ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第47回労働政策審議会安全衛生分科会議事録




2010年11月12日 第47回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成22年11月12日(金)


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(12階)


○出席者

<委員:五十音順、敬称略>

相澤好治、明石祐二、市川佳子、関口氏(伊藤雅人代理)、今田幸子、瀬戸実、高橋孝行、高橋信雄、谷口元、露木保、土橋律、豊田耕二、内藤恵、中原俊隆、中村聡子、名古屋俊士、三浦武男、芳野友子

<事務局>

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

・職場における受動喫煙防止対策について(2)
・その他

○議事

○分科会長(相澤) 定刻になりましたので、第47回「労働政策審議会安全衛生分科会」
を開催します。本日は、犬飼委員、眞部委員、古市委員、伊藤委員が欠席されています。
伊藤委員の代理として、東京商工会議所の関口様がおいでです。よろしくお願いします。
 それでは、議事を進めさせていただきます。本日は、職場における受動喫煙防止対策に
ついて議論したいと思います。はじめに、今月11月10日に「職場における受動喫煙防止
対策に関する公聴会」を開きまして、8人の方から意見発表をしていただきました。その
公聴会の開催結果について、事務局から報告と説明をお願いします。

○環境改善室長 それでは、資料1をご覧ください。11月10日に開催された公聴会の結
果概要について報告します。趣旨、日時等については、ご覧のとおりですが、8人の方か
ら意見発表をいただきました。(3)に意見発表者の意見概要を、発表順に記してあります。
簡単に報告しますと、(1)の岩崎様ですが、愛知県とともに調査され、その結果、飲食店の
禁煙化は利用者からも支持を得られて、売り上げに影響のあるケースは少ないという発表
でした。
 (2)の大園様は、限られた休憩時間に、ホテルの制服を脱いで遠く離れた喫煙場所に行く
ことは、仕事の能率の点で問題があることや、対策をとるには経費と時間が必要であるこ
とを発表されました。
 (3)の岡本様は、いろいろなメールの相談を受けられた事例を紹介されて、分煙の事例で
あっても、被害を受けていらっしゃるという発表がありました。分煙ではなく、世界的な
流れである屋内完全禁煙の方針をとるべきであり、法改正においては罰則が必要であると
いう旨の発表でした。
 (4)の関川様は、外食店舗においてのお話がありました。事業者と労働者という関係以外
に、利用者であるお客様がいらっしゃることで、お客様を全く無視して営業を行うことは
困難であるという発表でした。
 (5)の小城様も、同じような業種の方ですが、飲食店を規制対象とせず、自主的な努力と
させてほしいという発表でした。
 (6)の島谷様ですが、喫煙される方々のグループということで、受動喫煙の問題について
は、喫煙者がマナーを徹底することと、喫煙できる場所をきちんと設けることで回避でき
るという発表でした。
 (7)の野上様ですが、浮遊粉じん0.15mg/m3という指標を中心に発表がありました。環境
省が定めた環境基準を参考にして、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子)を対象として定める
必要があるという発表でした。
 最後の(8)の矢野様ですが、日本産業衛生学会で、たばこの煙を職業性発がん物質の表に
加えたという発表とともに、こういう発がん物質であるたばこの煙に曝露されうる場所で
従業員を働かせることは違法行為であり、飲食店等の屋内職場については分煙ではなく、
全面禁煙にするしかないという発表でした。
 報道機関の方も含めて約350人の方々が傍聴されました。以上でございます。

○分科会長 はい、ありがとうございました。ただいまの説明について、ご質問等あれば
お願いします。また、当日出席された委員も大変ありがとうございました。
 それでは、質問は無いようですので、続いて、本日は受動喫煙防止対策の現状を伺うた
め、神奈川県庁の担当者にご出席いただいております。神奈川県では、本年4月から、
「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」を施行しておりますので、この内容に
ついて、条例制定時における議論なども含めて、神奈川県保健福祉局保健医療部たばこ対
策課からご説明いただきます。よろしくお願いします。

○神奈川県庁たばこ対策課長 神奈川県たばこ対策課長の井出です。それでは、私のほう
から、資料2-1に基づいて、本県の受動喫煙防止条例について、条例の制定過程、条例の
概要、条例の施行状況についてお話します。まず、1頁の下段に、本県の条例を作った背
景について記載してあります。たばこの副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれ
るということもあり、肺がんなどのいろいろな危険があることを踏まえて、神奈川県では
条例制定の動きに入りました。
 2頁をお開きください。この条例を制定するにあたり、いろいろな流れがありました。
この資料の記載のとおり、そもそも世界的な動きとしては、2003年、「たばこの規制に関
する世界保健機関枠組条約」が採択されており、我が国も早い段階で条約を締約している
という状況がありました。このガイドラインでは、屋内の公共の場を禁煙とするというこ
とが定められていて、世界各国において飲食店や宿泊施設も含めて、公共の場を禁煙にす
るという動きが広がっています。こうした中で、我が国には「健康増進法」がありまして、
2003年に改正されたわけですが、その規制内容は努力義務にとどまっているという状況が
ありました。
 本県は、平成17年から「がんへの挑戦・10か年戦略」というがん対策を定めており、
現在、がんの地方自治体計画は法定計画となっていますが、まだ法定計画になる以前から、
がん対策を掲げていました。そうした中で、たばこ対策を重点項目の第1位に掲げて、た
ばこ対策へ取り組んできたわけです。受動喫煙防止対策もがん対策の項目の1つであった
わけですが、状況を見た場合、なかなか進んでいないのではないか、そういった疑問が出
たのです。
 そこで、2頁の下段に、条例制定の背景として、平成19年、受動喫煙に関する調査を行
いました。ここに記載のとおり、県民が受動喫煙にあった施設は、飲食店が78.2%、娯楽
施設が85.8%、それから実施していない施設も、60%、59%となっています。これらの施
設について、今後どうするかというお話を伺ったところ、防止対策を進める予定がないと
いった結果が出ています。
 一方で、喫煙を規制することについて、たばこを吸う方、吸わない方、両者に聞いたと
ころ、非喫煙者が92.7%、それから喫煙者であっても、約7割が賛成であるという状況が
出ています。この結果は、健康増進法が制定されて、この時点で4年経過していたのです
が、官公庁施設などは進んでいる一方で、こういった施設などは、まだ進んでないという
状況がありました。そういったことを踏まえて、本県では具体的な条例の検討に入ったわ
けです。
 3頁をお開きください。これは条例成立までの経緯です。条例の制定にあたっては、県
議会での議論は当然ですが、県民や事業者など、多くの方々からご意見をいただき、また
タウンミーティング、意見交換会など、いろいろな場を設けて意見をいただいています。
さらに専門家などから構成されます検討委員会を設置して、ご意見をいただいています。
この委員会の中では、事業所の従業員を条例の対象にしなければ、県民を受動喫煙から守
ることにはならないという強い意見がありました。一方で、事業所については、労働安全
衛生法に基づく対応があるということで、国の対応に委ねようという結論で、最終的に条
例の検討の段階で、職場については受動喫煙防止条例の対象から除外したという経過があ
りました。いま、こういった形でスタートして、いろいろな議論を経て、最終的にはこの
資料の下に書いてありますが、2009年2月の県議会定例会で受動喫煙防止条例が、議会に
よる一部修正の上、可決されました。この間のいろいろな議論については、後ほどお話し
たいと思います。
 次に、資料の下段、条例の目的ですが、まず条例の内容を少しお話します。本県の受動
喫煙防止条例は、禁煙環境を整備し、自らの意思で受動喫煙を避けられる環境の整備の促
進、未成年者の保護等を目的として定めています。こういった取組みにより、受動喫煙に
よる県民の健康への悪影響を未然に防止することを目的としています。
 4頁をお開きください。規制対象施設と規制の概要として、本県の受動喫煙防止条例は、
ここに記載のとおり、不特定多数の方が出入りする室内又はこれに準ずる環境を有する施
設を公共的施設と定義しています。まず、学校、病院、官公庁施設等を第1種施設と定め、
こういった場所については禁煙の措置を取り、飲食店、宿泊施設、娯楽施設等を第2種施
設と定め、これについては、禁煙又は分煙を選択するという規定になっています。この条
例の対象からは、先ほど申し上げた職場、事務室やオフィス、工場等は除外しています。
また、家庭や宿泊施設の客室などは、いわゆるプライベートな空間ということで、条例の
対象にはなっていません。
 公共的施設の区分の内容ですが、下段の資料の記載のとおり、第1種施設は学校、病院、
劇場等、ある意味で非常に公共性の高い施設が入っています。それから、右側の第2種施
設、禁煙又は分煙の記載がある施設で、主に飲食店、ホテル・旅館等の宿泊施設、ゲーム
センター、その他のいろいろなサービス業が入っています。それから、この第2種施設の
中に、特例第2種施設というのがありますが、努力義務という条例上の規定はありますが、
これは義務ではなく、努力義務ということで、小規模な飲食店や宿泊施設、風俗営業施設
等が努力義務の店舗、施設ということで整理されています。
 5頁をお開きください。条例案と規制対象施設の変遷についてです。これは、条例の検
討過程の中で、条例の内容が変わった部分を整理してあります。当初の基本的考え方、こ
れは最初に県のほうで出した考え方で、すべての公共的施設を禁煙にするという案でスタ
ートしています。これは、たばこ規制枠組条約も踏まえて、公共的空間は禁煙にするとい
う考え方でスタートしたわけですが、その中で、やはりいろいろな意見等があり、次の条
例骨子案の段階では、いまの条例の中身とほぼ形が同じですが、第1種施設は禁煙、第2
種施設は禁煙又は分煙という形で整理されています。次の素案の段階では、第2種施設の
中に小規模飲食店等が加わり、小規模飲食店等が努力義務になるというような形で変わっ
ています。最後に、条例の段階では、特例第2種施設にさらに宿泊施設が加わる形で、条
例の検討の過程で、いろいろな立場の方からご意見をいただく中で、主に飲食店や宿泊施
設等が、条例において一部努力義務という形で整理されています。
 この背景ですが、本県の受動喫煙防止条例は、国の対策が努力義務にとどまっている中
で、本県だけが規制的な義務を課すところからスタートしたことが、非常に大きな要因で
す。飲食店や宿泊施設については、県外へ顧客が流出する可能性、そういった経済的影響
が懸念されるというお話がよく出されます。やはり、こういった施設は禁煙だけでなく分
煙を認める、たばこを吸う方が利用できるような形に変え、さらに分煙の措置を認めたこ
とにより、小さな店舗が分煙するにはいろいろ負担がかかるだろうといったことから、小
さな飲食店については、特例第2種施設で努力義務にするという整理がされています。こ
の議論は最後まで続き、最後に宿泊施設が加わったのは、実は条例を提案した2月の段階
で、静岡県熱海市と隣接している湯河原の温泉関係の団体から、強い要望が出され、ここ
は議会のほうで、小規模な宿泊施設についても努力義務にするという整理が進んでいます。
これを踏まえると、本県の受動喫煙防止条例は、飲食店、宿泊施設等に経済的影響がある
という懸念の中で、いろいろと内容が修正されたわけです。そのいちばんの理由は、本県
が独自に条例を作るというところに起因しており、国が一律に作った場合には、こういっ
たような懸念は解消されるのではないかと考えています。
 規制対象の施設の数ですが、第1種施設が約10万、第2種施設が約11万2,000で、特
例第2種になった施設が3万2,000です。この特例第2種は、飲食店で言うと、全飲食店
の約7割がこれに入っています。宿泊施設で考えると、約5割がこれに入るという状況に
なっています。
 6頁をお開きください。条例の規制内容です。時間の関係もありますので、説明は細か
くいたしません。個人、施設管理者等に、記載のとおりの条例上の義務があるということ
で、施設管理者については、第1種施設は禁煙、第2種施設については禁煙又は分煙とす
ると。それから、分煙する際には、2つ目の丸印ですが、たばこの煙が流れ出ないように
するという規定があります。下段の資料は、その具体的な様子を示したものです。
 7頁をお開きください。条例上、分煙を導入する場合の基準ですが、ここに記載のとお
り、仕切り、排気設備、空気の流れを作るという基準になっています。それから、その下
の資料ですが、違反施設への対応です。本県の受動喫煙防止条例は罰則を設けており、罰
則にあたっては、立入調査、指導・勧告、命令という経過を踏まえて、最終的に罰則を課
すという形になっています。
 最後ですが、条例の施行期日、見直しです。条例の施行は、平成22年4月1日です。た
だし、飲食店等が含まれる第2種施設については、罰則の適用は平成23年4月1日からと
いうことになっています。この条例については、条例の施行の日から3年を経過するごと
に見直しをすることになっています。今回の条例制定の過程で、いろいろ議論がありまし
たが、そういった議論を、3年経過した段階で調査等を行い、改めて見直しする状況にな
っています。
 次に、資料はありませんが、条例の施行後の状況について、お話をさせていただきます。
お手元の資料2-2の下にパンフレットがあります。条例公布後、こういったパンフレット
等を作り、「吸わないひとには、吸わせない。」という形で、県民向け、事業者向けに条
例の周知活動を行っています。今回は、条例の事業者向けの対応についてお話ししますと、
事業者に対しては、条例の公布が昨年の3月ですが、それから1年間かけていろいろな説
明会等をやっています。平成21年度で、500回ほど説明会を開いています。今年度も10
月までの間に、既に約200回の説明会を開催しています。また、併せて事業者の支援とし
て、条例の解釈とか、分煙の方法などについてのガイドブックの配付や相談会の開催、分
煙技術アドバイザーも施設に派遣して分煙の方法を助言する。それから、分煙に関する費
用等についていろいろな意見もあったので、利子補給制度を設けたという状況で、こうい
った周知、条例に関する説明を行っています。
 昨年の11月に、ちょうど条例の公布後7カ月経った段階で、県民及び施設に対する意識
調査を実施しています。その結果を申し上げますと、県民意識調査は5,000人を対象にし
ています。施設調査は約4,000カ所で、ともに有効回答は50%です。受動喫煙という言葉
は、県民が8割、施設の方は、実に94%の方が知っていました。受動喫煙防止条例は、い
ろいろなところで話題になり、受動喫煙防止に関する認識はかなり高まっている状況です。
受動喫煙に関する健康への悪影響についても、県民の8割、施設の9割が知っているとい
う状況でした。それから、条例への対応状況ですが、この時点で条例の対象となる施設に
聞いたところ、ちょうど施行前5カ月ですが、既に対策を実施済、実施予定及び検討中を
合わせると、約8割は条例に向けて何らかの検討をしているという状況でした。
 あと、この時点で県民の方に調査した中で、喫煙者に調査した項目があります。喫煙者
の方に「たばこを今後どうするか」という質問をしています。その中で、実は喫煙者の約
3分の2は「たばこを止めたい」もしくは「喫煙本数を減らしたい」という回答でした。
昨今、たばこの値段が上がって、たばこを止める動きがありますが、多くの喫煙者がたば
こを止めようとしている動きがあるということも、この調査でわかっています。
 こうした中で、今年の4月に条例が施行されたわけです。条例の施行後の状況について
は、まだ全面施行になっておりませんので、来年度、改めていま申上げたような調査をす
る予定になっていまして、まだそういった調査はありません。ただ、この4月から第2種
施設の飲食店、理容業、美容業、それから第1種施設の物品販売、いわゆる商店街を構成
する民間の施設を中心に、職員が個別訪問する形で条例の遵守状況の確認、もしくは不十
分な場合は指導・助言するという形の取組みをしており、その結果を報告したいと思いま
す。
 4月から9月までの半年間で約9,500施設を訪問しています。その結果、95%以上の施
設は条例の内容を理解しているという状況です。それから、条例の対応状況です。本来、
条例は施行されていますので、全ての施設が守っているのであれば100%であるはずです
が、規制的な受動喫煙防止対策ということでは、日本で最初の条例でもありますので、そ
こは100%という形にはいきません。しかし、結果としては、物品販売などの第1種施設
は98%が禁煙の措置を講じています。飲食店や理容・美容など第2種施設については、約
8割が禁煙又は分煙の措置を講じているという結果です。この結果は統計的なものではあ
りませんので、本県の全体の状況を表わすものではありませんが、現在、我々が把握して
いるデータとして、こういった形で施設の取組みが進んでいるという状況です。
 最後に、国の取組みに関して申し上げたいと思います。繰返しになりますが、本県の受
動喫煙防止対策条例は、事務室などの職場については、条例の対象から除外をしていると
いうことがあります。それから、この条例の制定過程で、やはり県境を中心に、本県だけ
が対策を講じることの経済的影響といったような懸念の声が大きく出たということがあり
ます。本県は、再三、国に対して実効性ある受動喫煙防止対策を法整備していただきたい
旨の要請をしています。まず、条例の可決にあたって、神奈川県議会は、飲食店などを中
心に利用者の県外への流出を懸念する声があることから、国において積極的に法制度の充
実を図っていただきたいという意見書を出しています。それから、本県からも知事名で、
受動喫煙防止対策について、国において実効性ある法整備を行うという提案を再三させて
いただいていますし、また、首都圏の8都県市、政令市県ですが、共同で同様の要望を、
それから、山梨、静岡、神奈川3県で、やはり同様の要望、それから、関東知事会からも
同様の要望という形で、本県が提案させていただきまして、付近の自治体と一緒に国にお
ける法整備を要請しています。私の説明は以上です。

○分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、ご質問等ありましたら
お願いします。

○高橋(信)委員 職場は除外ということですが、神奈川県の検討においては、既に職場
の問題について安衛法の枠組みに入っているから、そちらによるということでお話されたのか、あるいは、
これから新たな対策を講じてもらえるという前提でディスカッションされたのか教えてく
ださい。

○神奈川県庁たばこ対策課長 議論としては、まず国において労働安全衛生法があって、
ガイドライン等で行われているということが基本にあります。地方自治体で行う分野、国
で行う分野といった整理がありました。もう1つは、国において、そういった将来の充実
を期待する考え方もあったと思います。まずは、役割として国に任せる分野であるといっ
た議論になります。

○瀬戸委員 神奈川県の条例の実施状況等について、お聞かせ願うように事務局にお願い
したのは私どもです。本日はありがとうございます。お聞きしたいのですけれども、特例
2種施設というのは、届出不用の100m2以下の施設とのことですが、この施設は、神奈川
県においてどのぐらいの比率ですか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 飲食店は約3万9,000ありますが、そのうち7割が100 m2
以下に入っています。この100 m2は、厨房を除いた面積が100 m2以下となっていまして、
約7割が特例2種となっています。

○瀬戸委員 利子補給制度を利用されている方は現在どのぐらいですか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 実は、利子補給制度は、制度としてスタートしていますが、
現在は2件です。

○市川委員 説明会等を相当丁寧にされたというご説明でしたが、もう少し詳しく、どの
ような方たちを集めたのかを教えていただけますか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 事業者の説明会ですが、基本的に業界の団体ごとに、団体
の県本部がありますから、そうしたところをまず押さえまして、そのあと、支部で地域ご
とにやると。そして、飲食業もありますし、クリーニング業もありますし、いろいろな団
体ごとにやっているというアプローチが1つあります。あとは、直接条例の規制の対象に
なる不動産関係の団体や、建築士の団体、ビルを管理する団体にご説明しまして、特に飲
食業などを意識して、そういったビルを管理するところに、事前に条例の説明をすること
で、新しくテナントが入る際に条例の存在をユーザー様にきちんと知っていただくアプロ
ーチをしています。業種ごとの業界団体ではなく、商工会議所や商工会、商店街など、い
わゆる地域団体ごとの説明会を実施しています。いろいろなアプローチでやらないとなか
なか周知されないだろうということもあり、このような形で行いました。
 あとは、組合に入っていない方もいらっしゃいまして、私どもも予算の制限があります
ので、すべての業界で実施はできませんでした。飲食店ですとか理容や美容など、日常的
に多くの方が頻繁に使われるところで、個別に組合に入っていない方には電話でご連絡を
しました。約1万程度ですが、相手が電話に出ないこともあり、すべてに連絡するのは困
難です。連絡したあとには資料をお送りする形で、第2種施設に入った施設については、
きめ細かい周知を行いました。以上です。

○関口氏(伊藤委員代理) 利子補給の対象になったものが2件ということですか。意外
と少ない印象がありますけれども、実態的にどのようにお考えですか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 ご相談はあります。分煙とか、喫煙所を設けることはこの
条例でできるわけです。喫煙所は、安ければ大体50万円ぐらいからできるわけです。ただ
同じ工事でも、例えば排気のダクトがないとかなりかかる。ですから、50万円から、普通
の小さいところで大体300万円とか、ぜいたくに作ればいくらでもできる。そういった範
囲になります。利子補給がすべての工事費を対象にするわけではなくて、この部分だけを
対象にすることもありまして、例えば50万円、60万円ぐらいですと、いわゆる利子補給
を受ける過程におきまして、多くの利子補給が出るわけではないので、ここで結果的に取
らないで、独自の自己資金でやっていくといったようなことかと思います。

○関口氏(伊藤委員代理) 始められて半年ぐらいですが、特例措置になっている小規模
の飲食店への影響は、自分たちで自らやるとか、何か動きがあるのですか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 特例2種施設については、我々は個別訪問で、条例の義務
のあるところを中心に回るわけですが、特例であるかどうかというのは、なかなか外側か
らではわかりません。結果的に、特例2種施設に入ることがありまして、実は、特例2種
施設についても、65%が条例で定められた禁煙又は分煙をしているという結果が出ていま
す。先ほど、条例制定前で、なかなか飲食店等でやっていないとか、今後やる予定はない
という結果が出ていましたし、条例制定過程でいろいろ議論がありましたが、ある意味で
は、そういった受動喫煙対策に関する理解は、格段に進んだのではないかと認識していま
す。

○関口氏(伊藤委員代理) 廃業した飲食店が出てきたとか、そういった影響について。
これだけではなくて、経営不振とかもあるかもわかりませんけれども。

○神奈川県庁たばこ対策課長 受動喫煙防止条例の施行によって、売り上げに影響を受け
るといった声もあるということは、報道等もありますから承知しています。一方で、売り
上げに影響がないであるとか、たばこを吸わない顧客が増えたというお話など、いろいろ
あります。具体的に、この条例のせいで倒産したとか、そういったお話が私どもにきてい
る例はありません。いろいろなパターンがあるのかと。施行状況を見ると、8割とか、か
なり進んでいますので、大きな混乱もなく施行されていると認識しています。

○内藤委員 1件だけお伺いしたいのですが、7頁を拝見しますと、神奈川県では条例の中
に罰則まで設けたという記述があります。どの程度の罰則を設けたのか教えていただけま
すか。

○神奈川県庁たばこ対策課長 たばこを吸ってはいけない区域でたばこを吸う方がいた場
合、条例上は、2万円以下の科料となっていますが、実際の徴収額は、現在2千円と定め
ています。施設については、条例上、5万円以下の科料となっていますが、現在徴収する
額は、2万円と定めています。

○内藤委員 ありがとうございました。

○分科会長 どうもありがとうございました。続きまして、先月10月19日の分科会でご
質問いただきました、受動喫煙に係る測定方法及び換気対策に係る試算、財政支援につい
て、事務局で資料を作成していますので説明をお願いします。まずは、測定方法について
説明をお願いします。

○環境改善室長 資料3には、2種類の事項を案としてご提示しています。1つは、測定方
法について。1つは、喫煙室の要件です。前回、提示した論点整理は、顧客が喫煙するた
めに、現時点ではその場所を禁煙できない場合は、換気を行って、たばこへの濃度を低減
させることが必要とする検討会の報告を紹介しました。そのような場所で行う換気の効果
を評価するために行う測定について、具体的な方法を案として示しています。基本的には、
職場における喫煙対策のためのガイドラインで示された測定方法を踏襲しています。
 いちばん上をご覧いただきますと、「喫煙区域におけるたばこ煙の時間的、空間的ばら
つきを考慮し、原則として以下の方法により測定し、平均値を求めることとする」として
います。方法としては、用いる測定機器はデジタル粉じん計。測定点は、1室について5
点以上とすることとしています。測定を行う時間帯ですが、通常の勤務状態の日に実施す
ること。測定回数ですが、ここに「6月に1回」と書きまして、アンダーラインを引いて
います。実は、ガイドラインでは「3月に1回」となっています。ここでは、専門家のご
意見を踏まえて、労働安全衛生法のほかの有害物質と同じ測定頻度を提示しています。こ
れらで測定したものの測定点の算術平均を求めて、基準値と比較する評価方法です。
 その下ですが、検討会報告書では、一般の事務所、工場においては、建物内禁煙か喫煙
室設置による空間分煙が必要とされているとなっていますが、その喫煙室の満たすべき要
件について案を示したものです。検討会報告書においては、分煙効果判定基準によるのが
適当とされていましたが、前回の議論で喫煙室内の濃度を示す必要がないのではないかと
指摘を受けまして、再度整理することにしました。
 ここに書いてある要件は2つあります。1つは、境界における風速として0.2m/s以上。
喫煙室外の濃度は、喫煙によって増加しないこととなっています。これは、分煙効果判定
基準に書かれているものをそのまま引いています。下の※に書いてあるもの以外に、分煙
効果判定基準には、喫煙室内の濃度基準として、浮遊粉じん濃度0.15mg/m3以下というの
と、一酸化炭素濃度10ppm以下がありまして、今回の案として提示しているものは、この
2つを抜いたものになっています。以上です。

○分科会長 ありがとうございました。ただいまのご説明に対してご質問等ありますか。

○明石委員 前回の喫煙室のことは私が質問させていただいたので確認ですが、この当該
要件が2つありますが、どちらかですか、それとも両方ですか。

○環境改善室長 両方です。

○明石委員 これは一般事業場の件ですね。

○環境改善室長 はい、一般の事務所、工場等において喫煙室を設置して、それ以外の場
所を禁煙にするという空間分煙において、喫煙室は漏れないことが必要ですので、その要
件を定めているというものです。

○明石委員 この2つを揃えると、下の※以下が取れるという意味なのでしょうか。

○環境改善室長 その2つが揃った結果取れるのではなくて、分煙効果判定基準において
は、いずれも満たすことという内容になっているのですが、前回、論点整理のペーパーで
書いてありましたように、喫煙室内の濃度は、実は喫煙する方だけがいらっしゃって、喫
煙するための部屋ですので、受動喫煙防止対策という観点で、喫煙専用室の濃度まで、事
業者の方に一定の濃度以下にしていただくことを定めるのは、なかなか難しいのではない
かというご意見だったと理解しています。

○計画課長 念のため確認します。空間分煙による受動喫煙防止対策の場合の受動喫煙室
の要件の話は、もちろん事務所、工場が主たるメインです。しかし、飲食店等でも全面禁
煙なり空間分煙で達成してやることがいいわけでありまして、そのときも当然、そこで言
う空間分煙の場合には、喫煙室を設けていただくことが必要だという話になります。工場
がメインですが、決して工場、事務所だけの話ではないということを確認させていただき
ます。

○分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。また、あとで戻っても結構です。

○関口氏(伊藤委員代理) 測定方法の測定機器のデジタル粉じん計はおいくらぐらいす
るのかというのと、測定したあとの数値はどうするのですか。

○環境改善室長 デジタル粉じん計ですが、メーカーのカタログで確認しますと、約20万
円です。測定した結果ですが、どこかに提出いただくことは考えていません。事業場の中
で記録していただいて、現状を確認し、それを記録していただくというふうに考えていま
す。

○名古屋委員 1点、確認させていただきたいのですが、あえて細かく決めないような測
定ですから、かなり測定基準も細かく決めていない。あえて細かく決めないで、ざっくり
と5点以上と決められている、その辺も自由裁量ということでしょうか。

○環境改善室長 実は、ガイドラインの中には非常に細かく書いてあります。それを全部
書きますと、ものすごく煩雑になりますので、考え方をこのようにして、基本的なものを
ご覧いただく意味で書いたものです。

○計画課長 若干、補足させていただきます。当然、手厚い測定をすると費用がかさむこ
とになります。一方で、対策を打つ前に実効性を確保するという意味からすると、できる
だけ容易に事業者の方に取り組んでいただくというフレームなりでやることも、ある意味
大事だと。測定方法についても、そういう意味での裁量性があるといいますか、そこは事
業者にある程度委ねる形という考え方で整理しました。もちろん、専門の業者に依頼する
手も当然可能です。
 それから、関口様からご指摘がありましたが、デジタル粉じん計が約20万円という話も
させていただきました。見様ですが、少し高いと言えば高いわけでして、これについては
仮に測定していただくことになった場合には、もちろん個々で買っていただいてもいいの
ですが、業界内、地域で共同で買っていただくこともあろろうかとも思います。なかなか
そういう機会もないという方もいらっしゃると思いますので、私どもも、デジタル粉じん
計を貸し出すサービスについて、今後考えていかなければならないかと思っています。

○瀬戸委員 時間帯のところに、通常の勤務状態の日に実施することとありますが、飲食
店等においては、顧客のいるような状況の中で、なかなか難しいかと思いますが、そうい
った時はどのように測定するのですか。

○環境改善室長 これは、事務局の案ですが、顧客がいらっしゃるような所で、なかなか
測定しにくいという場合は、もし通常の状態が再現できれば、営業していない、休憩して
いるような時間帯に別途再現して、状況を確認していただくことがあろうかと考えていま
す。

○瀬戸委員 私も専門的なことはよくわかりませんが、顧客がたくさんいるのと、少ない
のとでは違いが出てくるのですか。

○環境改善室長 喫煙される顧客が、同時に喫煙している時ですとか、たくさんいるけれ
ども一斉には吸わないという場合があれば、濃度に違いが出てくるのではないかと思いま
す。

○三浦委員 現状として、顧客がいる時を再現するというのは非常に難しいかと思います。
それが可能なのでしょうか。もう1つ聞きたいのですが、「6月に1回行う」という記録
は、どのくらい保持しなければいけないのでしょうか。アスベストであれば40年と言われ
ていますが。

○環境改善室長 測定に関しては、先ほど申しましたように、事業者の方に保存していた
だくと考えています。私どもで何年というのは、5年とか10年とか、そういう年数につい
ては考えていません。再現の方法ですが、なかなか難しいこともあろうかと思いますが、
通常の平均的なお店の状況でどのぐらい喫煙者の方がいらっしゃるとか、そういうような
状況で見ていただければと思います。

○計画課長 記録の保存年限については、いまでも作業環境測定をしなければならないよ
うな制度もありますので、それとの見合いで調べさせていますが、40年は必要ないと思い
ますので、3年なり、4年なりということがあろうかと思います。そのぐらいの期間で保管
していただければいいと思います。

○環境改善室長 ガイドラインにおいては、3年保存ということになっています。

○瀬戸委員 再現の話なのですが、いわゆる顧客のいない所で再現するのには、お店の中
で再現できる状況の人たちが、たばこを吸わない方だけだとすると、無理にたばこを吸え
と言うわけにはいきませんから、再現できないのではないでしょうか。

○計画課長 そういう意味では、基本的には、顧客の理解を得つつ、営業中に測定してい
ただくことだと思います。非常に本格的な測定であれば、機材を置くとか、大変な作業に
なります。今回、そういう意味もあって、デジタル粉じん計という非常に簡易でボタンを
押すだのもの、目立つような大きいものではありませんし、実効性を上げるという意味で、
いろいろ工夫をさせていただいているところです。
 もちろん、顧客がいるときは一切できないと言われてしまいますと、なかなか辛いので
すが、そこは事業者のほうにも工夫していただきたいと思います。いろいろな考え方の中
でやっていただくということです。環境改善室長が申しましたのは、そういうものが一切
不可能となれば、再現でもしていただかないと難しいということで申し上げました。その
辺はある意味、臨機応変に対応していただくことで、名古屋委員がおっしゃったように、
あまり厳密にやるということにはしていないという意味は、その辺の含みもありますので、
是非ご理解いただければと思います。

○瀬戸委員 粉じん計はわりと小さいものなのでしょうか。

○環境改善室長 非常にコンパクトなもので、持運びは簡単にできます。

○三浦委員 6月に一回、良好な状況が継続したら頻度を下げられると書いてありますが、
どのぐらい頻度を下げられますか。1年に1回ぐらいになるのですか。良好な継続とは何
回ぐらいのことを言うのでしょうか。

○計画課長 要するに、状況が変わっていなければ、1回測ったあと、急激に顧客が増え
たとか、あるいは空調の施設が変わったなど、状況に変化がないのであれば、基本的には
測定していただく必要はないと思います。要は、濃度が基準値を超えていないような状況
を続けていただければいいということですので、そういう意味では、1年に1度ぐらい確
認をしていただきたいと思います。

○市川委員 顧客の立場で考えて、顧客がいるときに測っても、このお店はお客様周辺の
空気環境のことを考えているお店だと思うのではないでしょうか。ですから、あまり顧客
がいるときは測定できないとかではなく、一般的に顧客の理解は得られるのではないかと
いう気がします。

○名古屋委員 粉じん計を棚に置いても測定できるわけです。脚立に置いてもできますか
ら、いちばん高いと思う時間帯に置いておいて、その中で5点を測ること自体は、それほ
ど目立って測るわけではないから問題ないと思います。

○分科会長 よろしいですか。もう少し細かい内容については、さらにご検討いただきた
いと思います。資料3についてはよろしいでしょうか。続きまして、飲食店の換気対策に
係る試算についてご説明をお願いします。

○環境改善室長 資料4は、顧客が喫煙する場所で、仮に換気設備を変更することによっ
て、対策を取ることになった場合の試算を1つのケースとして示したものです。現在の飲
食店の換気設備を増強して、検討委員会で示された換気量とするケースですが、飲食店の
換気量はさまざまだと思いますので、そういうものを示すに当たって、いちばんに、いま
どのような換気量が参考にされているか示しています。
 (1)から(3)まで3つの基準が書かれています。このようなものを参考にして設備設計さ
れていると伺っています。客席数20席の店舗を想定した場合の換気量を見ていきますと、
(1)の建築基準法は、1時間当たりの換気量は400m3。(2)の日本建築士連合会が示されてい
るものは、400m3から1020m3と幅があります。(3)の空調・衛生工学会便覧においては、
708m3から1800m3と幅があります。
 それと比べて、今般、委員会で示された基準の換気能力では、1席当たり70.3m3ですの
で、それに20席分の20をかけて計算すると、1,406m3となります。それを前提として、2
に経費の例を載せています。(1)から(3)まで示している中で、全体として比較的ゆるい基
準の1時間当たり600m3という換気量がいま換気されていると。それも換気扇に基づいて
換気されていることを前提として、それを1,406という換気量を増強するわけです。そう
しますと、その下に経費など数字がいくつか書いてありますが、左から2番目の欄をご覧
いただきますと、設備変更に係る経費例として、下に換気扇6万円+工事費とあります。
表の下に書いてありますが、工事費は、サイディング壁が設置してある場合については、
取り替える経費2~3万円と、取り替えに当たって必要な手間賃、合計5~6万円が必要と
なります。隣にあるように、設備を増強すると消費電力が変わりますので、それを1日当
たり12時間、1カ月、30日の期間運転すると、1カ月の電力料金がいちばん右側にありま
すように、278円から408円に変わります。
 いちばん下に※で書いていますが、この建物のように、換気扇による換気以外に、中央
管理方式の空調もあります。こういう場合に、換気量を上げられるほどの能力がありまし
たら、わりと簡単に上げられるわけですが、設備的な制約から換気量を変更することが非
常に難しく、多額の経費が伴うことも想定されます。こういう場合においては、検討委員
会では「浮遊粉じん濃度が基準値を超えないように喫煙を抑制することが必要となる」と
書かれていまして、例えば、喫煙席の配置を換気装置のそばにするなどの工夫もできるの
ではないかと考えています。簡単ですが、以上です。

○分科会長 ただいまの説明について、質問等お願いします。

○関口氏(伊藤委員代理) シミュレーションをお示しいただきたいというご要請をいた
しまして、出していただきありがとうございます。大都市においては、テナントで入って
いる飲食店等も非常に多い中で、必ずしもシミュレーションどおりの工事費で済むわけで
はないと思いますし、また、尚書きにありました、実現困難な場合について、「喫煙を抑
制することが必要となる」と書いてあるだけなのですが、最後の説明がよく聞き取れなか
ったのですが、この場合はどうされるのか、それも含めて教えていただけますか。

○環境改善室長 先ほどお話しましたのは、例えば喫煙室の席を換気装置のそばにすると
いうような、換気量を上げなくても、換気をしやすくする場所に席を置くという工夫で、
結果的に濃度を下げることができるということがあるのではないかというふうに申し上げ
たところです。

○関口氏(伊藤委員代理) それはケース・バイ・ケースですか。

○環境改善室長 はい。

○分科会長 ほかにございますか。続きまして、財政支援について説明をお願いします。

○環境改善室長 資料5は、財政支援ですが、2つ書いてあります。一つは「国(厚生労
働省)による財政支援」です。これも2種類ありますが、上の(助成金)については、前
回、口頭で報告したものです。これは、来年度に向けた概算要求中のものですが、飲食店、
宿泊業等で、いまの案ですと換気を行うという業態において、一歩先んじて喫煙室を設置
する事業場に対して、喫煙室設置にかかる費用の4分の1、上限200万円を助成するとい
うものです。
 その下にあるのは、(融資)でして、生活衛生貸付が(株)日本政策金融公庫において
実施されています。これは、(1)から(3)までありますが、それぞれ対象業種が同じです。
飲食業や旅館業などを対象として設備を備え付ける場合、その設備を運転する場合も含め
た貸付が行われています。(3)のところは、まさに受動喫煙防止資金です。(1)や(2)の貸付
の中に合わせて対象にすることができるようですので、(3)だけで、この資金の融資を受け
て使っているというよりは、全体のお店の改造などと合わせて受動喫煙防止対策を行って、
(1)や(2)で貸付を受けているというようなケースのほうが多いと聞いています。融資の対
象としては、換気扇等も対象になっていると聞いています。
 二つめは「地方自治体による財政支援(神奈川県の例)」です。先ほど説明された神奈
川県の例を引いており、1頁の下のところには融資が書いてございます。非常に小規模の
事業場に対する融資でございます。頁裏をご覧いただきますと、先ほどお話のありました
利子補給制度がありますので、それをご紹介申し上げています。以上です。

○分科会長 ありがとうございます。ただいまの説明について、ご質問等お願いします。

○瀬戸委員 (助成金)のところなのですが、これは一般会計からの要求なのか、それと
も特別会計からの要求なのかというのが1点です。あと、概算要求中ということなのです
が、概算要求としての要求額はいくらかをお聞きしたいのですが。

○環境改善室長 この助成金については、特別会計での要求でございます。それから、規
模は約4億円です。

○瀬戸委員 特別会計というのは、労災保険とか雇用保険などありますが。

○環境改善室長 労災保険です。

○関口氏(伊藤氏代理) 助成金については予算の関係もありますし、こういった業種に
絞られてくるというのはやむを得ないところもあるかと思います。出来るだけ、喫煙室設
置等の方向でやる分においては業種の縛りをなくして、出来るだけ多方面で使えるような
仕組みにしていただきたいと思います。
 それから融資制度等、いろいろあることは事実です。融資を受けるに当たっては、基本
的には経営の内容等を見た上での融資判断というのは当然あるわけです。2期、3期、赤字
の企業に対しては、そのとおりの融資額を実行するということはあり得ない話です。した
がって、こういった景気の状況等もあり、飲食店を含めた小規模事業者に対して、どうい
う時期から対象とするのか。神奈川の場合は除外・特例措置があったようですが、その辺
をどうするのかは、慎重な検討が必要ではないかと思います。

○分科会長 他にございますか。

○市川委員 (助成金)のいちばん上の、労働保険の特別会計の労災勘定は、この間、事
業仕分けで原則廃止と言われたところですか。

○計画課長 先日の事業仕分けにおいて、この予算についても、そこで盛り込まれており
ます社会復帰促進等事業について「原則廃止」という判定が下ったことは事実でございま
す。ただ、いま申し上げましたとおり「原則廃止」ということだけでして、具体的にどの
事業について、どうこうということまで細かく判定されたということではありません。で
すので、そこは最終的には厚生労働省、あるいは政務三役の判断の中で対応していくとい
うことになります。私ども安全衛生部としては、この助成金についてはその対象になって
いない、あるいはならないように対応していくということで考えているところであり、ご
理解いただけるのではないかと考えています。

○市川委員 この審議会と直接関わるかどうかは別として、安全衛生関係の事業のほとん
どが労災保険勘定で行われています。連合としては、「原則廃止」という結果については
非常に遺憾だという意見表明をずっとしています。この場でも意見として、こういう労政
審の議論を経ることなく、あのように決まっていくということは、連合としては非常に遺
憾だという意見を表明しておきたいと思います。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。どうもありがとうございました。
 続きまして、職場における受動喫煙防止対策の論点整理の資料について、10月19日に1
度ご議論いただいておりますが、公聴会、あるいはただいまご議論いただいた追加の資料
も踏まえて、追加のご意見があればいただきたいと思います。
 検討項目1の「基本的方向」については、既に検討会報告にあるとおり、快適職場形成
という観点ではなく、労働者の健康障害防止という観点から取り組むということでご了解
いただいています。
 検討項目2の「事業者が取組むべき受動喫煙防止対策としてはどのようなものが考えら
れるか」から審議していただきたいと思います。この点についてご意見をお願いしたいと
思います。いかがでしょうか。資料6の3頁です。
 それでは4頁、「今後のあり方」ということで、事業者が取り組むべき受動喫煙防止対
策で示された報告というものがあります。これについてご意見はありますでしょうか。

○高橋(孝)委員 2の「今後のあり方」の注をどう理解するのか。「建物や車両内全体
を常に禁煙とすること」とあるわけですが、これは注書きなので、「車両」というのはど
ういう範囲を示しているのですか。営業車ということなのか、営業車でもタクシーやバス、
トラックなどいろいろありますが、その辺をどのように理解すればいいのですか。

○環境改善室長 働く方がそこにいらっしゃる。かつ、複数いらっしゃるということにな
ります。

○高橋(孝)委員 わかりました。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか、よろしいですか。それでは、後ほど、またお気
づきの点がありましたら戻っていただくということで。

○環境改善室長 いま、車両全体をどう考えるのかというご指摘がございました。私は、
同僚との間の受動喫煙を念頭に置いて「複数」と申し上げたのですが、タクシーの場合は、
運転手、働いている方が1人と、顧客がいらっしゃるわけです。そういう点で考えると、
働いている方、運転手の方が1人いらっしゃるということも場合によっては対象として考
えられると思います。

○分科会長 それでは、事業者が取り組むべき受動喫煙防止対策については、検討会報告
の2「今後のあり方」で示された方法で進めたいと思います。
 6頁の検討項目3「顧客が喫煙する職場での換気装置の効果を評価する空気環境基準等に
ついて」です。これについてご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。先ほ
どご説明があったところですが、よろしいですか。

○豊田委員 この0.15の値についてなのですが、例えば6頁の(2)ですと、「換気装置の
効果を評価するための指標」という言葉を使っていますけれども、その前ですと「基準
値」という言葉を使ったりしています。その辺の強制力をどのように考えたらよろしいの
でしょうか。

○環境改善室長 この「濃度0.15mg/m3以下」というものについては、基準というように
考えています。

○分科会長 よろしいですか。それでは、「顧客が喫煙する職場での換気装置の効果を評
価する空気環境基準等」については、検討会報告の2「今後のあり方」で示された方法で
進めたいと思います。
 次に7頁、検討項目4でございます。「事業者に対する支援について」ご意見あります
でしょうか。

○瀬戸委員 「今後のあり方」の「情報提供も含めた技術的支援を行う」、この技術的支
援を行う者はどなたになるのでしょうか。

○環境改善室長 私ども国が、専門的な方に委託し、専門知識を持った方が事業場に対し
ていろいろな情報提供をするなど、技術的なアドバイスをするというようなことを考えて
います。

○瀬戸委員 国が専門家の方に委託して支援を行うということで、例えば技術的支援を受
けたいという申し出によって支援を行うということなのか。ある程度、国のほうで巡回的
に年間スケジュールみたいなものを決めて支援を行うという意味なのでしょうか。

○環境改善室長 現在、実はこういう枠組みについて予算要求をしています。申し出があ
ったところに対してお伺いをするとか、ご質問にお答えするということを基本的には考え
ています。

○瀬戸委員 ありがとうございます。

○豊田委員 この(財政的支援)のところの最後は、「財政的支援を行うことが望まれ
る」ということでした。しかし、(技術的支援)のところは「適当である」と書いてある
のですが、やはり語気としては財政的支援のところも「適当である」と書いて戴いた方が
よいと思います。先ほど来、予算獲得がなかなか確約できないような表現をされています
けれども、表現としては「適当である」ということで、是非とも獲得を目指して頑張って
いただきたいと思います。

○分科会長 頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。

○市川委員 文言を直すといったことではないのですが、先ほど、神奈川県のご報告の中
で、分煙アドバイザーという方たちを活用されたというようにおっしゃっていました。お
そらく工学的知識があって、お店などに教えてくれるような人ではないかと想像しました。
地方自治体だからこそできる丁寧な取組みということもあるのでしょうが、そういったよ
うな方たちもできるだけ育成するなり、配置するなりしていただけるといいのではないか
と思いました。

○分科会長 ありがとうございます。

○瀬戸委員 (技術的支援)のところなのですが、やはり専門家にお願いするとなるとそ
れなりの費用がかかりますよね。これも概算要求の中に入っているということなのですか。

○環境改善室長 いま要求中なものですから、最終的にどうなるかまだわかりませんけれ
ども、そのようなアドバイザーの方に対応していただく経費を要求しています。

○名古屋委員 作業環境測定士とか、そういう人たちは、きちんとした知識を持っている
人なので、そのようなものを作らなくても、例えば測定を委託したときにそれも合わせて
してもらうという形にすれば、あえてそのようなシステムを使うことなく、現存の人たち
の中にいっぱいそのような知識を持った人がいます。そこをうまく活用したほうが、財源
など関係なくできるのではないかと思います。

○分科会長 測定を依頼した場合は。

○名古屋委員 ほかにもいろいろな方がいらっしゃいますから、あえてそのようなものを
使わなくても、それほど難しいシステムを使わずにできると思います。

○瀬戸委員 技術的支援を申し込むときの窓口というのは、各都道府県労働局をお考えな
のでしょうか。

○環境改善室長 詳細なところはまだこれからです。アドバイスをする方については、一
応47都道府県に1人置けるような形にしたいと考えています。どこが窓口になるのかなど
についてはこれからの検討です。

○瀬戸委員 ありがとうございます。

○分科会長 それでは、事業者に対する支援については、検討会報告の2「今後のあり
方」で示されたもので進めたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の検討項目5の「国民のコンセンサスの形成等」についてです。これにつ
いてご意見がありましたらお願いします。

○市川委員 先ほどの神奈川県のお話を伺っても、説明会等をされたり、調査されたり、
下準備というか、下地づくりにも相当努力をされたようです。今回、このような国民のコ
ンセンサスを作っていくということについても、是非丁寧に、なおかつ国民の目に触れや
すい形でアピールしていただきたいと思います。先日の公聴会も新聞等に記事が載ったり
しますと、やはり職場で話題になります。そういった意味で、なるべく周知活動を早い段
階から行い、そのようなものを作り上げていくことによって、政府の目標は2020年ですけ
れども、もっと早めに下地ができてくるということもあると思いますので、是非取り組ん
でいただきたいです。国が全部実行するというのも非常に大変ではないかと思いますので、
例えば、我々労働組合は労働組合の組織を使ってやることもできますし、NPOやいろいろ
な事業団体、いろいろな仕組みがあると思います。それらに働きかけて、幅広く呼びかけ
ていくというイニシアチブを、厚生労働省として取っていただければいいかと思います。

○計画課長 いまの市川委員のご意見は、ごもっともだと思います。「国民的コンセンサ
ス形成」と言うのは簡単なのですが、大変なわけでございます。もちろん、国単独でどう
こうできる筋合のものではないだろうと思います。いま、市川委員から「労働組合も協力
する」というお申し出もいただきました。その辺についても、どういう形で継続的に進め
ていくのか、どういう事が必要かということも、私どもの中でいま検討しているところで
す。予算的な手当が必要であれば、それについても要求して獲得していきたいと考えてい
ます。いずれにしても、またご協力いただきながら進めていきたいと思っています。

○谷口委員 この(十分な周知)のところに、少し重なるかもしれません。この間の公聴
会を聞かせていただいて、改めて感じたところがありましたので申し上げます。たばこの
有害性に関する認識が、やはりちょっと違う方もいらっしゃるなと強く感じました。まず
は、しっかりした医学的根拠に基づく受動喫煙の有害性について、しっかりと国民的な共
通認識に立てるような取組みが必要であるということです。
 それから、受動喫煙で困っている労働者の相談を受けている弁護士のお話があったと思
います。大変身につまされるようなお話、なかなか表に出てこないような事例のご紹介だ
ったと思います。あのようなことが実体としてあるということについても、やはり広くお
伝えする必要があるのかなと思いました。この点について、是非強調していただいて、実
効ある対策が取れるように、取組みを推進していくべきではないかと思いました。以上で
す。

○分科会長 はい、大変大事なご指摘でした。ありがとうございました。

○高橋(信)委員 同じようなトーンの意見でございます。そもそも喫煙問題というのは、
健康教育というか、有害性なのか効用なのかを皆さんが幅広く認識するということが大事
だと思います。いま議論を聞いていますと、どうしても「専門家を作る」ということや「仕組みを作
る」という発想になりがちですが、既に雇入れ時の教育や環境教育、あるいは追加教育など、
教育の体系というのが安全衛生法の中で整理されており、多くの機会があると思います。そのようなときに是
非言及され、そういう対策の要否などについてのディスカッションをしていただくと、
新たに何か作るとか、予算を組むということにあまり力を注がなくてもよろしいのではないかと思いま
す。

○分科会長 ほかには、ご意見ございませんか。よろしいですか。それでは、「国民のコ
ンセンサスの形成等について」は検討会報告の2「今後のあり方」で示された方法で進め
たいと思います。
 以上で「職場における受動喫煙防止対策」については、議論ができたものと思います。
これらの項目については、報告書をまとめる際に、再度、ご議論いただくことにしたいと
思います。次回は、メンタルヘルス対策について、議論したいと思います。まず、論点整
理の項目一覧に上げていましたが、専門家検討会において検討していただいた関係で、議
論を後回しにしていた外部専門機関の部分について、検討会報告が取りまとまると聞いて
います。次回は検討会の報告をしていただき、議論したいと考えています。
 また、前回の分科会において、労使双方から「職場におけるメンタルヘルス対策検討
会」で提案された新たな枠組みに対して、見直しが必要との意見をいただいたところであ
ります。それらの意見を踏まえて見直した新たな枠組みについて、次回、事務局から提案
することは可能でしょうか。

○計画課長 前回、労使双方からいただきましたご意見にできるだけ応えるような形で、
工夫したものを準備させていただきたいと思います。

○分科会長 それでは、事務局においては、準備をお願いします。次回はその提案をもと
に議論したいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。

○計画課長 今日は遅くまでありがとうございました。次回の分科会ですが、11月22日
(月)、これまた休日の谷間の日ということで非常に恐縮ですが、時間は少し早く15時か
ら、専用第12会議室で実施する予定としています。是非、よろしくお願いいたします。

○分科会長 本日の分科会は、これで終了いたします。なお、議事録の署名につきまして
は、労働者代表は芳野委員、使用者代表は豊田委員にお願いします。本日はお忙しいとこ
ろをありがとうございました。これで終了します。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第47回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

ページの先頭へ戻る