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2011年1月11日 第72回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成23年1月11日(火) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)5階 共用第7会議室


○議題

・求職者支援制度について

○議事

○清家部会長 ただいまから第72回雇用保険部会を開催します。本日の出欠状況ですが、岩村委員、野川委員、塩野委員が欠席です。また、地下鉄の故障事故等の影響でまだ坪田委員と橋本委員が到着していませんが、いま事務局のほうに少し遅れるというご連絡が入ったようです。なお本日は資料の関係で職業能力開発局総務課の松本企画官、それから能力開発課の渡部補佐に出席いただくはずですが、こちらもあとでいらっしゃると思います。それでは、議事に移ります。今回は前回までの議論を踏まえて、私と事務局とで相談して、資料を事務局に用意していただいています。それでは事務局から資料について説明をお願いします。
○坂井派遣・有期労働対策部企画課長補佐 最初に資料の確認をさせて頂きます。資料1として、求職者支援制度について(案)、資料2として、求職者支援制度関係資料(その1)、資料3として、求職者支援制度関係資料(その2)、資料4として、参考資料となっており、今回は求職者支援制度についてのみの資料をご用意させて頂いております。
 それでは、資料の説明をします。資料1、こちらは求職者支援制度についてということで、以前からお示ししているものですが、若干、誤植の修正したことと、下線を落としたものです。それ以外については同じ資料ですので、説明は省略します。
 資料2です。こちらは財源の問題について前回、前々回と議論いただきましたが、議論全体を見渡せるような資料をという指摘をいただいたので、その参考となるような資料を事務局で準備しました。次のページです。雇用保険部会第70回・第71回ということで、前回、前々回における財源に係る主な意見になります。求職者支援制度は、かねてより社会全体で支えるという趣旨から一般財源にすべきであるという指摘をいただいており、今回こういった形で、主な意見を4つに大きく整理しています。1つ目は審議会での議論との関係、2つ目は制度の恒久化について、3つ目は財源について、4つ目は負担と受益の関係についてです。こちらについても今回の議論の参考としていただきたいと考えています。
 3ページです。求職者支援制度の財源について(案)としてまとめました。もともと雇用保険とは別のものとして求職者支援制度の議論をしていただいてきたわけですが、下の点線にあるように、制度の対象者、制度のメリットなどを見ると、雇用保険制度と関連づけて考えることができるのではないかということです。例えば求職者支援制度の対象者ですが、雇用保険の受給終了者等が6割以上となっていること、求職者支援制度のメリットとして、求職者が訓練を受講し、技能を身につける等によって、安定した就職につながり、被保険者となった後、失業しにくくなる、離職しても能力があるため再就職しやすくなる、使用者が技能の向上した人材を確保しやすくなるといったメリットがあるかと思います。こういった点を考えると先ほども申し上げたように、求職者支援制度と雇用保険制度とを関連づけて考えることができるのではないかということです。
 次のページです。現行の雇用保険の附帯事業ですが、雇用保険二事業があります。予算の規模は平成22年度予算で見ると1兆2,400億円ということで、こちらの事業については、事業主の方のみにご負担をいただき実施しております。雇用保険の附帯事業として一番上にありますが、保険事故である失業を予防し、その減少に資するもの、安定した就職を促進し、失業を減少させるものということで、前回も示したところです。すなわち、被保険者が失業しないようにすること、被保険者であった者の再就職を促進することにより雇用保険受給者を減らすものであること、被保険者であったもの及び被保険者になろうとする者の安定した就職を促進し、雇用保険被保険者を増加させるものということで、この2つの観点から被保険者、受給中かどうかに関わらず被保険者であった者、被保険者になろうとする者に関してこの事業を実施しています。
 次のページです。被保険者に関する事業、被保険者であった者に関する事業、被保険者になろうとする者に関する事業ということで、いくつか事業を分けています。1つ目の大きな箱ですが、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業などにより、被保険者の雇用の維持を図った場合に、それに要した費用を助成する雇用調整助成金の説明となります。2つ目の○ですが、雇用する労働者に対して事業主が行なう教育訓練への支援としてキャリア形成促進助成金などの事業が行われています。3つ目の四角ですが、被保険者であった者に関する事業、被保険者になろうとする者に関する事業、こちらの2つに重複するものと思われますが、被保険者であった者又は被保険者になろうとする者を被保険者として雇用する場合に助成する試行雇用奨励金がございます。4つ目の四角ですが、主に被保険者になろうとする者に関する事業として、フリーターなどの正規雇用化支援であったり、非正規労働者など能力形成機会に恵まれなかった者の能力開発の支援として例えば企業実習と座学を組み合わせた実践的な職業訓練、企業からの評価結果などのジョブ・カードへの取りまとめを通じて正社員への移行を支援するジョブ・カード制度などの事業が行われています。
 次のページです。こちらのページについては先ほど説明させて頂いた、2事業である雇用安定事業と能力開発事業を事業ごとに分けて区分けしたものです。例えば雇用調整助成金については、雇用安定事業のほうに区別されるというものです。
 7ページです。現行基金訓練受講者の属性として前回も示ししたものですが、今回もこちらにつけています。訓練申し込み時の雇用保険受給状況についてです。このデータは雇用保険に適用される者が、「6か月以上」から「31日以上雇用見込み」の者に改正された雇用保険法改正前の平成22年2月時点の調査ではありますけれども、雇用保険の受給終了者や受給資格要件を満たさなかった者については6割を超えています。雇用保険受給終了者を見ると、受給終了からの期間として、1年未満の方は68.1%、1年以上2年未満は14.5%ということで、2年までの者で8割を超えていることが分かります。
 次のページです。先日口答にて少し説明した部分ですが、フランスとドイツの制度についてまとめております。失業保険制度と失業扶助制度について書いていますが、ドイツの失業保険制度、フランスの失業保険制度について先に説明しますと、ドイツの保険料は賃金の3%程度となっており、給付期間は年齢などによって異なるものの、6~24か月程度ということになっています。フランスの保険料は、賃金の6.4%になっており、給付期間は年齢などによって異なるものの、4~36か月となっています。こういった国を見ると、失業保険制度の負担は大きいものの、給付期間は長く設定されており、例えば日本では現在の基金事業に置いて訓練を受講する者のうち雇用保険の受給終了後、訓練を受講する者の大半が、こういった国々であれば失業保険でカバーされているものに含まれているのではないかということが考えられるかと思います。また、こうした国々、ドイツ・フランスという国ですが、失業給付終了者などについては失業扶助制度が設けられています。
 9ページです。こちらも前回示した資料ですが、基金訓練によって就職された方の具体的な例を挙げてあります。受給終了者、受給資格要件を満たさなかった方、又雇用保険に適応されなかった方々が、基金訓練を受けて就職されていることがわかります。
 次のページです。基金訓練受講者からの声をいくつか載せています。上の3人の方は、基金訓練を受講されると共に訓練・生活支援給付を受給された方の声です。経理事務スタンダード科やITビジネス科などを受講されている方々ですが、安心して訓練を受講することができたなどといった声をいただいています。訓練受講者からの声として2例載せていますが、介護福祉サービス科やパソコン医療 事務・調剤事務・介護事務科の受講をされている方々です。こういった方々も訓練を受講されることによって就職につながっている、役に立ったという声をいただいています。
 11ページです。基金の残額の活用について、先日ご質問を頂きましたので、イメージをまとめています。現行基金事業については、現在実施中のため、求職者支援制度施行時にどれだけの残額が出るのか現時点で申し上げることはできませんが、仮に残額が生じた場合のイメージです。現行基金事業は、平成23年9月末までとなっており、このときまでに開始した給付については基金のお金で措置されることになっています。そのあと順次訓練が修了していくことになりますので、国庫返納できることになりますが、その後国庫返納された分を、求職者支援制度の財源として例えば補正予算で順次繰り入れ、これをそれぞれの年度の必要分に換算すれば、平成23年度の必要分については全額分、平成24年度、25年度、26年度必要分については、国庫分を半額とした場合の相当額について活用できるということです。
 次のページです。前回の議論で積立金についての意見がありましたので、こちらに雇用勘定にある積立金についてまとめました。雇用保険の積立金とはということで、雇用保険の失業等給付に当てるための保険料については単年度剰余が生じれば積立金に積み立て、不足する場合には、これを取り崩して給付に当てることとしているものとなっているところですが、この雇用保険の決算上の剰余として積み立てる積立金は全額労使折半の保険料であり、これをほかの事業に用いるものではありません。積立金残高の過去の推移を見ると、平成5年度約4兆7,500億円ありましたが、雇用情勢が非常に厳しかった平成14年度には約4,100億円と、かなり減っています。平成22年度予算で見ると、現在は約4兆2,300億円ということで、積立金には大きな変動がございます。下に特別会計に関する法律として参考となる条文を載せましたが、説明については省略します。
 13ページです。求職者支援制度の適正実施についてです。求職者支援制度は、雇用保険の財政状況などを踏まえた、適正な規模での実施が必要ではないかという趣旨で、いずれもまとめております。事務局のほうで考えられる案を2案記述しています。雇用保険の附帯事業として実施する場合です。第1案としては、当然この場合であれば求職者支援制度は雇用保険料によってまかなわれることとなりますが、これによって保険料率の引上げがあり得る場合ということで、積立金に係る弾力倍率が1倍を下まわる場合ということになりますが、そういった場合については求職者支援制度における給付などを見直してはどうかということです。
 第2案は積立金の額をモノサシとして、事業規模を管理する案です。例えば、積立金の10%に相当する額ということで750億円と例示していますが、仮に750億円を上回る場合については750億円と決めた上で、労使の負担については積立金の一定額以下とするということです。下に※をつけていますが第1案と第2案それぞれという案もありますが、当然併用も考えられるということです。
 次に14ページです。財源に関する資料として、緊急人材育成支援事業の訓練給付に要する1人あたりの費用についてまとめてあります。訓練奨励金の額によって1番2番に分けています。訓練奨励金が6万円である訓練は、括弧にありますが、職業横断的スキル習得訓練コース、新規成長・雇用吸収分野など訓練コースのうち実践演習訓練コースとなり、受講者の89.7%程度の方が訓練奨励金6万円のコースを受けています。平均訓練期間、右から2つ目ですが、こちらの訓練については約3.4か月となっており、扶養家族を有する方については61.2万円、扶養家族を有する者以外の方については、54.4万円、給付を受給しない方については20.4万円となっています。
 訓練奨励金が10万円の訓練コースを受講する方、受講者の10%程度の方ですが、この方々の平均訓練期間については約5.9か月で、費用については扶養家族を有する者は129.8万円、扶養家族を有する者以外の方には118万円、給付を受給されない方は59万円となっています。
 次のページからは参考と書いてありますが、前回、前々回の資料を添付しています。同じ資料ですので、説明については省略します。
 資料3ですが、求職者支援制度関係資料(その2)です。これまで資料1の案のように議論いただいていますが、その中で議論の方向性は出ていましたが具体的な水準について議論が集約しているかが明確でなかった給付要件の部分、そして集約していない給付期間に関して、議論の参考となる資料を用意させていただくとともに、具体的な基準について提案していますので、議論していただきたいと思っています。
 次のページです。給付要件の考え方(案)です。資料1の3ページ、(2)給付要件についてとありますが、2つ目の○、個人の収入要件として、訓練期間中に一定の収入がないことを要件とすべきである。3つ目の○、世帯の収入要件、資産要件として、世帯に一定の収入がないこと及び資産が一定の水準を越えないことを要件とすべきである。4つ目の○、訓練の出席として、訓練には全て出席することという形で書かれていますが、こういった要件とすることについては、方向性として一致していたかと思います。
 資料3に戻って、その水準についてもある程度方向性は一致していたかと思いますが、こういった形でまとめました。最初に個人の収入要件として、訓練期間中に一定の収入がないことで、基準の考え方としては雇用保険の被保険者とならない程度の働き方。括弧に書いてありますが、週20時間未満について勘案してはどうかということです。具体的な基準ですが正社員以外のパートの平均時給を基に設定ということで、支給対象の月の収入が8万円以下であるかどうかです。2つ目の世帯の収入要件として本人及び同居の親、子、配偶者に一定の収入がないことです。基準の考え方として、複数世帯の標準生計費は、300万円程度ということですが、この額を勘案すると12で割ることになりますが、支給対象の月の収入が25万円以下であることかと思います。3つ目の世帯の資産要件ですが、本人及び同居の親、子、配偶者に一定の預貯金がないことです。基準の考え方としては、複数世帯の標準生計費を勘案してはどうかと考えており、それであれば300万円程度で、具体的な基準のところは預貯金が300万円以下でどうかと考えています。
 訓練への出席ですが、訓練に全て出席すること、括弧に書いてありますが、正当な理由がある場合については欠席を認められ、出席は8割以上としています。※を下に書きましたが、預貯金以外の部分について、不動産などをどうすべきか議論がありましたが、時価による評価が難しいこと、資産としての流動性が高くないこと、預貯金以外の金融資産や不動産を有している場合は、通常、預貯金も一定程度有していると想定されることから、要件自体については設定しないことで整理してはどうかと考えています。
 資料1の4ページ(4)給付期間についてです。2つ目の○の3行目からです。いったん給付を受給すれば、一定期間経過してはじめて再度受給することができるような仕組みを設定すべきであるということで議論は集約していたかと思いますが、具体的な制度設計について資料3で示しました。資料3の受給単位期間のイメージの(参考)に、年齢区分別平均継続就業期間としてまとめています。これを見ると若い年齢層の方については、当然就業期間は短くなるわけですが、パートタイム労働者全体で見ると平均継続就業期間は6.4年、正規の職員従業員の方についても25~34歳の方でみると6.4年ということで、訓練受講後は通常働かれることが想定されていることから、この6年を一定のメルクマールとしてはどうかと考えています。実際の訓練については、受給例[2]の複数受講の場合の※にあるように、基礎的能力の習得部分のみの新訓練受講後、公共職業訓練を受講する場合に可能ということです。絵を見ていただきますと、受給開始後、少し間があいているかと思います。基礎訓練を受給終了されたあとの時点では、次の訓練を受講するかは必ずしも決定していない場合があるということがあり、訓練の初回では、こういった形でどの程度の期間訓練を受け、受給するかがわからないことがあります。こういったことを踏まえ、いちばん上の四角の受給開始時点から起算して受給できる期間に受給できない期間を足した上でワンクールとして、6年と設定してはどうかというものです。これにより、誰もが6年間に1回は訓練を受け、給付を受給する機会が保障されます。
 資料4については、基金事業の最新のデータについてまとめておりますが、こちらについては説明を省略します。事務局からの説明は以上です。
○清家部会長 ただいまの事務局からのご説明に関しまして、ご意見、ご質問等がありましたら、よろしくお願いします。
○新谷委員 前回も申し上げたところですが、財源の問題についてです。資料2でこれまでの論議を踏まえた資料を付けていただいているのですが、前回申し上げたとおり、国のセーフティネットとしてこの制度を検討してきたわけですから、この制度については、本来であれば一般会計から全額国庫の負担で制度を構築するべきであると考えています。そういった意味では、12月17日の3大臣合意は違和感を拭えないということです。
 ただ、現行、運営している基金事業を第2のセーフティネットとして求職者支援法として恒久化する法案は、今回の通常国会において、是非、法案として提出をしていただいて、その成立に全力を挙げるべきであるとは考えているところです。
 そうした意味からは、雇用保険の附帯事業として労使も財源を負担するという議論については、まず求職者支援法を恒久制度として創設するということを第一義的に考えたときに、納得はしていませんが、苦渋の選択として制度成立のためには、これはやむを得ないのではないかということです。
 雇用保険の附帯事業とすることについては、緊急避難的な受け皿としてつくることが前提になると考えており、この枠組みについてはあくまで仮の姿、当面の措置であると考えており、これが恒久的に10年経っても20年経っても雇用保険制度の中の附帯事業として存続しているという姿は、想像しにくいと思っているところです。雇用保険の附帯事業とすることについても、仮の附帯事業という範囲に限るべきと考えているところです。
 今回の求職者支援制度の恒久化の財源については、財源の部分についてはあくまでもテンポラリーな恒久化制度であるという中での論議とすべきと考えており、将来、安定財源を確保した段階では、労働保険特別会計の雇用保険制度から分離独立をした制度として一般会計で全額負担するということであるべきと考えています。
 今日は資料2でいろいろな資料を付けていただいているわけですが、当初、労使が主張してきた全額国庫で負担した事業ということでは、本来の姿がイメージできる資料が全然ありません。雇用保険の附帯事業としての資料は詳細に付けていただいているのですが、これが仮に全額国庫での事業となったときに、労働保険特別会計から切り離した全額国庫による事業として、これをどのように運営していくのかといったイメージできる資料の開示を、是非お願いしたいと思います。要望です。
○坪田委員 基本的に、いま新谷委員が言われたことに同感です。これは考え方の問題ですから、きっちり整理した上で詳細を議論すべきだと思います。きちんとした基本線だけは、はっきり示してほしいと思います。
○清家部会長 確認ですが、いま新谷委員が言われたように、仮にすべて国庫でやるという制度の場合に、どのような姿になるかを示してほしいということですね。
○坪田委員 はい。
○清家部会長 ほかにはいかがですか。ここまで労使から同じ要望が出ていますが、事務局として何かお答えになることはありますか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 前回、前々回も基本的にこの場で議論してきたのは、全額国庫で負担をする姿だというご指摘をいただいており、また今後の検討の方向としてもそういう方向を持ちつつというお話もいただいています。そういったご議論を踏まえて、いまご要望のあった資料を検討し、次回までに準備をしたいと思います。
○清家部会長 ほかに何かご意見はありますか。そうしましたら、1つは次回までに、いまご要望があった資料を少し相談して事務局にお作りいただくということです。それを前提に何か今日の資料について、ご質問やご意見がありましたら、いただきたいと思いますが。
○新谷委員 使用者側委員の発言がないようですので、私から各論について、2点申し上げたいと思っています。1つは、資料3の2頁で、従来はインターバルの期間ということでご提起があったかと思うのですが、今回は受給単位期間という説明で資料を付けていただいたわけです。
 ここで確認をしておきたいのは、このイメージで書かれてある受給単位期間というのは、これはあくまでも生活給付金のみの受給単位期間であって、これは別途、職業能力開発分科会で検討している訓練のインターバルとは違うものと考えてよろしいのか、という確認をしたいと思っています。もちろん、職業能力開発分科会で検討している内容が固まってくれば、訓練のインターバルの期間と生活給付の受給単位期間との組み合わせた絵を是非作って、混乱のないようにしていくべきではないかと思っているのが1つです。これが今回、受給単位期間という形で、給付の開始時期を起点に置いた6年間という考え方が出されているわけですが、それを受けて、先ほどもご説明のあった資料1の4頁のところが、当初、私はこれをインターバルとの言葉で説明があり、そのように思って見ていましたので、受給単位期間という形に切り変わったときに、報告書案のほうの表現が影響を受けるのか受けないのかについて、事務局でもう一度検証をしていただきたいと思っています。これが1点目です。
 もう1点は、これは前回から申し上げています点で、給付額と雇用保険の失業給付の金額との整合性の問題です。今回の報告書の案でも、給付額は3大臣合意から出された内容で10万円という金額が打ち出されていますが、雇用保険の受給資格のある場合に、雇用保険の給付額は10万円を下回るという方が、たしか10%ほどおられたと思います。これは今回、仮の姿であったとしても、雇用保険の附帯事業という形で、雇用保険との関連が非常に深い制度として恒久化されることになりますと、一方では保険制度のもとでずっと保険料の負担をされていた方がおられて、一方では生活支援給付という形でまた違う考え方で10万円支給される方がいる。そこに逆転現象が発生するということに対しては、同じ雇用保険制度の中に恒久化して組み込むということについては、違和感は否めないと思っています。
 ここの違和感を解消するということについては、掛けてきた保険を選択するのか、求職者支援制度での生活給付を選択するのかといった、少なくとも選択というものがあって然るべきではないかと思っているところです。是非、この恒久化にあたって、雇用保険制度との違和感の解消のための知恵を、事務局として、もう1つ工夫をしていただけないかと思っているところです。
○遠藤委員 資料3です。この資料の1頁に基づいていくつか質問をさせていただければと存じます。これまであるべき姿という形で議論をしてきたわけですが、その過程で現行の基金訓練との見合いをどう考えていくのかについても、いろいろ資料をお出しいただきながら検討してきた経緯があります。そういった中で現行の基金訓練における状況下を踏まえ、恒久化に向けて考えるときに、なぜその要件を変えなければいけないのか、なぜ変えることになったのかの背景について、いま一度事務局にお尋ねをしたいと思います。大きく3点あるかと思います。
 1頁をご覧いただきますと、同居という縛りになっていますが、現行の基金訓練の中では、既卒未就業者に対して仕送りが行われている状況を踏まえて、十分勘案された枠組になっているのに、恒久化にあたっては同居という縛りを設けた理由、これが1点目です。
 2点目としては、基金訓練では金融資産という要件であったにもかかわらず、預貯金という形で限定的にすれば、当然金額は変わっており、それについてここに説明はいくつか書いてありますが、預貯金に限らず金融債その他の部分についても、一定期間後であれば十分に換金できるという状況があるにもかかわらず、なぜこれを外していくのか、これが2点目です。
 3点目としては、ここに理由が書いてあることに納得しないので申し上げるのですが、居住している建物・土地以外のものを持っている場合について、なぜ要件から外すのかということです。昨年末までの議論の中で要件を課すことによって十分把握できなかったとしても、心理面での抑制効果は十分あるのではないかということであり、そういった状況下にある方に対しても現金給付を行うことの納得感が得られないのではないかということを繰返し申し上げてきた経緯があるわけです。未だにこの考え方、ここの資料にある考え方になっているということについて、その理由をお尋ね申し上げる次第です。
○清家部会長 労働側委員、使用者側委員からそれぞれ事務局にご質問が出ていますので、事務局からお答えいただけますか。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 いただきましたご質問について、順にお答えをしたいと思います。新谷委員から資料3の2頁の期間ですが、これは給付のみなのか、訓練も同じなのかというご質問でしたが、これについては給付の支給の単位期間ということで設定をしているもので、訓練については能開分科会でご議論がされているとおりと考えています。また、その前提でこれでということになった場合に、資料1の文面についてはどういう文面にするかは、再度精査をした上でご提案したいと思います。
 新谷委員のご意見の2点目の雇用保険の給付との整合性についてのご意見ですが、これについては新谷委員のご発言の中にもありましたように、失業給付の給付についてはこちらの給付とは違って、例えば世帯の年収要件や個人の年収要件など、そういったものが付いているものではないと、そもそも給付の仕組みとして違うということもあると思いますし、また今回の議論が雇用保険を受給できない人、失業給付を受け終わった方を主として念頭に置いて第2のセーフティネットとして議論をしてきた経緯からすれば、少し制度本来の趣旨とは異なる面があるのかと思っています。
 また実務面を考えましても、実際選択をしていただくことになると、現場ではどういう方にどうご説明をするかも含めて非常に混乱するのではないかというのが、事務を運営する立場としての事務局としても率直な感想です。
 遠藤委員のご質問について、3点要件の関係がありました。本人および同居の親、子、配偶者ということですが、これについては、恒久制度とするにあたって、恒久制度とするからこそ要件をどのように、どう確認ができるかをしっかり考えていかなければならないのではないかと思っています。そのような意味で、同居という限定をかけて、外形的にしっかり判断ができる範囲で、要件をしっかり見ていくことを基本として考えて、同居という要件を設定して、提案をしているものです。
 金融資産の預貯金、土地の部分ですが、これも資料の下に書いているとおり、どういう範囲にするかは、要件設定、一定の決めの部分はあると思います。こういうものをどう評価するか、わかりやすく外形的に判断できるかを考えた場合に、実務的に時価による評価が難しいということ。流動性の面でいえば、金融債は、換金できるという部分もあるかもしれませんが、全体としてみれば、流動性が高くないといったことを考えますと、自己申告をさせて心理面でのハードルを上げて、もしそういう虚偽の申告があった場合には不正受給としてきっちり措置をするという考え方もありますが、そこのバランスからいっても、ある程度の評価ができるもの、しっかり把握ができるものという範囲で事務的に運営するとして、要件の設定をしたいと考えて提案をしているものです。
 なお、具体的な基準の額としては、そういったことも考えまして、基金の要件の額とは同じでない、もう少し縛った形で提案をしているものです。
○清家部会長 いまの新谷委員、遠藤委員のご質問は、ご質問と同時にご意見ということでもありますので、いま事務局の答えは答えとして、またこれからも議論をしていくべきことかとは思っています。
 ほかに何かありますか。よろしいですか。もし特段なければ、これまでいろいろ議論してまいりましたので、今日はいくつか事務局に一段と資料の整理等についてのご要望もありましたので、特に財源の部分についての議論の素案も含めて、いま一度事務局のほうに資料をご用意いただいて、引き続き議論をするという形でよろしいですか。
 では、そのようにします。本日の議論は以上をもって終了します。本日の署名委員は、雇用主代表が遠藤委員、労働者代表が亀崎委員にお願いします。委員の皆様、今日は地下鉄の遅延等でここに到着されるのも大変困難であったかと思いますが、わざわざお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。次回の日程については、事務局において改めて各委員にご連絡をしますので、お願いします。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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