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2011年7月5日 第1回HTLV-1対策推進協議会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年7月5日(火) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館9階 省議室


○出席者

【構成員】(五十音順)

伊川構成員 岩本構成員 齋藤構成員
菅付構成員 塚崎構成員 永井構成員
西構成員 林構成員 森内構成員
山野構成員 渡邉構成員(座長)

【オブザーバー】(敬称略)

山越 里子

【事務局】

外山健康局長 亀井結核感染症課長 難波疾病対策課長
泉母子保健課長 鈴木がん対策推進室長 林結核感染症課長補佐
荒木疾病対策課長補佐 山本母子保健課長補佐 林がん対策推進室がん医療専門官

○議題

(1)HTLV-1対策推進協議会について
  (2)HTLV-1総合対策の取組の現状報告
(3)意見交換

○議事

○結核感染症課長 それでは、定刻となりましたので、第1回「HTLV-1対策推進協議会」を開会いたします。
 開催に当たりまして、外山健康局長よりごあいさつをさせていただきます。
○健康局長 本日はお暑い中、また遠方からも本会議に御出席くださいまして、誠にありがとうございます。HTLV-1対策につきましては、厚生労働省において、母子保健対策、難病対策、がん対策、感染症対策など、さまざまな分野からの取組みを行ってきましたが、一体的な対策の遅れに対し、これを大きく推進するため、昨年9月に総理官邸にHTLV-1特命チームが設置され、患者、専門家の方々、厚生労働省、その他の関係者が加わって検討が行われ、12月20日にHTLV-1総合対策がとりまとめられました。この総合対策におきましては、1.感染予防対策、2.相談支援、3.医療体制の整備、4.普及啓発、情報提供、5.研究開発の推進の5つの重点分野の取組みを進めることとなっております。厚生労働省の関係各課が一丸となり、また、地方自治体や関係機関の御理解、御協力の下、各種対策を進めているところでございます。
 HTLV-1対策の推進体制を今後にわたって着実なものとするため、本日ここにHTLV-1対策推進協議会が設置されましたことは、HTLV-1総合対策の最も重要な成果の一つでございます。本来4月にも本協議会をスタートしたいと考えておりましたけれども、東日本大震災に対する水道であるとか埋葬であるとか避難所への支援など、あるいは福島原発事故に伴う健康管理の対応のために開催が遅れてしまい、患者団体の方々及び関係者の方々には、大変御迷惑をおかけしまして、おわびを申し上げます。
 いずれにいたしましても、当協議会は構成員として患者の皆様を始め、専門医、研究者、行政関係者等、さまざまなお立場の方に御参加いただいておりまして、関係者が一堂に会して、今後のHTLV-1対策のやり方について議論をしていく重要な場になると考えております。
 厚生労働省といたしましては、この協議会を足場に、緒についたばかりのHTLV-1対策を急ぎ発展させまして、患者さんあるいは関係者の方々に貢献できるように全力を尽くしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○結核感染症課長 ありがとうございました。
 それでは、本協議会の構成員の方々を紹介させていただきます。資料1の名簿の順に沿って御紹介させていただきます。
 石川保健中央福祉センター所長の伊川あけみ様です。
 特定非営利法人はむるの会理事の石母田衆様ですが、残念ながら本日は御欠席との御連絡をいただいております。代わりといたしまして、オブザーバーで同法人代表理事の山越里子様に御参加をいただいております。
 東京大学医科学研究所教授の岩本愛吉様です。
 富山大学大学院医学薬学研究部産婦人科教授の齋藤滋様です。
 特定非営利活動法人日本からHTLVウイルスをなくす会代表理事の菅付加代子様です。
 長崎大学大学院附属原爆後障害医療研究施設准教授の塚崎邦弘様です。
 社団法人日本産婦人科医会会長の寺尾様ですが、遅れてお越しになられる予定でございます。
 埼玉医科大学医学部公衆衛生学教室教授の永井正規様です。
 長崎県こども政策局こども家庭課長の南部正照様ですが、本日は御欠席との連絡をいただいております。
 長崎・佐賀HAM患者会ひまわり代表の西次夫様です。
 中日新聞編集局次長の林寛子様です。
 社団法人日本医師会常任理事の保坂シゲリ様ですが、本日は御欠席との連絡をいただいております。
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染病態制御学教授の森内浩幸様です。
聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター准教授の山野嘉久様です。
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の渡邉俊樹様です。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。まず先ほどごあいさつをさせていただきました、外山健康局長です。
次に、健康局総務課がん対策推進室の鈴木室長です。
林がん医療専門官です。
同じく、健康局疾病対策課の難波課長です。
荒木課長補佐です。
同じく、健康局結核感染症課の林課長補佐です。
雇用均等・児童家庭局母子保健課の泉課長です。
山本課長補佐です。
そして、本日進行を務めさせていただいております、健康局結核感染症課長の亀井でございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきます。御確認ください。資料は1~9までございます。お手元にそろっておりますでしょうか。もし不備がある場合は、お知らせくださいませ。特に不備はございませんでしょうか。
それでは、本協議会の座長でございますが、配付資料2の開催要綱により、健康局長が指名することとなっております。これまでの有識者会議のとりまとめ等に御尽力をいただきました渡邉構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(拍手起こる)
○結核感染症課長 ありがとうございます。
では、ここからの議事進行につきまして、渡邉座長によろしくお願い申し上げます。
○渡邉座長 皆さん、本日はよろしくお願いいたします。慣れない座長役をやらせていただきますが、円滑に議事を進めていきたいと思います。さて、今日の会議の進め方ですけれども、お手元の議事次第に従って進めさせていただきたいと思います。
それでは、議題1の本協議会について、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○結核感染症課長補佐 それでは、資料2をまずごらんください。「HTLV-1対策推進協議会開催要綱」でございます。目的、構成、その他の会議の構成に係る事項を書かせていただいております。
目的といたしまして、ATLやHAMといった重篤な疾患を発症する原因となるHTLV-1の対策を推進するため、HTLV-1特命チームにより、平成22年12月20日にHTLV-1総合対策がとりまとめられたところでございます。総合対策に基づく重点施策を推進するに当たり、患者団体、学識経験者、その他の関係者から意見を求めるため、厚生労働省健康局長の主催により本協議会を開催するといたしております。
構成といたしましては、今日お越しいただいておりますとおり、患者団体の代表者、学識経験者、その他の関係者とするということといたしております。事務局側といたしましては、健康局の関係各課、雇用均等・児童家庭局の関係課が出席をさせていただいておりまして、皆様とともにこの対策をつくり上げていきたいと考えてございます。構成員の任期は2年とさせていただいております。この要綱に定めるもののほか、必要なことはこの協議会の運営をしていく中で定めていくことができればと考えてございます。
資料3「HTLV-1総合対策」という資料でございます。本協議会の構成員の皆様は、この特命チームのオブザーバーとして入っていただいていた方々も多うございますけれども、まずこの協議会がここに発足した成り立ちとして非常に重要なものでございますので、御紹介をさせていただきます。
「はじめに」といたしまして、HTLV-1の感染者数は100万人以上と推定されており、ATLやHAMといった重篤な疾病を発症するが、これらの有効な治療法はいまだ確立されていない。このため、多くの感染者は発症の恐怖に向き合いながらさまざまな苦悩を抱えており、有効な治療法を待ち望んでいるといった現状にございます。
こうしたことから母子感染の対策、これは母乳を介した母子感染が感染経路の6割以上を占めるということで、これの対策を行っていくということをまず掲げてございます。また、このほかに相談支援体制、その他の重点施策ということで5つの重点施策を掲げる対策の体系となっております。
「はじめに」の最後でございますけれども、このような状況を踏まえ、平成22年9月に内閣総理大臣の指示により、HTLV-1特命チームを設けて、官邸・政治主導の下、この総合対策がとりまとめられました。今後、国は地方公共団体、医療機関、患者団体等と密接な連携を図りつつ、HTLV-1総合対策を強力に推進するとしております。
1ページの下から「? 重点対策」となっております。
「1.感染予防対策の実施」「2.相談支援」「3.医療体制の整備」「4.普及啓発・情報提供」「5.研究開発の推進」といった施策を進めるということになってございます。
3ページの真ん中の少し下、このための「? 推進体制」でございます。「1.国における推進体制」として、HTLV-1対策に携わる行政、専門家、患者等によるHTLV-1対策推進協議会を厚生労働省において開催し、その議論を踏まえて、HTLV-1総合対策の推進を図る。こういったことが取り決められておりまして、これにのっとって、この協議会を今後進め、対策を進めていく大きな力とさせていただきたいと考えているところでございます。
まず、資料2、3の説明は以上でございます。
○渡邉座長 今の事務局からの説明に関しまして、何か御質問等はございますでしょうかよろしいですか。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題「(2)HTLV-1総合対策の取組の現状報告」について、続けて事務局から御説明をお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 資料4~8までを一つにとじてございます。この中に先ほどのHTLV-1総合対策の重点施策5分野の対策につきまして、この総合対策がまとめられてから約半年の間、厚生労働省で鋭意取り組んできたわけでございますけれども、現時点での取組みの状況について、まとめさせていただきました。今日はここを出発点として御議論をいただきたいと思いまして、現在の取組み状況について、まとめさせていただいております。
 まず、資料4「感染予防対策について」でございます。HTLV-1母子感染対策事業ということで、これは平成23年度の予算で実施するということとしておるものでございますけれども、HTLV-1母子感染対策協議会、HTLV-1母子感染対策関係者研修事業、HTLV-1母子感染普及啓発事業。こういったものを各都道府県で実施をしていただくこととしております。既に47の都道府県のうち、36や38といった、多くの都道府県で設置、実施が決まっており、また、それ以外の都道府県においても今年度中、あるいは来年度以降に設置を検討していただいているという状況でございます。
 具体的には、対策協議会では抗体検査の実施状況の把握やキャリア妊婦の支援体制、相談窓口、研修等について検討をしていただくということになっておりますし、この母子感染対策関係者研修事業においては、各都道府県において抗体検査についての基礎知識、母子感染に係る保健指導等に関する研修、母子感染予防に関する研修等を行っていただくこととなっております。また、併せてリーフレット、ポスターの作成等を通じた広報も行っていただくこととなっております。
 続きまして、4-2ページ「妊婦健康診査におけるHTLV-1抗体検査の実施状況」でございます。これはHTLV-1特命チームでの2回目までの議論を踏まえまして、妊婦健康診査においてHTLV-1抗体検査を全国的に実施するということとなりまして、これを受けて、現在の妊婦健康診査の公費負担の対象として、HTLV-1を加えるということを各自治体へ周知をいたしました。
これを受けての実施状況を調べたものでございます。妊婦健康診査は検査項目を明示した受診券方式と書いてございますけれども、そういった方式でやっているところと、いわゆる金券といいますか、検査項目を明示していない自治体がございますけれども、受診券方式、検査項目を明示して行っているすべての市区町村において、HTLV-1の抗体検査を公費対象に含めて実施しているということでございます。なお、震災の影響のあった3つの都道府県については、今回の調査は遠慮させていただきました。
4-3ページ「保健所におけるHTLV-1抗体検査の実施について」でございます。妊婦健診以外の検査の場の確保として、それにHTLV-1の方々が検査をしたいという場合にできる体制の整備を図ってございます。保健所において、さまざまな相談事業等も行うわけでございますけれども、それと併せて自分がHTLV-1に感染しているかどうか御心配だという場合に検査ができるような仕組みを整えたいということでございまして、平成23年度から特定感染症検査等事業において、HTLV-1検査を国庫補助の対象項目として加えるということをいたしました。今年度138の都道府県と保健所のある自治体のうち、25の自治体で実施予定と聞いてございます。
資料5「相談支援(カウンセリング)について」でございます。相談支援、カウンセリングにつきましては、これはその体制の整備ということで、まず技術的な方法について従事者に周知を図り、研修を行っていくということが重要でございまして、そのための手引の作成をこの会議の構成員の先生方の御協力もいただいて、進めてまいりました。
5-1ページにございますHTLV-1母子感染予防対策の医師向けの手引、その下にあります保健指導マニュアル。これは保健師の方を主な対象としておりますけれども、こういったものを作成し、各都道府県、政令市、特別区等の自治体や産婦人科を標榜する医療機関などに配付をさせていただきました。また、この後に出てまいりますさまざまな資材につきましては、厚生労働省のホームページにも掲載をして、広く活用していただけるようにということをいたしております。
5-2ページ「○HTLV-1キャリア 指導の手引」ということで、これは医療関係者がHTLV-1に感染されているキャリアの方々を診断、発見した場合に、どのように対応、指導をすればよいかということに関する資材でございます。また、患者さん向けの言葉で説明をしたQ&Aも掲載をされております。自治体や参加の医療機関等に配付をさせていただきました。
5-3ページ「○HTLV-1母子感染予防対策全国研修会」でございます。これはもう既に昨年度、この3月2日と9日に実施をしたものでございますけれども、自治体の母子保健担当者や産婦人科医等を対象にHTLV-1の現状、カウンセリング等について研修を行うものでございます。さきに御紹介をした都道府県ごとの研修事業に先駆けて、全国でまず都道府県の指導的な立場になる方に研修をしていくということで、最初に実施をさせていただいたものでございます。また、この研修会のDVDについては、各都道府県、市区町村等に送付をいたしまして、各自治体での研修にも役立てていただきたいと考えております。
5-4ページ、そのほかの研修でございますが、「○HAM患者に対する相談・支援のための研修」といたしましては、これまでから特定疾患医療従事者研修あるいは難病相談支援センター職員研修という難病対策の中での研修がございますけれども、この中で今年度はHAMに関するその内容に大きく焦点を当てて研修をするという予定になっておりまして、この10月下旬に開催をする予定でございます。
また「○ATL患者に対する相談・支援のための研修」といたしましては、がん診療連携拠点病院の相談員の研修を国立がん研究センターが行っておりますけれども、この中でHTLV-1キャリア指導の手引等について研修をこれは既に行わせていただきました。674名の方が参加をしてくださいました。
5-5ページ「相談窓口」についてでございます。こういった研修等をした上で、都道府県等、自治体において、相談窓口の整備を図っていただくようお願いをいたしております。そして、その相談窓口について、国の方でとりまとめをさせていただいて、一括してどこにあるのかということがわかるように、公開をさせていただきました。その相談窓口ごとに一般的な相談に得意なところ、ATLの相談、HAMの相談、母子感染、そういった相談を主に行っているところがございますけれども、そういったところも併せて明示をさせていただいております。厚生労働省のホームページ、後から出てまいりますHTLV-1のポータルサイトの中に、こういった相談窓口の検索できる機能を付けさせていただいております。
続いて、資料6「医療体制の整備について」でございます。医療体制の整備につきましては、まず制度の高い検査方法の開発ということで、これは研究班に実施していただいているものでございますけれども、HTLV-1の検査につきましては、依然として判定保留といった形で白黒が付かない方がいらっしゃるといったこと。そして、将来の発症リスクの予測のためにもウイルス量を測定できる方法を標準化することが必要であるということがございますので、このための研究をまず鋭意進めていただいております。
次に、診療体制の整備という中では、患者さんがどの医療機関にかかればいいのかがなかなかわからないということをまず解決するために、これは研究班でつくっていただいておりますHTLV-1情報サービスというサイトの中で、HTLV-1、HAM、ATLについての相談、診療対応が可能な医療機関がどこであるかということの情報提供を開始をいたしました。また、ATLに関する臨床研究の参加医療機関のデータベースを整備して、情報提供を開始をさせていただきました。この辺りのことは山野先生を中心に進めて来ていただいたところでございますので、後ほど先生からも詳しく御紹介をいただきたいと考えてございます。
診療ガイドラインの策定につきまして、HAMについては重症度別の治療指針の策定に向けて、今、研究班で取り組んでいただいております。ATLにつきましても、さまざまな治療法の選択肢が近年出てきておりますので、この研究の公募の中で診療ガイドラインの検討をする研究班を現在公募を行ったところでございます。
6-2は先ほど申し上げました診療機関、臨床研究機関の検索の方法、こういった形で検索ができるということでございます。
資料7「普及啓発・情報提供について」。これはインターネットによるものやポスター、リーフレット、パンフレットといったものを御紹介をさせていただきます。
まずHTLV-1ポータルサイトということで、厚生労働省のホームページの中にHTLV-1の情報のすべてにアクセスできるようなページを新たに作成をさせていただきました。これまではがんのページ、母子感染のページ、そういったものの中に情報が散在しておりましたけれども、厚生労働省、HTLV-1ということで検索をしていただくと、まずこのページが見つかりますので、そこからすべての情報にアクセスできるということになっております。
また、その中でターゲット別、あるいはメニュー別に情報を分類しておりまして、必要な情報にたどり着くことができるようにさせていただいております。相談先の検索についても、このページの機能として加えさせていただきました。
7-2ページ「○HTLV-1情報サービス」ということで、これは研究班の合同委員会で作成していただいたものでございますけれども、医療機関に関する情報、その他専門家の先生方ならではのきめ細かな情報提供をいただいているものでございます。また、この先の普及啓発資材についてもそうでございますけれども、患者団体の皆様にも御協力をいただきまして、このサイトや資材がわかりやすくなるようにお知恵をいただいたところでございます。
7-3ページ、母子感染に関するポスター、リーフレットでありますけれども、ポスターとして、この右にありますようなものを自治体に配付をさせていただきました。また、母子健康手帳の交付時に配布できるようなリーフレットについても各自治体に配付をさせていただきまして、母子健康手帳を妊娠してお母様が受け取られるときに、併せて受け取っていただくということをいたしております。
7-4ページ「○HAMと診断された患者さまへ」という普及啓発資材でございます。これはHAMと診断された患者様を対象にQ&A形式でHAMについて詳しくお知らせするものでございます。
7-5ページ、ATLにつきましても患者さん、御家族への病気治療等の理解を助けるための小冊子を作成をさせていただきました。
「○HTLV-1キャリアのみなさまへ」ということで、キャリアの方々に向けてのリーフレット、小冊子といったものについても作成し、各自治体等に送付をいたしております。
 こういった取組み、総合対策に基づいて進めてきたものでございますけれども、今日ここにいらっしゃる先生方にも絶大なる御支援、御指導を賜りまして、このように実現をしたものであることを、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
資料8「研究開発の推進について」でございます。研究体制として、これは総合対策の目玉の大きな一つでございますけれども、HTLV-1関連疾患研究領域を厚生労働科学研究費補助金に設けまして、研究費を大幅に拡充するとされたことを踏まえまして、関連する研究事業が連携をしてHTLV-1関連疾患研究領域というものを設置いたしました。研究費としては10億円の研究費の枠を確保して、各事業の中で少なくとも10億円についてはHTLV-1のために確保して、HTLV-1のためだけに使うというものでございます。
また、研究班の運営の体制といたしましては、研究班を横断する総括的な研究班会議を行うなど、研究班の数が増えてまいりますけれども、総合的、戦略的な研究の推進ができるようにするということが決められておりまして、平成23年2月にはATLの臨床研究班の合同班会議を開催いたしましたし、23年2月19日にすべてのHTLV-1のすべての関連疾患の研究班の初の総括的な班会議を実施していただきまして、この場でそれぞれの進捗を確認するとともに、今後にシーズになるようなものについても発表いただき、御議論をいただきました。
8-2ページ「研究課題の採択状況」でございます。この総合対策がとりまとめられる以前に昨年度から行っていた研究、あるいは既に昨年10月、11月に公募が進んでおった研究等につきまして、この4月から開始しているものがございます。ここのページに掲げさせていただいているような研究に現在取り組んでいただいているところでございます。
10億円のうち一部については既に研究が始まっておりますけれども、それ以外の研究支援の部分について、また、研究テーマとしても、もともと4月から始めた研究の中でカバーできなかったような部分を中心に二次公募ということで公募をさせていただきました。HTLV-1関連疾患研究領域ということで、これまでは4つの研究事業を公募要綱の中で別々の章に分かれて公募しておりましたので、なかなかHTLV-1の関連する研究がどこで読めるのかということがわかりにくかったかと思いますけれども、今回は関連疾患研究領域ということで一まとめにして、合わせて8つの研究課題の公募をさせていただきました。公募期間は6月30日ということで、ちょうど締め切ったところでございますけれども、今後、評価委員会による評価を経て採択をし、できるだけ早く研究を開始していただけるようにしていきたいと考えてございます。
事務局で用意いたしました資料は、以上でございます。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 HTLV-1総合対策に沿って、取組みの現状を御報告いただきましたけれども、これまでの御報告に関しまして、何か御質問等がございましたら、御発言をお願いいたしたいと思います。
 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤構成員 富山大学産婦人科の齋藤です。
 今回、HTLV-1の母子感染対策につきましては、本当に公的な援助をいただきまして、感謝を申し上げます。私たち産婦人科の学会の方でも診療ガイドラインを改定いたしまして、従来ならば推奨レベルCの行ってもよいというレベルから、推奨レベルAの強く進めるという推奨レベルに変わり、妊婦に対するHTLV-1抗体検査は必ず行われなければならない検査となりました。
 いろいろな形で講演会に出席するのですが、そこでよく出る質問なんですが、里帰り分娩をされたらとか転地をされたりして、ちょうど公費補助を受けるところで転居された方で、実際に検査を受けていらっしゃらない方がいらっしゃいます。新しい地域でHTLV-1検査を受けようとしますと、公費補助を受けられないという方が、少ないんですがいらっしゃるということを各地でお聞きしております。そのような方に対して、是非レスキューするような対策をお願いしたいと思います。これは多くのところで要望で出ておりますので、その点もお含みおきいただければと思います。
○渡邉座長 今のような、実際に分娩の際に里帰りとか、そういうことはかなり日常といいますか、かなり高頻度で起きていることではないかと思いますけれども、それに関しまして、担当の方からお願いします。
○母子保健課長 母子保健課でございます。HTLV-1の抗体検査に限らずですが、妊婦健診を妊娠後期に別の市町村で受けるという場合には、元の自治体が医療機関との契約なり、1回お支払いしたものを後で返してもらうなりという方法で、公費負担を行うようになっております。個別の問題がございましたら、対応してまいりたいと思います。
○渡邉座長 ということでよろしゅうございますか。
 それでは、山越さんの方から。
○山越参考人 福島の方が東京に避難してきまして、福島ではまだHTLV-1の抗体検査をしなかったんですけれども、東京でやろうと思ったら、もうそれは終わった後だと言われて、14回のうち、それを入れると15回になるから無料にはならないと言われたそうです。そういう場合も結局あるということを承知していただきたいです。
○渡邉座長 お願いします。
○母子保健課長 今回被災した方が、一度受けた妊婦検診の感染症検査等の結果が元の医療機関から失われてしまって、御本人も母子手帳を失くしてしまったということで再検査が必要な場合、緊急的な措置として費用をみれるようになっています。
○渡邉座長 それ以外の御質問はございますか。どうぞ。
○菅付構成員 2つ質問をさせていただきます。
 まず1つは、保健所におけるHTLV-1抗体検査の実施について、23年度からHTLV-1が性感染症の枠組みの中で予算が付いたのだとは思うんですけれども、このイメージが。あくまでも私は患者とキャリアの立場で思うんですが、性感染症というイメージはやはり、HTLV-1の場合はどちらかというと母子感染を中心に、今だから母子感染対策をして、そこからの感染を防ごうと、ようやくそこに入ったところなのに、言われた母親にすれば、ATLに対する恐怖と子どもに感染させたくないということと、もうおっぱいをあげられないということで頭がいっぱいにもかかわらず、プラス性感染症というイメージは非常に傷付く。梅毒とか性病のイメージとして。だから、できればHIVにしても肝炎ウイルスにしても性感染症であり、母子感染もあり、私は輸血感染ですけれども、そういうものも含めて一本立てということはできないものでしょうかということ。
 あと一つ、研究からの採択状況のところですけれども、ATLに関しましては非常に研究者の方々が意欲的にいろいろなものが採択されて、また実際に治療薬も開発されて、ATLの患者さんからは本当に対策ができてよかった。スマイルリボン運動をやってくれたお陰だとか、本当に感謝の声を聞きます。勿論まだまだ足りない部分もあるけれども、今この採択状況を見てもATLの先生方は非常に頑張っておられるということがよくわかりました。
 ただ、HAMに関しては、本当に治療薬がない状況。今、難治性疾患克服研究事業の中で3つが採択されている中の出雲先生の分はよくわかるんですけれども、免疫性疾患に関する調査研究、楠先生の研究と、難病研究資源バンク、多分、抗体の検査、キャリアのHAMの血液の検査とか、実際にHAMの患者が先生の一つのところに血液を検体して集めて協力をしているということは前からやっておりましたので、それが生かされるのであれば、すばらしいなと思いまして、これについてもお聞きしたいなと思いました。よろしくお願いします。
○渡邉座長 それでは、2つの項目に渡りますけれども、最初の保健所における検査の体制ということに関しまして、補足の御説明があれば、お願いしたいと思います。
○結核感染症課長補佐 1点目について回答させていただきます。4-3ページのところでございますけれども、性感染症に関する検査・相談事業並びにHTLV-1に関する検査・相談事業ということで、概念的には性感染症の検査・相談とHTLV-1検査・相談は別のものだと考えてございます。予算上、特定感染症検査等事業という一つの枠の中でさせていただいておりますけれども、そこは概念的には別のものだと考えておりますし、今後、普及啓発等をしてまいります際にも、おっしゃるような御懸念あるいは誤解が生じないように、そこは十分に配慮していきたいと考えております。
○健康局長 保健所のあれで、性感染症の看板を掲げてやっているんですか。
○結核感染症課長補佐 ですので、HTLV-1というのは性感染症の検査とは別の看板でやっているということでございます。
○渡邉座長 今の御説明ですと、実際に保健所では枠組みが別の形で表示されるといいますか、案内されるであろうということでよろしいですか。
○菅付構成員 厚生労働省のこういう告知があると、それをうのみにされて、軽く性感染症ですよ、検査を進めますというような言い方をされるのではないかというところも不安にあります。
○結核感染症課長 情報提供については、これからも今の御意見を尊重いたしまして、引き続き、きちんとその辺の誤解が生じないように提供してまいりたいと思います。
○菅付構成員 よろしくお願いいたします。
○疾病対策課長補佐 HAMの研究の関係でございます。HAMの関係についても、出雲先生中心の研究班、そして、こちらに書かれておりますように、免疫性神経疾患に関する調査研究につきましては、臨床調査研究分野ということで毎年130疾患に対して行う研究班の一つでございます。ですので、平成21年度からHAMについては毎年研究を行う疾患に入っておりますので、こちらの研究班でもほかの疾患と共に行わせていただいていると。それは他の免疫性神経疾患とも重なり合う部分もございますし、研究班会議等でその知見を共有できるということで、効率的にやっていくということが一つあります。
 更には、試験バンクの件でございますが、これは逆に山野先生の方がお詳しいと思いますけれども、患者の皆様の御協力を得て集めさせていただきましたHAMの検体について、こちらの方で保存をし、更にこの夏くらいには公開をして、研究のすそ野を広げるという意味合いでは非常に重要な研究だと思っておりますので、引き続きやらせていただきたいと思います。
そして、菅付さんから御指摘がありましたように、HAMの治療法を見つけるというのが重要だと思います。これは今の3つの研究だけではなくて、8-3にございますように、まさに6月30日に課題を締め切ったんですけれども、HAMに対する新たな医薬品開発に資する研究という部分についても公募をしておりまして、数課題の応募がございましたので、こちらを厳正な審査の上で研究を進めさせていただきたいと思っております。
簡単でございますが、以上でございます。
○渡邉座長 という説明ですが、よろしゅうございますか。
○山野構成員 今の研究費の内容について、私が知っている範囲で御説明をさせていただきます。免疫性神経疾患に関する調査研究というのは、HAMも含めた複数の免疫性神経疾患に関する継続的な研究班でして、HAMの先生も一部入って、これはHAMの研究として全額使われているわけではないんですけれども、HAMも対象疾患として入っているという研究と理解しております。
 難病バンクに関しましては、まだ新しく立ち上がったばかりという点がありますので、HAMも全面的に協力していますけれども、まだまだこれから連携を深めていかないといけないという段階であります。こういうふうに書いていただいたので、むしろ我々は積極的にこの研究者の方々にもHAMにきちんと協力をしていただくようなことを今後望んでいきたいと思っております。
こういうふうに額が大きくなっていますけれども、決して全額がHAMの研究に使われているわけではないんですが、この中でも一部行われていると。我々も全面的にこういう事業にも協力をして、HAMの研究を更に広げていくような努力は行っていきたいと考えております。
○菅付構成員 HAMの研究者の方が非常に少ないなと思っていたところに、亀岡先生や楠先生など、患者会の中でも初めて聞かれるお名前があったので、とてもうれしく思います。研究者の層が広がって、まずは大きな広がりの中でどんどん進めていっていただけたら、本当にありがたいと思います。その辺をよろしくお願いいたします。研究者の方もどうぞよろしくお願いいたします。
○渡邉座長 山越さん、どうぞ。
○山越参考人 このHTLV-1関連疾患研究領域という中に、新型インフルエンザと新興・再興感染症研究事業というのが入っているんですけれども、これはなぜHTLV-1ではないのに、この研究事業になっているんでしょうか。実際に分けると多分第三次、HAMも含めたことだと思いますけれども、難治性疾患と言うとHAMかなと思うと、HAMに対する緊急事業費がここで見ることでは、出雲先生のことだけしか乗っていないように思うので、その配分が私は大変HAMに対して研究事業費が少ないのではないかという気がいたしますけれども、いかがでしょうか。
○渡邉座長 この点に関しまして、研究事業の構造と実際の研究体制の補足的な説明をお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 まず新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業という長い研究事業が何をやっているかということを最初に御説明をさせていただきます。この等というのは行政的には非常に大事な一つの文字でありまして、新型インフルエンザは一つの代表例ですけれども、この研究事業については、あらゆる感染症について研究をしております。新型インフルエンザが非常にトピックスになっておりますので、これを代表選手として名前を掲げさせていただいておりますが、新型インフルエンザだけでは決してなくて、あらゆる感染症について、この研究事業の中でいたしておりまして、これまでからもHTLV-1の感染者の疫学調査などをこの研究事業の中でさせていただいてきておりました。
 今回は既に採択しているものの中で、診断の標準化、PCR検査がきちんとできるようにするというような研究を既に採択されておりますし、今後は感染の克服に向けた病態の解明、感染・進展の防止、診断技術の向上ということで、HTLV-1を感染症として見た場合の研究については、この研究事業の中で積極的に採択をさせていただきたいと考えております。
○健康局長 山越さん、資料の8-1は区分の表ですけれども、例えば8-2を見てもらいますと、上から2つ目の新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究の中に「HTLV-1感染症の診断法の標準化と発症リスクの解明に関する研究」と書いてありますでしょう。これはHTLV-1ウイルスに着目してある研究費はたまたまこの感染症研究事業の中に入っているので、そこに区分されているけれども、今回はそれらを併せて関連疾患研究領域としているということになります。
 あと、説明はなかったけれども、HAMの採択が少ないというのは説明してください。
○疾病対策課長補佐 難治性疾患の中のHAMについては山越さんがおっしゃられましたように、出雲先生の重点研究のHAMに関したものと、臨床調査研究ということで毎年やらないといけない。130疾患として21年度からHAMも入っておりますので、それをやるという研究が免疫性神経疾患という調査研究。
更には、基盤的にHAMの患者さんの御協力を得た検体をいろいろな研究者に使っていただきたいという基盤的な研究というところで、この難病研究資源バンクの開発研究でHAMの患者さんがたくさん入っていますので、こちらの方に掲げさせていただいております。それを切り分けるということがなかなか難しいので、額としては多く見えたり、少なく見えたりしますけれども、こういう形で掲げさせていただいております。更には治療法開発も公募して、採否について事前評価委員会の方で決められるということになります。
○山野構成員 今の発言の内容ですけれども、免疫性神経疾患の研究班の金額の全額と難病バンクの全額が10億という予算の中に入っているということなんですか。それとも、切り分けるのは難しいというのはよくわかるんですけれども、実際にHAMの研究のために使われる金額は恐らくすごく少ない。この中では非常に少ないのが現状なので、その10億という中に全額がもう含まれてしまうのか、そうでないのかというところはいかがでしょうか。
○疾病対策課長補佐 それは今の追加の公募の状況にもよりますので、基本的にはHTLV-1関連の研究について10億を目標に掲げてやっているということでございます。まだ途中経過ということで申し訳ございません。
○渡邉座長 どうぞ。
○伊川構成員 大変多岐にわたる事業で、私ども保健所にいる者は、地域ではこれからというところなんです。相談窓口とか啓発の資料とかがいろいろございましたが、私どももこれからよく勉強して対応をしていかなければならないと思っております。
 そういう中で私どもが、例えば住民の方が地域で妊婦健診を受けられてキャリアだとわかったときに、産婦人科の先生なりに御相談をされることもあるかもしれませんし、市町や保健所の保健師などに御相談されることがあるかと思いますが、そのようなときに今までの情報を勉強した上ででも、まだこの辺りはどうなのかなと悩むときに、もし私どもも相談できるところがあればいいなと思うんですけれども。それはこちらにいろいろ書いてある先生方のところとか、国のそれぞれの窓口とか、そういうところに御相談をすればいいことになるんでしょうか。ここに相談をすればいいのではないかというところがあるといいかなと思いました。
○渡邉座長 どうぞ。
○母子保健課長 先ほど資料の4-1でございました、各都道府県でHTLV-1の母子感染対策協議会というのを設置していただくことになっております。まずその協議会の中で一次的な相談、更に専門的な相談という体制をまず各県の中でつくっていただくということをお願いしているところでございます。
○伊川構成員 わかりました。
○渡邉座長 そのほかに御発言はございますでしょうか。
それでは、時間が押していますので、次に山野先生から御説明をいただいて、その後の総合討論のところでもう一度議論をさせていただきたいと思います。
続きまして、HTLV-1情報サービスサイトを実際に作成されたほか、この間にさまざまな取組みをしてこられました山野先生に、主に情報サービスのことを中心に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山野構成員 では、よろしくお願いいたします。HTLV-1の情報提供ツールというのを昨年12月20日にHTLV-1総合対策の方針が特命チームの最後の会合で発表された以降、総合対策が円滑に進むようにということで、ウェブサイト、パンフレットを作成するということは非常に重要であるということで、追加の交付という形で実施させていただきました。
 関連する研究班のここに出席されている先生方に協力をいただきまして行いました。実際にそのHTLV-1に関わる各対象者の声というのは、例えばキャリアとかはキャリアということ自体がわからない。白血病ウイルスに感染していると言われて病院に来て、私は白血病ですと言われましたという形で来るので、実際にキャリアとは何かということすら知らないんですね。患者さんもどこの病院で診てもらえるのかがわからない。また、周囲がそういうウイルスのことを知らないので、いろいろな差別や偏見に皆さんが悩んでいるというのが現状であります。
また、医療従事者も妊婦健診が全国で始まりますが、どのような指導が適切なのかということが、このウイルスや病気のこと自体は余り知らない方々が実際にまだまだ多いので、そういう悩みがあり、多くの方々がさまざまな悩みや不安を抱えているというのが現状であります。
(PP)
そこで目的としましては、全国のキャリア患者及びその家族が自ら医療機関や治療方法を検討するために必要な情報を提供したい。
(PP)
また、医療従事者が相談対応や診療の際に必要な情報を提供するということを目的としまして、このHTLV-1関連の情報を総合的にまとめたウェブサイトの制作とキャリアや患者、医療従事者を対象としたパンフレットの作成と配布ということを何とか昨年度内に終わらせるということで、1~3月の短期間でしたけれども、皆さんに協力をしていただきまして、実施いたしました。
ウェブサイトの制作とパンフレットの制作、発送を同時並行で進めていったんですけれども、情報収集をまずしまして、特に実態調査、ちゃんと診療していただけるのかという病院の調査をしまして、そういう情報を盛り込んだウェブサイトをつくりました。パンフレットに関しましては、内容に関しまして、さまざまな分野の先生方に協力していただきまして作成し、発送したと。
更にこの内容、デザイン等について、患者会の方々に随時見ていただいて、細かい用語とか、そういう部分についてチェックしていただきまして、実際に実施していったというのが状況であります。
(PP)
 ただ、さまざまな分野にまたがりますので、いろいろな先生方の調整や、いろいろな先生方に連絡して協力していただかないといけない。厚生労働省の各担当課、皆様に協力をしていただいて、やっと実現できたと。非常にばたばたしたので、皆様方にはかえって御迷惑をおかけした部分もあるかと思いますけれども、その部分に関しましては、この場をお借りしておわび申し上げたいと思います。
(PP)
できましたウェブサイトのトップページはこういう内容なんですけれども、このウェブサイトの特徴について、御説明をしたいと思います。
(PP)
特徴その1は、対象者別のコンテンツの構成になっているという点です。一般の方向けと医療関係者向けの大きく2つに分かれております。一般の方向けは絵や図を入れて、わかりやすい表現に心がけております。また、医療関係者向けに関しましては、相談や診療の際の基礎知識をできるだけ専門的な部分を少し触れるという感じになっております。
(PP)
トップページが一般の方向けにそのままなっております。特徴はこういうふうに見たいコンテンツをクリックすると、それぞれのわかりやすい説明が見られるような構成になっています。右下の方には患者や家族に必要な情報をサブコンテンツとして設置しました。また、2つの検索機能をすべてのページで常に表示できるような構成になっています。
(PP)
今度は医療関係者向けの情報ですけれども、トップページのここをクリックしますと、色が変わりまして、医療関係者は各コンテンツをクリックすると、こういう内容が見れるような仕組みになっております。
(PP)
このウェブサイトのもう一つの特徴は、2つの検索機能を付けたという点であります。医療機関が検索できる。患者や家族がどこで診てもらえるのか。その医療機関を検索できる機能と、医師や相談員が患者を紹介できる最寄りの医療機関を検索できるということを目的としてやりました。
(PP)
もう一つの検索は、臨床研究情報。患者、家族、医師や相談員が最新の臨床研究を実施している医療機関を検索できるという機能を加えました。医療機関検索機能に向けて、まず実態調査を行ったんですが、HAMの患者さんを診ていただけますかということで、841の神経内科専門医の施設に配布しまして、有効回収数が295。ATLに関しましては、1,310の施設に配布しまして、有効回収数が460という形で回答をいただきまして、対応する医療機関の情報を収集して、それぞれに分別して解析して、この検索機能をつくりました。
(PP)
ここで医療機関検索をクリックしますと、こういう画面になります。ここで例えば疾患から検索をクリックして、ATLとかHAMという疾患名を選択してクリックします。更に神奈川県とかという形で地域から検索して、「検索する」というボタンを押すような感じでいきますと、神奈川県でHAMの患者さんを診療対応できますよと言ってくださった病院がずらっと出てきます。
(PP)
更に「詳細はこちら」を選択しますと、その病院の内容、医療機関の基本的な情報を掲載し、各施設のホームページのアドレスもすぐに見ることができるような仕組みをつくりました。
(PP)
 また、臨床研究の情報(治験を含む)を掲載するために、今度は関連する研究班の先生方から情報を収集しまして、それを一般の方向けに整理して掲載するようにしました。
(PP)
「臨床研究情報」をクリックいたしまして、臨床研究はどういう内容かを一般の方は全然知らない方がほとんどなので、まず「臨床研究とは?」ということで、臨床研究のことをわかりやすく説明するようなページを設けてあります。
(PP)
更に今度はどういう臨床研究をやっているのかが見たい方は、ここをクリックすると、地域から検索できたり、また疾患からもこのように検索をして、例えばATL(初発)の方が福岡県でどういう臨床研究を受けられるのかなと「検索する」というボタンを押しますと、福岡県でATLの初発の方を対象とした臨床研究はこういうことをやっていますという画面がずらっと出てくるようになっています。
実施医療機関の部分をクリックすると、医療機関のホームページが表示されますし、「詳細URL」というのはNIHが世界の臨床研究のデータベースをつくっていますけれども、そこの内容が表示されるようになっております。NIHはリンクフリーなので、ここに掲載できるようにしています。
(PP)
以上がウェブサイトの内容ですけれども、アクセス解析をしますと、3月31日の何とか年度末に間に合いまして、4月、5月、6月のアクセスの回数ですけれども、今のところは毎月順調に伸びております。少しずつ周知されているのかなと思います。新規のアクセス率も約60%なので、今のところは非常に注目されて、新しい方々が次から次に来ているという状況ではないかなと。ただ、もっとこれが周知していくための課題が今後であるかなと思います。
(PP)
パンフレットの作成も実際に行いました。やはり関連する研究班の皆様方に大変協力をしていただきまして、各対象者向けに情報を整理しまして、パンフレットを作成しました。
(PP)
もともとは山口班というところで、キャリアを対象とした簡単なリーフレットと医療従事者向けの指導の手引が作成されていました。更に今回、皆様の合同班でキャリア向けの詳細版とHAMの患者さん向けの説明、パンフレットとATLの患者さん、家族向けのパンフレット。これは11万部、10万部、3万5,000部、1万5,000部、8,000部を各印刷して、全国の都道府県関連及び医療機関の合計、約1,650施設に発送いたしました。この反響がすごく大きくて、10万部くらい刷って配送しているんですけれども、まだ足りないと。是非追加で配送してほしいという要望がかなりありまして、残念ながら年度をまたげないので、今のところはそれにはPDFのダウンロードで対応していただいているというのが状況で、非常に喜んでいただいているという状況です。
(PP)
 最後に今後の課題ですけれども、ウェブサイトの内容及び機能の充実を図っていかないといけない。できればモニターを設けて、患者やキャリアや医療従事者にモニターになっていただいて、内容を評価して、更に改善をしていくという作業が必要でしょうし、HTLV-1は専門家に関する情報公開がないと。いろいろな機関で診療できるんですけれども、そこからHTLV-1の本当の専門家につながるという部分がまだ欠けていますので、そこもつくっていかないといけないのではないかと考えています。
 あと医療機関の情報、臨床研究情報は定期的にアップデートをしないといけませんし、相談者を教育していかないといけないというので、勿論、研修も大事ですけれども、簡単にウェブ上で勉強できるような、eラーニングみたいなのを今後開発していった方がいいのではないか。
 また、先ほど保健所の先生から御質問がありましたけれども、相談対応をする医療従事者の疑問に答える体制。専門家がどのように答えるか。そういう体制をどう構築していくかということも大事だと思います。研修会やシンポジウムなどを行って、ウェブサイトの欠点は待たないといけないということで、ウェブサイトの方から情報発信ができないので、シンポジウムなどを開催して、皆さんに関心を持っていただいて、そこまでまたウェブサイトを見ていただくというような相乗効果を図っていかないといけないのではないかと思います。
 パンフレットに関しましては要望がかなり出ていますので、必要部数を把握して、増刷、送付する作業は比較的早期に対応することが本来は望まれる。内容に関する問い合わせに基づく内容の検討をし、定期的な改訂も今後は必要ではないかと思います。
以上です。どうも御清聴をありがとうございました。
○渡邉座長 山野先生、どうもありがとうございました。
まず最初に山野先生の今の御説明に関連いたしまして、御質問等がございましたら、どうぞお願いいたします。
菅付さん、いかがですか。
○菅付構成員 私は後で、今の情報サービスを利用して会の中で活用しているという話をしたいと思いますので、そのときに説明させていただきます。
○渡邉座長 それでは、特に御質問がないようでしたら、菅付さんの方から発言をお願いいたします。
○菅付構成員 HTLV-1総合対策が特命チームで話し合われまして、12月20日に最後の会議が終わりまして、その会議の中に患者会として参加させていただき、また、私たちにも発言する場を与えてくださっている。それがとてもいい会だなと思っていますし、できれば私たちの意見も生かした方がとても合理的だと思うし、患者会が国の政策とともに民間の人たちと協力を得ながら、相乗効果を出しているということをわかっていただきたくて、今日は会報と3月につくったばかりのパンフレットを持ってきました。
 『アトムが行く!』という会報の一番後ろを見ていただきたいのですけれども、ここに現在の会員数、賛助会員の個人が185名、日本からHTLVウイルスをなくす会の賛助会員が185名となっているうちの内訳は、ほとんど半分がキャリアの方。その半数がATL患者の方。ただし、1年後は遺族になられる方も多くて、関心を持っておられる方を含めて185名です。
 その下に「アトムの会会員」とあるのは、北海道から沖縄まで、ほぼ100%患者の数です。私は2003年にアトムの会、HAM患者会を1人から立ち上げて、まず12の支部をつくりまして、もう9年目になるんですけれども、3名の支部長が亡くなりました。HAMという病気は結構、命に関わる病気にもなります。
 『アトムが行く!』でふせんが張っております?1のところ。これが総合対策を踏まえてからの12月20日から今年3月20日までの活動の記録です。厚生労働省の主催の会議にも患者代表として参加させていただきました。沖縄県の市民健康フォーラムではATLとかキャリアに有効というモズクの研究をしていらっしゃるところと共催で医療講演会とシンポジウムとかをさせていただきましたが、そこでまた広がるんです。これがHTLV-1の啓発の事業になっております。
 こちらに活動記録を載せております。これはあくまでもここ4か月くらいの活動です。2003年に患者会を立ち上げて、難病認定を目指したわけですけれども、途中でATLも一緒に含めて研究をしなければ、どうしても前には進まないだろうと思ったので、なくす会というNPO法人を立ち上げて、輪を広げて、今、私は結局2つの会の代表をやっていることになります。
2番目がなくす会主催で企画、東京で啓発のシンポジウムが必要ということで、医者の先生方にも協力をしていだきまして、実際に行ったこと。
3番のふせんが張ってあるのは、対策がなされたことで薬剤が開発されてきたという情報ですがなぜ会報にするかというと、大体90%以上の方がインターネットを見られる環境にないからです。特にアトムの会に関しましては、支部長をなさっている方以外はほとんどインターネットを見られる環境にないので、こうやって情報を会報にして、新聞記事もすべて載せて配布をしております。
4番のところで、これが今、山野先生がインターネットサービスをつくられた中で臨床研究ですが、ATLの患者さんですと、自分はそのお薬が使えるかという電話の相談があるわけです。そこで、この会報の中で情報を抜粋して載せました。そうなると今度は臨床試験を実際にやっているのはどこなのかという質問が来ると思ったので、また抜粋して、やっている医療機関を載せました。臨床試験は一体どんなものなのかがわからないだろうと思ったので、ここに説明を載せました。そういう工夫をやっております。
最後に、ATLは血液内科でも結構知られておりますけれども、神経内科においてHAMという病気がまだまだ知られていないことが、患者の電話の相談でよくわかりました。そこで、まずはアトムの会があるということを知ってもらうのがいいと思いまして、こういうパンフレットをつくりました。なくす会とアトムの会の連携については、一番最後のところに書いてあります。
『知ってください!HAMのこと』で、どんな治療法がありますかという最初のページのQ&Aのところは難病センターの情報サービスからいただきました。国もこういうことをやっていることを知っていただくことが、患者さんにとっては一つの希望になると思いましたので、このパンフレットを500の神経内科の機関に発送いたしました。赤い羽根の共同募金の30万は全部これで使ってしまいました。そういう活動をやっております。
以上です。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 議事の進め方が混乱をしたんですが、今は構成員の1名として、菅付さんの方から活動状況の御発言をいただいたんですが、まとまった資料がありますので最初にお話をいただいたということですが、基本的にはまず前半のHTLV-1総合対策に基づいて、さまざまな施策が行われてきたということの説明が先ほどの山野先生の御発言までということで、今後は第1回目の協議会でございますので、今のHTLV-1対策の現状や課題、今後の進め方に関して、皆様方から広く御発言をいただくというつもりでおります。
その前に菅付さんの方から資料に基づいて、構成員の立場からの御発言をいただいてしまったんですけれども、今後、今の御発言も含めまして、HTLV-1の総合対策を進めてきた、これまで取り組んで課題の現状に関する御意見とか、菅付さんからは当事者の立場からのお話がございましたが、そういったことを踏まえて、御自由に御意見や御発言をいただけましたら、ありがたいと思います。どうぞ。
○西構成員 今、長崎大学の中村先生の方で臨床試験のアリナミンとペントサンの2つの臨床試験が昨年から行われております。現在も継続中であります。これが一定の効果があるというデータが出たとして、患者自身が飲み薬として使える方向性を厚生労働省の認可も含めて、お伺いしたいと思っております。
○渡邉座長 どうぞ。
○疾病対策課長補佐 御質問をありがとうございます。西さんがおっしゃられましたように、長崎大学の中村先生の方でフルスルチアミンとペントサンについて、一種の臨床試験ということで出雲班の中でやっていただいております。成果自体がまだ始まったばかりと伺っておりますので、どういう形になっていくかは成果の次第だと理解しております。ですので、現状ですぐにできますよという話は当然できませんので、研究を推進していって、しっかりとしたデータを出していただきたいと思っております。
○西構成員 HAMに関してですけれども、先ほどパンフレットなどで治療法ということで、ステロイド、プレドニン、インターフェロンということをうたっておりますが、実際は患者さんの適用は副作用の面もありまして、なかなか難しいということで、これは使っているという方は逆に少ないということが実情なわけです。
それに代わるものとして、今、臨床試験が行われているわけですけれども、まず第1に進行を抑える薬がまず出ること。第2が少しでも今の状態がよくなるということ。できれば、今やっている臨床試験のデータが出た時点で、早いうちに飲み薬として認可をしていただくということで、厚生労働省の方で今後の方向性を進めていただければと思っております。患者の立場として、先だって講演会がありましたものですから、そのときの皆様の意見として、私が聞いてまいりました。よろしくお願いします。
○渡邉座長 では、山野先生、どうぞ。
○山野構成員 今の西さんの質問に対するコメントだと思いますけれども、医薬品として承認されるためには、承認申請をきちんと目的とした臨床試験の体制を取って、薬事承認に耐え得るような、きちんとした臨床研究をやっていかないといけないというのがあります。許可を得たような臨床試験を実施して、薬事承認の承認に耐え得るようなデータを出していくということが次のステップとして大事なんです。
 今、中村先生がされている臨床研究は探索的な臨床研究でありまして、その前の段階なんです。その次のステップがきちんとありますので、そこも研究として、HAMの承認されるような治療薬を今後開発していくためには、そういう部分の実施がとても重要であると思います。
○渡邉座長 塚崎先生、どうぞ。
○塚崎構成員 関連してATL、成人T細胞白血病リンパ腫におきましても、新しい治療法の開発が幾つかの方向で進められています。その中で海外では標準治療になっているインターフェロンとジドブジンという薬の併用療法が日本では保険適用がなくて使えないということが現状です。そこで厚生労働省が最近設けられた高度医療評価制度にのっとって、その有用性を検証するために臨床試験として行うということで班研究を行っているということとを御紹介したいと思います。
 もう一つ、ATLに対して新しい薬が幾つか開発されつつあるということは、菅付さまからの資料でも御紹介いただきました。この場合は一般的な治験という形の中で行われていますので、最初の治療がうまく効かなかった方、再発、難治とかいう言い方を申しますけれども、そういう方を対象としての臨床試験の結果から、もうすぐ新薬が認可される可能性がありますが。その後には発症した人に最初の治療として良いお薬は使いたいというところが出てくるのですが、その場合はまた次のステップがあるということで、幾つかのステップを踏みながら、新しい治療法が実際に患者さんの元には提供されていくという状況にあることも御紹介しておきたいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございました。
○林構成員 私は特に専門家でも研究者でもありませんので、市民の代表のような気持ちでここに出席しているつもりでおります。特命チームができてから、ここまで対策が進められてきつつあるということで、割合スピーディーにこの推進が進められているのかなという印象を持っております。勿論その治療薬の研究もどんどんやっていかなければいけないと思うんですけれども、まず一般の方にもっと知っていただかなければいけないなということを改めて感じました。
 この感染予防対策、資料の7-3にある普及啓発資材というものがまず周知を図るための材料かなと思うんですけれども、これが先ほど山野先生がおっしゃっていた29の一般の方向けのパンフレットということになるんでしょうか。それとも、また別でしょうか。
 いずれにしても、HTLV-1抗体検査を受けましょうというリーフレットがつくられているようですが、残念ながら、まだ私は見たこともありませんので、自治体にもよるのかもしれないですけれども、皆さんの目に映るようなところまではまだ行っていないのではないかという気がいたします。このポスターとリーフレットが山野先生がおっしゃっていたものなのか。これがどれくらい配られているのかを知りたくて御質問をしました。
○渡邉座長 これに関しましては、厚生労働省の方で作成されたものですね。御説明をお願いいたします。
○母子保健課長 今、御紹介がありました7-3にございます、まずポスターの方ですが、実物はこういうサイズのものになります。これを約5,000部つくりまして、地方自治体に配布をしておりますので、市町村の母子手帳をもらう窓口などに張っていただくというイメージでございます。
 リーフレットは母子手帳に入るサイズで、表面はHTLV-1以外のものも含めた母子感染の啓発、中を開くとHTLV-1の説明というもので、これは妊娠届をされた方にお配りするということで普及を図っているものでございます。
○林構成員 5,000部というと、まだまだとても少ないなという感じがいたしますけれども、山野先生の一般の方向けのパンフレットというのは。
○渡邉座長 配布状況をもう一回お願いします。
○山野構成員 これは一般の方向けなんですけれども、配布したのは都道府県と政令都市で、都道府県と政令都市の方から各保健所に配布していただくという形になっています。あとは患者さんを実際に診ていただいている医療機関という形でやっています。それ以上は今の段階では部数がないです。10万部刷ったんですけれども、配布して、足りると思ったら足りなかったというのが現状です。
○母子保健課長 追加ですが、ポスターの方は5,000部と申しましたが、リーフレットの方は33万部を配っていまして、これは昨年度事業開始後の妊娠届出の方の分ということなので、今年度、更に必要な分は自治体の方で印刷していただくというふうにしていきたいと思っています。
○林構成員 まず最初の一歩が、そこのところだと思うのです。母子感染は予防できるんだよということをもうちょっと広く知っていただくような工夫が必要かなという印象を持ちました。
○渡邉座長 ありがとうございます。
○菅付構成員 どちらかと言うと、こういう何も知らない状況の中で知らせる一番有効な方法は、マスコミの方たちの報道だと思うんです。何も関係ない人たちがリーフレットを街角でもらっても捨てるだけのことで、自分が血液を採取してキャリアとわかったときに初めてそのリーフレットを見てありがたいと思うのであります。
今は実際に、西日本新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、地方紙、特に私は鹿児島なので南日本新聞、何かあるごとにHTLV-1を取り上げてくださったお陰で、本当に何も知らない状況の中からここまでよく知られてきたなと、私は感心するくらいに思っております。報道された時点で相談の電話が一気に増えたりしていきます。
全体的な切れ目のない状況の中でHTLV-1について取り上げていただけるとありがたいなと、こちらからかえってお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 山野先生、どうぞ。
○山野構成員 今のに関連してです。私の実感として、こういう広報活動をやっても、確かに関わった方は関心を示すんですけれども、一般の方はどうやって関心を持っていただけるようにしたらいいのかなというところが一つの課題になっています。HTLV-1は言うのも難しいような状況で、全然浸透していかないんです。もっと平たいような感じで、皆さんが親しみを持てるような活動を恐らくやっていかないと、なかなか一般の方に本当の意味で浸透していくということは難しいのではないかというのを逆にすごく実感しているのが現状です。
○渡邉座長 森内先生、どうぞ。
○森内構成員 先ほどお話が出た7-3にあるリーフレットやポスターの原案は、ちょうど私の方の研究班で原案をつくった形になります。リーフレットの方で何よりも母子感染そのものをまず知ってもらいたいということがみそです。ただ、何分、先ほどお示しいただいたくらいのサイズですので、当初つくった原稿が3分の1になるくらいの形にはなりました。恐らくHTLV-1だけであれば、勿論、無視できない数のキャリアの方がおられますが、新たに妊娠される方の中での頻度となると、決して多いわけではない。その中で関心をそれだけに持たせるとなると、基本的には相当難しいんだろうと思います。
 したがいまして、いろいろな広報活動をする際にも、すばらしいウェブサイトが立ち上がりましたけれども、是非そういうところでリンクする形なり、HTLV-1であれ肝炎ウイルスであれ、いろいろなものを含めて、まず母子感染というものについて、しっかり知っていただくということが大事だと思いますし、立派なカウンセリングの体制とか相談体制とかができるわけですけれども、これは決してHTLV-1特有のものということではなく、そういったことすべてに関わるものとしての立派な受け皿として機能していくといいと思います。それは例えばキャリアの少ないところであれば、実際に立ち上げたのはいいけれども、ほとんど動かないままで、そこが有効に利用されないまま、ある意味ではそこのスタッフも鍛われない形で、いつの間にやら過ぎていくわけです。
ただ、母子感染全般に関わるいろいろな相談事に乗っていく中で、変な言い方ですけれども、HTLV-1やキャリアの方のことも対応されると、普段からそういったことに対応している中で、相談の能力が鈍らずに済みます。個々のウイルス、個々の病原体に対する知識はそれぞれ別途にきちんと学ばないといけない。そして、忘れたこととかはいいパンフレットとか、もしくはウェブサイトのQ&Aであったり、学べるようなところがあれば、そこで補充はするにしても、基本的に母子感染、もしくは出産に絡むようなことでの悩みについての相談体制ということでのノウハウは、保健所の方、カウンセラーの方は同じように持たれているわけですので、是非それを有効利用できるようにつなげていただけたらと思います。
母子感染の方の話で出たのでついでにですけれども、いざ相談をする場所ということで伊川先生からのお話がありましたが、勿論、各地に相談窓口をつくりますと。そういったことでわからないときには、ちゃんとこういった場所(パンフレット、ウェブサイト)とかで見ていくと必要な知識がありますよということで、かなりの対応ができます。
ただ、これも流行地の現場で対応されている方は皆さん御存じのことですけれども、各論はかなりややこしい話で、家族構成であったり、さまざまな条件の中で一人ひとりに合わせた相談の内容をしていく中では、当然それだけの勉強をして、参考資料があっても、なおかつ悩みが出ることがあります。長崎は流行地ですので、最終的には産婦人科の教授と小児科の教授である私のところが最後の窓口で全部受けるという形で対応しておりますけれども、恐らくいろいろな相談窓口をつくった上で、なおかつこういう資料を基にしてもうまく話がまとまらないときに、更に相談をする場所はつくらないと、現場の方たちは随分困られるのではないかと思います。
以上です。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 今ちょうど話題が出ましたけれども、感染予防対策で最初に御説明をいただいた中の対策事業の各都道府県における取組み状況で、補佐から4-1の概略の説明をいただきました。私も実はこういう形で体制が整っているということと、それが実際にどのように運用されるか。その辺のギャップ、実際的な問題点をもう少し詰めて議論をしておいた方がよいのではないかと思っておりました。その点に関して、齋藤先生の方からは何か御意見はございますか。
○齋藤構成員 私がいろいろな地方自治体に講演を依頼されて講演会に出席したときに、半数以上は保健師さんです。あとは助産師さんと医師が半数くらいです。助産師さんや医師の方は割と情報があったのですが、保健師さんはいきなり降ってわいたように、HTLV-1ということが出てまいりましたが、HTLV-1に関してほとんど御存じありません。
 現場は地方自治体の方は九州、沖縄ですと割とATLという病気自身が身近なものですが、今回は全国で行いますので、北陸を含めまして、ほとんどの地域ではなじみがない病気です。ただしキャリアの方は確実にいらっしゃいます。ただ、その際どのように対応したらよいのかわからないということで、現場はパニックになっているようです。
 厚生労働研究班(板橋班)の方でも講習会を開くことを考えており、国も昨年度に東京と大阪で行っていただきましたが、繰り返しそういったことを行っていただかないと、なかなか全国にまでHTLV-1のことが正しく理解されないと思います。
 もう一つは、妊婦さん全員にこのスクリーニングをするということで、HTLV-1母子感染を防ぐ大きなチャンスを得ることができます。そこは大きなメリットで、それによって将来的にHAMとかATLという病気が撲滅できると思います。しかしながら、デメリットがございまして、自分は健康だ、全く何もないと思っていた方が、突然キャリアであるということを宣告されると言いましょうか、説明されるわけです。そこで心の問題、ケアが必要になります。またマスコミの方にもお願いをしたいんですけれども、HTLV-1という病気を国民全体がよく知っていただくということが必要かと思います。
ある程度の基礎知識がありましたら、御自身がそれらのことを説明されましても、あのとき報道されていた病気か、あのウイルスかという形で理解をしていただけますので、今後はこういった形で国とマスコミと私たち学術の者も含めまして、このウイルスのことをもっと広く広報していくことが必要ではないかと思っております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
○永井構成員 大きな柱の中の予防を私は特に考えたいと思いますが、予防について、協議会をつくって、妊婦全体すべてについて検査するという大きな方針が出て、各都道府県でたくさん始まっているというお話を伺いましたが、そのような対策をした結果、どのような成果が上がったのかという評価をするような計画を今から立てていただいたらいかがかと思います。
 例えばこれだけの検査をした、検査のできない人が何%いたとか、つまり検査をしないで出産してしまったのがどれだけ残ったのか、残らなで全部できたのか。その中からどれだけの陽性の人がいて、その人に対してはこういう指導をして、その結果この指導を実行できた人がこれだけいた。3か月は母乳でやるとか、いろいろな対処の方法があるようですけれども、それぞれに対処の方法を御本人の意思に従って、こういうことを行ったけれども、それぞれについて、どれだけ子どもに移ってしまったのかということがわかるような体制をつくっていただくことが一つ必要なのではないかと思います。
 今、気が付いたのですけれども、陽性を知らせることによって、むしろ困ったことが起こるということがあるとすれば、それはどの程度の人がどんな困り方をしたのかということだって、知らなければいけないと思いました。
○渡邉座長 それに関しては、齋藤先生の方から。
○齋藤構成員 実はそれは既に厚労研究の方で今年度から認めていただきまして、8-2の成育疾患克服等次世代育成基盤研究の中で、HTLV-1母子感染予防に関する研究、HTLV-1抗体陽性妊婦からの出生時のコホート研究が始まっています。この研究は昭和大小児科の板橋先生が中心になって、班研究を組んでおります。この先、全国で約3,000名のキャリアの方から生まれました子どもさんの栄養法、人工乳、短期母乳、凍結母乳等を含めまして、その各栄養法で3年後の子どもさんをフォローさせていただきまして、キャリア率を見る予定です。それだけではなくて、多くの方が母乳をやめられますので、母子関係がうまくいっているかどうか、子どもさんのいわゆる発達状態、精神学的な発達、肉体的な発達も含めまして、検討を行う予定であります。
 全国の産婦人科の先生方は診療ガイドラインでAになりますと、ほぼ100%の方がこの検査を施行していただきます。既に産婦人科医会の方でも推奨レベルがAになる前に全国でアンケートを取りました90%の医療機関でHTLV-1のスクリーニングが行われておりました。ですから、今回、推奨レベルがCからAになりましたので、ほぼHTLV-1検査率が100%になるということは、まず間違いございません。
 このウイルス感染で当初はHIVのウイルスと間違われて、いろいろなことで家族内でトラブルがあったということを聞いております。その後、医療関係者の方で整理ができまして、キャリアの方に対して教育もいたしまして、知識も深まってきたことをふまえて、現在では現場ではさほど問題は起こっておりません。
 ただ、STDという一面も持っておりますので、そのことで一部の症例でトラブルがあるということも聞いております。私たちの産婦人科診療ガイドラインでも、家族からこのスクリーニングの申し出があった場合には、特に慎重に行うという形で文言を付けております。抗体のスクリーニングにつきましては、まず妊婦さんに行って、結果を本人さんにお知らせして、家族にその結果を示すときには、本人さんの承諾を得た上で行うというふうに記載されております。
○渡邉座長 どうぞ。
○永井構成員 必ずしも全国すべての人たちを対象とした調査ということではなくて、3,000人と今、伺ったと思いますけれども。
○齋藤構成員 これは全国から3,000人です。
○永井構成員 100万人の妊娠のうちの3,000人ということですけれども、それはそれでいいことだなと私は思います。
○齋藤構成員 恐らくキャリア率が0.3%くらいで、分娩が年間106万か107万くらいありますので、ほぼすべての人が検査をしたときに、年間約3,000名くらいになるのではないかと推察をしております。
○永井構成員 陽性の人が3,000人ですか。
○齋藤構成員 そうです。
○永井構成員 陽性の人を集める計画がもうでき上がっているということは、とてもいいことだと思います。ついでにですが、感染予防という意味で、主に母子感染であるということは伺っていますけれども、夫からうつされるということについての評価は、これは私が見たものでは、22年10月18日の有識者会議の提言の中には、これらの感染実態について、母子感染は主要であるけれども、いわゆる性感染についての評価をしてくださいというのが提言だと思いますが、これについては大きな問題ではないということであったらいいと思いますが、どの程度大きな問題なのかということを方針の中に入れていただくといいのかなと思いました。
○齋藤構成員 この点は非常に重要な懸案ですけれども、なかなか調査が難しゅうございます。ただ、妊婦さんの場合は1人とか2人、3人と子どもさんが産まれる方がいらっしゃいますので、その回ごとに検査をさせていただいております。今回この調査の中で初回検査が陰性であったんだけれども、2人目、3人目の妊娠でHTLV-1抗体が陽転換をした人がどのくらいいるかということも調べる予定でおります。そういったことがわかりますと、自然史の中でどのくらいの割合で、だんなさんから奥さんの方に感染が成立するかというおおよそのこともわかると思います。
 今回は非常に大きなチャンスですので、全国の産婦人科の先生方がくまなく協力をしていただいてくれますので、このチャンスを生かして、男性から女性の感染は非常にナイーブな面があるんですが、そういった形で調査をさせていただきたいと思っております。
○渡邉座長 私の方から少し補足をさせていただきます。2007年の献血者を対象にした抗体陽性率を調べたときの付随のデータで、明らかに男性から女性、女性から男性、両方とも水平感染が存在するということを示唆するデータが得られておりまして、そちらの研究班の方では、結核感染症課の担当している研究班の方では、その辺について、どう実態を明らかにすることができるかということを検討しております。ですから、水平感染があることは確実なんですけれども、その実態をきちんと明らかにする方法に関しては、大変難しいところがある。ただ、それに対してはきちんと取り組む必要があるということで、今、検討が進んでいるとお考えいただければと思います。
 母子感染の予防の実際の実績は、長崎県で既に二十何年にわたる実績がございまして、そういった経験を踏まえて、現在、齋藤先生が中心となって、そういう取組みに生かしているということで、長崎での経験が大変生かされていると私は理解しております。
 話が戻りますけれども、感染予防対策で抗体のスクリーニングをすると実態がわかるということと、その先が非常に大きな進歩なんですが、そこから先の今、問題になっていた抗体陽性とわかった人に対して、どのようにアプローチしていくかというところ。そのことを周辺の一般の方々にどのように広報して、理解をしていただくかということが非常に大きな課題であると私はとらえております。
先ほど、取組み状況の関連でその辺のところも議論をしていただきたかったんですが、エンデミックエリアと言われている九州、沖縄地方の保健所、その他の医療関係者と、こちらにいらっしゃいます石川県とか齋藤先生のおられる富山県は、明らかに感染者の一番少ない地域です。全く地域によって状況が違いますので、いかに医療関係者に対する啓発、教育研修活動を重点的に行っていくか。あるいは全国的にどちらかというと多くの地域はノンエンデミックエリアに属しますので、継続的な教育研修体制をどう取っていくのかということが、広い意味では課題ではないかと。体制はかなり整ってきたんですけれども、中に魂を入れる作業といいますか、その部分の具体的な取組みが早急に求められているのではないかと、私は関係者の一人として理解しております。
 座長の立場を離れたコメントをさせていただきました。どうぞ。
○山越参考人 妊婦健診に関してです。百聞は一見にしかずで、私はHAMですけれども、HAM患者がどういう大変な生活をしているか。どういう状態が表れるかということは、排尿障害があるとか、歩行障害があるとか言われても、それだけでは理解できないところがあると思います。この間、厚生労働省の方の研修がありまして、そこに菅付さんがコメンテーターとして出席をしたんですけれども、患者がそういう場所に行って、保健師さんや看護師さんに実態を知ってもらうということは、大変大きなことだと思います。
その上で母乳に関して、それをあげるとかあげないとか、HAMというのはこういう病気なんだと思えば、お母さんに母乳指導というのはしないで、母乳をやめましょうねということが言えると思うんですけれども、全くそれがわからない助産師さんや保健師さんであったならば、そこら辺の指導が徹底できないと思うんです。これからまた講習があるならば、患者も参加させていただいて、この病気の実態を知っていただきたいと思っております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
大変重要な御意見をいただいたと思いますけれども、本日の議論を次回以降の議論に生かしまして、個別の課題の実現を図っていくことは非常に大事だと思います。次回以降の協議会の進め方に関しまして、事務局としてはどういうプランを持っておられるかということについて、御説明をお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 この協議会は年に何度か開いて議論を深めていきたいと考えてございます。本日幅広く御議論をいただきましたけれども、全体の枠組みについては構築がされている中で、実務的なところ、実際的な問題点などについてもさまざまな御意見がありましたし、更に議論をしていくという御意見もいただいたところでございます。
次回以降につきましては、そういったものを掘り下げていくためにはある程度、毎回のテーマのようなものを決めて、構成員の先生方から、あるいはゲストをお招きして御報告をいただいて、より掘り下げて議論をしていただくというようなやり方もあるのかなと考えているところでございます。テーマが何かということは今後検討をしながらと考えております。
○渡邉座長 そうすると、今の御説明で今後の協議会では、そのたびごとにある程度テーマを絞った形で、より深めた議論をするという開催の仕方をしたいとお考えいただいているということで、具体的な回数は言わないけれども、何回かは開催する予定であると事務局としてはそのようなお考えのようですが、こういう考え方、進め方でよろしゅうございましょうか。
○健康局長 当然ですけれども、テーマの取り上げ方は事前に座長に相談しますし、患者団体の方々に十分相談をして運営していきたいと思っております。そういうやり方をするのがこの協議会の拠って立つ理由というか、一番重要なところだと思っておりますので、そこには気を付けたいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 そういう形で準備をして、会を開くということで進めさせていただきます。これは私の脱線の発言ですけれども、患者さんの代表として来ていただいている方はどうしてもHAMの方になるんですね。ATLの患者さん、あるいは家族の方からの生の声をどのようにしてくみ上げることができるかということを検討課題として、今後考えていただければと、私としては希望をしておきたいと思います。ただ、開催方針としては、今のような形でよろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、本日の議事を終了したいと思いますが、最後に事務局の方から何かございますでしょうか。
○結核感染症課長補佐 今、申し上げましたとおりでございますが、次回の開催につきましては、テーマ、そして時期も含め、今後また調整をさせていただきたいと思います。座長を始め、皆様方にも御連絡を取らせていただきながら決めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。これにて終了いたします。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課 03-5253-1111(2386)

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