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2010年9月15日 第41回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

○日時

平成22年9月15日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省専用12会議室


○出席者

<委員:五十音順、敬称略>

相澤好治(分科会長)、明石祐二、市川佳子、関口氏(伊藤雅人代理)、犬飼米男、今田幸子、瀬戸実、高橋孝行、高橋信雄、谷口元、露木保、土橋律、豊田耕二、内藤恵
中原俊隆、中村聡子、名古屋俊士、古市良洋、眞部行雄、三浦武男、芳野友子

<事務局>

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
鈴木幸雄 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
田中誠二 (労働条件政策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

・安全衛生行政を巡る動き(追加)
・今後の安全衛生対策について
・その他

○議事

○分科会長 ただいまから、第41回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
本日は、伊藤委員が御欠席です。なお、伊藤委員の代理として、日本商工会議所の関口様に
ご出席いただいております。
 本日の議題は「安全衛生行政を巡る動き」及び「今後の安全衛生対策について」です。安
全衛生行政を巡る動きについては、先週の報道でご存じの方も多いと思いますが、今年は熱
中症をはじめとした労働災害が増加していることを踏まえ、行政のほうで緊急対策をとられ
ましたので、それについて報告をお願いいたします。また、前回の分科会において、検討会
の報告書等を報告させていただきましたが、今回は、前回の分科会後公表された報告書等に
ついて、追加報告をしていただきます。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○安全課長 分科会長からお話がありましたように、9月6日に「死亡災害の増加に対応し
た労働災害防止緊急対策」を出しております。各都道府県労働局に指示するとともに、災害
防止対策の徹底を求めるため、緊急要請を約200の業界団体・災害防止団体等に要請しま
した。別添1がその要請文書ですが、説明は省略させていただきます。
 その際の死亡災害の発生の状況ですが、資料1-1の上の8月の速報値では、労働災害によ
る死亡者数は574人ということで、前年同期比でプラス66人、13.0%の大幅な増加になっ
ております。中身を詳細に見ますと、特定業種又は熱中症による死亡災害、これを今回我々
は「特定災害」と整理させてもらいましたが、その増加が目立ったところです。この詳細に
ついては、資料1-1の別添2に参考資料としてありますので、この概要からかい摘まんで説
明させていただきます。
 まず、特定災害による死亡者数は、建設業における墜落・転落災害による死亡者数が81
人、前年同期比で19人増、30.6%増です。陸上貨物運送事業においては、交通事故による
死亡者数が47人、前年同期比17人増、56.6%増です。
 職場における熱中症による死亡者数が33人、これは9月1日現在で、さらに新しい数字
が入っております。業種別に見ると建設業で13人、製造業で5人、運送業で2人、警備業
で2人、農業で4人、林業で1人、その他6人です。これ以外に林業の関係で、林業作業
中の災害による死亡者数が34人、前年同期比8人増、30.8%増です。警備業における死亡
者数は18人、前年同期比7人増、63.6%増です。
 こういうことを受けて真ん中の欄ですが、緊急対策を実施し、本省から都道府県労働局の
ほうに指示をするとともに、先ほど申しましたように取組みの強化について業界団体・労働
災害防止団体に要請しました。これにより、地方において支部なり、労働基準監督署等々に
より、両者から事業者に対しての指導を進めております。
 いちばん下の、要請及び指導の重点事項です。建設業における墜落・転落災害の防止対策
については、高さ2m以上の場所での足場等の作業床設置の徹底。さらには、足場を設置す
る際には、昨年6月に施行しております改正安衛則なり、それに伴って出された通達等に基
づく墜落防止措置の徹底。さらには、組立・解体時の対策の徹底等を要請しております。
 陸上貨物運送事業におけるものについては、睡眠時間の確保とともに、適正な走行計画の
作成等により、交通労働災害の防止対策をお願いしております。
 次に熱中症等の防止対策ですが、第一義的には熱中症そのものの対策として水分・塩分の
摂取、透湿性なり通気性のよい服装の着用等があります。2つ目は、熱中症に至らない場合
でも暑さによってふらつき、注意力の低下という形での災害の増加ということもありますの
で、現場においては労働者の体調に十分配慮し、必要な場合には対策をとってもらうような
形での要請も行っております。熱中症に関しては、「自主点検表」を活用していただき、対
策の徹底をお願いしております。
 林業においては、間伐作業の適切な実施ということで、リスクアセスメントなり、安全衛
生教育の適切な実施によって対策を進めていただきたいということです。警備業における対
策については、警備する方の安全を考慮した業務計画を作る。さらにその計画そのものを、
警備を担当する人たちに徹底するということでの災害防止対策を進めていただきたいとい
うことでお願いしているところです。簡単ですが以上です。

○分科会長 ただいまの死亡災害の増加に対応した労働災害防止緊急対策についてご意見、
ご質問がありましたらお願いいたします。

○古市委員 いまの説明を聞いていると、災害が非常に多くなっているというお話でした。
前回の会議のときには、労働災害は減っているのですという説明があったのですが、今回は
一転して増えているという説明でした。私の所属する建設の組合で、2009年1月1日から
12月31日までの暦年で調べたところ、組合員の、私たちは労働災害と呼んでいますが、死
亡者数は43人でした。43人のうち、労働者の死亡は19人で、労災保険の事業主の特別加
入をしている事業主が14人、一人親方の特別加入をされている方が10人でした。労働者
以外の人が56%も亡くなっているということです。その前の年を見てもやはり同じでした。
労働者以外の人が50%を超えて、組合員では死亡しているということです。
 建設業での墜落・転落災害は非常に増えているわけですが、いま説明のあったのは労働者
が亡くなったということであります。ご承知のように建設現場には、労働基準法に基づく労
働者と見られないで働く方がたくさんおります。そういう人たちの労働災害は労働者に匹敵
するような数がいるというのが私どもの組合の実情です。
 墜落・転落災害は非常に増えていて、2009年の私どもの数字で、休業4日以上の墜落・
転落災害は2,208人いて、前年比では20%増えております。そのように、建設業だけで言
いますと労働災害が増えている状況の中で、本日の議題に直接関係しないのかもしれません
が、労働災害防止指導員という制度があり、それに私どもの組合も労災防止指導員に指名し
ていただいて、全国的に運動をしています。安全パトロールをして、労働災害防止の取組み
をしております。
 お聞きするところによると、省内事業仕分けによって、労働災害防止指導員の制度そのも
のを廃止するのだということのようです。私たちにしてみれば寝耳に水で、この7月と8
月には各労働局の皆さんと話合いをしながら、労災防止指導員を増やしていただこうという
話合いをしているところであります。そういうときに、いきなり労災防止指導員は来年から
廃止しますという説明はなかなか納得いきません。省内事業仕分けは事業仕分けだから私た
ちにはどうしようもないのですというようなことでは、なかなか同意できない意思決定だと
思います。その辺のところは再考いただけないものかどうか、そのようなことも含めて事情
の説明を少ししていただけたらありがたいと思います。

○計画課長 労災防止指導員制度の廃止の件ですが、いまご指摘のありました省内事業仕分
けの結果ということもあるのですが、私どもはその仕分けの結果は結果として踏まえつつも、
今後の労働安全衛生行政の進め方について見直してまいりました。確かに今年に入って労働
災害が増加に転じているということで、いまご説明いたしましたとおり緊急対策を、業界団
体・災害防止団体も含めてやっていこうということにしております。大きな長期的傾向とし
ては、前回お示ししたとおり、労働災害の件数自体は減ってきているということ。一方で健
康面といいますか、労働者の健康確保対策については、今後この審議会でご議論いただきま
すメンタルヘルス対策をはじめ、いろいろ課題も多くなってきています。
 他方、行政の体制でいくと厳しい行財政事情の中で、より効率的・効果的に対策を実施し
ていかなければならないという事情があります。私どもの安全衛生行政の方針として、労働
者の健康確保対策については重点的に実施してまいります。安全対策については、もちろん
減ってはいますが、いまだに1,000人を超える方がお亡くなりになっておりますし、今年の
ように増加傾向にあることもございますので、この分野についてはより効率的かつ効果的に
対策を実施していくと考えているところです。
 労災防止指導員同士が、地域において労働安全衛生行政、あるいは安全衛生分野に関心を
持ってご参画いただき、ご協力いただくことは非常にありがたいわけですけれども、それが
現在の人数なり、年間の稼働日数ということを考えた場合に、より効果的なものにしていか
なければならないと考えております。そういう中にあって、労災防止指導員制度については、
今年度末をもって廃止させていただきます。ただし、それは地域における安全衛生行政施策
というのは、何か1つによってすべてを賄うとか、1つをもってすべてをカバーできるとい
うことではありませんので、全体のいろいろな政策の組合せの中で今後は実施させていただ
くということです。
 その1つの現れが、いまご説明いたしました緊急対策ということになっているということ
です。そういう意味では、労災防止指導員制度だけということではなくて、全体の中で見て
いただいて、より効率的・効果的な行政展開ということでご理解いただければと考える次第
です。

○古市委員 労災防止指導員制度だけで安全対策がみんなうまくいくと思っているわけで
はありませんが、それを廃止して違う方法でより効果的なやり方・方法が、いまのお話です
とあるのだというご説明だと思うのです。なるほどな、それだったらいいかなと、いまの説
明を聞いていても、労災防止指導員制度に私たちは地域で非常に一生懸命取り組んでいるも
のですから、それより良い仕組みがあるのですよと。こういうことをやって実績もこのよう
に上がっているのですよと説明をされれば、そうかなと理解ができるのかもしれませんが、
いまの説明だけだと「ああ、そうかな」とはなかなか胸に落ちにくいという気がいたします。

○計画課長 そういう意味では、例えば建設業における墜落・転落防止対策については、委
員ご案内のとおり規則を見直すなり、いろいろな形で行政的な制度も進めてきております。
それを実施するに当たり、例えば災害防止団体なども活用する形でいろいろな事業などもや
ってきています。
 そういう中にあって、今回安全課長からご説明いたしましたとおり、建設業における墜
落・転落防止対策についてはさらに徹底していくことを行政としても打ち出しています。そ
ういうことで、例えば建設業における安全対策については、より効果的に実施していきたい、
あるいはいまの増えている状況を踏まえ、緊急対策としてはより力を入れてやっていきたい
という形で進めさせていただいております。

○分科会長 ほかにないようでしたら次に移らせていただきます。安衛法改正の施行状況に
ついて説明していただきます。これについては、前回の分科会で市川委員より、新たな安全
衛生対策を検討する前に、前回の安衛法改正の施行状況について分析する必要があるとのご
指摘がありましたので、次回の分科会でご報告させていただくということになっていたもの
です。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○安全課長 資料1-2です。「危険性・有害性等の調査及び必要な措置安衛法第28条の2
の取組及び定着状況」等です。改正のポイントですが、職場における従来から労働災害発生
の芽と言われていたリスクを事前に摘み取るために、設備、原材料等や作業行動に起因する
危険性又は有害性等の調査、いわゆるリスクアセスメントを行い、その結果に基づき必要な
措置を実施するよう努める努力義務として作られたものです。
 2つ目は目標と実施事項です。第11次労働災害防止計画において、その目標の中の1つ
として、アで「危険性又は有害性等の調査等」については、作業内容等に即した具体的な実
施方法の公表及びその普及、事業場内外への人材養成の促進等を図ることにより、その実施
率を着実に向上させることとなっております。
 これを受けて、3で実施促進に向けた取組みを行っているところです。作業内容等に即し
た具体的な実施方法の普及では、平成20年においては(ア)製品組立等作業別のリスクア
セスメントマニュアルを6種類の作業で作り、関係業界、労働局・労働基準監督署で配布し、
展開を図っているところです。また、同様なことをビルメンテナンス業においても進めてい
るところです。
 もう1つの人材養成の促進の取組みについては、(イ)事業場内外の人材養成の促進とい
うことで、中小規模事業場におけるリスクアセスメント担当者を対象とした研修会を開催し
ています。ビルメンテナンス業における事業場に属するリスクアセスメントへの対象者につ
いても、研修会を実施しているということです。
 加えて、事業場指導等の取組みとして、中小規模事業場を対象として、コンサルタント等
によるリスクアセスメントを主眼とした、安全衛生診断も実施しているところです。
 平成21年において、実施方法の公表等については、業種を自動車整備業に変えて同様の
ことをやっております。さらに、2の製品組立作業等については、インターネット上でリスクの
見積りができるような支援システムを開発し、ネットに載せて活用を図ってもらっています。
 次は、事業場内外の人材養成の促進です。これは平成20年度と同様で、中小規模事業場
を対象とした研修会とともに、自動車整備業のリスクアセスメント担当者を対象とした研修
会を行っております。事業場の指導等については、平成20年と同様なコンサルタントによ
る指導を行っております。
 加えて、行政本体においては(2)労働局・監督署においてリスクアセスメントの施策の展
開をPDCAサイクルを念頭に置いた実施状況の確認、評価ということで進めているところ
です。平成20年3月より、PDCAサイクルを念頭に置いて検証を行っております。労働者
数50人以上の事業場に対し、Planとして推進計画を作り、Doとして個別指導による実施
状況等の把握、Checkとして実施状況の結果の(3)を参考にして対策の進捗状況等を分析・
評価する。(4)Actionとしてその計画を見直し、次年度の業務計画に反映していくという形
で、まさに行政そのものをPDCAによって乗せ、リスクアセスメントの展開を図っている
ところです。
 4は事業場における実施状況です。50人以上が基本ですが、若干50人未満の所も入って
おりますが、基本的には50人以上の規模の事業場で、約5,000事業場において、平成20
年度と平成21年度の調査結果です。これによると、平成20年度においては実施中と答え
た所が35.4%、平成21年度においては37.5%ということで若干の増加を示すとともに、実
施準備中、実施予定という所についても徐々に比率が増えていっています。
 今年度においては、平成21年度において実施準備中なり実施予定と答えた事業場に対し
ては、さらにフォローアップをかけ、実施定着に向けてのフォローをしていきたいと思って
おります。
 括弧の下に平成17年の基本調査の結果があります。この際には20.4%でしたが、今年の
11月に同じ条件でさらに基本調査を行いますので、これで最新の実施状況が把握できます。
 今後の方向性としては、リスクアセスメントの普及促進及び定着に向け、実施方法の普及、
人材養成、個別・集団指導等の各種取組みを進めておりますので、事業場における実施率が
着実に向上していると評価しております。引き続き事業場にとっての自主的な安全衛生活動
の取組みを促進するための支援・指導をさらに進めていきたいと考えているところです。以
上です。

○労働衛生課長 2番目は「長時間労働者に対する医師による面接指導の実施状況につい
て」です。1の前回改正のポイントを簡単におさらいしてみますと、長時間労働者に対する
医師による面接指導について、50人以上の事業場においては平成18年4月から、また50
人未満の事業場においては平成20年4月から実施が義務付けられたものです。四角の枠に
ありますように、週40時間を超える労働者が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄
積が認められるときには、申出により、それを受けて医師による面接指導を行うものです。
 2の事業場における実施状況を、今年の5月に独立行政法人労働安全衛生総合研究所にお
いて調査を行いました。その主な結果ですが、調査結果という枠にありますように「事業者
の面接指導制度の認知度は、60.7%」「面接指導の対象者がいる事業場においては、約8割
の事業場で面接指導が実施されている」という結果が出ました。
 具体的にはその下のほうにありますように、規模によって認知度はかなり異なりますが、
平均すると60.7%ということで、特に50人未満が40.1%ということで少ない状況です。右
のほうには、実際に実施された割合について、300人以上では100%ですが、50人未満で
は40%となっておりますので、この辺りに課題があろうかと思います。
 3の今後の方向性ですが、面接指導制度の認知度については、調査の実施方法が違います
ので単純に比較はできませんが、平成19年の労働者健康状況調査では45.6%となっており
ます。これに比べると、全体としての認知度は上昇していると考えられます。この結果を踏
まえ、引き続き制度の周知及び適切な実施に向けた指導を行う必要があると考えております。
以上です。

○分科会長 安全分野と衛生分野について説明がありましたがご質問、ご意見がありました
らお願いいたします。

○市川委員 前回安衛法改正以降の状況についてですが、リスクアセスメントの普及の状況
です。資料1-2の2頁目に、50人以上の事業場における実施状況ということで、実施中、
実施予定等が増えている、予定なしが減ってきているという説明でしたが、実は50人未満
の所で非常に実施が遅れているのではないかという危惧を持っております。連合は、2年前
に安全衛生の調査を行ったときに、50人未満の事業場では、2年前でも実施予定はないと
いう事業場が40%という実態でした。やはり中小の所で実施予定が非常に遅れているので
はないかと思いますので、さらに進めていく。特に中小への指導を中心に行っていただきた
いと思います。
 面接指導のところですが、平成20年からすべて義務になったにもかかわらず、認知度が
60%というのは極めて深刻な問題ではないのか。法律で義務化されているのに、6割の事業
者しか知らないというのは非常に深刻な問題ではないかと連合としては受け止めておりま
す。
 下のグラフで、面接指導の対象者がいる事業場において、面接指導が実施された割合とい
うのは、要するに面接指導制度があることを知っている人たちが主に答えているわけです。
制度を知らない方々は、たぶんこの質問に答えようがないのです。50人未満の所では、そ
もそも制度を知っている所が40%しかなく、その40%の中で、さらに実施されているのが
40%だということになると、全体でいくと、回答者が一緒でないということで、ストレート
な分析はできないにしても推測はできます。相当低い実施率になるのではないかと推測され
ます。とにかく、法律で決まったことが知られていないということ自体が問題ですから、こ
れは特段のもっと積極的な施策を進めていただきたいです。
 本日のペーパーにも「引き続き、周知及び適切な実施に向けた指導等を行う必要がある」
と今後の方向性の中に書かれています。具体的にどのようなことをやっていくのかというこ
とも、是非こちらのリスクマネジメントで出されているPDCAサイクルというのは同じだ
と思いますし、どういう施策を打って、どういうふうに向上させていくのかということを、
より具体的に打ち出していただきたいと思います。
 分科会長にお願いがあるのですが、1番目の課題で、書類に目を落としているときに言い
忘れたことがあります。いちばん最後のところで結構ですので発言する機会を与えていただ
きたいと思います。以上です。

○安全課長 リスクアセスメントですが、50人未満に対しての対応です。先ほどご説明い
たしました、中小規模事業場を対象にしたコンサルタントの支援のところですけれども、そ
の部分においても、その全体の4分の1を50人未満の所に振り向けて診断指導をしており
ます。そういう形での支援は続けてきておりますし、今後とも続けていきたいと思っており
ます。
 特に50人未満の小規模な所に対しては、平成20年から関連法令の遵守と、さらにリス
クアセスメントを含めた自主的な安全衛生活動の取組みの促進のためのリーフレットを作
り、その周知・啓発を行っているところです。このような形でさらに支援を続けていきたい
と考えているところです。

○労働衛生課長 面接指導の件ですが、平成20年からは50人未満も義務化されて、今年
の調査では40.1%というのは非常に問題があるとは認識しております。今年3月末に出し
た「定期健康診断における有所見率の改善に向けた今後の取組について」の中で、もちろん
面接指導そのものを徹底するようにという通知ではないのですが、健診で見つかった有所見
率の中で、例えばメタボのような方については、特に長時間労働が次の悪化の引き金になっ
たりしますので、そういうことの実施を徹底することが重要であるということを中に盛り込
んでおります。それとは別に、また改めて、どのように周知徹底するかについては、さらに
検討した上で対策を講じたいと思います。
 実施率については、現に100時間を超えて申出があった事業場が分母になっております。
それでも40%というのは特に問題のある数字だと思っております。この理由は聞いており
まして、「面接時間がとれなかったため」「医師の確保が難しかったため」ということなどが
理由になっております。面接の時間がとれなかったというのは、業務で労働者側が遠慮して
行かなかったのか、そこは詳細にはわかりませんけれどもアンケートの限界です。いずれに
しても、こういうことの着実な申出があった場合の実施についても徹底するとともに、特に
50人未満については、地域産業保健センターの活用を呼びかけて、医師の確保が難しかっ
たという要因についてはなくしていくようにしていきたいと考えております。

○市川委員 是非具体的な取組みをお願いしたいのですが、それに加えて労働者の申出を受
けて実施というのがいまの決めぶりなのです。「100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られるときは」という規定になっています。我々連合としては、申出とかそういうことでは
なくて、長時間労働の実績があれば、これはもう面接指導を行うということを労働協約の中
で求めています。次の法改正も視野に入れて、こういうことも必要な場合もあるわけですか
ら、そういう具体的にもう一歩踏み出すような実施のあり方についても是非検討をしていた
だきたいということも要望します。以上です。

○分科会長 ご要望ということにいたします。市川委員の1番目の議題についての追加につ
いてはいま議論しましょう。

○市川委員 ありがとうございます。先ほどの死亡災害の増加に対応した防止対策の徹底の
ところですが、古市委員からもご指摘がありましたけれども、労働災害が全体としては長期
的には減少傾向にあってという報告の後、これは本当にショッキングな報告として連合も受
け止めました。なおかつ、つい前回か前々回か成長戦略に基づく2020年の目標について、
労働災害の3割減というものも、この分科会で議論しました。そういう中での防止というの
は労働側にとってもショッキングな事象でした。
 ここに出されている対策の徹底はもちろんのこと、別添2のところで発生の分析が行われ
ています。この分析から、どうしてこういうことになったのかという要因のところを、さら
に深く掘り下げて、一人ひとりの防止を着実に減らしていく取組みをしていただきたいと思
います。
 もう1つは別添1の特定災害の(2)の陸上貨物運送業の問題について指摘をさせていただ
きます。陸上貨物運送業で、交通事故の死亡者が大幅に増加している原因の1つは、この業
界で長時間・過重労働が非常に恒常化してしまっているということの意味が非常に大きいと
考えております。長時間・過重労働は、トラック運転者の生活や福祉に影響があるばかりで
はなく、過労による運転で交通事故を引き起こし、それが他の方々、町の方々にも影響を及
ぼしていく。こういう非常に深刻な問題ですので、しかるべき対策が非常に不可欠でありま
す。
 いま、トラック運転者の労働時間管理というのは、労働基準法というよりは、改善基準告
示ですか、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」というもので行われておりま
す。安全輸送の観点からいくと、実効性のあるこうした自動車運転者の方々の長時間・過重
労働対策はどうしても必要であると連合は認識しております。これを、安全衛生の側面から、
安全衛生法などによって、運転者の保護をもう少し強化する方策がないかどうかご検討をい
ただきたく、要請をします。以上です。

○分科会長 これは要請ということですが、お答えはありますか。

○安全課長 労働災害の発生分析の詳細をということでした。特に暑さのせいにするわけで
はありませんが、確かに暑さが利いてきたところが結構あると思います。それについては、
温熱環境と、作業場の発生の実態といいますか、その辺の相関関係を調べてもう一回分析し
たいと思っております。以上です。

○労働衛生課長 輸送の関係ですが、今年度の中央労働災害防止協会への委託事業において、
自動車運転業務従事者の作業の特性に応じた、事業者向けの健康改善手引きを作成中です。
特に業務の性質上、生活習慣の乱れ等がつながりやすいものとして、睡眠不足、運動不足、
肥満ということがあります。自動車運転業務と、深夜・交替制勤務を対象に分析をし、手引
きを作成することになっております。
 国土交通省においては「事業用自動車の運転者の健康管理に係るマニュアル」を作成して
おりますので、こういう手引きやマニュアルを参考にし、今後の対策について検討していき
たいと考えております。

○分科会長 引き続き、いまご要望がありましたので、よろしくお願いいたします。ほかに
ないようでしたら次の項目に入ります。「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」
について説明をお願いいたします。

○労働衛生課長 資料1-3です。職場におけるメンタルヘルス対策検討会の報告書がまとま
りましたので、その概要をご説明いたします。資料1-3の1頁でご説明いたしますが、検討
の背景については、4月22日にこの分科会でご説明したとおり、省内に設けられた「自殺・
うつ病等対策プロジェクトチーム」の5月時点の取りまとめにおいて、メンタルヘルス不調
者の把握と把握後の適切な対応について検討することとされました。
 また、新成長戦略においても、2020年までの目標として「メンタルヘルスに関する措置
を受けられる職場の割合100%」が掲げられたということで、この分科会にご報告するとと
もに、検討会で今後検討し、今後の方策等についてご提示するということで始まったもので
す。職場のメンタルヘルスの現状と課題については、この数字は事実関係ですので省略させ
ていただきます。
 この検討会は、6回にわたって委員から意見をいただきました。当初、一般定期健康診断
のルートに乗り、メンタルヘルス不調者のスクリーニング的なことを前提として検討を始め
ました。2頁の「一般定期健康診断のしくみ」で、現在の一般定期健康診断は2つ目のポツ
に「自覚症状及び他覚症状の有無の検査」とあります。当初、この自覚症状の欄に、うつ病
等の典型的な症状である睡眠障害、食欲不振その他について盛り込み、そこからさらに医師
の面接等による詳細な聴き取り、その後の事後措置につなげてはどうかということで議論が
始まりました。
 現在の仕組みに乗ると、労災防止の観点から、事業者はその措置を講ずるために、健康診
断の結果については、情報が健診機関から基本的にはすべて提供されることになっておりま
す。事業者から労働者には、健康診断の結果を通知するということで、精密検査が必要な場
合には受診勧奨などが行われます。
 そのほか事業者は、産業医、地域産業保健センターの医師などに、異常な所見があると診
断された場合は、いちばん上の右向きの矢印のように「労働者の健康保持に必要な措置につ
いて意見聴取」を行う。医師は、その結果を基に通常勤務でいいのか、就業制限をかけるべ
きか、休業すべきかの意見を事業者に述べることになる。
 健康診断の結果だけではなかなか判断がつきにくい場合に、現行制度でも労働者と医師と
の面接という制度があります。先ほど言いました自覚症状に、うつ病等の症状を盛り込んで、
それを事業者に面接の必要があると伝え、それをさらに詳しく医師が面接により判断した上
で意見聴取する。この流れに則ってやってはどうかということが途中まで議論されました。
 現時点において、自覚症状の項目で調査票などを活用しても、専門医のやり取りによる作
業がなければなかなか困難である。そうなると相当な時間とコストがかかるという問題があ
ります。次に、健康診断の結果が要面接というようなことだけでも、その中にはメンタルヘ
ルス不調者が相当含まれていると事業者が見れば、やはりその後の不利益な取扱いを行うも
とになるのではないかということがありました。
 さらに議論を重ねた結果、1頁の3つ目の枠の「メンタルヘルス対策の基本的な方向」と
いうことで整理をさせていただきました。そこで目標といいますか、最初は不調者の把握と
いうことでしたが、そこにありますように「メンタルヘルス不調に影響を与える職場におけ
るストレス等の要因について、早期に適切な対応を実施するため」という目的のために「労
働者の気づきを促すとともに、職場環境の改善につなげる新たな枠組みを導入することが適
当」であるということになりました。
 具体的な条件としては、ポツにありますように労働者のプライバシーが保護されること、
また事業者によって容易に導入でき、また、労働者にとって安心して参加できること。労働
者が健康の保持に必要な措置を超えて、人事、処遇などで不利益を被らないこと。必要な場
合には専門家につなぐことができること、職場においてメンタルヘルス不調の正しい知識の
普及が図られること。これは本人の気づきもそうですし、事業者が偏見を持たないためにも、
こういう正しい知識の普及が図られることが、この実施にあたっての必要な条件であるとい
うことを提示されました。
 具体的な枠組みとして提言されたわけですが、これについても3頁の「新たな枠組み」と
いう図でご説明いたします。ここにおいては、一般定期健康診断の機会を活用するというの
はそのままですが、その中の定期健康診断の自覚症状の項目として聴くのではなくて、それ
と一体的に聴くのは工夫によって可能ですが、一応分けて考えて、一般定期健康診断の仕組
みはそのままで流しますが、タイミングとしてその時期を活用し、医師がストレスに関連す
る症状や不調を確認することになります。それで、定期健康診断の「自覚症状・他覚症状の
有無の検査」に併せて実施し、ここで時間的な手間などを省くということです。
 項目については、今後専門家により、適切な陽性率といいますか、現実的に対応可能な、
あるいは重症な方を見逃さないというのはどの程度かをご議論していただきたいと考えて
おります。例示として食欲がない、頭が重い、ゆううつだ、イライラしているといったこと
について確認をするということです。これは、事前に配布する問診票でチェックしていただ
いても結構ですし、追加的に健診のときに、他覚症状を検査するときに医師が一緒に聴くこ
とでも可能だと思います。
 その後は、その結果によりストレスに関連する症状不調の状況から、さらに細かく医師が
面接し、分析したほうがいいと判断した場合には、事業者を介さずに、直接労働者に通知す
る仕組みを提言していただいております。
 そして労働者はいちばん上の矢印にあります、事業者が「あらかじめ面接する医師を指定」
しておくということで、その指定した医師の所に面接に行くことになります。この医師をど
うやって知るかということですが、それは事業者が健診機関と契約するときに、健診機関に、
うちの事業場はこの医師、あるいはこの地域産業保健センターに行くように決めてあると伝
えるか、企業内に健診の機会に周知徹底しておくかということで、あらかじめそういうこと
で労働者は知っておくことになります。
 労働者は、ここでストレスがあると健診の医師から判断されたけれども、自分で家庭要因
がほとんどだということでわかっているので、自己責任で受診しようとか、もう少し様子を
見られるはずだと判断したりする場合もありますが、やはり職場の問題もあるし、家庭要因
であっても一度医師の意見を聞いてみたいということで、一応ここで選択の余地があり、労
働者の意思が反映される形で面接に結び付くということで、ここは強制にはなりません。そ
して産業医か、あるいは地域産業保健センターの医師などに面接を受けに行くということで
す。
 その面接をした医師は、その状況から就業制限や休業が必要だと判断すれば、事業者に意
見を述べるわけですが、その際にこれも労働者としていまうちの状況では、例えばその途端
に不利益な取扱いを生じてしまうのではないかという不安がある場合には同意しないとい
う選択肢もありますので、ここはあくまでも労働者の同意を確認した上で、医師が事業者に
意見を述べる。先ほどの面接を受ける段階で労働者の意思が選択できる。それから、この同
意が必要という段階でも労働者の意思が反映されるという2段階があります。
 例えば、非常に重症なストレスのような場合でも同意しなかったとなると、現実的には一
度きちんと精神科の医療機関に受診し、どんな診断がつくのか確認されてはどうかという受
診勧奨をする。あるいは見るからに自殺念慮がある、又はもともと精神科に受診しようとか
ねてから考えていたけれども踏ん切りがつかなかったという場合には、むしろ先に受診勧奨
するのが現実的ではないかと考えております。
 そういうことで事業者が意見を受けた場合に、ここから先は一般定期健康診断と一緒で、
労働者と話合いをもって、かつ医師の意見をきちんと明示した上で、基本的にはできるだけ
了解を取って、就業上の措置を講じることになります。ここにおいても、先ほど出てきたよ
うに、健康確保に必要な措置を超えた不利益な取扱いを行ってはならない。具体的には、例
えば毎日8時間労働の所が4時間の残業をしていた。この4時間を是正すればいいものを、
あなたはこういう状況なのだから半日しか勤務しないほうがいいというように、医師の意見
をさらに超えて、そこまでしなくてもいいのに、非常に勤務時間を制限するとか、一定の配
慮をすれば責任あるポスト、困難な業務でも遂行できる能力があるにもかかわらず、医師の
意見を基に非常に軽い作業にしか就かせないといった不利益な取扱いを行う心配もありま
すので、そこはこういうことを行ってはならないという規定を、何らかの法令上の中で設け
る必要があるのではないかというご意見をいただいております。以上が、この検討会で提言
された、新しい枠組みです。簡単ですけれども以上です。

○分科会長 ただいまの説明に対してご質問、ご意見をお願いいたします。

○中村委員 メンタルヘルス不調者を早期に把握するための機会として、健康診断時という
のは適切な機会なのかどうかをお伺いします。健康診断は年1回会社が指定した機会に受診
するということですが、その機会に問診をして判断するという対応がいいのかどうか。慢性
疾患や、一部のがんの早期発見などには、年1回の定期的なチェックで、早期の適切な対応
につなげることができます。メンタルヘルス不調の場合は状況によって変動したり、症状に
よっては急激に悪化するという事があります。ですから、年に1回決められたときにいっせ
いに問診を受け判断するよりも、必要なときに相談できる体制をつくるほうが効果的ではな
いかと思いますがいかがでしょうか。
 また、事業者を介さずに直接労働者に通知する仕組みをつくるというご説明がありました
が、その流れを管理する主体はどこになるのでしょうか。どこに責任を置くのかが少し曖昧
になるという気がいたしますので、そこの部分のご説明をお願いいたします。

○労働衛生課長 議論のスタートが、一般定期健康診断の機会を活用してということでした
ので、基本的には労働者及び事業者のどちらにとっても、別途時間を取るという手間が省け
る観点から、基本的な路線としては同時に実施するというのを提示しております。今回は、
一般定期健康診断の仕組みとは別の枠組みにしましたので、制度としては別途やることも可
能かと思っております。
 急性疾患ではないわけですので、年に1回だけでは、その合間、合間がが捉えきれないと
いうご意見についてはごもっともです。いま健康状況調査などを見ても、まだ34%程度の
メンタルヘルス体制の取組みの状況ですので、何かやるにしても1つのきっかけとしては、
こういうもので事業場に体制を取っていただくと、普段からのメンタルヘルスケア体制も充
実してきて、健診の合間のいろいろな気づきについても、セルフケアラインによるケアにつ
いてもより強化されるのではないかと考えております。これだけで、すべてが解決できると
いうものではありませんし、そういう普段のものも充実させることによって、相俟って強化
されていくものだと思っております。
 それから、これは疾病の労災防止を直接目的とした一般健診のような、疾病発見を目的と
したものですと、確かにその流れを誰かが進行管理していないとという問題かと思います。
メンタルヘルスの問題が抱えるものとして、自分にしかなかなか本当のことはわからないと
いう部分があろうかと思いますので、第三者が客観的な数値なりデータを根拠として進めて
いくというのはとりづらいのではないかと思っています。それで、面接に行く際の意思の反
映があるわけです。
 ただ、そうは言ってもストレスを確認してから半年経ってからようやく面接に行こうかと
いうことになっては、既にその原因となっているものがなくなっていて、かつ慢性化してい
るということではいけないと思います。誰に責任を負わせるかは別にして、適切な時期のう
ちに面接を受けるかどうかという行動がとれるような仕組みが必要ではないかと考えてい
ます。これは、今後検討すべきことだと思っています。

○計画課長 いずれにしても、今回こういう形で検討会の報告書が出ているのですけれども、
現実にその現場でいろいろな形でどう実施していくのかは、まさにこの審議会で今後ご議論
していただくことで、これは1つの参考にしていただければと思います。

○分科会長 中村委員よろしいでしょうか。

○中村委員 はい、結構です。

○高橋委員 いまコメントいただいたのでそのとおりのアクションにつなげてもらえれば
結構だと思うのですが、ただ今のご説明を受けただけでも、例えばストレスに関連する症状
ですか、ストレス要因を職場だけ切り分けて把握することは極めて難しいと思います。大体、
ケースになった方の背景は3つ、4つのいろいろな問題が介在していることがありますので、
そこだけをクローズアップして扱うことの是非という問題がまずあると思います。これから
専門家の方が議論していただけるということなのですが、そこをどういう形でクリアにして
いただけるのかは大変興味が湧くところです。
 それから、中村委員からもご指摘がありましたが、医師がいろいろとご本人への対応を指
示する、あるいは指導するというときに、それをどういう手段で伝えるのかということです。
本人申告というのがしばしばそのまま伝わらないこともあります。それが不利益になること
を考えてしまうのでしょうけれども、したがって適正な対応がとりにくくなるという問題も
出てまいります。
 ご本人の意志で外部の医師に行ってもらうときに「あらかじめ面接する医師を指定」とい
うことなのですが、産業医でも話をしたくない従業員がいたりしますので、そういう方をど
ういう形で担保するかということです。具体的に言うと、契約という形にするのか、あるい
は全くアナウンスだけで済ませるのかです。そうすると、先ほどあったようなコミュニケー
ションは極めて難しくなると思うのです。
 それから、ストレス低減ということで、面接の中でいろいろな問題がわかってきた場合に、
それを言われて、もともと少しディスオーダーを起こしている従業員ですので、こういう人
が自らアクションを起こすかという問題もあると思います。それを誰かがサポートしなけれ
ばいけないのですが、それが特に家庭の問題あるいは地域社会の問題につながると、おそら
く事業場で持っている現体制ではアプローチが難しいのではなかろうかと思います。
 このような議論が今日の説明を受けた中でも出てまいりますので、是非時間をかけて、よ
り実効性のある、実現可能性のある中身、そういうものに練り上げていただければと思いま
す。要望です。

○分科会長 ありがとうございます。ほかには何かご意見、ご質問はありますか。

○谷口委員 労働者のストレスへの気づきを促すことが重要だというご指摘は、まさにその
とおりだと思っております。そういう意味では、この中で申しますと「新たな枠組み」のス
トレスに関連する症状・不調の確認項目について、職場の実態も踏まえたものとなるように
検討を行うことが必要というご指摘、これが非常に重要だと思います。その1例として、食
欲がない、眠れないなどという項目が挙げられていますが、これをどう設定するか、そして、
その面接のときにどう活用するかによって、入口でメンタルに問題がある労働者をしっかり
あぶり出せるかどうかというところにつながると思いますので、今後、しっかりとした検討
をお願いしたいと思います。

○分科会長 ご要望ということでよろしいですか。

○谷口委員 はい。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにはありませんか。これについては引き続いてじ
っくり検討する時間がありますので、今日の辺りはこれでよろしいでしょうか。それでは次
に移らせていただきます。
 次の議題は「今後の安全衛生対策について」です。前回と今回で「職場における受動喫煙
対策に関する検討会」「機械譲渡時における機械の危険情報の提供のあり方に関する検討会」
「職場における化学物質管理の今後のあり方に関する検討会」「職場におけるメンタルヘル
ス対策検討会」と4項目の報告書が事務局から提示されております。この4項目について、
今後の当分科会でご議論いただきたい旨の説明がありました。
 今回、この4項目のそれぞれの検討項目について、事務局が検討会報告書に基づいてまと
めたとのことなので事務局からご説明いただきます。また、この項目以外に今後の当分科会
において、検討課題とするような項目がございましたら、追加してまいりたいと考えており
ますので、委員の皆様にはよろしくお願い申し上げます。それでは、事務局にお願いいたし
ます。

○計画課長 資料2-1ですが、説明に代えてと申しますか、読み上げさせていただきます。

○事務局 (資料No2-1「今後の安全衛生行政の対策に向けての検討項目(案)」を読み上
げ)
 
○分科会長 ありがとうございました。読み上げていただきましたが、検討項目(案)につ
いて追加する検討課題、あるいは修正すべき箇所がありましたらお願いいたします。

○高橋(孝)委員 前回の議論を経ての整理だと思うので、4の職場におけるメンタルヘル
ス対策の中の基本的方向のポツの上から5番目に「長時間労働の抑制等に向けた働き方の見
直しの促進」とあるのですが、メンタルヘルスの対策としては、これはこれでいいと思うの
ですが、先ほど市川委員から話がありましたように、いま自動車運転者の改善基準告示につ
いて、今後どうするかということで議論をしております。この辺について、私どもはトラッ
クなのですが、自動車運転者の長時間と過重労働の常態化というのが長期にわたってなって
おりますので、これを見直ししないと、なかなか安全の問題がついてこないのではないかと
いうことです。最終的にそれは労働基準法の中に組み入れるのか事業法に組み入れるのか、
さらには安衛法の中に反映するかという議論をしておりまして、今後、連合の中でいろいろ
議論をしていただくのですが、安衛法に反映される分も出てくるかなということでちょっと
触れておきたいのです。
 改善基準告示は、そもそも労働基準法で対応できないということで労働者の健康、さらに
は交通安全の問題を重点に対応するということで当初出たものが、年々改善はされてきたの
ですが、この20年間に労働基準法なり労働時間がいろいろ変わってきているのですが、常
に適用除外という形で、基準法の適用とは除外されて時間管理されてきて今日の状態になっ
たのではないかと思っております。メンタルヘルスの中でのこの問題はこれでいいのですが、
特異な業種で、先ほどの報告にもありましたように陸上貨物や交通、林業はこちらの分野で
すが、建築などの部門が長時間・過重労働になっているというのがあると思うのです。この
辺を少し浮彫にして検討していただけないかなと思っています。

○分科会長 いかがでしょうか。

○労働条件政策課長 安全衛生分野での対応についてはちょっと置きまして、全体の改善基
準の状況についてご発言がありましたので、当方の認識等についてご説明したいと思います。
 自動車運転者の改善基準告示につきましては、ご指摘のとおり自動車運転者の業務、職務
の特性を踏まえまして、通常の法定の規制であります労働時間の規制に加えまして拘束時間
の制限、あるいはいわゆるインターバルと言われております休息期間の確保、こういったも
のも併せて総合的に基準を明らかにしております。この基準自体は直接の法的強制力がない
ものの、この基準に基づいて例えば監督署に36協定をお届けいただく際に、粘り強く指導
をさせていただきまして、この基準に沿った36協定を締結していただき、これに基づいて
労働時間管理をしていただくということを進めておりまして、自動車運転者の労働条件改善
の取組みに大きなよりどころとなっていると認識しているところです。
 その一方で、自動車運転者の労働時間が産業別に見ても依然として長時間であるというこ
とは事実です。労災認定におきましても過労死の危険性の高い時間数として、週平均でいき
ますと60時間を超える水準が恒常的な長時間労働で過労死の危険が高いということになっ
ております。こういった過労死の基準が具体化、運用されている中で、脳・心臓疾患での労
災認定件数を見ますと、自動車運転者の方は、昨年の労災死を含む脳・心臓疾患の労災認定
件数の29%を占める84件という状況であり、職種別では、第2位の商品販売事業者33件
の2倍以上の認定件数になっております。改善基準告示、36協定などを通じた規制の効果
は上がっていると思っておりますが、労働基準法などの法規制というようなレベルになりま
すと、改善基準には、労働時間以外の要素も含まれ、また、各運送事業の特性に応じて、各
労使の合意に基づきまして、それぞれ、異なる規制内容が定められている状況です。こうい
った内容の基準を、最低労働条件として、法規制として高めていくことの可否、あるいはそ
の範囲についてはいろいろな議論があるのではないかと思っております。
 いずれにしても、規制の形式にかかわらずその実効性を確保するためには、労使に加えて
荷主等の関係者にも改善基準の趣旨をしっかり周知し、協力し合うことが大事だと考えてお
りまして、さまざまな好事例などを収集して、そういった関係者も含めて情報を提供すると
いうようなことも進めております。今後とも、労使関係者の方々のご意見も踏まえながら対
応をしっかりやっていきたいと思っております。

○分科会長 高橋委員、よろしいでしょうか。

○高橋(孝)委員 もう少し付け加えますと、この20年間で、別にトラックとか自動車だ
けではないのですが、規制緩和により事業運営というのが緩和されまして、新規参入を含め
ていろいろな形で経済に貢献してきたと思うのですが、それはそれでここで議論する話では
ありません。ただ、その間、改善基準告示という、労働者を保護し、さらには交通安全をす
るためのそれらがほとんど変わっていません。途中で1回、小委員会で、自動車運転者の問
題の小委員会というのがたぶん厚労省の中で設置されて、改善基準を議論されたのが10何
年前にあるのですが、これは時間ではなくて、管理の方法をちょっと変えただけなのです。
片方で、事業が自由にできるのですが、そこで働く人が依然と20年前の環境の中に置かれ
ている。具体的に申し上げますと、トラックの場合、例えば20年前の営業区域は東京と大
阪の営業というように決まっていたのですが、それが全国どこでもできるようになりまして、
1週間、1カ月、事業者の指示で全国を回って仕事ができるという環境になったわけです。
そのように環境が違ってきているので、それにやはり働いている人の健康なり条件が付いて
いかないというのが本質的状況だということで、追加で意見を言わせていただきたいと思い
ます。

○分科会長 いかがでしょうか。

○労働条件政策課長 規制緩和に伴いまして、委員ご指摘のとおり、単なる往復でなくて、
さまざまな場所で荷物を収集したり配達したりすることで労働者の移動のパターンが変わ
ってきているということは確かだと思います。健康管理の中でいちばん大事なのは、労災の
認定ですと睡眠時間になっております。インターバルをとって睡眠時間をある程度確保でき
る基準にはなっておりますが、どこでどういう形でインターバルを取るかという点でいろい
ろなパターンが出てきているということではないかと思います。それによって本当に時間を
確保しただけで疲労の回復ができているのか、そういったことも実態を見てみる必要がある
と思いますので、その辺はよく研究してみたいと思っております。

○分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。ほかにはございますか。

○関口氏(伊藤委員代理) 職場における受動喫煙防止対策についてです。2番目に「受動
喫煙防止対策のあり方について」ということで、2行目の「顧客が喫煙する飲食店等につい
ては、一般の事務所や工場と違った対応が必要でないか」というのは、まさしく大事な視点
であろうと思っております。是非、実態を踏まえた議論を深めていっていただきたいと思っ
ています。

○分科会長 要望ということでよろしいですね。ありがとうございます。ほかにはございま
すか。

○犬飼委員 表現振りだけだと思うのですが、メンタルヘルスの4の(3)で「また、事業者
は不利益な取扱いを行わないようにすべきではないか」と、この表現の「すべきではないか」
は決まっています。基本的な方向が「人事、処遇等で不利益を被らないこと」となっている
のですから。「行わないようにするにはどうしたらよいか」とか「何が必要か」というなら
わかるのですが、「すべきではないか」というこの表現は変えていただきたい。

○分科会長 よろしいですか。

○計画課長 ご指摘はごもっともです。

○分科会長 では、文言の訂正をしていただくということで、ありがとうございます。

○市川委員 職場におけるメンタルヘルス対策についてです。基本的な方向性ということで
ポツに出されていますが、そのあと、2、3、4、5、6、7と柱立てが示されていますが、こ
ういうことを加えていただければどうかという意見がございます。それは、小さいポツの中
にも出ているのですが、メンタルヘルス不調者をどうやって把握するかとか、出た場合にど
う対応するかという以前に、そういう不調者をなるべく出さない職場環境をどう整備してい
くのかという視点をもう少し加えていただけないかと。
 実は私、この相澤先生をやったあと、検討会でも専門の精神科医の先生から、うつ病の要
因なんてわかっていないのだとか、何が原因なのかは解明されていないのだとかというよう
なご意見が出されて、私も専門的にはわかりませんが、何をやったらメンタル不調を出さな
い職場になるのかなどというのは専門的にもわからないのかもしれません。とは言っても、
快適で働きやすい、一般的に考えてですね。例えば先ほどの話だと、長時間労働を防ぐとか、
いじめとかハラスメントとか、そういうものが起こらないような環境とか、いわゆる快適職
場づくりという、そういう予防の側面からどういうことができるのかというような視点での
検討も必要ではないかと思います。確かに、先ほどからのご意見で、メンタル不調には家庭
的要因もあるということもありまして、これさえやっておけばすべてオーケーというような
対策はないのでしょうけれども、とはいえ、やはり快適職場づくりというものを検討項目に
挙げていただきたいと思います。

○計画課長 いまの市川委員のご発言内容は、私もごもっともだと思います。ただ、ご案内
のとおり、この分科会は安全衛生分科会です。議論を排除するということではありませんが、
当分科会で最終的に責任を持って議論できるかどうかという点についてはあろうかと思い
ます。基本方向に示しておりますポツのうちの上から5つ目の「長時間労働の抑制に向けた
働き方の見直し」と、1つ飛ばしまして「職場環境に関するモニタリングの実施」と、次の
「労災申請に対する支給決定手続の迅速化」等については、安衛分科会として担うには少し
荷が重いかなと思って外しているということです。
 そういう意味で、ここでご意見をいただくこと自体はよいと思いますが、むしろそれは、
別途適切な場でご議論していただくということと思います。こちらで議論していただくのは
いいのですが、例えば別途問題提起をしていただくなど、そのようなことの取組みもしてい
ただければと。要は、安全衛生分科会だけではなかなかカバーしきれない項目なのではない
か、あるいは別の分科会で議論すべきことではないかとも思います。その辺りは、もしよろ
しければそういう一般的議論というようなことにさせていただいて、具体的に安全衛生分科
会で議論するべき項目としては2以下に並んでいるものだというような理解でこのたたき
台は作っております。

○市川委員 そのご説明はよくわかりました。しかし、普通、安全衛生分科会であろうと何
分科会であろうと、厚労省が分科会で、あるいは審議会でメンタルヘルス対策ということに
ついて検討をして、例えばですよ、仮にこういう取りまとめが出来ましたというようなもの
が社会に公表されたときに、一切予防のことを議論していないのかというのは、一般国民か
ら見たら、これは安衛分科会なのか労働条件分科会なのか職安分科会なのか、そういうこと
は普通の人はあまり考えないと思うのです。メンタルヘルス対策という中にそういう予防の
側面がないというのは、一般国民から見たらやはり違和感がある。ただ、安衛分科会での権
限というか範囲は決まっていますから、責任を持って何々すべきとか法的措置をすべきとか
というような結論が出ないにしろ、やはり検討の1つの項目として、一般的なことでも構い
ませんが、そういう視点が欠けていたということでは画竜点睛を欠くのではないかという思
いがいたします。
 加えて、5番の産業保健スタッフの養成という所です。そういったこともただ産業保健ス
タッフを養成するということだけではなくて、本当に必要なのは、そういう方たちを養成し
た方たちが職場でどのように活躍してもらえるのか、あるいは活用できるのか。特に中小事
業場とか、養成しただけではなくて実際に職場でどのように活用できる仕組みを作るのかと
いうところがたぶん肝だと思いますので、養成についてという、そういうことも含めていわ
ゆるメンタルヘルスを出さない職場環境と言いますか、そういう視点で議論できればとは思
っております。

○労働基準局長 審議会の縦割りを廃すというのは、全くそのとおりだろうと思います。こ
の分科会も含めまして、労働政策審議会という1つの審議会の傘に入っているわけですので、
予防的な側面につきましても大いに議論していただいて結構だろうと思います。その上でよ
り専門的な、例えば当局で言いますと労働条件分科会がありまして、先ほどの自動車運転者
の改善基準の問題はおそらくそちらが主体の所掌になると思います。それから、労働条件分
科会の中に労災保険部会というのがあります。労災申請のことにつきましてはこちらの所掌
になると思います。こちらの議論を受けて必要な問題提起をしていただければ、分科会長の
ご指示もいただきながら他の必要な所で検討を促すということが可能だろうと思います。そ
ういった整理でやっていただければ、事務局としてはよろしいのではないかと考えておりま
す。

○分科会長 ありがとうございます。ということで、十分議論はしますが、一応柱というか、
それはこのとおりでどうかということです。よろしいですか。ありがとうございます。

○明石委員 1の受動喫煙防止対策の3の受動喫煙防止対策基準検討委員会、これは何か報
告書が出るのでしょうか。

○計画課長 この検討会で報告書はまだ取りまとめられておりません。そういう意味ではこ
こは若干先走ってしまっているので、こういう言い方になっているのですが、そこは申し訳
ないのですが、そういう意味では「近々取りまとめられるであろう検討委員会で定められる」
ということです。もちろん、そもそもこの前提に「もしそういうものが必要であれば」とい
うことが論点としては当然あるわけです。ただ、先走って事務的に書かせていただいている
ということでご理解いただければと思います。

○分科会長 これから出るということですね。

○計画課長 はい。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

○豊田委員 職場における化学物質管理の今後のあり方の所です。基本的方向に書かれてお
りますことは、言葉を換えますと、危険有害性情報の伝達及び活用の取組みをいかに定着化
していくかというところだと思うのです。この取組みを定着するに当たって重要なことは、
前回も申し述べたと思うのですが、具体的には、GHSとMSDSをいかに有効的に機能させ
ていくかというところだと思うのです。MSDSというのは10年やりまして、前回も言いま
したとおり、認知度がまだ知らない人もいるという段階です。GHSについてはさらにまだ
新しい段階で、一段と認知度は低いと思います。この辺の普及、教育及びインフラ整備の推
進が一方で必要だということを申し述べたと思います。ですから、この2つ(危険有害性情
報の伝達及び活用の取組みの定着化とGHS、MSDSの普及、教育及びインフラ整備の推進)
がうまく噛み合ってこそ、この定着化というのは成り立つのではないかと思います。その辺
のところもやはり議論の対象として入れておくべきではないかと思います。
 もう1つはスケジュールということです。具体的に言いますと、施行時期についてです。
これも、先ほど申しましたとおり、GHSのラベル表示やMSDS交付というところの普及、
教育、インフラ整備期間の確保ということを考慮することが必要です。
 それから、この前申しましたとおり、GHSに関しましては、純物質と混合物の取扱いを
いかに進めるかということが重要でして、欧州のCLP規則においても時間差を設けており
ます。そのようなところを実施段階においてスケジュール上どのように考慮するか、といっ
たところも議論が必要ではないかと思います。

○分科会長 よろしいですね。

○化学物質対策課長 ただいまの豊田委員ご指摘の点は前回でも承っております。また、先
立ちまして行われました検討会でもご指摘いただいているところですので、ここには書いて
ありませんが、おっしゃる点はよく承知しております。そのように取り計らってまいります。
それから、スケジュールの点もご指摘のとおりです。加えまして、本件に関しましては普及
定着云々といったこともありまして、関係省庁との協力もまた非常に重要だと考えておりま
すので、そういったことにも配慮しながらやっていきたいと考えております。よろしくご審
議をお願いしたいと存じます。

○瀬戸委員 2点ほどあります。1の職場における受動喫煙防止対策についての所に関して
ですが、1点目はお尋ねです。基本的方向の中で「今後どのような観点で進めるか」と書か
れているのですが、どのような観点を想定されているのかお伺いしたいのが1つです。
 それから、受動喫煙防止というのはやはり広く知らしめるというか、広報が必要ではない
かと感じますので、その広報のあり方についても何か議論をされたらよろしいのではないか
ということが2点目です。

○分科会長 観点についてはどうですか。

○環境改善室長 前回の報告書でご報告申し上げましたが、現在は快適職場の推進という観
点で実施しております。それをWHOの条約などの指摘を基にして健康障害防止という観点
で進めるかどうかという、そういうことです。それから、広報についても、検討会でもご指
摘がありましたので、それについても是非ともご議論いただきたいと考えております。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

○犬飼委員 ちょっと理解を深めるための質問です。先ほどの受動喫煙防止対策基準検討委
員会で進められる筋でよいかというところで、検討委員会の報告書では平成14年6月に分
煙効果判定基準というのがあって、結論として「本基準に沿って判断することが適当である」
というのがありましたね。

○計画課長 すみません、それは案の段階でして、まだそれを最終的に取りまとめていない
ということです。

○犬飼委員 わかりましたけれども。それで、平成22年5月から8月にその基準検討委員
会が行われて、専門家でやられているわけですが、この検討委員会でやられた「本基準に沿
って」というのを尊重してやられるのか、検討会でまた新たに何か基準についての数値を
云々カンヌンという話になるのかというところです。

○環境改善室長 報告書におきまして分煙効果判定基準が適当と書かれましたのは、一般の
事務所や工場で基本的には働く場所は禁煙にして空間分煙をするときの喫煙室の設置に関
して、その基準は分煙効果判定基準でいいのではないかというご議論があったわけです。そ
れと別に、ここの3番にあります「屋内の空気環境基準等について」という、その屋内の対
象につきましては、2番の項目に書いてありますが、一般の事務所や工場以外で顧客がたば
こを吸うことによってたばこ煙が存在する飲食業のような所について、検討会の報告では直
ちにそこを禁煙などにはできないので換気することが適当というご結論がございました。た
だ、そうは言ってもそれについて何らかの基準が必要なのではないか、というご指摘がござ
いました。それについての基準はどうあるべきかということです。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうご
ざいます。
 それでは、大変ご熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。以上で検討課
題、項目についてある程度まとまったものと考えております。次回からは、この検討項目と
本日の指摘等を踏まえまして個別項目ごとに議論してまいりたいと思います。まず「機械譲
渡時における機械の危険情報の提供のあり方」から議論してまいりたいと思いますので、事
務局におかれましては、議論のたたき台になるような資料やデータ等の準備をお願いいたし
ます。それでは、事務局から提案があるということですのでお願いいたします。

○計画課長 今日ご意見を頂戴いたしました職場における受動喫煙対策の関係ですが、ご案
内のとおり、この問題は社会の関心も非常に高いということですので、当分科会でご議論い
ただくわけです。その議論の推移等も見ながらではありますが、この分科会を越えて国民の
皆様から幅広く意見を聞く、例えば公聴会のような形で開催することが適当ではないかと考
えますが、いかがでしょうか。提案させていただきます。

○分科会長 いかがでしょうか。ただいまのご提案ですが、公聴会での議論を含めて当分科
会で審議してもらうということになりますが、いかがでしょうか。これはこのメンバーが参
加するということですか。

○計画課長 委員のメンバーは、皆様方お忙しいですので、全員ということではありません
が、事務局の希望としましては、公労使ということであれば少なくとも各1人はご参加いた
だけるような形で是非実施したいとは考えております。もちろん、参加されるということで
あれば拒むものではありませんので、そこはまた別途調整させていただきたいと思います。

○分科会長 いかがでしょうか。ご提案です。よろしいでしょうか。

                 (異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。事務局は、
次回、その公聴会の詳細を示していただきたいと思います。
 なお、公聴会の開催につきましては、会場の確保や参加される方の広報に時間を要するよ
うですので、これらの事務手続につきましては、分科会長一任で進めさせていただきたいと
思います。よろしいでしょうか。それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○計画課長 次回の分科会ですが、9月29日(水)の10時より19階の専用第23会議室
で実施することとしておりますので、よろしくお願いいたします。

○分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたしますが、議事録の署名につきまし
ては、労働者代表は古市委員、使用者代表は豊田委員にお願いしたいと思っておりますが、
よろしいでしょうか。お願いいたします。それでは、本日はお忙しい中ありがとうございま
す。これで終了いたします。


(了)

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