ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成22年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 平成22年度化学物質のリスク評価検討会(第2回有害性評価小検討会)




2011年4月14日 平成22年度化学物質のリスク評価検討会(第2回有害性評価小検討会)

労働基準局安全衛生部

○日時

2011年4月14日(木)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館 8階 825号会議室


○議事

○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。ただ今より「第2回有害性評価小検討会」を開催いたします。本日の議事の進行につきましては大前先生にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大前座長 それでは第2回の有害性評価小検討会を始めたいと思います。まず最初に配付資料の確認をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 お手元に資料1として、酸化チタンの有害性総合評価表の綴り、資料2として、インジウム及びその化合物の綴り、資料3として、1,2-ジブロモエタンの有害性総合評価表の綴り、資料4として、今後の検討予定、参考1として、リスク評価の手法、参考2として、平成22年度リスク評価の進捗状況、参考3として、酸化チタンの提案理由書等、参考4として、1,2-ジブロモエタンの提案理由書等をお配りしていますので、ご確認のほどよろしくお願いします。
○大前座長 ありがとうございました。資料はよろしいですか。今日の議事は4つありますが、酸化チタン、インジウム、1,2-ジブロモエタン、その他ということで順番にやりたいと思います。最初に酸化チタンの有害性評価書、評価値について、事務局から説明をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料1の有害性総合評価表をご覧ください。前回、地震の前ですが、流れだけの説明をさせていただいていますが、この取りまとめにつきましては、ナノサイズのところは省いているということでの評価書になっています。物理的化学的性状については4頁に書いていますが、無色~白色の結晶性粉末、生産量については24万トン、用途については塗料や各種原料に使われています。
 有害性の発がん性については2頁にありますが、IARCで2Bに分類されています。下線の「ラットの肺腫瘍発症の増加の結果に基づいて、酸化チタンが実験動物で発がん性があるという十分な証拠である」という結論については、IARCのモノグラフVol.93に書いてあることを、追加しています。
 一次評価値について3頁に計算式が書いてあり、前回ここでご説明をしたのですがIARCのモノグラフVol.93の関係で、こ再度、計算し直したほうがいいか検討させていただきたいと思います。二次評価値についてはACGIHの10mg/m3という案でお出しをしているところです。それと前回、3頁のいちばん下のところですが、日本産業衛生学会の許容濃度については未設定としていたのですが、いわゆる粉じんという扱いで、日本産業衛生学会も総粉じんが4mg、吸入性粉じんが1mgと、第2種粉じんに分類されていますので、それを加えています。これについては参考3の8頁に、2010年の産業衛生学会の粉じん許容濃度の表が出ていますので、ご覧いただければと思います。事務局からは以上です。
○松井化学物質評価室長 若干、補足をさせていただきます。いま、ご説明したIARCのモノグラフですが、参考3の1頁から抜粋を付けています。本来であれば、もう少し詳しく評価表に書き込むべきところですが、これにつきましては、6月のリスク評価のとりまとめのときまでに、何らかの形でまたご相談させていただきます。
 参考3の1頁のいちばん下のパラグラフから次の頁の上から2行目に、ラットの実験で腫瘍の増加が認められたことをもって、実験動物において発がん性のある十分な証拠であると書いています。このラットの実験結果について3頁、4頁に、実験データとしてラットの吸入試験の部分を抜粋しています。3.2.2のRatの2つ目のパラグラフにある実験データ、次の頁の3つ目のパラグラフにある実験データで腫瘍の増加を認めたということです。先ほど説明の中で、一次評価値の根拠になっているNOAELの50mg/m3は、IARCの報告から一応は暫定的に取っているわけですが、今回のモノグラフの中で4頁の3つ目のパラグラフにある実験データで、50mg/m3よりも低い濃度で腫瘍の増加が認められていますので、これを踏まえて再検討し、これも6月のとりまとめのときまでに何らかの形でご相談させていただきたいと考えています。
 ナノサイズのものについては、ナノサイズに特化した評価は、この評価表では行っていません。ナノサイズのものの今回のリスク評価における取扱いについては、6月のとりまとめのときまでに何らかの方向を、またご相談させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○大前座長 ありがとうございました。という状況で、今日は結論を出す必要はなくて、6月までにもう一度新しく出すということです。いまおっしゃったように酸化チタンの場合は、IARCがラットの実験で有意に発がんが出ているということで、その数字がこの評価表にある50よりも小さいレベルであるということなので、一次評価値を再計算し直すといいますか、そういう形になろうかと思います。ナノは話は別にしておいてくださいということです。
 許容濃度ですが、産衛の許容濃度が第2種粉じんということで計算すると4になりますから、ACGIHの10よりも小さいということで、ここに記載をしたことになります。産衛の許容濃度が参考3の8頁です。表1-3に第2種粉じんとあり、ここに二酸化チタンが入っていて、総粉じんで4、吸入性粉じんで1というのが、この根拠と言いますか元の文献です。
 この産衛の許容濃度をいつ決めたかというと、9頁に「粉塵」と書いてあって提案理由が書いてありますが、この年度を見ると1981年、いまから30年前です。私が卒業して許容濃度委員会に関わり始めたころに、この議論があったので非常によく覚えています。このときの議論で、シリカの粉じんは割合としっかりした根拠に基づいてやったのですが、シリカ以外の粉じんは、概ね、強、中、弱みたいなイメージで分けて、それを1種、2種、3種ということで割り振ったという記憶です。したがって二酸化チタンは第2種になっていますけれども、この4というのは二酸化チタン独自のデータからではなく、相対的に弱いというイメージで振っていますから、この数字の4自体には、取り立てて酸化チタンとしてのスペシフィックな根拠があるわけではないというのが、実はこのときの議論で、そういう現状になっています。
 しかも、このときの粉じんの分け方の根拠が、いまは違っていますけれども、9頁の左側の6段落目に「一方、これに対して」という文章があります。当時の分け方として「一方、これに対して、じん肺第2型との関連性については、各資料間の成績はばらつきが少なく、ほぼ安定した資料として取り扱える」と書いています。第1型は差がありすぎてどうしようもない。したがって安定している第2型を使おうという発想で、次のところですが、じん肺第2型が5%発生する可能性がある曝露濃度が算定された。これをもとにして、ばく露期間を25年等々ということです。いまの考え方と比べると重い状態を想定して作っていますから、この総粉じんの4はあまり当てにならないかもしれない。今までは両方ある場合、二次評価値はどちらかというと小さいほうを取る、安全側に近いほうを取る形でずっとやっていましたけれども、この産衛の4に関してはそんなにしっかりした根拠があるわけではないというのが、過去の産業衛生学会の提案の経緯です。酸化チタンに関して、何かご意見、ご質問あるいは追加等あればお願いします。
○宮川委員 この評価表にも書いてありますが、ナノサイズのものに特化したものを今回は除外したということだと思いますけれども、IARCのモノグラフで226頁に吸入ばく露と、いちばん下は気管内注入のことが書いてあります。例えば226頁の3番目のパラグラフのHeinrichの論文が重要だと思いますが、ここで0.80μmと粒径が書いてありますが、これはP25で1次粒径ではないかもしれないと思いますので、もしかするとナノに関するものかもしれない。いちばん下はたぶんPottの論文だと思いますが、この3.3.2のRatもP25を使っていますので、もしかすると1次粒径はナノサイズのものかもしれない。ですから、一応、ナノは取らないということで6月ごろに最終的な評価書を作るにしても、IARCで使っているものはナノのものが結構入っている可能性があり、そこの扱いは注意が必要だという気がします。なお、ルチル型とアナターゼ型が混ざっていますが、P25はアナターゼだと思いますので、そのあたりもどうするかは最後に書くときに注意が必要だと思います。
○松井化学物質評価室長 いまのご指摘の気管内投与の実験結果は、事務局で途中で切ってしまっていますけれども、226頁の3.3.2のRatは、サイズから言うと明らかにナノサイズのものです。もう少しお付けすればよかったかと思いますけれども。
○宮川委員 そうです。下のほうに0.021μmと書いてある。
○松井化学物質評価室長 これは気管内投与の試験でもう1件あって、これも腫瘍の増加を認めていますので、切る場所が悪かったかもしれません。
○宮川委員 そこは私、実はメモ書きしてきたのですが、切れてしまっている所のサイズは二酸化チタンの種類で、P25は粒径が0.025μm、P805が0.021μm、AL23は0.2μm、この3種類をやっているようです。いずれもナノとそうでないものが混ざっている。
○大前座長 ナノの定義に、100nmとありますね。これはMMADでも100でいいのですかね。あの100というのは測ったサイズですか。あの100nmというのは実測値が100なのですか。
○宮川委員 詳しくは存じませんが、あれはたぶん割切りなので、そう作ってあると言われていれば、そうなるのかなと。
○大前座長 作ってあるというのは、要するに実測値であるという感じでいいわけですね。
○宮川委員 提供している所が、1次粒子はこのサイズだと分布を示していて、そこが100以下が入っていればということです。平均で切っているかどうかはわからない。
○大前座長 いまのご意見ですと、先ほどの第3番目のところのMMADが0.80μm、800nmですけれども、ここら辺のデータを100としたら、ナノサイズのほうのデータかもしれないということですね。
○宮川委員 そうですね。Degussa社のP25というのは製品番号か商品名だと思いますが、調べていただければと思います。3.3.2の下のほうも、残っているところはP25と同じものについて書いてありますが、同じものを書いてあるのにサイズが違う表記になっています。
○寺島化学物質情報管理官 産総研でまとめたナノのリスク評価書のところに、P25のことが書いてありますので紹介しますが、P25という製品名で広く知られているエボニックデグサ社製のアナターゼ80%、ルチル20%の混合相を持つ、平均1次粒径10~40nmの酸化チタン粒子と紹介されています。ですから1次粒径が本当に小さいナノサイズということです。
○大前座長 10~40nmということなので、ナノサイズですね。そうするとナノのレベルの酸化チタンの粉の話と、もっと大きいマイクロのレベルの話とは違いそうだということで、どうやろうかということですね。一応、今度の6月までに何らかの方向性というか、それはある程度出したいということなので、今日はこの段階に止どまることになりますけれども。
○松井化学物質評価室長 実はナノの測定のほうが、そんなに数はないですけれども、バックグラウンドのナノは大きいものがたくさんあるので、なかなかうまく測れていないこともあります。従来のリスク評価では、ばく露実態調査をやってリスク評価する仕組みになっていますから、その辺でどうするか。6月の時点でペンディングになる可能性もありますけれども、その辺をまたご検討いただくことでお願いしたいと思っています。
○大前座長 そのほか何かご意見は、いかがでしょうか。酸化チタンに関してはそういう状況なので、今日の議論としては。
○松井化学物質評価室長 事務局で確認しておきたいのは、二次評価値の4と10を、どんなふうに考えたらいいかです。大前先生からもお話がありましたが、そこはある程度結論に近いものをいただいておければと思います。
○大前座長 いかがでしょう。先ほど日本産業衛生学会の4の話は、ああいう経過だったということをお話しましたが、10のほうは参考3の5頁にACGIHの提案理由が載っています。これを少し読んでいただけますか。いかがでしょう。これはラットの慢性ばく露実験で、10だと構造的に、もちろんがんも含めて何も起きなかったと。ヒトのデータは、ばく露と関連したことはないので10にしたということですが、少なくとも産衛の提案理由よりはこっちの提案理由のほうが、酸化チタンに関してはしっかりしていますね。この提案が出てきたのは1996年ですから、いまから15年くらい前の提案ですけれども、産衛の30年前よりは遥かにしっかりしていると思います。
 資料1の19頁にはMAKの根拠の要約も載っています。いまACGIHの要約を見ていただきましたが、MAKのほうの根拠の要約も載っています。MAKの場合はRespirable Fractionで1.5という数字が出ています。産衛とACGIHにこだわらなければ、このMAKのいちばん最後、6というのもあるわけですね。Respirable Fractionで1.5、それから下の6というのは、たぶんトータルだと思います。UKはinhalableで10、Respirableで4ということで、10と6と産衛の4という3つの数字があります。それぞれですけれども、先ほど言いましたように産衛の数字は酸化チタンそのものの濃度の根拠に基づいていないので、あまりよくないと思いますから、MAKかACGIHを取るのが妥当かなという気がします。この検討会は原則は産衛かACGIHで、MAKやUKも参考にするというスタンスで今までずっとやっていますので。
○松井化学物質評価室長 そういう決め方に今までしていました。参考1の。
○大前座長 参考1の5頁の二次評価値の決定のところで、(ア)のiのところで、許容濃度又はTLVが設定されている場合、i以外の場合、REL、ドイツのMAK、英国のWEL等を使うことになっていますので、酸化チタンに関しては、この論理に従えば両方ありますから産衛かACGIHの数字を使うのが、整合性がとれたルールにはなります。一応、MAKは6と言っていますが、これは今までのルール上はないということで、ルールに従えば10となりますけれども、二次評価値に関してはナノのことは別にして、そういう形でよろしいですか。ちょっと異質ですけれども、今まではどちらか低いほうということでしたが、これに関してはあまりにも30年前の産衛の根拠がないので。
○清水委員 今度、ナノが出てきたとき、またそこで考え直すと。
○大前座長 そうですね、変えなくてはいけないということですね。おそらくナノはナノで、また別にやることになるでしょうね。現場はナノサイズでない酸化チタンの類似品もたぶんあるでしょうね。
○松井化学物質評価室長 顔料などで使われるのは相当に量がありますので、どうしても量を比べたらナノのほうが小さくなってしまいます。
○大前座長 ナノサイズの酸化チタンが必要なのは、どういうところですかね、化粧品ですか。あと何ですか、化粧品くらいしか思い付かない。
○宮川委員 触媒作用のある防汚塗料ですか。あれはアナターゼ型が小さい粒子でもって入れてある可能性がある。
○大前座長 光触媒みたいな形ですか。そうしましたらナノを外したチタンに関しては、二次評価値は10でよろしいですか。この小検討会の意見としては二次評価値は10という形で結論にさせていただきます。チタンについて、そのほかよろしいですか。なければ次にインジウムですが、これは報告ということなので事務局からお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料2のインジウム及びその化合物ということで、報告させていただきます。インジウムについては昨年、いろいろ経緯がございまして、大前先生に座長をしていただいた件ですが、今回、検討会の先生方は、健康障害防止措置の検討会やインジウムの小検討会等々重複もありませんし、初めてお聞きいただく話も多いかと思いますので、冒頭から説明をさせていただきます。
 昨年12月22日に、表記の「インジウム・スズ酸化物等取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針」を、通達で発出しています。この策定の経緯ですが、インジウム・スズ酸化物というのは、Indium Tin OxideということでITOと省略しますけれども、テレビやパソコンに使用される液晶の電極の原料として広く使用されている物質です。このITOの粉じんを吸入した作業者が肺疾患に罹るという労災が発生したことから、平成16年にITOの取扱作業に関して行政指導通知を発出しています。作業管理、作業環境測定というものをお願いしていたところですが、その結果を踏まえて、(3)にありますようにITOの製造事業者の皆様方の共同出資により、バイオのほうで動物実験による長期がん原性試験が始まっていました。それと並行して平成21年度から、インジウムのリスク評価をやってきているところですが、昨年、初年度の初期リスク評価がまとまるぐらいの時期に、バイオアッセイ研究センターにおける長期がん原性試験の結果がまとまり、その結果、これまでよりも非常に低濃度でがん原性があることが報告されたところです。
 そういったことで(6)にありますように、そのリスク評価を踏まえた法令による規制の前提を待っていたのでは、ちょっと遅いのではないかということで、本年度に行う予定の詳細なリスク評価を待たずに、当面の対応を行うことが必要であるとして、技術指針をとりまとめるための検討会を開催してきたところです。
 具体的には昨年の夏、8月から9月にかけて小検討会を開催し、大前先生に座長をしていただき、九州大学の田中先生、毒性学の先生だと思いますけれども、それと保護具の観点から田中茂先生、そして中野先生、名古屋先生にお入りいただいて検討を行いました。指針にを出すにあたっては、意見交換会やパブリックコメントを行って活発に意見が寄せられたところですが、通達として12月に発出しています。
 4頁に技術指針のポイントを書いています。管理すべき濃度がいちばん重要なところです。平成16年の通知では0.1mg/m3ということで設定していて、これを目標に事業者の皆様に自主管理をしていただいたわけですが、2行目にあるように、がん原性試験のLOAELが0.01mg/m3であったことから、どういった濃度設定が可能であるかを検討会でご議論いただきました。もちろんLOAELということですので、目標濃度として最終的には設定したわけですが、LOAELから本当に安全な濃度、その下にある、ばく露が許容される濃度までを計算すると、3×10-4と非常に低い濃度になることから、これをいわゆる許容濃度であるとか管理濃度的な考え方で設定すると、事業者の皆様方のほうで実現可能性が全くないというご意見もあり、目標濃度という新たな概念を持ち込み、目標濃度を0.01mg、LOAELと同じ数値ですけれども、これを吸入性粉じんとして設定したところです。吸入性粉じんというのは、試験のほうが吸入性粉じんであったということがあります。
 こういった形で目標濃度と許容される濃度を設定し、それに対する対策ですが、作業環境測定を吸入性粉じんで、レスピラブルな範囲で測定していただきます。
 保護具ですが、目標濃度に向けて事業者の皆様方に作業環境改善をしていただくわけですけれども、0.01mgでもがんが出ることもありますので、必ず呼吸用保護具を使っていただき、呼吸用保護具はどういったものがいいかの目安をお示しする形にしています。
 平成16年の通知にはなかったのですが、健康診断を入れていただいています。健康診断の項目は下にありますように血清インジウム濃度、KL-6、胸部CT、肺機能検査等です。肺機能検査は二次検査だったと思いますが、こういったところを盛り込んで指針をまとめたところです。
 この指針をまとめるにあたり、5頁にあります留意点を併せてまとめていただいています。1の対象物質の粒径については、吸入性粉じんということで決めていますが、今後、リスク評価を進めるにあたっては、全粒粉と吸入性粉じんとの比較を行って、空気中の濃度を評価することの妥当性を検証する必要がある、というご指摘をいただいています。そこで吸入性粉じんで切るべきなのかどうかです。
 2の目標濃度についてですが、管理すべき濃度としては従来より1桁下げたものの、これはLOAELですので、さらに低いレベルが望まれるところですから、ばく露実態調査を通じて達成状況を把握し、目標濃度を再検討する必要があることが留意点とされています。
 3の呼吸用保護具の選定については、非常に低い濃度、非常に細かい粒子ということですので、保護具の検証が必要ではないかということ。
 4のばく露が許容される濃度については、一応、こういった形で設定をしていますが、国内外の関係機関において評価結果等、新たな知見が示される場合は、これに基づいて妥当性を検証していく必要があるとして留意点をいただいていますので、こういった留意点を踏まえつつ、リクス評価を進めていく形になっています。あとは技術指針をお付けしています。以上です。
○大前座長 ありがとうございました。インジウム及びその化合物については、リスク評価と同時に技術指針を作るための作業が昨年の後半からなされて、12月に技術指針が出されたということです。先ほど4頁にもありましたように、目標濃度が0.01、それから「許容濃度」でなく「許容される濃度」という表現にしていただきましたが、これが0.0003ということで、この濃度が妥当かどうか。もともとLOAELを使っていること自体、もちろん妥当性がそんなにあるわけではないですし、本来はもっと低くならなければいけないわけですが、実際の作業現場がなかなかそれではいかないということで、呼吸保護等々を加えて十分注意してくださいという形に今はなっています。したがって、これはまだ最終決定ではなく、詳細評価等々が終わった後に再検討する状態になっていると思います。現在は技術指針の段階で、各会社にやっていただいているということです。
 インジウム・スズ酸化物取扱い等に関して、いかがでしょうか。これはまた独自にリスク評価もやっているわけですが、それに加えてということです。去年はベースの評価をやり、結構濃度が高いということで詳細評価に移りました。今年度に詳細評価をやることになっています。だから、この技術指針は最終結論ではなく、過渡期の状態と考えていただければいいのではないかと思います。
○池田委員 コメントですが、0.01というのが現実上、非常に難しいということで、仮にこういうふうにしていると理解していましたが、現場のほうで実際に粉じんそのものを管理している人たちがいると思います。そういう人たちが管理できる現実的な最低の濃度というのは、どういう数字があるのでしょうか。おそらく0.01というのは現実上、管理可能な濃度ということだと思いますが、さらに下げるとすると現実的にどうなるのか。例えば意見聴取をするとどういう数字が出てくるのでしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 作業現場によってもかなり違うようで、リサイクル等をやっている所などは高めに出るのですが、ITOターゲットを作っている大手の製造メーカーでは、0.01mg/m3というのが、一生懸命やってやっと達成できる濃度という形のようです。他方、ITOを使ってパネルなどを製造している所では、クリーンルーム並みの清浄さを保っているようで、そういった事業場に関しては割合に0.01をクリアしている事業場も見られるようです。
○池田委員 製造する場所と、それを使う場所とではちょっと違うということですね。
○寺島化学物質情報管理官 そうですね。
○池田委員 了解しました。
○松井化学物質評価室長 22年度にばく露実態調査の詳細調査をやっていて、それはレスピラブル粒子と総粉じんの両方を測っていて、来週のばく露評価小検討会に結果を諮るということです。その後、5月、6月の合同の検討会の中で、この0.01が妥当であるかどうかを、またご検討いただくことになりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○大前座長 何社かの方々にヒアリングで、3社か4社でしたか、その会社の実際の濃度のデータを見せていただきましたが、0.01は結構厳しそうなお話をされていました。
○清水委員 血清のほうは何か決まっていましたよね。
○大前座長 はい。
○清水委員 それと、これとのバランスというのは。
○大前座長 血清インジウム濃度を、皆さんが測り始めたころには既にマスクをされていますので、なかなかバランスが合わないのです。
○清水委員 合わない。
○大前座長 ええ。本来は、この毒性を測る前の段階の濃度があるとよかったのですが、そのころは何の規制もなかったものですから、粉じんとして測った所はありましたけれども、インジウムとして測った所はほとんどなくて、そこもなかなか辛い。作業環境の濃度と影響のほうの関連が出てこない感じです。それと、この物質はクリアランスが遅く、肺に溜まってなかなか出てこないものですから、余計、そういう感じになっているのです。昔の沈着が今もKL-6を上げているような状況になっています。インジウムはよろしいですか。何かそのほかにご質問、ご指摘がございますか。
○寺島化学物質情報管理官 インジウムの有害性評価書というのは、去年のままの形であるわけですが、今日はお出ししていません。インジウム及びその化合物という一括りにして有害性の評価をしているわけですが、今回、がん原性が出ているのがITOと、2Aになっているのはリン化インジウムということなので、その他の化合物についてどう捉えるかをもう少し事務局で情報を集めて、情報がないかもしませんが、お諮りできればしたいと思っています。リスク評価の合同の検討会で、ばく露の実際のデータと有害性の評価値が妥当であるかという評価として、お出ししたいと思っています。
○大前座長 ニッケルの場合は、ニッケル金属と金属以外の化学物質を分けてやっているわけですが、インジウムの場合も、メタルとしてのインジウムはほとんどデータがないのです。今まで歯科合金などに使っていましたので、消化管から入る分にはたぶん何も起きないと思いますが、金属インジウムの粉じんを吸入したデータというのはないものですから、どうしたらいいかというのはあります。インジウムの件でそのほかになければ、ありがとうございました。それでは次、1,2-ジブロモエタンです。これも前から何回か議論になっているものですが、事務局から説明をよろしくお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料3をご覧ください。昨年のとりまとめのものですが、ざっくり説明します。3頁をご覧いただくと、発がんについてはIARCで2Aになっているということです。1頁から急性毒性があるとか、皮膚腐蝕性/刺激性もありということで、いろいろと有害性を持っている物質となっています。
 3頁の発がん性のところの真ん中あたりに、労働補正で、一次評価値として1.3×10-5ppmという数値をとっています。二次評価値としては、許容濃度のNIOSHの0.045と、昨年、判断いただいたところですが、ほかのに比べて値がだいぶ開いているということで、海外の情報を再度収集してみてくれということから、1年間、情報収集してもらいましたけれども、これといった情報がない状況です。3頁の下で下線が入っているのが昨年の後に付け加えているものです。
 そのほかに参考として、4頁のその他のところに書いていますが、実は昭和56年当時に輸入果実のくん蒸の関係でEDBを使っていて、その労働環境についての健康確保ということで、当時の通達ですけれども、1977年にNIOSHが0.13ppmというのを勧告しています。これを当面の暫定基準としてクリアするように、労働環境をきちんとしなさいと指導している経緯があります。こういう状況にあるということで、昨年の0.045が妥当であったという判断になるのかどうかを、ご議論していただければと思います。
○松井化学物質評価室長 補足しますが、NIOSHの0.045というのはTWAで、0.13というのは天井値、15分間の値です。くん蒸するときの基準としては、昭和50年代に天井値を使って0.13ppmというのを、暫定の基準として通達で指導しています。今回、考えるにあたってTWAで考える必要があり、その横並びからすると0.045となるわけですけれども、そういったところが若干、判断材料の1つとして付け加わったということで、なかなか資料がなかったというのが現状です。
○大前座長 ここの物質は3カ所の機関で、ずいぶん桁が違うくらい離れているために、なぜなのか、もう少し資料をということで調べていただいたものです。先ほどのNIOSHのデータの根拠は何だということで調べていただいたのですが、あまり出てこない形です。参考4にジブロモエタンの提案理由書等が書いてあり、19頁がNIOSHの提案理由書のようなものですが、この発行年が1981年で、ここから先が探しても見つからないそうです。
 81年の提案理由書の25頁にRecommendations、最終結論があり、アンダーラインを引いているところを見ると、upper boundaryで0.13ppm、天井値みたいなもので0.13という数字が載っていますが、0.045という数字がどこにも載っていない。少なくとも81年までは天井値は見つからず、upper boundaryでしかなく、それをおそらく厚労省が使われたと思います。その後、0.045のところのNOISHの文章が見つからない状況だそうです。
 ちなみに、この0.045の根拠は文献17と書いてありましたので文献17を見ると、資料3の15頁です。ポケットガイドブックに載っている数字を使っていますが、数字が載っているだけという情報です。このポケットガイドは新しいので1980何年の話ではないと思いますが、少なくとも、この間の0.045というのは見つからなかったというのが現在の状況のようです。
 前回は3つあるうち、とりあえず安全をとって0.045だろうと。農薬としても失効していますし、あまり労働者がばく露するチャンスはないだろうということも含めて、0.045ということで二次評価値を採用しています。残念ながら情報は付け加わらなかったということですが、何かご意見はございますか。ちなみにいまの使用状況は、いかがなのですか。
○松井化学物質評価室長 先生がお話のように農薬としては失効しています。使われていません。ガソリンのアンチノック剤としても使用されていないと聞いています。
○寺島化学物質情報管理官 ばく露作業報告をいただいているのが1社で、そちらでは合成原料ということでした。1年目に測定に行った所ですが、合成してほかの化合物を製造していると。もう1つ探していただいてそこに行っているのですが、そちらではほかの素材の密度の測定という特殊な用途に使っているという実態でした。
○大前座長 後半のほうは物を造っているのではなくて、ほかの物質の特性を測定するためのガスというか蒸気というか、そうなっているということですね。それが1社。
○寺島化学物質情報管理官 そうです。
○大前座長 いまのところ、わかっている範囲では2社だそうです。その合成原料として使うほうの会社の測定結果は、どうでしたか。
○寺島化学物質情報管理官 合成のほうも、0.045だと超えていて、0.5だと超えていないという結果だったと思います。
○大前座長 0.045。
○寺島化学物質情報管理官 去年、その間でしたね。
○大前座長 一応、二次評価値を0.045にすると、それを超えていると。とはいっても1社しかなくて、作業者は10人もいないくらいになる。そんな状況だそうです。前回、0.045とここでは二次評価値を決めたわけですが、これを変更することに関しては皆さん、いかがでしょうか。変更する必要がない、あるいは変更したらどうか、そこら辺のご意見があれば。ちなみに3つの数字というのは、資料3の9頁のいちばん下がNIOSHで0.045、10頁の1行目にOSHAの20が書いてあり、UKが0.5ですから、0.045、0.5、20と離れた数字が世の中に存在することになります。
 いま申し上げましたように、0.045のしっかりした根拠は見つからなかったのですが、ポケットガイドにあるということで、そんなに妙な数字ではない。少なくとも公的な数字だと思いますので、これはこのままでよろしいですか。特に0.5にするとか20にするとか、そういう理屈も根拠もなさそうな感がします。
○清水委員 結局、農薬として作ることは、もうほとんどないわけですね。合成というのは構わないのですか。会社で農薬以外の目的で使うのは。
○寺島化学物質情報管理官 農薬でなければ、農薬の規制はかからないです。
○清水委員 これを変えなければならない根拠はないですね。
○大前座長 これは、このままでよろしいですか。ここの検討会としては二次評価値としては、前回定めたとおり変えないと。ありがとうございました。3物質が終わりました。あと「その他」を事務局からご説明をお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料4をご覧ください。今後、合同のリスク評価検討会となっています。日時は5月10日(火)の16時から18時、第2回目が5月27日(金)の16時から18時、この2つで終わらなければ6月以降もセットしていくことになりますので、よろしくお願いします。
○大前座長 予定のほうはよろしいですね。これは合同委員会ですので、ばく露のほうとの合同委員会となります。そのほか事務局から何かありますか。予定は4時までですが、今日、予定してある議題は一応、これですべて終わりましたので、特に皆様方からのご意見、あるいはご要望等なければ終わりたいと思います。よろしいですか。それではありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成22年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 平成22年度化学物質のリスク評価検討会(第2回有害性評価小検討会)

ページの先頭へ戻る