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2010年9月29日 第28回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成22年9月29日(水)15:00~


○場所

厚生労働省 専用第14会議室


○出席者

公益代表

征矢座長、柴田委員

労働者代表

上山委員、野村委員、古市委員、山下委員

使用者代表

加藤委員、才賀委員、福田委員、室川委員

参考人

社団法人日本建設業団体連合会 木村常務理事
社団法人建設産業専門団体連合会 道用常務理事

事務局

山田職業安定局次長、堀井建設・港湾対策室長、高松建設・港湾対策室長補佐、山建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)建設労働の抱える課題と解決に向けた提言について
(2)その他

○議事

○征矢座長 それでは第28回建設労働専門委員会を開催させていただきます。本日の委員の出欠状況ですが、白木委員が欠席で、あとは全員出席です。それでは、議事に入ります。本日の最初の議題は「建設労働の抱える課題と解決に向けた提言」についてお二方にご説明をいただくことにしています。
 お一人目は社団法人日本建設業団体連合会(以下「日建連」という。)木村常務理事、お二人目は社団法人建設産業専門団体連合会(以下「建専連」という。)道用常務です。それでは、初めに木村常務理事よろしくお願いします。
○日建連木村常務 日建連の常務理事をしております木村でございます。今日はこういう機会を設けていただきまして、本当にありがとうございました。私どもの団体からは福田が委員として参加させていただいておりますが、人材確保は私が担当ということで、説明をさせていただきます、よろしくお願いします。
 資料1を準備させていただいています。日建連としての「建設技能者の人材確保・育成に係る活動について」のご説明です。日建連は日本の大手総合建設業者48社で構成され、建設業の抱えるさまざまな課題に取り組んでいます。その課題の大きなものの1つが建設技能者の人材確保・育成です。昨年の4月、それに関係する提言を出しました。その概要と、その提言の実現に向けた活動の経緯と現状、教育・広報についての取組みということでご説明させていただきたいと思います。
 別紙1です。先ほどお話しました提言の概要です。これにつきましては、平成19年から日建連の中に「労働・生産システム委員会」というのがありますが、そこで検討を開始しました。2年間の検討を経て昨年、平成21年の4月に提言として発表させていただきました。日建連としましても、元請として従来よりこうした問題の認識はあったわけです。ただ、建設技能者を直接雇用するのは下請の企業であるということ、あるいは、問題が非常に広汎過ぎてどういう形で取り上げるかというのはなかなか難しかったということ、さらに、問題解決のためには元請としてもそれなりに痛みを伴うということで、取組みが遅れてきたことは事実だと思っております。
 ただ一方で、建設技能者の高齢化とか、あるいは若手を含めて入職者が不足してきている、あるいは定着率が低下しているということで、本当に危機的な状況になってきています。こうしたことで有能な技能者が不足するような状態になれば、建設業の衰退につながっていってしまうのではないかという危機感を持っています。
 ただ、この取組みも一朝一夕にはなかなか実現しないということです。後ほどご説明があるかもしれません。建専連の調査によれば、熟練した技能を持つということは、長ければ10年、短くても5年かかると、平均でも8年ぐらいはかかるということです。すぐ熟練した技能者が生まれるわけではないということがあります。そういう意味では、今すぐ改善策を講じないと将来に禍根を残すということで、建設業界を我々は魅力ある産業として引き継ぎ、発展しようということを目指しているわけです。それについては非常に大きな問題であり、この検討が進んできたというのが背景です。それに当たっては、当然、日建連だけではできませんので、建専連、あるいは建設業退職金共済(以下「建退共」という。)本部と、その他各団体とも協議を行いながら提言を取りまとめました。
 提言項目は賃金以下、6項目にまとめております。それに合わせて「実現への工程」ということで、概ね5年程度を目途にこの実現を目指そうというものです。併せて、基幹技能者のデータベース化等を含めて、今後の検討を進めていこうということです。その活動については先ほどの「労働・生産システム委員会」の中に人材確保・育成専門部会というのを設けまして検討を進めています。さらに、その部会の中に「賃金」と「建退共」、「重層化」、「労働時間・労働環境」の4つの課題について、それぞれ専門のワーキンググループを設置して検討を進めてきたところです。それから、「教育」、「広報」については日建連の事務局で対応します。いずれにしろ、日建連だけでは進むことが難しいわけで、建専連と定期協議会を設置する、あるいは他のいろいろな機関との情報交換・意見交換をしながら進めている、というのが現在の状況です。
 2頁目、提言の具体的な内容です。1番目は、賃金です。ここにありますように、やはり建設技能者の賃金は製造業と比べて著しく低いということがあり、若手の技能者の定着率が低い原因になっているのではないかということです。賃金向上を図るというのが、大きなポイントだろうと思っております。それについては、すぐにというのは難しいので、まず若手の技能者の身近な上司で、現場において、一定の責任が与えられる職長を対象に賃金の向上を目指そうということです。職長の中でも、基幹技能者の資格を有する者を対象にして、各企業が優秀な者を選定して、その選定した者に対して手当を払うということです。目標の年収が書いてあります、平均的な職長の年収は、550万円で、手当を上積みして何とか600万円です。この600万円という数字が独り歩きして心配しましたが、あくまでもこれは平均的な数字で、当然、600万円を超えて既に収入のある方もいらっしゃるわけです。そういう方にも手当を出し、全体として底上げをねらっていこうということです。
 3頁目ですが、建退共制度です。制度の概要については、省略させていただきます。制度の拡充を見た場合、2番目ですが、公共工事については、国あるいは都道府県において、既に積算に算入され、費用的にも明確に位置付けられているということがあるわけです。ただ、民間工事については、多くの場合、その積算がなされていません。これについては、改善が必要で、特に民間工事に当たって、こうした建退共の制度の拡充を謳おうということです。さらに、運用改善についても、未加入の事業主の加入促進、あるいは、事務が非常に煩雑ということもあり、そうしたものを解消すること我々の要望です。
 4頁目、重層化の話です。これも非常に難しい問題で、掛け声を掛ければ、そのまま実現するということではありません。原則として3次以内、5年後をめどに2次以内を目指そうということです。これは、ここに書いてありますように、建設現場の施工体制、あるいは建設生産のあり方と深く関わる問題ですので、先ほど言った建専連との協議会を設置して検討を進めていきます。
 教育についても、技能資格を有した者への入職促進ということで、そういう資格を取得した人で、さらに建専連の傘下企業に入職した人には、費用の一部を補助します。それから、その下にありますように、工業高校教師への技能訓練、専門工事経営者等への教育実施のための支援もやっていこうということです。
 5頁目です。作業所の労働時間あるいは労働環境についてです。作業所は日曜日は全部閉所しようと、あるいは、土曜日でも50%の閉所を目標に頑張ろうということです。さらに、快適職場認定の100%取得を目指そうということで、さらに、その認定だけではなく、労働環境のさらなる改善を図ります。こうしたものが提言の主な内容です。
 その後の活動が次の別紙2(A3)です。字が小さくて恐縮ですが、ここでは一番左側に、先ほど言いました提言の内容と、その実施方針を取りまとめたものを昨年の5月に整理しております。真ん中の所が、その提言を受けて、実現に向けた取組みです。これは、今年の4月に提言を受けていろいろ検討する中で、実現に向けた取組みをしましょうということで、各会員企業に周知した内容です。それから、一番右です。そうした実現に向けた取組みについて、各社がどの程度取組みが動いているかという実態調査を7月から8月にかけて行いました。その活動状況と今後の推進についての内容を整理し、この右側に書いております。では、一つひとつ説明させていただきます。
 賃金については、先ほど言いましたように、全体としての改善を図るということと併せて、基幹技能者の職長の中から特に優秀と認めた者を優良技能者と認定し、目標、年収が600万円以上になるように努めるということで、この提言の内容として基本的な方向が示されているわけです。
 それについて検討する中で、実は、こう言っては語弊がありますが、基幹技能者等を含めて、認知度が低かったという実態があるわけです。そういう意味では、この提言の内容も含めて実現するに当たっては、もう少し認識を高めることが必要だろうというのがあります。
 一方で2、3社でしたが、これに近い制度で既に、各会社の独自の取組みで優良技能者に相当する人、特に職長ですが、に対して手当を出しているという実態もわかってまいりました。そういうことで、実現に向けた取組みとしましては、まずは優良技能者の認定に向けた検討を進め、どういう課題があるか、あるいはどうやったら支給できるか、その方法についての検討を各社でお願いするということです。それから、先ほど申しましたように、既に同様の制度が動いている所がありますので、そういう所については実現、実施の可能な所から、自社の実情に応じて手当を支給していただくということで、そうした取組みを明示したものです。
 その右のほうですが、この7月、8月の実態調査を行いました。日建連は48社ありますが、このアンケートの実態調査に41社が参加いただいています。そのうちの14社が、平成22年度中に何らかの形で優秀な職長に手当を支給しようということで動きがあるということがわかってまいりました。一方で、職長の数の把握から始めなければいけないという企業があるのも事実です。そういう意味では、各会員企業の取組み状況がいろいろありますので、そうした状況に応じて進めていくことが必要であるということが認められました。
 今後の活動としましては、まずは全企業において何らかの職長の認定制度を導入していただく。認定することによって、手当が支給されるということが続いて出てくるわけですので、そうした認定制度の導入を全企業にお願いし、動いていただこうということです。既に職長の認定の制度がある企業は、さらに制度の共通化へと。下請の建設技能者は1つの会社にいるわけではなくて、いくつかの会社に職を求めることがあります。共通化されてくれば、1つの会社でそういう認定がされれば、どこでも通用するのではないかということが思いとしてあるわけです。そういう意味では、既に認定している企業においては、制度の共通化に向けた検討と準備を進めていただく。実は、そういう職長の認定も、普及状況が首都圏地域に限定されていることが多いので、できれば全国レベルでの展開を進めていこうということです。
 2つ目の建退共についてです。費用については、民間の発注者に負担を理解いただけるように進めていきます。実態を予備調査させていただきましたが、官庁工事におきましては、やはり100%ほぼ把握、建退共のシールがあるわけです。一方で民間について見ると、大体10~20%ぐらいということです。そういう意味では民間工事の率が非常に低いということがわかりましたので、この4月に出した実現に向けた取組みにおきましては、特に民間工事の制度普及を目指し、「制度普及のPR活動の強化」、それから、「証紙の積極交付への働きかけ」を目標に取り組もうということです。
 具体的には、ここに書いてありますが、1つ目は、やはり民間工事においても発注者の理解を得ながら積算段階での証紙代の計上に努める。2つ目は、建退共がいろいろ加入促進の活動を進めておりますので、それを共同して民間の工事作業所でのPR活動などを含めて積極的に教育宣伝活動を行う。民間工事作業所においても、建退共制度適用標識シールの掲示に努めようということを、実現に向けた取組みとして掲げました。
 それについて、一番右の状況ですが、民間工事での証紙代の積算算入している取組みについては、既に積算している企業は8社ありました。さらに、今後そういうことに具体的に取り組むというのが2社あったという状況です。それから、標識シールを現場で掲示することについては、既に10社が取組みはなされているということですし、今後、そうした社内ルールの策定も含めて具体的に動こうとしているのが8社あるということがわかってまいりました。そういうことで、民間工事におきましても「証紙代の積算算入」あるいは「標識シールの掲示」について、まず社内の具体的なルールを作って動いていただく、そういう方針を出したところです。
 3つ目、重層化です。これについては先ほど、原則3次以内、5年をめどに2次以内という提言だと述べましたが、12の専門工事団体と意見交換をしました。専門工事団体も重層化についての弊害についての問題意識を持っていただいていたのが確認されました。一方で次数が増える原因が、工期が短い、あるいは急な労務調達などが多いということ、さらに、専門工事業者団体としては、元請の姿勢がある程度そういう方向で動けば、それはそれで対応して動くのではないかということもご指摘をいただいたところです。
 そういう意味で、今年の実現に向けた取組みは、下請と問題意識を共有化するのは当然ですが、やはり元請として率先して次数低減に向けた取組みを行おうということです。具体的には、先ほど言いました重層化の原因の主たるものが、緊急の労務調達ということで、そうならないように適切な工期設定や工程管理に努めるということ、それから、下請の企業が技能者の社員化が進められるように、計画的な発注を行う、あるいは平準化発注や分割発注を行う、こうした発注に努める。それから、技能者の社員化などの重層化構造の解消に取り組む企業へ、優先的な発注に努めるということです。さらに、一番下ですが、元請・下請双方の取組みの強化で、各会社の協力会等においてそうした議論を進めていこうということです。
 一番右ですが、急な労務調達防止のための、適切な工期設定や工程管理については、34社が何らかの取組みをしていることがわかりました。計画発注や分割発注についての取組みですが、29社が取り組んでいます。ただ一方で、そうした下請の社員化を積極的に進めている企業に対して、優先的に発注するかと言うと、それを優先的にやるというルールがある企業が12社に留まっている実態がわかりました。重層化について下請とのディスカッションについては、32社がそうした機会を持っていることがわかりました。そういうことですので、会員企業の取組みを参考にしながら重層化防止に向けたさらなる活動を各社で取り組もうということです。
 一番下の作業所の労働時間と労働環境です。これは、先ほど提言でお話しましたように、日曜日は全部休みましょう、土曜日も50%以上閉所しましょう、それから、100%の快適職場認定を目指す、さらに、一層の労働環境の改善に努めようというのが提言でした。これを受けて、この4月の実現に向けた取組みについては、そうした取組みを促進する観点から日建連としまして、「建設技能者のゆとり創出月間」。これは、10月を取組み月間にして、その一環の中で土日の作業所閉所の、あるいは快適職場の認定取得の取組みを強化しよう、さらに、快適職場については、工期1年以上の作業所はその取得を目指すということで具体的な目標を掲げたところです。
 それについて、一番右ですが、土日の作業閉所状況、これは4月の調査ですが、日曜日、すべて閉所している作業所は85.4%、土曜日、2日以上閉所している作業所は23.4%、土日を含めて月に6日以上閉所している作業所は27.1%という数字でした。それから、快適職場認定の取得状況についても、2,705の作業所のうち、63.5%がその取得が見込まれるということでした。そういうことで、実現に向けた取組みにあるように、この10月をゆとり月間としてさらにキャンペーンを張り、具体的に10月30日を日建連の統一の土曜閉所日としまして、当日は一斉に閉所をする。それだけに限らず、土日の作業所の閉所に取り組むということ。それから、快適職場の先進事例を表彰することによって全体の底上げを図っていこうと、そういう意味での表彰制度を創出して、全体としての快適職場施設の高度化を目指そうという、こうした動きが現状です。
 別紙3ですが、これは教育と広報についての取組みです。平成21年度の活動実績で、先ほども若干紹介させていただきましたが、各種の助成制度を創設して助成を開始しました。1つ目が資格取得の支援です。「建設スキルアップサポート制度」として創設しました。これは、工業高校等の在学中に資格を取得した人に対して、その方が建専連の傘下の企業に就職した時にその費用の半分を助成しようと。上限を1万とさせていただき、昨年11月に創設しました。11月と時期が若干ずれたということもありまして、100人の方に助成金の交付をさせていただきました。
 2つ目の高校教師への実務研修です。これは、大学を卒業してそのまま高校教師になる方が多いので、実務経験があまりないというのが実態のようです。そういう意味では、富士教育訓練センターでこうした実務施工体験研修、施工管理技術講習会がされてますので、そこを受講される方の受講料の一部を補助しようと、平成21年度では29名の方に助成を実施しました。専門工事経営者のセミナーについても、参加者24名に対して、受講料の一部を助成しました。
広報につきましては、平成21年度の取組みとして、私ども日建連のホームページの中に「人材育成コーナー」を設けまして、そこに、提言あるいは現在の取組みなどを含めて積極的にPRを行おうと、さらに、建退共など他の関連サイトのリンクなどを掲載しまして、広がりを図っていこうということです。
 平成22年度の活動は、先ほど言いました各種助成制度が創設されて動きはじめましたので、PRや内容の拡充をし、もって受講者の拡大を図っていこうということです。特にスキルアップ制度については、建専連の会員企業へのPRと併せて、やはり高校にいる段階で資格を取っていただかなければ始まりませんので、工業高校等の校長会を通して積極的にPRして資格の取得に努めていただく、資格を取ることによって問題意識も高まって、建設技能者として建専連の傘下の企業に就職するきっかけにもなるだろうということです。
 また、財団法人建設業振興基金というところに建設産業人材確保・育成推進協議会(以下「人材協」という。)の事務局があります。そこと協働しまして、若者に建設業の社会的な役割や実態をご理解いただこうということで。具体的には、会員企業から講師を高校に派遣するという「出前講座」、それから、現場を見ていただくことが一番のPRになるだろうと、現場見学会を実施します。社団法人 日本土木工業協会は既に100万人の現場見学会をやっていますので、会員企業にはその現場を提供いただくということを考えております。
 別紙4は、私どもの「労働・生産システム委員会」の各委員宛てに、先ほど言いました趣旨から「出前講座の講師派遣」あるいは「現場見学会の現場提供」について、会員会社に9月16日に出した「お願い」の通知です。その流れとしましては、次の頁です。先ほど言いましたように、建設業振興基金にそうした人材協の窓口があるのですが、そこを受付としてやる。例えば上の「出前講座」で見れば、そうした開催を希望する工業高校等があれば、建設業振興基金に申し込んでいただき、それが日建連に紹介され、会員企業に紹介され、講師を選定して派遣するということです。現場見学会におきましても、そうした希望がある高校は振興基金経由で申込みをしていただき、日建連は会員企業に適当な現場があるかどうかを選定、現場を提供する。そうした流れを書いております。
 ちなみに、もう1枚めくっていただきますと、先ほど「出前講座」という話をさせていただきましたが、これは、昨年度試験的にやらせていただいたことをベースに、作った標準プログラムです。これは約50分を想定して作ったプログラムです。個々のご説明はいたしませんが、何を伝えていきたいかについては、映像などを活用しながら、ものづくりの楽しさ、あるいは国民生活を支えるというやりがいについて、しっかりと伝えていくということ、さらに、建設業は様々な人、優秀な技能者等によって成り立っていることを紹介しようということで、そうしたメッセージをしっかりと伝えようということです。例えば人によって成り立っていることについての1つの例としまして、今般開通されます羽田のD滑走路、D-runと言っておりますが、それについて、出来上がったものは非常に大きな構造体ですが、実際それを造るに当たっては、例えば鉄筋図があって、鉄筋工の人が一つひとつその鉄筋を組むことによって初めて物が出来上がってくるのだということで、鉄筋図といった様子も伝えながら、そうした人の集まりによって初めてこうした大きなプロジェクトは動くのだということも含めてアピールすることをやってきました。今回、こういう標準プログラムをベースに各会員企業におきましても、各工業高校に行って、こうしたものをPRしていただこうということで動いているところです。
 パンフレットを1枚付けております。先ほどの「建設スキルアップサポート制度」ですが、工業高校の生徒にも見ていただくようにこういうパンフレットも作らせていただき、配付しているところです。
 いずれにしろ、私ども日建連の認識としましては、建設産業の生産の現場を支えるのはやはり建設技能者です。そういう意味では、いい人材を育てていい仕事をする、それがそもそものものづくり産業の原点だろうし、基本だろうと思っております。ただ、今の状況では人材が少なくなってきている、今後、熟練の建設技能者が少なくなっていて、我々としては、非常に由々しき問題だという認識に基づいて、こうした取組みをやっていこうということです。実現のめどについては、先ほど申しましたように、5年ということで目標を持っております。ただ、提言を作った状況から比べると、受注の環境が厳しくなっていて、各社、非常に厳しい状況があるわけですが、やはり、先ほど言いました建設業界の発展には不可欠だということですので、そうした認識に基づいて、できるところから取り組んでいきたいと思っております。委員の皆様方には、また引き続きご指導いただければと思います。以上でございます。
○征矢座長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に対して、ご質問等ありましたらお願いします。
○加藤委員 今日、午前中に日建連さんから偶然に、土曜日、休もうよ、というようなポスターが届きました。全国の現場に配りまして、周知徹底を図りたいと思います。ご参考までに回覧します。
○上山委員 日建協の上山と申します。大変参考になりました。ありがとうございます。先ほど土日の作業所閉所の話が出ましたが、私ども日建協、またここにいらっしゃいます建設連合さんと一緒に建設産業労働組合懇話会(以下「建設産労懇」という。)という組織で休日閉所運動を取り組んでいます。11月13日を閉所日としますので、私たちも閉所運動を推進していこうと思っておりますので、ご協力いただける所についてはご検討いただきたいと思っております。
○木村常務 今、日建協から話がありましたが、我々も、土曜閉所を実施するに当たっては日建協とも内々にいろいろ話をしながら、「月が違うとか、日が違ってもいいか」と、いや、もうそういうことではなくて、とにかくどんどんそういう閉所日を増やそうと、日建協もそうですし、「我々も元請のグループとしてもやる」ということで、全体で実施することに意味があるということです。そういう意味では、若干ずれていますが、一緒になってやらせていただく部分だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○野村委員 また関連する内容ですが、今日建協から話がありましたとおり、まず建設産労懇ということです。日建協、私どもの建設連合、道建労協という道路舗装部門、あとは全電工労連ですね、あとは長谷工グループ労組、NTT関係の通建連合、そういう所がまとまった、建設産労懇ですが、この運動は、ご承知だと思いますが、6月、11月にやっております。持ち回りですが、今年度は私がこの産労懇の事務局長をやっております。前々から、いろいろ日建連さんのほうでそういう活動をされているということも承知しております。日にちをドッキングさせるかどうかというのを別にしても、お互いに共通の課題ですし、是非いろいろな形での相互交流を深めて、要は経営側も労働側も一緒にこの運動をやっているんだということをアピールすることが、最も重要なことではないのかなと認識しております。是非ポスターの作成の中身などもこれから、できればお互いに工夫ができる余地があればご相談もさせていただければありがたいなと思っております。ポイントは、経営側も労働側も同一土曜閉所、要は労働時間を短縮しよう、そして建設の労働環境をよくしようと、一緒にやっているんだということを社会にアピールする1つの取組みとしても活用していきたいと思っていますので、今後、是非いろいろな形でご検討いただければと思います。先ほど話したとおり、1年持回りですので、11月ぐらいに総会がありますので、私は事務局長を下りますが、今後、後任の者にも十分引き継いでおきますので、是非ご検討いただければありがたいと思います。よろしくどうぞお願いします。
○征矢座長 ほかにございますか。
○柴田委員 それとは少し話が違うのですが、スキルアップの件です。実は技能士は、再構成というか、改廃したり統合したりという話が進んでいて、ここの技能士関係にあるもののいくつかは、今度なくなるものとか、受講者が少ないのでなくなってしまうとか、そういった話があります。たぶんスキルアップのために教育するということと、きちんと必要な技能を持っているということで認められるということが大切なのですが、どうも教育の部分と資格取得に必要な要件が必ずしも現場と合致していないという話を聞くことがあります。そうなってくると、せっかく会社横断的にスキルを認めましょうというようになったときに、ここがネックになる可能性があるということです。
 たぶん厚労省さんもすごく苦労なさって、技能検定などを見ているのですが、それは単に少ないとか、1個1個見てやっていくので、例えば建設関係のものについては、その統廃合に関してもう少し皆さんの意見が通るような形で、かつ適切な技能が評価されるというような、そういう連携をしていかないと大変なことになるなという感じを持っています。どうしたらいいのだかよくわからないのですが、少し整理していかれたらどうかなと思うのです。
○堀井室長 直接的には、当局でない所の所管でやっているという部分もあるのですが、資格や技能検定といったところにつきましては、いろいろな所からいろいろなご意見やお話を伺うこともあります。お答えというのは今この場ではそういうことで差し控えさせていただきますが、状況は確認をして、要すれば、またこちらの委員会の場でもご報告するということにさせていただきたいと思います。
○柴田委員 確か、れんが積みはなくなるのだと思うのですよね。それから、かわらぶきもちょっと怪しくなっていたような、受検生という意味では。
○才賀委員 技能検定のほうですか。
○柴田委員 技能検定です。しかし、一応検定として、せっかくやって取ったのに働く場所がないというようなことはやはり難しいので、育成と検定と就業機会がうまく連携し合っていかないと大変かなという感じがするのです。
○木村常務 日建連で対象を選ばせていただいたのは、そういう意味では資格のどうこうまでまだ立ち入っていなくて、少なくとも高校で取れる資格はどこまであるかというので幅広にやりました。おっしゃるように、その資格がどういう意味を持つかを含めて整理するべきだと思いますし、我々は、まずはその資格を取っていただくということで風呂敷を広げたということです。やはりいろいろな意味で世の中の動きに応じて資格の内容も変わってくると思うのです。我々としては、最新の資格をベースにしてやろうということです。
 ただ、かつてこういうことで挙げたものについて資格を取って、その後なくなったとしても、我々としては、当然費用がかかっていますから、それについては補助をさせていただこうとは思います。
○柴田委員 ただ、これは、生徒さんたちが取ったら入れると思ったら「それはもう使えない技術だよ」と言われたらかわいそうだなという程度なので、せっかくこうやってサポートするのだったら、必要な需要の高いものは特にこれはお勧めですよみたいな、そんな感じがありがたいかなと、高校生から見れば、そんな感じがしました。
○征矢座長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、引き続きまして、社団法人建設産業専門団体連合会の道用常務、お願いいたします。
○才賀会長 道用がご説明する前に、私のほうから若干ご挨拶させていただきます。今は建設投資の急激な減少に伴って、今後の建設産業の方向性ということで大転換期の構造改善というようなことで、我々も、再編・淘汰というような非常に厳しい内容も入っております建設産業政策2007を期して、専門工事会社は、これでは世の中渡っていけないな、従来どおり井の中の蛙で頑張っていてもなかなか解決できない、それでは打って出ようではないかということで、ゼネコンさんも入れ、また発注者も入れ、国も入れ、いろいろな問題に対して頑張っていこうと、今考えているところです。そして、日建連さんが言う年収600万円という6項目の提案が出たので、それを受けて、600万円、日建連さんが払うわけでもないし、我々専門工事事業者が払うので、現場で生産性を上げなければ600万円の金は払えないなということで、昨年8項目の労働生産性の向上に資する提言をまとめました。政権が変わって「コンクリートから人へ」というようなことで、我々建専連としても33団体あるものですから、これではいかんということで、ほかの団体を巻き込んで4項目足して12項目、皆様方のお手元に出ている提案書を作りました。それで、これからはこれを目標にして我々も頑張っていこう、そしてゼネコンさん、また国にはダンピング発注・受注はやめようよ、これがない限り何も解決しませんよというような訴えも起こしていこうかなということを考えて今作っているところです。細かい話は、道用から申し上げます。
 そして、この間の宮崎の口蹄疫ではないのですが、やはり1か月半、約2か月の間に延べ11,000人を超える地元の建設業者が現場で働いて一生懸命にやっていた。そういうものも、新聞には一切出ない。出るのが消防署とか警察ばかりで、そういう人は出ない。また、ユンボだとかブルだとか、数千台の重機を使って仕事をやった報道も出ないということではしょうがないなということです。建設業は、何かすると「悪い」と言われるので、我々もホームページを立ち上げてPRするように「職人さんミュージアム」というものも立ち上げました。そして、建設業というのはこんなことを地元でやっていますよ、やはり国民生活に安心と安全は我々がつくっているんだというPRも是非していきたいということを考えて、足りないものは足していこうと考えています。よろしくお願いします。
○建専連 道用常務 建専連の常務理事をしております道用と言います。今会長が発言されたとおりでして、建設業というのはどうも十分理解されていないのではないだろうかと。さらに、建設業と言うと、元請さん、ゼネコンさんだけを考えて、建設業としているのではないだろうか、どうもそういう雰囲気が漂っているのではないかなと。長年に渡って、建設業は人が足りない、人材確保・育成をしなければいけないということを繰返し、繰返しやってきたにも関わらず、ほとんど昔と変わらないような状況が続いているのではないだろうかということがあります。建設産業政策2007の時は、建設投資がどんどん減っていく中でこれから増える予定はないと、まさにこれから構造改革、再編・淘汰はやむを得ない、そういうことに向かってどうしていったらいいのだろうということで、国交省からも政策研究会を通じて出されたところです。それでは具体的にどうやっていったらいいのだろうというところから、我々はいろいろ叫んでいても変わらないのであれば、今の現状をさらけ出した上、一つひとつ解決できるものから、やっていこうというところから始まったところです。
 実は、今回説明をさせていただきたいというのが、その提言の内容についてどういうことをしたかということです。具体的な対応は、いま元請さんの日建連さん、時を同じくして、職人のいない建設業はあり得ないという危機感を持たれたというところから、我々も取り組んでいたところと全く同じようなスタンスで提言を出していただいています。取り組んでいる内容については、ほとんど同じようなものが出てきてます。これはまさに建設業の根本的な話ではないのかなというところがあります。まず提言の内容と、さらに、建設業はいろいろな職種で成り立っているのだということ、さらに、地域の生活に密着した産業であるということをより知ってもらおうということから取り組んでおります。
 まず、パンフレット9頁が我々の建専連の会員組織です。これについてはいろいろな職種、正会員33団体、特別会員7団体、賛助会員7団体、このような構成になっています。あとは、資料2-1に基づきまして「建設労働生産性の向上に資する12の提言」というものがあります。これの「はじめに」で、建設市場の縮小と過度の価格競争の激化というところから極めて厳しい経営環境になっていると、そのしわ寄せが下請業者、建設技能労働者に及んでいるということで、技能労働者をきちんと雇用することが困難な状況の下、さらに年収の低下、法定福利費をも負担してもらえない技能労働者が増加していると、労災や雇用保険、年金などのセーフティネット面でも不安定な状況に置かれているというところから、先ほど説明しましたようにいろいろな職種、躯体、仕上、設備、土木、関連業と、いろいろな職種があるので、一概に一まとめにしてなかなか言えないというところから、とりあえず躯体から始まったものです。
 平成20年度に「8つの提言」を出したのですが、さらに昨年、政権交代しまして、今までの公共事業はやらない、新たな投資を行っていくというところから、建設業はさらなる危機になっているところです。そうは言っても、社会基盤整備、国民生活の安全・安心を守るための建設産業は変わりないし、さらに、今まで整備し、ストックされているものの資産が、劣化していくことに対する維持・更新も必要になることを考えると、それらに対応する必要があると思います。新しいニーズに対応していくにもどうしたらいいかというところから、4つの提言を加えて「12の提言」を出しました。
 まず、「建設労働生産性に係る事実と現状」を明らかにしようとした中で、6つの視点ということです。視点1「技能者の雇用の現状」ということです。明確な雇用関係にない技能者が相当数存在する。さらに、雇用契約を結んでいても、「固定給+歩合給」として、歩合給の比重が大きい技能者も存在する。さらに、「直用」「常用」等の雇用形態を表す言葉には明確な定義がなく、技能者の労働条件等の問題を複雑化している。「雇用されていない」技能者は労働条件、社会保険加入等について不安定な状態にある。
 視点2としまして、「専門工事業者が技能者を「雇用できない」事情」として、「技能系正社員」の法定福利費は、専門工事業者の年間売上高の約1%に及ぶ。専門工事業者の売上高営業利益率からみて、現状規模の正社員数が限界に近い水準である。こうした事情の結果、不本意ながらあいまいな雇用形態の下で仕事を続けている技能者が存在する。
 視点3として、「不透明な技能者の位置付け・定義」です。技能者の位置付け・定義が不明確ということで、技能者の雇用形態をあいまいにしている。技能者の位置付け・定義の明確化に資する「技能者の評価システム」が存在しない。
 さらに視点4としまして、「重層下請構造の深化・施工体制の複雑化」というところから、下請構造の過度の重層化によって、余計なコストの増大、施工の非効率化、品質の低下等の懸念が生じる。専門工事業者と適切な下請契約を結ばずと言ったらいいのか、結べずと言ったらいいのか、「直用扱い」として仕事に携わる技能者が存在する。下請構造を厳密に観察すると、施工体制台帳等で確認されるよりも深化している。
 さらに視点5として、「技能者の育成の現状」として、技能者は専門工事業者のコアコンピタンスであって、技能者の育成は重要な経営活動である。経費負担、労務外注の増加等の点から専門工事業者が単独で技能者育成を行うのは困難である。
 視点6として、「次世代への技能承継に係る懸念」として、建設業は他産業と比較して、労働者の高齢化の進展が速い。さらに、新規学卒者の入職が減少している。技能承継の受け皿となる若年技能者、新規入職者の絶対数が不足している。
 というところで、労働生産性向上のためには、技能者の位置付けの明確化、重層下請構造の是正、発注者・元請業者との関係見直し等の対策が必要である。そのためには、技能者の労働環境・労働条件等の改善を図ることが根幹的に必要であるという背景から、当初、8つの「提言」を出したものです。
 赤字で書いてありますのは、その次の平成21年度に追加したものです。提言1としまして、「品質・技術力重視の入札制度の拡充(価格偏重の入札の是正)」を図ってほしい。これらにつきましては、国交省の直轄工事につきましては、今のところ、すべて総合評価方式で、価格だけでなくて、技術力も加味した方式に変わっているのです。あと、今、地方公共団体等への導入の要請をしていただいていると、我々もそうしていかなければいけない、というようなところにおります。
 提言2として、「発注者・設計者・元請・下請による4者協議の推進」です。これについては、同じ国交省の中でも旧建設系と運輸系、港湾の事業なのですが。港湾関係は設計者が入っていませんので、もともと、発注者・元請・専門工事業者の3者協議は進んでいる。一方では設計者を含め、専門工事を除いた発注者・設計者・元請の3者協議は行われているので、そこに専門工事業者を含めて4者協議にしていただきたいと。これは、工事の進捗がスムーズにいくというようなことも含めてやっていただきたいということです。
 さらに、提言3として、「コア技能者の直接雇用の推進」です。先ほど言いました、登録基幹技能者や熟練技能者等と明確な雇用関係を結んで、専門工事業者としてのコアコンピタンスの維持・確保を推進する。さらに、直接雇用することで負担増となる法定福利費や技能教育・安全教育費等の必要経費を削除するような安値受注は防止する。さらに、技能者の雇用の安定化を図るために、工事の発注の平準化を要望する。
 提言4としまして、「基幹技能者の活用促進と適正評価」です。これらにつきましても、登録基幹技能者の常駐モデル事業を積極的に推進する。これは、後ほど基幹技能者のパンフレットで説明したいと思います。
 提言5としまして、「社会保険等加入を前提とした技能者の流動化・就業確保」です。建設業の「建設業務労働者就労機会確保事業」というものです。具体的には、我々の団体で全基連と塗装関係の団体が厚生労働省のこの認定を受けて、労働者の貸借ができるような形で進みました。
 提言6として、「建退共制度の活用・充実」という形です。これは、日建連さんともいろいろ協議しながら進めているところです。
 さらに提言7として、「技能者全ての労災保険加入の促進」を図るということです。
 さらに提言8としまして、「技能者の育成と雇用・福利厚生を担保する組織・基金の創設」です。これは、将来的にどういう組織にしていくか、もっと違った形で技能者を育てていかなければいけないのではないかというところです。これはなかなか一朝一夕にはいかないのですが、このような考えも、例えば工事請負代金の一部を運営費として、そういうものをベースにしてやっていかなければいけないのではないだろうかと。
 提言9の「新たな事業の展開」、これ以降、4つにつきましては、当初、躯体から始まったものですが、仕上、設備、土木、関連業、全部を含めた、さらに躯体も含めた形のもので再度見直したところですが、新たな事業の展開ということで、今後増大すると見込まれる既設建設物の維持・補修等の工事について。すべて、できるものではありませんが、ある程度、専門団体でも専門工事業者でも直接受注できる可能性があるのではないかと、そういうものに積極的に取り組んだらどうだろうかと。
 さらに提言10として、「適正対価を確保したうえでの業務の遂行」ということです。本来、元請が行う業務を無償で行っているような実態もあるということで、専門工事業者が行うのが適切だと判断されるような場合には、やはり適正な対価の確保を前提に専門工事業者が行う。
 さらに提言11としまして、「元請、発注者、高校、専門学校等に対する計画的・組織的PRの推進」です。これは先ほど日建連さんの説明もありましたので、これらについては、我々のホームページで紹介したいと思います。
 提言12につきましても、「地域・社会貢献活動の推進とPR」です。建設業のイメージアップを図るために、直接、皆さんの生活に密着した産業であるということを知ってもらおうということで始めたものですので、後ほど詳しく説明いたします。
 それから、資料2-2「知ってほしい登録基幹技能者のこと」です。先ほどの提言の中の一部に登録基幹技能者というものがあります。見開きになっておりますが、開いていただきまして、登録基幹技能者の役割ということで4つあります。「現場の状況に応じた技術者に対する施工方法等の提案、調整など」、「現場の作業を効率的に行うための技能者の適切な配置、作業方法、作業手順等の構成」、「生産グループ内の技能者に対する施工に関する指示、指導」、「前工程・後工程に配慮した他の職長との連絡・調整」ということです。具体的には、登録基幹技能者の経緯として、平成7年から旧建設省が「建設産業政策大綱」において「新しい技能者像」として基幹技能者を重点的に確保・育成できるようにすることが求められました。なかなか進んではいなかったのですが、平成18年に専門工事業者、総合工事業者、学識経験者、行政担当者等からなる「基幹技能者制度推進協議会」が設置され、平成20年1月に建設業法施行規則が改正されまして、技能者は新たに「登録基幹技能者」として位置付けられて、同年4月に経営事項審査の加算点という形で評価対象になったところです。
 ところが、これはなかなか周知されていない。アンケート調査を実施しまして、下請企業から見た場合には、登録基幹技能者は「配置する現場の特徴」として、「施工・作業難易度が高い現場」で、さらに「重要な業務」としましては、「施工方法・作業手順等の検討・決定」で、さらに「優れている点」というのは、「品質管理能力」だとか「技能・技術に関する知識」だと回答しています。
 さらに、元請さんはどのような評価をしておりますかということですが、これは、まだなかなか周知されていない中でも、実際にはもう使っている所、評価している所もありますので、もう少し広めていかなければいけないような状況になっております。さらに、発注者さんはほとんど知らないのではないかと。国の発注機関については、ようやく今、少しずつ認識されているところですが、民間工事については、ほとんど知られていないのではないだろうかと。
 次、後ろの頁について、基幹技能者は、今、徐々に活用・試行され始めております。長崎県が平成21年度からいち早く取り組みましたので、この基幹技能者がいないと工事ができないということもありまして、長崎県の業界の中から、「いや、どうも仕事が取れそうにない。この基幹技能者、どう取ったらいいんだ。」という各団体に照会が来たりしているというところです。
 あとは、国交省さんの中の直轄工事で徐々に1つ、2つの常駐させる現場をつくってもらうように進めておりますが、ここで言う近畿地方整備局と関東地方整備局は、今年の4月から大々的に検討していきたいと。さらにURの都市機構につきましては、今年の4月から本格的に取り組んでいくというような形で進められております。そういうことで、国の発注機関については少しずつ認知されているのですが、都道府県についてはまだなかなか周知されておりませんので、47都道府県につきまして、いま、説明を兼ねながら要望活動を行っているところです。
 具体的には、基幹技能者は今どれぐらいいるのだろうかと。平成22年1月現在で1万9,000人ですが、3月末では2万人を超すような人数になっております。
 スキルアップサポート制度は先ほどの日建連さんと同じ資料ですので、説明は省略させていただきます。
 先ほどの説明にもありましたが、ホームページを開設しました。このきっかけは、建設業に若い人が入って来ない。工業高校では実際どうされているのか聞いてみようということで、工業高校へ行って、建専連のPRをさせていただいたところ、「こんなにいろいろな職種が建設業にあったのか」と初めて認知するようなことがありましたので、もう少しわかりやすく、さらに少子化で工業高校等も学生がなかなか入ってこないことから、小中学生の頃からいろいろPR、働きかけをするということで、何かいいものはないでしょうかという話もありました。さらに、いろいろな形でゼネコンさんは当然のように、地域の防災等のとかいろいろな活動をされているのですが、我々の専門団体も自らいろいろなことをしているということがわかりましたので、それらについても、折角やっているのだから、皆さんに広く知ってもらおうではないかというところから、始めたものです。
 建専連のホームページを見ていただきますと、このようなものが出てまいりますので、専門工事業パノラマというところを見ていただきますと、2頁目に、具体的には土木、躯体、仕上、設備、関連業と区分しておりまして、この土木をクリックしていただきますと、3頁目にこういう絵が出てまいります。それぞれの番号で1は機械土工工事というものはどういうものか。できるだけ文章にせずに、目に見えるような形の、目で見てわかるようなものにしたいと取り組んだものです。2の基礎工事。3のプレストレスト・コンクリート工事。4のカッター工事、5のアンカー工事、6の造園工事。さらに5頁の躯体をクリックしていただきますと、とび・土工工事。6頁の型枠大工工事、鉄筋工事、鉄骨工事、圧接工事、コンクリート圧送工事、クレーン工事、建具工事というようなものがあります。
 8頁の仕上をクリックしていただきますと、板金工事、塗装工事、左官工事、タイル工事、瓦・屋根工事、内装工事と。さらに防水工事、断熱工事と。11頁の設備をクリックしていただくと、消防施設工事、管工事、道路標識・標示工事、電気工事、空調衛生設備工事、電気通信工事。13頁の関連業をクリックしていただきますと、建設コンサルタント、測量業、地質調査業と、このように簡単に見れるもので、これだけいろいろな職種があります。
 ただ、ちょっと残念なのは、建専連のホームページですので、建専連加盟企業より紹介しようというところから入っておりますので、いろいろな専門工事がたくさん、建設業という職種は100近くあるのですが、全部を紹介できておりません。
職人さんミュージアムの先ほどの1頁の地域への貢献活動というものをクリックしていただきますと、地域への貢献活動が出てまいります。これらは8つに分けまして、1.災害時の復旧活動、2.治安・安全・防災に関する活動、3.環境保護・保全に関する活動、4.子どもの健全育成・学校支援に関する活動、5.まちづくり・経済に関する活動、6.保健・医療・福祉に関する活動、7.文化・技術・スポーツ振興等に関する活動、8.その他の活動と分け、具体的にどのような活動をしているかと言いますと、3頁目、災害復旧活動は、たくさんある中の主立ったものをすぐ見られるような形にまとめたものです。社業の基幹・得意分野からの防災協定を締結し、災害復旧の社会貢献を広げるということで、基礎関係の会社が取り組んでいるものです。夜間の出動命令にも即座に人員を集め対応できるようにやっているということです。
 4頁にも県の要請を受け、豪雨被災地の復旧活動にボランティアとして出動している例を紹介しています。「社業からして当然」と復旧活動に出動しているのだと。さらに社会貢献を通じて建設業を見直してほしいというところから取り組んでおります。
 5頁には災害時の応援協定を自治体と締結して、ライフライン復旧の使命を担うという形で、繁忙期の本業をやりくりしながら活動している。被害の現実と向き合ったことは貴重な財産になっているのだと。6頁では、「地域修繕支援隊」。被災家屋の応急修理に取り組んだということで、中越地震を反省し、さらに支援体制を整備していく。7頁では古民家、寺社仏閣など、地震で傷ついた歴史ある建物を修復している。土壁の建物修復で、左官業の本領を発揮だとか、復旧活動を通じて同業者の連携が強まった。8頁、9頁とそれぞれいろいろな活動をしております。これらはそれぞれの会社にリンクできるようになっておりますので、取り組んでいる内容をより知りたい方、身近な自分の地域で取り組んでいるのを知りたい方は、それぞれにリンクを押していただければ、会社のホームページをみれるようになっています。
 13頁、治安・安全・防災という面から、「子ども110番」の車がパトロールしています。地域の一員として子どもを犯罪から守る。さらに14頁では子どもの見守りネットワークに参加するということで、地域ぐるみの見守り活動の発足メンバーに加わっている。地域への貢献活動は15頁、16頁にも載っております。
 17頁では11月16日を「いい・いろ」という語呂合わせで「塗装の日」とし、落書き消去等、行政の全面協力を得てスタートし、日塗装会員の指導の下、地域ぐるみで実施している。
 18頁には定期的・積極的な清掃活動で、地域の環境美化に貢献している。仕事と関わりの深い道路だから、自らきれいにするのだと、会社付近、観光地の橋などを定期的に清掃している。19頁、20頁にそれぞれの活動、各企業がやっている内容があります。
 21頁は教育・学校支援という形で、左官の技術を活かした擬木のベンチ、研修の成果を公園や動物園に贈っている。22頁では、鉄筋ガス圧接の実践的な指導人材を育成し、技術の認知を高めるという目的で、技術に高い感心を持つ高校が、指導を要請してきている。
 さらに23頁では、ものづくり技術者を育成する学校で鉄筋組立等の技能を教えている。研修を通じて、生徒たちの認識が新たになっていると。24頁では安全施設の寄付、防犯意識の啓発など「子どもを守ろうプロジェクト」という形で、「愛知モデル」として全国にいま広がり始めているということで25頁、26頁です。
 27頁にはまちづくり・経済に関係して、ライトアップ、イルミネーション、光の彩で、夜の街並を美しく演出して、観光客の誘致ということをやっている。28頁は人の住まなくなった故郷への恩返しという形で有機農業で集落に人と活気を取り戻す。耕作放棄地を整備して、有機農業に取り組んでいます。そのほかに29頁の活動もしています。
 30頁には保健・医療・福祉という形で、防犯灯や、高齢者の住環境などをメンテナンスしているということで、単なる作業にとどまらず、心の交流も図っていくのだと。さらに31頁には福祉施設などの内装をボランティア活動でリフレッシュしている。32頁はそのほかの取扱い。33頁は文化・芸術・スポーツ等という形で、ゆかりの地の北海道に画家の美術館を設立・運営している。35頁にはその他で、造園のプロが桜の樹勢回復に取り組んでいる。これについては行政からの経費支援も受け作業を実施しているというようなことがあります。36頁では刑務所での職業訓練を支援して、受刑者の社会復帰に協力している。地元の刑務所の依頼で、平成14年からやっているということです。
 37頁では、チャリティーバザーの売上金などを地震災害の義援金として積立している。これは起きたときではなくて、普段から義援金の準備をしていて、さらに公共施設の無料修繕をしていて、それはもう30年以上続いている。38頁には中学生にものづくりを実体験させる。実施体制の充実と全国展開も目指していろいろな活動をしています。
建専連会員企業は、厳しい状況で会員がいまどんどん減ってきてはいるのですが、6万7,000社ほどいます。そのうちの先ほどの建専連の会員の役員団体に、アンケートで記述式も含めて問いかけをしたところ、407社から回答があったものを、まとめたところです。これらについてはいろいろな効果とマイナス面もあるのですが、具体的には5頁で取り組んでいる地域貢献しているのは、なぜかということでは自社の社会的責任であると。さらに6頁では本業への影響という形で「本業にもプラスになる」と考えている。さらに7頁では信頼関係の構築に役立った。8頁ではイメージアップにつながった。受注・売上増加につながったというのも多かったです。
 プラスばかりではなくてマイナス効果もあるということですが、12頁では費用・時間等の負担が大きい。さらには13頁では受注・売上増加につながらない。15頁では、負担が大きく本来の業務を圧迫するケースもあるということですが、地域への波及効果として、16頁では人材雇用につながったとか、17頁ではコミュニケーションについて連携がとれている。18頁では地域の活性化というような状況です。
 このようなことをするには、やはり関係者の信頼関係や意識改革が大切であるということ。さらには資金や人材面の不足がネックとなっている、取り組まないでいるというのはそういうことだということです。多くはやはり本業に余裕があって参加できるようなところから、こういう活動ができるのだと。狙いは、何遍も繰り返して恐縮ですが、生活している人たちの身近な産業であるということを、この産業がなくなったらどうするのかということをPRする。若い人がもう少し魅力を感じて入ってこれるような取組み方をしていかないと、人材確保をいろいろ言っても、なかなか来てもらえない。当団体の会長がよく言われるのは、どんな厳しい条件でもいいから、給与がきっちりしていて、お金さえもらえればいいのだと。そうすれば人は集まってくるのだと。そういうところはあるのですが、やはりもう少し、建設業というものにイメージを膨らませていただいて、若い人たちが自分のそれぞれの個性に合ったものを選んで、やってみようかなと思う人が、1人でも2人でも小学生、中学生、高校生等が感じてもらえるような活動をしていきたいと思います。
○征矢座長 どうもありがとうございました。ただ今のご説明に対してご意見、ご質問がございましたら、どうぞ。
○福田委員 今のお話を伺って、こんなに社会に貢献して地域社会にいろいろアピールもしているのにかかわらず、なんで建設業というのはイメージが悪いのか。私はずっと悩んでいるのですが、何がいけないのか。みんなで建設業のイメージをアップすることができれば、若い人も建設業に就きたいと思うのではないかと思うのです。やはりある政治家がいろいろ政治献金をねだったり、そういう一環で、そのイメージが強くつき過ぎて、いくら広報活動をしてもイメージが良くならない。災害が起きていろいろ復旧活動をしても、すぐにそれが帳消しされてしまう。やってもやっても良い印象が植え付けられないというのは、何か非常に悲しいなと思うのですが、何かいい知恵があれば教えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○柴田委員 ガテン系の人たちは格好いいです。今おっしゃったようにマスコミも含めて悪いところばかり宣伝する。自衛隊などもそうですが、アメリカなんかだとそのドラマを作って、格好いいところをいっぱい見せる。その人たちがどんなに格好いいのかを、復旧の時の活動ををうまくトレンディードラマなどにするということをやったほうが、広告よりはいいのかなという感じがします。私も広報活動の専門家ではないのでよくわかりませんが、このホームページは本当によくできているなと思い、これも見てもらうための何か方法があったらいいですよね。実際に自衛隊などでも復旧のときは、やはりあの人たちがいなければ、辛いことも全部やってくれてとか、そういった苦労するということ、日本の若者は、3Kとか苦労するとか力仕事が大変だということで、自分たちが頑張るというところが少ないです。だからドラマとか、ドキュメンタリーみたいなので、女の人も職人がこんなに建設現場で頑張っているというのを見ると、すごく格好いい人がいっぱいいるので、そういう地道な活動しかないのかなという気がします。
 あとは先ほどおっしゃったように、ちゃんと給与を払ってもらえるということは、すごく重要だという気がします。
○道用常務 左官屋さんが日本の建物がだんだん木材を使わなくなってきたと、伝統的な漆喰工法を公共工事でも使ってほしいと。もともと、不燃化というところからコンクリートになってしまったのですが、伝統的な木材を使った建物を作ってほしいと、長年言ってきたのが、ようやく公共建築物についても木材を使うようにする法律が今年初めて出てきたので、長年こうやって活動を続けていかないと、やはりできないのかなというところです。外材が入ってきて、日本の木材がどんどん売れなくなって、せっかく育てても売れないというところから衰退してきたのですが、そういうところからでもまた戻るということもありますので、先ほどの技能の話もそうなのですが、今はなくても、長年の伝統的な技術を守っていくのだと、室内の湿気に対しても環境にも優しいものだと言い続けてきたのが、今ようやく日の目を見るようになってくるものですから、やはり必要なものは必要と堂々と言えるようなにしていかなければいけないのかなと。今までずっと、こんなにいろいろなことをしているのに、なんで建設業ってこんなにイメージが悪くとられているのだということが、どうしても引っかかって、元請け団体ももっといろいろな活動をされているので、そういうのも一緒に引っくるめて、PRをもう少しして行ったほうがいいのかなという思いです。
○柴田委員 やはり男社会で、男は黙ってではないけれど、きっと宣伝なさらなかったのですよね。私はシンクタンクなのでいろいろな所に行って勉強させてもらったりするのですが、森林組合などでも間伐材をうまく使うために、山に機械を入れて、林業経営もプラスに転じているような所もあれば、全くそのままで山が駄目になってしまうところもあります。環境やいわゆる治水など、山崩れがしないとか、自然環境の問題と木の問題とか、全部有機的につながっているのですが、なかなかそこをリンクしていくことが難しいので。でも、そういう動きがひょっとしたら出てきて、その辺をうまく活用していける方策が今おっしゃったように長年の苦労の中で出てくれば、もう少し何とかなるなという感じはします。あとはもう少し、第三次産業、サービス業みたいに「私たちはこういうこともやっています」というアピールを、がんがんやってもいいのかもしれませんね。
○古市委員 質問といいますか、この12の提言は大変素晴らしい提言だと思っています。そこで現在のこの提言の中でいくつか現在の制度を変えていこうというようなご提案もあるわけですが、例えば、建退共の制度の活用などで建退共を管轄する厚生労働省の部門と話合いをされたり、建退共と話合いをしてどうしようかとか、労災保険のことについても提言がありますので、労災保険を管轄する部門と話合いをしたりとか、そんなことは少しずつ始まっているのでしょうか。
○道用常務 今の建退共の話は日建連さんも取り組んでおられますし、我々も取り組んでいかなければいけないので、協働で取り組んでいます。
これが全部変わらない限りは建設業で働く人たちの体制は変わっていかないということで望んでいます。その前に一番大きいのは、ダンピングです。人を育てて技能、技術に優れ、経営に優れた企業が、きちんと競争に参加できて、生き残れるような、そういう体制をまず作ってほしい。ダンピングで、優れた企業から退場しなければいけなくなるような、そういう競争環境はまずやめてほしい。そこをまず変えない限り、すべてはよくならない。どんどん重層化していっている中で、重層化をやめていきましょうということも、今委員会を開きながら、日建連さんも、全建さんもやっておられますので、そういうことも一緒にしていかないと、この業界そのものが崩壊してしまいます。
ダンピングが起きにくい競争環境を、きちんとした企業が競争に参加できるような体制を作るにはどうしたらいいか。現状はたくさん不明確なものはあるけれども、ずっとそれをやってきて、何も変わっていないわけですから、もっと大きく業界を何か変える方法はないのか。
 さらに、建設業はこんなに一生懸命に活動しているわりには周知されていない。教える先生方でさえも、こんなにいろいろな職種があることを知らないということがあるので、もう少し建設業に積極的に取り組んでみようかと言えるような明るい材料が何かないか、難しいのはわかっているのだけれども、そういうところから一つ一つやっていくしかないのかなと。
 そして、最後はどうしてもできなければ、先ほど言った大きな別の組織を作りながら、海外、ヨーロッパでも遍歴職人組合みたいな国を上げて職人さんを育てていく、税金も投入するのだとか、そういう建設業の育て方みたいなものがどこかになければいけないはずなのですが、どんどんそれがなくなってきていることに問題があるのかなと。災害時だけ応援してくれといっても、そのときには機械は無い、人は居ないでは、今までと同じ活動はできません。災害のために建設業があるわけではなくて、日頃の企業活動が前提です。きちんとした利益が出ないような、今の競争環境になっている。何でこんなに急にダンピング競争になってしまったのか。それから、国の事業は、調査基準価格というものがあり、これを順次改正して、安い価格ではできないようになってきていますが、まだ県、市町村、民間はひどい状況です。この体制を何か改正しない限りは、人もまともに育てられない。人を育てることは企業に頼っていますから、そうではなくて国を上げて職人さん、建設業を育てるのだという何か大きなものがないと。企業が現状で人を育てるのは、無理かなと思います。
○才賀委員 それと1つはですね、我々は今までゼネコンにもの申すことがなかなかなかったのです。それがやっとこういうものができて、同じテーブルで同じ意見で討議ができるという、ひとつ非常に大きなメリットができてきたなというふうに思います。それと同時に、国土交通省へゼネコンが言えないことを、我々は関係がないから言えるのです。そういうことと、建設流通審議官を通したり、審議官を通したりして、こういうことで大いに困っているのだ、だから何とかしてくれというようなアピールもできるようになりましたので、そういうことがだんだん強くなってくれば、発注者、ゼネコン、専門工事業者が三位一体となって業界を変えていく必要があるのかなと。個々ではなかなか変えられないのです。だから、先ほどの土曜閉所運動も今まで我々はあまり参加していなかったのだけれども、この間も委員に会って、一緒に協力しましょうよという話もさせていただきました。そのときに、なぜスーパーゼネコンは入っていないの、おかしいじゃないのと。それでは今度は日建連の会議で、なぜスーパーゼネコンさんは入らないのだと。みんなが守っていくのは建設業でしょうというのを話をさせていただいたので、そういうことが1つずつお互いに解決していけば、もう少し温かいホットラインがつながるのかなというふうに思っています。
○柴田委員 もちろん総合評価方式とかいって、紙のベースですが、実績とか企画とかでいいか悪いか見ていくのでしょうが、ほかは例えばホテルだったら5ツ星のホテルとか、飲食だったら『ミシュラン』に出ているとか出ていないとか、それが正しいかどうかはわかりませんが、良い企業は良い経営で良い技術を持っているというのは、客観的にどうやってアピールできるのでしょうか。
○道用常務 公共工事につきましては、経営事項審査という形で、そこでいろいろな会社の規模や技術者の資格、工事実績などそういうものを総合的に判断して、上位順番に評点を付けていまして、そういうところがまず1つです。
○柴田委員 それは公表されているのですか。
○道用常務 そうです。ある一定規模以上のものについては、大手さんが全部やる。
○柴田委員 規模だけではなくて技術があるとか、経営がいいというものも入っているのですね。
○道用常務 その上にもいけますし、下の仕事にもできるような、そういう体制にはなっています。
○柴田委員 そのランク付けのほうですね。
○道用常務 そうです。なってはいるのですが。
○加藤委員 直接的にはやはり構造物を造るわけですから、造ったものがいわゆる使っていただくお客様に評価されると。それはやはりいい仕事という評価の1つの基準だろうと思うのです。だから、民間企業などでは、いわゆる価格だけではなくて、いままでの深い付き合いの中で、ここの会社だったら要求品質を満たしてくれるだろう、そういう中でやりますが、あくまでも民間工事の場合は価格だけで判断されているわけですね。
○古市委員 かつて建設業を所管している役所が、建設業をよくするための施策の一環で、しっかり雇用をしよう、雇用をちゃんとやろうということで、こういう会社がいい会社なのです、建設業の会社はこういう会社を目指していくべきなのですと、5つ会社をモデルとして名前を挙げたのですが、5つの会社ともつぶれました。
○柴田委員 過去の実績で事故がないとか、マイナスではなくて、本当に住みやすいものを作ったとか、働きやすい良いものができたとか、そういった評価がもう少しきちんと見えるような形になれば、民間はそれがあればきちんと評価すると思うのですが。お役所も業者登録とか、そういうことはあまりやっていないですよね。
○加藤委員 終わった時に、この工事は評価点何点ですよと、そういう方式はあります。
○柴田委員 それはその後の入札とか、総合評価のときに反映されないのですか。
○加藤委員 ある程度は反映されています。点数があります。
○柴田委員 では、総合評価方式になれば大丈夫なのですね。
○道用常務 今大丈夫だろうということでやっているのですが、弊害がある部分もあるのです。地方公共団体は今広めようとしていますが、民間は全くそういうのはないので。
○柴田委員 今のままだと安かろう、悪かろうになってしまうという感じですね。
○道用常務 安ければ、60年もつものが30年でいいのだと施主さんが言えば、それで終わりなのですが。そういうものを作ってくれと言われれば、それに対応すると。だから、その辺が民々の契約になるとなかなか言えないということです。
○古市委員 今の国土交通省の直轄工事の場合には、最低制限価格入札で80%とか85%とか、下を決めていますよね。ところが、地方公共団体は、50%だとか、55%で発注者が予定した価格の50%ぐらいの価格で、一般競争入札で、落札してしまう。50%で落札してしまうと、いわば予定された賃金も50%になりかねないわけでして、そういったところをしっかり手当てしないと、そこで働く労働者の待遇をきちんとしようと言っても何ともならない。いいものを作ろうという、技術力を競争するのはいいのですが、そこで働く労働者の賃金とか、どうしても必要な安全経費といったものは、競争から除外するという仕組みを作る必要があると思って、そういうことも役所には言ったりしているのですが。建災防が、そういう方式をイタリアでは採用しているので研究をしているとお聞きしています。
 競争しなければいけないところと、競争してはいけないところがあって、徳島県のある民間の工事なのですが、施主は足場をかける費用がないので、足場分の費用まで払えないので、そこに孟宗竹の林があるから、ただで切っていいから、どうぞそれを使ってやってくれと、こういう話まであって。そういう仕事まで取ってやらなければいけない、あまりにも無茶苦茶な状況があります。競争すべきことと、競争に馴まないことを分けて、特に公共工事の場合はそういうことが必要ではないかと、こんなことを申し上げているのですが、なかなかそういうふうにはまだ進んでいませんよね。
○加藤委員 私も今の意見に賛成で、やはり安全経費というのは一番大切な生命を守るものだから、別枠で、建退共なども別枠で後できちんと清算するというか、積み上げ方式で、当然終わった後で清算できるわけだから、そういうような感じで公共工事であろうと民間であろうと、将来的にはいければなと。それを皆さんと力を合わせてやっていきたいなと思います。
○福田委員 消費税みたいに坪当たりについてきちんと出して、表現すればいいのではないかという感じがしますね。
○加藤委員 50%取ってもその中には建退共は入っているわけですから。
○征矢座長 だいぶご意見も出たようですから、時間もまいりましたので本日はこのぐらいにして、事務局から何かそのほかにありますか。
○山補佐 次回については後日、日程調整の上、決めさせていただきます。お配りしております日程調整表にご記入の上、後ほど事務局にお送りいただきますようお願いいたします。
○征矢座長 では本日の委員会はこれで終了させていただきます。本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は山下委員、使用者代表は室川委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はお忙しいところを、どうもありがとうございました。


(了)

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