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2010年7月26日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第48回)議事録

○日時

平成22年7月26日(月)13:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

   田村部会長、鈴木部会長代理、田宮委員、岩渕委員、中村委員、酒井委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 定刻になりましたので、ただいまから「第48回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、武見委員、清水委員、政安委員、市川委員が欠席です。
 本日の議題はお手元の議事次第のとおりで、労働安全衛生総合研究所の平成21年度業務実績に関する個別評価を行います。まず、労働安全衛生総合研究所の個別評価に入る前に、前回の部会で資料配布をされていました、国立健康・栄養研究所の評価の視点の変更について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 国立健康・栄養研究所の評価の視点の変更については、昨年度3月に開催しました第45回部会において議題とさせていただいたところですが、数値目標の妥当性等に関して十分にご審議いただくことができませんでした。そのため、前回の部会の際に、法人から提出いただいた数値目標のバックデータ等を評価項目ごとに取りまとめた資料をお配りさせていただきまして、委員の皆様からのご意見をお願いしていましたので、本日ご報告をさせていただきます。
 前回お配りした資料について、4名の委員の方からご意見をいただいています。いずれのご意見も、今回の見直しについては概ねご了解をいただいています。具体的には、数値目標を挙げることで評価の視点が明確になった。数値目標を含む新たな評価の視点を設定されたことは、研究所の改革・発展へ向けた強い意欲の表われとして捉えたい、といったご意見をいただいています。その一方で、数値目標の妥当性、数値の設定の仕方についての問題提起もいただいているところです。
 具体的には、数値目標を記載するにあたっては、中期目標期間の数値を単純に5で割った数値を載せるとともに、数値目標期間の過去の年度ごとの実績も参考として併せて記載する形にすれば、評価しやすく、また数値の設定の妥当性についても判断しやすくなる、というご意見がありました。また、数値目標としての各種実績数値の件数のみでは、質の配慮に関する評価が容易ではないことが難点ではないか、というご指摘もありました。また、今後部会3法人の共通課題として、法人のグランドデザインが常に確認され、吟味した結果が報告されることが重要であり、例えば理事長による全体的な概要報告を冒頭で行っていただいていますが、そのようなことを評価の項目として1項目増やすという取組もいかがかといったご提案がありました。
 個別の数値目標の関係ですが、1つの数値目標の根拠として、「当研究所の研究費、研究員等、研究ポテンシャルが低下しないことを前提として、実現可能なアウトプットとして設定した」というような説明がなされている数値目標がいくつかありましたが、この扱いについて、新たな数値目標がこれまで設定していたほかの「評価の視点の数値目標」と何か特別な配慮が必要なのかというご質問をいただきましたが、そういう配慮は必要ありません。設定をする経緯としてどういう考えだったかを示しているものですので、新たに設定する数値目標についても、これまでの数値目標と同様の扱いで結構です。この点について、念のため申し添えます。今回いただいた意見は、以上のとおりです。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいま事務局から説明いただきましたように、何点か問題提起をいただいているところですが、これらについては今後の課題として認識を共有するとして、国立健康・栄養研究所の評価の視点の変更については、当部会として了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。特にご異議がないようですので、国立健康・栄養研究所の評価の視点の変更については了承したいと思います。
 それでは、労働安全衛生総合研究所の個別評価に入ります。最初に、前田理事長からご挨拶と平成21年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 労働安全衛生総合研究所理事長の前田です。本日は、お忙しい中ありがとうございます。まず、私から業務概要について説明申し上げますが、資料としてはオレンジのバインダーのいちばん最後に閉じています、資料1-5の頭の数頁を用いて説明したいと思います。
 資料1-5は、「平成21年度業務報告説明資料」です。1頁は「労働安全衛生総合研究所の概要」です。これは昨年度までと一緒です。名称は、労働安全衛生総合研究所で、前年度末ですと統合4年目となります。四角の中にありますとおり、職員数は前年度末現在111名、前年度の予算が約28億円です。業務の内容としては「産業安全及び労働衛生」分野における総合研究機関として、「職場における労働者の安全と健康の確保」を目指すための調査研究を行う研究所であることは、前年同様です。経緯については、既にご存じかと思いますので省略します。
 2頁の組織図ですが、これは前年と変わっていません。若干レイアウトなどの修正はありますが、基本的には全く同じとなっています。ただ、ここの図には書いてありませんが、一昨年、理事長が私に代わりましてから、管理部門を清瀬地区に集中するということで、本部機能をそこに集中させた運営をしています。
 3頁は、「労働安全衛生総合研究所の事業体系図」です。研究所の事業について概要を説明します。1「労働安全衛生の現状」としては、問題点、社会的な状況をここに書いています。ご存じのとおり、労働災害は減少傾向にあると言いつつ、まだ完全には無くなっていないので、まだまだ残された問題があるということを書いています。
 「年間1,000人を超える死亡災害」云々ということは既にご存じと思いますので、詳細は省略します。このようなものを防ぐ予防的対策を確立するために、世の中では法令や基準等を作ることに対する科学的知見を提供するというのは需要があります。そのために研究成果を提供されることが求められているということで、ここに我々労働安全衛生総合研究所の存在意義があると考えています。
 2「研究所のミッション」としては、個別法に書いてあるとおりですが、要するに、労働災害の防止並びに労働者の健康推進及び職業性疾病に関する総合的な調査及び研究の実施が1つの柱です。もう1つの柱としては、労働安全衛生法に基づく現場へ立入権限を有する労働災害調査を行っていますが、これが我々の研究所のもう1つの柱として実施しているところです。
 3「主要事業への取組み」ですが、調査及び研究を推進することと災害調査等、これは業務の中身としては微妙に異なるわけですが、つまり、調査研究の結果、高度な知見技術を発展させて、その中身を災害調査等に生かす。また、逆にその災害調査等で得られた問題点、課題などを、新たな研究にフィードバックする形で実行する、ということが、我々研究所の使命だと考えているところです。成果については、いろいろな手段で普及・活用等を行っています。
 4「内部統制」です。細かく書いていますが、一言で申し上げますと、昨年度、風通しのよい組織風土をつくることを目指しています。そのためには、例えば研究員に対して、私自身が全員に面談を行って、問題点があるかどうかを探る。それから所内の会議なども、それまではどうしても上から指示を与える場という印象が強かったわけですが、もう少し研究員などの自由な意見を吸い上げる運営の方法を考えています。そのようなことでボトムアップするような形で、運営がなされてきたと自負しているところです。また、監事と連携を致しまして、いろいろな助言をいただいたりして、業務の実行に反映させています。IT化を図りまして、例えば所内の情報をホームページ上で得るなど、グループウェアの活動を行っているところです。このようなことによりまして、内部統制、組織として十分な業務を遂行できるような形で運営しています。
 4頁の「研究所の活動と関係機関等とのかかわり」は、これも昨年度とほとんど同じですので、説明については省略をさせていただきます。研究所の中は実は統合後必ずしも風通しがよくなかったという反省がありまして、風通しのよい組織風土の下に研究員がはつらつとした研究ができることを目指して、昨年度1年間は運営してきたというところです。私からの説明は以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、法人から具体的な業務実績の説明を行っていただく前に、事務局から提出されています資料について、説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日、事務局からは、資料2-1、参考資料1をお配りしています。資料2-1は「調査研究部会平成21年度実績に係る自己評定一覧表」です。こちらの資料については、第46回部会の際に一旦お配りしていましたが、その際には、労働安全衛生総合研究所の自己評定作業がまだ終わっていませんでしたので、一部空欄でお配りしていました。このため、本日、改めて3法人分の自己評定結果をまとめた形でお配りしています。参考にしていただければと思います。
 続いて、参考資料1です。こちらは、既にご案内申し上げていますが、省内事業仕分けにおける労働安全衛生総合研究所の評決結果及び説明資料です。評決結果のほかに、仕分け人からの具体的な意見も記載されていますので、参考にしていただければと思います。なお、労働安全衛生総合研究所については、行政刷新会議の事業仕分けの対象とはなっていませんでしたので、お配りしているのは省内事業仕分けのみの資料となっています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。これからの進め方ですが、労働安全衛生総合研究所の個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきたいと思います。まずグループ1、「効率的な業務運営体制の確立、労働現場のニーズに沿った研究の実施」です。これは、評価項目の1~7に該当しますが、それについての評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明は20分、委員の評定と質疑15分の合計35分で進めてまいりたいと思います。それでは、法人から説明をよろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 研究企画調整部の豊澤が、引き続き資料1-4を使って説明いたします。資料の評価シートは、資料1-1にあります。5頁をご覧ください。「効率的な業務運営体制の確立」です。先ほど前田理事長から話がありましたが、前理事長が産医研時代6年、それから統合独法安衛研として3年、そのあとを受けまして、平成21年度から前田理事長の下、新しい体制で業務の運営を進めているところです。
 まず組織体制ですが、研究企画調整部関係、総務部関係の清瀬地区への一元化を進めるなど、本部機能の清瀬地区への集中を進めています。青い所に書いてありますが、平成21年度(4年目)としては、「総務関連業務の清瀬地区への一元化による4名の人員削減の検討」を行いまして、今年の4月をもちまして4名削減しているところです。
 効率的な業務運営ですが、先ほど前田理事長から説明がありましたとおり、内部統制の確立及び情報伝達の円滑化を目的とした諸会議の見直しを行っています。これについては、現状で実施していることを内部統制という切り口で見直し、整理をしまして、今後とも内部統制の充実を進めたいと考えています。
 「研究管理・総務部門の一元化」の右下の欄のいちばん下に書いてありますが、理事長打合せ、両地区合同部長等会議を週1回開催してます。これは、平成20年度までは公式には認められていなかった部長会議を再開したということです。部長に権限と職責を与えて、部長を核とした研究、それから業務のマネジメントを行うシステムに変更しています。それから、清瀬地区、登戸地区で別々に活用していたグループウェアを統合して、スケジュールや施設管理、各種規程の情報管理の一元的な運用を図り、情報の透明化を図っています。
 次に、左下の欄の「資質の高い人材の登用」についてです。よい人材を確保できないということは、長期的に見ると研究所として最大のリスクです。そのため、昨年の反省に基づきまして、平成21年度は5月に公募を開始しまして、7月面接、8月内定と、良い人材を早期に確保することに努めています。その結果、平成21年10月1日付で1名、平成22年1月1日付で1名、それから、平成22年4月1日付で7名を採用しています。
 このように、効率的な業務運営体制の確立を進めたことから、自己評定はAとしています。
 次に6頁の「内部進行管理の充実」に移ります。内部研究管理システムとしては、主にこの表に示す会議等があります。2番目の研究評価基準・個人業績評価基準の統一ですが、研究員のコンセンサスを得つつ大幅な見直しを行いまして、平成22年度4月1日付けで施行しています。それから、内部研究評価会議についてですが、年2回開きまして、全課題について評価を行うということです。これについては、評価ウエイトの透明化、それから業績収集様式の統一化等、細部の事務の効率化を進めているところです。外部研究評価会議ですが、平成21年度は添付資料の10にありますが、SRR特別研究報告を新たに作成しました。これは、プロジェクト研究の成果報告ですが、その成果報告を示して評価していただくとともに、各終了課題については全成果のリストと内容を外部評価委員に提示して、それに基づいて公正な、客観的な評価をしていただく体制を整えました。
 そのほか、左下枠の真ん中の○印にありますが、各研究グループにおける研究の進捗管理を徹底し、部長等会議、役員会議での報告、検証を実施しています。外部からの侵入を防ぐようなセキュリティー問題を解決して、先ほど申し上げたグループウェアを統一して、研究の進捗管理も行っているところです。右下の枠にありますのが災害調査の進捗管理です。内部評価会議等において、災害調査等の内容・進捗状況の報告を求め、年2回実施しまして、進捗管理を行っています。それから、特定の研究グループや個人に負担が生じないように、災害調査分析センターが対外的・対内的な調整及び支援機能を発揮しています。
 このように、研究管理システムの充実を図りましたが、基本的な研究管理システムの変更には至らなかったということで、厳しく自己査定をしまして、自己評定はBとしました。
 次に7頁です。「業務運営の効率化に伴う経費節減(その1)」です。これについては、(その1)(その2)がありますので、続けて説明します。まず、経費削減についてですが、随意契約の見直し、外部委員を含む契約監視委員会の開催及び委員会での指摘事項を踏まえた随意契約等見直し計画の策定をしました。また、総合評価方式による一般競争入札の導入、入札要件の緩和等により、業務委託に係る透明性・競争性の確保をしました。また、仕様書の見直し、公示期間の延長等による一者応札・一者応募の改善をしました。随意契約については、随意契約をせざるを得ない5件、その内訳は、水道2件、登戸、清瀬各1件ずつ、ガス2件、これも登戸、清瀬1件ずつ、それから官報公告1件の5件に留めまして、額としても3,400万円までに減少させています。
 省エネルギー対策の推進ですが、外部専門家による省エネ診断の実施、研究棟別・月別の光熱水量の把握・職員へのフィードバック、それから、省エネ委員会を立ち上げて、モニタリング活動を実施しています。廊下の消灯等徹底した省エネを実施した結果、18.4%の減となっています。
 次に、購入外国誌の見直しですが、登戸地区で先行して実施したわけですが、図書館相互賃借サービス(NACSIS-ILL)への加入をしまして、購入外国誌のタイトル数を19減らしまして、契約金額でも180万円ほどの減額になっています。
 次に、8頁の(その2)について説明します。研究所の目的に沿って、外部資金を積極的に受け入れるようにしまして、競争的資金については26件、7,900万、それから受託費は民間からの6件を含む12件で、1億2,500万、合計2億400万の外部資金を獲得しました。これは、過去最高額を更新しています。
 受託研究の例ですが、?@自治体からの受託研究「水道工事における労働災害防止に係る調査研究」、?ANEDOからの大型研究受託「生活支援ロボットの安全性検証評価手法の開発」があります。これは、約7,000万円を受け入れています。従来私どもの研究所は、産業用ロボットについて知見がありました。昨今は、ロボットと人間が共存するという新たな危険が生じています。その辺について、私どもの研究所の知見を活かして、このプロジェクトに参加しています。図に示すとおり「生活支援ロボット実用化プロジェクト」で「安全性検証指標の研究開発」について、当所が分担して研究を行っているところです。その他の自己収入の確保については、平成21年度約190万円の施設貸与、著作権料、特許実施料があります。
以上、経費の節減と外部資金の獲得の両方で大きな成果を上げたことから、自己評定はSとしました。
 9頁に入ります。「効率的な研究施設・設備の利用」です。先ほど申し上げましたように、省エネ診断の実施、それから研究棟別の光熱水道料の月次報告による注意喚起の推進等によりまして、約2,000万円の減、率にして18.4%の減少です。それから、施設管理者等による定期的な施設利用状況のモニタリングを実施しているところです。
 右の欄に移りまして、研究施設・設備の共同利用、有償貸与ですが、貸与施設・設備リスト及び貸与料算定基準の見直し等を行いました。具体的には、貸与施設・設備を前年比8件増加の84件としています。それから、技術指導料の適性化、これは規程を変えて適性化を行いました。ホームページに公表、パンフレットの配布等により公表に努めた結果、粒度測定及びゼータ電位測定装置、環境試験室等4件73万円の有償貸与を実施しているところです。そのほか14件の共同研究や53名の若手研究者等の受入れにより、外部の研究員とともに試験機器の利用促進を図りました。
 このように、効率的な研究施設・設備の利用を進めたことから、自己評定はAとしました。
 次に、10頁の「労働現場ニーズの把握と業務への反映」に移ります。研究が現場ニーズに対応していないというのが最大のリスクです。そのために、さまざまな機会を設けてニーズを把握するようにしました。
 左の欄にありますが、労働安全衛生重点研究推進協議会における重点研究領域・優先研究課題の検討を平成20年度から行っていますが、平成21年度も引き続き行いまして、重点3研究領域・32の優先研究の新規策定を行いました。シンポジウム、研究交流会等の開催ですが、ここに示していますとおり、客員研究員研究交流会等で現場のニーズを把握しているところです。業界団体との意見交換会を例として示していますが、例えば中小企業診断協会とは、右下の写真にありますように、研究所の見学のあと、このような形で意見交換会を行っています。このあと、会費実費の懇談会を開いて、研究員と本音で情報交換を行ってもらうような企画も実施しています。学会参加等を通じた将来生じ得るニーズ等の把握についても、計283名の研究職員を派遣しています。それから、各種委員会(学会、業界団体等)への参画、講演、労働現場調査を通じたニーズの把握に努めてまいりました。
 行政ニーズの把握と業務への反映ですが、厚生労働省との意見交換会を通じた行政ニーズの把握に努めています。幹部が集まって意見交換会を行うのは3回、それから研究職員がそれぞれ個別の担当官と行うのはいくつかあります。そういうものを通じて把握をしていくということです。厚生労働省からの4課題の調査研究を受託しています。また、厚生労働省からの要請を受けて11課題の行政支援研究を実施しています。その他経済産業省からの受託研究も実施しているところです。
 このように、労働現場ニーズの把握と業務への反映に努めているということで、自己評定はAとしました。
 次に11頁です。「労働現場のニーズ及び行政ニーズに沿った調査及び研究の実施」のプロジェクト研究です。中期計画に示されているとおり、[プロジェクト研究]は12課題あります。プロジェクト研究は、研究の方向及び明確な到達目標を定めて、重点的に研究資金及び研究要員を投入する研究を行っています。また成長に貢献するイノベーションの創造のための政府の長期的戦略指針「イノベーション25」に基づいた研究を4課題実施しています。[GOHNET研究]は、世界保健機構(WHO)の「労働者の健康推進に関するWHOアクションプラン」に登録している研究3課題を実施しています。研究費・人員を重点的に投入していまして、平成21年度は延べ87人を投入しているところです。
 右の欄で、各プロジェクト研究の成果の社会への還元例が示されています。先端産業における材料ナノ粒子のリスク評価に関する研究においては、私どもの研究所のホームページに「職場におけるナノマテリアル取扱い関連情報」として公表しています。それから、研究者が厚生労働省の専門家会合に参加して、「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」の通達の策定に知見を提供しています。
 プロジェクト研究の例をいくつかご紹介します。12頁に移ります。「高圧設備の長期使用に対応した疲労強度評価法手法に関する研究」です。平成19年度から21年度の3年間のプロジェクト研究です。経済の低成長化に伴いまして、機械設備を設計寿命を超えて使用する例が多く見られるようになっていまして、そのような原因に起因する事故も起こっているところです。こういう状況を鑑みまして、研究の成果として、ここに3つほど図が載っています。母材の長寿命疲労強度評価、これは超音波疲労試験機を用いましてギガサイクル疲労強度を新たに取得しました。それから、溶接継手については、1,000万回疲労強度を新たに取得しました。設計時・寿命延伸時のリスク評価に活用されるものと考えています。また、右側の破断面の写真からスペクトル解析を行って、いつ、どのぐらいの荷重がこの壊れた部材にかかったのかというようなことも明らかにする手法を開発しています。これは事故調査に貢献するものと考えています。
 次に13頁に移ります。これも同じくプロジェクト研究ですが、「第三次産業で使用される機械設備の基本安全技術に関する研究の概要」です。これは、平成20年度から5年間の研究です。災害動向として示していますとおり、写真を見ていただくとわかりやすいのですが、廃棄物処理機械、破砕プラント、ゴミ収集車を含めた破砕廃棄物処理機械での災害、昇降・搬送機械、コンベアやリフタでの災害、それから、サービスロボット、介護ロボット、清掃ロボットの災害が多い傾向があります。これに対して、それぞれの基本安全技術の検討を行っています。最終的には、設備対策としてここに示していますように、広域内を移動する複数の人と機械の存在検知や人体と多種多様な製品や処理対象物との識別、無線通信を用いた遠隔操作、制御・非常停止などの対策、それから管理的対策を施すことを提案することとしています。
 次に14頁、「アーク溶接作業における有害因子に関する研究」です。これもプロジェクト研究で、平成20年度から3年間の計画で行っています。製造、建設などの労働現場では、現在でも溶接作業では、多くの作業者がさまざまな有害因子にばく露されており、その対策は労働衛生上の重要な課題の1つです。粉じん、疫学、有害光線、眼科学、電磁波等を専門とする研究者や業界関係者が協力して、多面的かつ有機的に研究を遂行しています。左下の欄に一部研究成果が載っています。例えば、アーク溶接作業者がばく露する磁気の強さは、許容値以下であることを明らかにするなど、有用な試験を提供することが期待されています。
 次に15頁ですが、GOHNET研究、「ヘルスケアワーカー及びその他の労働者の職業性健康障害」について説明します。これらについては研究成果を上げまして、右側の欄の「行政・社会貢献」にありますように、厚生労働省の「介護労働者設備等整備モデル奨励金」、それから厚生労働省の「介護作業者の腰痛予防対策チェックリスト」に知見を提供しているところです。
 11頁に戻りまして、研究員の努力、それから研究管理等が相まって、多くの有用な成果が上がっていることから、自己評定をAとしています。
 次に、16頁の基盤的研究です。長期的な視点に立った基盤的研究の実施を行いまして、61課題を実施しています。プロジェクト研究の重点化を図っているため、基盤的研究は課題数を年々絞って実施しているところです。基盤研究についても、内部研究評価会議において、長期的な視点を鑑みつつ、行政ニーズ対応性、研究計画の妥当性や研究成果などについて、事前・中間・事後評価を実施しているところです。例として、左下にいくつか挙げているような研究を実施しています。
 17頁ですが、基盤研究の研究例を1つ説明します。これは「水素ガスの爆発危険性評価に関する研究」です。平成20年から2年間の研究です。写真がありますが、これはヒドロキシルアミンの爆発災害です。爆ごうといわれる現象が起こって、4名死亡、7名負傷という惨事になっています。火炎伝ぱ速度が音速を超えると、音として逃げていた圧力が火炎が追いつくため、火炎面にエネルギーが集中するという現象があります。このような現象を爆ごうといいまして、大きな被害をもたらすわけです。これに関して、水素と空気の混合ガスで実験を行っています。この結果、水素、空気で12%の混合比で爆ごうが起きるスレッシュホールド、境目があることがわかりました。上の表が、13%の実験例ですが、爆ごうが起こっている状況が見てとれます。このように、爆ごうのメカニズムの基礎的な研究を行っています。将来の災害調査やプロ研の基盤となる効果的な研究と捉えています。
 これらのように、基盤研究でも成果が上がっていることから、自己評定をAとしました。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートAの評定等の記入をお願いいたします。質問等ございましたら、適宜ご発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○中村委員
 最後にご説明いただいた基盤的研究ですけれども、この爆ごうというものの実態というのは、いままでは全く明らかになっていなかったということなのでしょうか。それともある程度わかっていたものに対して、さらに詳細に研究し、知見を得たというのでしょうか。評価の視点を確認したいのですが。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 爆ごうに関しましては、前に、水素中の爆ごうは、元産業安全研究所の研究員だった松井元理事が、非常にいい成果を出しているところでありますけれども、それの結果をさらに進めるということで新たな知見が出てきたものだと聞いております。

○岩渕委員
 任期付きを採用されたようですが、そこから任期の付かないポストへの登用みたいなものというのは、どんな感じになるのですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 状況でございますか。何人が。

○岩渕委員
 そういう登用ももうなさっているのですかと聞いているのです。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 任期付きで、原則、能力が見極められる人に関しては、パーマネントに移行しているのが、全部ではないですけれども、大体はそういうように移行しております。

○岩渕委員
 もう少し大きな声ではっきり言ってください。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 いま、さっと数字が出てこないのですが。

○労働安全衛生総合研究所理事
 補足しますと、細かいシートのほうの1頁にございますが、資料1-1で、ウの「人材の登用」のところに下から3分の1ぐらいのところでしょうか、この3つ目のポツに、「平成18年度に任期付きとして採用した3名の研究職員について審査を行い、平成21年度に任期を付さない研究職員として採用した」ということで、一応3名を任期付きで平成18年度に採用いたしました。3年後に審査をして本採用にしたということでございます。

○田村部会長
 ほかにいかがでしょうか。

○酒井委員
 1つは、評価項目3のところで、受託研究が各最高額を示しているということがありましたけれども、皆さんのところで受託研究が急激に増える要因といいますか、どんなテーマで受託研究が成立しているのかというのを教えていただきたいのが1点。
 もう1点が評価項目5で、行政ニーズの把握と業務への反映というところで、厚生労働省の委託研究並びに行政支援研究がこういったような形であるということですけれども、これは行政のほうが皆さんたちにこういうテーマでやってほしいということなのでしょうか。皆さんのほうから逆に提案があって、行政の委託研究になっているような開発型、もしくは提案型の行政研究の取組というのは、実際にあるものなのでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所調整部長
 まず、1点目の受託研究の件ですけれども、添付資料の2に詳しい一覧がございます。2の表紙に、厚労省の厚労科研、それから文科省の文科科研、それから学振の科研について、26課題について採択されているということです。外部資金については、1から12までありますけれども、厚生労働省の委託研究が4件、経産省が1件、NEDOが1件、それから民間が、その他東京都も含めて6件でございます。平成21年度で大きいのは、先ほどご説明しましたNEDOからの受託研究の約7,000万です。これが受託研究費増加の大きな要因になっております。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 2点目の行政支援研究など、これは研究所側からプロポーズしたものか、それとも行政側から指示されたものかということでよろしいのですね。水面下で動いているのは個々にあると思いますけれども、形の上では、行政側からの指示という形で行政支援研究を受けております。指示されたそのままということではなくて、いろいろ段階を経まして、プロポーズがあって、具体的にどのようなことができるかというような検討をして、再度また揉むというような、何往復した結果、実行ということになっております。

○鈴木部会長代理
 先ほど引用されました添付資料2の受託研究等の表について質問します。私がどこかで見た表では、委託元がブランクになっていたところがありましたので、それをご質問しようと思ったのですが、ここ(机上の資料)ではきちんと書かれていますので、これは取り止めます。
 もう1つ、ちなみにお尋ねします。12番の課題、「LED室内照明が認知高齢者の症状及びその介護者の負担に及ぼす影響に関する研究」の委託額が桁違いに小さいのですが、これはどんなご研究をなさったかということをお教えいただければありがたいです。
 それからもう1点が、評価シートの7頁の自己評定のところの下から2番目、ここに「研究職員が要求するすべての調達について、各研究職員の所属部長に加えて、研究企画調整部の事前承認を得ることとした」と書いてあるのですが、これに対する研究職員の皆様の声、評価はどうでしょうか。ちょっと迅速性が低化するだとか、生の声はどういうことでしょう。非常に歓迎するという評価なのでしょうか。そこをお伺いしたいと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事
 まず、最初のご質問についてお答えさせていただきます。研究担当理事の小川でございます。12番のLEDに関してですけれども、この5万円というのは、契約締結が平成21年度の年度末近くになり、研究開始が3月頃になったもので、その最初の1か月分が5万円ということで、研究は平成22年度に継続していますので、全体の額はもう少し大きくなります。それでよろしいでしょうか。

○鈴木部会長代理
 このテーマに興味を持ちましたので、お尋ねしたのです。

○労働安全衛生総合研究所理事
 そうですか。それで、内容に関してはもうよろしいですか。

○鈴木部会長代理
 はい。時間を取りますから。

○労働安全衛生総合研究所調整部長
 購入に関して研究部長なり、研究企画調整部長の承認がいるのは大変ではないかというご指摘でございますか。

○鈴木部会長代理
 いままでは所属部長の承認が得られれば、すぐ購入の手続きが取れたようですが、さらに、研究企画調整部の事前承認を得ることは必要である、となったことによる影響をお尋ねしたかったのです。

○労働安全衛生総合研究所調整部長
 私が承認をしているのですけれども、研究員から私のところへ回ってくる分の時間が若干がかかるのですけれども、それほど大きな時間ではないということで、直接には不満というものは聞いておりません。特に高額物品については、本当に必要かどうかとか、仕様書が本当に正しく書かれているかというような一者応札とか一者入札が行われないような配慮を研企部で全体を通じて確認しているということで、研究員も研企でチェックする有効性については、理解していただいていると考えています。

○中村委員
 受託の件に戻るのですけれども、ご説明いただいたもの、資料等を見ますと、受託については非常に頑張ったという成果が出ていると思うのですが、一般的な評価を見ると必ずしもそう思われていないというところにギャップを感じます。例えば、省内の事業仕分けの意見の中には、受託研究の比率があまりにも低いという文言がありましたね。この差異はどこから出ているとお考えでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所理事
 外部研究資金が少ないというのは、厚生労働省の省内事業仕分けにおける仕分け人のご意見です。その仕分け人は、イギリスの健康安全研究所の例をベースに発言をしておられ、イギリスの場合は約30%が外部資金だということから、それと比較するとうちの研究所は非常に低いのではないかという、そういうご指摘だったと思います。

○中村委員
 ありがとうございました。わかりました。

○田宮委員
 パワーポイント7頁、購入外国誌の見直しのところで気になりましたので伺います。タイトル数が19減となっておりますが、これは購入雑誌のタイトルが19減ったということですね。これは大体半分ぐらいになっているわけですけれども、研究上の支障といいますか、例えば減らすリストはどのように検討されたとか、やはり研究の上で雑誌というのはコストもかかりますけれども、かつ一方ではすごく重要な点でもあると思いますので、この辺の19減ったということが研究の質の低化に繋がらないかとか、その辺はどのように結論を出されたのか、少し経緯を教えていただければと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事
 確かに雑誌が研究所にあれば、それはそれでいいのですけれども、新しい雑誌がどんどん発刊されて、研究員の研究テーマもどんどん変わっていくという中で、図書関係の費用を増やすことは難しく、むしろ最近は少し減らさざるを得ないという状況の中で、どういう方法がいちばん効果的かということから、ベースとなるコア雑誌は研究員にアンケートを取った上で引き続き取り、それ以外は、外から文献コピーで入手するということのほうが、コスト面からより効率的ではないかということで、ドラスティックに減らさせていただきました。その代わり、NACSISを導入することによって非常に安い値段で、かなり広い範囲の文献を入手することが可能になったということでございます。これに関しましては、各研究員に分配されている予算以外から入手できるようにしましたので、文献収集意欲が抑制されることがないようにしたということでございます。

○田宮委員
 そうすると、NACSISによっては、さらにもっと広いものにアクセスが可能になったということですね。

○労働安全衛生総合研究所理事
 そうです。

○田宮委員
 わかりました。

○田村部会長
 他にはよろしいでしょうか。それでは、次はグループ2、「学際的な研究の推進、研究項目の重点化、成果の積極的な普及・活用」で、項目としては8~13に該当いたしますけれども、それにつきましての評価を行います。所要時間は、法人からの説明が15分、委員の評定と質疑を15分、合計30分で進めてまいりたいと思います。
 それでは、法人から説明、よろしくお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所調整部長
 それでは、18頁の「学際的な研究の実施」について説明します。通常の学際の意味は、複数の学問分野にわたること、関わることですけれども、ここでは私どもの研究所の衛生分野と安全分野のシナジー効果を促進するという、狭い意味で学際という言葉を使っております。平成18年度の統合に伴い、人間工学・リスク管理研究グループを発足させて、平成19年度からは環境研究領域を設置して、学際的研究の拠点を拡充しております。また、内部・外部研究評価において、学際的な視点からの評価を実践することによって、研究のプロモートを行っています。両知見を活用した研究例としまして、右の枠に示しております[プロジェクト研究]として、「第三次産業小規模事業場における安全衛生リスク評価法の開発に関する研究」、それから、GHS関係ですけれども、「危険・有害物規制の調和のための統一的・有害性評価体系の構築に関する研究」を実施しております。下の図に示しているのは、厚生労働科学研究費の採択研究ですが、「加齢に伴う心身機能の変化と労働災害リスクに関する研究」について例を示しています。平成21年度から開始していますが、[研究項目1]の労働災害統計/災害事例分析は、両研究分野の研究者が協力して行いまして、平成22年度の[研究項目2]については、主に安全部門の研究者が動作条件や筋力について研究する。[研究項目3]は、高齢者の認知的・心理的特性と労働災害リスク等について、主に登戸の衛生関係の研究者が研究し、相互連携を図っている。最終的には、両地区の協力の下で総合的な高年齢労働者の災害防止対策を確立することを目指しております。このように、必要な分野で必要な研究協力が行われているという、ごく自然な形で学際的研究が実施されている状況になってきたということで、自己評定はBとしています。
 19頁は、「研究項目の重点化」です。先ほどご説明したところですが、基盤的研究については前期の中期計画期間中は平均で102課題ありますが、その内容を精査してテーマ数を絞ることを行っています。平成21年度は61件です。基盤的研究の年平均研究課題数が、前期中期計画期間中の年平均研究課題数に比べて20%減少を達成しまして、新たな目標として、平成21年度は30%という目標を掲げました。これについても、32.1%という減少率を達成しましたので、目標をクリアしています。基盤研究の課題数をこのように減らしたことから、自己評定をAとしました。
 20頁は、「研究評価の実施」です。内部研究評価、外部研究評価がありますが、内部研究評価については、研究所で実施するすべての研究課題について、科研費の競争的資金、企業からの受託研究を含む課題の内部審査をいたしました。これについては、採点の点数配点の明確化等による透明化、公正化を高めています。外部研究評価については、プロジェクト研究、イノベーション研究25、GOHNET研究の全26課題について、事前・中間・事後評価を産業安全・労働衛生の研究者、労使関係者等により構成される13名の外部評価委員に評価していただいています。
 この結果が左下の表です。この結果は、3カ月以内に評価報告書としてホームページに公表していますが、これに対する対応策等も併せて外部評価報告書に載せています。また、研究企画調整部としては、評価結果に基づいて研究計画の再精査・変更/研究予算の増減を行っています。また、研究所全体として、個人業績評価等に基づき、昇任、昇格等の人事、表彰に反映しています。そのように評価の内容の充実を図っていますが、基本的には平成20年度と同じシステムで行ったことから、自己評定はBとしています。
 21頁は、「成果の積極的な普及・活用」、(1)国内外の基準制定・改訂への科学技術的貢献です。私ども、ミッション型研究所として、重要な役割等を認識していまして、国内外のISOやJIS等の基準制定に関する委員会へ研究職員を多数派遣しています。平成21年度は、20名の役職員、委員会数は70件の基準制定等に関する委員会に派遣していまして、数値目標20名以上を達成しています。
 基準制定等に貢献した例として左に載せていますが、?@OECDの「作業環境中のナノマテリアルの評価に関するガイドライン」の見直しにおいて、フラーレン、カーボンナノチューブ等の測定事例を提供しました。?AISO7933で示される暑熱負担予測モデルに修正が必要であることを指摘し、ISO7933の改訂部会を設置しました。?BISO規格、新たに定める保護めがねの曇りを評価する試験方法として、ヘーズメーターを使用した曇り試験を採用することを提案しました。また、?CIEC、国際電気規格の帯電防止用フレキシブルコンテナの規格制定に当たって、当研究で蓄積してきた技術資料等を提供しています。
 それから、行政からの要請に基づく基準制定への貢献も行っていまして、施策に反映した例として、胸部エックス線検査を実施すべき対象者の範囲に関する調査研究をあげました。この図に示すとおり、専門家を召集して調査研究班を設置しまして、ここに示す3つの検討事項を検討し、調査報告書として提出し、行政において労働安全衛生規則の改正に結び付いています。
 22頁は、「研究成果の法令・通達等への反映状況」を示しています。下半分の黄色い部分が、平成21年度の法令・通達等です。このように10件の法令・通達が私どもの災害調査、行政支援研究等に基づいて出されています。
 23頁は、「行政支援研究」の一例のご説明です。平成20年度から2年間にわたって行われた研究です。平成40年代には、年間300人を超える労働者が土砂崩壊災害で死亡していました。私どもの研究所では、溝掘削工事について過去に研究を行いまして、「土止め先行工法」が厚生労働省からガイドラインとして出されていまして、これによって溝掘削工事については労働災害が大きく減少しましたが、斜面崩壊による労働災害というのは現在も多く起こっていることから、左の写真のような労働災害の調査分析をしまして、委員会を設立しました。委員会は、現地盤工学会会長の日下部東工大教授を座長としまして、国交省、農水省、地方自治体等の発注者、施工者、コンサルタント等で構成した委員会で、ここに書いてある適用範囲の中小規模の掘削工事を対象として検討を進めました。
 この結果、80頁にわたる報告書ができまして、ホームページでも公開しています。機械等のリスクと違って、地盤リスクというのは施工途上で判明することがあるということで、施工途上で発注者・設計者・施工者の三者が協力すべきである。その情報化を共有すべきである。そのために、3種類の点検表を提案していただきました。また、安全性の検討に際して、ハードの対策について検討をいただきまして、対策工のリストアップをしていただいています。
 例えば、左下の写真はコンクリート擁壁ですので、まず型枠を作って、そこにコンクリートを流し込む作業があります。裏側のコンクリートの型枠を外すときに、労働者が被災するという事例が多くあります。これを解消する手段として、右側に写真がありますが、型枠を外す必要がない残存型枠工法、労働者が斜面とコンクリートの擁壁の狭い間に入らなくても済むような工法等をリストアップしています。これについては本省等において、点検表について検討を行っていまして、近々に行政施策に展開される予定と聞いています。このような対策を実施すれば、斜面崩壊による労働災害は限りなくゼロに近付くと考えています。
このようにISO、JIS、法令通達、行政支援研究等による法令改正の貢献を行ったことから、自己評定をAとしています。
 24頁は、(2)「原著論文、学会発表等の促進」です。研究能力のレベルアップ、学会・社会への研究成果の還元ということで、論文・学会発表等は非常に重要なことと考えています。左下の表が全体のまとめです。これによりますと、講演・口頭発表は、数値目標340回/年を上回る水準で推移しています。また、論文発表は数値目標170報/年の2.2倍以上となる384報となっています。英文による原著論文及び原著論文に準ずる学会発表の出版物は82報。行政報告書のうち、災害調査報告書は32報、鑑定書は15報で、これらを厚生労働省や依頼先に提出しています。過去4年間の累計では、論文発表等が既に中間目標の850報の1.5倍となっています。また、講演・口頭発表等は、同目標の1,700件の84.1%となり、ほぼ計画どおり推移しています。
 それから、平成21年度から新たに設けました論文の被引用件数の指標ですが、引用件数が10件を超えたものは数値目標の10報を上回る12報になりました。例えば、一番上に記載している過労死に関する研究については、引用件数が20件です。
 このように、原著論文、学会発表等の促進を進めたことから、大きく数が増加していることを評価しまして、自己評定をSとしました。
 次は「インターネット等による研究成果情報の発信」です。インターネット等の情報の発信は、数値目標として「研究業績・成果」、「Industrial Health」及び「労働安全衛生研究」、私どもは和文誌と言っていますが、アクセス件数を年間50万件以上という数字目標を立てまして、それを大きく上回る65万回以上のアクセス数を得ています。ホームページについては「ナノマテリアル取扱関連情報」等社会的関心の高い問題に係る各種情報を網羅的に掲載しました。それから、メールマガジンを対前年度比7.7%増となる642アドレスに対して月1回配信し、安全衛生研究の動向、研究所主催行事等の情報提供を行いました。また、平成21年度に出された研究成果の公表も逐時行っています。
 ここに書いてあるSRRの研究報告ですが、「過重労働による疲労蓄積の予防に関する研究」のほか3課題のプロジェクト研究の成果を収録しています。また、安全資料の「ICTを活用した安全衛生管理システム構築の手引」、同じく安全資料の「感電の基礎と過去30年間の死亡災害の統計」等をホームページに載せるとともに印刷物として刊行しています。
 右の上に研究所のホームページが示してありますが、3月にデザインを一新しました。デザインを一新することによって、3月以降アクセス数が急増しています。一般誌への寄稿、取材の協力ですが、一般誌等に58件の論文・記事を寄稿し、また25件の新聞、テレビ等の取材に協力し、国民に対して研究成果のよりわかりやすい普及等に積極的に努めています。取材例としてはCBSラジオカナダ、NHK特報首都圏、NHKニュース7などがあります。右下にある写真は、昨年12月25日に起こったガス爆発で、4人が亡くなった災害調査に行った当研究員が取材を受けたものです。
 このように新しい情報を逐時掲載するとともに、ホームページのデザインを一新したこと。新聞、テレビの取材等にできるだけ積極的に協力したことから、自己評定をSとしています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様には、評価シートへの評定等の記入をお願いします。また、質問等がありましたら適宜ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○中村委員
 アクセス件数が増えているのは確かにそうですが、どういうときに増えたかという分析はされていますか。何か社会的な問題があったとか、その2、3日後に急に増えたといったような、アクセス件数の動向は把握されていますか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 去年も同じようなご指摘を受けまして、それから簡単な方法ですが、どの頁にどのぐらいの件数のアクセスがあったかという分析をしました。分析した結果を基に、新しいホームページの設計をしたのですが、深い構造なのにもかかわらず、たくさんアクセスされているものは、できるだけ上のページに持ってくるというアクセシビリティを改善するような工夫をしています。

○中村委員
 実態というか、実際のデータに基づいて改善を図ったということですね。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 そうです。ただ、今年の3月から急増していますが、急増している原因がよくわからないというか、ホームページを更新したことによるのか、例えば事業仕分けがあったことによるのか、聞くところによると、ブログで紹介されたりすると突然数が上がることもありますので、その辺は難しいところだと思います。

○田村部会長
 ほかに何かご質問はありますか。

○酒井委員
 いろいろありがとうございます。最初、評価項目の9で、重点化ということでテーマを減らしている。これは過去において、この評価委員たちも、もう少し重点化したほうがいいのではないかというその成果だと見せていただいていますが、そうしたことが実際の特に幹部の皆さんたちから見ていて、研究の効率化や成果の面で、数を減らしたことによる取組の深さのようなものが進んでいるという実感はおありなのでしょうか、というのが1点目です。
 もう1つは、評価項目の10で、プロジェクト研究等の評価結果をグラフで示していただいていますが、1課題だけ非常に低いものがあります。こういったようなものに対しては、皆さん方は途中とか、そういうことでてこ入れするとか、何らかの改善をしていくというようなことは実際にあったのでしょうか。その2点をお聞かせいただきたいです。

○労働安全衛生総合研究所理事
 1つは基盤的研究の数を減らすということですが、いままでは主として労働衛生分野のほうが、そういう意味で、基盤的な技術なり知識を涵養して、それをあるレベルに維持するために基盤的研究を設定するということで長年来たわけです。しかし、昨今では、プロジェクト研究によって具体的な成果を上げないと駄目だ、という社会的要請が強まっている中で、今までの基盤的研究のウエートですと、研究者の嗜好によってどうしても研究テーマが発散する場合が出てきます。そういう面をもう少し考えて、プロジェクトに集中できるようにということで、ただ数を減らすということではなくて、そのプロジェクトへ効果的に貢献ができるように、基盤的研究を整理するという視点で整理しています。もちろん、研究者の中にはある程度はいままでと違う方向性を持たざるを得なくなる者も出てきますので、一時的にはそういう意味で圧力を感じることはあるかとは思いますが、ここ数年の中で研究者もそういう意識がだんだん高まっているということで、効果は出てきているのではないかと考えています。
 2番目の20頁のプロジェクト研究で点数が低い課題についてですが、これはサーベイランスシステムの研究です。当初の計画では、コンピュータとインターネットを使えば、全国的に活用していただけるのではないかと、過度にネット社会に依存したような計画の下に、システムを作ったわけですが、なかなかアクセスしていただくことが難しいということでした。そういう意味で、十分アクセス件数が達しないということで厳しい点数をいただきましたが、この点数に基づいて、ただウェブページを出すだけでは駄目だということで、昨年の後半からは、もう少し集団を限定して、まず限定した集団の中で協力者を作って、ある一定のアクセスを確保することから始めるというふうに方針を変えました。以上です。

○田宮委員
 2点ほどお伺いします。1つは8、いままでの研究所の統合などの経緯が、日頃よりご苦労されている中、是非、統合ならではの研究というお話もこの委員会でも出ていたかと思います。それで学際的な研究ということで、私は評価項目8に大変注目をしていました。こういう内容は、両方の研究所ならではでよいかと思いますが、1つ自己評価がBであることと、平成21年度で終わる研究プロジェクトが2つあって、今後の統合ならではの研究の現状の悩みも多くあろうかと思います。それと、どういう方向に発展しそうかという今後の見通し。それと、これは懸念かもしれませんが、全体でよくわからないのは、プロジェクト研究の中で出ている事例が、わりと安全のほうの事例が多いような気もしますので、安全と衛生のバランスのよい成果というものを、もしいろいろ検討されているのであれば、教えていただきたい。
 もう1点は、12の研究成果です。原著論文が昨年は一時的に120と多かったというのもありますが、今回減っているような感じで、その分、専門家向けの著書や報告書が増えているような懸念をされます。原著論文は研究の成果としては重要かと思いますが、この辺にどんな背景があるかを教えていただければありがたいと思います。

○田村部会長
 いかがでしょうか。最初の統合の効果から。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 シナジー効果を出す話がもともとありまして、いろいろやってはいますが、シナジー効果以前に、それぞれの分野でどうしても重要なテーマというものもあるということで、全体的なバランスを考えると、結局、目一杯やっているに近いのではないかと思いますが、それほどたくさん出てくるわけではないというので、自己評定がこのようなところになっています。私どもの研究所が、来年以降どうなるかがはっきりしていないことはありますが、一応従来どおり運営されるという前提で、次期中期計画においてどのようなプロジェクト研究を実行するべきかを、いまちょうど検討しています。その中には安全衛生、それぞれの分野に跨がるテーマというのもいくつか出てきていますので、まだ固まっていないのでここでご報告する段階ではないですが、そのようなことは引き続き検討しています。
 原著論文については、もともと数値目標を与えられたものから、かなり無理してたくさん出ているような印象がありますが、その反面、一般誌に載せた解説的なものが少し少ないということで、1年1年同じ率というわけではなくて、全体的に見ればまあまあの線ではないかなと私は考えています。

○中村委員
 研究評価に基づく優秀研究者表彰や研究成果の人事管理等への反映というのがありますが、これによって研究者に対してどういった影響を与えているか、モチベーションアップにつながっているのかどうかという点について、もし見解がありましたら聞かせてください。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 受賞に関して、研究反映等とは予算などについて、具体的にどうかということでしょうか。

○中村委員
 みんなが競争的に「私も次回は」という形になっているのでしょうか。人事管理等に反映というあたりが非常に微妙なところかなと思っていますが、そこら辺の見解をお聞かせください。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 私の想像以上に競争的に「次は俺だ」というような印象を持つ人がいるような感じがあります。ただ、一応点数化していますが、何点以上であればどうだというふうに機械的に実際の人事に反映しているわけではなくて、そういう点数は大いに参考にしていますが、総合的なものをいろいろ考えてはいるということです。多くの成果を出さないと、上に上がれないのかなという感覚は、私はそんなにないだろうと思っていたのですが、結構みんな神経質に、一生懸命やろうとしているような印象を持っています。

○中村委員
 ありがとうございます。

○田村部会長
 ほかにはいかがでしょうか。私からも1つお伺いします。評価項目11は、成果の積極的な普及・活用に関して、国内外の基準制定・改訂への科学技術的貢献をするということで、これは非常に重要なミッションでもありますし、それに対して非常に立派な貢献をされているのではないかと思ったのですが、自己評定がAになっています。何か理由があるのですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 Aは目標より優れているというレベルであって、Sまで行くほどのものかどうかという評価ですが、定量的になかなか申し上げにくいのですが、我々の実感としては必ずしもこれでS評価というほどのものではないのかなと考えたところで、特段の理由はなかったと思います。

○田村部会長
 要するに、Sのレベルまではまだ行っていないのではないかということですね。ほかに何かありますか。よろしいですか。
 次はグループ3、「成果の積極的な普及・活用、労働災害の原因の調査等の実施、国内外の労働安全衛生機関等との協力の推進、公正で的確な業務運営」に関することで、評価項目の14から20に該当します。これについての評価を進めてまいりたいと思います。所要時間は、法人からの説明が15分、委員の評定と質疑15分の合計30分ということで進めてまいりたいと思います。法人からの説明をよろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 26頁の「成果の積極的な普及・活用」、(4)講演会等の開催です。左下に講演会等を表としてまとめています。平成21年度に「労働安全衛生分野におけるリスクアセスメント」をテーマとする安全衛生技術講演会を東京、大阪、名古屋の3都市で開催しました。延べ9回の講演会を主催しています。数値目標は3回以上です。そのほか、日本粉体工業技術協会や四国電力需要者協会及び癌研有明病院との共催による講習会等をそれぞれ開催しています。その結果、主催・共催による講習会等の延べ参加者数は、過去最高数に迫る合計1,703名となっています。また、アンケート調査の結果、安全衛生技術講演会については「良かった」又は「非常に良かった」とする割合が66%、「普通」とする割合が26%で、数値目標が75%ですので、若干下回りましたが、要望をもとに今後改善を図る予定としています。
 研究所の一般公開ですが、平成21年4月に清瀬地区及び登戸地区において一般公開を開催し、参加者数は合計278名でした。そのほか、国内外の大学・研究機関、業界団体、民間企業等合計28機関・団体から延べ386名の随時の見学希望に対応しています。主な見学機関・団体は、記載のとおりです。
 このように、私どもの講演等への参加者数が過去最高に迫る数値となったことから、自己評定はAとしています。
 27頁は、「知的財産の活用促進」です。特許権の取得・活用促進を進めまして、新規の特許として3件を登録しました。また、1件の特許を出願しています。特許については、ホームページで全件概要を掲載しています。また、特許実施料は、平成21年度は1件50万5,000円となりました。特許に対する支援体制の整備ですが、特許権の取得を促進するため、特許取得に関する相談員を配置し、研究職員からの相談等に応じるとともに、研究評価において特許権等の取得を評価内容の1つとして位置づけています。ただ、今後は費用対効果も管理していく必要はあると考えています。
 このように、知的財産の活用促進を図ったことから、自己評定をAとしています。
 28頁は、7「労働災害の原因の調査等の実施」です。いま回覧していますのが、平成21年度に行った主な災害調査についての報告書です。重大な労働災害が起こった場合、厚生労働省の要請を受けて、私どもは研究職員を派遣しています。災害発生原因を科学的に分析して特定し、厚生労働省に報告し、再発防止策の策定等に活用していただいています。平成21年度は化学プラントの爆発災害、アース・ドリルの倒壊災害、土砂崩壊災害等19件の災害調査のほか、刑事訴訟法に基づく鑑定等18件、石綿繊維の有無等労災保険給付に係る鑑別・鑑定等17件を実施しています。合計で54件となり、過去最高の件数となっています。災害調査については、年2回災害調査報告会を開催しまして、災害調査の適切な進捗管理を行い、報告書等を行政や鑑定等の依頼者に提出しています。
 労働災害の災害調査等の改善に向けた取組ですが、平成21年度は労働災害調査を実施した労働基準監督署等に対するアンケート調査を行いました。その結果、「報告書を災害の再発防止の指導や送検・公判維持のための資料として活用した」とする割合は87%でした。数値目標は80%ですので、7%ほど上回っています。
 右下にある写真を簡単に説明しますと、半導体工場で有害ガス除外塔が火災を起こしたという事例です。また、左側の肺組織内の石綿の鑑定については、透過型電子顕微鏡で石綿の種類と量を鑑定している写真です。
 災害発生状況等の分析に関しては、国の委託事業として、労働者死傷病報告約3万3,000件のデータベース化(これは安全衛生情報センターホームページで公表されています)及び食品加工機械に関連した災害1,500件の詳細分析等を行っています。
 過去最大の件数の災害調査を実施したことと、顧客である労働基準監督署等のアンケート調査において評価が高かったことから、自己評定をSとしています。
 29頁は、8「国内外の労働安全衛生機関等との協力の促進」、(1)労働安全衛生分野の研究の振興です。私どもの研究所として、労働安全衛生研究の振興は重要な役目だと考えていまして、今年度も労働安全衛生重点研究推進協議会を通じて活動をしています。平成21年度に、新たに産業安全分野と労働衛生分野を統合した「労働安全衛生重点3研究領域・32優先課題(案)」を策定しまして、ホームページ上でパブリックコメントを募集するとともに協議会を開催、審議しまして、今後報告書を取りまとめる予定としています。
 さらに、労働安全衛生重点研究推進協議会シンポジウムを開催しまして、研究所内外の研究者による最新の研究成果についての報告、「リスクマネジメントの活用状況等と今後の課題:第11次労働災害防止計画の対策に向けて」と題するパネルディスカッションを実施しています。
 その右隣の学術誌等の発行ですが、国際学術誌「Industrial Health」を年6回刊行しています。この「Industrial Health」については、インパクトファクターが、平成21年度は数値目標の0.8を大幅に上回る1.22に向上しています。そのほか和文学術誌「労働安全衛生研究」を年2回刊行し、和文誌については平成21年度からJ-Stageで論文の全文公開を行っています。
 「Industrial Health」のインパクトファクターが大幅に上昇したことなど、実績が上がっていることから自己評定をAとしました。
 30頁の(2)「労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献」です。左下に表が示してありますが、連携大学院制度の推進を行っています。連携大学院協定を締結している7大学において、17名の研究職員が連携教授等として任命され、大学院での研究・教育に対する支援を行っています。また、連携大学院協定に基づき、2大学から4名の大学生・大学院生を受け入れ、修士論文・卒業論文執筆のための研究指導を行っています。
 その他の研究職員の派遣として、この連携大学院協定に基づく派遣以外で、東京大学、北海道大学等24大学・機関に対して28名の研究職員が客員教授、非常勤講師等として教育支援を行っています。
 若手研究者等の受入れですが、連携大学院協定に基づく大学生・大学院生4名、研究協力協定に基づく研究員2名、厚生労働科学研究費によるリサーチレジデント1名及び招聘外国人研究者1名を含め、内外の大学・研究機関等から計53名の若手研究者を受け入れ、研究指導を行っています。数値目標は44名ですので、大幅に上回っています。また、WHOからの依頼による研修生や労働政策研究・研修機構の産業安全専門官研修及び労働衛生専門官研修等々、研修に対して研修生の受入れを行っており、最新の労働災害防止研究等についての講義を行っています。
 研究者を大学へ派遣するとともに、目標を上回る若手研究者等の受入れを行ったことから、自己評定をAとしています。
 31頁の(3)「研究協力の推進」です。新たな研究協力協定の締結を米国コネチカット大学との間で結びまして、振動障害及び人間工学等の分野で共同研究を開始しています。計12機関との研究協力協定を結んでいます。
 そのほかの研究協力の推進として、研究協力協定を締結している韓国ソウル大学から2名の研究者を受け入れ、研究指導等を実施しました。このうち1人は、射撃場における粉じん爆発を端緒とする受入れで、研究指導テーマは「粉じん最小着火エネルギー測定方法及び粉じん爆発の観測手法の習得」でした。また、英国安全衛生研究所(HSL)との関係で、Process Safety Climate toolの開発を目的とした「英国と日本の化学工場における労働者の安全意識に関する比較調査」について研究計画を検討しました。調査は今年度実施する予定です。そのほか、韓国産業保健研究院(OSHRI)との共催で、平成22年度東京で開催する予定の国際シンポジウムの準備作業を進めています。
 共同研究、研究員の相互派遣ですが、共同研究の比率は数値目標15%に対して41%となりました。また、若手研究員の受入れは、先ほど申し上げたとおり53名となっています。そのほか、研究交流会等として、フェロー研究員や客員研究員として65名を委嘱し、研究情報の交換を行っています。そのほか、産業医科大学や労働者健康福祉機構との間で研究交流会を開催しています。
 以上のことから、自己評定をAとしています。
 32頁の「公正で的確な業務の運営」です。情報の管理としては、新たに、情報セキュリティポリシー及び同管理規程を策定し、管理責任者等の選任、情報の格付けに応じた対策や情報セキュリティ要件の明確化に基づく対策を推進しました。それから、個人情報保護管理規程に基づく個人情報保護管理者を選任し、保有個人情報の適切な利用、保護を推進しました。また、独立行政法人通則法に基づく公表資料のほか、調達関係資料、特許情報等のホームページでの公表に努め、透明性を高めるように努力を続けています。
 研究倫理については、平成18年度から研究倫理審査を行っていますが、平成21年度は33件の研究計画について厳正な審査を行いました。このうち、変更勧告又は不承認となった9件については、研究者への指導・教育を行うとともに、研究計画の修正や必要な書類の再提出を行わせています。動物実験審査委員会を開催し、8件の研究計画について厳正な審査を行っています。また、科研費取扱規程に基づき、会計監事同行の下、実地の内部監査を行いまして、不正使用防止対策を推進しています。これは平成21年度に新たに実施したことです。登戸、清瀬地区それぞれ2カ所ずつ、4日かけて実施しました。あとは、利益相反審査・管理委員会規程等に基づく内部審査を行っています。
 その他、遵守状況の把握ですが、法令・規則遵守等を担当する業務責任者を配置し、法令の遵守に関する啓発・モニタリングを行っています。また、ホームページに新たに「国民の皆様の声募集」というバーナーを設けまして、研究所の運営に関する意見や指摘を聞くこととしました。また、弁護士を講師とした「コンプライアンスの遵守」をテーマとした職員研修会を開催し、職員の意識啓発・トラブルの未然防止に取り組んでいます。
 以上のような業務を実施したことから、自己評定をAとしています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をよろしくお願いします。また、質問等がありましたら、適宜ご発言をいただければと思います。いかがでしょうか。

○田宮委員
 ありがとうございます。評価項目16について伺います。災害発生状況等の分析は、前から社会的な意義が非常に大きいかなと思って見せていただいておりまして、パワーポイントのほうでは災害のホームページの公開がなされたかのようにも書いてありますが、こちらの資料では「予定」とあります。この辺はどんな状況かを教えていただければと思います。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 行政として、中災防の安全衛生情報センターのホームページに載せるということで、いま準備中で、今月中には載せるということだったので、もう載ったかもしれませんし、今週中には載ろうかと思っています。

○中村委員
 評価項目の20についてお伺いします。研究倫理に関して「研究倫理審査委員会を2回開催し、33件の」云々とありますが、これはどう評価しているのですか。件数が増えれば増えるほどいいと判断してよろしいのですか。

○労働安全衛生総合研究所理事
 もう一度、そのご質問をお願いします。

○中村委員
 ここの表の見方をどう見たらいいのか。平成21年の審査件数が33件ですが。

○労働安全衛生総合研究所理事
 わかりました。まず増えるということは、倫理指針が数年ごとに変わってきまして、基準が厳しくなってきており、それに伴い審査件数が増えているのが1つです。また、人に関する調査への要求が強まっているという現状があります。いままでだったら動物実験だけで良かったものが、動物実験の結果を人へどう返すべきかの答への要求が強まり、人の調査の重要性が増してきたということです。これら2通りの理由で増えていると考えています。

○中村委員
 そうしますと、ここでの評価というのは、そういったものはきちんと機能していることを評価すべきということでよろしいですか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 多いことを目指しているものではなくて、研究内容によって倫理審査をきちんとするものはしなくてはいけない。それをきちんと行っているとご覧いただければと思います。

○酒井委員
 いまの中村委員の質問の関連ですが、前のほうで、組織の話で、外部機関や行政との関連のようなフローというか、組織についてはよく示していただいていますが、いまのような研究倫理や内部統制といったような内部での効率化を、どんな研究所の組織で行っているのかというフローを一緒に示していただけると、とてもわかりいいなと思います。これは要望ですが、考えていただけたらと思います。
 質問は、若手研究員の方を積極的に取り込んで、ご指導をしたり共同研究をしているのはとてもいいことだと思いますが、例えば皆さん方忙しい中で53名の若手研究者を受け入れて、具体的にこういう若い人たちが伸びていくために、どんな指導、どんなマネジメントを行っているのかを例示していただけるといいなと。また、皆さんの所でこういうふうに勉強することによって、こういう若い人たちが学位が取れているとか、もしくは、非常に萌芽的な研究として学会活動に貢献するような成果が出ているというような、数だけではなくて、若手の人たちによかったと言ってもらえるような成果が何かあがっているのかを教えていただけたらと思います。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 添付資料の20に「研究生・実習生等の受入れ」一覧があります。ここに53名が載っています。添付資料のいちばん最後の頁です。
資料1-2の前です。このように多岐にわたる研究分野で学生を受け入れているところです。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 内容については、添付資料20をご覧いただければわかるとおり、非常に軽いものから、非常に長期間かけて本当に指導を進めるというものまで、ピンからキリまでございます。こちらで研究指導を受けてそれがきっかけで、私どもの研究所に採用を求めて応募してくるという例もありますが、この年度ではそういう話は特になかったと思うのです。一般論で申し訳ないのですが、そういう状況です。

○労働安全衛生総合研究所理事
 ちょっと補足させていただきます。今、この資料20の中で大学院と書いてありますが、マスターの学生で、私どもがマスター論文の指導をさせていただいたということです。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 個人的には、私は武蔵工業大学、現在の東京都市大学から約20年間学生等を引き続き受け入れています。学生には非常に評判がよくて、私どもの研究所で研究したOB・OGたちの組織ができていまして、具体的なマネジメントがどうかというのはなかなか難しいのですが、そういう組織ができていて非常に感謝されているというような具体的な例があります。

○田村部会長
 他には何かご質問はございますか。

○鈴木部会長代理
 評価項目の14なのですが、研究所がいろんな講演会等の企画にずいぶん力を入れているのは大変結構なことだと思います。最も重視していらっしゃると思われる、安全衛生技術講演会の満足率が目標の75%になかなか近づかないですね。これは目標値が高すぎるせいなのか、あるいは聴衆のニーズとの間に何かずれがあるのか。この評価シートにはアンケート中の要望等を基に改善を図ると書いてありますが、今、把握しておられる範囲でお聞かせ願えればありがたいです。

○労働安全衛生総合研究所理事
 ここに書いてございますように、この年は、テーマが「安全衛生分野におけるリスクアセスメント」ということで、行政としても積極的に進めている内容なのですが、これは一般企業の方を対象にしたものですので、推測ですが、研究員のわかりやすくという説明がうまく聴衆に伝わらなかったのではないか、というような感想を持っております。そういう意味で、今年度また講演会を当然3都市でやるわけです。研究員でありますが、極力聴衆の目線に立った、企業の実務に役立つようなわかりやすい説明をというふうに心がけて参りたいと考えております。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 このリスクアセスメントについては、一日かけて6課題についてやりましたが、機械、土木、医療関係、化学関係、それぞれのリスクアセスメントの説明をしたのですが、それぞれお聞きになられている業種の方によっては、土木の方は機械とか、化学はあまり参考にはならなかった。そのような方が「普通だった」という評価をしている。そういう方が多いということも原因だったと思っています。

○田村部会長
 他に何かございますか。

○田宮委員
 ちょっと細かいかもしれませんが、若手研究者の受入れが非常に増えたのはとてもいいことだなと思い伺っていたのですが、中身を見ますと、学生実習が17名いるので、学生を受け入れるということはおそらく意義深いことだと思うのですが、いままで目標値が20人でしたか、この辺、ずっといままでの推移も学生実習を入れておられたのか、その辺数が増えているのが実習生なのかどうかがわかれば。あと、実習生も入れて数えるならそれでいいかと思いますが、いま質問がありましたように、若手研究者を受け入れることは、やはり育てなければいけないバーデンが大きいことで、実習生とはかなり質が違うと思いますので、数は一緒にされないほうがいいのではないかと思いました。実際はどうでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 数年前から評価に関しては、研究生、実習生両方入れております。

○田宮委員
 同じカテゴリーでも増えているということですか。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 同じカテゴリーでも増えています。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 今期は同じ基準で数えるようにしたいと思っています。途中から尺度を変えると比較ができないのですね。

○田村部会長
 よろしいですか、他にはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。
 次にグループ4、「財務内容の改善に関する事項」に移ります。評価項目は21から24についての評価です。所要時間は、法人からの説明を10分、委員の評定と質疑を15分、合計25分で進めて参りたいと思います。それでは法人からの説明、よろしくお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 それでは第3「財務内容の改善に関する事項」についてご説明します。33頁をご覧ください。第1点目としまして、運営交付金以外の収入の確保です。私ども現在、競争的研究資金、受託研究の獲得に努めています。21年度の結果については、右の表を見ていただきますと、競争的資金の導入ということで、この中身的には、文部科学省及び学振研究費補助金が14件、厚労科研費補助金が11件、環境省の科研費補助金が1件で計26件ありました。7,920万円の獲得でした。また、民間企業からの受託研究が6件ありまして、それを含めて受託研究全体で12件、1億2,500万円余りでした。総額2億円ぐらいの収入の確保ができたものです。経年的に見ました場合、概ね右肩上がりで増加していると申し上げられるのではないかと考えています。
 数値目標として考えておりました競争的資金、受託研究等については、年間30件以上獲得という目的でしたが、実績は38件でしたので、一応数値目標は達成したものと考えております。また、獲得した合計金額も2億円余りとのことで、過去最高額を更新したものです。
 また、下のほうの表を見ていただきますと、自己収入の確保で、これまでも説明申し上げましたが、施設の貸与、著作権料、特許実施料等と合わせまして、年間に190万円を獲得しております。概ね前年度並という状況でした。
 左のほうに科研費による研究の例、また民間企業の受託研究の例を掲げています。
 次に34頁です。「予算、収支計画及び資金計画」について説明します。私どもが念頭においておりますのは、経費の節減です。経費の節減については、まず一般競争入札を徹底しようということ。そして施設整備を行う場合であっても、優先順位を考えて、優先順位の高いものから施設整備を進めていくことを検討しています。電気料についても、一般競争入札による調達を進める。また、省エネを進めることにより、光熱水料の節減など、21年度は積極的に進めたものです。
 また、研究設備・機器の購入について、非常に特殊なものが多いのですが、そういうものについても、保守管理、メンテナンス等についても仕様書を見直して、一者応札が少なくなるような努力をいたしました。入札公告についても20年度途中から私どもの研究所のホームページにアップしまして、広く周知をしまして、入札の参加を促したところです。特に21年度からは、厚生労働省の掲示板にも私どもの入札公告を掲示させていただいて、広く入札に参加していただける企業を増やしました。そういうことから、一者応札の割合を大幅に削減することができました。ちなみに、19年度は65.1%だったものが20年度は53.9%、21年度は28.3%まで一者応札を減らすことができました。こういうことがどれかというよりも、すべてのものが相まって経費節減を進めることができたのではないかと考えています。
 また、全体予算・決算の状況については本日の黄色い資料の中にもありますように、全体の財務諸表、決算報告書のとおりですが、予算の執行については、年度途中でその予算の執行状況、また業務の進行状況を見ながら適宜見直しを進めつつ節減にも努めたものです。経費削減の達成度については、21年度の運営費交付金を充当して行う事業について、下のほうに表がありますが、人件費については92%、一般管理費については67.5%、業務経費については87.5%の執行でした。当然、研究所ですので、研究成果を上げるというのがいちばん大きな目的ですが、やはり少しでも経費を少なくしようという努力を行いつつ一定以上のパフォーマンスを上げることができたのではないのかなと考えているところです。
 数値目標の達成状況です。これは中期計画の中で、人件費については5%以上削減、一般管理費については15%、事業費についても5%削減ということを謳っているのですが、4年目の21年度までの結果でいいますと、人件費については8.2%の減、一般管理費については37.7%減、業務経費については18.2%減ということになりましたので、いずれも数値目標は達成できたものと、また、今度年についても粛々とやることにより達成できるのではないかと考えています。
 続きまして35頁をご覧ください。「人事に関する計画」です。これは先ほど研究企画調整部長からも少しお話を申し上げましたが、新規研究員の採用です。新規研究員の採用については、JREC-IN、大学病院医療情報ネットワーク等へ登録を行い、80を超える大学への公募案内等私どもが行える範囲で公募掲載をお願いし、行ったところです。その結果、前年度に採用が内定した3名を21年度4月1日付けで採用するとともに、21年度は非常に多くの方、58名の応募がありましたが、その中から21年度中に2名を任期付研究員として採用したものです。また、女性2名を含んだ7名を平成22年4月1日付け採用予定者として内定したところです。
 研究職員の昇任、昇給、昇格についても清瀬地区・登戸地区の共通の業績評価基準に基づいて、研究業績、対外貢献、所外貢献、独法貢献の4つの観点から研究職員の評価を行い、その結果を昇任、昇格等の人事、さらには、優秀研究者表彰・また若手研究者表彰をそれぞれ2名に行いましたが、反映させたものです。また、評価については、公平性、適正性を確保するため、研究職員が所属している部長による第1段階の評価、そして、所属部が所属しております領域長による第2段階目の評価、地区担当役員による第3段階目の評価ということで、3段階評価方式をとっているところです。
 人員の指標ですが、平成21年度末の常勤職員数は111人でした。当年度末の常勤職員数見込みの116人を5人下回った状況です。人件費総額の見込みについても、平成21年度における人件費の総額は9億6,300万円で、平成21年度計画の10億3,900万円と比べて7,600万円節減したところです。
 国家公務員及び他の法人との給与水準の比較です。私ども元国立研究所でありますし、私どもの事務・技術職については、全員厚生労働省からの出向ですので、国家公務員の給与法とまったく同じ給与規程でございます。また、それに基づく任用についても同じです。ただ結果的には、研究職を対国家公務員で見ますと93.6%、事務・技術職については103でして、概ね国家公務員と同様であると申し上げられると思っています。
 最後、36頁では、「施設・整備に関する計画」です。中期計画及び年度計画に沿いまして施工シミュレーション施設の改修工事に係る設計、また、登戸地区の建物の耐震改修工事、外壁防水工事等を実施したものです。なお、生物棟の空調設備改修工事については、今年度行う予定でしたが、経費節減の観点から、今中期計画期間中には実施しないことを決定したものです。なお、これら施設整備に関する工事についても競争入札を徹底いたしまして、施設費の年度当初見込み額約2億5,000万円に対しまして、実績は1億1,000万円強ということで、約1億3,000万円を節減することができたものです。ずいぶん雑駁な説明でしたが以上で終わります。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては評価シートへの評定の記入をよろしくお願いします。また、質問等ございましたら、適宜ご発言をいただければと思います。いかがでしょうか。

○中村委員
 評価項目23「人事に関する計画」ですが、登録されているのはよくわかるのですが、この値が出てきている基となっているのは、5名の職員数だと少なくないというものが寄与しているのかと思っているのですが、5名少ないというものは研究その他においてあまり問題になってないのでしょうか。非常に難しいかと思うのですが。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 研究員がいない分だけ当然研究を遂行する人間が、パワーが減るということで、実際に我々としても減らすのを喜んで減らしているわけではございません。足りない分野があちらで、こちらでということで声が上がっているところであります。それについては、可能な限りうまく人のやりくりをしてパワーの維持に努めたいというふうに努力しているところです。

○田村部会長
 他に何かご質問、ご意見はございますか。

○田宮委員
 いまの同じ評価項目23のところで、公募した研究員の応募者数がすごく増えているのは大変いいことだと思います。上に書いてあるJREC-INとかUMINの登録というので、その成果かということでしたけど、これは今年度から始められたのですか、21年の採用のときから。この非常に増加しているのはどうしてかなと。それによるもの、20年度の応募のときはそれはなかったのでしょうか。わかりますか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 たしか20年度も同様にやっていたと思いますが、この21年度は時期を早くして、まだ就職先が決まらないうちにたくさん応募していただいたということが大きかったと思います。

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
 20年度は8月の後半に応募、公募を開始したという時期的な遅れがあった影響が出ていると思います。

○酒井委員
 やはり評価のところなのですが、研究員の評価として4つあって研究業績から始まって、独法貢献というのが4番目にありますが、独法貢献というのは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 独法貢献は、独法としての特筆すべき運営に貢献したということで、実はちょっとわかりにくいところでありますけれど、いちばん典型的なものは外部資金導入と災害調査に対する貢献です。ただ、この独法貢献というのは、私自身わかりにくい評価だと思っていまして、実は今年度は独法貢献という項目を外しております。

○田村部会長
 他に何かございますか、よろしゅうございますか。ありがとうございました。評定等の記入のほうは、よろしいですか。まだ記入を終わっていない方も多いかと思いますので、そのことについて、政策評価官室のほうから説明いただけますか。

○政策評価官室長補佐
 もし評価がお済みでない場合には、本部会終了した後に会場に残られて記入されても結構です。また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただいても結構です。お持ち帰りになる場合には、事務局のほうに声をおかけいただければと思います。また、期間が短くて恐縮ですが、お持ち帰りいただく場合には、今週中に事務局まで提出いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは本日の議事は以上となります。次回の開催等について事務局からご案内をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催は8月11日水曜日、午後1時半から、場所は厚生労働省専用第21会議室となります。議題は、医薬基盤研究所、国立健康・栄養研究所、労働安全衛生総合研究所の総合評価、医薬基盤研究所の最終評価、その他の予定です。事務局からは以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただき、誠にありがとうございました。


(了)
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