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2010年9月7日 第15回ILO懇談会議事要旨

大臣官房国際課

○日時

平成22年9月7日(火) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

(1)労働者側

中嶋 滋 (日本労働組合総連合会国際顧問)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会総合労働局長)
生澤 千裕 (日本労働組合総連合会総合国際局長)

(2)使用者側

横尾 賢一郎 (日本経済団体連合会国際協力本部長)
松井 博志 (日本経済団体連合会国際協力本部副本部長)
高澤 滝夫 (日本経済団体連合会国際協力本部主幹)

(3)政府側

村木 太郎 (厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当))
麻田 千穂子 (厚生労働省大臣官房国際課長)
藤井 康弘 (厚生労働省大臣官房国際課国際企画室長)

○議題

○報告案件
議題1 第99回ILO総会について
1)政府からの報告
2) 意見交換

○協議案件
議題2 2010年 年次報告について
1)政府からの説明
2)意見交換

○議事

議題1:第99回ILO総会について

村木大臣官房総括審議官(国際担当)からの挨拶、麻田国際課長からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第99回ILO総会の概要説明がなされた。

(HIV/エイズと仕事の世界に関する勧告について)

[使]
本総会でHIV/エイズの勧告が採択されたが、日本政府は今後この勧告実施のために何かやることを想定しているのか。特に本勧告を国内で適用していく際には、本勧告では本人の同意無しにHIV検査を一切実施することが認められていないことに注意が必要である。
 
[労]
今後、勧告を国会へ提出する必要があるが、国会報告は問題提起型にしていただきたい。具体的には、なぜ討議されるに至ったか、どのような対応を政府はしたのか、最終的にどういう形になったのか、今後どういうことが求められるのか、を示していただきたい。
本勧告の適用に関しては、アジア・アフリカ等の日系企業がどのようにHIV/エイズの問題を受け止め、勧告を実施するかが問われるであろう。また、国内的には医療関係従事者等、職業的にHIVの感染に直面する分野において、勧告で謳っている精神をどう活かすかが問われる。

[政]
本勧告の適用については、これから議論していく必要があり、国内関係省庁・部局に周知するとともに、日本国内の企業・組合にも仕事の世界におけるHIV/エイズについて国際標準ではこのような議論・問題意識があるということや勧告の意義を周知することが重要である。
国会報告の方法については、本勧告だけでなく今後採択されるあらゆる国際労働基準も念頭に置きつつ、検討する必要がある。

議題2:2010年 年次報告について

政府側より、2010年の日本政府年次報告案について資料2-1から資料2-15を用いて説明がなされた後、意見交換が行われた。

(29号条約にかかるやりとり)

[労]
「在留資格:興行」の発給が厳格化されたことに伴い、偽装結婚して入国する外国人労働者が増えている。ブローカーに多額の借金を負わされ、返済するために売春等をしている事案もある。こうした外国人労働者の保護を強化するために予算の増額、人員増をお願いしたい。送出国の取り締まりについても国際的な連携の中で強化を図っていただきたい。
[政]
偽装結婚について、日本人の配偶者の資格で在留資格をとっている者の取り消しが少しずつ増えていることから垣間見えるように、政府としても強い問題意識をもっている。特に入国管理局や警察と連携をして、この対策にしっかり取り組みたい。

(81号条約にかかるやりとり)

[労]
 監督署の整理統廃合が進められるということに対して、懸念を表明したい。また、公務員の採用削減計画が政府から出されているが、監督行政の低下とならないようにしてほしい。
女性監督官の採用比率が低い。労働人口で女性の比率が増しているが、女性の労働条件の実態をみると、男性よりも厳しいので、同性の監督官が監督行政に携わる意味は大きい。
[政]
政府としても国民の安心安全を守るという役割の労働行政は大事と思っている。定年退職者等の再任用の制度等の仕組みをフル活用して、監督行政が滞りなく行われるようにしていきたい。
女性監督官については、若い世代で女性の比率が増えている。魅力ある職場であることをアピールする広報活動をして、志望していただく方を増やすことが重要である。

(88号条約にかかるやりとり)

[労]
 現在、国と地方の出先機関改革について、地域主権戦略会議の中で論議が進められており、ハローワークを地方に移管すべしという意見がまとめられつつある。ハローワークについては、労働安定行政の中核的機関と捉えており、国がユニバーサルサービスとして全国ネットワークを維持すべきである。
 万が一、体制の見直しをするとなった際には、三者構成主義に基づいて、しっかりと方針を決めるべきと考えている。

[政]
8月末の厚生労働省内「事業仕分け」で、ハローワークの地方分権化について、全国ネットワークが大切であるということと、雇用保険給付について、全国斉一性が担保される必要があるということで、ユニバーサルネットワークは維持したい、ということを指摘した。これから政府全体の議論となっていくが、今後とも、節目節目で労政審で議論を行っていく。

(119号条約にかかるやりとり)

[労]
 ガイドラインにおいて、製造メーカーからユーザー側に、また機械の転売の際に売主から買主に、機械の残留リスク情報について表示をするとされているが、必ずしも十分に対応されていないので、法規制に格上げすべきと考えている。
 また、リスクアセスメントの実施状況が特に中小企業において非常に低調であることに懸念を表明する。

[政]
メーカー(作る側)からユーザー(使う側)への残留リスク情報の提供のあり方等について、今年7月末に報告書がまとまった。これを踏まえ、危険情報の提供のあり方について今後労政審で労使の意見をいただきたいと考えている。
中小企業の実施率が低いとご指摘のリスクアセスメントについては、団体指導を含め努力をしていきたい。

(120号条約にかかるやりとり)

[労]
 中小企業の商業・小売業において、安全衛生委員会の設置状況が低調であるということから、50人以上規模で設置という法規制を30人に引き下げて設置をすべき。
[政]
 衛生委員会の設置義務がない事業場であっても、使用者が関係労働者の意見を聴くことは労働安全衛生規則で定められている。ただ、事業場の規模が大きくなると、労働者の意見聴取が困難になるということで、衛生委員会という仕組みがある。まず、中小企業を含めて、労働者の意見をしっかりと聴取するように指導を徹底したい。

(159号条約にかかるやりとり)

[労]
 現在、内閣府の中に障がい者制度改革推進会議が設置されており、労側もこれに参加しているので、動きを着実に注視していきたい。

(162号条約にかかるやりとり)

[労]
 石綿で最近課題となっているのは、古い建物の解体現場のがれきの中に石綿が混入し、二次的な健康被害をもたらす恐れがあるということ。これについて、監視体制の強化をお願いしたい。
 安衛法改正以前の、石綿を扱っていた工場に隣接していた事業場と、出入りをしていた業者等の対策がとられていないので、適切な対応を求めていきたい。

[政]
 この問題は、厚生労働省、環境省、国土交通省の三省がきちんと連携をして、実行ある対策を打っていくか、ということが重要であると考えている。今般の問題も踏まえて、三省で連名の通知発出の準備をしている。石綿を扱っていた工場に隣接した事業場と出入りをしていた業者等の対策については、当該業務が原因で石綿関連疾患に罹患したと認められる場合には、原則として労災保険給付の対象となり、それでもカバーできない場合は、「石綿による健康被害の救済に関する法律」による救済の対象方と同様の対応となるところである。

(181号条約にかかるやりとり)

[労]
 派遣については、常用型といわれる特定派遣事業場でも派遣切り、雇止めという問題が広がっているので、全て届出制ではなく許可制にした方が良い。

[使]
 法違反に対する指導をやっていただくのは結構だが、やや行き過ぎているところがあるのではないかという懸念がある。具体的には、専門26業務に関する範囲が現場での運用レベルで、狭く解釈されるという危惧がある。その結果として、派遣先における派遣労働者の業務遂行や、職場との一体感、キャリア形成についても阻害することになりかねない状況なので、企業現場の実態を踏まえることにより、無用の混乱を生ずることがないようにすべきである。

[政]
 特定労働者派遣事業は、常用のみであり比較的雇用の安定性が高いので、入り口規制は届出制となっているが、事業を開始した後の指導監督の仕組みは届出制でも許可制でも同じ法の適用がある。
現場レベルで使用している専門26業務の疑義応答集は、現状を踏まえて整理をしており、決して解釈を変えるものではなく、派遣事業主にも資するものである。

以上


<照会先>

大臣官房国際課

国際労働機関第二係: 03(5253)1111

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