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2011年6月29日 平成23年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成23年6月29日(水)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館11階 共用1107会議室


○議事

○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。本日は大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、「第1回リスク評価企画検討会」を開催します。
 本日は平成23年度の第1回ということですので、出席者の皆様方のご紹介をさせていただきます。お手元の資料1をご覧ください。資料1の別紙「化学物質のリスク評価に係る企画検討会 参集者名簿」です。中央労働災害防止協会の櫻井委員、同じく中央労働災害防止協会の清水委員、本日は欠席ですが、早稲田大学の名古屋委員、連合の藤冨委員、順天堂大学の堀口委員、独法労働安全衛生総合研究所の宮川委員、社団法人日本化学工業会の山口委員、独法産業技術総合研究所の吉田委員です。よろしくお願いします。
 今回、初回ということですので座長の選出をさせていただきます。どなたか推薦の方がございますか。特段のご推薦がなければ事務局より、中央労働災害防止協会の櫻井委員にお引き受けいただければと思いますが、いかがでしょうか。
                (異議なしの声)
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 ありがとうございます。それでは櫻井委員に座長をお願いします。以降の議事進行をよろしくお願いします。
○櫻井座長 櫻井でございます。ご指名いただきまして座長を務めさせていただきます。よろしくお願いします。今日はリスク評価企画検討会の第1回ということになります。候補物質の選定など3つの議題を予定しています。最初に事務局から、今日の議事予定と資料の確認をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 本日の議題ですが、平成25年1~3月に、ばく露作業報告をいただくリスク評価候補物質の選定と、今年度のリスクコミュニケーション開催予定についてということで議題を予定しています。資料ですが、資料1として「開催要綱及び参集者名簿」、資料2として「リスク評価候補物質・案件一覧(案)」、資料3として「職場における健康障害防止のためのナノマテリアルのリスク評価について(案)」、資料4として「平成23年度リスク評価に係るリスクコミュニケーションの開催予定(案)」、参考1として「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」、参考2として「有害物ばく露作業報告制度及びこれまでの選定経緯・対象物質について」、参考3-1として「平成22年度のリスク評価の実績について」、参考3-2として「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成23年度)」、参考3-3として「平成23年度のリスクコミュニケーションの進め方」です。資料で落丁等はありますか。
○櫻井座長 皆様、お手元に資料が揃っているようですので、今日の議事に入ります。今日は最初の会合ですから、検討会の開催要綱の説明を事務局からお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料1をご覧ください。「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱」です。化学物質のリスク評価につきましては、平成18年度から、もちろんそれ以前も化学物質に対する取り組んでおりますけれども、今のようなスキームリスク評価を実施しています。趣旨・目的ですが、「重篤な健康障害のおそれのある有害物質については、国がリスク評価を実施し、リスク評価の結果を踏まえて特別規則による規制等が行われることから、対象物質の選定をはじめとするリスク評価の手続きが、規制の影響を受ける側である使用者、労働者等事業場関係者の参加の下に行われる必要がある。このため、学識者、使用者、労働組合等から成る検討会を開催し、リスク評価の基本方針の検討、リスク評価対象物質の選定等を行うこととする。」これが趣旨・目的です。
 2の本会の検討事項としては、(1)リスク評価の基本方針について、(2)リスク評価対象物質の選定について、(3)リスクコミュニケーションについて、を検討事項としています。3の構成等については、先ほどご紹介した別紙の参集者等によって構成しています。4のその他ですが、検討会は原則として公開とします。ただし、個別の企業秘密等に係る部分が出てくることがありますので、その際には非公開ということもあるとしています。事務局については、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室において行う。これが要綱です。
○櫻井座長 ただいま要綱の内容について説明がありました。何かご質問、ご意見等がございますか。よろしいですか。今日はこの検討事項の2と3が主な課題になっていると思います。それでは早速、具体的な議事に入りたいと思います。議題1の「リスク評価候補物質・案件の選定」についてですが、事務局から説明をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料2に今回のリスク評価候補物質・案件一覧があります。参考2を先に見ていただくと、これまでの経緯が書いてあります。平成18年から今のような流れで来ていますが、IARCの、発がん性評価が、「1」、「2A」、「2B」で他の法律等で規制されていないもの等を、順次、対象としてリスク評価を行ってきたわけですが、現在、GHSにおいて生殖毒性が区分1であるもの、ないし神経毒性が区分1という、「ヒトに重大な毒性を示した物質」、又は「実験動物での試験の証拠に基づいて、ばく露によってヒトに重大な毒性を示す可能性があると考えられる物質」、という定義になりますが、そういった物質の中から、年間に行える数が限られたものですので、10~20ぐらいを毎年選んでいるという流れになっています。
 戻って資料2です。今回のリスク評価候補物質については、平成25年1~3月に、ばく露作業報告を事業場から出してもらう対象物質に基本的になります。というのは、今年の暮れぐらいに、こういった物質を扱っている事業場については、監督署にその状況等を報告してくださいという告示を出してから、1年後に実際に報告をしてもらう流れになるものですから、1年以上前に検討をすることになります。
 1番目の候補物質は「アクリル酸メチル」です。提案の理由としては、製造・輸入量が多いこと、神経毒性(区分1)があること、用途が広いこと、許容濃度が比較的低いこと、曝露の危険性が高いことから提案をしていただいています。許容濃度については、ACGIHでTLV-TWAが2ppmです。現在の規制としては、安全衛生法施行令で通知しなければいけない物質ということで定義されています。そのほかの法律でも規制されています。
 2番目が「アセチルサリチル酸」、別名アスピリンで有名な薬剤だと思います。これについても委員の先生方から、生殖毒性1Aであり、TLV-TWAも設定されており、毒性の程度がはっきりしている。また、医薬品として使用されているので取扱いの状況も把握しやすいと思われる。生殖毒性に関してのリスク評価については、その評価方法自体についても十分に検討する必要がある。生殖毒性が区分1Aで、輸入量が多い。職業性曝露における情報は少ないが、アスピリン服用による毒性として特に妊婦においては母体の貧血、産前産後の出血、新生児の体重減少・死産、母乳への移行などの生殖毒性が報告されており、GHSでは1Aに区分されている。生産量も多いので、製造工場においては、粉塵曝露が予想されるということで、この物質についても安全衛生法施行令別表9で通知すべき物質になっています。
 3番目の物質が「イソシアン酸メチル」です。これの提案理由としては、生殖毒性が1Bであり、TLV-TWAの曝露限界値が0.02ppmと低い。史上最悪の化学災害のボパール化学工場事故からわかるように、非常に毒性が強い物質であるということで提案いただいています。許容濃度については、いま説明しました0.02ppmとなっています。これについても安全衛生法施行令別表9に載っており、名称等を通知すべき有害物となっています。
 4番目の物質が「塩化ホスホリル」です。これについての提案理由は、神経毒性、遺伝毒性が区分1の中から絞り込んだということです。区分1のものは100いくつあるのですが、その中から状況等を踏まえてこういった物質を選定していただいたということです。これについても許容濃度が、ACGIHでTLV-TWAが0.1ppmと設定されています。これも安全衛生法施行令別表9に載っている物質です。
 5番目が「クロロエタン」です。これの提案理由については、物理的性状が室温で気体であり、ヒト、動物において肺及び皮膚から容易に吸収され、ばく露の危険性が高いと考えられるということです。許容濃度は、ACGIHで100ppmということです。これも安全衛生法施行令の別表9に載っている物質です。それと平成9年の厚生労働省の試験で変異原性が認められた既存化学物質です。1から5まで説明させていただきました。
○櫻井座長 まとめて提案の理由等を説明していただきましたが、いかがでしょうか。順番にまいりましょうか。1番目のアクリル酸メチル、何か追加のご意見がございますか。製造・輸入量が大変多い。許容濃度等は日本産業衛生学会、ACGIH、いずれも2ppmと低い。特段、追加のご意見がないようでしたら、次は2番目のアセチルサリチル酸、これは生殖毒性区分1Aということで、TLVも設定されているという判断で、これを提案された方の理由として挙げてあります。ただ、このTLVの値は右のACGIHの数字を見ると5mg/m3で、こういう粒子状の物質としては高い数字だと思います。あと、このアスピリンを継続的に服用している人も多い。それはそれとして、製造工場では粉塵曝露が予想される。それもそうだろうとは思いますが、製薬業界がそれに相当するかと思います。5mg/m3を超えるようなばく露があるようにはちょっと思えない、というのが私の感じですけれども、これを取り上げたとしても、何と言いますか、無駄骨を折ったような感じになってしまうのではないか。率直なところ、そういう気がしています。やることは悪くはないと思いますけれども、どうしましょうか、やりますか。
○宮川委員 よろしいですか。まず1点ですが、生殖毒性で1Aになっている物質が比較的少ないので、いただいた原資料のリスト等を見ると、目に付いた可能性はありますが、実際のGHS分類に携わった経験から申しますと、薬品に関しては、実際にヒトが摂取していますので、副作用情報等々で相当ヒトでの影響が出てくる場合がある。意図的な摂取の上で副作用が出てくるものがあっても、作業現場で非意図的にばく露しても、どうこうというものでない可能性も高い。アスピリンについては詳しくは記憶していませんが、そういう意味では1Aというのが目につきますけれども、必ずしも生殖毒性がこれから問題になるものではないような気はしています。
 ただ、医薬品一般については、普通の製造現場であればきちんと管理された所で作られているので、ばく露の機会も少ないと思いますが、物によっては液体、粉体のままで病院等で調剤するものについては、医療現場での薬剤師等のばく露も考えられます。アスピリンについては基本的に成形された状態で、錠剤で工場の中で出来上がってしまう気がしますので、そういう意味では先ほど先生がおっしゃいましたように、ばく露は比較的少ない物質であるような気はします。
○櫻井座長 この5mg/m3という濃度は、通常の粉塵の曝露限界値よりも高い数字です。普通、管理濃度でも3という数字を使っていたと思います。
○松井化学質評価室長 遊離けい酸含有量が0のときは、3mg/m3です。
○櫻井座長 そうです。ですからアセチルサリチル酸区分1Aというのは、根拠は明確ですけれども、生殖毒性が強いか弱いかという点から言って、必ずしもそういうことを示しているわけではない。非常に多くの物は低いばく露レベルで、他の毒性が出る程度の高いばく露では生殖毒性が出るものもあるわけです。一応、注意を払う必要はあるけれども、この段階で、この物質を調べるのに一定のヒューマンリソースとか、あるいは経済的なリソースを使うのは効率的ではない気がしています。どうしましょうか。
○清水委員 作業者が、どのぐらいばく露しているか調べる意味ではやるということ。医薬品の場合は、ほとんど毒性はわかっているわけです。ですから、あまりそこにエネルギーをかけるのではなくて。
○櫻井座長 事実上、医薬品の製造現場では、もっと生物活性の高いものを作っていて、それの管理に非常に注意を払う、あるいは課題を持っている。自主的に努力しようとしておられると思いますが、むしろ、そういうものの中で最も毒性の低い物を取り上げて、まずそれを調べるのも、ちょっとピントがずれてしまう。
○山口委員 これは毒性は1Aではっきりしているので、ばく露調査の報告だけいただけば、その段階で判断できるのではないかと思います。ですから報告だけはやって、それで確認できればそれでいいということになります。
○櫻井座長 なるほど。
○山口委員 そういうことですので、そこはあまり負担はかからないのではないか、そういうことであればですね。
○櫻井座長 わかりました。報告だけ求めることは。
○山口委員 ばく露の可能性があれば具体的に調査に入るわけなので。
○櫻井座長 そうですね。何か特殊な製造工程みたいなものが。
○山口委員 もしもあればですね。
○櫻井座長 小さい所で何か変なことをやっているという可能性は、あり得るということ。
○山口委員 この段階であれば、まだそんなに経済的負担もかからないですし、使っている所も限られているでしょうから、それほど負担はないように思いますので。あと1番のほうですが、これを見ると、反復ばく露以前に単回ばく露で結構毒性が強いような形ですので、慢性毒性に近い長期的なものに関しては、測る以前に使い方がまずいと何らかの影響が出ているように思います。
○櫻井座長 単回ばく露で区分1というふうに、急性毒性が強いことはこれでわかりますね。
○山口委員 ということは、使い方がまずいと、労働災害なり何か出ていないとおかしい。この単回ばく露の程度がどの程度のものか明確ではないのですけれども、ここら辺はどうなのでしょう。
○櫻井座長 おそらく数百ppmとか、許容濃度で示している2ppmという濃度に近い数字ではなくて、もっとはるかに高い。
○山口委員 ただ、これも紙の段階で調べることは、あまり問題はないと思いますが、たぶん、これもかなり単回で影響があるのであれば、きちんと扱われている可能性が高いように思いますけれども。
○櫻井座長 それは、必ずしもそうではないと思いますね。ある程度急性毒性が起こらないようなレベルにコントロールするのは相対的に容易であって、2ppmとか3ppmとか10ppmなど、それぐらいのところをコントロールするほうが困難なものですから、そのあたりが抜けているのが、一般によく見られる現象なのです。
○山口委員 ということは、扱っている時にはそれほど症状はきつくないと。ただし、長い繰り返しで何か影響が出てくる可能性があると。
○櫻井座長 そうです。大体、この許容濃度は慢性毒性を予防するレベルで定められていますから、2ppm。
○山口委員 ここですと、「長期又は反復ばく露による呼吸器の障害」もあるということですかね。
○櫻井座長 そうなのです。そのあたりが起こらないようなレベルとしてのppmが選ばれていますので。
○山口委員 ただ、GHSの分類上は、単回ばく露の区分1しか出ていない。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 他にも、いろいろな障害があり得るのですが、ここにはGHSの神経毒性と生殖毒性を拾っています。
○櫻井座長 事実上、高い濃度で神経毒性とか生殖毒性が起こるのも入ってしまっているわけですね。だけども、その高い濃度よりもっと低い濃度で他の毒性があって、その毒性を予防するための許容濃度が決められている場合が多いと思います。これもそうだと思います。ですから、本当は神経毒性とか生殖毒性が低い濃度で起こるものを最も優先すべきだと考えます。そういう意味でアクリル酸メチルは、優先度は少し低いかもしれません。しかし、いまの段階で、それをやめるかというものでもないだろうと思います。
 あと3、4、5あたりは、いかがでしょうか。3は例のボパールで起こった事故ですけれども、許容濃度が0.02と異常に低いです。これは生産・輸入量等はわかりません。それから塩化ホスホリル。クロロエタンは曝露限界値はそれほど低い数字ではないですが、沸点が12.5℃、常温で気体ですのでばく露しやすいということです。よろしいですか。ほかに特に追加のご意見がなければ先へ進みたいと思います。次をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 6番で「クロロフェノール」です。これの提案理由としては、製造・輸入量は比較的少ないものの、生殖毒性(区分1)と神経毒性(区分1)ということ。用途も染料中間体や農薬原料として広く用いられていること。人で肺水腫などを起こすことが知られていること。許容濃度については日本産衛学会、ACGIHともに未設定となっています。オルトクロロフェノールの毒性が強いという扱いのようです。
 次は7番で「臭素」です。これの提案理由としては、神経毒性、遺伝毒性が区分1の中で、用途、許容濃度等を勘案して選択していただきました。もうお1人は、農薬の他、プラスチック化学合成繊維の難燃剤及び工業薬品でありヒトへの曝露が考えられる。生産量も推定年間2,600t(注26,000tの誤り)と少なくない。ACGIHのTLV-TWAが0.1ppm、また許容濃度も同じであり、他の物質と比較しても低い方である。加えて、性状が常温で液体であり蒸気圧が存在し、中枢神経系への単回及び神経系への反復で区分1とされている。これについては、日本産衛学会で0.1ppm、ACGIHでTLV-TWAが0.1ppm、TLV-STELが0.2ppmになっています。
 8番は「ピリジン」です。これについては、反復曝露による神経系への影響があるとされているものから、使用量とTLVの低さを考慮して選んでいただいたということ。2006年に実施されたGHS政府分類における資料では、「ヒトについては、肝臓及び腎臓の重篤な障害、頭痛、めまい、神経過敏、不眠症、吐き気、嘔吐、肝障害、肝硬変、言語障害を伴う神経系の失調等の記述、実験動物については、肝臓の炎症、貧血等の記述があることから、標的臓器は肝臓、腎臓、神経系、血液系と考えられた。実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた」とされている。ACGIHのTLVは気道・呼吸器に対する刺激性などに基づいて2004年以降1ppmとされている。発がん性についてはACGIHではA3としており、GHS政府分類では区分2とされている。これが提案理由です。
 9番は「メタクリル酸」です。これの提案理由についても、生産・輸入量が10万トンから100万トン未満と多く、用途も多様である。様々な業種の職場で作業者曝露が生じると予想される。融点が16℃、沸点が159~163℃と比較的低く、気化した本物質の吸入曝露が予想され得るということ。これについて許容濃度が、ACGIHでTLV-TWAが20ppmとなっています。
 10番は「メタクリル酸メチル」です。この提案理由については、反復曝露による神経系への影響があるとされているものから、比較的使用量が多く、2006年に実施されたGHS政府分類における資料では、「ヒトについて、委縮性鼻炎、喉頭炎、自律神経障害、神経衰弱、頭痛、眩暈、神経過敏、集中力散漫、記憶力の低下等の記述があることから、標的臓器は呼吸器、中枢神経系と考えられた。したがって、分類は区分1とした」とされている。また、皮膚及び気道感作性物質とされている。ACGIHのTLVは気道・呼吸器に対する刺激性などに基づいて2000年以降50ppmとされているが、皮膚及び気道感作性があることから、アレルギー反応を防ぐためには十分とはいえないとされており、この種の物質についても調査が必要である。もう1人の方から、一般的な空気汚染物質であり毒性は比較的低いが、吸入すると中毒のおそれがある。工場のアクリル樹脂溶液を取り扱う労働者25人のうち、7人に接触皮膚炎が報告されているということです。許容濃度については、ACGIHのTLV-TWAが50ppm、TLV-STELが100ppmとなっています。6番から10番までです。
○櫻井座長 いかがでしょうか。6番から10番までの5つの物質です。
○堀口委員 ミスプリントだと思いますが、7番の臭素の提案理由で、推定年間26,000トンとあり、生産・輸入量は2,600tと0が1個。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 そうですね。
○堀口委員 2,600tのほうですか、26,000トン。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 元データを持って来ていないので。
○堀口委員 どちらか、たぶん。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 どちらかのはずです。
○櫻井座長 どちらかですね。1桁違いますね。
○堀口委員 桁が1桁違う。
○櫻井座長 これは確認して修正をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 はい。
○櫻井座長 6番のクロロフェノールなどはまだ曝露限界値、少なくとも日本産業衛生学会とACGIHは提案していないので、評価する段階で課題の1つに上げてくるとは思います。
○櫻井座長 優先順位としては、既存の曝露限界値のあるものというのも1つのあれにはしていましたけれども、それは絶対的な基準ではない。
○山口委員 ない場合には判定できませんよね。
○櫻井座長 全然なければ判定できないです。今までもそういうものはございますが、似た構造のものから推定して、要するに独自に決めて。
○山口委員 という形で進めると。
○櫻井座長 それしかないだろうと。
○松井化学質評価室長 一応、リスク評価検討会でやっていただいているのは、産業衛生学会とACGIHの許容濃度がない場合、NIOSHとか、あるいはEUの許容濃度を参考にする。それがない場合は先生がおっしゃったような方法とか、あるいは動物実験のNOAELなりLOAELから係数を掛けて求めるということで、いまのところ整理しています。
○櫻井座長 動物実験のデータも一切ないということであれば、新たに実験をすると。
○松井化学質評価室長 まさに先生がおっしゃった、類似の物質という話はあるのですが、そこはかなり議論があると思います。
○櫻井座長 いずれも、それぞれ妥当な提案理由だと思いますが。
○吉田委員 評価を行うこと自体にコメントするわけではないのですが、臭素に関して、この提案理由や用途を見ると、臭素そのものが難燃剤であるかのようにとられるかと思います。少なくとも臭素系の難燃剤といえば、デカブロモジフェニルエーテルとか、ヘキサブロモシクロドデカンといったような、臭素がくっついた化合物です。
○松井化学質評価室長 臭素そのものが難燃剤ではありません。申し訳ありません。1頁の欄外の下に注を書いていて、言い訳ですけれども、資料から、この用途というのはとっているのです。よく見ると、ご指摘のように、当該の化学物質を原料として作ったものの用途を書いてある部分があるので、注に書いています。まさに農薬のほうも臭素そのものは撒いていませんので、それぞれ原料ということです。
○吉田委員 そこだけ注意していただければ。ちょっと誤解を招くかなという感じがしますので。
○宮川委員 実際の評価のときは、臭素を単体で使っている作業場についてということ。
○松井化学質評価室長 そうですね。例えば臭素を原料にして農薬や難燃剤を作っている事業場などが想定されると思います。
○櫻井座長 提案理由のところの書き方などをちょっと修正するのがいいかもしれません。ほかに何かお気づきの点がありますか。なければ、6番から10番まで候補として妥当であるということで先へ進みたいと思います。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 11番、「エチレングリコールモノエチルエーテル」です。これは現在、有機則で規制されている物質になっています。ただ、その有機則の中で規制されている物質の中でも有害性等があるものがありますので、それについてもリスク評価をきちんとすべきだということで提案いただいています。12番の「エチレングリコールモノメチルエーテル」も同様で、有機則で規制されていますけれども、許容濃度も低いということでリスク評価をすべきであるという提案です。
 これについては現在、有機則で規制ということで、健康診断結果の報告や事業場で作業環境測定をしている実態がありますので、そういったデータを活用する。要はばく露報告を求めて委託事業等で作業環境測定をすると費用的なものもかかりますから、そういった費用をかけないでリスク評価できないかということで、これはリスク評価の方法等についても検討しなければいけないのですが、そういう対応をしたいと考えている2物質です。
○櫻井座長 いかがですか。事実上、現に有機則で規制されているわけですから。
○山口委員 本命が有機則で規制されているわけですよね。
○櫻井座長 そうなのです。
○山口委員 調べて、その結果に基づいて規制が2種から1種に上がる場合もあり得ると。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 特化則のほうで規制すべきではないか、という議論もあると思います。
○櫻井座長 そういう意味ですね。有機則は大体共通の毒性に応じた管理システムになっているので、それには馴染まない可能性があるという意味ならば理解できます。しかし、現実には、そういった作業環境測定が行われていて、その報告が出ているわけですから、その情報をまず調べる方針ということでした。いかがでしょうか。よろしいですか。ではそういうことでお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 13番の前に、いまのA3の表の4頁の欄外を見てください。23年1~3月に報告いただいた物質が40いくつかあるのですが、20年当時に求めて出てこなかったものを再告示してもう1回求めたものと、23年1~3月に初めて出してくださいという2つの類型になっています。初めて出してくださいといった物質のうち、「二硝酸プロピレン」と「フルオロ酢酸ナトリウム」については報告がゼロだったということで、次回、25年1~3月のばく露作業報告の際に、再度告示をして作業報告の対象にしたいと思っています。
 それと2回再告示をして、関係団体等を通して情報を流した結果、出てこなかったものが18物質ありますので、その18物質については、基本的に使用量等はほとんど少ないというか、あまり流通していないというか、リスクがかなり低いものと考えられると思っています。これについては今後、その物質に関する新たな情報等がないのであれば、当面、ほかに優先すべき物質があるということで、告示の対象とはせずに、とりあえず報告はゼロだったということで整理をしたいと考えています。
 また、今回の東日本大震災の関係で、いわゆる届け出等については、震災による被害があった所について報告の猶予があり、6月末まで猶予されていることになっています。現在、報告があればコンピュータに入るようになっているのですが、いまのところこれらの物質の報告はないということです。もし報告が出てくれば、それに応じてリスク評価を予定どおりすることになろうかと思います。方針的にはこういった方針でよろしいでしょうか。
○櫻井座長 ただいま説明のあった欄外のものについて、今後の進め方についての方向ですが、それでよろしいでしょうか。
○藤冨委員 1点だけ教えていただければと思います。事業者から報告実績のない18物質について、今後状況の変化がない限りばく露作業報告の対象物質としないというご説明がありました。これはばく露作業報告を求めていたのに報告の実績がなかったケースが過去にあるかと思いますが、それと同様の措置ということで、よろしいのでしょうか。
○松井化学質評価室長 再告示したのは、今回が初めてなのです。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 19年のときに出てこなかったのがあったのですが、それについては検討会の中で、そもそもリスクが低いであろうという判断をして、その時点でリスク評価としては終わりとしています。いま言ったのは、20年の報告を求めたときに出てこなかったので、23年1~3月に再告示をしたということで、その前のケースはないということです。
○松井化学質評価室長 以前は発がん性物質に重点を置いていたので、IARCの区分が1とか2Aのものを選んでいました。国内であまり取り扱っていないものも実は報告を求めてみるとあって、再告示のものは1回出てこなかったものなので、扱っていない物質がほとんどなのです。それが21あって、そのうち18が今回も出てこないものですから、特別な何か用途の変更があって使われ出すような情報がなければ、とりあえず今回で1回打ち切ってもいいのではないかという提案です。
○櫻井座長 よろしいでしょうか。異存ないということですので、そういう方向で進めてください。次に13番、ナノマテリアルのご説明をお願いします。
○松井化学質評価室長 ナノマテリアルについては資料を別葉にして、資料3というのがあります。ご覧いただくと、ナノマテリアルについては、他の大きさの物質とは異なる高度な機能があるということで積極的に技術開発が行われていて、既にかなり使われている物質もあるわけですが、一方で、労働者の健康障害のリスクについても、他の大きさの物質とは異なる面があるのではないかという指摘があるところです。労働者の健康障害の防止という観点からは、平成20年度に検討会を開催し、その結果を踏まえて、平成21年に予防的な対応を事業者にやっていただくということで通達を出しています。
 実は2年前に、このリスク評価の対象物質を選定する際、このリスク評価の企画検討会に専門家のご提案ということで、ナノ物質というのが1回上がってきています。その段階では予防的な措置の通達を出したばかりでしたので、この通達に沿って事業者にお願いをするということと、あと情報もまだ十分でないことがありましたので引き続き情報収集をするという整理で、リスク評価の対象とすることは見送っています。
 その後、資料3にありますように経済産業省の委託研究の、いわゆるNEDOプロジェクトというものが進展してきて、近々、最終報告が出ることをはじめとして、国内外で関係機関の調査研究が進展してきたことがあり、知見がかなり増加してきている状況にあります。こういうことで、ナノマテリアルのリスク評価の実施についても検討しないといけないということで、事務局から提案をさせていただく形です。
 ただ、そうは言っても、ナノマテリアルは他の大きさの物質と違い、いろいろな観点から、リスク評価の手法なりがほかのものと同じでいいかという検討から始めないといけないことがあります。実際のリスク評価を行っている、名古屋先生が座長をされているリスク評価検討会がありますが、こちらのほうにまずその方針の検討をやっていただいて、年内を目処にとりあえず結論を出していただきます。それを踏まえて物質の選定をしてはどうかという案です。
 リスク評価検討会で検討いただくものとして、1頁の下に「(1)検討項目」とあります。アのナノマテリアルのリスク評価手法については、先ほど申し上げたような話が(ア)に書いてあります。その下に(例)として、あくまで例ですけれども2つの・があり、例えばこういうことがありますということで書いています。
 有害性の指標として、ナノマテリアルは非常に小さいものですから、その質量や容積の割には表面積が非常に大きい。小さくなっていくと外界に触れている面積の比率が大きくなるわけですが、そうすると有害性に関する反応性は、表面積が大きいことにより、反応性が大きくなるということで、有害性もそれに関連しているのではないかという指摘が、かなりあちこちであります。そういう観点からすると、従来の重量濃度ではなく、粒子の表面積などに着目したほうがいいのではないかという指摘が、いろいろなされているところです。
 2つ目の・ですが、測定方法についてもナノマテリアルの場合、それぞれの大きさの粒子の濃度なりがわかっても、それが何の粒子であるか調べるのに、走査型電子顕微鏡を使ったりしないといけない状況がありますので、そういう観点からすると、いろいろな測定の手法あるいは環境管理に当たって、ほかの物質とは違う考え方が必要ではないか。これは私が申し上げるまでもなく、先生方はいろいろな議論をご存じのところです。
 (イ)ですが、そうは言っても、これの議論に終始すると実際のリスク評価ができない可能性もありますので、今の技術開発の状況を勘案して、当面のリスク評価に使える妥当な方法はどういうことかを検討していただく。まずこれが1つ目の項目です。
 2頁でイとウの2項目があります。イの部分が先ほどのリスク評価の対象候補物質を選定していただくということで、これを企画検討会のほうに戻し、決定していただくことにしてはどうかと考えています。(ア)は、当面、リスク評価の対象とすべき物質の候補選定ですが、これについては条件として、?は、なぜナノマテリアルのリスク評価が必要かというと、ほかの物質と違う有害性が認められるから、ナノ物質に特化したリスク評価が必要だということで、既存の物質とは異なる有害性が認められるということ。?は、技術的な問題でリスク評価の実施が可能だろうかということ。これはどこまでを可能と言うかも含めて検討いただいて整理をしていただく。(イ)ですが、その中で、これはまだできませんという整理になる物質も出てくることは考えられます。そうすると、その物質についてはどういう情報が足りないのか、そのあたりも併せて整理をいただけないかと考えています。
 ウですが、先ほど申し上げた予防的な対応に関する通達を、平成21年に出していますけれども、これは何か改正する必要があるのかどうか。というのは、リスク評価の対象物質に選んだとしても、早くても2~3年かかって制度に反映することになりますから、リスク評価の候補物質を選定いただく中で有害性等を勘案して、通達の中に、具体的な健康障害防止措置を反映する物質などを整理していただくことを考えています。
 (2)の「検討対象物質」ですが、1つ目の・で、上記検討項目のアというのは、手法がほかの物質と異なるものが必要かどうかということです。これはあまり対象を広げすぎるとまとまらないことも考えられるので、主に念頭に置いていただくのは、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタンです。これが先ほど申し上げた経産省委託のNEDOプロジェクトの対象物質ですので、かなりデータもあると考えられます。そういった蓄積を参考にして検討いただく。もちろん念頭に置くのはこのくらいということで、必要に応じて他の関連するナノマテリアルを加える。
 2つ目の・ですが、対象候補物質の選定については下に13物質を挙げています。これは何かと言うと、22年度に委託調査で文献収集をしている対象物質で、はっきり言うと事務局でいくらかデータがあるということです。ただ、この13物質というのは、もともとOECDの工業用ナノ物質の作業部会の中で、有害性の情報収集・整理をしているグループがありますが、その取組みの中で最初に選定したものが14あります。14というのはカーボンナノチューブを単層と複層の2物質とカウントすると14になるので、その14物質に対応しています。OECDの取組みに関しては、その後、1つ、2つ出入りがありますけれども、概ねOECDの動きにも対応した物質です。ただ、これはあくまで目安ということですので、必要に応じて検討会の中で付け加えていただくこともあり得るということです。
 その検討結果を踏まえてどうするかを、2頁の下の5に書いています。アの「リスク評価手法の検討について」は、検討会での検討結果を踏まえて、今ある「ばく露評価ガイドライン」などに反映していく。イの「リスク評価の対象候補物質について」は、検討結果をこの企画検討会に返していただき、リスク評価対象物質の選定に反映していただく。括弧書きで書いているのは、先ほどいろいろなナノ物質を挙げていましたけれども、そのうち酸化チタンについては、現にナノ物質に限らず、全体の酸化チタンについてリスク評価を行ってきているところです。リスク評価検討会では、ナノサイズの酸化チタンの有害性等は全く除いて考えるわけにいかないので、今年度から酸化チタンはナノサイズのものについても対象としてリスク評価をします。これはリスク評価検討会で決められていますので、23年度から取り扱うことでご了解いただきたいと思います。
 ウの「予防的対応に関する通達について」は、改正の必要性の検討をリスク評価検討会でやっていただき、具体的に通達の改正を行うためには、具体的な健康障害防止措置も入れる必要があるかと思いますので、必要な場合は「健康障害防止措置に係る検討会」が別途ありますから、そちらで検討いただくことでどうかということです。
 少し飛んで6頁が、先ほど申し上げた21年に出した通達の本文です。3の「ばく露防止等の対策について」の(1)の基本的考え方で、2行目の「予防的アプローチの考え方に基づき、ばく露防止等の対策を講じる」という前提で整理しているところです。
 7頁の「作業環境管理」で、アにありますように、原則としては製造・取扱装置の密閉化等をして、密閉化ができない場合には、イ以下にある局所排気装置等の設置をする。こういうようなことで事業者にお願いをしてきているところです。以下、呼吸用保護具の話などを通達の中に入れています。
 20頁で、一応、具体的な物質について、ごく簡単に説明しておいたほうがいいと思いますので、先ほどの13物質を整理しています。最初の「カーボンナノチューブ」ですが、現時点では半導体を入れるトレイにたくさん使われていますが、高速動作トランジスタ、燃料電池、そのほかいろいろ先進的な用途に期待されているところです。製造・輸入量(2008年度)というのは、平成21年度の委託調査の結果を入れていて、ほとんどが推定値です。ですから、大体このくらいという目安で考えていただければと思います。いちばん右の欄の「有害性に関する主な情報」というのは、22年度の委託調査で情報を収集していただいたものの、ごくごく簡単な部分を入れているところです。カーボンナノチューブについては、発がん性に関して長期の試験結果は、いまのところ報告されていませんが、マウス及びラットへの投与による腹腔内での中皮腫の発生の報告がある状況です。
 2番目の「フラーレン」ですが、これも現時点では、ラケット、ゴルフクラブに少し使われている程度ですけれども、燃料電池などに利用が期待されているところです。有害性のほうは評価は定まっていませんが、一部で細胞毒性、生殖毒性があったという報告はあります。
 「酸化チタン」については、先ほど申し上げたように、23年度からナノ物質についてのリスク評価を行うことにしていますが、紫外線遮断効果、光触媒として働くことによって自分できれいにする効果があるので、化粧品や塗料で使われています。これらについてはラットを用いた試験で肺腫瘍の増加が報告されています。そのほかにも動物実験で、ナノ粒子が他の大きさの粒子よりも肺の炎症などを示すことが報告されています。
 ここまでのカーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタンの3つが、先ほどのNEDOプロジェクトの対象とされている物質で、ばく露許容濃度の提案もなされると聞いています。加えて申し上げると、NIOSHのほうでは酸化チタンの許容濃度について、今年、勧告をしています。それからカーボンナノチューブについては勧告までは至っていませんが、NIOSHが提案を出しています。そういうような状況です。
 「カーボンブラック」ですが、これはタイヤなどのゴムの補強に使われていて、製造量が相当あります。また、導電性などの特性を活かした用途の拡大も期待されていると聞いています。、カーボンブラックについては、IARCが既に発がん性評価を「2B」ということで出しています。それからACGIHの許容濃度、TLVもございます。そういうような状況です。
 21頁で「銀」のナノ粒子ですが、銀については若干ややこしくて、銀自体のナノ粒子は電気的な特性で電子デバイスのいろいろな用途に使われていますが、これが大体5t未満ぐらい使われています。ただ、そのほかに結構馴染みのあるものでナノサイズのシリカやアルミナを担体に使い、銀の抗菌作用を活かすということで、銀ナノ粒子の5tの大体10倍ぐらい、桁が1つ大きいぐらいたくさん使われています。参考にした資料のほうが、銀ナノ粒子を中心にまとめられたり数字が出ていたりしましたので、こういうふうにしています。銀ナノ粒子についても動物実験で有害性が報告されているところです。
 「デンドリマー」というのは、有機物の高分子で中心から樹状に枝分れした物質ですが、紙のコーティングなどに使われています。これも動物実験で有害性が報告されています。
 「酸化セリウム」は、半導体の研磨剤で今のところ使われています。これについては細胞毒性についての報告があるということです。
 「シリカ」ですが、シリコンゴムの添加剤にかなり広く使われていて、製造・輸入量のところを見るとわかりますように、万トン単位で使われています。ややこしいのが、いま使われている乾式シリカは非晶質のシリカで、非常に毒性の高いことが知られている結晶質のシリカよりは有害性が少し低いけれども、2つ目の・にありますように、動物実験では肺の炎症等が報告されています。
 22頁ですが、いちばん上の「鉄」と2番目の「酸化アルミニウム」、アルミナですね、1つ飛んで「酸化亜鉛」のそれぞれの用途で、大体100tオーダーぐらい使われていると推定されています。右の欄を見ていただくとわかるように、動物実験では肺の炎症などが報告されているところです。
 「ポリスチレン」については、化粧品などで使われています。これについてもデータはそんなに多くはないようですが、肺の炎症等との関係が報告されています。
 「ナノクレイ」は、ベントナイトなどの小さな粒子ですが、これについては細胞毒性が報告されています。許容濃度の設定、特にACGIHや産衛学会の許容濃度の設定はあまりないのですが、有害性に対する知見はかなり集まってきているので、これについて、まずリスク評価検討会で検討していただいてはどうかという提案です。
○櫻井座長 ただいま説明がございましたが、資料3について(案)ということになっていますが、いかがでしょうか。
○山口委員 物質に関してですが、「ナノ粒子」が付いているものと、カーボンブラック、デンドリマーあるいはシリカの3つは、ナノというのが付いていないのですが。
○松井化学物質評価室長 付けなくてもナノレベルだということで。ただ、カーボンブラックはもう少し大きなところまで入りますが、大体。
○山口委員 カーボンブラックのうち、ナノ粒子相当の有無という理解ですか。カーボンブラックはナノ粒子でないものがたくさんあるので。
○松井化学物質評価室長 一応ナノ粒子というのが、1から100nmの一辺なり、構造を持つというようなことなのですが、そういう意味からいうと、カーボンブラックは数百nmぐらいのもう少し大きなものもあるのですが、労働者の健康障害を防止するという趣旨からいくと、100ではっきりと境目が切れるかどうかわからないので、カーボンブラックはカーボンブラックとして、あるいは検討会の中で、カーボンブラックの中でナノ粒子だけにしたほうがいいとか、そういう検討をしていただくのがいいのかなということで、これについてははっきりと境目は決めておりません。
○山口委員 ナノが付いていないものはそういったものという解釈でよろしいのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 ナノ粒子の定義自体が、概ね国際的にもなされている定義に従おうということなのでしょうけれども、私どものほうは労働者の健康障害防止ですので、どこで切れているかわからないので、その辺も全部含めて検討会で検討していただくほうがと。
○山口委員 ナノマテリアルということでやるのであれば、ナノと付かないものはナノではないものとしてやるべきで、これは物質としてはある程度わかった物質で、形状が小さいということによって、毒性が強くなるという整理でやっているわけなので、別のものは別のものとして取り扱うべきではないですか。
○松井化学物質評価室長 ナノ粒子を。
○山口委員 いや、カーボンブラックのようにナノの部分が一定量入っていると。
○松井化学物質評価室長 大部分はナノ物質ですので。
○山口委員 それであればいいのですが、デンドリマーとシリカは。
○松井化学物質評価室長 それは全部ナノ物質です。
○山口委員 ということで考えてよろしいのですか。
○松井化学物質評価室長 そういう意味ではそうです。いま申し上げたシリカは乾式シリカは全部ナノ物質ですので、シリカのうちのナノ物質という意味で「乾式シリカ等」と書いております。そういう意味で、基本的には全部ナノ物質ということです。
○山口委員 デンドリマーも全部ナノ物質ということですね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○櫻井座長 例えば酸化チタンで、製造量は約950tと書いてあるのは、ナノ粒子がということですか。
○松井化学物質評価室長 そうです。この委託事業で、そのように推定されるということです。
○櫻井座長 カーボンブラックは全部を引っくるめて81万tだと。
○松井化学物質評価室長 そうです。
○櫻井座長 そのうちナノの部分と、そうでない部分。そうでない部分は結構多いだろうと思いますが、分けて書いてはいないということですね。
○松井化学物質評価室長 分けてはいないです。
○堀口委員 「鉄(ナノ粒子等)」とか「カーボンブラック」、表現がわからないのですが。
○松井化学物質評価室長 表現上、ナノ粒子でないものが圧倒的に相当を占めるものについては、(ナノ粒子)と書いたのですが、確かにカーボンブラックのようなものは、表現としてどうかというのはあります。
○櫻井座長 カーボンブラックは圧倒的にナノ粒子が多いのですか。
○松井化学物質評価室長 いろいろな委託調査の報告によると、ナノ物質が主体というように言っておりますが、そこはもう少し詳細に調べる段階で考えるということでいかがかと思いますが。
○櫻井座長 はい。
○宮川委員 実際にリスク評価をしようと思ったときには、普通の化学物質ですとかなり純粋なものがあって、それを使って試験をしたデータが出てくるわけですが、ナノについては、ナノ材料として各メーカーがつくっているものによって、表面の処理あるいは結晶の構造が違うものの割合、カーボンナノチューブなどですと、構造そのものが相当違うために、相当毒性も違う場合があり得ます。その場合に、現実問題としては、その中で非常に毒性の高いものを対象として問題があるかどうかリスクを見るのが、労働者の健康保持の点からは重要かと思いますが、その結果をどのように表現をするのでしょうか。また、一般的なものを調べてリスク評価をしようとすると、必ずしも妥当でないものが出てくるので、どうしても個別の製品ごとに毒性を見て、そこでの取扱状況を見る形になると思うのです。実態としてはそれで私はよろしいかと思いますが、それを一般化して安全管理の指針を出すような場合に、いろいろな配慮が必要かなという気がいたします。
○山口委員 整理の中で、ア、イ、ウと分かれていまして、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタンはアだけで、ほかのものはイ、ウというのは、この理解はどういうものなのか。イ、ウもアができないと、イ、ウはできないものなのですが。
○松井化学物質評価室長 基本的にはそうなのですが、現実には同時並行でやってもらおうかなと。アというのは大まかな手法の検討ですので、もちろん個々の物質に入っていくと、もっといろいろな詳細なものが出てきますので。
○山口委員 ということは、アを検討する対象物質として、単に3つを選んでいるということで。
○松井化学物質評価室長 これを想定して検討いただくということです。
○山口委員 それをベースにカーボンナノチューブ、シリカ、フラーレン云々の13物質、それをベースに考えていくということですね。
○松井化学物質評価室長 そうです。
○山口委員 ということは、基本的にはすべて同じ考え方で、測定方法、まず表面積を測る手法がどうか云々ということを基に、最終的にはイ、ウというような、すべて同じステップを踏むということでいいわけですね。
○松井化学物質評価室長 そうですね、考え方としてはそうなります。
○山口委員 上の3物質と、残りの物質の区別があるのかないのかがよくわからないのですが。ここの表現ですと。
○松井化学物質評価室長 アの場合は、この3つぐらいを念頭に置いてもらったほうが検討しやすいのかな、という意味で書いてあります。
○山口委員 そういうことですね。
○宮川委員 いまの点ですが、1頁のアに書いてあるような評価手法が、そもそも各種のナノマテリアルと言われているものに一般的に適用できる評価手法ができるかというと、物質によって条件が違うので、一般的なものができるのを待っていてから次に進むということをすると、実際は何もできなくなることがあると思いますので、アをやってから、イ、ウと進むというわけではなくて、例えば特定のカーボンナノチューブあるいは二酸化チタンの特定の性質を持ったものについて調べていくと、特定の粒度分布のものについてデータが出てくるとともに、現場では一定の粒度あるいは凝集状態で分布していることがわかってくる。そのようなものについては、もうその辺のデータからリスクを評価するしかないと思いますので、一般論として表面積が適用できるとか、あるいは重量で大丈夫、あるいは粒度によって重みづけをするのを、初めに作ろうと思うと立ち行かなくなるような気がしますので、種類ごとに適宜やっていくという理解でよろしいでしょうか。
○松井化学物質評価室長 そのとおりです。現実には、10月、11月ぐらいで、3回ぐらいの検討会で取りまとめていただけないかなと事務局では思っておりますので、理論的にはアがあってということなのですが、同時並行でやっていただくのが。
○山口委員 評価手法がないのに、イ、ウとやるということは、ある仮定を置くということですよね。
○松井化学物質評価室長 おっしゃるとおり、アの姿がある程度は見えていないと、イ、ウには進まないと思います。
○山口委員 いま宮川委員がおっしゃったように、物質によって違うということであれば、ある程度仮定は仮定ということでしっかりしておかないと、科学的根拠のわかっているものと、あるものをベースに仮定として進むものと、整理してやらないといけないと思います。
○松井化学物質評価室長 ご指摘のとおりだと思います。
○堀口委員 2頁の表現ですが、(2)で、「アについては、~の3物質を中心として」という表現をしているので、そういう解釈になるのだと思います。この表現で見ていくと、この3つをやってからと。皆さんは考えていることは同じなのですが、この資料の表現の読み方で、この3物質について、アをやってと読めてしまうという話なのですが、違いますか。この書き方だと、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタンの3物質でアをやってから、必要に応じてという。読み方で解釈が違うような気がしているのです。
○山口委員 行が分かれて書いてあるので、いま言ったように受け止めてしまうのですよね。
○堀口委員 「上記検討項目のイ及びウについては」と書いてしまっているので、アとイとウで。
○宮川委員 事務局としては、NEDO等々から、ある程度の評価書が出そうなものについては、そこのデータ等を使いながら、事実上のリスク評価を進めていくというのが、アについて、この3物質を進めるという理解でよろしいのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 アについては、これを掘り下げてやっていくと、宮川委員がおっしゃったように、これだけで何年もかかるような話になるので、アについては(ア)みたいなことはあるのですが、(イ)のほうの現実に取り得る手段というのに結構重きがありまして。
○山口委員 基本的にリスク評価のところでやることは2つあって、まずハザード、有害性をきちんと調べるというところと、ばく露量をしっかりと調べることです。いまのこの項目に関しては、有害性のところに関して、物質は既知の物質のわけですが、形状によって新しい有害性があるかもしれないということなのですよね。
 そうすると、ある程度きちんとしたことがないと、判断を誤るのではないですか。この物質に有害性があるかないかという判断を基準として、何か手法を検討するわけですよね。物質としては全部既存の物質ですよね。
○松井化学物質評価室長 そうです。
○山口委員 それがナノであることによって、新たな有害性があるわけですよね。
○松井化学物質評価室長 基本的にはそうです。
○山口委員 そのナノの評価としての手法がきちんとしないと、先ほど物質によっていろいろと有害性が違うと宮川委員がおっしゃったように、正しい判断ができなくなるのではないですか。
○松井化学物質評価室長 おっしゃるとおりです。ですから、基本的に対象物質というのは13物質ではあるのです。
○山口委員 13物質で、3物質に関して小さいという評価の手法を検討して、それをほかの物質にもアプライして、有害性を見積もるということですか。
○松井化学物質評価室長 はい。基本的な考え方はそうです。
○柳川調査官 基本的にナノであったとしても、例えばカーボンナノチューブのある社のある製品について、実験動物のこういうデータが出ているということになれば、そこから人に外挿して有害性を評価するという意味においては、従来の化学物質とナノと、それほど基本的には違いはないだろうと思うのですが、問題は例えば人の健康に対して影響を与える最も重要なファクタというのが、比表面積なのか個数なのか、あるいは形なのか。極端なことをいうと、カーボンナノチューブについては個数と形がヒトに最も大きなファクタを与えるけれども、ナノ銀については比表面積が大きなファクタを与えることも考えられるのです。
 そういったことも含めて、動物データからヒトに外挿する場合に、従来のやり方をそのまま踏襲していいのかどうかということを、まず検討する必要があるだろうと。
○山口委員 そこも含めて評価委員会で検討を進めると。
○柳川調査官 はい。そこをきちんとしておかなければいけないだろうけれども、そこの検討をするに当たって、例えば念頭に置くものとして、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタンはデータが多いので、そこを念頭に置くと検討しやすいのではないかということなのです。
 ですから、この3物質について評価手法を作って、その評価手法をほかの物質にも無条件に当てはめましょうということではないわけなのです。
 先ほどNEDOプロの報告書のお話がありましたが、あれを見ても、基本的にナノだからどうこうという発想はあまりないように思えます。ただ、1つご理解いただきたいのは、NEDOプロはかなりのいろいろなデータを集めた上で、その評価をやっているという意味においては評価できますが、従来のリスク評価の手法とは考え方がかなり異なっております。私どもとして、その手法と結論をそのまま現実の労働の現場に当てはめることが、労働者の健康保護という観点からみて妥当なのかということについては、きちんとその評価はしなければならないと考えているわけなのです。それで、この3つが出てきてしまったところはあるのですが。
○山口委員 そこの考え方をはっきりしていただいて、リスク評価の委員会にまとめていただかないと、こちらもその結果をどこまで、どこが事実でどこが推計なのかというのを判断しなければいけませんので、そこの区分けができていればと思うのです。
○柳川調査官 ただ例えばある物質について個数が非常に重要であったとしても、現実に事業場に当てはめて管理をしようとする場合に、ナノ物質だけの個数を調べてくださいと言われても難しいものがありますので、そこは重量でいかざるを得ないというようなことはあるかもしれないと思うのです。
 そういった中で、では重量でいきましょうとなった場合に、どのような実験データからどのような数字を出すのか、つまりヒトに外挿するのかということを、労働者への健康影響のリスクを容認し得る程度に低下させることを前提に、極端な言い方をすればどこまで割り切れるのかという部分もあると思うのです。
○山口委員 それはリスク評価検討会でそこも含めて。
○柳川調査官 考え方もきちんとお示しした上で、そのリスク評価の手法について考えると。これは、あくまでもこういう考え方でやっているので、こういう問題はあるかもしれないけれども、いまはこれでいくのだというような考え方ができるとすれば。できなければ先に進めませんので、それもあまり複雑怪奇なことをやってしまうと前に進みませんから、安全側に倒す方向である程度は割り切って評価方法を使って広めていこうと。
○山口委員 予防的に拡大するわけですが、そのときの予防的な部分が、どういった推計に基づいているかと、事実がどうなのかというのははっきりしてもらわないと。
○柳川調査官 それははっきりしないといけないですね。
○堀口委員 それなので、ここの表現がアについては、この3つの物質を挙げて書かなくて、例えば平成22年度にそういう事業をされていますから、既存の資料である程度資料収集されているナノ粒子を中心としてやりますと。イについては、以下の13物質を中心として、必要に応じてほかのものを加えると、表現を変えたらそこの誤認がなくなるのではないかと思います。ここに3つの物質名が出てくるので、何でこれがという話を。
○松井化学物質評価室長 「既存の知見の豊富な」という断り書きを入れればよい。
○堀口委員 入れないと、「な物質を中心として」とか、そのようにしたほうが、いまのそこの、メーカーの製品によって1つの粒子、物質でも違うという話もあるわけですから、ここの3つの名前が限定して表に出てくると、そのイメージが払拭できないのではないかと。表現の方法だけのような気がします。
○櫻井座長 少し修正したほうがいいですね。
○松井化学物質評価室長 はい。3つ列挙するのをやめて、「13物質のうち既存の知見の比較的豊富な物質を中心として」とすればよろしいですか。
○堀口委員 はい。
○櫻井座長 13物質のうち、比較的既存の知見の多い物質を中心として検討すること。
○松井化学物質評価室長 はい。
○藤冨委員 ナノマテリアルに関してリスク評価をする方向について、評価したいと思います。1点確認をしたいのですが、3頁の「現行の予防的対応に関する通達について」という項目ですが、「検討の結果、必要な場合は厚生労働省において通達の改正を行う。改正に当たり必要な場合は、『健康障害防止措置に係る検討会』において、具体的な措置の検討を行う」との記載があるのですが、前半部分は通達の改正ということで、必要に応じて通達を発出するということだと思うのですが、後半の「具体的な措置の検討」について、これは通達ではなく規則等の制度的対応を想定されているのかどうか教えていただきたいと思います。
○松井科学物質評価室長 あくまでイにありますように、リスク評価自体は制度的対応を念頭に置いてリスク評価をしていますので、基本的には制度的対応が中心だということです。ただ時間が短くても2、3年かかるので、それまでいまのままの通達で事業者にお願いをしておいていいのかというところを検討するということです。
○藤冨委員 わかりました。
○櫻井座長 ほかに何かありますか。よろしければ、ただいまの文の修正をした上で資料3の(案)を取って当委員会での結論としてよろしいですか。
○堀口委員 「は」という言葉は、限定の「は」という言葉で、アについてはこれこれというように、「は」がないと、もっときれいに読みやすいと思うのです。
○松井化学物質評価室長 「上記検討項目のアについて、下記の13物質のうち、既存の知見の比較的豊富な物質を中心とする」ということですね。
○堀口委員 はい。社長さんたちが謝るときに、「○○については」というと、そこを限定してしまって、ほかのことは謝ってないと思われる、その限定の「は」ということで、「は」を取ると和らかくなると思います。それなので、次の「イ及びウについて」として、「は」を取ったほうがいいと思います。
○櫻井座長 そのようにお願いいたします。以上でよろしいでしょうか。以上で、議題1の部分が終了いたしました。今日の議論を踏まえまして、事務局においては、「有害物ばく露作業報告」の対象物質についての告示発出作業など、よろしくお願いいたします。
 次が議題2「今年度のリスクコミュニケーションの開催予定」について、事務局から説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料4をご覧ください。平成22年度にばく露実態調査を行ったリスク評価対象物質、具体的に言いますと、インジウム、エチルベンゼン、酢酸ビニル等の詳細リスク評価、酸化チタン等の初期リスク評価、対象物質13物質のリスク評価ですが、先日の6月15日に最終の検討会を終えまして、ただいま先生方にご確認をいただいている状況です。
 こういったリスク評価の結果が間もなくまとまりますことから、それに関係するリスクコミュニケーション会合を今年も予定しております。第1回と第2回については、いずれも10月頃を目処に行う予定です。本来でしたら8月、9月になるかと思うのですが、夏の節電対応ということで、9月下旬から早くても10月頃ということで考えております。
 テーマとしては、リスク評価の結果についての意見交換ということで、テーマはできるだけ具体的なほうがいいだろうということで、詳細リスク評価の結果、何らかの措置が必要とされた3物質、コバルト、エチルベンゼン、インジウムの3つを2つのグループに分けまして、1回、2回ということで開催したいと思っております。詳細については、まだ未定です。
 第3回目としましては、来年の1月から2月頃を目処としまして、健康障害防止措置の検討を秋頃から行う予定にしておりますので、その措置の内容について、意見交換を行うということで、会合を予定したいと思います。以上です。
○櫻井座長 ただいまの説明の内容につきまして、ご質問、ご意見はございますか。
○山口委員 場所は東京または大阪ということで、片方を大阪でやった場合は、片方は東京ということですか。
○寺島化学物質情報管理官 そういうことで考えています。
○堀口委員 次年度以降の検討をしていただきたいこととしては、本来リスクコミュニケーションというのはパブコメと同じように、まだ決まる前に直接意見を収集するということもありますので、例えば今回決まったことについてのリスクコミュニケーションと同時に、その中で、いまこういうことを検討しているからパブコメをお願いしますというお願いだけではなくて、そこの部分についても何かご意見がある方という意味において、意見交換ができるようになっていると、例えばいまのナノ粒子の話だと、たぶん突然知らされる側、例えば従業員の方は特にそうだと思うのですが、驚ろかれるのは嫌なので、何が検討されている最中なのかとか、そういうプロセスを共有することは、リスクコミュニケーションでは大事なことなので、そういった内容も、パブコメをお願いしますというだけではなくて、20分程度でも、いまこういう検討がされていますというような、プロセスをそちらからご提示するようなことがあればいいのかなと思っております。
○寺島化学物質情報管理官 来年度以降の計画もそうですが、今回の中。
○松井化学物質評価室長 第1回、第2回のテーマの書き方が、「評価結果」と書いてあるのですが、これはリスク評価の検討会の結果を踏まえて、健康障害措置の検討に入るので、その前という意味ですので、テーマの表現に「結果」と書いてあるのは、よくないかもしれません。
○堀口委員 わかりました。
○山口委員 1回、2回と10月ですが、日が同じということはないわけですね。
○寺島化学物質情報管理官 それはないです。
○櫻井座長 よろしゅうございますか。それでは、いまの指摘事項も踏まえて、よろしく開催のほうをお願いいたします。
 議題3「その他」ですが、事務局から何かありますか。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 参考としてお配りした参考3-1、参考3-2、参考3-3をご覧ください。4月の検討会において、平成22年度の評価の実積、平成23年度の評価方針、平成23年度のリスクコミュニケーションの進め方を、いろいろ修正のご意見をいただきましたので、その修正意見を踏まえて直しております。その報告です。
 参考3-1です。評価の実績については、物質の数だけでなく物質名を入れたほうがわかりやすいという指摘がありましたので、?から物質名を入れております。そういう修正を1、2、3頁とさせていただいております。
 6頁の下のほうに、パンフレットの作成について、「国民に広くわかりやすい情報提供を行った」と書いたのですが、これを証明するものがないのであれば、とりあえず事実関係を書くべきだというご指摘がありましたので、「情報提供を行った」としております。いずれにしましても、国民に広くわかりやすい情報提供を行っていくスタンスに変わりはありません。
 8頁以降に、先ほど来説明しております平成18年以降のばく露作業報告、いただいている物質、その処理状況についてまとめた表を付けています。
 参考3-2です。平成23年度のリスク評価方針です。これについては、「自律的な化学物質管理」という言葉を使っていたのですが、一般的に「自主的」のほうがわかりやすいというご指摘でしたので、「自主的」という文言に修正しております。
 参考3-3です。リスクコミュニケーションの進め方の理念、2頁の中段「会合の持ち方」で、出席者の方から意見を出していただきたいので、「特に、労働者が参加される場合には」という限定文言が入っていたのですが、これについては限定しているわけではありませんので、削除をしました。以上、修正してそれぞれの(案)を取る形での方針、実績等になろうかと思います。
 次に、平成22年度のリスク評価の状況ですが、6月までにリスク評価検討会が終わりまして、一定の結論がまとまりました。現在報告書の発表の準備を行っているところです。報告書の中で、平成22年度の詳細リスク評価の結果、措置について検討する必要があるとされた物質が3物質、インジウム及びその化合物、エチルベンゼン、コバルト及びその化合物、先ほどの実績の後ろのほうの表にいろいろ書いてありますが、今後、秋口になると思いますが、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会において、具体的な措置について検討を行うことになります。
 それと、先ほどばく露報告の検討をいただきましたが、パブリックコメントで物質の提案を募集したのですが、物質の提案自体はありませんでした。物質の提案ではないのですが、意見として、最近さまざまなところからリスク評価が出されている。今回の場合は厚生労働省がやっているのは明確なのだけれども、所管する省庁、根拠となる法規がわかりにくくなっているというご意見がありました。私どもとしては、今後ともわかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。以上です。
○櫻井座長 前回等に出たものの修正点についてのご報告、それから平成22年度のリスク評価の状況についての報告がございました。いかがでしょうか。ご質問等はございますか。ないようですので、ただいまのご報告は伺ったということにいたします。最後に、今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 第2回目の企画検討会ですが、年末頃になろうかと思います。がん原性試験の対象物質等の選定等がございますので、また事前に皆様方にご連絡をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○櫻井座長 それでは、これをもって閉会とさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。


(了)

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