ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第1回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会




6月27日 第1回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会

○日時

平成23年6月27日(月)
10:00~


○場所

三田共用会議所講堂


○議事

○事務局 本日は大変お忙しい中、皆様ご参集いただき、誠にありがとうございます。定刻を少し過ぎましたので、ただいまより「第1回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を開催いたします。
 初めに、厚生労働省安全衛生部長、平野良雄からご挨拶を申し上げます。
○平野安全衛生部長 厚生労働省の安全衛生部長の平野でございます。委員の皆様方には大変お忙しい中、東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会にご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 現在、東電福島第一原発におきましては、多くの作業員の方が懸命の復旧作業に従事されているわけでございますが、作業が長期化する状況の下、作業員の方々には放射線の被ばくのリスクがある中、作業をいただいておりまして、その健康管理は極めて重要な課題だと認識しております。厚生労働省におきましては、これに対応するため、東電福島第一原発作業員健康対策室というものも設けまして、被ばく線量管理の徹底、作業届出による事前のチェック、また、長期的な健康管理など、作業員の方々の健康確保に全力で取り組んでいるところです。特に、長期的な健康管理については、緊急作業に従事した労働者の健康診断結果や被ばく線量等の情報を一元的に管理するデータベースを、国において構築いたしまして、離職後も含めて被ばく線量に応じた健康相談や健康診断の実施など、長期的な健康管理を行っていくこととしているところです。
 この検討会におきましては、このデータベースを構築して、労働者の長期的な健康管理を行う観点から、被ばく線量等を長期的に管理し健康管理を行うために必要なデータベースの構築手法や、この情報を活用しての長期的な健康管理の在り方等について検討をいただくこととしております。よろしくお願いします。
○事務局 次に、出席者をご紹介いたします。皆様に配付されている資料1の2頁目に参集者名簿があります。この名簿の50音順にご紹介させていただきます。
 まず最初に、北里大学副学長の相澤好治先生。次に、独立行政法人放射線医学総合研究所理事の明石真言先生ですが、本日ご都合が付かないということで、代理として、同じく独立行政法人放射線医学総合研究所から後藤孝也先生にお越しいただいております。その次、日本医師会理事の今村聡先生ですが、本日ご都合が付かないということで、欠席されております。続きまして、大分県立看護科学大学学長の草間朋子先生です。財団法人放射線影響研究所主席研究員の児玉和紀先生です。国際医療福祉大学大学院教授の鈴木元先生は到着が遅れていますので、また後ほどご案内をいたします。独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部長の祖父江友孝先生です。以上、7名の参集者を本検討会では参集しております。
(傍聴席より発言等あり中断)
○事務局 では、カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本検討会には座長を置くことになっております。座長は労働政策審議会安全衛生分科会の座長でもあります北里大学の相澤先生にお願いしています。よろしくお願いいたします。これからの議事進行につきましては、相澤先生にお願いいたします。
○相澤座長 それでは、ご指名でございますので、進めさせていただきます。円滑な議事の進行にご協力をお願い申し上げます。
 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 表紙が議事次第と資料一覧となっております。資料1が本検討会開催要綱と参集者一覧。資料2が「緊急作業従事者の放射線量管理及び健康管理の概要」。資料3-1は「緊急作業に従事した方の長期的な健康管理のためのデータベース(イメージ)」。資料3-2は「データベース入力項目(イメージ)」。資料4は「長期的な健康管理の論点」。参考資料1は放射線影響協会の「放射線管理手帳のしおり」。参考資料2「健康管理手帳について」は、労働安全衛生法の健康管理手帳の概要を示したものです。参考資料3は参照条文として労働安全衛生法等の関係する条文を抜粋しています。以上です。
○相澤座長 資料の不足はございませんでしょうか。それでは、本日の議題に入らせていただきます。まず、緊急作業従事者の放射線管理及びデータベースのイメージについて、事務局が用意している資料について説明をお願いいたします。
○事務局 資料2「緊急作業従事者の放射線量管理及び健康管理の概要」です。現在、東電福島第一原発においては、作業者の方の放射線量、被ばく線量の管理をすることと、それに関連して健康管理をするという大きな2つの柱で進めているところです。1の「放射線量管理について」、厚生労働省から東京電力に対して、個人被ばく線量データをID番号に対応させて記録し、名寄せを行った上で、所属の事業者を通じて定期的に労働者に通知するとともに、厚労者に報告するよう指示しています。下に実際の提出されているものを抜粋しておりまして、3月末までに緊急作業に従事し始めた作業者について、外部被ばく線量と内部被ばく線量の暫定値の合計を線量ごとの分布で示したものが次の表となっています。これは、6月20日付で東電から報告されたものです。ですので、その後に250超えの方が、さらに7人から増えているという、その前の段階ではありますが、6月20日時点の東電からの報告でございます。
 2番目として、「健康管理について」は、福島労働局から東京電力及び関連する事業者に、指示なり指導なりというのをいくつか行っております。主なものを3つ下に箇条書きしています。まず、3月16日に、被ばく線量が100mSvを超えた労働者について、作業の終了後に臨時の健康診断を行うように指示しています。これは、終了から3か月後までという期間のものです。次に、4月25日に、被ばく線量が100mSvを超えた労働者及び従事期間が1カ月を超えた労働者について、臨時の健康診断を行うように指示しています。これは、作業をしている間の健康診断です。さらに5月13日には、作業をされている方の生活環境改善ですとか、熱中症対策等に関する指導を文書で行っています。ここまでが資料2です。いままでこういう取組みをやっているという概要です。
 次に、資料3-1です。今回、最初の安全衛生部長の挨拶にもありましたように、データベース化するという話があります。そのデータベースのイメージを説明する図です。真ん中に厚生労働省が管理する長期的な健康管理のためのデータベースを置いています。これは労働者の方、作業に就かれた方の氏名、生年月日、連絡先を入れる。あとは、どういう事業場に所属していたか、被ばく線量を第一原発の作業の前、第一原発の作業中、その後という区別がつく形で載せる。あとは、作業で実際に従事した業務がどういうものだったかを入れる。もしくは、さらに健康診断の結果等も入れるという形でデータベース化をしていく。それぞれは、まず被ばく線量に関しては、もともと放射線影響協会の放射線管理手帳制度、被ばく線量登録管理制度がありますが、そこから基本的にはデータをいただけるところはいただく。及び、現在、東電等の事業者に、東電を通じて指示しているような作業中の被ばく線量のデータ等が基となります。健康診断の結果についても、各事業者等を通じて入れることを想定しています。
 このデータベースをどう活用するかというところですが、図の右側のほうに移ります。実際に作業に就かれた後か、その後何年か経って、このときどうだったかとか、そういうデータを照会する、参照するような使い方。実際に作業されていた方とか、その方の主治医が想定されます。必要に応じて、健康相談等の健康管理のための取組みを行います。
 さらに、大学等における疫学研究についても、本人の同意を得るなどといった、しかるべき手続きを取った上で、そういうデータを活用することもあると想定されています。ここまでが、資料3-1の説明です。
 資料3-2です。これは厚労省の事務局のほうでデータベースに入力する項目のイメージを想定して組んだものです。登録されている方の基本情報、氏名・生年月日・連絡先、あとは作業と被ばくに関する情報、健康診断の情報という、大きく分けて3つのパートがあると想定しています。個々の項目に関して等は、またご議論いただくことと思います。
 さらに、11頁の参考資料1、これは放射線影響協会の放射線管理手帳の制度です。基本的には、原子力発電所ですとか、そういう施設で管理区域に立ち入る方については、実際に働く前にこの登録をして、中央登録番号というID番号が付く。それを持って各事業者のもとで働く。他の事業者に移っても、中央登録番号で一元的に被ばく線量の登録がなされるという仕組みです。
 参考資料2は、労働安全衛生法の健康管理手帳の制度の概要です。長期的な健康管理といいますと、いままでそれに近いものということでいうと、労働安全衛生法の健康管理手帳というものがあります。これは、主に化学物質とか粉じんですとか、そういうものが対象になっている制度ですが、これも参考になるということで、挙げています。
 今日、実は関係者席に放射線影響協会に来ていただいているのですが、線量登録のところについて補足があれば。よろしいですか。
○(財)放射線影響協会 特にありません。
○事務局 もともと、被ばく線量を管理する制度というのはあるので、そのデータも活用しながらということで、この資料3-1のようなイメージをしているところであります。以上です。
○相澤座長 資料2から資料3についてご説明いただきました。これについて、委員の先生方からご質問はございますでしょうか。
○草間委員 いずれにしましても長期的な健康管理ということですが、いちばん大事なのは被ばく線量がどうだったかということだと思います。それで、3頁では3月16日の時点で100mSvを超えた労働者に対して、臨時の健康診断という形で指示が出されているようですが、それぞれ特に福島第一の場合に、外部被ばくについても、もともと個人線量はサービス会社ではなくて、ご自分のところで外部被ばくの測定管理もされていて、測定器等が事故直後は十分に用意されていなかったこと等が報道されていたり、内部被ばくは、現在でもすべてが終わっているわけではないという話を伺っておりますので、外部被ばく、内部被ばくをどのような形でやられているかの概要を簡単にで結構ですので、さらに現在までの時点で、内部被ばくの測定がどのぐらいの方たちが終わっているのかどうか、その辺をお伺いしたいのですが。
○毛利調査官 外部被ばくの線量につきましては、第一原発の域内に入る方が個人個人で線量計を持ちまして、その日々の線量を確認して、毎日を累積していっているということです。これは基本的に、全員について、その日中には測定結果が出るということになっております。
 内部被ばくについては、こちらはホールボディカウンターという大がかりな装置で測定しなければいけないということになりまして、しかもこの装置が特に当初不足していたと。いまも必ずしも十分ではないということです。ということでして、私どものほうでは、とにかく全員に対して、1回は測定するようにという指導をしているところでございますが、この3月中の作業従事者については、3,700人の方がいらっしゃるわけですが、まだ全員が終わっているということではない。それが6月20日の時点ということでした。
 そういうことで、4月から従事し始めた、あるいは5月から従事し始めたという方については、まだ一部しかできていないということです。そういう測定の結果で、私どもでは報告を受けているということです。
○鈴木労働衛生課長 追加でご説明いたします。外部被ばくに関しましては、基本的には全員線量計を付けるということですが、事故発生後間もなくから3月末まで、線量計が不足しておりまして、それぞれのグループの代表者だけが装着していたという事情がございます。これについては、その代表者の線量をそのグループ全員に同じ線量を記録し、累積させるようにという指導もしておりますし、実際、データ上そういう操作がなされているということも、立ち入り調査をした際に確認はしております。
 また、本当にそのグループがほぼ同様の線量でいいような作業をしていたのかというのは、一つひとつ、きめ細かく確認しなければいけないとは思っておりますが、基本的にはそのような方式で、全員漏れなく数値としては記録されています。
 それからもう1点ですが、外部被ばく線量に関しては、最前線というか、その1つ前の基地のような機能を果たしているJビレッジというところで全員が装着して、免震重要棟というところで、立ち寄ってから作業する方は、そこでも線量計を付けるということで、場合によっては二重、三重の線量計の計測をされているところもあるということで、Jビレッジで付けた場合は往復のバスの中の線量も加算されるわけですが、免震重要棟で受け取った場合は、そこから先あるいはそこから返却するまでの線量ですので、その系統には往復の線量なども推計して足し合わせるということで、最低2系統ある方もいらっしゃいますので、その場合はどちらか高いほうを採用するとか、そういった確定値に至るまでの作業がありまして、そこを最終的にはいちばん合理的なものを記録して、その人の線量とすることが必要ですので、その辺りも行政としてしっかりと指導した上で、このデータベースの記録として残していくということになろうかと思います。
○相澤座長 ほかにございますか。
○鈴木委員 今日の話が、東電及びその協力会社の職員ということに限定しているのですが、この方たちが退職したあと、どういう形で追跡できるのかということです。それから、また同じようなフォーマットで、消防、警察、自衛隊あるいは海保の方たちのデータも、同じ水準で、同じ密度で採っていく必要があると思うのですが、これはこの委員会のマターではないと思うのですが、その辺の調整がどうなっているのか。
 それから、いま原発作業者の疫学調査のほうで、喫煙などの生活情報というのはアドホックで取っていると思うのですが、今回のこの集団に関して、それを最初からデータベースとして入れていくのかどうか。これはあとで解析する上で、かなり重要なポイントとなりますので、できれば計画段階から生活習慣情報を定期的に取るようなフォーマットを提案していただきたいと思います。
○鈴木労働衛生課長 この長期追跡をどうやって実現していくかについては、また後ほどいろいろご議論いただくことになると思うのですが、本人にとって一定以上のメリットというか、本人の持っているいろいろな情報を定期的にデータベースに入力するような行動を起こしていただくというか。そのためには、年に1回、例えば健康相談に来ていただく、あるいは健康診断などを受けていただくというようなことで、それに来た際に、直近のその他の健康診断などのデータも持参していただければ、それを入力して、一元的なデータベースとして、ご本人がほかの医療機関などを受診するときにも活用できるというメリットが生じるかと思いますので、そこはこの議論の、データベースの項目をどうするかということと、実際にどのような健康管理のメニューで行っていくかという、非常に重要なテーマですので、ゆっくりご議論いただければと思います。
 それから、国家公務員や地方公務員で緊急作業に当たられた方もいらっしゃいます。自衛隊や、いまご紹介のあった消防の方ですが、これも基本的には、いまこの検討会自体は労働安全衛生法の対象となる方の長期追跡を議論するところでありますが、将来的に同じような比較なり追跡ができるようにという観点もありまして、この大まかな項目が決まりかかったところで各省庁に提示して、ご意見をいただいて、最低限必要なものについては、同じ水準で揃えていくことは必要かと思っております。
 それから、生活習慣などの情報についても、将来的には疫学的な分析などを行う必要性も出てこようかと思いますので、どのようなものを入れていいかというのは、まだご議論いただければいいのかなと思っております。
○草間委員 いまの鈴木先生の発言にも関連してですが、厚生労働省の責任でやることと、東京電力の責任でやることと、きっちりと分ける必要があるのではないかと思うのです。作業者の方に健康相談に来ていただいてというのではなくて、少なくとも業務に従事している間の健康診断、あるいは健康相談等は事業者の責任でやらなければいけないわけですので、国はデータベースを構築して、それを管理するという責任があるのか。やはり国の責任と東京電力そのものの責任、その中で作業者がどうしなければいけないかという考え方をしないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。退職後の健康診断に関しても、もし被ばく線量等の関係から健康診断が必要だということになれば、退職したあともやる、あるいはそれに関連して健康相談をするというようなシステムをつくらなければいけないと思うのです。厚生労働省としてはデータベースを構築し、それを維持、管理するということの責任で、そのデータそのものを提供するというのは、私はあくまでも事業主すなわち東京電力にあるのではないかと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 現行法令で言いますと、電離則の健康診断も放射線業務を外れれば事業者には責務がありません。いまご提案のようなことについては、それなりの法令的な整備、その前には今回の事象をどう考えるかという議論も必要になってきますが、それは国全体でどう考えるかということになりまして、この検討会の所掌を超えるような話にもなりかねませんので、基本は将来必要になるデータベースの項目を想定して、なるべく幅広く考えておくかということと、どのような健康管理が行われるべきかを中心にご議論いただいて、それに関連する理念なり考え方として、どのような方針が望ましいかというご意見をいただくにとどまるのではないかと思っております。
○高?計画課長 委員のおっしゃったことはそのとおりでして、今回のこの問題というのは、一義的には東電の事故に起因しているわけでして、東電の責任をどう考えるかという問題、あるいはいま労働衛生課長が申し上げましたとおり、いまある事業者の責任との関係でどう整理していくかという問題があることはそのとおりです。
 それについては、例えば原子力の賠償責任の範囲でどこまで見るかということも別途議論されておりますが、そこの中で、東京電力としてどういう責任を果たして、こういう緊急作業に従事された他社の協力会社の労働者の方々も含めて、そこの責任を見ていくのか。その辺りについては、今後いろいろな整理がされていくということだと思います。
 ですので、いま課長が申し上げましたのは、最終的にそれがどういうスキームなりフレームで責任分担がされ、どういう形で対応していくかということについては、いろいろあるかとは思いますが、ここでご議論いただきたいのは、そういうものはそういうものとしてもちろんご議論していただいてもいいのですが、まず押さえておくべきデータは何なのか、あるいはいま言いましたように、いま既存の法令で、放射線業務を外れてしまった方については、放射線の関係の健康診断を事業者がやるという義務がありません。だから、今回、緊急作業に入った方々で多いのは、健設作業の方々です。建設作業の方々については、基本的には放射線業務はしませんので、そこの作業から離れてしまいますと、事業者から定期的にしていただくような健康診断はないことになります。もっと言えば、東電の方々なりについても、退職後については事業者から離れてしまいますので、そういうものはなくなってしまいます。そのようなことについて、今後、将来にわたって、どのような形で長期的に健康管理していく必要があるのか、そのメニューは何なのかということを、中身としてご議論していただいて、最終的にそこをどのような形で責任あるいは費用の問題を整理していくかについては、また別途、決まっていく部分があろうかとは思いますけれども、この検討委員会では、そういう中身の部分をご議論いただければと思っております。
○相澤座長 全体のスキームがないと、中身をどうするかということも関係するとは思うのですが。
○草間委員 私は損害をどうこうという大きなことを言っているつもりはありません。作業者の健康管理といったときの、それに関連したデータベースをどんなに立派なものを構築しても、入力されるデータがないと、データベースとしての機能は果たせないわけです。そういう意味では、きっちりとデータとして定期的に、これから検討をする、データが必要でしょう。東電の社員である間は少なくとも電離則あるいは労安法で健康診断が行われるわけですが、そうではなくて、建設業で入っている方たちなど、東電と関係なくなるわけです。定期的にデータが入ってくるシステムと、入ってくるデータを作るシステムを作っておかないと、どんなに立派なデータベースを作ったとしても機能しないような気がするので、その辺がすごく大事かなと思って発言させていただいたのですが。
○相澤座長 大変大事な指摘だと思いますが、この委員会ではある程度提案はしてもいいわけですね。
○鈴木労働衛生課長 ご指摘ですと、また資料4の「論点」のところでご議論いただくのですが、要するにデータベースを作ることだけが目的ではなくて、どのような健康診断なりを定期的に、こういう方々に実施していくかということで、それをどのような法令で義務づけたり、実現させるかは、これは東電の責任でとか、協力会社もそれぞれ事業主の責任でやるのか、国の責任でやるかは、また別途、分科会なり、あるいは必要であればもう1つ検討会などを設けて議論するかと思いますが、ここでデータベースだけを議論してももちろんいけませんので、継続的に、現役中、離職後も、どのような項目が最低限必要かというのはご議論いただいて、ご提案いただければ、それを行政としては責任をもって実施していくと。誰に実施させるかというのは、また別の観点の議論になりますが、それはご提言いただければ、国は責任をもって検討してまいります。よろしくお願いいたします。
○相澤座長 議論がかなり進んでおりますので、資料のいままでのデータあるいは提案された健診項目といった内容についてのご質問をお願いします。
○児玉委員 私の頭の中を整理する意味も含めて、いくつかお伺いします。長期の健康管理を考える上で、言うまでもないことですが、3つ大きな要素というのがあります。1つ目は、どういう方々が対象になるのか。2つ目は、その方々の被ばく線量の推定はどうなっているのか。3つ目が、具体的な健康管理の内容ということになると思います。
 いちばん最初の、どういう方々が対象になるのかは、先ほど来伺っていましたが、今回事故の処理に携わられた方々の中で、自衛隊、警察、消防の方は、今回の対象とはならないとお伺いしたと思いますが、それでよろしいのですか。
○鈴木労働衛生課長 はい。
○児玉委員 そうなりますと、資料2にありますように、東電の社員の方と協力企業の方、合わせて3,514名と書いてありますが、先ほど3,700という数字も伺ったような気がしますが、これは今後いくらか増える可能性はあると理解してよろしいでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 はい。
○児玉委員 では、いま把握されている数字が3,514で、今後、対象者が増えることは十分にあり得ると。
 それで、対象者のところでもう2つお伺いしたいのですが、1つは、長期的なことを考えるときにこの対象者の方々の年齢分布で、どういう年齢の方々なのか、男性、女性はどのような割合で含まれているのか、その辺りが非常に大切になりますので、もしあればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 まず年齢区分についてですが、これは分析しないと難しいと思います。
 男性、女性に関しては、現在は基本的に男性だけですが、当初、東電の社員で数日残って緊急作業関連の仕事をしていたということで、例の19名ですか、女性としての被ばく線量の限度を超えたというのが問題になりましたが、そういう状況です。当然その女性の方々は対象になると思います。
 基本的に、この資料はこの時点での数字でございまして、現在は8,000人以上ですから、このデータベースを入力する際には1万人は超えて2万人近くになるのではないかということを想定はしておりますが、如何せんいわゆる工程表の範囲で納まるのか、今後の被ばく線量がどうなるかによって、一定の線量を超えれば作業から外れるというようなことを、それぞれの事業場ではルールとしておりますし、しかもその限度はそれぞれの事業場が決めているということですから、推計は非常に困難でありますが、相場観としてはそのような状況です。
○児玉委員 ぜひ最終的に年齢区分、性別の辺りも詳しくお示ししていただければと思います。
 2番目に線量推定です。先ほど来、このようにやってきたというお話をされて、これは今後積み重なっていくのだと思うのですが、線量推定の中で、比較的高い線量を浴びた方、それと線量があやふやだというときには、例えばリンパ球の染色体を分析するようなこともしますが、何人かはそういうことをされたのでしょうか。その辺りの情報はございますでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 特段、行政としてはリンパ球の検査は指示しておりません。非常に鋭敏な検査というのは認識しておりますが、一般的に電離則で規定している健診項目には入っておりませんので、一応スクリーン的と言いますか、100mSvを超えた方、1カ月以上の作業に当たった方について、とりあえずやっております。最近250mSvを超えたような方が相当数出てきておりますので、それは1つ検討してもいい項目かと思っております。
○児玉委員 3番目の健康管理の内容は、このあとで議論をしていただくことになると思います。ありがとうございました。
○草間委員 いまこの被ばく線量は実効線量だけですよね。皮膚の等価線量等も測定はして、記録は残しているのでしょうか。
○毛利調査官 これは基本的に実効線量ですので、個人が線量計を持ちまして、その実効線量ということになります。ですから、皮膚だけのものは測っておりません。
○後藤代理委員(明石委員代理) ポケット線量計で測っているだけですから。
○草間委員 γ線測定用のポケット線量計だけですか。
○後藤代理委員(明石委員代理) ですから、そういう細かいところは測れていないと。
○草間委員 では実効線量だけですね。
○後藤代理委員(明石委員代理) はい。
○祖父江委員 データベースを構築する目的は、対象となる方々の健康管理に資するというところが大きいのだと思うのですが、それとともに、こういう作業員の方々で、一体何が起きたのかということをきちんと事実として記録する視点が重要だと思うのです。
 その意味では、いろいろなデータが散逸しているのをもっと一元的に管理すべきだと思うのです。線量のこともそうですし、健康管理のデータも、その後に続く長期フォローアップのデータもそうです。そういうデータを一元的に、作業員の方に関してはここで管理をするというような認識ではないのですか。法令的に、労働基準法に基づくところのデータしか、ここでは扱わないということなのですか。作業員は限ってもいいとは思うのですが。
○鈴木労働衛生課長 先ほど生活習慣の話もありましたが、基本的には健康に関連する情報で、ご本人の同意の下に提供していただけるものはすべて入力するのかなと思っております。
 先ほど、健康診断結果で、事業場の健康診断というような説明を資料3-1で行いましたが、いわゆる保険者が行うメタボ健診、本人が任意で行う人間ドックのようなもの、あるいは既往歴など、基本的に健康管理の役に立つものは、同意の下にはすべて入力できるような受け皿は作っておくべきかなと思っております。
 先ほど言いましたが、いろいろなところに受診するとき、どのようにデータベースから提供するかはこれからの議論ですが、初めて行ったところでも、過去の履歴がほとんどわかるというようなことで、主治医がそれを参考にして診療できるということも重要かなと思っております。
○祖父江委員 そうしたデータは自己申告というか、ご本人から聞いて情報を得るというスタンスですか。それとも、ご本人の承諾を得てということでしょうけれども、既存の資料、外部の資料と照合するという形。例えば長期フォローアップのところになると、住民票との照合あるいは人口動態との照合も出てきますし、理想的に言えば保険医療、レセプトの既存資料との照合も、ご本人の申告だけではどうしても正確にならないようなところがあると思うので、そういうところも含めての可能性があるのかどうか。どうでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 事務局でもそこは議論したのですが、今回の緊急作業に従事したことを、本人がほかの組織なり、例えばほかの会社に移ったときにその人事関係者に知られたくない場合もあるのかなと思いまして、基本は本人の同意を前提とするとなると、どういう形で効率よく入力なり、データをたくさん入力できるかというところは、若干の課題があるのかなと思っております。
 同じ会社にずっと在職している場合は、何らかの法令の規制を掛けまして、健診を行った場合には、このデータベースを運営する組織に報告することを義務づけることは可能だと思うのですが、一旦離職した場合については、いろいろな場合が想定されますので、必ずしも自動的にというか、一旦本人が了解すれば自動的に入力できるようなシステムが作れるかどうか、むしろご議論いただければと思っております。
○祖父江委員 資料3-1ですが、放射線影響協会で放射線管理手帳を発行していて、中央登録しているとあります。いま中央登録のデータを使って疫学センターが長期フォローアップされていますが、そことの関係はどうなるのでしょうか。あまり多元的にデータ管理がされるのはよろしくないと思うのです。
○鈴木労働衛生課長 この左斜め下に「線量データ活用」とありますが、ここは法令によって規定することで、本人の同意なくしても、事業者の保存義務を、その一部を国に移管するというようなことで、あまり煩雑な手続きなしに可能かと思っております。基本は放射線業務を離職するまでの間だと思っておりますので。
○祖父江委員 その後は責任の範囲外ということですか。
○鈴木労働衛生課長 それ以降ということですか。
○祖父江委員 はい。
○鈴木労働衛生課長 それ以降、放射線を浴びる業務にまた就けば別ですが、これは基本的に電子化されているものは、そのまま何とか使えるようにしましょうというぐらいな話であって、本人が二重に管理されている、あるいは二重の手続きが必要だということは、なるべく避けていきたいとは思っているのですが。
○祖父江委員 疫学センターでは住民票照会をして、人口動態統計から死因を把握して、発がんのリスク等を疫学的に調査することもされているのですが、そこまではこのデータベースの範囲ではないということですか。
○鈴木労働衛生課長 そこは、どういう目的でどう調査するかということで、調整なり整理しなくてはいけないとは思っております。なぜこういうものをやっているかというと、もちろん放射線管理手帳は基本的には交付していただいて、そこに入力されているものはそのまま活用すればいいというぐらいの意味であって、あとは各事業者でも、必ずしも従来、放射線管理手帳を交付して作業していない事業所もありますので、これはあくまでも自主的な制度ということで、全員に必ず交付されるかというのは保証の限りでない部分でもありますので、そういう意味で2系統と言いますか、線量データの活用というものを表現したつもりであります。
 お答えになっていないかもしれませんが、いずれにしても無駄な作業はするつもりはないということと、放影協のやられている疫学調査について我々もよく参照しておりますけれども、あれとは少し目的は違うのかなと思っております。どう整理していくかはこれからご議論いただいてからと思います。
○後藤代理委員(明石委員代理) 長期的な健康管理ということを考えた場合に、離職前と離職後を、どうやって橋渡しするかというところに大きな問題があると思います。おそらく最終的には、退職後は市町村なりの健康管理、そういうところに橋渡しをしていくというところで、この管理者手帳に付いているIDとか何らかの形で橋渡しをしていかなければいけないと考えるのですが、そこをどうするのかというのが、1つ大きなシステム上の問題点だと思います。
 先ほどいくつかありましたが、データベース化するとき、内部被ばくに関しては被ばく当時というか、3月11日、14日、その前後の水素爆発があった前後の行動調査は必ず必要です。ホールボディの場合も、そういった聴き取りをしないと測定値としては推測値は出てきませんので、そういうことを考えると、その辺りの聴き取りというのは早急に着手しないと、ご本人たちの記憶が曖昧になってくるというところがあるので、そこもいつから治療をしたかというところが問題かと思います。
 最近、放医研で何名かの東電の方の受診がありましたが、その辺りの3月10何日前後の記憶は、だんだんと曖昧になりつつあるので、そこは早急に着手しないと、正確なデータが出てこないということにはなり得るのかなと感じています。
○鈴木労働衛生課長 1点目の地域保健とどういう連携を取るかについては、いま後藤委員は橋渡しと言いましたが、あくまでも国の責任で運営して、がん健診も含めて地域で行われる健診について、むしろどのようにデータを提供していただくかということが重要かと思っております。
 それから、内部被ばくの聴き取りについては、それぞれ事業者の責任でいまやらせております。特に事故発生直後のバタバタしているときの記憶というのは、消えがちでありますので、ホールボディカウンターの測定も大事ですが、聴き取りで相当左右もしますし、指導をしているところであります。
○相澤座長 だいぶ進んでおりますが、資料4に「論点」がありますので、そこでまたご議論いただければと思います。事務局から資料4のご説明をお願いいたします。
○事務局 通しの9頁です。「長期的な健康管理の論点」として、大きく3つ項立てしております。1点目は「長期的な健康管理のあり方について」の中で、期間はどのように想定されるか、あとは長期的な健康管理として、作業における被ばく線量に応じてどのような措置、例えば健康診断、健康相談等を実施すべきかというあり方が1つあります。
 2番目は「データベースについて」です。これは前の頁でも、ある程度示してはおりますが、(1)は、どのような項目を管理するか、どのような事項が適当と考えられるかを考えていただくということです。(2)は、この緊急作業に従事された方が自分自身の健康情報を参照することができるようにするために、どのような仕組みが適当であるか。これはあとの活用のところです。(3)は、先ほどから少しご議論も出ていますが、個人情報、プライバシーの保護との関係をどのように考えるべきかです。
 3「その他」として、1、2に重なる部分もありますが、離職後を含めた長期的な健康管理を着実に実施するための枠組み、疫学研究等におけるデータの活用について、どのような措置が必要かといったことが挙げられると想定しております。
○相澤座長 この論点1、2、3についてご議論いただきたいと思います。最初に1の「長期的な健康管理のあり方について」で、先ほどからもお話が出ていますが、いかがでしょうか。
○草間委員 放射線被ばくあるいは放射線影響の特徴を考えると、どれだけの期間かといったときに、作業者の生涯にわたるということではないかと思うのですが。データを継続的にどのようにデータベースの中に入力していくかという大きな問題があるかと思いますが、作業者の方たちの生涯にわたる健康管理をしましょうということ以外にないと思うのですが。
○児玉委員 先ほど対象となる方々の年齢構成を伺ったのは、実はその意味で伺いましたので、草間委員のご意見に同感です。
○相澤座長 ほかの委員はいかがでしょうか。晩発影響の評価をするというか、生涯にわたって見ないといけないと。
○後藤代理委員(明石委員代理) 生涯にわたってということに間違いないとは思いますが。
○鈴木委員 発がん影響ということですと、既存のデータベースにアクセスということで可能なのですが、例えば白内障というものを考えると、例えば原爆被ばく者ですと、2000年になってから、要するに60年後に1度スクリーニングを掛けたわけです。そういうようなものは、単に公的なデータベースにアクセスするのではなくて、何らかの形で、健康調査という仕組みを1度やらないと、出てこないのだろうと思うのです。ですから、いま30歳の方の60年後というのは、まずないわけなので、ある期間、平均年齢が例えば60歳台にかかってきたようなときに、きっちりと白内障の罹患率あるいはその重症度を調べられるような体制を組む必要があるのだと思います。これは離職前・後にかかわらず、ある年齢に達したときにやるというプログラムが必要ではないでしょうか。
○相澤座長 (1)については、生涯のフォローアップが必要であると。(2)「緊急作業における被ばく線量に応じ、どのような措置を実施すべきか」についてはいかがでしょうか。
○鈴木委員 いままでの議論でメンタルヘルスのことが挙げられていないように思うのですが、これは被ばく線量と関係なく、こういう作業に参加したということによって、かなり影響が出てくる問題だと思いますので、これは被ばく線量に関係なく体制を組む必要があるのだろうと思います。
 それから、全員が全員ではないのですが、今回、一部の方は明らかに甲状腺線量が数シーベルトを超したと思われる方が出てきています。そういう状態ですと、次のデータベースのほうにもかかってくるのですが、甲状腺機能のスクリーニングは血液検査でできますので、そういうものがどこかで入ってくる必要があるだろうと。
 その前に私が言ったことと関係しますが、白内障に関しては、いまの電離則の白内障の健診というのは精密なものではないです。スリットランプを使うか、何を使うか、これはどんどん新しいテクノロジーが出てきていますので、どの方法を取るというのは、とりあえずいまは決める必要はないと思うのですが、いまの電離則以上の、より定量的な評価のできる白内障検査法を今回は必要とされるのではないでしょうか。それが追加すべきことかと思います。
○相澤座長 資料2の3頁にありますが、こういう一部のデータしかいまはないわけですが、線量からどのくらいのレベルであったらこういうことをしなければいけないとか、そういったことも検討しなければいけませんが、それはいかがでしょうか。
○鈴木委員 甲状腺に関しては、甲状腺の等価線量として、とりあえず1Sv以上の方は甲状腺機能検査が必要だろうと思います。今後、甲状腺の等価線量に関するデータが、評価がもう少し出てくると思いますので、1Svがいいかどうかはまた議論していただきたいのですが、その辺は必要になるのではないかと思います。
 白内障に関しては、現在、原爆被ばく者あるいはチェルノブイリ事故の作業者のデータから、結構低いところで老人性白内障の前倒しでの発症あるいは重症度の増加ということが言われていまして、現在そのしきい値がICRPは500mSvに下げてきているかと思います。ですから、そういう状況を見ますと、いまどのレベルなのかというのがはっきりしていない限り、白内障に関しては全員という考え方しかないのではないかと思っております。
○草間委員 いま甲状腺の等価線量が出たのですが、少なくとも被ばく線量に関しては実効線量は東電のATLDは実効線量しか測定していないのですか。だから、法令的には、少なくとも眼の水晶体と皮膚の線量となっているわけです。眼の等価線量については、皮膚と実効線量が測定されていれば特定のエネルギー以外のものは測定しなくてもいいでしょうとなっているわけですが、少なくとも実効線量だけではなく、被ばく線量については甲状腺の等価線量も含めて、必要な臓器に関しては、特に今回の場合に放射線ヨウ素の放出があったわけですので。だから、いくつかの臓器については等価線量も、きっちりとデータとして残すような形にしておいたほうがいいのではないかと思います。
 それと、先ほど鈴木委員が言われたように、線量に対応して区別するというのではなくて、基本的には生涯にわたって、どこまでできるかというのは、これからご議論いただくのだろうと思いますが、健康管理をしていくという形ではないかなと思います。
○鈴木労働衛生課長 いままでのご意見はそのままお伺いしまして、議論の前にものの考え方で、事務局がご意見をいただきたいことなのですが、参考資料2は、いま健康管理手帳という制度がありまして、これは労働安全衛生法の制定以来ずっとありまして、業務に起因して数十年の潜伏期間を経て発症する疾病、がんやじん肺の悪化、石綿などでは中皮腫なども起こりますが、一定の要件に該当する労働者に対し、離職の際あるいは離職後、本人の申請によって交付して、国の費用で無料で健康診断を行っております。この交付対象業務には放射線業務は入っておりません。電離則による健康診断の項目は、白内障は若干晩発ということですが、急性影響を見ていると。
 そういう意味では、先ほども言いましたが現役であっても放射線業務を外れると健康診断の義務がかからないということや、こういう健康管理手帳の対象になっていませんので、離職後は、そういう発がんなどの長期的影響は管理されていないという状況があります。
 こういうことについて、今回、国の責任でデータベースを管理して、健康診断も何らかの形で実施していくということになりますと、この健康管理手帳の対象になっていないことについては、電離則で一定程度の線量に抑えておけば、長期的な影響は基本的には考えなくていいという、従来はそういう土台の下に対象になっていないわけですが、今回は相当な線量を浴びて、かつ線量限度をもう超えてしまった方々もいらっしゃいますので、従来のこの考え方との整合性において、どのぐらいの線量を浴びた方はこういった健康管理手帳に倣って、国の責任などで健診を行っていくか、こういうことが大事になってこようかと思います。特に、がんに関する長期的な管理というものが問題になってこようかと思います。
 白内障や甲状腺については、いまほど一定のレベルなりを示していただきましたので、そういったことについて、当面は全員に1回はやるけれども、5年に1回とか、何年に1回かは別にして、そういったことをどの線量以上の方にやっていくか。こういう、ある程度段階なり階層化してフォローしていかないと、あまりにも非効率な部分も出てくるのかなと思っておりますので、その辺りを1の(2)でご意見いただければと思っております。ただ、今回ご意見を全部いただく必要はありませんので、入り口の部分だけザッと流していただくということで結構だとは思います。
○相澤座長 疫学調査もするということでは、全員やらないと意味がないということなのですが、これはあくまでも労働者の健康管理のためにやるということですので、一定の線が引ければということです。これについてはご意見はありますか。
○草間委員 確認しておきたいのですが、被ばく線量に関してはICRPも基本的には生涯線量から決めているわけですので、今回の作業がいつ収束するかということが必ずしもわかりませんが、緊急作業だけではなくて原子力施設の放射線作業業務従事者として就いている間は、中央登録センターから被ばく線量のデータをいただくようになっているので、累積線量が入手できると考えればよろしいですよね。
○鈴木労働衛生課長 そのとおりです。
○草間委員 そうすると、これからまだ作業を続けるわけですので、例えばいま緊急作業でいくら以上を受けた人に限って対象とするというのは、なかなか難しいかもしれないですね。いずれにしても、私もカテゴライズするというのはとても大事だと思いますが、そのカテゴライズするときにどうするかというのは、これからの将来の作業も若干考慮に入れながらカテゴライズしていかなければいけないのではないかなと思います。
○鈴木労働衛生課長 現役中は、電離則上は、外れれば先ほど義務がないと言いましたが、これも法令の整理で今後どうしていくか。それに上乗せで、国がどのような項目を追加して実施するか。離職後は、離職の際の累積線量を参考に、どういうふうに場合分けするかということかなと。緊急作業自体ではそんなに浴びていなくても、その前後とか逆のパターンもあると思います。先ほどの1の(2)、逆に言いますと、すべての方に同じような、例えば現役中は電離則相当の健診、あるいは離職後もとなると、既存のほかの原発なり医療現場で被ばくされている方々との整合性において問題があって、そこの方々まで何か見直さなければいけないという議論になってまいりますので、従来の放射線業務に関する管理が一応現時点では合理的だとした場合に、今回の緊急作業者についてはどのように考えるかという意味で、ある程度階層化、場合分けが必要ではないかということです。
○後藤代理委員(明石委員代理) 議論としては今回もそうですが、福島第一原発での作業者に限ったということで理解していいのでしょうか。医療従事者とか、その他の原発で働いていた方というのは、今回対象外と考えるのでしょうか。
○鈴木労働衛生課長 基本的には対象外ですので、逆に言うと従来の電離則との整合性。5年で100mSvとか年間50mSvまでが限度とか、生涯線量の話もありますが、そういったものは現時点においては合理的ということでいま動いていますので、それとバッティングしないような長期管理の仕組みが、とりあえず検討すべきことかなと。ただ、バッティングする場合には、それはそれで考え直すべきだというご意見も当然あろうかと思います。
○後藤代理委員(明石委員代理) 健康管理手帳というのをお渡しする、しないということ、もしくはどういった状況でお渡しするラインを引くかということも、今回の検討課題と考えていいわけですね。
○鈴木労働衛生課長 それは、3の「その他」の(1)にその論点が出ていますので、そのときにご議論いただければと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。論点1の(2)がなかなか難しいところだと思いますが、それについてご意見がありましたらお願いします。
○後藤代理委員(明石委員代理) 2の(1)で、いただいた資料3-2にいくつか項目が上がっています。おそらく基本的には、一般的な健康診断の項目としてこの程度のことは普通やっていますので、これに原則として何を追加する、削ることがあるか、ないかは別として、もしくは何を削るというようなことをディスカッションということでいいですよね。あとは健診をする病院、もしくは健診する所によって項目が変わってくると思います。例えば、今回のようなホールボディとか甲状腺の検査をするというと施設が限られてくるので、限られた施設でやる項目と、もしくは一般的な事業所、事業所が委託というか、検査会社なりに依頼して行うような検査項目に分けていく必要があると思いますが、おそらくここで考えるというと甲状腺関係の検査とか、先ほど話がありました染色体の検査とか、甲状腺のエコーということをいくつか加えていくほうがいいのかなという気はいたします。染色体の検査もこれに含めていくことが妥当かどうかも検討する課題かなという気はいたします。
○鈴木労働衛生課長 先ほど、草間委員からも必要な臓器については等価線量というお話もありましたので、2の「被ばく情報」で「今回の線量」「累積の線量」という大まかなものしかありませんが、そういったことも必要になろうかとも思いますし、甲状腺のエコー。所見をどのように書くかですが、予めいくつか選択肢を作って、その番号を入れるような方式なのか、染色体検査の場合もたしか数値で出るのでしょうか。形式はまた別途ご議論いただくとして、その項目は必要かなと思います。
○祖父江委員 このデータベースの中身は、通常、健診等をするときには生活習慣の質問票等で、それの中で発がんリスクに関係するものは特に押さえるべきだと思います。大きなものは喫煙、飲酒だと思いますが、日本人でもう1つ非常に発がんリスクとして大きなものは感染です。ヘリコの感染状況、肝炎ウィルスの感染状況といったものは、本人に聞くというよりは検査をして、確認をしておくのがいちばんたしかだと思います。
○児玉委員 いまの祖父江委員の提言は全く妥当なもので、発がん要因というのは、たばこ、飲酒、その他の生活習慣、食生活、運動習慣が大きく絡んできますし、そういうもののかなりは改善することによって発がんリスクを抑えることもできます。健康管理をしていく上で非常に大切な要素になると思いますので、是非、含めていただけたらと思います。
○鈴木委員 甲状腺ですが、今回、問題になってくるのは発がんというよりは、甲状腺機能低下症のほうだと思います。そういう意味ではTSH、FT3、FT4、それからおそらく橋本病との区別をつけるために、自己抗体を1項目、2項目入れるかどうか。こういうのを何年かに一度やっていく形だろうとは思います。それと目のスリットランプを一般の健診でできないので、ある程度場所を決めた形で統一的なデータの取り方をしないと評価ができなくなります。これは、別個に何か健診プログラムを作るしかないのではないかと。放影研でやっていたときはスリットランプの写真を残す形で、あとで同じ研究者がずっと評価をするというような統一性を保つ努力をしました。何かそういう仕組みを考えないと、疫学解析の対象にはなかなかならないデータになる可能性があるかと思います。
○児玉委員 いまの意見に関連して、健診を行う機関は1カ所でなく間違いなしに多施設に及ぶと思います。その場合に、白内障の調査の場合の検査の方法を統一しろということですが、一般健診においても精度管理、標準化がきちんとされていないとあとで問題が起こりますので、それは押さえておいていただきたいと思います。
○鈴木労働衛生課長 現在、この健康管理手帳などでも労働局が一定の基準を満たす医療施設を指定して、そこに受診していただく仕組みになっていますので、臓器別に既にいろいろなご意見をいただいていますが、それぞれの分野の専門家の先生からも次回以降、適宜ヒヤリング等を行って、そのあたりも詰めたいなと思っていますので、その際にまたよろしくお願いします。
 あと、少しずれましたが、先ほど鈴木委員からメンタルヘルスの話もありまして、我々も少し想定しています。特に従来、プラントメーカーのような所は管理区域に立ち入るというのはしょっちゅうありますので、自分の受けた線量の相場観等を理解していると思いますが、今回特にゼネコンのような、まさに復旧のために臨時的に立ち入った人たちというのは低い線量を浴びても、相当心配というか、それが後々自分のいろいろな疾病との関連をどうしても結び付けてしまうということも起こると思いますので、離職後ある程度のときからはきちんとフォローしていくことも重要かと思っていますし、そのためにも先ほどおっしゃったような、がんに関連するようなデータも取っておくことが、本人の理解のためには重要かと思っています。
○相澤座長 ありがとうございます。(1)についてはだいぶご議論いただきましたが、(2)の「緊急作業従事者が、自分自身の健康情報を参照することができるようにするためには、どのような仕組みが適当か」ということについては何かご意見はありますか。
○鈴木委員 ICカードのようなもので、データベースにアクセスできるような仕組みというのは、いまのテクノロジーだとやれないことはないと思います。少なくとも個人の被ばく線量、いくつかのこういう健康管理で使われていたデータに関して、ご本人はそれを見ることができるみたいな仕組みというのを作れれば作ったほうがいいだろうと思います。そういうメリットがあると、離職後もそのカードを持っていれば、つなぎ止めると言ったら変ですが、関係性を保ち続けることができるのではないかと思います。そこに自分がアクセスすれば、今度新しく健診を行ったとしたら、常に最新のデータがそこに何らかの形で反映できるような仕組みを考えていく。何か仕組みを考えてあげることが、長期にわたって健康管理をする場合、ご本人にとってもメリットになるのではないか。また、そういうICカードを使うことによって、こちらのほうのデータベースの構築も楽になるのではないかという漠たるイメージを持っています。
○草間委員 この長期的な健康管理の基本的な目的は、作業者個人個人が安心していただくということで、決して組織、国、東京電力等がこのデータを管理しましょうということではないので、そういうことを考えると個人が自分の情報を知りたいといったときに、情報開示できるような仕組みを作るのは当然だと思います。中央登録センターでも、いま被ばくのデータに関しては個人が照合すれば情報開示できるわけですよね。だから、緊急作業に関わった一人ひとりの作業者の皆さんが安心して生涯を暮らせることが基本的な目的なので、できればではなくて、個人に対しては情報開示できるようにするのは、データ構築に当たっての基本的な姿勢だと思いますが、どうでしょうか。
○後藤代理委員(明石委員代理) 確かにそのとおりだと思います。1つはご本人が希望すればという点があって、もう1つは、希望するしないにかかわらず、年に1回データを個人に返す仕組みがいいのかという点もあると思いますが、どうでしょうか。例えば本人が希望しなくても、常にそういったことを注意喚起といいますか、そういう面で自分で注意してほしいというようなことを喚起する意味でも、年に1回とか2年に1回とか、ある一定期間に「こういう期間ですので、次の健診を受けなさい」というようなシステムとして作るというのも1つの案かなという気がします。
○草間委員 先ほどからわからないのは、データ入力をどうするかということだろうと思います。例えば、それぞれ一人ひとりの方たちは健康診断の検査等が終わった時点で、医師の判定を受けて自分がどうだったかという結果に基づく健康相談まで受けるわけですよね。その時点の健康診断直後の情報というのは、セルフコントロールのためにはすごく重要だろうと思います。だから、いま議論されているような形で健康診断とか健康相談そのものは医療機関、あるいはさまざまな健診センター等でやって、それを入力情報としてデータベースに入れるわけですよね。そうなると、入力の時点では皆さんはご自分の健診結果は知っているので、わざわざ、定期的に本人にお返ししましょうというと結構面倒のような気がします。
○後藤代理委員(明石委員代理) 個々人で健診に行かれる方はいいわけです。もし行かなくなってしまって、離職してフォローできなくなってしまった人を、長期的にどうやって拾い上げていくかというところも議論をする必要があって、そうすると2年間なり3年間なり、定期的な健康診断を受けなくなった方に対して、どうフォローアップしていくかという点もディスカッションしないといけないと思います。長期的な議論をするという考え方をすると。ですから、常に1回とか本人が来られている間はいいけれども、それがなくなったときに、例えばお亡くなりになったというところもフォローしていく必要があるのかなという気がします。
○鈴木労働衛生課長 先ほど、健康管理手帳の制度をご説明しましたが、受診率は100%ではないわけで、かなり来られない方もいらっしゃいます。悩ましいのは、来られる方は、国の責任で実施するのであれば、それをそのまま入力すればいいわけですが、そうでない方にどうやってお声かけをするかとか、そちらのほうで後藤委員はたぶん、そういったご提案をされたのかなと思います。もちろん、毎年行うような健診はご案内をするわけですが、それでも住所が変わっていたり、そういうときのフォローアップをどうするかという悩ましい問題は残っています。
 あと、「参照することができるようにするためには」というのは、参照できないようにするつもりは全くありませんで、要するに、いま現場でどのぐらい進んでいるかというのも我々も必ずしも詳しくありませんので、ただ、主治医があまり手軽にアクセスできるというのはセキュリティの問題とか、現実的には難しいのかなと思っています。本人が希望した場合には、例えば最低限、各都道府県の労働局に行って、カードを差し込めば紙でプリントアウトされるとか、そのぐらいでいいのか、もう少し一元的なネットワークが必要なのかということですので、決して参照することができるか、できないかあたりにレベルを置いているつもりはありません。
○相澤座長 (3)にも関わってくると思いますが、そういった情報を参照することができることになると、また個人情報の保護のことにも入ってくるわけです。先ほどの生活習慣等のデータの入力でも個人情報ということになりますが、この辺について何かご議論はありませんか。
○鈴木労働衛生課長 事務局としては、特に原爆被ばく者の追跡調査でさまざまなものがありますが、何か個人情報等でご苦労されている面があれば、それを参考にしたいと思った次第です。
○児玉委員 個人情報の保護は非常に気を遣っていまして、まずハードの面では情報を保存している部分は何重にもロックができるようにしていますし、限られた人しかアクセスできないようにもしています。私どもの所は研究所ですから、研究員がデータ解析をしますが、個人情報は除いた形で解析をするとか、いろいろな点で注意をしています。職員に関しても重要性というのを認識してもらうということで、定期的に講習をしたり職務規程にきちんと書き込むとか、いろいろなことで配慮をしています。また具体的に情報が必要でしたら、いまはザッと申し上げたので、もっと細かいことがありますので提供いたします。
○鈴木委員 臨床研究部のほうは直接2年に一度ずつ健診をやっていましたので、被ばく者の方々のわりと細かいデータを持っていました。これは請求があったときに開示するという形で、一般にはご本人も直接アクセスできないような形でのデータ管理になっています。ただ、広島、長崎の場合はその対象者が同じ地域に住んでいるということなので、データ開示を求めてくるのが比較的簡単なというか、仕組みでした。いまは全国に散らばっていってしまった人たちが、自分のいままでの被ばく線量や、いままでのデータがどうだったか、これから病院に受診するに当たって、そういうデータがほしい場合に開示することになると思いますが、それを広島、長崎みたいに地元でデータを取れない場合のルートをどういう形でやるか。ご本人のIDを確認して出すという体制を取るか。そのような何かデータ開示の仕組みができていれば、やれるのかなという気はします。そういうところでICカードのような形でIDを持っていれば、比較的いいのかなということです。
○鈴木労働衛生課長 いまの件については、少なくとも県庁所在地に行けば参照できるぐらいの利便性は確保すべきかなと思っていますし、例えば労災病院や厚生労働省の関連の医療機関であれば、きちんと個人情報も的確に管理した上で提供できる条件が揃えば、そういうところでもいいのかなと思っています。
○相澤座長 ありがとうございます。
○祖父江委員 個人情報の安全管理については児玉先生のおっしゃるとおりですが、個人情報を扱うことに際して、ほかの既存の資料との照合ということをする際にはご本人の同意が必要になるので、こういう方々には、ある段階でこういうことをしますという説明をきちんとした上での同意を取っておくようなことが必要ではないかと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。先ほどICカードとありましたが、いまは原爆の手帳も手帳のハードコピーというか、それを使っておられますね。
○児玉委員 これは行政のほうでされていますので、私は詳しくはありません。
○相澤座長 ICカードでできればいちばんいいですが、それに代わるものとしては手帳とか、そういうものでしょうか。2についてのご議論はよろしいですか。
 3の「その他」です。「離職後を含めた長期的な健康管理を着実に実施するためには、どのような枠組み(実施主体、手帳等)が必要であるか」。これについて、ご議論いただければと思います。
○鈴木委員 これは、はっきり言って私たちは長期フォローもしたい。でも、ご本人たちも長期フォローするメリットがあるということを仕組みとしてどう作れるかにかかっているかと思います。それについて、国側がどう考えているかをまずお話していただけませんか。
○鈴木労働衛生課長 先ほど参考資料2で健康管理手帳の制度をご説明しましたが、これは当然、発がん等に関して長期的というか、数十年の潜伏期間を経て発症する疾病の長期的なフォローのためにやっているということですので、何らかのこのようなシステムは必要ではないかと思っています。それを手帳を交付しての健康診断無料というふうにするのか、ICカードのようなものでいいのか。ただ、健康診断はいずれにしても国の責任で、実施主体なり費用をどうするかはまた別な問題ですが、必要ではないかと考えていますので、それを前提にご議論いただいていいのかなと思っています。各方面、こういうデータベースなり長期的な健康管理の構想についてご説明していますと、本人は紙の手帳を持っていると安心というか、単なるICカードだけでは目に見えるものがない。先ほどプリントアウトができるようにしたらいいという話はしましたが、事務局としてどちらがいいというのを特段いまの時点で持っているわけではないですが、本人にとっては安心になり、かつ、あまり二重、三重の手間にならない制度というのはどういうものかなと思っています。
 現在の健康管理手帳は、あくまでも離職時か離職後に交付されます。そうなりますと現役中は、当然、今回の作業の方は数年は現役でいる方も相当いらっしゃると思いますので、それが管理できないという法令上の障害がありますので、そこはこれに似ているけれども、全く新しい制度ということでもいいのではないかと原案としては思っています。
○鈴木委員 いちばん最初の議論で、単にいま厚生労働省が管轄している東電及び、その関連の協力機関の労働者、それ以外にも実は被ばくしている人たちがいるわけですから、統一したスキームで見ていく必要があるということを言いました。そうすると、いま労働衛生課長から少しありましたが、別な体系で、いままでの放射線従事作業者の在職中、それから離職後の管理というものと少し違う形で最初からシステムを考えて、健康管理手帳というものと少し似ているけれども違うもの。要するに、在職中から使えるようなものを考えていくのが、いちばん統一性がとれるやり方になるのかなと思います。データベースをどこに置くかというのは、現実的にはそんなにいろいろなところに作れるわけではないので、いまの放射線作業従事者のデータベースとある程度同じところで項目が違っている、あるいは、ICコードが普通の作業者と違って、今回の作業に従事した形で、また1つ割り当てるように管理はできるだろうと思いますが、現職のときから離職後まで続けて見られるようなデータベースの構築の仕方というものをやっていく必要があるのではないかと思います。それが、まず1つです。
 実施主体は、これはいろいろ出てきますかね。そういうことを考えたときに、最初から国ベースでやっていくのか、事業者ベースで在職中はやるのか、その辺ははっきり言えません。では、あとはどこでやるか。これは、もしそれぞれの都道府県でクオリファイされて、ある質的にここなら大丈夫というような病院を何個かずつ指定すれば、大体統一したプロトコールでいろいろな健診ができるのではないかとは思います。その辺も、いまの事業者の健康管理のときはおそらく外注ベースでやっていると思うので、特に白内障とか数年に1回、特別に検査が必要だという項目に関しては、ある程度病院を指定した形での検査の体制を考えていけばいいのかなと思います。以上です。
○後藤代理委員(明石委員代理) いまの鈴木委員のお話ですと、既存のシステムとは全く別に、今回の事故に関する何らかの手帳なりICカードなりを作って、関与された方全員といいましたが、ある程度の基準を決めて作るというお考えと理解してよろしいのでしょうか。
○鈴木委員 私は、そういうふうに単にいまの電離則の中で、いずれ作業者は自分のIDナンバーを持っているわけですが、それにプラスアルファーで、今回の作業で被ばくしたことに割り振られるもう1つのIDを作っておく。そうすると、データベース上はそこが入っていって、あとからそこだけ抽出すれば別なデータベースにすぐに移れるわけですよね。おそらく、いろいろな事業所、いまの東電、その協力事業者、それだけではなくて警察なり自衛隊なり、それぞれの健康管理をやっていると思いますが、そのときに同じようなコードを作っておく。具体的に、そちらのデータがどういう形でデータベースが構築されているかを見ていかないと、同じ統一したフォーマットのデータにならない可能性があるので、そこはあとからすり合わせる必要がありますが、少なくとも現職のときからそのあとまでを含めて、同じIDで追跡できるようなデータベースの構築というのを考えておいたほうがいいだろうと思います。
○後藤代理委員(明石委員代理) 確かに、それは必要だと思います。それが既存の手帳なりと、どう共有するか、もしくは共有しないかとありますし、あとは現在ですと、いまは一時立入り、一時帰宅の事業がずっとありますが、その状況で立ち入られる消防や現地へ運転していくドライバーとか、皆さん線量計を下げていっていますので、それをすべて同じような手帳とか何なりで管理していくことも考えていく面では、今回の災害に関与する手帳なりIDカードなりを新しく作るというのは、現実的には可能であればそれもいいのかなという気はします。
○鈴木委員 これは、逆に衛生課長にお聞きしてみたいところです。
○草間委員 対象者をどうするかを、自衛隊、消防、あとの緊急作業に関わった人たちも今回のシステムに入れるのか、あるいは最初にご説明いただいたように、今回は東京電力の作業者、あるいはその協力会社の方たちにするか、その辺をきちんとしておかないと。いずれにしても今日、厚労省のほうからご説明いただいたように、東京電力の作業者あるいは協力会社の方たちを中心にやりますということ前提で、どれだけ効率的な、有効なシステムを組めるかということだと思いますが。それを参考に自衛隊とか消防の方たちにやっていただく形ではないかなと思います。そこを最初から自衛隊員等も入れましょうということになると、それこそ健康診断でデータを作る作業はとても大事で、例えばいくら立派なシステムにしても健康診断受診率が悪かったら、しょうがないわけですよね。そうなると、対象は最初からきちんとしていくことがとても大事ではないかなと思います。
 いま鈴木委員の言われたように、それこそ業務に就いているところから離職するまでのシームレスにやること、これは絶対に大事なことだろうと思います。そのためには、いま労働安全衛生法である昭和47年に決められた健康管理手帳について、今回の緊急作業の方たちのある線量以上の方については、これを適用していただく。少なくとも、基本的には業務に就いている間は、東京電力がきちんとデータを作る作業をすべきだと思います。例えば白内障で細隙灯顕微鏡濃度もやりなさいということがここで決まったら、それは東京電力の責任でやるべきで、離職したあときちんとできるようにするためには、離職、あるいは特に協力会社の方たちだと、東電もそうかもしれませんが、ご定年までいかないうちに辞めてしまう方たちがたくさんいる。あるいは放射線業務から離れてしまうことになれば、そういう方たちをきちんとフォローするためには、この健康管理手帳を今回の緊急作業に当たった方たちに交付することをまず決めていただいて、その中で、離職した方たちについては健康診断を国の責任でやっていただき、それまでの期間は、作業者でいる間は、どんな健康診断の項目を作るにしても、東京電力がきっちりやるべきではないかなと思います。
○鈴木労働衛生課長 消防、自衛隊の話については、労働安全衛生法でカバーできる分野ではありませんので、こうあるべきだといっても実現しようがないわけです。ですから、運用上で各省庁と連携を図りながら、特に将来の疫学調査に資する部分については、最小限のものは統一していく作業は必要だと思っています。
 一時立入り等に従事した方とかを含めますと、話が混乱すると思います。今回は、あくまでも緊急作業として従来の緊急作業時の100mSvを250mSvに上げた事情で、特別に長期的な管理が必要ということで検討が始まっていますので、それ以外の方にも労働者がいらっしゃいますし、まさに上下水道で電離則が適用になる場面は今後出てきますが、一応分けて考えるべきかなと思っています。
 健康管理手帳の対象を広げて適用すべきか、それとも全く新しい制度で離職前もやるかというのはご議論あろうかと思いますが、次回までに整理して資料でご説明させていただいた上で、ご検討いただければと思います。いずれにしても、いまの手帳は別にして、データベース自体は離職前であっても確立しなければいけないですが、生涯を通じてとなると、それなりに法令的な裏づけが必要だということになりますと、それを東電の責任でやるといっても、実際は事業主単位の責任ですので、現職中であっても適切に履行できない場合も可能性としてはあるわけです。現職中に事業所もつぶれてしまうことも想定されますので、そこは整理した資料を作りますので、それでご検討いただければと思います。
 3の(1)の実施主体は、データベースを管理する実施主体と、健康診断あるいはデータベースについても全国に散らばるわけですので、都道府県を跨がる管理ができる所や、健康診断の機関を指定して案内をするということを全国的にできる所。それと、実際の健康診断を実施する実施主体と、いくつか分けて考える必要があろうかと思いますので、このあたりも次回整理して、ご議論いただきたいと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。あと7、8分ですので、その他の(2)の「疫学研究等におけるデータの活用について、どのような措置が必要か」ということでお願いします。
○祖父江委員 何回も同じことを言っているような気もしますが、今回のデータベースの中に線量のデータと健康管理のデータだけではなくて、もっとほかのデータを包括的に含めるようなことができると、非常に疫学研究には活用範囲が広がると思います。特に、いまは個人情報を含む形で大量のデータが電子化されていますので、レセプトにしてもそうですし、がん登録のデータにしても電子化された形で各県が持っていることになっていますので、そういうものと効率よく照合することで疫学研究への使用範囲がかなり広がると思います。ただ、その場合、個人情報の使用を伴いますので、そのあたりをきちんと整理して、個人の同意を取った上でということを確認して進めていくことが必要になるかと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいですか。少し時間がありますが、大変活発なご議論をいただきました。全体で何か付け加えることがありましたらばお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
○草間委員 いつごろまでにどういう結論を出すかなど、全体のスケジュールをお伺いしたいと思います。
○鈴木労働衛生課長 あくまでもたたき台としてご理解いただければと思います。何回開くかは、いまの時点でどこまで議論が広がるのかを見させていただかないとわかりませんが、とりあえず来月中旬ぐらいには、ある程度マクロな構想というか、これについての中間報告的なものを作っていただければと思っています。ただ、そのあとも、先ほどもありました臓器別のもう少し細かい健診項目とか、健診の頻度といったことについてご議論を継続していただければと思っています。こちらも、今後のいろいろな予算や、法令に反映させるのかどうかも含めて検討しなければいけませんので、次回にもう少し詳しいスケジュールを提示させていただきたいと思います。
○相澤座長 よろしいですか。大変貴重なご意見あるいはご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。今日のご議論を踏まえて資料を作って、次回に議論ができますように事務局にはお願いしたいと思います。
 次回の予定について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 いま労働衛生課長からのコメントにありましたように、次回は7月中に中間まとめ的なことも含めて、より具体的なお話で是非1回させていただきたい。現在、調整させていただきますので、よろしくお願いします。細かい日程に関しては、引き続き調整させてください。
○相澤座長 以上で、「第1回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会」を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第1回東電福島第一原発作業員の長期健康管理に関する検討会

ページの先頭へ戻る