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2010年10月21日 第10回(第2部)新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成22年10月21日(木) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

朝田構成員、阿式構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、長野構成員、
西田構成員、野澤構成員、野村構成員、東構成員、広田構成員、渕野構成員、
松浦構成員、三上構成員、三根構成員

○議題

認知症と精神科医療についての検討
(1) 検討すべき論点について
(2) 意見交換

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第10回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたしたいと思います。
 本日も構成員の先生方におかれましては、御多忙中のところ、また、本日、足元も悪い中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の構成員の出欠状況でございますけれども、栗林構成員、柴田構成員、松本構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、国会業務の関係で、部長は遅れてくる予定になってございますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
 それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、議題の1でございます。検討すべき論点についてということでございますが、前回、最後に事務局から御連絡申し上げましたとおり、本日は、前々回御欠席のために実施できませんでした、朝田構成員からのヒアリングを行い、その後、前回に引き続いた検討すべき論点について御議論をいただきたいと考えております。
 朝田構成員から大体15分くらいでプレゼンテーションをしていただき、その後、朝田構成員のプレゼンテーションに対する御意見、質疑などをさせていただいた上で、論点の方に入らせていただくという形で考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、朝田構成員、よろしくお願いいたします。

○朝田構成員 それでは、よろしくお願いします。
 私のは、かつての舛添厚労大臣のころに、認知症の緊急プロジェクトというものが立ち上がりまして、その報告を受けて実態調査、特に全国に今、どれだけの数の患者さんがいらっしゃるのか、また、そうした患者さんの中で、病院あるいは施設等で処遇を受けていらっしゃる方の実態あるいは相互の意向、こういうものはどうなっているのか、この2点を中心に調べようという命を2年前に受けまして、以来、厚労科研、特にやってまいりました。
 ここに書きましたように、目的は、要するにふさわしい医療サービスが提供されているあるいは病院の機能、一般病院、精神病院あるいは療養型等分かれるわけですけれども、そうした病院の機能に応じて、患者さんの受入れはできているのか、もし、そうでないとしたら、それを阻害するものは何なのか、あるいは病院種別の患者特性に差異があるか、そういうものを見てみようというのが、今日、御紹介申し上げることでございます。
 調査方法としては、いわゆる四病協プラス、慢性医療協会、ここにお願いいたしまして、所属される6,000あまりの病院の中から2,200を無作為抽出して調査票を送らせていただいたということでございます。
 662、30%強の病院からのお返事をいただきまして、要するに病院全体としての概要というものと、一応、10枚お願いしたんですけれども、無作為に抽出していただいた10人の患者さんに対する臨床個人票と、個々の状況がどうなっているものかというものを調査する用紙、この2つを送らせていただきました。
 調査方法ですけれども、普通に郵便で依頼した他、こちらから督促を何度も繰り返させていただいたのと、実際、これを書かれるのが病棟の士長さんとか、そういう現場の方ですので、非常にこうしたケアあるいは介護の問題に熱心でございます。そうしたところを掘り下げたいというねらいもございまして、単に設問に答えをいただくということ以外に自由回答の、どうしたらいいか、あるいはどういう研究をしたら喜ばれるかみたいなことを併せて問いました。
 そんな中で、まず、病院の概要から話してまいります。7番にまいります。
 病院種別の平均在院日数と平均年齢でございますけれども、やはり精神科病院からまいりますと、このように精神科病院が一番高くて、療養型、一般病床というふうに従来言われている傾向は、ほぼ再認されました。
 今度は、病院種別に見て、この病院にどこから患者さんが見えていて、ある一定期間を経た後、どこへ行ったかというのを見てみました。
 8番のスライドは、精神科病院の場合ですけれども、自宅からお見えになった方は4,400人あまりと一番多いと。
 その間、そのまま在院している人とか、死亡退院者1,800名を引きますと、精神科病院での治療を終えて行かれる先としては、他の医療機関、一般的な体の機関が多いと思うんですが、そうした機関へ行かれる方が一番多くて、次いで自宅へ戻られる方となっています。これは、精神科病院の1つの特徴です。要するに自宅から来て、他の医療機関と。
 次に、2番目ですけれども、療養病床、これは非常に特徴的なんですけれども、療養病床に入って見える患者さんは、全部で4,262名おられたんですが、療養病床というのは、最後の砦でございますので、やはりなと思うんですが、約2,000名の方が在院を続けていたり、亡くなっておられると、要するに半数弱の方が亡くなっておられると、帰られる先としては、自宅が752名、そしてその他の医療機関691名となっております。
 これに対して、非常にコントラストを成しますのが、一般病床への入院患者さんで、自宅から5,600名がやって見えまして、その6割に当たる3,000名の方が自宅へ戻っておられると。
 それで、在院、死亡退院者数も2,000と多いんですが、もともとの分母が1万2,700もいらっしゃるわけですので、うまくいって、様々なケースがありますが、いずれにしても、他の病院面と比べて、自宅へ戻れる人が多いという結果が出ております。
 次に10番、紹介元からの受入れ拒否と、これは非常に現場では問題になります。取ってあげたのに、治ったから帰ってと言ったら、嫌だよと、そういう話です。要するに精神病院に限らず、療養型あるいは一般病床においても、これはそこそこ以上の率で見られるものでございます。
 次に、では、紹介元から嫌われてしまって、受入れ拒否された後、どうしたんですかという話なんですけれども、まず、精神科病院について見ていきますと、145名と断トツ多いのが、どこにも行きようがないから、自分のうちでこのまま待っているという方が恐らく過半数になる、これは145名と一番多うございます。
 その他では、老健等、他の医療機関、自宅、様々あるんですが、そんなに多くなくて、やはりこのまま在院というパターンが多うございます。これについては、認知症病棟についても療養病床についてもほぼ一緒でございます。
 ところが、一般病床だけは違っておりまして、他の医療機関へ移る方が262名と多うございますし、第2位に111名と自宅へ帰れるところが多いというのも一般病床の特徴でございます。明らかに精神科病院とは、コントラストを成しています。
 次に、精神科病院以外の病院に対して、退院支援というような意味で、普段からお付き合いになっている連携精神病院があるかということを聞きますと、このように、なしが療養病床の場合には4分の3以上、それから一般病床においても60%がノーというふうに答えておられて、従来から言われている病院と介護保険系の連携の乏しさもさることながら、こういう病院系の中でも療養病床あるいは一般病床と精神科病院という問題があるということに気づいたわけでございます。
 次に、1施設に10枚お送りして、無作為に「あいうえお」順でも生年月日の順でも何でもいいから、とにかく10枚に臨床個人票とでも申しますか、そういうものをお渡しして、内容は、ほとんど介護保険の主治医意見書と同じになっています。多少違うところはございますけれども、要するに書き写しやすいと、これならイージーだから簡単に答えていただけるであろうと思って、介護保険の利用をいたしました。
 それに関して、まず、短期記憶に問題があるかということを聞きますと、当たり前ですけれども、どこもほとんどみんなありというのが14番。
 それから、BPSD、いわゆる問題行動ですけれども、これがあるかという問いに関しましても、どこも、ありと答えるところが多うございます。
 次に、ここからがだんだん重要なポイントになっていく、つまり、病院種別に差異があるかということになるわけですけれども、実は、BPSDの16番のスライドですが、幻覚とか幻聴とか妄想とか昼夜逆転とか、様々な問題行動が激しいのがあるわけですけれども、これに関しまして、実は色を付けたんですけれども、昼夜逆転については、一般病床は22%と最も多いんですが、その他の全ての問題行動につきましては、精神科病院が全て1位になっております。
 特に暴行とか、あるいは脱走するとか、不潔行為とか、徘徊とか、BPSDの中でも特に処遇困難と言われるものについては、断トツ精神科病院の患者さんにおいて、非常に高率で見られるということで出ております。
 更に、次の17番は、今のは個々の問題です、単に単純な個数で見てみても、精神病床では2.3、療養、一般が1.3でございますので、ほぼ倍というふうに、ただの数値で見ても大きなものが出ております。
 それから、主治医意見書の中の日常生活の自立度につきまして、これを単純に、あそこに書いてあるものを順位尺度に変更して、どれくらい厳しいんだろうというのを見てみますと、まず、寝たきり度ですけれども、最も大変なのは療養病床でございます。8点満点の7.5ですから、ほとんどが寝たきりということになっています。
 それに対して、精神科病院、殊に恐らく認知症病棟だと思うんですが、ここでは5.3ということで、比較的寝たきり度については低うございます。一般病床よりも低いです。
 ところが、寝たきり度が9点満点で、認知症の自立度は8点満点です。やはり精神科病床は高くて、特に認知症病棟においては高いという結果が出ております。
 今度は、もう少し分布度がどれくらいなのかということを見てみますと、まず、日常生活の自立度ですけれども、平均点もさることながら、療養病床においては、極めて重度の人たちがケアされているということは、この図からわかります。それに比べて、確かに精神科病床、特に認知症病棟においては、いわゆる寝たきりとか、準寝たきり、車椅子状態という人は、かなり少ないということが見て取れます。
 ところが、20番の日常生活の自立度というのを見ますと、認知症の自立度の4とMが半数以上を占めております。
 療養病床においても似たような傾向を取っておるわけですけれども、Mのところで見ますと、精神科病院においては、なんと20%がMであるのに対して、療養病床はそこまではいかないということで、認知症の重篤度ということにおいても、やはり差異があるなということがわかるわけでございます。
 更に、この医療依存度というのがございまして、医療依存度というのは何かと言いますと、14日以内に受けた医療処置内容というのがございます。それを診療報酬の点数に沿って、あそこに書いてあるものを全部お値段でもって直してみました。そのお値段の合計でもって高いほど、医療依存度が高いと仮に考えたわけですけれども、更に考えてみますと、圧倒的に高いのは、意外なことながら療養病床でございます。8.4と、それに比べますと、精神科というのは5分の1程度ということで、医療依存度は確かに違うと。
 ところが、療養病床は何で医療依存度が高いのかということで見てみますと、経管栄養の患者さんが圧倒的なんです。つまりレッドリドンでチューブヒーディングの方々がほとんどだという実態が出ている。
 それに対して、一般病床というのは、多少認知症があっても、たまたま肺炎になって無熱性のものもあるから入っていると、治ればうちへ帰れるという方もあるという意味では、押し並べて悪いのは、療養病床であるという差が出ております。
 それを裏打ちするからのように、摂食嚥下機能の低下がある人はどれくらいいますかと見ますと、このように精神科病院でも結構多いんですが、やはり療養病床は最も多いということが出てまいります。
 さて、ここからが問題なんですけれども、特に力を入れた退院支援の有無と、要するに普通におうちへ帰ってね、どこかに行ってねと言われても、全然だめだから、PSW等が出て、力いっぱい自分のコネを使ったり、様々な努力でもって退院してもらおうということをしたことがありますかと聞きますと、どこも少なからぬ方々がそうです。
 ただし、療養病床については579棟、母数も少ないですし、そもそも療養病床というのは、ある意味で最後の砦ですので、背水の陣ですので、ではどこかへやろうかということもなかなかまいりません。
 そうしたことも踏まえながら見てまいりますと、特に力を入れた人がその後、どうなったと聞きますと、このように、まず、さっきと一緒なんです。精神病床では、そのまま自施設におられるという方が最も多いと、その他いろいろあるけれども、押し並べて低いと。これについては、療養病床についても同様の傾向が出ております。
 ところが、一般病床からの884のうち344はなんとおうちに帰っておられると。いろんなパターンがあるんですが、1つには、さっき言ったように、認知症はあるけれども大したことないと、その人がたまたま肺炎になっただけで帰れるというケースもあるんですが、やはりソーシャルワーカーさん等が頑張られて、地域のケアマネとよく相談して、何とかなんとか、体の悪いだけで認知症はそう重くないんだから、おうちで診てというケアシステムで相当努力されるということが、後からも言いますが、結構多いんだなということがわかってまいりました。
 それで、特に力を入れなければいけないような人たちと、退院先ごとに差異があるかというのを見てみたんですが、例えば26番のグラフですけれども、自宅に帰れる人というのが、問題行動、BPSDがある人とない人で、約半分なんです。
 ところが、そのまま自施設にいなくてはいけないような人は、4倍もあるという率が高いということで、やはり従来言われているように、BPSDの有無というのは、決定因子といいますか、阻害因子になっているということがわかります。
 さて、今の病院というのは、案外楽だとは言いませんけれども、病院はある特徴があるということを申し上げたいんですが、日常生活の自立度というものを見ていきますと、自宅に帰れる人というのは、6という数値が出ていますので、並みよりはやや低いわけです。
 それに対して、認知症の自立度、要するに認知症としての重篤度になりますと、4.7ということですので最も軽いわけです。つまり、言いたいことは、自宅へ戻れる人は、多少とも身体の病気はあるけれども、認知症としての激しさは一番軽いと、こういう方々をある意味で力いっぱい介護保険等を使って援助してあげると、多少とも帰れるということが出ておるわけでございます。
 それから、特に力を入れた支援にもかかわらず、なお、だめだという理由を見ますと、精神科病院の場合には、やはりBPSDが一番多いと。
 それに対して、一般病床とか療養だと、医療の必要度とか、支援不足というところで、やはりこの辺もプロフィールが違うということがわかるわけでございます。
 以上、30のまとめは、今、申し上げたようなことがもう一回書いてあるだけですので、はしょらせていただきます。
 ポイントは、ここまでです。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのプレゼンテーションに対しまして、御意見、御質問がございましたら、お願いしたいと思います。
 渕野構成員、お願いします。

○渕野構成員 朝田先生、ありがとうございました。先生の話を聞いていますと、認知症が軽ければ退院できるだろうと、認知症がまあまあ軽くて、BPSDがさほどなければ、何とか自宅へ帰れるんだろうというお話がありましたけれども、経済的な面というのはどうなんでしょうか。一般病床、とても退院の率が高いように見受けたんですが、私は一般病院ではありませんけれども、やはり入院期間によって診療報酬が変わるんではないかと思うんですけれども、非常に努力をされていますね。長期入院をさせない努力というのもしているように思うんですけれども、いかがですか。

○朝田構成員 それは、29番のスライドの囲みの中でございますけれども、1位は確かにBPSDなんですが、2位というのは、私的支援不足、私的支援とはキーパーソンとなってケアしてくれる人がいない、あるいはお金を出そうとしてくれる人がいないという意味なんです。そういう意味で、先生がおっしゃっているような側面も十分入っていると思います。

○渕野構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 その他、どうぞ。

○東構成員 東でございます。朝田先生、非常に興味深いデータをありがとうございます。最後の30、まとめと考察というスライドでちょっとお尋ねしたいんですが、私どもは老健協会なものですから、老健のところのデータが非常に面白かったんですけれども、老健から精神病院に移っていらっしゃる方が9%、逆に精神病院から老健に移っていらっしゃる方が14%で、棒グラフを見ても随分多いんですけれども、ここの先生の推測される背景について、老健は終身ではないため、特養に比べ入所が容易というような推測をされておられますけれども、前回、前々回の会議でも精神病院からの在宅へのダイレクトではなくて、老健を挟んでというお話も、私も大分申し上げたんですけれども、先生のお考えで、老健も確かにいろんな老健がありますので、難しいところもあるかもしれませんが、今後の可能性として、精神病院から老健でワンクッションおいて在宅というルートについては、どうお考えでございましょうか。

○朝田構成員 どう考えるとは、是か非かということですか。

○東構成員 期待をできるかというか、老人保健施設も認知症の方は大変多く入所されているわけですけれども、老人保健施設も精神病院みたいな重篤な方への治療ではなくて、老健施設ならではの認知症の方への対応もしておりますし、それから在宅への調整という意味では、老健というのは優れたものを、私は持っていると思っていますので、御家族の方も精神病院から退院されるときに、本当に大丈夫かなとか、そういうところがあるのを、そういう在宅調整をしながらというのは、私は脳卒中の後の後遺症の方と同じような形で利用されたら非常にスムーズにいくのではないかなと考えているんですけれども、そういう機能的な面での可能性のお話です。

○朝田構成員 可能性も何も全ておっしゃるとおりでございまして、実際に私自身が調整するときでも、そういう機能を期待したり、あるいは向こうの担当の方とそういう話をしたりしながらやっておりますので、既に現実ではないかと思います。
 ただ、今日、間に合わないんですけれども、実際には、そうした介護保険系の施設にも、永田久美子先生に中心になっていだたいて、全国に同じくらいの数のアンケートをお願いしております。今、集計しておるところなんですけれども、要するに介護保険系の施設の内部での話と、向こうから医療系を向いたときにどう見ておられるのかというクエスチョンもつくっておりますので、そうしたことも総合的に勘案して最終的には報告したいと思っております。

○東構成員 是非、期待しております。

○福田精神・障害保健課長 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 日精協の河崎です。朝田先生に少し教えていただきたいんですが、今回の退院支援状況で、特に力を入れた結果として、退院支援の結果のスライドがございますけれども、25番でございましょうか。やはり精神病床からなかなか認知症の方を退院支援をしても、自施設に在院の方が非常に多いと。この状況は、意味するところは、勿論、BPSDの問題であるとか、あるいは私的な支援不足云々ということがあるんだろうと思いますけれども、これまでの認知症の検討チームの中で、できるだけそういう人たちを地域の中で支えるためには、どういうような支援が必要かという観点で、結構、精神科病院からそれを押し出す力が必要だという指摘も受けてきたと思っています。
 そういう状況の中で、先生のお考えとして、どの辺りに今後力を入れていけば、こういう在院の方たちがより地域へ移行していく可能性が出てくるのかというところは、いかがでございましょうか。

○朝田構成員 大変本質的な御質問をいただきまして、何とも答えるのに窮するわけでございますけれども、1つには、今、先生がおっしゃったように、ロジスティック会議をかけてみようと思っているんですが、精神科病院の場合に、どういう患者さんに特に力を入れなければいけないか。どういう要因があると、力を入れてしまわざるを得ないのかということなんですが、一つひとつの変数で見ていくと、やはりBPSDだけが残っているんです。まだ、ロジスティックをやっていないので、他のものが交絡因子となって出てくる可能性はあるんですが、いずれにしても、やはり言われ尽くしているんだけれども、BPSDというのは第一だと1つは思っております。
 もう一つは、私自身が経験することでもそうなんですが、大学で専門家と言っているくせに何をやっているんだと、よく言われるんだけれども、BPSDというのは、どうにも治らない人が、ある割合おられるんです。そういう意味で、本当に難攻不落みたいな人がいらして、何も好き好んでためているわけではなくて、どこまで治療して、ありとあらゆることをやってもだめなものはだめという人がおられて、だんだん時間経過とともにたまっていくというか、沈殿していくというのも事実でございます。
 そういう中で、その人たちが、一番中核になるわけだろうから、何ができるだろうかということを本当に思います。
 もう一つは、やはり自施設287といっても、老健122、自宅80何とかかんとかとおられるわけだけれども、実際、自由回答なんかを見ますと、PSWの方がかなり頑張っておられるようだと。やはり、こういうのは、システマティックなつながりというよりは、やはり私的な、同級生であったとか、いついつ世話になったとか、そういう私的なつながりでもって、信頼感の中で彼が言うんだから大丈夫みたいな受け入れ方がございます。
 そういうので、やはりお医者さんが云々というより、また、PSWさんの力は非常に大きいなということは、常々いろんな局面で思っております。
 先生の問に対する答えになっていませんが、こんなところです。

○福田精神・障害保健課長 どうぞ。

○河崎構成員 先生、ありがとうございます。やはりこの精神病床の中に入院をなされて、BPSDに対していろんな薬物治療は勿論のことですけれども、環境調整等をしても、なかなかそういうBPSDが治まらないというケースが、やはり結構あるんだというようなことを、今日の先生のデータの中からでもお示しいただけたということで、これを今後どういうふうに考えていくのかというところが、この検討チームの中でも重要課題であるというふうに浮き彫りにしていただけたと思っております。
 ありがとうございます。

○福田精神・障害保健課長 その他、西田構成員からお願いします。

○西田構成員 どうもありがとうございました。先生の今のお話の中で、PSWの方の頑張りといいますか、尽力というのが、非常に退院の支援において重要だというお話でしたけれども、チーム医療といいますか、チームで入院治療、退院支援を取り組むということは非常に重要な要因だと思うんですけれども、もし、そういったデータがあればお教えいただきたいんですが、このBPSDの患者さんが長期入院化する上で、交絡要因として、入院前の外来医療の内容とか質とか支え、そういったものが退院をBPSDの予後を規定するような、そういう可能性というのはないのかどうか。私の印象だと、そういった在宅における外来のチーム医療というものがBPSDの増枠を防ぐ上で非常に重要で、そこが在院日数にも関係するんではないかと推測するわけですけれども、そういった解析というのは、行われているのかどうか、教えていただければと思います。

○朝田構成員 勿論、先生おっしゃるように、理論的には、そうしたところまで踏み込んでいかなければいけないわけですけれども、何せこれだけでも非常にヘビーな回答率の低い調査でございます。
 ただ、思っていることなんですが、今、市あるいは県の医師会等の中では、先駆的なところがあって、そうした地域で認知症を支えるということで、医師会長さんが率先して、むしろ非精神科系が主ですけれども、やっておられるところは、恐らく両手にあまると思います。
 それで、成功例等いろいろ語られるわけですし、実際、私もこの研究班の一環として前年度の予備調査で全部調べたことがあるんですが、自分自身も最近そうしたものに筑波で関わってみて思うのは、やはり精神科の統合失調症のイメージとは大分違うんです。
 簡単に言うと、一番はキーパーソンがいないんです。ケアギバーとなるキーパーソンがいない。そのキーパーソン以外でも介護力が低い。もう一つは、こう言っては悪いんですが、お金がない。90%の困った問題というのは、大抵これに尽きるんです。
その上に、例えば嫉妬妄想とか、隣に暴力をかけるとか、そういうのが加わると、これはもうお手上げで、普通のケアマネさんは参りましたという感じでやってこられます。
 では、それを多職種でみんなで話し合おうと言っても、私自身も多職種で話し合うのは大嫌いなんですけれども、なぜかというと、何百人患者さんがおられるのに、どかどかと来られて、さあ今からやろうと言われても、そんなの困ります。非常に迷惑です。
 やはり地域である程度、こういう典型的な問題については、こういう手段があるよというふうな、今、言ったようなものについては、ある程度ガイドラインがあって、その上で、本当に多職種でやろうかと、そのためには、やはり気の利いたケアマネみたいな人がいて、問題点は何だと、今までこれだけやったけれどもだめだったと、あと残っているのはこれだみたいにもって見えたら、1時間がんがんにやればいいものが出るかもしれませんが、そのようなものがなかったら、なかなかこれは言うは易くというところがあると思います。

○福田精神・障害保健課長 よろしいですか。どうぞ。

○広田構成員 介護の仕事をしていたりした人が、専門学校で学生として勉強しているんです。そこで話が出たんですけれど、病院で認知症の患者さんが治療を受けていると、退院しまして、在宅になってクリニックに変わると、とてもお薬を変えられたりして、場合によっては増えるというお話を伺ったんです。
 これは、私は、危機介入の相談員ですが、一般の精神科の医療でも病院から退院してクリニックを変えると、かなり薬が増えたり、変わっていったりして、そのことによって患者が非常に体調を崩す相談をいっぱい受けているんですけれども、そういうことは、この調査の中で把握されましたでしょうか。

○朝田構成員 申し訳ございません。処方内容については、特にそういう移ったときにどうなるかまでは見ておりません。

○広田構成員 見ておりませんでは、内容がどうなるかではなくて、退院するときに、私の場合ですと、さっきお食事をしていたんですけれど、お食事よりも、現金よりも、むしろ精神医療の被害者として一生薬を飲まなければならなくなって、そのお薬の量を減らすのに1年で2ミリとかをやっているんです。物すごいちょこっとしたことで、眠れなくなったらアウトという、精神科は風邪と違ってデリケートではないですか。そういうところはやらなかったんでしょうか。退院していくとき、一番大事だと思うんです。

○朝田構成員 ちょっとそこら辺も、統合失調症の医療とまた違うところがあって。

○広田構成員 いや、認知症の患者さんで問題が起きているんですよ。

○朝田構成員 ですから、メジャートランキライザーはあまり使わないんですよ。使うと、何かあったら困るからといって、非常に精神科の医者は逃げ腰なんですよ。ですから、むしろ血圧の薬とか、高脂血症の薬とか、糖尿病の薬とか、そういうものをわからないなりに一生懸命使っていて、どうしたらいいんだということには気を使いますが、その辺のメジャートランキライザーどうこうというのは、あまりないとは思うんです。

○広田構成員 というと、その医療機関の中で、精神科病院に入院している人も何とかトランキライザーを使わないということですか。ここに他の先生もいらっしゃるから、是非これは聞いてくれと学生からの要望です。すごく大問題だそうですから、つまり、退院して医療機関を変わったら、薬を変えられたり、増えていると、これで認知症の患者さんは状態を悪くしている。これは他の精神疾患と同じだということで、昨日宿題を与えられたんです。他の先生もあったらよろしくお願いします。

○福田精神・障害保健課長 今の御指摘の点は、今、追加調査をやっておりまして、それがいずれの機会にまた出るということなので、その点については、このくらいの議論で、またデータの出たところで御議論いただければと思います。
 その他。

○広田構成員 ちょっと待って、でも、精神科の何とかライザーを使わなくても、要するに、今のお話は、そういうふうな他のお薬で何とかなっているということですね。

○朝田構成員 アメリカのFDAから認知症の人に、そういう向精神薬を使って、原因不明の死亡率が高まっているから、そういう警告が出ているんです。ですので、何かあったら困るからというので、精神科のお医者さん、認知症を診ている人は、非常に神経質です。

○広田構成員 ということは、日本の厚生労働省は、それを把握していますか。アメリカは警告が出ているということ。

○朝田構成員 我が国では、まだ、我が国独自のものとしては出されていませんが、趣旨として同じような話は出ております。

○福田精神・障害保健課長 その他、では、東構成員お願いします。

○東構成員 済みません、先ほど1点聞き忘れたんですが、精神病院から自宅なり老健なりに退院できない、一生懸命力を入れたけれども、退院できない方の大きな要因はBPSDだと朝田先生に教えていただいたんですが、BPSDのうちでも、例えばどういうようなBPSDであった場合に、これはなかなか退院できなかったんだとか、このBPSDでやった場合は、比較的退院できたんだというようなBPSDによってのデータというのは、おありになりますでしょうか。

○朝田構成員 これは、16番のスライドがそれに関係するわけですけれども、あくまでそこまで詳しい分析はしておりませんが、簡単に申しますと、暴行、13%に対して他は5、6、あるいは徘徊、他が8とか15に対して32、それから脱走、帰途というのがございますね。これも他が低いので目立つので1.3と、要するに実際にスタッフにとって大変なのは、この辺りがもっともだと言われますので、そういうところかなとは思っていますが、解析はしておりません。

○東構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 では、長野構成員、お願いします。

○長野構成員 興味深いデータをありがとうございます。1点、教えてください。12番の連携精神病院の有無というところのデータなんですが、これは連携に関しては、これからもう少し突っ込んだ、奥に元データは何かあって、今後解析される御予定はあるんでしょうか。もうこれぐらいで止まる感じですか。

○朝田構成員 実は、このデータをつくる前に、長崎県の千住病院というところがございまして、そこの先生が非常に丁寧にこの予備調査をやっていただいたんです。
 これに関して、この調査票そのものには、単にあるかないかというので知らないと、精神科病院とは付き合いがないというさらっとした書き方が多いんですけれども、その佐世保の医師会の中でいろいろお話を聞いたところでは、精神科病院は、いつ行っても満床だと言われて、空いていた試しがないと、そういうことで懲りてしまって、以来、電話するのもやめたとか、なかなか我々にとっては耳の痛い、確かに精神科の医者であれば、お互いに、多分言っているんだろうなというのはわかるんですが、確かによそから見たときには、ちょっとあなた方特殊ですねと言われるようなところがあるのも事実です。特に深堀りはしておりません。

○長野構成員 とても大事な点だと思っていて、私たちもとても意識をして、医師会へ出てっても、一般科の先生で、やはり2年、1年で代わっていかれる中で、できていたはずの連携が途切れたりとか、1、2回うまくいかないと、その後、紹介が全くないとか、今、逆に地域でつくっている連携というのは、私たちは看護でつくっていっているので、そうすると、途切れなくていいなとは思っているんですけれども、医者同士の連携だと切れてしまうだろうと思うんです。
 そこが、ある程度明るみに出てくると、いきなり自宅から精神科ということが多いんですけれども、事前にある程度関わることができれば、勿論、全部とは言いませんが、いろいろ出てくることがあるだろうなと思っていて、単科であって、他の科の先生たちと別の場所で医療をしているというところでの問題は、この認知症だけではなくて、これはいろんなところで出てきていると思っていて、ここが掘り下げたものがあると、また、どこかで教えていただけるとありがたいと思っています。
 以上です。

○朝田構成員 今のお話については、おっしゃるとおりでして、私は、恐らくそれを埋めているのが、PSWのネットワークというか、お仲間だと思うんです。そういう切り口から改めて、そういうものを調べてみるのは、大いに価値があるのではないでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見、御質問はございますでしょうか。
 松浦構成員、お願いします。

○松浦構成員 興味深いデータをありがとうございます。スライド11番の紹介元施設から受け入れ拒否のデータでございますが、これは何が原因なのかという要因は、推測はできますか。自由記述とかに何かございましたでしょうか。

○朝田構成員 一般病床はわかりやすいんです。例えば肺炎の人とか、そういうのだったらいいんですが、がんの手術をしましたと、あるいは心筋梗塞を2回やっていますと、そういう人は、一応病院では治ったと、帰ってちょうだいといっても、それはうちのスタッフでは診切れませんと、3回目の発作あるいはがんの術後管理というのは無理ですと、これは比較的わかるんです。これが1つです。
 それから、これは想像なんですが、精神科病院については、BPSDがかなりよくなったからこれぐらいきたらいいじゃないのと、100あるうちの50までといっても、うちのキャパは30だから、50の人はまだ無理ですという、この2つはあるなという印象が自由記載等を読んでいてあったんですが、他に関しては、やはり医療とBPSDというところかなと思います。ちょっと個別のケースも勿論あろうかと思いますが、まだ、わかりません。

○福田精神・障害保健課長 その他、御意見、御質問はございますでしょうか。
 では、ないようでしたら、また議論の中で追加的に御質問していただいても結構かと思いますので、どうも朝田先生、ありがとうございました。
 それでは、ここからは、朝田構成員からのヒアリングと、それに対する御意見、御質問の内容も踏まえまして、前回に引き続き御議論をいただきたいと思います。
 その前に、事務局から追加の資料がございますので、まず、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。

○中谷課長補佐 事務局でございます。資料2、表題に「地域連携クリティカルパスとは」と書いてある資料をご覧ください。
 前回の論点(案)の中で、最後のページのところに地域連携クリティカルパスの導入というところがございました。こちらについては、どのようなイメージのものかというところを少し詳しく御説明した方がいいと思いましたので、本日、この資料2を提出させていただきました。
 まず、1ページ目ですが、クリティカルパスというのは、そもそも何かと言いますと、良質な医療を効率的かつ安全、適正に提供するための手段として開発された診療工程表、診療の流れというスケジュール表ということですが、もともとは工業界で導入されていて、ある作業工程が節目、節目忘れなく進むようにということだったそうなんですが、1990年代に日本の医療機関においても導入をされて、平成18年には診療報酬の適用にもなったというものであります。
 この目的は、診療の標準化あるいは根拠に基づく医療の実施、インフォームド・コンセントの充実、業務改善、チーム医療の向上などの効果が期待されているというものです。
 2つ目の段落の「地域連携クリティカルパスとは」というところですが、クリティカルパスというのが、そういう工程表とすると、地域連携と付くと何が違うかというと、まず、1つ目が急性期病院から回復期病院を経て、早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるものということで、これは診療報酬の議論のときに使われている資料からの抜粋ですので、主に医療機関から医療機関ということをイメージしているものですが、そういう複数の医療機関なりで、同じパスを共有というところが地域連携クリティカルパスというもののポイントになります。
 これは、2つ目のポツですが、診療に当たる複数の医療機関が役割分担を含めて、あらかじめ診療内容を患者に提示、説明するということで、あらかじめ患者さんにこうなるんですよという目標を示して、患者さんが安心して医療を受けることができるようにする。
 3つ目のポツですが、その内容としては、施設ごとの治療経過に従って、診療ガイドラインなどに基づき、診療内容や到達目標を計画としてあらかじめ明示をする。
 4つ目のポツですが、回復期病院では、患者がどのような状態で転院してくるかをあらかじめ把握できるので、例えば重複した検査をそれぞれ急性期と回復期で同じ検査をしないということですとか、転院早々から効果的なリハビリができるといったようなこと。
 5つ目で、これにより、医療連携体制に基づく、地域完結型医療を具体的に実現するといったような、こういう地域連携クリティカルパスというものの概念を認知症の連携にも取り入れてはどうかというのが、論点(案)にお示しした内容ということになります。
 1ページ目の下の部分ですが、例えばパスの工程表のイメージ図ですが、例えば精神障害者を対象とする連携パスはどんなものかというと、左側にそれぞれチェックする項目がありまして、左から右に向かって時間経過ということになります。
 例えば一番左側に、病院に入院をして、それから退院決定から退院するまでといったような診療から、次の退院計画というのが、少し色が濃いところが病院の部分で、その間、人によりますが、中間施設が入ったり、入っていなかったりしまして、あと、一番右側の地域という部分は、退院後の状況というものが入るということで、病院から地域までが、1つの同じスケジュール表に入ってくるのが、連携パスということの特徴と考えられます。
 次のページをご覧ください。
 現在、認知症の入院医療に関するクリティカルパス、これは国立精神神経医療研究センターの伊藤部長がおまとめくだった資料からの抜粋ですが、既に幾つかの病院では、入院医療の間に関してのパスは幾つかございまして、ただ、病院ごとによって左側ですが、その節目、節目の時期が、例えばB病院だと、1週目の次に一月目、その次が二月目だったり、例えばC病院のように、入院前があって、入院時があって、また、1週間ごとに節目、節目のものが入っていたり、今、現状では幾つかの病院で使われていますが、なかなか標準化されていない、といいますか、病院ごとにいろいろなものがあると。
 また、備考というのは、どういうことをチェックしているかということも病院ごとに異なっているというのが、今の状況でございます。
 それで、認知症のクリティカルパスは、どんなものがあるかという例としまして、今日は例の1つ目が病院で使われている退院支援パスと、あと2つ目がもの忘れ診断のパスというものがあります。
 おめくりいただきまして、A3の大きなものですが、これが土浦厚生病院さんに御協力いただいて御提供いただいた、これは退院支援パスということで、入院前のチェックと入院時と退院までのパスになりまして、左から右に時間経過が流れておりまして、それぞれのところで、一番上のところは、例えば治療や処置に関するチェック事項になっていますし、一番下のところはアウトカムということで、そのときどきのスケールですとか、精神症状や問題行動の有無などをチェック、同じ項目でずっと定期的にチェックをしてよくなっているかどうかが、ここを見ればわかると。
 それから、下から3つ目くらいの囲みですが、PSWのチェックする項目というのがございまして、これは例えば真ん中辺りの1週間というところに退院先の確認というのがありますが、このパスでは、入院後1週目くらいからどんどん退院先の申し込みですとか、調整をしていくという項目が既に入っていて、PSWの方がこのような動きをすると。
 更にその上に行きまして、ここは薬剤師の方がどういうチェックをするかという、その時期と内容が入っている。
 更にその上が栄養関係と、その上がOTということでリハビリ、作業療法士、その上が看護、介護ということで、その各職種がそれぞれ、誰が、いつチェックしているか、これを見れば、自分以外のチームが何をチェックしているかがわかるということで、チーム医療の連携にも役立つということでつくられているパスになります。
 土浦厚生病院さんでは、更に退院後にどうなっているかというものをつくって連携パスもつくりたいというお考えがあるそうなんですけれども、なかなか行き先を固定するのも難しかったり、まだ、このパスを始めて3年くらいだそうなんですけれども、このパスの中自体も随時項目を見直したりしているということと、あと、このパスは4週間で退院ということで、かなり合う方もいるし、なかなかこのスケジュールには乗ってこない患者さんも様々いるということで、試行錯誤しながら使われているというものでございます。
 次のページですが、もの忘れ診断のパスということで、これは世田谷区の医師会と、玉川医師会で協力をして、もの忘れ診断の地域連携ということで、その下に絵がありますが、関連する病院と、かかり付け医の方々との診断に関する連携パスということになります。
 次のページをご覧ください。この運用マニュアルという、矢印で上から順番に流れがありますが、このパスについて御家族に説明をして、ネットワーク病院を選んでいただいて、検査のための病院、どこを受診するかということをステップを見て、適宜そのようなことを患者様に相談しながら見える形でやるということです。
 更にもう一枚めくっていただいて、横長の「世田谷区もの忘れ診断 地域連携(患者様用)」という横長の部分ですが、これが先ほど申し上げたパスのイメージに近いと思うんですが、左側に紹介されたときから、だんだん時間経過を追って右側に進んでいくと。それで、診断治療の部分は連携病院でやって、かかりつけのクリニックで、間に入ってきて、それは、いつ、こういうことをしますと、その予約なりをしますということで、診断に関しての連携を行っているという事例であります。
 次の紙が診療情報提供書ということで、その医療機関間での情報のやりとりのフォーマットという形になりまして、情報のやりとりで、項目の漏れがないような形であらかじめそういう様式が定まっていると。
 更に次は、ネットワークに参加している病院と、どういう検査ができるかということの一覧表になっております。
 これも例の1の土浦厚生病院のパスも、これは入院から退院までの退院支援パスというものですし、こちらの世田谷区のものも診断の連携パスということになりまして、今回の論点案でお示しした入院から地域に帰るといった、退院後の行き先までも含めた連携パスというのは探したんですが、なかなか今、使われているものがない状況ということで、論点案でお示ししているのは、そういうパスを開発してはどうかというような内容ということでございます。
 説明は、以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。では、ただいまの事務局からの説明も含めまして、前回に引き続きまして、御議論いただきたいと思います。
 前回御欠席の構成員で、今回、御出席の方もいらっしゃいますので、必ずしもどの部分という部分については、限定をいたしません。
 ただ、一応、前回は論点の1の部分ということで、今回は論点の2の部分について御議論いただくというような大きなくくりにはなっておりますけれども、そういったことにはこだわらずに御議論をいただければと思います。
 それでは、御意見のある方、よろしくお願いいたしたいと思います。
 三上構成員。

○三上構成員 認知症の患者さんが、地域でどのように暮らしていくかということで、世田谷区の連携パス、もの忘れ診断を見せていただきましたが、介護保険制度の中では、認知症疾患医療センターでありますとか、地域包括支援センターの中にPSWがいるとか、あるいは認知症サポート医が支援事業の中に組み込まれております。ここで見ますと、そのようなものがなくて、全く別の形でパスをつくっているというか、地域において、認知症の患者さんがスムーズに様々なところにかかれて、様々なサービスを使えるようにするのに、今まで用意された老健局絡みのツールといいますか、そのようなものがここに入っていないというのは、どういうことなのか、あるいはそのようなものも別にあるのかということを教えてください。

○中谷課長補佐 こちらの世田谷区のパスは、まず、診断ということですので、今、委員がおっしゃったような認知症疾患医療センターといった医療や入院治療にもつながるような部分については、今、東京都ということもあり、入っていないんですけれども、いろいろ我々も探している中で、やっと探し当てたのがこちらでして、全体的に入っていないのかどうかという分析までは、こちらでもまだ把握できていない状況です。

○福田精神・障害保健課長 よろしいでしょうか。探し当てたところがこれであるということで、サポート医の制度でございますとか、様々なものを取り込んだ形に、まだなっていないのか、かけていないのか、そこも含めてちょっとわからないというんですけれども。

○三上構成員 以前、老健局でしたか、大牟田の事例ですとか、いろいろ調べていただいたものを見たことがあるのですが、縦割りなので、なかなかそのような情報が社会・援護局に伝わらないのかもしれませんが、老健局の方が来られているようでしたら、聞かれたらどうでしょう。

○福田精神・障害保健課長 済みません、今日は国会の関係で、老健局は、こちらの方に来ておりませんので、また、その点は伝えた上で、今後の議論で資するものがうまく見つかれば、また提供していきたいと思っております。
 その他、河崎構成員、お願いいたします。

○河崎構成員 このクリティカルパスなんですけれども、確かに土浦厚生病院の認知症のクリティカルパスを見させていただくと、入院中のクリティカルパスというのは、結構、今、民間の精神科病院でもいろんなところが採用していて、例えばうつ病なんかには典型的なパスを使用されている病院さんもたくさん出てきていると思うんです。やはり認知症の方の場合のクリティカルパスを考えていくと、先ほど事務局もおっしゃっておられましたけれども、この後の入院後、どこにどういう形で処遇されていくのかというところが、やはり地域に準備されていないと、これがやはりうまく回っていかないというのは、すごくあるんだろうと思います。
 そういう意味で、今回、地域連携クリティカルパスというのを1つのテーマとして出されているのかなとは思いますけれども、地域連携クリティカルパスにしても、やはりその受け皿がどういうふうに準備されるのかというところと並行して論じたり、あるいはそちらの準備が進んでいかないと、なかなか認知症の方の地域連携クリティカルパスというのは、入院から地域へというところを重要視しなければいけない中では、非常に困難なことが多いんではないかと思います。
 ですので、こういうクリティカルパスという概念を精神疾患、特に認知症の方に導入するというのは、非常にいいことだろうと思いますけれども、それを全般に地域の中でどう支えていくのかというときには、是非地域のいわゆる社会資源をどういうふうに準備していくのかというところが伴っていかないと、これは多分うまくいかないというのが印象です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございますでしょうか。
 野村構成員、お願いします。

○野村構成員 地域で暮らしていくためには、何を整えたらいいかということがありますけれども、例えば地域に小規模多機能の高齢者の支援事業所をたくさん用意して、そして、今までの会議で専門の福祉の分野の方からもいろいろ認知症を悪くさせない支援の仕方という方法をいろいろ教わったりしましたね。それをしっかり地域に根付かせていくような方策を取って、また、啓発をしっかりやって、認知症の介護の仕方ということを認知症が始まったばかりの家族にもちゃんと教えるようにして、地域で支える体制をつくっていかなければならないと思うんです。
 病院に入ってしまうと、そこで死ぬまで終わりということは、何としても避けなければいけないと思いますが、BPSDをどうやって低くするかということを真剣に考えて、まだ、BPSDが低い状態の方もできれば地域で診られるような体制を地域でつくっていかないといけないと思うんですが、そういうのは精神医療だけの改革では、やはりだめで、福祉の分野でも本腰を入れて、施設もつくらなければいけないし、ワーカーも育てなければいけないし、啓発も考えなければいけないと思いますが、家族としては、仕方がないから病院に入れて、一生死ぬまで終わりという見方は何としても避けたいと思うんです。そして、御本人が生きてきた人生の尊厳といいますか、元気で生き生きしていらしたころのことをなるべく今の生活に思い出させるようにしたり、いろんな方法を使って、人間らしい一生を終えてほしいということを基本的な課題として、これから先の制度を設計して、対策を立てていただきたいと願っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございますでしょうか。
 では、渕野構成員からお願いします。

○渕野構成員 この認知症のクリティカルパスの土浦厚生病院の件ですけれども、多分、これは我々も一緒にやっていた4~5年くらい前になるかと思うんですけれども、統合失調症、その他のクリティカルパスを伊藤先生なんかを中心にやったときに、認知症も出てきたんですけれども、あまり思うほど進まなかったというか、取り入れていなかったんです。多分、土浦さんは、バージョン2ですね。かなり改革したんだと思うんですが、なかなか一般に受け入れられなかったというのは、先ほどのBPSD等々ありまして、1か月がいいのか、2か月がいいのか、3か月がいいのか、その辺がうまくいかなったということと、最終的には受け皿の問題もあったんだなと思います。
 このクリティカルパスの内容自体、なかなか職員等々いろいろやるのに難しくて、うまくいかなかったのを思い出しましたので、そのことだけ。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。では、阿式構成員、お願いします。

○阿式構成員 先ほどの認知症のクリティカルパスですけれども、私も5年ほど前からやっているんですけれども、大体このように詳しくではなくて、入院時にそれぞれの職種がチェックをする、あとは1週間ごと、あと3か月、6か月という長い経過の中でやっていたんですけれども、地域にはやはりつながってはいないということですけれども、これをすることによって、節目、節目で、やはりそれぞれの職種が治療計画とか検査とか、そういうものを見直して、将来の展望というか、退院をいつにするかというふうな話になると、その時点で御家族とも退院の話とか調整をしていけるようになるので、ただ、こういうふうなものがないと、なかなか退院の話が出てこないんですけれども、これをすることによって、確実に退院の話が御家族と話し合えるようになっていたなという気はしています。
 前に戻って、論点の1なんですけれども、専門医による早期の診断というところで、やはり今、精神科でももの忘れ外来がいろんなところで実際には行われていますけれども、そのもの忘れ外来に来られる患者さんというのは、大体3種類くらいの目的を持ってこられているのかなと思います。まずは診断をしてほしいということと、やはりどうしても入院させてほしい。
 もう一つは、もし認知症だったら治療してほしいという方がおられまして、そういう認知症の初期の方の場合に、診断がついても、すぐに認知症の重度のデイケアに導入ということも難しいですし、認知症の方は初期には、やはり落ち込んだり、不安になったりするような時期に、外来で作業療法士が関わっているんですけれども、外来OTというのをやって、それぞれまだまだいろんなできることもたくさんある人に、今までやってきたことができるだけ続けていけるように、残っている力を使って、家庭では、こういうふうにすれば、今までやってきたことができるかもしれないというふうに訪問をしながらやっているんですけれども、これは認知症だけの診断では、外来のOTというのはできない現状があるんです。訪問もOTがして、御家族の方に、ここをこうしてあげることによってこの人は今までと同じように生活ができる。本当に、初期から、できなくなることもなるべくできるように、その人が今までしてきた生活をなるべく在宅でも続けていけるような支援というのは、私はすごい初期から大事ではないかと考えているんですけれども、そのような外来で、作業療法士なり、そういうような認知症の初期の方のプログラムをやっていけるような制度というのがないのかなと、今、思っていますので、そういうものをできるようにして、初期からずっと関わっていく、そうすることによって、混乱とかそういうものも少なくなっていくんではないかと思っています。
 そして、長いこと精神疾患の認知症の病棟に勤めていたんですけれども、病棟の中でやはり退院できない人は、先ほど先生が言われたような結果であるということもすごくよくわかります。病棟というのは、本当に患者さんの安全を図りながら心身の健康管理をして、やはり一番は精神症状とか、行動障害をいかに落ち着かせて過ごしてもらうかということに、すごく看護の方は重点を置いていますので、そういう入院のときに、すぐに地域に帰るということがなかなか目指していけないというところはあります。
 病棟でやはり治療が済んで、病棟の中での生活ではないというのは、まだ、初めのころは患者さんも家に帰って、ああしたい、こうしたいということを随分言われるんですけれども、入院が長くなるに従って、そういう言葉も聞かれなくなると、やはりその人の生活というか、生きがいというものがだんだん失われていくのかなと感じていましたので、やはりできれば、退院促進をでるような方法を考えていけたらいいなと思っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。長野構成員、お願いします。

○長野構成員 先ほどの朝田先生のデータにもあったんですけれども、やはり連携があることでカバーできることは十分あるだろうと思います。連携というのはとてももろくて、あやふやなもので、連携に過度な期待はしてはいけないと私自身は思うんですが、ただ、連携の底上げは、今の認知症の精神科医療にとってはとても必要で、このクリティカルパスがどう位置づけられるかというのは、すごく大事な意味合いがあるなと。ただ、完璧なものは絶対につくれないと思っていて、我々はつくるのを断念してしまったんです。地域の中でやっていると、あまりに複雑になり過ぎるので、ベルトコンベアー上には皆さん乗られないので、最終的にはクリティカルパスでないところで勝負は絶対にしなければいけないにしても、連携の底上げという点で、シンプルなクリティカルパスは導入すべきではないかと私自身は思っています。
 ただ、これから開発に入る中で、介護の世界では随分されていると思うんですけれども、クリティカルパスになると急にドクターの作業が一番上にあってというものになってきて、本人不在のクリティカルパスの工程表になってしまうことが多いなと感じていて、介護保険のケアマネジメントにしても、随分工夫はされてきていると思うので、そういう要素を取り入れて、本人が真ん中にないと作業工程表になってしまうおそれがあるので、そこは是非開発段階で介護分野の予算もきちっと取り入れたものにして、連携の底上げが図られれば、ただ、これもツールなので、これだけではどうにもならないし、幾つかの仕掛けが要るのではないかと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他、野村構成員、お願いします。

○野村構成員 今のお話に関連しますけれども、最初の診察と診断のときに、御本人の生活状況に関する、あらゆる人間としての情報が何とか集められないと思うんです。御本人が元気になるためには、一体どうしたらいいのかということを、御本人の周りに暮らしていらっしゃる方々からいろんな意見を聞いていただいて、そこにお医者さんが関わって、御本人を中心とした治療計画を立てることが何とかできないものでしょうか。これは医学的な見方だけではなくて、御本人の生活をベースにして支援計画を医療の面から立てることを要望したいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他、河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 ですから、今のような御指摘に関して言うと、やはり全体的にはケアマネジメント、ケースマネジメントというものを、どういうふうに認知症の方に対して、医療だけではなくて、介護の制度も利用しながら組み立てていくかということに尽きるのかなという印象は受けます。
 ちょっと1点、実は朝田先生の今日の資料の中の8番目を見ていただくと、精神病床への入院者というところで、自宅からの方が一番多いというデータをお示し願ったと思うんですが、朝田先生、この自宅から直接入院をなされた方が、それまでどういう医療を受けておられたか、あるいは地域の中でどういうケアをなされていたかというところまでは、データ的にはおわかりになるのでしょうか。

○朝田構成員 データとして整理しているわけではありませんが、多くは突然降って湧いたわけではなくて、外来に見えていた方でBPSD等の、あるいは御家族等の状況を配慮しての入院が多い印象を持っております。

○河崎構成員 やはり地域の中で、どのようにして認知症の方を支えていくのかという観点からいうと、自宅から直接入院される方が、どういうケアが逆に提供されると入院を防げるのかというところも、1つのポイントでつくり上げていくことが必要ではないかと。
 逆に、退院された方が自宅へ、他の医療機関よりは若干少ないですけれども、結構自宅へ退院されているわけですね。こういう方たちが、その後地域でどういうケアを受けていくのかというところも、もし外のデータでこういうものがあれば、一度事務局の方で少し御検討願って、教えていただければと思います。

○福田精神・障害保健課長 では、東構成員、お願いします。

○東構成員 先ほどから連携の話が出ているんですけれども、私は朝田先生がおっしゃったPSW、ここら辺が今後一番ポイントになるんではないかと思っております。実は老人保健施設でも一番重要なキーパーソンは、管理士でもなく、看護師でもなく、介護士でもなく、やはり支援相談員なんです。いかに支援相談員がソーシャルワーカーがどれだけ地域のケアマネジャー、あるいは急性期病院のMSW、そこら辺との連携がどれだけパイプができているかによって急性期病院から老健にも流れてきますし、地域へも、在宅へも帰れる。やはり今後は精神病院のPSWの方が、どれぐらい地域の老健とか地域のケアマネジャー、民生委員、いろんなところとパイプ、連携が持てるかが精神病院から在宅へ、もしくは老健への流れをつくる一番のポイントだと思います。

○福田精神・障害保健課長 岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員 ただいまの御意見に賛成で、やはり認知症の医療も保健も福祉も全てですが、勿論、医師だけでできるわけではありませんし、他職種の方が関わってチームをしっかり形成して、その中でマネージする人が、ソーシャルワーカーが一番いいと思うんですが、そういう体制がはっきりつくられる必要があるだろうと思います。医療に関しましても、外来と入院が連続性を持ってないと、仮に入院させるとしましても連続性を持っていませんと、やはりどうしても入院が長引いたり、不要な入院ができてしまったりということが生じますので、そういうチームによる医療、ケアというものを徹底することがすごく大事だろうと思います。
 もう一つは、今後、予想される認知症の方の数を考えますと物すごい数なわけでして、これ全体をBPSDがあるから入院、医療というふうにはとても考えられないわけでありまして、この間お話があった上野先生、多分入院では最小の、一番少ない方ではないかと思うんですが、京都府立洛南病院のデータを引きましても、外来医療を中心にして、どうしても必要な場合のみ、あるいは例外的に考えても14%ぐらいだったというお話が伺っております。上野先生の場合は、16人中3人ですから非常に少ないだろうと思いますが、しかし、そういうこともきちんと訪問診療をベースにしてやったらできるということが示されておりますので、そういったものを基本にすることをはっきりさせないと、どうしても必要だと思いますけれども入院医療の位置づけ、あるいはどれぐらい医療資源を配分するかということも明確にできないだろうと思うんです。そこのところをしっかり踏まえることが必要だろうと。
 そういうことでも、やはり入院医療が必要な方はいらっしゃるわけでありまして、そういうときにどういう医療を提供するかということも明確にしないといけないだろうと思うんですが、上野先生からも指摘されましたし、私どもも今、調べているところなんですが、やはり当面の症状に影響されて、隔離とか、拘束とかいたしますと、逆に長引くんです。そこのところをひとつ明確にして、入院医療サービスの内容をしっかり考えるべきだろうと思います。
 今日はおいでになっていませんけれども、野田さんが前回おっしゃっていましたが、認知症の方のいろんな側面の問題がありますけれども、それを含めて地域でいろんな性周期問題全てに対応できるような、これもチームという言葉を使いますけれども、精神保健チームのようなものがあって、そこにアクセスできる地域の、認知症について言いますと介護力の一環かもしれませんが、そういったシステムがしっかりできることが入院治療が必要かどうかという割合にも影響してくる問題でありますので、そういった地域における精神保健の力をしっかり強めないといけないだろうと思います。
 そういった総合的な対策の中で、是非、後半の方の入院医療の問題、第2の論点の方も位置づけていただきたいと考えております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、西田構成員、お願いします。

○西田構成員 この第2ラウンドの論点というところで、今の岡崎構成員の話ともつながりますけれども、論点1の認知症患者に対する精神科医療の役割の明確化のところで、地域での生活を支えるための精神科医療というところですが、1専門医による早期の診断というところで、その次に認知症の経過や状態像に応じた診療と生活のアドバイス、3家族や介護者への相談支援や訪問支援、4施設等に入所する認知症患者への訪問支援ということが出てきておりますけれども、今、入院してからの地域連携、ソーシャルワーカーの方の役割が非常に重要だというお話がありましたけれども、入院する前の在宅、外来医療におけるケースマネジメントが非常に重要ではないかと。先ほど、河崎構成員からもそのような指摘がありましたけれども、私の方もこれまでの上野先生のお話等を伺う中で、そのように感じました。
 診断をして、その後、通っていただく外来診療も勿論それで役割を持つわけですけれども、上野先生のお話で、訪問診療やアウトリーチのアプローチをしていくことで、1年間で190人の患者さんを診ている中で、3例しか入院が発生しなかったということをお伺いしました。そういうことを伺いますと、やはり入院につながるようなBPSDの増悪を地域で防ぐ、こういう在宅外来医療を強化することが非常に重要で、それは上野先生は御自身で24時間、携帯電話をお教えになってされていましたけれども、それは非常に難しい面もあるかもしれませんので、そういうものをチームで、きちんとシステムとしてやっていく体制を取る。こういうものがあれば、仮に入院したとしても退院する際に強い外来在宅治療チームがあれば、また退院の促進率が違ってくると思います。
 そういう意味で、既存のものを使ったクリティカルパスというものを整備していくことがひとつ重要ですけれども、やはり今ない、欠けている資源を新たに構築していくことも意識して、これからの新たな制度設計を進めていくべきではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 長野構成員、お願いします。

○長野構成員 ちょっと前の話題で、PSWの連携の話が出てきたと思うんですが、連携のかなめとしてのPSWは、機能すれば本当に大切だし、大事なことだと思うんですけれども、論点に入れるべきかどうかはありますが、うちの地域にも勿論PSWが配属されている既設配置もあるんですけれども、実際に認知症の方のマネジメントにおいて、PSWの方がどれぐらい機能しているかということを全国的に見ると、非常に厳しい状況にあるのではないか。頑張っている人は頑張ってらっしゃるのもわかるし、私たちも認知症デイサービスには積極的にPSWを配置してやっていますけれども、その連携のかなめを、またPSWというふうに持っていくのは、この前も言わせていただいたんですけれども、10年後に人が育ってからではもう遅くて、今すぐ実効あるものをやらなければいけない中では、PSWが1つの選択肢ではあるんですけれども、PSWに頼り切るような政策は打たれるべきではないというふうに、ちょっと厳しいですが思います。
 やはり今、本当に地域のケアマネジメントで、ようやくきちんと動き出したのは介護保険のケアマネジメントだと思うので、そこと精神科医療がどう連携するかということを真ん中に置かないと、実際はシステムとして動いていかない。
 その中で、10年後にPSWがどうあるかということも含めて、教育のところから見直すことは勿論必要だと思いますが、今の段階では現場からいくとPSWの真ん中に置くのは、ちょっと危ないという気がしています。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 広田構成員、お願いします。

○広田構成員 全く同感です。さっき東構成員が、地域でPSWと言ったとき、何でPSWなんでしょうと思って、私の母自身が高齢者になって、前にもお話ししましたけれど、いわゆる介護保険のケアマネジャーさんの方が、はるかに母が健康度でいられたし、私も健康度でいられた。どうしても精神障害者の周辺にいる医者を含めた専門家は、遅れている教科書の中で、疾病とかそんなことばかり先入観があって、とても私たちが居心地が悪い感じがしました。だから、それと長野構成員の話が全く同感だということです。
 その他の第2ラウンドの話もしていいんですか。

○福田精神・障害保健課長 どうぞ。

○広田構成員 前回、福田課長の方に第2ラウンドの方は第2ラウンドで話すのかと聞いたら、そうですと言われたんですけれど、7ページの2の入院医療を要さない認知症患者の円滑な移行のための受け皿や支援の整備で、ちょっとどこかに出てくるんです。1の居住系施設等サービス支援の整備で、一番最後のところにちょっと、その際、既存の精神病床の活用についても検討すべきではないかということで、これは第1ラウンドの方でもお話ししたんですけれど、とにかく精神医療を国民が使って、私のような被害者を出さないためにも、安心して利用できる精神医療にするために、人権侵害の社会的入院を開放し、病床を削減し、マンパワーを配置し、診療報酬を上げてくださいという私からすると、何か全然違和感があって、突然一文ここに入ってきましたので、前回から、昨日は他に行っていましたが、一昨日まで精神病院の公立の院長、民間の院長、患者、いろんな人に聞いてきましたら、10人ぐらいのうち1人ぐらいは行き場のない人を、いつまでも社会の姥捨て山で預かるんでしょうかという人がいましたけれど、民間病院の院長も公立病院の院長も含めて、医療関係者も含めて、勿論、患者も全員おかしい。医療は医療で治療する場だと。治療する場にそんな終の棲家なことをしてはいけないということで、私はここに入れるのは大反対です。私自身の意見も大反対です。
 なぜこれがここにちょっと入っているのか、逆に伺いたいぐらいです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 東構成員、お願いします。

○東構成員 長野構成員も広田構成員も、少し勘違いされているんではないかと思うんですが、ケアマネと医療関係者だけでうまくいくものでもないですし、これは出口と入口の話でして、私がPSWが大事だと申し上げたのは、これは精神病院のPSWも今もいらっしゃるわけですし、今後も勿論養成はしなければいけないでしょうし、その役割も必要だと申し上げているだけで、PSWだけが中心で全部やっていけるということは、私もとても考えておりません。勿論、地域にはケアマネジャーもいらっしゃるわけですし、いろんな職種もいらっしゃるわけですから、それとは別に精神病院のPSWさんにもうちょっと頑張っていただく必要があるのではないかと言っているだけでございますので、ちょっと誤解があるようでございます。

○長野構成員 それも誤解で、全く同じことを言っているんです。現場で、私もPSWはすごく大事だと思って、小さな地域に8人も9人も配置しているんです。その中で、やはり制度化してまだ日が浅いことであったり、精神科医療から連携の中で大きく問題をいっぱい抱えている中で、期待されるPSWの機能は物すごく大きい中で、実はそこが少し間に合わなくなっている現状がある。今回、認知症の対策をきちんと考えていく中で、PSWが真ん中にある施策になってしまうと、現場が止まってしまう可能性があるので、真ん中で、そればかりで考えるべきではないと申し上げただけで、言わんとしているところは、誤解ではなくて同じような気がしています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 三根構成員、お願いします。

○三根構成員 同じことなんですけれども、医療と介護のコネクションが一番大事だと思うので、そういう意味で東先生はおっしゃったんだと思うんです。ケアマネジャーとPSWががっちり連携を組むのは、非常に重要なことで、朝田先生おっしゃったように、多職種共同の会議で、何十人も外来で待っているところに、今から会議だと来られても本当に困るんです。そういうときに、どういう職種を使うかということは、やはり看護職であったり、PSWであったり、時と場合によって介護の方であったり、いろんな方がそこに介在して、共同でやっていかなければいけない問題だと思います。
 もう一つ、確かにPSWという職業は、そんなに歴史がないんです。教育という問題が非常に重要になってくると思うんですけれども、やはりその教育ということを考えても、いろいろ現場でさせながらやっていくしかないのではないかと。いわゆる机の上での教育ではなくて、現場での教育、そこで勉強していただくしか、いわゆる職人さんはそれで何かを得ていくのではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、河岸構成員、お願いいたします。

○河岸構成員 私もいろんな経験の中では、病院とか施設の連携の中のPSWの存在というのは物すごく大きくて、家族にとっても、PSWの存在によって本当にスムーズにいく場合と、困難を極める場合との差が大きかったです。
 それは置いておいて、論点1の1番の「3家族や介護者への相談支援や訪問支援」ということがあるんですが、訪問診療とか訪問看護ということで、私たち家族も目いっぱいこの辺は利用したんですけれども、ナースとして訪問看護の重要制は重々理解していますが、家族としては訪問看護というのは、情報はとても知りたいんですけれども、訪問看護で指導されたくはないんです。指導されるよりも、本来、認知症を持っている家族を看てほしい。食事をつくってほしい。見守ってほしい。そういう方がとても強いんです。だから、ヘルパーさんの存在というのはとても大事で、利用度はすごく高かったんです。
 その中で8~9年足らずの中で、一度だけケア会議が我が家でありました。ケアマネージャーが率先してマネージメントしてくださったんですけれども、ドクター、看護、ケアマネージャー、ヘルパーさん。それぞれが全部一堂に会して、うちの姑をどのように今後みていったらいいかということを、家族も勿論含めて話し合われた。これがもっとあったら、地域で見守っていくということの強化につながるのではないかなと感じました。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、もう一回、三根構成員、お願いします。

○三根構成員 訪問看護は確かに御家族の方にはわかりにくいかもしれませんけれども、直接的に役に立つというのはヘルパーさんの訪問であったり、いろんなことかもしれませんけれども、間接的には非常に役に立っているのではないかなと思います。
 といいますのは、先ほどの話でもしましたけれども、医師がその患者さんの家を訪問するというのは現実的に物理的にもなかなかできませんで、その場合に、今の状態が譫妄なのか、何なのか。妄想が出た場合にも、物忘れに原因する妄想なのか、何か環境調節すれば済むのかというものを専門の認知症に携わっている看護師が訪問して見て医師に報告するというのは、直接的ではないですし、御家族にとってはわかりにくいかもしれませんけれども、有意義な1つの手段であろうと。これは認知症の在宅では訪問看護の重要な手段だと思います。

○福田精神・障害保健課長 野村構成員、お願いします。

○野村構成員 医療機関で働いていらっしゃる方々にお願いしたいことは、本人中心でチームを組んで地域の連携の下に仕事をするということは当たり前のことで考えていただきたい。これから先、医療というものは病院から出かけていって、御本人のところに訪問していって、御本人の様子を知りながら医療治療をしていくということを当然のことと考えていただきたい。そしてチームを組んで、地域の福祉関係者、当事者や家族も場合によっては支援者の一員に加えて、一緒にチームを組んで治療に当たってほしいと思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他。
 広田構成員、先ほど手を挙げられましたか。

○広田構成員 PSWの話が出てくるんですけれど、PSWは決して精神障害者にとっても万能でも何でもないわけですから、むしろ高齢者の認知症に関わるのだったら、私は現在、高齢者の施設のボランティアに行っていますけれど、学ぶ姿勢を書き込んで入れておいてください。
 私は今、少し体調を崩しているからボランティアも休んでいますが、83歳の人がボランティアで来ていますし、そこにいる、いわゆる利用者様からも83歳のボランティア様からも、私は敬意とかいろんなものを感じますし、先輩として感謝もします。帰ってきて自分自身がリラックスして楽しいんです。
 とてもではないけれど、精神障害者の関係者になるとそういう気持ちにはならないから、むしろ先行している高齢者のところからPSWは学ぶ視点で、間違っても専門性か何か発揮してしまって症状とかに目を奪われて、先ほどのお話ではないけれど、あちらの訪問看護の看護師さんはそういうところを指摘しますと言ったけれど、本当に家族が疲れ果てているところに余計なことを言われると、余計疲れるという場面もたくさんありますから、そういうふうな学ぶ視点を是非。委員会や検討会へ来るといつもハローワークだと感じますけれど、是非学ぶ視点を入れていただきたい。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見はございますでしょうか。
 では、松浦構成員、お願いします。

○松浦構成員 論点2の内容に関してですが、私は「1医療側の介護サービスに対する理解の向上」「2入院せずに地域で暮らせるための医療機関の関わりの強化」「3医療側からの介護施設へのアウトリーチ」「4介護側の対応力の向上」。この4つは非常に重要だと思いますし、私も今、介護現場の看護管理者をしている立場からしても、やはりこの辺のところが取組みの中に入ると、介護側もかなりサービス提供が順調にいくのかなと思います。
 この検討チームの構成員として参加させていただきしみじみ思うんですが、私は15年近く介護の場面に身を置いて、改めて医療の方を今回いろいろな構成員の方から御意見をいただきましたが、かなり思い込みとかそういう中で見ているなということをリフレクションしました。ということは、この1で示されています医療側の介護サービスに対する理解の向上も、反対側からすれば、医療側からすれば、介護の実態がまだ理解できない。連携するに当たっては、互いの役割と機能を理解し、認め合わない限り、次のステップにはいかないだろうと。
 ですから、1~4については、積極的に取り入れられたらいいなというのが感想でございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員 先ほど言い忘れたというか、地域の介護力を支援するということで、昔は宅老所と言っていたんですけれども、小規模多機能の居宅の支援というのは非常に重要だと思いまして、そこの機能を充実させるように行政的にも、医療機関も関わって、そこの機能が生きるようにされると、その地域の介護の中心ができまして、御家族、介護する側、御本人、医療機関、行政といったように、そこが1つの結節点になるのではないかと思っておりまして、出てはおりますが、強調していただきたいと思っております。
 もう一つは、先ほど広田構成員がおっしゃった、論点2の2の1の中に出てくる、既存の精神病床の活用についても検討すべきではないかというのは大きな問題で、私自身もはっきりした考えは持っていないんですが、この第2ラウンドだけで議論していいのかなと思うんです。
 第1ラウンドの方の地域医療を広げていくという課題とも関わってくる問題ですので、これはこういうふうなことを決めるとしたら、はっきりもう少し大きく取り上げて議論をした方がいいのではないかと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他御意見はございますでしょうか。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 今の岡崎構成員の御指摘の2の1の既存の精神科病床の活用についての件ですけれども、前回、事務局から精神科病床に入院中の認知症の方の動向について報告がありました。ここでも、その地域の認知症患者のニーズを的確に把握した上でということで、必要であるのかどうか検討し、それで必要でないという結論であれば活用は要らないわけですが、必要であるということであれば、病床を一旦全て廃止にして新たな認知症の受け皿をつくるというよりは、既存のものを活用するのがいいのではないかとの意味合いだと受けとっています。精神科病床の活用について、そのような考え方をするのか、あるいは広田構成員の言われるように、認知症患者を入院させるには、そのようなところではアメニティー上、非常に問題があるということで、また別の施設を考えるべきなのかということは別に議論していただいたらと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
渕野構成員、よろしくお願いします。

○渕野構成員 朝田先生の報告の中にもありましたけれども、8番目の自宅からが大変多いということが示されていましたけれども、多分、先生は調べていないとおっしゃいましたけれども、私が一番最初に言ったかと思うんですけれども、認知症の診断すらついていないのが6~7割くらいいるだろうと。いわゆる一般科のクリニックのお医者さんには行っていますということを言っている患者さんもかなり多いです。ただ、その人たちが介護保険をうまく利用して、自宅で認知症をサポートしているかというと、そうでもないように思います。
 急にBPSDが激しくなって、慌てて精神科病院に来るというケースは、私が日々やっている中で大変多いように感じるんです。先ほどどなたかも言いましたけれども、どうしても入院させてくれということでぱっと来まして、入院します。そしてBPSDがある程度軽減した時点で帰そうとすると帰せないという問題が先ほど来ずっと出ていますけれども、それをスムーズに出すには、また地域のクリニックの先生に診てもらうという手があるんですけれども、いわゆる精神科病院で退院した後、外来通院でずっとデイケアをやりながら診ていくというケースも何%かいますけれども、往々にして半分ぐらいでしょうか、また地域の中に消えていってしまうんです。
 それをフォローできないとあまり意味がないと思うので、先ほど来PSWという話が出ていましたけれども、地域包括医療センターあるいは我々の認知症疾患医療センター、その辺で退院後の状況が把握できれば、入院のベッド数の問題にも関わるかと思うんですけれども、現在、はっきり言ってたった5万床という私の言い方は悪いかもしれませんけれど、認知症の精神病床で埋まっているのは5万なんです。一般病床が3万ぐらいですか。8万。
 だけれど、日本の認知症の数は300万人とも400万人とも言われているわけですから、当然これがもっと増えた時点で精神科病床の5万床が適当かどうかという問題も出てくるかと思うんですけれども、きちんと役割を分担して、BPSDのどういう状況のときに入院して、何か月ぐらいである程度治まれば地域に帰す。そして、地域に帰るときにPSW、ソーシャルワーカー、みんなが連携して治療していって、また再燃したら入ってもらうというふうな形が構築されればスムーズでいいのかなと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 西田構成員、お願いします。

○西田構成員 渕野構成員の意見、お話と重なるところがあるんですけれども、早期診断をした後、地域でどういうふうに家族が支えられながら過ごしているかというところがすごく大事で、支えられている中で入院が必要になった場合には、仮に入院したとしても、退院した後、また支えてもらう中でもう一回頑張ろうという気になると思うんです。
 ただ、今、診断をなされていないという問題が大きくありまして、啓発の問題も出てきますけれども、診断された後の認知症の外来医療というものが、家族をしっかり支えるということがなかなか早期からされていないというか、まだ不十分である。そういう中で、家族が疲労のピークに達してようやく入院にたどり着く。そうすると、1回入院させたら、もうあんな思いはしたくないということで、なかなか在宅で受けてくださらないという状況が出てきて必然だと思うんです。
 退院後の御家族の支援ということは、診断後の地域でどういうふうに家族が支えられて、何か起きたときには支援を受けて、安心して対応できるという体制があるからこそ、退院後の早期の地域生活の回復ということができるのではないかと思います。ですから、渕野先生の早期の診断、その後の外来、在宅、場合によっては訪問も含めた、手厚い在宅ケアというものがこれからの認知症医療、非常に重要になってくると思います。
 イギリスにおいても、最近は認知症のコストが非常に大きくなってきていて、やはり早く丁寧に在宅で関わって、進行を遅らせる。それでコストを抑えようということが国家的に行われているわけで、そういった意味では、外来、在宅の地域の支援というものをソーシャルワーカーや介護のケースマネージャーさんも含めて、どういうふうに手厚くしていくかというところが入院を考えていくプロセスでも必要ではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 在宅での療養を支えるのに、小規模多機能型居宅介護が非常に有効であるというのはそのとおりですが、現在、介護保険制度の中でもあまり広がっていかないことには理由がございます。
 小規模多機能と言っていますが、小規模だけにやはり機能としては非常に少ないということが1つ問題としてあげられます。また、医療に対するアクセスが非常に悪くなっているというのが問題であり、今、岡崎構成員が言われたように、医療施設とリンクしたような小規模多機能をつくるということ、いわゆる医療版小規模多機能という制度を新たに構築するということが今後の高齢者社会の中では非常に大事ではないかと思います。
 その際には、泊まりと通いと訪問、そういった3つの機能に対応するため、医療機関と訪問看護ステーション等、そのようなものの組み合わせによって、医療版の小規模多機能をつくっていくということが非常に大事ではないかと考えています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 東構成員、お願いします。

○東構成員 今、三上先生のおっしゃったのもよくわかるんですが、私も小規模多機能は医療、看護の部分で少し弱いかなという気がしております。老健と言って申し訳ないんですけれども、私は老健の持つ大規模多機能、医師も配置されており、看護師もおり、しかも認知症、リハビリをやるようなOTもいるというようなところを今後は活用していただきたいし、そういうような老健が増えるような施策を厚労省の方で是非打っていただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他。
 河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 論点2の1の医療側と介護側との認識を共有化するための取組みというところなんですが、先ほど松浦構成員の方からも御意見が出ておりましたけれども、医療を提供する方の立場からすると、勿論、医療側の介護サービスに対する理解の向上ということは必要なんですが、この逆ももっと必要ではないのかなと。つまり、介護の側の方たちは医療サービスに対しても理解をしていただきたいというのがございます。
 今回の認知症のラウンドでもずっと出ておりますけれども、医療が必要な認知症の方というのは当然おられるわけで、その方たちに対して適正なしっかりとした医療を提供するということの必要性を是非介護側の方も十分御理解していただきたいと思います。ですから、この辺の書きぶりが少しお考え願いたいなという正直な印象を持っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、阿式構成員、お願いします。

○阿式構成員 私のところも小規模多機能をやっているんですけれども、本当に今、限られた職員の中で通いと訪問と泊まりをしているんですが、今の人数では夜間の訪問というのができないんです。もう昼間も仕事をする、また夜間も出かけていくということはとても難しくて、小規模ですからたくさんの人はいないので、365日、24時間というふうにはうたってありますけれども、夜間の訪問というのは今はとても難しいなと思っています。
 認知症の患者さんを地域で支えていくために、一人暮らしの人もそうなんですけれども、やはり24時間の見守りというのが大事になってくるかなと思うんですけれども、訪問診療でとても効果を上げておられるということもよく理解しましたが、訪問診療だけではいけなくて、介護保険も今の現実では見守りというのが介護保険ではないんです。ですから、見守りはできるんだけれども、点数が付いていないからみんな行っていないという状況もありますから、そういうふうないろんなものというか、介護も医療も看護も皆そうなんですけれども、そういうものが結集して地域で支えていくために必要なものをつくっていかないと、夫婦二人暮らしでも、なかなか地域で支えていくのは難しいかなと思っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見はございますでしょうか。
 渕野構成員、お願いします。

○渕野構成員 朝田先生にお伺いします。高齢者の身体合併についてのアンケートの項目はどうだったんでしょうか。ここに経管栄養のことは書いていますけれども、他の身体合併について、もし何か情報があれば。

○朝田構成員 そういう切り口でやっていないので持っていないんですが、今の先生の御質問に関係して、思っていたことを申しますと、極論ですが、認知症の80%の方はGPで普通はフォローできるんです。別にアリセプト出して、他に対象のアドバイスをしてという実態があるとしたら、多くの8割の方というのは、GPでフォローできると思う。実際、筑波ではそういうことをもう1年ぐらい前からぼちぼち始めていまして、医師会の組織率が半分ぐらいになってきています。そういう一般的なものに参加してもいいという。
 ところが、困られるのは、BPSDが激しくなって、どうにもならぬから駆け込み寺機能です。これは先生がおっしゃったように、先生のところに見えるような方だと思うんです。御存じのように、精神病院も二極化していて、認知症は一切お断りというところも結構あるわけなので、そういう意味で足して2で割るとこんなものになると思っていました。
 もう一つは、今言った駆け込み寺機能以外に、突然心筋梗塞で倒れた、がんがあるのを発見されたとなると、これは精神科病院ではなくて、例えば大学病院とか附属病院でも認知症であっても診てくれるかというような問題。高度医療を持っていて、かつ、そういう人に対応できる機能というのが要ると思います。
 ですので、言わば世田谷にせよ、土浦厚生病院にしても、とてもいいモデルだと思うんだけれども、要するに大事なことは濃淡です。一律にこんなもので走らされたら、大変で私は勘弁してくれと一番最初に降りたいと思いますけれども、濃淡がどれぐらいのものなのか。また、コースが淡コースから濃コースに変わってまた戻るみたいなことがきれいになってくると、こういうものが非常に生きるのではないかと思います。
 何よりも私は尾道が成功しているというのを聞いているんですが、尾道はこういうものは物すごく短いんです。BPSDと困っていることを中心にレーザーチャートになって、ちゃんと書いてあればすぐ終わるんです。やはり短くて的を射ているというのはこの手のもので重要だと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 野村構成員、お願いします。

○野村構成員 現実には、暮らす場がなくてBPSDが重くなると、仕方がないから精神科病院に入院させるということになってきていますけれども、退院先がないから自施設在院ということでどんどん入院期間が延びるということは、断固として阻止しなければいけないと思うんです。
 そのためには、地域で暮らすためにはどうしたらいいかということの検討を本気で始めないといけないと思うので、これから先の議論はそのような方向に力を入れて、断固として地域の生活を実現させるんだという方向で進んでもらいたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。大体予定された時間が近づいてまいりましたけれども、他に御意見、御質問がございましたら、お願いしたいと思います。
 阿式構成員、お願いします。

○阿式構成員 私は老健の方にすごく期待をしています。私は特養で働いているんですけれども、地域でずっと支えていくために、何か症状とか出たときに、老健ではいろんな職種がおられますので、そこで本当に一時的にケアアセスメントをしていただいて、地域でまた暮らしていけるような機能ができるのが老健ではないかなと思っているんです。
 入院をして、すぐに退院、自宅ではやはり不安という方もおられるでしょうし、そういう役割が老健にはすごく期待したいなと思って、特養ではできないことなので、老健の方でそういう機能をケアアセスメントしていただけると、いろんな方が在宅で暮らせる期間が長くなるのかなとも思っています。

○福田精神・障害保健課長 三上構成員、どうぞ。

○三上構成員 今、老健の話が出ましたが、基本的には在宅を支えるには緊急に入所できる介護保険施設があれば、安心して在宅で療養することができると考えられます。あるいは病院には入院できるということですが、介護保険制度では、ショートステイが全て予定ショートという形になっているために非常に使い勝手が悪く、それを何とかしたいと思っております。
 それができれば、今、阿式構成員がおっしゃったように、何かあればすぐ老健にあずかっていただいて、2~3日で帰る等、そういうことができるわけですから。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 東構成員、お願いします。

○東構成員 今、お二人がおっしゃったことは本当に大事なことで、この間からの議論もそうなんですが、やはり認知症に限らず在宅支援をどのようにきちんと地域で確保するかというのが非常に大事なので、実は老健は全国に3,300もあるのに、どうして第二特養化しているのかということになるわけです。
 ですから、もう少し老健をうまく在宅支援の中核として、今、三上先生がおっしゃったように、いつでも入所できる、いつでもショートができるような老健に持っていく、本当は本来そうなるべき老健だったのに、私は行政の怠慢でこういうふうになってしまったんだと思います。
 だから、在宅支援という役割はお金の話だけではないですけれども、報酬上持たれていないんです。それなのに、それを求めるというのはなかなか難しいところもあるので、是非そういうインセンティブというか、老健がそういう役割を果たすように仕組んでいってほしいと是非お願いしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他御意見はございますでしょうか。
 それでは、ないようでしたら、次は事務局の方から次回のテーマ及び日程等について御説明をお願いします。

○本後課長補佐 次回の日程でございますけれども、再来週、11月4日木曜日の18時から、場所は本日と同じくこちらの省議室でございます。
 次回ですけれども、この検討チームの第2ラウンドの議論、最初の第1回、第2回の辺りで御議論いただきました、精神病床における認知症入院患者に対する追加調査を9~10月にかけて行いまして、回答が集まってきております。
 その集計結果の速報という形になりますけれども、それを御報告した上で更に御議論をいただきたいと思っております。

○福田精神・障害保健課長 本日も大変お忙しい中、長時間にわたり、どうもありがとうございました。
 以上をもって検討チームを閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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