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2011年5月25日 第5回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会エイズ・性感染症ワーキンググループ議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年5月25日(月)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎第5号館19階 共用第9会議室


○出席者

【出席委員(五十音順)】

味澤委員 小野寺委員 木村委員(座長)
白井委員 廣田委員 南委員

【文部科学省】

森教科調査官 有賀専門官

【厚生労働省】

亀井結核感染症課長 中嶋感染症情報管理室長 林結核感染症課長補佐
中橋結核感染症課長補佐

○議題

(1)性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について
(2)その他

○議事

○林課長補佐 それでは、定刻でございますので、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会エイズ・性感染症ワーキンググループを開催いたします。
 本日、課長の亀井は急な公務のために欠席となっておりまして、申し訳ございません。終了すれば途中で参ると申しておりました。まず最初にお詫びさせていただきます。
 委員の皆様につきましては、前回のワーキンググループで御紹介させていただきましたが、前回御欠席でいらっしゃいました神戸市保健福祉局参事の白井千香委員を御紹介させていただきます。
○白井委員 白井です。今年度からスタートしますので、またよろしくお願いしたいと思います。
○林課長補佐 ありがとうございました。
 なお今回、北村委員、池上委員は御欠席との御連絡をいただいております。
 続きまして、お手元にお配りいたしました資料を一通り御確認させていただきます。
 議事次第、エイズ・性感染症ワーキンググループ委員名簿。これに続きまして資料1「性感染症に関する特定感染症予防指針の検討の視点」。
 資料2としてパワーポイントの「性感染症に関する事業等について」。
 資料3「性感染症対策の自治体の実施状況について」。
 資料4としてパワーポイントの「性感染症患者およびCSWの咽頭における淋菌・クラミジアの保菌状況」。
 資料5として研究報告書。
 資料6「若年者へのアプローチと医療アクセスの課題」。
 資料7『学習指導要領における「性・エイズ」に関する主な記述』。
 参考資料1「ワクチン評価に関する小委員会報告書」。
 参考資料2「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金について」。
 参考資料3『「第5回男女の生活と意識に関する調査」結果(速報)』。
 参考資料4「学校における性に関する指導について」。
 それから、委員の机上には、今日御欠席の北村委員と池上委員からメモをいただいておりますので、併せて配付させていただいております。
 資料の確認は以上でございます。
 それでは、これからの議事の進行につきましては、木村座長にお願い申し上げます。
○木村座長 それでは、本日の議事をよろしくお願いいたします。
 クールビズでということで上着を脱がせていただいておりますが、お暑い方がおられましたら、どうぞ遠慮なく上着はとられて御議論いただきたいと思います。
 今日は、この議事次第にありますように、性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について、第5回のワーキンググループということでございます。本日はまず、いろいろな資料を用意していただいておりますので、関連の方々からそれぞれ資料について御説明いただいて、議論はその後まとめてという形で進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、事務局から説明をお願いできますか。
○中橋課長補佐 4月に異動で参りました中橋です。よろしくお願いいたします。
 では、資料2から説明させていただきます。これは性感染症に関する事業等についてまとめたものです。
 最初に、性感染症に関する特定感染症予防指針の対象疾患と、その他の性感染症と感染症法の位置づけを整理したものになっております。現在、五類感染症の中で1~5の5疾患が予防指針の特定疾患となっておりますが、これらに関連して対策をとるべき性感染症があるかどうか、また御検討いただければと思っております。
 前回の会議で御意見が出ておりました子宮頸がんワクチン、B肝ワクチンにつきましては、参考資料1、2につけさせていただいておりますので、また御参照いただければと思います。
 次に、感染症発生動向調査についてです。平成23年2月28日現在で1,042か所の性感染症定点医療機関より御報告をいただいております。それを国立感染症研究所に設置されております感染症情報センターでデータ集積がされて、分析評価を加えたものがホームページ等で情報還元されるという形になっております。
 その他、性感染症発生予防及びまん延防止のための特定感染症検査等事業、普及啓発事業、性感染症相談事業を展開しております。今年3月に特定感染症検査等事業推進のためにポスターを作成しましたので、それを参考に後ろにつけさせていただいております。
 続きまして、資料3について御説明させていただきます。これは、前回のワーキングの中で性感染症定点医療機関の選定についてと、特定感染症検査等の事業、また、各自治体がこの性感染症予防指針をどのくらい施策に反映させているかを評価することが大事なのではないかという御意見をいただきましたので、その後、今年2月に自治体へのアンケート調査を実施いたしまして、その結果についてまとめたものでございます。
 まず、性感染症定点医療機関の選定についてです。定点の選定に当たっては、自治体主導が21%、医師会依頼が71%という結果でした。選定に当たって配慮していることについては、地域ごとに分割して医療機関の一定割合を抽出している。次に、診療科ごとに医療機関の一定割合を抽出しているという回答が多くなっております。
 医師会に選定を依頼している57自治体のうち、選定に当たって配慮していない、できないと回答した自治体が12ございました。
 選定のバランスについてですが、約8割の自治体がバランスがとれていると回答しております。とれていないと回答した自治体は、その偏りがどこにあるかというと、産婦人科の医療機関が多く、男性のデータ集積がなかなか困難であること、実態調査との結果に違いが生じたなどの回答をいただいております。
 また、バランスのとれた選択ができない理由としては、定点数が少ないことや、診療科や医療機関の受診患者などの調整をすることが困難であるということが理由に挙げられておりました。
 次に、保健所における検査体制についてです。性器クラミジア感染症と梅毒の検査は約7割の自治体で実施されております。淋菌感染症の検査については1割の自治体で実施されていました。性感染症の検査は、全自治体がHIV検査と同日実施という形をとっておりました。
 性器クラミジア感染症検査の内容を見てみますと、病原体検査を実施している自治体が約25%、4分の1となっておりました。病原体検査を実施していない自治体の半数近くは、必要性は感じているが、なかなか実施できていないと回答しております。その理由として、約8割が検体の採取が困難であるということを挙げていました。
 また、検査機会の確保の努力については、平日昼間以外の実施が最も多くなっておりまして、ほかには各種の既存事業や行事・イベントに合わせた検査を実施しているというお答えでした。
 最後に、性感染症予防指針の施策への反映についてです。前回改正の各項目、自治体に求められているポイントについて、約6割前後が対策に生かされていると回答しております。ただ、前回御指摘いただいたように、知らなかったと回答している自治体もありました。
 その中で若者への実情に合った啓発・相談や検査推奨等の工夫としては、各種行事、イベントの活用が最も多く、そのほかの取り組みとしては学園祭や出前講座ということで、多様な形をとっておられます。
 また、検査陽性者のパートナーの検査への働きかけですが、検査に来た本人にパンフレットを手渡して、相手の方への受診勧奨をしていくという実施の方法が一番多くなっております。
 関係団体との連携については、教育関係機関との連携が最も多くなっておりまして、続いてNGOや医療機関との取り組みが見られております。
 主なものとしては、医師、教育委員会、教師、PTA、行政等をメンバーとする性感染症対策推進委員会を開催して地域の対策を考えていったり、教育機関での講演会や出前講座、また、医療機関との情報交換の場を設定したり、NGO、NPOと共同して研修会や検査事業を展開するというものが回答の中にございました。
 以上が、資料2、資料3の説明となります。
○木村座長 ありがとうございました。
 事務局から資料2、資料3の説明がありましたが、事実上の確認ということで御質問などはありますか。議論は後ほどまとめて行いたいと思います。
 資料3の3ページの上で、定点のバランスはとれていると75%が回答しているんですけれども、このバランスがとれているというのは、どういう意味合いのバランスを意味しているんですか。
○中橋課長補佐 きちんとそこまで認識を統一していないというところが問題かと思うのですけれども、診療科ごとの選び方というところだと思っております。
○木村座長 わかりました。
○白井委員 すみません、確認というかお気づきかもしれないんですけれども、資料3の5ページで大きい方の円グラフが「抗体検査を出来ない理由」となっていますが、これは病原体検査ができない理由ですよね。
○中橋課長補佐 申し訳ありません、御指摘のとおりでございます。「病原体検査が出来ない理由」で訂正をお願いいたします。
○木村座長 ありがとうございます。
 ほかになければ、それでは、小野寺委員から最近の性感染症の動向・傾向などに関連しまして、資料4で御説明をお願いできますか。
○小野寺委員 資料4ですが、性感染症患者及びCSW(commercial sex workers)ですから、性風俗産業従事者というのでしょうか、その咽頭における淋菌・クラミジアの保菌状況ということです。なかなかまとまったデータがなかったんですが、研究班の方でかなり集めてもらいましたので、その結果をお示ししたいと思います。
 対象は、神奈川県川崎市堀之内というところの性感染症クリニック、これは1か所なんですけれども、そこを受診した性感染症患者さんと、そこはいわゆる性風俗産業が非常に多い地域に近接しているクリニックですので、CSWが検診のために訪れるのでわかるんですね。そういう人たちを対象とした調査の結果です。
 3つの期間に分けて行っております。男性335人、女性519人。女性が多いのは、今申し上げたように、そういったCSWが受診をしているということです。
 咽頭における淋菌・クラミジアの陽性者数ですが、淋菌のみの男性は16%、咽頭に持っていると。後でお話ししますが、これはほとんど症状がありません。クラミジアもそうですけれども、咽頭の淋菌保有者は何も症状がない。ですから、本人は気がついていないんですね。女性の場合には14%ということです。クラミジアは特に男性では少ないんですけれども3%、女性が10%ということです。
 咽頭と性器で同時に検査してみると、淋菌の場合、男性は咽頭に6%持って、性器に22%。女性で咽頭のみに持っている人が10%いると。性器は女性では少ないです。逆に咽頭のクラミジアになりますと、男性は極めて少なくて2%程度。女性も4%程度。ただ、性器にクラミジアを持っている割合は、男性・女性とも20%以上ということになります。
 その下が、日本のみならずイギリスあるいはアメリカ、オーストラリアのデータですが、やはり川崎と英国のデータを見ても、淋菌の咽頭における陽性率は15~16%になる。クラミジアは今お示ししたとおり低いんですけれども、イギリスなどでは調べられていない。アメリカでは0~1.4%、平均が0.6%ですから極めて低い。淋菌は、いわゆるナイセリアゴノレアでナイセリア属に属して、口腔の中には非病原性のナイセリア属の菌がたくさんいるんですね。クラミジアは余り定着しないので、クラミジアはこのデータから見ても自然に消えていく症例が結構あるんじゃないかということが予想されます。
 4ページですが、各地域ごとにばらつきがあります。川崎、京都、岡山で、やはり同じようなCSWを対象にして調べていますが、例えば、咽頭であると川崎は16%で、京都は5.1%、岡山が2.4%。クラミジアも川崎は高いんですけれども、京都、岡山は低い。これは検出方法も影響しているかもしれません。
 性器に関しましても多少ばらつきがあります。ただ、先ほどのデータからすると、やはり15~16%に持っているというのは、非常に高いと思っています。
 それから、下はCSWにおける尿道炎起炎菌の陽性率ですが、淋菌・クラミジアにかかわらず、非淋菌性・非クラミジア性尿道炎というのがありますが、その原因菌としてはマイコプラズマ属あるいはウレアプラズマ属がある程度悪さをしているんじゃないかというデータがありますけれども、ただ、これは余り世界的には確立されていません。この中でMycoplasma genitaliumだけが病原性を有すると言われていますけれども、ほかのMycoplasma hominisあるいはUreaplasma parvumあるいはUreaplasma urealyticumなどは、必ずしも病原性を示していないものが結構あるんじゃないかと思っております。
 5ページの上が、咽頭感染のまとめですけれども、性器の淋菌・クラミジアの感染と関連性が高い。これがオーラルセックスによって感染するわけですが、持っている本人も症状がなくてわかっていない。当然、感染させられている方も、そういう行為だけで自分が尿道炎になるとは考えていないことが多い。淋菌の場合には、性風俗に関連しない人には少ないです。淋菌・クラミジアも一部は自然に消失しているのではないかと考えられています。
 対策として、これは私の考えですけれども、現時点では生殖器と同時に咽頭についての淋菌・クラミジアの検出は余り積極的に行われていない。その一つの理由は、保険診療で生殖器と咽頭を同時に検査することが認められていないんですね。ですから、同時に検査すると査定されてしまうということです。それでは咽頭に淋菌がいる場合にどうすればいいかということですけれども、幸いにセフトリアキソンという静注の抗菌薬が非常に効果がよくて、それであれば1gの投与で性器も咽頭も同時に除菌できるということです。
 ほかに、ガイドラインとして2つ注射薬が淋菌感染症に推奨されているのがあります。1つはセフォジジムと、もう一つはスペクチノマイシンというのがあるんですけれども、両方とも残念ながら咽頭淋菌の除菌率は極めて低いんですね。セフォジジムは50~60%、スペクチノマイシンでは除菌はちょっと無理だと言われていますので、現時点ではセフトリアキソンを使っていただければ同時に消すことができる。ですから、咽頭・性器に同時に見つかった人が、きちんとした適切な薬剤によって治療されれば、まん延防止にはなるのではないかと思われます。
 クラミジアについてはどうするかというと、先ほど申し上げたように、かなり保有率が低いということですし、クラミジアの場合は余り耐性菌がないんですね。ですから、一般に使われているお薬でも消えることが多いと思うんですが、余りクラミジアをターゲットにした積極的な治療は必要ないと思います。自然に消えることが多いと思いますので、あくまでも淋菌をターゲットにすれば咽頭も消えて、まん延も抑えられると思います。
 この資料にはないんですが、去年に耳鼻科の一般外来の患者さんを対象に調べたデータがあるんですけれども、余田先生のデータですが、例えば、口内炎、咽頭炎、扁桃炎あるいは咽喉に異常感を持っている人を対象にしてみると、男性でnは少ないんですが、90例中約5%に淋菌の陽性者がいたと。一般の耳鼻科の患者でも少なからず存在することが言えるのではないかと思います。
 以上です。
○木村座長 ありがとうございました。
 何か確認・質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、白井委員から資料5と資料6をお願いいたします。
○白井委員 続けて資料提供をさせていただきました。資料5と資料6ですけれども、資料5はそのまま読んでいただくと、なかなか読みにくいと思いますが、これは平成20年の段階の報告書になるんですけれども、今、事務局から報告があったように、保健所で病原体検査が性感染症のクラミジアの検出としては、なかなか採用できていないということがありますので、前段階として研究段階で自己検査ができるような仕組みづくりということを考えてやったときの報告書です。
 実際は、資料6にも関連はあるんですけれども、いろいろなイベントや学園祭という若い人たちが集まるような機会に、若い人たちの検査コーディネーターを養成して、その人たちが性感染症の検査を勧めて、自己検査がおうちでできますよということをやっていただいて、その結果を集めました。3ページに黄色で示していただいたところですが、こういう検査は受けられる検査かどうかということについては、15人というのは陽性者のうちの15人の回答になります。おおむねの人が結果を問わず検査を受けてよかったということですが、陽性者の15人についても、こういう検査を受けてよかったと答えています。
 統計的に何パーセントと出すのは15人では余り意味がないんですけれども、若い人たちにとって自己検査が難しかったかどうかは、それほどでもないし、病気の説明もちゃんと検査コーディネーターにやってもらったということもあって、身近な所で必要なときに検査を受けるような仕組みについては、こういう方法は可能ではないかということを示したものです。
 4ページは、平成20年に保健所にアンケートをとったんですが、先ほど事務局から御説明のあった平成23年2月に調査していただいた自治体のアンケートの前段階の調査と思っていただいたらいいと思います。保健所は回収率が悪くて4割程度になってしまったんですけれども、予防指針の改正を知っているか、どういうことに反映しているかということで、事務局の調査項目は、これにほとんどそろえていただいたのではないかと思います。平成20年の段階では図4のグラフになりますけれども、定点医療機関の見直しについての反映が20%にすぎないような状態でした。このときにはバランスがよくないというような回答の方が目立ったような感じですが、今回の事務局からの報告の中では、それが少し改善したと言えるのかどうか、解釈が変わってきたのかどうかということも見られるかと思います。
 ほかの対策についての反映は、同じような傾向かと思います。
 7ページには、どういうところで検査キットを配付したかを参考までにイベントの名前や学園祭等を示しています。
 資料6の内容を、内容が少し重複しますが御説明したいと思います。
 これは、ちょうど4月の医学会総会に情報提供しようと思ってまとめたもので、それがなくなりましたので、医学会総会のスライドにもこれが多分、掲載されると思いますけれども、性感染症に関しての特定感染症予防指針の抜粋をまとめたものですが、こういうものを示しまして、この中で若年者へのアプローチ、どうやって医療に結びつけるかについては、なかなか課題があるのではないかという視点でまとめたものです。
 2ページには、先ほどの研究の概要についてもまとめているんですけれども、検査コーディネーターを養成して、社会人もいましたが、虎の巻というようなマニュアルをつくって、それを検査を勧めるときのアドバイスの資料としたということです。
 3ページに検査コーディネーターの虎の巻のイメージを示していますが、こういうことをある程度セット化して、若い人たちも勉強になるし、それを同世代にも伝えることについては、いい試みだったかなとは思うんですが、これも保健所に配付しまして、こういうことに興味があって、保健所の事業に連携してやれるかと聞きましたら、これ自体がどこに回っているのかわからないとか、保健所の統廃合があったり名前が変わって、郵便が市役所に行ったり、県庁に行ったり、なかなか現場に届いていないことがわかりまして、こういう研究班の内容をどう伝えていいのかということを戸惑ったような時期がありました。
 クラミジアの無症状病原体保有者ですが、必ずしも検査を受ける方は症状がない方ということである程度限定していますので、定点から拾えないような報告が出たのかなと思いますが、4ページにかなり大ざっぱにまとめていますけれども、各調査例については大体2,000人ぐらいの検査結果がありまして、性器クラミジア、PCRの陽性率がだんだん低下しているようには見えるんですけれども、実際に陽性者が高かったときには、年齢が低い対象に検査していましたので、これをもう少し年齢別に見ていきますと、若年者の陽性率というのは決して低いものではないかと思っています。
 5ページは昨年度の調査で、性感染症の既往歴を聞きましたら、現在治療しているということではなくて、勿論この検査に協力してくださっている方は症状がない方なんですが、その中でも気になるから受けたというような背景がわかりました。ですから、大体1~2割、年齢で分けていますけれども、既往があったんだなということが言えると思います。
 5~6ページの表は予防行動の比較ということで、若い人たちもより若い人たち、中高生と大学生で分けてみたんですけれども、これはちょっと古い調査になりますが、やはり予防行動の選択は中高生では余り意識していないことがわかりました。
 相談を実際にどういう形でやっていくかということになると、中高生の年齢ではメールやインターネットということで、これも誰かにメールをしたりという話ではなくて、顔の見えない形での相談というか、一般的な相談をしたいということとか、大学生以上になりますと当事者同士の相談ということが挙げられています。
 そういうことで、14~18歳の中高生については、リスクも高いんだけれども、サポートする体制がないということになると、そのままになってしまうのかなということがわかりました。
 こういう人たちがなかなか医療につながらないのはなぜかをアンケートからまとめました。どこを受診すればいいかわからない、治療費がすごく高いのではないかという不安、これはアンビバレンスなんですが、「パートナーへ感染させているかもしれないから受診できない」というのと、逆に、「本当は感染させているかもしれないから受診しないといけない」とは思いながら行かないというような、説明がなかなか難しいような回答がありました。
 実際、受診する時間がないとか、恥ずかしいから行きたくないということがありましたけれども、だったらどういうところで受診したいのかということになりますと、親切でちゃんとわかりやすく説明してくれて、親身になってプライバシーに配慮して、自分と同性の医師がいるとか、意外に遠くに行きたいというわけではなくて、家の近所で休日診療しているところなどが便利ではないかという回答がありました。
 昨年については、特に男女の要望特徴を分けてみたんですが、上半分は男性に中心的に希望があったもので、家の近くだとか学校・職場の近くであるとか、性感染症専門機関を受診したいというのが男性の方に多い要望で、あとは同性の医師や丁寧にきちんと説明してほしいというのは女性にやや多い傾向がありました。これは、男性が泌尿器科を受診するであろうということとか、女性は産婦人科が多いのではないかということを考えると、こういうような要望があるということも医療機関の方に情報提供しながら、体制を整えていただくヒントにはなるのではないかと思います。
 8ページについては、先ほどのグラフと一緒です。若年者にどうアプローチしていいのか、決定的な方法があるかというと難しいかなと思いますが、クラミジアの病原体検査は自己検査が可能であるということで、そういうものの普及ができたらいいのではないかということ。ただ、保健所ではなかなか普及しにくいということが挙げられていますので、どういう形で提供するか、医療機関で対応するということもあるかもしれません。
 それから、パートナーへの受診を促すとか、予防行動についても医療機関で指導するということが、当事者に困ったときに伝えていくことが一番つながるのではないかと思いました。
 9ページは大体のまとめですけれども、当事者と医療機関と行政、それぞれの役割があると思いますので、こういうところがまた具体的に次の予防指針に反映できればなと思います。
 以上です。
○木村座長 ありがとうございました。
 資料5の検体は、サンプリングの資材はイベントのときに配って、検体を郵送してもらい、結果はインターネットで知らせる方式ですか。
○白井委員 そうです。
○小野寺委員 1つよろしいですか。検査方法ですけれども、郵送による自己検査で検体は男性は初尿です。女性は膣分泌物の自己採取。ですから、綿棒を入れたセットを配ります。だから、男性と女性で検査セットが違うんですね。男性、女性別々のセットを配って、簡単な説明が書いてある。女性も初尿でもできないことはないです。今は結構、核酸増幅法の精度が高くなっていますから、初尿でも十分検査できる。ですから、先ほど保健所の検査体制の中で、膣分泌物の採取等の検体の採取が困難だからというのがありましたけれども、それはセットを配ってちゃんと説明ができるようにすれば、それほど大変なことではない。むしろ、女性は診察台に上がって検査を受けることに非常に抵抗を持っているという印象が強いんですよね。ですから、これでも十分検査ができる。産婦人科の先生は割と診察台に乗せたがるんです。我々はそうではないんですけれども。そういったことも含めて利用できるのではないかと思っています。
○木村座長 その辺をどの指針の中にどう表現していくかということですね。
 それと、資料6の8ページ、保健所へのアンケート調査の結果が平成20年の調査で、先ほど事務局からあったのは、自治体アンケート調査で平成22年度の結果です。大体似たような傾向ですけれども、これは回答者が違うんですか。時間的推移として見るというわけにはいかないですね。
○林課長補佐 時間的推移もございますが、そのほかに事務局でお示ししたものは自治体の本庁に聞いているもので、先生からお示ししていただいたのは保健所になりますので、保健所の所管事務でないものについては回答が多少異なる可能性があると考えております。
○白井委員 定点の見直しについては、保健所がそういうマネジメントができないというところもありますので、やはり自治体単位になったりしますから、「知っているが反映していない」というのは、保健所業務の範囲ではないという形で反映できないと答えていることも多かったと思います。
○木村座長 ほかにございますか。もし、よければ、次に文科省からお二人見えていただいていますので、有賀さんの方から学習指導要領に関連してお願いいたします。
○有賀専門官(文部科学省) 文部科学省のスポーツ青少年局学校健康教育課の有賀でございます。
 本日は、資料として、まず『学習指導要領における「性・エイズ」に関する主な記述』ということで御用意させていただいたんですけれども、こちらの中身に入る前に、学習指導要領について説明させていただきます。
 学習指導要領というものは御存じの方も多いと思いますが、文部科学省が告示する教育課程の基準でございます。こちらの実際の内容につきましては、中央教育審議会(中教審)の答申に基づいて作成されるものでございます。
 実際の学習指導要領につきましては、小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校といった各学校が各教科で教える内容について、学校教育法施行規則の規定を根拠に定めたものでして、これは国立学校、公立学校、私立学校問わず適用されるものになっております。
 それから、文部科学省では学習指導要領のより詳細な事項を記載した学習指導要領解説を発行しております。今回は、学習指導要領の中から性やエイズに関する主な記述ということで、小・中・高等学校の各段階において関連するところを抜粋してまいりました。
 資料をごらんいただきまして、最初のページは小学校の学習指導要領になります。こちらは平成20年3月の告示のものでございまして、実は小学校ではこれが平成23年度、今年度から実施される内容になっております。
 4ページからが中学校の学習指導要領となっております。一応関連する評価を載せてまいりましたが、保健体育、道徳、特別活動ということになっております。
 8ページからは高等学校の学習指導要領になります。小学校、中学校については平成20年3月の告示ですけれども、高校については平成21年3月に告示されたものとなっております。
 実施時期につきまして、小学校については平成23年度からと申し上げましたが、中学校については平成24年度から、高等学校については平成25年度から実施されるものということでして、新学習指導要領については今現在、中・高については移行期間ということになっております。
 改めまして資料の中身について解説させていただきます。四角で囲んでおりますのが学習指導要領になります。2ページの四角で囲んでいないところは、申し上げたような指導要領解説になります。
 小学校で性に関するものとして、体育などが中心になってくるわけですけれども、体育ですと、体の発育・発達について理解できるようにする、思春期になると次第に大人の体に近づき、体つきが変わったり、初経、精通などが起こったりすること、また、異性への関心が芽生えることといったような形で、まず、自分の体と心の変化、発育の様子について3年生、4年生で取り扱うということで定められております。
 それが5~6年生になりますと、性感染症・エイズというわけではないにしても、まず、そもそもの病気の予防について理解できるようにするということで、病気は病原体、体の抵抗力、生活行動、環境がかかわり合って起こること、病原体が主な要因となって起こる病気の予防については、そもそも病原体が体に入るのを防ぐことや、病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であるといったように、当然子どもですので基本的なところから順を追って教えていくことになっております。
 「第3章 道徳」の内容は、5~6年生の道徳ですけれども、性というよりは人間関係についてということで、互いに信頼する、学び合って友情を深め、男女仲よく協力し助け合うというようなことが書かれております。
 「第6章 特別活動」ですけれども、こちらも直接この中で性といきなり読めるものではないんですが、心身ともに健康で安全な生活態度の形成というところから読み取って、場合によっては性に関する指導につながる教育内容を実施することができるということになっております。
 下からが学習指導要領解説になりますので、学習指導要領に基づいた、より詳しい解説というか、どのように解釈するかというような内容が書かれております。
 こちらで重要なポイントとしましては、例えば3年生、4年生のところで、思春期の体の変化ということで下線を引かせていただいておりますが、こちらは指導に当たっては、発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮して、こういった教育内容を実施すると解説で述べております。なお、発達の段階と学校での共通理解、保護者の理解というものに関しては、中学、高校についても同様に言われていることでございます。
 こちらは細かい話になってきますので少し省いていきますけれども、次に中学校の話に入らせていただきたいと思います。4ページをごらんください。まずは、保健体育の学習指導要領の内容を載せさせていただいております。小学校での教育内容を踏まえまして、中学校ではより高度なというか発展的な内容になってくるわけですけれども、例えば(1)のイですと、体の発達というのは内分泌によって生殖にかかわる機能が成熟する。また、成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となることというような、少し小学校よりは上の段階の説明になっています。
 特に今回、性感染症や感染症にかかわる話としては(4)になります。健康な生活と疾病の予防について理解を深めることができるようにする。感染症は、病原体が主となって発生すること、こちらについては小学校でも既に取り扱っていますが、また、感染症の多くは発生源をなくすこと、感染経路を遮断すること、主体の抵抗力を高めることによって予防できることとなっております。
 この内容の取扱いですが、(4)は第3学年で取り扱うものとすると定められております。要するに、感染症についての学習は中学3年生で行うこととするというのが学習指導要領の中で明記されております。
 どういった内容をやるかといいますと、(9)をごらんください。こちらで(4)のエについては、後天性免疫不全症候群(エイズ)及び性感染症についても取り扱うものとするということで、ここで初めてエイズということであったり、性感染症が出てくるということでございます。
 「第3章 道徳」については、やはり人間関係の望ましい在り方というところで、性感染症やエイズという話ではなく、男女は互いに異性についての理解を深め、相手の人格を尊重するといった内容になっております。
 また「第5章 特別活動」では、いわゆる学級活動等になるんですけれども、この中で一応、男女相互の理解と協力ということや性的な発達への適応ということで、こちらでも性に関する指導というのが取り扱えるような枠組みになっております。
 中学校に関しては、学習指導要領解説も少し御説明させていただきたいと思います。5ページの中ほどをごらんいただきますと、ここでエイズ及び性感染症の予防についてどのように教えていくかが詳しく書かれております。その中で、感染経路が性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにすると書かれております。また、先ほども申し上げましたように、発達の段階を踏まえる、学校全体で共通理解を図る、保護者の理解を得ることなどに配慮するということを挙げております。
 道徳の解説については省略させていただきます。
 6ページの中ほどから特別活動の指導要領解説になっているんですけれども、2つ目の「性的な発達への適応」というところで、詳しくどんなことを取り扱うかが書かれていますが、7ページまでいきますと、具体的には思春期の心と体の発育・発達に関すること、性情報への対応や性の逸脱行動に関すること、エイズや性感染症の予防に関すること、あとは友情と恋愛と結婚などについて、生徒の発達の段階を踏まえた題材を設定すると定められております。この特別活動の中でも、エイズや性感染症というものを取り扱うことは可能になっております。
 次に8ページですが、高校の学習指導要領になります。まず、保健体育の学習指導要領については、中学校ほどエイズや性感染症ということは学習指導要領自体には出てこないんですけれども、現代社会と健康ということで、健康の保持増進と疾病の予防で、感染症の発生や流行には、時代や地域によって違いが見られるということ。その予防には、個人的及び社会的な対策を行う必要があると述べております。当然、中学校で既にエイズ、性感染症といったことは扱っておりますので、ここで言う感染症については当然それらも入ってくることになります。
 指導要領解説ですが、「感染症とその予防」という中で、エイズであるとか、ほかのいろいろな感染症を取り扱うことができるんですけれども、この場合は結核などが具体名として挙げられております。
 9ページは、感染症というよりは人間関係についてということが主になってきます。
 10ページ目は、同様に特別活動についての指導要領解説ですが、「心身の健康と健全な生活態度や規律ある習慣の確立」という中で、やはり下線を引かせていただいておりますように、エイズや性感染症などの予防に関することということで、こちらを取り扱うことができるとしております。
 現在の新学習指導要領についての御説明は以上です。
○木村座長 どうもありがとうございました。
 何か御意見ございますか。
○小野寺委員 主に性感染症に関する教育の中で、教材に関する縛りというか制限は結構厳密に定められているものがあるんですか。教科書というか、要するに、コンドームとかそういうモデルを使ってはだめだとか、こういうことはやってはいけないとか、いろいろなことを言われていますよね。出前講座をしても、これは話さないでくれと言われたとか、ここまで話していいと言われたとか、結構その辺はばらつきがあるというか、いろいろな考え方があると。ですから、性感染症に対してもいろいろな話をしていく中で、いたずらに恐怖感をあおるみたいな、例えば、クラミジアになった場合、感染症を起こすと卵管はこんなに腫れて、こんなに肥大して、こんなふうになりますよと脅かすことを殊更強調しようとする人もいれば、そうではない人もいるということで、当然、教育するには教材が必要なわけですから、文科省としてはどのようにとらえられているのか。
○有賀専門官(文部科学省) 結局は、ここの中で再三出てきました成長発達の段階を踏まえること、学校全体の共通理解を図ること、そして、保護者の理解を得ることというのが縛りと言えば縛りになってくるわけです。例えば、実際コンドームの使い方を具体的に説明するとか、実習しましょうという話になりますと、当然、取り上げられ方によってはすごくいいことをやったなとおっしゃる方もいるんですけれども、当然後になって親御さんがすごく嫌がったり、学校に対してそういうことはみんなでやる話ではないかと言われたりということはあるわけですね。なので、結局、親御さんたちの受け止め方というのは、同じ内容をやったにしても、地域や学校の規模や先生との関係の中でやれるところとやれないところは正直あるわけです。我々としては、特にコンドームを実施で使っていいとか悪いと具体的に言うわけではないんですが、発達の段階を踏まえていて、かつ、学校での共通理解を得ていることが前提になります。ある先生が、1人で突っ走ってやってしまって、ほかの先生たちが反対しているのを押し切ってしまうということは当然だめなわけですね。あとは、おうちの方が教育をすることに関して、きちんと賛成してくださっているということを満たせば、勿論教材として使うことも可能であるということにはなります。なので、やはり国として一律にこれはいい、これは悪いというのはなかなか難しいので、学校の現場の先生にお聞きになって雰囲気を見ながらということになります。
○小野寺委員 親御さんの反応が結構大きいのでしょうか。
○有賀専門官(文部科学省) では、現場のことは、こちらの森がよく存じておりますので。
○森教科調査官(文部科学省) 発達の段階を踏まえる、学校全体の共通理解を図る、保護者の理解を得るという3点に加えて、もう一つ配慮事項として、集団指導と個別指導の役割を考えることが重要です。学習指導要領は全員に指導すべき内容等を示しています。全員の中にはハイリスクのお子さんと、そうでないお子さんがいますが、どちらを対象に指導するかという話になった場合、全員で学習できる内容は集団指導、ハイリスクの子に対しては個別指導につなげるというようなことを考えることが大切です。
 集団指導に関しては、例えば、欧米ですと、親等が性教育に関して受ける権利を持っていたりしますが、日本の場合は、学習指導要領に示された内容を全員に指導するという前提でやりますので、何が教材として適切かをよくよく吟味することが、重要になってくると思います。
○廣田委員 教科用図書検定調査審議会ですか、保健体育は第8部会でしたね。私は昔あの委員をしていたんですけれども、性徴とか発達というので婦人科の先生がいらっしゃるんです。婦人科であるということで委員になっていらっしゃるのですけれども、日常的にはがんしか関心がないというような先生がいらっしゃるわけで、近年こういった性感染症が非常に重要度を増してくると、次の委員を選ぶときに性感染症に関心が高い先生を選ぶようにすると、教科書自体もより的確なものになると思うんです。無理にはできませんが、かなり的確になると思いますので、そういった方向性を持っていただければと思います。
○木村座長 感想ですけれども、高校生の指導要領は、エイズ・性感染症について中学生のものよりもむしろトーンダウンしていて非常に不思議に思うんですが、この点はどうでしょうか。
○有賀専門官(文部科学省) 実際の内容がトーンダウンしているというわけではなくて、これはあくまで学習指導要領ですので。
○木村座長 ここに載ってこないものは、なるべく省いてしまうわけですよね、現場は恐らく。
○森教科調査官(文部科学省) エイズ及び性感染症は、感染症というカテゴリーの中の一つとして示されています。実は学習指導要領自体の、簡潔で包括的な言葉で示されており、具体的な感染症の種類まで示していません。先生がおっしゃる、エイズ及び性感染症は、そのような中で現行の学習指導要領で初めて示されたものです。義務教育段階を経て社会人になる方もいらっしゃるわけですので、国民の一般教養としてエイズ及び性感染症について学習することが重要であり、中学校3年にしっかりと位置づいています。
 高等学校になると、中学校の個人的な内容から、個人及び社会的な内容になります。それを踏まえて、エイズが新興感染症の一つの重要な題材として扱われます。ですので、エイズについて個人的な対策だけではなく、社会的対策についても指導が行われます。中学校に比べて系統的に発展した内容になっていきますので、その点では教科書でも中学校よりも充実していると思います。
○木村座長 その社会的対策とか、第三者のためのエイズ予防ではなくて、やはり当事者という意識を持ってもらう必要があると思うんですね。今の御回答だと、その辺が大分ずれているかなと思いますね。議論はまた後で。
○森教科調査官(文部科学省) こういった性に関する指導は、保健体育だけでなく学校の教育活動全体で行われます。教科は、知識をしっかりと身に付けさせていくという役割がありますが、例えば、特別活動というのは目の前の子どもたちの課題を解決していくという役割があります。今回、特別活動の解説には、具体的な指導の例示として今までなかったエイズや性感染症などの予防に関することが新しく示されています。教科だけでなく、そういったところも是非見ていただいて、全体としては充実している方向であることを理解していただければありがたいなと思います。
○木村座長 実際に実践されるのは大分先になるわけですね。高校は平成25年から。
○森教科調査官(文部科学省) 平成25年から実施ですが、既に移行期間ですので、学校の判断で新しい内容で指導してもいいことになっています。
○木村座長 一通りいろいろな御意見や御報告をいただきました。前回の御議論及び今日の御議論をまとめて、それぞれ予防指針の中にどういうふうに挙げていくか、今日出なかった御意見がほかにもいろいろあろうかと思いますので、それはまたこの次までに御連絡いただくとして、これまでの段階のところ一応、事務局の方で見直しの視点という形で整理していただいておりますので、それについて事務局から説明をお願いします。
○中橋課長補佐 資料1をごらんください。「性感染症に関する特定感染症予防指針の検討の視点」ということでまとめさせていただいております。1ページから、現行の予防指針の文面がそのまま書かれておりまして、各セクションごとに視点を置いております。
 まず「前文」ですが、2ページに視点をまとめました。1つが、性感染症について、最近の変化をとらえた記載になっているか。これは前回、性行為の多様化によって咽頭感染なども増えているのではないかと、その内容を盛り込む必要があるのではないかということで、今日、小野寺委員からも話題提供していただいたものになります。2つ目として、本指針の対象疾患と連携して対策をとるべき性感染症として、特に言及するべきものがあるかというものが視点になると思います。
 続いて「第1 原因の究明」ですが、これに関する視点は3ページですけれども、性感染症の発生動向を的確に把握し、情報をわかりやすく公開・提供し、活用するためには更にどのような取り組みを進めるべきかということを視点として置きました。
 次に「第2 発生の予防及びまん延の防止」は、5ページに視点として置いております。コンドームによる予防など、指針に掲げられた対策のほかに、とるべき対策があるか。2つ目に、保健所における検査体制について今後、更にどのように推進していくべきか。また、若年層に対する予防対策として、若年者の性意識や性行動の実情を踏まえて、どのようにして効果的に行動変容へとつなげていくか。また、教育関係機関との連携をどのように進めていくかの3点を視点としております。
 「第3 医療の提供」の視点としましては、医療の提供に関して、更にとるべき対策があるのか。
 「第4 研究開発の推進」では、研究を普及啓発や感染の防止など有効な対策に結びつけるため、更にどのような研究を行うべきか。例示としては、前回の御意見の中にもありました、若年者の感染リスクや感染の防止に関する意識・行動の調査などの研究が当たるかと考えております。
 「第5 国際的な連携」の視点としては、国際的な連携について、更にとるべき対策があるのか。
 「第6 関係機関等との連携の強化等」では、関係機関等との連携で更に言及すべき点があるのか。
 また、この指針全体を通して盛り込むべき内容があるのかどうかを視点とさせていただいております。御検討よろしくお願いいたします。
○木村座長 ありがとうございました。
 全体をざっと説明いただきましたけれども、まず、前文について議論を始めたいと思いますが、間際でございましたけれども、各委員の方々にメール等で届いていたかとは思いますが、何か御意見があったらよろしくお願いします。
 前回の議論としては、性行動について二極化しているというようなことが言われました。一部の若者は非常に性的に活発であるけれども、全体がそういうわけではなくて、性行動も開始が遅くなっているグループもかなり出てきたというような御意見もあって、その辺の行動に変化があるということを前文の辺りで記載する必要があるか、いかがでしょうか。
 前回は、池上委員がそういうことを言っておられましたよね。
○小野寺委員 北村先生だったと思います。
 必ずしも若者で増えているという傾向は今のところないんですよね。発生動向調査を見る限り、把握し切れていない。
○木村座長 梅毒が増加傾向、ほかのはむしろ減少傾向と。
○小野寺委員 発生動向調査で見ますと、2003年以降、クラミジア・淋菌、その辺は男女とも減っていたんですか、2010年になって男性のクラミジアが少し増加し、ヘルペスは男女とも増加と。今まではずっと減少傾向だったのが、2010年で少し変わってきていると。
 年齢別に見てみますと、2009年までは特にクラミジア・淋菌などに関しては若年層での減少傾向が見られる。無症状感染者はそこに入っていませんけれども、あくまでも定点調査で症状があった人を対象とした調査ですが、そういった意味では、送られてきた北村委員からの資料の中で、性交経験率が低くなっているような印象があるようなデータがあったと思うんですが。私もいろいろなところで説明するときに、何で若者の中で性感染症が減っているんだろうかという理由がよくわからなかったんですが、参考資料3の4ページに『若年男性の「草食化」は事実か?』というデータがあって、セックスをすることに関心がない、嫌悪している割合というのが2008年と2010年と比べると、かなり関心がない人が増えていると。ですから、これが両極化の一つの、関心のある人はいるのだと思いますが、そうではなくて、むしろコミュニケーションがうまくとれないですとか、自分の世界、テレビゲームとかインターネットに閉じこもっている人が結構増えている。外に出てパートナーを求めて、そういうチャンスを持とうという人が減っているというデータが元になっていると思います。
○木村座長 二極化というのは、こういうことですね。関心がない人が増えているけれども、ごく最近では、感染者がまたちょっと増えてきているかもしれないと。
○小野寺委員 男性のクラミジアが増えていると。あと、ヘルペスがちょっと増えていますね。
○木村座長 その辺の動向をよく精査した上で、前文の表現を少し考えていくということにしたいと思います。
○白井委員 若年者のところなんですけれども、サーベイランスからとれない部分をある程度調査研究で自己検査でと拾い上げようと思っていたんですけれども、保健所で協力がなかなかできないこととか、イベントに来られるような方は二極化の中のどちらかというと活発な人たちだと思うんですよね。そこからとると決して低くはないということになります。ただ、全体の性交経験率が下がっているから、こういうことを弱めていいのかというと、そうではなくて、リスクの高い人についての記載というか注意という意味での、どういうふうに前文に入れるかですが、それは引き続き必要かなと思います。
○南委員 ちょっと伺っていいですか。性行動のそういった傾向というのは、日本が結構特有なわけですか。
○小野寺委員 性行動については、外国の比較になるデータを知らないのですが、確かに、無症状の人を除いた場合は減っているんですね。ただ、さっきのイベントでも平均年齢が22~23歳ですので、逆に10代の症例が増えてくると、傾向としては陽性率が上がるんですね。イベントで調査しても10代後半の、いわゆるハイティーンの若者の実態はなかなかつかみにくい。というのは、2005年ごろのデータで、九州のある県の高校で5,000人規模の無症状のクラミジアの陽性率を調べた調査があるんですね。そのやり方は、高校に赴いて1~3年生まで性教育あるいは性感染症に関するレクチャーをして、検体採取容器を置いていくるんです。翌日回収に行って、クラミジアの陽性率を見ているんですが、2005年ぐらいでは女の子で13%ぐらいのクラミジアの陽性率、男の子の場合には7~8%ぐらいの陽性率というデータがあるんです。その後、全く同じデータをとっていませんので比較はできないんですけれども、そういうことがあの当時はあったんですね。でも、それが全体としては低くなってしまっているかなという印象はあるんです。ただ、検証するものがないんですけれども。
○木村座長 そういうことが必要かどうかというのは、研究の項辺りですかね。
○小野寺委員 そうですね。
○木村座長 あと、小野寺先生、咽頭感染について御意見を述べられましたけれども、その辺りを前文に反映させる必要はありますか。
○小野寺委員 性感染症患者でこれだけ咽頭感染陽性者がおりますので、一つのまん延の原因になっているということは明らかだと思いますので、その対応が必要であることは間違いないと思っています。
○木村座長 そういう問題も起こってきているというような。
○小野寺委員 「性行動の多様化」という言葉で示されていると思います。
○木村座長 表現について御意見がありましたら、後ほど事務局にでもサジェスチョンいただければと思います。
 何かございますか。
○中橋課長補佐 北村先生からいただいた意見の中で、最近の変化をとらえた記載になっているかというところで、HPVワクチンについて記載するべきではないかという意見をいただいているのですが、その点についてもお願いします。
○木村座長 前回の予防指針のときにはまだワクチンがなくて、今度新たに出てきて、尖圭コンジローマにも適用が広がるような第二ワクチンも出るということですね。
○小野寺委員 御存じのように、性感染症の種類によって予防法が異なるんですね。ですから、コンジローマは特に性器だけにあるわけではありませんので、コンドームでは予防できないものが多いというところで、予防という視点から言えば、やはりワクチンの適用というのは是非書いておくべきだろうと思います。
○木村座長 ありがとうございました。
○白井委員 それに加えてなんですが、ワクチンはB型肝炎も性感染症としてきちんと認識していただく必要があると思いますし、今は肝炎ワクチンの対応の中では性感染症としてのとらえ方がないので、そのワクチンをどう性感染症予防に使うかということも必要かなと。各論の方になるかと思いますが。
○木村座長 Bについては母子感染が非常に少なくなっているので、これから問題になるのは性感染症としてのB型肝炎ということですが、資料2で、結局B型肝炎等についてはどういうふうに説明したんでしょうか。一応この予防法で対象になるのは資料2の1ページ目の赤で囲った疾患が、その対象疾患であると。それ以外の扱いについてはどういうふうに表現していますか。
○林課長補佐 現行の制度においては、資料2の下にありますように、感染症法の中で五類の感染症となっているものの中で、しかも、1~5の5疾患についての指針をつくることが定められております。このことについての御意見、この疾患をそもそも拡大すべきという御意見があれば、それは御指導いただければ、どのような対応があり得るかの検討が必要だと思いますけれども、下にありますエイズについては別の指針を定めるということで前回御議論があったところだと思います。
 また、B型肝炎、C型肝炎につきましては、五類の疾患でございますので、場合によっては何らかの対応をすることはあり得ると思うんですが、B型肝炎を性感染症に関する特定感染症予防指針の対象とするかどうかという点については、勿論そういう体系もあり得ると思いますが、肝炎対策というのはまた別の体系があって、総合的にそちらでやっているということもありますので、肝炎全部をここのテーブルに持ってくるということはなかなか難しくて、肝炎対策との連携をどう図りながら性感染症対策としてやっていく部分を相乗効果をもってやるかという辺りで、表現を工夫していく必要があるんじゃないかと考えております。
○廣田委員 先ほどのHPVワクチンにしましても、まだ予防接種法に入っているわけでもないですよね。だから、もし書くにしても、その辺を考慮して書く必要があるのではないかと思います。
○木村座長 何らかの形でB型肝炎については前文で触れておいた方がいいだろうという理解でよろしいでしょうか。
○白井委員 前文のところでワクチンの話が出たので、お話をそのようにしたんですけれども、B型肝炎の病原体のサーベイランスの中でも性感染症に由来するものが増えているのではないかということが感染研などでも報告がある場合がありますので、そういうことを反映すると、性感染症という認識が要るのではないかと思いますので、そういうことでサーベイランスも必要だということになれば各論でもいいかなと思いますが、その辺はバランスを見てと思います。
○林課長補佐 前文のところで1点御意見をいただいておきたいことがあるとすれば、2ページの一番上で、指針の対象である5疾患のほかに、性的接触を介して感染することがある感染症は、後天性免疫不全症候群を含め多数あることに留意するということが書いてございまして、ここでは本指針の疾患以外にはHIVだけが名指しされておりますけれども、ここに特に他の性的接触を介し感染する感染症として列挙すべき疾患として特に重要なものがあるかどうかという観点で前文では指摘をいただいて、その上で、対策については第2で御議論いただければと考えます。
○木村座長 確かに、欧米でSTDとして広がっているサブタイプのものが日本でも大分増えてきつつあるような状況ですよね。触れるとしたら、2ページ頭の辺りにHIVとともにB型肝炎ウイルスのことも入れるかということですが。
 それから、ワクチンについては、どの辺に盛り込むか。事務局で少し考えていただくことでいいですか。ワクチンの情報も入れると。
○林課長補佐 事務局で前文のところで提起してしまって申し訳なかったんですけれども、発生の及びまん延の防止のところで改めて御議論いただけばと思います。
○木村座長 そうですか。北村先生の御意見もそれでよろしいですかね。どこに入れてほしいということではないですね。総論的な意見としては、ワクチンのこともということです。
 では、次に「第1 原因の究明」という項目で、事務局からは性感染症の発生動向を的確に把握し、情報をわかりやすく公開・提供し、活用するためにどういう取り組みが必要かという視点が示されておりますが、これは先ほど小野寺先生が言われた、事務局からもアンケート結果などがありましたけれども、定点をどう決めていくかという辺りが非常に大事だと思うんです。
○小野寺委員 定点設定の基準はないと思います。各自治体ごとにバラバラで、医師会にお任せというところもあると思います。実際に、全数調査を7つのモデル県でやっておりますけれども、そこでの定点と報告された施設を並べてみますと、まず、1つは、各県によって定点の設定が非常にばらつきがあるということ。必ずしも性感染症の患者の多い施設が入っていないという事実があるんです。しかも、それも県ごとにかなり違うんですね。例えば、公的病院がそこに入っていると、性感染症の患者さんはそういった公的病院はなかなか受診しづらいだろうと。だから、病院ごとで定点のバランスを考えると、そういったものがどうしても入ってくるわけですから、そうすると、患者の少ないところばかり定点として入り、あるいは科のバランスにしても、バランスだけ考えると本当に多く患者が受診している施設が入ってきていないということがあります。そういった意味でいろいろ細かいことはあるんですけれども、少なくとも定点の設定の基準をきっちり決めるぐらいのことは書いていただきたいと思います。
○木村座長 選択基準を決めるべきであるということですね。その基準を今ここで議論するには、まだちょっと早過ぎるという理解でよろしいですか。ただ、研究班などで検討していただくのもいいかなと思います。
○中嶋感染症情報管理室長 定点の設置の基準は、資料2の中の3ページの紫色のスライドに書かせていただいたんですけれども。
○小野寺委員 いや、わかっているんですよ。これはあくまでも人口当たりの比率しかないので、その内容については何も問われていない。どういう施設を選ぶかということは、ここには書かれていない。人口何万人当たりで、しかも、産婦人科、婦人科、泌尿器科を半々ぐらいにしろとか、そのぐらいのことで。ですから、それを見ていくと余りにもばらつきが地域ごとに大きいと。
○中嶋感染症情報管理室長 そういうところで、先生の御意見は、もう少しこの基準を補足するようなところが入れられないかということですか。
○小野寺委員 そういうことですね。ある程度患者数の多いところですとか、それが余り落ちないような形の設定をしてほしいということです。
○味澤委員 私は東京都のサーベイランスにも出ているんですけれども、東京都は拠点の選び方を変えて、東京都は余りこういう性感染症は減っていない感じなんです。ですから、やはり患者さんがたくさん来そうなところを入れていくという努力は必要だと思います。ですから、東京都なでも小さい診療所でも患者がいっぱい来そうなところを選択するということをしております。そういったことも、なかなかたくさん県があって難しいんですけれども、考えていただければと思います。
○木村座長 先ほどの事務局からの御報告で、自治体が決めているところが2~3割、医師会が決めているところが7割ぐらいあったと思うんですけれども、それぞれ選ぶ基準が、大まかにはここに書いてあるような条件でやっているのでしょうけれども、必ずしも地域地域のSTDの実態を反映していない心配があるということで、もう少し実態を反映するような定点を選ぶための条件を少し検討する必要があるのではないかという御意見かと思います。
 廣田先生どうぞ。
○廣田委員 物すごく難しい点だろうと思うんですけれども、より多くの患者を把握するというのと、患者全体の代表性を持った選び方をするというのと2種類あると思うんです。これをもうちょっと詰めて考えないと、事務局としても案の出しようがない面があるんじゃないかと思います。
○小野寺委員 以前から議論のあるところで、代表性といった、要するに多いところだけやればいいというのではなくて、もっと地域全体として見るべきだろうという御意見があると思うんです。それは私も前から聞いているんですが、でも、余りにも地域ごとのばらつきが大き過ぎて、例えば、私も全数調査を7つの県でやっているんですが、定点と全数調査の動向のばらつきが多くて、すごくまとめにくいんです。そういうことがあると、果たして定点というのは何なのだろうという疑問があって、少なくとも実数と離れていることは事実ですから、その点を考慮すると、ある程度実数に近いものを求めることを国の動向としては把握しておかないと、対策という意味では弱いかなという感じがするんです。
○廣田委員 私は、実数重視というのは賛成です。代表性というのは非常に難しいだろうと思いますので。
○白井委員 すごくわかりやすい言い方になると思いますが、多いところというよりも保健所の範囲で見ると、定点の報告がゼロのところもあるんですね。だから、1年を通してゼロのところはやめてほしいというぐらいは言えるんじゃないかと思います。
○木村座長 中嶋さん、どうぞ。
○中嶋感染症情報管理室長 定点の難しいところというのは、性感染症だけではないように感じているんですけれども、報告がゼロというところも確かにあると思います。ただ、あくまでも医療機関の協力があってというところなので、そこが難しいところで、何とか数は少しずつ是正はされてきているようなんですが、まだ途上なのかなというところです。一つ定点の問題を追求していったら、本当に把握が進むのかなというのはまだわからないところで、なかなか病院などに行きにくいこういった疾患の場合の考え方として、そもそも定点で押さえられる範囲というのが、もしかしたらあるのかなというのはお話を伺ってと思って、その辺は研究班が今までやってこられたことを見ていかざるを得ない部分なのかなというのも、ちょっと感じるところがあるんですが。
○木村座長 国のサーベイランスはサーベイランスとして置いておいて、細かいところは研究班で解析すると言うことですか。
○中嶋感染症情報管理室長 そこがちょっとわからない部分なので。
○小野寺委員 それもそうだと思いますが、やはり今、白井先生が言われたように、ゼロのところがかなりあるんですよね。しかも、それがずっと何年も続けて定点にされているという事実があって、一方で、本当に県でトップ10に入っている施設が全然そこに入っていないと。ゼロと言われる施設がゾロゾロ出ているということが、そのままでいいのかなと。動向がそれでつかめているんだろうかと、どうしても思うものですから、今申し上げたんですけれども。
○味澤委員 やはり性感染症なので、患者さんの動向も普通の病気と違うと思います。だから、大きな医療機関に行くわけではなくて、行きやすいところに行きますし、実際私が知っている個人でHIVとかセクシャルマイノリティの方が行く診療所で、性病の検査をした結果を聞くと、大体3割ぐらい何かしらの性病を持っているとのことです。ですから、性感染症ではそういう病院を選んでいかないといけないと思います。ほかのインフルエンザ等と同じような基準で選んでしまうと、全部漏れてしまうということが起きるのではないかと思います。小野寺先生が言われているのは、そういうことではないかと。もちろんバランスは大事なので、その辺を調整して見ていただくのが大事だと思います。
○木村座長 原因の究明につきまして、定点以外のことで何か御意見ございますか。
○白井委員 やはり限界があるということは現場でもわかっていますので、限界がありながら次の発生動向調査の活用というところですけれども、どう活用したらいいかということになると、資料2でお示しいただいているように、感染研の週報には全体のグラフは出ているんですが、自治体ごととか地域ごとにどうかというと、なかなか使えない状態になっていますし、自分のところの定点を是正する必要のある地域もあると思うんですけれども、現状や限界を知って、これをどう見るかという調査の活用のガイドラインというのが要るんじゃないかと思います。例えば、どういうふうにグラフ化したらいいかとか、あとは学校教育で性感染症を教育に使っていただくことについても、こういうものが目で見えたらわかるということが全国の調査と地域の情報というのがあれば、自分のこととして考えられることもあると思いますので、そういう方法論についての具体例を示す必要があるということを活用するようにするだけではなくて、そういうものを示していく必要があるかなと思います。
 実は、感染研のメンバーの研究班の中で、例えば、性感染症は少ないですけれども、アウトブレイクのときはどうするかとか、施策で活用するときにはどういう数字を使うとか、あとは、インフルエンザのようにやるかどうかわかりませんけれども、何かアラートというか数値的なものとか、地域の発生状況の警鐘になるものが出せないかとか、使い方をどうするかということを入れたら、こういう限界があるけれども、こういう数字を見ていこうということが、もうちょっと積極的に保健所などでも資料を作成できるんじゃないかと思います。
○木村座長 情報の提供の仕方も工夫が必要だということですね。
 定点に関してはいろいろ難しい点もあるのと、10万人当たりの患者数が予防指針の中でもよく言われていることで、患者数の多いところだけとってしまうと過大評価になってしまうかもしれないし、その辺いろいろ議論した上で決めていただくといいなと思っています。よろしくお願いします。
 それでは「第2 発生の予防及びまん延の防止」につきまして御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。ここでは検査のことなどがかなり絡んでくるかと思います。
○小野寺委員 たしか、5年前の見直しのときも、クラミジアの抗体検査というのは感染の既往を見ているんですが、その時点での治療の適用になるかどうかを見られていないということで、病原体検査を基本にするというのがたしか入っていたと思うんですが、実際には先ほどのデータでわかりますように、ほとんどHIVの検査と同じように血液をとって抗体検査が行われている。その辺は余り変化していないというか、よくなっていないと思いますので、先ほど申し上げたように、必ずしも検体の採取方法はそれほど難しくありません。ただ、確かに、核酸増幅法でとるとするとコストはかかるかもしれませんが、男性は例えば初尿でクラミジアはわかりますし、女性も場合によっては初尿でいいし、あるいは自己採取という方法でも検査できますので、少なくとも保健所での検査をそういう方向に持っていけば、かなり若者の実態を把握できるような状況にはなると思いますけれども、いかがでしょうか。
○木村座長 病原体に関する検査をもう少し推進すべきで、抗体検査だと既往を見ているだけなので、もう少し改善した方がいいという大変ごもっともな御意見です。これは実際に保健所でやるとすると、大きな障害となるものはありますか。先ほど検体を採取しにくいということがありましたけれども、それはイベントなどで配布して郵送してもらえればできるのではないかというような研究の結果が出ていましたけれども。
○白井委員 私が研究班でこういうことをやりながら、神戸市では適用できていないことがどういうハードルがあるかということなんですけれども、例えば、今回の研究では神戸市が協力したデータもあるんですが、事業にするとなると新しいことをやらなければいけないということとか、それにお金がちゃんとついてくるのかということがすごく大きなハードルになるんですね。優先順位をいろいろ自治体の中で考えていくと落ちてしまうんです。ただ、抗体検査と病原体検査が選べるような状態になっていると、安い方とか今までの方法でということになってしまいますので、選べない状態にして、性感染症はこれでやるとしてしまえばそうだと思うんですが、その裏づけというのがなかなか難しいかなと思います。
 それと、病原体で見ると治療に結びつきやすいというか、そういうデータにはなると思うんですが、この中でも書かれていた内容で、過去に感染があったら、やはり感染の機会があった人だということで啓発の対象にはなるということで、積極的にではないんですけれども、抗体検査についても意味があると思っているんです。その辺の発想の転換を、どういうための検査にするかということにもよるかなと思います。
○木村座長 病原体検査にしてしまうと、逆に過去のリスク行為が見落とされてしまう心配があると。
○白井委員 そのときは以前だったらいいでしょうという話にもなりかねない。ただ、抗体検査でも過去の感染や最近の感染は、大体のレベルでわかると回答しているところもありますけれども。
○木村座長 ほかに御意見ございますか。
○味澤委員 クラミジアの場合、必ずしも性病だけでなるわけではないので、基本的には小野寺先生がおっしゃるように病原体検査だと思います。外国では以前から女性のクラミジアも初尿の検査でいいということになっているのですが、日本では婦人科の先生はあまり信用していないようです。実際に我々のところで、女性のクラミジア感染症を総合診療科でも初尿をとって検査しています。それで十分確定診断ができます。このことはハリソンという有名な教科書に出ているぐらいですから、そういったことを広めていくということも大事なのではないかと思います。やはり尿でわかるのと、婦人科で分泌物をとらないとわからないというのとでは、全然ハードルが違います。特に、保健所などは尿検査は簡単ですから、そういうことも考えていただいた方がいいと思います。
○木村座長 検査のタイミングとして、初尿が大事だという辺りが保健所に検査に来たときに、すぐとれる検体ではないというところをクリアする必要がある。
○小野寺委員 翌朝、または女性は生理がありますので、血液が混じるとちょっと精度が落ちますから、それを外して1週間ぐらいの幅を持たせて研究班ではやっていたんですね。ただ、それは説明すればわかることですので、初尿で十分だと思います。
○木村座長 今度の指針では、病原体検査をかなり推進すべきであるというような内容を盛り込むと。
 それから、予防でコンドームのことが書かれているんですが、先ほどの議論でワクチンのこともこの中に入れていきますか。
○小野寺委員 まだ、4価のワクチンが承認されていない、これからです。ただ、4価のワクチンは要するに尖圭コンジローマの原因ウイルスである6型、11型を含みますので、それを使えばコンジローマの症例は減ったという報告もありますので、いわゆる子宮頸がんの予防だけではなくて、性感染症としての尖圭コンジローマのまん延の防止にもなるということは言えると思います。
○木村座長 もう間もなく承認ですか。
○小野寺委員 そのように聞いていますが。
○木村座長 この予防指針が出るのは前回が11月でしたか。
○林課長補佐 前回が11月でございます。今回につきましては、現時点で事務局が申し上げられるのは、5月30日の部会で承認するかどうかの検討を行うことになっておりますので、そこで結論が出れば十分間に合う時期だと思いますので、これも含めて御議論いただく必要があると考えております。
○木村座長 この文章ができ上がるまでには結論が出るのですね。あと数日で4価のワクチンが承認されるかどうか決まると。
 では、次に「第3 医療の提供」に入りたいと思いますが、視点としては更にとるべき対策がありませんかということでございますけれども。これは医療現場の小野寺先生や味澤先生から何か御意見があればと思いますが。
○味澤委員 私はSTDの専門家というわけではないんですけれども、日本で一番問題なのは、実は1人でSTDを全部診られる医者がほとんどいないということなんです。というのは、欧米ではSTDを診る医者というのは女性の内診もするし、すべてやるわけですけれども、日本だと女性の性病は婦人科に行って、尿道炎は泌尿器科に行って、梅毒みたいなものは皮膚科と、要するにてんでんばらばらなわけですよね。欧米ではSTDの専門家というのがそれぞれいて、そういう施設も、医療費もたしか無料か何かでやっていますけれども、日本も将来的にはそういう方向にいけないものなのかなと、これは常々思っているんです。だから、そういったニュアンスも多少、要するに、STDの本当の専門家をつくる方向に持っていけないのかなと。どこで教育するかというのは、なかなか難しいところがあるんですけれども。
○木村座長 医学教育に絡んで、医学部なら文部科学省の管轄になりますかね。
○有賀専門官(文部科学省) そうですね、当課ではないんですけれども、医学教育課というところがございますので。
○味澤委員 前から思っていたので、ちょっと言わせていただきました。
○木村座長 3番目に学会等の関係団体との連携ということで、診断や治療の指針等を普及させるというようなことがありますが、これは現在は性感染症学会などでガイドラインができていますね。
 ほかに、こういう辺りで更に充実させるべきことがありますか。
○小野寺委員 診断法の点なんですが、コンジローマは割と男性の場合は視診でわかるんですけれども、ヘルペスは結構診断が難しくて、誤診も多いと思うんですね。迅速で簡便な診断法というと今はないのが現状で、血清診断ですと、初発の時期には陰性で、治りかけてから陽性になるという、血清診断は50%ぐらいの精度の診断法でしかない。それから、蛍光抗体法でもやはり精度が悪くて50%ぐらい。国際的にはPCR法が認められていると思いますが、それが今、日本では認められていないんです。それから、LAMP法もやられているんですが、それも認められていない。それから、血清診断で特異抗体、1型か2型かという診断の方法も認められていないんです。ですから、正確な診断という意味では、それがないと本当の意味での正しい治療に結びつきませんので、是非、保険適用ができるような診断法を認めて欲しいと思います。
○木村座長 技術的にはできるわけですものね。
○小野寺委員 できるんですが、現状認められていないということです。
○木村座長 では、そういう検査法の、具体的には保険診療になりますけれども、その更なる普及が必要であるというようなことですかね。指針の中で、診療報酬に絡むことは触れてもいいですよね。
○林課長補佐 この場は診療報酬そのものを議論する場で当然ないわけですけれども、診療報酬を議論するときに、そこで学会等から要望が出ている事項が政策的に重要であるかということは、診療報酬の議論の場でも参考にされるということです。
○木村座長 そういう検査をできるようにすることが望ましいとか、そういう程度ならいいですかね。
○林課長補佐 それがこの対策にとってどう重要かというところが、こういうところで位置づけられていることは一定の意義があると考えております。
○白井委員 文言ですが、この医療の提供の前のときには、「最新の医学的な知見等」を盛り込んだということで、多分、今も問題がないのがむしろ問題ですが、その当時も薬剤耐性の問題や、それを防ぐために最新のという言い方になっていましたが、漫然と非特異的な抗生物質は出さないようにという意味だと思うんですね。むしろ、ここに薬剤耐性化を防ぐとか、関係性をきちんと確保するということも踏まえての最新というか、スタンダードなというか、標準的な治療ということを反映した方が意味としては通じるかなと思います。
 それと、若年者がなかなか医療機関につながらないという中でも、つながったところではこんな要望があったり、こういう要件があったらよかったということもありますが、若年者の要望をそのまま入れるというわけではないかと思いますけれども、アクセスを考えた医療の提供というものも指針の中で入れていただくと、泌尿器科であっても、産婦人科であっても、そういう体制の整備が要るのではないかという思いを持っていただけるかなと思います。
○木村座長 アクセスを考えた医療体制、医療提供。具体的なイメージがちょっと沸かなかったんですけれども。
○白井委員 そのまま書くと、例えば、「親切丁寧に説明してください」というのは当たり前かもしれないんですが、例えば、同性の医師が対応できるような提供をするということもアクセスをよくするという一つになるかなと。
○木村座長 医療現場として、そういうことも考慮した医療体制が必要であると。ありがとうございます。
 ほかに医療の提供でいかがでしょうか。
 あと、残りの「第4 研究開発の推進」「第5 国際的な連携」「第6 関係機関等との連携の強化等」、この3つをまとめて御意見いただきたいと思います。ありましたら、お願いします。
○廣田委員 よろしいですか。「第4 研究開発の推進」で「三 発生動向等に関する疫学研究の推進」というのが出てまいります。この発生動向調査の解析が結局、年齢別にどうかといったグラフが出てくるのと、年代別にどうかというグラフが出てくるのが通常で、一番大事な何年に生まれた人が何歳になったときどうかということが解析されていないんですよね。
○木村座長 この前の会議のときにもおっしゃっていましたね。
○廣田委員 例えば、20代で増えているといっても、例えば、もうすぐ20歳になる世代では減ってきているかもしれないわけですね。だから、一番大事なところが解析されておりませんので、発生動向に関する疫学研究というところで、決して高度な解析ではないんですけれども、やはり解析を充実させるといったことを是非進めていただきたいと思います。
 このバース・コーホート・アナリシスでも、がんの世界だとがんセンターのホームページにはちゃんと出てきております。感染症は出ていませんので、是非とも発生動向調査の解析の充実を実施していただきたいと思います。
○木村座長 これは実際にやっているのは感染研になるわけですか。
○林課長補佐 そうです。今は感染症研究所で解析をさせていただいております。ただ、今の点で1点、国の定めの方でも課題がありまして、定点調査の場合は発生届けを1票1票いただいているわけではなくて、もともと5歳刻みの年齢で患者さんが何人いたという形でそもそも届出をいただいておりますので、患者さん一人一人の生まれた年というのがわかるわけではない、もともとそういう設計になっているという現時点での課題もございます。
○廣田委員 例えば、2010年に5歳だったら生まれた年はわかりますよね、年齢はわかりますから。
○林課長補佐 年齢も5歳刻みでとっているので、そこをうまくやるということが必要になります。
○廣田委員 それがわかれば、出生コホート別にできますから。何年生まれかを聞かなくても。
○木村座長 5歳刻みなら5歳刻みで推移を見て。
○廣田委員 出生コホート解析は、最初から大体5歳刻みでしていますから。
○木村座長 そのデータ解析の充実という辺りを盛り込めたら盛り込むと。
 ほかにはいかがでしょうか。「第5 国際的な連携」「第6 関係機関等との連携の強化等」。
○南委員 よろしいですか。どうしたらいいかという代案がないので、申し上げようかどうか迷っていたんですが、研究開発の4番目の社会面と医学面における性行動様式に関する研究ですけれども、先ほどちょっとお尋ねしたように、世界的に日本がどうなっているのかとか、今の日本の若者の状況を俯瞰して見たときに、時代でこうなっているのか、医学的にはどういうことが起こっているのかが非常にわかりにくい。いろいろな方が草食系とかいろいろなことをおっしゃるんですけれども、文化評的な話はいっぱいあるんですが、医学的に本当にどうなのかということはよくわからなくて、それが研究推進と国際ともちょっと絡むんですが、何か本当にきちんとした研究に根ざした解決策が探れるのであれば、本当に民俗の危機というのか、人類の危機なのかちょっとわかりませんけれども、非常に危機的な感じがしている方は多いと思うんですよね。今日は文科省さんも見えているんですが、先ほどの学習指導要領などを聞いていても、申し訳ありませんが、本当に出口があるのか非常に心配になるというような、もっと事態が先に行っているみたいな感じが非常にしていまして、木村先生が座長をしていらっしゃるエイズの方の会などでも、中学、高校の方々が持っている危機感というのは非常に強いものがあるというのを発言等で感じるところなんですね。現状の中・高校生の置かれている性行動に関する話というのは。ですから、こういう研究を進めるべきであるというのは、このとおりなんですけれども、これで本当に進むのか、大丈夫なのかという危惧を感じるんですが、どうしたらいいのでしょうか。
○小野寺委員 お答えになるかどうかわからないんですが、国際的に比較をする場合に、欧米もそうですけれども、性感染症は特に罹患率などを見ますと人種による差がすごく大きいんですね。ですから、アメリカでも例えば、黒人の女の子がすごく淋菌あるいはクラミジアの陽性率が高いとか、要するに、マイノリティでいまだにクラミジア・淋菌が増えているとか、そういう報告があって、なかなか比べにくいという現状があると思うんです。
 それから、HIVに関して言っても、要するに、感染源から見れば日本は圧倒的にMSMの患者が多いと思うんですが、必ずしも世界的にはそうでもないですよね。ですから、比較をする場合に、かなり各国の事情があって、日本みたいに単一民族のところはなかなかないですから、単純な比較というのはできにくいような気がするんですね。
○南委員 そうだとすれば、私どもの情報の出し方も、世界的にはこうで、日本はまだ安心というか、ちょっと事情が違うということをきちんと国民にも御理解いただいた上で、何が日本国内では問題かをもう少し丁寧に言っていく必要があるということになりますでしょうかね。
○木村座長 ここでも情報の提供の仕方と。
 ほかにはいかがでしょうか。
○白井委員 検査の推進のところで言おうかなと思ったんですが、例えば、資料2でポスターをつくっていただいているんですけれども、これを見ると多分、高校生のカップルかなと思うんですよね。これを文科省の方では学校に張ってもいいとか、そういうふうにはならないのかなと思ったんです。これを保健所に張っても高校生は誰も見ないと思いますので、どこで使おうかなと思ったり、こういうところを文科省と厚労省ですり合わせをして出てきているものであれば、活用方法がいろいろあるかなと思ったんですが。
○木村座長 文科省の感覚から言うとどうですか。
○有賀専門官(文部科学省) 高校にも配ってはいますよね。
○林課長補佐 配付は都道府県等にさせていただいて、そこで保健所に限らず公共の場所等を含め御活用いただきたいということで、勿論、学校にも張っていただけたらありがたいとは思っていますけれども、そこまでの指定はせずにお配りしております。
○有賀専門官(文部科学省) 学校には張れる話ですよね。それこそ学習指導要領の話で言ってしまうと、中3で教えているわけですから、中学校全部とか、小学校にはさすがに張れないにしても、高校には当然張ることはできるんですよね、内容的には。
○白井委員 いろいろな冊子を自治体から学校に配ると、学校によっては文科省からではないので配りませんというところが結構多いんですね。指導要領に沿っていますという一言が入れられたら、私たちの方でもいけるかなと思いましたけれども。
○林課長補佐 こちらの方の進め方として、今後の参考にさせていただきたいと思います。
○有賀専門官(文部科学省) これを今どうするかというのはここで確定的なお答えはできないにしても、確かにこれが文科省の連名ではないにしても、場合によってはこちらからお勧めというか事務連絡を出すことは可能ではありますので。この話も以前よりお聞かせいただいてはおりましたので。
○廣田委員 通常、学齢期の保健という立場で考えるんですけれども、そうすると学習指導要領の頑なさからはじき返されるわけですよね。その間の学校保健みたいな考え方で、もうちょっと柔軟に動いていただけたらなと、いつも思っております。
○木村座長 関係機関等との連携に関連する、今のポスターにしても、廣田先生の御意見にしても。
○有賀専門官(文部科学省) ただ、保護者に対するアプローチということになると、必ずしも学校の教育ということでなくてもいいわけですよね。北村先生が今日はいらっしゃらないので私も聞けないんですが、例えばですけれども、コンドームの使用などは義務教育終了までに教えるのが望ましいという意見は確かに圧倒的なんですけれども、多分大人に対してそれを一般的に聞けば、当然、その方が望ましいというお答えになるに決まっているんですよね。だったら、自分が15歳の娘・息子に教えますかという聞き方をしたらどうなるかという話もあるんじゃないかと思います。なので、当たり前のように子どもに対する教育というのは学校だけで教えるということではなくて、親がそれを避けずに教えるという体制をつくることも必要で、そこが私としては学校教育と社会教育との連携という話になってくるはずだと思うんです。
 正直私も学習指導要領は自分がつくっているわけではないので、学習指導要領に外れたことは簡単に学校では扱えませんという回答しかどうしてもできないんですけれども、教育内容というのはそのときのムードによって変えていいような話では当然ないわけですから、そう思うと、アプローチの仕方として、もっと親の教育というところでのアプローチの仕方というのはあるんじゃないかと常々思っておりました。
○木村座長 エイズ関連の人たちの意見では、文科省、PTAを含めた保護者、その辺りへのブリーフィング、情報提供が必要だというところでは一致している意見ですけれどもね。
 予定していた時間になりましたけれども、今日言い足りなかったこと、あるいは後で思いついたようなことがありましたら、事務局に御連絡いただくということで、今日のワーキンググループを終了にいたしたいと思いますが、事務局から何かありますか。
○林課長補佐 御議論どうもありがとうございました。次回はもう少し焦点を絞ってといいますか、むしろ、どう見直すかという議論に進んでいきたいと思っておりまして、できれば事務局から見直しのたたき台みたいなものを出させていただけないかと思っております。その意味から、今日、時間の御都合等で御発言いただけなかったこと等につきまして、もしございましたら、早いうちにでもいただければと思っております。一応、1週間ぐらいをめどに来週の水曜日辺りまでにこういったところをこう直すべきだというような御意見をいただければ、それも含めてたたき台をつくらせていただけたらなと思っております。
 また、今日御議論いただいた点で、より詳細な点について関係の先生方に御相談をさせていただければと思っておりますので、御指導をいただければ幸いでございます。
 最後に、冒頭おりませんでしたけれども、課長の亀井から一言ごあいさつを申し上げます。
○亀井結核感染症課長 結核感染症課長の亀井でございます。本日は、誠にお忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございました。今、国会も開かれておりまして公務が多忙な折、途中からの出席になりましたことをどうかお許しくださいませ。
 当ワーキンググループは、12月の開催に引き続きまして2回目の開催でございますが、東日本大震災が発生した影響がございまして、本日とさせていただきました。少し間が開いたこと、誠に申し訳ございませんでした。ただ、今日、自治体調査の関係、それから学校教育の関係につきまして御報告いただき、また、それ以外にも新しい問題についての御示唆をいただいたことについて感謝を申し上げたいと思います。今、林からも申し上げましたとおり、今日いただいた貴重な御示唆等を参考にさせていただきまして、今後の見直しの取りまとめに向けての礎とさせていただき、次回以降、具体的に指針の取りまとめ、どのような形がよろしいかということについて御相談させていただきたいと思っております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
○木村座長 どうもありがとうございました。
○林課長補佐 それでは、これをもちまして第5回のワーキンググループを閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課
03-5253-1111(2386)

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