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2010年12月6日 平成22年度第2回管理濃度等検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課環境改善室

○日時

平成22年12月6日(月)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館第18会議室


○議事

○櫻井座長 時間になりましたので、ただいまから平成22年度第2回「管理濃度等検討会」を開催いたします。本日は大前委員と和田委員は欠席です。まず、配付資料の確認を事務局からお願いします。
○小西係長 配付資料一覧の資料番号2-1が前回の管理濃度等検討会の検討結果についてです。資料番号2-2が「局所排気装置等の性能要件について」、資料番号2-3が「1,4-ジクロロ-2-ブテンの作業実態について」、資料番号2-4「検討対象物質の用途一覧」、資料番号2-5「検討対象物質の測定技術に係る資料」、資料番号2-6は雑誌『作業環境』の記事からですが、「ベンゾトリクロリドの定量下限に関する検討」、資料番号2-7が「ベンゾトリクロリドのACGIHの提案理由」です。こちらは出版物ですので机上配付のみとしております。資料番号2-8が「ずい道等建設工事における質量濃度変換係数(K値)の設定について」。資料番号2-9が「ずい道等建設工事現場におけるガイドラインに示されている粉じん計のK値を新たに追加するための新規粉じん計のK値の現場調査の実施結果について」になっており、4枚ございます。最後は資料番号2-10で「中間報告書(案)」となっております。机上配付として、前回の資料を3点と松村先生からの1,4-ジクロロ-2-ブテンについての摂取量の比較を付けております。以上です。
○櫻井座長 お手元に揃っていると思いますので議事に入ります。1つ目の議題は、前回の検討結果についてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○小西係長 資料番号2-1をご覧ください。酸化プロピレンについて、ジメチルヒドラジンについて、1,4-ジクロロ-2-ブテンの性能要件についてを1、2、3と書いております。
1の酸化プロピレンについて、(1)管理濃度は2ppm。(2)測定方法については試料採取方法は固体捕集方法。分析方法はガスクロマトグラフ分析方法、試料採取の際には合成樹脂製の粒状活性炭を用いることとし、天燃ヤシがらを用いた活性炭は個体差が大きいことから使用しないとしております。(3)局所排気装置の性能要件は2ppm。
2のジメチルヒドラジンについて、(1)管理濃度は0.01ppm。(2)測定方法は試料採取方法はろ過捕集方法。分析方法は高速液体クロマトグラフ分析方法。(3)局所排気装置の性能要件は0.01ppm。
 3の1,4-ジクロロ-2-ブテンの性能要件について、今回再検討となっておりますが、現在取り扱っているのは屋外でのサンプリング作業で、ACGIHのTLVが0.005ppmと低いことから、制御風速0.5m/sでは不足ではないか。抑制濃度を設定するか、制御風速1.0m/sとすることとしてもよいのではないかという議論がございましたので、こちらに記載しております。以上です。
○櫻井座長 ただいまの前回検討結果について、何か修正すべき点等、ご意見ございますでしょうか。
○小西委員 1の(2)合成樹脂製は粒状ではなく、球状活性炭ですよね。
○櫻井座長 球状。
○小西委員 球状ですよね。
○櫻井座長 粒ではなく球ですね。
○小西委員 球状活性炭だったと思いますが。
○菅野委員 いや、前回はっきりしなかったのですが。
○櫻井座長 球状が正しいのですね。ほかに何かございますか。粒状を球状と修正することにいたします。それでは2つ目の議題は、前回に引き続き1,4-ジクロロ-2-ブテンの局排の性能要件についてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○小西係長 資料番号2-2をご覧ください。局所排気装置等の性能要件について、特化則での設定状況をいま一度確認いたしました。原則として第1類物質は制御風速、第2類物質についてはいわゆる抑制濃度を定めておりますが、第1類物質においても許容濃度等の文献があるものは抑制濃度を設定しているものもあります。第2類物質においても文献等がなく管理濃度を設定していないものは、制御風速を設定しているものもあります。ここで1,4-ジクロロ-2-ブテンを見ると、ACGIHから0.005ppmの数値が勧告されておりますので、抑制濃度の設定を検討することは可能ではないかと思われます。
 反対に制御風速については、現在の主な作業はサンプリング作業で、屋外の作業になることから、いま現在、局所排気装置等が設定されている事例はありません。このため、制御風速についてデータ等に基づいて設定することは困難ではないかと考えております。以上が2-2の資料の内容です。
 資料番号2-3は、1,4-ジクロロ-2-ブテンの作業実態について、化学物質評価室からご説明をお願いします。
○長山補佐 資料番号2-3、1,4-ジクロロ-2-ブテンの作業実態について説明いたします。前回は報告書全文を出させていただきましたが、今回はその中で実際の取扱い、実態についてわかるようにということで、抜粋して読みやすいようにまとめたものとなっております。まず1.ばく露作業報告についてです。平成20年に最初報告を求めたときは、1事業場。平成21年の詳細リスク評価時に調査した際に追加で1事業場行っておりますので、合計事業場としては2つとなっております。ばく露作業については、どちらも製造またはそれを原料とした合成ゴムの製造です。製造過程においてサンプリングをしたり、分析をしたり、フィルターの洗浄をしたりという作業が見込まれるという実態が確認されております。
 まず丸の1は2年度目の詳細リスク評価で実態を調べたものとなっています。丸の2は平成20年に行った初期リスク評価のものとなっております。大きく分けると先ほど申したとおり、サンプリング作業があって、基本的に屋外において配管からサンプリングを行う作業が1つ。2つ目として分析作業として屋内の分析室で分析する作業。そしてストレーナー(フィルター)の洗浄作業、屋外において洗浄をする作業ということで、大きく分けるとこの3つの作業が挙げられます。
 サンプリング作業は、丸の1、2ともにサンプリングの時間は大体2分から4分ということで、かなり短時間でサンプリングを行っている状況です。また頻度も丸の2のように月4回から6回程度、丸の1も週1回程度で、毎日ではなくて月に数回程度の頻度となっておりました。サンプリングの方法は、前回もあまり大きな装置で行っていないと説明しましたが、2つ事業場があり、1つについては製造のバイパスラインのサンプリングのところから三角フラスコにサンプリングするということで開放的にやっています。もう1つは専用の容器を作って受け口の所にガチャッとはめ込んで密閉的に採取できるような工夫をしている所もありました。どちらも屋外であって局排は設置されていない状況になっております。こういった少し密閉的な工夫をしてはいるのですが、実際にこのサンプリングの作業でばく露濃度を測ったところ、2次評価値を超えているということで、やはりいろいろ工夫をしても、0.005ppmというかなり低い濃度で管理することにはなかなか難しいのではないかということで、リスクの評価の検討会の中でも、この辺りはマスクで措置するようなことになっていくのではないか、装置を設置して安心するよりはマスクでしっかり措置していくべきではないか。また実態としてもマスクを着用しているので、その辺りのマスクの選び方などを法令と行政指導を併せて措置していったほうがいいのではないかというような議論が行われておりました。
 次に分析作業、前回混同してしまいましたが、丸の1でサンプリング作業と分析等を行う1労働者で0.074ppmということで調べたところ、1人の労働者がサンプリングをして、その後分析まで行って、それがトータルで0.074ppmということで、2次評価値を超えたという作業でした。ただその前の年で、サンプリングを行わず分析のみを行った方の個人ばく露を見たところ、こちらは高い値を示さず、2次評価値を超えていなかった。またサンプリング作業のスポット測定で最大0.21ppmということで、1日とおしてサンプリングのほうがやはり高い。また分析については屋内で行っておりますので、ドラフトチャンバーなどコントロールされた中で行っていることで、そこの部分についてはリスクは高いものではないのではないか。時間的にも分析も10分前後と短めなものになっているということです。結論としては、分析までは特化則の中で規定していくほどのリスクは高くないのではないかということです。
 丸の2の下に「ストレーナーの洗浄」とあり、月1回ですが、作業時間としては4、5時間ということで多少長い時間となっております。作業の内容からしても高いばく露が予想されますし、こちらは屋外でやりますので、どうしても設備面、そこに頼るというのはなかなか難しく、やはりマスクで措置していく必要があるのではないかということで、数は少ないけれども作業の内容、時間を考えるとこのストレーナーの洗浄もリスクが高いのではないかということで検討をいただいております。
 ということで今回、実態としてリスクが高いと判断されたものとしては、どちらも屋外作業、サンプリング作業やストレーナーの洗浄作業となっており、サンプリングは短時間、洗浄作業は回数は少ないけれども少し時間は長い。どちらもなかなか設備面で措置することは難しいもので、基本的にはマスクで措置していく。またマスクについてもいろいろ種類はありますが、特に低い値で設定されておりますので、そういう中では送気マスクを推奨するなどの行政指導も相俟って、措置していくことで、必要があるのではないかという結論をいただいております。
 また分析については、現在のところは測定結果、コントロールされている状況を見ると、高いリスクとまでは言えないことから、そこについては引き続き行政指導をしていく範疇として今回は特化則の中ではなく、指導していきたいと考えております。ですから実態としては、制御風速、抑制濃度などの辺りの議論を行っていただきますが、基本的には屋外作業でやっているものが対象となり、措置としても基本的にはマスクできっちりとこういうものをしてくださいと、そういう指導も併せながら措置を担保していくことを考えております。私からは以上です。
○櫻井座長 それではご意見、ご質問をどうぞ。
○松村委員 追加資料を配付させていただきましたが、屋外作業で個人的に対応する方法として、主にマスクを考えられているようですが、ばく露限界濃度が低くなってくる場合に、経皮吸収が相対的に重要性が高くなるのではないか。吸入による摂取と経皮吸収による摂取を比較したらどうなるかということで、計算をしてみました。1,4-ジクロロ-2-ブテンの経皮吸収の速度のデータがないので、トリクロロエタンの経皮吸収、分子量、塩素が付いている量が近いということで、そのデータを使ったのですが、その出典は昭和56年に鶴田さんが『医学の歩み』でレビューをしている中から数値を引用しました。データそのものは鶴田さんのデータではありません。それによると呼吸は1分間に20リットルで、気温が20℃で0.005ppmの汚染があった場合に、1分間の摂取量を1,4-ジクロロ-2-ブテンで計算すると、左側の半分が吸入による摂取量です。0.511μg/min.です。
 これが吸入によって毎分20lの呼吸をしたときの摂取量です。それに対してトリクロロエタンの経皮吸収の速度が皮膚1?p×1?pの四角の所に液体が接触したときのトリクロロエタンの吸収速度が1.05?r/㎠/hrなのです。ですからこれを/min.に直すと17.5μg/㎠/min.です。これを比べるとトリクロロエタンの皮膚からの摂取量と1,4-ジクロロ-2-ブテン0.005ppmの吸入量では少し分子量も違うのですが、経皮吸収のほうが35倍ぐらい多くなってしまうのです。1分間の1㎠の所に液体が付いただけです。もちろんガスになったものも接触はしているのですが、気体になるだけでもう250倍ぐらいに薄まる。それにppmですから10の6乗ぐらいに希釈されることを考えると、蒸気になったものに身体中で接触するとしても、それはオーダーが違うので問題ないと思います。皮膚に直接液体が接触したときの経皮吸収量が、このように低い濃度のばく露で呼吸される量よりも、はるかに多くなるという計算が出ました。そういうときに呼吸保護だけではなく、ポタッと手に液滴が付くような状況もあり得ると思いますので、手袋の材質の特定も是非、同時に配慮をしていただきたいと思います。以上です。
○櫻井座長 参考になるデータをありがとうございました。何かほかにご意見ございますか。この物質について先ほどご説明がありましたように、基本的には呼吸保護具で対応する方向が妥当だろうと思いますが、それプラス当然のことながら皮膚吸収にも最大の注意を払うことを忘れないようにしてほしいという、ただいまのご意見はそのとおりだと思います。そうではあるけれども、一応、抑制濃度を決める方向でいま議論しているのですが、その抑制濃度としては、すでにACGIHが勧告しているばく露限界値0.005ppmが使えるであろうという方向性で、いま議論が進んでいると思います。制御風速でなく抑制濃度ということですが、それについていかがでしょうか。
○菅野委員 抑制濃度は先ほどの話では、分析を屋内で行っていて、ドラフトチャンバーを使っているということですので、抑制濃度は意味があると思うのですが。
○櫻井座長 屋内でドラフトチャンバー等を使っている場合に、抑制濃度が意味があるであろうと。
○菅野委員 実際に対策が可能です。ただ屋外の場合には対策ができないと思うのですが、どういう意味を持つのでしょうか。
○櫻井座長 局排の設置を屋外ではしないということですか。
○菅野委員 現状ではしていないということですよね。
○櫻井座長 局排の性能要件は屋外では、別にそこでは何の役にも立たないということですね。
○菅野委員 はい。ですからどういう意味合いで設定するのか。
○松村委員 そういう場合、付けた上で測っているのでしょうね。どうなのですか。局排を付ける場合には。
○櫻井座長 局排を付ける場合には、この濃度未満に下げるようにという。
○名古屋委員 法体系として要するに決めたときには、局所排気装置を付ける付けないに関わらず、性能要件は付けなければいけないのではないですかということではないですか。そこのところを教えてほしいのです。付けなくてよかったら付けないほうがいい、マスクと手袋でいいけれども、たぶん性能要件、物質を特定したときには必ず付けなくてはいけないから、ではどちらを付けましょうかという議論ではないかなと思うのですが、その辺はいかがですか。
○徳田副主任 当然、局排を設置するのは、屋内作業だけです。その屋内作業でこれを取り扱う作業があって、局排を設置するときにはその性能要件はこうです、というのを定めています。
○名古屋委員 それはドラフトチャンバーに対してということですね。
○小西委員 いまの屋外ということで、過去にこの経験では、確かにサンプリングのところは頻繁で濃度が高いということなのですが、ストレーナーの洗浄については回数は少ないけれども、ベンゼンなどの場合は結構高濃度にばく露しているケースがあるのです。ですからそういう意味でいくと屋外、いまのとは少し趣旨は違うかもしれませんが、屋外というのは屋外のガイドラインとはどのような関係になるのですか。屋外のガイドラインというのがありますね。それとの対応でいくと、結局ガイドラインというのは判定に使う判断基準というのは管理濃度を使うことになっているので、もし屋外についてもガイドラインを適用するとなると、管理濃度が必要になってくるのだろうなという気がするのです。
○長山補佐 そうですね、基本的に屋外にありますので、ガイドラインの中で。また測った結果などを保護具に反映していくなど、それはこれに限らず同じような流れにはなっていくかと思います。ただかなり低い濃度なので、保護具の種類にしてもかなり限定されたものとはなるとは思います。
○櫻井座長 作業環境の測定は義務づけないけれども、管理濃度は決めておく必要はあるのではないかという小西委員のご意見ですね。
○小西委員 はい、ガイドラインの場合は、評価が管理濃度を使うことになっているのです。屋外ガイドラインの評価の詳細でいくとです。そうすると管理濃度を設定しておかないと、ガイドラインの適用ができなくなるのではないかということなのです。
○櫻井座長 それは規則ではなく、ガイドラインだからということで決めなくてもいいという意見もあるかもしれませんが、あるほうが。
○小西委員 そうですね。
○櫻井座長 当然判断の基準がないと困りますね。
○名古屋委員 たぶんリスク評価の検討会では、あくまでも詳細評価をしただけで、共通性の作業があったときには管理濃度を決めると決めています。たぶん作業場が特定されたら、そこだけをきっちりすればいいので、敢えて管理濃度を決めなくていいという委員会の合意が得られていて、要するに管理濃度は決めなくてもそこの作業は特異な作業なのでということで、こういう流れになっているのだと思います。あるのは例えば、屋外作業をするかどうかもそうですし、例えば抑制濃度を決めたときには抑制濃度の測定をしなければいけないわけです。そうすると何らかの意味での濃度は必要かなと思うのです。そのときにACGIHの値を使っていいということになれば、それを使って評価すればいいとは思うのですが。
○小西係長 屋外測定のガイドラインにおいては、別表として濃度の一覧表があり、それは中身的には管理濃度と同一の値にはなっているのですが、ガイドラインの中にも表を入れて、その値と比較することとなっていますので、管理濃度として決めるのではなく、ガイドラインの値として決めるのは可能だと思います。
○櫻井座長 そうですね、そういう考えで整理できると思います。
○名古屋委員 1つお願いがあるのは、抑制濃度を決めたときに、屋外ガイドラインでもそれを用いて評価するのか、いま決められている抑制濃度の測定方法でも用いるのかは、全然違う測定になってしまうので、今回でなく次回以降でもいいのですが、できたら抑制濃度の測定において測定点の決め方を再検討してほしいのです。あの測定方法はどこも検証してないので、いつかはやらなければいけないのだと思うのです。それをリスク評価でやるのか、ばく露でやるのかはどちらかはわかりませんが、その辺のところは検討していただければありがたいかなと思っています。そうしないと抑制濃度を決めても、ではリスク評価でやるのか、ガイドラインでいくのか、あるいは抑制濃度を決められた所のポイントで測定するのかによっては、評価は違ってきてしまうのでそこは要るのかなと。
○櫻井座長 抑制濃度の測定において、測定点をかつて決めたわけですね。それはまだ消してないわけですが、それは管理濃度より高い濃度でいいという考え方があったわけです。つまり管理濃度を測定する場所と分けて考えていたわけですが、今回管理濃度と全部等しいという方向にしている場合に、それでもなおサンプリングの場所を決めなければいけないかどうかは、また別の問題ですね。決めなくていいかもしれないわけですね。どこでもその濃度以下にすることを求めるという意味のように思われるのですが。
○名古屋委員 いま厳然として測定方法が決められていると、例えば抑制濃度ができたら、それに従って測定しなければいけない。それはたぶん実態と合っていないということだと思います。
○櫻井座長 ご指摘の問題点は、改めてよくご検討いただきたいと思います。その測定法はそもそも測定点を決める必要があるのかどうかということですね。それでは一応ご議論の流れとしては、抑制濃度を設定する。そしてその数値としてはACGIHのTLVである0.005ppmを採用するということでよろしいでしょうか。ご異存ないようですので、そのように決定させていただきます。次の議題は、「ベンゾトリクロリドの管理濃度等について」です。事務局から資料の説明をお願いします。
○小西係長 資料番号2-4、ベンゾトリクロリドについて生産量、ACGIH等の設定状況を書いております。ACGIHは天井値で0.1ppmとなっております。資料番号2-5は試料採取方法、分析方法等を書いております。試料採取方法は前々回検討の際には、直接捕集方法としておりましたが、今回固体捕集方法としております。分析方法はガスクロマトブラフ分析方法で変更はありません。資料2-5の元になった詳細な資料が資料番号2-6です。『作業環境』という雑誌の記事で、ベンゾトリクロリドの定量下限に関する検討、技術情報になっております。こちらはTenax管で捕集し、加熱脱着してガスクロマトグラフ分析を行ったところ、0.1l/minで10分間サンプリングした場合、定量下限値を0.003ppmと設定することが可能であるということが記載されております。次の資料番号2-7がACGIHの提案理由となっております。以上です。
○櫻井座長 ベンゾトリクロリドの管理濃度、前々回の検討会、平成14年度に一度検討していて、その際は精度よく測定する方法がないということで、管理濃度の設定を見合わせたと聞いております。
○名古屋委員 たぶんこのときはシーリング0.1出ていたのですが、Tenaxを使った加熱脱着の資料を小西先生のところでやってもらい、出したのですが、それは「お前の所でやっているだけだろう」と言われて「もう少し分析をきちんとしろ」と言われ、それで私と田村さんの所で学会発表をして、田村さんの所でまとめて査読のある所の技術情報を出しましたので、一応できますよ。測定ができるということになったら、ACGIHを決めているものについてやはり決めておかなければいけないというルールになっているので、今回埋め合わせしましたという経緯です。
○櫻井座長 それで私、今回この議案が出て少し気持をこれに向けて考えたときに、最初にまず気になったのは、ACGIHはシーリングで提案しているのです。0.1ppm。通常シーリングを平均濃度で我々は考えておりますので、それなら少なくとも2分の1にするだろうという点をまず考えたわけです。だから0.1ppmではなく0.05ppm。それともう1つ、提案理由をよく読むと、極めて危険な物質だなという印象が非常に強いです。いろいろたくさん動物実験が行われておりますが、そのほとんどは坂部先生グループが1970年代から1980年代にかけて行っていらっしゃるデータです。その中でもマウスで吸入ばく露で、いちばん低い濃度で1.6ppmです。週に2回30分だけばく露して、12カ月でばく露をやめて、その後12カ月または15カ月経ってから塗擦して見ているのですが、ほとんど100%発がんしている。それと皮膚に塗抹でも皮膚がんのほか、体内のいろいろな所に多発がんが観察されているのです。それで100回で1日30分で1.6ppmというのと連続、通常の1日8時間週40時間のばく露に換算してみたところ、1日30分で1.6ppmですから1日8時間だと、その16分の1になります。30分だから8時間に直すと16分の1。さらに週2回だけですから、週5日では5分の2になって、さらに1年です。2年ばく露だったらさらに2分の1。発がん物質と考えると、そういう計算が成り立つと思うのです。そうすると160分の3.2ということで、その計算では0.02ppmになります。だから0.02ppmでもほとんど100%発がんがあってというようなものなのです。動物実験のデータだけでなく、ヒトでも2つのデータがあって、やはり発がんが増えていると。ただしそれは疫学的に完全ではないので、ACGIHではまだ不十分ということで、ACGIHは判断していないですね。
○中明委員 していないですね。
○櫻井座長 していないですね。
○中明委員 そうですね、発がん性があるのではないかという。
○櫻井座長 非常に発がん性についての疑いが濃厚というか、ほとんど100%ヒトにも発がんがあると考えるべきだと思いますと、数値を出すことは非常に難しいなと。あくまで管理濃度を改めて検討するというのも一案ですが、それに拘らず1,4-ジクロロ-2-ブテン、あるいは1,3-スルトンですか、と同じように個別に現場の状況に即した徹底した予防対策を講ずるべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○中明委員 まともに読んでこなかったので申し訳ないのですが、いま座長からご指摘のあったように、すごくこれは毒性は強いですね。ここで数値をパッと出すことはどうかなと私も思います。特に何でACGIHが天井値でも0.1にしたのかというのもわからない話で、たぶんその半分というわけにもいかないと思うのです。そうすると、少なくとも先ほどの名古屋先生のあれではないけれども、平成14年度から調査して云々というようなことあって、それで8年ぐらい経っているわけです。その間にいろいろデータが出てきたのかどうか、国内でのそれこそヒトのばく露、作業者のばく露みたいなことであったのかどうかということも、まだこれはチェックしていないわけです。そこら辺のデータも集める必要があるのかなという印象を持ったのですが、いま決めるのはリスクが大きいような気がするというのは、いま資料を読ませていただいたときの感想です。
○櫻井座長 ACGIHがどうやって決めたのか最後のところを見ますと、個別にデータが明示されていなくて、アルファクロリネイティッドトルエンと似ているから、それとの類推でという。
○中明委員 いずれにしても発がんについてはHNA3のいずれもそれの可能性はあるようなニュアンスなので、そうすると、いま簡単には決められないかという印象です。
○名古屋委員 もう1つあるのは、逆にそれだけ危ないものを放っておいていいのかなということですね。ですから、8年間もずっと放っておいて疾病が出なかったからいいのかどうかわからないし、逆にこれが決まっていないから測定していないという部分もありますね。そうすると、リスクのところで考えているような形のある程度の決め方をしておいて、だから塩ビと同じでいいと思うのです。要するに現場の実態がどうかということがわかっていて、そこで決めるのも1つの方法ですという決め方をしています。いままではACGIHかどちらかをとりましょうとなっているのを、もともとの管理濃度の考え方を現場で、そういう疾病が起こっているかどうかということから行かなくてはいけないということだと思うのです。濃度もそうなのですが、何か決めてあげないといけないけれども、その決め方はいますぐでなくてもいいのだけれども、やはり何らかの方法でデータを集めて決めていただかないと、これだけ危ないものを放っておいていいのか。
○櫻井座長 それはいままで、とにかく特化則第1類ということで厳重に管理しているはずなのです。それもチェックする必要があるかもしれません。ベンゾトリクロライドだけでなくて、その近縁物質ですね。大体必ずあるのです。そういう問題はあるのですが、あえて数字を決めると、そこまではいいのだということで、むしろ高いほうへいってしまう恐れがあるという心配も持っています。だから、通常の管理濃度の考え方は第1管理区分だったら、それでいいということになってしまうのですが。
○小西委員 これは測定はしなければいけないのですよね。管理濃度はなくても。
○櫻井座長 そうなっているのですね。
○小西委員 そうですよね、測定はしなければいけないので、管理濃度はなくても、ただ、そういう面からいくと、測定の前、直接捕集、私などもベンゾトリクロリドの製造所で測定をやっていましたが、そのときは防爆の問題などあるので、直接方式ができなかったのですが、そういう意味ではノガミ先生のところと田村さんとかいろいろな所でやって、固体吸着の方法というのは、逆に言うと測定基準の中に反映させておいたほうがいいのかなという気がしますが。
○櫻井座長 測定はしているわけですね。測定義務はかかっているのですね。
○小西委員 ええ、低いところまでは測定できるわけです。
○中明委員 測定はやっているのかな。データは出てきているかな。
○小西委員 ただ工場の数がほんのわずかしかないのですね、製造している事業場はたしか私のときはもう3カ所ぐらいしかなかったと思うのです。そんなものですよね。大体我々が調査終わった後、爆発やっていますので。
○櫻井座長 そうですか、測定の義務がかかっている。そうすると、少なくとも今度決める測定方法で検出限界がありますよね。その検出限界を超えるようなばく露があったらそもそも駄目だという判断ですね。
○中明委員 だから0.003か。
○田中委員 今度はそれぐらいまでは測れるわけですからね。
○中明委員 そこら辺までならいいかなと考えるかどうか、それ以上は駄目と。
○櫻井座長 それ以下でもできるだけ押さえろという基本方針で出しておいて、事業者があと努力をするだけなのです。
○田中委員 いまはどれくらいの値が出てきているのですか、モードとしては。
○小西係長 ないです。
○田中委員 ないですか。特定のものだけでも測定していないのですか。
○小西係長 すみません。データを集めていないです。
○小西委員 直接捕集でしか、いまのところ、たぶんやっているとしても。
○田中委員 ということは0.1か何か。
○小西委員 0.5ぐらい。もし出てきたとしても、そのデータしかないのだということです。
○田中委員 それぞれのデータはもう検出の限界か、というデータばかりしかないの。
○小西委員 そうですね、要するに直接捕集でやるとそういうのぐらいだと思うのです。
○田中委員 それでデータが出てきたら、もうそれはちょっと超えすぎますよね。
○小西委員 そうですね。
○田中委員 いまの段階でみんな測定限界以下でというデータであれば、それは新しい測定方法でやらなければいけないということですね。
○中明委員 少なくとも0.003ぐらいまではいくということだから、そういう方法が一応検討されていたほうがいいと。
○小西委員 そうですね、示しておいてあげたほうがいいということですね。
○中明委員 そういう意味では出したほうがいい。
○櫻井座長 出したほうがいいですね。
○小西委員 防爆の問題もいまそういう形でもボンベも出ていますので、試案もされていますので、方法としては採用できると思います。
○櫻井座長 先ほども松村先生がご指摘のとおりの皮膚吸収の、ちょっとでもはねて皮膚にくっつくものは、非常に危ないですよね。
○小西委員 さっきのビスと同じ我々が行っていた工場も、最初は液体で取り出せば、そういう形でやっていたのを、全部配管にして、いわゆるシリンジで取り出すという形で全部飛散しないような形では改善していたのです。
○櫻井座長 徹底的にマスクで陽圧で空気が供給されるマスクが必要ですよね。そういうふうにやっていると思いますよね。
○田中委員 それはわからない。
○名古屋委員 陽圧でやると今度は爆発の問題があるから怖いですよ。我々に言わせると爆発のほうが怖いです。
○櫻井座長 いや、これは大丈夫です。塩素がこんな3つも付いているから。
○小西委員 共存物質だね。中間で出てくるんですよ。
○名古屋委員 だから、我々が例えば標準ガスを使うときはやはり怖くて作れないので、ボンベで買いますものね、そうしないとやはり爆発が怖いです。
○小西委員 これは液体で使うと蒸留しないと分析できないですよね。自分のところで1回蒸留して標準にしないとできないです。
○松村委員 分析とか試薬で扱うとか、そっちの作業の方が危ないです。
○櫻井座長 まあ、そういう状況ですので。
○中明委員 そういう意味では、やはりある程度数値は決めておくというか、ある程度決めておかないと、ちょっとまずいのかなという気がしますから、そういう意味で定量下限値ぐらいまでは、ここ当面座長がおっしゃったように、少しそれより低くするように考えておけということでいくしかないのかなと。
○名古屋委員 先ほど先生が言われた0.02ではやはり駄目なのですか。まだちょっと先生が計算されたあれだと。
○櫻井座長 それだと動物で100%発がんなのです。
○小西委員 その数値で発がんなのですから、いくら何でもそれでいいとは言えませんよね。
○名古屋委員 ではもう1桁下げないといけないですね。そうすると、0.02だったら、今度は定量下限に下がってしまうから、きつくなっちゃいますよね。だから、そうするとここか。マスでやればもう2桁下がりますけど、これはFIDであくまでやって0.03ですけれども、マスでやるともう2桁下がります。0.0005までいきますけどね。そういうことですね。
○櫻井座長 今日はあえて決めないで、少し検討継続させていただきたいと思います。現場の状況も。
○小西委員 だから。
○中明委員 現場のデータ。
○小西委員 登録されているのではないかと思いますけどね、どこかで測定しているだろうと。工場のデータはね。
○中明委員 現場のデータをどこかで集めてくれない、わかる範囲でいいから。それがないとこれ以上できないから、もしあれだったら。
○櫻井座長 そうすると、たぶんこれについての毒性絡みのデータはあまり出ていないかもしれないけれども、一応その後のデータを調べる。
○名古屋委員 文献もですね。
○櫻井座長 文献もですね。それと、現場の状況、あと今日ご議論が大体ある線までいっているとは思いますが、皆さんにお考えいただいて、そういった情報が集まり次第、またご検討いただくということでよろしゅうございますか。では、そのようにさせていただきます。それでは次に3つ目の議題として、質量濃度変換係数(K値)についてです。事務局から説明をお願いします。
○小西係長 資料番号2-8、15頁です。粉じんの相対濃度指示方法による測定の際に用いる質量濃度変換係数、いわゆるK値ですが、こちらについては作業環境測定基準においては1以上の測定点でろ過捕集方法及び重量分析方法を同時に行って、つまり併行測定をして、K値を求めるということになっています。しかし、ずい道等建設工事における測定においては、トンネルの断面積が小さい場合があったり、作業の性質上危険な場合などがあるので、併行測定というのが難しいということで、ガイドラインの中ではデジタル粉じん計ごとに機種ごとにK値を示して、そのK値を用いて測定するということになっております。
 デジタル粉じん計ごとにK値を設定するのですが、年々メーカーからも新たなデジタル粉じん計が出てきますので、これらについて追加していく必要があり、K値を設定するには実測値から求める必要があります。その実測値のデータですが、次頁、資料番号2-9、16頁からです。16、17、18頁と社団法人日本作業環境測定協会さんのご提供の資料です。19頁が名古屋委員からご提供いただいたものになっています。
 ただ、18頁の一覧表は1~29までが日測協さんからご提供いただいたもので、30~37が名古屋委員ご提供のデータを1つの表にまとめたものになっています。資料は以上ですが、2-9の実際の実測値の取り方という部分については、日測協さんで作成いただいたものですので、ご説明をお願いしたいと思います。
○日測協 2-9の資料です。「ずい道等建設工事現場におけるガイドラインに示されている粉じん計のK値を新たに追加するための新規粉じん計のK値の現場調査の実施結果」ということです。まず、16頁の調査の概要です。(1)として質量濃度変換係数(K値)のサンプリング方法。ずい道等建設工事現場において、切羽より50m地点の付近で、ろ過捕集装置(4μm50%カット特性の分粒装置装着)と粉じん計、写真1と2に示しているのが、実際にそのような形で併行測定したということです。写真1でいうと、これは日本カノマックスの粉じん計なのですが、Model3442というのが、今回現場でデータを取った新しい粉じん計です。
 右側にろ過捕集方法ということで、吸入性粉じん測定のための分粒装置を隣に並べて併行測定したということです。
 写真2についてもこれは柴田科学の機械で、まずは1つはLD-5D型とLD-5型というのが、今回新しく測定したものです。
 それとここにはないのですが、LD-2型というのが同じく柴田科学から新しく出ている粉じん計で、あとで表に示していますが、その部分についてもデータをそのような形で取りましたということです。
 サンプリングについては吹付け作業工程中に実施して、1回当たり10分から45分としました。というのは、吹付け作業についても各現場によって作業時間が違っているので、その中で取れる時間ということと、あと現場での粉じんの濃度を勘案して時間を決めています。
 新規機種の質量濃度変換係数(K値)の測定には、質量濃度変換係数(K値)の妥当性の確認のために、ガイドラインでK値が示されている粉じん計による測定も、併せて実施しました。
 17頁です。分析の方法としては、質量濃度については吸入性粉じん濃度は、読み取り限度0.01mgの天秤を用いて、サンプリング前後の濾紙の秤量差から採じん量を求めて、吸引空気量で除して質量濃度(mg/㎥)を求めました。
 (2)相対濃度としては、ろ過捕集方法と同じ時間測定した相対濃度計のカウント値を測定時間で除して、相対濃度(cpm又はmg/㎥)を求めました。質量濃度変換係数については(1)で求めた質量濃度を(2)で求めた相対濃度で除して、質量濃度変換係数(K値)を求めたということです。
 18頁に一覧表を示しましたが、こちらが今回新しい機種、既にK値が示されているものと併せて測定したということなので、この表の中には既にK値が公表されている粉じん計と、公表されていない今回示した4機種の粉じん計を示しています。表のところのあるものとないものということなのですが、表の左側にいま機種として型式、製造メーカー、K値の単位、その下にガイドラインに示されているK値の有無ということで、K値が示されているものに関しては、ここに数値を示しています。K値が示されていない機種については、無ということで示しています。ですので、今回示した機械で新たにということで提出したのはLD-5D、LD-5、LD-2が柴田科学で、3442が日本カノマックス株式会社ということです。
 備考にどういう工程で取ったかということで、作業内容・測定位置というのを示しました。表に示している数値が、現場で求めた質量濃度変換係数ということです。最終的に細かい数値がありますが、実測値を平均した値が下から2段目に書いてあります。LD-5Dについては0.021mg/㎥/cpm、LD-5については0.0024mg/㎥/cpm、LD-2については2.015mg/㎥/mg/㎥と、3442ですが、こちらは0.0034mg/㎥/cpmです。
 ガイドラインのK値の案ということで、既に出されているK値の桁数を揃えるということで、下に書きますと、LD-5Dが0.02、LD-5が0.002、LD-2が2.00、3442が0.003という数値が新たな追加K値案ということで示した資料です。
○櫻井座長 では、ただいまのご説明の内容についてご意見、ご質問がありますか。
○松村委員 ちょっとお伺いしたいのですが、機種によって違うというのはわかるのですが、作業によっても違う傾向がありますね。それは作業によっては値は変えないのですか。
○小西委員 変えません。ガイドラインでその濃度の高くなるときに継続をすることになるので、それがいわゆる吹付けなのです。
○松村委員 吹付けというのはコンクリでしょう。それでずり積みというのは岩石の崩れたのでしょう。だから質がちょっと違うし、ずり積みのほうが変換係数が半分ぐらいのものもあるから、これを同じ変換係数でやってしまうと、値が高くなってしまうのではないですか。
○名古屋委員 これは、作業環境ですと、それをもって管理区分を評価しなければいけません。だから、併行測定が原則になっていますが、ここはあくまでも3mg/m3という粉じん濃度目標レベルがあり、そのところに換気がうまくいっていることを確認するためであって、そして本来的に測定場所ごとに求めるのだけれども、それはなかなか作業者が難しいので、K値を与えてそれを参考にして、なるべく3mg/m3に下げなさいということなので、ある程度の幅の中に入って、平均値を出してあげるほうが、いちばん使いやすいのかなと。個別にやること自体がそんなに意味があることではないです。なぜかというと、作業者は電動ファン付き呼吸用保護具は付けているから、あくまでも作業者のばく露どうのこうのではなくて、換気のところでうまくいっていることを確認するということなので、ある程度の幅の中に入れておけばいいかなということなので、当然作業があってばらついても、ある程度の値を勧めてあげるだけでもいいかなということです。
○松村委員 そうですか。0.02ぐらいに決まっていれば、わりに安全に近いですね。
○名古屋委員 そうですね。
○菅野委員 これはそうすると、測定の精度としては、50%ぐらいはばらついていてもかまわないと。
○名古屋委員 そんなにばらつかないです。
○菅野委員 でも、これ半分ぐらいになっているのもありますね。
○名古屋委員 たぶん、それは現場だって対応していますよ。現場が同じ現場ではありませんよ。要するに山1つずつ全部違うのだから、当然K値だって違うべきだと思うのです。そうすると、風管の位置から始まって、下岩面が真っ直ぐなのかとか、曲がっているのかとか、吹付けの風管の位置が真っ直ぐなのか、横なのかと、全部環境が違っています。それを引っくるめてですから、このくらいのばらつきがあるのは当たり前なのかと思っています。
○菅野委員 ですから、それを許容するということなのですね。
○名古屋委員 そういうことです。
○芹田委員 いままで二次吹きだけのデータでとりあえず作ってきていて、今回に限ってこのずり積みが2つ入ってきているので、なおかついまお二人から意見があったようにK値の値が飛び抜けて違っているから、これを無理やりに入れなければいけないという理由も。
○名古屋委員 ずり積みが高かったときがあったから、それを入れているだけです。一次吹きと二次吹きがあって、いちばん高いところをやりましょうということで、ずり積みをやったらずり積みが高かったから、そのときは二次吹きよりずり積みが高かったから入れましたよということです。別にずり積みをやらなくてはいけないという話ではないです。
○芹田委員 ということは、要するにこのずり積みになったのは、たまたまこのときは二次吹きよりもこれが高かったという背景があるわけですね。
○名古屋委員 そういうことです。
○芹田委員 はい、ありがとうございました。
○名古屋委員 だって、いちばん高いところを測りなさいというから、それがどちらかなというから、ずり積みが高かったから、私はずり積みを出しましたということです。
○小西委員 だから、機械によっても二次吹きとずり積みがほとんど変わらないK値も出てきます。そのときそのときの相手のずり積みの状態によっても違いますしね。吹く人のやり方によっても違いますし。
○名古屋委員 現場が全然違いますよ。
○櫻井座長 K値を使うのは精度という点ではある程度妥協しているけれども、非常に簡便にチェックできるという利点をフルに活用するためですからね。
○名古屋委員 そういうことなのです。
○田中委員 議事の会議次第には「質量濃度変換関数(K値)について」とだけしか書いていないですよね。やはりこれはもうこの表題からデジタル粉じん計のずい道等建設工事におけるK値にしてもらわないと、すべてにこれが適用されるときついですよね。ですから、そこではどういう現場の簡便性を考えて、こういう値にしようと。これを間違ってみんなに使われるとこれは間違いますので、是非その辺は範囲を決めてほしいです。
○名古屋委員 普通の作業場だと、たぶん安全率をかけておかないとわからないから、たぶん50%あったら、それは0.2ではなくて、やはり0.45とか0.6とかにしなければいけない。ずい道の場合はあくまでも換気指針のところがきちんとなっているかどうか、風管の位置がいいかどうか、すぐその場で測ってみて、ああ、ちょっとうちのは3.5だな。では風管を少し前に出してみようよ。測ってみたら、ああ、ここがいいのだなというように作業者に確認してもらうためのものであって、風管がきちんとうまく換気が動いているかどうかを確認するための測定値で、それほど厳密でなくてもいいです。
○小西委員 通常のK値の場合は、安全側を考慮した決め方をしていますので、これとは違うのです。
○名古屋委員 これとは違うのですね。
○小西委員 はい、使い方は全然違います。
○櫻井座長 では、そのようにずい道工事、建設工事現場におけるK値ということです。
○中明委員 実測値はどうなのか、出してくれた表の実測値、17頁の(1)質量濃度というのは、これはそれぞれ、名古屋先生のデータは粉じん濃度の意見は出ているけれども、実測値はどうなのですかというのがちょっと気になったのですが。
○日測協 いまはちょっと実測値は書いていませんね。
○中明委員 書いてないですね。だから、実際にそのK値を決めてやるということは、いま名古屋委員が言ったように、それは当然そうなるのはしょうがないと思います。かなり幅があるよというのもそれはしょうがないと思うのですが、それを承知して、場所を限定して、それでいきましょうということで、それはいいのだけれども、ちょっと実測値が後でわかったら教えてください。
○日測協 はい。
○櫻井座長 それでは大体ご意見等が出尽くしたかなと思いますが、提案されているK値を採用するということでよろしいでしょうか。では、そのように結論とさせていただきます。それではその次、今日の最後の議題ですが、中間報告書(案)の取りまとめについてです。事務局から説明をお願いいたします。
○小西係長 20頁の資料2-10です。特化則において規制の対象となる物質があり、その施行が4月からですので、手続的な話で申し訳ないのですが、本日までの議論を中間報告として取りまとめていただきたく考えています。資料としてお配りしている資料2-10については、前回決まった管理濃度等の値を記載しており、これに本日検討いただいたものを記載して、中間報告とさせていただければと考えています。項目ごとに説明します。
 21頁で1つ目に「はじめに」というのがあり、2に「名簿」があります。3に「検討経緯」で第1回が11月9日、第2回が12月6日です。4は「検討結果」です。(1)管理濃度について丸の1酸化プロピレン。検討概要はACGIHは2ppmを勧告し、産衛学会は許容濃度を設定していない。管理濃度は2ppmとすることが適当である。
 丸の2ジメチルヒドラジン、ACGIHは0.01ppmを勧告し、産衛学会は許容濃度を設定していない。管理濃度は0.01ppmとすることが適当である。
 丸の3のベンゾトリクロリドですが、今日の議論を反映して、これは中間報告書から記載しないという方向にさせていただきたいと思います。
 23頁の(2)測定方法について。丸の1酸化プロピレン、試料採取方法は「固体捕集方法」、分析方法は「ガスクロマトグラフ分析方法」とする。試料採取する際は合成樹脂製の粒状活性炭を用いることとする。
 丸の2ジメチルヒドラジン、試料採取方法は「ろ過捕集方法」、分析方法は「高速液体クロマトグラフ分析方法」とする。丸の3のベンゾトリクロリドもここからは削除するということにします。
○松村委員 ジメチルヒドラジンに対してろ過捕集というのは、化学処理をしてあるフィルターですよね。だから結局吸着、粒子として取るという意味ではないですよね。そういうのもろ過捕集でいいのでしたか。
○小西係長 そうしています。
○松村委員 わかりました。
○菅野委員 中身としては。
○松村委員 そうなのですよね。
○中明委員 方法論の中に、前にほかの物質でもやっていました。
○松村委員 やっていましたよね、フィルターに薬剤を染ませてあるのですね。
○中明委員 だけど結局捕集なので、定義としてはろ過捕集なんですけど。
○松村委員 はい、それならそれでいいです。
○中明委員 何かその辺説明ぐらい入れておいたほうがいいのではないですか。実際にはこうだ、ろ過捕集が書いてある、*でも付けて松村先生ご指摘のように何か。
○松村委員 ちょっと誤解しやすい。
○中明委員 何となくいってしまいそうな。
○松村委員 粒子ではないのにという感じで。
○中明委員 どうやって取るか。
○名古屋委員 何かわかりやすいように、書いておいていただいたほうがいいのではないですか。
○櫻井座長 ほかに。
○小西委員 ベンゾトリクロリドは次にするのであれば、測定法だけは残しておかないといけないのではないかという気がしたのですが。
○小西係長 次回にさせていただいてかまいませんでしょうか。
○櫻井座長 ではそうしましょうか。そういう合意があったと思います。今回のこれからは除いていくということでよろしいでしょうか。ではその先をどうぞ。
○小西係長 (3)局所排気装置等の性能要件について。管理濃度と同じ値に抑制濃度を設定するということで、丸の1酸化プロピレンは2ppm、ジメチルヒドラジンは0.01ppm、丸の3のベンゾトリクロリドは削除します。丸の4の1,4-ジクロロ-2-ブテンについては抑制濃度として0.005ppmとすることにします。
 (4)の質量濃度変換係数(K値)については、ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について、これはガイドラインのことですが、ここにおいて空気中の粉じん濃度の測定は、相対濃度指示方法によることとしていますが、その質量濃度変換係数について実測データ等を踏まえて検討した結果は次のとおりであるとして、LD-5Dが0.02mg/㎥/cpm、LD-5が0.002mg/㎥/cpm、LD-2が2.0mg/㎥/mg/㎥、3442が0.003mg/㎥/cpmとしたいと考えております。
○櫻井座長 中間報告書案について、ベンゾトリクロリドについては今後一切削除する。23頁の合成樹脂性の粒状というのは球状に直す。1,4-ジクロロ-2-ブテンが23頁(3)の丸の3、抑制濃度として0.005ppm、案の2は消す。質量K値はいま挙げていただいたような数値ということですが、よろしいですか。
 それでは中間の報告書はいまのような修正をして、決定と。
○菅野委員 確認なのですが、23頁の1,4-ジクロロ-2-ブテンの説明文章の中で、サンプリング作業量から発散抑制措置等について規制化すると書いてありますが、先ほどでは抑制措置は特段とらないでということになっていましたが、どちらなのでしょうか。実は工場で屋外であってもサンプリング装置のところに、局排が付いている場合もないわけではないのです。
○小西係長 屋内の場合については局排を付けなければならないですが、屋外の場合だと付けないといけないということではないです。この場合は屋内においてサンプリング作業というような場合がある場合ということを考えた場合に、抑制濃度を定めるというものです。
○菅野委員 そうですか、わかりました。
○櫻井座長 屋内のというようなふうにしておく。
○菅野委員 そうするとサンプリング及び分析作業としておいたほうが。
○櫻井座長 一般的な義務ですか。
○菅野委員 屋内のを入れるのはいいのですが、分析も入れておいたほうが。
○櫻井座長 屋内のサンプリング作業における発散抑制措置及び分析ですか。
○菅野委員 サンプリング作業及び分析作業におけるというふうにしたほうが。
○櫻井座長 ああ、サンプリング及び分析作業における。
○長山補佐 サンプリング作業の規制の部分なのですが、ただ、下段の性能抑制の記述のところは、仮に屋内でやるときということになりますので、4行目の頭の辺りのところに、屋内でやる場合における1,4-ジクロロ-2-ブテンの性能要件については抑制濃度0.005ppmという形で、屋内であることを明確に書けば、よろしいかと思います。
○櫻井座長 それでいいですかね。
○菅野委員 それでもよろしいのですが、サンプリング作業全部を屋外でやるというのが現状ですというご説明でしたよね。ですので。
○小西委員 ただ、分析は屋内で行うと。
○菅野委員 だから、ちょっと矛盾しないかと思ったのですが、それはまぎれがなければそれで結構です。
○長山補佐 3行目のところでのサンプリング作業で発散抑制措置等についてという形で、これは必ず局排に限ったものではなくて、条文上も困難な場合とされており、大体屋外では困難な場合になりますので、そうすると、保護具のほうの措置になりますので。
○菅野委員 そうですか。
○長山補佐 上段のほうはいろいろな手法がありますが、4行目、5行目は屋内にあれば適正な濃度を作っていく。
○菅野委員 それでしたらそれで結構なのですが、発散抑制と書いてあるので、ばく露抑制とか、そういうことでしたらどちらでもいいのですが。
○松村委員 むしろ屋外だったら、発散抑制といっても、局排などで集めたものを、また排気ファンから放出してしまうわけですから、むしろ扇風機で広い範囲に拡散させてしまったほうがいいかもしれない。、そういうことをどう書いたらいいのでしょうかね。
○櫻井座長 ばく露の抑制装置等のほうがいいだろう、というご意見ですね。
○松村委員 ええ。
○櫻井座長 等が付いているから、あとはその等の中に入れて。
○菅野委員 いや、歴史的な経緯もおありでしょうから、別に強行に主張するつもりはありません。
○櫻井座長 では、そこは条文と照らし合わせて無理のないような用語を考えたいと思います。では、そういった修正をここで加えさせていただきまして。
○松村委員 すみません、先ほどのろ過捕集方法、メチルヒドラジンのろ過捕集方法のような場合に、化学ろ過捕集方法とか、あるいは化学的なろ過捕集方法というような意味の何か名前を付けていただけるとわかりやすいかと思います。要するに機械的なろ過捕集とか、静電気的なろ過捕集ではなくて。
○小西委員 測定基準の捕集方法の前に、やはりこういうのがあったときに、測定基準の捕集方法の定義の中に入れるべきではないかという議論は、前にしたことがあるのです。
○松村委員 そうですか。
○小西委員 やはりそういうのがあって、化学反応を起こさせてどうとかというのがあったのですが、そのときはもう結局ろ過だということになってしまったのです。
○松村委員 形態がろ過に。
○小西委員 そういうことがこれから出てくるようだったら、測定基準の捕集方法のところに、そういう捕集方法を1つ追加しなければいけないのかもしれないですね。
○松村委員 そうですね。いまそれとの対応で、勝手にはできないかもしれませんが。
○中明委員 菅野さんが言ったのは、菅野さんが委員長のところのそこにきちんと書いてあるのです。発散抑制措置と。だから、ただそれをとったのだと思います。
○櫻井座長 わかりました。そういうことで今日のご意見を踏まえた修正案をまた作っていただいて、主として座長にお任せいただくか、それでよろしいですか。では、そういうことで中間報告書をまとめて決定することにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 今日の議題は以上で終了ですが、事務局から事務連絡等はありますか。
○小西係長 机上配付させていただいたものの中に、許容濃度等が改正された物質について、という1枚ものの表を入れてあり、この中で赤字になっている部分が日本産業衛生学会か、ACGIHかどちらか改正した数値になっています。こちらは前回にもお配りしたものですが、第3回の次回以降、こちらの物質については検討をお願いしたいと考えており、先生方でお持ちの資料ですとか、データ等がありましたら、事務局にご提供いただければというお願いです。
 第3回目以降の日程については、また別途日程調整をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○櫻井座長 およそ2月ごろとか、3月ごろとかですか。
○小西係長 そうですね、物質についての資料が集まり次第というのもありますが、2月とか3月ぐらいを考えています。
○櫻井座長 わかりました。それではほかにご質問、ご意見等はございますでしょうか。ないようですので、以上で終わります。今日は大変お忙しい中をありがとうございました。

(事務局注)ジメチルヒドラジンの試料採取方法については、中間報告書とりまとめの際に、「固体捕集方法」と修正いたしました。トリレンジイソシアネートも、ろ紙に1-2ピリジルピペラジンを含浸させ捕集しますが、固体捕集方法と記載しており、同様の記載に修正したものです。


(了)

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