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2011年1月24日 化学物質による労働者の健康障害防止に関する意見交換会(リスクコミュニケーション)の議事概要

○日時

平成23年1月24日(月曜日)13時30分~16時30分


○場所

産業安全会館(東京都港区芝)


○出席者

参加者:約60名


○議題

(1)基調講演
「リスク評価と健康障害防止措置」 名古屋 俊士(早稲田大学理工学術院教授)
「労働衛生保護具の選択と使用法」 田中 茂(十文字学園女子大学教授)

(2)意見交換
コーディネーター
堀口逸子(順天堂大学医学部公衆衛生学教室)

パネリスト
講演者2名
長山隆志(厚生労働省化学物質評価室室長補佐)
寺島友子(厚生労働省化学物質評価室化学物質情報管理官)

○議事

【リスク評価と健康障害防止措置】
・容器等への表示義務は0.1%以上含有する製剤等にかかる一方、発散抑制措置等の特定化学物質障害予防規則の措置は1%を超えて含有する製剤等に必要となっている。表示義務の「0.1%以上」は、GHSの整理によるもの。特定化学物質障害予防規則の措置の「1%」に関しては、意図しない混入を除外するとともに物質、使用状況等に鑑み定めている。
・当社で行われたばく露実態調査について、3か月後に測定結果の報告を受けたが、数値のみの内容であった。もう少し丁寧な情報提供があっても良い。
・特化則の対象となる化学物質とするか否かの評価基準は一律ではなく、物質ごとに異なり、共通の数値はない。
・1,4-ジクロロ-2-ブテンについて管理濃度を設定しなかったのは、リスク評価において、少ない事業場での一部の作業に限られていたため、その部分に作業環境管理の徹底や、保護具の使用を求めることとした。
・ホルムアルデヒドは特別管理物質に該当するが、特殊健診項目はなく、半年に1回の特定業務従事者の健診が義務付けられている。この健診結果を30年保存する必要があるとはしていないが、これは特異的な疾患が見られないため、定期健診の項目で対応できるためである。予想される疾患をいかに定期健診でスクリーニングするか、である。作業の記録は30年保存となっている。

【労働衛生保護具の選択と使用法】
・スライド3枚目 1の(1)保護具の選定に当たって特に考慮する「分子量の大きい物質」の分子量の目安としては、200~300となる。蒸気圧、温度等の取扱条件も加味してほしい。空気中での存在形態が粉じんであるか、蒸気状物質であるか、あるいは粉じんと蒸気状物質が共存しているかは重要である。
・スライド14枚目のうち、特にナノマテリアルについては、スライド42枚目に示しているが、防じんマスクの区分の出典は通達(平成21年3月31日付け基発第0331013号「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」)が出ており、それに拠っている。
・有機溶剤と特化物を同時に取り扱っている職場で使うマスクについては、特化物でも有機ガス用防毒マスクで取れるものもある。送気マスクを使用すれば解決するが、設備が必要であるし作業性も悪くなる。保護具メーカーの「保護具アドバイザー」に相談することも一考である。
・有機ガス用防毒マスクの吸収缶の交換時期を決めるのに、実務上(=コストも勘案して)簡便かつ確実な方法としては、使用する物質や濃度状況によって異なるが、スライド36枚目に示しているところ。混合有機溶剤を使用する場合、シクロヘキサンとの相対破過比で小さい有機溶剤が、早く破過し吸収缶から押し出されてくる。また吸着捕集して時間を置くと、缶の中で出口側(人体側)へ移動し、早く出てきてしまうことがある。漏洩の有無は臭いでみるほか、検知管を用いて確認する方法もある。
・防毒マスクにもオンデマンド型の電動マスクが望まれる。
・電動ファン式防毒マスクは、JIS規格はあるが、製品はまだない。これは電動化により通気量が増え、破過時間が短くなるため、活性炭が多く必要になり、重く高価になるためである。実用化にはもう少し知恵が必要と思う。
・コスト・メンテナンスが改善されるとPAPRはもっと使いやすくなる。流通してくれば改善も進むと思う。メーカーや日本保安用品協会に要望してほしい。
・保護手袋の選定方法について、化学物質の透過時間が素材と厚さで違うことを紹介した。あとは作業性とコストである。どういう物質を扱い、どういう作業をするかで考える。
・MSDSの保護具に対する情報が乏しく、保護具の選定に役立っていないのが実情である。MSDSを作る立場の方に、保護具の情報を収集して、現場で活用できるようにしてほしい。保護具の性能試験がメーカーで行われていない場合、行政は根拠のあるデータを提供する必要があるのではないか。
・労働衛生対策の中で保護具の位置づけは高くない。求められるのは全体換気や局所排気といった工学的対策であり、保護具を使用しても評価されない。実務上では換気装置ではうまくいかないものもあり、保護具も大切である。法的インセンティブをつけてはどうか。特に中小企業のように、扱う量が少ない場合など、保護具を措置として認めることが必要ではないか。
・管理濃度が低いものは、排気装置をつけると蒸発を促進してしまうこともある。管理濃度が低いものは破過時間も長くとれるのではないか。
・国の検討会の中では保護具の必要性等について議論されることは少なかった。現場の使用状況を考慮しつつ、広い範囲で検討していただきたい。過信をしてもいけないが。
・物質の種類によって許容濃度も異なり、規制としては同じ表現であるが、実際は使いやすいものを提示できるよう、情報を出していきたい。保護具の位置づけ、インセンティブについては、行政の中でも広い課題となるが、意見は承りたい。

【その他】
・原材料の中には入っていないが副生成物として入っている物質についてのリスク評価は、現在議論の対象としていない。これからの課題である。

(以上)


<照会先>

労働基準局安全衛生部 化学物質対策課化学物質評価室

電話: 03(5253)1111内線5512

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