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2011年6月15日 平成22年度第3回化学物質のリスク評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部

○日時

平成23年6月15日(水)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館825号会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 定刻になりましたので、ただいまから「第3回化学物質のリスク評価検討会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は所用により池田委員、清水委員、小嶋委員が欠席です。早速ですが、議事進行を名古屋先生にお願いいたします。
○名古屋座長 第3回となりましたが、リスク評価検討会を進めていきたいと思います。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 配付資料一覧をご覧いただきながら、ご確認ください。まず、資料1としてリスク評価書(案)です。資料1-1初期リスク評価書(案)「4-ビニル-1-シクロヘキセン」、資料1-2詳細リスク評価書(案)「インジウム及びその化合物」、これには落丁があったため、別添3が1枚入っております。資料1-3詳細リスク評価書(案)「エチルベンゼン」、資料1-4初期リスク評価書(案)「オルト-ニトロアニソール」、資料1-5初期リスク評価書(案)「カテコール」、資料1-6初期リスク評価書(案)「酸化チタン」、資料1-7初期リスク評価書(案)「ニトロメタン」、資料1-8として詳細リスク評価書(案)「コバルト及びその化合物」、資料1-9として詳細リスク評価書(案)「酢酸ビニル」、資料2、今後の予定です。
 そして、参考1として平成22年度リスク評価の進捗状況、参考2は机上配布としていますが、ばく露評価ガイドラインです。参考3リスク評価の手法、参考4酸化チタンに関する許容濃度等、参考5として昨年度初期リスク評価書等となっています。参考6と参考7は机上のみ配付としておりますが、参考6が平成22年度ばく露実態調査の結果、参考7は各物質の提案理由書として、ACGIHや日本産衛学会の提案理由書をお付けしております。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。落丁等ありますでしょうか、大丈夫でしょうか。それでは、本日の議題に入りたいと思います。「平成22年度リスク評価対象物質のリスク評価について」、事務局から説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1にある4-ビニル-1-シクロヘキセン、インジウム及びその化合物、エチルベンゼンの3つの物質については、初回の検討となりますのでご検討いただきますのと、1回目、2回目の検討会で指摘されたオルト-ニトロアニソール、カテコール、酸化チタン、ニトロメタン、コバルト及びその化合物、酢酸ビニルの6つの物質については、修正箇所の説明をさせていただきます。最初の3物質については物質ごとに区切って説明いたしますので、それぞれご検討をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 まず、資料1-1の「4-ビニル-1-シクロヘキセン」は初期評価で、今回初めて説明いたします。2頁の物理的化学的性状としては、無色の液体、沸点130℃、融点-109℃、製造・輸入量については平成19年の化審法の届出の関係で566トン、用途としては難燃剤・塗料用樹脂・透明プラスチックポリマー原料、有害性としては、ヒトに対する発がん性が疑われることから、IARCで2B、産衛学会で2B、ACGIHでA3となっております。閾値についてはデータが少ないため判断できないということです。
 3頁に入り、毒性については皮膚刺激性、眼に対する重篤な損傷性/刺激性があります。許容濃度は、ACGIHがTWAで0.1ppm(1994年)、産衛学会は設定なしです。評価値ですが、閾値の云々はデータが少な過ぎて判断できないことから、一次評価値はなし、二次評価値はACGIHの0.1ppmを使っております。ばく露実態評価ですが、有害ばく露作業報告は、8事業場から13作業について、延べ227人にありました。対象物質の取扱量の合計は延べ3,200トンです。
 4頁ですが、用途としては「対象物質の製造」「対象物質を含有する製剤その他の物の製造を目的とした使用」「洗浄を目的とした使用」です。「その他(他の物質を製造中に生成される不純物としての当該物質の廃棄)」といったことがあります。主な作業としては「サンプリング」「充填又は袋詰めの作業」「保守、点検、分解、組立又は、修理の作業」等があります。13作業のうち、作業時間は月20時間以下が100%で、月に直すとかなり少ない時間となります。換気設備については、何らかの換気装置が設置されているものが92%、保護眼鏡は100%、防毒手袋は92%、防毒マスクは54%が措置されております。
 ばく露実態調査結果は、コントロールバンディングを用い3事業場に対して調査を行いました。6頁のばく露実態調査結果のグラフと表をご覧いただくと、個人ばく露測定の結果は、8時間TWAの平均は0.006、最大値0.510、スポット測定は0.017、最大2.77です。この結果、二次評価値を超えた方が1名いたという状況です。
 4頁に戻りまして、調査をした3つの事業場とも、先ほど説明した他の物質を製造中に生成される不純物としての当該物質を廃棄するという作業を行っておりました。ただ、ばく露濃度が高かった所については、廃棄する状態の4-ビニル-1-シクロヘキセンの濃度が50%程度と、やや高い含有率の廃液であったことも1つの原因ではないかと考えられます。それぞれの作業は屋外作業だったのですが、呼吸用保護具は使用されておらず、ばく露リスクが高いことが推測されます。
 5頁の4の「リスクの判定及び今後の対応」ですが、1事業場にかなり高い人がいたので、この事業場特有の問題か、全体的に係る問題かを詳細リスク評価によってさらに検討したいということで、とりまとめをしております。いずれにしても、発がん性が疑われる物質ですので、事業主の自主的なリスク管理が必要であるということです。以上です。
○名古屋座長 ただいまの説明について、ご質問、ご意見等がありますでしょうか。ばく露濃度が二次評価値を超えているので、詳細評価にいくことはそのままでいいのかなと思っておりますが、その他記載等で何か問題がありますでしょうか。
○圓藤委員 個人ばく露が最大値の方は、スポット測定が最大値の作業の方ですね。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 そうです。
○圓藤委員 でも、労働時間は月に最大20時間ということですか。
○名古屋座長 ここの記載ですと、そうです。13作業のうち、作業時間は月20時間以下が100%ですからね。
○圓藤委員 1人だけですね。この方は何時間ぐらいばく露していたのですか。
○松井化学物質評価室長 机上配布資料の参考6のばく露実態調査結果の中のCという事業場ですが、ご指摘があったように、いちばん下の方は、就業時間は645分なのですが、右にある「ばく露作業の情報等」で、サンプリング、充填、廃棄作業の作業時間は、4分、1分、1分、さらに右にある「スポット測定結果」は1.32、0.284、2.77で、短時間ではありますが、かなり高いばく露となっているわけです。
○圓藤委員 8時間で0.5になりますか。
○棗田氏(中災防課長補佐) ばく露測定のスポットと個人ばく露は、確かに作業者はそこの作業をやるのですが、測定している物が違うので、要はスポットで1分押さえて、次の作業で2分押さえてという形でやっているのですが、この作業者にはずっとバッチを付けていてトータルになりますし、実際にはそれ以外でも多少漏れていたりということもあるかもしれません。それから2分なら2分で止めていますが、そのあとどれぐらいの濃度かというのは取っていないので、そうするとここでは個人サンプラーは480分付けていますから、平均化されて一応これぐらい、もしかすると、スポットよりももっと高い濃度を一瞬はばく露している可能性はあると思います。
○圓藤委員 短いけれども、この作業は常にある作業ですか。出荷前廃液サンプル。
○松井化学物質評価室長 一応、他の製品を作っている過程で出てきますので、出てくるのは常に出てきているということです。間隔は分かりますか。
○棗田氏 いま手元に資料がないので間隔まではちょっと分かりませんが、こちらにも書いてあるとおり、月20時間程度ということですから、毎日あるわけではないということです。
○名古屋座長 同じような作業が他にもあるのですが、他の所の廃液の含有量が低くて、ここだけ特別高い、50%というのも影響してくるかなと思います。急性毒性などを考えるとどうか分かりませんが、もう少し詳細評価をして、これと同じように含有率の高い所があるとしたら、またこれと同じことが起こるかもしれないということだと思いますので、詳細評価をしてもいいのではないかと思います。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 いまの作業の頻度ですが、ブタジエンダイマ出荷サンプリングが週1回程度です。作業自体は3事業場とも週1回程度ということになっております。
○花井委員 確認ですが、先ほどの極端に高い濃度の所の作業者、あるいは管理者も、保護具の必要性などは認識しているのか、していないのか、その辺はどうでしょうか。
○棗田氏 先ほどの参考資料をご覧いただくとわかるのですが、屋外で作業していてマスクの着用はなしということですので、基本的にはあまり認識していないと思います。さらに、短時間作業であることから、おそらく、それほどばく露しているとは思っていなかったのだと思います。
○花井委員 ここで出たこうした結果というのは、既に現場にフィードバックしているのですか。
○棗田氏 当然データとしてというよりも、もう少し詳しい報告書としてお返ししていますので、ばく露が高かったということは理解されていると思います。
○花井委員 先ほど自主管理ということがありましたが、そういった議論まではまだ行かないのですか。
○棗田氏 そうですね。向こうから要望があれば、このようなデータで、少し高いので気をつけてくださいというお話はいたします。ただ、それ以上ということになると、あくまでも協力していただいているので、向こうから指導してほしいというお願いがあれば伺うのですが、私どもとしてはそれ以上突っ込むのは難しい状況です。
○松井化学物質評価室長 調査の性格上、いま言われたように調査に協力していただいているという状況があって、その時点では事業者の判断というのがあるのですが、リスク評価をしていただき、その結果を踏まえて必要な場合は、国が状況を見て、個別指導の場合は個別指導ですし、制度が必要な場合は制度で対応するということで、あとは国が引き取ってということになります。
○大前委員 週1回という話でしたが、測定した日が3つの作業とも偶然同じ日にあったので測定し、残りの4日か5日はこの物質にはばく露していないと考えていいのか、ばく露していると考えるのでしょうか。
○棗田氏 この場合は一連の作業で、週1回この作業があるという形ですから、これ以外の週4日間はばく露していないと考えていただければ。
○圓藤委員 ほとんどの所がそうなのですね。
○棗田氏 そうです。先ほど松井室長からもご説明がありましたが、あくまでも不純物として出てくるものであって、本来の製造物ではないですし、製造物自身も毎日作るのですが時間がかかるので、最後に出てくる不純物のところは週一度ぐらい取るという形です。
○宮川委員 質問です。根本的なことが理解できていないのかもしれませんが、いま問題になっている参考6の1のいちばん下の例ですと、例えばスポット測定で最大値が1とか0.28、2.7になっています。個人ばく露のほうはと言うと、0.509という値です。ばく露作業の時間は4分、1分、1分となっていますが、1分とか4分の間の最大値は、いちばん右側のスポットがかなり反映しているのかどうか。また、最大値がこの程度なのに、TWAに8時間換算したときに0.5というのは、どのような関係に立っているのか疑問に思いました。
○棗田氏 最大値というよりは、スポットの場合は必ず風上、風下で取っていますので、おそらくそのどちらか高いほうになっています。4分間で1.32ですから、最大と言っていいのかどうかちょっと分かりませんが、4分間の作業中が1.32、次が1分間で0.284、次の廃棄作業1分間で2.77が、風上・風下のどちらか高い濃度だったということです。先ほども言ったように、作業者は朝から480分間、その作業をやっていないときもずっと付けているので、廃液作業などをやっていますが、絶対漏れがないとも言えないので、どれぐらいばく露しているかというのは、これで見るしかないのです。
○宮川委員 確認ですが、この1分とか4分という作業以外の時間に、相当程度ばく露しているということですか。
○棗田氏 それに関しては、わからないとしか言いようがないです。他の部分で、その作業が終わったあとに測定しているわけではないからです。例えばスポットについては、一応作業者の側で風上、風下で取っているのですが、作業者の呼吸域近傍で取っているわけではないので、それによっても濃度が変わる可能性がありますから、絶対的に一致しているとも言えないところはあります。どの作業が高いかというのは明確にわかると思いますが、それ以外の作業をしている際にどれぐらいばく露があるかというのは、本来はそこでずっと取っていないとわからない。ただ、個人ばく露のデータを見る限り、もう少しばく露しているのではないか、作業場の中にある程度の濃度が漂っている可能性はあると思います。
○名古屋座長 ばく露のスポットよりも、ばく露のほうがもっともっと高いというのはいくらでもあります。それをおしなべてくると、このぐらいになるという話はあります。
○棗田氏 はい。
○西川委員 確認ですが、遺伝毒性が判断できないということについて、データとしてはエームズが2試験あって陰性、小核はラット及びマウスともに陰性です。小核は染色体異常のライン上にある、より意義の大きい試験と理解しておりますが、確認というのは、あとはどんな試験があれば判断できるのかということです。要するに、初期リスク評価において、遺伝毒性試験としてはどのような試験が最低限必要であることになっているのでしょうか。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 有害物質総合評価表は文献調査のもので、中災防にいろいろ集めてもらった中で検討していただいたものです。それ以外に何か実験をしてということまでは、この物質についてはできていないので、それをやって出すというのは難しいと思います。
○西川委員 結局、参考文献14の評価が、判断できないとそのまま書いてあると思うのですが、その根拠は何なのかということなのです。
○大前委員 それはこの場でする議論ではないと思いますが、データが少な過ぎるということと、代謝物に遺伝毒性があるものがあるという情報があるので、判断できないという意味合いだと思います。
○西川委員 数が少ないというのは、例えばvitroの染色体異常試験をやればいいかということですよね。
○大前委員 そうですね。やはり、染色体異常試験は要るでしょうね。
○西川委員 仮にvitroの染色体異常試験をやっても、vivoの小核試験でネガティブという結果がラット、マウスで出ているものですから、総合的に考えると、染色体異常はないと判断されるのではないかと単純に思うのです。また、代謝物についてのそれぞれの試験をやらないといけないということですね。それは理解できます。
○圓藤委員 フーペだったら陰性になるわけですか。
○西川委員 物にもよると思いますが、例えば農薬であれば、ネガティブになります。
○名古屋座長 この書き方はどうしましょうか。
○大前委員 この評価書を作るときに、いまの遺伝毒性の判断をどうしようかという議論が前にもありまして、別の省でそれを総合的に決めるという情報が入ったものですから、そこで一旦議論が中断しております。その物質、物質で遺伝毒性と言う委員の方がいらっしゃるので、その先生の判断で、これだけ十分あれば、「ある」としていいだろう、これは情報がちょっと足りないのではないか、したがってネガティブとするかどうかは不確定だという判断で今来ております。本来であれば何らかの統一的なというか、例えばこの試験とこの試験とこの試験、しかも濃度的に、このレベルだったら陽性、もしくはこれならば考えなくていいといった統一したクライテリアがあればいいのですが、それがまだできておりませんので、やむを得ず個別にやっているという状態です。
○名古屋座長 現時点では判断できないということで、よろしいですか。
○西川委員 結構です。
○名古屋座長 詳細評価にいくかどうかということについては、確かに1人の方は高いのですが、事業場数から考えると、延べ227人おりますし、13事業場のうちの3事業場ということですから、もしかしたらこのような人たちがいるかもしれないので、詳細評価に移り、廃液等のパーセンテージはなかなかわかりませんが、もう一度詳細評価で判断したいと思います。それでよろしいでしょうか。
○大前委員 いま読んでいて1点気が付いたのですが、3頁のいちばん上の「ヒトへの影響」のところで、白血球減少、好中球増多、リンパ球増多とあります。好中球とリンパ球が増えていて白血球が減っているというのは非常に不思議な現象ですから、ひょっとしたら間違いかもしれないので、どこかで確認をしておいてください。もっと前に気が付けばよかったのですが、実は15頁のもともとの評価書も同じように書いてあるのです。
○名古屋座長 事務局、よろしくお願いいたします。それでは初期評価を終了して、詳細評価にいくということでよろしいですか。
                 (異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。次に、資料1-2のインジウムに入ります。事務局から説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1-2、詳細リスク評価書(案)「インジウム及びその化合物」について説明いたします。参考資料に昨年の初期リスク評価書を付けておりますので、必要に応じてご覧いただければと思います。1の「物理的性状等」の部分は、昨年とほとんど変えておりません。右上のマスにITOの部分を入れまして、インジウム・スズ酸化物としております。昨年は入れていなかったのですが、ここの比重が大きいので入れております。「物理的化学的性状」の部分も昨年とほぼ同様で、ITOを入れております。淡黄色~灰緑色の固体、比重は不定と記載しております。いちばん左にインジウム、金属の部分がありますが、これは沸点が2072℃、融点は156℃と非常に低くて、少し温めると溶ける性質のものです。
 2頁の「生産・輸入量」はインジウムが70トン製造、リサイクルは543トンとなっています。製造業者あるいは用途等は記載のとおりです。2の「有害性評価の結果」ですが、インジウム及びその化合物については、一昨年度に初期リスク評価を実施し、リスクが確認されたことから、詳細リスク評価に進んできているところです。有害性評価については、評価書が昨年作成された後、インジウム・スズ酸化物(ITO)についての新たな知見が得られておりますので、評価の見直しを行っております。
 別添1及び2をご覧ください。別添1のエの「反復投与毒性」の部分に追記をしております。インジウム・スズ酸化物(ITO)の実験結果を、がん以外の部分について記載しております。記載が込み入っていた部分がありましたので、不確実性係数等は削除し、実験結果として、リン化インジウム、酸化インジウム、ITOと3つ並べた形にしております。
 次頁の発がん性については、IARCの2Aの根拠となったリン化インジウムのデータを削除し、計算の根拠となるITOの長期吸入ばく露試験の結果を掲載しております。また、有害性評価書別添2も同様に修正を行い、変更履歴を付けているように、例えば15頁の日本バイオアッセイ研究センターでの反復投与毒性の部分で記載しております。日本バイオアッセイ研究センターでの研究では、ラット及びマウスに肺胞蛋白症等の障害が出ていることを記載しております。
 16頁のところ、後ほど出てきますが、CIGSという銅-インジウム-ガリウム-セレンの半導体についての実験結果を記載しております。これはラットの気管内投与の実験ですが、CIGSを気管内投与したところ、各群で肺炎等の障害が発生しているということで、投与終了後12週まで見ておりますので、亜慢性毒性として記載しております。
 18頁のところに、がん原性について日本バイオアッセイ研究センターが行ったITOの実験データをエンドポイントを腫瘍として記載しております。最後に引用の文献の部分を記載しています。14)の日本バイオアッセイ研究センターの論文は、ホームページで見ることができる形のものが現在出版待ち状況となっております。15)はご覧のような形です。以上、有害性評価書の記載をいくつか改めております。
 3頁に戻って「重視すべき物質性状とばく露ルート」で、インジウム及びその化合物は常温で固体であり、ほとんど気化しないが、粉末の状態での吸入ばく露は注意が必要であると記載しております。「重視すべき有害性」として「発がん性」の部分で、IARCでは2Aと分類されており、この根拠はリン化インジウムとなっております。また、日本バイオアッセイ研究センターでの試験の結果、発がん性が確認された、そのほかのインジウム化合物の発がん性に関しては、明らかな証拠がないことを付記しております。下の閾値についてですが、閾値の算出として、LOAEL:ITO 0.01?/㎥を採用し、4頁の上のほうに根拠となる数字を計算しております。不確実性係数を250として閾値を計算しております。LOAELからNOAELの変換を10、種間差の不確実性係数とがんの重大性を取った3×10-5が、がんをターゲットにした部分となります。
 「発がん性以外の有害性」についてですが、急性毒性については吸入のデータはなく、経口、腹腔内投与といった辺りのデータは、初期リスク評価のときと変更はありません。
 真ん中ほどにあるとおり、これらをまとめると、「これまでの文献調査の結果、酸化インジウム、ITO、塩化インジウム、インジウムを含有する化合物半導体(リン化インジウム、砒化インジウム、CIGS)等のインジウム化合物については、有害性を示す研究、調査結果が報告されている。一方、金属インジウムの有害性の評価については、有害性に関する情報が不足しており、今後の調査研究の進展を待つ必要がある」と記載しております。この部分についてはご議論があるかと思いますので、ご検討いただければと思います。
 「許容濃度等」についてですが、他の機関における許容濃度は、古いものですが、ACGIHの0.1?というのがあります。「評価値」としては、初期リスク評価において、一次評価値、二次評価値を決めておりますが、ITOの発がん性試験から一次評価値を再設定しております。同様に、二次評価値についてもACGIHを使っておりましたが、その後のITOのがん原性試験から再設定を行っております。
 次頁はITOの研削粉によるところの肺胞の炎症、レスピラブル粒子による肺胞の炎症をエンドポイントとして設定しております。一次評価値は3×10-5、二次評価値としては2つの案を示しております。アンダーラインの上の3×10-4はITOの上記試験結果を基に、重度の肺胞蛋白症をエンドポイントとして算出したものです。がんの重大性が不確実性係数に入っていないので、1桁上がって3×10-4を採用しております。二次評価値をどう考えるかによって、2つの考え方があるのではないかということですが、二次評価値を超えてしまったら何らかの措置が必要というものと考えれば、どちらかになるということです。下の二次評価値0.01というのは、最小毒性量を考慮したもので、ご承知のようにインジウムの技術指針の目標濃度として設定しているものです。二次評価値を2つの案として提示いたしましたので、ご議論いただければと思います。
 3の「ばく露評価の結果」ですが、平成21年度におけるばく露作業報告は合計38事業場から145作業についてなされ、労働者合計は1,300人余りです。ばく露実態調査は平成22年度においても行いましたが、6頁の上の図に示したような作業があり、インジウムのターゲットの製造、インジウム金属のリサイクル、インジウムを用いたターゲット等のボンディング作業、半導体としてのリン化インジウムの加工作業といったものが認められたところです。
 ばく露実態調査の結果ですが、初年度は59人、次年度は3事業場27人の測定を行っております。初年度は総粉じんで測定しておりますが、次年度はITOの発がん性実験がレスピラブル粒子で行われたことから、吸入性粉じんを対象として測定しております。8頁の上のグラフがレスピラブル、2年度目に測定した個人ばく露測定結果となっております。二次評価値に2つ線が引いてありますが、3×10-4で取ると、グラフは対数尺ですので、実際は高い所と低い所の差がもう少し大きいわけですが、すべての数値で二次評価値を上回っていることになります。参考までに、9頁に総粉じんで測定したときの結果がございます。これもワースト20データですが、総粉じんですので参考ではありますが、かなり高い値であることがお分かりいただけるかと思います。
 7頁に戻って、測定結果のデータをご覧いただくと、2年間のばく露実態調査における86人の個人ばく露測定の結果、吸入性粉じんでは最大値0.817、平成22年の吸入性粉じんのみで区間推定をした上限値は0.143となっております。参考として、総粉じんで測定した場合の最大値は1.4、2年間の区間推定上限値は0.415です。ばく露限界値との関係は27人中27人、100%が二次評価値を超えており、リスクが高いことになろうかと思います。
 次の9頁に判定結果として、作業分類別にはどういった形になっているかということを表にまとめております。2年度目のレスピラブル粒子の測定の結果のみをまとめた表ですが、全体として27測定をしております。ITOターゲットの製造、使用済みITOからのリサイクル、インジウム・リンの取扱い、ボンディング作業の4つに分けておりますが、二次評価値を0.0003とした場合、すべてのデータが二次評価値を超え、判定結果は措置が必要と整理できます。下に作業の詳細が書いてありますが、最大値が出た作業であるインジウムの精製、インゴット鋳込み、作業を行う原料となるITOの粉砕、ショット形成、インジウムの取出し作業といったものをインゴットのために行っている労働者に非常に高い値が見られているということです。この作業はITOの廃棄物を粉砕機に投入する作業ですので発じんが非常に多く認められ、局排はあったものの、レベルが高くなったということです。
 「一方」以下にあるように、ITOターゲットを製造する事業場において、ITOの分析のため、分析室のような所で小さいかけらの粉砕を行う労働者に高いばく露が認められております。これは局排等、ばく露防止措置といったものに有効性がなかったことが原因かと思います。参考として、総粉じんの結果を当初の二次評価値、今年置き換えた二次評価値0.0003で置いた場合の表が出ております。すべての粉じんがレスピラブル粒子であると仮定した場合の表ですので、参考程度ということになります。
 11頁は「ばく露要因の解析」ですが、インジウム化合物として測定データを考えてみると、取扱い時に粉体が飛散するため、このばく露防止措置の導入が考慮されるべきであると。また、金属インジウムを用いたボンディング、金属インジウムの鋳造、金属インジウムを溶融させる作業においては、金属インジウムではありますが、酸化インジウムが発生するので、その粉じんにばく露するおそれがあることから、ばく露レベルを低減させるための措置の導入が考慮されるべきであろうと記載しております。「なお」として、インジウム化合物の原料とした液晶等の組立を行う場合であって、明らかに粉体の飛散のおそれのない場合には、これらの措置は必要ないと考えられるとしております。その下に整理したものがあります。インジウム化合物の取扱いと金属インジウムの溶融を伴う作業の2つについては、発散抑制措置、呼吸用保護具の使用等を考慮する必要があるということです。
 まとめとして、以上のようなITOを中心としたばく露のリスクが高いと確認されたことを記載しております。また、0.0003を大きく超えるものについては、作業工程共通と考えられるので、健康障害防止措置の導入が必要としております。下には技術指針についての取組みが書いてあります。0.01を超えた所には法令を待たずに自主的に速やかな作業改善が望まれること。すべての評価値が二次評価値を上回っていますが、今後の健康障害防止措置の検討に際しては、中小規模事業場においての取組みということもありますので、取組みができるよう配慮することと、保護具の着用ということを併せて検討する必要があると記載しております。また、風評被害のために、消費者が利用する場合は粉体が飛散することがないと考えられるので、この旨周知することも併せて必要と記載しております。長くなりましたが以上です。
○名古屋座長 ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等ありますでしょうか。
○西川委員 3頁の「発がん性閾値あり」という評価ですが、別添1の10頁を見ますと、結論は判断できないとなっていて、先ほどの物質と同じようなことになりますが、この場合は遺伝毒性が疑われるが確定的でないので、判断できないということです。ともに情報が少ないから閾値なしという判断だったのですが、むしろ先ほどの場合は、遺伝毒性はない可能性が高かったにもかかわらず閾値なしと判断され、このケースは遺伝毒性は疑われるが閾値ありという判断となります。この辺が理解できないのですが、説明をいただければと思います。
○松井化学物質評価室長 評価のルールといいますか、いまやっているところで、判断できない場合は一次評価値を設定しないということになっていますので、そこの決め方をどのようにするかというのは、先生のご指摘もありますので、有害性評価小検討会のほうでもう一度ご議論いただくようなことでいかがでしょうか。
○西川委員 私も有害性のグループに入っていて、いま質問するのは不適切かもしれませんが、ちょっと頭の中が混乱していますので、うまく整理ができればいいかと思いまして。
○松井化学物質評価室長 おっしゃるように、単に決めの問題で、別の方向から見ると変だということなわけですよね。
○西川委員 要するに、両方とも情報が足りないから判断できない。前の物質は、しかしながら、やった試験はすべて陰性で、おそらく遺伝毒性はないであろう。それにもかかわらず閾値なしという判定で、今回は、数少ない試験であっても陽性の結果がいくつか出ています。それにもかかわらず閾値ありという判断。それがちょっと理解できないのです。
○花井委員 1つ教えてほしいのですが、これは、インジウムは値として非常に小さい値といいますか厳しい値、3桁ぐらい低いような数字が出てきているわけなのですが、最後の文献などを見ると、40年ぐらい前のACGIHの値があって、比較的最近の文献はあまりないように思うのですが、これは何か理由があるのでしょうか。不思議な気もするのですが。かなり厳しい数字が出ていますよね。外国からというか文献が少なすぎるのではないかという気がするのですが。
○大前委員 ACGIHの文献は、これはもう40年前の話なので、あまり参考にできないものです。2000年以降、日本でたくさん文献が出てきまして、この作業自体は二次文献を使っていまして、日本で出てきた情報を使って、二次文献としてあるのがこの許容濃度の勧告が1つです。それ以降、14番のバイオアッセイの発がん実験のデータが、いまパブリケーションになっている最中です。これが最新のデータで、これが今回の数字の大きな根拠になっているということです。したがって、疫学のデータなどは許容濃度の勧告の中に全部入っていて、動物実験に関しては、8番のNTPの報告と、いまの長野先生の報告で、重要なものとしては尽くされているということです。
○花井委員 最新の海外の情報も、一応それで。
○大前委員 海外の情報はないです。海外から情報は入ってこないといいますか、ないから。
○花井委員 ないという状況は、わかっているということですね。
○大前委員 海外でいちばんあるのが、8番のNTPの実験です。これはアメリカの情報で、これ以降、ベルギーの人が動物実験だったと思いますが1つ出しています。症例報告では2010年に出ていますが、これは許容濃度の勧告には入っていません。今回この作業をするに当たっては、濃度の点がはっきりしないので使えなかったということになります。
○花井委員 もう1つ、あとで酸化チタンのときに出てくる話かもしれないのですが、こういう粉体を扱う場合に、どういうものなのかというキャラクタリゼーションが非常に重要だと思うのです。例えば粒子分布、サイズ分布ですが、その辺があまり言及されていないように思うのです。すでにあった議論かもしれませんが、インジウム化合物として一括りにすることも問題があるような気もするのです。それと同時に、キャラクタリゼーションをもう少し具体的に詰めていかないと、あまりにも括りが大きすぎるのではないかという気がするのですが、その辺はどんな考え方なのでしょうか。
○名古屋座長 バイオのものは実験のときに粒度分布を全部きちんととれていましたよね。それで吸入性粉じんとなっていて、一次評価値のところでは粒度分布も全部きちんととれていて、それを通りましたという形になっていましたよね。
○大前委員 NTPのデータも、一応吸入性粉じんのメインのサイズです。それから、バイオの場合は、実際に研削をした粉じんを持ってきてやっていますので、現場に存在する粉塵で、レスパイラブルですので吸っていると思いますが、そういう状態です。実際の現場で粒径分布をきちんと測ったデータはそんなに多くありませんが、今回、詳細リスク評価のところで吸入性粉じんを測っていますので、今回初めて出てきたデータですが、実際の現場からのパブリケーションで出ているデータの中には、まだ、どのぐらいの粒度分布があるというデータはないと思います。ただ、個々の会社は、当然ですが全部ご存じで、やはりサイズとしては小さなサイズを使われていることは間違いないと思います。
○花井委員 すると、実際のばく露評価のときも、その粒度分布をきちんと意識して評価していると。
○大前委員 今回は、詳細評価のところでは意識して評価していると思います。
○花井委員 わかりました。
○圓藤委員 急性毒性、腹腔内でやるとものすごく毒性が強いので、それはやはりインジウム自体の毒性がものすごく強いのだと思います。動物実験をなさったバイオの方も、酸化インジウムでもかなり毒性がきついので、ITOだけではなくてインジウム自体の毒性ではないかとおっしゃっていました。
○大前委員 腹腔内実験の硝酸インジウム、三塩化インジウムというのは、すごく酸性が強いのです。それも急性毒性に加味されているかもしれない。
○圓藤委員 ここまでは出ないでしょう。経口投与と30倍以上違いますよね。
○大前委員 随分違いますね。
○内山委員 先ほど西川先生がご質問になった閾値の有無の問題なのですが、ここも遺伝毒性の試験だけからは判断できないということで、これは前の物質とも整合性はあると思うのです。前のものも、マイナスだから閾値なしとは言っていなくて、判断できないと言っている。この物質は、遺伝毒性試験からだけでは確定的でない、判断できないという評価で、それプラスの、ばく露実験で発がん試験のときに発がんの中身を追っていくと、まず炎症があって、それがだんだん増生していって発がんになっていくように見えるので、炎症が起こせない濃度では発がんをしないのではないかという考えで閾値があると考えていいのではないか、という総合評価だったと思うのです。
○大前委員 NTPのグループは、この発がん実験のあとに、そのメカニズムに関する考察の論文を出していまして、そこでは閾値があるのではないかという論文になっている。
○内山委員 総合的に閾値があるということでいいだろうということで、遺伝毒性試験だけからは判断できないという評価で、いろいろご指摘がありましたように、難しいところはあるのですが、前の物質と整合性はとれているのではないかと思います。前のものは閾値なしにして、これは閾値ありにしているということではないと思います。
○西川委員 ですから、総合的に閾値ありとした根拠を簡単に追記いただけますか。
○内山委員 3頁の「重視すべき有害性」の「発がん性」のところなのですが、「ヒトに対する発がん性が疑われる」とここで書き直されているのは何か理由がありますか。これは2Bの表現だと思うのです。初期リスク評価には2Aの表現の「ヒトに対しておそらく発がん性がある」ということになっていたと思うのです。「発がん性が疑われる」は2Bの表現で統一していたのではないかと思うので、ご確認ください。参考資料に付けていただいているもののほうは「人に対しておそらく発がん性がある」という2Aで統一してあります。
○寺島化学物質情報管理官 訂正いたします。
○名古屋座長 そこは確認をよろしくお願いします。
2つありまして、1つは間違いなく、管理すべき健康障害防止対策を管理しなければという形になるかと思うのですが、もう1つあるのは、二次評価値のどちらの濃度を使っても管理すべき物質になると思うのですが、二次評価値が管理濃度になる可能性がありますよね。そのときに0.01にするのか3×10-4にするのか、ここは現場の影響が出てくると思います。もう1つ、先ほどの話にもありましたが、思っている以上に現場が吸入性粉塵が多い。ここは、いままでになかった知見です。もう少し少ないのではないかということで0.01にしたのですが、これを見ると、ほとんど吸入性粉塵に近いものがある。いずれにしても管理物質になるのですが、ここでは0.3×10-4を評価値とするかどうか、この辺を議論していただけますか。0.01は目標値ですから、あくまでも目標値で、暫定のところですから、そこはよかったのですが、ここで決めてしまうと、そこが管理濃度になる可能性があるので、先生方のご意見をお聞きしたいと思います。どうでしょうか。毒性が高いから仕方ないというと、確かにそうなのですが、0.01でも大変だという現場の意見が聞かれました。
○圓藤委員 0.01とは言いにくいですよ。
○名古屋座長 毒性が強いから、仕方ないですか。どうでしょうか。
○大前委員 許容濃度委員会のような考え方をしますと、やはり0.3μgになると思います。
○圓藤委員 フィジビリティスタディで当面0.01とするか、もうひとつ下げるかできる限り低い濃度にすると。暫定というのはあるのですか。
○名古屋座長 暫定措置として目標濃度があって、そこは0.01でクリアしていて、その目標濃度で管理してくれると思うのですが、管理物質になってしまうと、当然、目標濃度はなくなります。そうしたときに、管理濃度になる可能性のある二次評価値を決めておかないといけないと思います。どちらの濃度を二次評価値にしますか。
○宮川委員 過去の例において、具体的な実験のこのLOAELそのものの値ですよね。そこでは重度の影響が見えているところで、それを基準にするというのは、やはり無理があるのではないかという気はします。もう少し弱い影響とか、見方にもよると思うのですが、この書きぶりで、それでも統合というのは少し違和感がありますので、やはり低い値のほうが適当なような気がします。
○圓藤委員 そう思います。
○花井委員 5頁の二次評価値を出すところで、インジウム含有量=0.0087という数字から出発していますが、この0.0087というのはどこから来ているのですか。
○寺島化学物質情報管理官 すみません、修正漏れです。87ではなく78です。別添1の10頁の「発がん性」に、評価レベルとしまして。
○花井委員 0.0078mg/㎥から出発して、その数字ですか。
○寺島化学物質情報管理官 インジウムの指針のときに議論があったのですが、ITOに含まれるインジウムの量というのがスズ酸化物の添加量によって一定ではないということ、あるいは、ここを根拠としていろいろな数字を決めていく際に0.0078というのが数字としてわかりにくいということもありましたので、そこは丸めて0.01という形で計算をスタートしています。
○原委員 有害性評価小検討会に所属していないので、わからないのですが、有害性評価として現状の知見から結論を出すということでやっておられると考えてよろしいのでしょうか。つまり、管理濃度を決めるときにはフィージビリティを考えなければいけないということがあると思いますが、有害性評価小検討会の考え方としては、知見に基づくという結論で考えていらっしゃるのですか。
○大前委員 有害性評価小検討会でこれが終わったあとにデータが出てきたものですから、有害性評価小検討会では、0.3あるいは10というのは議論していないのです。
○原委員 わかりました。
○名古屋座長 そうしましたら、ここは管理物質にすることは間違いないのですが、当初のところは0.01にしておいてそのあとに。ここは上で決めることですから、ここで決めることはないと。この辺のところどうでしょう。
○内山委員 有害性評価委員会にもう1回戻して。
○名古屋座長 これは目標値が出ているので、管理濃度を決めるまではそこでいきましょうとなっていますから、そこは大丈夫だと思うのです。
○内山委員 有害性評価委員会のあとにバイオアッセーが出てきたのですよね。まだバイオアッセーのピアレビューの論文ではないのですか。
○大前委員 論文はあります。もう出ています。
○内山委員 ピアレビューの論文になっているのですか。
○大前委員 なっています。
○内山委員 それなら、それはいいのですが、やはりもう1回議論していただいて。
○名古屋座長 そこがいちばん大切になってきていることで。
○内山委員 ここではちょっと難しいと思うので。
○名古屋座長 これは、現場的にはいま目標値が定められて施行されているから、そこは大丈夫なのですよね。そうでもないのですか。
○寺島化学物質情報管理官 そうですね。一応、行政指導という形の通達ではあるので、自主的に守ってくださいという形になっているので、大手さん中心にはやっていただいているとは思うのですが、小さいところでは、やはり取組み不十分な部分はあると思います。あと、管理濃度について、言いすぎかもわかりませんが、ここでは学術的な形で検討していただいて、管理濃度は管理濃度で別な場所なのです。たたき台といいますか、出発点にはなりますが、管理濃度はまた別途、フィジビリティの点もあり管理濃度検討会のほうでも考え方の転換の時期になっているのではないかと。例えばベリリウムに、そういう話もありましたので、別な考え方というのはあり得るかなと思います。
○名古屋座長 いずれにしても、ここの値は二次評価値にするかは、もう一度戻したほうがいいというお考えだと思います。
○内山委員 それで1年遅れると、ちょっと。
○松井化学物質評価室長 名古屋先生のお話になっている懸念は、結局、管理濃度にどの数字を持ってくるかというお話ですので、例えば3×10-4であっても、呼吸用保護具の効果を入れてそれに到達するという考え方もありますが、それになりますと、措置の検討会なり管理濃度の検討会でご検討いただくお話ですので、この検討会は、そこの進んだところの話までやっていただくよりも、理論的に安全な数値なり、いろいろな知見から妥当な数値を考えていただく検討会かと思っています。
○名古屋座長 そうしましたら、このまま3×10-4という形でいこうと思います。もう1点、4頁の金属インジウムのところが今後の調査の進展を待つ必要があると。ここをどう取り扱うかということなのですが、どうしましょうか。
○大前委員 金属インジウムに関しては、インゴットを成形するところ、ボンディングのところが金属インジウムを使っているところなのですが、ボンディングの作業者でも結構血清中のインジウムが増えているという実態があります。メタルとして吸っているとは考えられないので、やはり表面が酸化して、沸点が高いのでヒュームにもならないと思うのですが、粉塵のような形で吸っているのではないかと思います。したがって、それはメタルではない可能性がある。インゴットを作っているところの作業者は、血清中のインジウムはほとんど上がってこないのです。あまり吸っていないと思うのですが、いずれにしても、メタルの吸入毒性に関する情報がないので、こういう書き方にならざるを得ないのかなと思います。
○名古屋座長 逆に言うと、メタルそのものではなくて、ほかのインジウムと同じように、酸化された粉塵的な要素が出てくるということなので、あえてそこを追求しなくても、このままでいいということでよろしいでしょうか。わかりました。そうしましたら、ここは、健康障害の措置に対する導入は必要ということで、そのまま進めたいと思います。二次評価値も、ここに書かれていますように、従来の目標値ではありませんで、3×10-4でいこうと思います。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。次に進めていきたいと思います。エチルベンゼンです。よろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料1-3のエチルベンゼンです。2頁の「物理化学的性質」の(2)をご覧ください。無色の液体です。蒸気圧が0.9kPa、蒸気密度が3.7、オクタノール/水分配係数が3.2ということです。「生産量、用途等」の(3)をご覧ください。排出・移動量はかなりあります。用途としては、ポリスチレンの原料のスチレン単量体のさらに原料ということで多く使われているようです。そのほかの有機合成、溶剤や希釈剤ということで、塗料その他いろいろな用途で使われているということです。
 2の「有害性評価の結果」の(1)の「重視すべき物質性状」ですが、先ほど数値がありましたが、蒸気圧が比較的高くて蒸気密度が高いので、適切な換気が行われないと蒸気が滞留しやすいということ、それから、脂溶性が高くて生体に取り込まれやすいというようなことがあります。
 (2)の「重視すべきばく露ルート」ということで、やはり蒸気の吸入によるばく露が最も問題になるということです。それから、蒸気は目や鼻の粘膜に強い刺激性を示すというようなことです。
 (3)の「重視すべき有害性」ですが、発がん性については、IARCの2Bに区分されています。ヒトリンパ球などを用いた試験などで陽性を示す一方で、エイムス試験など多くの試験系で陰性という報告がありますので、発がん性に関する閾値はありということで整理をしています。
 「発がん性以外の有害性」の?ですが、皮膚腐食性/刺激性あり、目に対する刺激性あり。生殖毒性についても動物試験で報告があるということです。それから、単回ばく露のヒトへの影響ということで、200ppmを超える濃度で8時間吸入試験で、気道の炎症、結膜炎等が見られているというようなことがあります。反復ばく露についても、動物実験等の報告がある。聴力の低下ということで、ラットの試験で、400ppmのばく露で聴力の低下が見られたということです。
 4頁です。許容濃度等の勧告ですが、初期評価のときにACGIHのTLVの1967年の数字があったのですが、これが100PPMという数字でした。今年に入り、ACGIHが20ppmという数字を勧告しています。根拠として、刺激や臓器障害、聴力低下の潜在的リスクを最小化するために勧告をしたということです。それから、産衛学会の許容濃度が50ppmということで勧告されています。
 (5)「評価値」ですが、一次評価値、発がん性に閾値があるということで、NOAELをもとに係数を掛けて1.9ppmという数値を一次評価値としています。二次評価値については、先ほどお話しましたように、今年ACGIHが新たな勧告のTLVを出しましたので、これを二次評価値としてはどうかということで、初期評価のときと変わっていますので、ペンディングということで下線を入れています。
 3「ばく露評価の結果」ですが、有害物ばく露作業報告については9,849事業場と非常に多い事業場から報告がありましたが、このうちガソリンスタンドが9,007事業場ということです。ガソリンスタンド以外の事業場での主な用途ということで、一応、区分としては、「顔料・染料、塗料または印刷インキとして使用」と「溶剤希釈又は溶媒としての使用」というのが多かったです。これは事業場でいろいろなところでマークなどしてもらった結果なのですが、エチルベンゼンの使用実態を考えますと、いちばん多かったのは、塗料等の溶剤として使用されているということかと考えられます。そのほかに、ほかの製剤等の原料としての使用、それからエチルベンゼン自体の製造というような用途がありました。なお、ガソリンスタンドの事業場については、ガソリンにエチルベンゼンが含まれていますので、ガソリンを給油する作業ということです。
 ばく露実態調査ということで、平成21年度に、これらの事業場からコントロールバンディングなどを使って14事業場を選定しています。この中で塗料の溶剤としての使用において高いばく露が見られましたので、平成22年度、さらに塗料の溶剤として使っている2事業場について、ばく露実態調査を実施しました。合計16事業場ということです。
 5頁の?「調査結果の概要」ということで、個人ばく露測定の最大値が226ppmということで、推定されるばく露最大値は226ppmということです。この最大値を記録した事業場、それから先ほどの二次評価値の20ppmを超えた事業場が3つありました。すべて、エチルベンゼンを塗料の溶剤として使用する事業場でした。塗料の溶剤として使用している5つの事業場で調査をしたのですが、このうち3つの事業場で二次評価値を超えていたと。これらはいずれもスプレー塗装又は刷毛による塗装を行っていて、いずれも局所排気装置やプッシュプル型の換気装置が設置されていない事業場でした。5つと3つの事業場の残りの2つについては、5頁の最後から次の頁に渡って書いていますが、1つは塗装の形態が自動塗装で、労働者へのばく露の時間が非常に短い事業場であったということと、もう1つは、プッシュプル型の換気装置を設置して換気の措置をしていたということで、これらの事業場については二次評価値を上回る個人ばく露測定値はありませんでした。
 6頁の表をご覧ください。この表の中で「用途等」というのを3つに分けていますが、エチルベンゼンの製造あるいはエチルベンゼンを原料としてほかの製品を製造している事業場が、6事業場調査して、個人ばく露測定の最大値が3.83ppmということで、二次評価値を下回っています。それから、塗料の溶剤としての使用が最大値226ppmということで、先ほどからお話しているように、二次評価値をかなり超えていると。それから、ガソリンスタンドでの使用が、5事業場について測定しましたが、最大値が0.019ppmということで、これは一次評価値を下回っています。
 というようなところで、かなり限定的に塗料の溶剤として使っていて、かつ局所排気装置もプッシュプル型の換気装置も設置していないような事業場が高いばく露が見られたということで、7頁の上のグラフはワースト20のデータを挙げています。結局3つの事業場で合計24人の方が二次評価値を超えられましたので、当然ワースト20にすると全部超えているということです。
 この3つの事業場について、もう少し詳しい話を7頁の下半分に書いています。これらはいずれも造船をしている事業場で、大型の塗装ブースというのを設けているところですとか、屋外で造船をされている途中段階の船体ブロック、船をブロックごとに造って、あとで組み合わせて完成するということのようですが、これの塗装をしていると。使用したエチルベンゼンの含有率というのはさまざまでして、当然ほかの有機溶剤も入っているというような塗料です。これらの事業場では、全体排気装置が塗装ブースの中では設置されていて、屋外では送風機などが設置されていたということです。作業者はいずれも有機ガス用の防毒マスク、一部ではエアラインマスクを使用されているということでした。なお、この3つの事業場でも、少数ですが、塗装作業はやっていなくて、塗料の調合をしている人や管理作業だけでその場所にいる人が3人おられましたが、いずれも二次評価値を下回っておられまして、スプレーなり刷毛で塗装をしている方においてのみ高いばく露が見られたということです。
 8頁の(1)「ばく露限界値との関係」とその下の表ですが、いままでご説明したものを表にまとめているもので、結局、塗装作業、エチルベンゼンを溶剤として使っている塗料を使って塗装作業をしている方のみが高いばく露が見られたということです。
 9頁です。「ばく露要因の解析」ですが、最初に書いたのと同じことですが、蒸気圧が比較的高くて蒸気密度が高いものですから、適切な発散抑制措置が行われないと高いばく露が生じるということがあります。塗装をしている事業場においても、自動塗装であったり、プッシュプル型の換気装置が設置されて適切に換気が行われているところは高いばく露は見られずに、それ以外のところで見られたということです。このことから考えまして、これらのエチルベンゼンを塗料の溶剤として使用するときには、適切な発散装置が不可欠であろうということです。
 問題は、船体ブロックのように非常に発散面の広いところを塗装する場合です。この場合どのように対応するかということについて、非常に慎重な検討が必要ではないかということです。あるいは従来の考え方ではなくて呼吸用保護具に相当比重を置くのか、こういう場所でも換気できるような措置をもっと考えるのか、それではコストがかかったり、作業の実情に合わない場合は、事業者の選択でエチルベンゼンを含まない溶剤を選ぶのか。ここのところは措置の検討会のほうに入りますので、とりあえず、まとめとしては、溶剤としてエチルベンゼンを使用して塗装を行う事業場については、適切な発散抑制措置などの対策を講じる必要があるということです。
 そのほかの事業場については、6の「結論」にありますように、エチルベンゼンの製造、あるいはエチルベンゼンを原料として製品の製造を行う事業場においては、ばく露リスクは比較的低いのですが、事業者の自主的な管理措置を推進する必要があるということ、それから、ガソリンスタンドにおいては、ガソリンにエチルベンゼンが含まれているのですが、ばく露リスクというものは小さいと考えられるというような結論です。
○名古屋座長 ありがとうございました。ただいまの説明につきましてご意見、ご質問等はありますでしょうか。ごく限られた塗装のところだけ、それも特に造船のところだけなのですが、いずれにしても高い濃度ということ。この辺はどうでしょうか。
○圓藤委員 いまの「結論」の2行目の「適切な発散抑制装置等」という言葉より、むしろばく露の低減化みたいな言葉のほうがいいのではないですか。たぶん、造船所でばく露の低限化と言ったら使えるのはマスクぐらいしかないと思いますよね。
○名古屋座長 あとは溶剤を変えるかということ、それはちょっと難しいのでたぶん。
○圓藤委員 それも含めて、どうしても言葉が目立つような気がするので。
○名古屋座長 実際、ここのところでは全体換気という、防毒マスクをはじめ、エアラインを付けていることは付けているという状況がある。局所排気を付けるような、そんな狭いところではなくてとても無理なところだと思いますので。いずれにしても、作業の共通性もあるということと、いずれも高いばく露ですから、何らかの措置は必要だということだと思います。
○松井化学物質評価室長 説明で漏らしましたが、10頁以降の有害性評価書のところに先ほどのACGIHのドキュメンテーションの主なデータでいままで載っていなかったものは下線を入れて記入しております。それから、新しい勧告については参考7という資料の、これは机上配付だけですが、最初の部分に出ております。
○花井委員 有害性評価のところの、二次評価値ですか、それを出す不確実性係数の使い方ですが、これは以前にも確認したかもしれないのですが、この場合は8頁にあるようなところでUF=100と使っているのですが、前の物質の場合にはUF=25、2.5×10。種差のところで、この場合は10を使っているのですが、前のところは2.5と。この辺は非常にややこしい話になってくると思うのですが、基本的に、例えば種差とか期間差とか、LOAELからNOAELとか、いくつかの観点にあるときに一応こういう考え方でこういう数字を使いましょうという、表と言うのですか、コンセンサスがあるのであればやはりそれをどこかに付けておく必要があると思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 基本的には動物実験から人間のほうに外挿するときのUFは10ということです。それはあとで、どこかに書いているかと思います。それで、インジウムのほうは動物実験からヒトへの外挿のときに、ラットのTKとTDに10を分解したときの、2.5と4に分解したときに、TKのほうは1でよいというようなことをご議論いただいたところです。これは有害性小検討会ではなくて、昨年の秋にインジウムの技術指針を作っていただいたときに、措置の検討会の下に指針を作るための小検討会を設けましたので、その中でご議論をいただいた数値です。
○大前委員 そのときの根拠は、インジウムというのは局所の影響、肺の影響なので、肺から先の代謝等は考える必要はないということで、気道から肺までのところはヒトもあまり変わらないだろうということで1にいたしました。
○花井委員 一応基本があって、かつそれに対する議論で変えたのであれば、その辺のプロセスがわかるように引用しておくとか、何か付けておく必要が、ありますか。この資料にそれがやはり必要ではないかと思うのですが、なぜ2.5にしたのか。
○圓藤委員 インジウムのところには2.5にしたというのが書いて。
○花井委員 なぜしたか。
○圓藤委員 その理由を書けということですか。数値は書いてありますね。
○花井委員 あとで公開されたときに何か、どうしても不確実性係数の大きさというのは、いちばんわかりやすいというのか、そこに目が行ってしまってそこの議論になってしまうのです。その根拠が一応わかっているのであれば引用しておいていただいたほうが、あとでまた変な調査をしなくても済むと思いますので、よろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 インジウムについては、詳細な検討の結果、2.5ということです。先ほどの10というものが書いてある部分ですが、参考3の2頁のいちばん下のところに「不確実係数」という項目がありまして、参考3「リスク評価の手法(改訂版)」ということで、リスク評価は当面この検討会でこういう方法でやりましょうということでいままで整理していただいてきているところです。それで、参考3の資料の2頁の下のほうに「iii.不確実係数」というのがありまして、最初の段落に「無毒性量等が動物実験から得られたものである場合」とその他の項目がいくつか並んでいまして、全部、不確実係数は10とすると、いちばん安全側の考え方を基本にするということで整理しております。
○名古屋座長 では、不確実性係数について書ける範囲で一応書いておくという形で、どうでしょうか。ここのところにインジウムは特に書いてあるほうがいいのでしょうね、きっと、わかるところとわからないところがあるという。どうしましょうか。
○花井委員 基本的にTKとTDに分けて考えるのであれば、それもどこかに書いておいたほうがいいと思うのです。
○松井化学物質評価室長 そうですね、これ自体がこの検討会で検討していただいているものですから、インジウムの手法も入るような書き方を考えさせていただきます。
○花井委員 よろしくお願いします。
○名古屋座長 職場の許容値を決めるプロセスにおける不確実性係数の議論というのはなかなか決まったものはなくて、いろいろなケースバイケースで議論されているらしい、らしいというか、それが実態だと思うのです。少なくとも出せるものは出しておいたほうがいいと思うのです。それで、それに対してケースバイケースで議論して決めるということ、それは当然あると思うのです。よろしくお願いします。
○西川委員 そのインジウムの不確実係数ですが、4頁の上のほうに書いてあるような気がしますが、これでは足りないということでしょうか。
○花井委員 いや、それで、何でTKを1にしたかとか、TD2.5、TD2.5はいいと思うのですが、先ほど大前先生がおっしゃったように、局所効果だからTKは1になるとか、そういった。
○西川委員 TKに種差がないという、そういう根拠を。
○花井委員 ええ、そういうのが。専門家はそれを見ればわかるのでしょうけれども、もう少し広く利用する人が考えた場合に、もう少しこんなことが、引用の、どこを見ればそれがわかるかという、そこは書いてほしいと思うのです。
○名古屋座長 では工夫してくださいということしか言えませんけども。そうしましたらエチルベンゼンにつきましては、ここのところで、やはり共通性もあるということとばく露濃度がかなり高いということで措置が必要というように評価したいと思います。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございました。そうしましたら、皆さんの手元にあります資料1-4のオルト-ニトロアニソールとカテコールとニトロメタン、ここのところ、4つだけ。これは修正部分だけを、事務局、よろしくお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 これは前回指摘いただいたところの修正になります。資料1-4につきましては最後の頁の発がん性のところ、「キ 発がん性」のところですが、ちょうどいちばん下のLOAELの根拠の引用が雄と雌と逆のものを引用してきたのではないかというご指摘で、666 ppmで異常が起きたのが雄の群で、50分の34であると、そこの修正だけです。有害性評価書のほうには雄、雌両方を書いているのですが、そのうちの雌だけを引っ張ってきたものですから、雄のほうに書き換えたということです。
 その次が資料1-5の5頁です。5頁の表に有効桁数の間違いと算術平均と幾何平均の計算間違いがあったものですから、その5頁の表の数字を書き換えています。それと、その反対側の有害性総合評価表の最後のところ、「試験で得られた(NOEL、NOAEL、LOAEL)-得られない」というような、ここの部分が誤解を招くのではないかということですから記載を落としております。
 それと、資料資料1-7の表紙の「ニトロメタン」の下の括弧の英文を別名ではなくて、これはもともと本当のほうを書くのですよねということで、そこも訂正しております。この3点は誤記です。以上です。
○名古屋座長 あと1-6かな。
○松井化学物質評価室長 それでは1-6の酸化チタンです。前回ご検討いただいた資料の修正部分は、大したことはないような修正でと考えております。4頁の下から2行目に、本年4~5月に、経済産業省委託研究云々とNIOSHのCIBが出ましたというのが書いてあるのですが、ちょっと早とちりがありまして、経済産業省委託研究の報告は正式にはまだ出ていなくて7月ごろに出るということですので、この「4~5月」というのを削除しております。
 それから、5頁の最後です。酸化チタンにつきましては、ナノサイズの粒子の酸化チタンのリスク評価について、平成23年度から有害性の評価と測定方法の検討を始めるということで決めていただいたわけです。その際に酸化チタン全体で1つのとりまとめをするかどうかという話がありまして、どちらかと言うと別にしたほうがいいのではないかというお話がありましたので、「酸化チタン全体のリスク評価を取りまとめる」とあえて書かないで、ここの部分は削除させていただいております。
 あと、前回のご検討の際に、評価値を総粉じんで考えているのですが、レスピラブルの吸入性粉じんで見たほうがいいのではないかというご指摘がありました。参考4に、だいぶ下のほうにあると思いますが、一応関係だけ整理をしております。ACGIHのTLVが1992年に出ておりまして、このころは特にレスピラブルですとかインハラブルですとか、そういった区分をきっちりつけるというようなことではありませんで、現在、この数値、特に分類がされていないものは、すべて総粉じんと整理されているところです。そのほかに吸入性粉じんの指標としましては、これは酸化チタンの有害性から直接導いているわけではありませんが、産衛学会のもの、あるいはNIOSHですとかUKのものなどがあります。
 そのほかに、粉じんの管理濃度としまして、粉じんの中の遊離珪酸含有率が0%のときは3?というのがあります。こういったことから吸入性粉じんのほうがいいのではないかというご指摘でしたが、酸化チタンにつきましては、平成23年度、これからですね、ナノの粒子の有害性評価を有害性小検討会で行っていただきますので、その際に吸入性粉じんが適当ではないかというご指摘があったことを踏まえて、そのことも踏まえてもう一度確認をいただくということで事務局としてはどうかなと考えております。
 それから、ばく露実態調査のほうの測定方法は、今の測定方法でも酸化チタンについては吸入性粉じんと総粉じんの両方を測っておりますので、ばく露実態調査のほうも、どちらでも対応できるのではないかということで、この辺についてはもう一度有害性評価小検討会のほうで、平成23年度に再確認していただくというようなことでどうかということで提案させていただきます。
○名古屋座長 そうすると、今のところはそれでよろしいですか。ここで議論しておくのは、詳細評価のところで測定するときはサイクロンを使っているので吸入性粉じんも総粉じんも測れるから、とりあえずそこで測っておいてということですよね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○名古屋座長 そのあとに詳細評価のときにどちらを使って、参考資料4の吸入性粉じんで評価するのか総粉じんで評価するのかということですよね。それでよろしいのですよね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○名古屋座長 ナノは別にもう一度考えるよということで、それでよろしいでしょうか、どうでしょうか。ご意見を伺います。総粉じんが10?というのと吸入性粉じんがかなり違うので、2つ測れるからたぶん問題はないと思うのですが、一次評価値とか二次評価値のところで評価値の値が変わってくるかなという気がします。よろしいでしょうか、特段。
○棗田氏 訂正をお願いしたいのです。初期リスク評価書の2頁の「許容濃度等」のところに、DFGのマックのTWAが記載されているのですが、これは中災防が出したデータが古くて、現状、DFGは提案ありませんので、ここは削除していただければと。
○名古屋座長 あと、お気づきの点はありますか。何か、ここはしておいたほうがいいよということはありませんか。そうしましたら、ここのところはこのままということでよろしくお願いいたします。そうしますと、次はコバルトになりますか。
○松井化学物質評価室長 資料1-8の「コバルト及びその化合物」です。これは表紙のいちばん上に書いてありますように、修正・追加部分が本文の、これは本文しか付いていないのですが、本文の3(3)のイから4、5ということで、10頁の下のほう以降、追加または大幅に修正をしております。前回欠席されている委員の方もいらっしゃいますので、6頁辺りから、ばく露実態調査の結果の辺りから簡単にご説明します。
 コバルトの場合、金属コバルトとコバルト化合物に分けてばく露実態調査の結果を整理しております。と言いますのは、種類とか用途が多岐にわたるということがありますので少し細かく分けております。それで、7頁をご覧いただきまして、「コバルトを原料とした合金の製造」のところで、非常に高いばく露が見られたということがあります。二次評価値が0.02ですので、個人ばく露測定結果の最大値が0.875という非常に高いばく露が見られたということです。ただ、それ以外の金属コバルトの取扱いを行う事業場では二次評価値を上回るばく露は見られなかったということがあります。
 ちょっと端折りますが、9頁にいきまして、コバルト化合物の製造・取扱いを行う事業場です。これにつきましては、個人ばく露測定結果の最大値が9頁の表の真ん中にありますが、先ほどの0.02が二次評価値ですので、上から3つ、「コバルト化合物の製造」と「コバルト化合物を原料とした他の製品の製造」と「メッキ作業」のところで、二次評価値を上回るばく露が見られたということ、それから、「触媒としての使用」と「湿度検知のためのコバルト化合物含有製品の使用」はばく露が小さかったという結果でした。かなりばく露の高い作業を列挙したような取りまとめを行っておりましたが、前回のご指摘として、金属コバルト、コバルト化合物の有害性を鑑みれば、全体として措置が必要であるというように整理をして、その中で小さいばく露しか考えられないものを除くというような整理にしたほうがよいということでしたので、10頁の下を見ていただきまして、前回は特に中身を書いていなかったのですが、高いばく露の見られなかった作業について少し整理をしております。
 金属コバルトを取り扱う作業で合金の製造以外の事業場は3つあります。1つは、コバルト化合物を原料としてほかの製品の製造を行っているのですが、この中身というのがコバルト合金を機械の部品に盛金溶接をしているということです。溶接作業は自動で行われていまして、溶接機への合金の補給作業も短時間であることから、高いばく露は、8時間TWAとしては測定されておりません。
 11頁にいきまして、もう1つ、コバルト合金を使ってほかの製品を製造している事業場です。これは、コバルト合金を粉砕してほかの原料と混ぜて板状にして切断をしているのですが、これについても、合金の投入・粉砕は自動で行われておりまして、切断の作業は局所排気装置の囲い式フードの中で行われているというようなことがありまして、高いばく露は見られませんでした。
 もう1つは、鉱石からコバルトなどの製造を行っているのですが、ニッケル鉱石から得られるフェロニッケルの中にコバルトも入っているということで、コバルト単独の鉱山というのはほとんどないと聞いております。この作業についてはコバルトの含有率が非常に低いということで高いばく露が見られておりません、というようなことです。
 次に、ばく露の低かったものとしてもう1つ触媒としての使用というのがありました。これが11頁の真ん中辺の?です。4事業場について調査を行いましたが、真ん中辺にA事業場からD事業場まで4カ所の触媒の使用の仕方あるいは触媒の形状を書いております。微粉状のコバルト化合物を測って反応槽に投入して、そのあとサンプリングをするというのと、粒状のコバルト化合物を紙袋から小分けして投入するというのと、結晶のコバルト化合物を秤量して温水で溶解して、投入したあとにサンプリングするというのと、結晶のコバルト化合物を袋から投入ホッパーを通して投入して、あと、掃除するというようなことで、いずれも触媒で使っているのですが、さまざまな形状、取扱いなのですが、いずれも作業時間が短いので、8時間TWAは非常に小さな数値に留まっているということです。
 ?の湿度検知のためのコバルト化合物というのは塩化コバルトが入っているカードですが、これで湿度を測るというか、湿度が高くなるとわかるということなのですが、これはカードが壊れないとばく露の機会がありませんので、非常に低い状況であったということです。
 12頁にまいりまして、「金属コバルトを取り扱う作業」につきましては、先ほど説明しましたように、合金の製造においては非常に高いばく露が見られました。それ以外の作業で合金を使っていろいろな製品を製造したりしている事業場ですが、調査の対象としたものは、いずれも作業の自動化ですとか局所排気装置の囲い式フードの中でやっているというような適切な発散抑制措置がとられている、非常に高い措置がとられているところでした。こういう措置がとられないと、合金の製造の高いばく露の状況を勘案すると、やはり高いばく露が生じる可能性があるのではないかと考えられます。ただし、金属コバルトを取り扱うと言っても、金属コバルトを物理的に何か変化させるような作業がない限りは高いばく露が生じることは少ないと考察をしております。
 13頁のイの「コバルト化合物の製造・取扱い」につきましては、この中でコバルト化合物を触媒として使用する作業、コバルト化合物を例えば湿度検知のカードのように、それを物理的に何か変化をさせることなしに使う場合はばく露は低いだろうと考察しております。
 13頁の(2)の「判定結果」です。基本的には金属コバルトやコバルト化合物の有害性を鑑みれば措置は必要なのだと整理をしまして、その中で金属コバルトやコバルト化合物を物理的に何か変化を加えないで取り扱う場合は措置は必要ないだろうということと、触媒については、4カ所、さまざまな作業場において調査をしたところ、いずれも低いばく露でしたので、これも事業者の自主的なリスク管理に委ねて一律的な措置はしなくていいのではないか、というようなことで5の「結論(まとめ)」のところでまとめております。全体には措置は考えるけれども、非常にばく露の小さいと考えられるものについては対象外とするようなまとめにしてはどうかということです。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。ご意見、ご質問等はありますでしょうか。もしないようでしたら、措置が必要と評価するということでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。時間が迫って申し訳ないのですが、これが1個終わると今年はたぶんこれで終わると思いまして、次回はないと思いますので、ちょっと超過するかもしれませんが、酢酸ビニルまでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。では事務局、よろしくお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料1-9になります。これも前回の指摘で、取りまとめの仕方をということです。いちばん最後の頁、8頁を見てもらいますとグラフがありまして、右のほうに二次評価値を超えた3人の方がいらっしゃったと。これは初期のときの調査でこの3人が超えたということで、その後、詳細評価をしております。修正したのは6頁のリスク評価結果以降になりまして、6頁、7頁で、7頁の「判定結果」のところを前回、「要」としてまとめたものを、「合計」と「本物質を原料とする他製剤の製造」のところを「不要」と修正しました。これは、初期評価の調査のところの事業場だけの問題ではないかということで、詳細調査をした結果の事業場もばく露の程度は低いということでしたので取りまとめとしては、措置を要するということではないという話でしたので、それに沿った形で事業場の問題であるというような取りまとめの書き方にしております。そこは表現ぶりを変えただけですので、読んでいただければと思います。結論としては、自主的な管理が必要であるということと、有害性に鑑みて手袋等の着用等をきちんとしなければいけないというような取りまとめにしております。これは前回の指摘に沿った訂正です。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。これも前回、そういう形にしましょうということになりまして、一部文章をそれに合わせた文章にしているということです。これはどうでしょうか、これでよろしいでしょうか。そのあとの詳細評価のところできちんと評価したときに、初期評価のときとは違って、きちんと低いのが出ているよということなのでこういう形になったと思いますが、よろしいでしょうか。そうしましたら、自主的なリスク低減のための措置をしていただくという形で、措置を必要としないということでまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○名古屋座長 どうもありがとうございます。そうすると、これで一応今日の議題が終わりましたので、これは事務局にお渡ししまして、次回以降ということはたぶんないと思いますので、今年度はここで終了するという形になるかなと思います。資料2の今後の予定はよろしいですよね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。そうしましたら、今後の進め方ということですが、今回をもちまして、平成22年度の化学物質のリスク評価検討会でご検討いただく内容がすべて終了ということになります。この検討会の報告書ですが、ここまでご議論いただきました14物質、ナフタレンを除きまして13物質につきまして、すべて取りまとめまして、各委員の先生方にもう一度ご確認のために送らせていただきたいと思います。その確認を踏まえまして、座長にご一任いただきまして公表という段取りとしたいと思います。したがって今回、資料2として今後の予定でお配りしております第4回リスク評価検討会をご案内しておりますが、これは開催せずに今回で終了という形にさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
○名古屋座長 そうしましたら、最後ということですので事務局からご挨拶をよろしくお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 14物質についてご検討いただきましたが、ナフタレンについては残念ながら、測定方法に若干の問題があったということと有害性評価の評価値のほうをもう一度確認する必要があるのではないかということで、もう1年間検討をするということで13物質について取りまとめさせていただきます。そのうち、インジウム化合物とコバルト及びその化合物とエチルベンゼンの3物質については措置のほうの検討会で措置を検討いただくということです。初期評価から詳細評価に移る物質につきましては、引き続き来年また検討いただくということです。大変長い間、どうもありがとうございました。
○名古屋座長 そうしましたら、本日をもちまして平成22年度の検討会を終わります。本当に今日はどうもありがとうございました。


(了)

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