。
それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告事項はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、7月29日(金)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、今日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)