ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録




2011年2月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年2月21日(月)15時~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(11名):五十音順 敬省略

 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 千 葉   勉、  手 島 玲 子、

 野 田 光 彦、 林    邦 彦、 檜 山 行 雄、  古 川   漸、

◎松 井   陽、   松 木 則 夫、  山 田 清 文

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

 欠席委員(7名):五十音順 敬省略

 清 水 秀 行、  鈴 木 邦 彦、 ○永 井 良 三、 成 冨 博 章、

 西 澤   理、  村 田 美 穂、  本 橋 伸 高

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、清水委員、鈴木委員、永井委員、成冨委員、西澤委員、村田委員、本橋委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 現在のところ、当部会委員数18名のうち11名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
 それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~16をあらかじめお送りしています。この他、資料17「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料18「専門委員リスト」、資料19「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 また、当日配付資料といたしまして、資料20「医療用配合剤に求められる事由の4.のみに該当する経口医療用配合剤部会審議までの流れ」を配付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料19「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。
 1ページを御覧ください。ミルセラですが、本品目については腎性貧血を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページを御覧ください。ポプスカインですが、本品目は伝達麻酔を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 4ページを御覧ください。イクセロンパッチ/リバスタッチパッチですが、本品目は「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 5ページを御覧ください。リクシアナですが、本品目は膝関節全置換術等の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 6ページを御覧ください。グルベスですが、本品目は2型糖尿病を効能・効果とする速効型インスリン分泌促進剤とα-グルコシダーゼ阻害剤の配合剤です。本剤に含まれる各有効成分と同じ作用機序を有する薬剤を組み合わせた配合剤はございませんが、単剤として同様の臨床的位置付けにある薬剤について、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 7ページを御覧ください。サイモグロブリンですが、本品目は「腎移植後の急性拒絶反応の治療」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 8ページを御覧ください。レクサプロですが、本品目は「うつ病・うつ状態」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 9ページを御覧ください。KW-6500ですが、本品目は通常の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病における症状の日内変動に対するレスキュー療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤が認められていないことから、競合品目はなしとしています。
 10ページを御覧ください。スチリペントールですが、本品目は「クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムでは発作を十分にコントロールできない乳児重症ミオクロニーてんかん患者の間代発作及び強直間代発作の補助療法。クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムと併用する。」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤が認められていないことから、競合品目はなしとしています。
 11ページを御覧ください。Genz-112638ですが、本品目は「ゴーシェ病I型」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は認められていないことから、競合品目はなしとしています。
 12ページを御覧ください。ミグルスタットですが、本品目は「ニーマン・ピック病C型」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は認められていないことから、競合品目はなしとしています。
 最後の13ページを御覧ください。セイブル錠ですが、本品目は糖尿病の食後過血糖の改善を効能・効果とするα-グルコシダーゼ阻害剤です。同様の作用機序にあって、小児に対する適応を有する薬剤が認められていないことから、競合品目はなしとしています。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1「ミルセラ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、林委員です。
 議題2「ポプスカイン」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、千葉委員です。
 議題3「イクセロン・リバスタッチ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、千葉委員、野田委員、林委員、松木委員です。
 議題4「リクシアナ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、千葉委員、野田委員、古川委員、松木委員です。
 議題5「グルベス」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、千葉委員です。
 議題6「サイモグロブリン」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。
 議題7「レクサプロ」ですが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、野田委員、古川委員、松木委員です。
 議題8「KW-6500」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。
 議題9「スチリペントール」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。
 議題10「Genz-112638」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。
 議題11「ミグルスタット」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。
 議題12「セイブル」ですが、退室委員、議決に参加しない委員は、共にいらっしゃいません。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項は12議題、報告事項が4議題となっています。
 それでは、議題1にうつります。議題1について、医薬品医療機器総合機構からが概要を説明してください。
○機構 議題1、資料1「医薬品ミルセラ注シリンジ25μg、同注シリンジ50μg、同注シリンジ75μg、同注シリンジ100μg、同注シリンジ150μg、同注シリンジ200μg及び同注シリンジ250μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 腎性貧血は慢性腎臓病の合併症の一つであり、腎臓で産生される造血因子エリスロポエチンの産生能低下を主因とし、貧血の原因が腎障害以外に考えられない場合に診断されます。
 腎性貧血の治療を目的として赤血球造血刺激因子製剤が開発され、本邦では、1990年に遺伝子組換え型のヒトエリスロポエチン製剤が承認されました。その後、持続型製剤であるダルベポエチンアルファ製剤が、2007年に承認され、使用されています。
 エポエチンベータペゴル(遺伝子組換え)(以下、「本薬」)は、エリスロポエチン製剤であるエポエチンベータに1分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール分子を化学的に結合することにより合成された新規の持続型製剤であり、海外ではスイスロシュ社により開発されました。
 今般、中外製薬株式会社により、国内での開発が行われ、承認申請がなされました。 なお、本品目については、2007年7月に欧州において、初めて承認された後、2010年10月現在、米国をはじめとする世界104か国において、腎性貧血に対し承認されています。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料18に示します専門委員を指名いたしました。
 資料18「専門委員リスト」について、1点修正があります。こちらに示した専門委員のほかに、山口照英先生、川崎ナナ先生についても専門委員として指名をしております。申し訳ございませんでした。
 以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 本申請に際し、有効性の評価資料として、国内臨床試験14試験の成績が提出され、また、安全性の評価資料として、これら14試験に加え臨床薬理試験6試験を含む国内臨床試験20試験の成績が提出されました。
 有効性について、審査報告書52ページの5行目を御覧ください。
 血液透析患者を対象に実施したJH20876試験において、主要評価項目である「ベースラインHb濃度からの評価期間の平均Hb濃度の変化量」について、群間の平均値の差は0.457g/dLであり、本薬群とエポエチンベータ群の同等性が検証されました。
 また、審査報告書56ページの5行目を御覧ください。
 保存期慢性腎臓病患者を対象に実施したJH22757試験において、主要評価項目である「目標Hb濃度と評価期間におけるHb濃度の平均値の差」について、本薬群では95%信頼区間が±1.0g/dLの範囲内であったことから、本薬群の目標Hb濃度に対する維持効果が示されました。また、もう一つの主要評価項目である「評価期間におけるHb濃度の平均値」について、群間差は0.47g/dLであり、本薬群のエポエチンベータ群に対する非劣性が示されました。
 以上の検証的試験、及びその他の血液透析患者、腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者を対象とした各臨床試験成績を踏まえ、腎性貧血に対する本薬の貧血改善効果及び維持効果は示されていると判断しました。
 安全性について、審査報告書53ページの表54、審査報告書55ページの表59及び審査報告書57ページの表65を御覧ください。本薬とエポエチンベータの効果を比較した第III相試験であるJH20876試験、JH20565試験及びJH22757試験における有害事象について、それぞれ記載しております。
 本薬投与時にエリスロポエチン製剤で認められている既知の有害事象と比較して特段問題になるものは認められていないことから、個々の患者の状況に応じて適切な用量調整を行い、有害事象の発現に注意しながら使用することで、現時点で本薬について、エリスロポエチン製剤で知られていない新たな安全性上の問題が生じる可能性は低いと考えました。
 また、審査報告書71ページの表85を御覧ください。国内で実施され、本薬が24週間以上投与された臨床試験を併合し、1年以内に認められた有害事象について時期別の発現状況を示しております。
 本薬の投与期間が長期になるにつれて発現率が上昇するような事象は認められなかったことを確認しました。
 以上から、従来のエリスロポエチン製剤と比べた時の本薬投与時の安全性に、大きな問題はないと考えました。
 以上のような機構での審査の結果、腎性貧血に対する本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本薬は新有効成分含有医薬品に該当することから再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。
 また、本日御欠席の清水委員より、事前に御質問を3点いただいています。審査報告書に記載しているいくつかの点について、添付文書への記載が好ましいということでした。
 1点目は、審査報告書64ページ、ヒト型のエリスロポエチン製剤が未投与で、かつ過剰な造血が危険因子となる心血管系合併症を有する患者、血液透析及び腹膜透析導入開始直後で状態が不安定な患者、エリスロポエチン製剤の投与量が一定しない等の状態が不安定な患者に対しては、持続型のESA製剤である本薬は推奨できないと考えるとしたことについて、この点については添付文書(案)の【使用上の注意】の「2.重要な基本的注意」の項の(6)において、本剤は持続型製剤であり、エリスロポエチン製剤と比較して造血作用が長時間持続するため、血圧、Hb濃度、ヘマトクリット値等の推移に十分注意しながら投与するよう注意喚起しております。
 それに加え、エリスロポエチン製剤が未投与で、かつ過剰な造血が危険因子となる心血管系合併症を有する患者については、添付文書(案)の【使用上の注意】、1.慎重投与の項の(1)(2)において、注意喚起しています。
 また、エリスロポエチン製剤の投与量が一定しない患者については、添付文書(案)の<用法・用量に関連する使用上の注意>の「1.切替え初回用量」の項において、エリスロポエチン製剤から本剤に切り替える場合には、Hb濃度あるいはヘマトクリット値の推移が安定していることを確認するよう注意喚起しております。
 2点目ですが、審査報告書の92ページの投与経路の変更については臨床試験でも検討されておらず、投与経路を変更する場合にはHb濃度の推移を慎重に確認する旨の注意喚起が必要と考えるという点について、御指摘をいただきました。この点については、添付文書(案)の「薬物動態」の項において、投与経路によって薬物動態のパラメータに差があることが示されており、投与経路の変更によりHb濃度が変動する可能性があることについては、添付文書(案)上で情報提供を行っております。
 3点目ですが、審査報告書の93ページ、国内臨床試験においてダルベポエチン製剤から本薬へ切り替えて使用した経験は無いため、ダルベポエチンから本薬への切替え初回用量を設定することは困難であり、ダルベポエチンから本薬の切替え初回用量は検討されていないことを注意喚起する必要があると考えるという点について、ご指摘をいただいておりますが、この点については添付文書(案)の<用法・用量に関連する使用上の注意>の「1.切替え初回用量」の項において、国内臨床試験において、ダルベポエチン アルファ製剤からの切替え初回用量については検討されていない旨、注意喚起しております。
 この点を清水委員に回答し、御了解をいただいています。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 基本的なところを2点、お伺いしたいと思います。
 1点目は、52ページ辺りに、有効性について臨床的なHb濃度のエポエチンベータとの比較がありますが、それほど差があるようには思えません。こちらに変更した方が、有効なのでしょうか。
 2点目は、有害事象についてです。臨床的に、高血圧や心血管系の影響について調べられているので、このようなことが起こった時に、ストップすることは記載されているのですが、実際に赤血球の過形成が起こることはあるのでしょうか。
○機構 有効性についてですが、こちらの臨床試験については、腎性貧血の患者を対象に臨床試験が実施されており、目標とするHb濃度を維持することがエリスロポエチン製剤には重要と考えられています。これまでのエリスロポエチンベータと比較して、本薬は同様にHb濃度の調整ができるということが、この試験から示されていますので、有効性については問題ないと考えています。
○松井部会長 2点目の赤血球系の過形成についても、お答えください。
○機構 2点目の有害事象、赤血球の過形成についてですが、本剤の薬理作用から考えると造血作用があり、理論的にも高血圧や赤血球の形成が認められる薬剤ですので、そういったことが認められる可能性はあります。しかし、高血圧の事象やHb濃度の推移を確認しながら本剤を使うことで、調整は可能ではないかと考えています。そのような問題が起きた時には、休薬、減量等の処置を取っていただくことが適当かと考えています。
○佐藤委員 質問があります。臨床的には、高血圧や血栓が起こるくらいですが、動物実験では、さらに造血してしまうということから、実際はどの程度、過形成が起こってしまうのでしょうか。そのデータは、ありますか。
○機構 毒性試験が実施されており、投与量を増やすことによって造血が起き、その造血作用により様々な障害が認められる可能性もあります。そのため、ヒトで認められる可能性はありますが、ただHb濃度の推移等を見ながら用量を調整することで、ある程度の調整は可能かと思います。また、従来のエリスロポエチン製剤においても、投与量を増やすことにより、そういった毒性が認められることが知られており、本薬と従来のエリスロポエチン製剤と比べても、本薬に特異的な有害事象が認められるということは、今のところ認められてはおりません。
○松井部会長 よろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○松井部会長 ほかの委員の先生方、御意見、御質問はいかがですか。どうですか、手島委員。
○手島委員 細かいところですが、純度についてお伺いしたいと思います。例えば、承認申請書の「25μg」のダグの付いた29ページには、蛋白質のサイズ排除クロマトグラフィーの単量体と会合体の比率で単量体が□%以上、会合体が□%以下ということが記載されています。会合体が本当に少量であることも分かり、「2)サイズ排除クロマトグラフィー」で、純度は単量体が□%以上、会合体が□%以下となっています。実際の図は、61ページ以降の別図の(A-6)に付いていますが、単量体と会合体の先に□□□□というものがあります。□□□□とは、どのようなものなのでしょうか。さらに、□□□□があることで、抗原性等に影響はないのでしょうか。
○機構 手島委員より御指摘いただいた承認申請書ですが、そちらは重要中間体のエリスロポエチンであり、御指摘いただいた図は、エポエチンベータペゴルなので、図が異なります。
 □□□□ですが、こちらはエポエチンベータペゴルに対して、□□□□□□□□□□□□を□□□□と言います。現在、それに起因する免疫原性等の問題は無いことが確認されています。
○手島委員 □□□□□□□ではなく、□□□□□ものということから、□□□□□□ではないので、抗原性に影響は無いということですか。
○機構 はい。
○手島委員 わかりました。
○松井部会長 測定にも、影響は無いということです。ほかにはありますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題2にうつります。議題2について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題2、資料2「医薬品ポプスカイン0.5%注50mg/10mL及び同0.5%注シリンジ50mg/10mLの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定及び毒薬又は劇薬の指定の要否について、並びに医薬品ポプスカイン0.25%注25mg/10mL及び同0.25%注シリンジ25mg/10mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は、ブピバカイン塩酸塩水和物(販売名:マーカイン注)の光学異性体であるレボブピバカイン塩酸塩を有効成分とする長時間作用型の局所麻酔薬です。海外においては、ブピバカインのS(-)-異性体であるレボブピバカインはR(+)-異性体であるデクスブピバカインと比較して血管内誤投与時の心毒性が低いと報告されたことを踏まえて本剤が開発され、1998年にスウェーデンで承認されて以来、2010年2月現在、英国、フランス等66か国で硬膜外麻酔、伝達麻酔、脊椎麻酔、浸潤麻酔及び術後鎮痛に対して承認されております。本邦においては、2008年4月に本剤0.75%製剤が硬膜外麻酔、0.25%製剤が術後鎮痛に対してそれぞれ承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料18に記載されております4名の委員を指名いたしました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 本剤の有効性について、審査報告書10ページ、表5を御覧ください。腋窩部腕神経叢ブロックによる日本人手術患者を対象とした第III相試験において、本剤0.25%40mL(レボブピバカインとして100mg)及びブピバカイン0.25%40mL(ブピバカイン塩酸塩水和物として100mg)を投与した時、橈骨、正中、尺骨、筋皮、内側前腕皮及び内側上腕皮神経における痛覚消失効果の平均作用持続時間は本剤群8.86時間、ブピバカイン群8.44時間、両群間の差とその95%信頼区間は0.42[-0.49、1.33]であり、95%信頼区間の下限値は予め設定された非劣性限界値1時間を上回ったことから、本剤のブピバカインに対する非劣性が検証されています。
 本剤の安全性について、審査報告書16ページ、表12を御覧ください。腋窩部腕神経叢ブロック、指神経ブロック及び下肢末梢神経ブロックによる日本人手術患者を対象とした第III相試験において、主な有害事象として血圧低下、悪心、嘔吐等が認められましたが、本剤群とブピバカイン群で大きな違いは認められず、下肢末梢神経ブロックでは全身麻酔との併用下で実施したため発現率が高値を示したものの、発現した事象に異なる傾向は認められなかったことから、現時点で大きな問題はないと判断しております。
 本剤の用法・用量について、審査報告書17ページ、「(3)本剤の用法・用量について」の項を御覧ください。伝達麻酔における局所麻酔薬の投与は、目的とする麻酔範囲や手術時間、侵襲の大きさ等により濃度及び容量が調節されるため、本剤でもブピバカインと同様に0.25%及び0.5%の2濃度の製剤が選択されています。また、局所麻酔薬による麻酔効果及び中毒症状の発現には総投与量が大きく関係することを踏まえ、一般的な投与量を0.25%製剤では40mL(レボブピバカインとして100mg)まで、0.5%製剤では30mL(レボブピバカインとして150mg)までとした上で、「複数の末梢神経ブロックを必要とする場合の総量」として、海外添付文書で規定され、かつ国内臨床試験において検討された投与量上限である「レボブピバカインとして150mg」を規定することが適切であると判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。術後鎮痛と伝達麻酔に関する審議です。いかがですか。
○佐藤委員 使用の拡大の点について確認させてください。今回、伝達麻酔の許可が求められていますが、浸潤麻酔で許可が取れていて、血管内を誤刺してしまっても浸潤の弊害も少なく、使用可能ということから、拡大するという考え方でよろしいでしょうか。なぜ伝達麻酔に限って申請しているのかを教えてください。浸潤麻酔でも十分ということなのでしょうか。または、Tmaxが長いからなのでしょうか。
○機構 本剤の開発の経緯についての御質問と理解していますが、現在、国内では、硬膜外麻酔と術後鎮痛の二つの効能が承認されております。当時、伝達麻酔、浸潤麻酔、脊椎麻酔等についても、同時に開発が行われたのですが、第II相試験の結果から用法・用量が推定できなかったため、まず硬膜外麻酔と術後鎮痛の開発が先行されました。今回の申請は伝達麻酔に関するものであり、その後に実施された第III相試験までの試験成績を踏まえて、効能追加の申請がなされています。なお、浸潤麻酔と脊椎麻酔については、今後、開発の必要性を踏まえて検討される予定です。
○松井部会長 よろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○松井部会長 ほかには、いかがですか。
○松木委員 ラセミ体を恐らく異性体で分けていて、既にほかの術後鎮痛や硬膜外麻酔で使われていますが、分けるメリットがデータに余り現れていません。S体だけが作用しているとして、投与量を2倍量にしても、効果は2倍ではありません。恐らく、R体も同じように作用していると考えられます。すると、ラセミ体と同じだけ投与しているにもかかわらず、R体が悪い影響を及ぼしているとすれば、スタート時にR体が血中に入った際は、S体よりも心毒性が強いのでしょうか。データは、ありますか。
○機構 御指摘の点については、初回承認時の硬膜外麻酔及び術後鎮痛に関する審査報告書に詳細が記載されています。今回の審査報告書ではその部分については割愛させていただいておりますが、非臨床試験では心毒性が少ないことが示されていますが、臨床試験では血管内誤投与を想定した臨床試験ができないということもあり、ヒトにおいてそのリスクが明らかに軽減したというデータは、示されていません。
 しかしながら、そもそもの開発の経緯を申し上げますと、ラセミ体では妊産婦への投与で誤投与があった場合に、非常に致死的で回復できない状況が報告され、非臨床的に少しでもリスクが軽減されることが示唆されているS体を、開発した方が良いというのが、当時の海外でなされていた議論であり、それに基づき本剤が開発され、本邦でも導入されております。
○松井部会長 松木委員、質問の回答になっていますか。
○松木委員 スタート時は良いのかもしれませんが、今の知識で再度検証した方が良いと思います。要するに、分けるメリットと新しい薬として承認する必要性があるのかということですね。
○機構 補足をしますと、「ラセミ体を開発している企業」と「本剤を開発している企業」は別会社になります。また、先ほど説明しましたように、心毒性というのは、あくまでも血管内に誤投与をしてしまった場合のリスクであるため、その安全性の検証を、臨床試験として実施することは極めて困難であり、既承認薬と同程度の有効性及び安全性が確認できれば、少なくとも薬事法上の承認拒否事由には該当しないものと考えています。ただ、御指摘の点はもっともですので、市販後の安全性情報では、先に承認された術後鎮痛、硬膜外麻酔と同様に、伝達麻酔でも、心毒性についてデータを収集し、検討する予定です。
○松木委員 確かに、臨床試験では難しいかもしれません。しかし、S体ができたということは、恐らく企業ではR体も持っていると思われます。それを動物試験等で確認するべきだと思います。以前にも、異性体を分割するものがあったと思いますが、ある程度の有用性が認められる動物実験のデータが付いていました。そのため、何かの形で担保した方が良いと思います。
○松井部会長 松木委員の御意見は、今後そのように進めていくべきということですか。
○松木委員 そうです。今後は、異性分体で分割するメリットの有無を最初に検証し、それから開発に進むという方法が良いと思います。
○機構 非臨床的な検討については、本剤の初回承認時に、先生が御指摘されたような検討が安全性薬理試験又は毒性試験においてなされています。また、海外の健康成人を対象とした臨床試験において、中枢毒性が出る用量まで投与した時の閾値が比較されており、最終的にヒトにおいて血管内誤投与時の心毒性が軽減できるとまで判断できるデータは示されておりませんが、非臨床試験において心毒性が軽減できる可能性を示唆したデータは、既に術後鎮痛、硬膜外麻酔の時に提示されていますので、その点については確認されているものと考えています。
○松井部会長 今後、光学異性体に関しては、松木委員の御指摘の点を特に注意することとしたいと思います。松木委員、よろしいですか。
○松木委員 はい。
○松井部会長 ほかに、御意見はありませんか。
○松木委員 審査報告書の6ページの図1ですが、投与量100mgのデータが非常に多くあります。伝達麻酔と硬膜外麻酔のデータだけだと思いますが、エラーバーが沢山引いてあるのはなぜでしょうか。
 そして、Cmaxでは変化はありませんが、AUCの箇所のみ、ばらつきが大きくなるのはなぜなのでしょうか。
○機構 こちらの図は、本剤の曝露量が既承認の投与経路での曝露量を臨床的に大幅に上回るものではないということを確認したデータです。異なる試験の比較になりますので、ばらつきの差は各試験の影響によるものとも思われます。
○松木委員 結論は良いのかもしれませんが、根拠になるデータでは、なぜ100mgの箇所に線が多く引いてあるのですか。
○機構 伝達麻酔では、神経叢近くに投与した薬物が血管内に吸収されていきます。そのため、薬物動態上のばらつきが大きくなるということは想定されます。個別な症例においてばらつきが生じた理由については即答できませんので、後ほど、調べてお答えさせていただければと思います。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはありますか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、加藤委員、千葉委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題3にうつります。議題3について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題3、資料3「医薬品イクセロンパッチ4.5mg、同パッチ9mg、同パッチ13.5mg及び同パッチ18mg並びにリバスタッチパッチ4.5mg、同パッチ9mg、同パッチ13.5mg及び同パッチ18mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 審査報告書3ページを御覧ください。リバスチグミンは、コリンエステラーゼを可逆的に阻害することにより、シナプス間隙のACh濃度を増加させ、コリン作動性神経機能を賦活することでアルツハイマー型認知症(以下、AD)の認知症症状の進行を抑制すると考えられています。海外において、本薬の酒石酸塩を原薬とした経口剤が1997年にスイスで承認され、続いて欧米においても承認されました。その後、副作用の軽減を目的に経皮投与製剤の開発が行われ、本薬を有効成分とする貼付剤が2007年に米国で承認されたのを始めとして、2010年11月の時点で、本剤は米国及び欧州を含む81か国で主に「軽度~やや高度のアルツハイマー型認知症の対症療法」を適応として承認されています。
 本邦では、当初ノバルティスファーマ株式会社により経口剤の開発が開始されましたが、安全性の問題により十分な有効性を示す用量まで増量することが困難であったため、開発が中止されています。その後、海外で開発された貼付剤により、経口剤で認められる副作用の軽減が示唆されたため、日本でも貼付剤の開発が行われ、今般、国内臨床試験成績等を基に、「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果として、製造販売承認申請がなされました。
 本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料18に記載されております委員が指名されました。
 本品目の審査の概略について臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書48ページからの国内第II/III相試験の項を御覧ください。AD治療薬の有効性の臨床評価においては、認知機能に加え、全般臨床症状又は日常生活動作のいずれかで有効性を示すことが国内外で求められています。本試験では、認知機能の指標であるADAS-J cogと全般臨床症状の指標であるCIBIC plus-Jの二つが、主要評価項目として設定されました。50ページの図2にADAS-J cogの推移を示しておりますが(図2においては18mg群は10c?群と記載されています)、ADAS-J cogでは、投与後24週において、本剤18mg群でプラセボに対する優越性が認められました。一方、CIBIC plus-Jでは、次ページの表8に示しますように、いずれの用量もプラセボに対する優越性は示されませんでした。
 国内で実施した唯一のプラセボ対照二重盲検試験において、二つの主要評価項目のうち一つのCIBIC plus-Jではプラセボに対する本剤の優越性は示されていないことから、日本人患者における本剤の有効性が検証されたとは言い難いと考えます。しかしながら、ADの中核症状の一つである認知機能障害に対する抑制効果は本剤18mgで示されていること、漸増方法や評価項目に違いはあるものの、本剤18mgの有効性は海外臨床試験において認められていること、海外では本薬は標準的治療薬として位置付けられていることを踏まえ、本邦においても有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性について説明いたします。審査報告書51ページ、表9を御覧ください。第II/III相試験において、いずれかの群で3%以上に認められた有害事象を示しております。ChE阻害薬に特徴的な有害事象である悪心、嘔吐等の消化器症状に加え、適用部位の皮膚症状がプラセボ群より18mg群で多く認められています。適用部位の有害事象については、類薬の経口薬にはない本剤特有の副作用であることから、添付文書(案)において適切な注意喚起を行う必要があると判断しましたが、添付文書(案)の注意等に従い適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。
 以上より、本邦の臨床現場におけるAD治療薬の選択肢は現時点でドネペジルの1剤のみと極めて限られている現状も考慮し、本剤を臨床現場に届けることは可能と判断しました。
 本剤の臨床的位置付けについて説明させていただきます。審査報告書82ページ臨床的位置付けについての項を御覧ください。本薬の経口剤と貼付剤は、いずれも海外では、軽度から中等度のADに対する第一選択薬として、類薬のドネペジルやガランタミンと同様に使用されていますが、本邦においては、臨床試験で高頻度の皮膚症状がみられたこと、類薬の経口剤と比較して維持量に到達するまでに約12週間と比較的時間がかかること等の特徴も考慮して本剤の適用の可否を判断する必要がある旨を注意喚起した上で、AD治療薬の選択肢の一つとして提供することが妥当と判断しました。また、作用機序が同じであるドネペジルやガランタミンと本剤を併用すべきではなく、特に貼付剤である本剤は経口剤と併用されてしまう可能性がより高いことも想定されたことから、「用法・用量に関連する使用上の注意」に他のChE阻害作用を有する同効薬と併用しない旨を記載しております。
 本剤の「効能・効果」については、審査報告書83ページの「効能・効果について」の項を御覧ください。効能・効果は、「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」とし、83ページの下~84ページにかけて示しておりますように「効能・効果に関連する使用上の注意」には類薬と同様の情報に加え、先ほど臨床的位置付けの説明で申し上げた注意喚起を記載しております。
 本剤の「用法・用量」については、審査報告書84ページ「用法・用量について」の項を御覧ください。貼付部位については、国内臨床試験において有効性及び安全性が検討されたのは上背部投与時のみであったものの、海外臨床試験において検討された異なる貼付部位における曝露量及び有害事象の発現状況を踏まえ、上腕及び胸部を含めることは可能と判断しました。また、国内臨床試験の成績から有効性が期待できると考えられた18mgを維持用量とすることは妥当と考えますが、一方で18mg未満の用量の有効性は明確でないことから、18mg未満の用量は有効用量ではない旨も添付文書において注意喚起する必要があると考えます。以上を踏まえ、用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意を審査報告書の84ページの下~85ページに示しているよう、添付文書に記載することが適切であると判断しました。
 製造販売後調査等については、審査報告書85ページを御覧ください。製造販売後調査として、臨床試験において投与経験が限られていた腎機能障害患者、肝機能障害患者における安全性及び有効性、並びに本剤で懸念される胃腸障害及び皮膚症状の発現状況等を情報収集すること等を目的に、3,000例を対象とした使用成績調査を実施すると共に、長期における使用実態下の安全性及び有効性を検討する目的で、500例を対象とした特定使用成績調査も実施する予定です。さらに、既存の経口薬から本剤に切り替えた時の有効性及び安全性を検討する製造販売後臨床試験を実施する予定であり、デザインの詳細は今後検討を行っていく予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適切であると判断しております。 薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、事前に清水委員より御質問をいただいており、審査報告書81ページの「本剤を含めたAD治療薬の有効性については、承認後に改めて評価を行うことを、今後検討していくべきである。」とした専門委員の意見は意味あるものであり、機構として具体的に検討する意向があるかどうかとのことでした。承認後の有効性評価につきましては、現時点では、本剤を含め、昨年の部会で御審議いただいた二つのAD薬(メマンチン、ガランタミン)いずれについても市販後臨床試験を実施予定としています。本剤の市販後臨床試験のデザインは、どの程度有効性が検討できるかという点も含め現在申請者と検討中ですが、まずはそれらの試験結果を評価した上で、さらに追加の評価の必要性についても検討すべきと考えております。以上の機構の回答は、事前に清水委員にお示しし、了承を得ております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤委員 質問ではなく希望です。今回の薬については、結局中核症状のみに効果があるということですが、清水委員の質問にもあったように、軽度又は中等度の患者を治すわけではなく、進行を留めるというものです。実際にADの患者さんが増えている中、このようなツールが増えることは良いことです。けれども、漫然と投与され続けてしまう可能性もあります。特に、side effect、中核症状以外の有害事象がない限り、漫然と投与されることは、あり得ると思います。使用成績調査も500例行うということでしたが、85ページに「MMSE等」と記載があり、昨年暮れに出た類薬の審査では、この程度では不十分で、はっきりと結果が出るわけではないと専門の方がおっしゃっていました。そのため、もう少し効果の有無を見極めて、漫然と投与を続けることがないよう、データを提示していただきたいと思います。
○松井部会長 重要な御指摘だと思います。何かコメントはございますか。
○機構 補足させていただきます。「本剤を漫然と投与すべきではない」という御指摘はごもっともであり、特に本剤に限らず、症状の進行を抑制する薬剤については、いずれもそういった注意喚起が必要と考えております。添付文書においては、「重要な基本的注意」等で、「効果が認められない場合には漫然と投与しないこと」という注意喚起は、いずれの薬剤においても行っております。
 それに加えて、使用上の注意の解説書や製品概要といった医療現場に配付する薬剤の説明資料においても、表紙なり最初のページに、漫然と投与しないということを念頭に置いて使用してくださいという情報を提供していく予定です。
 また、今後、有効性をどのように評価するのかということですが、御指摘のとおり市販後調査において、臨床現場で実施できる調査で有効性を評価しなければいけないという制約もあります。そこにおいてMMSE等、御指摘のあったとおり、それでしっかりと分かる評価項目ではありませんが、市販後調査においては、まずADAS-J cog等、ある程度客観性が保持された評価項目に加えて、全般臨床評価においても、CIBICを用いるかどうかは、今後の検討課題になると思われます。別途、日常生活や全般臨床症状評価に適したバッテリーを用いて評価すべきと考えています。
○松井部会長 重要な御指摘だったと思います。ほかにございませんか。
○山田委員 海外の試験ではかなり有効でしたが、国内で実施された試験では非常に効果が弱く、民族差に関しては、どの程度検討されているのでしょうか。特に、この薬剤の特徴的な効果であるブチリルコリンエステラーゼ阻害作用については、いかがでしょうか。
○機構 国内と海外の臨床試験で、差が見られた理由を内因性要因と外因性要因の2点から検討いたしました。
 内因性要因としては、血中濃度の違いについて検討しております。こちらについては、審査報告書の41ページに詳細が記載されております。結論を申しますと、外国人に比べて日本人では、曝露量が約2倍高くなる傾向が認められていました。一つの要因としては、体重差に起因するものではないかという考察もしているのですが、それだけでは説明できない差でもありますので、体重差以外の要因について特定することはできませんでした。ただ、血中濃度が増加するということで、まず安全性を懸念したのですが、安全性の観点から、コリンエステラーゼ阻害作用に特有な有害事象が、日本人の方で特に多く出ているというところは認められておりませんでした。
 外因性要因については、審査報告書の64~65ページでその考察がなされています。一つの原因の可能性として、日本では介護サービスを受ける割合が比較的多かったということで、介護サービスを受けている患者さんにおいては、特にCIBIC plus-Jの評価で、介護者からの情報に基づく評価を行うことになっておりますので、介護者が得られる情報が、介護サービス、デイケア、デイサービスを受けている患者に関しては、日常生活が余り観察できなくなってしまい、薬効評価が上手くできなかったのではないかという一つの考察がなされております。これも、事後的な解析に基づく考察ですので、必ずしもそれが原因という特定までは至っておりません。
○山田委員 もう1点あります。今後、他剤の効果が認められなくなった場合や不耐性の場合には、この薬剤に変更することになると思います。その際、変更する時の開始用量は、最初から有効用量で良いのでしょうか。または、一番低い用量から始めるのでしょうか。そのような情報を添付文書上に載せる必要はないのですか。
○機構 切替えに関して、海外においては同じ有効成分である経口剤が承認されておりますので、経口剤で有効用量に到達できている場合は、本剤貼付剤の有効用量に切り替えて良いという方法も記載されています。けれども、最初に申し上げたように、日本においては経口剤の開発が中止されておりますので、基本的にはほかのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬から切り替える際は、一旦その薬を止めて、本剤を一番低い用量から、漸増していく必要があると考えております。
 こちらについて、海外ではそういった切替えの臨床試験も検討されており、ドネペジルを休薬して、本剤を一番下の用量から上げていくという切替試験も実施され、特に問題なく切替えが行われたという結果を得ております。
 添付文書に、今の時点で何か情報提供はできるのかということですが、日本ではそういった切替試験が行われていなかったので、今後実施される市販後臨床試験の成績等も踏まえて、必要に応じて注意喚起の必要性についても検討していくことになると思います。
○加藤委員 本薬をパッチ剤で開発することについてお伺いします。先ほどの開発の経緯を伺いますと、海外でカプセル剤の経口で実績があるとのことでした。症例数、安全性共に、ある程度の支持を得ているわけですが、国内においては安全性の問題があり、経口剤の開発を中止したと記載があります。安全性についての記載を資料から探してみました。資料3の「起源又は発見の経緯及び開発の経緯」の17ページに、安全性に関する経口剤の試験結果が出ています。嘔吐が発現し、逆流性誤飲があったということが書いてあるだけで、安全性の問題はそれ以上よく分かりませんでした。海外では既に使用されているにもかかわらず、なぜ日本で経口剤を使った場合には問題が生じ、使用できないという判断になったのでしょうか。
 それから、血中濃度の問題もあると思うのですが、有効性が低いということで、顕著な効果が試験によって得られていない可能性があることに関して、あえてパッチ剤だけで開発するという方針と、国内においても安全性の問題をクリアできれば、経口剤の開発の可能性があるのかどうかについても、教えていただきたいと思います。逆のことを言えば、いずれにしても血中に入ることは間違いないので、パッチ剤でも同様の安全性の問題が起こり得るのでしょうか。パッチ剤だけを開発して、承認を得ようとすることの問題について、お答えください。
○機構 経口剤の安全性の問題の詳細についてですが、基本的には、御指摘のあったとおりで、審査報告書の45ページの「カプセル製剤を用いた検討」という試験成績に詳細が記載されています。こちらは、6~8mgというカプセル剤の用量を目指して、2mgから開始して2週間ごとに、2mgずつ増量する試験を行っていた途中、誤嚥による逆流性誤嚥性肺炎によって死亡が発現し、この試験が中止となりました。いずれも、この試験で投与6mgの辺りから、嘔吐や食欲低下等が認められております。
 欧州や米国での経口剤の有効用量が、6~12mgとなっていますので、この試験を基に、有効用量まで2mgずつ2週間ごとに上げていこうとすると、どうしても消化器系の副作用が出てしまうということで、この時点で申請者はドネペジルを上回るような臨床的な有用性が、同じ経口剤を開発しては得られないということで、開発を取りやめております。
 なぜ、「パッチ剤ならば、良いと言えるのか」については、本質的な消化器症状のリスクはプラセボ群よりは多く出てしまうのですが、今回は海外とも違いまして、貼付剤の開始用量を海外の半量である4.5mgとしております。さらに、漸増用量についても、海外では9mgから開始して、4週間後には18mgまで上げてしまうという使い方をしていますが、日本では4.5mgから開始して、半分の4.5mgずつ上げていくという使い方をすることで、特有の副作用をある程度抑えることに成功しています。そのため、経口剤で認められたような問題は、貼付剤ではある程度クリアできていると考えております。
 最後に、今後日本で経口剤の開発は行われるのかについては、既に2mgから開始して、2週間ごとに2mgずつ上げるという試験において、若干認容性が良好ではないという結果も得られておりまして、さらに漸増方法の検討から、申請者も現時点では恐らく考えていないと思います。
○加藤委員 まとめると、貼付剤によって十分な有効濃度に到達するには、有害反応を抑えるために、増量のパターンが重要という認識でよろしいでしょうか。
○機構 はい。
○加藤委員 そのことは、添付文書に記載されていると考えてよろしいですか。
○機構 「4.5mgから開始して4週ごとに4.5mgずつ増量する」と、用法・用量に明記しております。
○加藤委員 その問題については、他剤から切り替える際も、同様で構わないとお考えですか。
○機構 はい。
 訂正が1点あります。最初の説明の際に、「市販後調査においてADAS-J cog等を検討する」と申してしまいましたが、「市販後臨床試験においてADAS-J cog等を評価する」という発言に訂正させていただきます。
○松井部会長 ほかにはございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、加藤委員、千葉委員、野田委員、林委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題4にうつります。議題4について、医薬品医療機器総合機構から概要
を説明してください。
○機構 議題4、資料4「医薬品リクシアナ錠15mg及び同錠30mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分エドキサバントシル酸塩水和物は、第一三共株式会社が創製した、活性型血液凝固第?因子(以下、「?a」と略します)阻害薬であり、?aを選択的かつ可逆的に阻害することにより、血栓形成を阻害する、経口投与可能な薬剤です。
 本邦では、20□年より本薬の臨床開発が開始され、今般、国内外の臨床試験成績を基に製造販売承認申請されました。なお、本薬は、抗血液凝固作用に基づく他の効能・効果の取得も目指して国内外で開発中ですが、現時点で日本を含むいずれの国及び地域でも承認されておりません。
 本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料18に記載されております委員が指名されました。
 審査の概略について、国内静脈血栓塞栓症予防のガイドラインで、術後静脈血栓塞栓症の発現リスクが「高リスク」とされ、術後の抗凝固薬の投与が推奨されている下肢整形外科手術である、膝関節全置換術、股関節全置換術及び股関節骨折手術の三つの術式の施行後の患者を対象としてそれぞれ実施された、三つの第III相試験の成績を中心に御説明いたします。
 まず、審査報告書51ページ下を御覧ください。人工膝関節全置換術(TKR)施行患者を対象とした第III相試験は、術後の血栓塞栓イベント(VTE)の発現抑制効果について、エノキサパリンに対する本薬の非劣性を検証するデザインで、日本と台湾の国際共同治験として実施されました。本薬の用法・用量は、日本人TKR患者を対象とした本薬の用量設定試験の成績を基に、30mg1日1回投与と設定されました。審査報告書52ページの中ほどにありますように、主要評価項目であるVTEの発現率は「無症候性DVT」、「症候性のPE」又は「規定の静脈造影前に確認された症候性のDVT」が一つ以上認められた被験者の割合とされ、本薬群で7.4%、エノキサパリン群で13.9%であり、本薬のエノキサパリンに対する非劣性が検証されました。一方、大出血の発現割合は、同じく52ページの下から4行目にありますように、本薬群1.1%、エノキサパリン群0.3%でした。
 次に、審査報告書53ページ下を御覧ください。人工股関節全置換術(THR)施行患者を対象とした第III相試験は、術後の血栓塞栓イベント(VTE)の発現抑制効果について、エノキサパリンに対する本薬の非劣性を検証するデザインで、国内で実施されました。本薬の用法・用量は、日本と台湾の国際共同治験として実施された用量設定試験の成績を基に30mg1日1回投与と設定されました。審査報告書54ページの中ほどにありますように、主要評価項目とされたVTE発現率は、本薬群2.4%、エノキサパリン群6.9%であり、本薬のエノキサパリンに対する非劣性が検証されました。一方、大出血の発現割合は、同じく54ページの下から13行目にありますように、本薬群0.7%、エノキサパリン群2.0%でした。
 次に、審査報告書55ページを御覧ください。股関節骨折手術(HFS)施行患者を対象とした臨床試験は、TKR及びTHR施行後と同じ本薬30mg1日1回を投与した時の出血リスクを検討する無作為化非盲検試験として実施されました。審査報告書55ページの下から4行目にありますように、主要評価項目である、治験薬投与開始後から事後検査実施日までに認められた「大出血又は臨床的に重要な出血」の発現割合は本薬群では6.8%、統計学的な比較対照群ではないものの、参照群として設定されたエノキサパリン群では10.3%でした。なお、VTE発現率は、審査報告書56ページの上から9行目にありますように、本薬群6.5%、エノキサパリン群3.7%でした。
 以上の試験成績より、本薬30mg1日1回は、TKR、THR及びHFS施行後のVTE発症抑制に用いる抗凝固薬の選択肢の一つとなり得るものと判断いたしました。また、本剤の出血リスクを勘案し、臨床試験で設定された投与方法の規定や類薬での注意喚起を踏まえ、76~77ページにありますように、用法・用量に関連する使用上の注意等において、本剤の投与開始時期、投与期間、腎機能障害患者に対する用量等も注意喚起する必要があると判断いたしました。
 さらに、本剤は経口薬であり、皮下注射される既承認薬と比較して投与時の患者負担の軽減等の有用性も考えられますが、血栓塞栓症の発症リスクが低下していると考えられる退院後に本剤投与による出血リスクを患者に負わせ続けるべきではないため、審査報告書75ページにありますように、原則として、術後の入院中に限って使用することを注意喚起することが妥当と判断いたしました。
 本剤の効能・効果については、審査報告書75ページを御覧ください。VTEの発現リスクと出血リスクがそれぞれ異なるTKR、THR及びHFSのいずれの術式でも本剤の有効性及び安全性が示されたと判断できることから、効能・効果は「下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制、膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術」とすることが妥当と判断いたしました。
 製造販売後の調査計画等については、審査報告書72ページを御覧ください。申請者は、調査予定例数2,000例、1症例の標準的な観察期間を本薬投与開始後2か月とした使用成績調査において、重点調査項目として出血性イベントに関する情報を収集することとし、性別、年齢別、術式、用量別に安全性及び有効性について検討すること等を予定しており、申請者の方針は概ね妥当なものと判断しております。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 本剤の再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、薬事分科会では審議を予定しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 議論に入る前に、比較されている本剤とエノキサパリンの作用機序の違いを説明していただけますか。
○機構 本剤は、?aを直接可逆的に阻害しますが、エノキサパリンの場合には、アンチトロンビンIIIと結合して?aと?aを阻害するアンチトロンビンIIIとの結合を促進することを介して、結果的に?aを阻害するという、間接的な働きがあるものがエノキサパリンです。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤委員 必要性が高く、有効な薬だと思います。血栓を起こさないようにすることと、抗凝固作用とは逆に、これが大きく働いてしまった時の出血に対してのせめぎ合いを常に考えながら、14日間術後投与できるということです。そのために、外来ではなく、入院患者を対象にするようです。経口剤であれば、出血の傾向にある時にPT-INRで数値を追いかけても、経口剤ということから、最後に飲んだものの効果が出てくると思います。そこを抑えるところまでは、どのような加減で診ていくのでしょうか。可逆的になってしまった時の手段を考える必要はないのでしょうか。
○機構 経口剤かどうかという以前に、この薬自体がPT-INRをモニターすることによって、そういったリスクとベネフィットをモニターすることができないという特徴があります。モニターをせずに、何日間かは決まった用量を投与していくということです。血中に残っている間に何か起こった時には、そういったリスクとして働き続けるようなデメリットもあるので、注意が必要です。そこは臨床試験において、各術式で第II相試験及びIII相試験を行って、慎重に既存の薬と比較したリスクとベネフィットの許容の範囲だということが確認できた用量で、使い続けることになると思います。
 出血のリスクというのは、重要な点ですので、製造販売後の情報収集が一番重要視されてきますので、現場でも注意して使っていただきたいと思います。
○松井部会長 それだけ綿密な注意の下に使わなければいけない薬剤であるということです。ほかには、ありますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、千葉委員、野田委員、古川委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に上程とさせていただきます。
 それでは、議題5にうつります。議題5について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題5、資料5「医薬品グルベス配合錠の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は、速効型インスリン分泌促進薬であるミチグリニドカルシウム水和物(以下「ミチグリニド」)とα-グルコシダーゼ阻害薬であるボグリボースを有効成分とする配合剤です。ミチグリニドは2004年1月に承認され、7年以上臨床使用されています。ボグリボースは1994年7月に承認され、10年以上臨床使用されています。2型糖尿病の治療においては、1剤で効果が不十分な場合、作用機序が異なる薬剤を併用することは一般的であり、ミチグリニドについては、α-グルコシダーゼ阻害薬で効果が不十分な場合の併用療法が、既に承認されています。なお、本剤と同じ有効成分を組み合わせた配合剤は、2010年10月現在、海外では承認されていません。
 本品目の専門協議では、資料18に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 本申請においては、グルファスト錠におけるα-グルコシダーゼ阻害薬との併用療法の効能追加の承認申請の際に評価された、第II/III相試験及び長期併用試験の成績が再度提出されました。
 有効性については、審査報告書11ページ、表1に示しましたように、ミチグリニド10mgを上乗せした10mg併用群において、0週時からの最終評価時のHbA1c変化量についてボグリボース単独群との間に有意な差が認められました。また、長期投与時においても15ページ、図1に示しましたように、HbA1c変化量について効果の持続が認められました。
 臨床試験の対象とされなかったミチグリニドで効果不十分な2型糖尿病患者に対するボグリボースの上乗せ効果については、20~22ページの2)の項に示しましたように、検証的試験の成績はないものの、提出された第II/III相試験成績において、ミチグリニド単独群よりも10mg併用群で最終評価時のHbA1c変化量がさらに低下する傾向が認められたこと、食後血糖の改善において両薬剤を併用することには一定の意義があると考えられることを踏まえれば、ミチグリニド単独療法により効果不十分な患者に対するミチグリニドとボグリボースの併用療法の有効性を強く疑うほどのものではなく、製造販売後に情報収集することで大きな問題はないと判断しております。
 安全性については、審査報告書22~24ページに記載のとおり、適正使用下での安全性には特段の懸念はなく、本剤の安全性は許容可能と判断しています。
 医療用配合剤の承認要件への該当性に関しましては、17~19ページを御覧ください。「1)配合意義の科学的合理性」の項に記載のとおり、ミチグリニドとボグリボースの併用療法には一定の臨床的有用性が認められ、当該併用療法と生物学的に同等と判断される本剤の配合意義の科学的合理性は示されていると判断しており、また、患者の利便性についても2)に記載のとおり、服薬コンプライアンス等の向上が期待できると判断しました。
 製造販売後調査については、32ページの(5)に示しましたが、観察期間を12か月、調査予定症例数を1,000例とした長期使用に関する特定使用成績調査に加えて、ミチグリニド単剤から本配合剤へ切り替えられた際の有効性及び安全性の検討を目的とした特定使用成績調査も実施し、服薬遵守状況とHbA1cの関係等も含めて情報収集される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 本剤の再審査期間は4年、製剤は毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。
 本議題につきまして、本日御欠席の清水委員より事前に御意見を1点いただいております。添付文書(案)の6ページ、<効能・効果に関連する使用上の注意>において、グルファスト錠と同様に、食事療法・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を服用している患者では、空腹時血糖が126mg/dL以上、または食後血糖値1時間値または2時間値が200mg/dL以上の場合に限る旨を記載する必要があるのではないかとの御意見です。
 この点について、本剤の添付文書(案)におきましては、<効能・効果に関連する使用上の注意>の項ではなく、「重要な基本的注意」の3に、同様の記載をさせていただいておりますことを説明し、清水委員に御了解を得ております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○山田委員 添付文書(案)の6ページ、<効能・効果に関連する使用上の注意>の1です。「糖尿病類似の症状」というところで、括弧された二つの名前が出ております。グルファスト錠を確認しますと、この二つ以外に「老人性糖代謝異常」が記載されております。これが削除になった理由はありますか。もしなければ、入れておいた方が良いと思います。いかがでしょうか。
○機構 「老人性糖代謝異常」という表現自体が、余り使われなくなってきているということで、近年承認の品目から、整備させていただいているところです。そのため、今回は削除させていただいております。
○野田委員 効能・効果についてですが、両薬で安定している場合といずれかで不十分な場合に、これの使用を検討するということですか。
○機構 はい。
○松木委員 細かい点ですが、審査報告書15ページの図1と添付文書(案)の21ページの図1.8-1では、最終評価時の値がかなり違います。こちらは、同じデータではないのですか。
○松井部会長 最終評価時とは、何週目のことなのでしょうか。
○機構 先生から御指摘いただいております添付文書(案)の21ページですが、こちらは検証試験ということで、12週時までの試験になっております。審査報告書で御指摘いただいている図に関しましては、1年間、52週間投与した後の成績になっておりますので、長期投与することで若干変化量が少なくなりつつあるというところが、審査報告書の15ページの図になります。
○松木委員 52週と12週で見た値であれば、最終評価時と同じ値になると思います。しかし、15ページの最終評価時は52週の値とも違うと思います。
○機構 補足させていただきます。添付文書(案)の21ページの最終評価時というのは、検証試験の最終評価時ということになっております。そのため、12週時の値になっております。
○松木委員 それは良いのですが、15ページの52週が最終評価のものであれば、52週の値と最終評価時の値は同じでなければいけないと思います。
○審査第一部長 この試験は、二重盲検の検証的試験に引き続き、長期投与試験に入っているということで、添付文書の方で記載をしているのは、二重盲検の検証試験の成績です。そのため、12週の時点で一旦評価が終了しており、12週までに途中で投与中止した例等も含め、最終評価時になっています。
 一方、審査報告書の15ページのものは、当初の検証的試験に引き続き行われた長期併用試験の併用投与群のみを示したもので、こちらは12週以降も引き続き52週まで投与しております。そのことから、15ページの図1の最終評価時というのは、52週までのことであり、52週間までの間に途中で投与中止になったものも含めて記載されております。
○松井部会長 そのような雑多な集団のようです。
○松木委員 分かりました。
○野田委員 先ほどの質問に追加です。11ページの表1では、ミチグリニド単独群と、その上にある10mg併用群はミチグリニド10mgプラスボグリボースなので、直接比較はしなかったが、切り替えても良いということになっています。こちらを説明してください。
○機構 表1に関しましては、元々の目的とされていたボグリボース効果不十分例での検証試験ということでデータを示させていただいています。審査報告書の22ページの上から4行目を御覧いただきますと、ミチグリニド単独群と10mg併用群の間で、HbA1cの最終評価時における変化量の群間差を比較しており、その群間差は0.29%で、95%信頼区間は0.17、0.41となっております。群間差は付いているということで、事後的な解析ではありますが、確認はさせていただいております。
○野田委員 11ページの表1のミチグリニド単独群というのは、ミチグリニドに不応の例ではないと考えて良いのでしょうか。
○機構 表1に示させていただいておりますミチグリニド単独群は、ボグリボースで効果不十分だった患者さんが、ボグリボースを切ってミチグリニドに切り替えた群になります。
○松井部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、千葉委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題6にうつります。議題6について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題6、資料6「医薬品サイモグロブリン点滴静注用25mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 腎移植は末期腎不全患者に対する根治的治療手段ですが、腎移植後の免疫抑制療法が不十分な場合、急性拒絶反応が発症し、拒絶反応に対する薬物治療で効果が認められない場合には、移植腎の廃絶に至り、透析療法に戻ることを余儀なくされます。
 本邦における腎移植後の急性拒絶反応に対する治療の第一選択はステロイドパルス療法であり、ステロイドパルス療法で無効の場合、抗CD3モノクローナル抗体であるムロモナブ-CD3(以下、「OKT3」)等が使用されています。しかし、本邦におけるOKT3の製造販売元であるヤンセンファーマ株式会社が、2011年中にOKT3の販売を中止することを決定していることから、販売中止後には本邦で特にステロイド抵抗性の急性拒絶反応に対し使用可能な抗体製剤が存在しなくなることが危惧される状況にあります。
 抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(以下、「本薬」)はT細胞表面抗原及び白血球表面抗原に対し高い親和性を有するポリクローナル抗体であり、本邦では、「中等症以上の再生不良性貧血」等の効能・効果で2008年7月に承認されています。
 今般、申請者は、以上の状況も踏まえ、本薬に腎移植後の急性拒絶反応に対する治療の効能を追加するため、海外成書及び公表論文等の情報、本邦における臨床研究成績等を取りまとめ、製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
 なお、本薬は1984年にフランスで腎移植時の拒絶反応の治療を含む効能・効果で承認されて以来、2010年12月現在、米国、欧州を始め世界58か国で各種臓器移植後の急性拒絶反応の治療等の効能・効果で承認されています。
 なお、本申請については、保健衛生上特に審査及び調査を迅速に進める必要性が高いと判断され、厚生労働省から迅速処理に関する通知が発出されており、また、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて、平成22年12月13日付けで申請者に対し開発要請が行われています。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料18に示します専門委員を指名いたしました。
 本申請に際し、新たな国内臨床試験は実施されていませんが、機構は、前述の状況から、OKT3の供給が中止された後に、ステロイド抵抗性の急性拒絶反応に対して、治療効果が期待できる抗体製剤が使用できない状況が続くことによる腎移植医療に与える影響を考慮すると、海外における長期の使用実績があり、本邦において既に再生不良性貧血等の効能・効果で使用実績のある本薬について、国内外の腎移植医療の差異の有無等について確認した上で、海外の総説及びガイドライン等を参考に、国内臨床研究及び海外公表論文に基づいて審査を行う方針としました。
 まず、有効性についてですが、審査報告書19ページの表2及び20ページの表4を御覧ください。提出された海外公表論文並びに国内臨床研究における本薬の有効性について、それぞれ記載しております。
 海外公表論文より、本薬投与前後の血清クレアチニン値の推移、移植片生着率、拒絶反応の再発率等を確認した結果、対照薬群と比べて概ね大きな差異はないこと、また、国内臨床研究では、7例中6例で血清クレアチニン値の低下が認められ、本薬の有効性が示唆されていることを確認しました。以上より、腎移植後の急性拒絶反応の治療に対する本薬の有効性は期待できると考えました。
 次に、安全性については、審査報告書11ページの13行目及び審査報告書12ページの表1を御覧ください。それぞれ、国内臨床研究における有害事象等の発現プロファイル、提出された代表的な海外公表論文で認められた有害事象を記載しております。
 また、審査報告書22ページの表5及び審査報告書22~27ページにおいて、それぞれ、国内臨床研究及び海外公表論文における死亡例及び重篤な有害事象、並びに本薬投与時に特に注意すべき有害事象に関して検討しています。
 血球減少、感染症等の重篤な有害事象が報告されていますが、適切な注意喚起を行った上で本薬が使用される限り、既承認効能・効果に対する使用時に加えて新たな問題が生じる可能性は低いと考えました。ただし、国内での使用経験は極めて限られていることから、製造販売後には全例を対象に本薬の安全性情報を収集する必要があると考えました。
 以上のような機構での審査の結果、腎移植後の急性拒絶反応の治療に対する本薬の有効性は期待でき、必要な安全対策を講じることで安全性は許容可能と考えました。ただし、本邦における腎移植後の急性拒絶反応の治療に対する使用経験は非常に限られることを考慮し、一定数集積までの全症例を対象とした製造販売後調査を実施して本薬の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本薬は新効能・新用量医薬品に該当しますが、平成20年7月に希少疾病用医薬品として承認されており、10年間の再審査期間中であることから、本申請に対する再審査期間は、最初の承認時の再審査期間の残余期間(平成30年7月15日まで)とすることが適当と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤委員 お伺いします。推計値で結構なのですが、現在どの程度の症例数を予想しているのでしょうか。希少状態ではないと思いますが、急いでいるということから、推計値を教えてください。
○機構 審査報告書の15ページの6行目に、現状の腎移植の件数と1年以内での急性拒絶反応の発現率等を記載しております。2009年の1年間で実施された腎移植の件数は、1,312件で、その後拒絶反応が発現している割合は、生体腎移植と献腎移植で大体15%程度と報告されております。
 この中で、さらにこの薬剤は、ステロイド抵抗性の拒絶反応に対して使用されるということですので、非常に限られてくると思います。申請者としては、年間50例程度と説明されており、そういったところを基に調査も計画しているとのことです。
○山田委員 審査報告書の4ページを見ますと、これまで認められている投与期間は、5日間ということですが、今回の移植後では7~14日間と延長されています。19ページの公表論文はほぼ10日間で、一つの報告のみが7~14日間となっております。10日間ではなく、14日間まで認めることについて、安全性上の問題は特にないのでしょうか。
○機構 こちらについては、19ページの各海外の公表論文について、2.~4.については10日間を目処に、1については7~14日間を目処とすることとなっておりますが、海外でガイドライン、成書、総説等には、基本的に腎移植後の急性拒絶反応の治療に対して、7~14日間を目処に投与すると記載されております。
 今回、そのような実態もあり、1.の公表論文につきましては、7~14日間という形で対照群を置いて検証試験が実施されました。
 確かに、10~14日間にすることで、現状どの程度安全性が変化するのかは、明確になっていません。今後の製造販売後調査の中でも、実際に投与期間として各症例で何日間投与されたかという情報を拾っていただくと共に、安全性情報についても、投与期間によってどれだけ変わるのか、全例調査していただきたいと考えております。その調査の中でも、投与期間の適切性も分かってくると考えております。
○松井部会長 「患者さんの重篤性」、「日本で献腎移植が少ないこと」、「OKT3の副作用、効果」が影響していると思いますが、安全性は重要だと思います。ほかにはございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題7にうつります。議題7について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題7、資料7-1、7-2「医薬品レクサプロ錠10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるエスシタロプラムシュウ酸塩は、ルンドベック社で合成された選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。海外では19□年□月より臨床試験が開始され、2001年12月にスウェーデンで最初に承認された後、2010年10月現在、大うつ病性障害を適応として95の国又は地域で承認されております。本邦においては、2003年3月から臨床試験が開始され、今般、うつ病・うつ状態に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦では類薬であるSSRIとしてフルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリンが承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料18に記載されております10名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 まず、有効性についてですが、審査報告書54ページの表を御覧ください。国内用量反応非劣性試験において、主要評価項目であるFASでの最終評価時におけるベースラインからのMADRS合計点の変化量は、本剤10mg群及び20mg群を併合した群で-13.7、プラセボ群で-10.7であり、本剤併合群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
 次に、安全性についてですが、審査報告書61ページの上の表を御覧ください。中枢神経系有害事象については、本剤10mgと20mgで大きく異なる傾向は認められておらず、パロキセチンと同程度でした。また、審査報告書62ページの上の表を御覧ください。SSRIでは悪心、嘔吐等の消化器系有害事象が認められることが知られておりますが、本剤10mg及び20mgで認められた事象はすべてが軽度~中等度であり、パロキセチン群よりも発現率が高い傾向が認められておりますが、パロキセチン群を設定した用量反応非劣性試験での発現率は本剤群とパロキセチン群でほぼ同様であったことから、類薬のSSRIとほぼ同様に発現するものと考えております。
 審査報告書68ページの表を御覧ください。海外で実施されたThoroughQT試験においてQTc間隔の延長が認められており、国内臨床試験においても本剤投与群で用量依存的及び血漿中濃度依存的なQTc間隔の延長が認められております。また、審査報告書69ページ上の表を御覧ください。国内臨床試験において、QTcF間隔及びQTcB間隔が450msecを超えた症例又はベースラインからの変化量が30msecを超えた症例が認められておりますが、これらの症例で認められたQT延長以外の心血管系の有害事象は、心電図ST-T部分異常、心電図ST部分下降及び左脚ブロックであり、いずれも軽度の事象であり、臨床上問題となるものではありませんでした。これらを踏まえ、添付文書においては、慎重投与の項で「不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、うっ血性心不全、低カリウム血症の患者」を規定すると共に、肝機能障害患者及び高齢者では本剤の血漿中濃度が上昇すること、また本剤がCYP2C19で代謝され、CYP2C19PMの患者では血漿中濃度が高くなる可能性があることから、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項において、これらの患者に対しては上限を10mgとする等、慎重に投与するよう、注意喚起しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤のうつ病・うつ状態に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 また、清水委員から事前に質問をいただいております。製造販売後調査の中で、本剤を20mgに増量した患者についての有効性と安全性の情報収集が必要ではないかという質問をいただきました。この点につきましては、機構としても調査が必要と考えており、本剤の製造販売後調査におきまして、増量時の有効性及び安全性を検討する予定としております。清水委員にはその旨を説明させていただき、御了承をいただいております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 例にも出ていますが、パロキセチン等ほかのSSRIの副作用として、吐気や嘔気は20%ぐらいの発現率があります。本剤についても同じですが、今までのSSRIと違い、どのようなベネフィットがあるのでしょうか。教えてください。
○機構 本剤につきましては、開始及び維持用量が10mgと設定しており、最大20mgまで増量できるようになっています。他のSSRI等では、投与初期に漸増し、そのような有害事象が認められることから、ゆっくりと上げていくこととなっております。この薬に関しては、最初から開始及び維持用量が投与できるということで、その点ではメリットがあると考えています。
○松井部会長 今の御説明で、よろしいですか。
○佐藤委員 少ない用量設定から投与可能であるが、結果的に出る有害事象の「消化器症状」は、相変わらず発現するということでよろしいですか。 
○機構 SSRI特有の事象として、消化器系の場合、嘔吐が認められるということですが、その発現率に関しては、ほかのSSRIでも変わらないということから、大きな問題にはならないと考えています。
○松井部会長 ほかにございますか。野田委員、どうぞ。
○野田委員 検査値異常の表等はありますか。
○機構 具体的には、どのような検査値ですか。
○野田委員 例えば、慎重投与に肝機能等が書いてありますが、その基になる表等はあるのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 申し訳ありません。調べていますので、後ほどコメントさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○松井部会長 それでよろしいですか。
○野田委員 後ほどで結構です。添付文書(案)の3~4ページの表の赤血球減少等に、何か根拠があるのかもしれないと思い、また、糖代謝への影響の有無を確認したかったのですが、表が見つかりませんでした。
○松井部会長 少し見たところでは、表が無いようです。調べていただき、委員の先生方には、後日報告するということですね。
○機構 後で説明させていただきたいと思います。基本的には、本薬の投与によって、糖代謝への影響は認められておりません。
○松井部会長 それでは、私が報告を受けて、先生方に周知するという条件にしましょう。
○機構 今から少しお時間をいただいて、本部会中に調べさせていただき、終了前までには、お答えできるようにしたいと思います。
○松井部会長 ほかにございますか。林委員、どうぞ。
○林委員 64ページの表の「自殺」についてです。FDAのレビューの表であると思うのですが、本剤は有意差が無いものの、オッズ比が抜き出た数字になっています。有意であるのかどうかは、レビューされた臨床試験のサンプルサイズに応じて決まるということだと思います。特に問題にならないと書いてありますが、何か根拠はあるのですか。
○機構 FDAの報告によりますと、確かに自殺のリスクに関して、本剤はオッズ比は若干高めに出ています。ただ、95%信頼区間に関しましては、1を超えていないということもあり、これをもって有意な差があるということに結論付けられないということから、この薬で自殺率が高いという結論は付けられないと考えています。そのため、類薬と同様の添付文書上の注意記載は、きちんとさせていただくということになっています。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにありませんか。それでは、先ほどの生化学的データ、血液学的データについては、調べていただくことにし、議題7についての議決は後ほど行いたいと思います。
それでは、議題の8にうつります。議題8について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題8、資料8「KW-6500を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明させていただきます。
 資料8の2ページを御覧ください。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめていますので、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について御説明いたします。
 品目の名称は、KW-6500です。申請時におかれましては、一般的名称が付けられておらず、開発記号でしたが、その後一般的名称が付けられ、「アポモルヒネ塩酸塩水和物」となりました。予定される効能・効果は、通常の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病における症状の日内変動に対するレスキュー療法です。
 申請者は、協和発酵キリン株式会社です。まず、本剤はドパミンD1及びD2様受容体作動薬であるアポモルヒネ塩酸塩を有効成分とする注射剤であり、投与後速やかに効果が現れる一方、投与後約1時間で効果が消失する特徴がございます。効果持続期間が短く、投与に侵襲を伴うため、本剤を既存の経口治療薬による管理が可能な患者に投与する必要性は、乏しいと考えられるため、本剤の対象患者はレボドパの効果が発現しているOn状態では自立した日常生活が可能であるものの、効果持続時間が比較的長い既存の経口治療薬ではコントロール困難な運動合併症を有し、レボドパの効果が消失したoff状態では、自立した日常生活が困難となり、治療効果の速やかな発現が必要とされる患者を考えております。
 平成17年度厚生労働省統計表データベースシステムにおいて、本邦におけるパーキンソン病患者の総数は約14万5,000人と推定されておりますが、本剤の使用対象となるHoehn&Yahrの重症度分類で申しますと□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□は、パーキンソン病友の会が平成17年に実施した患者アンケートから最大16.9%と推定され、約2万4,500人と推定されます。また、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□も、本剤の対象となることが考えられ、レボドパの長期治療を受けた患者を対象とした調査に基づくと□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□は約1万4,300人と推定され、これらを合わせましても、本剤の対象患者は約3万8,800人となり、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。
 次に、3ページを御覧ください。医療上の必要性についてですが、パーキンソン病の治療早期にはレボドパ療法が奏効するものの、長期使用に伴い運動合併症が出現するようになり、多剤併用療法が必要となります。更に、時間経過に伴い症状が進行すると多剤併用療法によっても運動合併症の管理が十分に行えなくなり、off状態時に重症度ステージIV以上に相当する運動合併症では、自力の歩行が困難になるほど、日常生活が著しく制限されるため、早急な処置が必要と考えられます。しかしながら、本邦ではレスキュー治療薬として、即効性を示す薬剤が無く、患者は既存治療薬の効果発現まで堪えるか、脳深部刺激療法等の外科的治療の適応を考慮することなります。
 本剤は、運動機能改善効果を示すこと、高い脂溶性により皮下注射後速やかに脳内へ移行し薬効を示すこと等から、レスキュー治療として進行期の重度のパーキンソン病患者の治療の新たな選択肢になるものと考えております。
 最後に、4ページを御覧ください。本剤の開発の可能性についてですが、本剤は米国で希少疾病用医薬品の指定を受け、現在欧米等19か国で承認されております。国内では第III相臨床試験が実施されており、本剤の開発の可能性はあると考えられます。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えると、本剤につきましては、希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 今、説明を受けて、とても良い薬だと思いました。非常に即効性があるということですが、持続性が無いので、オペをする前等に特に良いということでした。もちろん、1回投与ではないと思いますが、どの程度の期間、継続して使われるのでしょうか。ジスキネジア等も止まらずに、困ってしまう例もよくあります。是非、参考に聞かせてください。
○機構 機構よりお答えします。本剤に関しては、基本的に必要な時に投与するというレスキュー治療で用いられます。御指摘のように、当然ある程度日数を置いて使われ、基本的に根治することはありませんので、持続して使っていく必要がございます。臨床試験においても、海外の臨床試験、あるいは国内の臨床試験で、1年程度、長期継続使用をした時に、どのぐらい効果が持続するのか、あるいは安全性上、長期使用することで、何か問題が無いかということも検討する計画となっております。
○松井部会長 ほかにありますか。松木委員、どうぞ。
○松木委員 本旨とは余り関係ありませんが、名称に「KW」とコード番号が付いています。非常に古い薬なのですが、本薬が「アポモルヒネ」であることを表に出したくないために、このような名称になっているのですか。
○事務局 いいえ。今回、希少疾病用医薬品としての申請が出てくる時に、一般的名称が付けられていなかったため、今回KW-6500と出しておりますが、申請後に一般的名称が付けられ、「アポモルヒネ塩酸塩水和物」となりました。
○松木委員 「アポモルヒネ」という名称は、試薬として何10年も前から使っていると思います。
○事務局 KW-6500の構造を持っているものが、塩酸塩の水和物という形で付けられたと聞いております。「名称を出せない」ということで、記号にしているというわけではございません。
○松井部会長 他意は、無いということです。ほかには、いかがでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題9にうつります。議題9について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 資料9、議題9「スチリペントールを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明させていただきます。
 医薬品医療機器総合機構が、事前評価を取りまとめておりますので、この事前評価報告書に沿って希少疾病用医薬品の指定要件であります対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、この3点について御説明いたします。
 本剤の予定される効能・効果は、「クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムでは発作を十分にコントロールできない乳児重症ミオクロニーてんかん(Dravet症候群)患者の間代発作及び強直間代発作の補助療法。クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムと併用する。」です。申請者は、明治製菓株式会社です。
 まず対象患者数についてです。本邦では、Dravet症候群の全国的な疫学調査は実施されておりませんが、岡山県での有病率調査を基に患者数を算出した結果、4,025人~4,581人と推定されました。また、海外における乳児重症ミオクロニーてんかんの患者数から算出した結果、3,194人~6,388人と推定されました。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たすものと判断しております。
 次に医療上の必要性について説明いたします。乳児重症ミオクロニーてんかんでは、けいれん発作が消失せず、継続し、けいれん重積も起こしやすいため、長期予後は不良で、死亡率は16~19%とされています。また、あらゆる治療に対し極めて抵抗性を示すと言われています。本剤の予定効能・効果であるDravet症候群は、乳児重症ミオクロニーてんかんの境界例を含む疾患であり重篤であると言います。
 本邦における本剤の使用実績として、既存治療で発作コントロールが不十分であったDravet症候群患児によって、本剤の併用により61%で50%以上の発作回数の減少が認められており、本剤の有効性及び安全性が確認できれば、医療上の必要性はあるものと判断しております。
 最後に、本剤の開発の可能性についてですが、本邦においても2010年4月より第III相の臨床試験が実施中であることから、開発の可能性はあると判断しています。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、この3点を検討しました結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤委員 賛成の意見ですが、生後間もない乳児から発症するのかは分かりませんが、このような重積てんかん発作の患者さんをコントロールできる薬は、とても素晴らしいものだと思います。こちらの薬は、脳波の異常が治まってくるものなのか、一時的に治まるものなのか、それとも治療的に効果があるものなのか、この区別を教えてください。
○機構 機構より、説明いたします。てんかんにおきましては、脳の器質的な変化が認められるような場合も多く、この薬はあくまでも対症療法であり、服用することによって、血中濃度を維持し、薬の効果を示すということになると思います。そのため、この薬を止めれば、発作が再発してくると思います。
○松井部会長 小児科医としてお答えするならば、この場には、私と古川委員しかいないと思います。私は、30数年前に小児科医になりましたが、その時から乳児重症ミオクロニーてんかんは、重症で予後の悪いてんかんの一つでした。その対症療法として、発作の頻度を軽くできるとは思いますが、なおかつ厳しい疾患であることに変わりはありません。古川委員から、何かありますか。
○古川委員 典型的な症例のうち、遺伝子が問題になっていているものについて、脳波異常等にまで及ぶことは余り考えられません。どちらかと言うと、対症的なものではないと思います。
○松井部会長 SMEIについても、そうですね。
○古川委員 そうです。そのような遺伝子異常が、3割ぐらいの子供に出ていますので、そこまで治すのは無理だと思います。その辺は、この薬の限界であると思います。
○加藤委員 本薬に「クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムでは発作を十分にコントロールできない」と記載がありますが、こちらのDravet症候群の際には、クロバザムやVPAでコントロールできるというエビデンスは既にあるのでしょうか。有無に加えて、この症状を抑える時に、第一選択はどのようにしていけば良いのでしょうか。症例が少ないので、有効性を統計的にみることは難しいと思います。この薬が認められた後、どのような対症療法の方針を考えていくのでしょうか。
○機構 機構より、説明いたします。現在、基本的には海外のDravet症候群に関する治療のガイドラインとして、ファーストラインでは、バルプロ酸及びクロバザムが使われています。それらの薬剤に本薬を付加して使われるということが、ガイドラインに記載されています。日本の臨床試験においても、バルプロ酸及びクロバザムの効果が認められないような患者さんに対して、本薬を上乗せすることで、効果が認めらるのかを確認する臨床試験を現在行っております。その試験結果が提出された後、審査の中で十分議論していくことになると考えています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題10にうつります。議題10について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題10、資料10「Genz-112638を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明させていただきます。
 資料10、評価報告書を御覧ください。名称は、Genz-112638、ゴーシェ病の1型を予定効能・効果とする医薬品です。申請者名は、ジェンザイム・ジャパン株式会社となっています。希少疾病用医薬品の指定要件である対象者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順番に説明いたします。
 まず対象者数ですが、白人の集団ではゴーシェ病の出生時有病率は5万7,000~11万1,000対1と報告されておりまして、全集団でも10万人に1人程度の割合であると考えられています。また、既存薬における投与の実績等も勘案すれば、国内における本剤の対象患者数はおよそ100名程度と推察されています。いずれにしましても、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人以下を満たしているものと考えています。
 次に医療上の必要性です。ゴーシェ病につきましては、現在、セレザイム注を用いました酵素補充療法が既に認められており、実施されています。これについて2段落目以降に記載がありますが、血小板数及びヘモグロビン等の血液学的パラメータの正常化には約1~2年を必要とする。また、肝脾腫の正常化には2~5年程度が必要と報告されているところ、骨症状については8年間以上の治療継続が必要との報告がなされています。
 本剤Genz-112638ですが、グルコシルセラミド合成酵素の部分的阻害が作用機序となっておりまして、既存薬と作用機序が異なるということ、それから、これまでの第II相試験等におきまして、血液学的パラメータあるいは肝脾腫の改善については、既存薬と同等程度である一方、治療開始後の比較的早期からの骨症状の改善が見られたという結果が得られておりまして、少数例の報告ではありますが、既存薬に対し、この点において有用である可能性があるということです。
 また、既存の酵素補助療法につきましても、酵素に対する過敏症等が現われた場合、その治療法がなくなるということもありまして、そういったことも勘案しますと、本剤の医療上の必要性は高いものと考えております。
 開発の可能性ですが、現在第□相臨床試験を□試験実施中です。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということから、開発の可能性はあるものと考えています。
 以上から、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○加藤委員 確認したいことがあります。現在、こちらは、酵素補充療法が第一選択になっていると思います。酵素補充療法が何らかの理由で適用されない、あるいは中止した患者さんに対しての効能を調べるという方針になっていくのでしょうか。
○事務局 有用性につきましては、作用機序が異なるということもあり、実際にどちらが良いのか、現時点では不明であると考えています。
○松井部会長 ほかにありますか。
 こちらは本当に希な疾患であり、現在、成育医療研究センターでも酵素補充療法を計画しておりますが、特に御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題11にうつります。議題11について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題11、資料11「ミグルスタットを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より説明させていただきます。
 申請者名は、アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社です。医薬品医療機器総合機構による評価報告書に基づいて説明いたします。
 まず、対象者数ですが、ニーマン・ピック病の中でもC型ということでして、全世界で、現在500例が診断をされているところ、国内では現在16人存在が確認されているという報告を受けています。これによって対象者数の要件は満たしているものと考えています。
 また、医療上の必要性については、進行性の疾患であり、現在では有効な治療法が本邦では承認をされていない状況にございます。また、臨床試験におきまして、脳幹の機能障害を反映する、水平方向の衝動性眼球運動速度の効果が確認されているということもございまして、本薬の医療上の必要性は高いものと判断をしています。
 開発の可能性についてですが、現在、国内におきまして健康成人の薬物動態の検討、それから、患者さんを実際に対象とした臨床試験を同時に行っていまして、本剤の開発の可能性は高いものと考えています。
 以上から、希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○加藤委員 議題10のゴーシェ病の1型の一つ前の薬と少し関連しているのですが、そちらの方には、今の議題になっている本薬のザレスカという商品名のものは、国内で承認されていないという記述になっています。こちらでニーマン・ピック病C型を適応として承認された場合、ザベスカもゴーシェ病1型の治験が可能と考えて良いと思います。基本的には、両方とも作用機序のポイントは違うけれど、考え方は似た薬であり、適応となるものも双方が代謝異常ということから、二つの議題に関連していると思いました。ニーマン・ピック病C型だけに適応するのか、それとも承認されることにより、ゴーシェ病1型に対しても治験を行う方針をとっていくのでしょうか。教えてください。
○事務局 順番の問題であり、ゴーシェ病1型の方も、開発が行われるものと考えております。
○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。
 こちらは、ニーマン・ピック病だけでも希であるが、更にこのタイプC型が日本人には希ということで、新生児期から黄疸と便色の異常、灰白色便で発症することがございます。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題12にうつります。議題12について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題12、資料12「医薬品セイブル錠25mg、同錠50mg及び同錠75mgの再審査期間の延長の可否について」、事務局より説明させていただきます。
 資料12を御覧ください。品目の概要ですが、本剤セイブル錠は、糖尿病の食後過血糖の改善の効能・効果で、平成17年10月11日に承認をされておりまして、平成25年までの8年間の再審査期間が付与されております。
 薬事法第14条の4第2項の中で、特に必要があると認める時には、この審議会の意見を伺い、再審査期間を延長できるという規定がございます。また、特に必要があると認める時の内容として、通知ですが、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合という項があります。今回、本剤について小児の用法・用量設定等の目的で臨床試験を計画しているということから、所要期間等を勘案しますと、現在は2011年ですが、試験が4年間かかるということになっており、2015年までの試験が必要であるということです。
 当初の再審査期間は2013年まででしたが、この所用期間を勘案し、再審査期間を当初より2年間延長することが適当であると考えております。このことについて、お諮りするものです。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御審議をお願いいたします。
 私から質問があるのですが、これを延長する最大の理由を教えてください。
○事務局 小児の用法・用量等について、臨床試験が行われるということで、その結果を併せて再審査を行うという趣旨になります。
○松井部会長 それに時間がかかるということですね。分かりました。
 ほかには、ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、再審査期間の延長を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、再審査期間の延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 先ほど残りました議題7の確認ですが、いかがでしょうか。
○機構 臨床試験値に関しまして、資料7の「臨床に関する概括評価」の128ページを御覧ください。細かいデータ等は、付いておりませんが、臨床試験の中で認められた有害事象を比較しています。臨床検査値の有害事象に関しては、本剤群では10%強出ていますが、重篤な有害事象は認められておらず、多くの人が軽度~中等度ということで、特に大きな問題は認められておりません。また、海外の臨床試験におきましては、ここではデータが出ていませんが、血糖値を取っており、プラセボと変化量に関して、大きな差異は無いということが確認できています。以上です。
○松井部会長 先ほど御質問されたのは野田委員でしたが、今のような御説明でよろしいでしょうか。
○野田委員 はい。
○松井部会長 議題7につきまして、ほかに御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、加藤委員、野田委員、古川委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題ついて、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。審議事項は、以上になります。
 それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料13「医薬品リピディル錠53.3mg、同80mg、トライコア錠53.3mg及び同錠80mgの製造販売承認について」、事務局より報告いたします。
 本剤は、「高脂血症(家族性を含む)」を効能・効果とし、1錠中フェノフィブラートを53.3mg又は80mg含有する錠剤です。本邦におけるフェノフィブラート製剤としては、「リピディルカプセル67、同100」及び「トライコアカプセル67mg、同100mg」が1日1回134~201mgの用量で承認されておりますが、今般、あすか製薬株式会社及びアボット製薬株式会社から、本剤の用量を1日1回106.6~160mgに低減し、錠剤化した「リピディル錠53.3mg、同80mg」及び「トライコア錠53.3mg、同80mg」の製造販売承認の申請なされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項議題2、資料14「医薬品エルカルチン錠100mg及び同錠300mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
 本剤は、レボカルニチン塩化物を有効成分とする経口製剤であり、現在は「下記疾患におけるレボカルニチン欠乏症の改善・プロピオン酸血症・メチルマロン酸血症」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議においてカルニチン欠乏症に対する公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年10月29日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、大塚製薬株式会社から、効能・効果及び用法・用量を変更するための製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題3、資料15「医薬品エクザール注射用10mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
 本剤は、ビンブラスチン硫酸塩を有効成分とする、抗悪性腫瘍剤であり、現在、「悪性リンパ腫」等の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年10月29日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、日本化薬株式会社から、「ランゲルハンス細胞組織球症」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題4、資料16-1~16-4「医療用医薬品の再審査結果について」、報告いたします。
 これらは、いずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料16-1は、一般的名称は「インターフェロンベータ」、販売名は「フエロン注射用100万ほか」のものでございます。
 資料16-2は、一般的名称は「酢酸オクトレオチド」、販売名は「サンドスタチンLAR筋注用10mgほか」のものでございます。
 資料16-3は、一般的名称は「デソゲストレル・エチニルエストラジオール」、販売名は「マーベロン21ほか」のものでございます。
 資料16-4は、一般的名称は「エダラボン」、販売名は「ラジカット注30mg」のものでございます。
 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 最後に当日配付資料20「医療用配合剤に求められる事由の4.のみに該当する経口医療用配合剤部会審議までの流れ」につきまして、資料に基づき説明させていただきます。
 資料の2枚目に、昨年の10月の本部会における議論の結果を示しておりますが、元々リオベル配合錠について8月の部会において、継続審議とされましたが、10月の部会において、単剤の承認後、使用経験が少ない段階では、適正使用の推進等に影響を及ぼす可能性があることを勘案して、配合剤に求められる事由が、下の(参考)に1.~4.まで記載していますが、「4.その他配合意義に科学的合理性が認められるもの」に該当する経口配合剤については、原則として最も新しく承認された単剤の承認からおよそ1年を置いて承認することとする、という結論をいただいたところです。
 1枚目で、具体的に流れについて説明したいと思います。配合成分が2成分ある場合については、それぞれについて承認日があるわけですが、より新しい方の承認日から1年が経ってから承認をするということでした。御案内のとおり、部会で御審議をいただいてから承認をするまでには、少し時間の差があります。その点をどのように事務的に取り扱うかということですが、下に示しておりますとおり、この御審議をいただく際に、その時点における市販直後調査の結果、使用成績調査の結果、処方実態調査の結果等について、併せて御審議をいただきたいと考えております。
 また、実際にその審議をいただいてから、承認までの期間、品目において、ややまちまちな部分もあり、仮に承認から1年を経過する日よりも前に部会の審議をいただくとした場合、承認日について、やや齟齬を生ずることもあります。
 結論ですが、配合成分の単剤の承認日の新しいものから、少なくとも1年を経過した後に、本部会において御審議をいただきたいと考えております。具体的にリオベル配合錠に当てはめれば、次回の4月の部会にお願いをしたいと考えております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。この配合錠については、今まで議論が繰り返されてきました。特段の御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件については、御確認いただいたものといたします。ほかに何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、4月27日(水)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、今日はこれで終了させていただきます。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録

ページの先頭へ戻る