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2010年11月19日 第3回外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会議事要旨
労働基準局労災補償部補償課
○日時
平成22年11月19日(金)10:00~11:00
○場所
労働基準局会議室
○出席者
参集者
山口委員(座長)、岩出委員、小賀野委員、嵩委員、松島委員 |
厚生労働省(事務局)
尾澤労災補償部長、河合補償課長、神保課長補佐 |
○議題
(1)外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会報告書(案)について
(2)その他
○議事
事務局から前回検討会の経緯等の説明及び配付資料を読み上げた後、外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会報告書(案)について議論がなされた。各委員からの意見等主なやりとりは次のとおり。
(資料1、3頁の4(2)までの部分ついて)
○委員 3頁の(2)、「男女差を残すべきやむを得ない事情の存否」というところ、第2段落で自賠責のことについて多少触れられている。委員は自賠責は詳しいと思うが、この記述はこれでよいか。
○委員 損害賠償の世界で、若年者異性比率については、男女別を使わないで、男女の平均値を使っているということも最高裁で出ているので、入れたらどうかということも前に申し上げた。それもまさに男女平等の動向を踏まえた判断だと思うので、まとめ方について注釈付き、カッコ書きぐらいで入れてもいいのかなと思う。具体的に法令だけでなく判例も動いているという意味で。例えば、「……においても云々」という感じで最高裁のを引用していけばと思う。
○委員 委員のご意見は未就労者の男女差の問題で、ここで述べられているのは外ぼう障害に限定されており、外ぼう障害についてはこの記述でよいのかなと思う。未就労、年少者の女子と男子の違いについては、より広く議論がなされてきており解消に向かって努力されているということだと思う。
○委員 自賠責民事賠償の場合、委員のおっしゃったような問題がもちろんあるのだが、この事件は労災。だから、主婦とか民事損害賠償とか、自賠責で問題になる主婦や無職者の場合というのはもともと労災とあまり関係がないから、そこのところを一般化して触れるほうがいいのではないかと思う。
○委員 「流れを示す例」というのに過ぎない。固執はしない。例示として入れるかなというところ。
○委員 この(2)はご意見を伺った。それだけではなくて、「男女差を残すべきやむを得ない事情」があるかどうかという問題で、特にこういう理由があるということはないと思うので、男女差をなくすということでよいと思う。
○委員 我々、みんな男性だから、偏見に基づいて意見を言っているかもしれない。偏見かもしれないからこれでいいのかどうか。
○委員 労災という観点からいうと差をなくすということでいい。あとは民事損害賠償のほうで慰謝料という形で請求するとか、必要があれば他で調整をすればいいと思う。こちらは「男女雇用機会均等法」と目標を合わせる形でいいと思う。
○委員 現在のそのような原則的方向を承認してということですね。ほかに医学的見地から何かあるか。
○委員 医学的には、現時点では性同一障害等いろいろありますが平等になっています。男女それぞれ反対の性になりたければそちらになればいい。男性が女性化して、世間で認められている時代ですから両方とも平等だと思う。ですから労災においても、差別をなくすことは非常に妥当だと考えている。
(資料1 3頁の4(3)以降について)
○委員 報告書案の1頁の2の等級表では、男性は12と14しかない。それが5頁のエで括弧書きを見ると、「最も著しい外ぼう障害の場合は7級に位置づけ」というところは「男女問わず」というのが、それが明記されていない。運用としては確か、運用基準でも準用になっていますよね、7級は。だから、それを「著しい障害を残すような外ぼう障害については、男女を問わず」とか何か入れたほうがいいのかなという気がする。。
○補償課長 5頁の3以降の、特に線状痕についての記載なのだが、線状痕についての今の医学の現状と治療方法の進歩を踏まえれば、こうした形での表現と最終的な結論みたいなもので、これでいいのか、もし可能なら、委員に医学的な観点からご意見をいただければと思う。
○委員 この間の検討会でいろいろご説明いただいて、私自身は、これが妥当性があると思う。例えば、前の法律では、5cm線状痕というのは大体このぐらいの長さで、それが顔にある場合に、現代の医学ではシワの方向ですとほとんど残らないが、顔半面に及ぶ線状痕が皮膚線に直角になるようなものであると、それ自身は細い線として残るわけだから、その辺はやはりどこかで納めないと妥当ではない。5cm以内の線状痕の場合にはそんなに大きくはないので隠せますけれども、長い線状痕、ここには5cmというので、当時5cmだからというので私も随分強調したのですが、これがやはり10cmとか20cm、顔全面にくるような縦の線状痕などの場合には、残してあげないと気の毒。これが中間に入ったというのは、妥当性のある、落ち着いたものだと思っている。
○委員 この「治療しても残り得る外ぼう障害」というのは、線状痕だけではなくて瘢痕とか欠損とかもあるわけですね。
○委員 そちらのほうが大きい。どうしても、医学的にいくら形整美容外科が進んでも、やはり大きな火傷とか熱傷の場合、それが顔面にあると、いくら皮膚の移植をしても、そういう外ぼうはなかなか改善するに至らないことがあるので、そういう症例は、まだ現在の医学のレベルでも解決できないところがある。
○補償課長 こういう形では、線状痕はもう現在は残らないということで、昔の医学技術によればということ。
○委員 こうしたほうがわかりやすいのではないかと思ったのは、4頁の上のほうの2で、「障害を評価する観点」がある。文章が、「外ぼうの障害自体は稼得能力(労働能力)の直接の喪失をもたらすものではない」、「しかしながら、外ぼうの障害が、現状はもちろん将来にわたる就業制限、職種制限」、それから「失業」、その次に、「職業上の適格性の喪失」という言葉があるけれども、これは何か並列ではなくて、「就業制限、職種制限、失業等、職業能力の適格性の喪失」というほうがわかりやすくはないか。つまり、上のほうで、物理的な器官の損傷ではないから、直接、稼得能力・労働能力が失われるわけではないけれども、その状況によって職業上の適格性が非常に狭くなったり失われたりする。それもやはり一種の稼得能力・労働能力の損傷なのだというほうが、論理的には繋がりやすいのではないかなという気もしたのだが、どうか。これでも読めばそういう趣旨だとわかるから、間違いだというわけではないので、別にいじる必要もなければこれでもいいと思うが。
○委員 顔面の適格性を喪失したことによって就業制限されるということか。
○委員 というか、前のほうの1行に、「直接稼得能力(労働能力)が喪失するものではない」と書いてあるわけですね。読みようによっては、これは労災の補償の対象にならないよという意味でもあるわけだけれども、そういうことでないと。対象になるのだけれども、それはなぜかというと、直接、足が膝から下が失くなったとか、手が失くなったとか、そういうことではない、だけれど職業上の適格性が非常に制限されるという意味では、やはり稼得能力・労働能力に関係があるのですよと、そういう趣旨だと思う、この2段目の意味は。ということならば、そうしたほうがわかりやすい。
○委員 機能障害とか何かということではないのですよね。回らないとかそういうことでは。「失業等職業上の適格性を喪失する」というと何か繋がりがあまりよくない。
○委員 「職業上の適格性」というのも変な感じだから、このまま置いておいてもいいと思う。別にこれで間違いではないので、こだわるほどのものでなければ、これで原文のままでいきましょう。
○委員 いまの点でお尋ねしたいのだが、労働法では稼得能力について何か定義、あるいは了解事項のようなものはあるか。というのは、稼得能力の捉え方自体によっては、失業してしまうとか、広い意味での稼得能力と一般的には考えてもいいところがある。そうは捉えないで、やはり稼得能力というのは、厳密に、物理的な、機能的な、不利益とされているのであれば、こういう整理の仕方でいい。
○委員 生活能力全体を評価するというより、労災で、働いている人の話だから、賃金を必ずもらっていて、それが稼得能力の喪失だとみなされている。交通事故とか民事損害賠償みたいに広がっていない。先ほど委員も出されたけれども、主婦とか無職者はまず労災にはない。
○委員 労災ではないと思うけれど、ドイツの障害年金を扱った論文によると、障害の定義とかいうもので、稼得能力減少なのだけれど、いままではそういう医学的なというか、物理的な稼得能力の減少だったのだけれど、そうではなくて、実際に仕事を探してみて仕事が見つからないみたいなことも踏まえて、障害等、広く、労働市場における不利益も踏まえて障害を認定して年金を出すというものもドイツなどではあるようで、そういうものが日本で紹介されだしている状況なので、一般的にはやはりまだ稼得能力は物理的だとか肉体的な、医学的に測るものだと思うのだけれども、そういう社会的なというか、労働市場で仕事が得づらいことも含めて考えたらいいのではないかということが提案されだしている。
○委員 それが、妥当ではないのではないかという考え方が、段々、国際的に進んで討論はされているようだ。指を欠落したことによる生物学的な損害と、経済的な稼得能力と、2段で補償するという考え方が、強くなってきている。これは大きな検討議題だ。それから、もう1つ、障害の中に失業が入っているというのは、ドイツとか北欧で、雇用状況が悪いときに、高齢の、退職者で、求職をしても職が見付からないのは、労働能力に対する1つの社会的な損傷だというので、障害手当の対象にしていた。
○委員 そうですね。
○委員 そういう特殊な背景があっての政策的な要因からそうなっているので、伝統的な労災本来の考え方からは少し遠い。
○委員 やはり、「医学的な」というのが基本ですね。
○委員 そうですね。いままでは体の器官別の評価に偏っていると言われていますけれど、それで評価をして補償するということではないかと思う。
○委員 それは基本だけれども、こういう外ぼうみたいなものについては、少し、機能的なことだけではなくて、ちょっと広げて捉えるということですね。
○委員 だから、外ぼうのちょっと特殊な点は、直接の労働能力の損傷ではないけれど、昔から補償していることです。
それでは、ほかに特にご意見がなければ、大体この報告書のとおりにまとめさせていただいてよいか。委員から出ました、実際の7級の扱いを、男子の場合でも実務上やってきたことを入れたほうがいいかどうか、その点はちょっと、判決との関係がありますので、事務局と検討させていただきたいと思う。それから、先ほどご指摘がありました点の自賠責は、それもちょっと併せて検討させていただきたいと思う。
○委員 いま出た点をお任せいただいて、ほかの点はよいか。それでは、特段のご意見がないようですので、この報告書に基づいて取りまとめをさせていただきたいと思う。今日で検討会は終わるので、いま出ました点は私にお任せをいただき、事務局と相談をし、必要ならば文章の修正を行ってまとめたいと思う。もし、そういう点がありましたら、新しく皆さんにまたご意見を伺いますが、特に必要がないということでしたら、最終的な案文をお送りしてご意見をお伺いすることになると思う。それでまとまりますと、この検討会の開催者は労災補償部長になるので、労災部長に提出することになる。それでよいか。
手続みたいなものをどうなるのか簡単にご説明いただきたい。
○業務担当補佐 報告書をおまとめいただいた後、施行規則、省令の改正になるので、省令案要綱につきまして審議会に諮問させていただく。併せまして、パブリックコメントと、実は労災保険法の施行規則だけではありませんで、労働基準法の施行規則の改正もある。
○委員 公聴会も開かないといけないわけですね。
○業務担当補佐 いまご指摘のように公聴会を開かせていただいた後、そのご意見を取りまとめまして再度審議会にお諮りする。そこでお認めいただければ、省令作業に本格的に着手させていただいて、その後改正省令の公布・施行と、併せまして認定基準の見直しをさせていただいて、同時に発出とさせていただくことになろうかと思う。
<照会先>
労働基準局労災補償部補償課
(担当)補償課長補佐 神保: | 03(5253)1111(内線 5462) |
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