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2010年11月16日 第67回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年11月16日(火) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・求職者支援制度について
・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 ただいまから第67回雇用保険部会を開催します。本日の出欠状況ですが、野川委員、塩野委員、藤原委員、三木委員が欠席です。なお、本日は資料の関係で職業安定局総務課首席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、職業能力開発局能力開発課の渡部補佐に出席いただいています。
 議事に移ります。最初に「求職者支援制度について」です。まず、事務局から資料No.1について説明をいただきます。
○坂井派遣・有期労働対策部企画課長補佐 最初に資料の確認をさせていただきます。今回の配付資料ですが、資料No.1-1「訓練受講者に対する就職支援について」。資料No.1-2「その他(職業能力開発分科会資料等)」、資料No.1-3は、「参考資料」として、求職者支援制度について、資料No.2-1「雇用保険制度に係るこれまでの論点」、資料No.2-2「雇用保険制度の論点に対するこれまでの主な意見」、資料No.2-3「雇用保険制度の主要指標」、資料No.3「行政刷新会議『事業仕分け第3弾』特別会計WG評価結果一覧」となっていますが、お手元にございますでしょうか。
 説明をさせていただきます。資料No.1-1「訓練受講者に対する就職支援について」です。1枚めくってください。前回の審議会において、指摘いただきましたが、「新制度におけるハローワークを中心とした訓練・就職支援体制(案)」を事務局で用意させていただきました。
 右側ですが、雇用保険を受給できない方が想定されるわけです。十分な職業能力形成機会が必要である非正規労働者であったり、在職時から時間的な間隔があくことによって、有していた職業能力とは異なる基礎的な技能の修得が必要である長期失業者など、こういった方々が求職登録や職業相談、訓練受講のための相談等を行うために、ハローワークに行くことから始まります。ハローワークは、訓練開始前という四角がありますが、この求職者からの求職登録などを受けまして、求職受理・職業相談、また求職者の方が労働の意志や能力を持っているかどうか確認するため、訓練の必要性の見きわめなどを行った上で職業訓練情報の提供を行いながら、職業訓練受講のためのキャリア・コンサルティングを行うこととなります。
 4つ目のポツですが、「支援計画の作成」となっています。こちらは、新しいものになるわけですが、求職者の方が訓練を受けて、またその後就職するまでどういった形で支援できるのかについて計画を立てることになります。この支援計画を作成して、求職者から同意を得た上で、訓練の受講あっせんを行うことになります。受講あっせんを行った後、訓練実施機関ですが、こちらのほうで訓練実施であったり就職支援を求職者に行うことになります。ハローワークに戻りますが、訓練受講中であっても、こちらの支援計画の作成に基づいて定期的に来所を求めるとともに職業相談・職業紹介を行うことになります。また、併せて就職面接会情報や求人情報等を求職者に直接であったり、また実施機関を通じて求職者に提供することになります。
 訓練修了後ですが、「就職状況の把握」となっていますが、基金事業において就職状況報告書などによって行われているところですが、訓練実施期間の終了後、こちらの就職状況をきちんと提出いただいた後に把握し、またその後定期的に来所を求めるとともに職業相談・職業紹介を行うことになります。必要に応じて担当者制による支援を行うのが新制度におけるハローワークの役割と考えています。
 また、上のほうに「関係機関による協議の場」とあります。こちらは、労働局、都道府県、教育訓練機関、労使団体、学識経験者など、それから現在、雇用・能力開発機構法を廃止する法律案が審議中ですが、そちらが成立した場合、高齢・障害・求職者雇用支援機構の3つを中心として、この関係機関による協議の場を都道府県ごとに設けまして、人材ニーズの把握であったり、各地域の訓練計画を策定することを考えています。現行の基金事業においては、中央職業能力開発協会が入っているわけですが、恒久化時には労働局がその部分について行うこととしています。例えば、訓練実施機関への奨励金の申請・支給などについては労働局が行うことと予定しています。
 1頁めくってください。こちらに「基金訓練におけるハローワークでの対応について」ということで新しくまとめさせていただいています。恒久化に当たっては、基金事業の実施状況を踏まえた上で創設することになっているわけですが、基本的には先ほど説明した内容はこちらにも含まれています。
 最初に「仕事を探している方」がいらっしゃるわけですが、基金訓練開始前に本人に来所していただき、ジョブ・カードの交付や、訓練・生活支援給付の受給資格認定要件の確認、申請書の受付をハローワークが行うこととなります。基金訓練受講中は、「訓練機関を通じ」又は「本人来所」となっていますが、基金訓練受講中のときからハローワークへの誘導表の交付などによってハローワーク利用勧奨であったり、それによる支援ニーズの把握をハローワークで行うこととなります。基金訓練修了後は、本人来所が基本となりますが、引き続きハローワークが職業訓練を希望する方への職業訓練情報の提供、職業訓練の再受講あっせんを行うことになります。未就職者がハローワークにいらした場合や定期的に連絡することによって、来所を勧奨することになります。その後、就職に結びつけることとなりますが、基金訓練においては、この一連の業務がハローワークにおいて行われております。
 次の頁は、前回の資料と同じものになりますので、説明は省略させていただきます。14頁に、「6月末までの修了コースの基金訓練修了者等の就職状況」をまとめさせていただいています。前回の資料は、5月末までだったため若干数字が変わっていますので、念のため説明させていただきます。コース数ですが、5月末は2,080コースでしたが、6月末までには2,922コースとなっています。回答のあった修了者数ですが、5月末までの数字は2万7,143人でしたが、3万8,814人になっています。他の訓練を希望する者の数ですが、5月末の時点では5,501人でしたが、今回7,927人ということで増えています。就職者数ですが、5月末までは1万3,606人、6月末では1万9,809人となっています。結果、就職率が5月末時点では62.9%でしたが、今回64.1%ということで1.2%上昇しています。以上が資料No.1-1の説明とさせていただきます。
 資料No.1-2は、「その他」として「職業能力開発分科会資料等」ということでまとめさせていただきました。こちらの資料ですが、中間取りまとめの前においても、同様に訓練部分については、職業能力開発分科会で提出された資料を説明させていただいたと思います。今回も同様に職業能力開発分科会の資料を紹介させていただきます。第53回、第54回の資料をそのままこちらに載せていますが、第53回は10月5日、第54回は10月22日に開催されています。
 1頁めくっていただきまして、最初に中間論点整理をご説明させていただいた際の雇用保険部会の資料を載せています。「求職者支援制度の訓練の対象者についてどのように考えるか」ということで中間整理のときにまとめさせていただいた検討事項として、「求職者支援制度の訓練の対象者の範囲について」。具体的には、雇用保険を受給できない求職者のうち、離職した後において、雇用保険の受給が終了したこと、雇用保険の適用がなかったこと又は受給資格要件を満たさなかったことにより、雇用保険を受給できない求職者。自営廃業者など、離職者ではないが、これに準じて支援が必要な者。学卒未就職者、その他の就業経験のない者。「65歳以上の者を制度の対象とすべきか否かについて」も検討事項とされていました。
 これまでの主な議論ですが、最初の2つについては、雇用保険受給者を訓練の対象者とするかどうかということです。1つ目については、失業手当の額の観点からになっていまして、2つ目については、給付の対象者にはしなくても訓練の対象者にすることは検討してもいいのではないかということになっています。
 以降ですが、学卒未就職者を対象とするかどうかについて議論が必要ということが3つ目のポツになっていまして、4つ目のポツについては、学卒未就職者についても制度の対象とすることが必要。また、コースの設定に当たっては新規学卒者向けのコースを別途設けることが適当、となっている一方で、次のポツですが、学卒未就職者を制度の対象とすることには疑問がある。仮に対象者として入れたとしても、中卒、高卒、大卒ごとに訓練コースを別途用意することまでは不要ではないかということです。65歳以上の者は、雇用保険の場合については対象外となっていますが、そういった者の取扱いをどうするかなど、年齢要件についても明確化すべきではないかということでした。
 1枚めくって[2]として「求職者支援制度における訓練についてどのように考えるか」ということでした。検討事項は「訓練コースの内容・設定について」、「訓練の規模について」、「訓練実施機関の属性について」、「訓練への適切な誘導について」、「より効果的な訓練実施のための方策について」、「訓練実施効果の評価指標について」となっていました。
 これまでの主な議論ですが、最初の3つについては訓練の質について書かれています。1つ目は、訓練の質の確保が必要である。その訓練の質の確保に当たっては適切に認定を行う必要があると2つ目、3つ目のポツでまとめられていると思います。4つ目、5つ目のポツですが、訓練コースの設定についてです。今後成長していく分野に絞っていくべきということ、また、先ほどありましたように新卒未就職者を別のコースとすることによって、きめ細かなコース設定が必要であるということが述べられています。そのあと1つ飛ばしまして、訓練期間の受講者態度であるとか、達成度の把握という内容で3つほどまとめています。
 訓練期間中は、資格取得などを目標として掲げたり、達成度を測る試験を行うべきというのが1つ目のポツです。2つ目については、惰性的に受講している者や受講態度に問題がある人については給付を止めるなど、何らかの方策が必要であるとなっています。また、求職者の職業意欲・能力をしっかり見極めた上で適切な訓練に誘導する仕組みが必要、とまとめられています。
 その下のポツでは、「恒久化に当たって」とはじまっていますが、実施機関へのインセンティブをきちんと持たせることかと思います。2つ目のポツは、訓練実施機関に対する奨励金については、訓練実施機関が訓練の成果を高めようとするインセンティブが働く仕組みとすることが必要ではないかということ。また、恒久化に当たっては、現在、基金事業で設けられている新規訓練設定奨励金については見直しが必要ではないかということになります。
 その下のポツですが、就職状況報告についてです。就職状況報告については義務付けるべきということ。また、就職を行った場合、雇用期間の定めのある就職先なのか、きちんと訓練修了後に状況把握を行うべきではないかということです。就職率の算出方法について検討が必要ではないかということです。
 1頁めくって、10月5日の第53回職業能力開発分科会における委員からの指摘事項についてまとめさせていただいています。新訓練の目的ですが、雇用保険を受給できない求職者、こちらは長期失業者や自営廃業者となっていますが、その方々への就労支援を行うことによって、円滑に労働市場に復帰させるべきということです。対象者の範囲ですが、基金事業については、雇用保険受給者も員外利用しておりますが、こういった方々について、雇用保険受給者の新訓練受講についても弾力的な取扱いとすべきということになっています。こちらの給付の額について、月額10万円以下の方は12.5%とあり、前回資料でお示しさせていただいたものですが、平成22年度の平均は10.9%となっています。この1つ目の○がある一方で、2つ目の○では、基金事業でも例外として員外利用を認めているわけですが、恒久化したあとの新制度では区別を徹底すべきということになっています。3つ目の○ですが、学卒未就職者を対象者とすべきかどうかについては、訓練コースの議論を踏まえて検討したいということでまとめられています。
 次は訓練コースの内容・設定です。1つ目の○は、需要と供給のマッチングの話となりますが、労働市場による需要と個人のニーズに合せたものに訓練内容をすべきということです。2つ目ですが、訓練の受講可能期間は、現在2年が最高となっていますが、原則1年にすべきであるとされています。また訓練を受けるに当たっては定期的なインターバルを設けることによってモラル・ハザードを防止することが重要となっています。
 また、ISO29990の取得状況も考慮しながら訓練の質の保証、となっていますが、ISO、国際標準化機構は、従来、鉱工業分野の国際規格発行をやっていたわけですが、サービス分野についても、同じ国際規格発行をやっていまして、そういった国際的な規格について訓練実施機関が取得しているかどうかも含めて考慮しながらという趣旨で書かれています。
 3つ目の○です。どのような訓練を行うのか、それによって得られる効果は何なのか、また、きちんとビジョンを明確にすべきということが述べられています。
 次の○です。訓練の質の改善につなげる仕組みを作る必要があるのかということ、訓練の効果を就職率をもって検証すべきであると書かれています。次の○についてです。就職率の算出方法、就職状況報告書について回収率が低いという問題があると指摘されています。
 次の頁です。就職率の目標は、現在60%となっていますが、委託訓練での目標が65%であることを踏まえるとしても納得がいかないという指摘をいただいています。訓練実施機関の属性ですが、株式会社によるものが多いが、就職率の実績はどうであるのかということが書かれています。その他、財源を一般会計とすべきであること、出席が8割に満たない場合については対策をきちんと行うべきであるということ。訓練受講前に受講中のキャリア・コンサルティングを充実させること、ジョブ・カードの活用、デュアル・システムを制度に組み込む等の検討が必要ということが意見として出されています。
 次の頁は、10月22日に第54回職業能力開発分科会が行われているわけですが、こちらの紹介をさせていただきます。求職者の新訓練への誘導・就職支援ということで、基金訓練においても就職率や就職先の業界など、公開情報を増やすべきということが1つ目の○になっています。2つ目は、都市部に行かないと求人とマッチングされないという別の課題もあるのではないかということで、全国レベルの就職支援の必要性について指摘されています。3つ目の○は、就職率にカウントされなかった方であったり、就職状況報告について回答がなかった方について、何らかの問題を抱えている層だと思われるということで、何らかの分析を行うことが必要ではないかということを指摘されています。
 訓練の評価と効果的な訓練の実施のための措置となっていますが、1つ目は訓練実施機関に対するインセンティブとしての財政支援が必要であるということ。訓練のアウトプットについて就職率だけでよいのかという点から、訓練の成果とプロセス評価を組み合わせてはどうかということ。3つ目と4つ目の○ですが、出席状況に関して、訓練に出席できないことについて病気の場合を入れるべきではないこと。こういった方々については訓練期間中の健康管理を自分でしっかりと行った上で就職活動なり、訓練を行うべきであるということが書かれています。4つ目です。休む場合に診断書を取るにも5千円かかるということで、柔軟な取扱いとすることが望ましいと指摘されています。訓練の事業運営体制の確保ですが、新制度においては、地域における労使の意見を反映させるための制度を設けるべきということ、2つ目の○にありますが、国のネットワークであるハローワークを有効活用し、円滑・迅速なサービスを実施できる体制とすべきということが書かれています。
 1頁めくっていただきまして、対象者の範囲について第54回においても議論されていることですが、未就職卒業者向けの訓練コースについて新卒者のみを対象とすることと、その他の者も対象にすることとのどちらがいいのかサンプル調査を行ってもらいたいという点であったり、先日新聞にも載っていましたが、新卒者の就職状況は来春は今年より厳しいということで、新卒者向けの準備コースの枠組みは必要という指摘があります。
 新訓練の内容と実施機関の確保ですが、訓練の認定に当たっては、就職先や定着状況に鑑み、適宜訓練の規模などを考え直す仕組みが必要と指摘されています。
 その他、現行基金事業との間に切れ目のないような新制度の円滑な施行が必要と指摘されています。また、それ以降はシステムの構築に関連することになるかと思いますが、管理・運営面での準備が必要であること、あとは長期失業者や復職を希望する子育て中の女性などといった方々への訓練について、個別に分析すべきということ。また、ジョブ・カード制度におけるデータを収集し、専門機関が研究することが必要ではないかということ、政策評価をきちんと行うことが必要ではないかということが指摘されています。以上が主な指摘事項になりますが、あとの頁は、第53回、第54回職業能力開発分科会の両方の資料についてそのまま載せていますので、説明は省略させていただきます。
 80頁は、中間論点整理の際、その他の部分もありましたので、簡単にご説明させていただきます。[1]として、持続可能な制度とするための財源の確保についてどのように考えるかということについて、これまでの主な議論としては安定的に確保される一般財源の規模を踏まえて恒久的な制度を構築する必要がある。また、その中で、対象者、主たる生計者要件、給付の種類・水準などについては慎重に検討すべきであるということが書かれています。財源については一般財源とすべきとして指摘されています。
 [2]ですが、現行の緊急人材育成支援事業との切れ目ない支援についてどのように考えるか。検討事項として、同じことが書かれていますが、これまでの主な議論として、現行の緊急人材育成支援事業との切れ目ない支援を行う必要があるのではないか。施行する上では、準備に要する期間が必要なので、できるだけ早い段階から準備を進めていくことが必要と指摘されています。
 [3]の求職者支援制度の実施体制についてどのように考えるかです。主な議論として、国のネットワークを使い、全国ネットで支援を受けられるようにすることが重要であるということと、制度を運用するに当たっては、過去における訓練の受講歴や給付期間のインターバルを管理できるような電子システムの構築を検討すべきであると指摘されています。
 資料No.1-3は、参考資料として新しいデータについてまとめさせていただいています。説明については省略させていただきます。求職者支援制度のご説明については以上です。
○清家部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から、資料No.1-1と資料No.1-2についてのご説明がありました。資料No.1-3は参考として読んでいただきたいということです。それでは、ただいまのご説明に関してご意見、ご質問をお願いたします。
○古川委員 資料No.1-1の1頁の左下の囲みに、ハローワークは求職者に対して、訓練受講中と終了後に定期的に来所を求めて、職業相談・紹介を行うとあります。こういうことはとても重要なことだとは思いますけれども、求職者のハローワークへの定期的な来所というのはどうやってやるのか、どのように担保されるのでしょうか。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 新しい制度ですので、これからの議論というところはあろうかと思いますけれども、訓練の開始前にハローワークで、どういったことでいつ来所してくださいということは、あらかじめご本人と相談の上で決めて、話合いをしてご本人と了解した上で、1カ月後のこの日はいつ、この月はいつということを決定しておくことによって、来ていただくという形を考えております。やはり就職支援のための制度として、新しい制度を構築するということを考えますと、しっかり面接や相談をするという過程の中でハローワークの就職指導を受けていただくということも、制度に乗っていただく中では必須条件ではないかと考えます。
○古川委員 受講中はまだいいと思うのです。受講が終わってしまった後というのは、なかなか難しいのではないかと思うのです。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 受講中だけで就職できるということでもないと思います。やはり受講を終わられてからも一定の期間は、本人との約束の中で定期的に来ていただく機会を設けるという仕組みにすべきではないかと思っています。
○清家部会長 ほかにいかがでしょうか。
○栗田委員 何度も申し上げて恐縮ですけれども、論点整理の中の資料No.1-2の「その他」の財源について、改めて申し上げたいと思っています。いま来年度の予算編成に向けて、財政当局と本格的な折衝がされていると思います。求職者支援制度の財政ということでは、国として設けるセーフティネットであるという重要な趣旨が入っていると思います。改めて申しますけれども、必ず一般財源とすべきではないかということを、加えて強調させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○清家部会長 これはご要望というか、求職者支援制度の財源については、一般財源とすべきであるというご意見ですね。ほかにいかがでしょうか。
○新谷委員 資料No.1-3に、現行の基金訓練の実施状況をいただいていますね。これを見ますと最後の10頁に、現行基金事業の実施状況が書いてあります。平成22年度の見込みに対して、実績がかなりいい線まで来ていると思います。この数字はたぶん予算執行とも絡んでくるのでしょうけれども、今年度はまだ11月ということで、もうちょっと時間があります。見込みに対して実績は、かなり定数を満たしているところまで来ているのですけれども、基金の残り具合はどうなっていますか。補正予算で基金の積増しをされたと思うのです。今年度の予算執行と補正予算による積増しの点については、どういうお考えで見ておられるのかというところをお聞かせいただきたいというのが1点です。
 もう1点です。今度の新法でできる求職者支援法は、たぶん来年の通常国会で審議にかかって、法制化されて施行されると思うのです。その施行期日は補正予算による積増しもやられたので、4月1日は難しいのかもしれませんけれども、施行されるときと基金訓練との接続の問題があります。基金訓練の対象者の要件と新法の対象者の要件が違ってくる可能性がありますので、その辺の接続をどのようにやっていくのかというところで、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
○渡部職業能力開発局能力開発課長補佐 前段の進捗状況と補正との関係は、この資料のとおり、本年度15万人の受講者の目標に対して、もうすぐ達成できる見込みになっております。今後も引き続き今のペースで、あるいは、ちょっと行きすぎているようなところがあれば、この8月に認定基準の見直しをしておりますから、不適切なコースや就職に結び付かないコースは絞りつつ、適切な数を今後も達成していくということで考えております。
 補正の積増しとの関係ですけれども、補正については新しい制度が始まるまでの間、事業を延長することにしております。いまは月平均で言いますと、受講者は大体2万人ぐらいですが、そのペースで今後も続いたとしても、間に合うだけの予算を確保するように、補正に盛り込んでいます。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 後段の新制度と基金訓練の接続をというご指摘ですが、基金のこれまでの考え方からしますと、基金事業でお始めになった方については、最終的に基金事業で最後まですべて見ていただくのが基本だと思います。施行期日以降は新制度に乗っていただくことになろうかと思います。新制度の設計をどうするかというのは、今まさにご議論いただいているところです。おそらく対象者の給付といった要件も、基金訓練と全く同じものになるということではないのではないかと思います。そうしたところも混乱が生じないように、できるだけ早く周知に努めていって、うまく接続していけるようにしたいと思っています。
○新谷委員 是非、その接続がうまくいくようにお願いしたいのです。例えば基金訓練のほうでIT基礎コースとか基礎演習コースを受けられて、新法のほうでその実践演習コースに入られたときのインターバルは、どこをどのように見るのか、そのときに新旧で要件が違うと思います。施行までにもう少し詰めればいいのでしょうけれども、その辺も懸念がありますので、うまく接続されるように検討していくべきと思っております。
 もう1点、いま見ていたら数字が合わない所があったのです。同じ資料なので確認させてほしいのです。資料No.1-3の10頁に、平成22年度の実績として、訓練・生活支援給付が8万1,374人というのがあります。しかし8頁は、受給資格認定者だから違っているのかもしれませんが、平成22年度合計で10万2,822人という数字になっています。これは同じものなのか違うものなのか、教えていただきたいと思います。
○清家部会長 これは10頁の実績と、8頁の平成22年度計という所ですね。
○渡部職業能力開発局能力開発課長補佐 10頁の資料が数字の更新漏れで、8頁の資料にある102,822人というのが正確な数字です。
○清家部会長 ほかにご意見、ご質問はいかがでしょうか。
○遠藤委員 資料No.1-1の1頁に戻りたいと存じます。これまでの議論の中で新制度の目的の第1に、就職支援ということがあり、これは大方の合意が出ていたかと思っております。そういった皆様方のお声の中で中心となったのが、やはりハローワークを軸とした仕組みづくりであったと私は理解しております。今回、このような仕組みがご提案されたことによって、この制度が是非皆さんに理解いただけるような形へ、つくり込んでいただければと思っております。
 そういった中で、新しいポイントとして、訓練受講中、訓練修了後の定期的な来所という仕組みが入ってきたことについては、是非これを実現するような形での対応をお願いしたいと思っております。その際、やはり訓練受講中ですから、訓練との共存をどう図っていくのかというプログラム上の工夫が必要だと思っております。とりわけ訓練修了後の方と、どういう形で連絡を取り合っていくのかという仕組みづくりも、知恵を出していかなければいけないと思っております。仮に訓練は受けたけれども、受講修了後、合理的な理由もないのに求職活動を行っていないという場合においては、やはり某かの対応をするということも、新しい制度の中では必要ではないかと思っております。
○清家部会長 これはご意見ですけれども、この段階で事務局から何かありますか。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 今後の検討の中身にもなります。いずれにしても就職支援のための仕組みとして、しっかり組んでいかなければいけないということです。そもそも訓練を受講し終わった後に、就職できていない場合に就職面談にも来ないような人が、なるべく制度に入ってこないように排除していくというか、訓練の受講の前段階でしっかり仕分けていくということも重要になると思いますし、できることを検討してまいりたいと思います。
○遠藤委員 1点お尋ねします。ハローワーク側が行わないことで訓練側が行うこととして、1つにはアンケートの回収があるかと思われます。新制度下においてもアンケートの回収というのは続けていかれるご予定なのかどうか、何かお答えがありましたら教えていただければと思います。
○田中派遣・有期労働対策部企画課企画官 どういう形かということになりますけれども、当然、訓練の実施機関にも就職にしっかり結び付くような訓練をしていただくことと、就職支援を訓練機関のほうでもしっかりやっていただく必要があります。やはり国と言いますか、制度全体としてもしっかり就職支援をして、それを訓練機関自らもしっかりわかって改善する取組みなども含めて、やれるような機会を選んでいかなければいけないと思います。
 また、訓練に誘導する際も、どういった訓練機関が本当にしっかりした所なのかというのは、紹介するハローワークの側でもやはりしっかり把握しておくことが必要になります。訓練機関についても何らかの形で、自分の所の受講者がどういう形で就職したのかということは、しっかり把握していただく必要はあると思っておりますし、それをいろいろな形で、ハローワークとも共有していく必要があるのではないかと思っております。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○岩村委員 1点だけごく簡単に申し上げます。私もやはり資料No.1-1の1頁にある、特に訓練修了後のハローワークでの職業相談、職業紹介のところで、どうやってそれを維持していくかというのがポイントになるだろうという気がいたします。これが日本に馴染むかどうかはわかりませんが、諸外国の例ではこういう制度を受給するに当たって何らかの約束事という感じで、提供機関側と受給者側との間で文書を作成して、受給者に署名をしてもらうということをやるというのも仕組みとしてはあるわけです。そういうことも1つはあるのかなという気はします。問題は、そういうことをやっても守らない人は守らないのですが、某かの心理的なインセンティブというのは、少し与えるかもしれないという気はします。
○清家部会長 いま岩村委員がご指摘になった点は、労働側の古川委員も使用者側の遠藤委員も共通してお触れになっているところですし、おそらく制度設計上、かなり鍵になるところかと思います。もちろん制度の設計のときにも、また議論するわけですけれども、是非このご意見を踏まえてお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
○小林委員 的外れかもしれませんが、この図を見ていて訓練実施機関について、2点ばかりあります。1つはお願いです。訓練実施機関として、ハローワークと連携しながらの就職支援を行うというのがあると思います。職業能力開発分科会の指摘にもありましたように、訓練実施機関を認定する仕組みの中で、就職支援としてどのようなことが行われるのかという、ある程度の基準を持って選定いただくような配慮をお願いしたいというのが1点です。
 もう1つは訓練実施機関についてです。想定しているのは民間の訓練実施機関だと思いますが、公共職業訓練、県の訓練校も訓練実施機関の対象として入ってくるのですか。その辺を伺えたらと思います。これは今まで議論していなかったことですが、あくまでも民間の教育機関や専門学校等が、訓練実施機関として捉えられているところがあると思うのです。公共職業訓練は雇用保険の受給者を対象に訓練をされていると思うのです。施設面でも機構を含めて、ものづくりに特化する部分に集中しているわけです。ものづくり分野というのは、民間は逆に弱いところだと思いますし、設備投資も必要でなかなか進出できないということがあります。ハローワークのご相談の中で、やはりものづくりをやりたい方がいた場合、公共職業訓練でないと対応できないのが現状です。公共職業訓練が求職者支援制度の中で、新しいコースを設けることも可能なのか、その辺を伺いたいのです。
○松本職業能力開発局総務課企画官 職業能力開発分科会でも、そういった公的施設の活用を考える方が良いのではないかというご指摘は頂戴しているところです。一方で公共職業訓練自体は公費で、その経費を支弁されているところですので、新訓練で奨励金を支払うのと重複することは、あまり適切ではないと思われます。そういった点も含めて、できれば公共職業訓練の枠で対応していただいたほうがいいのですけれども、それでも足りないことがあるかどうかというところも含めて、ご議論いただきたいと思っております。一般的に公共職業能力開発施設が新訓練を実施し、それに対して奨励金を支払うということには直ちにはならないと考えております。
○小林委員 奨励金はそうですね。奨励金は公的機関であり、必要ないのかと思います。これは公的機関でも求職者支援制度の枠組みの中で、雇用保険の受給者と一緒にやることも可能だと考えます。基金事業の中では一緒に訓練を行うケースは今でもやっています。こちらの公共職業訓練のほうに基金事業の訓練・生活支援給付を受けておられる方も混ざって受講しておられるのですか。
○松本職業能力開発局総務課企画官 おられます。
○小林委員 コースでは分けていないのですか。
○松本職業能力開発局総務課企画官 今は既に設定されている公共職業訓練の枠の中で受講し、訓練・生活支援給付を受けている方もおられるという関係になっています。そういった公共職業能力開発施設が、公共職業訓練以外に新訓練を実施することについては、果たしてどの程度需要があるかというところも含めて、検討する必要があろうかと思います。
○小林委員 求職者支援事業の関連の方々、雇用保険の給付を受給できない方々というのが数多くおられて、今後、もしも今の現状で民間の訓練実施機関で終わってしまったということになると、またさらにグレードアップした教育が必要という可能性もあるわけです。その辺も十分ご検討いただいて、公共訓練実施機関のほうでも求職者支援制度に続き、延長線上の高度な訓練というのも、ひとつご検討いただければありがたいという意見です。
○清家部会長 そういうグレードアップした先の訓練の場として、公共職業訓練機関が提供しているプログラム以外はあり得ない、というような場合も出てくるのではないかということですね。
○小林委員 いま実際にある訓練のプログラムでできればいいのですけれども、それとはちょっと違った感じのものも、1つあるのかなと思いました。
○松本職業能力開発局総務課企画官 ご意見を頂戴して、また職業能力開発分科会でも議論させていただきたいと思います。
○清家部会長 ほかによろしいですか。
○新谷委員 先ほど遠藤委員が、訓練実施機関からの就職状況のアンケートの件でご発言されたので、それに関連して確認させていただきたいと存じます。この政策は、最終的には就職に結び付けるということですので、訓練実施機関とハローワークが連携を取って、就職に結び付けるアフターフォローをしたほうがいいと思うのです。そのときに就職状況の報告書というのが、アンケート方式で回収されます。資料No.1-1の14頁に、就職率がかなり上がってきて、回答のあった修了者数に占める就職者の率が64.1%になっています。この回収率は前々回か前回にお伺いしたときには、8割程度という話があったと思うのです。その一方で今日付けてもらっている能開分科会の資料No.1-2の72頁には、公共職業訓練の委託訓練のアンケートの回収率は、96.2%という数字が出ています。今度、新法で制度を作るときに訓練実施機関で受講者のアフターフォローをしていただくという意味では、やはりきちんとフォローをして、就職状況の報告をいただくという仕組みを入れるべきだと思っております。委託訓練の回収率がこんなに高い理由はなぜなのか、なぜ基金訓練のほうが8割しか回収できていないのかというところを、もう一度確認させていただきたいと思います。
○清家部会長 では回収率の違い等について、事務局からお願いします。
○松本職業能力開発局総務課企画官 まず公共職業訓練の委託訓練については、インセンティブ制度が導入されていることもあって、回答がなければ、そもそもインセンティブの対象にはならなくなってしまうという動機が大きいと思っております。あと、基金訓練と公共職業訓練とで受講者層が若干違うというところも無視できないとは思います。いずれにせよ訓練実施機関は契約なり当初の約定に従って、回答をちゃんと回収してもらって報告いただくのが筋ですので、それをいかに実効あらしめるかという点は、いろいろな工夫をしていかなければならないと考えており、工夫してまいりたいと思います。
○清家部会長 ほかにはよろしいですか。それでは次の議題に移ります。ここで職業安定局総務課首席職業指導官室の中村補佐、職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐は退席されます。ありがとうございました。では資料No.2について、事務局からご説明をお願いいたします。
○篠崎雇用保険課長補佐 雇用保険制度の関係です。まず資料No.2-1は、「雇用保険制度に係るこれまでの論点」ということで、9月30日にお示しした論点、10月7日にお示しした論点、10月21日にお示しした論点ですので、議論の状況によって参照いただければと思っております。
 資料No.2-2は、各論点を議論した際に委員の皆様から出た主な意見をまとめております。資料No.2-2の1頁をご覧ください。まず失業等給付の関係で、マルチジョブホルダーについてご議論をしていただきました。主な意見として1つ記載しております。「適用・給付の両面で技術的に難しいのは理解しているが、生活が厳しくて仕事を掛け持ちしているような人達のことも念頭に置いて検討することが必要」というご意見をいただいております。
 (2)が「基本手当の水準」です。基本手当については上限下限、給付率、給付日数等々がありますが、その中でいくつかのご意見をいただいております。1つ目が「基本手当の水準は、平成15年改正時に苦渋の決断をして引き下げたものであり、積立金の残額も回復した中で、改正以前のレベルに戻すことも検討すべき」というご意見です。2つ目は「基本手当については、求職者の意識、行動に大きな影響を与えることを踏まえるべきではないか。データでは給付が終わるタイミングで求職活動が盛んになっている」というご意見をいただいております。3つ目は「上限額下限額については、上限額が雇調金の上限とも関連すること、下限額については生活をするための最低保障額が設定されていないことも含めて、検討すべきではないか」ということで、上限額下限額についてのご意見をいただいております。
 (3)が「平成23年度末までの暫定措置の扱い」です。平成23年度末までの暫定措置としては、平成21年の法改正において暫定措置として設けた解雇等離職者に対しての個別延長給付とか、再就職手当の給付率の引上げ等々があり、この扱いについてのご意見です。1つ目は「雇用情勢が厳しい現状を踏まえれば、当面の間は、状況を見ながら延長していくということも考えるべき」というご意見です。2つ目は「制度を将来に渡って維持していくことからすれば、本体はスリムにしておき、緊急時に柔軟に対応できる仕組みと組合わせることが適当ではないか」というご意見をいただいております。
 (4)が「65歳以降への対処」についてです。これは65歳以降の適用をどうするかということも含めてです。1つ目は「65歳以上を雇用保険の適用対象とすることは、年金の支給開始年齢の引き上げの懸念等と関連することでもあり、少なくとも強制保険の適用ということであれば現行制度を維持すべきである」というご意見です。2つ目のご意見も、「現行制度という形で考えていくべき」というご意見です。
 2頁をご覧ください。(5)が「高齢継続給付のあり方」についてです。1つ目は「在職老齢年金と高年齢雇用継続給付は、継続雇用者の補助的収入源として企業・労働者間で社会的に定着していることを踏まえると維持すべき」というご意見です。これはこの議論の際に企業の中で、高年齢雇用継続給付などを組み入れているかというアンケートなどもご紹介したことも踏まえてのご意見ではないかと思っております。2つ目は「高年齢雇用継続給付は、処遇面で一定の機能を満たしており、制度を維持・継続していただきたい」というご意見をいただいております。
 (6)が「教育訓練給付のあり方」についてです。教育訓練給付についてはアンケートなどもご紹介いたしましたが、それを踏まえてご意見をいただいております。1つ目は「非正規社員がもっと制度を活用できるような方策を検討すべき」というご意見です。2つ目は「『趣味・教養に役立つ』という訓練受講者のアンケートでの回答があるが、こうした講座は雇用保険制度の趣旨に本当に合っているのか」というご意見をいただいております。
 大きな2つ目が「雇用保険の財政運営」についてです。(1)が「失業等給付に係る財政運営」についてです。財政運営については平成21年度の決算を踏まえて、雇用保険の失業等給付における弾力条項というものが発動できるということで、資料を提出しておりまして、その資料を踏まえてということです。1つ目は「弾力条項の発動は来年度も引き続き行うべき」、2つ目は「中小企業には負担軽減を求める声も強く、できるだけ弾力条項を用いて引き下げをお願いしたい」というご意見です。
 それから、雇用保険の国庫負担の関係です。1つ目として、「国庫負担について、現在の積立金残高は平成12・15の給付引下げ、保険料率引上げの痛みがあってこそである点を踏まえ、早急に原則復帰させていただきたい」、2つ目として、「円高・内需低迷の経済状況を踏まえ、国庫の原則復帰をぜひお願いしたい」というご意見をいただいております。
 (2)が「雇用保険二事業に係る財政運営」についてです。1つ目は「雇調金については引き続き要件緩和等柔軟な対応をお願いしたい」、2つ目は「雇調金の出口戦略についても検討をお願いしたい」、3つ目は「積立金への返済を視野に、事業の見直しも考えていただきたい」、4つ目は「二事業に関する事業仕分けの結果が出たら、速やかに関係部分を部会に報告し、部会の判断を政策に反映していただくという原則を踏まえて対応していただきたい」、5つ目は「事業仕分けの結果は、必ず審議会にかけて、ユーザーである労使の意見を聞く手続きを踏むべき」というご意見をいただいております。
 以上がこれまでの論点にかかるご意見です。ちなみに事業仕分けの関係については、最後の3つ目の資料No.3として、別途ご説明する予定としております。続いて資料No.2-3もご説明いたします。
 資料No.2-3は「雇用保険制度の主要指標」です。これは直近の指標をご紹介するということでご用意しております。簡単にご紹介いたします。資料No.2-3の1頁は、「完全失業率と有効求人倍率の動向」です。直近がいちばん右にあります。完全失業率は平成22年9月が5.0%で、前年同月と比べて0.1ポイント改善いたしました。また、右の下にありますが、有効求人倍率は0.55倍ということで、こちらも前月よりも0.01ポイント改善いたしました。しかしいちばん上に書いてありますように、雇用失業情勢の判断としては持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあるという判断をしているところです。
 2頁以降は雇用保険のデータで、年度と月単位で示しております。いちばん下に直近のものということで、9月の実績まで載せております。受給者実人員の推移だけ、簡単にご説明いたします。受給者実人員については平成22年の3月以降、対前年度比ではマイナスということで推移しております。しかしながら平成21年度は受給者数が極めて高い水準にあって、一時期100万人を超えるということでしたので、それに比べれば下がっています。現在でも70万人程度で推移しています。依然高い水準で推移しているということですので、今後の動向も注視していく必要があると考えております。以下は受給資格決定あるいは個別延長、短期日雇ということで資料を付けておりますが、こちらの説明は省略させていただきます。以上です。
○清家部会長 ただいま資料No.2-1、2-2、2-3についてご説明いただいたところですが、ただいまの説明に関してご意見、ご質問がありましたらよろしくお願いいたします。
○古川委員 雇用保険の国庫負担率についてです。前にもここでお願いしましたが、改めて申し上げたいと思います。雇用保険法附則第15条にもちゃんと書いてありますので、暫定的なものを早く改めて、雇用保険法附則第15条のとおり本則の4分の1に戻していただくように、改めて強調させていただきたいと思います。
○小林委員 経済情勢の話がありましたけれども、現下の雇用失業情勢は持ち直しの動きが見られるが、依然として厳しい状況にあります。私ども中央会でいろいろな調査をさせていただいております。エコカー減税の関係では補助金がなくなって、やはり自動車の売上げがかなり下がっています。家電も今月いっぱいでエコポイントが半分になるということで、来月以降の荷動きをかなり心配しているようです。トラック業者に聞いたところでは、今月は相当、家電の荷動きはあるらしいのですが、来月以降の荷動きについては定まらない厳しい状況と聞いております。依然として厳しい環境にあるというのは変わらないことだと思います。前回も議論しましたように、弾力条項の発動についても、来年度も引き続き行うことをお願いできればということです。
○清家部会長 ほかにご意見はいかがでしょうか。
○栗田委員 これまでの主な意見の論点の中に、意見として加えていただきたいことが1つあります。資料No.2-2の「失業等給付」の基本手当の水準の議論の中に、「基本手当については」というところで、データでは給付が終わるタイミングで求職活動が盛んになっているというご意見もあるわけですけれども、この間の改正の中で再就職手当という部分については、支給がかなり多くなっていると思っております。厚生労働省の職業安定局の調べの中では、基本手当の支給残日数を所定給付日数の3分の2以上を残して早期就職する者の割合は2009年度21.4%ということで、2004年度の集計開始(13.6%)から8%近く上がっています。
 再就職手当等の支給状況から、資料No.2-3の7頁を見ても、受給者数が大幅に上がっている、増加しているのではないかと思っております。そういうことからすると、再就職手当は早期の再就職への促進という観点からは、かなり効果があったのかと思っております。今後、基本手当の水準あるいは支給の見直し等の中で、再就職手当のさらなる活用も論点の中に入れていただいて、見直しを含めて議論していただければと考えております。よろしくお願いします。
○清家部会長 ほかにはご意見はございますか。
○新谷委員 資料No.2-1に論点を改めて列記していただいているのですが、前回も申し上げましたが基本手当の水準のあり方については、平成12年と平成15年の大幅改正で、給付の日数、日額設定の考え方等々を下げていますので、厳しい雇用情勢は続いていますが、積立金残高がかなり積み上がってきている現状の中で、給付日数なり日額のあり方については、改めて見直しをするべきではないかと考えています。
 特に賃金日額の考え方において、下限額について関連して質問させていただきます。この下限額の設定については2003年の改正で、当時の短時間労働被保険者の金額と統一されて、その時、2,140円で定額設定されて、その後毎年8月1日の毎勤統計の賃金統計でスライドさせて見直しをされてきて、今年に2,000円ちょうどという水準になっています。
 いま1週間の労働時間は20時間という雇用保険の適用基準の下限の下で、この金額の設定をされていると思うのですが、この日額設定において仮に週20時間で計算したときに、1時間当たりの賃金の単価はどのくらいになると見ているのでしょうか。これは最賃との関係で教えていただきたいというのが1点です。
○篠崎雇用保険課長補佐 新谷委員がおっしゃったように、日額の下限は2,000円になります。これを時給換算しますと700円になります。具体的には、700円で週20時間働いた場合は、それを7で割ると2,000円になりますので、いまの日額の下限は時給換算すると700円になります。
○新谷委員 700円ということになると、今年の最賃の全国加重平均が730円になろうかと思うので、そうすると制度的に見たときに、2003年の改正で毎年の賃金スライドで見ていくことになって、結果的に2,140円から2,000円まで下がってきています。最賃の全国加重平均を割ってしまっていることについては、制度的な不整合が生じているのではないかと思っています。最賃の全国加重平均との関係も見ておかないと、制度的には同じ労働行政の中でおかしいのではないかと思っていますので、その辺も見直しをする必要があると考えています。
 もう1点です。この上限額についても、これは雇調金の上限と連動しています。こちらの日額は30日分で計算するわけですが、雇調金は1日の単価となると、休みを除いて、稼働日まるまる休業しても20日ということになると20日分しか出ません。同じ上限額を使ってはいますが、そういった面での算出の基準日数が違うものですから、雇調金のほうが低くなってしまいます。だから雇調金を上げろというのではないのですが、2003年からガクンと日額の上限額が下がっていますので、この辺の見直しをする必要はないのかということを提起しておきます。
○清家部会長 ほかにご意見はいかがでしょうか。
○遠藤委員 基本手当の水準について、いまご意見を複数いただいていますが、これに関しては従来から申し上げている立場に何ら変わりはありません。変更ということになると、その影響度合いが大きいものですから、慎重な対応が必要だと思っています。
 とりわけ求職活動にどうインセンティブを踏まえる形で仕組みを作っていくのかという中で、考えていくべきではないかと思っています。
○豊島委員 お言葉を返すわけではないのですが、求職活動のインセンティブはそれはそれで大変重要なことだと思うのですが、求職中の生活ということで新谷委員もおっしゃったのだと思いますし、最賃との整合性の話もありました。重ねての発言になりますが、平成15年の改正、さらにその3年前の改正に遡れば、いまから比べるとかなり大きな額の日額で推移していた経過もあるわけですし、そのときの就職状況がどうであったかという材料を持っているわけではありませんが、せっかく制度を見直すのですから、いままで私どもが苦労をして、頑張って、いまの一定の蓄積というか、こういった余裕も持てる形になってきているわけですから、インセンティブはインセンティブで重要ですけれども、インセンティブを超えてこの間大変厳しい就職状況、労働市場の現状があるわけでして、そういったことの抜本的なことも必要なのだと思いますが、結果として失業する状況になられた皆さんに対して、しっかり私どもとして考えていくことは大事だろうと思いますので、よろしくお願いします。
○新谷委員 豊島委員も言ったとおりなのですが、先ほど申し上げた最賃との関係は、賃金日額の最低額を決める方法が雇用保険法第18条に基づいて、きちんと明記をされているわけです。一方で最低賃金法という強行規定があるわけで、雇用保険法における決め方と最賃を考えたときに、法的な整合性が全然取られていないのではないかということを申し上げているわけです。
 もちろん遠藤委員のおっしゃることもわかるのですが、人が生活する最低限の基準として決められている最低賃金を下回るような日額設定であるということは、重く受け止める必要があるのではないかと思っています。
○遠藤委員 それぞれの意見について、どうこう申し上げているわけではありません。考え方としてもう1点だけ付け加えさせていただきます。
 いろいろなところで出てきているように、雇用政策でどこまで見ていくのか、福祉の政策としてどうやって見ていくのか。それから、平成12年時や平成15年時から比べると、現在は時限の形で各種の手当といった福祉施策も講じられている状況があります。そういった中で、現状のあり様がどうなのかということを踏まえながら、慎重な対応をしていくべきではないかと考えています。
○清家部会長 その辺りも、これからこの部会で労使双方からご意見を承って、議論をしていくということかと思います。ほかによろしゅうございますか。
 引き続いて資料3です。先日行われた行政刷新会議の事業仕分け第3弾について、事務局から報告をお願いします。
○篠崎雇用保険課長補佐 資料3「行政刷新会議『事業仕分け第3弾』特別会計WG評価結果一覧」です。労働保険特別会計については、10月27日に行政刷新会議の事業仕分けのワーキンググループで取り上げられました。個別の事業が10事業、制度のあり方についても議論をしています。
 ここにある各事業について、事業概要と仕分けで出された結論について、簡単にご説明します。まず、労働保険特別会計の1つ目の職業情報総合データベースの運営等です。これは従前は独立行政法人のJILPTが仕事の内容、就職経路、労働条件、職業の特性等に関する、職業に関する総合的な情報をキャリアマトリックスとしてインターネット上で提供しているものですが、この独法が行っていた事業について、本年4月の事業仕分けで独立行政法人の事業としては廃止されましたが、昨今の学卒者を巡る厳しい就職状況等を踏まえ、新たな開発は行わず、最低限必要な機能に絞って、3年間に限り厚生労働省のホームページにおいて提供していくこととし、予算要求を行ったものです。
 この事業の仕分けの場において、独立行政法人の事業として一度廃止と結論されたものを、国の事業として再要求していることの合理性が認められない。また、職業の一覧性はあるものの、本事業が雇用につながっていくのかという効果について非常に疑問であるという厳しい評価を受けまして、ワーキンググループの結論としては事業の廃止とされました。
 次はジョブ・カード制度関連で、ジョブ・カード制度普及促進事業、キャリア形成促進助成金事業です。これについては、ジョブ・カードの周知や広報のほかに、事業主団体への委託によりジョブ・カードサポートセンターを設置し、普及啓発や協力企業の開拓を行う事業です。
 また、キャリア形成促進助成金については、ジョブ・カード制度に係る雇用型の訓練を実施する事業主に対して、訓練に要した経費や訓練中の賃金の一部等を助成するものです。この制度について事業仕分けの場において、事業の廃止という判定がなされました。ただし、この括弧書きにあるように、OJTによる能力開発という本来の政策目的を実現できる新たな別の枠組みを設けるとの指摘を受けているところで、ジョブ・カード制度の政策目的の重要性は理解されたものと認識しています。
 続いて、介護雇用管理改善等対策費です。事業の概要は、介護労働者は他産業と比較して離職率が高いなど、そういった問題があるので、介護労働者の雇用管理の改善に取り組む事業主に対する支援として、1つには作業の負担を軽減するための介護福祉機器の導入、介護未経験者の雇入れに対する助成などの事業を実施しているところです。この事業について仕分けの場では、他の類似の制度との整理統合を進めるため、予算の効率化、圧縮を行った上で事業の見直しを行うべき等の指摘があり、このワーキンググループの評価結果としては、予算の縮減を行った上で見直しを行うとされたところです。
 以下、特定求職者雇用開発助成金、若年者等正規雇用化特別奨励金、職業能力開発校施設整備費等補助金、離職者等の再就職に資する総合的な職業能力開発プログラムの展開。こちらについては、それぞれ事業概要は違いますが、ワーキングとしては見直しを行うとされました。こちらの予算要求については、実績をベースに、真のニーズに対応したものに限定、とされたもので、これらの事業については平成21年度の執行率が悪かったことから、取り上げられたものと考えています。
 その下で、財団法人産業雇用安定センターの運営費補助金です。事業概要です。産業雇用安定センターは企業間の出向、移籍を斡旋するために、産業界が自ら設立した団体で、労働力が余剰となっている企業から不足している企業への、失業なき労働移動を促進するための取組みを行っています。労働者の雇用の安定のみならず、中小企業等の人材確保にも資することから、事業主が拠出した雇用保険料を財源として補助を行っているものです。仕分けの場でなされた議論、結論は、このような出向、移籍の斡旋は、これを利用する企業の負担で行うべきであるとして、運営費補助を廃止すべきとの結論が出されたところです。
 続いて、財団法人介護労働安定センターの交付金です。事業の概要です。介護労働者が安定した雇用環境の中で働くことができるように、事業所訪問等による雇用管理の改善に関する相談援助や介護職員の基礎講習等を行っていまして、これらの事業の実施に対して、交付金が交付されているものです。仕分けの場でなされた議論、結論は、予算に占める管理費比率が高い、介護に特化して事業をする必要性、この法人が交付金を受けて事業を実施している理由等について議論がなされ、ワーキングとしては交付金は廃止という結論が出されました。
 最後に「制度のあり方」です。これは特別会計の仕分けということでしたので、各事業だけではなく、制度全体についての議論がなされました。全体の制度のあり方としては、雇用保険は雇用保険料を原資としているものであることや雇用情勢の変化により給付額が大きく変化する特性を有するため、区分経理の考え方や積立金を必要とするという考えについては肯定的な意見をいただきましたが、雇用保険二事業については、保険料はまず優先的に雇用調整助成金などの雇用の維持につながる事業に回すべきというご意見や、各事業の仕分けの際にも取り上げられた執行率などを勘案し、無駄な事業は廃止すべきというご意見をいただきました。結論としては、枠組みのあり方について、雇用勘定に関し、雇用調整助成金以外の必要性の低い雇用保険二事業は特別会計の事業としては行わない。積立金の取扱いについては現状維持、剰余金の取扱いについては、事業の見直しにより剰余が生じた場合には必要な積立金の水準を維持しつつ、受益者負担の引き下げを図るべきとされました。以上がワーキングの結論です。これらを踏まえて、今後の対応方針を検討することとしています。以上です。
○清家部会長 ただいまの資料No.3に基づくご報告に関して、ご質問、ご意見はございますか。
○坪田委員 ジョブ・カード制度について、商工会議所は職業訓練の受入れ企業の開拓や、訓練の計画づくりなどをお手伝いしています。訓練修了者の7割以上、約3,900人が正社員として雇用されるなど、訓練利用者からは高い評価を得ていると聞いています。このような部会の場で求職者支援制度などが議論されているにもかかわらず、今回の「廃止」の判定というのは、非常に理解に苦しみます。
 判定では、「類似事業との整理統合を図り、新たな別の枠組みを設ける」とされていますので、しっかりした制度を早急に作ってほしいと思います。意見です。
○豊島委員 資料No.2-2の最後の○2つのところに、事業仕分けについて書いていただいています。事業仕分けについて、私は前回も発言させていただきまして、そもそも特別会計の雇用保険二事業の問題は事業仕分けの場に馴染むものではない問題だと申し上げさせていただいています。その考え方は今も変わっていませんので、公労使あるいはそのような場での議論を頭越しに、仕分けの場で議論されてこのような結果になったこと自体を認め難い、遺憾であると申し上げざるを得ません。
 その上で、この場に報告していただいて、さらにこの場も含めて関係する部会で意見交換をした上で、厚生労働省としてどう対応するかを決めていただきたいと前回申し上げました。それで今日ご報告いただいたということです。
 いまそれぞれの評価結果について報告いただいた最後に、今後検討するとおっしゃいましたが、この評価結果について、まずはどう受け止めているのかということが1つです。それから、これから予算にかかわることもあると思いますが、そんなに検討する時間があるわけではないと思いますが、どのような場で、どのように検討して整理していくのでしょうか。
 助成金、対策費、奨励金などいろいろありますが、これらがどのように機能しているか、どのような効果を発揮しているかについて、具体的にいまどうこうという判断をする材料は持ち合わせていませんが、重ねてこういった問題について、あるいはいまご発言がありましたが、ジョブ・カードあるいは最後の総論的なところもそうですが、いかがなものかということを重ねて申し上げておきます。
 もう1つは、雇用保険二事業で産業雇用安定センターと介護労働安定センターということで、2つの運営費補助金、交付金の廃止ということが出ているのですが、もしこれをそのとおりにすることになれば、どのような影響があるのでしょうか。
○清家部会長 お尋ねの件について事務局からお願いします。
○坂口雇用保険課長 まず仕分け結果についてです。先ほど補佐からご説明、ご報告させていただいたとおり、ワーキンググループの結論は厳しい結果が出ていると考えています。私どもとしても、参画させていただいて、これまでの事業の取組み、坪田委員からもありましたが、その成果等もご報告申し上げたわけですが、このような厳しい結果ということです。
 いずれにしましても、この雇用保険二事業あるいは労働特会全体ですが、保険料を中心に運営させていただいていて、その拠出者あるいは利用者の方々のご意見を踏まえながら事業をつくり、運営しているわけですが、雇用対策はこのような事業がないと本当に立ち行かないので、私どもとしては、雇用のセーフティネット、雇用対策が損なわれることのないようにと思っています。ただ、一方で特会の趣旨・目的、この仕分けの結果を踏まえながら、必要な見直しは行わなければならないと考えていますが、いずれにしても真に必要な雇用対策をしっかりと行っていくことが重要だと思っています。
 もう1つは今後どのようにということですが、いま申し上げましたように、ここにあるような10個の事業あるいはそれ以外の事業、制度等も含めてですが、まさにこの雇用保険部会、諸般のいろいろな分科会等で制度の立案あるいは雇用保険法の施行規則等のご議論も、審議会等でもこれまでも行ってきていただいているということで、そういう審議会の場あるいはそれ以外の場も通じて、労使の方々のご意見あるいはいろいろな形でのご参画をいただきながら、事業をつくってきたということですので、先ほども言いましたように、労使の方々の意見を今後も踏まえながら、この雇用対策をしっかりやっていかなければいけないと思っています。
 いままでも制度の形づくり等については、いま申し上げたとおりですが、この評価結果そのものについては、いま出ているところと、今週いま再仕分けの関係で、まだ特別会計にかかわる部分の仕分けが行われている部分もあるということで、ご指摘のありましたように、平成23年度の概算要求、予算編成については、実質的にはあまり時間がないことがありますので、どのような形でその作業を進めていくかについては、引き続き検討していきたいと思っています。
 産業雇用安定センター、介護労働安定センターの2つの法人について、この結論のとおりということであればということですが、この産雇センターであれば運営費の補助、介護センターであれば交付金で、先ほど補佐から紹介したように、全国にわたっての出向、移籍の斡旋、あるいは介護センターであれば、介護の雇用管理改善のご相談あるいは介護講習を実施しているということですので、これが直ちに廃止となると、そういった事業そのものが立ち行かなくなりますので、これも雇用対策の観点からいっても、重大事ということで受け止めています。
○豊島委員 いずれにしても、いまお話させていただいたように、再仕分けの対象になっていることも承知していますが、その結果についても報告していただきたいと思います。いろいろとメディアなどでは、1回駄目だと言ったものをまた出してくるとは何事だという話で、専ら仕分けの対象の俎上に乗ったところは、それ自体が悪だという感じで報道されている感じがしますが、いまおっしゃったように、怯むことなく後退につながらないように、しっかりとした雇用対策を守っていくように私どもも頑張りたいと思います。是非ご検討お願いしたいと思います。
○小林委員 先ほど坪田委員もおっしゃっていましたが、ジョブ・カードの話は非常にびっくりしているところです。ジョブ・カードの推進協議会は内閣府で先導されて行っていたと記憶しています。同じ内閣府の中の行政刷新会議で、推進協議会で梯子を掛けたのに、それを取り払う形で事業廃止の結論が出されたということです。労政審で協議していたジョブ・カードの発給枚数の目標値が300万枚、現在は30万という状況で、制度の普及推進が図れるのか非常に懸念を持っています。
 全体的に、雇用保険二事業は確かに財源の問題などを含めると、必要な見直しを行うべきだと思います。従来から部会でも、この財源が事業主の保険料で賄われていることから、いろいろと提案をしてきたところです。今後もさらに必要な見直しを行う必要があると思いますが、雇用の維持、雇用促進という観点で、失業者が発生しないような各種事業は必要なわけですから、事業仕分けの第3弾があったわけですが、できましたら今後とも、特に事業主団体の意見を聞いていただいて、失業者が発生しないよう、さらに労働側の意見も聞いていただいて、この雇用保険二事業が推進されるようにお願いします。
○新谷委員 労働側としてもご意見を申し上げます。この10月27日の事業仕分けのあった次の日に、私ども連合は事務局長談話を発表させていただきました。この中でも申し上げていますが、今回の事業仕分けの結果について、連合としては極めて遺憾です。
 その理由はいくつかあります。この資料の中にも、個別の事業で10の事業について見直しをされているのですが、確かに雇用保険二事業は、いま事業の数が154あって、それぞれの個別の事業内容については、その都度必要性や政策効果をきちんと見直しするということが必要です。そういった意味では、個別事業について改めてこの場で確認していくのはやるべきことだと思います。
 私どもが問題だと思っているのは、資料の5番の「制度のあり方」に対する仕分けの内容です。特に、雇調金以外の必要性の低い雇用保険二事業については特別会計では行わないという結果ですが、いま、金額ベースでいくと5,000億円近い財源を持つ雇用政策を一般会計はほとんど投入されてなく、ほとんど雇用保険二事業でやっています。
 使用者のお金というのは、まさしくそのとおりなのですが、今年はちょっと違っていて、失業等給付の積立金から貸付をしているので、これは労働側にも少し言わせてほしいということで、ここが一般財源確保の担保がないままに特別会計でやるなということは、いまの財政状況から見たときに、来年度予算編成において、ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則により、増やすのだったら他を減らせということになりますので、その担保のないままに特別会計でやるなというのは、非常に無責任ではないかというのが第1点です。
 もう1点は、特別会計ではなく一般会計といったときに、財源の性格論があると思います。特に雇用保険二事業の部分は、使用者のみの負担です。また、労災保険の社会復帰促進等事業というのは、まさしく労災保険で使用者の皆さんが保険料を払って、分担をしながら、リスク分担でやっておられる事業ですので、これを一般会計に移すということは、財源の性格論からいってもおかしいのではないか。一般会計ということになると、お年寄りから子どもまで消費税は払っていますし、直接税も払っている中で、国民の負担に広く求めていくこと自体が、論理的ではないと思っています。
 また、この労災保険の社会復帰等促進事業についても、事業仕分けの中ではあまり論議されることなくバッサリと原則廃止となりまして、これも私どもとしては到底受け入れ難い内容です。
 労働の中で不幸にして労働災害に遭われて、手足を失った方の義手、義足、車椅子、育英資金などをここから出しています。またいろいろな経緯があってここからお金が出ることになっていますが、企業倒産における未払賃金の立替払い制度もありまして、本当に労働債権が回収できない倒産事案が非常に多い中、ここを最後の拠り処として、労働者のセーフティネットを張っているわけですから、それを原則廃止というのは、あまりに無謀なというか、労働政策の成り立ちがよくわかっていないのではないかと疑いたくなる仕分け結果です。
 皆さんも同じ思いだと思いますが、こういう仕分けをするのであればILOの三者構成主義に則って、この労働政策審議会の中でまず話をするべきと考えています。以上、私どもにとっては極めて遺憾な仕分け結果であると思っています。
 いま再仕分けが話題になっていますが、仮に今年の予算編成においてこれを乗り越えたとしても、原則廃止という看板が掛かったままですと、また半年ほど経つと、ゾンビだ、看板の付け替えだということにもなりかねませんので、仕分け結果のあり方そのものについて、きちんと対処する必要があるのではないかと思っていますので、この辺は使用者側の皆さんと連携を取りながら、公益の先生方にも声を出していただいて、是非政府の方針を変えていくべきだと思っています。
○遠藤委員 雇用保険二事業については、いまさら申し上げるまでもなく、雇用の維持拡大や能力開発といった、大変重要な機能を担ってきているわけです。当然のことながらですが、運営そのものを見たときには、効率的、効果的なものであることが重要であり、継続的な見直しを図る必要のあることも然りです。ただし、事業の見直しという際には、保険料の負担者の声を十分に聞いて尊重しながら、対応を図る必要があると考えています。
 また、先ほどから言及されていますが、ジョブ・カード制度あるいは産業雇用安定センター事業といったものは、雇用の維持拡大にも寄与しているものですので、この辺は当然のこととして予算を確保して、継続すべき事業だと考えています。
○岩村委員 今回の事業仕分けですが、私も報道等で聞いてかなり驚きました。いま新谷委員も触れられましたが、労災保険の社会復帰促進等事業の原則廃止というのは本当にびっくり仰天でした。ただ、ここの部会の所掌ではないので、先ほど新谷委員がだいぶ展開されましたから、これについては繰り返し言いません。
 今回の労働保険の特別会計の事業仕分けは、いまの事業仕分けが持っている問題点をかなり明瞭にしたと思っています。1つは、一般会計と、特別会計、とりわけこの労働保険特別会計というのはかなり性格が違うことが、どうもあまり理解されていなくて、特別会計そのものが問題だという先入観から、一般会計との違いをあまり意識せずに、事業廃止といったものの議論がなされている気がしています。
 もう1つ根本的な問題は、雇用を巡る政策を全体としてどのように構築するのかというビジョンが全くないままに、個別の事業の、ある意味では揚げ足を取るような形で、そのようなところを突ついて、事業廃止などの結論を出しているところが、いまの事業仕分けのやり方の非常に問題のあるところだと思います。
 いま再仕分けが問題になっていますが、結局前回やった事業仕分けの結果についての説得力がないために、どうしても何らかの形で事業を継続しなければいけないということになっているのではないか。その点を特に政府の担当部局としては考えるべきなのではないか。事業仕分けを担当しているところは考えるべきではないかと漠然と思っています。
 他方、もちろん雇用保険二事業というのは、強制徴収されたお金を財源としていますから、当然効率的かつ合理的に運営すべきであり、政策の目的その他に沿った形で制度も構築すべきであり、定期的に見直していくことは当たり前のことです。
 ただ、そうは言っても、それぞれ労使のいろいろな政策的な要望などを踏まえた形でできているものも多々あるわけなので、そういったことについて、実際の労使の意見も聞かずに、頭越しに廃止という結論を出すのは、やはり問題だと思います。
 例えば産業雇用安定センターも、出向配転による雇用の維持をやって、それが結局失業の防止につながり、保険給付が出ないところにつながっていくという役割を担っているわけです。廃止として掲げられた理由は、先ほどのご説明によると、それは受け入れる側の企業が負担すべきだということで、非常に理解に苦しむのです。もともとこれは企業が負担している保険料を財源としているので、その理屈で廃止というのは理由が立たないはずだという気がします。
 それから、介護労働安定センターも交付金というのが気に食わなかったのかという気もするのですが、他方で介護の労働のところは中小企業が多いとか、労基法違反の問題が多い、雇用が非常に不安定であるとか、いろいろな問題を抱えています。それをほかと一緒にやればいいではないかという議論というのは、やはり納得し難い気がします。特性に合った事業内容で、特性に合った体制でやらないと効果的ではないというのははっきりしているので、これも実際にこのような問題を担当しているところからすると、非常に納得し難い結果なのではないかと思います。
 いずれにしても、労働政策審議会で、雇用保険関係はここでも三者構成で議論するわけですので、そういった議論を反映させるべく、また事務方におかれても、予算編成の過程で精力的に折衝していただければと公益委員の1人としては強く要望します。
○清家部会長 ほかによろしゅうございますか。いま労使、公益委員からお話がありましたが、もちろん雇用保険によって行われる事業については、さまざまな角度から不断の見直しが必要であることは言うまでもないわけですが、それは皆さんがおっしゃったように、必ずその事業の費用を負担し、なおかつその事業あるいは政策の対象となる労使の意見を踏まえなければ、実効性もないし、納得性も得られないということは間違いないわけでして、その意味でももちろん事務局におかれても、いま委員の方々が縷々言われたようにご努力いただく必要もありますが、私が常に申し上げているのは、とにかく何かを変えたり決めるときには、労使の意見をよく聞いてくださいということです。労使におかれても、是非然るべき場所あるいはそれぞれの場がおありかと思いますので、もちろん労働政策審議会もそうですし、さまざまな場を通じて労使のご意見を開陳され、政府にも働き掛けていただく必要があるのではないかなと思っています。
 今日は3つほどテーマがありましたが、さまざまに有益なご意見が出されたと思います。本日の議論は以上をもちまして終了します。次回は今日のご議論も踏まえ、私と事務局と相談して、これまでの議論を踏まえ、求職者支援制度、雇用保険制度それぞれについて、さらに議論を深めるための検討のたたき台の資料をご用意し、それに基づいて議論を進めていきます。なお、本日の署名委員は、雇用主代表は坪田委員、労働者代表は新谷委員にお願いします。次回の日程は事務局から各委員にご連絡させていただきます。委員の皆様には、お忙しい中どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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