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2010年7月22日 独立行政法人評価委員会年金部会(第26回)議事録

○日時

平成22年7月22日(木)15:00~18:00


○場所

経済産業省別館8階825会議室


○出席者

   山口部会長、川北部会長代理、竹原委員、樋口委員、安達委員、大野委員、光多委員


○議事

(以下、議事録)
 
○山口部会長
 川北委員がまだですが、定刻になりましたので、ただいまから第26回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また非常に暑い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日を含め、8月20日まで合計3回、部会の開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。例年、暑い中での開催ではありますが、国民の皆様に独立行政法人が信頼される評価となるよう、ご審議をお願いいたします。
 本日の議題はお手元の議事次第のとおりでして、年金積立金管理運用独立行政法人の「平成21年度業務実績に関する個別評価」を行います。
 それでは、まず、事務局から評価の進め方等について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、個別評価の進め方について、事務局よりご説明します。資料1-1-?@がお手元にあるかと思いますが、そちらをご覧ください。
 進め方については昨年と変わっておりません。改めてご説明いたしますと、理事長から法人全体の業務実績を説明いただきまして、その後、各個別項目を4つ程度のパートに分けて、法人から実績と自己評価を説明いただきます。各パートごとに質疑応答を行い、その際、委員の方においてはS~Dの評定と、その評定理由を評定記入用紙に記入いただくということで進めてまいります。
 また、今年度の評価については、1-1-?@のいちばん下の点線で囲んでいるところですが、昨年12月16日の独立行政法人評価委員会総会において、長妻大臣から、業務経費に冗費が生じていないか、法人の諸手当や法定外福利費が適切か、サービスの質を高める努力をしているか等について厳正な評価を行っていただきたいという要請を申し上げたところです。
 こうした要請に対する法人の実績としては、「業務実績評価別添資料」に取りまとめており、この別添資料に記載された事項を評価するチェックポイントというものもこちらで作っておりまして、それが1-1-?Aという3頁ほどのものにまとめております。
 これに対する評価については、先ほど言いました評定記入用紙がありますが、これの評価項目3「業務管理の充実」、あるいは評価項目5「業務運営の効率化に伴う経費節減」、評価項目9「財務内容の改善に関する事項等」といったところに、評価をご記入いただくこととなります。
 法人の個別評価が終わりましたら、各委員のご評価を踏まえまして、評価書案を起草委員に作成いただきます。各起草委員の担当の法人は、2枚めくっていただきますと資料1-2というものがありますが、昨年に引き続いてのご担当でお願いしたいと思います。
 評価書案の作成については、各法人の所管課室と起草委員のほうで調整をしながら、案文の作成を行っていただきます。
 起草委員において作成いただきました年金積立金管理運用独立行政法人の評価書案については、8月20日(金)の13時30分から予定しております総合評価の部会で、各委員にご審議いただきます。
 なお、年金積立金管理運用独立行政法人においては、21年度をもって中期目標期間が終了しましたので、最終評価に係る評価書についても同様に作成していただき、これについても8月20日にご審議いただきます。最終評価ですので、その後、総会において決定するという運びになります。
 最後に、1-1-?@の裏側の「3.個別評価の部会を御欠席された場合の取扱いについて」というものですが、起草担当の法人の評価を欠席の場合は個別にレクを行い評価をいただく、起草担当以外の法人の評価を欠席の場合は、いままで評価不要としておりましたが、ご自宅等で資料を基に評価いただける場合には、評価結果に反映したいと思いますので、欠席された部会の開催から大体概ね3日後までに、評価官室まで評定記入用紙の提出をお願いします。
 いまのまとまった資料の後ろから3枚に資料1-3と資料1-4が付いています。1-3については年金部会で評価する2法人について、あらかじめ法人の大体の実績を踏まえた上でご評価いただいたほうが、評価のばらつきが少なくなるのではないかということで、自己評定の一覧を付けています。
 資料1-4としては、過去3年分の評価結果をグラフ化したものを付けています。これは厚生労働省の全独法の自己評価の状況、部会での評価の結果等をグラフにしていますので、参考に評価していただければと思います。

○山口部会長
 それでは、年金積立金管理運用独立行政法人の個別評価に入りたいと思います。最初に理事長さんからご挨拶と、21年度における業務実績の概要(重点事項)についてのご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
 理事長の三谷です。私はこの4月に当法人の理事長に任命されたばかりですが、着任後、理事長としての立場から見ました、昨年度の業務実績の概要について説明させていただきます。
 まず、昨年度の運用結果です。詳細は後ほど説明しますが、全体でプラスの9兆1,000億円です。一昨年度、いわゆるリーマン・ショック等に伴う内外株価の急落などにより発生した9兆3,000億円のマイナスをほぼ取り返す形となりました。昨年度1年間での内外株価の回復率が、一昨年度下落幅の5、6割にとどまっているのに対して、ほぼ同額、マイナスもほとんど全部取り返したと。これだけ絶対額で回復した最大の要因としては、リーマン・ショック後の20年度下期のニューマネーの大幅な値下がりに伴い、基本ポートフォリオを下回っていました内外株式に集中的に投資したことにあります。市場環境が大きく変動する中で、基本ポートフォリオの原則を維持し、リバランスを行ったことが功を奏したものと考えております。
 以下、資料に沿って説明させていただきます。資料2-1の2頁、「平成21事業年度における取組(概要)」に沿って説明します。
 まず、業務運営の面ですが、当法人は業務運営体制の確立、業務運営能力の向上、業務運営の効率化に極めて真摯に取り組んできております。業務運営体制については、各種の会議を定期的に開催することにより、基本的事項に関する各事業間の情報の共有であるとか、また、重要事項についての議論、検討の場であるとか、あるいは理事長の指示が明確化される場が確保されていますほか、人事評価の結果を奨励手当及び昇給等に反映させる仕組みも整備されてきています。
 また、業務運営能力の向上という面では、予算の範囲内で運用実務経験者の採用を昨年度も引き続き実施したほか、各種研修の実施や支援措置により、個々人の能力向上にも努めています。ちなみに、証券アナリスト2次合格者は20年度末の16名から21年度末には23名と、7名増加しています。
 項目3です。特に経費節減については、一般管理費、人件費、業務経費のそれぞれについて、法人発足以来、各年目標値を大きく上回る節減を行っておりまして、21年度についてもここにありますように、一般管理費が基準年度対比12%以上の減少の目標に対して、実績は-21.2%、人件費が4%以上の減少の目標に対して15.3%の減少、業務経費が4%以上の減少の目標に対して21.9%の減となっています。
 さらに、経費予算の大宗を占めている管理運用委託手数料について、21年度は資産管理機関の集約化に伴う効果として、対20年度比で45億8,000万円の管理委託手数料の節減を実現しているほか、運用委託手数料についても運用受託機関の経営統合を機に、運用手数料の改定交渉を行い、昨年度は1億円の節減になっております。ちなみに、私ども法人としての運営経費は年間で約20億円ちょっと、これは人件費から賃借料、コンピュータの経費、減価償却費まで入れて20億円ちょっとですので、それに比べても、極めて大きな節減ができたというふうに思っております。
 次に4の「情報公開」です。これに関しては、年金積立金管理運用に関する国民の一層の理解と協力を得るため、さまざまな機会をとらえ、広報活動に注力しております。特に21年度は第2期中期計画の策定に向け、運用委員会においても基本ポートフォリオに関する審議等、何度もご議論いただいたところですが、これらに関する一般の理解を深めてもらうことを狙いに、議事要旨の作成にあたりまして、質疑応答に係る部分をより充実し、詳細な内容をホームページに掲載することにしました。こういうこともあり、当法人のホームページへのアクセス件数は大きく増加しており、また、外部からも高い評価を得ているところです。
 3頁に移ります。運用面ですが、引き続き運用受託機関から毎月の運用実績・リスク状況の報告を受けておりますほか、定期・臨時のミーティングを開催して、適切なリスク管理に努めてきています。また、定性・定量評価に基づく総合評価も行い、必要な措置も講じてきております。
 また、21年度における資産クラスごとの対ベンチマーク収益率ですが、残念ながら外国株式についてはマイナスになりましたが、国内債券、短期資産については、ほぼベンチマーク並、国内株式及び外国債券については、プラスの収益率を確保することができました。
 「年金給付のための流動性の確保」です。財投会計からの寄託金償還の終了、これは20年度に終わったわけですが、それに加え、年金特別会計の資金繰り上の事情もあり、21年度以降、新規資金の配分は基本的になくなり、寄託金償還のための資産の取り崩しが必要な局面に入ってきております。たまたま21年度は、財投債の償還金が寄託金償還額を上回ったことから、市場での資産売却は年度明け後の寄託金償還に備えての比較的小額にとどまりましたが、これまで資金配分のみでありました当法人の業務に、今後、資金回収という新たな業務が加わることになります。このため、21年度はその準備期間として、事務フローの確認、見直しや、短期資産運用の拡充等の必要な対応をしているところです。
 当法人はご承知のとおり、池の中の鯨にもたとえられるほど、マーケット規模に対する資金運用の規模が大きく、その一挙手一投足が市場関係者の注目を浴びかねないところがあります。したがって、今後いかに市場の価格形成に不測の影響を与えないよう配慮しつつ、円滑な資産売却を行っていくかということが、極めて重要な課題になっています。引き続き、これに必要な体制の整備、機能の強化に努めてまいる所存です。
 このほか、21年度中は、先ほども触れました第2期中期計画における基本ポートフォリオの策定が年度を通しての極めて大きな課題でしたが、最終的には、厚生労働大臣が示されました第2期中期目標を踏まえ、第1期中期計画における基本ポートフォリオを踏襲することといたしました。
 最後に、「施設及び整備に関する計画」です。現在保有している2件の職員宿舎を、第2期中期計画期間中に売却することを決定しています。既に居住者の退去が済みました日野宿舎については、今年度中に売却手続きを開始し、現時点でまだ居住者の退去が済んでいない行徳宿舎については、23年度中に売却手続きに着手する予定としています。主要なポイントは以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。それではこれからの進め方ですが、年金積立金管理運用独立行政法人の個別評価については、21年度の運用結果の概要について説明を行っていただきました後に、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を行っていきたいと思います。
 それでは、所管課から個別評価に当たっての補足説明をいただきまして、その後、法人からご説明をお願いしたいと思います。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 資金運用担当の参事官をしております八神と申します。簡単に補足をさせてください。
 先ほど事務局の政策評価官室のほうから、私どもの長妻厚生労働大臣から委員の皆様に評価に当たってのお願いをさせていただいたということをご説明申し上げました。その関係で資料2-4というものがあります。大臣からは、この評価に当たっては、特に厳正に評価をお願いしたいということです。今日、法人からの説明は、基本的に資料2ないし資料2-3を中心に説明があると思います。評価に当たっては、例えば財務状況、保有資産、あるいは宿舎をどうするかといったことについて、資料2-4でまた別途まとめてありますので、ご参照いただければと思います。
 もう1点は、今年の2月26日に年金部会でお集まりいただきまして、第2期の中期目標についてご議論をいただいています。今回評価をいただくのは、平成21年度、つまり第1期中期目標期間の最終年度です。2月にご議論いただいたのは第2期、この4月からスタートする中期目標ないし中期計画ということなので、今回の評価は第1期の中期目標・計画の期間で、それに基づいてご評価をいただくということを、念のため申し上げます。

○山口部会長
 それでは、運用結果の概要についてご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 年金積立金管理運用独立行政法人審議役の玉木です。よろしくお願いいたします。21年度の運用結果の概要について、資料2-7を用いまして、ごく簡単にご説明を申し上げます。
 目次から進んでいただいて3頁をご覧ください。21年度の収益率は内外株式の大幅な上昇から+7.91%という結果です。緑色の棒グラフをご覧いただきますと、各資産クラスごとの収益率を表示したものでありますが、国内株式と外国株式の上昇が大幅であったことが見ていただけると思います。
 4頁です。ほぼ同じ趣旨につきまして実額で表示したものです。+9兆1,850億円で、国内株式で3兆3,510億円、外国株式で4兆1,824億円といった収益が上がりましたので、全体で9兆1,850億円となったわけです。
 これが21年度単年度の収益の状況ですが、これを過去と比べてみた場合のグラフが8頁です。こちらは現在のような、いわゆる市場での自主運用に入ってからの年度ごとの収益の動向をグラフにしたものです。平成17年度のように大きくプラスになったこともあれば、平成19年度、いわゆるサブプライムバブルが破裂した年、20年度は、そのあと更にリーマン・ショックといわれるグローバルな金融危機が起きた年ですが、こういった年には大きくマイナスになっています。この後、21年度は先ほどご説明申し上げましたように、+9兆1,850億円と大きな変動があったわけです。この9年間を単純に累積してみますと、右端のいちばん背が高い棒グラフのようになります。すなわち、この9年間の累積額については+11兆6,893億円となったわけです。以上が収益自体の概要です。
 あと、私どものポートフォリオの中身については、1枚戻っていただき、6頁をご覧ください。私どもの120兆円ほどの資金の運用については、「基本ポートフォリオ」というものを定め、それに従って管理運用を行うこととなっています。この基本ポートフォリオにおいては、例えば国内債券であれば全体の67%、国内株式であれば11%というような基本的な資産構成割合を定めています。6頁の4つのグラフの中に、赤っぽい破線が水平方向に引いてありますが、これらは各アセットクラスの基本ポートフォリオ上の資産構成割合です。これをご覧いただきますと、各資産クラスとも、特に年度の半ばを中心に、この基本ポートフォリオの資産構成割合に非常に近いところで推移していたということがご報告できるわけです。以上が平成21年度の我々の運用結果自体に関しての概要です。

○山口部会長
 ありがとうございました。それでは次に第1グループ(項目1~5:業務運営の効率化に関する事項)について評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からの説明が大体15分ぐらい、それを受けて委員の皆さんの評定並びに質疑が15分、合計30分ぐらいを想定しています。それを4回やるという形で進めていきたいと思います。
 それでは、法人からご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 資料2-2です。Part1~4まで、評価項目で5項目ずつに分けたものです。
 まずPart1です。1頁ですが、こちらに1から5まで評価項目が並んでいます。評価項目1が「効率的な業務運営体制の確立」で、いちばん下の評価項目5は、「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。この頁に5行書いてあるわけですが、そのいちばん右のところに、私どもの自己評定が記してあります。ご覧のとおり、1から5までA、A、A、A、Sと自己評定になっているところです。
 次の頁から、この評価項目ごとに簡単な説明を加えてまいります。まず、私どもの「効率的な業務運営体制の確立」という観点から申し上げられることは、1つには、理事長の意思決定を支える体制をきちんと機能させるということです。いろいろな体制の中の構成要素はありますが、主なものを2つ申し上げますと、1つが経営管理会議です。こちらは部長相当職以上で構成されたもので、業務遂行上の課題等について議論し、事業の進捗状況等を把握し、理事長からその指示を受けるというためのものです。これについては平成21事業年度中、大体月1回、年12回が開催されています。
 もう1つが企画会議です。こちらは管理運営業務に係る重要事項に関し、理事長の意思決定をサポートするという趣旨のもので、部長相当職以上の者及び当該議案の担当職員で構成されるといったものです。この企画会議においては、運用受託機関等の選定、あるいは資金の配分・回収といったものが審議されまして、あるいは昨年度については、先ほど理事長から申し上げましたようなキャッシュアウトのための決定等も、この会議では行われています。こちらについては21事業年度中、23回の開催がありました。
 このほか、右側ですが、システム部門の体制強化、あるいは運営リスク管理・情報セキュリティ対策の推進、契約手続きの公正性確保、そういった目的のためのいろいろな会議体の設置・運営といったものも行われているところです。
 3頁は人事評価制度の話です。職員の能力の向上等のために非常に重要なところだと認識しておりまして、21年度については実績評価及び能力評価を個々の職員について行いまして、奨励手当や昇給等に反映させたほか、無駄削減等の取組も考慮に入れたところです。
 4頁に私どもの組織図があります。先ほど1頁で申し上げましたシステム部門の体制強化の具体的な対応として「情報システム室」というものを新設しました。このシステムに関する機能は、情報システム室設置以前は企画部の中にあったものですが、これを外に出して、システム部門の体制の強化を図ったというものです。こういった部・室という体制のほか、4頁右側にありますような目的別の組織横断的な会議体がいくつかありまして、それぞれの目的に従った機能を果たしているとご理解いただいてよろしいかと思います。以上が評価項目1です。
 5頁以降は2の「業務運営能力の向上」ということですが、私どもの業務運営能力、基本的には組織をうまく作ることのほか、それを構成する個々人の能力を高めるというところになるわけですが、この観点から民間の運用経験者等の採用が継続してあります。昨年度においての具体的な事柄としては、4月1日付で採用者が3名ありました。こういった方々は、しばしば金融証券業界における実務経験があるとか、あるいは運用に関する体系的な知識である証券アナリスト資格を持っているケースがあります。
 6頁については、私どもに勤務する職員に対する研修の体系です。業務研修、一般研修といったもの、世代別研修等々です。こちらについては職員の業務知識のレベル、情報システム・セキュリティ研修のように、特別な目的を持ったものをやることもありますし、あるいは右側のコンプライアンスとかメンタルヘルスといった、私どものマネージメント上の重要事項に関する研修も行われており、トータルしますと6頁右上にありますとおり、研修回数89回、参加延べ人数549名、私どもの職員数70数名ですので、1人当たり7回とか8回ぐらいは平均して加わっているということです。
 7頁です。先ほどちょっと申し上げました証券アナリスト資格の取得の状況です。もとより、私どもに要求される専門性がこの資格ですべて尽きるわけではもちろんないのですが、一応共通言語となるような知識を体系的に持っている者が増えてきていることを、7頁の右側の表のような形で示すことができます。以上が評価項目2です。
 8頁以降が3の「業務管理の充実」です。こちらは私どもの日常の業務遂行がプラン・ドゥー・シー・アクションという形で行われるような仕組みを作り、またこれに経営管理会議が関わっているところです。具体的なアクションとしては既に一部コメントしたところですが、右側のような業務改善、あるいは円滑化の事例等があります。
 いちばん上にあります「資金移動フロー等の見直し」というのは、昨年度からキャッシュアウトという一種の新しい業務の形が加わったわけですが、こちらは、場合によりまして、運用している資産を売却し、売却代金を貯めておいて、それを特別会計に返す日にまとめて資金決済事務を行うということで、資金を売って回収し、それを短期金融市場で運用していくといったような一連の事務がございます。こちらに関しては関係する部署が、私どもの組織内の各部署が入るのはもちろんですが、お金を渡す相手の厚生労働省、あるいは渡す手段となる決済手段を提供してくれる私どもの取引銀行といったところとの綿密な打ち合わせの上で、確実で絶対に安全に行えるというような事務体制の構築に努めているということです。
 システム部門の体制強化は、先ほど申し上げた「情報システム室」を作ったことですし、目的別の会議体として、例えば契約監視委員会を設置する、あるいは業務概況書については、先ほど冒頭の運用成績の概要のところで申し上げましたが、それ以降の90頁以上の部分についても、細かなことの積み重ねですが、種々の改善を加えていったところです。
 9頁です。「業務管理の充実」という点については、そこにありますような各種の委員会を置くなどして、内部統制体制の充実に努めたところです。こういったアクションが、最終的には職員の意識改革につながっていき、それがひいては受託者責任の徹底した業務遂行になる、あるいは内部統制を含めた業務管理の充実になると考えているところです。
 10頁については、監事監査の取組状況で、監事監査については、経営監査、契約監査などの監査が定例的に行われているところです。その辺の年度中のスケジュールについては、下にありますのが年間のスケジュール表ですが、こちらに記したとおりです。このスケジュール表のすぐ上にありますように、理事長・理事と監事との懇談会を開催し、監査結果等の報告、意識の擦り合わせを図るといったことをやっているということです。
 11頁は「内部監査の充実・強化」です。18年4月に理事長直轄の監査室を設置したところです。この監査室による各種の監査が、右側のフローチャートにあるような形で行われており、各年度20回前後の内部監査・フォロー監査が合計して行われているということです。以上が評価項目3です。
 12頁以降が4です。こちらについては業務・システムの最適化計画の推進が非常に大きな柱です。こちらは、要するに私どものシステムはデータベースですが、これを更新・グレードアップしていく、改善していくという作業です。このシステム構築の作業はいろいろと紆余曲折がありまして、それなりの苦労はあったわけですが、お蔭様で昨年度中に作業が終わりまして、今年度から新システムによる業務の切替えが実現しているということです。この間、調達方法等の見直しによる透明性の確保には、当然のことながら大きく注力したところです。以上が評価項目4です。
 13頁以降は「業務運営の効率化に伴う経費節減」の説明です。私どもの経費節減については、節減目標が大きくいって2つ、さらにそのうちの1つが2つに分かれていて、3つの節減目標があります。13頁の左側に「一般管理費の節減状況」という表がありますが、その左側で中期目標としては一般管理費全体が4年間で12%節減、うち人件費が4年間で4%、業務経費については中期目標では4年間で4%減となっていますが、実績については、それぞれの表の四角の右側になりますが、それぞれ超過達成をしたところです。
 その下に契約の見直しの状況について、簡単に計数的な報告をしていますが、一般競争入札、あるいは随意契約の数字の変化をそちらでご覧いただければと思います。
 14頁においては「管理運用委託手数料の水準」について、若干細かく説明しています。私どもの経費構造としては、先ほど理事長の説明にもございましたが、この管理運用委託手数料のウエイトが非常に高うございます。これをご覧いただきますと、左側の棒グラフが管理運用委託手数料の総枠で、平成20年度の288億円から21年度の258億円まで30億円の減少を見ているところです。こちらについては、右側にある資産管理機関の集約に伴う節減の効果が45.8億円出た、これが非常に大きな要因です。あと、既存の運用受託機関に関して、期の途中でいろいろなきっかけをとらえまして、経費の節減を図った結果が1億円出ているということです。
 この辺までで評価項目の5の説明としたいと思います。Part1の説明については以上です。

○山口部会長
 ありがとうございました。委員の皆様方におかれましては、評価記入用紙、資料2-5への評定等の記入をお願いいたします。それから、ただいま法人からご説明がございましたが、それにつきまして質問等ございましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。

○竹原委員
 事項名4「事務の効率的な処理」の部分で質問ですが、先ほど、昨年度において新システム(年金積立金データ管理(GPDR)システム)が稼働したということで、これが新規のデータベースということですが、データベースの利用状況について教えてください。具体的には、これがリスク管理に既に活かされているのかどうか。例えば、日時でバリュー・アット・リスクを測定する、あるいはアクティブ・ポートフォリオの部分について、ポートフォリオの属性等を管理する部分までこのシステムが活かされているのかどうか、その点について確認をさせていただけますでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 運用部長の大江でございます。私のほうから、いまの質問に対するお答えをさせていただきたいと思います。私ども、新システムにつきましては、従前のシステムの機能をまずしっかり確保するというのを基本にしております。それに加えまして、ただ一部、残高データ、資産残高データ等が日々数日遅れで取得できるようにはなっております。そういった意味で、例えば基本ポートフォリオからの乖離状況等といったものにつきましては、新しいシステムのもとにリスク管理に活かすということで活用しております。そういった意味で、一部改善を図ることができたということが、現状のリスク管理に活かされている面でございます。

○竹原委員
 ということは、まだ完全には最適化というか、十分なリスク管理に使われてない部分があると理解したいと思うのですが、その場合に、今後、先の話になってしまいますが、22年度においてこれがどのような展開をお考えになっているのか、その点について、お教えいただけますでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 リスク管理のあり方、やり方についてどこまでやるかということなのですけれども、私ども現状でも、それなりにしっかりと取り組んでいるというふうには認識しておりますけれども、当然、いろいろリスク管理というのは世の中が日々進展しておりますので、そういったものをどう活かしていくかというのは今後の課題ということで、22年度につきましては、従前ですと、例えば残高データが少し遅れ気味のものでしたが、こういったものがかなりリアルタイムで取れるようになってまいりました。まず、そういったものを活かすということで、22年度は対応していきたいと考えております。

○竹原委員
 ありがとうございました。

○山口部会長
 私のほうから少し質問をさせていただきたいのですが、「業務運営の効率化に伴う経費節減」のところであります。資産管理機関の集約に伴って節減効果45億8,000万円という数字を出していただいているわけですが、これにつきましては、昨年度のこの報告の中で、たしかお話を承ったような気がしておりまして、昨年度の業務評価の中にこれは入っておったのではないかなという気がしておりますが、そうではなかったでしたか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 これも、私のほうからお答えいたします。実は、昨年度ご説明させていただきましたのは、資産管理機関の集約といたしますと、私ども80ほどのファンドがありまして、これを一挙に全部集約をするということになりますとかなり大混乱で、いろいろな事務ミスも起こるということで、順次移管をさせていただきました。昨年度の年度当初にかけまして、一部、また更に1年ちょっとかけまして移管をしてきたところです。そういった意味で、20年度の報告では、節減効果は大体12億ほど実現をしたと御説明いたしました。ただ、これをもし年度当初からやっておりましたら、46億ほどの効果があったであろうということです。そういう意味では、昨年の年度当初に少しずれ込んだ分と、一昨年度が実現していなかった分、合わせますと46億ほどが結果として、まさに昨年実現をしたということです。その大半が、20年度のご説明で、これから実現すると申し上げてきたところでございます。

○山口部会長
 いまの話の中で、実際にその集約化に伴って、各信託会社等にいろいろ交渉されたり、活動されたというのはいつ頃の時期だったのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 先生のご質問の活動というのは。

○山口部会長
 つまり、この引下げ、この一元化、集約化に向けた法人としての活動をされた時期。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 実際に活動いたしましたのは、集約をするということで、一資産ごとに一資産管理機関に集約をしていった、まさにその作業自身は19年度にやっておりました。そのときの、いわば交渉した手数料というのが、20年度に一部実現し、さらに21年度にその大半が実現をしたということです。そういった意味では、これはかなり、前中期計画期間における複数年にわたる効果だとお考えいただけたらと思います。ただ、実現をしたのが特に昨年度であったということです。

○山口部会長
 わかりました。ほかの委員の方。では川北委員。

○川北部会長代理
 毎回同じようなことを聞いているのですけれども、人件費のカットをかなり行われてきたと。たぶん人員の削減もやられているのだろうと記憶しているのですが、もしその辺りが間違っていれば訂正していただきたいのですけれども。そういうことが、例えば職員のモラルに与える影響とか、こういう業界の平均的な年収というのは、いいのか悪いのか、これはいろいろ評価があると思うのですが、実態としてかなり高い金額を要求する、能力の高い人ほど何かそういう傾向が強いという中で、こういう経費カットが運用全体のパフォーマンスに与えているような影響、この辺り、もし評価されているのであればお教えいただきたい。
 もう1点だけ、同様のことになるのかもわからないのですが、いま説明していただいた5頁です。運用経験者の採用をやっておられるということで、21年4月1日に3名採用されたということなのですが、これはどういう能力を持った人を採用されたのか。ここには「証券アナリスト資格取得者」と書いてあるのですが、それ以上に、たぶんこういう分野でこういうことで従前活躍されてきた方とか、そういうところがもしお教えいただけるのであれば、教えていただきたいと思っております。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 管理部長でございます。私のほうからお答えいたします。最後の質問ですが、昨年の4月に採用した者3名、これは民間の資産運用の経験を持っているといったところを主として、採用の条件として採用活動してまいりました。最低10年程度の経験といったものを付したところ、年齢的には40代前後ぐらいの方をたまたま採用することができたということです。給与面でまいりますと、どうしても民間と比べますと、私どもの30代、40代ぐらいの給料水準が低いものですから、なかなか給料の点から言いますと、応募してきた方に満足いただけるかどうかわかりませんが、1つはこの法人が行っております活動、こういった大義名分に賛同いただいて、日本のこの大きな年金の運用を行うといった社会的意義に感じていただいた、といったところが大きいのかなと考えております。
 それから人員数についてですが、平成18年の初年度からこの4年間を通じまして、人員としては若干増えて、その後、結果的には減っているのですが、私どもも第1期が終わりまして、次の第2期中期目標期間に向けまして、さまざまな予算の制約等といったものがございましたものですから、第2期の中期計画がはっきりしていない時点で、人員を本質的には維持したいところではございますが、予算の制約もありまして少し慎重な採用といいますか、そうしたことをしてきた結果、退職者が毎年何名か出てまいりましたものですから、主として退職による自然減といった形で、結果としてやや減ってきたということが言えるかと思います。
 モチベーションの維持という話ですが、この法人がスタートした当初は、社会保険庁からの出向者を含めまして、厚生労働省からの出向者20名弱ぐらいがおりました。この3、4年間の間に、出向者のほうは国にお戻りいただきまして、その分を中途採用で補うという形で人事を進めてまいりましたところ、社会保険庁からいらっしゃった方たちが比較的年次が高かったということで、給料が若干高い。それに対しまして中途の採用は、もちろん経験者も採用いたしましたけれども、第2新卒といった30歳にいかない20代の方が多かったものですから、その分は実質的には、絶対的な給料という点では安かったこともございまして、何とか予算の制約の中で泳いでこれたのかなと考えております。そういった中で、若手の職員を採用することによって法人全体の人口ピラミッドといいますか、人員構成を維持しつつ、何とかモチベーションの維持を図ってきたと考えております。

○川北部会長代理
 この3名の方というのは、ずっと運用セクションで活躍されていた方という理解でよろしいのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 ケース・バイ・ケースですけれども、各資金の分野でのファンドマネージャーとして経験されてきた方、あるいは外国株式のほうを主としてやってこられた方、あるいはまた、ファンド・オブ・ファンドみたいな所にいて、資産の運用をみてきたと、このような方です。

○川北部会長代理
 わかりました。

○大野委員
 2点ほど質問させていただければと思います。まず1点ですが、証券アナリストの二次合格者数が平成21年度で、20年度から比べまして16名から23名に7名増えたと。この増分7名中、その3名というのは新規採用者で、残り4名がこれまで在職されていた方の新規の取得ということでよろしいのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 はい、さようでございます。

○大野委員
 わかりました。2点目ですが、先ほどの川北委員の質問ともちょっと関連する事項になるかと思いますが、研修制度とその説明が6頁にあります。この中に、例えば左側の業務研修で、初級業務研修、中級業務研修とかいろいろあるわけですが、まず、現在所属されている職員の知識のばらつき具合と、あとは、そういった方々に対してこの研修制度というのはどの程度の形、どの程度効率的に活用されているのか、そういった点についてお話を伺えればと思います。最近、毎年この会議で聞いている限りにおいては、おそらく中途採用の方が、ここ最近新規に採用される方というのはそういった方であったと記憶しているのですが。それでも初級業務研修といったようなものが必要な方というのがどのぐらい全体の中でいて、そういった方々に対してどのような体制で研修が効率的に行われているのか、少しお聞かせいただければと思います。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 6頁に書いてございます初級業務研修、中級業務研修ですが、これはもともとは法人のプロパーの職員も対象にしていたわけですが、18年度以降、先ほど申し上げました第2新卒、30歳に到達するような比較的若手の方、これは必ずしも民間の運用機関でプロフェッショナルとしてやってきた者ではないと。そういった世代に焦点を当てまして、主として初級業務研修あるいは中級業務研修を実施してきたところです。したがいまして、証券アナリストを保有しているような、実務経験が十分ある者についてを、これは対象にしているわけではないのですが、そういう意味で全体の底上げといったところを、十分これで補ってきたのかなと考えています。たまたま平成21年度につきましては若手の採用がなかったものですから、研修そのものを実施していないということです。

○樋口委員
 評価項目で、「業務運営能力の向上」というのと、「事務の効率的な処理」というのを業務実績評価シートの項目で見ると、私の勘違いでなければ、去年とほとんど同じような文言で書かれているような気がするのですが、皆さんというか、そちらで自信を持ってA評価となさるいちばんの点は、どこを見たらよろしいのでしょうか。そこをお知らせいただければ、確認いたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 A3のほう。

○樋口委員
 ええ、いま2-2でご説明いただいた内容の細かいのが2-3で、大きな表ですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 はい、そうです。

○樋口委員
 そのいちばん右側の評定の項目と自己評価のところの説明を見ると、何か実績を評価しているところは多少の数字の違いはありますが、大きな違いではないような気がするのです。前年度実績を踏んで目標どおりになされたことが、それと同じだったらA評価という考え方なのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 AとかBとかというのは、これは前年対比のものではそもそも概念がないので、同じ水準で行われていた場合に、前年と同じアルファベットがつくということは必ずしも不合理ではないのだろうと思ってございます。
 それからあと、このPart1、特に最初のほうの評価項目もいくつかございますが、これは私どもの業務運営、特に意思決定とか判断に至る部分の体制、こういったものについてはもちろん変わらないというわけではございません。やっていく途中でいろいろな計表、使う書類を変えてみるとか、いろいろな変化はちょこちょこございますが、こちらの資料に書くほど、例えば会議の名前が変わってしまうとか、構成メンバーががらりと変わってしまうとか、そういったことは重要な会議におきましては今回はございませんので、この資料上は同じように見える部分はたくさんあるかと思います。

○樋口委員
 特に、Aというのは、ちょっと意地の悪いような言い方をして恐縮ですけれど、計画以上の成果があったということですよね。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 はい。

○樋口委員
 だから私が申し上げたいのは、一旦体制が作られて、同じように維持されていることが次の年も同じような目標であれば、それは同じようにできれば同じであって、A評価にはならないのではないかと思うのです。皆さんのお考えは、前年Aだったから、同じようにやっていればAだというふうなことで、よろしいですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 この評価項目のところで、いま私がご説明申し上げたような評価項目につきましては、目標自体が特に変わっているわけではございませんので、そのパフォーマンス、出てきた実際のものの水準が同じであればAとかBとか同じになるというような考え方でございます。

○樋口委員
 わかりました。

○光多委員
 1つは当初からお伺いしているのですが、当初たしか80名だったと思うのですね。80名が適正かどうかと随分お伺いしたのですが、現在71名ということです。そもそもこの71名が、これだけの業務をやるのにやや多すぎるのか、適正かどうか、そこについてお考え方、ご見解をお伺いしたいというのが第1点です。
 それから2点目ですが、いま樋口委員からおっしゃったところとちょっと似ているのですが、例えば「効率的な業務運営体制」については、アウトプットレベルで書いておられるのですよね。我々、評価というのはアウトカムレベルで評価したいと思っているので、どうもこういうことをやった、こういう体制を整えたという形ではなくて、この結果どういう成果が出たかという形を書いていただくと、より評価がしやすいと思います。
 もう1つ、「業務運営の効率化に伴う経費節減」の話ですが、先ほど部会長からも質問があったのですが、資料2-7の8番、34頁、ここに手数料率というのが書いてあるのですが、これでたぶん見るのだと思うのですが、国内債券が19年度・20年度0.02から0.01になって、たぶんこれの効果が先ほどご説明いただいたように、20年度については年度途中で、21年度についてはフルに掛かってきたので、あれだけの金額になったと思うのです。国内株式については0.06から0.05という形で若干マイナス、外国株式についても0.06から0.05。この辺の引下げのレベルとテンポについて、ご説明いただきたいと思います。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 最初の人数のご質問ですが、私どもの場合、どこで多くのマンパワーを要するかということになりますと、いろいろな考え方がございますが、特に私どもの業務遂行上特徴的な点だけ申し上げますと、私どもの120兆円ほどの資産の運用のうち、かなりな部分が外部の運用受託機関への委託運用になってございます。こちらについては、どこに委託するかを選定する、選んでいくというのと、それから選んだ後、毎年定期的にかなり大量の報告を取って分析していく、あるいは80ぐらいあるファンドとかなり密接にコミュニケーションしていく。その結果を評価に還元していって、それを使って、その当該ファンドをどれぐらい使っていくのか、資金を配分していくのかしていかないのかとか、あるいはそのファンドとの関係を継続するのかしないのかとか、そういった形で回していくというのが我々の業務の1つの特徴です。これは相当程度まとまった人数がなければできないところです。また、こういった作業をサポートするには、例えば先ほど来話題になっておりますシステムの有効な機能が絶対に必要です。こういったものを加えていきますと、いま何とか70何人で回しているといったところです。あと、インハウスで運用している部分もありますものですから、そういったものを加えていくと、大体70数名になっていくという形になっています。
 いま先生からアウトカムを把握したほうが評価にはつながりやすいということは、全くそのとおりだと思います。私どもとしましても、例えば財務的に上がってまいります、今年であれば+9.185兆円といったものは必ずしもアウトカムかどうか。これは評価の専門の先生にお聞きしたいところですが、なかなか私どものような業務におきまして、定量的なアウトカムのものについて国民にすぐ説明できるものがたくさんあるかというと、そうでもございませんので、これにつきましては、私どもの問題としてはアウトプットだけではなくて、アウトカムで測るようなことができればそれはよろしいわけですので、その点の意識は常に持っているところです。

○光多委員
 いまの段階で2つお伺いして、1つは組織の中の調査室というのはワークしていますか。要するに、例えばこういうときにかなり運営委員会とやっておられますので、調査室というのがどういう機能を持つのか、企画部と調査室がどういう役割分担になっているのか、ワークしていますか。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 私からちょっと説明して、あと調査室本人からも補正していただきます。企画部門から見ておりますと、機能しているかという問いに対しましては、端的にイエスでございます。例えば、昨年度、基本ポートフォリオの検討が行われたわけですが、こちらの検討というのは、これは相当程度専門性が高いものでございまして、実は、私どもの運用委員の中に数名ファイナンス理論の先生が入っておられますけれども、企画部門の目から見る限り、そういった先生方とあまり変わらないレベルで専門的かつ実務的な議論ができたのではないかなというふうに思ってございます。この辺は調査室の業務の一部ですけれども、昨年度ということで言えば、次期基本ポートフォリオの検討のウエイトが高かったという点もございまして、企画部門からの横から見た感想として申し上げます。あと、調査室のほうから。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 調査室長でございます。私の室のことでございますので、なかなか申し上げにくいのですけれども、いま審議役のほうからありましたとおり、1つは基本ポートフォリオ。これはかなり技術的あるいは理論的には専門性が要求されるということでございまして、スタッフも、例えば金融工学関係のPhDホルダーですとか、あるいはアメリカの証券アナリスト、こういうような方が集まって組織しているところでございます。あともう1つはリスク管理。先ほど竹原先生からもご質問がありましたけれども、これについても日々のリスク管理みたいなものとして、GARCHモデル、あるいはストカスティックボラティリティモデル、そういった先端的なモデルを使って、実際のリスクを測る、計測する、こういうようなものの開発等も行っているところです。

○光多委員
 だから、こういう形の会議を行ったというアウトプットではなくて、調査室もこういうことを出したという、そのアウトカムレベルで話をしていただくと、了解しようがあるのですけれどね。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 そういう意味で申しますと、1つは基本ポートフォリオの話があります。あと2つ目に、先ほどのリスク管理につきましても実際に、内部的に先ほどのGARCHモデル、あるいはストカスティックボラティリティモデルというものを開発して。

○光多委員
 いや、その点はわかりました。ここに、そういう形で調査室がこういう機能のアウトカム、成果を上げたとか、何かそういう形を書いていただくと、よりわかりやすいなということ。いや、それは結構です。時間の関係で結構です。もう1問、質問した点については。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 それは、資産管理機関の手数料の節減効果のご説明でございます。先ほど来のこの2-2の資料の14頁で、節減効果、昨年度46億。それから先ほどの山口部会長のご質問に対して、一昨年が12億ということで、年度の成果としては、そういう意味では節減効果は一昨年が12、昨年度が46というふうに着実に成果を上げているというのが、時系列的な話です。
 資料2-7の34頁でご質問があったかと思いますが、ここの中では載っております手数料率あるいは手数料額、ここは、いわば資産管理を行うカストディーに加えまして、実際に運用を行う投資顧問等の手数料も込みで出しておりますけれども、ご覧いただくように、正直申し上げまして、かなり国内債券の全体の手数料は減っております。ただ、内訳はお出しはしておりませんが、各資産ごとにそれぞれ手数料を引き下げていただいた、あるいは1つの資産を1つのカストディーに集約をしたことで、いわば規模のメリットが働いた、規模の経済性が働いたということの効果によりまして、12億、それから46億という効果が順次出てきたというのが実際のところです。

○光多委員
 要するに、先ほど、この管理の手数料については去年評価しているので、それが年間に膨らんだという形であれば、それは去年評価していますよと。だから、これだけ金額が減ったのだけれど、どうしてこれだけ減ったかという形をもう少し説明していただくといいなというのが、先ほどの私の質問なのです。それが多少この34頁とリンクしますかということなのですが。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 はい。そういう意味では、34頁の左側の管理運用委託手数料額は、それを補足するものにはなっていると思います。

○光多委員
 もう1つ、受託者責任の徹底については、いまあまりご説明がなかったと思うのです。こちらのA3のほうで見ると、かなりいろいろな実際のリスクがあって、それに対して対応したと書いてございますね。かなりのボリュームが書いてありますが、これは大体適切にやりましたと、そういうことですか。

○山口部会長
 受託者責任は次にありますので。

○光多委員
 そうですか、すみません。それは別なのですね。

○山口部会長
 それではよろしいですか。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 先ほど樋口先生がご質問されたことに関して、私の理解が間違っていたら大変申し訳ございませんが補足させて頂くと、評価をつけていただくときには、S、A、B、C、Dとつけることとされており、資料1-1-?@でご覧いただきますと判定基準がございます。基本的に、実績が中期計画を上回っているかどうかということだろうと思います。前年度実績と比べてという意味ではございませんので、補足させていただきます。

○樋口委員
 わかりました。ご丁寧にありがとうございます。

○山口部会長
 それでは恐縮ですが、次に第2グループ(項目6~9:業務の質の向上及び財務に関する事項)についての評価を行いたいと思います。ここも所要時間は、法人からの説明を15分、それから委員の評定と質疑に15分で、合計30分ぐらいの感じで進めていきたいと思います。
 それでは、法人のほうからご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 それでは資料2-2にお戻りください。Part2は15頁から始まっております。ここでは「業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」、「財務内容の改善に関する事項」です。そこにありますとおり、「受託者責任の徹底」から始まって、いくつかの評価項目がありまして、私どもの自己評価は上からA、A、S、Aとなっております。
 16頁の「受託者責任の徹底」から、簡単にご説明を申し上げます。私どもの受託者責任というのは、1つには資金を年金特別会計から寄託されている。その背後には、もちろん国民が存在するわけで、そのことに伴う責任であろうかと思います。それにつきましては、具体的には、中期目標に示されたような形での管理運用をきちんと行うということかと思います。それを実際に行うのが、最初のところでもご説明しましたような、理事長の意思決定を支える体制をきちんと機能させていくことではないかと思います。また、こういったことをきちんと説明可能な形で行っていく上では、コンプライアンスの推進とか、組織規程とか、こういった内部をきちんと固めていくといった作業も、当然のことながら必要になるわけです。
 17頁になりますと、違うタイプの業務になっております。先ほども触れましたが、私どもの管理運用業務は、運用受託機関等に対して、管理運用をかなりの程度委託して行っております。したがいまして、私どもがお金を委託した先、そこの組織、すなわち何々アセットマネージメントであるとか、何々信託銀行といった所が、私どものためにきちんと働いてもらわなければならないというのも、私どもの責任です。それを行うためには、我々が運用受託機関等に対してガイドラインを示していく。この範囲内で、あるいはこれが行われるように事務をやってくださいということを明示的に示しておいた上で、その後、定期的にミーティングを行うとか、報告を取るといった形で、そのような委託が恙なく進行しているかということを確認していくわけです。
 もう1つ、私どもの業務遂行上の体制として非常に重要なのは、18頁にあるような運用委員会です。昨年度末時点での委員の名簿は、その頁の左側に書いてあるとおりです。この運用委員会、21事業年度につきましては、右側にあるとおり、11回開催されており、審議事項は例えば何だということであれば、第2期中期計画における基本ポートの議論が何回となく行われたところです。各会合における主な審議事項につきましては、業務概況書などにご説明しているところです。運用委員会におきましては、私どもから毎月のリスク管理の状況や議決権の行使の状況など、その時々のトピックにつきましてご報告を申し上げ、場合によっては、委員の方々からさまざまなご助言をいただいている形になっております。
 19頁の「専門性の向上」につきましては、先ほど来申し上げている組織全体における基本的な証券運用関係の知識の共有という意味でのアナリスト資格の問題があります。もう1つ、20頁でご説明しているのは、管理運用手法の高度化という観点から行っている調査研究です。私どものほうで行っている調査研究の昨年度につきましては、課題としてざっくり2つのカテゴリーが考えられます。1つは、基本ポートフォリオをどうするかという問題であり、もう1つは投資対象の研究を進めていくということでした。こちらに関して主な調査研究等としては、基本ポートフォリオに関して、この辺の専門性の高いコンサルティングを使うとか、あるいは、先ほど調査研究に関するご質問があったところで少し触れましたような公的年金運用におけるポートフォリオ最適化。これは教科書的な最適化をもう少し何とか超えられないかというふうな研究です。こういった比較的高度な調査研究は、私どもの法人の運用業務の場合、ほかになかなか類例があまりないユニークな点、つまり、非常に規模が大きいとか、そういう点ですが、そういった面もありますので、私どもとしては先端的と言ってもいいぐらいの高度な調査研究をしていき、それを実務に回していくということを常日頃から心掛けております。
 21頁の「情報公開」の評価項目については、私どもの場合、いわゆる情報開示、あるいは国民への広報といったものを行うに当たりまして、テレビ番組を使うとか、そういうタイプの組織ではございませんので、どうしてもホームページなどを通じた比較的地道な広報活動、あるいは情報公開活動になっているわけです。私どもとしては、自分たちのWebサイトが世の中で使われているのか気になるところではございますが、21頁の真ん中の上の棒グラフをご覧いただきますと、各年度、ある程度増加をしてきております。また、ホームページにつきましては、なるべく使いやすいといった点への配慮もそうですが、こちらにつきましては、一部、外部のメディアのご評価なども、少し前にいただいたところです。
 昨年度、私どものホームページ、あるいは情報公開に関して変化があったとすれば、1つは基本ポートフォリオの議論が運用委員会で、かなり高度な内容を含めて毎回行われましたので、この辺の内容につきまして、なるべくタイムリーに、かつ、妙に市場を乱すようなことがないように適切な形で十分な情報を提供していくということです。このために、運用委員会の議事要旨につきましては、相当程度内部的にエネルギーも注いで、適切な内容を確保するべく努めたところです。こういったものが実際にどの程度の情報公開、あるいは国民への広報というアウトカムになっているか、なかなか完全なアウトカム指標があるわけではないわけですが、我々としたら、いくつかの定量的な情報などを手掛かりに自己評価をしたところです。
 「財務内容の改善」、あるいは「予算、収支計画及び資金計画」については、22頁にあるとおりで、経費を節減し、また、予算の執行率が9割とか8割程度で着地したといったご報告です。先ほど理事長も少し触れましたが、不動産の処置、職員用の住宅についての所要の手続きが、今中期に終了するよう、昨年度中も手順を進めてきたところです。駆け足になりましたが、以上のようなご報告になります。

○山口部会長
 ありがとうございました。それでは委員の皆様、評定記入用紙に評定等の記入をお願いいたします。ご質問はございますか。

○川北部会長代理
 20頁に「管理運用手法の高度化を図るための調査研究」ということで、基本ポートフォリオのことは何回か説明があって、かつ、公開されているというか、情報も示されているのでよくわかります。右側の「投資対象の研究」という辺りで、具体的にどういうことをされているのか教えていただければと思うのですが。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 これはいわゆるエマージング市場といいますか、これに実際に投資をする上で、例えば、税制から、あるいは決済のT+3とか、その辺がどういうふうになっているかなど、かなり細かい内容を包括的に調べている。実際に、投資をする上で必要な情報につき、すべて取っているとご理解いただければと思います。

○川北部会長代理
 そのときに、エマージングの必要性とか、もう少し投資対象として本当にエマージングが必要なのかとか、欧米、もしくは日本と比べてエマージングというのがいいのかどうかよくわからないのですが、中国やインドとかを含めた、とりあえず新興国と言っておきますが、そういう国との経済特性の差とか、その辺りの分析はどこかでやられたことはあるのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 ここでやりましたのは、例えばそういう考え方も、当然、まずベンチマークの話がこの調査研究の内容に入るわけですが、そもそもエマージングを投資対象とする意味については、これは基本ポートフォリオの議論の中でも、運用委員会の中で、例えば将来の経済成長率がエマージングと先進国でどれぐらい違うかとか、人口増加率がどうかとか、そういうものも含めて議論をしたということです。それは我々の仕事として認識しているところです。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 いまの説明に補足しますと、いま調査室長から申し上げた運用委員会での議論は、私が情報公開のところで申し上げた議事要旨において、1回当たり数頁にわたって書いておりまして、一部の市場関係者は見ている方もおられると認識しております。

○山口部会長
 いまの中身が、先ほど審議役がおっしゃった先端的・高度な研究の一端ということですか。先ほど投資対象の研究を行って、先端的、あるいは高度な研究を行っているというご説明でしたが。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 先端と言いますと、いちばんフィットしてくるのは、基本ポートフォリオ最適化の研究とか、こういったところは先端ということもいちばん一般的な意味でフィットするかなと思います。エマージングとか、あるいはオルタナではない伝統的資産に関する研究になりますと、これは優れて実務的と言いますか、実際に我々が運用していく際に、それこそ細かいことを申し上げれば、細かい税制とか、細かい為替管理といったものが運用についてのプランをするときに、あとから引っかかったことはわかったので戻りますということはできないわけで、その辺は地道に、実務的な詰めを行うといったものも先端ではないかもしれませんが、ある意味高度であり、非常に重要なものかと思っております。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 若干補足をさせていただきます。最適化については、先端と言えるかどうかは別としても、内容的には、例えば、これまでいわゆる正規分布と言いますか、そういうものを前提とした最適化をやってきたわけですが、平成21年度の内容としては、リーマン・ショックのときに見られたいくつかの資産が同時に下落する、下落するときには相関が高まる、そういったものを考慮して、いわゆるコピュラ関数を使った最適化や、あるいは最適化への安定性を求めるため、これは非ロバストという言い方をしますが、ロバストな安定解を求めるためのノンパラメトリックな統計学を使った最適化の手法というものを研究していたということです。

○山口部会長
 竹原委員、どうぞ。

○竹原委員
 採用体制に関して、先ほどのPart1も含めてですが、概ね、証券アナリストの資格保有者、あるいはファンドマネージャーの経験者を採用されているということで理解しております。ただ、先ほど川北委員からも質問があった、例えばエマージングや、公的年金における基本ポートフォリオ、あるいはALMといったことを考えると、例えば会計制度に詳しい方、公認会計士の方、あるいは社会保障制度に詳しい経済学を専門とする方、そういった方も組織の中にいないと、今後、中長期を考えたときに、GPIFとして対応ができないのではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事
 いま先生がおっしゃったことは非常に大きな問題だと思っています。先ほど第1期中期計画でここまでいろいろな削減の努力をさせていただきましたとご説明しましたが、第2期中期目標においても、引き続き人件費や業務経費を削減することが示されております。それは個々の独法の業務の特性といったものを、私どもとしては一生懸命ご説明させていただくわけですが、ほぼ横並びのような形でのいろいろな数値目標が示されます。
 いまご指摘いただきましたように、私どもの運用の範囲というのは非常に巨額な資金でもございますし、投資対象もある一部分だけではなくて、非常に広がっていく中での議論も相当出てくる。おっしゃるように、広い分野で専門性の高い方々を、私どもに来ていただきたいという気持はございますが、一方で、現実的な問題としては、例えば人件費の問題では、国家公務員との対比でどうなのかということが話題になります。ラスパイレス指数が100を超えているのか、超えていないのか。これは結構大きな視線で外部から見られます。そうなると、やはり、いまのところ私ども中途採用の方に来ていただく場合でも、いちばん私どもの業務の中で汎用性のあるというか、職場の中でローテーションをしながら働いていただくわけで、この分野のスペシャリストというのが欲しい分もあるのですが、そこまでしてしまうとその方にとって将来の処遇がどうなのか、あるいは私どもの組織としてどうなのかという問題もあります。私ども70数名という体制は、お預かりしている絶対金額から比べると、1人当たりが管理している資産額は巨額でございます。期待とか願望はありますが、一方で、独法にそもそも与えられた条件をどう両立させていくかという形で考えざるを得ない部分があります。
 中途採用する場合には、このくらいの年齢とか経験でこのくらいになりますよというご説明をさせていただいております。当然、多くの方々は金融機関等で働いていたときに比べると、給料は下がると思います。それでも来ていただけるなら、私どもでやらせていただいている仕事の社会的な意味をご理解いただいて、やりたいという形で、相当多くの方が手を挙げて来てくださっております。ただ、これから民間の金融機関等の処遇が非常に良くなったりすると、厳しい局面もくるかもしれません。財政面等の一方の制約を考えながら、その中で可能な限り高い専門性のある方の採用に工夫をしていきたいと思います。

○山口部会長
 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員
 「受託責任の徹底」のところで、運用受託機関に法令違反や何かがあった場合には、適切な処置をしたという項目があって、そこに損失額を確定させたとかいうのがありますが、契約時に損失額の取扱いというのは、当然規定されているわけですよね。これを確定させて、当法人が負担する額というのは生じるのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 まず契約に書いてあるかどうかということですが、契約上は、債務不履行による損害賠償責任と。そういう意味では、当然、結果責任ではなくて注意義務違反と。故意というのは大変なことになりますので、基本的には注意義務違反ということになるわけです。ここで実際に出てくるケースですと、運用機関側が注意義務違反を犯して、いわばルールに違反して損失が発生したと。そういう意味で、結果責任の損失補填ではなくて、まさに債務不履行ということです。
 実態としては、私どもが負担するようなケースはなく、すべて運用機関側の注意義務違反によって損失額を確定し、それを損害賠償していただくと。これについては、私どもの顧問弁護士のご意見もいただいて、コンプライアンス上問題がないようにして損害賠償を受ける。そういうふうなことでやってきております。昨年度もそういうふうにしております。

○樋口委員
 去年もあって、去年は聞き漏れたので確認しているのですが、その損害賠償額というのは、確定したものは決算で処理されているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 これは運用機関に資産を預けていますので、ファンドの中に損害賠償をしていただくという形で、委託しているファンドの中で処理をしております。

○樋口委員
 そうすると、非常に簡単な例で恐縮ですが、例えば、100億なら100億のファンドの中に、仮に50億の損害賠償が発生したと確定した場合には、その50億を受託機関がいつまでに完璧な100億にするという、そういう話でよろしいのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 50億というのは少し大きいのですが。

○樋口委員
 何でもいいのですが、いわゆる元の数字にしてくれるという、ファンドの数字です。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 私どもの場合ですと、持ってはいけない銘柄、例えば国による制限といったものもある場合がございます。持ってはいけない銘柄を持ったことによって、そんなに大きくなくてせいぜい100万円とか1,000万円とか、それによってロスが出ましたと。それが判明をし、確定をした時点では、速やかに入れていただいております。

○樋口委員
 速やかにということは、当独立行政法人のファンドの帳簿価格だか、何と言ったらいいのか知りませんが、仮に、損害を受けなければ1億あったものが、1億に戻されるにはどれぐらいの期間を。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 確定をしたら、それこそ数日以内とか1週間以内です。ただ、確定するまでに事実の確認や、私どもの顧問弁護士とのコンプライアンス上の確認があります。ただ、確認をしてしまいますと、それこそ数日以内です。それが1カ月とか2カ月ということはございません。

○樋口委員
 それが期末にかかった場合はどうするのですか。もちろん、経理の担当の方に聞いたほうがよろしいなら、あとで聞きますが。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 基本的には、それが確定してしまいますと、発生主義的に私どもの債権が発生しますので。

○樋口委員
 確定すればよろしいのですよね。だから、係争している間というか、弁護士さんが交渉している間と言いましょうか、その期間。


○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 交渉中には、あまり経理できないのですが、確定すれば未収金なりという形で認識できます。

○樋口委員
 経理で伺います。

○光多委員
 「財務内容の改善」のところですが、一般管理費・業務経費の節減で、業務経費の節減執行率81.3%というのを、もう少し具体的に説明していただけませんか。損益計算書を見ますと、業務経費の中に運用手数料とか、財投からの借入金不足とか、いろいろなものが入ったりして、どの範囲の中の業務経費がどういう形で81.3%なのか。先ほど資料2-4に、かなりいろいろ細かなことを努力したと書いてありますが、それとこれとはどういう関係があるのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 81.3%というのは、平成21年度予算に対して81.3%で済んだということです。

○光多委員
 それはわかっています。その金額はどの項目なのかということです。損益計算書に、資産運用業務費というのがあるのですが、これとはまた別基準ですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 はい。損益計算書の業務経費の部分というのは、若干構成が違っております。こちらの予算につきましては、少しお待ちください。

○光多委員
 折角、かなりいろいろやっておられるので、それが評価できるように書いていただいたほうがいいと思うのです。ポコンと81.3%というだけではなくて、たぶんいろいろやっておられると思うのです。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 A3の大きいほうに細かな数字は書いてあるのですが。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 A3の22頁をご覧ください。22頁の真ん中の縦の所です。平成21年度計画のところですが、5.の3つ目の「また」のパラグラフをご覧いただきますと、業務経費については、4%以上の節減を行うという計画ですが、この節減対象となる業務経費というのは、システム開発費と管理運用委託手数料は除かれた概念になっております。

○光多委員
 そうすると、先ほどの81.3%というのはどこで見るのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 23頁の真ん中の(3)「業務経費については」というところがありまして、業務経費の部分がこの表に書いてあります。平成18年度から平成21年度までの経費の予算額が上に書いてあります。その下に執行額を入れております。この予算に対する執行率が81.3%という数字です。

○光多委員
 10億800万円に対して、8億2,000万円で済んだということですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 平成21年度で申し上げますと、予算が10億800万円。執行額が8億2,000万円だったということです。

○光多委員
 主な内訳は何ですか。2億減少した主な内容は。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 業務経費の大きな内訳は、主としてシステムの維持、メンテナンス関係が中心になっております。まず、このシステム関係で当初予定したよりも若干安く済んだといったところが1つございます。
 他に調査研究のところで、若干予定した数字よりも低く抑えることができた、というようなところを合計して結果として2億円減少したということです。

○光多委員
 資料2-4を見ますと、システム関係では400万円節減効果があったと書いてありますね。時間の関係がありますので、これは大臣からの指示もありますので、これはわかりやすく出していただいたほうがいいと思うのですが。

○竹原委員
 私も確認させていただきたいのですが、23頁のいまご指摘の表でいくと、対17年度で21.9%の削減ということで、対前年度(20年度)比でいくと、9%の増加ということでよろしいわけですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 この予算の執行額が、20年度は7億5,200万円に対して、21年度は8億2,000万円です。そういう意味では、委員のおっしゃるとおりでございます。

○光多委員
 予算は多めに取っていたのですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 光多委員のご指摘の資料2-4の19頁で400万円とおっしゃられたのだと思うのですが、こちらの400万円というのは、直接的に全体の数字ではございません。調達を実施するに際して、ここに書いてありますように、結果として、契約手続き等において削減効果があったということです。先ほど申し上げた全体の数字と、この400万円とは、直接にリンクするものではございません。

○光多委員
 22頁の予算額の執行率81.3%というのは、A3の10億800万円に対してこれだけで済みましたというのは、あまり意味がある数字ではないですね。要するに、これだけ今年は経費節減して、いろいろ国の財政運用をやりましたというところが、どういう形でこれを読んだらいいのかわからないのですが。今日でなくても結構ですが、何かわかる資料があるとありがたいのですが。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 その辺は、わかりやすくご説明を差し上げたいと思います。

○光多委員
 こちらを見ると、かなりいろいろ努力をしているのですが。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 こちらのほうは、車代や電気代とか、それぞれ大臣からご指導をいただきまして、削減しなさいということについて、具体的に私どもができる範囲でやれたことを列挙してあるものですから、全体の数字とは少し違うということもご理解いただければと思います。

○川北部会長代理
 先ほどの竹原委員の「専門性の向上」のところに関して少しだけ教えていただきたいのが、採用されているというのはわかったのですが、採用された方がその後伸びられたのかどうなのか。その点に関していちばん重要な指標になるのは歩留まりというか、そのまま着実にGPIFのほうで働いておられるのかどうか、その辺りを教えていただければと思います。

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長
 事実関係を申し上げます。これまで中途で採用してきた者は、累計で24名になります。そのうち残念ながら2人の退職者を出しております。1人は家庭の事情で転居という状況もありまして、辞めることになりました。もう1人の方も、プライバシーにかかってしまうのですが、やや家庭の事情で辞めざるを得なかったということです。そこのところは個別には申し上げにくい事情がありますが、そのほかの方については、皆さん働いていただいているということです。

○山口部会長
 私のほうからご質問を1つさせていただきます。情報公開については、自己評価でSとされていますが、これはどういう点をSと判断されたのか確認をしておきたいのです。アクセス件数が増大したということがあるのですが、これは先ほども確認しましたが、対前年度の話ではないですよね。しかし、ここでは一応18年度比2.6倍。ということは、アクセス件数が減ると評価が下がるというものになっているのか、あるいは、アクセス件数もいろいろなイベントがありますと、社会の関心が高まるということで、先ほどの基本ポートフォリオの見直しという、非常に耳目を集める事態に対して、いろいろ皆さんが見られたということも考えられるわけです。そうだとすれば、法人のホームページもいろいろ努力されて、情報開示に努めていらっしゃるということではあるのですが、そういう活動の結果として、アクセスが増えているとみられるのか、あるいは、そういうイベントがあって増えているのか。そういった分析をされているかどうか。つまり、どういう項目を見に来ているかといったような中身の分析はされているのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 もちろん1つの数字だけで、情報公開とか広報という非常に捉えどころのないものが定量化できるとは思っておりません。ここで30秒でお話したもので、完全に決着ということはないと思いますが、私ども広報をやっておりまして、いつも気を付けているところは、ユーザーというのは忙しい中でうちのサイトを見に来られているわけです。そこで非常にがっかりするといいますか、いま部会長からございましたように、基本ポートフォリオの興味の強い案件があって、それに対する議事要旨を見に来た。開けたけれども、例えば、5月や6月の議事要旨を見たらほとんど情報がなかったということであれば、それは次以降のいろいろなものが悪くなるのだろうとは思うのですが、この辺の感触としては、アクセスが良い状態が続いたなという感触は持っております。
 もう1つは、これは極めて個人的な感想になってしまうのですが、私どもはときどき外部の市場の関係者の方で、海外の方とか、いろいろな方と意見交換をさせていただくことがありますが、そういった方々との議論の際など、例えば、我々の議論はこういうことなんですというふうなご説明をするときに、議事要旨をプリントアウトしてお示ししたりしますと、非常に説明がしやすいといいますか、「ああ、そういうことなのか」とご納得をいただいて別れるということもあります。この辺、紙に書いて意味が通って、専門的な知識をお持ちの関心の強い方が、ある程度情報量を認めてくださっているなと、これは感触ですが持っております。ということで、私どもの自己評価という点ではSとしております。あと委員の皆様が、例えば、運用委員会の議事要旨はもちろん公開されておりますので、この辺を含めたご判断を賜われれば、今年度以降の情報公開作業の励みとしてまいりたいと考えております。

○山口部会長
 わかりました。ほかの委員の方はございますか。よろしいですか。それでは次に進みたいと思います。次は第3グループ(項目10~15:年金積立金の管理及び運用に関する事項?@)についての評価を行いたいと思います。所要時間については、先ほどと同じ説明15分、質疑・評定15分、合計30分の予定で進めていきたいと思います。
 それでは、法人からご説明をお願いいたします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 資料2-2の23頁からPart3が始まっております。ここは「その他業務運営に関する重要事項」ということで、「運用の基本的考え方」であるとか、あるいは「市場及び民間の活動への影響に対する配慮」等々といった項目です。私どもの自己評定は、上からAが6個並んでおります。
 24頁以降、順を追ってご説明を申し上げます。私どもの「運用の基本的考え方」。昨年度までの第1期の中期における基本的な考え方としては、第1期中期目標に示されていたような、「実質的な運用利回り1.1%を確保するよう、長期的に維持すべき資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、これに基づき管理運用を行う」。これが我々の業務の基本的な中身であると考えております。
 これに従って、基本ポートフォリオを定めて、そのもとで維持・管理を行っていくわけです。その際には、各資産クラスにおきましてベンチマーク収益率を、各年度において確保するよう努めるということを心掛けております。
 これが第1期の運用の基本的な考え方ですが、これを実際に行っていく際には、再々申し上げておりますとおり、私どもの運用は資金の過半を外部の運用機関に運用を委託してやっておりますので、どういう所に委託するのか、委託したあと、その先をどのようにモニターして何らかのコミュニケーションを行っていくのか、こういった辺りが、実際問題として運用の結果に大きく影響してくると認識しております。したがいまして、私どもとしては、例えば25頁、26頁にあるような、運用受託機関の選定や、その管理及び評価といったところは、ある意味私どもの業務の核の1つかなと考えているところです。
 25頁に、運用受託機関の選定につきましてのご説明がありますが、もとより、これは公募です。私どものWebサイトにアセットクラスについて、こういった内容で公募しますといったものを出します。その公募に対して、もちろん応募があります。応募してくるのは、既に我々が運用をお願いしている運用機関かもしれませんし、新顔かもしれないわけです。応募がありますと、私どものほうで、そこに評価事項を6つ挙げておりますが、投資方針、運用プロセス、コンプライアンス、組織・人材、事務処理体制、運用委託手数料、こういったものが評価事項になりまして、3次に及ぶプロセスがあるわけです。
 この点、21事業年度に関しては、外国債券のパッシブ運用及び外国株式パッシブ運用に係る運用受託機関構成の見直しに伴う選定を開始することとして、公募を行っております。平成22年度の公募に伴う選定プロセスは現在進行中です。既に選定されて、現在、実際私どもが運用をお願いしている先の管理及び評価については、運用受託機関の場合、26頁の左側の箱にありますように、定期ミーティング・リスク管理ミーティング、月次の報告をいただく、あるいはそういった月次の報告等の結果、これはちょっと危ないな、変だなというものがあれば、随時のミーティングを持ちまして、その目立った現象の背後に何があるのか、必要があれば何らかの対応をお願いするといったことを繰り返していく、そういうサイクルになっております。
 当然のことながら、私どもが運用を委託する最初の時点で、ガイドラインをお示ししているわけで、この辺がちゃんと守られているのかいないのか、もし守られていなかった場合には、先ほどご質問があったような損害賠償といったことに発展することもあり得るわけです。
 このようなことがごくごく日常的な運用受託機関の管理業務ですが、これを年に1回の総合評価というものに結実させていくわけです。総合評価は、定性評価と定量評価の両面から行うようになっており、定性につきましては、具体的な着眼点は、運用スタイルの根拠等の投資方針、戦略決定等の運用プロセス、組織・人材といったところです。他方、定量につきましては、超過収益率やトラッキングエラー等々の定量的な情報を用いるということです。この辺につきまして、ある種の配点を行って、合計したものが総合評価結果になるわけです。
 それを踏まえたアクションとしては、26頁の右下の箱にありますとおり、総合評価結果及び対応ということになるわけです。こちらにありますように、各アセットクラスにつきまして、何社かずつ新規の資金配分が停止というふうな、他の運用受託機関との扱いの差が出てきたり、あるいは1社に関しては、国内債券のアクティブですが、昨年度中解約といったこともありました。この辺が外部の運用受託機関の管理です。
 27頁につきましては、私どもの自家運用、インハウス運用につきましてご説明しております。こちらでは、株を買ったりといったことはしておりません。やっているものは、国内債券パッシブファンドの管理及び運用、財投債の管理及び運用、及び、いろいろなキャッシュの出入りがありますので、その関係の流動性の確保及びその効率的な管理といったことをやっております。インハウスのファンドにつきましても、外部のファンドと同様に評価を加えているということです。
 28頁以下は、ベンチマーク及びその変化率と私どもの運用結果との比較です。左の下のほうに、各アセットクラスごとに時間加重収益率、これはリターンの実績です。ベンチマーク収益率は、世に公表されているベンチマークが実際にいくら動いたのかというものです。その差を取ったものが超過収益率です。ご覧いただきますと、国内債券と短期資産が0.0数パーセントの範囲内にプラスマイナスが納まっており、この程度の乖離は概ねベンチマークなみの部類かなと考えているところです。
 平成21年度に限って見たところでは、国内株式と外国債券が、28頁の右側の表にありますような若干の要因もあり、0.93%、あるいは0.50%といった大きさでプラスになっております。他方、外国株式につきましては、右側の説明のところにありますとおり、金融関連セクターの時価構成比率がベンチマークに比べて低めといったこともあり、ベンチマーク対比マイナスの形になっております。もとよりこれは、単年度の結果でして、これはご案内のとおり、同じファンドマネージャーが、同じガイドラインで運用しておりましても、超過収益率はプラスにもなったり、マイナスになったりもします。この辺の過去数年間の推移につきましては、先ほどご説明しました業務概況書の25、6頁辺りに、まとまった期間の情報が掲載されておりますので、適宜ご覧いただければと思います。
 29頁が「ベンチマークの設定」です。こちらにありますような、各アセットクラスごとに、これを私どもはベンチマークとしていますという形でお示ししております。このベンチマークを決定しますと、これを狙って、あるいは若干でも超えようというふうな具体的な投資行動になってきますので、相当程度私どもの運用の具体的なあり方がおわかりいただけるのではないかと思っております。
 30頁の「市場及び民間の活動への影響に対する配慮」については、平成20年度までニューマネーが入り続けていた期間におきましては、資金が入って、それを配分する際、すなわち、私どもが資金を配分した運用受託機関が株や債券を買う際に生じる影響に対する配慮が主でしたが、昨年度の場合には、ニューマネーがなくなっておりますので、配慮の中身が少し変わってきているところです。具体的にどういうことかと申し上げますと、冒頭理事長のご挨拶にもありましたとおり、平成21年度からキャッシュアウトの局面に入っております。これは幸いと言いますか、一種偶然ですが、平成21年度につきましては、キャッシュアウトの必要額とかなり近い金額で、財投債、これは満期保有になっておりますので、満期まで持つわけですが、満期に、いわば自然にキャッシュになるものがあり、これがキャッシュアウトの必要額と大体見合っておりましたので、市場での大量の取引というのはあまり必要がなかったわけです。
 他方で、30頁の下にあります横長の表をご覧いただきますと、国内債券の回収は2月、3月に行っております。こちらは流通市場での資産の売却ということでしたが、こちらにつきましては、特に目立った影響が起きたとは、私ども市場をウォッチしておりまして感じなかったところです。
 31頁の「年金給付のための流動性の確保」という問題については、資料2-7の青い表紙の業務概況書の20頁に、「資金回収の状況等」というものが月次ベースで数字が出ております。いまご覧いただきたいのは、この表のいちばん下の行に「寄託金償還等」があります。これが実際に政府に対してキャッシュの形で返した金額です。上の段ですと、4月に1,597億円とか、あるいは8月に8,388億円とか、下の段で12月に1兆4,000億円とか、こういった金額を返しているわけです。これに必要な現金は、財投債が毎月償還されてくるとか、あるいは、いろいろな形でお金がキャッシュ化されていくものがあるわけでして、こちらを政府に資金を返す日まで、きちんとした形でそれなりのプロらしい短期の持ち方をするということが必要です。この辺が21事業年度におきましては、一種の課題でもありました。こちらにつきましては、31頁に箱が4つありますが、下から2つ目にありますとおり、短期金融市場専門の流通業者である短資業者を新たに私どもの取引先に加えまして、こちらとの取引により、短期資金の運用につきましてそれなりのレベルでのものを目指したということです。
 (6)「管理及び運用に関する具体的な方針の策定及び定期的見直し」です。こちらは私どもの中期計画・年度計画、あるいは基本ポートフォリオといったものにつきましては、一旦決めたらそれっきりということではございませんで、レギュラーベースでの見直しが加わることになっており、実際やったところです。
 33、34頁に基本ポートフォリオに関するご説明があります。33頁は、第1期の、前期の中期における基本ポートフォリオに関する簡単なご説明です。ここでの議論の出発点は、年金財政からの要請、つまり中期目標です。中期目標では、賃金対比の実質的な運用利回り1.1%といったものが示されております。こういった実質的な運用利回りを確保するよう、長期的に維持すべき資産構成割合として、基本ポートフォリオを定めると。そして、ある程度我々が基本ポートフォリオを定める際に置きました前提が妥当であるならば、年金財政上の実質的な運用利回りが長期的に確保できるだろうというふうに考えているわけです。こうした基本ポートフォリオにつきましては、第1期運営していったわけです。
 昨年度の場合には、第2期に基本ポートフォリオをどうしていくのかといったことについての突っ込んだ議論を行ったわけです。結局、そういった議論がどうなったかということについては、34頁に、第2期中期目標から始まった我々のプロセスが記してあります。第2期中期目標での文言としては、「運用目標は、暫定的なものであることに留意し、安全・効率的かつ確実を旨とした資産構成割合を定め、これに基づき管理を行うこと。その際、市場に急激な影響を与えないこと」。これが、私どもに昨年度の終わりに示された第2期中期目標の中の運用目標に関する部分の文言です。
 これを踏まえて、私どもとしては第1期中期目標における基本ポートは、第1期の時点から安全・効率・確実といった属性は確保されているという考え方のもとで、更新したリスク・リターンのデータを用いて、もう一度引き続き安全・効率かつ確実であることを検証し、確認したということです。こうしたプロセスを経た上で、第1期中期計画における基本ポートフォリオを、第2期におきましても基本ポートとしたというプロセスを辿ったわけです。ParT3のご説明としては以上です。

○山口部会長
 委員の皆様方、評定と質疑をお願いします。

○大野委員
 26頁の左側にフローチャートがありまして、いちばん下には「随時ミーティング」というのがあります。随時ミーティングは具体的に何回ぐらい実施されたのでしょうか。
 もう1点です。業務概況書の71頁以降に運用受託期間別に実績収益率の一覧が報告されています。こちらは運用期間ごとに、超過収益率などの報告が出されるようになったのは、平成21年度からでしょうか。それとも、同様の情報公開はそれ以前から行われていたものでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 2番目のご質問からお答えします。業務概況書の71頁以降は、過去からこの形でお出ししていまして、特に新しいわけではありません。
 資料2-2の26頁の随時ミーティングですが、基本的に月次で報告を運用機関から受けています。少なくとも担当ベースでは、その際に毎回お聞きしています。ただ、26頁の随時ミーティングに※を付けているのは、特に外国株式については、昨年の年度当初はあまりよくなかったこともありまして、外国株式アクティブのグループに対して、私が出るような大規模なミーティングを開催させていただいています。回数という意味ではカウントは難しいのですが、毎月報告を受けて、濃淡はあるのですが、その際に話は聞かせていただいています。

○大野委員
 上の「定期ミーティング」というのは、すべての運用機関から月次報告を受けるために、月ペースで開催されているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 ここでいっている定期ミーティングというのは、同じ26頁の右に「総合評価」というものがあります。総合評価は何を見るかというと、平成21年度ですと、平成20年度までの過去3年ないし5年の運用結果です。「定量評価」というものはまさにそこでして、そこが出た時点で、集中的にヒアリングをして、ここでいうような「定性評価」を併せてやります。いわば年1回の大きな総合評価のためにミーティングをやっています。そういった意味で、毎年1回定期ミーティングを第1クォーターから第2クォーターにかけてやっています。
 随時ミーティングというのは、何か問題があったときにやります。あるいは毎月報告が来る際に、濃淡はありますが、お話を聞くということです。

○大野委員
 随時ミーティングの場合には、ミーティングを開く運用機関もあれば、特に問題がなければ開かない場合があるのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 はい。問題がなければ特にやりません。ただ、定期ミーティングというのは総合評価を毎年やるので、ここは全社、いいところも悪いところもすべてお呼びしてヒアリングをして評価をします。

○光多委員
 25頁の公募ですが、このような形の評価事項があって、例えば1つのロットの資金運用が出てくると、大体何社ぐらい応募してくるものでしょうか。大体一流どころが出てくるとして、この6つの項目だとあまり差が付かないのではないかと思うのですが。それと、この評価はどのような組織で行っているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 正確に申し上げますと、どのようなものを運用資産対象、アクティブかパッシブかでも、応募してくる数というのは、かなり違ってくると思っています。例えば、国内株式アクティブというと、ほとんど日本の運用機関は手を挙げてきます。ただし、外国株式アクティブをやるとなりますと、日本の運用機関がグローバルに展開しているかどうかという議論になりますので、日本株式アクティブのようには出てきません。
 今回、パッシブを募集していますが、基本的にパッシブというのは、システム投資をして、規模の利益でたくさん受託資産残高を持ちながら、手数料を少し抑えつつ運用するスタイルですので、実際にはかなり寡占状況だとお考えいただいたほうがいいと思います。
 そういった中で何を審査するかです。ここでは抽象的に、投資方針、運用プロセス、組織・人材、コンプライアンス、事務処理体制等と書いていますが、しっかりと収益を稼いでいただくだけのプロセスが確立しているかです。それを見るためには、もちろん過去のデータも参考にして、それが果たしてしっかり稼ぐだけのものになっているか、組織・人材も、非常に少ない人数で片手間にやっているのか、しっかりした体制で経験の長いファンドマネージャーがやっているのか、こういったところを精査しまして、最終的には運用委託手数料も含めて、総合評価をして、決定をしてということになります。

○光多委員
 選定委員会か何かを作っているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 体制ですが、基本的に私どもの中で、私が担当しますが、委員会なども作ってやります。今年度の中期目標、中期計画からは、運用委員会も選定に関与するようにということですので、平成21年度までは、私どもGPIFの中で選定をしていましたが、今後この外債・外株パッシブ運用については、また運用委員会でも選定に関与するということです。

○光多委員
 去年もお伺いしましたが、資料2-7の71頁以降に各受託期間別の実績がありますが、これは5年または3年で出しておられるのですが、これは1年で出すことは難しいのでしょうか。3年単位になりますか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 私どもが評価をする場合には、このような定量データは、長いデータで評価をしなければいけない。ですから、教科書的にいうと、5年でも短いくらいで、10年だ20年だという話はあるのですが、私どもはできるだけ透明性の確保を図るということで、可能な限り3年ないしは5年というデータを出しています。
 もちろん内部的には持っておりまして、ミーティングの際に、急激に悪くなってくれば、それをどのようにやっていって、何か問題があるのか、そういった活用はしていますが、個社にとってはこれは生命線ですので、こういったものを対外的に出すことについて、ある程度一定の、3年ないし5年というデータで出すということにしています。

○光多委員
 我々は1年単位でやることを義務づけられていますので、そこは非常にやりにくいのですが、わかりました。

○竹原委員
 光多委員と同じアクティブ運用に関連する部分です。運用スタイルについて、事後的にリスクモニタリングをされているのかどうか。例えば何らかのリスク管理ツールを使って、スタイルの推移をモニタリングされているのでしょうか。
 もう1点は、その結果からGPIFのアクティブ運用に関して、各資産ごとのアクティブを全部総計したときにスタイルのミスフィットを許容しているのでしょうか、していないのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 まず1点目のほうです。私どもは特に国内株式については、普通のTOPIX型に加えて、グロスベンチマーク、バリューベンチマークといったスタイルインデックスをマネージャーに与えています。TOPIX型に限らずすべて、民間のツールを活用してスタイルのチェックをし、本来取るべきではないリスクを取っていないかをチェックしています。
 トータルについても、そういった意味でグロスとかバリューとか、スタイルで管理していますので、それが一定以上に乖離しないようにということは、毎月モニターしていまして、それに従って、必要があれば運用機関に指導というか指示というか、そのようなことも出てくる場合もあるかもしれませんが、私どもとしては、そういったミスフィットリスクを受けないような管理手法を取っています。

○竹原委員
 だとすると、ミスフィットが最低限の範囲にコントロールされていますと、特に日本株のアクティブについて、資産規模が1,000億から2,000億程度の受託機関が多いと思うのですが、その範囲でGPIFとしては、アクティブアルファが獲得できることを考えて、いまの運用体制を取られているということですね。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 運用体制というのは、私どもの体制でしょうか。

○竹原委員
 前提として、パッシブを中心にするもののアクティブについて、超過リターンを獲得することが十分に見込まれるものについて、アクティブ運用を行うというのが前提条件ですよね。そのときにスタイルのミスフィットの部分を取らないで、かつ1,000億、2,000億規模のファンドを作った場合に、仮に最良執行が図られたとしても、手数料等の問題を考えたときに、そこから果たしてアクティブアルファが取れるかという疑問なのです。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 資料2-7の業務概況書の25頁に数字は入れています。超過収益率は年によって振れますので、一概には言えませんが、例えば国内株のアクティブ運用は平成21年度は3.43%ということで、極めて大きなプラスです。ただ、リーマンが起きた平成20年度は-2.84%です。これを5年でならすと、平成17年度が非常に取れているというのであるのですがプラスであると。
 もちろん年度によって振れるので、どの年度で切るかによっても見方は違うのですが、私どもとしては、基本的には、原則として3年に1度の運用機関の見直し、マネージャー・ストラクチャーの見直しを行う中で、しっかりとそういったアルファが取れる運用機関を採用していくことに努力はしています。そういうところでご理解いただければと思います。

○竹原委員
 ただし、71頁のインフォメーション・レシオを見させていただくと、結果としては、過去3年間でプラスとマイナスが入り混じっていて、必ずしも正のものにはなっていません。その点について、どうお考えですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 運用期間を単年度の断面で見るとどういうことかというのがありますので、年度によるもの、例えばリーマンのときの影響。特に国内株式、先ほどの私どものポートフォリオをトータルで見ると-2%を超えます。

○竹原委員
 いいえ。インフォメーション・レシオですから、これはベンチマークとは関係ありませんよね。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 インフォメーション・レシオですから、アクティブリスク分のアルファですので、ベンチマークがベースにはなるわけです。

○竹原委員
 いや、トラッキングエラーですから、ベンチマーク部分は控除したあとのアルファですよね。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 アルファを分子に置きますので、TEは取っているアクティブリスクという考えでございます。
 したがって、私どもは3年に1度、運用機関の見直しを行っております。国内株式のアクティブは、いまちょうど見直しをして2年ほど経ちますが、いずれ見直しの時期には、そういったデータも踏まえて、新規運用機関の応募もあると思いますので、そういった全体の中で見直しをしていきます。
 そういった見直しの中途の年には、どういったことをやるのかと言いますと、何か急激におかしなことがある、あるいは体制が運用機関側で変わって、これはもうとても継続できないといったような場合については、もちろん厳しい対応というのもあるかもしれませんが、基本的には3年に1回の見直しの中で、また、そのような長期的なデータ、アルファあるいは先生のおっしゃったIRで、あるいは定性評価といったもので、しっかりと選定作業を行っているということです。

○樋口委員
 いまの質問に関連して、非常に具体的な話ですが、資料2-2の26頁の右下に、総合評価結果で「資金配分停止」あるいは「解約」とあります。これは前年から資金配分停止をした会社も書かれているのですか。そうではなく、今期新たに資金配分停止をした会社ですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 この資金配分停止というのは、毎年行う総合評価の結果を受けて決めた対応ですので、いわば有効期間が1年ということです。したがいまして、結果として継続する社もあれば、入れ替わる場合もあります。そういう意味で、有効期間1年の総合評価とお考えいただければと思います。

○樋口委員
 このときに評価して、資金配分停止になった会社は、前年はどうだったかというのはおわかりになるのですか。つまり何を聞きたいかと言いますと、解約と資金配分停止の線というのは、どこにあるのでしょうか。定量的・定性的評価基準の中の何を基準に置いているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 評価という意味では、定性評価と定量評価は、4点満点ずつで付けています。定量評価というのは、かなり機械的に、いい所から、4、3、2、1と割り切っていきます。
 ただ、国内株式で、昨年のこの場でも、かなり国内株が悪いではないかとご指摘をいただきまして、そういう定量評価が出てきますと、軒並み悪い点数が付いてしまいます。ただ、それが一時的なものであれば、定性評価は4点満点で、4あるいは3が付くケースもあります。
 したがって、平成21年度の評価というのは、リーマンの悪いときの定量評価というのもありますので、社数としたら、例えば国内債なり、国内株のアクティブというのは、評価が初めて悪くなったような社が続出したというのが正直なところです。これは昨年度やった評価の実績ですので。

○樋口委員
 いや、今年というのは、この年度。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 この評価をしたのは平成21年度ですので、データとしては平成20年度までのデータで、まさにリーマンのときのデータを最終年度とする評価年度でやっています。

○樋口委員
 では、評価というのは1年ずれているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 今年やっている評価は、まさに私どもはミーティングの最中ですので、今年の評価は確定していません。

○樋口委員
 そうしますと、ここで解約しなければならないような評価になった会社というのかファンドについても、少なくともほぼ1年はそのまま継続されているということなのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 この国内債券アクティブの解約については、あまり個社のことについて深く申し上げることはできないのですが、単に数字が悪いというだけでなくて、本来取るべきでない運用スタイルを取った結果、マイナスのアルファが少し大きく出たと。ですから、他のところは、本来の運用スタイルを維持しながら、むしろマーケットの動きの中で、そのような定量結果が出たと評価していますが、解約したものは、本来取るべきでない運用スタイルでやったということでございます。

○樋口委員
 つまり、この評価結果が出るまでは、現実には資金を引き上げることはないのですよね。手続き上はそうなるのですよね。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 手続き上は、これは年1回の評価をやっておりますが、何かおかしなことがあれば、年度の途中でも解約をしてきました。

○樋口委員
 では、これはどういうことなのですか。途中で解約したのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 いや、これにつきましては、定量データを年度で締めてみまして、そこについて最終的に確認をしたとご理解いただければよろしいかと思います。

○樋口委員
 平成22年4月以降については、この会社は解約されているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 はい。昨年度中に解約をしています。

○樋口委員
 いままでの説明とちょっと違ってくると思うのですが、年1回の評価で、資金配分を停止するか解約をするかの総合評価が行われるのではなくて、著しい所については、その都度解約しているのですか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 もう一度正確に申し上げますと、総合評価というものは、急に良くなった、悪くなったと関係なく、必ず年に1回やらせていただいています。その結果、パフォーマンスも良くなかったし、運用に問題があったということで、解約をしたわけです。
 ただ、よくあるのが、ケースによっては、実際に運用をしているのが、ある特定の個人が主になって運用している。これは実際に民間の運用機関でやられている方はわかると思うのですが、個人の能力でやっているような運用機関で、その方が急に辞やめていなくなったという場合に、それでは運用がうまくいかないではないかと。そういった場合は、年度の途中であっても解約するケースはあり得るということです。そういった場合は、臨機応変に対応します。
 ただ、そういった事情がない場合には、基本的に1年に1回の定期的な評価を行い、その際に判断をし、必要があればこのように解約をするということです。

○川北部会長代理
 運用の基本ポートフォリオに関係する部分なのですが、2006年、2007年の初めなど、市場全体がバブル的な状況にあったときに、どのように対応するという議論があるのかどうかという話です。
 もう1つは、逆に2008年のリーマンのように、大幅に売られたときに、バブルが崩壊してオーバーシュートしてしまったと。そういうときに、GPIFとしてどのような対応をされるのか、もしくは政策的に対応してくれと言われたときに、どのような行動を取られるのか。そういう方針があるのか、もしくはその議論をされているのか、その辺りを聞かせていただければと思います。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 資料2-7の22頁をご覧ください。政策的な対応等については、これは実際にそのようなこともありませんし、私どもとして想定してはいないのですが、基本的な考え方としては、基本ポートフォリオを維持するということです。基本ポートを維持しながらも、短期的なリスク、先ほどちょっと言いましたが、いわゆるGARCHモデルによる短期的リスクということで、このような分析をしています。
 これを実際に見ていただくと、サブプライム、あるいはリーマン・ショックのときに、赤が基本ポート全体のリスクを示すわけですが、バブル崩壊のときを遥かに上回る形で、短期的にはリスク水準が上がったことがわかっています。バブル崩壊時の大体1.4倍から1.5倍の水準まで跳ね上がりました。
 その内容としては、外国株式については、ブラックマンデーぐらいの水準まで、さらに輪を掛けて、日本株についてもバブル崩壊を若干上回る水準です。これが同時に起きたというのが、リーマン・ショックのときだったということまではわかります。
 ただ、それを見ていただきますと、過去もそうなのですが、その後、リスクレベルは急速に元の水準に戻ります。問題は、そのときに長期的なリスク・リターン構造というものが構造的に変化したのか、あるいは元に戻るのかというところがポイントだろうということで、ここでは我々としては、構造的変化とまではまだ判断できないということで、従前の基本ポートフォリオを維持すると。従って、冒頭に理事長からあったように、下がった内外の株式に集中的に投資をしたという感じです。

○川北部会長代理
 その集中的に投資をされたというのは、いただいた資料のどこかを見ればわかるのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 集中的に投資といっても、私どものリバランスはニューマネーの範囲内で、実際にどこにそれを資金配分するかという意味において、その当時、基本ポートフォリオに対してアンダーウエイトとなっていた内外の株式に資産配分を行ったという意味です。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 各月の資産配分については、平成21年度の業務概況書の20頁にございます。1つ前のところでは2-7の45頁にございます。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 45頁は1年前です。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 私の手元に1つ前のものがありますので、数字だけを申し上げておきます。平成20年度9月にリーマン・ショックがあって、10月以降は株価の下落が内外で激しくなっていた点は、ご記憶に鮮やかかと思います。
 例えば4月から9月辺りにかけては、ニューマネーは少ないときで3,500億円ぐらい、多いときは7,000数百億円ありました。例えば国内債券の配分額は、4月であれば6,400億、5月であれば6,800億となっていました。ところが、11月以降3月まで、国内債券の配分はゼロになりました。
 下期は、毎月9,000億円、7,000億円とお金が入ってきていまして、11月以降は内外の株式に、ザックリ言って、それぞれ3,000~4,000億円ずつニューマネーを配分していったというのが、先ほど理事長が申し上げた「集中的に」という実態的なところです。この辺の計数は1年前の公表資料集の中に入っています。

○川北部会長代理
 そのときに、例えば自家運用されている債券ですが、これはリーマンのときは比較的堅調だったと思うのですが、ニューマネーを入れるというのはわかるのですが、例えば自家運用されている債券を取り崩してキャッシュ化して、それを新たに委託しようとか、そういうことは考えられているのでしょうか、もしくは議論されているのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長
 一方でそのような考え方もあるとは思いますが、ただ一方で、我々の資産規模からくる市場への影響も十分に注意しなければいけないということで、第1期中期期間については、ニューマネーの範囲内でリバランスをすることが基本的な考え方でした。
 いまおっしゃった、先生の問題意識については、当然、今後の検討課題の1つと考えています。

○山口部会長
 よろしゅうございますか。続いて最後のブロックです。第4ブロック(項目16~20:年金積立金の管理及び運用に関する事項?A)についての評価を行います。
 それでは、法人から説明をお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役(企画部長)
 資料2-2の35頁からになります。こちらでは、「基本ポートフォリオの管理その他リスク管理」、「運用手法」、「運用受託機関及び資産管理機関の管理」、「その他(株主議決権行使状況)」、「施設及び設備に関する計画」といった項目です。私どもの自己評定は、上から、A、A、A、B、Aです。
 1つBになっている「財投債の管理及び運用」については、満期保有でひたすら管理をしているというところですので、昨年度に続いて、こちらの自己評定はBにしています。
 最初の「基本ポートフォリオの管理その他リスク管理」ですが、私どものリスク管理は、直近時点でのポートフォリオの属性の把握が出発点になるわけです。こちらについては、例えば36頁に、基本ポートフォリオからの乖離状況を把握していく、37・38頁においては、対複合ベンチマークの超過収益率の要因分析について試みてみる、39・40頁にありますようなものでいくと、各アセットクラスについてトラッキングエラーの数値を出して、その変化要因を分析する、あるいは株式アクティブファンドのβ値、債券ファンドのデュレーションといった、基本的な計数をきちんと把握し、それを基にした分析を行うことが、リスク管理のルーチンになります。
 41頁は「その他のリスク管理」ということで、信用リスク、ソブリンリスク、カウンターパーティーリスク、流動性リスクといったものがあります。こちらについては、例えば内外債券の格付などを常時見ていくことになります。
 42頁は「運用受託機関に対するリスク管理の状況」です。運用ガイドラインを提示し、運用をお願いする。その際にはベンチマークも付けてお願いする。これに対して、リスク管理指標にかかる目標値の遵守状況の確認を月次報告等において行い、その結果、「実績」という項目のところでアンダーラインを引いているように、遵守を確認とか4ファンド(5案件)について軽微なガイドライン違反があったので対処した、といったことになっていきます。あるいは右のほうで、「運用体制の変更等」とありますが、運用体制が変わることは、相手は民間企業ですのでしばしばありまして、その内容を把握し、適宜対応を取っていくといったことがあります。
 いまのが運用受託機関に対するリスク管理ですが、私どもの場合は、もう1つ資産管理機関というものもあります。資産管理のガイドラインを提示し、これに対してその状況を定期的に把握していくといった、一種似たような業務フローが、こちらにつきましてもあります。
 44頁の場合には、いままでの外への委託運用に対して自家運用です。こちらについても、「インハウス運用室」という部署において、自家運用を行っています。これに対して、運用部がモニター役を担っています。その意味では、自家運用を行っているインハウス運用室は、外部の運用受託機関と似たようなポジションに置かれているということです。
 インハウス運用室の場合には、運用の中身が国内債券パッシブファンド及び短期資産ファンド、財投債ファンドですので、そうしたパッシブ運用のリスク特性などを把握するとか、売買している債券の内容について格付を確認していくといったことを常時やっています。
 45頁の(2)「運用手法」です。こちらはパッシブ運用が中心であるということです。これは中期目標に、そもそもパッシブ中心でやると書いてありまして、こちらもありまして、各アセットクラスにおいて、7~8割がパッシブになっています。
 運用の手法に近いものとして、先ほど来申し上げている短期資産の増加に対応し、短資業者という、短期金融市場専門の流通業者を、我々の取引先のラインナップに加えて、短期資産の運用先を拡充し、短期資産の運用の柔軟性あるいは適応力を増していったところが、平成21年度としてはあります。
 46頁の「その他」です。こちらについては、株主の議決権行使の状況について説明しています。私どもの場合、民間企業の経営に影響を及ぼさないよう配慮し、個々の議案に対する判断、例えば、この人は社外役員としていいかといったことですが、このようなことについての判断を、私どもとして個別に行っているわけではなく、運用受託機関において、議決権行使ガイドラインを策定し、その策定状況・行使状況を私どもが管理・評価するとした上で、個々の議決権行使については、それぞれの運用受託機関で定めるということです。これが私どもにおける、株主としてのコーポレートガバナンスへの対処の基本的な枠組です。
 その実際の動きについては、46頁の左下の矢印が2往復しているところにあります。こちらに書きましたように、運用ガイドラインをこちらが設け、運用受託機関において、自分たちで議決権行使ガイドラインを作ります。それに従って、ガイドラインに基づく議決権を行使し、その結果についてこちらに教えていただくということです。それを踏まえた評価を私どもで行います。
 平成21年度については、議決権行使の取組に関する評価は、運用受託機関の評価の中の1つの項目にもなっていますので、これを行っていくということで、必要な場合には個別に改善を求めることもあります。
 47頁は財投債の話です。こちらの棒グラフをご覧いただくと、2年債が毎月500数十億円返ってきまして、あとは、6、9、12、3月においては、5年債が大量に返ってきたということが、年度中のパターンとしてありました。
 48頁は「施設及び整備に関する計画」です。神奈川県の日野宿舎、千葉県の行徳宿舎については、それぞれ売却手続きに着手する時点を、この頁の右下にお示ししています。Part4については以上です。

○山口部会長
 ご質問等はありますか。

○大野委員
 41頁に、「信用リスク及びソブリンリスク」、その下に「カウンターパーティーリスク管理」とあるのですが、その下に「運用先の格付け要件が満たされているかを確認することで行い」と書かれてはありますが、このときのカウンターパーティーリスクというのは、どういった意味合いでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 私どもがカウンターパーティーリスクとして管理をしているのは、特に資産管理を専門に行う信託銀行について行っています。私どもは、1資産につき1資産管理機関ということで、120兆の資産を4つの会社に管理をお願いしています。
 したがいまして、そういったところが万が一ですが、こういった信用問題で急に会社として業務ができなくなると、まるまる1つの資産の実質的な運用ができなくなってしまうことになりかねません。そう考えておりまして、当然私どもはお願いしておりますので、大丈夫な信託銀行ばかりではありますが、リスク管理という立場からは、しっかりとその格付け等をモニタリングするということで対応しています。

○川北部会長代理
 同じ頁ですが、格付けに関しては格付機関の信用性の問題が大きいと思うのですが、その辺りのリスク管理の対応というのは、どのようにされているのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 もちろん格付けだけではないと思っています。したがいまして、いま申し上げた例でいきますと、信託銀行の場合ですと、これも年に1回しっかりと総合評価を行ったり、何かあったら私どもから、あるいは向こうから報告をするということで、最終的には経営問題になるわけですので、決算書、中間決算といったいろいろなものもいただいて分析をする中で、ここではわかりやすいものとして、特に格付けというものを明確にしておりますが、そういった全体としてのカウンターパーティー、要するにモニタリングはやらせていただいています。

○川北部会長代理
 質問したのはカウンターパーティーの件と、もう1つは、実際の運用対象としての格付けも含んだつもりなのですが、対象に関してはどうされているのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 今回、ギリシャが4月ぐらいから問題になっています。私どもとしては、もちろん格付けも見ていますが、最終的にムーディーズが4ノッチ下げましたし、あのような形で、想定を超えるような格下げも行われています。したがって、私どもとしては単にそういったことだけではなく、特にヨーロッパの基盤となるドイツ、その他いくつかの基盤となるような債券がありますが、それとギリシャをはじめ、PIIGSみたいなもののスプレッドについては、ずっとモニターしています。これは、一時期は日々見ていましたし、基本的にはマンスリーで見ていますが、そういったものでモニタリングしています。
 さらには、CDSをどのように理解するかという難しい問題があるのですが、CDSについてもモニターをしながら、併せて、特に今回は外債の運用機関に何回もヒアリングあるいは報告をさせることにより、しっかりとその辺のソブリンリスクのモニターをやらせていただいています。ただ、それは昨年度というより、今年度の話なので、今回の評価には関係がないので、もしかすると来年のご報告になるのかもしれませんが、私どもとしてはそういったことをしっかりやっているというのが、現状です。

○大野委員
 議決権行使の件ですが、運用先から報告を受けるというのは、年1回の定期ミーティングで聴取り調査が行われているのでしょうか。

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長
 正確に申し上げますと、海外の場合はフィスカルイヤーというか、4~3でやらない所もあるのですが、議決権行使ということからすると、4~6というのが1つの集中的な行使期間になろうと考えています。
 したがいまして、私どもはまず4~6というかなり早い時期にいただきまして、年度は年度でまとめていただくということで、そういう意味では、全体としては2回報告をいただいていまして、特に年度については、業務概況書の2-7の79頁に、国内株式と外国株式の両方について、議決権行使結果については載せています。
 ヒアリングについては、実際の4~6でやった結果について、ミーティングできるのが夏以降になるので、年1回の総合評価というのは、第1クォーターの途中からやっていますので、それはまた秋ぐらいの時期にやりまして、それをまた翌年度以降の総合評価にも活かしていくと。そのようなことで、ローリングしながらやっています。

○山口部会長
 よろしゅうございますか。以上ですべての項目の評価が終わりました。資料2-9について、法人所管課から説明をお願いします。

○大臣官房参事官(資金運用担当)
 資料2-9「年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について」です。毎年夏の評価のときに同じことをさせていただいていますが、本法人の総合評価については、個別の法人の分析結果と併せて、積立金の運用が年金財政にどのような影響を与えているかを、私ども厚生労働省で「運用報告書」というものを作り、ご報告します。この機会が8月20日になろうかと思いますが、その機会に「運用報告書」という形で、私どもから説明をさせていただきますので、これを併せて総合評価をお願いしますということです。そういう意味では、事前にご紹介させていただきました。
 併せて、簡単に参考資料1をご紹介させていただきます。参考資料1は、この法人の運営の在り方に関する検討会というものが、厚生労働大臣の下で開催されています。いちばん後ろの頁に開催の状況がありまして、昨年11月のおわりから、8回にわたって開催しまして、先頃6月の下旬に中間とりまとめを公表しています。17頁に検討会メンバーのお名前を挙げています。
 この中間とりまとめは、いろいろな意見が出てきましたので、両論を並記していることが多々あります。中間とりまとめ自体は8頁までで、9頁からは、出てきたさまざまな意見を並べています。
 特に本日ご紹介しておきたい点は、5頁から「運用組織、体制、ガバナンス及び説明責任等について」とありますが、この中で少し議論を紹介しますと、6頁に「現在のGPIFの業務の進め方」、あるいは「組織、体制の見直し」について出てきている意見です。政府とGPIFの間の役割分担の話とか、現在は独立行政法人ですから、責任は理事長が全面的に負い意思決定を行う形になっていますが、120兆円という大きな金額に対して1人で責任を担うというのは大変重いため、ここを、例えば複数の方の合議体にしてはどうかというご意見も出ています。
 そういう意味で、6頁の下から2つ目の項目で、見直しを行うに当たっては、具体的な案を念頭に置きつつ、いろいろ議論をしてはどうか、その際は、現行の独立行政法人の枠組みにとらわれず、具体案を考えることが重要ではないか、場合によっては法改正なども必要となる場合がある、といったご意見が、この検討会の中で出ています。
 この検討会自体は、あくまでも中間とりまとめで、一定の方向を出しているわけではありませんが、今後の検討によっては、そもそもこの独立行政法人の今の制度の枠組みの中に必ずしもあてはまらない部分もあるのではないか、そういう意見も出てこようかと思っています。そういう意味で、今日はあくまでもご紹介ということですが、この年金部会の先生方にも、引き続き議論の進み方などもご披露していきたいと思っています。

○山口部会長
 事務局から、このあとの取扱いについて説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料の送付をご希望される方は、部会終了後に事務局にお申し付けいただければと思います。評価の記入の終わっていない委員の方については、本部会が終了したあとに、この会場にお残りいただき、引き続き記入していただいても結構ですし、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになっての記入が可能ですので、事務局にお申し付けください。その場合には、7月29日(木)までに、事務局まで評定記入用紙をお送りください。よろしくお願いします。

○山口部会長
 本日の議事は以上です。次回の開催等について、事務局からご案内をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回は8月2日(月)の13時~17時、場所は経済産業省別館8階825会議室です。議題は、独立行政法人農業者年金基金及び独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の個別評価です。開催通知を封筒の中に入れていますので、期日までにご提出をお願いします。
 最後に、お手元の資料で、参考資料2と参考資料3として省内事業仕分け、行政刷新会議における事業仕分けの結果等の資料をお付けしています。
 年金部会の所管独法については、公開の場での事業仕分けは行われていませんが、ご参考までに、厚生労働省関係、公開の場で仕分けを行ったその他の独法の仕分け結果等について、こちらの資料を参考にしていただければと思います。よろしくお願いします。

○山口部会長
 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただき、ありがとうございました。また、GPIFの皆様方におかれましては、引き続き厳しい運用環境かと思いますが、国民の大切な年金積立金ですので、安全・効率的で確実を旨として、引き続きご尽力いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。終わります。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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