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2010年12月9日 第2回医療費統計の整備に関する検討会

厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課保健統計室

○日時

平成22年12月9日13:00~15:00


○場所

経済産業省別館 共用第1014号会議室


○議事

○武田保健統計室長 
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第2回医療費統計の整備に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日は、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、開催に先立ちまして、前回、御都合により、第1回検討会を御欠席されておられました委員を御紹介させていただきます。
 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教授の岡村委員でございます。

○岡村委員
 岡村と申します。よろしくお願いいたします。

○武田保健統計室長
 それでは、以後の議事を廣松座長、よろしくお願いいたします。

○廣松座長
 どうも皆さん、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の議題は、お手元の議事次第にございますとおり、1として、国民医療費の推計方法について、2として、SHAの推計方法について、3.その他ということでございます。
 本検討会は、統計委員会でとりまとめました公的統計の整備に関する基本的な計画の指摘を受けて、国際比較向上の観点から、医療費統計の整備に関する検討を行うことを目的として設置されたものでございます。本年4月に第1回の検討会を開催し、本日が2回目ということでございます。いささか間が空いてしまったのですが、本日は、第1回の検討会で指摘のありました推計方法について御説明いただき、御討論いただければと考えております。
 それでは、まず本日の議題の1つ目、国民医療費の推計方法について、事務局の方から説明をお願いします。

○藤井統計情報調整官
 それでは、国民医療費の推計方法について御説明いたします。お手元にお配りしてございます資料1-1、1-2、1-3に基づいて御説明いたします。
 まず、国民医療費の推計方法、資料1-1でございますけれども、一番上にも書いてございますけれども、平成19年度の国民医療費の推計に当たっての推計方法ということで整理してございます。今、国民医療費最新版としましては平成20年度版が出ておりますけれども、その変更点等について、資料1-2、資料1-3で補足説明をさせていただきます。
 1ページ繰っていただきまして、まず制度区分別国民医療費でございます。
 お手元にお配りしております参考資料1「国民医療費の概況」をご覧ください。概況の4ページの表2がございますけれども、これが制度区分別国民医療費ということでお示ししてございますけれども、国民医療費の推計に関しましては、この制度区分別国民医療費というものをまず固めてしまいまして、それ以降、財源別国民医療費とか診療種類別国民医療費というものの推計を行っていくこととなっております。
 その制度区分別国民医療費につきましては、大きく分けて4つの区分に分類されます。
 1つは、公費負担医療給付分、それから医療保険等給付分、それから平成19年度までが老人保健給付分としてございますけれども、平成20年度からは後期高齢者医療制度の創設に伴いまして、後期高齢者医療給付分ということで計上しております。それから、患者負担分、これは全額自費で患者さんが負担したもの、それから法定の負担割合に基づいて負担されたものということで推計を行っております。
 公費負担医療給付分から医療保険給付、老人保健給付につきましては、それぞれの制度ごとの確定額、決算額というものを基にして積み上げを行っておりまして、最後の患者負担分につきましては、医療給付等のデータを基にしまして推計を行っている形で、この4つのカテゴリーを積み上げたものを国民医療費ということで報告させていただいております。
 その制度区分別国民医療費につきましては、今、申しましたとおり、データの積み上げということで計上しておりますけれども、その中で後から出てまいります財源別国民医療費ですとか診療種類別国民医療費というものを推計するために積み上げる際に、いろいろの按分をしているところを2ページ以降で記しております。
 まず公費負担医療給付分についてでございます。ここにつきましては、2ページから6ページまで、それぞれ区分がありますけれども、平成19年度までは18種類の公費負担医療というものがございました。
 これに加えまして、平成20年度からは、資料1-3の中段の新規利用というところがございます。新たな公的医療給付ということで、中国残留邦人等への医療支援給付、それから肝炎治療特別促進事業に伴います給付というものが追加されておりますので、平成20年度の推計に当たりましては、公費負担医療給付分というものにつきましては20種類のカテゴリーに分けて積み上げを行っております。
 具体的に資料の2ページに基づいて御説明いたします。
 まず、推計額のベースにつきましては、それぞれの各制度に基づきます支払確定額というものを積み上げております。その確定額は、例えば社会保険診療報酬支払基金などでまとめておられます基金年報を用いまして、割合を算出して入院、入院外という診療種類別の按分推計を行っております。
 1の生活保護法でございます。これは、生活保護法に基づきます医療扶助につきまして、診療報酬分を支払基金の基金年報を用いまして推計を行っております。ここで「基金年報(4-3ベース)」と記してございます。その下に「3-2ベース」というのか出てきますけれども、これは4月から3月分というものと3月から2月分というものを記す意味合いで、こういう記述になっております。
 これは、決算額につきましては、サービスを受けた3月から2月分がそれぞれデータ元に計上されておりますので、そういうものをおおむね4月-3月ベースに推計し直すという作業を行っております。これは、月報ベース、毎月報告されているものでございますと、例えば3-2ベースと言われているものにつきましては、前年の3月から今年の2月というデータになりますけれども、頭の3月分を控除しまして、新たに今年の3月分を付け加える形で、前年4月から3月分という形にデータを編集して使っているものでございます。
 生活保護法につきましては、そこに書いてございますとおり、それぞれ基金年報の数字を用いまして、入院、入院外、歯科、薬剤、食事と按分してございます。ここに記しております記述につきましては、一部言葉足らずといいますか、省略させていただいている部分もございます。これにつきましては、資料としまして今後は適正化していきたいと考えてございます。
 次、2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づきます、入院患者の医療ということにつきましては、厚生労働省の健康局で実績を把握しておりますので、それを基にしまして支払基金の基金年報を用いて、入院、入院外、歯科、薬剤、食事療養という形で按分してございます。
 3ページに参りまして、3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づきます措置入院、それから医療保護入院というものにつきまして、実績値を用いて推計を行っております。
 次に、障害者自立支援法につきましては、自立支援医療、療養介護医療、特別療養介護医療につきまして、それぞれ私どもの統計情報部の福祉行政報告例、もしくは社会援護局の方で持っております実績値というものを用いまして、推計を行ってございます。また、療養介護医療、特別介護医療という部分につきましては、障害保健福祉部の実績値というものを用いて推計を行っております。
 次に、児童福祉法につきましては、措置費と言われているもの、それから次のページになりますけれども、結核児童の療育給付、それから障害児施設医療費、小児慢性疾患医療費というものをここに計上してございます。これらにつきましては、それぞれ所管部局で持っております実績値というものを用いて推計を行ってございます。
 次、母子保健法に基づきます養育医療ということで、これにつきましては福祉行政報告例の数値を用いまして、これに基金年報のデータを用いて、入院、入院外、歯科、薬剤、食事療養、訪問看護という按分を行ってございます。
 次に、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づきます認定医療、それから一般医療というものにつきましては、健康局の方で把握しております実績値を基にしまして、社会保険診療報酬支払基金の基金年報に基づいて、それぞれの按分を行うという形で行ってございます。
 次に、戦傷病者特別援護法に基づきます療養給付、更生医療というものにつきましては、社会援護局で把握してございます実績値というものを使用してございます。
 次、麻薬及び向精神薬取締法に基づきます入院措置につきましては、実績値に基づきまして支払基金のデータを用いて按分しているということでございます。
 次に、らい予防法の廃止に関する法律に基づきます療養給付につきましては、ハンセン病国立・私立、それからハンセン病私立の医療費というものについて計上してございます。
 次、5ページに参りまして、特定疾患治療研究費につきましては、特定疾患治療研究費・スモン等施術費、それから先天性血液凝固因子障害治療研究費に基づいて積算を行ってございます。
 次に、心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づきます入院医療費、それから入院外、調剤、訪問看護費というものにつきましては、それぞれ所管部局が保有します実績値に基づいて推計を行ってございます。
 次が予防接種法でございます。予防接種法につきましては、実績値に基づいて、入院を5分の2、入院外を5分の3ということで按分を行ってございます。
 次に、毒ガス障害者医療費というものでございます。これにつきましては、医療費の実績値を国家公務員共済組合連合会からいただいておりますので、それに基づいて入院、入院外という比率で按分してございます。それから、国家公務員共済組合連合会の医療費、療養費というものについて、入院、入院外の実績値を使用してございます。
 続きまして、6ページでございます。
 水俣病総合対策医療事業につきましては、水俣病総合対策医療事業、公害医療研究事業、メチル水銀に係る健康影響調査研究事業というものの実績値に基づきまして、基金年報を基に特定疾患の割合で割り振っております。
 続きまして、茨城県神栖市における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業につきましては、環境省で保有してございます実績値に基づいて、基金年報のデータを基に特定疾患等の割合を割り振る形で推計を行ってございます。
 次、地方公共団体単独実施分につきましては、総務省で保有しておりますデータに基づいて集計を行ってございます。医療保険と老人医療の一部患者負担については、入院、入院外、歯科、薬剤、訪問看護という割合で割り振りを行ってございます。
 次に、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づきます医療費の支給及び認定等につきましては、環境再生保全機構でまとめております実績値に基づいて推計を行ってございます。給付費には、介護保険法の利用者負担相当額も含まれておりますので、これにつきましては被用者保険、国保、老人保健の患者負担額と、介護保険の利用者負担額の割合で按分しておりまして、被用者保険、国保、老人保健の患者負担額というものを対象にしてございます。
 また、平成20年度から追加した事項でございますけれども、資料1-3で先ほど御紹介しておりますけれども、中国残留邦人等への医療給付というもの、それから肝炎治療特別促進事業についても、同様に所管部局の実績値を基に推計を行っているということでございます。
 続きまして、7ページは医療保険等給付分というものになります。
 まず、1 被用者保険につきましては、各保険制度、政府管掌健康保険、組合管掌健康保険、船員保険、日雇、私立学校共済、国家公務員共済、地方共済の事業年報、それから事業報告につきまして、7種類の事業年報、報告に基づいて報告されております給付額というものを用いて算出を行っております。
 まず、組合管掌健康保険につきましては、保険局で把握されております組合管掌健康保険事業年報のデータを用いてございます。
 次に、政府管掌健康保険につきましては、社会保険庁事業年報から、組合と同様の推計方法によりまして推計を行ってございます。
 船員保険、日雇につきましても、同様の推計方法で推計を行ってございます。
 それから、地方公務員共済組合につきましては、地方公務員共済組合事業年報というものを用いまして、これらの推計方法につきましては、組合管掌健康保険と同様の方法により、按分を行ってございます。
 次に、国家公務員共済組合につきましては、そこにございますとおり、国家公務員共済組合事業統計年報というものを用いまして、組合管掌健康保険と同様の推計方法により按分を行ってございます。
 私立学校教職員共済につきましては、私学共済等制度事業統計というものを用いて、同様の推計方法により推計を行ってございます。
 次、8ページ、国民健康保険についてでございます。
 国民健康保険につきましては、費用額において、療養の給付、入院、入院外、歯科の比率で合計額を按分して、入院、入院外、歯科の各費用額というものを算出しております。
 保険者負担分につきましては、費用額から他法負担分他法優先分を控除したもので割りまして、給付率というものを出してございます。この給付率につきましては、そこの四角で囲ってございます計算方法により、算出してございます。
 (3)保険者負担分の医療費につきましては、入院、入院外、歯科、調剤、訪問看護、その他につきまして、そこにございますとおり、費用額から他法負担分他法優先を差し引いた額に給付率を掛けて算出してございます。
 (4)診療費総額におけます国保分については、(b)に掲げております高額療養費分を加えた値として推計を行ってございます。
 診療費総額におけます患者一部負担につきましては、合計の費用額から保険者負担と他法負担分を除いた値を使ってございます。
 次に、労災・その他でございます。
 まず、労働者災害補償保険法につきましては、労働者災害補償保険の保険給付の支払状況の決算額を用いております。しかしながら、これについては総額しかございませんので、医療給付受給者状況調査を用いまして、政管健保の1日当たり点数を用いて、患者調査の労災患者数を掛け合わせて入院、入院外、歯科という割合を割り振ってございます。
 ここで、医療給付受給者状況調査ということで御説明いたしましたけれども、これにつきましては資料1-3をご覧ください。平成20年度におきまして、各種データソースの変更と廃止・統合というものが行われておりまして、今、申しました医療給付費受給者状況調査報告につきましては、国民健康保険医療給付実態調査とともに、医療給付実態調査というものに統合されて、新たに利活用しております。
 これにつきましては、この説明資料の中で医療給付受給者状況調査報告といくつか出てきますけれども、これを医療給付実態調査と読み替えていただければと思います。この医療給付に基づいて割り振った額ということで、労災の分を計上してございます。
 次に、国家公務員災害補償法に基づきます補償につきましても、労働者災害補償保険法と同様、総額のみの把握しかできないということでございますので、労災と同様、医療給付実態調査を用いまして、労災患者数から入院、入院外、歯科の割合を求めて按分しているということでございます。
 次、9ページに参りまして、地方公務員災害補償法でございます。これにつきましても、労災と同様、総額しか把握できていないということで、患者調査の労災患者数から、入院、入院外、歯科という割合を求めて按分してございます。
 同様に、独立行政法人スポーツ振興センター法に基づきます災害補償についても、総額しか把握できていない状況でございますので、同様の方法により、なおかつ政管被扶養者であります5歳から19歳の損傷・中毒の入院、入院外、歯科という値を用いまして、倍率を乗じて全国値を求める形で算出してございます。
 続きまして、公害健康被害の補償等に関する法律でございます。これにつきましては、療養の給付、療養費の支給に関します集計表に基づきまして、療養と給付額を用いて算出してございます。
 次に、健康被害救済制度につきましては、医薬品医療機器総合機構が出しております医療費支給決定額を用いて算出してございます。
 それから、防衛省の職員の給与等に関する法律に基づきます医療費というものについては、基金年報の数字を用いて按分を行っております。
 続きまして、老人保健給付分につきましては、平成20年度から後期高齢者医療制度の創設によりまして、推計方法も後期高齢者医療制度に基づくものに変更してございます。
 資料1-2をご覧ください。
 平成20年度の国民医療費における推計方法の主な変更点をお示ししてございます。ここの制度区分別国民医療費の中ぐらいに記載してございますけれども、後期高齢者医療給付分ということで、後期高齢者については、老人保健制度が廃止され、20年4月から後期高齢者医療制度が創設されたことにより、データの見直しを行っているということで、老人医療事業年報というものから後期高齢者医療事業年報にデータが変更になってございます。これにつきましては、平成20年度から、このような形で利用しております。
 19年度までの老人保健給付分について御説明いたしますと、これは老人医療事業年報に基づきまして、前年度の3月分、それから今年度の3月分を用いて、前年度の3月分を控除し、今年度の3月分を加える形でデータを作成しまして推計を行っているということでございます。
 患者の一部負担金の診療費につきましては、診療種類別割合を算出しまして、高額療養費は総数のみということになりますけれども、高額療養費を按分いたしまして、一部負担金の診療費から高額療養費分を診療種類別にそれぞれ控除して利用してございます。
 費用額の診療費、入院、入院外、歯科、薬剤につきましては、これらから一部負担金の診療費、高額療養費を除いたものを算出いたしまして、同様に費用額の医療費の支給から一部負担金の医療費の支給を除いた額を算出し、2つを合算して療養の給付を算出することとしております。
 食事療養費につきましては、費用額の食事療養費から一部負担金の標準負担額を差し引きまして算出してございます。
 老人訪問看護療養費につきましては、基本利用料を除きまして訪問看護医療費を算出してございます。
 これらを足し上げたものが老人医療給付分ということで作成してございます。
 次、11ページ、患者負担分でございます。
 まず、患者負担分のうち患者一部負担ということで、診療に要した費用を窓口で患者さん本人が支払った費用についてということになってございます。生活保護、老人保健、被用者保険、国保というものに分けて推計を行っております。
 まず、公費負担医療制度に伴う患者一部負担でございます。公費負担医療は、公費優先公費負担と保険優先公費負担に分けられます。保険優先公費負担につきましては、所得に応じて費用負担が生じる場合があります。その場合には、患者一部負担額は被保険者及び被扶養者、国民健康保険の一部負担推計の際に計算してございます。
 しかしながら、生活保護法につきましては、ほとんどの世帯が医療保険未加入者であるということでございますので、上記推計方法では算出できないことになっております。したがって、生活保護法につきましては、医療扶助実態調査というものの中で本人負担率を求めまして、患者一部負担ということで推計を行っております。
 老人保健制度に伴う患者一部負担につきましても、老人医療事業年報を用いまして、4-3ベースに変更した後の診療種類別の合計金額について使用してございます。
 被用者保険制度に伴う患者一部負担につきましては、被保険者、被扶養者と国民健康保険、高齢者という形で、それぞれ計算方法に基づきまして算出してございます。
 続きまして、12ページでございます。
 入院時食事療養費に係る標準負担額というものでございます。これは、入院時食事療養費の食事回数、1食当たり標準負担額260円を乗じまして、標準負担額差額支給額というものを除いて求めてございます。
 次に、入院時生活療養費に係る標準負担額ということで、生活療養費の食事回数に食費の1食当たり標準負担額460円となっておりますけれども、これを乗じた額と給付日数に、住居費の1日当たり標準負担額が320円ということになってございます。乗じた額の合計額から、標準負担額差額支給額を除いて算出してございます。
 次に、全額自費につきましては、自動車事故によるものと自動車事故以外に分けて推計を行っております。
 まず、自動車事故以外でございます。自動車事故以外の全額自費医療費というものは、入院、入院外、傷病分類別の推計患者数を用いまして、政管健保の入院、入院外、傷病分類別1日当たり点数を用いて算出しております。
 次、13ページ、自動車事故についてでございます。これは、1年間の自動車事故による全額自費医療費というものについて算出してございます。
 以上が制度区分別の国民医療費を算出するに当たっての推計方法、計算方法でございます。
 14ページ以降、今度は按分という形になりますけれども、財源別国民医療費、診療種類別国民医療費、年齢階級・傷病分類医療費ということで、それぞれ按分、推計という形で行っておりますけれども、それぞれについて記載してございます。
 それから、国民医療費の推計に当たりまして、平成20年度から新たな切り口と申しますか、新たな推計を行っております。これは、平成19年度までは男女別推計というのは特に行われておりませんでした。これは、男女別に推計するためのデータソースが揃っていなかったというところが一番の要因でございますけれども、平成20年度から始まりました医療給付実態調査が、かなり大規模な客体数を対象としている調査でございまして、これを基に推計精度が飛躍的に向上しておりますので、それを用いて、新たに男女別の推計を開始してございます。
 これにつきましては平成20年度から行っておりまして、19年度以前については行っておりません。
 かいつまんだ説明でございますけれども、以上でございます。

○廣松座長 
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの国民医療費の推計方法に関しまして、御質問、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○前田委員
 教えていただきたいのですけれども、11ページの患者負担の生活保護のところで、国民健康保険法や健康保険法によると、生活保護になったときは一度国保なりを離脱することになっていて、生活保護は対象者になっていなかったのではないかと思うのですけれども、ほとんどが未加入者とあるのですが、例えばどういう方が残っておられるのでしょうか。法律上は、生活保護の方は一度離脱だと思います。対象ではないと思いますけれども。次回でも結構です。

○藤井統計情報調整官 
次回に御回答させていただきます。

○前田委員 
もう一点。これは前回もお願いしたかと思うのですが、全額自費という書き方をしますと、どうしても一般市民的には自費診療ととらえてしまうのですけれども、これは窓口で全額お支払いになったケースということで、いわゆる自費診療ではないと思うので、そういった注釈なり書き方の工夫をしていただければと思います。

○廣松座長 
 今の最初の点は、次回にお答えいただくといたしまして。
 他にいかがでしょうか。岩本委員。

○岩本委員 
 多方面からの意見があるので、どこから申し上げていいのか、ちょっと戸惑っているのですけれども、細かい点から先に済ませたいと思います。
 まず、推計方法についての説明に関する意見ですけれども、期間が4-3ベースと3-2ベースがあることに関しては、基本的には3-2ベースは4-3ベースに変更していくという手続を踏まえる。できないものは3-2を使っているということだと思うのですけれども、全部について、それについて書かれていないところがありそうだと思いますので、それは全体的にそういうふうにきちっと書いていただけるということで。

○藤井統計情報調整官 
 御指摘いただいた点は、平成20年度の推計方法について、今後、バージョンアップではありませんけれども、修正していきますので、その中で細かく記載していきたいと思います。

○岩本委員 
 そうなりますと、今度は3-2ベースで統計がとられていること自体の問題点といいますか、国民医療費の問題点ではなくて、一次統計の問題点ということも多分出てくると思います。期間の把握に関しては発生主義で行うという原則に立てば、サービスの提供機関が4月から3月までという係数を計上するべきであって、これは公的な会計が現金主義であっても、期間の把握に関しては逆に発生主義で行うという原則であって、そのために出納整理期間が設けられていることになっているわけですから。
 私ももとの統計を見たときに、3-2ベースとあるものは逆に使いづらいという面もあります。これは国民医療費という加工統計の側に申し上げても、場所が違うかもしれませんけれども、加工統計から一次統計の働きかけにつながっていくのかなと思います。
 それで、今日こういう形で御説明があって一覧できることによって、各一次統計の方で何が欠けているのかということが非常によくわかるということですので、そうすると、その情報が一次統計側でそもそも把握されていないのか、それとも公表されているところに出ていないだけであって、もう少し中を調べれば把握しているか、あるいは簡単に把握できるようなものである可能性もあって、その点について、国民医療費の推計を改善していくためには、一次統計側に働きかけることが必要なのかなと思います。
 端的にあらわれているのが被用者保険の自己負担だったと思いますが、法定の給付率を使って給付費から負担率を推計しているような形になっているわけですね。国保の方は、そもそも医療費と給付費がわかっているので、それを差し引くことによって患者一部負担がわかるという構造ではなかったか、それで正しいのでしょうか。というのは、国保の方は一次統計側の方に費用額と給付額がともに報告されていて、健保組合とかですと費用額はたしかわからなかったということで、こういうことになっているのかなと思うのですけれども。
 健保組合が自分のところの支払っているものに対して、給付額はわかっているけれども、費用額がわかっていないということはちょっと考えにくいと思うのですね。ですから、事業年報に載っていないので、こういう形に推計せざるを得ないということであって、ただ、その先に患者の一部負担というものが、こういう推計ではなくて、正確な数字がどうしてとれないのかなというのがちょっと疑問に思っています。
 そういったものを計算していただければありがたいし、それから公費負担のところでは総額しかわからない。中の入院、入院外に関して按分していくということを、別のところの比率を使ってやっているということなのですけれども、これもそれぞれの所管する原局の方でそこまで捕捉することができていないのか、する気がないのかというところも少々疑問には思います。
 こういうところは、後で国民医療費の方でデータとして使われることを認識していただければ、それに基づいた集計というものを原局の側でやっていただければありがたいなという気がいたしますし、そういったことの働きかけというのも必要かなという気がいたします。
 若干細かいことなのですけれども、公費負担関係で総額を按分するときに、支払基金の基金年報を使っておられるということですから、被用者保険の比率だけで按分されていることになるのですが。ここは国保もあわせて、レセが発生するものに関しても総額の比率で按分するという方法もあるわけなので、そのサブセットである被用者保険を使っておられるということで、何かそちらの方が望ましい根拠というものがあるのかなというのが、これは細かい点ですけれども、ちらっと気になる。
 たくさん申し上げましたので、とりあえずここまでにします。

○前田委員 
 関連すると思いますので、今の御指摘なのですけれども、レセプトが必ずしも全国で統一されていないので、きちんとした数字がとりづらいというのも背景にあるのではないかなと思うのですが、その辺のことがおわかりになりましたら教えていただければと思います。もう既にかなり標準化されていて、レセプトに問題がないということであればいいのですけれども、その辺も何かあったのではなかったかなと思いますので、わかれば教えてください。

○藤井統計情報調整官 
 その点につきましても確認しまして、次回お答えできるようであればということで整理させていただきたいと思います。

○廣松座長 
 今、岩本委員からいくつか御質問も含めてございましたので、次回お答えいただければと思います。
 他に。では、岡村委員、お願いします。

○岡村委員
 この国民医療費の推計について、統計のとり方だけを超えた話になるのですけれども、例えば制度区分とか財源別、診療種類別でせっかくきちんと統計が出ている。これを詳しくとることによって、今後の保険医療制度の制度設計にどう使うかという情報の高度利用みたいなことにつながっていくことになるので、その辺の連絡体制というか、せっかくこういうものを作っているので、当然執行している部局は異なってきますので、こういう結果について、深掘りしたらこうだった。こういう方向を持っていったらいいというシステムがあればいいのかなということで、そういう体制はどうなっているのかということを少し思いました。それについて何かありますでしょうか。

○藤井統計情報調整官
 医療というところでございますので、厚生労働省内でいいますと、制度所管部局は保険局になりまして、そことは連絡をとりながら、こういう資料を作っている。推計方法についても、こういうデータがあるというところも含めまして、御意見をいただきながらやっているということでございますので、アウトプットにつきましても、そちらの方で利活用いただいているということでございます。

○岡村委員 
 その総額だけも勿論大事なのですけれども、どこが財政的に危ないとか、ここが補強が必要だというのは、詳しく分析しないと出てこないところなので、是非その辺の活用はしていただけたらなと思いました。

○廣松座長 
 一般のユーザーだけではなくて、厚生労働省内の原局のところでも、この情報を有効利用していただければ、あるいはそういう体制ができればという御意見だと思いますが。他にいかがでしょうか。
 先ほどの岩本委員の御意見にも関わるかと思いますが、この推計方法、特に制度区分別の国民医療費を見ますと、統計と名前は付いてはいますが、かなりの部分が行政記録情報と呼ばれるものになっていて、それは当然、実際に政策を行っている部局の便利なようにというか、あるいは現在の法制度のもとでの制約の中で集められている情報だと思います。それを統計としてどう使うかといったことは大変難しいところがあると思います。すなわち、現場で収集されている行政記録情報が即、そのまま統計情報として使えるかというと、必ずしもそうではない部分があるようにも思います。
 それをいろいろ推計とか按分とかをして、現在、国民医療費という形で積み上げというか、作っていただいているわけです。
 今回、かなり詳細にデータソース、それから按分ないしは推計の方法に関して情報をいただきましたので、これを基に、先ほどの岩本委員の御意見のとおり、もし統計側から何か原局の方に希望というか、要望として言えることがあれば、それは是非そういう形で、単に利用だけではなくて、統計サイドの意見として言っていただくと大変いいのではないかと思います。
 それについては、必ずしもこの医療分野だけの話ではなくて、他のさまざまな分野でも、現在、行政記録情報の積極的な利活用ということが言われているわけですが、必ずしもすんなりいっているわけではなくて、皆さん大変御苦労なさっている側面もあるということは、私も聞いております。
 先ほどのお話で、今回、20年度の公表に当たっては、男女別の表が新たに加わったというか、細分化できたというのは大変いいことだと思います。恐らくユーザーとしては、もっといろいろなクロス集計が利用できれば、より使い勝手がよくなるのではないかなと思います。
 何か事務局の方でコメントがございますか。よろしいでしょうか。先ほどのお話で、これからも推計方法等に関しては、改良を加えていくというお話を伺いましたので、是非その努力を継続していただければと思います。
 この国民医療費の推計方法に関しまして、他に御意見はよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○廣松座長 
 ありがとうございました。
 それでは、とりあえず最初の議題の国民医療費の推計方法についてに関しては、これまでにさせていただきます。続きまして、SHAの推計方法に関しまして、審議協力者の医療経済研究機構の満武副部長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○満武副部長 医療経済研究機構の満武でございます。本日は、資料2を基に説明させていただきます。
 まず、1ページめくっていただきまして目次があります。
 1)総保健医療支出、国民医療費、医療保険給付の範囲などということで、前回もかいつまんで説明させていただきましたけれども、その資料を用意させていただきまして、2)でSHAの推計方法ということを説明させていただきます。
 また、SHAはOECDの基準に従って提出しているデータでございまして、この推計方法を使って、諸外国がどのようなデータ提出状況なのかということを3番目で説明させていただきます。
 そして、4番目で、それぞれ作成している諸外国のデータの精度につきまして、日本、ドイツ、韓国で比較したものがございますので、それについて説明させていただきます。
 また、SHAの現状ということで、作成しているデータはSHA1.0と呼ばれていまして、これが今年度末にSHA2.0ということで、バージョンアップされる予定で、少し内容が変わることになっております。その説明をさせていただきたいと思います。
 では、2ページの説明に入らせていただきます。
 これは前回も説明しましたけれども、2007年のSHA推計値でございまして、真ん中に国民医療費というものがありますけれども、これは先ほど御説明していただいたとおり、34兆円ある。そして、黒い丸で囲んだ部分が国民医療費の推計部分でございますけれども、これ以外のところを他のいろいろなデータソース、統計資料を利用しまして推計しているという次第でございます。
 また、例えば右上の特別室料とか、白抜きになっている部分があります。ここはデータソースがないので把握できないということで、すべてを把握しているわけではないということでございます。
 我々のSHAの推計手法では、大きな黒い点線の丸の卵形の部分を総保健医療支出と呼びまして推計している次第でございます。
 次のページをめくっていただきまして、これは前回簡単に説明させていただきましたけれども、大きく分けて3つの分類になります。このような分類の基に、我々はデータを積み上げて推計しているところでございます。
 1番が機能分類でありまして、HCと呼ばれているものでございます。そして、下の方には供給主体別、プロバイダーというものがございまして、HPというものがございます。
 4ページ目にもプロバイダーの続きが付いておりまして、4ページ目の下の財源、HFと呼ばれている区分がありまして、このHC、HP、HFというのが大きな3分類になります。
 3ページ目のHCですと、HC.1が診療サービスで、HC.1が1.1、1.2、1.3、1.4と分かれておりまして、入院、日帰り、外来、在宅診療に分かれております。
 HC.2も、リハビリテーションサービスで分かれております。
 HC.3はlong-term nursing careですので、長期医療系サービスと訳しております。
 あと、HC.4、Ancillary services、医療の補助的サービスで、これは検査や画像といったものが入っております。
 HC.5に関しましては、外来患者への医療財の提供で、HC.5.1ですと、例えば薬剤。薬剤でも、医療機関で処方される診療薬あるいはOTCと呼ばれている一般薬とHC.5.1.1に分けられますけれども、こういったものをそれぞれ推計して出している次第です。
 この他にもHC.6の予防、HC.7、HC.9といった区分がございます。
 それ以外にも、relatedのRの略なのですけれども、HC.R.といった区分もありまして、保健医療機関の資本形成や医療機関の教育及び訓練、研究開発といったものでHC.R.1、2、3、4、5、6、7とありまして、すべてrelatedのところですので、推計していない、できないところもかなりございます。
 次のHP、供給主体別に移りますと、HP.1が病院でございます。病院も一般病院はHP.1.1、HP1.2になると、精神保健及び薬物等の治療病院、HP.1.3、専門病院、HP.1.2以外という分類もございます。
 HP.2が長期医療系施設及び居住施設。
 HP.3に関しましては、外来医療になりまして、それぞれが医科、歯科、その他、分かれております。
 次のページになりますけれども、HP.4は医療品の小売、供給ということで、それぞれHP.4.1から4.9と大きく分かれております。
 HP.5は公衆衛生プログラムの提供及び管理。
 HP.6は一般保健医療管理業務と書かれておりまして、それぞれに関しまして、日本で言うと厚生労働省の管理業務や、HP.6.2は社会保障基金ですので、それぞれの保険者の管理業務のコストが分かれているということでございます。その他、民間の医療保険等もございます。このようなものがHPでございます。
 その下にいきますと、これが財源別でHF.1は一般政府。一般政府に関しましては、HF.1.1で社会保障基金を除く一般政府、HF.1.2は社会保障基金と言われているところでございます。
 また、HF.2が民間部分でございまして、民間医療保険あるいは2デジットのレベルになりますと、家計負担ということで、HF.2.3、自己負担する部分の分類もございます。
 このような分類の基にSHAを推計している。
 日本のSHA推計の主なやり方を一言で説明しますと、まずHCの分類でデータを推計しまして、それぞれの推計したデータをHP、HFに割り振るというやり方をしております。
 5ページが、それぞれのHC、HP、HFの2次元テーブルの関係をあらわしたものでございまして、HCとHPの2次元テーブル、HP、HFの2次元テーブル、HC、HFの2次元テーブルということで、OECDの方ではこの3つの2次元テーブルがベースとなる基礎的なテーブルでございまして、我々もこのようなテーブルを作りまして、これにもう一つ加わるのですけれども、これをエクセルの形でOECDの方に厚生労働省の国際課を通じて提出している次第でございます。
 ちなみに、表2でSHA tablesとありまして、下の方に5番でRCというものがありますけれども、これは計算できないので提出しておりません。日本は1番から4番を提出している次第でございます。
 6ページに行きまして、SHAの推計方法でございます。
 2000年にOECDがバージョン1、SHA1.0ということで発表しました。これはあくまでもどのような項目を入れましょうというガイドラインでございまして、それぞれ加盟国はそのガイドラインに従った推計を行う。ですので、推計方法等はそれぞれの加盟国が作っているということでございます。日本では、私の所属しております医療経済研究機構が平成12年、厚生労働科学研究費等により推計方法を開発して、以降、継続的な研究及び推計を行っております。
 そして、現在、日本のSHA推計、最新は2007年度の値でございますけれども、その値には国民医療費等の約40種類の統計資料を利用しております。その統計資料一覧が7ページ目に挙げさせていただきましたけれども、こういった資料を使っております。ただ、メインのデータソースに関しましては、この10番で挙げさせていただいた国民医療費が一番大きなデータソースです。これ以外にも、例えばOTCのものですと、18番の薬事工業生産動態統計調査等を使って推計しているという次第でございます。
 また、それぞれの40種類の統計資料からさまざまなデータ項目、合計すると約500項目になりますけれども、こういったものを基に掛け合わせて、あるところは按分して作ったものをHPに割り振るというやり方をしております。
 また、詳細なすべての推計方法に関しましては、毎年、私どもの所属する医療経済研究機構でこのような報告書を出しておりまして、こちらの後ろの方に、すべての推計方法をどういうふうにやっているかという方法論をすべて書いて公表しております。
 本日は、先ほども国民医療費の方で推計方法の詳細な説明がありましたので、国民医療費には含まれていないOTCの一般薬の費用をどのような計算をしているか。また、そのお金が、結論から申し上げて1兆円ということで、かなり大きい額ですので、その推計方法について説明させていただきたいと思います。
 6ページ目の第3パラグラフのところから、一般薬の費用について説明しております。
 一般薬の費用、OTCと呼ばれているものですけれども、これはSHAの分類でHC.5.1.2に分類されております。この費用に関しましては、先ほど説明しました資料18の薬事工業生産動態統計を使っております。ただ、これは生産額ですので、市場で果たしていくらで使われているかがわかりません。それに関しましては、マージン率を掛け合わせることで算出しております。
 具体的には、国内生産分としましては、医薬品薬効分類別用途区分別出荷・在庫金額という項目がありますので、そこから国産一般用医薬品・出荷(国内製造)・国内と、b)で国産配置用家庭薬・出荷(国内製造)・国内を国内生産分として推計しておりまして、また輸入しているものもございます。これは国産一般用医薬品・出荷(輸入品)・国内と、d)で、国産配置用家庭薬・出荷(輸入品)・国内を合計しております。これを合計しますと、a+b+c+dですけれども、約6,565億円ぐらいになるということで、これが生産額でOTCとして使われている。
 そして、マージン率に関しましては、平成19年でございますと、中小企業の原価指標の値を使っております。ただ、この値のマージン率というのは、その他の卸売業平均の値の純売上高と売上原価という値がございます。これを割ることによって係数を出します。卸売マージン率ですと1.42になる。そして、小売のマージン率も同様に計算しまして1.21になる。これを先ほど推計しました6,564億円の値にそれぞれのマージン率を掛けると、2006年はここに書きましたとおり、約1兆782億円になる。2007年度はもう少し値が大きくなりますけれども、このような推計方法をしております。
 これでHCの5.1.2が推計できる。そして、この値を今度、HPの方になりますと、医薬品の小売、財源の方ですと、民間ですべて消費している。保険は使っておりませんので、HF.2.3.1の方におさめられるということで、このように各機能分類の医療費を算出して、各機能の値を財源や供給主体別に按分係数をつくりまして按分するなどの方法を使いまして、HC、HP、HFのそれぞれの値を計算して、最終的に2次元のSHAテーブルを作成しているというやり方をしております。
 その2次元テーブルの一例を、めくっていただいて8ページ目、ページ番号が付いていなくて申しわけありません。7ページ目の次でございます。90度回転させて見ていただきますと、y軸の縦軸の方がHCの軸になっておりまして、HC.1.2からHC.5。
 次のページへ行きますと、HC.6、7、9、R.1ということで、2ページにわたってこのような形になっております。
 横軸の方でございますと、HF.1。次の横を見ていただきますと、HF.1.1。HF.1.1はまた3デジットに、このようなセントラルガバメントに分かれる。5つ飛ばしていただきますと、HF.1.2、その隣にプライベートセクターのHF.2ということで、HF.2も2デジットレベル、3デジットレベルに分けられている。
 ただ、ここでおわかりのとおり、それぞれの値、クロスするところに該当する値を推計しているということでございますけれども、これはOECDのカテゴリーがこのようになっているわけでございまして、すべてのカテゴリーに当てはまるわけではございません。ですので、諸外国も自国に当てはまるところだけ、このように値を入れて出している。
 ちなみに、先ほど説明したOTCの一般薬の部分がどこに現れているかというと、HC.5.1.2.ということで、8ページ目の下から8番目にOver-the-counter medicinesとありますけれども、このところのHF.2、2007年度の値ですけれども、1兆1,560億円ということで推計して出している。この他にも、他のHC分類は同様なやり方で、すべて値を埋めている。
 そして、このエクセルシートを3シート、ベースとなるものを作成しまして、OECDから提供されているチェックプログラム、これは縦横の数値をすべてチェックするようなプログラムがあるのですけれども、それをかけた上でOECDの方にデータを提出するといったところで、OECDのSHAデータができ上がっているということでございます。
 11ページに移らさせていただきます。
 これは諸外国のデータ提出状況でございまして、Figure1、上の方に書いてありますのは、諸外国でSHAのやり方に従って、例えば2010年ですと32か国がデータを提出しているという次第でございます。
 もう少し詳しく見てまいりますと、Table1、下の方を見ていただきますと、縦軸が国、オーストラリアから始まって下が米国まで一覧がありまして、それぞれの年度のHC、HFといった2次元テーブルをどの年度まで提出しているかということでございます。日本はちょうど真ん中でございまして、2007年度までをデータ提出している次第でございます。2008年はつい先日公表されましたので、公表値に基づいてこれから推計を行うというやり方をしております。
 また、それぞれカラーのものを白黒でプリントアウトしてしまっために、見にくいのですけれども、Archiveが薄い灰色になりまして、RevisedとNew submissionがございます。New submissionは新たに提出したということでございまして、Revisedは最初にOECDの方に値を出すのですけれども、統計の値が変更したり、推計方法がちょっと違っていたところは、過去にさかのぼってRevisedした値を再提出するという国もあるということでございます。日本の場合は確定値を使って推計しているものですから、Revisedしていないということで、今のところはこのような提出状況でございます。
 次の12ページ目を見ていただきますと、これが大変見にくくて申しわけないのですけれども、横軸がオーストラリアから始まって、一番右端は米国になりますけれども、諸外国がHC分類でどのレベルまで細かく出しているかという一覧表でございます。日本は、ちょうど真ん中ぐらいでございまして、日本とコリアがございますけれども、出せるものは出している。ただ、出せないものもございますので、そういったものはデータとしては提出していません。
 それでは、見にくい資料で申しわけなかったのですけれども、13ページ目の方に行っていただきまして、データの精度について説明させていただきます。
 先ほどOECDの方は、ガイドラインとしてHCのそれぞれの項目には何を含むべきといったことは定めておりまして、それぞれの推計方法、あるいはガイドラインに従ってどういった項目を推計するかというのは、国ごとによってばらつきがあるということが指摘されております。OECDのホームページでも、それぞれの国がどういったデータソースを使っているかということは公表しておりますけれども、全部の推計方法をOECDの方で公開しているわけではございません。
 ですので、このHC分類に含まれる項目ということで、少し古いのですけれども、2005年のHCのデータで、日本とドイツと韓国でどのような値を含めているのかといったところを、医療経済研究機構で調査したものがございましたので、この表を付けさせていただきました。日本、ドイツ、韓国の比較をさせていただきました。縦軸がHCのそれぞれのレベルで、日本、ドイツ、韓国がどのような項目を入れているかというのを一覧表にしたものでございます。これは、ドイツ、韓国のSHA担当者から直接聞いた資料を基に作成いたしております。
 まず、HC.1.1、入院診療に関しましては、3か国とも算出している。ただ、HC.1.2、日帰り診療というものがございますけれども、これは日本と韓国は日帰り診療医療費だけは個別に算出できないところがございますので、HC.1.1に含んでいる。ところが、ドイツは公的保険の開業医によるものはHC.1.2に出しているということで推計できている。HC.1.3の方は、3か国ともほぼ共通しているということでございます。
 次の14ページ目に行っていただきますと、HC.3の長期医療系サービスに関しまして、ドイツは日本、韓国と違うという結果が出ております。何が違うかと申しますと、特別養護老人ホーム等の値をすべてドイツは入れている。ただ、日本と韓国はそれを入れていないところがございます。
 また、HC.4、医療の補助的サービス、先ほどAncillary servicesと言いましたけれども、これが臨床検査及び画像検査等に分けるべきということでカテゴリーがありますけれども、これは日本、韓国、ドイツとも推計できない。これはすべてHC.1の方に含むということで、推計していないということで、算出できないカテゴリーもあるということでございます。
 HC.5に関しましては、3か国ともほぼ共通しております。
 HC.7に関しましては、推計はしておりますけれども、日本、ドイツは韓国と異なって、韓国は行政費用、保健福祉家族部という訳をしておりますけれども、日本の厚生労働省に相当している部分は推計して提出している。日本の場合は、保健医療に関する行政費用だけを算出できない。他の業務をやっているのでということで、含んでいないということでございます。
 このように各国で推計に含めている項目というのは、かなり違いがある。OECDのガイドラインに基づいて、推計できるものを推計して、全部データを足し込んでいるというのがSHAでございます。一番SHAが使われているのが、対GDP比率とかで日本の場合だと8.数%とされていますけれども、諸外国、細かく見ていくと、すべて同じ定義でやっているわけではない。出せるものを推計して出しているということを御理解いただけたらと思います。
 15ページでございますけれども、先ほど説明したとおりHC、HP、HFに関しましても、今、更新作業が進められてございます。これはOECDの事務局、加盟国がそれぞれ意見を出し合ってSHA2.0というものを作っておりますけれども、SHA2.0がどのようになっているかというところで、まだ確定ではないです。年度末に確定が出るのですけれども、現時点でどのようなものが出ているかというのを出したのが15ページ目でございます。
 左の方が、今提案されているSHA2.0のカテゴリーでございまして、右の方がSHA1.0の現在のカテゴリーでございます。
 HC.1、Curative careは1と変わりませんけれども、3つ下のHC.1.1.1ということで、新たにGeneral inpatient curative care、1.1.2のSpecialisedと分かれておりまして、このようなことを提案されています。ただ、この定義自体がまだ完全に説明されていない。またどこまで推計できるかわからないという各国の意見が出されておりまして、OECDの方に協力するというパイロットスタディーにこれから入ろうとしております。
 全部ではないのですけれども、特定の国を基に、今のSHA1.0から、現在提唱されている2.0にした場合に、どれぐらいまで推計できるのか、どれぐらいまで互換性があるのかということでパイロットスタディーに入ろうとしておりまして、日本もパイロットスタディーに参加する予定でございます。ですので、少しずつ定義もバージョンアップのたびに変わってくるというのが、SHAの推計方法でございます。
 参考までに16ページ、17ページの方で、HP分類、HF分類の方で提唱されているものを書かせていただきました。
 終わりのページが18ページでございまして、現在、医療経済研究機構では、厚生科学研究費等をもらいまして、SHA2.0の推計方法をOECDと共同して作っている次第でございます。
 最後のパラグラフでございますけれども、SHA推計に利用するデータ及びロジックは、SHAマニュアルには準拠しておりますけれども、各国が個別に定めたものでございます。その推計内容は、OECDに報告されてはおりますけれども、OECD側が各国の細部の違いを調整するということはなされておりません。また、先ほど御説明したとおり、参加国を初め、OECD加盟国の中でも、機能分類上のSHA概念に含まれているすべての項目を推計しているわけではございません。ただ、こういった総保健医療支出に関しましては、共通の枠組みで推計した包括的な値であり、定義を認識した上で比較することは意義があることだと考えております。
 以上で私の方からの説明を終わらせていただきます。

○廣松座長
 ありがとうございました。SHAの推計方法に関しまして、資料2に基づき御説明いただきました。
 御質問、御意見、どうぞ。御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○前田委員
 2ページに関して2点なのですけれども、1つ目は、医科の自由診療というのはどの図で表されているのでしょうかということ。いろいろなところへ分散している気がします。
 2点目は、医療費で大きなものとしては、選定療養は把握できない、評価療養は保険の部分については把握できるが、自己負担については把握できないという理解でよろしいでしょうか。

○満武副部長
 医科の自由診療は、2ページ目の右に特別料金(室料差額等)と書いてありますけれども、こういったものは把握できません。また、先進医療に関するところも、中医協の資料で先進医療が総額で今どれぐらいかというのが最近になって公表されておりますけれども、先進医療のところは盛り込もうと思っているのですけれども、盛り込まないところで、そういった漏れは当然ございます。

○前田委員
 先進医療のところでは、把握できている部分も一部はあるわけですよね。保険外併用療養の保険の部分は把握できるということですか。

○満武副部長
 はい。2つ目の質問がよく聞こえなかったものですから、申し訳ありません。

○前田委員
 保険外併用療養費で言うと評価療養と選定療養があるのですが、選定療養については把握できない。評価療養については、保険から給付される分については把握できるけれども、自己負担分は把握できないということでよろしいですか。

○満武副部長
 御指摘のとおりです。

○岩本委員
 同じ2ページに関連することなのですけれども、国民医療費とSHAの概念の違いの表し方なのですけれども、これは、日本の制度統計を基にした分類だと思いますけれども、もう一つの捉え方としては、次のページにあるようなSHAの機能別分類に沿って、国民医療費の方がどこまでカバーしているのかという捉え方もできるわけで、そういう基準から見たときの国民医療費のカバー範囲がわかると思います。これはどちら側に御質問していいかわからないのですけれども、そういう形での整理というのはされているのかどうか、お伺いしたいのです。

○満武副部長
 私の方から最初に説明させていただいて、もし補足があったらおっしゃっていただきたいのですけれども、5ページ目を見ていただきまして、SHAデータに関しましては、表2の1番のHC掛けるHFということで、機能別分類の財源別分類がございまして、ここを見ていただいて、特に国でカバーしている部分に関しましてはHF.1がございますので、そこのテーブルを見ていただいて集計していただくと、割合というのがある程度算出できるのではないかと考えております。

○岩本委員
 そこのテーブルの中で国民医療費に相当する部分はこれだけであって、そうでないものも入っているとか、あるいはこのセルに関しては、国民医療費そのものに対応するとか、そういう形になるのかなと想像するのですけれども、そういったことがユーザー側にもわかると、どういう形でどこに入っているのかということが明瞭になるのかなという気がしまして。
 そうすると、その後に、国民医療費というのはSHAの目から見た場合にどういう定義になっているのかというのも、またよくわかるので、あるセルに関して、部分的にカバーされているとすると、なぜ残りの部分がカバーされなくて、また別個、推計が必要なのかという問題意識といいますか、そういったことも浮かんでくる気がします。そういうものがありますと、非常に有意義な情報になるのかなと思いました。

○廣松座長
 よろしいですか。

○岩本委員
 では、別の話なのですけれども、それぞれの統計の解説があったわけですけれども、医療費に関する統計全体を大きく見ますと、もう一つ大事なのは、保険局の方で推計されています医療費に関するデータベースというものがあるのですけれども、3つの統計で現在、どういうふうに構成されているのかという大きな状況を捉えることが重要かなと思います。それは今後の整備につながると思うのですけれども、どの統計についても一番核になるのは、相当の部分がレセプトに関係する医療サービスになるわけです。
 これについては、審査支払機関でレセプトデータが捉えられていて、そこで集計しているのが保険局で集計されているいろいろなデータベースであって、そこで集計されていないことが加工統計の方でされていて、更に補足の仕方として保険者側の統計を使うというのが、今日の話だと国民医療費のベースになるということですね。
 そのベースになる統計というのは、制度区分別の国民医療費ということで、これ自体はSHAの定義の中には存在しませんけれども、一次統計を加工していく上の最初のステップということで、国際基準では抽象化されていますから、そこに上がるまでの最初のステップとして、これは必要なものだと考えられます。
 HCと診療種類別というのがある程度対応がとれていて。ただ、HCの方は非常に細かいわけですから、そちらの方が正確にわかるように、国民医療費、更に一次統計の方でも診療種類別のところを精緻化するとか、あるいは原データも精緻化するところまで進んで欲しいなと思っております。
 そうすると、いささか気になのは、レセの場合ですと、保険者から見て支払機関に払った金額と、支払機関が保険者から受け取った金額というのは一致して然るべきだと思いますけれども、違った立場から違った考え方によって集計すると、その辺りが合わなくなるということもあり得るので、そういう相互チェックということに関心を持ってやられているのかどうかというのが1点、気になります。
 また別の関連統計でいきますと、SHAというのはSNA、経済全体の加工統計のヘルスのセクターに非常に関係しているということなのですけれども、今日、OTCの推計とかありましたけれども、こういった推計というのは当然SNAの中でもやらなければいけない推計なのですけれども、SHAとSNAで推計作業に関して、あるいは推計された値について、すり合わせというか、相互チェックということはされているのかどうかということをお伺いしたいと思います。

○満武副部長
 我々の方でSHAとSNAで比較することはしておりません。毎年一度、OECDのSHAの会議がありまして、そこではSNAとの対応性が重要だということは出ているのですけれども、具体的にどうしようということは、まだございません。

○??原統計情報部長
 SHAとSNAというのは、SNAの中の支出勘定部分を保険医療というか、私が関係あるのはSNAかもしれないけれども、特化させたような感じ。例えば財源などを、一般政府と社会保障基金というのは、まさにSNAをそのまま持ってきているわけです。だから、比較的対応関係はとれているのではないかと思います。概念的には。

○岩本委員
 まず、ICHAのHCですけれども、これはSNAの概念でいくと、目的別の支出分類で、消費者のCOICOP、一般政府のCOFOGのコードと密接に対応がつくという形になっていますので、そうすると、かなり数値としては合うべき話であると。ただ、日本の場合、COICOPもCOFOGもここまで細かく数字が出ていないので、このレベルまでで突合することはできていないかと思いますけれども、現在は別途のアプローチでやられているということだと思います。
 加工統計として、それぞれの考え方の基でベストを尽くしていると思うのですけれども、それを相互チェックすることによって、お互いの推計手法に関して精度がどの程度かということもチェックできるし、それによって一次統計の問題点というのがまた浮かび上がってくる形になると思います。そういった意味で、それぞれの加工統計の相互チェックというのも、非常に生産的な意味のある作業だと考えています。それがこのHCから見たときの視点です。

○廣松座長
 ありがとうございました。
 他に。どうぞ。

○岡村委員
 それで、国際比較を考えていくと、当然、精度とかが全く違うので、同じように比べるのは無理だろうというのは最初から思ってはいるのですけれども、例えば抽出したときに、もとの出ている国別のテーブルというのは見ることができるのですか。

○満武副部長
 いえ、先ほどお示しした2次元テーブルがOECDに行きますので、それ以外は見ることは。

○岡村委員
 2次元テーブルは各国のを見ることはできるのですか。

○満武副部長
 OECDには集まっています。OECDのホームページでも公表されていますけれども、例えばHC.1とHC.2がまとまってホームページで公表されているということで、精度は少し粗い形で世界には公開されております。

○岡村委員
 見ているもので比べられるところだけ比較しておくという作業も多分しておかないと、出してしまうと国際機関がちゃんとジャッジしたものだと勝手に思われてしまいますから、とれるものでいいのですけれども、ここは比較可能ですというところだけ担保するようなことをされていった方がいいのかなと思いました。

○満武副部長
 やはり保険適用の範囲も、国際比較で、例えばPETとかMRが日本は入っていますけれども、他の国は入っていないといった違いもありますので、大変重要な御指摘だと思いますけれども、そういったことを把握した上で比較するという資料を、できたら私どもも作成していきたいと考えております。

○岩本委員
 もう一点なのですけれども、適時性という観点からいきますと、日本がOECDが集計するタイミングに対して1年遅れるということで、最新年のデータがそのときに使用できないという問題点があるのですけれども、どのソースが早まればOECDの集計のタイミングに間に合うのかということがわかりましたら教えていただきたいのですけれども。

○満武副部長
 11ページ目を見ていただきまして、2008年のプレリミナリーエステメートといった項目がございます。このレベルですと、これはHCやHFの細かい分類まで出してなくて、大体どれぐらいの推計値になっているかというところを出すという国がございます。例えば下から3番目のスイスに関しましては、2次元テーブルに関しましては日本と同様に2007年に出していて、2008年度に関してはプレリミナリーエステメートだけをやっている。このようなレベルですと、日本でも2008年度はすることができます。
 ただ、2次元テーブルになりますと、国民医療費の詳細な部分を使っておりますので、我々も国民医療費が公表されて、それから推計するということでございますので、国民医療費の公表の時期というのが一番大きなところになってきます。

○岩本委員
 そうしますと、国民医療費は総額自体はかなりの精度で1年前からわかるわけで、誤差率は1%に満たない形で推計できるので、内訳が問題になってくるという話ですか。

○満武副部長
 はい。

○岩本委員
 1つは、後でリバイズすることがあるにせよ、ある程度他の資料で補うことによって間に合わせることができればありがたいですし、現行でもプレリミナリーなものとして出せるということで、ここで出していただければ、余り詳細なデータを国際比較であちこち使うというよりは、総額のようなものを各国で並べてというのがよく使われるのですけれども、それが一番最新の形で見られることは、各方面で多分有益だと思います。
 ですので、今できる範囲として、もしプレリミナリーがすぐ出せるということであれば、それは是非とも実現していただきたいし、他の表に関しても、国民医療費を使わないで、もう少し早く出されるデータでできるということであれば、そうしていただきたい。プラスして適時性を高めるために、統計はあと何か月か早く出していただきたいという、この締め切りに間に合うといった要望も明らかにしていただければ、今後の改善のために必要だということがわかると思います。

○満武副部長
 プレリミナリーに関しましては、検討していきたいと思っております。
 締め切りが年度末、3月末にOECDの方に提出することになっておりますので、その締め切りの2か月ぐらい前に公表されると大変ありがたいという希望を持っております。

○廣松座長
 今のお話は、翌年の3月末までに前年の数値を報告するということですか。

○満武副部長
 はい。

○岩本委員
 OECDの方で世界全体について、ここまでのデッドラインを設けているということ。それが3月末に当たる。

○満武副部長
 はい。それから、チェックプログラムを通ったけれども、値の変動が大き過ぎるといった指摘もOECDからもらいまして、それに2か月ぐらいかかる。大体6月、7月ぐらいにOECDの公表の値が決まることになっております。

○岩本委員
 3月末までに提出するためには、それ以前に作業時間をとってもらって、そのデータが欲しいと。

○満武副部長
 はい。

○前田委員
 是非お願いしたいですね。今のように医療費の政策が大きく変動してしまうと、2年前、3年前となると、考えるアクションも変わってくるので、早いタイミングで出していただければ大変役立つと思います。

○満武副部長
 先ほど岩本委員が御指摘されたとおり、諸外国の、例えば台湾や韓国に関しましては、レセプトのナショナルデータベースができておりまして、半年後ぐらいにはもう推計値が出るという次第でございますので、そういうものを積極的に活用できたら、もう少し早くなると考えております。
 また、画像や検査のHCのAncillary servicesに関しましても、我々は推計していないですけれども、そういったレセプトのナショナルデータベースが使えるようになれば、また画像や検査ごとに区切ってHCの分類も細かく出せると考えておりますので、できましたらスピードも精度も向上するのではないかなと考えております。

○岩本委員
 その意味では、保険局の方で集計されているデータベースが更に細かくなれば、もっと早い段階で精度の高いデータが利用できることになりますね。

○満武副部長
 はい。

○廣松座長
 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。最初にもちょっと触れましたが、今回、この検討会が設置された直接の契機は、基本計画の中で国際比較性向上の観点から整備ということが取り上げられており、SHAの推計の方法あるいはOECDに報告する時期も大変大きな課題ですが、もう一方で、SHAの基幹統計化ということも触れられております。その点に関して、もし委員の方から御意見がございますれば、伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。それはSHAだけではなくて、国民医療費も含めての議論ですが、その点に関して何か特に御発言ございますでしょうか。

○岩本委員
 私、考えはまとまらないのですけれども、非常に重要な統計であるということで、基幹統計化というのも一つの選択肢であろうかと思います。仮に基幹統計化するとなると、現状から見て、まず問題になるのは国民医療費を基幹統計化するのか、SHAを基幹統計化するのかということになろうかと思います。比較可能性、範囲の詳細さということであれば、SHAの方が好ましいという考え方がありまして、国民医療費は、その中に包摂するということがとれれば、お互いが調和する形で、ユーザーにとっても便利ではないかと思います。
 あとは問題点は、推計されている主体が違うということで、これをどうするかといった問題でありまして、これは更に保険局のデータベースも若干関係しますし、更にSHAはSNAと密接に関係するということであれば、SNA作成部局である内閣府の方ともどういうふうに考えればいいのかという問題もありますので、これは実際作業される側のいろいろな御事情もあると思いますので、私の方からは何とも申し上げられませんけれども、一体化するか、非常に緊密な連携をとることによって重複した作業を省くなり、うまく連携するという形でまとめていくことが大事かと思います。
 基幹統計化するかどうかということに関しては、各方面に重要性を十分認識していただいて、この加工統計の地位が高まることが大事なことだと思いますので、それが満たされれば私自身はとりあえずは満足であって、基幹統計化そのものに関して、仮にされなくても、重要性が高まることが大事だと思いますし。
 それから、もし基幹統計化されるということが、1次統計側の方の整備について御協力を更に願える、力になるということであれば、それは歓迎すべきかなと考えております。

○廣松座長
 ありがとうございました。現時点では、加工統計が基幹統計として指定されているのは、SNAと産業連関表、今度、IIPが答申されますが、まだその3つだけで、国民医療費あるいはSHAをどう扱うかということに関しては、未定というか、必ずしもテーブルに乗っているわけではありません。
 ただ、少なくとも統計委員会で基本計画を作成するときにも、重要性ということに関しては、委員の皆さんも十分認識なさっています。確かに現状では、国内での国民医療費を推計するための体制、そして横の関係とでもいうべきでしょうかSNAとの関係、更に国際的な比較可能性という、いわば大きく3つ課題があって、それらをどうしていくかということを整理しないと、どれか特定の面だけを見て基幹統計にするという議論は、ちょっと拙速かなという印象を私個人も持っています。
 ただ、基本計画の中で、考え方に関してはある程度整理するようにと言われておりますので、現時点でどういうふうに考え方を整理するかということに関しては、この検討会でとりまとめを行うことになろうかと思います。

○前田委員
 レセプトが電子化されれば、大分また展望も違ってくるかなと思うのですけれども、今その過渡期と考えると、まず岩本先生がおっしゃったようにマトリックスがあって、制度区分別に給付費、国民医療費、SHAという数字がそれぞれ入ったものができるだけ確実にできるということが第一目標かなと。
 国民医療費というのは、本当に大変御苦労されて推計されておられるというのは非常によくわかったのですが、そのためにも、これも繰り返しになりますけれども、レセプトでできるだけの情報がとれると、恐らくもっとスムーズに行くであろう。そうなると、保険局とかいろいろな部署等と検討されて、将来そういう統計を目指すのだというところから遡ってレセプトデータを採取するという考え方も必要なのかなと思います。そういう意味では、レセプト電子化というのが実現するまでに、いくつかステップがあるのかなと思います。

○廣松座長
 ありがとうございました。
 他に御意見、どうぞ。

○岡村委員
 結局、基幹統計云々というのはもっと別のところで議論いただけたら、勿論いいことなのですけれども、国民医療費が今まである程度積み重ねがあると。さっき言ったように、国内の利活用を考えたときにはある程度使えるでしょう。ただ、国際比較を使うときにというと問題があるので、結局どちらを親にして、どちらを子にするかというのはあるのですけれども。
 SHAの利用を踏まえた上で国民医療費のデータ収集とか統計を作る、もしくはSHAで行くのだったら、国民医療費との連続性を担保した形で作るという、方向性もいくつかあるのですが、現在の流れから言うと、SHAの加工と国際比較を担保した上で、きちんと今の統計を利用していく方が、方向性としては現実的な気もします。
 それは、また全体の方向性で、結局国際比較と国内の利活用というものが、どういう点で両立できるかというのが一番大事な点になるのかなと思いますので、そこを含めて統計のとり方を検討していくということが非常に大事かなと思います。

○廣松座長
 ありがとうございました。
 それでは、本日予定しておりました重要な議題2つに関しまして御議論をいただきました。全体を通じて何か他に御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○廣松座長
 それでは、本日の議題に関する議論は以上にさせていただきます。
 では、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。

○武田保健統計室長
 本日は、熱心な御議論をいただきましてどうもありがとうございました。
 次回につきましてですが、まず先生方の御予定、御都合等を別途お伺いさせていただきながら、来年2月あたりにさせていただければ。そのときには、今まで2回させていただきましたので、いただいた御意見等を少し整理させていただいたものを基に、更に再構成という議論を深めていただけければと考えております。
 また改めまして御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○廣松座長
 ということです。それでは次回の日程調整等については事務局の方にお願いすることにしたいと思います。
 それから、先ほどいくつか質問が出ましたので、それらに関して、次回、お答えを是非準備していただければと思います。今の予定では、来年2月中ということでございます。ただ、前半は、大学関係者は入試とかがありますので難しいかもしれませんが。

○武田保健統計室長
 その辺も含めまして御都合をお伺いさせていただきたいと思います。

○廣松座長
 では、その辺の調整もよろしくお願いいたします。
 それでは、本日、ちょっと早目ですが、これをもちまして検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

(照会先)
 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課
 保健統計室 鈴木、藤井
 TEL03-5253-1111(内7504、7505)
 FAX03-3595-1636

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