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2011年4月14日 第9回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録

○日時

平成23年4月14日(木)10:00~12:05


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

本田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、木間委員、斎藤委員、長沼委員、西沢委員


○議題

平成22事業年度の業務実績に関する評価の基準(案)について
平成23年度計画について

○議事

○事業企画課長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「社会保障審議会日本年金機構評価部会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、本日も大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、すべての委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たしておることを御報告させていただきます。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 おはようございます。
 それでは、議事に沿って進めさせていただきたいと思います。
 本日の主な議題は、「平成22事業年度の業務実績に関する評価の進め方について」及び「平成23事業年度における業務運営に関する計画について」でございます。
 まず、平成22事業年度の業務実績に関する評価の進め方につきまして、事務方より御説明をお願いいたします。

○事業企画課長
 1番目の議題でございます平成22事業年度の業務実績に関する評価の進め方、これに関しましては、本日お手元にお配りさせていただいております資料1に枝番が幾つか入ってございますが、資料1-1、資料1-2、また、それぞれの参考資料という形で番号をつけさせていただいている資料、これが関係の資料でございます。
 その中で、まず資料1-1「平成22事業年度の業務実績に関する評価の進め方について(審議いただきたい事項)」という一枚の紙をお手元に置いていただければと思いますが、ここにございますように、大きく3点について、この議題については御議論をお願いしたいと考えております。
 昨年の評価との関係ということで、比較という点で申し上げますと、特に、その資料1-1の3つ目の白丸にございます「スケジュール」という点にもかかわる話でございますが、昨年は、21年度の評価に当たりまして、7月の半ばに評価の進め方を御議論いただき、8月に2回の御審議をいただいて評価をまとめるという経過でございました。
 22年度の評価に当たりましては、本日この評価の進め方の案について御説明を、この4月半ばということで差し上げまして、委員の御意見をちょうだいして、それを踏まえて、日本年金機構にも、22事業年度の実績報告書の準備というものを進めていただき、6月からのいわゆる本番の議論というものにつなげていければと考えておるところでございます。
 具体的には、その資料1-1の「スケジュール」というところにもございますが、昨年は、機構の21事業年度の実績報告書が6月末に提出されまして、その後に部会の御審議が始まるという順番でございましたが、今回の22年度の評価につきましては、6月の中旬に案の段階で、22年度実績報告書(案)、その時点ではまだ実績数字などで出ていないものもありましょうが、それはペンディングということでも案を機構の方から示していただいて、委員にごらんいただくということを考えてございます。
 その際の委員の御意見で反映できるもの、反映すべきものをできるだけ反映して、実績報告書を機構には6月の末に仕上げていただきまして、7月の部会での御審議を経て、7月中に評価をまとめることを目指したいというのがスケジュールの案でございます。
 更に、資料1-1の上から2つ目の白丸になりますが、機構による自己評価という点につきましても、昨年は6月30日に実績報告書を機構から提出いただいた後に、7月16日に自己評価を追いかける形で提出いただいたという経過になったところでありますが、今回は、初めから自己評価は実績報告書に入れていただきまして、実績報告書の中で、22年度中に達成できなかった事項の未達成要因、また翌年度の取り組み方針、把握した課題等を書き込んで提出いただくということを考えてございます。
 その上で、実際の評価の中身ということになりますが、特に評価の単位、項目立てが細か過ぎるのではないかという御指摘を昨年の御議論の中でもちょうだいいたしました。
 本日は、この点につきまして、資料1-2という次の資料になりますが、「日本年金機構の平成22事業年度の業務実績に関する評価の基準(案)」という資料を用意させていただいております。
 この資料1-2というペーパーの方をごらんいただきたいのですが、最初に1の「評価の概要」でございますが、機構の年度計画の実施状況を調査・分析して、年度の業務の実績の全体について総合的に評価をする、また、年度計画に掲げた項目ごとに行う個別的な評価と業務全体の状況について行う総合的な評価の2つを併せて行う。
 こういう点は昨年と同様でございます。
 ただ、四角い枠で1ページ以降囲ってございます個別的な評価の項目立てにつきましては、昨年よりは大きなくくりという形にさせていただいておりまして、昨年、48項目であったのを、今回は23項目とさせていただいております。
 ちなみに、この基準(案)、資料1-2のベース、根っこになっている22年度の事業計画は、資料1-2(参考資料1)ということで次のペーパー、また、昨年使いました評価の基準は、(参考資料2)ということで本日お机の上にお配りさせていただいております。
 評価の基準、資料1-2の一つひとつの御説明はちょっとお時間もあれなので割愛させていただきますが、ごらんいただきますと、四角い枠で囲わせていただきました個別の項目に関しまして、数値目標が、年度の計画、あるいは中期計画で定められているものにつきましては、この基準(案)の中で、その数値目標の関係をそれぞれ書き込ませていただいております。
 機構においては、実績報告書をつくる際にこうした点は踏まえていただくという考えでございます。
 それから資料1-2、基準(案)の最後の6ページをごらんいただきたいのですが、○3というところがございまして、ここに留意点を何点か書いてございます。
 これは昨年の基準にも書いてあったものでございます。
 特に3つ目のポツ、「業務実績に影響を及ぼした要因(予期せぬ事情の変化等)についても考慮するものとする」、これに関連しまして、本日、資料が多くて恐縮ですが、資料1-2(参考資料3)ということで一枚紙を配付させていただいております。
 「平成22年度計画策定時には想定されていなかった事象の例」というタイトルのペーパーでございますが、22年度計画、昨年3月でございますが、その策定時に想定されてなかった事象の例ということで、東日本大震災への対応、所在不明高齢者に係る不正受給防止に向けた取組、情報漏えい事案への対応ということで、機構の実績報告書では、こうした点も盛り込んでいただく必要があると考えてございます。
 また、ここにございます事象の例のほかにも、委員の御指摘があれば、また本日お願いをしたいと考えてございます。
 議題の1に関しましての資料の御説明は以上でございます。
 どうかよろしくお願い申し上げます。

○本田部会長
 ただいまの説明につきまして、皆様から御意見なり御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 斎藤委員。

○斎藤委員
 評価をするに当たって、前回非常に苦労したのですけれども、個別の事項はいただいた資料を拝見してできますが、全体像がなかなかつかめませんでした。
 この年金機構がどういう組織になってほしいかというビジョンがあって、それに照らし合わせてどうか、全体的な評価をすべきだと思うのですけれども、全体的にこの組織はどこに向かっているのか、何をしたいのかというのがはっきり見えてこない。項目が、今回、23項目に絞られたと言うことですが、よくわかりません。
 優先順位がもう少しはっきりわかると楽だなということを感じております。
 それから数値目標。数値の目標を置くというのはもろ刃の剣になるおそれがあり、数字を達成するために犠牲にするものが多い。
 例えば企業の場合ですと、売り上げ10%という数値目標を掲げてしまうと、マージンを犠牲にしてでも、とにかく売り上げだけを伸ばすというような行動に走りがちです。
 個別の数値目標がほかの目標と比べてどうなのか、ほかの目標を毀損することがないのかというようなことも考えながらやっていくべきではないかと考えております。
 更に、必ず車の両輪になるかと思うのですけれども、目標達成には報酬との連動が必要だと思います。
 給料を上げるというだけではなくて、報奨というのでしょうか、何か賞状を与えるとか、あるいは何か御褒美があってみんなが頑張るというようなものがどうしても組織の場合には必要だと思うのですが、その辺りの連動がどのようになっているのか、前もって教えていただけたらと思っております。
 以上、ちょっと感想を申し上げました。

○本田部会長
 今、御意見、質問ございましたけれども、何かそちらの方からお答え。
 どちらかというと機構の方からお話しいただいた方がいいのではないかと思いますけれどもね。
 それでは、理事長、お願いします。

○日本年金機構理事長
 御意見ありがとうございます。
 斎藤先生御指摘の最後の点ですね。
 特に機構で年度計画で細かい目標数値が出ておりますけれども、特に事業所別の評価でございます。
 厚年とか国年の適用徴収の3つ、行動計画を立てて目標立てておりますけれども、そういうものが処遇にどのように反映するかという点でございますけれども、私どもとして、これからなのでございますけれども、人事評価の中で事業所別の評価を行って、そこに所長さんとか課長さんがおられますね。
 そういう方に対して、今、Sから5段階の評価をしておりますけれども、そういうものに反映させていくと。
 先行きは、この312の事業所ですとか事務センターとかございますけれども、そういうところが事業所の固まりとしてよければ、そういうものを、そこに何かファンドを与えて、それで配分する、そんな工夫も先行きあっていいのかなとは思っております。
 どうやって職員の方々のインセンティブを高めるか、これは人事評価制度をきちっとこれから回さなければいけないのですけれども、もう少しいろんな形でインセンティブを高められるようにしていければと思っております。
 それから、いろいろな数値目標の整合性がというお話がございましたけれども、これも確かに、幾つかの分野ごとに目標数値はございますけれども、特に、例えばでございますけれども、適用事業所のところに一生懸命人を割くということになりますと、例えば同じ事務所の中ですと、仮に今度の震災対応とか、あるいは通常の相談業務とか、そういうところに人手が割けないということで、片方達成しようと思ったら片方がだめという、それは確かにございます。
 これはただ、どんな組織にもあろうかと思いまして、そこは、その時々の状況を見ながら、当然ながら優先順位がございますので、その優先の順位を外さないように、うまくバランスとっていけるような努力が必要かとは思っております。
 余りきちっとしたお答えになっていないかもしれませんけれども、考え方としてはそのように運用してまいりたいと思っております。

○本田部会長
 よろしいですか。
 私の方も1つだけ。
 想定されていなかった事象の例で、運用3号問題が22年度に起こっていますね。
 これもやはり大きな想定された事象、例にはならないのですか。

○事業企画課長
 今、部会長からお話しございました第3号被保険者の記録不整合問題というものが確かに非常に大きな問題ということで、これにつきまして、本日、後ほど次の議題でも資料としてお出しさせていただいておりますが、23年度の事業計画の中では、「国民年金適用事務の確実な実施」という項目の中で、法律による抜本改善策の施行準備ですとか、不整合記録のシステム抽出とか、こういう形で特記をさせていただいております。
 お手元、資料2ということで。

○本田部会長
 いやいや、それは23年度計画の話ですね。

○事業企画課長
 はい。

○本田部会長
 22年度の評価の問題をこれからどうするかというあれですからね。

○事業企画課長
 はい。
 それで、22年度につきましても、既に通知というものは廃止されておりますが、厚生労働省の方から指示をして、いわゆる運用3号の取り扱いというものを機構の窓口の方で行っていただきまして、非常に御苦労をおかけしたということでございます。
 この点につきましては、22年度の報告の中でも、実績報告を機構がつくられる中、また、この後の部会の評価の中でも、国民年金の適用事務の項目の中で例えば取り上げていただくのかと考えておりますが、本日お配りさせていただいております資料1-2(参考資料3)に、この第3号被保険者の記録不整合問題というのはちょっと書いてございません。
 実際の実務の詳細というものが昨年の3月の段階ではできてなかったわけですが、問題として想定が全然なかったかというと、そのころはいろんな議論が始まっていたという、ちょっとこういう経過もありましたので、ここの例示の方には入れてないのですが、機構の方で取り組んでいただいたという御指摘は部会長おっしゃるとおりでございます。
 以上でございます。

○本田部会長
 22年度の総括の中では入ってくるということですね。
 想定されなかったことが必ず年度の総括に入ってくるでしょうが、そこにはちゃんと入れますと受け取ればいいですね。

○事業企画課長
 22年度の実際の機構の仕事でございましたので、今後の評価の中では一定盛り込んでいただくことになると思います。

○本田部会長
 岩瀬委員。

○岩瀬委員
 実績報告書及び自己評価欄の書き方について、できたらこのようにしていただけないかなと。
 まあそのようになるかもしれないのですけれども、お願いが1つあります。
 この基準を見ていますと、幾つかの項目に分けて評価をこういう視点でやりますよというのは書いているのですけれども、全体的に組織として、去年1年、何を目標として、どういうことを目指してやったのかというのをまず最初に書いていただいた上で、個別の業務についての評価をしていただいた方がわかりやすいのかなという気がします。
 何で社会保険庁をつぶして機構ができたかというと、やはりその業務がきちんとできなかったということがあったと思うのですけれども、その辺どう改善されたのかというのがやはり一番知りたいところだと思うのですね。
 機構の幹部の方たちの意識の中には、何でこんなことになったかというと、業務本位だったと、サービスが国民本位のサービスができなかったという発言もあったように思うのですけれども、業務本位でなかったと思うのですね。
 業務本位であれば記録問題なんか起こらなかったわけで、やはり職員の勝手な都合を優先したというのが非常に大きかった。
 むしろ無法地帯だったということが随分当時も言われましたけれども、その辺がどう改善されたのかというのを、やはりこの22年度、1年たった中できちんと出していただきたい。
 個別の評価に関しては、機構の文章というのは、ちょっときついことを言うようで申し訳ないですけれども、常に耳ざわりのいい、非常によくできた作文だと思うのですね。
 そうでなくて、実態をもうちょっとわかりやすく、誰が読んでも、ああそうかと、改善されたのだなと、そういう文章にしてほしい。
 それにはやはり、どの程度金を使って、どんな効果があったのかと、数字だけを書けというわけではないですけれども、そういう視点を入れた上でやっていただきたいと思います。
 それをお願いしたいと思います。

○本田部会長
 よろしいですね。
 西沢委員。

○西沢委員
 私も、資料1-2に関して2つ3つ、リクエストというか意見を申し上げたいのですけれども、1つは、市町村と国税庁との連携の状況について書いていただくとありがたいと思います。
 日本年金機構が発足したときというのは、自民党は廃止・解体6分割と言っていて、そこに国税や市町村も入ってくると言っていたわけですけれども、強制徴収を国税庁にどのような形で22年度委託されていたのか。それで、効果が上がったのか上がっていないのか。
 上がっていないとすれば、23年度にどんな課題が持ち越されているかといったことも教えていただきたいですし、また、市町村との連携に関しては、第3号被保険者の記録不整合問題というのでしょうか、それに関しても、当初、市町村の個々の窓口できちんと国年の1号への切り替えを進めていた、いないといった責任分担の問題がやはり根底にはあると思うのですね。
 ですから、市町村の方に、業務をお願いしている立場でもあろうかと思いますけれども、そういった窓口業務に関して、市町村の方と22年どう連携がとれていたか。あいまいにしているのであれば、きちんと業務分担をする。あるいは、市町村との関係に関しましては、所在不明高齢者の問題もあると思います。
 これは住基台帳の正確性などに起因するところがあると思いますので、住基台帳がパーフェクトにできていればこういった問題も恐らくものすごく軽減されていたと思いますから、日本年金機構といいますよりも、年金行政の連結財務諸表のような形で、国税、市町村との連携状況も併せて報告していただくと、より全体像がわかりやすいと思います。
 2つ目は、斎藤委員がおっしゃったことと重なると思うのですが、やはり業務にはトレードオフがあると思いますので、記録問題に資源を投入したがゆえに、例えば適用・徴収がその分こうして低迷を招いたというのであれば、それをはっきり書いていただいた方が、23年度の資源配分に生きてくると思います。それは、その限られた予算と人員の中でやっていますので起き得ることだと思うのですね。
 記録問題に過度に集中してしまうと本来業務がこのように滞りますというメッセージは現場の方から発していただくべきであろうと思います。以上です。

○本田部会長
 今、3点のお話がありました。
 よく事務局の方は検討してください。
 木間委員。

○木間委員
 私も、市町村との連携のことで申し上げます。評価項目ができたばかりで言うことではないかもしれませんが、これらの項目は重要でありますが、このまま評価を続けていくと形骸化するおそれがあると思われる項目が幾つか見られます。
 柔軟にとらえてみることも必要ではないかと思います。
 具体的にいいますと、市町村との連携のことですが、年金関係の雑誌をたまたま見ておりましたら、市町村はいろいろな努力をなさっておられることを知りました。
 例えば、新成人に向けて加入案内を行ったり、職員が出向いて、出前講座で年金制度の話をしたり、あるいは、住民記録に基づいてサービスの向上に非常に積極的に取り組んでいる市町村があります。市町村と年金事務所との連携によって、年金業務の質を向上させている、そういう事例、情報を、年金事務所、年金機構本部、市町村が共有する努力をなさることが大変重要ではないかと思います。

○本田部会長
 今、西沢委員も木間委員も同じ市町村との連携という点を指摘されました。
 これは恐らく22年度の総括という中でいろいろなところでも言われていますので、また別途ちゃんと市町村との連携、こういうことでやっていますと、これから更に連携強化し、共有のためのあれはやっていきますというのをやはり入れておいてもらった方がいいと、そのように伺えばいいですね。
 今のことについて何かそちらの方からありますか。

○事業企画課長
 年金局、事務局といたしましては、いただいた御指摘を踏まえて、機構の方と、この実績報告書の策定に向けた準備、議論というのをさせていただきたいと思います。
 それから、全体、いろんな事項が横に並んでいるのではなくて、優先順位をという御指摘も斎藤先生の方からございまして、昨年の実績報告書も、各論の前に総論の部分というものを機構の方も用意されていますので、例えばそういうところでどのようにそういうものを位置づけるのか、こういうことも事務局としては機構の方とよく相談をしながら、6月に向けて準備をさせていただきたいと考えます。

○本田部会長
 斎藤委員。

○斎藤委員
 想定外の事象のことですけれども、大震災というのは確かに想定外の非常に大きな惨事だったと思いますが、その後の2番目、3番目の丸は、想定外だと例外的に片づけていいのだろうかとちょっと気になります。
 所在不明高齢者の問題、これは年金記録をきちんと把握していない、あるいは適用事務をきちんとやっていないということで、1番、2番のところが不徹底なために出てきた事象ではないだろうか。
 それから3番目の情報漏えいですが、コンプライアンス、これが4番目ですか、内部統制に関するところに書いてございます。
 コンプライアンスがきちんとできてなかったために出てきた大きなマイナスの事象であると思いますので、これが想定外と例外扱いをしてしまうと、こちらの掲げていた目標に対する評価が変わってくるような気がします。想定外という形で扱っていいのかどうか、ほかの先生の御意見を承りたいと思いますが。

○本田部会長
 今の点について、委員の方。
 私も、率直に言って、2つは本来業務だと思いますね。
 2番目の問題は、すべて年金業務をどうやって適正にやっていくかという日常の問題ですし、もう一つの情報漏えい問題、これはまさにコンプライアンス問題で、日々経営が、勿論、社員もそうですけれども、考えなければならないので、想定外ではなくて、起こってしまったことを云々と。
 想定外で起こったというのはちょっと、私も斎藤さんがおっしゃるような感じで聞きましたけれども。

○大山部会長代理
 ちょっといいですか。

○本田部会長
 大山委員。

○大山部会長代理
 今のようなお話が出ているので、ちょっと関係することと、この資料1-2(参考資料3)について触れたいと思います。
 まず、所在不明高齢者に係るというお話ですが、先ほど住基のお話が出ていましたが、それは現況届けを廃止した後の話ではないかと思うのですね。
 今回わかった人の中にはかなりの高齢の方がいるということは、何年前に本当にお亡くなりになったか調べなければいけないとは思いますが、別に住基の情報に頼ったからという以前から、すなわち、現況届けを出していただいているころからもう既にあったことではないかと思うのですが、そのことについてちょっと確認をさせてください。
 それから、この件に関して、今のようなお話が出ていますが、現況届けそのもののやり方でよかったのかというところに多分話を戻すべきで、やはり動機があるということが大きな要因だったのではないかと思います。
 それと同じようなことですが、これは想定外と言えるかどうかの話で、資料1-2の方を見ると、3の4、4ページ目に「社会保険オンラインシステムの見直しに関する事項」というのがあります。これは昨年度、それから一昨年度の評価の中にも同じ項目があったと思います。
 何を申し上げたいかというと、この社会保険オンラインシステムの見直しというときに、そもそもの話が、この評価部会は国に対する評価の話をしているのではなく、機構に対する評価をしています。
 ということは、国がどういう状態で、あるいはどこまでが国の責任で、それを受けて機構が業務を行うという話と、機構が自ら独自にやる話とを分けて評価しなければいけないと思います。
 その意味で、4にある社会保険オンラインシステムの話に関しては、既に報道で知っている方もいらっしゃるので良いと思いますが、補完工程の作業が残念ながらうまくいかずに、契約が廃棄されると聞いています。できないという状態が事実としてあると思うのですが、この問題は昨年度中に起こっていて、そのときのシステムの契約、すなわち、調達の主体は国だったと思います。
 間違いがあれば御指摘いただきたいと思いますが、もしそうだとすると、機構さんが努力すべきことは、システムの見直しに関する事項が昨年度の中のどこであったかを切り分けて、評価すべきものではないかと考えます。
 そういったことが、今回、実績報告をお書きいただくときに、評価をいただく先生方におわかりいただけるように、私もわかってないことがあると思うので、わかるように記述していただきたいと思います。
 補完工程ができなかった、後工程ができなかったというのが想定外だったかというと、22年度計画策定時に想定されていなかった事象と見ると、これはいろいろあると思います。
 総合評価を行い、技術点は低かったが、金額が安い業者が落札した。
 しかしながら、技術面を心配する人から見れば、想定できた話です。
 今回は2回目ですが、評価をしていく中で、より良くしていくことを一緒になって努力していくことで、我々も説明責任を果たせるし、透明性の確保につながると思います。
 その辺のところについて、どのようにお考えかを教えていただければ幸いです。
 最初の方の質問はどうですか。

○事業企画課長
 所在不明高齢者の関係で、現況の届け出そのものが仕組みとして問題があったのではないかという、そういう御指摘ということで。

○大山部会長代理
 住基の情報で、この人は御存命ですよというのを市町村が、要するに台帳に載っているかどうかで判断しているのならそのとおりと思いますが、本来、現況届けというのは、その方がちゃんとお暮らしになっているかどうかをもともと確認するためのものですよね。
 現況を証明してもらう方法が、御本人自らの証明ではなく、市町村の窓口に行って確認印を押していただくので、市町村の窓口の方も、都市圏だったらなおのことですが、実際にはどこの誰さんというのを担当の方は顔を知らないことが予想されます。
 その場合には、担当者は、当然、住基台帳に載っているかどうかを見て確認するので、今のような説明は分かりますが、地方自治体の中には、ちゃんとどこの誰かを知っている、顔見知りの方もいらっしゃるし、いろんな方がいると思います。
 一番大事なところは、お元気でお暮らしかどうかを知るのに、現況届けというやり方で十分だったのかということにさかのぼっていると思います。
 なぜかと言うと、今回のように相手側に、虚偽の報告というか、虚偽の届けをする動機があったからではないかと思うからです。
 この観点から考えると、大元のやり方自体が不十分だったのではないかと申し上げたく、たまたま、便法とは言いませんが、比較的実施し易い方法が市町村で証明をもらうとなっていたのではないかと思うのです。その辺についてはどのようにお考えなのかを確認させてください。そこまで戻って考えると、所在不明高齢者については、住基を担当している方から見ると、お亡くなりになったら届け出が来るのが当然と思っていたので、届け出を出したくないという動機を持っている方に対する対策まで考えていなかったということになります。
 言い換えると、市町村に対して、お亡くなりになっているか御存命かを確実に把握しろというところまで求めていたのかということに戻るかと思います。
 そこが、年金側の要望とのミスマッチで、そのすき間に、今みたいな虚偽の報告をしたい人の思いが出てきたので、このようなことが起きたのではないかと思います。この観点からは、住基の問題と言うのはちょっと違うのではないかと私は思います。
 済みません、くどくど言って。

○事業企画課長
 そういう点で、高齢者の状況、高齢者に限りませんけれども、お亡くなりになっているとか不分明の状況というものを、住基さえ見ていればよいのだということではいけないということ。
 これは、今回ある意味そこがはっきりと出てきたわけでございます。
 そういう点もありまして、実は昨年の秋以来、夏の終わりごろ以来ということになりますけれども、ほかにも、例えば後期高齢者医療の御利用の状況とか、市町村におかれては、更に介護保険というもののデータもお持ちで、いろいろそういう点で高齢者の状況をつかんでいらっしゃる、こういうところの情報を年金の業務の方にも使わせていただくと、こういう、ある意味、ちょっと新しい展開も、昨年来、機構の方にお願いして進めておるところでございまして、そういう点では、課題がはっきりしましたので、そこの、今、改善途上というところにあるということでございます。
 現況届けにつきましても、そういう点で、虚偽の現況届けというものが現にあったということでもございますので、昨年、大分、現況申告書という形で、特別に後期高齢者医療の利用の実績がない方にお手紙を出したりしておりますけれども、その中では、様式、記入の要領とかも、具体的に、今、年金の受給者の方がどこにおいでになるのかと。
 必ずしも御自宅においでにならないケースもありますので、そういうところもしっかりとお答えくださいとかいう形で、できるだけ届ける方もちゃんと答えないといけないというように、ある意味、誘導という言葉がいいかわかりませんが、そのように様式の方も工夫をしたり、いろいろ今、細々した点も含めて取り組みをやらせていただいているという御報告でございますが、それを機構の方にいろいろお願いしてやらせていただいているというのがこの22年度でございます。
 23年度も引き続き工夫をしていくということでございます。

○大山部会長代理
 であれば、機構さんは、その指示に従って、よくやったかどうかを我々がわかるように報告いただければ、評価の仕方に正しく反映できると思いますので、よろしくお願いします。

○本田部会長
 今、大山委員からあった話、大事な問題が1つ。国と機構との権限、責任の違いというのは、コンピュータのシステムだけではなくて、制度は国がつくる、年金機構は制度に則り、運用をやるという仕組みをつくったわけですが、先ほど私が申し上げた3号の問題も、いろいろと機構は御苦労だと思いますけれども、3月にやめるとなったときには、やはり国の方は機構に申し訳なかったぐらいを言える、そういう関係だということだろうと思いますので、評価の場合でも、まさに国の責任か機構の責任かということはわかるような感じでやってください。
 それが大山さんのおっしゃった意見の本質ですね。

○大山部会長代理
 そうです。

○本田部会長
 西沢委員。

○西沢委員
 所在不明高齢者で、では、住基というのは死亡しているということを保証はしてないということですね。

○大山部会長代理
 届けの義務ですから。

○西沢委員
 今、住基で死亡が確認されていれば、現況届けを日本年金機構に出さないでいいということになっていると伺っているのですけれども、そうすると、住基をもって生存確認できていると現況届けを出さなくていいということになると、住基に全面的に依存している部分がかなりあると思うのです。
 ですから、住基によって生存、死亡が担保されてないと、住基でデータもらっても、一斉にまたその人に再調をかけないといけないことになるかと思うのですが、違いますか。
 済みません。
 不理解でした。

○日本年金機構副理事長
 私がお答えする立場にあるかどうかわかりませんけれども、いわゆる行方不明高齢者の対応というのは事業仕分けでもかなり議論になりまして、今、西沢委員おっしゃったように、個々の人、住民がどういう状態にあるかというのは市町村が住民基本台帳という形で確認するという形で、そこは市町村の方がきちっと情報を持っているというのがもともとの大前提だとは思うのです。
 したがって、私どもの仕掛けも、いわゆる住民基本台帳に載っかっている方については基本的には生きておられるということで、現況届けは省略してお支払いするということをやってまいりました。
 現況届けについて申し上げると、昔は、御本人にお送りして、それを市町村に持っていって、判こついてもらってお出しをいただいていたのですけれども、それが非常に面倒だという御指摘もございましたので、はがきをお送りして、御本人のサインでいいという格好にいたしました。
 その後、住民基本台帳との連動の中で、住民基本台帳の情報がある方については、現況届けは省略するという形でここまでやってきております。
 それは従来のものに立脚してやってきたわけですけれども、去年の夏以降、住基に載っていてもいらっしゃらない方がいると、そういう話がございましたので、先ほど事業企画課長から申し上げたように、後期高齢者の情報とかもろもろの情報をつかまえ、見ながら、この方、本当にいらっしゃるのだろうかと、こういうことを含めてやっていく。
 ただ、その過程では、事業仕分けでも言われましたように、市町村とどう連携してそこら辺やっていくかということが大事だろうと思っています。

○本田部会長
 長沼委員。

○長沼委員
 所在不明高齢者にかかわる調査・確認については、平成23年度は、平成22年度以上に、国や日本年金機構と市町村で、協力・連携したほうがいいと思います。
 それについては「平成23年度計画」のところで、お話をさせていただきます。
 さて、ここからは、一般論です。昨年、国勢調査を行いました。
 志木市の事例で言いますと、住民基本台帳上、平成22年10月1日現在、志木市の人口は約7万1,000人でした。しかしながら、国勢調査では、人口は7万人に届きませんでした。住民基本台帳上の人口と国勢調査の人口では、当然、差異が出ます。
 先ほどお話のあった高齢者の場合、一般的には、死亡届が出てこないと、住民基本台帳上で消除、つまり削除するというわけにはいかない。
 確実なところから不在だという情報が提供されれば、市としては、その実態をしっかりと調査したうえで、職権で消除するということになる。
 また、市町村としては、納税通知書を送っても、それが戻ってくるとか、滞納があって、その実態を調査して、明らかにそこに住んでないということが、確認されれば職権消除する。実務上は、何らかの意味で行政が確認しなければならないような事案が出てこなければ、住民票の消除はしないのではないか。逆に、住民票はなくても生活している人もいる。みなさん、転入されてくる方は、前住所地の市町村から交付された転出証明書を添えて、住民票の転入届をしてくれるといいのですが。
 いずれにしても、平成23年度は、年金が支給されている所在不明高齢者にかかわる調査・確認については、国や日本年金機構と市町村で、大いに協力・連携する必要があると思います。
 ただ、その一方で、大山先生からお話があったように、その昔(平成18年)の年金受給者に対する現況届(はがき形式)のように、はがきで現況を確認するといっても、例えば、息子さんが、はがきの現況届を自分で記入して返書したり、あるいは、役所にみえて、おじいちゃんは生きています、おばあちゃんは生きています、でも、体調が悪くて来られないので、「公的年金現況届の証明申請書」をお願いします、となれば、結局のところ、年金は支給されることになるのではないか。従って、所在不明高齢者に対する年金支給の問題は、大山先生お話の通り、住基での確認以前からあった問題だと思う。
 以上です。

○本田部会長
 石井委員、どうぞ。

○石井委員
 今のお話は、結局、年金の支給業務をいかにきちっと本当の現実に合った形で適正化するかという話かと思うのですが、ただ、部会長代理がおっしゃったように、実は年金を受給する側に、受給し続けたいという、ある意味、明らかに受給側の不正の行為があって、それを完全になくそうとしたときには、全く別の管理システムの構築という問題が生じて、それは、今、議論されている社会保障、税をめぐる番号の連携化によっても、場合によってはできない。
 例えばお医者様がおっしゃるのですが、ここに寝ているおばあちゃんがうちのおばあちゃんだと言われたら、医者が、おまえのおばあちゃんではないだろうと言いようがないではないかと。
 つまり、その議論までいくという話は、私は日本年金機構の評価部会の議論ではないと思っています。
 国と機構の切り分けは非常にしっかりしてあげないと、評価すべきものの焦点がぼやけてしまいます。機構の業務に従事されている万の単位の職員の方たちが大変大きな批判を受けながらも自己改革していっているわけで、その評価をするのがこの部会の役割だと思うので、切り分けた国の側の議論は、この場ではする必要は私はないのだという意識のもとで、この会議に出ています。
 このような経緯から1つ。
 先ほどの、想定されていなかったということなのですが、参考資料の紙には、想定されていなかったと書いてあって、その手前のところで御説明を受けた、留意するという方には、「予期せぬ事情の変化」と書いてあるのですね。
 申し訳ないですが、言葉として全く同じものがこう並べられたのではなくて、違う表現になってつけ変わってきているのではないかと。
 もう一つは、想定されなかったというのは、定義をしていただきたいのですよ。
 つまり、責任がないという意味なのかどうなのかです。
 最近いろんなところでよく使われている言葉で、よくわからないのですね。
 つまり、ここで記載された「想定されなかった」というのは、日本年金機構に責任がないという意味なのかどうかをはっきりしていただきたいのですよ。
 私は個人的には、最初の丸は想定されてなかったと思うのですが、あるいは3番目の丸は当然想定されているべきことだと思うのですが、2番目は、切り出した国の側の問題で、年金機構にこの責任を負わせるのはおかしいので、私は、「想定されてなかった」という言い方をするのであってもいいのではないかと。
 つまり、日本年金機構としての責任は議論する必要はないだろうと思っていますから、3つでそれぞれ色が違うと私は認識しました。
 その辺りの考え方というのをひとつ統一していただかないと、評価ができないと感じました。

○事業企画課長
 本日、参考資料3でお出ししているペーパーの扱いにつきまして、実は、済みません。
 事務局の方でこれをつくるときも、少し悩みながらつくりました。
 ここに挙げることが、言うならばやむを得なかったととられるというのは、ちょっとこれは違うだろうと思っておりまして、そういう点で、こういうことが想定されていなかったので仕方ないのですと、そういうベクトルでの評価をお願いするということではないと思っております。
 中には、ある意味で、3つ目の白丸にあるように、本来あるべきだということでそういうベクトルで御評価いただくということも必要でございますし、震災の対応という、また対極にあるようなものも含めてございますが、ここはどちらかといいますとニュートラルな意味で、事業計画を昨年おつくりいただいたときに、こういうものが視野にあって書かれた事業計画ではありませんので、今後、事業報告なり御評価をいただくときには、ここの扱いはよくよく、ある意味、私どもも一生懸命ちょっと整理をして、できるだけ御報告を適切にしたいと思いますけれども、よく知恵を絞りながら御評価いただく部分であるということを、本日、問題提起をさせていただきたかったという、これが実は事務局の気持ちでございます。

○本田部会長
 それでは、委員の方からいろいろ建設的な御意見をいただきましたので、そこをよく踏まえて、年度の総括に向けて、当然評価もそうですけれども、今、御指摘のようなことも含めて、日本年金機構ともよく御相談をしながら是非進めていただきたいということで、スケジュール等につきましては余り議論なかったのですけれども、一応こういう形で評価の進め方はおおむね了承ということにいたしたいと思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○本田部会長
 ありがとうございました。
次に、平成23年度計画につきまして、日本年金機構より御説明をお願いいたします。

○日本年金機構理事長
 お手元に資料2-1から2-4まで年度計画の資料がございます。
 特に資料2-2、これは22年度、23年度のポイントのペーパーでございますが、これと、その少し後、2-4でございますが、参考資料という格好になっておりますけれども、「取組状況」という、ちょっと厚手の資料がございますが、この2つをそれぞれごらんいただきながら説明をさせていただきたいと存じます。
 23年度の計画をつくるに当たりまして、これは部会長からも御指摘いただきましたが、当然ながら、22年度の全体の実績を踏まえるべしというような御指摘をいただいておりますが、これは当然だと思っておりますけれども、全体実績が6月にならないとまとまらないものですから、その点は御容赦いただきたいと思いますが、ただ、23年度の計画をつくるに当たりまして、私ども、22年度の計画の実施につきましても、月次で進捗管理をしておりますので、その延長線上で、この23年度計画をつくったという点だけはお含みおきいただきたいと存じます。
 資料2-1の方に戻っていただきたいのでございますが、これはポイントでございますけれども、大きく4本の柱になっております。
 1が、1ページ目の年金記録問題への対応、2が業務の質の向上という問題でございまして、これはいわば機構の基幹的な通常業務を記述した部分でございます。
 それから5ページ目でございますが、業務運営の効率化に関する事項。
 これはいわば業務の改善に関する事柄を取り上げた部分でございます。
 それから一番最後、6ページ目でございますが、これは業務運営に関する重要事項とございますけれども、内部統制でありますとか、情報公開、人材育成、個人情報の保護、こういった問題をこの4で取り扱っていく、そのような柱立てになっております。
 この23年度の計画につきましては、機構の中で2月に理事会を開きまして、ここでは常勤役員だけではなくて、非常勤の理事の方にもお入りいただきまして、2月に論議をして御承認いただいて、もう一度3月にもやりまして、大臣の認可を得てというような経過をたどってまいりました。
 このポイントの一番上のところにございますが、今お話のございました東日本の大震災に対する対応が当面の最優先の課題になっておりますものですから、機構におきましても当然ながら対応しなければいけない事柄でございますので、いろいろな計画、この中に述べておりますが、部分的には余儀なき修正を迫られることもあり得るということで御理解をいただければと存じます。
 まず、1の「年金記録問題への対応」の部分でございますけれども、記録問題は25年度までの国家プロジェクトと位置づけられておりまして、最優先の課題になっておりますけれども、全体的に見ますと、それなりの収束をつけてきたのではないか。
 これからは重点的に体制を整備して取り組むと、このような段階に入ってくるのではないかと存じます。
 恐縮ですけれども、資料2-4のちょっと厚手の「取組状況」と書いてあるペーパーをごらんいただきたいのでございますが、お開きいただきまして、真ん中の下の方にページが打ってございまして、この1ページ目でございます。
 左肩にございますように、22年度の実施状況、これまで、ねんきん特別便とか定期便を行ってきまして、19年とか21年とか以来、こういうペーパーベースで記録の問題に対応してきたわけでございますが、これはほぼ今日時点でそれなりの達成を遂げてきたと考えさせていただいております。
 もう少し先のページ、10、11というところをお開きいただきたいのでございますが、未統合記録の5,000万件超の解明状況の図が出ております。
 特にこの下の11ページの2つ目の丸のちょっと下でございますが、基礎年金番号の統合済みの記録という項がございますけれども、この22年3月時点で1,563万、昨年時点に比べて160万の解消の増、統合済みの記録の増という結果になっております。
 まだ、上のページで、今後解明を進める976万件等、こういうのが残っておりますけれども、更にその上のところの1,000万ちょっとのところも残っておりますが、これはさまざまな手段を講じてやりますけれども、特に本年度は、このポイントのペーパーにございますが、【主な取組】のところでございますように、紙台帳とコンピュータ記録の突き合わせ、更にはねんきんネットの活用、このような対策を講じることによって解明を進めてまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。
 特に紙コンでございますけれども、今ごらんいただきました厚手のペーパーの次の12ページ、これが紙コンの実施状況ということでございますが、一番上に四角の箱で長く囲ってございますが、今、全国23の突合センターで取り組んでおりますが、昨年から始めております。
 相当にうまいペースで仕事は進捗しております。
 その実施状況がどうかということでございますが、この次の14ページ、15ページをちょっとお開きいただきたいのでございますが、これは、その紙コン突合の中身を確認するということで、厚生年金の対象の方々、14ページのちょうど真ん中辺りに調査対象者とございますが、厚生年金の受給者、被保険者を対象にいたしましてサンプル調査を行っておりますが、15ページの一番上の箱、集計結果でございますけれども、この一番右肩、不一致の欄をごらんいただきたいのでございますが、サンプル調査を行いまして、要するに紙のデータとコンピュータのデータの不一致がある方が、特に65歳以上、75歳以上、上の2つのところですが、13.7とか8.7%、かなりウエートがあり、逆に、65歳未満のところが1.7%と非常に少ない。
 これを見ますと、高齢者の方々については紙コンの作業を進める価値があるというような判断がされようかと。
 逆に、65歳未満ですと、ここは非常に一致率が高いものですから、ここは作業が先延びでもいいのではないか、そんな判断ができ得るかと存じます。
 それから更にもう一つ大きな柱で、19ページをごらんいただきたいのでございますが、今申し上げた2つ目の「ねんきんネット」の実施状況。
 一番上に書いてございますが、自宅に居ながら、インターネットを利用して、御自分の記録確認を行える、紙ベースから徐々に御自分で検索ができる、そのような解明の手段を変えていくという運びにしていこうと、そのような23年度の方針でございます。
 このねんきんネットで行う検索の内容も、一番下に、「更なる改善」とございますけれども、秋には年金見込額の試算まで行えるようにするとか、更に右の方に、記録問題解消に関する改善ということで、死亡者の方の記録検索、このようなことも含めて、これは24年度になりますけれども、こういう作業も含めて内容的に広がりを持たせてまいりたいと存じます。
 総じて、記録問題は、いろいろ評価されておりますけれども、もう一つ、国民年金の突合を、この5月には、どのような結果になるか、サンプル調査も出ますものですから、それを見て、どのような取り組みをしていったらいいか、改めて考えさせていただきたいと存じます。
 それからポイントの資料の裏方に移らせていただきます。
 先ほど申し上げました、機構の基幹的な業務でございますが、適用事務とございます。
 まず1つ、○1と書いてございますが、「国民年金の適用事務の確実な実施」という点でございますが、これはまさに、先ほどお話ございました上の2つ目のところでございますが、第3号の被保険者の記録不整合問題、せんだってまで運用3号の問題云々で論議を呼んでおりましたけれども、これからまさにここのところは部会長と大山先生にいろいろ御尽力をいただいて、これから法案の準備を整えて、国会に上がって、秋以降になるのか、そこはちょっと定かではございませんけれども、いずれにせよ、これは非常に大きな事業になるであろう、相当にシステム的にも、あるいは人員の面でも準備が必要かと思っておりますが、これはきちんと対応していかなければいけないであろうと存じます。
 それから、その下のところは厚生年金の適用の問題でございます。
 この下にございますが、特に未適用事業所をどうやって減らしていくか。
 23年度の行動計画それぞれ、機構全体、事務所でつくっておりますけれども、これをきちんと行う。
 更に、厚生年金保険等雇用保険、これの全数を突合することによって未適用の事業所を減らしていくという取り組みも進めてまいりたいと考えております。
 それから、ページの3でございます。
 これは保険料等収納事務の関係でございますが、こういうところにつきましては、非常に基幹的な業務で大事なところでございますので、国民年金の納付率が落ちてしまうと制度全体の信用が揺らぐということでございます。
 これはきちっとやらなければいけないということで、資料の21ページをごらんいただきたいのでございますが、ここに「国民年金適用収納業務の状況」という表が幾つかございます。
 上から3つ目に現年度納付率を書いてございますが、23年度1月末の数字でございますが、57.9%。
 御承知のように、特に国年の納付率、かつては85%を超えていた時代がありましたが、今は60%を切っている。
 22年度はこの60%を超えるという目標でございますけれども、本当に少しでもこのポイントを上げて信頼回復につなげていかなければいけない状況でございますが、どこまで上げるかという努力を続けなければいけないのですけれども、非常に苦労しているところでございますが、この下の6のところ、これは過年度の納付率を書いてあります。
 20年度と21年度でございますが、23年の1月の段階で見ますと、20年度に対しては、右のところの前年同期比の数字で4.4ポイントのアップ、21年度に対しては、23年1月、2.6ということで、一応の22年度としての目標はクリアしているのではございますけれども、本当に60%を超えてどこまで上げていけるか、いろいろな手だてを打って努力を続けていかなければいけないと思っております。
 ただし、このためには、ポイントの方の資料の3ページ、ちょうど真ん中、2ポツのところでございますけれども、市場化テストの受託事業者、こういうところときちっと連携をとらないとなかなか納付率を上げる効果が上がらない。
 ここは業者ときちっと連携をとりながらやっていく必要があると思います。
 更に、その下のポツでございますけれども、要するに公的年金制度に対する国民の不安ですとか不信感が非常に強い。
 これをどうやって改善していくか、これが非常に大事だと思っておりまして、これはいわば年金制度に対するPRですとか、更には年金教育とかいう問題になろうかと思います。
 もっと広く、先ほどお話ございました市町村との連携とか、いろんな手だてで年金制度に対する理解を全国民的に上げていく努力をしなければいけない。
 これは機構だけではなくて、厚労省と一体となって、更には他の省庁も含めてということでしょうけれども、やっていかなければいけないような分野であろうと存じます。
 それから次の4ページでございますけれども、3の「給付事務」でございます。
 実はここのいわゆるサービススタンダード、年金をお支払いする、申請を受けてからお支払いするまでの間の所要日数をいかに縮めていくかという、非常にお客様にとっては大事なことでございますけれども、こういうものがだんだん数字的には落ちてきている傾向がございます。
 42ページをごらんいただきたいのでございますが、「サービススタンダードの達成状況」でございます。
 請求書を受け付けてから年金証書が届くまでという所要日数をそれぞれの項目別に書き分けてございますけれども、特に達成率というところをごらんいただきますと、ずっとこの数字が下がってきております。
 それぞれのスタンダードの達成率が悪い。
 これをどうやって上げていくかということが非常に大切な課題でありまして、サービス改善を目標とする機構にとっては由々しき話なのでございます。
 ただ、少しずつではございますが、反転の上昇の傾向があるというのは見ていただけるかと存じます。
 特にこの一番右肩の障害年金が非常に驚くほどの数字でございまして、75%であったものが1%になったりということでございますが、ここは相当に人員の注入をいたしまして、じりじりと改善傾向にございます。
 特に(注3)に書いてございますように、かなり大きな処理ができてない固まりがあったのでございますけれども、相当に力を入れてきまして、一番下の行でございますが、「23年度には正常化できる見込み」という書きぶりをさせていただいておりますが、何とかここまで持ってこれたというような評価をいたしておりますが、ここは引き続いてもっとサービススタンダードを全体的に上げていかなければいけないと思っております。
 それから4番目の相談・情報提供の業務でございます。
 ここはよく事務所での待ち時間が典型的に論議になりますけれども、43ページのところに1つ表がございます。
 43ページの真ん中と一番下の表でございます。
 21年度、22年度でございますが、昨年の21年の1月の1時間以上を超える事務所の待ち時間、これは98か所もありましたけれども、今日では4か所とか2か所とか、3月時点では0になりました。
 これは、ブースの数を増やしたり、特に相談員の質を上げていったり、いろいろな手だてを打っておりますけれども、何とかここでぎりぎりで維持しているというところで、またはね上がる可能性もありますものですから、ここは鋭意きちんと努力していきたいと思っております。
 それから「お客様の声を反映させる取組」というのがございまして、ここは機構が昨年から掲げております「お客様へのお約束10か条」、これをどうやってきちんと実現するかということでございまして、実は機構は、今年はサービス改善の攻めの年、サービス向上の攻めの年という位置づけをさせていただいておりまして、全体的に3の項目、4の項目、5の項目、全部ひっくるめてでございますけれども、お客様に御満足いただけるサービスを提供しようということを第一義に掲げてこれに取り組んでいる段階でございますが、10か条の中でも、お客様向け文書モニター会議であるとか、そういうものを鋭意やっております。
 それからサービス改善コンテスト、こういうものも一生懸命、自発的な取り組みがこういう成果に出てまいりまして、昨年は6月と12月に行いまして、今年は、やはり6月と12月、計画しているのでございますが、ただ、震災の影響で、6月は無理で、12月にこのサービスと業務改善併せてコンテストをやろうというような計画をいたしております。
 それから文書の改善というのも非常に重要でございまして、先ほど岩瀬先生から御指摘ございましたけれども、非常にわかりにくい、上から目線の文書が多い。
 それがゆえに、御相談ですとか交付全体のお問い合わせが多いということでございまして、わかりやすい文書を御提供するために、今年から専門家に入っていただきまして、文書のレイアウト等を評価していただきまして、わかりやすい、見やすい文書にしていきたいと考えております。
 それから5ページ目でございますけれども、これは業務改善というテーマでございます。
 1に「効率的な業務運営体制」とございますけれども、初めのポツのところで、事務処理誤りの未然・再発防止、これが非常に重要だと思っておりまして、私ども、月次で事務処理誤りの内容を公表させていただいておりますけれども、月次ベースで、公表だけでも二百数十件というような誤りの数字が並んでいる。
 何とかこれを減らさなければいけないということで、そのために、ポツの2つ目でございますが、業務改善工程表とか、あるいはシステム再構築工程表を昨年つくりまして、これを今年きちっと実施していく。
 23年度は、この業務改善工程表、システム再構築工程表をきちっと昨年以上に深堀りして事務処理誤り等の防止につなげてまいりたい、更には効率向上という面につなげてまいりたいと考えております。
 それから、一番最後、4のところ、6ページ目でございますけれども、これはいかに機構の運営の公正性、透明性を確保するかというような事項でございます。
 特に昨年はいろいろ不祥事等ございまして御迷惑をおかけしたところでございますが、紙コンの突合に関する情報漏えいの事案が典型的でございますけれども、これを今後根絶しなければいけない。
 そのためにも内部統制の仕組みをきちっと中にビルトインしなければいけないわけでありまして、これはいろいろなシステムの保守という問題と併せて、どうやって機構の職員の意識の改革を本当に徹底するか。
 そういう意味で、組織風土改革、2行目に書いてございますが、これが非常に重要だと私どもも考えております。
 システムできちっと行えるところは行って、それを運営する職員の人たちの意識改革もきちっと進める。
 その両方で、さまざまな効率化ですとか防止というものを実現してサービスの向上につなげてまいりたいと考えております。
 これが非常に重要な部分であろうと思いますが、恐縮ですけれども、参考表の67ページに、「組織風土改革~風通しの良い組織づくり~」ということが項目としてございます。
 幾つかの項目並んでおりますけれども、民間の人のいろいろなノウハウを活用しながら、現場の人たちの御意見を聞く、更に一番下の組織風土改革の中で、現在、さん付け運動ですとか、サンキューカードとか、いろんなことをやっておりまして、特に中間管理職の方々の意識改革が非常に重要であると思っておりまして、そこを徹底するような意味で、このようなことを組み合わせて行っているところであります。
 更に、情報漏えいにつきましても、情報漏えいの再発防止のアクション・プランをつくっておりまして、ここは61ページ以降に詳細が書いてございますが、これは省略させていただきますが、きちっとアクション・プランを実践して、コンプライアンスの意識を高めるようにいたしたいと思っております。
 それから人事とか人材の育成でございます。
 機構は非常に有期の方のウエートが多うございまして、現在、2万6,000人ぐらいのうち、その半分以上が有期の方です。
 こういう方々をどうやって正規の職員の中に入っていただくか。
 そのようなことによって、いろいろな面で人手が足らない、ベテランが足らないということを補っていきたいと思っておりますし、併せて、今まで機構はきちっとした研修体系がございませんでしたので、管理職研修も含めて研修体系を構築してきちっと運営をする、そのようなことを23年度の大きな目標に掲げております。
 ちょっと走りまして不十分ではございますが、以上、御説明を一応終わらせていただきます。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明等につきまして、御意見なり御質問等がありましたらお願いいたします。
 長沼委員。

○長沼委員
 「平成23年度計画」について、【資料2-3】を使って、質問させていただきます。
 日本年金機構がスタートして、新たな記録問題をつくらないということがたいへん重要である、と私は考えております。そういう観点から、平成23年度計画の中で、しっかりと取り組んでもらいたいという事項について、何点か、申し上げます。
 まず、1点目ですが、【資料2-3】の3ページの右側にあります「『ねんきんネット』による情報の提供」ということです。
 市町村でも、「ねんきんネット」に協力して、この2月28日から実施しております。ただし、利用できる、あるいは、提供してもらえる情報が、加入記録程度ということで、なかなか魅力ある情報を提供するというところまで至っていない。そのため、インターネットを使えない高齢者にしても、市役所に来庁し、一回サービスを利用すれば、それっきりということになるのではないか。もっと魅力ある商品、魅力ある情報が提供できるというのであれば、多くの市町村が、「ねんきんネット」を設置しましょう、また、市民のみなさんも、それを利用しましょうとなるのではないかと思う。しかしながら、現在、「ねんきんネット」で得られる情報というのが、市町村にとっても、あるいは一般の被保険者、受給権者にとっても、魅力のある情報にはなっていないと考える。
 この秋には、本人が指定した条件に基づく年金見込額の試算を表示するなどの機能追加を行うと認識している。例えば、20万円お給料をもらったら、年金の支給停止額はいくらになるとか、あるいは、昭和28年4月2日以降生まれで、61歳にならないと年金が一円も支給されない人が、60歳から繰上受給した場合は、いくら年金がもらえるのかという情報については、この秋から見ることができるようにする、と聞いている。
 しかしながら、いま、申し上げた情報については、自宅からインターネットを利用してみることができるようにするということであって、市町村に設置した「ねんきんネット」では、みることができないと聞いている。市町村に設置した「ねんきんネット」でも、これらの情報が得られるのであれば、市町村も置いてみようとなるのではないか。また、市民のみなさんも、市町村の窓口に行って、これらの情報を聞いてみよう、そして第2の人生設計に役立てようと考えるようになるのではないか。
 30万円のお給料だったら年金はいくらもらえるのか、あるいは60歳から繰上受給して、20万円の給料だったら年金の支給停止額はいくらなのかとか、「ねんきんネット」を活用した情報提供がいろいろとできると考える。この平成23年度の取り組みの中で、市町村に設置した「ねんきんネット」でも、いまお話ししたような情報提供が可能になるのかどうか、まず、お伺いします。
 それから、次に、同じ【資料2-3】の4ページの一番下のほう、「(9)基礎年金番号の重複付番の解消及び発生防止」についてです。
 私の理解ですと、20歳になると、まず基礎年金番号を付番する。そして、23歳になって、はじめて働き始めました。会社から基礎年金番号を提出してくださいといわれて、そのときに、当然、20歳のときにもらった基礎年金番号を提出するということになると理解している。従って、重複付番をするということ自体が、なかなか理解できない。
 会社勤めするときに、学生のとき、届いていたかもしれないが、どこかに紛失してわかりませんというときは、例えば、再発行をしてもらって、20歳のときにもらった基礎年金番号を付番すれば、重複付番というのは起きないのではないかと思う。どういう事情で、重複付番が発生して、いったん2つの基礎年金番号を付番したあとで、重複付番を解消するということをやるのか。それよりも、基礎年金番号を付番するのが、1か月ぐらい期間がかかったとしても、重複発行しないように、つまり、重複付番しないように、そういう取り組みを平成23年度において実施できないのか。あわせて、それを実施すると、実務上どういう支障が生ずるのか、お伺いしたいということが2点目です。
 次に、3点目です。運用3号の問題があって、それを解消すべく、この秋から健康保険組合の被扶養者情報について、提供いただいて対応していくということです。
 そこで、現状の事務の流れについて、お伺いします。現状は、例えば協会けんぽの場合、夫が退職した後、2か月後に1回目の第1号被保険者加入のための勧奨通知が届く。でも、加入の手続していただけないと、1回目の勧奨通知をした後、2か月後に2回目の勧奨通知を送る。
 それでも加入していただけないというと、さらに、その2か月後に、職権により種別の変更をすると理解している。現状の事務の流れは、これで間違いないのかどうか、伺いたい。そして、この事務手続きの流れをもう少し早められないのか。
 この事務手続きの流れが事実だとすると、現状では、夫の退職後、6か月が経って、職権で種別の変更をして、1号を適用するということなる。6か月さかのぼるということは、今ですと、国民年金保険料は月額1万5,020円です。国民年金の保険料を納めるといっても、6か月分約6万円を納めるというのもなかなかたいへんなのかなと考える。これを手続上、1回送りました、手続しません、次、では、1か月後に送りますということはできないのか。たしかに、事務手続上、毎月毎月だと、期間がひじょうにタイトになってしまい、実務上は難しいということはあるのかもしれない。
 いずれにしても、職権により種別の変更をする、この6か月という期間について、短縮できないのかどうか、お伺いします。
 それから、実務上、実際問題として、第3号被保険者をはずれたということで、そのはずれた人が第1号の種別の変更の手続を市町村で、すぐさまやっていただければいい。
 しかしながら、こういう事例もあると思う。例えば、離婚しました。夫が会社に、妻と離婚したので妻の扶養がはずれますと、すぐに、書類を持ってきてくれればいいのですが、なかなか会社には離婚したということを言い出せない。
 そして、1年も経ってから、心の整理がついて、実は妻と離婚してましたと届け出る。
 そうすると、1年さかのぼって第3号ではないということがわかる。
 そうした場合の取り扱いについては、現在、それぞれ年金事務所で、どのように実務上取り扱っているのか。日本年金機構として、統一的な取り扱いについて、何か出されているのか。
 もし出されていないとすれば、平成23年度においては、こういう取り扱いをしなさい、ということで出されるのかお伺いします。
 次に、同じところの5ページ目です。「○3ハローワークや市町村との連携に努め、適正な届出を促進する」という項目です。従来は、市町村との連携だけだったのが、今回、平成23年度において、新たにハローワークが出てきました。これはどういう意味合いがあるのか、お伺いします。
 いま、市町村の窓口でも、ハローワークで作成した雇用保険の離職票や受給資格者証を持ってきてもらう。持ってきていただくと、事案によっては、退職による特例免除ということで、基本的に全額免除、一般的には、夫も妻のほうも、全額免除の取り扱いになる。平成23年度は、ハローワークでも、国民年金の第1号被保険者の手続の処理をするということなのか。
 それとも、退職したときには市町村に行ってくださいという話なのか。
 この取り組みの内容について、教えていただきたい。
 少し質問項目が多く、たいへん恐縮です。6ページの「○2事業主からの適正な届出の促進」という項目です。これは労働者派遣云々が記載されています。しかしながら、事業主から適正な届出を提出してもらうというのであれば、算定基礎届が、まず第一番だと思う。
 算定基礎届のときに、しっかりとした書類を提出してもらい、確認する。例えば賃金台帳をしっかり持ってきてもらい、チェックする。扶養の方についても、扶養の届出も年1回やっていますが、まずは4月・5月・6月の賃金を記載した、7月に提出する算定基礎届をしっかりとやっていく。
 平成23年度の取り組みとして、日本年金機構として各年金事務所に、算定基礎届の受付事務の際に、書類の審査をしっかりとやる、とあらためて指示する。
 従来は2年に1回しか賃金台帳を持ってきてもらってなかったかもしれないが、平成23年度からは、あらためて毎年毎年賃金台帳を持ってきてもらう。電算でやっているところも、紙ベースに打ち出して持ってきてください、とお願いする。
 従業員がたくさんいるところはなかなか難しい面もあるでしょうが、算定基礎届という、一番基本的な定時の届出のときに、平成23年度から、あらためてしっかりと取り組むということを行ったほうがいいのではないかと考えている。
 それから、先ほどお話が出ておりました、11ページの「○4現況確認の徹底」という項目です。
 年金の不正受給防止の観点からということで、「市町村との役割分担に留意しつつ」ということですが、例えば、平成23年度も後期高齢者医療制度で1回も利用されてない方のリストアップされたものを、市町村にいついつの時期に送るだとか、あるいは市町村と連携して、例えば8月から9月の間に、全国一斉に訪問調査等により受給者の現況を確認するだとか、平成23年度の早い段階で、市町村と連携して、何かこういう取り組みをします、とか、こういう取り組みをしたいということで、市町村から個別に手挙げてもらうだとか、具体的な協力要請をすべきではないのか。あるいは、全国市長会を通して、協力連携を要請するとか。いずれにしても、何か具体的な内容のもので、全国の市町村に協力連携を発していったほうが、スムーズにできるのかなと考えている。平成23年度、具体的にどのように取り組まれるのか、お話を伺えればと思います。
 最後に、その前のページになりますが、10ページの「給付事務に関する事項」のところです。例えば障害基礎年金ですと、直近ですと、だいたい54日で処理できている。
 サービススタンダードとしては、障害基礎年金は3か月以内と期間が定められている。一般的に、短い期間で裁定処理ができている障害基礎年金の多くは、20歳前障害なのかと、推測している。
 20歳前障害であれば、例えば療育手帳等を有しているということで、早く裁定ができるということであれば、サービススタンダードも、当初は3か月以内ということでスタートしたが、事務が定着してきていて、これは2か月以内で処理できる、平成23年度は2か月以内で処理しましょうとサービススタンダードの期間の変更をできないものか。
 逆に、障害厚生年金は3か月半以内でやると言っていたけれども、なかなかできない。
 あまりにも高い目標で、目標が高すぎて、達成できないということであれば、逆に、こちらのほうは、達成ができる、手の届く期間に見直すということはできないのか。ただ、例えば4か月以内とすると、あまりにも最初から待たせすぎるサービススタンダード期間だという批判を招くかもしれない。
 いずれにしても、平成23年度もこれから本格的に取り組んでいく。サービススタンダードの目標期間の設定は、もう少し、手の届くところ、達成可能な期間を考えていかなければならないのではないかと考えている、以上の点についてお伺いします。

○本田部会長
 わかりました。
 それでは、6点ありましたので、まず、ねんきんネットの方から。

○日本年金機構記録問題対策部長
 記録問題対策部長でございます。
 ねんきんネットで、年金額の見込額の試算、秋からできるようになります。
 これは大変ニーズも大きいと思いますけれども、御自宅だけでなくて、市町村の窓口でもできるような方向で、今、開発を進めておりますので、何とか秋にはできるようにしたいと思っております。

○本田部会長
 次に、基礎年金番号の問題。

○日本年金機構理事(全国一括業務部門担当)
 重複付番についてお尋ねがございました。
 まず、現在の仕組みを御説明させていただきますと、同一の方と思われる方が年金事務所に適用の届けをなされた場合、私どもの方のシステムで、同姓同名の方がおられますという重複の疑い、疑重複という表示が出るようになっております。
 この方については、仮番号を付して確認の調査を行うことになっております。
 そういう手順で、一旦仮番号扱いをした上で確認をして、新しい付番をする必要があるかどうかの判断をして付番すると、こういう業務になっているわけですけれども、小さな事務所の場合ですと、非常にきめ細かく付番確認をして、重複のないように実施していくことが実務的にも可能ですけれども、大きな事務所の場合、そういう対象者の方が非常に数多く出てまいりますので、一定期間の間にご本人から回答がない場合、新たな基礎年金番号を付番するという業務をせざるを得ない事務所もございます。なお、そのうえで、4か月に1回、事後的に重複付番の解消を行っています。
 そういうところから新たな重複付番が発生している可能性があると思っております。
 それで、23年度については業務の方法を変更しようと思っております。
 ずっと仮番号のまま管理をしながら、御本人に確認ができたら、新たな基礎年金番号をつける、こういう業務方法を徹底していこうと思っております。
 そのためにはコンピュータシステムの改修などが必要でございまして、現在、そのための準備を進めております。

○本田部会長
 次に、3号被保険者問題。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 3号被保険者の、まず再発防止をどう進めていくかというのがこれからの大きな課題だと思っていまして、1つは、現在の協会健保の被扶養者から外れた情報はいただいているのですけれども、まだ組合健保の方の被扶養者から外れたという情報をいただけていませんので、そこを何とか組合健保の方から情報をいただいて、勧奨に結びつけるような手だてができないかということを含めて、今、検討させていただいております。
 その一環として、いわゆる職権による適用3号の種別変更、その時期もちょっと早められないかということも含めて、今後の再発防止策を検討を進めていきたいと思っております。
 あと、離婚のケース、これはそもそも届け出がないと把握しようがないので、なかなか把握するのが難しいケースなのですが、把握できた段階では、事実が発生した時点にさかのぼって1号に変更して、保険料、2年しか納めていただけませんので、2年間は保険料を納めていただく。
 2年より以前の分は、今後どうするかというのは、今、法制的な話は詰めていますけれども、現行制度では1号未納期間になるというのが統一的取り扱いということでございます。
 あと、算定基礎のときの調査をしっかりすべきではないかという御指摘なのですが、私どもも、数年前までは、算定時調査ということで、全事業所の例えば5分の1とか6分の1、全数は無理ですけれども、事務所を挙げて、8月、9月は定時決定調査ということで、いわば事業所調査をやっていたわけです。記録問題発生以降は、残念ながら、なかなか人手が、夏場、確保できない、あるいは、最近では事務所自体の呼び出すスペース自体が、書類に埋もれて呼び出すスペースもないというようなことで、ここ数年、ほとんど算定時調査はやられておりません。
 それではやはりまずいだろうということで、今年度は、算定時調査も、いきなり昔並みにできるかどうかは別にして、積極的に活用して、いわば事業所調査件数というのを大幅に増やそうということで行動計画を立てて、今、具体的に、夏場どの程度こなせるかという数字を各事務所で積み上げの作業を開始しているということでございます。
 あと、ハローワークとの調整については、昨年度からも項目としてはあって、文書的に統合しただけなのですけれども、失業して、雇用保険の受給手続に来られて、説明会なんかもハローワークでありますので、そのときに、今度、1号被保険者ですねというような説明ですとか、あるいは、失業期間中ですと免除も受けられますというような案内を、ハローワークの職員、場合によっては社会保険事務所の人間が出張って説明するという形での連携をとるということで、届け出書自体をハローワークで受けるというところまでの取り組みではございません。
 あと最後に、現況届け、23年度、不在高齢者対策どうしていくかというお話でしたが、こちらは、市町村との関係等々は、まず年金局の方で段取りを組んでいただいて、その段取りに従って、我々、現実の届け出書を送ってチェックしたり、場合によっては訪問に行くというような作業を受け持つ立場ですので、全体スケジュールを年金局ともよく御相談しつつ進めていきたいと思っております。

○本田部会長
 次に、事業主からの適正な届け出のところの関係。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 今お話しした算定基礎届けのことを言っております。

○本田部会長
 あと、現況確認の徹底というところの御質問。

○事業企画課長
 今、機構の方からも、所在不明高齢者の現況確認について、23年度は年金局とまた相談してということで、私ども、相談して進めていきたいと思いますが、まだ、現在、この時点では、私ども、第1クールという言い方がわかりやすいかもしれませんが、そもそも去年の夏にこの問題がわかりまして、76歳以上で1年使ってないという方についての後期高齢者医療のデータをいただいて、機構の方にお渡しして、年金の受給者と重ねまして、34万人の方に現況の申告書を出してくれということで通知を出しております。
 通知を2回出しまして、今年の2月の段階で32万人ぐらいお返事が来ておりまして、お返事が来なかった人とかお手紙が届かなかった人について、まずは、特に御高齢の100歳以上の方については、訪問をかけて、死亡の確認とか行方不明の確認とか、また、お返事いただいた中で死亡や行方不明が確認されたという方について、まず年金の支給の方の差し止めとか失権とかをやっておるのですが、それではお返事来てない方がまだたくさんいらっしゃるということで、実は3度目の通知というのを配達証明郵便でその後出しまして、併せて、市町村の方に、先ほど市町村のデータということで申し上げたのですけれども、介護保険のデータなんかも市町村お持ちですので、そういうところも使って、市町村にも御協力いただいて、状況をちょっとお教えいただくと。
 それが、この3月の1か月前ぐらいの段階では6割ぐらいの市町村からはお返事いただいているのですけれども、まだお返事回収中というところもございます。
 この34万人に通知を出したところから始めていっているこの取り組みをもう少し進めていくというのが今しばらくございまして、その先、次の取り組みをどうするのかということについて、またちょっとスケジュールとか内容について機構と御相談をして進めていくと。
 23年度はこのようなことになるかと思うのですが、できるだけ早く、市町村にもまた御協力いただく場面が多々ございますので、市町村の方にも御説明ができるように、機構とよく相談をしたいと思っております。

○日本年金機構理事(全国一括業務部門担当)
 障害厚生年金につきましては、非常にサービススタンダードの達成率が低いという状況になっております。
 この点について、昨年、56人体制から97人体制に増やして作業を促進してきた結果、単月、1か月の間で達成できた状況については、42ページの数字、2月末の段階で20%弱となっておりますが、3月末の段階では25%程度、これは、速報値でございますが、その水準まで回復ができてきております。
 引き続き、その体制強化の中で努力をして進めていきたいと思っております。
 23年度に向けてでございますが、昨年、新規採用職員が大量に入ってまいりましたので、従来のやり方を変えて、新規採用職員を中心にして一次審査をし、ベテランが二次審査をし最終チェックをするという業務処理工程を組み立てました。
 その結果、以前のようにオールマイティの職員が一気に審査をしていたときよりも、各工程での業務処理期間が長くなっている可能性があると思っております。
 その辺の工程ごとの業務処理の状況、どのぐらいの時間がかかっているのか、各工程の中で業務の無駄がないのか、こういうことをまず徹底的に23年度の当初に分析していきたいと思っております。
 その上で、その状況を踏まえて、サービススタンダードの見直しということが本当に必要なのかどうかということも、現場の立場から分析をし、しっかりした資料をつくった上で、機構全体としての検討が必要かどうか判断していきたいと思っています。
 しかし、まずは、3か月半の目標へ向けて、引き続きとにかく努力をしていこうと思っております。

○本田部会長
 どうぞ。

○長沼委員
 長くならないように、短く、再質問させていただきます。
 「ねんきんネット」については、ぜひ、そのようによろしくお願いします。
 それで、基礎年金番号の重複付番の関係ですが、仮番号を付して、それがまた新たな問題の発生にならないのかどうなのかが心配です。いずれにしても、そうならないように、事務処理をよろしくお願いします。
 雇用保険の手続きの場合ですと、何々さんについては、以前は、どこそこの事業所に勤めていませんか、ということを、ハローワークの職員が言ってくれる。労働者名簿を見て、確かにその事業所に勤めていましたと、答えると、では以前のこの番号をつけておきますね、ということで事務処理がすんでしまう。基礎年金番号の付番については、確かに大きい会社で、新規の資格取得者がたくさんいると、窓口でハローワークのようなわけにはいかない点もあるかと思う。いずれにしても、重複付番が多く出ないようにしっかりやっていただきたいと思います。
 それから、第3号被保険者の記録不整合問題の関係で、協会けんぽ以外の組合健保の方で、夫が会社やめました。そうすると、一般的には、市町村で、国民健康保険の加入の手続をします。任意継続被保険者の制度もありますが、任継にしても、いずれ、有効な被保険者期間が切れます。
 そうしたときに、市町村では当然国民健康保険に加入してくださいということで、お話をさせていただいて、あわせて、国民年金の第1号被保険者への種別変更の手続きも、基本的にはしてもらう。
 中には、今日は忙しいからということで帰られても、市からお電話して、またあらためて来ていただいたりするという場合も、全くないわけではないです。しかしながら、基本的に、国民健康保険の加入の手続きをされたときに、そこで国民年金の第1号被保険者への種別変更の手続もしていただく。第3号被保険者の記録不整合問題の再発防止策として、市町村の窓口において、あと、こういう点を、注意して取り組んでやっていけば再発防止ができるとか、あるいは、どうしてもこういう事例については補足しきれないとか、何か、現場の市町村に対して、アドバイスがあれば教えていただきたい。
 最後に、後期高齢者のデータを活用して云々ということですけれども、そうすると、とりあえず超高齢者で年金を受給されている方の現況確認は、第一義的には年金局だとか日本年金機構の方でやって、市町村は情報提供するだけで平成23年度はよろしいということなのでしょうか。それとも、先ほど申し上げましたように、どこかの期間をとらえて、例えば市町村の各民生委員さんに協力をお願いして、確認してくださいと依頼することがあるのか。
 参考までに、志木市の場合ですと、100歳以上の方は、市長が直接記念品持っていったりします。また、毎年10月から11月にかけて、民生委員さんにお願いして、一人暮らし高齢者や高齢者世帯の高齢者の実態調査をしています。あわせて、75歳以上の方については、敬老会の招待状を出したり、75歳以上の節目の年齢で、敬老祝い金を出しています。お祝い金は、原則として、それぞれの地区の民生委員さんに、持っていっていただいて、元気なことを確認してもらっているということです。ですから、その辺で、うまく協力・連携できるのであれば、国と日本年金機構と市町村が連携してやることもできるのかなと思います。いずれにしても、ぜひ、御検討いただければと思います。

○本田部会長
 それでは、ほかの委員、何か御質問。
 斎藤委員。

○斎藤委員
 国民年金の適用収納業務の状況というデータをいただきました。
 これは60%の目標を立てていらっしゃるのですが、これが非常に微妙な目標だなと思うのです。
 というのは、60%を目指して余りハッパをかけると、多分また以前のような不祥事につながることがある。
 汚い言葉で済みませんが、とりっぱぐれているのはなぜかというのは、払いたくないから払わないというよりも、払いたくても払えないような人たちが増えているという構造的な問題が非常に大きいと思うのですね。
 非正規雇用の数が増えてきている。
 非正規雇用の数のグラフと、それから支払っていない人のグラフを合わせるときれいに反相関をしている。
 ということは非常に構造的な問題で、払いたくても払えない人たちが出てきているという状況ですので、これは年金機構の問題というよりも、国の問題に、国の責任に大きく依存していると思います。
 ですので、ここで努力するということは、どうやって徴収率を上げるかということだけではなくて、払えない人たちにどういう対策をするのか。
 払えない人たちに、全額免除をするという措置がございますけれども、この基準をどのように見直すかとか、もう少しマクロ的なことを御検討いただき、それが努力の一つとして評価できるような形にしていただけないものでしょうか。

○本田部会長
 今の御質問にお答えありますか。

○年金管理審議官
 現在でも、国民年金の取り組みの中では、保険料を負担していただく能力がおありの方には、これはきちっとお支払いいただくということで、納期限までにお納めいただけない場合のいろんな文書、電話、訪問といったようなことをやってきておるわけですが、そこだけではなく、負担する経済的な能力が現在はないと、支払うのが難しいという方には免除制度があり、それを御利用いただけるということ。
 免除の勧奨ということもやってきておりますので、例えば23ページで「納付率の推移」という折れ線グラフがございますけれども、ここで言います納付率は、免除の手続をお済ませいただいた後の、納めていただく必要のある月数を分母に置き、その中で現に納めていただいた月数を分子に置いた、そういう割り算でございます。
 現状、そういう取り組みをやっておるわけでありますが、今のお話の中では、ではその免除の基準が現状でも妥当なのかどうか、そういう見直しが必要ではないかという御指摘がありました。
 これは、そういう御指摘もありましたので、そういう目で、一度担当課の方でも検討するということで相談してみたいと思います。

○本田部会長
 よろしいですか。
 では石井委員。

○石井委員
 済みません。
 今後の評価に関してのお願いなので少し早口になりますが、今日ここでの回答でなくても結構です。
 厚い資料の43ページに、相談窓口の月別状況が出ていますが、過去3年分の3月を見ると、相談件数自身が大幅に減っているので、当然時間待ちが少なくなるのは当たり前のように思うのですが、つまり、年金機構自身が効率的に、あるいはきちんと業務しているかという評価をしようとしたときに、こういうことに関する説明は当然6月以降の評価のときにコメントをいただけると思っていてよろしいですね。
 件数が79万件から58万件に減っていますので。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 お答えします。

○石井委員
 いや、次のときに何かメモをいただいた方が。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 簡単ですから。
 御説明がちょっと不十分だったかもしれませんが、勿論、前年と比べて相談件数が減っているというのは大きな要素です。
 ただ、同じ相談件数50万件ベースの月でも、例えば21年度の11月、12月を見ますと、待ち時間1時間以上の事務所が26と34か所、同様に、22年度の4月を見ても、相談件数は50数万ベースですが、1時間以上の事務所が28か所ということで、22年度の1月~3月が相談件数50万台件ベースで1時間以上待ち時間事務所が0か所から4か所というのは、一定の対策の効果は出ているのではないかと思います。
 ただ、これを定量的に分析しようというのは非常に難しくて、待ち時間の理論というのはそれだけでも立派な数学の教科書になるようなものでありまして、そこをやろうとしたのですけれども、断念しました。
 微分方程式を解かなければだめだというので。
 そういうきっちりした分析は多分できないと思いますけれども、勿論、相談件数がベースになっていますが、いろんな努力の反映もあるのではないかと思います。
 ただ、理事長が申し上げましたように、相談体制について脆弱なインフラがあるのは間違いないので、引き続き、対応者のスキルアップだとか窓口体制の強化というのはやらなければいけないと思っております。

○石井委員
 という説明をしてくださいねとお願いしているだけなのです。
 それから、23年度の計画のポイントを拝見して、5ページに、「外部委託の推進」と書いてあって、効率化の取組に、価格を重視した競争入札の徹底と書いてあるのですが、「価格を重視した」という言葉は前年にはありませんでした。
 質をどうやって確保するかというのは非常に重要なことだと思いまして私は理解をしておりますが、外部委託と競争入札、価格重視というかかわりの中で、外部に委託した業務を機構自身がどのようにして、入り口と、その後の状況の中で質の評価をきちんとしているかということに関しては明解な説明を次回お願いしたいと思います。
 一番大切なことはそこです。
 私は個人的には、価格だけを重視すればいいとは思っていません。
 それから、この資料の中で1つだけ、多分簡単な理由があると思うのですが、4ページの「お客様の声を反映させる取組」の次に、昨年は「電子申請の推進に関する事項」というのがあったのですが、今年ないのは、23年度なくなったのは何か理由があると思うのですが、お教えいただけますでしょうか。

○本田部会長
 どなたかお答えいただけますか。

○日本年金機構(経営企画グループ長)
 ご指摘の点につきましては、23年度計画の事項としてなくなっているわけではございませんで、ただ、ポイントの概要版の中では記述を省略させていただいているという趣旨でございます。

○石井委員
 省略したということですね。
 わかりました。

○本田部会長
 それでは、岩瀬委員。

○岩瀬委員
 2つばかりあります。
 斎藤先生の質問と関連するのですけれども、国民年金の納付率が落ちているというのは、いろんな理由があるのでしょうけれども、払えないというのがやはり一番大きな理由で、これの対応として、猶予制度の基準を見直すだけではやはりなかなか改善しないと思うのです。
 だから、大きな制度の設計を変えていかないといけない。
 つまり、払える、負担能力に合った保険料をとるというような制度に、これは簡単には結論は出ないと思いますけれども、そういう検討を始めていただかないとなかなか難しいのかなというのが1つお願いしたいと思います。
 もう一つ、人事と人材の育成に関するところで2つばかり、今日でなくてもいいのですけれども、お聞きしたいのは、2-1の資料の13ページの3に、スキルのある優秀な職員を有期雇用職員から正規職員化するという、登用を行うと書かれていますけれども、これ、本当にできるのかどうかですね。
 優秀な人たちをですね。
 つまり、足切りの基準があって、それをどう見直すのかということも含めて教えていただきたいなと。
 こういうのはきちんと打ち出して、何人採用するかというのを雇用から打ち出すというのは職員の士気の高揚にはすごくいいことだとは思うのですけれども、実際応募しても、優秀な人が落ちて、そうでない人が採用されているみたいなことを現実に見せつけられると、かえって悪影響になるという現場の声も聞いていますので、その辺をわかりやすく説明していただきたいのと、もう一つ、研修に関しても、研修は重要だと先ほど理事長もおっしゃいました。
 これは研修を軽視しているなんていうことはとても言えないと思いますけれども、そのわりには、仕組みをつくって、それがきちんと機能させているのか、動いているのかどうかという点の説明が余りないのかなと。
 そこの辺は僕も非常に危惧しているのは、これはもう改善された話ですけれども、研修施設を十分フルに活用してなかったと。
 すごくつまらない理由で、月の半分ぐらいしか動かしてなくて、無駄に研修の機会を失わせていたというようなこともありますので、どうこれを機能させるのかというのを次回でも説明していただきたいなと思います。

○本田部会長
 今のお答え。

○総務課長
 先ほど、斎藤委員、岩瀬委員からございましたように、国年保険料納付についての、運用だけでそれは当然できない部分もありますので、それと制度をどう考えていくかということになります。
 現在、私どもとしては、25年に向けて新しい年金制度をどうつくるかという議論もありますので、当然その中では、こういった問題も現行制度の問題としてとらえながら、制度は制度上の問題としてとらえて、今後議論の中では考えていきたいと思います。

○本田部会長
 研修の件は後でまた別途ということで。
 それでは、西沢委員。

○西沢委員
 資料2-1の3ページ目の下の方で、適用事業所、これは前も申し上げたと思うのですけれども、法人数になっていないのが、私、不思議でして、支払い能力ですとか、あくまで法人ベースで勘案するものですから。
 たしか私も、ねんきん定期便かなにかもらったときに、銀行に勤めていたときの支店が事業所となっていた記憶があるのです。
 ただ、支払い能力はやはり法人ベースですから、それは法人ベースで把握できないものかというのが1つと、5ページで、強制徴収に関して、国税庁に委任する仕組みを適切に活用するというのは、どんな基準で委任していくのかという基準をある程度明確にしていただけたらと思いますし、それをその6月にお示しいただく中で、受ける側の国税庁の準備とかもありますから、ある程度下交渉なり合意ができているかどうかといったことも教えていただけるとありがたいです。
 同じページの○6で、制度に対する漠然とした不安感や不信感、私にも責任があると申し訳ないのですけれども、今の基礎年金の国庫負担の問題なども、国民につまびらかに報道を通じて基礎年金の2分の1の財源を流用されるなども出ていますので、こうしたものは政府内でごたごたするというよりも、明確に結論を出した上できちんと結論をスピーディに国民に開示するといったことが求められていると思います。
 ですから、いつまでも押し問答するようなことをしてはいけないと思います。
 最後に、研修について、岩瀬委員もおっしゃいましたけれども、私は、海外の行政機関とかの情報をどんどん吸収して、生かした方がいいと思うのですね。
 日本年金機構を評価するのが非常に難しいのも、日本にはこの組織しかこういうことをしているところがないからであって、アメリカやイギリス、カナダでは、サービスカナダとか、歳入庁ですとか、イギリスのHMR&Cですか、といった組織がありますので、彼らが何をしていて、日本年金機構はどうすぐれている、あるいはあちらの方がどうすぐれているという情報をどんどん吸収して組織に生かしていただきたいですし、評価に生かした方が、いいと思います。そういったお金は無駄でないですね。
 職員の方の意識の向上にもなると思いますし、どんどん積極的に使ってフィードバックしていただいたらいいと思います。

○本田部会長
 今のは御答弁不要ということで、いいですね。

○西沢委員
 結構です。

○本田部会長
 それでは、委員の方から大変貴重な御意見もありましたので、運営に当たりましては、それをまた反映させながら、加えて、この年度計画についても、6月の会合のときに資料なり説明の要求がありましたので、そこらについても、年金局と機構、両方で検討をよろしくお願いたします。
 それでは、最後にその他の事項といたしまして、東日本大震災への対応につきまして、年金機構の方から御説明をお願いいたします。

○日本年金機構経営企画部長
 資料3に沿って御説明いたします。
 先月起きました「東日本大震災への対応状況」でございます。
 まず、1の「年金事務所等の被災状況」でございますが、機構職員に対しましての人的被害はありませんでした。
 それから被災のあった年金事務所は27事務所です。
 多くが翌週には順次復旧いたしましたが、一番被害が大きかった石巻年金事務所も3月29日には開所し、今はすべての年金事務所で書類等の受付を行っております。
 ただ、石巻年金事務所につきましては、津波で1階の1メートルぐらいまで浸水いたしましたので、現在、2階で、それから駐車場にもプレハブを建てて、そこで書類の受付等のみを行っております。
 そのほか、第3コールセンターが仙台に、それから記録突合センターが仙台に2か所、水戸に1か所ありまして、ここも被害に遭いまして一時閉鎖となっておりましたが、3月下旬から順次復旧し、4月4日からすべての拠点で作業を再開しております。
 ただ、端末ブースの破損でありますとか、交通事情によりましてフル稼働には至っておりませんが、もうかなりフル稼働に近い状況まで今は回復してきているような状況でもございます。
 それから、これからの生活支援に向けてということで、被災者に対する支援措置も行っております。
 まずは、被災者の方からの専用ダイヤル、無料電話相談を今週から設けまして、被災者からの年金に関する特例措置を始めお答えをしております。
 それから年金事務所の職員が被災地への出張相談を行っております。
 出張相談は、社労士会にも御協力いただき、また、できるだけワンストップサービスでということで、労働部局、あるいは総務省行政評価事務所が音頭をとった形とか、いろいろな形がございます。
 その巡回相談に順次先週から一緒に取り組んでおります。
 また、年金に関する特例措置、今回いろいろ設けられております。
 それを多くの方々に知っていただくために、ホームページに掲載するのは勿論のこと、ポスター、チラシを作成しまして避難所に配付しております。
 参考までに、これまでに講じられた特例措置として、厚生年金保険料等の納期限の延長、国民年金保険料の免除、それから障害基礎年金等で所得制限により支給停止になっていた人の解除、それから現況届けが未提出であった場合でも、支給の継続などの措置を今行っておりまして、このほかに、法律改正が必要なものにつきましては、現在、年金局の方で検討されていると聞いておりまして、これが確定次第、しかるべく周知を行い、適正な事務処理を行っていきたいと思っております。
 以上でございます。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に何か御質問。
 長沼委員。

○長沼委員
 1点だけお伺いさせていただきたい。例えば、東日本大震災で被災に遭った事業所などで、建物も流されてしまって、営業を継続するのがなかなか困難という場合がある。しかし、再建したい。
 こういう事例の場合、事業は存続するという事業所については、法律措置を講じた上で、そこで働く被保険者については、例えば厚生年金であれば、標準報酬月額が一番下の9万8,000円、協会けんぽの方であれば、一番低い標準報酬月額である、標準報酬月額が5万8,000円を適用して、被保険者も事業主もそれを全額免除するという取り扱いを、国会で法律を通して対応するという理解でよろしいのでしょうか。

○総務課長
 現在、政府の中で、災害について、一次補正に加えて、今申し上げましたように、法律で対処するようにやっております。
 基本的に阪神・淡路大震災の際にも、今、委員がおっしゃったような標準報酬の改定の特例、もう翌月から下げていいよとか、あるいは厚年保険料の免除とか、賃金払えないから免除しますとか、そういうことも当然やりたい、やるということで今作業しております。

○本田部会長
 それでは、本日の議題等すべて終了いたしましたので、次回の日程等について、事務局の方からお願いいたします。

○事業企画課長
 次回の日程につきましては、6月ごろの開催を予定しておりますが、後日改めて調整の御連絡を差し上げたいと存じます。
 よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 それでは、本日の会議は終了ということで、本当に委員の皆さんには長時間にわたり御熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

※(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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