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2010年9月29日 第42回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

○日時

平成22年9月29日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用23会議室


○出席者

<委員:五十音順、敬称略>

相澤好治(分科会長)、明石祐二、市川佳子、犬飼米男、今田幸子、瀬戸実、高橋信雄、谷口元、露木保、豊田耕二、内藤恵、中原俊隆、田中氏(中村聡子代理)、眞部行雄、三浦武男、芳野友子

<事務局>

平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

・安全衛生行政を巡る動き(追加)
・労働政策審議会安全衛生分科会における公聴会の開催について
・機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等について
・その他

○議事

○分科会長 おはようございます。それでは第42回「労働政策審議会安全衛生分科会」
を開催させていただきます。本日は名古屋委員、土橋委員、高橋孝行委員、古市委員、伊
藤委員、中村委員が欠席されておられます。中村委員の代理として、日本経団連の田中様
がご出席されておられます。
 それでは、議事を進めます。本日の議題は「安全衛生行政を巡る動き」「労働政策審議
会安全衛生分科会における公聴会の開催について」及び「機械譲渡時における機械の危険
情報の提供のあり方等について」となっています。「安全衛生行政を巡る動き」について
は、顧客が喫煙する職場での換気装置の効果を評価する空気環境基準等について、先日、
報告書が取りまとまったとのことですので、報告をしていただきます。それでは、事務局
から説明をお願いします。

○環境改善室長 資料1に基づいてご説明申し上げます。前々回の分科会において、職場
における受動喫煙防止対策に関する検討会での検討結果については、ご報告申し上げまし
た。そこにおいて、顧客の喫煙により全面禁煙や空間分煙が困難な場合であっても、換気
等による有害物質の濃度の低減などの措置により、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を
低減させることが必要とされておりました。そこで、これを受けまして、中央労働災害防
止協会に設置された委員会におきまして、技術的事項の検討を行っていただきました。今
般その結果がまとまりましたので、ご報告申し上げます。
 「換気装置の効果を強化するための指標」としては、たばこ煙の濃度または換気量のい
ずれかを満足すればよいものとされました。このうちたばこ煙の濃度に関しましては、濃
度を確認するためのマーカーは浮遊粉じんとし、その濃度は0.15mg/m3以下と提案されて
おります。たばこ煙にはご承知のとおりニコチンや一酸化炭素などの有害化学物質のほか、
人への発癌物質でありますベンゾビレン、ニトロソアミン等多くの化学物質が含まれてお
ります。その中で簡易な測定を行うという観点で、粒子状物質として浮遊粉じん濃度、ガ
ス状物質として一酸化炭素濃度の測定をしましたところ、一酸化炭素濃度については、定
量限界以下という低濃度であることが実験で示されておりました。そのため、マーカーと
して浮遊粉じんが選ばれたものであります。そして、その濃度基準については、事務所衛
生基準規則において浮遊粉じん濃度を0.15mg/m3以下という基準があること等から、この
数値と同様の数値が提案されております。
 次に換気量については、社団法人空気調和・衛生工学会が公表しております換気規準を
参考としまして、簡略化した計算式をご提案いただいております。頁の裏になりますが、
これはいまお示ししましたたばこ煙の濃度基準である0.15mg/m3を前提としまして、それ
をクリアするためにどの程度の量の換気量が必要かというものを、1時間当たりの量で示
されております。具体的にはn席の客席のある喫煙区域の1時間の必要換気量は70.3×n
m3/時となっております。それから、事業者による確認方法としては、たばこ煙に関して
は簡易測定機器を用いた測定を、また換気量に関ましては設置されている換気装置の能力
と、その換気装置が設計どおりの風量で稼動していることの確認を行うことが適当とされ
ております。以上です。

○分科会長 今の「職場における受動喫煙防止対策基準検討委員会報告書」について、ご
意見、ご質問がありましたらお願いします。

○市川委員 ご説明はよく理解しました。しかし、この専門家の皆様による中災防の指標
といいますのは、いわゆる完全分煙等ができない、顧客等がたばこを吸うという飲食店な
どの話だと思います。報告書を全て読めば、それは理解できますが、このように1枚のペ
ーパーの概要で出されますと、全ての事業所の喫煙コーナー等々の換気量のことを言って
いるのかと混同するのです。前回の分科会の検討項目の中でも、屋内の環境基準というの
が受動喫煙の中で出されて、谷口委員が質問したと思うのですが、これから受動喫煙につ
いて議論していく一般の事業場での分煙の話と、ここでいう飲食店等の環境基準がわかる
ように、この資料のところにも書いていただきたいと思います。
 もう1点ですが、これだけの換気をしますと、冷暖房の効率が非常に影響を受けると思
うのです。環境問題としてCO2の排出にも関係してくると思いますので、そういう影響も
あるということなどについても考慮する必要があるのではないかと思っています。以上で
す。

○分科会長 いかがでしょうか。

○環境改善室長 最初のご指摘ですが、資料1については若干言葉が足りていませんでし
た。ご指摘のありましたところについては、この資料4についてはこのとおりですが、ご
議論いただく際には、再度きちんと整理をしてお示ししたいと思っております。
 なお、前回ご指摘いただきましたいまの空気環境基準に関係しますが、後ほど事務局か
ら若干触れられるかと思いますが、資料4で論点を再度整理したものが書かれております。
それに関しては資料4の1枚目の1が「職場における受動喫煙防止対策について」という
項目ですが、そこの3番目については前の全体的なものと混同されないように、3番に限
定的に書いてあります。
 それから、2番の項目は顧客が喫煙する飲食店等については、一般の事務所や工場と違
った対応が必要ではないかという論点で、この両方をどのように対策をとるのかについて
ご議論を賜れればと思っております。以上です。

○分科会長 ほかにありませんか。よろしいでしょうか。それでは、また、もしありまし
たらあとでお願いします。続きまして、前回の分科会において開催をご了承いただきまし
た、職場における受動喫煙防止対策についての公聴会について、事務局からご説明をお願
いします。

○環境改善室長 資料2です。前回ご提案申し上げまして、ご了解いただいた概要案を作
成をしています。1番に「趣旨」が書いてありますが、ここに書いてありますものは前回
ご説明申し上げた認識を書いたものです。安全衛生分科会の委員の方が、広く国民の意見
をお聞きいただきまして、分科会での議論に反映していただくことができるよう公聴会を
開催するとしております。
 2番に具体的日時を書いてあります。分科会の今後のスケジュ-ルや会場の空状況等を
考慮しまして、11月10日水曜日の午後にニッショーホ-ルにて開催させていただきたい
と存じます。ご出席の方々は、分科会委員の方、また後ほど事務局からご相談しましてご
都合のつく委員の方々と、予め選ばれました意見発表者の方となっています。
 議題は(4)に2つ書いてありますが、メインはその下の意見発表者の方による意見発表
と、その意見についての分科会委員の方からの質疑応答になっております。ご意見いただ
きたい事項についても併せてお知らせする必要がありますので、3番に具体的項目を掲げ
てあります。また、本日公聴会の開催概要についてご確認をいただければ、できる限り早
い段階でホームページ等を通じて広く一般の方々にお知らせをしまして、ご意見を募集す
るとともに傍聴者の方を募りたいと考えております。
 4番に今後の予定が書かれておりますが、意見発表の申込締切を来月10月21日としま
して、25日の分科会において意見発表者の方を決定していただくことと考えております。
以上です。

○分科会長 ただいまの公聴会についてのご説明でしたが、何かご意見、質問はありませ
んでしょうか。

○犬飼委員 公聴会のスケジュ-ルはわかったのですが、私たちがこの意見を聞いて、こ
の分科会の中で議論をどのように進めるかという、この分科会との関わりあいのスケジュ
-ルを教えていただければありがたいと思います。

○計画課長 今後のこの安全衛生分科会のスケジュ-ルについては、もちろん審議の状況
によりますので、確定的に申し上げる立場に事務局はございません。あえて申し上げます
と、本日はご案内のとおり、機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等につい
てご議論をいただくことになっております。もちろん、最終的にまた総括的なご議論をい
ただきますが、まず機械についての議論が一段落すれば、次回は化学物質管理の今後のあ
り方についてご議論していただくことになります。その議論はどうなるかわかりませんが、
その次に順番からいきますと、この受動喫煙の関係についてご議論いただくことになると
思います。
 おそらくそこで議論をしていただくのですが、国民の皆様からの意見も聞いた上で、も
う少し議論したほうがいいのではないかとすれば、11月10日前後に、公聴会が開催され
ますし、もし早く進むようであれば、一旦受動喫煙については仮置きして、メンタルヘル
ス対策等への議論に入っても良いかもしれません。この辺りは全体の流れの中で進めてい
きます。いずれにしても、この公聴会で意見を聞いた上で、公聴会に参加した委員の皆様
でこの分科会に参加されない方々もいらっしゃいますので、事務局から報告をさせていた
だいて、受動喫煙について議論をさらに進めていく流れになるのではないかと思います。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはありますか。

○高橋(信)委員 公聴会の中で意見発表者の方々はこれから募りますということですが、
過去に出ました報告書を見ますと、例えば「顧客が喫煙するために措置が困難な場所」と
いう表現があります。そういうところの方のご意見も聞けると、そういう枠組みも用意す
ると理解してよろしいのでしょうか。それとも、一般的な公募で、応募がなければそれは
オミットするのでしょうか。

○環境改善室長 できるだけ広く多くの関係者の方にはお知らせをして、いまご指摘のよ
うな方々にも公募いただけるようにしたいと思っております。

○高橋(信)委員 はい、よろしくお願いします。

○分科会長 ほかにはありませんか。よろしいですか。それでは、公聴会については、出
席いただける委員の方にはご出席いただきたいと思います。出欠については、事務局から
別途ご確認していただくことにします。なお、公聴会において出された意見については、
先ほども議論がありましたが、公聴会後に開催される分科会においてご報告することにし
ます。
 続きまして、検討項目である「機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等に
ついて」ご議論していただきたいと思いますが、まず事務局から説明をお願いします。

○安全課長 資料3とそれに付属します参考資料を解説しますので、よろしくお願いしま
す。「機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等について」です。検討項目1
「基本的方向」は、機械災害の減少に有効なリスクアセスメントを普及させる上で、機械
メーカーが機械ユーザーに機械の危険情報を提供する仕組みが有効ではないかということ
です。
 まず、その現状として、機械災害の発生状況として参考1-1の棒グラフにありますよう
に、発生件数としては3万件前後で推移しております。休業4日以上の労働災害の約3割
弱を機械災害が占めている状況です。参考1-2の製造業における機械災害の発生状況をみ
ると、重篤度の高い「挟まれ、巻き込まれ災害」というものが57%を占めているという
状況です。円グラフ2を見ていただきますとわかりますが、安全措置が十分でないものが
未だ多いということです。参考1-3は、中小企業において機械災害の発生件数、また発生
頻度も高いことがこの図において示されています。このような現状があります。
 現行の制度として、現行では参考2-1にありますように、「機械の包括的な安全基準に
関する指針」、いわゆる包括指針と申しておりますが、これによりまして普及定着を図っ
ております。これはあくまでも行政通達です。そのうえ、包括的な取組を求めておりまし
て、非常に対応が難しいところもあります。簡単に包括指針の内容を説明申し上げます。
機械メーカー側からしますと、機械の設計・製造段階におきまして、リスクアセスメント
を行いまして、まず機械自体の安全化を求める。残った残留リスクについては、機械のユ
ーザー側にそのリスク情報等を伝えていく。ユーザー側におきましては、リスクアセスメ
ントを行いまして、必要な防護対策を進めていくことによりまして、機械災害の防止を図
っていくという流れです。その流れを指針の中で示しています。
 この指針は先ほど申しましたように、例えば機械の危険情報の提供については、参考
2-2に包括指針における「使用上の情報」として細かな内容が書いてあります。非常に詳
細多岐にわたるものでありまして、なかなか十分に提供していない状況もあります。また、
機械の設計段階等のリスクアセスメントについても、実施方法の簡素化を求める割合が高
いという状況もあります。これが現行制度の内容です。
 基本ともいえますリスクアセスメントの実施状況は、参考3-1にありますように、労働
災害の防止に有効なリスクアセスメントについては、普及は進みつつあるのは明らかです
が、平成21年度の調査においても、参考3-1の下の円グラフでは、実施中となっている
のが37.5%、実施準備中が15.2%、実施予定中が24.1%等のような状況でして、まだま
だ展開に対しても我々としても努力をする必要があるという状況にあります。
 参考3-2「リスクアセスメント対象の情報の入手の状況」を説明いたします。入手状況
が「困難」であったが37.4%、「非常に困難」であったは6.5%、要するに入手が難しい
という割合が全体の44%で高い割合です。
 参考3-3に情報の入手側、ユーザーの部分の棒グラフ等で示されていることは、残留リ
スク情報の提供を今後必要とするユーザーはどのくらいあるかというと、リスクアセスメ
ントを実施している、実施していないユーザーを平均しまして、66%のユーザーが情報提
供を求めています。リスクアセスメントを実施していないユーザーにおいても、6割強が
残留リスク等の情報を求めていることからすれば、機械譲渡時のリスクアセスメントはそ
の残留リスクの提供によりまして、その促進が図られることも期待できるのではないかと
思っています。
 参考3-4の関係は、前回もちょっと説明申し上げたと思いますが、「リスクアセスメン
トの実施の有無と災害発生率の関係」です。リスクアセスメントの実施事業場が未実施に
比べまして2分の1と、逆に実施していないほうが2倍の発生率があります。これがリス
クアセスメント実施の状況の概要です。
 資料3の「国際的な動向」です。機械安全についての国際的な動向として、ISO12100
という「機械の安全性-基本概念、設計の一般原則」に基づきます機械の設計、製造が欧
州等の主要国では一般的になっております。その仕組みの中においては、リスクアセスメ
ントに基づきます取組の一環としての残留リスク等の「使用上の情報」の提供を行うこと
が定まっているという状況にあります。
 一方、(8)の機械の危険情報の提供の検討の経緯は参考4-1にあります。平成16年の労
働政策審議会の建議、これは平成17年の労働安全衛生法改正の基となった建議ですが、
この中においても、残留リスクの情報を機械の使用者に提供する検討の必要性というもの
が建議の中で謳わています。第11次労働災害防止計画においても、下線部ですが、機械
の製造者が譲渡時におきます使用上の情報の提供等促進する制度について検討を行うとさ
れています。このようなことを踏まえまして、私どもとしましては検討を行ってきました。
 次頁は「今後のあり方」です。検討会の報告書から抜粋したものですが、(1)ユーザー
におけるリスクアセスメントの取組を促進し、機械労働災害の一層の防止を図るためには、
メーカーによる機械の危険情報の提供に取り組む仕組みを確立することが必要である。
(2)当該提供された情報がユーザーのリスクアセスメントの取組に有効に活用されるよう、
実効性のある仕組みとする必要があるということでして、このように仕組みを作っていく
という提案があります。以上が基本的な方向のご説明です。
 次は検討項目の2「機械メ-カーが情報提供する内容・項目、提供方法について」です。
機械メーカーが提供すべき機械の危険情報の内容・項目、提供方法はどのようなものが考
えられるかです。
 現状は参考5にありますように、ユーザーがメーカーに要望する情報の内容としては残
留リスク情報が66.2%と最も高く、次いで安全仕様が65.4%、さらにリスクアセスメン
トの結果が60.9%というようなっています。
 参考3-3に戻っていただきまして、上の表はメーカーからユーザーに対します機械の危
険情報の提供方法です。警告ラベルによる提供は93.2%、取扱説明書によりますのは
88.3%、引き渡し時の口頭説明は66.3%になりまして、メーカー側としては警告ラベル
による割合が非常に高いのですが、残留リスク情報リストなどの文書については12.9%
で、その分を明示的に提供している割合は少ないのがここで示されています。
 同じく参考3-3のユーザー側は先ほど申しましたように、メーカーはさまざまな方法に
よりまして機械の危険情報を提供しているという認識ではありますが、現状ではユーザー
側はメーカーから残留リスクを受け取ったという割合が、この棒グラフにありますように、
受け取ったという認識があるものが8%でして、メーカー側とユーザー側において情報の
授受の認識に大きなギャップがあります。そのようなことから、わかりやすい情報の提供
または情報提供すること自体を促すことが必要であろうかということです。
 こういう現状がありまして、今後のあり方です。これも検討会の報告書から整理したも
のですが、(1)と(2)は提供する情報の内容なり項目についての提案です。(1)はユーザ-
がリスクアセスメントを実施するために必要な情報として、ユーザーのリスクアセスメン
トに必須の情報として、メーカー・ユーザー間でリスクアセスメントの実施において最低
限必要と通常考えられる「残留リスク情報」を必須の情報として整理しておりますが、そ
れが1つです。2つ目としては、ユーザーの要求等に応じまして、必須の情報以外の必要
な情報に区分して整理しております。
 2で「必須の情報」とは何かということですが、機械譲渡時に、ユーザーにおいて労働
災害を防止するための保護方策を講じることが必要なリスクとしてメーカーが判断した残
留リスク情報です。この情報には、当該残留リスクにかかわります危険源、以前も少し説
明申し上げましたが、刃部、重い、騒音が発生する、充電部分があるなどの危険源がどこ
にあるか、ハザードというものです。作業の内容としては、例えば運転作業、保守点検作
業などが2つ目の必須情報です。3つ目が想定される危害のひどさです。例えば、機械に
よりまして指が巻き込まれて折損するという重篤度を情報として含める必要があるのでは
ないかというのが提案です。
 参考6に具体的な事例をイメージを作っていただくためにお示ししております。参考
6-1、2、3の部分です。合板をカットする部分まで送り出す装置です。図で言えば右に合
板の位置が見えております。これが左へ移動して、それが直角に曲がりまして、右奥にカ
ットするセクションへ移動していくという流れの投入機という機械です。こういう投入機
の場合、どのような危険情報があるかでして、これは大まかに参考6-2に書いてあります
ように、それを対象の作業、運転時や運転準備、運転中、点検保全、清掃というように対
象作業を分けまして、それに応じて危険源がどこにあるのかをここに書いております。
 例えば、上から4つ目の運転中の中持ち装置のところですが、合板を出し入れする装置
です。その際には合板を出し入れ中に人がその中に立ち寄ることによって、身体が挟まれ
ることもあり得る。危険源としては中持ち装置で、危険の事象としては挟まれることです。
その場合の危害のひどさ強さと重篤度では、身体の骨折がある。このような形で、この投
入機に関しましての必須情報をまとめております。
 参考6-3は、例えばとして繰り返しになりますが、この運転中のものを2つ、点検保全
を1つ示してあります。こういう形で対象作業、危険源、危害のひどさをまとめまして、
それに対して、ではその得た残留リスク情報に基づきましてユーザーがどのように保護方
策を講じていけるのかを具体的に示したものです。先ほどの中持ち装置でありましたら、
危険区域に安全柵を設置しまして入れないようにする、色を塗って警告をする、もっと離
れて機械の動きを見るなどいくつかの対応があるかと思いますが、こういう形で保護方策
を講じる。リスク情報があれば、保護方策も考えていけるという流れがあります。このよ
うに必須情報としては、要するに危険源と作業の内容、危害のひどさの3つを必須情報と
して利用したいということです。
 あとの(3)(4)(5)は、提供の方法に関するものです。残留リスク情報等の機械の危険情
報については、ユーザーにとって明瞭に情報が一覧できるような提供をもって活用を図る
ものです。(4)の情報提供の様式についてはいろいろなやり方があります。固定的にする
こともないのですが、一応ひな型を準備しておく必要があるのではないか。例えば、化学
物質等安全性データシート(MSDS)が1つの参考になるのではないかということです。
 (5)は、ユーザーにおいてメーカーから残留リスク情報を受け取ったと認識されていな
いケースが多いので、ユーザーが明確に認識できるような提供方法が必要である。分厚い
機械の操作者向きの取扱説明書等とは別に、もう1つ残留リスク情報を一覧化したものと
して用意する方法があるのではないかということです。
 (6)は、最後に支援の関係です。機械の危険情報のメーカー側からの提供のためには、
適正な作成、提供を普及促進させるために記載事項を定めたり、ひな型を示すことが必要
です。さらに、残留リスク情報作成のプロセスにかかります一連のガイドラインを作るこ
と、さらに好事例を収集・提供が必要であろうと。このような形でその支援も進めていけ
ばいいのではないかということです。以上が検討項目2です。
 検討項目3です。2の最後の部分と若干重複しますが、「メーカー及びユーザーに対す
る支援等について」です。機械メーカーから機械ユーザーへの機械の危険情報の提供を促
進するためには、それぞれに対してどのような支援をするかです。機械メーカーがより安
全な機械を製造するためには、機械ユーザーが使用する過程で見つけた機械のリスク情報
を機械メーカーへフィードバックする必要があるのではないかという提案があります。現
状としては参考7にありますように、メーカー、ユーザーとも「機械包括安全指針の普及
促進に必要な事項」として、リスクアセスメントのマニアルの整備、もう1つはリスクア
セスメントの実施手法の簡素化を求めております。
 次に(2)、参考8の関係では、ユーザーにおきます機械災害情報をメーカーに通報する
ユーザーの割合は、円グラフにありますように低いのですが、一方でメーカーとしては活
用状況を見ますと、棒グラフにありますように、メーカーにおいて設計段階の安全対策に
非常に効果的に使われているという状況があります。これが現状です。
 このようなことから、今後のあり方ですが、先ほどの検討項目2の2(6)があります。
ガイドラインの作成、好事例の収集・提供です。2つ目としてはユーザーが得た情報を基
にリスクアセスメントを展開する必要がありますので、その必要な人材の育成を目的とす
る研修等の機会を設けるとともに、機械安全に係る専門家によります中小企業に対する個
別支援も有効であろうということです。さらには、外部の専門家、専門機関が利用できる
環境が整備されることが望まれることが書いてあります。さらにユーザー内でのリスクア
セスメント担当者の育成を図るために、機械安全の妥当性を適切に行う人材が評価される
仕組みというものの構築も望まれることも書いてあります。
 3つ目は機械災害情報などのメーカーへのフィードバックです。これはほとんど行われ
ていない状況ですが、先ほど申しましたように、メーカーにおいては設計段階で活用され
ていることもありますので、このような取組を促進するとともに、フィードバック機能の
補完や機械災害情報の共有化のために、機械災害情報であります労働者死傷病報告書等を
基にリスク要因についてのデータベースを整備することも必要である、などのことが提案
としてあげられています。
 参考9にありますが、これは機械の安全水準の決定について、どのようにユーザーが絡
んでいるかです。一般消費者向けの製品と比べまして、安全水準をユーザーが決めるとし
ているのは35%強になっておりますが、ユーザーの使い勝手が重視されている状況にあ
ります。以上です。

○分科会長 はい、ありがとうございました。それでは、検討項目ごとに議論をしてまい
りたいと思いますが、まず、項目が1、2、3ございましたので、最初の「基本的な方向」、
検討項目1ですが、機械災害の減少に有効なリスクアセスメントを普及させる上で、機械
メーカーが機械ユーザーに危険情報を提供する仕組みが有効ではないかということでした。
これにつきまして、全般的なことですが、何かご意見がございましたらお願いしたいと思
います。

○高橋(信)委員 2点質問させてください。5頁なのですが、「今後のあり方」の(1)で、
ここに「一連のガイドラインを作成・公表し、さらに好事例を収集・提供する」というこ
とになりますと、確かに制度としては必要だと思いますが、これへの期待感というのは、
できる範囲でこういうものを充実させていきましょうと、こういう期待感がありますと受
け止めてよろしいでしょうか。それとも、言葉変えると、デューティとしてある要件は必
ず伝えるようにすると、こういう枠組みにしていくのかということです。
 もう1点は、その次の(2)の下のほうなのですが、「機械安全の妥当性を適切に行う人
材が評価される仕組みの構築」とあるのですが、これは、処遇をきちんとするようにとい
う意味合いで書かれているのか、あるいは資格要件として何か考えていらっしゃるという
ことなのでしょうか。わかる範囲で結構ですのでお願いします。

○安全課長 まず最初のご質問です。ガイドラインにつきましては、具体的にプラクティ
カルな部分でどう進めていくかにつきまして、具体的に示すということです。
 それと(2)の評価の部分では、現段階で具体的なものはございませんが、イメージとい
たしましては、こういう機械安全の妥当性というところを重視したような人材の評価とい
うのをしていただければいいのかなという方向を。企業の中で養成していただければいい
のかなというイメージを持っております。

○高橋(信)委員 後段聞き取れなかったのですが、具体的に実質そういうことがやれる
人をつくっていくということですか。

○安全課長 いまでも例えば、導入する機械の安全対策について担当される方がいらっし
ゃると思うのですが、そういう方が、企業の中でどこまで評価が高いのかどうかという。

○高橋(信)委員 処遇的な評価ですか。

○安全課長 そういうことです。まだ具体的なイメージはありませんが、そういうイメー
ジです。

○高橋(信)委員 わかりました。第1点は、MSDSは良い制度なのですが、なかなか徹
底できませんが、やっぱりああいうアプローチの仕方をしていくという理解でよろしいで
すか。

○安全課長 文書化によるということですか。

○高橋(信)委員 1点目にご質問をしました「ガイドラインを公表し」ということです。

○安全課長 MSDSと同じというのは。

○高橋(信)委員 MSDSもいまやることになっていますが、徹頭徹尾それにやらなけれ
ばいけないということではなくて、我々民間で工夫できる余地というのはありますよね、
例えばどういう方法でデータ管理をするかとか。

○安全課長 固定化するものではございませんので、ひな型をというイメージはあります
が、良いものはどんどん作っていくという感じで。

○高橋(信)委員 どうもありがとうございました。
○分科会長 ほかにはありますか。どうぞ。

○豊田委員 こういった機械譲渡の情報を提供、促進することによって、機械災害の未然
防止をやっていくということについて、その趣旨には賛同いたします。その上で、その効
果を上げるという点で、若干意見を述べたいと思っております。資料3の「論点整理」1
頁目の「リスクアセスメントの実施状況等」の(3)を見ますと、普及のところが「予定がな
し」が23.3%で、それ以外は、口を開けてこういった情報を待っているという書きぶり
になっております。これについては、参考資料の例えば「参考3-1」をご覧になっていた
だきたいと思います。こちらの左側には、労働者50人以上のアンケートを括弧で括って
おりますが、これを見ますと、先ほどの文言とおりになっています。予定のないところを
除けば、かなりリスクアセスメントは普及浸透し情報提供を待っているという状況に見え
ますが、一方、右側の50人未満のデータ(平成17年で古いという形になっております
が)においては、リスクアセスメント未実施が8割ぐらいになっております。
 たぶん、本データについては、現在取ればもう少し浸透しているのではないかという希
望的観測はありますが、我々が知っている限りでは、この辺のところはまだ変わっていな
いと思います。要するに、50人未満のところで、リスクアセスメントという言葉すらま
だ知らない人たちがおられるという状況ではないかと思います。
 先ほどMSDSの話が出ましたが、MSDSが制度化されまして10年ぐらい経っております
が、まだ、それでも中小のこういった50人未満のところでは、MSDSということすら知ら
ない方がおられます。そういった意味では、リスクアセスメントという言葉自身が、
(MSDSに比べ)さらに浸透度ないしは認知度が低いという前提で、本情報提供のあり方
等についても取り組む必要があると思っています。
 そういった視点で、この「参考1-3」をご覧になっていただきたいのですが、本情報提
供を促進することによって、機械労働災害を一番減らしたい事業規模というのは、やっぱ
りこの1~9人、10~29人、いわば50人以下のところが圧倒的に多いわけですから、こ
この人たちにリスクアセスメントという意義をよく理解していただいて,そして、それを
活用していくという形に持っていかないと、今回のこのあり方自身がうまく機能しない、
有効に活用されないと思います。
 つきましては、このあり方の支援の検討項目3、5頁目の先ほどもちょっと出ましたが、
(2)の支援のしかたで、中小のユーザーへリスクアセスメントの普及ということをまずど
う取り進めるかというところも、この文言の中に織り込んでいただけたらと思います。特
に、中小においては、ここに記載されている「人材の育成」といった余裕はありませんか
ら、この中で言いますと、4行目に書いています「外部の専門機関」に頼らざるをえない
と思います。こういったところにも行政当局のほうで力を入れていただいて、その上で中
小はそれを活用していくべきと思います。
こういったリスクアセスメントのまず普及(及びインフラ整備)を行った上で、本情報提
供を促進していくこと、それが、車の両輪となって、今回のあり方が円滑に効果的に機能
することにつながると思いますので、その辺のところをよろしくお願いしたいと思います。
以上です。

○分科会長 はい、ほかにいかがでしょうか。

○安全課長 中小零細の事業場への対応をどうしていくかという話ですが、従来からも特
に50人未満中小の規模に対しましては、当然のことながら関係法令遵守とこれに加えて
リスクアセスメントの展開ということをお願いするということで、リーフレット等を作り
まして、啓発にも努めておるわけです。もう1つ、安全診断事業という事業場の診断とい
う形で、私どものほうでも委託事業でやっているわけですが、その中におきましては、50
人未満が約4分の1を占める状況です。加えまして、もう1つの中小企業と人材との関係
もございますが、まだまだそれは発展途上ですが、昨年からインターネットによりますリ
スクアセスメントの見積りのシステムを開発いたしまして、ホームページで提供している
わけです。
 これにつきましても、どこまで使われるかという声を聞きますと、結構利用があるわけ
です。いろいろな業種なり業務をさらに増やしてほしいというような改善の余地も求めら
れてございますので、それに対応して、インターネット上での見積り支援による展開を進
めていきたいと思っているわけです。とりあえず、インターネットを中心に進めているの
が1つございます。

○豊田委員 インターネットについては、リスクアセスメントの意義を理解されてる方は
積極的にアクセスしそれに入って見ますが、そのリスクアセスメントの意義を認めない方
(は、アクセスしないので、そこ)をどうやっていくかという対策も、めり張りをつけて
やっていただけたらと思います。ですから、要約しますと、リスクアセスメントはもう既
に理解した上で使いたいと待っている方に対しての対策と、まずリスクアセスメントとい
うことを全然理解してない方或いは意義を認めてないという方に対して、(自ずと対策が
異なるので、各々)どう対策していくかというところをめり張りをつけて是非ともやって
いただきたいということです。

○安全課長 そこは、先ほど申しました50人未満の事業場に対しましては、法令の遵守
と自主的な安全な取組ということで、周知、啓発を第一線で図っているところですので、
それをさらにやるということがまず1つあろうかと思います。必要ならまた工夫、考えて
いきたいと思っています。

○安全衛生部長 いま豊田先生が言われました、中小企業にどう浸透させていくかという
非常に重要な課題ですので、今回の検討の中で、方向性等をまとめていただければ、さら
に努力を重ねていきたいと思います。

○分科会長 ほかには、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

○市川委員 基本的方向の「今後のあり方」、2頁ですが、メーカーによる機械の危険情
報の提供に取り組む仕組みを確立するとこういうこと。これは、検討会報告の概要だと思
いますが、労働側としては、この危険情報の提供がきちんとできるようにより強制力の強
い形での、いまのガイドラインの中の1つという位置づけよりも、当然強い形でランクア
ップをするのだということで検討会報告は出されたと理解しておりますので、是非、そう
いった意味で法規制としても強いものになるような方向でのまとめをしていただきたい。 
それと、どの部分に入るのかわからないのですが、この機械の安全の検討会でもご議論が
あったと伺っておりますが、中古の機械の場合です。これはメーカーとユーザーの関係の
位置づけですが、中古の機械の場合は、今までもこのガイドラインはかかっていなかった
のかどうなのかを確認したいと思います。特に、中古の機械が、例えば工場が倒産をして
しまったときなどに、機械が売り出されたれた場合、もともとのユーザーというのか、所
有者がわからなくなってしまうということもあります。危険情報が機械について回ってい
けばいいのですが、そういう点についてはどのように考えておられるのかお伺いします。
 
○安全課長 中古の機械関係ですが、基本的には譲渡者が機械の危険情報を提供するとい
うことですから、中古といった場合には、まず当時の所有者が売る際に、当然その危険情
報を相手側に渡すというのが基本だと思います。ただ、何と申しますか、もともとユーザ
ーでしょうから危険情報を新たに作成ということは無理でしょう。だから理想的には、メ
ーカーからもらった危険情報を持ち、それを譲渡時に渡すと。その間に改造があるとすれ
ば、その部分については譲渡者、そのときのユーザーが、改造の部分については、情報を
付けてもらって、それを売った次のユーザーに渡していただくというのが望ましい。
 要するに、譲渡者が責任を負う。ただ、情報としては、その元のメーカーからの情報を
付けて一緒に渡していくというのが、基本的な形であろうかと思います。ただ、おっしゃ
ったように古いものとか、倒産したとかいう所有者がわからなくなったときにどうするか
というのは、ちょっと簡単には解決いかない問題ではないかと、少し勉強する必要がある
かと思います。

○市川委員 いまの指針もそうなのですが、新たに買ったときはメーカーが危険情報を付
けると。使った方がそういう中古の市場に出し、仲介の業者もいるときに、今回議論され
ている「メーカーによる機械の危険情報の提供の仕組み」でいくと、それは新品のメーカ
ーが付けたものだけその仕組みがあてはまるのか。それとも中古が譲渡されていく過程に
おいてもそうなのか。本来ならその情報が付いて回ることが望ましいとおっしゃいました
が、そこまではこれはカバーできないと考えるのか。それともそこにも義務がかかると考
えてよろしいですか。

○安全課長 そう考えていただいてよろしいです。要するに、譲渡者というのが、責任の
主体になるということを考えていただいて。

○分科会長 ほかには、いかがでしょうか。それでは、またあとで返っていただいて、検
討項目2のほうに移らせていただきます。3頁目ですが、機械メーカーが提供すべき機械
の危険情報の内容。項目や提供方法は、どのようなものが考えられるかということで、今
後のあり方ということが、3つばかり提案されておりますが、これについて、いかがでし
ょうか。ご意見、ご質問、どうぞ谷口委員。

○谷口委員 4頁の(5)に、ユーザーにメーカーから情報を渡したが、受け取ってないと
いう認識をされているというデータがあるわけですが、ここは非常に大きな課題ではない
かなと思っております。しっかりと認識できるように、取説とは別にするといった方法が
提案されておりますが、紙を渡せばオッケーというのではなくて、やはり、その紙をもっ
て、この残留リスク情報の持つ意味というのを、しっかり口頭で説明をしていただくとい
うことが、非常に重要ではないかなと思っておりますので、そこの点を検討いただきたい
と思います。

○分科会長 口頭でということですか。

○安全課長 取扱説明書と別に残留リスク情報を渡すというのは、紙で渡すということ。
それに加えて何か徹底する方法を考えてはどうかということですか。

○谷口委員 残留リスク情報は、こういう意味で取扱説明書とは別にしてお渡しをしまし
たとか、ですので、これに従って安全対策をしっかりとやってくださいということを口頭
で説明するところまでやって、初めてユーザー側がこの情報を有効に活用できるのではな
いかと思いますね。ただ紙でもらっただけだと、現場にはいっぱい情報が氾濫してますか
ら、それがまた結局置き去りにされる可能性があるのではないかという指摘です。

○安全課長 そういうご指摘も、ガイドライン等の検討の中にそういう工夫を考えてみた
いと思います。情報が伝わる、趣旨が伝わるように工夫を考えてみたいと思います。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

○瀬戸委員 基本的な質問で申し訳ないのですが、残留リスク情報というのは、どういう
ことをいうのですか。

○安全課長 先ほども申しましたとおり、メーカー側である機械を設計するときに、この
機械はこういう危険が発生するというようなことがあれば、まず危険そのものを潰してい
くわけですが、生産との兼ね合いからして、どうしても一部、的確かどうかわかりません
が例えば刃の部分が出ざるを得ないと。そういう部分はどうしても出ざるを得ないけれど
も、それは作業上やむを得ないというのがあるとすれば、それはその部分が残留リスクと
いうことになります。それは生産過程でやむを得ないという部分において、しかし危険と
しては少し残っていると、そういうものをユーザー側に情報として渡せば、それを例えば
本来的には設備的に改善すればよいのですが、それが難しいとすれば、その作業方法とか、
いろんな形によって、その危険を除外、排除するような形で対応するために必要となるの
が、残留リスクであると。こういう刃が出ていることから、ではどうしたらいいのかとい
うことで、ユーザーで対策が必要な、そういう形での残った危険というものが、残留リス
クということです。

○瀬戸委員 機械装置上、性能としては完全なのですが、やはり、その作業工程の中で、
危険と思われる部分があるだろうということですか。

○安全課長 はい。

○瀬戸委員 ありがとうございました。

○分科会長 はい、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、項目2を終わりまし
て、項目3の5頁です。機械メーカーから機械ユーザーへの機械の危険情報の提供を促進
するためには、それぞれに対しどのような支援が必要かということです。機械メーカーが
より安全な機械を製造するためには、機械ユーザーが使用する過程で見つけた機械のリス
ク情報を機械メーカーへフィードバックする必要があるのではないかということで、今後
のあり方ということで、3つ報告書から得られておりますがいかがでしょうか。どうぞ、
市川委員。

○市川委員 先ほど高橋(信)委員がご指摘をされました「機械安全の適切に行う人材が
評価される仕組み」ということですが、これは労働側としても非常に重要な観点であると
考えております。やはり現場ではどうしても「効率性・迅速性」と「安全性」をどうする
のかという、ぎりぎりの中で作業をされている。もちろん、企業にとっては効率よく、高
い生産性で生産したほうがいいわけですが、そのときに、「安全も重要」、「生産効率も
重要」という中で、ともすれば効率に偏りがちなところを、安全を重視する方にもってい
くべきではないか。一旦事故を起こせば企業にとっては大損害になるわけですから、長い
目で見ればコスト的に言っても、やはり安全が大事なのだという認識を労使共に持つとい
うことが、非常に大事ですし、安全に対する価値観を高めるということは、これからより
一層求められているのではないかと思います。
 そういう中で、企業の現場においても、安全性をまず第一に考えるという人材が、この
「評価される仕組み」という表現でいくと、企業の中での評価制度に留まるのかどうかわ
かりにくいですが、もっと社会的な認知度といいましょうか、安全第一なんだというアピ
ールも必要ではないか。我々労使は労使で、交渉の中で互いに安全性を高めていくような
取組を、労働組合としてもしていきたいと思っています。厚労省としても社会的な評価を
高めるような方策を少し考えていただければと思います。

○分科会長 ご要望ということでよろしいですか。ほかには、ありますか。いいですか。
それでは、元に戻っても結構ですが、全体について、何かご質問等、ご意見がありました
らどうぞ。

○谷口委員 検討項目3の5頁(3)で、災害情報のフィードバックが重要ではありますが、
現状では行われていないというご指摘がありまして、これを「促進する」と書いてあるの
ですが、具体的に促進をする方法のイメージがあれば教えていただきたいと思うのです。
というのは、なかなか災害が起きたということを、死傷病報告で労基署には提出するかも
しれませんが、メーカーにその都度報告をするというのは、必ずしないのではないかと思
うのですね。ですので、ここが確かに促進されてうまくデータベースができて、ユーザー
に情報が提供されれば、うまく循環をしていくということは間違いないと思うのですが、
この取組をうまく促進するための何か具体策があれば教えていただきたいのです。

○安全課長 まだ具体的にはないのですが、いずれにしても、この制度は今後立ち上がっ
ていけば、その段階でフィードバックの重要性について、産業界のほうにフィードバック
を促すことを周知していきたいということ。そこら辺は、ちょっと漠然とした話なのです
が、その方向でこれから工夫をしていきたいなと思っております。

○分科会長 よろしくお願いいたします。ほかには、ございませんか。それでは、3項目
にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。今後のあり方で示され
た方向で、今後、検討会報告で示された方法で進めたいと考えております。
 以上で「機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方等について」は、十分議論
をいただいたと考えております。本項目につきましては、報告書をまとめる際に再度ご議
論いただきますので、よろしくお願いいたします。
 次回は「職場における化学技術管理の今後のあり方について」ということで、議論をし
たいと思いますので、事務局におかれましては、議論のたたき台になるような資料、デー
タ等の準備をお願いいたします。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○計画課長 先ほどお話がありましたとおり、資料4といたしまして、前回ご提示しまし
た検討項目について、頂いた議論を踏まえて適宜修正していますので、それぞれの項目に
ついて再度議論する際には、これに基づいてご議論いただければと思っております。
 次回の分科会は、10月8日金曜日の午後1時から、12階にございます専用第12会議室
で開催予定となっておりますので、ご参加よろしくお願いいたします。以上です。

○分科会長 それでは本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名ですが、
労働者代表は眞部委員、それから使用者代表は三浦委員です。それでは、本日はお忙しい
ところ、どうもありがとうございました。



(了)

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