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2010年12月13日 第50回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成22年12月13日(月)


○場所

厚生労働省専用12会議室(12階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、市川佳子、伊藤雅人、今田幸子、瀬戸実、高橋信雄、谷口元、露木保、土橋律、豊田耕二、内藤恵、中原俊隆、中村聡子、古市良洋、三浦武男、芳野友子

事務局

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

・報告書案について
・その他

○議事

○分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第50回労働政策審議会安全衛生分科
会」を開催します。本日は、名古屋委員、犬飼委員、高橋孝行委員、眞部委員が欠席され
ています。また豊田委員は30分ほど遅れて来られるということですので、来られるまでは
山口様に代理を務めていただきます。よろしくお願いします。
 議事を進めます。本日の議題は、「今後の職場における安全衛生対策について」です。
前回の分科会で報告の骨子案についてご議論いただき、ご了解いただいたところです。今
回は、前回の議論も踏まえ、骨子案に必要な部分を追加した報告案を事務局に作成してい
ただきましたので、報告案について議論したいと思います。それでは、事務局から説明を
お願いします。

○計画課長 説明に代えて読み上げます。

(資料1「今後の職場における安全衛生対策について(報告)案」を読み上げ)

○分科会長 いまお示しいただいた案については、これまでの議論や前回の骨子案の際の
ご意見が組み込まれていますので、大きな争点となるところはないと思いますが、ご意見
や補足する部分がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがですか。

○谷口委員 いま分科会長のご説明にありましたように、特に前回と争点はないというこ
とだったのですが、もし変更した部分があれば、趣旨が少し違うとか、変えたというとこ
ろがあれば、「てにをは」は結構ですが、ご説明をいただければと思います。

○計画課長 基本的には前回お示しした骨子案に若干説明書き、趣旨、背景等を加えつつ、
その際にいただいたご意見を反映させているところですが、変更点といいますか、少し書
きぶりを変えた点として、機械の譲渡時における危険情報の提供の促進、あるいは自主的
化学物質管理の促進の関係について、骨子案においては、その促進する手段として努力義
務とするという考え方をお示ししていましたが、その後、政府部内でもいろいろ検討を加
えたところ、安衛法の中でいろいろな規定部位等について、どういう形で最終的に促進し
ていくということがベストとなるかについては、まだ検討中という状況もありましたので、
そういう意味で少しいろいろな書き方、対応ができるようにということで、恐縮ですが、
表題どおり「提供の促進をすることが適当」という書き方で、化学物質のところと機械の
ところについては整備をしているところですが、基本的な考え方は、そういうことで変わ
っているということではないと理解しているところです。化学については、基本的には前
回の骨子案およびその場における議論を踏まえているという形になっていると理解してい
るところです。

○谷口委員 いまのご説明ですと、「促進をすることが適当」というのは、努力義務が妥
当であると、意味としてはそういう理解でよろしいわけですね。

○計画課長 前回も議論はあったかと思いますが、促進ということで、ベースになってい
る今回の考え方は、機械の危険情報の提供にしても、化学物質の管理についても、事業者
のリスクアセスメントをより確実に実施するための手段として位置づけられているという
議論であったかと思います。いま安衛法においては、そこのリスクアセスメントの部分が
事業者の努力義務という形に規定されていますので、そういう意味でそれをバックアップ
するものとしては、それを促進するという意味で、努力義務という考え方で骨子案を示し
たところです。
 そういう意味で、ご質問の趣旨がもし義務ではないのかというご意見だとすると、そこ
はそういうことで義務という形ではなくて、取組を進めていくという意味で、努力してい
ただくことを何らかの形で法令ベースに入れていくと、その考え方においては違いがない
と、そういう理解です。

○谷口委員 前回この場の骨子案で合意に至った中身は、義務ではなくて努力義務が二通
りあるという趣旨だったと思うのです。繰返しの質問になりますが、ここに記載されたこ
とは、努力義務という意味で、表現としてはこう書いたと、こういう理解でよろしいかど
うか、もう1回確認をします。

○計画課長 努力義務というのが、法律に直接書く努力義務もあれば、ご案内のように省
令レベルで書いてある努力義務、あるいは法律に基づく指針において取組を進めているた
めに努力義務、努めるという形で書かれているものもあります。そういう意味では、法令
のレベルの違いはありますが、それらを含めて努力義務ということであるとすれば、それ
は同じ原則でいうところの努力義務という意味では提供を促進することが適当だという意
味だと考えているところです。

○谷口委員 たしかここの中での議論は、法律上の努力義務に位置づけるという議論だっ
たと思うのですが、いまのお話でいうと、そうではない省令レベルで示すものについても
その範疇だったというご説明だというふうに聞こえたのですが、これまでの議論は法律上
の法改正を伴う努力義務に位置づけるというお話だったというふうに私は理解をしていた
のですが、そこは違うのですか。

○計画課長 言葉が足りませんでした。前回の骨子案においては、基本的に法令で努力義
務を規定するという考え方の下に説明をしていたと思います。ただ、その後は政府の中に
おいて法制的な整備をしていく中において、先ほど言いました本則の中に書くのが安衛法
全体のいろいろな体系上、適当かどうかということについては、もう少し関係する所と調
整しなければならないものですから、そこはもう少し時間をいただいて政府で検討したい
と。そういう意味では、前回お示ししたものと考え方が少し変わっている考え方です。法
令レベルのものであったことについて、若干修正しているという点については、そのとお
りです。

○市川委員 ただいま谷口委員のほうからも質問をさせていただき、課長のご説明を伺っ
たわけですが、労働側の委員としては、前回の骨子案よりもかなり後退をしているという
印象をもっておりまして、このことについては非常に遺憾であると考えています。とはい
え、これまでの議論を踏まえて、遺憾だから同意しないということではありません。しか
し、これまで法律のつくりの問題で、省内でもご議論があったのでしょうけれども、本来
は審議会、この分科会の結論は結論として出すべきであったと思います。分科会の結論に
基づいて法制上の様々なテクニカルな問題が仮にあったとして、それによって、この分科
会のまとめの方向とは、若干ニュアンスというか内容が違うような書きぶりになってしま
うことが法律のテクニカルの問題としてあるかもしれない。しかし、本来分科会のまとめ
はまとめとして、骨子案にそった内容が出されるべきであると考えますし、極めて残念で
あることを申し上げておきたいと思います。
 それに加えまして、そもそもリスクアセスメントの実施自体が安全衛生法上努力義務に
なっているということが問題であり、そのことを含めた安全衛生法に関わるさらなる議論
を、今後とも引き続きしていくことが重要ではないかと思っております。これまで何度か、
私はこの分科会で申しておりますけれども、事故が起こってからの事後対処ではなくて、
未然にリスクを洗い出して、未然に事故を防止していくというように労働行政としても施
策を転換していくことが必要です。リスクアセスメントの実施自体がいまのままでいいの
か。特に中小事業所等で推進が進まないという事態をこのままにしておくということは、
やはり問題があると思っています。改正安全衛生法の施行後6年経ち、その他にも課題が
多くあるわけです。今回は機械と化学物質、あるいは受動喫煙対策、メンタルヘルス対策
でした。私は最初に、改正安全衛生法施行後の、この6年間の状況をきちんと洗い出して、
これ以外の課題についても明確にして議論をすべきだという意見を申したと記憶しており
ます。この4課題以外にも、労働側として課題認識をもっている点がいくつかあります。
したがって、リスクアセスメントの導入も含め、さらなる安全衛生行政の充実、あるいは
法改正も含めた安全衛生の施策の議論を、これで終わりということではなく、引き続き検
討をしていくことが必要であるということを意見として申したいと思いますし、この機械
と化学物質については極めて残念であることも表明しておきたいと思います。

○分科会長 それではそういったご要望を引き続き、これについては検討していくことで。
文章の修正は行わないということでよろしいですか。

○市川委員 はい。

○分科会長 ありがとうございます。

○瀬戸委員 前回、この報告書案の議論のときに申し上げればよかったのかもしれません
が、受動喫煙の関係で4頁の(5)の真ん中辺に「顧客が喫煙する飲食店、ホテル・旅館等の
中でも空間分煙に取り組む事業者に対して、財政的支援を行うべき」と、こう書いてあり
ますが、この報告案を変えてくれということではないのですが、要望として、この上のほ
うの一般事務所あるいは工場、中小の町工場における工場等においても、その空間分煙と
言いますか、そういったところの設置をするときの財政的支援というものも是非今後の検
討課題にしていただければと思います。それはこの(5)のなお以下でも書いてありますが、
「更なる支援の必要性について」云々今後検討をすべきであると、ありますので、是非そ
ういった町工場等、中小事業者の所にも、この飲食、ホテル・旅館以外ではありますが、
そういったところの財政的支援もご検討いただきたいということです。

○分科会長 ご要望ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。

○伊藤委員 私のほうからは、大きな3、4番について意見を述べさせていただきます。ま
ず、3「職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化」の(2)と(4)の部分ですが、全面禁煙
とか空間分煙の措置を行うことが困難な飲食店、ホテル・旅館において換気量の確保が困
難となる場合、浮遊粉じん濃度のみの基準を達成しなければならず、粉じん除去のための
新たな設備を導入することが必要なケースが想定されます。中小企業からは多額の費用が
かかることを心配する声が寄せられておることから、設備導入に対する支援が必要と考え
ます。それから、設備の導入によって基準が達成できない場合、その建物において営業を
続けられないケース。例えば建物の中でも配管の許容量というのがありますから、その場
合、店舗の移転を強いられることもあると。移転が不可能であれば閉店するしかない。こ
のような飲食店への支援も必要と考えます。
 それから(5)の部分です。いまの話は飲食店、ホテル・旅館ということでのお願いだった
のですが、それに限らず、事業者が受動喫煙防止対策に取り組むにあたっては、設備投資
の新たな負担がこれも生じます。その影響を緩和するために財政的な支援の施策が必要と
考えます。
 それから大きな4番「職場におけるメンタルヘルス対策の推進」の、全般的に言えるこ
とですが、労働者のメンタルヘルスの不調は、職場の要因、家庭、職場以外の要因が複雑
に影響し合うことが一般的です。職場におけるメンタルヘルス対策は重要なテーマとして
私ども認識しておりますけれども、職場における対策だけでは効果は限定的だと考えます。
最も効果的な取組の1つは、予防の観点から労働者一人ひとりがストレスに気づき、これ
に対処するための知識、方法、これを実践するセルフケアであると考えます。事業者によ
る取組と並行して、セルフケアの更なる普及と促進を図ることが大切と考えます。
 4の(7)うつ病等による休職者の職場復帰のための支援の実施について、厚生労働省が策
定しました「職場復帰支援の手続き」としては、「試し出勤制度」が早期の復職に役立つ
としております。東京商工会議所としても、昭和21年に発行しました中小企業のためのメ
ンタルヘルス対策ガイドブックにおいて、休職中における試し出勤が復職に有効な手段の
1つであることを紹介しております。これらの取組について、休職中の従業員は、労務の
提供がないために、会社の行き帰りに交通事故に遭った場合などに労災法の通勤災害の適
用にならないといった問題が起きています。職場復帰の割合を高めるために、試し出勤は
効果的であると考えられるため、試し出勤に取り組む労働者の法的な位置づけについて、
今後、検討を考えるべきだと考えます。

○分科会長 はい、ありがとうございました。ご要望として承りたいと思います。

○市川委員 少し確認をさせていただきたいと思います。再確認です。5頁の(3)メンタル
対策で、労働者に不利益な取扱いをしてはならないこととするとあります。この「しては
ならないこととする」というのは、どこにどういう位置づけで規定をするのかの確認をし
たいと思います。

○計画課長 先ほどのお話にもありましたが、当然法律を出していく際には今後また検討
していかなければならないことがありますので、いまのこの時点での考え方ということで
進めていけるということではないということは、あえて二度と前回のようなことがあって
はいけませんが。ここで書いてある趣旨は、当然、不利益取扱いを禁止することであれば
法律的な手当が必要だと思いますので、法律の中にそういう規定をおいていくという考え
方でここは整理していると理解をしております。

○芳野委員 同じく職場におけるメンタルヘルス対策の推進のところの(7)で、要望ですが、
ここでは職場のメンタルヘルス対策の施策を講ずるということで示されているわけですが、
労働者のメンタルヘルス不調については、自殺対策とか、長時間労働対策の取組というも
のがありますので、縦割りではなくて、全体として取り組んでいただきたいということを
要望として発言いたします。よろしくお願いします。

○分科会長 ご要望としてお伺いいたします。

○明石委員 いま市川委員が言われたところに関して、事業者は労働者が面接の申出を行
ったことや、面接指導の結果を理由として、と書いてあり、面接の申出はわかるのですが、
「面接指導の結果」というのは何を表すのでしょうか。

○計画課長 面接指導の申出自体は申出ですが、結果、例えば不調である、あるいは病気
であるというようなことがわかったら、そのことをもってどうこうというようなことが、
典型的なものだというように思います。逆に、例えば面接指導の結果、この方は残業をさ
せていけないというような意見が出て、その方を残業させなかったと。ご本人にとっては
残業できないわけですから収入が減るということで、それを当然不利益取扱いだと考える
わけではありません。要はあってはならないという意味での不利益取扱いを禁止するとい
う趣旨です。ただそこは、いろいろな場面において判断が難しい場面があるということに
ついては、労使双方からご意見をいただいているところですので、この報告書案において
は、今後、十分実態を聞かせていただく中で整理をする、というように記載がされている
と理解しております。

○分科会長 よろしいですか

○明石委員 はい。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○市川委員 少し細かくなりますが、まとめに近づいていますので、確認をさせていただ
きます。この分科会のまとめという文章の性格から言って、ここにこう書いてあるという
ことは、どういう効力を発するかという観点から、いくつかお尋ねをしたいと思います。
 まず、2頁の機械譲渡の(5)のいちばん下、好事例を収集・提供すべきであるというのは、
主語が「国は」となっているから、国がやるということでよろしいですね。
 それと3頁の(5)リスクアセスメントを実施できる簡易な手法の開発等をすべきである。
これも国がやるということでいいのですね。その次の(6)引き続き検討をすべきであるとい
うことは、先ほど意見を申した点も含めて、化学物質管理についてまだ残された課題があ
るということを理解しておりますが、どのような場所で、どのような範囲で検討されてい
くと、いま当面の予定をされているのかどうかということをお聞きしたい。
 それと5頁の(6)地域産業保健センターにおいて、最後、機能を強化すべきであるという
書きぶりで、国はそうすべきであるというのは、予算措置も、来年はだいぶ増やしている
というような説明がありましたけれど、具体的にもう少し明らかにしていただきたい。

○計画課長 最後の質問は労働衛生課長のほうからお答えいたしますが、まず、2頁の(5)
好事例を収集・提供すべきであるというところは、主体は国です。パラグラフごとに「国
が」で始まっているパラグラフは、すべて国向けに書いているというように全体で統一し
て整理しているところです。そういう意味で3頁の(5)についても、主体は国ということで
す。(6)の検討すべきであると言っているのは審議会ということですので、そういう意味で
は国もやりますし、当然審議会の場でも検討してもいいということだろうと思います。具
体的には、化学物質会議については、現在同時進行的に、また専門家の方々にお集まりい
ただいた検討会のほうで議論を進めていただいているところですので、まずはそこの検討
会の場で引き続き懸案になっているものについてご議論をいただければと思いますし、さ
らにこういう点もあるのではないかということがあれば、そこの中で問題提起をしていた
だく中で議論をしていただくということではないかと思います。最終的には、労働政策審
議会安全衛生分科会のほうで検討を進めていくということになろうかと理解をしていると
ころです。

○労働衛生課長 地域産業保健センターの機能強化について、今年行われました事業仕分
けにおいて、産業保健推進センターと地域産業保健センターの中で、情報提供機能や研修
機能が重複している部分があるのではないかということで、この部分については、基本的
に産業保健推進センターのほうに機能を整理するということにいたしまして、その分の予
算については、来年度要求からは減額で整理しているところですが、従来、一般的な健康
相談としていたものをメンタルヘルス対策に重点化する、あるいは過重労働対策として長
時間労働の面接指導、それから健康診断後の事後指導をきちんと行うということで、機能
を重点化した上で、それに従来必要だった予算については確保しているところです。
 また、これまで保健師の活用は十分ではなかったという点から、来年度はそういった試
用の中で保健師の活用も強化していくようにと、応募を募りたいというように思っており
ます。そうした整理をした上で、さらに、来年度は現状の予算の確保ということで一応整
理しておりますが、更にその次の年度になってこういった新たな枠組みが導入されれば、
50人未満のニーズの増大に対応する形で、また予算要求を検討していかなければいけない
というように考えているところです。

○市川委員 わかりました。なぜこのようなことを聞いたかと申しますと、まとめの中に、
国はこれこれをすべきであるということがいくつか出ているわけです。これは法律改正で
はなくて、施策としてやるべきだと。こういったことがいつ着手されて、こういう検討が
始まった、あるいは作成のプロセスが始まったということは、やはりこの分科会において
逐次ご報告をいただくとともに、その内容等々について、もし可能であればその作成の途
中の段階において、多少我々も意見が言えるような場をつくっていただければ大変にあり
がたい。始まりから完成までの間に時を見ながら、是非、分科会でのご報告ということは
お願いをしておきたいと思います。

○分科会長 いかがでしょうか、ほかにございますか。

○瀬戸委員 これも要望になるかもしれませんが。先ほどの受動喫煙の4頁のところで、
(4)に、粉じん濃度とか1時間あたりの必要換気量とかを書いてありますが、お店の店主に
とって、自分のところがここに適合するのかどうかもわからないだろうと思いますし、そ
ういうことのためにこの粉じん計の貸与といったものがあるのだろうと思いますけれども、
是非ともこの受動喫煙防止対策の普及に十二分の時間をかけていただいて、あるいはこの
粉じん計の貸与というのはどこに申し出たら借りられるのかとか、そういったところも含
めて十二分に周知をしていただきたいということです。
 もう1つ、これは細かい話ですが、5頁の上から4行目の文章に、事業者に対し面接の
申出を行った場合と書いてありますが、事業者に対し、「医師への」面接の申出というよ
うな言葉を入れたほうがいいのではないかと、読んだ中で感じました。

○計画課長 ご了解いただければ「医師への面接の申出」と直させていただきたいと思い
ます。4行目の頭から「事業者に対し医師による面接の申出を行った場合には」で、よろ
しいでしょうか。
(了承)

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○豊田委員 職場における自主的化学物質管理の促進に関して、一言意見を述べさせてい
ただきます。本事案に対するあり方としまして、化学物質による労働災害の一層の減少を
図るために、2点に絞り込まれたというように理解しています。1点は化学物質の危険有害
性情報の伝達、及び活用を促進すること。2点目はリスクに基づく合理的な自主的化学物
質管理を推進すること。この2点に絞り込まれたと思っております。今回の報告案の(1)、
(2)は、このうちの前者の化学物質の危険有害性情報の伝達および活用を促進することに対
する対策としての大きな枠組みというように理解しております。ただ、私どもも第43回の
審議会のおり、委員提出資料の中で述べさせていただきましたとおり、この(1)、(2)が実
行可能なものとして円滑に機能をし、安全の確保に効果的にするためには、GHSのラベル
表示、及びMSDS交付関連の普及、教育、およびインフラ整備推進というのは車の両輪とし
て不可欠と述べさせていただきました。その答えとしての対策がこの(3)から(5)の文言と
いうように理解しております。
 また、こういうリスクによる管理が時代の潮流である中、リスクに基づく合理的な自主
的化学物質管理を推進することも非常に重要でありまして、それに関する文言がこの(6)と
いうように理解しております。つきましては、本事案の今後の取決めに当たりまして、本
報告を踏まえ、以上の経緯、精神を是非ともご勘案の上、促進をお願いしたいと思います。
 本事案につきましては、本年前半のあり方検討会を踏まえ、安全衛生分科会の第43回、
第49回における審議を経て、本日の報告案に至ったわけでありますけれども、これまでの
厚生労働省事務局及び本件に係わった全ての関係者の方々のご努力に、改めて御礼を申し
上げます。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○谷口委員 4番のメンタルヘルス対策の(4)は、事業場外組織についての文書だと思いま
すが、骨子案の段階では、この組織を法令上位置づけることという記載があったと思うの
ですが、その記載がなくなっているというのは、法令には位置づけないこともあるという
理解になるのでしょうか。私の理解としては、産業医と同じようにきちんと法令上位置づ
けるという理解をしておりましたが、ここについてご説明をいただきたいと思います。

○計画課長 この報告書全体として、法律とか法律ではないというようなことは書かない
ようなことで全体を整理しておりましたが、ここだけ書いてあるということでしたので、
それは全体の整理の中で統一した表現に直させていただいているという理解ですが、ここ
に書いてありますような、嘱託産業医と同様な役割をできるようにするためには、法的な
手当が必要になるのではないかというように考えているところです。いずれにしましても、
今回ご報告いただいたあと、今度は私どもとしまして、成案を作り、年明けになると思い
ますけれども、分科会のほうにお諮りするまでの間に、その辺りの詳細を詰めていくとい
う形になるということは、先ほど申し上げているとおりであります。

○谷口委員 ありがとうございます。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○高橋(信)委員 1点確認させてください。5頁の(7)の(?)の管理職に対する教育とあ
りますが、これはいわゆる労基法などでいう管理職だけとは思っていないのですが。いわ
ゆる監督職とか保安マン、現場のリーダー、こういう方も含めていただいたほうが実効が
上がると思うので、そういうトーンで報告書も作っていただければと思います。よろしく
お願いします。

○計画課長 別に厳密な意味で管理職と書いているわけではありませんで、ラインのケア
という意味での管理職ということですので、そこら辺は工夫したいと思います。

○土橋委員 前回の報告書と見比べて気がついたのですが、5頁のメンタルヘルスの(7)で、
前回の報告書では施策を講じるべき事項として6項目が上がっていたのですが、今回は5
項目になっています。最後の項目の「労働者がメンタルヘルス不調にならないための職場
環境」というのが見当りませんが、これは割愛したのでしょうか、それとも別な箇所の記
載から読めるということでしょうか。

○計画課長 その点につきましては、ほかの項目よりも、より本質的かつ重要な課題とい
うように整理しまして、この(7)の端書きの中に「新たな枠組みの導入と併せ」のあとに
「労働者がメンタルヘルス不調にならないための予防的な観点からも長時間労働の抑制等
の働き方の見直しに向けた取組を進めるとともに」という形で、要は端書きののほうに昇
格させたという形で理解をしているところです。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにはどうでしょうか。よろしいですか。
 それでは、いろいろ貴重なご意見をいただきまして、またご要望もたくさんいただきま
したので、事務局にはその点も留意していただきたいと思います。
 以上で「今後の職場における安全衛生対策について(報告)(案)」につきまして、意
見が出つくしたと思いますので、取りまとまったと思います。
 報告案がまとまったところで、次回は大臣の都合がよろしければ、大臣に対して直接建
議を行いたいと思います。また、建議の後、政省令改正事案として、「酸化プロピレン等
の健康障害防止措置の拡充」、「健康管理手帳の交付対象業務追加」、「石綿等の適用除
外製品の見直し」について、当分科会へ諮問したいと聞いておりますので、併せて準備を
お願いいたします。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
○計画課長 次回の分科会は、12月22日(水曜日)の16時より、場所は厚生労働省議室
(9階)において実施する予定になっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○分科会長 それでは本日の分科会はこれで終了いたします。
 なお、議事録の署名につきまして、労働者代表は市川委員、使用者代表は伊藤委員にお
願いいたします。
 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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